(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】抗放射線覗き窓
(51)【国際特許分類】
G21F 7/03 20060101AFI20230720BHJP
G21F 7/00 20060101ALI20230720BHJP
G21F 1/02 20060101ALI20230720BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20230720BHJP
E06B 3/58 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
G21F7/03
G21F7/00
G21F1/02
E06B5/00 Z
E06B3/58 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500262
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2021068544
(87)【国際公開番号】W WO2022008461
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222139
【氏名又は名称】ルメール パクス
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】ルメール ピエール-マリー
【テーマコード(参考)】
2E016
2E239
【Fターム(参考)】
2E016AA04
2E016BA02
2E016CA01
2E016CC03
2E016DA06
2E016DB03
2E016DD01
2E239AC02
(57)【要約】
本発明は、ホットスペース(C)と呼ばれる電離放射線に曝される空間と、コールドスペース(C)と呼ばれる電離放射線に曝されない空間とを隔てる壁(P)に設けられた開口部(O)に嵌め込まれるように意図された抗放射線覗き窓(1)に関する。
この抗放射線覗き窓(1)は、透明な放射線防護材料で作られ、周囲取付けフレーム(3)と関連付けられるスクリーン(2)を備える。
本発明によれば、ジョイント構造(6)が、周囲取付けフレーム(3)のしゃくり周囲羽根(34)と、周囲スクリーン縁(2c)との間に位置決めされ、
透明な放射線防護材料から作られたスクリーン(2)の前方スクリーン面(2b)、ジョイント構造(6)の前方ジョイント面(6a)、及び前方ジョイント面(6a)の延長線上に延びる取付け用羽根(35)の外面(352)の少なくとも一部は、同一平面(A)内又は実質的に同一平面(A)内に位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットスペース(C)とよばれる電離放射線に曝される空間と、コールドスペース(F)とよばれる電離放射線に曝されない空間とを隔てる壁(P)に設けられた壁開口部(O)であって、前記ホットスペース(C)に向けられた前壁面(P1)と、前記コールドスペース(F)に向けられた後壁面(P2)と、前記前壁面(P1)及び前記後壁面(P2)を接続する開口部縁(P3)とによって範囲を定められた壁開口部(O)に嵌め込まれるように意図された抗放射線覗き窓(1)であって、
前記放射線覗き窓(1)は、前記コールドスペース(F)に向けられるように意図された後方スクリーン面(2a)と、前記ホットスペース(C)に向けられるように意図された前方スクリーン面(2b)と、周囲スクリーン縁(2C)とによって範囲を定められた、透明な放射線防護材料から作られたスクリーン(2)を備え、
透明な放射線防護材料から作られた前記スクリーン(2)は、前記壁開口部(O)の周囲に取り付けるための周囲取付けフレーム(3)と関連付けられている、抗放射線覗き窓(1)において、
前記周囲取付けフレーム(3)が、
- 前記後方スクリーン面(2a)の周囲が当接するように意図されたしゃくり当接羽根(33)と、
- 前記周囲スクリーン縁(2c)が対向して位置決めされるように意図されたしゃくり周囲羽根(34)であって、前記しゃくり周囲羽根(34)と前記周囲スクリーン縁(2c)との間に距離(d)が設けられている、しゃくり周囲羽根(34)と、
- 前記しゃくり周囲羽根(34)を延長する取付け用羽根(35)であって、前記前壁面(P1)に当接するように意図された内面(351)、及び反対側の外面(352)を備える、取付け用羽根(35)とを備え、
ジョイント構造(6)が、前記しゃくり周囲羽根(34)と前記周囲スクリーン縁(2c)との間に介在され、前記ジョイント構造(6)は、前記前方スクリーン面(2b)と前記取付け用羽根(35)との間に延びる前方ジョイント面(6a)を備え、
前記前方スクリーン面(2b)、前記前方ジョイント面(6a)、及び前記前方ジョイント面(6a)の延長線上に延びる前記取付け用羽根(35)の前記外面(352)の少なくとも一部が、同一平面(A)内又は実質的に同一平面(A)内に位置する、
ことを特徴とする、抗放射線覗き窓(1)。
【請求項2】
前記周囲取付けフレーム(3)が、一緒に組み立てられた非放射線防護材料から作られた複数の輪郭部分(3a、3b、3c及び3d)を備え、前記輪郭部分(3a、3b、3c及び3d)は、前記ホットスペース(C)と前記コールドスペース(F)との間の放射線防護の連続性を保証するように適合された、放射線防護材料から作られた追加インサート(7、8、9)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【請求項3】
前記取付け用羽根(35)の中又は上に追加された放射線防護材料から作られた少なくとも1つのインサート(7)と、前記しゃくり当接羽根(34)の中又は上に追加された放射線防護材料から作られた少なくとも1つのインサート(8、9)とを備えることを特徴とする、請求項2に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【請求項4】
前記周囲取付けフレーム(3)が、取付け用L字形部材(31)によってコーナーで2つずつ組み立てられた4つの輪郭部分(3a、3b、3c及び3d)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【請求項5】
前記取付け用羽根(35)の内面(351)が、前記前壁面(P1)と付着によって組み立てられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【請求項6】
前記取付け用羽根(35)の内面(351)が、両面接着材(5)を用いて前記前壁面(P1)と組み立てられることを特徴とする、請求項5に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【請求項7】
前記後方スクリーン面(2a)が、前記しゃくり当接羽根(33)と付着によって組み立てられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【請求項8】
前記後方スクリーン面(2a)が、両面接着材(4)を用いて前記しゃくり当接羽根(33)と組み立てられることを特徴とする、請求項7に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【請求項9】
前記ジョイント構造(6)が、樹脂、好ましくはエポキシ系樹脂からなることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【請求項10】
前記しゃくり周囲羽根(34)が、その平面で、及び前記取付け用羽根(35)とは反対側で、前記周囲取付けフレーム(3)を前記壁開口部(O)の前記開口部縁(P3)に取付けねじ(37)によって組み付けることを可能にするように適合された取付け延在部(36)によって延長されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗放射線覗き窓(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電離放射線に対する防護の技術分野に関するものである。
【0002】
特に本発明は、電離放射線に曝される空間(ホットスペースと呼ばれる)と電離放射線に曝されない空間(コールドスペースと呼ばれる)とを隔てる壁に設けられた開口部の周囲に取り付けられるように意図された抗放射線覗き窓(anti-radiation viewing port)に関する。
【背景技術】
【0003】
病院や診療所の診療科のなかには、電離放射線、特にX線下に外科的処置を行う1つ又は複数のIVR(画像下治療)(interventional radiology)室を有しているところもある。
【0004】
このような放射線室は、生物学的消毒を効率的且つ簡単に行うことができるように、滑らかな内面を有する壁によって囲まれている。
【0005】
また、これらの壁は、電離放射線(特にX線)に対する効果的な保護を保証するように適合されており、また、多くの場合、「覗き窓」とも呼ばれる少なくとも1つのウィンドウを備え、内部で行われるオペに対する外部からの視覚的アクセスを提供する。
【0006】
これらの抗放射線覗き窓は、ホットスペースとコールドスペースを隔てる壁に設けられた壁開口部に嵌め込まれ、透明な放射線防護材料で作られ、壁開口部の周囲に取り付けるための周囲フレームと関連付けられるスクリーンを備える。
【0007】
しかしながら、現在の覗き窓は、ホットスペース側に様々なしゃくり(rebate)、リブ又は溝があることが多く、それらの清掃や消毒を非常に複雑なものにしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
最先端技術の上記欠点を改善するために、本発明は、ホットスペースとよばれる電離放射線に曝される空間と、コールドスペースとよばれる電離放射線に曝されない空間とを隔てる壁に設けられた壁開口部であって、前記ホットスペースに向けられた前壁面と、前記コールドスペースに向けられた後壁面と、前記前壁面及び前記後壁面を接続する開口部縁とによって範囲を定められた壁開口部に嵌め込まれるように意図された抗放射線覗き窓であって、
前記抗放射線覗き窓は、前記コールドスペースに向けられるように意図された後方スクリーン面と、前記ホットスペースに向けられるように意図された前方スクリーン面と、周囲スクリーン縁とによって範囲を定められた、透明な放射線防護材料から作られたスクリーンを備え、
透明な放射線防護材料から作られた前記スクリーンは、前記壁開口部の周囲に取り付けるための周囲取付けフレームと関連付けられている、抗放射線覗き窓において、
前記周囲取付けフレームが、
- 前記後方スクリーン面の周囲が当接するように意図されたしゃくり当接羽根と、
- 前記周囲スクリーン縁が対向して位置決めされるように意図されたしゃくり周囲羽根であって、前記しゃくり周囲羽根と前記周囲スクリーン縁との間に距離が設けられている、しゃくり周囲羽根と、
- 前記しゃくり周囲羽根を延長する取付け用羽根であって、(a)前記前壁面に当接するように意図された内面、及び(b)反対側の外面を備える、取付け用羽根とを備え、
ジョイント構造が、前記しゃくり周囲羽根と前記周囲スクリーン縁との間に介在され、前記ジョイント構造は、前記前方スクリーン面と前記取付け用羽根との間に延びる前方ジョイント面を備え、
前記前方スクリーン面、前記前方ジョイント面、及び前記前方ジョイント面の延長線上に延びる前記取付け用羽根の前記外面の少なくとも一部が、同一平面内又は実質的に同一平面内に位置する、
ことを特徴とする、抗放射線覗き窓を提供する。
【0009】
このような抗放射線覗き窓の設計は、したがって、ホットスペース側に非常に平坦な表面を備え、その清掃及び消毒を容易にする。
【0010】
個別に又は全ての技術的に可能な組み合わせに従って取られる、本発明による抗放射線覗き窓のさらなる非限定的で有利な特徴は、以下の通りである:
- 周囲取付けフレームは、一緒に組み立てられた非放射線防護材料から作られた複数の輪郭部分を備え、前記輪郭部分は、前記ホットスペースと前記コールドスペースとの間の放射線防護の連続性を保証するように適合された、放射線防護材料から作られた追加インサートを備えている。好ましくは、抗放射線覗き窓は、したがって、(a)前記取付け用羽根の中又は上に追加された放射線防護材料から作られた少なくとも1つのインサート、及び(b)前記しゃくり当接羽根の中又は上に追加された放射線防護材料から作られた少なくとも1つのインサートを備える。
【0011】
このような構造により、コストと放射線防護品質の間の最適な妥協がもたらされる。
- 周囲取付けフレームは、取付け用L字形部材(attachment square)によってコーナーで2つずつ組み立てられた4つの輪郭部分を備える。
- 取付け用羽根の内面は、前記前壁面と付着によって、好ましくは両面接着材を用いて組み立てられる。
- 後方スクリーン面は、前記しゃくり当接羽根と付着によって、好ましくは両面接着材を用いて組み立てられる。
- ジョイント構造は、樹脂、好ましくはエポキシ系樹脂からなる。
- しゃくり周囲羽根は、その平面で、及び前記取付け用羽根とは反対側で、前記周囲取付けフレームを壁開口部の開口部縁に取付けねじによって組み付けることを可能にするように適合された取付け延在部によって延長される。
【0012】
明らかに、本発明の様々な特徴、代替形態及び実施形態は、互いに非適合的又は排他的でない限り、様々な組み合わせに従って互いに関連付けることができる。
【0013】
さらに、本発明の様々な他の特徴は、本発明の非限定的な実施形態を示す図面を参照してなされる添付の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による抗放射線覗き窓の可能な実施形態の概略正面図である。
【
図2】
図1に示される抗放射線覗き窓の側面図である。
【
図3】
図1の断面平面3-3に沿った抗放射線覗き窓の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~3に示す抗放射線覗き窓1は、ホットスペースC(電離放射線、例えばX線に曝される)とコールドスペースF(電離放射線に曝されない)とを隔てる壁Pに設けられた壁開口部Oに加えられる。
【0016】
壁Pは、放射線防護材料で作られた壁である。それはコンクリート製であってもよく、その厚さは100~300mmの間であり得る。
【0017】
抗放射線覗き窓1は、コールドスペースF側に位置する人がホットスペースCに視覚的にアクセスできるように適合されている。
【0018】
壁開口部Oは、ホットスペースCに向けられた前壁面P1と、コールドスペースFに向けられた後壁面P2と、前壁面P1及び後壁面P2を接続する開口部縁P3とによって範囲を定められる。ここで、前壁面P1と後壁面P2とは互いに平行に延在し、開口部縁P3は前壁面P1及び後壁面P2に対して垂直に延在する。
【0019】
抗放射線覗き窓1は、透明な放射線防護材料で作られたスクリーン2と、壁開口部Oの周囲に取り付けるための周囲取付けフレーム3とを備える。
【0020】
周囲取付けフレーム3は、透明な放射線防護材料で作られたスクリーン2の周囲に取り付けられる。
【0021】
放射線防護材料で作られたスクリーン2は、厚さ6~14mmの鉛ガラスで作られた中央層21を、厚さ2~4mmの2層の保護ガラス22、23で取り囲むことにより構成することができる。この2層の保護ガラス22、23は、鉛ガラスで作られた中央層21とともに組み立てられて、一緒に単一部品を形成する。
【0022】
この放射線防護材料から作られたスクリーン2は、コールドスペースF側に向けられるように意図された後方スクリーン面2aと、ホットスペースC側に向けられるように意図された前方スクリーン面2bと、周囲スクリーン縁2cとによって範囲を定められている。
【0023】
抗放射線覗き窓1はここでは概ね長方形の形状を有し、放射線防護材料で作られたスクリーン2も概ね長方形の形状を有し、周囲取付けフレーム3も同様である。
【0024】
周囲取付けフレーム3は、ねじ32によって取り付けられた取付け用L字形部材31によってコーナーで2つずつ組み立てられる4つの輪郭部分3a、3b、3c、3dを備える。対応するアセンブリは、45°の留め切りによって作ることができる。
【0025】
輪郭部分3a、3b、3c、3dは、同一の断面を有する。
【0026】
図3で分かるように、周囲取付けフレーム3の各輪郭部分3a、3b、3c、3dは、内側から外側へ向かって、しゃくり当接羽根33と、しゃくり当接羽根33から直角に延びるしゃくり周囲羽根34と、しゃくり周囲羽根34から直角に延びる取付け用羽根35とを備える。
【0027】
しゃくり当接羽根33としゃくり周囲羽根34は、放射線防護材料2で作られたスクリーンの周囲を受けるためのしゃくりを共に形成している。このため、後方スクリーン面2aの周囲境界はしゃくり当接羽根33に当接し、周囲スクリーン縁2cはしゃくり周囲羽根34に対向して、それらの間に空間又は距離dを保つことによって、適切な位置に来る。
【0028】
後方スクリーン面2aは、しゃくり当接羽根33に(より詳細には、後方スクリーン面2aの当接面を形成するしゃくり当接羽根33の面に)取り付けられる。この取付けは、好ましくは付着により行われ、同じく好ましくは両面接着材4により行われる。
【0029】
取付け用羽根35は、前方スクリーン面P1に当接する内面351と、反対側の外面352とを備える。取付け用羽根35の内面351は、前壁面P1に取り付けられる。この取付けは、好ましくは付着により行われ、同じく好ましくは両面接着材5により行われる。
【0030】
取付け用羽根35の外面352は、前方スクリーン面2bと同じ平面A(又は実質的に同じ平面A)にある(少なくとも前方スクリーン面2bの延長線上にあるこの外面352の部分について)。
【0031】
しゃくり周囲羽根34と周囲スクリーン縁2cとの間を隔てる空間又は距離dを埋めるために、ジョイント構造6が設けられる。このジョイント構造6は、前方スクリーン面2bと取付け用羽根35との間に延び、前述の平面A(又は実質的に平面A)内に位置する前方ジョイント面6aを備える。
【0032】
したがって、
図3から分かるように、前方スクリーン面2bと、前方ジョイント面6aと、前記前方ジョイント面6aの延長線上に延びる取付け用羽根35の外面352の少なくとも一部とは、同一平面A内、又は実質的に同一平面A内に位置している。
【0033】
このように、ホットスペースC側では、抗放射線覗き窓1は、清掃や消毒が非常に容易な平らな表面を有している。平面Aに対するレベル差、すなわち高さの差は、取付け用羽根35の周囲のみにあり、この取付け用羽根35の端部353の厚み(数mmのオーダー)に相当する。
【0034】
図3から分かるように、この取付け用羽根35の厚みは、端部の高さの差を最大限小さくするために、外側に向かってわずかに減少する。
【0035】
また、放射線防護材料で作られたスクリーン2をその受け入れ用しゃくり33、34に据え付ける際のセンタリングを容易にするために、周囲スクリーン縁2cはわずかな面取りと、前方スクリーン面2bから後方スクリーン面2aに向かうフレアとを有し得る。このようなフレアにより、周囲スクリーン縁2cとしゃくり周囲羽根34との間に、放射線防護材料で作られたスクリーン2の全周にわたって一定の距離(距離d)を確保することが可能になる。
【0036】
ジョイント構造6は、周囲スクリーン縁2cとしゃくり周囲羽根34との間に、両者間の距離d(又は空間)を埋めるように追加される。
【0037】
このジョイント構造6は、収縮することなく、或いは収縮しすぎることなく、経時的に硬化する能力を有するペースト状或いは半液体状の材料から作られると好ましい。
【0038】
例えば、樹脂が用いられ、好ましくは、エポキシ系の樹脂が用いられる。
【0039】
周囲取付けフレーム3を形成する輪郭部分3a、3b、3c、3dは、好ましくは非放射線防護材料(例えばアルミニウムなどの金属材料、プラスチック材料、又は複合材料)から作られ、これらの輪郭部分3a、3b、3c、3dは、ホットスペースCとコールドスペースFとの間の放射線防護の連続性を確実にするように適切に構造化及び位置決めされた、放射線防護材料から作られた1つ又は複数の追加インサート7、8、9を備える。特に、放射線防護材料で作られた追加インサート7、8、9は、開口部縁P3と周囲スクリーン縁2cとの間に位置する空間を放射線防護するように適合されている。
【0040】
当該インサートは、例えば、タングステン、鉛、タンタル、荷電化合物、又は、より一般的には、電離放射線を減衰させることができる任意の材料で作られてもよい。
【0041】
好ましくは、放射線防護材料で作られたこれらの追加インサートは、それらが装着される輪郭部分の厚さに完全に一体化される。
【0042】
この場合、
図3に見られるように、放射線防護材料から作られたインサート7は、取付け用羽根35の内面351の側に追加され、取付け用羽根35の前記内面351に開口するハウジング354内に配置される。この放射線防護材料から作られたインサート7は、ジョイント構造6に対向して位置するしゃくり周囲羽根34の面に可能な限り近接して延びている。
【0043】
一方、しゃくり当接羽根33に配置されたハウジング331、332には、放射線防護材料から作られる2つのインサート8、9がそれぞれ加えられる。放射線防護材料から作られる2つのインサート8、9は、放射線防護を最適化するために、互いに対して長手方向にオフセットされている。2つの受け入れハウジング331及び332は、輪郭部分3a、3b、3c及び3dの2つの端部で開口し、インサート8及び9は、スライドによってそこに位置決めされる。
【0044】
もちろん、代替の実施形態では、インサートの数及びそれらの位置は異なっていてもよい。
【0045】
別の代替実施形態によれば、周囲取付けフレーム3を構成する輪郭部分3a、3b、3c、3dは、放射線防護材料で作ることができる。
【0046】
図3において、しゃくり周囲羽根34は、周囲取付けフレーム3を壁開口部Oの開口部縁P3に組み付けることができるように適合された取付け延在部36によって延在できることが分かる。この取付け延在部36は、しゃくり周囲羽根34の平面内で、取付け用羽根35とは反対側に延在している。
【0047】
この壁開口部Oの開口部縁P3への組み付けは、取付けねじ37(そのうちの1つを
図3に点線で概略的に示す)によって行われる。
【0048】
周囲取付けフレーム3の内側に向けられた取付け延在部36の面には、取付けねじ37の位置決めを容易にするために、縦溝36aが配置されている。
【0049】
本発明による抗放射線覗き窓の構造は、IVR処置に必要な無菌性及び密閉性の要件を満たしている。
【国際調査報告】