(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】遠隔患者のスクリーニング及びトリアージのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
A61B5/00 101R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560270
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2020063329
(87)【国際公開番号】W WO2021201924
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515257368
【氏名又は名称】スリープ ナンバー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】サヤディ オミッド
(72)【発明者】
【氏名】ヤング スティーヴン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューウィット カール
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB02
4C117XB04
4C117XB11
4C117XB12
4C117XC11
4C117XD21
4C117XE13
4C117XE24
4C117XE26
4C117XE27
4C117XE29
4C117XE30
4C117XE52
4C117XG19
4C117XJ13
4C117XJ33
4C117XJ36
4C117XJ42
4C117XJ46
4C117XJ48
(57)【要約】
被験者の短期間のスクリーニング及びトリアージのためのシステムが、被験者が所有するスマートデバイスと、被験者にスクリーニング手順を開始するよう指示を与えて、スマートデバイス内に搭載されたセンサから取得されるセンサデータを記録するようにプログラムされたスマートデバイス上のアプリケーションと、を備え、当該アプリケーションには複数のスクリーニング手順がプログラムされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の少なくとも短期間のスクリーニング及びトリアージのためのシステムであって、
前記被験者が所有するスマートデバイスと、
前記スマートデバイス上に提供されるアプリケーションと、
を備え、
前記アプリケーションには、複数のスクリーニング手順がプログラムされており、
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、
前記被験者にスクリーニング手順を開始するよう指示を提供し、
前記スマートデバイス内に位置する1または複数のセンサから得られる短期間のセンサデータを記録し、
前記短期間のデータと、傾向データと、全体的な集団データと、を比較して、前記被験者のスクリーニング及びトリアージを行う
ように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記短期間のセンサデータを分析し、
長期間のスクリーニングから傾向データを取得し、
分析された短期間のセンサデータと、傾向データと、に基づいて状態を特定し、
前記特定された状態に応答して動作を実行する
ように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記動作は、
危機的な状態に対して可聴トーンを生成すること、
危機的な状態に対してクラウドエンティティにメッセージを送信すること、
前記被験者ではないエンティティに、前記センサデータ及び前記特定された状態を送信すること、
のうちの1または複数を含む
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記特定された状態に応答して前記傾向データを生成するべく長期間のスクリーニングを開始する
ように構成されており、
長期間のスクリーニングシステムが、前記被験者が載置される基板に近接して設置された1または複数のセンサを含み、
各センサは、前記基板に対する前記被験者の動作から機械的振動を捕捉するように構成されており、
前記機械的振動は、前記被験者の生体信号情報を示す
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記長期間のスクリーニングシステムは、更に、前記短期間のセンサデータ及び前記特定された状態にアクセスするように構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記特定された状態に応答して更なる短期間のスクリーニングを開始する
ように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記被験者の心臓情報を分析し、
前記心臓情報から心拍のリズム及びレート情報を決定し、
前記心拍のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、
心臓症状の発症または進行を特定する
ように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記被験者の呼吸情報を分析し、
前記呼吸情報から呼吸のリズム及びレート情報を決定し、
前記呼吸のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、
呼吸症状の発症または進行を特定する
ように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記被験者の咳情報を分析し、
前記咳情報から咳のリズム及びレート情報を決定し、
前記咳のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、
咳症状または呼吸流の発症または進行を特定する
ように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
ように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記状態の重症度または進行度を決定する
ように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記スマートデバイスは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、荷重センサ、重量センサ、力センサ、運動センサ、マイク、または、振動センサ、のうちの1または複数を有する、携帯電話、タブレット、スマートウォッチ、または、アクセサリー、のうちの1つである
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記スクリーニング手順は、
前記被験者がある姿勢になるという指示と、
規定された時間だけ当該姿勢に留まるという指示と、
前記スマートデバイスを前記被験者の身体上の1または複数の位置に置くという指示と、
を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
被験者のスクリーニング及びトリアージのためのシステムであって、
アプリケーションが設けられたスマートデバイスと、
複数のセンサが配備された基板と、
前記センサに接続されたプロセッサと、
を備え、
前記スマートデバイスは、集約的に、
被験者にスクリーニング手順を開始するよう指示し、
前記スマートデバイス内に位置する少なくとも1つのセンサから取得される短期間のセンサデータを記録し、及び、
前記短期間のセンサデータ及び得られる傾向データから状態を特定する
ように構成されており、
前記基板の前記複数のセンサは、当該基板に対する前記被験者の動作から機械的振動を捕捉するように構成されており、
前記機械的振動は、前記被験者の生体信号情報を示しており、
前記プロセッサは、
前記スマートデバイスによって特定された状態に応答して、前記複数のセンサからのセンサデータを捕捉し、
前記複数のセンサから捕捉された前記センサデータと、得られた短期間のセンサデータと、から状態を特定し、
前記特定された状態に基づいて動作を実行する
ように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記短期間のセンサデータを分析し、
前記プロセッサに関連付けられたストレージから傾向データを取得し、
前記スマートデバイスによって特定された状態に応答して動作を実行する
ように構成されている請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記短期間のセンサデータを傾向データの分析用のエンティティに転送し、
分析結果を取得し、
前記エンティティによって特定された状態に応答して動作を実行する
ように構成されている請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記スマートデバイスによって特定された状態に応答する前記動作、または、前記エンティティによって特定された状態に応答する動作は、
危機的な状態に対して可聴トーンを生成すること、
危機的な状態に対してクラウドエンティティにメッセージを送信すること、
前記被験者ではないエンティティに、前記短期間のセンサデータ及び前記特定された状態を送信すること、
のうちの1または複数を含む
ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記スマートデバイスによって特定された状態に応答して更なるスマートデバイスによるスクリーニングを開始する
ように構成されている
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、
前記被験者の心臓情報を分析し、前記心臓情報から心拍のリズム及びレート情報を決定し、前記心拍のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、心臓症状の発症または進行を特定するように構成されているか、
前記被験者の呼吸情報を分析し、前記呼吸情報から呼吸のリズム及びレート情報を決定し、前記呼吸のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、呼吸症状の発症または進行を特定するように構成されているか、あるいは、
前記被験者の咳情報を分析し、前記咳情報から咳のリズム及びレート情報を決定し、前記咳のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、咳症状または呼吸流の発症または進行を特定するように構成されている
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
被験者の少なくとも短期間のスクリーニング及びトリアージのための方法であって、
被験者に、スマートデバイスを介して、スクリーニング手順を開始するよう指示する工程と、
前記被験者が前記スクリーニング手順に従う時に、前記スマートデバイス上のセンサによって、前記被験者から短期間のセンサデータを記録する工程と、
前記短期間のセンサデータを分析する工程と、
長期間のスクリーニング装置から傾向データを取得する工程と、
分析された短期間のセンサデータと、前記傾向データと、に基づいて被験者の状態を特定する工程と、
特定された状態に応答して動作を実行する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項21】
特定された状態に応答して、前記長期間のスクリーニング装置においてセンサデータの捕捉を開始する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
長期間のスクリーニング装置によるセンサデータを分析する工程と、
前記スマートデバイスのデータを取得する工程と、
分析された長期間のスクリーニング装置によるセンサデータと、全体的な集団データと、前記短期間のセンサデータと、に基づいて被験者の状態を特定する工程と、
長期間のスクリーニング装置によって特定された状態に応答して動作を実行する工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
短期間のセンサデータ、スマートデバイスによって特定された状態、長期間のスクリーニング装置によるセンサデータ、及び、長期間のスクリーニング装置によって特定された状態を、それぞれ、前記被験者ではない少なくとも1つのエンティティに送信する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記特定された状態に応答して更なるスマートデバイスによるスクリーニングを開始する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非限定的な例である、被験者モニタリング、心臓モニタリング、及び呼吸モニタリング、といった遠隔の生体信号モニタリングに関する。より具体的には、本開示は、疾患の症状、細菌またはウイルス感染、心臓関連の合併症、または、呼吸器関連の合併症、を例として、短期間及び長期間の患者スクリーニングのためのシステム及び方法に関する。本開示は更に、そのようなシステムを使用して患者をトリアージし、更なる評価のためのリスクレベル及び優先順位を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感染症や心肺合併症の症状を示す可能性のある患者の、モニタリング、診断、評価には、診療所や病院への訪問が求められている。このプロセスには、臨床チーム及び一般公衆への曝露の増大というリスクがあり、危機またはパンデミックの際に、入院患者についての病院システムの容量を過負荷にし得る。更に、戦場の兵士は、近くに介護者がいない可能性もある。現在、既存の医療インフラストラクチャにとって、モニタリングを必要とする患者が多過ぎるという状況にあるが、介護者への物理的アクセス無しで簡単に使用または展開され得るような、大容量の正確な遠隔モニタリングツールは存在していない。また、永続的な状態とは異なり、突然または断続的に発症する発作状態は、即時に且つ継続的に使用され得る在宅スクリーニングソリューションを必要としている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示されるのは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、荷重センサ、重量センサ、力センサ、運動センサ、または振動センサなどの、光学的センサ、音響センサ、無線センサ、等を使用して、身体の機械的振動並びに心臓及び肺の生理学的運動を捕捉し、それらを、疾患状態のスクリーニングと特定とに使用され得る生体信号情報に変換する、というシステムである。ここで提示されるシステム及び方法は、合併症または状態の症状を経験している時点の被験者によって使用され得て、あるいは、遠隔医療アプリケーションで医師によって指示を受ける時に使用され得る。
【0004】
当該システムは、短期間及び長期間のスクリーニングに使用される。短期間のスクリーニングシステムは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力、荷重、重量、力、運動または振動などの、身体、心臓及び肺の機械的振動を捉えることができる1または複数のセンサを有する、携帯電話、タブレット、ウェアラブル時計、または、患者が利用できる任意のアクセサリー、を含み得る。このような装置は、胸部、腹部、側部、背部等への載置を含むがこれらに限定されない、心臓や肺などの身体の生理学的源の近くに載置され得る。長期間のスクリーニングシステムは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力、荷重、重量、力、運動または振動などの、身体、心臓及び肺の機械的振動を捕らえることができるベッドの脚部内または脚部下へ設置可能なセンサを含み得る。短期間のスクリーニングは、限られた時間(数秒から数分)の検査を目的としている一方、長期間のスクリーニングは、任意の時間(数秒、数分、数日、数ヶ月など)継続して使用され得る。短期間及び長期間のスクリーニングシステムは、独立して動作し得て、あるいは、同期して一体となって動作し得て、例えば、被験者の履歴の(過去の)傾向データまたはベースラインデータ等のデータを交換し得る。
【0005】
当該システムは、緊急度の評価に役立つ患者トリアージツールとして使用され得る。当該システムは、患者の状態をスクリーニングして評価することを可能にするスマートフォンアプリのインストールを含み得る。
【0006】
本開示は、添付の図面と併せて読まれる時、以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的な慣例によって、図面の様々な特徴は縮尺通りではないことが強調される。逆に、様々な機能の寸法は、明確化のため、任意に拡大または縮小されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1A乃至1Dは、本明細書に開示される、被験者のスマートデバイスを使用した、短期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的なシステムを示す。
【
図1B】
図1A乃至1Dは、本明細書に開示される、被験者のスマートデバイスを使用した、短期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的なシステムを示す。
【
図1C】
図1A乃至1Dは、本明細書に開示される、被験者のスマートデバイスを使用した、短期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的なシステムを示す。
【
図1D】
図1A乃至1Dは、本明細書に開示される、被験者のスマートデバイスを使用した、短期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的なシステムを示す。
【0008】
【
図1E】
図1Eは、本明細書に開示される、被験者のスマートデバイスを使用した、短期間のスクリーニング中に記録されるデータストリームのセットである。
【0009】
【
図2A】
図2Aは、本明細書に開示される、短期間のスクリーニング及びトリアージのための別の例示的なシステムのフロー図である。
【0010】
【
図2B】
図2Bは、本明細書に開示される、短期間及び長期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的なシステムのフロー図である。
【0011】
【
図2C】
図2Cは、短期間及び長期間のスクリーニング及びトリアージを実行するためのシステムアーキテクチャである。
【0012】
【
図3】
図3は、センサデータを収集するための例示的なプロセスのフロー図である。
【0013】
【
図4】
図4は、センサデータの短期間の分析のための例示的なプロセスのフロー図である。
【0014】
【
図5】
図5は、短期間の心臓系解析のための例示的な処理のフロー図である。
【0015】
【
図6】
図6は、短期間の呼吸器系解析のための例示的なプロセスのフロー図である。
【0016】
【
図7】
図7は、短期間の咳分析のための例示的なプロセスのフロー図である。
【0017】
【
図8】
図8は、機械学習分類子に基づく短期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的なプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
リモートスクリーニング手順を展開し、そのようなシステムからのセンサデータを使用して被験者の健康状態をトリアージする方法が、開示される。幾つかの実装において、システムは、被験者の心臓情報を分析し得て、心臓のリズム、形態、及びレート情報を決定し得る。心臓のリズム、形態、及びレート情報が、心房細動、心房粗動、心室細動、心室粗動、脚ブロック、弁狭窄、心筋虚血、上室性頻脈などの心臓症状の開始または悪化を特定するために利用され得る。幾つかの実施において、システムは、被験者の呼吸情報を分析し得て、呼吸のリズム及びレート情報を決定し得る。呼吸のリズム及びレート情報が、息切れ、無呼吸または呼吸低下などの呼吸症状の開始または悪化を特定するために利用され得る。幾つかの実装において、システムは、被験者の咳情報を分析し得て、咳のリズム及びレート情報を決定し得る。咳のリズム及びレート情報が、喘鳴、ラ音、いびき、ロンカイなどの咳症状または呼吸流の開始または悪化を特定するために利用され得る。システムは、状態(症状)の重症度、及び/または、状態(症状)の変化及び傾向を判定(決定)し得る。システムは、遠隔スクリーニングレポートを生成し得る。システムは、データを収集し得る。生成されるレポートは、記憶され得て、医師に送信され得て、医師によってレビューのためにアクセスされ得て、あるいは、AI技術を使用して分析され得る。
【0019】
幾つかの実装形態では、当該スクリーニングシステムが、細菌またはウイルス感染に対する身体の反応をモニタリング(監視)するために利用され得る。特に、センサデータは、体温の上昇に直接的または間接的に関連し得る症状をモニタリングするために利用され得る。このような症状は、呼吸の流れ及び深さ、呼吸数、心拍数、心拍変動、動き及び動揺、体重、体液貯留(状態)、の変化を含み得る。当該システムは、更に、患者のベースラインを作成し得て、これらの変化を経時的に継続的に追跡して特定し得て、患者が自分の体の免疫システム反応を認識することを助け得て、患者または介護者が病状をモニタリングすることを可能にし得る。
【0020】
幾つかの実装形態では、当該スクリーニングシステムは、人工呼吸器と組み合わせて使用され得て、当該人工呼吸器の有効性を遠隔でモニタリングし得る。更に、当該システムは、他のセンサと共にデータハブとして使用され得て、パルス酸素濃度計、体温計、血圧計、または、他のセンサからのローカルデータをクラウドに中継し得て、これらの付加的なセンサの遠隔モニタリングを可能にし得て、スクリーニングを強化し得る。
【0021】
幾つかの実装形態では、当該システムは、患者と通信するための双方向のオーディオ、テキスト、及びビデオを含む。
【0022】
幾つかの実装形態では、当該スクリーニングシステムはまた、心血管指標及び自律神経指標をスクリーニングするために利用され得る。例えば、当該システムは、家庭でのストレステストに利用され得て、その場合、センサデータが、心拍変動の指標をモニタリングして、動的な自律神経調節または心拍数回復を定量化するために利用され得る。
【0023】
幾つかの実装形態では、当該システムは、バイタルの分析に基づいてイベントを作成するために利用され得る。当該イベントは、危機的な状態のためにクラウドに送信される可聴音またはメッセージであり得る。幾つかの実装形態では、当該システムは、短期間のモニタリングシステムと長期間のモニタリングシステムとの間のデータ収束を可能にして、例えば、あるシステムが他のシステムによって収集された履歴データを使用し得て、ベースラインを確立したり、あるいは、そのような情報を使用して病気の進行や状態の悪化を判定し得る。
【0024】
幾つかの実装形態では、追加のベッドベースのセンサデータが組み合わされ得て、コモンモードまたは他のノイズ源を除去または相殺し得る。モバイルのデータ取得センサは、固定位置を有する他のモニタリングシステムと組み合わせて使用され得て、データモニタリングの様々なソースからのデータが組み合わされ得て、誰かが移動している時の全体のモニタリング範囲を増大させ得る。
【0025】
図1A乃至1Dは、被験者のスマートデバイスを使用した、短期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的なシステムを示す。
図1Aは、被験者のスマートデバイスを使用するスクリーニング及びトリアージシステムを使用するための例示的な方法100のフローチャートである。幾つかの実装形態において、スマートデバイスは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、荷重センサ、重量センサ、力センサ、運動センサ、または振動センサなどの、身体、心臓及び肺の機械的振動を捉えることができる1または複数のセンサを有する、携帯電話、タブレット、ウェアラブル時計、または、被験者が利用可能な任意のアクセサリー、を含み得る。これらの図は、非限定的な例として、携帯電話を示している。
【0026】
スクリーニングの開始は、病気または状態の症状の開始によってトリガーされ得る(例えば、被験者の気分が悪い場合)、あるいは、医師の要求に従って始動され得る(101)。被験者は、スクリーニングの指示を受ける(102)。幾つかの実装形態では、当該支持は、医師によって与えられ得る。幾つかの実装形態では、当該指示は、スマートフォンまたは他のモバイルデバイス上にインストールされたアプリ(アプリケーション)によって提供され得る。指示は、条件ごとに固有であり、したがって、感染症用のスクリーニング手順は、心臓病用のスクリーニング手順とは異なり得る。
図1B乃至
図1Dは、当該アプリが被験者にスクリーニング手順を実行するように指示するスクリーニング指示の例である(103)。幾つかの実装形態において、当該アプリは被験者に、
図1Bに示されるように、ベッドに横たわって所定の時間じっとしているように指示し得る(時間を表示するため、またはカウントダウン音を再生するため、カウンタが使用され得る)。幾つかの実装形態では、当該アプリは、
図1Cに示されるように、携帯電話を胸の上の様々な位置に載置するよう被験者に指示し得る。幾つかの実装形態では、当該アプリは、
図1Dに示されるように、被験者に横向きになるように指示することができる。幾つかの実装形態では、例えば、背中、胃、腹部などへの他の配置が可能である。当該アプリは、センサデータを記録し、センサデータを分析し(104)、ヘルスレポートを生成する(105)。幾つかの実装形態では、当該レポートは、例えば心拍数、呼吸数、心拍変動等の生理学的測定値を含み得る。幾つかの実装形態では、当該レポートは、特定された問題または疑わしい問題のリスト、及び、緊急度(重大度レベル)を更に含み得る。幾つかの実装形態では、当該アプリは、医師や介護者にデータを送信し得て、同一または異なるシステムを用いたフォローアップ検査を提案し得る。
【0027】
図1Eは、被験者のスマートデバイスを使用した、短期間のスクリーニング中に記録されるデータストリームのグラフである。
図1Eは、被験者がベッドに横たわり、スマートフォンが胸に置かれ(
図1Bに示すように)、スマートウォッチが手首に装着された時の例示的なデータストリームを示している。携帯電話の加速度計からのデータストリーム(X、Y、Z)が、上部パネルにプロットされている。スマートウォッチの加速度計からのデータストリーム(X、Y、Z)が、中央パネルにプロットされている。携帯電話のジャイロスコープからのデータストリーム(X、Y、Z)が、下部パネルにプロットされている。携帯電話の加速度計データは、心臓と呼吸の両方の活動を捕捉する。この例では、呼吸信号は、X及びY成分で強く見られ、一方、心臓活動は、Z方向で最も強い。スマートウォッチの加速度計データは、呼吸信号を捕捉しない。スマートウォッチは、心臓活動のみを捕捉する。ジャイロスコープのデータは、呼吸と心臓の両方の活動を捕捉する。呼吸中断の影響は、呼吸が記録されるデータストリーム(携帯電話の加速度計とジャイロスコープ)で視認可能である。咳のエピソードは、記録される全てのデータストリームにおいて視認可能である。
【0028】
図2Aは、被験者のスマートデバイスを使用した短期間のスクリーニング及びトリアージのための方法200の一例のフロー図である。幾つかの実装形態では、スマートデバイスは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、荷重センサ、重量センサ、力センサ、運動センサ、または振動センサなどの、身体、心臓及び肺の機械的振動を捉えることができる1または複数のセンサを有する、携帯電話、タブレット、ウェアラブル時計、または、患者が利用可能な任意のアクセサリー、を含み得る。
【0029】
スクリーニングの開始は、病気または状態の症状の開始によってトリガーされ得る(例えば、被験者の気分が悪い場合)、あるいは、医師の要求に従って始動され得る(201)。スクリーニング開始後、センサからセンサデータが取得される(202)。センサデータは、分析される(203)。被験者の状態が、分析された測定基準を用いて特定(識別)される(204)。幾つかの実装形態では、細菌またはウイルス感染に対する身体の反応を定量化するために、呼吸の流れ及び深さ、呼吸数、心拍数、心拍変動、動き及び動揺、体重、体液貯留、の変化が分析される。正常範囲外の値が、標準外の状態を定義し得る、あるいは、システムが患者のベースラインへのアクセスを有する場合、当該ベースラインと比較した急激な変化が、標準外の状態として検出され得る。幾つかの実装形態では、正常範囲の状態、あるいは、正常範囲外の状態は、一般の(人口的)集団を表すデータに対して相対的であり得る。ある状態が特定(識別)されると、即時の動作が必要とされているか否かが決定される(208)。必要に応じて、即時の動作が実行される(209)。幾つかの実装形態では、即時の動作は、患者への通知、患者の医師(主治医)への通知、医療センターへの電話、等であり得る。即時の動作が必要とされない場合、結果を確認するため、あるいは、新しい洞察を提供するため、フォローアップ検査が必要とされるか否かが決定される(210)。フォローアップが必要とされる場合、追加のまたは新しいセンサデータが収集され、前述のプロセスが新たに開始する。そうでなければ、スクリーニングプロセスは終了される(211)。幾つかの実装形態では、センサデータ、分析されたデータ、及び、特定(識別)されたデータは、将来のアクセスのために、ローカルデータベース206の局所的に、あるいは、クラウドデータベース207に、記憶され得る(205)。
【0030】
図2Bは、短期間及び長期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的な方法220を示す。短期間のスクリーニングは、被験者のスマートデバイスを利用し得る。幾つかの実装形態では、スマートデバイスは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、荷重センサ、重量センサ、力センサ、運動センサ、または振動センサなどの、身体、心臓及び肺の機械的振動を捉えることができる1または複数のセンサを有する、携帯電話、タブレット、ウェアラブル時計、または、患者が利用可能な任意のアクセサリー、を含み得る。長期間のスクリーニングは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力、荷重、重量、力、運動または振動などの、身体、心臓及び肺の機械的振動を捕らえることができるベッド(被験者が載置され得る基板の一例)の脚部内または脚部下へ設置可能なセンサを使用し得る。短期間のスクリーニングによって長期間のスクリーニングが必要であると判定される場合(229)、当該システムは、長期間のスクリーニングシステムの追加を推奨し得る。
長期間のスクリーニングは、連続的な生体信号の追跡を強化するために追加され得る。
【0031】
データ交換プロセス231は、短期間のスクリーニングと長期間のスクリーニングとの間のデータ交換を可能にし、傾向データ(すなわち、被験者のベースラインデータと履歴データ)はいずれのプロセスによってもアクセスされ得る。データ交換プロセス231はまた、長期間のスクリーニングが短期間のスクリーニングセンサデータにアクセスして、同期され、データストリームセットに追加されて、モニタリングを強化することを可能にする。幾つかの実装形態では、センサデータ取得222からのデータ、センサデータ取得232からのデータ、ローカルベース及びクラウドベースのストレージを含むデータ記憶226からのデータ、及び、ローカルベース及びクラウドベースのストレージを含むデータ記憶236からのデータが、データ交換プロセス231に入力され得る。幾つかの実装形態では、データ交換プロセス231は、傾向データ224を取得し、且つ、傾向データ234を取得するために、データを出力する。すなわち、初期の及び処理された短期間のデータ及び長期間のデータの両方が、短期間のスクリーニングと長期間のスクリーニングとの間で交換され得る。
【0032】
図2Cは、短期間及び長期間のスクリーニング及びトリアージを実行するためのシステム250及びシステムアーキテクチャである。システム250は、コンピューティングプラットフォーム270に接続されているか通信している(集合的に「接続されている」)1または複数のデバイス260を含む。ある実装形態では、機械学習訓練プラットフォーム280が、コンピューティングプラットフォーム270に接続され得る。ある実装形態では、ユーザが、接続デバイス290を介してデータにアクセスし得て、当該接続デバイス290は、コンピューティングプラットフォーム270またはデバイス260からデータを受信し得る。1または複数のデバイス260、コンピューティングプラットフォーム270、機械学習訓練プラットフォーム280及び接続デバイス290の間の接続は、有線、無線、光、それらの組み合わせ、などであり得る。システム250は、例示であり、本明細書及び特許請求の範囲から逸脱することなく、同様にまたは異なって設計され得る、より多い(追加の)、より少ない、または異なる、デバイス、エンティティなどを含み得る。更に、図示のデバイスは、本明細書及び特許請求の範囲から逸脱することなく、他の機能を実行し得る。
【0033】
幾つかの実装形態では、システム250、センサ、及び、データ処理は、例えば、2020年1月30日に出願された米国特許出願第16/777,385号、2019年10月8日に出願された米国特許出願第16/595,848号、及び、2019年2月12日に出願された米国特許仮出願第62/804,623号(集合的に「出願」)、に記載された通りであり得る。これらの出願の全体の開示内容が、当該参照によって本明細書に組み込まれる(incorporated by reference)。
【0034】
幾つかの実装形態では、デバイス260は、1または複数のセンサ261、コントローラ262、データベース263、及び、通信インタフェース264、を含み得る。ある実装形態では、デバイス261は、本明細書で説明されるような適用可能かつ適切な機械学習技術のための分類器265を含み得る。1または複数のセンサ261は、被験者に関連する、振動、圧力、力、重量、存在、及び、運動、のセンサデータを検出及び捕捉し得る。
【0035】
幾つかの実装形態では、コントローラ262が、
図1A、
図2A、
図2B及び
図4乃至
図8に関連して本明細書に記載されるプロセス及びアルゴリズムを、センサデータに適用し得て、本明細書に記載されるような短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータを決定し得る。幾つかの実装形態では、分類器265が、
図1A、
図2A、
図2B及び
図4乃至
図8に関連して本明細書に記載されるプロセス及びアルゴリズムを、センサデータに適用し得て、短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータを決定し得る。幾つかの実装形態では、分類器265は、コントローラ262によって実装され得る。幾つかの実装形態では、捕捉されるセンサデータと、短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータとは、データベース263に記憶され得る。ある実装形態では、捕捉されるセンサデータと、短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータとが、処理、記憶、及び/または、それらの組み合わせのために、通信インタフェース264を介してコンピューティングプラットフォーム270に転送または送信され得る。通信インタフェース264は、任意のインタフェースであり得て、任意の通信プロトコルを使用し得て、起点エンドポイントと宛先エンドポイントとの間でデータを通信または転送し得る。ある実装形態では、デバイス260は、本明細書に記載されたようなコントローラ262及び/またはコンピューティングプラットフォーム270による使用のために1または複数のセンサ261を使用して被験者からデータを収集する、任意のプラットフォームまたは構造であり得る。デバイス260及びその内部の要素は、本明細書に記載されるデバイス、システム及び方法を実装するために望ましいかまたは必要であり得る他の要素を含み得る。もっとも、そのような要素及び工程は、当該技術分野で周知であるし、開示される実施形態のより良い理解を促進するということもないため、そのような要素及び工程の説明は本明細書では提供されない可能性がある。
【0036】
幾つかの実装形態では、コンピューティングプラットフォーム270は、プロセッサ271、データベース272、及び、通信インタフェース273、を含み得る。幾つかの実装形態では、コンピューティングプラットフォーム270は、本明細書で説明されるような適用可能かつ適切な機械学習技術のための分類器274を含み得る。プロセッサ271は、センサ261またはコントローラ262からセンサデータを取得し得て、
図1A、
図2A、
図2B及び
図4乃至
図8に関連して本明細書に記載されるプロセス及びアルゴリズムを、センサデータに適用し得て、本明細書に記載されるような短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータを決定し得る。ある実装形態では、プロセッサ271は、コントローラ262から、本明細書に記載されるような短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータを取得し得て、一時的な及び他のタイプの分析のためにデータベース272に記憶し得る。ある実装形態では、分類器274が、
図1A、
図2A、
図2B及び
図4乃至
図8に関連して本明細書に記載されるプロセス及びアルゴリズムを、センサデータに適用し得て、本明細書に記載されるような短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータを決定し得る。分類器274は、センサデータに分類子を適用し得て、機械学習を介して本明細書に記載されるような短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータを決定し得る。ある実装形態では、分類器274は、プロセッサ271によって実装され得る。ある実装形態では、捕捉されるセンサデータと、短期間及び長期間のスクリーニングの生体信号情報及びデータとは、データベース272に記憶され得る。通信インタフェース273は、任意のインタフェースであり得て、任意の通信プロトコルを使用し得て、起点エンドポイントと宛先エンドポイントとの間でデータを通信または転送し得る。ある実装形態では、コンピューティングプラットフォーム270は、クラウドベースのプラットフォームであり得る。ある実装形態では、プロセッサ271は、クラウドベースのコンピュータまたはオフサイトコントローラであり得る。コンピューティングプラットフォーム270及びその内部の要素は、本明細書に記載されるデバイス、システム及び方法を実装するために望ましいかまたは必要であり得る他の要素を含み得る。もっとも、そのような要素及び工程は、当該技術分野で周知であるし、開示される実施形態のより良い理解を促進するということもないため、そのような要素及び工程の説明は本明細書では提供されない可能性がある。
【0037】
ある実装形態では、機械学習訓練プラットフォーム280は、センサデータにアクセスして処理し得て、複数の分類子を訓練及び生成し得る。当該複数の分類子は、分類器265または分類器274に転送または送信され得る。
【0038】
図2Bでは、センサデータがセンサから取得される(232)。幾つかの実装形態では、センサデータは、例えばアプリケーションに示されるのと同様に、分析され得る(233)。データ交換処理231を介して、短期処理からの瞬間的または略瞬間的なデータが、長期処理によって取得される(234)。分析されたデータ及び取得されたデータを使用して、被験者に関連する状態が識別される(235)。識別された状態及びデータは、ローカルまたはクラウドベースのストレージに記憶される(236)。ここで説明されるように、識別された状態及びデータは、また、データ交換プロセス231に入力される。識別された状態が即時の動作(処置)を必要とするか否かについての決定がなされる(237)。必要でない場合、予定通りの長期処理が続行する。即時の動作が必要である場合、応答動作が実行される(238)。
【0039】
図2Bでは、センサデータがセンサから取得される(221)。幾つかの実装形態では、センサデータは、例えばアプリケーションに示されるのと同様に、分析され得る(223)。データ交換処理231を介して、長期処理からの傾向データが、短期処理によって取得される(224)。分析されたデータ及び取得されたデータを使用して、被験者に関連する状態が識別される(225)。識別された状態及びデータは、ローカルまたはクラウドベースのストレージに記憶される(226)。ここで説明されるように、識別された状態及びデータは、また、データ交換プロセス231に入力される。識別された状態が即時の動作(処置)を必要とするか否かについての決定がなされる(227)。即時の動作が必要である場合、応答動作が実行される(228)。即時の動作が必要とされない場合、長期処理が必要とされるか否かが決定される(229)。長期処理が必要とされれば、長期処理が実行される。長期処理が必要とされなければ、短期処理が必要とされるか否かが決定される(230)。短期処理が必要とされなければ、現在の短期処理は終了する。短期処理が必要とされれば、データが取得され、別の短期処理が実行される。
【0040】
図3は、加速度計、ジャイロスコープ、圧力、荷重、重量、力、運動または振動など(これらに限定されない)のセンサデータを取得するための処理パイプライン300である。アナログセンサデータストリーム302が、センサ301から受信される。デジタイザ303が、アナログセンサデータストリームをデジタルセンサデータストリーム304にデジタル化する。フレーマ305が、デジタルセンサデータストリーム304からデジタルセンサデータフレーム306を生成する。それは、固定のまたは適応型の時間ウィンドウ内の全てのデジタルセンサデータストリーム値を含む。
図3に示される処理パイプライン300は、例示であり、
図3に示されるブロックまたはモジュールの、任意の何れかまたは全てを含み得るし、いずれをも含まなくてもよいし、それらの組合せを含んでもよい。
図3に示される処理の順序は、例示であり、処理の順序は本明細書または特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
【0041】
図4は、センサデータを処理するための前処理パイプライン400である。前処理パイプライン400は、デジタルセンサデータフレーム401を処理する。ノイズ低減ユニット402が、各センサに同一レベルまたは異なるレベルの影響を与え得るノイズ源を除去または減衰する。ノイズ低減ユニット402は、減算、入力データフレームの結合(組合せ)、適応フィルタリング、ウェーブレット変換、独立成分分析、主成分分析、及び/または、他の線形変換または非線形変換、を含むがこれらに限定されない様々な技術を利用し得る。信号強化ユニット403が、入力データの信号対ノイズ比を改善し得る。信号強化ユニット403は、入力データフレームの線形または非線形の結合(組合せ)として実装され得る。例えば、信号強化ユニット403は、信号デルタを結合(組合せ)し得て、より高い解像度のアルゴリズム分析のために信号強度を増大させ得る。サブサンプリングユニット404、405、及び406が、デジタル強化センサデータをサンプリングし、ダウンサンプリング、アップサンプリング、または、リサンプリングを含み得る。サブサンプリングは、多段階サンプリングまたは多相サンプリングとして実装され得て、心臓分析407、呼吸分析408、及び、咳分析409、のために同一または異なるサンプリングレートを使用し得る。
図4に示される処理の順序は、例示であり、処理の順序は本明細書または特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
【0042】
図5は、前処理されてサブサンプリングされたデータ501を使用する心臓分析407のための例示的なプロセス500である。フィルタリングが、入力センサデータの不所望の成分を削除するため、及び/または、心臓処理に有用な内容を保持するために、使用される(502)。幾つかの実装において、フィルタリングは、無限インパルス応答(IIR)フィルタ、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、または、それらの組合せ、であり得る。フィルタは、ローパス、ハイパス、バンドパス、バンドストップ、ノッチ、または、これらの組合せ、であり得る。幾つかの実装形態では、フィルタリングは、他のセンサからのソースを含み得て、コモンモードまたは他のノイズを除去し得て、不所望の信号を除去するべく適応型のフィルタリング技術を使用し得る。フィルタ処理されたセンサデータは、当該入力信号を特定形式(フーリエ変換の正弦波、ウェーブレット変換のマザーウェーブレット、及び/または、周期性変換の周期基底関数)の波形の集合としてモデル化することで、心臓成分を強化するように変換される(503)。幾つかの実装形態では、当該プロセスは、フーリエ変換、ウェーブレット変換、コサイン変換、または、二乗平均平方根、絶対値、移動平均、移動中央値などの数学演算、であり得る。
【0043】
エンベロープ(信号包絡線)検出が、変換されたセンサデータに対して実行される。これは、比較的高周波数の振幅変調信号を入力として受け取り、当該信号の全てのローカルピークを接続することによって記述される入力データのアウトラインに相当する出力を提供する(512)。幾つかの実装形態では、エンベロープ検出は、ローパスフィルタ、ヒルベルト変換、または、他のエンベロープ検出方法、を使用し得る。入力信号の極大点及び極小点を見出だすために、ピーク検出が実行される(513)。幾つかの実装形態では、ピーク検出は、全てのピーク、全ての谷、または、最も支配的なもののみ(の全て)、を返し得る。
【0044】
線形及び非線形の方法を使用して、入力信号の異なるセグメント間の関係の強度を測定するべく、相関分析が実行される(504)。当該相関分析とピーク位置とが、入力信号の個々の拍動(ビート)を識別するために使用され得る(505)。識別された個々の拍動は、強化(強調)される(506)。幾つかの実装形態では、これは、信号の特定の特性を強化するための、ウィンドウ、係数、または、変換、を適用する工程を含み得る。時間ドメイン、周波数ドメイン、または、時間周波数ドメイン、の分析が実行され得て、強化された個々の拍動を使用して心拍数を決定し得る(507)。また、時間ドメイン、周波数ドメイン、または、時間周波数ドメイン、の分析が実行され得て、強化された個々の拍動を使用して心拍変動メトリックを決定し得る(508)。幾つかの実装形態では、心拍変動メトリックは、SDNN、RMSSD、PNN50、LF、HF、及び、LF/HF、の指標を含み得る。また、時間ドメイン、周波数ドメイン、または、時間周波数ドメイン、の分析が実行され得て、心拍成分を決定し得る(509)。心臓信号の場合、拍動成分は、P、Q、R、S及びT波形、あるいは、心房/心室の脱分極及び再分極、であり得る。不規則なレートまたはリズムが、HR、HRV、拍動成分、及び、被験者の傾向データ510(すなわち、ベースラインデータ及び履歴データ)を用いて、心臓データ内で検出され得る(511)。
【0045】
図5に示される処理の順序は、例示であり、処理の順序は本明細書または特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
【0046】
図6は、前処理されてサブサンプリングされたデータ601を使用する呼吸分析408のための例示的なプロセス600である。フィルタリングが、入力センサデータの不所望の成分を削除するため、及び/または、呼吸処理に有用な内容を保持するために、使用される(602)。幾つかの実装において、フィルタは、IIR、FIR、または、それらの組合せ、を使用し得る。幾つかの実装において、フィルタは、ローパス、ハイパス、バンドパス、バンドストップ、ノッチ、または、それらの組合せ、であり得る。幾つかの実装形態では、フィルタは、他のセンサからのソースを含み得て、コモンモードまたは他のノイズを除去し得て、不所望の信号を除去するべく適応型のフィルタリング技術を使用し得る。フィルタ処理されたデータは、当該入力信号を特定形式(フーリエ変換の正弦波、ウェーブレット変換のマザーウェーブレット、及び/または、周期性変換の周期基底関数)の波形の集合としてモデル化することで、呼吸成分を強化するように変換される(603)。当該変換は、フーリエ変換、ウェーブレット変換、コサイン変換、または、二乗平均平方根、絶対値、移動平均、移動中央値などの数学演算、であり得る。入力信号の極大点及び極小点を見出だすために、ピーク検出が実行される(605)。幾つかの実装形態では、当該ピーク検出は、全てのピーク、全ての谷、または、最も支配的なもののみ(の全て)、を返し得る。
【0047】
線形及び非線形の方法を使用して、相関分析が、入力信号の異なるセグメント間の関係の強度を測定する(604)。当該相関分析とピーク位置とが、入力信号の個々の呼吸を識別するために使用され得る(606)。識別された個々の拍動は、強化(強調)される(607)。幾つかの実装形態では、これは、信号の特定の特性を強化するための、ウィンドウ、係数、または、変換、を適用する工程を含み得る。
【0048】
時間ドメイン、周波数ドメイン、または、時間周波数ドメイン、の分析が利用され得て、強化された個々の呼吸を使用して呼吸数(呼吸レート)を決定し得る(608)。また、時間ドメイン、周波数ドメイン、または、時間周波数ドメイン、の分析が利用され得て、強化された個々の呼吸を使用して呼吸数変動メトリックを決定し得る(609)。幾つかの実装形態では、呼吸数変動メトリックは、DNN、RMSSD、PNN50、LF、HF、及び、LF/HF、の指標を含み得る。また、時間ドメイン、周波数ドメイン、または、時間周波数ドメイン、の分析が利用され得て、呼吸成分を決定し得る(610)。呼吸信号の場合、呼吸成分は、吸入(吸気)及び吐息(呼気)であり得る。不規則なレートまたはリズムが、RR、RRV、呼吸成分、及び、被験者の傾向データ611(すなわち、ベースラインデータ及び履歴データ)を用いて、呼吸データ内で識別され得る(612)。
【0049】
図6に示される処理の順序は、例示であり、処理の順序は本明細書または特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
【0050】
図7は、前処理されてサブサンプリングされたデータ701を使用する咳分析409のための例示的なプロセス700である。フィルタリングが、入力センサデータの不所望の成分を削除するため、及び/または、咳処理に有用な内容を保持するために、使用される(702)。幾つかの実装において、フィルタは、IIR、FIR、または、それらの組合せ、であり得る。幾つかの実装において、フィルタは、ローパス、ハイパス、バンドパス、バンドストップ、ノッチ、または、それらの組合せ、であり得る。幾つかの実装形態では、フィルタリングは、他のセンサからのソースを含み得て、コモンモードまたは他のノイズを除去し得て、不所望の信号を除去するべく適応型のフィルタリング技術を使用し得る。フィルタ処理されたセンサデータは、当該入力信号を特定形式(フーリエ変換の正弦波、ウェーブレット変換のマザーウェーブレット、及び/または、周期性変換の周期基底関数)の波形の集合としてモデル化することで、咳成分を強化するように変換される(703)。幾つかの実装形態では、当該変換は、フーリエ変換、ウェーブレット変換、コサイン変換、または、二乗平均平方根、絶対値、移動平均、移動中央値などの数学演算、であり得る。入力信号の極大点及び極小点を見出だすために、ピーク検出が実行される(605)。比較的高周波数の振幅変調信号を入力として受け取り、当該信号の全てのローカルピークを接続することによって記述される入力データのアウトラインに相当する出力を提供するように、エンベロープ(信号包絡線)検出が実行され得る(704)。幾つかの実装形態では、エンベロープ検出は、ローパスフィルタ、ヒルベルト変換、または、他のエンベロープ検出方法、を使用し得る。処理されたセンサデータ内のパターンが、咳のモルフォロジー(形態)またはスペクトルシグネチャと一致することが、検出され得る(705)。
【0051】
ベースラインと比較したデータの変化レベルを測定するために、変動分析が実行され得る(706)。幾つかの実装形態において、これは、標準偏差、変動係数、などを評価することによってなされ得る。変動分析及び咳シグネチャ(特徴)が、入力信号内の個々の咳エピソードを識別するために利用され得る(707)。時間ドメイン、周波数ドメイン、または、時間周波数ドメイン、の分析が利用され得て、咳レートを決定し得る(708)。また、時間ドメイン、周波数ドメイン、または、時間周波数ドメイン、の分析が利用され得て、咳重症度を決定し得る(709)。不規則な咳が、咳レート、咳重症度、及び、被験者の傾向データ710(すなわち、ベースラインデータ及び履歴データ)を用いて、決定され得る(711)。
【0052】
図7に示される処理の順序は、例示であり、処理の順序は本明細書または特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
【0053】
図8は、機械学習分類子に基づく短期間のスクリーニング及びトリアージのための例示的なプロセスである。スイムレーン
図800が、第1デバイスセット806及び第2デバイスセット807を含むデバイス801と、ローカルデータベース802と、クラウドサーバ803と、分類子ファクトリ804と、構成サーバ805と、を含んでいる。
【0054】
第1デバイスセット806は、ローカルデータベース802によって受信され(808)、記憶され(809)、クラウドサーバ803によって受信される(811)、センサデータを生成する。クラウドサーバ803は、センサデータを検索し(812)、分類子ファクトリ804は、分類子を生成または再訓練する(814)。生成されたまたは再訓練された分類子は、分類子ファクトリ804によって記憶される(815)。生成されたまたは再訓練された分類子は、分類子ファクトリ804によって使用され、センサデータを分類し(816)、様々な不整脈、疾患、または異常な状態を自動的に検出する。分類されたデータが記憶され(813)、被験者傾向データが記憶される(810)。構成サーバ805は、生成されたまたは再訓練された分類子を取得し、デバイス801の更新を生成する(817)。幾つかの実装形態では、更新とは、スマートデバイスのアプリの更新であり得て、あるいは、リモートデバイスのソフトウェアの更新であり得る。構成サーバ805は、第1デバイスセット806と第2デバイスセット807との両方に更新を送信する(818)。ここで、第2のデバイスセット807は、新しいデバイスであり得る。当該システムは、より多くのデバイスからより多くのデータ入力が利用可能であるため、新しいまたは更新された分類子を古いデバイス(第1デバイスセット806など)に提供するために使用され得る。当該システムは、また、改善された精度を伴うソフトウェア更新を提供するためにも利用され得て、パーソナライズされたパターンを学習することも可能で、分類子やデータのパーソナライゼーションを増大(強化)させることも可能である。
【0055】
図8に示される処理の順序は、例示であり、処理の順序は本明細書または特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
【0056】
全体として、被験者の少なくとも短期間のスクリーニング及びトリアージのためのシステムが、前記被験者が所有するスマートデバイスと、前記スマートデバイス上に提供されるアプリケーションと、を備え、前記アプリケーションには、複数のスクリーニング手順がプログラムされており、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、前記被験者にスクリーニング手順を開始するよう指示を提供し、前記スマートデバイス内に位置する1または複数のセンサから得られる短期間のセンサデータを記録し、前記短期間のデータと、傾向データと、全体的な集団データと、を比較して、前記被験者のスクリーニング及びトリアージを行うように構成される。
【0057】
幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記短期間のセンサデータを分析し、長期間のスクリーニングから傾向データを取得し、分析された短期間のセンサデータと、傾向データと、に基づいて状態を特定し、前記特定された状態に応答して動作を実行する、ように構成されている。幾つかの実装形態において、前記動作は、危機的な状態に対して可聴トーンを生成すること、危機的な状態に対してクラウドエンティティにメッセージを送信すること、前記被験者ではないエンティティに、前記センサデータ及び前記特定された状態を送信すること、のうちの1または複数を含む。幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記特定された状態に応答して前記傾向データを生成するべく長期間のスクリーニングを開始する、ように構成されており、長期間のスクリーニングシステムが、前記被験者が載置される基板に近接して設置された1または複数のセンサを含み、各センサは、前記基板に対する前記被験者の動作から機械的振動を捕捉するように構成されており、前記機械的振動は、前記被験者の生体信号情報を示す。幾つかの実装形態において、前記長期間のスクリーニングシステムは、更に、前記短期間のセンサデータ及び前記特定された状態にアクセスするように構成されている。幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記特定された状態に応答して更なる短期間のスクリーニングを開始するように構成されている。幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記被験者の心臓情報を分析し、前記心臓情報から心拍のリズム及びレート情報を決定し、前記心拍のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、心臓症状の発症または進行を特定する、ように構成されている。幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記被験者の呼吸情報を分析し、前記呼吸情報から呼吸のリズム及びレート情報を決定し、前記呼吸のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、呼吸症状の発症または進行を特定する、ように構成されている。幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記被験者の咳情報を分析し、前記咳情報から咳のリズム及びレート情報を決定し、前記咳のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、咳症状または呼吸流の発症または進行を特定する、ように構成されている。幾つかの実装形態において、前記状態の重症度または進行度を決定するように構成されている。幾つかの実装形態において、前記スマートデバイスは、加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、荷重センサ、重量センサ、力センサ、運動センサ、マイク、または、振動センサ、のうちの1または複数を有する、携帯電話、タブレット、スマートウォッチ、または、アクセサリー、のうちの1つである。幾つかの実装形態において、前記スクリーニング手順は、前記被験者がある姿勢になるという指示と、規定された時間だけ当該姿勢に留まるという指示と、前記スマートデバイスを前記被験者の身体上の1または複数の位置に置くという指示と、を含む。
【0058】
全体として、被験者のスクリーニング及びトリアージのためのシステムが、アプリケーションが設けられたスマートデバイスと、複数のセンサが配備された基板と、前記センサに接続されたプロセッサと、を備え、前記スマートデバイスは、集約的に、被験者にスクリーニング手順を開始するよう指示し、前記スマートデバイス内に位置する少なくとも1つのセンサから取得される短期間のセンサデータを記録し、及び、前記短期間のセンサデータ及び得られる傾向データから状態を特定する、ように構成されており、前記基板の前記複数のセンサは、当該基板に対する前記被験者の動作から機械的振動を捕捉するように構成されており、前記機械的振動は、前記被験者の生体信号情報を示しており、前記プロセッサは、前記スマートデバイスによって特定された状態に応答して、前記複数のセンサからのセンサデータを捕捉し、前記複数のセンサから捕捉された前記センサデータと、得られた短期間のセンサデータと、から状態を特定し、前記特定された状態に基づいて動作を実行する、ように構成されている。
【0059】
幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記短期間のセンサデータを分析し、前記プロセッサに関連付けられたストレージから傾向データを取得し、前記スマートデバイスによって特定された状態に応答して動作を実行する、ように構成されている。幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記短期間のセンサデータを傾向データの分析用のエンティティに転送し、分析結果を取得し、前記エンティティによって特定された状態に応答して動作を実行する、ように構成されている。幾つかの実装形態において、前記スマートデバイスによって特定された状態に応答する前記動作、または、前記エンティティによって特定された状態に応答する動作は、危機的な状態に対して可聴トーンを生成すること、危機的な状態に対してクラウドエンティティにメッセージを送信すること、前記被験者ではないエンティティに、前記短期間のセンサデータ及び前記特定された状態を送信すること、のうちの1または複数を含む。幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記スマートデバイスによって特定された状態に応答して更なるスマートデバイスによるスクリーニングを開始するように構成されている。幾つかの実装形態において、前記アプリケーション及び前記スマートデバイスは、更に、前記被験者の心臓情報を分析し、前記心臓情報から心拍のリズム及びレート情報を決定し、前記心拍のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、心臓症状の発症または進行を特定するように構成されているか、前記被験者の呼吸情報を分析し、前記呼吸情報から呼吸のリズム及びレート情報を決定し、前記呼吸のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、呼吸症状の発症または進行を特定するように構成されているか、あるいは、前記被験者の咳情報を分析し、前記咳情報から咳のリズム及びレート情報を決定し、前記咳のリズム及びレート情報から前記被験者の健康状態を決定し、咳症状または呼吸流の発症または進行を特定するように構成されている。
【0060】
全体として、被験者の少なくとも短期間のスクリーニング及びトリアージのための方法が、被験者に、スマートデバイスを介して、スクリーニング手順を開始するよう指示する工程と、前記被験者が前記スクリーニング手順に従う時に、前記スマートデバイス上のセンサによって、前記被験者から短期間のセンサデータを記録する工程と、前記短期間のセンサデータを分析する工程と、長期間のスクリーニング装置から傾向データを取得する工程と、分析された短期間のセンサデータと、前記傾向データと、に基づいて被験者の状態を特定する工程と、特定された状態に応答して動作を実行する工程と、を備える。
【0061】
幾つかの実装形態において、当該方法は、特定された状態に応答して、前記長期間のスクリーニング装置においてセンサデータの捕捉を開始する工程を備える。幾つかの実装形態において、当該方法は、長期間のスクリーニング装置によるセンサデータを分析する工程と、前記スマートデバイスのデータを取得する工程と、分析された長期間のスクリーニング装置によるセンサデータと、全体的な集団データと、前記短期間のセンサデータと、に基づいて被験者の状態を特定する工程と、長期間のスクリーニング装置によって特定された状態に応答して動作を実行する工程と、を備える。幾つかの実装形態において、当該方法は、短期間のセンサデータ、スマートデバイスによって特定された状態、長期間のスクリーニング装置によるセンサデータ、及び、長期間のスクリーニング装置によって特定された状態を、それぞれ、前記被験者ではない少なくとも1つのエンティティに送信する工程を備える。幾つかの実装形態において、当該方法は、前記特定された状態に応答して更なるスマートデバイスによるスクリーニングを開始する工程を備える。
【0062】
本開示は、特定の実施形態に関連して説明されたが、本開示は、開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を包含することが意図されている、ということが理解されるべきである。特許請求の範囲は、法律の下で許される通り、そのような全ての修正及び同等の構造を包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【国際調査報告】