(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】フッ素化アリールボランルイス酸によって触媒される有機ケイ素化合物とシリルヒドリドとの反応のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20230720BHJP
C08G 77/08 20060101ALI20230720BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230720BHJP
【FI】
C07F7/18 X
C08G77/08
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022577260
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021037541
(87)【国際公開番号】W WO2021262495
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クルトマンシュ、マーク-アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ベダール、アンヌ-カトリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】スピニー、ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ラグラマン、アルジュン
(72)【発明者】
【氏名】マコーパディヤイ、スクリット
(72)【発明者】
【氏名】サンダーランド、トラヴィス
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
4J246
【Fターム(参考)】
4H039CA92
4H049VN01
4H049VP02
4H049VQ21
4H049VQ78
4H049VR33
4H049VR41
4H049VS02
4H049VS21
4H049VT39
4H049VW02
4J246AA11
4J246BA020
4J246BA02X
4J246BB020
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA010
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA240
4J246CA24X
4J246FA121
4J246FA321
4J246FC251
(57)【要約】
組成物及び方法は、様々なシロキサンの調製に使用することができる。本組成物及び方法は、フッ素化トリアリールボランルイス酸、炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物、及びシリルヒドリドを使用する。フッ素化トリアリールボランルイス酸は、(有機ケイ素化合物からの)炭化水素オキシ部分と(シリルヒドリドからの)ケイ素結合水素原子との反応を触媒して、シロキサン結合を形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
A)式
【化1】
[式中、R
o1、R
o2、R
o3、R
o4、R
o5、R
o6、R
m1、R
m2、R
m3、R
m4、R
m5、R
m6、R
p1、R
p2、及びR
p3の各々は、H、F、又はCF
3から独立して選択され、R
Lは、官能基又は官能性ポリマー基を含み、下付き文字xは、0又は1であり、但し、
R
o1、R
o2、R
o3、R
o4、R
o5、R
o6、R
m1、R
m2、R
m3、R
m4、R
m5、R
m6、R
p1、R
p2、及びR
p3の全てが同時にFであり得るわけではなく、
R
o1、R
o2、R
o3、R
o4、R
o5、R
o6、R
m1、R
m2、R
m3、R
m4、R
m5、R
m6、R
p1、R
p2、及びR
p3の全てが同時にHであり得るわけではなく、
R
o1、R
o2、R
o3、及びR
o4のうちの2つ以上がCF
3であるとき、R
o5及びR
o6は、H又はFから各々選択される]のフッ素化トリアリールボランルイス酸と、
B)式-OR
2[式中、各R
2は、炭素原子が1~6つの、独立して選択される一価炭化水素基である]のケイ素結合基を、平均して1分子当たり少なくとも1つ有する、炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物と、
C)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合水素原子を有するシリルヒドリドと、を含む、組成物。
【請求項2】
出発物質A)は、
A1)トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物、
A2)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、
A3)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物、
A4)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物、
A5)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、
A6)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、
A7)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、及び
A8)A1)~A7)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
出発物質A)は、A1)、A2)、A3)、A4)、及びA5)からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
出発物質A)は、B)前記炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物及びC)前記シリルヒドリドの合計重量に基づいて、0.1ppm~5モル%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
工程1)において、出発物質A)は、B)前記有機ケイ素化合物及びC)前記シリルヒドリドの合計重量に基づいて、5ppm~6,000ppmの量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
B)前記有機ケイ素化合物は、
B1)式R
1
(4-a)SiOR
2
a[式中、各R
1は、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、各R
2は、炭素原子1~6つの一価炭化水素基であり、下付き文字aは、1~4である]のアルコキシシラン、及び
B2)式B2):
【化2】
[式中、各Dは、独立して、酸素原子、二価炭化水素基、二価シロキサン基、又は二価炭化水素基と二価シロキサン基との組み合わせを表し、各R
Xは、独立して、式-OR
2(式中、各R
2は、上述のとおりである)の基を表し、各R
3は、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、下付き文字cは、0、1、2、又は3を表し、下付き文字eは、0、1、又は2を表し、下付き文字dは、0以上の値を有し、但し、平均で少なくとも1つのR
xが式中に存在するように、(e+c)の合計は少なくとも1である]の基を含む有機シロキサンオリゴマー又はポリマーからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機シロキサンオリゴマー又はポリマーは、単位式
(R
XR
3
2SiO
1/2)
o(R
3
3SiO
1/2)
p(R
3
2SiO
2/2)
q(R
XR
3SiO
2/2)
r(R
XSiO
3/2)
s(R
3SiO
3/2)
t(SiO
4/2)
u[式中、R
Xは、上述の式-OR
2の基を表し、下付き文字o、p、q、及びrは、o≧0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0、t≧0、u≧0であるような値を有し、数量(o+r+s)は、1以上の平均値を有する]を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
C)前記シリルヒドリドは、
C1)式H
kSiR
5
(4-k)[式中、各R
5は、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、下付き文字kは、1~3である]のシラン、及び
C2)単位式(HR
4
2SiO
1/2)
g(R
4
3SiO
1/2)
h(R
4
2SiO
2/2)
i(HR
4SiO
2/2)
j[式中、各R
4は、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字g、h、i、及びjは、g≧0、h≧0、数量(g+h)が2の平均値を有し、i≧0、j≧0、及び数量(g+j)≧1であるような値を有し、数量(i+j)は、0~1000の範囲である]のオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
出発物質C)は、式HSiR
5
3[式中、各R
5は、炭素原子1~6つのアルキル基である]のシランである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
出発物質C)は、式
【化3】
[式中、下付き文字mは、0又は1であり、各R
4は、アルキル基であり、各R
6は、H及びR
4からなる群から独立して選択され、但し、少なくとも1つのR
6は、水素原子である]のポリジオルガノハイドロジェンシロキサンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
方法であって、
1)
A)式
【化4】
[式中、R
o1、R
o2、R
o3、R
o4、R
o5、R
o6、R
m1、R
m2、R
m3、R
m4、R
m5、R
m6、R
p1、R
p2、及びR
p3の各々は、H、F、又はCF
3から独立して選択され、R
Lは、官能基又は官能性ポリマー基を含み、下付き文字xは、0又は1であり、但し、
R
o1、R
o2、R
o3、R
o4、R
o5、R
o6、R
m1、R
m2、R
m3、R
m4、R
m5、R
m6、R
p1、R
p2、及びR
p3の全てが同時にHであり得るわけではなく、
R
o1、R
o2、R
o3、R
o4、R
o5、R
o6、R
m1、R
m2、R
m3、R
m4、R
m5、R
m6、R
p1、R
p2、及びR
p3の全てが同時にFであり得るわけではなく、
R
o1、R
o2、R
o3、及びR
o4のうちの2つ以上がCF
3であるとき、R
o5及びR
o6は、H又はFから各々選択される]のフッ素化トリアリールボランルイス酸と、
B)式-OR
2[式中、各R
2は、炭素原子が1~6つの、独立して選択される一価炭化水素基である]のケイ素結合基を、平均して1分子当たり少なくとも1つ有する、炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物と、
C)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合水素原子を有するシリルヒドリドと、を含む、出発物質を組み合わせることで、
出発物質B)及びC)の反応生成物と、HR
2を含む副生成物と、を含む工程1)の生成物を形成する工程を含む、方法。
【請求項12】
前記方法は、5℃~70℃の温度で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程1)の前記生成物中の残留フッ素化トリアリールボランルイス酸を中和する工程を更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
工程1)中及び/又は工程1)後、HR
2を含む前記副生成物を除去する工程を更に含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応生成物を回収する工程を更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年6月24日出願の米国仮特許出願第63/043,153号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/043,153号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
組成物は、炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物、シリルヒドリド、及びフッ素化トリアリールボランルイス酸を含む。本方法では、フッ素化トリアリールボランルイス酸は、有機ケイ素化合物からの炭化水素オキシ基とシリルヒドリドからのケイ素結合水素原子との反応を触媒し、それにより、得られる生成物中にシロキサン結合を形成する。
【背景技術】
【0003】
Si-H官能性シラン及びシロキサンからのシロキサン中間体及びシロキサン硬化ネットワークの両方の調製において主に使用される触媒は、白金系触媒である。白金(platinum、Pt)のコストがますます高くなり、硬化シロキサン組成物の黄変又は経時的な黒色沈殿物の形成などの他の欠点のために、Pt系触媒の代替物が業界で必要とされている。更に、Pt系触媒はまた、シロキサン結合の形成を触媒するのに十分な反応性を達成するために高温(80℃~110℃)を必要とするという欠点に見舞われ得る。
【発明の概要】
【0004】
組成物は、A)フッ素化トリアリールボランルイス酸、B)炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物、及びC)シリルヒドリドを含む。方法は、A)フッ素化トリアリールボラン、B)炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物、及びC)シリルヒドリドを含む出発物質を組み合わせることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書に記載の組成物及び方法における出発物質A)は、フッ素化トリアリールボランルイス酸である。フッ素化トリアリールボランルイス酸は、以下の式:
【0006】
【化1】
を有し、式中、各R
oは、オルト置換基であり、各R
mは、メタ置換基であり、各R
pは、パラ置換基であり、R
Lは、任意選択であり、官能基又は官能性ポリマー基を含み、下付き文字xは、0又は1である。上記式において、各R
o1-6、各R
m1-6、及び各R
p1-3は、H、F、又はCF
3から独立して選択され、但し、R
o1-6、R
m1-6、及びR
p1-3の全てが同時にHであり得るわけではなく、R
o1-6、R
m1-6、及びR
p1-3の全てが同時にFであり得るわけではなく、R
o1-4のうちの2つ以上がCF
3であるとき、R
o5及びR
o6は各々、H又はFから独立して選択される。R
Lは、任意選択であり、すなわち、R
Lは、下付き文字x=1のときには存在し、R
Lは、下付き文字x=0のときには存在しない。R
Lは、フッ素化トリアリールボランルイス酸と錯体を形成するルイス塩基、及び/又はルイス酸との配位結合を形成するために利用可能な少なくとも1つの電子対を含有する分子若しくは部分であってもよく、WO2019/055740の段落[0024]~[0025]でR
4について記載されたとおりであってもよい。R
Lの例としては、テトラヒドロフラン又はテトラヒドロピランなどの環状エーテルが挙げられる。あるいは、R
Lは、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)であってもよい。
【0007】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、及びRo6の各々は、Hであってもよい。あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、及びRo4の各々は、Hであってもよい。あるいは、Ro5及びRo6の各々は、Fであってもよい。
【0008】
あるいは、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、及びRm6の各々は、CF3であってもよい。あるいは、Rm1、Rm2、Rm3、及びRm4の各々は、CF3であってもよい。あるいは、Rm5及びRm6の各々は、Fであってもよい。あるいは、Rm5及びRm6の各々は、Hであってもよい。
【0009】
あるいは、Rp1、Rp2、及びRp3の各々は、Hであってもよい。あるいは、Rp1及びRp2は、Hであってもよい。あるいは、Rp3は、Fであってもよい。あるいは、Rp3は、CF3であってもよい。
【0010】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rp1、Rp2、及びRp3の各々は、Hであってもよく、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、及びRm6の各々は、CF3であってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0011】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Ro6、Rm5、Rm6、Rp1、及びRp2の各々は、Hであってもよく、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、及びRp3の各々は、CF3であってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0012】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Rm5、Rm6、Rp1、及びRp2の各々は、Hであってもよく、Ro5、Ro6、及びRp3の各々は、Fであってもよく、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4の各々は、CF3であってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0013】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Rm5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3の各々は、Hであってもよく、Ro5及びRo6は、Fであってもよく、Rm1、Rm2、Rm3、及びRm4の各々は、CF3であってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0014】
あるいは、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4、Ro5、Rm6、Rp1、Rp2、及びRp3の各々は、Hであってもよく、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rm5、及びRo6の各々は、CF3であってもよい。下付き文字xは、0であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランを含んでもよい。
【0015】
あるいは、Rm1、Rp1、Ro2、Ro3、Ro4、Rp2、Rp3、Ro5、及びRm6の各々は、Hであってもよく、Ro1、Rm2、Rm3、Rm4、Ro6、及びRm5の各々は、CF3であってもよい。下付き文字xは、0であってもよい。あるいは、出発物質A)は、(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランを含んでもよい。
【0016】
あるいはRo1、Ro2、Ro3、Ro4、Rp1、及びRp2の各々は、Hであってもよく、Ro5、Ro6、Rm5,and Rm6の各々は、Fであってもよく、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、及びRp3の各々は、CF3であってもよい。下付き文字xは、1であってもよい。あるいは、出発物質A)は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物を含んでもよい。
【0017】
あるいは、フッ素化トリアリールボランルイス酸は、A1)トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物、A2)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、A3)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物、A4)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物、A5)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、A6)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、A7)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、及びA8)A1)~A7)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、出発物質A)は、A1)、A2)、A3)、A4)、A5)、及びA7)からなる群から選択され得る。あるいは、出発物質A)は、A1)、A2)、A3)、A4)、及びA5)からなる群から選択され得る。あるいは、出発物質A)は、A1)、A2)、及びA7)からなる群から選択され得る。あるいは、出発物質A)は、A2)及びA5)からなる群から選択され得る。あるいは、出発物質A)は、A2)、A3)、A4)、及びA5)からなる群から選択され得る。
【0018】
フッ素化トリアリールボランルイス酸は、当技術分野において既知であり、既知の方法、例えば、WO2019/055740に、特に段落[0052]~[0096]で開示されている方法によって、出発物質を適宜変化させることによって調製することができる。
【0019】
出発物質A)の量は、使用される他の出発物質の種類及び量に依存するが、出発物質A)は、組成物中の出発物質A)、B)、及びC)の合計重量に基づいて、0.1ppm~5モル%、あるいは0.1ppm~6000ppm、あるいは0.1ppm~600ppm、あるいは5ppm~6000ppm、あるいは5ppm~600ppm、あるいは5ppm~500ppm、及びあるいは5ppm~100ppmの量で存在し得る。
【0020】
有機ケイ素化合物
本明細書に記載の組成物及び方法における出発物質B)は、炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物、すなわち、式-OR2(式中、各R2は、炭素原子が1~6つの、独立して選択される一価炭化水素基である)で表されるケイ素結合基を、平均して1分子当たり少なくとも1つ有する有機ケイ素化合物である。出発物質B)は、1つの有機ケイ素化合物、又は互いに異なる2つ以上の有機ケイ素化合物の組み合わせであってもよい。R2の一価炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及びiso-ブチルを含む)、ペンチル、及びヘキシル(5~6つの炭素原子の直鎖状及び分岐異性体の両方を含む)などのアルキル基、並びにビニル、アリル、ブテニル、及びヘキセニルなどのアルケニル基が挙げられる。あるいは、各R2は、アルキル基であり得る。あるいは、各R2は、エチル又はメチル、あるいはメチルであってもよい。
【0021】
出発物質B)は、炭化水素オキシシラン及び/又は有機シロキサンオリゴマー若しくはポリマーを含んでもよい。例えば、有機ケイ素化合物は、B1)式R1
(4-a)SiOR2
aの炭化水素オキシシランであってもよく、式中、各R1は、独立して、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、各R2は、上述のような炭素原子1~6つの一価炭化水素基であり、下付き文字aは、1~4である。R1に好適な一価炭化水素基の例としては、R2について上述したようなメチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及びiso-ブチルを含む)、並びにペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及びそれらの分岐異性体)などのアルキル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル、ビニル、アリル、ブテニル、及びヘキセニルなどのアルケニル、並びにフェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、1-フェニルエチル、及び2-フェニルエチルなどのアリールが挙げられるが、これらに限定されない。R1の一価ハロゲン化炭化水素基の例としては、クロロメチル及びクロロプロピル基などの塩素化アルキル基、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチルなどのフッ素化アルキル基、2,2ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチル等の塩素化シクロアルキル基、並びに2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル等のフッ素化シクロアルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、各R1は、一価炭化水素基、あるいはアルキル基又はアリール基であってもよい。あるいは、各R1は、炭素原子1~6つのアルキル基のような、アルキル基であってもよい。あるいは、各R1は、メチル又はエチル、あるいはメチルであってもよい。
【0022】
出発物質B1)は、トリアルキルアルコキシシランなどのモノアルコキシシランによって例示されるアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシランなどのジアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシランなどのトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、又はそれらの組み合わせを含み得る。好適なモノアルコキシシランの例としては、トリメチルメトキシシラン(trimethylmethoxysilane、TMSOMe)、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なジアルコキシシランの例としては、ジイソブチルジエトキシシラン、n-オクタデシルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジ(4-トリル)ジメトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なトリアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p-トリルトリメトキシシラン、p-トリルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、4-トリフルオロメチルテトラフルオロフェニルトリエトキシシラン、1-ナフチルトリエトキシシラン、1-ナフチルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なテトラアルコキシシランの例としては、テトラエトキシシラン及びテトラ-n-プロポキシシランが挙げられる。これらのアルコキシシランは、当該技術分野において既知であり、対応するクロロシランのアルコキシル化などの既知の方法によって作製することができ、かつ/又は好適なアルコキシシランは、例えば、Morrisville、Pennsylvania、USAのGelest,Inc.から市販されている。
【0023】
他の市販のアルコキシシランとしては、XIAMETER(商標)OFS-6070シラン、XIAMETER(商標)OFS-6011シラン、XIAMETER(商標)OFS-6020シラン、XIAMETER(商標)OFS-6030シラン、DOWSIL(商標)Z-6062シラン、DOWSIL(商標)Z-6300シラン、DOWSIL(商標)Z-6341シラン、XIAMETER(商標)OFS-6040シラン、DOWSIL(商標)Z-6023シラン、DOWSIL(商標)Z-6015シラン、XIAMETER(商標)OFS-6920シラン、XIAMETER(商標)OFS-6690シラン、及びXIAMETER(商標)OFS-6076シランが挙げられ、これらは全て、Midland、Michigan、USAのThe Dow Chemical Company及び/又はその子会社から市販されている。
【0024】
あるいは、出発物質B)は、有機シロキサンオリゴマー又はポリマーを含んでいてもよい。有機シロキサンオリゴマー又はポリマーは、式B2):
【0025】
【化2】
の基に含有される炭化水素オキシ官能基を有してもよく、式中、各Dは、独立して、酸素原子、二価炭化水素基、二価シロキサン基、又は二価炭化水素基と二価シロキサン基との組み合わせを表し、各R
Xは、独立して、式-OR
2の基を表し、式中、各R
2は、上述のとおりであり、各R
3は、独立して、R
1について上述されたような一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字cは、0、1、2、又は3を表し、下付き文字eは、0、1、又は2を表し、下付き文字dは、0以上の値を有し、但し、平均で少なくとも1つのR
xが式中に存在するように、(e+c)の合計は少なくとも1である。あるいは、下付き文字dは、0~18の値を有してもよい。あるいは、下付き文字cは、1であってもよい。あるいは、下付き文字cは、2又は3であってもよい。あるいは、下付き文字eは、0であってもよい。あるいは、下付き文字dは、0であってもよい。あるいは、下付き文字dは、2~5、あるいは2~3であってもよい。
【0026】
あるいは、各Dは、独立して、酸素原子及び二価の炭化水素基から選択されてもよい。あるいは、各Dは、酸素原子であってもよい。あるいは、各Dは、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はヘキシレンなどのアルキレン基によって例示される二価の炭化水素基、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0027】
【化3】
などのアルキルアリーレン基であってもよい。あるいは、Dの一例は酸素原子であってもよく、一方でDの異なる例は二価の炭化水素基である。
【0028】
あるいは、各Rxは、アルコキシ基及びアルケニルオキシ基からなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、各Xは、メトキシ又はエトキシなどのアルコキシ基であってもよい。
【0029】
あるいは、上の式中の各R3は、炭素原子1~20個のアルキル基、炭素原子6~20個のアリール基、及び炭素原子7~20個のアラルキル基から独立して選択されてもよい。
【0030】
あるいは、下付き文字bは、0であってもよい。
【0031】
有機シロキサンオリゴマー又はポリマーは、当該ポリマーの0.2モル%~10モル%、あるいは0.5モル%~5モル%、あるいは0.5モル%~2.0モル%、あるいは0.5モル%~1.5モル%、あるいは0.6モル%~1.2モル%の範囲の量で上記の式B2)により説明されている基を含み得る。
【0032】
出発物質B)は、直鎖構造を有するポリオルガノシロキサン主鎖、すなわち、ポリジオルガノシロキサン主鎖を有し得る。出発物質B)がポリジオルガノシロキサン主鎖を有するとき、出発物質B)は、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサン、アルコキシシリルヒドロカルビレン末端封鎖ポリジオルガノシロキサン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0033】
あるいは、出発物質B)は、式B3):
【0034】
【化4】
のポリジオルガノシロキサンを含み得、式中、R
3、RX、並びに下付き文字c、d、及びeは、上述のとおりであり、下付き文字fは、1以上の値を有する。あるいは、下付き文字fは、25℃で少なくとも100mPa・sの粘度及び/又は少なくとも87のDPを有する式B3)のポリジオルガノシロキサンを提供するのに十分な値を有し得る。DPは、ポリスチレン標準較正を使用してGPCによって測定され得る。あるいは、下付き文字fは、1~200,000の範囲の値を有してもよい。あるいは、上の式B3)中、各R
3は、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、R
3のアルキル基は、メチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択されてもよい。あるいは、R
3のアルケニル基は、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択されてもよい。あるいは、R
3のアリール基は、フェニルであってもよい。あるいは、上の単位式中、各R
Xは、メトキシ又はエトキシであってもよい。式B3)の有機シロキサンオリゴマー及びポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2020-0140618号又は国際公開第2019/005711号又は同第2019/005713号に記載されているように調製され得る。
【0035】
あるいは、有機シロキサンオリゴマー又はポリマーは、単位式B4):
(RXR3
2SiO1/2)o(R3
3SiO1/2)p(R3
2SiO2/2)q(RXR3SiO2/2)r(RXSiO3/2)s(R3SiO3/2)t(SiO4/2)uを含み得、式中、RXは、上述の式-OR2の基を表し、下付き文字o、p、q、及びrは、o≧0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0、t≧0、u≧0、数量(o+r+s)は、1以上、あるいは1~6、あるいは1~3、あるいは1~2の平均値を有するような値を有し、各R3は、R1について上述された一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択される。あるいは、数量(o+p+q+r+s+t+u)は、少なくとも3、あるいは3~2000であってもよい。あるいは、数量(q+r)は、1~2,000、あるいは、1~50であってもよい。あるいは、数量(o+p)は、0~50、あるいは0~2であってもよい。あるいは、1≧s≧0である。あるいは、1≧t≧0である。あるいは、数量(o+r+s)は、1~6、あるいは1~3、あるいは1~2の平均値を有する。あるいは、上の単位式B4)中、各R3は、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選択されてもよい。あるいは、R3のアルキル基は、メチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択されてもよい。あるいは、R3のアルケニル基は、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択されてもよい。あるいは、R3のアリール基は、フェニルであってもよい。あるいは、上の単位式中、各RXは、メトキシ又はエトキシであってもよい。
【0036】
あるいは、(例えば、oが2の平均値を有し、p=r=s=t=u=0であるとき)、出発物質B)は、式B5):
R3
2RXSiO-(R3
2SiO)b-OSiRXR3
2のポリジオルガノシロキサンを含み得、式中、各R3及び各RXは、上述のとおりであり、下付き文字b≧1である。あるいは、下付き文字bは、1~2,000、あるいは5~900、あるいは5~50であってもよく、あるいは、下付き文字bは、1~50であってもよい。あるいは、式B5)中、各R3は、アルキル(例えば、メチル、エチル、及びプロピル)、アルケニル(例えば、ビニル、アリル、及びヘキセニル)、及びアリール(例えば、フェニル)からなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、式B5)中、各RXは、メトキシ又はエトキシであってもよい。5~12cStの粘度を有するメトキシ末端ポリジメチルシロキサンなど、式B3)のポリジオルガノシロキサンは、Gelest,Inc.から市販されており、1,3-ジエトキシ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンは、St.Louis、Missouri、USAのMillipore Sigmaから市販されている。
【0037】
あるいは、出発物質B)は、単位式B6):(R3SiO3/2)m(R3RXSiO2/2)n(R3
2RXSiO1/2)zを含み得、式中、R3及びRXは、上述のとおりであり、下付き文字mは、>0~100であり、下付き文字nは、0~100であり、下付き文字zは、0~20である。あるいは、下付き文字mは、>0~20、あるいは1~20であってもよい。あるいは、下付き文字nは、1~20であってもよい。あるいは、下付き文字zは、0であってもよい。あるいは、下付き文字zは、>0~20であってもよい。あるいは、単位式B6)中、各R3は、アルキル(例えば、メチル、エチル、及びプロピル)、アルケニル(例えば、ビニル、アリル、及びヘキセニル)、アリール(例えば、フェニル)、及びハロアルキル(例えば、クロロメチル、クロロプロピル、及びトリフルオロプロピル)からなる群から独立して選択されてもよい。あるいは、単位式B6)中、各RXは、メトキシ又はエトキシであってもよい。当業者であれば、アルコキシ官能性シロキサン樹脂がヒドロキシル基を更に含んでもよいことを認識するであろう。単位式B6)の好適なアルコキシ官能性シロキサン樹脂の例としては、Midland、Michigan、USAのDow Silicones Corporation製DOWSIL(商標)3037、DOWSIL(商標)3074、DOWSIL(商標)1686、DOWSIL(商標)CF0189、DOWSIL(商標)Z-6289、DOWSIL(商標)US-CF2403Resin、及びDOWSIL(商標)2405Resinが挙げられる。
【0038】
出発物質B)の好適な樹脂及びその調製方法は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第9,670,392号、同第10,125,225号、又は国際公開第2014/124389号に記載されているように調製されたアルコキシ官能性有機ポリシロキサン樹脂、又は樹脂-ポリマーブレンドは、本明細書の出発物質B)として使用され得る。出発物質B)は、本明細書に記載の化合物のうちの1つ以上を含み得る。
【0039】
C)シリルヒドリド
本明細書に記載の組成物及び方法における出発物質C)は、シリルヒドリドである。「シリルヒドリド」という用語は、1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合水素原子(SiH)を含有する分子を意味する。あるいは、シリルヒドリドは、1分子当たり2つ以上のSiHを有してもよい。本明細書で使用されるシリルヒドリドは、A)フッ素化トリアリールボランルイス酸及びB)上述の有機ケイ素化合物の存在下でシロキサン結合を形成することができる。出発物質C)は、1つのシリルヒドリド、又は互いに異なる2つ以上のシリルヒドリドの組み合せを含んでもよい。
【0040】
シリルヒドリドは、C1)シラン(例えば、1分子当たり1つのケイ素原子を有する)とすることができる。あるいは、シリルヒドリドは、オリゴマー又はポリマーであってもよい。ポリマー性シリルヒドリドは、直鎖状、分岐状、又は樹脂状とすることができる。例えば、シリルヒドリドは、C2)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであってもよい。
【0041】
C1)シラン
出発物質C1)は、式HkSiR5
(4-k)のシランであり、式中、各R5は、R1について上述されたような一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、下付き文字kは、1~3、あるいは1又は2、あるいは1である。あるいは、各R5は、炭素原子1~6つのアルキル基のような、アルキル基であってもよい。あるいは、各R5は、メチル又はエチルであってもよい。あるいは、出発物質C1)は、式HSiR5
3のシランであってもよく、式中、各R5は、炭素原子1~6つのアルキル基である。
【0042】
出発物質C1)に好適なシランの例は、当該技術分野において既知であり、市販されている。好適なシランとしては、トリエチルシラン、ジメチルエチルシラン、ジエチルメチルシラン、ジメチルイソプロピルシラン、ジメチル-tert-ブチルシラン、トリイソプロピルシラン、クロロメチルジメチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリイソブチルシラン、トリへキシルシラン、トリオクチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルシラン、トリフェニルシラン、フェニルシラン、ブロモウンデシルシラン、2-クロロエチルシラン、ドデシルシラン、n-オクタデシルシラン、及び(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)シランが挙げられ、これらは、St.Louis Missouri、USAのSigma-Aldrich Inc.又はMorrisville、Pennsylvania、USAのGelest Inc.,から入手可能である。
【0043】
C2)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
シリルヒドリドに、出発物質C2)であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンが使用されるとき、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、ホモポリマー又はコポリマーであってもよい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、直鎖状、分枝状、又は樹脂状であってもよい。ポリオルガノハイドロジェンシロキサン中のケイ素結合水素原子は、終端、ペンダント、又は終端とペンダント位置の両方に位置することができる。
【0044】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、HR4
2SiO1/2、R4
3SiO1/2、HR4SiO2/2、R4
2SiO2/2、R4SiO3/2、HSiO3/2、及びSiO4/2単位から選択された2つ以上のシロキサン単位を含んでもよい。上記の単位中、各R4は、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択される一価炭化水素基である。R4の好適な一価炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、並びにオクタデシル(及びそれらの分岐異性体)などのアルキル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル、並びにフェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、1-フェニルエチル、及び2-フェニルエチルなどのアリールが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、各R4は、アルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。あるいは、各R4は、メチルなどのアルキル基であってもよい。
【0045】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが直鎖状であるとき、すなわち、ポリジオルガノハイドロジェンシロキサンであるとき、ポリジオルガノハイドロジェンシロキサンは、単位式(HR4
2SiO1/2)g(R4
3SiO1/2)h(R4
2SiO2/2)i(HR4SiO2/2)jを有してもよく、式中、R4は、上述のとおりであり、下付き文字g、h、i、及びjは、g≧0、h≧0、数量(g+h)=2、i≧0、j≧0、及び数量(g+j)≧1であるような値を有し、数量(i+j)は、0~1000であってもよい。
【0046】
あるいは、ポリジオルガノハイドロジェンシロキサンは、式
【0047】
【化5】
を有してもよく、式中、下付き文字mは、0又は1であり、各R
6は、H及びR
4からなる群から独立して選択され、但し、1分子当たり少なくとも1つのR
6は、水素原子である。
【0048】
好適なポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、
i)ペンタメチルジシロキサン、
ii)ビス(トリメチルシロキシ)メチル-シラン、
iii)テトラメチルジシロキサン、
iv)ビス-ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
v)ビス-ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
vi)ビス-ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
vii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
viii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
ix)H(CH3)2SiO1/2単位及びSiO4/2単位から本質的になる樹脂、並びに
x)i)~ix)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。
【0049】
オルガノハロシランの加水分解及び縮合などの出発物質C2)としての使用に好適な直鎖、及び分岐ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの調製方法は、米国特許第5,310,843号、同第4,370,358号、同第4,707,531号、及び同第4,329,273号に例示されているように、当該技術分野においてよく知られている。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンはまた、DMS-HM15、DMS-H03、DMS-H25、DMS-H31、及びDMS-H41の商品名でGelestから入手可能なものなどが市販されている。
【0050】
D)溶媒
出発物質D)は、本明細書に記載の組成物及び方法において、出発物質A)、B)、及び/又はC)の組み合わせを容易にするために使用され得る任意選択的な溶媒である。本明細書で使用される溶媒は、出発物質の流動化に役立つがこれらの出発物質のいずれとも本質的に反応しないものである。溶媒は、出発物質の溶解性及び溶媒の揮発性に基づいて選択されてもよい。「溶解性」は、溶媒が出発物質を溶解及び/又は分散させるのに十分であることを指す。「揮発性」は、溶媒の蒸気圧を指す。例えば、出発物質A)であるフッ素化トリアリールボランルイス酸は、工程1)の前に溶媒中に溶解され得る。あるいは、出発物質B)は、例えば、出発物質B)がガムなどの粘性流体、又は樹脂などの室温における固体であるときに、工程1)の前に溶媒中に溶解され得る。あるいは、出発物質C)は、例えば、出発物質C)が樹脂などの室温における固体であるときに、工程1)の前に溶媒中に溶解され得る。溶媒は、出発物質A、B)、及びC)の選択、それらの溶解性などの様々な要因に応じて、当業者が選択する任意の量で使用されてよい。
【0051】
好適な溶媒は、炭化水素であってもよい。好適な炭化水素としては、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、若しくはキシレン、及び/又は脂肪族炭化水素、例えば、ヘプタン、ヘキサン、若しくはオクタンが挙げられる。あるいは、溶媒は、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、又は塩化メチレンであってもよい。1つの溶媒、又は2つ以上の溶媒を含む組み合わせを本明細書で使用してもよい。
【0052】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、並びに選択される他の出発物質の量及び種類など、様々な要因に応じて異なってもよい。しかしながら、溶媒の量は、出発物質A)、B)、及びC)の合計重量に基づいて、0.1重量%~99重量%、あるいは2重量%~50重量%の範囲であってもよい。
【0053】
方法
上述の方法は、上述の1)A)フッ素化トリアリールボランルイス酸、B)有機ケイ素化合物、及びC)シリルヒドリドを含む出発物質を組み合わせる工程を含む。出発物質は、任意選択で、出発物質A)、B)、及びC)の組み合わせを容易にするために使用され得るD)溶媒を更に含んでもよい。例えば、出発物質A)、B)、及びC)のうちの1つ以上は、出発物質D)と混合する前に、溶媒中に溶解されてもよい。あるいは、工程1)における出発物質は、上述の出発物質A)、B)、並びにC)(及び任意選択でD))から本質的になり得る。あるいは、工程1)における出発物質は、上述の出発物質A)、B)、並びにC)(及び任意選択でD))からなり得る。
【0054】
出発物質を組み合わせる工程は、出発物質B)からの式OR2の基と出発物質C)のケイ素結合水素原子とを反応させる条件下で実施される。工程1)の得られた生成物は、出発物質B)及びC)の反応生成物(シロキサン結合を有する)並びにHR2を含む副生成物を含む。これらの条件は、例えば、任意の好都合な手段による混合を含んでもよい。混合は、撹拌バッチケトルなどの従来の混合装置を使用して実施されてもよい。あるいは、出発物質B)に選択された炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物及び/又は出発物質C)に選択されたシリルヒドリドが粘性又は固体(例えば、ガム又は樹脂)であるとき、剪断下での混合を、例えば、押出機を用いて実施してもよい。組成物は、例えば、上述のA)、B)、及びC)を含む出発物質を混合することによって形成され得る。出発物質A)、B)、及びC)は、室温以下で組み合わせてもよいし、又は加熱されてもよい。例えば、加熱するとき、混合中に50℃~150℃、あるいは100℃~125℃の温度が使用され得る。あるいは、出発物質A)、B)、並びにC)(及び存在するときは、D))を組み合わせるための温度は、工程1)において5℃~70℃であり得る。出発物質A)、B)、並びにC)(及び存在するときは、D))は、同時に組み合わされ得る。あるいは、出発物質A)並びにB)(及び存在するときは、D))は、混合物を形成するために組み合わされ得、その後、その混合物は、例えば、出発物質C)(又はその溶剤溶液)を当該混合物に添加することによって、例えば、ある期間にわたって計量することによって、又は1つ以上のアリコートで添加することによって、出発物質C)(及び存在するときは、更なるD))と組み合わされ得る。
【0055】
本方法は、任意選択で、1つ以上の追加の工程を更に含んでもよい。本方法は、工程2)工程1)中及び/又はその後、工程1)中に生成された式HR2の副生成物を除去する工程、及び/又は工程3)生成物中の残留フッ素化トリアリールボランルイス酸を除去及び/又は中和する工程を更に含んでもよい。副生成物HR2は、剥離及び/又は燃焼など任意の簡便な手段によって除去されてもよい。除去及び/又は中和は、E)中和剤を生成物に添加し、その後、任意選択で生成物を濾過することによって実施してもよい。工程2)及び3)は、任意の順序で実施することができる。例えば、中和の結果として粒子状副生成物が存在する場合、本方法は、4)中和後、任意の簡便な手段、例えば濾過によってアルミナなどの微粒子を除去する工程を更に含んでもよい。
【0056】
出発物質E)中和剤
出発物質E)は、中和剤であり、生成物中の出発物質A)を中和するために任意選択で使用され得る。アルミナ、トリフェニルアミン、トリフェニルホスフィン、トリエチルアミン、及びフェニルアセチレンは、好適な中和剤である。中和剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、St.Louis、Missouri、USAのMillipore Sigmaから市販されている。中和剤の量は、出発物質A)の量を含む様々な要因に依存するが、出発物質E)は、中和剤対フッ素化トリアリールボランルイス酸の重量比(E:A比)で1:100~1000:1、あるいは1:1~1000:1、あるいは1:100~1:1を提供するのに十分な量で存在してもよい。あるいは、中和剤がトリフェニルホスフィン又はフェニルアセチレンである場合、E:A比は、1:1~20:1であってもよい。あるいは、中和剤がアルミナである場合、E:A比は、100:1~1000:1であってもよい。
【0057】
上述の方法工程のうちの1つ以上は、5℃~150℃、あるいは5℃~125℃、あるいは室温~150℃、あるいは5℃~70℃、あるいは5℃~65℃、あるいは10℃~60℃、あるいは15℃~50℃、あるいは20℃~35℃、あるいは5℃~35℃、あるいは室温の温度で実施され得る。あるいは、工程1)は、5℃~70℃、あるいは5℃~65℃、あるいは10℃~60℃、あるいは15℃~50℃、あるいは20℃~35℃、あるいは5℃~30℃、あるいは30℃の温度で実施され得る。理論に拘束されることを望むものではないが、本方法、特に工程1)を、比較的低温(例えば、90℃以下、あるいは80℃以下、あるいは70℃以下、あるいは50℃以下)で実施することにより、反応速度、収率、又はその両方の改善をもたらし得ると考えられる。
【0058】
使用方法
上述の組成物及び方法は、シロキサン、中間体、及び/又は分岐シロキサンネットワークの調製に使用することができる。あるいは、上述の組成物及び方法は、ポリオルガノシロキサン-ポリオレフィンハイブリッドコポリマーの調製において、例えば、出発物質B2)及びB3)が組み合わせて使用されるときに使用することができる。組成物及び方法は、エラストマー、シリコーン発泡体、及び紙コーティングなどの配合物の調製に使用することができる。
【実施例】
【0059】
これらの実施例は、本発明を例示することを目的とするものであり、請求項に記載の本発明の範囲を制限するものとして解釈するべきではない。表1及び参考例に記載されている出発物質を、本明細書の実施例で使用した。
【0060】
【0061】
参考例1-一般的な手順
特に明記されない限り、化学物質の全ての実験手順及び操作は、窒素パージしたグローブボックス内又はシュレンクライン上で実施された。全てのバルク反応溶媒(トルエン、ジエチルエーテル、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF))は、アルミナ及びQ5反応性スカベンジャーのカラムを通過させることによって乾燥させた。他の全ての溶媒を、Aldrichの無水グレードから購入し、使用前に活性化された3Åモレキュラーシーブの上で保存した。Cambridge Isotope Laboratories,Inc.から得たNMR溶媒(CDCl3、CD2Cl2、及びC6D6)は、活性3Åモレキュラーシーブで乾燥させるか、又はC6D6の場合、Na/K合金を使用して乾燥させた。1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ブロモ-2,6-ジフルオロベンゼン、1-ブロモ-2,4,6-トリフルオロベンゼン、及び1-ブロモ-4-トリフルオロメチルベンゼンは、Oakwood Chemicalから購入した。1-ブロモ-2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルベンゼンはAlfa Aesarから購入した。FABはTCI から購入した。他の全ての試薬を、Sigma-Aldrichから購入し、受け取ったままの状態で使用した。指示薬として1,10-フェナントロリンを有するトルエン中1.00Mのデカノールを使用して、n-ブチルリチウム(ヘキサン中の溶液)を使用前に滴定した。1
1 Watson, S. C.; Eastham, J. F. “Colored indicators for simple direct titration of magnesium and lithium reagents”, J. Organomet. Chem., 1967, 9, 165-168.
【0062】
多核NMRスペクトル(1H、13C、19F、29Si、11B)は、次のVarian MR-400又はVarian VNMRS-500のうちの1つの機器で収集した。11B NMRスペクトルは、VarianVNMRS-500のみで収集した。1H及び13C NMR化学シフトは、残留溶媒ピークに対する百万分率で参照された。1H -CD2Cl2では5.32 ppm、C6D6では7.15 ppm、CDCl3では7.25ppm、13C -CD2Cl2では 54.00ppm、C6D6では128.00 ppm、CDCl3では77.00ppm。11B NMR化学シフトは、BF3(Et2O)(0ppm)に対して外部参照され、19F NMR化学シフトは、CFCl3(0ppm)に対して外部参照された。ドライアイス又は氷が唯一の冷却手段である場合を除いて、亜周囲反応温度を、微細なJKEMセンサーPTFEワイヤーK 36INJを備えた、Extech Instruments EasyView(商標)10 Dual KモデルEA 10温度計を使用して測定した。
【0063】
参考例2-合成手順-出発物質の調製
リチウム(ジエチルエーテラート)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)トリイソプロポキシボレートの調製は、以下のように行った。
【0064】
【0065】
1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(18.52g、63.19mmol)のジエチルエーテル(200mL)冷(-78℃、CO2(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(23.0mL、ヘキサン中2.61M、60.03mmol)を撹拌しながら添加した。反応混合物を-78℃で3時間撹拌し、沈殿物を形成した。エーテル(20mL)中トリイソプロピルボレート(11.86g、63.06mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで周囲温度まで温め、1時間撹拌してわずかに濁った溶液を得た。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、固体を得た。得られた固体をヘキサンで粉砕し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を無色粉末として得た。収率:23.16g、94.53%。化合物は、最初にそのエーテル付加物として単離された。
1H NMR(500MHz、THF-d8)δ8.15(s、2H)、7.57(s、1H)、3.79(p、J=6.1Hz、3H)、0.95(d、J=6.1Hz、18H)。13C NMR(126MHz、THF-d8)δ159.12、134.71、128.90(q、J=31.3Hz)、125.91(q、J=271.8Hz)、118.70、67.41(dtd、J=44.2,22.2、2.9Hz)、61.67、26.53(d、J=17.7Hz)、25.28(dtd、J=40.4,20.1、3.0Hz)。19F NMR(470MHz、THF-d8)δ-63.02。11B NMR(160MHz、THF-d8)δ3.84。
【0066】
(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ジイソプロポキシボランの調製は、以下のように行った。
【0067】
【0068】
ジエチルエーテル(100mL)中のリチウム(ジエチルエーテラート)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)トリイソプロポキシボレート(8.00g、19.6mmol)の溶液に、塩化水素溶液(12.3mL、エーテル中2M、24.6mmol)を添加すると、沈殿物がただちに形成された。反応混合物を2時間撹拌し、濾過して、揮発物を減圧下で除去した。生じた残留物をヘキサンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を油として得た。収率:5.10g、76.1%。
1H NMR(500MHz、クロロホルム-d)δ8.01(d、J=1.9Hz、2H)、7.89(dt、J=2.0、1.0Hz、1H)、4.59(hept、J=6.1Hz、1H)、1.27(d、J=6.2Hz、6H)。13C NMR(126MHz、クロロホルム-d)δ134.19、132.85(td、J=3.7、1.9Hz)、130.85(q、J=32.9Hz)、123.67(d、J=272.6Hz)、123.04(hept、J=3.9Hz)、67.00、24.58。19F NMR(470MHz、クロロホルム-d)δ-63.34。11B NMR(160MHz、クロロホルム-d)δ26.66。
【0069】
リチウム(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ジイソプロポキシボランの調製は、以下のように行った。
【0070】
【0071】
1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(4.26g、14.5mmol)のジエチルエーテル(200mL)冷(-78℃、CO2(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(5.30mL、ヘキサン中2.61M、60.0mmol)を撹拌しながら添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、沈殿物を形成した。エーテル(15mL)中(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ジイソプロキシボラン(4.82g、14.1mmol)を、緩徐に添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し(いくつかの固体を視認)、次いで周囲温度まで温め、一晩撹拌して、透明な溶液を得た。揮発物を減圧下で除去して、結晶のように見える固体を得た。固体をヘキサン中に溶解させ、溶液を濾過し、週末にかけて冷凍庫内に入れた。大量の結晶性物質が形成された。上清をデカントし、揮発物を減圧下で除去して、無色の結晶性物質を得た。収率:8.23g、93.5%。
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ7.99(d、J=1.9Hz、2H)、7.74(dt、J=1.8、1.0Hz、1H)、3.81(q、J=7.1Hz、2H)、3.35(hept、J=6.1Hz、1H)、1.45(t、J=7.1Hz、3H)、0.78(d、J=6.1Hz、6H)。13C NMR(101MHz、クロロホルム-d)δ153.43、134.19-133.42(m)、129.51(q、J=31.9Hz)、124.42(q、J=272.4Hz)、119.68(hept、J=4.0Hz)、66.83、63.03、25.48、14.66。19F NMR(376MHz、クロロホルム-d)δ-63.05。11B NMR(160MHz、クロロホルム-d)δ5.12。
【0072】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボランの調製を、以下のように行った。
【0073】
【0074】
ジエチルエーテル(100mL)中のリチウム(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ジイソプロポキシボレート(5.00g、7.86mmol)の溶液に、塩化水素溶液(5.5mL、エーテル中2M、11mmol)を添加すると、沈殿物がただちに形成された。反応混合物を1時間撹拌し、揮発物を減圧下で除去した。残留物をヘキサンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を無色粉末として得た。収率:3.98g、102%(いくつかの残留溶媒が存在)。
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ8.00(ddd、J=2.2、1.4、0.7Hz、2H)、7.98(dq、J=1.9、0.6Hz、4H)、4.54(hept、J=6.1Hz、1H)、1.37(d、J=6.1Hz、6H)。13C NMR(101MHz、クロロホルム-d)δ138.42、133.32、131.36(q、J=33.2Hz)、124.39(p、J=3.8Hz)、123.39(d、J=272.8Hz)、71.74、24.62。19F NMR(376MHz、クロロホルム-d)δ-63.33。11B NMR(160MHz、クロロホルム-d)δ41.80。
【0075】
合成手順-触媒の調製
触媒試料C1、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物を以下のように調製した。
【0076】
リチウムイソプロポキシトリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの調製
【0077】
【0078】
1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(3.76g、12.8mmol)のジエチルエーテル(150mL)冷(-78℃、CO2(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(5.00mL、ヘキサン中2.5M、12.7mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。エーテル(10mL)中イソプロポキシビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(6.29g、12.7mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで温めながら一晩撹拌して、透明な非常に淡い黄色の溶液を得た。揮発物を減圧下で除去して、結晶性固体を得た。固体を最小の沸騰エーテル中に溶解させ、溶液を冷凍庫内に置いた。一晩冷却した後、形成された結晶から上清をデカントし、結晶を減圧下で乾燥させて6.74gを得た。上清溶液を濃縮し、冷凍庫で一晩冷却して、結晶性物質の第2の収穫物(1.54g)を得た。総収率:8.28g、75.6%。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d6)δ8.09(s、6H)、7.74(s、3H)、3.71(p、J=6.1Hz、1H)、2.97(q、J=7.0Hz、10H)、0.70(t、J=7.1Hz、15H)、0.67(d、J=6.2Hz、6H)。13C NMR(101MHz、ベンゼン-d6)δ157.09、133.79、130.75(q、J=32.0Hz)、124.71(q、J=272.8Hz)、119.91(p、J=4.2Hz)、65.91、65.00、25.47、14.11。19F NMR(376MHz、ベンゼン-d6)δ-62.76。11B NMR(160MHz、ベンゼン-d6)δ1.56。
【0079】
トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物の調製
【0080】
【化11】
エーテル(100mL)中のリチウムイソプロポキシトリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート(6.700g、7.75mmol)の溶液に、クロロトリメチルシラン(2.0mL、1.71g、15.8mmol)を添加した。反応混合物を週末にかけて撹拌した。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を無色の固体、4.80g、95.2%として得た。
【0081】
固体の一部(4.041g)をエーテル(100mL)に溶解し、THF(5mL)を添加した。揮発物を減圧下で反応混合物から除去した。残留物をベンゼンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で反応混合物から除去して、THF-付加物生成物を無色の固体、4.10g、91.3%として得た。
THF付加物:1H NMR(400MHz、ベンゼン-d6)δ7.80-7.78(m、6H)、7.72(dq、J=1.8、0.9Hz、3H)、2.90-2.83(m、4H)、0.57-0.49(m、4H)。13C NMR(101MHz、ベンゼン-d6)δ148.11、133.40、131.38(q、J=32.5Hz)、124.21(q、J=272.8Hz)、121.37(p、J=4.1Hz)、74.14、23.94(d、J=2.7Hz)。19F NMR(376MHz、ベンゼン-d6)δ-62.95。11B NMR(160MHz、ベンゼン-d6)δ11.84。
【0082】
触媒試料C2、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物を以下のように調製した。
【0083】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランの調製
【0084】
【化12】
1-ブロモ-4-トリフルオロメチルベンゼン(2.750g、12.22mmol)のジエチルエーテル(200mL)冷(-78℃、CO
2(s)/アセトン浴)溶液に、n-ブチルリチウム(4.70mL、ヘキサン中2.535M、11.9mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で3時間撹拌した。ジエチルエーテル(15mL)中イソプロポキシビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(5.910g、11.91mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで撹拌しながら一晩加温して、微量の沈殿物を有する黄色の透明な溶液を得た。溶媒を減圧下で除去して、濃厚黄色油を得た。油をヘキサン(100mL)と共に高速で一晩撹拌した(多少の曇りが生じる)。ヘキサン層をデカントで除去し、濾過して、揮発物を減圧下で除去した。油層をヘキサンで再び抽出し、プロセスを数回繰り返した。溶解しなかった少量の油を廃棄した。揮発物を濾液から減圧下で除去して、黄色油を得た。油をジエチルエーテル(100mL)に溶解し、トリメチルシリルクロリド(1.5g、13.8mmol)を添加した。30分以内に多量の沈殿物が形成された。反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、ペースト状のベージュ色スラッジを得た。NMRスペクトルはほぼ完全な反応を示した。生成物をエーテルに溶解し、更なるTMSCl を添加した(0.4mL)。数時間撹拌した後、揮発物を減圧下で除去した。残留物をベンゼンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去してペースト状固体を得た。
1H NMR分光法は、いくつかのイソプロピル基及び多少のエーテルをなお示した。残留物をエーテルに溶解し、少量のTMSCl(0.2mL)を添加し、反応混合物を数時間撹拌した。数ミリリットルのTHFを添加し、揮発物を減圧下で除去した。生成物をベンゼンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を白色固体(5.370g、68.90%)として得た。
ボラン-THF錯体のNMRスペクトル:
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d
6)δ7.83(s、4H)、7.78(tq、J =1.7、0.8Hz、2H)、7.41(dq、J =7.4、0.8Hz、2H)、7.07(dq、J =7.5、0.9Hz、2H)、3.04-2.96(m、4H)、0.70-0.62(m、4H)。
13C NMR(126MHz、ベンゼン-d
6)δ149.08、148.88、134.18、133.62(d、J =3.8Hz)、131.11(q、J =32.4Hz)、129.94(q、J =32.1Hz)、125.06(d、J =272.1Hz)、124.92(q、J =3.8Hz)、124.34(q、J =272.7Hz)、121.22(dt、J =8.0、4.0Hz)、73.53、24.10。
19F NMR(376MHz、ベンゼン-d
6)δ-62.56(s、3F)、-62.78(s、12F)。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ18.54。
【0085】
触媒試料C3、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物を以下のように調製した。
【0086】
リチウムビス(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)-イソプロポキシボレートの調製
【0087】
【0088】
N2パージされたグローブボックス内で、2.06g(9.78mmol)の1-ブロモ-2,4,6-トリフルオロベンゼンを、250mLのシュレンクフラスコ内の80mLのジエチルエーテルと混合した。テフロンでコーティングされた撹拌棒を無色の溶液に追加し、グローブボックスから取り出す前にフラスコをゴム製セプタムで密閉した。ドラフト内で、フラスコを窒素ラインに接続し、ドライアイス/アセトン浴(-78℃)に20分間置いて、冷却した。ヘキサン中n-ブチルリチウムの2.5Mの溶液(4.3mL、10.8mmol)を、シリンジを介して冷溶液に添加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。20mLのジエチルエーテル中4.85gのビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボランの溶液をグローブボックス内で調製し、シリンジ内に吸い上げた。-78℃で冷アリールリチウム溶液を含有するフラスコに溶液を注入し、混合物をこの温度で30分間撹拌した。ドライアイス/アセトン浴を除去し、反応混合物を一晩撹拌しながら室温まで緩徐に温めた。翌朝、全ての揮発物を真空下で除去して、粘着性の黄色固体を得た。フラスコをグローブボックスに戻し、粘着性の黄色物質を1)80mLのペンタン、2)80mLのヘキサン、及び3)60mLの50/50エーテル/ヘキサン混合物で抽出した。3つ全ての溶液をグローブボックス冷凍庫に一晩(-40℃)置き、白色の結晶性物質を溶液から沈殿させた。結晶性物質を濾過によって収集し、冷ペンタン(-40℃)で洗浄し、真空下で1時間乾燥させた。総収率:5.29g(不純、約5.5mmolの所望のリチウム塩、56%)。純粋な物質が得られなかったことに留意されたい。リチウム塩がイソプロポキシボラン出発物質(回収された固体物質のバッチに応じて12%~22%汚染)で汚染されていた。単離された物質を更に精製せずに、反応の次の工程に進むことが決定された。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d6)δ8.26(s、4H、ortho-ArCH)、7.80(s、2H、para-ArCH)、6.22-6.07(m、2H、ortho-ArCH)、3.68(hept、J=5.8Hz、1H、CH(CH3)2)、3.07(q、J=7.1Hz、8H、OCH2)、0.81(t、J=7.1Hz、12H、OCH2CH3)、0.67(d、J=6.2Hz、6H、CH(CH3)2)。13C NMR(101MHz、ベンゼン-d6)δ166.2(ddd、J=231.3、22.4、14.0Hz、ArC)、162.3(dt、J=247.1、20.2Hz、ArC)、159.5(br s、ArC)、157.3(br s、ArC)、133.8(s、ortho-ArCH)、130.7(q、J=31.9Hz、ArC-CF3)、125.5(q、J=272.4Hz、CF3)、119.9(p、J=4.0Hz、para-ArCH)、101.0(ddd、J=36.6、24.0、3.7Hz、meta-ArCH)、65.9(s、OCH(CH3)2)、65.8(s、OCH2CH3)、25.7(s、OCH(CH3)2)、14.7(s、OCH2CH3)。19F NMR(376MHz、ベンゼン-d6)δ-62.7(s、12F、CF3)、-104.4(br s、2F、ortho-ArF)、-112.3(m、1F、para-ArF)。
【0089】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロボラン)の調製
【0090】
【0091】
N2パージされたグローブボックス内で、3.30g(78%純度、3.29mmol)のホウ酸リチウム塩を60mLのジエチルエーテルに溶解して無色の溶液を形成した(注:ホウ酸リチウム塩は22%ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボランで汚染された)。トリメチルシリルクロリド(1.0mL、7.9mmol)を、室温の溶液に撹拌しながら添加した。反応の即時の徴候はなかった。混合物を室温で一晩撹拌した。翌朝、多量のLiCl沈殿物がフラスコ内で形成された。反応混合物のアリコートを取り出し、19F NMR分光法によって分析して、反応が完了したことを確認した。反応混合物をセライトで濾過して、LiClを除去し、濾液を圧送して乾燥させた。得られた粘着性の白色固体を80~90mLのヘキサンで抽出し、再度濾過した。ヘキサン溶液をグローブボックス冷凍庫に一晩(-40℃)置き、その時間中に白色微結晶性固体が沈殿した。固体を濾過によって収集し、5~10mLの冷ペンタン(-40℃)で洗浄し、真空下で1時間乾燥させた。多核NMR分光法によって、純粋な形態の所望の物質の形成を確認した。収率:0.992g、1.75mmol、53.2%。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d6)δ7.88(s、6H、ArCH on CF3-置換環)、6.03(m、2H、ArCH on 2,4,6-トリフルオロフェニル環)。13C NMR(101MHz、ベンゼン-d6)δ167.4(dt、J=257.6、16.2Hz、para-ArCF)、166.2(dt、J=253.5、15.2Hz、ortho-ArCF)、142.8(br s、ArC)、137.5(d、J=3.0Hz、ortho-ArCH)、132.1(q、J=33.4Hz、ArC-CF3)、126.9(pent、J=4.0Hz、para-ArCH)、124.1(q、J=273.0Hz、CF3)、112.6(br s、ArC)、101.6(ddd、J=29.0、24.9、3.7Hz、meta-ArCH)。19F NMR(376MHz、ベンゼン-d6)δ-63.1(s、12F、CF3)、-92.4(m、2F、ortho-ArCF)、-98.5(s、1F、para-ArCF)。11B NMR(160MHz、ベンゼン-d6)δ62.9(broad s)。
【0092】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロボラン)のTHF付加物の調製
【0093】
【0094】
N2パージしたグローブボックス内で、0.992g(1.75mmol)のビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランを、110mLのガラス瓶内に秤量し、50mLのTHF中に溶解させた。THFを撹拌しながら真空下で除去して、白色固体を得た。固体を40mLのペンタンで粉砕して、任意の非配位THFの除去を補助した。白色の固体は、多核NMR分光法によってビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランのモノTHF付加物として特徴付けられた。収率:0.969g、1.51mmol、86.3%。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d6)δ7.96(s、4H、ortho-ArCH)、7.79(s、2H、para-ArCH)、6.16(t、J=8.0Hz、2H、meta-ArCH)、3.10(m、4H、OCH2)、0.79(m、4H、CH2)。13C NMR(101MHz、ベンゼン-d6)δ165.3(ddd、J=245.4、17.7、14.3Hz、ortho-ArCF)、163.9(dd、J=249.5、16.2Hz、para-ArCF)、148.4(br s、ArC)、134.0(s、ortho-ArCH)、131.4(q、J=32.4Hz、ArC-CF3)、121.8(m、para-ArCH)、124.8(q、J=272.7Hz、CF3)、101.3(ddd、J=32.8、24.2、3.2Hz、meta-ArCH)、72.6(s、OCH2)、24.8(s、CH2)。19F NMR(376MHz、ベンゼン-d6)δ-62.8(s、12F、CF3)、-96.9(s、2F、ortho-ArCF)、-108.5(s、1F、para-ArCF)。11B NMR(160MHz、ベンゼン-d6)δ13.2(broad s)。
【0095】
触媒試料C4、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)THF付加物を以下のように調製した。
【0096】
リチウムビス(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)イソプロポキシボレートの調製
【0097】
【0098】
ジエチルエーテル(100mL)中1-ブロモ-2,6-ジフルオロベンゼン(1.46g、7.56mmol)の冷(-78℃、CO2(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(3.00mL、ヘキサン中2.48M、7.44mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、エーテル(10mL)中のビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボラン(3.69g、7.44mmol)の溶液を緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで温める間に、沈殿物が形成された。反応混合物が室温に達するまでには、沈殿物は溶解して、透明な溶液が得られ、これを数時間撹拌した。溶液を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、結晶のように見える固体を得た。固体を最小の沸騰エーテル中に溶解させ、溶液をグローブボックス冷凍庫(-33℃)内に置いた。一晩冷却した後、形成された結晶から上清をデカントした。結晶を減圧下で乾燥させた。収率:6.85g、88.4%。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d6)δ8.31(s、4H)、7.77(tt、J=2.0、0.9Hz、2H)、6.60(dq、J=8.8、7.5Hz、1H)、6.47-6.41(m、2H)、3.71(hept、J=6.2Hz、1H)、3.05(qd、J=7.1、0.7Hz、8H)、0.82(td、J=7.1、0.6Hz、12H)、0.68(d、J=6.2Hz、6H)。13C NMR(126MHz、ベンゼン-d6)δ164.45(dd、J=249.6、11.3Hz)、142.11、137.21、136.78(t、J=3.8Hz)、135.51(t、J=10.8Hz)、131.28(q、J=33.3Hz)、126.10(p、J=3.8Hz)、123.30(q、J=273.1Hz)、111.72-111.40(m)、73.82、65.57、15.11、2.57。19F NMR(376MHz、ベンゼン-d6)δ-62.64、106.66。11B NMR(160MHz、ベンゼン-d6)δ0.68(s)。
【0099】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランのTHF付加物の調製
【0100】
【0101】
リチウムビス(ジエチルエーテラート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)イソプロポキシボレート(5.85g、10.6mmol)をエーテル(150mL)に溶解し、クロロトリメチルシラン(3.00mL、23.6mmol)を周囲温度で溶液に添加した。15分以内に沈殿物が形成され始めた。反応混合物を週末にわたって撹拌した。月曜日までには、揮発物が蒸発した(非密閉容器)。無色の固体をエーテルで抽出し、濾過した。揮発物を減圧下で除去して、生成物を無色の固体4.98gとして得た。NMRスペクトルは純粋なボランを示したが、モノエーテラート錯体に必要なエーテルの約86%のみであった。生成物をエーテル中に溶解させて、濁った溶液を得た。THF(6mL)を添加すると、溶液は透明になった。揮発物を減圧下で除去して、ガラス状の固体を得た。残留物をベンゼンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して白色の固体を得た。収率:4.63g、69.9%。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d6)δ8.02(d、J=1.8Hz、2H)、7.77(dq、J=1.9、0.9Hz、1H)、6.71-6.60(m、0H)、6.48(t、J=8.4Hz、1H)、3.17-3.09(m、2H)、0.77-0.68(m、2H)。13C NMR(101MHz、ベンゼン-d6)δ164.82(dd、J=243.3、14.1Hz)、147.95、133.82、133.30、130.91(d、J=32.4Hz)、124.41(q、J=272.8Hz)、121.40(q、J=3.9Hz)、112.57-111.60(m)、73.58、24.03(d、J=3.3Hz)。19F NMR(376MHz、ベンゼン-d6)δ-62.80、-99.69(t、J=7.5Hz)。11B NMR(160MHz、ベンゼン-d6)δ12.2(s)。
【0102】
触媒試料C5、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランを以下のように調製した。
【0103】
リチウムイソプロポキシビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの調製
【0104】
【化18】
1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(3.00g、10.24mmol)のジエチルエーテル(200mL)冷(-78℃、CO
2(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(4.00mL、ヘキサン中2.535M、10.14mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。エーテル(18mL)中イソプロポキシビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(5.036g、10.15mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を-78℃で数時間撹拌した。溶液を一晩撹拌しながら周囲温度まで温めて、淡黄色の透明の溶液を得た。反応混合物から揮発物を除去して、黄色の油を得た。油をベンゼンで抽出した。不溶物はなかった。反応混合物から揮発物を除去して、黄色の油を得た。収率は、7.88g、98.3%であった。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d
6)δ8.06(s、1H)、8.00(s、4H)、7.70(dt、J=1.8、0.9Hz、2H)、7.40(d、J=8.3Hz、1H)、7.19(d、J=8.4Hz、1H)、3.79(hept、J=6.1Hz、1H)、2.78(q、J=7.1Hz、4H)、0.73(d、J=6.1Hz、6H)、0.54(t、J=7.1Hz、6H)。
13C NMR(101MHz、ベンゼン-d
6)δ158.31、153.97、135.44(q、J=3.7Hz)、135.23、133.55(t、J=4.1Hz)、133.25、133.18、132.37(d、J=97.8Hz)、130.92(q、J=32.0Hz)、127.80(q、J=273.9Hz)、124.92(q、J=272.5Hz)、124.66(q、J=272.8Hz)、123.86(q、J=3.8Hz)、119.86(p、J=3.9Hz)、66.24、66.17、25.60、13.94。
19F NMR(376MHz、ベンゼン-d
6)δ-55.30--55.51(m)、-62.82、-63.61。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ2.16。
【0105】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランの調製
【0106】
【化19】
リチウム(ジエチルエーテラート)イソプロポキシ-ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-ボレート(7.88g、9.97mmol)をエーテル(150mL)に溶解した。クロロトリメチルシラン(2.6mL、20.5mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌して、無色の沈殿物を有する黄色の溶液を得た。揮発物を減圧下で除去した。残留物をヘキサン(100ml)で抽出した。混合物を濾過し、揮発物を減圧下で濃縮した。溶液を冷凍庫(-33℃)内で一晩冷却した。反応混合物を濾過し、沈殿物を減圧下で乾燥させて、白色の粉末を得た。収率:6.0182g、92.84%。
THFを含まない化合物:
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d
6)δ7.87(s、2H)、7.85(s、4H)、7.29(s、1H)、7.11(d、J=1.2Hz、2H)。
13C NMR(126MHz、ベンゼン-d
6)δ140.87、140.75、137.49(d、J=3.8Hz)、135.11(q、J=31.7Hz)、133.26(q、J=33.0Hz)、132.03(q、J=33.6Hz)、128.29、127.34(q、J=3.8Hz)、127.11(q、J=4.0Hz)、127.01(q、J=4.0Hz)、124.46(q、J=274.3Hz)、123.70(q、J=273.2Hz)、123.49(q、J=272.9Hz)。
19F NMR(376MHz、ベンゼン-d
6)δ-56.98、-63.43、-63.47。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ64.37。
【0107】
触媒試料C6、(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランを以下のように調製した。
【0108】
リチウムジイソプロポキシ(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの調製
【0109】
【化20】
n-ブチルリチウム(4.00mL、ヘキサン中2.535M、10.14mmol)を、1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(3.000g、10.24mmol)のジエチルエーテル(150mL)冷(-101℃~-99℃、CO
2(s)、次いでN
2(l)、メタノール浴)溶液に撹拌しながら添加した。反応混合物を約-100℃で2時間撹拌し、次いで-78℃まで温めた。エーテル(10mL)中ビス(イソプロポキシ)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(3.510g、10.26mmol)を緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで撹拌しながら一晩温めた。淡黄色のほぼ透明な溶液から揮発物を減圧下で除去して、結晶のように見える固体を得た。固体をエーテル(10mL)に溶解し、冷凍庫に入れた。何も沈殿しなかった。エーテルを蒸発させ、黄色の固体をヘキサンに溶解し、濾過し、窒素流下で濃縮して結晶性固体を得た。上清を除去し、固体を減圧下で乾燥させた。第1の収穫物からの無色結晶の収率:3.318g。結晶のNMR分析は、純粋な所望の化合物を示した。上清を冷凍庫に一晩置いた。結晶性物質が形成された。上清をピペットで取り出し、廃棄した。結晶性残留物を減圧下で乾燥させた:2.017g。合計収率:5.335g、82.79%。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d
6)δ8.39(s、2H)、8.26(s、1H)、7.90(dq、J=1.8、0.9Hz、1H)、7.56(d、J=8.2Hz、1H)、7.27(ddt、J=7.9、1.7、0.8Hz、1H)、3.18(hept、J=6.0Hz、2H)、2.92(q、J=7.1Hz、4H)、0.89(t、J=7.1Hz、6H)、0.78(d、J=6.1Hz、6H)、0.68(d、J=6.0Hz、6H)。
13C NMR(101MHz、ベンゼン-d
6)δ153.10、136.65(q、J=29.6Hz)、134.81(dd、J=2.7Hz、1.9Hz)、133.93(q、J=3.6Hz)、131.93(q、J=31.6Hz)、131.35、129.76(q、J=31.9Hz)、127.26(q、J=274.6Hz)、125.17(d、J=272.4Hz)、124.89(q、J=272.8Hz)、123.25(q、J=3.9Hz)、119.89(p、J=3.9Hz)、66.42、64.08、25.49、24.57、14.36。
19F NMR(376MHz、ベンゼン-d
6)δ-55.79、-62.66、-63.30。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ5.32。
【0110】
イソプロポキシ(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランの調製
【0111】
【化21】
エーテル(10mL)中のリチウム(ジエチルエーテラート)ジイソプロポキシ-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート(3.318g、5.21mmol)の溶液にクロロトリメチルシラン(2.0mL)を添加して、沈殿物を迅速に形成した。反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去した。NMR分析は、反応が完了したことを示した。多少の推定TMS -O -iPr エーテルも存在した。上記のように調製したリチウムジイソプロポキシ(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの第2の収穫物を同様に処理し(リチウム塩2.017g、3.17mmol、0.2mLのTMSCl)、3時間撹拌した。合せた試薬の総量:5.335g、8.39mmol、TMSCl:4.0mL、31.6mmol。第2の反応混合物を濾過し、第1の反応生成物と合わせた。揮発物を減圧下で除去した。残留物をヘキサンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下40℃で一晩除去して、生成物を黄色の油3.4703g、83.42%として得た。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d
6)δ8.05(d、J=1.8Hz、2H)、7.80(d、J=2.3Hz、1H)、7.34(d、J=1.9Hz、1H)、7.12(d、J=6.5Hz、1H)、7.10(d、J=6.7Hz、1H)、3.78(hept、J=6.1Hz、1H)、0.85(d、J=6.1Hz、6H)。
13C NMR(101MHz、ベンゼン- d
6)δ139.07、136.28、135.37(q、J=31.8Hz)、134.93(d、J=3.9Hz)、133.49(q、J=32.7Hz)、131.50(q、J=33.0Hz)、127.87、126.95(dq、J=7.5、3.7Hz)、126.46(q、J=3.7Hz)、125.41(hex、J=3.8Hz)、124.57(q、J=273.9Hz)、123.98(q、J=272.8Hz)、123.90(q、J=273.0Hz)、72.49、23.71。
19F NMR(376MHz、ベンゼン-d
6)δ-60.31、-63.27(d、J=3.3Hz)、-63.47(d、J=3.3Hz)。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ41.28。
【0112】
リチウムイソプロポキシビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートの調製
【0113】
【化22】
1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(1.800g、6.14mmol)のジエチルエーテル(150mL)冷(-78℃、CO
2(s)浴)溶液に、n-ブチルリチウム(2.40mL、ヘキサン中2.535M、6.08mmol)を緩徐に滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌した。エーテル(18mL)中イソプロポキシ(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(3.022g、6.09mmol)を緩徐に添加する。反応混合物を-78℃で数時間撹拌した。溶液を周囲温度まで撹拌しながら一晩温めて、淡黄色の透明な溶液を得た。反応混合物から揮発物を除去して、黄色の油を得た。油をベンゼンで抽出した。不溶物はなかった。反応混合物から揮発物を除去して、黄色の油を得た。収率は、4.21g、87.6%であった。
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d
6)δ8.30(s、2H)、8.12(s、2H)、7.65(dt、J=1.7、0.9Hz、1H)、7.27(d、J=8.2Hz、2H)、7.08(d、J=8.2Hz、2H)、3.87(hept、J=6.2Hz、1H)、2.91(q、J=7.1Hz、4H)、0.65(d、J=6.2Hz、6H)、0.63(t、J=7.1Hz、6H)。
13C NMR(101MHz、ベンゼン-d
6)δ157.17、156.73、134.42、133.88(q、J=3.6Hz)、133.04(d、J=28.4Hz)、132.88(q、J=32.1Hz)、129.95(q、J=31.9Hz)、127.74(q、J=273.6Hz)、127.33(q、J=6.9Hz)、124.97(q、J=272.4Hz)、124.50(q、J=273.0Hz)、122.72(q、J=3.8Hz)、118.78(p、J=4.1Hz)、65.88、65.34、25.11、13.91。
19F NMR(376MHz、ベンゼン-d
6)δ-56.31、-62.89、-63.76。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ2.98。
【0114】
ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランの調製
【0115】
【化23】
ジエチルエーテル(150mL)中、リチウム(ジエチルエーテラート)イソプロポキシビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート(3.915g、4.95mmol)の溶液に、クロロトリメチルシラン(1.10mL、10.1mmol)を撹拌しながら添加した。15分以内に沈殿物が溶液中に形成された。反応混合物を一晩撹拌した。混合物を濾過し、揮発物を減圧下で除去して、3.260gの無色の固体を得た。生成物をヘキサンで抽出し、濾過し、揮発物を減圧下で除去して、生成物を3.109g、96.53%の淡色の固体として得た。
1H NMR(500MHz、ベンゼン-d
6)δ7.90(s、1H)、7.83(s、1H)、7.66(s、3H)、7.09(s、5H)、7.09(s、5H)。
13C NMR(126MHz、ベンゼン- d
6)δ141.54、140.05、138.35(q、J=3.8Hz)、135.84(q、J=32.0Hz)、133.02(q、J=33.0Hz)、132.02(q、J=33.7Hz)、129.98(q、J=3.5Hz)、128.29、127.91(d、J=2.4Hz)、127.13(q、J=4.2Hz)、124.15(q、J=274.2Hz)、123.70(q、J=273.2Hz)、123.37(q、J=273.2Hz)。
19F NMR(470MHz、ベンゼン-d
6)δ-56.40、-63.31、-63.58。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ67.58。
【0116】
触媒試料C7を以下のように調製した。
【0117】
トリス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランの調製
【0118】
【化24】
この反応は、以前に報告された手順と同様に行った。
2イソプロピルマグネシウムクロリド-リチウムクロリド(46.0mL、58.0mmol、THF中1.26 M溶液)を、ドライアイス(-76℃)で冷却したアセトン浴中にあるTHF(250mL)中1-ブロモ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(17.05g、58.2mmol)の溶液に添加した。添加が完了した後、反応フラスコを氷浴(0℃)に移し、反応混合物を2時間撹拌した。反応混合物を-78℃に冷却し、エーテル15mL中の三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.43mL、2.74g、19.3mmol)を添加した。反応混合物を週末にかけて撹拌しながら室温まで温めた。揮発物を溶液から除去して、12.77gの赤みがかった固体を得た。残留物をトルエンで抽出し、濾過した。揮発物を減圧下で除去して、10.75gのピンク色の粉末を得た。固体を塩化メチレンで抽出して、明紫色の溶液を得た。溶液を冷凍庫に一晩入れた。形成された非常に明るいピンクがかった結晶性物質から上清をデカントした。物質を減圧下で乾燥させた。収率:7.0003g、55.73%。
2Herrington,T.J.、Thom,A.J.W.、White,A.J.P.、Ashley,A.E.Dalton Trans、 2012,41,9019。
THを含まない生成物:
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d
6)δ7.57(s、1H)、7.13(s、3H)、7.08(dd、J=8.3、1.8Hz、3H)。
13C NMR(101MHz、ベンゼン-d
6)δ141.10、136.50(q、J=32.2Hz)、132.81(q、J=33.1Hz)、131.59(q、J=3.8Hz)、128.85(q、J=3.7Hz)、127.45(q、J=3.4、2.1Hz)、123.93(q、J=274.6Hz)、123.59(q、J=273.1Hz)。
19F NMR(376MHz、ベンゼン-d
6)δ-56.48、-63.77。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ68.81。
【0119】
触媒試料C8、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物を以下のように調製した。
【0120】
リチウム(テトラヒドロフラネート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)イソプロポキシボレートの調製
【0121】
【化25】
n-ブチルリチウム(3.00mL、ヘキサン中2.54 M、7.61mmol)を、1-ブロモ-2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルベンゼン(2.26g、7.61mmol)のジエチルエーテル(100mL)冷(-101℃~-99℃、CO
2(s)、次いでN
2(l)、メタノール浴)溶液に撹拌しながら添加した。反応混合物を-100℃で2時間撹拌し、次いで-76℃まで温めた。エーテル(10mL)中ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボラン(3.78g、7.61mmol)を、反応混合物に緩徐に添加した。反応混合物を周囲温度まで撹拌しながら一晩緩徐に温めた。翌日、淡黄色のほぼ透明の溶液を濾過し、濾液から揮発物を減圧下で除去して、結晶のように見える固体を得た。固体をヘキサンで洗浄し、濾過し、減圧下で乾燥させた。NMR分析のために固体のアリコートを除去した。固体のアリコートはベンゼンへの溶解度が限定されていた。アリコートをTHFに溶解し、揮発物を減圧下で除去し、次いでベンゼン中のNMRによって再度分析した。収率:6.16g、93.2%。
1H NMR(500MHz、ベンゼン-d
6)δ8.32(s、4H)、7.85(s、2H)、3.47(h、J=6.2Hz、1H)、3.26-3.17(m、4H)、1.24-1.16(m、4H)、0.55(d、J=6.2Hz、6H)。
13C NMR(126MHz、ベンゼン-d
6)δ144.07(d、J=259.4Hz)、134.41、133.82、133.48(d、J=187.5Hz)、130.59(q、J=32.2Hz)、130.45(q、J=31.8Hz)、126.40-123.43(m)、125.84、124.97(q、J=272.4Hz)、119.94(p、J=4.0Hz)、118.92(d、J=190.9Hz)、109.57(d、J=22.7Hz)、68.38、65.30、25.64、25.13。
19F NMR(470MHz、ベンゼン-d
6)δ-56.26(t、J=20.7Hz)、-62.59、-137.04、-141.73。
11B NMR(160MHz、ベンゼン-d
6)δ1.20。
【0122】
ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランテトラヒドロフラネート、THF付加物の調製
【0123】
【化26】
リチウム(テトラヒドロフラネート)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)イソプロポキシボレート(6.16g、7.10mmol)のジエチルエーテル(100mL)溶液に、クロロトリメチルシラン(2.00mL、18.4mmol)を撹拌しながら添加した。反応混合物を一晩撹拌した。翌日、
19F NMR分光法による反応混合物のアリコートの分析によって、反応が起こらなかったことが明らかになった。エーテル中の塩化水素溶液(7.00mL、2.0M、14.0mmol)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。翌日、
19F NMR分光法による反応混合物のアリコートの分析によって、反応が完了したことが明らかになった。混合物を濾過し、濾液から揮発物を減圧下で除去した結果として得られる残留物をトルエン中に溶解させ、濾過し、濾液から揮発物を減圧下で除去して、4.50gの粗生成物を得た。無色のペースト状の固体をヘキサンで洗浄し、濾過して無色の粉末を得て、これを減圧下で乾燥させた。粉末のNMR分析により、1分子のイソプロパノールがボランの配位球に残存していることが明らかになった。ボランのイソプロパノール付加物としての収率:2.45g、52.8%。
【0124】
ボランイソプロパノール付加物(1.811g)の一部をエーテル(40mL)に溶解し、THF(10mL)を溶液に添加した。溶液を緩徐に蒸発させて、大きな結晶を得た。上清を除去し、非常に淡い黄色の結晶をヘキサンで洗浄した。結晶を減圧下で乾燥させた(1.08g)。結晶をX線結晶構造解析法によって分析し、ボランイソプロパノール付加物であることが判明した。THFは配位アルコールを置換しなかった。結晶からの上清溶液及びヘキサン洗浄液を合わせ、真空下で濃縮して、結晶の第2の収穫物(0.422g)を得た。結晶の第2の収穫物を、第1の収穫物と同じ様式で洗浄し、乾燥させた。NMR分析によって、配位したイソプロパノールの存在が示されたが、THFの存在はほとんど又は全く示されなかった。THFを添加し、次いで揮発物を減圧下で除去した。NMR分析によって、THFの存在が示されたが、なお多少のイソプロパノールの存在が示された。固体をTHFに溶解し、次いで圧送除去した。これを更に5回繰り返し、生成物のTHF付加物を白色粉末として得た。収率:0.413g、22.4%。
THF付加物:
1H NMR(400MHz、ベンゼン-d6)δ7.87(s、4H)、7.80(s、4H)、3.02-2.93(m、4H)、0.78-0.72(m、4H)。13C NMR(126MHz、ベンゼン-d6)δ147.98(td、J=16.5、3.6Hz)、146.05(tt、J=11.8、4.1Hz)、145.58(d、J=20.9Hz)、143.50(d、J=20.1Hz)、133.44、131.39(q、J=32.6Hz)、124.24(q、J=272.7Hz)、121.78(t、J=4.0Hz)、121.45(q、J=274.4Hz)、109.38-108.10(m)、73.75、23.90。19F NMR(376MHz、ベンゼン-d6)δ-56.57(t、J=21.0Hz)、-62.95、-130.60(dd、J=22.5、13.2Hz)、-140.71(qt、J=19.7、8.6Hz)。11B NMR(160MHz、ベンゼン-d6)δ7.22。
【0125】
参考例2において上述したように調製した触媒試料を以下に示す。
【0126】
【0127】
フッ素化アリールボランルイス酸触媒試料C1~C8、及び市販のFABの構造を上に示す。構造C1は、トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A1)に相当)である。構造C2は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A2)に相当)である。構造C3は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A3)に相当)である。構造C4は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A4)に相当)である。構造C5は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(請求項の出発物質A5)に相当)である。構造C6は、(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン(請求項の出発物質A6)に対応)である。構造C7は、トリス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランである。構造C8は、ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物(請求項の出発物質A7)に相当)である。
【0128】
参考例3-一般的な手順
HTMS、PMDS、TES、TMSOMe、及びFAB(表1に上述されている)を受け取ったまま使用した。窒素パージしたグローブボックス内で、フッ素化トリアリールボランルイス酸試料(触媒)の溶液を10mLのガラスバイアル中で調製した(例えば、FAB、30.7mg、0.06mmolを5mLの無水重水素化ベンゼン中に溶解した)。NMR管に、シリルヒドリド(例えば、HTMS、32.6μL、0.12mmol、1当量)、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(例えば、トリメチルメトキシシラン、17μL、0.12mmol、1当量)、内部標準(メシチレン、16.8μL、0.12mmol、1当量)を入れた。触媒(0.5mL、0.006mmol、5mol%)を、ピペットを介して原液として送達した。溶液の最終濃度は、0.24Mである。管に蓋をし、1H NMRスペクトルを一定の時間間隔で測定した。変換率は、400MHz NMRを使用して内部標準と比較して確立された。
【0129】
試験した全てのフッ素化トリアリールボランルイス酸試料は、C7を除いて、試験した条件下でSiH-SiOR硬化反応を触媒した。理論に拘束されることを望むものではないが、C7は、これらの条件下でこの反応を触媒するには立体的にかさ高すぎたと考えられ、これは更に、全てのフッ素化アリールボランがこの反応を触媒するわけではないことを実証している。
【0130】
【0131】
様々なシリルヒドリド及びフッ素化トリアリールボランを用いた反応スキーム。
【0132】
【0133】
理論に拘束されることを望むものではないが、TESは、PMDSよりも反応が困難なHMTSよりも反応が困難であり、C6は、より高い温度でより高い変換率をもたらすと考えられる。
【0134】
産業上の利用可能性
本明細書に記載の組成物及び方法は、フッ素化トリアリールボランルイス酸を触媒として使用する。これらのフッ素化トリアリールボランルイス酸は、FABよりも良好な反応速度制御を提供する。本明細書に記載の組成物及び方法は、出発物質の添加順序が重要ではないという更なる利点を提供し、出発物質は、任意の順序で組み合わせることができる。本組成物及び方法は、ポットライフ及び/又はプロセスロバスト性の利点を提供し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、シリルヒドリドは、自己硬化を引き起こすので、FABと混合すべきではないと考えられる。
【0135】
用語の定義及び使用
本明細書で使用される略語は、以下の表5の定義を有する。
【0136】
【0137】
全ての量、比及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。組成物中の全ての出発物質の量は、総計100重量%である。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は、明細書の文脈によって特に指示されない限り、1つ以上を各々指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、2.0~4.0の範囲の開示は、2.0~4.0の範囲だけでなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0も個別に含み、並びに範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、2.0~4.0の範囲の開示は、例えば、2.1~3.5、2.3~3.4、2.6~3.7、及び3.8~4.0の部分集合、並びにその範囲内に包含される任意の他の部分集合も含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び下位群も含む。例えば、マーカッシュ群「水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基」の開示には、その要素である個々のアルキル、下位群であるアルキル及びアリールを含み、かつマーカッシュ群に包含される任意の他の個々の要素及び下位群を含んでいる。
【0138】
用語「含むこと(comprising)」及びその派生語、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「から本質的になる(consist(ing) essentially of)」、及び「からなる(consist(ing) of)」)という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。
【0139】
全般的に、本明細書で使用されている、ある範囲の値におけるハイフン「-」又は波線「~」は、「まで(to)」又は「から(through)」であり、「>」は「~を上回る(above)」又は「超(greater-than)」であり、「≧」は「少なくとも(at least)」又は「以上(greater-than or equal to)」であり、「<」は「~を下回る(below)」又は「未満(less-than)」であり、「≦」は「多くとも(at most)」又は「以下(less-than or equal to)」である。前述の特許出願、特許、及び/又は特許公開の各々は、個別の基準で、1つ以上の非限定的な実施形態における参照により明示的にその全体が本明細書に組み込まれる。
【0140】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」を表現するために、かつそこに記載される特定の化合物、組成物、又は方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
A)フッ素化トリアリールボランルイス酸であって、
A1)トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物、
A2)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、
A3)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物、
A4)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物、
A5)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、
A6)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、
A7)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、及び
A8)A1)~A7)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、フッ素化トリアリールボランルイス酸と、
B)式-OR
2[式中、各R
2は、炭素原子が1~6つの、独立して選択される一価炭化水素基である]のケイ素結合基を、平均して1分子当たり少なくとも1つ有する、炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物と、
C)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合水素原子を有するシリルヒドリドと、を含む、組成物。
【請求項2】
出発物質A)は、
A1)トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物、
A2)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、
A3)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物、
A4)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物、
A5)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、及び
A7)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
出発物質A)は、A1)、A2)、A3)、A4)、及びA5)からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
出発物質A)は、B)前記炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物及びC)前記シリルヒドリドの合計重量に基づいて、0.1ppm~5モル%の量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
工程1)において、出発物質A)は、B)前記有機ケイ素化合物及びC)前記シリルヒドリドの合計重量に基づいて、5ppm~6,000ppmの量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
B)前記有機ケイ素化合物は、
B1)式R
1
(4-a)SiOR
2
a[式中、各R
1は、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、各R
2は、炭素原子1~6つの一価炭化水素基であり、下付き文字aは、1~4である]のアルコキシシラン、及び
B2)式B2)
【化1】
[式中、各Dは、独立して、酸素原子、二価炭化水素基、二価シロキサン基、又は二価炭化水素基と二価シロキサン基との組み合わせを表し、各R
Xは、独立して、式-OR
2(式中、各R
2は、上述のとおりである)の基を表し、各R
3は、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、下付き文字cは、0、1、2、又は3を表し、下付き文字eは、0、1、又は2を表し、下付き文字dは、0以上の値を有し、但し、平均で少なくとも1つのR
xが式中に存在するように、(e+c)の合計は少なくとも1である]の基を含む有機シロキサンオリゴマー又はポリマーからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機シロキサンオリゴマー又はポリマーは、単位式
(R
XR
3
2SiO
1/2)
o(R
3
3SiO
1/2)
p(R
3
2SiO
2/2)
q(R
XR
3SiO
2/2)
r(R
XSiO
3/2)
s(R
3SiO
3/2)
t(SiO
4/2)
u[式中、R
Xは、上述の式-OR
2の基を表し、下付き文字o、p、q、及びrは、o≧0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0、t≧0、u≧0であるような値を有し、数量(o+r+s)は、1以上の平均値を有する]を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
C)前記シリルヒドリドは、
C1)式H
kSiR
5
(4-k)[式中、各R
5は、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択され、下付き文字kは、1~3である]のシラン、及び
C2)単位式(HR
4
2SiO
1/2)
g(R
4
3SiO
1/2)
h(R
4
2SiO
2/2)
i(HR
4SiO
2/2)
j[式中、各R
4は、脂肪族不飽和を含まない、独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字g、h、i、及びjは、g≧0、h≧0、数量(g+h)が2の平均値を有し、i≧0、j≧0、及び数量(g+j)≧1であるような値を有し、数量(i+j)は、0~1000の範囲である]のオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
出発物質C)は、式HSiR
5
3[式中、各R
5は、炭素原子1~6つのアルキル基である]のシランである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
出発物質C)は、式
【化2】
[式中、下付き文字mは、0又は1であり、各R
4は、アルキル基であり、各R
6は、H及びR
4からなる群から独立して選択され、但し、少なくとも1つのR
6は、水素原子である]のポリジオルガノハイドロジェンシロキサンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
方法であって、
1)
A)フッ素化トリアリールボランルイス酸であって、
A1)トリス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボランTHF付加物、
A2)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、
A3)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,4,6-トリフルオロフェニル)ボランTHF付加物、
A4)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,6-ジフルオロフェニル)ボランTHF付加物、
A5)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、
A6)(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ビス(2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、
A7)ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボランTHF付加物、及び
A8)A1)~A7)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、フッ素化トリアリールボランルイス酸と、
B)式-OR
2[式中、各R
2は、炭素原子が1~6つの、独立して選択される一価炭化水素基である]のケイ素結合基を、平均して1分子当たり少なくとも1つ有する、炭化水素オキシ官能性有機ケイ素化合物と、
C)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合水素原子を有するシリルヒドリドと、を含む、出発物質を組み合わせることで、
出発物質B)及びC)の反応生成物と、HR
2を含む副生成物と、を含む工程1)の生成物を形成する工程を含む、方法。
【請求項12】
前記方法は、5℃~70℃の温度で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程1)の前記生成物中の残留フッ素化トリアリールボランルイス酸を中和する工程を更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
工程1)中及び/又は工程1)後、HR
2を含む前記副生成物を除去する工程を更に含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応生成物を回収する工程を更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】