(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】PPAR-ガンマ活性化剤、HDAC阻害剤、及びそれらの治療用途
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20230721BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230721BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230721BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230721BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230721BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230721BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230721BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230721BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230721BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230721BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230721BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230721BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230721BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230721BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230721BHJP
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A61P 11/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230721BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230721BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230721BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230721BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230721BHJP
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A61P 31/14 20060101ALI20230721BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230721BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230721BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230721BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230721BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P25/04
A61P37/06
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A61P3/10
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A61P9/10 101
A61P1/02
A61P11/02
A61P37/08
A61P3/00
A61P17/14
A61P43/00 105
A61P19/08
A61P13/12
A61P1/16
A61P27/16
A61P25/00
A61P17/00
A61P9/00
A61P1/04
A61P21/00
A61P15/00
A61P7/00
A61P11/00
A61P25/14
A61P13/10
A61P7/06
A61P21/04
A61P25/20
A61P17/06
A61P25/16
A61P31/14
A61P31/12
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/14
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574711
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 US2021035395
(87)【国際公開番号】W WO2021247665
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522471238
【氏名又は名称】アンタクリ,トニー
(71)【出願人】
【識別番号】522471249
【氏名又は名称】ムファジュ,イマド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アンタクリ,トニー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC01
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4C084ZC351
4C084ZC411
4C084ZC541
4C084ZC751
(57)【要約】
本発明は、薬学的担体と会合した、安息香酸塩と、酪酸フェニル及び/又は酢酸フェニルとの相乗的組み合わせを含む、核受容体PPARγの活性及びHDACの阻害を必要とする対象においてそれを誘発するための組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の標的細胞において、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)と、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)の刺激剤との組み合わせを使用して遺伝子発現を調節することによって、疾患症状を改善するための活性を誘発するための薬学的組成物であって、
a)複数の標的細胞において、炎症、疼痛、自己免疫疾患、神経変性炎症性疾患、がん、及び2型糖尿病のうちの少なくとも1つの症状を改善する核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体PPAR、特にPPARγを刺激する、PPARγアゴニストと、
b)抗増殖、抗炎症、及び抗疼痛作用を必要とする対象においてそれらを有する、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害活性を有する分子と、
c)薬学的担体と会合した、安息香酸塩と酪酸フェニル及び/又は酢酸フェニルとの相乗的組み合わせと、を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
安息香酸塩が、安息香酸塩の10~250mg/kg存在し、酪酸フェニル及び/又は酢酸フェニルが、0.1~1000mg/kg存在する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
安息香酸塩が、10~250mg/kgの投薬量で存在し、酪酸フェニル及び/又は酢酸フェニルが、0.1~1000mg/kgの投薬量で存在する、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記薬学的担体が、水、生理食塩水、又は別の好適な溶液から選択される、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
PPARγアゴニストを元に戻すための、核受容体PPARγの活性の前記誘発が、炎症、疼痛、自己免疫疾患、神経変性炎症性疾患、がん、及び2型糖尿病のうちの少なくとも1つの症状を改善する、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
炎症が、変形性関節症、リウマチ性関節症、アテローム性動脈硬化症、歯周病、花粉症の少なくとも1つから選択され、自己免疫疾患が、アジソン病、低ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性肝炎、内耳自己免疫疾患(AIED)、軸索及び神経の神経障害(AMAN)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、Churg-Strauss、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心膜炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円盤状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、混合性本態性クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン-バレー症候群、橋本病、溶血性貧血、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性疱疹又は妊娠性類天疱瘡(PG)、低ガンマグロブリン血症、ハンチントン病、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート-イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA疾患(LAD)、ループス、ループスエリテマトーデス、ライム病慢性、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、蚕食性角膜潰瘍、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、瘢痕性眼類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS(小児自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害)、傍腫瘍性小脳変性症(PCD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、顔面半側萎縮症、嚢胞性黄斑浮腫(末梢ブドウ膜炎)、パーソネイジ-ターナー症候群、天疱瘡群、末梢神経ニューロパチー、静脈周辺脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群(多発ニューロパチー、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性高ガンマグロブリン血症、皮膚変化)、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、感染性関節炎、赤芽球癆(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、複合性局所疼痛症候群、ライター症候群、再発性多発軟骨炎、レストレスレッグス症候群(RLS)、腹膜後隙線維症、リウマチ熱、関節リウマチ(RA)、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣の自己免疫、スティッフマン症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、Susac症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサーハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織疾患(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ウェゲナー多発血管炎性肉芽腫症(多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と称される)から選択され、神経変性炎症性疾患が、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー、ALS、又はルーゲーリック病から選択される、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
炎症が、SARS-CoV-2感染、COVID-19、又はウイルス感染のうちの少なくとも1つによって引き起こされる、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の薬学的組成物は、核受容体PPARγの活性を必要とする対象においてそれを誘発するために、生理学的量の酪酸フェニルと実質的に同時の、生理学的量の安息香酸塩の使用を含み、安息香酸塩、並びに酪酸フェニル及び/又は酢酸フェニルが、各々、薬学的担体と会合している。
【請求項9】
PPARγアゴニストを元に戻すために、核受容体PPARγの活性を前記誘発することが、炎症、疼痛、自己免疫疾患、神経変性炎症性疾患、がん、及び2型糖尿病のうちの少なくとも1つの症状を改善する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
炎症が、変形性関節症、リウマチ性関節症、アテローム性動脈硬化症、歯周病、花粉症から選択され、自己免疫疾患が、アジソン病、低ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性肝炎、内耳自己免疫疾患(AIED)、軸索及び神経の神経障害(AMAN)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、Churg-Strauss、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心膜炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円盤状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、混合性本態性クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン-バレー症候群、橋本病、溶血性貧血、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性疱疹又は妊娠性類天疱瘡(PG)、低ガンマグロブリン血症、ハンチントン病、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート-イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA疾患(LAD)、ループス、ループスエリテマトーデス、ライム病慢性、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、蚕食性角膜潰瘍、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、瘢痕性眼類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS(小児自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害)、傍腫瘍性小脳変性症(PCD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、顔面半側萎縮症、嚢胞性黄斑浮腫(末梢ブドウ膜炎)、パーソネイジ-ターナー症候群、天疱瘡群、末梢神経ニューロパチー、静脈周辺脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群(多発ニューロパチー、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性高ガンマグロブリン血症、皮膚変化)、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、感染性関節炎、赤芽球癆(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、複合性局所疼痛症候群、ライター症候群、再発性多発軟骨炎、レストレスレッグス症候群(RLS)、腹膜後隙線維症、リウマチ熱、関節リウマチ(RA)、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣の自己免疫、スティッフマン症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、Susac症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサーハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織疾患(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ウェゲナー多発血管炎性肉芽腫症(多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と称される)から選択され、神経変性炎症性疾患が、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー、ALS、又はルーゲーリック病から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
方法であって、複数の標的細胞において、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)活性を使用して遺伝子発現を調節することによって、疾患症状を改善するための活性を必要とする対象に、それを誘発するための有効量の薬学的組成物を投与することを含み、前記薬学的組成物が、
a)PPARγアゴニストを元に戻すために、複数の標的細胞における、炎症、ウイルス感染、疼痛、自己免疫疾患、神経変性炎症性疾患、がん、及び2型糖尿病のうちの少なくとも1つの症状を改善する、核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体PPAR、特に、PPAR-ガンマを刺激する分子と、
b)抗増殖、抗炎症、及び抗疼痛作用を必要とする対象においてそれらを有する、前記ヒストンデアセチラーゼ阻害剤HDACを誘発する分子と、
c)薬学的担体と会合した、安息香酸塩を含む前記PPARγを刺激する分子と、酪酸フェニル及び酢酸フェニルの少なくとも1つを含む前記HDACとの、相乗的組み合わせと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景技術〕
(a)技術分野
開示の主題は、概して、PPARγを活性化し、HDACを阻害する、安息香酸塩(BNZ)及び酪酸フェニル(PBA)を含む分子の新規組成物に関し、それらの治療用途について記載する。
【0002】
(b)関連する先行技術
個々に、実験的な神経障害、すなわち、多発性硬化症、ALS、ハンチントン病、及び脳症の動物モデルにおける炎症、がん成長の低減、及び症状の軽減における可能性のある生物活性について、安息香酸塩(BNZ)及び酪酸フェニル(PBA)が研究された。
【0003】
致死的な高アンモニア血症を有する患者における血漿アンモニウムレベルを低下させることにおける、BZN及び酢酸フェニル(PAA)の臨床使用が確立された(1、2)。尿素サイクル酵素の欠陥から生じるある特定の代謝性疾患では、尿素に変換することができないアンモニウムは、致死的であり得る毒性レベルまで蓄積する。PAAとBNZとの薬物組み合わせは、尿素サイクル酵素の代謝の先天性エラーを有する患者を治療するのに特に有用であり、したがって、脳症などの合併症を防止する(1、2)。実際に、PAAは、グルタミンとのミトコンドリアコンジュゲーションを通じて、フェニルアセチルグルタミン化合物の形成を生じる。同様に、BNZは、グリシンと組み合わさってベンゾイルグリシン(馬尿酸)を形成する。これらの2つの非毒性化合物である、フェニルアセチルグルタミン及びベンゾイルグリシンは、容易に尿中へと排除される。Ennsら(2)は、尿素サイクル障害を有する患者を治療するためにPAAとBNZとの組み合わせからなる薬物を使用した25年間の臨床研究の結果を報告し、84%の全体的な生存率を実証している。
【0004】
PAA及び酪酸フェニル(PBA)の両方は、上に列挙される以外の重要な生物活性を示す。化学的には、PAA及びPBAは、安定なフェニル環を有する芳香族脂肪酸の群に属する。これらの化合物は、鎌状赤血球性貧血(3)、筋萎縮性側索硬化症(4)、ハンチントン病(5)、神経炎症性状態(6)、及びがん(7)を含む、いくつかの疾患の治療に有用であることが証明された。当初、PAAは、細胞成長を調節する植物ホルモンとして発見された(8)。これは、過去20年間、抗がん剤及び細胞分化化合物として実験室環境及び臨床試験において広範囲に研究されている。実際に、PAAは、異なる系統のいくつかのがん細胞型の成長を阻害し、いくつかの場合では、非がん性表現型への分化を促進する。興味深いのは、元来、タンパク質プレニル化の阻害、並びにコレステロール及び脂肪酸生合成によって媒介されると考えられていた神経膠腫及び神経芽腫に対するPAA及びPBAの効果である(5)。研究によって、PAA及びPBAが、乳がん、前立腺がん、結腸がん、及び甲状腺がんを含む、いくつかの新生物細胞型の成長を阻害することが実証されている。PAA及びPBAは、存在する場合、ほとんど毒性を示さないので、これらの化合物の抗がん作用が、いくつかの臨床試験の開始を促進している(4、5、7)。
【0005】
BNZ、PAA、及びその酪酸代謝産物のこれらの生理学的及び薬理学的効果の根底にある正確な機序は、完全には分かっていないが、酪酸誘導体の調節効果は、クロマチン立体配座を調節するヒストン脱アセチル化の阻害及び核受容体遺伝子発現の調節に関与している(9)。
【0006】
Theriac Biomedicale Inc.の名でWO2017/091895の下で公開された本出願のPCT同時係属出願は、核受容体PPARγの活性を必要とする対象においてそれを誘発するための、薬学的担体と会合した、安息香酸塩、又は安息香酸塩と酢酸フェニルとの相乗的組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、組成物について開示する。この同時係属出願において、PBA及びBZAを含む組成物は、開示又は提案されていない。
【0007】
PBA及びPAAの薬物動態学的な既知の効果は、非常に異なるので、これらの化合物は、互換的に使用されていない。より正確には、PBAは、PAAよりも有効な抗がん剤であり、より強力な抗腫瘍剤であり、PBAは、子宮頸がん細胞に対して有効である一方で、PAAはそうではなく、PBAは、乳がん細胞及び悪性B細胞に対してPAAよりも有効である。
【0008】
しかしながら現在まで、PBAとBNZとを組み合わせても、PPARγは活性化剤として相乗効果を示すことはなかった。
【0009】
〔発明の概要〕
一実施形態によれば、核受容体PPARγの活性を必要とする対象においてそれを誘発するための、薬学的担体と会合した、安息香酸塩と酪酸フェニルとの相乗的組み合わせを含む組成物が提供される。
【0010】
他の代謝性疾患におけるPPARγアゴニストを元に戻すために、核受容体PPARγの活性の誘発が、炎症及び疼痛(変形性関節症、リウマチ性関節炎)、疼痛、自己免疫疾患(ループスエリテマトーデス)、神経変性炎症性疾患(多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー、ALS、ハンチントン)、抗がん、2型糖尿病のうちの少なくとも1つの症状を改善する、組成物の使用。
【0011】
別の実施形態によれば、核受容体PPARγの活性を必要とする対象においてそれを誘発するための、薬学的担体と会合した、安息香酸塩と酢酸フェニルとの相乗的組み合わせの使用が提供される。
【0012】
他の代謝性疾患におけるPPARγアゴニストを元に戻すために、核受容体PPARγの活性を誘発することが、炎症及び疼痛(変形性関節症、リウマチ性関節炎)、乾癬性関節炎、若年性関節炎、強直性脊椎炎、痛風、疼痛、自己免疫疾患(ループスエリテマトーデス)、神経変性炎症性疾患(多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー、ALS、ハンチントン)、抗がん、2型糖尿病のうちの少なくとも1つの症状を改善する、この組み合わせの使用。
【0013】
別の実施形態によれば、核受容体PPARγの活性を必要とする対象においてそれを誘発する方法であって、薬学的担体と会合した、安息香酸塩と酢酸フェニルとの相乗的組み合わせを対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0014】
他の代謝性疾患におけるPPARγアゴニストを元に戻すために、核受容体PPARγの活性を誘発することが、炎症及び疼痛(変形性関節症、関節リウマチ)、乾癬性関節炎、若年性関節炎、強直性脊椎炎、痛風、疼痛、自己免疫疾患(ループスエリテマトーデス)、神経変性炎症性疾患(多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー、ALS、ハンチントン)、抗がん、2型糖尿病のうちの少なくとも1つの症状を改善する。
【0015】
添付の図に示されるように、本明細書の主題の特色及び利点は、選択された実施形態の以下の詳細な記載に照らしてより明らかになるであろう。実現されるであろうように、開示され特許請求される主題は、全て特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な点における修正が可能である。したがって、図面及び記載は、本質的に例示的であり、限定的ではなく、主題の全範囲が、特許請求の範囲に記載されていると見なされるべきである。
【0016】
〔図面の簡単な説明〕
本開示の更なる特色及び利点は、添付の図面と組み合わせて、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
【0017】
図1は、カラギーナン誘発性急性炎症研究設計の時間経過を示す。ベースライン足体積及びアロディニアを測定した。ゼロ(「0.0」)時点で、足底注射(「i.plant.」)によって、カラギーナン及び薬物を足掌に投与した。足体積を剖検直前に測定し、通常の組織学のために処理した。
【0018】
図2は、HIP-002が、カラギーナン誘発性白血球組織浸潤を低減する組織実施例を示す。急性足炎症を、
図1に示されるように足底カラギーナン注射によって誘発した。カラギーナン注射の4時間後の、ヘマトキシリン-エオシン染色した足組織切片における顕微鏡検査によって、組織白血球浸潤を評価した。写真は、0.9%のNaClを注射したプラセボマウス(A-B)、3mg/kgのインドメタシンを注射した陽性対照マウス(
図2C及び2D)、並びに100mg/kgの安息香酸ナトリウムと10mg/kgの酪酸フェニルナトリウムとの混合物からなるHIP-002で治療したマウス(
図2E及び2F)を表す。2A、2C、及び2Eに概説された同じ領域が、それぞれ2B、2D、及び2Fにおいてより高い倍率で示されている。バー=100μm。
【0019】
図3Aは、HIP-002での治療が、カラギーナン誘発性白血球浸潤を低減することを示す。凡例:急性炎症を、右後足への足底カラギーナン注射によって誘発した。治療条件を隠して専門の血液学者によって、顕微鏡下で組織白血球浸潤を定量化した。ヘマトキシリン-エオシン染色した足組織切片を、カラギーナン注射の4時間後に評価した。プラセボ群には、0.9%のNaCl溶液を投与し、陽性対照群には、インドメタシン(3mg/kg i.p.)を投与した。示される他の試験群は、安息香酸塩100mg/kgの安息香酸(BZN)と、10mg/kgのPBA又はPAAのいずれかとの組み合わせであった。組織面積当たりの総白血球(白血球)を定量化した。全てのデータは、平均±SEMとして表される。一元配置分散分析、その後のHolm-Sidakにおけるプラセボに対するP値を、p<0.01を示す(**)によってグラフ上に示す。群当たりのマウスの数は10匹であるが、まれな場合には、スコア評価した評価対象は、5匹のみの動物であった。
【0020】
図3Bは、HIP-002が、カラギーナン誘発性足浮腫を低減することを示す。急性炎症を、右後足への足底カラギーナン注射によって誘発した。カラギーナン注射の前及び4時間後に足体積を測定することによって、足浮腫を決定した。プラセボ対照群には、0.9%のNaCl溶液を投与(i.p.)し、陽性対照群には、インドメタシン(3mg/kgを投与した。(カラギーナンと一緒に)足底注射、及び(カラギーナンの90分後の)i.p.注射によって、治療が与えられた。BZN+PBA用量は、100mg/kgのBZN及び10mg/kgのPBAであった(100/10)。右端の群には、100mg/kgのBZN及び10mg/kgのPAAを投与した。
図3Cは、従来的な方法(10、11)によって試験して、対照(プラセボ)と比較して、HIP-002が、疼痛に関連するアロディニアを顕著に低減することができ、NSAID陽性対照(インドメタシン)よりも低減することができることを示す。全てのデータは、平均±SEMとして表す。(*)一元配置分散分析、その後のHolm-Sidakにおけるプラセボに対するP<0.05。群当たりのマウスの数は、10匹である。簡単に言えば、
図3A、3B、及び3Cは、HIP-002が、炎症細胞浸潤、浮腫、及びアロディニアを低減することを示す。
【0021】
図4Aは、PPARγ活性のインビトロアッセイでのHIP-002の効果を示す。ヒトPPARγへのGal4 DNA結合ドメイン融合をコードする発現プラスミドの存在下で、Gal4-DNA結合上流活性化配列(UAStkLuc)の制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物で、ヒト胎児腎臓細胞(HEK)293をトランスフェクトした(12)。このアッセイでは、ルシフェラーゼ活性は、PPARγ活性化の直接測定である。
【0022】
図4Bは、HDAC活性のインビトロアッセイでのHIP-002の効果を示す。HDAC活性の検出は、2段階の酵素反応、すなわち、蛍光基に結合したリジン残基の脱アセチル化、その後の脱アセチル化基質の切断及び遊離した高蛍光基の放出に基づく。測定された蛍光は、試料の脱アセチル化活性に直接比例する。データは、HDAC活性が、HIP-002の濃度の増加に応答することを表している。GraphPad Prism(登録商標)7.02の3パラメータ非線形適合(阻害剤-応答)を使用して、曲線を適合させた。
【0023】
図5は、プラセボ及びHIP-002で治療したラットにおける組織病理の実施例を示すパラフィン包埋組織切片は、手術による変形性関節症の誘発、その後のプラセボ(上)又はHIP-002高用量qd(下)での治療後に得た。軟骨を視覚化するための特別な組織化学的染色であるサフラニン-Oで、組織学的切片を(組織を赤で)染色した。HIP-002治療ラットとは異なり、プラセボ治療ラットの脛骨/大腿骨界面における損傷した軟骨に留意する。また、骨の象牙質化及び骨髄線維症の差異に留意されたい。1:軟骨損傷、2:骨髄の線維症、3:骨の象牙質化。
【0024】
図6は、前臨床データに基づいて、OA膝組織におけるHIP-002の提案された作用機序を示す誇張画像である。
【0025】
図7A~7B、8A~8C、及び9A~9Bは、HIP-002が、手術によって誘発された変形性関節症(OA)を有するラットの疼痛及び血清中のサイトカインレベルを低減することを示す。
図7Cは、HPLC-MSによってアッセイした、脊髄抽出物中のサブスタンスPのレベルに対するHIP-002の効果を示す。一元配置分散分析後の有意なP値(<0.05)を示し、群当たりのラットの数を括弧内に示す。陽性対照(5mg/kgのNSAID、カルプロフェンpo、及び30mg/kgのプレガバリンsc)又はHIP-002(38mg/kg、sc)で、毎日1日1回又は2回(2回)、動物を治療した。
【0026】
血液試料を採取して、治療開始の1、7、及び22日後の炎症性サイトカインレベルを評価し、多重磁気ビーズイムノアッセイシステムでの分析のために処理し、pg又はng/mLの血清として報告した。データは、平均±SEMとして表す。括弧は、群当たりのラットの最小数を示す。一元配置分散分析後のプラセボに対するHIP-002の有意なP値をグラフに示す。
【0027】
図8及び9は、高用量、qdのHIP-002が、IL-1ベータ、TIMP-1、IL-18、VEGF、及びICAM-1/CD54を顕著に低減したことを示す。加えて、プラセボと比較した場合、L-セレクチン/CD62Lもおよそ40%顕著に阻害された(図示せず)、(P<0.01)。他の試験したサイトカインは、アッセイシステムの検出レベル未満であることが見出された。
図9において、低用量は、高用量の25%を意味する。
【0028】
プラセボと比較して、統計的有意性が示されている。群当たり少なくとも10匹の動物を試験した。陽性対照とは異なり、HIP-002による顕著な阻害効果に留意されたい。
【0029】
図10は、ゲノムレベルでのHIP-002の提案された分子作用機序を示す。
【0030】
〔発明を実施するための形態〕
安息香酸塩と酪酸フェニルとの組み合わせは、核受容体PPARγの活性を誘発する。この転写因子は、ステロイド受容体スーパーファミリーのメンバーであり、脂質代謝、炎症の主要な制御因子であり、インスリン調節薬の主要な標的である。
【0031】
更に、変形性関節症の治療における安息香酸塩と酪酸フェニルとの併用治療の有用性は、変形性関節症のげっ歯類モデルにおいて実証されている。
【0032】
本発明は、その範囲を限定するのではなく、本発明を例示するために与えられる以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【0033】
実施例1
ヒト及び動物におけるPBA及びBZNの混合物の適応症
●限定されないが、変形性関節症、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、歯周炎、花粉症を含む、炎症及び疼痛
●乾癬性関節炎
●若年性関節炎
●強直性脊椎炎
●痛風
●疼痛
●限定されないが、アジソン病、低ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性肝炎、内耳自己免疫疾患(AIED)、軸索及び神経の神経障害(AMAN)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、Churg-Strauss、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心膜炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円盤状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、混合性本態性クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン-バレー症候群、橋本病、溶血性貧血、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性疱疹又は妊娠性類天疱瘡(PG)、低ガンマグロブリン血症、ハンチントン病、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート-イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA疾患(LAD)、ループス、ループスエリテマトーデス、ライム病慢性、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、蚕食性角膜潰瘍、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、瘢痕性眼類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS(小児自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害)、傍腫瘍性小脳変性症(PCD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、顔面半側萎縮症、嚢胞性黄斑浮腫(末梢ブドウ膜炎)、パーソネイジ-ターナー症候群、、天疱瘡群、末梢神経ニューロパチー、静脈周辺脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群(多発ニューロパチー、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性高ガンマグロブリン血症、皮膚変化)、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、感染性関節炎、赤芽球癆(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、複合性局所疼痛症候群、ライター症候群、再発性多発軟骨炎、レストレスレッグス症候群(RLS)、腹膜後隙線維症、リウマチ熱、関節リウマチ(RA)、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣の自己免疫、スティッフマン症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、Susac症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサーハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織疾患(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、ウェゲナー多発血管炎性肉芽腫症(多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と称される)を含む、自己免疫疾患
●限定されないが、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー、ALS、又はルーゲーリック病、ハンチントンを含む、神経変性炎症性疾患
●がん
●2型糖尿病
●他の代謝性疾患におけるPPARガンマアゴニストを元に戻すため
●ヒストンデアセチラーゼ阻害を増強することによって遺伝子発現を調節するため。
【0034】
実施例2
BZNと組み合わせたPBA及び/又はPAAの抗炎症作用
そのような仮説を試験するために、BZNとPBA及び/又はPAAとの組み合わせの抗炎症効果を、2つの炎症モデル:カラギーナン誘発性急性炎症のマウスモデル(Morris CJ.,Methods Mol Biol 2003;225:115-21)及び変形性関節症(OA)のラットモデル(10、11)(Bove SE et al.Osteoarthritis Cartilage 2006;14(10):1041-8)において評価した。
【0035】
疼痛及び炎症の評価を可能にする十分に確立された、信頼性が高く、かつ再現性のあるげっ歯類モデルであるので、これらのモデルを選択した。簡単に言えば、カラギーナン誘発性急性炎症モデルでは、成体マウスの足にカラギーナンを含有する少量の溶液を注射することによって、急速な炎症応答を引き起こす。足浮腫、組織白血球浸潤、及び触覚性アロディニアは、通常、数分以内に発症し、数時間持続する。病変の誘発(カラギーナン又はOA)後、薬物応答について動物を試験した。全ての実験は、生理学的な0.9%のNaCl溶液を注射したプラセボ群、インドメタシン(カラギーナンモデル)又はプレガバリン+カルプロフェン(OAモデルにおいて)を投与した陽性対照群、及び試験用量のHIP-002(PBAとBZNとの混合物、又はPAA+BZNとの混合物からなる組成物)を投与した1つ以上の群を含んでいた。
【0036】
陽性対照群の薬物は、以下の論理的根拠によって選択した:インドメタシンは、炎症を治療するために一般的に使用される速効性非ステロイド抗炎症薬(NSAID)であり、その最小有効用量で使用した。HIP-002の用量範囲は、インビトロでの実験又はインビボでのパイロット実験で得られた有効濃度(EC50)に基づいて選択した。
【0037】
異なる実験を使用して、炎症の様々な側面を評価した。カラギーナン試験において、足浮腫及び白血球組織浸潤の測定を行って、急性炎症を評価した。
【0038】
結果
カラギーナン誘発性急性炎症
本研究(UOM-01-R1-Carr)では、20μLの1%のカラギーナン(群当たりN=10又は11匹のマウス)の足底(i.plant)注射によって、Swissマウスに急性炎症を誘発した。カラギーナンの90分後、プラセボ(0.9%のNaCl溶液)、インドメタシン(3mg/kg)、又は濃度が(それぞれ100+10mg/kgのBZN+PBA)であったHIP-002とコード名を付けた本発明者らの試験薬のいずれかで、マウスを治療した。1つの群には、PBAの代わりにPAAを使用した。
【0039】
プラセボを含む試験物品も、カラギーナンと同時に足底注射した(10μL)。研究スケジュール評価を、
図1に示し、用量、経路、及び結果を、以下の表1に要約する。
【0040】
【0041】
その生物学的作用の一部として、PBA及びPAAは、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)であることが知られている。HDACi作用は、クロマチンの立体配座変化を誘発し、それによって標的細胞の全体的な遺伝子発現を調節する(Nor et al.Mol Neurobiol 2013,48(3):533-543)。本発明者らは、安息香酸塩化合物を、PBA及び/又はPAAと組み合わせることによって、HDACi活性が、プラセボ又は適切な陽性対照と比較して向上することを発見した。正常な初代培養(軟骨細胞、骨芽細胞)及びがん細胞株(乳がん、前立腺、膀胱、及び膠芽腫)を使用して、HDACiについて、1~10mMの範囲の濃度のHIP-002又はPBA単独をインビトロで試験した。陽性対照として、(100~500nMの用量で)既知のHDACiであるトリコスタチン-Aを使用した。本発明者らはまた、HDACiについて、(本特許出願の別の箇所に記載のカラギーナン又はOAげっ歯類実験から調製した)足組織抽出物ホモジネートを試験した。従来的なアッセイ方法(Sigma-Aldrich症例#CS1010によって記載のものなど)を使用して、HDACi活性を測定した。本発明者らは、PBA(又はPAA)とBZNとの組み合わせが、PBA単独よりも顕著に強力であることを見出した。更に、単独又は組み合わせたPBAは、PAAよりも強力である。
【0042】
PBA(又はPAA)によるHDAC阻害の効果又はPPARγの刺激のいずれかを試験するために、本発明者らは、前述のように、細胞ワンハイブリッドルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを使用して、PPARγ転写活性を誘発するためにHIP-002を試験した(12)。ヒトPPARγへのGal4 DNA結合ドメイン融合をコードする発現プラスミドの存在下で、Gal4-DNA結合上流活性化配列(UAStkLuc)の制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物で、ヒト胎児腎臓細胞293をトランスフェクトした。HIP-002の投与時に、PPARγ活性に、顕著かつ用量依存的な増加が観察された。
【0043】
【0044】
実施例3
病理試験
研究の全体的な目的は、雌Sprague-Dawleyラットにおいて変形性関節症をいずれかの手術によって誘発した後、試験項目である化合物HIP-002の有効性を比較し、Von Frey及び足引っ込め試験(Paw Withdrawal test)を使用して、引っ込め閾値を更に比較することであった。
【0045】
病理学サブ研究の具体的な目的は、特に、透明層及び膝関節の他の細胞の炎症及び細胞学の範囲に関して、実験群間の組織病理学的差異を調べることであった。
【0046】
実験設計
試験項目である分子HIP-002は、本出願に記載されている。陽性対照は、プレガバリン及びカルプロフェンで構成されている。プラセボ(対照)項目は、0.9%の生理食塩水USPであった。
【0047】
試験、陽性、及びプラセボ(対照)/ビヒクル項目は、経口(強制摂食)(又は皮下(SC))によって毎日ラットの群に投与し、カルプロフェンは、SC注射によって投与した(投与は、順番に行った)。投与は、記載されているように39又は40日の連続的な継続期間であった。
【0048】
投与期間が完了し、その後、一晩の絶食期間後、40又は41日目のいずれかに動物を安楽死させた。これらの動物は、イソフルランで麻酔し、続いて瀉血した。肉眼的所見は、全ての臨床的に記録された病変の同定を含む外部検査、並びに詳細な内部検査からなった。全ての動物からの治療前に調整した膝の試料を保持し、研究計画に従って処理し、組織病理学的に調べた。
【0049】
結果及び考察
死亡率
試験項目に関連することを確認することができた肉眼的な所見又は顕微鏡的な所見はなかった。下顎及び縦隔リンパ節の暗い変色は、処置に関連する所見と見なした。この雌の剖検では、他の所見は見られなかった。
【0050】
顕微鏡下では、関節包の軽度のびまん性慢性炎症、及び関節腔に軽度の顆粒状の細胞片を伴う好塩基球性物質/好酸球性物質が観察され、治療前処置によって引き起こされたと見なした。これらの所見によって、治療前処置が関節の炎症変化を引き起こすことが可能であったことが確認された。
【0051】
最終動物(主要)
肉眼的所見
右膝への痂皮が、群1の1匹の動物で見られた。
【0052】
他の全ての所見は、偶発的であるか、又は処置に関連すると見なした。
【0053】
顕微鏡的所見
概して、関節包のびまん性慢性炎症及び関節腔の顆粒状の好塩基球性物質からなる右膝の同じ所見が、両方の群名称において観察されたが、手術による変形性関節症誘発方法と名称付けた群と比較した場合、膝注射による変形性関節症誘発方法と名称付けた群において、これらの所見の発生率及び重症度が高かった。
【0054】
変形性関節症が手術による方法によって誘発された3つ全ての群の動物において、関節包の最小から軽度のびまん性慢性炎症、及び関節腔に細胞片を伴う最小の顆粒状の好塩基球性物質/好酸球性物質が観察された。右膝の顕微鏡的所見の要約を、に示す。
【0055】
最も高い重症度の所見は、陽性治療及び/又はHIP-002による治療を実施しなかった、プラセボ(対照)群で見られた。びまん性慢性炎症の重症度は、陽性対照群(4匹最小及び6匹軽度)及びプラセボ対照群(3匹最小及び7匹軽度)と比較した場合、分子HIP-002群(7匹最小及び3匹軽度)で低かった。
【0056】
膝注入方法群名称
変形性関節症が誘発された両方の群の動物において、関節包の中度のびまん性慢性炎症、及び関節腔に細胞片を伴うか又は伴わない最小から軽度の顆粒状の好塩基球性物質/好酸球性物質が観察された。関節腔の顆粒状の好塩基球性物質の発生率及び重症度は、両方の群で同等であったが、関節包のびまん性慢性炎症の重症度は、プラセボ対照群と比較した場合、HIP-002によって治療した群ではわずかに減少した。
【0057】
結論
手術によって誘発した変形性関節症(十字靭帯を通過する切開及び内側半月板の断裂)の後のHIP-002の皮下投与は、プレガバリン(経口)及びカルプロフェン(皮下)で治療した陽性対照動物、並びに未治療動物(プラセボ対照)と比較した場合、関節包のびまん性慢性炎症の発生率の低下と関連していた。
【0058】
更に、HIP-002投与は、未治療動物(プラセボ対照)と比較した場合、関節包のびまん性慢性炎症の発生率の低下と関連していた。
【0059】
組織病理:
36日目に動物を屠殺し、右膝を切開し、パラフィンに埋め込み、組織病理のために切片にした。軟骨を視覚化するための特別な組織化学的染色であるサフラニン-Oで、組織学的切片を染色した。
【0060】
図5では、軟骨を視覚化するための特別な組織化学的染色であるサフラニン-Oで、組織学的切片を(組織を赤で)染色した。手術による変形性関節症の誘発後、プラセボ(上)又はHIP-002(下)での治療後に切片を得た。HIP-002治療ラットとは異なり、プラセボ治療ラットの脛骨/大腿骨界面における損傷した軟骨に留意する。また、骨の象牙質化及び骨髄線維症の差異に留意されたい。1:軟骨損傷、2:骨髄の線維症、3:骨の象牙質化、4:維持された軟骨、5:維持された骨。
【0061】
図6では、初期病変(左上パネル)によるOAの誘発後、炎症性サイトカイン及びサブスタンスPが、それぞれ、炎症及び疼痛を媒介する免疫細胞及び感覚ニューロンによって放出された。サイトカイン及びサブスタンスPレベルを低減することによってHIP-002は作用し、したがって、傷害の慢性炎症によって引き起こされる更なる損傷が防止される。HIP-002(右上パネル)での治療後に、炎症及び疼痛が低減され、軟骨層が修復されている。しかしながら、未治療病変(下パネル)は、炎症及び浸潤した滑膜、壊死した軟骨、軟骨細胞の死、ニューロパチー疼痛の発症、及び関節の重度の障害に至る。
【0062】
上記のラットOA疼痛及び炎症モデルでは、手術(内側半月板の不安定化及び十字靭帯の切開)によって、OAを誘発する。手術の3又は8日後のいずれかに開始して、プラセボ(生理食塩水)、陽性対照(経口投与[po]した30mg/kgのプレガバリン+皮下投与[sc]した5mg/kgのカルプロフェン)、又はHIP-002の毎日の投与で、動物を毎日治療した。要因試験において、様々な用量のHIP-002を試験した。100mg/kg sc)の濃度が最適であることが、後に見出された。手術の最大56日後までの様々な時点で、疼痛応答についてラットを試験した。von Freyフィラメント足引っ込め閾値試験を使用して、触覚性アロディニアを評価した(
図7A)。静的体重負荷試験を使用して、進行中の疼痛/自然発生した疼痛を評価した(
図7B)。従来的な圧力印加方法による関節痛の評価(図示せず)の2つの他の試験も行った。
【0063】
HIP-002での治療は、触覚性アロディニア(7A)及び進行中の疼痛/自然発生した疼痛(7B)に関して顕著な疼痛緩和を提供した。両方の疼痛指標について、HIP-002は、少なくとも陽性対照と同程度有効であり、いくつかの種類の実験(静的体重負荷及びPAM)では優れていた。また、疼痛の減少は、HIP-002治療後のラットからの脊髄抽出物における神経ペプチド測定によって実証された。
図7Cは、疼痛についての既知のバイオマーカーであるサブスタンスPの顕著な減少のそのような一例を示す。
【0064】
実施例4
サイトカイン試験
HIP-002による炎症の低減はまた、炎症促進性サイトカイン及びケモカインのレベルの顕著な低減によって実証される。上に論じたラットOAモデルでは、HIP-002は、上に論じた炎症及び疼痛を低減すること、並びに機能性及び組織再生を改善することにおいて、従来的な(獣医使用)NSAID(非ステロイド抗炎症薬)カルプロフェンよりも優れていた。最も著しい結果のうちの1つは、血清サイトカイン及びケモカインバイオマーカーの低減であった(
図8及び9)。この低減は、概して、ほとんどの試験したサイトカインでは50%(P<0.001)程度であり、実験の終了(投与53日後)まで急速(24時間)かつ持続された。
【0065】
留意すべきは、IL-1ファミリーにおける2つの重要なサイトカインであるIL-1ベータ及びIL-18の著しい減少である。サイトカイン低減は速く、治療期間全体を通して持続された。HIP-002によるこの顕著な低減は、プラセボ及び比較薬NSAIDでの効果の欠如と対照的である(P<0.01)(
図8及び9を参照されたい)。等しく重要なのは、変形性関節症の膝関節の組織切片における白血球浸潤の顕著な減少であった。
【0066】
VEGF、IL-1、及びICAM-1、並びに他のいくつかは、HIP-002によって顕著に阻害され(
図8及び9を参照されたい)、これらのサイトカインは、とりわけ、がん及びより最近のCOVID-19を含むいくつかの疾患における血管内皮細胞の増殖に極めて重大な現象である血管新生を調節する。血管新生は、COVID-19の生物病理において重要な役割を果たすと考えられている。これらのCOVID-19患者において致死性を引き起こすサイトカインストームに起因する肺不全及び組織損傷。したがって、例えば、VEGFを低減することによって、HIP-002は、血管新生を低減し、サイトカインストームを低減し、患者の生存率を改善し得る。血管の血管新生において、COVID-19の肺生物病理が、等しく重度のインフルエンザウイルス感染の肺生物病理とは異なることを最近のデータは示している(13)(Ackermann et al.New Engl.J.Med.May 21,2020)。
【0067】
例えば、多数のサイトカイン及びケモカインの過剰な産生は、多くの場合、ウイルス、特にSARS-Cov-2感染後に見られる攻撃的な免疫応答が付随する急性炎症の一部である。多元的であろうとも、抗炎症応答の不十分な制御によって、「サイトカインストーム」と記載される状態がもたらされる(14、15)。一部の患者では、過剰なサイトカインストームは、マクロファージ及びウイルス感染した樹状細胞によって追加のサイトカイン/ケモカインを刺激し、これによって、炎症部位に移動し、追加のケモカイン/サイトカインを放出してサイトカインストームを増幅する炎症細胞が、より多く誘因される。最終的に、ストームは圧倒的になり、重度の組織傷害、最終的には、特に併存疾患を有する対象において致命的である敗血症及び多臓器不全を生じ得る。サイトカインストームを遮断するために、グルココルチコイド薬、すなわち強力なデキサメタゾンは、臨床試験での試験に成功しており、その結果、重度のCovid-19疾患の症例において抗炎症薬として現在使用されている(16)。しかしながら、グルココルチコイドの免疫抑制作用、並びに他の望ましくない副作用は、COVID-19におけるそれらの使用を制限し得る(17)。対照的に、HIP-002の好ましい安全性及び有効性プロファイルによって、HIP-002は、COVID-19に対してより好適である可能性が高いと考えられる。
【0068】
結論:HIP-002は、血管新生及び炎症を調節するいくつかのサイトカインを強く阻害するので、COVID-19に対する重要な治療手段を提供する。サイトカインストーム及び血管新生を低減することは、COVID-19の致死性を克服するのに重要である。
【0069】
提案された分子作用機序
安息香酸ナトリウム(BZN)、並びに酪酸フェニル(PBA)及び/又は酢酸フェニルの生理学的及び薬理学的効果の根底にある正確な機序を、以下に示す。重要な特色は、(他のヒストン修飾剤のような)HDAC及び(ステロイドホルモンと同様の様式での)活性化PPARγ遺伝子調節に対する直接阻害を示唆している。
【0070】
図10では、HIP-002は、細胞核における、2つの別個ではあるが相補的な経路(1)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害、それによるクロマチンリモデリングの調節、及び(2)PPARγと転写複合体との相互作用を生じ、最終的に生理学的応答を調節する重要な細胞タンパク質の発現を可能にする、PPARの活性化を標的とする、2つの分子単位から作製される。
【0071】
好ましい実施形態が、上に記載され、添付の図面に例示されているが、本開示から逸脱することなく修正が行われ得ることは当業者には明白であろう。そのような修正は、本開示の範囲に含まれる可能性のある変形例と見なされる。
【0072】
〔参考文献一覧〕
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17.J.A.Polderman et al.,Adverse side effects of dexamethasone in surgical patients.Cochrane Database Syst Rev 8,Cd011940(2018).
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】カラギーナン誘発性急性炎症研究設計の時間経過を示す。
【
図2】HIP-002が、カラギーナン誘発性白血球組織浸潤を低減する組織実施例を示す。
【
図3】
図3Aは、HIP-002での治療が、カラギーナン誘発性白血球浸潤を低減することを示し、
図3BはHIP-002が、カラギーナン誘発性足浮腫を低減することを示し、
図3Cは、従来的な方法(10、11)によって試験して、対照(プラセボ)と比較して、HIP-002が、疼痛に関連するアロディニアを顕著に低減することができ、NSAID陽性対照(インドメタシン)よりも低減することができることを示す。
【
図4】
図4Aは、PPARγ活性のインビトロアッセイでのHIP-002の効果を示し、
図4Bは、HDAC活性のインビトロアッセイでのHIP-002の効果を示す。
【
図5】プラセボ及びHIP-002で治療したラットにおける組織病理の実施例を示す。
【
図6】前臨床データに基づいて、OA膝組織におけるHIP-002の提案された作用機序を示す誇張画像である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、HIP-002が、手術によって誘発された変形性関節症(OA)を有するラットの疼痛及び血清中のサイトカインレベルを低減することを示し、
図7Cは、HPLC-MSによってアッセイした、脊髄抽出物中のサブスタンスPのレベルに対するHIP-002の効果を示す。
【
図8】HIP-002が、手術によって誘発された変形性関節症(OA)を有するラットの疼痛及び血清中のサイトカインレベルを低減することを示す。
【
図9】HIP-002が、手術によって誘発された変形性関節症(OA)を有するラットの疼痛及び血清中のサイトカインレベルを低減することを示す。
【
図10】ゲノムレベルでのHIP-002の提案された分子作用機序を示す。
【国際調査報告】