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特表2023-532029コクシジウム症の予防と治療に対する、動物飼料によるプラスの潜在的効果
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】コクシジウム症の予防と治療に対する、動物飼料によるプラスの潜在的効果
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/74 20150101AFI20230719BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230719BHJP
   A61K 31/715 20060101ALI20230719BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20230719BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20230719BHJP
【FI】
A61K35/74 D
A61P31/04 171
A61K31/715
A23K10/16
A23K10/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580177
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021039178
(87)【国際公開番号】W WO2021263160
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】17/358,953
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/044,770
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522444645
【氏名又は名称】ジボ バイオサイエンス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【弁理士】
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ピー.ファンド
(72)【発明者】
【氏名】エイミー イー.ステフェク
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エー.ダール
【テーマコード(参考)】
2B150
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AA02
2B150AA03
2B150AA05
2B150AA20
2B150AB10
2B150AC01
2B150CE26
2B150DD47
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA20
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC64
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC31
4C087CA11
4C087CA15
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB35
4C087ZC64
(57)【要約】
家禽の疾患を含む様々な疾患を防除するための有効な治療方法及び組成物が開示される。本明細書に記載の本発明の概念は、投与が容易で費用対効果の高い、多種多様な疾患に対するプラスの潜伏効果を有する改善された持続的治療を提供する。開示された治療方法は、グラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)由来の化合物を利用する。前記化合物をブロイラーの生涯の初期に投与することにより、免疫調節を介する疾患の予防と治療が行われる。この治療は、ブロイラー生産期間全体を通して効果が持続する。組成物自体は天然物であるため、既知の抗生物質処方とは異なり、環境への悪影響はない。飼料消費量が最も少ない生涯の段階で効果的な治療を提供することにより、生産者のコストが有利に制限される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む有効量の組成物を動物に給餌することを含む、動物のコクシジウム感染のリスクを実質的にその生涯にわたって予防又は最小化する方法であって、最初に動物に生後1週間の間に有効量の前記組成物を給餌する工程を含む方法。
【請求項2】
最初の給餌後に、コクシジウム感染の存在又は盲腸病変について動物を監視する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、動物に給餌する前に飼料配給部分(feed ration portion)と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約0.5ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約11.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約1.0ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約5.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約3.0ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約4.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、ウシ、ブタ、トリ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、及びヤギ種に給餌するために処方される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記グラム陰性細菌がバリオボラクス群のメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記バリオボラクス群のメンバーがバリオボラクス・パラドクサスである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
グラム陰性細菌組成物由来のリポ多糖を含む組成物が、家禽におけるコクシジウム症の予防及び治療用である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
レシピエントに、グラム陰性細菌由来のリポ多糖の形態の非抗生物質組成物を含む飼料を、動物がコクシジウム症に感染するリスクを最小にするのに有効な量で投与することを含む、コクシジウム症からレシピエントを防御する方法であって、前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約0.5ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約11.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、方法。
【請求項12】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約1.0ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約5.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約3.0ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約4.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、ウシ、ブタ、トリ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、及びヤギの種に給餌するために処方される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記グラム陰性細菌がバリオボラクス群のメンバーである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記バリオボラクス群の前記メンバーがバリオボラクス・パラドクサスである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
グラム陰性細菌組成物由来のリポ多糖を含む前記組成物が、家禽におけるコクシジウム症の予防及び治療用である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む有効量の組成物を動物に給餌することを含む、動物のコクシジウム感染のリスクを実質的にその生涯にわたって予防又は最小化する方法であって、動物に生後1週間の間に有効量の前記組成物を給餌する工程を含み、こうして、コクシジウム感染の予防において、生後1週間を越えたその後の組成物の治療が不要になる、方法。
【請求項19】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約0.5ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約11.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約1.0ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約5.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む前記組成物が、動物に最終飼料1トンあたり約3.0ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約4.0ポンドの組成物を提供する量で給餌される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
動物におけるコクシジウム症の治療のための組成物であって、藻類バイオマス及び細菌バイオマスからなる群から選択されるバイオマスである、有効量の飼料成分を含む組成物。
【請求項23】
前記バイオマスが、グラム陰性細菌由来のリポ多糖を含む細菌バイオマスである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記バイオマスが、上清、共生細菌、又は細菌発酵物のうちの1つを含む細菌バイオマスである、請求項22に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月26日に出願された「コクシジウム症の予防と治療に対する、動物飼料によるプラスの潜在的効果」と題する米国仮特許出願第63/044,770号の米国非暫定的特許出願であり、これは参照により全ての目的についてその全体が本明細書に取り込まれる
【0002】
技術分野
本発明は、腸管疾患の予防及び治療における細菌ベースの化合物の使用に関する。より具体的には、本発明は、コクシジウム症などの腸管疾患の予防及び治療において、動物の生涯の早い段階で具体的に投与される動物飼料処方による、グラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)に由来する化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
家禽産業における実質的な経済的損失は、ほとんどの場合、疾患の結果である。鶏群の疾患は、多くの場合、食肉の生産量の減少や品質低下につながる。家禽の疾患の予防と治療は、家禽の生産コストを大幅に増加させる。いくつかの推定では、家禽の疾患による総損失は、全生産コストの10%を超えている。
【0004】
家禽群を攻撃することが知られている疾患のうち、最も一般的なものは、コクシジウム原虫である寄生虫によって引き起こされる疾患であるコクシジウム症を含む腸疾患である。コクシジウム症のみによる年間の経済的損失は、30億ドル/年を超えると推定されており、これらの費用はさまざまな理由で増加すると予想される。
【0005】
第1に、今日のコクシジウム症の予防は、主にワクチンの使用によって達成されている。ワクチンの1回の投与は、ブロイラーの生涯の非常に早い段階で、具体的には孵化の日に行われる。このアプローチはある程度の効果を示しているが、ワクチンは、時間の経過とともに疾患を制御する効果が変動することが知られている.実験では、プロバイオティクスなどのサプリメントと組み合わせて使用されるワクチンが結果を改善し得ることが示されているが、このアプローチは独自の課題に直面している.
【0006】
第2に、今日のコクシジウム症の治療は、抗生物質とイオノフォアを使用する従来の方法で行われているが、どちらも費用がかかる。抗生物質とイオノフォアの使用は、抗生物質耐性病原体の出現に関連する環境問題を含む、さまざまな理由から世界的に圧力を受けている。抗生物質、イオノフォア、及び合成治療化合物に対する薬剤耐性は、主に過剰使用により増加しており、このため、これらの治療の有効性が著しく損なわれている。比較的最近、欧州連合は、飼料添加物としての特定の抗生物質の治療量以下の使用を禁止した.長年にわたり、これらのカテゴリーのいずれにおいても新薬の承認はなかった。合成治療化合物やその他の化学物質が知られているが、従来の抗生物質ほど効果的ではない。
【0007】
第4に、たとえ既知の治療法が依然として経済的で効果的であったとしても、完全に効果的であるためには、動物の寿命の全期間にわたって動物の飼料に薬物を含有させなければならないため、既知のアプローチは依然として不十分であるとみなされる.この要件により、生育期間全体の餌代が大幅に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、動物の成長の初期段階でのみ投与すればよくてその後の治療を必要としない家禽のコクシジウム症などの病原体感染症の非抗生物質ベースの治療法を開発することが、望ましい。後の治療を必要としないこのような長い潜伏期間は、動物の健康を確保しながら、業界にかなりのコスト削減をもたらすであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
開示された本発明概念は、動物及びヒトの両方で使用するための、多種多様な疾患のための改善された持続的な治療を提供する。動物におけるそのような疾患には、特に限定されるものではないが、投与が容易で費用対効果の高いコクシジウム症が含まれる。開示された方法及び組成物は、ブロイラーの生涯の早い段階で免疫調節を介して疾患の予防及び治療の両方を提供する。飼料の消費量が最も少ない生涯の段階で効果的な治療を提供することにより、生産者にかかるコストが有利に制限される。
【0010】
この治療は、ブロイラーの成長サイクル全体を通して永続的な効果を有する。組成物自体は天然物であるため、抗生物質療法とは異なり、環境への悪影響はない。
【0011】
グラム陰性細菌のリポ多糖類(LPS)由来の開示された化合物が、家禽の飼料、飲料水、又はその両方によって動物に投与された場合、化合物の活性物質は、進行中のコクシジウム曝露の存在下でも、活性物質の中止後に、コクシジウム症の影響を緩和する。従って、開示された本発明概念のアプローチは、飼料中の継続する活性物質の存在に効果が依存する既知の一般的に使用される治療法とは、著しく対照的である。開示された化合物はまた、ウシ、ブタ、トリ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、及びヤギ種に早期に給餌された場合、プラスの潜伏効果を有する可能性がある。
【0012】
本発明をより完全に理解するためには、添付の図面を参照されたい。多くの図に示されているように、「No Tx, No Challenge」という表示は、意図的にコクシジウム症に感染していない対象動物に治療を施さなかった試験を指す。「No Tx, Cocci」という表示は、意図的にはコクシジウム症に感染させなかった対象動物には何の治療も施さなかった試験を指す。「Anti-cocci, Cocci」という表示は、対象動物をコクシジウム症に感染させ、その動物に抗コクシジウム剤を投与した試験を指す。
【0013】
「ZIVO all rations, Cocci」という表示は、対象動物にコクシジウム症を感染させ、開示された本発明概念による治療組成物を動物に投与した試験を指す。「ZIVO starter & grower, Cocci」という表示は、対象動物にコクシジウム症を感染させ、その動物に0~21日齢に離乳食餌を投与した試験を指す。「ZIVO starter, Cocci」という表示は、対象動物にコクシジウム症を感染させ、その動物に22~35日齢に成長食餌を投与した試験を指す。「ZIVO grower & finisher, Cocci」という表示は、対象動物にコクシジウム症を感染させ、生後36~42日齢に成長食餌と仕上げ食餌を投与した試験を指す。
【0014】
添付の図面は、以下のように説明される:
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、0日目から7日目までの被験体の飼料変換データを示すグラフである。
【0016】
図2図2は、8日目から14日目までの被験体の飼料変換データを示すグラフである。
【0017】
図3図3は、15日目から21日目までの被験体の飼料変換データを示すグラフである。
【0018】
図4図4は、22日目から28日目までの被験体の飼料変換データを示すグラフである。
【0019】
図5図5は、29日目から42日目までの被験体の飼料変換データを示すグラフである。
【0020】
図6図6は、0日目から42日目までの被験体の飼料変換データを示すグラフである。
【0021】
図7図7は、21日目に測定された被験体の病変スコアを示すグラフである。
【0022】
図8図8は、42日目に測定された被験体の病変スコアを示すグラフである。
【0023】
図9図9は、21日目の被験体の回腸絨毛細胞の高さを示すグラフである。
【0024】
図10図10は、42日目の被験体の回腸絨毛細胞の高さを示すグラフである。
【0025】
図11図11は、21日目の被験体の回腸陰窩の深さを示すグラフである。
【0026】
図12図12は、42日目の被験体の回腸陰窩の深さを示すグラフである。
【0027】
図13図13は、21日目における被験体の回腸細胞の高さと陰窩の深さとの比を示すグラフである。
【0028】
図14図14は、42日目における被験体の回腸細胞の高さと陰窩の深さとの比を示すグラフである。
【0029】
図15図15は、21日目の被験体のサルモネラの盲腸菌数を示すグラフである。
【0030】
図16図16は、42日目の被験体のサルモネラの盲腸菌数を示すグラフである。
【0031】
図17図17は、21日目の被験体のウェルシュ菌(Clostridium perfringens)の糞便菌数を示すグラフである。
【0032】
図18図18は、42日目の被験体のウェルシュ菌の糞便菌数を示すグラフである。
【0033】
図19図19は、21日目の被験体の大腸菌の糞便菌数を示すグラフである。
【0034】
図20図20は、42日目の被験体の大腸菌の糞便菌数を示すグラフである。
【0035】
図21図21は、21日目の被験体の十二指腸ループの卵母細胞数を示すグラフである。
【0036】
図22図22は、42日目の被験体の十二指腸ループの卵母細胞数を示すグラフである。
【0037】
図23図23は、21日目の被験体の中腸の卵母細胞数を示すグラフである。
【0038】
図24図24は、42日目の試験対象の中腸の卵母細胞数を示すグラフである。
【0039】
図25図25は、21日目の被験体の盲腸全体の卵母細胞数を示すグラフである。
【0040】
図26図26は、42日目の被験体の盲腸全体の卵母細胞数を示すグラフである。
【0041】
図27図27は、0日目から7日目までの被験体の死亡率を示すグラフである。
【0042】
図28図28は、8日目から14日目までの被験体の死亡率を示すグラフである。
【0043】
図29図29は、15日目から21日目までの被験体の死亡率を示すグラフである。
【0044】
図30図30は、22日目から28日目までの被験体の死亡率を示すグラフである。
【0045】
図31図31は、29日目から42日目までの被験体の死亡率を示すグラフである。
【0046】
図32図32は、0日目から42日目までの被験体の死亡率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
好適な実施態様の詳細な説明
以下の説明において、さまざまな構成の実施態様について、さまざまな動作パラメーター及び構成要素が説明される。これらの具体的なパラメーター及び構成要素は例として含まれており、限定することを意図したものではない。特に他に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって理解されるような、それらの共通の意味に一致している。
【0048】
開示された本発明概念の方法は、藻類バイオマス、並びに例えば藻類上清、共生細菌、細菌バイオマス、及び細菌発酵産物を含む関連材料を含む化合物の使用を提案する。
【0049】
治療に使用される化合物
【0050】
一般に、組成物の送達は、飼料又は飲料水に混合された活性物質の経口投与によって行われる。開示された治療方法は、絶対ではないが好ましくは、一般的にグラム陰性細菌のリポ多糖(LPS)に由来する化合物を利用する。ブロイラー生涯の初期に化合物を投与することにより、免疫調節を介する疾患の予防と治療が達成される。本明細書で使用される「阻害剤」という用語は、別の分子、受容体、細胞構造体、又は器官によって誘導される活性を低減又は減衰させる分子を指す。例として、宿主免疫細胞の表面に存在するTLR、例えば、特に限定されるものではないが、TLR4のLPS依存性活性化をブロックすることができる化合物は、この特定の経路の阻害剤と見なされるであろう。逆に「アクチベーター」又は「アゴニスト」という用語は、別の分子、受容体、細胞構造体、又は器官によって誘導される活性を増加又は増強する分子を指す。
【0051】
本明細書で使用される「藻類培養物」という用語は、液体培地中で一緒に増殖する藻類生物及び細菌(1つ又はそれ以上の種類)として定義される。特に明記しない限り、「藻類バイオマス」という用語は、藻類細胞及び細菌細胞(液体培養培地を除去したもの)を指す。「藻類バイオマス」は、湿った材料又は乾燥した材料でもよい。
【0052】
特に明記しない限り、「藻類上清」という用語は、藻類バイオマスから排出された化合物を含む、藻類バイオマスが増殖する培地として定義される。藻類の上清は、藻類のバイオマスを培養培地中で適切な時間増殖させた後、濾過及び/又は遠心分離によって藻類及び細菌細胞を除去することによって得られる。
【0053】
バリオボラクス(Variovorax)属及びロドバクター(Rhodobacter)属の細菌は、代謝的に多様であることが知られている。バリオボラクスは、さまざまな条件下で増殖できるグラム陰性の好気性細菌である。これはプロテオバクテリア(Proteobacteria)亜綱の一部であり、植物や藻類によって生成されたいくつかの天然化合物を代謝的に利用することができる。ロドバクターは、光合成と化学合成の両方を利用して、さまざまな条件下で増殖できる。増殖は、嫌気的条件下でも好気的条件下でも達成できる。ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)は、グラム陰性の通性細菌であり、プロテオバクテリアのα-3亜門のメンバーである。
【0054】
本明細書に記載の疾患の治療に使用される化合物の実施態様には、TLR4経路などのTLRシグナル伝達経路の選択的モジュレーターとして使用するための、グラム陰性細菌株によって産生される1つ又はそれ以上のLPS/リピドA化合物が含まれる。開示された本発明概念は、3つの基本的な工程の任意の組み合わせを含む:(1)グラム陰性細菌はLPS/リピドA化合物を産生する;(2)LPS/脂質化合物は、阻害又は活性化を通じてTLR4活性を調節する;及び(3)下流の効果は、TLR4シグナル伝達の調節を介して炎症の調節と腸の免疫細胞の動員をもたらし、こうしてコクシジウム症、壊死性腸炎、及び腸の炎症に関連するその他の状態の治療を助ける。
【0055】
1つの実施態様において、TLR4シグナル伝達経路の選択的モジュレーターとして使用されるLPS/リピドA化合物は、バリオボラクス・パラドクサス(Variovorax paradoxus)株から産生される。バリオボラクス・パラドクサス株は、天然に存在する株であり得る。
【0056】
別の実施態様において、TLR4シグナル伝達経路の選択的モジュレーターとして使用されるLPS/リピドA化合物は、ロドバクター・スフェロイデス株から産生される。ロドバクター・スフェロイデスの構造と機能に関して、広範な研究が行われている。より焦点を絞った研究により、ロドバクター・スフェロイデスの光合成特性が調べられた。ロドバクター・スフェロイデス由来のリポ多糖は、LPS/TLR4シグナル伝達をブロックすることによってTLR4を介した炎症を防ぐ、ヒト細胞における有効なTLR4アンタゴニストであることが知られている。他の種の細胞では、ロドバクター・スフェロイデス由来のLPSがTLR4経路のアゴニストとして機能する。本発明者らは、家禽の複数の免疫応答メカニズムに対処するための試験方法を採用して、ロドバクター・スフェロイデス由来のLPS化合物が家禽の抗コクシジウム剤として有効であるという結論に到達した。初期のデータは、LPS様分子による調節をが示唆したが、ロドバクター・スフェロイデスに向けられた特定の試験が、家禽のコクシジウム症の治療などの疾患の治療におけるこの細菌の有効性を初めて明らかにした。研究はさらに、TLR4阻害剤とTLR2のアクチベーター(グラム陰性細菌由来のリポタンパク質など)を組み合わせることで、抗コクシジウム症効果が得られることを示した。
【0057】
従って、本開示による疾患の治療に使用される化合物の実施態様は、TLR4シグナル伝達経路の選択的モジュレーターとして使用される、バリオボラクス群又はロドバクター群のグラム陰性細菌株によって産生される1つ又はそれ以上のLPS/リピドA化合物に関する。開示された本発明概念の特定の実施態様は、バリオボラクス・パラドクサス株及びロドバクター・スフェロイデス株から産生されるTLR4シグナル伝達経路の選択的モジュレーターとして使用されるLPS/リピドA化合物の使用に関する。
【0058】
本明細書で使用されるLPS/リピドA化合物は、バリオボラクス・パラドクサス株及び/又はロドバクター・スフェロイデス株から任意の適切な方法によって得ることができるが、特定の実施態様において、これらは、以下のような標準的な多工程LPS抽出プロトコールを使用して抽出される:(1)凍結乾燥細菌をフェノール/チオシアン酸グアニジン溶液で抽出し、水層を集めて凍結乾燥する;(2)凍結乾燥画分を水に再溶解する;(3)溶解した画分を限外濾過して低分子量物質と塩類を除去する;(4)Affi-prepポリミキシンマトリックス材料(Bio-Rad)などのポリミキシンB樹脂カラムを使用して、高分子量画分を親和性精製し、そこから活性画分を1%デオキシコール酸で溶出し、そして任意選択的に;(5)サイズ排除クロマトグラフィーを使用して追加の精製を行う。
【0059】
いくつかの例において、細菌からLPS化合物を得るために、複数のタイプのLPS抽出プロトコールが使用され、抽出手順は2回以上行われてもよい。LPS化合物が細菌から抽出され精製されると、リピドA画分は、酸加水分解又は他の適切な技術によって調製することができる。
【0060】
バリオボラクス・パラドクサス又はロドバクター・スフェロイデスなどのグラム陰性細菌株に由来する1つ又はそれ以上のLPS/リピドA化合物は、TLR4シグナル伝達経路を選択的に調節して、炎症反応を調節し、さまざまな使用及び用途で免疫の健康を改善することができる。1つの実施態様において、バリオボラクス・パラドクサス又はロドバクター・スフェロイデスに由来するLPS/リピドA化合物は、穀物ベースの飼料に組み込んで、家禽の腸の健康を改善することができる。
【0061】
バリオボラクス・パラドクサス又はロドバクター・スフェロイデスに由来する開示されたLPS/リピドA化合物は、様々なメカニズムを通じて家禽の健康を改善するために使用することができる。例えば、阻害剤として作用する場合、LPS/リピドA化合物は、典型的な炎症カスケードにおいて、TLR4発現のダウンレギュレーションと下流のNF-κB活性化の阻害を介して炎症性メディエーターを負に調節することにより、家禽を内部炎症から防御する可能性がある。別の例では、LPS/リピドA化合物は、システイン残基媒介受容体二量体化を妨害することによって、家禽におけるTLR4の活性化を阻害することができる。さらに別の例では、LPS/リピドA化合物は、非感染性及び感染性刺激がTLR4と相互作用して炎症誘発性応答を誘発する能力を阻害し、こうして家禽の腸の完全性を改善することができる。あるいは、TLR4経路のアゴニストとして働く場合、LPS/リピドA化合物は、疾患の攻撃に先立って、特定の疾患と闘う免疫細胞を腸組織に動員することにより、侵入する病原体に対するより良好な応答をするように免疫系を刺激し、こうして、その後の病原体への曝露に対する免疫応答を加速及び高める可能性がある。
【0062】
具体的な治療化合物
【0063】
開示された治療化合物は、上記のような細菌株を含む1つ又はそれ以上の淡水藻類バイオマスに基づく。より具体的には、藻類バイオマスは、バリオボラクス・パラドクサス株又はグラム陰性ロドバクター・スフェロイデス株などのグラム陰性細菌を含み得る。
【0064】
4つの治療化合物が提示され、検討される。これらの化合物は、上記の藻類バイオマスの共通の特徴を共有しており、動物の治療に使用される。藻類バイオマスに基づく産物は、トウモロコシやトウモロコシ大豆ミール(SBM)食などの配合飼料で動物に給餌されるか、又は飲料水中で提供される。前述のように、特定の治療組成物には、「ZIVO-すべての給餌」、「ZIVO離乳と成長」、「ZIVO-離乳」、「ZIVO-成長と仕上げ」が含まれる。
【0065】
すべての変形物において、ZIVO治療化合物は、大豆油などの飼料添加物と組み合わせて動物飼料として提供されるグラム陰性細菌を含む淡水藻類バイオマスであるが、好ましくは、必ずしも2部の土壌油対1部の藻類バイオマスの比率ではない。バイオマスと飼料添加物が好ましい予備混合レベルまで混合されると、混合されたバッチは、最終飼料を含むリボンミキサーに均一に注がれるか又は投与される。組み合わされたバッチは、好ましくは最終飼料1トンあたり約0.5ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約11.0ポンドの組成物の量、より好ましくは最終飼料1トンあたり約1.0ポンドの組成物~最終飼料1トンあたり約5.0ポンドの組成物の量、最も好ましくは最終飼料1トンあたり約3トンの組成物~最終飼料1トンあたり約4.0ポンドの組成物の量で提供される。理想的な提唱される非限定的な比率は、最終飼料1トンあたり約3.5ポンドの組成物である。
【0066】
試験
【0067】
様々な治療化合物の応答及び有効性を調べるための試験を行った。ZIVO治療化合物の送達のために、トウモロコシ-大豆飼料タイプの市販の配合飼料を使用するペレット飼料を使用した。家禽の疾患を予防及び治療する方法の非限定的な例が記載される。以下の方法は、唯一の治療方法であることを意図したものではなく単なる例示であることを理解されたい。例えば、開示された本発明の化合物は、単独で又は乾燥飼料への追加と組み合わせて、水中で動物に提供され得る。
【0068】
治療方法の試験
【0069】
商業的孵化場で0日目(孵化及び配置日)に、糞便に汚染された鶏群から孵化してから12時間以内に、合計2,184羽の雌雄混合のブロイラーヒヨコを得た。多数の雌雄混合のブロイラーヒヨコ(雌雄比50:50)を、0日目に個々の体重によっていくつかの試験群の檻の1つに、無作為にそれぞれ複数羽を割り当てた。抗生物質フリーの鳥のみを調達し、孵化場で又は試験中のいかなる時点でも、コクシジウム症ワクチンは投与しなかった.受領時にヒヨコは、試験結果に影響を与える可能性のある疾患又はその他の合併症の徴候について評価された。弱い鳥は人道的に殺処分された。試験中、鳥の交換は行わなかった。全体として、飼料とともに本発明の組成物を投与すると、離乳(Starter)と成長(Grower)(0~28日間)に投与すると良い結果が得られ、離乳(0~14日間)に投与するとより良い結果が得られ、成長と仕上げ(Finisher)(0~7日間)に投与すると、最も良い結果が得られた。
【0070】
検査後、ヒヨコの体重を測定し、乱塊法(randomized block design)を用いて様々な治療群の檻に割り当てた。個々の試験群の平均の標準偏差を対照群のそれと比較することにより、治療群全体の体重分布を評価した後、食餌を与えた。対照群と試験群の間の差が、1標準偏差以内である場合、群全体の体重分布はこの試験で許容できると見なされた。
【0071】
治療群 - 治療群、試験物質のレベル、重複の数、鳥の重複の数、及び投与経路は、以下のように設定された。
【表1】
【0072】
すべての鳥は、栄養十分な食物又は飲料化合物を与えられた。鳥は、孵化の日から42日齢(米国におけるブロイラーニワトリの典型的な平均市場齢)まで、それぞれの治療食餌を自由に給餌された。鳥は、家禽生産で通常経験するストレス条件をさらに模倣するために、積み上げた敷きわらで飼育された。
【0073】
各配合期間の開始時に飼料の重量を量り、次の3つの段階で給餌した:離乳飼料(0~21日齢)、成長飼料(22~35日齢)、及び仕上げ飼料(36~42日齢)。食事は、試験期間全体にわたってペレットとして給餌された。7日目の球菌チャレンジ前の球菌接種した鳥の8時間の絶食期間を除いて、すべての治療化合物食は、飼料完全摂取の制限なしに自由に与えられた。
【0074】
7日目及び7日齢(試験0日目=孵化及び配置日)に、すべての鳥について平均して100%の充填能力の割合で消費するように、適切な飼料を正確に秤量した。これは各檻について、前日に24時間以内に消費された飼料の量を測定することによって決定された。また、7日目には、チャレンジ群のすべての鳥に、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)、及びアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)の混合物を含む接合子嚢を接種した餌を与えた。詳細には、鳥は、鳥1羽あたりE.アセルブリナの100,000の接合子嚢、鳥1羽あたりE.マキシマの50,000の接合子嚢、及び鳥1羽あたりE.テネラの75,000の接合子嚢の混合物を含む栄養食を与えた。
【0075】
球菌チャレンジモデル - すべてのチャレンジ生物は、50#ミキサーを使用して、約10分間の十分な混合時間で離乳飼料に混合された。チャレンジの前に、球菌を接種したすべての鳥を8時間絶食させた。鳥に接種飼料を与えた。2時間後、残っているすべての接種飼料を取り出し秤量して、1檻あたりと1羽あたりの消費量が等しくなるようにした。飼料の量(配置と回収の両方)は、各檻の飼料記録に記録された。
【0076】
試験を通して、鳥は、全体的な健康、行動、及び毒性の証拠について、少なくとも1日3回観察された。檻は、温度、照明、水、飼料、ごみの状態、及び予想外の鶏舎の状態/出来事を含む環境条件について監視された。檻を死亡について毎日チェックした。検査は、死亡又は瀕死状態で発見されたすべてのブロイラーで実施された。死亡を記録し(日付と体重)、検査した(内部及び外部の両方の重量)。試験全体を通して、商業生産に関連するストレス誘発性の健康リスクをシミュレートするために、地元の養鶏場から入手した少なくとも3つの以前の鶏群からの蓄積された敷きわらで鳥を飼育した.
【0077】
試料採取スケジュール - 試験は、次の採取スケジュールに従った:
【表2】
【0078】
分析方法
数日間の治療期間に続いて、ブロイラーニワトリを、組み立てた敷きわら中で、特に限定されるものではないが、エイメリア種及びクロストリジウムなどの細菌にさらされた疾患チャレンジ条件下で飼育したときに、治療化合物の有効性が評価された。全体として、ブロイラーニワトリの成績は、0~7日、0~14日、0~21日、0~28日、及び0~42日にわたって、個体の体重、飼料変換、肉眼的剖検結果、死亡率を含むさまざまな入力データを使用して評価した。飼料変換年齢の範囲は、0~7、0~14、0~21、0~28、0~42であった。
【0079】
その後、肉眼的剖検(外部及び内部測定の両方を含む)を、生後21日齢の鳥のオスとメスの両方について檻ごとに行い、再び42日齢の鳥のオスとメスの両方について行った。各鳥の肉眼的剖検中に、病変スコア、コクシジウム症(小腸及び大腸)、スラッフィング(小腸及び大腸に見られる腸内層物質)の量、及びCECA損傷スコアに特に注意が払われた。測定値とエンドポイントは、死亡、飼料摂取量、各期間後の体重増加、及び飼料:増加値(飼料変換率)、腸十二指腸病変スコア、及びコクシジウム症/エイメリア盲腸病変スコア、採取された糞便試料、消化物試料、及び組織試料を含む成長生存成績要因に基づいていた。
【0080】
データ評価における統計的完全性を確保するために、「無作為化完全ブロック計画」に構成されたブロックにより、治療を無作為化した。個々のヒヨコ(半分がオス、半分がメス)を各ブロック内で無作為に割り付け、次に孵化後10時間以内にすべての治療に割り付けた。すべてのデータ点は5%の確率レベルで分析され、檻全体、飼料:増加、生存率(又は死亡率)の複合加重平均が含まれた。
【0081】
試験の評価
【0082】
未治療で非罹患鳥、未治療で罹患鳥、従来の抗生物質で0日から42日までの様々な期間にわたって治療された罹患鳥、及び異なる本発明の化合物で治療された罹患鳥の間の差異が、図1~32のグラフに示されている。グラフは、飼料変換率(FCR)、病変スコア、回腸絨毛細胞の高さ、回腸陰窩の深さ、回腸細胞の高さと陰窩の深さの比、さまざまな糞便菌数(サルモネラ菌、クロストリジウム・パーフリンゲンス、及び大腸菌)、十二指腸ループ接合子嚢数、中腸接合子嚢数、盲腸全体接合子嚢数、及び死亡を対象としている。
【0083】
飼料変換 - 飼料変換率(FCR)は、動物が飼料をいかに効率的に使用しているかの有用な指標である。低いFCRを示す動物は、一般的に飼料の効率的な使用者とみなされる。FCRが低いことは、飼料の品質が高いことも示している。
【0084】
図1~6に示されるように、死亡補正飼料変換比を、0~7日目、8~14日目、15~21日目、22~28日目、29~42日目、及び0~42日目について測定し、報告した。0~7日を除いて、開示された本発明の化合物は、未治療でコクシジウム罹患群と比較すると、一貫して改善された結果を提供した。最も注目に値するのは、29~42日目にZIVO離乳と成長、及び離乳飼料を適用することによって達成されたプラスの結果であり、両方の飼料が、従来の抗コクシジウム症治療法で治療されたコクシジウム症に罹患した鳥よりも、FCRの優位性を示した。
【0085】
病変スコア化 - 肉眼的剖検及び病変スコア化を21日目と42日目に実施した。鳥を選択し、殺処分し、体重を測定し、コクシジウム病変の存在と程度、並びに腸管内層のスラッフィングの量について調べた。CECA損傷スコアは、図7及び8に示されるように評価及び記録された。42日目までに、すべてのZIVO配合物で治療したすべての群で病変スコアが大幅に減少し、未治療の鳥よりも一貫して優位性を示した。
【0086】
回腸絨毛の特徴 - 回腸絨毛は、小腸に見られる重要な構造である。絨毛は主に栄養素の吸収に関与しているため、絨毛の高さの増加とそれに伴う吸収表面積の増加は、腸での栄養素の吸収能力に影響を与える。
【0087】
21日目及び42日目の回腸領域から、回腸絨毛細胞の高さ、陰窩の深さ、及び絨毛の高さと陰窩の深さとの比率を取得し、計算し、報告した。図9及び10について、回腸絨毛細胞の高さは、21日目から42日目までの間、すべてのZIVO配合物について概ね安定したままであったが、42日目までに有意な改善を示した成長配合物及び仕上げ配合物は除く。重要なことに、ZIVO配合物を給餌された鳥の回腸絨毛細胞の高さは、従来の抗生物質で治療されたコクシジウムでチャレンジした鳥と競合的であった。図11及び図12に示されるように、同様の結果が21日目と42日目との回腸陰窩の深さの間で見られた。顕著なことに、42日目までに、回腸細胞の高さと陰窩の深さの比は、図13及び14に示されるように、ZIVO飼料のすべての変形物を給餌された鳥について改善を示したことである。
【0088】
示されるように、コクシジアチャレンジを受けた動物の回腸絨毛の高さ対深さの比は、疾患によってもたらされる栄養素を吸収する能力の低下の形態学的結果を示している。残りの条件は、開示された治療化合物で治療された鳥は、栄養素に対して比較的高い吸収表面積を有する健康な腸を示し、コクシジウムチャレンジを受けていない鳥、並びに抗コクシジウム治療が施されたが、付随する副作用がなかったものとほぼ同じ絨毛の高さ対深さの比率を示している。
【0089】
細菌 - 上記のように、コクシジウム症は動物の腸に損傷を与え、従ってしばしば細菌感染の急速な発症とその結果生じる壊死性腸炎などの疾患の素因として作用する。家禽は、サルモネラ菌、ウェルシュ菌、大腸菌などのさまざまな細菌に感染しやすい。図15~20に示すように、21日目と42日目の両方で、盲腸及び糞便からの試料を細菌の存在について評価した。腸及び糞便試料を分析して、総一般生菌数(APC)を決定した。
【0090】
サルモネラ菌に関するデータに関して、図15及び16は、21日目と42日目との差異を示しており、42日目までにZIVO飼料変形物を給餌された鳥の盲腸の菌数が全体に減少したことがわかり、開示された組成物の潜在的な利点が示されている。逆に、従来の抗コクシジウム症治療を受けたコクシジウムチャレンジした鳥では、同時期に菌数が増加した。
【0091】
ウェルシュ菌に関するデータに関して、図17及び18は、21日目と42日目との差異を示しており、42日目までに「ZIVO離乳と成長」及び「ZIVO離乳」飼料を給餌された鳥の糞便菌数が全体にわずかに増加したが、「ZIVO成長と仕上げ」飼料を給餌された鳥では比較的劇的な減少を示したことが分かり、本発明の組成物の長期的な利点を強調している。
【0092】
大腸菌に関するデータに関して、図19及び20は、21日目と42日目の差異を示しており、42日目までに、「ZIVO離乳と成長」組成物を給餌された動物では糞便カウントがわずかに減少し、「ZIVO離乳」飼料を給餌された鳥では増加し、「ZIVO成長と仕上げ」組成物を与えられた鶏では劇的に減少した。
【0093】
接合子嚢スコア - 21日目と42日目に動物の異なる場所で、肉眼的剖検と接合子嚢スコア化を行った。以前に接合子嚢を接種した鳥を選択し、殺処分し、体重を測定し、十二指腸ループ、中腸、及び盲腸全体における接合子嚢の存在と程度を調べた。この試験の結果は、図21~26に示されている。
【0094】
それぞれ図21と22の21日目及び42日目の十二指腸ループの接合子嚢数に関して、42日目までに、十二指腸ループ接合子嚢数は、「ZIVO離乳と成長」組成物と「ZIVO離乳」組成物を給餌された鳥の両方で全体に増加していたが、「ZIVO成長と仕上げ」組成物を給餌された鳥では顕著に減少した。
【0095】
それぞれ図23と24の21日目及び42日目の中腸接合子嚢数に関して、42日目までに、接合子嚢数は、「ZIVO離乳と成長」組成物と「ZIVO離乳」組成物を給餌された鳥の両方で全体に増加していたが、「ZIVO成長と仕上げ」組成物を給餌された鳥では減少していた。
【0096】
それぞれ図25と26の21日目及び42日目の盲腸接合子嚢全体の数に関して、42日目までに、接合子嚢数は、「ZIVO離乳と成長」組成物と「ZIVO離乳」組成物を給餌された鳥の両方で全体に増加していたが、「ZIVO成長と仕上げ」組成物を給餌された鳥では減少していた。
【0097】
死亡率図1及び27から32に示されるように、死亡率は、0~7日目、8~14日目、15~21日目、22~28日目、29~42日目、及び0~42日目について計算した。すべての年齢期間にわたって、未治療で罹患群の死亡率は正常であったが、さまざまなZIVO組成物を含む飼料を与えられた群より常に高いわけではなかった。
【0098】
結果
【0099】
一般に、結果の分析は、コクシジウムチャレンジされた家禽の治療における革新的な化合物の使用が、コクシジウムチャレンジされた未治療の家禽と比較して、動物飼料を介した送達により、コクシジウム症の予防及び治療に対するプラスの潜伏効果を示すという結論を支持する。以下に示すプラスの結果は、開示された本発明概念の組成物の異なる細菌変形物で確認された。
【0100】
上記の処方に従って治療化合物を給餌されたニワトリの群と、治療化合物を給餌されなかったニワトリの両方の群からのブロイラー組織のキノミクス分析(Kinomic analysis )は、治療されたニワトリが、TLR4阻害の効果と一致する免疫応答の変化を示すことを証明した。全体として、生後14日間に試験物質を給餌された鳥のキノミクス分析は、強化された自然免疫応答と一致する免疫系の変化を示し、こうして動物の生涯にわたってプラスの潜伏効果をもたらした。
【0101】
特に、コクシジウム感染後に典型的に経験されるコクシジウム病変及び腸内層への損傷の存在及び程度の有意な減少が認められた。非抗生物質の代替物として作用する開示された治療方法及び組成物が、腸内の病原性細菌、例えば、家禽生産で天然に存在する微生物であるサルモネラ菌、ウェルシュ菌、及び大腸菌などの存在の有意な減少を証明することは明らかである。
【0102】
具体的な結果は以下のように要約される:
【0103】
FCRは、未治療の疾患チャレンジされた鳥と比較して、開示された組成物を給餌された試料家禽では改善を示した。
【0104】
殺処分した試料鳥を調べると、開示された組成物で治療した試料家禽の十二指腸及び盲腸の両方の平均病変スコアは、殺処分した未治療の疾患チャレンジした鳥のスコアよりも一貫して低いことがわかった。「ZIVO成長と仕上げ」産物を有する飼料組成物は、42日目までに病変スコアを減少させるのに大きく貢献した。
【0105】
回腸絨毛細胞の高さ、陰窩の深さ、及び絨毛の高さと陰窩の深さとの比は、全体に改善を示したか、又は経時的に安定したままであった。特に、ZIVO配合物を給餌された鳥の回腸絨毛細胞の高さと陰窩の深さは、従来の抗生物質で治療されたコクシジウムでチャレンジされた鳥と競合的であった。
【0106】
サルモネラ菌、ウェルシュ菌、及び大腸菌を含む様々な細菌の存在が、未治療の鳥と比較して、飼料中にZIVO組成物を給餌された鳥において、全体に減少したことが見出された。
【0107】
殺処分された試料鳥を調べると、ZIVO組成物を有する飼料を与えられた試料家禽の十二指腸、中腸、及び盲腸の平均接合子嚢数は、殺処分された未治療の疾患でチャレンジされた鳥のスコアよりも低いことが判明した。
【0108】
死亡率 - 未治療群及び罹患群の%死亡率は、様々なZIVO組成物を含有する飼料を与えられた群よりも通常高かったが、常に高かったわけではない。このデータは、試験対象の鳥に対するZIVO配合物のプラスの効果を確認している。
【0109】
開示された本発明の組成物を含む飼料を与えられた結果として、疾患でチャレンジされた家禽の全体的な健康の改善が、抗生物質を使用することなく達成された。
【0110】
全体として、本発明の組成物は、動物の病状の治療に対する費用対効果の高い実用的なアプローチを示している。
図1
図2
図3
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図5
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図10
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【国際調査報告】