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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】テンションマウントの改善
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20230719BHJP
   E04B 9/00 20060101ALN20230719BHJP
【FI】
E04B9/18 G
E04B9/18 H
E04B9/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580790
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 AU2021000042
(87)【国際公開番号】W WO2022000016
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2020902257
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517298806
【氏名又は名称】エアー ディフュージョン エイジェンシーズ プロプリエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スレッドゴールド、ウィリアム・トレバー
(57)【要約】
本開示は、加熱、換気、及び空調(HVAC)システムの構成要素を含むがこれらに限定されないエンジニアリングサービスのための張力または吊り下げマウントに関する。一態様では、テンションマウントは、少なくとも、ベース部と、ベース部から吊り下げによって垂下するマウント部と、を有し、ベース部及びマウント部のそれぞれは、実質的に剛性かつ不燃性の構造支持要素を有し、これらの実質的に剛性かつ不燃性の構造的支持要素の少なくとも1つは、ベース部とマウント部とが互いに接触する場所またはその位置の近くの領域で、緩衝材によって少なくとも部分的に覆われ、使用中に緩衝材が焼失した場合であっても、ベース部によってマウント部が落下しない。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンションマウントアセンブリであって、
ベース部と、前記ベース部から吊り下げによって垂下するマウント部と、を有し、
前記ベース部及び前記マウント部のそれぞれは、剛性かつ不燃性の構造的支持要素を有し、
前記剛性かつ不燃性の構造的支持要素の少なくとも1つは、前記ベース部と前記マウント部とが互いに接触する位置または前記位置の近くの領域で、緩衝材によって少なくとも部分的に覆われ、
使用中に前記緩衝材が焼失した場合であっても、前記ベース部によって前記マウント部が落下しない、テンションマウントアセンブリ。
【請求項2】
前記ベース部は、上面及び下面を備えた本体を有し、
前記上面は、その内部に形成された丸い形状のソケットを有し、
前記本体は、前記本体の前記上面と前記下面との間に延びる前記ソケット内の貫通孔を有し、
前記マウント部は、膨らんだ形状を有する端部と、前記端部から延びるステムと、を有し、
前記マウント部の前記膨らんだ形状を有する前記端部は、前記ベース部の前記ソケット内に収まり、前記ステムは前記ソケットの前記貫通孔を通って延び、
前記貫通孔は、前記ステムの周囲にクリアランスを提供するが、前記膨らんだ形状が通過するには小さすぎるようにサイズ設定されている、請求項1に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項3】
前記マウント部の前記端部の前記膨らんだ形状は、球の少なくとも一部の形状を含む、請求項2に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項4】
前記ベース部は、前記本体の前記上面と前記下面との間を貫通して延びる一対のボルト穴をさらに有し、前記ソケットの両側に1つのボルト穴が設けられている、請求項2または3に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項5】
前記マウント部は、前記ステムを含む剛体部と、前記ソケットの前記貫通孔を通過することができない大きさの拡大端部とを有し、前記拡大端部は、前記マウント部の前記端部の前記膨らんだ形状を提供するように成形された前記緩衝材に封入されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項6】
前記マウント部の前記剛体部が不燃性材料から形成される、請求項5に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項7】
一対のボルトと、前記ボルトのそれぞれのためのナットと、をさらに有し、
前記ボルトの軸部は、前記ベース部の本体の下面からボルト穴を通って延び、
前記ボルトのそれぞれは、前記ベース部の前記本体の上面に配置された前記ナットの1つによって固定される、請求項1~6のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項8】
前記ボルトのそれぞれの前記軸部の上方、かつ前記ボルトの頭部と前記ベース部の荷重支持体との間に配置された圧縮ばねをさらに有する、請求項7に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項9】
前記ナットのそれぞれが、不燃性材料の直線的な平面形状の本体を有し、
前記本体は、一対の端縁、一対の長い側縁、前記上面、前記下面、前記下面に設けられたボス、及び、前記上面と前記下面との間に延び、かつ前記ボルトのうちの1つの前記軸部を受容するために前記ボスを通って延びるねじ切りされた貫通穴を有する、請求項7または8に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項10】
前記ナットのそれぞれは、前記本体の前記下面の短い方の側縁に沿って延在する階段状の凹部を有する、請求項9に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項11】
前記ナットのそれぞれのためにナットカバーが設けられている、請求項7~10のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項12】
前記ナットカバーのそれぞれは、前記ナットの頂部の上方で入れ子になって前記ナットを保持するように適合された可塑性材料の本体を有する、請求項11に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項13】
ナットカバーの下面は、前記ナットをその中に受容するような大きさ及び形状を有する凹部を有し、
前記凹部の長い方の側縁のそれぞれは保持縁部を有し、
前記保持縁部は、使用時には、前記ナットの下面の長い方の側縁に沿って設けられた受容溝にスナップ嵌めで受容される、請求項9~12のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項14】
ナットカバーの前記上面の長い側縁のそれぞれは、そこから上向きに延びる一対の上向きかつ外向きに延びる片持ちスナップの1つを備える、請求項9~13のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項15】
前記マウント部のステムは、エンドプレートに対して遠位であるステム端から内側に延びるブラインドホールを備え、前記ブラインドホールの内側には圧縮ばねが保持され、前記圧縮ばねに負荷がかかっていないときに前記ステムの検査開口部を通して見えるインジケータキャップが垂下している、請求項5~14のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリと、前記テンションマウントアセンブリがスライドするように適合されたレールと、を有するテンションマウントアセンブリシステム。
【請求項17】
前記レールが、スロットを含むチャネルを有し、前記チャネル及び前記スロットの両方が、前記レールの伸長方向に延在している請求項16に記載のテンションマウントアセンブリシステム。
【請求項18】
前記レールが、基部と、一対の対向する側面と、前記対向する側面のそれぞれから垂下する内向きの縁部と、を含む、請求項16または17に記載のテンションマウントアセンブリシステム。
【請求項19】
前記テンションマウントアセンブリのナットのそれぞれは、前記レールのスロットにスライド可能に係合するように適合され、前記テンションマウントアセンブリは前記レールによって保持されるが前記レールに沿ってスライド可能である、請求項16~18のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリシステム。
【請求項20】
ナット本体の端縁は、前記レールの縁部の間に画定されたスロットの幅よりも短く、
前記長い方の側縁は前記レールの前記縁部の間に画定された前記スロットの幅よりも長いことにより、ナットの伸長方向が前記スロットの伸長方向と整列する場合、前記ナットは前記スロットを通過することができ、前記伸長方向が前記スロットの前記伸長方向に対して横向きである場合、前記ナットは前記レールの前記縁部に係合する、請求項16~19のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリシステム。
【請求項21】
片持ちスナップは、設置中に前記テンションマウントアセンブリを前記片持ちスナップを介して前記レールから一時的に吊り下げるために、ナットアセンブリを前記レールの縁部と係合させるように適合されている、請求項16~20のいずれか1項に記載のテンションマウントアセンブリシステム。
【請求項22】
テンションマウントアセンブリシステムであって、
レールと、
前記レールから吊り下げによって垂下するテンションマウントアセンブリと、を有し、
前記テンションマウントアセンブリは、ベース部と、前記ベース部から吊り下げによって垂下するマウント部と、を有し、
前記ベース部及び前記マウント部のそれぞれは、剛性かつ不燃性の構造的支持要素を有し、
前記剛性かつ不燃性の構造的支持要素の少なくとも1つは、前記ベース部と前記マウント部とが互いに接触する位置または前記位置の近くの領域で、緩衝材によって少なくとも部分的に覆われ、
使用時に前記緩衝材が焼失した場合であっても、前記ベース部によって前記マウント部が落下しない、テンションマウントアセンブリシステム。
【請求項23】
前記ベース部は、上面及び下面を備えた本体を有し、
前記上面は、その内部に形成された少なくとも半球形状のソケットを有し、
前記本体は、前記本体の前記上面と前記下面との間に延びる前記ソケット内の貫通孔を有し、
前記マウント部は、膨らんだ形状を有する端部と、前記端部から延びるステムと、を有し、
前記マウント部の前記膨らんだ形状を有する前記端部は、前記ベース部の前記ソケットに内に収まり、前記ステムは前記ソケットの前記貫通孔を通って延び、
前記貫通孔は、前記ステムの周囲にクリアランスを提供するようにサイズ設定されている、請求項22に記載のテンションマウントアセンブリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権書類)
本出願は、2020年7月2日に出願された「TENSION MOUNT IMPROVEMENTS」という名称のオーストラリア特許仮出願第2020902257号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、エンジニアリングサービス用のテンションマウントすなわち吊り下げマウントに関する。特定の形態では、本開示は、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムの構成要素のためのマウントアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
建物内の空気処理スペースは、構造上の天井と吊り天井との間のスペースに存在する。空気処理スペースは、暖房/空調または還気流の経路及び制御、並びに、電気及びデータのケーブル配線及び照明装置を提供するシステムなどの、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムの構成要素を収容するために役立つ。
【0004】
したがって、この機器を、構造上の天井から垂下する適切なテンションマウントまたは吊り下げマウントから吊るす必要がある。
【0005】
微震や地震などの地震活動が発生した場合には、これらのテンションマウントが故障せず、下方にいる人々の上にこの機器を落下させないことが重要である。
【0006】
これらのマウントに対して耐震性を設計するための手段の1つは、剛性を有する構成要素間に緩衝材または弾性材料を使用することにより、地震イベントに関連する衝撃荷重及び振動の吸収を助けることである。
【0007】
これらの緩衝材または弾性材料の短所は、それらが一般的に可燃性である点である。すなわち、緩衝材や弾性材料は焼失する可能性があり、テンションマウントまたは吊り下げマウントの故障、及び、そこから吊るされた機器の落下をもたらす可能性がある。
【0008】
本発明は、この背景及びそれに関連する問題及び困難に対して開発された。
【0009】
本開示の特定の目的及び利点は、本発明の態様が例示される添付の図面に関連して解釈される以下の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、テンションマウントアセンブリであって、少なくともベース部と、ベース部から吊り下げによって垂下するマウント部と、を有し、ベース部及びマウント部のそれぞれは、剛性かつ不燃性の構造的支持要素を有し、剛性かつ不燃性の構造的支持要素の少なくとも1つは、ベース部とマウント部とが互いに接触する位置または位置の近くの領域で、緩衝材によって少なくとも部分的に覆われ、使用中に緩衝材が焼失した場合であっても、ベース部によってマウント部が落下しない、テンションマウントアセンブリ、が提供される。
【0011】
一形態では、実質的に剛性かつ不燃性の構造的支持要素のそれぞれは、ベース部とマウント部とが互いに接触する位置またはその位置の近くの領域で、緩衝材で少なくとも部分的に覆われている。
【0012】
ベース部は、上面及び下面を備えた本体を有し、上面は、その内部に形成された丸い形状のソケットを有し、本体は、本体の上面と下面との間に延びるソケット内の貫通孔を有し、マウント部は、膨らんだ形状を有する端部と、端部から延びるステムと、を有し、マウント部の端部は、ベース部のソケット内に収まり、ステムはソケットの貫通孔を通って延び、貫通孔は、ステムの周囲にクリアランスを提供するが、膨らんだ形状が通過するには小さすぎるようにサイズ設定されている。
【0013】
一形態では、マウント部の端部の膨らんだ形状は、球の少なくとも一部の形状を含む。
【0014】
別の一形態では、膨らんだ形状は球状ではなく、略丸い形状である。その場合、一形態では、膨らんだ形状は楕円形であり得る。一形態では、膨らんだ形状は非対称であってもよい。
【0015】
一形態では、ソケットは半球形状を含む。
【0016】
一形態では、ベース部は、本体部の上面と下面との間を貫通して延びる一対のボルト穴をさらに有し、ソケットの両側に1つのボルト孔が設けられている。
【0017】
一形態では、マウント部分は、ステムを含む剛体部と、ソケットの貫通孔を通過することができない大きさの拡大端部とを有し、拡大端部は、マウント部の端部の膨らんだ形状を提供するように成形された緩衝材に封入されている。
【0018】
一形態では、マウント部分の剛体部が不燃性材料から形成される。
【0019】
一形態では、マウントアセンブリは、一対のボルトと、ボルトのそれぞれのためのナットと、をさらに有し、ボルトの軸部は、ベース部の本体の下面からボルト穴を通って(シャンクファーストで)延び、ボルトのそれぞれは、ベース部の本体の上面に配置されたナットによって固定される。
【0020】
一形態では、ベース部は、緩衝材に封入された荷重支持体を有し、これらは協働してソケット及び貫通孔を提供するような形状である。
【0021】
一形態では、ベース部の荷重支持体は、不燃性材料から形成される。
【0022】
一形態では、マウントアセンブリは、ボルトのそれぞれの軸部の上方、かつ、各ボルトの頭部とベース部の荷重支持体との間に配置された圧縮ばねをさらに有する。
【0023】
緩衝材は、少なくともいくつかの緩衝特性を有する。一形態では、緩衝材は少なくともいくらかの弾性を有する。一形態では、緩衝材は少なくともいくらかの弾性特性を有する。
【0024】
さらなる態様によれば、少なくともベース部と、マウント部と、を有し、ベース部は、緩衝材に封入された不燃性材料の荷重支持体を含む本体部を有し、これらは協働して本体部の上面と下面との間に延びる貫通孔を形成し、マウント部は、ベース部の貫通孔を通過することができない大きさの拡大端部を有する不燃性材料の剛体部を有し、ステムは、上面からその周囲にクリアランスをもって貫通孔を通過し、マウント部の少なくとも拡大端部は緩衝材に封入されている、マウントアセンブリが提供される。
【0025】
一形態では、マウント部の拡大端部は、膨らんだ形状と、端部から延びるステムと、を有する。
【0026】
一形態では、ベース部の本体は上面及び下面を有し、上面は、その内部に形成された少なくとも半球形状のソケットを有する。
【0027】
さらなる態様によれば、上記のマウントアセンブリと、マウントアセンブリの基部がスライドするように適合されたレールと、を有するマウントアセンブリシステムが提供される。
【0028】
一形態では、レールが、スロットを含むチャネルを有する。一形態では、チャネル及びスロットの両方が、レールの伸長方向に延在している。
【0029】
一形態では、レールが、基部と、一対の対向する側面と、対向する側面のそれぞれから垂下する内向きの縁部と、を含む。
【0030】
一形態では、レールは、金属製のチャネルを含む。
【0031】
一形態では、マウントアセンブリのナットのそれぞれは、レールのスロットにスライド可能に係合するように適合され、マウントアセンブリはレールによって保持されるがレールに沿ってスライド可能である。
【0032】
一形態では、ナットのそれぞれが、不燃性材料の直線的な平面形状の本体を有し、本体は、一対の端縁、一対の長い側縁、上面、下面、下面に設けられたボス、及び、上面と下面との間に延び、かつボルトのうちの1つの軸部を受容するためにボスを通って延びるねじ切りされた貫通穴を有する。
【0033】
一形態では、ナットのそれぞれは、ナットの本体の下面の短い方の側縁に沿って延在する階段状の凹部を有する。
【0034】
一形態では、ナット本体の端縁は、レールの縁部の間に画定されたスロットの幅よりも短く、長い方の側縁は、レールの縁部の間に画定されたスロットの幅よりも長い。
【0035】
一形態では、ナットのそれぞれのためにナットカバーが設けられている。
【0036】
一形態では、ナットカバーのそれぞれは、ナットの頂部の上方で入れ子になってナットを保持するように適合された可塑性材料の本体を有する。
【0037】
一形態では、ナットカバーの下面は、ナットをその中に受容するような大きさ及び形状を有する凹部を有し、凹部の長い方の側縁のそれぞれは保持縁部を有し、保持縁部は、使用時には、ナットの下面の長い方の側縁に沿って設けられた受容溝にスナップ嵌めで受容される。
【0038】
一形態では、別の形態では、ナットカバーは、ナットにオーバーモールドされている。
【0039】
一形態では、ナットカバーの上面の長い側縁のそれぞれは、そこから上向きに延びる一対の上向きかつ外向きに延びる片持ちスナップの1つを備える。
【0040】
一形態では、片持ちスナップは、設置中にマウントアセンブリを片持ちスナップを介してレールから一時的に吊り下げるために、ナットアセンブリをレールの縁部と係合させることができる。
【0041】
一形態では、マウント部のステムは、エンドプレートに対して遠位であるステム端から内側に延びるブラインドホールを備え、ブラインドホールの内側には圧縮ばねが保持され、圧縮ばねに負荷がかかっていないときにステムの検査開口部を通して見えるインジケータキャップが垂下している。
【0042】
説明を簡単にするために、本発明を体現するマウント及びマウントアセンブリは、添付の図面に示されるような通常の組み立て位置で以下に説明され、前、後、上、下、水平、縦などの用語は、この通常の位置を参照して使用される。ただし、マウント及びマウントアセンブリは、本明細書で説明及び図示されていない向きで製造、輸送、販売、または使用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本開示の形態は、添付の図面を参照して議論される。
【0044】
図1】レール及びテンションマウントアセンブリを有するテンションマウントアセンブリシステムの等角図であり、マウントアセンブリは下面から見られている。
図2】上面から見た、図1のマウントアセンブリシステムの等角図。
図3】下面から見た、図1のマウントアセンブリシステムの等角図。
図4図1のマウントアセンブリシステムの側面図。
図5】(A)図1のマウントアセンブリシステムの端面図、(B)(A)から取った詳細図。
図6】マウントアセンブリの分解図。
図7】マウントアセンブリの分解図。
図8】マウントアセンブリの側面図。
図9】マウントアセンブリの底面図。
図10図8のB-Bにおける断面図。
図11】上面から見たマウントアセンブリのベース部の等角図。
図12】下面から見たマウントアセンブリのベース部の等角図。
図13A】マウントアセンブリを縦方向に切断した断面図。
図13B図13Aのソケットよりも深いソケットを備えたマウントアセンブリを縦方向に切断した断面図。
図14】マウントアセンブリのベース部から見た荷重支持体の等角図。
図15】マウントアセンブリのマウント部の等角図である。
図16】マウントアセンブリのマウント部の断面図。
図17】マウント部の剛性部分の等角図。
図18】マウント部の剛性部分の等角図。
図19】挿入位置におけるナットアセンブリを示す図。
図20】係合している、すなわち「使用」位置におけるナットアセンブリを示す図。
図21】上面から見たナットアセンブリの等角図。
図22】下面から見たナットアセンブリの等角図。
図23】ナットアセンブリの分解図。
図24】挿入位置におけるナットアセンブリを示すマウントアセンブリの断面図。
図25A】(A)挿入位置におけるナットアセンブリを示すマウントアセンブリの端面図、(B)レールに対して挿入位置におけるナットアセンブリの詳細な端面図。
図25B】レールに対して挿入位置におけるナットアセンブリの詳細な等角図。
図26】地震イベントの場合のマウント部のステムの移動範囲を示すマウントアセンブリシステムの側面図。
図27】使用位置におけるナットアセンブリを示すマウントアセンブリシステムの断面図。
図28】火災イベント後に見られるマウントアセンブリシステムの端面図。
図29】火災イベント後に見られるマウントアセンブリシステムの側面図。
図30】さらなる形態によるマウント本体の等角図。
図31】さらなる形態によるマウント本体の等角図。
図32図30及び図31の剛性部分を含むマウント部の等角図。
【0045】
以下の説明において、同一の参照符号は、図面全体にわたって同一または対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここで図1を参照すると、マウントアセンブリ10と、構造上の天井に対して固定するためのレール100(長さ方向における一部のみが図示されている)とを有するマウントアセンブリシステム1が示されている。マウントアセンブリ10はレール100から(吊り下げによって)垂下し、マウントアセンブリ10のベース部20はレール100にスライドするように適合され、これにより、マウントアセンブリ10は必要に応じてレール100に沿って位置決めされ得る。
【0047】
図2及び3を参照すると、レール100は、スロット124を含むチャネル122を有し、その長さ全体にわたって実質的に一定の断面形状を有していることがわかる。この断面形状は、基部126と、一対の対向する側面128と、対向する側面128のそれぞれから垂下し内向きかつ下向きに曲がった縁部130と、を含む。
【0048】
マウントアセンブリ10は、少なくともベース部20と、マウント部30と、を有する(図6及び7を参照)。荷物用のマウントロッド102は、マウント部30から直接、または、別のサイズのマウントロッド用のアダプタ104を介して垂下する。
【0049】
ベース部20は、上面及び下面を備えたベース本体22を有し、上面には、球状(より具体的には、本実施例では半球状)のソケット24が形成されている。ベース本体22は、ベース本体22の上面と下面との間に延びるソケット24内の貫通孔26をさらに有する。ベース本体22は、レール100に対するベース本体22の回転に抵抗し、マウントアセンブリ10の安定性を高めるために、使用時にレール100の両側に延びる一対のサイドスカート27をさらに有する。
【0050】
ベース部20はさらに、ベース本体22を形成する緩衝材(本実施例では、ポリアミド)に封入された荷重支持体40を有し、これらは協働してベース本体22の上面と下面との間に延びる貫通孔26を形成する。
【0051】
ベース部20の荷重支持体40は、剛性かつ不燃性の金属ブラケットを有し、荷重支持体40は、U字形の中央部42と、中央部の両側に延びる一対のサイドタブ44と、を含む。U字形の中央部42はソケット24の下方に延び、サイドタブ44はソケット24の両側に延びる。
【0052】
マウント部30は、膨らんだ形状(より具体的には、本実施形態では半球形状)を有する端部32と、端部32から延びるステム36と、を有する。
【0053】
マウント部30は、本実施形態では、剛性かつ不燃性の金属性のマウント本体34をさらに有し、剛性のマウント本体34は、半径フィレットを介して拡大端部(本実施形態ではエンドプレート38)に移行するステム36を有する。ステム36のサイズは、ベース部20の貫通孔26を通過することができない大きさである。エンドプレート38及びステム36の一部は、緩衝材(本実施形態では、ゴム)に封入され、この緩衝材が球状の端部32を形成する。
【0054】
端部またはエンドプレート38は、端部32に対する剛体(マウント本体34)の回転に対して抵抗を提供するために、直線的な平面形状を有する。
【0055】
ここで図30-32を参照すると、別の実施形態によるマウント部30のための剛体(マウント本体34a)が示されている。この実施形態では、エンドプレート38aは円形であり(直線的なエンドプレート38とは異なる)、それを貫通する複数の開口部41を有する(ただし、開口部41は1つであってもよい)。使用中、球状の端部32を形成する緩衝材は、端部32に対す剛体(マウント本体34a)の回転に対して抵抗を提供するために、貫通した開口部41を有して成形される。
【0056】
使用中、マウント部30の球状の端部32はベース部20のソケット24内に収まり、ステム36はソケット24の貫通孔26を通って延び、貫通孔26はソケット24の周囲にクリアランスを提供するようなサイズになっている。好都合なことに、このボール・イン・ソケット構成は、(図26に示すように)マウントアセンブリ10のマウント部30とベース部20との間のかなりの範囲の相対的な回動を可能にする。この相対的な回動は、マウントアセンブリシステム1が固定部品のように壊れることなく、地震によって変位し、地震に耐えることを助ける。
【0057】
さらに、構造的要素にオーバーモールドされた緩衝材を使用してベース部20及びマウント部30のそれぞれを形成することにより、マウントアセンブリ10は、衝撃及び振動の吸収を助け、地震発生中の性能をさらに助ける。
【0058】
図28及び図29を参照すると、火災の場合、これらの緩衝材が燃え尽きる可能性があるが、燃え尽きたとしても、不燃性のマウント部30のエンドプレート38はベース部の不燃性の荷重支持体40によって保持される。エンドプレート38は、大きすぎて貫通孔26を通過することができないため、マウント部30から吊り下げられた荷物がマウントアセンブリシステム1によって落下することを防止する。
【0059】
ベース部20はさらに、ベース本体22の上面と下面との間を貫通する一対のボルト穴28を含み、ボルト穴28はソケット24の両側に1つずつ設けられている。一対のボルト穴28は、緩衝材と、荷重支持体40(すなわち、ブラケット)のサイドタブ44と、の両方を貫通して延びている。
【0060】
マウントアセンブリ10は、一対のボルト50と、各ボルトのためのナットアセンブリ60とをさらに含み、ボルト50の軸部はベース部20のベース本体22の下面からボルト穴28を通って(シャンクファーストで)延び、各ボルト50はベース部20のベース本体22の上面に配置されたナットアセンブリ60によって固定される。ばね座金52、平座金54及び圧縮ばね70のそれぞれが、ボルト50のそれぞれのシャンク上、かつ、各ボルト50の頭部とベース部20の荷重支持体40との間に配置される。
【0061】
図21-23を参照すると、ナットアセンブリ60のそれぞれは、ナット62と、ナットカバー64と、を有する。
【0062】
ナット62のそれぞれは、金属製の直線的な平面形状の本体を有し、本体は、一対の端縁、一対の長い側縁、上面、下面、下面に設けられたボス63、及び、上面と下面との間に延び、かつ、ボルト50のうちの1つの軸部を受容するためにボス63を通って延びるねじ切りされた貫通穴66を有する。ナット62のそれぞれは、ナット62の本体の下面の短い方の側縁に沿って延在する階段状の凹部67を含む。図23に示すように、ナット62の下面は、組み立て中にナット62及びボルト50が締結されたときに、レール100を把持するのを助けるための歯列を含む。
【0063】
ナット62の本体の端縁は、レールの縁部130の間に画定されたスロット124の幅よりも短く、一方、長い側縁は、レール100の縁部130の間に画定されたスロット124の幅よりも長い。
【0064】
それぞれのナットカバー64は、ナット62の頂部の上方で入れ子になってナット62を保持するように適合された可塑性材料の本体を有する。ナットカバー64の下面は、ナット62をその中に受容するような大きさ及び形状の凹部68を含む。この凹部の長い方の側縁のそれぞれは保持縁部69aを含む。保持縁部69aは、使用時には、ナット62の下面の、長い方の側縁に沿って設けられた受容溝69bにスナップ嵌めで受容され、したがって、この目的のために適合される。必要に応じて、ナットカバー64をナット62にオーバーモールドすることができる。
【0065】
ナットカバー64の上面の長い側縁のそれぞれは、そこから上向きに延びる一対の上向きかつ外向きに延びる片持ちスナップ72のうちの1つを備える。
【0066】
ナットアセンブリ60のサイズが若干細長いことにより、ナットアセンブリ60の伸長方向がスロット124の伸長方向と整列するようにナットアセンブリ60の位置を定めると、ナットアセンブリ60をスロット124に挿入してレール100の縁部130の間を通過させることができる。以下、この位置をナットアセンブリ60の挿入位置と呼ぶ。
【0067】
図19、25Aを参照すると、挿入位置にあるとき、片持ちスナップ72を使用することにより、設置中にマウントアセンブリ10を片持ちスナップ72を介してレール100から一時的に吊り下げるために、ナットアセンブリ60をレール100の縁部130と係合させることができることがわかる。これは、設置者がレール100の縁部130の間に片持ちスナップ72をスナップ嵌めするのに必要な時間よりも長時間にわたってマウントアセンブリ10を支持するために片手が塞がる必要はなく、両手を自由にして設置を完了させることができることを意味する。
【0068】
この挿入位置から、ナットアセンブリ60のそれぞれは、ボルト50の軸の周囲を90°回転し、ボス63を回転ガイドとして使用して、ストッパ29(図7及び図11を参照)に当たるまで、保持位置(図20、27、28及び29に示す)へ回転し得る。保持位置では、ナット62の本体の下面の短い方の側縁に沿って延在する段付きの凹部67がレール100の縁部130に載置され、マウントアセンブリ10のレール100への吊り下げやスライド保持を確実にする。
【0069】
図28及び29を参照すると、火災の場合、ナットカバー64は燃え尽きる可能性があるが、燃え尽きたとしても、不燃性のナット62は不燃性のレール100によって保持され、これにより、マウントアセンブリシステム1によって、マウント部30から吊り下げられた荷物が落下することを防止する。
【0070】
マウント部30の剛体(マウント本体34)、並びに、図6及び図7を再度参照する。マウント部30のステム36は円筒形であり、エンドプレート38に対して遠位であるステム端から内側に延びるブラインドホール39を備える。このブラインドホール39は、吊り下げロッドまたはアダプタ104のいずれかの雄(すなわち、外)ねじの端部を受容するための雌(すなわち、内)ねじを備える。このブラインドホール39の内側には、圧縮ばね80が保持され、圧縮ばね80からインジケータキャップ82が垂下している。好ましくは、インジケータキャップ82は、検査開口部37を通してはっきりと見えることを確実にするために、明るい色である。吊り下げロッドまたはアダプタのいずれかがブラインドホール39にねじ込まれると、設置者は、インジケータキャップ82が検査開口部37から見えなくなるまで、吊り下げロッドまたはアダプタのいずれかのねじ付き端部をステム端に送り込み続ける必要がある。このようにして、マウントアセンブリ10は、吊り下げロッドまたはアダプタのいずれかが、地震及び火災の両方のイベントにおいて安全かつ確実に固定されるように十分に係合していることを設置者に示すための手段を提供する。
【0071】
必要に応じて、アダプタ104を使用することにより、様々なサイズの吊り下げロッドをマウント部30のステム36に接続することができる。このようなアダプタ104は、ステム36の内部の雌ねじと協働するサイズの雄ねじを備えた第1端部と、異なるサイズの吊り下げロッドのねじ付き端部を受容するサイズの雌(すなわち、内部)ねじを備えたブラインドホール39を含む第2の遠位端部と、を有する細長い円筒体を含む。
【0072】
マウント部30のステム36と同様に、アダプタは圧縮ばね80を有し、圧縮ばね80から、ねじを備えたブラインドホール39の内側にインジケータキャップ82が垂下している。同様に、アダプタ104は、アダプタ104にねじ込まれた吊り下げロッドが、地震及び火災の両方のイベントにおいて安全かつ確実であるように十分に係合されていることを設置者に示すための手段を提供する。
【0073】
テンションマウントアセンブリと、マウントアセンブリがその一部を形成するテンションマウントアセンブリシステムとの両方が、地震及び/または火災イベントのいずれかまたは両方において、そこから吊り下げられた荷物を落下させる可能性のある故障に抵抗するように適合されていることは明らかである。
【0074】
いくつかの場合では、簡潔化のため、及び/または、本開示の範囲の理解を助けるため、単一の実施形態が複数の特徴を組み合わせていてもよい。そのような場合、これらの複数の特徴は別々に(別々の実施形態で)、あるいは、任意の他の適切な組み合わせで提供されてもよいことが理解されるべきである。あるいは、別個の特徴が別個の実施形態で説明されているが、これらの別個の特徴は、別段の記載または暗示がない限り、単一の実施形態に組み合わせることができる。これは、任意の組み合わせで再結合できる特許請求の範囲にも適用される。つまり、ある請求項を、他の請求項で定義された機能を含むように補正することができる。さらに、項目のリストの「少なくとも1つ」を指す語句は、単一の部材を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、bまたはcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-cを包含することを意図している。
【0075】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の断りのない限り、「備える」及び「含む」、並びに、「備えている」及び「含んでいる」などの変形は、記載された整数または整数の群を含むことを意味すると理解されるが、他の整数または整数の群を除外するものではない。
【0076】
本明細書における任意の先行技術への言及は、そのような先行技術が共通の一般知識の一部を形成するといういかなる形態の示唆を認容するものではなく、またそのように解釈されるべきでもない。
【0077】
当業者は、本発明が、その使用において、記載された特定の用途に限定されないことを理解するであろう。本発明は、本明細書に記載または図示された特定の要素及び/または特徴に関して好ましい実施形態に限定されるものでもない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載されかつ定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の再構成、修正、及び置換が可能であることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
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図16
図17
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図25A
図25B
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【国際調査報告】