(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】標的-E3リガーゼの有効な組合せのスクリーニング法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20230721BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230721BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230721BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230721BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230721BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230721BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230721BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230721BHJP
C07K 16/40 20060101ALI20230721BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230721BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20230721BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20230721BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
C07K16/28
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P37/06
A61P25/28
A61P29/00
G01N33/53 D
C12Q1/02
C07K16/40
C07K16/46
C12N5/10 ZNA
C12N15/54
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022577768
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2021066696
(87)【国際公開番号】W WO2021255280
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/055551
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514116305
【氏名又は名称】ユーエムセー・ユトレヒト・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】モーリス,マデロン マリア
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
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4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを同定する方法に関し、膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、膜結合型タンパク質の強制的な二量体化に際して、好ましくは膜結合型タンパク質のユビキチン化によって、膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させることができる場合に、組合せは有効である。本発明の方法は、ヘテロ二機能性分子に細胞を曝すステップを含み、ヘテロ二機能性分子は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に特異的に結合することができる第1の結合ドメイン、および膜結合型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる第2の結合ドメインを含む。本方法は、さらに、膜結合型タンパク質の表面レベルの減少を決定するステップを含む。さらに、本発明は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質の有効な組合せを標的とするヘテロ二機能性分子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを同定する方法であって、前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、ヘテロ二機能性分子への同時結合時に、好ましくは膜結合型タンパク質のユビキチン化により、膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させることができる場合に、前記組合せは有効であり、前記方法は、
a)前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび前記膜結合型タンパク質を、その細胞表面に発現する細胞を提供するステップと;
b)前記細胞を前記ヘテロ二機能性分子に曝すステップであて、前記ヘテロ二機能性分子は、
i)前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に特異的に結合することができる第1の結合ドメイン;および
ii)前記膜結合型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる第2の結合ドメイン
を含む、ステップと;
c)前記細胞の前記膜結合型タンパク質の表面レベルを決定するステップ
とを含み、前記膜結合型タンパク質の表面レベルの減少は、前記組合せが有効な組合せであることを示し、前記減少は、好ましくは、ステップb)の前の、前記細胞の前記膜結合型タンパク質の表面レベルと比較した減少である、方法。
【請求項2】
前記膜結合型タンパク質が膜貫通タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、RNF43、RNF167、ZNRF3、RNF13、AMFR、MARCH1、MARCH2、MARCH4、MARCH8、MARCH9、RNF149、RNF145、RNFT1、RNF130およびRNF128からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
- 前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、第1の細胞外非天然エピトープタグを含み、前記ヘテロ二機能性分子の前記第1の結合ドメインが、前記第1の非天然エピトープタグに結合すること;および
- 前記膜結合型タンパク質が、第2の細胞外非天然エピトープタグを含み、前記ヘテロ二機能性分子の前記第2の結合ドメインが、前記第2の非天然エピトープタグに結合すること
のうちの少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2の非天然エピトープタグが異なるタグである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の非天然エピトープタグが、アルファタグおよびE6タグのうちの少なくとも1つであり、ならびに/または前記第2の非天然エピトープタグが、アルファタグおよびE6タグのうちの少なくとも1つである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2の非天然エピトープタグのうちの少なくとも1つが、それぞれ前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび前記膜結合型タンパク質の
i)N末端;
ii)C末端;および/または
iii)細胞外ループ領域
のうちの少なくとも1つに位置する、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヘテロ二機能性分子が、二重特異性抗体、好ましくは二重特異性ナノボディである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ヘテロ二機能性分子の前記第1の結合ドメインが、抗Alpha VHHであり、前記第2の結合ドメインが抗E6 VHHであり、または前記ヘテロ二機能性分子の前記第1の結合ドメインが抗E6 VHHであり、前記第2の結合ドメインが抗Alpha VHHである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記膜結合型タンパク質が、第3の非天然エピトープタグを含み、および/または前記膜貫通ユビキチンE3リガーゼが、第4の非天然エピトープタグを含み、好ましくは、前記第3および/または第4のエピトープタグが、His-タグ、FLAG-タグ、およびmyc-タグのうちの少なくとも1つである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップc)における前記膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、細胞表面上の前記タンパク質を、好ましくは免疫蛍光法によって、検出することによって決定される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の前の、前記膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または少なくとも約95%減少し、好ましくはステップb)の前における前記膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約60%、70%、80%、90%または少なくとも約95%減少した場合に、前記組合せは有効である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップa)において、第1および第2の細胞が提供され、
- 前記第1の細胞が、第1の膜貫通E3ユビキチンリガーゼと第1の膜結合型タンパク質とを、その細胞表面に発現し;および
- 前記第2の細胞が、第2の膜貫通E3ユビキチンリガーゼと第1の膜結合型タンパク質とを、その細胞表面を発現し、
前記第1および第2の膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、同一の第1の細胞外非天然エピトープタグを含む異なるリガーゼであり;
ステップb)において、前記第1および第2の細胞が、ヘテロ二機能性分子に曝され、前記ヘテロ二機能性分子が、
i)前記第1の細胞外非天然エピトープタグに特異的に結合することができる第1の結合ドメインと;
ii)前記膜結合型タンパク質の細胞外部分、好ましくは、前記第2の非天然エピトープタグに特異的に結合することができる第2の結合ドメインと
を含み、
ステップc)において、前記第1および第2の細胞の前記膜結合型タンパク質の表面レベルを決定し、前記第1の細胞における前記膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の後における前記第2の細胞における前記膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または少なくとも約95%減少する場合に、組合せは有効である、請求項4~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
細胞表面において、第3、第4またはさらなる膜貫通E3ユビキチンリガーゼそれぞれと前記第1の膜結合型タンパク質とを発現する第3、第4またはさらなる細胞が提供され、
前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、同一の第1の細胞外非天然エピトープタグを含む異なるリガーゼであり、
前記第1の細胞における前記膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の後における前記第2の、第3の、第4のおよびさらなる細胞における前記膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または少なくとも約95%減少する場合に、前記組合せは有効であり、
好ましくは、前記方法が多重化された方法で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記膜結合型タンパク質の表面レベルの前記減少が、好ましくは顕微鏡検査、生化学分析および/またはFACSによって測定した場合、前記細胞における前記膜結合型タンパク質の総量の減少によって決定される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップa)における提供される前記細胞が、前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび前記膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つを過剰発現、必要に応じて永久的に過剰発現する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ステップa)において提供される前記細胞が、前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび前記膜結合型タンパク質を内因性レベルで発現する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ステップa)において提供される前記細胞において、前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼをコードするゲノム配列が、前記第1の、および必要に応じた第4の、非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むように改変されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップa)において提供される前記細胞において、前記膜結合型タンパク質をコードするゲノム配列が、前記第2の、および必要に応じた第3の、非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むように改変されている、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記ヘテロ二機能性分子が、前記第1の結合ドメインと前記第2の結合ドメインとの間にペプチドリンカーを含み、好ましくは前記ペプチドリンカーが(GGGGS)nであり、nは好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15であり、好ましくはnは3または5である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
第1および第2の結合ドメインを含むヘテロ二機能性分子であって、
i)前記第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができ;および
ii)前記第2の結合ドメインは、膜貫通タンパク質に特異的に結合することができ、
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法において決定した場合、前記膜貫通E3リガーゼおよび前記膜結合型タンパク質が有効な組合せである、ヘテロ二機能性分子。
【請求項22】
前記膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分および前記膜結合型タンパク質の細胞外部分と結合する、請求項21に記載のヘテロ二機能性分子。
【請求項23】
前記膜貫通タンパク質が受容体であり、好ましくは、がん、自己免疫疾患、神経障害および炎症性障害のうちの少なくとも1つに関与する受容体である、請求項21または22に記載のヘテロ二機能性分子。
【請求項24】
二重特異性抗体、好ましくは二重特異性ナノボディである、請求項21~23のいずれか1項に記載のヘテロ二機能性分子。
【請求項25】
医薬として使用するための請求項21~24のいずれか一項に記載のヘテロ二機能性分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子細胞生物学の分野、特に標的分子療法およびがん細胞生物学の分野に関する。本発明は、標的膜結合型タンパク質とE3ユビキチンリガーゼとの有効な組合せをスクリーニングし、これらの発見された有効な組合せを同時に標的とするヘテロ二機能性分子の生成する方法に関する。したがって、本発明は、膜結合型タンパク質の内在化を仲介するために、膜貫通ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質に同時に結合することができるヘテロ二機能性分子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞は、外部化学シグナルを捕捉し、細胞内シグナル伝達カスケードを開始して細胞応答を駆動する、細胞膜に埋め込まれた受容体の活性により、細胞の周囲とコミュニケーションをとる。細胞表面での受容体の利用可能性は、シグナル特異性および感受性の重要な決定因子であり、これらの事象の誤った調節は、しばしば、限定されないが、がん、自己免疫疾患、神経学的障害および炎症性障害などの疾患の発生または進行、ならびに治療抵抗性に関連する。
【0003】
例えば、受容体(例えば、EGFR、ERBB2、PDGFR、TGFβR、IGFR1、GHR、FZD、LRP6)の突然変異活性化または過剰発現は、多数の組織における主要なものであり、広く認識されているがん促進メカニズムである。がん細胞の異常受容体活性への依存性は、種々の中和抗体および低分子阻害剤の開発を誘発した。しかしながら、受容体活性の中和に成功するためには、毒性を誘発することなく、高い有効性を示すのに十分な血漿濃度に達する強力な結合剤の生成が必要であり、非共有結合性相互作用物質の場合には困難であると判明することがある。さらに、代償性受容体の安定化または上方制御は、耐性の主要な経路である。
【0004】
膜結合受容体のサイトゾル領域がユビキチンで翻訳後修飾されると、誘導されたエンドサイトーシスを介して細胞表面から受容体が急速に除去される。内在化された受容体は、その後、リソソーム分解に供されることがある。健常な幹細胞では、高レベルのWntシグナル伝達は、細胞表面からの、Wntの受容体であるFrizzled(FZD)のユビキチン化および除去を媒介することが公知である、2つの相同な膜結合ユビキチンリガーゼであるRNF43およびZNRF3の発現を誘導する(Koo et al, Nature 2012, 488(7413):665-9)。したがって、この負のフィードバックループは、細胞表面上のFrizzled(FZD)受容体の実効数を制御することにより、Wntに対する幹細胞の感度を調節するのに役立つ。FZDに対するRNF43/ZNRF3の活性は、LGR4/5受容体およびRNF43/ZNRF3と複合体を形成する分泌型タンパク質R-スポンジン(RSPO)によって幹細胞ニッチにおいて中和される(Hao et al, Nature 2012, 485(7397):195-200)。次に、この三量体RSPO-LGR4/5-RNF43/ZNRF3複合体は、細胞表面から除去され、FZD受容体発現の安定化およびWntシグナル伝達のレベルの増加をもたらす。Wntシグナル伝達は、しばしば、がんにおいて誤って調節される。このようながんは、RNF43およびZNRF3を含むWnt標的遺伝子の発現増加を示す。
【0005】
E3ユビキチンリガーゼは、タンパク質基質に対するユビキチンを搭載しているユビキチン結合体化E2酵素を呼び寄せ(recruit)、ユビキチンのタンパク質基質への転移を助けるか、または直接触媒する。
【0006】
膜貫通ユビキチンE3リガーゼによって媒介される受容体のユビキチン化は、エンドサイトーシスおよびそれに続くユビキチン化基質の分解をもたらすことが公知である。このような分解が、好ましくは、リソソーム内で行われることは、当該技術分野において公知である。リソソーム分解には、モノユビキチン、マルチユビキチン、Lys11、Lys29、Lys48またはLys63連結ポリユビキチン鎖の、膜結合受容体へのライゲーションが必要である。これは、サイトゾルユビキチンリガーゼの活性とは対照的に、主にプロテアソーム分解経路、すなわち、Lys11、Lys29またはLys48連結ポリユビキチン鎖の、サイトゾル標的タンパク質へのカップリングによるプロテアソーム分解経路を利用する。
【0007】
したがって、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、E2酵素ファミリーの異なるメンバーと相互作用して、膜結合基質を選択的に標的とする可能性がある。ユビキチン化された基質は、取り込まれ、好ましくはリソソーム分解を介して、その後分解され得る。
【0008】
膜結合受容体、特に疾患の発生または進行に関与する膜結合受容体の活性を効果的に標的化し、阻害することが、当該技術分野において依然として強く必要とされている。例えば、がん、自己免疫疾患、神経学的障害、稀な疾患および炎症性障害の発生または進行、ならびに治療抵抗性に関与する膜結合受容体の活性を効果的に標的化し、阻害することが、当該技術分野において特に強く必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、以下の実施形態に要約される。
実施形態1.膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを同定する方法であって、膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、好ましくは膜結合型タンパク質のユビキチン化により、ヘテロ二機能性分子に同時結合すると、膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させることができる場合に、組合せは有効であり、この方法は、以下のステップ、
a)膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質を、細胞表面に発現する細胞を提供するステップと、
b)ヘテロ二機能性分子に細胞を曝すステップであって、ヘテロ二機能性分子が、
i)膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に特異的に結合することができる第1の結合ドメインと、
ii)膜結合型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる第2の結合ドメインと
を含む、ステップと、
c)細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを決定するステップと
を含み、
膜結合型タンパク質の表面レベルの減少は、その組合せが有効な組合せであることを示し、この減少は、好ましくは、ステップb)の前の、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルと比較しての減少である。
【0010】
実施形態2.膜結合型タンパク質が膜貫通タンパク質である、実施形態1に記載の方法。
【0011】
実施形態3.膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、RNF43、RNF167、ZNRF3、RNF13、AMFR、MARCH1、MARCH2、MARCH4、MARCH8、MARCH9、RNF149、RNF145、RNFT1、RNF130およびRNF128からなる群から選択される、実施形態1または2に記載の方法。
【0012】
実施形態4.
- 膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、第1の細胞外非天然エピトープタグを含み、ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインが、第1の非天然エピトープタグに結合すること
;および
- 膜結合型タンパク質が、第2の細胞外非天然エピトープタグを含み、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインが、第2の非天然エピトープタグに結合すること
のうちの1つである、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0013】
実施形態5.第1および第2の非天然エピトープタグが異なるタグである、実施形態4に記載の方法。
【0014】
実施形態6.第1の非天然エピトープタグが、アルファタグおよびE6タグのうちの少なくとも1つであり、ならびに/または第2の非天然エピトープタグが、アルファタグおよびE6タグのうちの少なくとも1つである、実施形態4または5に記載の方法。
【0015】
実施形態7.第1および第2の非天然エピトープタグの少なくとも1つが、それぞれ膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質の
i)N末端;
ii)C末端;および/または
iii)細胞外ループ領域
のうちの少なくとも1つに位置する、実施形態4~6のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
実施形態8.ヘテロ二機能性分子が、二重特異性抗体、好ましくは、二重特異性ナノボディである、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
実施形態9.ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインが抗アルファVHHであり、第2の結合ドメインが抗E6 VHHであるか、またはヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインが抗E6 VHHであり、第2の結合ドメインが抗アルファVHHである、実施形態8に記載の方法。
【0018】
実施形態10.膜結合型タンパク質が第3の非天然エピトープタグを含む、および/または膜貫通ユビキチンE3リガーゼが第4の非天然エピトープタグを含み、好ましくは第3および/または第4のエピトープタグがHis-タグ、FLAG-タグおよびmyc-タグのうちの少なくとも1つである、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施形態11.ステップc)における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、細胞表面上のタンパク質を検出することによって、好ましくは免疫蛍光によって決定される、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
実施形態12.膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の前の、膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または少なくとも約95%減少し、好ましくはステップb)の前の、膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約60%、70%、80%、90%または少なくとも約95%減少した場合に、組合せは有効である、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
実施形態13.ステップa)において、第1および第2の細胞が提供され、
- 第1の細胞が、第1の膜貫通E3ユビキチンリガーゼと第1の膜結合型タンパク質とを、その細胞表面に発現し;および
- 第2の細胞が、第2の膜貫通E3ユビキチンリガーゼと第1の膜結合型タンパク質とを、その細胞表面に発現し、
第1および第2の膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、同一の第1の細胞外非天然エピトープタグを含む異なるリガーゼであり;
ステップb)において、第1および第2の細胞が、ヘテロ二機能性分子に曝され、ヘテロ二機能性分子が、
i)第1の非天然エピトープタグに特異的に結合することができる第1の結合ドメインと;
ii)膜結合型タンパク質の細胞外部分、好ましくは、第2の非天然エピトープタグに特異的に結合することができる第2の結合ドメインと
を含み、
ステップc)において、第1および第2の細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを決定し、第1の細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の後の、第2の細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%または少なくとも約60%減少する場合に、組合せは有効である、実施形態4~11のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
実施形態14.細胞表面において、第3、第4またはさらなる膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび第1の膜結合型タンパク質をそれぞれ発現する第3、第4またはさらなる細胞が提供され、
膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、同一の第1の細胞外非天然エピトープタグを含む異なるリガーゼであり、
第1の細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の後の、第2の、第3の、第4のおよびさらなる細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または少なくとも約95%減少する場合に、組合せは有効であり、
および/または方法が多重化された方法で行われる、実施形態13に記載の方法。
【0023】
実施形態15.膜結合型タンパク質の表面レベルの減少が、好ましくは顕微鏡検査、生化学分析および/またはFACSによって測定した場合、細胞における膜結合型タンパク質の総量の減少によって決定される、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
実施形態16.ステップa)において提供される細胞が、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つを過剰発現、必要に応じて永久的に過剰発現する、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
実施形態17.ステップa)において用意される細胞が、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質を内因性レベルで発現する、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
実施形態18.ステップa)において用意される細胞において、膜貫通E3ユビキチンリガーゼをコードするゲノム配列が、第1の、および必要に応じた第4の非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むように改変されている、実施形態17に記載の方法。
【0027】
実施形態19.ステップa)において用意される細胞において、膜結合型タンパク質をコードするゲノム配列が、第2の、および必要に応じた第3の非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むように改変されている、実施形態17または18に記載の方法。
【0028】
実施形態20.ヘテロ二機能性分子が、第1の結合ドメインと第2の結合ドメインの間にペプチドリンカーを含み、好ましくはペプチドリンカーが(GGGGS)nであり、nは好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15であり、好ましくはnは3または5である、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
実施形態21.第1および第2の結合ドメインを含むヘテロ二機能性分子であって、
i)第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができ;および
ii)第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質に特異的に結合することができ、
実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法において決定した場合、膜貫通E3リガーゼおよび膜結合型タンパク質が有効な組合せである、ヘテロ二機能性分子。
【0030】
実施形態22.分子が、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分および膜結合型タンパク質の細胞外部分と結合する、実施形態21に記載のヘテロ二機能性分子。
【0031】
実施形態23.膜結合型タンパク質が、受容体、好ましくはがん、自己免疫疾患、神経障害、および炎症性障害のうちの少なくとも1つに関与する受容体である、実施形態21または22に記載のヘテロ二機能性分子。
【0032】
実施形態24.ヘテロ二機能性分子が二重特異性抗体、好ましくは二重特異性ナノボディである、実施形態21~23のいずれか1つに記載のヘテロ二機能性分子。
【0033】
実施例25.医薬として使用するための、実施形態21~24のいずれか1つに記載のヘテロ二機能性分子。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の例示的な実施形態の概略図である。本発明のヘテロ二機能性分子は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜貫通タンパク質に同時に結合する。その結果、膜貫通タンパク質はユビキチン化され、内在化され、分解されることになる。
【
図2】A/C二量体化剤の機能評価の図である。HEK293T細胞にRNF43-FKBPおよびTβRII-Flag-FRBをトランスフェクトし、A/C二量体化剤または同体積の100%エタノールで一晩処置した。Flag-M2ビーズを使用して、細胞溶解物からTβRII構築物を免疫沈降させた。IP試料と全細胞溶解物とをSDS-pageで分離し、ブロットしてFlagとRNF43を染色し、2つの構築物の間の結合を検出した。
【
図3】RNF43とTβRIIの強制的な二量体化により、両タンパク質の核周辺リソソームへの再局在が誘導される図である。(a)TβRII-Flag-FRBをトランスフェクトしたHEK293T細胞の共焦点画像。(B)RNF43-FKBPおよびTβRII-Flag-FRBをトランスフェクトしたHEK293T細胞の共焦点画像。細胞をA/C二量体化剤または同体積の100%エタノールで一晩処置した。TβRIIおよびRNF43を、それぞれFlagおよびRNF43染色によって可視化した。(C)CD63-GFP、RNF43-FKBPおよびTβRII-Flag-FRBをトランスフェクトしたHEK293T細胞の共焦点画像。細胞をA/C二量体化剤で一晩処置し、TβRII-Flag-FRBをFlag染色により可視化した。矢印は核周辺リソソームを示す。
【
図4】RNF43とTβRIIの強制的な二量体化によりTβRIIが分解される図である。HEK293T細胞にRNF43-FKBPおよびTβRII-Flag-FRBをトランスフェクトし、A/C二量体化剤または同体積の100%エタノールで一晩処置した。細胞溶解物をSDS-pageで分離し、ブロットしてFlagとRNF43を染色し、タンパク質レベルを可視化した。
【
図5】RNF43またはRNF167と受容体TβRIIまたはEGFRのVHHが媒介する二量体化は、受容体の内在化と核周辺部での共クラスター化を誘導する図である。細胞を固定する前に100nMのbi-VHHで5時間処理した。E3リガーゼはMyc染色で、受容体はFlag染色で可視化した。(A)E6-Flag-TβRIIとAlpha-Myc-RNF43、(B)E6-Flag-TβRIIとAlpha-Myc-RNF167、(C)E6-Flag-EGFRとAlpha-Myc-RNF43および(D)E6-Flag-EGFRとAlpha-Myc-RNF167をトランスフェクトしたHEK293T細胞の共焦点画像。矢印は、核周辺領域におけるE3リガーゼと受容体の共クラスター化を示す。
【
図6】二機能性VHH処理は、膜結合E3リガーゼが媒介する細胞表面からの膜貫通受容体の内在化を促進する図である。HEK293T細胞にE3リガーゼRNF43、RNF128、RNF130、RNF167のいずれか1つと受容体CTLA-4、FLT-3、PD-1、PD-L1をトランスフェクトした。細胞は未処理のままか、固定前に50nMのbi-VHHで一晩処理した。細胞表面に存在する受容体は、未透過性細胞のFlag染色により可視化した。(A)E6-Flag-CTLA-4とAlpha-Myc-RNF43またはAlpha-Myc-RNF167、(B)E6-Flag-FLT-3とMyc-RNF43、Alpha-Myc-RNF128またはAlpha-Myc-RNF167、(C)E6-Flag-PD-1とAlpha-Myc-RNF43、Alpha-Myc-RNF128、Alpha-Myc-RNF130またはAlpha-Myc-RNF167、および(D)E6-Flag-PD-L1とAlpha-Myc-RNF43、Alpha-Myc-RNF128、Alpha-Myc-RNF130またはAlpha-Myc-RNF167をトランスフェクトしたHEK293T細胞の共焦点画像を示す。
【
図7】二機能性VHH処理は、膜結合E3リガーゼが媒介する細胞表面からのIII型マルチスパンタンパク質CMTM6の内在化を促進する図である。(A)マルチスパンタンパク質の表面発現を検出するためのSnorkelタグの模式図。(B)HEK293T細胞に、E3リガーゼRNF43、RNF128、RNF130またはRNF167のうちの1つ、およびマルチスパン受容体CMTM6をトランスフェクトした。細胞は未処理のままか、固定前に50nMのbi-VHHで一晩処理した。細胞表面に存在する受容体は、非透過性細胞のFlag染色によって可視化された。E6-Flag-Snorkel-CMTM6およびAlpha-Myc-RNF43、Alpha-Myc-RNF128、Alpha-Myc-RNF130またはAlpha-Myc-RNF167をトランスフェクトしたHEK293T細胞の共焦点画像を示す。
【
図8-1】E3リガーゼと標的の組合せに対するbi-VHHの効果を内因性レベルで検証する図である。(A)内因性タグ付きタンパク質を生成するための戦略。
【
図8-2】E3リガーゼと標的の組合せに対するbi-VHHの効果を内因性レベルで検証する図である。(B)E3リガーゼと標的の組合せの内因性タグ付きバージョンを使用したbi-VHHによる標的の細胞表面除去のアプローチの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
定義
本発明の方法、組成物、製剤、使用および他の態様に関する種々の用語が、本明細書および特許請求の範囲を通して使用される。このような用語は、別段の指示がない限り、発明が属する当該技術分野における通常の意味を与えられるものとする。他の具体的に定義された用語は、本明細書において提供される定義と一致する方法で解釈されるべきである。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の試験のための実施において使用することができるが、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。
【0036】
本発明の方法において使用される従来技術を実施する方法は、当業者には明らかである。分子生物学、生化学、計算化学、細胞培養、組換えDNA、バイオインフォマティクス、ゲノミクス、配列決定および関連分野における従来技術の実践は、当業者に周知であり、例えば、以下の参考文献:Sambrook et al., Molecular Cloning. A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1989; Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1987、および定期的な更新;ならびにMethods in Enzymology, Academic Press, San Diegoのシリーズにおいて検討される。
【0037】
「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」:これらの単数形の用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示参照を含む。したがって、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。したがって、例えば、「細胞」への言及は、2つ以上の細胞の組合せなどを含む。
【0038】
「約」および「およそ」:これらの用語は、量、持続時間などの測定可能な値に言及する場合、このような変動が開示された方法を行うのに適しているように、指定された値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、さらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味する。加えて、量、比、および他の数値は、本明細書において、範囲形式で提示されることがある。このような範囲フォーマットは、便宜上簡潔に使用され、範囲の限界として明示的に指定された数値を含むように柔軟に理解されるべきであるが、また、個々の数値およびサブ範囲が明示的に指定されているように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値またはサブ範囲を含むように理解されるべきである。例えば、約1~約200の範囲の比は、約1および約200の明示的に記載された限界を含むと理解されるべきであるが、また、約2、約3および約4などの個々の比、ならびに約10~約50、約20~約100などのサブ範囲を含むと理解されるべきである。
【0039】
「および/または」:用語「および/または」は、記載された場合の1つ以上が、単独で、または記載された場合の少なくとも1つと組み合って、または記載された場合の最大でもすべてとともに、発生し得る状況を指す。
【0040】
「含んでいる」:この用語は、包括的およびオープンエンドであり、排他的ではないと解釈される。具体的には、この用語およびその変形は、特定された特徴、ステップまたは構成要素を含むことを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップまたは構成要素の存在を除外すると解釈されるべきではない。
【0041】
「例示的」:この用語は、「例、場合または例示として機能すること」を意味し、本明細書に開示される他の構成を除外すると解釈されるべきではない。
【0042】
用語「ヘテロ二機能性分子」は、本明細書において、2つの異なる機能性結合ドメインを含む分子として定義される。特に、本発明のヘテロ二機能性分子は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合するための第1の機能性結合ドメインと、第2の分子に結合するための別の第2の機能性結合ドメインとを有する。「ヘテロ二機能性」という名称がすでに示すように、第2の機能性結合ドメインは、第2の分子に結合し、第2の分子は、第1の機能性結合ドメインに結合することができる同一の分子ではない、すなわち、同一の膜貫通E3ユビキチンリガーゼではない。好ましくは、第2の機能性結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合しない。
【0043】
用語「タンパク質」または「ポリペプチド」とは、特定の作用様式、大きさ、3次元構造または起源を参照することなく、アミノ酸の鎖からなる分子を指す。したがって、タンパク質の「断片」または「部分」は、なおも「タンパク質」と称され得る。本明細書において定義され、本明細書において定義される任意の方法で使用されるタンパク質は、単離されたタンパク質であり得る。「単離されたタンパク質」は、もはや天然界にはない(例えば、インビトロまたは組換え細菌もしくは植物宿主細胞における)タンパク質を言及するために使用される。好ましくは、タンパク質は50を超えるアミノ酸残基を含む。
【0044】
用語「タンパク性分子」は、本明細書では、ペプチド(アミド)結合によって連結されたアミノ酸単量体の短鎖を含む分子として理解される。アミノ酸単量体の短鎖は、2つ以上のアミノ酸残基を含む。好ましくは、アミノ酸の鎖は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個のアミノ酸残基を有する。好ましくは、100個以下のアミノ酸残基が存在する。好ましくは、タンパク性分子中に50個以下のアミノ酸残基が存在する。好ましくは、タンパク性分子は、約2~100、3~50、4~40、または5~30個、または6~20個のアミノ酸残基を有する。好ましくは、タンパク性分子は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のアミノ酸残基を有する。必要に応じて、タンパク性分子は、環状タンパク性分子を生成するために、限定されないが、連結部分などの1つ以上のさらなる有機部分を含む。
【0045】
「アプタマー」は、好ましくは、特定のヌクレオチド配列を有する核酸分子である。アプタマーは、任意の適切な数のヌクレオチドを含むことができる。アプタマーは、RNAまたはDNAを含むか、またはリボヌクレオチド残基とデオキシリボヌクレオチド残基の両方を含むことができる。アプタマーは、一本鎖、二本鎖であるか、または二本鎖もしくは三本鎖領域を含有することができる。さらに、アプタマーは、例えば、その安定性を向上させるために、化学修飾された残基を含むことができる。
【0046】
アプタマーは、典型的には、約10~約300ヌクレオチドの長さである。より一般的には、アプタマーは、長さが約30~約100ヌクレオチドである。
【0047】
所定の標的(すなわち、膜貫通E3ユビキチンリガーゼまたはさらなる膜貫通タンパク質)に対するアプタマーは、(a)候補混合物を標的と接触させるステップであって、候補混合物中の他の核酸と比較して、標的に対する増大した親和性を有する核酸が、候補混合物の残りから分離され得るステップ;(b)増大した親和性核酸を候補混合物の残りから分離するステップ;および(c)増大した親和性核酸を増幅して核酸の濃縮された混合物を生じさせ、それによって標的分子のアプタマーが同定されるステップを含む方法を使用して、核酸の候補混合物から同定され得る核酸を含む。
【0048】
親和性相互作用は程度の問題であることが認識されているが、この文脈では、その標的に対するアプタマーの「特異的結合親和性」は、アプタマーが、一般的には、混合物または試料中の他の非標的成分に結合するよりもはるかに高い程度の親和性でその標的に結合することを意味する。
【0049】
アプタマーは、同じ環境中の他の物質が核酸と複合体化されない環境下で意図された標的分子と複合体を形成することができる特異的結合領域を有する。結合の特異性は、そのリガンドに対するアプタマーの比較解離定数(Kd)を、環境中の他の材料または全般的に無関係な分子に対するアプタマーの解離定数と比較する点から定義することができる。典型的には、そのリガンドに関するアプタマーのKdは、環境中の無関係な材料または付随する材料とのアプタマーのKdよりも少なくとも約10倍小さい。さらにより好ましくは、Kdは、少なくとも約50倍小さく、より好ましくは少なくとも約100倍小さく、最も好ましくは少なくとも約200倍小さい。
【0050】
ある実施形態では、膜貫通タンパク質に結合するアプタマーは、1mM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。ある実施形態では、抗膜貫通タンパク質抗体は、異なる種間で保存されるエピトープに結合する。
【0051】
ある実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合するアプタマーは、1mM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。ある実施形態では、抗膜貫通タンパク質抗体は、異なる種間で保存されたエピトープに結合する。
【0052】
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には、所望の生物学的および/または免疫学的活性を示す限り、例えば、モノクローナル抗体、例えばアゴニストおよびアンタゴニスト、中和抗体、完全長または無傷モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多価抗体、一本鎖抗体および抗体の機能性断片、例えばFab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片、ダイアボディ、トリアボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、重鎖抗体、ナノボディをカバーする。
【0053】
用語「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書においては抗体と交換可能に使用される。抗体は、ヒトであり得、および/またはヒト化され得る。
【0054】
用語「抗膜貫通E3ユビキチンリガーゼ抗体」は、具体的には、所望の生物学的および/または免疫学的活性を示す限り、例えば、単一抗膜貫通E3ユビキチンリガーゼモノクローナル抗体、例えばアゴニストおよびアンタゴニスト、好ましくはアゴニスト、中和抗体、完全長または無傷モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、裸の抗体、多価抗体、一本鎖抗膜貫通E3ユビキチンリガーゼ抗体および抗膜貫通E3ユビキチンリガーゼ抗体の断片、例えばFab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片、ダイアボディ、トリアボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、重鎖抗体およびナノボディをカバーする。好ましい抗体はナノボディであり得る。好ましくは、抗膜貫通E3ユビキチンリガーゼ抗体は、本明細書において下記に定義されるE3ユビキチンリガーゼに特異的に結合する。
【0055】
用語「抗膜貫通タンパク質抗体」は、具体的には、所望の生物学的および/または免疫学的活性を示す限り、例えば、単一抗膜貫通タンパク質モノクローナル抗体、例えばアゴニストおよびアンタゴニスト、好ましくはアンタゴニスト、中和抗体、完全長または無傷モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、裸の抗体、多価抗体、一本鎖抗膜貫通タンパク質抗体および抗膜貫通タンパク質抗体の断片、例えばFab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片、ダイアボディ、トリアボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、重鎖抗体およびナノボディをカバーする。好ましい抗体はナノボディであり得る。好ましくは、抗膜貫通タンパク質抗体は、本明細書において下記に定義される膜貫通タンパク質に特異的に結合する。
【0056】
用語「抗膜貫通E3ユビキチンリガーゼ抗体」または「膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合する抗体」とは、抗体が本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインとして有用であるように、十分な親和性で膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合することができる抗体を指す。好ましくは、非関連タンパク質に対する抗膜貫通E3ユビキチンリガーゼ抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)またはELISAによって測定した場合、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに対する抗体の結合の約10%未満である。ある実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合する抗体は、1mM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。ある実施形態では、抗膜貫通E3ユビキチンリガーゼ抗体は、異なる種間で保存されたエピトープに結合する。
【0057】
用語「抗膜貫通タンパク質抗体」または「膜貫通タンパク質に結合する抗体」とは、抗体が本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインとして有用であるように、十分な親和性で特異的または選択された膜貫通タンパク質に結合することができる抗体を指す。好ましくは、無関係なタンパク質に対する抗膜貫通タンパク質抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)またはELISAによって測定した場合、膜貫通タンパク質に対する抗体の結合の約10%未満である。ある実施形態では、膜貫通タンパク質に結合する抗体は、1mM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。ある実施形態では、抗膜貫通タンパク質抗体は、異なる種間で保存されたエピトープに結合する。
【0058】
目的の抗原、すなわち、膜貫通E3ユビキチンリガーゼまたは目的のさらなる膜貫通タンパク質に「結合する」抗体は、抗体が本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインまたは第2の結合ドメインとしてそれぞれ有用であるように、十分な親和性で前記抗原に結合する抗体である。
【0059】
ヘテロ二機能性分子中の第1の結合ドメインとしてまたは第2の結合ドメインとして作用する抗体は、基本的な4鎖抗体であり得る。このような基本的な4鎖抗体単位は、好ましくは、2つの同一の軽鎖(L)および2つの同一の重鎖(H)で構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドとともに5つの基本的なヘテロ四量体単位からなり、したがって、10個の抗原結合部位を含有し、一方、分泌型IgA抗体は、重合して、J鎖とともに2~5個の基本的4鎖単位を含む多価集合体を形成することができる)。
【0060】
IgGの場合、4鎖単位は、一般的に約150,000ダルトンである。各L鎖は1つの共有結合ジスルフィド結合によってH鎖に連結されるが、一方、2つのH鎖は、H鎖のアイソタイプによって1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結される。各H鎖とL鎖はまた、規則的に離れた鎖内ジスルフィド架橋を有する。各H鎖はN末端に可変ドメイン(VH)を有し、続いて、αおよびγ鎖の各々に関する3つの定常ドメイン(CH)、μおよびεアイソタイプに関する4つのCHドメインを有する。各L鎖はN末端に可変ドメイン(VL)を有し、続いて、他の末端に定常ドメイン(CL)を有する。VLはVHと整列し、CLは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖可変ドメインの間に界面を形成すると考えられる。VHとVLの対合はともに、単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造および性質については、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8th edition, Daniel P. Stites, Abba I. Terr and Tristram G. Parslow (eds.), Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, page 71 and Chapter 6を参照されたい。
【0061】
任意の脊椎動物種由来のL鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κとλと呼ばれる2つの明確に区別されるタイプのうちの1つに割り当てることができる。重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つのクラスの免疫グロブリンが存在し、それぞれα、δ、ε、γおよびμと称される重鎖を有する。γおよびαクラスは、CH配列および機能における比較的小さな差異に基づいてサブクラスにさらに分けられ、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2を発現する。
【0062】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは「VH」と称され得る。軽鎖の可変ドメインは「VL」と称され得る。これらのドメインは、一般的に、抗体の最も可変的な部分であり、抗原結合部位を含有する。
【0063】
用語「可変」とは、可変ドメインのあるセグメントが抗体間で配列が大きく異なることを指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する。しかしながら、可変ドメインの110アミノ酸スパンにわたって、可変性は均一に分布していない。代わりに、V領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる15~30アミノ酸の比較的不変なストレッチからなり、各9~12アミノ酸長の「超可変領域」(HVR)と呼ばれる極端に可変性であるより短い領域で区切られている。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、各々4つのFRを含み、主にβシート構造を採用し、3つの超可変領域によって接続され、これらは、βシート構造を接続し、場合によってはその一部を形成するループを形成する。各鎖中の超可変領域は、FRによって近接して一緒に保持され、他の鎖からの超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照されたい)。定常ドメインは抗原に対する抗体の結合に直接的には関与しないが、抗体依存性細胞毒性(ADCC)における抗体の関与などの種々のエフェクター機能を示す。
【0064】
「無傷」抗体は、抗原結合部位ならびにCLおよび少なくとも重鎖定常ドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む抗体である。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそれらのアミノ酸配列バリアントであり得る。
【0065】
「抗体断片」は、無傷抗体の一部、好ましくは、少なくとも無傷抗体の抗原結合および/または可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片;ダイアボディ;トリアボディ;線形抗体(米国特許第5,641,870号明細書、Example2; Zapata et al., Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]を参照されたい);一本鎖抗体分子;および抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。一実施形態では、抗体断片は、無傷抗体の抗原結合部位を含み、したがって、抗原に結合する能力を保持する。
【0066】
用語「ナノボディ」は、当該技術分野において周知である。ナノボディは、重鎖のみの抗体のVHHドメインを含むかまたはそれからなる抗体断片である。用語「ナノボディ」、「単一ドメイン抗体」および「単一ドメイン抗体断片」は、本明細書において互換的に使用することができる。単一ドメイン抗体断片は、単一のモノマー可変抗体ドメイン、好ましくは約12~15kDaの分子量を有する。ナノボディは、全抗体と同様に、特異的抗原に選択的に結合することができる。ナノボディは、ヒトコブラクダ、ラクダ、ラマ、アルパカまたはサメから誘導可能であり得る。好ましいナノボディは、ラクダ科から誘導可能であり、好ましくはラマから誘導可能である。
【0067】
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合性断片、および容易に結晶化する能力を反映する名称である、残りの「Fc」断片を生成する。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)および1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とともになったL鎖全体からなる。各Fab断片は、抗原結合に関して一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。
【0068】
抗体のペプシン処置は単一の大きなF(ab’)2断片を生じ、これは二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片にほぼ対応し、なおも抗原を架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にさらなる少数の残基を有することによって、Fab断片と異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’についての本明細書における名称である。F(ab’)2抗体断片は、元来、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的カップリングもまた公知である。
【0069】
Fc断片は、ジスルフィドによってともに保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、この領域はまた、あるタイプの細胞に見出されるFc受容体(FcR)によって認識される部分である。
【0070】
「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含有する最小の抗体断片である。この断片は、しっかりとして非共有結合的に会合した、1つの重鎖および1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種において、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖および重鎖が、2本鎖Fv種におけるものと類似した「二量体」構造で会合することができるように、可撓性ペプチドリンカーによって共有結合的に連結され得る。これら2つのドメインのフォールディングから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖およびL鎖からの各々3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、抗原を認識および結合する能力を有するが、結合部位全体よりも低い親和性である。
【0071】
「一本鎖Fv」はまた、「sFv」または「scFv」とも略されるが、単一のポリペプチド鎖に接続されたVHおよびVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVHとVLドメイン間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。
【0072】
用語「モノクローナル抗体」とは、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る、可能な天然に存在する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、異なる決定基(エピトープ)へと方向づけられる異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、単一の抗原部位へと方向づけられる。モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されずに合成され得るという点で有利である。修飾語句「モノクローナル」は、いかなる特定の方法によっても抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明のヘテロ二機能性分子中の第1または第2の結合ドメインとして有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法論によって調製することができるか、または細菌、真核生物動物もしくは植物の細胞において組換えDNA法を用いて作製することができる(例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0073】
本明細書にけるモノクローナル抗体は、所望の生物活性を示す限り、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同であり、一方、鎖(複数可)の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体、ならびにこのような抗体の断片を包含する(米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)を参照されたい)。本明細書における目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界猿、類人猿など)に由来する可変ドメイン抗原結合配列、およびヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体が含まれる。
【0074】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、そのレシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の抗体特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種の超可変領域(ドナー抗体)由来の残基で置換される。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンの少数のフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基で置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体中に見出されない残基を含み得る。これらの改変は、抗体性能をさらに改良するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、典型的には、2つの可変ドメインを含み、超可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体はまた、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含む。詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照されたい。また、以下の概説記事およびそこに引用されている参考文献を参照されたい:Vaswani and Hamilton, Ann. Allergy, Asthma and Immunol., 1:105-115 (1998); Harris, Biochem. Soc. Transactions, 23:1035-1038 (1995); Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech., 5:428-433 (1994)。
【0075】
用語「超可変領域」、「HVR」は、本明細書で使用される場合、配列において超可変である、および/または抗原結合に関与する構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は、6つの超可変領域;VH中に3つ(H1、H2、H3)、およびVL中に3つ(L1、L2、L3)を含む。多数の超可変領域の輪郭が使用されており、本明細書に包含される。超可変領域は、一般的に、「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、Kabat番号付けシステムに従って番号付けした場合、VL中のほぼ約残基24-34(L1)、50-56(L2)および89-97(L3)、ならびにVH中のほぼ約31-35(H1)、50-65(H2)および95-102(H3);Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))および/または「超可変ループ」由来のそれらの残基(例えば、Chothia番号付けシステムに従って番号付けした場合、VL中の残基24-34(L1)、50-56(L2)および89-97(L3)、ならびにVH中の26-32(H1)、52-56(H2)および95-101(H3);Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));および/または「超可変ループ」/CDRからのそれらの残基(例えば、IMGT番号付けシステムに従って番号付けした場合、VL中の残基27-38(L1)、56-65(L2)および105-120(L3)、ならびにVH中の27-38(H1)、56-65(H2)および105-120(H3);Lefranc, M. P. et al. Nucl. Acids Res. 27:209-212 (1999), Ruiz, M. et al. Nucl. Acids Res. 28:219-221 (2000))を含む。必要に応じて、抗体は、Honneger, A. and Plunkthun, A. J. (Mol. Biol. 309:657-670 (2001))に従って番号付けした場合、以下の点:VL中の28、36(L1)、63、74-75(L2)および123(L3)、ならびにVH中の28、36(H1)、63、74-75(H2)および123(H3)のうちの1つ以上で対称的挿入を有する。本発明の抗体の超可変領域/CDRは、IMGT番号付けシステムに従って定義され、番号付けされることが好ましい。
【0076】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書において定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0077】
「ブロッキング」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を阻害または低減させるものである。好ましいブロッキング抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を実質的にまたは完全に阻害する。
【0078】
「アゴニスト抗体」は、本明細書で使用される場合、目的のポリペプチドの機能性活性のうちの少なくとも1つを模倣する抗体である。
【0079】
「結合親和性」とは、一般的に、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)の間の非共有結合相互作用の総和の強度を指す。別段の指示がない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1の相互作用を反映する内因性結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般的に解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含め、当該技術分野において公知である一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般的にゆっくりと抗原に結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は、一般的により速く抗原に結合し、より長く結合し続ける傾向がある。結合親和性を測定する種々の方法が当該技術分野において公知であり、そのいずれも本発明の目的のために使用することができる。具体的な例示的実施形態を以下に記載する。
【0080】
「Kd」または「Kd値」は、約10~50応答単位(RU)の固定化抗原CM5チップを用いて25℃でBIAcore(商標)-2000またはBIAcore(商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いる表面プラズモン共鳴アッセイを用いることによって測定することができる。簡単に説明すると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore Inc.)は、供給者の使用説明書に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化される。抗原をpH4.8の10mM酢酸ナトリウムで5μg/ml(約0.2μM)に希釈した後、5μl/分の流速で注入し、カップリングしたタンパク質の約10応答単位(RU)を達成する。抗原の注入後、1Mエタノールアミンを注射して、未反応基をブロックする。動力学測定のために、0.05%Tween 20を含むPBS(PBST)中の抗体またはFab(0.78nM~500nM)の2倍系列希釈物を、25℃にて約25μl/分の流速で注入する。会合速度(kon)と解離速度(koff)を、会合と解離センサグラムを同時に適合させることにより、簡単な1対1 Langmuir結合モデル(BIAcore評価ソフトウエア バージョン3.2)を用いて計算した。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として計算した。例えば、Chen, Y., et al., (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照されたい。上記表面プラズモン共鳴アッセイによりオンレートが106M-1S-1を超える場合、オンレートは、ストップフロー付き分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌レッドキュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定した場合、増加した濃度の抗原の存在下、PBS、pH7.2中の20nM抗抗原抗体(Fab形態)の25℃で蛍光発光強度の増減(励起=295nm;発光=340nm、16nm帯域通過)を測定する蛍光消光技術を用いることによって決定することができる。
【0081】
また、本発明による「オンレート」または「会合の速度」または「会合速度」または「kon」は、上述のように、BIAcore(商標)-2000またはBIAcore(商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いて上述の同じ表面プラズモン共鳴技術で決定することができる。
【0082】
好ましくは、第1または第2の結合ドメインとしてヘテロ二機能性分子に使用するための抗体は、他のタンパク質と有意に交差反応しない。
【0083】
本発明のヘテロ二機能性分子の用語「抗原結合タンパク質」および「結合ドメイン」は、本明細書において互換的に使用することができる。
【0084】
用語「エピトープ」は、本発明のヘテロ二機能性分子の第1または第2の結合ドメインによってそれぞれ結合される分子の一部である。この用語は、抗原結合タンパク質に特異的に結合することができ、例えば、本明細書において以下に定義されるヘテロ二機能性分子の第1または第2のドメインに特異的に結合することができる任意の決定基を含む。エピトープは、連続的または非連続的であり得る(例えば、ポリペプチドにおいて、ポリペプチド配列において互いに連続していないが、分子の文脈内にあるアミノ酸残基は、抗原結合タンパク質によって結合される)。エピトープは、好ましくは、本明細書において定義される膜貫通E3ユビキチンリガーゼ上に、または本明細書において定義される目的のさらなる膜貫通タンパク質上に存在する。
【0085】
エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、スルホニルまたは硫酸基などの分子の化学的に活性表面基群を含み得、特異的な三次元構造特性、および/または特異的な電荷特性を有し得る。一般的に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質および/または高分子の複合体混合物中の標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。
【0086】
本明細書中の用語「Fc領域」は、天然配列Fc領域およびバリアントFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は異なることがあるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、Cys226位のアミノ酸残基、またはPro230からそのカルボキシル末端まで延びるものと定義される。Fc領域のC末端リシン(EU番号付けシステムによる残基447)は、例えば、抗体の製造もしくは精製中に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え的に操作することによって除去することができる。
【0087】
用語「Fc領域を含む抗体」とは、Fc領域を含む抗体を指す。Fc領域のC末端リシン(EU番号付けシステムによる残基447)は、例えば、抗体の精製中に、または抗体をコードする核酸を組換え的に操作することによって除去することができる。したがって、本発明によるFc領域を有する抗体を含むヘテロ二機能性分子は、K447を有するかまたはK447が除去された抗体を含むことができる。
【0088】
「アミノ酸配列」:これは、タンパク質の、またはタンパク質内のアミノ酸残基の順序を指す。換言すると、タンパク質中のアミノ酸の任意の順序はアミノ酸配列と称され得る。
【0089】
「ヌクレオチド配列」:これは、核酸の、または核酸内のヌクレオチドの順序を指す。換言すれば、核酸中のヌクレオチドの任意の順序はヌクレオチド配列と称され得る。
【0090】
用語「相同性」、「配列同一性」などは、本明細書において互換的に使用される。配列同一性は、本明細書において、配列を比較することによって決定した場合、2つ以上のアミノ酸(ポリペプチドまたはタンパク質)配列間または2つ以上の核酸(ポリヌクレオチド)配列間の関連として定義される。当該技術分野において、「同一性」はまた、場合に応じて、このような配列のストリング間の一致によって決定した場合、アミノ酸配列間または核酸配列間の配列関連性の程度を意味する。2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列およびその保存されたアミノ酸置換を第2のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。
【0091】
用語「相補性」は、本明細書では、完全に相補的な鎖(例えば、第2の鎖または逆鎖)に対するヌクレオチド配列の配列同一性として定義される。例えば、100%相補的(または完全に相補的)である配列は、本明細書では、相補的な鎖と100%の配列同一性を有すると理解され、例えば、本明細書では、80%相補的な配列は、(完全に)相補的な鎖と80%の配列同一性を有すると理解される。
【0092】
「同一性」および「類似性」は、公知の方法によって容易に計算することができる。「配列同一性」および「配列類似性」は、2つの配列の長さに依存して、全体的または局所的アラインメントアルゴリズムを用いて、2つのペプチド配列または2つのヌクレオチド配列を整列させることによって決定することができる。同様の長さの配列は、好ましくは、全長にわたって配列を最適に整列させるグローバルアラインメントアルゴリズム(例えば、Needleman Wunsch)を使用して整列され、実質的に異なる長さの配列は、好ましくは、ローカルアラインメントアルゴリズム(例えば、Smith Waterman)を使用して整列される。次に、配列は、(例えば、既定のパラメーターを使用してプログラムGAPまたはBESTFITによって最適に整列された場合に)配列同一性(以下に定義される)の少なくともある最小パーセンテージを共有する場合、「実質的に同一」または「本質的に類似」と称され得る。GAPは、NeedlemanおよびWunschグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して、全長(完全長)にわたって2つの配列を整列し、マッチの数を最大化し、ギャップ数を最小化する。グローバルアラインメントは、2つの配列が類似した長さを有する場合、配列同一性を決定するために適切に使用される。一般的に、GAPデフォルトパラメーターを使用し、ギャップ生成ペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)およびギャップ伸長ペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)である。ヌクレオチドについては、使用されるデフォルトスコアリングマトリックスはnwsgapdnaであり、タンパク質については、デフォルトスコアリングマトリックスはBlosum62である(Henikoff & Henikoff, 1992, PNAS 89, 915-919)。配列アラインメントおよび配列同一性パーセンテージのスコアは、Accelrys Inc.,9685 Scranton Road,San Diego,CA 92121-3752 USAから入手可能なGCG Wisconsin Package、バージョン10.3などのコンピュータプログラムを用いて、または上記のGAPと同じパラメーターを使用して、EmbossWIN バージョン2.10.0のプログラム「needle」(グローバルNeedleman Wunsch アルゴリズムを使用する)もしくは「water」(ローカルSmith Waterman アルゴリズムを使用する)などのオープンソースソフトウェアを使用して、またはデフォルト設定(「needle」と「water」の両方、およびタンパク質とDNAアラインメントの両方について、デフォルトギャップオープンペナルティは 10.0であり、デフォルトギャップ拡張ペナルティは0.5であり;デフォルトスコアリングマトリックスは、タンパク質の場合はBlosum62、DNAの場合はDNAFullである)を使用して決定され得る。配列が実質的に異なる全長を有する場合、Smith Watermanアルゴリズムを使用するものなどのローカルアラインメントが好ましい。
【0093】
代わりに、パーセンテージ類似性または同一性は、FASTA、BLASTなどのアルゴリズムを使用して、公開データベースに対して検索することによって決定することができる。したがって、本発明の核酸配列およびタンパク質配列は、さらに、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を同定するために、公開データベースに対して検索を行うための「クエリー配列」として用いることができる。このような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のBLASTnおよびBLASTxプログラム(バージョン2.0)を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、BLASTxプログラム、スコア=50、ワード長=3で行うことができる。比較目的でギャップ付きアラインメントを得るために、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17): 3389-3402に記載されるGapped BLASTを利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、BLASTxおよびBLASTn)のデフォルトパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/で国立バイオテクノロジー情報センターのホームページを参照されたい。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「予防する」、「予防すること」、および「予防」とは、疾患、好ましくは本明細書において以下に定義される疾患の再発、開始、発症もしくは進行の予防または低減、または疾患もしくはその1つ以上の症状の重症度および/もしくは持続期間の予防または低減を指す。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「治療」および「治療」とは、疾患、好ましくは本明細書において以下に定義される疾患、またはその1つ以上の症状の予防、処置、管理または改善において使用することができる任意のプロトコール(複数可)、方法(複数可)および/または薬剤(複数可)を指すことができる。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」および「処置」とは、疾患、好ましくは本明細書において以下に定義される疾患の進行、重症度、および/もしくは持続期間の低減または改善を指し、ならびに/あるいは疾患の1つ以上の症状を低減または改善する。
【0097】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」とは、疾患の重症度および/もしくは期間を低減し、その1つ以上の症状を改善し、疾患の進展を妨げ、または疾患の退行を引き起こすのに十分であるか、あるいは疾患またはその1つ以上の症状の発症、再発、開始もしくは進行の予防をもたらし、または別の治療(例えば、別の治療剤)の予防効果および/または治療効果を増強もしくは向上させるのに十分である治療、例えば、予防剤または治療剤、好ましくは本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子の量を指す。好ましくは、疾患は、本明細書において以下に定義される疾患である。
【0098】
本発明は、膜結合型タンパク質の標的化された内在化およびその後の分解のために、ヘテロ二機能性分子を採用する本発明の概念に関する。本発明のヘテロ二機能性分子は、膜貫通ユビキチンリガーゼと、がん促進受容体などの膜結合型タンパク質に同時に結合することができる。所望の標的膜貫通タンパク質とのユビキチンリガーゼの誘導された近接(すなわち、「強制的な二量体化」)は、標的のユビキチン化、続いて、細胞表面からの除去およびその後の分解をもたらす。例えば、結果として、がん細胞の増殖が損なわれる。本発明の例示的実施形態の概略図は、
図1に提供される。
【0099】
このアプローチの利点は、少なくとも以下を含む:
i)本発明のヘテロ二機能性分子は、従来の「占有ベースの」治療法と比較した場合、標的分子と比較して化学量論量以下の量の分子のみを必要とする、強力な効力の増加を可能にする。
ii)2種のタンパク質、すなわち、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質の、必要とされる特異的結合もまた、潜在的なオフ標的毒性を低減させる。好ましくは、細胞膜に局在化し、がん細胞において増加した発現を示すユビキチンリガーゼが採用される。
iii)標的タンパク質分解は、十分な量の新しい膜貫通タンパク質を合成するのに時間が必要とされるため、長期の薬力学的作用をもたらす。
iv)ヘテロ二機能性分子は細胞外タンパク質部分に結合し、したがって、細胞膜を通過する必要はない。
v)がん細胞は、自己再生特性を有するがん細胞におけるRNF43およびZNRF3などのいくつかのタイプの膜貫通E3ユビキチンリガーゼを豊富に発現することが公知である。この例では、4つの対立遺伝子が、ユビキチン化活性を示すタンパク質を産生し、突然変異による不活性化および耐性の可能性を低下させる。
【0100】
本発明者らはさらに、すべての膜結合型タンパク質が、任意の膜貫通E3ユビキチンリガーゼによって効果的に標的化され得るわけではないこと、すなわち、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに膜結合型タンパク質を近接させることは、必ずしも膜結合型タンパク質の細胞表面除去をもたらすわけではないことを発見した。したがって、有効なヘテロ二機能性分子の開発のためには、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの近傍に置かれた場合に膜結合型タンパク質の有効な内在化をもたらす組合せを決定するためのスクリーニング法を採用するべきである。
【0101】
本発明者らは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質の効果的な組合せ、例えば、膜貫通ユビキチンE3リガーゼと膜結合型タンパク質の誘導された近接(「強制的な二量体化」)が膜結合型タンパク質の細胞表面除去をもたらす組合せについてスクリーニングするための効率的な方法を発見した。この直截的な方法を用いて、効果的なヘテロ二機能性分子が構築され、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質の効果的な組合せを標的とすることができる。
【0102】
本明細書に記載される方法の特別な利点は、単一のヘテロ二機能性分子を用いて、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との異なる組合せをスクリーニングすることができることであり、例えば、すべての膜貫通E3ユビキチンリガーゼに対して同一の第1のエピトープを用い、すべての膜結合型タンパク質に対して同一の第2のエピトープを用いることによる。これは、可変結合親和性などの異なるヘテロ二機能性分子間に存在し得る任意の変動性を考慮する必要なく、有効な組合せを決定するための客観的な方法を提供する。
【0103】
したがって、一態様では、本発明は、第1および第2の結合ドメインを含むヘテロ二機能性分子に関する。第1の結合ドメインは膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができ、第2の結合ドメインは特異的な膜結合型タンパク質に結合することができる。膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との組合せは、好ましくは、本明細書に記載されるスクリーニング方法を用いて同定される。
【0104】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との同時結合は、これら2つの分子を互いに近接するようにする。結果として、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、その後、膜結合型タンパク質をユビキチン化することができる。
【0105】
したがって、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とへのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜結合型タンパク質のユビキチン化をもたらす。
【0106】
ユビキチン化は、ユビキチン化タンパク質の分解をもたらすことが公知である。したがって、さらに、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質へのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜結合型タンパク質の分解をもたらす。
【0107】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質の同時結合は、これら2つの分子を互いに近接するようにする。結果として、膜結合型タンパク質は内在化され、好ましくはその後分解され得る。
【0108】
スクリーニング法
疾患の処置において使用するために本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子などの天然エピトープに結合するヘテロ二機能性分子の製造に先立って、最初に、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを同定することができる。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、膜結合型タンパク質の表面レベルを、好ましくはE3リガーゼと膜結合型タンパク質が互いに近接するとき、すなわち、好ましくは膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質の強制的な二量体化が存在するときに、好ましくは膜結合型タンパク質のユビキチン化により、減少させることができる場合、その組合せは有効な組合せであると考えられる。したがって、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質の強制的な二量体化に際して、膜結合型タンパク質の表面レベルを、好ましくは膜結合型タンパク質のユビキチン化により、減少させることができる場合、組合せは有効な組合せであると考えられる。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質は、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子に同時に結合することによって、近接がもたらさせる。したがって、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質のヘテロ二機能性分子との、好ましくは本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子への同時結合の際に、膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させることができる場合、その組合せは有効な組合せであると考えられる。
【0109】
本発明者らは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との適切な組合せ、例えば、本明細書で定義するヘテロ二機能性分子によって効果的に標的化できる組合せを効果的にスクリーニングする方法を開発した。
【0110】
したがって、一態様では、本発明は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを同定する方法に関し、膜貫通E3ユビキチンリガーゼが膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させることができる場合に、その組合せは有効な組合せである。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、膜結合型タンパク質のユビキチン化、好ましくは、続いて、ユビキチン化された膜結合型タンパク質の内在化によって、膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させることができる場合に、組合せは有効な組合せである。内在化されたユビキチン化された膜結合型タンパク質は、その後、分解され得、好ましくはリソソームで分解され得る。好ましくは、本方法は、
a)膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質を、その細胞表面に発現する細胞を用意するステップと;
b)細胞をヘテロ二機能性分子に曝すステップであって、ヘテロ二機能性分子は、
i)膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に特異的に結合することができる第1の結合ドメイン;および
ii)膜結合型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる第2の結合ドメイン
を含む、ステップと;
c)細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを決定するステップ
とを含み、膜結合型タンパク質の表面レベルの減少は、その組合せが有効な組合せであることを示す。好ましくは、減少は、ステップb)の前の、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルと比較した減少である。好ましくは、タンパク質レベルの減少は、ヘテロ二機能性分子に曝されていない同一または類似の細胞の膜結合型タンパク質のタンパク質レベルと比較した場合の減少、例えば、本発明の方法のステップa)において提供される細胞の膜結合型タンパク質のタンパク質レベルと比較した場合の減少である。
【0111】
本発明は、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させる方法にさらに関係する。本方法は、好ましくは、
a)膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質を、その細胞表面に発現する細胞を用意するステップと;ならびに
b)細胞を本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子に曝すステップ
を含む。ヘテロ二機能性分子は、
i)膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に特異的に結合することができる第1の結合ドメイン;および
ii)膜結合型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる第2の結合ドメイン
を含む。
【0112】
本方法は、好ましくは、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを決定するステップc)をさらに含む。減少は、好ましくは、ステップb)の前の、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルと比較した減少である。好ましくは、タンパク質レベルの減少は、ヘテロ二機能性分子に曝されていない同一または類似の細胞の膜結合型タンパク質のタンパク質レベルと比較した場合の減少、例えば、本発明の方法のステップa)において提供される細胞の膜結合型タンパク質のタンパク質レベルと比較した場合の減少である。
【0113】
本方法は、好ましくは、ex vivo法、好ましくはin vitro法である。
【0114】
ステップa):細胞の用意
本発明の方法のステップa)において、細胞が用意される。膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質の発現に適した任意の細胞は、本発明の方法に使用されてもよい。細胞は、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質を、その細胞表面で発現する。好ましくは、細胞は不死化細胞、好ましくは細胞株、好ましくはがん細胞株である。細胞は、細菌、酵母、植物または動物細胞であり得る。好ましくは、細胞は動物細胞である。好ましい動物細胞は脊椎動物細胞であり、好ましくはげっ歯類または霊長類の細胞、好ましくはマウスまたはヒトの細胞である。細胞は、細胞培養物、細胞株、生検およびオルガノイドであり得るか、またはその一部であり得る。好ましくは、細胞は、患者由来の組織、好ましくは培養した患者由来の組織の一部であるか、またはそれに由来する。細胞は、生検またはオルガノイド、好ましくは腫瘍オルガノイドの一部であるか、またはそれに由来する。生検は、切除生検、切開生検またはコア生検であり得る。オルガノイドは、好ましくはがんオルガノイドである。オルガノイドは、好ましくは患者由来のオルガノイドであり、好ましくは腫瘍オルガノイドである。
【0115】
好ましい細胞は、ヒト細胞であり、好ましくはがん細胞、免疫細胞および神経細胞のうちの少なくとも1つである。好ましい細胞は、ヒト細胞株、好ましくはヒトがん細胞株、ヒト免疫細胞株および/またはヒト神経細胞株である。細胞株は不死化細胞株であり得る。好ましくは、細胞はHEK293T細胞である。
【0116】
提供される細胞は、膜結合型タンパク質および/または膜貫通E3ユビキチンリガーゼを内因性レベルで発現し得るか、または膜結合型タンパク質および/または膜貫通E3ユビキチンリガーゼの発現を誘導または増加させるように修飾され得る。さらにまたは代わりに、細胞は、本明細書において定義される1つ以上の非天然エピトープタグを含む膜貫通E3ユビキチンリガーゼ、および/または本明細書において定義される1つ以上の非天然エピトープタグを含む膜結合型タンパク質を発現するように修飾することができる。(非天然の)エピトープを含む膜貫通E3ユビキチンリガーゼ、および(非天然の)エピトープを含む膜結合型タンパク質は、好ましくは、同一の細胞において発現される。
【0117】
提供される細胞、好ましくは細胞株は、野生型または「天然」膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび野生型膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つを発現することができる。野生型膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび野生型膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つは、細胞内で過剰発現され得る。細胞は、野生型膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび野生型膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つを一過性に過剰発現し得る。必要に応じて、野生型膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび野生型膜結合型タンパク質の少なくとも1つは、細胞内で恒常的に過剰発現していてもよい。
【0118】
代わりに、またはさらに、提供される細胞、好ましくは細胞株は、操作された膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび操作された膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つを発現することができる。操作された膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、本明細書において定義される第1の、および必要に応じた第4の、非天然エピトープタグを含む。操作された膜結合型タンパク質は、本明細書において定義される第2の、および必要に応じた第3の、非天然エピトープタグを含む。提供される細胞は、操作された膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび操作された膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つを一過性に過剰発現することができる。必要に応じて、細胞は、操作された膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび操作された膜結合型タンパク質の少なくとも1つを恒常的に過剰発現してもよい。
【0119】
操作された膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび操作された膜結合型タンパク質の少なくとも1つの発現、必要に応じて恒常的発現は、当業者によって当技術分野で知られている任意の従来の手段を使用して達成することができる。例えば、恒常的発現は、例えば、(操作された)膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび(操作された)膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つを発現する発現カセットを細胞のゲノムに組み込むことによって達成され得る。
【0120】
(必要に応じて、非天然エピトープ(複数可)を含む)膜貫通E3ユビキチンリガーゼの発現は、その天然プロモーターによって、または非天然プロモーター、例えば、限定されないが、構成的に活性なプロモーターによって制御され得る。(必要に応じて、非天然エピトープ(複数可)を含む)膜結合型タンパク質の発現は、その天然プロモーターによって、または非天然プロモーター、例えば、限定されないが、構成的に活性なプロモーターによって制御され得る。
【0121】
(必要に応じて、非天然エピトープ(複数可)を含む)膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび(必要に応じて、非天然エピトープ(複数可)を含む)膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つをコードする配列は、一過性または永久的な発現のために、提供される細胞に導入することができる。必要に応じて、コード配列(複数可)は、細胞に導入される発現カセットに含まれる。発現カセットは、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの発現を制御し、および/または膜結合型タンパク質の発現を制御する1つ以上のエレメントをさらに含む。好ましい発現エレメントは、天然プロモーターまたは非天然プロモーターである。発現カセットは、発現ベクターの一部であってもよい。好ましい発現ベクターは、裸のDNA、DNA複合体またはウイルスベクターである。好ましい裸のDNAは、直鎖状または環状の核酸分子であり、例えば、プラスミドである。プラスミドは、標準的な分子クローニング手法などによって、追加のDNAセグメントを挿入することができる環状の二本鎖DNAループを指す。DNA複合体は、DNAを細胞内に送達するのに適した任意の担体に結合したDNA分子であり得る。好ましい担体は、リポプレックス、リポソーム、ポリマソーム、ポリプレックス、ウイルスベクター、デンドリマー、無機ナノ粒子、ビロソームおよび細胞貫通ペプチドからなる群から選択される。
【0122】
提供される細胞は、非天然エピトープタグ(複数可)を含む膜貫通E3ユビキチンリガーゼ、および非天然エピトープタグ(複数可)を含む膜結合型タンパク質を内因性レベルで発現するように修飾されていてもよい。非限定的な例として、第1の、および必要に応じた第4の、非天然エピトープタグをコードする配列を、提供される細胞のゲノム配列に組み込むことができる。さらに、同細胞において、第2の、および必要に応じた第3の、非天然エピトープタグをコードする配列を、提供される細胞のゲノム配列に組み込むことができる。
【0123】
したがって、膜貫通E3ユビキチンリガーゼをコードする提供された細胞のゲノム配列は、第1の、および必要に応じて第4の非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むように改変され得る。改変されたゲノム配列は、好ましくは、本明細書で定義される第1の、および必要に応じて第4の非天然エピトープタグを含む膜貫通E3ユビキチンリガーゼをコードし発現する。好ましくは、提供された同細胞において、膜結合型タンパク質をコードするゲノム配列を修飾して、第2の、および必要に応じた第3の、非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むことができる。改変されたゲノム配列は、好ましくは、本明細書で定義される第2の、および必要に応じて第3の非天然エピトープタグを含む膜結合型タンパク質をコードし発現する。
【0124】
第1、第2、ならびに必要に応じて第3および第4の非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むための標的ゲノム改変の方法は当業者によく知られており、第1、および必要に応じて第4の非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むために、または第2、および必要に応じて第3の非天然エピトープタグをコードする配列を組み込むために、ゲノムの位置に二本鎖切断を生成する部位特異的エンドヌクレアーゼを含むがこれに限定されない。好ましい部位特異的ヌクレアーゼは、CRISPR-Casシステムである。好ましくは、生成された二本鎖切断は、ゲノム中の単一の位置に対して固有である。あるいは、二本鎖切断は、2つ以上のゲノム位置で生成され得、二本鎖切断のうちの少なくとも1つは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼをコードする配列内もしくはその近傍にあるか、または膜結合型タンパク質をコードする配列内もしくはその近傍にあり、それぞれ、第1または第2のタグ、および必要に応じた第3および/または第4のタグをコードする配列を取り込む。
【0125】
当業者は、限定されないが、修飾された細胞用に選択するための選択カセットなどの追加の配列をゲノムに組み込むことができることを直截的に理解する。このような選択カセットは、好ましくは、遺伝子間領域またはイントロン領域、好ましくは、膜貫通ユビキチンE3リガーゼのイントロンおよび/または膜結合型タンパク質のイントロンに組み込まれる。
【0126】
したがって、第1の、および必要に応じた第4の非天然エピトープタグは、i)膜貫通E3ユビキチンリガーゼをコードする配列内またはその近傍に二本鎖切断を生成する部位指向性ヌクレアーゼ、およびii)第1の、および必要に応じた第4のタグをコードする配列を含むオリゴヌクレオチドまたはドナープラスミドを細胞に導入するステップによって、細胞のゲノムに導入することができる。二本鎖切断は、好ましくは、成熟膜貫通E3ユビキチンリガーゼが第1の、および必要に応じた第4のタグを含むような位置に位置する。好ましくは、二本鎖切断は、シグナルペプチドと成熟膜貫通ユビキチンE3リガーゼとの間に第1の、および必要に応じた第4のタグが位置するような位置に位置する。好ましくは、二本鎖切断は、第1の、および必要に応じた第4のタグが細胞外に配置されるような位置に位置する。好ましくは、二本鎖切断は、第1の、および必要に応じた第4のタグのうちの少なくとも1つが、成熟膜貫通ユビキチンE3リガーゼのN末端またはその近傍に配置するような位置に位置する。代わりに、またはさらに、第1の、および必要に応じた第4のタグのうちの少なくとも1つは、成熟膜貫通ユビキチンE3リガーゼのC末端またはその近傍に位置され得る。代わりに、またはさらに、第1の、および必要に応じた第4のタグのうちの少なくとも1つは、成熟膜貫通ユビキチンE3リガーゼの細胞外ループ領域に位置され得る。
【0127】
第1の、および必要に応じた第4の、非天然エピトープタグを含む膜貫通ユビキチンリガーゼを発現する細胞を、本明細書において定義されるスクリーニング方法において使用することができる。この実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、第1の非天然型エピトープタグに特異的に結合するための第1の結合ドメインを含み得、第2の結合ドメインは、野生型膜貫通タンパク質に存在する天然型エピトープに結合し得る。
【0128】
好ましくは、同細胞において、第2の、および必要に応じた第3の、非天然エピトープタグを、細胞に、i)膜結合型タンパク質をコードする配列内またはその近傍に二本鎖切断を生成する部位特異的ヌクレアーゼ、ならびにii)第2の、および必要に応じた第3の、タグをコードする配列を含むオリゴヌクレオチドまたはドナープラスミドを、導入するステップによって、細胞のゲノムに導入することができる。好ましくは、二本鎖切断は、第2の、および必要に応じた第3の、タグが細胞外に配置されるような位置に位置する。二本鎖切断は、好ましくは、成熟膜結合型タンパク質が、N末端に第2の、および必要に応じた第3の、タグを含むような位置に位置する。代わりに、またはさらに、第2の、および必要に応じた第3の、タグのうちの少なくとも1つは、膜結合型タンパク質のC末端にまたはその近傍に位置され得る。代わりに、またはさらに、第2の、および必要に応じた第3の、タグのうちの少なくとも1つは、膜結合型タンパク質の細胞外ループ領域に位置され得る。
【0129】
オリゴヌクレオチドまたはドナープラスミドは、好ましくは、相同配列依存的修復を促進するための配列を含む。
【0130】
代わりに、またはさらに、第1の、第2の、ならびに必要に応じた第3の、および第4の、非天然エピトープタグは、CRISPR-Casプライム編集技術を用いてゲノムに導入され得る。
【0131】
必要に応じて、上記のCRISPR技術などのCRISPR技術を用いて、限定されないが、機能性リガーゼドメインを欠く膜貫通E3ユビキチンリガーゼの生成などの、本明細書において定義される方法のための適切な対照を生成することができる。
【0132】
ステップb):ヘテロ二機能性分子への細胞の曝露
ヘテロ二機能性分子に細胞を曝すステップb)は、好ましくは、ヘテロ二機能性分子が膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜貫通タンパク質と同時に結合することを可能にする条件下である。このような条件は当業者に周知である。非限定的な例として、ヘテロ二機能性分子を細胞培地に直接添加することができる。
【0133】
本発明の方法のステップb)において使用されるヘテロ二機能性分子の濃度は変化し得る。例えば、濃度は、ヘテロ二機能性分子および/または膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび/または膜結合型タンパク質に存在するエピトープに依存し得る。ヘテロ二機能性分子の濃度は、標準的な技術を用いて実験的に決定することができる。好ましくは、細胞に曝されるヘテロ二機能性分子の濃度は、約0.1nM~1000nM、約0.5nM~500nM、約5nM~100nM、約20nM~80nM、または約40nM~60nMである。ヘテロ二機能性分子の濃度は、好ましくは約50nMである。本明細書に記載されるヘテロ二機能性分子は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質に同時結合することができる。膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、好ましくは、本明細書に記載される膜貫通E3ユビキチンリガーゼである。
【0134】
膜結合型タンパク質は、好ましくは膜貫通タンパク質である。膜貫通タンパク質は、I型、II型およびIII型膜貫通タンパク質のうちの少なくとも1つであり得る。膜貫通タンパク質は、いわゆる「マルチスパン」タンパク質であり得る。膜貫通タンパク質は、本明細書に記載される膜貫通タンパク質であり得る。
【0135】
細胞をヘテロ二機能性分子に曝す期間は、好ましくは、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、22もしくは24時間であり、または好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6もしくは7日である。
【0136】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つは、野生型タンパク質、例えば、ゲノム中に天然にコードされ、必要に応じて、提供される細胞中に存在する(発現する)タンパク質であり得る。膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質は、好ましくは、同じ細胞内で発現される。必要に応じて、野生型タンパク質の少なくとも1つが、提供される細胞において過剰に発現される。したがって、必要に応じて、本発明の方法において使用するための野生型膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、提供される細胞において誘導または増加した発現を有する。必要に応じて、本発明の方法において使用するための野生型膜結合型タンパク質は、提供される細胞において誘導または増加した発現を有する。本発明の方法において使用するためのヘテロ二機能性分子は、好ましくは、野生型膜貫通E3ユビキチンリガーゼに存在する(天然の)エピトープに結合することができる第1の結合ドメインを含み、および/または野生型膜結合型タンパク質、好ましくは野生型膜貫通タンパク質に天然に存在する(天然の)エピトープに結合することができる第2の結合ドメインを含む。
【0137】
代わりに、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質の少なくとも1つは、野生型タンパク質ではない。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、第1の非天然エピトープタグを含む。好ましくは、第1の非天然エピトープタグは、ユビキチンリガーゼの細胞外部分に位置する。したがって好ましくは、第1の非天然エピトープタグは、提供された細胞の細胞表面上に露出する。好ましくは、第1の非天然エピトープタグは、
i)膜貫通E3ユビキチンリガーゼのN末端;
ii)膜貫通E3ユビキチンリガーゼのC末端;および/または
ii)膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外ループ領域
にまたはその近傍に位置する。
【0138】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼが第1の非天然エピトープタグを含む場合、ヘテロ二機能性分子は、好ましくは、第1の非天然エピトープタグに選択的に結合する第1の結合ドメインを含む。
【0139】
好ましくは、膜結合型タンパク質は、第2の非天然エピトープタグを含む。好ましくは、第2の非天然エピトープタグは、膜結合型タンパク質の細胞外部分に位置する。したがって、好ましくは、第2の非天然エピトープタグは、提供された細胞の細胞表面上に露出する。
【0140】
好ましくは、第2の非天然エピトープタグは、
i)膜結合型タンパク質のN末端;
ii)膜結合型タンパク質のC末端;および/または
iii)膜結合型タンパク質の細胞外ループ領域
にまたはその近傍に位置する。
【0141】
膜結合型タンパク質が第2の非天然エピトープタグを含む場合、ヘテロ二機能性分子は、好ましくは、第2の非天然エピトープタグに選択的に結合する第2の結合ドメインを含む。
【0142】
本発明の好ましい方法において、細胞は、ヘテロ二機能性分子に曝され、ヘテロ二機能性分子は、
i)膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に位置する第1の非天然エピトープタグに特異的に結合することができる第1の結合ドメイン;および
ii)膜結合型タンパク質の細胞外部分に位置する第2の非天然エピトープタグに特異的に結合することができる第2の結合ドメイン
を含む。
【0143】
「非天然エピトープタグ」は、本明細書では、野生型の天然に存在するタンパク質には通常存在しないエピトープとして理解される。「エピトープ」および「エピトープタグ」という用語は、本明細書では互換的に使用されてもよい。
【0144】
第1の非天然エピトープタグは、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に位置する。膜貫通E3ユビキチンリガーゼが細胞外N末端部分を含む場合、第1のエピトープ、好ましくは、第1の非天然エピトープは、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの元のN末端にまたはその近傍に位置する。必要に応じて、元のN末端と第1のエピトープとの間に追加のアミノ酸残基が位置する。必要に応じて、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの元のN末端と、第1の、任意選択で非天然の、エピトープとの間に約10~100個、5~50個または約1~10個のアミノ酸残基が位置する。これらのアミノ酸残基は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに対して天然であってもよく、または膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、これらの追加のアミノ酸残基によってさらに伸長されてもよい。
【0145】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼが細胞外C末端部分を含む場合、第1のエピトープ、好ましくは、第1の非天然エピトープは、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの元のC末端にまたはその近傍に位置する。必要に応じて、元のC末端と第1のエピトープとの間に追加のアミノ酸残基が位置する。必要に応じて、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの元のC末端と、第1の、任意選択で非天然の、エピトープとの間に約10~100個、5~50個、または約1~10個のアミノ酸残基が位置する。これらのアミノ酸残基は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに対して天然であってもよく、または膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、これらの追加のアミノ酸残基によってさらに伸長されてもよい。
【0146】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼがN末端および/またはC末端の細胞外部分を含むか否かにかかわらず、第1の、必要に応じて、非天然の、エピトープタグは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外ループ領域に、代わりにまたはさらに位置されてもよい。
【0147】
代わりに、またはさらに、第1の非天然エピトープタグは、例えば、限定されないが、元の細胞内N末端および/もしくはC末端にまたはその近傍に位置する、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞内部分に隣接して位置する1つ以上のアミノ酸残基によって伸長されてもよい。この実施形態では、非天然エピトープタグは、膜を跨ぐドメインによって伸長され得、膜を跨ぐドメインは、タグ、好ましくは、本明細書において定義されるペプチド-タグまたはタンパク質-タグの細胞外発現を引き起こす。このような延長されたタグの非限定的な例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/116076号およびBrown et al (PLoS One, 2013 Sep 2;8(9):e73255(「Snorkelタグ」))に記載されている。非天然エピトープタグを伸長する膜を跨ぐドメインは、好ましくは、Brown et al(前掲)の
図1に示されるような配列を有する。Snorkelタグは、好ましくは、Brown et al(前掲)の
図1に示される配列を有する。
【0148】
第2の非天然エピトープタグは、好ましくは、膜結合型タンパク質の細胞外部分に位置する。膜結合型タンパク質が細胞外N末端部分を含む場合、第2のエピトープ、好ましくは、第2の非天然エピトープは、好ましくは、膜結合型タンパク質の元のN末端またはその近傍に位置する。必要に応じて、元のN末端と第2のエピトープとの間に追加のアミノ酸残基が位置する。必要に応じて、膜結合型タンパク質の元のN末端と第2の、必要に応じて、非天然のエピトープとの間に約10~100個、5~50個、または約1~10個のアミノ酸残基が位置する。これらのアミノ酸残基は、膜結合型タンパク質に対して天然であってもよく、または膜結合型タンパク質は、これらの追加のアミノ酸残基によってさらに伸長されてもよい。
【0149】
膜結合型タンパク質が細胞外C末端部分を含む場合、第2のエピトープ、好ましくは、第2の非天然エピトープは、好ましくは、膜結合型タンパク質の元のC末端またはその近傍に位置する。必要に応じて、元のC末端と第2のエピトープとの間に追加のアミノ酸残基が位置する。必要に応じて、膜結合型タンパク質の元のC末端と第2の、必要に応じて、非天然のエピトープとの間に約10~100個、5~50個、または約1~10個のアミノ酸残基が位置する。これらのアミノ酸残基は、膜結合型タンパク質に対して天然であってもよく、または膜結合型タンパク質は、これらの追加のアミノ酸残基によってさらに伸長されてもよい。
【0150】
膜結合型タンパク質がN末端および/またはC末端の細胞外部分を含むか否かにかかわらず、第2の、必要に応じて、非天然のエピトープタグは、膜結合型タンパク質の細胞外ループ領域に、代わりに、またはさらに位置してもよい。
【0151】
代わりに、またはさらに、第2の非天然エピトープタグは、例えば、限定されないが、元の細胞内N末端および/もしくはC末端にまたはその近傍に位置する、膜結合型タンパク質の細胞内部分に隣接して位置する1つ以上のアミノ酸残基によって伸長されてもよい。この実施形態では、非天然エピトープタグは、膜を跨ぐドメインによって延長され得、膜を跨ぐドメインは、タグ、好ましくは、本明細書において定義されるペプチド-タグまたはタンパク質-タグの細胞外発現を引き起こす。このような伸長されたタグの非限定的な例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/116076号およびBrown et al (PLoS One, 2013 Sep 2;8(9):e73255(「Snorkelタグ」))に記載されている。タグを伸長する膜を跨ぐドメインは、好ましくは、Brown et al(前掲)の
図1に示されるような配列を有する。Snorkelタグは、好ましくは、Brown et al(前掲)の
図1に示される配列を有する。
【0152】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質それぞれへの非天然エピトープタグの組み込みは、当技術分野で知られている任意の従来の分子生物学的手法を使用して行うことができる。第1および第2のエピトープタグは、任意の適切なタグであり得る。エピトープタグは、直鎖状または立体構造エピトープであってもよい。タグは、好ましくは、ペプチドタグまたはタンパク質タグである。好ましくは、タグは短いアミノ酸配列である。第1および/または第2の非天然エピトープタグの長さは、好ましくは、約2~50個、3~40個、4~30個、5~20個または8~15個のアミノ酸残基である。好ましくは、タグは、抗体または抗体断片、好ましくはナノボディをそれに対して、当業者に知られている任意の従来の手段を使用して惹起させることができるアミノ酸配列である。非天然エピトープタグは、公的に利用可能なタグまたは新たに発見された配列であり得る。第1および第2のエピトープタグは、同じタグであってもよいし、異なるタグであってもよい。好ましくは、第1および第2のエピトープタグは、異なるタグである。
【0153】
第1および/または第2の非天然エピトープタグは、Alphaタグ、E6タグ、V5タグ、VSVタグ、Aviタグ、C-タグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタメートタグ、ポリアルギニンタグ、E-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、His-タグ、Myc-タグ、NE-タグ、Rho1D4-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Sofタグ1、Spot-タグ、Strep-タグ、T7-タグ、TCタグ、TyタグおよびXpressタグからなる群から選択されるペプチドタグであり得る。
【0154】
第1および/または第2の非天然エピトープタグは、GFPタグ(緑色蛍光タンパク質)、RFPタグ(赤色蛍光タンパク質)、YFPタグ(黄色蛍光タンパク質)、BFPタグ(青色蛍光タンパク質)、BCCPタグ(ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタグ、Haloタグ、SNAPタグ、CLIPタグ、HUHタグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nusタグ、チオレドキシンタグ、Fcタグ、炭水化物認識ドメイン(CRD)、およびCRDSATタグからなる群から選択されるタンパク質タグであり得る。
【0155】
第1および/または第2の非天然エピトープタグは、タグの細胞外発現を引き起こす1つ以上のアミノ酸残基によって伸長され得る。細胞外発現を引き起こす部分は、好ましくは膜を跨ぐドメイン、好ましくは膜貫通ドメイン(TMD)、好ましくはBrown et al(前掲)の
図1に示されるTMDである。膜を跨ぐドメインは、本明細書において定義されるタンパク質-タグまたはペプチド-タグの細胞外発現をもたらすことができる。
【0156】
膜を跨ぐドメインは、本明細書において定義される2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のタンパク質-タグまたはペプチド-タグの細胞外発現をもたらすことができる。好ましくは、膜を跨ぐドメインは、myc-タグ、FLAG-タグ、Alpha-タグおよびE6タグのうちの少なくとも1つの細胞外発現をもたらし得る。好ましくは、膜を跨ぐドメインは、少なくともE6タグおよびFLAGタグの細胞外発現をもたらすことができる。代わりに、またはさらに、膜を跨ぐドメインは、少なくともalphaタグおよびmyc-タグの細胞外発現をもたらすことができる。
【0157】
非天然エピトープタグは、Alphaタグ、E6タグ、mycタグ、FLAGタグ、Hisタグ、V5タグ、VSVタグ、GFPタグおよびRFPタグからなる群から選択され得る。
【0158】
第1のエピトープタグは、好ましくは、Goetzke et al (2019, Nature Communications, 10(1), 1-12)に記載のAlphaタグであってもよい。代わりに、第1のエピトープタグは、Ling et al.(2019, Molecular Immunology, 114(July), 513-523)に記載のUBC6eタグ(E6タグ)であってもよい。第2のエピトープタグは、好ましくは、Goetzke et al(前掲)に記載のAlphaタグであってもよい。代わりに、第2のエピトープタグは、Ling et al.(前掲)に記載のUBC6eタグ(E6タグ)であってもよい。好ましくは、第1のタグはAlphaタグであってもよく、第2のタグはE6タグであってもよい。代わりに、第1のタグはE6タグであってもよく、第2のタグはAlphaタグであってもよい。
【0159】
エピトープタグと、前記エピトープを認識する対応する抗体または抗体断片の任意の適切な組合せが、本明細書で定義される方法で使用されてもよい。好ましい抗体断片は、ナノボディである。したがって、エピトープと、上記エピトープを認識する対応するナノボディとの任意の適切な組合せを、本明細書において定義される方法で使用することができる。
【0160】
当業者は、適切なエピトープ-抗体、または抗体断片の組合せを選択することができる。例えば、当業者は、当該技術分野において公知である適切なエピトープ-抗体または抗体断片の組合せを選択することができる。代わりに、またはさらに、エピトープ-抗体または抗体断片の組合せは、新たに発見された組合せであってもよく、本明細書において定義される方法で使用することができる。
【0161】
抗体または抗体断片は、第1または第2のエピトープタグに特異的に結合する任意の適切な抗体または抗体断片であってもよい。好ましい抗体断片は、ナノボディである。好ましくは、本発明の方法において使用するためのヘテロ二機能性分子は、二重特異性抗体、好ましくは二重特異性ナノボディである。
【0162】
好ましくは、第1のエピトープタグがAlphaタグであり、第2のエピトープタグがE6タグである場合、ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは抗Alpha VHHを含み、第2の結合ドメインは抗E6 VHHを含み得る。好ましくは、第1のエピトープタグがE6タグであり、第2のエピトープタグがAlphaタグである場合、ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは抗E6 VHH(Ling et al、前掲)を含み、第2の結合ドメインは抗Alpha VHH(Goetzke et al、前掲)を含み得る。したがって、好ましいエピトープタグ-結合ドメインの組合せは、
i)Alphaタグ-抗Alpha VHH(例えば、Goetzke et al(前掲)を参照されたい);および
ii)E6タグ-抗E6 VHH(例えば、Ling et alを参照されたい)
のうちの少なくとも1つである。
【0163】
好ましいAlphaタグは、配列番号96と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。好ましいE6タグは、配列番号97と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。好ましい抗Alpha VHHは、配列番号98と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。好ましい抗E6 VHHのCDR3配列は、配列番号99と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。
【0164】
膜結合型タンパク質は、第3の非天然エピトープタグを含んでいてもよい。第3の非天然エピトープタグは、膜結合型タンパク質のタンパク質レベルを決定するため、好ましくは膜結合型タンパク質のタンパク質細胞表面レベル、総タンパク質レベルおよび細胞内レベルのうちの少なくとも1つを決定するために使用されてもよい。第3の非天然エピトープタグは、好ましくは、膜結合型タンパク質の細胞外部分に位置する。したがって好ましくは、第3の非天然エピトープタグは、提供された細胞の細胞表面上に露出する。好ましくは、第3の非天然エピトープタグは、
i)膜結合型タンパク質のN末端;
ii)膜結合型タンパク質のC末端;および/または
iii)膜結合型タンパク質の細胞外ループ領域
にまたはその近傍に位置する。
【0165】
第3の非天然エピトープタグの位置は、第2のエピトープタグについて上記で示したものであってもよい。第3の非天然エピトープタグは、第2の(非天然の)エピトープタグのN末端および/またはC末端に位置し得る。
【0166】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、第4の非天然エピトープタグを含み得る。第4の非天然エピトープタグを用いて、膜貫通E3ユビキチンリガーゼのタンパク質レベルを決定することができ、好ましくは、タンパク質細胞表面レベル、総タンパク質レベル、および膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞内レベルのうちの少なくとも1つを決定することができる。第4の非天然エピトープタグは、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に位置する。したがって好ましくは、第4の非天然エピトープタグは、提供された細胞の細胞表面上に露出する。好ましくは、第4の非天然エピトープタグは、
i)膜貫通E3ユビキチンリガーゼのN末端;
ii)膜貫通E3ユビキチンリガーゼのC末端;および/または
ii)膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外ループ領域
にまたはその近傍に位置する。
【0167】
第4の非天然エピトープタグの位置は、第1のエピトープタグについて上記で示したものであってもよい。第4の非天然エピトープタグは、第1の(非天然の)エピトープタグのN末端および/またはC末端に位置することができる。
【0168】
したがって、一実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、第1および第4の非天然エピトープタグを含んでいてもよく、膜結合型タンパク質は、第2および第3の非天然エピトープタグを含んでいてもよい。第3および/または第4の非天然エピトープタグは、タンパク質検出のために当業者に知られている任意の従来のタグ、例えば、ペプチドタグまたはタンパク質タグであってもよい。
【0169】
必要に応じて、ペプチドタグは、Alphaタグ、E6タグ、V5タグ、VSVタグ、Aviタグ、C-タグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタメートタグ、ポリアルギニンタグ、E-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、His-タグ、Myc-タグ、NE-タグ、Rho1D4-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Sofタグ1、Spot-タグ、Strep-タグ、T7-タグ、TCタグ、TyタグおよびXpressタグからなる群から選択される。必要に応じて、タンパク質タグは、GFPタグ(緑色蛍光タンパク質)、RFPタグ(赤色蛍光タンパク質)、YFPタグ(黄色蛍光タンパク質)、BFPタグ(青色蛍光タンパク質)、BCCPタグ(ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタグ、Haloタグ、SNAPタグ、CLIPタグ、HUHタグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nusタグ、チオレドキシンタグ、Fcタグ、炭水化物認識ドメイン(CRD)、およびCRDSATタグからなる群から選択される。
【0170】
第3の非天然エピトープタグは、myc-タグ、his-タグ、FLAG-タグ、V5-タグ、VSV-タグ、HA-タグ、GFPおよびRFPからなる群から選択され得る。第4の非天然エピトープタグは、myc-タグ、his-タグ、FLAG-タグ、V5-タグ、VSV-タグ、HA-タグ、GFPおよびRFPからなる群から選択され得る。
【0171】
第1および第4のタグの好ましい組合せは、myc-タグおよびAlphaタグ、myc-タグおよびE6タグ、FLAGタグおよびAlphaタグ、またはFLAGタグおよびE6タグである。第2および第3のタグの好ましい組合せは、FlagタグおよびE6タグ、FLAGタグおよびAlphaタグ、mycタグおよびE6タグ、またはmycタグおよびAlphaタグである。
【0172】
第3および/または第4の非天然エピトープタグは、タグの細胞外発現を引き起こす部分をさらに含み得る。細胞外発現を引き起こす部分は、好ましくは膜を跨ぐドメイン、好ましくは膜貫通ドメイン(TMD)、好ましくはBrown et al(前掲)の
図1に示されるTMDである。細胞外で発現されたタグは、好ましくは、本明細書において定義されるペプチド-タグまたはタンパク質-タグである。
【0173】
ステップc):膜結合型タンパク質の表面レベルの決定
膜結合型タンパク質のレベル、または量は、当業者に知られている任意の従来の手段を使用して決定されてもよい。このような手段には、限定されないが、顕微鏡検査、ウエスタンブロット、必要に応じて、定量的免疫蛍光法および/または定量的ウエスタンブロット、細胞表面ビオチン化、FACS分析、細胞不透過性蛍光プローブを用いた膜結合型タンパク質の標識(例えば、SNAP標識)、および定量的質量分析が含まれる。
【0174】
膜結合型タンパク質の絶対量またはレベルは、例えば、ヘテロ二機能性分子へ曝す前後の膜結合型タンパク質レベルの直接比較によって、例えば、蛍光顕微鏡法またはFACS分析のいずれかによる、曝す前後における細胞表面での蛍光強度を決定することによって、決定することができる。
【0175】
顕微鏡に基づく分析について、膜結合型タンパク質用の蛍光標識を用いて、好ましくは非透過性細胞において、表面に局在する膜結合型タンパク質を標識することができる。細胞の総数は、例えば、細胞の核をDAPIまたは類似の色素で染色することによって決定することができる。同一の倍率、レーザーパワー、光学設定および露光時間で撮影された複数の画像からの平均蛍光強度値は、ImageJまたは類似の分析プログラムにおいて分析することができる。各画像は、好ましくは、染色された核の数に対して正規化され、例えば、それ自身のDAPI値に対して正規化され、得られた値は、細胞あたりの表面における膜結合型タンパク質の相対量を表す。
【0176】
代わりに、またはさらに、最初に、第1のエピトープタグを用いて、非透過性性細胞において表面局在した膜結合型タンパク質用の蛍光標識を使用し、続いて、透過性にされた細胞において第2のエピトープタグを用いて、総膜結合型タンパク質を蛍光標識して、膜結合型タンパク質の二重標識を用いることができる。顕微鏡による分析について、同一の倍率、レーザーパワー、光学設定および露光時間で撮影された複数の画像からの蛍光強度値は、ImageJまたは類似の分析プログラムにおいて分析することができる。トランスフェクトされていない細胞からのバックグラウンドレベルは、好ましくは、各画像について差し引かれ、強度値は、好ましくは、各条件について平均される。表面に局在するタンパク質の平均蛍光強度 対 総(膜結合)タンパク質の平均蛍光強度の比は、表面における膜結合型タンパク質の相対量の尺度である(例えば、Stueber et al, ACS Chem Biol, 2019,14(6):1154-1163に記載される)。
【0177】
代わりに、またはさらに、フローサイトメトリーを使用する分析について、死細胞および非細胞成分は、好ましくは、前方および側方散乱プロットによって、ならびにネガティブDNA染色に基づいて除外される。続いて、ダブレット細胞は、好ましくは、前方側方散乱領域対高さを用いて除外される。蛍光シグナルは、設定された閾値に基づいて、例えば、FACSdiva、FlowJoまたは類似の分析プログラムを用いて、トランスフェクトされていない細胞について決定された蛍光強度に基づいて、定量することができる。表面に局在化するタンパク質の平均蛍光強度 対 総(膜結合)タンパク質の平均蛍光強度の比は、表面における膜結合型タンパク質の相対量の尺度である(Stueber et al、前掲)。
【0178】
代わりに、またはさらに、膜結合型タンパク質の表面レベルは、タンパク質の成熟型対未成熟型に基づいて決定され得る。膜結合型タンパク質は、生合成中に複雑なグリコシル化およびさらなる翻訳後修飾を受ける可能性があり、その結果、例えば、ウエスタンブロッティングによって可視化される場合に異なるMWが生じ、より高い分子量(MW)は細胞表面に存在する成熟型を表す。成熟型および未成熟型の膜結合型タンパク質を表すバンドの平均画素強度は、例えば、ImageQuant(Zeiss)、ImageJまたは類似のプログラムなどのウエスタンブロット分析ソフトウエアによって決定することができる。成熟型の強度 対 膜結合型タンパク質の総量の強度の比は、表面における膜結合型タンパク質の相対量の尺度である(例えば、Koo et al 2021, Nature, 2012;488(7413):665-9に記載されている)。
【0179】
代わりに、またはさらに、膜結合型タンパク質の相対レベルまたは量は、例えば、上述のウエスタンブロット分析を用いて、曝す前後におけるハウスホールドタンパク質レベルまたは総細胞タンパク質レベルとの比較によって決定することができる。
【0180】
代わりに、またはそれに加えて、膜結合型タンパク質の表面レベルは、表面ビオチン化によって決定され得る。この目的のために、表面タンパク質は、細胞不透過性ビオチンで標識され、その後、すべての表面タンパク質は、ストレプトアビジンプルダウンによって単離される。その後、例えば、ウエスタンブロッティングを用いて、総タンパク質および表面に局在化するタンパク質のプールを分析する。ImageQuant(Zeiss)、ImageJまたは類似のプログラムなどの分析ソフトウエアによって決定された、表面プール中の膜結合型タンパク質の強度 対 総タンパク質プール中の膜結合型タンパク質の強度の比は、表面における膜結合型タンパク質の相対量の尺度である(Dubey et al, Elife, 2020;9:e54469; Hao et al, Nature 2012; 485(7397): 195-200)。
【0181】
代わりに、あるいはさらに、膜結合型タンパク質のタンパク質レベルの減少は、膜結合型タンパク質と膜貫通ユビキチンE3リガーゼの異なる組合せを比較することによって決定され得る。非限定的な例として、膜結合型タンパク質と第1の膜貫通ユビキチンE3リガーゼとの強制的な二量体化後に決定されたタンパク質レベルを、同一の膜結合型タンパク質および第2の膜貫通ユビキチンE3リガーゼの強制的な二量体化後に決定されたタンパク質レベルと比較することができる。このような方法は、膜結合型タンパク質と膜貫通ユビキチンE3リガーゼとの最も有効な組合せの決定、例えば、強制的な二量体化の際に膜結合型タンパク質の表面レベルの最も強力な減少を引き起こす膜貫通ユビキチンE3リガーゼの決定を可能にする。
【0182】
強制的な二量体化の際に膜結合型タンパク質の表面レベルの最も強力な減少を引き起こす膜貫通ユビキチンE3リガーゼは、好ましくは、強制的な二量体化の際に膜結合型タンパク質の表面レベルの最も弱い減少を引き起こすか、またはまったく減少を引き起こさない膜貫通ユビキチンE3リガーゼと比較して、表面レベルを少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%減少させる。
【0183】
本発明の方法は、多重化された方法で直接的に行うことができる。非限定的な例として、第1の細胞を第1のヘテロ二機能性分子と接触させることができ、第2の細胞を第2のヘテロ二機能性分子と接触させることができる。第1および第2の細胞は、好ましくは、例えば、それらを別々のウェルに維持することによって、物理的に分離される。第1および第2の細胞は、同一の遺伝的背景を有してもよい。第1および第2のセルは、同一の細胞であってもよい。
【0184】
第1の細胞を第1のヘテロ二機能性分子に曝すことができ、第2の細胞を第2のヘテロ二機能性分子に曝すことができる。第1および第2のヘテロ二機能性分子は、それらの第1の結合ドメインおよび/またはそれらの第2の結合ドメインにおいて異なっていてもよい。
【0185】
第1および第2のヘテロ二機能性分子は、それらの第1の結合ドメインおよびそれらの第2の結合ドメインにおいて異なっていてもよい。
【0186】
第1および第2のヘテロ二機能性分子は、それらの第1の結合ドメインにおいて異なっていてもよいが、それらの第2の結合ドメインにおいて異なることはない。第1のヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは、第1の膜貫通E3ユビキチンリガーゼに位置する天然または非天然のエピトープタグに選択的に結合し得る。第2のヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは、第2の膜貫通E3ユビキチンリガーゼに位置する天然または非天然のエピトープタグに選択的に結合し得る。第1および第2のヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質に位置する天然または非天然のエピトープタグに選択的に結合し得る。これは、強制的な二量体化の際に、膜結合型タンパク質の表面レベルにおける最も強力な、すなわち最も有効な減少を引き起こす膜貫通ユビキチンE3リガーゼを決定する簡単なアプローチを可能にする。
【0187】
第1および第2のヘテロ二機能性分子は、それらの第2の結合ドメインにおいて異なっていてもよいが、それらの第1の結合ドメインにおいて異なることはない。第1のヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質に位置する天然または非天然のエピトープタグに選択的に結合し得る。第2のヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、第2の膜結合型タンパク質に位置する天然または非天然のエピトープタグに選択的に結合し得る。第1および第2のヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに位置する天然または非天然のエピトープタグに結合する。これは、或る膜貫通E3ユビキチンリガーゼによる強制的な二量体化の際に、効果的に減少する膜結合型タンパク質を決定する直截的なアプローチを可能にする。
【0188】
代わりに、第1および第2のヘテロ二機能性分子は、それらの第1および第2の結合ドメインにおいて異ならないが、第1の細胞は、ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインが結合することができる非天然エピトープタグを含む第1の膜貫通ユビキチンE3リガーゼを発現し、第2の細胞は、同一の非天然エピトープタグを含む第2の膜貫通ユビキチンE3リガーゼを発現する。第1および第2の細胞は、好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインが結合することができる天然または非天然エピトープタグを含む膜結合型タンパク質を発現する。第1および第2の膜貫通ユビキチンE3リガーゼは、好ましくは、2つの異なる膜貫通ユビキチンE3リガーゼである。第1の膜貫通ユビキチンE3リガーゼは、好ましくは、RNF43、RNF167、ZNRF3、RNF13、AMFR、MARCH1、MARCH2、MARCH4、MARCH8、MARCH9、RNF149、RNF145、RNFT1、RNF130およびRNF128からなる群から選択される。第2の膜貫通ユビキチンE3リガーゼは、好ましくは、RNF43、RNF167、ZNRF3、RNF13、AMFR、MARCH1、MARCH2、MARCH4、MARCH8、MARCH9、RNF149、RNF145、RNFT1、RNF130およびRNF128からなる群から選択される。
【0189】
代わりに、第1および第2のヘテロ二機能性分子は、それらの第1の結合ドメインおよびそれらの第2の結合ドメインにおいて異ならないが、第1の細胞は、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインが結合することができる非天然エピトープタグを含む第1の膜結合型タンパク質を発現し、第2の細胞は、同一の非天然エピトープタグを含む第2の膜結合型タンパク質を発現する。第1および第2の細胞は、好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインが結合することができる天然または非天然エピトープタグを含む膜貫通E3ユビキチンリガーゼを発現する。第1および第2の膜結合型タンパク質は、好ましくは、2つの異なる膜結合型タンパク質である。
【0190】
当業者は、第1および第2の細胞を、第3の細胞、第4の細胞、第5の細胞などに簡単に拡張できることを直截的に理解する。同様に、第1および第2のヘテロ二機能性分子は、第3のヘテロ二機能性分子、第4のヘテロ二機能性分子、第5のヘテロ二機能性分子などに簡単に伸長することができる。
【0191】
好ましくは、本発明の方法は、第1および第2の細胞を用意するステップa)を含み、
- 第1の細胞は、第1の膜貫通E3ユビキチンリガーゼと第1の膜結合型タンパク質とを、その細胞表面に発現し;および
- 第2の細胞は、第2の膜貫通E3ユビキチンリガーゼと第1の膜結合型タンパク質とを、その細胞表面に発現し、
第1および第2の膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、同一の第1の細胞外非天然エピトープタグを含む異なるリガーゼであり;
ステップb)において、第1および第2の細胞が、ヘテロ二機能性分子に曝され、ヘテロ二機能性分子は、
i)第1の非天然エピトープタグに特異的に結合することができる第1の結合ドメイン;および
ii)膜結合型タンパク質の細胞外部分に、好ましくは、第2の非天然エピトープタグに、特異的に結合することができる第2の結合ドメイン
を含み、
ステップc)において、第1および第2の細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルが決定される。第1の細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の後の、第2の細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60、70%、80%、90%、95%、または約100%減少する場合、組合せは好ましくは有効である。有効な組合せは、第1の膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質の組合せである。
【0192】
ヘテロ二機能性分子に同時に結合すると、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との1つの組合せは、好ましくは、別の膜貫通E3ユビキチンリガーゼと(同一の)膜結合型タンパク質との組合せよりも、膜結合型タンパク質の表面レベルのより強力な減少をもたらす。このより有効な組合せは、本明細書において、「第1の細胞」における組合せとして示される。しかしながら、当業者は、この方法が細胞間の差異に関することを容易に理解する。例えば、第2の細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の後の、第1の細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または約100%減少する場合に、組合せが有効であることは同じくもっともなことである。このシナリオでは、したがって、第2の細胞は、有効な組合せを含む。
【0193】
好ましくは、細胞表面で、それぞれ第3の、第4のまたはさらなる膜貫通E3ユビキチンリガーゼと第1の膜結合型タンパク質とを発現する第3の、第4のまたはさらなる細胞が提供され、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、同一の第1の細胞外非天然エピトープタグを含む異なるリガーゼであり、第1の細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルが、ステップb)の後の、第2の、第3の、第4の、およびさらなる細胞における膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または約100%減少する場合に、組合せが有効である。好ましくは、本方法は、多重化された方法で行われる。
【0194】
したがって、本発明の方法を用いて、最も有効な組合せを決定することができる。最も有効な組合せは、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質の組合せであり、この組合せは、ヘテロ二機能性分子への同時結合の際に、膜結合型タンパク質との細胞表面レベルの最も強力な減少をもたらす。好ましくは、最も有効な組合せは、他のすべての試験された組合せと比較して、少なくとも約2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または少なくとも約95%の膜結合型タンパク質の細胞表面レベルの減少をもたらす組合せである。ある膜結合型タンパク質の最も有効な組合せは、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とのヘテロ二機能性分子への同時結合の際に、他の試験された膜貫通E3ユビキチンリガーゼと比較して、細胞表面からのこの膜結合型タンパク質の除去を最も効率的に媒介する膜貫通E3ユビキチンリガーゼである。
【0195】
さらに、当業者は、本明細書に詳述される方法が、これらの実施例によっては限定されず、変形が本発明の等価な部分であることを簡単に理解する。
【0196】
膜結合型タンパク質のタンパク質レベルは、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子への曝す前後に決定することができる。
【0197】
膜結合型タンパク質のタンパク質レベルは、細胞をヘテロ二機能性分子に少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、22もしくは24時間、または好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6もしくは7日間曝した後に決定することができる。
【0198】
好ましくは、膜結合型タンパク質の細胞表面レベルは、ヘテロ二機能性分子に曝されていない同じ細胞、例えば、本発明の方法のステップa)で提供された細胞、の膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して減少している。
【0199】
「(タンパク質)レベル」および「(タンパク質)量」という用語は、本明細書では互換的に使用されてもよい。好ましくは、細胞表面レベルは、本発明の方法のステップb)の前の膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%減少され、または約100%減少される。本明細書では、100%の減少は、膜貫通タンパク質が細胞表面でもはや検出されないことを示すと理解される。細胞表面タンパク質レベルの減少は、ヘテロ二機能性分子に曝した後に細胞表面上に残っているタンパク質のレベル、または量を直接決定することによって決定されてもよい。細胞表面レベルで膜結合型タンパク質のレベルを検出するための好ましい方法は、免疫蛍光法、好ましくは定量的免疫蛍光法である。
【0200】
膜貫通ユビキチンE3リガーゼは、好ましくは、膜結合型タンパク質をユビキチン化する。したがって、代わりにまたはさらに、膜結合型タンパク質の表面レベルの減少は、膜結合型タンパク質のユビキチン化のレベルを決定することによって決定され得る。ユビキチン化レベルの増加は、好ましくは、膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと逆相関する。膜結合型タンパク質をユビキチン化する膜貫通E3ユビキチンリガーゼの能力を決定する方法には、限定されないが、例えば、第3のエピトープタグを介する、膜結合型タンパク質の免疫沈降、および抗ユビキチン抗体を用いる結合ユビキチン分子の決定が含まれる。代わりにまたはさらに、タグ付けされた、好ましくはHisタグ付けされた、ユビキチンを、膜結合型タンパク質と共発現させることができ、ユビキチン化のレベルを抗タグ抗体、好ましくは抗Hisタグ抗体を用いて決定することができる。さらにまたは代わりに、プロテオミクスアプローチを使用してユビキチン鎖を同定および定量することができる(Fulzele and Bennett 2018 Methods Mol Biolに概説されている)。
【0201】
ユビキチン化は、好ましくは、ユビキチン化された膜結合型タンパク質の内在化および分解をもたらす。したがって、代わりに、またはさらに、膜結合型タンパク質の表面レベルの減少は、ヘテロ二機能性分子に曝した後、例えばステップb)の後に、膜結合型タンパク質の細胞の総タンパク質レベル、または量を決定することによって決定されてもよい。細胞の総タンパク質レベルは、好ましくは、本発明の方法のステップb)の前の膜結合型タンパク質の細胞の総タンパク質レベルと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%減少され、または約100%減少される。本明細書では、100%の減少は、膜貫通タンパク質が細胞内でもはや検出されないことを示すと理解される。総タンパク質レベルを決定する方法は周知であり、例えば、標準生化学分析およびFACSが包含されえる。
【0202】
代わりに、またはさらに、膜結合型タンパク質の細胞表面レベルの減少は、膜結合型タンパク質の細胞内局在の増加、好ましくは膜結合型タンパク質のエンドソーム局在の増加を決定することによって決定されてもよい。膜結合型タンパク質のユビキチン化は、好ましくは、膜結合型タンパク質の内在化をもたらす。内在化されたタンパク質は、その後、分解されてもよく、好ましくはリソソームで分解され得る。タンパク質の細胞内タンパク質局在の増加を決定するために、方法は、膜結合型タンパク質の細胞内局在の増加を決定するステップの前に、例えば、これに限定されないが、細胞をバフィロマイシンA1で処理することによって、リソソームのターンオーバーを阻害するステップを含んでいてもよい。好ましくは、膜結合型タンパク質の細胞内局在化は、本発明の方法のステップb)の前における膜結合型タンパク質の細胞内局在と比較して、少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍またはそれ以上増加する。
【0203】
代わりにまたはさらに、レポーターアッセイおよび/または下流シグナル伝達リードアウトを用いて、膜結合型タンパク質の細胞表面レベルの減少を決定することができる。このようなレポーターアッセイおよび/または下流シグナル伝達リードアウトは、当該技術分野において公知であり、本発明の方法における使用のために容易に利用可能である。
【0204】
代わりにまたはさらに、膜結合型タンパク質および1つ以上のリソソームマーカーの共局在化は、標準的な技術を用いて決定され得る。共局在化のレベルは、好ましくは、膜結合型タンパク質の細胞表面レベルと逆相関する。
【0205】
本明細書で上に定義される方法はまた、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との組合せを選択するための方法と考えられてもよい。好ましくは、本明細書で定義される方法は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを選択するための方法である。好ましくは、組合せは、両者が近接したときに、膜貫通E3ユビキチンリガーゼが、膜結合型タンパク質をユビキチン化することができる場合に有効な組合せである。膜結合型タンパク質のユビキチン化は、好ましくは、前記タンパク質の内在化をもたらす。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質は、本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子への同時結合によって近接する。
本明細書において定義される本発明の方法はまた、ヘテロ二機能性分子、好ましくは本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子の、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させるための効率または効力を決定するための方法と考えることができる。本方法は、好ましくは、上記で概説したようなステップを含む。好ましくは、本方法は、
a)膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質を、その細胞表面に発現する細胞を用意するステップ;ならびに
b)細胞をヘテロ二機能性分子、好ましくは本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子に曝すステップ
を含む。
【0206】
本方法は、好ましくは、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを決定するステップc)をさらに含む。減少は、好ましくは、ステップb)の前における細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルと比較した減少である。
本明細書において定義される方法はまた、
- 膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との、好ましくは膜貫通タンパク質との有効な組合せを選択する方法であって、ステップc)の後に膜貫通タンパク質のタンパク質レベルが減少した場合の組合せが選択される、方法;
- 膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との、好ましくは膜貫通タンパク質との有効な組合せをスクリーニングする方法;
- 本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子を製造する方法であって、ヘテロ二機能性分子が、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との、好ましくは膜貫通タンパク質との選択された組合せに選択的に結合する、方法;
- 膜貫通E3ユビキチンリガーゼが膜結合型タンパク質をユビキチン化する能力を決定する方法であって、ステップc)の後に膜貫通タンパク質のタンパク質レベルが減少した場合に、膜貫通E3リガーゼが膜結合型タンパク質をユビキチン化することができる、方法;
- ヘテロ二機能性分子による分解のために膜結合型タンパク質を標的とする方法;
- 膜結合型タンパク質のユビキチン化を決定する方法であって、膜結合型タンパク質の表面レベルの減少が、膜結合型タンパク質のユビキチン化を示し、減少は、好ましくは、ステップb)の前における細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルと比較しての減少である、方法
のうちの少なくとも1つと考えることができる。
【0207】
本明細書において上述したように、本明細書において定義される方法は、有効なヘテロ二機能性分子、例えば、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを標的とするヘテロ二機能性分子を製造するために使用することができる。したがって、本発明はまた、ヘテロ二機能性分子、好ましくは本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子に関し、上記ヘテロ二機能性分子が選択的に結合する膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質は、本明細書において上記で定義される方法、好ましくは選択方法を用いて選択される。本方法は、好ましくは、以下のステップ、
a)膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質を、その細胞表面に発現する細胞を用意するステップであって、
- 膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、細胞外部分に第1の非天然エピトープタグを含み;
- 膜結合型タンパク質は、細胞外部分に第2の非天然エピトープタグを含む、ステップと;
b)細胞をヘテロ二機能性分子に曝すステップであって、ヘテロ二機能性分子は、
- 第1の非天然エピトープタグに特異的に結合することができる第1の結合ドメイン;および
- 第2の非天然エピトープタグに結合することができる第2の結合ドメイン
を含む、ステップと;
c)細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを決定するステップと;
d)膜結合型タンパク質の表面レベルが、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または約100%減少した場合の、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜貫通タンパク質を選択するステップであって、減少は、ステップb)の前の、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルと比較した減少である、ステップと
を含む。
【0208】
一態様では、本発明は、本明細書で定義される、第1の、および必要に応じて第4の非天然エピトープタグを含む膜貫通E3ユビキチンリガーゼに関係する。
【0209】
別の態様では、本発明は、本明細書で定義される、第2の、および必要に応じて第3の非天然エピトープタグを含む膜結合型タンパク質に関係する。
【0210】
一態様では、本発明は、
- 本明細書で定義される、第1の、および必要に応じて第4の非天然エピトープタグを含む膜貫通E3ユビキチンリガーゼ;ならびに
- 本明細書で定義される、第2の、および必要に応じて第3の非天然エピトープタグを含む膜結合型タンパク質、
の組合せに関係する。
一態様では、本発明は、本明細書において定義される第1の、および必要に応じた第4の、非天然エピトープタグを含む膜貫通E3ユビキチンリガーゼを発現する宿主細胞に関する。宿主細胞は、好ましくは、本明細書において定義される第2の、および必要に応じた第3の、非天然エピトープタグを含む膜結合型タンパク質をさらに発現することができる。本発明の好ましい宿主細胞は、本発明の方法のステップa)において提供される細胞である。
【0211】
第1の結合ドメインに結合する膜貫通E3ユビキチンリガーゼ
本発明は、さらに、本発明の方法において使用するためのヘテロ二機能性分子に関する。さらに、本発明は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを標的とするヘテロ二機能性分子に関するものであり、好ましくは、本発明の方法によって特定されるものである。
【0212】
本発明のヘテロ二機能性分子は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に特異的に結合することができる第1の結合ドメインと、膜結合型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる第2の結合ドメインとを含む。
【0213】
ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができる。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、好ましくは、ヘテロ二機能性分子が医薬として使用される場合に、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子が特異的に結合することができる天然エピトープを含む。代わりに、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、非天然エピトープ、好ましくは、本明細書において定義される非天然エピトープを含むように操作され得る。非天然エピトープは、好ましくは、ヘテロ二機能性分子が本発明の方法において、好ましくは本発明の選択方法において使用される場合に、ヘテロ二機能性分子に特異的に結合することができる。
【0214】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、膜結合型タンパク質のユビキチン化およびエンドサイトーシスを媒介し得る、すなわち、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインによって結合されたタンパク質のユビキチン化およびエンドサイトーシスを媒介し得る。
【0215】
基質のユビキチン化およびエンドサイトーシスは、好ましくは、細胞表面から基質を除去する。内在化された基質はその後分解され得る。したがって、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、ユビキチン化、細胞表面除去および膜結合型タンパク質の分解を媒介し得る、すなわち、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインによって結合されたタンパク質のユビキチン化、細胞表面除去および分解を媒介し得る。
【0216】
したがって、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とへのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜結合型タンパク質の内在化をもたらし、それによって、膜結合型タンパク質を細胞表面から除去する。
【0217】
好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とへのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜結合型タンパク質の内在化と分解をもたらす。したがって、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質は、同じ細胞において発現される。必要に応じて、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質のうちの少なくとも1つが、細胞において過剰発現され得る。
【0218】
ユビキチン化および分解は、当該技術分野において公知である任意の適切な方法を用いて評価することができる。非限定的な例として、ユビキチン化および分解は、参照により本明細書に組み込まれるKoo et al, Nature (2012)(前掲)に記載されるように評価することができる。
【0219】
基質タンパク質は、ユビキチンで荷電したE2酵素を動員するE3リガーゼタンパク質との相互作用を介してユビキチンによるリシン残基の修飾のために選択される(Clague MJ and Urbe S (2010), Cell; 43(5):682-5)。これは、基質への単一のユビキチン分子の移動(モノユビキチン化)、または、例えば、前のユビキチン分子に存在するリシン残基を介して、さらなるユビキチン分子の前のユビキチン分子へのカップリングをもたらし、鎖を形成することができる。ユビキチンの7つのリシンは、異なる三次元構造をとる異なるイソペプチド鎖連結の形成を提供し、これらはすべて真核細胞に存在する(Xu et al. (2009), Cell 137, 133-145)。基質に動員されたE2とE3酵素の特異的な組合せが、鎖連結タイプを決定する。
【0220】
特に、リソソーム分解は、プロテアソーム分解とは異なったユビキチン化パターンの基質タンパク質を必要とすることがある。例えば、リシン48(Lys48)連結ポリユビキチン鎖で標識された基質は、しばしばプロテアソーム標的をもたらす。代わりに、モノユビキチン、マルチユビキチン、Lys11、Lys29、Lys48連結またはLys63連結ポリユビキチンのいずれかで標識された基質がリソソームへと方向づけられる。
【0221】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼによって媒介される分解は、リソソーム分解およびプロテアソーム分解のうちの少なくとも1つであり得る。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼによって媒介される分解は、少なくともリソソーム分解である。
【0222】
したがって、好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とへのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜結合型タンパク質の内在化をもたらす。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質へのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜結合型タンパク質の内在化、ならびにプロテアソームおよびリソソーム分解のうちの少なくとも1つをもたらす。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とへのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜結合型タンパク質の内在化およびリソソーム分解をもたらす。
【0223】
好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、膜結合型タンパク質をモノユビキチン、マルチユビキチン、Lys11、Lys29、Lys48またはLys63連結ポリユビキチン鎖でユビキチン化する。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、膜結合型タンパク質をモノユビキチン、マルチユビキチン、またはLys63連結ポリユビキチン鎖でポリユビキチン化する。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、膜結合型タンパク質をLys11、Lys29、Lys48およびLys63連結ポリユビキチン鎖のうちの少なくとも1つでポリユビキチン化する。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、膜結合型タンパク質をLys63連結ポリユビキチン鎖でポリユビキチン化する。
【0224】
多くの膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、組織特異的発現を示すか、または1つ以上のがんタイプにおいて過剰発現を示す。したがって、好ましくは、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子に結合することができる膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、選択的組織において発現される膜貫通E3ユビキチンリガーゼである。非限定的な例として、膜貫通E3ユビキチンリガーゼRNF43およびZNRF3は、限定されないが、腸などの複数の組織の成体幹細胞集団において選択的に発現される。さらに限定されない例として、膜貫通E3ユビキチンリガーゼMARCH1およびMARCH9は、免疫細胞において増加した発現を示す。
【0225】
好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、限定されないが、がん組織などの選択的組織においてのみ発現される。
【0226】
代わりに、またはさらに、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子に結合することができる膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、がんの1つ以上のタイプにおいて、発現、好ましくは過剰発現を示す膜貫通E3ユビキチンリガーゼである。
【0227】
好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、RNF43、RNF167、ZNRF3、RNF13、AMFR、MARCH1、MARCH2、MARCH4、MARCH8、MARCH9、RNF149、RNF145、RNFT1、RNF130およびRNF128からなる群から選択される。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、RNF43、RNF167、ZNRF3、RNF13、AMFR、MARCH1、MARCH2、MARCH4、MARCH8、MARCH9、RNF145、RNFT1、RNF130およびRNF128からなる群から選択される。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、RNF43、RNF167、RNF128およびRNF130のうちの少なくとも1つである。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、RNF43、RNF128およびRNF167のうちの少なくとも1つである。好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、RNF43およびRNF128のうちの少なくとも1つである。
【0228】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼは過剰発現され得る。非限定的な例として、RNF43、ZNRF3、RNF13、AMFR、MARCH1、MARCH2、MARCH4、MARCH8、MARCH9、RNF149、RNF145、RNFT1、RNF167、RNF130およびRNF128は、がんにおいて増加した発現を示すことが、当該技術分野において公知である。
【0229】
一実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、第1および第2の結合ドメインを含み、
i)第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができ、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、がん組織において発現され、好ましくは選択的に発現され、または過剰発現され;
ii)第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質に特異的に結合することができ、膜結合型タンパク質は、前記がん組織に関与することが公知であるか、または関与することが予想され、
膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質へのヘテロ二機能性分子の同時結合は、好ましくは、膜貫通タンパク質のユビキチン化および内在化をもたらす。
【0230】
好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質は、同じ細胞内で発現され、好ましくは、同じがん性細胞内で発現される。
【0231】
好ましくは、E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質はともに、肺がん、結腸直腸がん、肝細胞がん、骨肉腫、膵臓がん、胃がん、肝臓がん、皮膚がん、乳がん、膀胱がん、卵巣がん、食道がん、甲状腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫、扁平上皮がん、前立腺がん(遺伝子発現アトラス)および腸がんおよび/またはそれらの転移からなる群から選択されるがん性細胞において発現される。
【0232】
好ましくは、膜結合型タンパク質は膜貫通タンパク質である。
【0233】
一実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、第1および第2の結合ドメインを含み、
i)第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができ、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、免疫細胞において発現され、好ましくは選択的に発現され、または過剰発現され;
ii)第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質に特異的に結合することができ、膜結合型タンパク質は、同じ免疫細胞において発現され;
膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質へのヘテロ二機能性分子の同時結合は、好ましくは膜結合型タンパク質のユビキチン化および内在化をもたらす。
【0234】
好ましくは、膜結合型タンパク質は膜貫通タンパク質である。
【0235】
一実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、第1および第2の結合ドメインを含み、
i)第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができ、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、神経細胞において発現され、好ましくは選択的に発現され、または過剰発現され;および
ii)第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質に特異的に結合することができ、膜結合型タンパク質は、同一の神経細胞において発現され、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とへのヘテロ二機能性分子の同時結合は、好ましくは、ユビキチン化および膜結合型タンパク質の内在化をもたらす。
【0236】
好ましくは、膜結合型タンパク質は膜貫通タンパク質である。
【0237】
好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27および29からなる群から選択される配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0238】
好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28および30からなる群から選択される配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0239】
好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、RNF43およびZNRF3のうちの少なくとも1つである。タンパク質RNF43およびZNRF3は、好ましくは、それぞれ配列番号1および3と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNF43およびZNRF3タンパク質は、それぞれ配列番号2および4と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0240】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはRNF43である。好ましくは、RNF43タンパク質は、配列番号1と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNF43タンパク質は、配列番号2と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0241】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはZNRF3である。好ましくは、ZNRF3タンパク質は、配列番号3と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、ZNRF3タンパク質は、配列番号4と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0242】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはRNF13である。好ましくは、RNF13タンパク質は、配列番号5と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNF13タンパク質は、配列番号6と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0243】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはAMFRである。好ましくは、AMFRタンパク質は、配列番号7(または配列番号51)と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、AMFRタンパク質は、配列番号8(または配列番号52)と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0244】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはMARCH1である。好ましくは、MARCH1タンパク質は、配列番号9と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、MARCH1タンパク質は、配列番号10と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0245】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはMARCH4である。好ましくは、MARCH4タンパク質は、配列番号11と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、MARCH4タンパク質は、配列番号12と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0246】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはMARCH2である。好ましくは、MARCH2タンパク質は、配列番号13と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、MARCH2タンパク質は、配列番号14と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0247】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはMARCH8である。好ましくは、MARCH8タンパク質は、配列番号15と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、MARCH8タンパク質は、配列番号16と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0248】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはMARCH9である。好ましくは、MARCH9タンパク質は、配列番号17と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、MARCH9タンパク質は、配列番号18と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0249】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはRNF149である。好ましくは、RNF149タンパク質は、配列番号19と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNF149タンパク質は、配列番号20と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0250】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはRNF145である。好ましくは、RNF145タンパク質は、配列番号21と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNF145タンパク質は、配列番号22と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0251】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはRNFT1である。好ましくは、RNFT1タンパク質は、配列番号23と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNFT1タンパク質は、配列番号24と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0252】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはRNF167である。好ましくは、RNF167タンパク質は、配列番号25と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNF167タンパク質は、配列番号26と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0253】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼはRNF130である。好ましくは、RNF130タンパク質は、配列番号27と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNF130タンパク質は、配列番号28と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0254】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼは、RNF128である。好ましくは、RNF128タンパク質は、配列番号29と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、RNF128タンパク質は、配列番号30と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0255】
第2の結合ドメインに結合するタンパク質
本明細書において詳述するように、本発明のヘテロ二機能性分子は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼ、好ましくは、本明細書において上記で定義される膜貫通E3ユビキチンリガーゼと結合することができる第1の結合ドメインを有する。
【0256】
本発明のヘテロ二機能性分子は、第2の結合ドメインをさらに含み、第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質と結合することができる。好ましくは、膜結合型タンパク質は、好ましくは、ヘテロ二機能性分子が医薬として使用される場合に、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子が特異的に結合することができる天然エピトープを含む。代わりに、膜結合型タンパク質は、非天然エピトープ、好ましくは、本明細書において定義される非天然エピトープを含むように操作され得る。非天然エピトープは、好ましくはヘテロ二機能性分子が本発明の方法において、好ましくは本発明の選択方法において使用される場合に、ヘテロ二機能性分子が特異的に結合することができる。
【0257】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができるタンパク質は、少なくとも部分的に細胞の外部に曝されるタンパク質である。タンパク質は、一方の側から細胞膜に付着することができるか、または膜の全体に跨り得る、すなわち、膜貫通タンパク質である。好ましくは、第2の結合ドメインは、膜貫通タンパク質に特異的に結合することができる。
【0258】
用語「ヘテロ二機能性」がすでに示唆しているように、第2の結合ドメインに結合し得る膜結合型タンパク質は、第1の結合ドメインに結合し得る膜貫通E3ユビキチンリガーゼとは異なる。好ましくは、第2の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的におよび/または効果的に結合しない。
【0259】
好ましくは、膜結合型タンパク質は、膜貫通タンパク質であり、好ましくは、栄養輸送体、イオンチャネルおよび細胞表面受容体のうちの少なくとも1つである。好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、膜貫通受容体に特異的に結合することができる。好ましくは、受容体は、イオンチャネル連結受容体、酵素連結受容体、Gタンパク質結合受容体およびFc受容体のうちの少なくとも1つである。ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、受容体の単量体形態および/または二量体化形態に結合し得る。さらに、または代わりに、第2の結合ドメインは、受容体の不活性および/または活性コンホメーションに結合し得る。
【0260】
膜結合型タンパク質は、疾患の発症、進行または重症度に関連または関与していてもよい。膜結合型タンパク質は、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経障害、稀少疾患、感染性疾患、および/または遺伝性疾患に関与することが公知であるかまたは予想されていてもよい。
【0261】
好ましくは、膜結合型タンパク質は、LGR4、LGR5およびLGR6のうちの少なくとも1つではない。
【0262】
好ましい実施形態では、膜結合型タンパク質は、神経学的障害に関与することが公知であるか、またはそれに関与することが予想される。好ましい実施形態では、膜結合型タンパク質は、稀少疾患に関与することが公知であるか、またはそれに関与することが予想される。
【0263】
好ましい実施形態では、膜結合型タンパク質は、シャルコー・マリー・ツース病(CMT)、ゴーシェ病(GD)、抗Mag末梢神経障害、CD38関連神経変性病理学、ミオスタチン関連神経筋疾患、脱髄疾患、MS、ALSおよびギラン・バレー(GB)からなる群から選択される疾患に関与することが公知であるか、またはそれに関与することが予想される。CD38関連神経変性病理は、ALS、MS、PDおよびADのうちの少なくとも1つであり得る。ミオスタチン関連神経筋疾患は、デュシェンヌおよび悪液質のうちの少なくとも1つであり得る。
【0264】
好ましい実施形態では、膜結合型タンパク質、好ましくは膜結合受容体は、がんに関与することが公知であるか、またはそれに関与することが予想される。「がんに関与する受容体」は、本明細書では、がんの悪性に直接的または間接的に影響し得る膜結合受容体として理解される。
【0265】
一実施形態では、がんに関与する膜結合受容体は、活性化または増加した活性により、細胞の悪性特性を誘導または増大させる受容体であり得る。例えば、限定されないが、膜結合受容体の活性化は、細胞の幹細胞性、分化能力、代謝、生存率、増殖および免疫回避能力のうちの少なくとも1つに影響を及ぼし得る。本明細書で使用される場合、受容体の活性は、限定されないが、1つ以上の活性化突然変異を有する受容体、ならびに/または受容体リガンドの増加した発現および/もしくは増加した利用可能性を有する受容体、ならびに/または減少した代謝回転を有する受容体を含み、例えば、細胞膜上で安定化される。
【0266】
さらに、または代わりに、がんに関与することが公知であるかまたは予想される膜結合受容体は、例えば、免疫細胞および/または間質細胞上に存在する受容体であり得る。非限定的な例として、免疫細胞上に存在する受容体を阻害することは、腫瘍細胞を標的とするための免疫細胞の活性化をもたらすことができ、間質細胞上に存在する受容体の阻害は、腫瘍血管新生の低減をもたらすことができる。
【0267】
したがって、がんに関与する受容体は、腫瘍細胞上に存在する膜結合受容体、および/または腫瘍細胞に直接的もしくは間接的な影響を有する細胞上に存在する膜結合受容体であり得ることが本明細書において理解される。
【0268】
「がんに関連するかまたは関与する受容体」という語句は、限定されないが、がんもしくは悪性腫瘍などの増殖性疾患、または骨髄異形成、骨髄異形成症候群もしくは前白血病などの前がん性状態を含む。
【0269】
一実施形態では、本明細書に記載される膜結合受容体の活性化または増加した活性に関連するがんは、血液学的がんである。一実施形態では、本明細書に記載される膜結合受容体の活性化または増加した活性に関連するがんは、固形がんである。本明細書に記載される膜結合受容体の活性化または増加した活性に関連するさらなる疾患には、限定されないが、本明細書に記載される、例えば、非定型および/または非古典的がん、悪性腫瘍、前がん性状態、または膜結合受容体の活性化に関連する増殖性疾患が含まれる。本明細書に記載される膜結合受容体の活性化または増加した活性に関連する非がん関連の適応症には、限定されないが、例えば、自己免疫疾患(例えば、ループス)、炎症性障害(アレルギーおよび喘息)ならびに移植が含まれる。
【0270】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2のドメインが結合し得る膜結合受容体は、がんに関与する受容体であり、好ましくは、受容体は、増加した活性、例えば、増加した下流シグナル伝達を有する。下流のシグナル伝達は、好ましくは、膜結合受容体の活性化または増加した活性を有さない他の点で同一の細胞と比較して増加する。増加した活性は、限定されないが、受容体の突然変異活性化、受容体の上方制御、受容体の増大した安定化、および/または受容体リガンドの増大した利用可能性に起因し得る。
【0271】
受容体は、ある特定の種のがんに関与していてもよい。代わりに、受容体は多くの異なったがんタイプに関与していてもよい。例えば、受容体は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のがんのタイプに関与していてもよい。代わりに、またはさらに、受容体は、がん血管新生を関与していてもよい。
【0272】
受容体は、固形がんまたは血液がんに関与していてもよい。受容体は固形がんに関与していてもよい。好ましくは、固形がんは、結腸がん、直腸がん、腎細胞癌腫、肝臓がん、肺の非小細胞がん、小腸のがん、食道のがん、黒色腫、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、精巣がん、子宮がん、卵管の癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、小児期の固形腫瘍、膀胱のがん、腎臓または尿管のがん、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、環境誘発性がん、前記がんの組合せ、および前記がんの転移病変からなる群から選択される。
【0273】
受容体は、固形がんまたは血液がんに関与していてもよい。好ましくは、血液がんは、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、B細胞急性リンパ性白血病(B-ALL)、T細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞性前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、有毛細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ増殖性状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成および骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、Waldenstromマクログロブリン血症、または前白血病のうちの1つ以上から選択される。
【0274】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインが結合することができる膜結合型タンパク質は、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、食道がん、胃がん、前立腺がん、肺がん、黒色腫、白血病、膵臓がんおよび膀胱がんからなる群から選択されるがんに関連する。
【0275】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜結合型タンパク質は、大腸がんにおいて活性化されるか、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、EGFR、IGF1R、MET、LRP6、WLSおよびERBB2のうちの少なくとも1つである。
【0276】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、肝細胞がんにおいて活性化されるか、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質はLRP6である。
【0277】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、大腸がんにおいて活性化されるか、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、LRP6またはWLSである。
【0278】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、乳がんにおいて活性化される、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、WLS、EGFRまたはERBB2である。
【0279】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、食道がんにおいて活性化される、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、ERBB2またはVEGFR2である。
【0280】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、胃がんにおいて活性化される、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、WLS、ERBB2またはVEGFR2である。
【0281】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、白血病において活性化される、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、FLT3である。
【0282】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、黒色腫において活性化される、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、KITである。
【0283】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、非小細胞肺がんにおいて活性化される、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、EGFRまたはMETである。
【0284】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、卵巣がんにおいて活性化される、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、EGFRである。
【0285】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、膵臓がんにおいて活性化される、または増加した活性を有する。好ましくは、膜結合型タンパク質は、LRP6またはEGFRである。
【0286】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜結合型タンパク質は、TGFβR1、TGFβR2、EGFR、ERBB2、ERBB3、IGF1R、MET、VEGFR2、KIT、FLT3、PDGFRA、PDGFRB、GHR、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10、LRP5、LRP6、PD-1、PD-L1、CTLA4、CMTM6、CMTM4、WLS、SLC7A5およびSLC16A7からなる群から選択される。
【0287】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜結合型タンパク質は、配列番号31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、84、86、88、90、92、94、100、102および104からなる群から選択される配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0288】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜結合型タンパク質は、配列番号32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、85、87、89、91、93、95、101、103および105からなる群から選択される配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0289】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、TGFβR1またはTGFβR2である。
【0290】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、TGFβR1である。好ましくは、TGFβR1タンパク質は、配列番号31と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、TGFβR1タンパク質は、配列番号32と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0291】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインによって結合することができる膜貫通タンパク質は、TGFβR2である。好ましくは、TGFβR2タンパク質は、配列番号33と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、TGFβR2タンパク質は、配列番号34と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0292】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、TGFβR2に特異的に結合することができ、第1の結合ドメインは、RNF167に特異的に結合することができる。
【0293】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインが結合することができる膜貫通タンパク質は、EGFRである。好ましくは、EGFRタンパク質は、配列番号35と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、EGFRタンパク質は、配列番号36と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0294】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、EGFRに特異的に結合することができ、第1の結合ドメインは、RNF167に特異的に結合することができる。
【0295】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、ERBB2またはERBB3である。
【0296】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、ERBB2である。好ましくは、ERBB2タンパク質は、配列番号37と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、ERBB2タンパク質は、配列番号38と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0297】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、ERBB3である。好ましくは、ERBB3タンパク質は、配列番号39と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、ERBB3タンパク質は、配列番号40と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0298】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、IGF1Rである。好ましくは、IGF1Rタンパク質は、配列番号41と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、IGF1Rタンパク質は、配列番号42と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0299】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、METである。好ましくは、METタンパク質は、配列番号43と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、METタンパク質は、配列番号44と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0300】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、VEGFR2である。好ましくは、VEGFR2タンパク質は、配列番号45と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、VEGFR2タンパク質は、配列番号46と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0301】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、KITである。好ましくは、KITタンパク質は、配列番号47と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、KITタンパク質は、配列番号48と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0302】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FLT3である。好ましくは、FLT3タンパク質は、配列番号49と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FLT3タンパク質は、配列番号50と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0303】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、PDGFRAである。好ましくは、PDGFRAタンパク質は、配列番号53と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、PDGFRAタンパク質は、配列番号54と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0304】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、PDGFRBである。好ましくは、PDGFRBタンパク質は、配列番号55と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、PDGFRBタンパク質は、配列番号56と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0305】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9およびFZD10からなる群から選択される。
【0306】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD1である。好ましくは、FZD1タンパク質は、配列番号57と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD1タンパク質は、配列番号58と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0307】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD2である。好ましくは、FZD2タンパク質は、配列番号59と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD2タンパク質は、配列番号60と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0308】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD3である。好ましくは、FZD3タンパク質は、配列番号61と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD3タンパク質は、配列番号62と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0309】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD4である。好ましくは、FZD4タンパク質は、配列番号63と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD4タンパク質は、配列番号64と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0310】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD5である。好ましくは、FZD5タンパク質は、配列番号65と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD5タンパク質は、配列番号66と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0311】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD6である。好ましくは、FZD6タンパク質は、配列番号67と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD6タンパク質は、配列番号68と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0312】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD7である。好ましくは、FZD7タンパク質は、配列番号69と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD7タンパク質は、配列番号70と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0313】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD8である。好ましくは、FZD8タンパク質は、配列番号71と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD8タンパク質は、配列番号72と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0314】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD9である。好ましくは、FZD9タンパク質は、配列番号73と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD9タンパク質は、配列番号74と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0315】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、FZD10である。好ましくは、FZD10タンパク質は、配列番号75と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、FZD10タンパク質は、配列番号76と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0316】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、LRP5またはLRP6である。
【0317】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、LRP5である。好ましくは、LRP5タンパク質は、配列番号77と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、LRP5タンパク質は、配列番号78と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0318】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、LRP6である。好ましくは、LRP6タンパク質は、配列番号79と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、LRP6タンパク質は、配列番号80と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0319】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、増殖ホルモン受容体(GHR)である。好ましくは、GHRタンパク質は、配列番号84と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、GHRタンパク質は、配列番号85と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0320】
好ましい実施形態では、膜貫通タンパク質は、免疫チェックポイント阻害剤として機能する。好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、PD-1、PD-L1、CTLA4、CMTM6、CMTM4およびWLSからなる群から選択される。
【0321】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質はPD-1である。好ましくは、PD-1タンパク質は、配列番号86と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、PD-1タンパク質は、配列番号87と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0322】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、PD-L1である。好ましくは、PD-L1タンパク質は、配列番号88と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、PD1L1タンパク質は、配列番号89と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0323】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、CTLA4である。好ましくは、CTLA4タンパク質は、配列番号90と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、CTLA4タンパク質は、配列番号91と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0324】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、CMTM6である。好ましくは、CMTM6タンパク質は、配列番号92と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、CMTM6タンパク質は、配列番号93と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0325】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、CMTM4である。好ましくは、CMTM4タンパク質は、配列番号94と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、CMTM4タンパク質は、配列番号95と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0326】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインに結合することができる膜貫通タンパク質は、WLS/GPR177である。好ましくは、WLSタンパク質は、配列番号100と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、WLSタンパク質は、配列番号101と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0327】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインが結合することができる膜貫通タンパク質は、SLC7A5である。好ましくは、SLC7A5タンパク質は、配列番号102と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、SLC7A5タンパク質は、配列番号103と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0328】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインが結合することができる膜貫通タンパク質は、SLC16A7(MCT2)である。好ましくは、SLC16A7タンパク質は、配列番号104と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。好ましくは、SLC16A7タンパク質は、配列番号105と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
【0329】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質の細胞外部分に結合する。したがって、好ましくは、ヘテロ二機能性分子は、膜結合型タンパク質と結合するために細胞膜を通過する必要がない。
【0330】
好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第1および第2の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質のそれぞれの細胞外部分に結合する。好ましくは、ヘテロ二機能性分子は細胞外で結合する。
【0331】
第1の結合ドメイン
本発明のヘテロ二機能性分子は、少なくとも第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインを含む。第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができる。好ましくは、第1の結合ドメインは、上記「第1の結合ドメインが結合するタンパク質」の項で規定した膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができる。ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは、好ましくはヘテロ二機能性分子が医薬に使用される場合に、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの天然エピトープに選択的に結合し得る。代わりに、ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは、好ましくは、ヘテロ二機能性分子が本発明の方法において、好ましくは、本発明の選択方法において使用される場合に、膜貫通E3ユビキチンリガーゼ内で操作された非天然エピトープに選択的に結合することができる。
【0332】
ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができる任意のドメインであり得る。好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に結合する。
【0333】
当業者は、例えば、化合物ライブラリーのスクリーニング、免疫化研究、および/または抗体もしくはその機能性断片を生成するハイブリドーマ技術によって、本発明のヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインを生成する方法を理解する。好ましい機能性抗体断片は、ナノボディである。これらの技術の詳細は、例えば(Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow et al., Cold Spring Harbor Publications, p. 726,1988)に記載され、または(Campbell, A.M. "Monoclonal Antibody Technology Techniques in Biochemistry and Molecular Biology," Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands, 1984)によって、または(St. Groth et al., J. Immunol. Methods 35:1-21, 1980)によって記載される。天然エピトープに対するVHH/ナノボディの生成の詳細は、例えば、Pardon et al, Nature Protocols 2014に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0334】
好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合することができる分子は、抗体である。したがって、好ましくは、抗体は、本発明のヘテロ二機能性分子における第1の結合ドメインとして機能する場合がある。
【0335】
好ましくは、抗体は、抗体断片である。好ましくは、抗体断片は、ナノボディである。したがって、好ましい実施形態では、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合することができる分子は、ナノボディである。したがって、好ましくは、ナノボディは、本発明のヘテロ二機能性分子における第1の結合ドメインとして機能する場合がある。
【0336】
好ましい実施形態では、第1の結合ドメインは、有機小分子である。
【0337】
好ましい実施形態では、第1の結合ドメインは、アプタマーである。
【0338】
好ましい実施形態では、第1の結合ドメインは、タンパク性分子である。タンパク性分子は環状化されていてもよく、したがって、好ましくは、タンパク性分子は環状ペプチドである。ペプチドは、2つのアミノ酸残基の間の直接的な共有結合によって、または架橋部分を使用することによって環状化されてもよい。そのような架橋部分は、当技術分野でよく知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/057624号に記載される架橋部分が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク性分子は、当技術分野で従来から知られているタンパク性分子であり得る。
【0339】
したがって、本発明は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合するために当技術分野で既知の分子にまでおよび、この分子は、本発明のヘテロ二機能性分子の第1の結合ドメインとして機能することができる。このような既知の分子としては、既知の抗体、タンパク性分子、アプタマーまたは既知の有機小分子の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、抗体、タンパク性分子、アプタマーまた有機小分子は、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に結合するために当技術分野で知られている。
【0340】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合する抗体は当技術分野で知られており、当業者であれば、そのような抗体を取得することは困難ではないだろう。膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合できる、好ましくは膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に特異的に結合できる、任意の既知の抗体は、本発明のヘテロ二機能性分子における第1の結合ドメインとして使用するのに適しているであろう。
【0341】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼに結合することができる好ましい既知の分子は、ナノボディである。したがって、好ましくは、ナノボディは、本発明のヘテロ二機能性分子における第1の結合ドメインとして機能する場合がある。
【0342】
好ましい実施形態では、第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼの天然リガンド、またはその機能性断片、すなわち膜貫通E3ユビキチンリガーゼと結合できる状態である天然リガンドの断片である。
【0343】
非限定的な例として、RNF43およびZNRF3のための天然リガンドは、Rspondin(RSPO)-1、-2、-3および-4である。したがって一実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、RNF43に結合することができる第1の結合ドメインを含み、第1の結合ドメインはRspondin 1、Rspondin 2、Rspondin 3およびRspondin 4またはその機能性断片からなる群から選択される。代わりに、ヘテロ二機能性分子は、ZNRF3に結合することができる第1の結合ドメインを含み、第1の結合ドメインはRspondin 1、Rspondin 2、Rspondin 3およびRspondin 4またはその機能性断片からなる群から選択される。
【0344】
第2の結合ドメイン
本発明のヘテロ二機能性分子は、少なくとも第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインを含む。第2のドメインは、膜結合型タンパク質、好ましくは膜貫通タンパク質に特異的に結合することができる。好ましくは、第2の結合ドメインは、上記「第2の結合ドメインが結合するタンパク質」の項で規定した膜結合型タンパク質に特異的に結合することができる。ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、好ましくは、ヘテロ二機能性分子が医薬に使用される場合に、膜結合型タンパク質の天然エピトープに選択的に結合することができる。代わりに、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、好ましくは、ヘテロ二機能性分子が本発明の方法において、好ましくは、本発明の選択方法において使用される場合に、膜結合型タンパク質内で操作された非天然エピトープに選択的に結合することができる。
【0345】
ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質、好ましくは膜貫通膜タンパク質に特異的に結合することができる任意のドメインであり得る。好ましくは、ヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質の細胞外部分に結合する。
【0346】
第2の結合ドメインは、抗体、ペプチド、アプタマー、有機小分子であり得る。
【0347】
当業者は、例えば、化合物ライブラリーのスクリーニング、免疫化研究、および/または抗体もしくはその機能性断片を生成するハイブリドーマ技術によって、本発明のヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインを生成する方法を理解する。好ましい機能性抗体断片は、ナノボディである。これらの技術の詳細は、例えば(Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow et al., Cold Spring Harbor Publications, p. 726,1988)に記載され、または(Campbell, A.M. "Monoclonal Antibody Technology Techniques in Biochemistry and Molecular Biology," Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands, 1984)によって、または(St. Groth et al., J. Immunol. Methods 35:1-21, 1980)によって記載される。
【0348】
好ましい実施形態では、膜結合型タンパク質に結合することができる分子は抗体である。したがって、好ましくは、抗体は、本発明のヘテロ二機能性分子における第2の結合ドメインとして機能する場合がある。
【0349】
好ましくは、抗体は、抗体断片である。好ましくは、抗体断片は、ナノボディである。したがって、好ましい実施形態では、膜結合型タンパク質に結合することができる分子は、ナノボディである。したがって、好ましくは、ナノボディは、本発明のヘテロ二機能性分子における第2の結合ドメインとして機能する場合がある。
【0350】
好ましい実施形態では、第1の結合ドメインは、有機小分子である。
【0351】
好ましい実施形態では、第1の結合ドメインは、アプタマーである。
【0352】
好ましい実施形態では、第2の結合ドメインは、タンパク性分子である。タンパク性分子は環状化されていてもよく、したがって、好ましくは、タンパク性分子は環状ペプチドである。ペプチドは、2つのアミノ酸残基の間の直接的な共有結合によって、または架橋部分を使用することによって環状化されてもよい。そのような架橋部分は、当技術分野でよく知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/057624号に記載される架橋部分が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク性分子は、当技術分野で従来から知られているタンパク性分子であり得る。
【0353】
したがって、本発明は、膜結合型タンパク質、好ましくは本明細書で上に定義される膜結合型タンパク質に特異的に結合するために当技術分野で既知の分子にまでおよぶ。そのような分子は、本発明のヘテロ二機能性分子の第2の結合ドメインとして機能することができる。
【0354】
このような既知の分子としては、既知の抗体、タンパク性分子、アプタマーまたは既知の有機小分子の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本明細書で定義される膜結合型タンパク質の細胞外部分に結合する抗体、タンパク性分子、アプタマーまた有機小分子は当技術分野で公知である。
【0355】
膜結合型タンパク質、好ましくは本明細書で上に定義される膜貫通タンパク質に結合する抗体は当技術分野で知られており、当業者であれば、そのような抗体を取得することは困難ではないであろう。本明細書で定義される膜結合型タンパク質に特異的に結合することができる、好ましくは本明細書で定義される膜結合型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる任意の既知の抗体は、本発明のヘテロ二機能性分子における第2の結合ドメインとして使用するのに適しているであろう。
【0356】
膜結合型タンパク質に結合することができる好ましい既知の分子は、ナノボディである。したがって、好ましくは、ナノボディは、本発明のヘテロ二機能性分子における第2の結合ドメインとして機能する場合がある。
【0357】
好ましい実施形態では、第2の結合ドメインは、膜結合型タンパク質、好ましくは、本明細書で定義される膜貫通タンパク質の天然リガンドである。好ましくは、天然リガンドは、膜貫通タンパク質のアンタゴニストである。
【0358】
ヘテロ二機能性分子
第1の結合ドメインと第2の結合ドメインは、それぞれ膜貫通タンパク質または膜結合型タンパク質、すなわち標的タンパク質と特異的に結合することができる。
【0359】
特異的結合は、本明細書では、「非標的」タンパク質のドメインの結合の程度が、蛍光活性化セルソーティング(FACS)解析、ELISAまたは放射性免疫沈降法(RIA)によって決定されるその特定の標的タンパク質へのドメインの結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%より小さくなるだろうとして理解されている。ドメインの標的タンパク質への結合に関して、特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的結合(すること/している)」または「特異的に結合する」または特定のポリペプチドもしくは「特異的」であるという用語は、非特異的相互作用と測定可能に異なっている結合を意味する。特異的結合は、例えば、標的タンパク質の結合を、一般に結合活性を有しない類似構造のタンパク質である対照タンパク質の結合と比較して決定することにより測定することができる。例えば、特異的結合は、過剰な非標識標的など、標的に類似した対照タンパク質との競合によって決定することができる。この場合、標識標的のプローブとの結合が、過剰な非標識標的によって競合的に阻害される場合、特異的結合が示される。
【0360】
本明細書で使用される、特定のポリペプチドもしくは特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的結合(すること/している)」または「特異的に結合する」または「特異的」であるという用語は、例えば、少なくとも約10-4M、あるいは少なくとも約10-5M、あるいは少なくとも約10-6M、あるいは少なくとも約10-7M、あるいは少なくとも約10-8M、あるいは少なくとも約10-9M、あるいは少なくとも約10-10M、あるいは少なくとも約10-11M、あるいは少なくとも約10-12M、またはそれ以上の標的に対するKd(これは上記のように決定されてよい)を有する結合ドメインによって示され得る。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、結合ドメインが、他の任意のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに実質的に結合せずに、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに結合する場合の結合を指す。
【0361】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜結合型タンパク質へのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜貫通タンパク質のユビキチン化および分解をもたらす。好ましくは、膜結合型タンパク質は膜貫通タンパク質である。したがって好ましくは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼおよび膜貫通タンパク質へのヘテロ二機能性分子の同時結合は、膜貫通タンパク質のユビキチン化および分解をもたらす。好ましくは、分解は、プロテアソーム分解およびリソソーム分解の少なくとも1つである。好ましくは、分解はリソソーム分解である。
【0362】
本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子は、したがって、膜貫通E3ユビキチンリガーゼを標的、すなわち膜結合型タンパク質に近づけることによって、細胞膜上の膜結合型タンパク質の存在をノックダウンまたはノックアウトする場合がある。言い換えれば、膜結合型タンパク質の定常状態レベルが減少することになる。
【0363】
定常状態レベルは、本明細書では、細胞あたりのタンパク質の存在量として定義される場合がある。基準細胞と比較して、膜結合型タンパク質の定常状態レベルは、少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%減少する場合があり、または約100%減少する場合があり、すなわち、ヘテロ二機能性分子の結合により膜結合型タンパク質が完全に存在しないことになる。
【0364】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、例えば、Wu X and Demarest SJ, Methods. (2019)154:3-9、に記載されている。したがって、好ましくは、第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼ、好ましくは、上記「第1の結合ドメインが結合する膜貫通E3ユビキチンリガーゼ」の項で規定した膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができる抗体である。好ましくは、第2の結合ドメインもまた抗体であり、この抗体は、膜結合型タンパク質、好ましくは膜貫通タンパク質、好ましくは上記「第2の結合ドメインが結合するタンパク質」の項で規定した膜貫通タンパク質に特異的に結合することができる。2つの抗体(すなわち、第1および第2の結合ドメイン)は、互いに直接結合することができ、または2つの抗体の間にリンカーが存在することができ、好ましくは本明細書に規定するようなリンカーが存在することができる。
【0365】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、二重特異性ナノボディである。二重特異性ナノボディは、例えば、国際公開第2015/044386号およびConrath et al (Camel Single-domain Antibodies as Modular Building Units in Bispecific and Bivalent Antibody Constructs, JBC, 2001)に開示されている。好ましくは、第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼ、好ましくは、上記「第1の結合ドメインが結合する膜貫通E3ユビキチンリガーゼ」の項で規定した膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合できるナノボディである。好ましくは、第2の結合ドメインもまたナノボディあり、このナノボディは、膜結合型タンパク質、好ましくは膜貫通タンパク質、好ましくは上記「第2の結合ドメインが結合するタンパク質」の項で規定した膜貫通タンパク質に特異的に結合することができる。2つのナノボディ(すなわち、第1および第2の結合ドメイン)は、互いに直接結合することができ、または2つのナノボディの間にリンカーが存在することができ、好ましくは本明細書に規定するようなリンカーが存在することができる。
【0366】
好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、二環式ペプチドである。好ましくは、第1の結合ドメインは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼ、好ましくは、上記「第1の結合ドメインが結合する膜貫通E3ユビキチンリガーゼ」の項で規定した膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができる環状ペプチドである。好ましくは、第2の結合ドメインもまた環状ペプチドであり、この環状ペプチドは、膜結合型タンパク質、好ましくは膜貫通タンパク質、好ましくは上記「第2の結合ドメインが結合するタンパク質」の項で規定した膜貫通タンパク質に特異的に結合することができる。2つの環状ペプチド(すなわち、第1および第2の結合ドメイン)は、例えば、同じ架橋部分を使用することによって、互いに直接結合することができ、または2つの環状ペプチドの間にリンカーが存在することができ、好ましくは本明細書に規定するようなリンカーが存在することができる。
【0367】
ヘテロ二機能性分子は、必要に応じて、分子の安定性を増加させる部分を含んでもよい。このような部分には、限定されないが、アルブミンの特異的結合のための結合ドメインが包含される。
【0368】
ヘテロ二機能性分子は、必要に応じて、ヘテロ二機能性分子の精製または検出のためのタグ、好ましくは本明細書において定義されるペプチド-タグまたはタンパク質-タグを含んでもよい。好ましい精製タグは、His-タグまたはAvi-タグである。好ましい検出タグはV5タグである。このようなヘテロ二機能性分子は、本発明の(スクリーニング)方法における使用に特に有用である。
【0369】
本発明のヘテロ二機能性分子は、第1の結合ドメインと第2の結合ドメインとの間にリンカーを含んでいてもよい。リンカーは、当技術分野で知られている任意の適切なリンカーであってもよい。好ましくは、リンカーは、Gly-Ser配列である。当業者は、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインに依存して、リンカーを選択する方法を知っている。リンカーは、例えば、(GGGGS)n、(GGS)n、および(G)nの形の非常な可撓性リンカーから、(EAAAK)n、(SPKKKRKVEAS)n(配列番号81)、または(SGSETPGTSESATPES)n(配列番号82)、または(KSGSETPGTSESATPES)n(配列番号83)の形のより堅いリンカーまで、またはその任意のバリアントであり得、nは、好ましくは1~15、好ましくは1~7、すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15である。
【0370】
リンカーは、好ましくは、長さが2~250個のアミノ酸、2~30個のアミノ酸、または3~23個のアミノ酸、または3~18個のアミノ酸である。
【0371】
リンカーは、例えば、リンカー中に3Cプロテアーゼ切断部位を導入することによって、切断可能なリンカーであり得る。このようなリンカーは、例えば、リンカーを切断することによって、強制的な二量体化を無効にすべきであるという制御を提供するので、本発明の(スクリーニング)方法における使用に特に有用である。
【0372】
治療的使用
本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子は、膜貫通ユビキチンE3リガーゼと選択された膜結合型タンパク質との同時結合によって、任意の選択された膜結合型タンパク質のレベルを減少させるために使用することができる。膜貫通ユビキチンリガーゼと選択された膜結合型タンパク質との組合せは、好ましくは、有効な組合せであり、好ましくは、本発明の選択方法を用いて選択される。
【0373】
一態様では、本明細書において定義されるヘテロ二機能性分子は、医薬として使用するためのものである。医薬として使用するためのヘテロ二機能性分子は、好ましくは、膜貫通ユビキチンE3リガーゼ上に存在する天然エピトープ、および選択された膜結合型タンパク質上に存在する天然エピトープに結合する。本明細書に記載される医学的使用は、有効量のヘテロ二機能性分子の投与による上述の疾患(複数可)の処置のための医薬として使用するために、本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子として製剤化されるが、本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子を使用する、上述の疾患(複数可)の処置の方法であって、対象に有効量のヘテロ二機能性分子を投与するステップ、上述の疾患(複数可)を処置するための医薬の調製に使用するための本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子を投与するステップ、ここでヘテロ二機能性分子は有効量で投与され、および有効量を投与することによる明記された疾患(複数可)の処置のための本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子の使用を含む方法として同様に製剤化することが可能である。このような医学的使用は、すべて本発明によって想定される。
【0374】
当業者は、疾患の開始、重症度、または持続期間に関与する任意の膜結合型タンパク質の活性の増加が、本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子の好適な標的であり得ることを理解する。したがって、ヘテロ二機能性分子は、いかなる特定の膜結合型タンパク質またはいかなる特定の疾患にも限定されない。好ましくは、疾患は、膜結合型タンパク質、好ましくは受容体の活性が増加することを特徴とし、膜結合受容体の活性の増加は、好ましくは疾患の開始、重症度または持続期間に影響を与えるか、またはそれを規定するものである。
【0375】
非限定的な例として、ヘテロ二機能性分子は、がん、認知症、心疾患、神経障害、稀少疾患および感染症のうちの少なくとも1つの処置に用いることができる。
【0376】
膜結合受容体の活性の増加は、例えば、がんの開始、重症度または持続期間において重要な役割を果たすことが当技術分野でよく知られている。したがって、一実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、がんに関連する症状の処置、予防、軽減、または抑制のために使用される。
【0377】
好ましくは、がんは、本明細書の上記「第2の結合ドメインが結合するタンパク質」の項で定義されるがんである。
【0378】
好ましくは、がんは、固形がんまたは血液がんである。代わりに、またはさらに、受容体は、がんの血管新生に関与していてもよい。
【0379】
好ましくは、固形がんは、本明細書の上記「第2の結合ドメインが結合するタンパク質」の項で定義される固形がんである。
【0380】
好ましくは、血液がんは、本明細書の上記「第2の結合ドメインが結合するタンパク質」の項で定義される血液がんである。
【0381】
一態様において、本発明は、本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子を含む組成物に関係する。ヘテロ二機能性分子は、好ましくは、本発明の選択方法を用いて選択される、膜貫通ユビキチンE3リガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せに結合する。組成物は、細胞培養、好ましくは動物細胞培養、より好ましくは哺乳動物細胞培養における使用に適している場合がある。さらに、または代わりに、組成物は、好ましくは、医薬組成物または化粧品組成物である。
【0382】
組成物は、1種類のヘテロ二機能性分子を含んでいてもよく、例えば、2つまたはそれ以上の異なる膜結合型タンパク質の存在をノックダウンまたはノックアウトするために、少なくとも2種類の異なるヘテロ二機能性分子を含んでいてもよい。組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるタイプのヘテロ二機能性分子を含んでいてもよい。
【0383】
上記のようなヘテロ二機能性分子を含む組成物は、医薬組成物もしくは化粧品組成物として、または医療用食品および栄養補助食品を含むヒトもしくは動物用の食品など、他の様々な媒体で調製され得る。
【0384】
「医療用食品」とは、特有の栄養要求が存在する疾患や状態の特定の食事管理を目的とした製品である。例えば、医療用食品には、栄養チューブを通して供給されるビタミンおよびミネラル製剤(経腸投与と呼ばれる)が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0385】
「栄養補助食品」とは、ヒトの食事を補うことを意図した製品であり、通常、丸剤、カプセル剤、および錠剤等の製剤の形態で提供されるものを意味するものとする。例えば、これに限定されないが、栄養補助食品は、以下の成分の1つ以上を含むことができる:ビタミン、ミネラル、ハーブ、植物性薬品;アミノ酸、総食事摂取量を増やすことによって食事を補うことを意図した食事物質、および前述のいずれかの濃縮物、代謝物、成分、抽出物またはその組合せ。栄養補助食品には、食品バー、飲料、粉末、シリアル、調理済み食品、食品添加物、キャンディが包含されるがこれらに限定されない食品に組み込まれてもよい。
【0386】
したがって、対象組成物は、食品を含むがこれに限定されない摂取可能な他の生理学的に許容される材料と複合化されてもよい。さらに、または代わりに、本明細書に記載される使用のための組成物は、食品の(個別の)投与と組み合わせて経口投与されてもよい。
【0387】
組成物は、単独でまたは他の医薬品または化粧品剤と組み合わせて投与してもよく、その生理的に許容される担体と組み合わせることができる。特に、本明細書に記載のヘテロ二機能性分子は、薬学的または生理学的に許容される賦形剤、担体、およびビヒクル等の添加物を用いて製剤化することにより、医薬組成物または化粧品組成物として製剤化することができる。
【0388】
適切な薬学的または生理学的に許容される賦形剤、担体およびビヒクルには、加工剤および薬物送達修飾剤および増強剤、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル-P-シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂など、ならびにそれらの任意の2つ以上の組合せが挙げられる。その他の薬学的に許容される賦形剤については、"Remington's Pharmaceutical Sciences, " Mack Pub. Co., New Jersey (1991)、および"Remington: The Science and Practice of Pharmacy, " Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 20th edition (2003), 21st edition (2005) and 22nd edition (2012)、に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0389】
本発明に記載の使用のためのヘテロ二機能性分子を含む医薬組成物または化粧品組成物には、例えば、溶液、懸濁液、またはエマルジョンが包含される、意図された投与方法に適した任意の形態であってもよい。好ましい実施形態では、ヘテロ二機能性分子は、固体形態または液体形態で投与される。
【0390】
経口投与のための固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末、および顆粒が包含され得る。そのような固体剤形では、ヘテロ二機能性分子は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合されてもよい。そのような剤形は、不活性希釈剤以外の追加物質、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤も含んでいてもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでいてもよい。錠剤および丸剤は、腸溶性コーティングを使用してさらに調製することができる。
【0391】
経口投与のための液体剤形は、水または生理食塩水などの当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含む薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む場合がある。このような組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、シクロデキストリンなどのアジュバント、ならびに甘味料、香味料、および香料を含んでいてもよい。
【0392】
液体担体は、通常、溶液、懸濁液、およびエマルジョンの調製に使用される。好ましい実施形態では、本発明の実施における使用が企図される液体担体/液体剤形には、例えば、水、生理食塩水、薬学的に許容される有機溶媒(複数可)、薬学的に許容される油または脂肪等、およびそれらの2つ以上の混合物等が包含される。好ましい実施形態では、本明細書で定義される本発明のヘテロ二機能性分子は、投与前に水溶液と混和される。水溶液は、投与に適しているべきであり、そのような水溶液は当技術分野でよく知られている。水溶液の投与の適性は、投与経路に依存する場合があることが当技術分野でさらに知られている。
【0393】
好ましい実施形態では、水溶液は、等張性水溶液である。等張性水溶液は、好ましくは、血漿に対してほぼ(または完全に)等張である。さらに好ましい実施形態では、等張性水溶液は、生理食塩水である。
【0394】
液体担体は、可溶化剤、乳化剤、栄養剤、緩衝剤、保存剤、懸濁剤、増粘剤、粘度調整剤、安定剤、香味剤等の他の適切な薬学的に許容される添加物を含んでもよい。好ましい香味剤は、単糖類および/または二糖類のような甘味料である。好適な有機溶媒としては、例えば、エタノールなどの一価アルコール、およびグリコールなどの多価アルコールが挙げられる。好適な油としては、例えば、大豆油、ヤシ油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油等が挙げられる。
【0395】
非経口投与の場合、担体は、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等の油性エステルでもあり得る。本発明で使用するための組成物は、微粒子、マイクロカプセル、リポソームカプセル等、ならびにそれらの任意の2つ以上の組合せの形態であってもよい。
【0396】
時間放出、持続放出または制御放出送達システムは、例えば、Lee, "Diffusion-Controlled Matrix Systems", pp. 155-198およびRon and Langer, "Erodible Systems", pp. 199-224, in "Treatise on Controlled Drug Delivery", A. Kydonieus Ed. , Marcel Dekker, Inc. , New York 1992に記載されているように、拡散制御マトリックスシステムまたは侵食性システムを使用してもよい。マトリックスは、例えば、加水分解または酵素切断、例えば、プロテアーゼによって、in situおよびin vivoで自然に分解することができる生分解性材料であってもよい。送達システムは、例えば、天然に存在するまたは合成のポリマーまたはコポリマーであってもよく、例えばヒドロゲルの形態である。開裂可能な結合を有する例示的なポリマーには、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、多糖類、ポリ(ホスホエステル)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(イミドカーボネート)およびポリ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0397】
本発明のヘテロ二機能性分子はまた、リポソームの形態で投与することができる。当技術分野において知られているように、リポソームは一般にリン脂質または他の脂質物質から得られる。リポソームは、水性媒体中に分散された単層または多層水和液体結晶によって形成される。リポソームを形成することができる、非毒性で、生理学的に許容され、代謝可能な任意の脂質を使用することができる。リポソーム形態の本発明の組成物は、本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤等を含むことができる。好ましい脂質は、天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は、当技術分野で知られている。例えば、Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N. Y., p. 33 et seq (1976)を参照されたい。
【0398】
医薬組成物または化粧品組成物は、単位用量製剤を含むことができ、単位用量は、本明細書で定義される障害または状態の治療効果または抑制効果を有するのに十分な用量、および/または膜結合型タンパク質の発現を低減する、またはノックアウトするために有効な量である。単位用量は、本明細書で定義される障害または状態の治療効果または抑制効果および/または標的膜結合型タンパク質の発現を低減するのに有効な量を有する単回投与で十分である場合がある。代わりに、単位用量は、本明細書で定義される障害または状態の処置または抑制の経過において定期的に投与される用量であってもよい。処置の経過の間、対象組成物の濃度は、所望のレベルが維持されることを保証するために監視されてもよい。
【0399】
本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子またはヘテロ二機能性分子を含む組成物は、経腸、経口、非経口、舌下、吸入(例えば、ミストまたはスプレーとして)、直腸、または局所的に投与されてもよく、所望に応じて従来の非毒性薬学的または生理的に許容できる担体、アジュバント、およびビヒクルを含む投与単位製剤で好ましくは投与されてもよい。例えば、好適な投与様式としては、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオントフォレーシス、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻内(例えば、鼻粘膜経由)、硬膜下、直腸、胃腸等、および特定のまたは影響を受ける臓器または組織、例えばがん組織への直接の投与が挙げられる。中枢神経系への投与には、脊髄投与、硬膜外投与、脳室への投与等を使用することができる。局所投与には、経皮パッチやイオントフォレーシス装置等の経皮投与の使用を伴う場合もある。本明細書で使用される非経口的という用語は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、間質内(intrastemal)注射、または点滴技術を含む。
【0400】
ヘテロ二機能性分子は、所望の投与経路に適した薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルと混合することができる。本発明のヘテロ二機能性分子は、胃管または経皮管を介した補充によって投与される場合がある。
【0401】
好ましい実施形態では、本発明は、有効な総1日用量の投与による、がんに関連する症状の処置、予防、または抑制における使用のための、本明細書で上に定義されるヘテロ二機能性分子に関係する。
【0402】
経口投与のための剤形は、固形経口剤形であり得る。固体経口剤形のクラスは、主に錠剤およびカプセル剤からなるが、他の形態も当技術分野で知られており、同様に好適であり得る。固体経口剤形として使用する場合、本明細書で定義されるヘテロ二機能性分子は、例えば、即時放出錠剤(またはカプセル剤等)または徐放性錠剤(またはカプセル剤等)の形態で投与してもよい。当業者にとって明らかであろうように、任意の適切な即時放出または徐放性固体剤形を本発明の文脈で使用することができる。
【0403】
本明細書に記載の使用のための記載されたヘテロ二機能性分子は、固体形態、液体形態、エアロゾル形態、または錠剤、丸剤、粉末混合物、カプセル剤、顆粒、注射剤、クリーム、溶液、座薬、浣腸、結腸洗浄、エマルジョン、分散液、食品プレミックス、および他の適切な形態で投与することができる。cのヘテロ二機能性分子はまた、リポソーム製剤で投与することができる。化合物はまた、プロドラッグとして投与することができ、ここで、プロドラッグは、処置された対象において治療的に有効である形態へと変換を受ける。追加の投与方法は、当技術分野で知られている。
【0404】
注射可能調製物、例えば、無菌注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して既知の技術に従って製剤化することができる。無菌注射可能調製物はまた、例えばプロピレングリコール中の溶液のように、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射可能溶液または懸濁液であってもよい。採用されてもよい許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。さらに、溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が従来から採用されている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意のブランドの固定油を採用してもよい。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0405】
ヘテロ二機能性分子の直腸投与用の坐薬は、ヘテロ二機能性分子をココアバターやポリエチレングリコールなどの室温では固体だが直腸温度では液体で、したがって直腸で溶けてヘテロ二機能性分子を放出する適切な非刺激性の賦形剤と混合することによって調製され得る。
【0406】
本明細書に記載の使用のためのヘテロ二機能性分子は、単独の活性医薬品(または化粧品)剤として投与することができるが、それらはまた、疾患または障害の処置または抑制に使用される1つ以上の他の薬剤と組み合わせて使用することができる。疾患または障害に関連する症状の処置、予防または抑制のために本発明のヘテロ二機能性分子との組合せに有用な代表的薬剤としては、コエンザイムQ、ビタミンE、イデベノン、MitoQ、EPI-743、ビタミンKおよびその類似体、ナフトキノンおよびその誘導体、他のビタミン、抗酸化化合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0407】
本発明のヘテロ二機能性分子と組み合わせて追加の活性剤を使用する場合、追加の活性剤は、一般に、参照により本明細書に組み込まれるPhysicians' Desk Reference (PDR) 53rd Edition (1999)に示される治療量、または当業者に知られるような治療上有用な量を採用してもよい。本発明のヘテロ二機能性分子および他の治療上活性な薬剤または薬剤(複数)は、推奨される最大臨床用量で、またはより低い用量で投与され得る。本発明の組成物中の活性化合物の用量レベルは、投与経路、疾患の重症度、および患者の応答に依存して、所望の治療応答を得るように変化させてもよい。他の治療剤と組み合わせて投与する場合、治療剤は、同時または異なる時間に投与される別々の組成物として製剤化することができ、または治療剤は、単一の組成物として投与することができる。
【0408】
ヘテロ二機能性分子の製造
ある態様では、本発明は、本発明のヘテロ二機能性分子を製造する方法に関し、本方法は、
- 好ましくは本発明の方法を用いて、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質との有効な組合せを選択するステップ;
- 膜貫通E3ユビキチンリガーゼに特異的に結合することができる第1の結合ドメインを構築するステップ;
- 膜結合型タンパク質に特異的に結合することができる第2の結合ドメインを構築するステップ;および
- 第1の結合ドメインを第2の結合ドメインにカップリングさせるステップであって、好ましくは、カップリングは直接カップリングであるか、またはリンカー、好ましくは、本明細書において定義されるリンカーを介するカップリングであるステップ
を含む。
【0409】
本明細書では、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインを構築するステップは、当技術分野における任意の従来の手段を使用して実施され得ることが理解される。非限定的な例として、第1および第2の結合ドメインのうちの少なくとも1つは、当技術分野において従来から知られている結合ドメイン、例えば、膜貫通E3ユビキチンリガーゼへの特異的結合について当技術分野において知られている抗体、または膜結合型タンパク質への特異的結合について当技術分野において知られている抗体である。
【0410】
代わりに、第1および第2の結合ドメインのうちの少なくとも一方は、デノボ結合ドメインであり、例えば、免疫研究によって発見された抗体またはナノボディ結合ドメインが挙げられるが、これらに限定されない。
膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質を選択するステップは、膜貫通E3ユビキチンリガーゼに第1の非天然エピトープタグを組み込み、膜結合型タンパク質に第2の非天然エピトープタグを組み込むことによって達成されてもよい。細胞内で発現すると、第1および第2のエピトープタグは、好ましくは、それぞれの細胞外部分に提示される、すなわち細胞外に提示される。第1のエピトープタグに結合することができる第1の結合ドメインおよび第2のエピトープタグに結合することができる第2の結合ドメインを有するヘテロ二機能性分子は、その後、膜結合型タンパク質へと膜貫通E3ユビキチンリガーゼを標的化する能力を評価するために使用されてもよい。ヘテロ二機能性分子を使用してE3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とを強制的に相互作用させた後、膜結合型タンパク質のユビキチン化および内在化を膜貫通E3ユビキチンリガーゼがどの程度できるかを決定することによって効力は評価されてもよい。さらに、または代わりに、この選択システムを使用してE3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質を強制的に相互作用させた後、膜結合型タンパク質の細胞表面レベルおよび/または総タンパク質レベルがどの程度減少するかを決定することによって能力は評価されてもよい。また、膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質とを選択するステップは、以下に本明細書で詳述するように、細胞の膜結合型タンパク質の表面レベルを減少させる方法と考えられてもよい。
【0411】
膜貫通E3ユビキチンリガーゼと膜結合型タンパク質の有効な組合せを選択した後、(天然)膜貫通E3ユビキチンリガーゼの細胞外部分に特異的に結合することができる第1の結合ドメインと(天然)膜結合型タンパク質の細胞外部分に特異的に結合することができる第2の結合ドメインを含むヘテロ二機能性分子を構築してもよい。
【実施例】
【0412】
[実施例1]
材料および方法
細胞培養およびトランスフェクション
ヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞を、10%ウシ胎仔血清(GE Healthcare)、2mM UltraGlutamine(Lonza)、100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)を添加したRPMI(Invitrogen)において培養した。細胞を37℃、5%CO2で培養した。トランスフェクションは、顕微鏡観察の場合は製造業者のプロトコールにしたがってFuGENE 6(Promega)を使用して、生化学の場合はPEIを使用して、実施した。A/C Heterodimerizer(Takara Bio、# 635056)は1μMで、37℃で一晩使用し、対照条件は等量の100%エタノールで処理した。TGFβは1.5ng/mLで45分間使用した。
【0413】
構築物および抗体
TGF-βII型セリン/スレオニンキナーゼ受容体(TβRII)-Flag-FKBPおよび-Flag-FRBはPeter ten Dijke(LUMC、Leiden)から提供された。RNF43-FKBPおよび-FRBは、Q5 High-Fidelity 2× Master Mix(NEB)を使用して、ヒトRNF43のC末尾にそれぞれFKBP36VまたはFRBのコード配列を挿入することによって得られた。すべての構築物は配列が確認された。CD63-GFPはJ.Klumperman(UMCU、Utrecht)から贈呈された。免疫ブロット法(IB)、免疫蛍光法(IF)、免疫沈降法(IP)には以下の一次抗体を使用した:ウサギ抗FLAG(Sigma-Aldrich)、ラット抗HA(Roche)、マウス抗FLAG(M2;Sigma-Aldrich)、マウス抗Actin(MP Biomedicals)およびウサギ抗RNF43(Sigma-Aldrich)。一次抗体は製造業者の使用説明書に従い希釈した。IBまたはIFに使用した二次抗体は、それぞれ1:8000または1:300で、RocklandまたはInvitrogenのいずれかから入手したものを使用した。
【0414】
免疫蛍光法および共焦点顕微鏡
HEK293T細胞は、24ウェルプレートでラミニン(Sigma)をコートしたガラスカバースリップ上で増殖させた。一晩のトランスフェクションの後、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)中の4%ホルムアルデヒドで固定した。細胞をPBS中に2%BSAと0.1%サポニンを含む緩衝剤で、室温(RT)で30分間ブロックした。その後、細胞を一次抗体および二次抗体とともにブロッキング緩衝剤中、室温で1時間インキュベートした。細胞をProlong Diamond(Life technologies)にマウントし、LSM700共焦点顕微鏡で画像を取得した。画像はImageJで解析および処理した。
【0415】
免疫沈降法およびウエスタンブロッティング
トランスフェクション後、細胞を10cmディッシュで80%コンフルエントになるまで増殖させた。PBSで細胞を洗浄後、細胞を掻き取り、100mM NaCL、50mM Tris pH7.5、0.25%Triton X-100、10%グリセロール、50mM NaF、10mM Na3VO4、10μMロイペプチン、10μMアプロチニンおよび1mM PMSFを含む細胞溶解緩衝剤で溶解した。溶解物は、16,000×g、4℃で15分間遠心分離することにより清澄化した。溶解物をSDS試料緩衝剤中に取り、37℃で1時間加熱した。免疫沈降法のために、溶解物を25μlの予め結合したFlag-M2ビーズ(Sigma)とともにインキュベートし、4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、ビーズを試料緩衝剤で溶出し、37℃で1時間加熱した。SDS-PAGE後、タンパク質をウエスタンブロッティングによりImmobilon-FL PVDF膜(Milipore)に転写した。Odysseyブロッキング緩衝剤(LI-COR)でブロッキングした後、タンパク質を指定された一次抗体で標識し、Amersham Typhoon Biomolecular Imager(GE Health Care)を使用してヤギ抗マウス/ウサギAlexa 680(Invitrogen)、ロバ抗ラットAlexa 680(Invitrogen)またはヤギ抗マウス/ウサギIRDye 800(Rockland)で検出した。
【0416】
結果および考察
RNF43とTGF-βII型セリン/スレオニンキナーゼ受容体(TβRII)の強制的な二量体化によりTβRIIのリソソーム局在と分解が誘導される
選択された細胞表面タンパク質を内在化およびリソソーム分解へと標的化するように膜貫通E3リガーゼを再方向づけするという概念の証明を示すために、FKBP/FRB二量体化システムを使用した。TβRIIとRNF43の両方のC末端にFKBPドメインまたはFRBドメインのいずれかを融合させた。HEK293T細胞で共発現させると、これらのタンパク質は相互作用しない(
図2)。しかし、A/C二量体化剤を添加すると、RNF43とTβRIIの共免疫沈降が誘導される(
図2)。二量体化剤自体はTβRIIやRNF43の安定性を阻害しない(
図2、全細胞溶解物)。次に、RNF43とTβRIIとの強制的な相互作用が、TβRIIの細胞内局在を変化させるかどうかを検討した。二量体化剤がない場合、TβRIIはRNF43の非存在時(
図3A)およびRNF43の共発現時(
図3B)のいずれにおいても、主に細胞膜に局在した。しかし、二量体化剤を添加すると、TβRIIとRNF43の両方の、リソソームマーカーCD63について陽性の核周辺の小胞群への再局在が強く誘導された(
図3C)。これらの知見は、RNF43とTβRIIの強制的な二量体化が、増加したレベルのTβRIIをリソソームへ誘導することを示す。
【0417】
TβRIIのリソソーム局在が促進された結果、機能的なTβRIIの量が減少したかどうかを決定するために、ウエスタンブロットを使用してタンパク質レベルを分析した。RNF43の発現自体はTβRIIの安定性に影響を与えないが、RNF43とTβRIIとの二量体化が誘導されると、TβRIIのタンパク質量が明らかに低下した(
図4)。これらの結果はともに、膜貫通E3リガーゼRNF43と通常は無関係な膜貫通受容体TβRIIの強制的な二量体化が、TβRIIをリソソーム分解へと標的化することを示している。
【0418】
[実施例2]
材料および方法
細胞培養およびトランスフェクション
ヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞を、10%ウシ胎仔血清(GE Healthcare)、2mM UltraGlutamine(Lonza)、100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)を添加したRPMI(Invitrogen)において培養した。細胞を37℃、5%CO2で培養した。トランスフェクションは、製造業者のプロトコールにしたがってFuGENE 6(Promega)を使用して実施した。
【0419】
構築物および抗体
E6-Flag-TGF-βII型セリン/スレオニンキナーゼ受容体(TβRII)および-Epidermal Growth Factor Receptor(EGFR)ならびにAlpha-myc-RNF43およびRNF167はQ5 High-Fidelity 2× Master Mix(NEB)を使用したサブクローニングにより得た。すべての構築物は配列が確認された。免疫蛍光法(IF)には、以下の一次抗体を使用した:ウサギ抗Flag(Sigma-Aldrich)およびマウス抗Myc(hybridoma 9E10)。一次抗体は製造業者の使用説明書に従い希釈した。IFに使用した二次抗体は1:300で使用した(Life technologies)。
【0420】
免疫蛍光法および共焦点顕微鏡
HEK293T細胞を、24ウェルプレートでラミニン(Sigma-Aldrich)をコートしたガラスカバースリップ上で増殖させた。一晩のトランスフェクション後、細胞を、100nMのbi-VHH(VHH Alpha-(G4S)3-VHH E6)での5時間の処置の前、およびその間、20nM Bafilomycin A1(Sigma-Aldrich)で1時間インキュベートした。処置後、細胞を加温した培地で2回洗浄し、0.05Mリン酸緩衝剤pH7.4中の4%ホルムアルデヒドで固定した。細胞をPBS中に2%BSAと0.1%サポニンを含む緩衝剤で、室温(RT)で30分間ブロッキングした。その後、細胞をブロッキング緩衝剤中で、FlagまたはMycのいずれかに対する一次抗体とともに室温で1時間インキュベートし、続いて二次抗体とともに、室温で1時間インキュベートした。細胞をProlong Diamond(Life technologies)にマウントし、LSM700共焦点顕微鏡で画像を取得した。画像はImageJで解析および処理した。
【0421】
結果および考察
RNF43とRNF167は二重特異性VHHを使用した強制的な二量体化によりTβRIIとEGFRの細胞表面での除去を誘導する。
本発明のヘテロ二機能性分子の機能性をさらに確認するために、細胞外領域のVHHが媒介する二量体化により、選択した受容体をE3リガーゼで標的化した。この目的のために、エピトープタグを標的(E6タグ)とE3リガーゼ(Alphaタグ)の両方の細胞外ドメインに融合させた。これらのエピトープタグをVHHが認識するように選択し(Goetzke et al., 2019, Nature Communications, 10(1), 1-12; Ling et al., 2019, Molecular Immunology, 114(July), 513-523)、この2つのエピトープに対する二重特異性VHH(bi-VHH)を作製し、VHHが媒介する二量体化を可能にした。また、タンパク質の局在の変化を決定するために、E3リガーゼにはMycエピトープタグを、受容体にはFlagエピトープタグを組み込んだ。HEK293T細胞で共発現させたところ、どの受容体もE3リガーゼのいずれとも共局在しなかった。E3リガーゼは主に細胞内コンパートメントに、受容体は主に細胞膜に局在した(データは示していない)。しかし、bi-VHHで5時間処置すると、RNF43とRNF167は、いずれも、TβRIIおよびEGFRの細胞膜からの除去を誘導した。さらに、リソソームのターンオーバーを阻害するバフィロマイシン処置細胞では、内在化したタンパク質が核周辺領域に共クラスター化しており、E3リガーゼとその標的とが後期エンドソーム/リソソーム構造に蓄積していることが示された(
図5A~D)。これらの知見は、bi-VHHのようなヘテロ二機能性分子を使用して、膜貫通E3リガーゼを、選択した膜貫通受容体と意図的に二量体化させ、それによって細胞表面からの受容体除去を誘導することができることを示している。
【0422】
[実施例3]
材料および方法
細胞培養およびトランスフェクション
ヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞を、10%ウシ胎仔血清(GE Healthcare)、2mM UltraGlutamine(Lonza)、100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)を添加したRPMI(Invitrogen)において培養した。細胞を37℃、5%CO2で培養した。トランスフェクションを、製造業者のプロトコールにしたがってFuGENE 6(Promega)またはEffectene(Qiagen)を使用して実施した。
【0423】
構築物および抗体
E6-Flag-細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、受容体型チロシン-タンパク質キナーゼFLT3(FLT-3)、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)およびプログラム細胞死1リガンド1(PD-L1)ならびにAlpha-myc-RNF43、RNF128、RNF130およびRNF167はQ5 High-Fidelity 2× Master Mix(NEB)を使用したサブクローニングにより得た。すべての構築物は配列が確認された。免疫蛍光法(IF)には、以下の一次抗体を使用した:ウサギ抗Flagまたはマウス抗Flag(Sigma-Aldrich)。一次抗体は製造業者の使用説明書に従い希釈した。IFに使用した二次抗体は1:300で使用した(Life technologies)。
【0424】
免疫蛍光法および共焦点顕微鏡
HEK293T細胞を、24ウェルプレートでラミニン(Sigma-Aldrich)をコートしたガラスカバースリップ上で増殖させた。トランスフェクションの6時間後、細胞を50nMのbi-VHH(VHH Alpha-(G4S)3-VHH E6)とともに一晩インキュベートした。処置後、細胞を加温した培地で2回洗浄し、0.05Mリン酸緩衝剤pH7.4中の4%ホルムアルデヒドで固定した。細胞をPBS中に2%BSAを含む緩衝剤で、室温(RT)で30分間ブロックした。その後、細胞をブロッキング緩衝剤中で、Flagに対する一次抗体とともに室温で1時間、次いで二次抗体とともに室温で1時間インキュベートした。細胞をProlong Diamond(Life technologies)にマウントし、5倍対物レンズを使用したLSM700共焦点顕微鏡、または20倍対物レンズを使用したEVOS-M5000顕微鏡で画像を取得した。画像はImageJで解析および処理した。
【0425】
結果および考察
E3リガーゼと標的の特異的な組合せによる二重特異性VHHを使用した強制的な二量体化により標的の表面除去が可能となる。
E3リガーゼと受容体の組合せのさらなる候補をスクリーニングするために、以前に作製した構築物に加えて、Alpha-Myc-RNF128、Alpha-Myc-RNF130、E6-Flag-CTLA-4、E6-Flag-FLT-3、E6-Flag-PD-1およびE6-Flag-PD-L1を作製した。HEK293T細胞で共発現させると、CTLA-4、FLT-3、PD-1、PD-L1のすべてが細胞表面に局在した。bi-VHHで一晩処理すると、以下のE3-標的の組合せで表面の標的が除去されるようになる:CTLA-4とRNF167;FLT-3とRNF43、RNF128またはRNF167、PD-1とRNF128、RNF130またはRNF167、およびPD-L1とRNF43、RNF128またはRNF130(
図6A~D)。これらの知見は、様々な膜貫通E3リガーゼを、選択した膜貫通受容体と意図的に二量体化させ、それによって細胞表面からこれらの受容体の除去を誘導するための、bi-VHHのようなヘテロ二機能性分子の使用の範囲を拡大するものである。また、これらの知見は、すべての組合せが有効であるとは限らないことを強調している。
【0426】
[実施例4]
材料および方法
細胞培養およびトランスフェクション
ヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞を、10%ウシ胎児血清(GE Healthcare)、2mM UltraGlutamine(Lonza)、100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)を添加したRPMI(Invitrogen)において培養した。細胞を37℃、5%CO2で培養した。トランスフェクションを、製造業者のプロトコールに従ってFuGENE 6(Promega)またはEffectene(Qiagen)を使用して、実施した。
【0427】
構築物および抗体
E6-Flag-Snorkel CKLF様MARVEL膜貫通ドメイン含有ファミリータンパク質6(CMTM6)をQ5 High-Fidelity 2× Master Mix(NEB)を使用してサブクローニングすることにより得た。構築物は配列が確認された。免疫蛍光(IF)法にはマウス抗Flag(Sigma-Aldrich)一次抗体を用いた。一次抗体は製造業者の使用説明書に従い希釈した。IFに使用される二次抗体を1:300で使用した(Life technologies)。
【0428】
免疫蛍光法および共焦点顕微鏡検査
HEK293T細胞を、24ウェルプレートでラミニン(Sigma-Aldrich)をコートしたガラスカバースリップ上で増殖させた。トランスフェクションの6時間後、細胞を50nMのbi-VHH(VHH Alpha-(GGGGS)3-VHH E6)とともに一晩インキュベートした。処置後、細胞を、温かい培地で2回洗浄し、pH7.4の0.05Mリン酸緩衝液中の4%ホルムアルデヒドで固定した。細胞を、室温(RT)で30分間、PBS中の2%BSAを含有する緩衝液でブロックした。続いて、細胞を、Flagに対する一次抗体とともに室温で1時間インキュベートし、続いて、ブロッキング緩衝液中で1時間、室温で二次抗体とともにインキュベートした。細胞をプロロングダイヤモンド(Life technologies)にマウントし、5倍対物レンズを用いてLSM700共焦点顕微鏡で画像を取得した。画像はImageJで解析および処理した。
【0429】
結果および考察
RNF43とRNF128とは、二重特異性VHHを用いた強制的な二量体化の際に、マルチスパン受容体CMTM6の細胞表面除去を誘導する。
本発明のヘテロ二機能性分子の2型または3型膜貫通タンパク質への適用性を拡大するために、Snorkelタグを使用した。2型および3型膜貫通タンパク質は、それぞれ、それらのN末端、またはそれらのN末端とC末端の両方が細胞内に位置する。それらの表面発現を検出するために、Snorkelタグを細胞内N末端またはC末端領域に付加することができ、タンパク質のタグ付けおよび細胞外検出を、それらの構造または細胞内局在化を乱すことなく可能にする。Snorkelタグは、リンカー領域と2つのエピトープタグとに囲まれた膜貫通ドメイン(TMD)で構成される。関心のあるマルチスパンタンパク質に応じて、本発明者らは、マルチスパンE3リガーゼ用のAlpha-Mycタグ、またはマルチスパン標的用のE6-Flagタグを組み込んだ(
図7A)。一例として、本発明者らは、以前に生成された構築物に加えて、E6-Flag-Snorkel-CMTM6を生成した。HEK293T細胞において共発現させた場合、CMTM6は細胞表面に局在化した。bi-VHHによる一晩処理では、RNF43、およびより低い程度でRNF128は、biVHHで処理すると、表面からCMTM6を除去することができた(
図7B)。
【0430】
これらの知見は、bi-VHHなどのヘテロ二機能性分子が、CMTM6などのマルチスパン受容体と様々な膜貫通E3リガーゼとを意図的に二量体化し、それによってこれらの受容体の細胞表面からの除去を誘導するために使用される範囲を拡大する。さらに、これらの知見は、すべての組合せは有効ではないため、有効なE3リガーゼ-標的の組合せをスクリーニングする必要性を再度強調している。
【0431】
[実施例5]
上記のスクリーニングから得られた有望な組合せを生理的な状況で検証するために、CRISPR/Cas9技術を使用して、内因性タグ付きE3リガーゼおよび標的を発現する(がん)細胞株を調製する。本発明者らはガイドRNAとAlpha-MycまたはE6-FlagタグのドナーDNAとを組み合わせて使用し、E3リガーゼまたは標的の内因性遺伝子座中のシグナルペプチド(SP)と最初の成熟アミノ酸のコード配列との間にこれらのタグを挿入することを促進する(
図7A)。これらの細胞株を使用して、bi-VHHによる強制的な二量体化による細胞表面からの内因性標的の除去を、顕微鏡法、FACSまたはウエスタンブロッティングのいずれかで評価する(
図7B)。
【配列表】
【国際調査報告】