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特表2023-532359導電性接合界面を含む半導体構造、および関連する製造プロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】導電性接合界面を含む半導体構造、および関連する製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500255
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 FR2021051023
(87)【国際公開番号】W WO2022008809
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】2007138
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507088071
【氏名又は名称】ソイテック
(71)【出願人】
【識別番号】510094104
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ エナジーズ アルタナティブス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック アリベルト
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ ランドリュ
(72)【発明者】
【氏名】オレグ コノンチュク
(72)【発明者】
【氏名】エリック ギヨ
(72)【発明者】
【氏名】グウェルタ ゴーダン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー ウィディーズ
(72)【発明者】
【氏名】フランク フォーネル
(57)【要約】
本発明は、主平面(x、y)に延在する、単結晶半導体材料で作られる機能層(10 )と、半導体材料で作られるキャリア基板(30)と、および主平面(x,y)に平行に延在する機能層(10)とキャリア基板(30)との間の界面領域(20)を含む半導体構造(100)に関し、構造(100)は、界面領域(20)が結節(21)を含むことに注目すべきであり、
-機能層(10)およびキャリア基板(30)とオーミック接触を形成する金属材料を含む導電性であり、
-主平面(x、y)に垂直な軸(z)に沿った、30nm以下の厚さを有し、
-分離または接合され、分離結節(21)は、機能層(10)とキャリア基板(30)との間の直接接触領域(22)によって互いに分離されている。
本発明はまた、前記構造(100)を生成するためのプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶半導体材料で作られる機能層(10)であって、主平面(x、y)に延在する層と、
半導体材料で作られるキャリア基板(30)と、および
前記機能層(10)と前記キャリア基板(30)との間の界面領域(20)であって、前記主平面(x、y)に平行に延在する界面領域と
を備えた半導体構造(100)であって、
前記界面領域(20)は、
導電性であって、前記機能層(10)および前記キャリア基板(30)とオーミック接触を形成する金属材料を含み、
前記主平面(x、y)に垂直な軸(z)に沿った、30nm以下の厚さを有し、
分離または接合されてあって、前記分離結節(21)は、前記機能層(10)と前記キャリア基板(30)との間の直接接触領域(22)によって互いに分離されている結節(21)
を備えた半導体構造(100)。
【請求項2】
前記機能層(10)および前記キャリア基板(30)は、同じ半導体材料で形成され、同一のドーピングタイプを有する請求項1に記載の半導体構造(100)。
【請求項3】
前記機能層(10)の前記半導体材料は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択される請求項1または2に記載の半導体構造(100)。
【請求項4】
前記キャリア基板(30)の前記半導体材料は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択され、単結晶、多結晶または非晶質構造を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体構造(100)。
【請求項5】
前記結節(21)の前記金属材料は、タングステン、チタニウム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、コバルト、および銅の中から選択される請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体構造(100)。
【請求項6】
前記界面領域(20)の中央平面(P)において、前記結節(21)の範囲の程度は、1%~70%の間である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体構造(100)。
【請求項7】
前記結節(21)は、0.1mΩcm2未満、好ましくは0.01mΩcm2以下の前記界面領域(20)の抵抗率を得るために、0.1mΩcm2未満、好ましくは0.01mΩcm2以下の抵抗率を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体構造(100)。
【請求項8】
前記結節(21)は、20nm以下、または10nm以下の厚さを有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体構造(100)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体構造(100)の前記機能層(10)上および/または前記機能層(10)内で製造される電力部品であって、
前記半導体基板(100)の裏面のレベルで、前記キャリア基板(30)上および/または前記キャリア基板(30)内に少なくとも1つの電気的接触を備えた電力部品。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体構造(100)を製造するプロセスであって、
a)接合される自由面(10a)を有する単結晶半導体材料で作られる機能層(10)を提供するステップと、
b)接合される自由面(30a)を有する半導体材料で作られるキャリア基板(30)を提供するステップと、
c)前記機能層(10)および前記キャリア基板(30)とオーミック接触を形成することができる金属材料から作られる膜(2)を蒸着するステップであって、前記膜(2)は、非酸化制御雰囲気下で、前記機能層(10)の接合される自由面(10a)上および/または前記キャリア基板(30)の接合される自由面(30a)上に20nm以下の厚さを有し、
d)前記機能層(10)および前記キャリア基板(30)の接合される前記自由面を、それぞれに、非酸化制御雰囲気下で、直接接合する動作を含む中間構造(150)を形成するステップであって、前記中間構造(150)は、前記ステップc)で蒸着した1つまたは複数の膜(2)から由来する封入された膜(2')を含み、
e)前記中間構造(150)を臨界温度以上の温度でアニーリングして、前記封入された膜(2')を、前記機能層(10)および前記キャリア基板(30)とオーミック接触を形成する導電性結節(21)に分裂を引き起こし、および前記界面領域(20)を形成するステップと
を備えた製造プロセス。
【請求項11】
前記機能層(10)および前記キャリア基板(30)は、同じ半導体材料から形成され、同一のドーピングタイプを有する請求項10に記載の製造プロセス。
【請求項12】
ステップa)は、光種をドナー基板(1)に注入して、前記ドナー基板(1)の前面(10a)と、前記機能層(10)を区切る埋め込まれた弱化面(11)を形成する動作を含む請求項10または11に記載の製造プロセス。
【請求項13】
ステップa)は、初期基板上にドナー層(1')をエピタキシャルに成長させることによる前記ドナー基板(1)の形成を含むことであって、前記ドナー層(1')への注入は、後で行われる請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項14】
ステップd)は、前記ドナー基板(1)および前記キャリア基板(30)を含む接合アセンブリ(200)を生じさせる直接接合の後に、前記埋め込まれた弱化面(11)のレベルで分離して、一方では、前記機能層(10)、前記封入された膜(2')および前記キャリア基板(30)を含む中間構造(150)を形成し、他方では、ドナー基板(1'')の前記残りを形成する請求項12または13に記載の製造プロセス。
【請求項15】
蒸着ステップc)の前に、前記機能層(10)の接合される前記自由面(10a)および/または前記キャリア基板(30)の接合される前記自由面(30a)の脱酸のステップc')を含む請求項10乃至14のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項16】
前記ステップc)の蒸着および前記ステップd)の直接接合は、同一の装置内で1回に実施される請求項10乃至15のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項17】
ステップc)で蒸着した前記膜(2)の前記厚さは、10nm以下、または5nm以下、または2nm以下である請求項10乃至16のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項18】
ステップc)およびd)は、真空中で行われる請求項10乃至17のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項19】
蒸着ステップc)は、スパッタリング技術を使用して、周囲温度で行われる請求項10乃至18のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【請求項20】
前記臨界温度は、500℃~1800℃であって、前記臨界温度は、前記封入された膜(2)の金属材料、および前記機能層(10)および前記キャリア基板(30)の1つまたは複数の半導体材料の性質に応ずる請求項10乃至19のいずれか一項に記載の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電子部品用半導体材料の分野に関する。特に、本発明は、単結晶半導体層と半導体キャリア基板とを含み、それらが導電性接合界面で接合される構造に関する。本発明は、また、かかる構造を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
厚さが薄く、結晶品質が高い半導体機能層を、結晶品質が低い半導体キャリア基板に転写することによって、半導体構造を形成することは、一般的な方法である。よく知られている薄層転写解決策の1つは、光イオンを注入し、接合界面で直接接合することによって接合するSmart Cut(商標)プロセスである。機能層の高品質材料のスリム化に関連する経済的利点に加えて、半導体構造はまた、例えば、キャリア基板の熱または電気伝導性または機械的適合性に関連する有利な特性を提供し得る。
【0003】
例えば、パワーエレクトロニクスの分野では、垂直な部品を形成するために、機能層とキャリア基板との間に電気伝導を確立することがさらに有利であり得る。例えば、単結晶炭化ケイ素で作られる機能層と低品質の炭化ケイ素で作られるキャリア基板(単結晶か多結晶かにかかわらず)を含む構造の場合、接合界面は、可能な限り低い抵抗率を示さなければならず、好ましくは1mΩcm2または0.1mΩcm2未満である。
【0004】
従来技術のいくつかの解決策は、垂直電気伝導を確立するために、機能層とキャリア基板との間で直接半導体間接合を行うことを提案する。しかしながら、このような接合を介して良質な界面を得ることは、困難である可能性がある。
非特許文献1では、アルゴンによる衝突によって構成される表面を活性化した後、直接接合(SAB「表面活性化接合」)を実施し、接合前のこのような処理は、非常に高密度の側面接合を生成し、接合界面での共有接合の形成を促進し、したがって、高い接合エネルギーを生成する。しかしながら、この方法は、接合表面で非晶質層を生成し、薄層とキャリア基板との間の垂直電気伝導に悪影響を及ぼすという欠点を有する。この問題を克服するために、特に、特許文献1において、表面の高濃度ドーピングが提案されている。
【0005】
従来技術の他の解決策は、接合される表面上に蒸着される金属層に基づいて導電性接合を形成することを提案する。
例えば、非特許文献2または特許文献2による刊行物は、二ケイ化タングステン(WSi2)に基づく導電性中間層を形成するためのタングステン層およびケイ素層の蒸着を説明する。この方法の1つの欠点は、最初に蒸着した材料に対するケイ化物の収縮に起因する、この中間層におけるボイドの形成から生じ得る。特に、これは、表面半導体層および半導体構造全体の品質に影響を及ぼし、対象アプリケーションに使用不可能になるまで影響を及ぼし得る。加えて、非常に良好な垂直電気伝導を必要とするいくつかの用途によって必要とされるレベルまで、接合界面の抵抗率を低下させることは、困難である。
【0006】
発明の主題
本発明は、従来技術の代替的な解決策に関するものであり、上記の欠点を完全にまたは部分的に克服することを目的とする。特に、本発明は、単結晶半導体機能層および半導体キャリア基板を含み、それらが電気的に導電性接合界面で接合される構造に関する。本発明は、また、かかる構造を生成するためのプロセスに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第3168862号明細書
【特許文献2】米国特許第7208392号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】F.Mu.et al.ECS Transactions,86(5)3-21,2018
【非特許文献2】Letertre.“Slicon Carbide and related materials”,Materials Science Forum.Vol389-393,April,2002
【発明の概要】
【0009】
本発明は、主平面内に延在する単結晶半導体材料から作られる機能層と、半導体材料から作られるキャリア基板と、主平面に平行に延在する機能層とキャリア基板との間の界面領域とを備える半導体構造に関する。この構造は、界面領域が、
-導電性であって、機能層およびキャリア基板とオーミック接触を形成する金属材料を含み、
-主平面(x、y)に垂直な軸(z)に沿った、30nm以下の厚さを有し、
-分離または接合されてあって、分離結節は、機能層とキャリア基板との間の直接接触領域によって互いに分離されている結節を含むという点で注目に値する。
【0010】
本発明の他の有利、かつ、非限定的な特徴によれば、単独で、または技術的に実現可能な任意の組み合わせが採用される。
【0011】
・機能層およびキャリア基板は、同じ半導体材料で形成され、同一のドーピングタイプを有することと、
・機能層の前記半導体材料は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択されることと、
・キャリア基板の半導体材料は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択され、単結晶、多結晶または非晶質構造を有することと、
・結節の金属材料は、タングステン、チタニウム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、コバルト、および銅の中から選択されることと、
・界面領域の中央平面において、結節の範囲の程度は、1%~70%の間である
・結節は、0.1mΩcm2未満、好ましくは0.01mΩcm2以下の界面領域の抵抗率を得るために、0.1mΩcm2未満、好ましくは0.01mΩcm2以下の抵抗率を有することと、
・結節(21)は、20nm以下、または10nm以下の厚さを有すること。
【0012】
本発明はまた、上述のような半導体構造の機能層上および/または機能層内に製造され、半導体基板の裏面のレベルで、キャリア基板上および/またはキャリア基板内に少なくとも1つの電気的接触を含む電力部品に関する。
【0013】
最後に、本発明は、以下のステップを含む、上記の構造を製造するプロセスに関する。
【0014】
a)接合される自由面を有する単結晶半導体材料で作られる機能層を提供するステップと、
b)接合される自由面を有する半導体材料で作られるキャリア基板を提供するステップと、
c)機能層およびキャリア基板とオーミック接触を形成することができる金属材料から作られる膜を蒸着するステップであって、膜は、非酸化制御雰囲気下で、機能層の接合される自由面上および/またはキャリア基板の接合される自由面上に20nm以下の厚さを有し、
d)機能層およびキャリア基板の接合される自由面を、直接接合する動作を含む中間構造を形成するステップであって、中間構造は、それぞれに、非酸化制御雰囲気下で、ステップc)で蒸着した1つまたは複数の膜から由来する封入された膜を含み、
e)封入された膜を、機能層およびキャリア基板とオーミック接触を形成する導電性結節に分裂を引き起こすため、および界面領域を形成するために、中間構造を臨界温度以上の温度でアニーリングするステップ。
【0015】
本発明の他の有利、かつ、非限定的な特徴によれば、単独で、または技術的に実現可能な任意の組み合わせが採用される。
【0016】
・機能層およびキャリア基板は、同じ半導体材料で形成され、同一のドーピングタイプを有することと、
・ステップa)は、光種をドナー基板に注入して、ドナー基板の前面と、機能層を区切る埋め込まれた弱化面を形成する動作を含む製造プロセスと、
・ステップa)は、初期基板上にドナー層をエピタキシャルに成長させることによるドナー基板(1)の形成を含むことであって、ドナー層への注入は、後で行われ製造プロセスと、
・ステップd)は、ドナー基板およびキャリア基板を含む接合アセンブリを生じさせる直接接合の後に、埋め込まれた弱化面のレベルでの分離を含み、一方では、機能層、封入された膜およびキャリア基板を含む中間構造を形成するために、他方では、ドナー基板の残りを形成するための製造プロセスと、
・蒸着ステップc)の前に、機能層の接合される自由面および/またはキャリア基板の接合される自由面の脱酸のステップc')を含む製造プロセスと、
・ステップc)の蒸着およびステップd)の直接接合は、同一の装置内で1回に実施される製造プロセスと、
・ステップc)で蒸着した膜の厚さは、10nm以下、または5nm以下、または2nm以下である製造プロセスと、
・ステップc)およびd)は、真空中で行われる製造プロセスと、
・蒸着ステップc)は、スパッタリング技術を使用して、周囲温度で行われる製造プロセスと、
・機能層の半導体材料は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択される製造プロセスと、
・キャリア基板の半導体材料は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択され、単結晶、多結晶または非晶質構造を有する製造プロセスと、
・膜の金属材料は、タングステン、チタニウム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、コバルト、および銅の中から選択される製造プロセスと、
・臨界温度は、500℃~1800℃であって、臨界温度は、封入された膜の金属材料、および機能層およびキャリア基板の1つまたは複数の半導体材料の性質に応ずる製造プロセス。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図を参照して、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】本発明による構造を示す図である。
図2a】本発明による製造プロセスのステップを示す図である。
図2b】本発明による製造プロセスのステップを示す図である。
図2c】本発明による製造プロセスのステップを示す図である。
図2d】本発明による製造プロセスのステップを示す図である。
図2e】本発明による製造プロセスのステップを示す図である。
図3a】本発明による製造プロセスのステップの変形例を示す図である。
図3b】本発明による製造プロセスのステップの変形例を示す図である。
図3c】本発明による製造プロセスのステップの変形例を示す図である。
図3d】本発明による製造プロセスのステップの変形例を示す図である。
図4】本発明による構造上に形成された2つの電極を使用して測定された、印加電圧の関数としての電流曲線を示す図であり、電流の経路は、前記構造の界面領域を通過する。図4は、比較のために、バルク基板および本発明によらない接合構造の電流/電圧曲線も示す。
図5】界面領域の様々なレベルの抵抗率を得るために、本発明による構造の界面領域における結節の抵抗率および前記結節の範囲の程度に関するグラフを示す図である。
図6】中間構造の形成前に蒸着した金属材料で作られる膜の厚さに応じた界面の抵抗率の変化を示す電圧の関数としての電流のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明では、図中の同じ参照番号は、同じタイプの要素に使用され得る。これらの図は、概略図であり、わかりやすくするために、縮尺どおりでない。特に、z-軸に沿った層の厚さは、x-軸およびy-軸に沿った横方向の寸法に対して縮尺されず、互いに対する層の相対的な厚さは、図では考慮されない。
【0019】
本発明は、単結晶半導体材料で作られる機能層10、半導体材料で作られるキャリア基板30、および機能層10とキャリア基板30との間の界面領域20(図1)を含む半導体構造100に関する。機能層10と同様に、界面領域20は、主平面(x、y)に平行に延在する。
【0020】
有利には、マイクロエレクトロニクス分野における典型的な場合と同様に、半導体構造100は、円形ウエハの形態をとり、その直径は、100 mm~450mmであり、その総厚さは、典型的に300ミクロン~1000ミクロンである。この場合、キャリア基板30および機能層10もまた、そのような円形の形状をとることが理解される。ウエハの(円形の)前面100aおよび後面100bは、主平面(x、y)に平行に延在する。
【0021】
機能層10とキャリア基板30との間の垂直な電気伝導を可能にする多数のタイプの半導体構造100は、マイクロエレクトロニクス用途に関心を持たれ得る。したがって、機能層10およびキャリア基板30を構成する材料の性質は、大きく変化し得る。
例えば、機能層10の半導体材料は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択され得る。一般に、機能層10上の部品の生成は、前記層10が高い結晶質を示すことを必要とする。したがって、それは、品質グレード、タイプ、および対象アプリケーションに一致するドーピングレベルを有する単結晶であるように選択される。
さらに例として、キャリア基板30の半導体材料は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択され得る。それは好ましくは、本質的に経済的な理由からより低い品質レベル、および単結晶、多結晶または非晶質構造を示す。そのタイプおよびそのドーピングレベルは、対象アプリケーションに合わせて選択される。
【0022】
本発明による半導体構造100の界面領域20は、電気的に導電性結節21を含む点で注目に値する。これらの結節21のそれぞれは、機能層10およびキャリア基板30とオーミック接触を形成することができる金属材料を含む。限定するものではないが、結節21の金属材料は、タングステン、チタニウム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、コバルト、および銅の中から選択され得る。当業者に知られているように、これらの材料の全てが、機能層10および/またはキャリア基板30を形成することができると言及されている全ての半導体材料とオーミック接触を形成することができるわけではない。したがって、結節21の金属材料は、機能層10およびキャリア基板30の性質に応じて選択される。いくつかの特定の実施例は、さらに以下で説明する。
【0023】
界面領域20の結節21は、主平面(x、y)に垂直な軸zに沿って、低いかまたは非常に低い厚さをさらに示し、典型的には、30nm以下、20nm以下、10nm以下、または5nm以下である。
界面領域20に分布する結節21は、分離または接合されており、分離結節は、主に、機能層10がキャリア基板30と直接接触領域22によって、すなわち、機能層10の半導体材料とキャリア基板30の半導体材料との間に直接接合領域22によって、互いに分離されている。これらの領域22は、以下、直接接触領域22と呼ばれる。
潜在的に、半導体構造100のいくつかのケースでは、これらの接触領域22にナノメートル厚のキャビティが存在し得るが、キャビティは、接触領域22によって占有される主平面(x,y)の面積の20%未満、または10%未満、またはさらには5%未満を占める。また、それらの厚さは、結節21の厚さよりも小さい。
【0024】
本発明による半導体構造100は、その界面領域20を介して、機能層10とキャリア基板30との間の優れた導電性を保証する。特に、主平面(x、y)に実質的に平行な中央平面P内の界面領域20内に分布する結節21は、機能層10およびキャリア基板30とオーミック接触を確立し、非常に優れた導電体である金属材料によって少なくとも部分的に形成される。したがって、これらは、効果的な垂直電気伝導を可能にする。
分離結節21の間では、直接接触領域22は、潜在的に電気伝導を可能にし得るが、これは結節21よりも効果が低い。しかしながら、これらの直接接触領域22は、界面領域20の機械的連続性を確保し、機能層10とキャリア基板30との間に優れた機械的強度を提供する。したがって、機能層10の品質は、潜在的な空隙または界面欠陥によって影響を受けなく、前述のキャビティが存在する場合、機能層10の品質および機械的強度に悪影響を及ぼさない寸法および密度を有することに留意されたい。
【0025】
界面領域20の中央平面Pにおいて、結節10の範囲の程度は、典型的には、1%~70%、好ましくは10%~60%である。
【0026】
好ましくは、結節21は、0.1mΩcm2未満、または0.01mΩcm2以下の抵抗率を示す。Ωcm2単位の抵抗率は、これらの非常に低い厚さのため、結節21(またはより一般的には界面領域20)に対してここで使用される。
結節21の抵抗率は、結節21を形成する金属材料の抵抗率、結節21と機能層10との間の固有の接触抵抗、および結節21とキャリア基板30との間の固有の接触抵抗を含む。全体的な垂直抵抗を支配するのは、これらの接触抵抗である。したがって、表面抵抗率をΩcm2 で表すのは、理にかなっている。比接触抵抗は、機能層10およびキャリア基板30のそれぞれの材料の性質および/またはドーピングに応じて異なる場合がある。例として、4E15/cm3のN-型ドーピング(窒素またはリンドーパント)レベルを特徴とする炭化ケイ素(SiC)を有するニッケル(Ni)で作られる結節の比接触抵抗は、3mΩcm2程度であり、一方、1E19/cm3のN-型ドーピングレベルは、約0.003mΩcm2である。
【0027】
図5のグラフは、結節21の抵抗率および中央平面Pにおけるそれらの範囲の程度の関数として、界面領域20の抵抗率の変化を示す。上述したように、電力用途のための界面領域20の目標抵抗率は、1mΩcm2以下、または0.1mΩcm2以下である。
【0028】
1つの有利な実施形態によれば、機能層10およびキャリア基板30は、同じ半導体材料から形成され、同一ドーピングタイプを特徴とし、機能層10内および/または上で生成される部品と、構造100のキャリア基板30の裏面30b上で生成される部品および/または電極との間で効果的な垂直電気伝導を可能にする。
【0029】
第1の例によれば、本発明による半導体構造100は、高品質の単結晶炭化ケイ素で作られる機能層10を含み、高品質とは、典型的には、1cm2当たり1マイクロパイプ(MP)未満、1cm2当たり500未満の貫通らせん転位(TSD)、1cm2当たり5000未満の貫通刃状転位(TED)、1cm2当たり1000未満の基底面転位(BPD)、および1cm当たり1積層欠陥(SF)未満のSiCである。機能層10のSiCは、8×1018/cm3でのN-型ドーピングを特徴とする。また、半導体構造100は、20mΩcm程度の抵抗率を有するN-型ドーピングを特徴とする低品質の単結晶または多結晶炭化ケイ素で作られるキャリア基板30を含む。結節21は、タングステン(W)で作られており、それらは、5nm程度の厚さ、および15%~25%の間の範囲の程度を有し得る。そのような構造100の界面領域20の抵抗率は、0.05mohm.cm2の程度であり、すなわち、0.1mΩcm2以下である。
【0030】
第2の例によれば、本発明による半導体構造100は、1×1019/cm3でP-型ドーピングを特徴とする高品質の単結晶炭化ケイ素で作られる機能層10と、5×1019/cm3でP-型ドーピングを特徴とする低品質の単結晶または多結晶炭化ケイ素で作られるキャリア基板30とを含む。界面領域20の結節21は、チタニウム(Ti)で作られており、それは、6nm程度の厚さ、および30%~40%の程度の範囲を有する。そのような構造100の界面領域20の抵抗率は、1mΩcm2よりも低い。
【0031】
第3の例によれば、本発明による半導体構造100は、5×1019/cm3でN-型ドーピングを特徴とする高品質の単結晶炭化ケイ素で作られる機能層10、および5×1019/cm3でN-型ドーピングを特徴とする低品質の単結晶または多結晶炭化ケイ素で作られるキャリア基板30とを含む。結節21は、アルミニウム(Al)で作られており、それらは、3nm程度の厚さ、および5%~15%の程度の範囲を有する。そのような構造100の界面領域20の抵抗率は、1mΩcm2よりも低い。
【0032】
もちろん、この例のリストは、網羅的ではなく、本発明による多くの他の半導体構造100は、界面領域20について上述した条件を観察しながら、機能層10、結節21、およびキャリア基板30についての材料の様々な組み合わせに基づいて、生成され得る。
【0033】
特に、電力部品は、本発明による半導体構造100の機能層10上および/または機能層10内で生成され得る。これらの部品は、特に、半導体構造100の裏面100bのレベルで、キャリア基板30上および/またはキャリア基板30内に少なくとも1つの電気接触を含み得る。非限定的な例として、これらの電力部品は、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ、または受動部品(コンデンサ、インダクタなど)などを含み得る。
【0034】
本発明は、また、上述のような半導体構造100を生成するためのプロセスに関する。
【0035】
製造プロセスは、まず、単結晶半導体材料で作られる機能層10を提供するステップa)を含む(図2a)。このステップa)では、機能層10は、プロセスの後のステップで接合されることが意図されている自由面10aを有し、これは、前面10aとも呼ばれ、また、その前面10aと反対側の後面10bを有する。
【0036】
1つの有利な実施態様によれば、機能層10は、ドナー基板1からの表層の転写、特にスマートカットプロセスに基づく層転写から生じる。
したがって、ステップa)は、ドナー基板1の前面10aと、ドナー基板1の前面10aを区切る埋め込まれた弱化面11を形成するために、光種、例えば、水素、ヘリウム、またはこれらの2つの種の組み合わせをドナー基板1に注入する動作を含み得る(図3a)。
この実施態様の1つの変形形態によれば、ステップa)は、光種の注入の前に、初期基材上にドナー層1'をエピタキシャル成長させることによるドナー基材1の形成を含む(図3b)。この変異形態は、対象アプリケーションに必要な構造的および電気的特性を示すドナー層1'を形成することを可能にする。特に、優れた結晶質は、エピタキシーによって得ることができ、ドナー層1'のその場でのドーピングを正確に制御することができる。次いで、光種をドナー層1'に注入して、埋め込まれた弱化面11を形成する。
【0037】
あるいは、ステップa)で提供される機能層10は、もちろん、薄層を転写するための他の既知の技術を使用して形成されてもよい。
【0038】
次に、本発明による製造プロセスは、半導体材料で作られるキャリア基板30を提供するステップb)を含む(図2b)。キャリア基板30は、プロセスの後のステップで接合されることが意図される自由面30aを有し、これは、前面30aとも呼ばれ、また、後面30bを有する。
【0039】
半導体構造100の説明で上述したように、機能層10は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択される1つまたは複数の材料から形成されてもよく、キャリア基板30は、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ガリウム、およびゲルマニウムの中から選択される1つまたは複数の材料から形成されてもよく、好ましくは、単結晶、多結晶、または非晶質のいずれかに関わらず、より低品質である。
1つの特定の実施形態によれば、機能層10およびキャリア基板30は、同じ半導体材料から形成され、同一のドーピングタイプ(NまたはP)を特徴とする。
【0040】
次に、製造プロセスは、機能層10の接合される自由面10a上、またはキャリア基板30の接合される自由面30a上、または、図2cに示すように、接合される自由面10a、30aの両方上に金属材料で作られる膜2を蒸着させるステップc)を含む。金属材料は、機能層10およびキャリア基板30とのオーミック接触を形成するのに適しているために選択される。機能層10およびキャリア基板30の性質に応じて、タングステン、チタニウム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、コバルト、銅の以下の非限定的な材料のリストから選択され得る。
【0041】
膜2の厚さは、20nm以下、好ましくは10nm以下、または5nm以下である。例えば、蒸着された膜2は、0.5nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、8nm、10nmまたは15nmの厚さを有し得る。
膜2が自由面10a、30aの両方に蒸着されるとき、蒸着された厚さの合計、すなわち、自由面10a、30aのそれぞれに蒸着された膜2の厚さの合計は、好ましくは20nm以下、または10nm以下であることに留意されたい。蒸着された膜2の合計厚さは、プロセスの後のステップで膜を結節21に分裂できるようにするために、低く維持されなければならない。
【0042】
膜2は、非酸化制御雰囲気下で蒸着される。金属膜2は、いかなる酸化も受けないこと、または周囲の雰囲気からの汚染物質によって損傷されないことが重要である。典型的には、ステップc)における蒸着は、10-6Pa以下の高真空中で行われる。
蒸着される膜2の性質に応じて、ステップc)は、周囲温度または低温で、有利には、金属ターゲットを衝突するため、中性元素または蒸着金属中に残留する破壊的でない元素(Ar、Si、N等)を使用するスパッタリング蒸着技術によって実施される。
【0043】
1つの特定の実施態様によれば、本発明による製造プロセスは、蒸着ステップc)の前に、機能層10の接合される自由面および/またはキャリア基板30の接合される自由面30aの脱酸のステップc')を含む。このようなステップは、機能層10および/またはキャリア基板30の表面上に存在する任意の天然酸化物の除去を可能にし、これは、プロセスの後のステップにおいて金属材料とのオーミック接触の形成を促進する。脱酸は、湿式(例えば、HFで攻撃することによる除去)または乾式(還元雰囲気下での乾式エッチングまたはアニーリング)化学処理によって実施され得る。
【0044】
次に、製造プロセスは、中間構造150を形成するステップd)を含み、このステップは、接合界面15(図2d)において、それぞれ機能層10およびキャリア基板30の接合される自由面10a、30aを直接接合する動作を含む。
この直接接合は、好ましくは、非酸化制御雰囲気下で接合される面10a、30aを接触させることからなる分子接着による接合によって行われる。これは、この膜がキャリア基板30上にのみ蒸着されたときに、機能層10と膜2との間で直接接合すること、またはこの膜が機能層10上にのみ蒸着されたときに、キャリア基板30と膜2との間で直接接合すること、または、それらが機能層10上およびキャリア基板30上に蒸着されたときに、2つの膜2との間で直接接合することであり得る。
直接接合は、制御された雰囲気下、特に10-6Pa以下の高真空内で行うことが好ましい。
【0045】
有利には、ステップc)の蒸着およびステップd)の直接接合は、真空を中断することなく、その場で、またはマルチチャンバ装置内で、次々に行われる。例として、キヤノンのBV7000原子拡散接合装置が挙げられ、制御された雰囲気を維持しながら、金属蒸着および直接接合を連続的に行うことが可能である。
【0046】
図3a~3dに示す有利な実施態様を参照すると、機能層10の接合される自由面10aをキャリア基板30の接合される自由面30aに直接接合することを含むステップd)は、ドナー基板1、キャリア基板30、および接合界面15を含む接合アセンブリ200を生じさせる(図3c)。ステップd)は、一方では、機能層10、1つまたは複数の膜2およびキャリア基板30を含む中間構造150を形成するために、他方では、ドナー基板1''の残りを形成するために、埋め込まれた弱化面11のレベルでの分離をさらに含む(図3d)。このような分離は、注入された種によって作られるキャビティおよびマイクロクラックを埋め込み弱化層11内で成長させることができる熱処理中に実行され得る。分離は、また、スマートカットプロセスを参照して周知であるように、機械的応力を印加することによって、またはそれ以外の場合、熱応力と機械的応力の組み合わせを通じて実行されてもよい。
機能層10の分離面10bおよび/またはドナー基板1''の残りの分離面1''aの洗浄、平滑化、研磨またはエッチングの順序は、特に粗さ、欠陥密度、および他の汚染の点で良好な表面品質を回復するために実行され得る。
【0047】
プロセスの実施にかかわらず、ステップd)の完了時に、中間構造150は、機能層10の側面に前面10b、キャリア基板30の側面に裏面30b、および機能層10とキャリア基板30との間に封入された膜2'を有する。封入された膜2'は、この膜が接合される自由面10a、30aのうちの1つのみに蒸着された場合に膜2に対応するか、または機能層10およびキャリア基板30上にそれぞれ蒸着された両方の膜2に対応することに留意されたい。
【0048】
次に、本発明による製造プロセスは、中間構造150を臨界温度以上の温度でアニーリングして、封入された膜2'を導電性結節21に分裂して界面領域20を形成するステップe)を含む。ステップe)は、半導体構造100の形成をもたらす。
ここで、臨界温度とは、封入された膜2'の金属と、機能層10の半導体と、キャリア基板30の半導体との間のオーミック接触となる温度を指し、例えば、Al/Siペアの場合は、400℃~650℃、Ni/SiCペアの場合は、950℃~1100℃などである。さらに、臨界温度は、結節21の間の直接接触領域22の接合を可能にするのに十分に高くなければならない。
典型的には、金属材料の性質および半導体構造100の1つまたは複数の半導体材料の性質に応じて、500℃~1800℃である。
【0049】
この臨界温度を超えて、前記膜2'と接触する機能層10およびキャリア基板30の封入された膜2'および半導体表面を含むシステムは、封入された膜2'を結節21にクラスター化し、半導体表面とのオーミック接触を確立することによって、およびそれぞれ、機能層10の半導体表面とキャリア基板30の半導体表面との間に直接接触領域22を生成することによって、その表面エネルギーを最適化する。
【0050】
さらに、封入された膜2'は、非常に薄いため、低温または中温でのみ安定であることが知られている金属材料は、高温(900℃~1100℃)または非常に高温(1200℃~1800℃)での処理を受けることができる本発明による半導体構造100で使用されることができ、具体的には、それらが小さなサイズおよび非常に低い厚さの結節21にクラスタリングされるため、それらは、構造100、特に機能層10の劣化を引き起こさない。例えば、機能層10およびSiCから作られるキャリア基板30を含み、1600℃~1800℃の間の温度でエピタキシーを受けることを意図した構造100内のニッケルまたはチタニウムから作られる結節21の場合を参照することができる。
【0051】
したがって、上述の製造プロセスは、界面領域20を介して、機能層10とキャリア基板30との間に垂直電気伝導を提供する半導体構造100を得ることを可能にする。非常に薄い結節21は、主に金属でできており、したがって、非常に低い抵抗率を示す。さらに、分離結節21間の直接接触領域22の存在は、機能層10の機械的強度またはより一般的な信頼性、および/またはこの層上またはこの層内で生成される部品のいかなる問題も回避する。最後に、本発明は、金属膜2を介した接合に基づいているため、結節21が前記伝導を確保するので、異なる結晶性質を有する半導体材料の直接接合に関連する界面抵抗率の増加は、構造100における垂直電気伝導の問題ではない。
【0052】
例示的な実装:
ドナー基板1は、高品質の単結晶4HSiCで作られ、150mmの直径を有する。ドナー基板1は、約20mohm.cmの抵抗率を有するN-ドープされている。それは、5E16/cm2のドーズの水素イオン、および95keVのエネルギーで、「C」面である前面1aを介して注入される。注入深さの周りには、埋め込まれた弱化面11が画定され、ドナー基板1の前面10aとともに、機能層10の範囲を定める。
キャリア基板30は、ドナー基板1と同じ直径を有する、より低品質の単結晶4HSiCで作られる。それは、Nドープされており、約20mΩcmの抵抗率である。
2つの基板1、30は、粒子および他の表面汚染物質を除去するために、洗浄処理を受ける。この処理は、好ましくは、基板1、30の表面が酸化を受けないように(自然酸化物が存在しないように)選択される。
基板1、30は、第1の蒸着チャンバに導入され、直接接合装置に統合される。厚さ0.5nmのタングステン膜2は、基板1、30の前面10a、30a(接合される自由面)のそれぞれに、真空中、10-6Pa、および周囲温度で、スパッタリングによって蒸着される。
基板1、30は、ドナー基板1およびキャリア基板30上に、それぞれ、蒸着された膜2を直接接触させることにより、その前面10a、30aで接合されるように、第2の接合チャンバに導入される。接合チャンバ内の雰囲気は、蒸着チャンバ内の雰囲気と同じであり、これは、膜2の表面の任意の酸化または不動態化を防止する。
接合後、接合アセンブリ200は、接合界面15を介してキャリア基板30に接続されたドナー基板1と、2つの基板1、30の間に蒸着および埋設された2つの膜2から形成された封入された膜2'とを含む。封入された膜2'は、約1nmの厚さを有する。
接合アセンブリ200は、約900℃の温度で30分間、埋設された弱化面11で分離を引き起こすために熱処理を受ける。次に、得られるのは、それ自体がキャリア基板30上に配置された封入された膜2'上に配置された、500nmの厚さを有する機能層10を含む中間構造150である。機能層10の表面10bに十分なレベルの欠陥密度および粗さを回復させるように、洗浄および研磨処理を適用する。
最後に、1700℃で30分間アニールを中間構造150に適用し、中間構造150は、前もってその前面10b(中間構造150の機能層10の自由面10bでもある)上に保護層が設けられている。このアニールが完了すると、得られるのは、本発明による構造100であり、界面領域20が形成され、タングステンで作られる結節21は、機能層10とキャリア基板30との間の直接接触領域20によって分離され、20mΩcmの抵抗率を示すバルクSiC基板のものとほぼ同一の優れた垂直導電性を構造100に提供する。これは、2つの金属接触電極を含む単純な部品についての電圧I(V)の関数としての電流の曲線を示す図4のグラフにおいて明らかである。本発明による構造100の場合、I(V)測定は、電流の経路が界面領域20を通過する2つの電極で行われる。界面領域20は、0.1mΩcm2以下の抵抗率を有する。
この構造100内の結節21は、約5nmの厚さおよび約20nmの平均直径を有する。界面領域20の中央平面における結節21の範囲の程度は、約20 %である。
【0053】
図4のグラフは、比較として、「本発明に従わない接合」として、接合表面の重いドーピング(窒素注入)による直接SiC/SiC接合に基づく構造のI(V)曲線を示し、SiC基板は、前述の構造100内と同じ抵抗率を有する。本発明により提供される界面領域の抵抗率の改善は、図4において明らかである。
【0054】
上述のものと同じ実験条件下で、界面領域20の抵抗率は、2nm、または3nm程度の封入された膜2'の厚さでさらに低下し得ることが観察されている。図6は、0.4nm~2nmの範囲の封入された膜2'の厚さのI(V)曲線への影響を示し、2nmの厚さを有する封入された膜2'のI(V)曲線は、バルクSiC基材で得られたものに非常に近い。
【0055】
もちろん、本発明は、記載された実施形態および実施例に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、代替的な実施形態を導入することができる。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
図6
【国際調査報告】