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特表2023-532417力感知装置、このような力感知装置を組み込む車両ブレーキ装置、およびそれらの製造方法
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  • 特表-力感知装置、このような力感知装置を組み込む車両ブレーキ装置、およびそれらの製造方法 図1
  • 特表-力感知装置、このような力感知装置を組み込む車両ブレーキ装置、およびそれらの製造方法 図2
  • 特表-力感知装置、このような力感知装置を組み込む車両ブレーキ装置、およびそれらの製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】力感知装置、このような力感知装置を組み込む車両ブレーキ装置、およびそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/30 20230101AFI20230721BHJP
   H10N 30/053 20230101ALI20230721BHJP
   H10N 30/084 20230101ALI20230721BHJP
   H10N 30/088 20230101ALI20230721BHJP
   H10N 30/093 20230101ALI20230721BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20230721BHJP
   H10N 30/87 20230101ALI20230721BHJP
   F16D 65/092 20060101ALI20230721BHJP
   F16D 66/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H10N30/30
H10N30/053
H10N30/084
H10N30/088
H10N30/093
H10N30/853
H10N30/87
F16D65/092 B
F16D66/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574562
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2021063634
(87)【国際公開番号】W WO2021244877
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】102020000013423
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514060514
【氏名又は名称】アイティーティー・イタリア・エス.アール.エル
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】セッラ、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ビグノロ、ウンベルト
(72)【発明者】
【氏名】テッラノーバ、マルコ
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA41
3J058BA61
3J058CA42
3J058CD20
3J058DB27
3J058GA61
(57)【要約】
力感知装置(1)は、圧電体のシート(2)と、第一の主要面(3)上に位置する少なくとも第一および第二の相互嵌合電極(5、50)およびシート(2)の第二の主要面(4)上に位置する少なくとも第三および第四の相互嵌合電極(6、60)と、を備えて、第一および第三の電極(5、6)は、法線応力方向(N)に沿って互いに整列され、第二および第四の電極(50、60)は、法線応力方向(N)に沿って互いに整列され、圧電材料は、第二および第四の電極(50、60)に面する第二の部分(101)と介在する第一および第三の電極(5、6)に面する第一の部分(100)を含み、第一の部分(100)は、法線応力方向(N)にほぼ整列して配向されたベクトル場(E)を持つバルク電気分極を有し、第二の部分(101)は、法線応力方向(N)にほぼ横向きに配向されたベクトル場(E)を持つバルク電気分極を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力感知装置(1)であって、
第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、圧電材料(2)と、
前記第一の面(3)上に位置する第一の相互嵌合電極(5)および前記第一の面(3)上に位置する第二の相互嵌合電極(50)と、
前記第二の面(4)上に位置する第三の相互嵌合電極(6)および前記第二の面(4)上に位置する第四の相互嵌合電極(60)と、を備え、
前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)は、法線応力読み取り電極であり、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、せん断応力読み取り電極であり、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記圧電材料は、一つ以上の第一の部分(100)および前記せん断応力方向に沿って前記一つ以上の第一の部分(100)と介在する一つ以上の第二の部分(101)を含み、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向(N)により密接に整列したバルク電気分極ベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列したバルク電気分極ベクトル場を有する、力感知装置(1)。
【請求項2】
前記圧電材料は、スクリーン印刷層を含む、請求項1に記載の力感知装置。
【請求項3】
前記第一、第二、第三、および第四の相互嵌合電極は、各々スクリーン印刷層を含む、請求項1に記載の力感知装置。
【請求項4】
前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記法線応力方向に略整列し、
前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列される、請求項1に記載の力感知装置。
【請求項5】
車両ブレーキパッド(1000)であって、
支持プレート(21)と、
摩擦パッド(20)と、
少なくとも一つの力感知装置と、
信号を前記少なくとも一つの力感知装置から回収するように構成された電気回路(22)と、を備え、
前記少なくとも一つの力感知装置は、
第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、圧電材料と、
前記第一の面(3)上に位置する第一の相互嵌合電極(5)および前記第一の面(3)上に位置する第二の相互嵌合電極(50)と、
前記第二の面(4)上に位置する第三の相互嵌合電極(6)および前記第二の面(4)上に位置する第四の相互嵌合電極(60)と、を備え、
前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)は、法線応力読み取り電極であり、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、せん断応力読み取り電極であり、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記せん断応力方向に沿って、前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)との間に位置決めされる、車両ブレーキパッド(1000)。
【請求項6】
前記圧電材料は、一つ以上の第一の部分(100)および一つ以上の第二の部分(101)を含み、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記法線応力方向に力検出を可能にするように配向されたバルク電気分極ベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記せん断応力方向に力検出を可能にするように配向されたバルク電気分極ベクトル場を有する、請求項5に記載の車両ブレーキパッド。
【請求項7】
前記第一の部分(100)は、前記法線応力の力方向に略整列したバルク電気分極のベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記せん断応力の力方向に斜めに整列したバルク電気分極のベクトル場を有する、請求項6に記載の車両ブレーキパッド。
【請求項8】
車両ブレーキパッドの製造方法であって、
電気回路(22)を支持プレート(21)に接続すること、
圧電組立体を形成すること、および
前記圧電組立体を前記電気回路(22)に接続すること、を含み、
前記圧電組立体を前記形成することは、
第一の相互嵌合電極(5)を圧電材料の第一の面(3)に接続することであって、前記圧電材料は、前記第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、接続すること、
第二の相互嵌合電極(50)を前記第一の面(3)に接続すること、
第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、
第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、および
前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第一の部分(100)に第一のベクトル場の配向を生成し、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第二の部分(101)に第二のベクトル場の配向を生成することによって、前記圧電組立体を分極するために、電力を前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)に供給すること、を含み、
前記第一のベクトル場の配向により、前記法線応力方向の力検出が可能であり、前記第二のベクトル場の配向により、前記せん断応力方向の力検出が可能である、方法。
【請求項9】
前記第一のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向により密接に整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一のベクトル場の配向は、前記法線応力方向に略整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続し、第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続するステップは、前記第三および第四の相互嵌合電極(6、60)を前記圧電材料の前記第二の面(4)上にスクリーン印刷することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
力感知装置の製造方法であって、
圧電組立体を形成すること、および
前記圧電組立体を電気回路に接続すること、を含み、
前記圧電組立体を前記形成することは、
第一の相互嵌合電極(5)を圧電材料の第一の面(3)に接続することであって、前記圧電材料は、前記第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、接続すること、
第二の相互嵌合電極(50)を前記第一の面(3)に接続すること、
第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、
第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、および
前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第一の部分(100)に第一のベクトル場の配向を生成し、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第二の部分(101)に第二のベクトル場の配向を生成することによって、前記圧電組立体を分極するために、電力を前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)に供給すること、を含み、
前記第一のベクトル場の配向により、前記法線応力方向の力検出が可能であり、前記第二のベクトル場の配向により、前記せん断応力方向の力検出が可能である、方法。
【請求項13】
前記第一のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向により密接に整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一のベクトル場の配向は、前記法線応力方向に略整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、力感知装置、力感知装置を含む車両スマートブレーキパッド、およびそれらの製造工程に関する。
【発明の概要】
【0002】
圧電とは、外部から作用する機械的応力に応答して、特定の種類の固体材料の内部に蓄積する電荷である。
【0003】
圧電材料は、石英、トルマリン、およびロッシェル塩のナノ結晶を含むが、外部要請に対し比較的小さい圧電応答を示す。
【0004】
この問題を克服するために、チタン酸バリウム(BaTiO3)およびチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などのいくつかの多結晶性強誘電体セラミックを合成して、その結果、合成されたセラミックは、機械的応力の印加後に、より大きな変位を示す、またはより大きな電圧を誘導する。
【0005】
これらの合成された圧電材料を適切に使用するために、分極手順を実施する。この目的のために、数kV/mmの強い電界が印加されて、以前に未組織化のセラミック化合物に非対称を生じる。電界により、自発分極に再配向が生じるのと同時に、極性電界方向に対して好ましい配向を有するドメインが成長する一方、好ましくない配向を有するドメインは抑制される。ほとんどの再配向は、分極後に電界を印加しなくても、維持される。
【0006】
圧電セラミック化合物は、いくつかの異なる方法で生成される。製造技術は、スプレー乾燥顆粒材料の機械的油圧押圧を基にし得る。化合物は、製造後、最大約1300℃の温度で焼結される。その結果、高密度を有する固体セラミック材料が得られる。その後、圧電材料は、上述のように分極され、次いで、非常に硬い焼結セラミックを、必要に応じて、のこぎり切断・機械加工が可能になる。コンパクトは、ディスク、プレート、ロッド、およびシリンダなどとして、異なる形状で提供される。製造工程の最終段階は、電極の蒸着を含む。電極を、スクリーン印刷技術またはPVD(スパッタリング)によって圧電セラミック材料に当てて、その後、800℃を超える温度で焼成する。
【0007】
圧電材料に基づく力感知装置を製造するための現在の製造技術は、異なる機械的ステップを伴い、圧電材料を製造し、その後、圧電材料の形状および大きさを機械加工し、圧電材料を電極と最終結合する。
【0008】
したがって、既存の製造技術による圧電材料から作製された力感知装置は、高価であり、長期間の製造工程を必要とする。
【0009】
さらに、既存の力感知装置は、せん断応力または法線応力のいずれかを正確に読み取ることができるが、両方を同じ精度で読み取ることはできない。
【0010】
このため、既存の解決策には、典型的に、専用のせん断力検出装置および専用の法線力検出装置が含まれる。
【0011】
WO2019/171289は、せん断力を読み取るための相互嵌合電極を開示する。
【0012】
本開示の様々な実施形態は、前述の懸念のうちの一つ以上、または他の懸念に対処できる。
【0013】
例えば、本開示によれば、単一の力感知装置は、せん断応力および法線応力の両方を正確に読み取ることができる。
【0014】
本開示の製造方法および対応する装置の実施形態によれば、せん断応力および法線応力の両方を測定可能な圧電感知装置は、具備する構成要素の数を少なくでき、簡略化された組立工程に従って、さらに最重要ポイントとしてコスト全体を削減して、構築可能である。
【0015】
スクリーン印刷技術は、一般的に、高速かつ低コストの工程である。圧電素子のスクリーン印刷により、例えば、車両用のスマートブレーキパッドなどの、センサ化された物体を作製するための産業工程において、堅牢な設計およびコスト削減が可能である。
【0016】
スクリーン印刷は、現在市販されている圧電センサの技術と比較して、センサ自体をセンサ化される物体上で直接製造可能で、「現場で」分極することも可能なため、製造ステップが削減される。すなわち、本開示の圧電材料は、センサの製造工程中または直後に圧電材料が分極される製造方法とは異なり、本開示の圧電材料を分極するために必要な比較的低い電圧により、センサを製造し、アプリケーション内に設置した後に、分極され得る。したがって、センサを製造し、分極して、その後、物体内に設置する必要はないものの、直接、物体内に組み込まれるであろう。あるいは、本開示の圧電材料は、センサ自体の製造工程中に分極され得る。スクリーン印刷技術は、プリンテッドエレクトロニクスにおいて広く使用され、広範囲の電子機器を製造する上で最も有望な技術の一つである。スクリーン印刷されたセンサの利点には、感度、選択性、大量生産および小型化の可能性が含まれる。
【0017】
スクリーン印刷技術は、絶縁基板上に特殊インクまたはペーストの連続層を蒸着させることからなる。ペーストは通常、金属分散体またはグラファイトとのポリマー結合剤に基づいており、補因子、安定剤、およびメディエーターなどの機能性材料も含有することができる。
【0018】
スクリーン印刷技術の利点は、デバイス製造のすべての相を、単一ステップ、すなわち、電極から材料の蒸着までの製造可能性に見い出される。さらに、作製されたデバイスの現場での分極の手順は、非常に単純でありうる。
【0019】
この種類の技術を使用して作製されるデバイスは、典型的に、非常に薄く(h = 10÷100μm)、形状または平面延伸に特定の制限はない。これらの幾何学的特性を利用することは、いくつかの電極構成を画定するために可能であって、分極方向を優先的に得る目的で、電界方向を制御する。
【0020】
スマートブレーキパッドは、ブレーキパッド温度および/またはブレーキ中に作用する法線力およびせん断力を含む静的量および動的量などの一つ以上のパラメータを測定するために(例えば、適切なソフトウェアおよびハードウェアシステムアーキテクチャーおよびいくつかのアルゴリズムを用いて)構成された、センサ化されたブレーキパッドである。
【0021】
本開示の様々な実施形態は、前述の懸念のうちの一つ以上、または現在の製造技術に関連する他の懸念に対処できる。
【0022】
例えば、いくつかの実施形態は、
-せん断応力方向および前述のせん断応力方向に直交する法線応力方向を識別する、互いに平行な第一および第二の主要面を有する圧電材料のシートと、
-前述の第一の主要面上に位置する、少なくとも第一および第二の相互嵌合電極と、
-前述の第二の主要面上に位置する、少なくとも第三および第四の相互嵌合電極と、を備える、力感知装置を提供することを含み、
前述の第一および第三の電極は、前述の法線応力方向に沿って整列した指部を有する法線応力読み取り電極であり、
前述の第二および第四の電極は、前述の法線方向に沿って整列した指部を有するせん断応力読み取り電極であり、
前述の圧電材料は、前述のせん断応力方向に沿って、前述の第二および第四の電極の前述の指部に面する第二の部分と介在する前述の第一および第三の電極の前述の指部に面する第一の部分を含み、前述の第一の部分は、前述の法線応力方向にほぼ整列して配向されたベクトル場を持つバルク電気分極を有し、前述の第二の部分は、前述の法線応力方向に対してほぼ横方向に配向されたベクトル場を持つバルク電気分極を有する。
【0023】
ある実施形態では、圧電材料のシートは、スクリーン印刷層から作製される。
【0024】
ある実施形態では、第一、第二、第三および第四の電極はそれぞれ、スクリーン印刷層から作製される。
【0025】
本開示はまた、
-支持プレートと、
-摩擦パッドと、
-少なくとも力感知装置と、
-信号を前述の少なくとも力感知装置から回収するように構成された電気回路と、を備える、車両ブレーキパッドを提供し、
前述のせん断力感知装置は、
-せん断応力方向および前述のせん断応力方向に直交する法線応力方向を識別する、互いに平行な第一および第二の主要面を有する圧電材料のシートと、
-前述の第一の主要面上に位置する、少なくとも第一および第二の相互嵌合電極と、
-前述の第二の主要面上に位置する、少なくとも第三および第四の相互嵌合電極と、を備えて、
前述の第一および第三の電極は、前述の法線応力方向に沿って整列した指部を有する法線応力読み取り電極であり、
前述の第二および第四の電極は、前述の法線応力方向に沿って整列した指部を有するせん断応力読み取り電極であり、
前述の圧電材料は、前述のせん断応力方向に沿って、前述の第二および第四の電極の前述の指部に面する第二の部分と介在する前述の第一および第三の電極の前述の指部に面する第一の部分を含み、前述の第一の部分は、前述の法線応力方向にほぼ整列して配向されたベクトル場を持つバルク電気分極を有し、前述の第二の部分は、前述の法線応力方向に対してほぼ横方向に配向されたベクトル場を持つバルク電気分極を有する。
【0026】
本開示は、以下のステップである、
-少なくとも第一および第二の相互嵌合電極をスクリーン印刷すること、
-前述の第一および第二の相互嵌合電極上で、せん断応力方向および前述のせん断応力方向に直交する法線応力方向を識別する、互いに平行な第一および第二の主要面を有する圧電材料のシートをスクリーン印刷することであって、前述の第一の主要面が、前述の第一および第二の読み取り電極に当てられる、スクリーン印刷すること、
-前述のシートの前述の第二の主要面上で、少なくとも第三および第四の相互嵌合電極をスクリーン印刷することであって、第三の電極は、前述の法線応力方向に沿って整列した指部を有し、前述の第二および第四の電極は、前述の法線方向に沿って整列した指部を有する、スクリーン印刷すること、
- 前述の第一および第三の電極、またはそれぞれ前述の第二および第四の電極に対して選択的に分極電力を供給することによって、圧電材料の前述のシートをバルク分極すること、のうちの一つ以上(例えば、時系列で)を含む、力感知装置の製造工程をさらに提供する。
【0027】
前述の圧電材料のバルク分極の間のある実施形態では、前述の第二および第四の電極、またはそれぞれ前述の第一および第三の電極は、浮遊電位に保たれる。
【0028】
前述の圧電材料のバルク分極の間のある実施形態では、前述の第二および第四の電極、またはそれぞれ前述の第一および第三の電極は、固定された等電位に保たれる。
【0029】
本開示の実施形態は、以下のステップである、
-電気回路を支持プレートに当てること、
-前述の電気回路上で、少なくとも第一および第二の相互嵌合電極をスクリーン印刷すること、
-前述の第一および第二の相互嵌合電極上で、せん断応力方向および前述のせん断応力方向に直交する法線応力方向を識別する、互いに平行な第一および第二の主要面を有する圧電材料のシートをスクリーン印刷することであって、前述の第一の主要面が、前述の第一および第二の読み取り電極に当てられる、スクリーン印刷すること、
-前述のシートの前述の第二の主要面上で、少なくとも第三および第四の相互嵌合電極をスクリーン印刷することであって、前述の第一および第三の電極は、前述の法線応力方向に沿って整列した指部を有し、前述の第二および第四の電極は、前述の法線方向に沿って整列した指部を有する、スクリーン印刷すること、
- 摩擦パッドを前述の支持プレートに当てること、
- 前述の第一および第三の電極、またはそれぞれ前述の第二および第四の電極に対して選択的に分極電力を供給することによって、圧電材料の前述のシートをバルク分極すること、のうちの一つ以上(例えば、時系列で)を含む、車両ブレーキパッドの製造工程を追加的に提供する。
【0030】
このようにして、圧電材料は、現場で、すなわち、監視対象の機器に既に組み込まれた、スクリーン印刷された感知装置において、バルク分極が可能である。
【0031】
さまざまな実施形態が可能で、添付図面は、例示目的のためであり、本開示の範囲を限定するものとは決して解釈されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、車両ブレーキパッドのある実施形態の部分の垂直断面を概略的に示す。
図2図2は、図1の車両ブレーキパッドの力センサの相互嵌合電極を概略的に示す。
図3図3は、力感知装置の垂直断面を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の詳細な説明において、その一部を形成する、添付図面を参照する。
【0034】
詳細な説明および図面に記載された例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。
【0035】
他の実施形態も利用され得、また他の変更は、本明細書に提示される主題の意図または範囲から逸脱することなく行われてもよい。
【0036】
本開示の態様は、本明細書に一般的に記載され、図示されるように、多種多様な異なる構成で配列、置換、組み合わせ、および設計することができ、その全ては、明示的に想定され、本開示の一部とすることができる。
【0037】
ここで、図1~3を参照する。
【0038】
力感知装置1は、第一の主要面3と第二の主要面4とを互いに平行に有する圧電材料のシート2を備えて、それらに平行にせん断応力方向Sを識別し、それらに直交する法線応力方向Nを識別する。
【0039】
圧電材料のシート2の第一の主要面3上に、第一および第二の相互嵌合電極5、50は、指部5a、50aを有するように位置決めされる。
【0040】
圧電材料のシート2の第一の主要面3は、平坦であり、その結果、第一および第二の電極5、50は、同一平面上にある。
【0041】
圧電材料のシート2の第二の主要面4上に、第三のおよび第四の相互嵌合電極6、60は、指部6a、60aを有する位置するように位置決めされる。
【0042】
圧電材料のシート2の第二の主要面4は、平坦であり、その結果、第三および第四の電極6、60は、同一平面上にある。
【0043】
第一および第三の電極5、6は、法線応力方向Nに沿って互いに整列した指部5aおよび6aを有する。
【0044】
第二および第四の電極50、60は、次に、法線応力方向Nに沿って互いに整列した指部50aおよび60aを有する。
【0045】
第一および第三の電極5、6の指部は、それらの相当物の長手方向縁部5a’、6a’、および5a”、6a”が、法線応力方向Nに沿って互いに正確に整列するように、同一幅wを有することが好ましい。
【0046】
第二および第四の電極50、60の指部は、それらの相当物の長手方向エッジ50a’、60a’、および50a”、60a”が、法線応力方向Nに沿って互いに正確に整列するように、同一幅を有することが好ましい。
【0047】
図示のように、第一、第二、第三および第四の電極5、6、50、60の指部は、同一幅wを有することが好ましい。
【0048】
第一および第三の電極5、6の指部は、同一長さlを有することが好ましい。
【0049】
第二および第四の電極50、60の指部は、同一長さを有することが好ましい。
【0050】
図示のように、第一、第二、第三および第四の電極5、6、50、60の指部は、同一長さlを有することが好ましい。
【0051】
特定の実施形態によれば、電極5、6、50、60の特定の指部は、同一幅、長さ、またはその両方を有し得るが、本開示により、電極のレイアウトおよび電極の電位が異なり得る、圧電材料で異なる電極の形状および位置が可能である。
【0052】
圧電シート2は、せん断応力方向Sに沿って、第二および第四の電極50、60の指部50aと60aに面する第二の部分101と介在する第一および第三の電極5、6の指部5a、6aに面する第一の部分100を含む。
【0053】
第一の部分100は、法線応力方向Nにほぼ整列して配向されたベクトル場Eを持つバルク電気分極を有する一方、第二の部分101は、法線応力方向Nに対してほぼ横方向に配向されたベクトル場Eを持つバルク電気分極を有する。
【0054】
第一および第三の電極5、6は、使用される場合、法線応力読み取り電極である一方、第二および第四の電極50、60は、せん断応力読み取り電極である。
【0055】
圧電材料のシート2は、スクリーン印刷層から作製することができる。圧電材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)およびチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの合成多結晶性強誘電性セラミック材料を含み得る。本開示の圧電材料は、合成セラミックに限定されないが、他の種類の強誘電性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、圧電セラミック材料のスクリーン印刷層は、約200~300μm、100~200μmまたは10~100μmの範囲内の厚さを有しうる。いくつかの実施形態では、圧電セラミック材料のスクリーン印刷層は、約300μm超または約10μm未満の厚さを有し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、電極5、6、50、60は、銀、金、銅、ニッケル、パラジウムなどの金属材料のスクリーン印刷層から形成されてもよい。特定の実施形態では、電極5、6、50、60は、銀インクまたはペーストから形成され得る。いくつかの実施形態では、電極5、6、50、60のうちの一つ以上は、電極を電気的および熱的に絶縁し、酸化を防止するために、絶縁層またはセラミックガラス層などの保護材料によって部分的または完全に覆われ得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、電極5、6、50、60は、絶縁基板などの基板上に直接スクリーン印刷されてもよい。該基板は、保護材料を含み得る。
【0058】
各電極5、50、6、60は、スクリーン印刷層からも作製することができ、これは、圧電材料2のシートに当てられ得る。
【0059】
図3に示すように、第一の電極5の各指部5aは、せん断応力方向Sに平行な方向に、第一の電極5の次の指部5aから距離d離れて、例えば、各指部5aの中心から次の指部5aの中心まで測定されるように、位置決め可能である。同様に、第三の電極6の各指部6aは、せん断応力方向Sに平行な方向に、せん断応力方向Sに沿って、第三の電極6の次の指部6aから距離d離れて、例えば、各指部6aの中心から次の指部6aの中心まで測定されるように、位置決め可能である。このように、第一の電極5の指部5aおよび第三の電極6の指部6aが法線応力方向Nに整列している場合、第一の部分100の各々は、各第一の部分100の中心から次の第一の部分100まで測定される距離dだけ互いに間隔を置いてもよい。いくつかの実施形態では、距離dは、圧電材料2の厚さtの少なくとも約3~約5倍の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、距離dは、圧電材料2の厚さtのおよそ3倍以下であってもよい。いくつかの実施形態では、距離dは、圧電材料2の厚さtのおよそ5倍以上であってもよい。
【0060】
図示した実施形態などのいくつかの実装において、第二の電極50の各指部50aは、せん断応力方向Sに平行な方向の第一の電極5の指部5aの間で一般的に中心となる位置にある。すなわち、第二の電極50の各指部50aの中心は、距離d1、d2が等しいように、せん断応力方向Sに平行な方向に、第一の電極5の指部5aの間の略中点または中点に位置決めされ得る。同様に、第四の電極60の各指部60aは、せん断応力方向Sに平行な方向に第三の電極6の指部6aの間で一般的に中心となる位置にある。すなわち、第四の電極60の各指部60aの中心は、距離d1、d2が等しいように、せん断応力方向Sに平行な方向に、第三の電極6の指部6aの間の略中点または中点に位置決めされ得る。このように、第二の電極50の指部50aおよび第四の電極60の指部60aが、法線応力方向Nに整列する場合、第二の部分101の各々は、第一の部分100の間で同様に中心となり得る。すなわち、各第二の部分の中心は、距離d1、d2が等しくなるように、第一の部分100の間の略中点または中点に位置決めされ得る。
【0061】
他のいくつかの実施形態では、第二および第四の電極50、60の指部50aおよび60aは、距離d1、d2が異なるように、せん断応力方向Sに平行な方向に、第一および第三の電極5、6の指部5a、6aの間で偏心する位置に、互いに対向して位置決めされ得る。このような実施形態では、第二の部分101は、距離d1、d2が異なるように、せん断応力方向Sに平行な方向に、第一の部分100の間に偏心する位置に位置決めされ得る。
【0062】
図示されるように、第二の電極の指部50aは、第一の電極5の指部5aから距離d1、d2離れて位置決めされる。同様に、第四の電極60の指部60aは、第三の電極6の指部6aから距離d1、d2離れて位置決めされ得る。第一の電極5の指部5aが、第三の電極6の指部6aと法線応力方向Nに整列し、第二の電極50の指部50aが、第四の電極60の指部60aと法線応力方向Nに整列する場合、第二の部分101は、第一の部分100から距離d1、d2離れて同様に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、距離d1、d2の各々は、圧電材料の厚さtの少なくとも2倍以上に少なくとも等しい。
【0063】
図1を参照すると、力感知装置1は、車両ブレーキパッド1000に組み込まれ得る。
【0064】
力感知装置1は、車両ブレーキパッド1000に組み込まれた後、「現場で」分極され得る。
【0065】
ブレーキパッド1000は、支持プレート21、摩擦パッド20、および電気回路22を具備し、これらには、力センサ1が備わり、また、せん断力および法線力に関連する信号、ならびに場合によっては温度に関連する信号のリアルタイム検出用に表示されない温度センサ等の他のセンサが好ましく備わるが、必ずしもその必要はない。
【0066】
ブレーキパッド1000は、一つ以上の力センサ1および一つ以上の温度センサを含み得る。
【0067】
温度センサは、PT1000、PT200、またはPT100などのサーミスタであり得る。
【0068】
電気回路22は、前述のブレーキパッド1000からの信号を回収するためのゾーンに配列された電気端子を有する。
【0069】
支持プレート21は、好ましくは、金属で作製されるが、必ずしもそうである必要がなく、電気回路22を直接支持する。
【0070】
摩擦パッド20は、電気回路22が存在する支持プレート21の側面に当てられ、電気回路22は、このため、支持プレート21と摩擦パッド20との間に組み込まれる。
【0071】
電気回路22を被覆し、摩擦パッド20と支持プレート21との間に介在するダンピング層を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ブレーキパッドは、センサ(圧電セラミック、圧電、容量式、圧電抵抗、ひずみゲージ、またはその他の力または変形センサ)を備えて、それは、主に四つの異なる部分である、バックプレート(金属サポート)、バックプレート上のセンシング層(電子回路、相互接続メディア、統合力および温度センサ)、制振層(またはオプション層としての下層UL)、および摩擦材料層(摩擦材料FM)で構成される。
【0073】
ブレーキパッドは、搭載アプリケーション用の無線システムに好適な、電子機器の作動数および電力予算を制限するために、限定数のセンサを含み得る。
【0074】
ブレーキパッドは、使用中に、制動される要素、構成が容易で、かつ容易に使用できるブレーキ要素に接触した結果として、前述のブレーキ要素に作用するブレーキ力に比例する電気信号を送信可能である。
【0075】
力センサ1は、好ましくは、少なくとも0.2mmの厚さを有し、作動温度が200℃を超える圧電セラミック材料で作製されてもよい。
【0076】
力センサ1により、車両システムがブレーキパッドに作用する実際の力を測定可能である。
【0077】
センサが設置される電気回路22は、適切に電気的に絶縁される。
【0078】
電気回路22は、センサを支持プレート21上の離散位置に配列するために、適切に成形された分岐を有する。
【0079】
電気回路22は、スクリーン印刷回路であり得る。
【0080】
ブレーキパッド1000は、記載にあるように、制動対象となる要素との接触によりブレーキ要素に作用する力に比例する電気信号を送信するために、作業状態が可能な適切なセンサ1を備える。
【0081】
ブレーキパッド1000は、車両のホイールのブレーキキャリパーに当てられる。
【0082】
特に、少なくともブレーキパッド1000は、各ブレーキキャリパーに対して含まれ、従って、例えば、少なくとも合計四つのブレーキパッドが車両に搭載される。
【0083】
力感知装置1の製造工程は、時系列で、第一および第二の相互嵌合電極5、50をスクリーン印刷し、次いで、第一の主要面3を第一および第二の相互嵌合電極5、50に面して、第一および第二の相互嵌合電極5、50上で、圧電シート2をスクリーン印刷し、次いで、圧電シート2の第二の主要面4上で、第三および第四の相互嵌合電極6、60をスクリーン印刷し、次いで、第一および第三の電極5、6に対して選択的に分極電力を供給することで、圧電シート2をバルク分極するステップを含む。これにより、部分100は、電極5と電極6との間の場により、法線応力方向に整列する。またこれにより、図3に示す傾斜電界ベクトルが、6aと5aとの間に生じる。
【0084】
図3では、Eは、電気を表し、Eは、せん断応力方向Sに対して垂直な電気ベクトルEの成分を表し、E||は、せん断応力方向Sに対して平行な電気ベクトルEの成分を表す。
【0085】
各対の整列した指部50a、60aの間の各部分101において有利に、ベクトルEは、せん断応力方向Sに対して最も接線方向に配向され、すなわち、電気ベクトルEのE||成分は、電気ベクトルEのE成分よりもはるかに大きい。いくつかの実施形態において、E成分の大きさは、略ゼロであり、および/またはE||成分の大きさは、E成分の大きさの少なくとも約10倍~約100倍の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、E||成分の大きさは、E成分の大きさの少なくともおよそ100倍の大きさであり得る。いくつかの実施形態では、E||成分の大きさは、E成分の大きさの約10倍以下であり得る。
【0086】
図3では、符号「+」および「-」は、分極ステップ中に第一および第三の電極5、6に印加される電圧極性を示す。
【0087】
圧電シート2のバルク分極の間、第二および第四の電極50、60は、好ましくは、変動電位に保たれる。
【0088】
あるいは、圧電シート2のバルク分極の間、第二および第四の電極50、60は、固定された等電位に維持され得る。
【0089】
車両ブレーキパッド1000の製造工程は、上述のように、時系列で、電気回路22を支持プレート21に当てるステップと、次いで、電気回路22上で、第一および第二の相互嵌合電極5、50をスクリーン印刷するステップと、次いで、圧電シート2を第一および第二の相互嵌合電極5、50上にスクリーン印刷するステップと、次いで、圧電シート2の第二の主要面4上で、第三および第四の相互嵌合電極6、60をスクリーン印刷するステップと、次に、摩擦パッド20を支持プレート21に当てるステップと、次いで、圧電シート2をバルク分極するステップと、を含む。
【0090】
読取り段階の間、四つの電極5、6、50、60すべてを使用して、圧電材料2の変形によって生成される信号を回収する。
【0091】
より詳細には、第一および第三の電極5、6は、法線応力読み取り電極として作用する一方、第二および第四の電極50、60は、せん断応力読み取り電極として作用する。
【0092】
圧電シート2の変形によって生成された信号は、抵抗器を通して測定された電圧信号として、電気読み取り回路内に回収され得る。
【0093】
法線応力信号を得るために、読み取り電極5、6の第一の結合からの電流は、これらの電極5および6のうちの一つを基準電位(接地電位)に接続し、電流を、読み取り電極5、6の第一の結合を接続する第一の測定抵抗器に通過させることによって、回収される。
【0094】
せん断応力信号を得るために、読み取り電極結合50、60の第二の結合からの電流は、これらの電極50および60のうちの一つを基準電位(接地電位)に接続し、電流を、読み取り電極50、60の第二の結合を接続する第二の測定抵抗器に通過させることによって、回収される。
【0095】
ここで、電極の第一の結合5、6、およびそれぞれ第二の結合50、60の両方が、読み取り段階の間に、法線応力およびそれぞれせん断応力を読み取るために使用される一方、電極の第一の結合5、6と第二の結合50、60との間の一つの結合のみが、圧電シート2を分極するために使用されることは明らかである。
【0096】
このように想定された力感知装置、ブレーキパッド、およびそれらの製造工程は、多数の修正および変形の余地があって、すべてが本発明の概念の範囲内であり、さらに、すべての詳細および寸法は、当技術分野の必要性および状態に応じて、他の技術的に同等のものと置き換えられうる。
【0097】
一般的に、本開示の圧電材料を分極するために必要な電圧は、以前に知られていた製造方法よりも、数オーダー小さいものであり得る。これは、スクリーン印刷によって形成される、圧電材料の比較的小さな厚さに起因し得る。いくつかの実施形態では、分極相の間に電極5、6に印加される電圧は、せん断応力方向Sに距離dで、約2~約3kV/mmであり得る。いくつかの実施形態では、分極相の間の電極5および6に印加される電圧は、約1kV/mm以下、約1~約2kV/mm、または約3kV/mm以上であり得る。圧電材料を分極するために分極電極5および6に印加される電圧は、例えば、電極5、6、50、60の大きさ、形状、および位置、圧電材料の種類または厚さなどに応じて変化し得る。
【0098】
現場で圧電材料を分極する能力は、センサの製造工程の前または間に圧電材料が分極される製造方法とは対照的である。現場での分極により、本開示の圧電材料は、センサが製造され、アプリケーション内に設置された後、分極可能になる。圧電材料の現場での分極は、一般的に、分極されるために低電圧を必要とする、スクリーン印刷された圧電材料の比較的小さな厚さに部分的に起因して、可能である。結果として、アプリケーションが提供する電源は、センサを現場で、すなわち、センサがアプリケーションに設置される間に、分極するのに十分であればよい。したがって、本開示の圧電センサは、他の製造方法とは対照的に、圧電材料が分極され得る時期に柔軟性をもたせている。
【0099】
特定の実装において、本開示の圧電材料は、センサ自体の製造工程中に分極され得る。例えば、圧電材料は、分極電極(例えば、電極5および6)が、圧電材料のシート2上にスクリーン印刷された直後に、分極され得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示の圧電材料は、センサの製造工程中に圧電材料が分極される製造方法とは異なり、すでに最初に分極された後、アプリケーションに設置される間に再分極され得る。
【0101】
本開示はまた、スマートブレーキパッドに関する。スマートブレーキパッドは、ブレーキパッド温度および/またはブレーキ中に作用する法線力およびせん断力を含む静的量および動的量などの一つ以上のパラメータを測定するために(例えば、適切なソフトウェアおよびハードウェアシステムアーキテクチャーおよびいくつかのアルゴリズムを用いて)構成された、センサ化されたブレーキパッドである。
【0102】
特定の感知装置、システム、および製造方法が、特定の例示的な実施形態の文脈で開示されたものの、本開示の範囲は、具体的に開示された実施形態にとどまらず、他の代替の実施形態および/または実施形態の使用、ならびにその特定の修正および同等物までも網羅することが当業者によって理解されるであろう。任意の構造体への使用については、本発明の範囲内で明示されている。開示された実施形態のさまざまな特徴および態様は、組立品のさまざまなモードを形成するために、互いに組み合わせるか、または置換することができる。本開示の範囲は、本明細書に記載される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではない。
【0103】
別々の実装の文脈において本開示で説明される特定の特徴は、単一の実装で組み合わせて実施され得る。逆に、単一の実装の文脈で説明されるさまざまな特徴はまた、複数の実装で別々に、または任意の好適な部分組み合わせで、実施され得る。さらに、特定の組み合わせで作用するような特徴を上記に説明し得るが、特許請求のある組み合わせからの一つ以上の特徴は、いくつかの場合において、該組み合わせから削除可能で、該組み合わせは、任意の部分組み合わせまたは任意の部分組み合わせの変形として特許請求され得る。
【0104】
「上部(top)」、「底部(bottom)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」、「長手方向(longitudinal)」、「横方向(lateral)」、「端部(end)」など、本明細書で使用される配向の用語は、図示した実施形態の文脈で使用される。しかしながら、本開示は、図示された配向に限定されるべきではない。実際に、他の配向は可能であり、本開示の範囲内である。直径または半径など、本明細書で使用される円形形状に関連する用語は、完全な円形構造を必要としないことが理解されるべきであり、むしろ、横断面から測定できる断面領域を有する任意の好適な構造に適用されるべきである。「円形(circular)」、「円筒形(cylindrical)」、「半円形(semi-circular)」、または「半円筒形(semi-cylindrical)」または任意の関連また類似の用語などの一般的な形状に関連する用語は、円または円筒またはその他の構造の数学的定義に厳密に適合する必要はないが、合理的に類似した近似物の構造体を包含することができる。
【0105】
「し得る(can)」、「できよう(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」等の条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含むまたは含まないということの伝達を、一般的に意図する。従って、このような条件付き言い回しは、特徴、要素、および/またはステップが、一つ以上の実施形態に対し、いかなる形でも必要であることを暗示することを、一般的に意図しない。
【0106】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ(at least one of X,Y,and Z)」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを伝えるのに一般的に用いられる文脈により別途解釈されるものである。従って、このような連言的言い回しは、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも一つと、Yのうちの少なくとも一つと、Zのうちの少なくとも一つの包含を要することを暗示することを、一般的に意図するものではない。
【0107】
本明細書で使用する「およそ(approximately)」、「約(about)」および「略(substantially)」という用語は、所望の機能をさらに実施または所望の結果をさらに達成する、記述された量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、文脈が指定するように、「およそ(approximately)」、「約(about)」および「略(substantially)」という用語は、記述された量の10%以内の量を指し得る。本明細書で使用する「一般的に(generally)」という用語は、特定の値、量、または特性を主に含むまたはその傾向を有する値、量、または特性を表す。一例として、特定の実施形態では、文脈が指定するように、「略平行(generally parallel)」という用語は、厳密に平行から20°以下離れた状態を指し得る。
【0108】
いくつかの実施形態は、添付図面に関連して説明された。図は縮尺通りであるが、このような縮尺は、図示以外の寸法および比率を想定し、開示された本発明の範囲内とするため、限定して解釈されるべきではない。距離、角度などは単に例示であり、図示した装置の実際の寸法およびレイアウトとは正確な関係を必ずしも保持しない。構成要素を追加、削除、および/または再配列することができる。さらに、さまざまな実施形態に関連して、任意の特定の特徴、態様、方法、特質、特性、品質、属性、要素、またはこれに類するものの本明細書の開示は、本明細書に記載される他の全ての実施形態で使用することができる。さらに、本明細書に記載される任意の方法は、列挙したステップを実施するのに好適な任意の装置を使用して実施され得ることが認識されるであろう。
【0109】
せん断力感知装置、システムおよび製造方法のさまざまな例示的な実施形態が開示されている。装置、システム、および方法が、これらの実施形態の文脈において開示されたものの、本開示は、特に開示された実施形態にとどまらず、他の代替実施形態および/または実施形態の他の用途ならびにそれらの特定の修正例および均等物までも網羅する。本開示は、開示された実施形態のさまざまな特徴および態様を、互いに組み合わせることができ、または置換することができることを明示的に想定する。従って、本開示の範囲は、上述の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲、ならびにそれらの等価物の完全な範囲の公正な読み取りによってのみ決定されるべきである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力感知装置(1)であって、
第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、圧電材料(2)と、
前記第一の面(3)上に位置する第一の相互嵌合電極(5)および前記第一の面(3)上に位置する第二の相互嵌合電極(50)と、
前記第二の面(4)上に位置する第三の相互嵌合電極(6)および前記第二の面(4)上に位置する第四の相互嵌合電極(60)と、を備え、
前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)は、法線応力読み取り電極であり、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、せん断応力読み取り電極であり、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記圧電材料は、一つ以上の第一の部分(100)および前記せん断応力方向に沿って前記一つ以上の第一の部分(100)と介在する一つ以上の第二の部分(101)を含み、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向(N)により密接に整列したバルク電気分極ベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列したバルク電気分極ベクトル場を有することによって特徴付けられる、力感知装置(1)。
【請求項2】
前記圧電材料は、スクリーン印刷層を含むことによって特徴付けられる、請求項1に記載の力感知装置。
【請求項3】
前記第一、第二、第三、および第四の相互嵌合電極は、各々スクリーン印刷層を含むことによって特徴付けられる、請求項1に記載の力感知装置。
【請求項4】
前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記法線応力方向に略整列し、
前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列されることによって特徴付けられる、請求項1に記載の力感知装置。
【請求項5】
車両ブレーキパッド(1000)であって、
支持プレート(21)と、
摩擦パッド(20)と、
少なくとも一つの力感知装置と、
信号を前記少なくとも一つの力感知装置から回収するように構成された電気回路(22)と、を備え、
前記少なくとも一つの力感知装置は、
第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、圧電材料と、
前記第一の面(3)上に位置する第一の相互嵌合電極(5)および前記第一の面(3)上に位置する第二の相互嵌合電極(50)と、
前記第二の面(4)上に位置する第三の相互嵌合電極(6)および前記第二の面(4)上に位置する第四の相互嵌合電極(60)と、を備え、
前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)は、法線応力読み取り電極であり、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、せん断応力読み取り電極であり、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記せん断応力方向に沿って、前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)との間に位置決めされることによって特徴付けられる、車両ブレーキパッド(1000)。
【請求項6】
前記圧電材料は、一つ以上の第一の部分(100)および一つ以上の第二の部分(101)を含み、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記法線応力方向に力検出を可能にするように配向されたバルク電気分極ベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記せん断応力方向に力検出を可能にするように配向されたバルク電気分極ベクトル場を有することによって特徴付けられる、請求項5に記載の車両ブレーキパッド。
【請求項7】
前記第一の部分(100)は、前記法線応力の力方向に略整列したバルク電気分極のベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記せん断応力の力方向に斜めに整列したバルク電気分極のベクトル場を有することによって特徴付けられる、請求項6に記載の車両ブレーキパッド。
【請求項8】
車両ブレーキパッドの製造方法であって、
電気回路(22)を支持プレート(21)に接続すること、
圧電組立体を形成すること、および
前記圧電組立体を前記電気回路(22)に接続すること、を含み、
前記圧電組立体を前記形成することは、
第一の相互嵌合電極(5)を圧電材料の第一の面(3)に接続することであって、前記圧電材料は、前記第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、接続すること、
第二の相互嵌合電極(50)を前記第一の面(3)に接続すること、
第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、
第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、および
前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第一の部分(100)に第一のベクトル場の配向を生成し、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第二の部分(101)に第二のベクトル場の配向を生成することによって、前記圧電組立体を分極するために、電力を前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)に供給すること、を含み、
前記第一のベクトル場の配向により、前記法線応力方向の力検出が可能であり、前記第二のベクトル場の配向により、前記せん断応力方向の力検出が可能であり、前記第一のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向により密接に整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列することによって特徴付けられる、方法。
【請求項9】
前記第一のベクトル場の配向は、前記法線応力方向に略整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列することによって特徴付けられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続し、第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続するステップは、前記第三および第四の相互嵌合電極(6、60)を前記圧電材料の前記第二の面(4)上にスクリーン印刷することを含むことによって特徴付けられる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
力感知装置の製造方法であって、
圧電組立体を形成すること、および
前記圧電組立体を前記電気回路に接続すること、を含み、
前記圧電組立体を前記形成することは、
第一の相互嵌合電極(5)を圧電材料の第一の面(3)に接続することであって、前記圧電材料は、前記第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、接続すること、
第二の相互嵌合電極(50)を前記第一の面(3)に接続すること、
第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、
第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、および
前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第一の部分(100)に第一のベクトル場の配向を生成し、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第二の部分(101)に第二のベクトル場の配向を生成することによって、前記圧電組立体を分極するために、電力を前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)に供給すること、を含み、
前記第一のベクトル場の配向により、前記法線応力方向の力検出が可能であり、前記第二のベクトル場の配向により、前記せん断応力方向の力検出が可能であり、前記第一のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向により密接に整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列することによって特徴付けられる、方法。
【請求項12】
前記第一のベクトル場の配向は、前記法線応力方向に略整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列することによって特徴付けられる、請求項11に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
せん断力感知装置、システムおよび製造方法のさまざまな例示的な実施形態が開示されている。装置、システム、および方法が、これらの実施形態の文脈において開示されたものの、本開示は、特に開示された実施形態にとどまらず、他の代替実施形態および/または実施形態の他の用途ならびにそれらの特定の修正例および均等物までも網羅する。本開示は、開示された実施形態のさまざまな特徴および態様を、互いに組み合わせることができ、または置換することができることを明示的に想定する。従って、本開示の範囲は、上述の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲、ならびにそれらの等価物の完全な範囲の公正な読み取りによってのみ決定されるべきである。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 力感知装置(1)であって、
第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、圧電材料(2)と、
前記第一の面(3)上に位置する第一の相互嵌合電極(5)および前記第一の面(3)上に位置する第二の相互嵌合電極(50)と、
前記第二の面(4)上に位置する第三の相互嵌合電極(6)および前記第二の面(4)上に位置する第四の相互嵌合電極(60)と、を備え、
前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)は、法線応力読み取り電極であり、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、せん断応力読み取り電極であり、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記圧電材料は、一つ以上の第一の部分(100)および前記せん断応力方向に沿って前記一つ以上の第一の部分(100)と介在する一つ以上の第二の部分(101)を含み、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向(N)により密接に整列したバルク電気分極ベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列したバルク電気分極ベクトル場を有する、力感知装置(1)。
[2] 前記圧電材料は、スクリーン印刷層を含む、[1]に記載の力感知装置。
[3] 前記第一、第二、第三、および第四の相互嵌合電極は、各々スクリーン印刷層を含む、[1]に記載の力感知装置。
[4] 前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記法線応力方向に略整列し、
前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列される、[1]に記載の力感知装置。
[5] 車両ブレーキパッド(1000)であって、
支持プレート(21)と、
摩擦パッド(20)と、
少なくとも一つの力感知装置と、
信号を前記少なくとも一つの力感知装置から回収するように構成された電気回路(22)と、を備え、
前記少なくとも一つの力感知装置は、
第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、圧電材料と、
前記第一の面(3)上に位置する第一の相互嵌合電極(5)および前記第一の面(3)上に位置する第二の相互嵌合電極(50)と、
前記第二の面(4)上に位置する第三の相互嵌合電極(6)および前記第二の面(4)上に位置する第四の相互嵌合電極(60)と、を備え、
前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)は、法線応力読み取り電極であり、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、せん断応力読み取り電極であり、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って、前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列し、
前記せん断応力方向に沿って、前記第二および第四の相互嵌合電極(50、60)は、前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)との間に位置決めされる、車両ブレーキパッド(1000)。
[6] 前記圧電材料は、一つ以上の第一の部分(100)および一つ以上の第二の部分(101)を含み、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第二の部分(101)は、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を前記法線応力方向に沿って延在し、前記一つ以上の第一の部分(100)は、前記法線応力方向に力検出を可能にするように配向されたバルク電気分極ベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記せん断応力方向に力検出を可能にするように配向されたバルク電気分極ベクトル場を有する、[5]に記載の車両ブレーキパッド。
[7] 前記第一の部分(100)は、前記法線応力の力方向に略整列したバルク電気分極のベクトル場を有し、前記第二の部分(101)は、前記せん断応力の力方向に斜めに整列したバルク電気分極のベクトル場を有する、[6]に記載の車両ブレーキパッド。
[8] 車両ブレーキパッドの製造方法であって、
電気回路(22)を支持プレート(21)に接続すること、
圧電組立体を形成すること、および
前記圧電組立体を前記電気回路(22)に接続すること、を含み、
前記圧電組立体を前記形成することは、
第一の相互嵌合電極(5)を圧電材料の第一の面(3)に接続することであって、前記圧電材料は、前記第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、接続すること、
第二の相互嵌合電極(50)を前記第一の面(3)に接続すること、
第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、
第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、および
前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第一の部分(100)に第一のベクトル場の配向を生成し、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第二の部分(101)に第二のベクトル場の配向を生成することによって、前記圧電組立体を分極するために、電力を前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)に供給すること、を含み、
前記第一のベクトル場の配向により、前記法線応力方向の力検出が可能であり、前記第二のベクトル場の配向により、前記せん断応力方向の力検出が可能である、方法。
[9] 前記第一のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向により密接に整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列する、[8]に記載の方法。
[10] 前記第一のベクトル場の配向は、前記法線応力方向に略整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列する、[8]に記載の方法。
[11] 第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続し、第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続するステップは、前記第三および第四の相互嵌合電極(6、60)を前記圧電材料の前記第二の面(4)上にスクリーン印刷することを含む、[8]に記載の方法。
[12] 力感知装置の製造方法であって、
圧電組立体を形成すること、および
前記圧電組立体を電気回路に接続すること、を含み、
前記圧電組立体を前記形成することは、
第一の相互嵌合電極(5)を圧電材料の第一の面(3)に接続することであって、前記圧電材料は、前記第一の面(3)および前記第一の面(3)に対向する第二の面(4)を含み、前記第一および第二の面(3、4)は、せん断応力方向に互いに平行に延在し、法線応力方向が、前記せん断応力方向に直交する、接続すること、
第二の相互嵌合電極(50)を前記第一の面(3)に接続すること、
第三の相互嵌合電極(6)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第一の相互嵌合電極(5)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第三の相互嵌合電極(6)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、
第四の相互嵌合電極(60)を前記第二の面(4)に接続することであって、前記第二の相互嵌合電極(50)の一つ以上の指部は、前記法線応力方向に沿って前記第四の相互嵌合電極(60)の一つ以上の対応する指部と整列される、接続すること、および
前記第一の相互嵌合電極(5)の前記一つ以上の指部と前記第三の相互嵌合電極(6)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第一の部分(100)に第一のベクトル場の配向を生成し、前記第二の相互嵌合電極(50)の前記一つ以上の指部と前記第四の相互嵌合電極(60)の前記一つ以上の対応する指部との間を延在する前記圧電材料の第二の部分(101)に第二のベクトル場の配向を生成することによって、前記圧電組立体を分極するために、電力を前記第一および第三の相互嵌合電極(5、6)に供給すること、を含み、
前記第一のベクトル場の配向により、前記法線応力方向の力検出が可能であり、前記第二のベクトル場の配向により、前記せん断応力方向の力検出が可能である、方法。
[13] 前記第一のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向よりも、前記法線応力方向により密接に整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記法線応力方向よりも、前記せん断応力方向により密接に整列する、[12]に記載の方法。
[14] 前記第一のベクトル場の配向は、前記法線応力方向に略整列し、前記第二のベクトル場の配向は、前記せん断応力方向に対して斜めに整列する、[12]に記載の方法。
【国際調査報告】