(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】C825を発現する免疫細胞およびこれを使用する診断法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20230719BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230719BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230719BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230719BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230719BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20230719BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230719BHJP
C07K 16/44 20060101ALI20230719BHJP
A61K 51/02 20060101ALI20230719BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20230719BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20230719BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230719BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230719BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230719BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230719BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230719BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230719BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230719BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230719BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230719BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20230719BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230719BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230719BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230719BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230719BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230719BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230719BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230719BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230719BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230719BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20230719BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230719BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230719BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230719BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/13 ZNA
C12N15/12
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N5/078
C07K19/00
C07K16/44
A61K51/02 200
A61K51/04 200
A61K51/10 200
A61P35/00
A61P13/12
A61P13/10
A61P35/02
A61P19/08
A61P25/00
A61P15/00
A61P1/04
A61P11/02
A61P11/04
A61P27/16
A61P1/02
A61P1/16
A61P11/00
A61P17/00
A61P43/00 105
A61P1/18
A61P13/08
A61P21/00
A61P15/02
A61P9/00
A61K35/17
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580784
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021039418
(87)【国際公開番号】W WO2022005994
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100111501
【氏名又は名称】滝澤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーチ ダレン
(72)【発明者】
【氏名】チール サラ
(72)【発明者】
【氏名】オウエルフェリ オウアセク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン グアンビン
(72)【発明者】
【氏名】クレブス シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】ダチェク メーガン
(72)【発明者】
【氏名】シェインバーグ デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チュン ナイ-コン
(72)【発明者】
【氏名】サンティッチ ブライアン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C085HH03
4C085KA04
4C085KA05
4C085KA09
4C085KA29
4C085KB03
4C085KB07
4C085KB09
4C085KB11
4C085KB12
4C085KB56
4C085KB82
4C085LL18
4C087AA01
4C087AA03
4C087BB37
4C087CA04
4C087CA12
4C087MA56
4C087MA58
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA20
4C087ZA01
4C087ZA34
4C087ZA36
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA67
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA51
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書では、腫瘍抗原ターゲティングキメラ抗原受容体と、抗DOTA C825抗原結合断片とを発現する操作された免疫細胞を含む組成物が提示される。本技術の操作された免疫細胞は、診断用放射性薬剤(例えば、111In)と錯体化されうるDOTAハプテンに結合するように構成される。本明細書ではまた、本明細書で記載される、操作された免疫細胞の、in vivoにおける生体内分布、生存率、および増殖を決定する(determinining)ための方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号35~39、41、若しくは42のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、抗DOTA C825抗原結合断片、および/または前記抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸;並びに
(b)標的抗原に結合する受容体、および/または前記受容体をコードする核酸
を含む操作された免疫細胞。
【請求項2】
受容体がT細胞受容体である、請求項1に記載の操作された免疫細胞。
【請求項3】
受容体が天然の細胞受容体である、請求項1または2に記載の操作された免疫細胞。
【請求項4】
受容体が非天然の細胞受容体である、請求項1または2に記載の操作された免疫細胞。
【請求項5】
受容体がキメラ抗原受容体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項6】
抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸が、前記抗DOTA C825抗原結合断片の分泌のためのリーダー配列を含む、請求項5に記載の操作された免疫細胞。
【請求項7】
抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸がプロモーターに作動可能に連結されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項8】
プロモーターが構成的プロモーターである、請求項7に記載の操作された免疫細胞。
【請求項9】
プロモーターが条件的プロモーターである、請求項7に記載の操作された免疫細胞。
【請求項10】
条件的プロモーターが、受容体の標的抗原への結合により誘導される、請求項9に記載の操作された免疫細胞。
【請求項11】
標的抗原が腫瘍抗原である、請求項1~10のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項12】
受容体をコードする核酸が構成的プロモーターに作動可能に連結されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項13】
キメラ抗原受容体が、(i)細胞外抗原結合性ドメイン;(ii)膜貫通ドメイン;および(iii)細胞内ドメインを含む、請求項5~12のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項14】
細胞外抗原結合性ドメインが標的抗原に結合する、請求項13に記載の操作された免疫細胞。
【請求項15】
腫瘍抗原が、5T4、アルファ5β1インテグリン、707-AP、A33、AFP、ART-4、B7H4、BAGE、Bcl-2、β-カテニン、BCMA、Bcr-abl、MN/C IX抗体、CA125、CA19-9、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CD4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CDC27/m、CD33、CD37、CD45、CD52、CD56、CD80、CD123、CDK4/m、CEA、c-Met、CS-1、CT、Cyp-B、サイクリンB1、DAGE、DAM、EBNA、EGFR、ErbB3、ELF2M、EMMPRIN、EpCam、エフリンB2、エストロゲン受容体、ETV6-AML1、FAP、フェリチン、葉酸結合性タンパク質、GAGE、G250、GD-2、GM2、GnT-V、gp75、gp100(Pmel 17)、HAGE、HER-2/neu、HLA-A
*0201-R170I、HPV E6、HPV E7、Ki-67、HSP70-2M、HST-2、hTERT(またはhTRT)、iCE、IGF-1R、IL-2R、IL-5、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、LRP、MAGE、MART、MART-1/melan-A、MART-2/Ski、MC1R、メソテリン、MUC、MUC16、MUM-1-B、myc、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NYESO-1、NY-Eso-B、p53、プロテイナーゼ3、p190、minor bcr-abl、Pml/RARα、PRAME、プロゲステロン受容体、PSA、PSCA、PSM、PSMA、ras、RAGE、RU1またはRU2、RORI、SART-1またはSART-3、スルビビン、TEL/AML1、TGFβ、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、テネイシン、TSTAチロシナーゼ、VEGF、およびWT1からなる群から選択される、請求項11~14のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項16】
細胞外抗原結合性ドメインが単鎖可変断片(scFv)を含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項17】
細胞外抗原結合性ドメインがヒトscFvを含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項18】
細胞外抗原結合性ドメインが配列番号3または配列番号4のCD19 scFvを含む、請求項13~17のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項19】
細胞外抗原結合性ドメインが、配列番号3または配列番号4に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するCD19 scFvを含む、請求項13~18のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項20】
細胞外抗原結合性ドメインが、前記細胞外抗原結合性ドメインのN末端へ共有結合的に結合されたシグナルペプチドを含む、請求項13~19のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項21】
膜貫通ドメインが、CD8膜貫通ドメインを含む、請求項13~20のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項22】
細胞内ドメインが、1つまたは複数の共刺激ドメインを含む、請求項13~21のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項23】
1つまたは複数の共刺激ドメインが、CD28共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、4-1BBL共刺激ドメイン、またはこれらの任意の組合せから選択される、請求項22に記載の操作された免疫細胞。
【請求項24】
操作された免疫細胞がリンパ球である、請求項1~23のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項25】
リンパ球が、T細胞、B細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項24に記載の操作された免疫細胞。
【請求項26】
T細胞が、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞である、請求項25に記載の操作された免疫細胞。
【請求項27】
操作された免疫細胞が腫瘍浸潤リンパ球である、請求項1~26のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項28】
操作された免疫細胞が自家ドナーまたは同種ドナーに由来する、請求項1~27のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【請求項29】
キメラ抗原受容体と、配列番号35~39、41、または42のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む抗DOTA C825抗原結合断片、とを含むポリペプチド。
【請求項30】
抗DOTA C825抗原結合断片とキメラ抗原受容体との間に配置された自己切断型ペプチドとをさらに含む、請求項29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
自己切断型ペプチドがP2A自己切断型ペプチドである、請求項30に記載のポリペプチド。
【請求項32】
抗DOTA C825抗原結合断片が抗DOTA C825抗原結合断片の分泌のためのリーダー配列を含む、請求項29~31のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項33】
キメラ抗原受容体が、(i)細胞外抗原結合性ドメイン;(ii)膜貫通ドメイン;および(iii)細胞内ドメインを含む、請求項29~32のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項34】
細胞外抗原結合性ドメインが腫瘍抗原に結合する、請求項33に記載のポリペプチド。
【請求項35】
腫瘍抗原が、MUC16、メソテリン、CD19、WT1、PSCA、およびBCMAの中から選択される、請求項34に記載のポリペプチド。
【請求項36】
細胞外抗原結合性ドメインが単鎖可変断片(scFv)を含む、請求項33~35のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項37】
細胞外抗原結合性ドメインが配列番号3または配列番号4のCD19 scFvを含む、請求項33~36のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項38】
細胞外抗原結合性ドメインが、配列番号3または配列番号4に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するCD19 scFvを含む、請求項33~37のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項39】
膜貫通ドメインがCD8膜貫通ドメインを含む、請求項33~38のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項40】
細胞内ドメインが1つまたは複数の共刺激ドメインを含む、請求項33~39のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項41】
1つまたは複数の共刺激ドメインが、CD28共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、4-1BBL共刺激ドメイン、またはこれらの任意の組合せから選択される、請求項40に記載のポリペプチド。
【請求項42】
請求項29~41のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項43】
ポリペプチドをコードする核酸がプロモーターに作動可能に連結されている、請求項42に記載の核酸。
【請求項44】
プロモーターが構成的プロモーターである、請求項43に記載の核酸。
【請求項45】
プロモーターが条件的プロモーターである、請求項43に記載の核酸。
【請求項46】
条件的プロモーターが、抗原へのキメラ抗原受容体の結合により誘導可能である、請求項45に記載の核酸。
【請求項47】
請求項42~46のいずれか1項に記載の核酸を含むベクター。
【請求項48】
ウイルスベクターまたはプラスミドである、請求項47に記載のベクター。
【請求項49】
レトロウイルスベクターである、請求項47に記載のベクター。
【請求項50】
請求項42~46のいずれか1項に記載の核酸、または請求項47~49のいずれか1項に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項51】
請求項1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞とDOTAハプテンとを含み、前記操作された免疫細胞が前記DOTAハプテンと腫瘍抗原とに結合するように構成されている、複合体。
【請求項52】
DOTAハプテンが、ベンジル-DOTA、NH2-ベンジル(Bn)DOTA、DOTA-デスフェリオキサミン、DOTA-Phe-Lys(HSG)-D-Tyr-Lys(HSG)-NH2、Ac-Lys(HSG)D-Tyr-Lys(HSG)-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Asp-D-Lys(HSG)-D-Asp-D-Lys(HSG)-NH2;DOTA-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Ala-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(Bz-DTPA)-D-Tyr-D-Lys(Bz-DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(DOTA)-NH2、Tscg-D-Cys-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Ala-D-Lys(DOTA)-D-Cys-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、Ac-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-RGD、DOTA-PEG-E(c(RGDyK))2、DOTA-8-AOC-BBN、DOTA-PESIN、p-NO2-ベンジル-DOTA、DOTA-ビオチン-サルコシン(DOTA-ビオチン)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)(DOTA-NHS)、またはDOTATyrLysDOTAである、請求項51に記載の複合体。
【請求項53】
DOTAハプテンが、式II
【化1】
(II)
または薬学的に許容されるその塩
[式中、
M
1は、
175Lu
3+、
45Sc
3+、
69Ga
3+、
71Ga
3+、
89Y
3+、
113In
3+、
115In
3+、
139La
3+、
136Ce
3+、
138Ce
3+、
140Ce
3+、
142Ce
3+、
151Eu
3+、
153Eu
3+、
159Tb
3+、
154Gd
3+、
155Gd
3+、
156Gd
3+、
157Gd
3+、
158Gd
3+、または
160Gd
3+であり;
M
2は、放射性核種のカチオンであり;
X
1、X
2、X
3、およびX
4は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;
X
5、X
6、およびX
7は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22である]
の構造を有する、請求項51に記載の複合体。
【請求項54】
M
2が、
111In、
67Ga、
51Cr、
58Co、
99mTc、
103mRh、
195mPt、
119Sb、
161Ho、
189mOs、
192Ir、
201Tl、
203Pb、
89Zr、
68Ga、または
64Cuである、請求項51~53のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項55】
腫瘍の検出を必要とする対象における腫瘍を検出するための方法であって、
(a)対象に、有効量の、請求項54に記載の複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記複合体の操作された免疫細胞により認識される腫瘍抗原を発現する腫瘍に局在するように構成されているステップ;および
(b)前記複合体により放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における腫瘍の存在を検出するステップ
を含む、前記方法。
【請求項56】
腫瘍の検出を必要とする対象における腫瘍を検出するための方法であって、
(a)対象に、有効量の、請求項11~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される腫瘍抗原を発現する腫瘍に局在するように構成されているステップ;
(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;および
(c)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における腫瘍の存在を検出するステップ
を含む、前記方法。
【請求項57】
複合体または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、陽電子放射型断層撮影法、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法を使用して検出される、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、複合体または放射性標識化DOTAハプテンが投与された4~24時間後の間に検出される、請求項55~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
複合体または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、組織1グラム当たりの注入用量百分率(%ID/g)として表される、請求項55~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
腫瘍組織の放射線のレベルと正常組織の放射線のレベルとの比が、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、または100:1である、請求項55~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
対象が、がんを有すると診断されているか、またはこれを有することが疑われている、請求項55~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
がんが、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮体(corpus uterine)部がん、耳鼻咽喉科(ENT)がん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝がん、リンパ節がん、リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、精上皮腫、皮膚がん、胃がん、奇形腫、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、膣がん、血管腫、およびこれらの転移からなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
複合体、操作された免疫細胞、または放射性標識化DOTAハプテンが、静脈内投与、腫瘍内投与、筋内投与、動脈内投与、髄腔内投与、関節包内投与、眼窩内投与、皮内投与、腹腔内投与、経気管投与、皮下投与、脳室内投与、経口投与、または鼻腔内投与される、請求項55~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
複合体、操作された免疫細胞、または放射性標識化DOTAハプテンが、対象の脳脊髄液または血液へ投与される、請求項55~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
対象における、操作された免疫細胞の生体内分布をモニタリングするための方法であって、
(a)対象に、有効量の、請求項1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;
(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;および
(c)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における、操作された免疫細胞の生体内分布を決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項66】
対象における、操作された免疫細胞の生体内分布をモニタリングするための方法であって、
(a)対象に、有効量の、請求項1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞と、放射性標識化DOTAハプテンとを含む複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;および
(b)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における、前記操作された免疫細胞の生体内分布を決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項67】
対象における操作された免疫細胞の生存率をモニタリングするための方法であって、
(a)対象に、有効量の、請求項1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;
(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;
(c)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;
(d)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および
(e)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと同等である場合に、対象における前記操作された免疫細胞が、生存可能であることを決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項68】
ステップ(d)の前に、対象にと、第2の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
対象における操作された免疫細胞の生存率をモニタリングするための方法であって、
(a)対象に、有効量の、請求項1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞と、放射性標識化DOTAハプテンとを含む複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;
(b)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;
(c)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および
(d)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと同等である場合に、対象における前記操作された免疫細胞が、生存可能であることを決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項70】
対象における操作された免疫細胞の増殖をモニタリングするための方法であって、
(a)対象に、有効量の、請求項1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;
(b)対象に、第1の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;
(c)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;
(d)ステップ(c)の後で、対象に、第2の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップ;
(e)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および
(f)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと比べて高値である場合に、対象における前記操作された免疫細胞が、増殖していることを決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項71】
複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、陽電子放射型断層撮影法、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法を使用して検出される、請求項65~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
操作された免疫細胞、放射性標識化DOTAハプテン、または複合体が、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋内投与、または腫瘍内投与される、請求項65~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
がんが、癌腫、肉腫、黒色腫、または血液(hematopoietic)がんである、請求項65~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
がんが、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮体(corpus uterine)部がん、耳鼻咽喉科(ENT)がん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝がん、リンパ節がん、リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、精上皮腫、皮膚がん、胃がん、奇形腫、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、膣がん、血管腫、およびこれらの転移の中から選択される、請求項65~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
請求項1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞と、がんの進行を診断またはモニタリングするための指示書とを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、2020年6月29日に出願された、米国特許仮出願第63/045,641号に対する利益および優先権を主張する。
技術分野
本技術は、一般に、腫瘍抗原ターゲティングキメラ抗原受容体と、抗DOTA C825抗原結合断片とを発現する操作された免疫細胞を含む組成物に関する。本明細書ではまた、本明細書で開示される組成物の、in vivoにおける生体内分布、生存率、および増殖を決定する(determinining)ための方法も開示される。
連邦政府による後援についての言明
本発明は、米国国立衛生研究所/米国国立がん研究所により支給された、助成金第CA55349号および同第CA23766号の下にある政府助成によりなされた。米国連邦政府は、本発明において、一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
本技術の背景についての以下の記載は、本技術を理解する一助としてのみ提示されるものであり、本技術に対する先行技術について記載したり、これを構成するとは認められない。
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、抗原発現細胞の存在下で活性化し、その後、抗原発現細胞を死滅させるようにT細胞をリダイレクトする。これは、抗原特異的単鎖可変断片(scFv)を内因性T細胞活性化シグナル伝達ドメインとカップリングさせることにより達成される。CAR T細胞は、個々のがん細胞を認識し、破壊する免疫細胞の能力を増強する。
【0003】
CAR T細胞療法は、血液およびリンパ節の腫瘍、すなわち、白血病およびリンパ腫に対して、とりわけ強力であった。しかし、多くの腫瘍、とりわけ、結腸、肺、および乳腺の充実性腫瘍は、CAR T細胞療法に対する応答が良好ではない(D’Aloia et al., Cell Death & Disease 9, 282 (2018); Singh et al., Semin Cancer Biol. S1044-579X(19)30398-0 (2019))。1つの理由は、免疫監視および免疫による攻撃を回避する腫瘍微小環境を含む様々な耐性機構のために、CAR-T細胞が腫瘍に到達しないことであろう。他の難題は、標的である腫瘍抗原の異種発現、およびCAR T細胞の腫瘍部位における長期存続の不全を含む。
したがって、患者の体内のCAR-T細胞を正確に、かつ、確実に「跡を辿る」か、または「追跡する」ための方法が火急に必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、何らかの免疫特異性を有する、操作された免疫細胞の、in vivoにおける生体内分布、生存率、および増殖を決定するための方法が開示される。
本明細書のある特定の実施形態では、抗DOTA C825抗原結合断片と、腫瘍抗原に結合する受容体とを発現する操作された免疫細胞を含む組成物が提示される。一部の実施形態では、受容体は、T細胞受容体である。一部の実施形態では、受容体は、天然の受容体(例えば、天然のT細胞受容体)である。一部の実施形態では、受容体は、非天然の受容体(例えば、非天然のT細胞受容体)、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)などの操作された受容体である。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、抗DOTA C825抗原結合断片、および/または抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸を含む。一部の実施形態では、操作された免疫細胞はキメラ抗原受容体、および/またはキメラ抗原受容体をコードする核酸を含む。一部の実施形態では、抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸はプロモーターに作動可能に連結されている。プロモーターは、構成的プロモーターの場合もあり、条件的プロモーターの場合もある。一部の実施形態では、条件的プロモーターは受容体(例えば、CAR)の、腫瘍抗原などの抗原への結合により誘導可能である。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、(i)細胞外抗原結合性ドメイン;(ii)膜貫通ドメイン;および(iii)細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは腫瘍抗原に結合する。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、5T4、アルファ5β1インテグリン、707-AP、A33、AFP、ART-4、B7H4、BAGE、Bcl-2、β-カテニン、BCMA、Bcr-abl、MN/C IX抗体、CA125、CA19-9、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CD4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CDC27/m、CD33、CD37、CD45、CD52、CD56、CD80、CD123、CDK4/m、CEA、c-Met、CS-1、CT、Cyp-B、サイクリンB1、DAGE、DAM、EBNA、EGFR、ErbB3、ELF2M、EMMPRIN、EpCam、エフリンB2、エストロゲン受容体、ETV6-AML1、FAP、フェリチン、葉酸結合性タンパク質、GAGE、G250、GD-2、GM2、GnT-V、gp75、gp100(Pmel 17)、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV E6、HPV E7、Ki-67、HSP70-2M、HST-2、hTERT(またはhTRT)、iCE、IGF-1R、IL-2R、IL-5、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、LRP、MAGE、MART、MART-1/melan-A、MART-2/Ski、MC1R、メソテリン、MUC、MUC16、MUM-1-B、myc、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NYESO-1、NY-Eso-B、p53、プロテイナーゼ3、p190、minor bcr-abl、Pml/RARα、PRAME、プロゲステロン受容体、PSA、PSCA、PSM、PSMA、ras、RAGE、RU1またはRU2、RORI、SART-1またはSART-3、スルビビン、TEL/AML1、TGFβ、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、テネイシン、TSTA チロシナーゼ、VEGF、およびWT1の中から選択される。
【0005】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合性ドメインは単鎖可変断片(scFv)を含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合性ドメインは、ヒトscFvを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合性ドメインは配列番号3または配列番号4のCD19 scFvを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号3または配列番号4に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するCD19 scFvを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合性ドメインは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に共有結合的に結合されたシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞内ドメインは、1つまたは複数の共刺激ドメインを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の共刺激ドメインは、CD28共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、4-1BBL共刺激ドメイン、またはこれらのいずれかの組合せから選択される。一部の実施形態では、免疫細胞はリンパ球である。一部の実施形態では、リンパ球は、T細胞、B細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球である。一部の実施形態では、免疫細胞は、自家ドナーまたは同種ドナーに由来する。
【0006】
また、抗DOTA C825抗原結合断片と、キメラ抗原受容体とを含むポリペプチドも提供される。一部の実施形態では、ポリペプチドは、抗DOTA C825抗原結合断片とキメラ抗原受容体との間に配置された自己切断型ペプチドをさらに含む。一部の実施形態では、自己切断型ペプチドはP2A自己切断型ペプチドである。一部の実施形態では、抗DOTA C825抗原結合断片は、抗DOTA C825抗原結合断片の分泌のためのシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、抗DOTA C825抗原結合断片は配列番号35~39、41、または42のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗DOTA C825抗原結合断片はscFvである。加えて、または代替的に、一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、(i)抗原結合性ドメイン;(ii)膜貫通ドメイン;および(iii)細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の抗原結合性ドメインは腫瘍抗原に結合する。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、BCMA、CD19、メソテリン、MUC16、PSCA、WT1、およびPRAMEの中から選択される。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の抗原結合性ドメインは単鎖可変断片(scFv)を含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号3または配列番号4のCD19 scFvを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号3または配列番号4に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するCD19 scFvを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞内ドメインは、1つまたは複数の共刺激ドメインを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体の、1つまたは複数の共刺激ドメインは、CD28共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、4-1BBL共刺激ドメイン、またはこれらのいずれかの組合せから選択される。
【0007】
また、本明細書で開示されるポリペプチドのうちのいずれかをコードする核酸も提供される。一部の実施形態では、ポリペプチドをコードする核酸は、プロモーターに作動可能に連結されている。プロモーターは、構成的プロモーターの場合もあり、条件的プロモーターの場合もある。一部の実施形態では、条件的プロモーターは、CARの抗原への結合により誘導可能である。また、本明細書で開示される核酸のうちのいずれかを含むベクターも提供される。一部の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターまたはプラスミドである。一部の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクターである。
また、本明細書で開示されるポリペプチド、核酸、またはベクターを含む宿主細胞も提供される。
【0008】
別の態様では、本開示は、操作された免疫細胞が、DOTAハプテンと腫瘍抗原とに結合するように構成されている、本明細書で記載される、操作された免疫細胞のうちのいずれかと、DOTAハプテンとを含む複合体を提示する。例示的なDOTAハプテンは、ベンジル-DOTA、NH2-ベンジル(Bn)DOTA、DOTA-デスフェリオキサミン、DOTA-Phe-Lys(HSG)-D-Tyr-Lys(HSG)-NH2、Ac-Lys(HSG)D-Tyr-Lys(HSG)-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Asp-D-Lys(HSG)-D-Asp-D-Lys(HSG)-NH2;DOTA-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Ala-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(Bz-DTPA)-D-Tyr-D-Lys(Bz-DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(DOTA)-NH2、Tscg-D-Cys-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Ala-D-Lys(DOTA)-D-Cys-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、Ac-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-RGD、DOTA-PEG-E(c(RGDyK))2、DOTA-8-AOC-BBN、DOTA-PESIN、p-NO2-ベンジル-DOTA、DOTA-ビオチン-サルコシン(DOTA-ビオチン)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)(DOTA-NHS)、およびDOTATyrLysDOTAを含むがこれらに限定されない。本技術の複合体についての、ある特定の実施形態では、DOTAハプテンは、式II
【0009】
【化1】
(II)
または薬学的に許容されるその塩[式中、
M
1は、
175Lu
3+、
45Sc
3+、
69Ga
3+、
71Ga
3+、
89Y
3+、
113In
3+、
115In
3+、
139La
3+、
136Ce
3+、
138Ce
3+、
140Ce
3+、
142Ce
3+、
151Eu
3+、
153Eu
3+、
159Tb
3+、
154Gd
3+、
155Gd
3+、
156Gd
3+、
157Gd
3+、
158Gd
3+、または
160Gd
3+であり;
M
2は、放射性核種のカチオンであり;
X
1、X
2、X
3、およびX
4は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;
X
5、X
6、およびX
7は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22である]
の構造を有する。
【0010】
本明細書で開示される複合体についての、ありとあらゆる実施形態では、M2は、111In、67Ga、51Cr、58Co、99mTc、103mRh、195mPt、119Sb、161Ho、189mOs、192Ir、201Tl、203Pb、89Zr、68Ga、または64Cuを含む。
【0011】
一態様では、本開示は、腫瘍の検出を必要とする対象において、腫瘍(例えば、充実性腫瘍または液性腫瘍)を検出するための方法であって、(a)対象に、有効量の、本技術のいずれかの複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記複合体の操作された免疫細胞により認識される腫瘍抗原を発現する腫瘍に局在するように構成されているステップ;および(b)前記複合体により放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における腫瘍の存在を検出するステップを含む、前記方法を提示する。また、腫瘍の検出を必要とする対象において、腫瘍(例えば、充実性腫瘍または液性腫瘍)を検出するための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で記載される、いずれかの操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される腫瘍抗原を発現する腫瘍に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;および(c)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における腫瘍の存在を検出するステップを含む方法も開示される。本明細書で開示される方法についての、一部の実施形態では、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルは、陽電子放射型断層撮影法、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法を使用して検出される。
【0012】
加えて、または代替的に、一部の実施形態では、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルは、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンが投与された4~24時間後の間に検出される。ある特定の実施形態では、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルは、組織1グラム当たりの注入用量百分率(%ID/g)として表される。加えて、または代替的に、一部の実施形態では、腫瘍組織の放射線のレベルと、正常組織の放射線のレベルとの比は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、または100:1である。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0013】
本明細書で開示される方法についての、前出の実施形態のうちのいずれかでは、複合体、操作された免疫細胞、または放射性標識化DOTAハプテンは、静脈内投与、腫瘍内投与、筋内投与、動脈内投与、髄腔内投与、関節包内投与、眼窩内投与、皮内投与、腹腔内投与、経気管投与、皮下投与、脳室内投与、経口投与、または鼻腔内投与される。加えて、または代替的に、一部の実施形態では、複合体、操作された免疫細胞、または放射性標識化DOTAハプテンは、対象の脳脊髄液または血液へ投与される。
【0014】
一態様では、本開示は、対象における、操作された免疫細胞の生体内分布をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で開示される、いずれかの操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;および(c)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における、操作された免疫細胞の生体内分布を決定するステップを含む、前記方法を提示する。別の態様では、本開示は、対象における、操作された免疫細胞の生体内分布をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本技術の、いずれかの操作された免疫細胞と、放射性標識化DOTAハプテンとを含む複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;および(b)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における、操作された免疫細胞の生体内分布を決定するステップを含む方法を提示する。
【0015】
さらに別の態様では、本開示は、対象における操作された免疫細胞の生存率をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で開示される、いずれかの操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;(c)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(d)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(e)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと同等である場合に、対象における前記操作された免疫細胞が生存可能であることを決定するステップを含む、前記方法を提示する。一部の実施形態では、方法は、ステップ(d)の前に、対象に、第2の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップをさらに含む。本明細書ではまた、対象における操作された免疫細胞の生存率をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で記載される、いずれかの操作された免疫細胞と、放射性標識化DOTAハプテンとを含む複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(c)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(d)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと同等である場合に、対象における前記操作された免疫細胞が生存可能であることを決定するステップを含む方法も開示される。
【0016】
さらに別の態様では、本開示は、対象における操作された免疫細胞の増殖をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で記載される、いずれかの操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、第1の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;(c)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(d)ステップ(c)の後で、対象に、第2の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップ;(e)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(f)第2の時点における、放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと比べて高値である場合に、対象における操作された免疫細胞が、増殖していることを決定するステップを含む、前記方法を提示する。
【0017】
本明細書で開示される方法についての、ありとあらゆる実施形態では、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルは、陽電子放射型断層撮影法、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法を使用して検出される。加えて、または代替的に、本明細書で開示される方法についての、前出の実施形態のうちのいずれかでは、操作された免疫細胞、放射性標識化DOTAハプテン、または複合体は、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋内投与、または腫瘍内投与される。
【0018】
本明細書で開示される方法についての、ありとあらゆる実施形態では、対象は、がんまたは腫瘍を患っているか、またはこの危険性がある。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍は、癌腫、肉腫、黒色腫、または血液(hematopoietic)がんである。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍は、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮体(corpus uterine)部がん、耳鼻咽喉科(ENT)がん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝がん、リンパ節がん、リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、精上皮腫、皮膚がん、胃がん、奇形腫、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、膣がん、血管腫、およびこれらの転移の中から選択される。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0019】
本明細書ではまた、患者におけるがんの進行を診断またはモニタリングするために適する構成要素を含有するキットも開示される。ある特定の実施形態では、キットは、少なくとも1つの、本技術の操作された免疫細胞と、使用のための指示書とを含む。一部の実施形態では、キットは、DOTAハプテン(例えば、本明細書で開示される、DOTAハプテンのうちのいずれか)、少なくとも1つの、本技術の操作された免疫細胞、および使用のための指示書を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】例示的なDOTAハプテン:ベンジル-DOTAおよびProteus-DOTA(Pr)の構造を示す図である。
【
図2A-2C】C825(結合アフィニティーがピコモル単位である、ハプテン捕捉scFv抗体)を膜発現するC825-CD19 CAR-T細胞による、放射性ハプテンの捕捉についてのイメージング結果を示す図である。
図2Aは、[
111In]Pr-DOTAへの結合を使用する、in vitro飽和結合曲線が、C825-CD19 CAR-T細胞におけるC825の発現を定量することを示す。
図2Bは、右肩のs.c.において、Raji GFP-fluc腫瘍を施されたNSGマウスを示す。CAR-T細胞(2.5×10
6個)のi.v.注入の10日後、CAR T細胞(CD19 CAR+C825、または対照であるCD19 CARのみ)のin vivo追跡のために、マウスに、
111In放射性ハプテンを注入した。
図2Cは、
111In放射性ハプテンの注射の18時間後に収集されたSPECT/CT画像を示す。C825+CD19 CAR T細胞、または対照であるCD19 CAR T細胞のみで処置された動物についてのMIP画像を示す。
【
図3A-3C】ウイルスにより、C825およびCD19-CARの両方を、初代ヒトT細胞へ形質導入する、3種の異なる戦略を示す図である。
図3Aは、1種が、C825を、GFPレポーターと共にコードし(上)、1種が、CD19 CARをコードする(下)、2種の単一構築物の形質導入を示す。
図3Bは、P2A切断部位により隔てられた、膜貫通ドメインを有するC825およびGFPレポーター、並びにCD19 CARをコードする、二シストロン性の構築物を示す。
図3Cは、P2A切断部位により隔てられた、Thy1由来GPI連結配列を有するC825およびHisタグレポーターと、CD19 CARとをコードする、二シストロン性の構築物を示す。初代ヒトT細胞への形質導入についての代表的流れ図を、右図に示す。
【
図4A】レトロウイルスベクターである、SFG-Thor、SFG-19BBz(CAR)、およびSFG-C825の構造の概略を示す図である。
【
図4B】4時間にわたるin vitro細胞傷害作用アッセイにより測定される通り、SFG-Thor T細胞と、SFG-19BBz(CAR)T細胞との間では、CD19(+)Raji腫瘍細胞の殺滅の点で、差違が見られないことを示す図である。SFG-C825および非形質導入(NT)T細胞を、陰性対照として組み入れる(ドナーのn=3~4)。
【
図4C】1時間後のin vitroにおける、[
111In]Pr([
111In]InPr)への結合を示す図である。この代表的データセットが、放射性標識化DOTAプローブの、C825発現T細胞への特異的結合を示す一方、SFG-19BBz(CAR)T細胞およびNT T細胞では、有意な取込みは観察されなかった(全ての実験は、37℃、三連で実施した)。データは、平均値±SDである。
【
図4D】[
111In]Pr([
111In]InPr)の、SFG-Thor T細胞に対するin vitroにおける結合反応速度を示す図である(n=3の独立アッセイ;代表例が示される)。
【
図4E】T細胞の、腫瘍細胞へのターゲティングを評価するためのin vivo研究についての、例示的スキームを示す図である。
68Ga-NODAGA-Pr(100mCu、700ピコモル)を、放射性トレーサーとして使用し、T細胞の投与(1×10
6)の10日後に投与した。
【
図4F】
68Ga-NODAGA-Prの注射(p.i.)の1時間後における、例示的MIP(maximum intensity projection)画像であって、腫瘍における、SFG-Thor T細胞のホーミングおよび蓄積を描示する画像を示す図である(右肩、赤矢印)。SFG-19BBz(CAR)T細胞の投与後には、腫瘍部位における、バックグラウンドを上回る取込みは見られない(青矢印)。
【
図4G】画像ベースの生体内分布を使用して、腫瘍内取込み平均値と、腫瘍組織対正常組織比(TNR)(SFG-Thor:n=4;SFG-19BBz(CAR):n=2)とを示す図である。
**P<0.01である。
【
図5A-5B】
86Y-DOTABnによる、本技術の操作されたCAR T細胞のin vivo追跡を示す図である。
図5Aは、処置の失敗が確立されたRaji腫瘍マウスモデルのs.c.における、in vivoの操作されたT細胞(細胞3×10
6個)を追跡するための例示的スキームを示す。腫瘍接種の7日後、マウスにhuC825-C19BBz T細胞3×10
6個または19BBz T細胞3×10
6個を、i.v.注入した。T細胞の投与後17日目に、処置の失敗を指し示す、腫瘍量の増殖の遷延を示すマウスに、移植されたT細胞の存続および局在について評価するために
86Y-DOTA-Bn(3.7MBq;40ピコモル)を、i.v.注射した。
図5Bは、注入の1、3、および16時間後におけるMIP(maximum intensity projection)画像および軸位断PET/CT画像が、腫瘍におけるhuC825-19BBz-CAR T細胞の蓄積を描示することを示す(オレンジ丸)。T細胞の腫瘍内取込みの最高値4.9%ID/g(対照における0.8%ID/gと対比される)は、注入の3時間後において見られた。対照マウスでは、腫瘍における、バックグラウンドを上回る取込みは見られない(19BBz CAR;緑丸)。急速で顕著な、トレーサーの腎クリアランスが見られた。
【発明を実施するための形態】
【0021】
下記では、本技術についての、実質的な理解をもたらすために、本方法の、ある特定の態様、方式、実施形態、変化形、および特色が、多様なレベルの詳細さで記載されることを理解されたい。
【0022】
本開示は、個々の態様についての単一の例示として意図される、本出願において記載される特定の実施形態の観点に限定されないものとする。本明細書では、本開示の全ての多様な実施形態について記載されるわけではない。当業者に明らかなように、その精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、本開示の、多くの改変および変動がなされうる。当業者には、前出の記載から本明細書に列挙された方法および装置に加えて、本開示の範囲内にある機能的に均等な方法および装置が明らかであろう。このような改変および変動は、付属の特許請求の範囲内に収まることが意図される。本開示は、このような特許請求の範囲がそれに対する権利を付与された均等物の全範囲と共に、付属の特許請求の範囲のみにより限定されるものとする。
本開示は、特定の使用、方法、試薬、化合物、組成物、または生体系に限定されず、これらは、当然ながら変動しうることが理解されるものとする。また、本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態のみについて記載することを目的とし、限定的であることが意図されないことも理解されるものとする。
【0023】
本方法の実施では、分子生物学、タンパク質生化学、細胞生物学、微生物学、および組換えDNAにおける、多くの常套的な技法が使用される。例えば、Sambrook and Russell eds. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition; Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biologyのシリーズ; Methods in Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.)のシリーズ;MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press);MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach;Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual;Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 5th edition;Gait ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis;米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization;Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins eds. (1984) Transcription and Translation; Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press (1986));Perbal (1984) A Practical Guide to Molecular Cloning; Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Cold Spring Harbor Laboratory);Makrides ed. (2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells; Mayer and Walker eds. (1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London);およびHerzenberg et al. eds (1996) Weir’s Handbook of Experimental Immunologyを参照されたい。
【0024】
本技術の組成物は、腫瘍抗原ターゲティングキメラ抗原受容体と、抗DOTA C825抗原結合断片、とを発現する操作された免疫細胞であって、本明細書で記載される、操作された免疫細胞のin vivoにおける生体内分布、生存率、および増殖を決定する(determinining)ために有用である、操作された免疫細胞を含む。
【0025】
定義
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書で使用される、全ての技術用語および学術用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。以下の参考文献Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991);およびHale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)は、当業者に、本開示において使用される用語のうちの多くについての一般的定義を与える。そうでないことが指定されない限り、本明細書で使用される、以下の用語は、下記において、これらに帰せられる意味を有する。本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態について記載することのみを目的とするものであり、本開示に対して、限定的であることは意図されない。
【0026】
文脈が、そうでないことを明確に指示しない限りにおいて、本明細書で使用される、単数形の「ある(a)」「ある(an)」、および「その」は、複数形の指示対象も含むことが意図される。
【0027】
本明細書で使用される、「約」または「およそ」という用語は、当業者により決定される特定の値について、許容可能な誤差の範囲内にあることを意味し、これは、値がどのようにして測定または決定されるのか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」とは、当技術分野における慣行に従い、3標準偏差またはこれを超える範囲内を意味しうる。代替的に、「約」とは、所与の値の20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下の範囲を意味しうる。代替的に、特に、生体系または生物学的過程に関して述べると、用語は、値の桁数の範囲内を意味する場合もあり、5倍以内を意味する場合もあり、2倍以内を意味する場合もある。
本明細書で使用される、対象への薬剤の「投与」という用語は、その意図される機能を果たすように、対象へ薬剤を導入または送達する、いずれかの経路を含む。投与は、静脈内経路、筋内経路、腹腔内経路、皮下経路、および本明細書で記載される、他の適切な経路を含むがこれらに限定されない、いずれかの適切な経路により実施されうる。投与は、自己投与および別人による投与を含む。
【0028】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸のほか、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する、アミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然でコードされるアミノ酸は、20の一般的アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)、並びにピロリシンおよびセレノシステインである。アミノ酸類似体とは、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなど、天然に存在するアミノ酸と同じ、基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合されたα炭素を有する薬剤を指す。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または改変ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ、基本化学構造を保持する。一部の実施形態では、ポリペプチドを形成するアミノ酸は、D形態にある。一部の実施形態では、ポリペプチドを形成するアミノ酸は、L形態にある。一部の実施形態では、ポリペプチドを形成する、第1の複数のアミノ酸は、D形態にあり、第2の複数のアミノ酸は、L形態にある。
本明細書では、アミノ酸は一般に公知であり、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨されている3文字記号または1文字記号により言及される。ヌクレオチドも同様に、一般に許容されている、それらのコードである1文字コードにより言及される。
【0029】
本明細書で使用される「類似体」という用語は、参照ポリペプチドまたは参照核酸分子の機能を有する、構造的に類縁のポリペプチドまたは核酸分子を指す。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、無傷抗体分子だけでなく、また、免疫原への結合能を保持する、抗体分子の断片も意味する。当技術分野では、このような断片もまた周知であり、in vitroおよびin vivoのいずれにおいても、常套的に利用されている。したがって、本明細書で使用される「抗体」という用語は、無傷免疫グロブリン分子だけでなく、また、周知の活性断片であるF(ab’)2およびFabも意味する。無傷抗体のFc断片を欠くF(ab’)2およびFab断片は、循環からより急速に消失し、非特異的組織への結合が無傷抗体より弱くなりうる(Wahl et al., J. Nucl. Med. 24:316-325 (1983))。抗体は、天然抗体全体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、多特異性抗体、二特異性抗体、キメラ抗体、Fab、Fab’、単鎖V領域断片(scFv)、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディーおよび単一ドメインラクダ科動物抗体)、VNAR断片、BiTE(Bi-specific T-cell engager)抗体、ミニボディー、ジスルフィド連結型Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体、イントラボディー、融合ポリペプチド、従来型抗体以外の抗体、および上記のうちのいずれかの抗原結合性断片を含みうる。特に、抗体は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫活性断片、すなわち、抗原結合性部位を含有する分子を含む。免疫グロブリン分子は、いずれかの種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1(IgGl)、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1(IgAl)、およびIgA2)、またはサブクラスの免疫グロブリン分子でありうる。
【0030】
ある特定の実施形態では、抗体はジスルフィド結合により相互接続された、少なくとも2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖とを含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、VHと略記される)と重鎖定常領域(CH)とから構成される。重鎖定常領域は、3つのドメインであるCH1、CH2、およびCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、VLと略記される)と軽鎖定常領域であるCLとから構成される。軽鎖定常領域は1つのドメインであるCLから構成される。VH領域およびVL領域は、より保存的な、フレームワーク領域(FR)と称される領域を散在させた、超可変性を有し相補性決定領域(CDR)と称される領域へさらに細分されうる。各VHおよび各VLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4で配置された、3つのCDRと4つのFRとから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合性ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の多様な細胞(例えば、エフェクター細胞)、および古典的補体系の第1成分(Clq)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介しうる。本明細書で互換的に使用される、抗体の「抗原結合性部分」、「抗原結合性断片」、または「抗原結合性領域」という用語は、抗原に結合し、抗原特異性を抗体に付与する、抗体の領域または部分を指し;抗原結合性タンパク質、例えば、抗体の断片は、抗原(例えば、ペプチド/HLA複合体)に特異的に結合する能力を保持する、1種または複数種の抗体断片を含む。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片により果たされうることが示されている。抗体のうちの、「抗体断片」という用語の中に包含される抗原結合性部分の例は、VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋により連結された、2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)2断片;VHドメインおよびCH1ドメインからなる、Fd断片;抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメインからなる、Fv断片;VHドメインからなる、dAb断片(Ward et al., Nature 341 : 544-546 (1989));並びに単離相補性決定領域(CDR)を含む。「単離抗体」または「単離抗原結合性タンパク質」とは、それが、その天然環境の構成要素から同定され、分離および/または回収されている、抗体または抗原結合性タンパク質である。「合成抗体」または「組換え抗体」は、一般に、組換え技術を使用してまたは当業者に公知のペプチド合成法を使用して作出される。
【0031】
抗体および抗体断片は、哺乳動物の抗体産生動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長動物、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、マウス、ラット、ウサギ、およびヒツジ)、または哺乳動物以外の抗体産生動物(例えば、ニワトリ、アヒル、カモ、ヘビ、および有尾類の両生動物)に、全体的に、または部分的に由来しうる。抗体および抗体断片は、動物において産生される場合もあり、酵母またはファージなどから動物の外部において(例えば、単一抗体若しくは抗体断片として、または抗体ライブラリーの一部として)作製される場合もある。
【0032】
さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは、個別の遺伝子によりコードされるが、組換え法を使用してVL領域とVH領域とが対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖となることを可能とする合成リンカーにより接続されうる。これらは、単鎖Fv(scFv)として公知であり、例えば、Bird et al., Science 242:423-426 (1988);およびHuston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 85 : 5879-5883 (1988)を参照されたい。これらの抗体断片は、当業者に公知の常套的技法を使用して得られ、断片も無傷抗体と同じ形で有用性についてスクリーニングされる。
【0033】
本明細書で使用される「抗原」とは、抗体が選択的に結合しうる分子を指す。標的抗原は、タンパク質(例えば、抗原ペプチド)、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、または他の天然に存在する化合物若しくは合成の化合物でありうる。抗原はまた、対象において、免疫応答を発生させるように、動物対象へ投与される場合もある。
「結合アフィニティー」とは、分子(例えば、抗体)の単一の結合性部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との、非共有結合的相互作用全体の強度を意味する。理論に束縛されずに述べると、アフィニティーは、抗体の結合性部位と抗原決定基との間の立体化学的適合の緊密さ、それらの間の接触面積の大きさ、並びに帯電基および疎水性基の分布に依存する。アフィニティーはまた、可逆性の複合体の形成の後における抗原-抗体間の結合(例えば、一価または多価の結合)の強度を指す「アビディティー」という用語も含む。当技術分野では、抗体の抗原に対するアフィニティーを計算するための方法であって、アフィニティーを計算する結合実験の使用を含む方法が公知である。分子Xの、そのパートナーYに対するアフィニティーは、一般に解離定数(Kd)により表されうる。低アフィニティーの複合体が一般に抗原からたやすく解離する傾向がある抗体を含有するのに対し、高アフィニティーの複合体は一般に長期間にわたり抗原への結合を維持する傾向がある抗体を含有する。機能アッセイ(例えば、フローサイトメトリーアッセイ)における抗体活性も、また、抗体のアフィニティーを反映する。抗体およびアフィニティーは、機能アッセイ(例えば、フローサイトメトリーアッセイ)を使用して、表現型的に特徴づけ、比較されうる。
【0034】
本明細書で使用される「CDR」は、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変領域である、抗体の相補性決定領域のアミノ酸配列と規定される。例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th U. S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987)を参照されたい。一般に、抗体は、可変領域内に3つの重鎖CDRまたは重鎖CDR領域と、3つの軽鎖CDRまたは軽鎖CDR領域とを含む。CDRは、抗体の、抗原またはエピトープへの結合のための接触残基のうちの大部分をもたらす。ある特定の実施形態では、CDR領域はKabatシステム(Kabat, E. A., et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242(1991))を使用して詳述される。
【0035】
本明細書で使用される「細胞集団」という用語は、同様の表現型または異なる表現型を発現する、少なくとも2種の細胞の群を指す。非限定例では、細胞集団は同様の表現型または異なる表現型を発現する、少なくとも約10、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000個の細胞、少なくとも約10,000個の細胞、少なくとも約100,000個の細胞、少なくとも約1×106個の細胞、少なくとも約1×107個の細胞、少なくとも約1×108個の細胞、少なくとも約1×109個の細胞、少なくとも約1×1010個の細胞、少なくとも約1×1011個の細胞、少なくとも約1×1012個の細胞、またはこれを超える個数の細胞を含みうる。
本明細書で使用される「キメラ共刺激受容体」または「CCR」という用語は、抗原に結合し共刺激シグナルをもたらすが、T細胞活性化シグナルは提示しない、キメラ受容体を指す。
【0036】
本明細書で使用される「保存的配列改変」という用語は、アミノ酸配列を含む、本明細書で開示されるCAR(例えば、CARの細胞外抗原結合性ドメイン)の結合特徴に顕著に影響を及ぼしたりこれを変更したりしないアミノ酸改変を指す。保存的改変は、アミノ酸の置換、付加、および欠失を含みうる。改変は、部位指向突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発など、当技術分野で公知の標準的技法により、本明細書で開示されるCARのヒトscFvへ導入されうる。アミノ酸は、電荷および極性など、それらの物理化学的特性に従い群に分類されうる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が同じ群内のアミノ酸で置きかえられる置換である。例えば、アミノ酸は電荷により分類されうる:正帯電アミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジンを含み;負帯電アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含み;中性電荷アミノ酸は、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンを含む。加えて、アミノ酸は、極性により分類されうる:極性アミノ酸は、アルギニン(塩基性極性)、アスパラギン、アスパラギン酸(酸性極性)、グルタミン酸(酸性極性)、グルタミン、ヒスチジン(塩基性極性)、リシン(塩基性極性)、セリン、トレオニン、およびチロシンを含み;非極性アミノ酸は、アラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、およびバリンを含む。したがって、CDR領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基は、同じ群に由来する他のアミノ酸残基で置きかえられる場合があり、変更された抗体は、本明細書で記載される機能的アッセイを使用して、機能(すなわち、上記で明示された機能)の保持について調べられうる。ある特定の実施形態では、指定された配列内またはCDR領域内の1つ以下、2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下の残基が変更される。
【0037】
本明細書で使用される「対照」とは、比較を目的として実験において使用される、代替的試料である。対照は、「陽性」の場合もあり、「陰性」の場合もある。
本明細書で使用される、「共刺激シグナル伝達ドメイン」または「共刺激ドメイン」という用語は、共刺激分子の細胞内ドメインを含む、CARの部分を指す。共刺激分子とは、抗原への結合時における、Tリンパ球の効率的な活性化および機能に要求される二次シグナルをもたらす、抗原受容体またはFc受容体以外の細胞表面分子である。このような共刺激分子の例は、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS(CD278)、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKD2C、B7-H2、およびCD83に特異的に結合するリガンドを含む。したがって、本開示は、CD28および4-1BBに由来する例示的共刺激ドメインを提示するが、他の共刺激ドメインも本明細書で記載されるCARを伴う使用のために想定される。1種または複数種の共刺激シグナル伝達ドメインの組入れは、CAR受容体を発現するT細胞の有効性および増殖を増強しうる。細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインは、任意の順序において、タンデムで、膜貫通ドメインのカルボキシル末端へ連結されうる。
【0038】
本明細書で使用される「疾患」という用語は、細胞、組織、または臓器の正常な機能を損傷させるか、またはこれに干渉する、いずれかの状態または障害を指す。疾患の例は、新生物または細胞の病原体感染を含む。
本明細書で使用される、「有効量」という用語は、投与時に、有益な結果または所望の結果を達成するのに十分な数量の薬剤を指す。対象に投与される薬剤の量は、全般的健康状態、年齢、性別、体重など、個体の特徴、投与される操作された免疫細胞の有効濃度、および薬物に対する忍容性に依存しうる。当業者は、これらの因子および他の因子に応じて、適切な投与量を決定することができるであろう。有効量は、1回または複数回の投与により対象に投与されうる。
【0039】
本明細書で使用される「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが、mRNAへ転写される過程および/または転写されたmRNAが、その後、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質へ翻訳される過程を指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含みうる。遺伝子の発現レベルは、細胞試料中または組織試料中のmRNAまたはタンパク質の量を測定することにより決定されうる。一態様では、1つの試料に由来する遺伝子の発現レベルは、対照試料または参照試料に由来する、この遺伝子の発現レベルと直接比較されうる。別の態様では、1つの試料に由来する遺伝子の発現レベルは、本明細書で開示される組成物の投与後における同じ試料に由来する、この遺伝子の発現レベルと直接比較されうる。「発現」という用語はまた、以下のイベント:(1)細胞におけるRNA鋳型のDNA配列からの産生(例えば、転写による);(2)細胞におけるRNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップの形成、および/または3’末端の形成による);(3)細胞におけるRNA配列のポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;(4)細胞におけるポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾;(5)ポリペプチドまたはタンパク質の、細胞表面における提示;および(6)ポリペプチドまたはタンパク質の、細胞からの分泌または提示または放出のうちの1つまたは複数も指す。ポリペプチドの発現レベルは、例えば、宿主細胞から産生されるポリペプチドの量を決定する方法を含む、当技術分野で公知である、¥いずれかの方法を使用して評価されうる。このような方法は、ELISA、ゲル電気泳動後におけるクーマシーブルー染色、ローリータンパク質アッセイ、およびブラッドフォードタンパク質アッセイによる、細胞溶解物中のポリペプチドの定量を含みうるがこれらに限定されない。
【0040】
本明細書で使用される「F(ab)」とは、抗体構造の断片であって、抗原に結合するが、一価であり、Fc部分を有さない断片を指し、例えば、酵素であるパパインにより消化された抗体は、2つのF(ab)断片およびFc断片(例えば、重(H)鎖定常領域;抗原に結合しないFc領域)をもたらす。
本明細書で使用される、「F(ab’)2」とは、全IgG抗体のペプシン消化により作出される抗体断片を指し、この場合、この断片は、2つの抗原結合性(ab’)(二価)領域を有し、各(ab’)領域は、抗原への結合のために、S-S結合により連結されたH鎖の一部および軽(L)鎖である、2つの個別のアミノ酸鎖を含み、残りのH鎖部分は、一体に連結されている。「F(ab’)2」断片は、2つの個々のFab’断片へ分割されうる。
【0041】
本明細書で使用される「異種核酸分子または異種ポリペプチド」という用語は、通常は細胞内または細胞から得られた試料中に存在しない核酸分子(例えば、cDNA分子、DNA分子、またはRNA分子)またはポリペプチドを指す。この核酸は、別の生物に由来する場合もあり、例えば、通常は細胞内または試料中で発現しないmRNA分子の場合もある。
本明細書で使用される「宿主細胞」とは、ベクターを受容し、維持し、これを繁殖させ、増幅するのに使用される細胞である。宿主細胞はまた、ベクターによりコードされるポリペプチドを発現させるのにも使用されうる。ベクター内に含有される核酸は、宿主細胞が分裂し、これにより、核酸を増幅する場合に複製される。
【0042】
本明細書で使用される「免疫細胞」という用語は、対象の免疫応答において役割を果たすあらゆる細胞を指す。免疫細胞は造血細胞由来であり、B細胞およびT細胞などのリンパ球;ナチュラルキラー細胞;単球、マクロファージ、樹状細胞、好酸球、好中球、マスト細胞、好塩基球、および顆粒球などの骨髄細胞を含む。本明細書で使用される、「操作された免疫細胞」という用語は、遺伝的に改変された免疫細胞を指す。本明細書で使用される、「天然免疫細胞」という用語は、免疫系において天然に存在するする免疫細胞を指す。
本明細書で使用される「~を増大させる」という用語は、少なくとも約5%正に変更することであって、約5%、約10%、約25%、約30%、約50%、約75%、または約100%正に変更することを含むがこれらに限定されない、正に変更することを意味する。
【0043】
本明細書で使用される「単離(された)細胞」という用語は、天然において細胞に随伴する、分子成分および/または細胞成分から分離された細胞を指す。
本明細書で使用される「単離された」、「精製された」または「生物学的に純粋な」という用語は、その天然の状態で見出される通り、通常それに随伴する成分が、様々な程度で非含有である素材を指す。「~を単離する」とは、元の供給源または環境からのある程度の分離を表す。「~を精製する」とは、単離より高度な程度の分離を表す。「精製」タンパク質または「生物学的に純粋な」タンパク質は、いかなる不純物もタンパク質の生物学的特性に実質的に影響を及ぼさないか、または他の有害な帰結を引き起こさないように他の物質が十分に除かれている。すなわち、本明細書で開示される主題の核酸またはポリペプチドは、細胞素材、ウイルス素材、または、組換えDNA法により作製される場合の、培養培地、または、化学合成する場合の、化学的前駆体若しくは他の化学物質が実質的に非含有である場合、精製されているという。純度および均質性は、典型的に、分析化学法、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを使用して決定される。「精製された」という用語は、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲル内で、本質的に1つのバンドをもたらすことを表す場合がある。修飾、例えば、リン酸化またはグリコシル化にかけられうるタンパク質では、異なる修飾は、個別に精製されうる、異なる単離タンパク質をもたらしうる。
【0044】
本明細書で使用される「リガンド」という用語は、受容体に結合する分子を指す。特に、リガンドは、別の細胞上の受容体に結合し、細胞間の認識および/または相互作用を可能とする。
「リンカー」という用語は、2つの配列を接続または連結する、例えば、2つのポリペプチドドメインを連結する、合成配列(例えば、アミノ酸配列)を指す。一部の実施形態では、リンカーは1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のアミノ酸残基を含有する。
「リンパ球」という用語は、組織特異的白血球集団および特化白血球集団を含む、リンパ系前駆細胞に由来する、全ての未成熟白血球集団、成熟白血球集団、未分化白血球集団、および分化白血球集団を指し、非限定例を目的として述べると、B細胞、T細胞、NKT細胞、およびNK細胞を包含する。一部の実施形態では、リンパ球は、プレB細胞、前駆B細胞、初期プロB細胞、後期プロB細胞、大型プレB細胞、小型プレB細胞、未成熟B細胞、成熟B細胞、形質B細胞、メモリーB細胞、B-1細胞、B-2細胞、およびアネルギーAN1/T3細胞集団を含む、全てのB細胞系統を含む。
【0045】
本明細書で使用される「~をモジュレートする」という用語は、正または負に変更することを意味する。例示的なモジュレーションは、約1%、約2%、約5%、約10%、約25%、約50%、約75%、または約100%の変化を含む。
本明細書で使用される、「新生物」という用語は、細胞または組織の病理学的増殖、およびその後における、他の組織または臓器への、それらの遊走または浸潤により特徴づけられる疾患を指す。新生物の増殖は、典型的に、コントロール不能、かつ、進行性であり、正常細胞の繁殖を誘発しないか、またはこの停止を引き起こす条件下で生じる。新生物は、膀胱、結腸、骨、脳、乳腺、軟骨、神経膠、食道、卵管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、胸膜、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖路、尿管、尿道、子宮、および膣からなる群から選択される臓器、またはこれらの組織若しくは細胞型を含むがこれらに限定されない、様々な細胞型、組織、または臓器に影響を及ぼしうる。新生物は、肉腫、癌腫、または形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍)などのがんを含む。
【0046】
核酸配列、核酸領域、核酸エレメント、または核酸ドメインに言及して、本明細書で使用される、「作動可能に連結された」とは、核酸領域が、互いと、機能的に関連することを意味する。例えば、リーダーペプチドをコードする核酸は、ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結される場合があり、これにより、核酸は機能的な融合タンパク質を発現するように転写および翻訳が可能であり、この場合、リーダーペプチドは、融合ポリペプチドの分泌をもたらす。一部の場合に、第1のポリペプチドをコードする核酸(例えば、リーダーペプチド)は、第2のポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結されており、核酸は単一のmRNA転写物として転写されるが、mRNA転写物の翻訳は、発現される2種のポリペプチドのうちの1種を結果としてもたらしうる。例えば、アンバー終止コドンは、部分的にアンバー抑制性である細胞へ導入された場合に結果として得られる単一のmRNA転写物が第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含有する融合タンパク質をもたらすように翻訳されるか、または第1のポリペプチドのみをもたらすように翻訳されるよう、第1のポリペプチドをコードする核酸と第2のポリペプチドをコードする核酸との間に配置されうる。別の例では、プロモーターは、ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結される場合があり、これにより、プロモーターは、核酸の転写を調節または媒介する。
【0047】
本明細書で使用される、2つのアミノ酸配列の間の「相同性パーセント」は、2つの配列の間の同一性パーセントと同等である。2つの配列の間の同一性パーセントとは、2つの配列の、最適のアライメントのために導入される必要があるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮するときに、配列により共有される、同一な位置の数の関数(すなわち、相同性%=同一な位置の数/位置の総数×100)である。2つの配列の間の配列の比較、および同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達せられうる。
【0048】
2つのアミノ酸配列の間の相同性パーセントは、ギャップ長ペナルティーを12とし、ギャップペナルティーを4として、PAM120重み付け残基表を使用する、ALIGNプログラム(version 2.0)へ組み込まれた、E. Meyers and W. Miller(Comput. Appl. Biosci., 4: 1 1-17 (1988))によるアルゴリズムを使用して決定されうる。加えて、2つのアミノ酸配列の間の相同性パーセントは、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックス、並びに16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重み、および1、2、3、4、5、または6の長さ重みを使用する、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comにおいて入手可能である)内のGAPプログラムへ組み込まれた、Needleman and Wunsch(J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))によるアルゴリズムを使用しても決定されうる。
【0049】
加えて、または代替的に、本明細書で開示される主題のアミノ酸配列は、例えば、公開データベースに対して、検索を実施して、類縁の配列を同定するための、「クエリー配列」として、さらに使用されうる。このような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215 :403-10による、XBLASTプログラム(version 2.0)を使用して実施されうる。BLASTによるタンパク質検索は、スコア=50、ワード長=3とするXBLASTプログラムにより、本明細書で開示される指定配列と相同なアミノ酸配列を得るように実施されうる。比較を目的として、ギャップ付きアライメントを得るために、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402において記載されている通りに、Gapped BLASTが活用されうる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを活用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータが使用されうる。
【0050】
本明細書では、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すように互換的に使用される。この用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーのほか、1つまたは複数のアミノ酸残基が天然に存在しないアミノ酸、例えば、アミノ酸類似体であるアミノ酸ポリマーへ適用される。この用語は、アミノ酸残基が共有結合的ペプチド結合により連結された、全長タンパク質を含む、あらゆる長さのアミノ酸鎖を包含する。
本明細書で使用される、「~を低減する」という用語は、少なくとも約5%負に変更することであって、約5%、約10%、約25%、約30%、約50%、約75%、または約100%負に変更することを含むがこれらに限定されない、負に変更することを意味する。
【0051】
本明細書で使用される、核酸分子の「調節領域」とは、作動可能に連結された遺伝子の発現に、正または負の影響を及ぼす、シス作用型ヌクレオチド配列を意味する。調節領域は、遺伝子の誘導性(すなわち、転写の増大のための物質または刺激を要求する)発現を付与するヌクレオチドの配列を含む。誘導因子が存在するか、または濃度を増大させられる場合、遺伝子の発現は、増大させられうる。調節領域はまた、遺伝子発現の抑制を付与する配列も含む(すなわち、物質または刺激は、転写を低下させる)。抑制因子が存在するか、または濃度を増大させられる場合、遺伝子の発現は、低下させられうる。調節領域は、in vivoにおける多くの生体活性であって、細胞の増殖(proliferation)、細胞の増殖(growth)および死、細胞の分化、並びに免疫のモジュレーションを含む生体活性に影響を及ぼすか、これをモジュレートまたは制御することが公知である。調節領域は、典型的に、1種または複数種のトランス作用型タンパク質に結合する結果として、遺伝子の転写の増大または低下をもたらす。
【0052】
遺伝子調節領域の特定の例は、プロモーターおよびエンハンサーである。プロモーターは、転写開始部位または翻訳開始部位の近傍に配置され、典型的に、翻訳開始部位の5’側に位置する配列である。プロモーターは、通例、翻訳開始部位から1Kb以内に配置されるが、さらに遠隔に、例えば、2Kb、3Kb、4Kb、5Kb、またはこれを超え、10Kb以下である位置に配置される場合もある。エンハンサーは、遺伝子の5’側または3’側に位置するか、或いはエクソン内若しくはイントロン内に、またはエクソン若しくはイントロンの一部として位置する場合に、遺伝子の発現に影響を及ぼすことが公知である。エンハンサーはまた、遺伝子からかなりの距離、例えば、約3Kb、5Kb、7Kb、10Kb、15Kb、またはこれを超える距離においても機能しうる。調節領域はまた、プロモーター領域に加えて、翻訳を容易とする配列、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAの、インフレームにおける翻訳を可能とする、遺伝子の正確なリーディングフレームを維持するための配列、並びに終止コドン、リーダー配列、および融合パートナー配列、多重遺伝子メッセージまたはポリシストロニックメッセージを創出するための、内部リボソーム侵入部位(IRES)エレメント、目的の遺伝子の転写物の、適正なポリアデニル化のためのポリアデニル化シグナル、並びに終止コドンも含むがこれらに限定されず、発現ベクター内に組み入れられてもよい。
【0053】
本明細書で使用される「試料」という用語は、対象から得られる臨床試料を指す。ある特定の実施形態では、試料は、対象から回収される組織、体液、または微生物など、生物学的供給源(すなわち、「生体試料」)から得られる。試料供給源は、粘液、痰、気管支肺胞洗浄液(BAL)、気管支洗浄液(BW)、全血液、体液、脳脊髄液(CSF)、尿、血漿、血清、または組織を含むがこれらに限定されない。
ポリペプチドに言及して、本明細書で使用される、「分泌された」という用語は、小胞体、ゴルジ装置を通る分泌経路を介して、細胞から放出されるポリペプチドであり、細胞原形質膜に一過性に融合し、細胞の外側にタンパク質を放出する小胞としてのポリペプチドを意味する。薬物などの低分子もまた、膜を介する拡散により、細胞の外側へ分泌されうる。
【0054】
本明細書で使用される「単鎖可変断片」または「scFv」という用語は、VH::VLヘテロ二量体を形成するように共有結合的に連結された、免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。重鎖(VH)および軽鎖(VL)は、直接接続されるかまたはペプチドをコードするリンカー(例えば、約10、15、20、25アミノ酸)であって、VHのN末端をVLのC末端とつなぐか、若しくはVHのC末端をVLのN末端とつなぐリンカーにより接続される。リンカーは、通例、可撓性のためにグリシンに富むほか、可溶性のためにセリンまたはトレオニンにも富む。リンカーは、細胞外抗原結合性ドメインの、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを連結しうる。ある特定の実施形態では、リンカーは、下記:GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号1)に提示される配列番号1に明示された配列を有するアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸配列は、下記:ggcggcggcggatctggaggtggtggctcaggtggcggaggctcc(配列番号2)に提示される配列番号2に明示されている。リンカーの他の例は、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、[G4S]4)(配列番号33)、またはGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、[G4S]6)(配列番号34)を含む。
【0055】
定常領域の除去およびリンカーの導入にも拘らず、scFvタンパク質は、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。単鎖Fvポリペプチド抗体は、Huston, et al.(Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883 (1988))により記載されている通り、VHコード配列およびVLコード配列を含む核酸から発現させることができる。また、米国特許第5,091,513号、同第5,132,405号、および同第4,956,778号;並びに米国特許公開第20050196754号および同第20050196754号も参照されたい。阻害活性を有する、アンタゴニスト性scFvについても記載されている(例えば、Zhao et al., Hybridoma (Larchmt) 27(6):455-51 (2008); Peter et al., J Cachexia Sarcopenia Muscle (2012); Shieh et al., J Imunol 183(4):2277-85 (2009); Giomarelli et al., Thromb Haemost 97(6):955-63 (2007); Fife eta., J Clin Invst 116(8):2252-61 (2006); Brocks et al., Immunotechnology 3(3): 173-84 (1997); Moosmayer et al., Ther Immunol 2(10):31- 40 (1995)を参照されたい)。刺激活性を有する、アゴニスト性scFvについても記載されている(例えば、Peter et al., J Biol Chem 25278(38):36740-7 (2003); Xie et al., Nat Biotech 15(8):768-71 (1997); Ledbetter et al., Crit Rev Immunol 17(5-6):427-55 (1997); Ho et al., Bio Chim Biophys Acta 1638(3):257-66 (2003)を参照されたい)。
【0056】
本明細書で使用される、「~に特異的に結合する(specifically binds)」または「~に特異的に結合する(specifically binds to)」または「~を特異的にターゲティングする」という用語は、目的の分子(例えば、抗原)を認識し、これに結合するが、他の分子は実質的に認識せず、これに実質的に結合しない分子(例えば、ポリペプチドまたはその断片)を指す。本明細書で使用される、特定の分子(例えば、抗原)「に特異的に結合する(specifically binds)」、これ「に特異的に結合する(specifically binds to)」、またはこれ「に特異的」であるという用語は、例えば、それが結合する分子に対して、約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、または10-12MのKdを有する分子により呈されうる。
【0057】
本明細書で使用される、「対象」、「個体」または「患者」という用語は、互換的に使用され、個別の生物、脊椎動物、または哺乳動物を指し、ヒト、非ヒト霊長動物、齧歯動物など(例えば、特定の医療介入のレシピエントとなる動物、または細胞が採取される動物)を含みうる。ある特定の実施形態では、個体、患者、または対象は、ヒトである。
【0058】
「実質的に相同な」または「実質的に同一な」という用語は、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書で記載されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つ)または参照核酸配列(例えば、本明細書で記載される核酸配列のうちのいずれか1つ)に対して、少なくとも50%、またはこれを超える相同性若しくは同一性を呈するポリペプチドまたは核酸分子を意味する。例えば、このような配列は、アミノ酸レベルまたは核酸において、比較のために使用される配列(例えば、野生型配列または天然配列)と、少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%相同または同一である。一部の実施形態では、実質的に相同なポリペプチド、または実質的に同一なポリペプチドは、比較のために使用される配列と比べて、1カ所または複数のアミノ酸における、アミノ酸の置換、挿入、または欠失を含有する。一部の実施形態では、実質的に相同なポリペプチド、または実質的に同一なポリペプチドは、相同配列を置きかえる、D-アミノ酸およびレトロインベルソ型アミノ酸を含む、1種または複数種の非天然アミノ酸またはアミノ酸類似体を含有する。
【0059】
配列相同性または配列同一性は、典型的に、配列解析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、Wis.53705、BLASTプログラム、BESTFITプログラム、GAPプログラム、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。このようなソフトウェアは、相同性の程度を、多様な置換、欠失、および/または他の改変へ割り当てることにより、同一な配列または同様の配列をマッチさせる。同一性の程度の決定のための例示的な手法では、BLASTプログラムが、近縁の配列を指し示す、10-3~10-100の間の確率スコアで使用される場合がある。
【0060】
本明細書で開示される主題において有用な核酸分子は、ポリペプチドまたはその断片をコードする、いずれかの核酸分子を含む。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される主題において有用な核酸分子は、抗体またはその抗原結合性部分をコードする核酸分子を含む。このような核酸分子は、内因性核酸配列と100%同一である必要はなく、実質的な同一性を呈することが典型的であろう。内因性配列に対する、「実質的な相同性」または「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的に、二本鎖核酸分子のうちの、少なくとも一方の鎖とハイブリダイズすることが可能である。「ハイブリダイズする」とは、多様なストリンジェンシーの条件下で、相補的なポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書で記載される遺伝子)、またはそれらの部分の間で対合して、二本鎖分子を形成することを意味する(例えば、Wahl, G. M. and S. L. Berger, Methods Enzymol. 152:399 (1987); Kimmel, A. R. Methods Enzymol. 152:507 (1987)を参照されたい)。例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通例、約750mM未満のNaClおよび75mMのクエン酸三ナトリウム、約500mM未満のNaClおよび50mMのクエン酸三ナトリウム、または約250mM未満のNaClおよび25mMのクエン酸三ナトリウムであろう。低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションが、有機溶媒、例えば、ホルムアミドの非存在下で得られうるのに対し、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションは、少なくとも約35質量/体積%のホルムアミドの存在下で、または少なくとも約50質量/体積%のホルムアミドの存在下で得られうる。ストリンジェントな温度条件は、通例、少なくとも約30℃、少なくとも約37℃、または少なくとも約42℃の温度を含むであろう。当業者には、ハイブリダイゼーション時間、界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、および担体DNAの組入れまたは除外など、さらなるパラメータを変動させることも周知である。必要に応じて、これらの多様な条件を組み合わせることにより、多様なレベルのストリンジェンシーが達せられる。ある特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、および1質量/体積%のSDS中、30℃で生じるであろう。ある特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1質量/体積%のSDS、35質量/体積%のホルムアミド、および100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)中、37℃で生じるであろう。ある特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1質量/体積%のSDS、50質量/体積%のホルムアミド、および200μgのssDNA中、42℃で生じるであろう。当業者には、これらの条件における、有用な変動がたやすく明らかであろう。
【0061】
大半の適用では、ハイブリダイゼーションに後続する洗浄ステップもまた、ストリンジェンシーにおいて変動する。洗浄のストリンジェンシー条件は、塩濃度および温度により規定されうる。上記の通り、洗浄のストリンジェンシーは、塩濃度を減少させることにより増大させられる場合もあり、温度を上昇させることにより増大させられる場合もある。例えば、洗浄ステップのためのストリンジェントな塩濃度は、約30mM未満のNaClおよび3mMのクエン酸三ナトリウム、または約15mM未満のNaClおよび1.5mMのクエン酸三ナトリウムであろう。洗浄ステップのためのストリンジェントな温度条件は、通例、少なくとも約25℃、少なくとも約42℃、または少なくとも約68℃の温度を含むであろう。ある特定の実施形態では、洗浄ステップは、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1質量/体積%のSDS中、25℃で生じるであろう。ある特定の実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1質量/体積%のSDS中、42℃で生じるであろう。ある特定の実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1質量/体積%のSDS中、68℃で生じるであろう。当業者には、これらの条件における、さらなる変動がたやすく明らかであろう。当業者には、ハイブリダイゼーション法が周知であり、例えば、Benton and Davis(Science 196: 180 (1977)); Grunstein and Rogness(Proc. Natl. Acad. Sci., USA 72:3961 (1975)); Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York, 2001); Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York);およびSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkにおいて記載されている。
【0062】
例えば、合成核酸分子または合成遺伝子または合成ペプチドに言及して、本明細書で使用される、「合成」とは、組換え法および/または化学的合成法により作製される核酸分子またはポリペプチド分子を指す。本明細書で使用される、「組換えDNA方法を使用することによる、組換え手段を介する産生」とは、クローニングされたDNAによりコードされるタンパク質を発現させるための周知の分子生物学法の使用を意味する。
【0063】
本明細書で使用される「T細胞」という用語は、ナイーブT細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、メモリーT細胞、活性化T細胞、アネルギーT細胞、寛容性T細胞、キメラB細胞、および抗原特異的T細胞を含む。
本明細書で使用される、「腫瘍浸潤リンパ球」または「TIL」とは、血流を離れ、腫瘍へ遊走した白血球を指す。
【0064】
本明細書で使用される「ベクター」とは、適切な宿主細胞が、ベクターにより形質転換される場合に、1種または複数種の異種タンパク質が発現されうる、複製可能な核酸である。ベクターへの言及は、ポリペプチドをコードする核酸またはその断片が、典型的に、制限消化およびライゲーションにより導入されうるベクターを含む。ベクターへの言及はまた、ポリペプチドをコードする核酸を含有するベクターも含む。ベクターは、核酸の増幅のために、または核酸によりコードされるポリペプチドの発現/提示のために、ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞へ導入するのに使用される。ベクターは、典型的に、エピソームベクターのままでとどまるが、遺伝子または遺伝子の一部のゲノムの染色体への組込みをもたらすようにデザインされうる。また、酵母人工染色体および哺乳動物人工染色体などの人工染色体であるベクターも想定される。このような媒体の選択および使用は、当業者に周知である。ベクターはまた、「ウイルスベクター」または「ウイルス性ベクター」も含む。ウイルスベクターは、外因性遺伝子を細胞へ導入する(媒体またはシャトルとして)ように、外因性遺伝子に作動可能に連結された、操作されたウイルスである。本明細書で使用される「発現ベクター」は、このようなDNA断片の発現をもたらすことが可能な、プロモーター領域などの調節配列と作動可能に連結された、DNAを発現させることが可能なベクターを含む。このようなさらなるセグメントは、プロモーター配列およびターミネーター配列を含む場合があり、1種または複数種の複製起点、1種または複数種の選択用マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなどを含んでもよい。発現ベクターは、一般に、プラスミドまたはウイルスDNAに由来するか、または両方のエレメントを含有しうる。したがって、発現ベクターとは、適切な宿主細胞へ導入されるとクローニングされたDNAの発現を結果としてもたらす、プラスミド、ファージ、組換えウイルス、または他のベクターなどの、組換えDNA構築物または組換えRNA構築物を指す。適切な発現ベクターは、当業者に周知であり、真核細胞内および/または原核細胞内で複製可能であり、エピソームベクターのままでとどまるか、または宿主細胞ゲノムへ組み込むベクターを含む。
【0065】
概観
本明細書で記載される通り、免疫細胞は、DOTAハプテンに結合する、抗DOTA C825抗原結合断片を、構成的にまたは条件付きで発現するように操作されうる。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、加えて、免疫細胞を、標的部位へ送達するためのキメラ抗原受容体も発現する。抗DOTA C825抗原結合断片の発現は、CAR T細胞の追跡、および腫瘍細胞部位の同定を可能とする。理論に束縛されることを望まずに述べると、本技術の操作された免疫細胞は、時間経過にわたる、操作された免疫細胞の、in vivoにおける分布をモニタリングするために有用であると考えられる。
【0066】
本明細書で提示される方法は、所望の適用に応じた、広範にわたるCARと、腫瘍特異的抗体との組合せのモジュール的使用を可能とする。本明細書で記載される、操作された免疫細胞は、多種多様な腫瘍特異的抗体と組み合わせて利用されうる。当技術分野では、腫瘍特異的抗体が公知である。例示的腫瘍特異的抗体は、Her2、EGFR、PSMA、CD20、CD33、CD38、またはWT1へターゲティングされる抗体を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、腫瘍特異的抗体は、トラスツズマブ、セツキシマブ、ESK1、リツキシマブ、ダラツムマブ、またはリンツズマブである。
【0067】
一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、腫瘍抗原などの標的抗原又に結合するT細胞受容体(TCR)または他の細胞表面リガンドと、抗DOTA C825抗原結合断片とを発現する。一部の実施形態では、T細胞受容体は野生型または天然のT細胞受容体である。一部の実施形態では、T細胞受容体はキメラT細胞受容体(CAR)である。
本明細書で提示される、例示的実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、腫瘍抗原であるCD19に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)、または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるCD19に結合するT細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)、または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるCD19に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。
【0068】
本明細書で提示される、例示的実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、腫瘍抗原であるPRAME(「preferentially expressed antigen in melanoma」)に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるPRAMEに結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるPRAME。PRAMEタンパク質は、分化、増殖の停止、およびアポトーシスに関与するが、現在のところ創薬不可能な、レチノイン酸受容体結合性タンパク質である。プロテアソームプロセシングの後、PRAME300-309ペプチド(ALYVDSLFFL)(配列番号32)は、HLA-Iのハプロタイプである、HLA*A02:01(HLA-A2)との関連で、細胞表面に提示される。
【0069】
本明細書で提示される、例示的実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、腫瘍抗原であるウィルムス腫瘍タンパク質1(WT1)に結合するT細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるWT1に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるWT1に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。
本明細書で提示される、例示的実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、腫瘍抗原であるメソテリンに結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるメソテリンに結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるメソテリンに結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。
【0070】
本明細書で提示される、例示的実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、腫瘍抗原であるMUC16に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるMUC16に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるMUC16に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。
本明細書で提示される、例示的実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、腫瘍抗原である、前立腺幹細胞抗原(PSCA)に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるPSCAに結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるPSCAに結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。
【0071】
本明細書で提示される、例示的実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、腫瘍抗原である、B細胞成熟抗原(BCMA)に結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるBCMAに結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるBCMAに結合する、T細胞受容体(TCR)(例えば、CAR)または他の細胞表面リガンドを発現する。
【0072】
抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体を、抗DOTA C825抗原結合断片と組み合わせて発現する、本明細書で提示される操作された免疫細胞(例えば、CAR T細胞)は、時間経過にわたる、操作された免疫細胞のin vivoにおける分布をモニタリングするために有用である。
加えて、操作された免疫細胞は、腫瘍部位において腫瘍特異的抗原に遭遇すると、大幅に増殖し(例えば、100倍またはこれを超えて)、これにより、抗DOTA C825抗原結合断片の産生を著明に増大させる。操作された免疫細胞(例えば、CAR T細胞)は、in vitroにおける、キメラ抗原と、抗DOTA C825抗原結合断片とをコードする核酸の、免疫細胞への形質導入により容易に作出されうる。
【0073】
抗DOTA C825抗原結合断片のVHのアミノ酸配列は、
HVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLTDYGVHWVRQAPGKGLEWLGVIWSGGGTAYNTALISRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGSYPYNYFDAWGCGTLVTVSS(配列番号35)
でありうる。
抗DOTA C825抗原結合断片のVLのアミノ酸配列は、
QAVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCGSSTGAVTASNYANWVQQKPGQCPRGLIGGHNNRPPGVPARFSGSLLGGKAALTLLGAQPEDEAEYYCALWYSDHWVIGGGTKLTVLG(配列番号36)
でありうる。
【0074】
抗DOTA C825抗原結合断片は、
【化2】
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含みうる。
*(G4S)3リンカー配列は、太字で示される。
一部の実施形態では、抗DOTA C825抗原結合断片は、scFv、Fab、または(Fab)
2である。
本技術の例示的構築物は、
図3Aに記載された構築物などの二重形質導入構築物を含む。
図3Aに記載された構築物のアミノ酸配列は、下記に示される:
【0075】
C825-ヒンジ-GFP
【化3】
*C825 scFVのV
H配列およびV
L配列は、下線を付され、(G4S)3リンカー配列は、斜字体で示され、膜貫通ドメインは、太字で示される。
【0076】
19BBz CAR
【化4】
*CD19 scFvのV
H配列およびV
L配列は、下線を付され、(G4S)3リンカー配列は、斜字体で示され、膜貫通ドメインは、太字で示され、41BBは、斜字体で示され、かつ、下線を付され、CD3ζポリペプチドは、下線を付され、かつ、太字で示される。
【0077】
本技術の、他の例示的構築物は、
図3B~3Cに記載された構築物を含む。
図3B~3Cに記載された構築物のアミノ酸配列は、下記に示される:
【化5】
*C825 scFVおよびCD19 scFvのV
H配列およびV
L配列は、下線を付され、(G4S)3リンカー配列は、斜字体で示され、膜貫通ドメインは、太字で示され、41BBは、斜字体で示され、かつ、下線を付され、CD3ζポリペプチドは、下線を付され、かつ、太字で示される。
【0078】
リガンドおよび標的抗原のターゲティング
一部の実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は、腫瘍抗原などの標的抗原に結合する、T細胞受容体(TCR)、または他の細胞表面リガンドを発現する。細胞表面リガンドは、免疫細胞を、標的部位(例えば、腫瘍部位)へ方向付ける、いずれかの分子でありうる。例示的細胞表面リガンドは、免疫細胞の、標的部位へのターゲティングを達成するように、例えば、内因性受容体、操作された受容体、または他の特異的リガンドを含む。一部の実施形態では、受容体はT細胞受容体である。一部の実施形態では、T細胞受容体は、標的抗原に結合する、野生型または天然のT細胞受容体である。一部の実施形態では、受容体、例えば、T細胞受容体は、非天然の受容体(例えば、免疫細胞に内因性ではない)である。一部の実施形態では、受容体は、標的抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)、例えば、T細胞CARである。
【0079】
一部の実施形態では、標的抗原は、腫瘍細胞により発現される。一部の実施形態では、標的抗原は、腫瘍細胞の表面上で発現される。一部の実施形態では、標的抗原は、細胞表面受容体である。一部の実施形態では、標的抗原は細胞表面糖タンパク質である。一部の実施形態では、標的抗原は、腫瘍細胞により分泌される。一部の実施形態では、標的抗原は、腫瘍微小環境に局在する。一部の実施形態では、標的抗原は細胞外マトリックスまたは腫瘍微小環境の間質に局在する。一部の実施形態では、標的抗原は、細胞外マトリックス内または腫瘍微小環境の間質内に位置する、1つまたは複数の細胞により発現される。
【0080】
一部の実施形態では、標的抗原は、5T4、アルファ5β1インテグリン、707-AP、A33、AFP、ART-4、B7H4、BAGE、Bcl-2、β-カテニン、BCMA、Bcr-abl、MN/C IX抗体、CA125、CA19-9、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CD4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CDC27/m、CD33、CD37、CD45、CD52、CD56、CD80、CD123、CDK4/m、CEA、c-Met、CS-1、CT、Cyp-B、サイクリンB1、DAGE、DAM、EBNA、EGFR、ErbB3、ELF2M、EMMPRIN、EpCam、エフリンB2、エストロゲン受容体、ETV6-AML1、FAP、フェリチン、葉酸結合性タンパク質、GAGE、G250、GD-2、GM2、GnT-V、gp75、gp100(Pmel 17)、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV E6、HPV E7、Ki-67、HSP70-2M、HST-2、hTERT(またはhTRT)、iCE、IGF-1R、IL-2R、IL-5、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、LRP、MAGE、MART、MART-1/melan-A、MART-2/Ski、MC1R、メソテリン、MUC、MUC16、MUM-1-B、myc、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NYESO-1、NY-Eso-B、p53、プロテイナーゼ-3、p190、minor bcr-abl、Pml/RARα、PRAME、プロゲステロン受容体、PSA、PSCA、PSM、PSMA、ras、RAGE、RU1またはRU2、RORI、SART-1またはSART-3、スルビビン、TEL/AML1、TGFβ、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、テネイシン、TSTA チロシナーゼ、VEGF、およびWT1の中から選択される腫瘍抗原である。ある特定の実施形態では、標的抗原は、BCMA、CD19、メソテリン、MUC16、PSCA、WT1、およびPRAMEの中から選択される腫瘍抗原である。
【0081】
一部の実施形態では、標的抗原は、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原である。一部の実施形態では、MHCタンパク質はMHCクラスIタンパク質である。一部の実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A分子、HLA-B分子、またはHLA-C分子である。一部の実施形態では、標的抗原は、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原である。IgG1、脱フコシル化Fc形態、二特異的、BiTE、およびCAR T細胞フォーマット、またはこれらの部分は、本明細書で記載される通り、MHC分子との関連で、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)の表面上に存在する標的抗原の認識のために利用されうる。
【0082】
キメラ抗原受容体
一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、少なくとも1つのキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。CARは、目的の特異性を免疫エフェクター細胞へ移植するかまたは付与する、操作された受容体である。例えば、CARは、モノクローナル抗体の特異性をT細胞などの免疫細胞へ移植するのに使用されうる。一部の実施形態では、CARのコード配列の導入はレトロウイルスベクターなどの核酸ベクターにより容易とされる。
【0083】
現在のところ、3世代のCARが存在する。一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は「第1世代」のCARを発現する。「第1世代」のCARは、典型的に、T細胞受容体(TCR)鎖の細胞質/細胞内ドメインへ融合された膜貫通ドメインへ融合された、細胞外抗原結合性ドメイン(例えば、単鎖可変断片(scFv))から構成される。「第1世代」のCARは、典型的に、内因性TCRに由来する主要なシグナル伝達因子であるCD3ζ鎖に由来する細胞内ドメインを有する。「第1世代」のCARは、デノボの抗原認識をもたらし、単一の融合分子内の、それらのCD3ζ鎖シグナル伝達ドメインを介して、HLA媒介型抗原提示に依存せずにCD4+T細胞およびCD8+T細胞の両方の活性化を引き起こしうる。
【0084】
一部の実施形態では、本明細書で提示される、操作された免疫細胞は「第2世代」のCARを発現する。「第2世代」のCARは、多様な共刺激分子(例えば、CD28、4-1BB、ICOS、OX40)に由来する細胞内ドメインをCARの細胞質テールへ付加して、T細胞へさらなるシグナルをもたらす。「第2世代」のCARは、共刺激(例えば、CD28または4-1BB)および活性化(例えば、CD3ζ)の両方をもたらすCARを含む。
一部の実施形態では、本明細書で提示される操作された免疫細胞は、「第3世代」のCARを発現する。「第3世代」のCARは、複数の共刺激(例えば、CD28および4-1BB)および活性化(例えば、CD3ζ)をもたらすCARを含む。
【0085】
本明細書で開示される主題に従い、本明細書で提示される、操作された免疫細胞のCARは、細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む。
CARの細胞外抗原結合性ドメイン:ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは腫瘍抗原に結合するモノクローナル抗体(mAb)に由来する。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインはscFvを含む。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは架橋されていてもよいFabを含む。一部の実施形態では、細胞外結合性ドメインはF(ab)2を含む。一部の実施形態では、前出の分子のうちのいずれかは、細胞外抗原結合性ドメインを形成するように、異種配列と共に融合タンパク質内に組み入れられる。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原に特異的に結合する、ヒトscFvを含む。ある特定の実施形態では、scFvは、腫瘍抗原-Fc融合タンパク質でscFvファージライブラリーをスクリーニングすることにより同定される。
【0086】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原(例えば、ヒト腫瘍抗原などの哺乳動物腫瘍抗原)に対する、高結合特異性および高結合アフィニティーを有する。例えば、一部の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメイン(例えば、ヒトscFv内またはその類似体内で具体化される)は、特定の腫瘍抗原に、約1×10-5Mまたはこれ未満の解離定数(Kd)で結合する。ある特定の実施形態では、Kdは、約5×10-6M若しくはこれ未満、約1×10-6M若しくはこれ未満、約5×10-7M若しくはこれ未満、約1×10-7M若しくはこれ未満、約5×10-8M若しくはこれ未満、約1×10-8M若しくはこれ未満、約5×10-9若しくはこれ未満、約4×10-9若しくはこれ未満、約3×10-9若しくはこれ未満、約2×10-9若しくはこれ未満、または約1×10-9M若しくはこれ未満である。ある特定の非限定的実施形態では、Kdは、約3×10-9Mまたはこれ未満である。ある特定の非限定的実施形態では、Kdは、約3×10-9~約2×10-7である。
【0087】
本明細書で開示される腫瘍抗原ターゲティングCARの細胞外抗原結合性ドメイン(例えば、ヒトscFv内またはその類似体内で具体化される(embodiment))の結合は、例えば、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS解析、バイオアッセイ(例えば、増殖阻害)、またはウェスタンブロットアッセイにより確認されうる。これらのアッセイの各々は、一般に、目的の複合体に特異的な標識化試薬(例えば、抗体、またはscFv)を利用することにより、特に目的である、タンパク質-抗体複合体の存在を検出する。例えば、scFvは放射性標識化され、ラジオイムノアッセイ(RIA)において使用されうる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Weintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986を参照されたい)。放射性同位体はγカウンター若しくはシンチレーションカウンターの使用やオートラジオグラフィーにより検出することができる。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原ターゲティングCARの細胞外抗原結合性ドメインは、蛍光マーカーで標識化される。蛍光マーカーの非限定的例は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(例えば、EBFP、EBFP2、Azurite、およびmKalamal)、シアン蛍光タンパク質(例えば、ECFP、Cerulean、およびCyPet)、および黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、Citrine、Venus、およびYPet)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される腫瘍抗原ターゲティングCARのヒトscFvは、GFPで標識化される。
【0088】
一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍細胞により発現される腫瘍抗原に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍細胞の表面上で発現される腫瘍抗原に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍細胞の表面上で、MHCタンパク質と組み合わされて発現される腫瘍抗原に結合する。一部の実施形態では、MHCタンパク質はMHCクラスIタンパク質である。一部の実施形態では、MHCクラスIタンパク質は、HLA-A分子、HLA-B分子、またはHLA-C分子である。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍細胞の表面上でMHCタンパク質と組み合わされずに発現される腫瘍抗原に結合する。
【0089】
一部の実施形態では、発現されるCARの、細胞外抗原結合性ドメインは、5T4、アルファ5β1インテグリン、707-AP、A33、AFP、ART-4、B7H4、BAGE、Bcl-2、β-カテニン、BCMA、Bcr-abl、MN/C IX抗体、CA125、CA19-9、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CD4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CDC27/m、CD33、CD37、CD45、CD52、CD56、CD80、CD123、CDK4/m、CEA、c-Met、CS-1、CT、Cyp-B、サイクリンB1、DAGE、DAM、EBNA、EGFR、ErbB3、ELF2M、EMMPRIN、EpCam、エフリンB2、エストロゲン受容体、ETV6-AML1、FAP、フェリチン、葉酸結合性タンパク質、GAGE、G250、GD-2、GM2、GnT-V、gp75、gp100(Pmel 17)、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV E6、HPV E7、Ki-67、HSP70-2M、HST-2、hTERT(またはhTRT)、iCE、IGF-1R、IL-2R、IL-5、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、LRP、MAGE、MART、MART-1/melan-A、MART-2/Ski、MC1R、メソテリン、MUC、MUC16、MUM-1-B、myc、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NYESO-1、NY-Eso-B、p53、プロテイナーゼ-3、p190、minor bcr-abl、Pml/RARα、PRAME、プロゲステロン受容体、PSA、PSCA、PSM、PSMA、ras、RAGE、RU1またはRU2、RORI、SART-1またはSART-3、スルビビン、TEL/AML1、TGFβ、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、テネイシン、TSTA チロシナーゼ、VEGF、およびWT1の中から選択される腫瘍抗原に結合する。ある特定の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、BCMA、CD19、メソテリン、MUC16、PSCA、WT1、およびPRAMEの中から選択される腫瘍抗原に結合する。例示的な、細胞外抗原結合性ドメイン、並びにこのようなドメインを作出する方法、および関連するCARについては、例えば、参照により、それらの中に提示されている配列表を含む、それらの全体において組み込まれる、WO2016/191246、WO2017/023859、WO2015/188141、WO2015/070061、WO2012/135854、WO2014/055668において記載されている。
【0090】
一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原であるCD19に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるCD19に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるCD19に結合する。
一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原であるPRAME(「preferentially expressed antigen in melanoma」)に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるPRAMEに結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるPRAMEに結合する。
一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原であるWT1(ウィルムス腫瘍タンパク質1)に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるWT1に結合する。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるWT1に結合する。
【0091】
一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原であるMUC16に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるMUC16に結合する。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるMUC16に結合する。
一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは腫瘍抗原であるメソテリンに結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるメソテリンに結合する。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるメソテリンに結合する。
一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原であるBCMA(B細胞成熟抗原)に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるBCMAに結合する。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるBCMAに結合する。
【0092】
一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、腫瘍抗原であるPSCA(前立腺幹細胞抗原)に結合する。一部の実施形態では、発現されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、MHC分子との関連で提示される腫瘍抗原であるPSCAに結合する。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、HLA-A2分子との関連で提示される腫瘍抗原であるPSCAに結合する。
【0093】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメイン(例えば、ヒトscFv)は、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域との間で、リンカー配列、例えば、リンカーペプチド(例えば、配列番号1)により連結されてもよい、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、ヒトscFv-Fc融合タンパク質、またはVH領域およびVL領域を有する、全長ヒトIgGである。
【0094】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、抗原であるCD19に結合する、ヒトscFvを含む。一部の実施形態では、scFvは配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
EVKLQQSGAELVRPGSSVKISCKASGYAFSSYWMNWVKQRPGQGLEWIGQIYPGDGDTNYNGKFKGQATLTADKSSSTAYMQLSGLTSEDSAVYFCARKTISSVVDFYFDYWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIELTQSPKFMSTSVGDRVSVTCKASQNVGTNVAWYQQKPGQSPKPLIYSATYRNSGVPDRFTGSGSGTDFTLTITNVQSKDLADYFCQQYNRYPYTSGGGTKLEIKR(配列番号3)
【0095】
一部の実施形態では、scFvは配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
MALPVTALLLPLALLLHAEVKLQQSGAELVRPGSSVKISCKASGYAFSSYWMNWVKQRPGQGLEWIGQIYPGDGDTNYNGKFKGQATLTADKSSSTAYMQLSGLTSEDSAVYFCARKTISSVVDFYFDYWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIELTQSPKFMSTSVGDRVSVTCKASQNVGTNVAWYQQKPGQSPKPLIYSATYRNSGVPDRFTGSGSGTDFTLTITNVQSKDLADYFCQQYNRYPYTSGGGTKLEIKR(配列番号4)
一部の実施形態では、scFvは、配列番号3または配列番号4と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。例えば、scFvは、配列番号3または配列番号4と、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0096】
一部の実施形態では、scFvは配列番号5の核酸配列を有する核酸によりコードされる。
GAGGTGAAGCTGCAGCAGTCTGGGGCTGAGCTGGTGAGGCCTGGGTCCTCAGTGAAGATTTCCTGCAAGGCTTCTGGCTATGCATTCAGTAGCTACTGGATGAACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAGGGTCTTGAGTGGATTGGACAGATTTATCCTGGAGATGGTGATACTAACTACAATGGAAAGTTCAAGGGTCAAGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGCGGCCTAACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTTCTGTGCAAGAAAGACCATTAGTTCGGTAGTAGATTTCTACTTTGACTACTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGTGGATCAGGTGGAGGTGGATCTGGTGGAGGTGGATCTGACATTGAGCTCACCCAGTCTCCAAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCGTCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTGGGTACTAATGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGACAATCTCCTAAACCACTGATTTACTCGGCAACCTACCGGAACAGTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCACTAACGTGCAGTCTAAAGACTTGGCAGACTATTTCTGTCAACAATATAACAGGTATCCGTACACGTCCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAGATCAAACGGGCGGCCGCA(配列番号5)
【0097】
一部の実施形態では、scFvは配列番号6の核酸配列を有する核酸によりコードされる。
ATGGCTCTCCCAGTGACTGCCCTACTGCTTCCCCTAGCGCTTCTCCTGCATGCAGAGGTGAAGCTGCAGCAGTCTGGGGCTGAGCTGGTGAGGCCTGGGTCCTCAGTGAAGATTTCCTGCAAGGCTTCTGGCTATGCATTCAGTAGCTACTGGATGAACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAGGGTCTTGAGTGGATTGGACAGATTTATCCTGGAGATGGTGATACTAACTACAATGGAAAGTTCAAGGGTCAAGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGCGGCCTAACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTTCTGTGCAAGAAAGACCATTAGTTCGGTAGTAGATTTCTACTTTGACTACTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGTGGATCAGGTGGAGGTGGATCTGGTGGAGGTGGATCTGACATTGAGCTCACCCAGTCTCCAAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCGTCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTGGGTACTAATGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGACAATCTCCTAAACCACTGATTTACTCGGCAACCTACCGGAACAGTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCACTAACGTGCAGTCTAAAGACTTGGCAGACTATTTCTGTCAACAATATAACAGGTATCCGTACACGTCCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAGATCAAACGG(配列番号6)
【0098】
一部の実施形態では、scFvは、配列番号5または配列番号6と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である核酸配列を有する核酸によりコードされる。一部の実施形態では、scFvは、配列番号5または配列番号6の核酸配列を有する核酸によりコードされる。一部の実施形態では、scFvは、配列番号5または配列番号6と、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列を有する核酸によりコードされる。
【0099】
ある特定の非限定的実施形態では、本明細書で開示されるCARの細胞外抗原結合性ドメインは、細胞外抗原結合性ドメインの重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを接続するリンカーを含みうる。本明細書で使用される、「リンカー」という用語は、それらが、互いと接続されるように、2つまたはこれを超えるポリペプチドまたは核酸を共有結合的に結合する機能グループ(functional group)(例えば、化学物質またはポリペプチド)を指す。本明細書で使用される、「ペプチドリンカー」とは、2つのタンパク質を一体にカップリングさせる(例えば、VHドメインと、VLドメインとをカップリングさせる)のに使用される、1つまたは複数のアミノ酸を指す。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号33または配列番号34に明示された配列を有するアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は配列番号2に明示されている。
【0100】
加えて、細胞外抗原結合性ドメインは、新生タンパク質を小胞体へ方向付けるリーダーペプチドまたはシグナルペプチドを含みうる。シグナルペプチドまたはリーダーペプチドは、CARが、グリコシル化され細胞膜内にアンカリングされる場合に不可欠でありうる。シグナル配列またはリーダー配列は、新たに合成されたタンパク質のN末端に存在するペプチド配列(約5、約10、約15、約20、約25、または約30アミノ酸長)であって、それらの分泌経路への参入を方向付けるペプチド配列でありうる。
ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは細胞外抗原結合性ドメインのN末端に共有結合的に結合される。ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは、下記:MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号7)に提示される、配列番号7に明示された配列を有するアミノ酸を含む、CD8シグナルポリペプチドを含む。
【0101】
配列番号7のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、下記:atggccctgccagtaacggctctgctgctgccacttgctctgctcctccatgcagccaggcct(配列番号8)に提示される配列番号8に明示されている。
ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは、下記:MALPVTALLLPLALLLHA(配列番号9)に提示される、配列番号9に明示された配列を有するアミノ酸を含む、CD8シグナルポリペプチドを含む。
配列番号9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、下記:ATGGCTCTCCCAGTGACTGCCCTACTGCTTCCCCTAGCGCTTCTCCTGCATGCA(配列番号10)に提示される配列番号10に明示されている。
【0102】
CARの膜貫通ドメイン:ある特定の非限定的実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、膜の少なくとも一部にわたる疎水性アルファヘリックスを含む。異なる膜貫通ドメインは異なる受容体の安定性を結果としてもたらす。抗原認識の後、受容体はクラスター化し、シグナルが細胞へ伝達される。本明細書で開示される主題に従い、CARの膜貫通ドメインは、CD8ポリペプチド、CD28ポリペプチド、CD3ζポリペプチド、CD4ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、PD-1ポリペプチド、LAG-3ポリペプチド、2B4ポリペプチド、BTLAポリペプチド、合成ペプチド(例えば、免疫応答と関連するタンパク質に基づかない、膜貫通ペプチド)、またはこれらの組合せを含みうる。
【0103】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるCARの膜貫通ドメインはCD28ポリペプチドを含む。CD28ポリペプチドは、NCBI参照番号:PI0747若しくはNP006130(配列番号11)を有する配列若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、少なくとも20アミノ酸、または少なくとも30アミノ酸、または少なくとも40アミノ酸、または少なくとも50アミノ酸の長さであり、かつ、220アミノ酸以下の長さである、配列番号11の連続部分であるアミノ酸配列を有しうる。代替的に、または加えて、多様な非限定的実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号11の、アミノ酸1~220、1~50、50~100、100~150、114~220、150~200、または200~220のアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるCARは、CD28ポリペプチドを含む膜貫通ドメインと、CD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内ドメインとを含む。ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインに含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸114~220のアミノ酸配列を有する。
【0104】
配列番号11は、下記:
MLRLLLALNLFPSIQVTGNKILVKQSPMLVAYDNAVNLSCKYSYNLFSREFRASLHKGLDSAVEVCVVYGNYSQQLQVYSKTGFNCDGKLGNESVTFYLQNLYVNQTDIYFCKIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号11)
に提示される。
【0105】
本明細書で開示される主題に従い、「CD28核酸分子」とは、CD28ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるCARの膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン(例えば、共刺激シグナル伝達領域)(配列番号11のアミノ酸114~220)内に含まれるCD28ポリペプチドをコードするCD28核酸分子は、下記に提示される配列番号12に明示された配列を有する核酸を含む。
attgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccttttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctcc(配列番号12)
【0106】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインはCD8ポリペプチドを含む。CD8ポリペプチドは、下記に提示される配列番号13(本明細書における相同性は、BLASTまたはFASTAなどの標準的ソフトウェアを使用して決定されうる)若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、少なくとも20アミノ酸、または少なくとも30アミノ酸、または少なくとも40アミノ酸、または少なくとも50アミノ酸の長さであり、かつ、235アミノ酸以下の長さである、配列番号13の連続部分であるアミノ酸配列を有しうる。代替的に、または加えて、多様な実施形態では、CD8ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸1~235、1~50、50~100、100~150、150~200、または200~235のアミノ酸配列を有する。
MALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVVKSGDKPSLSARYV(配列番号13)
【0107】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、下記:
PTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCN(配列番号14)
に提示される配列番号14に明示された配列を有するアミノ酸を含むCD8ポリペプチドを含む。
本明細書で開示される主題に従い、「CD8核酸分子」とは、CD8ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるCARの膜貫通ドメイン(配列番号14)内に含まれるCD8ポリペプチドをコードするCD8核酸分子は、下記に提示される配列番号15に明示された配列を有する核酸を含む。
【0108】
CCCACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACCCCGGCGCCCACGATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCCTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAC(配列番号15)
【0109】
ある特定の非限定的実施形態では、CARはまた、細胞外抗原結合性ドメインを膜貫通ドメインに連結するスペーサー領域も含みうる。スペーサー領域は、CARの活性化活性を保存しながら、抗原認識を容易とするように、抗原結合性ドメインが異なる方向を向くことを可能とするのに十分に可撓性でありうる。ある特定の非限定的実施形態では、スペーサー領域は、IgG1(IgGl)に由来するヒンジ領域、免疫グロブリンのCH2CH3領域、およびCD3ポリペプチドの部分、CD28ポリペプチドの部分(例えば、配列番号11)、CD8ポリペプチドの部分(例えば、配列番号13)、これらと、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%相同である、前出のうちのいずれかの変異体、または合成スペーサー配列でありうる。ある特定の非限定的実施形態では、スペーサー領域は、約1~50(例えば、5~25、10~30、または30~50)アミノ酸の間の長さを有しうる。
【0110】
CARの細胞内ドメイン:ある特定の非限定的実施形態では、CARの細胞内ドメインは、細胞(例えば、リンパ系列の細胞、例えば、T細胞)を活性化させるか、またはこれを刺激しうる、CD3ζポリペプチドを含みうる。CD3ζは3つのITAMを含み、抗原が結合した後、活性化シグナルを、細胞(例えば、リンパ系列の細胞、例えば、T細胞)へ伝達する。CD3ζポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_932170(配列番号16)を有する配列またはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、少なくとも20アミノ酸、または少なくとも30アミノ酸、または少なくとも40アミノ酸、または少なくとも50アミノ酸の長さであり、かつ、164アミノ酸以下の長さである、配列番号17の連続部分であるアミノ酸配列を有しうる。代替的に、または加えて、多様な実施形態では、CD3ζポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸1~164、1~50、50~100、100~150、または150~164のアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは配列番号17の、アミノ酸52~164のアミノ酸配列を有する。
【0111】
配列番号17は、下記:
MKWKALFTAAILQAQLPITEAQSFGLLDPKLCYLLDGILFIYGVILTALFLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号17)
に提示される。
【0112】
ある特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、下記:
RVKFSRSAEPPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号18)
に提示される、配列番号18に明示されたアミノ酸配列を有する。
ある特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、下記:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号19)
に提示される、配列番号19に明示されたアミノ酸配列を有する。
【0113】
本明細書で開示される主題に従い、「CD3ζ核酸分子」とは、CD3ζポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるCARの細胞内ドメイン内に含まれるCD3ζポリペプチド(配列番号18)をコードする、CD3ζ核酸分子は、下記に提示される配列番号20に明示されたヌクレオチド配列を含む。
agagtgaagttcagcaggagcgcagagccccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaagagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgtacaatgaactgcagaaagataagatggcggaggcctacagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggcctttaccagggtctcagtacagccaccaaggacacctacgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgcg(配列番号20)
【0114】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるCARの細胞内ドメイン内に含まれる、CD3ζポリペプチド(配列番号19)をコードする、CD3ζ核酸分子は下記に提示される配列番号21に明示されたヌクレオチド配列を含む。
AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA(配列番号21)
【0115】
ある特定の非限定的実施形態では、CARの細胞内ドメインは少なくとも1つのシグナル伝達領域をさらに含む。少なくとも1つのシグナル伝達領域は、CD28ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、DAP-10ポリペプチド、PD-1ポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、LAG-3ポリペプチド、2B4ポリペプチド、BTLAポリペプチド、合成ペプチド(免疫応答と関連するタンパク質に基づかない)、またはこれらの組合せを含みうる。
ある特定の実施形態では、シグナル伝達領域は共刺激シグナル伝達領域である。
ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域は、最適のリンパ球活性化をもたらしうる、少なくとも1つの共刺激分子を含む。本明細書で使用される、「共刺激分子」とは、抗原に対するリンパ球の効率的な応答に要求される、抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子を指す。少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、DAP-10ポリペプチド、またはこれらの組合せを含みうる。共刺激分子は、細胞表面上に発現されるタンパク質であって、その受容体に結合すると、共刺激応答、すなわち、抗原が、そのCAR分子に結合することを条件として、刺激をもたらす細胞内応答をもたらすタンパク質である、共刺激リガンドに結合しうる。共刺激リガンドは、CD80、CD86、CD70、OX40L、4-1BBL、CD48、TNFRSF14、およびPD- L1(PD-Ll)を含むがこれらに限定されない。一例として述べると、4-1BBのリガンド(すなわち、4-1BBL)は、CAR+T細胞のエフェクター細胞機能を誘導する、CARシグナルと組み合わされた、細胞内シグナルをもたらすための、4-1BB(また、「CD137」としても公知である)に結合しうる。4-1BB、ICOS、またはDAP-10を含む、共刺激シグナル伝達領域を含む、細胞内ドメインを含むCARについては、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第7,446,190号において開示されている。ある特定の実施形態では、CARの細胞内ドメインは、CD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内ドメインは、2種の共刺激分子:CD28および4-1BBまたはCD28およびOX40を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。
【0116】
4-1BBポリペプチドは、NCBI参照番号:P41273若しくはNP_001552(配列番号22)を有する配列若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0117】
配列番号22は、下記:
MGNSCYNIVATLLLVLNFERTRSLQDPCSNCPAGTFCDNNRNQICSPCPPNSFSSAGGQRTCDICRQCKGVFRTRKECSSTSNAECDCTPGFHCLGAGCSMCEQDCKQGQELTKKGCKDCCFGTFNDQKRGICRPWTNCSLDGKSVLVNGTKERDVVCGPSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号22)
に提示される。
【0118】
ある特定の実施形態では、共刺激ドメインである4-1BBは、下記:KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号23)に提示される配列番号23に明示されたアミノ酸配列を有する。
本明細書で開示される主題に従い、「4-1BB核酸分子」とは、4-1BBポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるCARの細胞内ドメイン内に含まれる4-1BBポリペプチド(配列番号23)をコードする4-1BB核酸分子は、下記に提示される配列番号24に明示されたヌクレオチド配列を含む。
AAACGGGGCAGAAAGAAGCTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG(配列番号24)
【0119】
OX40ポリペプチドは、NCBI参照番号:P43489若しくはNP003318(配列番号25)を有する配列若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0120】
配列番号25は、下記:
MCVGARRLGRGPCAALLLLGLGLSTVTGLHCVGDTYPSNDRCCHECRPGNGMVSRCSRSQNTVCRPCGPGFYNDVVSSKPCKPCTWCNLRSGSERKQLCTATQDTVCRCRAGTQPLDSYKPGVDCAPCPPGHFSPGDNQACKPWTNCTLAGKHTLQPASNSSDAICEDRDPPATQPQETQGPPARPITVQPTEAWPRTSQGPSTRPVEVPGGRAVAAILGLGLVLGLLGPLAILLALYLLRRDQRLPPDAHKPPGGGSFRTPIQEEQADAHSTLAKI(配列番号25)
に提示される。
本明細書で開示される主題に従い、「OX40核酸分子」とは、OX40ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
ICOSポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_036224(配列番号26)を有する配列若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0121】
配列番号26は、下記:
MKSGLWYFFLFCLRIKVLTGEINGSANYEMFIFHNGGVQILCKYPDIVQQFKMQLLKGGQILCDLTKTKGSGNTVSIKSLKFCHSQLSNNSVSFFLYNLDHSHANYYFCNLSIFDPPPFKVTLTGGYLHIYESQLCCQLKFWLPIGC
に提示される。
本明細書で開示される主題に従い、「ICOS核酸分子」とは、ICOSポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
本明細書で開示される主題に従い、CTLA-4ポリペプチドは、UniProtKB/Swiss-Prot参照番号:P16410.3(配列番号27)(本明細書における相同性は、BLASTまたはFASTAなどの標準的ソフトウェアを使用して決定されうる)若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0122】
配列番号27は、下記:
MACLGFQRHKAQLNLATRTWPCTLLFFLLFIPVFCKAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDFLLWILAAVSSGLFFYSFLLTAVSLSKMLKKRSPLTTGVYVKMPPTEPECEKQFQPYFIPIN(配列番号27)
に提示される。
本明細書で開示される主題に従い、「CTLA-4核酸分子」とは、CTLA-4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
本明細書で開示される主題に従い、PD-1ポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_005009.2(配列番号28)若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0123】
配列番号28は、下記:
MQIPQAPWPVVWAVLQLGWRPGWFLDSPDRPWNPPTFSPALLVVTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQTLVVGVVGGLLGSLVLLVWVLAVICSRAARGTIGARRTGQPLKEDPSAVPVFSVDYGELDFQWREKTPEPPVPCVPEQTEYATIVFPSGMGTSSPARRGSADGPRSAQPLRPEDGHCSWPL(配列番号28)
に提示される。
【0124】
本明細書で開示される主題に従い、「PD-1核酸分子」とは、PD-1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
本明細書で開示される主題に従い、LAG-3ポリペプチドは、UniProtKB/Swiss-Prot参照番号:P18627.5(配列番号29)若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0125】
配列番号29は、下記:
MWEAQFLGLLFLQPLWVAPVKPLQPGAEVPVVWAQEGAPAQLPCSPTIPLQDLSLLRRAGVTWQHQPDSGPPAAAPGHPLAPGPHPAAPSSWGPRPRRYTVLSVGPGGLRSGRLPLQPRVQLDERGRQRGDFSLWLRPARRADAGEYRAAVHLRDRALSCRLRLRLGQASMTASPPGSLRASDWVILNCSFSRPDRPASVHWFRNRGQGRVPVRESPHHHLAESFLFLPQVSPMDSGPWGCILTYRDGFNVSIMYNLTVLGLEPPTPLTVYAGAGSRVGLPCRLPAGVGTRSFLTAKWTPPGGGPDLLVTGDNGDFTLRLEDVSQAQAGTYTCHIHLQEQQLNATVTLAIITVTPKSFGSPGSLGKLLCEVTPVSGQERFVWSSLDTPSQRSFSGPWLEAQEAQLLSQPWQCQLYQGERLLGAAVYFTELSSPGAQRSGRAPGALPAGHLLLFLILGVLSLLLLVTGAFGFHLWRRQWRPRRFSALEQGIHPPQAQSKIEELEQEPEPEPEPEPEPEPEPEPEQL(配列番号29)
に提示される。
【0126】
本明細書で開示される主題に従い、「LAG-3核酸分子」とは、LAG-3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
本明細書で開示される主題に従い、2B4ポリペプチドは、UniProtKB/Swiss-Prot参照番号:Q9BZW8.2(配列番号30)若しくはこの断片と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
配列番号30は、下記:
MLGQVVTLILLLLLKVYQGKGCQGSADHVVSISGVPLQLQPNSIQTKVDSIAWKKLLPSQNGFHHILKWENGSLPSNTSNDRFSFIVKNLSLLIKAAQQQDSGLYCLEVTSISGKVQTATFQVFVFESLLPDKVEKPRLQGQGKILDRGRCQVALSCLVSRDGNVSYAWYRGSKLIQTAGNLTYLDEEVDINGTHTYTCNVSNPVSWESHTLNLTQDCQNAHQEFRFWPFLVIIVILSALFLGTLACFCVWRRKRKEKQSETSPKEFLTIYEDVKDLKTRRNHEQEQTFPGGGSTIYSMIQSQSSAPTSQEPAYTLYSLIQPSRKSGSRKRNHSPSFNSTIYEVIGKSQPKAQNPARLSRKELENFDVYS(配列番号30)
に提示される。
【0127】
本明細書で開示される主題に従い、「2B4核酸分子」とは、2B4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
本明細書で開示される主題に従い、BTLAポリペプチドは、UniProtKB/Swiss-Prot参照番号:Q7Z6A9.3(配列番号31)若しくはこの断片と、少なくとも約85%>、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、若しくは約100%相同であるアミノ酸配列を有する場合もあり、および/または1カ所以下または2カ所以下、若しくは3カ所以下の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0128】
配列番号31は、下記:
MKTLPAMLGTGKLFWVFFLIPYLDIWNIHGKESCDVQLYIKRQSEHSILAGDPFELECPVKYCANRPHVTWCKLNGTTCVKLEDRQTSWKEEKNISFFILHFEPVLPNDNGSYRCSANFQSNLIESHSTTLYVTDVKSASERPSKDEMASRPWLLYRLLPLGGLPLLITTCFCLFCCLRRHQGKQNELSDTAGREINLVDAHLKSEQTEASTRQNSQVLLSETGIYDNDPDLCFRMQEGSEVYSNPCLEENKPGIVYASLNHSVIGPNSRLARNVKEAPTEYASICVRS(配列番号31)
に提示される。
本明細書で開示される主題に従い、「BTLA核酸分子」とは、BTLAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0129】
例示的なCAR/C825抗原結合性断片構築物
ある特定の実施形態では、CARと、抗DOTA C825抗原結合断片とは、P2Aリンカーなどの自己切断型リンカーにより連結された単一ポリペプチドとして発現される。ある特定の実施形態では、CARと、抗DOTA C825抗原結合断片とは、2つの個別ポリペプチドとして発現される。
ある特定の実施形態では、CARは、ヒト腫瘍抗原に特異的に結合するヒトscFvを含む細胞外抗原結合性領域、CD28ポリペプチドおよび/またはCD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、並びにCD3ζポリペプチド並びに4-1BBポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内ドメインを含む。CARはまた、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に共有結合的に結合されたシグナルペプチドまたはリーダーペプチドも含む。シグナルペプチドは、配列番号7または配列番号9に明示された配列を有するアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、ヒトscFvは、抗BCMA scFv、抗CD19 scFv、抗メソテリンscFv、抗MUC16 scFv、抗PSCA scFv、抗WT1 scFv、および抗PRAME scFvからなる群から選択される。
【0130】
一部の実施形態では、CARをコードする核酸、および抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸は誘導可能なプロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、CARをコードする核酸、および抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸は、構成的プロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、CARをコードする核酸、および抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸は、2つの個別のプロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、CARをコードする核酸は、構成的プロモーターに作動可能に連結され、抗DOTA C825抗原結合断片は構成的プロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、CARをコードする核酸は構成的プロモーターに作動可能に連結され、抗DOTA C825抗原結合断片は誘導可能なプロモーターに作動可能に連結される。
一部の実施形態では、誘導可能なプロモーターは、CAR T細胞内で活性化可能な合成Notchプロモーターであり、この場合、CARの細胞内ドメインは、CARと腫瘍抗原との会合が膜内タンパク質分解を誘導すると膜から放出される転写調節因子を含有する(例えば、Morsut et al., Cell 164(4): 780-791 (2016)を参照されたい)。したがって、抗DOTA C825抗原結合断片の転写は、操作された免疫細胞と腫瘍抗原との結合時に誘導される。
【0131】
本明細書で開示される主題はまた、本明細書で記載されるCAR/抗DOTA C825抗原結合断片構築物、またはこれらの機能的部分をコードする単離核酸分子ももたらす。ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、ヒトCD19ポリペプチドに特異的に結合するヒトscFv、CD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、および、CD3ζポリペプチド、および4-1BBポリペプチを含む共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内ドメイン、を含む抗CD19ターゲティングCAR、P2A自己切断型ペプチド、並びに、明細書で提示される抗DOTA C825抗原結合断片をコードする。
ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、合成Notch膜貫通ドメインに融合したヒトCD19ポリペプチドに特異的に結合するヒトscFv、および、細胞内切断性転写因子を含む抗CD19ターゲティングCARをコードする。ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、合成Notch系の転写因子の放出により誘導可能である、抗DOTA C825抗原結合断片をコードする。
【0132】
ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、ヒトMUC16ポリペプチドに特異的に結合するヒトscFv、CD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、および、CD3ζポリペプチド、および4-1BBポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域、を含む細胞内ドメイン、を含む抗MUC16ターゲティングCAR、P2A自己切断型ペプチド、並びに本明細書で提示される抗DOTA C825抗原結合断片をコードする。
ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、ヒトメソテリンポリペプチドに特異的に結合するヒトscFv、CD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、および、D3ζポリペプチド、および4-1BBポリペプチドを含む刺激シグナル伝達領域、を含む細胞内ドメイン、を含む抗メソテリンターゲティングCAR、P2A自己切断型ペプチド、並びに、本明細書で提示される抗DOTA C825抗原結合断片をコードする。
ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、ヒトWT1ポリペプチドに特異的に結合するヒトscFv、CD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、および、CD3ζポリペプチド、および4-1BBポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域、を含む細胞内ドメイン、を含む抗WT1ターゲティングCAR、P2A自己切断型ペプチド、並びに本明細書で提示される抗DOTA C825抗原結合断片をコードする。
【0133】
ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、ヒトPSCAポリペプチドに特異的に結合するヒトscFv、CD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、およびCD3ζポリペプチド、および4-1BBポリペプチド共刺激シグナル伝達領域、を含む細胞内ドメイン、を含む抗PSCAターゲティングCAR、P2A自己切断型ペプチド、並びに本明細書で提示される抗DOTA C825抗原結合断片をコードする。
ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、ヒトBCMAポリペプチドに特異的に結合するヒトscFv、CD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、およびCD3ζポリペプチド、および4-1BBポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域、を含む細胞内ドメイン、を含む抗BCMAターゲティングCAR、P2A自己切断型ペプチド、並びに本明細書で提示される抗DOTA C825抗原結合断片をコードする。
【0134】
ある特定の実施形態では、単離核酸分子は、本明細書で開示されるCAR構築物の機能的部分をコードする。本明細書で使用される、「機能的部分」という用語は、CARのいずれかの部分、一部、または断片であって、ターゲティングCAR(親CAR)の生物学的活性を保持する部分、一部、または断片を指す。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原ターゲティングCARの機能的部分をコードする単離核酸分子は、親CARのうちの、例えば、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、および約95%、またはこれを超えるタンパク質を含むタンパク質をコードしうる。
【0135】
免疫細胞
本明細書で開示される主題は、抗DOTA C825抗原結合断片、および、細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含むT細胞受容体(例えば、CAR)または他のリガンを発現するように操作された免疫細胞をもたらし、この場合、細胞外抗原結合性ドメインは、上記のように、腫瘍受容体または腫瘍リガンドを含む腫瘍抗原に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、細胞が、CARと、抗DOTA C825抗原結合断片とを発現するように、本明細書で開示されるCAR/抗DOTA C825抗原結合断片構築物が免疫細胞へ形質導入されうる。
【0136】
本明細書で開示される主題の操作された免疫細胞は、リンパ系列の細胞の場合もあり、骨髄系列の細胞の場合もある。B細胞、T細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む、リンパ系列は、抗体の産生、細胞免疫系の調節、血液中の外来作用物質の検出、宿主に対して外来である細胞の検出などをもたらす。リンパ系列の免疫細胞の非限定的例は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、胚性幹細胞、および多能性幹細胞(例えば、それからリンパ細胞を分化させうる多能性幹細胞)を含む。T細胞は、胸腺内で成熟し、細胞媒介性免疫の主因となるリンパ球でありうる。T細胞は、適応免疫系に関与する。本明細書で開示される主題のT細胞は、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞(セントラルメモリーT細胞、幹細胞様メモリーT細胞(stem-cell-like memory T cells(または幹細胞様メモリーT細胞(stem-like memory T cells))、並びに2種のエフェクターメモリーT細胞:例えば、TEM細胞およびTEMRA細胞を含む)、調節性T細胞(また、抑制性T細胞としても公知である)、ナチュラルキラーT細胞、MAIT(mucosal associated invariant T cell)、およびγδT細胞を含むがこれらに限定されない、いずれかの種類のT細胞でありうる。細胞傷害性T細胞(CTLまたはキラーT細胞)は、感染体細胞または腫瘍細胞の死を誘導することが可能な、Tリンパ球のサブセットである。ある特定の実施形態では、CAR発現T細胞は、T調節性表現型を達成および維持するように、Foxp3を発現する。
【0137】
ナチュラルキラー(NK)細胞は細胞媒介性免疫の一部であり、自然免疫応答時に作用するリンパ球でありうる。NK細胞は、それらの細胞傷害性作用を標的細胞に対して及ぼすために事前の活性化を要求しない。
本明細書で開示される主題の操作された免疫細胞は、腫瘍抗原に特異的に結合する、細胞外抗原結合性ドメイン(例えば、ヒトscFv、架橋されてもよいFab、またはF(ab)2)を発現しうる。一部の実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞などのリンパ球である。ある特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、T細胞である。T細胞は、CD4+T細胞またはCD8+T細胞でありうる。ある特定の実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞である。ある特定の実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞である。
【0138】
本明細書で開示される操作された免疫細胞は、少なくとも1つの組換え共刺激リガンドまたは外因性共刺激リガンドをさらに含みうる。例えば、操作された免疫細胞が、腫瘍抗原ターゲティングCARと、少なくとも1つの共刺激リガンドとを共発現するか、またはこれらを共発現するよう誘導されるように、少なくとも1つの共刺激リガンドが、本明細書で開示される操作された免疫細胞へさらに形質導入されうる。腫瘍抗原ターゲティングCARと、少なくとも1つの共刺激リガンドとの相互作用は、免疫細胞(例えば、T細胞)の完全な活性化に重要な非抗原特異的シグナルをもたらす。共刺激リガンドは、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーリガンド、および免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンドのメンバーを含むがこれらに限定されない。TNFは、全身炎症に関与し、急性期反応を刺激するサイトカインである。その主要な役割は、免疫細胞の調節にある。TNFスーパーファミリーのメンバーは、多数の共通の特色を共有する。TNFスーパーファミリーメンバーの大部分は、短い細胞質セグメントと、比較的長い細胞外領域とを含有するII型膜貫通タンパク質(細胞外C末端)として合成される。TNFスーパーファミリーメンバーは、限定せずに述べると、神経増殖因子(NGF)、CD40L(CD40L)/CD154、CD137L/4-1BBL、TNF-α、CD134L/OX40L/CD252、CD27L/CD70、Fasリガンド(FasL)、CD30L/CD153、腫瘍壊死因子ベータ(TNFP)/リンホトキシン-アルファ(LT-α)、リンホトキシン-ベータ(LΤ-β)、CD257/B細胞-活性化因子(BAFF)/BLYS/THANK/TALL-1、グルココルチコイド-誘導されたTNF受容体リガンド(GITRL)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、およびLIGHT(TNFSF14)を含む。免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーは、細胞の認識過程、結合過程、または接着過程に関与する、細胞表面タンパク質および可溶性タンパク質の大規模群である。これらのタンパク質は、免疫グロブリンと、構造的特色を共有する(これらのタンパク質は、免疫グロブリンドメイン(フォールド)を保有する)。免疫グロブリンスーパーファミリーリガンドは、いずれも、CD28に対するリガンドである、CD80およびCD86、またはPD-1に対するリガンドである、PD-L1/(B7-H1)を含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激リガンドは、4-1BBL、CD80、CD86、CD70、OX40L、CD48、TNFRSF14、PD-L1、およびこれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、4-1BBLである、1種の組換え共刺激リガンドを含む。ある特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、4-1BBLおよびCD80である、2種の組換え共刺激リガンドを含む。少なくとも1つの共刺激リガンドを含むCARについては、参照によりそれらの全体において組み込まれる、米国特許第8,389,282号において記載されている。
【0139】
さらに、本明細書で開示される操作された免疫細胞は、少なくとも1つの外因性サイトカインをさらに含みうる。例えば、操作された免疫細胞は、少なくとも1つのサイトカインを分泌するほか、腫瘍抗原ターゲティングCARを発現するように、少なくとも1つのサイトカインが本明細書で開示される操作された免疫細胞へさらに形質導入されうる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのサイトカインは、IL-2、IL-3、IL-6、IL-7、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、およびIL-21からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、サイトカインは、IL-12である。
【0140】
操作された免疫細胞は、末梢ドナーリンパ球から作出されうる。操作された免疫細胞(例えば、T細胞)は、自家細胞の場合もあり、非自家(例えば、同種)の場合もあり、またはin vitroにおいて、操作された前駆細胞または操作された幹細胞から導出される場合もある。
【0141】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される操作された免疫細胞(例えば、T細胞)は、細胞1個当たり、約1~約5、約1~約4、約2~約5、約2~約4、約3~約5、約3~約4、約4~約5、約1~約2、約2~約3、約3~約4、または約4~約5のベクターコピー数の、本明細書で開示される腫瘍抗原ターゲティングCAR、および/または抗DOTA C825抗原結合断片を発現する。
例えば、操作された免疫細胞内のCARの発現レベルが高度であるほど、操作された免疫細胞は大きな細胞傷害作用およびサイトカイン産生を呈する。腫瘍抗原ターゲティングCARの発現レベルが高度である、操作された免疫細胞(例えば、T細胞)は、腫瘍抗原ターゲティングCARの発現レベルが低度である、例えば、細胞1個当たりの腫瘍抗原結合性部位が約2,000またはこれ未満、約1,000またはこれ未満、約900またはこれ未満、約800またはこれ未満、約700またはこれ未満、約600またはこれ未満、約500またはこれ未満、約400またはこれ未満、約300またはこれ未満、約200またはこれ未満、約100またはこれ未満である、組織または細胞に対して、抗原特異的サイトカインの産生若しくは分泌を誘導することが可能であり、および/または細胞傷害作用を呈しうる。加えて、または代替的に、本明細書で開示される操作された免疫細胞(例えば、T細胞)の細胞傷害作用およびサイトカイン産生は、標的組織内または標的細胞における腫瘍抗原の発現レベルと比例する。例えば、標的内のヒト腫瘍抗原の発現レベルが高度であるほど、操作された免疫細胞は、大きな細胞傷害作用およびサイトカイン産生を呈する。
【0142】
免疫細胞の非精製供給源は、骨髄、胎児、新生児、若しくは成人、または他の造血細胞供給源、例えば、胎児肝臓、末梢血、または臍帯血など、当技術分野で公知である、いずれかの供給源でありうる。個々の細胞に対して多様な技法が利用されうる。例えば、陰性選択法は、まず、非免疫細胞を除去しうる。モノクローナル抗体は、陽性選択および陰性選択のいずれのためにも、特定の細胞系統および/または分化段階と関連するマーカーを同定するために、特に有用である。
終末分化細胞の大部分は、まず、比較的大まかな分離により除去されうる。例えば、磁気ビーズによる分離は、まず、多数の無関係の細胞を除去するのに使用されうる。全造血細胞のうちの、適切には、少なくとも約80%、通例、少なくとも70%は、細胞分離の前に除去されるであろう。
【0143】
分離のための手順は、密度勾配遠心分離;リセッティング;細胞密度を改変する粒子へのカップリング;抗体コーティング磁気ビーズによる磁気分離;アフィニティークロマトグラフィー;mAbへ結合されるか、またはこれと共に使用される細胞傷害因子であって、補体および細胞毒素を含むがこれらに限定されない細胞傷害因子;並びに固相マトリックス、例えば、プレート、チップへ結合された抗体によるパニング、エルトリエーション、または他のいずれかの常套的技法を含むがこれらに限定されない。
分離および解析のための技法は、様々な程度の精緻化、例えば、複数の色チャネル、低角/鈍角光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネルを有しうる、フローサイトメトリーを含むがこれらに限定されない。
【0144】
細胞は、ヨウ化プロピジウム(PI)など、死細胞と関連する染料を利用することにより、死細胞に対して選択されうる。通例、細胞は、2%ウシ胎仔血清(FCS)若しくは0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む培地中、または他のいずれかの適切な(例えば、滅菌)等張性培地中で回収される。
一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、1種または複数種のさらなる改変を含む。例えば、一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、選択された腫瘍抗原以外の、第2の抗原に結合する抗原認識受容体を含み、これを発現する(これを発現するように形質導入されている)。本明細書で開示されるCARに加えた、抗原認識受容体の、操作された免疫細胞上の組入れは、CAR、またはこれを含む操作された免疫細胞の、標的細胞に対するアビディティーを増大させることが可能であり、とりわけ、CARは、特定の腫瘍抗原に対する結合アフィニティーが小さい、例えば、Kdが、約2×10-8M若しくはこれを超える、約5×10-8M若しくはこれを超える、約8×10-8M若しくはこれを超える、約9×10-8M若しくはこれを超える、約1×10-7M若しくはこれを超える、約2×10-7M若しくはこれを超える、または約5×10-7M若しくはこれを超えるCARである。
【0145】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はキメラ共刺激受容体(CCR)である。CCRについては、それらの内容が、参照によりそれらの全体において組み込まれる、Krause, et al., J. Exp. Med. 188(4):619-626(1998)、およびUS20020018783において記載されている。CCRは共刺激シグナルを模倣するが、CARと異なり、T細胞活性化シグナルをもたらさない、例えば、CCRはCD3ζポリペプチドを欠く。CCRは、抗原提示細胞上の天然の共刺激リガンドの非存在下で、共刺激、例えば、CD28様シグナルをもたらす。コンビナトリアルの抗原認識、すなわち、CARと組み合わせた、CCRの使用は、二重抗原を発現するT細胞に対するT細胞反応性を強化し、これにより、選択的な腫瘍ターゲティングを改善しうる。Klossらは、コンビナトリアルの抗原認識、シグナル伝達の分割、および、これが極めて重要なことであるが、各抗原を個別に発現する細胞は看過しながら、抗原の組合せを発現する標的細胞は消失させるT細胞を作出する、T細胞の活性化の強度と、共刺激の強度との平衡を組み込む戦略について記載している(Kloss et al., Nature Biotechnology 31(l):71-75 (2013))。この手法により、T細胞の活性化が1種の抗原のCAR媒介型認識を要求するのに対し、共刺激は第2の抗原に特異的なCCRにより独立に媒介される。腫瘍選択性を達成するために、コンビナトリアルの抗原認識法は、第2の抗原に対するCCRによる共時的認識によるレスキューを伴わない限りにおいて、T細胞活性化効率を、それが無効となるレベルまで減衰させる。ある特定の実施形態では、CCRは選択された腫瘍抗原と異なる抗原に結合する細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、およびCD28、4-1BB、OX40、ICOS、PD-1、CTLA-4、LAG-3、2B4、およびBTLAを含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの共刺激分子を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CCRの共刺激シグナル伝達領域は、1種の共刺激シグナル伝達分子を含む。ある特定の実施形態では、1種の共刺激シグナル伝達分子は、CD28である。ある特定の実施形態では、1種の共刺激シグナル伝達分子は4-1BBである。ある特定の実施形態では、CCRの共刺激シグナル伝達領域は2種の共刺激シグナル伝達分子を含む。ある特定の実施形態では、2種の共刺激シグナル伝達分子はCD28および4-1BBである。第2の抗原は、選択された腫瘍抗原および第2の抗原の両方の発現が、標的細胞(例えば、がん性組織またはがん性細胞)へ制限されるように選択される。CARと同様に、細胞外抗原結合性ドメインは、scFv、Fab、F(ab)2;または細胞外抗原結合性ドメインを形成する、異種配列との融合タンパク質でありうる。ある特定の実施形態では、CCRは、CD138に結合するscFv、CD28ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン、およびCD28および4-1BBである2種の共刺激シグナル伝達分子を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。
【0146】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は短縮型CARである。「短縮型CAR」は、細胞内シグナル伝達ドメインを欠くことによりCARと異なる。例えば、短縮型CARは、細胞外抗原結合性ドメインおよび膜貫通ドメインを含むが、細胞内シグナル伝達ドメインを欠く。本明細書で開示される主題に従い、短縮型CARは、標的細胞上、例えば、骨髄腫細胞上で発現される、第2の抗原に対する結合アフィニティーが大きい。短縮型CARは、本明細書で開示されるCAR、とりわけ、腫瘍抗原に対する結合アフィニティーが小さいCARのアビディティーを増強し、これにより、本明細書で開示されるCAR、またはこれを含む操作された免疫細胞(例えば、T細胞)の有効性を改善する接着分子として機能する。ある特定の実施形態では、短縮型CARは、CD138に結合する細胞外抗原結合性ドメイン、CD8ポリペプチドを含む膜貫通ドメインを含む。本明細書で開示されるT細胞は、腫瘍抗原をターゲティングする本明細書で開示されるCARと、CD138をターゲティングする短縮型CARとを発現するように、これらを含むか、またはこれらを形質導入される。ある特定の実施形態では、標的細胞は、充実性腫瘍細胞である。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、1つまたは複数の遺伝子の発現を抑制するように、さらに修飾される。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、ゲノム編集を介して、さらに改変される。ゲノムDNAのターゲティング型切断のための、多様な方法および組成物については記載されている。このようなターゲティング型切断イベントは、例えば、所定の染色体遺伝子座における、ターゲティング型突然変異誘発を誘導し、細胞内DNA配列のターゲティング型欠失を誘導し、ターゲティング型組換えを容易とするのに使用されうる。それらの開示が、参照によりそれらの全体において組み込まれる、例えば、米国特許第7,888,121号;同第7,972,854号;同第7,914,796号;同第7,951,925号;同第8,110,379号;同第8,409,861号;同第8,586,526号;米国特許公開第20030232410号;同第20050208489号;同第20050026157号;同第20050064474号;同第20060063231号;同第201000218264号;同第20120017290号;同第20110265198号;同第20130137104号;同第20130122591号;同第20130177983号;および同第20130177960号を参照されたい。これらの方法は、非相同末端結合(NHEJ)または修復鋳型を使用する修復(相同性指向修復またはHDR)など、エラーボーン工程(error born process)による切断の修復が、遺伝子のノックアウト、または目的の配列の挿入(ターゲティング型組込み)を結果としてもたらしうるよう、標的DNA配列内の二本鎖切断(DSB)またはニックを誘導するように、操作された切断系の使用を伴うことが多い。切断は、操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALEN(transcription-activator like effector nucleases)など、特異的ヌクレアーゼの使用を介して行われる場合もあり、特異的切断を誘導するように、CRISPR/Casシステムを、操作されたcrRNA/tracr RNA(「単一ガイドRNA」)と共に使用して行われる場合もある。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、内因性T細胞受容体遺伝子の発現を破壊または低減するように改変される(例えば、参照によりそれらの全体において組み込まれる、WO2014153470を参照されたい)。一部の実施形態では、操作された免疫細胞は、PD1、PDL-1、またはCTLA-4(例えば、米国特許公開第20140120622号を参照されたい)、または当技術分野で公知である、他の免疫抑制因子(Wu et al. (2015) Oncoimmunology 4(7): e1016700;Mahoney et al. (2015) Nature Reviews Drug Discovery 14, 561-584)の破壊または阻害を結果としてもたらすように改変される。
【0147】
ベクター
多くの発現ベクターは、当業者に利用可能であり、かつ公知であり、本明細書で提示されるポリペプチドの発現のために使用されうる。発現ベクターの選択は、宿主発現系の選択の影響を受けるであろう。このような選択は、十分に、当業者の技術の水準内にある。一般に、発現ベクターは、転写プロモーターを含む場合があり、エンハンサー、翻訳シグナル、並びに転写終結シグナルおよび翻訳の終結シグナルを含んでもよい。安定的な形質転換のために使用される発現ベクターは、典型的に、形質転換細胞の選択および維持を可能とする、選択用マーカーを有する。場合によって、細胞内のベクターのコピー数を増幅するのに複製起点を使用することができる。
【0148】
ベクターはまた、ライゲーションされた核酸分子に作動可能に連結された、さらなるヌクレオチド配列であって、例えば、局在化のためのタグ、例えば、ヘキサhisタグ若しくはmycタグ、ヘマグルチニンタグなどのエピトープタグ、または精製のためのタグ、例えば、GST融合タグ、およびタンパク質の分泌および/または膜への会合を方向付けるための配列などのヌクレオチド配列も含有しうる。
【0149】
抗体またはその抗原結合性断片の発現は、当技術分野で公知である、いずれかのプロモーター/エンハンサーにより制御されうる。当技術分野では、適切な細菌プロモーターが周知であり、本明細書の下記で記載される。当技術分野では、哺乳動物細胞、酵母細胞、および昆虫細胞に適する、他のプロモーターも周知であり、下記に例示される。異種核酸の発現を方向付けるのに使用されるプロモーターの選択は、特定の適用に依存し、当業者の技術の水準内にある。使用されうるプロモーターは、SV40早期プロモーターを含有する真核発現ベクター(Bernoist and Chambon, Nature 290:304-310(1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’側LTR(long terminal repeat)内に含有されるプロモーター(Yamamoto et al., Cell 22:787-797(1980))、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75: 1441-1445 (1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., Nature 296:39-42 (1982));β-ラクタマーゼプロモーターなどの原核発現ベクター(Jay et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:5543 (1981))またはtacプロモーター(DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 50:21-25(1983);また、“Useful Proteins from Recombinant Bacteria”: in Scientific American 242:79-94 (1980)も参照されたい);ノパリンシンテターゼプロモーターを含有する、植物発現ベクター(Herrera- Estrella et al., Nature 505:209-213(1984))またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardner et al., Nucleic Acids Res. 9:2871(1981))、および光合成酵素であるリブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrella et al., Nature 510: 1 15-120(1984));Gal4プロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼプロモーター、アルカリホスファターゼプロモーターなど、酵母および他の真菌に由来するプロモーターエレメント、並びに組織特異性を呈し、トランスジェニック動物において使用されている、以下の動物転写制御領域:膵腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al., Cell 55:639-646 (1984); Ornitz et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409(1986); MacDonald, Hepatology 7:425-515 (1987));膵ベータ細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan et al., Nature 515: 115-122 (1985))、リンパ細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al., Cell 55:647-658 (1984); Adams et al., Nature 515:533-538 (1985); Alexander et al., Mol. Cell Biol. 7: 1436-1444 (1987))、精巣細胞内、乳腺細胞内、リンパ細胞内、およびマスト細胞内で活性であるマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al., Cell 15:485-495 (1986))、肝臓内で活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinckert et al., Genes and Devel. 1:268-276 (1987))、肝臓内で活性であるアルファ-フェトタンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al., Mol. Cell. Biol. 5:1639-403 (1985); Hammer et al., Science 255:53-58 (1987))、肝臓内で活性であるアルファ1アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al., Genes and Devel. 7:161-171 (1987))、骨髄細胞内で活性であるベータグロブリン遺伝子制御領域(Magram et al., Nature 515:338-340 (1985); Kollias et al., Cell 5:89-94 (1986))、脳の希突起膠細胞内で活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al., Cell 15:703-712 (1987))、骨格筋内で活性であるミオシン軽鎖2遺伝子制御領域(Shani, Nature 514:283-286 (1985))、並びに視床下部の性腺刺激ホルモン分泌細胞内で活性である性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al., Science 254: 1372- 1378 (1986))を含むがこれらに限定されない。
【0150】
プロモーターに加えて、発現ベクターは、典型的に、宿主細胞において、抗体またはその部分の発現に要求される全てのさらなるエレメントを含有する転写単位または発現カセットを含有する。典型的な発現カセットは、抗体鎖をコードする核酸配列、転写物の効率的なポリアデニル化に要求されるシグナル、リボソーム結合性部位、および翻訳終結に作動可能に連結されたプロモーターを含有する。カセットのさらなるエレメントはエンハンサーを含みうる。加えて、カセットは、典型的に、効率的な終結をもたらすために、構造的遺伝子の下流に転写終結領域を含有する。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得られる場合もあり、異なる遺伝子から得られる場合もある。
一部の発現系は、チミジンキナーゼおよびジヒドロ葉酸レダクターゼなど、遺伝子の増幅をもたらすマーカーを有する。代替的に、昆虫細胞内、ポリヘドリン(polyhedron)プロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーターの統制下で、生殖細胞系列抗体鎖をコードする核酸配列と共に、バキュロウイルスベクターを使用する発現系など、遺伝子の増幅を伴わない高収量発現系もまた適する。
【0151】
DNA断片の、ベクターへの挿入のための、当業者に公知である、いずれの方法も、本明細書で提示されるポリペプチドのうちのいずれかをコードする核酸を含有する発現ベクターを構築するのに使用されうる。これらの方法は、in vitro組換えDNA法および合成法、並びにin vivo組換体(遺伝子組換え)を含みうる。クローニングベクターへの挿入は、例えば、DNA断片を、相補性の接着末端を有するクローニングベクターにライゲーションすることにより達せられうる。DNAを断片化するのに使用される相補性の制限部位がクローニングベクター内に存在しない場合、DNA分子の末端が酵素により改変される場合がある。代替的に、所望のいずれかの部位が、ヌクレオチド配列(リンカー)を、DNA末端にライゲーションすることにより作製されうる場合、ライゲーションされたこれらのリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特異的化学合成核酸を含有しうる。
本明細書で提示されるポリペプチドを作製するのに有用な、例示的プラスミドベクターは、HCMV即初期エンハンサー/プロモーターまたはMHCクラスIプロモーターなどの強力なプロモーター、HCMV即初期遺伝子イントロンAなど、転写物のプロセシングを増強するイントロン、および後期SV40ポリAシグナルなどのポリアデニル化(ポリA)シグナルを含有する。
【0152】
操作された免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の遺伝的改変は、組換えDNA構築物または組換えRNA構築物を実質的に同種の細胞組成物へ形質導入することにより達せられうる。ベクターは、DNA構築物またはRNA構築物の、宿主細胞ゲノムへの導入のために利用されるレトロウイルスベクター(例えば、ガンマレトロウイルス)でありうる。例えば、腫瘍抗原ターゲティングCARと、抗DOTA C825抗原結合断片とをコードするポリヌクレオチドは、レトロウイルスベクターにクローニングされる場合があり、発現は、その内因性プロモーターである、レトロウイルスLTR(long terminal repeat)、または代替的内因性プロモーターから駆動されうる。
【0153】
非ウイルス性のベクターまたはRNAも同様に使用されうる。染色体のランダム型組込み若しくはターゲティング型組込み(例えば、ヌクレアーゼである、TALEN(transcription-activator like effector nucleases)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、および/若しくはCRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)を使用する)、またはトランス遺伝子発現(例えば、天然RNAまたは化学修飾RNAを使用する)が使用されうる。
【0154】
腫瘍抗原ターゲティングCARと、抗DOTA C825抗原結合断片とを発現する細胞を生じさせる細胞の初期遺伝子改変について、レトロウイルスベクターが一般に形質導入のために利用されるが、他のいずれかの適切なウイルスベクターまたは非ウイルス送達系も使用されうる。少なくとも2種の共刺激リガンドを含む、抗原提示複合体を含む細胞をもたらすための、続く細胞の遺伝子改変にもレトロウイルスによる遺伝子導入(形質導入)は同様に有効であることが分かっている。レトロウイルスベクターと適切なパッケージング細胞株との組合せはまた、カプシドタンパク質がヒト細胞への感染のために機能的である場合にも適する。PA12(Miller, et al., Mol. Cell. Biol. 5:431-437 (1985));PA317(Miller, et al., Mol. Cell. Biol. 6:2895-2902 (1986));およびCRIP(Danos, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:6460-6464 (1988))を含むがこれらに限定されない、多様な広宿主性ウイルス産生細胞株が公知である。非広宿主性粒子、例えば、VSVG、RD114、またはGALVのエンベロープ、および当技術分野で公知である他のいずれかのエンベロープで偽型化された粒子もまた適する。
【0155】
可能な形質導入法はまた、例えば、Bregni, et al., Blood 80: 1418-1422(1992)の方法による、細胞の産生細胞との直接的な共培養、または、ウイルス上清単独、若しくは、例えば、Xu, et al., Exp. Hemat. 22:223-230 (1994);およびHughes, et al., J. Clin. Invest. 89: 1817 (1992)の方法による、適切な増殖因子およびポリカチオンを含むか、またはこれを含まない、濃縮ベクター原液との培養も含む。
【0156】
ウイルスベクターの形質導入は、操作された免疫細胞において共刺激リガンドを発現させ、および/またはサイトカインを分泌する(例えば、4-1BBLおよび/またはIL-12)のに使用されうる。一部の実施形態では、選び出されたベクターは、高効率の感染、並びに安定的な組込みおよび発現を呈する(例えば、Cayouette et al., Human Gene Therapy 8:423-430 (1997); Kido et al., Current Eye Research 15:833-844 (1996); Bloomer et al., Journal of Virology 71 :6641-6649, 1997; Naldini et al., Science 272:263 267 (1996); およびMiyoshi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94: 10319, (1997)を参照されたい)。使用されうる、他のウイルスベクターは、例えば、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ウシパピローマウイルスベクター、またはエプスタイン-バーウイルスなどのヘルペスウイルスベクターを含む(また、例えば、Miller, Human Gene Therapy 15-14, (1990); Friedman, Science 244: 1275-1281 (1989); Eglitis et al., BioTechniques 6:608-614, (1988); Tolstoshev et al., Current Opinion in Biotechnology 1:55-61(1990); Sharp, The Lancet 337: 1277-1278 (1991); Cornetta et al., Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311-322 (1987); Anderson, Science 226:401-409 (1984); Moen, Blood Cells 17:407-416 (1991); Miller et al., Biotechnology 7:980-990 (1989); Le Gal La Salle et al., Science 259:988-990 (1993); およびJohnson, Chest 107:77S-83S (1995)のベクターも参照されたい)。レトロウイルスベクターは特に開発が進んでおり、臨床状況で使用されている(Rosenberg et al., N. Engl. J. Med 323:370 (1990);Andersonら、米国特許第5,399,346号)。
【0157】
ある特定の非限定的実施形態では、本明細書で開示される腫瘍抗原ターゲティングCARを発現させるベクターは、レトロウイルスベクター、例えば、オンコレトロウイルスベクターである。
【0158】
非ウイルス法もまた、細胞におけるタンパク質の発現のために利用されうる。例えば、核酸分子は、リポフェクション(Feigner et al., Proc. Nat’l. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413, (1987); Ono et al., Neuroscience Letters 17:259 (1990); Brigham et al., Am. J. Med. Sci. 298:278, (1989); Staubinger et al., Methods in Enzymology 101 :512 (1983))、アシアロオロソムコイド-ポリリシンコンジュゲーション(Wu et al., Journal of Biological Chemistry 263 : 14621 (1988); Wu et al., Journal of Biological Chemistry 264: 16985 (1989))の存在下で、核酸を投与することにより、細胞へ導入される場合もあり、手術条件下におけるマイクロインジェクション(Wolff et al., Science 247: 1465 (1990))により細胞へ導入される場合もある。遺伝子導入のための他の非ウイルス手段は、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、電気穿孔、およびプロトプラスト融合を使用する、in vitroにおけるトランスフェクションを含む。リポソームもまた、DNAの細胞への送達のために潜在的に有益でありうる。正常遺伝子の対象の罹患組織への移入もまた、ex vivoにおいて正常核酸を培養可能な細胞型(例えば、自家初代細胞若しくは異種初代細胞またはこれらの後代)へ導入し、この後、細胞(またはその子孫細胞)を標的組織へ注入するかまたは全身注入することにより達せられうる。組換え受容体もまた、トランスポザーゼまたはターゲティング型ヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはTALEヌクレアーゼ)を使用して、導出されうるかまたは得られうる。一過性発現はRNA電気穿孔により得られうる。
【0159】
cDNA発現は、いずれかの適切なプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス40(SV40)、またはメタロチオネインプロモーター)から方向付けられ、いずれかの適切な哺乳動物調節エレメントまたはイントロン(例えば、伸長因子1a(elongation factor la)のエンハンサー/プロモーター/イントロン構造)により調節されうる。例えば、所望の場合、特異的細胞型内の遺伝子発現を、優先的に方向付けることが公知のエンハンサーは、核酸の発現を方向付けるのに使用されうる。使用されるエンハンサーは、限定せずに述べると、組織特異的エンハンサーまたは細胞特異的エンハンサーとして特徴づけられるエンハンサーを含みうる。代替的に、ゲノムクローンが使用される場合、調節は、コグネイトの調節配列、または、所望の場合、上記で記載されたプロモーターまたは調節的エレメントのうちのいずれかを含む異種供給源に由来する調節配列により媒介されうる。
結果として得られる細胞は未改変細胞のための条件と同様の条件下で増殖させることができ、様々な目的に使用することができる。
【0160】
ポリペプチドおよび類似体並びにポリヌクレオチド
本明細書で開示される主題にはまた、腫瘍抗原(例えば、ヒト腫瘍抗原)に特異的に結合する細胞外抗原結合性ドメイン(例えば、scFv(例えば、ヒトscFv)、Fab、または(Fab)2)、CD3ζ、CD8、CD28などのポリペプチドまたはこれらの断片、および、操作された免疫細胞内で発現されるこれらをコードするポリヌクレオチドも含まれる。本明細書で開示される主題は、配列内に変更をもたらすことにより、アミノ酸配列または核酸配列を最適化するための方法をもたらす。このような変更は、ある特定の突然変異、欠失、挿入、または翻訳後修飾を含みうる。本明細書で開示される主題は、本明細書で開示される主題の、任意の天然に存在するポリペプチドの類似体をさらに含む。類似体は、アミノ酸配列変異、翻訳後修飾、またはこれらの両方により、本明細書で開示される主題の、天然に存在するポリペプチドと異なりうる。本明細書で開示される主題の類似体は、一般に、本明細書で開示される主題の、天然に存在するアミノ酸配列の全部または一部に対して、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはこれを超える、同一性または相同性を呈しうる。配列比較の長さは、少なくとも、約5、約10、約15、約20、約25、約50、約75、約100、またはこれを超えるアミノ酸残基の長さである。ここでもまた、同一性の程度の決定のための例示的な手法では、BLASTプログラムが、近縁の配列を指し示す、10-3~10-100の間の確率スコアで使用される場合がある。改変は、in vivoおよびin vitroにおける、ポリペプチドの化学的誘導、例えば、アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、またはグリコシル化を含み、このような改変は、ポリペプチドの合成時またはプロセシング時に生じる場合もあり、単離修飾酵素による処置後に生じる場合もある。類似体はまた、一次配列内の変更によっても、本明細書で開示される主題の、天然に存在するポリペプチドと異なりうる。類似体は、天然の遺伝子変異体および誘導遺伝子変異体のいずれでもある、遺伝子変異体(例えば、照射、若しくは硫酸エタンメチルへの曝露による、ランダム突然変異誘発から、またはSambrook, Fritsch and Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed.), CSH Press, 1989、またはAusubel et al., supraにおいて記載されている、部位特異的突然変異誘発により得られる)を含む。また、環化ペプチド、分子、およびL-アミノ酸以外の残基、例えば、D-アミノ酸、または天然に存在しないアミノ酸若しくは合成アミノ酸、例えば、ベータ(β)アミノ酸若しくはガンマ(γ)アミノ酸を含有する類似体も含まれる。
【0161】
全長ポリペプチドに加えて、本明細書で開示される主題はまた、本明細書で開示される主題のポリペプチドドメインまたはペプチドドメインのうちのいずれか1つの断片ももたらす。この断片は、少なくとも約5、約10、約13、または約15アミノ酸でありうる。一部の実施形態では、断片は、少なくとも約20連続アミノ酸、少なくとも約30連続アミノ酸、または少なくとも約50連続アミノ酸である。一部の実施形態では、断片は、少なくとも約60~約80、約100、約200、約300、またはこれを超える連続アミノ酸である。本明細書で開示される主題の断片は、当業者に公知の方法により作出される場合もあり、正常なタンパク質プロセシング(例えば、新生ポリペプチドからの、生体活性に要求されないアミノ酸の除去、または代替的mRNAスプライシングイベント、若しくは代替的タンパク質プロセシングイベントによるアミノ酸の除去)から生じる場合もある。
【0162】
非タンパク質類似体は、本技術のタンパク質の機能活性を模倣するようにデザインされた化学構造を有する。このような類似体は、本明細書で開示される主題の方法に従い投与される。このような類似体は、元のポリペプチドの生理活性を上回りうる。当技術分野では、類似体のデザイン法が周知であり、類似体の合成は、このような方法に従い、結果として得られる類似体が、操作された免疫細胞内で発現されると、元のポリペプチドの機能を増強するような、改変化学構造により実行されうる。これらの化学改変は、代替的R基による置換、および参照ポリペプチドの特異的炭素原子における飽和度の変動を含むがこれらに限定されない。タンパク質の類似体は、in vivoにおける分解に対して、比較的耐性でありうる結果として、投与されると、より持続的な効果をもたらす。機能活性を測定するためのアッセイは、下記の実施例に記載されるアッセイを含むがこれらに限定されない。
【0163】
本明細書で開示される主題に従い、腫瘍抗原(例えば、ヒト腫瘍抗原)に特異的に結合する細胞外抗原結合性ドメイン(例えば、scFv(例えば、ヒトscFv)、Fab、または(Fab)2)、CD3、CD8、CD28をコードするポリヌクレオチドは、コドンの最適化により改変されうる。コドンの最適化は、所与のいずれかの発現系における生産性の可能な最高レベルを達成するように、天然に存在する遺伝子配列および組換え遺伝子配列の両方を変更しうる。タンパク質発現の異なる段階に関与する因子は、コドン適応性、mRNA構造、および転写および翻訳における、多様なシスエレメントを含む。OptimumGene(商標)、Encor最適化法、およびBlue Heronを含むがこれらに限定されない、当業者に公知である、いずれの適切なコドン最適化法またはコドン最適化技術も本明細書で開示される主題のポリヌクレオチドを改変するのに使用されうる。
【0164】
投与
本明細書で開示される主題の、腫瘍抗原ターゲティングCARと抗DOTA C825抗原結合断片とを発現する操作された免疫細胞は、新生物の進行を診断またはモニタリングするために、対象に、全身において、または直接施される。ある特定の実施形態では、操作された免疫細胞は、目的の臓器(例えば、新生物に罹患した臓器)へ、直接注入される。代替的に、または加えて、操作された免疫細胞は、例えば、循環系(例えば、腫瘍血管系)、または充実性腫瘍への投与により、目的の臓器へ間接的に施される。増殖因子および分化因子は、in vitroまたはin vivoにおけるT細胞の産生を増大させるように、細胞および組成物の投与の前に施される場合もあり、投与時に施される場合もあり、投与の後で施される場合もある。
【0165】
本明細書で開示される主題の操作された免疫細胞は、骨、または細胞が、再生および分化に適切な部位を見出しうる、他の常套的な部位(例えば、胸腺)へもまた導入されうるが、生理学的に許容されるいずれかの媒体に投与される場合もあり、全身投与、または領域内投与、通常、血管内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、または胸膜内投与される場合もある。ある特定の実施形態では、少なくとも1×105個の細胞、最終的に、1×1010、またはこれを超える個数に達する細胞が投与されうる。ある特定の実施形態では、少なくとも1×106個の細胞が投与されうる。操作された免疫細胞を含む細胞集団は、精製細胞集団を含みうる。当業者は、蛍光活性化細胞分取(FACS)など、周知の多様な方法を使用して、細胞集団内の、操作された免疫細胞の百分率をたやすく決定しうる。操作された免疫細胞を含む細胞集団内の純度の範囲は、約50%~約55%、約55%~約60%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%;約85%~約90%、約90%~約95%、または約95~約100%でありうる。用量は、当業者により、たやすく調整されうる(例えば、純度の低下は、投与量の増大を必要としうる)。操作された免疫細胞は、注射、カテーテルなどにより導入されうる。所望の場合、インターロイキン、例えば、IL-2、IL-3、IL 6、IL-11、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21のほか、他のインターロイキン、G-CSF、M-CSF、およびGM-CSFなどのコロニー刺激因子、インターフェロン、例えば、γ-インターフェロンを含むがこれらに限定されない因子もまた、組み入れられうる。
【0166】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される主題の組成物は、腫瘍抗原ターゲティングCARと、抗DOTA C825抗原結合断片とを発現する操作された免疫細胞を、薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物を含む。投与は、自家投与の場合もあり、非自家投与の場合もある。例えば、腫瘍抗原ターゲティングCARと、抗DOTA C825抗原結合断片とを発現する操作された免疫細胞、およびこれを含む組成物は、1つの対象から得られ、同じ対象、または異なる、適合性の対象に投与されうる。本明細書で開示される主題の末梢血由来T細胞、またはこれらの後代(例えば、in vivo、ex vivoまたはin vitroにおいて導出された)は、カテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を含む、局所注射を介して投与されうる。本明細書で開示される主題の医薬組成物(例えば、腫瘍抗原ターゲティングCARを発現する操作された免疫細胞を含む医薬組成物)を投与する場合、これは、単位用量注射用剤形(溶液、懸濁液、エマルジョン)に製剤化されうる。
【0167】
製剤
腫瘍抗原ターゲティングCARと抗DOTA C825抗原結合断片とを発現する操作された免疫細胞およびこれを含む組成物は、常套的に、選択されたpHに緩衝処理されうる、滅菌液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物として提供されうる。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固相組成物より調製が容易である。加えて、液体組成物は、とりわけ、注射により投与するのに、ある程度、より常套的である。他方、粘性組成物は、特異的組織との接触時間を長くするように適切な粘性範囲内で製剤化されうる。液体組成物または粘性組成物は、例えば、水、生理食塩液、リン酸緩衝生理食塩液、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒でありうる担体を含みうる。
【0168】
滅菌注射用溶液は、本明細書で開示される主題の組成物、例えば、操作された免疫細胞を含む組成物を、要求量の、適切な溶媒中に、所望に応じて、多様な量の、他の成分と共に組み込むことにより調製されうる。このような組成物は、滅菌水、生理食塩液、ブドウ糖、デキストロースなど、適切な担体、希釈剤、または賦形剤と混合されうる。組成物はまた、凍結乾燥させられる場合もある。組成物は、所望の投与経路および調製物に応じて、保湿剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化添加剤または粘性増強添加剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの補助物質を含有しうる。過度な実験を伴わずに適切な調製物を調製するのに、参照により本明細書に組み込まれる、”REMINGTON’ S PHARMACEUTICAL SCIENCE”, 17th edition, 1985などの標準的教科書が参考とされうる。
【0169】
組成物の安定性および無菌性を増強する多様な添加剤であって、抗微生物性保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む添加剤が添加されうる。微生物作用の防止は、多様な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などにより確保されうる。吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用により、注射用医薬形態の持続吸収がもたらされうる。しかし、本明細書で開示される主題に従い、使用される、いずれの媒体、希釈剤、または添加剤も、本明細書で開示される主題の操作された免疫細胞と適合性でなければならないであろう。
組成物は等張性でありうる、すなわち、組成物は血液および涙液と同じ浸透圧を有しうる。本明細書で開示される主題の組成物の所望の張性は、塩化ナトリウム、またはデキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、または他の無機溶質若しくは有機溶質など、他の薬学的に許容される薬剤を使用して達せられうる。塩化ナトリウムは、特に、ナトリウムイオンを含有する緩衝剤に適する。
【0170】
組成物の粘性は、所望の場合、薬学的に許容される増粘剤を使用して選択されたレベルで維持されうる。メチルセルロースは入手がたやすく、廉価であり、加工が容易であるために使用されうる。他の適切な増粘剤は、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどを含む。増粘剤の濃度は選択される薬剤に依存しうる。重要な点は、選択された粘性を達成する量を使用することである。適切な担体および他の添加剤の選択は、正確な投与経路、および特定の剤形、例えば、液体剤形の性格(例えば、組成物が、溶液へ製剤化されるのか、懸濁液へ製剤化されるのか、ゲルへ製剤化されるのか、徐放形態または液体充填形態など、別の液体形態へ製剤化されるのか)に依存することが明らかである。
【0171】
当業者は、組成物の成分は、化学的に不活性であるように選択され、本明細書で開示される主題において記載される、操作された免疫細胞の生存率または有効性に影響を及ぼさないことを認識するであろう。これは、化学的原則および薬学的原則による技術分野の当業者に問題を提示しないか、または問題は、標準的教科書の参照により若しくは本開示および本明細書で引用される文献を典拠とする、簡単な実験(過度な実験を伴わない)によりたやすく回避されうる。
【0172】
本明細書で開示される主題の操作された免疫細胞の使用に関する、1つの検討事項は、最適の効果を達成するのに必要な細胞の数量である。投与される細胞の数量は、対象に従い変動するであろう。ある特定の実施形態では、約102~約1012個、約103~約1011個、約104~約1010個、約105~約109個、または約106~約108個の、本明細書で開示される主題の操作された免疫細胞が、対象に投与される。有効性の大きな細胞は、さらに少数で投与される場合もある。一部の実施形態では、少なくとも約1×108個、約2×108個、約3×108個、約4×108個、約5×108個、約1×109個、約5×109個、約1×1010個、約5×1010個、約1×1011個、約5×1011個、約1×1012個、またはこれを超える個数の、本明細書で開示される主題の操作された免疫細胞がヒト対象に投与される。有効用量と考えられる用量の正確な決定は、特定の対象の体格、年齢、性別、体重、および健康状態を含む、各対象に個別の因子に基づきうる。用量は、本開示および当技術分野における知見から、当業者により、たやすく確認されうる。一般に、本操作された免疫細胞は患者に非毒性であるかまたは忍容性である用量で投与される。
【0173】
当業者は、本明細書で開示される主題の方法において投与される組成物中の、細胞、並びに、任意の添加剤、媒体、および/または担体の量をたやすく決定しうる。典型的に、任意の添加剤(活性細胞および/または薬剤に加えて)が、リン酸緩衝生理食塩液中に、溶液質量に対して、約0.001%~約50質量%の量で存在し、有効成分は、約0.0001質量%~約5質量%、約0.0001質量%~約1質量%、約0.0001質量%~約0.05質量%、約0.001質量%~約20質量%、約0.01質量%~約10質量%、または約0.05質量%~約5質量%など、マイクログラム~ミリグラムのオーダーで存在する。動物またはヒトに投与される、いずれかの組成物、およびいずれかの特定の投与法について、適切な動物モデル、例えば、マウスなどの齧歯動物における致死用量(LD)およびLD50を決定することなどにより、毒性を決定し、適切な応答を誘発する、組成物の投与量、その中の成分の濃度、および組成物を投与するタイミングを決定するものとする。当業者の知見、本開示、および本明細書で引用される文献から、このような決定に過度な実験を必要としない。かつ、逐次的投与のための時間も、過度な実験を伴わずに確認されうる。
【0174】
DOTAハプテンの組成物
DOTAは、不可逆性である安定的な金属錯体を生理学的条件下で形成する、大環状キレート剤である。DOTAは405ダルトンの分子量を有し、急速な拡散および腎クリアランスを呈する。
【0175】
DOTAハプテンの例は、ベンジル-DOTA、NH2-ベンジル(Bn)DOTA、DOTA-デスフェリオキサミン、DOTA-Phe-Lys(HSG)-D-Tyr-Lys(HSG)-NH2、Ac-Lys(HSG)D-Tyr-Lys(HSG)-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Asp-D-Lys(HSG)-D-Asp-D-Lys(HSG)-NH2;DOTA-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Ala-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(Bz-DTPA)-D-Tyr-D-Lys(Bz-DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(DOTA)-NH2、Tscg-D-Cys-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Ala-D-Lys(DOTA)-D-Cys-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、Ac-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-RGD、DOTA-PEG-E(c(RGDyK))2、DOTA-8-AOC-BBN、DOTA-PESIN、p-NO2-ベンジル-DOTA、DOTA-ビオチン-サルコシン(DOTA-ビオチン)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)(DOTA-NHS)、およびDOTATyrLysDOTAを含むがこれらに限定されない。Orcutt et al., Mol Imaging Biol. (2011) Apr; 13(2): 215-221;Cheal SM, et al. (2017) J Nucl Med, 58(11):1735-42(β放射体を伴うDOTAハプテンについて記載する);Cheal SM, et al. (2018) J Nucl Med, 59:123(α放射体)を参照されたい。DOTAおよびその変種は、常磁性金属および放射性核種を含む、広範にわたる金属をキレートする。例示的金属は、インジウム、ガリウム、ガドリニウム、ユーロピウム、テルビウム、銅、ビスマスなどを含む。
一部の実施形態では、DOTAハプテンは、式I
【0176】
【化6】
(I)
または薬学的に許容されるその塩[式中、M
1は、
175Lu
3+、
45Sc
3+、
69Ga
3+、
71Ga
3+、
89Y
3+、
113In
3+、
115In
3+、
139La
3+、
136Ce
3+、
138Ce
3+、
140Ce
3+、
142Ce
3+、
151Eu
3+、
153Eu
3+、
159Tb
3+、
154Gd
3+、
155Gd
3+、
156Gd
3+、
157Gd
3+、
158Gd
3+、または
160Gd
3+であり;X
1、X
2、X
3、およびX
4は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;X
5、X
6、およびX
7は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22である]の構造を有する。ある特定の実施形態では、nは3である。
【0177】
DOTAハプテンについての、一部の実施形態では、X1、X2、X3、およびX4のうちの少なくとも2つは、各々、独立に孤立電子対である。DOTAハプテンについての、ある特定の実施形態では、X1、X2、X3、およびX4のうちの3つは、各々、独立に孤立電子対であり、残りのX1、X2、X3、またはX4は、Hである。
【0178】
加えて、または代替的に、一部の実施形態では、本開示は、上記の式IのDOTAハプテンのうちのいずれかと、放射性核種のカチオンとを含むビスキレート剤を提示する。一部の実施形態では、式IのDOTAハプテンは、約1pM~1nM(例えば、約1~10pM;1~100pM;5~50pM;100~500pM;または500pM~1nM)のKdで、放射性核種のカチオンに結合しうる。一部の実施形態では、Kdは、約1nM~約1pM、例えば、約1nM、950pM、900pM、850pM、800pM、750pM、700pM、650pM、600pM、550pM、500pM、450pM、400pM、350pM、300pM、250pM、200pM、150pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2.5pM、2pM、または1pM以下の範囲内にある。一部の実施形態では、ビスキレート剤は、式II
【0179】
【化7】
(II)
または薬学的に許容されるその塩[式中、M
1は、
175Lu
3+、
45Sc
3+、
69Ga
3+、
71Ga
3+、
89Y
3+、
113In
3+、
115In
3+、
139La
3+、
136Ce
3+、
138Ce
3+、
140Ce
3+、
142Ce
3+、
151Eu
3+、
153Eu
3+、
159Tb
3+、
154Gd
3+、
155Gd
3+、
156Gd
3+、
157Gd
3+、
158Gd
3+、または
160Gd
3+であり;M
2は、放射性核種のカチオンであり;X
1、X
2、X
3、およびX
4は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;X
5、X
6、およびX
7は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22である]のビスキレート剤である。ある特定の実施形態では、nは、3である。ビスキレート剤についての、一部の実施形態では、X
5、X
6、およびX
7のうちの少なくとも2つは、各々、独立に、孤立電子対である。加えて、または代替的に、ビスキレート剤についての、一部の実施形態では、放射性核種のカチオンは、二価カチオンまたは三価カチオンである。
【0180】
本明細書で開示される、DOTAハプテンについての、ありとあらゆる実施形態では、M2は、111In、67Ga、51Cr、58Co、99mTc、103mRh、195mPt、119Sb、161Ho、189mOs、192Ir、201Tl、203Pb、89Zr、68Ga、または64Cuである。
【0181】
別の態様では、本開示は、操作された免疫細胞が、DOTAハプテンおよび腫瘍抗原とに結合するように構成されている、本明細書で提示される、操作された免疫細胞およびDOTAハプテンとを含む複合体を提示する。本開示はまた、ビスキレート剤(例えば、式IIのビスキレート剤)と、操作された免疫細胞とを含む複合体も提供するが、この場合、操作された免疫細胞は、DOTAハプテンと腫瘍抗原とに結合するように構成されている。本明細書で開示される複合体についての、上記の実施形態のうちのいずれかでは、操作された免疫細胞は、抗DOTA C825抗原結合断片(Cheal et al., Mol Cancer Ther. 13(7):1803-12 (2014)を参照されたい)を発現する。加えて、または代替的に、本明細書で開示される複合体についての、上記の実施形態のうちのいずれかでは、操作された免疫細胞は、G54C置換を有する抗DOTA C825抗原結合断片を発現する。
【0182】
本明細書で開示される複合体についての、上記の実施形態のうちのいずれかでは、腫瘍抗原は、5T4、アルファ5β1インテグリン、707-AP、A33、AFP、ART-4、B7H4、BAGE、Bcl-2、β-カテニン、BCMA、Bcr-abl、MN/C IX抗体、CA125、CA19-9、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CD4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CDC27/m、CD33、CD37、CD45、CD52、CD56、CD80、CD123、CDK4/m、CEA、c-Met、CS-1、CT、Cyp-B、サイクリンB1、DAGE、DAM、EBNA、EGFR、ErbB3、ELF2M、EMMPRIN、EpCam、エフリンB2、エストロゲン受容体、ETV6-AML1、FAP、フェリチン、葉酸結合性タンパク質、GAGE、G250、GD-2、GM2、GnT-V、gp75、gp100(Pmel 17)、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV E6、HPV E7、Ki-67、HSP70-2M、HST-2、hTERT(またはhTRT)、iCE、IGF-1R、IL-2R、IL-5、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、LRP、MAGE、MART、MART-1/melan-A、MART-2/Ski、MC1R、メソテリン、MUC、MUC16、MUM-1-B、myc、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NYESO-1、NY-Eso-B、p53、プロテイナーゼ-3、p190、minor bcr-abl、Pml/RARα、PRAME、プロゲステロン受容体、PSA、PSCA、PSM、PSMA、ras、RAGE、RU1またはRU2、RORI、SART-1またはSART-3、スルビビン、TEL/AML1、TGFβ、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、テネイシン、TSTA チロシナーゼ、VEGF、およびWT1からなる群から選択される。加えて、または代替的に、複合体についての、一部の実施形態では、操作された免疫細胞の、抗DOTA C825抗原結合断片は、100nM~95nM、95~90nM、90~85nM、85~80nM、80~75nM、75~70nM、70~65nM、65~60nM、60~55nM、55~50nM、50~45nM、45~40nM、40~35nM、35~30nM、30~25nM、25~20nM、20~15nM、15~10nM、10~5nM、5~1nM、1nM~950pM、950pM~900pM、900pM~850pM、850pM~800pM、800pM~750pM、750pM~700pM、700pM~650pM、650pM~600pM、600pM~550pM、550pM~500pM、500pM~450pM、450pM~400pM、400pM~350pM、350pM~300pM、300pM~250pM、250pM~200pM、200pM~150pM、150pM~100pM、100pM~50pM、50pM~40pM、40pM~30pM、30pM~20pM、20pM~10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2.5pM、2pM、1.5pM、または1pM以下であるKdで、DOTAハプテンに結合する。
【0183】
本技術の診断法
一態様では、本開示は、腫瘍の検出を必要とする対象において、腫瘍(例えば、充実性腫瘍または液性腫瘍)を検出するための方法であって、(a)対象に、有効量の本技術のいずれかの複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記複合体の操作された免疫細胞により認識される腫瘍抗原を発現する腫瘍に局在するように構成されているステップ;および(b)前記複合体により放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における腫瘍の存在を検出するステップを含む、前記方法を提示する。また、腫瘍の検出を必要とする対象において、腫瘍(例えば、充実性腫瘍または液性腫瘍)を検出するための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で記載されるいずれかの操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される腫瘍抗原を発現する腫瘍に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の、放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;および(c)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における腫瘍の存在を検出するステップを含む、前記方法も開示される。
加えて、または代替的に、本明細書で開示される方法についての一部の実施形態では、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルは、陽電子放射型断層撮影法、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法を使用して検出される。
【0184】
本明細書で開示される方法についての、一部の実施形態では、対象は、がんを有すると診断されているか、またはこれを有することが疑われている。がんの例は、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮体(corpus uterine)部がん、耳鼻咽喉科(ENT)がん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝がん、リンパ節がん、リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、精上皮腫、皮膚がん、胃がん、奇形腫、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、膣がん、血管腫、およびこれらの転移を含むがこれらに限定されない。
【0185】
本明細書で開示される方法についての、前出の実施形態のうちのいずれかでは、複合体、操作された免疫細胞、または放射性標識化DOTAハプテンは、静脈内投与、腫瘍内投与、筋内投与、動脈内投与、髄腔内投与、関節包内投与、眼窩内投与、皮内投与、腹腔内投与、経気管投与、皮下投与、脳室内投与、経口投与、または鼻腔内投与される。加えて、または代替的に、一部の実施形態では、複合体、操作された免疫細胞、または放射性標識化DOTAハプテンは、対象の脳脊髄液または血液へ投与される。
【0186】
加えて、または代替的に、一部の実施形態では、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルは、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンが投与された2~120時間後の間に検出される。ある特定の実施形態では、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルは、組織1グラム当たりの注入用量百分率(%ID/g)として表される。参照値は、非腫瘍(正常)組織内に存在する放射線のレベルを測定し、非腫瘍(正常)組織内に存在する平均放射線レベル±標準偏差を計算することにより計算されうる。一部の実施形態では、参照値は、標準取込み値(SUV)である。Thie JA, J Nucl Med. 45(9):1431-4 (2004)を参照されたい。加えて、または代替的に、一部の実施形態では、腫瘍組織の放射線のレベルと、正常組織の放射線のレベルとの比は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、または100:1である。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0187】
放射性標識化DOTAハプテンは、抗DOTA C825抗原結合性断片を発現する操作された免疫細胞の投与の、1分間~4日間の間、またはこれを超える日数後のいずれかの時点において投与されうる。例えば、一部の実施形態では、放射性標識化DOTAハプテンは、抗DOTA C825抗原結合断片を発現する操作された免疫細胞の投与の、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、48時間、72時間、96時間、またはこれらの中のいずれかの範囲の時間後に投与される。代替的に、放射性標識化DOTAハプテンは、抗DOTA C825抗原結合断片を発現する操作された免疫細胞の投与の、4日間またはこれを超える日数後のいずれかの時点において投与されうる。
【0188】
一態様では、本開示は、対象における、操作された免疫細胞の生体内分布をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で開示されるいずれかの操作された免疫細胞を投与するステップであって、操作された前記免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;および(c)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における、前記操作された免疫細胞の生体内分布を決定するステップを含む、前記方法を提示する。別の態様では、本開示は、対象における、操作された免疫細胞の生体内分布をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本技術のいずれかの操作された免疫細胞と放射性標識化DOTAハプテンとを含む複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;および(b)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における、前記操作された免疫細胞の生体内分布を決定するステップを含む、前記方法を提示する。
【0189】
さらに別の態様では、本開示は、対象における操作された免疫細胞の生存率をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で開示されるいずれかの操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された前記免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;(c)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(d)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(e)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと同等である場合に、対象における前記操作された免疫細胞が生存可能であることを決定するステップを含む、前記方法を提示する。一部の実施形態では、方法は、ステップ(d)の前に、対象に、第2の有効量の、放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップをさらに含む。本明細書ではまた、対象における操作された免疫細胞の生存率をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で記載されるいずれかの操作された免疫細胞と、前記放射性標識化DOTAハプテンとを含む複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(c)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(d)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと同等である場合に、対象における前記操作された免疫細胞が生存可能であることを決定するステップを含む、前記方法も開示される。
【0190】
さらに別の態様では、本開示は、対象における操作された免疫細胞の増殖をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、本明細書で記載されるいずれかの操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、第1の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現され、抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;(c)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(d)ステップ(c)の後で、対象に、第2の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップ;(e)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(f)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと比べて高値である場合に、対象における前記操作された免疫細胞が増殖していることを決定するステップを含む、前記方法を提示する。
【0191】
本明細書で開示される方法についての、ありとあらゆる実施形態では、複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルは、陽電子放射型断層撮影法、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法を使用して検出される。加えて、または代替的に、本明細書で開示される方法についての、前出の実施形態のうちのいずれかでは、操作された免疫細胞、放射性標識化DOTAハプテン、または複合体は、腫瘍内投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、髄腔内投与、関節包内投与、眼窩内投与、皮内投与、腹腔内投与、経気管投与、皮下投与、脳室内投与、経口投与、または鼻腔内投与される。本明細書で開示される方法についての、一部の実施形態では、操作された免疫細胞、放射性標識化DOTAハプテン、または複合体は、静脈内投与、腫瘍内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋内投与、または腫瘍内投与される。
【0192】
本明細書で開示される方法についての、ありとあらゆる実施形態では、対象は、癌腫、肉腫、黒色腫、または血液(hematopoietic)がんの中から選択される、がんまたは腫瘍を有する。一部の実施形態では、がんまたは腫瘍は、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮体(corpus uterine)部がん、耳鼻咽喉科(ENT)がん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝がん、リンパ節がん、リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、精上皮腫、皮膚がん、胃がん、奇形腫、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、膣がん、血管腫、およびこれらの転移の中から選択される。
【0193】
キット
本技術は、患者におけるがんを診断するために適する構成要素を含有するキットを提供する。
一態様では、キットは、腫瘍抗原ターゲティング受容体(例えば、CAR)と、抗DOTA C825抗原結合断片とを、単位剤形内に含む、操作された免疫細胞を含む組成物を含む。特定の実施形態では、細胞は、少なくとも1つの共刺激リガンドをさらに発現する。一部の実施形態では、キットは、滅菌容器を含み、このような容器は、ボックス、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、パウチ、バリスターパック、または当技術分野で公知である、他の適切な容器形態でありうる。このような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属フォイル、または医薬を保持するのに適する、他の材料から作られる。
【0194】
所望の場合、操作された免疫細胞は、操作された免疫細胞を、新生物(例えば、充実性腫瘍)を有するか、またはこれを発症する危険性がある対象に投与するための指示書と併せて提供されうる。ある特定の実施形態では、指示書は、以下:診断剤についての記載;新生物(例えば、充実性腫瘍)若しくはその症状の進行を診断またはモニタリングするための投与スケジュールおよび投与量;注意事項;警告;適応;禁忌;過剰用量情報;有害反応;動物薬理学;臨床研究;並びに/または参考文献のうちの少なくとも1つを含む。指示書は、容器(存在する場合)に直接印刷される場合もあり、容器に貼付されたラベルとしての指示書の場合もあり、別紙、小冊子、カード、または容器内に、若しくは容器と共に供給されるフォルダーとしての指示書の場合もある。
【0195】
別の態様では、本技術のキットは、DOTAハプテン(例えば、Bn-DOTA、NH2-ベンジル(Bn)DOTA、式IIのビスキレート剤、または本明細書で記載されるDOTAハプテンのうちのいずれかなど)、少なくとも1つの、本技術の操作された免疫細胞、および使用のための指示書を含む。キットは、111In、67Ga、51Cr、58Co、99mTc、103mRh、195mPt、119Sb、161Ho、189mOs、192Ir、201Tl、203Pb、89Zr、68Ga、または64Cuなど、1つまたは複数の放射性核種をさらに含みうる。
【0196】
一部の実施形態では、少なくとも1つの、本技術の操作された免疫細胞は、腫瘍抗原標的(例えば、BCMA、CD19、メソテリン、MUC16、PSCA、WT1、およびPRAME)に結合する。少なくとも1つの、本技術の操作された免疫細胞は、抗体の、滅菌液体製剤または滅菌凍結乾燥調製物を含有する、プレフィルドシリンジまたはペン型オートインジェクターの形態で提供されうる(例えば、Kivitz et al., Clin. Ther. 28:1619-29 (2006))。
投与経路を介して、キットの構成要素を送達することが可能なデバイスも組み入れられる場合がある。このようなデバイスの例は、シリンジ(非経口投与のための)または吸入デバイスを含む。
キットの構成要素は、一体にパッケージングされる場合もあり、2つまたはこれを超える容器に分けられる場合もある。一部の実施形態では、容器は、再構成に適する、DOTAハプテン、および/または操作された免疫細胞組成物の、滅菌、凍結乾燥製剤を含有するバイアルでありうる。キットはまた、他の試薬の再構成および/または希釈に適する、1つまたは複数の緩衝剤も含有しうる。使用されうる、他の容器は、パウチ、トレー、ボックス、チューブなどを含むがこれらに限定されない。キットの構成要素は、容器内に、無菌状態で、パッケージングされ、維持されうる。
【実施例】
【0197】
(実施例1)
材料および方法
CAR T細胞への形質導入:
図3A~3Cは、ウイルスにより、C825およびCD19-CARの両方を初代ヒトT細胞へ形質導入する、3種の異なる戦略を示す。
図3Aは2種の単一構築物の形質導入を示し、1種がC825をGFPレポーターと共にコードし(上)、もう1種がCD19 CARをコードする(下)。
図3Bは、P2A切断部位により隔てられた、膜貫通ドメイン有するC825およびGFPレポーターとCD19 CAR、とをコードする二シストロン性の構築物を示す。
図3Cは、P2A切断部位により隔てられた、Thy1由来GPI連結配列を有するC825およびHisタグレポーターとCD19 CARとをコードする、二シストロン性の構築物を示す。初代ヒトT細胞への形質導入についての代表的流れ図を右図に示す。
【0198】
(実施例2)
異種移植モデルにおける、本技術の操作されたCAR T細胞のin vivo追跡
ハプテン捕捉抗体であるC825を発現する特化した超高アフィニティー膜を、CD19 CAR-T細胞へ形質導入した。in vivoにおける使用の前に、
図2Aに示される飽和結合アッセイにより、放射性ハプテン系である[
111In]Pr-DOTAを使用して、これらの細胞を表面ベクターの発現について精製し調べた。ヒトB細胞(バーキット型)リンパ腫であるCD19発現Rajiリンパ腫を、免疫不全マウスにおけるCD19のターゲティングのためのリンパ腫性腫瘍として使用した。
図2Bは、右肩のs.c.において、Raji GFP-fluc腫瘍を施されたNSGマウスを示す。CAR-T細胞(2.5×10
6個)のi.v.注入の10日後、CAR T細胞(CD19 CAR+C825、または対照であるCD19 CARのみ)のin vivo追跡のために、マウスに放射性ハプテンである[
111In]Pr-DOTAを注入した。
図2Cに示される通り、scFvであるC825を発現するCD19 CAR T細胞で処置された動物は、Raji腫瘍を保有する異種移植片内において有効な腫瘍ターゲティングを示した。CAR-T細胞は、放射性ハプテンであるキレート剤を効率的に捕捉して、腎クリアランスを介する薬理学反応を最適化した(データは示さない)。
【0199】
図4Aは、レトロウイルスベクターである、SFG-Thor、SFG-19BBz(CAR)、およびSFG-C825の構造の概略を示す。
図4Bは、4時間にわたるin vitro細胞傷害作用アッセイにより測定される通り、SFG-Thor T細胞と、SFG-19BBz(CAR)T細胞との間では、CD19(+)Raji腫瘍細胞の殺滅の点で、差違が見られないことを示す。これらの結果は、ヒト化scFvであるC825の、CD19特異的CAR T細胞への形質導入が、CD19(+)標的腫瘍細胞をターゲティングしこれを溶解させるそれらの能力に負の影響を与えなかったことを裏付ける。
図4Cは、1時間後のin vitroにおける、[
111In]Pr([
111In]InPr)への結合を示す。この代表的データセットが、放射性標識化DOTAプローブのC825発現T細胞への特異的結合を示す一方、SFG-19BBz(CAR)T細胞およびNT T細胞では有意な取込みは観察されなかった(全ての実験は、37℃、三連で実施した)。データは、平均値±SDである。
図4Dは、[
111In]Pr([
111In]InPr)の、SFG-Thor T細胞に対するin vitroにおける結合反応速度を示す(n=3の独立アッセイ;代表例が示される)。
図4Eは、T細胞の、腫瘍細胞へのターゲティングを評価するためのin vivo研究についての、例示的スキームを示す。
68Ga-NODAGA-Pr(100mCu、700ピコモル)を放射性トレーサーとして使用し、CD19(+)Raji異種移植片を保有するNSGマウスにおける、T細胞の投与(T細胞1×10
6個)の10日後に投与した。
図4Fは、
68Ga-NODAGA-Prの注射(p.i.)の1時間後における例示的MIP(maximum intensity projection)画像であって、腫瘍における、SFG-Thor T細胞のホーミングおよび蓄積を描示する画像を示す(右肩、赤矢印)。SFG-19BBz(CAR)T細胞の投与後には、腫瘍部位における、バックグラウンドを上回る取込みは見られない(青矢印)。
図4Gは、画像ベースの生体内分布を使用して、腫瘍内取込み平均値と、腫瘍組織対正常組織比(TNR)(SFG-Thor:n=4;SFG-19BBz(CAR):n=2)とを示す。
**P<0.01である。
【0200】
図5Aは、処置の失敗が確立されたRaji腫瘍マウスモデルのs.c.における、in vivoの操作されたT細胞(細胞3×10
6個)を追跡するための例示的スキームを示す。腫瘍接種の7日後、マウスに、huC825-C19BBz T細胞3×10
6個または19BBz T細胞3×10
6個を、i.v.注入した。T細胞の投与後17日目に、腫瘍量の持続的増殖(処置の失敗を指し示す)を示すマウスに、移植されたT細胞の存続および局在について評価するために、
86Y-DOTA-Bn(3.7MBq;40ピコモル)をi.v.注射した。
図5Bは、注入の1、3、および16時間後におけるMIP(maximum intensity projection)画像および軸位断PET/CT画像は、腫瘍におけるhuC825-C19BBz-CAR T細胞の蓄積を描示することを示す(オレンジ丸)。T細胞の腫瘍内取込みの最高値4.9%ID/g(対照における0.8%ID/gと対比される)は、注入の3時間後において見られた。対照マウスでは、腫瘍における、バックグラウンドを上回る取込みは見られない(19BBz CAR;緑丸)。急速で顕著なトレーサーの腎クリアランスが見られた。
これらの結果は、本技術の操作された免疫細胞が、操作された免疫細胞の、in vivoにおける生体内分布、生存率、および増殖を決定する(determinining)ための方法において有用であることを裏付ける。
【0201】
例示的実施形態
本開示は、以下の非限定的実施形態に関して記載されうる:
実施形態1:一態様における本出願は、(a)配列番号35~39、41、若しくは42のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、抗DOTA C825抗原結合断片、および/または抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸;並びに(b)標的抗原に結合する受容体、および/または受容体をコードする核酸を含む操作された免疫細胞を提示する。
実施形態2:受容体が、T細胞受容体である、実施形態1に記載の操作された免疫細胞。
実施形態3:受容体が、天然の細胞受容体である、実施形態1または2に記載の操作された免疫細胞。
実施形態4:受容体が、非天然の細胞受容体である、実施形態1または2に記載の操作された免疫細胞。
実施形態5:受容体が、キメラ抗原受容体である、実施形態1~4のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【0202】
実施形態6:抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸が、抗DOTA C825抗原結合断片の分泌のためのリーダー配列を含む、実施形態5に記載の操作された免疫細胞。
実施形態7:抗DOTA C825抗原結合断片をコードする核酸がプロモーターに作動可能に連結されている、実施形態1~6のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態8:プロモーターが構成的プロモーターである、実施形態7に記載の操作された免疫細胞。
実施形態9:プロモーターが条件的プロモーターである、実施形態7に記載の操作された免疫細胞。
実施形態10:条件的プロモーターが、受容体の標的抗原への結合により誘導される、実施形態9に記載の操作された免疫細胞。
実施形態11:標的抗原が腫瘍抗原である、実施形態1~10のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【0203】
実施形態12:受容体をコードする核酸が構成的プロモーターに作動可能に連結されている、実施形態1~11のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態13:キメラ抗原受容体が、(i)細胞外抗原結合性ドメイン;(ii)膜貫通ドメイン;および(iii)細胞内ドメインを含む、実施形態5~12のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態14:細胞外抗原結合性ドメインが、標的抗原に結合する、実施形態13に記載の操作された免疫細胞。
実施形態15:腫瘍抗原が、5T4、アルファ5β1インテグリン、707-AP、A33、AFP、ART-4、B7H4、BAGE、Bcl-2、β-カテニン、BCMA、Bcr-abl、MN/C IX抗体、CA125、CA19-9、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CD4、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CDC27/m、CD33、CD37、CD45、CD52、CD56、CD80、CD123、CDK4/m、CEA、c-Met、CS-1、CT、Cyp-B、サイクリンB1、DAGE、DAM、EBNA、EGFR、ErbB3、ELF2M、EMMPRIN、EpCam、エフリンB2、エストロゲン受容体、ETV6-AML1、FAP、フェリチン、葉酸結合性タンパク質、GAGE、G250、GD-2、GM2、GnT-V、gp75、gp100(Pmel 17)、HAGE、HER-2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV E6、HPV E7、Ki-67、HSP70-2M、HST-2、hTERT(またはhTRT)、iCE、IGF-1R、IL-2R、IL-5、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、LRP、MAGE、MART、MART-1/melan-A、MART-2/Ski、MC1R、メソテリン、MUC、MUC16、MUM-1-B、myc、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NYESO-1、NY-Eso-B、p53、プロテイナーゼ3、p190、minor bcr-abl、Pml/RARα、PRAME、プロゲステロン受容体、PSA、PSCA、PSM、PSMA、ras、RAGE、RU1またはRU2、RORI、SART-1またはSART-3、スルビビン、TEL/AML1、TGFβ、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、テネイシン、TSTAチロシナーゼ、VEGF、およびWT1からなる群から選択される、実施形態11~14のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【0204】
実施形態16:細胞外抗原結合性ドメインが単鎖可変断片(scFv)を含む、実施形態13~15のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態17:細胞外抗原結合性ドメインがヒトscFvを含む、実施形態13~16のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態18:細胞外抗原結合性ドメインが配列番号3または配列番号4のCD19 scFvを含む、実施形態13~17のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態19:細胞外抗原結合性ドメインが配列番号3または配列番号4に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するCD19 scFvを含む、実施形態13~18のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【0205】
実施形態20:細胞外抗原結合性ドメインが、細胞外抗原結合性ドメインのN末端へ共有結合的に結合されたシグナルペプチドを含む、実施形態13~19のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態21:膜貫通ドメインがCD8膜貫通ドメインを含む、実施形態13~20のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態22:細胞内ドメインが1つまたは複数の共刺激ドメインを含む、実施形態13~21のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態23:1つまたは複数の共刺激ドメインが、CD28共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、4-1BBL共刺激ドメイン、またはこれらのいずれかの組合せから選択される、実施形態22に記載の操作された免疫細胞。
実施形態24:操作された免疫細胞がリンパ球である、実施形態1~23のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
【0206】
実施形態25:リンパ球が、T細胞、B細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞である、実施形態24に記載の操作された免疫細胞。
実施形態26:T細胞がCD4+ T細胞またはCD8+ T細胞である、実施形態25に記載の操作された免疫細胞。
実施形態27:操作された免疫細胞が腫瘍浸潤リンパ球である、実施形態1~26のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態28:操作された免疫細胞が自家ドナーまたは同種ドナーに由来する、実施形態1~27のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞。
実施形態29:キメラ抗原受容体と、配列番号35~39、41、または42のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む抗DOTA C825抗原結合断片、とを含むポリペプチド。
【0207】
実施形態30:抗DOTA C825抗原結合断片とキメラ抗原受容体との間に配置された自己切断型ペプチドをさらに含む、実施形態29に記載のポリペプチド。
実施形態31:自己切断型ペプチドがP2A自己切断型ペプチドである、実施形態30に記載のポリペプチド。
実施形態32:抗DOTA C825抗原結合断片が、抗DOTA C825抗原結合断片の分泌のためのリーダー配列を含む、実施形態29~31のいずれか1項に記載のポリペプチド。
実施形態33:キメラ抗原受容体が、(i)細胞外抗原結合性ドメイン;(ii)膜貫通ドメイン;および(iii)細胞内ドメイン、を含む、実施形態29~32のいずれか1項に記載のポリペプチド。
実施形態34:細胞外抗原結合性ドメインが腫瘍抗原に結合する、実施形態33に記載のポリペプチド。
【0208】
実施形態35:腫瘍抗原が、MUC16、メソテリン、CD19、WT1、PSCA、およびBCMAの中から選択される、実施形態34に記載のポリペプチド。
実施形態36:細胞外抗原結合性ドメインが単鎖可変断片(scFv)を含む、実施形態33~35のいずれか1項に記載のポリペプチド。
実施形態37:細胞外抗原結合性ドメインが配列番号3または配列番号4のCD19 scFvを含む、実施形態33~36のいずれか1項に記載のポリペプチド。
実施形態38:細胞外抗原結合性ドメインが、配列番号3または配列番号4に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するCD19 scFvを含む、実施形態33~37のいずれか1項に記載のポリペプチド。
実施形態39:膜貫通ドメインがCD8膜貫通ドメインを含む、実施形態33~38のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【0209】
実施形態40:細胞内ドメインが1つまたは複数の共刺激ドメインを含む、実施形態33~39のいずれか1項に記載のポリペプチド。
実施形態41:1つまたは複数の共刺激ドメインが、CD28共刺激ドメイン、CD3ζ鎖、4-1BBL共刺激ドメイン、またはこれらのいずれかの組合せから選択される、実施形態40に記載のポリペプチド。
実施形態42:実施形態29~41のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
実施形態43:ポリペプチドをコードする核酸がプロモーターに作動可能に連結されている、実施形態42に記載の核酸。
実施形態44:プロモーターが構成的プロモーターである、実施形態43に記載の核酸。
実施形態45:プロモーターが条件的プロモーターである、実施形態43に記載の核酸。
実施形態46:条件的プロモーターが、抗原へのキメラ抗原受容体の結合により誘導可能である、実施形態45に記載の核酸。
実施形態47:実施形態42~46のいずれか1項に記載の核酸を含むベクター。
実施形態48:ウイルスベクターまたはプラスミドである、実施形態47に記載のベクター。
実施形態49:レトロウイルスベクターである、実施形態47に記載のベクター。
【0210】
実施形態50:実施形態42~46のいずれか1項に記載の核酸、または実施形態47~49のいずれか1項に記載のベクターを含む宿主細胞。
実施形態51:操作された免疫細胞が、DOTAハプテンおよび腫瘍抗原に結合するように構成されている、実施形態1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞と、DOTAハプテンとを含む複合体。
【0211】
実施形態52:DOTAハプテンが、ベンジル-DOTA、NH2-ベンジル(Bn)DOTA、DOTA-デスフェリオキサミン、DOTA-Phe-Lys(HSG)-D-Tyr-Lys(HSG)-NH2、Ac-Lys(HSG)D-Tyr-Lys(HSG)-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Asp-D-Lys(HSG)-D-Asp-D-Lys(HSG)-NH2;DOTA-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Ala-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Phe-D-Lys(Bz-DTPA)-D-Tyr-D-Lys(Bz-DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Phe-D-Lys(HSG)-D-Tyr-D-Lys(HSG)-D-Lys(DOTA)-NH2、Tscg-D-Cys-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、(Tscg-Cys)-D-Glu-D-Lys(HSG)-D-Glu-D-Lys(HSG)-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Ala-D-Lys(DOTA)-D-Cys-NH2、Ac-D-Cys-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-NH2、Ac-D-Lys(DTPA)-D-Tyr-D-Lys(DTPA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、Ac-D-Lys(DOTA)-D-Tyr-D-Lys(DOTA)-D-Lys(Tscg-Cys)-NH2、DOTA-RGD、DOTA-PEG-E(c(RGDyK))2、DOTA-8-AOC-BBN、DOTA-PESIN、p-NO2-ベンジル-DOTA、DOTA-ビオチン-サルコシン(DOTA-ビオチン)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)(DOTA-NHS)、またはDOTATyrLysDOTAである、実施形態51に記載の複合体。
実施形態53:DOTAハプテンが、式II
【0212】
【化8】
(II)
または薬学的に許容されるその塩[式中、M
1は、
175Lu
3+、
45Sc
3+、
69Ga
3+、
71Ga
3+、
89Y
3+、
113In
3+、
115In
3+、
139La
3+、
136Ce
3+、
138Ce
3+、
140Ce
3+、
142Ce
3+、
151Eu
3+、
153Eu
3+、
159Tb
3+、
154Gd
3+、
155Gd
3+、
156Gd
3+、
157Gd
3+、
158Gd
3+、または
160Gd
3+であり;M
2は、放射性核種のカチオンであり;X
1、X
2、X
3、およびX
4は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;X
5、X
6、およびX
7は、各々、独立に、孤立電子対(すなわち、酸素アニオンをもたらす)またはHであり;nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22である]の構造を有する、実施形態51に記載の複合体。
実施形態54:M
2が、
111In、
67Ga、
51Cr、
58Co、
99mTc、
103mRh、
195mPt、
119Sb、
161Ho、
189mOs、
192Ir、
201Tl、
203Pb、
89Zr、
68Ga、または
64Cuである、実施形態51~53のいずれか1項に記載の複合体。
【0213】
実施形態55:腫瘍の検出を必要とする対象における腫瘍を検出するための方法であって、(a)対象に、有効量の、実施形態54に記載の複合体を投与するステップであって、前記複合体が、複合体の操作された免疫細胞により認識される腫瘍抗原を発現する腫瘍に局在するように構成されているステップ;および(b)複合体により放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における腫瘍の存在を検出するステップを含む、前記方法。
【0214】
実施形態56:腫瘍の検出を必要とする対象における腫瘍を検出するための方法であって、(a)対象に、有効量の、実施形態11~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞を投与するステップであって、操作された前記免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される腫瘍抗原を発現する腫瘍に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の、放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;および(c)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における腫瘍の存在を検出するステップを含む、前記方法。
実施形態57:複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、陽電子放射型断層撮影法または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法を使用して検出される、実施形態55または56に記載の方法。
【0215】
実施形態58:複合体または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、複合体または放射性標識化DOTAハプテンが投与された4~24時間後の間に検出される、実施形態55~57のいずれか1項に記載の方法。
実施形態59:複合体または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、組織1グラム当たりの注入用量百分率(%ID/g)として表される、実施形態55~58のいずれか1項に記載の方法。
実施形態60:腫瘍組織の放射線のレベルと、正常組織の放射線のレベルとの比が、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、または100:1である、実施形態55~59のいずれか1項に記載の方法。
【0216】
実施形態61:対象が、がんを有すると診断されているか、またはこれを有することが疑われている、実施形態55~60のいずれか1項に記載の方法。
実施形態62:がんが、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮体(corpus uterine)部がん、耳鼻咽喉科(ENT)がん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝がん、リンパ節がん、リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、精上皮腫、皮膚がん、胃がん、奇形腫、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、膣がん、血管腫、およびこれらの転移からなる群から選択される、実施形態61に記載の方法。
実施形態63:複合体、操作された免疫細胞、または放射性標識化DOTAハプテンが、静脈内投与、腫瘍内投与、筋内投与、動脈内投与、髄腔内投与、関節包内投与、眼窩内投与、皮内投与、腹腔内投与、経気管投与、皮下投与、脳室内投与、経口投与、または鼻腔内投与される、実施形態55~62のいずれか1項に記載の方法。
実施形態64:複合体、操作された免疫細胞、または放射性標識化DOTAハプテンが、対象の脳脊髄液または血液に投与される、実施形態55~63のいずれか1項に記載の方法。
【0217】
実施形態65:対象における、操作された免疫細胞の生体内分布をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、実施形態1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された前記免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;および(c)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における操作された免疫細胞の生体内分布を決定するステップを含む、前記方法。
実施形態66:対象における、操作された免疫細胞の生体内分布をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、実施形態1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞と、放射性標識化DOTAハプテンとを含む複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;および(b)前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出することにより、対象における操作された免疫細胞の生体内分布を決定するステップを含む、前記方法。
【0218】
実施形態67:対象における操作された免疫細胞の生存率をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、実施形態1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;(c)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(d)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(e)第2の時点における前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと同等である場合に、対象における操作された免疫細胞が生存可能であることを決定するステップを含む、前記方法。
【0219】
実施形態68:ステップ(d)の前に、対象に、第2の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップをさらに含む、実施形態67に記載の方法。
実施形態69:対象における操作された免疫細胞の生存率をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、実施形態1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞と、放射性標識化DOTAハプテンとを含む複合体を投与するステップであって、前記複合体が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(c)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(d)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと同等である場合に、対象における操作された免疫細胞が生存可能であることを決定するステップを含む、前記方法。
【0220】
実施形態70:対象における操作された免疫細胞の増殖をモニタリングするための方法であって、(a)対象に、有効量の、実施形態1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞を投与するステップであって、前記操作された前記免疫細胞が、前記操作された免疫細胞により認識される標的抗原を発現する組織に局在するように構成されているステップ;(b)対象に、第1の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップであって、前記放射性標識化DOTAハプテンが、前記操作された免疫細胞により発現される抗DOTA C825抗原結合断片に結合するように構成されているステップ;(c)第1の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;(d)ステップ(c)の後で、対象に、第2の有効量の放射性標識化DOTAハプテンを投与するステップ;(e)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線の、参照値より高値であるレベルを検出するステップ;および(f)第2の時点における、前記放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、第1の時点において観察されるレベルと比べて高値である場合に、対象における操作された免疫細胞が増殖していることを決定するステップを含む、前記方法。
【0221】
実施形態71:複合体、または放射性標識化DOTAハプテンにより放射される放射線のレベルが、陽電子放射型断層撮影法、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法を使用して検出される、実施形態65~70のいずれか1項に記載の方法。
実施形態72:操作された免疫細胞、放射性標識化DOTAハプテン、または複合体が、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋内投与、または腫瘍内投与される、実施形態65~71のいずれか1項に記載の方法。
実施形態73:がんが、癌腫、肉腫、黒色腫、または血液(hematopoietic)がんである、実施形態65~72のいずれか1項に記載の方法。
実施形態74:がんが、副腎がん、膀胱がん、血液がん、骨がん、脳がん、乳がん、癌腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮体(corpus uterine)部がん、耳鼻咽喉科(ENT)がん、子宮内膜がん、食道がん、消化器がん、頭頸部がん、ホジキン病、腸がん、腎がん、喉頭がん、白血病、肝がん、リンパ節がん、リンパ腫、肺がん、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫、精上皮腫、皮膚がん、胃がん、奇形腫、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、膣がん、血管腫、およびこれらの転移の中から選択される、実施形態65~73のいずれか1項に記載の方法。
実施形態75:実施形態1~28のいずれか1項に記載の操作された免疫細胞と、がんの進行を診断またはモニタリングするための指示書とを含むキット。
【0222】
均等物
本技術は、本技術の、個々の態様についての、単一の例示として意図される、本出願において記載される、特定の実施形態の観点に限定されないものとする。当業者には明らかであるように、その精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、本技術の多くの改変および変動がなされうる。当業者には、前出の記載から、本明細書に列挙された方法および装置に加えて、本技術の範囲内にある機能的に均等な方法および装置が明らかであろう。このような改変および変動は、本技術の範囲内に収まることが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生体系に限定されず、これらは、当然ながら、変動しうることが理解されるものとする。また、本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態のみについて記載することを目的とし、限定的であることが意図されないことも理解されるものとする。
【0223】
加えて、本開示の特色または態様がマーカッシュ群との関係で記載される場合、当業者は、これにより、本開示はまた、マーカッシュ群のいずれかの個別のメンバー、またはメンバーの亜群との関係でも記載されることを認識するであろう。
【0224】
当業者により理解される通り、あらゆる目的について、特に、書面による記載に関して、本明細書で開示される全ての範囲はまた、あらゆる可能な部分範囲、並びにこれらの部分範囲の組合せも包含する。列挙される、あらゆる範囲は、同じ範囲について十分に記載し、これらが、少なくとも同等の2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などへ分割されることを可能とするものとして、容易に認識されうる。非限定例として述べると、本明細書で論じられる各範囲は、下位の3分の1、中間の3分の1、および上位の3分の1などへたやすく分割されうる。これもまた、当業者により理解される通り、「~以下」、「少なくとも」、「~を超える」、「~未満」などの、全ての表現は、列挙される数を含み、その後、上記で論じられた部分範囲に分割されうる範囲を指す。最後に、当業者により理解される通り、範囲は、各個別のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の細胞を有する群とは、1、2、または3個の細胞を有する群を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群とは、1、2、3、4、または5個の細胞を有する群を指すなどである。
【0225】
本明細書で参照または引用される、全ての特許、特許出願、特許仮出願、および特許公開は、それらが、本明細書の明示的な教示と矛盾しない範囲で、参照により、全ての図および表を含む、それらの全体において組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】