(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】選択的神経変調装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230720BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580961
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2021062354
(87)【国際公開番号】W WO2022002467
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519122703
【氏名又は名称】スティムヴィア・エス・エル・オー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルカシュ・ドスコチル
(72)【発明者】
【氏名】ズデニェク・クルチル
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053JJ01
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ06
4C053JJ13
4C053JJ18
4C053JJ21
(57)【要約】
神経変調装置および神経変調装置を使用する方法。神経変調装置は、互いに電気的に絶縁され、少なくとも1つの電極アレイに配置された複数のアクティブ電極と、少なくとも1つの基準電極と、複数のアクティブ電極の各アクティブ電極に電気的に接続され、複数のアクティブ電極の各々に電気パルスを選択的に送信するように構成されたパルス発生器と、電気パルス発生器に結合され、複数のアクティブ電極の各アクティブ電極と少なくとも1つの基準電極との間の抵抗および/または電流電圧特性を測定するように適合された制御ユニットとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に絶縁され、少なくとも1つの電極アレイ(3)に配置された複数のアクティブ電極(2)であって、各アクティブ電極が、患者(25)の皮膚にまたは皮膚の下にあてがわれる導電性要素(41)を備える、複数のアクティブ電極(2)と、
前記患者の皮膚にまたは皮膚の下にあてがわれる少なくとも1つの基準電極(4)と、
前記複数のアクティブ電極のうちの各アクティブ電極に電気的に接続され、前記複数のアクティブ電極のうちの各アクティブ電極に電気パルスを選択的に送信するように構成されたパルス発生器(5)と、
前記パルス発生器に結合され、前記複数のアクティブ電極のうちの各アクティブ電極と前記少なくとも1つの基準電極との間の抵抗(7)および/または電流電圧特性(8)を測定するように適合された制御ユニット(6)であって、測定された前記抵抗および/または電流電圧特性に基づいて、前記制御ユニットが、前記電気パルスの形状を制御し、前記複数のアクティブ電極のうちどのアクティブ電極が前記パルス発生器によって生成された前記電気パルスを受信するべきかを選択するように適合された制御ユニット(6)と、を備える神経変調装置(1)。
【請求項2】
前記制御ユニットが、前記複数のアクティブ電極のうちの各アクティブ電極と前記少なくとも1つの基準電極との間の抵抗および/または電流電圧特性の再現可能な測定を行うように構成されている、請求項1に記載の神経変調装置。
【請求項3】
前記制御ユニットが、前記再現可能な測定に基づいて、前記複数のアクティブ電極のうちのどのアクティブ電極が前記パルス発生器によって生成された電気パルスを受信するべきかの選択を更新するようにさらに構成されている、請求項2に記載の神経変調装置。
【請求項4】
前記パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスに対する前記患者の反応を検出するように構成された少なくとも1つの検出器(11)をさらに備え、前記検出器が、検出された反応に関するフィードバックを前記制御ユニットに提供するようにさらに構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの検出器が、前記パルス発生器の少なくとも1つのパルスに反応した前記患者の動きを検出するように構成され、前記動きに関するフィードバックを前記制御ユニットに提供するように構成された少なくとも1つのモーション検出器(21)である、請求項4に記載の神経変調装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのモーション検出器が、加速度計(22)と電界センサ(23)とカメラ(24)のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の神経変調装置。
【請求項7】
前記制御ユニットが、前記パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスを受信するように前記複数のアクティブ電極の各々を個別に選択するようにさらに構成され、前記制御ユニットが、個別に選択されたアクティブ電極の各々について前記パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスに対して前記検出器によって検出された患者の反応を受信するようにさらに構成されている、請求項4から6のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項8】
前記制御ユニットが、前記電気パルスの形状を制御することを行い、測定された前記抵抗および/または電流電圧特性と前記少なくとも1つの検出器により検出された反応とに基づいて、前記複数のアクティブ電極のうちどのアクティブ電極が前記パルス発生器によって生成された電気パルスを受信するべきかの選択することを行うように構成されている、請求項7に記載の神経変調装置。
【請求項9】
前記制御ユニットが、選択されたアクティブ電極の各々を通して流れる電気パルスの電流密度の決定を行い、該決定の結果に基づいて、前記パルス発生器によって生成された電気パルスも受信するために、同一の電極アレイ内で選択されたアクティブ電極の各々に隣接するアクティブ電極を選択的に採用するようにさらに構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項10】
前記制御ユニットが、前記電気パルスの立ち上がりエッジの傾き(64)および/または前記電気パルスの振幅(61)を制御するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項11】
前記制御ユニットが、前記電気パルスのパルス周期(63)および/またはパルス幅(62)を制御するようにさらに構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項12】
前記電極アレイを担持する接触面(51)を有するプローブ(50)をさらに含み、前記接触面が、前記電極アレイのアクティブ電極の少なくとも一部を有するバンプ(52)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の神経変調装置。
【請求項13】
前記電極アレイが、前記バンプの周囲の接触面上に延在している、請求項12に記載の神経変調装置。
【請求項14】
前記接触面が、第1の方向(X)において前記バンプが前記接触面から突出する全体的に凹型の形状を有し、前記接触面が、前記第1の方向と直交する第2の方向(Y)において全体的に凸型の形状を有する、請求項12または13に記載の神経変調装置。
【請求項15】
神経変調装置を用いた神経変調方法であって、
少なくとも1つの電極アレイ(3)に配置され互いに電気的に絶縁されている複数のアクティブ電極(2)を、刺激または調節されるべき標的神経の推定位置における患者(25)の皮膚にあてがうステップ(71)と、
少なくとも1つの基準電極(4)を前記患者の前記皮膚にあてがうステップ(72)と、
制御ユニット(6)によって、前記複数のアクティブ電極の各アクティブ電極と前記少なくとも1つの基準電極との間の抵抗(7)および/または電流電圧特性(8)を測定するステップ(73)と、
前記複数のアクティブ電極のうちの各アクティブ電極に電気的に選択的に接続されたパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するための前記複数のアクティブ電極のうちの1つまたは複数のアクティブ電極を、前記制御ユニットによって、測定値に基づいて選択するステップと、
前記パルス発生器によって生成される前記電気パルスの形状を、前記制御ユニットによって、前記測定値に基づいて制御するステップと、を含む神経変調方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、選択的かつ効果的な神経変調に関する。より詳細には、本開示は、信号発生器から標的神経に神経変調信号を正確に向けることを可能にする神経変調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本セクションは、必ずしも先行技術とは限らない、本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
電気的神経変調は、疼痛、尿失禁、精神およびその他の不全の治療、ならびに血管性疾患の予防に使用されてきた。
【0004】
伝統的なシステムは、刺激されるべき神経のすぐ近傍に挿入される身体侵襲的針状電極の形態の、単純な神経変調電極を利用する。神経のすぐ近傍に針状電極を挿入する必要性は、電極の不適切な配置とその結果生じる神経損傷、または標的神経のすぐ近傍に配置されない場合における期待されるより低い効率の神経変調というリスクを常に伴う。
【0005】
近年、所望の神経の調節が可能になる金属製電極を利用する新しい非侵襲的な方法が知られるようになった。このような電極は、電極のそれぞれの両端が患者の皮膚上の刺激点の上に来るように配置される。刺激点は、通常、経験と人体の知識に基づいて、近接した予想された位置にあるものとして決定される。神経変調パルスの強度の設定は、通常、工場であらかじめ設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような方法では、神経変調の治療効果が標的とされた組織または神経回路の選択的活性化に帰するため、神経変調治療全体に大きな影響を有する電極の最も有利な神経変調位置を見逃すという欠点を抱える。加えて、神経変調中に電極が移動し、治療の効能をさらに低下させることがある。
【0007】
したがって、上述の問題のうちの少なくとも一部、および可能な場合には他の問題を考慮した装置を有すると好都合である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの目的は、これらの欠点のうちの少なくとも一部を改善することである。本開示の一態様は、神経変調装置に向けられる。本神経変調装置は、互いに電気的に絶縁され、少なくとも1つの電極アレイに配置された複数のアクティブ電極を備える。各アクティブ電極は、患者の皮膚にまたは皮膚の下にあてがうことが可能な導電性要素を備える。本神経変調装置は、患者の皮膚にまたは皮膚の下にあてがうことが可能な少なくとも1つの基準電極と、複数のアクティブ電極の各アクティブ電極に電気的に接続され、複数のアクティブ電極の各々に電気パルスを選択的に送信するように構成されたパルス発生器と、電気パルス発生器に結合され、複数のアクティブ電極の各アクティブ電極と少なくとも1つの基準電極との間の抵抗および/または電流電圧特性を測定するように適合された制御ユニットとをさらに備える。測定された抵抗および/または電流電圧特性に基づいて、制御ユニットは、電気パルスの形状を制御することと、複数のアクティブ電極のうちどの1つまたは複数のアクティブ電極がパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するべきかを選択することとの両方を行うように適合させられる。
【0009】
別の態様において、制御ユニットは、複数のアクティブ電極の各アクティブ電極と少なくとも1つの基準電極との間の抵抗および/または電流電圧特性を再現可能に測定するように構成される。
【0010】
別の態様において、再現可能な測定に基づいて、制御ユニットは、複数のアクティブ電極のうちどの1つまたは複数のアクティブ電極がパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するべきかの選択を更新するようにさらに構成される。
【0011】
別の態様において、本神経変調装置は、パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスに対する患者の反応を検出するように構成された少なくとも1つの検出器をさらに備える。検出器は、検出された反応に関するフィードバックを制御ユニットに提供するようにさらに適合されている。
【0012】
別の態様において、少なくとも1つの検出器は、患者の動きを検出するように構成され、動きに関するフィードバックを制御ユニットに提供するように適合された少なくとも1つのモーション検出器であり、患者の身体の動きは、このパルス発生器の少なくとも1つのパルスに反応するものである。
【0013】
別の態様において、少なくとも1つのモーション検出器は、加速度計、電界センサ、またはカメラのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
別の態様において、制御ユニットは、パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスの受信のために複数の電極のアクティブ電極の各々を個別に選択するようにさらに適合され、制御ユニットは、複数の電極の個別に選択されたアクティブ電極の各々に向けてパルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスに対する、検出器によって検出された患者の反応を受信するようにさらに適合される。
【0015】
別の態様において、制御ユニットは、測定された抵抗および/または電流電圧特性と、少なくとも1つの検出器によって検出された反応とに基づいて、電気パルスの形状の制御と、複数のアクティブ電極のうちどのアクティブ電極がパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するべきかの選択の両方を行うように適合される。
【0016】
別の態様において、制御ユニットは、選択されたアクティブ電極の各々を通して流れる電気パルスの電流密度を決定し、その結果に基づいて、パルス発生器によって生成された電気パルスも受信するために、同一の電極アレイ内の選択されたアクティブ電極の各々に隣接するアクティブ電極を選択的に採用するようにさらに構成される。
【0017】
別の態様において、制御ユニットは、電気パルスの立ち上がりエッジの傾きおよび/または電気パルスの振幅を制御するように構成される。
【0018】
別の態様において、制御ユニットは、電気パルスのパルス周期および/またはパルス幅を制御するようにさらに構成される。
【0019】
別の態様において、本神経変調装置は、電極アレイを担持する接触面を有するプローブをさらに含み、接触面は電極アレイのアクティブ電極の少なくとも一部を有するバンプを備える。
【0020】
別の態様において、電極アレイはバンプの周囲の接触面上に延在している。
【0021】
別の態様において、接触面は、第1の方向においてバンプが接触面から突出する全体的に凹型の形状を有し、接触面は、第1の方向と直交する第2の方向において全体的に凸型の形状を有する。
【0022】
さらなる態様は、神経変調装置を使用する方法であって、少なくとも1つの電極アレイに配置された複数のアクティブ電極を、刺激または調節されるべき標的神経の推定位置における患者の皮膚にあてがうステップであって、アクティブ電極は互いに電気的に絶縁されている、ステップと、少なくとも1つの基準電極を患者の皮膚にあてがうステップと、制御ユニットによって、複数のアクティブ電極の各アクティブ電極と少なくとも1つの基準電極との間の抵抗および/または電流電圧特性を測定するステップと、複数のアクティブ電極の各アクティブ電極に電気的に選択的に接続されたパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するための、複数のアクティブ電極のうちの1つまたは複数のアクティブ電極を、制御ユニットによって、測定された値に基づいて選択するステップと、パルス発生器によって生成された電気パルスの形状を、制御ユニットによって、測定された値に基づいて制御するステップとを含む方法に向けられる。
【0023】
さらなる態様において、本方法は、少なくとも1つの電極アレイの各々内に配置されたアクティブ電極の各々と少なくとも1つの基準電極の各々との間の抵抗および/または電流電圧特性を再現可能に測定するステップと、その少なくとも1つの電極アレイの各々について測定された値を新しい測定値で更新するステップとを含む。
【0024】
さらなる態様において、本方法は、パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスに対する患者の身体の反応を検出するステップと、検出された反応に関するフィードバックを制御ユニットに提供するステップとを含む。
【0025】
さらなる態様において、本方法は、パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスを複数の電極の個々のアクティブ電極ごとに印加するステップと、複数の電極のアクティブ電極ごとに検出器によって検出された患者の反応を受信するステップとを含む。
【0026】
さらなる態様において、パルス発生器によって生成された電気パルスを受信するためのアクティブ電極を選択するステップは、複数の電極の個々のアクティブ電極ごとに検出器によって検出された患者の反応にも基づく。
【0027】
さらなる態様において、本方法は、選択されたアクティブ電極の各々を通して流れる電気パルスの電流密度を決定するステップと、その結果に基づいて、パルス発生器によって生成された電気パルスも受信するために、同一の電極アレイ内の選択されたアクティブ電極の各々に隣接するアクティブ電極を選択的に採用するステップとを含む。
【0028】
さらなる態様は、過活動膀胱、偏頭痛、勃起不全、精子形成障害、不妊症、早漏、または良性前立腺肥大症のうち少なくとも1つの医療処置のために、上記で定義される神経変調装置を使用する方法に向けられる。
【0029】
さらなる態様において、医療処置のための本方法は、少なくとも1つの電極アレイに配置された複数のアクティブ電極を患者の皮膚にあてがうステップを含み、その少なくとも1つの電極アレイが、坐骨神経、陰部神経、腓骨神経、海綿体神経、仙骨神経叢、迷走神経または脛骨神経のうち少なくとも1つの推定位置に配置される。
【0030】
さらなる態様において、医療処置のための本方法は、少なくとも1つの電極アレイを、腰仙骨神経叢、総腓骨神経、上殿神経、下殿神経、後大腿皮神経、内閉鎖筋神経、梨状筋神経、大腿方形筋神経、足底神経、迷走神経または尾骨神経の推定位置にあてがうステップを含む。
【0031】
さらなる態様において、医療処置のための本方法は、少なくとも1つの電極アレイに配置された複数のアクティブ電極を患者の皮膚にあてがうステップを含み、その少なくとも1つの電極アレイが、知覚線維(sensorics fiber)と運動線維(motoric fiber)とを含む神経のうちの少なくとも1つの推定位置に配置される。複数の電極のうちの1つまたは複数のアクティブ電極の正確な位置は、パルス発生器によって生成された少なくとも1つの電気パルスに対する検出された患者の反応によって確認され得る。この反応は、つま先の屈曲や足部の先端の動きなど、患者の脚のモーション反応を伴い得る。
【0032】
さらなる態様において、医療処置のための本方法は、少なくとも1つの電極アレイに配置された複数のアクティブ電極を患者の皮膚にあてがうステップを含み、その少なくとも1つの電極アレイは、総腓骨神経の位置(膝の裏)に配置される。アクティブ電極の正確な位置は、パルス発生器によって生成された少なくとも1つの電気パルスに対する検出された患者の反応によって確認され得る。複数の電極のうちの1つまたは複数のアクティブ電極の正確な位置は、パルス発生器によって生成された少なくとも1つの電気パルスに対する検出された患者の反応によって確認され得る。この反応は、つま先の屈曲や足部の先端の動きなど、患者の脚のモーション反応を伴い得る。
【0033】
さらなる態様において、医療処置のための本方法は、少なくとも1つの電極アレイに配置された複数のアクティブ電極を患者の皮膚にあてがうステップを含み、その少なくとも1つの電極アレイは、膝の裏または内くるぶしの後ろにあり得る脛骨神経の位置に配置される。複数の電極のうちの1つまたは複数のアクティブ電極の正確な位置は、パルス発生器によって生成された少なくとも1つの電気パルスに対する検出された患者の反応によって確認され得る。この反応は、つま先の屈曲や足部の先端の動きなど、患者の脚のモーション反応を伴い得る。
【0034】
さらなる態様において、医療処置のための本方法は、上記に定義される神経変調装置を使用する方法と組み合わせて、またはその一部として使用され得る。
【0035】
さらに適用可能な領域は、本明細書の説明から明らかになるであろう。本概要における説明および具体例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定するものではない。
【0036】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照し、非限定的な例として与えられる、その実施形態のいくつかの以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】神経変調装置の一実施形態を表すブロック図である。
【
図2】制御ユニットの一実施形態を表すブロック図である。
【
図3】パルス発生器の一実施形態を表すブロック図である。
【
図4】神経変調装置の別の実施形態を表すブロック図である。
【
図5】モーション検出器としてカメラを用いる患者への電極配置を例示する図である。
【
図6】モーション検出器として加速度計を用いる患者への電極配置を例示する図である。
【
図10】アクティブ電極アレイの例示的な斜視図である。
【
図11】電極アレイを有するプローブの例示的な斜視図である。
【
図13】神経変調装置を使用する方法の一実施形態を表すフロー図である。
【
図14】パルス形状を決定する方法の一実施形態を表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
前述の概要、ならびに以下のいくつかの実施例の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことにより、より良く理解されるであろう。本明細書で使用する際、単数形で記載される要素またはステップは、そのような除外が明確に記載されていない限り、複数の要素またはステップを除外しないものとして理解されるべきである。さらに、「一実施形態」への言及は、記載された特徴を同様に組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図していない。さらに、明示的にそうでないという記載がない限り、特定の特性を有する1つまたは複数の要素を「備える/含む/有する」実施形態は、その特性を有しない追加の要素を含み得る。
【0039】
図中、特に断りのない限り、同じ参照番号は同一のまたは類似の要素を示す。図面において、説明の便宜および明快のため、各要素または要素を構成する特定部分の大きさは、誇張され、省略され、または模式的に示されている。したがって、各構成要素の大きさは、実際の大きさを完全には反映していないことがある。関連する既知の機能または構造を詳細に記述することが本開示の骨子を不必要に不明瞭にすると判断される場合、そのような説明を省略する。
【0040】
図1に神経変調装置1の例示的な実施形態のブロック図を示す。本実施形態は、電極アレイ3中に配置された複数のアクティブ電極2と、基準電極4と、パルス発生器5と、制御ユニット6とを備える。パルス発生器5は複数のアクティブ電極2の各電極に電気的に接続され得、パルス発生器は基準電極にも電気的に接続され得る。本神経変調装置は、複数の電極アレイおよび/または複数の基準電極を有し得る。
【0041】
パルス発生器5は、電気パルスを複数のアクティブ電極2の各々に個別に選択的に送信しても、パルス発生器5が電気パルスを複数のアクティブ電極のうちいくつかのアクティブ電極に選択的に送信してもよい。電極アレイ3は、患者の皮膚にあてがうことが可能であり得る。電極アレイに配置された複数のアクティブ電極2のアクティブ電極の各々は、患者の皮膚におよび/または皮膚の下にあてがうことが可能であり得る導電性要素を有し得る。基準電極4も患者の皮膚におよび/または皮膚の下にあてがうことが可能であり得、基準電極4は、患者の皮膚にまたは皮膚の下にあてがうことが可能な導電性要素を含んでもよい。複数のアクティブ電極のみならず基準電極もまた患者の皮膚にあてがわれる場合、複数のアクティブ電極2の各アクティブ電極と基準電極4との間の抵抗7および/または電流電圧特性8が測定され得る。
【0042】
図2に示すように、制御ユニット6の実施形態はパルス発生器5に結合され得、複数のアクティブ電極2の各アクティブ電極と基準電極4との間の抵抗7および/または電流電圧特性8を測定し得る。複数のアクティブ電極は、1つまたは複数の電極アレイに配置され得、1つまたは複数の基準電極が存在し得る。このような場合、制御ユニットは、複数のアクティブ電極2の各アクティブ電極と少なくとも1つの基準電極4との間の抵抗7および/または電流電圧特性8を測定し得る。制御ユニット6は、制御モジュール10と測定モジュール12とを備え得る。測定モジュール12は、抵抗測定7および/または電流電圧特性測定8を実行し得る。制御モジュール10が測定モジュール12によって提供されたデータを読み取り、解釈することができるように、制御モジュール10と測定モジュール12とは電気的に接続され得る。制御モジュール10は、測定モジュール12によって実行される測定を制御し得る。制御ユニット6の制御モジュール10は、抵抗および/または電流電圧特性を再現可能に測定し得る。制御ユニット6の制御モジュール10は、抵抗および/または電流電圧特性の測定を定期的に実行しても、個別に実行してもよい。制御ユニット6によって行われた再現可能な測定は、複数のアクティブ電極2のうちどの1つまたは複数のアクティブ電極がパルス発生器5によって生成された電気パルスを受信するべきかの選択を更新するために使用され得る。
【0043】
制御ユニット6はメモリ9をさらに備え得る。複数のアクティブ電極の個々のアクティブ電極ごとに、制御ユニットは、抵抗7および/または電流電圧特性の測定データをメモリ9に記憶させ得る。複数のアクティブ電極の個々のアクティブ電極ごとに、制御ユニットは、記憶された抵抗7および/または電流電圧特性測定データをメモリ9から読み出し得る。測定された抵抗および/または電流電圧特性に基づいて、制御ユニット6は、パルス発生器5によって生成された電気パルスの形状を制御し、および/または、どの1つまたは複数のアクティブ電極がパルス発生器5によって生成された電気パルスを受信するべきかを選択し得る。一例において、制御ユニットは、同一の電極アレイ中に配置されたアクティブ電極を、その測定された抵抗および/または電流電圧特性に基づいて評価する。その後、制御ユニットは、電気パルスの受信のために、抵抗の最小の測定された値および/または電流電圧特性の値を用いてアクティブ電極を選択し得る。このような例の1つの利点は、抵抗の最小の測定された値および/または電流電圧特性の値が、患者の身体の一神経に最も近い位置を示すことである。多くの神経が互いに近くに存在し得るので、最小の測定された値をもついくつかの個々のアクティブ電極の評価により、複数の神経に最も近いアクティブ電極を個別に評価し、さらなる評価に基づいて神経変調のために適切な神経を選択することが可能になる。
【0044】
制御ユニット6は、メモリ9にデータを記憶させ、読み出すために制御モジュール10を採用し得る。制御モジュール10は、測定モジュール12によって測定されたデータをメモリ9に記憶させ得る。制御モジュール10は、測定されたデータを保存する前に、さらに処理および/または解釈し得る。制御モジュール10は、患者関連データをメモリ9に記憶させ、読み出し得、患者のデータを測定されたデータと照合し得、逆もまた同様である。制御モジュール10は、特定の患者に関連する神経変調装置1の設定データをメモリ9に記憶させ、メモリ9から読み出すようにさらに構成され得る。設定データは、測定値および/または生成されたパルス設定値であり得る。制御モジュール10は、患者のデータを測定されたデータとさらに照合し得、逆もまた同様である。制御モジュール10は、神経変調装置の設定データを患者のデータおよび測定されたデータとさらに照合し得る。
【0045】
神経変調装置1は、神経変調装置1の一実施形態を表す
図4に示すように、パルス発生器5によって生成された少なくとも1つのパルスに対する患者の反応を検出するための少なくとも1つの検出器11をさらに備え得る。
図2に示すような少なくとも1つの検出器11は、検出された反応に関するフィードバックを制御ユニット6に提供し得る。少なくとも1つの検出器11は、フィードバックを制御ユニット6の制御モジュール10に提供し得る。少なくとも1つの検出器は、患者の動きを検出するように構成された少なくとも1つのモーション検出器21であり得る。少なくとも1つの検出器は、患者の動きに関するフィードバックを制御ユニット6に提供するように適合され得る。患者の体の動きは、患者の皮膚にまたは皮膚の下に取り付けられた選択されたアクティブ電極を介して伝達され得るパルス発生器の少なくとも1つのパルスに呼応し得る。少なくとも1つのモーション検出器21は、加速度計22、電界センサ23、またはカメラ24のうちの少なくとも1つを含む。あるいは、少なくとも1つの検出器11は、パルス発生器5によって生成され、患者の皮膚にまたは皮膚の下に取り付けられた選択されたアクティブ電極を介して伝達された少なくとも1つのパルスに対する反応として、筋肉によって生成される電気的活性の変化を検出するように構成され得る。このような筋電活性(muscle electrical activity)検出器19は、筋電図(EMG: electromyography)ベースの検出器20であり得る。
【0046】
好ましくは、
図6に示すように、モーション検出器として加速度計22を使用するときは、加速度計22は患者の脚26、30の一方の足部に取り付けられ得る。有利には、患者の脚26、30の別個の足部にそれぞれ取り付けられた2つのモーション検出器として利用される2つの加速度計22が存在し得る。随意に、
図5に示すように、モーション検出器21としてカメラ24を使用するときは、カメラは検出されるモーションの近傍でモーションを検出するような向きに配置され得る。随意に、電界センサ23はモーション検出器21として使用され得る。電界センサ23は、患者の動きを検出するために電界の変化を使用し得る。そのような電界センサの一例は、3次元ジェスチャー認識・追跡用コントローラチップであり得、これはジェスチャー情報だけでなく、人間の肢の位置データをリアルタイムで提供するために電界を使用する。有利には、カメラ24、加速度計22および電界センサ23のうちの1つまたは複数から選択されたモーション検出器の組み合わせが使用され得る。これが、感知された動きの正確さを向上させるとともに、検出の冗長性も与え得る。
【0047】
制御ユニット6は、測定された抵抗および/または電流電圧特性に基づいて、パルス発生器5によって生成される電気パルスの形状も制御し得る。パルス発生器5の一実施形態を示す
図3に示すように、パルス発生器5は制御ユニット6によって制御され得るか、またはパルス発生器は直接制御され得る。好ましくは、パルス発生器5は、制御ユニット6と接続されたパルス制御モジュール13を備える。パルス制御モジュール13と制御ユニット6との間の接続は、例えばケーブルを介した有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。好ましくは、パルス制御モジュール13は、少なくとも1つの電極アレイ3に配置された複数の電極2とさらに接続される。パルス制御モジュール13と複数の電極2との接続は、例えばケーブルを介した有線接続であっても、無線接続であってもよい。パルス制御モジュール13は、パルス発生器によって生成されたパルスのエッジの傾きを制御することが可能になるように構成されたエッジ傾き制御モジュール14を備え得る。例示的なパルスプロファイル60を表す
図12に示すように、制御されるエッジは、パルスの立ち上がりエッジ64および/または立ち下がりエッジであり得る。パルス制御モジュール6は、生成されたパルス周期63の制御が可能になるように構成された周期制御モジュール15をさらに備え得る。パルス制御モジュール6は、生成されたパルス幅62の制御が可能になるように構成されたパルス幅制御モジュール16をさらに備え得る。パルス幅制御モジュール16は、パルスのパルス幅変調を可能にし得る。パルス制御モジュール6は、生成されたパルスの振幅61の制御が可能になるように構成された振幅制御(magnitude control)モジュール17をさらに備え得る。
【0048】
図5および
図6は、複数のアクティブ電極2を有する電極アレイ3の少なくとも1つを患者25の皮膚の上または下に配置する例示的な図解28、29を提供し、電極アレイ3の少なくとも1つは患者25の肢26にあてがうことが可能であり得、患者の検出された動きが、その肢の動き27であり得る。電極アレイ3の少なくとも1つは、肢26,30の足首にまたは膝の裏にあてがうことが可能であり得る。基準電極4は患者25の腹部にあてがうことが可能であり得る。あるいは、基準電極4は、患者25のヒップやウエストなど、他の場所にあてがうことが可能であり得る。モーション検出器21は、カメラ24または電界センサ23であり得る。モーション検出器は肢26の動き27を検出し得る。肢の動きは、パルス発生器の少なくとも1つのパルスが、患者の皮膚の上または下に配置された電極アレイ3内の少なくとも1つのアクティブ電極に供給されることに呼応し得る。
【0049】
患者の両脚26、30に電極アレイを配置した有利な実施形態31を
図7に示す。2つの電極アレイ32,33は、患者25の膝の裏にあてがうことが可能であり得る。第1の電極アレイ32は患者25の第1の脚26の膝の裏にあてがうことが可能であり得、第2の電極アレイ33は患者25の第2の脚30の膝の裏にあてがうことが可能であり得る。あるいは、第1の電極アレイ32は、患者25の第1の脚26の足首の近傍の第1の脚26にあてがうことが可能であり得る。第2の電極アレイ33は、患者25の第2の脚30の足首の近傍の患者25の第2の脚30にあてがうことが可能であり得る。脚26、30の各々は、加速度計22であり得る1つのモーション検出器21が取り付けられ得る。加速度計22の各々は、脚26,30の一方の足部に取り付けられ得る。好ましくは、加速度計22の各々は、足部の先端の領域中のそのそれぞれの足部に取り付けられ得る。
【0050】
電極アレイの別の代替的配置が
図8に示されており、電極アレイ3の少なくとも1つは患者25の喉35または顔34にあてがうことが可能であり得、患者の検出された動きは患者25の顔34の少なくとも1つの筋肉の動きであり得る。動きは、図示されているようにカメラ24またはモーション検出器として使用される電界センサ23によって検出され得る。図示しないが、少なくとも1つの基準電極4は、頭部、顎または喉にもあてがわれ得る。
【0051】
患者の皮膚にあてがうことが可能な導電性要素36を有する基準電極39の例示的な実施形態。好ましくは、基準電極は、導電性要素36が結合された非導電性材料37をさらに含む。導電性要素36は非導電性材料中に埋め込まれていてもよい。非導電性材料は、患者の皮膚にまたは皮膚の下に基準電極を配置するのに適した任意の形状を有し得る。非導電性材料37は、基準電極4の導電性要素36の支持および/または保持手段を提供し得る。好ましくは、基準電極4は、基準電極の導電性要素36を、パルス発生器5および/または制御ユニット6と電気的に接続するように適合されたワイヤまたはケーブル38をさらに有する。
【0052】
複数のアクティブ電極2を有する電極アレイ40の例示的な実施形態を
図10に示す。複数のアクティブ電極は、互いに電気的に絶縁された複数の導電性要素41によって形成され得る。電極アレイ40の導電性要素41の各々は、
図5から
図8に例示的に示すような位置において患者25の皮膚にあてがうことが可能であり得、患者25の身体への電極アレイの配置が可能になる。電極アレイ40の形状は、円錐台状(frustoconical)、長円形状(oval)、曲線状(curvy)、または平面状(flat)を含み得る。導電性要素41は互いに近接して配置され得る。非導電性材料42は、導電性要素41が所定の位置に保たれ、互いに電気的に絶縁されていることを保証する導電性要素の支持および/または保持手段を提供し得る。好ましくは、導電性要素41の各々は、導電性要素41をパルス発生器5および/または制御ユニット6と電気的に接続するように適合されたワイヤまたはケーブル43を備える。
【0053】
神経変調装置は、プローブ50をさらに備え得る。プローブ50の例示的な実施形態を
図11に示す。プローブ50は、複数のアクティブ電極2を有する電極アレイ53を担持する接触面51を有し得る。アクティブ電極2の各々は導電性要素54を有する。アクティブ電極2は、プローブ50の内部に部分的に埋め込まれ、プローブの接触面51から外側に突出する導電性要素54をそれぞれ有し得る。プローブ50の接触面51は、電極アレイ53のアクティブ電極の少なくとも一部を有するバンプ52を備え得る。電極アレイ53はバンプの周囲の接触面51上に延在し得る。接触面51は、第1の方向Xにおいて全体的に凹型の形状を有し、バンプ52がそれから突出している。接触面は、第1の方向Xに直交する第2の方向Yにおいて、全体的に凸型の形状を有し得る。プローブを有することの1つの利点は、アクティブ電極の導電性要素が患者の皮膚上に有利に配置され、その結果、電気パルスを標的神経に効果的に供給し得ることである。プローブは、少なくとも1つの凹部56をさらに有し得、患者の皮膚へのプローブの取り付けが可能になる。
【0054】
図13を参照すると、例示的な流れ図が、神経変調装置を使用する神経変調方法の実施形態70を示す。方法70は、複数のアクティブ電極2がその中に配置された少なくとも1つの電極アレイ3を患者の皮膚にあてがうステップ71を含み得る。少なくとも1つの電極アレイ3は、調節されるべき標的神経の推定位置に配置され得る。標的神経の推定位置は、膝の裏や足首、喉、または神経変調のための標的神経に近接する、神経変調のための任意の他の適切な位置であり得る。神経変調の標的神経は、坐骨神経、陰部神経、腓骨神経、海綿体神経、仙骨神経叢、脛骨神経、腰仙神経叢、総腓骨神経、上殿神経、下殿神経、後大腿皮神経、内閉鎖筋神経、梨状筋神経、大腿方形筋神経、足底神経、迷走神経または尾骨神経のうちの少なくとも1つであり得る。
【0055】
ステップ72において、少なくとも1つの基準電極4が患者の皮膚に取り付けられ得る。少なくとも1つの基準電極4は、患者25の腹部あるいは患者25のヒップまたはウエストまたは足首あるいはその他に取り付けられ得る。
【0056】
ステップ73において、少なくとも1つの電極アレイ3内のアクティブ電極の各々と少なくとも1つの基準電極4との間で、抵抗測定および/または電流電圧特性が実行され得る。
【0057】
ステップ74において、測定された値に基づいて、複数のアクティブ電極の各アクティブ電極に電気的に選択的に接続されたパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するために、少なくとも1つの電極アレイ3内の複数のアクティブ電極2のうちの1つまたは複数のアクティブ電極が選択され得る。
【0058】
ステップ75において、電気パルスがパルス発生器によって生成され、その形状が、抵抗の測定された値および/または電流電圧特性に基づいて制御ユニットによって制御され得る。
【0059】
方法70は、少なくとも1つの電極アレイ3内のアクティブ電極の各々と少なくとも1つの基準電極4との間の抵抗および/または電流電圧特性の再現可能な測定のステップをさらに含み得る。測定結果に基づいて、電極アレイ内のどの1つまたは複数のアクティブ電極がパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するべきかの選択が更新され得る。
【0060】
方法70は、パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスに対する患者の身体の反応を検出し、検出された反応に関するフィードバックを制御ユニットに提供するステップをさらに含み得る。
【0061】
本方法の1つの利点は、測定結果に基づいて、電極アレイ内のどのアクティブ電極がパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するべきかと、電気パルスの振幅61、パルス幅62、パルス周期63および/または立ち上がり/立ち下がりエッジなどの電気パルスの形状とが決定され得ることである。したがって、このような方法により、パルス発生器によって生成されるパルスの最適の形状を患者ごとに個別に設定し、電極アレイ内で標的神経に最も近いアクティブ電極を見出すことが可能になり得る。
【0062】
本方法の別の利点は、アクティブ電極の各々と基準電極との間の抵抗または電流電圧特性の測定が、アクティブ電極および基準電極が患者25の皮膚に適切に取り付けられていることの確認を提供し得ることであり得る。アクティブ電極または基準電極のいずれかが患者の皮膚に適切に取り付けられていない場合、電極と別の電極の間の抵抗測定は測定される値にそのことを表示する。
【0063】
別の利点は、アクティブ電極の各々と基準電極との間の抵抗または電流電圧特性の測定が、神経変調装置1の動作の自己点検に使用され得ることであり得る。このような自己チェックは、続いて複数回の測定が行われ、それらの結果が比較されるときに達成され得る。それゆえに、抵抗または電流電圧特性の定期的な測定が行われ得る。あるいは、抵抗または電流電圧特性の単発の非定期的な測定を行い、神経変調装置1の動作中の自己点検に使用され得る。例えば、最初の測定、その後、非定期的またはアドホックな測定を離散的な間隔で行うこと。抵抗または電流電圧特性の定期的、非定期的またはアドホックな測定は、組み合わせられて、神経変調装置1の自動自己点検機能が実現され得る。このような技術的な自己点検は、神経変調装置の使用中に神経変調装置が機能することの確証を与え、抵抗または電流電圧特性を反復して測定することにより、標的神経の神経変調または刺激の安全性と効率性を確保することが可能になる。
【0064】
図14において、例示的な流れ図が神経変調方法の別の実施形態80を示す。方法80は、
図13の方法70と組み合わせて、またはその一部として使用され得る。方法80は、複数のアクティブ電極2を有する少なくとも1つの電極アレイ3を、調節または刺激されるべき標的神経の推定位置において患者の皮膚にあてがうステップ81を含み得る。標的神経の推定位置は、膝の裏、足首、喉、または神経変調のための標的神経に近接する神経変調のための他の適切な位置であり得る。神経変調の標的神経は、坐骨神経、陰部神経、腓骨神経、海綿体神経、仙骨神経叢、脛骨神経、腰仙神経叢、総腓骨神経、上殿神経、下殿神経、後大腿皮神経、内閉鎖筋神経、梨状筋神経、大腿方形筋神経、迷走神経、足底神経または小頭神経の少なくとも1つであり得る。
【0065】
ステップ82において、少なくとも1つの基準電極4が、患者25の皮膚にまたは皮膚の下に取り付けられ得る。少なくとも1つの基準電極4は、患者25の腹部、あるいは患者25のヒップまたはウエストあるいはその他に取り付けられ得る。
【0066】
ステップ83において、少なくとも1つの電極アレイ3内のアクティブ電極の各々と少なくとも1つの基準電極4との間で、抵抗または電流電圧特性の初期測定が実行され得る。
【0067】
ステップ84において、パルス発生器によって生成された少なくとも1つのパルスは、少なくとも1つの電極アレイ3内の複数の電極の個々のアクティブ電極に印加され、患者の反応が、複数の電極のアクティブ電極ごとに検出器によって検出される。少なくとも1つのパルスが、複数のアクティブ電極2の個々のアクティブ電極に順次印加され得る。複数の電極のアクティブ電極の各々にパルスを順次1つずつ印加することの1つの利点は、患者の反応のレベルが、特定の患者に対する神経変調装置の初期較正に利用され得ることである。
【0068】
ステップ85において、少なくとも1つの電極アレイ3内の複数の電極2の個々のアクティブ電極ごとの、抵抗および/または電流電圧測定および/または検出器によって検出される患者の反応に基づいて、さらなる電気パルスを受信するための1つまたは複数のアクティブ電極が選択される。
【0069】
方法80は、少なくとも1つの電極アレイ3内のアクティブ電極の各々と少なくとも1つの基準電極4との間の抵抗および/または電流電圧特性の再現可能な測定のステップをさらに含み得る。測定結果に基づいて、電極アレイ内のどの1つまたは複数のアクティブ電極がパルス発生器によって生成された電気パルスを受信するべきかの選択が更新され得る。
【0070】
方法80は、選択されたアクティブ電極2の各々を通して流れる電気パルスの電流密度を決定するステップをさらに含み得る。電流密度の結果に基づいて、本方法は、パルス発生器によって生成された電気パルスも受信するために、同一の電極アレイ内の選択されたアクティブ電極の各々に隣接するさらなるアクティブ電極を選択してもよい。1つの利点は、患者の皮膚に、または皮膚の下にあてがわれる選択されたアクティブ電極の各々を通して流れる電気パルスの過剰な電流密度を予防することであり得る。
【0071】
方法80の1つの利点は、抵抗測定および/または電流電圧特性を検出器反応と一緒に組み合わせることにより、標的神経の効果的な調節が可能になる最も有効な位置にアクティブ電極を配置することが可能になることであり得る。
【0072】
本開示の実施形態を説明するために、上部(top)、下部(bottom)、低い(lower)、中部の(mid)、横の(lateral)、水平の(horizontal)、垂直の(vertical)、前の(front)、などの様々な空間に関する用語および方向に関する用語が使用され得るが、このような用語は、単に図面に示される方向に関して使用されることを理解されたい。向きは、反転、回転、さもなければ、上の部分が下の部分、下の部分が上の部分、水平が垂直になるなどのように交換され得る。
【0073】
上記の説明は、例示であって限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上述の実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。さらに、特定の状況または材料を、その範囲から逸脱することなく、本開示の様々な実施形態の教示に適合させるために、多くの改変がなされ得る。本明細書に記載された材料の寸法および種類は、本開示の様々な実施形態のパラメータを定義することを意図しているが、実施形態は決して限定的ではなく、例示的な実施形態である。他の多くの実施形態は、上記の説明を検討することにより、当業者には明らかになろう。本開示の様々な実施形態の範囲は、したがって、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む」および「そこで」という用語は、それぞれ「備える」および「において」という平易な英語での用語の同義語として使用されている。さらに、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、その対象に数字上の要件を課すことを意図していない。さらに、以下の請求項の限定は、ミーンズ・プラス・ファンクションの形式で書かれておらず、そのような請求項の限定が、「のための手段」という語句を明示的に使用し、その後にさらなる構造を伴わない機能についての記述が続かない限り、米国特許法112条(f)に基づいて解釈されることを意図していない。
【0074】
この書面の説明は、ベストモードを含む本開示の様々な実施形態を開示するために、また、当業者であれば誰でも任意のデバイスまたはシステムを製造し、使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む、本開示の様々な実施形態を実践することを可能にするためにも例を使用している。本開示の様々な実施形態の特許を受けることができる範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、当業者が思い当たる他の実施例を含み得る。このような他の実施例は、実施例が特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または実施例が特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図されている。
【符号の説明】
【0075】
1 神経変調装置
2 アクティブ電極
3 電極アレイ
4 基準電極
5 パルス発生器
6 制御ユニット
7 抵抗、抵抗測定
8 電流電圧特性測定
9 メモリ
10 制御モジュール
11 検出器
12 測定モジュール
13 パルス制御モジュール
14 エッジ傾き制御モジュール
19 筋電活性検出器
20 筋電図検出器
21 モーション検出器
22 加速度計
23 電界センサ
24 カメラ
25 患者
26 肢、脚
27 動き
30 脚
32 第1の電極アレイ
33 第2の電極アレイ
34 顔
35 喉
36 導電性要素
37 非導電性材料
38 ワイヤまたはケーブル
39 基準電極
40 電極アレイ
41 導電性要素
42 非導電性材料
43 ワイヤまたはケーブル
50 プローブ
51 接触面
52 バンプ
53 電極アレイ
54 導電性要素
56 凹部
61 振幅
62 パルス幅
63 パルス周期
64 立ち上がりエッジ
【国際調査報告】