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特表2023-532181多官能性オルガノシロキサンの製造方法及びそれを含有する組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】多官能性オルガノシロキサンの製造方法及びそれを含有する組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/44 20060101AFI20230720BHJP
   C08G 77/08 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
C08G77/44
C08G77/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574348
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 US2021037540
(87)【国際公開番号】W WO2021262494
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/043,152
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クルトマンシュ、マーク-アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ベダール、アンヌ-カトリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】スピニー、ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ラグラマン、アルジュン
(72)【発明者】
【氏名】マコーパディヤイ、スクリット
(72)【発明者】
【氏名】サンダーランド、トラヴィス
【テーマコード(参考)】
4J246
【Fターム(参考)】
4J246AA03
4J246AB02
4J246AB05
4J246BA04X
4J246BB021
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA12E
4J246CA12U
4J246CA12X
4J246CA24X
4J246FA141
4J246FA451
4J246FC261
(57)【要約】
多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを、フッ素化トリアリールボランルイス酸を触媒として使用して調製する。多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンは、剥離コーティング組成物に配合することができる。あるいは、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを、硬化性基により更に官能化して、クラスター化官能性オルガノシロキサンを形成することができる。クラスター化官能性オルガノシロキサンは、熱ラジカル硬化接着剤組成物に配合することができる。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを含む生成物を調製するための方法であって、
1)
a)式、
【化1】
[式中、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3はそれぞれ、H、F、又はCFから独立して選択され、Rは官能基又は官能性ポリマー基を含み、下付き文字xは、0又は1であり、但し、
o1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3の全てが同時にFであり得るわけではなく、
o1-6、Rm1-6、及びRp1-3の全てが同時にHであり得るわけではなく、
o1、Ro2、Ro3、及びRo4の2つ以上がCFである場合、次いでRo5及びRo6は、H又はFからそれぞれ選択される]のフッ素化トリアリールボランルイス酸、
B)式、
【化2】
[式中、下付き文字nは、1~2,000であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択される]のヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物、及び
C)式、(RHSiO2/2[式中、下付き文字vは、3~12であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基である]の環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、を含む出発物質を組合せ、それにより多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン及びHを含む副生成物を含む前記生成物を調製する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記フッ素化トリアリールボランが、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物、及びビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出発物質B)がヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを含み、下付き文字nが2~1,000であり、各Rが1~20個の炭素原子のアルキル基、2~20個の炭素原子のアルケニル基、6~20個の炭素原子のアリール基、又は1~20個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、下付き文字vが4~10であり、各Rが1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
2)工程1)中及び/又はその後、前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンの形成中に生じた前記Hを除去する工程を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
3)前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン中の残留フッ素化トリアリールボラン化合物を中和する工程を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンが、一般式a-1):
【化3】
[式中、各下付き文字vは、独立して、3~12であり、各下付き文字nは、独立して、1~1,000であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、但し、式a-1)中の1つ以上の水素原子が式a-2、
【化4】
[式中、各下付き文字n、下付き文字p、R、及びRは独立して選択され、上述されている]の基で置き換えられてもよい]を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンが、式、
【化5】
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記生成物から前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを回収する工程を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
クラスター化官能性オルガノポリシロキサンを調製する方法であって、
1)請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によってa)前記生成物を調製する工程、及び
2)
a)前記生成物、
b)ヒドロシリル化反応触媒、並びに
c)出発物質a)のケイ素結合水素原子と付加反応することが可能な、1分子中に平均して少なくとも1つの脂肪族不飽和基、更に、1分子中に平均して1つ以上の硬化性基を有する反応種、を含む出発物質を組合せる工程を含む、方法。
【請求項11】
前記反応種が、
i)式、R SiR (4-y)[式中、下付き文字yは、1~3であり、各Rは、前記付加反応することが可能な脂肪族不飽和基であり、各Rは、前記硬化性基である]のシランであって、それにより、クラスター化官能性オルガノシロキサンを含む生成物を調製する、シラン、及び
ii)式、R[式中、各Rは、前記付加反応することが可能な脂肪族不飽和基であり、各Rは、前記硬化性基である]の有機化合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記クラスター化官能性オルガノポリシロキサンが、一般式a’-1)
【化6】
[式中、各下付き文字vは独立して、3~12であり、各下付き文字nは、独立して、1~1,000であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基から独立して選択され、各Rは、H及び硬化性基からなる群から独立して選択され、但し、Rのうちの1つ以上は、式a’-2)
【化7】
[式中、下付き文字n、下付き文字v、R、R、及びRが上記の通りである]の基で置き換えられてよく、但し、1分子当たり少なくとも1つのRが、硬化性基である]を有する、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記クラスター化官能性オルガノポリシロキサンが、式:
【化8】
を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
硬化性組成物であって、
(I)請求項1~13のいずれか一項に記載の方法によって調製された生成物、及び、
(II)硬化剤と、を含む、硬化性組成物。
【請求項15】
組成物であって、
a)式、
【化9】
[式中、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3はそれぞれ、H、F、又はCFから独立して選択され、Rは官能基又は官能性ポリマー基を含み、下付き文字xは、0又は1であり、但し、
o1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3の全てが同時にFであり得るわけではなく、
o1-6、Rm1-6、及びRp1-3の全てが同時にHであり得るわけではなく、
o1、Ro2、Ro3、及びRo4の2つ以上がCFである場合、次いでRo5及びRo6は、H又はFからそれぞれ選択される]のフッ素化トリアリールボランルイス酸、
B)式、
【化10】
[式中、下付き文字nは、1~2,000であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択される]のヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物、及び
C)式、(RHSiO2/2[式中、下付き文字vは、3~12であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基である]の環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、を含み、それにより多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン及びHを含む副生成物を含む前記生成物を調製する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年6月24日出願の米国仮特許出願63/043,152号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/043,152号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
多官能性オルガノシロキサンの製造方法が開示される。多官能性オルガノシロキサンは、環状シロキサンエンドブロッカーを有する、直鎖状ポリジオルガノシロキサン主鎖を含む。多官能性オルガノシロキサンは、例えば、架橋剤として、硬化性組成物において有用である。
【背景技術】
【0003】
環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとビニル末端ポリジオルガノシロキサン又はヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンとの白金触媒による反応を使用する、環状シロキサンエンドブロッカーを有する直鎖状ポリジオルガノシロキサン主鎖を有する多官能性オルガノシロキサン架橋剤の製造方法が、提案されている。これらの方法は、高価である環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの精製が必要であるという欠点をきたす。これらの方法は更に、生成物の構造及び分子量を制御する能力が乏しいという欠点をきたす。
【発明の概要】
【0004】
フッ素化トリアリールボランルイス酸を触媒として使用する、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンの調製方法が開示される。本方法は、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを官能化して、クラスター化官能性オルガノシロキサンを形成する工程を更に含んでもよい。多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン及びクラスター化官能性オルガノシロキサンは、硬化性組成物に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書に記載の方法によって調製された多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンは、環状SiH官能性エンドブロッカーを有する、直鎖状ポリジオルガノシロキサン主鎖を含む。多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンは、架橋剤として使用することができる。多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンは、剥離コーティング組成物などの硬化性組成物に有用である。
【0006】
多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを含む生成物の調製方法は、
1)
A)フッ素化トリアリールボランルイス酸、
B)式
【0007】
【化1】
[式中、下付き文字nは、1~2,000であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択される]のヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物、及び
C)式、(RHSiO2/2[式中、下付き文字vは、3~12であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基である]の環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、を含む出発物質を組合せ、それにより、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン及びHを含む副生成物を含む生成物を調製する工程を含む。工程1)において出発物質は、任意選択で、D)溶媒を更に含んでもよい。
【0008】
本方法は、任意選択で、1つ以上の追加の工程を更に含んでもよい。本方法は、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを回収する工程を更に含んでもよい。本方法は、2)工程1)中及び/又はその後、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンの形成中に生じたHを除去する工程、及び/又は3)生成物中の残留フッ素化トリアリールボランルイス酸を中和する工程、を更に含んでもよい。副生成物Hは、任意の簡便な手段、例えばストリッピング及び/又は燃焼によって除去することができる。除去及び/又は中和は、E)中和剤を生成物に添加し、その後、生成物を濾過することによって実施してもよい。工程2)及び3)は、任意の順序で実施することができる。例えば中和の結果として粒子状副生成物が存在する場合、本方法は、4)中和後、任意の簡便な手段、例えば濾過によってアルミナなどの微粒子を除去する工程を更に含んでもよい。
【0009】
方法工程の1つ以上は、5℃~70℃、あるいは5℃~65℃、あるいは10℃~60℃、あるいは15℃~50℃、あるいは20℃~35℃、あるいは5℃~30℃、あるいは30℃の温度で実施することができる。あるいは、工程1)は5℃~70℃、あるいは5℃~65℃、あるいは10℃~60℃、あるいは15℃~50℃、あるいは20℃~35℃、あるいは5℃~30℃、あるいは30℃の温度で実施することができる。理論に束縛されるものではないが、本方法、特に工程1)を、比較的低温(例えば、90℃以下、あるいは80℃以下、あるいは70℃以下、あるいは50℃以下)で実施することにより、反応速度、収率、又はその両方の改善をもたらすことができると考えられる。
【0010】
本方法の工程1)、あるいは本方法の工程1)、2)、及び3)に使用される出発物質は、白金族金属触媒を含まなくてもよい。本明細書で使用するとき、「含まない」には、何も含まれないこと、あるいはGCによって検出できない量であること、あるいは本明細書に記載の方法によって作製された多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを含む剥離コーティング組成物から調製された剥離コーティングの性能問題を引き起こすのに不十分な量であることが含まれる。
【0011】
出発物質A)触媒
本明細書に記載の方法における出発物質A)は、フッ素化トリアリールボランルイス酸である。フッ素化トリアリールボランルイス酸は、以下の式:
【0012】
【化2】
[式中、各Rオルト置換基であり、各Rは、メタ置換基であり、各Rは、パラ置換基であり、Rは任意選択であり、官能基又は官能性ポリマー基を含み、下付き文字xは、0又は1である]を有する。上記式において、各Ro1-6、各Rm1-6、及び各Rp1-3は、H、F、又はCFから独立して選択され、但し、Ro1-6、Rm1-6、及びRp1-3の全てが同時にFであり得るわけではなく、Ro1-6、Rm1-6、及びRp1-3の全てが同時にHであり得るわけではなく、Ro1-4の2つ以上がCFである場合、次いでRo5及びRo6はそれぞれ、H又はFから独立して選択される。Rは任意選択であり、すなわち、Rは、下付き文字x=1の場合には存在し、Rは、下付き文字x=0の場合には存在しない。Rは、フッ素化トリアリールボランルイス酸と錯体を形成するルイス塩基、及び/又はルイス酸との配位結合を形成するために利用可能な少なくとも1つの電子対を含有する分子若しくは部分であってもよく、WO2019/055740の段落[0024]~[0025]でRについて記載された通りであってもよい。Rの例としては、テトラヒドロフラン又はテトラヒドロピランなどの環状エーテルが挙げられる。あるいは、Rテトラヒドロフラン(THF)であってもよい。
【0013】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、及びRo6はそれぞれ、Hであってもよい。あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、及びRo4はそれぞれ、Hであってもよい。あるいは、Ro5及びRo6はそれぞれ、Fであってもよい。
【0014】
あるいは、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、及びRm6はそれぞれ、CFであってもよい。あるいは、Rm1、Rm2、Rm3、及びRm4はそれぞれ、CFであってもよい。あるいは、Rm5及びRm6はそれぞれ、Fであってもよい。あるいは、Rm5及びRm6はそれぞれ、Hであってもよい。
【0015】
あるいは、Rp1、Rp2、及びRp3はそれぞれ、Hであってもよい。あるいは、Rp1及びRp2は、Hであってもよい。あるいは、Rp3は、Fであってもよい。あるいは、Rp3は、CFであってもよい。
【0016】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rp1、Rp2、及びRp3はそれぞれ、Hであってもよい。並びにRm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、及びRm6はそれぞれ、CFであってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0017】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm5、Rm6、Rp1、及びRp2はそれぞれ、Hであってもよい。Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、及びRp3はそれぞれ、CFであってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0018】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Rm5、Rm6、Rp1、及びRp2はそれぞれ、Hであってもよい。Ro5、Ro6、及びRp3それぞれ、Fであってもよい。Rm1、Rm2、Rm3、Rm4はそれぞれ、CFであってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0019】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3はそれぞれ、Hであってもよい。Ro5及びRo6は、Fであってもよい。並びにRm1、Rm2、Rm3、及びRm4はそれぞれ、CFであってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0020】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3はそれぞれ、Hであってもよい。並びにRm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、及びRo6はそれぞれ、CFであってもよい。下付き文字xは、0であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランを含んでもよい。
【0021】
あるいは、Rm1、Rp1、Ro2、Ro3、Ro4、Rp2、Rp3、Ro5、及びRm6はそれぞれ、Hであってよい。並びにRo1、Rm2、Rm3、Rm4、Ro6、及びRm5はそれぞれ、CFであってよい。下付き文字xは、0であってもよい。あるいは、出発物質A)は、(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランを含んでもよい。
【0022】
あるいはRo1、Ro2、Ro3、Ro4、Rp1、及びRp2はそれぞれ、Hであってもよい。Ro5、Ro6、Rm5、及びRm6はそれぞれ、Fであってもよい。並びにRm1、Rm2、Rm3、Rm4、及びRp3はそれぞれ、CFであってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0023】
あるいは、フッ素化トリアリールボランルイス酸は、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物、及びビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランからなる群から選択されてもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランであってもよい。
【0024】
フッ素化トリアリールボランルイス酸は、当技術分野において公知であり、公知の方法、例えば、WO2019/055740に、特に段落[0052]~[0096]で開示されている方法によって、出発物質を適宜変化させることによって調製することができる。
【0025】
出発物質A)の量は、使用される他の出発物質の種類及び量に応じて異なるが、出発物質A)は、出発物質A)、B)、及びC)の合計重量に基づいて、5ppm~6000ppmの量で存在してもよい。あるいは、量は、同じ基準で5ppm~600ppm、あるいは5ppm~500ppm、あるいは5ppm~100ppmであってもよい。
【0026】
出発物質B)ヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物
出発物質B)は、式B-1)、
【0027】
【化3】
[式中、下付き文字nは、1~2,000であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択される]のヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物である。あるいは、下付き文字nは、2≦n≦2,000、あるいは2≦n≦1,000、あるいは5≦n≦900、あるいは5≦n≦50、あるいは5≦n≦15となるような値を有してもよい。あるいは、各Rは、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、2~20個の炭素原子を有するアルケニル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、又は1~20個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基からなる群から独立して選択されてもよい。好適なアルキル基としては、メチル、エチル、及びプロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)が挙げられる。好適なアルケニル基としては、ビニル、アリル、及びヘキセニルが挙げられる。好適なアリール基としては、フェニル、トリル、及びベンジルが挙げられる。好適なハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、クロロプロピル基、及びトリフルオロプロピル基が挙げられる。あるいは、各Rは、メチル、ビニル、フェニル、及びトリフルオロプロピルからなる群から独立して選択されてもよい。
【0028】
下付き文字n=1である場合、出発物質B)は、ジメチルジシラノールなどのヒドロキシル官能性シランであってもよい。ヒドロキシル官能性シランは市販されている。あるいは、下付き文字n≧2である場合、出発物質B)は、ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであってもよい。出発物質B)としての使用に好適なヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンは、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は、環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化など、技術分野において公知の方法によって調製することができる。例示的なヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンは、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンである。好適なヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンはまた、例えば、DMS-S12、DMS-S14、DMS-S15、DMS-S21、DMS-S27、DMS-S41、DMS-S32、DMS-S33、DMS-S35、DMS-S42、及びDMS-S45など、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。出発物質B)は、1つのヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物、又は互いに異なる2つ以上のヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物の組合せであってもよい。
【0029】
出発物質C)環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
本明細書に記載の方法の出発物質C)は、式C-1)、(RHSiO2/2[式中、下付き文字vは、3~12であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基である]の環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンである。あるいは、下付き文字vは、4~10、あるいは4~8であってもよい。あるいは、下付き文字vは、4~6、あるいは4~5、あるいは4の平均値を有してもよい。式C-1)中、Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基であってもよい。あるいは、Rは、メチル、エチル、又はプロピルであってもよい。あるいは、Rはメチルであってもよい。
【0030】
出発物質C)に好適な環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの例としては、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。好適な環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、技術分野において公知であり、例えばDow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。
【0031】
出発物質B)及びC)の量は、B)ヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物のOH含有量及びC)環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンのケイ素結合水素(SiH)含有量など、様々な要因に応じて異なる。しかし、量は、出発物質C)中のSiHの、出発物質B)中のOHに対するモル比(SiH:OH比)を、4:1~40:1、あるいは5:1~20:1、あるいは5:1~10:1とするのに十分である。
【0032】
出発物質D)溶媒
溶媒を、本方法に使用することができる。溶媒により、出発物質A)フッ素化トリアリールボランルイス酸などの特定の出発物質の導入を促進することができる。本明細書で使用される溶媒は、出発物質の流動化に役立つがこれらの出発物質のいずれとも本質的に反応しないものである。溶媒は、出発物質の溶解性及び溶媒の揮発性に基づいて選択されてもよい。「溶解性」は、溶媒が出発物質を溶解及び/又は分散させるのに十分であることを指す。「揮発性」は、溶媒の蒸気圧を指す。
【0033】
好適な溶媒は、炭化水素であってもよい。好適な炭化水素としては、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、若しくはキシレン、及び/又は脂肪族炭化水素、例えばヘプタン、ヘキサン、若しくはオクタンが挙げられる。あるいは、溶媒は、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、又は塩化メチレンであってもよい。1つの溶媒、又は2つ以上の溶媒を含む組合せを本明細書で使用してもよい。
【0034】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、並びに選択される他の出発物質の量及び種類など、様々な要因に応じて異なってもよい。しかし、溶媒の量は、出発物質A)、B)、及びC)の合計重量に基づいて、0.1重量%~99重量%、あるいは2重量%~50重量%の範囲であってもよい。
【0035】
出発物質E)中和剤
出発物質E)は中和剤であり、生成物が生成した後に、任意選択で使用して出発物質A)を中和することができる。アルミナ、トリフェニルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルホスフィン、及びフェニルアセチレンは、好適な中和剤である。中和剤は技術分野において公知であり、例えばMillipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。中和剤の量は、出発物質A)の量を含む様々な要因に依存するが、出発物質E)は、中和剤対フッ素化トリアリールボランルイス酸の重量比(E:A比)で1:100~1:1000、あるいは1:1~1000:1、あるいは1:100~1:1を提供するのに十分な量で存在してもよい。あるいは、中和剤がトリフェニルホスフィン又はフェニルアセチレンである場合、E:A比は、1:1~20:1であってもよい。あるいは、中和剤がアルミナである場合、E:A比は、100:1~1000:1であってもよい。
【0036】
方法の生成物
上述の方法の生成物は、a)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン及びHを含む副生成物を含む。生成物は、一般式a-1)、
【0037】
【化4】
[式中、下付き文字v及びn並びに基R及びRは、上述のとおりである、但し、式a-1)の水素原子のうちの1つ以上が、式a-2)、
【0038】
【化5】
[式中、各下付き文字n、下付き文字p、R、及びRは独立して選択され、上述されている]の基で置き換えられてもよい]の多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを含んでもよい。あるいは、生成物は、単位式a-3)、[(HRSiO2/2v-1(-RSiO2/2)][O-(R SiO2/2n’[(HRSiO2/2v-2(-RSiO2/2o’[式中、下付き文字v及びn並びに基R及びRは、上述のとおりであり、下付き文字o’は、0~100であり、下付き文字n’=(o’+1)である]の多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを含んでもよい。当業者であれば、出発物質B)及びC)の相対量などの様々な要因に応じて、生成物は、2つ以上の多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン種を含んでもよいことについて認識する。多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子中に平均して2超の環状部分及び2超の直鎖状部分を有してもよい(o’>0の場合)。あるいは、下付き文字vは5の平均値を有してもよく、下付き文字nは10の平均値を有してもよく、下付き文字n’は1~2であってもよく、下付き文字o’は0~1であってもよい。あるいは、下付き文字vは5であってもよく、下付き文字nは10であってもよく、下付き文字n’は2であってもよく、下付き文字o’は1であってもよい。あるいは、下付き文字o’=0であると、その場合、生成物は、式a-4)、
【0039】
【化6】
[式中、下付き文字n及びv並びに基R及びRは、上述のとおりである]の多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを含む。
【0040】
当業者であれば、1分子中に2つ以上の直鎖状主鎖及び3つ以上の環状基を有する多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンもまた、方法のために選択された出発物質B)と出発物質C)との比など、様々な要因に応じて生成物中に形成され存在してもよいことについて認識する。本明細書に記載の方法は、所望の場合、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン構造の制御により、架橋を最小限に抑えるという効果をもたらす。例えば、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物との比を制御することにより、下付き文字o’=0である、すなわち直鎖状ポリジオルガノシロキサンの末端で酸素原子を介して連結した2つの環状部分を有する、式a-1)の多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンの量を最大化することができる。例えば、C)環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとB)ヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物との比が減少すると、架橋種を形成する見込みが増す。したがって、出発物質B)及びC)は、C):B)のモル比が>6:1となるような量で使用することができる。あるいは、出発物質B)及びC)は、SiH:OHの比が4:1~40:1、あるいは5:1~20:1、あるいは5:1~10:1となるような量で使用することができる。記載した方法は、任意選択で、任意の簡便な手段、例えばストリッピング及び/又は蒸留によって、生成物から多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを回収することを更に含んでもよい。上述の方法によって生成した多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンは、ヒドロシリル化反応硬化性組成物、例えば剥離コーティング組成物において、例えば架橋剤又は共架橋剤として使用してもよい。
【0041】
クラスター化官能性オルガノポリシロキサンの製造方法
あるいは、上述の方法は、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを官能化して、クラスター化官能性オルガノポリシロキサンを形成する工程を更に含んでもよい。上述の方法は、
出発物質を組み合わせる工程であって、出発物質が、
a)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン、
b)ヒドロシリル化反応触媒、並びに
c)出発物質a)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンのケイ素結合水素原子と付加反応することが可能な、1分子中に平均して少なくとも1つの脂肪族不飽和基を有する反応種、を含み、出発物質c)が1分子中に1つ以上の硬化性基を更に含む、組合せる工程を更に含んでもよい。簡潔に述べると、この方法は、米国特許第9,593,209号に記載の方法を修正することによって実施することができる。本明細書で上述の出発物質a)は、反応種及びヒドロシリル化反応触媒(それぞれ、成分c)及びdと記載)と、米国特許第9,593,209号、第8欄第44行~第10欄第47行に記載の量及び条件で組み合わせることができる。
【0042】
出発物質b)ヒドロシリル化反応触媒
多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを官能化してクラスター化官能性オルガノポリシロキサンを形成する方法において、出発物質b)に好適なヒドロシリル化反応触媒は、技術分野において公知であり、市販されている。ヒドロシリル化反応触媒としては、白金族金属触媒が挙げられる。このようなヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される金属であってもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、このような金属の化合物、例えば、クロリドトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム(I)(Wilkinsonの触媒)、ロジウムジホスフィンキレート、例えば、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウム又は[1,2-ビス(ジエチルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウム、塩化白金酸(Speierの触媒)、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、及びマトリックス又はコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された、当該化合物と低分子量オルガノポリシロキサン又は白金化合物との錯体であってもよい。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体(Karstedtの触媒)、及びメチルビニルシクロシロキサンの白金錯体(Ashbyの触媒)が挙げられる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されていてもよい。あるいは、ヒドロシリル化触媒は、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含んでもよい。例示的なヒドロシリル化触媒は、米国特許第3,159,601号、同第3,220,972号;同第3,296,291号;同第3,419,593号;同第3,516,946号;同第3,814,730号;同第3,989,668号;同第4,784,879号;同第5,036,117号及び同第5,175,325号、並びに欧州特許第0347895(B)号に記載されている。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒及びその調製方法は、米国特許第4,766,176号及び同第5,017,654号に例示されているとおり、技術分野において公知である。使用される量を十分にして、出発物質a)、b)、及びc)の合計重量に基づいて、1ppm~1,000ppmの白金族金属を提供することができる。
【0043】
出発物質c)反応種
多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを官能化してクラスター化官能性オルガノポリシロキサンを形成するための、上述の出発物質c)反応種は、式c-1)、R SiR (4-y)[式中、下付き文字yは1~3であり、各Rは、付加反応することが可能な脂肪族不飽和基であり、各Rは、硬化性官能基を有する有機基である]のシランを含んでもよい。あるいは、下付き文字yは、1~2であってもよい。あるいは、下付き文字yは、1であってもよい。各Rは、アルケニル(ビニル、アリル、及びヘキセニルなど)及びアルキニル(プロピニル又はヘキシニルなど)からなる群から独立して選択されてもよい。各Rは、アクリレート基、アルコール基、アルコキシ基、エポキシ基、イソシアネート基、メタクリレート基、又はウレタン基を有する、有機基からなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、各Rは、アクリレート基を有する有機基、エポキシ基を有する有機基、及びメタクリレート基を有する有機基からなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、各Rは、エポキシ基を有する有機基であってもよい。好適なシランは技術分野において公知であり、例えば、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)又はGelest,Inc.から市販されている。例示的なシランとしては、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
あるいは、出発物質c)は、ケイ素原子を含有していない有機化合物、例えば、式c-2)、R[式中、各Rは、付加反応することが可能な脂肪族不飽和基であり、各Rは、硬化性基である]のものであってもよい。各Rは、アルケニル(ビニル、アリル、及びヘキセニルなど)及びアルキニル(プロピニル又はヘキシニルなど)からなる群から独立して選択されてもよい。各Rは、アクリレート基、アルコール基、アルコキシ基、エポキシ基、イソシアネート基、メタクリレート基、及びウレタン基を有する、有機基からなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、各Rは、アクリレート基、エポキシ基、及びメタクリレート基を有する、有機基からなる群から選択されてもよい。あるいは、各Rは、エポキシ基を有する有機基であってもよい。式c-2)の好適な化合物の例としては、アリルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、c-2)は、アリルグリシジルエーテルであってもよい。あるいは、c-2)は、アリルメタクリレートであってもよい。式c-2)の好適な化合物は技術分野において公知であり、例えばMillipore Sigma(St.Louis,Missouri,U.S.A)から市販されている。
【0045】
クラスター化官能性オルガノシロキサンの製造方法に使用される出発物質は、任意選択で、1つ以上の追加の出発物質を更に含んでもよい。追加の出発物質は、米国特許第9,593,209号(第10欄第48行~第16欄第17行)に開示の追加の成分であってもよい。追加の出発物質は、処理剤あり又はなしの充填剤、非反応性樹脂、鎖延長剤、末端封鎖剤、及び触媒阻害剤からなる群から選択される。
【0046】
上述の方法では、a’)クラスター化官能性オルガノポリシロキサンを含む生成物、又はクラスター化官能性オルガノポリシロキサンと充填剤及び/又は非反応性樹脂とのマスターバッチを製造する。クラスター化官能性オルガノシロキサンは、一般式a’-1)、
【0047】
【化7】
[式中、下付き文字v、下付き文字n、R、及びRは、上述のとおりであり、各Rは、H及び硬化性基からなる群から独立して選択され、但し、Rのうちの1つ以上が、式a’-2):
【0048】
【化8】
[式中、下付き文字n、下付き文字v、R、R、及びRは、上述の通りである]の基で置き換えられてもよく、但し、1分子当たり少なくとも1つのRが、硬化性基である。]を有していてもよい。あるいは、クラスター化官能性オルガノシロキサンは、単位式a’-3)、
[(RRSiO2/2v-1(-RSiO2/2)][O-(R SiO2/2n’[(RRSiO2/2v-2(-RSiO2/2o’[式中、下付き文字v、n、n’、及びo’、並びに基R、R、及びRは、上述のとおりである。]を有していてもよい。あるいは、1分子中に1~4つ出現するRは、硬化性基(水素以外)になる。あるいは、1分子中に1~3つ、あるいは1~2つ、あるいは平均して2つのRは、硬化性基(水素以外)である。Rの硬化性基は、上述の出発物質c)反応種に由来する。Rの硬化性基は、R4’ SiR (4-y)及びR6’[式中、R4’及びR6’は、出発物質c)の脂肪族不飽和基及び出発物質a)のケイ素結合水素原子のヒドロシリル化反応によって生成した二価炭化水素基である]からなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、下付き文字vは5の平均値を有してもよく、下付き文字nは10の平均値を有してもよく、下付き文字n’は1~2であってもよく、下付き文字o’は0~1であってもよい。あるいは、下付き文字vは5であってもよく、下付き文字nは10であってもよく、下付き文字n’は2であってもよく、下付き文字o’は1であってもよい。当業者であれば、オルガノハイドロジェンシロキサンの製造に使用される出発物質B)及びC)の相対量などの様々な要因に応じて、生成物は、2つ以上のクラスター化官能性オルガノシロキサン種を含んでもよいことについて認識する。クラスター化官能性オルガノシロキサンは、1分子中に平均して2超の環状部分及び2超の直鎖状部分を有してもよい(o’>0の場合)。あるいは、下付き文字o’=0であると、その場合、生成物は、式a’-2)、
【0049】
【化9】
[式中、R及びR、R、及び、下付き文字n及び下付き文字vは、上述のとおりである]のクラスター化官能性オルガノポリシロキサンを含んでもよい。
【0050】
クラスター化官能性オルガノシロキサンは、任意選択で、ストリッピング及び/又は蒸留などの任意の簡便な手段によって生成物から回収してもよい。上述のように調製されたクラスター化官能性オルガノシロキサンは、熱ラジカル硬化性接着剤組成物などの接着剤組成物に、例えば添加剤として使用することができる。
【0051】
理論に束縛されるものではないが、a’)クラスター化官能性オルガノシロキサンにより、1)接着剤組成物に対する硬化の高速化(上記のa’)クラスター化官能性オルガノシロキサンを含有していない同等の接着剤組成物と比較したとき)、及び2)接着剤組成物を硬化させることによって調製された接着剤の引張特性及び伸長特性の改善、並びに/又は3)接着剤組成物の架橋性の改善のうちの1つ以上の効果をもたらすことができると考えられる。
【0052】
硬化性組成物
a)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン及びa’)クラスター化官能性オルガノポリシロキサンは、硬化性組成物に有用である。硬化性組成物は、
(I)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン、及び/又はa’)クラスター化官能性オルガノポリシロキサンと、
(II)硬化剤と、を含む、硬化性組成物。
【0053】
選択される硬化剤は、出発物質(I)における硬化性置換基の種類及び量に応じて異なる。例えば、a)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンが硬化性組成物に含まれる場合、及び/又はa’)クラスター化官能性オルガノシロキサンが、上述の方法において出発物質c)によって導入された硬化性基に加えて、SiH官能基を有する場合、例えば、硬化性置換基は、SiHであってもよい。あるいは、硬化性置換基は、上述のように、出発物質c)反応種を使用して、a’)クラスター化官能性オルガノシロキサンを製造することによって導入された硬化性基であってもよい。
【0054】
例えば、出発物質(I)がSiH官能基を有する場合、(II)硬化剤は、上述の多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを官能化する方法において、出発物質b)について上述したものによって例示されるように、ヒドロシリル化反応触媒であってもよい。
【0055】
例えば、出発物質(I)が、ラジカル硬化性基(エポキシ官能基、アクリレート官能基、又はメタクリレート官能基を有する有機基など)を有するa’)クラスター化官能性オルガノシロキサンを含む場合、硬化剤は、ラジカル開始剤を(II)硬化剤として含んでもよい。ラジカル開始剤は、熱ラジカル開始剤であっても、放射線ラジカル開始剤であっても、レドックス試薬であってもよい。熱ラジカル開始剤としては、過酸化物が挙げられ、これは技術分野において公知であり、米国特許第9,593,209号、第16欄第49行~第17欄第26行に開示されているように市販されている。熱ラジカル開始剤は、硬化性組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.01重量%~15重量%、あるいは0.1重量%~5重量%、あるいは0.1重量%~2重量%の量で使用することができる。
【0056】
あるいは、ラジカル開始剤は、放射線光開始剤であってもよい。放射線光開始剤は技術分野において公知であり、これには、オニウム塩などのカチオン性光開始剤が挙げられ、放射線光開始剤は、米国特許第9,593,209号、第17欄第27行~第18欄第40行に開示されている。好適な放射線光開始剤は、硬化性組成物中に、硬化性組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.01重量%~15重量%、あるいは0.1重量%~10重量%、あるいは0.1重量%~5重量%、あるいは0.1重量%~2重量%の量で存在してもよい。
【0057】
あるいは、ラジカル開始剤は、米国特許第9,593,209号、第21欄第33行~第53行に開示されているものなどのレドックス試薬であってもよい。
【0058】
あるいは、出発物質(I)が、a’)OH、アルコキシ、又は他の加水分解性基を有する有機基を有する、クラスター化官能性オルガノシロキサンを含む場合、(II)硬化剤は、硬化性組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.001重量%~5重量%の量で縮合反応触媒を含んでもよい。例示的な縮合反応触媒は、米国特許第9,593,209号、第18欄第41行~第19欄第15行に開示されているものである。
【0059】
あるいは、出発物質(I)が、a’)クラスター化官能性オルガノシロキサンを含む場合、(II)硬化剤は、有機ボランアミン錯体を含んでもよい。好適な有機ボランアミン錯体は、例えば、米国特許第9,593,209号、第19欄第16行~第21欄第33行に開示されている。
【0060】
あるいは、出発物質(I)が、イソシアネート官能基又はウレタン官能基を有する有機基を有する、a’)クラスター化官能性オルガノシロキサンを含む場合、(II)硬化剤は、ポリオールなどの2つ以上のカルビノール基を有する化合物、又はアミン官能性化合物を含んでもよい。このような硬化剤の例は、第21欄第54行~第63行に開示されている。
【0061】
あるいは、出発物質(I)が2種類以上の硬化性置換基を有する場合、2種類以上の硬化剤が、硬化性組成物における出発物質(II)として使用することができる。例えば、ラジカル開始剤と縮合反応触媒との組み合わせは、出発物質(I)がラジカル硬化性基及び縮合反応硬化性基の両方、例えばエポキシ及びアルコキシの両方を有する場合、使用することができる。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒と縮合反応触媒との組み合わせは、出発物質(I)がSiH官能基及びアルコキシなどの縮合反応硬化性基の両方を有する場合、使用することができる。
【0062】
硬化性組成物は、任意選択で、1つ以上の追加の出発物質を更に含んでもよい。これらは、(III)架橋剤、(IV)溶媒、(V)接着促進剤、(VI)着色剤、(VII)反応性希釈剤、(VIII)腐食防止剤、(IX)重合阻害剤、(X)充填剤、(XI)充填剤処理剤、(XII)酸受容体、及びこれらの組み合わせによって例示される。好適な追加の出発物質は、米国特許第9,592,209号、第22欄第5行~第29欄第8行に、他の任意選択による成分として記載され、例示されている。他の追加の出発物質を添加することができる。例えば、硬化性組成物は、任意選択で、(XIII)反応性樹脂及びポリマー、(XIV)二重硬化化合物、又はその両方を更に含んでもよい。出発物質のための(XIII)反応性樹脂及びポリマーは技術分野において公知であり、例えば、米国特許第9,670,392号、第16欄第21行~第18欄第35行を参照されたい。
【0063】
熱ラジカル硬化性組成物
硬化性組成物は、熱ラジカル硬化性組成物であってもよい。熱ラジカル硬化性組成物は、米国特許第9,670,392号に記載のように、それに記載のクラスター化官能性オルガノシロキサンを、上述の出発物質a’)について記載したように調製されたクラスター化官能性オルガノポリシロキサンと置き換えることによって、製造することができる。熱ラジカル硬化性組成物は、
(I)出発物質a’)として、上述したクラスター化官能性オルガノポリシロキサン、
(II)硬化剤であって、
(a)ラジカル開始剤、及び
(b)縮合反応触媒、を含む、硬化剤と、
(III)架橋剤と、
(XIII)反応性樹脂及びポリマーと、を含んでもよい。
【0064】
熱ラジカル硬化組成物は、(XIV)二重硬化化合物(これは、加水分解性基及びフリーラジカル反応性基の両方を有する有機ケイ素化合物である)、(VIII)腐食防止剤、及び(V)接着促進剤を更に含んでもよく、これらの出発物質の全ては上述のとおりである。
【0065】
接着剤組成物
あるいは、硬化性組成物は、接着剤組成物であってもよい。接着剤組成物は、
A)出発物質a’)として、上述したクラスター化官能性オルガノポリシロキサンであって、アクリレート官能基、エポキシ官能基、及び/又はメタクリレート官能基を有する、クラスター化官能性オルガノポリシロキサンと、
B)反応性樹脂及びポリマーと、
C)縮合反応触媒と、
D)フリーラジカル開始剤と、を含む。
【0066】
出発物質B)反応性樹脂及びポリマー
接着剤組成物における出発物質B)は、反応性樹脂及びポリマーである。反応性樹脂及びポリマーは、出発物質として上述した(XIII)反応性樹脂及びポリマーであってもよく、米国特許第9,670,392号を参照されたい。あるいは、反応性樹脂及びポリマーは、2017年8月22日に出願された米国特許仮出願第62/548558号に記載されているように調製されたポリアルコキシ末端封鎖樹脂-ポリマーブレンドであってもよい。ポリアルコキシ末端封鎖樹脂-ポリマーブレンドは、
i)式、(R2’ SiO1/2)及び(SiO4/2)[式中、各R2’は、独立して、一価炭化水素基であり、但し、1分子中に少なくとも1つのR2’は、脂肪族不飽和を有する]の単位を含むシロキサン樹脂であって、(R2’ SiO1/2)単位(M単位)の、(SiO4/2)単位(Q単位)に対するモル比(M:Q比)を0.5:1~1.5:1の範囲で有する、シロキサン樹脂と、
ii)式、(R2’ SiO1/2ii及び(R2’ SiO2/2hh(D単位)[式中、下付き文字hhは、20~1000であり、下付き文字iiは、平均値2を有する]の単位を含むポリジオルガノシロキサンと、
iii)アルコキシ官能性オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーであって、単位式、
【0067】
【化10】
(HR22 SiO1/2ppp(R22 SiO1/2qqq(HR22SiO2/2rrr(R22 SiO2/2sss(R22SiO3/2ttt(HSiO3/2uuu(SiO4/2kk[式中、各Dは、独立して、2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素基を表し、各R22は、独立して、1~18個の炭素原子を有する一価炭化水素基、又は1~18個の炭素原子を有する一価ハロゲン化炭化水素基(Rについて上述したものなど)を表し、各R23は、独立して1~18個の炭素原子を有する一価炭化水素基(Rについて上述したものなど)であり、下付き文字nnnは、0又は1であり、下付き文字oooは、0であり、下付き文字qqq、sss、及びtttは、5≧qqq≧0、5≧sss≧0となり、下付き文字tttは、0又は1となり、下付き文字kkは、0又は1となり、下付き文字nnn>0となり、数量(mmm+ppp+qqq+rrr+sss+ttt+uuu+kk)≦50となるような値を有し、但し、エンドブロッカーにおけるD基の>90モル%が直鎖状である]を有する、アルコキシ官能性オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーと、
iv)ヒドロシリル化反応触媒と、の反応生成物を含む、ポリアルコキシ末端封鎖樹脂-ポリマーブレンドである。各Dは、アルキレン基、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、若しくはヘキシレン;アリーレン基、例えばフェニレン;又はアルキルアリーレン基、例えば、
【0068】
【化11】
が挙げられる。あるいは、各Dは、エチレン又はプロピレンなどのアルキレン基、あるいはエチレンである。
【0069】
出発物質C)縮合反応触媒
上述の接着剤組成物における出発物質C)は、縮合反応触媒である。縮合反応触媒は、シラノール-シラノール縮合反応に有効な通常の縮合触媒から選択されてもよく、触媒としては、有機金属化合物、アミン、並びに広範囲の有機及び無機の塩基及び酸が挙げられる。有機金属化合物としては、スズ、チタン、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、及びその他の有機化合物が挙げられる。縮合反応触媒は、有機スズ化合物及び有機チタン化合物であってもよい。例示的な有機スズ化合物としては、i)ジブチルスズジラウレート、ii)ジメチルスズジラウレート、iii)ジ-(n-ブチル)スズビスケトネート、iv)ジブチルスズジアセテート、v)ジブチルスズマレエート、vi)ジブチルスズジアセチルアセトネート、vii)ジブチルスズジメトキシド、viii)ジブチルスズジオクタノエート、ix)ジブチルスズジホルメート、x)ジメチルスズジブチレート、xi)ジメチルスズジネオデカノエート、xii)ジブチルスズジネオデカノエート、xiii)トリエチルスズタートレート、xiv)ジブチルスズジベンゾエート、xv)ブチルスズトリ-2-エチルヘキサノエート、xvi)ジオクチルスズジアセテート、xvii)スズオクチレート、xix)スズブチレート、xx)スズナフテネート、xxi)ジメチルスズジクロリド、xxii)スズ(II)ジアセテート、xxiii)スズ(II)ジオクタノエート、xxiv)スズ(II)ジエチルヘキサノエート、xxv)スズ(II)ジラウレート、例えば、xxvi)第一スズオクトエート、xxvii)第一スズオレエート、xxviii)第一スズアセテート、xxix)第一スズラウレート、xxx)第一スズステアレート、xxxi)第一スズヘキサノエート、xxxii)第一スズスクシネート、xxxiii)第一スズカプリレート、及びxxxiv)i)~xxxiii)のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。例示的な有機チタン化合物は、i)テトラ-n-ブチルチタネート、ii)テトライソプロピルチタネート、iii)テトラ-t-ブチルチタネート、iv)テトラキス(2-エチルヘキシル)チタネート、v)アセチルアセトネートチタネートキレート、vi)エチルアセトアセテートチタネートキレート、vii)トリエタノールアミンチタネートキレート、viii)トリ-n-ブチルチタネート、並びにix)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、及びviii)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0070】
接着剤組成物中の縮合反応触媒の量は、他の出発物質の選択、任意の追加の出発物質が添加されるかどうか、及び接着剤組成物の最終用途など、様々な要因に応じて異なる。しかし、縮合反応触媒は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.01重量%~25重量%の範囲の量で存在してもよい。あるいは、縮合反応触媒は、0.1%~25%、あるいは0.1%~15%、あるいは0.5%~15%、あるいは0.5%~10%、あるいは0.1%~5%の量で存在してもよい。
【0071】
出発物質D)フリーラジカル開始剤
上述の接着剤組成物における出発物質D)は、フリーラジカル開始剤である。フリーラジカル開始剤は、アゾ化合物又は有機過酸化物化合物を含んでもよい。好適なアゾ化合物としては、アゾベンゼン、アゾベンゼン-p-スルホン酸、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、及びこれらの組合せが挙げられる。好適な有機過酸化物化合物としては、ジアルキルパーオキシド、ジアリールパーオキシド、ジアシルパーオキシド、アルキルヒドロパーオキシド、及びアリールヒドロパーオキシドが挙げられる。具体的な有機過酸化物化合物は、出発物質(II)について上述したとおりである。あるいは、有機過酸化物は、ベンゾイルパーオキシド;ジベンゾイルパーオキシド;4-モノクロロベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾアート、tert-ブチルクミルパーオキシド、tert-ブチルオキシド2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシ-ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、又はこれらのうちの2つ以上の組合せ;によって例示することができる。
【0072】
接着剤組成物に添加されるフリーラジカル開始剤の量は、選択される縮合反応触媒の種類及び量、並びに接着剤組成物における他の出発物質の選択など、様々な要因に応じて異なるが、フリーラジカル開始剤は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、あるいは0.2重量%~3重量%、あるいは0.5重量%~2重量%の量で存在してもよい。
【0073】
接着剤組成物における追加の出発物質
上述の接着剤組成物は、1つ以上の追加の出発物質(上述の出発物質A)、B)、C)及びD)とは異なり、これらに加えて添加される)を更に含んでもよい。追加の出発物質は、E)二重硬化化合物、F)接着促進剤、G)腐食防止剤、H)レオロジー変性剤、I)乾燥剤、J)架橋剤、K)充填剤、L)スペーサー、M)酸捕捉剤、N)シラノール官能性ポリジオルガノシロキサン、O)蛍光光学増白剤、P)連鎖移動剤、Q)(メタ)アクリレートモノマー、R)ポリアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン、S)着色剤、及びE)、F)、G)、H)、I)、J)、K)、L)、M)、N)、O)、P)、Q)、R)、及びS)のうちの2つ以上からなる群から選択されてもよい。
【0074】
出発物質E)二重硬化化合物
上述の接着剤組成物は、任意選択で、出発物質E)二重硬化化合物を更に含んでもよい。二重硬化化合物は、1分子中に、少なくとも1つの加水分解性基及び少なくとも1つのフリーラジカル反応性基を有する有機ケイ素化合物である。出発物質E)の有機ケイ素化合物は、式、R14 mm22 nnSiX4-(mm+nn)[式中、R22は上述のとおりであり、R14は硬化性基(アクリレート官能基、エポキシ官能基、又はメタクリレート官能基など)であり、Xは加水分解性基であり、下付き文字mmは、1~2であり、下付き文字nnは、0~2であり、数量(mm+nn)は、2~3である]のシランを含んでもよい。
【0075】
各Xは、独立して、アセトアミド基、アセトキシなどのアシルオキシ基、アルコキシ基、アミド基、アミノ基、アミノキシ基、オキシモ基、ケトキシモ基、及びメチルアセトアミド基から選択されてもよい加水分解性基を表す。Xは、ヒドロキシル基ではない。あるいは、各Xは、アセトキシ基又はアルコキシ基であってもよい。あるいは、各Xは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシなどのアルコキシ基であり、あるいは、メトキシである。
【0076】
あるいは、出発物質E)の有機ケイ素化合物は、単位式、
(Xmm22 (3-mm)SiO1/2oo(R1422 SiO1/2pp(R22 SiO2/2qq(R22XSiO2/2rr(R1422SiO2/2ss(R14SiO3/2ww(R22SiO3/2tt(SiO4/2uu[式中、R22、R14、及びX、並びに下付き文字mmは、上述のとおりであり、下付き文字oo≧0、下付き文字pp≧0、下付き文字qq≧0、下付き文字rr≧0、下付き文字ss≧0、下付き文字ww≧0、下付き文字tt≧0、下付き文字uu≧0であり、但し、数量(oo+rr)≧1、数量(pp+ss+ww)≧1、数量(oo+pp+qq+rr+ss+ww+tt+uu)>2である]のポリオルガノシロキサンを含んでもよい。あるいは、下付き文字ooは、0~100、あるいは0~50、あるいは0~20、あるいは0~10、あるいは1~50、あるいは1~20、あるいは1~10である。あるいは、下付き文字ppは、0~100、あるいは0~50、あるいは0~20、あるいは0~10、あるいは1~50、あるいは1~20、あるいは1~10であってもよい。あるいは、下付き文字qqは、0~1,000、あるいは0~500、あるいは0~200、あるいは0~100、あるいは1~500、あるいは1~200、あるいは1~100である。あるいは、下付き文字rrは、0~100、あるいは0~50、あるいは0~20、あるいは0~10、あるいは1~50、あるいは1~20、あるいは1~10である。あるいは、下付き文字ssは、0~100、あるいは0~50、あるいは0~20、あるいは0~10、あるいは1~50、あるいは1~20、あるいは1~10である。あるいは、下付き文字wwは、0~100、あるいは0~50、あるいは0~20、あるいは0~10、あるいは1~50、あるいは1~20、あるいは1~10である。あるいは、下付き文字ttは、0~1,000、あるいは0~500、あるいは0~200、あるいは0~100、あるいは1~500、あるいは1~200、あるいは1~100である。あるいは、下付き文字uuは、0~1,000、あるいは0~500、あるいは0~200、あるいは0~100、あるいは1~500、あるいは1~200、あるいは1~100である。
【0077】
出発物質E)の例としては、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、及びメタクリロキシプロピルジメチルメトキシシランなどのシランが挙げられる。
【0078】
接着剤組成物中の二重硬化化合物の量は、他の出発物質の選択、任意の追加の出発物質が添加されるかどうか、及び組成物の最終用途など、様々な要因に応じて異なる。しかし、二重硬化化合物は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.01重量%~25重量%の範囲の量で存在してもよい。あるいは、二重硬化化合物は、0.1%~25%、あるいは0.1%~15%、あるいは0.5%~15%、あるいは0.5%~10%、あるいは0.1%~5%の量で存在してもよい。
【0079】
出発物質F)接着促進剤
上述の接着剤組成物は、任意選択で、F)接着促進剤を更に含んでもよい。好適な接着促進剤は、遷移金属キレート、ハイドロカルボノオキシシラン、例えば、アルコキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組み合わせ、アミノ官能性シラン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。接着促進剤は、式、R15 aaa16 bbbSi(OR174-(aaa+bbb)[式中、各R15は、独立して、少なくとも3個の炭素原子を有する一価有機基であり、R16は、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はアクリレート基などの接着促進基を有する少なくとも1つのSiC結合置換基を含有し;各R17は、独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基などの飽和炭化水素基であり;下付き文字aaaは、0~2の範囲の値を有し;下付き文字bbbは、1又は2のいずれかであり、数量(aaa+bbb)は3以下である]を有するシランを含んでもよい。あるいは、接着促進剤は、上述のシランの部分縮合体を含んでもよい。あるいは、接着促進剤は、トリメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンなど、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組合せを含んでもよく、これは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。
【0080】
代替的に、接着促進剤は、不飽和又はエポキシ官能性化合物を含んでもよい。接着促進剤は、不飽和又はエポキシ官能性アルコキシシランを含んでもよい。例えば、官能性アルコキシシランは、式、R18 cccSi(OR19(4-ccc)[式中、下付き文字cccは、1、2、又は3であり、あるいは下付き文字cccは、1である]を有してもよい。各R18は、少なくとも1つのR18は、不飽和有機基又はエポキシ官能性有機基であることを条件として、独立して、一価有機基である。R18のエポキシ官能性有機基は、3-グリシドキシプロピル及び(エポキシシクロヘキシル)エチルによって例示される。R18の不飽和有機基は、3-メタクリロイルオキシプロピル、3-アクリロイルオキシプロピル、及びビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニルなどの不飽和一価炭化水素基によって例示される。各R19は、独立して、1~4個の炭素原子、又は1~2個の炭素原子を有する飽和炭化水素基である。R19は、メチル、エチル、プロピル、及びブチルによって例示される。
【0081】
好適なエポキシ官能性アルコキシシランの例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な不飽和アルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
あるいは、接着促進剤は、上述のようなヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物などのエポキシ官能性シロキサン、又はヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの物理的ブレンドを含んでもよい。接着促進剤は、エポキシ官能性アルコキシシランとエポキシ官能性シロキサンとの組み合わせを含み得る。例えば、接着促進剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランと、ヒドロキシ末端メチルビニルシロキサン及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応生成物と、の混合物、又は3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンとの混合物、又は3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサンコポリマーとの混合物によって例示される。
【0083】
あるいは、接着促進剤は、HN(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCHCH、HN(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCHCH、CHNH(CHSi(OCH、CHNH(CHSi(OCHCH、CHNH(CHSi(OCH、CHNH(CHSi(OCHCH、HN(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHSi(OCHCH、CHNH(CHNH(CHSi(OCH、CHNH(CHNH(CHSi(OCHCH、CNH(CHNH(CHSi(OCH、CNH(CHNH(CHSi(OCHCH、HN(CHSiCH(OCH、HN(CHSiCH(OCHCH、HN(CHSiCH(OCH、HN(CHSiCH(OCHCH、CHNH(CHSiCH(OCH、CHNH(CHSiCH(OCHCH、CHNH(CHSiCH(OCH、CHNH(CHSiCH(OCHCH、HN(CHNH(CHSiCH(OCH、HN(CHNH(CHSiCH(OCHCH、CHNH(CHNH(CHSiCH(OCH、CHNH(CHNH(CHSiCH(OCHCH、CNH(CHNH(CHSiCH(OCH、CNH(CHNH(CHSiCH(OCHCH、及びこれらの2つ以上の組合せによって例示されるアミノ官能性アルコキシシランなど、アミノ官能性シランを含んでもよい。
【0084】
あるいは、接着促進剤は、遷移金属キレートを含んでもよい。好適な遷移金属キレートとしては、チタネート、ジルコニウムアセチルアセトネート等のジルコネート、アルミニウムアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0085】
あるいは、接着促進剤は、出発物質A)、出発物質B)、若しくは存在する場合、出発物質E)、又はこれらの2つ以上と反応する官能基を有する、トリアジン系化合物を含んでもよい。トリアジン環は、一置換、二置換、又は三置換であってもよく、置換基のうちの少なくとも1つは、反応する官能基である。官能基は、フリーラジカル反応性のもの又は縮合反応性のものであってもよい。フリーラジカル反応性官能基を有するトリアジン化合物の例としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、トリ-(メタクリロキシプロピル)イソシアヌレート、トリアリルオキシトリアジン、トリメタクリロキシトリアジン、トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、及びトリス[2-(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレートが挙げられる。縮合反応性基を有するトリアジン化合物の例としては、2,4,6-トリス(メチルジメトキシシリル)トリアジン、トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレートが挙げられる。
【0086】
接着促進剤の正確な量は、接着剤組成物における他の出発物質の選択及び量などの様々な要因に応じて異なる。しかし、接着促進剤は、存在する場合、接着剤組成物に、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.01~50重量部、あるいは0.01~10重量部、あるいは0.01~5重量部の量で添加することができる。好適な接着促進剤の例は、米国特許第9,156,948号に記載されている。
【0087】
出発物質G)腐食防止剤
接着剤組成物は、任意選択で、出発物質G)腐食防止剤を更に含んでもよい。好適な腐食防止剤の例としては、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、並びにMillipore Sigma製の2-メルカプトベンゾチアゾール、R.T.Vanderbilt(Norwalk,Connecticut,U.S.A.)製の2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール誘導体(CUVAN(商標)826)及びアルキルチアジアゾール(CUVAN(商標)484)などの市販の腐食防止剤が挙げられる。好適な腐食防止剤の例は、米国特許第9,156,948号に記載されているものによって例示される。存在する場合、腐食防止剤の量は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.05重量%~0.5重量%であってもよい。
【0088】
出発物質H)レオロジー変性剤
接着剤組成物は、任意選択で、組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、最大5重量%、あるいは1重量%~2重量%の出発物質H)レオロジー変性剤を更に含んでもよい。レオロジー変性剤は市販されている。好適なレオロジー変性剤の例としては、ポリアミド、水素添加ヒマシ油誘導体、金属石鹸、微結晶ワックス、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なレオロジー変性剤の例は、米国特許第9,156,948号に記載されているものによって例示される。レオロジー変性剤の量は、選択された特定のレオロジー変性剤及び組成物に使用される他の出発物質の選択など、様々な要因に応じて異なる。しかし、レオロジー変性剤の量は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0重量部~20重量部、あるいは1重量部~15重量部、あるいは1重量部~5重量部であってもよい。
【0089】
出発物質I)乾燥剤
上述の組成物は、任意選択で、出発物質I)乾燥剤を更に含んでもよい。乾燥剤は、様々な供給源由来の水を捕捉する。例えば、乾燥剤は、水及びアルコールといった、縮合反応の副生成物を捕捉することができる。好適な乾燥剤の例は、例えば、米国特許第9,156,948号に開示されている。乾燥剤に好適な吸着剤の例は、無機微粒子、例えば、チャバサイト、モルデナイト、及びアナルサイトなどのゼオライト;アルカリ金属のアルミノケイ酸塩、シリカゲル、シリカマグネシアゲル、活性炭、活性アルミナ、酸化カルシウム及びこれらの組合せなどのモレキュラーシーブであってもよい。吸着剤は、10μm以下の粒径を有してもよい。吸着剤は、例えば、10Å(オングストローム)以下といった、水及びアルコールを吸着するのに十分な平均孔径を有してもよい。
【0090】
あるいは、乾燥剤は、化学的手段により水及び/又は他の副生成物を捕捉することができる。(出発物質J)として使用される任意のシラン架橋剤に加えて)組成物に添加されるシラン架橋剤の量は、化学的乾燥剤として機能することができるものである。理論に束縛されるものではないが、化学的乾燥剤は、組成物の部を一緒に混合した後に、この組成物を水に触れさせないようにするために、複数部型組成物の乾燥した部に添加することができると考えられる。例えば、乾燥剤として好適なアルコキシシランとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。乾燥剤の量は、選択される特定の乾燥剤に応じて異なる。しかし、出発物質I)が化学乾燥剤である場合、この量は、組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0重量部~15重量部、あるいは0重量部~10重量部、あるいは0重量部~5重量部、あるいは0.1重量部~0.5重量部の範囲であってもよい。
【0091】
出発物質J)-架橋剤
上述の組成物は、任意選択で、出発物質J)架橋剤を更に含んでもよい。架橋剤は、加水分解性基を有するシラン架橋剤、又はその部分的若しくは完全加水分解生成物を含み得る。架橋剤は、出発物質B)の加水分解性基と反応性である、1分子中に、平均して2つより多くの置換基を有する。好適なシラン架橋剤の例は、一般式、R20 dddSi(R21(4-ddd)[式中、各R20は、独立して、アルキル基などの一価炭化水素基であり;各R21は加水分解性置換基であり、上述のXと同じ基であってもよい]を有してもよい。あるいは、各R21は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アセトアミド基、アセトキシなどのアシルオキシ基、アルコキシ基、アミド基、アミノ基、アミノキシ基、ヒドロキシル基、オキシモ基、ケトキシモ基、又はメチルアセトアミド基であってもよく、下付き文字iiの各例は、0、1、2、又は3であってもよい。シラン架橋剤の場合、下付き文字dddは、2より大きい平均値を有する。あるいは、下付き文字dddは、3~4の範囲の値を有してもよい。あるいは、各R21は、ヒドロキシル、アルコキシ、アセトキシ、アミド、又はオキシムから独立して選択されてもよい。あるいは、シラン架橋剤は、アシロキシシラン、アルコキシシラン、ケトキシモシラン、及びオキシモシランから選択されてもよい。
【0092】
シラン架橋剤は、アルコキシシラン、例えば、ジアルキルジアルコキシシランなどのジアルコキシシラン;アルキルトリアルコキシシランなどのトリアルコキシシラン;テトラアルコキシシラン;又はその部分若しくは完全加水分解生成物によって例示されるもの、又はこれらの別の組み合わせを含んでもよい。好適なトリアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、及びこれらの組合せが挙げられ、あるいはメチルトリメトキシシランが挙げられる。好適なテトラアルコキシシランの例としては、テトラエトキシシランが含まれる。あるいは、シラン架橋剤は、アセトキシシランなどのアシロキシシランを含んでもよい。アセトキシシランとしては、テトラアセトキシシラン、オルガノトリアセトキシシラン、ジオルガノジアセトキシシラン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。例示のアセトキシシランには、これらに限定されないが、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、ブチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、オクチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、架橋剤は、オルガノトリアセトキシシラン、例えば、メチルトリアセトキシシランとエチルトリアセトキシシランとを含む混合物、を含んでもよい。組成物に使用することができるアルコキシ基とアセトキシ基との両方を含有する出発物質J)に好適なシランの例としては、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0093】
あるいは、架橋剤は、HN(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCHCH、HN(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCHCH、CHNH(CHSi(OCH、CHNH(CHSi(OCHCH、CHNH(CHSi(OCH、CHNH(CHSi(OCHCH、HN(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHSi(OCHCH、CHNH(CHNH(CHSi(OCH、CHNH(CHNH(CHSi(OCHCH、CNH(CHNH(CHSi(OCH、CNH(CHNH(CHSi(OCHCH、HN(CHSiCH(OCH、HN(CHSiCH(OCHCH、HN(CHSiCH(OCH、HN(CHSiCH(OCHCH、CHNH(CHSiCH(OCH、CHNH(CHSiCH(OCHCH、CHNH(CHSiCH(OCH、CHNH(CHSiCH(OCHCH、HN(CHNH(CHSiCH(OCH、HN(CHNH(CHSiCH(OCHCH、CHNH(CHNH(CHSiCH(OCH、CHNH(CHNH(CHSiCH(OCHCH、CNH(CHNH(CHSiCH(OCH、CNH(CHNH(CHSiCH(OCHCH、又はこれらの組合せなどのアミノ官能基を含んでもよい。好適なシラン架橋剤の例は、米国特許第9,156,948号に開示されている。
【0094】
あるいは、架橋剤は、多官能性(メタ)アクリレート架橋剤、例えば例示のジ(メタ)アクリレートを含んでもよく、このような架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールビスメタクリロキシカーボネート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジグリセロールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリス(2-メチル-1-アジリジン)プロピオネート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アクリレートを先端に有するウレタン含有プレポリマー、ポリエーテルジアクリレート、及びジメタクリレート、並びにこれらのうちの2つ以上の組合せにより例示される。好適な多官能性(メタ)アクリレート架橋剤は、例えば、米国特許第8,304,543号第11段46~65行に開示されている。
【0095】
存在する場合、架橋剤は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.1重量%~10重量%の範囲の量で添加することができる。
【0096】
出発物質K)充填剤
上述の組成物は、任意選択で、K)充填剤を更に含んでもよい。充填剤は、補強充填剤、増量充填剤、伝導性充填剤、又はこれらの組み合わせを含でもよい。例えば、組成物は、任意選択で、出発物質(K1)補強充填剤を更に含んでもよく、これは、存在する場合、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.1重量%~95重量%、あるいは1重量%~60重量%の量で添加することができる。出発物質(K1)の正確な量は、組成物の反応生成物の形態、及び、他の充填剤が添加されるかどうかなど、様々な要因に応じて異なる。好適な補強充填剤の例としては、補強シリカ充填剤(例えば、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、シリカキセロゲル及び沈降シリカ)が挙げられる。ヒュームドシリカは、当技術分野において公知であり、市販されており、例えば、Cabot Corporation(Massachusetts,U.S.A.)によってCAB-O-SILという名称で販売されているヒュームドシリカがある。
【0097】
接着剤組成物は、任意選択で、出発物質(K2)増量充填剤を、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.1重量%~95重量%、あるいは1重量%~60重量%、あるいは1重量%~20重量%の範囲の量で更に含んでもよい。増量充填剤の例としては、破砕石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム(例えば、軽質炭酸カルシウム)、酸化亜鉛、タルク、珪藻土、酸化鉄、粘土、雲母、白亜、二酸化チタン、ジルコニア、砂、カーボンブラック、グラファイト、又はこれらの組み合わせが挙げられる。増量充填剤は、技術分野において既知であり、市販されており、例えば、U.S.Silica(Berkeley Springs,WV)によってMIN-U-SILの名称で販売されている粉砕シリカがある。好適な沈降炭酸カルシウムとしては、Solvay製のWinnofil(商標)SPM、並びにSMI製のUltrapflex(商標)及びUltrapflex(商標)100が挙げられる。好適な充填剤の例は、米国特許第9,156,948号に開示されている。
【0098】
出発物質L)スペーサー
上述の接着剤組成物は、任意選択で、L)スペーサーを更に含んでもよい。スペーサーは、有機粒子、無機粒子又はこれらの組み合わせを含んでもよい。スペーサーは、熱伝導性、導電性、又は両方であってよい。スペーサーは、所望の粒径を有してもよく、例えば、粒径は25μm~125μmの範囲であってもよい。スペーサーは、ガラス又はポリマー(例えば、ポリスチレン)ビーズなどの単分散ビーズを含んでもよい。スペーサーは、アルミナ、窒化アルミニウム、噴霧金属粉、窒化ホウ素、銅及び銀などの熱伝導性充填剤を含んでもよい。スペーサーの量は、粒径分布、部を混合して調製された組成物又はそれから調製された硬化生成物の使用中に加えられる圧力、使用中の温度、及び混合組成物又はそれから調製された硬化生成物の所望の厚さなど、様々な要因に応じて異なる。しかし、組成物は、スペーサーを、組成物中の全出発物質の合計重量に基づいて、0.05重量%~2重量%、あるいは0.1重量%~1重量%の量の含んでもよい。
【0099】
出発物質M)酸捕捉剤
上述の組成物は、任意選択で、M)酸捕捉剤を更に含んでもよい。好適な酸捕捉剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、及びこれらの組み合わせなど、本質的に塩基性である様々な無機及び有機化合物が挙げられる。組成物は、組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0重量%~10重量%の酸捕捉剤を含んでもよい。
【0100】
出発物質N)シラノール官能性ポリジオルガノシロキサン
上述の組成物は、任意選択で、N)シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンを更に含んでもよい。出発物質N)は、式、HOR22 SiO(R22 SiO)eee((HO)R22SiO)fffSiR22 OH若しくは式、RSiO(RSiO)ggg((HO)RSiO)hhhSiR[式中、R22は、上述のとおりである]、又はこれらの組み合わせのポリジオルガノシロキサンを含んでもよい。下付き文字eeeは、0であっても正の数であってもよい。あるいは、下付き文字eeeは、少なくとも2の平均値を有する。あるいは、下付き文字eeeは、2~2000であってもよい。下付き文字fffは、0であっても正の数であってもよい。あるいは、下付き文字fffは、0~2000の平均値を有してもよい。下付き文字gggは、0であっても正の数であってもよい。あるいは、下付き文字gggは、0~2000の平均値を有してもよい。下付き文字hhhは、少なくとも2の平均値を有する。あるいは、下付き文字hhhは、2~2000の範囲の平均値を有してもよい。
【0101】
出発物質N)は、ポリジオルガノシロキサン、例えば
i)ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
iii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヒドロキシシロキサン)、及び
iv)i)、ii)、及びiii)のうちの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0102】
出発物質N)としての使用に好適なヒドロキシル末端封鎖ポリジオルガノシロキサンは、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は、環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの、技術分野において公知の方法によって調製することができる。接着剤組成物に添加される場合、出発物質N)は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.1重量%~20重量%、あるいは0.1重量%~10重量%、あるいは0.1重量%~5重量%の量で存在してもよい。
【0103】
出発物質O)光学増白剤
上述の接着剤組成物は、任意選択で、出発物質O)光学増白剤を更に含んでもよい。好適な光学増白剤は、TINOPAL(商標)OBとして市販されている2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)など、市販されている。組成物に添加される場合、光学増白剤は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.1重量%~2重量%の量で存在してもよい。
【0104】
出発物質P)連鎖移動剤
上述の接着剤組成物は、任意選択で、P)連鎖移動剤を更に含んでもよい。接着剤組成物に添加される場合、連鎖移動剤は、組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、あるいは0.01重量%~2重量%、あるいは0.1重量%~2重量%の量で存在してもよい。
【0105】
出発物質Q)(メタ)アクリレートモノマー
上述の接着剤組成物は、任意選択で、出発物質Q)(メタ)アクリレートモノマーを更に含んでもよい。(メタ)アクリレートモノマーは、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルメチルアクリレートメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートによって例示される。接着剤組成物に添加される場合、(メタ)アクリレートモノマーは、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.1重量%~35重量%、あるいは0.1重量%~25重量%、あるいは0.1重量%~15重量%、あるいは0.1重量%~10重量%の量で存在してもよい。
【0106】
出発物質R)ポリアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン
出発物質R)は、上述の出発物質B)の調製によって調製される任意のものに加えての、ポリアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンである。出発物質R)は、シロキサン樹脂を含んでいないことを除いて、出発物質B)について上述したように調製されたポリアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンであってもよい。あるいは、出発物質R)は、白金触媒ヒドロシリル化反応によって調製されたポリアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンであってもよい。
【0107】
出発物質S)着色剤
上述の接着剤組成物は、任意選択で、出発物質S)着色剤を更に含んでもよい。着色剤は、染料であってもカーボンブラックなどの顔料であってもよい。
【0108】
上述の接着剤組成物の出発物質を選択する際、本明細書に記載の特定の出発物質は2つ以上の機能を有してもよいので、出発物質の種類は重複することがある。例えば、特定のアルコキシシランは、架橋剤及び/又は接着促進剤及び/又は乾燥剤として有用である場合がある。特定の粒子は、充填剤及びスペーサーとして有用である場合がある。出発物質を接着剤組成物に添加する場合、追加の出発物質は互いに異なる。
【0109】
接着剤組成物の調製方法
上述の接着剤組成物は、1)出発物質B)i)オルガノシロキサン樹脂、及びB)ii)ポリジオルガノシロキサンを組み合わせ、樹脂ポリマーブレンド(RPB)を形成することによって調製することができる。溶媒は、任意選択で、RPBを均質化するために使用することができる。オルガノシロキサン樹脂などの出発物質のうちの1つ以上は、例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレンなどの芳香族炭化水素といった上述のものなどの溶媒に溶解又は分散することができる。溶媒の量は、接着剤組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0重量%~60重量%、あるいは10重量%~50重量%、あるいは20重量%~40重量%であってもよい。上述のように、出発物質B)iii)及びB)iv)をRPBと組み合わせ、変換RPBを形成することができる。方法は、2)変換RPB、並びに及び出発物質A)、C)、及びD)を、混合などの任意の簡便な手段によって組み合わせる工程を更に含んでもよい。上述のような1つ以上の追加の出発物質E)~S)は、工程1)中、工程2)中、又はその両方の最中に添加することができる。出発物質は、20℃~150℃で組み合わせることができる。方法は、工程1)、工程2)又はその両方において、出発物質を50℃~150℃、あるいは60℃~120℃の温度で加熱する工程を更に含んでもよい。圧力は重要ではない。方法は、周囲圧力で実施することができる。
【0110】
剥離コーティング組成物
あるいは、硬化性組成物は、剥離コーティング組成物であってもよい。剥離コーティング組成物は、
(i)上述の方法によって調製された多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンと、
(ii)ヒドロシリル化反応することが可能な、1分子中に平均して少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和基を有するポリオルガノシロキサンと、
(iii)ヒドロシリル化反応触媒と、
(iv)ヒドロシリル化反応抑制剤と、を含む。
【0111】
出発物質(ii)脂肪族不飽和基を有するポリオルガノシロキサン
剥離コーティング組成物における出発物質(ii)は、ヒドロシリル化反応することが可能な、1分子中に平均して少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和基を有する、ポリオルガノシロキサン、あるいは、末端脂肪族不飽和を有する、1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合基を有するポリオルガノシロキサンである。このポリオルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状、部分的に分岐状、環状、樹脂状(すなわち、三次元網目を有する)であってもよく、又は異なる構造の組み合わせを含んでもよい。ポリオルガノシロキサンは、平均式、R13 SiO(4-a)/2
[式中、各R13は、一価炭化水素基又は一価ハロゲン化炭化水素基から独立して選択され、但し、各分子中、R13のうちの少なくとも2つは脂肪族不飽和を含み、下付き文字aは、0<a≦3.2となるように選択される]を有してもよい。R13に好適な一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基は、Rについて上記したとおりである。ポリオルガノシロキサンの上記の平均式は、代わりに(R13 SiO1/2(R13 SiO2/2(R13SiO3/2(SiO4/2[式中、R13は上記で定義され、下付き文字b、c、d、及びeは、それぞれ独立して≧0~≦1であり、但し、数量(b+c+d+e)=1である]と表記され得る。当業者であれば、このようなM、D、T、及びQ単位、並びにそれらのモル分率が、上記の平均式中の下付き文字aにどのように影響するかを理解する。T単位(下付き文字dによって示される)、Q単位(下付き文字eによって示される)、又はその両方は、典型的には、ポリオルガノシロキサン樹脂中に存在し、一方、下付き文字cによって示されるD単位は、典型的には、ポリオルガノシロキサンポリマー中に存在する(及びまた、ポリオルガノシロキサン樹脂又は分岐状ポリオルガノシロキサン中に存在してもよい)。
【0112】
あるいは、出発物質(i)は、実質的に直鎖状、あるいは直鎖状のポリオルガノシロキサンを含んでもよい。実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンは、平均式、R13 a’SiO(4-a’)/2[式中、各R13は上述で定義したとおりであり、下付き文字a’は、1.9≦a’≦2.2となるように選択される]を有してもよい。
【0113】
RTで、実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンは、流動性液体であってもよく、又は未硬化ゴムの形態を有してもよい。実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンは、25℃で、10mPa・s~30,000,000mPa・s、あるいは10mPa・s~10,000mPa・s、あるいは100mPa・s~1,000,000mPa・s、あるいは100mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有していてもよい。粘度は、実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンの粘度に対して適切に選択されたスピンドルを備えたBrookfield LV DV-E粘度計、すなわちRV-1からRV-7を介してRTで測定することができる。
【0114】
あるいは、(ii)ポリオルガノシロキサンが実質的に直鎖状、又は直鎖状である場合、ポリオルガノシロキサンは、平均単位式、(R10 SiO1/2aa(R10SiO2/2bb(R10 SiO2/2cc(R SiO1/2dd[式中、各Rは、独立して選択された脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基、又は脂肪族不飽和を含まない一価ハロゲン化炭化水素基であり、各R10は、アルケニル及びアルキニルからなる群から独立して選択され、下付き文字aaは、0、1、又は2であり、下付き文字bbは0以上であり、下付き文字ccは1以上であり、下付き文字ddは、0、1、又は2であり、但し、数量(aa+dd)≧2、数量(aa+dd)=2であり、但し、数量(aa+bb+cc+dd)は、3~2,000である]を有してもよい。あるいは、下付き文字cc≧0である。あるいは、下付き文字bb≧2である。あるいは、数量(aa+dd)は、2~10、あるいは2~8、あるいは2~6である。あるいは、下付き文字ccは、0~1,000、あるいは1~500、あるいは1~200である。あるいは、下付き文字bbは、2~500、あるいは2~200、あるいは2~100である。
【0115】
の一価炭化水素基は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、6~10個の炭素原子を有するアリール基、1~6個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基、6~10個の炭素原子を有するハロゲン化アリール基、7~12個の炭素原子を有するアラルキル基、又は7~12個の炭素原子を有するハロゲン化アラルキル基によって例示され、アルキル、アリール、及びハロゲン化アルキルは本明細書に記載のとおりである。あるいは、各Rは独立して、脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基である。あるいは、各Rはアルキル基である。あるいは、各Rは独立して、メチル、エチル、又はプロピルである。Rはそれぞれの場合で、同じであっても異なってもよい。あるいは、各Rはメチル基である。
【0116】
10の脂肪族不飽和を有する一価炭化水素基は、ヒドロシリル化反応することができる。R10に好適な脂肪族不飽和炭化水素基は、本明細書で定義され、ビニル、アリル、ブテニル、及びヘキセニルによって例示されるアルケニル基によって例示され、アルキニル基は、本明細書で定義され、エチニル及びプロピニルによって例示される。あるいは、各R10は、ビニル又はヘキセニルであってもよい。あるいは、各R10はビニル基である。上述の(ii-I)の単位式中の下付き文字は、(ii-I)の分岐状シロキサンのアルケニル又はアルキニル含有量が、分岐状シロキサン(ii-I)の重量に基づいて、0.1重量%~1重量%、あるいは0.2重量%~0.5重量%になってもよいのに、十分な値であってもよい。
【0117】
(ii)ポリオルガノシロキサンが実質的に直鎖状、あるいは直鎖状である場合、少なくとも2つの脂肪族不飽和基は、ペンダント位、末端位、又はペンダント及び末端の位置の両方においてケイ素原子に結合することができる。ペンダントケイ素結合脂肪族不飽和基を有するポリオルガノシロキサンの具体例として、出発物質A)は、平均単位式、
[(CHSiO1/2[(CHSiO2/2cc[(CH)ViSiO2/2bb[式中、下付き文字bb及びccは上で定義したとおりであり、Viはビニル基を示す]を有してもよい。この平均式に関して、任意のメチル基が、異なる一価炭化水素基(アルキル又はアリールなど)で置換されてもよく、任意のビニル基が、異なる脂肪族不飽和一価炭化水素基(アリル又はヘキセニルなど)で置換されてもよい。あるいは、1分子中に平均して少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和基を有するポリオルガノシロキサンの具体例として、出発物質(ii)は、平均式、Vi(CHSiO[(CHSiO]ccSi(CHVi[式中、下付き文字cc及びViは上述で定義されている]を有してもよい。ケイ素結合ビニル基末端のジメチルポリシロキサンは、単独で、又は上述で開示のジメチル,メチル-ビニルポリシロキサンと組み合わせて使用することができる。この平均式に関して、任意のメチル基が、異なる一価炭化水素基で置換されてもよく、任意のビニル基が、任意の末端脂肪族不飽和一価炭化水素基で置換されてもよい。少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和基は、ペンダント及び末端の両方にあってもよいので、(ii)ポリオルガノシロキサンは、あるいは、平均単位式、[Vi(CHSiO1/2[(CHSiO2/2cc[(CH)ViSiO2/2bb[式中、下付き文字bb及びcc並びにViは上で定義されている]を有してもよい。
【0118】
実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンは、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン-ジフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン-ジフェニルシロキサンコポリマー、及び分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーによって例示することができる。
【0119】
あるいは、出発物質(ii)は、以下からなる群から選択される実質的に直鎖状、あるいは直鎖状のポリオルガノシロキサンを含んでもよい。
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
v)トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
vi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
vii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
viii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
ix)フェニル,メチル,ビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
x)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
xi)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xii)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
xiii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xiv)トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン
xv)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xvi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)及び
xvii)これらの組み合わせ。
【0120】
あるいは、A)ポリオルガノシロキサンは、樹脂状ポリオルガノシロキサンであってもよい。樹脂状ポリオルガノシロキサンは、平均式、R13 a”SiO(4-a”)/2[式中、各R13は上述で定義したとおりであり、下付き文字a”は、0.5≦a”≦1.7となるように選択される]を有してもよい。
【0121】
樹脂状ポリオルガノシロキサンは、分岐状又は三次元網目状の分子構造を有する。25℃で、樹脂状ポリオルガノシロキサンは、液体の形態であっても固体の形態であってもよい。あるいは、樹脂状ポリオルガノシロキサンは、T単位のみを含むポリオルガノシロキサン、T単位を他のシロキシ単位(例えば、M、D、及び/又はQシロキシ単位)と組み合わせて含むポリオルガノシロキサン、又はQ単位を他のシロキシ単位(すなわち、M、D、及び/又はTシロキシ単位)と組み合わせて含むポリオルガノシロキサンによって例示することができる。典型的には、樹脂状ポリオルガノシロキサンは、T単位及び/又はQ単位を含む。樹脂状ポリオルガノシロキサンの具体例としては、ビニル末端シルセスキオキサン及びビニル末端MDQ樹脂が挙げられる。
【0122】
あるいは、出発物質(ii)は、(ii-I)分岐状シロキサン、(ii-II)シルセスキオキサン、又は(ii-I)及び(ii-II)の両方を含んでもよい。出発物質(ii-I)及び(ii-II)は、組成物が剥離コーティング用途に使用される場合、特に有用である場合がある。
【0123】
出発物質(ii)は、(ii-I)分岐状シロキサンと(ii-II)シルセスキオキサンとの組み合わせであってもよい。この組み合わせは、物理的ブレンド又は混合物であってもよい。分岐状シロキサン及びシルセスキオキサンは、剥離コーティング組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、(ii-I)分岐状シロキサンの量及び(ii-II)シルセスキオキサンの量が合計して総計100重量部になるような、相互の量で存在する。分岐状シロキサンは、50~100重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、0~50重量部の量で存在してもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、50~90重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、10~50重量部の量で存在してもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、50~80重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、20~50重量部の量で存在してもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、50~76重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、24~50重量部の量で存在してもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、50~70重量部の量で存在してもよく、シルセスキオキサンは、30~50重量部の量で存在してもよい。理論に束縛されるものではないが、シルセスキオキサン(ii-II)の量が、(ii-I)分岐状シロキサン及び(ii-II)シルセスキオキサンの合計量である100重量部当たり50重量部を超える場合、組成物から形成された剥離コーティングは、移動という欠点をきたす場合があり、シルセスキオキサンが、剥離コーティングと接触している感圧接着剤などの被着体に移動し混入する場合があると考えられる。
【0124】
出発物質(ii-I)分岐状シロキサンは、単位式(ii-I)、(R SiO1/2(R10 SiO1/2(R SiO2/2(SiO4/2[式中、各Rは、独立して、脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基、又は脂肪族不飽和を含まない一価ハロゲン化炭化水素基であり、各R10は、アルケニル基又はアルキニル基であり、これらは両方とも上述のとおりであり、下付き文字p≧0、下付き文字q>0であり、15≧r≧995であり、下付き文字s>0である]を有してもよい。
【0125】
(ii-I)の単位式中、下付き文字p≧0である。下付き文字q>0である。あるいは、下付き文字q≧3である。下付き文字rは、15~995である。下付き文字sは、>0である。あるいは、下付き文字s≧1である。あるいは、下付き文字pについては、22≧p≧0、あるいは、20≧p≧0、あるいは、15≧p≧0、あるいは、10≧p≧0、あるいは、5≧p≧0である。あるいは、下付き文字qについては、22≧q>0、あるいは、22≧q≧4、あるいは、20≧q>0、あるいは、15≧q>1、あるいは、10≧q≧2、あるいは、15≧q≧4である。あるいは、下付き文字rについては、800≧r≧15、あるいは、400≧r≧15である。あるいは、下付き文字sについては、10≧s>0、あるいは、10≧s≧1、あるいは、5≧s>0、あるいは、s=1である。あるいは、下付き文字sは、1又は2である。あるいは、下付き文字s=1である場合、下付き文字pは0であってもよく、下付き文字qは4であってもよい。
【0126】
分岐状シロキサンは、式(R SiO2/2[式中、各下付き文字mは独立して2~100である]の少なくとも2つのポリジオルガノシロキサン鎖を含んでもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、式(R SiO2/2[式中、下付き文字oは、それぞれ独立して、1~100である]の4つのポリジオルガノシロキサン鎖に結合した式(SiO4/2)の少なくとも一単位を含んでもよい。あるいは、分岐状シロキサンは、式
【0127】
【化12】
[式中、下付き文字uは、0又は1であり、各下付き文字tは、独立して、0~995、あるいは15~995、あるいは0~100であり、各R11は、上に記載したように、独立して選択された一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択された、脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基、又は脂肪族不飽和を含まない一価ハロゲン化炭化水素基であり、各R10は、上に記載したように、それぞれアルケニル及びアルキニルからなる群から独立して選択される]を有してもよい。出発物質(ii-I)に好適な分岐状シロキサンは、米国特許第6,806,339号及び米国特許出願公開第2007/0289495号に開示されているものによって例示される。
【0128】
シルセスキオキサンは、単位式(ii-II)、(R SiO1/2(R10 SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2([式中、R及びR10は上述のとおりであり、下付き文字i≧0、下付き文字f>0であり、下付き文字gは、15~995であり、下付き文字h>0である]を有する。下付き文字iは、0~10であってもよい。あるいは、下付き文字iについて、12≧i≧0、あるいは、10≧i≧0、あるいは、7≧i≧0、あるいは、5≧i≧0、あるいは、3≧i≧0である。
【0129】
あるいは、下付き文字f≧1である。あるいは、下付き文字f≧3である。あるいは、下付き文字fについて、12≧f>0、あるいは、12≧f≧3、あるいは、10≧f>0、あるいは、7≧f>1、あるいは、5≧f≧2、あるいは、7≧f≧3である。あるいは、下付き文字gについて、800≧g≧15、あるいは、400≧g≧15である。あるいは、下付き文字h≧1である。あるいは、下付き文字hは、1~10である。あるいは、下付き文字hについて、10≧h>0、あるいは、5≧h>0、あるいは、h=1である。あるいは、下付き文字hは、1~10であり、あるいは、下付き文字hは、1又は2である。あるいは、下付き文字h=1の場合、下付き文字fは3であってもよく、下付き文字iは0であってもよい。下付き文字fの値は、単位式(ii-II)のシルセスキオキサンが、シルセスキオキサンの重量に基づいて、0.1重量%~1重量%、あるいは0.2重量%~0.6重量%のアルケニル含有量を提供するのに十分であってもよい。出発物質(ii)に好適なシルセスキオキサンは、米国特許第4,374,967号に開示されているものによって例示される。
【0130】
出発物質(ii)は、構造、分子量、ケイ素原子に結合した一価基、及び脂肪族不飽和基の含有量などの少なくとも1つの特性が異なる、組み合わせ又は2つ以上の異なるポリオルガノシロキサンを含んでもよい。剥離コーティング組成物は、剥離コーティング組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、60重量%~98重量%、あるいは60重量%~95重量%の出発物質(ii)を含有してもよい。
【0131】
出発物質(iii)ヒドロシリル化反応触媒
剥離コーティング組成物における出発物質(iii)として使用されるヒドロシリル化反応触媒は、出発物質b)について上述し例示したとおりであってもよい。あるいは、剥離コーティング組成物に使用するためのヒドロシリル化反応触媒は、Karstedtの触媒及びAshbyの触媒からなる群から選択されてもよい。(iii)ヒドロシリル化反応触媒は、触媒量、すなわち、所望の条件でその硬化を促進するのに十分な量(amount)又は分量(quantity)で剥離コーティング組成物中に存在する。(iii)ヒドロシリル化反応触媒の触媒量は、>0.01ppm~10,000ppm、あるいは、>1,000ppm~5,000ppmであり得る。あるいは、(iii)ヒドロシリル化反応触媒の典型的な触媒量は、0.1ppm~5,000ppm、あるいは1ppm~2,000ppm、あるいは>0~1,000ppmである。あるいは、(iii)ヒドロシリル化反応触媒の触媒量は、剥離コーティング組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.01ppm~1,000ppm、あるいは0.01ppm~100ppm、あるいは20ppm~200ppm、あるいは0.01ppm~50ppmの白金族金属であってもよい。
【0132】
出発物質(iv)ヒドロシリル化反応抑制剤
出発物質(iv)は阻害剤であり、これを使用して、同じ出発物質を含有しているが阻害剤の加えられていない組成物と比較したとき、剥離コーティング組成物の反応速度を変化させることができる。ヒドロシリル化硬化性組成物の阻害剤は、アセチレン系アルコール、例えばメチルブチノール、エチニルシクロヘキサノール、ジメチルヘキシノール、及び3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール、並びにこれらの組合せ;シクロアルケニルシロキサン、例えば1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンによって例示されるメチルビニルシクロシロキサン、並びにこれらの組み合わせ;エン-イン化合物、例えば3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン;ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール類;ホスフィン;メルカプタン;ヒドラジン;アミン、例えばテトラメチルエチレンジアミン;ジアルキルフマレート、ジアルケニルフマレート、ジアルコキシアルキルフマレート、マレエート、例えばジアリルマレエート;ニトリル;エーテル;一酸化炭素;アルケン、例えばシクロオクタジエン、ジビニルテトラメチルジシロキサン;アルコール、例えばベンジルアルコール;並びにこれらの組み合わせによって例示される。あるいは、ヒドロシリル化反応抑制剤は、アセチレン系アルコール(例えば、1-エチニル-1-シクロヘキサノール)、及びマレエート(例えば、ジアリルマレエート、ジエチルマレエート、又はn-プロピルマレエート)、並びにこれらの2つ以上の組合せからなる群から選択されてもよい。
【0133】
あるいは、組成物における出発物質(iv)は、シリル化アセチレン系化合物であってもよい。理論に束縛されるものではないが、シリル化アセチレン化合物を添加すると、シリル化アセチレン化合物を含有していない組成物又は上述したものなどの有機アセチレンアルコール阻害剤を含有する組成物のヒドロシリル化からの反応生成物と比較したとき、組成物のヒドロシリル化反応から調製される反応生成物の黄変が低減すると考えられる。
【0134】
シリル化アセチレン系化合物は、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)トリメチルシラン、及びそれらの組み合わせによって例示される。あるいは、出発物質(iv)は、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、又はこれらの組み合わせにより例示される。出発物質(iv)として有用なシリル化アセチレン系化合物は、上述のアセチレン系アルコールを、酸受容体の存在下でクロロシランと反応させることによりシリル化するといった、技術分野において公知の方法によって調製することができる。
【0135】
剥離コーティング組成物に添加される阻害剤の量は、組成物の所望の可使時間(ポットライフ)、組成物が一部型組成物であるか又は複数部型組成物であるか、使用される具体的な阻害剤、出発物質(i)及び(ii)の選択及び量など、様々な要因に応じて異なる。しかし、存在する場合、阻害剤の量は、組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0重量%~1重量%、あるいは0重量%~5重量%、あるいは0.001重量%~1重量%、あるいは0.01重量%~0.5重量%、あるいは0.0025重量%~0.025重量%であってもよい。
【0136】
追加の出発原料
剥離コーティング組成物は、任意選択で、(v)アンカー添加剤、(vi)ミスト防止添加剤、(vii)剥離改質剤、(viii)実質的に直鎖状、又は直鎖状のポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び(ix)溶媒、例えば出発物質D)について上述したものから選択される1つ以上の追加の出発物質を更に含んでもよい。
【0137】
(v)アンカー添加剤
出発物質(v)は、アンカー添加剤である。好適なアンカー添加剤は、ビニルアルコキシシランとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物;ビニルアルコキシシランとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物;並びに1分子当たり少なくとも1個の脂肪族不飽和炭化水素基及び少なくとも1つの加水分解性基を有するポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの組み合わせ(例えば、物理的なブレンド及び/又は反応生成物)(例えば、ヒドロキシ末端ビニル官能性ポリジメチルシロキサンとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとの組み合わせ)により例示される。あるいは、アンカー添加剤は、ポリオルガノシリケート樹脂を含んでもよい。好適なアンカー添加剤及びその調製方法は、例えば、米国特許第9,562,149号、米国特許出願公開第2003/0088042号、同第2004/0254274号、及び同第2005/0038188号、並びに欧州特許第0556023号によって開示されている。アンカー添加剤の正確な量は、基材の種類、及びプライマーが使用されるかどうかなど、様々な要因に応じて異なるが、剥離コーティング組成物中のアンカー添加剤の量は、出発物質(ii)100重量部当たり0~2重量部であってもよい。あるいは、アンカー添加剤の量は、出発物質(ii)100重量部当たり0.01~2重量部であってもよい。
【0138】
(vi)ミスト防止添加剤
出発物質(vi)はミスト防止添加剤であり、これを剥離コーティング組成物に添加して、コーティングプロセスにおける、特に高速コーティング装置でのシリコーンミスト形成を低減又は抑制することができる。ミスト防止添加剤はオルガノハイドロジェンケイ素化合物、オキシアルキレン化合物、又は、1分子中に少なくとも3つのケイ素結合アルケニル基を有するオルガノアルケニルシロキサン、及び好適な触媒の反応生成物であってもよい。好適な防曇剤は、例えば、米国特許出願公開第2011/0287267号、米国特許第8,722,153号、米国特許第6,586,535号及び米国特許第5,625,023号に開示されている。
【0139】
ミスト防止添加剤の量は、剥離コーティング組成物のために選択される他の出発物質の量及び種類など、様々な要因に応じて異なる。しかし、ミスト防止添加剤の量は、剥離コーティング組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0重量%~10重量%、あるいは0.1重量%~3重量%であってもよい。
【0140】
(vii)剥離改質剤
出発物質(vii)は剥離改質剤であり、これを剥離コーティング組成物に添加して、剥離力のレベル(剥離コーティングと、それへの被着体、例えば感圧接着剤をはじめとするラベルとの間の接着力)を制御する(減少させる)ことができる。必要とされる剥離力を有する剥離コーティング組成物は、改質剤不含剥離コーティング組成物から、改質剤の濃度を調整することによって配合することができる。好適な剥離改質剤の例としては、トリメチルシロキシ末端ジメチル、フェニルメチルシロキサン共重合体が挙げられる。あるいは、剥離改質剤は、ヒドロキシル基又はアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサン樹脂と、少なくとも1つのヒドロキシル基又は加水分解性基を有するジオルガノポリシロキサンとの縮合反応生成物であってもよい。使用される場合、剥離改質剤は、例えば、出発物質(ii)100部当たり0~85重量部、あるいは25~85重量部で使用することができる。好適な剥離改質剤の例は、例えば、米国特許第8,933,177号及び米国特許出願公開第2016/0053056号に開示されている。
【0141】
(viii)直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
出発物質(viii)は、出発物質(i)とは異なる、実質的に直鎖状、あるいは直鎖状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンであり、剥離コーティング組成物に追加の架橋剤として添加することができる。実質的に直鎖状、又は直鎖状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、単位式(HR12 SiO1/2v’(HR12SiO2/2w’(R12 SiO2/2x’(R12 SiO1/2y’[式中、各R12は、独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字v’は、0、1、又は2であり、下付き文字w’は1以上であり、下付き文字x’は0以上であり、下付き文字y’は、0、1、又は2であり、但し、数量(v’+y’)=2、数量(v’+w’)≧3である]を有する。R12の一価炭化水素基は、Rの一価炭化水素基について上に記載したしたとおりであってもよい。数量(v’+w’+x’+y’)は、2~1,000であってもよい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、
i)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンコポリマー、
ii)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
iii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチルハイドロジェン)シロキサンコポリマー、及び
iv)トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、及び
v)i)、ii)、iii)、iv)、及びv)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。好適なポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。
【0142】
(ix)溶媒
出発物質(x)は、溶媒である。好適な溶媒としては、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンの製造方法において出発物質D)として上述した炭化水素が挙げられる。あるいは、溶媒は、ポリアルキルシロキサン、アルコール、ケトン、グリコールエーテル、テトラヒドロフラン、ミネラルスピリット、ナフサ、テトラヒドロフラン、ミネラルスピリット、又はこれらの組み合わせから選択されてもよい。好適な蒸気圧を有するポリアルキルシロキサンが溶媒として使用され得、これらとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、並びにDow Silicones Corporation(Midland、Michigan、U.S.A.)から市販されている、0.5~1.5cStのDOWSIL(商標)200 Fluids及びDOWSIL(商標)OS FLUIDSなどの他の低分子量ポリアルキルシロキサンが挙げられる。
【0143】
あるいは、出発物質(x)は、有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn-プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン等のケトン、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、又はエチレングリコールn-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のグリコールエーテル;ミネラルスピリット、ナフサ;又はそれらの組み合わせであり得る。
【0144】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、並びに剥離コーティング組成物のために選択される他の出発物質の量及び種類など、様々な要因に応じて異なる。しかしながら、溶媒の量は、剥離コーティング組成物中の全ての出発物質の重量に基づいて、0%~99%、あるいは2%~50%であり得る。溶媒は、例えば混合及び送達を助けるために、剥離コーティング組成物の調製中に添加することができる。溶媒の全て又は一部分は、任意選択で、剥離コーティング組成物の調製後に除去することができる。
【0145】
本明細書に記載の剥離コーティング組成物に更に添加することができる他の任意選択による出発物質としては、例えば、反応性希釈剤、芳香剤、防腐剤着色剤、及び充填剤、例えば、シリカ、石英、又はチョークが挙げられる。
【0146】
剥離コーティング組成物(及び本明細書に記載の他の硬化性組成物)の出発物質を選択する際、本明細書に記載の特定の出発物質は2つ以上の機能を有してもよいので、出発物質の種類は重複することがある。例えば、カーボンブラックといった特定の微粒子は、充填剤として、顔料などの着色剤として、更には難燃剤として有用な場合がある。追加の出発物質を剥離コーティング組成物に添加する場合、追加の出発物質は出発物質(i)~(iv)と異なり、また互いに異なる。
【0147】
あるいは、剥離コーティングは、微粒子を含まなくてもよく、又は限定された量のみの、例えば剥離コーティング組成物の0重量%~30重量%の微粒子(例えば、充填剤及び/若しくは顔料)を含有してもよい。微粒子は、剥離コーティングを適用するのに使用されるコーター装置に凝集するか、又はそうでなければ固着することがある。これらは、光学的透明性が望まれる場合、剥離コーティング及びそれを使用して形成された剥離ライナーの光学特性、例えば透明性を妨げることがある。微粒子は、被着体の接着に不利になることがある。
【0148】
あるいは、本発明の剥離コーティング組成物は、フルオロオルガノシリコーン化合物を含まなくてもよい。硬化中、その表面張力が低いために、フルオロ化合物はコーティング組成物と基材との界面、例えばポリオルガノシロキサン剥離コーティング組成物/PETフィルムの界面に急速に移行して、フッ素含有バリアを形成することによって、(剥離コーティング組成物の硬化によって調製される)剥離コーティングの基材への接着を妨害すると考えられる。バリアを作ることによって、フルオロ化合物は、任意の出発物質が界面で反応することを防止することがある。更に、フルオロシリコーン化合物は通常高価である。
【0149】
剥離組成物は、上述の(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含む出発物質を、任意の任意選択による追加の出発物質と共に、任意の添加順序にて、任意選択でマスターバッチにより、任意選択で剪断下、組み合わせることによって調製することができる。
【0150】
基材のコーティング方法
硬化性組成物によりコーティングされた基材の調製方法は、硬化性組成物を基材上に配置する工程を含む。方法は、硬化性組成物を基材上で硬化する工程を更に含む。硬化を、高温、例えば、50℃~180℃、あるいは50℃~120℃、あるいは50℃~90℃で加熱することによって実施して、コーティングされた基材を得ることができる。当業者であれば、硬化性組成物における任意選択による出発物質及び構造体の基材物質の選択など、様々な要因に応じて適切な温度を選択することができるであろう。
【0151】
硬化性組成物は、任意の好適な様式で基材上に配置又は分配することができる。典型的には、硬化性組成物はウェットコーティング技術により、ウェット形態で適用される。硬化性組成物は、i)スピンコーティング、ii)ブラシコーティング、iii)ドロップコーティング、iv)スプレーコーティング、v)ディップコーティング、vi)ロールコーティング、vii)フローコーティング、viii)スロットコーティング、ix)グラビアコーティング、x)メイヤーバーコーティング、又はxi)i)~x)のうちのいずれか2つ以上の組み合わせによって適用することができる。典型的には、硬化性組成物を基材上に配置することにより、基材上にウェット付着物がもたらされ、これがその後硬化されて、基材上に硬化性組成物から形成され硬化したフィルムを含むコーティングされた基材が得られる。
【0152】
基材は限定されず、任意の基材であってもよい。硬化したフィルムは、基材から分離可能であってもよく、又はその選択に応じて、物理的及び/又は化学的に基材に結合されていてもよい。基材は、付着物を硬化するための、一体型ホットプレート又は一体型若しくは独立型の炉にかけられてもよい。基材は、任意選択的に、連続的又は非連続的な形状、サイズ、寸法、表面粗さ、及び他の特性を有してもよい。あるいは、基材は、高温の軟化点温度を有してもよい。しかしながら、硬化性組成物及び方法は、そのようには限定されない。
【0153】
あるいは、基材は、熱硬化性及び/又は熱可塑性であってもよいプラスチックを含んでもよい。しかし、あるいは、基材は、ガラス、金属、紙、木材、厚紙、板紙、シリコーン、若しくはポリマー物質、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0154】
好適な基材の具体例としては、クラフト紙、ポリエチレンコーティングクラフト紙(PEKコーティング紙)、普通紙などの紙基材;ポリアミド(polyamide、PA)などのポリマー基材;ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、液晶ポリエステルなどのポリエステル;ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリブチレンなどのポリオレフィン;スチレン樹脂;ポリオキシメチレン(polyoxymethylene、POM);ポリカーボネート(polycarbonate、PC);ポリメチレンメタクリレート(polymethylenemethacrylate、PMMA);ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC);ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS);ポリフェニレンエーテル(polyphenylene ether、PPE);ポリイミド(polyimide、PI);ポリアミドイミド(polyamideimide、PAI);ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI);ポリスルホン(polysulfone、PSU);ポリエーテルスルホン;ポリケトン(polyketone、PK);ポリエーテルケトン;ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA);ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK);ポリエーテルケトンケトン(polyetherketoneketone、PEKK);ポリアリレート(polyarylate、PAR);ポリエーテルニトリル(polyethernitrile、PEN);フェノール樹脂;フェノキシ樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロハンなどのセルロース;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化樹脂;ポリスチレン型、ポリオレフィン型、ポリウレタン型、ポリエステル型、ポリアミド型、ポリブタジエン型、ポリイソプレン型、フルオロ型などの熱可塑性エラストマー;並びにこれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。
【0155】
硬化性組成物、又はウェット付着物は、典型的には、ある時間にわたり、高温で硬化される。時間は、典型的には、硬化性組成物の硬化、すなわち架橋をもたらすのに十分である。時間は、0超~8時間、あるいは0超~2時間、あるいは0超~1時間、あるいは0超~30分、あるいは0超~15分、あるいは0超~10分、あるいは0超~5分、あるいは0超~2分であってもよい。時間は、使用される高温、選択される温度、所望のフィルム厚さ、硬化性組成物中の任意の水又はキャリアビヒクルの非存在の存在など、様々な要因に応じて異なる。
【0156】
硬化性組成物を硬化させることは、典型的には、0.1秒~50秒、あるいは1秒~10秒、あるいは0.5秒~30秒の滞留時間を有する。選択される滞留時間は、基材の選択、選択される温度、及びライン速度に応じて異なり得る。本明細書で使用するとき、滞留時間は、硬化性組成物又はウェット付着物が高温にさらされる時間を指す。滞留時間は、硬化性組成物、ウェット付着物、又はその部分的に硬化した反応中間体が、典型的には硬化を開始する高温にさらされなくなった後であっても進行中の硬化がある場合があるので、硬化時間とは区別される。あるいは、コーティングされた物品は、オーブン内のコンベヤーベルト上で調製することができ、滞留時間は、オーブンの長さ(例えばメートル単位)をコンベヤーベルトのライン速度(例えば、メートル/秒)で割ることによって計算することができる。
【0157】
時間は、硬化の反復、例えば、第1の硬化及び後硬化に細分することができ、第1の硬化は、例えば1時間であり、後硬化は、例えば3時間である。高温は、このような反復において、室温を上回る任意の温度から、独立して選択されてもよく、各反復において同じであってもよい。
【0158】
フィルム及びコーティング基材の厚さ及び他の寸法に応じて、コーティング基材は、反復プロセスを介して形成することができる。例えば、第1の付着物を形成し、第1の高温に第1の時間にわたってさらして、部分的に硬化した付着物を得ることができる。次いで、第2の付着物を、上述の部分的に硬化した付着物上に配置し、第2の高温に第2の時間にわたってさらして、第2の部分的に硬化した付着物を得ることができる。この部分的に硬化した付着物はまた、第2の高温に第2の時間にわたってさらされる間に更に硬化する。第3の付着物を、第2の部分的に硬化した付着物上に配置し、第3の高温に第3の時間にわたってさらして、第3の部分的に硬化した付着物を得ることができる。第2の部分的に硬化した付着物はまた、第2の高温に第2の時間にわたってさらされる間に更に硬化する。このプロセスを、コーティングされた物品を所望どおりに構築するために、例えば1~50回繰り返すことができる。部分的に硬化した層の複合体は、最終後硬化、例えば、上述の高温及び時間にさらされ得る。各高温及び時間は独立して選択されてもよく、互いに同じであっても異なっていてもよい。物品が反復プロセスを介して形成されるとき、各付着物も、独立して選択されてもよく、硬化性組成物において選択される出発物質、それらの量、又は両方が異なってもよい。あるいは、更に、各反復層は、このような反復プロセスにおいて部分的に硬化されるだけというよりも、完全に硬化され得る。
【0159】
あるいは、付着物は、ウェットフィルムを含んでもよい。あるいは、反復プロセスは、部分的に硬化した層の硬化状態に応じて、ウェットオンウェットであってもよい。あるいは、反復プロセスは、ウェットオンドライであってもよい。
【0160】
基材上に硬化性組成物から形成されたフィルムを備えるコーティング基材は、フィルム及び基材の相対厚さを含む様々な寸法を有してもよい。フィルムは、最終用途に応じて変化し得る厚さを有する。フィルムは、0超~4,000μm、あるいは0超~3,000μm、あるいは0超~2,000μm、あるいは0超~1,000μm、あるいは0超~500μm、あるいは0超~250μmの厚さを有してもよい。しかしながら、他の厚さ、例えば、0.1~200μmも想到される。例えば、フィルムの厚さは、0.2~175μm、あるいは、0.5~150μm、あるいは、0.75~100μm、あるいは、1~75μm、あるいは、2~60μm、あるいは3~50μm、あるいは、4~40μmであってもよい。あるいは、基材がプラスチックである場合、フィルムは、0超~200μm、あるいは0超~150μm、あるいは0超~100μmの厚さを有してもよい。
【0161】
所望であれば、フィルムは、その最終用途に応じて、更なる処理を受けることができる。例えば、フィルムは、酸化物付着(例えば、SiO付着)、レジスト付着、及びパターニング、エッチング、化学ストリッピング、コロナ若しくはプラズマストリッピング、金属被覆、又は金属付着を受けることができる。このような更なる処理技術は、全般的に既知である。このような付着は、化学蒸着(低圧化学蒸着、プラズマ増強化学蒸着、及びプラズマ支援化学蒸着等)、物理蒸着、又は他の真空蒸着技術であってもよい。多くのこのような更なる処理技術は、高温、特に真空蒸着を伴い、優れた熱的安定性を考慮すると、これに対してフィルムは十分に適している。しかしながら、フィルムの最終用途に応じて、このような更なる処理によりフィルムを利用することができる。
【0162】
コーティング基材は、多様な最終用途に利用することができる。例えば、コーティング基材は、コーティング用途、包装用途、接着剤用途、繊維用途、布地又は織物用途、建築用途、輸送用途、エレクトロニクス用途、又は電気用途に利用することができる。しかしながら、硬化性組成物は、コーティング基材を調製する以外の最終用途、例えばシリコーンゴムなどの物品の調製に利用することができる。
【0163】
あるいは、コーティング基材は、例えば、アクリル樹脂型感圧接着剤、ゴム型感圧接着剤、及びシリコーン型感圧接着剤、並びにアクリル樹脂型接着剤、合成ゴム型接着剤、シリコーン型接着剤、エポキシ樹脂型接着剤、及びポリウレタン型接着剤などの任意の感圧接着剤を含む、テープ又は接着剤用の剥離ライナーとして利用することができる。基材の各主表面は、両面テープ又は接着剤のためにその上に配置されたフィルムを有し得る。
【0164】
あるいは、硬化性組成物が剥離コーティング組成物として配合される場合、剥離コーティング組成物を、出発物質を一緒に混合することによって調製して、例えば、一部型組成物を調製することができる。しかし、SiH官能基を有する出発物質(例えば、出発物質(i))、ヒドロシリル化反応触媒が、別個の部に、その部が使用時(例えば、基材への適用直前)に組み合わされるまで保存される、複数部型組成物として、剥離コーティング組成物を調製することが望ましい場合がある。
【0165】
例えば、複数部型組成物は:
(A)部ベース部であって、(ii)1分子中に平均して少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン、(iii)ヒドロシリル化反応触媒、並びに存在する場合、アンカー添加剤及び溶媒のうちの1つ以上を含む、ベース部と、
(B)部硬化剤部であって、(ii)1分子中に平均して少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン、(i)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン、及び存在する場合(viii)実質的に直鎖状、又は直鎖状のポリオルガノハイドロジェンシロキサン、アンカー添加剤、溶媒を含む、硬化剤部と、を含んでもよい。出発物質(iv)阻害剤は、(A)部、(B)部のいずれか、又はその両方に添加することができる。(A)部と(B)部とは、(A):(B)の重量比で1:1~10:1、あるいは1:1~5:1、あるいは1:1~2:1で合わせてもよい。(A)部及び(B)部は、例えば、剥離コーティング組成物を調製するために部を組み合わせる方法、剥離コーティング組成物を基材に適用する方法、及び剥離コーティング組成物を硬化する方法についての説明書と共に、キットに提供することができる。
【0166】
あるいは、アンカー添加剤が存在する場合、アンカー添加剤は、(A)部若しくは(B)部のいずれかに組み込むことができ、又は別個の(第3の)部に添加することができる。
【0167】
あるいは、剥離コーティング組成物は、
1)ii)1分子中に平均して少なくとも2つのケイ素結合脂肪族不飽和炭化水素基を有するポリオルガノシロキサン、(i)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン、(iii)ヒドロシリル化反応触媒、(iv)阻害剤、並びに任意選択で、(v)アンカー添加剤、(vi)ミスト防止添加剤、(vii)剥離制御剤、(viii)直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び(ix)溶媒のうちの1つ以上を含む、出発物質を混合し、それにより、剥離コーティング組成物を形成する工程と、
2)混合物を基材上に適用する工程と、を含む、方法によって調製することができる。工程1)は、上述のように、複数部型組成物の(A)部及び(B)部を混合することによって実施することができる。
【0168】
剥離コーティング組成物は、スプレー、ドクターブレード、ディッピング、スクリーン印刷などの任意の簡便な手段によって、又はロールコーター、例えば、オフセットウェブコーター、キスコーター、若しくはエッチングされたシリンダーコーターによって基材に適用することができる。
【0169】
本発明の剥離コーティング組成物は、上述のもの等の任意の基材に適用することができる。あるいは、剥離コーティング組成物は、ポリマーフィルム基材、例えばポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリスチレンフィルムに適用することができる。剥離コーティング組成物は、あるいは、プラスチックコーティング紙、例えば、ポリエチレンでコーティングされた紙、グラシン、スーパーカレンダー紙、又はクレーコーティングクラフトをはじめとする、紙基材に適用することができる。剥離コーティング組成物は、あるいは、金属箔基材、例えばアルミニウム箔に適用することができる。
【0170】
方法は、3)基材を処理した後、剥離コーティング組成物を基材上にコーティングする工程を更に含んでもよい。基材の処理は、プラズマ処理又はコロナ放電処理等の任意の簡便な手段によって実施することができる。あるいは、基材は、プライマーを適用することによって処理することができる。特定の場合では、基材を処理した後、コーティングする場合、剥離コーティングの固着性を改善することができる。
【0171】
剥離コーティング組成物が溶媒を含む場合、方法は、4)溶媒の全て又は一部分を除去するのに十分な時間、50℃~100℃で加熱することなどの任意の従来の手段によって実施することができる、溶媒を除去する工程を更に含んでもよい。方法は、5)剥離コーティング組成物を硬化して、剥離コーティングを基材の表面上に形成する工程を更に含んでもよい。硬化は、100℃~200℃で加熱するなどの任意の従来の手段によって実施することができる。
【0172】
製造コーター条件下で、硬化は、120°℃~150°℃の空気温度で、1秒~6秒、あるいは1.5秒~3秒の滞留時間で行うことができる。工程4)及び/又は5)の場合の加熱は、オーブン、例えば、空気循環オーブン若しくはトンネル炉内で、又は加熱されたシリンダーの周囲にコーティングされたフィルムを通すことによって実施することができる。
【実施例
【0173】
これらの実施例は、本発明を例示することを目的とするものであり、請求項に記載の本発明の範囲を制限するものとして解釈するべきではない。表1並びに参考例1及び2に記載されている出発物質を、本明細書の実施例で使用した。
【0174】
【表1】
【0175】
参考例1-一般的な手順
特に明記されない限り、化学物質の全ての実験手順及び操作は、窒素パージしたグローブボックス内又はシュレンクライン上で実行した。全てのバルク反応溶媒(トルエン、ジエチルエーテル、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF))は、アルミナ及びQ5反応性スカベンジャーのカラムを通過させることによって乾燥させた。他の全ての溶媒を、Aldrichの無水グレードから購入し、使用前に活性化された3Å分子ふるいの上で保存した。Cambridge Isotope Laboratories,Inc.から得たNMR溶媒(CDCl、CDCl、及びC)は、活性3Å分子ふるいで乾燥させるか、又はCの場合、Na/K合金を使用して乾燥させた。1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ブロモ-2,6-ジフルオロベンゼン、1-ブロモ-2,4,6-トリフルオロベンゼン、及び1-ブロモ-4-トリフルオロメチルベンゼンは、Oakwood Chemicalから購入した。1-ブロモ-2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルベンゼンはAlfa Aesarから購入した。FABはTCIから購入した。他の全ての試薬を、Sigma-Aldrichから購入し、受け取ったままの状態で使用した。指示薬として1,10-フェナントロリンを有するトルエン中1.00Mのデカノールを使用して、n-ブチルリチウム(ヘキサン中の溶液)を使用前に滴定した。
Watson,S.C.;Eastham,J.F.「Colored indicators for simple direct titration of magnesium and lithium reagents」,J.Organomet.Chem.,1967,9,165-168。
【0176】
多核NMRスペクトル(H、13C、19F、29Si、11B)は、次のVarian MR-400又はVarian VNMRS-500のうちの1つの機器で収集した。11B NMRスペクトルは、VarianVNMRS-500のみで収集した。H及び13C NMR化学シフトは、残留溶媒ピークに対する百万分率で参照された。H-CDClでは5.32ppm、Cでは7.15ppm、CDClでは7.25ppm、13C-CDClでは54.00ppm、Cでは128.00ppm、CDClでは77.00ppm。11B NMR化学シフトは、BF(EtO)(0ppm)に対して外部参照され、19F NMR化学シフトは、CFCl(0ppm)に対して外部参照された。ドライアイス又は氷が唯一の冷却手段である場合を除いて、亜周囲反応温度を、微細なJKEMセンサーPTFEワイヤーK 36INJを備えた、Extech Instruments EasyView(商標)10 Dual KモデルEA 10温度計を使用して測定した。
【0177】
参考例2-合成手順-出発物質の調製
リチウム(ジエチルエーテラート)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)トリイソプロポキシボレートの調製は、以下のように行った。
【0178】
【化13】
【0179】
1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(18.52g、63.19mmol)のジエチルエーテル(200mL)冷(-78℃、CO(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(23.0mL、ヘキサン中2.61M、60.03mmol)を撹拌しながら添加した。反応混合物を-78℃で3時間撹拌し、沈殿物を形成した。エーテル(20mL)中トリイソプロピルボレート(11.86g、63.06mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで周囲温度まで温め、1時間撹拌してわずかに濁った溶液を得た。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、固体を得た。得られた固体をヘキサンで粉砕し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を無色粉末として得た。収量:23.16g、94.53%。化合物は、最初にそのエーテル付加物として単離された。
【0180】
H NMR(500MHz,THF-d)δ8.15(s,2H),7.57(s,1H),3.79(p,J=6.1Hz,3H),0.95(d,J=6.1Hz,18H).13C NMR(126MHz,THF-d)δ159.12,134.71,128.90(q,J=31.3Hz),125.91(q,J=271.8Hz),118.70,67.41(dtd,J=44.2,22.2,2.9Hz),61.67,26.53(d,J=17.7Hz),25.28(dtd,J=40.4,20.1,3.0Hz).19F NMR(470MHz,THF-d)δ-63.02.11B NMR(160MHz,THF-d)δ3.84。
【0181】
(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ジイソプロポキシボランの調製は、以下のように行った。
【0182】
【化14】
【0183】
ジエチルエーテル(100mL)中のリチウム(ジエチルエーテラート)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)トリイソプロポキシボレート(8.00g、19.6mmol)の溶液に、塩化水素溶液(12.3mL、エーテル中2M、24.6mmol)を添加すると、沈殿物がただちに形成された。反応混合物を2時間撹拌し、濾過して、揮発物を減圧下で除去した。生じた残留物をヘキサンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を油として得た。収量:5.10g、76.1%。
【0184】
H NMR(500MHz、クロロホルム-d)δ8.01(d,J=1.9Hz,2H),7.89(dt,J=2.0,1.0Hz,1H),4.59(hept,J=6.1Hz,1H),1.27(d,J=6.2Hz,6H).13C NMR(126MHz,クロロホルム-d)δ134.19,132.85(td,J=3.7,1.9Hz),130.85(q,J=32.9Hz),123.67(d,J=272.6Hz),123.04(hept,J=3.9Hz),67.00,24.58.19F NMR(470MHz,クロロホルム-d)δ-63.34.11B NMR(160MHz,クロロホルム-d)δ26.66。
【0185】
リチウム(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ジイソプロポキシボレートの調製は、以下のように行った。
【0186】
【化15】
【0187】
1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(4.26g、14.5mmol)のジエチルエーテル(200mL)冷(-78℃、CO(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(5.30mL、ヘキサン中2.61M、60.0mmol)を撹拌しながら添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、沈殿物を形成した。エーテル(15mL)中(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ジイソプロキシボラン(4.82g、14.1mmol)を、緩徐に添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し(いくつかの固体を視認)、次いで周囲温度まで温め、一晩撹拌して、透明な溶液を得た。揮発物を減圧下で除去して、結晶のように見える固体を得た。固体をヘキサン中に溶解させ、溶液を濾過し、週末にかけて冷凍庫内に入れた。大量の結晶性物質が形成された。上清をデカントし、揮発物を減圧下で除去して、無色の結晶性物質を得た。収率:8.23g、93.5%。
【0188】
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ7.99(d,J=1.9Hz,2H),7.74(dt,J=1.8,1.0Hz,1H),3.81(q,J=7.1Hz,2H),3.35(hept,J=6.1Hz,1H),1.45(t,J=7.1Hz,3H),0.78(d,J=6.1Hz,6H).13C NMR(101MHz,クロロホルム-d)δ153.43,134.19-133.42(m),129.51(q,J=31.9Hz),124.42(q,J=272.4Hz),119.68(hept,J=4.0Hz),66.83,63.03,25.48,14.66.19F NMR(376MHz,クロロホルム-d)δ-63.05.11B NMR(160MHz,クロロホルム-d)δ5.12。
【0189】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボランの調製を、以下のように行った。
【0190】
【化16】
【0191】
ジエチルエーテル(100mL)中のリチウム(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ジイソプロポキシボレート(5.00g、7.86mmol)の溶液に、塩化水素溶液(5.5mL、エーテル中2M、11mmol)を添加すると、沈殿物がただちに形成された。反応混合物を1時間撹拌し、揮発物を減圧下で除去した。残留物をヘキサンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を無色粉末として得た。収量:3.98g、102%(いくつかの残留溶媒が存在)。
【0192】
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ8.00(ddd,J=2.2,1.4,0.7Hz,2H),7.98(dq,J=1.9,0.6Hz,4H),4.54(hept,J=6.1Hz,1H),1.37(d,J=6.1Hz,6H).13C NMR(101MHz,クロロホルム-d)δ138.42,133.32,131.36(q,J=33.2Hz),124.39(p,J=3.8Hz),123.39(d,J=272.8Hz),71.74,24.62.19F NMR(376MHz,クロロホルム-d)δ-63.33.11B NMR(160MHz,クロロホルム-d)δ41.80。
【0193】
合成手順-触媒の調製
触媒試料C1、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物を以下のように調製した。
【0194】
リチウムイソプロポキシトリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの調製
【0195】
【化17】
【0196】
1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(3.76g、12.8mmol)のジエチルエーテル(150mL)冷(-78℃、CO(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(5.00mL、ヘキサン中2.5M、12.7mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。エーテル(10mL)中イソプロポキシビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(6.29g、12.7mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで温めながら一晩撹拌して、透明な非常に淡い黄色の溶液を得た。揮発物を減圧下で除去して、結晶性固体を得た。固体を最小の沸騰エーテル中に溶解させ、溶液を冷凍庫内に置いた。一晩冷却した後、形成された結晶から上清をデカントし、結晶を減圧下で乾燥させて6.74gを得た。上清溶液を濃縮し、冷凍庫で一晩冷却して、結晶性物質の第2の収穫物(1.54g)を得た。総収量:8.28g、75.6%。
【0197】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ8.09(s,6H),7.74(s,3H),3.71(p,J=6.1Hz,1H),2.97(q,J=7.0Hz,10H),0.70(t,J=7.1Hz,15H),0.67(d,J=6.2Hz,6H).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ157.09,133.79,130.75(q,J=32.0Hz),124.71(q,J=272.8Hz),119.91(p,J=4.2Hz),65.91,65.00,25.47,14.11.19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-62.76.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ1.56。
【0198】
トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物の調製
【0199】
【化18】
【0200】
エーテル(100mL)中のリチウムイソプロポキシトリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート(6.700g、7.75mmol)の溶液に、クロロトリメチルシラン(2.0mL、1.71g、15.8mmol)を添加した。反応混合物を週末にかけて撹拌した。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を無色の固体、4.80g、95.2%として得た。
【0201】
固体の一部(4.041g)をエーテル(100mL)に溶解し、THF(5mL)を添加した。揮発物を減圧下で反応混合物から除去した。残留物をベンゼンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で反応混合物から除去して、THF-付加物生成物を無色の固体、4.10g、91.3%として得た。
【0202】
THF付加物:H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ7.80-7.78(m,6H),7.72(dq,J=1.8,0.9Hz,3H),2.90-2.83(m,4H),0.57-0.49(m,4H).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ148.11,133.40,131.38(q,J=32.5Hz),124.21(q,J=272.8Hz),121.37(p,J=4.1Hz),74.14,23.94(d,J=2.7Hz).19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-62.95.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ11.84。
【0203】
触媒試料C2、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物を以下のように調製した。
【0204】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランの調製
【0205】
【化19】
【0206】
1-ブロモ-4-トリフルオロメチルベンゼン(2.750g、12.22mmol)のジエチルエーテル(200mL)冷(-78℃、CO(s)/アセトン浴)溶液に、n-ブチルリチウム(4.70mL、ヘキサン中2.535M、11.9mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で3時間撹拌した。ジエチルエーテル(15mL)中イソプロポキシビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(5.910g、11.91mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで撹拌しながら一晩加温して、微量の沈殿物を有する黄色の透明な溶液を得た。溶媒を減圧下で除去して、濃厚黄色油を得た。油をヘキサン(100mL)と共に高速で一晩撹拌した(多少の曇りが生じる)。ヘキサン層をデカントで除去し、濾過して、揮発物を減圧下で除去した。油層をヘキサンで再び抽出し、プロセスを数回繰り返した。溶解しなかった少量の油を廃棄した。揮発物を濾液から減圧下で除去して、黄色油を得た。油をジエチルエーテル(100mL)に溶解し、トリメチルシリルクロリド(TMSCl、1.5g、13.8mmol)を添加した。30分以内に多量の沈殿物が形成された。反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、ペースト状のベージュ色スラッジを得た。NMRスペクトルはほぼ完全な反応を示した。生成物をエーテルに溶解し、更なるTMSClを添加した(0.4mL)。数時間撹拌した後、揮発物を減圧下で除去した。残留物をベンゼンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去してペースト状固体を得た。H NMR分光法は、いくつかのイソプロピル基及び多少のエーテルをなお示した。残留物をエーテルに溶解し、少量のTMSCl(0.2mL)を添加し、反応混合物を数時間撹拌した。数ミリリットルのTHFを添加し、揮発物を減圧下で除去した。生成物をベンゼンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を白色固体(5.370g、68.90%)として得た。
【0207】
ボラン-THF錯体のNMRスペクトル:H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ7.83(s,4H),7.78(tq,J=1.7,0.8Hz,2H),7.41(dq,J=7.4,0.8Hz,2H),7.07(dq,J=7.5,0.9Hz,2H),3.04-2.96(m,4H),0.70-0.62(m,4H).13C NMR(126MHz,ベンゼン-d)δ149.08,148.88,134.18,133.62(d,J=3.8Hz),131.11(q,J=32.4Hz),129.94(q,J=32.1Hz),125.06(d,J=272.1Hz),124.92(q,J=3.8Hz),124.34(q,J=272.7Hz),121.22(dt,J=8.0,4.0Hz),73.53,24.10.19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-62.56(s,3F),-62.78(s,12F).11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ18.54。
【0208】
触媒試料C3、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物を以下のように調製した。
【0209】
リチウムビス(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)-イソプロポキシボレートの調製
【0210】
【化20】
【0211】
パージされたグローブボックス内で、2.06g(9.78mmol)の1-ブロモ-2,4,6-トリフルオロベンゼンを、250mLのシュレンクフラスコ内の80mLのジエチルエーテルと混合した。テフロンでコーティングされた撹拌棒を無色の溶液に追加し、グローブボックスから取り出す前にフラスコをゴム製セプタムで密閉した。ドラフト内で、フラスコを窒素ラインに接続し、ドライアイス/アセトン浴(-78℃)に20分間置いて、冷却した。ヘキサン中n-ブチルリチウムの2.5Mの溶液(4.3mL、10.8mmol)を、シリンジを介して冷溶液に添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。20mLのジエチルエーテル中4.85gのビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボランの溶液をグローブボックス内で調製し、シリンジ内に吸い上げた。-78℃で冷アリールリチウム溶液を含有するフラスコに溶液を注入し、混合物をこの温度で30分間撹拌した。ドライアイス/アセトン浴を除去し、反応混合物を一晩撹拌しながら室温まで緩徐に温めた。翌朝、全ての揮発物を真空下で除去して、粘着性の黄色固体を得た。フラスコをグローブボックスに戻し、粘着性の黄色物質を1)80mLのペンタン、2)80mLのヘキサン、及び3)60mLの50/50エーテル/ヘキサン混合物で抽出した。3つ全ての溶液をグローブボックス冷凍庫に一晩(-40℃)置き、白色の結晶性物質を溶液から沈殿させた。結晶性物質を濾過によって収集し、冷ペンタン(-40℃)で洗浄し、真空下で1時間乾燥させた。総収率:5.29g(不純、約5.5mmolの所望のリチウム塩、56%)。純粋な物質が得られなかったことに留意されたい。リチウム塩がイソプロポキシボラン出発物質(回収された固体物質のバッチに応じて12%~22%汚染)で汚染されていた。単離された物質を更に精製せずに、反応の次の工程に進むことが決定された。
【0212】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ8.26(s,4H,ortho-ArCH),7.80(s,2H,para-ArCH),6.22-6.07(m,2H,ortho-ArCH),3.68(hept,J=5.8Hz,1H,CH(CH),3.07(q,J=7.1Hz,8H,OCH),0.81(t,J=7.1Hz,12H,OCHCH),0.67(d,J=6.2Hz,6H,CH(CH).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ166.2(ddd,J=231.3,22.4,14.0Hz,ArC),162.3(dt,J=247.1,20.2Hz,ArC),159.5(br s,ArC),157.3(br s,ArC),133.8(s,ortho-ArCH),130.7(q,J=31.9Hz,ArC-CF),125.5(q,J=272.4Hz,CF),119.9(p,J=4.0Hz,para-ArCH),101.0(ddd,J=36.6,24.0,3.7Hz,meta-ArCH),65.9(s,OCH(CH),65.8(s,OCHCH),25.7(s,OCH(CH),14.7(s,OCHCH).19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-62.7(s,12F,CF),-104.4(br s,2F,ortho-ArF),-112.3(m,1F,para-ArF)。
【0213】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロボラン)の調製
【0214】
【化21】
【0215】
パージされたグローブボックス内で、3.30g(78%純度、3.29mmol)のホウ酸リチウム塩を60mLのジエチルエーテルに溶解して無色の溶液を形成した(注:ホウ酸リチウム塩は22%ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボランで汚染された)。クロロトリメチルシラン(1.0mL、7.9mmol)を、室温の溶液に撹拌しながら添加した。反応の即時の徴候はなかった。混合物を室温で一晩撹拌した。翌朝、多量のLiCl沈殿物がフラスコ内で形成された。反応混合物のアリコートを取り出し、19F NMR分光法によって分析して、反応が完了したことを確認した。反応混合物をセライトで濾過して、LiClを除去し、濾液を圧送して乾燥させた。得られた粘着性の白色固体を80~90mLのヘキサンで抽出し、再度濾過した。ヘキサン溶液をグローブボックス冷凍庫に一晩(-40℃)置き、その時間中に白色微結晶性固体が沈殿した。固体を濾過によって収集し、5~10mLの冷ペンタン(-40℃)で洗浄し、真空下で1時間乾燥させた。多核NMR分光法によって、純粋な形態の所望の物質の形成を確認した。収量:0.992g、1.75mmol、53.2%。
【0216】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ7.88(s,6H,ArCH on CF-置換環),6.03(m,2H,ArCH on 2,4,6-トリフルオロフェニル環).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ167.4(dt,J=257.6,16.2Hz,para-ArCF),166.2(dt,J=253.5,15.2Hz,ortho-ArCF),142.8(br s,ArC),137.5(d,J=3.0Hz,ortho-ArCH),132.1(q,J=33.4Hz,ArC-CF),126.9(pent,J=4.0Hz,para-ArCH),124.1(q,J=273.0Hz,CF),112.6(br s,ArC),101.6(ddd,J=29.0,24.9,3.7Hz,meta-ArCH).19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-63.1(s,12F,CF),-92.4(m,2F,ortho-ArCF),-98.5(s,1F,para-ArCF).11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ62.9(broad s)。
【0217】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロボラン)のTHF付加物の調製
【0218】
【化22】
【0219】
パージしたグローブボックス内で、0.992g(1.75mmol)のビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランを、110mLのガラス瓶内に秤量し、50mLのTHF中に溶解させた。THFを撹拌しながら真空下で除去して、白色固体を得た。固体を40mLのペンタンで粉砕して、任意の非配位THFの除去を補助した。白色の固体は、多核NMR分光法によってビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランのモノTHF付加物として特徴付けられた。収量:0.969g、1.51mmol、86.3%。
【0220】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ7.96(s,4H,ortho-ArCH),7.79(s,2H,para-ArCH),6.16(t,J=8.0Hz,2H,meta-ArCH),3.10(m,4H,OCH),0.79(m,4H,CH).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ165.3(ddd,J=245.4,17.7,14.3Hz,ortho-ArCF),163.9(dd,J=249.5,16.2Hz,para-ArCF),148.4(br s,ArC),134.0(s,ortho-ArCH),131.4(q,J=32.4Hz,ArC-CF),121.8(m,para-ArCH),124.8(q,J=272.7Hz,CF),101.3(ddd,J=32.8,24.2,3.2Hz,meta-ArCH),72.6(s,OCH),24.8(s,CH).19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-62.8(s,12F,CF),-96.9(s,2F,ortho-ArCF),-108.5(s,1F,para-ArCF).11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ13.2(broad s)。
【0221】
触媒試料C4、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)THF付加物を以下のように調製した。
【0222】
リチウムビス(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)イソプロポキシボレートの調製
【0223】
【化23】
【0224】
ジエチルエーテル(100mL)中1-ブロモ-2,6-ジフルオロベンゼン(1.46g、7.56mmol)の冷(-78℃、CO(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(3.00mL、ヘキサン中2.48M、7.44mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、エーテル(10mL)中のビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボラン(3.69g、7.44mmol)の溶液を緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで温める間に、沈殿物が形成された。反応混合物が室温に達するまでには、沈殿物は溶解して、透明な溶液が得られ、これを数時間撹拌した。溶液を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、結晶のように見える固体を得た。固体を最小の沸騰エーテル中に溶解させ、溶液をグローブボックス冷凍庫(-33℃)内に置いた。一晩冷却した後、形成された結晶から上清をデカントした。結晶を減圧下で乾燥させた。収量:6.85g、88.4%。
【0225】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ8.31(s,4H),7.77(tt,J=2.0,0.9Hz,2H),6.60(dq,J=8.8,7.5Hz,1H),6.47-6.41(m,2H),3.71(hept,J=6.2Hz,1H),3.05(qd,J=7.1,0.7Hz,8H),0.82(td,J=7.1,0.6Hz,12H),0.68(d,J=6.2Hz,6H).13C NMR(126MHz,ベンゼン-d)δ164.45(dd,J=249.6,11.3Hz),142.11,137.21,136.78(t,J=3.8Hz),135.51(t,J=10.8Hz),131.28(q,J=33.3Hz),126.10(p,J=3.8Hz),123.30(q,J=273.1Hz),111.72-111.40(m),73.82,65.57,15.11,2.57.19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-62.64,-106.66.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ0.68(s)。
【0226】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランのTHF付加物の調製
【0227】
【化24】
【0228】
リチウムビス(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)イソプロポキシボレート(5.85g、10.6mmol)をエーテル(150mL)に溶解し、クロロトリメチルシラン(3.00mL、23.6mmol)を周囲温度で溶液に添加した。15分以内に沈殿物が形成され始めた。反応混合物を週末にわたって撹拌した。月曜日までには、揮発物が蒸発した(非密閉容器)。無色の固体をエーテルで抽出し、濾過した。揮発物を減圧下で除去して、生成物を無色の固体4.98gとして得た。NMRスペクトルは純粋なボランを示したが、モノエーテラート錯体に必要なエーテルの約86%のみであった。生成物をエーテル中に溶解させて、濁った溶液を得た。THF(6mL)を添加すると、溶液は透明になった。揮発物を減圧下で除去して、ガラス状の固体を得た。残留物をベンゼンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して白色の固体を得た。収量=4.63g、69.9%。
【0229】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ8.02(d,J=1.8Hz,2H),7.77(dq,J=1.9,0.9Hz,1H),6.71-6.60(m,0H),6.48(t,J=8.4Hz,1H),3.17-3.09(m,2H),0.77-0.68(m,2H).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ164.82(dd,J=243.3,14.1Hz),147.95,133.82,133.30,130.91(d,J=32.4Hz),124.41(q,J=272.8Hz),121.40(q,J=3.9Hz),112.57-111.60(m),73.58,24.03(d,J=3.3Hz).19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-62.80,-99.69(t,J=7.5Hz).11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ12.2(s)。
【0230】
触媒試料C5、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランを以下のように調製した。
【0231】
リチウムイソプロポキシビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの調製
【0232】
【化25】
【0233】
1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(3.00g、10.24mmol)のジエチルエーテル(200mL)冷(-78℃、CO(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(4.00mL、ヘキサン中2.535M、10.14mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。エーテル(18mL)中イソプロポキシビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(5.036g、10.15mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を-78℃で数時間撹拌した。溶液を一晩撹拌しながら周囲温度まで温めて、淡黄色の透明の溶液を得た。反応混合物から揮発物を除去して、黄色の油を得た。油をベンゼンで抽出した。不溶物はなかった。反応混合物から揮発物を除去して、黄色の油を得た。収量は7.88g、98.3%であった。
【0234】
H NMR(400MHz,ベンゼンe-d)δ8.06(s,1H),8.00(s,4H),7.70(dt,J=1.8,0.9Hz,2H),7.40(d,J=8.3Hz,1H),7.19(d,J=8.4Hz,1H),3.79(hept,J=6.1Hz,1H),2.78(q,J=7.1Hz,4H),0.73(d,J=6.1Hz,6H),0.54(t,J=7.1Hz,6H).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ158.31,153.97,135.44(q,J=3.7Hz),135.23,133.55(t,J=4.1Hz),133.25,133.18,132.37(d,J=97.8Hz),130.92(q,J=32.0Hz),127.80(q,J=273.9Hz),124.92(q,J=272.5Hz),124.66(q,J=272.8Hz),123.86(q,J=3.8Hz),119.86(p,J=3.9Hz),66.24,66.17,25.60,13.94.19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-55.30--55.51(m),-62.82,-63.61.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ2.16。
【0235】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランの調製
【0236】
【化26】
【0237】
リチウム(ジエチルエーテラート)イソプロポキシ-ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-ボレート(7.88g、9.97mmol)をエーテル(150mL)に溶解した。クロロトリメチルシラン(2.6mL、20.5mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌して、無色の沈殿物を有する黄色の溶液を得た。揮発物を減圧下で除去した。残留物をヘキサン(100ml)で抽出した。混合物を濾過し、揮発物を減圧下で濃縮した。溶液を冷凍庫(-33℃)内で一晩冷却した。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、白色の粉末を得た。収量=6.0182g、92.84%。
【0238】
THFを含まない化合物:H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ7.87(s,2H),7.85(s,4H),7.29(s,1H),7.11(d,J=1.2Hz,2H).13C NMR(126MHz,ベンゼン-d)δ140.87,140.75,137.49(d,J=3.8Hz),135.11(q,J=31.7Hz),133.26(q,J=33.0Hz),132.03(q,J=33.6Hz),128.29,127.34(q,J=3.8Hz),127.11(q,J=4.0Hz),127.01(q,J=4.0Hz),124.46(q,J=274.3Hz),123.70(q,J=273.2Hz),123.49(q,J=272.9Hz).19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-56.98,-63.43,-63.47.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ64.37。
【0239】
触媒試料C6、(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランを以下のように調製した。
【0240】
リチウムジイソプロポキシ(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの調製
【0241】
【化27】
【0242】
n-ブチルリチウム(4.00mL、ヘキサン中2.535M、10.14mmol)を、1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(3.000g、10.24mmol)のジエチルエーテル(150mL)冷(-101℃~-99℃、CO(s)、次いでN(l)、メタノール浴)溶液に撹拌しながら添加した。反応混合物を約-100℃で2時間撹拌し、次いで-78℃まで温めた。エーテル(10mL)中ビス(イソプロポキシ)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(3.510g、10.26mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで撹拌しながら一晩温めた。淡黄色のほぼ透明な溶液から揮発物を減圧下で除去して、結晶のように見える固体を得た。固体をエーテル(10mL)に溶解し、冷凍庫に入れた。何も沈殿しなかった。エーテルを蒸発させ、黄色の固体をヘキサンに溶解し、濾過し、窒素流下で濃縮して結晶性固体を得た。上清を除去し、固体を減圧下で乾燥させた。第1の収穫物からの無色結晶の収量:3.318g。結晶のNMR分析は、純粋な所望の化合物を示した。上清を冷凍庫に一晩置いた。結晶性物質が形成された。上清をピペットで取り出し、廃棄した。結晶性残留物を減圧下で乾燥させた:2.017g。合計収量:5.335g、82.79%。
【0243】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ8.39(s,2H),8.26(s,1H),7.90(dq,J=1.8,0.9Hz,1H),7.56(d,J=8.2Hz,1H),7.27(ddt,J=7.9,1.7,0.8Hz,1H),3.18(hept,J=6.0Hz,2H),2.92(q,J=7.1Hz,4H),0.89(t,J=7.1Hz,6H),0.78(d,J=6.1Hz,6H),0.68(d,J=6.0Hz,6H).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ153.10,136.65(q,J=29.6Hz),134.81(dd,J=2.7Hz,1.9Hz),133.93(q,J=3.6Hz),131.93(q,J=31.6Hz),131.35,129.76(q,J=31.9Hz),127.26(q,J=274.6Hz),125.17(d,J=272.4Hz),124.89(q,J=272.8Hz),123.25(q,J=3.9Hz),119.89(p,J=3.9Hz),66.42,64.08,25.49,24.57,14.36.19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-55.79,-62.66,-63.30.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ5.32。
【0244】
イソプロポキシ(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランボランの調製
【0245】
【化28】
【0246】
エーテル(10mL)中のリチウム(ジエチルエーテラート)ジイソプロポキシ-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート(3.318g、5.21mmol)の溶液にクロロトリメチルシラン(2.0mL)を添加して、沈殿物を迅速に形成した。反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去した。NMR分析は、反応が完了したことを示した。多少の推定TMS-O-iPrエーテルも存在した。上記のように調製したリチウムジイソプロポキシ(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの第2の収穫物を同様に処理し(リチウム塩2.017g、3.17mmol;0.2mLのTMSCl)、3時間撹拌した。合せた試薬の総量:5.335g、8.39mmol;TMSCl:4.0mL、31.6mmol。第2の反応混合物を濾過し、第1の反応生成物と合わせた。揮発物を減圧下で除去した。残留物をヘキサンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下40℃で一晩除去して、生成物を黄色の油3.4703g、83.42%として得た。
【0247】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ8.05(d,J=1.8Hz,2H),7.80(d,J=2.3Hz,1H),7.34(d,J=1.9Hz,1H),7.12(d,J=6.5Hz,1H),7.10(d,J=6.7Hz,1H),3.78(hept,J=6.1Hz,1H),0.85(d,J=6.1Hz,6H).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ139.07,136.28,135.37(q,J=31.8Hz),134.93(d,J=3.9Hz),133.49(q,J=32.7Hz),131.50(q,J=33.0Hz),127.87,126.95(dq,J=7.5,3.7Hz),126.46(q,J=3.7Hz),125.41(hex,J=3.8Hz),124.57(q,J=273.9Hz),123.98(q,J=272.8Hz),123.90(q,J=273.0Hz),72.49,23.71.19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-60.31,-63.27(d,J=3.3Hz),-63.47(d,J=3.3Hz).11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ41.28。
【0248】
リチウムイソプロポキシビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの調製
【0249】
【化29】
【0250】
1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(1.800g、6.14mmol)のジエチルエーテル(150mL)冷(-78℃、CO(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(2.40mL、ヘキサン中2.535M、6.08mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。エーテル(18mL)中イソプロポキシ(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(3.022g、6.09mmol)を緩徐に添加する。反応混合物を-78℃で数時間撹拌した。溶液を周囲温度まで撹拌しながら一晩温めて、淡黄色の透明な溶液を得た。反応混合物から揮発物を除去して、黄色の油を得た。油をベンゼンで抽出した。不溶物はなかった。反応混合物から揮発物を除去して、黄色の油を得た。収量は、4.21g、87.6%であった。
【0251】
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ8.30(s,2H),8.12(s,2H),7.65(dt,J=1.7,0.9Hz,1H),7.27(d,J=8.2Hz,2H),7.08(d,J=8.2Hz,2H),3.87(hept,J=6.2Hz,1H),2.91(q,J=7.1Hz,4H),0.65(d,J=6.2Hz,6H),0.63(t,J=7.1Hz,6H).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ157.17,156.73,134.42,133.88(q,J=3.6Hz),133.04(d,J=28.4Hz),132.88(q,J=32.1Hz),129.95(q,J=31.9Hz),127.74(q,J=273.6Hz),127.33(q,J=6.9Hz),124.97(q,J=272.4Hz),124.50(q,J=273.0Hz),122.72(q,J=3.8Hz),118.78(p,J=4.1Hz),65.88,65.34,25.11,13.91.19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-56.31,-62.89,-63.76.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ2.98。
【0252】
ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランの調製
【0253】
【化30】
【0254】
ジエチルエーテル(150mL)中、リチウム(ジエチルエーテラート)イソプロポキシビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート(3.915g、4.95mmol)の溶液に、クロロトリメチルシラン(1.10mL、10.1mmol)を撹拌しながら添加した。15分以内に沈殿物が溶液中に形成された。反応混合物を一晩撹拌した。混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、3.260gの無色の固体を得た。生成物をヘキサンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を3.109g、96.53%の淡色の固体として得た。
【0255】
H NMR(500MHz,ベンゼン-d)δ7.90(s,1H),7.83(s,1H),7.66(s,3H),7.09(s,5H),7.09(s,5H).13C NMR(126MHz,ベンゼン-d)δ141.54,140.05,138.35(q,J=3.8Hz),135.84(q,J=32.0Hz),133.02(q,J=33.0Hz),132.02(q,J=33.7Hz),129.98(q,J=3.5Hz),128.29,127.91(d,J=2.4Hz),127.13(q,J=4.2Hz),124.15(q,J=274.2Hz),123.70(q,J=273.2Hz),123.37(q,J=273.2Hz).19F NMR(470MHz,ベンゼン-d)δ-56.40,-63.31,-63.58.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ67.58。
【0256】
触媒試料C7を以下のように調製した。
【0257】
トリス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランの調製
【0258】
【化31】
【0259】
この反応は、以前に報告された手順と同様に行った。イソプロピルマグネシウムクロリド-リチウムクロリド(46.0mL、58.0mmol、THF中1.26M溶液)を、ドライアイス(-76°C)で冷却したアセトン浴中にあるTHF(250mL)中1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(17.05g、58.2mmol)の溶液に添加した。添加が完了した後、反応フラスコを氷浴(0°C)に移し、反応混合物を2時間撹拌した。反応混合物を-78℃に冷却し、エーテル15mL中の三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.43mL、2.74g、19.3mmol)を添加した。反応混合物を週末にかけて撹拌しながら室温まで温めた。揮発物を溶液から除去して、12.77gの赤みがかった固体を得た。残留物をトルエンで抽出し、濾過した。揮発物を減圧下で除去して、10.75gのピンク色の粉末を得た。固体を塩化メチレンで抽出して、明紫色の溶液を得た。溶液を冷凍庫に一晩入れた。形成された非常に明るいピンクがかった結晶性物質から上清をデカントした。濾液を減圧下で乾燥させた。収量:7.0003g、55.73%。
Herrington,T.J.;Thom,A.J.W.;White,A.J.P.;Ashley,A.E.Dalton Trans.2012,41,9019。
【0260】
THを含まない生成物:H NMR(400MHz,ンゼン-d)δ7.57(s,1H),7.13(s,3H),7.08(dd,J=8.3,1.8Hz,3H).13C NMR(101MHz,ベンゼン-d)δ141.10,136.50(q,J=32.2Hz),132.81(q,J=33.1Hz),131.59(q,J=3.8Hz),128.85(q,J=3.7Hz),127.45(q,J=3.4,2.1Hz),123.93(q,J=274.6Hz),123.59(q,J=273.1Hz).19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-56.48,-63.77.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ68.81。
【0261】
触媒試料C8、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物を以下のように調製した。
【0262】
リチウム(テトラヒドロフラネート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)イソプロポキシボレートの調製
【0263】
【化32】
【0264】
n-ブチルリチウム(3.00mL、ヘキサン中2.54M、7.61mmol)を、1-ブロモ-2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルベンゼン(2.26g、7.61mmol)のジエチルエーテル(100mL)冷(-101℃~-99℃、CO(s)、次いでN(l)、メタノール浴)溶液に撹拌しながら添加した。反応混合物を-100℃で2時間撹拌し、次いで-76℃まで温める。エーテル(10mL)中ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボラン(3.78g、7.61mmol)を、反応混合物に緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで撹拌しながら一晩緩徐に温めた。翌日、淡黄色のほぼ透明の溶液を濾過し、濾液から揮発物を減圧下で除去して、結晶のように見える固体を得た。固体をヘキサンで洗浄し、濾過し、減圧下で乾燥させた。NMR分析のために固体のアリコートを除去した。固体のアリコートはベンゼンへの溶解度が限定されていた。アリコートをTHFに溶解し、揮発物を減圧下で除去し、次いでベンゼン中のNMRによって再度分析した。収量:6.16g、93.2%。
【0265】
H NMR(500MHz,ベンゼン-d)δ8.32(s,4H),7.85(s,2H),3.47(h,J=6.2Hz,1H),3.26-3.17(m,4H),1.24-1.16(m,4H),0.55(d,J=6.2Hz,6H).13C NMR(126MHz,ベンゼン-d)δ144.07(d,J=259.4Hz),134.41,133.82,133.48(d,J=187.5Hz),130.59(q,J=32.2Hz),130.45(q,J=31.8Hz),126.40-123.43(m),125.84,124.97(q,J=272.4Hz),119.94(p,J=4.0Hz),118.92(d,J=190.9Hz),109.57(d,J=22.7Hz),68.38,65.30,25.64,25.13.19F NMR(470MHz,ベンゼン-d)δ-56.26(t,J=20.7Hz),-62.59,-137.04,-141.73.11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ1.20。
【0266】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランテトラヒドロフラネート、THF付加物の調製
【0267】
【化33】
【0268】
リチウム(テトラヒドロフラネート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボレート(6.16g、7.10mmol)のジエチルエーテル(100mL)溶液に、クロロトリメチルシラン(2.00mL、18.4mmol)を撹拌しながら添加した。反応混合物を一晩撹拌した。翌日、19F NMR分光法による反応混合物のアリコートの分析によって、反応が起こらなかったことが明らかになった。エーテル中の塩化水素溶液(7.00mL、2.0M、14.0mmol)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。翌日、19F NMR分光法による反応混合物のアリコートの分析によって、反応が完了したことが明らかになった。混合物を濾過し、濾液から揮発物を減圧下で除去した結果として得られる残留物をトルエン中に溶解させ、濾過し、濾液から揮発物を減圧下で除去して、4.50gの粗生成物を得た。無色のペースト状の固体をヘキサンで洗浄し、濾過して無色の粉末を得て、これを減圧下で乾燥させた。粉末のNMR分析により、1分子のイソプロパノールがボランの配位球に残存していることが明らかになった。ボランのイソプロパノール付加物としての収量:2.45g、52.8%。
【0269】
ボランイソプロパノール付加物(1.811g)の一部をエーテル(40mL)に溶解し、THF(10mL)を溶液に添加した。溶液を緩徐に蒸発させて、大きな結晶を得るた。上清を除去し、非常に淡い黄色の結晶をヘキサンで洗浄した。結晶を減圧下で乾燥させた(1.08g)。結晶をX線結晶構造解析法によって分析し、ボランイソプロパノール付加物であることが判明した。THFは配位アルコールを置換しなかった。結晶からの上清溶液及びヘキサン洗浄液を合わせ、真空下で濃縮して、結晶の第2の収穫物(0.422g)を得た。結晶の第2の収穫物を、第1の収穫物と同じ様式で洗浄し、乾燥させた。NMR分析によって、配位したイソプロパノールの存在が示されたが、THFの存在はほとんど又は全く示されなかった。THFを添加し、次いで揮発物を減圧下で除去した。NMR分析によって、THFの存在が示されたが、なお多少のイソプロパノールの存在が示された。固体をTHFに溶解し、次いで圧送除去した。これを更に5回繰り返し、生成物のTHF付加物を白色粉末として得た。収量:0.413g、22.4%。
【0270】
THF付加物:
H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ7.87(s,4H),7.80(s,4H),3.02-2.93(m,4H),0.78-0.72(m,4H).13C NMR(126MHz,ベンゼン-d)δ147.98(td,J=16.5,3.6Hz),146.05(tt,J=11.8,4.1Hz),145.58(d,J=20.9Hz),143.50(d,J=20.1Hz),133.44,131.39(q,J=32.6Hz),124.24(q,J=272.7Hz),121.78(t,J=4.0Hz),121.45(q,J=274.4Hz),109.38-108.10(m),73.75,23.90.19F NMR(376MHz,ベンゼン-d)δ-56.57(t,J=21.0Hz),-62.95,-130.60(dd,J=22.5,13.2Hz),-140.71(qt,J=19.7,8.6Hz).11B NMR(160MHz,ベンゼン-d)δ7.22。
【0271】
参考例2において上述したように調製した触媒試料を以下に示す。
【0272】
【化34】
【0273】
フッ素化アリールボランルイス酸触媒試料C1~C8、及び市販のFABの構造を上に示す。構造C1は、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A1)に相当)である。構造C2は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A2)に相当)である。構造C3は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A3)に相当)である。構造C4は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A4)に相当)である。構造C5は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(請求項の出発物質A5)に相当)である。構造C6は、(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(請求項の出発物質A6)に対応)である。構造C7は、トリス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランである。構造C8は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A7)に相当)である。
【0274】
参考例3-一般的な手順
窒素パージされたグローブボックス内で、上記の固体触媒試料を無水トルエンに溶解することにより、ガラスバイアル中で1重量%の触媒溶液を調製した。ガラスバイアル内に、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(MH-1109、D’x(x=4,5,6)、11.2g)及びテフロンでコーティングされた撹拌棒を入れた。撹拌した溶液に、マイクロピペットによって所望の触媒試料を添加し(例えば225μL)、続いてシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体(例えば8.4g)を1時間にわたって緩徐に添加した。反応混合物のアリコートを採取し、フェニルアセチレン1滴でクエンチし、NMR緩和試薬として(約1g/100mL)Cr(acac)を含有するCDCl中の29Si NMRによって分析した。HOSi(Me)O-(MOH)のシグナルをMeSiO(T)と比較することによって、転化を確認した。FAB 5ppm実験(表2を参照)は、グローブボックス外部で、窒素パージしたシュレンクライン上にてバッチスケール(MH-1109104.7g、シラノール末端ポリジメチルシロキサン流体80.1g、トルエン中FAB 105μL)で、蠕動ポンプを使用して、シラノール末端ポリジメチルシロキサン流体を39分間にわたって送達して行った。
【0275】
実施例4-安定性監視のための一般的な手順
窒素パージされたグローブボックス内で、固体触媒試料を無水トルエンに溶解することによって、上記の触媒試料の1重量%の溶液をガラスバイアル中で調製した。ガラスバイアルに、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(MH-1109、5g)及びテフロンでコーティングされた撹拌棒を入れた。撹拌した溶液に、マイクロピペットによって所望の触媒試料を添加した(例えば100.5μL)。アリコートを経時的にサンプリングし、トルエンが内部標準として作用することができるように、フェニルアセチレン/トルエン混合物でクエンチした。次いで、アリコートをGCによって分析した。反応の相対量を、MH-1109のトルエン標準に対する比を監視することによって比較した。MH-1109を、PA流体添加前に経時的に監視した。5ppmのFABのみを使用する反応を、シュレンクラインに連結された窒素パージされたガラスバイアルを使用してグローブボックス外部で、同様に実行した。
【0276】
脱水素カップリング反応結果
試験を行った全てのフッ素化トリアリールボラン触媒候補(FAB、C1、C3、C5)は、以下に示す脱水素カップリング反応について触媒する多少の能力を示した。しかし、副反応(開環重合/架橋)は、FABの使用時に起こり、フッ素化トリアリールボランルイス酸触媒の存在下での経時的なMH-1109の消費によって監視された。MH-1109を、PA流体添加前に経時的に監視した。FABの5ppm投入量のみを使用した安定性試験は、2時間のアリコートを測定した直後にゲル化した。FABの100ppmの投入量を使用した試験は、触媒添加時にほぼ直ちにゲル化した。試料C1、C3、又はC5のうちの1つを使用した全ての試験は、ゲル化せず、触媒添加の最大24時間後にMH-1109との反応の最小限の徴候を示し、これは触媒構造の類似性に起因する予想外の結果であった。この高度に改善されたポットライフは、商業規模の製造性にとって望ましい。
【0277】
【化35】
脱水素カップリングモデル反応。環状シロキサンは、1分子当たり4~6個のシロキサン単位を有してもよく、生成物中の対応する環状基は各々、4~6個のシロキサン基を有してもよいことに留意されたい。
【0278】
【表2】
は、シラノール流体の添加前に反応がゲル化したことを示す(<2分)。
【0279】
用語の定義及び使用
本明細書で使用される略語は、以下の表5の定義を有する。
【0280】
【表3】
【0281】
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。組成物中の全ての出発物質の量は、総計100重量%である。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ明細書の文脈によって特に指示されない限り、1つ以上を指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、2.0~4.0の範囲の開示は、2.0~4.0の範囲だけでなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0も個別に含み、並びに範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、2.0~4.0の範囲の開示は、例えば、2.1~3.5、2.3~3.4、2.6~3.7、及び3.8~4.0の部分集合、並びにその範囲内に包含される任意の他の部分集合も含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び下位群も含む。例えば、マーカッシュ群「水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基」の開示には、その要素である個々のアルキル、下位群であるアルキル及びアリールを含み、かつマーカッシュ群に包含される任意の他の個々の要素及び下位群を含んでいる。
【0282】
用語「含むこと(comprising)」及びその派生語、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「から本質的になる(consist(ing)essentially of)」、及び「からなる(consist(ing)of)」)という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。
【0283】
全般的に、本明細書で使用されている、ある範囲の値におけるハイフン「-」又は波線「~」は、「まで(to)」又は「から(through)」であり、「>」は「~を上回る(above)」又は「超(greater-than)」であり、「≧」は「少なくとも(at least)」又は「以上(greater-than or equal to)」であり、「<」は「~を下回る(below)」又は「未満(less-than)」であり、「≦」は「多くとも(at most)」又は「以下(less-than or equal to)」である。前述の特許出願、特許、及び/又は特許公開のそれぞれは、個別の基準で、1つ以上の非限定的な実施形態における参照により明示的にその全体が本明細書に組み込まれる。
【0284】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、かつそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(原出願)多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを含む生成物を調製する方法であって、
1)
a)式、
【化1】
[式中、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3はそれぞれ、H、F、又はCFから独立して選択され、Rは官能基又は官能性ポリマー基を含み、下付き文字xは、0又は1であり、但し、
o1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3の全てが同時にFであり得るわけではなく、
o1-6、Rm1-6、及びRp1-3の全てが同時にHであり得るわけではなく、
o1、Ro2、Ro3、及びRo4の2つ以上がCFである場合、次いでRo5及びRo6は、H又はFからそれぞれ選択される]のフッ素化トリアリールボランルイス酸、
B)式、
【化2】
[式中、下付き文字nは、1~2,000であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択される]のヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物、及び
C)式、(RHSiO2/2[式中、下付き文字vは、3~12であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基である]の環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、を含む出発物質を組合せ、それにより、多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン及びHを含む副生成物を含む前記生成物を調製する工程を含む、方法。
【請求項2】
(原出願)前記フッ素化トリアリールボランが、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物、及びビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(今回補正)前記出発物質B)がヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを含み、下付き文字nが2~1,000であり、各Rが1~20個の炭素原子のアルキル基、2~20個の炭素原子のアルケニル基、6~20個の炭素原子のアリール基、又は1~20個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(今回補正)前記環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、下付き文字vが4~10であり、各Rが1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(今回補正)2)工程1)中及び/又はその後、前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンの形成中に生じた前記Hを除去する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(今回補正)3)前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン中の残留フッ素化トリアリールボラン化合物を中和する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(原出願)前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンが、一般式a-1)、
【化3】
[式中、各下付き文字vは、独立して、3~12であり、各下付き文字nは、独立して、1~1,000であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、但し、式a-1)中の1つ以上の水素原子が式a-2、
【化4】
[式中、各下付き文字n、下付き文字p、R、及びRは独立して選択され、上述されている]の基で置き換えられてもよい]を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(原出願)前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンが、式、
【化5】
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(今回補正)前記生成物から前記多官能性オルガノハイドロジェンシロキサンを回収する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(原出願)クラスター化官能性オルガノポリシロキサンを調製する方法であって、
1)請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によってa)前記生成物を調製する工程、及び
2)
a)前記生成物、
b)ヒドロシリル化反応触媒、並びに
c)出発物質a)のケイ素結合水素原子と付加反応することが可能な、1分子中に平均して少なくとも1つの脂肪族不飽和基、更に、1分子中に平均して1つ以上の硬化性基を有する反応種を含む出発物質を組合せる工程を含む、方法。
【請求項11】
(原出願)前記反応種が、
i)式、R SiR (4-y)[式中、下付き文字yは、1~3であり、各Rは、前記付加反応することが可能な脂肪族不飽和基であり、各Rは、前記硬化性基である]のシランであって、それにより、クラスター化官能性オルガノシロキサンを含む生成物を調製する、シラン、及び
ii)式、R[式中、各Rは、前記付加反応することが可能な脂肪族不飽和基であり、各Rは、前記硬化性基である]の有機化合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(今回補正)前記クラスター化官能性オルガノポリシロキサンが、一般式a’-1)
【化6】
[式中、各下付き文字vは独立して、3~12であり、各下付き文字vは、独立して、1~1,000であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基から独立して選択され、各Rは、H及び硬化性基からなる群から独立して選択され、但し、Rのうちの1つ以上は、式a’-2)
【化7】
[式中、下付き文字n、下付き文字v、R、R、及びRが上記の通りである]の基で置き換えられてよく、但し、1分子当たり少なくとも1つのRが、硬化性基である]を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
(原出願)前記クラスター化官能性オルガノポリシロキサンが、式:
【化8】
を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(原出願)硬化性組成物であって、
(I)請求項1~13のいずれか一項に記載の方法によって調製された生成物、及び、
(II)硬化剤と、を含む、硬化性組成物。
【請求項15】
(原出願)組成物であって、
a)式、
【化9】
[式中、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3はそれぞれ、H、F、又はCFから独立して選択され、Rは官能基又は官能性ポリマー基を含み、下付き文字xは、0又は1であり、但し、
o1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3の全てが同時にFであり得るわけではなく、
o1-6、Rm1-6、及びRp1-3の全てが同時にHであり得るわけではなく、
o1、Ro2、Ro3、及びRo4の2つ以上がCFである場合、次いでRo5及びRo6は、H又はFからそれぞれ選択される]のフッ素化トリアリールボランルイス酸、
B)式、
【化10】
[式中、下付き文字nは、1~2,000であり、各Rは、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択される]のヒドロキシル官能性有機ケイ素化合物、及び
C)式、(RHSiO2/2[式中、下付き文字vは、3~12であり、各Rは、独立して選択された一価炭化水素基である]の環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、を含み、それにより多官能性オルガノハイドロジェンシロキサン及びHを含む副生成物を含む前記生成物を調製する、組成物。

【国際調査報告】