(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】受動的車両安全装置のためのインフレータ
(51)【国際特許分類】
B60R 21/263 20110101AFI20230721BHJP
【FI】
B60R21/263
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578646
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 US2021028100
(87)【国際公開番号】W WO2021262297
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】コックス、マシュー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルー、ロマン
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ケヴィン
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054DD11
3D054DD17
3D054DD21
3D054FF16
(57)【要約】
二段式インフレータ(10)は、燃焼チャンバ(20)を含む内部空洞を画定するハウジング(12)を含む。燃焼チャンバ(20)は、第2のガス発生剤材料(34)を有する第2の部分(32)から分離された第1のガス発生剤材料(30)を有する第1の部分(28)を含む。ガス発生剤保持壁(26)は、ハウジング(12)内に配置される。第1段点火装置(40)は、燃焼チャンバ(20)の第1の部分(32)内に配置される。第2段点火装置(42)は、燃焼チャンバ(20)の第2の部分(32)内に配置される。蓋(46)は、通常、燃焼チャンバ(20)の第2の部分(32)を閉鎖し、ガス発生剤保持壁(26)から離間される。蓋(46)は、燃焼チャンバ(20)の第2の部分(32)内の圧力の増加に応じて、燃焼チャンバ(20)の第2の部分(32)を開いて燃焼ガスを放出し、ガス発生剤保持壁(26)に当接する開位置に移動可能である。蓋(46)の外側及びガス発生剤保持壁(26)の隣接する側は、蓋(46)が開位置でガス発生剤保持壁(26)に当接するときに、ガス発生剤保持壁(26)と蓋(46)との間の燃焼ガスの流れを可能にするように協働して構成される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二段式インフレータ10であって、
燃焼チャンバを含む内部空洞を画定するハウジング12であって、前記燃焼チャンバ20が、第2のガス発生剤材料34を有する第2の部分32から分離された第1のガス発生剤材料30を有する第1の部分28を含む、ハウジング12と、
前記ハウジング12内に配置されたガス発生剤保持壁26と、
前記燃焼チャンバ20の前記第1の部分28内に配置された第1段点火装置40と、
前記燃焼チャンバ20の前記第2の部分32内に配置された第2段点火装置42と、
通常、前記燃焼チャンバ20の前記第2の部分32を閉じ、前記ガス発生剤保持壁26から離間している蓋46であって、前記燃焼チャンバ20の前記第2の部分32を開いて燃焼ガスを放出して、前記燃焼チャンバ20の前記第2の部分32内の圧力の増加に応じて前記ガス発生剤保持壁26に当接する開位置に移動可能である、蓋46と、
を備え、
前記蓋46の外側及び前記ガス発生剤保持壁26の隣接する側は、前記蓋46が前記開位置で前記ガス発生剤保持壁26に当接するときに、前記ガス発生剤保持壁26と前記蓋46との間の燃焼ガスの流れを可能にするように協働して構成されることを特徴とする、
二段式インフレータ10。
【請求項2】
前記蓋46の前記外側及び前記ガス発生剤保持壁26の前記隣接する側の少なくとも1つが、平面部分及び隆起部分を含み、前記隆起部分は、前記蓋46の前記外側及び前記ガス発生剤壁26の前記隣接する側の他方に、前記蓋46が前記第2の位置にあるときに当接して、それらの間に燃焼ガス流路を維持することを特徴とする、請求項1に記載の二段式インフレータ10。
【請求項3】
前記蓋46の前記外側が、前記平面部分と前記隆起部分とを含むことを特徴とする、請求項2に記載の二段式インフレータ10。
【請求項4】
前記隆起部分が、前記燃焼チャンバ20の前記第2の部分32から離れる方向に前記平面部分から外向きに延在することを特徴とする、請求項3に記載の二段式インフレータ10。
【請求項5】
前記蓋が、前記隆起部分を画定するように打ち抜かれることを特徴とする、請求項4に記載の二段式インフレータ10。
【請求項6】
前記蓋46の前記隆起部分が、前記蓋46が前記開位置にあって前記ガス発生剤保持壁26に当接しているときに、前記ガス発生剤保持壁26と前記蓋46の前記平面部分との間のほぼ平行な向きを維持するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の二段式インフレータ10。
【請求項7】
前記蓋46の前記隆起部分が、前記ガス発生剤保持壁に当接して前記ほぼ平行な向きを維持する少なくとも3つの離間した点を含むことを特徴とする、請求項6に記載の二段式インフレータ10。
【請求項8】
前記隆起部分が、前記ガス発生剤保持壁26に平行な方向に共通点からそれぞれ外向きに延びる少なくとも3つの脚部を含み、前記少なくとも3つの脚部のそれぞれが、外向き方向にほぼ凸形状を有する、請求項4に記載の二段式インフレータ10。
【請求項9】
前記隆起部分が、共通点から前記ガス発生剤保持壁26に平行な方向にそれぞれ外向きに延在する、4つの脚部を備えた十字形状を有する、請求項4に記載の二段式インフレータ10。
【請求項10】
前記ガス発生剤保持壁26及び前記蓋46の前記隆起部分のうちの少なくとも1つが、前記蓋46と前記ガス発生剤保持壁26との間の表面積接触を増加させて、前記蓋46の傾きを回避する一方でそこの間の前記燃焼ガス流路を維持するように、前記第1の位置から前記第2の位置への前記蓋46の移動時に部分的に変形する材料から構成される、請求項2に記載の二段式インフレータ10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月23日に出願された米国特許出願公開第16/909,960号に対する優先権を主張する。上記出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、膨張可能なエアバッグなどの受動的車両安全装置のための膨張ガスを提供するインフレータに関する。
【背景技術】
【0003】
この項は、本開示に関連する背景技術情報を提供し、背景技術情報は、必ずしも先行技術ではない。
【0004】
膨張可能な乗員拘束装置又はエアバッグは、一般に、自動車に含まれている。事故が発生した場合、車両内のセンサが、例えば、異常な減速を測定し、一般に「インフレータ」と呼ばれる装置によって生成されるガスによって数ミリ秒以内にエアバッグの膨張をトリガする。膨張したエアバッグは、車両の乗員を衝撃力から保護する。
【0005】
インフレータは、一般に、ガス発生剤材料を収容する1つ以上のチャンバを有し得る。適応型火工インフレータは、ガス発生剤材料を2つのチャンバ内に有し、一般に「二段式」インフレータと呼ばれる2つの点火装置によって独立して作動される。実際には、このようなガス発生剤材料収容チャンバの各々は、関連する乗員拘束具を膨張させるために使用されるガスを生成するためにその中のガス発生剤材料が燃焼されるか又は他の方法で反応させられるので、「燃焼チャンバ」と呼ばれ得る。
【0006】
1つの公知のインフレータが、同一出願人による米国特許第7,950,693号に示され、説明されている。インフレータは、膨張ガスを生成するために可燃性のある量のガス発生剤をそれぞれ収容する第1及び第2のチャンバを画定するハウジングを含む二段式インフレータ装置である。米国特許第7,950,693号は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれている。
【0007】
米国特許第7,950,693号のインフレータを含む、膨張可能な乗員拘束装置用の公知のインフレータは、一般に、これらのインフレータの意図された使用に好適であることが判明しているが、関連技術における改善の必要性が継続してある。
【発明の概要】
【0008】
この項は、本開示の概要を提供し、本開示の全範囲又は本開示の全ての機能の包括的な開示ではない。
【0009】
本教示の一般的な目的は、膨張ガスの流れが改善された二段式インフレータを提供することである。
【0010】
1つの特定の態様によれば、本教示は、燃焼チャンバを含む内部空洞を画定するハウジングを含む二段式インフレータを提供する。燃焼チャンバは、第2のガス発生剤材料を有する第2の部分から分離された第1のガス発生剤材料を有する第1の部分を含む。ガス発生剤保持壁がハウジング内に配置されている。第1段点火装置は、燃焼チャンバの第1の部分内に配置される。第2段点火装置は、燃焼チャンバの第2の部分内に配置される。蓋は、通常、燃焼チャンバの第2の部分を閉鎖し、ガス発生剤保持壁から離間される。蓋は、燃焼チャンバの第2の部分内の圧力の増加に応じて、内部空洞の第2の部分を開いて燃焼ガスを放出し、ガス発生剤保持壁に当接する開位置に移動可能である。蓋の外側及びガス発生剤保持壁の隣接する側は、蓋が開位置でガス発生剤保持壁に当接するときに、ガス発生剤保持壁と蓋との間の燃焼ガスの流れを可能にするように協働して構成される。
【0011】
別の特定の態様によれば、本教示は、二段式インフレータを有する安全装置に膨張ガスを供給する方法を提供する。この方法は、第2段点火装置を作動させることと、内部空洞の第2の部分内の圧力を増加させて、蓋をガス発生剤保持壁に当接する第2の位置に移動させることとを含む。この方法は更に、蓋の隆起部分によって、蓋とガス発生剤保持壁との間に燃焼ガスのための燃焼ガス流路を維持することを含む。
【0012】
利用可能性の更なる領域は、本明細書に提供されている説明から明らかになる。この概要における説明及び具体的な例は、例示のみのためであることが意図されており、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に記載の図面は、全ての可能な実装形態ではなく、選択された実施形態の例示のみのためであり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【
図1】本教示による膨張可能な乗員拘束装置用のインフレータの断面図であり、インフレータは作動前の状態を示している。
【
図1A】
図1と同様の本教示のインフレータの断面図であり、インフレータは作動後の状態を示している。
【
図2】本教示による第2段点火装置の蓋の斜視図である。
【
図4】本教示のインフレータのフィルタの簡略化した斜視図である。
【
図7A】
図7のプレートの中央部分の上面図であり、プレートはインフレータの作動前の状態を示している。
【
図7B】
図7と同様の上面図であり、プレートはインフレータの作動後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、1つ以上の例示的な実施形態について、添付の図面を参照してより十分に説明する。1つ以上の例示的な実施形態は、本開示の範囲が当業者に十分に伝わるように提供されている。本開示の実施形態の充分な理解をもたらすために、具体的な構成要素、装置、及び方法の例などの多くの具体的な詳細が記載されている。具体的な詳細は、採用される必要がないこと、及び例示的な実施形態は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことが当業者には明らかである。周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術は、本明細書に詳細に説明されていない。
【0015】
「に接続された」、「に結合された」、及び「と連通する」という語句は、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含む、2つ以上のエンティティ間の相互作用の任意の形態を指す。2つの構成要素は、2つの構成要素が互いに直接接触していなくても、互いに結合され得る。「隣接する」という用語は、ものが互いに物理的に近接するが、当該ものが必ずしも直接接触しなくてもよいことを指す。「流体連通」という語句は、2つの特徴が接続されており、これにより、一方の特徴内の流体が他方の特徴内へ通ることができることを指す。本明細書で使用される「例示的な」とは、典型的又は代表的な例又は事例として役立つことを意味し、特別又は好ましいことを必ずしも意味しない。
【0016】
図面を参照すると、本教示による、膨張可能な乗員保護装置用のインフレータが、図示されており、概して参照符号10で識別される。インフレータ10は膨張可能なエアバッグ(特に図示せず)を含む、自動車の乗員拘束システムの一部分である。図面に示されるインフレータ10は、特に運転者側フロントエアバッグに適合された二段式インフレータである。しかしながら、本教示の様々な態様は、乗客側フロントエアバッグ及び他のエアバッグでの使用に容易に適合され得ることが理解されよう。
【0017】
インフレータ10は、概して、第1のハウジング部分14と第2のハウジング部分16とを有するハウジング12を含むように示されている。図示の実施形態では、ハウジング12はほぼ円形の断面を有する。第1のハウジング部分14は、第2のハウジング部分16にイナーシャ溶接されるか、又は他の方法で適切に取り付けられてもよい。第1及び第2のハウジング部分14及び16は協働して、内壁26によって燃焼チャンバ24から分離されたフィルタチャンバ22を有する内部空洞20を画定する。
【0018】
燃焼チャンバ24は、第1のガス発生剤材料30を含む第1の部分又は第1の燃焼チャンバ部分28を含む。燃焼チャンバ24は更に、第2のガス発生剤材料34を含む第2の部分又は第2の燃焼チャンバ部分32を含む。本教示に関する限り、第1及び第2のガス発生剤材料30及び34は、同じ材料であってもよく、又は異なる材料であってもよい。
【0019】
内壁は、第1及び第2のガス発生剤材料30及び34を燃焼チャンバ24内に保持するための通気壁又はガス発生剤保持壁26であってもよい。ガス発生剤保持壁26は、燃焼チャンバ24からフィルタチャンバ22へ燃焼ガスを排出するための複数の開口36を含む。フォームディスク38は、ガス発生剤保持壁26に隣接して燃焼チャンバ24内に配置することができる。当業者によって理解されるように、フォームディスクは、従来、時間とともに燃焼チャンバ24内に沈降し得る第1及び第2のガス発生剤材料30及び34の貯蔵に安定性を提供するように機能する。フォームディスクは、第1及び第2のガス発生剤材料30及び34の燃焼時に消費され得る。
【0020】
第1段点火装置40は、第1ガス発生剤材料30を燃焼させるために、燃焼チャンバ24の第1の部分28内に配置される。第2段点火装置42は、第2のガス発生剤材料34を燃焼させるために、燃焼チャンバ24の第2の部分32内に対応して配置される。第1段点火装置40及び第2段点火装置42は、本教示に関する限り、構造及び動作において従来どおりであると理解されるであろう。第1段点火装置40及び第2段点火装置42は、従来のようにハウジング12に取り付けられてもよいし、ハウジング12と結合されてもよい。
【0021】
燃焼チャンバ24の第2の部分32は、1つ以上の側壁44及び蓋46によって画定される。図示の実施形態では、1つ以上の側壁は、単一の連続壁又はチャンバ壁44を含む。壁44は、楕円形、円形、又は任意の他の断面形状であってもよい。チャンバ壁44の第1の端部(図面に示されるような下端部)において、チャンバ壁44は第2段点火装置42を受け入れ、第2段点火装置42の基部48が第1の端部を閉じる。チャンバ壁44の第2の端部すなわち反対側の端部(図面に示されるような上端部)において、蓋46は、通常(すなわち、インフレータ10の作動前)、燃焼チャンバ24の第2の部分32を閉鎖する。蓋46は、燃焼チャンバ24の第2の部分32を閉鎖するために、楕円形であってもよく、又はそうでなければチャンバ壁44と協働するように構成されてもよい。
【0022】
蓋46は、ガス発生剤材料の燃焼前の第1の位置すなわち閉位置からガス発生剤材料の燃焼後の第2の位置すなわち開位置まで軸方向に移動可能である。インフレータ10は、ガス発生剤材料30及び34の燃焼前が
図1に示されており、ガス発生剤材料30及び34の燃焼後が
図1に示されている。更に説明すると、(
図1の断面図に示されるように)第2のガス発生剤材料34の燃焼前に、蓋46は発生剤保持壁26から軸方向に離間される。図示されるように、蓋46は、フォームディスク38によって発生剤保持壁26から離間されてもよい。第2のガス発生剤材料34が燃焼すると(
図1Aの断面図に示すように)、フォームディスク38は反応熱によって消費され、蓋46は、燃焼チャンバ24の第2の部分32内の圧力の増加に応じて、発生剤保持壁26に隣接する位置まで軸方向に(図面に示すように上方に)変位する。
【0023】
蓋46の外側50及び発生剤保持壁26の隣接する側52は、蓋が開位置でガス発生剤保持壁26に当接するときに、ガス発生剤保持壁26と蓋46との間の燃焼ガスの流れを改善することができるように協働して構成されてもよい。この点に関して、蓋の外側50及びガス発生剤保持壁26の隣接する側52の少なくとも1つは、平面部分54及び隆起部分56を含む。図示の実施形態では、蓋46は、平面部分と、隆起部分56と、隣接する側52とを含む。隆起部分は、蓋46に打ち抜かれてもよく、又は他の方法で蓋46とともに若しくは蓋46に形成されてもよく、燃焼チャンバ24の第2の部分32から離れる方向に平面部分54から外向きに延びてもよい。
【0024】
蓋46の隆起部分56は、ガス発生剤保持壁26と協働し、蓋46が開位置にあってガス発生剤保持壁26に当接しているときに、ガス発生剤保持壁26と蓋46の平面部分54との間のほぼ平行な向きを維持するように構成されている。この目的のために、隆起部分56は、ガス発生剤保持壁26に当接してほぼ平行な向きを維持する、軸方向に垂直な平面を画定する少なくとも3つの離間した点を含む。おそらくより好ましくは、隆起部分は、各々がガス発生剤保持壁26に平行な方向に共通点60から外向きに延びる少なくとも3つの脚部58を含む。図示の実施形態では、隆起部分は、共通点60からガス発生剤保持壁26に平行な方向にそれぞれ外向きに延在する、4つの脚部58を備えた十字形状を有する。脚部58の各々は、ほぼ凸形状を有してもよい。隆起部分56の脚部58は、代替的に、互いに離間していてもよい(すなわち、共通点60を介して互いに接続されていなくてもよい)ことが理解されよう。
【0025】
ガス発生剤保持壁26及び蓋46の隆起部分56のうちの少なくとも1つは、反応の熱及び圧力下で蓋46が第1の位置から第2の位置に移動すると部分的に変形する材料から構成されてもよい。この部分的な変形は、蓋46とガス発生剤保持壁26との間の表面積接触を増加させて、蓋46の傾斜を回避する一方で、その間の燃焼ガス流路を維持することができる。一実施形態では、蓋46は炭素鋼で構成されてもよく、ガス発生剤保持壁は同様に炭素鋼で構成されてもよい。
【0026】
燃焼ガスがハウジング12の第2の部分16内の半径方向に延びるポート64を通って排出される前に燃焼ガスをフィルタリングするために、フィルタ62がフィルタチャンバ22内に配置される。ハウジング12の第2の部分16は、ディフューザキャップ部分であってもよい。フィルタ62は、本体66と、本体66を軸方向に貫通する開口68とを含む。開口68は、本体部分66の第1の軸方向側72に第1の端部70を有し、本体部分66の第2の軸方向側76に第2の端部74を有する。開口68の第1の端部70は、第1の直径D1を有する。第2の端部74は、第2の直径D2を有する。第2の直径D2は、第1の直径D1よりも大きい。
【0027】
開口68は、第1の軸方向側72から本体部分66内に内向きに延びる第1の軸方向延在部分68Aと、第2の軸方向側76から本体部分66内に内向きに延びる第2の軸方向延在部分68Bとを含む。第1の軸方向延在部分68Aは、円筒形状を有してもよい。第2の軸方向延在部分68Bは、円錐台形状を有してもよい。第2の軸方向延在部分68Bの円錐台形状は、第1の軸方向延在部分68Aに隣接する第1の直径D1から第2の端部74における第2の直径D2まで外向きにテーパ状であってもよい。第2の軸方向延在部分68Aは、角度αで外向きにテーパ状であってもよい。
【0028】
1つの特定の用途では、第1の軸方向延在部分68Aは、約3.5mmの第1の高さH1を有し、第2の軸方向延在部分68Bは、約7.2mmの第2の高さH2を有し、第2の軸方向延在部分68Aは、45度~70度の角度で、より好ましくは約60度の角度で外向きにテーパ状になっている。この特定の例では、開口68の第1の端部70の第1の直径D1は約19.5mmであり、開口68の第2の端部74の第2の直径D2は約27.8mmである。
【0029】
フィルタ62の開口68は、代替的に、階段形状を含んでもよい。これに関して、開口68は、代替的に、異なる直径の1つ以上の円筒形部分によって画定されてもよい。例えば、開口68の第2の軸方向延在部分68Bは、代替的に、第1の軸方向延在部分68Aと第2の軸方向延在部分68Bとの間に階段部分を有する円筒形状であってもよい。
【0030】
フィルタ62は、第1の軸方向延在部分68Aを半径方向に取り囲む第1のフィルタ部分62Aと、第2の軸方向延在部分68Bを半径方向に取り囲む第2のフィルタ部分62Bとを含むことができる。第1のフィルタ部分62Aは、半径方向に第1の半径方向密度を有することができ、第2のフィルタ部分は、半径方向に第2の半径方向密度を有することができる。第2の半径方向密度は、燃焼ガスが第2のフィルタ部分62Bを通って半径方向に流れるのと比較して第1のフィルタ部分62Aを通ってより容易に半径方向に流れるように、第1の半径方向密度より大きくてもよい。第2のフィルタ部分68Bは、第1のフィルタ部分62Aからフィルタ62の第2の軸方向側76に向かって増加する、半径方向の可変密度を有することができる。第2のフィルタ部分68Bの可変密度は、隣接する第1のフィルタ部分62Aからフィルタ62の第2の軸方向側76へ直線的に増加してもよい。
【0031】
フィルタ62は、金属で構成されてもよい。より好ましくは、フィルタは、織られたワイヤメッシュフィルタであってもよい。第2のフィルタ部分62Bを通過する開口68の部分の円錐台形状は、対応する形状のマンドレルによって画定されてもよい。この点に関して、開口68の第2の軸方向延在部分68Bの円錐台形状を作成するために使用されるマンドレル(図示せず)は、第2の軸方向延在部分68Bの形状に対応する雄円錐台形状を有してもよい。ワイヤメッシュフィルタ62は、開口68に挿入されるマンドレルによって、初期のほぼトロイダル形状から圧縮されてもよい。マンドレルによるフィルタ62のワイヤメッシュの圧縮は、同時に、第1及び第2のフィルタ部分62A及び62Bのワイヤメッシュを軸方向に圧縮し、第2のフィルタ部分62Bのワイヤメッシュを半径方向に圧縮してもよい。第1のフィルタ部分62Aのワイヤメッシュが半径方向に圧縮されない(又は少なくともより小さい程度に半径方向に圧縮される)限り、第2のフィルタ部分62Bの密度は、第1のフィルタ部分62Aの密度よりも大きい。
【0032】
ハウジング12内に配置されたプレート78は、フィルタチャンバ22と燃焼チャンバ24とを軸方向に分離する。プレート78は、フィルタ62の第1の軸方向側72に隣接して配置することができ、弱化ゾーン80を含むことができる。弱化ゾーン80は、燃焼チャンバ24内の圧力の増加に応じて開くように適合することができる。
図1及び
図7Aには、開く前の弱化ゾーン80が示されている。
図2及び
図7Bには、開いた後の弱化ゾーン80が示されている。図示の実施形態では、弱化ゾーン80は十字形を有する。したがって、弱化ゾーン80は、開いて4つのペタル82を画定する。しかしながら、本教示の範囲内で、より多い又はより少ない数のペタル82を画定するために、代替的に成形された弱化ゾーンが採用されてもよいことが理解されるであろう。弱化ゾーン80が開いた後、プレート78の複数のペタル82がフィルタチャンバ22内に軸方向に延びる。フィルタ62の第1の軸方向延在部分68Aは、弱化ゾーン80の開放時に複数のペタル82の半径方向移動に対向するようにサイズ決め及び位置決めされる。プレート78のペタル82は、弱化ゾーンの開放時に、開口68の第2の軸方向延在部分68Bの第2の直径から半径方向に離間される。
【0033】
断熱プレート84が、フィルタ62と第2のハウジング部分16との間に軸方向に配置されている。フィルタ62を通過する燃焼ガスは、フィルタ62の温度を上昇させる。断熱プレート84は、これらの上昇したフィルタ温度から第2のハウジング部分16を保護するように機能する。
【0034】
図1及び
図2の断面図を特に参照して、本教示のインフレータ10の動作を説明する。燃焼ガスの流れは、
図1Aに矢印で示されている。しかしながら、
図1Aに含まれる矢印は、インフレータ10を通る燃焼ガスの主要な流れを簡略化して示していることが理解されるであろう。
【0035】
インフレータ10が作動すると、第1のガス発生剤材料30が点火を開始し、燃焼チャンバ20の第1の部分28を加圧する膨張ガスを生成する。燃焼チャンバ20の第1の部分28内の増大した圧力は、プレート78の弱化ゾーン80を開放し、ペタル82をフィルタチャンバ22内に延在させる。より具体的には、プレート82のペタル82は、フィルタ62の開口68内に延びる。
図1Aに示すように、ペタル82は、開口68の第1の軸方向延在部分68Aにおいてフィルタ62の第1の部分62Aによって半径方向に対向されるまで開き続ける。したがって、ペタル82は、燃焼ガスが半径方向に妨げられずに流れるように、開口68の第2の軸方向延在部分68Bにおいてフィルタ62の第2の部分62Bから半径方向に離間している。第1のガス発生剤材料30からの燃焼ガスは、フィルタ62を半径方向に通過し、半径方向に延びるポート64を通って排出される。第1の部分62Aにおけるフィルタ62の密度が低い場合、燃焼ガスの流れは、フィルタ62の第2の部分62Bだけでなく、第1の部分62Aも半径方向に通過する。フィルタ62の開口68の直径が減少した部分は、ペタル82の動きを阻止するように機能し、それによってインフレータ10の性能のばらつきを低減することが理解されよう。
【0036】
第2の点火装置42が作動すると、第2のガス発生剤材料34が作動して、第2の膨張ガス源を生成する。第2のガス発生剤材料34が作動すると、第2の燃焼ガス源は、燃焼チャンバ20の第2の部分32を加圧する。燃焼チャンバ20の第2の部分32内の増大した圧力は、蓋46を閉位置から開位置に変位させる。流路は、蓋46とガス発生剤保持壁26との間に維持される。再び、蓋46とガス発生剤保持壁26との間に維持されるこの流路は、
図1Aにおいて矢印によって具体的に表されていないことが理解されるであろう。しかしながら、この流路はインフレータ10の性能のばらつきを更に減少させることが、更に理解されるであろう。第2のガス発生剤材料34からの燃焼ガスは、同様に、ガス発生剤保持壁内の開口36を通過し、プレート78内の開口を通過し、フィルタ62の開口68内に軸方向に入り、フィルタ62を半径方向に通過し、ポート64から出る。
【0037】
本開示の具体的な実施形態及び用途が図示及び説明されているが、本発明は、本明細書に開示された正確な構成及び構成要素に限定されないことが理解されよう。当業者には明らかである様々な修正形態、変更形態、及び変形形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及びシステムの配置、動作、及び詳細においてなされてもよい。
【国際調査報告】