(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】病状管理事象の画像捕捉のためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20230721BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61M5/315 550J
A61M5/31 520
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565968
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021029064
(87)【国際公開番号】W WO2021222058
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ディー.ヤーガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エル.リチャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミルシア エス.デスパ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C066QQ82
4C066QQ84
(57)【要約】
可変指標を持つ薬剤投与デバイスシステムと、同じものを使用するための方法が提供される。薬剤投与デバイスシステムは、シリンジおよび/またはシリンジ部品(例えば、針シールド、針受け)、もしくは可変指標を持ったペン型自己注射器、もしくは可変指標を持ったウェアラブル自己注射器、および薬剤投与デバイスの状態を自動的に決定および記録するための可変指標の画像を分析する外部デバイス用のソフトウェアアプリケーションを含む。薬剤投与デバイス上もしくはその部品上の可変指標または可変コードは、例えば投薬の完了、投薬量、および安全機能の配置もしくは除去のような異なる医療事象を表し、外部デバイスによって検出されること、そうでなければ外部デバイスによって記録されることができる。外部デバイスは、可変指標の捕捉された画像によって得られたデータをさらに処理し、および関連情報(例えば、シリンジバレル内に残っている流体、投与された投薬量など)を表示するように構成されるアプリケーションを実行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用投与システムであって、
シリンジと、ペン型自己注射器と、ウェアラブル自己注射器とを備えるグループから選択される薬剤投与デバイスであって、ペンのキャップの除去、または針のキャップの除去と、プランジャーの動き、または前記薬剤投与デバイスから流体を供給する他の駆動メカニズムの動きと、前記薬剤投与デバイスの部品の機械的な動作と、前記流体が供給された後の薬剤投与デバイス部品の動きとで構成されているグループから選択された前記薬剤に関する指定された動作の後で変更される可変指標を備える、薬剤投与デバイスと、
前記可変指標の画像を分析して、前記可変指標が不変であると前記画像の分析が検出するときに、前記薬剤投与デバイスの第1の状態を割り当て、前記薬剤投与デバイスに関する前記指定された動作によって前記可変指標が変更されたと前記画像の分析が検出するときに、前記薬剤投与デバイスの第2の状態を割り当て、および前記割り当てられた状態をメモリデバイスに記憶する、コンピューター可読命令のセットと、
を備える医療用投与システム。
【請求項2】
前記コンピューター可読命令のセットは、前記割り当てられた状態に対応するタイムスタンプのそれぞれを関連付けて前記メモリデバイスに記憶する、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項3】
前記コンピューター可読命令のセットは、デジタルデバイスのメモリに記憶されるソフトウェアアプリケーション内にあり、前記画像は、前記デジタルデバイスに関連付けられるカメラによって生成される、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項4】
前記第1の指標は、機械可読コードと、バーコードと、印刷された指標と、エッチング処理を施された指標と、英数字の指標と、色分けされた指標と、光学的指標と、測定目盛りを示す指標と、1もしくは複数の縞を備える指標と、1もしくは複数の形状を備える指標とで構成されているグループから選択された1もしくは複数の特徴を備える、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項5】
前記第1の指標は、前記第1の指標を延長することと、前記第1の指標を短くすることと、第1の指標の光学的特性を変更することと、前記第1の指標の物理的特性を変更することとから選択された動作によって変更される、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項6】
前記コンピューター可読命令のセットは、決定された前記第1の状態または決定された前記第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項7】
前記薬剤投与デバイスはシリンジであり、および前記可変指標は、前記シリンジ上に設けられた第1の指標を少なくとも備え、前記シリンジは、流体を保持するための空洞を持つバレルと、プランジャーを収容するためのシリンジの近接端部における開口部と、流体の針との結合に関するシリンジの遠位端部における開口部と、前記バレルの前記空洞内で可動し、およびプランジャーの遠位端部上にストッパーを備えるプランジャーとを備え、前記コンピューター可読命令のセットは、前記第1の指標の画像を分析して、前記第1の指標が不変であると前記画像の分析が検出するときに、前記シリンジに前記第1の状態を割り当て、前記プランジャーの前記動きによって前記第1の指標が変更されたと前記画像の分析が検出するときに、前記コンピューター可読命令のセットが前記シリンジに前記第2の状態を割り当てる、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項8】
前記コンピューター可読命令のセットは、決定された前記シリンジの前記状態を別のデバイスに伝えるように構成される、請求項7に記載の医療用投与システム。
【請求項9】
前記シリンジの前記第1の状態は投与前状態であり、および前記シリンジの前記第2の状態は、プランジャーの動きによって開始される投与と、終了位置に至ったプランジャーの動きによって完了された投与とで構成されている前記グループから選択される、請求項7に記載の医療用投与システム。
【請求項10】
前記コンピューター可読命令のセットは、前記プランジャーの動く距離と、前記シリンジ内に残っている流体の量と、前記プランジャーの動きによって前記シリンジから投与された流体の量とで構成されている前記グループから選択される前記シリンジの状態を決定するように構成される、請求項9に記載の医療用投与システム。
【請求項11】
前記可変指標は第2の指標を備えることができ、および前記プランジャーには、ストッパーと前記プランジャー上の前記第2の指標とのうち少なくとも1つが、もしくは前記ストッパーが設けられており、および、前記ストッパーによって少なくとも部分的に遮られる前記第1の指標と、前記第2の指標によって少なくとも部分的に遮られる前記第1の指標と、前記シリンジの前記第2の状態を表す前記画像に結び付けられる前記第1の指標および前記第2の指標とから選択される状況が生じるときに、前記第1の指標が前記プランジャーの前記動きによって変更されることを前記画像の分析が検出する、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項12】
前記シリンジは、前記シリンジに取り外し可能なように取り付けられる針シールドを備え、前記針シールドは、前記針シールドが除去される前に前記針を覆い、および前記針シールドが除去された後に前記針を露出させるように構成され、前記第1の指標は、前記針シールド上に設けられ、および前記シリンジからの前記針シールドの除去によって変更されるように構成され、前記シリンジの前記第1の状態は、前記シリンジに取り付けられている前記針シールドであり、ならびに前記シリンジの前記第2の状態は、前記シリンジから除去された前記針シールドである、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項13】
前記コンピューター可読命令のセットは、前記シリンジに取り付けられる前記針シールドの決定された前記第1の状態を、別のデバイスに伝えるように構成される、もしくは、前記シリンジから除去された前記針シールドに対する決定された前記第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される、請求項12に記載の医療用投与システム。
【請求項14】
前記シリンジに貼付され、および前記シリンジからの前記針シールドの除去時に前記シリンジから引き離され、および引き離されることによって前記第1の指標を変更する印刷されたラベルの一部について操作可能である前記印刷されたラベルとして、前記第1の指標は前記シリンジ上に設けられる、請求項12に記載の医療用投与システム。
【請求項15】
前記針シールドが、前記シリンジの前記第1の状態を表すために前記シリンジに取り付けられているときに、前記針は前記第1の指標の少なくとも一部を遮り、および前記針シールドが、前記シリンジの前記第2の状態を表すために前記シリンジから除去されるときに、前記第1の指標は前記針によって遮られない、請求項12に記載の医療用投与システム。
【請求項16】
前記シリンジを少なくとも部分的に収容するためのプランジャー空洞を持つ針受けプランジャーと、前記針受けプランジャーを少なくとも部分的に収容するための本体空洞を持つ本体とを備える針受けであって、前記針受けプランジャーは、前記針受けプランジャーの近接端部に、前記プランジャー空洞内に前記シリンジを収容するための開口部を有し、および投与前状態のときに前記シリンジの前記針が遠位端部を貫いて延在する開口部を前記針受けプランジャーの遠位端部に有し、前記本体は、前記投与前状態の間に、前記針受けプランジャーの前記遠位端部をエネルギー貯蔵状態にするばね機構を前記本体の前記遠位端部に有し、前記ばね機構は、前記シリンジが流体の投与を前記シリンジから完了した後に、前記本体内に前記シリンジの前記針を引っ込めるために前記本体の近接端部に向けて前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させるための解放されたエネルギー状態において操作可能であり、前記シリンジ上に設けられた前記第1の指標は、前記投与前状態の間で不変であり、および前記針を前記本体内に引っ込めるために、前記ばね機構が前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させた後に変更される、針受けをさらに備える、請求項7に記載の医療用投与システム。
【請求項17】
前記本体は、窓穴を通して前記シリンジ上の前記第1の指標が見える前記窓穴を備える、請求項16に記載の医療用投与システム。
【請求項18】
前記可変指標は第2の指標を備えることができ、および前記シリンジの前記プランジャーには、ストッパー、および前記プランジャー上の前記第2の指標または前記ストッパー上の前記第2の指標のうちの少なくとも一つが設けられ、および前記第1の指標が前記ストッパーによって少なくとも部分的に遮られることと、前記第1の指標が前記第2の指標によって少なくとも部分的に遮られることと、前記第1の指標および前記第2の指標とが、前記シリンジの前記第2の状態を表す前記画像内で組み合わせられることとから選択される状況が生じたときに、前記プランジャーの前記動きによって前記第1の指標が変更されると前記画像の分析が検出する、請求項16に記載の医療用投与システム。
【請求項19】
前記ばね機構が、前記針を前記本体内に引っ込めるために前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させたことを検出するために、前記画像の分析が前記第1の指標と前記第2の指標との組み合わせを用いる、請求項18に記載の医療用投与システム。
【請求項20】
前記可変指標が第2の指標を備えることができ、および前記シリンジの前記プランジャーには前記第2の指標について設けられ、および前記針を前記本体内に引っ込めるために前記ばね機構が前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させたことを検出するために、前記画像の分析は、前記第1の指標と前記第2の指標との組み合わせを用いる、請求項16に記載の医療用投与システム。
【請求項21】
前記第1の指標と前記第2の指標との前記組み合わせが、前記第1の指標もしくは前記第2の指標よりも増加した長さを持つ変更された指標を備えるかどうかを、前記画像の分析は決定することを備える、請求項20に記載の医療用投与システム。
【請求項22】
前記コンピューター可読命令のセットは、前記シリンジが前記投与前状態の間に不変であることに対応する決定された前記第1の状態、もしくは前記針を前記本体内に引っ込めるために前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させることに対応する決定された前記第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される、請求項16に記載の医療用投与システム。
【請求項23】
シリンジを少なくとも部分的に収容するためのプランジャー空洞を持つ針受けプランジャーと、前記針受けプランジャーを少なくとも部分的に収容するための本体空洞を持つ本体とを備える針受けであって、前記針受けプランジャーは、前記針受けプランジャーの近接端部に、前記プランジャー空洞内に前記シリンジを収容する開口部を有し、および投与前状態のときに前記シリンジの針が遠位端部を貫いて延在する開口部を前記針受けプランジャーの遠位端部に有し、前記本体は、前記投与前状態の間に、前記針受けプランジャーの前記遠位端部をエネルギー貯蔵状態にするばね機構を前記本体の前記遠位端部に有し、前記ばね機構は、前記シリンジが流体の投与をシリンジから完了した後に、前記本体内に前記シリンジの前記針を引っ込めるために前記本体の近接端部に向けて前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させるための解放されたエネルギー状態において操作可能であり、前記可変指標は、前記本体上に設けられた第1の指標と前記針受けプランジャー上に設けられた第2の指標とを備え、前記可変指標は、前記投与前状態の間に前記命令のセットによって前記第1の状態を割り当てられ、および前記ばね機構が前記針を前記本体内に引っ込めるために前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させた後に前記可変指標が変更されるときに前記可変指標は第2の状態を割り当てられる、針受けをさらに備える、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項24】
薬剤投与デバイスはペン型自己注射器であり、および前記ペン型自己注射器に取り外し可能なように取り付けられたペンのキャップと、前記ペン型自己注射器に取り外し可能なように取り付けられた針と、投与のための流体および前記ペン型自己注射器から前記流体を排出するように構成された駆動機構が介して見える投与量用窓穴と、前記ペン型自己注射器が再使用可能である場合の流体カートリッジとのうちの少なくとも一つに前記可変指標は設けられる、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項25】
前記可変指標は、前記投与量用窓穴上にまたは前記ペン型自己注射器の前記本体上に、および前記投与量用窓穴に隣接して設けられ、および前記駆動機構は、前記流体を供給するために移動されるゴム製の封を前記駆動機構の遠位端部に持ち、および前記コンピューター可読命令のセットは、前記可変指標の1または複数の画像を分析し、および前記1または複数の画像の分析が前記可変指標は不変であると検出するときに前記第1の状態を前記薬剤投与デバイスに割り当て、および可変指標が前記ゴム製の封によって少なくとも部分的に遮られることと、前記ゴム製の封によって前記可変指標の遮られた部分の前記位置における変化があることと、少なくとも流体の供給またはゴム製の封の動きのうちの1つに起因して、前記投与量用窓穴上に設けられた、または前記本体に隣接して設けられた測定目盛りに関連した前記可変指標の変化があることとで構成されている前記グループから選択された状況を、前記1または複数の画像の分析が検出するときに、前記薬剤投与デバイスに前記第2の状態を割り当てる、請求項24に記載の医療用投与システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病状管理事象の画像捕捉のためのシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の参照
本出願は、2020年4月29日に出願された米国仮出願第63/017,347号の利益を主張し、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
1.分野
実施形態の一例に合致している装置と方法は、流体を移す(すなわち注入する、または引き込む)ための、例えばシリンジ、ペン型自己注射器、およびウェアラブル自己注射器のような薬剤投与デバイスに関連し、より具体的には、情報の中でも特に、シリンジまたはシリンジの部品、または自己注射器、または充填量、または投与された投与量についての状態(例えば、使用もしくは使用のステージ)に関する情報を提供するための可変指標が設けられたシリンジおよび/または関連部品(例えば、シリンジの針シールドおよび針受け)もしくはペン型自己注射器、もしくはウェアラブル自己注射器、および情報の捕捉と送信とを促進するスマートフォンアプリケーション(アプリ)に関連する。
【0004】
2.関連技術の説明
服薬アドヒアランスの欠如は、特に糖尿病ケアに関して全世界的な重大性を有する問題となっている。全患者のうちおおよそ50パーセントは、処方された通りに薬剤を飲まない。何十万人もの死亡や支払わなくて済む何十億ドルもの医療費および関連費用の直接的な原因の1つには、服薬アドヒアランスの欠如が挙げられる。
【0005】
スマートフォンアプリが現在使用されており、それは処方ラベルの写真を使用することで、処方された薬剤の供給量が少なくなったときに患者が再注文する手助けとなるというものである。しかし、これらのアプリでは、患者が薬剤を飲む前に薬剤または投与量を直接確認することがなく、ならびにシリンジやペン型注射器と合わせた特定の使用が考慮されていない。
【0006】
注射のような医療事象を記録することでユーザーの手助けとなる他のスマートフォンアプリや、薬剤の投与および/または薬剤が投与される量について、ダイヤルで調節された量を自動的に記録することでユーザーの手助けとなることができるスマート注射デバイス(すなわち、スマートペン注射器)がある。
【0007】
それにもかかわらず、病状管理プロトコルまたはレジメンについてのコンプライアンスを追跡し、例えば医療用品の補充などの関連プロセスを改善し、薬剤投与ミスのような医療ミスを避け、ならびに最適な患者治療ケアプラン、請求書作成、および保険の補償範囲の意図に対する病状管理の利害関係者間での情報共有を促進するために、病状管理事象に関連する情報の取得および使用において、ユーザー(例えば、患者、彼らを世話する人、彼らの医療サービス提供者、および支払人/保険会社、薬局および医療製品供給者および医療製品販売業者のような病状管理の他の利害関係者)の手助けとなる方法およびデバイスについての継続的な必要性が依然として存在する。
【0008】
ある種の薬物注射の効果的な投与には、特に糖尿病患者によって使用されるインスリンの場合、投与された全ての投与量に関して記録を保持することが要求される。多くの患者は、処方された彼らの薬剤を投与するために、低コストでおよびしばしば使い捨て可能な、例えばシリンジまたはペン型自己注射器のような投与デバイスを用いる。これらのデバイスは比較的使用が容易であるが、患者または医療従事者が、薬剤治療レジメンの遵守に関わってくる彼らの使用を記録する手助けとなるどのような特徴をも、通常これらの薬剤投与デバイスは欠いている。
【0009】
例えば、患者は、日付と、時間と、シリンジまたはペン型自己注射器による自己注射の量とを記録するよう促される。自己注射をする患者に対して教育が行われるが、大抵の患者は、日常的に適切に指示に従うことはそれでもなお難易度が高いということに気づく。その上、注射および注射された投薬量の記録を得る唯一の手段は、手作業でそれを書き留めることによってのみである。また、ある患者は、シリンジのバレル上の目盛りの印を読むこと、または適切に指示に従うことが困難であるために、まさに具体的な薬の量をシリンジ内に引き込む、および/または注入された薬の具体的な量を確定することが難しいということに気づき得る。
【0010】
シリンジとペン型自己注射器とによる注射情報を記録することの難しさは、また臨床の場においても存在し得る。例えば、医療従事者は、投薬量に関連した情報を記録することについて患者よりもより良くトレーニングされることができるが、この情報を捕捉することに関連した諸経費はかなりのものとなっている。医療従事者が注射の確実な時間と投与量とを複数の患者について臨床の場で測定して記録することは、時間と都合の観点から難しくなり得る。
【発明の概要】
【0011】
実施形態の一例は、少なくとも上記の課題および/または不利益、ならびに上記で説明されていない他の不利益に対処し得る。また、実施形態の一例は、上記で説明されている不利益を克服することを要求されておらず、上記で説明されている任意の課題を克服しないこともある。
【0012】
処方された薬剤投与量のレジメンに対する改善されたアドヒアランスのために、より便利で、より矛盾のない、およびより正確な、注射事象と投与された投薬量とに関する情報の捕捉をユーザーに提供することができる改良された薬剤投与デバイスについての必要性が存在する。
【0013】
実施形態の一例に従って、医療用投与システムは、シリンジと、ペン型自己注射器と、ウェアラブル自己注射器とを備えるグループから選択された薬剤投与デバイスを備える。
薬剤投与デバイスは、ペンのキャップの除去、または針のキャップの除去と、プランジャーの動き、または薬剤投与デバイスから流体を供給する他の駆動メカニズムの動きと、薬剤投与デバイスの部品の機械的な動作と、流体が供給された後の薬剤投与デバイス部品の動きとで構成されているグループから選択された薬剤に関する指定された動作の後で変更される可変指標を有する。医療用投与システムは、また、可変指標の画像を分析して、可変指標が不変であると画像の分析が検出するときに、薬剤投与デバイスの第1の状態を割り当て、薬剤投与デバイスに関する指定された動作によって可変指標が変更されたと画像の分析が検出するときに、薬剤投与デバイスの第2の状態を割り当て、割り当てられた状態をメモリデバイスに記憶するコンピューター可読命令のセットをも備える。
【0014】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、割り当てられた状態に対応するタイムスタンプのそれぞれを関連付けてメモリデバイスに記憶する。
【0015】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、デジタルデバイスのメモリに記憶されるソフトウェアアプリケーション内にあり、画像は、デジタルデバイスに関連付けられるカメラによって生成される。
【0016】
実施形態の一例の態様によれば、第1の指標は、機械可読コードと、バーコードと、印刷された指標と、エッチング処理を施された指標と、英数字の指標と、色分けされた指標と、光学的指標と、測定目盛りを示す指標と、1または複数の縞を備える指標と、1または複数の形状を備える指標とで構成されているグループから選択された1または複数の特徴を備える。
【0017】
実施形態の一例の態様によれば、第1の指標は、第1の指標を延長することと、第1の指標を短くすることと、第1の指標の光学的特性を変更することと、第1の指標の物理的特性を変更することとから選択された動作によって変更される。
【0018】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、決定された第1の状態または決定された第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される。
【0019】
実施形態の一例の態様によれば、薬剤投与デバイスはシリンジであり、および可変指標は、シリンジ上に設けられた第1の指標を少なくとも備える。シリンジは、流体を保持するための空洞を持つバレルと、プランジャーを収容するためのシリンジの近接端部における開口部と、流体の針との結合に関するシリンジの遠位端部における開口部と、バレルの空洞内で移動可能な、およびプランジャーの遠位端部上にストッパーを備えるプランジャーとを備える。コンピューター可読命令のセットは、第1の指標の画像を分析して、第1の指標が不変であると画像の分析が検出するときに、シリンジに第1の状態を割り当て、プランジャーの動きによって第1の指標が変更されたと画像の分析が検出するときに、コンピューター可読命令のセットがシリンジに前記第2の状態を割り当てる。
【0020】
実施形態の一例の態様によればコンピューター可読命令のセットは、決定されたシリンジの状態を別のデバイスに伝えるように構成される
【0021】
実施形態の一例の態様によれば、シリンジの第1の状態は投与前状態であり、およびシリンジの第2の状態は、プランジャーの動きによって開始される投与と、終了位置に至ったプランジャーの動きによって完了された投与とで構成されているグループから選択される。
【0022】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、プランジャーの動く距離と、シリンジ内に残っている流体の量と、プランジャーの動きによってシリンジから投与された流体の量とで構成されているグループから選択されたシリンジの状態を決定するように構成される。
【0023】
実施形態の一例の態様によれば、可変指標は第2の指標を備えることができ、およびプランジャーには、ストッパーとプランジャー上の第2の指標とのうち少なくとも1つが、またはストッパーが設けられている。ストッパーによって少なくとも部分的に遮られる第1の指標と、第2の指標によって少なくとも部分的に遮られる第1の指標と、シリンジの第2の状態を表す画像に結び付けられる第1の指標および第2の指標とから選択される状態が生じるときに、第1の指標がプランジャーの動きによって変更されることを画像の分析が検出する。
【0024】
実施形態の一例の態様によれば、シリンジは、シリンジに取り外し可能なように取り付けられる針シールドを備え、針シールドは、針シールドが除去される前に針を覆い、および針シールドが除去された後に針を露出させるように構成される。第1の指標は、針シールド上に設けられ、およびシリンジからの針シールドの除去によって変更されるように構成される。シリンジの第1の状態は、シリンジに取り付けられている針シールドであり、ならびにシリンジの第2の状態は、シリンジから除去された針シールドである。
【0025】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、シリンジに取り付けられる針シールドの決定された第1の状態を、別のデバイスに伝えるように構成される、または、シリンジから除去された針シールドに対する決定された第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される。
【0026】
実施形態の一例の態様によれば、シリンジに貼付され、およびシリンジからの針シールドの除去時にシリンジから引き離され、および引き離されることによって第1の指標を変更する印刷されたラベルの一部について操作可能である印刷されたラベルとして、第1の指標はシリンジ上に設けられる。
【0027】
実施形態の一例の態様によれば、針シールドが、シリンジの第1の状態を表すためにシリンジに取り付けられているときに、針は第1の指標の少なくとも一部を遮り、および針シールドが、シリンジの第2の状態を表すためにシリンジから除去されるときに、第1の指標は針によって遮られない。
【0028】
実施形態の一例の別の態様によれば、医療用投与システムは、針受けをさらに備える。針受けは、シリンジを少なくとも部分的に収容するためのプランジャー空洞を持つ針受けプランジャーと、針受けプランジャーを少なくとも部分的に収容するための本体空洞を持つ本体とを持つ。針受けプランジャーは、針受けプランジャーの近接端部に、プランジャー空洞内にシリンジを収容するための開口部を有し、および投与前状態のときにシリンジの針が遠位端部を貫いて延在する開口部を針受けプランジャーの遠位端部に有する。本体は、投与前状態の間に、針受けプランジャーの遠位端部をエネルギー貯蔵状態にするばね機構を本体の遠位端部に有する。ばね機構は、シリンジが流体の投与をシリンジから完了した後に、本体内にシリンジの針を引っ込めるために本体の近接端部に向けて針受けプランジャーとシリンジとを前進させるための解放されたエネルギー状態において操作可能である。シリンジ上に設けられた第1の指標は、投与前状態の間で不変であり、および針を本体内に引っ込めるために、ばね機構が針受けプランジャーとシリンジとを前進させた後に変更される。
【0029】
実施形態の一例の態様によれば、本体は、窓穴を通してシリンジ上の第1の指標が見える窓穴を備える。
【0030】
実施形態の一例の態様によれば、可変指標は第2の指標を備えることができ、およびシリンジのプランジャーには、ストッパー、およびプランジャー上の第2の指標またはストッパー上の第2の指標のうちの少なくとも一つが設けられる。第1の指標がストッパーによって少なくとも部分的に遮られることと、第1の指標が第2の指標によって少なくとも部分的に遮られることと、第1の指標および第2の指標が、シリンジの第2の状態を表す画像内で組み合わせられることとから選択される状況が生じたときに、プランジャーの動きによって第1の指標が変更されると前記画像の分析が検出する。
【0031】
実施形態の一例の態様によれば、ばね機構が、針を本体内に引っ込めるために針受けプランジャーとシリンジとを前進させたことを検出するために、画像の分析が第1の指標と第2の指標との組み合わせを用いる。
【0032】
実施形態の一例の態様によれば、可変指標が第2の指標を備えることができ、およびシリンジのプランジャーには第2の指標について設けられ、針を本体内に引っ込めるためにばね機構が針受けプランジャーとシリンジとを前進させたことを検出するために、画像の分析は、第1の指標と第2の指標との組み合わせを用いる。
【0033】
実施形態の一例の態様によれば、第1の指標と第2の指標との組み合わせが、第1の指標または第2の指標よりも増加した長さを持つ変更された指標を備えるかどうかを画像の分析は決定することを備える。
【0034】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、シリンジが投与前状態の間に不変であることに対応する決定された第1の状態、または針を本体内に引っ込めるために針受けプランジャーとシリンジとを前進させることに対応する決定された第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される。
【0035】
実施形態の一例の態様によれば、針受けは、シリンジを少なくとも部分的に収容するためのプランジャー空洞を持つ針受けプランジャーと、針受けプランジャーを少なくとも部分的に収容するための本体空洞を持つ本体とを備える。針受けプランジャーは、針受けプランジャーの近接端部に、プランジャー空洞内にシリンジを収容する開口部を有し、および投与前状態のときにシリンジの針が遠位端部を貫いて延在する開口部を針受けプランジャーの遠位端部に有する。本体は、投与前状態の間に、針受けプランジャーの遠位端部をエネルギー貯蔵状態にするばね機構を本体の遠位端部に有し、ばね機構は、シリンジが流体の投与をシリンジから完了した後に、本体内にシリンジの針を引っ込めるために本体の近接端部に向けて針受けプランジャーとシリンジとを前進させるための解放されたエネルギー状態において操作可能である。可変指標は、本体上に設けられた第1の指標と針受けプランジャー上に設けられた第2の指標とを備え、可変指標は、投与前状態の間に命令のセットによって第1の状態を割り当てられ、および前記ばね機構が針を本体内に引っ込めるために針受けプランジャーとシリンジとを前進させた後に可変指標が変更されるときに可変指標は第2の状態を割り当てられる。
【0036】
別の実施形態の一例の態様によれば、薬剤投与デバイスはペン型自己注射器であり、およびペン型自己注射器に取り外し可能なように取り付けられたペンのキャップと、ペン型自己注射器に取り外し可能なように取り付けられた針と、投与のための流体およびペン型自己注射器から流体を排出するように構成された駆動機構がそれを介して見える投与量用窓穴と、ペン型自己注射器が再使用可能である場合の流体カートリッジとのうちの少なくとも一つに可変指標は設けられる。別の実施形態の一例の態様によれば、可変指標は、投与量用窓穴上にまたはペン型自己注射器の本体上に、および投与量用窓穴に隣接して設けられ、および駆動機構は、流体を供給するために移動されるゴム製の封を遠位端部に持つ。コンピューター可読命令のセットは、可変指標の1または複数の画像を分析し、および1または複数の画像の分析が可変指標は不変であると検出するときに第1の状態を薬剤投与デバイスに割り当て、および可変指標がゴム製の封によって少なくとも部分的に遮られることと、ゴム製の封によって可変指標の遮られた部分の位置における変化があることと、少なくとも流体の供給またはゴム製の封の動きのうちの1つに起因して、投与量用窓穴上に設けられた、または本体に隣接して設けられた測定目盛りに関連した可変指標の変化があることとで構成されているグループから選択された状況を、1または複数の画像の分析が検出するときに、薬剤投与デバイスに第2の状態を割り当てる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
上記および/または他の例示的な態様と利点は、添付の図面と併せて考慮されることで、実施形態の一例に関する以下の説明から明白となり、ならびにより容易に正しく理解されることになる。
【0038】
【
図1】関連技術による、例示的なシリンジを図示する。
【
図3】実例となる実施形態による、可変指標付きの例示的なシリンジを図示する。
【
図4A】実例となる実施形態による、シリンジと可変指標とを有する例示的な針受けを図示する。
【
図4B】実例となる実施形態による、シリンジと可変指標とを有する例示的な針受けを図示する。
【
図5】実例となる実施形態による、
図4Aおよび
図4Bにおけるシリンジ付きの針受けの画像を生成する例示的な画像捕捉デバイスを図示する。
【
図6A】実例となる実施形態による、例示的な可変指標付きペン型自己注射器および/または可変指標付きペンニードルアダプタを図示する。
【
図6B】実例となる実施形態による、例示的な可変指標付きペン型自己注射器を図示する。
【
図7】実例となる実施形態による、医療事象画像捕捉アプリケーションを有する例示的な携帯電話のブロック図を図示する。
【
図8】実例となる実施形態による、可変指標を有するシリンジと外部デバイスとの例示的な動作のフローチャートである。
【
図9A】実施形態の一例による、アプリが外部デバイスに表示させ得る情報を図示する。
【
図9B】実施形態の一例による、アプリが外部デバイスに表示させ得る情報を図示する。
【
図9C】実施形態の一例による、アプリが外部デバイスに表示させ得る情報を図示する。
【
図9D】実施形態の一例による、アプリが外部デバイスに表示させ得る情報を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで、参照は添付図面に図示されている実施形態の一例に対して詳細になされ、同様の参照数字は、明細書中にわたって同様の要素について言及する。このことについて、実施形態の一例は異なる形態を有してもよく、ならびに本明細書に明記されている説明に限定して解釈されることはできない。
【0040】
本明細書で説明される実施形態の一例は、自己投与注射事業でしばしば使用される、例えばシリンジ、または自己注射器(例えば、ペン型自己注射器またはウェアラブルなもの)のような薬物投与デバイスにスマート機能を追加するための低コストな解決策を提供する。本明細書で説明される実施形態の一例は、薬剤投与デバイス上で指標を使用し、それにより指標は可変となり、すなわち、薬剤投与デバイスの状態の変化に応じて、指標が物理的に変更されるか、または指標が捕捉された画像もしくは指標のスキャンが変更されることとなる。
【0041】
指標の例としては、スキャンされることができ、またはそうでなければいくつかの方法での異なる技術によって認識され得るバーコードまたは他の標識もしくはパターンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。指標は、例えば、バーコードなどのパターン、または英数字の指標(例えば、測定単位を示す測定目盛り)、または色分けされた指標、または1または複数の形状を備える指標であり得る。指標は、薬剤投与デバイスの流体用チャンバーに対して利用されるときに、バーコードによって表される情報を提供することができるのはもちろん、流体の温度を決定することを容易にし得る温度感受性バーコード(temperature sensitive barcode)として実装されることができる。指標は、薬剤投与デバイス上、または薬剤投与デバイスもしくは関連部品に利用されるラベル上に直接印刷されるか、または投与デバイスの材料もしくは関連部品の材料にエッチングされることができる。
【0042】
実施形態の一例の態様に従って、薬剤投与デバイス上の指標は可変であり、すなわち、薬剤投与デバイス上の指標は、薬剤投与デバイスの動作または使用の状態の変化に応じて変更される。例えば、薬剤投与デバイスの使用中における薬剤投与デバイスの一部または部品によって、または色の変化によって、または透明度の変化(例えば、薬剤投与デバイスの状態の変化により、薬剤投与デバイス上で使用される指標および/または材料に傷がつく、またはそうでなければ指標および/または材料の透明度が低くなる)による指標部分の難読化からのバーコードまたはパターン変化によって、指標は変更されることができる。
【0043】
指標のスキャナまたは指標のリーダの例としてはスマートフォンがあり、またはさらに低コストである専用バーコードスキャナ、または、例えば薬剤投与デバイスの状態変化の指針として使用される材料の色または材料の透明度の変化を決定するための光度計のような他の光学検出デバイスがあげられる。指標のリーダはまた、画像捕捉および処理装置でもあり得る。本明細書で説明される例では、スマートフォンまたはiPad、または他のスマートデバイス上のカメラを用いる。例えば、使用後(例えば、注射後)に変化を及ぼされるシリンジまたはペン型注射器またはウェアラブル自己注射器上の、変更されたバーコードをスキャンすることは、以下にさらに説明されるような便利なアプリで患者が注射情報を追跡する(例えば、投薬量、投薬された場合の日付/時間など)手助けとなり得る。アプリは携帯電話アプリであってもよく、またはそうでなければ、例えばスマートディスプレイデバイス(例えば、Google Nest Hub)または同様のデバイスのようなスマートデバイス上で提供されるソフトウェアアプリケーション内のコンピューター可読命令のセットであっても良い。
【0044】
例えば、実例となる実施形態に従って、一体化されたデジタルカメラを備えた携帯電話は、デバイス使用のステージに関連して撮影された、薬剤投与デバイス上の指標のカメラ画像(例えば、針のキャップまたはペンのキャップの取り外しによって変更された指標、または注射後に変更された指標)を受信し、および画像内で捕捉された指標を分析して、指標によって表される薬剤投与デバイスに関する情報を自動的に判定し、メモリ内に記録するソフトウェアアプリケーション(すなわち、携帯電話アプリ)を備えることができる。例えば、指標は、例として実施形態の一例の可変指標だけでなく、バーコードでも示される薬剤の種類、または有効期限、またはペンニードルの種類のような所定の情報を含むことができ、または指標は可変指標のみを備えても良い。アプリは、画像内で捕捉された可変指標の変更されていない形態および変更された形態を認識して、捕捉された可変指標と指定された状態または他の意味とを結びつけるようにプログラムされ得る。アプリによって、変更されていない可変指標の画像は薬剤投与デバイスの投与前状態と関連付けられることができ、一方で、その変更を示している指標の画像(例えば、薬剤投与デバイスの部品によって部分的に遮られている、または薬剤投与デバイスの部品上で結合された別のコードによって延長される、または透明度もしくは色の変化)は、アプリによって、例えば、一部投与の状態または投与後の状態、または注射後の安全機能の配置のような薬剤投与デバイスの異なる状態と関連付けられることができる。アプリは、日付および/またはタイムスタンプと共にこれらの検出された状態をメモリデバイスに自動的に記録することができ、それによって、ユーザーによる彼らの注射に関連した医療事象情報の捕捉が容易となる。ユーザーは注射中に彼らの薬剤投与デバイスの写真を撮影するだけでよく、および携帯電話プロセッサとアプリとは、捕捉画像内の指標を分析して薬剤投与デバイスの状態を決定し、かつ記録する。
【0045】
薬剤投与デバイス上の可変指標のいくつかの実施形態の一例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0046】
1.例えば、シリンジには、シリンジバレルの透明な材料に対して間隔を空けて設けられた線または間隔を空けて設けられた他の印を持つ指標(例えば、バーコードの他のパターン)について設けられている。シリンジストッパーまたは注射器の他の機械部分がバーコードの背後で移動するとき、それはバーコードまたはパターンの特定の部分を遮り、それによって、リーダーまたはスキャナ、または電話アプリによって読み取られたそのバーコードまたはパターンの値または意味が変更される。
【0047】
2.バーコードまたは他のパターンは、注射器機構の一部として覆われているか、または露出されている。例えば、充填前の安全シリンジの可動部分の下にバーコードが設けられている場合、バーコードは安全シールドが配置された後に現れるであろう。安全機能に設けられたこのような可変指標は、デバイスの種類の追跡、および注射後に安全機能がうまく配置されたかどうかの追跡を容易にする。そのような情報は、コンテキストベースのトレーニング、スタッフ手順のコンプライアンス追跡、および供給補充について臨床の場で有用であり得る。
【0048】
3.温度感知バーコード(temperature sensing barcode)は、薬剤温度を感知するために自己注射デバイスに追加され、それは有用なパラメータであり得る。
【0049】
4.可変指標の上記実施形態の任意の2つまたは全ての組み合わせが薬剤投与デバイスに提供されて、どのデバイスが使用されたか、注射の日時、流体の状態(例えば、温度)、および安全機能がうまく配置されたかなどの注射事象情報の記録を容易にすることができる。
【0050】
実施形態の一例に従って、病状管理事象画像捕捉アプリ114(
図7)は、スマートフォン20もしくはカメラを備えた他のポータブルデバイス(例えば、iPad)上のスタンドアローンのアプリであり得、または、スマートフォンもしくは他の接続されたスマートデバイス用のデジタルヘルス(DH)アプリを拡張したものとして提供され得るとして、本明細書で説明される。医療事象画像捕捉アプリ114は、薬剤投与デバイス上の可変指標の画像を使用して、薬剤投与デバイスについて映された状態を分析および判定すること、およびメモリデバイス内の関連情報(例えば、動作状態の中でも特に、画像を捕捉した日付または時間、投与された投薬量または残量、安全機能の配置と連動した投与前状態または投与後状態)について記録することを自動化する。捕捉された医療製品画像からの追加の情報は、例えば、特にトレーニング、コンプライアンスの追跡、投薬量の正確性、供給補充のような病状管理の様々な態様を支援するために、アプリの異なる機能によって使用され得る。
【0051】
図7は、例示的なデバイス20を表すブロック図である。デバイス20はスマートフォンとして言及されるが、デバイス20は、専用の医療管理デバイス、または例えばカメラなど指標画像を捕捉するもの、もしくはリーダデバイス102を備える他のポータブルな携帯用デバイス(例えば、iPad)であっても良いことが理解される。デバイス20は、プロセッサ100と、他のデバイスデータ、画像、およびアプリとともに、例示的な実施形態に従って医療事象画像捕捉アプリ40を記憶することができるメモリ108とを備える。デバイス20は、例えば、近距離無線通信(NFC)インタフェース、BLUETOOTH(登録商標)対応無線通信インタフェース、および/またはセルラー通信インタフェースなどのような1または複数の無線通信インタフェース112を有することができる。デバイス20はまた、例えば、1もしくは複数のマイクロフォン106、タッチスクリーン104、または例えば医療事象画像捕捉アプリ114の画面のようなグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を生成する他のディスプレイデバイス、任意のキーパッドまたは他のユーザー入力デバイス(図示せず)、およびオーディオ信号出力デバイス(例えば、スピーカーまたはブザー)110のような様々なユーザーインターフェースをも有することができる。
【0052】
医療事象画像捕捉アプリ114は、指標および/または薬剤投与デバイス画像を捕捉する動作と、捕捉された画像処理動作とを提供するプログラムコードである。捕捉された画像処理動作は、(1)捕捉された画像内の指標および他の画像要素からアーティファクトおよび関連する情報システムを解読する、またはそうでなければ識別することができ、(2)例えば、投薬前の針カバーの除去、投薬またはそうでなければプランジャーを動かすこと、シリンジ内の医療用流体水位、および適用可能な場合の投薬後の針受けの作動のような医療事象に関連するデータを便利なやり方で自動記録することができ、および(3)選択された情報システムに関してユーザーに注意を喚起するヒューマンマシンインタラクション(HMI)動作または他の論理操作を実行し、および入力を要求する、またはそうでなければ関連する医療事象についてユーザーを教育することができる。
【0053】
例えば、画像捕捉動作は、デバイスカメラ102から画像を捕捉する。捕捉された画像の処理操作は、捕捉された画像から選択されたアーティファクトを検出するために、2次元(2D)画像および/またはもしくは3次元(3D)画像処理アルゴリズムを実装することができる。捕捉された画像の処理操作は、例えばアプリ114内のQRコードリーダー、バーコードリーダーもしくはUPCコードリーダー、または光学式文字認識(OCR)動作のような認識動作を任意で含むことができる。医療事象画像捕捉アプリ114のHMIまたは他の操作は、検出されたアーティファクト(例えば、可変指標および画像化された薬剤投与デバイスの他の態様)から、画像化された薬剤投与デバイスがどの状態にあるかを判定し、および関連する情報システムをデジタルメモリデバイスに記録する。
【0054】
多くの患者は、例えば、シリンジまたはペン型自己注射器、またはウェアラブルな自己注射器(例えば、Becton、Dickinson and Companyで入手可能なLibertas(商標))のような低コストであり、および大抵使い捨てである投与デバイスを使用して、彼らに処方された薬剤を投与する。
図1に示されるように、典型的なシリンジ10は、主にプラスチックまたはガラスでできており、バレル30、ストッパー32、プランジャー34、および針36を含むいくつかの部品を有する。適切な投薬を可能にするために、バレル上に目盛りの印刷を行うことができる。バレル30の内部では、ゴム製ストッパー32が密閉する封となり、液体の薬剤または他の流体をバレル内へ移し、およびバレルから外に移す。プランジャー34はゴム製ストッパー32と相互に作動して、ユーザーのコントロールの元でゴム製ストッパー32を前後に移動させる。本体内へ流体を注入したり、または本体から流体を除去することができるように、金属製の針36またはカニューレはバレルの遠位端部に通常取り付けられるが、このことはいつも当てはまるというわけではない。例えば、遠位端部に雄ルアーコネクタ(male Luer connector)を有するシリンジは、カテーテル上の雌ルアーコネクタ(female Luer connector)またはIVラインに取り付けられて、針またはカニューレを使用することなく流体を注入または引き込むことができる。多くのシリンジは患者によって、病院および医療環境において、ならびに特定の病状の管理のために比較的短期の間用いられ得る。針は、ルアーロック(Luer-Lok 商標)接続またはルアースリップ接続40を用いるバレルに取り外し可能に接続され得、またはそれらはシリンジの製造中に取り外せない方法でバレルに取り付けられ得る、もしくは「固定され(staked)」得る
【0055】
注射器10は、しばしば、例えば針シールド12または針受け14のような1または複数の部品と共に使用され得る。例示的な針シールド12は
図3に示され、および概して注射前に除去される。
【0056】
図2A、2B、2Cおよび2Dは、シリンジ10のための典型的な針受け14を示し、これは、薬剤投与後にシリンジを引っ込めて、針受け14の空洞56内でシリンジ針を覆うように設計されている。針受け14は、ガード本体プランジャー54を収容するように寸法決定された空洞を持つ本体46を備え、同様に、ガード本体プランジャー54は予め充填されたシリンジ10を収容するように寸法決定された空洞56を有する。プランジャー54は、本体46空洞内で摺動可能である。本体46は、その中のプランジャーおよびシリンジを見るための本体点検用窓穴48、その遠位端部46bにあるばね50、およびその近位端部46aにある使用者の指を乗せるためのフランジ52a、bを有する。ガード本体プランジャー54は、その近位端部54aにシリンジ10の遠位端部を収容するための開口部58を有し、およびその遠位端部54bに開口部60を有し、その中を通ってシールドを持つシリンジ針が突き出る。遠位端部54bの周囲は、ばね50に隣接する。ガード本体プランジャー54はまた、その近位端部54aにプロング62a、bを有し、配置されたときにシリンジプランジャー34の近位端部を収容するための窪みをプロング62a、bは形成する。
【0057】
ここで、
図3、4A、4B、5および6が参照され、
図3、4A、4B、5および6は、改良されたシリンジ10、針シールド12、および針受け14の実施形態の一例を例示し、それぞれが可変指標を用い、その結果として、ユーザーが比較的低コストの薬剤投与デバイスが関与する注射事象データの記録をより楽にできるようすることについての技術的問題に低コストの解決策を提供し、および注射事象に関連する他の関連データの収集ができるようになることに対して低コストの解決策を提供する。例えば、可変指標は、シリンジ10および/または例えば針シールド12または針受け14のような関連する部品に直接設けられるか、またはラベルとして利用され、および可変指標は、例えば、RFIDタグもしくはセンサ、またはプロセッサおよび通信インターフェースをシリンジおよび自己注射器に設けるような注射情報を収集するための他の方法より比較的低いコストでの解決策として挙げられる。
【0058】
図3は、シリンジ10のバレル30上に可変指標80を有する実施形態の一例に従った、改良されたシリンジ10である。指標80はバーコードとして示されているが、例えば、異なる光学パターンであっても良い。指標80は、それが変更されていないとき(例えば、薬剤投与の前)、第1の状態を表すことができる。プランジャー34が配置されるとき、プランジャーストッパー32は、指標80の少なくとも一部を難読化することでリーダまたはスキャナが変更を読み取れるように、指標80を変更する。このことは、様々な状態(例えば、投与後状態、または現在の投薬量状態、または流体残存状態)を表すためにアプリ114によって割り当てられることができる指標80を変更する。あるいは、プランジャー34は第2の指標82を備えることができ、および指標80とそれとの組み合わせ、または指標80の長さに対するそれの追加、または指標80を変更する他の手段は、異なる割り当てられた状態を表すことができる。第2の標識82は、例えば別のバーコードであってもよく、または、
図5に示されるようなプランジャーもしくはストッパー上の他の種類の印84であっても良い。シリンジ10は、可変指標86を備えた改良された針シールド12と共に、任意で使用されることができる。シールド12がシリンジ10から取り外されて指標86を変更する(例えば、それを短くする)ときに、標識86は、その一部が引き剥がされるラベル上に設けることができ、したがって、変更されていない標識86によって表される注射前の事象の状態に対比して、例えば「注射事象」のような異なる状態を表すことができる。指標86の変更が検出されると、「注射事象」に対応するタイムスタンプが保存されることになり得る。言い換えれば、アプリ114を使用して注射がいつ打たれたかを自動的に検出し、および記録するためには、ユーザーは、シリンジから取り外されたシールド12の写真を撮影するだけでよい。
図5は、アプリ114を備えたスマートフォン20上のカメラ102を使用して、可変指標についての捕捉された画像を有する可変指標付きの薬剤投与デバイスを図示する。
図3、4A、4Bおよび6に示される薬剤投与デバイスは、同様に、スマートフォンカメラ102または他の種類のスキャナによって読み取られることができることを理解されたい。
【0059】
図4Aおよび
図4Bならびに
図5は、実施形態の一例に従って、可変指標を持つ針受け14付きの改良されたシリンジ10を図示する。可変指標は、針受け本体46上の第1の指標88と、針受けプランジャー54上の第2の指標90とを備えることができる。第1の指標88は、
図4Aにおいて変更されておらず、および投与前状態を表すことができ、第1の指標88は、シリンジ針を針受け14本体46内に引っ込めるように配置されるときに変更され(例えば、組み合わされて長くなる)、したがって投与後状態を表すことになる。いずれの状態も、クイックスキャンまたは画像捕捉を使用して検出されることができ、例えば、アプリ114を介して時間および状態を記録する。したがって、ユーザーには、日付/時刻および他の情報を手動で書き込む、または入力する必要なしで注射事象を記録する別の例示的で便利な方法が提供されることになる。
【0060】
可変コードのメリットは、シリンジおよびその関連部品に限定されないが、ペン型自己注射器18およびウェアラブルな自己注射器にもまた当てはめられることができる。例えば、多くの患者は、薬剤を投与するために、比較的低コストで使い捨て可能な1人の患者用の事前充填型ペン型自己注射器を使用する。例えば、多くの糖尿病患者は、例として、300単位のインスリンを含有するペン型自己注射器を使用し、患者はペン18によって1回以上自分自身に注射することができる。
図6Aおよび
図6Bを参照すると、ペン型自己注射器18は、キャップ65を持つペン本体64と、投薬量ダイヤルと、窓穴70とを備える。注射するために、ユーザーはキャップ65を取り外し、および針68をペン18に接続する。ペン18は、流体が入っているチャンバー72(例えば、予め充填されている、またはその中に挿入されている流体カートリッジを有する)と、ユーザーがチャンバー72内の流体の単位数を視覚的に識別することができる印刷された目盛り74とを有する。ペン18は、投薬量ダイヤル70の設定に従って、針18を通してチャンバー72から流体を制御可能に排出する駆動機構76をさらに備える。
【0061】
ペン18は低コストの可変指標を以て改良され、ユーザーがペン18に関連する注射事象を便利なやり方で、および安い費用で記録することができるようになる。例えば、チャンバー72は、例としてバーコードまたは他のパターンのような可変指標96を備えることができる。駆動機構76が完全に格納されるとき、可変指標96は変更されず、および投与前状態を表すようアプリ114によって割り当てられる。ペン18が注射のために使用された後、駆動機構76上のストッパー78は、可変指標96の少なくとも一部を遮ってそれを変更し、および異なる状態を表す。例えば、投与された投薬量およびチャンバー72内に残っている流体を判定し、そのような情報をデジタルメモリ内に自動的に記録するためにカメラ画像内で捕捉された可変指標96のみ、またはチャンバー72の物理的特性(例えば、その中のストッパーの位置または目盛り74に対するストッパーの位置)を伴った可変指標96について、アプリ114に従ってプロセッサ100は分析することができる。
【0062】
さらに、内側カバー63付きの針68を包み込む剥離ラベル69を持った外側カバー67を備えた針アダプタ66として、針68は包装されることができる。
図6Aおよび
図6Bを引き続き参照すると、可変指標92はまた、ペンキャップが取り外されたときに可変指標92が短くされるようにすることで、ペンキャップ65および本体64にも適用されることができる。あるいは、可変指標94は、ラベル69が剥離されるときに可変指標94が短くされるようにすることで、外側カバー67およびラベル69に設けられても良い。いずれの場合も、ユーザーは、変更された可変指標92または94の画像を注射前に撮影して、注射事象を便宜的に記録することができる。さらに、可変指標92または94はまた、デジタルメモリにも記録されることができるペンの種類および針の種類を示すバーコードデータを備えても良い。
【0063】
命令のセットは、
図8に例示される動作のサブセットを実装することができる。例えば、ステップ120~126は、1もしくは複数の可変コードまたは薬剤投与デバイス上の他の指標の画像を捕捉する命令、異なる時間に薬剤投与デバイス上の1または複数の可変コードの別の画像を捕捉する命令、および捕捉画像を分析して、画像間での可変コードの任意の検出された変化に基づいて薬剤投与デバイスの動作段階のそれぞれを決定し、決定された段階のそれぞれに時間および/または日付スタンプを任意で提供する命令の主要な動作であり得る。単独で、または針シールド12および針受け14の一方もしくは両方と共に使用される例示的なシリンジ10について検出される例示的な段階を示すため、および1または複数のシリンジ10、針シールド12、および針受け14上の可変指標の画像から生成され得る関連する例示的な情報システムについて検出される例示的な段階を示すために、他の例示的な動作が
図7に図示される。
【0064】
図8は、医療事象画像捕捉アプリ114に従って動作するスマートフォン20または他のデバイス(例えば、専用スキャンデバイスまたはiPad)の例示的な動作を図示する。実施形態の一例は、
図8に例示される動作のサブセットを実装するためのコンピューター可読命令を備えることができることを理解されたい。例えば、ステップ120~126は、1もしくは複数の可変コードまたは他の指標を持った薬剤投与デバイスの画像を捕捉する命令の主な動作(ブロック120および124)であり得、捕捉された画像を分析して、指標および任意の関連する属性を識別し(ブロック122)、および指標および任意の関連する属性を処理して、例えば検出された変更指標を薬剤投与デバイスについて割り当てられた状態と関連付けるように指定されている情報システムまたはコンテンツを決定する(ブロック126)。
図8で例示されている他の例示的な動作128~148は、単独で、または針シールド12および針受け14の一方もしくは両方と共に使用される例示的なシリンジ10について検出される例示的な段階、および1または複数のシリンジ10、針シールド12、および針受け14上の可変指標の画像から生成され得る関連する例示的な情報システムについて検出される例示的な段階を示す。命令は、ペン型自己注射器の1または複数の状態を検出することに関して他の動作を制御することができることを理解されたい。
【0065】
例えば、ブロック126について、変更されていない可変指標の対応するもの、および例えば、変更されていない可変指標に割り当てられた投与前状態、および画像内で捕捉された指標に割り当てられ、指標パターンの任意の難読化を具備する投与後状態のような1または複数の変更された可変指標の段階のそれぞれに、異なる薬剤投与デバイスの状態または動作を割り当てる情報を記憶するようにアプリ114内のコンピューター可読命令は構成され得る。別の例として、アプリ114は、第1の薬剤投与デバイス状態を変更されていない可変指標に割り当て、第2の薬剤投与デバイス状態を変更された可変指標の形態に割り当てるように構成されることができ、それによって、指標が長くされ(他の指標と組み合わせて)、または切り取られ、または指標の色もしくは透明度が変化する。アプリ114はまた、ペン型自己注射器またはウェアラブル自己注射器内にあり、および可変指標に隣接したシリンジバレルまたは窓穴の捕捉された画像を処理し、残存する流体の量、またはシリンジ内のダイヤルを回して目下調節された投薬量もしくはシリンジ内に引き込まれた量、または投与された投薬量を判定するように構成されても良い。
【0066】
図8の例示的な動作128~148を引き続き参照すると、ユーザーは、スマートフォン20カメラ102、またはカメラおよびアプリ114を備えた他のデバイスを操作して、例えば、ペンのキャップの取り外し後もしくは針のキャップの取り外し後、または投与直前、またはプランジャーの移動の直後、または安全機能の配置後のような注射事象の選択された点または段階での可変指標を有する薬剤投与デバイスの画像を撮影する(ブロック120)。アプリ114の捕捉された画像処理動作は、指標122および任意で薬剤投与デバイスの他の属性を分析する(ブロック122および124)。アプリ114は、プロセッサ100を制御して、薬剤投与デバイスの状態および任意で他の関連デバイス情報を決定するように構成される(ブロック126)。例えば、アプリ114に従ったプロセッサ100は、シリンジ針シールド12が取り外されたかどうか(ブロック128)を判定し、
図3に関連して説明されるように、シールドの取り外しによって変更または変化するシールド上の指標に基づいて注射事象の開始を示し、およびそれに対する対応するタイムスタンプを記録することができる(ブロック130および
図9A)。同様に、
図3、4A、4B、5、6Aおよび6Bに関連して説明されるように、プロセッサ100は、プランジャーのストッパーまたは自己注射器駆動機構によって、それぞれ変更または難読化されたシリンジバレルまたは自己注射器の窓穴上の指標に基づいて、シリンジのプランジャーまたは自己注射器駆動機構が移動したかどうかを判定し(ブロック132)、その結果として対応するタイムスタンプを記録する(ブロック134)ことができる。
【0067】
図8を引き続き参照すると、プロセッサ100は、医療事象画像捕捉アプリ114によって制御されて正しい投薬量が引き込まれ、または投与されたかどうかを判定し、そうでない場合、任意で、アラートまたはGUI画面をユーザーにもたらす(ブロック136及び138ならびに
図9B)。針受けが使用される場合、プロセッサ100は、例えば、
図4Aおよび
図4Bに関連して説明されるように、この安全機能が、第1の指標および第2の指標を使用して注射した後に適切に配置しているかどうかを検出することができ、および任意で、あらゆる問題または障害をユーザーに通知するためのアラートまたはGUI画面をもたらすことができる(ブロック140及び142ならびに
図9D)。投与された投薬量は、任意で、ブロック144および
図9Cを通じて(例えば、タッチスクリーン30上のアプリ114によって生成されたGUI画面を介して)投与されたものとして確認されることができる。医療事象データまたは情報システム(例えば、アプリ114の捕捉された画像処理動作を介して取得されたデータの中でも特に、1または複数の確認された投薬量、検出された誤動作、薬剤投与状態の動作)は、患者および/または病状管理の他の利害関係者によるアクセスおよび使用のためにその場で、またはリモートで記憶され得る(ブロック146)。例えば、医療事象データまたは情報システムは、例として統合された疾病管理システムへ組み込まれるような使用(ブロック148)の中でも特に、患者の電子記録に含めるため、医療費請求のため、医療用品の自動補充のため、および/またはケアプランのコンプライアンスの追跡のため、リポジトリに自動的にアップロードされ得る。
【0068】
例示的な実施形態は、ユーザーとより良く関与し、薬剤投与デバイスおよび医療事象画像捕捉アプリ114の両方からの強みを活用する複数の方法を開示して、ユーザーの体験を向上させる。アプリ114は、特定の機能および活動の両方を認識するため、それらが意図されたとおりであることを確認するため、ユーザーに確認させるため、また後世のために情報の記録および追跡を可能にするためにも使用される。全体として、可変指標およびアプリ114を有する薬剤投与デバイスの統合的な使用は、より良いコンプライアンスおよび改善された患者の転帰を促進することができる。例えば、本明細書に記載の例示的な実施形態により、注射事象および、例えば投与された投薬量のような関連情報の記録がより便利なやり方となり、次いで、このことにより、臨床上のより良い意思決定を可能にするためのより正確なデータが提供され得る。主に自己注射患者ベースを対象としているが、アプリ114と可変指標を有する薬剤投与デバイスとの組み合わせは、他の環境(例えば、施設の場所および代わりとなる場所)において、また世話をする人(例えば、看護師、家族のメンバー等)によっても活用されることができる。
【0069】
「含む」、「含んでいる」、「備える」、および/または「備えている」という用語は、この明細書内で使用する場合において、記載された特徴、整数、ステップ、作動、要素、および/または構成要素の存在を明確に述べるものであるが、1または複数の他の特徴、整数、ステップ、作動、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在、または追加を除外するものではない、ということが理解される。
【0070】
「第1の」、「第2の」、「第3の」などいう用語は、本明細書で様々な要素、構成要素、範囲、層、および/または区分を説明するために用いられ得るが、これらの要素、構成要素、範囲、層および/または区分は、これらの用語に限定され得ない、ということが更に理解される。これらの用語は、ある要素、構成要素、範囲、層、または区分を別の要素、構成要素、範囲、層、または区分と区別するために用いられるに過ぎない。
【0071】
本明細書で使用されているように、「および/または」という用語は、関連して列挙されている1または複数の項目のうちの任意かつ全ての組み合わせを含む。「~のうち少なくとも1つ(at least one of)」の様な表現は、列挙された要素の前に来る場合、列挙された要素の全体を変更するものであり、列挙された個々の要素を変更するものではない。さらに、本明細書で説明される「ユニット」、「~するもの(-er (-or))」、および「モジュール」のような用語によって、少なくとも1つの機能、または作動を実行する要素が言及され、ならびにハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせに実装され得る。
【0072】
様々な用語は、特定のシステム構成要素を言及するために使用される。異なる企業は、構成要素を異なる名前で言及し得る。―この文書は、名前が異なるが機能は異ならない構成要素を区別することを意図していない。
【0073】
これらの実施形態の一例が関係する技術分野の当業者にとって明白な、これらの実施形態の一例の内容は本明細書で詳細に説明されないことがある。
【0074】
本明細書で説明する図示された実施形態に従って用いられる、実例となるデバイス、システム、および方法の構成要素は、デジタル電子回路、アナログ電子回路、またはコンピューターのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはその組み合わせにおいて少なくとも部分的に実装されることができる。これらの構成要素は、プログラミング可能なプロセッサ、コンピューター、または多重コンピューターのようなデータ処理装置によって実行するため、またはそのようなデータ処理装置の作動を制御するために、情報キャリアまたは機械可読記憶デバイスにおいて明白に具体化されるコンピュータープログラム、プログラムコード、またはコンピューター命令のような、例えばコンピュータープログラム製品として実装されることができる。
【0075】
コンピュータープログラムは、コンパイルされた言語、またはインタプリタ型の言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、ならびにそれは、コンピューター環境の使用に適したスタンドアローン型のプログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、または他のユニットを含んだ任意の形態で配置されることができる。コンピュータープログラムは、1つのコンピューター上もしくは他のデバイス上で、または1か所における複数のデバイス上もしくは複数の場所に渡って分散され、通信ネットワークによって接続されて実行するために配置することができる。また、本明細書で説明される特徴を遂行するための関数プログラム、コード、およびコードのセグメントについては、当業者のプログラマーが容易に開発することができる。実施形態の一例に関連した方法のステップは、機能を実施する(例えば、インプットデータを操作することによって、および/またはアウトプットを生成することによって)ためのコンピュータープログラム、コードまたは命令を実行するプログラミング可能な1または複数のプロセッサによって実施することができる。同様に、方法のステップは、専用論理回路、例として、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)によって実施することができ、ならびに本明細書で説明される装置は、専用論理回路、例として、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)として実装されることができる。
【0076】
本明細書で説明した実施形態に関連して説明されている、実例となる様々な論理ブロックと、モジュールと、電気回路とは、本明細書で説明した機能を実施するように設計されている、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、または他のプログラミング可能な論理デバイス、個別のゲートもしくはトランジスタ論理、個別のハードウェア構成要素、またはその任意の組み合わせに実装され得る、または実施され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであっても良いが、別の方法としては、プロセッサは、任意の従来型のプロセッサ、コントローラー、マイクロコントローラー、または状態機械であっても良い。同様に、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動した1または複数のマイクロプロセッサ、または任意のそのような他の構成、といったコンピューターデバイスの組み合わせとして、プロセッサは実装されても良い。
【0077】
コンピュータープログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータのうちの任意の1または複数のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受領する。コンピューターの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1または複数のメモリデバイスとである。一般的に、コンピューターはまた、例えば磁気ディスク、光磁器ディスク、または光ディスクというようなデータ記憶のために、1または複数の大容量記憶装置を含み、または1または複数の大容量記憶装置からデータを受信するため、または1または複数の大容量記憶装置にデータを送信するため、または両方のために、動作可能に連結される。コンピュータープログラムの命令およびデータを具体化するのに適した情報キャリアは、例として、半導体メモリデバイスを含む全ての形態の不揮発性メモリを含み、半導体メモリデバイスには、例として電気的プログラマブル読み出し専用メモリ(ROM)(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイス、およびデータストレージディスク(例えば、磁気ディスク、内蔵ハードディスク、またはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、およびCDーROM、およびDVD-ROMディスク)がある。プロセッサとメモリとは、専用論理回路によって補完され、または専用論理回路に組み込まれることができる。
【0078】
コンピューター可読非一時的媒体は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュ媒体、および固体記憶媒体を含む、あらゆるタイプのコンピューター可読媒体を含む。ソフトウェアは、中央処理装置(CPU)デバイスにインストールして販売できることを理解されたい。替わって、ソフトウェアを取得してCPUデバイスにロードすることができ、これには、例えば、ソフトウェア作成者が所有するサーバーから、またはソフトウェア作成者が所有していないが使用するサーバーからなど、物理メディアまたは配布システムを通じてソフトウェアを取得することが含まれる。ソフトウェアは、例えばインターネット上で配布するためにサーバーに記憶することができる。
【0079】
本明細書で説明された実施形態の一例は、説明的な意味でのみ考慮され得、限定の目的のためではないことが理解され得る。それぞれの実施形態の一例の範囲内の特徴または態様の説明は、他の実施形態の一例における他の同様な特徴または態様に対して利用可能であると見なすことができる。例示的な実施形態が図を参照して説明されているが、以下の特許請求の範囲によって定義される精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中で行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用投与システムであって、
シリンジと、ペン型自己注射器と、ウェアラブル自己注射器とを備えるグループから選択される薬剤投与デバイスであって、ペンのキャップの除去、または針のキャップの除去と、プランジャーの動き、または前記薬剤投与デバイスから流体を供給する他の駆動メカニズムの動きと、前記薬剤投与デバイスの部品の機械的な動作と、前記流体が供給された後の薬剤投与デバイス部品の動きとで構成されているグループから選択された前記薬剤に関する指定された動作の後で変更される可変指標を備える、薬剤投与デバイスと、
前記可変指標の画像を分析して、前記可変指標が不変であると前記画像の分析が検出するときに、前記薬剤投与デバイスの第1の状態を割り当て、前記薬剤投与デバイスに関する前記指定された動作によって前記可変指標が変更されたと前記画像の分析が検出するときに、前記薬剤投与デバイスの第2の状態を割り当て、および前記割り当てられた状態をメモリデバイスに記憶する、コンピューター可読命令のセットと、
を備える医療用投与システム。
【請求項2】
前記コンピューター可読命令のセットは、前記割り当てられた状態に対応するタイムスタンプのそれぞれを関連付けて前記メモリデバイスに記憶する、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項3】
前記コンピューター可読命令のセットは、デジタルデバイスのメモリに記憶されるソフトウェアアプリケーション内にあり、前記画像は、前記デジタルデバイスに関連付けられるカメラによって生成される、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項4】
前記
可変指標は、機械可読コードと、バーコードと、印刷された指標と、エッチング処理を施された指標と、英数字の指標と、色分けされた指標と、光学的指標と、測定目盛りを示す指標と、1もしくは複数の縞を備える指標と、1もしくは複数の形状を備える指標とで構成されているグループから選択された1もしくは複数の特徴を備える、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項5】
前記
可変指標は、前記
可変指標を延長することと、前記
可変指標を短くすることと、
可変指標の光学的特性を変更することと、前記
可変指標の物理的特性を変更することとから選択された動作によって変更される、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項6】
前記コンピューター可読命令のセットは、決定された前記第1の状態または決定された前記第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項7】
前記薬剤投与デバイスはシリンジであり、および前記可変指標は、前記シリンジ上に設けられた第1の指標を少なくとも備え、前記シリンジは、流体を保持するための空洞を持つバレルと、プランジャーを収容するためのシリンジの近接端部における開口部と、流体の針との結合に関するシリンジの遠位端部における開口部と、前記バレルの前記空洞内で可動し、およびプランジャーの遠位端部上にストッパーを備えるプランジャーとを備え、前記コンピューター可読命令のセットは、前記第1の指標の画像を分析して、前記第1の指標が不変であると前記画像の分析が検出するときに、前記シリンジに前記第1の状態を割り当て、前記プランジャーの前記動きによって前記第1の指標が変更されたと前記画像の分析が検出するときに、前記コンピューター可読命令のセットが前記シリンジに前記第2の状態を割り当てる、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項8】
前記コンピューター可読命令のセットは、決定された前記シリンジの前記状態を別のデバイスに伝えるように構成される、請求項7に記載の医療用投与システム。
【請求項9】
前記シリンジの前記第1の状態は投与前状態であり、および前記シリンジの前記第2の状態は、プランジャーの動きによって開始される投与と、終了位置に至ったプランジャーの動きによって完了された投与とで構成されている前記グループから選択される、請求項7に記載の医療用投与システム。
【請求項10】
前記コンピューター可読命令のセットは、前記プランジャーの動く距離と、前記シリンジ内に残っている流体の量と、前記プランジャーの動きによって前記シリンジから投与された流体の量とで構成されている前記グループから選択される前記シリンジの状態を決定するように構成される、請求項9に記載の医療用投与システム。
【請求項11】
前記可変指標は
第1の指標であって第2の指標を
さらに備えることができ、および前記プランジャーには、ストッパーと前記プランジャー上の前記第2の指標とのうち少なくとも1つが、もしくは前記ストッパーが設けられており、および、前記ストッパーによって少なくとも部分的に遮られる前記第1の指標と、前記第2の指標によって少なくとも部分的に遮られる前記第1の指標と、前記シリンジの前記第2の状態を表す前記画像に結び付けられる前記第1の指標および前記第2の指標とから選択される状況が生じるときに、前記第1の指標が前記プランジャーの前記動きによって変更されることを前記画像の分析が検出する、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項12】
前記シリンジは、前記シリンジに取り外し可能なように取り付けられる針シールドを備え、前記針シールドは、前記針シールドが除去される前に前記針を覆い、および前記針シールドが除去された後に前記針を露出させるように構成され、前記
可変指標は、前記針シールド上に設けられ、および前記シリンジからの前記針シールドの除去によって変更されるように構成され、前記シリンジの前記第1の状態は、前記シリンジに取り付けられている前記針シールドであり、ならびに前記シリンジの前記第2の状態は、前記シリンジから除去された前記針シールドである、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項13】
前記コンピューター可読命令のセットは、前記シリンジに取り付けられる前記針シールドの決定された前記第1の状態を、別のデバイスに伝えるように構成される、もしくは、前記シリンジから除去された前記針シールドに対する決定された前記第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される、請求項12に記載の医療用投与システム。
【請求項14】
前記シリンジに貼付され、および前記シリンジからの前記針シールドの除去時に前記シリンジから引き離され、および引き離されることによって前記
可変指標を変更する印刷されたラベルの一部について操作可能である前記印刷されたラベルとして、前記
可変指標は前記シリンジ上に設けられる、請求項12に記載の医療用投与システム。
【請求項15】
前記針シールドが、前記シリンジの前記第1の状態を表すために前記シリンジに取り付けられているときに、前記針は前記
可変指標の少なくとも一部を遮り、および前記針シールドが、前記シリンジの前記第2の状態を表すために前記シリンジから除去されるときに、前記
可変指標は前記針によって遮られない、請求項12に記載の医療用投与システム。
【請求項16】
前記シリンジを少なくとも部分的に収容するためのプランジャー空洞を持つ針受けプランジャーと、前記針受けプランジャーを少なくとも部分的に収容するための本体空洞を持つ本体とを備える針受けであって、前記針受けプランジャーは、前記針受けプランジャーの近接端部に、前記プランジャー空洞内に前記シリンジを収容するための開口部を有し、および投与前状態のときに前記シリンジの前記針が遠位端部を貫いて延在する開口部を前記針受けプランジャーの遠位端部に有し、前記本体は、前記投与前状態の間に、前記針受けプランジャーの前記遠位端部をエネルギー貯蔵状態にするばね機構を前記本体の前記遠位端部に有し、前記ばね機構は、前記シリンジが流体の投与を前記シリンジから完了した後に、前記本体内に前記シリンジの前記針を引っ込めるために前記本体の近接端部に向けて前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させるための解放されたエネルギー状態において操作可能であり、前記シリンジ上に設けられた前記第1の指標は、前記投与前状態の間で不変であり、および前記針を前記本体内に引っ込めるために、前記ばね機構が前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させた後に変更される、針受けをさらに備える、請求項7に記載の医療用投与システム。
【請求項17】
前記本体は、窓穴を通して前記シリンジ上の前記第1の指標が見える前記窓穴を備える、請求項16に記載の医療用投与システム。
【請求項18】
前記可変指標は第2の指標を備えることができ、および前記シリンジの前記プランジャーには、ストッパー、および前記プランジャー上の前記第2の指標または前記ストッパー上の前記第2の指標のうちの少なくとも一つが設けられ、および前記第1の指標が前記ストッパーによって少なくとも部分的に遮られることと、前記第1の指標が前記第2の指標によって少なくとも部分的に遮られることと、前記第1の指標および前記第2の指標とが、前記シリンジの前記第2の状態を表す前記画像内で組み合わせられることとから選択される状況が生じたときに、前記プランジャーの前記動きによって前記第1の指標が変更されると前記画像の分析が検出する、請求項16に記載の医療用投与システム。
【請求項19】
前記ばね機構が、前記針を前記本体内に引っ込めるために前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させたことを検出するために、前記画像の分析が前記第1の指標と前記第2の指標との組み合わせを用いる、請求項18に記載の医療用投与システム。
【請求項20】
前記可変指標が第2の指標を備えることができ、および前記シリンジの前記プランジャーには前記第2の指標について設けられ、および前記針を前記本体内に引っ込めるために前記ばね機構が前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させたことを検出するために、前記画像の分析は、前記第1の指標と前記第2の指標との組み合わせを用いる、請求項16に記載の医療用投与システム。
【請求項21】
前記第1の指標と前記第2の指標との前記組み合わせが、前記第1の指標もしくは前記第2の指標よりも増加した長さを持つ変更された指標を備えるかどうかを、前記画像の分析は決定することを備える、請求項20に記載の医療用投与システム。
【請求項22】
前記コンピューター可読命令のセットは、前記シリンジが前記投与前状態の間に不変であることに対応する決定された前記第1の状態、もしくは前記針を前記本体内に引っ込めるために前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させることに対応する決定された前記第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される、請求項16に記載の医療用投与システム。
【請求項23】
シリンジを少なくとも部分的に収容するためのプランジャー空洞を持つ針受けプランジャーと、前記針受けプランジャーを少なくとも部分的に収容するための本体空洞を持つ本体とを備える針受けであって、前記針受けプランジャーは、前記針受けプランジャーの近接端部に、前記プランジャー空洞内に前記シリンジを収容する
ための開口部を有し、および投与前状態のときに前記シリンジの針が遠位端部を貫いて延在する開口部を前記針受けプランジャーの遠位端部に有し、前記本体は、前記投与前状態の間に、前記針受けプランジャーの前記遠位端部をエネルギー貯蔵状態にするばね機構を前記本体の前記遠位端部に有し、前記ばね機構は、前記シリンジが流体の投与をシリンジから完了した後に、前記本体内に前記シリンジの前記針を引っ込めるために前記本体の近接端部に向けて前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させるための解放されたエネルギー状態において操作可能であり、前記可変指標は、前記本体上に設けられた第1の指標と前記針受けプランジャー上に設けられた第2の指標とを備え、前記可変指標は、前記投与前状態の間に前記命令のセットによって前記第1の状態を割り当てられ、および前記ばね機構が前記針を前記本体内に引っ込めるために前記針受けプランジャーと前記シリンジとを前進させた後に前記可変指標が変更されるときに前記可変指標は第2の状態を割り当てられる、針受けをさらに備える、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項24】
薬剤投与デバイスはペン型自己注射器であり、および前記ペン型自己注射器に取り外し可能なように取り付けられたペンのキャップと、前記ペン型自己注射器に取り外し可能なように取り付けられた針と、投与のための流体および前記ペン型自己注射器から前記流体を排出するように構成された駆動機構が介して見える投与量用窓穴と、前記ペン型自己注射器が再使用可能である場合の流体カートリッジとのうちの少なくとも一つに前記可変指標は設けられる、請求項1に記載の医療用投与システム。
【請求項25】
前記可変指標は、前記投与量用窓穴上にまたは前記ペン型自己注射器
の本体上に、および前記投与量用窓穴に隣接して設けられ、および前記駆動機構は、前記流体を供給するために移動されるゴム製の封を前記駆動機構の遠位端部に持ち、および前記コンピューター可読命令のセットは、前記可変指標の1または複数の画像を分析し、および前記1または複数の画像の分析が前記可変指標は不変であると検出するときに前記第1の状態を前記薬剤投与デバイスに割り当て、および可変指標が前記ゴム製の封によって少なくとも部分的に遮られることと、前記ゴム製の封によって前記可変指標の遮られた部分
の位置における変化があることと、少なくとも流体の供給またはゴム製の封の動きのうちの1つに起因して、前記投与量用窓穴上に設けられた、または前記本体に隣接して設けられた測定目盛りに関連した前記可変指標の変化があることとで構成されている前記グループから選択された状況を、前記1または複数の画像の分析が検出するときに、前記薬剤投与デバイスに前記第2の状態を割り当てる、請求項24に記載の医療用投与システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病状管理事象の画像捕捉のためのシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の参照
本出願は、2020年4月29日に出願された米国仮出願第63/017,347号の利益を主張し、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
1.分野
実施形態の一例に合致している装置と方法は、流体を移す(すなわち注入する、または引き込む)ための、例えばシリンジ、ペン型自己注射器、およびウェアラブル自己注射器のような薬剤投与デバイスに関連し、より具体的には、情報の中でも特に、シリンジまたはシリンジの部品、または自己注射器、または充填量、または投与された投与量についての状態(例えば、使用もしくは使用のステージ)に関する情報を提供するための可変指標が設けられたシリンジおよび/または関連部品(例えば、シリンジの針シールドおよび針受け)もしくはペン型自己注射器、もしくはウェアラブル自己注射器、および情報の捕捉と送信とを促進するスマートフォンアプリケーション(アプリ)に関連する。
【0004】
2.関連技術の説明
服薬アドヒアランスの欠如は、特に糖尿病ケアに関して全世界的な重大性を有する問題となっている。全患者のうちおおよそ50パーセントは、処方された通りに薬剤を飲まない。何十万人もの死亡や支払わなくて済む何十億ドルもの医療費および関連費用の直接的な原因の1つには、服薬アドヒアランスの欠如が挙げられる。
【0005】
スマートフォンアプリが現在使用されており、それは処方ラベルの写真を使用することで、処方された薬剤の供給量が少なくなったときに患者が再注文する手助けとなるというものである。しかし、これらのアプリでは、患者が薬剤を飲む前に薬剤または投与量を直接確認することがなく、ならびにシリンジやペン型注射器と合わせた特定の使用が考慮されていない。
【0006】
注射のような医療事象を記録することでユーザーの手助けとなる他のスマートフォンアプリや、薬剤の投与および/または薬剤が投与される量について、ダイヤルで調節された量を自動的に記録することでユーザーの手助けとなることができるスマート注射デバイス(すなわち、スマートペン注射器)がある。
【0007】
それにもかかわらず、病状管理プロトコルまたはレジメンについてのコンプライアンスを追跡し、例えば医療用品の補充などの関連プロセスを改善し、薬剤投与ミスのような医療ミスを避け、ならびに最適な患者治療ケアプラン、請求書作成、および保険の補償範囲の意図に対する病状管理の利害関係者間での情報共有を促進するために、病状管理事象に関連する情報の取得および使用において、ユーザー(例えば、患者、彼らを世話する人、彼らの医療サービス提供者、および支払人/保険会社、薬局および医療製品供給者および医療製品販売業者のような病状管理の他の利害関係者)の手助けとなる方法およびデバイスについての継続的な必要性が依然として存在する。
【0008】
ある種の薬物注射の効果的な投与には、特に糖尿病患者によって使用されるインスリンの場合、投与された全ての投与量に関して記録を保持することが要求される。多くの患者は、処方された彼らの薬剤を投与するために、低コストでおよびしばしば使い捨て可能な、例えばシリンジまたはペン型自己注射器のような投与デバイスを用いる。これらのデバイスは比較的使用が容易であるが、患者または医療従事者が、薬剤治療レジメンの遵守に関わってくる彼らの使用を記録する手助けとなるどのような特徴をも、通常これらの薬剤投与デバイスは欠いている。
【0009】
例えば、患者は、日付と、時間と、シリンジまたはペン型自己注射器による自己注射の量とを記録するよう促される。自己注射をする患者に対して教育が行われるが、大抵の患者は、日常的に適切に指示に従うことはそれでもなお難易度が高いということに気づく。その上、注射および注射された投薬量の記録を得る唯一の手段は、手作業でそれを書き留めることによってのみである。また、ある患者は、シリンジのバレル上の目盛りの印を読むこと、または適切に指示に従うことが困難であるために、まさに具体的な薬の量をシリンジ内に引き込む、および/または注入された薬の具体的な量を確定することが難しいということに気づき得る。
【0010】
シリンジとペン型自己注射器とによる注射情報を記録することの難しさは、また臨床の場においても存在し得る。例えば、医療従事者は、投薬量に関連した情報を記録することについて患者よりもより良くトレーニングされることができるが、この情報を捕捉することに関連した諸経費はかなりのものとなっている。医療従事者が注射の確実な時間と投与量とを複数の患者について臨床の場で測定して記録することは、時間と都合の観点から難しくなり得る。
【発明の概要】
【0011】
実施形態の一例は、少なくとも上記の課題および/または不利益、ならびに上記で説明されていない他の不利益に対処し得る。また、実施形態の一例は、上記で説明されている不利益を克服することを要求されておらず、上記で説明されている任意の課題を克服しないこともある。
【0012】
処方された薬剤投与量のレジメンに対する改善されたアドヒアランスのために、より便利で、より矛盾のない、およびより正確な、注射事象と投与された投薬量とに関する情報の捕捉をユーザーに提供することができる改良された薬剤投与デバイスについての必要性が存在する。
【0013】
実施形態の一例に従って、医療用投与システムは、シリンジと、ペン型自己注射器と、ウェアラブル自己注射器とを備えるグループから選択された薬剤投与デバイスを備える。
薬剤投与デバイスは、ペンのキャップの除去、または針のキャップの除去と、プランジャーの動き、または薬剤投与デバイスから流体を供給する他の駆動メカニズムの動きと、薬剤投与デバイスの部品の機械的な動作と、流体が供給された後の薬剤投与デバイス部品の動きとで構成されているグループから選択された薬剤に関する指定された動作の後で変更される可変指標を有する。医療用投与システムは、また、可変指標の画像を分析して、可変指標が不変であると画像の分析が検出するときに、薬剤投与デバイスの第1の状態を割り当て、薬剤投与デバイスに関する指定された動作によって可変指標が変更されたと画像の分析が検出するときに、薬剤投与デバイスの第2の状態を割り当て、割り当てられた状態をメモリデバイスに記憶するコンピューター可読命令のセットをも備える。
【0014】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、割り当てられた状態に対応するタイムスタンプのそれぞれを関連付けてメモリデバイスに記憶する。
【0015】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、デジタルデバイスのメモリに記憶されるソフトウェアアプリケーション内にあり、画像は、デジタルデバイスに関連付けられるカメラによって生成される。
【0016】
実施形態の一例の態様によれば、第1の指標は、機械可読コードと、バーコードと、印刷された指標と、エッチング処理を施された指標と、英数字の指標と、色分けされた指標と、光学的指標と、測定目盛りを示す指標と、1または複数の縞を備える指標と、1または複数の形状を備える指標とで構成されているグループから選択された1または複数の特徴を備える。
【0017】
実施形態の一例の態様によれば、第1の指標は、第1の指標を延長することと、第1の指標を短くすることと、第1の指標の光学的特性を変更することと、第1の指標の物理的特性を変更することとから選択された動作によって変更される。
【0018】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、決定された第1の状態または決定された第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される。
【0019】
実施形態の一例の態様によれば、薬剤投与デバイスはシリンジであり、および可変指標は、シリンジ上に設けられた第1の指標を少なくとも備える。シリンジは、流体を保持するための空洞を持つバレルと、プランジャーを収容するためのシリンジの近接端部における開口部と、流体の針との結合に関するシリンジの遠位端部における開口部と、バレルの空洞内で移動可能な、およびプランジャーの遠位端部上にストッパーを備えるプランジャーとを備える。コンピューター可読命令のセットは、第1の指標の画像を分析して、第1の指標が不変であると画像の分析が検出するときに、シリンジに第1の状態を割り当て、プランジャーの動きによって第1の指標が変更されたと画像の分析が検出するときに、コンピューター可読命令のセットがシリンジに前記第2の状態を割り当てる。
【0020】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、決定されたシリンジの状態を別のデバイスに伝えるように構成される
【0021】
実施形態の一例の態様によれば、シリンジの第1の状態は投与前状態であり、およびシリンジの第2の状態は、プランジャーの動きによって開始される投与と、終了位置に至ったプランジャーの動きによって完了された投与とで構成されているグループから選択される。
【0022】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、プランジャーの動く距離と、シリンジ内に残っている流体の量と、プランジャーの動きによってシリンジから投与された流体の量とで構成されているグループから選択されたシリンジの状態を決定するように構成される。
【0023】
実施形態の一例の態様によれば、可変指標は第2の指標を備えることができ、およびプランジャーには、ストッパーとプランジャー上の第2の指標とのうち少なくとも1つが、またはストッパーが設けられている。ストッパーによって少なくとも部分的に遮られる第1の指標と、第2の指標によって少なくとも部分的に遮られる第1の指標と、シリンジの第2の状態を表す画像に結び付けられる第1の指標および第2の指標とから選択される状態が生じるときに、第1の指標がプランジャーの動きによって変更されることを画像の分析が検出する。
【0024】
実施形態の一例の態様によれば、シリンジは、シリンジに取り外し可能なように取り付けられる針シールドを備え、針シールドは、針シールドが除去される前に針を覆い、および針シールドが除去された後に針を露出させるように構成される。第1の指標は、針シールド上に設けられ、およびシリンジからの針シールドの除去によって変更されるように構成される。シリンジの第1の状態は、シリンジに取り付けられている針シールドであり、ならびにシリンジの第2の状態は、シリンジから除去された針シールドである。
【0025】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、シリンジに取り付けられる針シールドの決定された第1の状態を、別のデバイスに伝えるように構成される、または、シリンジから除去された針シールドに対する決定された第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される。
【0026】
実施形態の一例の態様によれば、シリンジに貼付され、およびシリンジからの針シールドの除去時にシリンジから引き離され、および引き離されることによって第1の指標を変更する印刷されたラベルの一部について操作可能である印刷されたラベルとして、第1の指標はシリンジ上に設けられる。
【0027】
実施形態の一例の態様によれば、針シールドが、シリンジの第1の状態を表すためにシリンジに取り付けられているときに、針は第1の指標の少なくとも一部を遮り、および針シールドが、シリンジの第2の状態を表すためにシリンジから除去されるときに、第1の指標は針によって遮られない。
【0028】
実施形態の一例の別の態様によれば、医療用投与システムは、針受けをさらに備える。針受けは、シリンジを少なくとも部分的に収容するためのプランジャー空洞を持つ針受けプランジャーと、針受けプランジャーを少なくとも部分的に収容するための本体空洞を持つ本体とを持つ。針受けプランジャーは、針受けプランジャーの近接端部に、プランジャー空洞内にシリンジを収容するための開口部を有し、および投与前状態のときにシリンジの針が遠位端部を貫いて延在する開口部を針受けプランジャーの遠位端部に有する。本体は、投与前状態の間に、針受けプランジャーの遠位端部をエネルギー貯蔵状態にするばね機構を本体の遠位端部に有する。ばね機構は、シリンジが流体の投与をシリンジから完了した後に、本体内にシリンジの針を引っ込めるために本体の近接端部に向けて針受けプランジャーとシリンジとを前進させるための解放されたエネルギー状態において操作可能である。シリンジ上に設けられた第1の指標は、投与前状態の間で不変であり、および針を本体内に引っ込めるために、ばね機構が針受けプランジャーとシリンジとを前進させた後に変更される。
【0029】
実施形態の一例の態様によれば、本体は、窓穴を通してシリンジ上の第1の指標が見える窓穴を備える。
【0030】
実施形態の一例の態様によれば、可変指標は第2の指標を備えることができ、およびシリンジのプランジャーには、ストッパー、およびプランジャー上の第2の指標またはストッパー上の第2の指標のうちの少なくとも一つが設けられる。第1の指標がストッパーによって少なくとも部分的に遮られることと、第1の指標が第2の指標によって少なくとも部分的に遮られることと、第1の指標および第2の指標が、シリンジの第2の状態を表す画像内で組み合わせられることとから選択される状況が生じたときに、プランジャーの動きによって第1の指標が変更されると前記画像の分析が検出する。
【0031】
実施形態の一例の態様によれば、ばね機構が、針を本体内に引っ込めるために針受けプランジャーとシリンジとを前進させたことを検出するために、画像の分析が第1の指標と第2の指標との組み合わせを用いる。
【0032】
実施形態の一例の態様によれば、可変指標が第2の指標を備えることができ、およびシリンジのプランジャーには第2の指標について設けられ、針を本体内に引っ込めるためにばね機構が針受けプランジャーとシリンジとを前進させたことを検出するために、画像の分析は、第1の指標と第2の指標との組み合わせを用いる。
【0033】
実施形態の一例の態様によれば、第1の指標と第2の指標との組み合わせが、第1の指標または第2の指標よりも増加した長さを持つ変更された指標を備えるかどうかを画像の分析は決定することを備える。
【0034】
実施形態の一例の態様によれば、コンピューター可読命令のセットは、シリンジが投与前状態の間に不変であることに対応する決定された第1の状態、または針を本体内に引っ込めるために針受けプランジャーとシリンジとを前進させることに対応する決定された第2の状態を別のデバイスに伝えるように構成される。
【0035】
実施形態の一例の態様によれば、針受けは、シリンジを少なくとも部分的に収容するためのプランジャー空洞を持つ針受けプランジャーと、針受けプランジャーを少なくとも部分的に収容するための本体空洞を持つ本体とを備える。針受けプランジャーは、針受けプランジャーの近接端部に、プランジャー空洞内にシリンジを収容するための開口部を有し、および投与前状態のときにシリンジの針が遠位端部を貫いて延在する開口部を針受けプランジャーの遠位端部に有する。本体は、投与前状態の間に、針受けプランジャーの遠位端部をエネルギー貯蔵状態にするばね機構を本体の遠位端部に有し、ばね機構は、シリンジが流体の投与をシリンジから完了した後に、本体内にシリンジの針を引っ込めるために本体の近接端部に向けて針受けプランジャーとシリンジとを前進させるための解放されたエネルギー状態において操作可能である。可変指標は、本体上に設けられた第1の指標と針受けプランジャー上に設けられた第2の指標とを備え、可変指標は、投与前状態の間に命令のセットによって第1の状態を割り当てられ、および前記ばね機構が針を本体内に引っ込めるために針受けプランジャーとシリンジとを前進させた後に可変指標が変更されるときに可変指標は第2の状態を割り当てられる。
【0036】
別の実施形態の一例の態様によれば、薬剤投与デバイスはペン型自己注射器であり、およびペン型自己注射器に取り外し可能なように取り付けられたペンのキャップと、ペン型自己注射器に取り外し可能なように取り付けられた針と、投与のための流体およびペン型自己注射器から流体を排出するように構成された駆動機構がそれを介して見える投与量用窓穴と、ペン型自己注射器が再使用可能である場合の流体カートリッジとのうちの少なくとも一つに可変指標は設けられる。別の実施形態の一例の態様によれば、可変指標は、投与量用窓穴上にまたはペン型自己注射器の本体上に、および投与量用窓穴に隣接して設けられ、および駆動機構は、流体を供給するために移動されるゴム製の封を遠位端部に持つ。コンピューター可読命令のセットは、可変指標の1または複数の画像を分析し、および1または複数の画像の分析が可変指標は不変であると検出するときに第1の状態を薬剤投与デバイスに割り当て、および可変指標がゴム製の封によって少なくとも部分的に遮られることと、ゴム製の封によって可変指標の遮られた部分の位置における変化があることと、少なくとも流体の供給またはゴム製の封の動きのうちの1つに起因して、投与量用窓穴上に設けられた、または本体に隣接して設けられた測定目盛りに関連した可変指標の変化があることとで構成されているグループから選択された状況を、1または複数の画像の分析が検出するときに、薬剤投与デバイスに第2の状態を割り当てる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
上記および/または他の例示的な態様と利点は、添付の図面と併せて考慮されることで、実施形態の一例に関する以下の説明から明白となり、ならびにより容易に正しく理解されることになる。
【0038】
【
図1】関連技術による、例示的なシリンジを図示する。
【
図3】実例となる実施形態による、可変指標付きの例示的なシリンジを図示する。
【
図4A】実例となる実施形態による、シリンジと可変指標とを有する例示的な針受けを図示する。
【
図4B】実例となる実施形態による、シリンジと可変指標とを有する例示的な針受けを図示する。
【
図5】実例となる実施形態による、
図4Aおよび
図4Bにおけるシリンジ付きの針受けの画像を生成する例示的な画像捕捉デバイスを図示する。
【
図6A】実例となる実施形態による、例示的な可変指標付きペン型自己注射器および/または可変指標付きペンニードルアダプタを図示する。
【
図6B】実例となる実施形態による、例示的な可変指標付きペン型自己注射器を図示する。
【
図7】実例となる実施形態による、医療事象画像捕捉アプリケーションを有する例示的な携帯電話のブロック図を図示する。
【
図8】実例となる実施形態による、可変指標を有するシリンジと外部デバイスとの例示的な動作のフローチャートである。
【
図9A】実施形態の一例による、アプリが外部デバイスに表示させ得る情報を図示する。
【
図9B】実施形態の一例による、アプリが外部デバイスに表示させ得る情報を図示する。
【
図9C】実施形態の一例による、アプリが外部デバイスに表示させ得る情報を図示する。
【
図9D】実施形態の一例による、アプリが外部デバイスに表示させ得る情報を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで、参照は添付図面に図示されている実施形態の一例に対して詳細になされ、同様の参照数字は、明細書中にわたって同様の要素について言及する。このことについて、実施形態の一例は異なる形態を有してもよく、ならびに本明細書に明記されている説明に限定して解釈されることはできない。
【0040】
本明細書で説明される実施形態の一例は、自己投与注射事業でしばしば使用される、例えばシリンジ、または自己注射器(例えば、ペン型自己注射器またはウェアラブルなもの)のような薬物投与デバイスにスマート機能を追加するための低コストな解決策を提供する。本明細書で説明される実施形態の一例は、薬剤投与デバイス上で指標を使用し、それにより指標は可変となり、すなわち、薬剤投与デバイスの状態の変化に応じて、指標が物理的に変更されるか、または指標が捕捉された画像もしくは指標のスキャンが変更されることとなる。
【0041】
指標の例としては、スキャンされることができ、またはそうでなければいくつかの方法での異なる技術によって認識され得るバーコードまたは他の標識もしくはパターンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。指標は、例えば、バーコードなどのパターン、または英数字の指標(例えば、測定単位を示す測定目盛り)、または色分けされた指標、または1または複数の形状を備える指標であり得る。指標は、薬剤投与デバイスの流体用チャンバーに対して利用されるときに、バーコードによって表される情報を提供することができるのはもちろん、流体の温度を決定することを容易にし得る温度感受性バーコード(temperature sensitive barcode)として実装されることができる。指標は、薬剤投与デバイス上、または薬剤投与デバイスもしくは関連部品に利用されるラベル上に直接印刷されるか、または投与デバイスの材料もしくは関連部品の材料にエッチングされることができる。
【0042】
実施形態の一例の態様に従って、薬剤投与デバイス上の指標は可変であり、すなわち、薬剤投与デバイス上の指標は、薬剤投与デバイスの動作または使用の状態の変化に応じて変更される。例えば、薬剤投与デバイスの使用中における薬剤投与デバイスの一部または部品によって、または色の変化によって、または透明度の変化(例えば、薬剤投与デバイスの状態の変化により、薬剤投与デバイス上で使用される指標および/または材料に傷がつく、またはそうでなければ指標および/または材料の透明度が低くなる)による指標部分の難読化からのバーコードまたはパターン変化によって、指標は変更されることができる。
【0043】
指標のスキャナまたは指標のリーダの例としてはスマートフォンがあり、またはさらに低コストである専用バーコードスキャナ、または、例えば薬剤投与デバイスの状態変化の指針として使用される材料の色または材料の透明度の変化を決定するための光度計のような他の光学検出デバイスがあげられる。指標のリーダはまた、画像捕捉および処理装置でもあり得る。本明細書で説明される例では、スマートフォンまたはiPad、または他のスマートデバイス上のカメラを用いる。例えば、使用後(例えば、注射後)に変化を及ぼされるシリンジまたはペン型注射器またはウェアラブル自己注射器上の、変更されたバーコードをスキャンすることは、以下にさらに説明されるような便利なアプリで患者が注射情報を追跡する(例えば、投薬量、投薬された場合の日付/時間など)手助けとなり得る。アプリは携帯電話アプリであってもよく、またはそうでなければ、例えばスマートディスプレイデバイス(例えば、Google Nest Hub)または同様のデバイスのようなスマートデバイス上で提供されるソフトウェアアプリケーション内のコンピューター可読命令のセットであっても良い。
【0044】
例えば、実例となる実施形態に従って、一体化されたデジタルカメラを備えた携帯電話は、デバイス使用のステージに関連して撮影された、薬剤投与デバイス上の指標のカメラ画像(例えば、針のキャップまたはペンのキャップの取り外しによって変更された指標、または注射後に変更された指標)を受信し、および画像内で捕捉された指標を分析して、指標によって表される薬剤投与デバイスに関する情報を自動的に判定し、メモリ内に記録するソフトウェアアプリケーション(すなわち、携帯電話アプリ)を備えることができる。例えば、指標は、例として実施形態の一例の可変指標だけでなく、バーコードでも示される薬剤の種類、または有効期限、またはペンニードルの種類のような所定の情報を含むことができ、または指標は可変指標のみを備えても良い。アプリは、画像内で捕捉された可変指標の変更されていない形態および変更された形態を認識して、捕捉された可変指標と指定された状態または他の意味とを結びつけるようにプログラムされ得る。アプリによって、変更されていない可変指標の画像は薬剤投与デバイスの投与前状態と関連付けられることができ、一方で、その変更を示している指標の画像(例えば、薬剤投与デバイスの部品によって部分的に遮られている、または薬剤投与デバイスの部品上で結合された別のコードによって延長される、または透明度もしくは色の変化)は、アプリによって、例えば、一部投与の状態または投与後の状態、または注射後の安全機能の配置のような薬剤投与デバイスの異なる状態と関連付けられることができる。アプリは、日付および/またはタイムスタンプと共にこれらの検出された状態をメモリデバイスに自動的に記録することができ、それによって、ユーザーによる彼らの注射に関連した医療事象情報の捕捉が容易となる。ユーザーは注射中に彼らの薬剤投与デバイスの写真を撮影するだけでよく、および携帯電話プロセッサとアプリとは、捕捉画像内の指標を分析して薬剤投与デバイスの状態を決定し、かつ記録する。
【0045】
薬剤投与デバイス上の可変指標のいくつかの実施形態の一例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0046】
1.例えば、シリンジには、シリンジバレルの透明な材料に対して間隔を空けて設けられた線または間隔を空けて設けられた他の印を持つ指標(例えば、バーコードの他のパターン)について設けられている。シリンジストッパーまたは注射器の他の機械部分がバーコードの背後で移動するとき、それはバーコードまたはパターンの特定の部分を遮り、それによって、リーダーまたはスキャナ、または電話アプリによって読み取られたそのバーコードまたはパターンの値または意味が変更される。
【0047】
2.バーコードまたは他のパターンは、注射器機構の一部として覆われているか、または露出されている。例えば、充填前の安全シリンジの可動部分の下にバーコードが設けられている場合、バーコードは安全シールドが配置された後に現れるであろう。安全機能に設けられたこのような可変指標は、デバイスの種類の追跡、および注射後に安全機能がうまく配置されたかどうかの追跡を容易にする。そのような情報は、コンテキストベースのトレーニング、スタッフ手順のコンプライアンス追跡、および供給補充について臨床の場で有用であり得る。
【0048】
3.温度感知バーコード(temperature sensing barcode)は、薬剤温度を感知するために自己注射デバイスに追加され、それは有用なパラメータであり得る。
【0049】
4.可変指標の上記実施形態の任意の2つまたは全ての組み合わせが薬剤投与デバイスに提供されて、どのデバイスが使用されたか、注射の日時、流体の状態(例えば、温度)、および安全機能がうまく配置されたかなどの注射事象情報の記録を容易にすることができる。
【0050】
実施形態の一例に従って、
医療事象画像捕捉アプリ114(
図7)は、スマートフォン20もしくはカメラを備えた他のポータブルデバイス(例えば、iPad)上のスタンドアローンのアプリであり得、または、スマートフォンもしくは他の接続されたスマートデバイス用のデジタルヘルス(DH)アプリを拡張したものとして提供され得るとして、本明細書で説明される。医療事象画像捕捉アプリ114は、薬剤投与デバイス上の可変指標の画像を使用して、薬剤投与デバイスについて映された状態を分析および判定すること、およびメモリデバイス内の関連情報(例えば、動作状態の中でも特に、画像を捕捉した日付または時間、投与された投薬量または残量、安全機能の配置と連動した投与前状態または投与後状態)について記録することを自動化する。捕捉された医療製品画像からの追加の情報は、例えば、特にトレーニング、コンプライアンスの追跡、投薬量の正確性、供給補充のような病状管理の様々な態様を支援するために、アプリの異なる機能によって使用され得る。
【0051】
図7は、例示的なデバイス20を表すブロック図である。デバイス20はスマートフォンとして言及されるが、デバイス20は、専用の医療管理デバイス、または例えばカメラなど指標画像を捕捉するもの、もしくはリーダデバイス102を備える他のポータブルな携帯用デバイス(例えば、iPad)であっても良いことが理解される。デバイス20は、プロセッサ100と、他のデバイスデータ、画像、およびアプリとともに、例示的な実施形態に従って医療事象画像捕捉アプリ
114を記憶することができるメモリ108とを備える。デバイス20は、例えば、近距離無線通信(NFC)インタフェース、BLUETOOTH(登録商標)対応無線通信インタフェース、および/またはセルラー通信インタフェースなどのような1または複数の無線通信インタフェース112を有することができる。デバイス20はまた、例えば、1もしくは複数のマイクロフォン106、タッチスクリーン104、または例えば医療事象画像捕捉アプリ114の画面のようなグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を生成する他のディスプレイデバイス、任意のキーパッドまたは他のユーザー入力デバイス(図示せず)、およびオーディオ信号出力デバイス(例えば、スピーカーまたはブザー)110のような様々なユーザーインターフェースをも有することができる。
【0052】
医療事象画像捕捉アプリ114は、指標および/または薬剤投与デバイス画像を捕捉する動作と、捕捉された画像処理動作とを提供するプログラムコードである。捕捉された画像処理動作は、(1)捕捉された画像内の指標および他の画像要素からアーティファクトおよび関連する情報システムを解読する、またはそうでなければ識別することができ、(2)例えば、投薬前の針カバーの除去、投薬またはそうでなければプランジャーを動かすこと、シリンジ内の医療用流体水位、および適用可能な場合の投薬後の針受けの作動のような医療事象に関連するデータを便利なやり方で自動的に記録することができ、および(3)選択された情報システムに関してユーザーに注意を喚起するヒューマンマシンインタラクション(HMI)動作または他の論理操作を実行し、および入力を要求する、またはそうでなければ関連する医療事象についてユーザーを教育することができる。
【0053】
例えば、画像捕捉動作は、デバイスカメラ102から画像を捕捉する。捕捉された画像の処理操作は、捕捉された画像から選択されたアーティファクトを検出するために、2次元(2D)画像および/またはもしくは3次元(3D)画像処理アルゴリズムを実装することができる。捕捉された画像の処理操作は、例えばアプリ114内のQRコードリーダー、バーコードリーダーもしくはUPCコードリーダー、または光学式文字認識(OCR)動作のような認識動作を任意で含むことができる。医療事象画像捕捉アプリ114のHMIまたは他の操作は、検出されたアーティファクト(例えば、可変指標および画像化された薬剤投与デバイスの他の態様)から、画像化された薬剤投与デバイスがどの状態にあるかを判定し、および関連する情報システムをデジタルメモリデバイスに記録する。
【0054】
多くの患者は、例えば、シリンジまたはペン型自己注射器、またはウェアラブルな自己注射器(例えば、Becton、Dickinson and Companyで入手可能なLibertas(商標))のような低コストであり、および大抵使い捨てである投与デバイスを使用して、彼らに処方された薬剤を投与する。
図1に示されるように、典型的なシリンジ10は、主にプラスチックまたはガラスでできており、バレル30、ストッパー32、プランジャー34、および針36を含むいくつかの部品を有する。適切な投薬を可能にするために、バレル上に目盛りの印刷を行うことができる。バレル30の内部では、ゴム製ストッパー32が密閉する封となり、液体の薬剤または他の流体をバレル内へ移し、およびバレルから外に移す。プランジャー34はゴム製ストッパー32と相互に作動して、ユーザーのコントロールの元でゴム製ストッパー32を前後に移動させる。本体内へ流体を注入したり、または本体から流体を除去することができるように、金属製の針36またはカニューレはバレルの遠位端部に通常取り付けられるが、このことはいつも当てはまるというわけではない。例えば、遠位端部に雄ルアーコネクタ(male Luer connector)を有するシリンジは、カテーテル上の雌ルアーコネクタ(female Luer connector)またはIVラインに取り付けられて、針またはカニューレを使用することなく流体を注入または引き込むことができる。多くのシリンジは患者によって、病院および医療環境において、ならびに特定の病状の管理のために比較的短期の間用いられ得る。針は、ルアーロック(Luer-Lok 商標)接続またはルアースリップ接続40を用いるバレルに取り外し可能に接続され得、またはそ
れはシリンジの製造中に取り外せない方法でバレルに取り付けられ得る、もしくは「固定され(staked)」得る
【0055】
注射器10は、しばしば、例えば針シールド12または針受け14のような1または複数の部品と共に使用され得る。例示的な針シールド12は
図3に示され、および概して注射前に除去される。
【0056】
図2A、2B、2Cおよび2Dは、シリンジ10のための典型的な針受け14を示し、これは、薬剤投与後にシリンジを引っ込めて、針受け14の空洞56内でシリンジ針を覆うように設計されている。針受け14は、ガード本体プランジャー54を収容するように寸法決定された空洞を持つ本体46を備え、同様に、ガード本体プランジャー54は予め充填されたシリンジ10を収容するように寸法決定された空洞56を有する。プランジャー54は、本体46空洞内で摺動可能である。本体46は、その中のプランジャーおよびシリンジを見るための本体点検用窓穴48、その遠位端
部にあるばね50、およびその近位端
部にある使用者の指を乗せるためのフランジ52a、bを有する。ガード本体プランジャー54は、その近位端
部にシリンジ10の遠位端部を収容するための開口部58を有し、およびその遠位端
部に開口部60を有し、その中を通ってシールドを持つシリンジ針が突き出る。
ガード本体プランジャー54の遠位端
部の周囲は、ばね50に隣接する。ガード本体プランジャー54はまた、その近位端
部にプロング62a、bを有し、配置されたときにシリンジプランジャー34の近位端部を収容するための窪みをプロング62a、bは形成する。
【0057】
ここで、
図3、4A、4B、5および6が参照され、
図3、4A、4B、5および6は、改良されたシリンジ10、針シールド12、および針受け14の実施形態の一例を例示し、それぞれが可変指標を用い、その結果として、ユーザーが比較的低コストの薬剤投与デバイスが関与する注射事象データの記録をより楽にできるようすることについての技術的問題に低コストの解決策を提供し、および注射事象に関連する他の関連データの収集ができるようになることに対して低コストの解決策を提供する。例えば、可変指標は、シリンジ10および/または例えば針シールド12または針受け14のような関連する部品に直接設けられるか、またはラベルとして利用され、および可変指標は、例えば、RFIDタグもしくはセンサ、またはプロセッサおよび通信インターフェースをシリンジおよび自己注射器に設けるような注射情報を収集するための他の方法より比較的低いコストでの解決策として挙げられる。
【0058】
図3は、シリンジ10のバレル30上に可変指標80を有する実施形態の一例に従った、改良されたシリンジ10である。指標80はバーコードとして示されているが、例えば、異なる光学パターンであっても良い。指標80は、それが変更されていないとき(例えば、薬剤投与の前)、第1の状態を表すことができる。プランジャー34が配置されるとき、プランジャーストッパー32は、指標80の少なくとも一部を難読化することでリーダまたはスキャナが変更を読み取れるように、指標80を変更する。このことは、様々な状態(例えば、投与後状態、または現在の投薬量状態、または流体残存状態)を表すためにアプリ114によって割り当てられることができる指標80を変更する。あるいは、プランジャー34は第2の指標82を備えることができ、および指標80とそれとの組み合わせ、または指標80の長さに対するそれの追加、または指標80を変更する他の手段は、異なる割り当てられた状態を表すことができる。第2の標識82は、例えば別のバーコードであってもよく、または、
図5に示されるようなプランジャーもしくはストッパー上の他の種類の印84であっても良い。シリンジ10は、可変指標86を備えた改良された針シールド12と共に、任意で使用されることができる。シールド12がシリンジ10から取り外されて指標86を変更する(例えば、それを短くする)ときに、標識86は、その一部が引き剥がされるラベル上に設けることができ、したがって、変更されていない標識86によって表される注射前の事象の状態に対比して、例えば「注射事象」のような異なる状態を表すことができる。指標86の変更が検出されると、「注射事象」に対応するタイムスタンプが保存されることになり得る。言い換えれば、アプリ114を使用して注射がいつ打たれたかを自動的に検出し、および記録するためには、ユーザーは、シリンジから取り外されたシールド12の写真を撮影するだけでよい。
図5は、アプリ114を備えたスマートフォン20上のカメラ102を使用して、可変指標についての捕捉された画像を有する可変指標付きの薬剤投与デバイスを図示する。
図3、4A、4Bおよび6に示される薬剤投与デバイスは、同様に、スマートフォンカメラ102または他の種類のスキャナによって読み取られることができることを理解されたい。
【0059】
図4Aおよび
図4Bならびに
図5は、実施形態の一例に従って、可変指標を持つ針受け14付きの改良されたシリンジ10を図示する。可変指標は、針受け本体46上の第1の指標88と、針受けプランジャー54上の第2の指標90とを備えることができる。第1の指標88は、
図4Aにおいて変更されておらず、および投与前状態を表すことができ、第1の指標88は、シリンジ針を針受
け本体46内に引っ込めるように配置されるときに変更され(例えば、組み合わされて長くなる)、したがって投与後状態を表すことになる。いずれの状態も、クイックスキャンまたは画像捕捉を使用して検出されることができ、例えば、アプリ114を介して時間および状態を記録する。したがって、ユーザーには、日付/時刻および他の情報を手動で書き込む、または入力する必要なしで注射事象を記録する別の例示的で便利な方法が提供されることになる。
【0060】
可変コードのメリットは、シリンジおよびその関連部品に限定されないが、ペン型自己注射器18およびウェアラブルな自己注射器にもまた当てはめられることができる。例えば、多くの患者は、薬剤を投与するために、比較的低コストで使い捨て可能な1人の患者用の事前充填型ペン型自己注射器を使用する。例えば、多くの糖尿病患者は、例として、300単位のインスリンを含有するペン型自己注射器を使用し、患者はペン18によって1回以上自分自身に注射することができる。
図6Aおよび
図6Bを参照すると、ペン型自己注射器18は、キャップ65を持つペン本体64と、投薬量ダイヤルと、窓穴70とを備える。注射するために、ユーザーはキャップ65を取り外し、および針68をペン18に接続する。ペン18は、流体が入っているチャンバー72(例えば、予め充填されている、またはその中に挿入されている流体カートリッジを有する)と、ユーザーがチャンバー72内の流体の単位数を視覚的に識別することができる印刷された目盛り74とを有する。ペン18は、投薬量ダイヤル70の設定に従って、針
68を通してチャンバー72から流体を制御可能に排出する駆動機構76をさらに備える。
【0061】
ペン18は低コストの可変指標を以て改良され、ユーザーがペン18に関連する注射事象を便利なやり方で、および安い費用で記録することができるようになる。例えば、チャンバー72は、例としてバーコードまたは他のパターンのような可変指標96を備えることができる。駆動機構76が完全に格納されるとき、可変指標96は変更されず、および投与前状態を表すようアプリ114によって割り当てられる。ペン18が注射のために使用された後、駆動機構76上のストッパー78は、可変指標96の少なくとも一部を遮ってそれを変更し、および異なる状態を表す。例えば、投与された投薬量およびチャンバー72内に残っている流体を判定し、そのような情報をデジタルメモリ内に自動的に記録するためにカメラ画像内で捕捉された可変指標96のみ、またはチャンバー72の物理的特性(例えば、その中のストッパーの位置または目盛り74に対するストッパーの位置)を伴った可変指標96について、アプリ114に従ってプロセッサ100は分析することができる。
【0062】
さらに、内側カバー63付きの針68を包み込む剥離ラベル69を持った外側カバー67を備えた針アダプタ66として、針68は包装されることができる。
図6Aおよび
図6Bを引き続き参照すると、可変指標92はまた、ペンキャップが取り外されたときに可変指標92が短くされるようにすることで、ペンキャップ65および本体64にも適用されることができる。あるいは、可変指標94は、ラベル69が剥離されるときに可変指標94が短くされるようにすることで、外側カバー67およびラベル69に設けられても良い。いずれの場合も、ユーザーは、変更された可変指標92または94の画像を注射前に撮影して、注射事象を便宜的に記録することができる。さらに、可変指標92または94はまた、デジタルメモリにも記録されることができるペンの種類および針の種類を示すバーコードデータを備えても良い。
【0063】
命令のセットは、
図8に例示される動作のサブセットを実装することができる。例えば、ステップ120~126は、1もしくは複数の可変コードまたは薬剤投与デバイス上の他の指標の画像を捕捉する命令、異なる時間に薬剤投与デバイス上の1または複数の可変コードの別の画像を捕捉する命令、および捕捉画像を分析して、画像間での可変コードの任意の検出された変化に基づいて薬剤投与デバイスの動作段階のそれぞれを決定し、決定された段階のそれぞれに時間および/または日付スタンプを任意で提供する命令の主要な動作であり得る。単独で、または針シールド12および針受け14の一方もしくは両方と共に使用される例示的なシリンジ10について検出される例示的な段階を示すため、および1または複数のシリンジ10、針シールド12、および針受け14上の可変指標の画像から生成され得る関連する例示的な情報システムについて検出される例示的な段階を示すために、他の例示的な動作が図
8に図示される。
【0064】
図8は、医療事象画像捕捉アプリ114に従って動作するスマートフォン20または他のデバイス(例えば、専用スキャンデバイスまたはiPad)の例示的な動作を図示する。実施形態の一例は、
図8に例示される動作のサブセットを実装するためのコンピューター可読命令を備えることができることを理解されたい。例えば、ステップ120~126は、1もしくは複数の可変コードまたは他の指標を持った薬剤投与デバイスの画像を捕捉する命令の主な動作(ブロック120および124)であり得、捕捉された画像を分析して、指標および任意の関連する属性を識別し(ブロック122)、および指標および任意の関連する属性を処理して、例えば検出された変更指標を薬剤投与デバイスについて割り当てられた状態と関連付けるように指定されている情報システムまたはコンテンツを決定する(ブロック126)。
図8で例示されている他の例示的な動作128~148は、単独で、または針シールド12および針受け14の一方もしくは両方と共に使用される例示的なシリンジ10について検出される例示的な段階、および1または複数のシリンジ10、針シールド12、および針受け14上の可変指標の画像から生成され得る関連する例示的な情報システムについて検出される例示的な段階を示す。命令は、ペン型自己注射器の1または複数の状態を検出することに関して他の動作を制御することができることを理解されたい。
【0065】
例えば、ブロック126について、変更されていない可変指標の対応するもの、および例えば、変更されていない可変指標に割り当てられた投与前状態、および画像内で捕捉された指標に割り当てられ、指標パターンの任意の難読化を具備する投与後状態のような1または複数の変更された可変指標の段階のそれぞれに、異なる薬剤投与デバイスの状態または動作を割り当てる情報を記憶するようにアプリ114内のコンピューター可読命令は構成され得る。別の例として、アプリ114は、第1の薬剤投与デバイス状態を変更されていない可変指標に割り当て、第2の薬剤投与デバイス状態を変更された可変指標の形態に割り当てるように構成されることができ、それによって、指標が長くされ(他の指標と組み合わせて)、または切り取られ、または指標の色もしくは透明度が変化する。アプリ114はまた、ペン型自己注射器またはウェアラブル自己注射器内にあり、および可変指標に隣接したシリンジバレルまたは窓穴の捕捉された画像を処理し、残存する流体の量、またはシリンジ内のダイヤルを回して目下調節された投薬量もしくはシリンジ内に引き込まれた量、または投与された投薬量を判定するように構成されても良い。
【0066】
図8の例示的な動作128~148を引き続き参照すると、ユーザーは、スマートフォ
ンカメラ102、またはカメラおよびアプリ114を備えた他のデバイスを操作して、例えば、ペンのキャップの取り外し後もしくは針のキャップの取り外し後、または投与直前、またはプランジャーの移動の直後、または安全機能の配置後のような注射事象の選択された点または段階での可変指標を有する薬剤投与デバイスの画像を撮影する(ブロック120)。アプリ114の捕捉された画像処理動作は、指
標および任意で薬剤投与デバイスの他の属性を分析する(ブロック122および124)。アプリ114は、プロセッサ100を制御して、薬剤投与デバイスの状態および任意で他の関連デバイス情報を決定するように構成される(ブロック126)。例えば、アプリ114に従ったプロセッサ100は、シリンジ針シールド12が取り外されたかどうか(ブロック128)を判定し、
図3に関連して説明されるように、シールドの取り外しによって変更または変化するシールド上の指標に基づいて注射事象の開始を示し、およびそれに対する対応するタイムスタンプを記録することができる(ブロック130および
図9A)。同様に、
図3、4A、4B、5、6Aおよび6Bに関連して説明されるように、プロセッサ100は、プランジャーのストッパーまたは自己注射器駆動機構によって、それぞれ変更または難読化されたシリンジバレルまたは自己注射器の窓穴上の指標に基づいて、シリンジのプランジャーまたは自己注射器駆動機構が移動したかどうかを判定し(ブロック132)、その結果として対応するタイムスタンプを記録する(ブロック134)ことができる。
【0067】
図8を引き続き参照すると、プロセッサ100は、医療事象画像捕捉アプリ114によって制御されて正しい投薬量が引き込まれ、または投与されたかどうかを判定し、そうでない場合、任意で、アラートまたはGUI画面をユーザーにもたらす(ブロック136及び138ならびに
図9B)。針受けが使用される場合、プロセッサ100は、例えば、
図4Aおよび
図4Bに関連して説明されるように、この安全機能が、第1の指標および第2の指標を使用して注射した後に適切に配置しているかどうかを検出することができ、および任意で、あらゆる問題または障害をユーザーに通知するためのアラートまたはGUI画面をもたらすことができる(ブロック140及び142ならびに
図9D)。投与された投薬量は、任意で、ブロック144および
図9Cを通じて(例えば、タッチスクリーン
104上のアプリ114によって生成されたGUI画面を介して)投与されたものとして確認されることができる。医療事象データまたは情報システム(例えば、アプリ114の捕捉された画像処理動作を介して取得されたデータの中でも特に、1または複数の確認された投薬量、検出された誤動作、薬剤投与状態の動作)は、患者および/または病状管理の他の利害関係者によるアクセスおよび使用のためにその場で、またはリモートで記憶され得る(ブロック146)。例えば、医療事象データまたは情報システムは、例として統合された疾病管理システムへ組み込まれるような使用(ブロック148)の中でも特に、患者の電子記録に含めるため、医療費請求のため、医療用品の自動補充のため、および/またはケアプランのコンプライアンスの追跡のため、リポジトリに自動的にアップロードされ得る。
【0068】
例示的な実施形態は、ユーザーとより良く関与し、薬剤投与デバイスおよび医療事象画像捕捉アプリ114の両方からの強みを活用する複数の方法を開示して、ユーザーの体験を向上させる。アプリ114は、特定の機能および活動の両方を認識するため、それらが意図されたとおりであることを確認するため、ユーザーに確認させるため、また後世のために情報の記録および追跡を可能にするためにも使用される。全体として、可変指標およびアプリ114を有する薬剤投与デバイスの統合的な使用は、より良いコンプライアンスおよび改善された患者の転帰を促進することができる。例えば、本明細書に記載の例示的な実施形態により、注射事象および、例えば投与された投薬量のような関連情報の記録がより便利なやり方となり、次いで、このことにより、臨床上のより良い意思決定を可能にするためのより正確なデータが提供され得る。主に自己注射患者ベースを対象としているが、アプリ114と可変指標を有する薬剤投与デバイスとの組み合わせは、他の環境(例えば、施設の場所および代わりとなる場所)において、また世話をする人(例えば、看護師、家族のメンバー等)によっても活用されることができる。
【0069】
「含む」、「含んでいる」、「備える」、および/または「備えている」という用語は、この明細書内で使用する場合において、記載された特徴、整数、ステップ、作動、要素、および/または構成要素の存在を明確に述べるものであるが、1または複数の他の特徴、整数、ステップ、作動、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在、または追加を除外するものではない、ということが理解される。
【0070】
「第1の」、「第2の」、「第3の」などいう用語は、本明細書で様々な要素、構成要素、範囲、層、および/または区分を説明するために用いられ得るが、これらの要素、構成要素、範囲、層および/または区分は、これらの用語に限定され得ない、ということが更に理解される。これらの用語は、ある要素、構成要素、範囲、層、または区分を別の要素、構成要素、範囲、層、または区分と区別するために用いられるに過ぎない。
【0071】
本明細書で使用されているように、「および/または」という用語は、関連して列挙されている1または複数の項目のうちの任意かつ全ての組み合わせを含む。「~のうち少なくとも1つ(at least one of)」の様な表現は、列挙された要素の前に来る場合、列挙された要素の全体を変更するものであり、列挙された個々の要素を変更するものではない。さらに、本明細書で説明される「ユニット」、「~するもの(-er (-or))」、および「モジュール」のような用語によって、少なくとも1つの機能、または作動を実行する要素が言及され、ならびにハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせに実装され得る。
【0072】
様々な用語は、特定のシステム構成要素を言及するために使用される。異なる企業は、構成要素を異なる名前で言及し得る。―この文書は、名前が異なるが機能は異ならない構成要素を区別することを意図していない。
【0073】
これらの実施形態の一例が関係する技術分野の当業者にとって明白な、これらの実施形態の一例の内容は本明細書で詳細に説明されないことがある。
【0074】
本明細書で説明する図示された実施形態に従って用いられる、実例となるデバイス、システム、および方法の構成要素は、デジタル電子回路、アナログ電子回路、またはコンピューターのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはその組み合わせにおいて少なくとも部分的に実装されることができる。これらの構成要素は、プログラミング可能なプロセッサ、コンピューター、または多重コンピューターのようなデータ処理装置によって実行するため、またはそのようなデータ処理装置の作動を制御するために、情報キャリアまたは機械可読記憶デバイスにおいて明白に具体化されるコンピュータープログラム、プログラムコード、またはコンピューター命令のような、例えばコンピュータープログラム製品として実装されることができる。
【0075】
コンピュータープログラムは、コンパイルされた言語、またはインタプリタ型の言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、ならびにそれは、コンピューター環境の使用に適したスタンドアローン型のプログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、または他のユニットを含んだ任意の形態で配置されることができる。コンピュータープログラムは、1つのコンピューター上もしくは他のデバイス上で、または1か所における複数のデバイス上もしくは複数の場所に渡って分散され、通信ネットワークによって接続されて実行するために配置することができる。また、本明細書で説明される特徴を遂行するための関数プログラム、コード、およびコードのセグメントについては、当業者のプログラマーが容易に開発することができる。実施形態の一例に関連した方法のステップは、機能を実施する(例えば、インプットデータを操作することによって、および/またはアウトプットを生成することによって)ためのコンピュータープログラム、コードまたは命令を実行するプログラミング可能な1または複数のプロセッサによって実施することができる。同様に、方法のステップは、専用論理回路、例として、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)によって実施することができ、ならびに本明細書で説明される装置は、専用論理回路、例として、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)として実装されることができる。
【0076】
本明細書で説明した実施形態に関連して説明されている、実例となる様々な論理ブロックと、モジュールと、電気回路とは、本明細書で説明した機能を実施するように設計されている、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、または他のプログラミング可能な論理デバイス、個別のゲートもしくはトランジスタ論理、個別のハードウェア構成要素、またはその任意の組み合わせに実装され得る、または実施され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであっても良いが、別の方法としては、プロセッサは、任意の従来型のプロセッサ、コントローラー、マイクロコントローラー、または状態機械であっても良い。同様に、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動した1または複数のマイクロプロセッサ、または任意のそのような他の構成、といったコンピューターデバイスの組み合わせとして、プロセッサは実装されても良い。
【0077】
コンピュータープログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータのうちの任意の1または複数のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受領する。コンピューターの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1または複数のメモリデバイスとである。一般的に、コンピューターはまた、例えば磁気ディスク、光磁器ディスク、または光ディスクというようなデータ記憶のために、1または複数の大容量記憶装置を含み、または1または複数の大容量記憶装置からデータを受信するため、または1または複数の大容量記憶装置にデータを送信するため、または両方のために、動作可能に連結される。コンピュータープログラムの命令およびデータを具体化するのに適した情報キャリアは、例として、半導体メモリデバイスを含む全ての形態の不揮発性メモリを含み、半導体メモリデバイスには、例として電気的プログラマブル読み出し専用メモリ(ROM)(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイス、およびデータストレージディスク(例えば、磁気ディスク、内蔵ハードディスク、またはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、およびCDーROM、およびDVD-ROMディスク)がある。プロセッサとメモリとは、専用論理回路によって補完され、または専用論理回路に組み込まれることができる。
【0078】
コンピューター可読非一時的媒体は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュ媒体、および固体記憶媒体を含む、あらゆるタイプのコンピューター可読媒体を含む。ソフトウェアは、中央処理装置(CPU)デバイスにインストールして販売できることを理解されたい。あるいは、ソフトウェアを取得してCPUデバイスにロードすることができ、これには、例えば、ソフトウェア作成者が所有するサーバーから、またはソフトウェア作成者が所有していないが使用するサーバーからなど、物理メディアまたは配布システムを通じてソフトウェアを取得することが含まれる。ソフトウェアは、例えばインターネット上で配布するためにサーバーに記憶することができる。
【0079】
本明細書で説明された実施形態の一例は、説明的な意味でのみ考慮され得、限定の目的のためではないことが理解され得る。それぞれの実施形態の一例の範囲内の特徴または態様の説明は、他の実施形態の一例における他の同様な特徴または態様に対して利用可能であると見なすことができる。例示的な実施形態が図を参照して説明されているが、以下の特許請求の範囲によって定義される精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中で行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】