(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】安定性のあるアルミナ成形体及びアルミナ成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 38/00 20060101AFI20230720BHJP
C01F 7/025 20220101ALI20230720BHJP
C01F 7/441 20220101ALI20230720BHJP
C04B 35/111 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
C04B38/00 303Z
C01F7/025
C01F7/441
C04B35/111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022572501
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2021064116
(87)【国際公開番号】W WO2021239846
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501186162
【氏名又は名称】サゾル ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラッシュ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ズィーゲル,アンゲラ
(72)【発明者】
【氏名】ホルツマン,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】ホーヴェ,シュテファン
【テーマコード(参考)】
4G019
4G076
【Fターム(参考)】
4G019FA13
4G076AA02
4G076AA18
4G076AB13
4G076BA14
4G076BA47
4G076BB03
4G076BD02
4G076BF07
4G076CA03
4G076CA11
4G076CA28
4G076CA36
4G076CA40
4G076DA01
(57)【要約】
本開示は、アルミナ成形体のか焼物及びアルミナ成形体のか焼物の製造方法に関する。当該方法は、アルミナ懸濁液におけるアルミナが、結晶子サイズが特異的になるように水熱熟成される工程を含む。上述により、特に1200℃以上の温度で、アルミナ成形体のか焼物の形態において、安定性の高いアルミナが更に生成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧砕強度が30~70N、好適には40~60Nであるとの特性(a)と、
細孔半径の中央値が5~12nm、好適には7~10nmである単分散の細孔径分布との特性(b)と
を備える
アルミナ成形体のか焼物。
【請求項2】
全細孔容積が0.4~1.2cm
3/g、好適には0.7~1.0cm
3/gであるとの特性(c)、
BET表面積が、1200℃で3時間のか焼後において、10~100m
2/gであり、好適には1200℃で3時間のか焼後において40~80m
2/gであるとの特性(d)、
前記アルミナ成形体のか焼物におけるNa不純物、Fe不純物、及びSi不純物の含有量が、それぞれ100ppm未満であり、好適にはそれぞれ50ppm未満であるとの特性(e)、及び
α転移点が1200℃を超え、好適には1300℃を超えるとの特性(f)
のうちの1以上、好適には全てを更に備える
請求項1に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項3】
特性(c)を備える
請求項2に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項4】
前記アルミナ成形体のか焼物は、好適には成形管において成形される球状体の形態、押出成形品若しくは錠剤の形態、又はそれらの混合物の形態であり、好適には球状体である
請求項1~3のいずれか一項に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項5】
前記アルミナ成形体のか焼物は、球状体の形態であり、前記球状体は、0.5mm~3.0mmの直径である
請求項1~4のいずれか一項に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項6】
1以上のドーパントを含み、好適にはスズ、ビスマス、好適にはIVb族元素及び/又はVb族元素である遷移元素、並びに希土類元素からなる群から選択される1以上のドーパントを含む
請求項1~5のいずれか一項に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項7】
アルミナ成形体のか焼物を調製する方法であって、
(i)アルミナと少なくとも水とを含むアルミナ懸濁液を調製する工程と、
(ii)前記アルミナ懸濁液における前記アルミナの(120)軸及び(020)軸に沿った結晶子サイズが、それぞれ60~140Å、好適には70~110Åとなるまで、前記アルミナ懸濁液を水熱熟成して、水熱熟成したアルミナ懸濁液を形成する工程と、
(iii)選択的に、水熱熟成した前記アルミナ懸濁液を乾燥させて、アルミナ粉末を取得する工程と、
(iv)選択的に、前記アルミナ粉末由来のアルミナペースト、又は前記アルミナ粉末若しくは水熱熟成した前記アルミナ懸濁液由来のアルミナ分散液のいずれかを調製する工程と、
(v)前記アルミナ粉末若しくは前記アルミナペースト若しくは前記アルミナ分散液若しくは水熱熟成した前記アルミナ懸濁液、又はそれらの混合物を成形して、アルミナ成形体を形成する工程と、
(vi)前記アルミナ成形体を乾燥させて、アルミナ成形体の乾燥体を形成する工程と、
(vii)前記アルミナ成形体の乾燥体のか焼を行って、アルミナ成形体のか焼物を形成する工程と
を含む
方法。
【請求項8】
前記アルミナ成形体のか焼物は、好適には成形管において成形される球状体の形態、押出成形品若しくは錠剤の形態、又はそれらの混合物の形態であり、好適には球状体の形態である
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Al
2O
3として算出される前記アルミナ懸濁液における前記アルミナの含有量は、前記アルミナ懸濁液の2~20重量パーセント、好適には5~10重量パーセントである
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
Al
2O
3として算出される前記アルミナ分散液における前記アルミナの含有量は、10~40重量パーセント、好適には25~35重量パーセントである
請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルミナ分散液は、酸を含む
請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アルミナ分散液は、灯油を含み、
前記アルミナ分散液における前記灯油の含量は、好適には前記アルミナ分散液の0~10重量パーセント、最も好適には前記アルミナ分散液の0~5重量パーセントである
請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
成形して前記アルミナ成形体を形成する工程の前に、前記アルミナペースト若しくは前記アルミナ分散液若しくは水熱熟成した前記アルミナ懸濁液、又はそれらの混合物に、1以上のドーパントが添加され、好適には、スズ、ビスマス、特にIVb族元素及び/又はVb族元素である遷移元素、並びに希土類元素からなる群から選択される1以上のドーパントが添加される
請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アルミナ懸濁液における前記アルミナは、ベーマイト、ギブサイト、バイエライト、及び1以上の遷移アルミナであり、好適にはベーマイトである
請求項7~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
水熱熟成後の前記アルミナ懸濁液における前記アルミナが、ベーマイトを含むか、あるいはベーマイトからなる
請求項7~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
水熱熟成後のベーマイトの(020)軸に沿った結晶子サイズに対する(120)軸に沿った結晶子サイズの比率は、0.5:1~2.0:1であり、好適には0.9:1~1.1:1である
請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記水熱熟成の反応は、60℃~300℃、好適には80℃~180℃の温度で、それぞれ好適には1~30時間、好適には15~30時間行われる
請求項7~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アルミナ成形体は、90℃~150℃の温度、好適には110℃~130℃の温度で、2~24時間乾燥される
請求項7~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記か焼は、450℃~1100℃の温度、好適には550℃~750℃の温度で、それぞれ好適には10分~10時間、好適には2~4時間行われる
請求項7~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルミナ成形体のか焼物又は同義に用いられるような「アルミナ担体の成形体のか焼物(calcined shaped alumina carrier)」と、アルミナ担体の成形体のか焼物/アルミナ成形体のか焼物の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
活性アルミナは、多数の不均一系触媒用途の担体として広範に用いられる。上述は、一方においては充填層と更に称される固定層での用途と、他方においては移動層又は流動層での用途との双方を含む。固定層での用途については、偏流(chenneling)及び温度勾配を回避すべく、均一に当該層を充填する触媒を調製することが重要であり、流動層及び移動層での用途については、1つの重要な態様は、反応器壁に対する衝突又は相互の衝突による、触媒粒子の摩損又は崩壊を回避すべく、安定かつ強力な触媒を調製することである。一部の用途については、アルミナの成形が有効である。固定層の触媒においては特に、触媒活性に対して生じる障害と触媒層にわたる圧力降下とを均衡させるべく、多数の触媒形状が従来技術において提案されている。
【0003】
本明細書で用いられるように、「成形(shaping)」は、粒子を更に大きな成形体に凝集させ、好適には成形体の一部が規則的になる工程及び方法を称するものであり、「成形された(shaped)」の意味は、上述に対応する。当該成形後に、強度を提供し、成形体を固定するために、次いで成形体をか焼することが必要である。したがって、本開示の当業者は、アルミナ成形体のか焼物/アルミナ担体の成形体のか焼物が、例えば、好適には成形管において成形されるアルミナの球体、アルミナの押出成形品、及びアルミナの錠剤を意味することを理解するであろう。
【0004】
特許文献1は、ベーマイトのアルミナから球状のアルミナを調製する工程を提供している。開示の方法によって所得される球体は、直径が2~3mmであり、球体あたりの圧砕強度が200Nであり、細孔容積が0.45~0.75ml/gであり、表面積が220~250m2/gであると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特性が特異的となり、特に特異的な特性の組み合わせとなる触媒担体の成形体の改良に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様によると、アルミナ成形体のか焼物/アルミナ担体の成形体のか焼物が提供され、
圧砕強度が30~70N、好適には40~60Nであるとの特性(a)と、
細孔半径の中央値が5~12nm、好適には7~10nmである単分散の細孔径分布との特性(b)と
を備える。
【0008】
好適には、アルミナ成形体のか焼物は、
全細孔容積が0.4~1.2cm3/g、好適には0.7~1.0cm3/gであるとの特性(c)、
BET表面積が、1200℃で3時間のか焼後において、10~100m2/gであり、好適には1200℃で3時間のか焼後において40~80m2/gであるとの特性(d)、
アルミナ成形体のか焼物におけるNa不純物、Fe不純物、及びSi不純物の含有量が、それぞれ100ppm未満であり、好適にはそれぞれ50ppm未満であるとの特性(e)、及び
α転移点が1200℃を超え、好適には1300℃を超えるとの特性(f)
のうちの1以上、好適には全てを更に備える。
【0009】
好適には、特性(a)及び特性(b)を備えるアルミナ成形体のか焼物は、少なくとも特性(c)を更に備える。
【0010】
アルミナ成形体のか焼物は、後述の方法によって調製できる。
【0011】
本開示の更なる態様によると、アルミナ成形体のか焼物を調製する方法が提供され、当該方法は、
(i)アルミナと少なくとも水とを含むアルミナ懸濁液を調製する工程と、
(ii)アルミナ懸濁液におけるアルミナの(120)軸及び(020)軸に沿った結晶子サイズが、それぞれ60~140Åとなるまで、アルミナ懸濁液を水熱熟成して、水熱熟成したアルミナ懸濁液を形成する工程と、
(iii)選択的に、水熱熟成した前記アルミナ懸濁液を乾燥させて、アルミナ粉末を取得する工程と、
(iv)選択的に、アルミナ粉末由来のアルミナペースト、又はアルミナ粉末若しくは水熱熟成したアルミナ懸濁液由来のアルミナ分散液のいずれかを調製する工程と、
(v)アルミナ粉末若しくはアルミナペースト若しくはアルミナ分散液若しくは水熱熟成したアルミナ懸濁液、又はそれらの混合物を成形して、アルミナ成形体を形成する工程と、
(vi)アルミナ成形体を乾燥させて、アルミナ成形体の乾燥体を形成する工程と、
(vii)アルミナ成形体の乾燥体のか焼を行って、アルミナ成形体のか焼物を形成する工程と
を含む。
【0012】
工程(iii)のアルミナ粉末は工程(v)において直接成形できるため、工程(iv)は選択的である。工程(ii)の水熱熟成したアルミナ懸濁液は工程(iv)又は(v)において直接用いることができるため、工程(iii)は選択的である。
【発明の効果】
【0013】
アルミナ成形体のか焼物は、アルミナ担体の成形体のか焼物であるか、あるいは不均一系触媒用途の担体として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
ここで、本発明を、非限定的な実施例および図面を参照して説明する:
【0015】
【
図1】
図1は、比較例1及び比較例2(試料1及び試料2)、並びに実施例1及び実施例6(試料3a及び試料7)の細孔径分布を示す。
【
図2】
図2は、様々な温度でか焼した、実施例1及び実施例2の細孔径分布を示す。
【
図3】
図3は、様々なドーパントを含む実施例4及び実施例5(試料5及び試料6)についての細孔径分布を示す。
【
図4】
図4は、比較例1及び実施例1のDSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量測定)-TG(Thermal Gravimetric:熱重量測定)分析を示す。
【
図5】
図5は、1200℃で3時間か焼した後の比較例2及び実施例1のX線回折である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[本開示の詳細な説明]
アルミナ成形体のか焼物は、好適には成形管において成形される球状体の形態、押出成形品若しくは錠剤の形態、又はそれらの混合物の形態にできる。アルミナ成形体のか焼物は、好適には球状体、すなわち、球状のアルミナである。本開示における「球状体(spheroid)」又は「球状(spheroidal)」は、好適には球形度が0.9を超える球状体を意味する。
【0017】
成形管における球状のアルミナの形成工程は、アルミナを含有するゾル、溶液又は他の混合物を、後に球状体に変換される液滴としての液体へ導入することに依拠する。球状のアルミナ粒子の成形に特に適用可能な多数の変形例及び改良例は当業者に既知であり、例えば、特許文献1及び当該文献における引用技術に記載されている。特許文献1の開示は、特に成形管を用いることによる成形について、参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
アルミナ成形体のか焼物の最大寸法は、0.5mm以上である(球体については、最大寸法は、例えば直径となる)。アルミナ成形体のか焼物は、球状のアルミナの形態である場合、直径が0.5mm~3.0mmという更なる特性を備えることができる。
【0019】
球状のアルミナの直径は、ASTM D1155の規格によって決定される。
【0020】
一実施形態によるアルミナ成形体のか焼物は、単分散の細孔径分布を備える。「単分散の細孔径分布(monodispersed pore radius distribution)」は、水銀圧入(DIN 66133)によって取得される細孔径分布を意味し、1~100nmの範囲の半径に対し、1つの全体の最大値のみが同定され、極大値は同定されない(すなわち、細孔径分布は単峰性である)。上述は、過去の状況においては2の最大値が予想されたため、本開示の利点の1つである。本開示のアルミナ成形体のか焼物は、5~12nm、好適には7~10nmの範囲の細孔半径の中央値を備える。
【0021】
細孔径分布の結果としての全細孔容積は、DIN 66133の規格(水銀圧入による固体の細孔容積分布及び比表面積の測定)を用いて測定される。
【0022】
温度を上昇させた場合のアルミナの様々な相の熱転移により、最終的にαーアルミナが得られることは公知である。通常、熱転移における最後の工程は、θ相からα相への相転移である。α相への転移は、空隙率及び表面積の減少を伴い、高温でのか焼によって生成されるα-アルミナ粉末は、通常、約5m2/gの低いBET表面積によって特徴づけられる。
【0023】
本開示のアルミナ成形体のか焼物は、一実施形態によると、顕著な熱安定性、すなわち、アルミナがα相への相転移を受けることに抵抗し、θ相に留まる熱安定性によって特徴づけられる。α相への相転移が生じる場合であっても、本開示のアルミナのか焼物は、一般的なα-アルミナについて予期されるよりも大きい表面積に特徴づけられる。本明細書で用いられる「熱安定性(thermostability)」との用語は、予期される温度変化に誘発される外的影響により、水、化学物質、圧力、及び機械的負荷等の他の外部影響とともに生じる、表面及び/又は結晶相における変化に対する熱安定性を意味する。例えば、熱安定性は、DIN ISO 9277による窒素を用いたBET法によって決定される表面積によって特徴づけることができ、試料をマッフル炉で3時間以上1200℃でか焼した後、又は3時間以上1300℃(1分あたり1K~10Kの加熱速度(K/分))でか焼した後に保持される。
【0024】
アルミナ成形体のか焼物は、ドーパントを更に含むことができる。ドーパントは、好適には希土類元素、遷移元素(元素の周期系の3~11族元素、特に4~11族元素、特に4族元素(旧IUPAC番号においてはIVb)及び5族元素(旧IUPAC番号においてはVb))、並びにスズ及びビスマスを含む。添加されるドーパントの含量は、0~1重量パーセント又は0を超えて1重量パーセント以下であり、好適には0~0.5重量パーセント又は0を超えて0.5重量パーセント以下であり、ドーパントの重量は元素として算出され、重量パーセントはアルミナ成形体のか焼物に対するものである。好適にはアルミナ成形体のか焼物は、遷移元素、希土類元素、並びに元素周期系の4族(旧IUPAC番号においてはIVb)及び5族(旧IUPAC番号においてはVb)の元素、更に好適にはSn及びBiの有機塩及び無機塩が添加される。最も好適には、アルミナ成形体のか焼物は、SnCl4又はBi(NO3)3・5H2Oが添加される。
【0025】
本開示による方法の好適な実施形態は、以下のように更に規定される。
【0026】
アルミナ成形体のか焼物は、好適には成形管において成形された球状体の形態、押出成形品若しくは錠剤の形態、又はそれらの混合物の形態にできる。アルミナ成形体のか焼物の最大寸法は、0.5mm以上である(球体については、最大寸法は、例えば直径となる)。アルミナ成形体のか焼物は、好適には球状体、すなわち、球状のアルミナである。
【0027】
アルミナ懸濁液は、アルミナと少なくとも水とを含む。Al2O3として測定されるアルミナ懸濁液におけるアルミナの含有量は、好適にはアルミナ懸濁液の2~20重量パーセント、更に好適には5~10重量パーセントである。アルミナ懸濁液は、好適にはアルコキシドの加水分解によって取得される。
【0028】
アルミナ懸濁液におけるアルミナは、ベーマイト、ギブサイト、バイエライト、遷移アルミナ(少なくともγ-アルミナ、δ-アルミナ、及びθ-アルミナを含む)を含むことができ、最も好適にはベーマイトである。ベーマイトのアルミナは例えば、水におけるアルミニウムアルコラートの加水分解によって取得できる。
【0029】
(120)軸及び(020)軸に沿った所定の結晶子サイズは、アルミナ懸濁液を水熱熟成することによって取得され、少なくとも水熱熟成したアルミナ懸濁液は、ベーマイトを含む。水熱熟成の反応は、一般的には60~300℃、好適には80~180℃で、1~30時間、好適には15~30時間、攪拌下で行われる。
【0030】
温度及び時間は、別個に選択される。水熱熟成後のベーマイトの(120)軸及び(020)軸に沿った結晶子サイズは、それぞれ70~110Åであることが好適である。更に好適には、水熱熟成後のベーマイトの(020)軸に沿った結晶子サイズに対する(120)軸に沿った結晶子サイズの比率は、0.5:1~2.0:1であり、好適には0.9:1~1.1:1である。
【0031】
アルミナ分散液は、アルミナと少なくとも水とを含む。Al2O3として測定されるアルミナ分散液におけるアルミナの含有量は、10~40重量パーセント、好適には25~35重量パーセントである。
【0032】
アルミナ分散液は、酸を含むことが好適である。用いることが可能な酸は、有機酸又は無機酸であり、好適には硝酸、酢酸、ギ酸、又はそれらの混合物である。アルミナ分散液における酸の濃度は、0.1~1.5重量パーセントにでき、好適には0.9~1.2重量パーセントにできる。分散液におけるアルミナの粒径は、好適には1μm未満、好適には500nm未満である。
【0033】
更に、アルミナ分散液は、沸点が250℃を超える炭化水素、特に灯油を含むことができる。アルミナ分散液に含まれる炭化水素、特に灯油の含量は、アルミナ分散液の0~10重量パーセントにでき、好適にはアルミナ分散液の0~5重量パーセントにできる。「灯油(kerosene)」は、分岐鎖型のパラフィン及び非分岐鎖型のパラフィンの液体混合物を意味する。EINECS 232-384-2による一般的な灯油は、比重が0.81~0.89g/cm3であり、沸点が250℃を超える。
【0034】
ドーパントは、成形してアルミナ成形体を形成する工程の前に、アルミナペースト、アルミナ分散液、若しくは水熱熟成したアルミナ懸濁液、又はそれらの混合物に添加できる。ドーパントは、好適には希土類元素、遷移元素(周期系の3~11族元素、好適には4~11族元素、特に4族元素(旧IUPAC番号におけるIVb)及び5族元素(旧IUPAC番号におけるVb))、並びにスズ及びビスマスを含む。ドーパントがアルミナ分散液に添加される場合、アルミナ分散液は、好適には0~1重量パーセント又は0を超えて1重量パーセント以下のドーパントを含み、好適には0重量パーセント~0.5重量パーセント又は0を超えて0.5重量パーセントのドーパントを含み、ドーパントの重量は元素として算出され、重量パーセントはアルミナ成形体のか焼物に対するものである。
【0035】
好適にはアルミナ分散液は、希土類元素及び遷移元素、特に元素の周期系の4族(旧IUPAC番号におけるIVb)及び5族(旧IUPAC番号におけるVb)の元素、更に好適にはSn及びBiの有機塩及び無機塩を含む。最も好適には、アルミナ分散液はSnCl4又はBi(NO3)3・5H2Oを含む。スズ及びビスマスは一般的には、触媒作用のために含まれる。
【0036】
アルミナペーストは、好適にはアルミナと酸とを含む。Al2O3として測定されるアルミナペーストにおけるアルミナの含有量は、20~65重量パーセント、好適には40~60重量パーセントにできる。用いることが可能な酸は、有機酸又は無機酸であり、好適には硝酸、酢酸、ギ酸、又はそれらの混合物である。アルミナペーストにおける酸の濃度は、0.1~4.0重量パーセントにでき、好適には1.0~2.5重量パーセントにできる。
【0037】
アルミナ粉末からアルミナ分散液を調製することは好適である。
【0038】
本開示のアルミナ成形体のか焼物は、アルミナ粉末若しくはアルミナペースト若しくはアルミナ分散液若しくは水熱熟成したアルミナ懸濁液、又はそれらの混合物を、当該技術分野で既知の様々な技術を用いて成形することによって取得される。例えば、球状体を調製するために、アルミナ分散液は、液滴の形態で成形管に滴下される。押出成形品又は錠剤を形成するために、アルミナ粉末又はアルミナペーストは、当該技術分野において既知の技術を用いて押出又は押圧される。
【0039】
アルミナ成形体は、本開示の一実施形態によると、好適には90℃~150℃の温度、より好適には110℃~130℃の温度で乾燥され、温度とは別個に、好適には静置炉又はベルト乾燥機を用いることによって、2~24時間の滞留時間で乾燥される。上述の乾燥技術は、本開示の当業者に既知である。
【0040】
か焼は、本開示の一実施形態によると、450℃~1100℃の温度、好適には550℃~750℃の温度で、一般的にはマッフル炉又は窯炉において、10分~10時間、好適には2~4時間の滞留時間で行われる。温度及び時間は、別個に選択される。
【実施例】
【0041】
《分析方法と定義》
本開示によるベーマイトの結晶子サイズは、一般的なシェラー(Scherrer)の式:
結晶子サイズ=(K×λ×57.3)/(β×cosθ)
を用いて(120)軸及び(020)軸に沿って決定される。
【0042】
上述の式において、K(形成因子)は0.992であり、λ(X線波長)は0.154nmであり、β(装置の線幅拡大の補正値)は反射依存性であり、θは反射依存性である。
【0043】
測定は、ブルカー(Bruker)社のCubiX3装置を用いて行う。ベーマイトについての測定パラメータは、(120)軸に沿った反射についてはθ=14度、(020)軸に沿った反射についてはθ=7度、両方の反射についてはβ=0.919である。
【0044】
本明細書において提供される比表面積は、DIN-ISO 9277により窒素を用いるBET法によって測定される。
【0045】
細孔容積(最大1000Åの細孔半径の範囲についての細孔容積)及び細孔径分布は、DIN 66133により水銀圧入を用いて測定される。「細孔半径の中央値(median pore radius)」は、細孔容積の50パーセンタイルに対応する半径であり、すなわち、細孔容積の半分が大きい方の細孔にあることが見出され、細孔容積の半分が小さい方の細孔にあることが見出されるような半径である。
【0046】
球状のアルミナの直径は、ASTM D1155によって決定される。
【0047】
圧砕強度は、押出成形品についてはASTM D6175によって、他の形状についてはASTM D4179によって決定される。
【0048】
DSCは、DIN 51007によって決定される。
【0049】
ISO 13322-2(2006)に記載されているように、球形度は、レッチェ(Retsch)社のCamsizer P4を用いた動画像分析によって決定される。球形度(SPHT3)は、以下の式を用いて、粒子投影の周囲P及び面積Aの測定値から算出される。
【0050】
【0051】
決定された値は無次元であり、理想的な球体については1であり、非理想的な球体である球状の粒子については一般的には1未満である。当該場合、球形度は0.9を超える。
【0052】
上述の手順は、所定の方法に概説されるように正確に従った。
【0053】
粒径は、ミー(Mie)理論を用いて、レーザ回折(マルバーン(Malvern)社のマスターサイザー2000(Mastersizer 2000))によって決定される。
【0054】
《水熱熟成した試料の調製》
[試料A]
アルミニウムヘキサノラートの加水分解は、2%の炭酸水素アンモニウム水溶液において、98℃で行った。7.5重量パーセントのAl2O3を含む、取得したアルミナ懸濁液(=ベーマイト懸濁液)は、105℃で18時間、3.2m/sの攪拌速度で攪拌した。
【0055】
熟成したアルミナ懸濁液は、噴霧乾燥機(入口温度:120℃)で乾燥させた。(120)軸に沿った結晶子サイズが101Åであり、(020)軸に沿った結晶子サイズが104Åであるベーマイト粉末が取得された。
【0056】
[試料B]
アルミニウムヘキサノラートの加水分解は、2%の炭酸水素アンモニウム水溶液において、98℃で行った。Al2O3として算出した7.5重量パーセントのアルミナを含む、取得したアルミナ懸濁液(=ベーマイト懸濁液)は、100℃で16時間、3.2m/sの攪拌速度で攪拌した。熟成したアルミナ懸濁液は、噴霧乾燥機(入口温度:120℃)で乾燥させた。(120)軸に沿った結晶子サイズが94Åであり、(020)軸に沿った結晶子サイズが93Åであるベーマイト粉末が取得された。
【0057】
《実験》
[実施例1]試料3a
アルミナ分散液は、試料Aによるベーマイトを酸性の水に分散させることによって調製した。当該分散液は、Al2O3として算出した32.5重量パーセントのベーマイトと、ベーマイト1gあたり0.03gの硝酸とを含んでいた。10分間撹拌した後、ゾルは、20℃~25℃の温度で、特許文献1による成形管に液滴の形態で供給し、8重量パーセントのアンモニア溶液を充填した。成形管から放出された未加工の球状体は、一定の重量が取得されるまで120℃で乾燥させた。球状体の乾燥体は、650℃で3時間か焼した。
【0058】
[実施例2]試料3b
実施例2は実施例1と同様に行ったが、球状体の乾燥体は950℃で3時間か焼した。
【0059】
[実施例3]試料4
実施例3は実施例1と同様に行ったが、ベーマイトである初期のアルミナは試料Bである。
【0060】
[実施例4]試料5
実施例4は実施例3と同様に行ったが、ベーマイト、水、及び酸に加えて、当該分散液は、SnO2として算出され、アルミナの球体のか焼物に基づき0.4重量パーセントのSnに相当する、ドーパントであるSnCl4・2H2Oを含んでいた。
【0061】
[実施例5]試料6
実施例5は実施例3と同様に行ったが、ベーマイト、水、及び酸に加えて、当該分散液は、Bi2O3として算出され、アルミナの球体のか焼物に基づき、0.1重量パーセントBiに相当する、ドーパントであるBi(NO3)3・5H2Oを含んでいた。
【0062】
[実施例6]試料7
実施例6は実施例3と同様に行ったが、ベーマイト、水、及び酸に加えて、当該分散液は、ベーマイト1gあたり0.1gの灯油を含んでいた。
【0063】
[実施例7]試料8(押出成形品)
アルミナペーストは、高せん断攪拌機において15分間、1500gの試料Bを、1250gの4重量パーセントの酢酸と混合することによって調製した。当該ペーストは、孔あき円盤(hole disk)に押圧し、直径が1.69mmの押出成形品を取得した。当該未加工品は、一定の重量になるまで120℃で乾燥させた。押出成形品の乾燥体は、650℃で3時間か焼した。
【0064】
[実施例8]試料9(錠剤)
錠剤(5.1×5.2mm)は、試料Bのベーマイト粉末を用いて、当該技術分野において既知の工程によって押圧し、650℃で3時間か焼した。
【0065】
[比較例1]試料1(灯油なし)
アルミナ分散液は、(120)軸に沿った結晶子サイズが38Åであり、(020)軸に沿った結晶子サイズが30Åであるベーマイト粉末を、熟成工程なしに、酸性の水において混合することによって調製した。分散液は、ベーマイト1gあたり32.5重量パーセントの固形分と、0.03gの硝酸とを含んでいた。10分間撹拌した後、ゾルは、20℃~25℃の温度で、成形管に液滴の形態で供給し、8重量パーセントのアンモニア溶液を充填した。成形管から放出された未加工の球状体は、重量が一定となるまで120℃で乾燥させた。球状体の乾燥体は、650℃で3時間か焼した。
【0066】
[比較例2]試料2(灯油あり)
比較例2は比較例1と同様に行ったが、ベーマイト、水、及び酸に加えて、分散液は、ベーマイト1gあたり0.1gの灯油を含んでいた。
【0067】
実施例並びに比較例1及び比較例2の概要は、結果を含めて、以下の表1に含んでいる。
【0068】
図1は、比較例1(試料1)及び比較例2(試料2)、並びに実施例1(試料3a)及び実施例6(試料7)の細孔径分布を比較している。
図1によると、比較例1の細孔半径の中央値は、本開示の実施例の細孔半径の中央値未満であることが明白である。
図2は、初期材料が同一であるが、異なる温度でか焼されている実施例1及び実施例2の細孔径分布を示す。
図3は、ドーパントが異なる実施例4及び実施例5(試料5及び試料6)の細孔径分布を示す。
図4は、比較例1(試料1)及び実施例1(試料3a)によるアルミナの相転移を示すDSC(示差走査熱量測定)曲線である。示したように、比較例1(試料1)は、1188.6℃でのα相への相転移により特徴づけられているが、本開示により調製された実施例1(試料3a)は、1314℃でのα相への相転移を呈している。α相への相転移は、表面積の減少を伴う。
図5は、比較例2(試料2)及び実施例1(試料3a)の双方を1200℃で3時間か焼した後の比較を示す。比較例2はα相を示すが、実施例2はθ相のみを示している。
【0069】
【0070】
[比較例3](特許文献1の実施例5)
比較例3は、特許文献1の実施例5を再製することにより行った。正確に同一の実験手順が用いられた。原材料は、以下の特性の2のベーマイトの混合物であった。
【0071】
【0072】
結果物の材料の特性を、特許文献1の実施例5に報告されている特性と比較すると、再製物が典型であると結論づけられる(表3参照)。
【0073】
【0074】
図6は、比較例3の細孔径分布を示す。細孔径の中央値の測定値は4.9nmであり、細孔径分布は二峰性である。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧砕強度が30~70N、好適には40~60Nであるとの特性(a)と、
細孔半径の中央値が5~12nm、好適には7~10nmである単分散の細孔径分布との特性(b)と
を備える
アルミナ成形体のか焼物であって、
当該アルミナ成形体のか焼物は、
球形度が0.9を超える球状体の形態、押出成形品若しくは錠剤の形態、又はそれらの混合物の形態である
アルミナ成形体のか焼物。
【請求項2】
全細孔容積が0.4~1.2cm
3/g、好適には0.7~1.0cm
3/gであるとの特性(c)、
BET表面積が、1200℃で3時間のか焼後において、10~100m
2/gであり、好適には1200℃で3時間のか焼後において40~80m
2/gであるとの特性(d)、
前記アルミナ成形体のか焼物におけるNa不純物、Fe不純物、及びSi不純物の含有量が、それぞれ100ppm未満であり、好適にはそれぞれ50ppm未満であるとの特性(e)、及び
α転移点が1200℃を超え、好適には1300℃を超えるとの特性(f)
のうちの1以上、好適には全てを更に備える
請求項1に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項3】
特性(c)を備える
請求項2に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項4】
前記アルミナ成形体のか焼物は、
球形度が0.9を超える球状体の形態
であり、好適には
成形管において成形される
請求項1~3のいずれか一項に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項5】
前記アルミナ成形体のか焼物は、球状体の形態であり、前記球状体は、0.5mm~3.0mmの直径である
請求項1~4のいずれか一項に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項6】
1以上のドーパントを含み、好適にはスズ、ビスマス、好適にはIVb族元素及び/又はVb族元素である遷移元素、並びに希土類元素からなる群から選択される1以上のドーパントを含む
請求項1~5のいずれか一項に記載のアルミナ成形体のか焼物。
【請求項7】
アルミナ成形体のか焼物を調製する方法であって、
(i)アルミナと少なくとも水とを含むアルミナ懸濁液を調製する工程と、
(ii)前記アルミナ懸濁液における前記アルミナの(120)軸及び(020)軸に沿った結晶子サイズが、
それぞれ70~110Åとなるまで、前記アルミナ懸濁液を水熱熟成して、水熱熟成したアルミナ懸濁液を形成する工程と、
(iii)選択的に、水熱熟成した前記アルミナ懸濁液を乾燥させて、アルミナ粉末を取得する工程と、
(iv)選択的に、前記アルミナ粉末由来のアルミナペースト、又は前記アルミナ粉末若しくは水熱熟成した前記アルミナ懸濁液由来のアルミナ分散液のいずれかを調製する工程と、
(v)前記アルミナ粉末若しくは前記アルミナペースト若しくは前記アルミナ分散液若しくは水熱熟成した前記アルミナ懸濁液、又はそれらの混合物を成形して、アルミナ成形体を形成する工程と、
(vi)前記アルミナ成形体を乾燥させて、アルミナ成形体の乾燥体を形成する工程と、
(vii)前記アルミナ成形体の乾燥体のか焼を行って、アルミナ成形体のか焼物を形成する工程と
を含
み、
当該アルミナ成形体のか焼物は、
球形度が0.9を超える球状体の形態、押出成形品若しくは錠剤の形態、又はそれらの混合物の形態である
方法。
【請求項8】
前記アルミナ成形体のか焼物は、
球形度が0.9を超える球状体の形態
であり、好適には
成形管において成形される
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Al
2O
3として算出される前記アルミナ懸濁液における前記アルミナの含有量は、前記アルミナ懸濁液の2~20重量パーセント、好適には5~10重量パーセントである
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
Al
2O
3として算出される前記アルミナ分散液における前記アルミナの含有量は、10~40重量パーセント、好適には25~35重量パーセントである
請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルミナ分散液は、酸を含む
請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アルミナ分散液は、灯油を含み、
前記アルミナ分散液における前記灯油の含量は、好適には前記アルミナ分散液の0~10重量パーセント、最も好適には前記アルミナ分散液の0~5重量パーセントである
請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
成形して前記アルミナ成形体を形成する工程の前に、前記アルミナペースト若しくは前記アルミナ分散液若しくは水熱熟成した前記アルミナ懸濁液、又はそれらの混合物に、1以上のドーパントが添加され、好適には、スズ、ビスマス、特にIVb族元素及び/又はVb族元素である遷移元素、並びに希土類元素からなる群から選択される1以上のドーパントが添加される
請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アルミナ懸濁液における前記アルミナは、ベーマイト、ギブサイト、バイエライト、及び1以上の遷移アルミナであり、好適にはベーマイトである
請求項7~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
水熱熟成後の前記アルミナ懸濁液における前記アルミナが、ベーマイトを含むか、あるいはベーマイトからなる
請求項7~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
水熱熟成後のベーマイトの(020)軸に沿った結晶子サイズに対する(120)軸に沿った結晶子サイズの比率は、0.5:1~2.0:1であり、好適には0.9:1~1.1:1である
請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記水熱熟成の反応は、60℃~300℃、好適には80℃~180℃の温度で、それぞれ好適には1~30時間、好適には15~30時間行われる
請求項7~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アルミナ成形体は、90℃~150℃の温度、好適には110℃~130℃の温度で、2~24時間乾燥される
請求項7~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記か焼は、450℃~1100℃の温度、好適には550℃~750℃の温度で、それぞれ好適には10分~10時間、好適には2~4時間行われる
請求項7~18のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】