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特表2023-532327超音波スキャン映像情報生成装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】超音波スキャン映像情報生成装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
G01N29/265
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581423
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2021017300
(87)【国際公開番号】W WO2022114738
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0159906
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521288297
【氏名又は名称】プキョン ナショナル ユニバーシティ インダストリー-ユニバーシティ コーポレーション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】Pukyong National University Industry-University Cooperation Foundation
【住所又は居所原語表記】45, Yongso-ro, Nam-gu, Busan 48513, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】オ ジョンファン
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BA03
2G047DB03
2G047DB04
2G047DB12
2G047EA09
2G047GA19
2G047GH06
(57)【要約】
【課題】本発明は、モータの回転運動を超音波プローブの直線往復運動に変換して超音波プローブが被検体を高速スキャンするようにし、トリガ信号を用いて迅速に正確な3次元超音波映像を生成することができる超音波スキャン映像情報生成装置及び方法に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態による超音波スキャン映像情報生成装置は、駆動モータの一方向回転運動を前記駆動モータに連結された超音波プローブの直線往復運動に変換し、前記プローブの直線運動と前記直線運動に垂直な垂直方向運動とによって被検体を2次元スキャンして前記被検体に対する映像を生成するものであって、前記被検体に前記プローブを通じて超音波を照射し、照射された超音波の反射信号(echo signal)を前記プローブを通して受信する超音波照射/受信部と、前記反射信号を受信してデジタル映像信号に変換する信号変換部と、前記デジタル映像信号を受信して前記被検体に対する超音波映像情報を生成するメイン制御部と、前記プローブの運動情報に基づいてトリガ信号を生成するトリガ制御部と、を含み、前記トリガ信号に同期して超音波画像情報を生成することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータの一方向回転運動を前記駆動モータに連結された超音波プローブの直線往復運動に変換させ、
前記プローブの直線運動と前記直線運動に垂直な垂直方向運動とによって被検体を2次元スキャンして前記被検体に対する映像を生成するものであって、
前記プローブを通じて超音波を前記被検体に照射し、照射された超音波の反射信号(echo signal)を前記プローブを通じて受信する超音波照射/受信部と、
前記反射信号を受信してデジタル映像信号に変換する信号変換部と、
前記デジタル映像信号を受信して前記被検体に対する超音波映像情報を生成するメイン制御部と、
前記プローブの運動情報に基づいてトリガ信号を生成するトリガ制御部と、を備え、
前記トリガ信号に同期して前記超音波映像情報が生成される、超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項2】
それぞれの前記トリガ信号の生成時の前記プローブの位置が算出され、前記算出された位置における前記反射信号はそれぞれの前記トリガ信号に対応して記憶される、請求項1に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項3】
前記超音波プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリーエンコーダの回転運動情報であり、
前記ロータリーエンコーダは、A相信号、B相信号及びZ相信号を出力する増分型ロータリエンコーダである、請求項1に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項4】
前記トリガ信号は、前記駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリエンコーダのA相信号による回転位置情報に基づいて生成され、それぞれの前記トリガ信号の生成時の前記プローブの直線運動位置が算出され、
前記算出された直線運動位置における前記反射信号がそれぞれの前記トリガ信号に対応して記憶される、請求項1に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項5】
前記回転位置情報は、前記ロータリエンコーダのZ相信号を基準とするA相信号のパルス数に応じた回転角(φ)として算出され、前記プローブの直線運動位置(x)は、次式により算出される、請求項4に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【数1】
ここで、Rは前記モータに連結されるクランク軸の長さであり、Lは前記クランク軸と前記プローブとを連結するコネクティングロッドの長さである。
【請求項6】
前記トリガ信号は、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるパルス信号によって算出される前記プローブの直線運動位置に基づいて生成され、それぞれの前記プローブの直線運動位置における前記反射信号が、それぞれの前記トリガ信号に対応して記憶される、請求項1に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項7】
前記プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリーエンコーダの回転運動情報と、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報とを含み、
前記ロータリーエンコーダは、A相信号、B相信号及びZ相信号をそれぞれパルス状に出力する増分型ロータリエンコーダであり、
前記リニアエンコーダは、前記プローブの直線運動軌跡上の位置に応じてパルス状の一定間隔でリニアパルス信号を出力する、請求項1に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項8】
前記駆動モータの一方向回転運動が開始され、
前記ロータリーエンコーダのZ相信号の発生後に第1トリガイベント信号を生成し、
前記トリガ信号は、前記第1トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成される、請求項7に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項9】
前記第1トリガイベント信号は、前記ロータリエンコーダのZ相信号が入力された後、予め設定されたパルス数(Z1)のA相信号が入力された後に生成される、請求項8に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項10】
前記トリガ信号は、前記リニアエンコーダのパルス信号間隔の整数倍間隔で生成される、請求項8に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項11】
前記トリガ制御部は、前記トリガ信号の生成が停止された後に予め設定された前記プローブの位置に対応して第2トリガイベント信号を生成し、
前記トリガ信号は、前記第2トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成される、請求項8に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項12】
前記第2トリガイベント信号は、前記ロータリエンコーダのZ相信号が入力された後、予め設定されたパルス数(Z2)のA相信号が入力された後に生成される、請求項11に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項13】
前記被検体を撮像する被検体撮像部と、
前記撮像された被検体の画像から前記被検体の状態情報を取得する領域の始点と終点に対応する位置値を抽出して前記状態情報を取得する領域を劃定する領域劃定部と、をさらに備える、請求項1に記載の超音波スキャン映像情報生成装置。
【請求項14】
超音波プローブの直線運動と前記直線運動に垂直な垂直方向運動とによって被検体を2次元スキャンして前記被検体に関する超音波画像情報を生成する方法であって、
前記プローブの運動情報に基づいて前記超音波の照射トリガ信号を生成するステップと、
前記被検体に前記プローブを通じて超音波を照射し、前記照射された超音波の反射信号を前記プローブを通して受信するステップと、
前記反射信号をデジタル映像信号に変換するステップと、
前記デジタル映像信号から前記被検体に関する超音波画像情報を生成するステップと、
前記プローブの運動情報に基づいて前記超音波の照射トリガ信号を生成するステップと、を備え、
前記超音波の照射は、前記トリガ信号を同期信号として行われる、超音波スキャン映像情報生成方法。
【請求項15】
前記トリガ信号は、前記プローブの運動情報に対応するように生成され、
それぞれの前記トリガ信号の生成時の前記プローブの位置が算出され、
前記算出された位置における前記超音波反射信号は、それぞれの前記トリガ信号に対応して記憶される、請求項14に記載の超音波スキャン映像情報生成方法。
【請求項16】
前記トリガ信号は、駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリーエンコーダのA相信号による回転位置情報に対応するように生成され、
それぞれの前記トリガ信号の生成時の前記プローブの直線運動位置が算出され、
前記算出された直線運動位置における前記反射信号がそれぞれの前記トリガ信号に対応して記憶される、請求項14に記載の超音波スキャン映像情報生成方法。
【請求項17】
前記トリガ信号は、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるパルス信号によって算出される前記プローブの直線運動位置に基づいて生成され、
それぞれの前記プローブの位置における前記反射信号がそれぞれの前記トリガ信号に対応して記憶される、請求項14に記載の超音波スキャン映像情報生成方法。
【請求項18】
前記プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリーエンコーダの回転運動情報と、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報と、を含み、
前記ロータリーエンコーダは、A相信号、B相信号及びZ相信号をそれぞれパルス状に出力する増分型ロータリエンコーダであり、
前記リニアエンコーダは、前記プローブの直線運動軌跡上の位置に応じてパルス状の一定間隔でリニアパルス信号を出力する、請求項14に記載の超音波スキャン映像情報生成方法。
【請求項19】
前記駆動モータの一方向回転運動が開始され、
前記ロータリーエンコーダのZ相信号の発生後に第1トリガイベント信号が生成され、
前記トリガ信号は、前記第1トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成される、請求項18に記載の超音波スキャン映像情報生成方法。
【請求項20】
前記トリガ信号の生成が停止された後、予め設定された前記プローブの位置に対応して第2トリガイベント信号が生成され、
前記トリガ信号は、前記第2トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成される、請求項19に記載の超音波スキャン映像情報生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波スキャン映像情報生成装置及び方法に関し、より詳しくは、超音波プローブ(probe)を高速で移動させながら検査対象体(被検体)に対する2次元または3次元の超音波映像を生成する超音波スキャン映像情報生成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、超音波システムは様々に応用されている重要な診断システムの一つである。特に、超音波システムは対象体に対して無侵襲性及び非破壊特性を有するため、様々な分野で広く利用されている。近年、超音波システムが対象体の内部形状の2次元または3次元映像を生成するために使用されている。
【0003】
そのような超音波システムは、超音波信号を送受信するために広帯域のトランスデューサを含むプローブを含む。トランスデューサが電気的に刺激されると、超音波信号が生成され、超音波信号が対象体に伝えられる。対象体に伝えられた超音波信号は対象体から反射されてトランスデューサで電気的信号に変換される。変換された電気的信号が増幅及び信号処理されて、被検体に対する超音波映像データが生成される。
【0004】
一方、従来は超音波システムの一例として、特開平9-288097号(以下、先行技術文献」という)で「超音波探傷装置」が提案されており、先行技術文献で提案された超音波探傷装置は探傷プローブをX、Y、Z軸に移動させながら被検体(対象体)を探傷する技術である。
【0005】
しかしながら、先行技術文献で提案されている超音波探傷装置では、探傷プローブがボールねじとベルト駆動機構によりX、Y、Z軸に移動するが、このようなボールねじとベルト駆動機構は、その構造的特性上、探傷プローブの移動を高速化することには限界があり、この限界により、従来の超音波探傷装置では被検体を高速スキャンできないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、モータの回転運動を超音波プローブの直線往復運動に変換して超音波プローブが被検体を高速スキャンするようにし、トリガ信号を用いて迅速に正確な3次元超音波画像を生成することができる超音波スキャン映像情報生成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による超音波スキャン映像情報生成装置は、駆動モータの一方向回転運動を前記駆動モータに連結された超音波プローブの直線往復運動に変換させ、前記プローブの直線運動と前記直線運動に垂直な垂直方向運動とによって被検体を2次元スキャンして前記被検体に対する映像を生成するものであって、前記プローブを通じて超音波を前記被検体に照射し、照射された超音波の反射信号(echo signal)を前記プローブを通じて受信する超音波照射/受信部と、前記反射信号を受信してデジタル映像信号に変換する信号変換部と、前記デジタル映像信号を受信して前記被検体に対する超音波映像情報を生成するメイン制御部と、前記プローブの運動情報に基づいてトリガ信号を生成するトリガ制御部と、を備え、前記トリガ信号に同期して前記超音波映像情報が生成されることができる。
【0008】
それぞれの前記トリガ信号の生成時の前記プローブの位置が算出され、前記算出された位置における前記反射信号はそれぞれの前記トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0009】
前記超音波プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリーエンコーダの回転運動情報であり、前記ロータリーエンコーダは、A相信号、B相信号及びZ相信号を出力する増分型ロータリエンコーダ(incremental rotarty encoder)であることができる。
【0010】
前記トリガ信号は、前記駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリエンコーダのA相信号による回転位置情報に基づいて生成され、それぞれの前記トリガ信号の生成時の前記プローブの直線運動位置が算出され、前記算出された直線運動位置における前記反射信号がそれぞれの前記トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0011】
前記回転位置情報は、前記ロータリエンコーダのZ相信号を基準とするA相信号のパルス数に応じた回転角(φ)として算出され、前記プローブの直線運動位置(x)は、次式により算出されることができる。
【数1】

ここで、Rは前記モータに連結されるクランク軸の長さであり、Lは前記クランク軸と前記プローブとを連結するコネクティングロッドの長さである。
【0012】
前記トリガ信号は、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるパルス信号によって算出される前記プローブの直線運動位置に基づいて生成され、それぞれの前記プローブの直線運動位置における前記反射信号が、それぞれの前記トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0013】
前記プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリーエンコーダの回転運動情報と、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報とを含み、前記ロータリーエンコーダは、A相信号、B相信号及びZ相信号をそれぞれパルス状に出力する増分型ロータリエンコーダであり、前記リニアエンコーダは、前記プローブの直線運動軌跡上の位置に応じてパルス状の一定間隔でリニアパルス信号を出力することができる。
【0014】
前記駆動モータの一方向回転運動が開始され、前記ロータリーエンコーダのZ相信号の発生後に第1トリガイベント信号を生成し、前記トリガ信号は、前記第1トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成されることができる。
【0015】
前記第1トリガイベント信号は、前記ロータリエンコーダのZ相信号が入力された後、予め設定されたパルス数(Z1)のA相信号が入力された後に生成されることができる。
【0016】
前記トリガ信号は、前記リニアエンコーダのパルス信号間隔の整数倍間隔で生成されることができる。
【0017】
前記トリガ制御部は、前記トリガ信号の生成が停止された後に予め設定された前記プローブの位置に対応して第2トリガイベント信号を生成し、前記トリガ信号は、前記第2トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成されることができる。
【0018】
前記第2トリガイベント信号は、前記ロータリエンコーダのZ相信号が入力された後、予め設定されたパルス数(Z2)のA相信号が入力された後に生成されることができる。
【0019】
前記超音波スキャン映像情報生成装置は、前記被検体を撮像する被検体撮像部と、前記撮像された被検体の画像から前記被検体の状態情報を取得する領域の始点と終点に対応する位置値を抽出して前記状態情報を取得する領域を劃定する領域劃定部と、をさらに備えることができる。
【0020】
本発明の他の実施形態による超音波スキャン映像情報生成方法は、超音波プローブの直線運動と前記直線運動に垂直な垂直方向運動とによって被検体を2次元スキャンして前記被検体に関する超音波画像情報を生成する方法であって、前記プローブの運動情報に基づいて前記超音波の照射トリガ信号を生成するステップと、前記被検体に前記プローブを通じて超音波を照射し、前記照射された超音波の反射信号を前記プローブを通して受信するステップと、前記反射信号をデジタル映像信号に変換するステップと、前記デジタル映像信号から前記被検体に関する超音波画像情報を生成するステップと、前記プローブの運動情報に基づいて前記超音波の照射トリガ信号を生成するステップと、を備え、前記超音波の照射は、前記トリガ信号を同期信号として行われることができる。
【0021】
前記トリガ信号は、前記プローブの運動情報に対応するように生成され、それぞれの前記トリガ信号の生成時の前記プローブの位置が算出され、前記算出された位置における前記超音波反射信号は、それぞれの前記トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0022】
前記トリガ信号は、駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリーエンコーダのA相信号による回転位置情報に対応するように生成され、それぞれの前記トリガ信号の生成時の前記プローブの直線運動位置が算出され、前記算出された直線運動位置における前記反射信号がそれぞれの前記トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0023】
前記トリガ信号は、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるパルス信号によって算出される前記プローブの直線運動位置に基づいて生成され、それぞれの前記プローブの位置における前記反射信号がそれぞれの前記トリガ信号に対応して記憶されることができる。
【0024】
前記プローブの運動情報は、前記駆動モータの回転運動を検出するロータリーエンコーダの回転運動情報と、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報と、を含み、前記ロータリーエンコーダは、A相信号、B相信号及びZ相信号をそれぞれパルス状に出力する増分型ロータリエンコーダであり、前記リニアエンコーダは、前記プローブの直線運動軌跡上の位置に応じてパルス状の一定間隔でリニアパルス信号を出力することができる。
【0025】
前記駆動モータの一方向回転運動が開始され、前記ロータリーエンコーダのZ相信号の発生後に第1トリガイベント信号が生成され、前記トリガ信号は、前記第1トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成されることができる。
【0026】
前記トリガ信号の生成が停止された後、予め設定された前記プローブの位置に対応して第2トリガイベント信号が生成され、前記トリガ信号は、前記第2トリガイベント信号が生成されると、前記リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成されることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、モータの回転運動を超音波プローブの直線運動に変換して被検体を高速にスキャンして迅速に正確な3次元超音波映像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、スライダ-クランクメカニズムを概略的に示す図である。
図2図2は、スライダ-クランクメカニズムに従って被検体がスキャンされる過程を説明するために示す図である。
図3図3は、本発明の装置の好ましい一構成を示す図である。
図4図4は、本発明の方法の好ましい一流れを示す図である。
図5図5は、本発明に従って生成されるイベント信号、トリガ信号及び関連信号のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための具体的な内容の説明に先立ち、理解の便宜のために、本発明の技術的思想の核心ないしは解決しようとする課題の解決方案の概要をまず提示する。
【0030】
本明細書において、「被検体」は、ある検査、特に視覚的検査の対象体を意味する用語として使用され、その種類は、様々な産業分野で非常に多様であり、さらに検査の種類及び態様も、様々な産業分野で非常に多様であることをあらかじめ言及する。
【0031】
本発明に係る超音波スキャン映像情報生成装置は、駆動モータの回転運動がモータに連結されたプローブの直線往復運動に変換され、プローブの直線往復運動とこの直線往復運動の垂直方向運動によって被検体が2次元スキャンされて、被検体に関連する超音波画像情報を取得する際にモータの運動情報を提供するロータリーエンコーダの実際のZ相パルス信号が安定して具現されないことから発生する問題を仮想のZ相パルス信号を導入して補償することにより、被検体に関連して生成される映像情報の正確性(信頼性)を確保(向上)することができる。すなわち、実際のZ相パルス信号による「スキャン動作の開始」と仮想のZ相パルス信号による「状態情報の取得のための超音波の照射開始」とが時間差をもって行われるので、ノイズなどが除去された正確な映像情報を得ることができる。
【0032】
被検体に関連する映像情報を生成するための方案として、既に多数の案が提案されているか、または産業的に実施されている。例えば、医療用の超音波画像を生成する方案、ある物体の損傷した程度の検査のためにその物体に関連した画像を生成する方案など、数多くの方案がある。
【0033】
この様々な方案のうち、被検体に対するスキャン過程を通じて被検体に関連する映像情報を生成する方案もあるが、本発明は、このようなスキャンを利用した映像情報の生成方案として、駆動モータとこのモータに連結されたスキャン用プローブを用いる。一方、この場合、モータとスキャン用プローブの動作に関する根幹メカニズムがあるが、これを「スライダ-クランクメカニズム(slider-crank mechanism)」と呼ぶ。
【0034】
図1は、スライダ-クランクメカニズムを概略的に示す図である。
【0035】
スライダ-クランクメカニズムは、モータの回転運動をモータに連結されたプローブの直線並進運動に変換するメカニズムである。図1において、中心点Oは固定リンクを示し、点Bはスライダリンクをいう。機械的構成において、固定リンクは回転運動を行う駆動モータに相当し、スライダリンクは直線往復運動を行うスキャン用プローブに相当する。図1のO-Cはクランクリンク(crank link)を示し、C-Bはカプラリンク(coupler link)を指す。機械的構成に関して、クランクリンクはクランク軸(crank shaft)に対応し、カプラリンクはコネクティングロッド(connecting rod)に対応する。
【0036】
クランク軸の一端はモータの軸に締結され、他端はコネクティングロッドの一端とヒンジ結合と同様の形態で結合され、コネクティングロッドの他端もヒンジ結合と同様の形態でプローブと結合される。モーターが回転運動すると、クランク軸がモーターの回転方向と同じ方向に回転し、この回転はコネクティングロッドの一端を推進させ、この推進力はコネクティングロッドの長手方向にコネクティングロッドの他端に伝達されてプローブの直線往復運動(+X方向及び-X方向の運動)を誘発させることになる。このメカニズムは、このように内燃機関の一種である4ストロークエンジン(four-stroke engine)に適用されるクランク軸とピストンの運動メカニズムに似ている。また、直線往復運動の安定性を確保するために、通常、スライダリンク(プローブ側)にはリニアガイドが設けられている。
【0037】
一方、モータ側とプローブ側には現在位置、運動速度、回転速度、回転角など、それぞれの運動に関連する物理量を測定するエンコーダが備えられるが、モータ側には、モータが回転運動をするので回転運動に関する物理量(回転運動速度、回転角など)を測定するのに容易なロータリーエンコーダが備えられ、プローブ側には、プローブが直線並進運動をするので直線運動に関する物理量(並進運動速度、並進運動の距離、プローブの位置など)を測定するのに容易なリニアエンコーダが備えられる。これらのエンコーダは、測定された物理量を電気信号の形態としてモータまたはプローブの動作制御を行うコントローラに提供し、コントローラは提供された物理量に基づいて動作制御を行う。ここで、「モータ側(プローブ側)」という表現は、モータ(プローブ)にエンコータが内蔵された場合とそうでない場合を含むための表現であり、実際にエンコータが内蔵された場合とモータ(プローブ)の外装にエンコーダが備えられる場合を含む。
【0038】
スライダ-クランクメカニズムを利用して被検体に対するスキャンが行われる過程を図2を参照して簡単に説明する。プローブの並進運動の一方向(+X方向)に被検体に対するN番目のライン(ライン#N)のスキャンが行われ、N行目のラインのスキャンが終了すると、Y方向にプローブが移動した後、並進運動の逆方向(-X方向)でN+1行目のライン(#N+1)のスキャンが行われる。すなわち、ライン単位で交差スキャン(alternating scanning)が行われ、いわゆるジグザグ形態の2次元スキャンが行われる。
【0039】
一方、エンコーダは、前記物理量を測定する方式によって増分型(incremental)エンコーダと絶対型(absolute)エンコーダに大別される。これら2つのエンコーダに関する詳細については既知のいくつかの文献があるので、詳細な説明は省略する。ただし、後述する本発明の具現方案に関して簡単に言及すれば次の通りである。
【0040】
増分型エンコーダと絶対型エンコーダはスリットの形状が異なるが、前者は各スリットの形状が均一であるのに対し、後者は各スリットの形状がそれぞれ異なって固有である。両者のスリット形状の差は、前記物理量の測定における基準点(原点)の必要有無の差につながるが、前者は基準点が必要であり、後者はそうではない。前者の場合、所定の問題状況(電源の非予測的遮断、運動の非予測的中断など)が発生すると、モータまたはプローブの動作コントローラに提供していた物理量に関する情報がすべて消失して(基準点に戻る)前記物理量の測定を最初からやり直す必要があるという欠点がある。一方、後者は基準点が不要なため、問題状況が発生しても前者とは異なり、このような懸念はなく、問題状況が解決されると、問題状況が発生した後から前記物理量測定の再開がすぐに可能な利点を有する。すなわち、物理量測定の連続性を確保することができる。
【0041】
しかしながら、後者の場合、前記スリット形状の特性により、その製造に要する時間が非常に長くかかり、関連するモータの動作制御メカニズムの設計が非常に複雑または難しくなり、制御メカニズムの具現にも多くの労力と時間がかかる。これは最終的に製品の生産など最終結果物を得るために必要なコストの上昇を引き起こし、さらにそのコストは同じ条件下で前者を活用する場合よりもはるかに高いので、ほとんどの産業分野では前者の欠点にもかかわらず、前者をはるかに多く活用している。
【0042】
しかしながら、前者の場合、前記欠点によりモータ及びデバイス(プローブ)動作の精密または持続的制御が要求される分野では活用が困難であり、特に前記基準点の安定性確保(安定的具現)が複数の原因により容易ではないので、被検体に関して生成された情報(得ようとする情報)の信頼性に問題が存在する。すなわち、生成された情報の正確性が欠けている可能性がある。前者の基準点からは、いわゆるZ相(Z-phase)パルス信号が発生するが、このパルス信号はモータが1回転する度に発生する信号である。この信号は前記物理量測定の基準信号の役割(基準点の役割)をするが、上述したように基準点の安定的な具現が容易ではないので、モータ及びデバイス(プローブ)動作制御の不完全性を引き起こし、これにより生成された情報の正確性が欠けている可能性がある。
【0043】
したがって、本発明の技術的思想の核心は、スライダ-クランクメカニズムを活用して被検体に関連する映像情報を取得する際に、前記基準点が安定して具現されないことによって発生し得る問題を所定の信号処理により補償して被検体に関連して生成される映像情報の正確性(信頼性)を確保(向上)するようにするものである。
【0044】
以下、本発明を実施するための具体的な内容を、本発明の好ましい実施形態に基づいて添付図面を参照して詳細に説明する。図面に開示された構成要素に参照番号を付与する際、同一構成要素については、他の図面上でも同様の参照番号が付されており、図面の構成要素の説明において必要に応じて他の図面の構成要素を引用することができることを予め明らかにする。なお、本発明に係る公知機能あるいは構成の具体的な説明またはそれ以外の事項が本発明の要旨と大きく相関がないと判断される場合には、その詳細な説明を簡略化または省略する。
【0045】
さらに、本明細書で使用される用語としては、本発明における機能を考慮しながら、現在広く使用されている一般的な用語が使用されているが、これは当技術分野における技術者の意図または判例、新しい技術の出現などによって異なることができる。また、特定の場合、発明者が任意に選択した用語もあり、この場合、該当発明の説明部分に詳細にその意味を記載する。したがって、本明細書で使用される用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全体にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0046】
本明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言う場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。さらに、本明細書で使用される「部」という用語は、FPGAまたはASICなどのハードウェア構成だけではないソフトウェア構成も意味する。ただし、「部」はソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「部」は、アドレス指定可能な記憶媒体にあるように構成されてもよく、1つ以上のプロセッサを再生するように構成されてもよい。したがって、一例として、「部」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素、及びタスク構成要素などのコンポーネントと、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ及び変数を含む。構成要素及び「部」内で提供される機能は、より少ない数の構成要素及び「部」に組み合わせることができ、または追加の構成要素と「部」にさらに分離することができる。
【0047】
図3は本発明の好ましい一構成を示し、図4は本発明の好ましい一流れを示し、図5は本発明に従って生成されるトリガ信号、関連する信号、及びいくつかのデータのタイミング図を示す。
【0048】
まず、本発明は、絶対型エンコーダの前記欠点のために増分型エンコーダを利用する。一方、増分型エンコーダを使用する場合には、基準点の安定性確保(安定的具現)が容易ではないと既に述べたが、これについてもう少し詳しく説明すれば次の通りである。
【0049】
増分型ロータリーエンコーダの製造工程で、Z相パルス信号が発生されるスリット(基準点)を形成する際に、工程上の問題により、意図した位置以外の位置に形成されるか、既にスリットが形成されているロータリーエンコーダの保管上の問題あるいは温度と湿度の影響によって変形が発生してすでに形成されているスリットの位置が歪む可能性がある。このようにスリットの位置が歪むと、モータの正確な回転角または回転数の検出が困難になる。すなわち、特定の回転角を代表するように設けられたスリットの形成位置が歪むと、そのスリットが実際に指示する回転角は、所望の特定の角度でない回転角度を有するようになるが、ロータリーエンコーダはその特定のスリットに対して所望の特定の回転角度を代表するものと認識するので、その特定スリットの実際の角度と予想角度との間に差が生じることになる。この違いにより、モータの回転角または回転数の測定結果を信頼できないという問題が発生する。さらに、モータとプローブの運動過程中に発生する可能性がある機械的揺れによっても、Z相パルス信号の発生は不安定になる可能性がある。
【0050】
これはスライダ-クランクメカニズムを活用して生成される映像情報の不正確さを引き起こすしかないが、基準点が不安定になるので、モータ及びデバイス(プローブ)に対する動作制御の基準信号が不安定になる。これは映像信号の歪み、ノイズなどが生成される映像情報の歪み現象を引き起こす。本発明は、この問題の改善策として仮想Z相パルス信号(virtual Z)を導入して生成される映像情報の正確性を担保する。
【0051】
トリガ制御部50は、超音波プローブ10の運動情報に基づいて超音波の照射トリガ信号を生成して超音波照射/受信部20に出力する。この場合、トリガ制御部50は、駆動モータの回転運動を検出する増分型ロータリエンコーダのA相信号による回転位置情報に基づいてトリガ信号を発生させ、各トリガ信号の生成時の前記プローブの直線運動位置を算出する。
【0052】
一方、前記回転位置情報は、ロータリエンコーダのZ相信号を基準とするA相信号のパルス数に応じた回転角(φ)として算出され、前記プローブの直線運動位置(x)は、次式により算出されることが本発明の目的を達成するために好ましい。
【0053】
【数1】
ここで、Rはモータに連結されるクランク軸の長さ(図1のO-Cの長さ)であり、Lはクランク軸と前記プローブとを連結するコネクティングロッドの長さ(図1のC-Bの長さ)である。
【0054】
一方、トリガ制御部50は、トリガ信号を、プローブ10の直線運動を検出するリニアエンコーダによって生成されるパルス信号によって算出されるプローブ10の直線運動位置に基づいて発生させることもできる。すなわち、ロータリエンコーダなしでリニアエンコーダによって生成されるパルス信号によって把握されるプローブ10の直線運動位置のみに基づいてトリガ信号を発生させることもできる。
【0055】
一方、トリガ制御部50は、駆動モータの回転運動を検出するロータリエンコーダの回転運動情報と、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報とを同時に用いてトリガ信号を生成することができる。この場合、ロータリーエンコーダは、A相信号、B相信号、Z相信号をそれぞれパルス状に出力する増分型ロータリエンコーダであり、リニアエンコーダは、プローブ10の直線運動軌跡上の位置に応じてパルス状の一定間隔でリニアパルス信号を出力する。
【0056】
トリガ制御部50によるトリガ信号の発生を発生タイミングの観点から見ると、次のようになる。
【0057】
駆動モータの一方向回転運動が開始されると、ロータリーエンコーダのZ相信号の発生後にN番目のスキャンラインに対応する被検体の状態情報を取得するために第1トリガイベント信号が生成され、トリガ信号は、第1トリガイベント信号が生成されると、リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成される(これにより、超音波が被検体に照射される)。詳しくは、第1トリガイベント信号は、ロータリーエンコーダのZ相信号が生成された後、予め設定されたパルス数のA相信号が入力された後に生成される。
【0058】
このとき、トリガ信号は、リニアエンコーダのパルス信号間隔の整数倍間隔で生成されることが望ましいが、外部から設定される設定解像度に応じてトリガ信号の間隔を決めることができ、これにより、より少ない超音波照射信号の出力と超音波反射信号の入力が可能になり、超音波信号の生成や処理などに対する負荷を軽減できるようにするためである。また、リアルタイムで生成される映像信号の映像品質を評価してトリガ信号生成間隔を適応的に調整することにより、最適品質の映像を得ながら超音波信号生成及び処理などに対する負荷を低減できるようにするためである。
【0059】
さらに、発生するトリガ信号の波長(間隔)は、リニアエンコーダのパルス信号間隔と常に等しくすることが最も好ましいが(なぜなら、被検体の状態情報を最大限多く取得することができ、より高解像度の映像情報の生成が可能であるためである)、この場合、取得された状態情報に対して処理時間の過度な所要及び被検体に対する映像情報生成過程の負荷を増加させるおそれがある。これは、生成される映像情報の不正確さを引き起こす可能性があるので(負荷の増加に伴って映像情報生成のための処理過程での誤差が生じることがあるからである)、本発明の意義を低減させることができる。したがって、被検体の種類、状態など様々な要素を考慮して状態情報の取得必要量を適切に設定する必要があり、これは発生するトリガ信号の波長(トリガ信号の出力ステップ)をどの程度にするかによって決まる。例えば、リニアエンコーダのパルス信号の間隔(分解能)が20[μm]であれば、トリガ制御部50は、発生させるトリガ信号の間隔を40[μm]、60[μm]、80[μm]、・・・としてトリガ信号を発生させる。トリガ信号が発生すると、超音波照射/受信部20により被検体の状態情報を取得するための超音波が、トリガ信号を同期信号としてプローブ10を通じて被検体に照射され始める。
【0060】
一方、第1トリガイベント信号が生成されてトリガ信号がリニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定された前記プローブの位置までパルス状に生成された後には、トリガ信号の生成が停止(これにより超音波の照射が停止し、N番目のスキャンラインに対応する被検体の状態情報の取得も終了)され、N+1番目のスキャンラインに対応する被検体の状態情報の取得のために別の予め設定されたプローブ10の位置に対応して第2のトリガイベント信号が生成される。第2トリガイベント信号が生成されると、トリガ信号は、リニアエンコーダのパルス信号を同期信号として予め設定されたプローブの位置までパルス状に生成される。
【0061】
以上の説明では、第1トリガイベント信号と第2トリガイベント信号が仮想のZ相パルス信号(virtual Z)に相当するものであり、実際のZ相パルス信号(physical Z)の発生により状態情報の取得が開始されるのではなく、これら2つのイベント信号の発生によって初めて状態情報の取得が開始される。すなわち、本発明においては、実際のZ相パルス信号には「スキャン動作開始」の通知役割のみを付与し、「状態情報取得の開始」の通知役割はこれら2つのイベント信号に付与するものであり、「仮想」の意味は、これらの2つのイベント信号が実際のZ相パルス信号が果たすべき役割のいくつかを実行するので、これら2つのイベント信号が実際のZ相パルス信号に「準じて」機能するということを意味する。
【0062】
実際のZ相パルス信号の発生により、「スキャン動作開始」と「状態情報取得の開始」が同時に(時間差なしに)行われると、上述したように、実際のZ相パルス信号の安定的な実現が保障されないので、結論として、状態情報の取得が不安定ないし不正確さを引き起こす可能性があるので、本発明によるこれら2つのイベント信号はこれを補償する意味として意義があると言える。これら2つのイベント信号の発生により、各スキャンラインの全区間ではない一部区間(図2の太線部分)についてのみ状態情報の取得が行われることになる。
【0063】
一方、本発明によれば、上述したように、図2から分かるように、「各スキャンライン毎に」状態情報取得開始イベント信号(トリガイベント信号)を生成させるが、実際のZ相パルス信号が2つのスキャンラインごとに一度だけ発生することとは違う。これは、各スキャンラインに対応する状態情報取得の確実性を確保するためである。すなわち、実際のZ相パルス信号は、スライダ-クランクメカニズムによる運動の性質上、2つのスキャンライン毎に1回だけ発生するが、上述したように、実際のZ相パルス信号の不安定発生の可能性があるので、取得される状態情報がどのスキャンラインに対応する状態情報であるかが不明瞭になる可能性がある。したがって、この不明瞭性を防止するために、本発明では、各スキャンラインに対して「状態情報取得の開始」のためのトリガイベント信号が発生されるようにする。
【0064】
前記イベント信号の発生に関する方法をより具体的な好ましい一例を挙げて説明すると、次の通りである。
【0065】
トリガ制御部50は、駆動モータの回転運動を検出するロータリエンコーダの回転運動情報と、前記プローブの直線運動を検出するリニアエンコーダの直線運動情報とに基づいてトリガ信号を発生すると上述したが、この運動情報の解釈は、A相パルス信号の数に基づく。このパルス信号の数は、2つの運動情報を反映しているからである。
【0066】
すなわち、トリガ制御部50は、Z相パルス信号の発生を感知してロータリーエンコーダのA相パルス信号の数をカウントし始める。このとき、A相パルス信号の代わりにロータリーエンコーダのB相パルス信号の個数をカウントしても構わないが、両信号は互いに位相差が90度であるだけで、同じ信号である。
【0067】
トリガ制御部50は、前記A相またはB相のパルス信号の個数が予め設定された値(Counting Num: Z1)に到達すると、第1トリガイベント信号を発生させ、A相またはB相パルス信号の数が予め設定された値(Counting Num: Z2)に到達すると、第2トリガイベント信号を発生させる。
【0068】
ここで、Z1<Z2の大小関係が成立し、予め設定された値は被検体の大きさ、被検体の外観、被検体中の状態情報の取得が必要な部分の大きさなどを考慮して、具体的には、次の方式で設定されるこれが好ましい。
【0069】
本発明においては、被検体に対するスキャンが、スキャン装置(図示せず)のスキャナ(本発明ではプローブ)が位置可能な全領域(AR)に対して行われるのではなく、被検体に対する状態情報の取得が必要な領域(PR)に対してのみ行われるようにして、状態情報取得過程で発生し得る不要なデータの発生を防止する。このために、本発明では、被検体に対するスキャン及び状態情報取得より先の作業として被検体の撮像を行った後、撮像された画像から状態情報の取得が必要な領域(PR)の大きさを決め、この大きさに該当する領域(PR)に対してのみ状態情報取得(被検体に対するスキャン)が行われるようにする。
【0070】
被検体の撮像は被検体撮像部90によって行われ、被検体撮像部90は一例として光学カメラで具現されることができる。撮像は、いわゆる「写真構図の原理」によって行われることができる。この原理の核心は、撮像の関心対象はなるべく画像の中央領域に位置することがほとんどであることを考慮して撮像された画像の中央領域に関心対象(被検体)が最大限位置するように撮像がなされるということである。
【0071】
被検体撮像部90は、一例として、被検体のスキャン装置のスキャナ(プローブ)が位置決め可能な全領域(AR)の中央点の垂直方向(Z方向)の上部に位置することができる。そして、本発明は被検体に対する視覚的検査をする場合に適用されるものであり、被検体と被検体以外の部分(背景)を明確に区分する必要がある。したがって、背景の色は単一の色として、被検体と明度ないしは彩度の差が明確な色として選定する場合が多い。したがって、撮像は、上述したような背景で行うことが被検体と背景をより明確に区別するのに好ましく、状態情報の取得が必要な領域(PR)の大きさは、撮像された画像の被検体部分を全てカバーすればよい。
【0072】
領域劃定部80は、被検体撮像部90によって撮像された被検体の画像から状態情報を取得する領域(PR)の始点と終点に対応する位置値を抽出してPRを劃定する。ここで、位置値は、一例として、前記中心点を原点とするXY平面における座標値であることができ、この座標値はスキャナ(プローブ)が位置可能な全領域(AR)の原点(開始点)からのX方向距離とY方向距離であることができる。
【0073】
Z1及びZ2はこの位置値に基づいて設定することができるが、図2と具体的な例を挙げて説明すれば次の通りである。
【0074】
スキャン装置のスキャナ(プローブ)が位置可能な全領域(AR)のY方向の縁(edge)から領域劃定部80によって抽出された位置値によって決められる領域(PR、状態情報を取得する領域)の2つのY方向の縁までの距離(d1、d2)がそれぞれ9[cm]、29[cm]であり、A相パルス信号の1周期当たりの波長が8[mm]であるとすると、Z1は11として設定されるべきである。なぜなら、第1トリガイベント信号は、状態情報を取得する領域(PR)が開始する点と同一ないしはより少し早く発生しなければならないからである。したがって、本例の場合、8[mm]×11=8.8[cm]~8[mm]×12=9.6[cm]なので、Z1は11であるべきである。
【0075】
次のスキャンライン(N+1番目のスキャンライン)の状態情報を取得するために、プローブ10はY方向に移動する。Y方向への移動の程度は様々な状況に応じて決定されることができ、後で生成される映像のY方向解像度を高めるためにできるだけ短く設定することが望ましい。高解像度の映像取得を望む場合、前記例を参照すると、Z2は38~39程度に設定される(d2=29[cm]であるため、8[mm]×37=29.6[cm] ~8[mm]×39=31.2[cm])。これもZ1が設定される前記理由(方式)と同様であり、Y方向解像度をどの程度にするかによってZ2は前記の例とは異なる値として決められる。
【0076】
トリガ制御部50は、N+1番目のスキャンラインに対するスキャンが終了した後、N+2番目とN+3番目のキャンラインに対するスキャンが行われるためのZ相パルス信号が発生すると、N番目とN+1番目のキャンラインに対するスキャン過程でカウントされた前記A相パルス信号の個数を0に初期化する。これは、上述したように算出された回転角(φ)と直線運動位置(x)の値も初期化されることを意味し、N番目とN+1番目のスキャンラインに対するスキャンが終了したことを明らかにすることにより、後述するように生成される映像情報の精度向上に貢献できる。N+2番目のスキャンライン以降のスキャンラインについては、N番目とN+1番目のスキャンラインに対する前記過程が繰り返されて被検体の状態情報の取得及び映像情報が生成される。
【0077】
超音波照射/受信部20は、トリガ制御部50により、上述したように生成されたトリガ信号を同期信号としてプローブ10を通じて超音波を被検体に照射し、照射された超音波の反射信号(echo signal)をプローブ10を通じて受信する。
【0078】
変換部30は、超音波照射/受信部20から前記反射信号を受信してデジタル映像信号に変換し、メイン制御部40はデジタル映像信号を受信して被検体の超音波映像情報を生成する。前記反射信号は被検体の状態情報を含んでいるので、結論として被検体の状態情報が超音波画像情報として生成される。超音波映像情報の具現現方式については、既に多数の案が特許文献を含む様々な文献に公知されているか産業的に実施されているので、その詳細な具現方式については説明を省略し、メイン制御部40も既知または実施されている案を用いて超音波映像情報を生成する。
【0079】
本発明による超音波映像情報の生成について概説すると、以下の通りである。
【0080】
トリガ制御部50により生成されたトリガ信号を同期信号として超音波照射/受信部20とプローブ10を通じて超音波が被検体に照射され、プローブ10は被検体から反射される超音波エコー信号を受信して被検体に関する状態情報(超音波の反射信号)を超音波照射/受信部20に伝える。このとき、受信された超音波反射信号は、トリガ信号の生成時に算出されたプローブ10の位置における各トリガ信号に対応して記憶される。
【0081】
メイン制御部40は、各トリガ信号に対応する超音波プローブ10の位置とその位置での反射信号(具体的には、変換部30から出力されるデジタル映像信号)とを組み合わせて全スキャン映像情報(超音波映像情報)を生成する。生成された超音波画像情報は、2次元または3次元画像となることができ、これは、本発明が適用される分野または被検体に対する検査の性質などに応じて選択されることができる。
【0082】
超音波照射/受信部20は、トリガ制御部50で生成されるトリガ信号を同期信号として超音波を照射し超音波反射信号を受信し、予め設定された領域(PR)のみで設定された間隔で超音波映像情報を生成するので、負荷を最小化しながら迅速な超音波映像入力が可能になる。
【0083】
本発明の方法は、また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体上でコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られ得るデータが記憶されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、DVD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などがあり、またキャリア波(例えば、有線ネットワークを介した伝送)の形態として具現されるものも含まれる。さらに、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータシステムに分散されて分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードが記憶されて実行されることができる。
【0084】
これまで、本発明の技術的思想を、その思想の具体性を担保する本発明の好ましい実施形態の開示を通じて説明した。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、その好ましい実施形態が本発明の技術的思想(本質的特性)から逸脱しない範囲で変形された形態で具現され得ることを理解することができる。したがって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく説明的な観点から考慮されるべきであり、本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に開示された事項だけでなく、それと均等の範囲内にあるすべての違いも含むと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】