(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】改変セマフォリン3A、それを含む組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20230721BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230721BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230721BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230721BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230721BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230721BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20230721BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230721BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230721BHJP
A61P 11/14 20060101ALI20230721BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230721BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/21
C12N1/19
C12N5/10
C07K14/47
A61P37/02
A61P11/06
A61P11/14
A61P1/04
A61K38/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574527
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 IL2021050660
(87)【国際公開番号】W WO2021245670
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522469903
【氏名又は名称】メディカル リサーチ アンド ディベロップメント ファンド フォー ヘルス サービシーズ ベネイ ツィオン メディカル センター
【氏名又は名称原語表記】MEDICAL RESEARCH & DEVELOPMENT FUND for HEALTH SERVICES BNAI ZION MEDICAL CENTER
【住所又は居所原語表記】47 Golomb Street, 3339419 Haifa Israel
(71)【出願人】
【識別番号】500020818
【氏名又は名称】テクニオン リサーチ アンド ディベロップメント ファウンデーション リミテッド
【住所又は居所原語表記】Senate House, Technion City, Haifa, 3200003 Israel
(71)【出願人】
【識別番号】511301083
【氏名又は名称】ザ チャンセラー,マスターズ アンド スカラーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ オックスフォード
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】バダッツ、 ザハバ
(72)【発明者】
【氏名】トービ、エリアス
(72)【発明者】
【氏名】エイザ、 ナスレン
(72)【発明者】
【氏名】サバグ、 アディ
(72)【発明者】
【氏名】ニューフェルド、 ゲラ
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー、 オフラ
(72)【発明者】
【氏名】ヨネス、 イー. イボンヌ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA06
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA18
4C084CA53
4C084NA14
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZB051
4C084ZB052
4C084ZB111
4C084ZB112
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
野生型Sema3Aタンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸置換および/または欠失を有する、セマフォリン3A(Sema3A)ポリペプチドの改変形態が本明細書において提供される。改変Sema3Aポリペプチドをコードする核酸分子、それを含む組成物および種々の免疫関連状態の処置におけるその使用がさらに提供される。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1によって示されるアミノ酸配列を有する野生型セマフォリン3Aタンパク質の257位に対応する位置にシステイン(C)によるアミノ酸置換; 及び、対応する野生型セマフォリン3AのC末端領域の少なくとも100個のアミノ酸の欠失を含む、改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項2】
アミノ酸置換はS257Cであり、C末端欠失は、対応する野生型セマフォリン3Aのアミノ酸517~771の欠失である、請求項1に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項3】
改変セマフォリン3Aおよび野生型セマフォリン3Aが、ヒト起源のものである、請求項2から3のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項4】
当該ポリペプチドはそのN末端および/またはC末端にタグ配列をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項5】
タグ配列が、ポリペプチドのC末端領域にインフレームで配置される、請求項4に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項6】
タグが、His-タグ、Myc-タグおよびFLAG-タグから選択される、請求項4から5のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項7】
タグが、6個以上のヒスチジン残基のストレッチを含む、請求項4から6のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項8】
配列番号3によって示されるアミノ酸配列を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項9】
配列番号5によって示されるアミノ酸配列を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチドであって、改変セマフォリン3Aポリペプチドと、それぞれの改変ポリペプチド中のシステイン257の間に形成されるS-S結合を介してホモ二量体を形成可能である、改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項11】
CD72受容体に結合可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項12】
Nrp1に結合可能ではない、請求項1から11のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項13】
細胞収縮を誘導できない、請求項1から12のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項14】
1つ以上の抗炎症性サイトカインの発現に影響を及ぼすことが可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項15】
CD4+制御性T細胞においてIL-10の発現を誘導可能である、請求項1から14のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチド。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチドを含む組成物。
【請求項17】
それを必要とする対象における免疫関連状態の処置において使用するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチドまたは請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
免疫関連状態が、喘息、全身性エリテマトーデス(SLE)および炎症性腸疾患(IBD)から選択される、請求項17に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチドまたは組成物。
【請求項19】
請求項1から15のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aをコードする核酸分子。
【請求項20】
配列番号4および配列番号6のいずれか1つによって示されるヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の核酸分子。
【請求項21】
請求項19から20のいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項22】
1つ以上の調節配列をさらに含む発現ベクターである、請求項21に記載のベクター。
【請求項23】
それを必要とする対象における免疫関連状態の処置において使用するための、請求項19から20のいずれか一項に記載の核酸分子または請求項21から22のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項24】
それを必要とする対象において免疫関連状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から15のいずれか一項に記載の改変Sema3Aポリペプチドまたは請求項16に記載の組成物の治療上有効量を投与することを含む、方法。
【請求項25】
それを必要とする対象において免疫関連障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、請求項19から20のいずれか一項に記載の核酸分子または請求項21から22のいずれか一項に記載のベクターの治療上の量を投与することを含む、方法。
【請求項26】
請求項19~20のいずれか一項に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項27】
請求項21から22のいずれか一項に記載のベクターで形質転換された、またはトランスフェクトされた宿主細胞。
【請求項28】
請求項1から15のいずれか一項に記載の改変セマフォリン3Aポリペプチドを含む宿主細胞。
【請求項29】
改変Sema3Aポリペプチドを生成する方法であって、以下を含む方法:
(i)請求項26から28のいずれか一項に記載の宿主細胞を、改変Sema3Aを含むポリペプチドが発現されるような条件下で培養すること;および
(ii)随意により、宿主細胞から、または培養培地から改変Sema3Aを回収すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野生型Sema3Aタンパク質と比較してアミノ酸置換および/または欠失を有するセマフォリン3A(Sema3A)ポリペプチドの改変形態に関する。本発明はさらに、改変Sema3Aを含む組成物および種々の免疫関連状態を処置するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
セマフォリンは、その構造ドメインに基づいて8つのサブクラスに分類される膜結合型および可溶性タンパク質のファミリーである。セマフォリンは、軸索誘導、器官形成、血管新生、リンパ脈管新生および免疫応答を調節し、腫瘍増悪をモジュレートするとわかった。セマフォリンは、いくつかのサブファミリーにわけられる。
【0003】
7種のクラス3セマフォリン(セマフォリン3)は、文字A~Gで示され、唯一の脊椎動物によって分泌されるセマフォリンである。ニューロピリン(Nrp)およびA/Dタイプファミリープレキシン(プレキシン-A1、-A2、A3、A4およびプレキシン-D1)は、クラス3セマフォリンの受容体として作用する。各セマフォリン3ファミリーメンバーは、Nrpに対して別個の結合優先傾向を示す。各Sema3-Nrp複合体は、特定のプレキシンと会合して、標的細胞のアクチン細胞骨格の崩壊を誘導するシグナルを伝達することを含む下流シグナル伝達を媒介する。ほとんどの膜結合型脊椎動物セマフォリンは、プレキシンに直接的に結合し、一方で、クラス3セマフォリンは、sema3Eおよびsema3Cを除いて、偏性共受容体としてニューロピリンを必要とする。
【0004】
セマフォリン3A(Sema3A)、セマフォリンファミリーのクラス3分泌型メンバーは、発達の際の軸索誘導因子として確立されている。Sema3Aはまた、活性化されたT細胞によって発現され、T細胞増殖およびサイトカイン分泌を阻害するとわかっている。さらに、制御性T細胞でのニューロピリン-1発現は、抗原認識の際に未熟樹状細胞(DC)との相互作用を増強し、制限量の抗原に対するより高い感受性をもたらすとわかっている。Sema3Aは、軸索誘導因子としてのその役割に加えて、血管新生の阻害剤として、および血管透過剤として機能し、ニューロピリン-1受容体を介して媒介されて機能する。Sema3Aはまた、さまざまな固形腫瘍において、ならびに血液悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫において腫瘍増悪の阻害剤として機能する。
【0005】
Sema3Aはまた、免疫応答のモジュレーターとして特性決定された。抗CD3および抗CD28刺激条件下で一次T細胞増殖および炎症性サイトカイン生成を阻害し、胸腺細胞の移動を阻害する。骨髄由来間葉系幹細胞によるSema3A生成は、免疫抑制効果の少なくとも一部を媒介すると思われる。さらに、sema3Aは、さまざまな自己免疫疾患に有益な効果を有すると示唆された。例えば、sema3Aは、ループス腎炎のNZB/Wマウスモデルにおいて腎不全を低減し、喘息およびアレルギー性鼻炎のマウスモデルにおいて喘息の重症度を低減するとわかった。このような受益者効果は、Treg細胞におけるFoxP3およびIL-10発現のsema3A刺激ならびにB細胞におけるTLR-9発現の大幅な低減に幾分か依存する可能性が高かった。Sema3Aの濃度は、免疫媒介性疾患(例えば、家族性地中海熱(FMF))および自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデスおよび全身性硬化症を患っている患者の血清では強力に低減されるとわかった。さらに、組換えSema3Aの全身投与は、ループス腎炎のNZB/Wマウスモデルにおいて腎不全の発生を阻害し、喘息モデルにおいて喘息を軽減することがわかった。Sema3Aは、制御性T細胞(Treg)からの免疫抑制的サイトカイン、例えば、IL-10の発現およびIL10を高度に発現する制御性B細胞(Breg)の亜集団の拡大増殖を促進するとさらにわかり、これは、Sema3Aが、少なくとも幾分かは阻害性サイトカインの発現の調節によって免疫応答を阻害するマスターレギュレーターであることを示唆する。
【0006】
したがって、例えば、米国特許第10,105,413号は、全身性エリテマトーデス(SLE)の処置および予後におけるセマフォリン3Aおよびその使用に関する。米国特許第10,568,932号は、喘息の処置およびその重症度の評価のためのセマフォリン3Aに関する。国際公開第2016/128966号は、炎症性腸疾患(IBD)の処置およびその重症度の評価のためのセマフォリン3Aに関する。
【0007】
国際出願WO2016135130は、非天然セマフォリン3およびその医学的使用に関し、種々の突然変異セマフォリン3分子および疾患の処置における、特に、血管新生疾患、腫瘍および/またはがんの医学的介入におけるその使用方法を開示する。
【0008】
それにもかかわらず、種々の免疫関連状態の安全で効率的な、対費用効果の高い処置のために使用できる、未改変Sema3A分子と比較して改善された特性を示すSema3Aの改変形態が当技術分野において必要である。
【発明の概要】
【0009】
一部の実施形態によれば、野生型(非改変)セマフォリン3Aと比較して1つ以上の点突然変異および/または末端切断を含む、有利な改変セマフォリン3Aポリペプチドが提供される。一部の実施形態によれば、本明細書において開示される新規の、天然に存在しない、改変Sema3Aは、本明細書においてさらに詳述されるように、安定であり、生成するのが用意であり、所望の生物活性を示すので有利である。改変Sema3Aポリペプチドをコードする核酸、改変Sema3Aの調製方法、それを含む組成物および種々の医学的状態、特に、免疫関連状態の処置におけるその使用がさらに提供される。
【0010】
一部の実施形態によれば、有利な改変/天然に存在しない/遺伝子改変/突然変異セマフォリン3Aポリペプチドは、WT、未改変の、天然に存在するSema3Aと比較して、アミノ酸のストレッチの少なくとも1つの点突然変異および/または欠失(末端切断)を含む。
【0011】
一部の実施形態によれば、改変Sema3A(本明細書において「T-sema3A」とも呼ばれる)は、WT Sema3Aと比較して1つのアミノ酸置換およびC末端欠失(少なくとも100個のアミノ酸の)を含む。
【0012】
一部の実施形態では、改変Sema3Aは、野生型Sema3Aのヒトアミノ酸配列(配列番号1によって示されるアミノ酸配列によって表される)の257位のアミノ酸置換を含み、WT配列中のアミノ酸セリン(Ser)がアミノ酸システイン(Cys)によって置換される。したがって、改変Sema3Aは、S257C配列置換を含む。一部の例示的実施形態では、改変Sema3Aは、WT Sema3AのC末端から254個のアミノ酸の欠失/末端切断をさらに含む。すなわち、改変Sema3Aは、WT Sema3Aのアミノ酸516で末端切断されている。一部の例示的実施形態では、改変Sema3Aポリペプチドは、配列番号3によって示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
さらなる実施形態によれば、改変Sema3Aは、そのN末端および/またはC末端に1つ以上の追加のタグ配列をさらに含み得る。一部の実施形態では、タグ配列は、改変Sema3Aの作製/同定および/または精製のために使用できる。一部の実施形態では、タグ配列は、Hisタグ(すなわち、ヒスチジンアミノ酸のストレッチ、例えば、8個のヒスチジンアミノ酸を含む)、FLAG-タグ、Myc-タグなどから選択できる。タグ配列は、改変タンパク質のN末端および/または改変タンパク質のC末端にインフレームに位置づけることができる。一部の例示的実施形態では、改変Sema3Aタンパク質は、ポリペプチドのC末端に8個のヒスチジンのストレッチ(8-His-タグ)を含む場合がある。
【0014】
一部の実施形態によれば、上記のように、WT Sema3Aは、ニューロピリン-1受容体(nrp1)に結合し、これは、続いて、機能的sema3A受容体においてシグナル伝達要素として機能するA型プレキシン受容体と会合する。古典的に、これらの受容体複合体を介したシグナル伝達は、標的細胞において細胞骨格の崩壊を誘導する。驚くべきことに、本出願の発明者らは、CD72受容体もまた、sema3A受容体としても機能すること(唯一のsema3A結合受容体であると考えられた既知ニューロピリン-1に加えて)およびCD72媒介性シグナル伝達は、ニューロピリン受容体を欠く一次Bリンパ芽球様細胞において抗炎症性遺伝子発現を制御できることを示した。したがって、本明細書において開示されるように、sema3Aの抗免疫効果は、少なくとも幾分かはCD72受容体によって媒介される可能性がある。したがって、何らかの理論または機序に捉われることなく、有利な、天然に存在しない改変Sema3Aは、WT Sema3Aと比較して差次的活性化を示す。言い換えれば、タンパク質のC末端領域に末端切断を有する改変Sema3Aタンパク質は、ニューロピリン-1媒介性シグナル伝達を活性化できないであろうが、CD72媒介性シグナル伝達を活性化する能力を保持する。したがって、本明細書において開示される有利な改変Sema3Aタンパク質は、CD72結合によって媒介される抗免疫特性を保持するが、野生型Sema3Aにおいてニューロピリン-1受容体によって媒介される望ましくない副作用がない可能性がある。さらに、Sema3Aはホモ二量体として活性であるので、改変Sema3Aが二量体化能力(WTタンパク質ではC末端領域に見出された)を保持することを可能にするために、上記で言及されたS257C点突然変異が導入された。
【0015】
一部の実施形態によれば、本明細書においてさらに例示されるように、有利な改変Sema3Aは、野生型Sema3Aの免疫受益者特性を保持する一方で、サブセットsema3A受容体とのみ相互作用するので、野生型sema3Aと比較してより少ない副作用を示す。さらに、本明細書において例示されるように、改変Sema3Aは、制御性T細胞機能の増大において少なくとも野生型Sema3Aと同程度に有効であるとわかった。さらなる実施形態では、本明細書において開示されるように、改変Sema3Aは、活性化されたT細胞の活性および代謝を低減可能である。一部の実施形態によれば、T-Sema3Aは、活性化T細胞の解糖速度に影響を及ぼすことができる(低下させることができる)、すなわち、このような活性化免疫細胞において好気的解糖を下方制御できる。
【0016】
したがって、一部の実施形態では、改変sema3Aは、結果として、種々の免疫媒介性状態、例えば、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、ブドウ膜炎、乾癬など)、アレルギー状態(気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎およびアトピー性皮膚炎など)、免疫系の過剰活性化と関連する状態(例えば、敗血症、感染性疾患および/またはCAR-T処置によるサイトカインストーム、移植片対宿主疾患(GVHD)、炎症性疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、家族性地中海熱(FMF)など)などの処置の成功のために使用できる。一部の例示的実施形態では、免疫媒介性状態には、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、喘息、IBDなどが含まれ得る。
【0017】
一部の実施形態によれば、したがって、ニューロピリンを介してシグナルを送ることができないが、種々のアッセイにおいて野生型Sema3Aと比較してより良好でなくとも、少なくとも同程度に良好な抗炎症性効果を示すことが可能である、新規の天然に存在しない改変Sema3A(T-sema3A)が提供される。開示されるT-sema3Aは、野生型sema3Aと比較して大きさがより小さいので有利であり、したがって、より拡散性であり、多量で生成することがあまり困難ではない可能性がある。さらに、種々の免疫媒介性障害の処置において使用するためにより安全で、より強力である可能性がある。野生型Sema3Aは、いくつかの自己免疫疾患において有益な効果を有する。しかし、ニューロピリンファミリーの受容体へのその結合の結果として追加の生物学的プロセス、例えば、血管新生および軸索誘導にも影響を及ぼす。したがって、野生型Sema3Aを用いる処置は、種々の身体区画におけるニューロピリン媒介性シグナル伝達の活性化に起因する多様な副作用を伴う場合がある。したがって、何らかの理論または機序に捉われることなく、開示されるT-sema3Aは、野生型sema3Aの免疫の有益な効果を保持するが、望ましくないニューロピリン媒介性シグナル伝達を活性化できず、結果としてより少ない副作用しか示さない可能性がある。したがって、一部の実施形態によれば、本明細書において開示される改変Sema3Aは、驚くべきことに、天然に存在するSema3A(WT-Sema3A)と比較してより良好なin vivoおよび/またはin vitro特性を示す。一部の実施形態では、本明細書において開示される改変Sema3Aは、WT Sema3Aと比較して免疫関連状態の改善された治療活性を示す。一部の実施形態では、改変Sema3Aは、WT Sema3Aと比較して1つ以上の改善された特性を示し、特性には、薬理学的効果、薬物動態、安定性、半減期、送達、効率、細胞標的、副作用などまたはそれらの任意の組合せが含まれ得る。
【0018】
一部の実施形態によれば、T-Sema3Aに導入されるS257C置換を踏まえると、改変Sema3Aは二量体として機能でき、それによって2つの単量体T-Sema3Aは、配列中に導入されたそれぞれのシステイン残基の間でスルフィド結合を介して二量体を形成できる。したがって、本明細書において開示される改変Sema3Aタンパク質は、二量体の形態であることが好ましく、有利であり得る。一部の実施形態では、このように形成される二量体はホモ二量体である。「ホモ二量体」という用語は、2つの同一のT-Sema3A単量体が二量体の形態にあることを示す。
【0019】
一部の実施形態では、二量体の2つの単量体が、1つの融合タンパク質中に含まれる場合がある。一部の実施形態では、二量体の2つの改変Sema3A単量体が、単一核酸分子によってコードされる場合がある。一部の実施形態では、二量体の2つの単量体は、試験管または細胞中で独立に形成され、例えば、生成され、または生理学的条件下に置かれた後に、in-vitroまたはin-vivoで二量体を形成し得る。
【0020】
一部の実施形態によれば、本明細書において例示されるように、驚くべきことに、S257Cの置換およびC末端領域(Nrp1受容体の天然結合領域を含む)の末端切断が、Nrpl結合とは独立にCD72受容体への結合をもたらすことがわかった。本明細書においてさらに例示されるように、改変Sema3Aは、制御性T細胞の活性化を示す。例えば、改変Sema3Aは、細胞性CD72受容体に結合できる。例えば、改変Sema3Aは、CD4+制御性T細胞を活性化し、IL-10分泌を誘導できる。例えば、改変Sema3Aは、細胞収縮を誘導しない。
【0021】
一部の実施形態によれば、免疫関連状態の処置のための方法および組成物が提供され、前記方法は、改変セマフォリン3Aを含む医薬組成物の、それを必要とする対象への投与を含む。一部の実施形態では、免疫関連状態は、喘息、IBDおよび全身性ループスエリトムス(systemic Lupus Eryhtmus)(SLE)から選択される。
【0022】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドが提供され、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、配列番号1によって示されるアミノ酸配列を有する野生型セマフォリン3Aタンパク質中の257位に対応する位置にシステイン(C)によるアミノ酸置換、および、対応する野生型セマフォリン3AのC末端領域の少なくとも100個のアミノ酸の欠失を含む。
【0023】
一部の実施形態によれば、アミノ酸置換は、S257Cであり、C末端欠失は、対応する野生型セマフォリン3Aのアミノ酸517~771の欠失である。
【0024】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aおよび野生型セマフォリン3Aは、ヒト起源のものである。
【0025】
一部の実施形態によれば、ポリペプチドは、そのN末端および/またはC末端にタグ配列をさらに含み得る。
【0026】
一部の実施形態によれば、タグ配列は、ポリペプチドのC末端領域にインフレームで配置される。一部の実施形態によれば、タグ配列は、His-タグ、Myc-タグおよびFLAG-タグから選択される。
【0027】
一部の実施形態によれば、タグ配列は、6個以上の連続ヒスチジン残基のストレッチを含み得る。
【0028】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、配列番号3によって示されるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、配列番号5によって示されるアミノ酸配列を有する。
【0029】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、各改変ポリペプチド中のシステイン257の間に形成されるS-S結合を介して改変セマフォリン3Aポリペプチドを用いてホモ二量体を形成するように構成される、または形成可能である。
【0030】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、CD72受容体に結合可能である。
【0031】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、Nrp1に結合可能ではない。
【0032】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、細胞収縮を誘導できない。
【0033】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、1つ以上の抗炎症性サイトカインの発現を誘導する/変更する/それに影響を及ぼすことが可能である。
【0034】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aポリペプチドは、CD4+制御性T細胞においてIL-10の発現を誘導可能である。
【0035】
一部の実施形態によれば、本明細書において開示される改変セマフォリン3Aポリペプチドを含む組成物が提供される。
【0036】
一部の実施形態によれば、本明細書において開示される改変セマフォリン3Aポリペプチドまたはそれを含む組成物は、それを必要とする対象において免疫関連状態を処置するために使用できる。
【0037】
一部の実施形態によれば、免疫関連状態は、喘息、SLEおよびIBDから選択される。
【0038】
一部の実施形態によれば、本明細書において開示される改変セマフォリン3Aをコードする核酸分子(ポリヌクレオチド)が提供される。
【0039】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aをコードする核酸分子は、配列番号4および配列番号6のいずれか1つによって示されるヌクレオチド配列を有する。
【0040】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aをコードする核酸分子を含むベクターが提供される。一部の実施形態では、ベクターは、1つ以上の調節配列をさらに含む発現ベクターである。
【0041】
一部の実施形態によれば、改変セマフォリン3Aをコードする核酸分子または核酸を含むベクターを、それを必要とする対象において免疫関連状態を処置するために使用できる。
【0042】
一部の実施形態によれば、それを必要とする対象において免疫関連状態を処置する方法が提供され、方法は、それを必要とする対象に、本明細書において開示される改変Sema3Aポリペプチドまたはそれを含む組成物の治療上有効量を投与することを含む。
【0043】
一部の実施形態によれば、それを必要とする対象において免疫関連障害を処置する方法が提供され、方法は、それを必要とする対象に、改変セマフォリン3Aをコードする核酸分子またはそれを含むベクターの治療上の量を投与することを含む。
【0044】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aをコードする核酸を有する宿主細胞が提供される。
【0045】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aをコードする核酸分子を含むベクターで形質転換された、またはトランスフェクトされた宿主細胞が提供される。
【0046】
さらなる実施形態によれば、本明細書において開示される改変Sema3Aポリペプチドを含む、または発現する宿主細胞が提供される。
【0047】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aポリペプチドを生成する方法が提供され、方法は、(i)宿主細胞を、改変Sema3Aを含むポリペプチドが発現されるような条件下で培養するステップおよび(ii)随意により、宿主細胞から、または培養培地から改変Sema3Aを回収するステップを含む。
【0048】
本発明のさらなる実施形態、特徴、利点および適用性の全範囲は、本明細書において以下に示される詳細な説明および図面から明らかとなろう。しかし、詳細な説明は、本発明の好ましい実施形態を示しながら、単に例示のために与えられるということは理解されるべきであるが、これは、本発明の趣旨および範囲内の種々の変法および改変は、この詳細な説明から当業者には明らかとなるからである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1A】
図1A~Cは、ヒトWT-Sema3Aおよび改変Sema3Aのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す図である。
図1Aは、ヒトWT-Sema3Aの771個のアミノ酸配列(配列番号1)を示し、C末端領域(アミノ酸517~771)がマークされている(灰色背景)
【
図1B】
図1Bは、改変Sema3A(T-sema3A)のアミノ酸配列を示し、S257C置換(大文字Cによってマークされる)およびアミノ酸R516でのC末端の末端切断を含む。
図1Bに提示される改変Sema3A配列は、改変タンパク質のC末端に8×-Hisタグ(HHHHHHHH(配列番号7(マークされた))をインフレームでさらに含む。
図1Bに提示されたアミノ酸配列は、配列番号5に対応する
【
図1C】
図1Cは、改変Hisタグが付けられたSema3AをコードするcDNAの核酸配列を提示する。
図1Cに提示されるcDNA配列は、配列番号6に対応し、コドン改変(塩基769~771)を含み、それによって、セリン残基をコードするコドン(WT Sema3Aタンパク質、配列番号2中)は、塩基769~771でシステインをコードするtgtコドンに変更された。さらに、8個のヒスチジン残基をコードするcDNA配列(強調された、caccatcaccatcaccatcaccatcaccat(配列番号8))を、ヌクレオチド1548でインフレームで融合し、それに停止コドン(tga)が続いた。
【
図2】
図2は、一部の実施形態による、改変Sema3Aのコード配列を有するNSPI-CMV-MCS-myc-Hisレンチウイルス発現ベクターのベクターマップを示す図である。
【
図3A】
図3A~Dは、Sema3AはCD72受容体に結合することを示す図である。
図3Aは、ニューロピリン-1および/またはCD72に対して向けられた抗体を用いてプローブされた細胞抽出物のウエスタンブロット分析のピクトグラムを示す図である。細胞には、親U87MG細胞(par)、ニューロピリン-1を発現する遺伝子がCRISPR/Cas9(U87MG-ΔNrp1)を使用してノックアウトされた細胞およびニューロピリン-1を発現する遺伝子がノックアウトされ、空のレンチウイルスまたはV5エピトープタグが停止コドンの上流にインフレームで融合されたCD72(U87MG-ΔNrp1+CD72)の発現を指示するレンチウイルスにさらに感染した細胞が含まれる。
【
図3B】
図3Bは、Sema3A-APが結合された細胞のピクトグラムを示す図である。細胞は結果的に洗浄され、結合されたsema3A-APは、BICP/NBTを使用して検出された。
【
図3C】
図3Cは、3種の細胞種に室温で30分間結合された漸増濃度の精製Sema3A-APの効果を示す線グラフを提示する図である。結合後、細胞を洗浄し、アルカリホスファターゼ比色アッセイを使用して顕微鏡の視野あたりの結合されたSema3A-APの量を評価した。
【
図3D】
図3Dは、Sema3A-AP(5μg/ml)が漸増濃度のsema4Dの存在下での3種の細胞種に結合されたことを示す図である。次いで、結合されたsema3A-AP/顕微鏡視野の量を決定し、
図3Dの線グラフ中に提示した。
【
図4A】
図4A~Cは、Sema3AはCD72を使用してシグナルを伝達することを示す図である。
図4Aは、一次B-リンパ芽球様細胞株(BLCL)が、CD72の発現を指示するレンチウイルスに感染したウエスタンブロット分析のピクトグラムを示す図である。BLCL細胞およびCD72を発現するBLCL細胞を、ニューロピリン-1(Nrp1)およびCD72に対して向けられた抗体を用いてプローブした。親BLCL細胞は、これらの受容体のいずれかを発現しない。
【
図4B】
図4Bおよび
図4Cでは、BLCL細胞およびCD72を発現するBLCL細胞(BLCL+CD72)をSema3Aを用いて刺激した。次いで、STAT-4(
図4B)およびP38(
図4C)のリン酸化状態(p)を決定した。
【
図4C】Stat-4タンパク質(
図4B)およびP38(
図4C)において総(t)タンパク質に対して、および特定のリン酸化(p)部位に対して向けられた抗体を用いてプローブされたウエスタンブロットが図に示されている。また、ウエスタンブロット結果の定量化(すなわち、リン酸化された(p)および総(t)STAT-4およびP-38の間の比率)を表す棒グラフも示されている。
【
図5A】
図5A~Bは、改変Sema3A(T-Sema3A)がCD72受容体を使用してシグナルを伝達するが、ニューロピリン-1受容体によって媒介される内皮細胞収縮を誘導できないことを示す図である。
図5Aは、対照HEK293細胞(対照)から得た条件付けされた培地を用いて、または組換えWT Sema3AもしくはT-sema3Aのいずれかを発現するHEK293細胞に由来する同様の濃度のWT Sema3AもしくはT-sema3Aを含有する条件付けされた培地を用いて刺激されたヒト臍帯静脈由来内皮細胞(HUVEC)のピクトグラムを示す。細胞を、条件付けされた培地の添加の30分後に撮像した。
【
図5B】
図5Bは、FACS分析を使用して決定されるような、IL-10を発現するT細胞のパーセンテージの棒グラフを示す。示された濃度の精製WT Sema3AまたはT-Sema3Aを用いてCD4
+T細胞を刺激した。
*=P<0.05。
【
図6】
図6は、T-Sema3Aの存在下または不在下での活性化されたT細胞の解糖ストレス試験の線グラフを示す図である。精製CD4+T細胞を抗CD3および抗CD28を用いて37℃で24時間活性化した。活性化された細胞を、5μg/mlのT-Sema3AまたはPBS(対照として)を用いて処置し、37℃で24時間インキュベートした。細胞を回収し、グルコースを含まない培地に2時間移した。その後、細胞にグルコース、オリゴマイシンおよび2-デオキシ-グルコース(2-DG)を示された時点で添加した。Agilent Seahorse XFアナライザー(Seahorseリアルタイム細胞代謝分析アッセイ(Agilent))を使用してリアルタイム(ライブで)ECAR(細胞外酸性化速度)測定を実施した。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本明細書における教示の原理、使用および実施は、付随する説明および図面を参照して、より良好に理解され得る。本明細書に存在する説明および図面を精査すれば、当業者ならば、過度の努力または実験を行うことなく本明細書における教示を実施できるであろう。図中、同一参照数値は、全体を通じて同一パートを指す。
【0051】
定義
【0052】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語および語句を以下に定義する。これらの用語および語句は、説明を目的としたものであって、制限ではないことは理解されるべきであり、その結果、本明細書の技術用語または表現は、本明細書において提示される教示および手引きを鑑みて、当業者の知識と組み合わせて当業者によって解釈されるべきである。
【0053】
本明細書において言及されたように、「ポリヌクレオチド分子」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、「核酸」および「ヌクレオチド」配列という用語は、同義的に使用できる。これらの用語は、線形または分岐状の、一本鎖(ss)、二本鎖(ds)、三本鎖(ts)またはそれらのハイブリッドの、別個の断片の形態での、またはより大きな構築物の成分としての、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)およびその改変形態のポリマーを対象とする。ポリヌクレオチドは、例えば、DNAまたはRNAのポリヌクレオチド配列であり得る。DNAまたはRNA分子は、例えば、それだけには限らないが、相補的DNA(cDNA)、ゲノムDNA、合成DNA、組換えDNAもしくはそれらのハイブリッドまたはRNA分子、例えば、mRNAなどであり得る。したがって、本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド分子」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、「核酸」および「ヌクレオチド」配列という用語は、DNAおよびRNA分子の両方を指すものとする。これらの用語は、天然に存在する塩基、糖および共有結合的ヌクレオシド間連結から構成されるオリゴヌクレオチドならびにそれぞれの天然に存在する部分と同様に機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドをさらに含む。本明細書で使用される場合、ヌクレオチド(A、G、CまたはT)およびヌクレオチド配列は、小文字(a、g、cまたはt)でマークされる。
【0054】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書において同義的に使用される。これらの用語はまた、1個以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学的類似体であるアミノ酸ポリマーならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。一部の実施形態では、ポリペプチド中のアミノ酸残基のうち1個以上が、改変、例えば、それだけには限らないが、グリコシル化、リン酸化またはジスルフィド結合形状を含有できる。また、本明細書において開示されるペプチドおよびタンパク質分子の保存的アミノ酸バリアントも提供される。コードされるタンパク質またはペプチドの全体的な分子構造を保存する、本発明に従うバリアントもまた作製できる。開示されるタンパク質産物を構成する個々のアミノ酸の特性を考慮すると、当業者によっていくつかの合理的置換が認識されるであろう。アミノ酸置換、すなわち、「保存的置換」は、例えば、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性における類似性に基づいて行うことができる。本明細書で使用される場合、アミノ酸およびペプチド配列は、従来のアミノ酸命名法(1文字または3文字コード)を使用してマークされる。例えば、アミノ酸「セリン」は、「Ser」または「S」としてマークされる場合があり、アミノ酸「システイン」は、「Cys」または「C」としてマークされる場合がある。
【0055】
本明細書で言及される場合、「相補性」という用語は、核酸の鎖間の塩基対形成を対象とする。当技術分野で公知のように、核酸の各鎖は、鎖間の塩基対が2つまたは3つの水素結合を介して非共有結合によって接続されるという点で別の鎖と相補的であり得る。水素結合によって接続している反対の相補的核酸鎖上の2つのヌクレオチドは、塩基対と呼ばれる。ワトソン-クリックDNA塩基対形成によれば、アデニン(Aまたはa)はチミン(Tまたはt)と、グアニン(Gまたはg)はシトシン(Cまたはc)と塩基対を形成する。RNAでは、チミンは、ウラシル(Uまたはu)によって置換される。核酸の2つの鎖間の相補性の程度は、鎖間で塩基対を形成するヌクレオチドの数(またはパーセンテージ)に従って変わり得る。例えば、「100%相補性」とは、各鎖中のすべてのヌクレオチドが相補鎖と塩基対を形成することを示す。例えば、「95%相補性」とは、各鎖中のヌクレオチドの95%が相補鎖と塩基対を形成することを示す。十分な相補性という用語は、約30%~約100%の相補性の任意のパーセンテージを含み得る。
【0056】
「構築物」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の核酸配列から構成され得る人為的に組み立てられた、または単離された核酸分子を指し、核酸配列は、コード配列(すなわち、最終産物をコードする配列)、調節配列、非コード配列またはそれらの任意の組合せであり得る。構築物という用語には、例えば、ベクター、プラスミドが含まれるが、それに限定されると見なされるべきではない。「調節配列」という用語は、一部の実施形態では、作動可能に連結されている(接続されている/ライゲートされている)コード配列の発現に影響を及ぼすために必要であるDNA配列を指す。調節配列の性質は、宿主細胞に応じて異なる。例えば、原核生物では、調節/制御配列には、プロモーター、リボソーム結合部位および/またはターミネーターが含まれ得る。例えば、真核生物では、調節/制御配列には、プロモーター(例えば、構成的または誘導性)、ターミネーターエンハンサー、トランスアクチベーターおよび/または転写因子が含まれ得る。コード配列に「作動可能に連結された」調節配列は、適した条件下でコード配列の発現が達成されるような方法でライゲートされる。一部の実施形態では、「構築物」または「DNA構築物」とは、目的のコーディング領域および随意により、追加の調節配列または非コード配列を含む、人為的に組み立てられた、または単離された核酸分子を指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、形質転換、すなわち、宿主細胞への異種DNAの導入の目的のために使用できる、任意の組換えポリヌクレオチド構築物(DNA構築物など)を指す。ベクターの1つの例示的な種類として、追加のDNAセグメントをライゲートできる環状二本鎖DNAループを指す「プラスミド」がある。ベクターの別の例示的な種類として、追加のDNAセグメントをウイルスゲノム中にライゲートできるウイルスベクターがある。ある特定のベクターは、導入されている宿主細胞において自己複製可能である。「発現ベクター」という用語は、外来細胞中において異種核酸断片(DNAなど)を組み込み、発現させる能力を有するベクターを指す。言い換えれば、発現ベクターは、標的細胞において転写され得る、または発現され得る核酸配列/断片(DNA、mRNAなど)を含む。多数のウイルス性、原核生物および真核生物発現ベクターが公知であり、および/または市販されている。適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内である。発現ベクターは、1つ以上の調節配列を含み得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「プライマー」とは、標的ヌクレオチド配列とアニーリング(ハイブリダイズ)可能であり、それによって、適した条件下でDNA合成の開始点として働く可能性がある二本鎖領域を作出するオリゴヌクレオチドを規定する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「形質転換」という用語は、細胞への外来DNAの導入を指す。「形質転換体」または「形質転換細胞」という用語には、一次形質転換細胞および移植の回数に関わらずその細胞に由来する培養物が含まれる。計画的または偶発性突然変異のために、すべての後代がDNA含量において正確に同一でない可能性がある。形質転換体の定義には、元の形質転換細胞においてスクリーニングされたものと同一の機能性を有する突然変異体後代が含まれる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「導入」および「トランスフェクション」という用語は、同義的に使用でき、標的細胞(複数可)への、より詳しくは、標的細胞(複数可)の膜に囲まれた空間の内部への、例えば、核酸、ポリヌクレオチド分子、ベクターなどといった分子の移入を指す。分子は、例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (2001)によって教示されるように、当業者に公知の任意の手段によって標的細胞(複数可)中に「導入」できる。細胞中に分子を「導入する」手段として、例えば、それだけには限らないが、熱ショック、リン酸カルシウムトランスフェクション、PEIトランスフェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、トランスフェクション試薬(複数可)、ウイルス媒介性移入、注射などまたはそれらの組合せが挙げられる。細胞のトランスフェクションは、例えば、ヒト細胞、動物細胞、植物細胞などといった任意の起源の、任意の種類の細胞で実施できる。細胞は、単離された細胞、組織培養細胞、細胞株、生物の身体内に存在する細胞などであり得る。
【0061】
「上流」および「下流」という用語は、本明細書で使用される場合、ヌクレオチド配列、例えば、DNA配列またはRNA配列などにおける相対位置を指す。周知のように、ヌクレオチド配列は、ヌクレオチド骨格の糖(デオキシリボースまたはリボース)環上の炭素について、いわゆる5’末端および3’末端を有する。したがって、ヌクレオチド配列上の位置に関連して、下流という用語は、配列の3’末端に向けた領域に関する。上流という用語は、鎖の5’末端に向けた領域に関する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「処置すること」という用語は、それだけには限らないが、以下:状態と関連する症状を抑止すること、寛解させること、阻害すること、減弱すること、遮断すること、抑制すること、低減すること、遅延すること、停止すること、軽減することまたは防止することのうち1つ以上を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。一部の実施形態では、状態は、免疫関連状態である。一部の例示的実施形態では、状態は、喘息、ループス、炎症性腸疾患などから選択され得る。
【0063】
「セマフォリン3A」、「sema3A」、「Sema3A」および「Sema 3A」という用語は、同義的に使用できる。さらに、セマフォリン3Aは、当技術分野で公知のこのタンパク質の任意の代替名または同義語と交換可能であることは理解されるべきである。通常のセマフォリン3Aの同義語には、それだけには限らないが、コラプシン1、セマフォリンIIIおよびSema3Aが含まれる。これらの用語は、タンパク質またはポリペプチド、主に、ヒトタンパク質を指す。これらの用語は、対応するポリペプチドをコードする核酸をさらに指す。野生型セマフォリン3Aのアミノ酸配列およびコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で周知である。核酸配列は、NCBIのような公開データベースにおいて検索できる。一部の実施形態では、ヒト(Homo sapiens)野生型Sema3A受託番号gi|100913215|ref]NM_006080.2|は、配列番号1に対応する。
【0064】
「野生型Sema3A」、「WT Sema3A」、「天然に存在するSema3A」および「未改変Sema3A」という用語は、同義的に使用できる。これらの用語は、Sema3Aの天然に存在する形態(すなわち、内因性、突然変異されていないSema3Aまたは全長Sema3A)を指す。一部の実施形態では、WT-Sema3Aは、哺乳動物起源のものである。一部の実施形態では、WT-Sema3Aは、ヒト起源のものである。一部の実施形態では、ヒト起源のWT-Sema3Aは、配列番号1によって示されるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、WT-セマフォリン3Aは、本明細書で使用される場合、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するヒトセマフォリン3Aである。配列番号2で示されるポリヌクレオチド配列は、配列番号1で示されるヒトWTセマフォリン3AをコードするcDNAに対応する。
【0065】
本明細書で使用される場合、「改変Sema3A」、「突然変異されたSema3A」、「天然に存在しないSema3A」、「短いSema3A」および「T-Sema3A」という用語は、同義的に使用できる。これらの用語は、Sema3Aの対応する野生型(WT)または天然形態の突然変異された/改変された形態に関する。一部の実施形態では、Sema3Aは、ヒト起源のものである。一部の実施形態では、Sema3Aは、哺乳動物起源のものである。一部の実施形態では、改変Sema3Aは、対応する野生型セマフォリン3Aとは、アミノ酸置換(複数可)および/または欠失(複数可)から選択される少なくとも1つの突然変異だけ異なる。特に、ヒトセマフォリン3Aの突然変異された形態は、相同性の比較によって、配列番号1で示されるように野生型セマフォリン3Aの257位に対応する位置でのセリン(S)のシステイン(C)アミノ酸による置換ならびにWTセマフォリン3Aの少なくとも50個のアミノ酸、少なくとも100個のアミノ酸、少なくとも150個のアミノ酸、少なくとも200個のアミノ酸、少なくとも250個のアミノ酸または少なくとも254個の連続アミノ酸のストレッチのC末端の末端切断/欠失を含む。したがって、一部の実施形態では、改変ヒトSema3Aは、配列番号3によって示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ヒト以外の起源の改変Sema3Aは、それぞれのWT-Sema3Aにおいて、ヒトWT Sema3A中に導入された突然変異と同等または相同である、対応する点突然変異および/または欠失を含み得る。
【0066】
一部の実施形態によれば、セマフォリン3Aは、単離されたセマフォリン3Aである。一部の実施形態では、T-sema3Aは、単離されたT-sema3Aである。一部の実施形態によれば、WT-Sema3Aおよび/または改変Sema3Aは、組換えタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドである。本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、1)野生型Sema3Aに関して天然では普通会合している成分の少なくとも一部から分離された、2)人の手が関与するプロセスによって調製または精製された(WTまたは改変Sema3Aに関して)、3)天然に生じない(改変Sema3Aに関して)のいずれかを意味する。
【0067】
一部の実施形態では、改変Sema3Aのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子がさらに提供され、野生型セマフォリン3A(配列番号1)の257位に対応するセリンがシステインによって置換され、野生型セマフォリン3A(配列番号1)254個のアミノ酸のC末端の末端切断をさらに含む。一部の実施形態では、配列番号4によって示される、改変Sema3Aのアミノ酸配列を有する(配列番号3によって示されるアミノ酸配列を有する)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸分子がさらに提供される。
【0068】
一部の実施形態では、本明細書において開示される改変Sema3Aをコードする核酸分子は、好ましくは、配列番号2で示される核酸配列に対して少なくとも50%相同/同一である。このような核酸配列はまた、オルソロガスな/相同な/同一である(従って、関連する)配列を含み得るということは理解される。より好ましくは、提供される改変Sema3Aをコードする核酸配列は、配列番号2で示される核酸配列に対して少なくとも52%、53%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%相同/同一であり、配列同一性のより高い値が好ましい。
【0069】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aは、タンパク質タグをさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「タンパク質タグ」という用語は、タンパク質のN末端またはC末端に結合されたペプチド配列を指す。一部の実施形態によれば、タンパク質タグは、糖タンパク質を含む場合がある。一部の実施形態によれば、タンパク質タグは、タグが付けられたタンパク質の分離、精製および/または同定/追跡のために使用できる。タンパク質タグの限定されない例として、Myc-タグ、ヒトインフルエンザ血球凝集素(HA)、Flag-タグ、His-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびそれらの組合せが挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。一部の例示的実施形態では、タグは、6~8個のヒスチジン残基のストレッチ(「His-タグ」)を含む。一部の実施形態では、タグは、改変Sema3AのC末端の末端に位置する8×-Hisタグ(配列番号7)であり得る。一部の例示的実施形態では、C末端His-タグを有する改変Sema3Aは、配列番号5によって示されるアミノ酸配列を有する。一部の例示的実施形態では、C末端His-タグを有する改変Seam 3Aをコードする核酸分子は、配列番号6によって示されるヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、配列番号6によって示される、改変されたHisタグを有するSema3Aのアミノ酸配列を有する(配列番号5によって示されるアミノ酸配列を有する)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸分子が提供される。
【0070】
一部の実施形態によれば、T-Sema3Aは、生成の際にタンパク質タグを含むことができ、これは、結果として、組成物中に組み込む前に、または細胞に導入される/投与される前にT-Sema3Aから切断および/または除去される場合がある。タグの切断および/または除去は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、それだけには限らないが、酵素的および/または化学的切断によって実施できる。
【0071】
ここで、ヒトWT-Sema3Aおよび改変Sema3Aのアミノ酸および/またはヌクレオチド配列を提示し、一方で、WTおよび改変形態の配列間の改変/相違を強調する
図1A~Cが参照される。
図1Aは、ヒトWT-Sema3A(配列番号1)の771個のアミノ酸配列を提示し、C末端領域(とりわけ、Nrp1結合ドメインおよび二量体化ドメインを含み、対応するT-Sema3Aからは欠失しているアミノ酸517~771)がマークされている(灰色背景)。
図1Bは、改変Sema3Aのアミノ酸配列を提示し、S257C置換(大文字Cによってマークされる)およびアミノ酸R516でのC末端の末端切断を含む。
図1Bに提示された改変Sema3A配列は、改変タンパク質のC末端の末端に8×-Hisタグ(HHHHHHHH(配列番号7(マークされた))をインフレームでさらに含む。
図1Bに提示されたアミノ酸配列は、配列番号5に対応する。
図1Cは、改変されたタグが付けられたSema3Aをコードする核酸配列(cDNA)(配列番号5)を提示する。
図1Cに提示されるcDNA配列は、配列番号6に対応し、コドン改変(塩基769~771)を含み、それによって、セリン残基をコードするコドン(WT Sema3Aタンパク質、配列番号2中)は、塩基769~771でシステインをコードするTGTコドンに変更された。さらに、8個のヒスチジン残基をコードするcDNA配列(強調された、caccatcaccatcaccatcaccatcaccat(配列番号8))を、ヌクレオチド1548でインフレームで融合し、それに停止コドン(tga)が続いた。
【0072】
一部の実施形態によれば、本明細書において開示されるような改変Sema-3Aは、組換えまたは化学的合成方法によって生成できる。一部の実施形態によれば、本明細書において開示されるようなT-Sema3Aは、遺伝子改変宿主細胞から組換え法によって生成できる。組換えタンパク質の生成のための当技術分野で公知の任意の宿主細胞を、本発明のために使用できる。一部の実施形態によれば、宿主細胞は原核細胞である。適切な原核生物宿主の代表的な限定されない例として、細菌細胞、例えば、大腸菌(Escherichia coli)および枯草菌(Bacillus subtilis)の細胞が挙げられる。他の実施形態によれば、宿主細胞は真核細胞である。一部の例示的実施形態によれば、宿主細胞は真菌細胞、例えば、酵母である。
【0073】
一部の例示的実施形態によれば、目的のコーディング領域は、WT-セマフォリン3Aをコードするコーディング領域である。一部の例示的実施形態によれば、目的のコーディング領域は、改変Sema3Aをコードするコーディング領域である。一部の例示的実施形態によれば、目的のコーディング領域は、配列番号4または6で示されるヒト改変Sema3Aをコードするコーディング領域である。
【0074】
一部の実施形態では、改変Sema3Aは、宿主細胞、例えば、核酸分子で形質転換された微生物細胞において、改変Sema3Aをコードするポリヌクレオチド分子を発現させることによって合成できる。
【0075】
一部の実施形態では、野生型ポリペプチド、例えば、野生型セマフォリン3AをコードするDNA配列は、当技術分野で周知の種々の方法を使用してそれらを産生する任意の細胞から単離できる。例えば、野生型ポリペプチドをコードするDNAを、公知の野生型配列のヌクレオチド配列に基づいて構築された特異的プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってゲノムDNAから増幅できる。当技術分野で公知の種々の方法を使用して、ゲノムDNAを細胞から抽出し、その後増幅できる。
【0076】
一部の実施形態によれば、T-Semaポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意のベクター中にクローニングできる。
【0077】
一部の実施形態によれば、野生型ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの単離および/またはクローニングの際、当技術分野で公知の方法、例えば、部位特異的突然変異誘発、カセット突然変異誘発、再帰的集団突然変異誘発(recursive ensemble mutagenesis)および遺伝子部位飽和突然変異誘発などを使用して、1つ以上の塩基対での改変によって所望の突然変異(複数可)を導入できる。ポリヌクレオチド中に複数の突然変異を導入するための方法もまた、周知である。例えば、2つおよび/または3つの突然変異の導入を、市販のキット、例えば、QuickChange位置指定突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して実施できる。一部の実施形態では、本明細書において例示されるように、点突然変異が、WT-セマフォリン3Aをコードする配列(配列番号2によって表される)中に導入され、それによって、770位(配列番号2の)のヌクレオチドcが、ヌクレオチドgに置換される/変更される。このような点突然変異は、コドン改変(tct(WTにおける)からtgt(改変Sema3Aにおける)への)をもたらし、これは、それから発現されるペプチドにおいてセリン(SまたはSer)からシステイン(CまたはCys)アミノ酸置換に変換される。さらに、改変Sema3Aコード配列は、対応するWT-Sema3A(配列番号2)のヌクレオチド1548(g)で終了する。一部の実施形態では、停止コドン(当技術分野で公知の任意の停止コドン、例えば、tga)を、ヌクレオチド1548の直後(下流)に配置できる。一部の実施形態では、タグを、ヌクレオチド1548の後に配置できる。一部の実施形態では、タグをコードするヌクレオチド配列をヌクレオチド1548の後に配置できる。一部の実施形態では、タグをコードするヌクレオチド配列は、His-タグ、Myc-タグ、FLAG-タグなどであり得る。一部の実施形態では、停止コドンをタグをコードする配列の後に配置できる。一部の例示的実施形態では、ヌクレオチド1548の後に停止コドンを有する改変Sema3Aをコードするヌクレオチド配列が、配列番号4によって表される。例えば、タグ(この例ではHis-タグ)と、それに続いて停止コドンをコードするヌクレオチドを有する、改変Sema3Aをコードするヌクレオチド配列が、配列番号6によって表される。
【0078】
一部の実施形態によれば、所望の配列を有するポリヌクレオチドを生成するための代替方法は、合成遺伝子の使用である。所望のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、例えば、ホスホロアミダイトを使用して合成的に調製できる。
【0079】
一部の実施形態によれば、次いで、このように生成されたポリヌクレオチドを、精製、アニーリング、ライゲーション、増幅、制限エンドヌクレアーゼによる消化および適切なベクター中へのクローニングのうち1つ以上を含むさらなる操作に付すことができる。ポリヌクレオチドは、最初にクローニングベクター中に、または特定の宿主細胞種におけるその発現にとって適切である発現ベクター中に直接的にライゲートできる。
【0080】
一部の実施形態では、融合タンパク質、タンパク質タグと融合されたタンパク質の場合には、異なるポリヌクレオチドをライゲートして、1つのポリヌクレオチドを形成できる。一部の実施形態では、WTまたは改変Sema3Aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさまざまな発現ベクター中に組み込み、これをさまざまな宿主細胞へ形質転換できる。
【0081】
一部の実施形態によれば、宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、周知の方法、例えば、化学的形質転換(例えば、塩化カルシウム処置)、エレクトロポレーション、コンジュゲーション、形質導入、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクション、スクレープローディング(scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)および感染によって達成できる。適切な宿主の代表的な限定されない例として、細菌細胞、例えば、大腸菌および枯草菌の細胞が挙げられる。
【0082】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、発現に適した任意のベクターにおいて発現させることができる。適切なベクターは、選択された宿主細胞に従って決定される。大腸菌においてタンパク質を発現するためのベクターとして、例えば、それだけには限らないが、pET、pK233、pT7およびラムダpSKFが挙げられる。他の発現ベクター系は、ベータガラクトシダーゼ(pEX)、マルトース結合タンパク質(pMAL)およびグルタチオンS-トランスフェラーゼ(pGST)をベースとする。
【0083】
一部の実施形態によれば、上記で詳述されるように、ポリペプチドをタンパク質タグ、例えば、His-タグ(6~8個の連続ヒスチジン残基)を含むように設計でき、これは、従来法によって単離および精製できる。
【0084】
一部の実施形態によれば、所望のベクターで形質転換された宿主細胞の選択は、非形質転換細胞に対して毒性である選択培地での増殖を含む標準選択プロトコールを使用して達成できる。例えば、大腸菌の場合には、抗生物質選択剤を含有する培地で増殖させてもよく、抗生物質耐性遺伝子をさらに提供する発現ベクターで形質転換された細胞は、選択培地で増殖する。一部の実施形態では、適した宿主細胞を形質転換し、タンパク質発現に適切な条件下で増殖させると、形質転換細胞の細胞抽出物においてポリペプチドを同定できる。ポリペプチドを発現する形質転換された宿主は、例えば、SDS-PAGEを使用して宿主によって発現されたタンパク質を分析することおよびゲルを、同一であるが、所望のポリペプチドをコードする核酸配列を含有しないベクターで形質転換された宿主から得られたSDS-PAGEゲルに対して比較することによって同定できる。
【0085】
一部の実施形態によれば、細胞抽出物において同定された所望のポリペプチドを、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿法、酸抽出、塩分別、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル透過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよびそれらの組合せを含む従来法によって単離および精製できる。本発明のポリペプチドは、その迅速な精製を容易にするためにアフィニティー精製タンパク質タグ、例えば、His-タグに付着された融合タンパク質として生成できる。
【0086】
一部の実施形態によれば、単離されたポリペプチドは、当技術分野で公知の方法を使用してその種々の特性、例えば、特異的活性について分析できる。限定されない例では、単離された改変セマフォリン3Aは、CD72に結合するその能力、ニューロピリン1受容体への結合の欠如、細胞収縮を媒介する能力の欠如、CD72シグナル伝達の活性化(例えば、調節分子、例えば、STAT-4のリン酸化の増大によって決定されるような)、免疫細胞(例えば、T細胞および/またはB細胞)におけるIL-10分泌の誘導/それに影響を及ぼすこと/その増大、免疫細胞(例えば、活性化されたT細胞および/またはB細胞)における好気的解糖に影響を及ぼすことなど、またはそれらの任意の組合せについて分析できる。
【0087】
一部の実施形態によれば、本発明に従う改変Sema3Aはまた、周知の技術、例えば、固相合成を使用して合成手段によって生成できる。合成ポリペプチドは、市販の実験室ペプチド設計および合成キットを使用して生成できる。さらに、いくつかの利用可能なFMOCペプチド合成システムが利用可能である。ポリペプチドまたは断片の組み立ては、例えば、Applied Biosystems、Inc.モデル431A自動化ペプチドシンセサイザーを使用して固相支持体で実施できる。ポリペプチドは直接合成によって、または他の公知の技術を使用してつなぐことができる一連の断片の合成によって作製できる。
【0088】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aポリペプチドの生成のためのプロセスが提供され、プロセスは、適した宿主細胞を改変Sema3Aポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養すること/生じさせること、および随意により、細胞培養物から生成されたポリペプチドを回収すること/単離することを含む。
【0089】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aポリペプチドをコードする核酸が提供される。一部の実施形態では、改変Sema3Aポリペプチドをコードする核酸を有するまたは含む(随意により、1つ以上の調節配列、非コード配列などに加えて)DNA構築物/ベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。
【0090】
一部の実施形態では、種々の適したベクターは、当業者に公知であり、その選択は、所望の機能に応じて変わる。このようなベクターとして、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージおよび他のベクターが挙げられる。一部の実施形態では、それを有するポリヌクレオチドおよび/またはベクターは、標的細胞への送達のための媒体、例えば、リポソームなどに再構築され得る。目的、宿主細胞などに応じて、当技術分野で公知の任意のクローニングベクターおよび/または発現ベクターを使用できる。このようなベクターを、in-vitroおよび/またはin-vivo導入/発現のために使用できる。
【0091】
一部の実施形態によれば、本明細書において開示されるコードする核酸分子および/またはベクターを、標的細胞中への直接導入のために、または担体、例えば、リポソーム、ウイルスベクター(アデノウイルス、レトロウイルス)を介した導入のために設計できる。
【0092】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aを有する、または発現させる宿主細胞が提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、本発明のベクターを用いて、または改変Sema3Aをコードする核酸を用いて形質転換/トランスフェクトされ得る。一部の実施形態では、本明細書の核酸分子を有する、または含む宿主細胞が提供される。一部の実施形態では、宿主における少なくとも1つのベクターまたは少なくとも1つの核酸分子の存在は、細胞において改変Sema3Aの発現を媒介し得る。一部の実施形態では、それを含む核酸分子またはベクターは、宿主細胞のゲノム中に組み込まれる場合もあり、染色体外で維持される場合もある。一部の実施形態では、宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。一部の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。
【0093】
一部の実施形態によれば、核酸分子は、精製のためにおよび/または療法のために細胞において本発明の改変Sema3Aポリペプチドを発現させるために単独で、またはベクターの部分として使用できる。
【0094】
一部の実施形態では、核酸分子(またはそれを有するベクター)および/または改変Sema3Aポリペプチドは、種々の状態、特に、免疫関連状態を処置するための医薬として(そのままで、または組成物、例えば、医薬組成物の形態で)使用できる。
【0095】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aポリペプチド、それをコードする核酸または核酸を有するベクターを含む組成物(本明細書において医薬組成物とも呼ばれる)が提供される。各可能性は、別個の実施形態である。一部の実施形態では、組成物は、組成物の目的、種類および/または使用に従って1種以上の適した賦形剤を含み得る。一部の実施形態では、賦形剤は、医薬担体、媒体、緩衝液および/または希釈剤を含み得る医薬賦形剤である。
【0096】
一部の実施形態では、本明細書において開示される組成物は、種々の免疫関連状態を処置するための医薬として使用できる。
【0097】
したがって、一部の実施形態によれば、改変sema3A(ポリペプチドまたはそれをコードする核酸)は、種々の免疫媒介性状態、例えば、自己免疫疾患、アレルギー状態、免疫系の過剰活性化と関連する状態、炎症性疾患などの処置の成功のために使用できる。
【0098】
一部の実施形態では、自己免疫疾患には、それだけには限らないが、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、ブドウ膜炎、乾癬などといった状態が含まれ得る。
【0099】
一部の実施形態では、アレルギー状態には、それだけには限らないが、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎およびアトピー性皮膚炎といった状態が含まれ得る。
【0100】
一部の実施形態では、免疫系の過剰活性化と関連する状態には、それだけには限らないが、敗血症、感染性疾患および/またはCAR-Tによる誘発によるサイトカインストーム、移植片対宿主疾患(GVHD)などといった状態が含まれ得る。
【0101】
一部の実施形態では、炎症性疾患には、それだけには限らないが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、家族性地中海熱(FMF)などといった疾患が含まれ得る。
【0102】
一部の実施形態によれば、本発明の核酸、ポリペプチドまたは組成物のために、それだけには限らないが、局所および全身経路を含む対象への任意の適した投与経路を使用できる。例示的な適した投与経路として、それだけには限らないが、経口的、鼻腔内、非経口的、静脈内、局所的、浣腸または吸入が挙げられる。別の実施形態によれば、組成物の全身投与は、注射によってである。注射による投与のために、組成物を、水溶液で、例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液または生理的食塩緩衝液を含むがそれに限定されない生理学的に適合する緩衝液で製剤化できる。注射用製剤は、単位投与形で、例えば、アンプルで、または随意により、添加された保存料を含む複数回用量容器で提示され得る。
【0103】
別の実施形態によれば、全身投与は、非経口経路によってである。一部の実施形態によれば、非経口投与は、静脈内、動脈内、筋肉内、腹膜内、皮内、硝子体内または皮下への投与である。上記の投与経路の各々は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態によれば、非経口投与は、ボーラス注射によって実施される。別の実施形態によれば、非経口投与は、連続注入によって実施される。一部の実施形態によれば、非経口投与のための本発明の組成物の調製物には、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液またはエマルジョンが含まれ、各々、本発明の別個の実施形態を表す。非水性溶媒または媒体の限定されない例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えば、オリーブオイルおよびコーンオイル、ゼラチンおよび注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルがある。
【0104】
別の実施形態によれば、非経口投与は、経粘膜投与である。別の実施形態によれば、経粘膜投与は、経鼻投与である。経粘膜投与のために、製剤において浸透されるべき障壁に適切な浸透剤が使用される。このような浸透剤は、一般に当技術分野で公知である。好ましい投与様式は、処置されている特定の適応症に応じて変わり、当業者には明らかであろう。
【0105】
水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増大する物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含有する場合がある。随意により、懸濁液はまた、適した安定剤または有効成分の溶解度を高めて、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする薬剤を含有する場合がある。
【0106】
別の実施形態によれば、注射用に製剤化された組成物は、油性もしくは水性媒体中の溶液、懸濁液、分散物またはエマルジョンの形態であり得る、または製剤化剤、例えば、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤を含有し得る。適した親油性溶媒または媒体の限定されない例として、脂肪油、例えば、ゴマ油または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドが挙げられる。
【0107】
別の実施形態によれば、組成物は静脈内に投与され、したがって、静脈内投与に適した形態で製剤化される。別の実施形態によれば、組成物は動脈内に投与され、したがって、動脈内投与に適した形態で製剤化される。別の実施形態によれば、組成物は、筋肉内に投与され、したがって、筋肉内投与に適した形態で製剤化される。
【0108】
別の実施形態によれば、全身投与は、経腸経路によってである。別の実施形態によれば、経腸経路による投与は、頬側投与である。別の実施形態によれば、経腸経路による投与は、経口投与である。一部の実施形態によれば、組成物は、経口投与用に製剤化される。
【0109】
一部の実施形態によれば、経口投与は、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤、丸剤、カプセル剤、コーティング錠を含む錠剤、糖衣錠、エリキシル、懸濁液、液体、ゲル、スラリー、シロップまたは吸入剤の形態およびその徐放性形態である。
【0110】
一部の実施形態によれば、経口投与のための適した担体は、当技術分野で周知である。経口使用のための組成物は、固体賦形剤を使用し、随意により、錠剤または糖衣錠コアを得るために必要に応じて適した補助剤を添加した後に、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工して作製できる。適した賦形剤の限定されない例として、増量剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖、セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/または生理学的に許容されるポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。
【0111】
一部の実施形態では、必要に応じて、崩壊剤、例えば、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを添加してもよい。本発明の組成物および適した散剤基剤、例えば、ラクトースまたはデンプンの粉末ミックスを含有する、ディスペンサーにおいて使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル剤およびカートリッジを製剤化できる。
【0112】
一部の実施形態によれば、経口投与のための固体投与形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が含まれる。このような固体投与形では、本発明の組成物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される担体、例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプンと混合される。このような投与形はまた、通常の実施として、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムを含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合には、投与形はまた、緩衝剤を含み得る。錠剤および丸剤はさらに、腸溶コーティングを用いて調製できる。
【0113】
一部の実施形態では、経口投与のための液体投与形はさらに、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤および甘味剤、矯味剤および芳香剤を含有し得る。一部の実施形態によれば、経口または頬側投与のために組成物の腸溶コーティングがさらに使用される。「腸溶コーティング」という用語は、本明細書で使用される場合、消化系内の組成物吸収の位置を制御するコーティングを指す。腸溶コーティングのために使用される材料の限定されない例として、脂肪酸、ワックス、植物繊維またはプラスチックがある。
【0114】
一部の実施形態によれば、投与することは局所的に投与することである。一部の実施形態によれば、組成物は、局所投与のために製剤化される。「局所投与」という用語は、本明細書で使用される場合、身体表面への投与を指す。局所使用のための製剤の限定されない例には、クリーム、軟膏剤、ローション、ゲル、泡状物質、懸濁液、水性または共溶媒溶液、軟膏および噴霧可能液体形態が含まれる。本発明の組成物の他の適した局所製品形態には、例えば、エマルジョン、ムース、ローション、溶液およびセラムが含まれる。
【0115】
一部の実施形態によれば、投与は、とりわけ、医学的状態、患者の特徴、投与経路などに応じて任意の適した投与レジメを含み得る。一部の実施形態では、投与は、1日に2回、毎日、隔日、3日毎、4日毎、5日毎、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、1ヶ月に1回などの投与を含み得る。
【0116】
一部の実施形態によれば、T-Sema3Aポリペプチド、それをコードする核酸および/またはポリペプチドもしくは核酸分子を含む組成物は、免疫関連を処置するために使用されるために使用される場合には、他の治療薬と組み合わせて使用され得る。このような組合せの成分は、任意の適した投与経路によって別個のまたは組み合わされた医薬製剤で逐次または同時に/付随して投与できる。
【0117】
一部の実施形態によれば、免疫関連状態を処置する方法が提供され、方法は、改変Sema3Aの治療上有効量をそれを必要とする対象へ投与することを含む。一部の実施形態では、改変Sema3Aは、ポリペプチドとしてそのままで、または適した医薬組成物の形で投与され得る。一部の実施形態では、改変Sema3Aは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしてそのままで、または適した医薬組成物の形で投与され得る。
【0118】
一部の実施形態によれば、治療上有効量とは、免疫関連障害と関連する症状のうち少なくとも1つを改善するおよび/または防ぐのに十分な量を指す。
【0119】
一部の例示的実施形態によれば、喘息を処置する方法が提供され、方法は、改変Sema3Aの治療上有効量を含む医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む。
【0120】
一部の例示的実施形態によれば、炎症性腸疾患を処置する方法が提供され、方法は、改変Sema3Aの治療上有効量を含む医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む。
【0121】
一部の例示的実施形態によれば、ループスを処置する方法が提供され、方法は、改変Sema3Aの治療上有効量を含む医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む。
【0122】
一部の実施形態によれば、改変Sema3Aペプチドおよび/またはそれをコードする核酸分子および/または本明細書において開示されるような組成物を含むキットが提供される。このようなキットは、例えば、種々の免疫関連状態、例えば、喘息、ループスおよびIBDなどの処置において使用できる。
【0123】
本出願の明細書および特許請求の範囲において、単語「含む(include)」および「有する(have)」およびその形態は、単語が関連付けられ得るリストのメンバーに限定されない。本明細書で使用される場合、含んでいるという用語は、からなっているという用語を含む。
【0124】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量またはパラメータ(例えば、要素の長さ)の値を、所与の(記載された)値の近くの(および含む)値の連続範囲内に指定するために使用できる。一部の実施形態によれば、「約」は、パラメータの値を所与の値の80%と120%の間であるように指定できる。一部の実施形態によれば、「約」は、パラメータの値を所与の値の90%と110%の間であるように指定できる。一部の実施形態によれば、「約」は、パラメータの値を所与の値の95%と105%の間であるように指定できる。
【0125】
本明細書で使用される場合、一部の実施形態によれば、「実質的に」および「約」という用語は、交換可能であり得る。
【0126】
いくつかの例示的態様および実施形態を上記で論じたが、当業者ならばそれらのある特定の改変、並べ替え、付加および部分的組合せを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲および本明細書において以下に導入される特許請求の範囲は、その真の趣旨および範囲内にあるこのような改変、並べ替え、付加および部分的組合せのすべてを含むと解釈されることが意図される。
【0127】
以下の実施例を、本発明の一部の実施形態をより十分に例示するために提示する。しかし、それらは本発明の広い範囲を制限すると決して解釈されてはならない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書において開示される原理の多数の変法および改変を容易に考案できる。
【実施例】
【0128】
実施例1: 改変Sema3Aタンパク質の構築
【0129】
シグナル配列およびWTタンパク質のSema-ドメインを保持する改変(末端切断および突然変異)ヒトSema3Aを作出した。改変Sema3A(T-Sema3A)は、標準遺伝子工学技術を使用して野生型ヒトセマフォリン3Aから導いた。Sema3Aは、アミノ酸1~516のストレッチ(WT Sema3Aと比較して))を含み、アミノ酸257において1つの点突然変異(S257C)を有する。この目的のために、Sema3A遺伝子の対応する領域を3セットのプライマー(以下に詳述される)を使用するPCRによって増幅した。末端切断型改変分子におけるs-s結合および二量体の形成を可能にするために、PCR反応を使用して塩基770で点突然変異(cからgへ)を導入して、セリン(WT配列における)をシステイン(改変Sema3Aにおける)に置換することによるアミノ酸257の結果としての置換をもたらした。さらに、ヌクレオチド1548で配列のC末端の末端切断を含めて、末端切断型改変Sema3Aを形成した。一部の例では、分子の3’末端で、8個のヒスチジンアミノ酸のストレッチに変換されるヌクレオチド配列がインフレームで含まれる。His-タグに停止コドンが続き、そのため、結果として、改変Sema3AをコードするcDNAが生成される。このようなHisタグが付けられた改変Sema3Aのアミノ酸配列は、
図1Bに示され、配列番号5によって表されている。このような改変Sema3Aをコードする核酸配列は
図1Cに示され、配列番号6によって表されている。他の例では、タグ配列が導入されない場合には、適切な停止コドンが挿入される。このような改変Sema3Aのアミノ酸配列は、配列番号3によって表される。このような改変Sema3Aをコードする核酸配列は、配列番号4によって表される。次いで、増幅産物を、組換えによってNSPI-CMV-MCS-myc-Hisレンチウイルス発現ベクター(
図2に示される)中に組み立て、ライゲートした。この手順をNEBuilder HiFi DNAアセンブリーマスターミックスを製造業者(New England Biolabs)の使用説明書に従って使用して実施した。
【0130】
改変Sema3AをNSPIレンチウイルス発現ベクターへサブクローニングすると、それを使用してHEK293細胞に感染させた(以下に詳述されるように)。次いで、ニッケルアフィニティークロマトグラフィーを使用して条件付けされた培地からT-sema3Aを精製した。
【0131】
鋳型としてWT-Sema3Aを使用した、改変Sema3Aの形成のためのPCR反応において使用されたプライマー:
shs3A 5' taagcttggtaccgagctcgatgggctggttaactaggattg (配列番号9)
shs3a s257c 5' caatagatggagaacactgtggaaaagctactcacgctag (配列番号10)
shs3a s257c 3' ctagcgtgagtagcttttccacagtgttctccatctattg (配列番号11)
shs3a 8his+stop 3' tcaatggtgatggtgatggtgatggtgccggtgtaaagggagctggg (配列番号12)
shs3A 3' caccacactggactagtgtcaatggtgatggtgatggt (配列番号13)
【0132】
実施例2: 改変Sema3Aポリペプチドの発現および精製
【0133】
改変sema3AをコードするcDNAを、上記で詳述されたようにNSPIレンチウイルス発現ベクター中にサブクローニングした。以前に記載されたように、HEK293-T細胞においてT-sema3Aの発現を指示するレンチウイルスを生成し(Varshavsky, A., et.al.,(2008) Cancer Res. 68, 6922-6931)、HEK293細胞に感染させるために使用した。血清不含の条件付けされた培地を、感染の48時間後に収集し、供給業者(「Ni-NTA-QUIAGEN」)の使用説明書のとおりにニッケル-アガロースカラムで精製した。
【0134】
トランスフェクトされたHEK293細胞を70%コンフルエンスに増殖させ、血清不含培地で48時間インキュベートした。条件付けされた培地を収集し、次いで、4℃で、2ml Ni-NTAアガロース(QIAGEN)を含有する1.5cmの直径のカラムにロードした。ビーズを、10mlの洗浄緩衝液(100mM NaClを含有する50mMリン酸緩衝液pH8)で2回洗浄した。次いで、2mlの溶出緩衝液(100mM NaClおよび150mMイミダゾールを含有する50mMリン酸緩衝液pH8)を使用してビーズを5回溶出した。ペプチド濃度を、クーマシーブルー染色を使用し、既知濃度のウシ血清アルブミンフラクションVタンパク質(MP Biomedicals(商標))に対する比較によって決定した。
【0135】
その後、溶出液をPBSに対して透析し、精製されたT-sema3Aを-80℃で凍結して維持した。
【0136】
実施例3: WT-Sema3AのNrp1およびCD72受容体への結合
【0137】
材料および方法
【0138】
細胞:
- 親U87MG:Nrp1を元来/内因性に発現するヒト神経膠芽腫細胞株(ATCC)
- U87MG-ΔNrp1:Nrp1についてノックアウトされたU87MG(CRISPR-Cas9法によって達成された)。
- U87MG-ΔNrp1+CD72:Nrp1についてノックアウトされ、CD72を安定に発現するU87MG。これらの細胞は、全長CD72 cDNA(ヒトCD72 9432bp配列、クローン5226648、DharmaconTM)を、pLenti6.3/V5-DESTレンチウイルス発現ベクター中にインフレームでC末端V5タグ(Gateway、Thermo Fisher Scientific)とともに導入することによって生成した。感染によって、このベクターをU87MG ΔNrp1に導入し、続いて、ブラストサイジン選択を行った。
【0139】
Sema3A-アルカリホスファターゼ濃度
【0140】
HEK293-Sema3A-AP細胞(WT-Sema3Aを用いてインフレームでアルカリホスファターゼとともにトランスフェクトされたHEK-293)を70%コンフルエンスに増殖させ、血清不含培地で48時間インキュベートした。条件付けされた培地を、30KDa Amicon Ultra遠心フィルターデバイスを使用して50倍濃縮のために濃縮した。
【0141】
Sema3A-AP濃度を、クーマシーブルー染色を使用し、BSAの既知濃度に対する比較によって決定した。
【0142】
アルカリホスファターゼ比色アッセイ
【0143】
細胞を濃縮Sema3A-APとともに4℃で1.5時間インキュベートし、続いて、PBS洗浄し、4%パラホルムアルデヒドを用いて20分間固定し、65℃で1時間インキュベートした。次いで、AP酵素の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートおよびニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT)液体基質(SIGMA)を4℃で一晩のインキュベーションの間添加した。翌日、AP-Sema3A結合の場合には眼に見える黄色-褐色の沈殿物が顕微鏡で実証され、Image-Proソフトウェアを使用して視野あたりの平均着色強度(lμm/μm2)を分析した。
【0144】
アルカリホスファターゼ比色アッセイ:競合阻害アッセイ
【0145】
CD72受容体に結合するsema3Aの動態学を分析するために、CD72の公知のリガンドであるSema4Dを競合阻害剤として使用した。漸増濃度の組換えヒトSema4Dタンパク質(0~50μg/ml)(abcam)を、一定濃度のSema3A-AP(5μg/ml)とともに用いて、ホスファターゼ比色アッセイを実施した。Graph Pad Prismソフトウェアを使用して、動態学グラフを描き、結合パラメータを算出した。
【0146】
結果:
【0147】
ニューロピリン-1および/またはCD72に対して向けられた抗体を用いてプローブされた、改変または非改変U87MG細胞抽出物のウエスタンブロット分析のピクトグラムを示す
図3Aが参照される。
図3Aで分かるように、親U87MG細胞(par)は、Nrp1を発現するが、CD72を発現しない。CRISPR/Cas9を使用してニューロピリン-1を発現する遺伝子がノックアウトされたU87MG細胞(「U87MG-ΔNrp1」)を、空のレンチウイルスまたはV5エピトープタグが停止コドンの上流にインフレームで融合されたCD72の発現を指示するレンチウイルス(「U87MG-ΔNrp1+CD72」)にさらに感染させた。結果は、U87MG-ΔNrp1が実際にNrp1もCD72も発現しないが、U87MG-ΔNrp1+CD72細胞が、CD72を発現し、Nrp1を発現しないことを実証する。
【0148】
次いで、Sema3A-APを、37℃で60分間これらの細胞に結合させた。次いで、細胞を洗浄し、結合しているSema3A-APをBICP/NBTを使用して検出した。結果は、
図3Bに示されたピクトグラムで提示されている。
【0149】
次いで、漸増濃度の精製されたSema3A-APを、3種の細胞種とともに室温で30分間インキュベートした。インキュベーション(結合)後、細胞を洗浄し、アルカリホスファターゼ比色アッセイを使用して、顕微鏡の視野あたりの結合された結合しているSema3A-APの量を評価した。結果は、
図3Cの線グラフで提示されており、WT-Sema3AがCD72に結合できることを明確に示す。
【0150】
次いで、Sema3A-AP(5μg/ml)を、漸増濃度の、CD72の確証的な既知リガンドであるsema4Dの存在下で、3種の細胞種に結合させ/インキュベートした。次いで、結合しているsema3A-AP/顕微鏡視野の量を決定した。
図3Dに提示された結果は、実際にWT-Sema3AがCD72に結合でき、CD72に対するsema3Aの結合親和性は、ニューロピリン-1に対するその結合親和性と極めて類似しているという知見を強化する。
【0151】
したがって、
図3A~Dに提示された結果は、野生型Sema3AはCD72受容体に結合でき、この結合は、Nrp1に対してと類似の結合親和性を有するということを実証する。
【0152】
実施例4: CD72受容体を使用するSema3Aのシグナル伝達
【0153】
材料および方法:
【0154】
細胞:
- BLCL(ドナー番号213、健常女性ドナー):Bリンパ芽球様細胞株、エプスタイン-バーウイルスによって形質転換された一次Bリンパ芽球様細胞(ASTARTE BIOLOGICS、INC.)。
- BLCL-CD72:CD72を安定に発現するBLCL。これらの細胞は、全長CD72 cDNAを、pBABE-EGFPレンチウイルス発現ベクター(Gateway、Thermo Fisher Scientific)中に導入することによって生成した。感染によって、このベクターをBLCLに導入し、続いて、EGFP選別を行った。
【0155】
Sema3A精製
【0156】
HEK293-Sema3A細胞(Sema3Aをインフレームで、C末端HisタグとともにトランスフェクトされたHEK-293)を70%コンフルエンスに増殖させ、血清不含培地で48時間インキュベートした。条件付けされた培地を収集し、次いで、4℃で、2ml Ni-NTAアガロース(QIAGEN)を含有する1.5cmの直径のカラムにロードした。次いで、ビーズを、10mlの洗浄緩衝液(100mM NaClを含有する50mMリン酸緩衝液pH8)で2回洗浄した。次いで、2mlの溶出緩衝液(100mM NaClおよび150mMイミダゾールを含有する50mMリン酸緩衝液pH8)を使用してビーズを5回溶出した。Sema3A濃度を、クーマシーブルー染色を使用し、既知濃度のウシ血清アルブミンフラクションVタンパク質(MP Biomedicals(商標))に対する比較によって決定した。
【0157】
リン酸化アッセイ
【0158】
細胞を16時間血清飢餓させた。実験当日に、細胞を5μg/mlの抗IgMを用いて37℃で5分間活性化させ、次いで、10μg/mlのSema3Aまたは対照として溶出緩衝液を37℃でさらに10分間添加した。氷冷PBSを用いる洗浄によって実験を終結し、リン酸化溶解緩衝液(50mM Tris-HCl pH7.5、150mM NaCl、2mM EDTA、2mM EGTA、5mM NaF、2mM Na3VO4、10mM Na4P2O7、1% Triton X-100)を用いて溶解した。80μgのタンパク質をSDS-PAGEに付し、リン酸化標的タンパク質に対して向けられた抗体を用いて免疫ブロットし、次いで、ブロットをストリップし、総タンパク質に対して向けられた抗体を用いて再プローブした。ウエスタンブロットを、以下の抗体:抗STAT4(C-4)(Santa Cruz Biotechnology)、抗ホスホ-STAT4(Tyr693)(Santa Cruz Biotechnology)、p38MAPK抗体(Cell Singnaling Technology、Inc)、ホスホ-p38 MAPK(Thr180/Tyr182)抗体(Cell Singnaling Technology、Inc)を用いてプローブした。ImageQuant LAS 4000プログラムを使用してバンド強度の定量化を実施した。
【0159】
結果:
【0160】
Sema3Aシグナル伝達がCD72によって媒介されるか否かを試験するために、さらに、ニューロピリン-1を欠く一次Bリンパ芽球様細胞においてCD72を発現させた。
図4A~Cにおいて本明細書で提示された結果は、Sema3Aが、CD72を介してシグナルを送り、これらの細胞においていくつかの二次的シグナルトランスデューサーのリン酸化状態を増大または阻害できることを実証する。
図4Aで示されるように、一次Bリンパ芽球様細胞株(BLCL)を、CD72の発現を指示するレンチウイルスに感染させた。BLCL細胞およびCD72を発現するBLCL細胞を、ニューロピリン-1(Nrp1)およびCD72に対して向けられる抗体を用いてプローブした。親BLCL細胞は、これらの受容体のいずれかを発現しない。次いで、BLCL細胞およびCD72を発現するBLCL細胞(BLCL+CD72)を、WT-Sema3Aペプチドを用いて刺激した。次いで、Stat-4およびP38のリン酸化状態を決定した。結果は、Stat-4(
図4B)およびP38(
図4C)において総タンパク質に対して、および特定のリン酸化部位に対して向けられた抗体を用いてプローブされた細胞抽出物のウエスタンブロットのピクトグラムを示す
図4Bおよび
図4Cに示されている。
【0161】
したがって、結果は、Sema3Aが、CD72に結合し、さらにこの受容体を介して細胞性効果を発揮できることを実証する。
【0162】
実施例5: 改変Sema3Aの生物学的特性の特性決定
【0163】
1.内皮細胞収縮アッセイ
ゼラチンプレート上にプレーティングされたHUVEC(ヒト臍帯静脈由来内皮細胞)を、対照HEK2963細胞から得た条件付けされた培地とともに、または同様の濃度の野生型Sema3AもしくはT-Sema3Aを含有する条件付けされた培地とともに、加湿インキュベーター中、37℃で30分(分)間インキュベートした。インキュベーション後、位相差倒立顕微鏡(Ziess)を使用して細胞を撮像した。
【0164】
2.CD4+T細胞精製および培養
健常対照から得た末梢血試料をヘパリン洗浄チューブに採取し、次いで、Lymphoprep-フィコール勾配上にロードして、PBMCを収集した。抗ヒトCD4マイクロビーズ(Miltenyi-Biotec)を製造業者の使用説明書に従って使用してCD4+T細胞をPBMCからポジティブに単離した。精製されたCD4+T細胞を、10μg/mlの抗CD3でプレコーティングされたプレートで37℃で4時間培養し、次いで、精製された野生型Sema3AまたはT-Sema3A(2~5μg/ml)に加えて、1μg/mlの抗CD28および1μg/mlのIL-2を用いて、37℃で48時間刺激した。
【0165】
3.フローサイトメトリー(FACS)染色
野生型Sema3AまたはT-sema3Aを用いる48時間の刺激後のIL-10を発現するT細胞のパーセンテージを調べるために、CD4+T細胞を、FITC抗CD4抗体を用いて室温で30分間染色し、次いで、それらをFix and Perm培地Aを用いて10分間固定し、その後、それらをFix and Perm培地Bを用いて透過処理し、APC抗IL-10抗体を室温でさらに30分間添加した。IL-10を発現するCD4+T細胞を、Navios EXフローサイトメーターと、続いてKaluza分析ソフトウェア(Beckman Coulter Life Sciences)とを使用して評価した。
【0166】
結果:
【0167】
内皮細胞の細胞骨格に対する効果:
【0168】
Sema3Aは、内皮細胞上に発現されるニューロピリン-1受容体に結合する。これは、ニューロピリン-1の、内皮細胞のプレキシン-A1およびプレキシン-A4との会合を誘導し、これは、次いで、sema3Aシグナルを伝達し、アクチン細胞骨格の局在化された分解を誘導し、その結果、細胞収縮する。したがって、これらの細胞における細胞収縮は、ニューロピリン-1受容体によってによって媒介される。T-Sema3Aがニューロピリン-1を使用してシグナルを送るその能力を失っているか否かを同定するために、野生型Sema3AまたはT-Sema3Aを用いるインキュベーション/刺激によってヒト臍帯静脈由来内皮細胞(HUVEC)において細胞収縮を誘導した。
図5Aに提示された結果は、WT Sema3Aとは対照的に、T-sema3Aは、内皮細胞の収縮を誘導できなかったことを明確に実証し、これは、ニューロピリン-1受容体を介してシグナルを伝達できないことを示す。具体的には、細胞へのT-sema3A(0.5~10μg/ml)の添加は、驚くべきことに、ヒト臍帯静脈由来内皮細胞またはU87MG神経膠芽腫細胞のいずれかの収縮を誘導できなかったが、野生型Sema3Aは、それらの収縮を誘導した。
図5Aに提示された結果は、細胞収縮に対するWT-Sema3AとT-Sema3Aの差次的効果を明確に示す。ヒト臍帯静脈由来内皮細胞(HUVEC)を、対照HEK293細胞に由来する条件付けされた培地(対照)を用いて、または組換えSema3AもしくはT-sema3Aのいずれかを発現するHEK293細胞に由来する同様の濃度のSema3AもしくはT-sema3Aを含有する条件付けされた培地を用いて刺激した。細胞を、条件付けされた培地の添加の30分後に撮像した。
【0169】
したがって、結果は、野生型sema3Aとは異なり、改変Sema3Aは、ニューロピリン-1受容体を介してシグナル伝達を誘導できないことを示唆する。
【0170】
CD4+T細胞に対する効果:
【0171】
次いで、改変Sema3Aが、CD72受容体を介してシグナルを伝達できるか否かを同定しようとした。この目的のために、抗CD3および抗CD28を使用して48時間活性化されたCD4+T細胞に、漸増濃度の改変sema3Aまたは野生型Sema3Aを添加した。短いsema3Aおよび野生型Sema3Aの両方とも、活性化されたCD4+T細胞および制御性T細胞によって分泌される最も重要な抗炎症性サイトカインであるIL-10の分泌を効果的に誘導することがわかった。野生型Sema3Aおよび短いsema3Aの両方について、2μg/mlの濃度が最も有効な用量であった(
図5B)。
図5Bで示されるように、CD4
+T細胞を、示された濃度の精製されたSema3AまたはT-Sema3Aを用いて刺激した。FACS分析を使用してIL-10を発現するT細胞のパーセンテージを決定した。
【0172】
結果は、改変Sema3AがCD72を介して実際に成功裏にシグナルを伝達できることを示唆する。結果は、改変sema3Aの抗炎症性効果は、野生型sema3Aのものに対して少なくとも同様であることをさらに示唆する。
【0173】
したがって、ニューロピリン-1媒介性シグナル伝達の活性化と関連する副作用がないようにする必要があるであろうから、改変sema3Aを免疫関連疾患、例えば、ループス腎炎または喘息を含む自己免疫疾患の処置のために使用できると結論付けることができる。
【0174】
実施例6: 活性化されたT細胞の代謝活性に対する改変Sema3Aの効果
【0175】
活性化されたT細胞の細胞性代謝(解糖)に対する改変Sema3Aの効果を決定するために、seahorseテクノロジー(Agilent)を使用して細胞外酸性化速度(ECAR)に対する効果を調べた。この研究の目的は、活性化された免疫細胞において好気的解糖を下方制御するT-Sema3Aの能力を試験することであった。
【0176】
公知のように、静止状態T細胞の生体エネルギー的必要性は、グルコース基質からATPを生成する方法としてミトコンドリアの酸化的リン酸化(OXPHOS)によって主に満たされる。しかし、ひとたび活性化されると、これらの細胞は、迅速に増殖し、サイトカインを産生し、したがって、それらは代謝スイッチを起こし、エネルギー生成の主供給源として好気的解糖を利用する。
【0177】
全般的に、精製されたT細胞を、5μgのT-Sema3Aの存在下または不在下で抗CD3および抗CD28を用いて37℃で24時間活性化した。実験当日に、細胞を回収し、グルコースを含まない培地に2時間移した。ECAR速度(細胞外酸性化速度)を、製造業者のプロトコール(Seahorse XFテクノロジー、Agilent)に従ってseahorseテクノロジーを使用して解糖試験に基づいて測定した。手短には、グルコース飢餓後、培地にグルコースを添加する。その後、オリゴマイシンを添加する。ATPシンターゼ阻害剤であるオリゴマイシンは、ミトコンドリアATP生成を阻害し、エネルギー生成を解糖へ移行し、その後のECARの増大が細胞の最大解糖能を示す。次いで、2-デオキシ-グルコース(2-DG)を添加する。2-DGは、グルコース類似体であり、グルコースヘキソキナーゼへの競合結合によって解糖を阻害する。結果として生じたECARの低下によって、実験において生成されたECARが、解糖によるものであることが確認される。解糖相は、グルコースの添加とオリゴマイシンの添加の間の期間中に測定される。解糖能は、オリゴマイシンの添加と2-DGの添加の間の期間中に決定される。
【0178】
より詳しくは、製造業者の使用説明書(番号130-045-101、Miltenyi Biotec)に従って、健常対照の末梢血からCD4+T細胞を精製し、アクチベーターとして10μg/mlの抗CD3(番号16-0038-85、eBioscience(商標))および1μg/mlの抗CD28(番号16-0289-85、eBioscience(商標))を用いてプレコーティングされたプレートで37℃で4時間培養した。さらに、細胞を5μg/mlのT-Sema3AまたはPBS(対照として)を用いて処置し、37℃で24時間インキュベートした。
【0179】
実験当日に、細胞を回収し、22.4μg/mLのCell-tak(番号FAL354240、Lapidot Pharma)を用いてプレコーティングした96ウェルプレート(番号102416-100、Seahorse XFe96 FluxPak、Agilent)に播種し、2mMのグルタミン(ph=7.4)を補給したグルコース不含DMEM基礎培地中、37℃で2時間インキュベートした。
【0180】
1日前に水和させたセンサーカートリッジ(番号102416-100、Seahorse XFe96FluxPak、Agilent)を実験の1時間前に較正し、A、BおよびCポートをそれぞれ10mMグルコース、2μMオリゴマイシンおよび50mMの2-DGの最終濃度にロードした。インライブ(in live)ECAR(細胞外酸性化速度)測定を、Agilent Seahorse XFアナライザーを使用して実施した。解糖速度を、(オリゴマイシン注射前の最大速度測定値)-(グルコース注射前の最終速度測定値)として算出した。一方で、解糖能は、(オリゴマイシン注射後の最大速度測定値)-(グルコース注射前の最終速度測定値)として算出し、グルコースがピルビン酸に変換される最大速度を反映する。
【0181】
結果は、
図6に提示され、活性化されたT細胞の代謝に対するT-sema3の効果を明確に示す。
図6でわかるように、T-sema3Aは、活性化されたT細胞において解糖および解糖能を有意に低減する。結果は、未処置細胞が最小解糖を実施するが、活性化されたT細胞は好気的解糖へと代謝スイッチを起こすことを実証する。活性化されたT細胞へのT-Sema3Aの添加は、これらの細胞の解糖速度を低下させ、T-Sema3Aの好気的解糖を下方制御する能力をさらに裏付けた。
【0182】
まとめると、結果は、T-sema3Aが活性化されたT細胞の代謝および活性を低減できることを示し、免疫レギュレーターとしての免疫系に対するその効果をさらに裏付ける。
【0183】
実施例7: 喘息の処置における改変Sema3A効果の決定のためのin vivo研究
【0184】
喘息に対する改変セマフォリン3Aの投与の効果を評価するために、オボアルブミン(OVA)誘導性喘息マウスモデルを利用する。このマウスモデルは、気道好酸球増加症、肺の炎症および喘息の際に見られるIgEレベルの上昇を再現するために広く使用されている。Balb/c雌マウスを、200μlの0.9%塩化ナトリウム(生理食塩水;Hospira)中の50μgのオボアルブミン(OVA;等級V;Sigma-Aldrich)および1mgの水酸化ミョウバン(Alum hydroxide)(Sigma-Aldrich)を用いる腹膜内注射によるOVA感作および気道負荷のために、毎週および実験の最後まで誘導する。対照群は、溶液中にOVAが存在しない点を除いて同一に処置する。鼻腔投与または腹膜内投与によるOVAの各投与の12時間前に、エアロゾル化した、50μlの生理食塩水中の50μgの組換え改変Sema3Aを用いて改変Sema3Aをマウスに投与する。24日目にマウスを安楽死させ、感作の効率を、エアロゾル化したメタコリン(Sigma-Aldrich)を用いる負荷後の気道機能の変化として評価する。気道応答性亢進に対する改変Sema3Aの効果を、デキサメタゾン(3mg/kg)、グルココルチコイドの合成メンバーの投与の効果に対して比較する。マウスに麻酔し、気管切開し(tracheostomized)、機械によって換気し、最終OVA負荷の24時間後から開始して肺機能を評価する。flexiVent(商標)(Scireq -Scientific Respiratory Equipment)を使用して漸増用量のエアロゾル化したメタコリンを用いて肺に負荷をかける。肺抵抗を連続的に分析し、異なる処置群間で比較する。さらに、血清総IgEレベルおよび好酸球増加の評価および総炎症細胞数を、血清試料で評価する。16日目にマウスから収集された血清試料において、総IgEおよびOVA特異的IgEレベルを測定し、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)キット(Serotec、イギリス、オックスフォード)を製造業者の使用説明書に従って使用して決定する。吸光度は、マイクロプレートELISAリーダーによって450nmで測定する。
【0185】
気管支肺胞洗浄液(BALF)をマウスから採取し、分析する。BALFを遠心分離し、上清を、トリパンブルー染色によって死細胞を排除した後に、血球算定器を用いて直接顕微鏡計数を使用することによって、好酸球、リンパ球、好中球、マクロファージを含む炎症細胞数および総細胞について分析する。BALFにおいてIL-4およびIL-5を含むTh2サイトカインを、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)キット(BioSource International、カリフォルニア州、カマリロ)を製造業者のプロトコールに従って使用して分析する。
【0186】
実施例8: 全身性エリテマトーデス(SLE)に対する改変Sema3Aの投与の効果の検討
【0187】
NZB/NZW F1マウス(SLEのモデルシステムとして働く)において改変セマフォリン3AがSLE疾患増悪にどのように影響を及ぼすかを評価するために、マウスを4群にわける:
予防群:この群では、5匹のマウスに組換え改変Sema3Aを毎日注射し、対照群として5匹のマウスにPBSを注射する。6週齢から90日間マウスに注射する。この期間中に、両群を、自己抗体(例えば、抗dsDNAおよび抗カルジオリピン)の発生、腎機能検査(クレアチニンおよびBUN)、全血球数について毎週および早期タンパク尿の検出について評価する。さらに、その体重を評価することによってマウスの臨床状態を評価する。この期間後に、マウスを屠殺し、その腎臓の組織学的評価を実施する。
処置群:この群では、5匹のマウスに組換え改変Sema3Aを毎日注射し、対照群として5匹のマウスにPBSを注射する。SLEの臨床的および検査室的兆候の発生(早期タンパク尿を有する4ヶ月齢時)からマウスに注射し、90日間継続する。この期間中に、両群を、自己抗体(例えば、抗dsDNAおよび抗カルジオリピン)の発生、腎機能検査(クレアチニンおよびBUN)、全血球数について毎週および早期タンパク尿の検出について評価する。さらに、その体重を評価することによってマウスの臨床状態を評価する。この期間後に、マウスを屠殺し、その腎臓の組織学的評価を実施する。
【0188】
実施例9: 炎症性腸疾患(IBD)モデルにおける改変Sema3Aの投与の効果の検討
【0189】
以下の研究において、炎症性腸疾患(IBD)のアウトカムを改善するT-sema3Aの有益な効果を調べる。
【0190】
IBDマウスモデルを以下のとおりに作製した:33匹の8週齢(W/O)BALB/c雌マウスに、水中のDSSを8日間与えた。3(3)匹のマウスはDSSで処置せず、未処置群として役割を果たした。9日目から、マウスを3群にわけた:13匹のマウスに50マイクログラムのT-Sema3Aを隔日で10日間腹膜内注射し、13匹のマウスに50マイクログラムの対照溶液を隔日で腹膜内注射し、4匹のマウスは、処置を全く用いない疾患対照として役割を果たした。10日の処置後、マウスを屠殺し、その脾臓および腸を採取した。脾臓から制御性T細胞を精製し、腸をヘマトキシリン-エオシン染色に付した。血清をまた炎症促進性および抗炎症性サイトカインについて評価した。結果として、病理組織学的結果およびサイトカイン状態の変化に加えて制御性T細胞の機能が試験される。
【0191】
特定の実施形態の前記の説明は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにし、その結果、他者は、現在の知識を適用することによって、過度の実験を行うことなく、上位概念から逸脱することなく、種々の用途のために特定の実施形態を容易に改変および/または適応させることができ、したがって、このような適応および改変は、開示される実施形態の均等物の意味および範囲内に包含されるべきであり、包含されるものとする。本明細書において使用される表現または技術用語は、説明目的のものであって、制限目的ではないということは理解されるべきである。種々の開示された機能を実施するための手段、材料およびステップは、本発明から逸脱することなくさまざまな代替形態をとることができる。臨床効果を確立するためにさらなる試験が行われていることは理解されるべきである。
【0192】
本明細書において開示されるような、野生型または改変Sema3A形態のアミノ酸配列および核酸配列が以下に列挙される。
【0193】
野生型Sema3Aポリペプチド(アミノ酸) - 配列番号1
MGWLTRIVCLFWGVLLTARANYQNGKNNVPRLKLSYKEMLESNNVITFNGLANSSSYHTFLLDEERSRLYVGAKDHIFSFDLVNIKDFQKIVWPVSYTRRDECKWAGKDILKECANFIKVLKAYNQTHLYACGTGAFHPICTYIEIGHHPEDNIFKLENSHFENGRGKSPYDPKLLTASLLIDGELYSGTAADFMGRDFAIFRTLGHHHPIRTEQHDSRWLNDPKFISAHLISESDNPEDDKVYFFFRENAIDGEHSGKATHARIGQICKNDFGGHRSLVNKWTTFLKARLICSVPGPNGIDTHFDELQDVFLMNFKDPKNPVVYGVFTTSSNIFKGSAVCMYSMSDVRRVFLGPYAHRDGPNYQWVPYQGRVPYPRPGTCPSKTFGGFDSTKDLPDDVITFARSHPAMYNPVFPMNNRPIVIKTDVNYQFTQIVVDRVDAEDGQYDVMFIGTDVGTVLKVVSIPKETWYDLEEVLLEEMTVFREPTAISAMELSTKQQQLYIGSTAGVAQLPLHRCDIYGKACAECCLARDPYCAWDGSACSRYFPTAKRRTRRQDIRNGDPLTHCSDLHHDNHHGHSPEERIIYGVENSSTFLECSPKSQRALVYWQFQRRNEERKEEIRVDDHIIRTDQGLLLRSLQQKDSGNYLCHAVEHGFIQTLLKVTLEVIDTEHLEELLHKDDDGDGSKTKEMSNSMTPSQKVWYRDFMQLINHPNLNTMDEFCEQVWKRDRKQRRQRPGHTPGNSNKWKHLQENKKGRNRRTHEFERAPRSV
【0194】
野生型Sema3Aヌクレオチド配列(コード配列の核酸) - 配列番号2
atgggctggt taactaggat tgtctgtctt ttctggggag tattacttac agcaagagca aactatcaga atgggaagaa caatgtgcca aggctgaaat tatcctacaa agaaatgttg gaatccaaca atgtgatcac tttcaatggc ttggccaaca gctccagtta tcataccttc cttttggatg aggaacggag taggctgtat gttggagcaa aggatcacat attttcattc gacctggtta atatcaagga ttttcaaaag attgtgtggc cagtatctta caccagaaga gatgaatgca agtgggctgg aaaagacatc ctgaaagaat gtgctaattt catcaaggta cttaaggcat ataatcagac tcacttgtac gcctgtggaa cgggggcttt tcatccaatt tgcacctaca ttgaaattgg acatcatcct gaggacaata tttttaagct ggagaactca cattttgaaa acggccgtgg gaagagtcca tatgacccta agctgctgac agcatccctt ttaatagatg gagaattata ctctggaact gcagctgatt ttatggggcg agactttgct atcttccgaa ctcttgggca ccaccaccca atcaggacag agcagcatga ttccaggtgg ctcaatgatc caaagttcat tagtgcccac ctcatctcag agagtgacaa tcctgaagat gacaaagtat actttttctt ccgtgaaaat gcaatagatg gagaacactc tggaaaagct actcacgcta gaataggtca gatatgcaag aatgactttg gagggcacag aagtctggtg aataaatgga caacattcct caaagctcgt ctgatttgct cagtgccagg tccaaatggc attgacactc attttgatga actgcaggat gtattcctaa tgaactttaa agatcctaaa aatccagttg tatatggagt gtttacgact tccagtaaca ttttcaaggg atcagccgtg tgtatgtata gcatgagtga tgtgagaagg gtgttccttg gtccatatgc ccacagggat ggacccaact atcaatgggt gccttatcaa ggaagagtcc cctatccacg gccaggaact tgtcccagca aaacatttgg tggttttgac tctacaaagg accttcctga tgatgttata acctttgcaa gaagtcatcc agccatgtac aatccagtgt ttcctatgaa caatcgccca atagtgatca aaacggatgt aaattatcaa tttacacaaa ttgtcgtaga ccgagtggat gcagaagatg gacagtatga tgttatgttt atcggaacag atgttgggac cgttcttaaa gtagtttcaa ttcctaagga gacttggtat gatttagaag aggttctgct ggaagaaatg acagtttttc gggaaccgac tgctatttca gcaatggagc tttccactaa gcagcaacaa ctatatattg gttcaacggc tggggttgcc cagctccctt tacaccggtg tgatatttac gggaaagcgt gtgctgagtg ttgcctcgcc cgagaccctt actgtgcttg ggatggttct gcatgttctc gctattttcc cactgcaaag agacgcacaa gacgacaaga tataagaaat ggagacccac tgactcactg ttcagactta caccatgata atcaccatgg ccacagccct gaagagagaa tcatctatgg tgtagagaat agtagcacat ttttggaatg cagtccgaag tcgcagagag cgctggtcta ttggcaattc cagaggcgaa atgaagagcg aaaagaagag atcagagtgg atgatcatat catcaggaca gatcaaggcc ttctgctacg tagtctacaa cagaaggatt caggcaatta cctctgccat gcggtggaac atgggttcat acaaactctt cttaaggtaa ccctggaagt cattgacaca gagcatttgg aagaacttct tcataaagat gatgatggag atggctctaa gaccaaagaa atgtccaata gcatgacacc tagccagaag gtctggtaca gagacttcat gcagctcatc aaccacccca atctcaacac aatggatgag ttctgtgaac aagtttggaa aagggaccga aaacaacgtc ggcaaaggcc aggacatacc ccagggaaca gtaacaaatg gaagcactta caagaaaata agaaaggtag aaacaggagg acccacgaat ttgagagggc acccaggagt gtctga
【0195】
改変Sema 3Aポリペプチド(アミノ酸) - 配列番号3
【化1】
【0196】
Sema3Aヌクレオチド配列 - 配列番号4
atgggctggttaactaggattgtctgtcttttctggggagtattacttacagcaagagcaaactatcagaatgggaagaacaatgtgccaaggctgaaattatcctacaaagaaatgttggaatccaacaatgtgatcactttcaatggcttggccaacagctccagttatcataccttccttttggatgaggaacggagtaggctgtatgttggagcaaaggatcacatattttcattcgacctggttaatatcaaggattttcaaaagattgtgtggccagtatcttacaccagaagagatgaatgcaagtgggctggaaaagacatcctgaaagaatgtgctaatttcatcaaggtacttaaggcatataatcagactcacttgtacgcctgtggaacgggggcttttcatccaatttgcacctacattgaaattggacatcatcctgaggacaatatttttaagctggagaactcacattttgaaaacggccgtgggaagagtccatatgaccctaagctgctgacagcatcccttttaatagatggagaattatactctggaactgcagctgattttatggggcgagactttgctatcttccgaactcttgggcaccaccacccaatcaggacagagcagcatgattccaggtggctcaatgatccaaagttcattagtgcccacctcatctcagagagtgacaatcctgaagatgacaaagtatactttttcttccgtgaaaatgcaatagatggagaacactGtggaaaagctactcacgctagaataggtcagatatgcaagaatgactttggagggcacagaagtctggtgaataaatggacaacattcctcaaagctcgtctgatttgctcagtgccaggtccaaatggcattgacactcattttgatgaactgcaggatgtattcctaatgaactttaaagatcctaaaaatccagttgtatatggagtgtttacgacttccagtaacattttcaagggatcagccgtgtgtatgtatagcatgagtgatgtgagaagggtgttccttggtccatatgcccacagggatggacccaactatcaatgggtgccttatcaaggaagagtcccctatccacggccaggaacttgtcccagcaaaacatttggtggttttgactctacaaaggaccttcctgatgatgttataacctttgcaagaagtcatccagccatgtacaatccagtgtttcctatgaacaatcgcccaatagtgatcaaaacggatgtaaattatcaatttacacaaattgtcgtagaccgagtggatgcagaagatggacagtatgatgttatgtttatcggaacagatgttgggaccgttcttaaagtagtttcaattcctaaggagacttggtatgatttagaagaggttctgctggaagaaatgacagtttttcgggaaccgactgctatttcagcaatggagctttccactaagcagcaacaactatatattggttcaacggctggggttgcccagctccctttacaccggTGA
【0197】
C末端His-タグを有する改変Sema3Aポリペプチド(アミノ酸) - 配列番号5
【化2】
【0198】
C末端His-タグを有する改変Sema3Aヌクレオチド配列 - 配列番号6
【化3】
【符号の説明】
【0199】
[
図2]
AmpR promoter: AmpRプロモーター
lac promoter: lacプロモーター
CMV promoter: CMVプロモーター
SV40 promoter: SV40プロモーター
T3 promoter: T3プロモーター
T7 promoter: T7プロモーター
CMV enhancer: CMVエンハンサー
5' LTR (truncated): 5'LTR(末端切断型)
Factor Xa site: 第Xa因子部位
SV40 poly(A) signal: SV40ポリ(A)シグナル
[
図3C、3D]
Mean color intensity per field: 視野あたりの平均色強度
[
図3D]
Sema4D concentration: Sema4D濃度
[
図4B、4C]
Ratio p/t: 比率p/t
[
図5A]
対照
[
図5B]
IL-10 in CD4+ T cells: CD4+T細胞中のIL-10
Control: 対照
[
図6]
ECAR (mph/min): ECAR(mph/分)
Glucose: グルコース
Oligomycin: オリゴマイシン
Time (minutes): 時間(分)
Non-Activated: 非活性化
Activated: 活性化
【配列表】
【国際調査報告】