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  • 特表-易破壊性生薬カプセル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】易破壊性生薬カプセル
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/11 20060101AFI20230721BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230721BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20230721BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61K8/11
A61K8/73
A61K8/365
A61K8/55
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/49
A61K8/92
A61K8/67
A61K8/36
A61K8/24
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549343
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 ES2021070112
(87)【国際公開番号】W WO2021165558
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】P202030143
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522324864
【氏名又は名称】フィンガークリック,エス.エル.
【住所又は居所原語表記】C/Cal Gabatx s/n Viver d’empreses nave 12 08520 Les Franqueses del Valles Spain
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】リバス ケル,マリア テレサ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス テヘーロ,ホセ マリア
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB031
4C083AB051
4C083AB171
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB271
4C083AB291
4C083AB321
4C083AB341
4C083AB361
4C083AB381
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC171
4C083AC241
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC421
4C083AC581
4C083AC611
4C083AC641
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD041
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD151
4C083AD191
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD261
4C083AD301
4C083AD302
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD371
4C083AD411
4C083AD431
4C083AD492
4C083AD611
4C083AD641
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB01
4C083BB11
4C083BB21
4C083BB23
4C083BB24
4C083BB42
4C083BB43
4C083BB44
4C083BB46
4C083BB47
4C083BB48
4C083CC02
4C083DD05
4C083DD14
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD28
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE07
4C083FF05
4C083FF06
(57)【要約】
本発明は化粧品の全般的な分野に属し、とりわけ、膜(2)に含まれる活性成分を放出するのに適切な膜(2)およびコア(3)を有する、化粧用用途と製薬用途の両方のための、易破壊性カプセル(1)およびその調製プロセスに関する。カプセル(1)は、優れた化学的および機械的安定性を有し、一旦皮膚に適用されると、縮小するか、または残留物を生成せず、同時に、膜(2)によってもたらされる何らかの残留性の痕跡は、吸収されるか、または皮膚によって吸収され得る。加えて、それらは、光と破壊に対して優れた安定性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
易破壊性カプセル(1)であって、前記カプセルの直径は少なくとも7mmであり、
前記カプセルの柔軟性は、前記カプセルの直径の最大20%であり;
前記カプセルの破裂強度は、12~25gf/cmであり;
前記カプセルは、コア(3)、および内側のコア(3)を囲む外側の膜(2)を含み、前記外側の膜(2)は、
前記膜の総重量に対して少なくとも20重量%の水と;
前記膜の総重量に対して、少なくとも0.2%のゲル化剤および少なくとも0.1%の化粧品として許容可能な賦形剤と;
カルシウム、マグネシウム、またはそれらの塩と;
任意選択で、前記膜(2)の総重量に対して少なくとも0.01%~10%の濃度にある活性成分と;
任意選択で、溶液中の濃度が0.01~5%の防腐剤とを含み、
ここで前記膜(2)の厚みは少なくとも150μmであることを特徴とする、易破壊性カプセル(1)。
【請求項2】
前記膜(2)の厚みは、少なくとも300μmである、請求項1に記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項3】
前記カルシウムの塩は、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、炭酸カルシウム、安息香酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ケトグルタル酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムおよびグリシン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、藻類由来のカラギーナンの誘導体、ポリグルタミン酸カルシウム・クロスポリマー、グリセロリン酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、ならびに/または、前記マグネシウムの塩は、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物、珪酸カルシウムマグネシウム、ドロマイト、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、グリセロリン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、マグネシウムPCA、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項4】
カルシウムおよびマグネシウムの量は、前記膜の総重量に対して少なくとも0.01%~3%の濃度にある、請求項1から3のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項5】
前記コア(3)は、化粧品組成物を含み、好ましくは、前記化粧品組成物は、前記コアの総重量の1~100%の範囲にある、請求項1から4のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項6】
前記コア(3)は、該コアの総重量に対して1%~98%の間の範囲で化粧品組成物を含む、請求項1から5のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項7】
前記化粧品組成物は、Prunus Amygdalus Dulcis、 Argania Spinosa、 Simmondsia Chinensis種油、 Camellia Oleifera種油、アロエ油、Citrus Nobilis果皮油、およびそれらの混合物からなる群から選択される、化粧品として許容可能な油である活性成分を含む、請求項1から6のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項8】
前記ゲル化剤は、0.2%~5%の間の範囲にあり、および、前記化粧品として許容可能な賦形剤は、0.2%~10%の間の範囲にあり、ともに、前記膜の総重量に対して測定される、請求項1から7のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項9】
前記カプセルの直径は、7mm~30mmの間の範囲にある、請求項1から8のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項10】
前記膜(2)における重量による水分量は、前記膜の総重量に対して40%~99.5%の間であり、好ましくは前記膜の総重量に対して60%~99.5%の間である、請求項1から9のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項11】
前記カプセル(1)の重量に対する前記膜(2)の重量パーセントは、5~30%の間であり、および/または、前記カプセル(1)の重量に対する前記コア(3)の重量パーセントは、70~95%の間の範囲にある、請求項1から10のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項12】
前記活性成分は、前記コア(3)の中にある、請求項1から11のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項13】
前記活性成分は、前記コア(3)の総重量に対して少なくとも0.01%~100%の濃度で前記コア(3)の中にある、請求項1から12のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項14】
前記活性成分は、前記コア(3)の中、および前記膜(1)の中にある、請求項1から13のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項15】
前記膜(2)の前記ゲル化剤は、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ジェランガム、アカシアガム、グアーガム、イナゴマメガム、スクレロティウムガム、加水分解カエサルピニアスピノサガム、キサンタンガム、セルロースガム、セルロースおよびセルロース誘導体、レッソニアニグレキシエンス粉末、寒天、コンドラスクリスパス、Kelco-Care デュータンガム、ジヒドロキシキサンタンガム、ビオサッカリドガム、ボスウェリアセラータガム、コロホニウム、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ガティガム、ヒマンタリアエロンガタ粉末、バクガデキストリン、マンニトール、メル粉末、キサンタンガム、プルラン、トレハロース、単糖類、二糖類、多糖類、ポリビニルピロリドン、カルボマー、アクリレート、ペクチン、ゼラチン、アストラガルス・ガム(Astragalusgum)、カシアガム、コメ、タピオカ、コムギ、およびトウモロコシのデンプン、ロジン、Sterculian Urensガム、シリカ、ウルバラクチュカ粉末、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から14のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項16】
前記膜(2)の前記ゲル化剤は、アルギニン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、バクガデキストリン、およびジェランガムからなる群から選択される、請求項1から15のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項17】
前記活性成分は、ヒアルロン酸およびその塩、ムコ多糖類、アロエベラ、バルバドスアロエの葉粉末または搾汁、およびアロエ植物搾汁、水性植物抽出物、油性植物抽出物;アミノ酸、ペプチド、およびタンパク質、ビタミン、ミネラル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から16のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項18】
前記コア、または前記化粧品として許容可能な賦形剤は、塩性、水性、アルコール性、および油性の溶液;油性外相、水性外相、およびシリコーン外相のエマルジョン;水性および油性のゲル;ならびに、粉末を形成するのに適切な、化粧品として許容可能な担体である、請求項1から17のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項19】
前記賦形剤は、防腐剤、染料、色素、増粘剤、ワックス、乳化剤、共乳化剤、シリコーン、有機オイル、鉱油、吸収剤、有機粉末、無機粉末、安定剤、界面活性剤、剥離粒子、リポソームなど、酸およびアルカリ、緩衝剤、塩、酸化防止剤、封鎖剤、保湿剤、てかり防止剤、天然および合成の日焼け止めからなる群から選択される、請求項1から18のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項20】
前記賦形剤は、防腐剤、可塑剤、増粘剤、シリコーン、安定剤、酸化防止剤、保湿剤、および界面活性剤からなる群から選択される、請求項1から19のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項21】
前記賦形剤は、プロパンジオール、グリセロール、分子量(Mn)400~2000の間のプロピレングリコール、分子量(Mn)400~4000のポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、およびトリアセチンからなる群から選択される、少なくとも1つの可塑剤である、請求項1から20のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項22】
賦形剤は、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、グリセリン大豆油、トコフェロール、グリコール、安息香酸およびリン酸塩類、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノールからなる群から選択される、少なくとも1つの防腐剤である、請求項1から21のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項23】
前記外側の膜(2)および/または前記内側のコア(3)は、
少なくとも1つの色素、および/または、
少なくとも1つの芳香剤、および/または、任意選択で、少なくとも1つの香味料をさらに含む、請求項1から22のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項24】
前記コア(3)に含有される化粧品製剤のタイプは、粉末、水性および油性のゲル、クリーム、軟膏、セラム、油、水性および油性のエマルジョン、水溶液、含水アルコール溶液、および油性溶液からなる群から選択される、請求項1から23のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項25】
前記膜(2)は、皮膚に擦り込むことによって崩壊し、一方で、前記膜の成分は皮膚によって吸収されるか、少なくとも85%吸収され、この両プロセスは25~150秒の間の総時間で生じる、請求項1から24のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項26】
両プロセスの時間は、好ましくは、25~120秒の間である、請求項1から25のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項27】
15~25℃の室温で少なくとも30週間、好ましくは14週間安定しているか、または、40℃の温度で12週間、好ましくは8週間安定している、請求項1から26のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)。
【請求項28】
a)少なくとも1つのゲル化剤、1つの賦形剤、および化粧品として許容可能な水を含む、混合物を提供する工程;
b)水相、少なくとも1つのカルシウム塩および/またはマグネシウム塩、任意選択で油と乳化剤を含む、第2の混合物を提供する工程;
c)工程b)の混合物を、工程a)に添加すると、工程b)の混合物が工程a)の混合物上に沈殿して固体または半固体の球体を形成するように、工程b)で得られた混合物を工程a)で得られた混合物に添加する工程;
d)工程c)で得られた球体を、水槽および/または油槽に添加する工程を含む、請求項1から27のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)を調製するための方法。
【請求項29】
a)少なくとも1つのゲル化剤、1つの賦形剤、および化粧品として許容可能な水を含む、混合物を提供する工程;
b)少なくとも1つの薬学的におよび/または化粧品として許容可能な賦形剤および/または活性成分を含む、第2の混合物を提供する工程であって、好ましくは、前記活性成分は、精油または脂肪酸である、工程;
c)二重壁の同心インジェクターを使用することにより、工程a)および工程b)の混合物を同時に混合して、工程a)および工程b)の成分を含む球状の化粧品組成物を提供する工程;
d)球体が形成されるまで、工程c)で得られた固体球状の化粧品組成物を、カルシウム塩またはマグネシウム塩を含む溶液に添加する工程、e)工程d)で得た前記固体球体を、水および/または油を含む槽に添加して球状の易破壊性カプセルを得る工程を含む、請求項1から27のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)を調製するための方法。
【請求項30】
前記二重壁の同心インジェクターは、工程c)において、工程a)および工程b)で得られた混合物の添加を行なうために、投入ホッパを含む、請求項29に記載の易破壊性カプセル(1)を調製するための方法。
【請求項31】
前記カルシウム塩および/または前記マグネシウム塩は、請求項3に記載の群から選択される、請求項28から30のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)を調製するための方法。
【請求項32】
前記カルシウムおよび/またはマグネシウム塩は、工程d)の水溶液中に添加され、ここで前記水溶液中のカルシウム塩と前記マグネシウム塩の濃度は、0.01重量%と5重量%との間である、請求項29から31のいずれか1つに記載の易破壊性カプセル(1)を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品の全般的な分野に属し、特に、易破壊性カプセル(1)であって、膜(2)およびコア(3)を有し、膜(2)に包含された活性成分を放出するのに適切な、化粧用の用途、および製薬の用途のための、易破壊性カプセル(1)およびその調製プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
膜(2)およびコア(3)によって形成されたカプセルは、社会的に周知である。サイズおよびそれらの内容によって、それらは様々な用途に役立つことが知られている。
【0003】
化粧品の分野において、皮膚への適用のための生成物を包含している様々なタイプのカプセルの用途は、広く普及してきた。これらのカプセルの商業用途において指摘される問題は、それらが不溶性の膜(2)を有し、その膜が皮膚に不便で不快な残留物を残すということである。
【0004】
膜(2)およびコア(3)を有するカプセルに加えて、ゲル化された物質を包含し、固体カプセルの形態にある他のタイプの化粧品があるが、当該固体カプセルは、消費者によって皮膚に適用された時に分裂し、場合によっては吸収されない痕跡を残し、消費者にとって不快な影響をももたらす。これらの硬カプセルはマイクロカプセルとして知られており、および、それらは、時間的な安定性を確かなものにするために、非常に注意深く選択された賦形剤および/または添加剤を使用することで対処されるべき安定性の問題、並びに、限られたサイズの問題を有する傾向がある。
【0005】
従って、7~30mmのより大きなサイズと優れた化学的および機械的安定性を有するカプセルであって、一旦皮膚に適用されると、縮小するか、または残留物を生成せず、同時に、膜(2)によってもたらされる何らかの残留性の痕跡は、吸収されるか、または皮膚によって吸収され得る、カプセルを提供することへのニーズがある。加えて、それらは、光と破壊に対して優れた安定性を有している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様は、当該技術分野の水準で記述されている技術的問題を解決する、球状か、本質的に球状のカプセルであって、7~30mmのサイズを有し、その膜(2)は、適当量の活性成分を収容することを可能にし、同時に、使用後にはどんな可視の残留性の痕跡も皮膚に残ることを防ぐ、カプセルを供給する。
【0007】
第1の態様のカプセル(1)は、膜(2)およびコア(3)を含む。また、任意選択で活性成分をコア(3)の中に入れてもよく、その結果、カプセルは、膜(2)の中に活性成分を含み、さらにコア(3)の中に別の活性成分を含むことができ、従って、同じカプセル内の一定の賦形剤の存在下で両立し難いかまたは不安定な2つの活性成分を収容することができる。
【0008】
本発明の範囲の全体にわたって、活性成分は薬学的にまたは化粧品として許容可能な活性成分を指す。
【0009】
第1の態様のカプセル、並びに膜(2)とコア(3)は、一回量カプセルとして適合され得る。該一回量カプセルは、皮膚に一旦適用されると可視の残留物を残さないであろう。
【0010】
第1の態様のカプセルは、消費者によって使用されてもよく、消費者はそれを皮膚に接触させ、適切な圧力を適用し、そして擦り込む。このことは、膜(2)と内側のコア(3)の成分を混合させ、何らの可視の痕跡も残すことなく、吸収されるか、または皮膚によって数秒で吸収され得る均質相を形成する。第1の態様のカプセルは、著しい力を加えることを必要とせずに、その内容を制御されたやり方において放出することを可能とするような、十分な柔軟性、並びに、時間的に十分な機械的および化学的安定性を有する。第1の態様のカプセルは、15~25℃の間の室温の保存条件下で少なくとも最長30か月安定している。
【0011】
加えて、カプセル(1)は15~25℃の間の室温の保存条件下で最長30か月の期間、優れた安定性を有する。
【0012】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、易破壊性カプセル(1)は、
カプセルの直径が少なくとも7mmであり、好ましくは、カプセルの直径が7~30mmであり;
カプセルの柔軟性が、カプセルの直径の最大20%であり、好ましくは、最大60%であり;
カプセルの破裂強度が、12~40gf/cmの間であり、好ましくは、破裂強度は、20~30gf/cmの間であり、より好ましくは、少なくとも25gf/cmであると考えられ;
前述のカプセルは、コア(3)と内側のコア(3)を囲む外側の膜(2)とを含み、
膜(2)は:
膜(2)の総重量に対して、少なくとも20重量%の水であって;好ましくは、膜(2)における重量による水分量は、膜(2)の総重量に対して40%~99.5%の間であり、より好ましくは60%~99.5%の間である、水と;
共に膜(2)の総重量に対して測定される、少なくとも0.2%のゲル化剤、および少なくとも0.1%の化粧品として許容可能な賦形剤と;
カルシウム、マグネシウム、またはそれらの塩と;
任意選択で、膜(2)の総重量に対して少なくとも0.01%~10%の濃度にある活性成分と;
任意選択で、溶液中の濃度が0.01~5%の防腐剤とを含むことを特徴とし、
ここで膜(2)の厚みは少なくとも150μm、好ましくは少なくとも300μmであることを特徴とする。
【0013】
用語「gf」は重量グラムを指す。
【0014】
カプセルが少なくとも15gf/cmの継続的な圧力によって皮膚に適用され、続いて擦り込まれる時、外側の膜(2)と内側のコア(3)は混合し、吸収されるか、および/または皮膚によって数秒で吸収される、均一な混合物をもたらし、皮膚を柔らかくするが、べたつかず、可視の残留物を残さない。
【0015】
好ましい実施形態では 、第1の態様の易破壊性カプセル(1)は、カプセル(1)の総重量に対して重量濃度で5~30%の間の、より好ましくは、10~25%の間の、膜(2)と、カプセル(1)の総重量に対して重量濃度で90~80%の間の、より好ましくは70~95%の間の、コアとを有する。第1の態様の、別の好ましい実施形態では、カプセル(1)は、コア(3)の重量に対する重量比が1:4~1:8の間の範囲にある膜(2)であって、好ましくは、1:4.5~1:6の間の範囲にある、膜(2)を含む。
【0016】
本発明では、易破壊性カプセルは、化粧品として、および/または薬学的に許容可能な活性成分を包含するように適合され、および対象の皮膚に対して使用および適用するための、カプセルを指す。
【0017】
本発明では、用語「可視の」残留物は、カプセル(1)の膜(2)の、崩壊して吸収されるか、または85%~100%が、好ましくは100%が、皮膚によって吸収される、能力を指す。従って、一旦皮膚に適用されると、知覚可能な残遺物は見られないことになる。
【0018】
本発明では、用語「柔軟性」は、カプセル(1)が対象の指によって押しつけられるか押しつぶされるとき、壊れることなく最初の形に戻り、およびそれらの特性を完全に維持する、膜(2)の能力を指す。
【0019】
本発明では、「化粧品組成物」は、少なくとも1つの活性成分および/または少なくとも化粧品として許容可能な賦形剤の混合物を指す。用語「化粧品として許容可能な賦形剤」は、薬学的に許容可能な賦形剤も含む。
【0020】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、易破壊性カプセル(1)のカルシウム塩は、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、炭酸カルシウム、安息香酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ケトグルタル酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、Akomarine(登録商標)PCA Complex、ポリグルタミン酸カルシウム・クロスポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態では、易破壊性カプセル(1)のマグネシウム塩は、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物、ケイ酸カルシウムマグネシウム、ドロマイト、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、グリセロリン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、マグネシウムPCA、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
第1の態様のカルシウムおよび/またはマグネシウムは、塩の形態で組込まれるためか、またはインサイチュで生成されるためかの、どちらかの理由で、塩の形態で存在し得る。カルシウム、マグネシウム、および/またはそれらの塩の存在は、膜(2)の形成および硬化、並びに、それらの直径が厚くなることを容易にする。同時に、それはカプセルを皮膚に正確に適用するために適切な柔軟性を提供する。好ましくは、必要な膜厚を得ることにおける制御の改善を支援するため、カルシウムの塩は、ケトグルタル酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムおよびグリシン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、カプセルは、カルシウムおよび/またはマグネシウム塩を含み、ここでカルシウムおよび/またはマグネシウムは、膜(2)の総重量に対して少なくとも0.01%~3%の濃度にある。好ましくは、カルシウムは、膜(2)の総重量に対して少なくとも0.02%~1%の濃度にある。
【0023】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、膜中のゲル化剤は、膜(2)の総重量に対して0.2%~5%の範囲にある。特定の実施形態では、ゲル化剤は、コアの中にもあり得る。好ましくは、本発明のゲル化剤は、アルギン酸ナトリウム、アルギニン、カラギーナン、ジェランガム、アカシアガム、グアーガム、イナゴマメガム(Ceratonia Siliquagum)、セルロースガム、セルロースと誘導体、レッソニアニグレキシエンス(Lessonia Nigrescens)粉末、寒天、コンドラスクリスパス(Chondrus Crispus)、コロホニウム(Colophonium)、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ガティガム、ヒマンタリアエロンガタ(Himanthalia elongata)粉末、バクガデキストリン、マンニトール、メル粉末、スクレロティウムガム(sclerotiumgum)、加水分解カエサルピニアスピノサガム(hydrolysed Caesalpinia Spinosagum)、キサンタンガム(Xanthangum)、プルラン、ポリビニルピロリドン(PVP)、トレハロースおよび単糖類全般、二糖類および多糖類、カルボマーおよびアクリレート、ペクチン、ゼラチン、アストラガルス・ガミファー・ガム(Astragalusgummifergum)、カシアガム、コメ、タピオカ、コムギ、トウモロコシのデンプン、レジン、Sterculian Urensgum、シリカ、Kelco-Careデュータンガム、ジヒドロキシキサンタンガム、ビオサッカリドガム(biosaccharidegum)、ボスウェリアセラータガム(Boswellia Serratagum)、ウルバラクチュカ(Ulva Lactuca)粉末、およびそれらの混合物から選択される。好ましくは、膜(2)のゲル化剤は、アルギニン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、バクガデキストリン、およびジェランガムからなる群から選択される。
【0024】
第1の態様の、別の特定の実施形態では、活性成分は、膜(2)の総重量に対して0.01%~10%の濃度で膜(2)中にある。
【0025】
第1の態様の、別の好ましい実施形態では、コア(3)は、水と、活性成分および/または賦形剤を含み得る化粧品組成物とを含む。好ましくは、活性成分の濃度は、存在する場合、コア(3)の総重量に対して0.01%~100%の、好ましくは、1%~98%の間の範囲にある。
【0026】
第1の態様の、別の特定の実施形態では、活性成分は、コア(3)の中、および膜(2)の中にある。このように、第1の態様の易破壊性カプセルは、調和不能な活性成分または賦形剤を含み、かつ放出することができる。
【0027】
第1の態様の、別の特定の実施形態では、活性成分は、化粧品活性成分および/または薬学的活性成分であり得る。好ましい実施形態では、活性成分は、ヒアルロン酸およびその塩;ビタミン、ミネラル、コラーゲン、レチノール、ムコ多糖類;Aloe vera、Aloe Barbadensisの葉搾汁粉末、アロエ植物搾汁;Morinda citrifoliaの葉などの水性植物抽出;ローズマリー、カレンデュラ(calendula)、アルニカ、カモミール、ニンジン、飽和または不飽和脂肪酸などの、油性植物抽出物;油、アミノ酸、ペプチド、およびタンパク質、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、コア(3)に含有される化粧品あるいは医薬製剤のタイプは、粉末、水性および油性のゲル、クリーム、軟膏、セラム、油、水性および油性のエマルジョン、水溶液、含水アルコール溶液、および油性溶液からなる群から選択される。
【0029】
本発明では、用語「賦形剤」は、担体および添加剤を指す。用語「担体」は、化粧品または医薬組成物の膜(2)とコア(3)両方の形成のために必要な特定成分を指す。用語「担体」は、化粧品が劣化するのを防ぐか、またはそれらの外観を改善し、安定した魅力的な製品の実現を支援する物質を指す。好ましくは、本発明の添加剤は、可塑剤、増粘剤、皮膚軟化剤、発泡剤、染料、色素、芳香剤、pHコントローラ、防腐剤、酸化防止剤、保湿剤、てかり防止剤、天然および合成の日焼け止めからなるリストから選択される。
【0030】
より好ましい実施形態では、賦形剤は、化粧品としておよび/または薬学的に許容可能な担体および/または添加剤である。別の好ましい実施形態では、化粧品として許容可能な賦形剤は、膜の総重量に対して0.2%~10%の間の範囲にある。
【0031】
本発明に係るコンテキストでは、 化粧品としておよび/または薬学的に許容可能な賦形剤は、活性成分を溶かすか、または混合すること、例えば、生理食塩水、水溶液、アルコール性溶液、および油性溶液;油性外相、水性外相、およびシリコーン外相のエマルジョン;水性および油性のゲル;および、粉末を形成することに適した、化粧品としておよび/または薬学的に許容可能な担体である。好ましくは、化粧品としておよび/または薬学的に許容可能な担体は、水、増粘剤、ワックス、界面活性剤、共乳化剤、シリコーン、有機オイル、鉱油、吸収剤、有機粉末、無機粉末、安定剤、剥離粒子、リポソーム、酸およびアルカリ緩衝剤および塩、封鎖剤からなる群から選択される。
【0032】
本発明の第1の態様の別の特定の実施形態では、賦形剤は、プロパンジオール、グリセロール、分子量(Mn)400~2000の間のプロピレングリコール、分子量(Mn)400~4000のポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、トリアセチンからなる群から選択される、少なくとも1つの可塑剤である。
【0033】
本発明の第1の態様の別の特定の実施形態では、易破壊性カプセル(1)のコア(3)は、Prunus Amygdalus Dulcis、Argania Spinosa、Simmondsia Chinensis種子油、Camellia Oleifera種子油、Citrus Nobilis果皮油、アロエ油、またはそれらの混合物からなる群から選択される、化粧品として許容可能な油を含む化粧品組成物を含み、および、膜(2)は、防腐剤、可塑剤、増粘剤、シリコーン、安定剤、酸化防止剤、保湿剤、および界面活性剤からなる群から選択される賦形剤を含み、ここでコアにおける化粧品組成物の濃度は、5~100%の範囲にあり得る。さらに好ましくは、賦形剤は、プロパンジオール、グリセロール、分子量(Mn)400~2000の間のプロピレングリコール、分子量(Mn)400~4000の間のポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、トリアセチンからなる群から選択される、少なくとも1つの可塑剤である。好ましくは、この特定の実施形態は、本発明の第3の態様のプロセスによって調製される。
【0034】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、膜(2)を調製するために使用される材料は、いかなる合成成分も組込まずに、すべて天然であり得る。
【0035】
本発明の第1の態様の別の特定の実施形態では、賦形剤は、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、トコフェロール、グリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、安息香酸およびリン酸塩、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノールなどからなる群から選択される、少なくとも1つの防腐剤である。
【0036】
第1の態様の特定の実施形態では、易破壊性カプセルは、外側の膜(2)および/または内側のコア(3)の中に:
少なくとも1つの染料;および/または、
少なくとも1つの芳香剤;および/または、
少なくとも1つのフレグランス、
および、任意選択で、少なくとも1つの香味料をさらに含む。
【0037】
第2の態様のプロセスは、逆球形化(reverse spherification)として知られる。
【0038】
本発明の第2の態様は、第1の態様の易破壊性カプセル(1)を得るための方法に関し、そのプロセスは、少なくとも以下の工程を含む:
a)少なくとも1つのゲル化剤、1つの賦形剤、および化粧品として許容可能な水を含む、混合物を提供する工程;
b)水相、好ましくは水、および少なくとも1つのカルシウム/マグネシウム塩、任意選択で油と乳化剤を含む、第2の混合物を提供する工程;
c)工程b)で得られた混合物を工程a)で得られた混合物に添加する工程であって、工程b)の混合物を、工程a)の混合物に添加し、工程b)の混合物が工程a)の混合物上に沈殿して固体または半固体の球体を形成するように行なわれる、工程;
d)工程c)で得られた球体を、少なくとも水および/または油を含む槽に加える工程。
【0039】
本発明では、用語「化粧品として許容可能な水」は、薬学的に許容可能な水も含み、および、蒸留水、脱塩水、または純水を指す。純水は予め濾過され、脱灰され、および殺菌されている。
【0040】
第3の態様のプロセスは、カプセル化による球形化として知られる。
【0041】
本発明の第3の態様は、第1の態様の易破壊性カプセル(1)を得るための、第2の態様の方法に対する代替的な方法に関し、そのプロセスは、少なくとも以下の工程を含む:
a)少なくとも1つのゲル化剤、1つの賦形剤、および化粧品として許容可能な水を含む、混合物を提供する工程;
b)少なくとも1つの薬学的におよび/または化粧品として許容可能な賦形剤および/または活性成分を含む、第2の混合物を提供する工程であって、好ましくは、活性成分は、精油または脂肪酸である、工程;
c)二重壁の同心インジェクターを使用することにより、工程a)および工程b)の混合物を同時に混合して、工程a)および工程b)の成分を含む球状の化粧品組成物を提供する工程。
d)球体が形成されるまで、工程c)で得られた球状の化粧品組成物を、カルシウムまたはマグネシウム塩を含む溶液に添加する工程。
e)工程d)で得た固体の球体を水および/または油を含む槽に添加して球状の易破壊性カプセルを得る工程。
【0042】
本発明の第3の態様の好ましい実施形態では、第1の態様の易破壊性カプセル(1)を調製する方法は、工程c)において、工程a)および工程b)で得られた混合物の添加分を投入するために、投入ホッパを含む、二重壁の同心インジェクターを使用することを含む。
【0043】
本発明の第2および第3の態様の好ましい実施形態では、カルシウムの塩は、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、炭酸カルシウム、安息香酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリコール酸カルシウム、ケトグルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、カルシウムPCA、リン酸カルシウム、ポリグルタミン酸カルシウム・クロスポリマー、硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、および、それらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、カルシウムの塩は、ケトグルタル酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
本発明の第3の態様の好ましい実施形態では、カルシウムおよび/またはマグネシウム塩は、水溶液中に添加され、ここで溶液中のカルシウムおよびマグネシウム塩の両方の合計濃度は、0.01重量%~5重量%である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本発明のカプセル(1)の構造を示し、ここで膜(2)および内側のコア(3)が見られる。
【実施例
【0046】
実施例1:第2の態様の方法の手段による、第1の態様の易破壊性カプセル(1)を調製するための組成物および方法。
【0047】
カプセル(1)の膜(2)の成分を 表1に示す。表2に記載される組成物に対応する化粧用の基剤から、内側のコア(3)を構成した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
第2の態様の易破壊性カプセル剤(1)を調製する方法
表1aの成分を、混合物Aとして参照される混合物が成形されるまで、30℃~40℃の間の温度で混合した。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
混合物Bは、表1bに従って調製され、セラムとも呼ばれる。混合物Bを調製すると直ちに、20℃~25℃の間の温度で、混合物Aに滴加した。
【0054】
カプセルが形成されるまで、15~45秒間、前工程で得られた混合物を休ませた。この時間の後、カプセル(1)を取り出し、20~25℃の温度の蒸留水が入った容器に添加し、ここで、反応が停止するまで1~10分間置き、そして、あらゆる望まれない成分をカプセル(1)から除去した。一旦カプセルを得ると、適切な媒質を含有している容器に保存し、そして、カプセルの所望の数が達成されるまで、上記プロセスを繰り返す。上記プロセスを完了するとすぐに、冷蔵庫などの暗く冷却された場所に前述の容器を保存した。
【0055】
実施例1のカプセルが、少なくとも3か月間、40℃の温度で安定していることを確認した。
【0056】
実施例1のカプセルには以下の特性があった:
破裂強度:25gf/cm
カプセル直径:10mm
柔軟性:カプセルの直径は、最大0.42cmまで(膜(2)の破壊までを限界として)拡張可能であり、従って、最大、その直径の400%以上拡大拡張可能である。
総重量:0.47g
コア(3)の重量:0.37g(79%)
膜(2)の重量:0.10g(21%)
膜(2)の厚み:550ミクロン
内容積:0.52ml(膜(2)を含む)/0.38ml(膜(2)を含まず)
【0057】
実施例2:カプセル、および発明の第2の態様のプロセスによるカプセル(1)2を調製する方法。
カプセル(1)2の膜(2)の成分は、表M2の中に示される。内側のコア(3)は表N1の成分、および量から構成された。
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
カプセル1(2)を調製するために、実施例1と同じ調製法に従った。そのようにするために、表2aの記載のとおり、混合物Aの成分を使用した。
【0061】
【表7】
【0062】
使用される混合物Bの成分は表1b(実施例1)に述べられているものと同じである。
【0063】
カプセル(1)2には以下の特性があった:
破裂強度:35のgf/cm
直径:10mm
柔軟性:カプセル(1)の直径は0.48cmまで拡張することができ(膜(2)の破壊までを限界として)、従ってその直径の480%まで。
全重量:0.49g
コア(3)の重量:0.37g(77%)
膜(2)の重量:0.12g(23%)
膜(2)の厚み:600ミクロン
内容積:0.52ml(膜(2)を含む)/0.37ml(膜(2)を含まず)
【0064】
実施例3:発明の第3の態様の方法の技術による、カプセル(1)3を調製する方法。
このプロセスでは、正確に滴加するために、対応するホッパを備えた二重壁の同心インジェクターの使用を必要とした。
【0065】
1-膜(2)
膜(2)カプセル3の膜(2)の成分は表M3に示される。
【0066】
【表8】
【0067】
2-コア(3)
実施例3のコアは複合的な化粧品油である。前記油の成分は表N3に記載される。
【0068】
【表9】
【0069】
本発明の第3の態様による、カプセル(1)3を調製するプロセス。
表M3の、カルシウム塩を除く、膜(2)の化合物を形成する部分を、30℃~40℃の間の温度で均一に混合した。これらの化合物を、下の表Mixture3aに表示する。
【0070】
【表10】
【0071】
混合物3aの成分を、均質な混合物を得るまで、20℃~25℃の間の温度範囲で混合した。続いて、それらを、二重壁の同心インジェクターの外部のチャンバーのホッパに置いた。そして、表N3の成分の混合物を、均質な混合物が得られるまで、20℃~25℃の間の温度で調製した。一旦N3の油を得ると、それを二重壁の同心インジェクターの内部のチャンバーに接続されているホッパに置いた。
【0072】
表Mixture3a、および表N3の成分を、槽Aにおいて、0.1cm~2cmの間の所定の高さから、インジェクターを用いて、同時に添加した。槽Aは、表4に記載のとおり、カルシウム塩の水溶液を含んでいる。試薬槽(槽A)の成分は表4に示される。
【0073】
【表11】
【0074】
前工程の内容物を、カプセル(1)を形成するまで、10~20秒間槽の中に置いた。この後、カプセル(1)を槽Aから取り出し、20~25℃の温度の蒸留水が入っている容器(槽B)に添加し、そこで反応させ、カプセル(1)が、他の不要な成分が無い状態で得られるようになるまで1~10分間放置した。一旦カプセルを得ると、それを適切な媒質を含んでいる容器に格納し、および所望の数のカプセルを得るまで、そのプロセスを繰り返す。
【0075】
一旦プロセスを終了すると、適切な制御を実行した。カプセルを、上述したように、個装する時まで安定させる温度および湿度条件の下で、適切な安定化媒質を含んでいる適切な容器に貯蔵した。
【0076】
カプセル3には以下の特性があった
破裂強度:32gf/cm
直径:10mm
柔軟性:カプセルの直径は最大6mmまで拡張することができる(膜(2)の破壊までの限界)。その直径の60%まで。
全重量:0.38g
コア(3)の重量:0.29g(75%)
膜(2)の重量:0.10g(25%)
膜(2)の厚み:500ミクロン
内容積:0.52ml(膜(2)を含む)/0.39ml(膜(2)を含まず)
【0077】
実施例4:第2の態様の調製の方法(逆エステル化)によって調製された、第1の態様の易破壊性カプセル(1)の組成物。
【0078】
【表12】
【0079】
【表13】
【0080】
INCINatural Mint Handgel Solution*は以下のものを含む:水、プロパンジオール、Aloe Barbadensis葉搾汁粉末、レウコノストック/ダイコン根発酵液。ベンジルアルコール、C13-15アルカン、デシルグルコシド、スクシノグリカン、ハッカ油、クエン酸、デヒドロ酢酸、インジゴ染料葉抽出物、雲母、酸化スズ、酸化チタン。
カプセル重量:0.28g。膜重量0.0477gおよびコア重量0.233g
破裂の強度:25gf/cm
【0081】
破裂強度はテクスチャーアナライザーによって測定することができる。
【0082】
破裂強度試験を実行するために、2mmのシリンダプローブを使用して、接触点における膜の破裂強度および/または圧縮ポイント(compression point)を求めた。カプセルをシリンダプローブの下方向に対して垂直に配し、該シリンダプローブは、一定の速さで試料を貫通して破壊した。テクスチャーアナライザーは、カプセルを破壊するのに必要な力を測定する。
【0083】
カプセル1、2、および3の安定性制御。
カプセルを調製すると直ちに、その安定性を求めた。そのために、異なる強度アッセイおよびエージング試験を実験室で行なった。
【0084】
様々な温度での安定性試験:これらの試験は、化粧品としての実施例1、2、および3のカプセルの安定性を測定した。安定性試験の期間は12~14週だった。
【0085】
室温:+18℃~+25℃の間
【0086】
目的:室温でのカプセルの安定性を評価すること
【0087】
室温での結果:カプセルは、いずれの場合においても、変化を示さなかった。
【0088】
目的:実時間にわたる温度での安定性を確かなものにするために、生成物を40℃のオーブン内で、加速度的に経年させること。温度は、12週または14週の期間、40℃で一定に維持した。
【0089】
結果:カプセルは、いかなるタイプの変化も示さなかった。色素(colour)の外部液体への流出も発生せず、そのことは、カプセルが研究のプロセス全体にわたって安定したままであったことを意味している。
【0090】
目的:+4℃、および+8℃の低温での生成物の安定性を試験すること。
結果:カプセルは、いかなるタイプの変化も示さなかった。
【0091】
光安定性試験:
目的:光試験は、最終梱包が透明または半透明である全ての生成物にとって必須である。以下の2つのタイプの光に対し、安定性または物理的外見の観点から、生成物の挙動に変化があるかを観察した。
a)自然光(直達日射のない)、および、
b)人工「蛍光」、商業用ビルで一般に見られるタイプの光。
【0092】
結果:カプセルは、いかなるタイプの変化も示さなかった。カプセルは、試験された2つのタイプの光に対して、安定した挙動を見せる。
【0093】
結論として、発明の第1の態様のカプセル、および第2と第3の態様から得られるカプセルは、破壊、テクスチャー、および用途試験に対して安定し、特に、18~25℃の室温で30週間後、好ましくは14週後、および/または、40℃の室温で12週後、好ましくは8週後も安定し、いかなるタイプの変質も観察されなかった。
【0094】
膜の構造的、および機械的安定性試験
膜が、時間の経過とともに、強いられた温度条件の下でも安定している場合、膜を指の圧迫で崩壊させ、コアと混合させることができなければならない。
【0095】
以下も分析する:
A - 圧力をかけた直後から生成物が単相を形成するような均質な混合物を得るまでの、膜とコアが溶解および混合する時間。
方法:
1.サンプルを手のひらに置く。
2.デジタルストップウォッチをスタートさせ、もう片方の手で、カプセル(1)を壊し、膜のフィルムが崩壊し、コアと共に単相の均質な混合物を形成するまで、その内容物を摩擦する。
3.デジタルストップウォッチを観察して、時間を測定する。(時間A)
時間Aは、5~25秒で、好ましくは15秒未満である。
B - 適用の後の皮膚上の作用時間;作用は、吸収であるか、あるいは、新しい相の賦形剤または活性成分に依存して、少なくとも85%の吸収、好ましくは100%の吸収であり得る。パートAの終わりに得た混合物は、通常の化粧品として、皮膚の所望のエリアに適用され、および皮膚が化粧品の意図される効果を示すまで待つことが必要である。ほとんどの場合、皮膚上に生成物の痕跡はなく、および生成物はべたつかない。デジタルストップウォッチを観測し時間を測定する。(時間B)
時間Bは、20~120秒、好ましくは20~60秒、より好ましくは20~40秒である。
これらの時間を合計すると、圧力をかけられた直後から生成物が単相を形成するような均質な混合物を得るまでの、膜とコアとの溶解および混合の時間である時間Aと、生成物が皮膚上の感覚(視覚と触覚)として、吸収される時間Bとの総和が得られることになる。合計時間(時間A+B)は、25~150秒、好ましくは25~85秒、より好ましくは25~45秒である。
図1
【国際調査報告】