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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】二部品型カテーテルおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/01 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
A61M25/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580380
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021039398
(87)【国際公開番号】W WO2022005986
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/045,613
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】スタッツ、ジェイソン アール.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA32
4C267BB04
4C267BB09
4C267BB19
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC08
4C267GG05
4C267GG10
4C267HH09
(57)【要約】
二部品型カテーテル100は、近位カテーテル部品102および遠位カテーテル部品110を含む。近位カテーテル部品は、近位カテーテルハブ部品104と、1つ以上の延長脚部108とを含む。遠位カテーテル部品110は、遠位カテーテルハブ部品112と、1つ以上のカテーテルチューブ管腔を含むカテーテルチューブ114とを含む。カテーテルチューブは、その近位端部分で遠位カテーテルハブ部品に結合される。二部品型カテーテルは、二部品型カテーテルハブを挟んで1つ以上のカテーテルチューブ管腔が1つ以上の延長脚部管腔にそれぞれ流体接続されるように、近位カテーテルハブ部品が遠位カテーテルハブ部品に接続されている接続状態を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二部品型カテーテルであって、
近位カテーテル部品であって、
二部品型カテーテルハブの近位カテーテルハブ部品と、
それぞれが1つ以上の延長脚部管腔を有する1つ以上の延長脚部であって、1つ以上の延長脚部の各延長脚部は、その遠位端部分で近位カテーテルハブ部品に結合されている、1つ以上の延長脚部と、を有する近位カテーテル部品と、
遠位カテーテル部品であって、
二部品型カテーテルハブの遠位カテーテルハブ部品と、
1つ以上のカテーテルチューブ管腔を有するカテーテルチューブであって、カテーテルチューブの近位端部分で遠位カテーテルハブ部品に結合されている、カテーテルチューブと、を有する遠位カテーテル部品と、を備えており、
二部品型カテーテルは、二部品型カテーテルハブを挟んで1つ以上のカテーテルチューブ管腔が1つ以上の延長脚部管腔にそれぞれ流体接続されるように、近位カテーテルハブ部品が遠位カテーテルハブ部品に接続されている接続状態を有している、二部品型カテーテル。
【請求項2】
前記近位カテーテルハブ部品が、1つ以上の近位カテーテルハブ管腔内にそれぞれ配置された1つ以上の剛性チューブを含み、1つ以上の剛性チューブが、近位カテーテルハブ部品の遠位端から延在している、請求項1に記載の二部品型カテーテル。
【請求項3】
前記遠位カテーテルハブ部品が、1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔内にそれぞれ配置された1つ以上のシールを含み、1つ以上のシールが、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において、前記1つ以上の剛性チューブと前記1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔との間にそれぞれ位置するように構成されている、請求項2に記載の二部品型カテーテル。
【請求項4】
前記遠位カテーテルハブ部品が、1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔内にそれぞれ配置された1つ以上の剛性チューブを含み、1つ以上の剛性チューブが,
遠位カテーテルハブ部品の近位端から延在している、請求項1に記載の二部品型カテーテル。
【請求項5】
前記近位カテーテルハブ部品が、1つ以上の近位カテーテルハブ管腔内にそれぞれ配置された1つ以上のシールを含み、1つ以上のシールが、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において、前記1つ以上の剛性チューブと前記1つ以上の近位カテーテルハブ管腔との間にそれぞれ位置するように構成されている、請求項4に記載の二部品型カテーテル。
【請求項6】
前記遠位カテーテルハブ部品が、該遠位カテーテルハブ部品から近位に延在するタブ付きアームを有する一体型クリップを含み、前記近位カテーテルハブ部品が、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において、前記アームのタブを収容するように構成された表面凹部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の二部品型カテーテル。
【請求項7】
前記近位カテーテルハブ部品が、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において、前記アームの先端を収容するように構成された表面アンダーカット溝を含む、請求項6に記載の二部品型カテーテル。
【請求項8】
前記アームが前記遠位カテーテルハブ部品の長辺から延在するとともに、前記表面凹部が前記近位カテーテルハブ部品の主表面にある、請求項6または7に記載の二部品型カテーテル。
【請求項9】
前記アームが前記遠位カテーテルハブ部品の短辺から延在するとともに、前記表面凹部が前記近位カテーテルハブ部品の副表面にある、請求項6または7に記載の二部品型カテーテル。
【請求項10】
前記近位カテーテルハブ部品が、該近位カテーテルハブ部品から遠位に延在するタブ付きアームを有する一体型クリップを含み、前記遠位カテーテルハブ部品が、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において、前記アームのタブを収容するように構成された表面凹部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の二部品型カテーテル。
【請求項11】
前記遠位カテーテルハブ部品が、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において、前記アームの先端を収容するように構成された表面アンダーカット溝を含む、請求項10に記載の二部品型カテーテル。
【請求項12】
前記アームが前記近位カテーテルハブ部品の長辺から延在するとともに、前記表面凹部が前記遠位カテーテルハブ部品の主表面にある、請求項10または11に記載の二部品型カテーテル。
【請求項13】
前記アームが前記近位カテーテルハブ部品の短辺から延在するとともに、前記表面凹部が前記遠位カテーテルハブ部品の副表面にある、請求項10または11に記載の二部品型カテーテル。
【請求項14】
二部品型カテーテルが、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において3つの管腔のセットを含み、3つの管腔のセットは、一次管腔、二次管腔および三次管腔を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の二部品型カテーテル。
【請求項15】
一次管腔が、二部品型カテーテルの遠位端に一次管腔開口を有し、二次管腔が、一次管腔開口の近位側でカテーテルチューブの側面に二次管腔開口を有し、三次管腔が、二次管腔開口の近位側でカテーテルチューブの側面に三次管腔開口を有している、請求項14に記載の二部品型カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に係り、詳しくは二部品型カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のカテーテルは、そのまま使用できるカテーテルとして製造されている。そのようなカテーテルは、近位端から遠位端まで測ると、30~40cmの長さを有することがある。現在開発中の迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC(rapidly insertable central catheter)」)は、イントロデューサ針の上から導入されるが、30~40cmのイントロデューサ針の上からRICCを導入することが臨床医にとって負担になることがある。さらに、血液のフラッシュバックが起こったかどうかを適時に見分けて、30~40cmのイントロデューサ針でRICCを導入中に確立された血管内腔へアクセスすることが困難な場合がある。したがって、RICCなどのカテーテルは、少なくとも導入の際には既存のカテーテルよりも短いほうが有利になると考えられる。
【0003】
本願では、上記の必要性に対処する二部品型カテーテルおよびその方法を開示する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示する二部品型カテーテルは、いくつかの実施形態において、近位カテーテル部品および遠位カテーテル部品を含む。近位カテーテル部品は、二部品型カテーテルハブの近位カテーテルハブ部品と、1つ以上の延長脚部とを含む。1つ以上の延長脚部は1つ以上の延長脚部管腔をそれぞれ含む。1つ以上の延長脚部の各延長脚部は、その遠位端部分で近位カテーテルハブ部品に結合されている。遠位カテーテル部品は、二部品型カテーテルハブの遠位カテーテルハブ部品とカテーテルチューブとを含む。カテーテルチューブは1つ以上のカテーテルチューブ管腔を有する。カテーテルチューブは、その近位端部分で遠位カテーテルハブ部品に結合される。二部品型カテーテルは、二部品型カテーテルハブを挟んで1つ以上のカテーテルチューブ管腔が1つ以上の延長脚部管腔にそれぞれ流体接続されるように、近位カテーテルハブ部品が遠位カテーテルハブ部品に接続されている接続状態を有する。
【0005】
いくつかの実施形態では、近位カテーテルハブ部品は、1つ以上の近位カテーテルハブ管腔内にそれぞれ配置された1つ以上の剛性チューブを含む。1つ以上の剛性チューブは、近位カテーテルハブ部品の遠位端から延在する。
【0006】
いくつかの実施形態では、遠位カテーテルハブ部品は、1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔内にそれぞれ配置された1つ以上のシールを含む。1つ以上のシールは、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において、1つ以上の剛性チューブと1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔との間にそれぞれ位置するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、遠位カテーテルハブ部品は、1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔内にそれぞれ配置された1つ以上の剛性チューブを含む。1つ以上の剛性チューブは、遠位カテーテルハブ部品の近位端から延在する。
【0008】
いくつかの実施形態では、近位カテーテルハブ部品は、1つ以上の近位カテーテルハブ管腔内にそれぞれ配置された1つ以上のシールを含む。1つ以上のシールは、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において、1つ以上の剛性チューブと1つ以上の近位カテーテルハブ管腔との間にそれぞれ位置するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、遠位カテーテルハブ部品は、遠位カテーテルハブ部品から近位に延在するタブ付きアームを有する一体型クリップを含む。近位カテーテルハブ部品は、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態においてアームのタブをその中に収容する(seat)ように構成された表面凹部を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、近位カテーテルハブ部品は、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態においてアームの先端をその中に収容する(seat)ように構成された表面アンダーカット溝を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、アームは遠位カテーテルハブ部品の長辺(major side)から延在しており、表面凹部は近位カテーテルハブ部品の主表面(major surface)にある。
【0012】
いくつかの実施形態では、アームは遠位カテーテルハブ部品の短辺(minor side)から延在しており、表面凹部は近位カテーテルハブ部品の副表面(minor surface)にある。
【0013】
いくつかの実施形態では、近位カテーテルハブ部品は、近位カテーテルハブ部品から遠位に延在するタブ付きアームを有する一体型クリップを含む。遠位カテーテルハブ部品は、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態においてアームのタブをその中に収容するように構成された表面凹部を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、遠位カテーテルハブ部品は、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態においてアームの先端をその中に収容するように構成された表面アンダーカット溝を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、アームは近位カテーテルハブ部品の長辺から延在しており、表面凹部は遠位カテーテルハブ部品の主表面にある。
いくつかの実施形態では、アームは近位カテーテルハブ部品の短辺から延在しており、表面凹部は遠位カテーテルハブ部品の副表面にある。
【0016】
いくつかの実施形態では、二部品型カテーテルは、二部品型カテーテルアセンブリの接続状態において3つの管腔のセットを含む。3つの管腔のセットは、一次管腔、二次管腔おおび三次管腔を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、一次管腔は、二部品型カテーテルの遠位端に一次管腔開口を有し、二次管腔は、一次管腔開口の近位側でカテーテルチューブの側面に二次管腔開口を有し、三次管腔は、二次管腔開口の近位側でカテーテルチューブの側面に三次管腔開口を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、カテーテル取得ステップと、針経路確立ステップと、針引き抜きステップと、カテーテルハブクリッピングステップとを含む、二部品型カテーテルを使用する方法も開示する。カテーテル取得ステップは、遠位カテーテル部品および近位カテーテル部品を含む二部品型カテーテルを取得することを含む。遠位カテーテル部品は、カテーテルチューブの近位端部分で遠位カテーテルハブ部品に結合されたカテーテルチューブを含む。針経路確立ステップは、遠位カテーテル部品の導入管腔内に配置されたイントロデューサ針を用いて、患者の皮膚の領域から血管内腔までの針経路を確立することを含む。イントロデューサ針は、その針先が導入管腔の導入管腔開口から延出するように、遠位カテーテル部品内に配置される。針引き抜きステップは、導入管腔からイントロデューサ針を引き抜くことを含む。カテーテルハブクリッピングステップは、遠位カテーテルハブ部品と近位カテーテルハブ部品とを一緒にクリッピングすることを含む。遠位カテーテルハブ部品と近位カテーテルハブ部品とを一緒にクリッピングすると、カテーテルチューブの1つ以上のカテーテルチューブ管腔はそれぞれ、近位カテーテル部品の近位カテーテルハブ部品に結合された1つ以上の延長脚部の1つ以上の延長脚部管腔に流体接続する。
【0019】
いくつかの実施形態では、カテーテルハブクリッピングステップは、遠位カテーテルハブ部品の一体型クリップを近位カテーテルハブ部品にクリッピングすることを含む。遠位カテーテルハブ部品の一体型クリップを近位カテーテルハブ部品にクリッピングすると、一体型クリップのアームのタブは、近位カテーテルハブ部品の主表面または副表面の表面凹部内に収容される(seat)。
【0020】
いくつかの実施形態では、カテーテルハブクリッピングステップは、近位カテーテルハブ部品の一体型クリップを遠位カテーテルハブ部品にクリッピングすることを含む。近位カテーテルハブ部品の一体型クリップを遠位カテーテルハブ部品にクリッピングすると、一体型クリップのアームのタブは、遠位カテーテルハブ部品の主表面または副表面の表面凹部に収容される。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、第1のカテーテル前進ステップと、アクセスガイドワイヤ後退ステップとをさらに含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、イントロデューサ針の針管腔内に配置されたアクセスガイドワイヤを、針先を越えて血管内腔内に前進させることを含む。第1のカテーテル前進ステップは、アクセスガイドワイヤをガイドとして使用して、カテーテルチューブの第1の部分の遠位端部分を、イントロデューサ針上を血管内腔へ前進させることを含む。アクセスガイドワイヤ後退ステップは、導入管腔からイントロデューサ針を引き抜く際に、アクセスガイドワイヤをイントロデューサ針とともに引き抜くことを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、操作ガイドワイヤ前進ステップと、第2のカテーテル前進ステップと、操作ガイドワイヤ後退ステップとをさらに含む。操作ガイドワイヤ前進ステップは、二部品型カテーテルの一次管腔を経由して、血管内腔の中へ、そして標的位置へ、操作ガイドワイヤを前進させることを含む。一次管腔は、遠位カテーテルハブ部品と近位カテーテルハブ部品とを一緒にクリッピングすることによって確立される。第2のカテーテル前進ステップは、操作ガイドワイヤをガイドとして使用して、カテーテルチューブの第1の部分の遠位端部分の残りを、カテーテルチューブの第2の部分の近位端部分に至るまで、血管内腔の中へ前進させるステップを含む。第2のカテーテル前進ステップによるカテーテルの前進は、二部品型カテーテルの遠位端が標的位置に到達したときに停止する。操作ガイドワイヤ後退ステップは、操作ガイドワイヤを引き抜いて、二部品型カテーテルを患者内の定位置に残すことを含む。
【0023】
本明細書で提供される概念のこれらおよび他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に開示する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】いくつかの実施形態による非接続状態にある二部品型カテーテルを示す。
図2】いくつかの実施形態による接続状態にある二部品型カテーテルを示す。
図3】いくつかの実施形態による非接続状態にある二部品型カテーテルハブの近位カテーテルハブ部品および遠位カテーテルハブ部品を示す。
図4】いくつかの実施形態による接続状態にある近位カテーテルハブ部品および遠位カテーテルハブ部品を示す。
図5】いくつかの実施形態による接続状態にある別の二部品型カテーテルハブの別の近位カテーテルハブ部品および別の遠位カテーテルハブ部品を示す。
図6】いくつかの実施形態による、図1および2の二部品型カテーテルのカテーテルチューブの遠位端部分を示す。
図7】いくつかの実施形態による図6のカテーテルチューブの第1の横断面を示す。
図8】いくつかの実施形態による図6のカテーテルチューブの第2の横断面を示す。
図9】いくつかの実施形態による図6のカテーテルチューブの第3の横断面を示す。
図10】いくつかの実施形態による図6のカテーテルチューブの第4の横断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の複数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0026】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、これらの用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、特徴またはステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、シリアルまたは数値の制限を提供しない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などの表示は便宜上のものであり、例えば特定の固定された位置、方向、向きなどを意味するものではない。代わりに、そのような表示は、たとえば、相対的な位置、向き、または方向を反映するために使用される。「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の単数形には、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の対象が含まれる。
【0027】
例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位」、「近位部分」または「近位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0028】
例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位」、「遠位部分」または「遠位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0029】
上述したように、既存のカテーテルは、30~40cmの長さを有する、そのまま使用できるカテーテルとして製造されている。現在開発中の迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC(rapidly insertable central catheter)」)は、イントロデューサ針の上から導入されるが、30~40cmのイントロデューサ針の上から導入することは、臨床医にとって負担になることがある。さらに、血液のフラッシュバックが起こったかどうかを適時に見分けて、30~40cmのイントロデューサ針でRICCを導入中に確立された血管内腔へアクセスすることが困難な場合がある。したがって、RICCなどのカテーテルは、それに限定されないが、少なくとも導入の際には既存のカテーテルよりも短いほうが有利になると考えられる。本明細書では、上記の必要性に対処する二部品型カテーテルおよびその方法を開示する。
【0030】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
二部品型カテーテル
図1および2は、いくつかの実施形態による、非接続状態および接続状態にある二部品型カテーテル100を示す。
【0031】
図示するように、二部品型カテーテル100は、そのような実施形態では、近位カテーテル部品102および遠位カテーテル部品110を含む2つの部品を有する。二部品型カテーテル100は、図示される実施形態のものとは異なる部品または追加の部品を含むことができる。実際、二部品型カテーテル100の「二部品型(two pieces)」は、概して、そのようなカテーテルをその長さ方向に、この場合は、以下に説明する二部品型カテーテルハブ106において分割することから生じる、少なくとも2つの部品を指す。
【0032】
近位カテーテル部品102は、二部品型カテーテルハブ106の近位カテーテルハブ部品104と、1つ以上の延長脚部108とを含む。遠位カテーテル部品110は、二部品型カテーテルハブ106の遠位カテーテルハブ部品112と、カテーテルチューブ114とを含む。二部品型カテーテルハブ106を最初に説明し、続いて、カテーテルチューブ114、1つ以上の延長脚部108、および二部品型カテーテル100の他の態様について説明する。
【0033】
図3および4は、いくつかの実施形態による、二部品型カテーテル100の非接続状態および接続状態における二部品型カテーテルハブ106の近位カテーテルハブ部品104および遠位カテーテルハブ部品112を示す。
【0034】
二部品型カテーテルハブ106の近位カテーテルハブ部品104は、1つ以上の近位カテーテルハブ管腔118内にそれぞれ配置された1つ以上の剛性チューブ116(例えば、金属チューブ)を含み、それによって、コネクタ内の1つ以上の近位カテーテルハブ管腔118を効果的に延長する。近位カテーテルハブ部品104は、1つ以上の剛性チューブ116が近位カテーテルハブ部品104の遠位端から延在するように、製造中に1つ以上の剛性チューブ116上に成形することができる。これに代えて、1つ以上の剛性チューブ116は、1つ以上の剛性チューブ116が近位カテーテルハブ部品104の遠位端から延びるように、製造中に1つ以上の近位カテーテルハブ管腔118に挿入される。
【0035】
二部品型カテーテルハブ106の遠位カテーテルハブ部品112は、そこに配置された1つ以上の機械的ガスケット122をそれぞれ含む1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔120を含む。1つ以上の機械的ガスケット122は、二部品型カテーテル100の接続状態において、1つ以上の剛性チューブ116の反管腔側表面と、1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔120の管腔側表面との間に位置するように構成される。1つ以上の機械的ガスケット122は、「O」リングまたはシリンダを含むが、それらに限定されない。1つ以上の機械的ガスケット122は、シリコーン等の圧縮性ポリマー材料から形成することができる。シリコーン等の圧縮性ポリマー材料の使用は、1つ以上の剛性チューブ116を1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔120内に挿入するときに、圧縮環123によって1つ以上の機械的ガスケット122が軸方向に圧縮して、1つ以上の機械的ガスケット122を、1つ以上の剛性チューブ116の反管腔側表面と1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔120の管腔側表面との間の限られた空間内で径方向に拡張させ、それによって、二部品型カテーテルハブ106の近位カテーテルハブ部品104と遠位カテーテルハブ部品112との間に1つ以上の流体密封管腔シールを形成して、1つ以上の近位カテーテルハブ管腔118を1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔120内にそれぞれ連続させるという点で有利である。
【0036】
上記の代替形態では、遠位カテーテルハブ部品112は、代わりに、1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔120内にそれぞれ配置された1つ以上の剛性チューブ116を含むことができる。同様に、近位カテーテルハブ部品104は、代わりに、1つ以上の近位カテーテルハブ管腔118内にそれぞれ配置された1つ以上の機械的ガスケット122を含むことができる。遠位カテーテルハブ部品112および近位カテーテルハブ部品104の図示された実施形態について、1つ以上の剛性チューブ116、1つ以上の機械的ガスケット122などに関する前述の説明は、遠位カテーテルハブ部品112の一部であるときの1つ以上の剛性チューブ116、近位カテーテルハブ部品104の一部であるときの1つ以上の機械的ガスケット122などに適用される。
【0037】
引き続き近位カテーテルハブ部品104および遠位カテーテルハブ部品112の図示された実施形態では、近位カテーテルハブ部品104および遠位カテーテルハブ部品112は、二部品型カテーテル100の接続状態において近位カテーテルハブ部品104および遠位カテーテルハブ部品112を確実に、かつ、いくつかの実施形態では不可逆的に接続するように構成された接続システムの相補的コネクタを含む。近位カテーテルハブ部品104と遠位カテーテルハブ部品112とを「不可逆的に」接続することは、この文脈において、近位カテーテルハブ部品104および遠位カテーテルハブ部品112が、道具を用いずに、または近位カテーテルハブ部品104もしくは遠位カテーテルハブ部品112への損傷なしに、分離できないことを意味する。
【0038】
接続システムに関して、遠位カテーテルハブ部品112は、遠位カテーテルハブ部品112それ自体と一緒に成形された一体型クリップを含むことができ、一体型クリップは、遠位カテーテルハブ部品112から近位に延在するタブ付きアーム124を有する。近位カテーテルハブ部品104は、二部品型カテーテル100の接続状態においてタブ付きアーム124およびタブ付きアーム124のタブ128の両方をその中に収容するように構成された表面凹部126等の相補的収容部を含むことができる。図3に最もよく示すように、タブ付きアーム124は、遠位カテーテルハブ部品112の長辺(major side)から延在することができ、表面凹部126は、近位カテーテルハブ部品104の主表面(major surface)内にあってもよい。しかしながら、タブ付きアーム124は、代替として、遠位カテーテルハブ部品112の短辺(minor side)から延在することができ、表面凹部126は、近位カテーテルハブ部品104の副表面(minor surface)内にあってもよい。二部品型カテーテルハブ106の幅方向により大きな設計空間があるため、相補的収容部は、代わりに、近位カテーテルハブ部品104の副表面の内側の長手方向の空洞であってもよく、この空洞内に、遠位カテーテルハブ部品112の短辺から延在するタブ付きアーム124が挿入されるように構成され、これは、バックパック等の一般的なプラスチックバックルのものと同様である。
【0039】
図5は、いくつかの実施形態による二部品型カテーテル100の接続状態における別の二部品型カテーテルハブ134の別の近位カテーテルハブ部品130および別の遠位カテーテルハブ部品132を示す。
【0040】
近位カテーテルハブ部品104と遠位カテーテルハブ部品112とを不可逆的に接続することに関して、接続システムは、近位カテーテルハブ部品104と遠位カテーテルハブ部品112とを不可逆的に接続するように構成された、近位カテーテルハブ部品104と遠位カテーテルハブ部品112との間の追加の特徴を含むことができる。例えば、遠位カテーテルハブ部品112のタブ付きアーム124は、遠位カテーテルハブ部品132のタブ付きアーム138のような面取りされた先端136を含むことができる。近位カテーテルハブ部品104は、近位カテーテルハブ部品130のものと同様の表面アンダーカット溝140のような相補的な収容部を含むことができ、このような収容部は、二部品型カテーテル100の接続状態においてタブ付きアーム138の面取りされた先端136をその中に収容するように構成される。タブ付きアーム138の面取りされた先端136が、表面アンダーカット溝140内に収容されると、遠位カテーテルハブ部品132のタブ付きアーム138は、道具を用いず、または近位カテーテルハブ部品130もしくは遠位カテーテルハブ部品132への損傷なしに、近位カテーテルハブ部品130の相補的収容部から容易に持ち上げることができず、それによって、二部品型カテーテル100の接続状態において、近位カテーテルハブ部品130および遠位カテーテルハブ部品132を不可逆的に接続する。
【0041】
上記の代替形態では、近位カテーテルハブ部品104は、代わりに、タブ付きアーム124と、任意選択でタブ付きアーム138の面取りされた先端136とを有する一体型クリップを含むことができる。実際に、1つ以上の剛性チューブ116が、近位カテーテルハブ部品104の1つ以上の近位カテーテルハブ管腔118内にも配置される場合、一体型クリップは、1つ以上の剛性チューブ116を不慮の損傷から効果的に保護する。同様に、遠位カテーテルハブ部品112は、代わりに、タブ付きアーム138を収容するように構成された表面凹部126と、任意選択でタブ付きアーム124の面取りされた先端136を収容するように構成された表面アンダーカット溝140とを含む、相補的収容部を有することができる。遠位カテーテルハブ部品112および近位カテーテルハブ部品104の図示された実施形態について、タブ付きアーム124またはタブ付きアーム138、相補的収容部などに関する前述の説明は、近位カテーテルハブ部品104の一部であるときのタブ付きアーム124またはタブ付きアーム138、遠位カテーテルハブ部品112の一部であるときの相補的収容部などに適用される。
【0042】
図6は、いくつかの実施形態による二部品型カテーテル100のカテーテルチューブ114の遠位端部分を示す。図7~10は、いくつかの実施形態によるカテーテルチューブ114の様々な横断面を示す。
【0043】
カテーテルチューブ114は、カテーテルチューブ114の近位端部分で遠位カテーテルハブ部品112に結合される。したがって、1つ以上の遠位カテーテルハブ管腔120はそれぞれ、1つ以上のカテーテルハブ管腔として続いている。
【0044】
カテーテルチューブ114は硬質部分および軟質部分を含み、「硬質」および「軟質」は、カテーテルチューブ114の硬質部分がカテーテルチューブ114の軟質部分よりも硬質であるという点で相対的な意味で使用される。例えば、カテーテルチューブ114が二部品型RICCの一部であるとき、カテーテルチューブ114は、前述の硬質部分および軟質部分を含み、そうでなければ、カテーテルチューブ114は、患者の血管系を通して標的位置(例えば、上大静脈[「SVC」])まで操作ガイドワイヤ上でカテーテルチューブ114を前進させるのに十分なコンプライアンスを有する比較的軟質なものであってもよい。
【0045】
カテーテルチューブ114の硬質部分は、カテーテルチューブ114の遠位端部分に第1の部分142を有しており、カテーテルチューブ114の軟質部分は、カテーテルチューブ114の近位端部分から、カテーテルチューブ114の遠位端部分であるが第1の部分142の近位に延びる第2の部分144を有している。カテーテルチューブ114のテーパ状接合部146が、その中に配置されたカテーテルチューブ114の硬質部分の近位端部分を含むにもかかわらず、カテーテルチューブ114の軟質部分は概して、その構造の観点から接合部146を含むと考えられる。カテーテルチューブ114の第1の部分142、カテーテルチューブ114の第2の部分144、および接合部146の前述の構成は、合わせて、経皮的穿刺によって確立された挿入部位に挿入されたときにカテーテルチューブ114の座屈を防止するのに十分な柱座屈強度と、患者の血管系を通して標的位置(例えば、SVC)までカテーテルチューブ114を前進させるのに十分なコンプライアンスとの両方を有する。
【0046】
カテーテルチューブ114の第1の部分142は、カテーテルチューブ114の遠位端部分にある。第1の部分142は、イントロデューサ針が遠位カテーテル部品110のカテーテルチューブ114内に配置されているときに、イントロデューサ針の斜角先端から第1の部分142の残りの部分の外径まで続くように構成された比較的短いテーパ部を有する遠位先端148を含む。遠位先端148の短いテーパ部は、カテーテルチューブ114の第1の部分142の残りの部分の外径まで、イントロデューサ針で確立された経皮穿刺部の周りの組織の即時拡張のために構成される。第1の部分142はまた、接合部146のレセプタクル内に配置されるとともに、そこに固定して結合される(例えば、溶剤結合、接着、溶接等)近位端部分を含む。
【0047】
カテーテルチューブ114の第1の部分142は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料から形成される。第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、またはポリウレタンであってもよいが、前述のポリマーに限定されない。ポリウレタンは、カテーテルチューブ114の第1の部分142が室温では比較的硬質(rigid)であるが、体温では生体内でより柔軟になり、血管壁への刺激や静脈炎を低減できる点で有利である。
【0048】
カテーテルチューブ114の第2の部分144は、カテーテルチューブ114の近位端部分から、カテーテルチューブ114の遠位端部分であるがカテーテルチューブ114の第1の部分142の近位に延びる。第2の部分144は、接合部146に結合された遠位端と、遠位カテーテルハブ部品112内に配置されるとともにそこに固定して結合される(例えば、溶剤結合、溶接、接着など)近位端部分とを含む。
【0049】
カテーテルチューブ114の第2の部分144は、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料から形成される。第2のポリマー材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、またはシリコーンであってもよいが、第2のポリマー材料は前述のポリマーに限定されない。カテーテルチューブ114の第1の部分142におけるポリウレタンについて上述したことに加えて、ポリウレタンは、いくつかの他のポリマーよりも血栓形成性が低いという点で有利である。
【0050】
カテーテルチューブ114の接合部146は、カテーテルチューブ114の第1の部分142と第2の部分144とを結合する。接合部146は、その中に配置されるとともにそこに固定して結合された(例えば、溶剤結合、溶接、接着など)カテーテルチューブ114の第1の部分142の近位端部分を含む遠位端部分にレセプタクルを含む。接合部146はまた、カテーテルチューブ114の第2の部分144の平坦面状の遠位端に固定して結合された(例えば、溶剤結合、溶接、接着など)平坦面状の近位端を含み、平坦面状の近位端は、結合されると、二部品型カテーテル100の一次管腔150に対応する管腔以外のカテーテルチューブ114の第2の部分144の管腔が接合部146を通過しないように終端させるのに効果的である。接合部146はまた、カテーテルチューブ114の第2の部分144の外径まで経皮穿刺部の周りの組織を直ちに拡張するように構成された、遠位端から近位端までその長さにわたってテーパ部を含む。接合部146の反管腔側表面は、患者の挿入部位に挿入されたときに皮膚に引っ掛かる縁部を有しておらず、第1の部分142の近位端部分の反管腔側表面から滑らかに移行する。縁部がごくわずかであることに加えて、縁部は、第1のポリマー材料と接合部146のポリマー材料との溶媒相互拡散ポリマー材料を含むことができ、これは、カテーテルチューブ114の第1の部分142から接合部146への移行を滑らかにする。
【0051】
カテーテルチューブ114の接合部146は、第2のポリマー材料、または第1のデュロメータ硬さよりも第2のデュロメータ硬さに近い第3のデュロメータ硬さを有する第3のポリマー材料から形成される。また、第2のポリマー材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、またはシリコーンであってもよいが、第2のポリマー材料は前述のポリマーに限定されない。
【0052】
ここでも、カテーテルチューブ114の第1の部分142は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料から形成され、カテーテルチューブ114の第2の部分144は、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料から形成され、カテーテルチューブ114の接合部146は、第2のポリマー材料、または第1のデュロメータ硬さよりも第2のデュロメータ硬さに近い第3のデュロメータ硬さを有する第3のポリマー材料から形成される。第2のデュロメータ硬さおよび第3のデュロメータ硬さの各デュロメータ硬さが第1のデュロメータ硬さよりも低いので、カテーテルチューブ114の第2の部分および接合部146を含むカテーテルチューブ114の軟質部分は、カテーテルチューブ114の第1の部分を含むカテーテルチューブ114の硬質部分よりも軟質である。言い換えれば、第1デュロメータ硬さは、第2デュロメータ硬さおよび第3デュロメータ硬さの各デュロメータ硬さよりも高い。第1のデュロメータ硬さが第2のデュロメータ硬さおよび第3のデュロメータ硬さの各デュロメータ硬さよりも高いので、カテーテルチューブ114の第1の部分を含むカテーテルチューブ114の硬質部分は、カテーテルチューブ114の第2の部分および接合部146を含むカテーテルチューブ114の軟質部分よりも硬質である。
【0053】
第1のポリマー材料の第1のデュロメータ硬さ、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ硬さ、および第3のポリマー材料の第3のデュロメータ硬さは、異なるスケール(例えば、タイプAまたはタイプD)であってもよく、したがって、第2のデュロメータ硬さまたは第3のデュロメータ硬さが、第1のデュロメータ硬さよりも数値的に小さいとは限らない。言い換えれば、第1のデュロメータ硬さの材料は、異なるスケールの観点から、第2のデュロメータ硬さまたは第3のデュロメータ硬さよりも数値的に高くならない場合がある。とはいえ、0~100の範囲にあるそれぞれの異なるスケールは、同様の硬度を持つ材料の群のうち異なる材料を特徴付けることを意図しているので、第2または第3のポリマー材料の硬度は第1のポリマー材料の硬度よりも依然として低く、または第1のポリマー材料の硬度は第2または第3のポリマー材料の硬度よりも依然として高くてもよい。
【0054】
上記にかかわらず、カテーテルチューブ114の第1の部分142、カテーテルチューブ114の第2の部分144、および接合部146は、カテーテルチューブ114の柱座屈強度が、経皮的穿刺によって形成された挿入部位に挿入されるときにカテーテルチューブ114の座屈を防止するのに十分であり、カテーテルチューブ114のコンプライアンスが、カテーテルチューブ114を患者の血管系を通して標的位置まで前進させるのに十分であれば、実質的に等しいデュロメータ硬さを有する同じポリマー材料または異なるポリマー材料から形成することができる。
【0055】
1つ以上の延長脚部108の各延長脚部は、その遠位端部分で近位カテーテルハブ部品104に結合されている。したがって、1つ以上の近位カテーテルハブ管腔118はそれぞれ、1つ以上の延長脚部管腔として続いている。
【0056】
1つ以上の延長脚部108の各延長脚部は、典型的には、延長脚部に結合されたルアーコネクタを含み、ルアーコネクタを通して、延長脚部およびその延長脚部管腔を別の医療デバイスに接続することができる。
【0057】
二部品型カテーテル100が1つの管腔を有する単腔型であるか、複数の管腔のセットを有する多腔型であるかにかかわらず、二部品型カテーテル100は、二部品型カテーテル100の接続状態において少なくとも一次管腔150(例えば、遠位管腔)を含み、この接続状態において、遠位カテーテル部品110内の1つ以上のカテーテルチューブ管腔はそれぞれ、二部品型カテーテルハブ106を挟んで近位カテーテル部品102内の1つ以上の延長脚部管腔に流体接続される。一次管腔150は、典型的には、二部品型カテーテル100の近位端から二部品型カテーテル100の遠位端まで、例えば、対応するルアーコネクタの開口部から二部品型カテーテル100の遠位端の一次管腔開口152(例えば、遠位管腔開口)まで延在する。二部品型カテーテル100が2つ以上の管腔を有する場合、二部品型カテーテル100は、少なくとも二次管腔154(例えば、中間管腔)をさらに有する。二次管腔154は、典型的には、二部品型カテーテル100の近位端から二部品型カテーテル100の遠位端部分まで、例えば、対応するルアーコネクタの開口部から、一次管腔開口152の近位のカテーテルチューブ114の遠位端部分内の二次管腔開口156(例えば、中間管腔開口)まで延在する。二部品型カテーテル100が3つ以上の管腔を有する場合、二部品型カテーテル100は、少なくとも三次管腔158(例えば、近位開口)をさらに有する。三次管腔158は、典型的には、二部品型カテーテル100の近位端から二部品型カテーテル100の遠位端部分まで、例えば、対応するルアーコネクタの開口部から、二次管腔開口156の近位のカテーテルチューブ114の遠位端部分内の三次管腔開口160(例えば、近位管腔開口)まで延在する。上記にかかわらず、二次管腔154および三次管腔158の各管腔は、異なる製造方法の観点から、それぞれ二次管腔開口156および三次管腔開口160よりもわずかに遠位に延在することができる。しかしながら、上述したように、接合部146の平坦面状の近位端は、カテーテルチューブ114の第2の部分144の平坦面状の遠位端に固定して結合され(例えば、溶剤結合、溶接、接着など)、結合されると、二次管腔154および三次管腔158などの管腔が接合部146を通過しないように終端させるのに効果的である。
【0058】
上述したように、血液のフラッシュバックが起こったかどうかを適時に見分けて、30~40cmのイントロデューサ針でRICCを導入中に確立された血管内腔へアクセスすることが困難な場合がある。したがって、本明細書で提供されるようなRICCとして構成された二部品型カテーテルによって、有利なことに、臨床医は、遠位カテーテル部品110とともに、より短く、扱いやすいイントロデューサ針を使用することができるようになり、このことからさらに、臨床医が、フラッシュバックが生じたかどうかを迅速に識別して、任意の所与のRICC導入中に確立された血管内腔にアクセスすることが可能になる。
【0059】
特に、上述した既存のカテーテル(「背景技術」を参照)は、セルジンガー法を用いて挿入される。そのようなカテーテルは、既存のカテーテルが二部品型カテーテルである場合、本明細書で提供されるRICCと同じように利益を得ることはない。実際、RICCが現在開発されている理由の1つが既存のカテーテルのセルジンガー法で使用される構成要素およびステップの全体数を減らすことであるため、既存のカテーテルのカテーテル部品の数を増やすことは不利になる。
方法
二部品型カテーテル100の方法は、二部品型カテーテル100を使用する方法を含む。そのような方法は、カテーテル取得ステップと、針経路確立ステップと、針引き抜きステップと、カテーテルハブクリッピングステップとを含む。
【0060】
カテーテル取得ステップは、遠位カテーテル部品110および近位カテーテル部品102を含む二部品型カテーテル100を取得することを含む。上述したように、遠位カテーテル部品110は、カテーテルチューブ114の近位端部分で遠位カテーテルハブ部品112に結合されたカテーテルチューブ114を含む。
【0061】
針経路確立ステップは、遠位カテーテル部品110の導入管腔内に配置されたイントロデューサ針を用いて、患者の皮膚の領域から血管内腔までの針経路を確立することを含む。導入管腔は、特に二部品型カテーテル100の非接続状態において、二部品型カテーテル100の一次管腔150の一部を構成する遠位カテーテルハブ管腔とカテーテルチューブ管腔との組み合わせである。針経路確立ステップにおいて、イントロデューサ針は、その針先が導入管腔の導入管腔開口(例えば、一次管腔開口152)から延出するように、遠位カテーテル部品110内に配置される。
【0062】
針引き抜きステップは、導入管腔からイントロデューサ針を引き抜くことを含む。
カテーテルハブクリッピングステップは、遠位カテーテルハブ部品112と近位カテーテルハブ部品104とを一緒にクリッピングすることを含む。図1および3に示すように、一体型クリップが遠位カテーテルハブ部品112の一部である場合、カテーテルハブクリッピングステップは、遠位カテーテルハブ部品112の一体型クリップを近位カテーテルハブ部品104にクリッピングすることを含み、一体型クリップのタブ付きアーム124のタブ128は、近位カテーテルハブ部品104の主表面または副表面の表面凹部126に収容される。しかしながら、一体型クリップが近位カテーテルハブ部品104の一部である場合、カテーテルハブクリッピングステップは、近位カテーテルハブ部品104の一体型クリップを遠位カテーテルハブ部品112にクリッピングすることを含み、一体型クリップのタブ付きアーム124のタブ128は、遠位カテーテルハブ部品112の主表面または副表面の表面凹部126に収容される。いずれにしても、遠位カテーテルハブ部品112と近位カテーテルハブ部品104とを一緒にクリッピングすると、カテーテルチューブ114の1つ以上のカテーテルチューブ管腔はそれぞれ、近位カテーテル部品102の近位カテーテルハブ部品104に結合された1つ以上の延長脚部108の1つ以上の延長脚部管腔に流体接続する。
【0063】
本方法は、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、第1のカテーテル前進ステップと、アクセスガイドワイヤ後退ステップとをさらに含むことができる。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、イントロデューサ針の針管腔内に配置されたアクセスガイドワイヤを、針先を越えて血管内腔内に前進させることを含む。第1のカテーテル前進ステップは、最初に、二部品型カテーテル100をアクセスガイドワイヤ上で血管内腔内に前進させることを含む。二部品型カテーテル100がRICCである場合、第1のカテーテル前進ステップは、アクセスガイドワイヤをガイドとして使用して、カテーテルチューブ114の第1の部分142の遠位端部分を、イントロデューサ針上を血管内腔へ前進させることを含む。アクセスガイドワイヤ後退ステップは、導入管腔からイントロデューサ針を引き抜く際に、アクセスガイドワイヤをイントロデューサ針とともに引き抜くことを含む。
【0064】
本方法は、操作ガイドワイヤ前進ステップと、第2のカテーテル前進ステップと、操作ガイドワイヤ後退ステップとをさらに含むことができる。操作ガイドワイヤ前進ステップは、二部品型カテーテル100の一次管腔150を経由して、血管内腔の中へ、および標的場所へ、操作ガイドワイヤを前進させることを含む。ここでも、一次管腔150は、遠位カテーテルハブ部品112と近位カテーテルハブ部品104とを一緒にクリッピングすることによって確立される。第2のカテーテル前進ステップは、二部品型カテーテル100を操作ガイドワイヤ上でさらに血管内腔内へ前進させることを含む。二部品型カテーテル100がRICCである場合、第2のカテーテル前進ステップは、操縦ガイドワイヤをガイドとして使用して、カテーテルチューブ114の第1の部分142の遠位端部分の残りを、カテーテルチューブ114の第2の部分144の近位端部分まで血管内腔内へ前進させることを含む。第2カテーテル前進ステップに従ってカテーテルを前進させることは、二部品型カテーテル100の遠位端が標的位置に到達したときに停止する。操作ガイドワイヤ引き抜きステップは、操作ガイドワイヤを引き抜いて、二部品型カテーテル100を患者の体内の定位置に残すことを含む。
【0065】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。追加の適合および/または修正は、当業者には明らかであり得、より広い態様では、これらの適合および/または修正もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】