(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】ダプロデュスタットを含んでなる処方物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/515 20060101AFI20230720BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230720BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230720BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230720BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230720BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230720BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230720BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A61K31/515
A61P13/12
A61P7/06
A61K9/20
A61K47/04
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577794
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2021066386
(87)【国際公開番号】W WO2021255159
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513110104
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、(ナンバー2)、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY (NO.2) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】サヤンタン、チャットラジ
(72)【発明者】
【氏名】スコット、ライアン、クロイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ、アンダーソン、マクラウド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC14
4C076CC17
4C076DD29C
4C076DD38
4C076DD41
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF33
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC44
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA55
4C086ZA81
(57)【要約】
本開示は、良好な引張強度を有するダプロデュスタットの即時放出錠剤に関する。他の側面において、上記即時放出錠剤の医薬用途及び上記即時放出錠剤を使用するための投与レジメンが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
200~290MPaの範囲内の圧力で圧縮した後の錠剤コアの錠剤引張強度が1.7MPa以上のである、1~10mg(遊離酸として測定)のダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩を含んでなる、即時放出錠剤。
【請求項2】
200~290MPaの範囲内の圧力で圧縮した後の錠剤コアの錠剤引張強度が1.75MPa以上である、請求項1に記載の即時放出錠剤。
【請求項3】
ダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩が、2θ 6.4+/-0.2、7.5+/-0.2及び8.0+/-0.2度にピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形である、請求項1又は請求項2に記載の即時放出錠剤。
【請求項4】
非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形をその遊離酸の重量に基づき最大5%の量で含有する流動化剤不含のコンパートメントを含んでなる、請求項3に記載の即時放出錠剤。
【請求項5】
前記コンパートメントが錠剤コア全体である、請求項4に記載の即時放出錠剤。
【請求項6】
前記コンパートメントが錠剤内の顆粒である、請求項4に記載の即時放出錠剤。
【請求項7】
a)非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形、希釈剤、結合剤及び崩壊剤を含んでなる顆粒内成分;及び
b)希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、及び場合により流動化剤を含んでなる顆粒外成分;
からなり、
コーティングされていてもよい、請求項6に記載の即時放出錠剤。
【請求項8】
a)非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形及び1以上の希釈剤、1以上の結合剤及び1以上の崩壊剤からなる顆粒内成分;及び
b)希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、及び場合により流動化剤を含んでなる顆粒外成分;
からなり、
コーティングされていてもよい、請求項7に記載の即時放出錠剤。
【請求項9】
コーティングされていない錠剤の重量に基づき最大76重量%の顆粒内成分を含有する、請求項7又は請求項8に記載の即時放出錠剤。
【請求項10】
前記流動化剤がコロイド状二酸化ケイ素である、請求項4~9のいずれか一項に記載の即時放出錠剤。
【請求項11】
a.前記顆粒内成分が、以下:
i. 1~10mgの非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形;
ii. 約5重量%のヒプロメロース;
iii.約1.5重量%のクロスカルメロースナトリウム;及び
iv. 重量比で約2.2~約3.6のマンニトール及び微結晶セルロース;
を含んでなり、
b.前記顆粒外成分が、顆粒外成分の総重量に基づき、以下:
i. 約12重量%のクロスカルメロースナトリウム;
ii. 約4重量%のステアリン酸マグネシウム;
iii.約1.5%のコロイド状シリカ;及び
iv. 重量比で約2のマンニトール及び微結晶セルロース;
を含んでなる、請求項7~10のいずれか一項に記載の即時放出錠剤。
【請求項12】
約1、2又は4mgのダプロデュスタットを含んでなり、コア錠剤重量が約150mgである、請求項11に記載の即時放出錠剤。
【請求項13】
約6又は8mgのダプロデュスタットを含んでなり、コア錠剤重量が約300mgである、請求項11に記載の即時放出錠剤。
【請求項14】
フィルムコーティングされている、請求項12又は請求項13に記載の即時放出錠剤。
【請求項15】
ラクトースを含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の即時放出錠剤。
【請求項16】
治療において使用するための、請求項1~15のいずれか一項に即時放出錠剤。
【請求項17】
対象における慢性腎疾患に起因する貧血を処置する方法において使用するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の即時放出錠剤。
【請求項18】
前記対象が透析を受けている、請求項17に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項19】
前記対象が鉄欠乏性であり、前記対象が追加の鉄補充療法を受けている、請求項17又は18に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項20】
本発明の即時放出錠剤が1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg又は24mgのいずれかの用量で1日1回投与され、患者のヘモグロビン濃度を10~11g/dLの範囲内に維持するように、前記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される、請求項17~19のいずれか一項に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項21】
前記患者が透析をしていない、請求項20に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項22】
前記即時放出錠剤についての開始用量が1日1回、4mg(患者が以前に赤血球生成刺激剤で処置されている場合、又は患者が以前に赤血球生成刺激剤で処置されておらず9/0g/dL未満のヘモグロビン濃度を有する場合)又は1日1回、2mg(患者が以前に赤血球生成刺激剤で処置されておらず9.0g/dL以上のヘモグロビン濃度を有する場合)である、請求項21に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項23】
前記即時放出錠剤が2mg、4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32mg又は48mgのいずれかの用量で週3回投与され、患者のヘモグロビン濃度を10~11g/dLの範囲内に維持するように、前記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される、請求項17~19のいずれか一項に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項24】
前記患者が透析をしている、請求項23に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項25】
開始用量が週3回、8、12、16又は24mgである、請求項24に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項26】
患者のヘモグロビン濃度が少なくとも3か月に1回モニタリングされる、請求項20~25のいずれか一項に記載の使用のための即時放出錠剤。
【請求項27】
患者のヘモグロビン濃度が4週間以内に2.0g/dLを超えて上昇した場合、前記用量が1用量ステップずつ減少されるか、又は中断される、請求項20~26のいずれか一項に記載の使用のための即時放出錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、良好な引張強度を有するダプロデュスタット即時放出錠剤(immediate release tablet)に関する。他の側面において、この即時放出錠剤の医学的使用及びこの即時放出錠剤を使用するための投与レジメンが開示される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
錠剤は、経口投与後の好適な崩壊性を確保しながら、下流の処理中及び取り扱い時に粉砕又は破損するのを防ぐために、好適な機械的強度を備えている必要がある。従って、錠剤の機械的強度の評価は、製品のロバスト性(robustness)の尺度として、錠剤の製造中に日常的に行われる。
【0003】
錠剤に使用される薬物及び添加剤の物理的性質は、得られる錠剤の機械的特性(錠剤引張強度を含む)に大きく影響する。例えば、Shahらは、広く使用されている2つの微結晶セルロース調製物の嵩密度が錠剤引張強度及び摩損度に与える影響を報告した(World Journal of Pharmaceutical Research, 2017, 6(10):841-852)。著者らは、嵩密度と引張強度の相関関係を報告し、これらのパラメータは互いに反比例の関係にあった。同様に、嵩密度と摩損度の間にも相関関係が見出され、これらのパラメータも互いに反比例の関係にあった。
【0004】
ダプロデュスタットは、慢性腎疾患に起因する貧血の処置に対して現在開発中のプロリン水酸化酵素阻害薬である。ダプロデュスタットの錠剤処方物は、国際公開第2019/052133号に開示されている。通常の保管、流通及び取り扱いを可能にするのに十分な錠剤引張強度を有するダプロデュスタット錠剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
第1の側面において、本発明は、200~290MPaの範囲内の圧力で錠剤コアを圧縮した後の錠剤引張強度が1.7MPa以上の錠剤引張強度である、1~10mg(遊離酸として測定)のダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩を含んでなる即時放出錠剤を提供する。
【0006】
第2の側面において、本発明は、慢性腎疾患に起因する貧血の処置をはじめとする治療において使用するための本発明の即時放出錠剤を提供する。
【0007】
第3の側面において、本発明は、慢性腎疾患に起因する貧血の処置において使用するための本発明の即時放出錠剤を提供し、該即時放出錠剤は、1日1回、次の用量:1、2、4、6、8、10、12、16及び24mg(遊離酸の用量)のうちの1つで、以下の投与レジメン:
a.ヘモグロビン濃度が12g/dL以上である場合、ヘモグロビン濃度が11.5g/dL未満になるまでダプロデュスタット治療が中止され、1用量ステップ低い治療が開始される;
b.ヘモグロビン濃度が≧9.5~<11.5g/dLの範囲内にある場合、用量が維持される;
c.2回の連続した診療所訪問時にヘモグロビン濃度が>11~≦11.5g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の上昇があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;
d.ヘモグロビン濃度が>11.5~<12g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があった場合、用量が維持される
e.ヘモグロビン濃度が>11.5~<12g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の上昇があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;
f.2回の連続した診療所訪問時にヘモグロビン濃度が≧9.5~<10の範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
g.ヘモグロビン濃度が7.5~<9.5g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度が0.5g/dL以上上昇した場合、用量が維持される;
h.ヘモグロビン濃度が7.5~<9.5g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があったか、変化がなかったか、又は上昇が0.5g/dL未満だった場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
i.ヘモグロビン濃度が7.5g/dL未満の場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
j.ヘモグロビン濃度が4週間で2g/dLを超える上昇があったか、又はヘモグロビン濃度が2週間で1g/dLを超える上昇があった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;
k.ヘモグロビン濃度が4週間で2g/dLを超える低下があったか、又はヘモグロビン濃度が2週間で1g/dLを超える低下があった場合、用量が1用量ステップずつ増加される
に従って、投与される。
【0008】
1つの実施形態において、本発明の即時放出錠剤は、本明細書中に記載される投与レジメンに従って、1日1回、次の用量:1、2、4、6、8、12、16及び24mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図2】ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形のX線粉末回折パターンを示す。
【発明の具体的説明】
【0010】
定義
1~10mg(遊離酸として測定)のダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩を含んでなる即時放出錠剤は、以下の溶解基準:
1.回転数 50±2rpm、かつダプロデュスタット2mg未満(遊離酸として測定)を含有する錠剤について500±5mL及びダプロデュスタット2mg以上(遊離酸として測定)を含有する錠剤について900±9mLの溶解容量で米国薬局方(USP)装置2を使用し、pH6.8のバッファー又は酵素不含の模擬腸液(Simulated Intestinal Fluid)USP中で、錠剤中に含まれるダプロデュスタットの平均85%以上(少なくとも12錠に基づく)が45分以内に溶解する
を満たす、1~10mg(遊離酸として測定)のダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩を含んでなる錠剤である。
【0011】
1つの実施形態において、上記で明記した条件下で米国薬局方(USP)装置2を使用した、1~10mg(遊離酸として測定)のダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩を含んでなる即時放出錠剤の溶解プロファイルは、同用量の医薬品有効成分を含有する実施例3に記載されるような錠剤と比較して、f2値≧50をさらに示さなければならない。1つの実施形態において、実施例3の錠剤は、200~290MPa、より具体的には240~260MPa、さらにより具体的には約250MPaの主圧縮圧力を使用して圧縮された。
【0012】
本発明の文脈において、錠剤コアとの用語は、コーティングを除いた錠剤全体を指す。
【0013】
錠剤引張強度は、錠剤のロバスト性の尺度であり、当技術分野で知られている任意の方法によって、例えば、圧裂破断法(diametral compression test)の使用によって測定してもよい。1つの実施形態において、錠剤引張強度(MPaで測定)は、Pitt及びNewtonによって公開された方法 (Journal of Materials Science 23, 2723-2728, 1988.)を使用して決定される。
【0014】
流動化剤との用語は、流動性の低い粉末の流れを改善することが可能な賦形剤を指す。流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプン及びステアリン酸マグネシウムを含む。ステアリン酸マグネシウムは、滑沢剤としてよく使用される一方で、処方物で典型的に使用される濃度で流動性の低い粉末の流れも増加させる(最大4%のステアリン酸マグネシウムの添加により、噴霧乾燥ラクトースの流れの改善が報告されている;Morin and Brians, AAPS PharmSciTech. 2013 Sep; 14(3): 1158-1168を参照されたい)。
【0015】
本発明の文脈において、錠剤のコンパートメントは、同じ組成を有する錠剤の一部である。例えば、顆粒と顆粒外の空間は、錠剤内の別個のコンパートメントであり得る。多層錠剤の異なる層は、別個のコンパートメントを形成し得る。加えて、モノリシック錠剤全体は、単一コンパートメントであり得る。
【0016】
医薬品有効成分
本発明の錠剤は、1~10mg(遊離酸として測定)のダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩を含んでなる。ダプロデュスタットは、化合物 N-[(1,3-ジシクロヘキシル-6-ヒドロキシ-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5-ピリミジニル)カルボニル]グリシン(この化合物のIUPAC名は、N-[(1,3-ジシクロヘキシルヘキサヒドロ-2,4,6-トリオキソピリミジン-5-イル)カルボニル]グリシンである)のUSAN、INN及びJAN名である。ダプロデュスタットは、ケト/エノール互変異性を示す。ダプロデュスタットの総ての互変異性体は、その混合物を含め、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0017】
ダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩は、国際公開第2007/150011号に開示されているプロセスに従って調製されてもよい。1つの実施形態において、上記錠剤は、1~10mgのダプロデュスタット遊離酸を含有する。
【0018】
ある特定の実施形態において、上記ダプロデュスタット遊離酸は、以下:
1)熱重量分析で測定した場合の240~242℃のシャープな融点;並びに/又は
2)Cu Kα線を使用して測定した場合の、2θ 4.0+/-0.2、6.4+/-0.2、7.5+/-0.2、8.0+/-0.2、15.2+/-0.2、17.2+/-0.2、18.6+/-0.2、19.3+/-0.2、19.9+/-0.2、20.4+/-0.2、21.0+/-0.2及び24.1+/-0.2度からなる群から選択される少なくとも5つの回折角を含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターン
によって特徴付けられる非溶媒和型結晶形である。
【0019】
この結晶形は、国際公開第2019/052133号の実施例1~4に記載されている方法に従って調製されてもよい。
【0020】
ある特定の実施形態において、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形は、Cu Kα線を使用して測定した場合の、2θ 4.0+/-0.2、6.4+/-0.2、7.5+/-0.2、8.0+/-0.2、15.2+/-0.2、17.2+/-0.2、18.6+/-0.2、19.3+/-0.2、19.9+/-0.2、20.4+/-0.2、21.0+/-0.2及び24.1+/-0.2度からなる群から選択される少なくとも5つの回折角を含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0021】
ある特定の実施形態において、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形は、Cu Kα線を使用して測定した場合の、2θ 4.0+/-0.2、6.4+/-0.2、7.5+/-0.2、8.0+/-0.2、15.2+/-0.2、17.2+/-0.2、18.6+/-0.2、19.3+/-0.2、19.9+/-0.2、20.4+/-0.2、21.0+/-0.2及び24.1+/-0.2度からなる群から選択される少なくとも6、7、8又は9つの回折角を含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0022】
1つの実施形態において、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形は、少なくとも次の回折角:2θ 6.4+/-0.2、7.5+/-0.2及び8.0+/-0.2度を含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0023】
1つの実施形態において、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形は、少なくとも次の回折角:2θ 6.4+/-0.2、7.5+/-0.2、8.0+/-0.2、17.2+/-0.2及び19.3+/-0.2度を含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0024】
より具体的な実施形態において、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形は、少なくとも次の回折角:2θ 6.4+/-0.2、7.5+/-0.2、8.0+/-0.2、15.2+/-0.2、17.2+/-0.2及び19.3+/-0.2度を含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0025】
1つの実施形態において、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形は、6.4°+/-0.2°、7.5°+/-0.2°、7.9°+/-0.2°の2θ値において特徴的なXRPDピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。このX線粉末回折パターンは、17.2°+/-0.2°、21.0°+/-0.2°、24.0°+/-0.2°又は19.3°+/-0.2°の2θ値において1以上の追加の特徴的なピークを示してもよい。
【0026】
上記に開示されたこのダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形は、
図1に示されるような針状結晶を有する。それらの形状は、実施例1に記載されるように、低い嵩密度及び低い流動性を有する結晶をもたらす。流動化剤を使用して粉末流動性を改善し、処方化を容易にすることは、当技術分野で周知である。実施例2に記載されるように、流動化剤をダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形と直接混合して使用すると、低い引張強度を有する錠剤が得られた。実施例3は、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形を含有するコンパートメントでは流動化剤を省くことができ、これにより良好な引張強度及び品質を有する錠剤が得られることを実証している。
【0027】
錠剤
第1の側面において、本発明は、200~290MPaの範囲内の圧力で錠剤コアを圧縮した後の錠剤引張強度が1.7MPa以上である、1~10mg(遊離酸として測定)のダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩を含んでなる即時放出錠剤を提供する。より具体的な実施形態において、200~290MPaの範囲内の圧力で錠剤コアを圧縮した後の錠剤引張強度は、1.75以上、1.8以上、1.9以上又は2.0MPa以上である。特定の実施形態において、上記即時放出錠剤は、1~8mg(遊離酸として測定)のダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩を含んでなる。疑義を回避するため、実施例5及び6で使用される表現「主圧縮圧力」は、錠剤コアの圧縮に使用される圧力を指す。
【0028】
1つの実施形態において、本発明の即時放出錠剤は、ダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩をその遊離酸の重量に基づき最大5%の量で含有するコンパートメントを含んでなり、そのコンパートメントは流動化剤を含まない。1つの実施形態において、上記コンパートメントは、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形を含有する。
【0029】
1つの実施形態において、上記錠剤は、フィルムコーティングされていてもよい、均一な組成の単一コンパートメントからなるモノリシック錠剤である。1つの実施形態において、上記コンパートメントは、錠剤コアである。別の実施形態において、上記コンパートメントは、錠剤全体である。
【0030】
代替的な実施形態において、上記錠剤は、顆粒外空間に分散された顆粒を含有し、フィルムコーティングされていてもよい。顆粒と顆粒外の組成は、異なっていてもよく、別個のコンパートメントを形成してもよい。1つの実施形態において、上記顆粒コンパートメントは、ダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩(例えば、ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形)を含有する流動化剤不含のコンパートメントである。
【0031】
1つの実施形態において、上記顆粒内コンパートメントは、非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形、希釈剤、結合剤及び崩壊剤を含んでなり、流動化剤を含まない。疑義を回避するため、2以上の希釈剤、結合剤又は崩壊剤が含まれていてもよい。1つの実施形態において、上記顆粒内コンパートメントは、非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形、1以上の希釈剤、結合剤及び崩壊剤からなり、流動化剤は存在しない。
【0032】
1つの実施形態において、上記顆粒外コンパートメントは、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、及び場合により流動化剤を含んでなる。疑義を回避するため、2以上の希釈剤、崩壊剤、滑沢剤又は流動化剤が含まれていてもよい。1つの実施形態において、上記顆粒外コンパートメントは、1以上の希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、及び場合により流動化剤からなる。
【0033】
好適な希釈剤は、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、及びアルファ化デンプン)、セルロース及びその誘導体(例えば、微結晶セルロース)、硫酸カルシウム、並びに第二リン酸カルシウムを含む。1つの実施形態において、希釈剤は、ラクトースではない。
【0034】
好適な結合剤としては、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、及びアルファ化デンプン)、ヒプロメロース、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガント、グアーガム、ポビドン、並びにセルロース及びその誘導体(例えば、微結晶セルロース)が挙げられる。
【0035】
好適な崩壊剤としては、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0036】
好適な滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びタルクが挙げられる。
【0037】
流動化剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプン及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。1つの実施形態において、流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素又はステアリン酸マグネシウムである。1つの実施形態において、流動化剤は、シリカである。別の実施形態において、流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0038】
1つの実施形態において、本発明は、以下:
a)非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形、希釈剤、結合剤及び崩壊剤を含んでなる顆粒内成分;及び
b)希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、及び場合により流動化剤を含んでなる顆粒外成分;
からなり、
コーティングされていてもよい、即時放出錠剤を提供する。
【0039】
より具体的な実施形態において、本発明は、以下:
a)非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形及び1以上の希釈剤、1以上の結合剤及び1以上の崩壊剤からなる顆粒内成分;及び
b)希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、及び場合により流動化剤を含んでなる顆粒外成分;
からなり、
コーティングされていてもよい、即時放出錠剤を提供する。
【0040】
コーティングは、上記錠剤コアに適用されていてもよい。市販のコーティングの例は、「OPADRY OY-S-28876 WHITE」である。着色コーティングも市販されている。
【0041】
1つの実施形態において、上記即時放出錠剤は、コーティングされていない錠剤の重量に基づき最大76重量%の顆粒内成分を含有する。
【0042】
1つの実施形態において、上記即時放出錠剤は、顆粒内コンパートメント及び顆粒外コンパートメントを含んでなり、
a.上記顆粒内成分は、以下:
i. 1~10mgの非溶媒和型ダプロデュスタット遊離酸の結晶形;
ii. 約5重量%のヒプロメロース;
iii.約1.5重量%のクロスカルメロースナトリウム;及び
iv. 重量比で約2.2~約3.6のマンニトール及び微結晶セルロース;
を含んでなり、
b.上記顆粒外成分は、顆粒外成分の総重量に基づき、以下:
i. 約12重量%のクロスカルメロースナトリウム;
ii. 約4重量%のステアリン酸マグネシウム;
iii.約1.5%のコロイド状シリカ;及び
iv. 重量比で約2のマンニトール及び微結晶セルロース;
を含んでなる。
【0043】
ある特定の実施形態において、上記錠剤は、約1、2又は4mgのダプロデュスタットを含んでなり、約150mgのコア錠剤重量を有する。別の実施形態において、上記錠剤は、約6、8又は10mgのダプロデュスタットを含んでなり、コア錠剤重量は約300mgである。別の実施形態において、上記錠剤は、約6又は8mgのダプロデュスタットを含んでなり、コア錠剤重量は約300mgである。本明細書中に記載される錠剤は、場合によりフィルムコーティングされていてもよい。
【0044】
1つの実施形態において、上記即時放出錠剤は、ラクトースを含まない。
【0045】
医薬用途
本発明の即時放出錠剤は、治療において、より具体的には、貧血の処置において使用されてもよい。ある特定の実施形態において、本発明の即時放出錠剤は、慢性腎疾患に起因する貧血(腎性貧血としても知られる)、化学療法(骨髄抑制療法又は白金含有化学療法を含む)を受けているがん患者の貧血、ジドブジン処置されたHIV感染患者の貧血及び関節リウマチに起因する貧血の処置に使用されてもよい。1つの実施形態において、本発明の即時放出錠剤は、選択的整形外科手術を受けている患者に投与されてもよい。
【0046】
従って、1つの実施形態において、本発明は、治療において使用するための本発明の即時放出錠剤を提供する。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、慢性腎疾患に起因する貧血を処置する方法において使用するための本発明の即時放出錠剤を提供する。
【0048】
さらに別の実施形態において、本発明は、慢性腎疾患に起因する貧血の処置において使用するための本発明の即時放出錠剤の製造におけるダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩の使用を提供する。
【0049】
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする対象における慢性腎疾患に起因する貧血を処置するための方法であって、本発明の即時放出錠剤をその対象に投与することを含んでなる方法を提供する。
【0050】
好適には、上記対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態において、上記対象は、ヒトである。
【0051】
より具体的な実施形態において、慢性腎疾患に起因する貧血を有する対象は、透析(例えば、血液透析又は腹膜透析)を受けていてもよい。別の実施形態において、上記対象は、鉄欠乏性(TSAT 20%以下、及び/又は血清フェリチン 100ng/ml以下)であってもよいし、追加の鉄補充療法を受けていてもよい。
【0052】
さらなる実施形態において、本発明は、ヘモグロビンを10~12g/dLの範囲内に維持し、ヘモグロビンレベルがこれを下回る安全なヘモグロビンレベルの増加を提供することを目的とする、慢性腎疾患に起因する貧血を処置するための投与レジメンを提供する。用量は臨床訪問時に決定されるヘモグロビンの濃度に基づいて変更される。ヘモグロビン濃度は、既知の方法(例えば、HemoCue)によって測定されてもよい。
【0053】
1つの側面において、本発明は、患者に対する慢性腎疾患に起因する貧血を処置するための投与レジメンを提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、12mg、16mg又は24mgのいずれかの用量で1日1回投与され、患者のヘモグロビン濃度を10~12g/dLの範囲内に維持するように、上記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される。1つの実施形態では、患者のヘモグロビン濃度を10~11g/dLの範囲内に維持するように、上記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される。1つの実施形態では、患者のヘモグロビン濃度を目標の10g/dLに維持するように、上記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される。
【0054】
特定の実施形態では、患者のヘモグロビン濃度は、少なくとも3か月に1回モニタリングされる。より具体的な実施形態では、患者のヘモグロビン濃度は、月1回又は4週間ごとにモニタリングされる。当業者は、処置が開始されるとモニタリングの頻度が高くなり得、患者のヘモグロビン濃度が目標の範囲内(10~12g/dL、又は10~11g/dL、又は10g/dL)で安定するとモニタリングの頻度が減少し得ることを理解するであろう。
【0055】
患者のヘモグロビン濃度が急速に上昇した(例えば、4週間以内に2.0g/dLを超える)場合の実施形態では、用量が1用量ステップずつ減少されるか、又は中断される。
【0056】
患者のヘモグロビン濃度が目標の範囲の上限を超える実施形態では、ヘモグロビン濃度が目標の範囲内になるまで投与が中断され、1つ低い用量レベルで処置が再開される。
【0057】
用量の増加及び減少には、臨床判断も重要である。患者が目標の範囲を超えており、血栓塞栓症のリスクがある場合(例えば、患者が脳卒中を起こしたことがある場合)の実施形態では、用量が1用量ステップずつ減少されるか、又は中断される。患者が貧血の症状を示している実施形態では、用量が1用量ステップずつ増加される。
【0058】
1つの実施形態において、患者は、透析をしていない。別の実施形態において、患者は、透析(例えば、血液透析又は腹膜透析)をしている。
【0059】
患者が透析をしておらず、以前に赤血球生成刺激剤で処置されていない実施形態において、本発明の即時放出錠剤についての開始用量は、1日1回、4mg(患者のヘモグロビン濃度が9.0g/dL未満の場合)又は1日1回、2mg(患者のヘモグロビン濃度が9.0g/dL以上である場合)である。患者が透析をしておらず、赤血球生成刺激剤から切り替えられている実施形態において、本発明の即時放出錠剤についての開始用量は、1日1回、4mgである。患者が透析をしている実施形態において、本発明の即時放出錠剤についての開始用量は、1日1回、4mgである。
【0060】
1つの側面において、本発明は、透析をしている患者に対する慢性腎疾患に起因する貧血を処置するための投与レジメンを提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、2mg、4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32mg又は48mgのいずれかの用量で週3回投与され、患者のヘモグロビン濃度を10~12g/dLの範囲内に維持するように、上記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される。1つの実施形態では、上記患者のヘモグロビン濃度を10~11g/dLの範囲内に維持するように、上記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される。
【0061】
特定の実施形態では、患者のヘモグロビン濃度は、少なくとも3か月に1回モニタリングされる。より具体的な実施形態では、患者のヘモグロビン濃度は、月1回又は4週間ごとにモニタリングされる。当業者は、処置が開始されるとモニタリングの頻度が高くなり得、患者のヘモグロビン濃度が目標の範囲内(10~12g/dL、又は10~11g/dL)で安定するとモニタリングの頻度が減少し得ることを理解するであろう。
【0062】
患者のヘモグロビン濃度が急速に上昇した(例えば、4週間以内に2.0g/dLを超える)場合の実施形態では、用量が1用量ステップずつ減少されるか、又は中断される。
【0063】
患者のヘモグロビン濃度が目標の範囲の上限を超える実施形態では、ヘモグロビン濃度が目標の範囲内になるまで、投与が中断され、1つ低い用量レベルで処置が再開される。
【0064】
用量の増加及び減少には、臨床判断も重要である。患者が目標の範囲を超えており、血栓塞栓症のリスクがある場合(例えば、患者が脳卒中を起こしたことがある場合)の実施形態では、用量が1用量ステップずつ減少されるか、又は中断される。患者が貧血の症状を示している実施形態では、用量が1用量ステップずつ増加される。
【0065】
1つの実施形態において、本発明の即時放出錠剤についての開始用量は、週3回、8、12、16又は24mgである。
【0066】
ヘモグロビン濃度を10~11g/dLの範囲内に維持するための、慢性腎疾患に起因する貧血を処置するための投与レジメンが提供され、ここで、本発明の即時放出錠剤は、1日1回、次の用量:1、2、4、6、8、10、12、16及び24mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与され:
a)ヘモグロビン濃度が12g/dL以上である場合、ヘモグロビン濃度が11.5g/dL未満になるまでダプロデュスタット治療が中止され、1用量ステップ低く治療が開始される;
b)ヘモグロビン濃度が≧9.5~<11.5g/dLの範囲内にある場合、用量が維持される;
c)2回の連続した診療所訪問時にヘモグロビン濃度が>11~≦11.5g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の上昇があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;
d)ヘモグロビン濃度が>11.5~<12g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があった場合、用量が維持される
e)ヘモグロビン濃度が>11.5~<12g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の上昇があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;
f)2回の連続した診療所訪問時にヘモグロビン濃度が≧9.5~<10の範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
g)ヘモグロビン濃度が7.5~<9.5g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度が0.5g/dL以上上昇した場合、用量が維持される;
h)ヘモグロビン濃度が7.5~<9.5g/dLの範囲にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があったか、変化がなかったか、又は上昇が0.5g/dL未満だった場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
i)ヘモグロビン濃度が7.5g/dL未満の場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
j)ヘモグロビン濃度が4週間で2g/dLを超える上昇があったか、又はヘモグロビン濃度が2週間で1g/dLを超える上昇があった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;及び
k)ヘモグロビン濃度が4週間で2g/dLを超える低下があったか、又はヘモグロビン濃度が2週間で1g/dLを超える低下があった場合、用量が1用量ステップずつ増加される。
【0067】
1つの実施形態において、本発明の即時放出錠剤は、本明細書中に記載される投与レジメンに従って、1日1回、次の用量:1、2、4、6、8、12、16及び24mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与される。
【0068】
1つの実施形態において、本発明は、慢性腎疾患に起因する貧血の処置に使用するための本発明の即時放出錠剤を提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、本明細書中に記載されるとおりの投与レジメンに従って、1日1回、次の用量:1、2、4、6、8、10、12、16及び24mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与される。より具体的な実施形態において、本発明は、慢性腎疾患に起因する貧血の処置において使用するための本発明の即時放出錠剤を提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、本明細書中に記載されるとおりの投与レジメンに従って、1日1回、次の用量:1、2、4、6、8、12、16及び24mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与される。
【0069】
1つの実施形態において、本発明は、慢性腎疾患に起因する貧血の処置において使用するための本発明の即時放出錠剤の製造におけるダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩の使用を提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、本明細書中に記載されるとおりの投与レジメンに従って、1日1回、次の用量:1、2、4、6、8、10、12、16及び24mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与される。より具体的な実施形態において、本発明は、慢性腎疾患に起因する貧血の処置において使用するための本発明の即時放出錠剤の製造におけるダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩の使用を提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、本明細書中に記載されるとおりの投与レジメンに従って、1日1回、次の用量:1、2、4、6、8、12、16及び24mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与される。
【0070】
他の1つの側面において、本発明は、透析をしている患者に対する慢性腎疾患に起因する貧血を処置するための投与レジメンを提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、2mg、4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32mg又は48mg(遊離酸の用量)のいずれかの用量で週3回投与され、患者のヘモグロビン濃度を10~12g/dLの範囲内に維持するように、上記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される。1つの実施形態では、上記患者のヘモグロビン濃度を10~11g/dLの範囲内に維持するように、上記用量が患者のヘモグロビン濃度に基づいて1用量ステップずつ増加又は減少される。
【0071】
特定の実施形態では、患者のヘモグロビン濃度は、少なくとも3か月に1回モニタリングされる。より具体的な実施形態では、患者のヘモグロビン濃度は、月1回又は4週間ごとにモニタリングされる。当業者は、処置が開始されるとモニタリングの頻度が高くなり得、患者のヘモグロビン濃度が目標の範囲内(10~12g/dL又は10~11g/dL)で安定するとモニタリングの頻度が減少し得ることを理解するであろう。
【0072】
患者のヘモグロビン濃度が急速に上昇した(例えば、4週間以内に2.0g/dLを超える)場合の実施形態では、用量が1用量ステップずつ減少されるか、又は中断される。
【0073】
1つの実施形態において、本発明の即時放出錠剤についての開始用量は、週3回、8、12、16又は24mgである。
【0074】
ヘモグロビン濃度を10~11g/dLの範囲内に維持するための、慢性腎疾患に起因する貧血を処置するための投与レジメンが提供され、ここで、本発明の即時放出錠剤は、週3回、2mg、4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32mg又は48mg(遊離酸の用量)のいずれかの用量で投与され:
a)ヘモグロビン濃度が12g/dL以上である場合、ヘモグロビン濃度が11.5g/dL未満になるまでダプロデュスタット治療が中止され、1用量ステップ低く治療が開始される;
b)ヘモグロビン濃度が≧9.5~<11.5g/dLの範囲内にある場合、用量が維持される;
c)2回の連続した診療所訪問時にヘモグロビン濃度が>11~≦11.5g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の上昇があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;
d)ヘモグロビン濃度が>11.5~<12g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があった場合、用量が維持される
e)ヘモグロビン濃度が>11.5~<12g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の上昇があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;
f)2回の連続した診療所訪問時にヘモグロビン濃度が≧9.5~<10の範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があったか又は変化がなかった場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
g)ヘモグロビン濃度が7.5~<9.5g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度が0.5g/dL以上上昇した場合、用量が維持される;
h)ヘモグロビン濃度が7.5~<9.5g/dLの範囲内にあり、最後の訪問以降にヘモグロビン濃度の低下があったか、変化がなかったか、又は上昇が0.5g/dL未満だった場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
i)ヘモグロビン濃度が7.5g/dL未満の場合、用量が1用量ステップずつ増加される;
j)ヘモグロビン濃度が4週間で2g/dLを超える上昇があったか、又はヘモグロビン濃度が2週間で1g/dLを超える上昇があった場合、用量が1用量ステップずつ減少される;及び
k)ヘモグロビン濃度が4週間で2g/dLを超える低下があったか、又はヘモグロビン濃度が2週間で1g/dLを超える低下があった場合、用量が1用量ステップずつ増加される。
【0075】
1つの実施形態において、本発明は、透析をしている患者における慢性腎疾患に起因する貧血の処置において使用するための本発明の即時放出錠剤を提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、本明細書中に記載されるとおりの投与レジメンに従って、週3回、次の用量:2mg、4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32mg又は48mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与される。
【0076】
1つの実施形態において、本発明は、透析をしている患者における慢性腎疾患に起因する貧血の処置において使用するための本発明の即時放出錠剤の製造におけるダプロデュスタット又はその薬学上許容可能な塩の使用を提供し、ここで、本発明の即時放出錠剤は、本明細書中に記載されるとおりの投与レジメンに従って、週3回、次の用量:2mg、4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32mg又は48mg(遊離酸の用量)のうちの1つで投与される。
【0077】
疑義を回避するため、任意の特定の用量は、単一個の錠剤又は複数個の錠剤で投与され得ることに留意されたい。例えば、8mgの用量は、8mg錠1個、又は4mg錠2個、又は2mg錠4個、又は1mg錠8個として投与され得る。
【0078】
用量調整で、ダプロデュスタット用量が1回に1用量ステップずつの増加又は減少がもたらされることは明らかである。最高(最大)用量のダプロデュスタットを投与されている人であって増量を必要とする人では、同じ用量を維持するであろうし、一方で、最低用量のダプロデュスタットを投与されている人であって減量を必要とする人では、ダプロデュスタット治療を終了するであろう。
【実施例】
【0079】
実施例1:ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形の特徴化
ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形は、国際公開第2019/052133号の実施例1~4に記載されているとおりに調製し得、6.4°+/-0.2°、7.5°+/-0.2°、7.9°+/-0.2°の2θ値において特徴的なXRPDピークを示す。X線粉末回折パターンは、17.2°+/-0.2°、21.0°+/-0.2°、24.0°+/-0.2°又は19.3°+/-0.2°の2θ値において1以上の追加の特徴的なピークを示してもよい。
【0080】
ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形のXRPD分析は、Philips X’Pert Pro回折装置で行い、表1に示すパラメータを使用して試料を走査した。
【0081】
【0082】
試料をゼロバックグラウンドのシリコン試料ホルダーに入れ、ガラススライドを使用して軽く平らにした。
【0083】
XRPDパターンを
図2に示す。このパターンで確認されたピークを表2に示す。
【0084】
【0085】
ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形の流動性を、米国薬局方第616章(USP<616>)の嵩密度及びタップ密度測定法を使用して、粉体の嵩密度及びタップ密度測定に基づいて圧縮性指数を計算することによって評価した。圧縮性指数が25を超えると流動性が低く、15より小さいと流動性が良好であることを示す。
【0086】
圧縮性指数は、100×(1-嵩密度/タップ密度)として計算される。
【0087】
ダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形の圧縮性指数は65を超えており、これは、流動性が非常に低く、嵩密度が非常に低い(0.2g/mL未満)ことを示している。
【0088】
比較例2-ダプロデュスタット含有コンパートメントに流動化剤を含む錠剤
顆粒物(granulation)中に流動化剤を含有するダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形の錠剤処方物は、以下のように調製し得る。錠剤コアは、顆粒及び顆粒外成分を含んでなる。顆粒は、ダプロデュスタット、マンニトール、微結晶セルロース、ヒプロメロース2910、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を高剪断造粒機に加えることによって調製する。粉末を高剪断下で少なくとも5分間ブレンドし、少なくとも26%w/wの精製水を少なくとも7分の水添加時間及び少なくとも2分の湿式塊化時間にわたって噴霧しながら造粒を行う。湿った顆粒を、少なくとも38℃の生成物の温度で、目標水分含量2%w/w以下まで流動床乾燥機で乾燥させる。顆粒を乾式粉砕して、顆粒サイズ分布を標準化する。粉砕した顆粒を、顆粒外成分であるマンニトール、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムとさらにブレンドする。ステアリン酸マグネシウムを添加し、得られた混合物を、以下の条件下で回転式打錠機を使用し、180~370MPaの範囲の圧縮圧力を使用して錠剤コアに圧縮する:
錠剤形状/サイズ:丸型、両凸錠剤/直径7mm(4mg用量以下);直径9mm(6mg用量以上)
圧縮速度 少なくとも40000錠/時
【0089】
錠剤の組成を表3に提供する。
【0090】
【0091】
実施例3-ダプロデュスタット含有コンパートメントの外側に流動化剤を含む錠剤
顆粒外マトリックス中に流動化剤を含有するダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形の錠剤処方物は、以下のように調製し得る。錠剤コアは、顆粒及び顆粒外成分を含んでなる。顆粒は、ダプロデュスタット、マンニトール、微結晶セルロース、ヒプロメロース2910及びクロスカルメロースナトリウムを高剪断造粒機に加えることによって調製する。粉末を高剪断下で少なくとも5分間ブレンドし、少なくとも26%w/wの精製水を少なくとも7分の水添加時間及び少なくとも2分の湿式塊化時間にわたって噴霧しながら造粒を行う。湿った顆粒を、少なくとも38℃の生成物の温度で、目標水分含量2%w/w以下まで流動床乾燥機で乾燥させる。顆粒を乾式粉砕して、顆粒サイズ分布を標準化する。粉砕した顆粒を、顆粒外成分であるマンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及び流動化剤のコロイド状二酸化ケイ素とさらにブレンドする。ステアリン酸マグネシウムを添加し、得られた混合物を、以下の条件下で回転式打錠機を使用し、180~370MPaの範囲内の圧縮圧力を使用して錠剤コアに圧縮する。
錠剤形状/サイズ:丸型、両凸錠剤/直径7mm(4mg以下);直径9mm(6mg以上)
圧縮速度 少なくとも40000錠/時
【0092】
錠剤の組成を表4に提供する。
【0093】
【0094】
実施例4-流動化剤を含まない錠剤
流動化剤を含まないダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形の錠剤処方物は、以下のように調製し得る。実施例3の粉砕した顆粒を、顆粒外成分であるマンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムとブレンドする。同じ目標コア錠剤重量を達成するために、流動化剤のコロイド状二酸化ケイ素を除くことを考慮して、同じ比を維持しながら顆粒外のマンニトール及び微結晶セルロースのレベルを調整する。得られた混合物を、以下の条件下で回転式打錠機を使用し、180~370MPaの範囲内の圧縮圧力を使用して錠剤コアに圧縮する。
錠剤形状/サイズ:丸型、両凸錠剤/直径7mm(4mg以下);直径9mm(6mg以上)
圧縮速度 少なくとも40000錠/時
【0095】
実施例5-錠剤引張強度の測定
錠剤引張強度は、Pitt及びNewtonによって公開された方法(Journal of Materials Science 23, 2723-2728, 1988)を使用して、錠剤コアについて測定する。実施例2、3及び4の錠剤についての様々な圧縮圧力での結果を表5に示す。
【0096】
【0097】
実施例6-流動化剤を含まない代替錠剤処方物
0.5mg~100mgのダプロデュスタット遊離酸の非溶媒和型結晶形を含有し、流動化剤を含まない代替的な錠剤処方物は、以下のように調製し得る。顆粒を、ダプロデュスタット、マンニトール、微結晶セルロース、ヒプロメロース2910及びクロスカルメロースナトリウムを高剪断造粒機に加えることによって調製する。粉末を高剪断下で少なくとも5分間ブレンドし、少なくとも25%w/wの精製水を少なくとも4分の水添加時間及び少なくとも1分の湿式塊化時間にわたって噴霧しながら造粒を行う。湿った顆粒を流動床乾燥機で目標水分含量まで乾燥する。顆粒を乾式粉砕して、顆粒サイズ分布を標準化する。粉砕した顆粒を、顆粒外成分であるクロスカルメロースナトリウム、場合によりマンニトール及び場合により微結晶セルロースとさらにブレンドする。ステアリン酸マグネシウムを添加し、得られた混合物を、回転式打錠機を使用して錠剤コアに圧縮し、直径7.5mm(5mg未満)及び直径10mm(5mg以上)の丸型、標準凹形錠剤を製造する。
【0098】
錠剤の組成を表6及び表7に提供する。
【0099】
【0100】
【0101】
錠剤引張強度は、Pitt及びNewtonによって公開された方法(Journal of Materials Science 23, 2723-2728, 1988)を使用して、錠剤コアについて測定する。これらの処方物の錠剤引張強度は、1.71~2.27MPaの範囲内である。
【国際調査報告】