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特表2023-532217SHP2阻害剤の結晶形、その組成物、その製造方法及び応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】SHP2阻害剤の結晶形、その組成物、その製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20230720BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230720BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230720BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577746
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 CN2021100673
(87)【国際公開番号】W WO2021254449
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/096778
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520415959
【氏名又は名称】上海奕拓醫藥科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】ETERN BIOPHARMA (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】F3-B1, NO.400 FANGCHUN RD SHANGHAI PILOT FREE TRADE ZONE SHANGHAI 201210 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 乾 剛
(72)【発明者】
【氏名】諸 葛 浩
(72)【発明者】
【氏名】趙 ▲イエ▼
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072MM02
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明が、式(I)で示される化合物1である(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン、その水和物又は溶媒和物の新規結晶形、及び前記の新規結晶形を含む医薬組成物に関わり、さらに前記の新規結晶形の製造方法及びその応用に関わる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される化合物1の結晶形Aであって、前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約6.46°、約12.64°、および約12.93°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、結晶形A。
【化1】
【請求項2】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約6.46°、約12.64°および約12.93°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形A。
【請求項3】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約13.50°、約14.60°、約16.49°、約17.66°、約18.27°、および約23.04°2θからなる群から選択される1つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形A。
【請求項4】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約13.50°、約14.60°、約16.49°、約17.66°、約18.27°、および約23.04°2θからなる群から選択される2つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶形A。
【請求項5】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約13.50°、約14.60°、約16.49°、約17.66°、約18.27°、および23.04°2θからなる群から選択される3つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶形A。
【請求項6】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約13.50°、約14.60°、約16.49°、約17.66°、約18.27°、および約23.04°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶形A。
【請求項7】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約23.61°、約25.42°、約25.79°、および約27.83°2θからなる群から選択される1つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の結晶形A。
【請求項8】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約23.61°、約25.42°、約25.79°、および約27.83°2θからなる群から選択される2つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の結晶形A。
【請求項9】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約23.61°、約25.42°、約25.79°、および約27.83°2θからなる群から選択される3つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の結晶形A。
【請求項10】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約23.61°、約25.42°、約25.79°および約27.83°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の結晶形A。
【請求項11】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、以下から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の結晶形A。
【表1】
【請求項12】
前記の結晶形AのX線粉末回折スペクトルが図1に示されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶形A。
【請求項13】
前記の結晶形Aの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが約262.0℃に吸熱ピークを含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の結晶形A。
【請求項14】
前記の結晶形Aの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが図2に示されていることを特徴とする、請求項13に記載の結晶形A。
【請求項15】
式(I)で示される化合物1の結晶形Bであって、前記の結晶形BのX線粉末回折スペクトルが、約7.36°、約10.82°、および約11.10°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、結晶形B。
【化2】
【請求項16】
前記の結晶形BのX線粉末回折スペクトルが、約7.36°、約10.82°、および約11.10°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項15に記載の結晶形B。
【請求項17】
前記の結晶形BのX線粉末回折スペクトルが、約14.70°、約15.99°、約20.96°、および約23.78°2θからなる群から選択される1つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項15に記載の結晶形B。
【請求項18】
前記の結晶形BのX線粉末回折スペクトルが、約14.70°、約15.99°、約20.96°、および約23.78°2θからなる群から選択される2つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項15に記載の結晶形B。
【請求項19】
前記の結晶形BのX線粉末回折スペクトルが、約14.70°、約15.99°、約20.96°、および約23.78°2θからなる群から選択される3つ以上のピークを有することを特徴とする、請求項15に記載の結晶形B。
【請求項20】
前記の結晶形BのX線粉末回折スペクトルが、約14.70°、約15.99°、約20.96°、および約23.78°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有することを特徴とする、請求項15に記載の結晶形B。
【請求項21】
前記の結晶形BのX線粉末回折スペクトルが、以下から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項15に記載の結晶形B。
【表2】
【請求項22】
前記の結晶形BのX線粉末回折スペクトルが図3に示されていることを特徴とする、請求項15から21のいずれか一項に記載の結晶形B。
【請求項23】
前記の結晶形Bの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが約113.5℃と約266.8℃に吸熱ピークを含むことを特徴とする、請求項15から22のいずれか一項に記載の結晶形B。
【請求項24】
前記の結晶形Bの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが図4に示されていることを特徴とする、請求項23に記載の結晶形B。
【請求項25】
前記の結晶形Bにおける水分子の前記化合物1に対するモル比は、約3.9:1であることを特徴とする、請求項15から24のいずれか一項に記載の結晶形B。
【請求項26】
式(I)で示される化合物1の水和物の結晶形Cであって、前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約7.33°、約11.08°、および約14.70°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、結晶形C。
【化3】
【請求項27】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約7.33°、約11.08°、および約14.70°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項26に記載の結晶形C。
【請求項28】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約16.23°、約18.85°、約21.20°、約22.03°、及び約24.33°2θからなる群から選択される1つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項26に記載の結晶形C。
【請求項29】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約16.23°、約18.85°、約21.20°、約22.03°、及び約24.33°2θからなる群から選択される2つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項26に記載の結晶形C。
【請求項30】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約16.23°、約18.85°、約21.20°、約22.03°、及び約24.33°2θからなる群から選択される3つ以上のピークを有することを特徴とする、請求項26に記載の結晶形C。
【請求項31】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約16.23°、約18.85°、約21.20°、約22.03°、及び約24.33°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有することを特徴とする、請求項26に記載の結晶形C。
【請求項32】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約15.20°、約20.05°、約23.70°、及び約29.13°2θからなる群から選択される1つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項26から31のいずれか一項に記載の結晶形C。
【請求項33】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約15.20°、約20.05°、約23.70°、及び約29.13°2θからなる群から選択される2つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項26から32のいずれか一項に記載の結晶形C。
【請求項34】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約15.20°、約20.05°、約23.70°、及び約29.13°2θからなる群から選択される3つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項26から33のいずれか一項に記載の結晶形C。
【請求項35】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約15.20°、約20.05°、約23.70°、及び約29.13°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有することを特徴とする、請求項26から34のいずれか一項に記載の結晶形C。
【請求項36】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、以下から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項26から35のいずれか一項に記載の結晶形C。
【表3】
【請求項37】
前記の結晶形CのX線粉末回折スペクトルが図5に示されていることを特徴とする、請求項26から36のいずれか一項に記載の結晶形C。
【請求項38】
前記の結晶形Cの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが約117.2℃と約265.6℃に吸熱ピークを含むことを特徴とする、請求項26から37のいずれか一項に記載の結晶形C。
【請求項39】
前記の結晶形Cの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが図6に示されていることを特徴とする、請求項38に記載の結晶形C。
【請求項40】
前記の結晶形Cにおける水分子の前記化合物1に対するモル比は、約3.7:1であることを特徴とする、請求項26から39のいずれか一項に記載の結晶形C。
【請求項41】
式(I)で示される化合物1のジクロロメタン溶媒和物の結晶形Dであって、前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約8.24°、約13.46°、および約15.32°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、結晶形D。
【化4】
【請求項42】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約8.24°、約13.46°、および約15.32°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項41に記載の結晶形D。
【請求項43】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約12.89°、約15.90°、および約16.84°2θからなる群から選択される1つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項41に記載の結晶形D。
【請求項44】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約12.89°、約15.90°、約16.84°2θからなる群から選択される2つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項41に記載の結晶形D。
【請求項45】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約12.89°、約15.90°、約16.84°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有することを特徴とする、請求項41に記載の結晶形D。
【請求項46】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°、及び約25.59°2θからなる群から選択される1つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項41から45のいずれか一項に記載の結晶形D。
【請求項47】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°、及び約25.59°2θからなる群から選択される2つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項41から46のいずれか一項に記載の結晶形D。
【請求項48】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°、及び約25.59°2θからなる群から選択される3つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項41から47のいずれか一項に記載の結晶形D。
【請求項49】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°、及び約25.59°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有することを特徴とする、請求項41から48のいずれか一項に記載の結晶形D。
【請求項50】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、以下から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項41から49のいずれか一項に記載の結晶形D。
【表4】
【請求項51】
前記の結晶形DのX線粉末回折スペクトルが図7に示されていることを特徴とする、請求項41から50のいずれか一項に記載の結晶形D。
【請求項52】
前記の結晶形Dの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが約124.1℃に吸熱ピークを含むことを特徴とする、請求項41から52のいずれか一項に記載の結晶形D。
【請求項53】
前記の結晶形Dの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが図8に示されていることを特徴とする、請求項41から53のいずれか一項に記載の結晶形D。
【請求項54】
前記の結晶形Dにおけるジクロロメタン分子の前記化合物1に対するモル比は、約0.8:1であることを特徴とする、請求項41から53のいずれか一項に記載の結晶形D。
【請求項55】
式(I)で示される化合物1のイソプロパノール溶媒和物の結晶形Eであって、前記の結晶形EのX線粉末回折スペクトルが、約9.10°、約13.49°、および約18.24°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、結晶形E。
【化5】
【請求項56】
前記の結晶形EのX線粉末回折スペクトルが、約9.10°、約13.49°、および約18.24°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項55に記載の結晶形E。
【請求項57】
前記の結晶形EのX線粉末回折スペクトルが、約13.03°、約20.13°、約22.63°、約23.35°、約25.06°、約27.51°、及び約29.46°2θからなる群から選択される1つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項55に記載の結晶形E。
【請求項58】
前記の結晶形EのX線粉末回折スペクトルが、約13.03°、約20.13°、約22.63°、約23.35°、約25.06°、約27.51°、及び約29.46°2θからなる群から選択される2つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項55に記載の結晶形E。
【請求項59】
前記の結晶形EのX線粉末回折スペクトルが、約13.03°、約20.13°、約22.63°、約23.35°、約25.06°、約27.51°、及び約29.46°2θからなる群から選択される3つ以上のピークをさらに有することを特徴とする、請求項55に記載の結晶形E。
【請求項60】
前記の結晶形EのX線粉末回折スペクトルが、約13.03°、約20.13°、約22.63°、約23.35°、約25.06°、約27.51°、及び約29.46°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有することを特徴とする、請求項55に記載の結晶形E。
【請求項61】
前記の結晶形EのX線粉末回折スペクトルが、以下から選択されるすべてのピークを有することを特徴とする、請求項55から60のいずれか一項に記載の結晶形E。
【表5】
【請求項62】
前記の結晶形EのX線粉末回折スペクトルが図9に示されていることを特徴とする、請求項55から62のいずれか一項に記載の結晶形E。
【請求項63】
前記の結晶形Eの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが約123.6℃と約269.0℃に吸熱ピークを含むことを特徴とする、請求項55から62のいずれか一項に記載の結晶形E。
【請求項64】
前記の結晶形Eの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルが図10に示されていることを特徴とする、請求項55から63のいずれか一項に記載の結晶形E。
【請求項65】
前記の結晶形Eにおけるイソプロパノール分子の前記化合物1に対するモル比は、約1:1であることを特徴とする、請求項55から64のいずれか一項に記載の結晶形E。
【請求項66】
前記の結晶形は、実質的に純粋な結晶形であり、「実質的に純粋な」とは、90重量%超の純度を具備することを意味することを特徴とする、請求項1から65のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項67】
式(I)で示される化合物1と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であって、前記の化合物1が、請求項1から14のいずれか一項に記載の結晶形A、請求項15から25のいずれか一項に記載の結晶形B、請求項26から40のいずれか一項に記載の結晶形C、請求項41から54のいずれか一項に記載の結晶形D、及び請求項55から65のいずれか一項に記載の結晶形Eからなる群から選択される結晶形を有することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項68】
少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Aを具備していることを特徴とする、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項69】
少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Bを具備していることを特徴とする、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項70】
少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Cを具備していることを特徴とする、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項71】
少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Dを具備していることを特徴とする、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項72】
少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Eを具備していることを特徴とする、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項73】
他の治療薬をさらに含むことを特徴とする、請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項74】
請求項1から66のいずれか一項に記載の結晶形を、薬学的に許容される担体と混合することを含むことを特徴とする、医薬組成物の調製方法。
【請求項75】
請求項1から66のいずれか一項に記載の結晶形または請求項67から73のいずれか一項に記載の医薬組成物の以下における応用:
(a)SHP2活性/レベル異常に関連する疾患または病気の予防または治療のための医薬品の製造;
(b)SHP2が介在する疾患または病気の予防または治療のための医薬品の製造;
(c)SHP2の活性/レベルを阻害する阻害剤薬物の調製;
(d)インビトロでのSHP2活性/レベルの非治療的な阻害;
(e)インビトロでの腫瘍細胞増殖の非治療的な阻害;または
(f)異常なSHP2活性/レベルに関連する疾患または病気の治療。
【請求項76】
前記のSHP2活性/レベル異常に関連する疾患または病気、またはSHP2が介在する疾患または病気は、癌であり、前記の癌は、ヌーナン症候群、ヒョウ皮膚症候群、若年性骨髄単球性白血病、神経芽細胞腫、黒色腫、急性骨髄性白血病、乳癌、食道癌、肺癌、結腸癌、頭部癌、頭頸部の扁平上皮癌、胃がん、未分化大細胞型リンパ腫、神経膠芽腫、肝細胞がん(HCC)、急性リンパ芽球性白血病、副腎皮質がん、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、異型奇形/類腫瘍、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん(骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳幹グリア形質腫瘍、脳腫瘍、脳脊髄腫瘍、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、子宮頸がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、胎児性腫瘍、子宮内膜がん、上皮細胞腫瘍、上衣腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、眼がん、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、消化管間質細胞腫瘍、胚細胞腫瘍、神経膠腫、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、膵島細胞腫瘍(内分泌膵臓)、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病、ヘアリー細胞白血病、肝臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、髄芽腫、髄上皮腫、中皮腫、口腔がん、多発性骨髄腫、上咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、中咽頭がん、骨肉腫、骨の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、上皮性卵巣がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣の低悪性度漿液性癌、膵臓がん、乳頭腫症、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、松果体中分化型腫瘍、骨芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽細胞腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞(腎臓)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、肉腫、カポジ病、セザリー症候群、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、喉頭がん、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍からなる群から選択されることを特徴とする、請求項75に記載の応用。
【請求項77】
有効量の請求項1から66のいずれか一項に記載の結晶形を必要とする対象に投与する工程、または有効量の請求項67から73のいずれか一項に記載の医薬組成物を必要とする対象に投与する工程、を含むことを特徴とする、SHP2の活性を阻害する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン、その水和物及び溶媒和物の新規結晶形、及び前記の新規結晶形を含む医薬組成物を提供した。また、前記の新規結晶形の製造方法及びその応用を公開した。
【背景技術】
【0002】
背景技術
SHP2(SH2ドメインを含むプロテインチロシンホスファターゼ-2)は、細胞のシグナル伝達過程で非常に重要な位置を占め、糖尿病、自己免疫疾患、癌などの主要な疾患の治療方法の開発ターゲットである。
【0003】
公開番号WO2020094018のPCT特許出願の記載のように、(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン(以下、「化合物1」と示す)は、有効的なSHP2阻害剤であり、SHP2に関連する疾患又は病気の予防又は治療に使用できる。前記のPCT出願の全文を本願に引用した。化合物1の構造が以下の式(I)のように示す。
【0004】
【化1】
【0005】
化合物は、一種または複種の結晶形で存在する場合があり、医薬品の有効成分として使用される結晶形は、異なる化学的および物理的特性、例えば、融点、溶解度、溶解速度、吸湿性、密度、流動性、安定性、バイオアベイラビリティなどを有してもよく、これら特性は、医薬品としての化合物の加工および/または製造能力に直接影響する。また、結晶化条件や保存条件が異なると、化合物の結晶構造が変化し、他の結晶形を生成する場合がある。医薬品の品質、安全性、有効性を確保するには、安定して再現可能に製造され、有利的な物理化学的特性を備える結晶形を選択することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、有利的な化学的および物理的特性を有する化合物 1 の安定的な結晶形が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の内容
本願としては、化合物1、その水和物及び溶媒和物の多種の新規結晶形を提供することである。
【0008】
一つの実施態様では、本願は、結晶形AのX線粉末回折スペクトルが、約6.46°、約12.64°および約12.93°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、化合物1の結晶形Aを提供する。
【0009】
一つの実施態様では、本願は、結晶形BのX線粉末回折スペクトルが、約7.36°、約10.82°および約11.10°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、化合物1の結晶形Bを提供する。
【0010】
一つの実施態様では、本願は、結晶形CのX線粉末回折スペクトルが、約7.33°、約11.08°および約14.70°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、化合物1の結晶形Cを提供する。
【0011】
一つの実施態様では、本願は、結晶形DのX線粉末回折スペクトルが、約8.24°、約13.46°および約15.32°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、化合物1のジクロロメタン溶媒和物の結晶形を提供する。
【0012】
一つの実施態様では、本願は、結晶形EのX線粉末回折スペクトルが、約9.10°、約13.49°および約18.24°2θからなる群から選択される1つ以上のピークを有することを特徴とする、化合物1のイソプロパノール溶媒和物の結晶形Eを提供する。
【0013】
別の態様では、本願は、化合物1の新規結晶形を含む医薬組成物を提供する。
さらに別の態様において、本願は、化合物1の新規結晶形、および新規結晶形を含む医薬組成物の調製方法を提供する。
【0014】
別の態様では、本願は、化合物1の新規結晶形、および新規結晶形を含む医薬組成物の応用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、化合物1の結晶形AのX線粉末回折(XRPD)スペクトルを示す。
図2図2は、化合物1の結晶形Aの示差走査熱量測定/熱重量分析(DSC/TGA)スペクトルを示す。
図3図3は、化合物1の水和物の結晶形BのXRPDスペクトルを示す。
図4図4は、化合物1の水和物の結晶形BのDSC/TGAスペクトルを示す。
図5図5は、化合物1の水和物の結晶形CのXRPDスペクトルを示す。
図6図6は、化合物1の水和物の結晶形CのDSC/TGAスペクトルを示す。
図7図7は、化合物1のジクロロメタン溶媒和物の結晶形DのXRPDスペクトルを示す。
図8図8は、化合物1のジクロロメタン溶媒和物の結晶形DのDSC/TGAスペクトルを示す。
図9図9は、化合物1のイソプロパノール溶媒和物の結晶形EのXRPDスペクトルを示す。
図10図10は、化合物1のイソプロパノール溶媒和物の結晶形EのDSC/TGAスペクトルを示す。
図11A図11A~11Eは、3つの安定性試験条件下(25℃/60%RH/1週間、40℃/75%RH/1週間、および60℃/密閉/24時間)での化合物1の結晶形Aのクロマトグラフィー(HPLC)を示す。
図11B図11A~11Eは、3つの安定性試験条件下(25℃/60%RH/1週間、40℃/75%RH/1週間、および60℃/密閉/24時間)での化合物1の結晶形Aのクロマトグラフィー(HPLC)を示す。
図11C図11A~11Eは、3つの安定性試験条件下(25℃/60%RH/1週間、40℃/75%RH/1週間、および60℃/密閉/24時間)での化合物1の結晶形Aのクロマトグラフィー(HPLC)を示す。
図11D図11A~11Eは、3つの安定性試験条件下(25℃/60%RH/1週間、40℃/75%RH/1週間、および60℃/密閉/24時間)での化合物1の結晶形Aのクロマトグラフィー(HPLC)を示す。
図11E図11A~11Eは、3つの安定性試験条件下(25℃/60%RH/1週間、40℃/75%RH/1週間、および60℃/密閉/24時間)での化合物1の結晶形Aのクロマトグラフィー(HPLC)を示す。
図12図12は、3つの安定性試験条件下(25℃/60%RH/1週間、40℃/75%RH/1週間および60℃/密閉/24時間)での化合物1の結晶形AのXRPDスペクトルを示す。
図13図13は、化合物1の結晶形Aの吸湿性調査試験における結晶形Aの動的蒸気吸着(DVS)試験スペクトルを示す。
図14図14は、化合物1の結晶形Aの吸湿性調査試験におけるDVS試験前後の結晶形AのXRPDスペクトルの比較を示す。
図15図15は、窒素保護下で化合物1の結晶形Aを異なる温度(それぞれ30℃、92℃、118℃、132℃、および175℃)に加熱し、また冷却した後のXRPDスペクトルの比較を示す。
図16図16は、化合物1の水和物の結晶形BのH NMRスペクトルを示す。
図17図17は、化合物1の水和物の結晶形CのH NMRスペクトルを示す。
図18図18は、化合物1のジクロロメタン溶媒和物の結晶形DのH NMRスペクトルを示す。
図19図19は、化合物1のイソプロパノール溶媒和物の結晶形EのH NMRスペクトルを示す。
図20図20は、窒素保護下で化合物1の水和物の結晶形Bを異なる温度(それぞれ130℃および180℃)に加熱し、また冷却した後のXRPDスペクトルの比較を示す。
図21図21は、窒素保護下で化合物1の水和物の結晶形Cを異なる温度(それぞれ130℃および160℃)に加熱し、また冷却した後のXRPDスペクトルの比較を示す。
図22図22は、窒素保護下で化合物1のジクロロメタン溶媒和物の結晶形Dを異なる温度(それぞれ100℃および160℃)に加熱し、また冷却した後のXRPDスペクトルの比較を示す。
図23図23は、窒素保護下で化合物1のイソプロパノール溶媒和物の結晶形Eを異なる温度(それぞれ96℃及び180℃)に加熱し、また冷却した後のXRPDスペクトルの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳しい説明
本願に記載の化合物1は、公開番号WO2020094018のPCT特許出願に記載の実施例六の化合物6であり、その合成はPCT特許出願の実施例六に詳細に記載されている。本願に記載の化合物1には、化合物1のすべての互変異性体および同位体置換体も包含されている。
【0017】
本願の説明および特許請求の範囲において、別段の指定がない限り、本願で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。しかし、本発明をよりよく理解するために、いくつかの関連用語の定義および説明を以下に提供する。さらに、本願で提供される用語の定義および説明が、当業者によって一般的に理解される意味と矛盾する場合、本願で提供される用語の定義および説明が優先するものとする。
【0018】
定義
本明細書および特許請求の範囲を通じて、「含む」または「含有する」という用語は、文脈上別段の指定がない限り、オープンな意味、すなわち「含むが、それに限定されない」と理解されるべきである。
【0019】
本明細書で使用する「溶媒和物」という用語は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含む、溶媒と化合物1を組み合わせることによって形成される複合体を指す。溶媒が水の場合、溶媒和物は水和物です。溶媒和物形成溶媒の例には、水、イソプロパノール、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、酢酸エチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本願で使用される「薬学的に許容される」という用語は、合理的な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題または合併症なしにヒトや動物の組織と接触して使用するのに適した、且つ、合理的な利益/リスク比に見合った化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
【0021】
本願で使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化材料などの薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを指し、これが、治療薬(例えば、化合物1およびそのさまざまな結晶形)を1つの場所、体液、組織、臓器(内部または外部)または体の一部から、別の場所、体液、組織、臓器、または体の一部に、治療薬の構造や性質に干渉することなく運搬または輸送する。薬学的に許容される担体は、ビヒクル、希釈剤、賦形剤、または過度の毒性または副作用なしに動物と接触する組織に使用できる他の物質である。このような特定の担体のいくつかは、治療薬(例えば、化合物1およびその様々な結晶形)を、投与対象への経口投与用の錠剤、丸薬、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液およびロゼンジとして処方することを可能にする。このような特定の担体のいくつかは、治療剤(例えば、化合物1およびその様々な結晶形)を注射、注入、または局所投与用に処方することを可能にする。例示的な薬学的に許容される担体には、糖、デンプン、セルロース、麦芽、トラガカントゴム、ゼラチン、リンゲル液、アルギン酸、等張食塩水、緩衝液などが含まれる。本願で使用できる薬学的に許容される担体には、参照により本明細書に組み込まれる「Remington Pharmaceutical Sciences」Mack Pub. Co.、ニュージャージー州(1991)に開示されているものなど、当技術分野で一般的に知られているものが含まれる。
【0022】
本願で使用される「投与」という用語は、患者体内への治療薬(例えば、化合物1およびその様々な結晶形)の導入を指す。「投与」という用語は、化合物または医薬組成物と併せて使用される場合、直接的および/または間接的な投与を指し、直接的投与は、医療専門家による患者への投与または患者自身への投与を指し、間接的な投与は医薬品の処方の提供を指し。例えば、医師は、患者に医薬品を自己投与するように指示し、および/または患者に投与される医薬品の処方箋を提供する。いずれにせよ、投与には患者への医薬品の送達が必要である。
【0023】
本願で使用される「有効量」または「治療有効量」という用語は、対象または患者の疾患または症状の抑制または改善を達成できるか、または疾患または症状の発生を予防できる医薬品の量を指す。治療有効量は、被験者または患者の1種または複種の疾患または症状をある程度緩和する医薬品の量;疾患または症状の原因に関連する1種または複種の生理学的または生化学的パラメータの部分又は全部を正常に戻す医薬品の量;および/または病気や症状の発生の可能性を減らしうる医薬品の量である。
【0024】
本願で使用される「対象」または「患者」という用語は、治療、観察、または実験の対象となった、または対象となるヒトおよびヒト以外の動物を含む動物を指す。非ヒト動物には、哺乳類および非哺乳類などのすべての脊椎動物が含まれる。「被験者」または「患者」は、牛、豚、羊、家禽、および馬などの家畜、またはラット、マウスなどのげっ歯類、類人猿、サルなどの霊長類、または犬や猫などの家畜であってもよい。いくつかの実施形態では、被験者または患者はヒトである。「治療を必要とする被験者」とは、特定の治療が有益となる疾患または障害を有する可能性がある、または有する疑いがある被験者を指す。
【0025】
化合物の特定の結晶形について、ある実施形態では、本願で使用される「実質的に純粋な」という用語は、結晶形を含む組成物が、99%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満でその他の物質を含むことを指す。その他の物質が、他の結晶形および/または不純物を含む。不純物は、たとえば、副産物、反応開始物質、化学反応による試薬、汚染物質、分解生成物、水または溶媒などである。
本願で使用される「多結晶形」という用語は、化合物が結晶化できる異なる結晶構造(溶媒和または非溶媒和結晶形)を指す。例えば、本願における化合物1は、結晶化して異なる結晶構造を形成することができ、即ち多結晶形である。
【0026】
本願で使用される「C1-6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキル基を指し、具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、1,2-ジメチルプロピル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本願で使用される「ヒドロキシル」という用語は、-OHなどの基を指す。
本願で使用する「エーテル系溶媒」とは、エーテル結合-O-を含み、炭素数1~10の鎖状化合物または環状化合物を意味し、具体例としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテルまたは1,4-ジオキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本願で使用される「アルコール溶媒」という用語は、「C1-6アルキル基」上の1つまたは複数の水素原子を1つまたは複数の「ヒドロキシル基」で置換することから誘導される基を指す。それらの「ヒドロキシル基」と「C1-6アルキル基」は、前記の記載の通りである。具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソアミルアルコール、またはトリフルオロエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本願において使用される「エステル溶媒」という用語は、炭素原子1~4個を有する低級有機酸と炭素原子1~6個を有する低級アルコールとの組み合わせを指し、具体的な例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
本願において「混合溶媒」とは、1種以上の異なる有機溶媒を一定の割合で混合した溶媒、または有機溶媒と水とを一定の割合で混合した溶媒をいう。混合溶媒は、アルコール類とエーテル類との混合溶媒であってもよい。アルコール類とエーテル類の混合溶媒としては、メタノールとジエチルエーテルの混合溶媒が挙げられる。
【0030】
本願で使用される「X線粉末回折スペクトル」または「XRPD」という用語は、x軸に回折角(すなわち、°2θ)、y軸に強度を有するx-yスペクトルである。このスペクトルのピークは、結晶性固体結晶形を特徴付けるために使用できる。いかなるデータ測定結果の場合でも、XRPDデータには変動性がある。多くの場合、データはピークの回折角のみで表され、ピークの強度は含まれない。これは、ピークの強度がサンプルの調製に敏感するためである(例えば、粒子サイズ、水分含有量、溶媒含有量と配向効果などは感度に影響を与える)。異なる条件下で調製された同じ材料のサンプルは、わずかに異なるスペクトルを生成する可能性がある;この変動性は、通常、回折角の変動性よりも大きくなる。回折角の変動性は、サンプルの調製にも敏感する可能性がある。変動性のその他の原因は、機器のパラメーターや元のX線データの処理に由来する。異なるX線機器の操作では異なるパラメーターが使用され、これらは同じ固体結晶形からわずかに異なるXRPDスペクトルをもたらす可能性があり、同様に、異なるソフトウェアパッケージは異なる方式でX線データを処理し、これも変動性につながる。変動性のこれらおよび他の原因は、薬学分野の当業者に知られている。この変動性の原因により、通常、±0.3°2θの変動性がXRPDスペクトルの回折角に割り当てられる。たとえば、本願では、2θ角度を言うときに「約」を使用すると、言及された数値値に基づいて±0.3°の誤差があるのができることを意味します。±0.3°の誤差は、たとえば、-0.30°、-0.29°、-0.28°、-0.27°、-0.26°、-0.25°、-0.24°、-0.23°、-0.22°、-0.21°、-0.20°、-0.19°、-0.18°、-0.17°、-0.16°、-0.15°、-0.14°、-0.13°、-0.12°、-0.11°、-0.10°、-0.09°、-0.08°、-0.07°、-0.06°、-0.05°、-0.04°、-0.03°、-0.02°、-0.01°、0.00°、0.01°、0.02°、0.03°、0.04°、0.05°、0.06°、0.07°、0.08°、0.09°、0.10°、0.11°、0.12°、0.13°、0.14°、0.15°、0.16°、0.17°、0.18°、0.19°、0.20°、0.21°、0.22°、0.23°、0.24°、0.25°、0.26°、0.27°、0.28°、0.29°、0.30°であり、好ましいのは、±0.2°である。
【0031】
本願で使用される「面間間隔」または「d値」という用語は、空間格子として2つの隣接する格子点を接続する3つの平行でない単位ベクトルa、b、cを選択し、それらにより格子点を並置された平行六面体単位と間隔し、それから面間間隔と呼ばれる。空間格子は、決定された平行六面体の単位接続に従って分割され、空間格子または結晶格子と呼ばれる一連の直線グリッドが取得される。空間格子や結晶格子は、幾何学的な点と線を使用して、結晶構造の周期性を反映し、異なる結晶面は、Å又はオングストロームの単位で異なる面間間隔を持つ。
【0032】
本願で使用される「示差走査熱量測定」または「DSC」という用語は、サンプルの加熱中、または一定温度中のサンプルと参照品との間の温度差、熱流差を測定し、熱効果に関連するすべての物理的変化と化学変化を特徴付け、サンプルの相転移情報を取得するものを指す。
【0033】
本願で使用される「熱重量分析」または「TGA」という用語は、プログラム制御された温度下で温度または時間の関数として物質の質量を測定する方法を指す。熱重量曲線を分析することにより、サンプルとその生成可能な中間生成物の組成、熱安定性、熱分解、生成された生成物等の品質に関連する情報を知ることができる。
【0034】
本願において、スペクトルを言及する場合(例えば、XRPDスペクトル、DSCスペクトル、TGAスペクトル、HPLCスペクトル、H NMRスペクトル、DVSスペクトル等)、用語「実質的に類似している」または「実質的に示すように」とは、スペクトルの基本的な特徴情報または主な特徴情報(例えば、主ピーク位置、強度など)が、言及されたスペクトルでの描写の情報と一致することを意味するが、スペクトルのすべての特徴が、言及されたスペクトルによって表される情報と一致している必要はない。
【0035】
発明の内容
一態様では、本願が、式(I)に示す化合物1、即ち、(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミンの結晶形A、化合物1の水和物の結晶形Bと水和物の結晶形C、化合物1のジクロロメタン溶媒和物の結晶形D、及び化合物1のイソプロパノール溶媒和物の結晶形Eを提供する。
【0036】
【化2】
【0037】
結晶形A
一態様では、本願は、化合物1の結晶形Aを提供する。ある実施形態では、本願は、化合物1の実質的に純粋な結晶形Aを提供する。ある実施形態において、化合物1は、非溶媒和結晶形を有し、例えば、前記の結晶形Aは、化合物1の無水結晶形である。
【0038】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約6.46°、約12.64°、および約12.93°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3個)のピークを有する。たとえば、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約6.46°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約12.64°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約12.93°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約6.46°2θおよび約12.64°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約6.46°2θおよび約12.93°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約12.64°2θおよび約12.93°2θにピークがある。ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約6.46°、約12.64°、および約12.93°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有する。
【0039】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約13.50°、約14.60°、約16.49°、約17.66°、約18.27°、および約23.04°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3、4、5、6個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形AのXRPDスペクトルはさらに約13.50°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約14.60°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約16.49°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約17.66°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約23.04°2θにピークがある。
【0040】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約13.50°、約14.60°、約16.49°、約17.66°、約18.27°、および約23.04°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3、4、5、6個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約13.50°2θと約14.60°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θと約16.49°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θと約17.66°2θにピークがある。別の例では、結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θおよび約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θと約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60°2θと約16.49°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60°2θおよび約17.66°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60°2θと約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形A型のXRPDスペクトルも約14.60°2θと約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約16.49°2θと約17.66°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約16.49°2θと約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約16.49°2θと約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約17.66°2θと約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約17.66°2θと約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約18.27°2θと約23.04°2θにピークがある。
【0041】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約13.50°、約14.60°、約16.49°、約17.66°、約18.27°、約23.04°2θからなる群から選択される3つ以上(例えば、4、5、6個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約14.60°2θ、および約16.49°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約14.60°2θ、および約17.66°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約14.60°2θ、および約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約14.60°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約16.49°2θ、および約17.66°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約16.49°2θ、および約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約16.49°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約17.66°2θ、および約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約17.66°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約13.50°2θ、約18.27°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60°2θ、約16.49°2θ、および約17.66°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60°2θ、約16.49°2θ、および約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60°2θ、約16.49°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60±2θ、約17.66±2θ、および約18.27°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60°2θ、約17.66°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約14.60°2θ、約18.27°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約16.49°2θ、約17.66°2θ、および約18.27°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約16.49°2θ、約17.66°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約17.66°2θ、約18.27°2θ、および約23.04°2θにもピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約16.49°2θ、約18.27°2θ、および約23.04°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約17.66°2θ、約18.27°2θ、および約23.04°2θにもピークがある。
【0042】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約13.50°、約14.60°、約16.49°、約17.66°、約18.27°、および約23.04°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有する。
【0043】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約23.61°、約25.42°、約25.79°および約27.83°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約23.61°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約25.42°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約25.79°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約27.83°2θにピークがある。
【0044】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約23.61°、約25.42°、約25.79°および約27.83°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約23.61°2θと約25.42°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形A型のXRPDスペクトルも約23.61°2θと約25.79°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約23.61°2θと約27.83°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形A型のXRPDスペクトルも約25.42°2θと約25.79°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約25.42°2θと約27.83°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも約25.79°2θと約27.83°2θにピークがある。
【0045】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約23.61°、約25.42°、約25.79°、および約27.83°2θからなる群から選択される3つ以上(例えば、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約23.61°2θ、約25.42°2θ、および約25.79°2θにもピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約23.61°2θ、約25.42°2θ、および約27.83°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約25.42°2θ、約25.79°2θ、および約27.83°2θにもピークがある。別の例として、前記結晶形AのXRPDスペクトルも、約23.61°2θ、約25.79°2θ、および約27.83°2θにピークがある。
【0046】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、約23.61°、約25.42°、約25.79°、および約27.83°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有する。
【0047】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、以下からなる群から選択されるすべてのピークを有する:
【0048】
【表1】
【0049】
ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、図1に示されるXRPDスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形AのXRPDスペクトルを図1に示す。ある実施形態では、前記結晶形Aは、最大の強度で少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13個の2θ角度を示すXRPDスペクトルを有する。
【0050】
ある実施形態では、前記結晶形AのDSCスペクトルは、約262.0℃(ピーク温度)に吸熱ピークを含む。ある実施形態では、前記結晶形AのDSCスペクトルは、約153.7℃(ピーク温度)に発熱ピークをさらに含む。ある実施形態では、前記結晶形AのDSCスペクトルは、図2に示されるDSCスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形AのDSCスペクトルを図2に示す。
【0051】
ある実施形態では、前記結晶形AのTGAスペクトルは、約120℃に加熱した場合、サンプルの重量損失が約1.5%から2.0%、例えば、約1.5%、約1.6%、約1.61%、約1.62%、約1.63%、約1.64%、約1.65%、約1.66%、約1.67%、約1.68%、約1.69%、約1.70%、約1.71%、約1.72%、約1.8%、約1.9%、約2.0%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形AのTGAスペクトルは、120℃に加熱した場合、試料の重量損失が約1.69%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形AのTGAスペクトルは、図2に示されるTGAスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、結晶形AのTGAスペクトルを図2に示す。
【0052】
ある実施形態では、前記結晶形Aは、以下の(a)から(c)の少なくとも1つ、2つまたは3つに適用可能である:
(a)前記結晶形Aは、実質的に図1に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Aは、実質的に図2に示されるようなDSCスペクトルを有する;
(c)前記結晶形Aは、実質的に図2に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0053】
ある実施形態では、前記結晶形Aは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Aは、実質的に図1に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Aは、実質的に図2に示されるようなDSCスペクトルを有し;および
(c)前記結晶形Aは、実質的に図2に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0054】
ある実施形態では、前記結晶形Aは実質的に純粋であり、例えば、結晶形Aは、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、または99重量%超の純度を有する。ある実施形態では、前記結晶形Aの純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される。例えば、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約5.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約3.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約1.5面積%以下のHPLC全有機不純物を含有する。他の実施形態では、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約1.0面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;約0.6面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;ある実施形態では、約0.5面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含む。
【0055】
ある実施形態では、前記結晶形Aの初期のHPLC純度に対する、60℃/密閉24時間後の結晶形AのHPLC純度の比は、99%超であり、例えば99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%超であり、又はより高い。
【0056】
ある実施形態では、前記結晶形Aの初期のHPLC純度に対する、25℃/60%RHで1週間開放放置した後の結晶形AのHPLC純度の比は、99%超であり、例えば、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%超であり、又はより高い。
【0057】
ある実施形態では、前記結晶形Aの初期のHPLC純度に対する、40℃/75%RHで1週間開放放置した後の結晶形AのHPLC純度の比は、99%超であり、例えば、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%超であり、又はより高い。
【0058】
結晶形B
一態様では、本願は、化合物1の結晶形Bを提供する。ある実施形態において、本願は、化合物1の実質的に純粋な結晶形Bを提供する。ある実施形態では、前記結晶形Bは、化合物1の水和物の結晶形である。
【0059】
ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約7.36°、約10.82°、および約11.10°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3個)のピークを有する。たとえば、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約7.36°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約10.82°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約11.10°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約7.36°2θおよび約10.82°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約7.36°2θおよび約11.10°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約10.82°2θおよび約11.10°2θにピークがある。ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約7.36°、約10.82°、および約11.10°の2θからなる群から選択されるすべてのピークを有する。
【0060】
ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約14.70°、約15.99°、約20.96°および約23.78°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形BのXRPDスペクトルも約14.70°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも約15.99°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも約20.96°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも約23.78°2θにピークがある。
【0061】
ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約14.70°、約15.99°、約20.96°および約23.78°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形BのXRPDスペクトルも、約14.70°2θと約15.99°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも、約14.70°2θと約20.96°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも、約14.70°2θと約23.78°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルにも、約15.99°2θと約20.96°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも約15.99°2θと約23.78°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも約20.96°2θと約23.78°2θにピークがある。
【0062】
ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約14.70°、約15.99°、約20.96°、および約23.78°2θからなる群から選択される3つ以上(例えば、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形BのXRPDスペクトルも、約14.70°、約15.99°、および約20.96°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも、約14.70°2θ、約15.99°2θ、および約23.78°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも、約14.70°2θ、約20.96°2θ、および約23.78°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形BのXRPDスペクトルも、約15.99°2θ、約20.96°2θ、および約23.78°2θにピークがある。
【0063】
ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、約14.70°、約15.99°、約20.96°、および約23.78°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有する。
【0064】
ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、以下からなる群から選択されるすべてのピークを有する:
【0065】
【表2】
【0066】
ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、図3に示されるXRPDスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形BのXRPDスペクトルを図3に示す。ある実施形態では、前記結晶形Bは、最大の強度で少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13個の2θ角度を示すXRPDスペクトルを有する。ある実施形態では、前記結晶形BのDSCスペクトルは、約113.5℃(ピーク温度)および約266.8℃(ピーク温度)に吸熱ピークを含む。ある実施形態では、前記結晶形BのDSCスペクトルは、約161.8℃(ピーク温度)に発熱ピークをさらに含む。ある実施形態では、前記結晶形BのDSCスペクトルは、図4に示されるDSCスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形BのDSCスペクトルを図4に示す。
【0067】
ある実施形態では、前記結晶形BのTGAスペクトルは、120℃に加熱した場合、サンプルの重量損失が約10%から14%、例えば、約10%、約11%、約12%、約12.1%、約12.2%、約12.3%、約12.4%、約12.5%、約12.6%、約12.7%、約12.75%、約12.8%、約12.9%、約13%、約14%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形BのTGAスペクトルは、120℃に加熱した場合、試料の重量損失が約12.75%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形BのTGAスペクトルは、図4に示されるTGAスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形BのTGAスペクトルを図4に示す。ある実施形態では、前記結晶形Bにおける水分子の化合物1に対するモル比は、約3.9:1である、例えば、3:1、3.1:1、3.2:1、3.3:1、3.4:1、3.5:1、3.6:1、3.7:1、3.8:1、3.9:1、4:1、4.1:1、4.2:1、4.3:1、4.4:1、4.5:1、4.6:1、4.7:1、4.8:1、4.9:1、または5:1、または上記の比率範囲のいずれかの任意の比率である。
【0068】
ある実施形態において、前記結晶形BのH NMRスペクトルは、図16に示されるH NMRスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形BのH NMRスペクトルを図16に示す。
【0069】
ある実施形態では、前記結晶形Bは、以下の(a)から(d)の少なくとも1つ、2つ、3つまたは4つに適用可能である:
(a)前記結晶形Bは、実質的に図3に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Bは、実質的に図4に示されるようなDSCスペクトルを有する;
(c)前記結晶形Bは、実質的に図4に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0070】
(d)前記結晶形Bは、実質的に図16に示されるようなH NMRスペクトルを有する。
【0071】
ある実施形態では、結晶形Bは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Bは、実質的に図3に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Bは、実質的に図4に示されるようなDSCスペクトルを有し;および
(c)前記結晶形Bは、実質的に図4に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0072】
ある実施形態では、前記結晶形Bは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Bは、実質的に図3に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Bは、実質的に図4に示されるようなDSCスペクトルを有する。
【0073】
(c)前記結晶形Bは、実質的に図4に示されるようなTGAスペクトルを有し;および
(d)前記結晶形Bは、実質的に図16に示されるようなH NMRスペクトルを有する。
【0074】
ある実施形態では、前記結晶形Bは実質的に純粋であり、例えば、結晶形Bは、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、または99重量%超の純度を有する。ある実施形態では、前記結晶形Bの純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される。例えば、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約5.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約3.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約1.5面積%以下のHPLC全有機不純物を含有する。他の実施形態では、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約1.0面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;約0.6面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;ある実施形態では、約0.5面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含む。
【0075】
結晶形C
一態様では、本願は、化合物1の結晶形Cを提供する。ある実施形態において、本願は、化合物1の実質的に純粋な結晶形Cを提供する。ある実施形態では、前記結晶形Cは、化合物1の水和物の結晶形である。
【0076】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約7.33°、約11.08°、および約14.70°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3個)のピークを有する。たとえば、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約7.33°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約11.08°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約14.70°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約7.33°2θおよび約11.08°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約7.33°2θおよび約14.70°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約11.08°2θおよび約14.70°2θにピークがある。ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約7.33°、約11.08°、および約14.70°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有する。
【0077】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約16.23°、約18.85°、約21.20°、約22.03°、および約24.33°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3、4、5個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約16.23°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約18.85°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約21.20°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約22.03°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約24.33°2θにピークがある。
【0078】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約16.23°、約18.85°、約21.20°、約22.03°、および約24.33°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3、4、5個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形CのXRPDスペクトルにも、約16.23°2θと約18.85°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形C型のXRPDスペクトルも約16.23°2θと約21.20°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約16.23°2θと約22.03°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形C型のXRPDスペクトルも約16.23°2θと約24.33°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約18.85°2θと約21.20°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約18.85°2θと約22.03°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形C型のXRPDスペクトルも約18.85°2θと約24.33°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約21.20°2θおよび約22.03°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約21.20°2θと約24.33°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形C型のXRPDスペクトルも約22.03°2θと約24.33°2θにピークがある。
【0079】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約16.23°、約18.85°、約21.20°、約22.03°および約24.33°2θからなる群から選択される3つ以上(例えば、4、5個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約16.23°2θ、約18.85°2θ、および約21.20°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約16.23°2θ、約18.85°2θ、および約22.03°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約16.23°2θ、約18.85°2θ、および約24.33°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約16.23°2θ、約21.20°2θ、および約22.03°2θにピークがある。別の例として前記、結晶形CのXRPDスペクトルも、約16.23°2θ、約21.20°2θ、および約24.33°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約16.23°2θ、約22.03°2θ、および約24.33°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約18.85°2θ、約21.20°2θ、および約22.03°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約18.85°2θ、約21.20°2θ、および約24.33°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約21.20°2θ、約22.03°2θ、および約24.33°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約18.85°2θ、約22.03°2θ、および約24.33°2θにピークがある。
【0080】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約16.23°、約18.85°、約21.20°、約22.03°、および約24.33°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有する。
【0081】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約15.20°、約20.05°、約23.70°および約29.13°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約15.20°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約20.05°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約23.70°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約29.13°2θにピークがある。
【0082】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約15.20°、約20.05°、約23.70°および約29.13°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約15.20°2θと約20.05°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約15.20°2θと約23.70°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形C型のXRPDスペクトルも約15.20°2θと約29.13°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも約20.05°2θと約23.70°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約20.05°2θと約29.13°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約23.70°2θと約29.13°2θにピークがある。
【0083】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約15.20°、約20.05°、約23.70°、および約29.13°2θからなる群から選択される3つ以上(例えば、4個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約15.20°2θ、約20.05°2θ、および約23.70°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約15.20°2θ、約20.05°2θ、および約29.13°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約20.05°2θ、約23.70°2θ、および約29.13°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形CのXRPDスペクトルも、約15.20°2θ、約23.70°2θ、および約29.13°2θにピークがある。
【0084】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、約15.20°、約20.05°、約23.70°、および約29.13°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有する。
【0085】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、以下からなる群から選択されるすべてのピークを有する:
【0086】
【表3】
【0087】
ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルは、図5に示されるXRPDスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形CのXRPDスペクトルを図5に示す。ある実施形態では、前記結晶形Cは、最大の強度で少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13個の2θ角度を示すXRPDスペクトルを有する。ある実施形態では、前記結晶形CのDSCスペクトルは、約117.2℃(ピーク温度)および約265.6℃(ピーク温度)に吸熱ピークを含む。ある実施形態では、前記結晶形CのDSCスペクトルは、約46.4℃(ピーク温度)に吸熱ピークをさらに含む。ある実施形態では、前記結晶形CのDSCスペクトルは、約147.0℃(ピーク温度)に発熱ピークをさらに含む。ある実施形態において、前記結晶形CのDSCスペクトルは、図6に示されるDSCスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形CのDSCスペクトルを図6に示す。
【0088】
ある実施形態では、前記結晶形CのTGAスペクトルは、120℃に加熱した場合、サンプルの重量損失が約10%から14%、例えば、約10%、約11%、約11.5%、約12%、約12.1%、約12.2%、約12.3%、約12.4%、約12.5%、約12.6%、約12.7%、約12.8%、約12.9%、約13%、約13.5%、約14%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形CのTGAスペクトルは、120℃に加熱した場合、試料の重量損失が約12.23%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形CのTGAスペクトルは、図6に示されるTGAスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形CのTGAスペクトルを図6に示す。ある実施形態において、前記結晶形Cにおける水分子の化合物1に対するモル比は、約3.7:1である、例えば、3:1、3.1:1、3.2:1、3.3:1、3.4:1、3.5:1、3.6:1、3.7:1、3.8:1、3.9:1、4:1、4.1:1、4.2:1、4.3:1、4.4:1、4.5:1、4.6:1、4.7:1、4.8:1、4.9:1、または5:1である。
【0089】
ある実施形態では、前記結晶形CのH NMRスペクトルは、図17に示されるH NMRスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、結晶形CのH NMRスペクトルを図17に示す。
【0090】
ある実施形態では、前記結晶形Cは、以下の(a)から(d)の少なくとも1つ、2つ、3つまたは4つに適用可能である:
(a)前記結晶形Cは、実質的に図5に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Cは、実質的に図6に示されるようなDSCスペクトルを有する;
(c)前記結晶形Cは、実質的に図6に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0091】
(d)前記結晶形Cは、実質的に図17に示されるようなH NMRスペクトルを有する。
【0092】
ある実施形態では、前記結晶形Cは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Cは、実質的に図5に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Cは、実質的に図6に示されるようなDSCスペクトルを有し;および
(c)前記結晶形Cは、実質的に図6に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0093】
ある実施形態では、前記結晶形Cは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Cは、実質的に図5に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Cは、実質的に図6に示されるようなDSCスペクトルを有する;
(c)前記結晶形は、実質的に図6に示されるようなTGAスペクトルを有し;および
(d)前記結晶形Cは、実質的に図17に示されるようなH NMRスペクトルを有する。
【0094】
ある実施形態では、前記結晶形Cは実質的に純粋であり、例えば、前記結晶形Cは、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、または99重量%超の純度を有する。ある実施形態では、前記結晶形Cの純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される。例えば、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約5.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約3.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約1.5面積%以下のHPLC全有機不純物を含有する。他の実施形態では、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約1.0面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;約0.6面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;ある実施形態では、約0.5面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含む。
【0095】
結晶形D
一態様では、本願は、化合物1の結晶形Dを提供する。ある実施形態において、本願は、化合物1の実質的に純粋な結晶形Dを提供する。ある実施形態では、前記結晶形Dは、化合物1の溶媒和物の結晶形である。ある実施形態では、前記結晶形Dは、化合物1のジクロロメタン溶媒和物の結晶形である。
【0096】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約8.24°、約13.46°、および約15.32°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3個)のピークを有する。たとえば、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約8.24°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約13.46°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約15.32°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約8.24°2θおよび約13.46°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約8.24°2θおよび約15.32°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約13.46°2θおよび約15.32°2θにピークを持ちます。ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約8.24°、約13.46°、および約15.32°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有する。
【0097】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約12.89°、約15.90°、および約16.84°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形DのXRPDスペクトルも約12.89°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも約15.90°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも約16.84°2θにピークがある。
【0098】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約12.89°、約15.90°、および約16.84°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形DのXRPDスペクトルにも、約12.89°2θと約15.90°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約12.89°2θと約16.84°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約15.90°2θと約16.84°2θにピークがある。ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約12.89°、約15.90°、および約16.84°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有する。
【0099】
ある実施形態では、前記結晶形D型のXRPDスペクトルは、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°、および約25.59°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3、4、5個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形DのXRPDスペクトルも約18.45°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも約21.83°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも約23.08°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも約23.80°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも約25.59°2θにピークがある。
【0100】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°、および約25.59°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3、4、5個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約18.45°2θと約21.83°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも約18.45°2θと約23.08°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約18.45°2θと約23.80°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約18.45°2θと約25.59°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約21.83°2θと約23.08°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも約21.83°2θと約23.80°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも約21.83°2θと約25.59°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約23.08°2θと約23.80°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも約23.08°2θと約25.59°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約23.80°2θおよび約 25.59°2θにピークがある。
【0101】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°および約25.59°2θからなる群から選択される3つ以上(例えば、4、5個)のピークをさらに有する。例えば、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約18.45°2θ、約21.83°2θ、および約23.08°2θにもピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約18.45°2θ、約21.83°2θ、および約23.80°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約18.45°2θ、約21.83°2θ、および約25.59°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約18.45°2θ、約23.08°2θ、および約23.80°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約18.45°2θ、約23.08°2θ、および約25.59°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約18.45°2θ、約23.80°2θ、および約25.59°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約18.45°2θ、約23.80°2θ、および約25.59°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約21.83°2θ、約23.08°2θ、および約23.80°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約21.83°2θ、約23.08°2θ、および約25.59°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約21.83°2θ、約23.80°2θ、および約25.59°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約23.08°2θ、約23.80°2θ、および約25.59°2θにピークがある。
【0102】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°および約25.59°2θからなる群から選択される4つ以上(例えば、5個)のピークをさらに有する。例えば、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約18.45°2θ、約21.83°2θ、約23.08°2θ、および約23.80°2θにもピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約18.45°2θ、約21.83°2θ、約23.08°2θ、および約25.59°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形D型のXRPDスペクトルも、約18.45°2θ、約21.83°2θ、約23.80°2θ、および約25.59°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形DのXRPDスペクトルも、約21.83°2θ、約23.08°2θ、約23.80°2θ、および約25.59°2θにピークがある。
【0103】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、約18.45°、約21.83°、約23.08°、約23.80°、および約25.59°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有する。
【0104】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、以下からなる群から選択されるすべてのピークを有する:
【0105】
【表4】
【0106】
ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、図7に示されるXRPDスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形DのXRPDスペクトルを図7に示す。ある実施形態では、前記結晶形Dは、最大の強度で少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13個の2θ角度を示すXRPDスペクトルを有する。ある実施形態では、前記結晶形DのDSCスペクトルは、約124.1℃(ピーク温度)に吸熱ピークを含む。ある実施形態では、結晶形DのDSCスペクトルは、約59.8℃(ピーク温度)に吸熱ピークをさらに含む。ある実施形態では、前記結晶形DのDSCスペクトルは、約129.8℃(ピーク温度)に吸熱ピークをさらに含む。ある実施形態では、結晶形DのDSCスペクトルは、図8に示されるDSCスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、結晶形DのDSCスペクトルを図8に示す。
【0107】
ある実施形態では、前記結晶形DのTGAスペクトルは、150℃に加熱した場合、サンプルの重量損失が約11%から15%、例えば、約11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.1%、13.2%、13.3%、13.4%、13.5%、13.6%、13.7%、13.8%、13.9%、14%、14.5%、15%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形DのTGAスペクトルは、150℃に加熱した場合、試料の重量損失が約13.08%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形DのTGAスペクトルは、図8に示されるTGAスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形DのTGAスペクトルを図8に示す。ある実施形態において、前記結晶形Dにおけるジクロロメタン分子の化合物1に対するモル比は、約0.8:1である、例えば、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1または 1.2:1である。
【0108】
ある実施形態では、前記結晶形DのH NMRスペクトルは、図18に示されるH NMRスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形DのH NMRスペクトルを図18に示す。
【0109】
ある実施形態では、前記結晶形Dは、以下の(a)から(d)の少なくとも1つ、2つ、3つまたは4つに適用可能である:
(a)前記結晶形Dは、実質的に図7に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Dは、実質的に図8に示されるようなDSCスペクトルを有する;
(c)前記結晶形Dは、実質的に図8に示されるようなTGAスペクトルを有する;
(d)前記結晶形Dは、実質的に図18に示されるようなH NMRスペクトルを有する。
【0110】
ある実施形態では、前記結晶形Dは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Dは、実質的に図7に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Dは、実質的に図8に示されるようなDSCスペクトルを有し;および
(c)前記結晶形Dは、実質的に図8に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0111】
ある実施形態では、前記結晶形Dは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Dは、実質的に図7に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Dは、実質的に図8に示されるようなDSCスペクトルを有する;
(c)前記結晶形Dは、実質的に図8に示されるようなTGAスペクトルを有し;および
(d)前記結晶形Dは、実質的に図18に示されるような1H NMRスペクトルを有する。
【0112】
ある実施形態では、前記結晶形Dは実質的に純粋であり、例えば、前記結晶形Dは、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、または99重量%超の純度を有する。ある実施形態では、前記結晶形Dの純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される。例えば、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約5.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約3.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約1.5面積%以下のHPLC全有機不純物を含有する。他の実施形態では、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約1.0面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;約0.6面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;ある実施形態では、約0.5面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含む。
【0113】
結晶形E
一態様では、本願は、化合物1の結晶形Eを提供する。ある実施形態において、本願は、化合物1の実質的に純粋な結晶形Eを提供する。ある実施形態では、前記結晶形Eは、化合物1の溶媒和物の結晶形である。ある実施形態では、結晶形Eは、化合物1のイソプロパノール溶媒和物の結晶形である。
【0114】
ある実施形態では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約9.10°、約13.49°、および約18.24°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3個)のピークを有する。たとえば、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約9.10°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約13.49°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約18.24°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約9.10°2θおよび約13.49°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約9.10°2θおよび約18.24°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約13.49°2θおよび約18.24°2θにピークを有する。ある実施形態では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約9.10°、約13.49°、および約18.24°2θからなる群から選択されるすべてのピークを有する。
【0115】
ある実施形態では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約13.03°、約20.13°、約22.63°、約23.35°、約25.06°、約27.51°、および約29.46°2θからなる群から選択される1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約13.03°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約20.13°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約22.63°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約23.35°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約25.06°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約27.51°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約29.46°2θにピークがある。
【0116】
ある実施形態では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約13.03°、約20.13°、約22.63°、約23.35°、約25.06°、約27.51°、および約29.46°2θからなる群から選択される2つ以上(例えば、3、4、5、6、7個)のピークをさらに有する。たとえば、前記結晶形EのXRPDスペクトルも、約13.03°2θと約20.13°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約13.03°2θと約22.63°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも、約13.03°2θと約23.35°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも、約13.03°2θと約25.06°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも、約13.03°2θと約27.51°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも、約13.03°2θと約29.46°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形E型のXRPDスペクトルも約20.13°2θと約22.63°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形E型のXRPDスペクトルも約20.13°2θと約23.35°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形E型のXRPDスペクトルも約20.13°2θと約25.06°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形E型のXRPDスペクトルも約20.13°2θと約27.51°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約20.13°2θと約29.46°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形E型のXRPDスペクトルも約22.63°2θと約23.35°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形E型のXRPDスペクトルも約22.63°2θと約25.06°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約22.63°2θと約27.51°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約22.63°2θと約29.46°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも、約23.35°2θと約25.06°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも、約23.35°2θと約27.51°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約23.35°2θと約29.46°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形E型のXRPDスペクトルも約25.06°2θと約27.51°2θにピークがある。別の例では、前記結晶形EのXRPDスペクトルも約25.06°2θおよび約29.46°2θにピークがある。別の例として、前記結晶形EのXRPDスペクトルも、約27.51°2θと約29.46°2θにピークがある。
【0117】
ある実施形態では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、約13.03°、約20.13°、約22.63°、約23.35°、約25.06°、約27.51°、および約29.46°2θからなる群から選択されるすべてのピークをさらに有する。
【0118】
ある実施形態では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、以下からなる群から選択されるすべてのピークを有する:
【0119】
【表5】
【0120】
ある実施形態では、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、図9に示されるXRPDスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形EのXRPDスペクトルを図9に示す。ある実施形態では、前記結晶形Eは、最大の強度で少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13個の2θ角度を示すXRPDスペクトルを有する。 ある実施形態では、前記結晶形EのDSCスペクトルは、約269.0℃(ピーク温度)に吸熱ピークを含む。ある実施形態では、前記結晶形EのDSCスペクトルは、約123.6℃(ピーク温度)に吸熱ピークをさらに含む。ある実施形態では、前記結晶形EのDSCスペクトルは、図10に示されるDSCスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形EのDSCスペクトルを図10に示す。
【0121】
ある実施形態では、前記結晶形EのTGAスペクトルは、100℃前の重量損失が約4%から6%、例えば約4%、約4.5%、約4.6%、約4.7%、約4.8%、約4.9%、約4.96%、約5%、約5.5%、約6%であり;100℃~150℃°の間で約11%から14%の重量損失、例えば、約11%、約11.5%、約12%、約12.1%、約12.2%、約12.3%、約12.4%、約12.5%、約12.54%、約12.6%、約12.7%、約12.8%、約12.9%、約13%、約13.5%、約14%であることを示す。ある実施形態では、前記結晶形EのTGAスペクトルは、100℃前で約4.96%の重量損失、および100℃~150℃の間で約12.54%の重量損失を示す。ある実施形態では、前記結晶形EのTGAスペクトルは、図10に示されるTGAスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形EのTGAスペクトルを図10に示す。ある実施形態において、前記結晶形Eにおけるイソプロパノール分子の化合物1に対するモル比は、約1:1である、例えば、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1である。
【0122】
ある実施形態において、前記結晶形EのH NMRスペクトルは、図19に示されるH NMRスペクトルと実質的に類似している。ある実施形態では、前記結晶形EのH NMRスペクトルを図19に示す。
【0123】
ある実施形態では、前記結晶形Eは、以下の(a)から(d)の少なくとも1つ、2つ、3つまたは4つに適用可能である:
(a)前記結晶形Eは、実質的に図9に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Eは、実質的に図10に示されるようなDSCスペクトルを有する;
(c)前記結晶形Eは、実質的に図10に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0124】
(d)前記結晶形Eは、実質的に図19に示されるようなH NMRスペクトルを有する。
【0125】
ある実施形態では、前記結晶形Eは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Eは、実質的に図9に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Eは、実質的に図10に示されているようなDSCスペクトルを有し;および
(c)前記結晶形Eは、実質的に図10に示されるようなTGAスペクトルを有する。
【0126】
ある実施形態では、結晶形Eは、実質的に以下の特徴を有する:
(a)前記結晶形Eは、実質的に図9に示されるようなXRPDスペクトルを有する;
(b)前記結晶形Eは、実質的に図10に示されるようなDSCスペクトルを有する;
(c)前記結晶形Eは、実質的に図10に示されるようなTGAスペクトルを有し;および
(d)前記結晶形Eは、実質的に図19に示されるようなH NMRスペクトルを有する。
【0127】
ある実施形態では、前記結晶形Eは実質的に純粋であり、例えば、前記結晶形Eは、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、または99重量%超の純度を有する。ある実施形態では、前記結晶形Eの純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される。例えば、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約5.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約3.0面積パーセント以下のHPLC全有機不純物を含有する;ある実施形態において、約1.5面積%以下のHPLC全有機不純物を含有する。他の実施形態では、化合物1は、HPLCクロマトグラムの全面積に対して約1.0面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;約0.6面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含み;ある実施形態では、約0.5面積パーセント以下のHPLC任意の単一の不純物を含む。
【0128】
結晶形A~Eの調製方法
別の態様では、本願は、また、化合物1の結晶形A~Eを調製するための方法も提供する。例示的な方法には、例えば、パルプ化法(室温または50℃)、気固拡散法、温度サイクル法、低速蒸発法、気液拡散法、ポリマー誘導法、アンチソルベント法、研磨法などが含まれる。
【0129】
本願に記載の結晶形を調製する方法で使用される出発物質は、アモルファス、任意の結晶形などの任意の形態の化合物1であってもいい。化合物1は、PCT特許出願公開番号WO2020072656A1またはWO2020094018A1に開示された方法によって調製することができ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0130】
ある実施形態では、化合物1の結晶形A~Dは、室温パルプ化法によって調製することができる。例えば、化合物1を第1の溶媒に溶解し、室温で懸濁攪拌した後、結晶化させ、結晶を濾取する。第1の溶媒は、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドンなど)、スルホン(例えば、ジメチルスルホキシド)、アルカン(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、n-ヘプタンなどを含むC1-7アルカン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、アセトニトリル、水、およびこれらの任意の組み合わせによって形成される混合溶媒からなる群から選択できる。前記の混合溶媒中の少なくとも2つの溶媒の体積比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、95:1、または上記の任意の2つの比率範囲間の任意の比率などの任意の比であってもいい。混合溶媒は、酢酸イソプロピル/クロロホルム、2-メチルテトラヒドロフラン/メタノール、シクロペンチルメチルエーテル/エタノール、イソプロパノール/ジクロロメタン、アニソール/ブタノン、酢酸エチル/ジメチルスルホキシド、メチルtert-ブチルエーテル/メタノール、n-ヘプタン/クロロホルム、アセトン/水、アセトニトリル/メタノール、メタノール/テトラヒドロフラン、2-ブタノール/アセトニトリル、ジクロロメタン/n-ヘキサン、1,4-ジオキサン/エタノール、アニソール/クロロホルム、酢酸メチル/メタノール、メチルイソブチルケトン/エタノールからなる群から選択できる。
【0131】
ある実施形態では、化合物1の結晶形A、C、およびアモルファス形態は、50℃のパルプ化法によって調製することができる。例えば、化合物1を第2の溶媒に溶解し、室温で懸濁攪拌した後、結晶化させ、結晶を濾取する。第2の溶媒は、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドンなど)、アルカン(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、n-ヘプタンなどを含むC1-7アルカンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、アセトニトリル、水、およびこれらの任意の組み合わせによって形成される混合溶媒からなる群から選択できる。前記の混合溶媒中の少なくとも2つの溶媒の体積比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、95:1、または上記の任意の2つの比率範囲間の任意の比率などの任意の比であってもいい。混合溶媒は、メタノール/テトラヒドロフラン、酢酸メチル/メタノール、2-ブタノール/アセトニトリル、ジクロロメタン/n-ヘキサン、メタノール/トルエン、1,4-ジオキサン/エタノール、テトラヒドロフラン/水、アニソール/クロロホルム、メチルイソブチルケトン/エタノール、アセトニトリル/メタノールまたはn-ヘプタン/クロロホルムからなる群から選択できる。
【0132】
ある実施形態では、化合物1の結晶形Aは、気固拡散法によって調製することができる。例えば、化合物1を第1の容器に入れ、次いで、第1の容器を開けて第3の溶媒を含む第2の容器に入れ、第2の容器は第1の容器より大きい容積を有する。次に、第2の容器を密閉し、室温で静置して、化合物1の結晶形を得る。第3の溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサンなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、アセトニトリル、水からなる群から選択できる。
【0133】
ある実施形態では、化合物1の結晶形Aおよび結晶形Cは、温度サイクル法によって調製することができる。例えば、化合物1を第4溶媒に添加し、得られた懸濁液を加熱冷却懸濁攪拌を繰り返す(例えば、4.5℃/分で50℃まで昇温し、30分間定温の後、0.1℃/分で5℃まで冷却、30分間定温を1サイクルとする、3サイクルを実施する)、結晶化して化合物1の結晶形を得る。第4の溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサンなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドンなど)、スルホン(例えば、ジメチルスルホキシド)、アルカン(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、n-ヘプタンなどを含むC1-7アルカン)、トルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびそれらの任意の組み合わせによって形成される混合溶媒からなる群から選択できる。混合溶媒中の少なくとも2つの溶媒の体積比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、95:1、または上記の任意の2つの比率範囲間の任意の比率などの任意の比であってもいい。混合溶媒は、水/ジメチルホルムアミド、n-ヘキサン/ジメチルスルホキシド、アセトニトリル/N-メチルピロリドンからなる群から選択することができる。
【0134】
ある実施形態では、化合物1の結晶形A~Eおよびアモルファス形態は、低速蒸発法によって調製することができる。例えば、化合物1を第5の溶媒に添加して透明な溶液を得、ゆっくりと揮発させることによって化合物1の結晶形を得る。第5の溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサンなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、アセトニトリル、水、およびそれらの任意の組み合わせによって形成される混合溶媒からなる群から選択できる。混合溶媒中の少なくとも2つの溶媒の体積比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、95:1、または上記の任意の2つの比率範囲間の任意の比率などの任意の比であってもいい。混合溶媒は、水/エタノール、酢酸エチル/メタノール、アセトニトリル/メタノール、メチル-tert-ブチルエーテル/メタノール、アセトン/ジクロロメタン、イソプロパノール/クロロホルムからなる群から選択することができる。
【0135】
ある実施形態では、化合物1の結晶形Aおよび結晶形Cは、気液拡散法によっても調製することができる。例えば、化合物1を第3の容器に入れ、第6の溶媒に溶解させた後、ろ過し、ろ液を第4の容器に入れ、第4の容器を開けて第6の溶媒のアンチソルベントを含む第5の容器に入れた。第5の容器の容積が第4の容器の容積よりも大きく、次いで、第5の容器を密封し、室温で放置して、化合物1の結晶形を得る。第6の溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドンなど)、ジメチルホルムアミドからなる群から選択され得る。第6の溶媒のアンチソルベントは、アセトニトリル、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなど)、アルカン(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン(例えば、シクロヘキサン)、n-ヘプタンなどを含むC1-7アルカン)からなる群から選択され得る。ある実施形態では、当該方法におけるアンチソルベント系は、エタノール/アセトニトリル、エタノール/n-ヘプタン、エタノール/酢酸エチル、N-メチルピロリドン/酢酸イソプロピル、ジメチルホルムアミド/アセトニトリル、ジメチルホルムアミド/シクロヘキサンからなる群から選択することができる。
【0136】
ある実施形態では、化合物1の結晶結晶形A、Dおよびアモルファス形態は、ポリマー誘導法によって調製することができる。たとえば、化合物1を第7の溶媒に溶解して透明な溶液を得てから、混合高分子ポリマーを溶液に加え、室温に置いてゆっくりと揮発させ、化合物1の結晶形を得る。第7の溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、アセトニトリルからなる群から選択され得る。混合高分子ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとメチルセルロースの等量混合物、又はポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリメチルメタクリレート、アルギン酸ナトリウムとヒドロキシエチルセルロースの等量混合物から選択することができる。
【0137】
ある実施形態では、化合物1の結晶形A~Cおよびアモルファス形態は、アンチソルベント法によって調製することができる。例えば、化合物1を第8溶媒に溶解させた後、攪拌しながら第8溶媒のアンチソルベントを滴下し、晶析により化合物1の結晶形を得る。第8の溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン等)、スルホン類(ジメチルスルホキシド等)からなる群から選択され得る。第八の溶媒のアンチソルベントは、トルエン、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサンなど)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドンなど)、水からなる群から選択され得る。ある実施形態では、アンチソルベント系は、クロロホルム/トルエン、クロロホルム/酢酸エチル、クロロホルム/シクロペンチルメチルエーテル、メタノール/水、メタノール/テトラヒドロフラン、メタノール/アセトン、ジメチルスルホキシド/イソプロパノール、ジメチルスルホキシド/水からなる群から選択され得る。
【0138】
ある実施形態では、化合物1の結晶形Aおよび結晶形Bは、研磨法によって調製することができる。例えば、化合物1を乳鉢に入れ、必要に応じて水を加えて研磨し、化合物1の結晶形を得る。
【0139】
ある実施形態において、本願における結晶形の調製方法は、濾過、洗浄または乾燥などの工程をさらに含む。
【0140】
医薬組成物
別の態様では、本願は、化合物1と薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であって、化合物1が、結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形Dおよびイソプロパノール溶媒和物結晶形Eからなる群から選択される1種または複種の結晶形を有する医薬組成物を提供する。
【0141】
本願の化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形Dおよびイソプロパノール溶媒和物結晶形E、または医薬組成物が、必要に応じて例えば、錠剤、カプセル、丸剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、注射剤(注射液、注射用滅菌粉末および注射用濃縮液を含む)、坐剤、吸入剤または噴霧剤に製剤化することができる。
【0142】
本願の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形Dおよびイソプロパノール溶媒和物結晶形Eまたは医薬組成物は、任意の適切な方法で患者または被験者に投与することができる。投与方法として、例えば、経口、非経口、直腸、肺または局所投与などが挙げられる。
【0143】
経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が含まれる。これらの固体剤形では、本願の化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形Dまたはイソプロパノール溶媒和物結晶形Eが、少なくとも1種の通常の不活性賦形剤または担体と混合される、例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなど、または以下の成分と混合される:(a)フィラーまたは増量剤、例えば、微結晶性セルロース、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸;(b)結合剤、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴム;(c)湿潤剤、例えば、グリセロール;(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ澱粉またはタピオカ澱粉、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム;(e)徐放性溶剤、例えば、パラフィン;(f)吸収促進剤、例えば、第四級アミン化合物;(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリル;(h)吸着剤、例えば、カオリン;(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムまたはそれらの混合物。カプセル、錠剤および丸剤では、剤形に緩衝剤が含まれていてもよい。
【0144】
固形剤形(例えば、錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒剤)は、ケーシングおよび当技術分野で周知の他の材料などのコーティングやシェル材料で調製することができる。それらは不透明剤を含んでいてもよく、そのような組成物中の活性成分は消化管の特定の部分で徐放することができる。使用できる埋め込み成分の例は、ポリマー物質およびワックス系物質である。必要に応じて、活性成分は、上記賦形剤の1種または複種と共にマイクロカプセル化された形態であってもよい。
【0145】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップまたはチンキ剤が含まれ得る。活性成分に加えて、液体剤形には、本分野での通常に用いられる不活性希釈剤(水または他の溶媒など)、可溶化剤、および乳化剤(例えば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミドおよび油(特に綿実油、ピーナッツ油、コーン胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油))、甘味料(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテーム、スクロース)、保存料、風味増強剤、着色料、またはこれらの混合物が含まれる。
【0146】
非経口注射用の組成物は、生理学的に許容される滅菌水溶液または無水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、および滅菌注射用溶液または分散液に再溶解するための滅菌粉末を含む。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒または賦形剤には、水、エタノール、ポリオールリンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液またはこれらの物質の混合物が含まれる。
【0147】
直腸投与用の組成物には、坐剤などが含まれる。
肺投与のための組成物には、吸入剤または噴霧剤などが含まれる。
【0148】
局所投与のための組成物には、軟膏、散剤、パッチ、スプレーおよび吸入剤が含まれる。活性成分は、無菌条件下で薬学的に許容される担体(例えば、動物油、植物油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛など)、任意の防腐剤及び緩衝剤、又は必要に応じて必要となる推進剤と混合される。
【0149】
上記の代表的な剤形に加えて、当該技術分野で知られている薬学的に許容される担体も、本願に含まれてもよい。そのような担体は、例えば、“Remingtons Pharmaceutical Sciences” Mack Pub. Co., New Jersey (1991), in “Remington: The Science and Practice of Pharmacy”, Ed. University of the Sciences in Philadelphia, 21st Edition, LWW (2005)に記載された、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0150】
ある実施形態では、本願の化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形Dおよびイソプロパノール溶媒和物結晶形Eが治療および/または予防有効量で医薬組成物または医薬品に存在する。ある実施形態では、本願の医薬組成物は、単位剤形で処方される。明確にするために、本明細書で言及される量は、含まれる溶媒(結晶形で存在する場合)から生じる追加の重量を除いて、遊離塩基形態の化合物1の当量を指す。
【0151】
例えば、単回または複数回投与の場合、本願の化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形Dおよびイソプロパノール溶媒和物結晶形Eの投与量は、約0.01~約100mg/kg体重/日、約0.05~約100mg/kg体重/日、約0.1~約100mg/kg体重/日、約0.5~約100mg/kg体重/日、約1~約100mg/kg体重/日、約1~約90mg/kg体重/日、約1~約80mg/kg体重/日、約1~約70mg/kg体重/日、約1~約60mg/kg体重/日、約1~約50mg/kg体重/日、約1~約45mg/kg体重/日、約1~約40mg/kg体重/日、約1から約35mg/kg体重/日、または約1から約30mg/kg体重/日である。場合によっては、上記範囲の下限よりも低い用量レベルでも十分である可能性があるが、他の場合には、上記範囲の上限よりも高い用量レベルでも副作用を伴わずに使用できる。場合によっては、単位剤形(例えば、錠剤、カプセル)は、例えば、約1~1000mg、約1~900mg、約1~800mg、約1~700mg、約1~600mg、約1~500mg、約1~400mg、約1~300mg、約1~200mg、または約1~100mgの本願の化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形Dまたはおよびイソプロパノール溶媒和物結晶形Eを含有してもよい。
【0152】
医薬組成物中の本願の化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形Dおよびイソプロパノール溶媒和物結晶形Eの含有量は、効力、生物学的半減期、疾患の種類およびその重症度、治療対象(例えば、年齢および体重)、特定の投与様式などの様々な要因によって異なることがある。当業者は、必要に応じて必要な量を日常的に決定することができる。
【0153】
同様に、本願化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形D、およびイソプロパノール溶媒和物結晶形E、ならびにそれを含む医薬組成物は、治療期間および投与タイミング(投与間隔、投与時点(例えば、食事の前、後、食事中))が、治療対象、特定の結晶形およびその特性(例えば、薬物動態学の性質)、疾患の種類およびその重症度、使用される特定の組成物および方法にも依存し、当業者によって必要に応じて日常的に決定することができる。
【0154】
ある実施形態では、本願に記載の医薬組成物において、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Aを具備している。
【0155】
ある実施形態では、本願に記載の医薬組成物において、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Bを具備している。
【0156】
ある実施形態では、本願に記載の医薬組成物において、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Cを具備している。
【0157】
ある実施形態では、本願に記載の医薬組成物において、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Dを具備している。
【0158】
ある実施形態では、本願に記載の医薬組成物において、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%の化合物1が結晶形Eを具備している。
【0159】
ある実施形態では、本願に記載の医薬組成物は、他の治療薬をさらに含む。そのような他の治療薬には、抗癌剤が含まれる、例えば、アバレリックス(abarelix)、アルデスロイキン(aldesleukin)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アリトレチノイン(alitretinoin)、アロプリノール(allopurinol)、アルトレタミン(altretamine)、アミフォスチン(amifostine)、アナストロゾール(anastrozole)、三酸化二ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン(azacitidine)、BCG Live、ベバクジマブ(bevacuzimab)、フルオロウラシル、ベキサロテン(bexarotene)、ブレオマイシン(bleomycin)、ボルテゾミブ(bortezomib)、ブスルファン(busulfan)、カルステロン(calusterone)、カペシタビン(capecitabine)、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(carmustine)、セレコキシブ(celecoxib)、セツキシマブ(cetuximab)、クロロマイセチン、クラドリビン(cladribine)、クロファラビン(clofarabine)、シクロホスフィンアミド、シタラビン(cytarabine)、アクチノマイシンD、ダルベポエチンアルファ(darbepoetin alfa)、ダウノマイシン、デニロイキン(denileukin)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、ドセタキセル、小さなクランベリー(中性)、クランベリー塩酸塩、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate)、エピルビシン(epirubicin)、エポエチンアルファ(epoetin alfa)、エルロチニブ、エストラムスチン(estramustine)、リン酸エトポシド、エトポシド、エキセメスタン(exemestane)、フィルグラスチム(filgrastim)、フロクスリジンフルダラビン(floxuridine fludarabine)、フルベストラント(fulvestrant)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン(gemcitabine)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、酢酸ゴセレリン(goserelin acetate)、酢酸ヒストレリン(histrelin acetate)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、イブリツモマブ(ibritumomab)、イダマイシン(idarubicin)、イソシクロホスファミド、メシル酸イマチニブ(imatinib mesylate)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、イリノテカン(irinotecan)、レナリドミド(lenalidomide)、レトロゾール(letrozole)、ロイコボリン(leucovorin)、酢酸ロイプロリド(leuprolide acetate)、レバミゾール(levamisole)、ロムスチン(lomustine)、酢酸メゲストロール(megestrol acetate)、メルファラン(melphalan)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、6-MP、メスナ(mesna)、メトトレキセート、メトキサレン(methoxsalen)、マイトマイシンC(mitomycin C)、ミトタン(mitotane)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ナンドロロン(nandrolone)、ネララビン(nelarabine)、ノフェツモマブ(nofetumomab)、オプレルベキン(oprelvekin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、パクリタキセル、パリフェルミン(palifermin)、パミドロネート(pamidronate)、ペガデマーゼ(pegademase)、ペグアスパルガーゼ(pegaspargase)、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、ペメトレキセド二ナトリウム(pemetrexed disodium)、ペントスタチン(pentostatin)、ピポブロマン(pipobroman)、プリカマイシン(plicamycin)、ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium)、プロカルバジン(procarbazine)、キナクリン(quinacrine)、ラスブリカーゼ(rasburicase)、リツキシマブ(rituximab)、サルグラモスチム(sargramostim)、ソラフェニブ(sorafenib)、ストレプトゾシン(streptozocin)、マレイン酸スニチニブ(sunitinib maleate)、タルク、タモキシフェン(tamoxifen)、テモゾロミド(temozolomide)、テンポシド、VM-26、テストラクトン(testolactone)、チオグアニン(thioguanine)、6-TG、チオテパ(thiotepa)、トポテカン、トレミフェン(toremifene)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、トレチノイン(tretinoin)、ATRA、ウラシルマスタード(uracil mustard)、バルルビシン(valrubicin)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン(vinorelbine)、ゾレドロネート(zoledronate)またはゾレドロン酸が挙げられる。
【0160】
別の態様では、本願は、化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形D、イソプロパノール溶媒和物結晶形Eまたは前述の方法によって調製された化合物1の結晶形A~Eを、薬学的に許容される担体と混合することを含む、医薬組成物の調製方法も提供する。
【0161】
応用
別の態様では、本願はまた、本願に記載されている化合物1の結晶形A~Eおよび医薬組成物の以下における応用を提供する:
(a)異常なSHP2活性/レベルに関連する疾患または病気の予防または治療のための医薬品の製造;
(b)SHP2が介在する疾患または病気の予防または治療のための医薬品の製造;
(c)SHP2の活性/レベルを阻害する阻害剤薬物の調製;
(d)インビトロでのSHP2活性/レベルの非治療的な阻害;
(e)インビトロでの腫瘍細胞増殖の非治療的な阻害;または
(f)異常なSHP2活性/レベルに関連する疾患または病気の治療。
【0162】
「SHP2介在する疾患または病気」とは、被験者の体内におけるSHP2の異常な活性化または破壊によるSHP2活性/レベルの異常な上昇又は低下に起因する、異常なSHP2活性/レベルに関連する疾患または病気を指す。ある実施形態では、前記SHP2介在する疾患または病気は、癌である。ある実施形態では、癌は、ヌーナン症候群、ヒョウ皮膚症候群、若年性骨髄単球性白血病、神経芽細胞腫、黒色腫、急性骨髄性白血病、乳癌、食道癌、肺癌、結腸癌、頭部癌、頭頸部の扁平上皮癌、胃がん、未分化大細胞型リンパ腫、神経膠芽腫、肝細胞がん(HCC)、急性リンパ芽球性白血病、副腎皮質がん、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、異型奇形/類腫瘍、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん(骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳幹グリア形質腫瘍、脳腫瘍、脳脊髄腫瘍、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、子宮頸がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、胎児性腫瘍、子宮内膜がん、上皮細胞腫瘍、上衣腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、眼がん、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、消化管カルチノイド、消化管間質腫瘍(GIST)、消化管間質細胞腫瘍、胚細胞腫瘍、神経膠腫、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、膵島細胞腫瘍(内分泌膵臓)、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病、ヘアリー細胞白血病、肝臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、髄芽腫、髄上皮腫、中皮腫、口腔がん、多発性骨髄腫、上咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、中咽頭がん、骨肉腫、骨の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、上皮性卵巣がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣の低悪性度漿液性癌、膵臓がん、乳頭腫症、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、松果体中分化型腫瘍、骨芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽細胞腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞(腎臓)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、肉腫、カポジ病、セザリー症候群、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、喉頭がん、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍からなる群から選択される。
【0163】
別の態様では、本願は、SHP2介在する疾患または病気を治療または予防する方法も提供し、この方法は、本願の記載の化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形D、イソプロパノール溶媒和物結晶形Eまたは本願の記載の医薬組成物を、必要とする対象に投与することを含む。
【0164】
別の態様において、本願はまた、SHP2介在する疾患または病気の治療または予防に使用するための化合物1の結晶形A、水和物結晶形B、水和物結晶形C、ジクロロメタン溶媒和物結晶形D、イソプロパノール溶媒和物結晶形E、または前記の結晶形のいずれか1種または複種を含む医薬組成物を提供する。
【0165】
別の態様では、本願は、SHP2の活性を阻害する方法も提供し、この方法は、有効量の本願の記載の化合物1の結晶形A~Eを必要とする対象に投与する工程、または有効量の本願の記載の医薬組成物を必要とする対象に投与する工程、を含む。
【0166】
発明を実施するための形態
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本願の実施例は、本発明の技術的解決法を説明するためにのみ使用され、本発明の本質と範囲を限定するものではない。
【0167】
以下の実施例の説明で使用される略語は次のとおりです。
【0168】
【表6】
【0169】
実施例で使用される機器および実験条件
1. 示差走査熱量計 (DSC)
装置モデル: Mettler Toledo DSC3 + Stare e System
パージガス:窒素(50mL/min)
昇温速度:10.0℃/min
温度範囲:20~250℃
2. X 線粉末回折 (XRPD)
装置モデル:Rigaku UltimaIV X線粉末回折装置
光線: 単色Cu-Kα線 (λ=1.5418Å)
スキャンモード:θ/2θ、スキャン範囲:3~45°
電圧:40kV、電流:40mA
3. 熱重量分析 (TGA)
装置モデル: Mettler Toledo TGA2STAR eSystem
パージガス:窒素
昇温速度:10.0℃/min
温度範囲:20~250℃
4. 動的蒸気吸着 (DVS)
装置モデル:TAQ5000VSA
温度:25℃
溶剤:水
湿度変化:0-95-0-95-0%RH、ステップは10%、判定基準は10000min以内の質量変化が0.01%未満
4. HPLC法
装置モデル: VWD 検出器を備えた Agilent 1100
カラム: poroshell 120 EC C18、3.0 mm/50 mm/2.7 μm
移動相: A: 0.03% NH4OH (25%~28%) 水溶液
B: 0.03% NH4OH (25%~28%)アセトニトリル溶液
溶出勾配: 時間 (分) %B
0.0 5
7.0 95
8.0 95
8.1 5
10.0 5
移動相流量:1.0mL/min
実行時間: 10.0 分
注入体積: 2 μL
検出波長:UV、254nm
カラム温度:25℃
インジェクター温度: RT
希釈剤: アセトニトリル:水 = 1:1 (v:v)
実施例1:化合物1の結晶形Aの調製、特徴付けおよび安定性調査
(i)化合物1の結晶形Aの調製(室温パルプ法)
実施例 1.1
化合物 1 (20 mg) をガラスバイアルに入れ、0.5 mL のメタノールを加え、得られた懸濁液を室温で約 4 日間磁気懸濁撹拌 (1000 rpm)した後、固体を遠心分離 した(10,000 rpm、2 分)。回収した固体をXRPDで特徴付け、得られた固体が化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0170】
実施例1.2~1.15
実施例1.1の方法を参考に、実施例1.1のメタノールの代わりに別の溶媒を使用し(具体的には表1に示される)、得られた固体はXRPD検出により化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0171】
【表7】
【0172】
(ii)化合物 1 の結晶形 A の調製 (アンチソルベント法)
実施例 1.16
20 mg化合物 1を 20 mLバイアルに量り取り、クロロホルムに溶解し、0.45 μm PTFEフィルターを使用して別の 20 mL バイアルに濾過する。透明な溶液に、固形物が沈殿するまで、アンチソルベントとしてトルエンを攪拌し(750rpm)ながら徐々に滴下した。アンチソルベントの総量が5mLになった時点で、アンチソルベントの滴下を停止した。沈殿した固体を単離し、XRPDによって検出した。得られた固体はXRPD検出により化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0173】
実施例1.17~1.19
実施例1.16の製造方法を参照して、実施例1.16のクロロホルム/トルエン アンチソルベント系の代わりに別の逆溶媒系を使用し(具体的には表2に示される)。得られた固体は、XRPD 検出により化合物の結晶形Aであることを確認した。
【0174】
【表8】
【0175】
(iii)化合物 1 の結晶形 A の調製 (50°C でのパルプ法)
実施例 1.20
20mg化合物1をガラスバイアルに入れ、イソプロパノール0.5mLを加え、得られた懸濁液を50℃で約1週間磁気懸濁攪拌し(750rpm)、遠心分離(10,000 rpm、2分)し、固体を回収した。得られた固体が化合物1の結晶形AであることをXRPD検出により確認した。
【0176】
実施例1.21~1.31
実施例1.20の製造方法を参照して、実施例1.20のイソプロパノールの代わりに別の溶媒を使用し(具体的には表3に示される)、得られた固体が化合物1の結晶形AであることをXRPD検出により確認した。
【0177】
【表9】
【0178】
(iv). 化合物 1 の結晶形 A の調製 (低速蒸発法)
実施例 1.37
20 mg化合物 1を 3 mL バイアルに入れ、0.2~3.0 mL のメタノールを加えて溶解し、0.45μm PTFEフィルターで別の 3 mL バイアルにろ過し、バイアルをパラフィルムで密閉し、ピンホールを開けて、室温放置しゆっくりと蒸発させた。得られた固体を回収し、XRPD分析により回収の固体が化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0179】
実施例1.38~1.41
実施例1.37の製造方法を参照して、実施例1.37のメタノールの代わりに別の溶媒を使用し(具体的には表4に示される)、得られた固体が化合物1の結晶形AであることをXRPD検出によって確認した。
【0180】
【表10】
【0181】
(v). 化合物 1 の結晶形 A の調製 (温度サイクル法)
実施例 1.42
20 mg化合物 1をガラスバイアルに量り取り、エタノール 0.5 mL を加え、得られた懸濁液を温度サイクルし(50℃~5℃、0.1℃/分、4 サイクル)、そして、遠心分離(10000 rpm、2 分) にかける。 固体を収集し、XRPD によって得られた固体が化合物 1 の結晶形 A であるを確認した。
【0182】
実施例1.43~1.51
実施例1.42の製造方法を参照して、実施例1.42のエタノールの代わりに別の溶媒を使用し(具体的には表5に示される)、得られた固体が化合物1の結晶形AであることをXRPD検出によって確認した。
【0183】
【表11】
【0184】
(vi)化合物 1 の結晶形 A の調製 (気固拡散法)
実施例 1.52
20 mg 化合物 1 を 3 mL バイアルに量り取り、約 4 mL の水を別の 20 mL バイアルに加え、3 mL バイアルを開けて20 mL バイアルに入れ、20 mL バイアルを密封します。室温で約2週間静置した後、固体を採取し、XRPD検出により得られた固体が化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0185】
実施例 1.53~1.59
実施例1.52の製造方法を参照して、実施例1.52の水の代わりに別の溶媒を使用し(具体的には表6に示される)、得られた固体が化合物1の結晶形AであることをXRPD検出によって確認した。
【0186】
【表12】
【0187】
(vii)化合物1の結晶形Aの調製(気液拡散法)
実施例 1.60
20 mg化合物 1 を 3 mL バイアルに量り取り、0.2 ~ 3.0 mL のエタノールを加えて溶解し、0.45 μm PTFE フィルターで別の 3 mL バイアルにろ過し、別の 20 mL バイアルを取り、アンチソルベントとしてのアセトニトリルを約 3 mL 加えた。上澄みを含む 3 mL バイアルを開けて20 mL バイアルに入れ、20 mL バイアルを密封し、室温で放置した。得られた固体を採取してXRPD検出により得られた固体が化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0188】
実施例1.61~1.63
実施例1.60の調製方法を参照して、実施例1.60のエタノール/アセトニトリル逆溶媒系の代わりに別の溶媒系を使用し(具体的には表7に示される)、XRPD検出により得られた固体が化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0189】
【表13】
【0190】
(viii)化合物 1 の結晶形 A の調製 (ポリマー誘導法)
実施例 1.64
20 mg 化合物 1 を 3 mL バイアルに量り取り、0.2~5.0 mLのエタノールを加えて溶解し、0.45μm PTFEフィルターで別の 3 mL バイアルにろ過し、混合高分子ポリマーA を2 mg 加え、バイアルをパラフィルムで密閉し、ピンホールを開けて、室温放置しゆっくりと蒸発させた。混合高分子ポリマーAの組成は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース(等質量混合)である。得られた固体を回収し、XRPD分析により回収の固体が化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0191】
実施例 1.65
20 mg化合物 1 を 3 mL バイアルに量り取り、0.2~5.0 mL のクロロホルムを加えて溶解し、0.45μm PTFE フィルターで別の 3 mLバイアルにろ過し、混合高分子ポリマーB を約 2 mg 加え、バイアルをパラフィルムで密閉し、ピンホールを開けて、室温放置しゆっくりと蒸発させた。混合高分子ポリマーBの組成は、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリメチルメタクリレート、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース(等質量混合)である。得られた固体を回収し、XRPD分析により回収の固体が化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0192】
(ix)化合物 1 の結晶形 A の調製 (研磨法)
実施例 1.66
20mg化合物1を乳鉢に量り取り、15分間研磨した後、固体を採取し、XRPD検出により得られた固体が化合物1の結晶形Aであることを確認した。
【0193】
(x)化合物 1 の結晶形A の特性データ
XRPDデータ
化合物1の結晶形AのXRPDスペクトルを図1に示し、XRPDスペクトルにおけるピークおよびそれらに関連する強度および面間間隔のデータを表8に示す。
【0194】
【表14-1】
【0195】
【表14-2】
【0196】
DSC および TGA データ
化合物1の結晶形AのDSCスペクトルおよびTGAスペクトルを図2に示す。 DSC スペクトルは、化合物 1 の結晶形 A が 153.7°C (ピーク温度) に非常に浅い発熱ピークを持ち、その後に約 262.0°C (ピーク温度) に鋭い吸熱ピークがあることを示し、この鋭い吸熱ピークは結晶形Aの溶融に対応し。TGA スペクトルは、化合物 1 の結晶形 A の 120°C の前に1.69%の重量損失を有することを示し、それは、化合物 1 の結晶形 A が無水結晶形であることを証明した。
【0197】
DVS吸湿性データ
化合物1の結晶形Aの吸湿性をDVS試験によって評価した。 DVSスペクトルを図 13 に示す。DVS試験の結果は、化合物1の結晶形Aの吸湿重量増加が80.0%の相対湿度で1.88%であることを示し、それがわずかに吸湿性であることを示した。DVS試験前後の化合物1の結晶形AのXRPDスペクトルを図14に示す。これは、結晶形Aの結晶形がDVS試験の前後に結晶型が一致することを示した。
【0198】
(xi)化合物 1 の結晶形 A の安定性調査
実施例 1.67
化合物1の結晶形Aを60℃/密閉の条件下に放置24時間した後、25℃/60%RHおよび40℃/75%RHの条件下に1週間置き、サンプルの物理的および化学的安定性をXRPDおよびHPLCで検出した。結果を以下の表 9 にまとめる。
【0199】
HPLC試験結果を図11Aから11Eに示す。化合物 1 の結晶形A は、上記の 3 つの安定性試験条件下に置いた後、純度に明らかな変化がなく、非常に高い純度 (約 98%) を維持し、良好な化学的安定性を示すことが HPLC 試験の結果からわかる。XRPD検出結果を図12に示す。化合物1の結晶形Aは、60℃/密閉の条件下に24時間、及び25℃/60%RHの条件下に1週間開放放置すると、結晶形変換を示さなかったが、40℃/75%RHの条件下1週間開放放置すると、結晶形Aの一部のみが水和物結晶形Bに変換された。
【0200】
【表15】
【0201】
実施例 1.68
化合物 1 の結晶形 A を窒素保護下で異なる温度 (それぞれ 30°C、92°C、118°C、132°C、および 175°C) に加熱し、冷却後にXRPD検出を実施しました。温度変化 XRPDスペクトルを図15 に示します。結果は、化合物 1 の結晶形 A が加熱プロセス中に結晶変換しなかったことを示した (高温で観察されるわずかなシフトは、高温での結晶格子の伸縮によって引き起こされる)。
【0202】
上記の安定性調査から、化合物1の結晶形Aが優れた安定性を有することが分かる。
実施例2:化合物1の結晶形Bの調製、特徴付けおよび安定性調査
(i)化合物1の結晶形Bの調製(アンチソルベント法)
実施例 2.1
29.8 mg の化合物 1 を 20 mL ボトルに量り取り、メタノール 4.0 mL を加えて溶解し、0.45μm PTFE フィルターで別の20 mL ボトルにろ過し、8.0 mL の水を加えて沈殿させ、沈殿物が析出しないまで2.0 mL水を追加した。室温で1時間撹拌した後、固体を遠心分離し(10,000rpm、2分)、XRPD検出した。XRPD検出により得られた固体が化合物1の結晶形Bであることを確認した。
【0203】
実施例 2.2
実施例2.1の製造方法を参照して、実施例2.1のメタノール/水逆溶媒系の代わりにジメチルスルホキシド/水 アンチソルベント系を使用し、XRPD検出により得られた固体が化合物1の結晶形Bであることを確認した。
【0204】
(ii)化合物 1 の結晶形 B の調製 (低速蒸発法)
20 mg化合物 1をガラスバイアルに入れ、メチル tert-ブチルエーテル/メタノール(9:1、v:v) 0.2~3.0 mL を加えて溶解し、0.45μm PTFEフィルターを使用して別の 3 mL バイアルにろ過し、バイアルをパラフィルムで密封し、ピンホールを開けて、室温に置いてゆっくりと蒸発させた。得られた固体を回収し、XRPD検出により得られた固体が化合物1の結晶形Bであることを確認した。
【0205】
(iii)化合物 1 の結晶形B の特徴付けデータ
1H NMRデータ
化合物1の結晶形BのH NMRスペクトルを図16に示す。1H NMR スペクトルから、化合物 1 の結晶形 B は調製プロセス中に分解されず、明らかな水のシグナルが観察されることがわかる。
【0206】
XRPDデータ
化合物1の結晶形BのXRPDスペクトルを図3に示し、XRPDスペクトルにおけるピークおよびそれらに関連する強度および面間間隔のデータを表10に示す。
【0207】
【表16】
【0208】
DSC および TGA データ
化合物1の結晶形BのDSCスペクトルおよびTGAスペクトルを図4に示す。 DSCスペクトルは、化合物 1 の結晶形B が 113.5°C と 266.8°C (ピーク温度) に 2つの鋭い吸熱ピーク、および161.8°C (ピーク温度)に発熱ピークがあることを示した。 TGA スペクトルは、化合物 1 の結晶形 B が 120°C の前に 12.75% の重量損失を有することを示す。
【0209】
(iv)化合物 1 の結晶形 B の安定性調査
実施例 2.2
化合物 1 の結晶形 B を、窒素保護下で異なる温度 (それぞれ 130°C および 180°C) に加熱し、室温に冷却した後XRPD検出を実施した。温度変化XRPDスペクトルを図 20 に示す。結果は、結晶形Bを130°C に加熱して室温に冷却すると、結晶形B がアモルファス形態に変換されたが、結晶形B を180°C に加熱して室温に冷却すると、結晶形B が結晶形A に変換されたことを示す。
【0210】
化合物1の結晶形Bの調製方法、熱分析データ、H NMR検出および温度変化XRPD検出の結果から、結晶形Bは水和物であると推測され、ここで、水分子の化合物1に対するモル比は、約 3.9:1です、加熱プロセス中に、最初に脱水されてアモルファス形態に変換され、次に高温で再結晶によって結晶形A に変換される。
【0211】
実施例3:化合物1の結晶形Cの調製、特徴付けおよび安定性調査
(i)化合物1の結晶形Cの調製(室温パルプ法)
実施例 3.1
化合物1(20mg)をガラスバイアルに入れ、0.5mLのアセトン/水(6:4、v:v)を加えて懸濁液を形成し、懸濁液を約750rpmで室温で約48時間撹拌した。遠心分離 (10000 rpm、2 分間) して固体を収集します。回収した固体をXRPDで特徴付け、得られた固体が化合物1の結晶形Cであることを確認した。
【0212】
実施例 3.2
実施例3.1の製造方法を参照して、実施例3.1のアセトン/水の代わりに1,4-ジオキサン/水(4:1、v:v)を使用し、得られた固体が化合物1の結晶形CであることをXRPDにより確認した。
【0213】
(ii)化合物 1 の結晶形 C の調製 (低速蒸発法)
実施例 3.3
20 mg 化合物 1 を 3 mL バイアルに量り取り、3.0 mL の水/エタノール (4:1、v:v) を加えて溶解し、0.45μm PTFE フィルターを使用して別の 3 mL バイアルにろ過し、パラフィルムでバイアルを密封し、ピンホールを開けて、室温で放置しゆっくりと蒸発させた。得られた固体を採取し、得られた固体が化合物1の結晶形CであることをXRPDにより確認した。
【0214】
(iii)化合物 1 の結晶形 C の調製 (温度サイクル法)
実施例 3.4
20 mg化合物 1をガラスバイアルに量り取り、水 0.5 mL を加え、得られた懸濁液を温度サイクルした(50℃~5℃、0.1℃/分、4 サイクル)、その後、遠心分離(10000 rpm、 2min) し、固体を採取してXRPD 検出を行ったところ、得られた固体が化合物 1 の結晶形 C であることを確認した。
【0215】
(iv)化合物1の結晶形Cの調製(気液拡散法)
実施例 3.5
20 mg化合物 1を 3 mL バイアルに量り取り、0.2~3.0 mLのエタノールを加えて溶かし、0.45μm PTFE フィルターで別の 3 mL バイアルにろ過し、別の 20 mL バイアルに約 3 mLアンチソルベントとしてのn-ヘプタンを加える。上澄みを含む 3 mL バイアルを開けて 20 mL バイアルに入れ、20 mL バイアルを密封して室温で静置した。得られた固体を採取してXRPD検出を行ったところ、得られた固体が化合物1の結晶形Cであることを確認した。
【0216】
実施例 3.6
実施例3.5の調製方法を参照すると、実施例3.5のエタノール/n-ヘプタン アンチソルベント系の代わりにエタノール/酢酸エチル アンチソルベント系を使用し、XRPD検出により、得られた固体が化合物1の水和物結晶形Cであることが確認された。
【0217】
(v)化合物 1 の結晶形 C の特徴付けデータ
1H NMRデータ
化合物1の結晶形CのH NMRスペクトルを図17に示す。 1H NMR スペクトルから、化合物 1 の結晶形 C は調製プロセス中に分解されず、明らかな水のシグナルが観察されたことがわかる。
【0218】
XRPDデータ
化合物1の結晶形CのXRPDスペクトルを図5に示し、XRPDスペクトルにおけるピークとそれらに関連する強度および面間間隔のデータを表11に示す。
【0219】
【表17-1】
【0220】
【表17-2】
【0221】
DSC および TGA データ
化合物1の結晶形CのDSCスペクトルおよびTGAスペクトルを図6に示す。DSC スペクトルは、化合物 1 の結晶形 C が 46.4°C (ピーク温度) に非常に浅い吸熱ピークを持ち、その後に117.2°C と 265.6°C (ピーク温度) に 2つの鋭い吸熱ピークがあり、また、147.0°C (ピーク温度)にで発熱ピークがあることを示す。TGA スペクトルは、化合物 1 の結晶形 C が 120°C の前に 12.23% の重量損失を有することを示す。
【0222】
(vi)化合物 1 の結晶形 C の安定性調査
実施例 3.7
化合物 1 の結晶形 C を、窒素保護下で異なる温度 (それぞれ 130°C および 160°C) に加熱し、室温に冷却した後、XRPD検出を実施した。温度変化 XRPD スペクトルを図 21 に示します。結果は、結晶形C を130°C に加熱して室温に冷却すると、結晶形C がアモルファス形態に変換されたが、結晶形C を 160°C に加熱して室温に冷却すると、結晶形 C は結晶形 A に変換されたことを示す。
【0223】
化合物1の結晶形Cの調製方法、熱分析データ、H NMR検出および温度変化XRPD検出の結果から、結晶形Cは水和物であると推測され、ここで、水分子の化合物1に対するモル比は、約 3.7:1 です、加熱プロセス中に、最初に脱水されてアモルファス形態に変換され、次に高温で再結晶によって結晶形A に変換される。
【0224】
実施例4:化合物1の結晶形Dの調製、特徴付けおよび安定性調査
(i)化合物1の結晶形Dの調製(室温パルプ法)
実施例 4.1
化合物 1 (20 mg) をガラスバイアルに入れ、0.5 mL のジクロロメタンを加えて懸濁液を得られた。室温で約 750 rpm で約 1 週間懸濁攪拌した後、遠心分離した(10,000 rpm、2分)。回収した固体をXRPDで特徴付け、得られた固体が化合物1の結晶形Dであることを確認した。
【0225】
(ii) 化合物 1 の結晶形 D の調製 (低速蒸発法)
実施例 4.2
20 mg の化合物 1 を 3 mL バイアルに量り取り、3.0 mL のジクロロメタンを加えて溶解し、0.45μm PTFE フィルターで別の3 mL バイアルにろ過し、バイアルをパラフィルムで密封し、ピンホールを開けて、室温に置き、ゆっくりと蒸発させた。得られた固体を採取し、XRPDにより得られた固体が化合物1の結晶形Dであることが確認された。
【0226】
(iii)化合物 1 の結晶形 D の特徴付けデータ
1H NMRデータ
化合物1の結晶形DのH NMRスペクトルを図18に示す。 1H NMR スペクトルから、化合物 1 の結晶形 D が調製プロセス中に分解されず、明らかなジクロロメタンのシグナルが観察されたことがわかる。
【0227】
XRPDデータ
化合物1の結晶形DのXRPDスペクトルを図7に示し、XRPDスペクトルにおけるピークおよびそれらに関連する強度および面間間隔のデータを表12に示す。
【0228】
【表18】
【0229】
DSC および TGA データ
化合物1の結晶形DのDSCスペクトルおよびTGAスペクトルを図8に示す。DSC スペクトルは、化合物 1 の結晶形 D が 59.8°C、124.1°C、および 129.8°C (ピーク温度) に 3 つの吸熱ピークを有することを示した。 TGA スペクトルは、化合物 1 の結晶形 D が 150°C の前に 13.08%の重量損失を有することを示す。
【0230】
(iv)化合物 1 の結晶形 D の安定性調査
化合物 1 の結晶形 D を、窒素保護下で異なる温度 (それぞれ 100°C および 160°C) に加熱し、室温に冷却した後、XRPD検出を実施した。温度変化 XRPD スペクトルを図 22 に示す。 結果は、結晶形 D を100°C に加熱して室温に冷却すると、結晶化度が大幅に低下したが、 結晶形 D を 160°C に加熱して室温まで冷却すると、結晶形Aの回折シグナルは観察されたことを示す。
【0231】
化合物 1 の結晶形 D の調製方法、熱分析データ、1H NMR 試験、および温度変化XRPD検出の結果から、結晶形 D はジクロロメタン溶媒和物であると推測され、ここで、ジクロロメタンの化合物 1 に対するモル比は約 0.8:1 であり、高温加熱中に脱溶媒され、高温で再結晶によって結晶形A に変換されたことを示す。
【0232】
実施例5:化合物1の結晶形Eの調製、特徴付けおよび安定性調査
(i)化合物 1 の結晶形 E の調製 (低速蒸発法)
実施例 5.1
20 mg の化合物 1 を 3 mL バイアルに量り取り、3.0 mL イソプロパノール/クロロホルム (9:1、v:v) を加えて溶解し、0.45μm PTFE フィルターで別の3 mL バイアルにろ過し、バイアルをバイアルで密封し、ピンホールを開け、室温でゆっくりと蒸発させた。得られた固体を採取してXRPDにより得られた固体が化合物1の結晶形Eであることを確認した。
【0233】
(ii)化合物 1 の結晶形E の特徴付けデータ
1H NMRデータ
化合物1の結晶形EのH NMRスペクトルを図19に示す。1H NMR スペクトルから、化合物 1 の結晶形 E は調製プロセス中に分解されず、明らかなイソプロパノールのシグナルが観察されたことがわかる。
【0234】
XRPDデータ
化合物1の結晶形EのXRPDスペクトルを図9に示し、XRPDスペクトルにおけるピークおよびそれらに関連する強度および面間間隔のデータを表13に示す。
【0235】
【表19-1】
【0236】
【表19-2】
【0237】
DSC および TGA データ
化合物1の結晶形EのDSCスペクトルおよびTGAスペクトルを図10に示す。DSC スペクトルは、化合物 1 の結晶形 E が 123.6°C と 269.0°C (ピーク温度) に2つの吸熱ピークを有することを示す。TGAスペクトルは、化合物 1 の結晶形E が100°C の前に4.96% の重量損失、および100 ~150°C の間で 12.54% の重量損失を有することを示す。
【0238】
(iii) 化合物 1 の結晶形 E の安定性調査
実施例 5.2
化合物 1 の結晶形 E を窒素保護下で異なる温度 (それぞれ 96°C および 180°C) に加熱し、室温に冷却した後XRPD検出を実施した。温度変化 XRPD スペクトルを図 23 に示す。結果は、結晶形E を96°C に加熱して室温に冷却すると、結晶形A の少量の回折シグナルが観察されたが、結晶形E を 180°C に加熱して室温に冷却すると、結晶形E は完全に結晶形A に変換されたことを示す。
【0239】
化合物 1 の結晶形 E の製造方法、熱分析データ、1H NMR 試験、および温度変化 XRPD検出の結果から、結晶形 E はイソプロパノール溶媒和物であると推測され、ここで、イソプロパノール分子の化合物1に対するモル比は約1:1であり、高温加熱中で再結晶により結晶形Aに変化されたことを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】