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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】四輪ステアリング
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20230719BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230719BHJP
   B62D 7/14 20060101ALI20230719BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20230719BHJP
【FI】
B62D6/00
B60W60/00
B62D7/14 A
B62D113:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580876
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021039590
(87)【国際公開番号】W WO2022006089
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】16/917,498
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/917,462
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/917,431
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518156417
【氏名又は名称】ズークス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ フンケ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エヴァン ズロトニク
【テーマコード(参考)】
3D034
3D232
3D241
【Fターム(参考)】
3D034CA02
3D034CA03
3D034CC09
3D034CD10
3D034CE02
3D034CE03
3D034CE04
3D034CE05
3D232CC20
3D232DA03
3D232DA04
3D232DA06
3D232DA17
3D232DA22
3D232DA23
3D232DA27
3D232DA32
3D232DA39
3D232DA84
3D232DC33
3D232DC34
3D232DD02
3D232DD03
3D232DD08
3D232EA05
3D232EA06
3D232EA07
3D232EB04
3D232EC34
3D232GG01
3D241BA18
3D241CA16
3D241CC17
3D241CE08
3D241CE09
(57)【要約】
車両の四輪ステアリングは、例えば、先行車輪と後行車輪が互いに独立してステアリングされる場合、改善された操縦性と安定性を提供することができる。第1の車両モデルは、四輪ステアリングを有する車両による実行のための軌道を決定するために、使用され得る。第2の車両モデルは、決定された軌道に対して相対的に車両を制御するために使用され得る。例えば、第2の車両モデルは、車両の先行車輪をステアリングするための先行車輪ステアリング角と、車両の後行車輪をステアリングするための後行車輪ステアリング角とを、先行車輪とは独立に決定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律車両であって、
前記自律車両の先行端に近接して配置された先行車輪であって、前記先行車輪は、前記自律車両の長手方向軸に対して相対的にステアリングするように構成されている、前記先行車輪と、
前記自律車両の後行端に近接して配置された後行車輪であって、前記後行車輪は、前記長手方向軸に対して、前記先行車輪とは独立してステアリングするように構成されている、前記後行車輪と、
1つ又は複数のプロセッサと、
メモリであって、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記自律車両に対し、
計画コンポーネントにおいて、前記自律走行車が移動するべき目的地を受信することと、
前記計画コンポーネントにおいて、前記自律車両の現在の車両状態を受信することと、
前記自律車両のモデルを使用し、前記目的地及び前記現在の車両状態に少なくとも部分的に基づいて、前記自律走行車の先行車輪に対する命令されたステアリング角を決定することであって、前記モデルは、前記先行車輪の第1のステアリング角が、前記第1のステアリング角の加法逆数である前記後行車輪の第2のステアリング角をもたらすように構成されることと、
基準経路及び前記命令されたステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、前記自律車両の軌道を決定することと、
前記軌道に少なくとも部分的に基づいて、前記自律車両を制御することと、
を含む動作を実行させる指令を格納する前記メモリと、
を備える、自律車両。
【請求項2】
前記モデルは、前記自律車両の運動学的モデルであり、前記命令されたステアリング角は、前記自律車両の現在の位置に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の自律車両。
【請求項3】
前記自律車両の前記位置は、前記運動学的モデルにおいて、幅方向の速度がゼロであることを特徴とする前記自律車両に関連付けられた点である、請求項2に記載の自律車両。
【請求項4】
前記自律車両の前記モデルは第1のモデルであり、前記軌道に少なくとも部分的に基づいて自律車両を制御することは、
第2の車両モデルに少なくとも部分的に基づいて、前記先行車輪に対する第1のステアリング角及び前記後行車輪に対する第2のステアリング角を決定することであって、前記第1のモデル及び前記第2のモデルは、前記自律車両がサイドスリップを有さないことを仮定することと、
第1のステアリングコントローラを用いて、前記第1のステアリング角に従って先行車輪を制御することと、
第2のステアリングコントローラを用いて、前記第2のステアリング角に従って後行車輪を制御することと、
を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の自律車両。
【請求項5】
前記第2のモデルは、前記車両の動的モデルであり、前記第1のステアリング角及び前記第2のステアリング角を決定することは、
前記先行車輪に対する第1の予測ステアリング角及び前記後行車輪に対する第2の予測ステアリング角を決定することと、
前記自律車両の追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、前記先行車輪に対する第1の調整ステアリング角及び前記後行車輪に対する第2の調整ステアリング角を決定することと、
を備える、請求項4に記載の自律車両。
【請求項6】
前記動作が、
前記自律車両を前記制御することに応答して、前記自律車両の状態と前記軌道との間の追跡誤差を決定することと、
前記追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、前記先行車輪に対する第1の調整ステアリング角及び前記後行車輪に対する第2の調整ステアリング角を決定することであって、前記第1の調整ステアリング角と前記第2の調整ステアリング角は、車両のサイドスリップ及び前記追跡誤差を最小化するように決定されることと、
前記第1の予測ステアリング角及び前記第1の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、前記先行車輪を制御することと、
前記第2の予測ステアリング角及び前記第2の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、前記後行車輪を制御することと、
をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の自律車両。
【請求項7】
前記第1の予測ステアリング角及び前記第2の予測ステアリング角を前記決定することは、前記第1の予測ステアリング角に対する前記第2の予測ステアリング角の比に少なくとも部分的に基づいており、前記比は、
前記車両の現在の速度が第1の閾値速度未満である場合、負の比率であり、
前記現在の速度が第2の閾値速度を超える場合、正の比率である、
請求項6に記載の自律車両。
【請求項8】
前記第1の予測ステアリング角及び前記第2の予測ステアリング角を前記決定することは、前記自律車両に対してゼロサイドスリップを仮定する定常状態の単一トラックモデルに少なくとも部分的に基づいている、請求項6又は7に記載の自律車両。
【請求項9】
前記追跡誤差を前記決定することは、
経路に対する前記自律車両の幅方向のオフセットを決定することと、
前記自律車両の現在の方位と前記経路との間の角度のオフセットを決定することと、
を備える、請求項6から8のいずれか一項に記載の自律車両。
【請求項10】
前記第1の調整ステアリング角及び前記第2の調整ステアリング角を前記決定することは、前記幅方向のオフセット及び前記角度のオフセットを最小化することを備える、請求項9に記載の自律車両。
【請求項11】
前記軌道に少なくとも部分的に基づいて前記自律車両を前記制御することは、
前記自律車両の前記先行車輪をステアリングするための第1の予測先行ステアリング角及び前記自律車両の前記後行車輪をステアリングするための第1の予測後行ステアリング角を決定することであって、前記第1の予測先行ステアリング角と前記第1の予測後行ステアリング角は、車両モデルに基づいて決定され、第1の定常状態車両サイドスリップを有することと、
前記第1の予測先行ステアリング角が前記先行車輪に関連付けられた第1の最大ステアリング角を超えること、又は前記第1の予測後行ステアリング角が前記後行車輪に関連付けられた第2の最大ステアリング角を超えることの少なくとも一方を決定することと、
前記先行車輪をステアリングするための第2の予測先行ステアリング角及び前記後行車輪をステアリングするための第2の予測後行ステアリング角を決定することであって、前記第2の予測先行ステアリング角及び前記第2の予測後行ステアリング角は、前記車両モデルに基づいて決定され、前記第1の定常状態車両サイドスリップより大きい第2の定常状態車両サイドスリップを有することと、
前記第2の予測先行ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、前記先行車輪を制御することと、
前記第2の予測後行ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、前記後行車輪を制御することと、
を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の自律車両。
【請求項12】
前記動作は、
前記自律車両の状態と前記軌道との間の追跡誤差を決定することと、
前記追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、前記先行車輪に対する先行車輪調整ステアリング角及び前記後行車輪に対する後行車輪調整ステアリング角を決定することと、
をさらに備える、請求項11に記載の自律車両。
【請求項13】
前記動作は、前記第2の予測後行ステアリング角及び前記後行調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪修正角を決定すること、
又は、
前記第2の予測先行ステアリング角及び前記先行車輪修正角に少なくとも部分的に基づいて、後行車輪修正角の少なくとも一方を決定することであって、前記先行車輪修正角又は前記後行車輪修正角の少なくとも一方は飽和事象中に車両の安定性を保つよう決定されること、
の少なくとも一方をさらに備える、請求項11又は12に記載の自律車両。
【請求項14】
前記先行車輪を前記制御することは、前記第2の予測先行車輪ステアリング角、前記先行車輪調整ステアリング角、及び前記先行車輪修正角の合計を含む第1の命令されたステアリング角に従って前記先行車輪をステアリングすることを備えること、又は、
前記後行車輪を前記制御することは、前記第2の予測後行車輪ステアリング角、前記後行車輪調整ステアリング角、及び前記後行車輪修正角の合計を含む第2の命令されたステアリング角に従って前記後行車輪をステアリングすることを備えること、
の少なくとも一方である、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の自律車両。
【請求項15】
前記第1の定常状態車両サイドスリップはゼロであり、前記第2の定常状態車両サイドスリップはゼロではなく、
前記第2の定常状態サイドスリップは、フィードフォワード先行ステアリング角と前記第1の最大ステアリング角との間の第1の差、又はフィードフォワード後行ステアリング角と前記第2の最大ステアリング角との間の第2の差に少なくとも部分的に基づいている、請求項11から14のいずれか一項に記載の自律車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、四輪ステアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
本PCT国際特許出願は、2020年6月30日に出願された米国特許出願第16/917431号、2020年6月30日に出願された米国特許出願第16/917462号、及び2020年6月30日に出願された米国特許出願第16/917498号の優先権を主張し、各々の開示は、参照により本書に組み込まれる。
【0003】
いくつかの自律車両システムは、例えば、前輪と後輪の独立したステアリングを提供する。より具体的には、ステアリング可能な前輪と固定された後輪を含む多くの従来の車両とは異なり、いくつかの車両は、例えば、第1の端の車輪が先行車輪又は後行車輪となることができるような、2つの「前方」方向のいずれかでの運転が意図されている。この双方向性を可能にするために、各端部の車輪は独立にステアリング可能である。従来のこの種の自律走行システムの多くは、先行車輪をステアリングし、後行車輪を固定した状態で車両を操縦する。そのため、車両は、四輪ステアリングでありながら、従来の前輪ステアリングの車両と同じように走行する。二輪車両のモデリングはより単純で比較的よく知られているため、二輪ステアリング車両を近似させることが好ましいアプローチであり得る。しかしながら、四輪すべてでアクティブステアリングにより自律車両を制御することは、二輪ステアリング設計を超える利点を提供し得る。例えば、四輪ステアリングは、従来の二輪ステアリングシステムよりも大きな操縦性及び/又は安定性を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
詳細な説明は、添付の図面を参照して述べられる。図中で、符号の左端の数字は、その符号が最初に現れる図面を示している。異なる図で同じ符号を使用することは、類似又は同一のコンポーネント又は機能を示す。
【0005】
図1】本開示の態様による、例示的な車両の透視図と、例示的な四輪ステアリングシステムの一部の概略図とを含む。
図2】本開示の態様による、例示的なステアリング制御システムを含む例示的な車両の模式的な上面図である。
図3】本開示の態様による、車両の四輪ステアリングモデルに基づいて軌道を決定するシーケンスの例を示すテキスト及び視覚的なフロー図である。
図4】本開示の態様による、四輪ステアリングを用いて軌道に従うように車両を制御するシーケンスの例を示すテキスト及び視覚的なフロー図である。
図5】本開示の態様による、限度ステアリング制約を有するステアリング命令を決定するための例示的なシーケンスのテキスト及び視覚的なフロー図である。
図6】本開示の態様による、四輪ステアリング及び関連技術を実装するための例示的なシステムのブロック図である。
図7】本開示の態様による、四輪ステアリングを使用して車両を制御するための例示的な処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、一般に、車両のためのステアリングを制御するためのシステム及び技術に向けられている。いくつかの例では、本明細書で論じられる技術は、第1の制御に従って車両の車輪の第1のサブセットに対するステアリングを制御すること、及び第2の制御に従って車両の車輪の第2のサブセットに対するステアリングを制御することを含み得る。具体的には、そしていくつかの例では、車両の向きに関係なく、先行車輪は第1のステアリング角に従ってステアリングされることが可能であり、後先行車輪は第2のステアリング角に従って、例えば、第1のステアリング角とは独立してステアリングされることが可能である。
【0007】
本開示の例は、1つ又は複数の車両コンピューティングシステムが、四輪ステアリングが可能な車両のための1つ又は複数の軌道を決定するための計画コンポーネントを実行することを含む。例えば、計画コンポーネントは、運動学的車両モデルを使用して軌道を決定し得る。運動学的車両モデルは、車両を表す点で、幅方向の速度がゼロ、すなわち、車両のサイドスリップがないことを仮定し得る。この点は、車両の先行車輪を通る第1の車軸と、車両の後行車輪を通る第2の車軸とから等距離であり得る。この運動学的車両モデルを使用して、計画コンポーネントは、例えば、車両の現在の状態に基づいて、目的地にナビゲートするための車両の先行車輪のための第1のステアリング角を決定し得る。例において、計画コンポーネントは、先行車輪のステアリング角を含む一連の車両状態を軌道として決定することができる。運動学的車両モデルは、幅方向の速度がゼロであり、そのため、後行車輪ステアリング角が先行ステアリング角の加法逆数であることを暗黙のうちに仮定している。換言すれば、運動学的車両モデルは、例えば、車両を表す点を通る幅方向軸について、車両の鏡面ステアリングを仮定している。
【0008】
また、本開示の態様において、車両コンピューティングシステムは、車両に、計画コンポーネントによって決定された軌道を実行させることができる。例として、車両コンピューティングシステム(例えば、追跡システムを実行する)は、軌道を実行するために、フィードフォワードステアリング角、フィードバックステアリング角、及び限度ステアリング角のうちの1つ又は複数を生成し、先行車輪ステアリング角及び後行車輪ステアリング角を決定することができる。実装において、車両は、例えば、先行車輪ステアリング角に従って、先行車輪のステアリングを制御するための第1のステアリングコントローラと、例えば、後行車輪ステアリング角に従って、後行車輪のステアリングを制御するための第2のステアリングコントローラと、を含む。
【0009】
本開示の態様において、追跡システムは、車両の動的モデルに少なくとも部分的に基づいて、先行車輪及び後行車輪のステアリング角を決定することができる。したがって、計画コンポーネントが車両の第1の運動学的モデルを使用して軌道を決定し得る一方で、追跡システムは、車両の第2の動的モデルを使用して、軌道に従うように車両を制御し得る。第1のモデルと同様に、動的モデルも、車両の幅方向の速度がゼロ、又はサイドスリップがゼロであると仮定して、先行ステアリング角及び後行ステアリング角を決定し得る。例では、動的モデルを実行する追跡コンポーネントは、軌道によって決定される状態に対する車両の現在の状態に基づいて、フィードフォワード命令を決定し得る。追跡コンポーネントはまた、車両の追跡誤差、例えば、車両の現在の状態と軌道との間の1つまたは複数の差に少なくとも部分的に基づいて、フィードバック命令を決定し得る。少なくともいくつかの例では、追跡誤差は、幅方向のオフセット及び/又は方位誤差を含む。動的モデルは、追跡誤差を解消するためのステアリング角として、先行ステアリング角及び後行ステアリング角を決定し得る。
【0010】
いくつかの例では、先行ステアリング角及び後行ステアリング角はまた、後行ステアリング角と先行ステアリング角との間の比に少なくとも部分的に基づき得る。例えば、比較的低い速度では、後行ステアリング角と先行ステアリング角との比は、負であり得る。低速では、負の比率は、より大きな操縦性を提供し得る。比較的高い速度では、先行ステアリング角に対する後行ステアリング角の比率は、正であり得る。高速において、正の比率は、より大きな安定性を提供し得る。
【0011】
また、本開示の態様において、追跡コンポーネントは、例えば、ゼロサイドスリップに従って車両を制御することが不可能な場合、変更された先行及び/又は後行ステアリング角を決定することができる。例えば、先行車輪は第1の最大ステアリング角を有してよく、後行車輪は第2の最大ステアリング角を有してよい。追跡システムが、第1及び/又は第2の最大ステアリング角を超える先行及び/又はステアリング命令を生成する場合、そのようなステアリング角は、実用的に実行することができない。したがって、いくつかの実装では、追跡システムは、決定された先行及び/又は後行ステアリング角を変更するための1つ又は複数の調整項を生成してもよい。上述のように、追跡システムは、サイドスリップ又はゼロ幅方向速度を排除することに基づいて、先行ステアリング角及び後行ステアリング角を決定し得る。対照的に、追跡システムは、先行ステアリング角及び/又は後行ステアリング角の一方又は両方が、他の方法でそれぞれの第1又は第2の最大ステアリング角を超える場合に、この制約を緩和して、調整ステアリング項を見出してもよい。
【0012】
本明細書で述べられるシステム及び技術は、多くの利点を提供することができる。例えば、本明細書で述べられた四輪ステアリングシステムは、二輪ステアリングシステムに対して増加した機能性を提供することができる。例えば、低速では、四輪ステアリングシステムは、例えば、より高い有効回転半径を提供することによって、より大きな操縦性を提供することができる。比較的高い速度では、四輪ステアリングシステムは、ステアリング時に大きな安定性を提供することができる。これらの利点のために、安全性の結果を含む乗客の経験が改善されることができる。また、本システムや技術は、既存の車両に容易に組み込まれることができる。例えば、既存の自律車両は、二輪ステアリングを用いて制御される場合があり、したがって、そのような車両の制御インフラは、二輪ステアリング用に開発されているが、本明細書で述べられるシステム及び技術は、これらの既存のシステムに容易に組み込まれることができる。例えば、本開示の態様において使用されるモデリング技術のため、既存のシステムに関連するロジック及びプログラミングは、四輪ステアリングを容易に実装することができる。他の特徴及び利点も、以下の説明から明らかである。
【0013】
本明細書で述べられる技術及びシステムは、多くの方法で実施され得る。例示的な実装が、図を参照して以下に提供される。
【0014】
図1は、例示的な車両102が走行している例示的な環境100を示している。例示的な車両102は、運転者(又は乗員)がいつでも車両を制御することが期待されない状態で、全移動のためにすべての安全上重要な機能を実行することができる車両を記述する、米国道路交通安全局によって発行されたレベル5の分類に従って動作するように構成された自律車両などの、無運転車両であり得る。このような例では、車両102は、すべての駐車機能を含む、移動の開始から完了までのすべての機能を制御するように構成され得るため、運転手及び/又は車両102を運転するための制御装置、例えばステアリングホイール、加速ペダル、及び/又はブレーキペダルなどを含まなくてもよい。これは単なる例示であり、本明細書で述べられるシステム及び方法は、常に運転手によって手動で制御される必要がある車両から部分的又は完全に自律的である車両までを含む、任意の地上走行型、空中走行型、又は水上走行型の車両に組み入れられてよい。
【0015】
例示的な車両102は、例えば、バン、スポーツ用多目的車、クロスオーバー車、トラック、バス、農業用車両、又は建設用車両などの、任意の構成の車両であり得る。車両102は、1つ又は複数の内燃機関、1つ又は複数の電気モータ、水素動力、それらの任意の組み合わせ、及び/又は他の任意の適切な動力源によって動力が供給され得る。図示された例では、車両102は、概して、矢印104で示される方向に走行している。したがって、車両102の第1の端106は、前側又は先行端であり、車両102の反対側の第2の端108は、後側又は後行端である。例示的な車両はまた、2つの先行車輪110(そのうちの1つだけが標識されている)及び2つの後行車輪112(そのうちの1つだけが標識されている)を含む。例示的な車両102は4つの車輪104を有するが、本明細書で述べられるシステム及び方法は、より少ない数の車輪及び/又はタイヤを有する車両又はより多くの数の車輪及び/又はタイヤを有する車両に組み入れられてもよい。
【0016】
本開示の実施態様では、車両102は、先行車輪110及び後行車輪112の両方が、例えば、互いに相対的に及び/又は車両102に対して相対的に、独立してステアリング可能であるように、四輪ステアリングを有する。四輪ステアリングは、車両102が全ての方向において概ね等しい性能特性で動作し得るような双方向性を促進し得る。例えば、図1に示されるように、矢印104で示される方向に前進するとき、車両102の第1の端106は車両102の前端であるが、車両102は、例えば、第1の端106を車両102の後端として反対方向に前進し得る。同様に、車両102の第2の端108は、矢印104の方向に移動する場合には車両102の後端となり、矢印104と反対方向に前進走行する場合には第2の端108は車両102の前端となる。
【0017】
四輪ステアリングを含むいくつかの従来の車両では、車両102は、依然として二輪ステアリングを有する車両として一般的に制御され得る。例えば、図1のように第1の端106が前側又は先行端である場合、先行車輪110はステアリングされ得、一方、後行車輪112は固定されている。同様に、第2の端108が車両102の先行端であるとき、先行車輪110は固定され、後行車輪112はステアリングされ得る。しかしながら、本開示の態様は、真の四輪ステアリングを提供するために、先行車輪110と後行車輪112の両方をステアリングすることを含む。具体的には、図1の説明では、先行車輪110及び後行車輪112の両方が、例えば車線変更を実施するために、経路114に沿った方位を維持するように車両102をステアリングしている。経路114は、本明細書でさらに詳述されるように、車両102が移動することになる軌道に関連付けられた視覚化であることができる。いくつかの実施態様において、図1に示されるように四輪ステアリングを使用することは、例えば、より高い速度で、付加的な安定性を提供することができる。四輪ステアリングはまた、例えば、狭い空間又は混雑した環境における車両102の有効回転半径を増大させることによって、より大きな操縦性を促進し得る。
【0018】
図1はまた、車両102における四輪ステアリングを実装するために使用される例示的な車両コンピューティングシステム116のブロック図も含んでいる。例えば、車両コンピューティングシステム116は、計画コンポーネント118と、車両システムコントローラ120と、追跡コンポーネント122とを含む。理解を容易にするために、車両コンピューティングシステム116のコンポーネントは、別々のコンポーネントとして示され、説明されているが、図示されたコンポーネントの態様は、本明細書で説明され図示されたコンポーネントに帰属する機能を遂行するために、共有されてもよく、及び/又は追加のコンポーネントが含まれてもよい。
【0019】
計画コンポーネント118は、一般に、軌道124を生成するように構成される。例えば、車両100の計画コンポーネント118は、プロセッサによって実行されると、車両102の1つ又は複数の軌道を表すデータを生成するようにプロセッサを構成する、メモリ上に格納された指令を含み得る。計画コンポーネント118は、その環境における自律車両100の位置を表すデータ、及び局所的な姿勢データなどの他のデータを受信することができ、計画コンポーネント118は、軌道124を生成するためにそのようなデータを使用することができる。軌道124の個々は、計画コンポーネント118が車両102に、例えば経路114に沿って移動するよう指示する位置又は姿勢を含み得る。例えば、軌道124は、経路114に沿った1つ又は複数の位置における1つ又は複数の車両状態を含むことができる。いくつかの例では、計画コンポーネント118はまた、自律車両102によって実行されることが予測される、例えば追加の軌道として、予測された位置及び/又は姿勢を決定するように構成され得る。いくつかの例では、計画コンポーネント118は、実質的に連続で(例えば、1又は2ミリ秒毎に)、自律車両102を制御するための複数の候補軌道を生成してもよく、これらの候補軌道の中から軌道124を選択してもよい。この選択は、所望の目的地、現在のルート、駆動モード、現在の車両軌道、及び/又はオブジェクト軌道データ(例えば、環境100内の1つ又は複数のオブジェクトの)に少なくとも部分的に基づき得る。軌道124を生成及び/又は選択すると、計画コンポーネント116は、軌道124を、例えば、自律車両102を制御するための基準軌道命令として車両システムコントローラ120に送信し得る。
【0020】
図1に示されるように、計画コンポーネント118は、第1の車両モデル126を含み、第1の車両モデル126は、軌道124を決定するために使用される。例では、第1の車両モデル126は、自律車両102の運動学的モデルである。運動学的モデルは、計画コンポーネント118が比較的高い頻度で、かつ比較的低減された計算リソースで軌道124を生成することを可能にする、その比較的単純なために選択され得る。本明細書でさらに詳述されるように、第1の車両モデル126は、車両が幅方向の速度がゼロの単一点を有するという仮定に基づき得る。従来の二輪ステアリング車両では、後行車輪の回転軸の間に延びる軸上の後行車輪の間に中心を置く点が、幅方向速度ゼロの点であり得る。しかしながら、車両102のような四輪ステアリング車両では、後行車輪112もステアリング可能であるため、その間に中心を持つ点は、幅方向の速度がゼロになることはない。代わりに、本開示の態様によれば、第1の車両モデル126は、従来の二輪ステアリングモデルのように、ゼロ速度の点が幅方向に中心を持つが、先行車輪110を通って延びる第1の軸と後行車輪112を通って延びる第2の軸との間の縦方向にも中心を持つモデルに少なくとも部分的に基づき得る。
【0021】
車両102のホイールベースが、ちょうど説明した第1の軸と第2の軸との間の距離であると仮定すると、第1の車両モデル126は、車両102の実際のホイールベースの半分を有する車両の二輪ステアリングモデルを想定していることになる。したがって、例えば二輪(前輪)ステアリング車両用の従来の計画プログラミング及びシステムは、車両102をその半分の実際のホイールベースを有するものとしてモデル化することにより、車両102の四輪ステアリングについて実装することが可能となる。暗黙のうちに、このモデルは、車両102がハーフホイールベースにおける幅方向軸についてミラーリングされたステアリングを有すると仮定している。すなわち、第1の車両モデル126において、先行車輪が第1の方向に10度回転させられると、後行車輪は反対方向に10度回転させられることになる。
【0022】
軌道124は、第1の車両モデル126に基づいて、計画コンポーネント118により生成される。例として、計画コンポーネント118は、例えば、先行車輪110のステアリング角を含む、車両の現在の状態を受信し得る。計画コンポーネント118は、第1の車両モデル126を使用して、車両102が所望のように実行するための、例えば、所望の目的地又は状態を達成するための、更新された先行車輪のステアリング角及び加速度を決定することができる。さらに、ステアリング命令及び加速度命令を前方に統合することによって、将来の時間に対して追加の車両状態が決定されることが可能である。したがって、軌道124は、これらの車両状態のうちの1つ又は複数、例えば、車両102の位置、当該位置における車両102に関連付けられたヨーレート、当該位置における速度などに関する情報、ならびに、当該位置に関連するステアリング命令及び加速度命令を含むことができる。本開示の例では、ステアリング命令は、先行車輪のステアリング命令のみ、後行車輪のステアリング命令のみ、又は先行車輪と後行車輪の両方のステアリング命令を含み得る。しかしながら、例では、先行ステアリング角のみが軌道124に含まれてもよい。上述したように、第1の車両モデル126の実装では、後行車輪のステアリング命令は、前輪のステアリング命令の逆、例えば、加法的逆数である。したがって、前輪ステアリング角のみを出力することにより、計画コンポーネント118の機能は、二輪ステアリングに使用される従来の計画システムの機能と類似させることが可能である。したがって、四輪ステアリングのために本明細書で述べられる技術は、既存の二輪ステアリングアーキテクチャに、そのアーキテクチャへの最小限の変更で統合され得る。計画コンポーネント118の機能の追加の詳細は、図3に関連してさらに後述される。さらに、後行車輪ステアリング角が必ずしも加法的逆数でないモデルを含む、他の車両モデルが第1の車両モデル126として使用されてもよい。
【0023】
車両システムコントローラ120は、軌道124を受信し、軌道124を実装するための動作を実行することができる。具体的には、車両システムコントローラ120は、実行されると、任意の数のコントローラに車両102の態様を制御させる、メモリ上に格納された指令を含み得る。図1は、具体的に、先行車輪ステアリングコントローラ128と後行車輪ステアリングコントローラ130とを示している。本明細書で述べられるように、車両102は、先行車輪110が後行車輪112から独立してステアリング可能であり、その逆も然りであるように、四輪ステアリング用に構成されている。したがって、及び図示されているように、先行車輪ステアリングコントローラ128は、例えば、先行車輪110のための先行車輪ステアリング角δLとして、1つ又は複数の先行車輪命令130を生成するように構成されており、後行車輪ステアリングコントローラ130は、例えば、後行車輪112のための後行車輪ステアリング角δTとして、1つ又は複数の後行車輪命令134を生成するように構成されている。
【0024】
図1では、車両システムコントローラ120は、先行車輪ステアリングコントローラ128及び後行車輪ステアリングコントローラ130のみを含むものとして示されているが、車両システムコントローラ112は、車両102の追加の態様を制御するための追加のコントローラを含む。限定されることなく、また、上述したように、軌道124は、車両102の加速度に関する情報を含み得る。車両システムコントローラ120の図示されていないコントローラは、車両102の加速度を制御してもよい。したがって、いくつかの実装では、車両システムコントローラ120は、計画コンポーネント118によって生成された軌道124を受信し、軌道124を実装するために車両102の態様を制御してよい。上述のように、本開示のいくつかの実装では、軌道124は、例えば、先行車輪ステアリング角δLに対応する先行車輪ステアリング命令のみを含み得る。第1の車両モデル126は、後行車輪ステアリング角δTが先行車輪ステアリング角δLの加法的逆数であると暗黙的に仮定しているので、いくつかの例では、後行車輪ステアリングコントローラ130は、後行車輪112に、例えば車両102の幅方向軸に関して、先行車輪命令132によって指示されたステアリングをミラーリングさせるための後行車輪命令134を生成してもよい。しかしながら、いくつかの例では、後行車輪112が先行車輪110と反対以外にステアリングされることが望ましい場合がある。図1の説明では、後行車輪112は、先行車輪110とほぼ同じ角度でステアリングされる。
【0025】
いくつかの例では、車両システムコントローラ120、より具体的には、先行車輪ステアリングコントローラ128及び/又は後行車輪ステアリングコントローラ130は、軌道124から先行車輪命令132及び/又は後行車輪命令134を決定するように構成され得る。しかしながら、他の実装では、追跡コンポーネント122は、例えば、センサーデータ136として受信及び/又は生成された、車両102からのリアルタイム又はほぼリアルタイムのデータに応答して、追跡命令を、先行車輪命令132及び/又は後行車輪命令134として生成することにより、軌道124を継続的に実行する機能を含み得る。
【0026】
追跡コンポーネント122は、一般に、車両102が軌道124を適切に実行しているかどうかを決定するように構成される。例えば、車両102の追跡コンポーネント122は、プロセッサによって実行されると、プロセッサを構成して軌道124をどのように実行すべきかを決定し、車両102の目標状態、例えば、軌道124で提供される車両状態からの偏差を計算するメモリ上に格納された指令を含み得る。例において、コンポーネント122は、センサーデータ136を受信し、車両102が目標方位、目標ステアリング角、目標ステアリング速度、目標位置、目標速度、目標加速度、及び/又は他の目標状態に適合しているかどうかを決定することができる。さらに、追跡コンポーネント122は、目標条件からの検出された変動を考慮するための調整動作を決定することができる。追跡コンポーネント122は、任意の目標条件を決定及び/又は調整するように構成され得るが、本開示の態様は、方位、幅方向オフセットなどのステアリング関連又は追跡誤差を調整するために、四輪ステアリング命令、例えば、先行車輪命令132及び後行車輪命令134を決定するのに特に向けられ得る。
【0027】
図1に示されるように、追跡コンポーネント122は、先行車輪命令132及び後行車輪命令134を決定するために、第2の車両モデル138を実装することができる。より詳細には、第2の車両モデル138は、例えばセンサーデータ136から決定されるように、現在の位置、車両の向きなどに基づいて、先行車輪ステアリング角(δL)及び後行車輪ステアリング角(δT)を生成する動的車両モデルであり得る。本明細書でさらに詳述されるように、第2の車両モデル138は、車両及び/又は安全性の制限によって制約されるように、フィードフォワード項とフィードバック項との合計としてステアリング角(δL、δT)を決定し得る。追跡コンポーネント122の追加の詳細は、図4を参照することを含め、さらに詳細に以下で論じられる。
【0028】
図2は、図1に示される例示的な車両102に対応し得る例示的な車両200の概略的な上面図である。図示されるように、例示的な車両200は、車両200の角部に近接して配置された第1の車輪204(1)、第2の車輪204(2)、第3の車輪204(3)、及び第4の車輪204(4)(以下、集合的に「車輪204」という)を含む。例えば、車両200のフレーム206は、概ね長方形の形状を規定し、その角部に近接して車輪204が配置され得る。より具体的には、第1の車輪204(1)及び第2の車輪204(2)は、車両の第1の端208に比較的近く、第3の車輪204(3)及び第4の車輪204(4)は、車両200の反対側の第2の端210に比較的近くなっている。例では、第1の車輪204(1)及び第2の車輪204(2)は、車両200の幅方向軸212から第1の距離を置いており、第3の車輪204(3)及び第4の車輪204(4)は、幅方向軸212から等しい距離を置いている。さらに、第1の車輪204(1)及び第2の車輪204(2)は、車両200の長手方向軸214から等しい距離にある。同様に、第3の車輪204(3)及び第4の車輪204(4)は、長手方向軸214から等距離にある。
【0029】
図2にも示されているように、車両200は、第1の車輪204(1)及び第2の車輪204(2)に関連付けられた第1のステアリングコントローラ216と、第4の車輪204(4)において第3の車輪204(3)に関連付けられた第2のステアリングコントローラ218を含む。例では、第1のステアリングコントローラ216は、図1を参照に上述した先行車輪ステアリングコントローラ128又は後行車輪ステアリングコントローラ130のうちの1つであり得る。第2のステアリングコントローラ218は、先行車輪ステアリングコントローラ128及び後行車輪ステアリングコントローラ130のうちの他方であり得る。
【0030】
第1のステアリングコントローラ216は、第1の車輪204(1)及び第2の車輪204(2)の両方に関連付けられるものとして図示され、第2のステアリングコントローラ218は、第3の車輪204(3)及び第4の車輪204(4)の両方に関連付けられるものとして図示されているが、これは例示に過ぎない。他の例では、車輪204の各々は、それ自身のステアリングコントローラを有し得る。本開示の実装は、車両200などの車両の先行車輪に対する第1のステアリング角と、車両の後行車輪に対する第2のステアリング命令とを実装することを含むが、そのような制御は、車輪における個々のステアリングコントローラを介して実装されてもよい。さらに、車輪204の各々を他の全ての車輪から独立して制御することにより、車両200は、より大きな操縦性を提供されてもよい。限定するものではないが、車両200は、長手方向軸214に沿っていずれかの方向に概ね前進することを意図しているが、他の例では、車両は、幅方向軸212に沿っていずれかの方向に概ね前進し得る。このような操縦性は、第2の車輪204(2)及び第4の車輪204(4)において第1のステアリング角を実行し、第1の車輪204(1)及び第3の車輪204(3)において第2のステアリング角を実行することによって促進され得る。
【0031】
車両200はまた、車両コンピューティングシステム220を含み、これは、図1に関連して上述した車両コンピューティングシステム116と同じであってよく、又は類似していてよい。概略的に図示されているように、車両コンピューティングシステム220は、計画コンポーネント222及び追跡コンポーネント224を含むことができる。計画コンポーネント222は、計画コンポーネント118と同じ機能を含み得、追跡コンポーネント224は、上述した追跡コンポーネント122と同じ機能を含み得る。車両コンピューティングシステム220は、例えば、制御命令を提供するため、及び/又はそれぞれのステアリングコントローラから情報を受信するために、第1のステアリングコントローラ216及び第2のステアリングコントローラ218と通信していてもよい。
【0032】
本明細書で詳述されるように、計画コンポーネント222は、車両200の第1のモデルを使用して、軌道124のような軌道を決定するように構成され得る。いくつかの例では、第1のモデルは、運動学的な車両モデルであり、車両200の一連の車両状態を決定するために使用される。これらの状態は、追跡コンポーネント224に渡され、追跡コンポーネント224は、第1のステアリングコントローラ216及び第2のステアリングコントローラ218と共に、軌道を実装する。例では、追跡コンポーネント224は、例えば、第1の車輪204(1)及び第2の車輪204(2)において第1のステアリングコントローラ216によって実装されるべき第1のステアリング角、及び、例えば、第3の車輪204(3)及び第4の車輪204(4)において第2のステアリングコントローラ216によって実装されるべき第2のステアリング角を決定することができる。追跡コンポーネント224は、第1及び第2のステアリング角を決定するために、第2の車両モデル、例えば、動的車両モデルを実装し得る。例では、第2のモデルは、例えば、リアルタイム又はほぼリアルタイムでステアリング角を連続的に更新するために反復的に適用されることができる。
【0033】
図3は、自律車両の軌道を生成するための例示的なプロセス300を表す。特に、図3は、本開示の実施態様による、プロセス300を例示するテキスト及び視覚的なフロー図を含む。いくつかの例では、プロセス300は、図1及び/又は図2に図示され、上述した計画コンポーネント118及び/又は計画コンポーネント222などのコンポーネント及びシステムを使用して実装されることができるが、プロセス200は、そのようなコンポーネントによって実行されることに限定されない。さらに、図1及び図2のコンポーネント及びシステムは、プロセス300を実行することに限定されない。
【0034】
より詳細には、プロセス300は、動作302において、測定された先行ステアリング角及び車両の目的地を受信することを含むことができる。例えば、車両の車輪におけるセンサーは、先行車輪のステアリング角の測定値を生成することができ、車両は、車両が移動する計画経路を生成する1つ又は複数のコンピューティングシステムを含むことができる。動作302を伴う例では、車両304は自律車両であり、上述の車両102及び/又は車両200であり得る。例に示されるように、車両304は、概して、矢印306によって示される方向に移動している。したがって、車両304は、車両304の第1の(先行)端310に近接する先行車輪308と、車両304の第2の(後行)端314に近接する後行車輪312とを含む。動作302に付随する例は、目的地316と、目的地316に到達するために車両304が移動する予定の経路の例も示している。例では、計画経路は、車両304に設置された、又は車両304によってアクセス可能な計画システムの、位置特定システム、知覚システム、予測システム、及び/又は他の態様からの情報を使用して決定され得る。計画経路は、上述した環境100などの環境において車両304が移動することになる所望の経路であり得る。この例では、計画経路は、変化した曲率を有する連続的な線として図示されている。動作において、車両304は、計画経路上の中心位置を維持するように制御されてもよい。しかしながら、計画経路は、図示された経路に限定されない。いくつかの例では、計画経路は、例えば、図示された経路に対して幅方向に幅を有し、車両304の幅方向の拡張部が車両304の動作中に維持されるべき包絡線又は他の形状であり得る。本明細書で使用されるように、計画経路は、一般に、車両304が移動することになるセグメント又は領域であると理解される。例えば、計画経路は、他の車両、歩行者などを含むがこれらに限定されない車両304の環境における障害物又はオブジェクトを回避するため、車両304と道路又は走行可能な表面によって定義される車線又は他のセグメントを維持するため、又は車両304を他の方法で案内するために決定されてもよい。
【0035】
動作302に付随する例にも示されているように、先行車輪308は、矢印306によって示される方向に対して角度を付けられている。より具体的には、先行車輪308は、車両の長手方向軸に対してステアリング角δMだけ角度が付けられている。ステアリング角は、先行車輪308に関連付けられた従来のセンサー又は他の手段、先行車輪308に関連付けられたステアリングシステム、或いは他の手段を用いて測定され得る。したがって、ステアリング角δMは、先行車輪308がステアリングされる実際の、現在の角度である。動作302を伴う例では、後行車輪312も、車両304の長手方向軸に対してステアリングされる。この例では、後行車輪312は、先行車輪310で測定されたステアリング角δMとは異なる、例えば、より小さい角度でステアリングされる。しかしながら、後行車輪312に関連付けられたステアリング角は、プロセス300において使用されなくてもよい。
【0036】
動作318において、プロセス300は、車両のモデルを決定することを含む。例えば、車両304は、先行車輪308及び後行車輪312のための独立したステアリングを含むため、車両304のための軌道を決定するための車両モデルは、前輪ステアリングのみのために構成された車両の軌道を決定するために用いられるモデルとは異なっている。動作318に付随する例は、車両304の表現320の態様を例示し、表現320は、本明細書で述べられるように、軌道を生成するために使用される数学的モデルのいくつかの態様を例示するものである。数学的モデルは、上述した第1の車両モデル126であり得る。数学的モデルは、車両304の運動学的モデルであってもよい。
【0037】
表現320は、モデルの態様を概念化している。より具体的には、第1の軸322と第2の軸324との間の距離である表現は、車両304のホイールベースであり、例ではxで表される。図示されるように、表現320はまた、第1の軸322と第2の軸324との間に、例えば長手方向において等間隔に配置される点326を含む。点326はまた、車両304の長手方向軸328に沿って配置される。動作318に付随する例にも示されるように、表現320は、先行車輪310に関連付けられたステアリング角δを示す。さらに、後行車輪は、ステアリング角-δ、すなわち、先行車輪のステアリング角δの負又は反対の位置に配置されていることが示されている。本開示の実施態様では、軌道を決定するために使用される数学的モデルは、本明細書で述べられるように、車両の前側又は先行端の(動作302で受信された)先行ステアリング角のみを使用し、軌道に含めるための前側のステアリング角のみを決定する。このモデルは、点326が、車両304が幅方向の速度がゼロである点であると仮定している。したがって、モデルは、表現320に示されるように、ミラーリングステアリングを暗黙的に含む。すなわち、後行車輪は、車両304の幅方向軸に対してミラーリングされている。
【0038】
動作330において、プロセス300は、モデルを使用して軌道を計画することを含む。例えば、計画コンポーネントは、目的地316への計画経路に従うための1つ又は複数の将来の車両状態を決定するために、数学的モデルを実行する。図3の例では、計画コンポーネント332は、測定された先行ステアリング角δM、及び目的地316を受信し、モデル334を実行して、軌道336を決定する。計画コンポーネント332は、モデル334を実行して軌道336を決定するために、車両304に関する追加の情報を受信してもよい。限定されないが、計画コンポーネントは、現在の先行ステアリング角、δMに加えて、車両の現在の姿勢、例えば、車両304の現在の位置、車両304の現在の速度、車両304の現在の加速度、車両304の現在のヨーレートに関する情報を受信し、運動学的モデル334を使用して、軌道336を1つ又は複数の先行車輪ステアリング角δL、車両に対する1つ又は複数の加速度、及び1つ又は複数の車両状態として決定し得る。例えば、計画コンポーネント332は、モデル334を使用して、例えば車両命令として、先行車輪ステアリング角δL、及び車両304のための加速度を決定し、いくつかの所定の時間期間にわたってモデル334を使用して、それらの命令を前方に統合し、複数の車両状態(例えば位置(例えば点326の)、速度、ヨーレート、及び/又は他の特性)を軌道として決定することができる。例えば、軌道は、周波数で決定される複数のステアリング命令、加速度命令、及び車両状態を含んでもよい。
【0039】
表現320によって表されるモデル334は、二輪ステアリング用に構成された車両で使用するために構成される計画アーキテクチャにも容易に統合され得る。例えば、モデル334は、幅方向速度ゼロの点、例えば点326に基づく運動学的モデルであるので、モデル334は、幅方向速度ゼロの点が識別され得る他の車両タイプに使用されてもよい。いくつかの例では、軌道は、後行車輪軸上の中央に位置する点における幅方向速度ゼロの点を識別することにより、二輪、例えば、先行車輪のステアリングのためにのみ構成された車両について決定されることができる。この例では、後行車輪のステアリング角は常にゼロになるので、後行車輪の間の速度がゼロになる点を用いて運動学的モデルが実装され得る。図3には図示されていないが、軌道336は、実装のために、車両コントローラに転送され得る。
【0040】
図4は、四輪ステアリングを使用する自律車両で軌道を実行するための例示的なプロセス400を表している。特に、図4は、本開示の実施態様による、プロセス400を例示するテキスト及び視覚的なフロー図を含む。いくつかの例では、プロセス400は、図1及び/又は図2に図示され、上述した追跡コンポーネント122及び/又は追跡コンポーネント224などのコンポーネント及びシステムを使用して実装されることができるが、プロセス400は、そのようなコンポーネントによって実行されることに限定されない。さらに、図1及び図2のコンポーネント及びシステムは、プロセス400を実行することに限定されない。
【0041】
動作402において、プロセス400は、軌道及び現在の状態情報を受信することを含む。動作402に付随する視覚的な例は、軌道404と車両データ406の視覚的な表現を含む。図示の例では、軌道404は、先行車輪ステアリング角δL、加速度a、及び1つ又は複数の車両状態を含むが、軌道404は、任意の追加情報又は異なる情報を含んでもよい。軌道は、上述したプロセス300によって生成された軌道336であってもよいが、プロセス400は、軌道336を使用することに限定されるものではない。車両データは、現在の速度、ヨー、位置、ヨーレートなどの車両の現在の姿勢の情報を含む、車両に関する現在の情報を含んでもよい。状態情報は、車両の重心で定義されてもよい。
【0042】
動作408において、プロセス400は、第1の先行ステアリング角及び第1の後行ステアリング角を決定することを含む。説明されるように、本開示は、一般に、2つの先行車輪(先行車輪110など)が2つの後行車輪(後行車輪112など)から独立してステアリングされる四輪ステアリングに関する。したがって、先行車輪は、先行車輪ステアリング角δlに従ってステリングされ、後行車輪は、後行車輪ステリング角δtに従ってステリングされる。動作408は、フィードフォワードステリング命令の決定に関連付けられてもよく、一方、以下でより詳細に説明される動作422は、フィードバック命令の決定に関連付けられてもよい。
【0043】
動作408に付随する例は、第1の先行ステリング角δl,1、及び第1の後行ステアリング角δt,1を決定するためのステアリング角比を示すための車両414の第1の表現410及び第2の表現412を例示している。より具体的には、第1の表現410及び第2の表現412の両方において、車両414の先行車輪416は、先行ステアリング角δlでステアリングされ、車両414の後行車輪418は、後行ステアリング角δtでステアリングされている。第1の表現410では、後行車輪418は、車両414の長手方向軸を中心とし、先行車輪416をミラーリングしている。したがって、後行ステアリング角δtは、先行ステアリング角δlの加法逆数であり、又は、還元すれば、第1の表現410ではδt=-δlであり、先行ステアリング角に対する後行ステアリング角の比は-1である。第2の表現412では、後行ステアリング角δlと先行ステアリング角δtは等しい。従って、先行ステアリングと後行ステアリングとの比は1である。第1の表現410及び第2の表現412は、車両414の2つの状態のみを示しており、後行車輪418は先行車輪416に対して任意の比、例えば-1~1の間の任意の比でステアリングされてもよい。
【0044】
本開示の態様では、動作408は、先行ステアリング角に対する後行ステアリング角の比に少なくとも部分的に基づいて、第1の先行ステアリング角δl,1、及び第1の後行ステアリング角δt,1を決定することを含む。例えば、比較的低い速度では、δt/δlの負の比は、安定性を犠牲にすることなく、例えば、より高い回転半径として、増加した操縦性を提供し得る。逆に、比較的高い速度では、δt/δlの正の比率は、例えば、車線変更及び/又はコーナリングの間、ステアリングにおける増加した安定性を提供し得る。グラフ表示420は、第1の先行ステアリング角δl,1、及び第1の後行ステアリング角δt,1を決定するために少なくとも部分的に使用され得るδt/δlの比の例示的なプロットを示している。
【0045】
本開示の例では、動作408は、車両の動的モデルに少なくとも部分的に基づいて、第1の先行ステアリング角δl,1、及び第1の後行ステアリング角δt,1を決定してもよい。一例では、動的モデルは、非線形Fiala tireモデルを有する定常状態の単一トラック、例えば、自転車モデルに少なくとも部分的に基づき得る。幅方向の自転車モデルは、2つの車両状態-ヨーレートγ及びサイドスリップβを有する。先行車輪及び後行車輪は独立してステアリング可能であるので、動的モデルは、2つの未知数と2つの車両状態とを有する。第1の先行ステアリング角δl,1及び第1の後行ステアリング角δt,1は、所望の車両状態について、タイヤスリップ方程式を用いて、例えば、以下の式(1)及び(2)に従って決定されることができる。
【0046】
【数1】
【0047】
式(1)及び(2)において、aは車両の重心から先行車輪回転軸を通って延びる第1の軸までの距離(例えば、長手方向に沿った距離)、bは車両の重心から後行車輪回転軸を通って延びる第2の軸までの距離、kは従うべき経路、例えば、計画経路114又は計画経路316の曲率、αはスリップ角である。より具体的には、スリップ角は、例えば、幅方向の加速度、先行車輪及び後行車輪における幅方向の力、並びに車両の質量に基づいて、静的な重量分布及び定常状態の力のバランスを仮定した先行タイヤ及び後行タイヤの幅方向の力から導出されてもよい。力は、タイヤのスリップ角を決定するために、非線形タイヤモデルによって与えられるタイヤ曲線から得られてもよい。いくつかの実装では、タイヤモデルは、コーナリングスティフネスCと摩擦μの2つのパラメータのみを必要とするFiala tireモデルであってもよく、これらのパラメータは両方とも車両データ406などの車両データから測定されるものである。
【0048】
動作422において、プロセス400は、第2の先行ステアリング角及び第2の後行ステアリング角を決定することを含む。例えば、動作408は、所望の経路を追跡するための車両モデルの予想されるステアリング角を決定してもよく、動作422は、車両の現在の状態を経路と比較し、例えば、車両が経路に沿っているべき場所と比較し、調整ステアリング命令を決定してもよい。これらの調整ステアリング命令は、第2の先行ステアリング角δl,2、及び第2の後行ステアリング角δt,2を含む。動作422に付随する例は、計画経路424に対する車両414の現在の状態を例示している。計画経路424は、計画経路114及び/又は計画経路316であり得る。例にも示されているように、車両414は、重心426を有し、矢印428で示される長手方向に移動している。重心426と計画経路424との間の距離は、矢印430で指定される幅方向のオフセット、eである。矢印430は、計画経路424に対して垂直である。動作422に付随する例では、計画経路424と車両414の実際の方位との間の角度のオフセットであるオフセット角度Δψも示されている。換言すれば、eは幅方向の誤差を表し、Δψは車両414の方位誤差を表し、これらは一緒になって追跡誤差を表している。
【0049】
動作422は、幅方向誤差及び方位誤差を使用して、第2の先行ステアリング角δl,2、及び第2の後行ステアリング角δt,2を決定することを含む。より具体的には、動作422は、式(3)及び(4)を解くことを含み得る。
【0050】
【数2】
【0051】
式(3)、(4)において、k1、k2、k3、k4の項は比例ゲインである。
【0052】
動作432において、プロセス400は、少なくとも部分的に第1及び第2の先行ステアリング角及び後行ステアリング角に基づき、ステアリング命令を決定することを含む。本明細書で述べられるように、動作408は、車両の動的モデルに基づいて、例えば、予測命令又はフィードフォワード命令として、第1の先行ステアリング角δl,1、及び第1の後行ステアリング角δt,1を決定し、動作422は、測定誤差に基づいて、例えば、調整又はフィードバック命令として、第2の先行ステアリング角δl,2、及び第2の後行ステアリング角δt,2を決定する。例において、動作432は、第1及び第2の先行車輪ステアリング角及び第1及び第2の後行ステアリング角をそれぞれ含む合計として、先行車輪ステアリング角δl及び後行車輪ステアリング角δtを決定し得る。例では、先行車輪ステアリング角δl及び後行車輪ステアリング角δtは、式(5)及び(6)を用いて決定される。
【0053】
【数3】
【0054】
したがって、式(5)及び(6)によれば、命令された先行車輪ステアリング角は、例えば動作408で、車両414の動的モデルから決定された先行車輪ステアリング角と、例えば動作422で、車両414の状態誤差から決定された先行車輪ステアリング角との和となる。同様に、後行車輪ステアリング角は、動的モデルから決定された後行車輪ステアリング角と、状態誤差から決定された後行車輪ステアリング角との和となる。また、式(5)、(6)は、第3項、すなわち、δl,LH、δt,LHを含む。これら第3項は、限度ハンドリング項であり、第1のステアリング角及び第2のステアリング角から算出される、決定された先行車輪ステアリング角及び/又は後行車輪ステアリング角が車両で実施できない状況を説明するものである。例えば、先行車輪及び/又は後行車輪のステアリングは、ある最大ステアリング角に制限されることが可能であり、限度ハンドリング項は、本明細書で詳述されるように、計算された先行及び/又は後行ステアリング角を修正する修正角度を含むことができる。最大ステアリング角は、車両の物理的能力に基づき、及び/又は、例えば車両の実際の能力に関係なく、車両に適用される所定の又は所望の制約に基づき、設定され得る。例えば、最大ステアリング角は、好ましい性能特性、乗客の快適性、又は他のパラメータに基づいて決定されてもよい。
【0055】
図5は、四輪ステアリングを使用する自律車両で軌道を実行するための例示的なプロセス500を表している。特に、図5は、本開示の実施態様による、プロセス500を例示するテキスト及び視覚的なフロー図を含む。プロセス500は、プロセス400と共に実行されてもよく、例えば、プロセス400、500は、軌道を実行するための全体的なプロセスのコンポーネントプロセスであってもよい。いくつかの例では、プロセス500は、図1及び/又は図2に図示され、上述した追跡コンポーネント122及び/又は追跡コンポーネント224などのコンポーネント及びシステムを使用して実装されることができるが、プロセス500は、そのようなコンポーネントによって実装されることに限定されない。さらに、図1及び図2のコンポーネント及びシステムは、プロセス500を実行することに限定されない。
【0056】
動作502において、プロセス500は、先行ステアリング角と後行ステアリング角とを決定することを含む。例えば、動作502は、車両の動的モデルに基づいて、前後のステアリング角を予測するためにプロセス400を実行することと、予測経路から計算された誤差に基づいて調整ステアリング角を使用し、それらの予測角度を変更することとを含むことができる。動作502に付随する例は、先行車輪ステアリング角δlと後行車輪ステアリング角δtとを含むステアリング角データ504をグラフで示すものである。
【0057】
動作506において、プロセス500は、先行ステアリング角及び/又は後行ステアリング角が最大ステアリング限度を超えることを決定することを含む。動作506に付随する例は、先行車輪512及び後行車輪514を有する車両510を例示するグラフ表現508を含む。この表現では、先行車輪512は、例えば、δl,maxから-δl,maxまでの範囲にわたって(点線で示す)、いずれかの方向に先行車輪最大ステアリング角δl,maxまで長手方向軸516に対してステアリング可能である。同様に、後行車輪514は、いずれかの方向に、例えば、δt,max(破線で示す)から-δt,maxまでの範囲にわたって、後行車輪最大ステアリング角δt,maxまで長手方向軸516に対してステアリング可能である。いくつかの例では、先行車輪最大ステアリング角は、後行車輪最大ステアリング角と異なってもよい。例えば、後行車輪最大ステアリング角は、先行車輪最大ステアリング角より小さくてもよい。動作506は、ステアリング角データ504に含まれる(例えば、プロセス400を用いて決定される)ステアリング角δl、δtの一方又は両方が、それぞれ最大ステアリング角δl,max、δt,maxの外にあると決定することを含んでもよい。
【0058】
動作518において、プロセス500は、先行ステアリング調整角及び/又は後行ステアリング調整角を決定することを含む。例えば、動作408において、予測ステアリング角を決定するために使用される動的モデルは、ステアリング角の一方又は両方が最大限度を超えているときに、予測ステアリング角と調整ステアリング角とが合計されることができる限度ハンドリング調整項δl,LH、δt,LHを決定するために使用されることも可能である。より詳細には、予測角又はフィードフォワード角を決定するために使用される式(1)及び(2)は、車両が定常状態の方位誤差がゼロ、例えば、サイドスリップ、βがゼロであるという仮定に基づいて、先行車輪及び後行車輪が任意に選択されるように簡素化されている。式(1)、(2)は、サイドスリップを含めて、式(7)、(8)のように書き換えられることができる。
【0059】
【数4】
【0060】
式(7)、(8)において、βffwは車両のサイドスリップ、δ項は定数で未知のオフセットである。
【0061】
定常動作の際、例えばプロセス400のように、先行車輪角及び後行車輪角が車両のステアリング限界内にあるとき、定常状態サイドスリップはゼロに設定され、車両がゼロの定常状態方位誤差を有するようになり、先行車輪角及び後行車輪角が任意選択される。しかしながら、一方の角度が限度に達すると、このプロセスでは、もはや任意に先行ステアリング角と後行ステアリング角を決定することができなくなる。タイヤスリップ項αは、上で紹介したように、横方向の力の方程式を用いて決定されるため、飽和した車輪において要求される力は、車両のサイドスリップを用いて飽和した車軸において依然として満たされることができる。より具体的には、プロセス500は、ゼロではない定常サイドスリップを許容することができる。概念的に、そして動作518に付随する例に示されるように、車両510の長手方向軸516は、ゼロではないサイドスリップβによって計画経路に対して角度を付けられる。すなわち、車両510はもはや、サイドスリップがゼロであると仮定した式(1)及び(2)のように計画経路520に対して接線を向けない。
【0062】
より詳細には、下限値lbと上限値ubとの間で値xを束縛する飽和関数sat(x,lb,ub)を定義する。飽和ステアリング角は、式(9)及び式(10)によって与えられることができる。
【0063】
【数5】
【0064】
例えば、定常先行ステアリング角δl,nom及び定常後行ステアリング角δt,nomは、プロセス400で決定されたステアリング角δlTであり得る。定常サイドスリップは、先行車輪飽和時の式(11)を用いて算出される。
【0065】
【数6】
【0066】
そして、後行車輪輪飽和時の式(12)を用いて算出される。
【0067】
【数7】
【0068】
これらのサイドスリップ式(11)、(12)をそれぞれ式(9)、(10)に代入すると、式(13)、(14)が得られる。
【0069】
【数8】
【0070】
これらのステアリング角を実装する車両510の動作において、前後のステアリング角の両方が飽和した場合、定常サイドスリップは更新されず(又は以前に計算した値に設定され)、計算された定常サイドスリップを両方のステアリング角が飽和したときに生じる値で実質的に上限とする。
【0071】
動作522で、プロセス500は、ステアリング調整に少なくとも部分的に基づいて、ステアリング命令を決定することを含む。動作518に付随する例に示されるように、動作518は、ステアリング飽和中に車両の挙動を修正するように作用する限界処理ステアリング角度を決定することを含むことができる。例えば、これらの角度は、ステアリング飽和中に車両安定性を維持するために動作518で決定された、例えばフィードバック又は調整角を修正する修正角であり得る。限度ハンドリング角は、以下の式(15)及び(16)により与えられ得る。
【0072】
【数9】
【0073】
式(15)、(16)において、kl,sat、kt,satは安定した閉ループダイナミクスと望ましいシステム性能になるように選ばれた飽和ゲインである。
【0074】
プロセス500はまた、車両が一定のステアリングオフセットを拒絶し、ランプステア中の定常状態の幅方向誤差を許容することを可能にする、積分制御を含んでもよい。ステアリング角がその限度未満に留まるとき、積分ステアリング角は、幅方向誤差と、方位誤差及び定常状態のサイドスリップの和との両方を積分する。飽和事象では、ステアリング角は幅方向誤差のみを積分する。これは、いくつかの従来の二輪ステアリング積分コントローラの機能と一致する。車両コンピューティングシステムは、積分角度を切り替えるためのロジックを含むことができる。例えば、前側の飽和がなく、後ろ側の飽和がない場合、
【0075】
【数10】
【0076】
後側の飽和はあるが、前側の飽和はない場合、
【0077】
【数11】
【0078】
そして、前側の飽和はあるが、後側の飽和はない場合
【0079】
【数12】
【0080】
解されるように、積分ステアリング角は、フィードフォワード角、例えば、角度δl,1,δt,1に含まれる。
【0081】
図6は、本明細書で述べられる技術を実装するための例示的なシステム600のブロック図である。少なくとも1つの例では、システム600は車両602を含むことができ、これは、図1に示される車両102、図2に示される車両200、図3に示される車両304、図4に示される車両414、及び/又は図5に示される車両510と同じであっても、異なってもよい。車両602は、1つ又は複数の車両コンピューティング装置604、1つ又は複数のセンサーシステム606、1つ又は複数のエミッタ608、1つ又は複数の通信接続部610、1つ又は複数の駆動モジュール612、及び少なくとも1つの直接接続部614を含むことができる。
【0082】
車両コンピューティング装置604は、1つ又は複数のプロセッサ616と、1つ又は複数のプロセッサ616に通信可能に結合されたメモリ618も含む。図示された例では、車両602は自律車両である。しかしながら、車両602は、任意の他のタイプの車両、又は少なくとも1つのセンサー(例えば、カメラ付きスマートフォン)を有する任意の他のシステムであり得る。図示された例では、車両コンピューティング装置604のメモリ618は、定位コンポーネント620、知覚コンポーネント622、計画コンポーネント626、追跡コンポーネント626、システムコントローラ628、及びステアリングデータ630を格納する。さらに、システムコントローラ628は、第1のステアリングコントローラ632及び第2のステアリングコントローラ634を含む。図6では、例示の目的でメモリ618に存在するように描かれているが、定位コンポーネント620、知覚コンポーネント622(及び/又はそのコンポーネント)、計画コンポーネント626、追跡コンポーネント626、システムコントローラ628、及びステアリングデータ630は、追加的又は代替的に、車両602にアクセス可能(例えば、車両602から離れたメモリに格納されるか、別の方法でアクセス可能な)であることが企図されている。
【0083】
少なくとも1つの例では、定位コンポーネント620は、センサーシステム606からデータを受信して車両602の位置及び/又は向き(例えば、x-、y-、z-位置、ロール、ピッチ、又はヨーのうちの1つ又は複数)を決定する機能を含むことができる。例えば、定位コンポーネント620は、環境のマップを含む及び/又は要求/受信することができ、マップ内の自律車両の位置及び/又は向きを継続的に決定することができる。いくつかの例では、定位コンポーネント620は、SLAM(simultaneous localization and mapping)、CLAMS(calibration, localization and mapping, simultaneously)、相対SLAM、バンドル調整、非線形最小二乗最適化などを利用して、画像データ、ライダーデータ、レーダーデータ、IMUデータ、GPSデータ、ホイールエンコーダデータなどを受信し、自律車両の場所を正確に決定することができる。いくつかの例では、定位コンポーネント620は、軌道を生成するために自律車両602の現在の位置を決定するために、計画コンポーネント626などの車両602の様々なコンポーネントにデータを提供することができる。
【0084】
いくつかの例では、知覚コンポーネント622は、一般に、オブジェクト検出、セグメンテーション、及び/又は分類を実行するための機能を含む。いくつかの例では、知覚コンポーネント622は、車両602に近接しているオブジェクトの存在、及び/又はオブジェクトタイプ(例えば、車、歩行者、サイクリスト、動物、建物、木、路面、縁石、歩道、不明など)としてのオブジェクトの分類を示す処理済みセンサーデータを提供することができる。追加的及び/又は代替的な例では、知覚コンポーネント622は、検出されたオブジェクト(例えば、追跡されたオブジェクト)及び/又はオブジェクトが配置されている環境に関連付けられた1つ又は複数の特性を示す処理済みセンサーデータを提供することができる。いくつかの例では、オブジェクトに関連付けられた特性は、x位置(グローバル及び/又はローカル位置)、y位置(グローバル及び/又はローカル位置)、z位置(グローバル及び/又はローカル位置)、向き(例えば、ロール、ピッチ、ヨー)、オブジェクトタイプ(例えば、分類)、オブジェクトの速度、オブジェクトの加速度、オブジェクトの範囲(サイズ)など(ただし、これだけに限定されない)を含むことができる。環境に関連付けられた特性は、環境内の別のオブジェクトの存在、環境内の別のオブジェクトの状態、一日の時間、曜日、季節、天候、暗さ/明るさの表示、などを含むことができるが、これらに限定されない。
【0085】
一般に、計画コンポーネント626は、車両602が環境内を横断するために従うべき経路を決定することができる。計画コンポーネント626は、計画コンポーネント118及び/又は計画コンポーネント222に帰属する機能であり得るか、又はそれを含むことができる。例えば、計画コンポーネント626は、第1の車両モデル126などの車両モデルを用いて、様々な経路及び軌道、並びに様々なレベルの詳細を決定することができる。計画コンポーネント626は、第1の場所(例えば、現在の場所)から第2の場所(例えば、目標の場所)へ移動する経路を決定することができる。この議論の目的のために、経路は、2つのロケーションの間を移動するためのウェイポイントのシーケンスであることができる。非限定的な例として、ウェイポイントは、通り、交差点、全地球測位システム(GPS)座標などを含む。さらに、計画コンポーネント626は、第1の場所から第2の場所への経路の少なくとも一部に沿って自律車両を誘導するための指令を生成することができる。少なくとも1つの例では、計画コンポーネント626は、ウェイポイントのシーケンスにおける第1のウェイポイントからウェイポイントのシーケンスにおける第2のウェイポイントに自律車両を誘導する方法を決定することができる。いくつかの例では、指令は、軌道、又は軌道の一部とすることができる。軌道は、ウェイポイントに対応する一連の車両状態、及びそれらの状態を達成するための命令を含むことができる。そのような命令は、例えば、ステアリング角及び加速度を含むことができる。限定されないが、計画コンポーネント626は、現在のステアリング角、例えば車両の先行車輪のステアリング角を受信し、図3に関連して上述した動作を使用してステアリング角に少なくとも部分的に基づいて軌道を決定し得る。モデルは、本明細書で述べられるように、車両602が先行軸と後行軸との中間に速度ゼロの点を有すると仮定される、車両の運動学的モデルであり得る。いくつかの実装では、多様な軌道が、Receding horizon技術に従って実質的に同時に(例えば、技術的公差内で)生成され得、多様な軌道のうちの1つが、車両602がナビゲートするために選択される。
【0086】
追跡コンポーネント626は、計画コンポーネント624によって生成された軌道に従って、例えば、計画経路に従うようにステアリング命令を調整する機能を含む。限定されないが、追跡コンポーネント626は、追跡コンポーネント122及び/又は追跡コンポーネント224に帰属する機能であるか、又はそれを実装することができる。例において、追跡コンポーネント626は、動的車両モデルなどの車両モデルを使用して、車両602が経路に従うように制御するための先行車輪ステアリング角及び後行車輪ステアリング角を生成することができる。いくつかの例では、追跡コンポーネント224は、ステアリング角を決定するためにプロセス400、500を実装することができる。追跡コンポーネント626は、システムコントローラ628とは別個のものとして図示されているが、いくつかの例では、追跡コンポーネント626は、システムコントローラ628に統合されることができる。
【0087】
システムコントローラ628は、例えば、計画コンポーネント624及び/又は追跡コンポーネント626によって生成された制御に基づいて、車両602のステアリング、推進、ブレーキ、安全、エミッタ、通信、及び他のシステムを制御するように構成されることできる。図示されるように、システムコントローラ628は、第1のステアリングコントローラ632及び第2のステアリングコントローラ634を含む。例えば、第1のステアリングコントローラ632は、車両602の先行車輪のステアリング角を制御するために使用されることができる。第2のステアリングコントローラ634は、例えば、先行車輪とは独立に、車両の後行車輪のステアリング角を制御するために使用されることができる。システムコントローラ628は、駆動モジュール612及び/又は車両602の他のコンポーネントの対応するシステムと通信し、及び/又は制御することができる。
【0088】
ステアリングデータ630は、本明細書で述べられるように、四輪ステアリング技術に関連して車両602によって使用されることができる。例えば、ステアリングデータ630は、先行車輪及び後行車輪のための最大ステアリング角及び/又は最大ステアリングレート限度などのステアリング制約に関する情報を含むことができる。また、実装では、ステアリングデータ620は、車両602の様々なコンポーネントによってアクセス可能なステアリング命令ライブラリを含み、それらのコンポーネントに適合した異なるフォーマットでステアリング情報を提供することができる。限定されないが、ステアリングデータ620は、ステアリング角及び/又はレート制限を選択するためのデータ、並びに曲率及び曲率情報をそれぞれラジアン及びラジアン/秒で前後のステアリング制限に変換するためのデータを含むことができ、異なるコンポーネントに対応することができる。例えば、ステアリングデータ630は、そのような変換を容易にするために変換係数を含むことができる。さらに、いくつかの例では、ステアリングデータ620は、二輪ステアリングと四輪ステアリングの両方を可能にするための情報、例えば、二輪から四輪ステアリングに切り替える際の情報の翻訳又は変換、或いはその逆のための情報を含むことができる。ステアリングデータ630は、定位コンポーネント620、知覚コンポーネント622、計画コンポーネント624、追跡コンポーネント626、及び/又は他のコンポーネントを含む、車両602の様々なコンポーネントによってアクセス可能なステアリングライブラリであってもよい。
【0089】
理解できるように、本明細書で論じられるコンポーネント(例えば、定位コンポーネント620、知覚コンポーネント622(及びそのコンポーネント)、計画コンポーネント624、追跡コンポーネント626、システムコントローラ628、及びステアリングデータ630)は、例示目的で分割して示され、説明されている。しかしながら、様々なコンポーネントによって実行される動作は、他の任意のコンポーネントで組み合わせたり、実行したりすることができる。
【0090】
センサーシステム606は、ライダーセンサー、レーダーセンサー、超音波トランスデューサ、ソナーセンサー、位置センサー(例えば、GPS、コンパスなど)、慣性センサー(例えば、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、磁気計、ジャイロスコープなど)、カメラ(例えば、RGB、IR、強度、深度、飛行時間など)、マイクロフォン、ホイールエンコーダ、環境センサー(例えば、温度センサー、湿度センサー、光センサー、圧力センサーなど)、などを含むことができる。センサーシステム606は、これらのセンサー又は他の種類のセンサーのそれぞれの多様なインスタンスを含むことができる。例えば、ライダーセンサーは、車両602の角部、前面、背面、側面、及び/又は上部に配置された個々のライダーセンサーを含むことができる。別の例として、カメラセンサーは、車両602の外側及び/又は内側の様々な場所に配置された多様なカメラを含むことができる。別の例として、レーダーシステムは、車両602に関する様々な場所に配置された同一又は異なるレーダーセンサーの多様なインスタンスを含むことができる。センサーシステム606は、車両コンピューティング装置604に入力を提供することができる。追加的又は代替的に、センサーシステム606は、1つ又は複数のネットワーク636を介して、センサーデータを、特定の頻度で、所定の期間の経過後に、ほぼリアルタイムで等、リモートコンピューティング装置638に送信することができる。
【0091】
エミッタ608は、光及び/又は音を放射するように構成されることができる。本例におけるエミッタ608は、車両602の乗客と通信するための内部音声及び映像エミッタを含むことができる。例として、限定するものではないが、内部エミッタは、スピーカー、ライト、サイン、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、触覚エミッタ(例えば、振動及び/又はフォースフィードバック)、機械アクチュエータ(例えば、シートベルトテンショナー、シートポジショナー、ヘッドレストポジショナー等)等を含むことができる。本例におけるエミッタ608は、外部エミッタも含むことができる。例示であって限定するものではないが、本例における外部エミッタは、方位又は車両の動作の他の指標を知らせるためのライト(例えば、表示灯、標識、ライトアレイなど)、及び歩行者又は他の近くの車両と聴覚的に通信するための1つ又は複数の音声エミッタ(例えば、スピーカー、スピーカーアレイ、ホーンなど)、そのうちの1つ又は複数の音響ビームステアリング技術で構成されるものを含む。
【0092】
通信接続部610は、車両602と1つ又は複数の他のローカル或いはリモートコンピューティング装置との間の通信を可能にする。例えば、通信接続部610は、車両602及び/又は駆動モジュール612上の他のローカルコンピューティング装置との通信を容易にすることができる。また、通信接続部610は、車両が他の近くのコンピューティング装置(例えば、他の近くの車両、交通信号など)と通信することを可能にする。通信接続部610はまた、車両602が遠隔リモートコンピューティング装置又は他の遠隔サービスと通信することを可能にする。
【0093】
通信接続部610は、車両コンピューティング装置604を別のコンピューティング装置又はネットワーク638などのネットワークに接続するための物理的及び/又は論理的インターフェースを含むことができる。例えば、通信接続部610は、IEEE 802.11規格によって定義された周波数を介したようなWi-Fiベースの通信、Bluetooth(登録商標)などの短距離無線周波数、セルラー通信(例えば、2G、3G、6G、6G LTE、5Gなど)又はそれぞれのコンピューティング装置が他のコンピューティング装置とインターフェースすることを可能にする任意の適切な有線もしくは無線通信プロトコルを可能にする。
【0094】
少なくとも1つの例では、車両602は、駆動モジュール612を含むことができる。いくつかの例では、車両602は、単一の駆動モジュール612を有することができる。少なくとも1つの例では、車両602は、駆動モジュール612の個々が車両602の反対側の端部(例えば、前側と後側など)に配置された多様な駆動モジュール612を有し得る。少なくとも1つの例では、駆動モジュール612は、駆動モジュール612及び/又は車両602の周囲の状態を検出するための1つ又は複数のセンサーシステムを含むことができる。限定ではなく例として、駆動モジュール612に関連付けられたセンサーシステムは、駆動モジュールの車輪の回転を感知するための1つ又は複数のホイールエンコーダ(例えば、ロータリーエンコーダ)、慣性センサー(例えば、慣性測定ユニット、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計など)、駆動モジュールの向き及び加速度を測定するためのカメラ又は他の画像センサー、駆動モジュールの周囲にあるオブジェクトを音響的に検出する超音波センサー、ライダーセンサー、レーダーセンサーなどを含むことができる。ホイールエンコーダなどのいくつかのセンサーは、駆動モジュール612に固有であることができる。場合によっては、駆動モジュール612上のセンサーシステムは、車両602の対応するシステム(例えば、センサーシステム606)と重畳、又は補足することができる。
【0095】
駆動モジュール612は、高電圧バッテリ、車両を推進するモータ、バッテリからの直流を他の車両システムで使用するための交流に変換するインバータ、ステアリングモータ及びステアリングラック(電気であり得る)を含むステアリングシステム、油圧又は電気アクチュエータを含むブレーキシステム、油圧及び/又は空気圧部品を含むサスペンションシステム、牽引力の損失を緩和し制御性を保つためのブレーキ力を分配する安定制御システム、HVACシステム、照明(例えば、車両の周辺外部を照らすヘッド/テールランプのような証明)、或いは、1つ又は複数の他のシステム(例えば、冷却システム、安全システム、車載充電システム、DC/DCコンバータ、高電圧ジャンクション、高電圧ケーブル、充電システム、充電ポートなどの他の電気部品等)を含むことができる。さらに、駆動モジュール612は、センサーシステムからデータを受信し、前処理し、様々な車両システムの動作を制御することが可能な駆動モジュールコントローラを含むことができる。いくつかの例では、駆動モジュールコントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサと通信可能に結合されたメモリとを含むことができる。メモリは、駆動モジュール612の様々な機能を実行するための1つ又は複数のモジュールを格納することができる。さらに、駆動モジュール612は、それぞれの駆動モジュールによる1つ又は複数の他のローカル又はリモートコンピューティング装置との通信を可能にする1つ又は複数の通信接続部も含み得る。
【0096】
少なくとも1つの例では、直接接続部614は、駆動モジュール612を車両602の本体と結合するための物理的インターフェースを提供することができる。例えば、直接接続部614は、駆動モジュール612と車両との間のエネルギー、流体、空気、データなどの伝達を可能にすることができる。いくつかの例では、直接接続部614は、駆動モジュール612を車両602の本体にさらに解放可能に固定することができる。
【0097】
また図示されているように、車両602は、ネットワーク636を介して、コンピューティング装置638と通信していてもよい。例えば、コンピューティング装置638は、本明細書で述べられる機能を実装し得る。より詳細には、コンピューティング装置638は、プロセッサ640と、ステアリングデータ644を格納するメモリ642とを含むことができる。
【0098】
ステアリングデータ644は、ステアリングデータ630を含み得る。例えば、ステアリングデータ630は、ステアリングデータ644のサブセットであってもよく、車両の動作に先立って車両602にロードされてもよい。限定されないが、ステアリングデータ644は、車両602を含む車両のフリートに対するステアリングデータの集中データベースを含んでもよく、ステアリングデータ630は、必要に応じて車両602にアップロードされてもよい。
【0099】
車両602のプロセッサ616及びコンピューティング装置638のプロセッサ640は、本明細書で述べられるように、データを処理し動作を実行する指令を実行することができる任意の適切なプロセッサであることができる。限定ではなく例として、プロセッサ616及び640は、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、又は電子データを処理して、その電子データをレジスタ及び/又はメモリに格納することができる他の電子データに変換する任意の他の装置又は装置の一部を含むことができる。いくつかの例では、集積回路(例えば、ASICなど)、ゲートアレイ(例えば、FPGAなど)、及び他のハードウェア装置も、それらが符号化された指令を実装するように構成される限りにおいて、プロセッサとみなすことができる。
【0100】
メモリ618及びメモリ642は、非一時的コンピュータ可読媒体の例である。メモリ618及びメモリ642は、本明細書で述べられる方法及び様々なシステムに帰属する機能を実装するために、動作システム及び1つ又は複数のソフトウェアアプリケーション、指令、プログラム、及び/又はデータを格納することができる。様々な実装において、メモリは、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、同期ダイナミックRAM(SDRAM)、不揮発性/フラッシュ型メモリ、又は情報を格納することができる任意の他のタイプのメモリなど、任意の適切なメモリ技術を用いて実装されることが可能である。本明細書で述べられるアーキテクチャ、システム、及び個々の要素は、他の多くの論理的、プログラム的、及び物理的なコンポーネントを含むことができ、そのうちの添付の図に示すものは、本明細書の議論に関連する単なる例である。
【0101】
図6は分散システムとして図示されているが、代替例では、車両602のコンポーネントは、コンピューティング装置638に関連付けることができ、及び/又はコンピューティング装置638のコンポーネントは、車両602に関連付けることができる。即ち、車両602は、コンピューティング装置638に関連付けられた機能のうちの1つ又は複数を実行することができ、その逆もまた然りである。さらに、知覚システム622及び/又は追跡コンポーネント626の態様は、本明細書で論じられる装置のいずれでも実行されることができる。
【0102】
図7は、本明細書で論じられる技術を実行するための例示的なプロセス700を示す。プロセス700(本明細書で説明するプロセス300、400、500の態様と同様に)は、論理フロー図として図示され、その各動作は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせで実装され得る動作のシーケンスを表している。ソフトウェアの文脈では、動作は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、言及された動作を実行する、1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能な指令を表している。一般に、コンピュータ実行可能な指令は、特定の機能を実行し、特定の抽象的なデータタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。動作が記載される順序は、限定として解釈されることを意図しておらず、記載された動作の任意の数は、プロセスを実施するために任意の順序で、及び/又は並行して組み合わされてもよい。プロセス700は、車両602のものを含む任意の装置又はコンポーネントによって実行されてもよい。しかしながら、車両602は、プロセス700の動作を実行することに限定されない。
【0103】
より詳細には、プロセス700は、動作702において、第1の車両モデルを使用して、車両軌道を決定することを含む。例えば、第1の車両モデルは、ミラーリングステアリングを使用して、車両の四輪ステアリングを近似する車両の運動学的モデルであり得る。動作702は、車両が移動すべき所望の経路と、現在の、例えば測定された、先行車輪ステアリング角とに少なくとも部分的に基づいて、軌道を決定することができる。動作702は、例えば、プロセス300の態様を含んでもよい。
【0104】
動作704において、プロセス700は、車両軌道及び第2の車両モデルに基づいて、1つ又は複数のフィードフォワード命令を決定することを含む。例えば、動作704は、車両の動的モデルに基づいて、軌道を実行するための予測先行車輪ステアリング角及び予測後行車輪ステアリング角を決定することを含むことができる。動作704は、例えば、動作408を含むプロセス400の態様を含むことができる。
【0105】
動作706において、プロセス700は、測定誤差に基づいて、1つ又は複数のフィードバック命令を決定することを含む。例えば、動作706は、追跡誤差、例えば幅方向誤差及び方位誤差の一方又は両方を決定することと、これらの誤差を調整するための前側のステアリング角及び後側のステアリング角を生成することとを含むことができる。動作704は、例えば、動作422を含むプロセス400の態様を含むことができる。
【0106】
動作708において、プロセス700は、フィードフォワード命令とフィードバック命令とに基づいて、ステアリング命令角を決定することを含む。例えば、ステアリング命令角は、先行車輪ステアリング角と後行車輪ステアリング角とを含むことができる。先行車輪ステアリング角は、動作704で決定されたフィードフォワード先行ステアリング角と動作706で決定されたフィードバック先行ステアリング角との和であってもよく、後行車輪ステアリング角は、動作704で決定されたフィードフォワード先行ステアリング角と動作706で決定されたフィードバック後行ステアリング角との和であってもよい。
【0107】
動作710において、プロセス700は、ステアリング命令角が最大角度を満足するか超越するかを決定することを含む。例えば、先行車輪は、第1の最大ステアリング角を有してもよく、後行車輪は、第2の最大ステアリング角を有してもよい。第1の最大ステアリング角と第2の最大ステアリング角は、同じであっても異なっていてもよい。
【0108】
動作710において、ステアリング命令角が最大角度を満足しない、又は超越しないと決定された場合、動作712において、プロセス700は、ステアリング命令角を含む車両制御命令を生成することを含む。例えば、命令は、動作708で決定された先行車輪ステアリング角及び後行車輪ステアリング角で先行車両車輪を制御させることができる。いくつかの例では、先行ステアリング角及び後行ステアリング角は、好ましいステアリング比、ステアリングレートなどに適合するように変更されてもよい。
【0109】
また、動作710において、ステアリング命令角が最大角度を満足する又は超越すると決定された場合、動作714において、プロセス700は、第2の車両モデルを使用して、1つ又は複数の代替フィードフォワード命令を決定することを含む。例えば、動作704は、ある条件を仮定することによって、第1の車両モデルを適用し得る。例えば、動作704は、車両がサイドスリップを有していないと仮定してもよい。これに対し、動作714は、例えば、先行車輪ステアリング角及び後行車輪ステアリング角の一方又は両方が最大ステアリング角に制約され得るので、ゼロでないサイドスリップに基づいてフィードフォワード命令を決定してもよい。多少のサイドスリップを許容することで、両方がそれぞれの最大ステアリング角の範囲内にある代替ステアリング角の決定が可能になる。
【0110】
動作716において、プロセス700は、ステアリング命令角を含む車両制御命令を生成することを含む。例えば、命令は、動作714で決定された代替フィードフォワード命令と動作706で決定されたフィードバック命令とから決定された先行車輪ステアリング角の合計である先行ステアリング角で先行車両車輪を制御するようにしてもよい。また、命令は、動作714で決定された代替フィードフォワード命令と動作706で決定されたフィードバック命令とから決定された後行車輪ステアリング角の合計である後行ステアリング角で後行車両用車輪を制御させ得る。いくつかの例において、先行ステアリング角及び後行ステアリング角は、好ましいステアリング比、ステアリングレートなどに適合するように変更されてもよい。
【0111】
(例示的な条項)
A.例示的な自律車両であって、自律車両の先行端に近接して配置された先行車輪であって、先行車輪は、自律車両の長手方向軸に対して相対的にステアリングするように構成されている、先行車輪と、自律車両の後行端に近接して配置された後行車輪であって、後行車輪は、長手方向軸に対して、先行車輪とは独立してステアリングするように構成されている、後行車輪と、1つ又は複数のプロセッサと、メモリであって、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、自律車両に対し、計画コンポーネントにおいて、自律走行車が移動するべき目的地を受信することと、計画コンポーネントにおいて、自律車両の現在の車両状態を受信することと、自律車両のモデルを使用し、目的地及び現在の車両状態に少なくとも部分的に基づいて、自律走行車の先行車輪に対する命令されたステアリング角を決定することであって、モデルは、先行車輪の第1のステアリング角が、第1のステアリング角の加法逆数である後行車輪の第2のステアリング角をもたらすように構成されることと、基準経路及び命令されたステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、自律車両の軌道を決定することと、軌道に少なくとも部分的に基づいて、自律車両を制御することと、を含む動作を実行させる指令を格納するメモリと、を含む、自律車両。
【0112】
B.例Aの自律車両であって、モデルは、自律車両の運動学的モデルであり、命令されたステアリング角は、自律車両の現在の位置に少なくとも部分的に基づく、自律車両。
【0113】
C.例A又は例Bの自律車両であって、自律車両の位置は、運動学的モデルにおいて、幅方向の速度がゼロであることを特徴とする自律車両に関連付けられた点である、自律車両。
【0114】
D.例Aから例Cのいずれか1つの自律車両であって、自律車両は、先行車輪に関連付けられた第1の軸と後行車輪に関連付けられた第2の軸を有し、点は、自律車両の先行端から自律車両の後行端まで延びる長手方向軸に沿って第1の軸及び第2の軸から等しい距離である、自律車両。
【0115】
E.例Aから例Dのいずれか1つの自律車両であって、自律車両のモデルは第1のモデルであり、軌道に少なくとも部分的に基づいて自律車両を制御することは、第2の車両モデルに少なくとも部分的に基づいて、先行車輪に対する第1のステアリング角及び後行車輪に対する第2のステアリング角を決定し、第1のモデル及び第2のモデルは、自律車両がサイドスリップを有さないと仮定することと、第1のステアリングコントローラを用いて、第1のステアリング角に従って先行車輪を制御し、第2のステアリング角に従って後行車輪を制御することと、を含む、自律車両。
【0116】
F.例Aから例Eのいずれか1つの自律車両であって、第2のモデルは、車両の動的モデルであり、第1のステアリング角及び第2のステアリング角を決定することは、先行車輪に対する第1の予測ステアリング角及び後行車輪に対する第2の予測ステアリング角を決定することと、自律車両の追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪に対する第1の調整ステアリング角及び後行車輪に対する第2の調整ステアリング角を決定することであって、第1のステアリング角が、第1の予測ステアリング角及び第1の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づき、第2のステアリング角が、第2の予測ステアリング角及び第2の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づくことと、を含む自律車両。
【0117】
G.例示的な方法であって、自律車両が移動することになる基準経路を受信することと、自律車両の先行車輪に関連付けられた現在のステアリング角を受信することと、自律車両のモデルを使用して、基準経路及び現在のステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、自律車両の先行車輪に対する命令されたステアリング角を決定することであって、先行車輪の第1のステアリング角が、第1のステアリング角の加法逆数である車両の後行車輪の第2のステアリング角をもたらすようにモデルが構成されることと、基準経路及び命令されたステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、自律車両の軌道を決定すること、を含む方法。
【0118】
H.例Gの方法であって、モデルが自律車両の運動学的モデルであり、命令されたステアリング角が自律車両の現在の位置に少なくとも部分的に基づいている、方法。
【0119】
I.例G又は例Hの方法であって、自律車両の位置は、運動学的モデルにおいて幅方向の速度がゼロを有することを特徴とする自律車両に関連付けられた点である、方法。
【0120】
J.例Gから例Iのいずれか1つの方法であって、自律車両が、先行車輪に関連付けられた第1の軸と、後行車輪に関連付けられた第2の軸を有し、点は、自律車両の先行端から自律車両の後行端まで延びる長手方向軸に沿って第1の軸及び第2の軸から等しい距離である、方法。
【0121】
K.例Gから例Jのいずれか1つの方法であって、軌道は、車両状態と、自律車両の先行車輪に対する命令されたステアリング角とを含み、軌道は後行車輪に対するステアリング角を除く、方法。
【0122】
L.例Eから例Kのいずれか1つの方法であって、自律車両のモデルは第1のモデルであり、軌道に少なくとも部分的に基づいて自律車両を制御することは、第2の車両モデルに少なくとも部分的に基づいて、先行車輪に対する第1のステアリング角と後行車輪に対する第2のステアリング角とを決定することと、第1のステアリングコントローラを用いて、第1のステアリング角に従って先行車輪を制御することと、第2のステアリングコントローラを用いて、第2のステアリング角に従って後行車輪を制御することと、含む方法。
【0123】
M.例Gから例Lのいずれか1つの方法であって、第1のステアリング角及び第2のステアリング角は、第1のステアリング角に対する第2のステアリング角の比に少なくとも部分的に基づいており、その比は、車両の現在の速度が第1の閾値速度未満であるときに負の比率であり、現在の速度が第2の閾値速度を超えるとき、正の比率である、方法。
【0124】
N.例Gから例Mのいずれか1つの方法であって、第2のモデルは、車両の動的モデルであり、第1のステアリング角及び第2のステアリング角を決定することは、先行車輪に対する第1の予測ステアリング角及び後行車輪に対する第2の予測ステアリング角を決定することと、自律車両の追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪に対する第1の調整ステアリング角及び後行車輪に対する第2の調整ステアリング角を決定することであって、第1のステアリング角が、第1の予測ステアリング角及び第1の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づき、第2のステアリング角が、第2の予測ステアリング角及び第2の調整ステアリング角に少なくとも基づく、方法。
【0125】
O.例Gから例Nのいずれか1つの方法であって、自律車両の軌道を決定することは、1つ又は複数の車両状態を決定することを含み、第1の調整ステアリング角及び第2の調整ステアリング角は、車両の現在の状態と1つ又は複数の車両状態との間の追跡誤差に少なくとも部分的に基づいている、方法。
【0126】
P.例Gから例Oのいずれか1つの方法であって、追跡誤差は、幅方向のオフセット及び角度のオフセットを含み、第1の調整ステアリング角及び第2の調整ステアリング角を決定することは、幅方向のオフセット及び角度のオフセットを最小化することに少なくとも部分的に基づいている、方法。
【0127】
Q.1つ又は複数の例示的な非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、自律車両が走行すべき基準経路を受信することと、自律車両の先行車輪に関連付けられた現在のステアリング角を受信することと、自律車両のモデルを使用し、基準経路及び現在のステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、自律車両の先行車輪のための命令されたステアリング角を決定することであって、先行車輪の第1のステアリング角が、第1のステアリング角の加法逆数である車両の後行車輪の第2のステアリング角をもたらすように構成されたモデルであることと、基準経路及び命令されたステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、自律車両の軌道を決定することと、を含む動作を実行する命令を格納する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0128】
R.例Qの非一時的コンピュータ可読媒体であって、モデルが自律車両の運動学的モデルであり、命令されたステアリング角が自律車両の現在の位置に少なくとも部分的に基づいており、自律車両の位置が、運動学的モデルにおいて幅方向の速度がゼロを有すると特徴付けられる点である、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0129】
S.例Q又は例Rの非一時的コンピュータ可読媒体であって、自律車両は、先行車輪に関連付けられた第1の軸及び後行車輪に関連付けられた第2の軸を有し、点は、自律車両の先行端から自律車両の後行端まで延びる長手方向軸に沿って第1の軸及び第2の軸から等しい距離である、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0130】
T.例Qから例Sのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読媒体であって、自律車両のモデルは第1のモデルであり、軌道に少なくとも部分的に基づいて自律車両を制御することは、第2の車両モデルに少なくとも部分的に基づいて、先行車輪に対する第1のステアリング角と後行車輪に対する第2のステアリング角とを決定することと、第1のステアリングコントローラを用いて、第1のステアリング角に従って先行車輪を制御することと、第2のステアリングコントローラを用いて、第2のステアリング角に従って後行車輪を制御すること、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0131】
AA.例示的な自律車両であって、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、自律車両の軌道を受信することであって、軌跡は、自律車両が移動すべき経路と、軌道に沿って自律車両が移動すべき1つ又は複数の速度に少なくとも部分的に基づくことと、自律車両のモデルを用いて、自律車両の先行車輪をステアリングするための第1の予測先行ステアリング角及び自律車両の後行車輪をステアリングするための第2の予測ステアリング角を決定することと、自律車両の状態と軌道との間の追跡誤差を決定することと、追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪に対する第1の調整ステアリング角及び後行車輪に対する第2の調整ステアリング角を決定し、第1の調整ステアリング角及び第2の調整ステアリング角は、車両のサイドスリップ及び追跡誤差を最小化するように決定されることと、第1の予測ステアリング角及び第1の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪を制御することと、第2の予測ステアリング角及び第2の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、後行車輪を制御することと、を含む動作を自律車両に実行させる命令を格納するメモリと、を含む、自律車両。
【0132】
BB.例AAの自律車両であって、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角を決定することは、第1の予測ステアリング角に対する第2の予測ステアリング角の比に少なくとも部分的に基づいており、比は、車両の現在の速度が第1の閾値速度未満である場合に負の比率であり、現在の速度が第2の閾値速度を超える場合に正の比率である、自律車両。
【0133】
CC.例AA又は例BBの自律車両であって、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角を決定することは、自律車両についてゼロサイドスリップを仮定する定常状態の単一トラックモデルに少なくとも部分的に基づく、自律車両。
【0134】
DD.例AAから例CCのいずれか1つの自律車両であって、追跡誤差を決定することは、経路に対する自律車両の幅方向のオフセットを決定することと、自律車両の現在の方位と経路との間の角度のオフセットを決定することと、を含む、自律車両。
【0135】
EE.例AAから例DDのいずれか1つの自律車両であって、第1の調整ステアリング角及び第2の調整ステアリング角を決定することは、幅方向のオフセット及び角度のオフセットを最小化することを含む、自律車両。
【0136】
FF.例示的な方法であって、車両の軌道を受信することと、車両の位置又は向きのうちの1つ又は複数を含む車両の現在の状態を受信することと、現在の状態と軌道との間の方位の差又は位置の差のうちの1つ又は複数を含む追跡誤差を決定することと、追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、車両のダイナミクスをモデル化した車両モデルを使用して、先行車輪の第1の調整ステアリング角と後行車輪の第2の調整ステアリング角を決定することと、第1の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪の第1のステアリング角を制御することと、第2の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、後行車輪の第2のステアリング角を制御することと、を含む、方法。
【0137】
GG.例FFの方法であって、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角を決定することは、第1の予測ステアリング角に対する第2の予測ステアリング角の比に少なくとも部分的に基づいている、方法。
【0138】
HH.例FF又は例GGの方法であって、第2の予測ステアリング角及び第1の予測ステアリング角との比が、車両の現在の速度が第1の閾値速度未満である場合に負の比率であり、現在の速度が第2の閾値速度を超える場合に正の比率である、方法。
【0139】
II.例FFから例HHのいずれか1つの方法であって、比は、第1の閾値速度より低い速度で減少し、比は第2の閾値速度より高い度で増加する、方法。
【0140】
JJ.例FFから例IIのいずれか1つの方法であって、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角は、車両のゼロサイドスリップを仮定する車両の動的モデルに少なくとも部分的に基づいている、方法。
【0141】
KK.例FFから例JJのいずれか1つの方法であって、動的モデルは動的自転車モデルであり、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角は、先行車輪又は後行車輪の少なくとも1つを構成するタイヤのコーナリング剛性及びタイヤの摩擦係数の1つ又は複数に少なくとも部分的に基づいて決定される、方法。
【0142】
LL.例FFから例KKのいずれか1つの方法であって、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角は、車両の質量、車両の重心から先行車輪に関連付けられた第1の回転軸までの第1の距離、及び車両の重心から後行車輪に関連付けられた第2の回転軸までの第2の距離に少なくとも部分的に基づいてさらに決定される、方法。
【0143】
MM.例FFから例LLのいずれか1つの方法であって、車両の先行車輪をステアリングするための第1の予測ステアリング角を決定することと、後行車輪の修正ステアリング角をステアリングするための第2の予測ステアリング角を決定することと、を含む、方法。
【0144】
NN.例FFから例MMのいずれか1つの方法であって、先行車輪を制御することは、第1の予測ステアリング角と第1の調整ステアリング角との和を含む先行車輪制御角に従って先行車輪を制御することを含み、後行車輪を制御することは、第2の予測ステアリング角と第2の調整ステアリング角との和を含む後行車輪制御角に従って後行車輪を制御することを含む、方法。
【0145】
OO.例FFから例NNのいずれか1つの方法であって、第1の予測ステアリング角は先行車輪フィードフォワードステアリング角であり、第1の調整ステアリング角は先行車輪フィードバックステアリング角であり、第2の予測ステアリング角は後行車輪フィードフォワードステアリング角であり、第2の調整ステアリング角は後行車輪フィードバックステアリング角である、方法。
【0146】
PP.例示的な非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、車両の現在の状態及び車両の軌道に少なくとも部分的に基づいて、車両の先行車輪をステアリングするための第1の予測ステアリング角及び車両の後行車輪をステアリングするための第2の予測ステアリング角を決定することと、車両の状態と軌道との間の追跡誤差を決定することと、追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪に対する第1の調整ステアリング角と後行車輪に対する第2の調整ステアリング角を決定することと、第1の予測ステアリング角と第1の調整ステアリング角の和に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪の第1のステアリング角を制御することと、第2の予測ステアリング角と第2の調整ステアリング角の和に少なくとも部分的に基づいて、後行車輪の第2のステアリング角を制御することと、を含む動作を実行する指令を格納する1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0147】
QQ.例PPの非一時的コンピュータ可読媒体であって、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角は、車両の動的モデルに少なくとも部分的に基づいている、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0148】
RR.例PP又は例QQの非一時的コンピュータ可読媒体であって、動的モデルは動的自転車モデルであり、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角は、先行車輪又は後行車輪の少なくとも1つを構成するタイヤのコーナリング剛性及びタイヤの摩擦係数の1つ又は複数に少なくとも部分的に基づいて決定される、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0149】
SS.例PPから例RRのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読媒体であって、追跡誤差を決定することは、経路に対する自律車両の幅方向のオフセットを決定することと、車両の現在の方位と軌道との間の角度のオフセットを決定することと、第1の調整ステアリング角及び第2の調整ステアリング角を決定することであって、幅方向のオフセット及び角度のオフセットを最小化することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0150】
TT.例PPから例SSのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読媒体であって、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角を決定することは、第1の予測ステアリング角に対する第2の予測ステアリング角の比に少なくとも部分的に基づいており、比は、現在の速度が第1の閾値速度未満である場合に負の比率となり、現在の速度が第2の閾値を超える場合に正の比率となる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0151】
AAA.例示的な自律車両であって、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、自律車両のための軌道を受信することであって、軌道は、自律車両が移動すべき経路に少なくとも部分的に基づくことと、自律車両の先行車輪をステアリングするための第1の予測先行ステアリング角と、自律車両の後行車輪をステアリングするための第1の予測後行ステアリング角を決定することであって、第1の予測先行ステアリング角及び第1の予測後行ステアリング角は、車両モデルに基づいて決定され、第1の定常状態の車両サイドスリップを有することを決定することと、第1の予測先行ステアリング角が先行車輪に関連付けられた第1の最大ステアリング角を超えること、又は第1の予測後行ステアリング角が後行車輪に関連付けられた第2の最大ステアリング角を超えることのうちの少なくとも1つを決定することと、先行車輪をステアリングするための第2の予測先行ステアリング角及び後行車輪をステアリングするための第2の予測後行ステアリング角を決定することであって、第2の予測先行ステアリング角及び第2の予測後行ステアリング角は、車両モデルに基づいて決定され、第1の定常状態の車両サイドスリップよりも大きい第2の定常状態の車両サイドスリップを有することと、第2の予測先行車輪ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪を制御することと、第2の予測後行車輪ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、後行車輪を制御することと、を含む動作を自律車両に実行させる命令を格納するメモリと、を含む自律車両。
【0152】
BBB.例AAAの自律車両であって、動作は、自律車両の状態と軌道との間の追跡誤差を決定することと、追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪に対する先行車輪調整ステアリング角と後行車輪のための後行車輪調整ステアリング角を決定することと、をさらに含む、自律車両。
【0153】
CCC.例AAA又は例BBBの自律車両であって、動作は、第2の予測後行ステアリング角と後行車輪調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、先行車輪調整角を決定すること、又は、第2の予測先行車輪ステアリング角と先行車輪調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、後行車輪調整角を決定することであって、先行車輪調整角又は後行車輪調整角の少なくとも一方は、飽和事象中に車両の安定性を維持するように決定されることと、のうちの少なくとも一方をさらに含む、自律車両。
【0154】
DDD.例AAAから例CCCのいずれか1つの自律車両であって、先行車輪を制御することは、第2の予測先行車輪ステアリング角、先行車輪調整ステアリング角、及び先行車輪修正角の合計を含む第1の命令されたステアリング角に従って先行車輪をステアリングすることを含むこと、又は、後行車輪を制御することは、第2の予測後行車輪ステアリング角、後行車輪調整ステアリング角、及び後続車輪修正角の合計を含む第2の命令されたステアリング角に従って後続車輪をステアリングすることを含むこと、の少なくとも一方である、自律車両。
【0155】
EEE.例AAAから例DDDのいずれか1つの自律車両であって、第1の定常状態の車両サイドスリップはゼロであり、第2の定常状態の車両サイドスリップはゼロではなく、第2の定常状態のサイドスリップは、フィードフォワード先行ステアリング角と第1の最大ステアリング角の間の第1の差、又はフィードフォワード後行ステアリング角と第2の最大ステアリング角の間の第2の差に少なくとも部分的に基づく、自律車両。
【0156】
FFF.例示的な方法であって、第1の車両モデルに基づいて車両の第1の車輪をステアリングするための第1の予測ステアリング角を決定することであって、第1の定常状態の車両サイドスリップを有することと、第1の車両モデルに基づいて、車両の第2の車輪をステアリングするための第2の予測ステアリング角を決定することであって、第1の定常状態の車両サイドスリップを有することと、第1の予測ステアリング角が第1の車輪に関連付けられた最大ステアリング角を超えることに少なくとも部分的に基づいて、第2の車輪をステアリングするための第3の予測ステアリング角を決定することであって、第3の予測ステアリング角は、車両モデルに基づいて決定され、第1の定常状態の車両サイドスリップよりも大きい第2の定常状態の車両サイドスリップを有することと、最大ステアリング角の少なくとも一部に基づいて第1の車輪をステアリングすることと、第3の予測ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて第2の車輪をステアリングすることと、を含む、方法。
【0157】
GGG.例FFFの方法であって、第1の定常状態の車両サイドスリップがゼロであり、第2の定常状態の車両サイドスリップがゼロではない、方法。
【0158】
HHH.例FFF又は例GGGの方法であって、第1の車輪が車両の先行車輪であり、第2の車輪が車両の後行車輪である、方法。
【0159】
III.例FFFから例HHHのいずれか1つの方法であって、車両に関する状態情報を受信することと、状態情報に基づいて、車両の現在の状態と軌道との間の追跡誤差を決定することと、追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、第1の車輪のための第1の調整ステアリング角又は第2の車輪のための第2の調整ステアリング角のうちの1つ又は複数を決定することと、をさらに含む、方法。
【0160】
JJJ.例FFFから例IIIのいずれか1つの方法であって、追跡誤差は、車両の計画経路に対する車両の幅方向のオフセットと、車両の現在の方位と計画経路との間の角度のオフセットを含む、方法。
【0161】
KKK.例FFFから例JJJのいずれか1つの方法であって、最大ステアリング角と第2の調整ステアリング角とに少なくとも部分的に基づいて、第1の車輪修正角を決定すること、又は、第3の予測ステアリング角及び第1の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、第2の車輪修正角を決定することであって、第1の車輪修正角又は第2の車輪修正角の少なくとも1つは、飽和事象中に車両の安定性を維持するように決定されることと、さらに含む、方法。
【0162】
LLL.例FFFから例KKKのいずれか1つの方法であって、第2の車輪を制御することは、第3の予測ステアリング角、第2の車輪調整ステアリング角、及び第2の車輪修正角の合計を含む第2の車輪命令ステアリング角に従って第2の車輪をステアリングすることを含む、方法。
【0163】
MMM.例FFFから例LLLのいずれか1つの方法であって、第1の車輪を制御することは、第1の車輪を最大ステアリング角に従ってステアリングすることを含む、方法。
【0164】
NNN.例FFFから例MMMのいずれか1つの方法であって、第1の予測ステアリング角及び第2の予測ステアリング角を決定することは、第1の予測ステアリング角に対する第2の予測ステアリング角の比に少なくとも部分的に基づく、方法。
【0165】
OOO.例FFFから例NNNのいずれか1つの方法であって、第2の予測ステアリング角の第1の予測ステアリング角に対する比は、車両が第1の閾値速度未満で移動している場合に負の比率となり、車両が第1の閾値速度よりも高い第2の閾値速度程度で移動している場合に正の比率となることを含む、方法。
【0166】
PPP.例示的な非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、第1の車両モデルに基づいて、第1の定常状態の車両サイドスリップを有する車両の第1の車輪をステアリングするための第1の予測ステアリング角を決定することと、第1の車両モデルに基づいて、車両の第2の車輪をステアリングするための第2の予測ステアリング角を決定し、第1の定常状態の車両のサイドスリップを有することと、第1の予測ステアリング角が第1の車輪に関連付けられた最大ステアリング角を超えることに少なくとも部分的に基づいて、第2の車輪をステアリングするための第3の予測ステアリング角を決定することであって、第3の予測ステアリング角は、車両モデルに基づいて決定され、第1の定常状態の車両サイドスリップよりも大きい第2の定常状態の車両サイドスリップを有することと、最大ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、第1の車輪をステアリングすることと、第3の予測ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、第2の車輪をステアリングすることと、を含む動作を実行する指令を格納する1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0167】
QQQ.例PPPの非一時的コンピュータ可読媒体であって、第1の定常状態の車両サイドスリップはゼロであり、第2の定常状態の車両サイドスリップはゼロではない、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0168】
RRR.例PPP又は例QQQの非一時的コンピュータ可読媒体であって、動作は、車両に関する状態情報を受信することと、状態情報に基づいて、車両と軌道との間の追跡誤差を決定することと、追跡誤差に少なくとも部分的に基づいて、第1の車輪のための第1の調整ステアリング角と第2の車輪のための第2の調整ステアリング角を決定することと、をさらに含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0169】
SSS.例PPPから例RRRのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読媒体であって、動作は、最大ステアリング角と第2の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、第1の車輪修正角を決定すること、又は、第3の予測ステアリング角及び第1の調整ステアリング角に少なくとも部分的に基づいて、第2の車輪修正角を決定することであって、第1の車輪修正角又は第2の車輪修正角の少なくとも一方は、飽和事象中に車両の安定性を維持するように決定されることとをさらに含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0170】
TTT.例PPPから例SSSのいずれか1つの非一時的コンピュータ可読媒体であって、第2の車輪を制御することは、第3の予測ステアリング角、第2の車輪調整ステアリング角、及び第2の車輪修正角の合計を含む第2の車輪命令ステアリング角に従って第2の車輪をステアリングすることを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0171】
構造的特徴及び/又は方法論的行為に特有の言語で主題を説明してきたが、添付の請求項に定義される主題は、必ずしも説明された特定の特徴又は行為に限定されないことが理解される。むしろ、特定の特徴及び行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
【0172】
本明細書で述べられるモジュールは、任意のタイプのコンピュータ可読媒体に格納されることができ、ソフトウェア及び/又はハードウェアで実装することができる指令を表す。上述した方法及びプロセスの全ては、1つ又は複数のコンピュータ若しくはプロセッサ、ハードウェア、又はそれらのいくつかの組み合わせによって実行されるソフトウェアコードモジュール及び/又はコンピュータ実行可能指令において具現化することができ、それらを介して完全に自動化することができる。方法の一部又は全部は、代替的に、特殊なコンピュータハードウェアで具現化することができる。
【0173】
特に、「できる」、「できた」、「得る」又は「してよい」などの条件付き言語は、特に断らない限り、文脈内で、特定の例が特定の特徴、要素及び/又はステップを含み、他の例が含まないことを提示すると理解される。したがって、このような条件付き言語は、一般に、特定の特徴、要素及び/又はステップが1つ又は複数の例に何らかの形で必要であること、又は1つ又は複数の例が、特定の特徴、要素及び/又はステップが任意の特定の例に含まれるか又は実行されるべきかを、ユーザー入力又はプロンプトの有無にかかわらず決定するロジックを必ず含むことを意味することを意図していない。
【0174】
「X、Y、又はZの少なくとも1つ」のような接続語は、特に断らない限り、項目、用語などがX、Y、又はZのいずれか、又は各要素の倍数を含むそれらの任意の組み合わせであり得ることを示すと理解されるものとする。単数形として明示的に記述されていない限り、「a」は単数形及び複数形を意味する。
【0175】
本発明の1つ又は複数の例を説明したが、その様々な変更、追加、置換、等価物は本発明の範囲に含まれるものである。
【0176】
実施形態の説明において、本明細書の一部を構成する添付図面を参照し、これは、請求された主題の特定の実施形態を例示的に示すものである。他の実施形態が使用されてもよく、構造的な変更などの変更又は改変がなされてもよいことが理解される。そのような実施形態、変更又は修正は、意図された請求項の主題に関する範囲から必ずしも逸脱するものではない。本明細書における手順は、ある順序で提示され得るが、場合によっては、説明されたシステム及び方法の機能を変更することなく、ある入力を異なる時間又は異なる順序で提供するように順序を変更することが可能である。また、開示された手順は、異なる順序で実行され得る。さらに、本明細書にある様々な計算は、開示された順序で実行される必要はなく、計算の代替順序を使用する他の実施形態が容易に実装され得る。順序を変更することに加えて、計算は、同じ結果を有するサブ計算に分解されることも可能である。
【0177】
本明細書に記載され、添付図に描かれたフロー図における任意のルーチン記述、要素又はブロックは、ルーチン内の特定の論理機能又は要素を実行するための1つ又は複数のコンピュータ実行可能指令を含むコードのモジュール、セグメント又は部分を表す可能性があると理解されるべきである。代替の実装は、当業者に理解されるように、関係する機能に応じて、要素又は機能を削除することができ、又は実質的に同期又は逆の順序を含む、示された又は議論されたものとは異なる順序で実行される、本明細書に記載される例の範囲に含まれる。
【0178】
上述した例に多くの変形及び修正を加えることができることを強調されるべきであり、その要素は他の許容可能な例の中にあるものとして理解されるものである。全てのそのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれ、以下の請求項によって保護されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】