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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】小規模下水処理場
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/48 20060101AFI20230719BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20230719BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20230719BHJP
【FI】
B01D29/36 D
B01D21/00 C
C02F1/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580490
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2021068141
(87)【国際公開番号】W WO2022003091
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】202020103837.0
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517385520
【氏名又は名称】ボド リヒター
【氏名又は名称原語表記】RICHTER, Bodo
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】ボド リヒター
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BB02
4D116BC27
4D116DD01
4D116KK01
4D116QA45C
4D116QA45D
4D116QA45F
4D116QA51C
4D116QA51D
4D116QA51G
4D116QB41
4D116RR02
4D116TT02
4D116TT07
4D116VV09
(57)【要約】
小規模下水処理場(10)は、第1の下水槽(12)の底に固体粒子(16)が沈むことにより事前浄化が行われる、第1の下水槽(12)と、いくつかのフィルタ(28,42)を備え、上から事前浄化下水が給水されてさらに浄化する、第2の下水槽(24)の濾過装置(26)と、を備える。濾過装置(26)は、垂直回転軸線(36)周りに回転可能であるとともにいくつかのフィルタ容器(40)を収納する、回転板(38)を有し、各フィルタ容器(40)は、互いに重なって配置されたいくつかのフィルタ(42)を含む。第2の下水槽(24)の蓋(33)には開閉可能な槽開口部(39)が設けられ、回転板(38)の対応する回転後、関連するフィルタ容器(40)が槽開口部(39)と対向しているときに、この槽開口部(39)を介して少なくとも1つのフィルタ(40,42)が取り外し可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の下水槽(12)の底に固体粒子(16)が沈むことで事前浄化が行われる、下水の入口(14)を有する前記第1の下水槽(12)と、
事前浄化下水を第2の下水槽(24)に給水可能な排水口(22)を介して前記第1の下水槽(12)に接続される、前記第2の下水槽(24)と、
いくつかのフィルタ(28,42)を備え、上から前記事前浄化下水が給水されてさらに浄化する、前記第2の下水槽(24)の濾過装置(26)と、
前記濾過装置(26)の下に配置されて濾過下水を排出可能な出口(30)と、を備える、小規模下水処理場(10)であって、
前記濾過装置(26)が、垂直回転軸線(36)周りに回転可能であるとともにいくつかのフィルタ容器(40)を収納する、回転板(38)を備え、各フィルタ容器(40)が、互いに重なって配置されたいくつかのフィルタ(42)を備え、
前記第2の下水槽(24)の蓋(33)に開閉可能な槽開口部(39)が設けられ、前記回転板(38)の対応する回転後、関連する前記フィルタ容器(40)が前記槽開口部(39)と対向しているときに、前記槽開口部(39)を介して少なくとも1つのフィルタ(40,42)が取り外し可能であることを特徴とする、小規模下水処理場(10)。
【請求項2】
前記フィルタ容器がフィルタと共に取り外し可能であることを特徴とする、請求項1に記載の小規模下水処理場。
【請求項3】
前記濾過装置(26)の上に分配装置(44)が存在し、前記分配装置が前記排水口(22)に接続され、前記排水口(22)を介して事前浄化下水を少なくとも1つのフィルタ容器(40)に給水可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の小規模下水処理場。
【請求項4】
各フィルタ容器(40)が垂直長手方向軸線を有する円筒形に構成され、円形断面の前記フィルタ(42)を受け入れることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の小規模下水処理場。
【請求項5】
フィルタ容器(40)のいくつかのフィルタ(42)が1つのフィルタ群にまとめられ、前記フィルタ群が前記槽開口部(39)を介して取り外し可能であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の小規模下水処理場。
【請求項6】
前記第1の下水槽(12)が密閉槽として形成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の小規模下水処理場。
【請求項7】
前記第1の下水槽(12)が前記第2の下水槽(24)に堅固に接続されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の小規模下水処理場。
【請求項8】
前記第1の下水槽と前記第2の下水槽とが合わせて10~40mの保持容積を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の小規模下水処理場。
【請求項9】
分配装置(44)が、前記フィルタ容器への事前浄化下水の供給を絞り込むことができる少なくとも1つの絞り要素(52)を備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の小規模下水処理場。
【請求項10】
前記第1の下水槽(12)の蓋に、前記フィルタ容器(40)を挿入して洗浄することができる開閉可能な開口部(32)を備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の小規模下水処理場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粒子が第1の下水槽の底に沈むことにより事前浄化が行われる、下水給水ラインを有する第1の下水槽と、事前浄化下水を第2の下水槽に給水することができる排水口を介して、第1の下水槽に接続される第2の下水槽と、いくつかのフィルタを備えて、上から事前浄化下水が給水されてさらに浄化する、第2の下水槽の濾過装置と、濾過装置の下に配置されて濾過下水を排出可能な出口と、を備える、小規模下水処理場に関する。
【背景技術】
【0002】
このような小規模下水処理場は、定格人員が4~5人の住民ユニットの下水を浄化する役割を果たし、特に5~20人の住宅ユニットで使用される。そのため、大規模な共同下水処理場に接続して下水を処理することが技術的、法的又は経済的理由で不可能なときに、一戸建て住宅、小規模集落、レストラン/民宿又は避難所等で使用される。一般的には、下水浄化は2つの下水槽によって行われ、第1の下水槽で事前浄化が行われ、事前浄化下水は第2の下水槽に給水され、そこで強制換気なしの生物フィルタとして有効な濾過装置のフィルタパケットによってさらに浄化される。次いで、浄化下水は、下部の出口を介して第2の下水槽から排出される。このように、運転中、第1の下水槽は常時排出口まで下水で満たされるが、連続的に空にされる第2の下水槽には下水が溜まらない。
【0003】
小規模下水処理場で使用されるフィルタは、負荷に応じて定期的なメンテナンスと洗浄が必要である。この作業では、第1の下水槽から沈殿汚泥を抽出して処分する。濾過装置のフィルタの洗浄は第2の下水槽内で行われ、一般的には、第2の下水槽の槽開口部から水ホースを挿入し、フィルタに水を噴射して洗浄する。第2の下水槽への接近が制限されているため、洗浄作業は困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、メンテナンスと洗浄が改善された小規模下水処理場を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、濾過装置が、垂直回転軸線周りに回転可能であるとともにいくつかのフィルタ容器を収納する、回転板を備え、各フィルタ容器が、互いに重なって配置されたいくつかのフィルタを備え、第2の下水槽の蓋には開閉可能な槽開口部が設けられており、回転板の対応する回転後、関連するフィルタ容器が槽開口部と対向しているときに、この開口部を介して少なくとも1つのフィルタを取り外すことができることによって、解決される。
【0006】
本発明によれば、それぞれのフィルタ容器の1つ以上のフィルタを取り外し、第2の下水槽の外で洗浄することができる。フィルタ付きフィルタ容器全体を回転板に取り外し可能に取り付け、このフィルタ容器を第2の下水槽の外のフィルタと一緒に洗浄するために槽開口部を介して取り外すと有利である。このようにすることで、第2の下水槽の濾過装置のメンテナンスとその洗浄が容易になる。さらに、機能していないフィルタ容器を、機能するフィルタ容器に一括して容易に交換することができる。
【0007】
一実施形態によれば、濾過装置の上に分配装置が設けられ、この分配装置は排出口に接続され、排出口を介して事前浄化下水を少なくとも1つのフィルタ容器に供給することができる。一般的には、分配装置は、事前浄化下水を、回転板に存在するすべてのフィルタ容器に多かれ少なかれ均等に分配する。また、例えばフィルタ容器の機能が損なわれているとき等に、事前浄化下水を選択されたフィルタ容器にのみ分配するように分配装置を構成することも可能である。また、選択されたフィルタ容器への下水の供給を絞り込むことで、影響を受けるフィルタ容器への負荷を軽減することも可能である。このようにして、メンテナンスと洗浄の間隔を長くすることができる。
【0008】
別の好ましい実施形態は、フィルタ容器のいくつかのフィルタがフィルタ群にまとめられ、このフィルタ群が槽開口部を介して取り外し可能であることを提供する。この場合、負荷が大きいフィルタ群を負荷の小さいフィルタ群よりも頻繁に洗浄することで、メンテナンスと洗浄を簡素化することができる。
【0009】
図面では、従来技術による実施形態と本発明による実施形態を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来技術による小規模下水処理場を概略的に示す。
図2】本発明の実施形態による小規模下水処理場を示す。
図3】第2の下水槽の概略上面図である。
図4】第2の下水槽の側面図である。
図5】小規模下水処理場のCAD透視図である。
図6】小規模下水処理場とフィルタ容器の取り外しを示す。
図7】回転板を回転自在に取り付けるボールローラを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1では、従来技術による小規模下水処理場10を例示している。小規模下水処理場10は、矢印P1に従って入口14を介して下水が供給される第1の下水槽12を備える。第1の下水槽12では、固体粒子16が底に沈むと下水の事前浄化が行われ、油脂等の軽い粒子は下水の表面18付近に集まる。下水は、矢印P2、P3及びP4に従って、事前濾過のための様々なフィルタ層を備える事前フィルタ20まで流れる。事前浄化下水は、排水口(overflow)22を介して第2の下水槽24まで流れ、矢印P5及びP6に従って、いくつかのフィルタ28を備える濾過装置26に供給され、この濾過装置ではとりわけ生物濾過も行われる。浄化される下水は、矢印P7に従って濾過装置26を滴下し、矢印P8に従って出口30を介して濾過下水として濾過装置26の下の小規模下水処理場10から出る。
【0012】
第1の下水槽12の蓋31は、2つの開閉可能な開口部32を含んでいる。これらの開口部32を介して、下水槽12内の汚泥及び固体粒子、並びに表面廃棄物を吸い上げて処分することができる。水を第1の下水槽12と事前フィルタ20に高圧で噴射することにより洗浄が行われる。第2の空容器24においても、蓋領域33に2つの開閉可能な開口部34が含まれており、これを通して覗き管35を介した汚れ状態の点検及び/又は洗浄が行われる。この作業では、開口部34を介して第2の下水槽24に水ホースを挿入し、濾過装置26と内部空間を高圧で洗い流し洗浄する。第2の下水槽24への接近はかなり制限されているため、洗浄作業は比較的困難であり、フィルタ28の交換は複雑である。
【0013】
図2は、本発明の設計における小規模下水処理場10を示す。以下では、同じ要素には同じ符号を付している。ここでも、事前浄化下水は、排水口22を介して矢印P6の方向へ、分配装置44を介して濾過装置26に給水される。この濾過装置26は、垂直回転軸線36周りに回転可能であるとともにいくつかのフィルタ容器40を収納する、回転板38を備えている。これらのフィルタ容器40の各々は、図4に例示されているように、互いに重なって配置されたいくつかのフィルタ42を備える。回転板38の上には分配装置44が配置されており、この分配装置44は、事前濾過下水を様々なフィルタ容器40に分配する。
【0014】
蓋33には開閉可能な槽開口部39が含まれており、その開口幅はフィルタ容器40の直径よりも大きいため、回転板38の対応する回転によって特定のフィルタ容器40が槽開口部39と対向し、整列するときに、フィルタ容器40又はフィルタ容器40に含まれる少なくとも1つのフィルタ42を取り外すことができる。
【0015】
図3は、第2の下水槽24の上面図である。回転板38の基部上のフィルタ容器40の配置を見ることができる。分配装置44は、事前浄化下水をフィルタ容器40に供給する分配アーム50を有する。フィルタ容器40は、垂直長手方向軸線を有する円筒形に設計されており、これにより、円形断面のフィルタを受け入れる。ただし、フィルタ容器40は、三角形状又は多角形状又は円形セグメントの形状等、他の断面形状であってもよい。その結果、回転板38の領域の空間を濾過のためにより良好に使用することができる。分配アーム50の1つには、図3に示す絞り要素52があり、絞り要素52を介して、それぞれのフィルタ容器への下水の供給を絞るか、又は完全に遮断することができる。
【0016】
図4は、第2の下水槽24の側面図を概略的に示す。フィルタ容器40の1つには、層状フィルタ42が描かれている。
【0017】
図5は、CADの概略図を透視図で示す。回転板38上には、様々な円筒形状のフィルタ容器40が配置されている。回転板38が軸線36周りに回転すると、フィルタ容器40も回転し、フィルタ容器40又はフィルタ容器40に含まれるフィルタ42へアクセスするために、槽開口部39と整列させることができる。
【0018】
図6は、図2による実施形態を示す。回転板38は、フィルタ容器40が槽開口部39と対向するように回転する。次いで、この開口部を介してこのフィルタ容器40を取り外すことができ、第2の下水槽24の外で洗浄することができる。1つのバージョンでは、このフィルタ容器40を第1の下水槽12の開口部32の上に置き、例えばねじ止めするなどしてそこに固定する。これにより、このフィルタ容器40を外部からの高圧水で濯ぎ、洗浄することができる。その汚水は第1の下水槽12に到達する。このようにして、第2の下水槽24からのフィルタ容器40を洗浄するときに、小規模下水処理場10の外に汚水が発生しない。小規模下水処理場10の全容積は、2500~25000リットルである。フィルタ容器は、一般的には200リットルの容積を含む。
【0019】
図7は、回転板38を取り付けて枢動させるための構成要素として機能するボール移送ユニット54を概略的に示す。ボール移送ユニット54は、ハウジング56と、メインボール58と、軸受胴60と、複数の小さな支持ボール62と、を備え、これらは低摩擦で全方向に回転可能である。これらの支持ボール62は、メインボール58の回転に伴って軸受胴60内の第2の下水槽24の底部で転がり落ちる。このようないくつかのボール移送ユニット54は、ハウジング56で回転板38に固定され、回転を可能にしている。ボール移送ユニットに関する代替構成要素としては、チェアロール又はシリンダボール移送ユニットのような転動体が使用可能である。回転板38の回転は、洗浄中に手動で行うことが好ましい。代替的に、モータ駆動の回転も可能である。
【0020】
示された実施形態は、本発明の範囲内で様々な方法で修正され得る。例えば回転板は、フィルタ容器40が立つ基板のみを備えていてもよい。そして、この基板にフィルタ容器40を安定的に固定することが有利である。また、基板には、フィルタ容器40が挿入される凹部があってもよい。基板の下に集水器を配置して接続し、濾過下水を集めて出口30に導くことができる。
【0021】
また、フィルタ容器40のいくつかのフィルタ42を1つのフィルタ群にまとめてもよい。フィルタ容器40が槽開口部39と対向するとき、この槽開口部39を介して1つ以上のフィルタ群を取り外し、洗浄することができる。一実施形態では、フィルタ容器40を回転板38にしっかりと接続し、槽開口部39を介してフィルタ42のみ又はフィルタ群を取り外し、洗浄することができる。また、第1の下水槽12を第2の下水槽24に堅固に接続すると、小規模下水処理場全体の安定性が向上するという利点がある。
【符号の説明】
【0022】
10 小規模下水処理場
12 第1の下水槽
14 入口
P1~P8 矢印の方向
16 固体粒子
18 下水表面
20 事前フィルタ
22 排水口
24 第2の下水槽
26 濾過装置
28 フィルタ
31 蓋
32 開口部
33 蓋領域
34 開口部
35 覗き管
36 回転軸線
38 回転板
39 開閉可能な槽開口部
40 フィルタ容器
42 フィルタ
44 分配装置
50 分配アーム
52 絞り要素
54 ボール移送ユニット
56 ハウジング
58 メインボール
60 軸受胴
62 支持ボール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】