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特表2023-5321638-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの非晶質固体分散物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの非晶質固体分散物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20230720BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230720BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230720BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230720BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20230720BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230720BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230720BHJP
   A61K 47/30 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 47/16 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A61K31/47
A61P29/00
A61P35/00
A61P31/12
A61P31/18
A61P31/14
A61K9/06
A61K9/02
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/26
A61K47/40
A61K47/10
A61K47/34
A61K47/30
A61K47/16
A61K47/22
A61K47/38
A61K47/12
A61K9/70 401
A61K9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546122
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2021052163
(87)【国際公開番号】W WO2021152129
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】20305089.3
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20306410.0
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】515048803
【氏名又は名称】アビバックス
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】515085211
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド モンペリエ
(71)【出願人】
【識別番号】506413937
【氏名又は名称】アンスティテュート キュリー
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】メネゴット,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ドニ,ジェローム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA54
4C076AA56
4C076AA69
4C076AA72
4C076AA93
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC27
4C076CC35
4C076DD09
4C076DD42
4C076DD43
4C076DD54
4C076DD67
4C076EE07
4C076EE10
4C076EE11
4C076EE13
4C076EE16
4C076EE22
4C076EE23
4C076EE32
4C076EE33
4C076EE39
4C076EE48
4C076FF34
4C076GG03
4C076GG05
4C076GG09
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA31
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA11
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、ABX464と医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含む非晶質固体分散物に関する。本発明はまた、上記のASDを含む医薬組成物、それらの調製方法、特定の方法によって得られうるASD、医薬としてのそれらの使用、より特には、炎症性疾患、ウイルスによって引き起こされる疾病、及び/又は癌若しくは異形成の処置及び/又は予防におけるそれらの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含む非晶質固体分散物。
【請求項2】
前記医薬的に許容される担体が、ポリマー、糖、酸、界面活性剤、シクロデキストリン若しくはシクロデキストリン誘導体、ペンタエリスリトール、四酢酸ペンタエリスリチル、尿素、ウレタン、ヒドロキシアルキルキサンチン及びそれらの混合物から選択され、特には、ポリマー、酸、界面活性剤、尿素及びそれらの混合物から選択され、より特には、ポリマー、酸、界面活性剤、及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の非晶質固体分散物。
【請求項3】
前記医薬的に許容される担体が、
N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロースサクシネート、ポリメタクリレート、及びそれらの混合物から選択されるポリマー、特には、ポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、及びそれらの混合物から選択されるポリマー、より特には、ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、及びそれらの混合物から選択されるポリマー、ここで、なおより特にはコポビドンである、又は、
ツイーン(Tweens)から選択される界面活性剤、ここで、特にはツイーン(Tween)80である、又は
クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸又はそれらの混合物の組み合わせから選択される酸、ここで、より特にはクエン酸である、
である、請求項1又は2に記載の非晶質固体分散物。
【請求項4】
前記非晶質固体分散物は、均一な一相系を形成するガラス溶液であり、及び、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩は非晶質形態下にある、請求項1~3のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物。
【請求項5】
8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と該医薬的に許容される1以上の担体との重量比が、1:20~1:0.5、特には1:10~1:1、より特には1:2~1:1.5、の範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物。
【請求項6】
8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩が、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対して、5重量%~70重量%、特には30重量%~40重量%、より特には33重量%~37重量%、の量である、請求項1~5のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物。
【請求項7】
前記医薬的に許容される1以上の担体が、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対して、30重量%~95重量%、特には60重量%~70重量%、より特には63重量%~67重量%、の量である、請求項1~6のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物。
【請求項8】
前記医薬的に許容される担体が、任意的に1以上の酸及び/又は1以上の界面活性剤と混和していてもよい請求項2及び3に定義された1以上のポリマーであり、ここで、該酸は、特には、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸又はそれらの混合物、より特にはクエン酸、であり、及び該界面活性剤は、特にはツイーン(Tween)、より特にはツイーン(Tween)80、である、請求項1~7のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物を製造する方法であって、
a)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩を、1種類の適切な溶媒又は複数種類の適切な混合溶媒に溶解して、溶液を得ること;
b)このようにして得られた工程a)の該溶液に、請求項1~8のいずれか1項に定義されている医薬的に許容される少なくとも1つの担体を添加すること;
c)任意的に、工程b)で得られた混合物を混合すること;及び、
d)1以上の該溶媒を蒸発させて、該非晶質固体分散物を用意すること
の工程を含む、前記方法。
【請求項10】
工程a)の適切な溶媒が、該医薬的に許容される担体及びABX464又はその塩の両方を溶解することができる任意の揮発性溶媒であり、特には、該適切な溶媒は、C1~C6アルコール、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル及びそれらの混合物から選択され、より特には、C1~C4モノアルコール、ジクロロメタン及びそれらの混合物から選択され、更により特には、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、及びそれらの混合物から選択され、更により特にはメタノールである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記蒸発の工程d)が、噴霧-乾燥、又は溶媒蒸発法、特には噴霧-乾燥、によって実行される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
a)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、請求項1~8のいずれか1項に記載の、医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを混合して粉末混合物を得ること;
b)工程a)で得られた該粉末混合物をホットメルト押出機中に導入して、非粉末の非晶質固体分散物物質を得ること;
c)次に、このようにして得られた非粉末の非晶質固体分散物物質が粉砕されて、非晶質固体分散物粉末を得ること
の工程を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物の調製の方法。
【請求項13】
8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法に従って得られうる非晶質固体分散物。
【請求項14】
請求項1~8及び13のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物であって、特に、錠剤、カプセル、丸薬、トローチ(lozenges)、チューインガム、粉末、顆粒、坐剤、エマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、例えば水性溶液、懸濁物、例えば水性懸濁物、シロップ、エリキシル、軟膏、ドロップ、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、噴霧剤、吸入剤又はパッチの形態下にある、前記医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物が、カプセル又は、請求項1~8及び13のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物によって且つ少なくとも1つの粒内賦形剤によって形成されるところの顆粒を含む錠剤であり、ここで、該顆粒は、少なくとも1つの粒外賦形剤と共に圧縮されている、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の医薬組成物を調製する為の方法であって、
a)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩を、1種類の適切な溶媒又は複数種類の適切な混合溶媒に溶解して、溶液を得ること;
b)このようにして得られた工程a)の該溶液に、請求項1~8のいずれか1項に定義されている医薬的に許容される少なくとも1つの担体を添加すること;
c)任意的に、工程b)で得られた混合物を混合すること;
d)1以上の該溶媒を蒸発させて、該非晶質固体分散物を提供すること;
e)工程d)の該非晶質固体分散物を1以上の賦形剤と一緒に混合して該医薬組成物を得ること;及び
f)コーティングされた医薬組成物が必要とされる場合、任意的に、このようにして得られた該医薬組成物をコーティングすること
の工程を含む、前記方法。
【請求項17】
医薬品としての使用の為の、請求項1~8及び13のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物、又は請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
炎症性疾患の処置及び/又は予防における使用の為の、請求項1~8及び13のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物、又は請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
癌の処置及び/又は予防における使用の為の、請求項1~8及び13のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物、又は請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか1項に記載の使用の為の、非晶質固体分散物又は医薬組成物であって、患者の血液及び/又は組織サンプル中のmiR-124の存在及び/又は発現レベルが、特に該使用の有効性及び/又は該使用に対する応答を監視する為に、該使用の前及び/又は該使用中に測定される、前記非晶質固体分散物又は医薬組成物。
【請求項21】
ウイルスによって、特にレトロウイルスによって、より特にはHIVによって、引き起こされる疾病の処置及び/又は予防に使用する為の、より特には、ウイルス、特にはHIV又はウイルスに関連した状態、によって感染された患者におけるウイルス量を、長期間にわたる効果で且つ耐性がない状態で低下させる為に使用する為の、請求項1~8及び13のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物又は請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項22】
コロナウイルス科ファミリー(Coronaviridae family)に属するウイルスによって引き起こされる疾患又はコロナウイルス感染症及びそれに関連付けられた状態、及び特には、COVID-19原因株及びその変異株を包含するSARS-CoV又はSARS-CoV-2の感染によって引き起こされる重症急性呼吸器症候群、の処置及び/又は予防において使用する為の、請求項1~8及び13のいずれか1項に記載の非晶質固体分散物又は請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項17~22のいずれか1項に記載の使用の為の、非晶質固体分散物又は医薬組成物であって、ここで、患者の血液、血漿、組織、唾液、及び/又は血清サンプル中の8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンのレベルが、該使用中に測定される、前記非晶質固体分散物又は前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬産業の分野に関し、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン((8-クロロキノリン-2-イル)-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-アミン又はABX464とまた命名される)を含む非晶質固体分散物(本明細書においてASDとまた命名される)又はその医薬的に許容される塩、該ASDを含む医薬組成物、それらの調製の方法、医薬品としてのそれらの使用、及びより特には、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、肺動脈性高血圧症、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)及び多発性硬化症、ウイルスによって引き起こされる疾患、及び/又は癌若しくは異形成の処置及び/又は予防におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2010/143169号出願書類は、化合物、特にABX464を含むキノリン誘導体又はその医薬的に許容される塩の該調製及び使用について記載している。ABX464は、現在臨床開発下にある。
【0003】
本発明者等は、ABX464が天然で高い結晶性を有するため、特定の固有の安定した結晶形態下で自発的に存在することを述べている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医薬分野では、一般に、有効成分が結晶形態の下にある製剤は、一般的な物理的安定性、API(active pharmaceutical ingredient活性医薬成分)の化学性、低吸湿性、管理試験の簡略化、該製剤の堅牢性及び実行容易性、精製工程ゆえに第一に意図される製剤である。しかしながら、該有効成分は、ABX464の場合に、溶解性の問題に直面する可能性があり、すなわち水性溶液中で低い溶解度を有する。該低い溶解度の主な欠点は、薬剤が消化器系で未溶解のままの場合に、該有効成分が体内でその目標に完全には到達できないということである。
【0005】
従って、ABX464の溶解性を向上させる新たな手段を提供する必要がある。
【0006】
本発明の概要
本発明者等は、驚くべきことに、ASD製剤へのABX464の導入が、医薬品の性能を向上させる新たな機会を提供することを見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、医薬品として及びより特には、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、肺動脈性高血圧、NASH及び多発性硬化症、ウイルスによって引き起こされる疾患、及び/又は癌若しくは異形成を処置及び/又は予防する為の両方に使用されうる、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンを含むASD、及び該ASDを含む医薬組成物を提供することが意図されている。
【0008】
ASD技術は、実験部分(XRPD(X-Ray powder diffraction;X線粉末回折)、mDSC(modulated differential scanning calorimetry;変調示差走査熱量計)及びTGA(Thermogravimetric analysis;熱重量分析)特性評価)で示されているように、100℃まで、特に80℃まで、特に少なくとも2週間の保存中、及びそれを必要とする対象における該医薬品の投与中に、ABX464を安定した非晶質形態下に維持することを可能にする。また、該ASD中のABX464の該非晶質形態が、該製品を必要とする対象(患者)への該投与後も維持され得、本発明に従うASDが、その固有の結晶形態のABX464と比較して著しく重要な溶解性を呈することが、絶食された(Fasted)及び摂食された(Fed)ヒトのイン・ビトロ(in vitro)モデルを使用した該実験部分で証明されている。更に、本発明者等は、該ASD中のABX464の負荷、より特に噴霧-乾燥工程(UV-HPLC(ultraviolet High performance liquid chromatography;紫外線-高速液体クロマトグラフィー)特性評価)後に、希望通りに維持されることを示す。
【0009】
従って、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含むASD、又はそれらからなるASDを提供する。
【0010】
1つの実施態様に従うと、ASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩、1つ以上の医薬的に許容される1以上の担体、及び更なる溶媒又は成分、例えば、水及び/又は溶媒、例えばメタノール、を含みうる。
【0011】
該実験部分(実施例6を参照)は、高速蒸発プロセスでもたらされたABX464 ASDの合成と、様々な担体とのそれらの物理的安定性(24時間を超える)を示す。該ASDの該合成にとって専用の残存溶媒及び/又は水の存在下でさえ、及び吸湿性雰囲気下でさえ、該形成されたASDは安定性を保つことが該実施例において更に実証されている。言い換えれば、特許請求の範囲に記載されているASDはまた、実際には、例えば、該ABX464及び該1以上の担体に加えて、溶媒、例えば水を包含する溶媒、を含みうる。
【0012】
実施例4はまた、残存する水及び/又は溶媒の該存在下においてさえ、本発明に従うASDが安定なままであることを示す。
【0013】
水及び/又は1以上の溶媒が本発明に従うASD中に存在する場合に、それらは、該ASDの総重量に対して、0.5重量%以上から10重量%以下の量で、好ましくは5重量%未満の量で、より好ましくは3重量%未満の量で、更により好ましくは2重量%未満の量で、存在することが理解されなければならない。
【0014】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩、及び1つ以上の医薬的に許容される1以上の担体から排他的になりうる。この特定の実態態様において、水及び/又は1以上の溶媒は、該ASDの該総重量に対して0.5重量%未満の量で存在しうる。
【0015】
本明細書において下記のものがまた提供される:
本発明において定義されている該ASDを含む医薬組成物、
本発明において定義されている該ASD及び該医薬組成物を調製する方法、
本開示に従う方法により得られうる8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含む非晶質固体分散物;
薬剤としての使用の為の、本発明において定義されている該ASD及び該医薬組成物;
炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、肺動脈性肺高血圧症、NASH及び多発性硬化症、ウイルスによって引き起こされる疾患、及び/又は癌若しくは異形成を処置及び/又は予防する為の使用の為の、本発明において定義されている該ASD及び該医薬組成物。
【0016】
本明細書において使用される場合、語「医薬的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合ったうえで、過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題の合併症なしに、ヒト及び動物の組織との接触に適している化合物、原料、賦形剤、担体、アジュバント、ビヒクル、組成物又は投与形態を云う。
【0017】
本発明の文脈において、語「処置する」又は「処置」は、本明細書において使用される場合、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、肺動脈性高血圧症、NASH及び多発性硬化症、ウイルスによって引き起こされる疾患、及び/又は癌若しくは異形成を、逆転、緩和、進行抑制又は予防することを意味する。
【0018】
語「予防する」は、本明細書において使用される場合、所定の現象、すなわち本発明において、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、肺動脈性肺高血圧症、NASH及び多発性硬化症、ウイルスによる疾患及び/又は癌若しくは異形成の発症のリスクを低減又は発生の速度を遅くすることを意味する。本明細書において使用される場合、「予防する」はまた、「発生の可能性を減少させる」又は「再発の可能性を減少させる」ことを包含する。
【0019】
本明細書において使用される場合、語「周囲温度」又は「室温」は、15℃~30℃、より特に18℃~25℃、の範囲の温度を云う。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a図1aは、ABX464の100x倍率でのSEM画像を示す(実施例2.3を参照)。
図1b図1bは、ABX464の1000x倍率でのSEM画像を示す(実施例2.3を参照)。
図2a図2aは、噴霧-乾燥(t=0時間)による調製後のABX464:VA64 SDDの10kx倍率でのSEM顕微鏡写真を示す(実施例2.3を参照)。
図2b図2bは、噴霧-乾燥(t=0時間)による調製後のABX464:VA64 SDDの1.5kx倍率でのSEM顕微鏡写真を示す(実施例2.3を参照)。
図2c図2cは、噴霧-乾燥(t=0時間)による調製後のABX464:K30 SDDの10kx倍率でのSEM顕微鏡写真を示す(実施例2.3を参照)。
図2d図2dは、噴霧-乾燥(t=0時間)による調製後のABX464:K30 SDDの1.5kx倍率でのSEM顕微鏡写真を示す(実施例2.3を参照)。
図3図3は、ABX464:VA64(中央の回折図)及びABX464:K30(上の回折図)の2つの異なるASDと、ABX464の固有の結晶形態(下の回折図)のXRPD回折図を示す(実施例2.2を参照)。
図4図4は、PVP K30での35/65重量比(ABX464薬剤負荷35重量%時)ASDについて記録された可逆的M-DSCパターンを示す(実施例2.2を参照)。
図5図5は、PVP-VA64での35/65重量比(ABX464薬剤負荷35重量%時)ASDについて記録された可逆的M-DSCパターンを示す(実施例2.2を参照)。
図6図6は、該ABX464:VA64 ASD(真ん中の線、丸印)、ABX464:K30 SDD(下の線、ひし形)及び固有の結晶形態の該ABX464(上の線、十字)について得られた%重量損失を示すTGAサーモグラフィを示す(実施例2.4を参照)。
図7図7は、ABX464:VA64 ASD(上の線、四角)及びその固有の結晶形態のABX464(下の線、三角)の2段階溶解/沈殿 絶食されたヒト“イン・ビトロ(in vitro)”モデルを示す図である(実施例3を参照)。
図8図8は、ABX464:VA64 ASD(上の線、四角)及びその固有の結晶形態のABX464(下の線、三角)の2段階溶解/沈殿摂食ヒト“イン・ビトロ(in vitro)”モデルを示す図である(実施例3を参照)。
図9図9は、NaCl(上の線、すなわち1番目の線)、絶食されたヒトのイン・ビトロ(in vitro)モデル終了時の懸濁物中のABX464:VA64 ASD、すなわちFassif(2番目の線)、摂食ヒトイン・ビトロ(in vitro)モデル終了時の懸濁物中のABX464:VA64 ASD、すなわちFessif(3番目の線)、及び固有の結晶形態のABX464(下の線、すなわち4番目の線)の模擬腸コンパートメント(simulated intestinal compartment)におけるXRPD回折図を示す(実施例3を参照)。
図10図10は、固有の結晶形態のABX464(下の線)と、2つの異なるストレス条件(それぞれ25℃の温度及び60%相対湿度(中線);及び40℃の温度及び75%相対湿度(上の線))にさらされたABX464:VA64 ASDのXRPD回折図を示す。これらの回折図は、これらのストレス条件下で2週間後に実行されている。(実施例4を参照)。
図11図11は、固有の結晶形態のABX464(下の線)と、2つの異なるストレス条件(それぞれ25℃の温度及び60%相対湿度(中線);及び40℃の温度及び75%相対湿度(上の線))にさらされたABX464:K30 ASDのXRPD回折図を示す。これらの回折図は、これらのストレス条件下で2週間後に実行されている。(実施例4を参照)。
図12図12は、真空下40℃で24時間保存した後のABX464:Eudragit L100-55 ASDのXRPD回折図を示す(実施例6、調製物1を参照)。
図13図13は、真空下40℃で24時間保存した後のABX464:HPMCAS-MF ASDのXRPD回折図を示す(実施例6、調製物2を参照)。
図14図14は、高速蒸発直後(下の線)、真空下40℃で24時間保存後(中線)、真空下40℃で24時間保存後に75%相対湿度(RH)下の室温(RT)で24時間保存後(上の線)のABX464:VA64:K30 ASDのXRPD回折図を示す(実施例6、調製物4を参照)。
図15図15は、高速蒸発直後(下の線)、真空下40℃で24時間保存後(中線)、真空下40℃で24時間保存後に75%相対湿度(RH)下の室温(RT)で24時間保存後(上の線)のABX464:VA64:クエン酸ASDのXRPD回折図を示す(実施例6、調製物5を参照)。
図16図16は、真空下40℃で24時間保存後のABX464:K30:クエン酸ASDのXRPD回折図を示す(実施例6、調製物6を参照)。
図17図17は、真空下40℃で24時間保存後のABX464:VA64:ツイーン(Tween)80 ASDのXRPD回折図を示す(実施例6、調製物8を参照)。
図18図18は、高速蒸発直後(下の線)、真空下40℃で24時間保存後(中線)、真空下40℃で24時間保存後に75%相対湿度(RH)下の室温(RT)で24時間保存後(上の線)のABX464:VA64:HPMCAS-MF ASDのXRPD回折図を示す(実施例6、調製物9を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に従う非晶質固体分散物
上記されている通り、ここでは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩、及び医薬的に許容される少なくとも1つの担体を含むASDが提供される。
【0022】
本発明の文脈において、
「ASD」は、ガラス溶液、すなわちABX464(有効医薬品成分又はAPI)が非晶質形態下にあることを意味する。該医薬的に許容される担体がまた、該ABX464分子(溶質分子)が分子的に分散された非晶質形態下にある。従って、ガラス溶液は、均質な一相系を形成する。本発明の該意味でのASDは、次の2つの側面:分子間相互作用及び分子移動度、の2つ又は1つのみの存在に依存して、3つのカテゴリーを包含している。これらの3つのタイプは、共晶質ASD、非晶質固溶体、及び安定化ASDと呼ばれる。
「共晶質ASD」は、このASDを形成する成分間の強い分子間相互作用を有するが分子移動度が高いASDである。
「非晶質固溶体」は、低い分子移動度を有するがこのASDを形成する該成分間の非常に弱い分子間相互作用を有するASDである。
「安定化ASD」は、低い分子移動度を有するがこのASDを形成する該成分間の強い分子間相互作用を有するASDである。
「非晶質」は、結晶性でない固体化合物又は固体化合物の混合物を云う。非晶質化合物又は非晶質化合物の混合物は、長距離秩序を持たず、短距離秩序のみを示すため、反射を伴う明確なX線回折パターンを示さず、幅広い散乱となるだけである。
「マトリックス」は、粉末でない均質な固形原料を云う。
「ABX464:VA64」は、ABX464及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーを該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(二元混合物)。
「ABX464:K30」は、ABX464及びポリビニルピロリドンを該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(二元混合物)。
「ABX464:Eudragit L100-55」は、ABX464及びポリ(メタクリル酸-コエチルアクリレート)1:1を該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(二元混合物)。
「ABX464:HPMCAS-MF」は、ABX464及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(微細粒子径のグレードM及びF)を該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(二元混合物)。
「ABX464:VA64:K30」は、ABX464と、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー及びポリビニルピロリドンとを該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(三元混合物)。
「ABX464:VA64:クエン酸」は、ABX464と、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー及びクエン酸を該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(三元混合物)。
「ABX464:K30:クエン酸」は、ABX464と、ポリビニルピロリドン及びクエン酸を該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(三元混合物)。
「ABX464:VA64:ツイーン(Tween)80」は、ABX464と、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー及びツイーン(Tween)80を該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(三元混合物)。
「ABX464:VA64:HPMCAS-MF」は、ABX464と、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(微細粒子径のグレードM及びF)を該医薬的に許容される担体として含むASDの略称である(三元混合物)。
【0023】
従って、本発明に従うASDは、上記された該3つのタイプを包含する。
【0024】
1つの実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含む共晶質ASDに、又はそれらからなる共晶質ASDに関する。
【0025】
別の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び医薬的に許容される少なくとも1つの担体を含む非晶質固溶体、又はそれらからなる非晶質固溶体に関する。
【0026】
別の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び医薬的に許容される少なくとも1つの担体を含む安定化ASD、又はそれらからなる安定化ASDに関する。
【0027】
以下に詳述されるように、該医薬的に許容される担体の性質は、得られたASDの性質(共晶質ASD、安定化ASD又は非晶質固溶体)の役割を果たしてもよい。
【0028】
特定の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と医薬的に許容される少なくとも1つの担体とからなる非晶質固体分散物に関する。
【0029】
別の特定の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び少なくとも1つの医薬的に許容されるポリマーを含む、又はそれらからなる、非晶質固体分散物に関する。
【0030】
8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン及びその塩
前述のように、本発明に従うASDは、ABX464又はその医薬的に許容される塩を含む。
【0031】
本明細書において使用される場合、語「医薬的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触した使用に適しており、妥当な利益/リスク比に見合った塩を云う。医薬的に許容される塩は、当該技術分野でよく知られている。例えば、S.M.Berge等は、参照により本明細書に取り込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において、医薬的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の該化合物の医薬的に許容される塩は、適切な無機及び有機酸及び塩基から誘導されるものを含む。医薬的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸、の塩、有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸、の塩、又は当該技術分野で使用される他の方法、例えばイオン交換、を使用して形成されるアミノ基の塩である。他の医薬的に許容される塩は、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミスル酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨード塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3–フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、パントテン酸塩、ピクリン酸塩、酒石酸水素塩、マンデル酸塩、エデト酸塩、グルセプ酸塩、サリチル酸塩、ジサリチル酸塩、ムケート(mucate)、エストレート(estolate)、ナプシル酸塩、エシル酸塩、ナパジシル酸塩等を包含する。
【0032】
ABX464及びその塩は、当業者によって知られている任意の方法、例えば国際公開第2010/143169号パンフレットに開示されている方法、によって調製されうる。
【0033】
ABX464(本発明に従うASDに含まれない場合)は、120.5℃(±2℃)の融点を有する固有の結晶形態下にあり、XRPD分析によって次数2-θ角として表される下記の主要ピーク7.3;14.6;23.5及び28.4(各時間±0.2)を示し、更に次数2-θ角として表される下記の追加のピーク12.1;17.3;18.4v23.0;24.2;24.9;27.4及び29.1(各時間±0.2)を示してもよく、及び任意的に、次数2-θ角として表される下記の追加のピーク13.7;16.3;16.9;18.1;22.4及び29.6(各時間±0.2)を示してもよい。
【0034】
穏やかに粉砕されたこの固有の結晶形態の8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの特性X線粉末回折図が図3に与えられうる。
【0035】
対照的に、ABX464が本発明に従うASDに含まれる場合、以下に詳述するように、それは非晶質形態下にある。これは、mDSC(図4及び5、並びに実施例2.2)及びXRPD特性評価(図3、及び実施例2.2)のおかげで、該実験部分において、2週間後の特定のストレス条件下でも(図10及び11、並びに実施例4を参照)、また、空腹状態及び摂食状態の消化管液をそれぞれシミュレートするFassif及びFessif イン・ビトロ(in vitro)モデル(図9、及び実施例3を参照)でも、実証されている。
【0036】
医薬的に許容される担体
上記されている通り、本発明に従うASDは、医薬的に許容される少なくとも1つの担体を含む。
【0037】
1つの実施態様において、該医薬的に許容される担体は、ポリマー、糖、酸、界面活性剤、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体、ペンタエリスリトール、四酢酸ペンタエリスリチル、尿素、ウレタン、ヒドロキシアルキルキサンチン及びそれらの混合物から選択され、特には、ポリマー、酸、界面活性剤、尿素及びそれらの混合物から選択され、より特には、ポリマー、酸、界面活性剤、及びそれらの混合物から選択される。
【0038】
別の実施態様において、該医薬的に許容される担体は、ポリマー、糖、酸、界面活性剤、シクロデキストリン、ペンタエリスリトール、四酢酸ペンタエリスリチル、尿素、ウレタン、ヒドロキシアルキルキサンチン及びそれらの混合物から選択される。
【0039】
本発明の固体非晶質分散物における使用に適した該糖のうち、デキストロース、スクロース、ガラクトース、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マンニトール、ラクトース、及びそれらの混合物が挙げられうる。
【0040】
本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンステアレート、ポロキサマー188(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール))、ポロキサマー407(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマー)、デオキシコール酸、ツイーン(Tween)、例えば、ツイーン80(ポリソルベート80とまた命名される)、スパン、ソルトール(Macrogol-15ヒドロキシステアレート)、ラウリル硫酸ナトリウム、ビタミンE、ラウリル硫酸、及びそれらの混合物が挙げられうる。
【0041】
本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該酸のうち、医薬的に許容される塩、例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸及びそれらの混合物、を形成する為に一般に使用されるカルボン酸又は他の酸性化合物が挙げられることができる。
【0042】
本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該シクロデキストリンのうち、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン(すなわち、化学的に修飾されていない各シクロデキストリン)、シクロデキストリンのポリマー(すなわち、化学的に修飾されたシクロデキストリン)、及びそれらの混合物が挙げられうる。
【0043】
本発明の非晶質固体分散物での使用に適した該シクロデキストリン誘導体のうち、例えば、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン及びその塩、例えばナトリウム塩、が挙げられることができる。
【0044】
本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該ポリマーは、少なくとも50℃、及び特に少なくとも80℃、より特に少なくとも100℃のTgを有していてもよい。
【0045】
1つの実施態様において、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマー又はコポリマー、例えば、N-ビニルピロリドンのホモポリマー又はコポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドンとまた命名される)、又はN-ビニルピロリドンと酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルとのコポリマー);セルロースエステル又はセルロースエーテル、例えばアルキルセルロース(例えば、メチルセルロース又はエチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCとまた命名される))、及びセルロースのフタル酸又はサクシネート(例えば、セルロースアセテートフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCPとまた命名される)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、又はHPMCASとまた命名されるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート);高分子ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー;ポリアクリレート又はポリメタクリレート、例えばメタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー、ブチルメタクリレート/2-ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、及びポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート);ポリアクリルアミド;酢酸ビニルポリマー、例えば酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、及び部分加水分解ポリ酢酸ビニル(部分ケン化「ポリビニルアルコール」とまた云われる);ポリビニルアルコール;オリゴ-又はポリサッカライド、例えばカラギーナン、ガラクトマンナン、ペクチン、及びキサンタンガム;ポリヒドロキシアルキルアクリレート;ポリヒドロキシアルキル-メタクリレート;メタクリル酸メチルとアクリル酸とのコポリマー;ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレングリコール/ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニルのグラフトコポリマー、又はそれらの任意の混合物若しくは任意の組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0046】
セルロース-ベースのポリマーの非限定的な例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)E3、HPMC E5、HPMC E6、HPMC E15、HPMC K3、HPMC A4、HPMC A15、HPMCアセテートサクシネート(AS)LF、HPMC AS MF、HPMC AS HF、HPMC AS LG、HPMC AS MG、HPMC AS HG、HPMCフタル酸(P)50、HPMC P 55、エトセル4、エトセル7、エトセル10、エトセル14、エトセル20である。
【0047】
ポリエチレングリコールの非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)400、PEG600、PEG1450、PEG3350、PEG4000、PEG6000、PEG8000、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338、及びポロキサマー407である。
【0048】
ポリアクリレート又はポリメタクリレートの非限定的な例は、(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー(Eudragit)L100-55、Eudragit L100、Eudragit S100である。
【0049】
特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、該実験部分に示されているように、二元混合物又は三元混合物(異なるポリマーが存在する場合)を形成している、ポリマーである。
【0050】
特定の実施態様に従うと、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロースサクシネート、ポリメタクリレート、及びそれらの混合物から選択される。
【0051】
上記に示されている通り、該セルロースサクシネートのうち、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS、例えばHPMCAS-MF)を挙げることができ、それは例えばAshlandからAquaSolve(商標)の名称下で販売されているものとすることができる。
【0052】
上記に示されている通り、該ポリメタクリレートのうち、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、例えばポリ(メタクリル酸-コエチルアクリレート)1:1が挙げられることができ、それは例えばEvonikからEudragit L100-55の名称下で販売されているものとすることができる。
【0053】
上記に示されている通り、N-ビニルラクタムの該ホモポリマーのうち、ポリビニルピロリドン(ポビドン又はPVPとまた命名される)が挙げられることができ、これは例えばBASFによりKollidon(登録商標)30(PVP K30とまた命名される)、PVP K17、PVP K25の又はPVP K90の名称下で販売されているものとすることができる。
【0054】
上記に示されている通り、N-ビニルラクタムの該コポリマーのうち、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー(コポビドン又はPVP-VAとまた命名される)、例えばBASFによりKollidon(登録商標)VA64の名称下で販売されているもの、又は、N-ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル及びエチレングリコールのコポリマー、例えばBASFによりSoluplus(登録商標)の名称下で販売されているもの、が挙げられることができる。
【0055】
特定の実施態様に従うと、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、及びそれらの混合物から選択される。
【0056】
本発明の意味において、語「ラクタム」は、ベータ-ラクタム、ガンマ-ラクタム、デルタラクタム及びイプシロン-ラクタム、すなわちそれぞれ4員、5員、6員及び7員の炭素環であって1つのアミド官能基を含むものを含むことができる。
【0057】
別の特定の実施態様に従うと、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該ポリマーは、ポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、及びそれらの混合物から選択される。
【0058】
別の特定の実施態様に従うと、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該ポリマーは、N-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドン、セルロースサクシネート、ポリメタクリレートのコポリマー、及びそれらの混合物から選択される。
【0059】
別の特定の実施態様に従うと、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該ポリマーは、ポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択される。
【0060】
別の特定の実施態様に従うと、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該ポリマーは、N-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、及びそれらの混合物から選択される。
【0061】
従って、1つの実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物において、該医薬的に許容される担体は、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタム、セルロースサクシネート、ポリメタクリレートのコポリマー、及びそれらの混合物から、特にポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、及びそれらの混合物から、より特にポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、アクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、及びそれらの混合物から、選択されるポリマーである。
【0062】
ある特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物において、該医薬的に許容される担体は、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、及びそれらの混合物から、特にポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から、より特にポビドン、コポビドン及びそれらの混合物から選択されるポリマーであり、更により特にはコポビドンである。
【0063】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は界面活性剤であり、該実験部分に示されているような二元混合物を形成する。
【0064】
特定の実施態様に従うと、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該界面活性剤は、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマーから選択される。
【0065】
上記に示されている通り、該ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマーのうち、ポロキサマー188、ポロキサマー407及びそれらの混合物、特にポロキサマー407が挙げられうる。
【0066】
従って、1つの特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物において、該医薬的に許容される担体は、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマーから選択され、特にポロキサマー188、ポロキサマー407及びそれらの混合物から選択される界面活性剤であり、特にポロキサマー407である。
【0067】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、ポリマーと酸との組み合わせであり、該実験部分に示されているような三元混合物を形成する。
【0068】
特定の実施態様に従うと、本発明の非晶質固体分散物における使用に適した該酸は、カルボン酸である。
【0069】
上記に示されている通り、該カルボン酸のうち、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸及びそれらの混合物、特に、クエン酸が挙げられうる。
【0070】
従って、別の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物において、該医薬的に許容される担体は、ポリマーと酸との組み合わせであり、該ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、及びそれらの混合物から選択され、該酸は、カルボン酸から選択され、特に、該ポリマーはN-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、及びそれらの混合物から選択され、該酸はクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸及びそれらの混合物から選択され、より特に該ポリマーはポビドン、コポビドン、及びそれらの混合物であり、該酸はクエン酸である。
【0071】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、三元混合物を形成する、ポリマーと尿素との組み合わせである。
【0072】
従って、別の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物において、該医薬的に許容される担体は、ポリマーと尿素との組み合わせであり、該ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、及びそれらの混合物から選択され、特に該ポリマーはN-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、及びそれらの混合物から選択され、より特に該ポリマーはコポビドンである。
【0073】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、該実験部分に示されているように、三元混合物を形成する、ポリマーと界面活性剤との組み合わせである。
【0074】
従って、別の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物において、該医薬的に許容される担体は、ポリマーと界面活性剤との組み合わせであり、該ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、及びそれらの混合物から選択され、該界面活性剤はツイーン(ポリソルベート)から選択され、特に該ポリマーはN-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、及びそれらの混合物から選択され、及び該界面活性剤はツイーン(Tween)80(ポリソルベート80)であり、より特に該ポリマーはコポビドンであり該界面活性剤はツイーン(Tween)80である。
【0075】
特に好ましい実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物において、該医薬的に許容される担体は、ポリマー、酸、界面活性剤、尿素、及びそれらの混合物から選択され、より特にN-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロースサクシネート、ポリメタクリレート、カルボン酸、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ツイーン(ポリソルベート)、尿素、及びそれらの混合物から選択され、特にN-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ツイーン(Tweens)(ポリソルベート)、尿素、及びそれらの混合物から選択され、より特にポビドン、コビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、クエン酸、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ツイーン(Tweens)、尿素及びそれらの混合物から、なおより好ましくは、ポビドン、コポビドン、ポリ(メタクリル酸-コエチルアクリレート)1:1、HPMCAS MF、クエン酸、ポロキサマー407、ツイーン(Tween)80、尿素及びそれらの混合物から選択され、更により好ましくはポビドン、コポビドン、ポリ(メタクリル酸-コエチルアクリレート)1:1、HPMCAS MF、クエン酸、ツイーン(Tween)80、及びそれらの混合物から選択される。
【0076】
従って特に好ましい実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含み、該担体は、ポリマー、酸、界面活性剤、尿素、及びそれらの混合物から選択され、より特には、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロースサクシネート、ポリメタクリレート、カルボン酸、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)のコポリマー、ツイーン(ポリソルベート)、尿素、及びそれらの混合物から選択され、特には、N-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ツイーン(Tweens)(ポリソルベート)、尿素、及びそれらの混合物から選択され、より特には、ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、クエン酸、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ツイーン(Tweens)、尿素及びそれらの混合物から選択され、更により好ましくは、ポビドン、コポビドン、ポリ(メタクリル酸-コエチルアクリレート)1:1、HPMCAS MF、クエン酸、ポロキサマー407、ツイーン(Tween)80、尿素及びそれらの混合物から選択され、なおより好ましくはポビドン、コポビドン、ポリ(メタクリル酸-コエチルアクリレート)1:1、HPMCAS MF、クエン酸、ツイーン(Tween)80、及びそれらの混合物から選択される。
【0077】
特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含み、
該担体は、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロースサクシネート、ポリメタクリレート、及びそれらの混合物から選択され、特には、ポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、及びそれらの混合物から選択され、より特には、ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、及びそれらの混合物から選択されるポリマーであってもよく、更により特には、コポビドンであり、若しくは
該担体は、ツイーン(Tweens)から選択される界面活性剤であってもよく、特にツイーン(Tween)80であり、又は
該担体は、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸又はそれらの混合物から選択される酸であってもよく、より特にクエン酸でありうる。
【0078】
特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、1以上のポリマーでありうる少なくとも一つの医薬的に許容される担体とを含み、該担体は、任意的に本発明において定義されている1以上の酸及び/又は本発明において定義されている1以上の界面活性剤と混和していてもよく、ここで、該酸は、特には、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸又はそれらの混合物、より特にはクエン酸、であり、及び該界面活性剤は、特にはツイーン(Tween)、より特にはツイーン(Tween)80、である。
【0079】
別の特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含み、
該担体は、ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、及びそれらの混合物から選択されるポリマーであってもよく、若しくは
該担体は、ツイーン(Tweens)から選択される界面活性剤であってもよく、又は
該担体は、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸又はそれらの混合物から選択される酸でありうる。
【0080】
別の特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、1以上のポリマーでありうる医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含み、ここで、該担体は任意的に、本発明において定義されている1以上の酸及び/又は本発明において定義されている1以上の界面活性剤と混和していてもよく、該酸は特に、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸又はそれらの混合物であり、及び、該界面活性剤は特にはツイーン(Tweens)である。
【0081】
別の特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される少なくとも1つの担体と含み、
該担体は、ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、及びそれらの混合物から選択されるポリマーであってもよく、又は
該担体は、界面活性剤であってもよく、ここで、該界面活性剤はツイーン(Tween)80であってもよく、又は
該担体は、酸であってもよく、ここで、該酸はクエン酸でありうる。
【0082】
別の特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体分散物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、1以上のポリマーでありうる医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを含み、該担体は任意的に、本発明において定義されている1以上の酸及び/又は本発明において定義されている1以上の界面活性剤と混和していてもよく、ここで、該酸はクエン酸であってもよく、及び該界面活性剤はツイーン(Tween)80でありうる。
【0083】
特定の実施態様に従うと、本発明に従う非晶質固体は、均一な一相系を形成するガラス溶液であり、及び、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩は非晶質形態下にある。
【0084】
特定の実施態様に従うと、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と該医薬的に許容される1以上の担体との重量比は、1:20~1:0.5、特には1:10~1:1、より特には1:2~1:1.5、の範囲にある。
【0085】
8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と該医薬的に許容される1以上の担体との該重量比の計算の為に、本発明に従うASDを形成するABX464の量及び本発明で規定される該医薬的に許容される1以上の担体の量のみが考慮されると理解されなければならない。言い換えれば、この重量比の計算は、本発明に従う医薬組成物を得る為に後から添加されうる賦形剤の量を考慮しない。
【0086】
特定の実施態様に従うと、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対して、5重量%~70重量%、特には30重量%~40重量%、より特には33重量%~37重量%、の量である。
【0087】
特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される1以上の担体は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対して、30重量%~95重量%、特には60重量%~70重量%、より特には63重量%~67重量%、の量である。
【0088】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対して、5重量%~70重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、30重量%~95重量%の医薬的に許容される1以上の担体とを含む。
【0089】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対して、30重量%~40重量%のABX464又は医薬的に許容される塩と、60重量%~70重量%の医薬的に許容される1以上の担体とを含む。
【0090】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対して、33重量%~37重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、63重量%~67重量%の医薬的に許容される1以上の担体とを含む。
【0091】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、5重量%~70重量%のABX464又は医薬的に許容される塩と、30~95重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0092】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、30重量%~40重量%のABX464又は医薬的に許容される塩と、60重量%~70重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0093】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、33重量%~37重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、63重量%~67重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0094】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、5重量%~70重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、及びそれらの混合物から選択される30重量%~95重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0095】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、30重量%~40重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、及びそれらの混合物から選択される60重量%~70重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0096】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、33重量%~37重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、及びそれらの混合物から選択される63重量%~67重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0097】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、5重量%~70重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、ポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択される30重量%~95重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0098】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、30重量%~40重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、ポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択される60重量%~70重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0099】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上のポリマーの合計重量に対して、33重量%~37重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、ポビドン、コポビドン、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択される63重量%~67重量%の医薬的に許容される1以上のポリマーとを含む。
【0100】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩とポビドンの合計重量に対して、30重量%~40重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、60重量%~70重量%のポビドンとを含む。
【0101】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩とポビドンの合計重量に対して、33重量%~37重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、63重量%~67重量%のポビドンとを含む。
【0102】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及びコポビドンの合計重量に対して、30重量%~40重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、60重量%~70重量%のコポビドンとを含む。
【0103】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及びコポビドンの合計重量に対して、33重量%~37重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、63重量%~67重量%のコポビドンとを含む。
【0104】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及びポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールの合計重量に対して、30重量%~40重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、60重量%~70重量%のポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールとを含む。
【0105】
特定の実施態様に従うと、本発明に従うASDは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及びポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールの合計重量に対して、33重量%~37重量%のABX464又はその医薬的に許容される塩と、63重量%~67重量%のポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールとを含む。
【0106】
本発明において定義されている8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩及び該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対するこれら全ての重量パーセントの計算の為に、本発明に従うASDを形成するABX464の及び本発明において定義されている該医薬的に許容される1以上の担体の量だけが考慮されることが理解されなければならない。言い換えれば、これらの重量パーセントの該計算は、本発明に従う医薬組成物を得る為に後から添加されうる賦形剤の量を考慮しない。
【0107】
本発明に好適な該医薬的に許容される担体は、ポリマー、糖、酸、界面活性剤、シクロデキストリン、ペンタエリスリトール、四酢酸ペンタエリスリチル、尿素、ウレタン、及びヒドロキシアルキルキサンチンの中から選ばれた化合物の2つ、3つ、4つ、5つ以上の組み合わせとすることができる。
【0108】
特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーと、本発明において定義されている1以上の酸、特には、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸又はそれらの混合物、との組み合わせである。
【0109】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーと、本発明において定義されている1以上の糖との組み合わせである。
【0110】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーと、本発明において定義されている1以上の界面活性剤との組み合わせである。
【0111】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーと、本発明において定義されている1以上のシクロデキストリンとの組み合わせである。
【0112】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーとペンタエリスリトールとの組み合わせである。
【0113】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーと、四酢酸ペンタエリスリチルとの組み合わせである。
【0114】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーと、尿素との組み合わせである。
【0115】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーと、ウレタンとの組み合わせである。
【0116】
別の特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される担体は、本発明において定義されている1以上のポリマーと、ヒドロキシアルキルキサンチンとの組み合わせである。
【0117】
上記に示されている通り、該医薬担体の性質に応じて、3つの異なるタイプ(又はカテゴリー)のASDが観察されうる。実際、本発明に従うASDにおける使用に適した医薬担体は、以下のいずれか一方又は両方の特徴:強い分子間相互作用及び低い分子移動度、を有していてもよい。
【0118】
該1以上の担体の分子とABX464の分子との間の強い分子間相互作用は、ABX464を安定化させて非晶質形態下に保ち、該分子が一緒になるのを防ぐことを可能にする。
【0119】
本発明に従うASDは、熱的に安定であり、以下に詳述されているストレス条件下においてでさえ、非晶質形態下にあり、均質な一相系を形成する(例えば、以下の実施例2.2、3及び4を参照)。上記されている通り、該ASD中のABX464の該非晶質形態が、その製品を必要とする対象(患者)への投与後も維持され得、本発明に従うASDが、その固有の結晶形態のABX464と比較して著しくより重要な溶解性を呈することが、絶食された及び摂食されたヒトイン・ビトロ(in vitro)モデルを使用することにより該実験部分においても証明されている(実施例3を参照)。更に、本発明者等は、実施例4に示すように、本発明に従うASDが、ストレス条件下(25℃の温度及び60%相対湿度;及び40℃の温度及び75%相対湿度)で2週間後に化学的及び物理的に安定であることを、実証している。
【0120】
本発明に従うASDを調製する方法
上記されている通り、下記の工程を含む、本発明において定義されている該非晶質固体分散物の該調製の方法がまた本明細書において提供される:
aa)任意的に1種類の適切な溶媒又は複数種類の適切な混合溶媒で、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、本発明において定義されている医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを一緒にして、該非晶質固体分散物を提供する為の溶液を得る。
【0121】
別の実施態様に従うと、以下の工程を含む、本発明において定義されている該非晶質固体分散物を調製する方法がまた本明細書において提供される:
aa)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、本発明において定義されている医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを、任意的に1種類の適切な溶媒又は複数種類の適切な混合溶媒で、溶液を得る為に結合すること;
bb)工程aa)で得られた該組み合わせ又は溶液を混合すること;及び
cc)任意的に、1以上の該溶媒を蒸発させて、該非晶質固体分散物を提供すること。
【0122】
別の実施態様に従うと、以下の工程を含む、本発明において定義されている該非晶質固体分散物を調製する方法がまた本明細書において提供される:
a)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩を、1種類の適切な溶媒又は複数種類の適切な混合溶媒に溶解して、溶液を得ること;
b)このようにして得られた工程a)の溶液に、本発明において定義されている医薬的に許容される少なくとも1つの担体を添加すること;
c)任意的に、工程b)で得られた混合物を混合すること;及び
d)1以上の該溶媒を蒸発させて、該非晶質固体分散物を提供すること。
【0123】
工程a)において、該適切な溶媒は、該医薬的に許容される担体及びABX464又はその塩の両方を溶解することができる任意の揮発性溶媒とすることができ、特には、該適切な溶媒は、C1~C6アルコール、ジクロロメタン、アセトニトリル、アセトン、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル及びそれらの混合物から選択され、より特には、C1~C4モノアルコール、ジクロロメタン及びそれらの混合物から選択され、更により特には、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、及びそれらの混合物から選択され、更により特にはメタノールである。
【0124】
有利には、本発明に従う該ガラス溶液は液体溶液と比較して粘度がより高いため、溶質分子(ABX 464分子)の分布は該医薬的に許容される担体内で不規則であってもよく、該ガラス溶液内の均一な分布は混合(工程c)により確保されうる。この混合は、当該技術分野において知られている任意の慣用的な手段によって実行されうる。
【0125】
該蒸発工程d)は、噴霧-乾燥、又は溶媒蒸発法、特には噴霧-乾燥、によって実行されうる。これらの方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Prashantらによる、非晶質固体分散物:難水溶性薬物の経口生体利用性を向上させる有望な技術、S.Afr.Pharm.J.,2018,85(1),50-56を参照)。
【0126】
噴霧-乾燥蒸発工程が使用される場合、本発明に従うASDは、本明細書において噴霧乾燥された分散物(SDD:spray dried dispersion)とまた命名されうる。
【0127】
噴霧-乾燥は、3つの周知の工程:粉体の霧化、乾燥及び回収、を含む。典型的には、該噴霧は該ASDを得る為にノズルを介して行われる。幾つかのパラメータは、一般的には下記である:
該ノズルは、0.4mm~1mmとすることができ、特には0.6mmである;
入口温度は、85℃~100℃とすることができ、特には90℃である;
出口温度は56℃~57℃(この温度はパラメータの組み合わせの結果である)とすることができる;
流速は、2mL/分~5mL/分とすることができ、特には3mL/分である;
ノズル流速は、6L/時間~10L/時間とすることができ、特には8L/時間である。
【0128】
蒸発を伴う該方法に代えて、ホットメルト押出が行われることができる。
【0129】
ホットメルト押出では、ABX464又はその塩が、本発明において定義されている分散物医薬的に許容される担体内で溶融され、混合されてABX464又はその塩の該非晶質形態を生成し安定化させる。溶融物が次に押し出され、急速に冷却されて、安定な固体単相ガラス状非晶質マトリックスを得る。必要に応じて、次に、このようにして得られた生成物は有利に、粉砕されて粒径を減少させることができ、そして、次に、本明細書において定義されている経口固体剤形、例えば錠剤又はカプセル、内に導入されることができる。
【0130】
別の実施態様に従うと、本発明において定義されている該非晶質固体分散物を調製する方法であって、以下の工程を含む該方法がまた本明細書において提供される:
a)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩と、本発明において定義されている医薬的に許容される少なくとも1つの担体とを混合して粉末混合物を得ること;
b)工程a)で得られた該粉末混合物をホットメルト押出機中に導入して、非粉末の非晶質固体分散物物質を得ること;
c)次に、このようにして得られた非粉末の非晶質固体分散物物質が粉砕されて、非晶質固体分散物粉末を得ること。
【0131】
溶媒蒸発法では、本発明において定義されている該ABX 464又はその塩と該医薬的に許容される担体とが揮発性溶媒に可溶化される。有利には、分子レベルでの混合が実行されうる(最終製品の溶解特性を最適化するため)。この方法が使用される場合、ABX464と該担体の両方を1つの溶液に該混合する際に、相分離を避ける為に注意が払われるべきである。
【0132】
特定の実施態様に従うと、本発明において定義されている該非晶質固体分散物を調製する方法は、下記の工程を含む:
a)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩を、メタノール、エタノール又はジクロロメタン中に溶解して、溶液を得ること;
b)このようにして得られた工程a)の溶液に、ポビドン、コポビドン又はポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールを添加すること;
c)任意的に、工程b)で得られた混合物を混合すること;及び
d)メタノールを蒸発させて、該非晶質固体分散物を提供すること。
【0133】
別の特定の実施態様に従うと、本発明において定義されている該非晶質固体分散物を調製する方法は、下記の工程を含む:
a)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩をメタノール中に溶解して、溶液を得ること;
b)このようして得られた工程a)の溶液に、ポビドン、コポビドン又はポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールを添加すること;
c)任意的に、工程b)で得られた混合物を混合すること;及び
d)メタノールを蒸発させて、該非晶質固体分散物を提供すること。
【0134】
本発明に従う、調製をする方法、多くの利点を示す。
【0135】
まず、該方法は幾つかの(3つの)必須工程を含む。
【0136】
これはまた、該ASDを著しく高い収率(少なくとも約80%)で得ることを可能にする。
【0137】
更に、該実験部分(XRPD、及びmDSC特性評価、実施例2.2を参照)に示されているように、これは、100℃まで熱的に安定であり(すなわち、ASDが非晶質形態に留まる)均質な本発明に従うASDを調製することを可能にする。
【0138】
更に、該実験部分(実施例2.1を参照)で説明されたUV-HPLCアッセイは、該方法が、該蒸発工程d)後、より特に該噴霧-乾燥工程後に、該ASD中のABX464の該負荷を維持することを可能にすることを実証する。
【0139】
本発明に従う医薬組成物
本発明において定義されている該非晶質固体分散物と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物がまた本明細書において提供される。
【0140】
本発明の医薬的に許容可能な組成物は、処置される感染症の重症度に応じて、ヒト及び他の動物に、経口的に、直腸的に、非経口的に、大槽内的に、膣内的に、腹腔内的に、局所的に(粉末、軟膏、又は滴下による)、口腔噴霧剤又は鼻腔噴霧剤等として頬側に、投与されることができる。語「非経口」は、本明細書において使用される場合、皮下の、静脈内の、筋肉内の、関節内の、滑膜内の、胸骨内の、髄腔内の、肝内の、鼻腔の、及び頭蓋内の注射又は注入技法を包含する。或る実態態様において、本発明の該ASDは、所望の治療効果を得る為に、該ASDに含まれる有効成分ABX464の投与レベルを、1日当たり対象体重の約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg~約25mg/kg、で、1日1回以上経口又は非経口投与されうる。
【0141】
経口投与の為の液体剤形は、医薬的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、例えば水性溶液、懸濁物、例えば水性懸濁物、シロップ及びエリキシルを包含するが、これらに限定されない。本発明に従うASDに加えて、該液体剤形は、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及びエマルジョン、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、及びごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物等を包含しうる。不活性希釈剤の他に、該口腔用組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤及び香料、を含むことができる。水性懸濁物が経口使用の為に必要である場合、本発明に従うASDは、乳化剤及び懸濁剤と組み合わされうる。
【0142】
注射用調製物、例えば、無菌注射用水性又は油性懸濁物は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術に従って製剤化されうる。該無菌注射用調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁物又はエマルジョンでありうる。ビヒクル及び溶媒のうち、使用されうる許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油は、溶媒又は懸濁媒体として慣用的に使用されている。この目的の為に、任意の当たり障りのない固定油、例えば合成モノ-又はジグリセリドを包含する該固定油が、用いられうる。加えて、脂肪酸、例えばオレイン酸、が注射剤の該調製において使用される。
【0143】
注射用製剤は、滅菌されることができ、例えば、使用前の細菌-保持フィルタを通した濾過により、又は滅菌水又は他の滅菌注射媒体中に溶解又は分散されることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌されることができる。
【0144】
直腸又は膣投与の為の組成物は好ましくは、坐剤であり、該坐剤は、本明細書に記載された該ASDを、周囲温度では固体であるが体温では液体であってそれ故に直腸又は膣腔内で溶けて該活性ABX464を放出する適切な非刺激性の賦形剤又は担体、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール又は坐剤ワックス、と混合することによって調製されることができる。
【0145】
経口投与の為の固体剤形は、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、トローチ、チューインガム、及び顆粒を包含する。そのような固形剤形において、本発明に従うASDは、少なくとも1つの不活性で医薬的に許容される賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、及び/又はa)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシア等、c)湿潤剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、e)溶液遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリン等、h)吸着剤、例えば、カオリン及びベントナイトクレー、及びi)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、並びにそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、該剤形はまた、緩衝剤を含みうる。所望により、或る甘味料、香味料又は着色料がまた添加されうる。
【0146】
同様のタイプの固体組成物がまた、賦形剤、例えばラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコール、を使用して、軟及び硬-充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用されうる。錠剤、ドラジェ(dragees)、カプセル、丸薬、及び顆粒の固形剤形は、コーティング及びシェル、例えば、腸溶性コーティング及び医薬製剤技術分野で周知の他のコーティング、で調製されることができる。それらは任意的に不透明化剤を含み得、また、それらが腸管の特定の部分においてのみ、又は優先的に、任意的に遅延される方式で、1以上の該有効成分を放出する組成物であることがまた可能である。使用されることができる埋め込み用組成物の例は、高分子物質及びワックスを包含する。また、同様のタイプの固体組成物がまた、そのような賦形剤、例えばラクトース又は乳糖並びに高分子8価ポリエチレングリコール、を使用した軟及び硬-充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用されうる。
【0147】
また、本発明に従うASDは、上記されている通り、1種以上の賦形剤でマイクロカプセル化された形態とすることができる。錠剤、ドラジェ、カプセル、丸薬、及び顆粒の該固体剤形は、コーティング及びシェル、例えば、腸溶性コーティング、放出制御コーティング及び該医薬製剤技術において周知の他のコーティング、で調製されうる。そのような固体剤形において、本発明に従うASDは、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトース又はデンプン、と混和されうる。
【0148】
そのような剤形はまた、通常の慣行のように、不活性希釈剤以外の追加物質、打錠潤滑剤及び他の打錠補助剤、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロース、を含みうる。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、該剤形はまた、緩衝剤を含みうる。それらは任意的に、不透明化剤を含み得、また、それらが腸管の或る部分においてのみ、又は優先的に、遅延される方式で、1以上の該有効成分を放出する組成物であることがまた可能である。使用されうる埋め込み組成物の例は、高分子物質及びワックスを包含する。
【0149】
本発明の医薬的に許容可能な組成物はまた、特に処置の該対象が、眼、皮膚、又は下部腸管の疾患を含む、局所的な適用によって容易にアクセスできる領域又は器官を含む場合、局所的に投与されうる。適切な局所製剤は、これらの領域又は器官の各々の為に容易に調製される。
【0150】
該下部腸管への局所適用は、直腸坐剤(上記を参照)又は適切な浣腸剤で実行されることができる。局所用経皮吸収パッチがまた使用されうる。
【0151】
局所投与の為に、提供される医薬的に許容可能な組成物は、1つ以上の担体に懸濁又は溶解された該有効成分を含む適切な軟膏で処方されうる。本発明のASDの局所投与の為の担体は、鉱油、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水を包含するが、これらに限定されない。代替的に、提供される医薬的に許容可能な組成物は、1つ以上の医薬的に許容される担体に懸濁又は溶解された該有効成分を含む適切なローション又はクリームに配合されることができる。
【0152】
好適な担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を包含するが、これらに限定されない。
【0153】
加えて、本発明は、経皮パッチの該使用を企図しており、これは化合物の体への制御された送達を提供するという追加の利点を有する。そのような剤形は、本発明に従うASDを適切な媒体中に溶解又は調剤することによって製造されることができる。吸収促進剤がまた、該皮膚にわたる該化合物のフラックスを増加させる為に使用されることができる。該速度は、速度制御膜(rate controlling membrane)を設けるか又は本発明に従うASDをポリマーマトリックス又はゲル中に分散させることによって制御されることができる。
【0154】
本発明のASDの局所投与又は経皮投与の為の剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧剤、吸入剤又はパッチを包含する。
【0155】
本発明に従うASDは、無菌条件下で、医薬的に許容される担体及び何らかの必要とされうる防腐剤又は緩衝剤と混和される。
【0156】
眼科用製剤、点耳薬、及び点眼薬がまた、本発明の範囲内であることが企図される。
【0157】
事実、眼科用途の場合、提供される医薬的に許容される組成物は、等張のpH調整された滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁物として、又は、好ましくは、等張のpH調整された滅菌生理食塩水の溶液として、保存剤、例えば塩化ベンジルアルコニウム、を含む又は含まないのいずれかで、処方されうる。代替的には、眼科用途の場合、該医薬的に許容される組成物は、軟膏、例えばペトロラタム、において製剤化されうる。
【0158】
本発明の医薬的に許容可能な組成物はまた、鼻エアロゾル又は吸入によって投与されうる。そのような組成物は、医薬製剤の技術分野において周知の技術により調製され、且つベンジルアルコール又は他の適切な保存剤、生体利用性を向上させる為の吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は他の慣用的な可溶化剤又は分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製されうる。最も好ましくは、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、経口投与用に製剤化される。そのような製剤は、食物と共に又は食物なしで投与されうる。
【0159】
従って、特定の実施態様に従うと、本発明において定義されている該非晶質固体分散物と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物は、特に、錠剤、カプセル、丸薬、トローチ(lozenges)、チューインガム、粉末、顆粒、坐剤、エマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、例えば水性溶液、懸濁物、例えば水性懸濁物、シロップ、エリキシル、軟膏、ドロップ、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、噴霧剤、吸入剤又はパッチの形態下にある。
【0160】
幾つかの実施態様において、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、食物なしで投与される。他の実態態様において、本発明の医薬的に許容可能な組成物は、食物とともに投与される。
【0161】
単一の剤形における組成物を製造する為に該賦形剤又は担体原料と組み合わされうる本発明のASDの該量は、処理される宿主、特定の投与様式に応じて変化するであろう。
【0162】
特定の実施態様に従うと、本発明に従う医薬組成物は、経口医薬組成物である。
【0163】
本発明の経口用医薬組成物は、粉末状の組成物を含む、カプセル、錠剤又はサシェ(sachet)の形態であることができる。本発明の製剤の為の治療上有効な経口投与量は、医療従事者の判断に従って標準的な臨床技術によって決定される。
【0164】
本発明に従うASDが粉末の形態下で得られるという事実の為に、それらを相対湿度から保護することが有利である。
【0165】
従って、1つの実施態様に従うと、本発明の該ASDが慣用的な方法を使用して、カプセル、錠剤、懸濁物、溶液、又はシロップに製剤化される場合、それらはブリスター(blister)で保護される。ブリスターの使用によって付与される別の利点は、該カプセル又は錠剤が酸素及び他の汚染物質からまた保護されることである。
【0166】
該カプセルは、ソフトゲルカプセル又はハードゲルカプセルでありうる。該カプセルがソフトゲルカプセル、又はハードゲルカプセルである場合、それらは有利には液体賦形剤を含むことができ、特に、
親油性の液体ビヒクル、
半固形の親油性ビヒクル/親油性液体ビヒクルの為の粘度調整剤、
可溶化剤、界面活性剤、乳化剤及び吸着促進剤
を含むことができる。
【0167】
これらの賦形剤のうち、下記に示すものが言及されうる:
精製されたスペシャルティオイル、例えば:
ラッカセイ油
ヒマシ油
綿実油
トウモロコシ(コーン)油
オリーブ油
ごま油
大豆油
ひまわり油
中鎖トリグリセリド及びその関連エステル、例えば:
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Akomed E、Akomed R、Miglyol 810、及びCaptex 355)
中鎖トリグリセリド(Labrafac CC)
カプリル酸/カプリン酸のプロピレングリコールジエステル(Labrafac PG)
プロピレングリコールモノラウレート(Lauroglycol FCC)
分画ココナッツオイル(Miglyol 812)
カプリル酸/カプリン酸/ジグリセリルサクシネート(Miglyol 829)
プロピレングリコールの中鎖ジエステル(Miglyol 840)
天然脂肪酸を有するジグリセリドの部分エステル(Softisan 645)。
可溶化剤、界面活性剤、エマルジョン、及び吸着促進剤、例えば、
モノカプリル酸プロピレングリコール(Capryol 90)
ポリグリコール酸グリセリド(Gelucire 44/14及び50/13)
ポリオキシル-40水添ヒマシ油(Cremophor RH 40)
グリセロールモノステアレート/ジトリグリセリド+グリセリン(Imwitor 191)
グリセリルモノカプリレート(Imwitor 308*)
ココ酸/クエン酸/乳酸グリセリル(Imwitor 380)
モノ-ジ-カプリル酸/カプリン酸グリセリル(Imwitor 742)
コハク酸イソステリルジグリセリル(Imwitor 780K)
ココ酸グリセリル(Imwitor 928)
カプリル酸グリセリル(Imwitor 988)
オレオイルマクロゴール-8グリセリド(Labrafil M 1944 CS)
リノレオイルマクロゴルグリセリド(Labrafil M 2125 CS)
PEG-8カプリル/カプリン酸グリセリド(Labrasol)
ラウリン酸
ラウリン酸プロピレングリコール(Lauroglycol 90)
オレイン酸
ポリエチレングリコール
プロピレングリコール
ジオレイン酸ポリグリセロール(Plurol Oleique CC 497)
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer 124及び188)
水酸化不飽和脂肪酸の部分グリセリド(Softigen 701)
PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Softigen 767)
トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル(Tagat TO)
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ツイーン(Tween)80)。
【0168】
幾つかの実施態様において、本発明は、本発明の該非晶質固体分散物と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを含む錠剤又はカプセルを提供する。
【0169】
幾つかの特定の実態態様において、本発明は、本発明の該非晶質固体分散物と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを含むカプセルを提供し、又は本発明において定義されている非晶質固体分散物によって且つ少なくとも1つの粒内賦形剤によって形成されるところの顆粒を含む錠剤を提供し、ここで、該顆粒は、少なくとも1つの粒外賦形剤と共に圧縮されている。
【0170】
本発明に従う該医薬的組成物が錠剤である場合、該錠剤はコーティングされていてもよく、又はコーティングされていなくてもよい。好ましくは、該錠剤は、当該技術分野で周知の任意の適切なフィルムコーティング剤を使用することによってコーティングされる。
【0171】
該賦形剤は、任意の慣用的に使用されている賦形剤、例えば、粒内賦形剤、及び/又は粒外賦形剤を包含する上記の賦形剤、であることができる。
【0172】
該賦形剤は、充填剤、結合剤、抗酸化剤、崩壊剤、潤滑剤、流動化剤、フィルムコーティング剤、界面活性剤(該ASDにおいて医薬的に許容される担体として使用される該界面活性剤とは異なる)、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0173】
本発明に従って使用可能な充填剤は、ラクトース(無水)、ラクトース一水和物、噴霧-乾燥ラクトース;圧縮性糖、デキストロース、デキストレート;デンプン(任意の源、例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、米、小麦、からのデンプンを包含し、それらは、完全に予備ゼラチン化(fully pregelatinized)及び部分的にゼラチン化(partially gelatinized)されることができる);セルロース;微結晶セルロース;無機塩、例えば、リン酸カルシウム、三塩基カルシウム及び硫酸カルシウム;並びに、ポリオール、例えば、マンニトール、ソルビトール及びキシリトール、を包含するが、これらに限定されない。
【0174】
幾つかの実施態様において、該充填剤は、該組成物の総重量に対して10重量%~85重量%の量でありうる。
【0175】
本発明により使用可能な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、水素添加植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、タルク、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ロイシン、及びラウリル硫酸マグネシウムを包含するが、これらに限定されない。
【0176】
幾つかの実施態様において、該潤滑剤は、該組成物の総重量に対して0.3重量%~4重量%、好ましくは0.3重量%~2重量%の量でありうる。
【0177】
本発明に従って使用可能な崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン(任意の源、例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、米、小麦、からのデンプンを包含し、それらは、完全に予備ゼラチン化及び部分的にゼラチン化されることができる)、クロスポビドン、アルギネート、例えば、例えばアルギン酸カルシウム及びアルギン酸ナトリウム、アルギン酸、並びにケイ酸アルミニウムマグネシウムを包含するが、これらに限定されない。
【0178】
幾つかの実施態様において、該崩壊剤は、該組成物の総重量に対して30重量%~60重量%の量でありうる。
【0179】
他の実態態様において、該崩壊剤は、該組成物の総重量に対して1重量%~15重量%、好ましくは3重量%~10重量%の量でありうる。
【0180】
本発明において添加剤として使用可能な該界面活性剤は、トコフェロール、レシチン、卵黄リン脂質、ドキュセートナトリウム、カプリオール、ラブラフィル、ラブラゾール、ラウログリコール、及びそれらの混合物を包含するが、これらに限定されない。
【0181】
幾つかの実施態様において、該界面活性剤は、該組成物の総重量に対して1重量%~3重量%の量でありうる。
【0182】
本発明に従って使用可能な流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素を包含するが、これに限定されない。
【0183】
幾つかの実施態様において、該流動化剤は、該組成物の総重量に対して0.3重量%~2重量%の量でありうる。
【0184】
幾つかの実施態様において、該結合剤は、該組成物の総重量に対して5重量%~20重量%の量でありうる。
【0185】
特定の実施態様に従うと、本発明に従う医薬組成物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩を、唯一の医薬的有効成分として含む。
【0186】
特定の実施態様に従うと、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩は、該医薬組成物の総重量に対して、5重量%~95重量%の量である。
【0187】
特定の実施態様に従うと、該医薬的に許容される1以上の担体は、該医薬組成物の総重量に対して、5重量%~95重量%の量である。
【0188】
幾つかの実施態様において、該医薬的に許容される賦形剤は、上記のように定義される医薬的に許容される1以上の担体の1つ以上を含むことができる。
【0189】
特定の実施態様に従うと、本発明に従う医薬組成物は、本発明において定義されているABX464:VA64 ASD、ABX464:K30 ASD、ABX464:Eudragit L100-55 ASD、ABX464:HPMCAS-MF ASD、ABX464:VA64:K30 ASD、ABX464:VA64:クエン酸ASD、ABX464:K30:クエン酸ASD、ABX464:VA64:ツイーン(Tween)80 ASD、又はABX464:VA64:HPMCAS-MF ASD、及び医薬的に許容される1以上のポリマー、特にコポビドン及び/又はポビドン等の更なる1以上の賦形剤を含む。これらの場合、賦形剤として考慮されるポリマー(例えば、コポビドン及び/又はポビドン)の量は、本発明に従って該ASDについて本発明において定義されている重量比ABX464/医薬的に許容される1以上の担体の計算において考慮される必要がなく、ABX464及び本発明に従って該ASDについて定義される該医薬的に許容される1以上の担体の合計重量に対する重量による該量の決定において考慮する必要がないことが理解されなければならない。
【0190】
1つの実施態様に従うと、本発明に従う医薬組成物は、有効成分ABX464の1日当たり1mg~1g、特に1日当たり10mg~150mgの用量が、それを必要とする対象に1日当たり1回以上投与される。
【0191】
本発明に従う医薬組成物は、改変型、持続型、制御型、遅延型、又は即時放出型の形態下でありうる。
【0192】
本発明に従う医薬組成物を調製する方法
上記されている通り、下記の工程を含む、本発明において定義されている該医薬組成物を調製する方法がまた本明細書において提供される:
a)8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン又はその医薬的に許容される塩を、1種類の適切な溶媒又は複数種類の適切な混合溶媒に溶解して、溶液を得ること;
b)このようにして得られた工程a)の該溶液に、本発明において定義されている医薬的に許容される少なくとも1つの担体を添加すること;
c)任意的に、工程b)で得られた混合物を混合すること;
d)1以上の該溶媒を蒸発させて、該非晶質固体分散物を提供すること;
e)工程d)の該非晶質固体分散物を1以上の賦形剤と一緒に混合して該医薬組成物を得ること;及び
f)コーティングされた医薬組成物が必要とされる場合、任意的に、このようにして得られた該医薬組成物をコーティングすること。
【0193】
工程a)、b)、c)及びd)は、本発明に従うASDを調製する方法について上記で定義されているものと同じである。
【0194】
混合する該工程e)は、当該技術分野において知られている任意の慣用的な手段によって実行されうる。
【0195】
コーティングの該工程f)は、当該技術分野において知られている慣用的な1以上のコーティング剤を使用して行われうる。
【0196】
本発明の該医薬組成物が錠剤の形態である場合、工程e)で得られたような混合物を圧縮する工程が、工程e)と任意の工程f)との間で実行されなければならない。
【0197】
治療用途及び投与の方法
上記されている通り、医薬品としての使用の為の、及び炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、肺動脈性高血圧症、NASH及び多発性硬化症、ウイルスによって引き起こされる疾患及び/又は癌若しくは異形成の処置及び/又は予防での使用の為の、本発明において定義されている非晶質固体分散物又は本発明において定義されている医薬組成物がまた本明細書において提供される。
【0198】
ABX464又はその塩を必要とする対象に、該ABX464又はその塩を投与する方法が更に本明細書において提供され、該方法は、
ABX464又はその医薬的に許容される塩、及びASDとして調製された医薬的に許容される少なくとも1つの担体、並びに少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む経口医薬組成物を提供すること;及び
該医薬組成物を治療上有効な量でそれを必要とする対象に経口投与すること
を含む。
【0199】
ABX464又はその塩は、単独で、又はABX464若しくはその塩と相乗的に作用することができる他の治療薬と組み合わせて投与されることができる。
【0200】
更なる実態態様において、本発明は、ABX464又はその塩を含む該非晶質固体分散物、及び追加の治療剤を含む医薬組成物を経口的に投与する方法を包含する。
【0201】
「対象」(患者を包含する)は、哺乳動物、例えば、ヒト、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、鳥等)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ニワトリ等)及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、鳥等)を包含する。
【0202】
別の態様によれば、本発明はまた、医薬品の該製造の為の、本発明において定義されている非晶質固体分散物又は本発明において定義されている医薬組成物を使用する方法に関する。
【0203】
別の態様によれば、本発明はまた、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、肺動脈性高血圧症、NASH及び多発性硬化症、、ウイルスによって引き起こされる疾患及び/又は癌若しくは異形成を予防及び/又は処置する為の医薬の該製造の為の本発明において定義されている非晶質固体分散物又は本発明において定義されている医薬組成物を使用する方法に関する。
【0204】
別の態様によれば、本発明はまた、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、肺動脈性高血圧症、NASH及び多発性硬化症、、ウイルスによって引き起こされる疾患及び/又は癌若しくは異形成を処置及び/又は予防する治療方法であって、その必要がある患者に対して本発明において定義されているASDを含む医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0205】
別の態様によれば、本発明はまた、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、肺動脈性高血圧症、NASH及び多発性硬化症、、ウイルスによって引き起こされる疾患及び/又は癌若しくは異形成を処置及び/又は予防する治療方法であって、その必要がある患者に本発明において定義されているASDの治療有効量を投与することを含む方法に関する。
【0206】
炎症性疾患
従って、本発明はまた、炎症性疾患の処置及び/又は予防における使用の為の、上記で定義されるASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関する。
【0207】
本発明に従うと、「炎症」は、組織損傷及び感染に対する免疫系による防御反応である。しかしながら、炎症反応は、或る状況によっては、身体を損傷する可能性がある。急性期には、炎症は、痛み、熱、赤み、腫れ及び機能低下によって特徴付けられる。炎症は、感染、刺激又は損傷から生じる場合がある。
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【0208】
従って、「炎症性疾患」は、過剰な又は制御されない炎症によって引き起こされる一群の疾患及び/又は障害を云う。
【0209】
非限定的には、炎症性疾患は、自己免疫疾患に伴う炎症性疾患、中枢神経系(CNS:central nervous system)炎症性疾患、関節炎症性疾患、消化管炎症性疾患、気管支炎等の上皮細胞に関わる皮膚炎症性疾患及び他の炎症性疾患、結腸癌等の癌に伴う炎症、刺激に伴う炎症、及び損傷に伴う炎症を包含する。
【0210】
本発明に従うと、該炎症性疾患、障害又は状態は、下記から選択される:
(a)1型糖尿病、2型糖尿病、急性及び慢性膵炎から選択される膵臓における炎症性疾患、障害、又は状態;
(b)糸球体硬化症、糸球体腎炎、腎炎、急性腎障害、ベルジャー病、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症及び腎移植の急性又は慢性拒絶反応から選択される該腎臓における炎症性疾患、障害、又は状態;
(c)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、胆汁性肝疾患、硬化性胆管炎及び肝移植の急性又は慢性拒絶反応から選択される該肝臓における炎症性疾患、障害、又は状態;
(d)慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、肺線維症、肺動脈性肺高血圧症、サルコイドーシス、心筋炎、心膜炎及び肺又は心臓移植の急性又は慢性拒絶反応から選択される該肺又は心臓における炎症性疾患、障害、又は状態;
(e)接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、慢性皮膚炎、乾癬、湿疹、円形脱毛症、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、獲得表皮水疱症、ざ瘡、ケロイド及びその他皮膚の炎症又はアレルギー性疾患から選択される該皮膚における炎症性疾患、障害、又は状態;
(f)ベーチェット病、血管炎、敗血症、腫瘍血管新生、動脈硬化、増殖性血管疾患及び再狭窄から選択される該血管/血液における炎症性疾患、障害、又は状態;
(g)結膜炎、強膜炎、上強膜炎、汎ぶどう膜炎、脈絡膜炎、脈絡網膜炎、神経網膜炎、ぶどう膜炎、眼窩炎症性疾患及び視神経炎から選択される該眼における炎症性疾患、障害、又は状態;
(h)非ウイルス性及びウイルス性脳炎及び髄膜炎、うつ病、神経障害性疼痛、慢性疼痛、脳卒中を含む外傷性脳損傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、脊髄炎、シャルコー・マリー・トゥース病1型(CMT1A及びCMT1Bを含む)、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クロイツフェルト・ヤコブ病、脱髄性多発神経炎及び末梢神経障害から選択される該中枢又は末梢神経系における炎症性疾患、障害、又は状態;
(i)該皮膚及び腎臓を含むループス、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、特発性紫斑病、再生不良性貧血、バセドウ病、及び心筋炎から選択される自己免疫疾患、障害、又は状態;
(j)腸管障害、潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病から選択される該腸の炎症性疾患、障害、又は状態;
(k)子宮内膜症、子宮線維腫、前立腺異形成又は増殖、及び子宮頸部異形成から選択される該生殖器系の炎症性疾患、障害、又は状態;及び
(l)関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、歯周炎、及び手、足、足首、膝、股関節、肩、肘又は脊椎の関節炎及び/又は脱灰から選択される該骨及び/又は関節の炎症性疾患、障害、又は状態。
【0211】
特定の実態態様において、該炎症性疾患は、自己免疫疾患に関連付けられた炎症性疾患、中枢神経系(CNS)炎症性疾患、関節炎症性疾患、炎症性消化管疾患、炎症性皮膚及び上皮細胞に関わる他の炎症性疾患、癌に関連付けられた炎症、刺激に関連付けられた炎症、及び損傷に関連付けられた炎症からなるリストにおいて選択されることができる。
【0212】
特に、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン、変形性関節症、動脈硬化症、強直性脊椎炎、乾癬、皮膚炎、シェーグレン症候群、気管支炎、ぜんそく、肺動脈性高血圧症、NASH及び結腸癌に伴う炎症からなるリストにおいて選択される。
【0213】
より特には、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、変形性関節症、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、気管支炎、肺動脈性高血圧、NASH及び結腸癌に伴う炎症からなるリストにおいて選択される。
【0214】
より特には、炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、変形性関節症、強直性脊椎炎、肺動脈性肺高血圧症、NASH及び乾癬からなるリストにおいて選択される。
【0215】
好ましくは、本発明に従う炎症性疾患は、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、肺動脈性肺高血圧症、NASH及び多発性硬化症を包含する。
【0216】
更により好ましくは、本発明に従う炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、肺動脈性肺高血圧症、NASH及び多発性硬化症を包含する。
【0217】
炎症性疾患はまた、アルツハイマー病、パーキンソン病、喘息、動脈硬化症及び皮膚炎がまた包含しうる。
【0218】
皮膚炎として、湿疹が挙げられうる。
【0219】
以上の観点から、本発明は、炎症性疾患、例えば、炎症それ自体、及び炎症性疾患に関連付けられた炎症を包含する該炎症性疾患、の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関する。
【0220】
従って、本発明はまた、炎症性疾患、例えば、炎症それ自体、及び炎症性疾患と関連付けられた炎症を包含する該炎症性疾患、を処置及び/又は予防する為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物の使用に関する。
【0221】
本発明はまた、炎症、例えば、炎症それ自体、及び炎症性疾患に関連付けられた炎症を包含する該炎症、を処置及び/又は予防する為の、医薬等の組成物の調製の為の、本発明において定義されているASDの使用に関する。
【0222】
本発明はまた、炎症性疾患、例えば、炎症それ自体、及び該炎症性疾患に関連付けられた炎症を包含する該炎症性疾患、を処置及び/又は予防する方法であって、該方法が、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物を、それを必要とする患者に投与する工程を含む上記方法に関する。
【0223】
幾つかの実施態様において、炎症性疾患、障害又は状態を処置する為の、本発明の方法又は本発明において定義されているASD若しくは上記で定義される使用の為の、本発明において定義されている医薬組成物は、患者、例えば血液、血漿、組織、唾液、及び/又は血清サンプル中の、バイオマーカーの存在及び/又はレベルを測定及び/又は監視することを更に含む。幾つかの実施態様において、本発明の方法において測定及び/又は監視されるバイオマーカーは、miR-124である。
【0224】
幾つかの実施態様において、炎症性疾患、障害又は状態を処置する為の、本発明の方法又は本発明において定義されているASD若しくは上記で定義される使用の為の、本発明において定義されている医薬組成物は本明細書において記載されている通り、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物を投与する前に、患者における、例えば、血液、血漿、組織、唾液、及び/又は血清サンプルにおける、miR-124の存在及び/又は発現レベルを測定及び/又は監視することを更に含む。
【0225】
幾つかの実施態様において、炎症性疾患、障害又は状態を処置する為の、本発明の方法又は本発明において定義されているASD若しくは上記で定義される使用の為の、本発明において定義されている医薬組成物は本明細書において記載されている通り、本発明において定義されているASD又はその医薬組成物を使用した処置の経過中に患者におけるmiR-124の存在及び/又は発現レベルを測定及び/又は監視することを更に含む。
【0226】
幾つかの実施態様において、炎症性疾患、障害又は状態を処置する為の本発明の方法、又は本発明において定義されているASD若しくは上記で定義される使用の為の、本発明において定義されている医薬組成物は本明細書において記載されている通り、患者におけるmiR-124の存在及び/又は発現レベルを測定及び/又は監視することによって、本発明において定義されているASD又はその医薬組成物での処置の為の患者を選択することを更に含む。
【0227】
提供されるASDは、単独で又は1つ以上の他の治療用化合物と組み合わせて投与されることができ、ありうる組み合わせ療法は、固定された組み合わせ又は本発明の化合物と1つ以上の他の治療用化合物の投与を互いにずらして又は独立して投与する形態をとるか、若しくは固定された組み合わせと1つ以上の他の治療用化合物の組み合わせ投与である。本発明の化合物は、その他に又は追加で、化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、外科的介入、又はそれらの組み合わせと組み合わせて、特に腫瘍治療の為に投与されうる。長期療法は、上記されている通り、他の処置戦略の文脈におけるアジュバント療法と等しくありうる。他のありうる治療法は、腫瘍退縮後の該患者の状態を維持する為の治療法、又は例えばリスクのある患者における化学予防療法である。
【0228】
それらの追加薬剤は、複数回投与レジメンの一部として、提供されるASDとは別に投与されうる。代替的に、それらの薬剤は、単一の組成物で提供されるASDと一緒に混合された、単一の投与形態の一部でありうる。複数の投与レジメンの一部として投与される場合、2つの活性薬剤は、同時に、順次に又は互いに通常5時間未満の期間内に、もたらされうる。
【0229】
本明細書において使用される場合、語「組み合わせ」、「組み合された」、及びその関連する語は、本発明に従って治療剤の同時又は順次の投与を云う。例えば、提供されるASDは、別の治療剤と同時又は逐次的に別々の単位剤形で、又は一緒に単一の単位剤形で投与されうる。従って、本発明は、提供されるASD、追加の治療剤、及び医薬的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。
【0230】
幾つかの実施態様において、本発明において定義されている該ASDは、1つ以上の追加の治療剤と共に投与されうる。そのような追加の治療剤は、低分子又は組換え生物学的薬剤であり得、例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン等の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、エトドラク(Lodine(登録商標))及びセレコキシブ、コルヒチン(Colcrys(登録商標))、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ハイドロコルチゾン等のコルチコステロイド、プロベネシド、アロプリノール、フェブキソスタット(Uloric(登録商標))、スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(登録商標))及びクロロキン(Aralen(登録商標))等の抗マラリア薬、メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標))、チオグルコース金(Solganal(登録商標))等の金塩類、チオリンゴ酸金(Myochrysine(登録商標))及びオーラノフィン(Ridaura(登録商標))、D-ペニシラミン(Depen(登録商標)又はCuprimine(登録商標))、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シクロスポリン(Sandimmune(登録商標)、Neoral(登録商標))、タクロリムス、シロリムス、ミコフェノール酸、レフルノミド(Arava(登録商標))及びエタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標))及びアダリムマブ(Humira(登録商標))等の「抗TNF」剤、「アナキンラ(Kineret(登録商標))、リロナセプト(Arcalyst(登録商標))等の「抗IL-1」剤、チモグロブリン、IV免疫グロブリン(IVIg)、カナキヌマブ(Ilaris(登録商標))等の抗T細胞抗体、トファシチニブ等の抗Jak阻害剤、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))等の抗体、アバタセプト(Orencia(登録商標))等の「抗T細胞」剤、トシリズマブ(Actemra(登録商標))、ジクロフェナク、コルチゾン、ヒアルロン酸(Synvisc(登録商標)又はHyalgan(登録商標))等の「抗IL-6」剤、タネズマブ等のモノクローナル抗体、ヘパリン(Calcinparine(登録商標)又はLiquaemin(登録商標))及びワルファリン(Coumadin(登録商標))等の抗凝固剤、ジフェノキサート(Lomotil(登録商標))及びロペラミド(Imodium(登録商標))等の止瀉薬、コレスチラミン、アロセトロン(Lotronex(登録商標))、ルビプロストン(Amitiza(登録商標))等の胆汁酸結合剤、マグネシアミルク、ポリエチレングリコール(MiraLax(登録商標))、Dulcolax(登録商標)、Correctol(登録商標)及びSenokot(登録商標)等の緩下剤、ジシクロミン(Bentyl(登録商標))、Singulair(登録商標)等の抗コリン薬又は鎮痙薬、アルブテロール(Ventolin(登録商標) HFA、Proventil(登録商標) HFA)、レバルブテロール(Xopenex(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標))、ピルブテロール酢酸塩(Maxair(登録商標))、テルブタリン硫酸塩(Brethaire(登録商標))、サルメテロールキシナフォエート(Serevent(登録商標))及びホルモテロール(Foradil(登録商標))等のβ2アゴニスト、イプラトロピウムブロミド(Atrovent(登録商標))及びチオトロピウム(Spiriva(登録商標))等の抗コリン薬、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(Beclovent(登録商標)、Qvar(登録商標)及びVanceril(登録商標))、トリアムシノロンアセトニド(Azmacort(登録商標))、モメタゾン(Asthmanex(登録商標))、ブデソニド(Pulmocort(登録商標))、及びフルニソリド(Aerobid(登録商標))、Afviar(登録商標)、Symbicort(登録商標)、Dulera(登録商標)、クロモリンナトリウム(Intal(登録商標))等の吸入コルチコステロイド、テオフィリン(Theo-Dur(登録商標)、Theolair(登録商標)、Slo-bid(登録商標)、Uniphyl(登録商標)、Theo-24(登録商標))及びアミノフィリン等のメチルキサンチン、オマリズマブ(Xolair(登録商標))等のIgE抗体、ジドブジン(Retrovir(登録商標))、アバカビル(Ziagen(登録商標))、アバカビル/ラミブジン(Epzicom(登録商標))、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir(登録商標))、ジダノシン(Videx(登録商標))、エムシタビン(Emtriva(登録商標))、ラミブジン(Epivir(登録商標))、ラミブジン/ジドブジン(Combivir(登録商標))、スタブジン(Zerit(登録商標))、及びザルシタビン(Hivid(登録商標))等のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、デラビルジン(Rescriptor(登録商標))、エファビレンツ(Sustiva(登録商標))、ネバイラピン(Viramune(登録商標))及びエトラビリン(Intelence(登録商標))等の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、テノフォビル(Viread(登録商標))等のヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、アンプレナビル(Agenerase(登録商標))、アタザナビル(Reyataz)、ダルナビル(Prezista(登録商標))、ホスアンプレナビル(Lexiva(登録商標))、インジナビル(Crixivan(登録商標))、ロピナビル及びリトナビル(Kaletra(登録商標))、ネルフィナビル(Viracept(登録商標))、リトナビル(Norvir(登録商標))、サキナビル(Fortovase(登録商標)又はInvirase(登録商標))、及びティプラナビル(Aptivus(登録商標))等のプロテアーゼ阻害剤、エンフビルタイド(Fuzeon(登録商標))及びマラビロク(Selzentry(登録商標))等の侵入阻害剤、ラルテグラビル(Isentress(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、及びレナリドミド(Revlimid(登録商標))と組み合わせたデキサメタゾン(Decadron(登録商標))等のインテグラーゼ阻害剤、BI655130等の抗IL36剤、IMU-838等のジヒドロオロテート脱水素酵素阻害薬、KHK-4083等の抗OX40薬、RBX2660、SER-287等のマイクロバイオーム剤、TOP-1288等のナロースペクトルキナーゼ阻害剤、BI-655064及びFFP-104等の抗CD40剤、ドルカナチド等のグアニル酸シクラーゼアゴニスト、オパガニーブ等のスフィンゴシンキナーゼ阻害剤、AK-101等の抗IL-12/IL-23剤、BBT-401等のユビキチンタンパク質リガーゼ複合体阻害剤、BMS-986166等のスフィンゴシン受容体モジュレーター、CBS-3595等のP38MAPK/PDE4阻害剤、CCX-507等のCCR9アンタゴニスト、EB-8018等のFimHアンタゴニスト、FG-6874等のHIF-PH阻害剤、GB-004等のHIF-1α安定剤、GS-4875等のMAP3K8タンパク質阻害剤、GSK-283171等のLAG-3抗体、GSK-2983559等のRIP2キナーゼ阻害剤、MET-409等のファルネソイドX受容体アゴニスト、PNB-001等のCCK2アンタゴニスト、PTG-200等のIL-23受容体アンタゴニスト、SGM-1019等のプリン作動性P2X7受容体アンタゴニスト、アプレミラスト等のPDE4阻害剤、アリカフォルセンナトリウム等のICAM-1阻害剤、グゼルクマブ、ブラジクマブ、及びミルキズマブ等の抗IL23薬、AMG-714等の抗IL15薬、BMS-986165等のTYK2阻害剤、CNDO-201等のNK細胞活性化剤、GSK-2982772等のRIP-1キナーゼ阻害剤、JNJ-4500等の抗NKGD2剤、JT-02等のCXCL-10抗体、RG-7880等のIL-22受容体アゴニスト、SB-012等のGATA-3アンタゴニスト及びエディコチニブ等のコロニー刺激因子1受容体阻害剤又はそれらの1以上の組み合わせを包含する。
【0231】
ウイルスによって引き起こされる疾患
本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物は、ウイルス、特にレトロウイルス、及びより特にはHIV、によって引き起こされる種々の疾患の処置及び/又は予防において、より特にはウイルス、特にはHIV、又はウイルスに関連した状態、によって感染された患者におけるウイルス量を、長期間にわたる効果及び耐性がない状態で低下させる為の使用の為に有用でありうる。
【0232】
本発明によって考慮されるウイルスの例は、エンベロープウイルス及び裸ウイルスを包含し、それは、DNAウイルス、RNAウイルス及びレトロウイルスを包含し、それはdsDNAウイルス、ssDNAウイルス、dsRNAウイルス、(+)ssRNAウイルス、(-)ssRNAウイルス、ssRNA-RTウイルス及びdsDNA-RTウイルスを包含する。
【0233】
より特に考慮されるウイルスは、RNAウイルス及びレトロウイルス、例えば、レンチウイルスを包含する上記のRNAウイルス及びレトロウイルス、であり、好ましくはHIVである。従って、より特に考慮される、ウイルスに関連した状態は、RNAウイルス又はレトロウイルス、好ましくはHIVに関連付けられている。HIVは、HIV-I、HIV-2及びその全ての亜型を包含し得、これは、HIV-I B亜型、HIV-I C亜型、及びHIV-I組換え型に属するHIV-I株を包含する。例は、Ad8、AdaM、Isolate B、Isolate C、CRF01、CRF02及びCRF06から選択されるHIV-I株を包含する。好ましい実施態様に従うと、該ウイルスに関連した状態はAIDSである。
【0234】
下記の3つのサブファミリーがレトロウイルスファミリー内で区別されることができる:該オンコウイルス、該レンチウイルス及び該スプーマウイルス。HIVは、該レンチウイルスに属する。
【0235】
特定の実施態様に従うと、該レトロウイルスは、HIVウイルス(HIV1及びHIV2)、ビスナ/メディウイルス(visna/maedi virus)、すなわちMVV(MVV/visna)、馬伝染性貧血ウイルス、すなわちEIAV(equine infectious anemia virus)、カプリン関節炎脳炎ウイルス、すなわちCAEV(caprine arthritis encephalitis virus)、シミアン免疫不全ウイルス、すなわちSIV(simian immunodeficiency virus)、鳥白血病ウイルス、すなわちALV(avian leukemia virus)、モロニーウイルス、すなわちMULV(Moloney virus)とも呼ばれるマウス白血病ウイルス、アベルソン白血病ウイルス、マウス乳腺腫瘍ウイルス、メイソンPfizerモンキーウイルス、すなわちMPMV(Mason-Pfizer monkey virus)、ネコ白血病ウイルス、すなわちFELV(feline leukemia virus)、ヒト白血病ウイルスHTLV-I、ヒト白血病ウイルスHTLV-II、シミアンロイケミアウイルス、すなわちSTLV(simian leukemia virus)、ウシ白血病ウイルス、すなわちBLV(bovine leukemia virus)、霊長類D型腫瘍ウイルス、B型腫瘍ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、すなわちRSV(Rous sarcoma virus)、シミアンフォーミーウイルス、すなわちSFV(simian foamy virus)若しくはチンパンジーシミアンウイルス、ヒトフォーミーウイルス、及びネコ免疫不全ウイルス、該ヒトフォーミーウイルス、すなわちHFV(human foamy virus)、ウシシンシチアルウイルス、すなわちBSV(bovine syncytial virus)、ネコシンシチアルウイルスFSV(feline syncytial virus)、該ネコ免疫不全ウイルス、鳥白血病ウイルス、ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス、T細胞リンパ腫、急性ATL、リンパ腫性ATL、慢性ATL、くすぶり型ATL、神経疾患、熱帯性痙性対麻痺、すなわちHTLV(Tropical spastic paraparesis)関連脊髄症、炎症性及び自己免疫疾患、例えば、ぶどう膜炎、皮膚炎、肺炎、関節リウマチ、及び多発性筋炎、血液及び皮膚疾患、肺疾患、脳疾患、及び/又は免疫不全症を包含する。
【0236】
本明細書に記載されている場合、語オンコウイルスは、アルファレトロウイルス(例えば、鳥白血病ウイルス及びラウス肉腫ウイルス);ベータレトロウイルス(例えば、マウス乳腺腫瘍ウイルス);ガンマレトロウイルス(例えば、マウス白血病ウイルス及びネコ白血病ウイルス);デルタレトロウイルス(例えば、ウシ白血病ウイルス及びヒトTリンパトロピックウイルス);及びエプシロンレトロウイルス(例えば、ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス)を包含しうる。
【0237】
より一般的には、本明細書に記載された該レトロウイルスは、例えば、ビスナ/メディウイルス又はMVV/ビスナ、馬伝染性貧血ウイルス、すなわちEIAV、カプリン関節炎脳炎ウイルス、すなわちCAEV、シミアン免疫不全ウイルス、すなわちSIV、鳥白血病ウイルス、すなわちALV、モロニーウイルス、すなわちMULVとも呼ばれるマウス白血病ウイルス、アベルソン白血病ウイルス、マウス乳腺腫瘍ウイルス、メイソン-Pfizerモンキーウイルス、すなわちMPMV、ネコ白血病ウイルス、すなわちFELV、ヒト白血病ウイルスHTLV-I、ヒト白血病ウイルスHTLV-II、シミアンロイケミアウイルス、すなわちSTLV、該ウシ白血病ウイルス、すなわちBLV、霊長類D型オンコウイルス、B型オンコウイルス、ラウス肉腫ウイルス、すなわちRSV、及び/、すなわちシミアンフォーミーウイルス、すなわちSFV若しくはチンパンジーシミアンウイルス、ヒトフォーミーウイルス、及びネコ免疫不全ウイルス、該ヒトフォーミーウイルス(すなわちHFV)、ウシシンシチアルウイルス(すなわちBSV)、ネコシンシチアルウイルス(FSV)及び該ネコ免疫不全ウイルスでありうる。
【0238】
より特には、HTLV-Iは、T細胞リンパ腫(成人T細胞白血病/リンパ腫の為のATL、例えば異なる形態のATL、例えば、急性ATL、リンパ腫性ATL、慢性ATL及びくすぶりATL等の成人T細胞白血病/リンパ腫の為のATL、を包含する、成人T細胞白血病/リンパ腫のATL、を包含する上記のATL)、神経疾患、熱帯性痙性麻痺(TSP)(HTLV関連脊髄症(HAM)又は慢性進行性脊髄症としても知られている)、及びぶどう膜炎、皮膚炎、肺炎、関節リウマチ等の多様な炎症及び自己免疫疾患、及び;HTLV-IIは、特定の神経疾患、血液疾患及び皮膚疾患に関与し得;HIV(HIV1及びHIV2)はAIDSを引き起こし;該ビスナウイルスは羊の肺及び脳疾患を引き起こし、該ネコ免疫不全ウイルスはネコの免疫不全を引き起こし;ラウス肉腫ウイルス及びマウス乳腺腫瘍ウイルスは腫瘍増殖及び癌を引き起こす。
【0239】
本発明はまた、ウイルス、特にレトロウイルス及びより特にHIV、によって引き起こされる疾患を処置及び/又は予防する方法に関し、該方法は、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物を、それを必要とする患者に投与する工程を含む。
【0240】
加えて、本発明は、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている該医薬組成物を使用することにより、ウイルス、特にHIV、又はウイルスに関連した状態、によって感染された患者のウイルス量を、長期間にわたる効果で且つ耐性がない状態で低下させることの目的を有する。
【0241】
1つの実施態様において、本発明は、先行技術の抗レトロウイルス処置効果の無効性又は低下が表明されている患者におけるレトロウイルス感染又はレトロウイルスに関連した状態、特にHIV感染又はHIV関連疾患、を処置又は予防する為の使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関係する。
【0242】
別の実施態様において、本発明は、患者におけるレトロウイルス感染又はレトロウイルスに関連した状態、特にHIV感染又はHIV関連疾患、を処置又は予防する為の使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関し、ここで、該患者は薬剤耐性ウイルス株、より特に薬剤耐性HIV株、に感染している。
【0243】
その上、本発明は更に、本発明において定義されている該ASDの新しい用量及びレジメン、並びにウイルス感染、及び特にHIV、又はウイルスに関連した状態の処置又は予防における使用、より特に該使用が処置終了後に低いウイルス量を維持する場合に関する。従って、1つの実施態様に従うと、本発明は、患者におけるウイルス感染又はウイルスに関連した状態、特にHIV感染又はHIV関連疾患の処置又は予防の為の使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関し、処置終了後に;低い又は検出できないウイルス負荷は維持され;及び/又はCD4+細胞数は安定し又は増加される。
【0244】
別の実施態様に従うと、本発明は、患者におけるウイルス感染又はウイルスに関連した状態、特には、先行技術の抗レトロウイルス処置における無効性、又は先行技術の抗ウイルス若しくは抗レトロウイルスにおける治療効果の低下が表明されているところのHIV感染又はHIV関連疾患、の処置又は予防における使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関する。
【0245】
更に別の実施態様に従うと、本発明は、患者におけるウイルス感染又はウイルスに関連した状態、特にHIV感染又はHIV関連疾患の処置又は予防における使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関し、ここで、該患者は薬剤耐性株に感染している。
【0246】
本発明のフレームワークにおいて、本発明において定義されている該ASDは、他の抗レトロウイルス剤と組み合わせて投与されうる。1つの実施態様に従うと、ART(抗レトロウイルス剤治療)又はHAART(高活性抗レトロウイルス療法)が以下の抗レトロウイルス化合物の1つ以上を使用して実行されうる:
(i)ヌクレオシドアナログとも呼ばれるヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、例えばアバカビル、エムトリシタビン、及びテノフォビル;
(ii)非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、例えばエファビレンツ、エトラビリン、及びネビラピン;
(iii)プロテアーゼ阻害剤(PI)、例えばアタザナビル、ダルナビル、及びリトナビル;
(iv)侵入阻害剤、例えばエンフビルタイド及びマラビロク;
(v)インテグラーゼ阻害剤、例えばドルテグラビル及びラルテグラビル。
【0247】
抗レトロウイルス剤の他の例は、非限定的な方式で:ジドブジン(Zidovudine)、ラミブジン(Lamivudine)、エムトリシタビン(Emtricitabine)、ジダノシン(Didanosine)、スタブジン(Stavudine)、アバカビル(Abacavir)、ザルシタビン(Zalcitabine)、ラシビル(Racivir)、アムドクソビル(Amdoxovir)、アプリシタビン(Apricitabine)、エルブシタビン(Elvucitabine)、エファビレンツ(Efavirenz)、ネビラピン(Nevirapine)、エトラビリン(Etravirine)、デラビルジン(Delavirdine)、リルプビリン(Rilpvirine)、テノフォビル(Tenofovir)、フォサルブジン(Fosalvudine)、アンプレナビル(Amprenavir)、ティプラナビル(Tipranavir)、インジナビル(Indinavir)、サキナビル(Saquinavir)、フォサンプレナビル(Fosamprenavir)、リトナビル(Ritonavir)、ダルナビル(Darunavir)、アタザナビル(Atazanavir)、ネルフィナビル(Nelfinavir)、ロピナビル(Lopinavir)、ラルテグラビル(Raltegravir)、エルビテグラビル(Elvitegravir)、ドルテグラビル(Dolutegravir)、エンフルビタイド(Enfuvirtide)、マラビロク(Maraviroc)、ビクリビロク(Vicriviroc)、及びそれらの組み合わせを包含する。
【0248】
幾つかの実施態様において、本発明に従うASDは、ジドブジン(Retrovir(登録商標))、アバカビル(Ziagen(登録商標))、アバカビル/ラミブジン(Epzicom(登録商標))、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir(登録商標))、ジダノシン(Videx(登録商標))、エムトリシタビン(Emtriva(登録商標))、ラミブジン(Epivir(登録商標))、ラミブジン/ジドブジン(Combivir(登録商標))、スタブジン(Zerit(登録商標))、及びザルシタビン(Hivid(登録商標))等のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、デラビルジン(Rescriptor(登録商標))、エファビレンツ(Sustiva(登録商標))、ネバイラピン(Viramune(登録商標))及びエトラビリン(Intelence(登録商標))等の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、テノフォビル(Viread(登録商標))等のヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、アンプレナビル(Agenerase(登録商標))、アタザナビル(Reyataz(登録商標))、ダルナビル(Presista(登録商標))、フォサンプレナビル(Lexiva(登録商標))、インディナビル(Crixivan(登録商標))、ロピナビル及びリトナビル(Kaletra(登録商標))、ネルフィナビル(Viracept(登録商標))、リトナビル(Norvir(登録商標))、サキナビル(Fortovase(登録商標)又はInvirase(登録商標))、及びティプラナビル(Aptivus(登録商標))等のプロテアーゼ阻害剤、エンフビルタイド(Fuzeon(登録商標))及びマラビロク(Selzentry(登録商標))等の侵入阻害剤、ラルテグラビル(Isentres(登録商標))等のインテグラーゼ阻害剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて投与されうる。
【0249】
本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物はまた、コロナウイルス科ファミリー(Coronaviridae family)に属するウイルスによって引き起こされる疾患又はコロナウイルス感染症及びそれに関連付けられた状態、及び特にはCOVID-19(本明細書において、コロナウイルス疾患2019とまた言及される)の原因株及びその変異株を包含するSARS-CoV又はSARS-CoV-2の感染によって引き起こされる重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)、の処置及び/又は予防に有用でありうる。
【0250】
より特には、SARS-CoV-2は、以前は2019-nCoVとして知られている、が、該コロナウイルス科ファミリーに属し、且つボルチモア分類の第4群の一部に属する。
【0251】
参考までに、本明細書において報告されている該「ボルチモア分類」の内容は、2020年3月20日(Eメール批准2019年2月&MSL#34)にhttps://talk.ictvonline.org/taxonomy/でオンラインにおいて利用できるように、国際ウイルス分類委員会(ICTV)のデータベースで説明されているウイルス分類学を更に参照している。この分類学は、その全体が本明細書に取り込まれる。
【0252】
従って、この分類は、ウイルスをゲノムの種類に応じてファミリー(又は「群」)にクラスター化する。2018年現在の該ウイルス分類は、下記の7つの異なるグループを含む:
第1グループ:2本鎖DNAウイルス(dsDNA);
第2グループ:1本鎖DNAウイルス(ssDNA);
第3グループ:2本鎖RNAウイルス(dsRNA);
第4グループ:(+)鎖又はセンスRNAウイルス((+)ssRNA);
第5グループ:(-)鎖又はアンチセンスRNAウイルス((-)ssRNA);
第6グループ:DNA中間体を有する1本鎖RNAウイルス(ssRNA-RT);
第7グループ:RNA中間体を有する2本鎖DNAウイルス(dsDNA-RT)。
【0253】
その上、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物は更に、SARS-CoV-2感染:該サイトカインストームに対抗する抗炎症効果、粘膜効果、長期にわたる換気後の後遺症を避ける為に、組織修復の促進の重症形態の処置及び/又は予防に特に有用である。
【0254】
特定の実施態様に従うと、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物は、COVID-19の初期段階で使用されうる。
【0255】
事実、臨床的には、SARS-CoV-2感染は、サイトカインストーム症候群、急性呼吸窮迫症候群(ARDS:acute respiratory distress syndrome)及び多臓器不全につながりうる。とりわけ、サイトカインストーム(すなわち、炎症亢進症候群)がCOVID-19の重症度(増加されたMCP1、IL-1β、TNFα、IL-17、G-CSF及びIL-6を含む)に関連付けられていることである。早期治療とウイルス複製及び様々なサイトカイン経路への作用とが、該サイトカインストーム症候群及び「炎症亢進」を成功裏に減少させ、ARDS及び多臓器不全を予防することを可能にする。
【0256】
従って、1つの実施態様において、本発明は、コロナウイルス科感染に関連付けられた呼吸窮迫症候群の発生前に患者の群を処置する方法における使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関する。該患者は、入院していてもよく又は入院していなくてもよい。
【0257】
従って、1つの実施態様において、本発明は、コロナウイルス科感染に関連付けられた呼吸窮迫症候群の発生を処置又は予防する為の方法における使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関する。
【0258】
特定の実施態様に従うと、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物は、コロナウイルス科感染を処置又は予防する為の方法における使用の為のものであり、コロナウイルス科感染に関連付けられた、血管、心血管、神経又は胃腸の疾患の発生を処置又は予防する為のものである。
【0259】
有利には、本発明において定義されているASDは、コロナウイルス科感染の予防の処置における使用の為に、単独で又は任意の他の活性剤、特に任意のダイナミン阻害剤、特に任意のダイナミン-2阻害剤、と組み合わせて、考慮されうる。
【0260】
本明細書において使用される場合、「コロナウイルス感染症に関連付けられた状態」、特にSARS-CoV2等の重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルスに関連付けられた状態は、重症呼吸困難症候群、心血管状態、血管状態、胃腸状態又は神経状態を含む、又はそれらからなるリストから選択されうる。
【0261】
有利には、コロナウイルス感染症に関連付けられた状態を有する、又はその危険性がある該患者がまた考慮されることができる。
【0262】
例示的な実施態様に従うと、特に考慮されるコロナウイルス科感染に関連付けられた該状態は、肺線維症、血管炎、川崎病及び組織損傷又は破壊、特に肺組織損傷及び破壊、を包含する。
【0263】
他に指示されない限り、開示された全てのASD及び医薬組成物は、コロナウイルス科の処置又は予防の為に、本明細書において特に考慮されており、従って、それらはボルチモア協定の意味において該コロナウイルス科ファミリーの任意の要素を平凡に云いうるが、ウイルスの特定の選択が、好ましい実態態様として本明細書の以下において考慮されるであろう。
【0264】
本明細書において使用される場合、語「コロナウイルス科」は、ボルチモア分類の第4群に属するRNAウイルスの対応するファミリーを云い、それ自体はコロニドビルネエ亜目及びニドビラレス目の一部である。該コロナウイルス科ファミリーは、レトウイルス亜科及びオルソコロナウイルス亜科の両方、を包含する。
【0265】
本明細書において使用される場合、語「レトウイルス科」は、該ボルチモア分類の対応するファミリーを云い、これは、アルファレトウィルス属、マイルコウィルス亜属が含まれ、これには(非網羅的に)ミクロヒラレトウイルス1種を包含する。
【0266】
本明細書において使用される場合、語「オルソコロナウイルス科」は、該ボルチモア分類の対応するファミリーを云い、これは、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、及びガンマコロナウイルス属、を包含する
【0267】
本明細書において使用される場合、語「アルファコロナウイルス」は、該ボルチモア分類の対応するファミリーを云い、これは、コラコウイルス、デカコウイルス、デュビナコウイルス、ルチャコウイルス、ミナコウイルス、ミヌナコウイルス、ミオタコウイルス、ミクタコウイルス、ペダコウイルス、ライナコウイルス、セトラコウイルス、及びテガコウイルス亜属を包含する。非網羅的な方式において、これは、以下の種を包含する:コウモリコロナウイルスCDPHE15、コウモリコロナウイルスHKU10、キクガシラコウモリアルファコロナウイルスHuB-2013、ヒトコロナウイルス229E、ルーシェンRnラットコロナウイルス、フェレットコロナウイルス、ミンクコロナウイルス1、ミニオプテルスコウモリコロナウイルス1、ミニオプテルスコウモリコロナウイルスHKU8、ミオティス リケッティアルファコロナウイルスSax-2011、ヤモリザメアルファコロナウイルスSC-2013、ブタ流行性下痢ウイルス、スコトフィルムコウモリコロナウイルス512、キクガシラコウモリコロナウイルス HKU2、ヒトコロナウイルスNL63、NL63関連コウモリコロナウイルス株BtKYNL63-9b、アルファコロナウイルス1。
【0268】
本明細書において使用される場合、語「ベータコロナウイルス」は、エンベコウイルス、ヒベコウイルス、マーベコウイルス、ノベコウイルス、及びサーベコウイルス亜属を含む該ボルチモア分類の対応するファミリーを云う。非網羅的な方式において、これは、以下の種を包含する:ベータコロナウイルス1、中国ラットコロナウイルスHKU24、ヒトコロナウイルスHKU1、マウスコロナウイルス、コウモリHp-ベータコロナウイルスZhejiang2013、ヘッジホッグコロナウイルス1、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス、ピピストレルズコウモリコロナウイルスHKU5、コガネコウモリコロナウイルスHKU4、ヘッジホッグコロナウイルス1、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス、ピピストレルズコウモリコロナウイルスHKU5、コガネコウモリコロナウイルスHKU4、ルーセットコウモリコロナウイルスGCCDC1、ルーセットコウモリコロナウイルスHKU9、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス。
【0269】
本明細書において使用される場合、語「重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス」、すなわち、SARSウイルスは、非網羅的な方式において、該SARS-CoV、SARSr-CoV WIV1、SARSr-CoV HKU3、SARSr-CoV RP3、及びSARS-CoV-2を包含し;COVID-19の原因となる株及びそれらの変異体を包含する。
【0270】
本明細書において使用される場合、語「デルタコロナウイルス」は、該ボルチモア分類の対応するファミリーを云い、これは、アンデコウイルス、ブルデコウイルス、ヘルデコウイルス、及びムアルデコウイルス亜属を包含する。非網羅的な方式において、これは、ヒドリガモコロナウイルス(Wigeon coronavirus) HKU20、ヒヨドリコロナウイルス(Bulbul coronavirus) HKU11、コロナウイルス HKU15、ムニアコロナウイルス(Munia coronavirus) HKU13、メジロコロナウイルス(White-eye coronavirus) HKU16、ゴイサギコロナウイルス(Night heron coronavirus) HKU19、コバンザメコロナウイルス(Common moorhen coronavirus) HKU21。
【0271】
本明細書において使用される場合、語「ガンマコロナウイルス」は、該ボルチモア分類の対応するファミリーを云い、それは、セガコウイルス及びイガコウイルス亜属を包含する。非網羅的な方式において、これは、以下の種を包含する:シロイルカコロナウイルスSW1及び鳥コロナウイルス。
【0272】
特定の実施態様に従うと、コロナウイルス感染症を処置又は予防する為の方法における使用の為の、本発明において定義されている該ASD又は本発明において定義されている医薬組成物は、該コロナウイルス感染症に関連付けられた炎症を低減する為のものである。
【0273】
特定の実施態様に従うと、コロナウイルス感染症を処置又は予防する為の方法における使用の為の、本発明において定義されている該ASD又は本発明において定義されている医薬組成物は、コロナウイルス科ウイルス量を減少させる為のものである。
【0274】
特定の実施態様に従うと、コロナウイルス感染症を処置又は予防する為の方法における使用の為の、本発明において定義されている該ASD又は本発明において定義されている医薬組成物は、以下のものとの組み合わせである:
ダイナミン阻害剤、例えばダイナソール、;及び/又は
抗生物質、例えば、β-ラクタム系、フルオロキノロン系、及びマクロライド系、例えばアジスロマイシン、からなる群から選択される1つ;
レムデシビル;
リバビリン;
リトナビル;
ロパニビル;
クロロキン又はヒドロキシクロロキン;
β-インターフェロン;
抗炎症性化合物、例えば抗TNF、Jak阻害剤、抗IL6抗体、IL6受容体アンタゴニストからなる群から選択される1つ;及び/又は
カルシウム阻害剤、例えばジルチアゼム。
【0275】
幾つかの特定の実施態様に従うと、該コロナウイルス科は、レトウイルス科及びオルソコロナウイルス科から選択される。
【0276】
幾つかの特定の実施態様に従うと、該コロナウイルス科は、アルファコロナウイルス又はベータコロナウイルス若しくはデルタコロナウイルス若しくはガンマコロナウイルスである。
【0277】
幾つかの特定の実施態様に従うと、該コロナウイルス科は、エンベコウイルス又はヒベコウイルス若しくはマーベコビウイルス若しくはノベコウイルス若しくはサルベコウイルスである。
【0278】
幾つかの特定の実施態様に従うと、該コロナウイルス科は、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルスから選択されるサルベコウイルスである。
【0279】
幾つかの特定の実施態様に従うと、該重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe Acute Respiratory Syndrome)関連コロナウイルスは、以下からなる群から選択される:SARS-CoV、SARSr-CoV WIV1、SARSr-CoV HKU3、SARSr-CoV RP3、SARS-CoV-2。
【0280】
幾つかの好ましい実施態様に従うと、該重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルスは、SARS-CoV及びSARS-CoV-2、例えば、COVID-19の原因株及びそれらの変異体を包含するSARS-CoV及びSARS-CoV-2、から選択される。
【0281】
幾つかの実施態様に従うと、本発明において定義されている該ASD又は本発明において定義されている該医薬組成物は、コロナウイルス科感染を処置又は予防する為の方法において使用され、ここで、患者の血液、血漿、組織、唾液、咽頭、気管、気管支肺胞、及び/又は血清サンプル中の該8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンのレベルが、該使用中に測定される。
【0282】

本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物は、様々な癌の処置及び/又は予防において有用でありうる。
【0283】
本明細書において使用される場合、語「癌」は、他に記載されない限り、異常な細胞増殖に関連付けられたあらゆる障害に関連し得、従って、これは、悪性腫瘍及び良性腫瘍、転移性腫瘍及び非転移性腫瘍、固体腫瘍及び非固体腫瘍、例えば白血病、リンパ腫及び骨髄腫を包含しうる血液関連癌、を包含し;それは、中枢神経系(CNS:Central Nervous System)癌及び非CNS癌に関連しうる。他に記載されない限り、語「癌」はまた、若年性癌、非若年性癌、再発癌及び非再発癌、並びに癌の再燃を包含する。
【0284】
癌のうち、以下のものが挙げられうる:血液関連癌、膵臓癌、泌尿器癌、膀胱癌、大腸癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌、甲状腺癌、胆嚢癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌)、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、食道癌、頭頸部癌、メラノーマ、神経内分泌癌、CNS癌、脳腫瘍(例えば、神経膠腫、退形成性乏突起膠腫、成人多形性膠芽腫、及び成人退形成性星細胞腫)、骨癌、軟部肉腫、網膜芽腫、神経芽腫、腹水、悪性胸水、中皮腫、ウィルムス腫瘍、絨毛新生物、血管周皮腫、カポジ肉腫、粘液癌、円形細胞癌、扁平上皮癌、食道扁平上皮癌、口腔癌、副腎皮質の癌、又はACTH産生腫瘍。
【0285】
1つの実施態様に従うと、以下の癌が挙げられうる:頭頸部癌、胃癌、乳癌、基底及び扁平上皮癌、肝臓癌、腎臓癌、脳腫瘍、肺癌、膵臓癌、眼癌、消化器癌、大腸癌、食道癌、結腸癌、膀胱癌、胆嚢癌、甲状腺癌、メラノーマ、子宮/頸癌、卵巣癌、骨癌及び腎癌。
【0286】
別の実施態様に従うと、該癌は、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、成人又は小児の急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphocytic Leukemia)、成人又は小児の急性骨髄性白血病(AML:Acute Myeloid Leukemia)、急性リンパ性白血病、副腎癌、肛門癌、星細胞性神経膠腫、星細胞腫(グレード1、2、3又は4)、B-又はNK/T-細胞リンパ腫、基底及び扁平上皮癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、成人の脳及び脊髄腫瘍、小児の脳及び脊髄腫瘍、退形成性星細胞腫、乳癌、消化器癌、女性の乳癌、若年女性の乳癌、男性の乳癌、再発乳癌、遺伝性乳癌、HER2陽性の乳癌、リンパ節転移を伴う乳癌、ERα陽性乳癌、青年期の癌、小児期の癌、若年成人の癌、原発不明癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、子宮頸部上皮内腫瘍、胆管癌、慢性リンパ性白血病(CLL:Chronic Lymphocytic Leukemia)、慢性骨髄性白血病(CML:Chronic Myeloid Leukemia)、慢性骨髄単球性白血病(CMML:Chronic Myelomonocytic Leukemia)、大腸癌、大腸腺腫、皮膚扁平上皮癌、子宮内膜癌、上皮性卵巣癌、転移を伴う上皮性卵巣癌、食道癌、食道扁平上皮癌、ユーイング肉腫、ユーイングファミリー腫瘍、リンパ性白血病(ALL:Lymphoblastic leukaemia)、眼球黒色腫やリンパ腫等の眼癌、胆嚢癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST:Gastrointestinal Stromal Tumor)、妊娠性絨毛疾患、膠芽腫、多形膠芽腫(GBM:Glioblastoma multiforme)、ヘアリーセル白血病、神経膠腫、高悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肝内胆管癌、浸潤性乳管癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭及び下咽頭癌、平滑筋肉腫、白血病、小児白血病、肝癌、肺癌、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、皮膚リンパ腫、悪性中皮腫、マントル細胞リンパ腫、髄芽腫、黒色腫皮膚癌、悪性黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞皮膚癌、多発性骨髄腫、顎骨壊死を伴う多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、再発及び転移性上咽頭癌、神経芽細胞腫、神経膠腫、非ホジキンリンパ腫、小児非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、ゲフィチニブ耐性非小細胞肺癌、口腔癌、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、肺転移性骨肉腫、卵巣癌、すい臓癌、甲状腺癌、乳頭状甲状腺癌、小児脊髄上衣腫、陰茎癌、下垂体腫瘍、下垂体腺腫、前神経腫瘍、前立腺腫瘍、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、舌扁平上皮癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、腎癌、網膜芽細胞腫、ワルデンストームマクログロブリン血症及びウィルムス腫瘍から選択されうる。
【0287】
別の実施態様に従うと、該癌は、頭頸部扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、成人又は小児の急性リンパ性白血病(ALL)、成人又は小児の急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病、副腎癌、肛門癌、星細胞系神経膠腫、星細胞腫(グレード1、2、3、4)、B-又はNK/T細胞リンパ腫、基底膜及び扁平上皮癌、胆管癌、骨癌、脳腫瘍、成人の脳及び脊髄腫瘍、小児の脳及び脊髄腫瘍、退形成性星細胞腫、消化管癌、女性の乳癌、若年女性の乳癌、男性の乳癌、再発乳癌、遺伝性乳癌、HER2陽性乳癌、リンパ節転移を伴う乳癌、ERα陽性乳癌、思春期の癌、小児の癌、若年成人の癌、原発不明癌、キャッスルマン病、頸部上皮内腫瘍、胆管癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、大腸腺腫、皮膚扁平上皮癌、子宮内膜癌、上皮性卵巣癌、転移を伴う上皮性卵巣癌、食道扁平上皮癌、ユーイング肉腫、ユーイングファミリー腫瘍、リンパ性白血病(ALL)、眼球黒色腫やリンパ腫等の眼癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛疾患、膠芽腫、多形膠芽腫(GBM)、ヘアリーセル白血病、神経膠腫、高悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肝内胆管癌、浸潤性乳管癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、喉頭及び下咽頭癌、平滑筋肉腫、白血病、小児の白血病、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、皮膚リンパ腫、悪性中皮腫、マントル細胞リンパ腫、髄芽腫、悪性黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞皮膚癌、多発性骨髄腫、顎骨壊死を伴う多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、再発及び転移性鼻腔咽頭癌、神経芽腫、神経膠腫、非ホジキンリンパ腫、小児非ホジキンリンパ腫、ゲフィチニブ耐性非小細胞肺癌、口腔癌、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、肺転移性骨肉腫、甲状腺癌、乳頭状甲状腺癌、小児脊髄上衣腫、陰茎癌、下垂体腫瘍、下垂体腺腫、前神経腫瘍、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、舌扁平上皮癌、精巣癌、胸腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、腎癌、網膜芽細胞腫、ワルデンストームマクログロブリン血症及びウィルムス腫瘍から選択されうる。
【0288】
更なる実施態様に従うと、該癌は、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、悪性黒色腫、胃癌、乳癌、女性の乳癌、若年女性の乳癌、基底及び扁平上皮癌、肝臓癌、脳腫瘍、退形成性星細胞腫、肺癌、非小細胞肺癌、ゲフィチニブ耐性非小細胞肺癌、口腔癌、眼癌、胃癌、消化器癌、星細胞系神経膠腫、星細胞腫(グレード1、2、3、又は4)、大腸癌、大腸腺腫、皮膚扁平上皮癌、膀胱癌、骨癌、再発乳癌、遺伝性乳癌、HER2陽性乳癌、リンパ節転移を伴う乳癌、ERα陽性乳癌、腎癌、子宮頸部上皮内腫瘍、胆管癌、平滑筋肉腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、成人又は小児の急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病、B型又はNK/T細胞リンパ腫、子宮頸癌、膠芽腫、多形膠芽腫(GBM)、ヘアリーセル白血病、神経膠腫、高悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肝内胆管癌、浸潤性乳管癌、腎癌、子宮内膜癌、卵巣癌、上皮性卵巣癌、転移を伴う上皮性卵巣癌、食道癌、食道扁平上皮癌、ユーイング肉腫、リンパ芽球性白血病(ALL)、マントル細胞リンパ腫、髄芽球腫リンパ腫、骨髄異形成症候群、髄膜腫、多発性骨髄腫(MM)、顎骨壊死を伴う多発性骨髄腫、上咽頭癌、再発及び転移性上咽頭癌、神経芽腫、神経膠腫、乳頭状甲状腺癌、小児脊髄上衣腫、骨肉腫、肺転移性骨肉腫、膵臓癌、甲状腺癌、肉腫、下垂体腫瘍、下垂体腺腫、前神経腫瘍、舌扁平上皮癌、中皮腫、網膜芽細胞腫及び前立腺癌から選択されうる。
【0289】
更なる実施態様に従うと、該癌は、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、悪性黒色腫、星状膠腫、神経膠腫、胃癌、乳癌、胆管癌、再発又は転移性上咽頭癌、基底及び扁平皮膚細胞癌、肝臓癌、脳腫瘍、退形成性星細胞腫、肺癌、非小細胞肺癌、ゲフィチニブ耐性非小細胞肺癌、口腔癌、膠芽腫、骨肉腫、肺転移性骨肉腫、膵臓癌、眼癌、消化器癌、大腸癌、大腸腺腫、皮膚扁平上皮癌、子宮内膜癌、上皮性卵巣癌、食道癌、ユーイング肉腫、胃癌、肝細胞癌、HER2陽性乳癌、膀胱癌、骨癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫及び腎臓癌から選択されうる。
【0290】
更なる実施態様に従うと、該癌は、退形成性星細胞腫、星細胞系神経膠腫、膀胱癌、乳癌、胆管癌、大腸癌、大腸腺腫、皮膚扁平上皮癌、子宮内膜癌、上皮性卵巣癌、食道癌、ユーイング肉腫、胃癌、ゲフィチニブ耐性非小細胞肺癌、膠芽腫、神経膠腫、肝細胞癌、HER2陽性乳癌、頭頸部扁平上皮癌、悪性黒色腫、上咽頭癌(再発又は転移)、首扁平上皮癌、非小細胞肺癌、口腔癌、骨肉腫、骨肉腫(肺転移)、前立腺癌及び網膜芽細胞腫から選択されうる。
【0291】
更なる実施態様に従うと、該癌は、肛門癌、胆管癌、胃腸癌、胆管癌、大腸癌、大腸腺腫、食道癌、食道扁平上皮癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸間質腫瘍(GIST)、肝細胞癌、肝内胆管癌、肝臓癌、肺癌、肺カルチノイド腫瘍、非小細胞肺癌、ゲフィチニブ耐性非小細胞肺癌、肺転移性骨肉腫、胃癌、膵臓癌、小細胞肺癌、及び小腸癌から選択されうる。
【0292】
1つの実施態様に従うと、該患者は臨床的に検出可能な転移を呈さず、特に該患者は前癌状態、早期癌又は非転移性癌を有し、又は該患者は臨床的に検出可能な転移を呈し及び本発明において定義されている該ASDは転移の侵入を直接的に標的化しない。
【0293】
上記に鑑み、本発明は、本明細書において癌、例えば上記で挙げられた癌、の、及び異形成の処置及び/又は予防における使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物に関する。
【0294】
従って、本発明はまた、癌、例えば本明細書において上記で挙げられた癌、及び異形成を処置及び/又は予防する為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物の使用に関する。
【0295】
本発明はまた、癌、例えば本明細書において上記で挙げられた癌、及び異形成等の処置及び/又は予防の為の、医薬等の組成物の調製の為の、本発明において定義されているASDの使用に関する。
【0296】
本発明はまた、癌又は異形成を予防、抑制又は処置する方法であって、、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物の有効量をそれに苦しむ患者に投与することからなる少なくとも1つの工程を含む方法に関する。
【0297】
幾つかの実態態様において、本発明は、癌又は異形成を処置及び/又は予防する為の、上記で定義される使用の為の、本発明の方法又は本発明において定義されているASD若しくは本発明において定義されている医薬組成物に関し、ここで、該患者の血液及び/又は組織サンプルにおけるmiR-124の存在及び/又は発現レベルが、該使用の前及び/又は使用中に測定される。
【0298】
幾つかの実態態様において、本発明は、癌又は異形成を処置及び/又は予防する為の、上記で定義される使用の為の、本発明の方法又は本発明において定義されているASD若しくは本発明において定義されている医薬組成物に関し、ここで、血液及び/又は組織サンプルにおけるmiR-124の存在及び/又は発現レベルは、該治療に対する用量を導くため又は反応を監視する為に測定される。
【0299】
幾つかの実態態様において、本発明は、癌又は異形成を処置及び/又は予防する為の、上記で定義される使用の為の、本発明の方法又は本発明において定義されているASD若しくは本発明において定義されている医薬組成物に関し、ここで、該患者の血液、血漿、組織、唾液、及び/又は血清サンプル中の8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンのレベルが該使用の間測定される。
【0300】
幾つかの実施態様において、本発明は、癌又は異形成を処置及び/又は予防する為の、上記で定義される使用の為の、本発明の方法又は本発明において定義されているASD若しくは本発明において定義されている医薬組成物に関し、ここで、それらは別の抗腫瘍剤と組み合わせて使用される。
【0301】
幾つかの実施態様において、本発明は、癌又は異形成を処置及び/又は予防する為の、上記で定義される使用の為の、本発明の方法又は本発明において定義されているASD若しくは本発明において定義されている医薬組成物に関し、ここで、それは化学療法、免疫療法、放射線療法、手術、超音波、モノクローナル抗体、及び癌ワクチンから選択される別の療法と組み合わせて使用される。
【0302】
他の抗癌剤のうち、以下のものが挙げられうる:
アンドロゲン受容体阻害薬、例えばエンザルタミド(Xtandi(登録商標)、Astellas/Medivation)、アビラテロン(Zytiga(登録商標)、Centocor/Ortho)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体の拮抗薬、例えばデガラリックス、Firmagon(登録商標)、Fering Pharmaceuticals)、
抗アポプト剤、例えばベネトクラックス(Venclexta(登録商標)、AbbVie/Genentech)、ブリナツモマブ(Blincyto(登録商標)、Amgen)、ナビトクラックス(ABT-263、Abbott);
抗増殖剤及び抗力剤、例えばビンカアルカロイド(それはビンブラスチン、ビンクリスチンを包含する);
抗生物質、例えばダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、及びマイトマイシン;
L-アスパラギナーゼ;
抗血小板剤;
抗増殖剤/抗菌性のアルキル化剤、例えば窒素マスタードシクロホスファミド及び類似体(それはメルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミン、及びチオテパを包含する)、アルキルニトロソウレア(それはカルムスチンを包含する)及び類似体、ストレプトゾシン、及びトリアゼン(それはダカルバジンを包含する);
増殖抑制/抗有糸分裂抗代謝性物質、例えば葉酸アナログ(それはメトトレキサートを包含する)、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化過程を誘導する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗腫瘍性代謝拮抗剤;プラチン化合物;タンパク質又は脂質キナーゼ活性、更に抗血管新生化合物を標的とし/低下させる化合物;タンパク質又は脂質ホスファターゼの活性を標的とし、低下し又は阻害する化合物;ゴナドレリン作動薬;抗アンドロゲン;メチオニンアミンペプチド酵素阻害剤;マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤;ビスホスホネート類;生物学的反応修飾剤;抗増殖抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発癌性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液学的悪性腫瘍の治療に使用される化合物;Flt-3の活性を標的、減少又は阻害する化合物;Conforma Therapeuticsからの17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマシン、NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマシン、NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010等のHsp90阻害剤;テモゾロミド(Temodal(登録商標));GlaxoSmithKlineからのSB715992又はSB743921、若しくはCombinatoRxのペンタミジン/クロルプロマジン等のキネシン紡錘体タンパク質阻害剤;Array BioPharmaからのARRY142886等のMEK阻害剤、AstraZenecaからのAZd6 244、PfizerのPD181461及びロイコボリン;
抗疲労剤;
血管新生阻害剤、例えばTNP-470;
アロマターゼ阻害剤、例えばレトロゾール及びアナストロゾール、エキセメスタン;
アンギオテンシン;
アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えばmiR124に向けられたアンチセンス核酸;
抗凝固剤、例えばヘパリン、合成ヘパリン塩、その他のトロンビン阻害剤;
アルギニン阻害剤、例えばAEB1102(ペグ化組み換えアルギナーゼ、Aeglea Biotherapeutics)及びCB-1158(Calithera Biosciences);
骨吸収阻害剤、例えばデノスマブ(Denosumab)(Xgeva(登録商標)、Amgen)、ビスフォスフォネート製剤、例えばゾレドロン酸(Zometa(登録商標)、Novartis);
CCケモカイン受容体4(CCR4)阻害剤、例えばモガムリズマブ(Poteligeo(登録商標)、協和発酵キリン、日本)、
CDK阻害剤、例えばパルボシクリブ(Ibrance(登録商標)、Pfizer);リボシクリブ(Kisqali(登録商標)、Novartis);アベマシクリブ(Ly2835219、Eli Lilly);及びトリラシクリブ(G1T28、G1 Therapeutics)等のCDK4/CDK6阻害剤;
細胞周期阻害剤及び分化誘導剤、例えばトレチノイン;
コルチコステロイド類、例えばコルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、及びプレドニゾロン;
DNA損傷剤、例えばアクチノマイシン、アムサクリン、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イホスファミド、メルファラン、マーキュロレタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソウレア、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テニポシド、エトポシド、及びトリエチレンチオフェンホスファミド;
線維素溶解剤、例えば組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、及びクロピドグレル;
葉酸拮抗薬;
FLT3受容体阻害剤、例えばエンザルタミド、アビラテロン、アパルタミド、エルロチニブ、クリゾチニブ、ニラパリブ、オラパリブ、オシメルチニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリン、ギルテリチニブ、セマキシニブ、リニファニブ、フォスタマチニブ、ペキシダルチニブ、ソラフェニブ、カボザンチニブ、ポナチニブ、イロラステルチブ、パクリティニブ、ファミチニブ、ペキシダルチニブ、キザルチニブ;
グルタミナーゼ阻害剤、例えばCD-839(Calithera Biosciences);
成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;
成長因子阻害剤、例えばオララツマブ(Lartruvo(登録商標);Eli Lilly)、セツキシマブ(Erbitux(登録商標)、Eli Lilly)、ネシツムマブ(Portrazza(登録商標)、Eli Lilly)、パニツムマブ(Vectibix(登録商標)、Amgen);及びオシメルチニブ(活性化EGFR標的、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca)等の血管内皮成長因子阻害剤及び線維芽細胞成長因子阻害剤;
ヘッジホッグ経路阻害剤、例えばソニデギブ(Odomzo(登録商標)、Sun Pharmaceuticals)、及びビスモデギブ(Erivedge(登録商標)、Genentech);
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、例えばボリノスタット(Zolinza(登録商標)、Merck);ロミデプシン(Istodax(登録商標)、Celgene);パノビノスタット(Farydak(登録商標)、Novartis);べリノスタット(Beleodaq(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);エンチノスタット(SNDX-275,Syndax Pharmaceuticals)(NCT00866333);及びチダミド(Epidaza(登録商標)、HBI-8000、Chipscreen Biosciences、中国);
ホルモン及びその類似体、例えばエストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド;
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)阻害剤、例えばAG120(Celgene、NCT02677922);AG221(Celgene、NCT02677922;NCT02577406);BAY1436032(Bayer、NCT02746081);IDH305(Novartis、NCT02987010);
イソフラボン類例えばゲニステイン;
免疫抑制剤、例えばタクロリムス、シロリムス、アザチオプリン、及びミコフェノール酸塩;
p53サプレッサータンパク質の阻害剤、例えばALRN-6924(Aileron);
トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β又はTGFβ)の阻害剤、例えばNIS793(Novartis)、fresolimumab(GC1008;Sanofi-Genzyme)、M7824(Merck KgaA-以前のMSB0011459X);
iNKT細胞アゴニスト、例えばABX196 5Abivax)
mTOR阻害剤、例えばエベロリムス(Afinitor(登録商標),Novartis);テムシロリムス(Torisel(登録商標),Pfizer);及びシロリムス(Rapamune(登録商標),Pfizer);
微小管阻害剤、例えばタキサン(それはパクリタキセル、ドセタキセルを包含する)、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポシロン、ビノレルビン)(NAVELBINE(登録商標))、及びエピポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド);
一酸化窒素の供与者;
ヌクレオシド阻害剤、例えばトラベクテジン(グアニジン系アルキル化剤、Yondelis(登録商標)、Janssen Oncology);メクロレタミン(アルキル化剤、Valchlor(登録商標)、Aktelion Pharmaceuticals);ビンクリスチン(Oncovin(登録商標)、Eli Lilly;Vincasar(登録商標)、Teva Pharmaceuticals;Marqibo(登録商標)、Talon Therapeutics);テモゾロミド(アルキル化剤5-(3-メチルトリアゼン-1-イル)-イミダゾール-4-カルボキサミド(MTIC)のプロドラッグ Temodar(登録商標)、Merck);シタラビン注射(ara-C、代謝拮抗シチジンアナログ、Pfizer);ロムスチン(アルキル化剤、CeeNU(登録商標)、Bristol-Myyers Squibb;Gleostine(登録商標)、NextSource Biotechnology);アザシチジン(シチジンのピリミジンヌクレオシド類似体、Vidaza(登録商標)、Celgene);オマセタキシンメペサシネート(セファロタキシンエステル) (タンパク質合成阻害剤、Synribo(登録商標);Teva Pharmaceuticals);アスパラギナーゼ Erwinia chrysanthemi (アスパラギン枯渇用酵素、Elspar(登録商標),Lundbeck;Erwinaze(登録商標),EUSA Pharma);エリブリンメシレート(微小管阻害剤、チューブリン系抗動脈硬化剤、Halaven(登録商標)、エーザイ);カバジタキセル(微小管阻害剤、チューブリン系抗動脈硬化剤、Jevtana(登録商標)、Sanofi-Aventis);キャパセトリン(チミジル酸合成酵素阻害剤、Xeloda(登録商標)、Genentech);ベンダムスチン(2機能性メクロレタミン誘導体、鎖間DNAクロスリンクを形成すると考えられる、Treanda(登録商標)、Cephalon/Teva);イクサベピロン(エポシロンBの半合成アナログ、微小管阻害剤、チューブリンベースの抗力剤、Ixempra(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ネララビン(デオキシグアノシン類似体のプロドラッグ、ヌクレオシド代謝阻害剤、Arranon(登録商標)、Novartis);クロラファビン(リボヌクレオチド還元酵素阻害剤のプロドラッグ、デオキシシチジンの競合阻害剤、Clolar(登録商標)、Sanofi-Aventis);並びにトリフルリジン及びチピラシル(チミジン系核酸アナログ及びチミジンホスホリラーゼ阻害剤、Lonsurf(登録商標)、大鵬薬品工業);
PI3K阻害剤、例えばイデラリシブ(Zydelig(登録商標)、Gilead)、アルペリシブ(BYL719、Novartis)、タセリシブ(GDC-0032、Genentech/Roche);ピティリシブ(GDC-0941、Genentech/Roche);コパンリシブ(BAY806946、Bayer);デュベリシブ(旧IPI-145、Infinity Pharmaceuticals);PQR309(Piqur Therapeutics、スイス);及びTGR1202(旧RP5230、TG Therapeutics);
白金配位錯体、(例えばシスプラチン、オキシロプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、プロカルバジン、ミトタン、サトラプラチン及びアミノグルテチミド);
ポリADBリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、例えばオラパリブ(Lynparza(登録商標)、AstraZeneca);ルカパリブ(Rubraca(登録商標)、Clovis Oncology);ニラパリブ(Zejula(登録商標)、Tesaro);タラゾパリブ(MDV3800/BMN673/LT00673、Medivation/Pfizer/Biomarin);ベリバリブ(ABT-888、AbbVie);及びBGB-290(BeyGene、Inc)から選択されるもの;
プロテアソーム阻害剤、例えばエベロリムス(Afinitor(登録商標)、Novartis);テムシロリムス(Torisel(登録商標)、Pfizer);及びシロリムス(Rapamune(登録商標)、Pfizer)、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標)、武田);カーフィルゾミブ(Kyprolis(登録商標)、Amgen);及びイキサゾミブ(Ninlaro(登録商標)、武田);
ピリミジン及びプリン類似体、例えばフロクスリジン、カペシタビン、及びシタラビン;
受容体拮抗剤、分泌抑制剤、例えばブレビルジン;
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えばラロキシフェン(Evista(登録商標)、Eli Lilly);
治療用抗体、例えば、下記から選択されるもの:抗TNF抗体、抗VEGF抗体、抗EGFR抗体、抗PD-1抗体、抗HER2抗体、抗CD20抗体、抗IL17抗体、及び抗CTLA4抗体、抗PDL1、抗CD25、抗α4インテグリン、抗IL6R、抗C5、抗IL1、抗TPO、抗IL12/23、抗EPCAM/CD3、抗CD30、抗CD80/86、抗anthrax、抗CCR4、抗CD6、抗CD19、抗α4β7、抗IL6、抗VEGFR-2、抗SLAMF7、抗GD2、抗IL17A、抗PCSK9、抗IL5、抗CD22、抗IL4、抗PDGFRα、抗IL17RA及び抗TcdB、並びに例えば下記から選択されるもの:アバゴヴォマブ(Abagovomab)、アバタセプト(Abatacept)、アブシキシマブ(Abciximab)、アビツズマブ(Abituzumab)、アブリルマブ(Abrilumab)、アクトクスマブ(Actoxumab)、アダリムマブ(Adalimumab)、アデカツマブ(Adecatumab)、アデュカヌマブ(Aducanumab)、アフリベルセプト(Aflibercept)、アフツジマブ(Afutuzymab)、アラシズマブ(Alacizumab)、アレファセプト(Alefacept)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、アリロクマブ(Alirocumab)、アルツモマブ(Altumomab)、アマチクスマブ(Amatixumab)、アナツモマブ(Anatumomab)、アネツマブ(Anetumab)、アニフロムマブ(Anifromumab)、アンルキンズマブ(Anrukinzumab)、アポリズマブ(Apolizumab)、アルシツモマブ(Arcitumomab)、アスクリンヴァクマブ(Ascrinvacumab)、アセリズマブ(Aselizumab)、アテゾリズマブ(Atezolizumab)、アチヌマブ(Atinumab)、アルチズマブ(Altizumab)、アトロリムマブ(Atorolimumab)、バピネウズマブ(Bapineuzumab)、バシリキシマブ(Basiliximab)、バヴィツキシマブ(Bavituximab)、ベクツモマブ(Bectumomab)、ベゲロマブ(Begelomab)、ベラタセプト(Belatacept)、ベリムマブ(Belimumab)、ベンラリズマブ(Benralizumab)、ベルチリムマブ(Bertilimumab)、ベシレソマブ(Besilesomab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、ベズロトクスマブ(Bezlotoxumab)、ビシロマブ(Biciromab)、ビマグルマブ(Bimagrumab)、ビメキズマブ(Bimekizumab)、ビヴァツズマブ(Bivatuzumab)、ブリナツモマブ(Blinatumomab)、ブロソズマブ(Blosozumab)、ボコシズマブ(Bococizumab)、ブレンツキシマブ(Brentuximab)、ブリアキヌマブ(Briakimumab)、ブロダルマブ(Brodalumab)、ブロルシズマブ(Brolucizumab)、ブロンチシズマブ(Bronticizumab)、カナキヌマブ(Canakinumab)、カンツズマブ(Cantuzumab)、カプラシズマブ(Caplacizumab)、カプロマブ(Capromab)、カルルマブ(Carlumab)、カツマキソマブ(Catumaxomab)、セデリズマブ(Cedelizumab)、セルトリズマブ(Certolizumab)、セツキシマブ(Cetixumab)、シタツズマブ(Citatuzumab)、シクスツムマブ(Cixutumumab)、クラザキズマブ(Clazakizumab)、クレノリキシマブ(Clenoliximab)、クリヴァツズマブ(Clivatuzumab)、コドリツズマブ(Codrituzumab)、コルツキシマブ(Coltuximab)、コナツムマブ(Conatumumab)、コンシズマブ(Concizumab)、クレネズマブ(Crenezumab)、ダセツズマブ(Dacetuzumab)、ダクリズマブ(Daclizumab)、ダロツズマブ(Dalotuzumab)、ダピロリズマブ(Dapirolizumab)、ダラツムマブ(Daratumumab)、デクトレクマブ(Dectrekumab)、デムシズマブ(Demcizumab)、デニンツズマブ(Denintuzumab)、デノスマブ(Denosumab)、デルロチクスマブ(Derlotixumab)、デツモマブ(Detumomab)、ジヌツキシマブ(Dinutuximab)、ディリダヴマブ(Diridavumab)、ドリノマブ(Dorlinomab)、ドロジツマブ(Drozitumab)、デュピルマブ(Dupilumab)、デュルヴァルマブ(Durvalumab)、デュシギツマブ(Dusigitumab)、エクロメキシマブ(Ecromeximab)、エクリズマブ(Eculizumab)、エドバコマブ(Edobacomab)、エドレコロマブ(Edrecolomab)、エファリズマブ(Efalizumab)、エフングマブ(Efungumab)、エルデルマブ(Eldelumab)、エルゲムツマブ(Elgemtumab)、エロツズマブ(Elotuzumab)、エルシリモバブ(Elsilimomab)、エマクツズマブ(Emactuzumab)、エミベツズマブ(Emibetuzumab)、エナヴァバツズマブ(Enavatuzumab)、エンフォルツマブ(Enfortumab)、エンリモマブ(Enlimomab)、エノブリツズマブ(Enoblituzumab)、エノキズマブ(Enokizumab)、エノチクマブ(Enoticumab)、エンシツキシマブ(Ensituximab)、エピツモマブ(Epitumomab)、エプラツズマブ(Epratuzomab)、エルリズマブ(Erlizumab)、エルツマキソマブ(Ertumaxomab)、エタネルセプト(Etanercept)、エタラシズマブ(Etaracizumab)、エトロリズマブ(Etrolizumab)、エヴィナクマブ(Evinacumab)、エヴォロクマブ(Evolocumab)、エキスビヴィルマブ(Exbivirumab)、ファノレソマブ(Fanolesomab)、ファラリモマブ(Faralimomab)、ファーレツズマブ(Farletuzomab)、ファシヌマブ(Fasimumab)、フェルヴィズマブ(Felvizumab)、フェズキムマブ(Fezkimumab)、フィクラツズマブ(Ficlatuzumab)、フィギツムマブ(Figitumumab)、フィリヴマブ(Firivumab)、フランヴォツマブ(Flanvotumab)、フレチクマブ(Fletikumab)、フォントリズマブ(Fontolizumab)、フォラルマブ(Foralumab)、フォラヴィルマブ(Foravirumab)、フレソリムマブ(Fresolimumab)、フルラヌマブ(Fulramumab)、フツキシマブ(Futuximab)、ガリキシマブ(Galiximab)、ガニツマブ(Ganitumab)、ガンテネルマブ(Gantenerumab)、ガヴィリモマブ(Gavilimomab)、ゲムツズマブ(Gemtuzumab)、ゲヴォキズマブ(Gevokizumab)、ギレンツキシマブ(Girentuximab)、グレンバツムマブ(Glembatumumab)、ゴリムマブ(Golimumab)、ゴミリキシマブ(Gomiliximab)、グセルクマブ(Guselkumab)、イバリズマブ(Ibalizumab)、イブリツモマブ(Ibritumomab)、イクルクマブ(Icrucumab)、イダルシズマブ(Idarucizumab)、イゴヴォマブ(Igovomab)、イマルマブ(Imalumab)、イミシロマブ(Imciromab)、イムガツズマブ(Imgatuzumab)、インクラクマブ(Inclacumab)、インダツキシマブ(Indatuximab)、インデュサツマブ(Indusatumab)、インフリキシマブ(Infliximab)、インテツムマブ(Intetumumab)、イノリモマブ(Inolimomab)、イノツズマブ(Inotuzumab)、イピリムマブ(Ipilimumab)、イラツムマブ(Iratumumab)、イサツキシマブ(Isatuximab)、イトリズマブ(Itolizumab)、イキセキズマブ(Ixekizumab)、ケリキシマブ(Keliximab)、ラベツズマブ(Labetuzumab)、ランブロリズマブ(Lambrolizumab)、ランパリズマブ(Lampalizumab)、レブリキズマブ(Lebrikizumab)、レマレソマブ(Lemalesomab)、レンジルマブ(Lenzilumab)、レルデリムマブ(Lerdelimumab)、レクサツムマブ(Lexatumumab)、リビヴィルマブ(Libivirumab)、リファスツズマブ(Lifastuzumab)、リゲリズマブ(Ligelizumab)、リロトマブ(Lilotomab)、リンツズマブ(Lintuzumab)、リリルマブ(Lirilumab)、ロデルシズマブ(Lodelcizumab)、ロキヴェトマブ(Lokivetmab)、ロルヴォツズマブ(Lorvotuzumab)、ルカツムマブ(Lucatumumab)、ルリズマブ(Lulizumab)、ルミリキシマブ(Lumiliximab)、ルムレツズマブ(Lumretuzumab)、マパツムマブ(Mapatumumab)、マルジェツキシマブ(Margetuximab)、マスリモマブ(Maslimomab)、マヴリリムマブ(Mavrilimumab)、マツズマブ(Matuzumab)、メポリズマブ(Mepolizumab)、メテリムマブ(Metelimumab)、ミラツズマブ(Milatuzumab)、ミンレツモマブ(Minetumomab)、ミルヴェツキシマブ(Mirvetuximab)、ミツモマブ(Mitumomab)、モガムリズマブ(Mogamulizumab)、モロリムマブ(Morolimumab)、モタヴィズマブ(Motavizumab)、モキセツモマブ(Moxetumomab)、ムロモナブ-CD3(Muromonab-CD3)、ナコロマブ(Nacolomab)、ナミルマブ(Namilumab)、ナプツモマブ(Naptumomab)、ナルナツマブ(Narnatumab)、ナタリズマブ(Natalizumab)、ネバクマブ(Nebacumab)、ネシツムマブ(Necitumumab)、ネモリズマブ(Nemolizumab)、ネレリモマブ(Nerelimomab)、ネスヴァクマブ(Nesvacumab)、ニモツズマブ(Nimotuzumab)、ニヴォルマブ(Nivolumab)、ノフェツモマブ(Nofetumomab)、オビルトキサキシマブ(Obiltoxaximab)、オビヌツズマブ(Obinutuzumab)、オカラツズマブ(Ocaratuzumab)、オクレリズマブ(Ocrelizumab)、オデュリモマブ(Odulimomab)、オファツムマブ(Ofatumumab)、オララタマブ(Olaratumab)、オロキズマブ(Olokizumab)、オマリズマブ(Omalizumab)、オナルツズマブ(Onartuzumab)、オンツキシズマブ(Ontuxizumab)、オピシヌマブ(Opicinumab)、オポルツズマブ(Oportuzumab)、オレゴヴォマブ(Oregovomab)、オルチクマブ(Orticumab)、オテリキシズマブ(Otelixizumab)、オルテルツズマブ(Oltertuzumab)、オキセルマブ(Oxelumab)、オザネズマブ(Ozanezumab)、オゾラリズマブ(Ozoralizumab)、パジバキシマブ(Pagibaximab)、パリヴィズマブ(Palivizumab)、パニツムマブ(Panitumumab)、パンコマブ(Pankomab)、パノバクマブ(Panobacumab)、パルサツズマブ(Parsatuzumab)、パスコリズマブ(Pascolizumab)、パソツキシズマブ(Pasotuxizumab)、パテクリズマブ(Pateclizumab)、パトリツマブ(Patritumab)、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)、ペムツモマブ(Pemtumomab)、ペラキズマブ(Perakizumab)、ペルツズマブ(Pertuzumab)、ペキセリズマブ(Pexelizumab)、ピディリズマブ(Pidilizumab)、ピナツズマブ(Pinatuzumab)、ピンツモマブ(Pintumomab)、ポラツズマブ(Polatuzumab)、ポネズマブ(Ponezumab)、プリリキシマブ(Priliximab)、プリツムマブ(Pritumumab)、キリズマブ(Quilizumab)、ラコツモマブ(Racotumomab)、ラドレツマブ(Radretumab)、ラフィヴィルマブ(Rafivirumab)、ラルパンシズマブ(Ralpancizumab)、ラムシルマブ(Ramucirumab)、ラニビズマブ(Ranibizumab)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、レファネズマブ(Refanezumab)、レガヴィルマブ(Regavirumab)、レスリズマブ(Reslizumab)、リロナセプト(Rilonacept)、リロツムマブ(Rilotumumab)、リヌクマブ(Rinucumab)、リツキシマブ(Rituximab)、ロバツムマブ(Robatumumab)、ロレデュマブ(Roledumab)、ロモソズマブ(Romosozumab)、ロンタリズマブ(Rontalizumab)、ロヴェリズマブ(Rovelizumab)、ルプリズマブ(Ruplizumab)、サシツズマブ(Sacituzumab)、サマリズマブ(Samalizumab)、サリルマブ(Sarilumab)、サツモマブ(Satumomab)、セクキムマブ(Secukimumab)、セリバンツマブ(Seribantumab)、セトキサキシマブ(Setoxaximab)、セヴィルマブ(Sevirumab)、シブロツズマブ(Sibrotuzumab)、シファリムマブ(Sifalimumab)、シルツキシマブ(Siltuximab)、シプリズマブ(Siplizumab)、シルクマブ(Sirukumab)、ソフィツズマブ(Sofituzumab)、ソラネズマブ(Solanezumab)、ソリトマブ(Solitomab)、ソネプシズマブ(Sonepcizumab)、ソンツズマブ(Sontuzumab)、スタムルマブ(Stamulumab)、スレソマブ(Sulesomab)、スビヴィズマブ(Suvizumab)、タバルマブ(Tabalumab)、タカツズマブ(Tacatuzumab)、タドシズマブ(Tadocizumab)、タリズマブ(Talizumab)、タネズマブ(Tanezumab)、タプリツモマブ(Taplitumomab)、タレクスツマブ(Tarextumab)、テフィバズマブ(Tefibazumab)、テリモマブ・アリトクス(Telimomab aritox)、テナツモマブ(Tenatumomab)、テネリキシマブ(Teneliximab)、テプリズマブ(Teplizumab)、テシドルマブ(Tesidolumab)、TGN 1412、ティクリムマブ(Ticlimumab)、ティルドラキズマブ(Tildrakizumab)、ティガツズマブ(Tigatuzumab)、TNX-650、トシリズマブ(Tocilizumab)、トラリズマブ(Toralizumab)、トサトクスマブ(Tosatoxumab)、トシツモマブ(Tositumomab)、トヴェツマブ(Tovetumab)、トラロキヌマブ(Tralokimumab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、TRBS07、トレガリズマブ(Tregalizumab)、トレメリムマブ(Tremelimumab)、トレヴォグルマブ(Trevogrumab)、ツコツズマブ(Tucotuzumab)、ツヴィルマブ(Tuvirumab)、ウブリツキシマブ(Ublituximab)、ウロクプルマブ(Ulocuplumab)、ウレルマブ(Urelumab)、ウルトキサズマブ(Urtoxazumab)、ウステキヌマブ(Ustekimumab)、ヴァンドルツズマブ(Vandortuzumab)、ヴァンチクツマブ(Vantictumab)、ヴァヌシズマブ(Vanucizumab)、ヴァパリキシマブ(Vapaliximab)、ヴァルリルマブ(Varlimumab)、ヴァテリズマブ(Vatelizumab)、ヴェドリズマブ(Vedolizumab)、ヴェルツズマブ(Veltuzumab)、ヴェパリモマブ(Vepalimomab)、ヴェセンクマブ(Vesencumab)、ヴィシリズマブ(Visilizumab)、ヴォロシキシマブ(Volocixumab)、ヴォルセツズマブ(Vorsetuzumab)、ヴォツムマブ(Votumumab)、ザルツムマブ(Zalutumimab)、ザノリムマブ(Zanolimumab)、ザツキシ
マブ(Zatuximab)、ジラリムマブ(Ziralimumab)、Ziv-アフリベルセプト(Ziv-Aflibercept)、及びゾリモマブ(Zolimomab);
トポイソメラーゼ阻害剤、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、及びイリノテカン;
毒素類、例えばコレラ毒素、リシン、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素、百日咳菌アデニル酸シクラーゼ毒素、ジフテリア毒素、及びカスパーゼ活性化因子;
キナーゼ又はVEGF阻害剤、例えばレゴラフェニブ(Stivarga(登録商標),Bayer);バンデタニブ(Caprelsa(登録商標),AstraZeneca);アキシチニブ(Inlyta(登録商標),Pfizer);及びレンバチニブ(Lenvima(登録商標),エーザイ);Raf阻害剤、例えばソラフェニブ(Nexavar(登録商標),Bayer AG and Onyx);ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標),Novartis);及びベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標),Genentech/Roche);MEK阻害剤、例えばコビメタニブ(Cotellic(登録商標),Exelexis/Genentech/Roche);トラメチニブ(Mekinist(登録商標),Novartis);Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤、例えばイマチニブ(Gleevec(登録商標),Novartis);ニロチニブ(Tasigna(登録商標),Novartis);ダサチニブ(Sprycel(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ボスチニブ(Bosulif(登録商標),Pfizer);及びポナチニブ(Inclusig(登録商標),Ariad Pharmaceuticals);Her2及びEGFR阻害剤、例えばゲフィチニブ(Iressa(登録商標),AstraZeneca);エルロチニブ(Tarceeva(登録商標),Genentech/Roche/Astellas);ラパチニブ(Tykerb(登録商標),Novartis);アファチニブ(Gilotrif(登録商標),Boehringer Ingelheim);オシメルチニブ(活性化されたEGFRを標的とする、Tagrisso(登録商標),AstraZeneca);及びブリグチニブ(Alunbrig(登録商標),Ariad Pharmaceuticals);c-Met及びVEGFR2阻害剤、例えばカボザニチブ(Cometriq(登録商標),Exelexis);及び多種キナーゼ阻害剤、例えばスニチニブ(Sutent(登録商標),Pfizer);パゾパニブ(Votrient(登録商標),Novartis);ALK阻害剤、例えばクリゾチニブ(Xalkori(登録商標),Pfizer);セリチニブ(Zykadia(登録商標),Novartis);及びアレクチニブ(Alecenza(登録商標),Genentech/Roche);ブルトンのチロシンキナーゼ阻害剤、例えばイブルチニブ(Imbruvica(登録商標),Pharmacyclics/Janssen);及びFlt3受容体阻害剤、例えばミドスタウリン(Rydapt(登録商標),Novartis)、チボザニブ(Aveo Pharmaecuticals);バタラニブ(Bayer/Novartis);ルシタニブ(Clovis Oncology);ドビチニブ(TKI258、Novartis);チアウアニブ(Chiauanib)(Chipscreen Biosciences);CEP-11981(Cephalon);リニファニブ(Abbott Laboratories);ネラチニブ(HKI-272,Puma Biotechnology);ラドチニブ(Supect(登録商標),IY5511,Il-Yang Pharmaceuticals,大韓民国);ルキソリチニブ(Jakafi(登録商標),Incyte Corporation);PTC299(PTC Therapeutics);CP-547,632(Pfizer);フォレチニブ(Exelexis,GlaxoSmithKline);キザルチニブ(第一三共)及びモテサニブ(Amgen/武田)。
【0303】
非限定的な様式において、本発明のASDは、単独で、又は部品キットの形態で、下記の抗癌薬又は化合物の1以上と組み合わせられうる:ABVD、AC、ACE、アビラテロン(Abiraterone)(Zytiga(登録商標))、アブラキサン(Abraxane)、アブストラル(Abstral)、アクチノマイシンD(Actinomycin D)、アクティク(Actiq)、アドリアマイシン(Adriamycin)、アファチニブ(Afatinib)(Giotrif(登録商標))、アフィニトール(Afinitor)、アフリベルセプト(Aflibercept)(Zaltrap(登録商標))、アルダラ(Aldara)、アルデスロイキン(Aldesleukin)(IL-2、プロロイキン又はインターロイキン2)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)(マブカンパス(MabCampath))、アルケラン(Alkeran)、アムサクリン(Amsacrine)(アムシジン(Amsidine)、m-AMSA)、アムシジン(Amsidine)、アナストロゾール(Anastrozole)(Arimidex(登録商標))、Ara C、アレディア(Aredia)、アリミデックス(Arimidex)、アロマシン(Aromasin)、三酸化ヒ素(Trisenox(登録商標)、ATO)、アスパラギナーゼ(Crisantaspase(登録商標)、Erwinase(登録商標))、アキシチニブ(Axitinib)(Inlyta(登録商標))、アザシチジン(Azacitidine)(Vidaza(登録商標))、BEACOPP、BEAM、ベンダムスチン(Bendamustine)(Levact(登録商標))、ベバシズマブ(Bevacizumab)(アバスチン(Avastin))、ベキサロテン(Bexarotene)(Targretin(登録商標))、ビカルタミド(Bicalutamide)(Casodex(登録商標))、ブレオマイシン(Bleomycin)、ブレオマイシン(Bleomycin)、エトポシド及び白金(BEP)、ボルテゾミブ(Bortezomib)(Velcade(登録商標))、ボシュリフ(Bosulif)、ボスチニブ(Bosutinib)(ボシュリフ(Bosulif))、ブレンツキシマブ(Brentuximab)(Adcetris(登録商標))、ブルフェン(Brufen)、ブセレリン(Buserelin)(Suprefact(登録商標))、ブスルフェクス(Busilvex)、ブスルファン(Busulfan)(ミレラン(Myleran)、ブスルフェクス(Busilvex))、CAPE-OX、CAPOX、CAV、CAVE、CCNU、CHOP、CMF、CMV、CVP、カバジタキセル(Cabazitaxel)(Jevtana(登録商標))、カボザンチニブ(Cabozantinib (Cometriq(登録商標))、カエリクス(Caelyx)、カプロール(Calpol)、カンプト(Campto)、カペシタビン(Capecitabine)(Xeloda(登録商標))、カプレルサ(Caprelsa)、カルボMV(Carbo MV)、カルボタキソール(CarboTaxol)、カルボプラチン(Carboplatin)、カルボプラチン及びエトポシド(Carboplatin and etoposide)、カルボプラチン及びパクリタキセル(Carboplatin and paclitaxel)、カルムスチン(Carmustine)(BCNU、Gliadel(登録商標))、カソデックス(Casodex)、セリチニブ(Ceritinib)(Zykadia(登録商標))、セルビジン(Cerubidin)、セツキシマブ(Cetuximab)(Erbitux(登録商標))、ChlVPP、クロラムブシル(Chlorambucil)(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Cisplatin)、シスプラチン(Cisplatin)及びテスノ(Teysuno)、シスプラチン(Cisplatin)及びカペシタビン(capecitabine)(CX)、シスプラチン(Cisplatin)、エトポシド及びイホスファミド(etoposide and ifosfamide)(PEI)、シスプラチン(Cisplatin)、フルオロウラシル(fluorouracil)(5-FU)及びトラスツズマブ(trastuzumab)、クラドリビン(Cladribine)(Leustat(登録商標)、LITAK)、クラステオン(Clasteon)、クロファラビン(Clofarabine)(Evoltra(登録商標))、ココダモール(Co-codamol)(Kapake(登録商標)、Solpadol(登録商標)、Tylex(登録商標))、コメトリック(Cometriq)、コスメゲン(Cosmegen)、クリスタンスパセ(Crisantaspase)、クリゾチニブ(Crizotinib)(Xalkori(登録商標))、シクロホスファミド(Cyclophosphamide)、シクロホスファミド(Cyclophosphamide)、サリドマイド及びデキサメタゾン(CTD)、サイプロスタット(Cyprostat)、酢酸シプロテロン(Cyprostat(登録商標))、シタラビン(Cytarabine)(Ara C、シトシンアラビノシド)、髄液中へのシタラビン(Cytarabine)、シトシンアラビノシド(Cytosine arabinoside)、DHAP、DTIC、ダブラフェニブ(Dabrafenib)(Tafinlar(登録商標)),ダカルバジン(Dacarbazine)(DTIC)、ダコゲン(Dacogen)、ダクチノマイシン(Dactinomycin)(アクチノマイシンD(actinomycin D)、Cosmegen(登録商標))、ダサチニブ(Dasatinib)(Sprycel)、ダウノルビシン(Daunorubicin)、デ グラモント(De Gramont)、デカペプチルSR(Decapeptyl SR)、デシタビン(Decitabine)(Dacogen(登録商標))、デガレリクス(Degarelix)(Firmagon(登録商標))、デノスマブ(Denosumab)(Prolia(登録商標)、Xgeva(登録商標))、デポサイト(Depocyte)、デキサメタゾン(Dexamethasone)、ジアモルヒネ(Diamorphine)、パミドロン酸二ナトリウム(Disodium pamidronate)、ディスプロル(Disprol)、ドセタキセル(Docetaxel)(Taxotere(登録商標))、ドセタキセル(Docetaxel)、シスプラチン及びフルオロウラシル(TPF)、ドキシフォス(Doxifos)、ドキシル(Doxil)、ドキソルビシン(Doxorubicin)(アドリアマイシン(Adriamycin))、ドキソルビシン(Doxorubicin)及びイホスファミド(ifosfamide)、ドキシフォス(Doxifos)、ドロゲニル(Drogenil)、デュロゲシック(Durogesic)、EC、ECF、EOF、EOX、EP、ESHAP、エフェントラ(Effentora)、エフュディクス(Efudix)、エルジシン(Eldisine)、エロキサチン(Eloxatin)、エンザルタミド(Enzalutamide)、エピルビシン(Epirubicin)(Pharmorubicin(登録商標))、エピルビシン(Epirubicin)、シスプラチン及びカペシタビン(ECX)、エピルビシン(Epirubicin)、カルボプラチン及びカペシタビン(ECarboX)、エポシン(Eposin)、アービタックス(Erbitux)、エリブリン(Eribulin)(Halaven(登録商標))、エルロチニブ(Erlotinib)(Tarceva(登録商標))、エルウィナーゼ(Erwinase)、エストラサイト(Estracyt)、エトポフォス(Etopophos)、エトポシド(Etoposide)(Eposin(登録商標)、Etopophos(登録商標)、Vepesid(登録商標))、エベロリムス(Everolimus)(Afinitor(登録商標))、エボルトラ(Evoltra)、エキセメスタン(Exemestane)(Aromasin(登録商標))、FAD、FEC、FEC-T化学療法、FMD、フォルフィリノックス(FOLFIRINOX)、フォルフォックス(FOLFOX)、フェソロデックス(Faslodex)、フェマーラ(Femara)、フェンタニル(Fentanyl)、ファーマゴン(Firmagon)、フルダラ(Fludara)、フルダラビン(Fludarabine)(Fludara(登録商標))、フルダラビン(Fludarabine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)及びリツキシマブ(rituximab)(FCR)、フルオロウラシル(Fluorouracil)(5FU)、フルタミド(Flutamide)、フォリン酸(Folinic acid)、フルオロウラシル及びイリノテカン(fluorouracil and irinotecan)(FOLFIRI)、フルベストラント(Fulvestrant)(faslodex(登録商標))、G-CSF、ゲフィチニブ(Gefitinib)(イレッサ(Iressa))、GemCarbo(ゲムシタビン(gemcitabine)及びカルボプラチン(carboplatin))、ゲムタキソール(GemTaxol)、ゲムシタビン(Gemcitabine)(ジェムザール(Gemzar))、ゲムシタビン(Gemcitabine)及びカペシタビン(capecitabine)(ゲムキャップ(GemCap))、ゲムシタビン(Gemcitabine)及びシスプラチン(cisplatin)(GC)、ゲムシタビン(Gemcitabine)及びパクリタキセル(paclitaxel)(GemTaxol(登録商標))、ジェムザール(Gemzar)、ジオトリフ(Giotrif)、ギリアデル(Gliadel)、グリベック(Glivec)、ゴナペプチル(Gonapeptyl)、デポット(Depot)、ゴセレリン(Goserelin)(Zoladex(登録商標))、ゴセレリン(Goserelin)(Zoladex(登録商標),Novgos(登録商標))、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte colony stimulating factor)(G-CSF)、ハラヴェン(Halaven)、ハーセプチン(Herceptin)、ハイカムチン(Hycamtin)、ハイドレア(Hydrea)、ヒドロキシカルバミド(Hydroxycarbamide)(Hydrea(登録商標))、ヒドロキシウレア(Hydroxyurea)、I-DEX、ICE、IL-2、IPE、イバンドロン酸(Ibandronic acid)、イブリツモマブ(Ibritumomab)(Zevalin(登録商標))、イブルチニブ(Ibrutinib)(Imbruvica(登録商標))、イブプロフェン(Ibuprofen)(Brufen(登録商標)、Nurofen(登録商標))、イクルシグ(Iclusig)、イダルビシン(Idarubicin)(Zavedos(登録商標))、イダルビシン(Idarubicin)及びデキサメタゾン(dexamethasone)、イデラリシブ(Idelalisib)(Zydelig(登録商標))、イホスファミド(Ifosfamide)(Mitoxana(登録商標))、イマチニブ(Imatinib)(Glivec(登録商標))、イミキモド・クリーム(Imiquimod cream)(Aldara(登録商標))、イムノヴィド(Imnovid)、インスタニル(Instanyl)、インターフェロン(Interferon)(イントロンA(Intron A))、インターロイキン(Interleukin)、イントロンA(Intron A)、イピリムマブ(Ipilimumab)(Yervoy(登録商標))、イレッサ(Iressa)、イリノテカン(Irinotecan)(Campto(登録商標))、イリノテカン(Irinotecan)及びカペシタビン(capecitabine)(Xeliri(登録商標))、イリノテカンデグラモント(Irinotecan de Gramont)、イリノテカン修飾デグラモント(Irinotecan modified de Gramont)、ジャブオール(Javlor)、ジェブタナ(Jevtana)、カドサイラ(Kadcyla)、カパケ(Kapake)、キトルーダ(Keytruda)、ランレオチド(Lanreotide)(Somatuline(登録商標))、ランビス(Lanvis)、ラパチニブ(Lapatinib)(Tyverb(登録商標))、レナリドミド(Lenalidomide)(Revlimid(登録商標))、レトロゾール(Letrozole)(Femara(登録商標))、ロイケラン(Leukeran)、リュープロレリン(Leuprorelin)(Prostap(登録商標)、Lutrate(登録商標))、ロイスタット(Leustat)、レバクト(Levact)、リポソームのドキソルビシン(Liposomal doxorubicin)、リタック(Litak)、ロムスチン(Lomustine)(CCNU)、リンパルザ(Lynparza)、リソドレン(Lysodren)、MIC、MMM、MPT、MST Continus、MVAC、MVP、マブカンパス(MabCampath)、マブセラ(Mabthera)、マックストレック(Maxtrex)、酢酸メドロキシプロゲステロン(Medroxyprogesterone acetate)(プロベラ(Provera))、メゲス(Megace)、酢酸メゲストロール(Megestrol acetate)(Megace(登録商標))、メルファラン(Melphalan)(Alkeran(登録商標))、メカプト(Mepact)、メルカプトプリン(Mercaptopurine)(Xaluprine(登録商標))、メトトレキサート(Methotrexate)(Maxtrex)、メチルプレドニゾロン(Methyl prednisolone)、ミファムルチド(Mifamurtide)(Mepact(登録商標))、マイトマイシンC (Mitomycin C)、ミトタン(Mitotane)、ミトキサナ(Mitoxana)、ミトキサントロン(Mitoxantrone)(Mitozantrone(登録商標))、モルフジェシックSR(Morphgesic SR)、モルヒネ(Morphine)、ミレラン(Myleran)、ミオセト(Myocet)、Nab-パクリタキセル(Nab-paclitaxel)、Nab-パクリタキセル(Nab-paclitaxel)(Abraxane(登録商標))、ナベルビン(Navelbine)、ネララビン(Nelarabine)(Atriance(登録商標))、ネクサバール(Nexavar)、ニロチニブ(Nilotinib)(Tasigna(登録商標))、ニンテダニブ(Nintedanib)(Vargatef(登録商標))、ニペント(Nipent)、ニボルマブ(Nivolumab)(Opdivo(登録商標))、ノブゴス(Novgos)、ニューロフェン(Nurofen)、オビヌツズマブ(Obinutuzumab)(Gazyvaro(登録商標))、オクトレオチド(Octreotide)、オファツムマブ(Ofatumumab)(Arzerra(登録商標))、オラパリブ(Olaparib)(Lynparza(登録商標))、オンコビン(Oncovin)、オンコトロン(Onkotrone)、オプジーボ(Opdivo)、オラモルフ(Oramorph)、オキサリプラチン(Oxaliplatin)(エロキサチン(Eloxatin))、オキサリプラチン(Oxaliplatin)及びカペシタビン(capecitabine)(Xelox(登録商標))、PAD、PC(パクリタキセル(paclitaxel)及びカルボプラチン(carboplatin)、カルボタキソール(CarboTaxol))、PCV、PE、PMitCEBO、POMB/ACE、パクリタキセル(Paclitaxel)(Taxol(登録商標))、パクリタキセル(Paclitaxel)及びカルボプラチン(carboplatin)、パミドロネート(Pamidronate)、パナドール(Panadol)、パニツムマブ(Panitumumab)(Vectibix(登録商標))、パラセタモール(Paracetamol)、パゾパニブ(Pazopanib)(Votrient(登録商標))、ペンブロリズマブ(Pembrolizumab)(ケイトルダ(Keytruda))、ペメトレキセド(Pemetrexed)(Alimta(登録商標))、ペメトレキセド(Pemetrexed)及びカルボプラチン (carboplatin)、ペメトレキセド及びシスプラチン(Pemetrexed and cisplatin)、ペントスタチン(Pentostatin)(Nipent(登録商標))、パージェタ(Perjeta)、ペルツズマブ(Pertuzumab)(Perjeta(登録商標))、ピクサントロン(Pixantrone)(Pixuvri(登
録商標))、ピクスヴリ(Pixuvri)、ポマリドミド(Pomalidomide)(Imnovid(登録商標))、ポナチニブ(Ponatinib)、ポタクタソル(Potactasol)、プレドニゾロン(Prednisolone)、プロカルバジン(Procarbazine)、プロリュウキン(Proleukin)、プロリア(Prolia)、プロスタップ(Prostap)、プロベラ(Provera)、ピュリネソール(Purinethol)、R-CHOP、R-CVP、R-DHAP、R-ESHAP、R-GCVP、RICE、ラロキシフェン(Raloxifene)、ラルチトレキセド(Raltitrexed)(Tomudex(登録商標))、レゴラフェニブ(Regorafenib)(Stivarga(登録商標))、レブラミド(Revlimid)、リツキシマブ(Rituximab)、(Mabthera(登録商標))、セブレドール(Sevredol)、クロドロン酸ナトリウム(Sodium clodronate)(Bonefos(登録商標)、Clasteon(登録商標)、Loron(登録商標))、ソルパドール(Solpadol)、ソラフェニブ(Sorafenib)(Nexavar(登録商標))、ステロイド(Steroids)(デキサメタゾン(dexamethasone)、プレドニゾロン(prednisolone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone))、ストレプトゾシン(Streptozocin)(Zanosar(登録商標))、スニチニブ(Sunitinib)(Sutent(登録商標))、スーテント(Sutent)、TAC、TIP、タフィンラー(Tafinlar)、タモキシフェン(Tamoxifen)、タルセバ(Tarceva)、タルグレチン(Targretin)、タシグナ(Tasigna)、タキソール(Taxol)、タキソテール(Taxotere)、タキソテール及びシクロホスファミド(Taxotere and cyclophosphamide)(TC)、テモダール(Temodal)、テモゾロミド(Temozolomide)、(Temodal(登録商標))、テムシロリムス(Temsirolimus)(Torisel(登録商標))、テパディナ(Tepadina)、ティーエスワン(Teysuno)、サリドマイド(Thalidomide)、チオテパ(Thiotepa)(Tepadina(登録商標))、チオグアニン(Tioguanine)(thioguanine (登録商標)、6-TG、6-チオグアニン(6-tioguanine))、トムデックス(Tomudex)、トポテカン(Topotecan)(ハイカムチン(Hycamtin)、ポタクタソル(Potactasol))、トーリセル(Torisel)、トラベクテジン(Trabectedin)(ヨンデリス(Yondelis)、トラスツズマブ(Trastuzumab)(Herceptin(登録商標))、トラスツズマブ エマタンシン(Trastuzumab emtansine)(Kadcyla(登録商標))、トレオスルファン(Treosulfan)、トレチノイン(Tretinoin)(Vesanoid(登録商標)、ATRA)、トリプトレリン(Triptorelin)(Decapeptyl SR(登録商標)、Gonapeptyl Depot(登録商標))、トリセノックス(Trisenox)、タイレックス(Tylex)、チバーブ(Tyverb)、VIDE、バンデタニブ(Vandetanib)(Caprelsa(登録商標))、ヴァルガテフ(Vargatef)、VeIP、ベクティビックス(Vectibix)、ベルべ(Velbe)、ベルケイド(Velcade)、ベムラフェニブ(Vemurafenib)(Zelboraf(登録商標))、ベプシド(Vepesid)、ベサノイド(Vesanoid)、ビダーザ(Vidaza)、ビンブラスチン(Vinblastine)(Velbe(登録商標))、ビンクリスチン(Vincristine)、ビンクリスチン(Vincristine)、アクチノマイシンD(actinomycin D)(ダクチノマイシン(dactinomycin)(登録商標))及びシクロホスファミド(cyclophosphamide)(VAC)、ビンクリスチン(Vincristine)、アクチノマイシン(actinomycin)及びイホスファミド(ifosfamide)(VAI)、ビンクリスチン(Vincristine)、ドキソルビシン及びデキサメタゾン(doxorubicin and dexamethasone)(VAD)、ビンデシン(Vindesine)(Eldisine(登録商標))、ビンフルニン(Vinflunine)(Javlor(登録商標))、ビノレルビン(Vinorelbine)(Navelbine(登録商標))、ビスモデギブ(Vismodegib)(Erivedge(登録商標))、ヴォトリエント(Votrient)、ゼロックス(XELOX)、ザーコリ(Xalkori)、ゼローダ(Xeloda)、ゼバ(Xgeva)、イクスタンジ(Xtandi)、ヤーボイ(Yervoy)、ヨンデリス(Yondelis)、Z-DEX、ザルトラップ(Zaltrap)、ザノサー(Zanosar)、ザベドス(Zavedos)、ゼルボラフ(Zelboraf)、ゼヴァリン(Zevalin)、ゾラデックス(Zoladex)(乳癌)、ゾラデックス(Zoladex)(前立腺癌)、ゾレドロン酸(Zoledronic acid)(Zometa(登録商標))、ゾメタ(Zometa)、ゾモルフ(Zomorph)、ザイデリグ(Zydelig)、ザイティガ(Zytiga)。
【0304】
特定の実施態様に従うと、ASDは、本明細書で記載されているように、様々な化学療法、免疫療法(例えば、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体)、抗腫瘍ワクチン、RNAワクチン、磁気粒子、血管内マイクロロボット、放射線療法、手術、超音波又は他の抗腫瘍治療と組み合わされることができる。
【0305】
従って、本発明は更に、免疫療法、抗腫瘍ワクチン、RNAワクチン、放射線療法、手術、超音波療法又は他の抗腫瘍療法のいずれかによってまた処置される患者の為に意図された抗腫瘍剤としての使用の為の、本発明において定義されているASD又は本発明において定義されている医薬組成物を提供する。
【0306】
1つの実施態様に従うと、本発明は、上記で定義される使用の為の、該ASD又は上記で定義される使用の為の該医薬組成物に関し、ここで、該患者の血液、血漿、組織、唾液、及び/又は血清サンプル中の8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの該レベルが該使用中に測定される。
【0307】
別の実施態様に従うと、本発明はまた、上記で定義される使用の為の、該ASD又は上記で定義される使用の為の該医薬組成物に関し、ここで、該使用は、該患者の血液、血漿、組織、唾液、及び/又は血清サンプル中の8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンのレベルが該使用中に計測される患者の為に意図されている。
【0308】
更に別の実施態様に従うと、本発明はまた、上記で定義される使用の為の、該ASD又は上記で定義される使用の為の該医薬組成物に関し、ここで、該患者の血液及び/又は組織サンプルにおけるmiR-124の存在及び/又は発現レベルは、特に該使用の有効性及び/又は該使用に対する応答を監視する為に、該使用の前及び/又は該使用中に測定される。
【0309】
以下、本発明が以下の実施例を参照しながらより詳細に説明される。これらの実施例は、本発明を説明する為に提供されるものであり、本発明の範囲及び精神を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0310】
実施例
本明細書において、記号「~」は約を意味する。
【0311】
原料
本開示において使用された該原料及び装置が、下記の表1に挙げられている。
【0312】
【表1】
【0313】
実施例1:本発明に従うASDの調製
非晶質固体分散物の2つのバッチが、二流体ノズルを備えた4M8 Trix噴霧乾燥機(ProCepT,Belgium)を使用して噴霧-乾燥により調製された。噴霧乾燥機に適用されたパラメータのリストは、下記の表2にまとめられている。
【0314】
【表2】
【0315】
はじめに、1.4gのABX464が50mLのMeOH中に溶解され、続いて0.22μmPVDF濾過膜(Stericup Quick Release,Durapore)で濾過が行われた。その後、2.6gのポリマー(BASFからのKollidon(登録商標)VA64又はKollidon(登録商標)K30)が秤量され、先のABX464溶液に添加された。噴霧乾燥溶液中の全固形分(ABX464及びポリマー)は、約8%w/wで維持された。混合物は、均一な溶液が得られるまで撹拌下に保たれた。該溶液は、蠕動ポンプを使用して流速3mL/分で噴霧乾燥機に供給された。該溶液はその後噴霧乾燥された。実現可能性バッチの調製の為に使用された該噴霧-乾燥溶液は、ABX464:ポリマー比が35:65w/wで調製された。
【0316】
微細な白色粉末が噴霧-乾燥後に得られた。およそ80%の収率が、生産されたSDDs用に得られた(78.5% ABX464:Kollidon(登録商標)VA64(本明細書においてABX464:VA64とまた命名される)及び80.9% ABX464:Kollidon(登録商標) K30(本明細書においてABX464:K30とまた命名される))。
【0317】
実施例2:本発明に従うASDの特性評価
実施例2.1:UV-HPLC(紫外線-高速液体クロマトグラフィー)
ABX464の分析に使用されたUV-HPLC方法が下記の表3aに詳述されている。各HPLC実験について、2つの標準物溶液(A及びB)が希釈剤(ACN:H2 O(50:50))中に0.1mg/mLで調製された。
【0318】
およそ2.5mgのABX464(API)が25mLのメスフラスコ内に正確に秤量された。容量は希釈剤で調整され、標準物が周囲温度(室温)で15分間超音波処理され、APIが完全に溶解したことを確認した。溶液はその後、0.2μm PTFEシリンジフィルタ(直径13mm)で濾過され、HPLC分析の準備として琥珀色のガラスバイアル内に移し替えられた。2つのブランクサンプル(希釈剤)が最初に注入され、ベースラインが許容範囲であることと干渉ピークが溶出しなかったことを確認した。これに続いて、標準物Aの5回の注入と標準物Bの2回の注入が行われた。(システム適合性試験(SST)の結果が下記の表3bに与えられている)。
【0319】
【表3a】
【0320】
【表3b】
【0321】
標準物再現性精度(Standard repeatability)
平均メインピーク面積及び%相対標準偏差(%RSD)が両方の標準物について算出されて、システムの精度を評価した。標準物溶液AのAPIの該メインピークの該%RSDは、<2.0%でなければならない。
【0322】
標準物アグリーメント(Standard agreement)
標準物溶液Aと標準物溶液Bの応答係数の標準物アグリーメント比は、0.98~1.02でなければならず、以下の式で算出された:
【0323】
【数1】
【0324】
ここで、AreaA(面積A)及びAreaB(面積B)はそれぞれ標準物溶液Aと標準物溶液BのAPIピーク下での平均面積であり、且つConcA(濃度A)及びConcB(濃度B)はそれぞれ標準物溶液Aと標準物溶液BのAPIの濃度である。
【0325】
UV-HPLCの結果:
予想通り、該UV-HPLCアッセイは、両方のSDDが噴霧-乾燥後(t=0h)約35重量%の薬剤負荷を維持し(下記の表4参照)、結果としてABX464と該医薬的に許容される担体との合計重量に対して約65重量%の該医薬的に許容される担体(ここではポビドン又はコポビドン)を維持することを確認した。
【0326】
【表4】
【0327】
実施例2.2:X線粉末回折(XRPD)及び変調示差走査熱量測定(mDSC)分析
XRPD
供給API原料及びSDDのX線粉末回折(XRPD)分析が、Lynx Eye検出器を備えたBruker D8 Advance粉末回折計を使用して行われた。サンプル(約5mg)はシリコンサンプルホルダの中心に配置された。該サンプルは2°~40°2θの範囲で0.04°2シータ(2θ)のステップサイズを使用して走査された。データはDIFFRACplus EVAソフトウェアを使用して処理され、詳細なパラメータが下記の表5にまとめられている。
【0328】
【表5】
【0329】
mDSC分析
変調示差走査熱量計(mDSC)が使用され、Q200熱量計(TA Instruments,米国)を使用して供給API及びSDDの熱挙動を調べた。不活性雰囲気がチャンバ内で50mL/分で窒素をパージすることにより維持された。およそ2~5mgの該サンプルが密閉式アルミニウムパン内に秤量され、0℃で平衡化され、5分間の等温の後、5℃/分で160℃まで加熱された。振幅温度1℃で40秒の変調周期が適用された。データはUniversal Analysis 2000ソフトウェアで処理された。
【0330】
XRPD及びmDSCの結果
調製直後(t=0h)に、両方のSDDがXRPD(図3)及びmDSC(図4及び5)によって、物理的形状決定について非晶質であることが確認された。
【0331】
図3はまた、両SDDの非結晶形態を証明する目的で、ABX464がその固有の結晶形態であるXRPD図を含む。
【0332】
更に、両SDDのmDSC分析では、単一ポリマーのTgとは異なる1つのTg値のみが観察され、ABX464の融解ピーク(ABX464に約120℃で存在)は観察されなかった。これらの観察結果は、両方のポリマーマトリックスにおける該ABX464の良好な均質分散の形成を示唆した(相分離の兆候、すなわち単一のTgの存在はない)。しかし、両方のSDDで得られたTg(ABX464:VA64(図5)では約92℃及びABX464:K30(図4)では約135℃の違いを観察することは可能である。
【0333】
従って、これらの結果は、本発明に従うASDが非晶質形態の下にあり、また該ポリマーのマトリックス中でABX464の均質分散物を形成していることを実証している。
【0334】
実施例2.3:走査型電子顕微鏡(SEM)
該SDDの粒子形状及び表面トポグラフィが走査型電子顕微鏡(SEM)で調べられた。およそ1~2mgのサンプルが導電性両面カーボン粘着テープを使用してアルミニウム製スタブ上に載置され、Quorum Q150ESスパッタコーティング装置(Quorum Technologies Ltd,UK)で10nmの金でスパッタコーティングされ、Tescan Vega3走査型電子顕微鏡(Tescan Bruno,Czech Republic)を使用して写真撮影された。倍率の詳細及びビーム電圧は、このレポートの走査型電子顕微鏡写真に含められている。
【0335】
SEMの結果
調製直後(t=0h)に、ABX464:VA64及びABX464:K30 SDDが、噴霧-乾燥プロセス後の該粒子の形態を観察する目的で、SEMで評価された。図2a、2b、2c及び2dは、両SDDのわずかに異なる形態を示す。使用された最高倍率(10kx、図2a及び2c)では、ABX464:VA64 SDDが球状粒子を示すのに対し、ABX464:K30 SDDがより不規則な形状の粒子からなることが観察できる。粒子径については、ABX464:VA64粒子は(ABX464:K30 SDDと比較されると)これらの粒子のより高い凝集度が観察される為にわずかにより大きく見えるものの、両SDDは同等の大きさを有することが観察できる。
【0336】
その固有の結晶形態を持つABX464と比較する為に、該粒子の該形態がまたSEMで評価された(図1a及び1bを参照)。これらの図は、50~200μmの範囲の大きな粒子径を持つ層状形状の粒子を示す。
【0337】
実施例2.4:熱重量分析(TGA)
熱重量分析が残留水/溶媒のレベルの定量に使用された。同時微分技術が使用されたが(SDT,Q500 TA Instrument)これはTGAとDSCの信号を同時に提供することが可能である。およそ5~10mgの原料がアルミナパン内に秤量され、室温で窒素下60mL/分の流速で該装置内に投入された。該サンプルは、その後10℃/分の速度で350℃に加熱され、該サンプルの重量が記録された。データはUniversal Analysis 2000ソフトウェアを使用して処理された。
【0338】
TGAの結果
調製直後(t=0h)に、該SDDはTGAで溶媒損失決定の為に分析された。
【0339】
TGAサーモグラム(図6)は、ABX464:VA64 SDD(1.0%)と比較されると、ABX464:K30 SDD(2.3%)でより高い溶媒損失を示す。
【0340】
実施例3:二段階溶解/沈殿 絶食された及び摂食されたヒトイン・ビトロ(in vitro)モデル
固有の結晶形態のABX464及びABX464:VA64 ASD(上記の実施例1により調製された)が、絶食されたヒトイン・ビトロモデル(Fasted Human in-vitro model)及び摂食されたヒトイン・ビトロモデル(Fed Human in-vitro model)(それぞれFaSSIF及びFeSSIFモデルと命名される)の両方を使用して試験された。これらのモデルは溶解試験についてのそれぞれ絶食された状態の胃腸液及び摂食された状態の胃腸液をシミュレートしている。
【0341】
該絶食されたイン・ビトロ(in vitro)モデルのため、11.4mgのABX464:VA64 ASD(4.0mg相当のABX464)が6つの異なるバイアルに秤量された。すべてのバイアルに、37℃で予熱された1mlのFaSSGF pH1.2溶液が添加された。懸濁物はその後37℃で渦動された。15分間の渦動後、最初のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離されて、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタ、ref.SLCR0.13NK)で濾過された。30分間の渦動後、第2のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離されて、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。
【0342】
30分間の渦動後、37℃で予熱された1mlのFaSSIF x2 pH6.5/重炭酸ナトリウム 90/10 v/vが他の4本のバイアルに添加された。懸濁物はその後、37℃で渦動された。15分間の渦動後、第3のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。30分間の渦動後、第4のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタ ref.SLCR0.13NK)で濾過された。60分間の渦動後、第5のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。120分間の渦動後、第6のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。
【0343】
摂食されたイン・ビトロ(in vitro)モデルのため、11.4mgのABX464:VA64 ASD(4.0mg当量のABX464)が7つの異なるバイアルに秤量された。すべてのバイアルに、37℃で予熱された1mlのFeSSGF pH3.0溶液が添加された。懸濁物はその後37℃で渦動された。15分間の渦動後、第1のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。30分間の渦動後、第2のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。60分間の渦動後、第3のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。
【0344】
60分間の渦動後、37℃で予熱された0.5mlのFeSSIF x3 pH5.0が、他の4つのバイアルに添加された。懸濁物はその後37℃で渦動された。15分間の渦動後、第4のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。30分間の渦動後、第5のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。60分間の渦動後、第6のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。120分間の渦動後、第7のバイアルの懸濁物が18000rpmで5分間遠心分離され、上清のHPLC-UV投与のため0.45μmフィルタ(Millex LCRフィルタref.SLCR0.13NK)で濾過された。
【0345】
図7及び図8に示すように、ABX464:VA64 ASDは、両方のモデルにおいて固有の結晶形態のABX464よりもより高い溶解度を示す。
【0346】
実際、該FASSIFモデル(最終pH=6.5)では、結果は最後の測定点(FaSSGF pH1.2で30分間+FaSSIF x2 pH6.5で120分間/炭酸水素ナトリウム 90/10 v/v)及びFESSIFモデル(最終pH 5.0)で0.230mg/ml 対 0.070mg/mlを示し、該結果は、最後の測定点(FeSSGF pH3.0で60分間+FeSSIF x3 pH5.0で120分間)で1.234mg/ml 対 0.508mg/mlを示唆している。
【0347】
図9は、絶食された及び摂食されたヒトイン・ビトロ(in vitro)モデルの両方の終了時(それぞれ絶食されたモデルでは時間30分間+120分間及び摂食モデルでは時間60分間+120分間)に、懸濁物中の残留ABX464:VA64 ASDの非晶質性を示す。
【0348】
絶食された胃媒体 -FaSSGF pH=1.2
【0349】
【表6】
【0350】
絶食された腸媒体 -FaSSIF pH 6.5
【0351】
FaSSIF x2の組成/調製(絶食モデルでの希釈を考慮し、2倍に濃縮した媒体)
【0352】
【表7】
【0353】
希釈後にpHを腸コンパートメント(intestinal compartment)内の6.5に等しく保つ目的で、90% FaSSIF X2(pH6.5) + 10% 重炭酸ナトリウム80g/Lの混合液が調製された。
【0354】
摂食胃媒体-FeSSGF pH=3.0
【0355】
【表8】
【0356】
摂食腸媒体-FeSSIF pH=5.0
【0357】
【表9】
【0358】
該摂食腸媒体-FeSSIF pH=5.0は、該摂食モデルでの希釈を考慮して3倍に濃縮された。
【0359】
実施例4:本発明に従うABX464:VA64 ASD及びABX464:K30 ASDの化学的及び物理的安定性
4.1 ABX464:VA64 ASDとABX464:K30 ASDの該物理的及び化学的安定性が、以下のストレス条件下で2週間後にXRPD及びHPLC-UVで研究されている:
●25℃/60%相対湿度
●40℃/75%相対湿度
【0360】
安定性の研究のため、~100mgのABX464:VA64 ASD製剤が2つの密閉されたガラス瓶内に置かれた。一方の瓶には、飽和NaCl溶液が該瓶の底に予め配されて60%相対湿度を生成した。第2の瓶には、飽和NaBr溶液が予め該瓶の底に配されて、75%相対湿度を生成した。第1の瓶はその後25℃に制御されたオーブン内で2週間置かれた。第2の瓶はその後40℃に制御されたオーブン内で2週間置かれた。
【0361】
ABX464:VA64 ASDとABX464:K30 ASDの結果
該結果が下記の表10にまとめられている。同じ観察結果が、2つの試験されたASDのそれぞれについて得られた。
【0362】
【表10】
【0363】
図10は、25℃/60%RH及び40℃/75%RHでそれぞれ2週間後のABX464:VA64 ASD製剤の非晶質性を明らかにしている。
【0364】
図11は、25℃/60%RH及び40℃/75%RHでそれぞれ2週間後のABX464:K30 ASD製剤の非晶質性を明らかにしている。
【0365】
従って、表10は、HPLC-UV分析の該結果が、25℃/60%RH及び40℃/75%RHでそれぞれ2週間後のABX464:VA64 ASD製剤の並びに25℃/60%RH及び40℃/75%RHでそれぞれ2週間後のABX464:K30 ASD製剤の化学分解がないことを明らかにすることを報告している。
【0366】
ABX464:VA64 ASD及びABX464:K30 ASDの2つのそれぞれについてのこれら2つの結果は、ABX464:VA64製剤の及びABX464:K30製剤のそれぞれ25℃/60%RH及び40℃/75%RHでの2週間後の物理的及び化学的安定性を示す。
【0367】
4.2 ABX464:VA64 36/65 w/w ASD及びABX464:K30 36/65 w/w ASDの該物理的安定性は、以下のストレス条件下で7日間保存後、TGAによって研究されている:
●25℃/60%相対湿度
●40℃/75%相対湿度
●50℃
●80℃
【0368】
サンプル調製
~20mgの粉末原料が12個の開封済み5mlガラスバイアル内に置かれた。
ガラスバイアルは、シリコンシールで密閉された大きなガラス瓶内に一組ずつ置かれた
2つのガラス瓶は次に50℃に制御されたオーブン内に、他の2つの瓶は80℃に制御された第2のオーブン内に、他の1つの瓶は25℃に制御された第3のオーブン内に及び最後の瓶は40℃に制御された第4のオーブン内に置かれた。
50℃及び80℃にそれぞれ制御されたオーブンの1つの瓶内で、80%相対湿度のKCl飽和塩溶液が保存前に添加された。
25℃に制御された該オーブンの該瓶内で、60%相対湿度のNaCl飽和塩溶液が保存前に添加された。
40℃に制御されたオーブンの該瓶内で、75%相対湿度のNaBr飽和塩溶液が保存前に添加された。
【0369】
これらのストレス条件に曝されたABX464:K30 36/65 w/w ASD及びABX464:PVPVA64 36/65 w/w ASDのTGA結果が下記の表10aに供されている。
【0370】
【表10a】
【0371】
また、本発明者等は、XRPD分析を行い、本発明に従う上述の記試験されたASDが非晶質形態下で安定なままであることを確認している。
【0372】
これらの結果から、該ASD中に水及び/又は溶媒が存在しても、本発明に従うASDは、ストレス条件下で7日間保存の後も安定なままであることが分かる。
【0373】
実施例5:本発明に従うABX464:COPOVIDONE ASD(ABX464:VA64 ASD)又は本発明に従うABX464:POVIDONE ASD(ABX464:K30 ASD)を含む本発明に従うカプセルの形態下での医薬組成物
下記のカプセルが、下記の表11において特定されているそれぞれの量における成分で調製された。
【0374】
【表11】
【0375】
そのようなカプセルは、ABX464:COPOVIDONE ASD粉末に代えて、本発明に従う他の任意のASDを使用することによって調製されうるものであった。
【0376】
本発明に従う該医薬組成物は、炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患、関節リウマチ、肺動脈性肺高血圧症、NASH、及び多発性硬化症、ウイルスによって引き起こされる疾患及び/又は癌若しくは異形成の処置及び/又は予防において有用である。
【0377】
実施例6:高速蒸発法による本発明に従うASDの調製及び異なる処理後の分析的特徴化
原料及び方法
Rotavapor Buchi
装置Buchi Rotavapor R200+真空コントローラー V-800
浴温度:40℃
速度率:150rpm
真空度:150mBar(0.015Mpa)
【0378】
使用された原料の詳細が下記の表12にまとめられている:
【0379】
【表12】
【0380】
メタノール、DCM、PVP K30及びKollidon(登録商標)VA 64については、上記表1を参照されたい。
【0381】
6.1.調製物
下記の表13は、本発明に従う9つの追加の調製されたASDを列挙している。
【0382】
より特に、表13は、2つの二元混合物(調製物1~2)及び5つの三元混合物(調製物4~6及び8~9)を示す。
【0383】
この表では、使用された各成分の重量%及び重量が示されている。この表で述べられているように、これらのASDは、該ASDの総重量に対して、35重量%のABX464、X重量%の第1化合物(添加剤1と命名される)及び任意でY重量%の第2化合物(添加剤2と命名される)を含んでいる。
【0384】
【表13】
【0385】
該ASDの合成は、揮発性有機溶媒(又は有機溶媒の混合物)を使用して調製されたABX464/添加剤溶液の高速蒸発プロセスを使用して以下のプロトコルに従って行われた。
【0386】
表13に挙げられた各ABX464/添加剤混合物について:
約200mgのABX464結晶形体I(質量の詳細は表13を参照)が20mlガラスカップに秤量された
5mlのメタノールがガラスバイアルに添加され、15分間の磁気撹拌を使用してABX464結晶形態Iを可溶化させた
次に、ABX464メタノール溶液がPTFE製の0.45μmメッシュフィルタを通して濾過された。
添加剤溶液の調製
単一の添加剤がABX464/添加剤混合物で考慮された場合:
選択された添加剤の計算された量が50mlガラスカップに秤量された(質量の詳細は表13を参照)。
40mlのメタノール(HPMCAs-MFについて80mlの50/50 v/v メタノール/ジクロロメタン)が該ガラスカップに添加され、15分間の磁気攪拌を使用して選択された添加剤を可溶化させた
2つの添加剤がABX464/添加剤混合物で考慮された場合:
各選択された添加剤の計算された量が、別々の40mlガラスカップに秤量された(質量の詳細は表13を参照)。
20mlのメタノールが各ガラスバイアルに添加されて、15分間の磁気攪拌を使用して選択された添加剤を可溶化させた
2つの添加剤溶液が50mlガラスカップにプールされ、得られた溶液は5分間の磁気攪拌を使用してホモジナイズされた
ABX464溶液と1以上の添加剤溶液が150mlガラスバルーンにプールされ、得られた最終溶液が15の磁気攪拌を使用してホモジナイズされた。
溶媒はその後Bucchi-Rotavapor R200を使用した高速蒸発により除去された。
固体はその後-80℃下で回収された。
【0387】
6.2.異なる処理後の分析特性
原料及び方法
X線粉末回折(XRPD)
装置:BrukerD8-Advance回折計、型式:Bragg-Brentano
ソース;CuKα1、λ=1.5406Å及びCuKα2、λ2=1.54439Å
発電機:35kV -40mA
検出器:Lynx Eye
【0388】
熱重量測定(TGA)
装置:TA INSTRUMENTS:TGA Q500
標準のパン:TA 901670-901非密閉型
標準の蓋:TA 901671-901
吸収又は吸着された水分及び/又は残存溶媒の離脱に伴う質量の減少の測定の為の温度の範囲:30℃~150℃
【0389】
高速蒸発の直後に、調製物4、5及び9について得られた固体が、XRPD及びTGAにより分析されている。
【0390】
高速蒸発の直後に、調製物1、2、4、5、6、8及び9について得られた固体が、XRPD分析の前に真空下40℃で24時間保存されている。
【0391】
最後に、この処理の後、XRPD、TGA及びKF(Karl Fischer滴定は化学分析においてサンプル中の微量の水分を決定する為の古典的滴定法である)分析の前に、調製物4、5、及び9も75%相対湿度雰囲気下のRTで24時間保存されている(~100mgサンプルが飽和NaCl塩溶液下で密閉した瓶内に置かれる)。
【0392】
本発明者等はXRPD分析を行っており、その結果は試験されたASDが全て非晶質形態下のままであることを裏付けている。
【0393】
XRPD、及び/又はTGA及び/又はKFによって得られた分析特性の結果が、下記の表14にまとめられている。
【0394】
【表14】
【0395】
結論:
高速蒸発の直後、調製物4、5及び9について得られた固体は、図14、15及び18にそれぞれ示すように、XRPDによって非晶質形態であり、TGAによって測定されたように~5~8重量%の残存溶媒及び/又は水を有することが判明している。(図示せず)。
【0396】
真空下40℃で24時間保存後:
調製物4、5及び9について得られた固体は、図14、15及び18にそれぞれ示すように、XRPDによって非晶質形態であり、TGAによって測定されたように~2~3重量%の残存溶媒及び/又は水を有することが判明している。(図示せず)
調製物1、2、6及び8について得られた固体は、図12、13、16及び17にそれぞれ示すように、XRPDによって非晶質形態であることが判明している。
【0397】
真空下40℃で24時間保存後、75%RH下RTで24時間保存:
調製物4、5及び9について得られた固体は、図14、15、及び18に示すように、XRPDによって非晶質形態であり、TGAによって測定されたように~3~9重量%の残存溶媒及び/又は水を有し(図示せず)、KFによって測定されたように4~7重量%の水を有することが判明している。
【0398】
これらの結果は、高速蒸発プロセスでもたらされた7つのABX464/添加剤製剤のABX464非晶質固体分散物の該合成と、残存有機溶媒及び/又は吸収された水の存在下でのそれらの物理的安定性(24時間を超える)を裏付けている。
【0399】
実施例7:本発明に従うABX464:コポビドンASD(ABX464:VA64 ASD)を含む本発明に従う錠剤の形態下での医薬組成物
以下の錠剤が、下記の表15及び表16で特定される量の成分で調製された。
【0400】
まず、ASD粉末が粒内賦形剤とブレンドされた。
【0401】
第2にこのようにして得られた混合物が乾式造粒に供されて顆粒(96%w/w)を形成した。
【0402】
第3に、このようにして得られた顆粒(96%w/w)が粒外賦形剤とブレンドされた。
【0403】
第4に、このようにして得られた混合物が圧縮されて錠剤とされた。
【0404】
最後に、このようにして得られた錠剤がフィルムコーティング剤でコーティングされた。
【0405】
【表15】
【0406】
【表16】
【0407】
そのような錠剤は、ABX464:コポビドンASD粉末の代わりに、本発明に従う他の任意のASDを使用することにより調製され得たものであった。
【0408】
本発明に従う該医薬組成物は、炎症性腸疾患、関節リウマチ、肺動脈性肺高血圧症、NASH、多発性硬化症等の炎症性疾患、ウイルスによって引き起こされる疾患及び/又は癌や異形成の処置及び/又は予防において有用である。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】