(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】直径の適合のための人工のインプラントシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579827
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021038420
(87)【国際公開番号】W WO2021262678
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ノーム・ニア
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブキン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC14
4C097SB03
4C097SB10
(57)【要約】
直径の適合のための人工のインプラントシステムが提供され得る。本システムは、多様な直径を有するインプラントを提供することにおける融通性を向上させることができ、また、多様なサイズのインプラントのストックを維持することに付随する費用を低減することができる。本明細書で開示される実施形態は、一定の有効径の範囲まで拡張するように構成され得る結合フレームを有する人工のインプラントを利用することができる。結合フレームが、移植部位の直径により厳密に調整される有効径まで拡張するように構成され得る弁フレームに結合され得る。弁フレームが、結合フレームより小さい有効径の拡張の範囲を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁システムであって、
患者の身体の一部分の中に移植されるように構成された結合フレームと、
外側表面および内側表面を有し、前記患者の身体の一部分の中で弁フレームを支持するための前記結合フレームに結合されるように構成された、弁フレームと、
前記弁フレームに連結されるとともに、前記弁フレームの前記内側表面から径方向内側に延在するように構成された、複数の弁リーフレットと、
を備える、人工弁システム。
【請求項2】
前記結合フレームが機械的に拡張可能であるフレームである、請求項1に記載の人工弁システム。
【請求項3】
前記結合フレームが径方向に拡張可能であり、前記弁フレームが径方向に拡張可能であり、前記結合フレームの有効径範囲が前記弁フレームの有効径範囲よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の人工弁システム。
【請求項4】
前記結合フレームが径方向に拡張可能であり、前記弁フレームが径方向に拡張可能であり、前記結合フレームの最も大きい有効径が前記弁フレームの最も大きい有効径よりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項5】
複数の弁フレームであって、前記複数の弁フレームの各々が互いに異なる最も大きい有効径を有し、前記患者の身体の一部分の中で個別の前記弁フレームを支持するための前記結合フレームに結合されるように構成される、複数の弁フレームと、
個別の前記弁フレームに連結され、個別の前記弁フレームの内側表面から径方向内側に延在するように構成される、複数の弁リーフレットと、
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項6】
前記弁フレームが、前記患者の身体の中で前記結合フレームに結合されるように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項7】
前記弁フレームが、前記複数の弁リーフレットに連結された複数の軸方向に延在する支持アームを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項8】
前記複数の軸方向に延在する支持アームを互いに連結する1つまたは複数の円周方向に延在する支持アームをさらに備える、請求項7に記載の人工弁システム。
【請求項9】
前記弁フレームが自己拡張型であり、径方向外側に拡張するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項10】
前記弁フレームが、前記結合フレームに結合されたときに、前記結合フレームの軸方向の拡張に抵抗するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項11】
前記弁フレーム上にある第1のコネクタ、および、前記第1のコネクタに係合されるために前記第1のコネクタに向かって軸方向に相対的に移動するように構成された、前記結合フレーム上にある第2のコネクタ、を有するロック機構をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項12】
前記第2のコネクタが、前記弁フレームの径方向の拡張により、前記第1のコネクタに係合されるために前記第1のコネクタに向かって軸方向に相対的に移動するように構成される、請求項11に記載の人工弁システム。
【請求項13】
前記ロック機構が、前記結合フレームの軸方向の拡張に抵抗するように構成される、請求項11または請求項12に記載の人工弁システム。
【請求項14】
前記ロック機構が、前記弁フレームおよび前記結合フレームの径方向の圧縮に抵抗するように構成される、請求項11から13のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項15】
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間の軸方向距離が、前記ロック機構により前記弁フレームおよび前記結合フレームの径方向の圧縮に抵抗することになる直径を画定する、請求項11から14のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項16】
前記ロック機構が、直径を超える前記弁フレームの径方向の拡張に抵抗する、請求項11から15のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項17】
前記弁フレーム上にある第3のコネクタおよび前記結合フレーム上にある第4のコネクタをさらに備え、前記第3のコネクタおよび前記第4のコネクタが、前記第1のコネクタに対しての前記第2のコネクタの軸方向の移動時に、互いに係合された状態を維持する構成される、請求項11から16のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項18】
前記第1のコネクタが、軸方向に延在するアームを有し、前記アームの長さが、前記ロック機構により前記弁フレームおよび前記結合フレームの径方向の圧縮に抵抗することになる直径を画定する、請求項11から17のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項19】
複数の弁フレームをさらに備え、前記複数の弁フレームの各々が、前記第2のコネクタに係合されるために前記第2のコネクタに向かって軸方向に相対的に移動するように構成されたアームを有するコネクタを有し、各々の個別のアームが、個別の前記弁フレームおよび前記結合フレームの径方向の圧縮に抵抗することになる直径を画定する、互いに異なる長さを有する、請求項11から18のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項20】
前記第1のコネクタまたは前記第2のコネクタが、ピン、ラッチ、または開口部のうちの1つまたは複数を含む、請求項11から19のいずれか一項に記載の人工弁システム。
【請求項21】
結合フレームを患者の身体の一部分の中に配備するステップと、
弁フレームを配備するステップであって、その結果、前記弁フレームが前記結合フレームに結合され、前記結合フレームが前記患者の身体の一部分の中で前記弁フレームを支持し、複数の弁リーフレットが前記弁フレームに連結されるとともに前記弁フレームの内側表面から径方向内側に延在する、ステップと、
を含む方法。
【請求項22】
前記結合フレームが機械的に拡張可能であるフレームである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記結合フレームが径方向に拡張可能であり、前記弁フレームが径方向に拡張可能であり、前記結合フレームの有効径範囲が前記弁フレームの有効径範囲よりも大きい、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記結合フレームが径方向に拡張可能であり、前記弁フレームが径方向に拡張可能であり、前記結合フレームの最も大きい有効径が前記弁フレームの最も大きい有効径よりも大きい、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
複数の弁フレームから前記弁フレームを選択するステップをさらに含み、前記複数の弁フレームの各々が、互いに異なる最も大きい有効径を有するとともに前記患者の身体の一部分の中で個別の前記弁フレームを支持するための前記結合フレームに結合されるように構成され、複数の弁リーフレットが個別の前記弁フレームに連結されるとともに個別の前記弁フレームの内側表面から径方向内側に延在するように構成される、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記患者の身体の一部分の直径の測定に基づいて前記弁フレームを選択するステップをさらに含み、前記弁フレームが、前記患者の身体の一部分の前記直径に適合する有効径を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記患者の身体の一部分の中での前記結合フレームの拡張径に基づいて、前記弁フレームを選択するステップをさらに含み、前記弁フレームが、前記結合フレームの前記拡張径に適合する有効径を有する、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記患者の身体の中で前記弁フレームを前記結合フレームに結合するステップをさらに含む、請求項21から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記結合フレームを前記患者の身体の中に挿入する前に前記弁フレームを前記結合フレームに結合するステップをさらに含む、請求項21から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記弁フレームが、前記複数の弁リーフレットに連結された複数の軸方向に延在する支持アームを有する、請求項21から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記弁フレームが自己拡張型であり、径方向外側に拡張するようにおよび前記結合フレームの軸方向の拡張に抵抗するように構成される、請求項21から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
第2のコネクタに係合させるために、前記弁フレーム上にある第1のコネクタを前記結合フレーム上にある前記第2のコネクタに向かって軸方向に相対的に移動させるステップをさらに含む、請求項21から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のコネクタに係合された前記第1のコネクタが、前記結合フレームの軸方向の拡張に抵抗する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第2のコネクタに係合された前記第1のコネクタが、前記弁フレームおよび前記結合フレームの径方向の圧縮に抵抗する、請求項32または請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間の軸方向距離が、前記第2のコネクタに係合された前記第1のコネクタにより前記弁フレームおよび前記結合フレームの径方向の圧縮に抵抗することになる直径を画定する、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のコネクタが、軸方向に延在するアームを有し、前記アームの長さが、前記弁フレームおよび前記結合フレームの径方向の圧縮に抵抗することになる直径を画定する、請求項32から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
複数の弁フレームから前記弁フレームを選択するステップをさらに含み、前記複数の弁フレームの各々が、前記第2のコネクタに係合されるために前記第2のコネクタに向かって軸方向に相対的に移動するように構成されたアームを有するコネクタを有し、各々の個別のアームが、個別の前記弁フレームおよび前記結合フレームの径方向の圧縮に抵抗することになる直径を画定する、互いに異なる長さを有する、請求項32から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記患者の身体の中で前記第2のコネクタに係合させるために、前記第1のコネクタを前記第2のコネクタに向かって軸方向に相対的に移動させるステップをさらに含む、請求項32から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記患者の身体の中で前記第2のコネクタに係合させるために、前記第1のコネクタを前記第2のコネクタに向かって軸方向に相対的に移動させるのに送達装置のテザーを利用するステップをさらに含む、請求項32から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記患者の身体の外側で前記弁フレーム上にある第3のコネクタを前記結合フレーム上にある第4のコネクタに係合させるステップをさらに含む、請求項32から39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、本参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2020年6月23日に出願した米国仮特許出願第63/042,734号の優先権および利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
多様な疾病が個人の身体に影響する可能性がある。このような疾病は個人の心臓の疾病である可能性もあり、このような疾病には、大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、および肺動脈弁を含めた、個人の心臓弁の疾病が含まれてよい。狭穿症は例えば一般的で深刻である弁疾患であり、心臓弁の働きおよび個人の健康全体に影響する可能性がある。
【0003】
患者の心臓の一部分に取って代わることができるかまたは患者の心臓の一部分を修復することができるインプラントが提供され得る。人工弁などの人工のインプラントが、患者の心臓の一部分に取って代わるために提供され得る。人工の大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、およびさらには肺動脈弁が提供され得る。
【0004】
インプラントは、最小侵襲的に患者の身体の所望の一部分に経皮的に配備され得る。このような配備は経カテーテル的に行われ得、ここでは、カテーテルが個人の脈管構造を通して配備され得る。
【0005】
このようなインプラントは、インプラントが効果的に利用され得る一定の有効径範囲を有する可能性がある。例えば、人工の心臓弁は、有効径範囲内で効果的に働くことができる。しかし、この範囲は、人工の心臓弁を過度にまたは過少に拡張しないように注意しなければならないことを理由として、比較的狭くなる可能性がある。過度にまたは過少に拡張されると、人工の心臓弁の弁リーフレットを適切に接合させることが不可能になる可能性がある。さらに、人工の心臓弁または他の種類のインプラントが過度にまたは過少に拡張させられることにより別の問題が生じる可能性があり、これには、インプラントの損傷、インプラントの脱着、または過度にまたは過少に拡張させられるインプラントにより生じる他の問題が含まれる。
【0006】
このような問題に対処するために、施術者は、通常、多様な有効径または多様な範囲の有効径を有するインプラントのアレイから1つのインプラントを選択する。インプラントの有効径は、通常、患者の身体内の治療部位の直径に従って選択される。しかし、患者の身体内の治療部位の潜在的な直径が多様であることから、施術者は多数の異なるインプラントを手に保持することになる可能性があり、これは高価で面倒なものである可能性もある。さらに、このようなインプラントは、移植時に一定の有効径範囲内で利用され可能性もある。例えば、インプラントが、27ミリメートルの直径を有する身体の一部分の中に移植されることになる場合、施術者が30ミリメートルのインプラントおよび25ミリメートルのインプラントを利用可能とする可能性があり、27ミリメートルの有効径まで拡張するために25ミリメートルのインプラントを選択する可能性がある。その理由は、27ミリメートルのインプラントを別途ストックしておくことが高価になる過ぎる可能性があるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、患者の身体の一部分に配備するようにインプラントおよびインプラントの直径において対処を行うことにおいて改善を施すことが所望される可能性がある。本明細書で開示される実施形態が、多様な有効径を有する人工のインプラントを提供することにおける融通性を向上させることができ、また、多様な有効径の人工のインプラントのストックを維持することに付随する費用を低減することができる。
【0009】
本明細書で開示される実施形態は、比較的大きい範囲の有効径を有することができる結合フレームを有する人工弁を利用することができる。弁フレームが、結合フレームに結合されるように構成され得る。弁フレームが、厳密に調整されて移植部位の直径にされる有効径を有することができる。さらに、弁フレームが、結合フレームの有効径範囲よりも小さい有効径範囲を有することができる。実施形態で、弁フレームが、移植部位の直径で働くように最適化され得る。
【0010】
さらに、結合フレームが、人工弁を定位置で固着することができる配備中にまたはその後で、人工弁から径方向外側に作用する力に耐えることができる、弁フレームより低い堅牢性および剛性を有する構造を備えることができる。したがって、弁フレームが完全な人工弁より少ない材料を必要とすることができ、したがって、製造するのに、より安価になることができ、その複雑さを低減することができる。したがって、完全な人工弁と比較して個別の弁フレームのコストが相対的に低減されることにより、使用者が、これまでにおいて完全な人工弁と共にストックすることができた場合よりもより多数で多様なサイズの弁フレームをストックすることができる。
【0011】
実施形態で、弁フレームが、定位置において結合フレームの直径および軸方向長さをロックする手法で、結合フレームに結合され得る。したがって、弁フレームが、患者の身体による結合フレームの径方向の圧縮に抵抗するのに利用され得、拡張状態において結合フレームから径方向外側に適用される力を維持することができる。
【0012】
本明細書で開示される実施形態は、患者の身体の一部分の中に移植されるように構成された結合フレームを有する人工弁システムを対象とすることができる。弁フレームが外側表面および内側表面を有することができ、患者の身体の一部分の中で弁フレームを支持するために結合フレームに結合されるように構成され得る。複数の弁リーフレットが弁フレームに連結され得、弁フレームの内側表面から径方向内側に延在するように構成され得る。
【0013】
本明細書で説明される実施形態は、結合フレームを患者の身体の一部分の中に配備することを含む方法を対象とすることができる。本方法が弁フレームを配備することを含むことができ、その結果、弁フレームが結合フレームに結合され、結合フレームが患者の身体の一部分の中で弁フレームを支持し、複数の弁リーフレットが弁フレームに連結され、弁フレームの内側表面から径方向内側に延在する。
【0014】
限定しないが本開示を例示することを意図される図面を参照して、これらのおよび他の特徴、態様、および利点を以下で説明する。図面では、同様の実施形態の全体を通して、一貫して、同様の参照符号が対応する特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態による送達装置の配備・ロック機構に連結された結合フレームを示す斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態による弁フレームを示す概略断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による、患者の身体の一部分に配備された結合フレームを示す概略断面図である。
【
図4】本開示の実施形態による、非拡張状態にある、患者の身体の一部分の中に位置決めされた弁フレームを示す概略断面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、拡張状態にある、結合フレームに結合された弁フレームを示す概略断面図である。
【
図6】本開示の実施形態による弁フレームを示す斜視図である。
【
図7】本開示の実施形態による、結合フレームに結合された
図6に示される弁フレームを示す概略断面図である。
【
図8】本開示の実施形態による、拡張状態にある、結合フレームに結合された弁フレームを示す概略断面図である。
【
図9】本開示の実施形態による、非拡張状態にある、結合フレームに結合された
図8に示される弁フレームを示す概略断面図である。
【
図10】結合フレームのコネクタに係合された弁フレームのコネクタを示す概略断面図である。
【
図11】本開示の実施形態による、拡張状態にある、結合フレームに結合された弁フレームを示す概略断面図である。
【
図12】係合された、弁フレームのコネクタおよび
図11に示される結合フレームのコネクタを示す平面図である。
【
図13】本開示の実施形態による、非拡張状態にある、弁フレームおよび結合フレームを示す概略断面図である。
【
図14】本開示の実施形態による、拡張状態にある、
図13に示される結合フレームに結合された弁フレームの概略断面図である。
【
図15】本開示の実施形態による、カバー内にある、弁フレームおよび結合フレームのコネクタを示す概略断面図である。
【
図16】本開示の実施形態による、非拡張状態にある、弁フレームおよび結合フレームを示す概略断面図である。
【
図17】本開示の実施形態による、弁フレームおよび結合フレームを示す概略斜視図である。
【
図18】本開示の実施形態による送達装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明および実施例は、本開示のいくつかの例示の実施形態を詳細に例示する。本発明の範囲に包含される本開示の多数の変形形態および修正形態が存在することを当業者であれば認識するであろう。したがって、特定の例示の実施形態の説明は本開示の範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。
【0017】
図1が、本明細書の実施形態に従って利用され得る結合フレーム10の形態のインプラントの斜視図を示す。結合フレーム10が、人工弁システムを備えることができるシステムの一部分として利用され得る。結合フレーム10が近位端12および遠位端14を有することができ、それらの間に長さ16(
図3に示される)を有することができる。結合フレーム10が、患者の身体の一部分の中に移植されるように構成され得る。
【0018】
結合フレーム10が、外側表面18および内側表面20(
図3に示される)を有することができる。外側表面18が、結合フレーム10を移植するところである患者の身体の一部分に接触するように構成され得、固着面を備えることができる。外側表面18が、結合フレーム10を移植するところである患者の身体の一部分に対して径方向外向きの力を適用するように構成され得る。内側表面20が、実施形態では、結合フレーム10に結合される弁フレームを囲むように構成され得、弁フレームの内部流れチャンネル46(
図2に示される)の方を向くことができる。
【0019】
結合フレーム10が、開口部26の形態の空間によって分離される複数のストラット24によって形成され得るフレームボディ22を有することができる。ストラット24が、フレームボディ22によって囲まれる軸を中心として円周方向に延在する繰り返しパターンのセルを形成するために、接合箇所のところで一体に接合され得る。
【0020】
結合フレーム10が、
図1に示される円筒形状を有することができるか、または所望される場合に多様な他の形状を有することもできる。例えば、結合フレーム10が、実施形態で所望される場合、「V」形または電球形状、あるいは他の形状を有することもできる。
【0021】
結合フレーム10が、径方向に拡張可能となるように構成され得る。結合フレーム10が、圧縮状態(あるいは、非拡張状態または非配備状態)から拡張状態(または、配備状態)まで移動するように構成され得る。結合フレーム10が、フレームボディ22によって囲まれる軸から径方向外側に拡張するように構成され得る。実施形態では、フレームボディ22が径方向外側に拡張することにより、長さ16を縮小させることができ、ここでは、結合フレーム10の幅または直径28が増大する。このようなオペレーションが多様な手法で行われ得る。
【0022】
例えば、
図1に示されるように、ストラット24の接合箇所がヒンジ30を備えることができる。各ヒンジ30がヒンジ30を中心としてストラット24を枢動させるのを可能にすることができ、その結果、開口部26の長さが縮小するにつれて、ストラット24の間の各々の開口部26の幅が増大する。このように長さが縮小して幅が増大することにより、結合フレーム10全体の長さ16を縮小させ、幅または直径28を増大させるのを可能にすることができる。結合フレーム10がさらに、開口部26の幅を縮小させて開口部26の長さを増大させる逆のオペレーションにより、結合フレーム10を収縮させて、圧縮状態、非配備状態、または非拡張状態にするのを可能にするように、構成され得る。
【0023】
多様な機構が、結合フレーム10の拡張および収縮を制御するのに利用され得る。実施形態では、結合フレーム10が、機械的に拡張可能であるフレームを備えることができる。
図1に示されるように、実施形態では、機構が、機械的に拡張可能であるフレームを拡張および収縮させるのに利用され得、機械的に拡張可能であるフレームが、結合フレーム10に連結された機械的駆動装置であってよい。機械的駆動装置が複数の駆動棒32を有することができ、複数の駆動棒32が、結合フレーム10に連結され得、結合フレーム10の拡張および収縮を制御するように回転するように構成され得る、複数の駆動棒32を有することができる。結合フレーム10が所望の直径まで拡張されると、駆動棒32が結合フレーム10から外され得る。このようなオペレーションが、その内容全体が本明細書に組み込まれている、2017年1月24日に出願され、2018年3月13日に発行された、米国特許第9,913,716号が開示されている。米国特許第9,913,716号の
図1~20が、例えば、このようなオペレーションおよび駆動棒からフレームを外すことを例示している。さらに、このような機構が、結合フレーム10の拡張の位置をロックするのに利用され得る米国特許第9,913,716号に開示されるロック機構を有することができる。
【0024】
結合フレーム10が、比較的大きい有効径(working diameter)範囲を有することができる。このような大きい範囲は、結合フレーム10の構造により、および、結合フレーム10に連結される弁リーフレットを有さないことにより、可能となり得る。したがって、結合フレーム10が、比較的大きい範囲の有効径まで動作可能に拡張され得、患者の身体の中に効果的に移植され得る。例として、有効径範囲が実施形態では14ミリメートルであってよいか、または32ミリメートルから18ミリメートルの間の有効径範囲であってよい。他の実施形態では、より大きいまたはより小さい有効径範囲が利用されてもよく、最も大きい有効径範囲(ここでは、32ミリメートル)および最も小さい有効径範囲(ここでは、18ミリメートル)が、実施形態で所望される場合、より大きくてもよいか、またはより小さくてもよい。最も大きい有効径は結合フレーム10が効果的に働くことができる最も大きい直径であってよく、最も小さい有効径は結合フレーム10が効果的に働くことができる最も小さい直径であってよい。
【0025】
実施形態で、結合フレーム10が、複数の拡張方法のなかでもとりわけ、拡張可能であるバルーンとなるように構成され得るか、または自己拡張可能となることができる。
【0026】
図1が、結合フレーム10のための送達装置の送達シャフト33に連結された結合フレーム10を示す。利用され得る送達装置が例えば
図18に示される。他の形態の送達装置も所望される場合に利用され得る。結合フレーム10が、例えば米国特許第9,913,716号で開示されるように(
図1~20に示されるように)、配備時に送達シャフトから解放され得る。結合フレーム10が患者の身体の所望の一部分の中(例えば、患者の脈管構造の中)に位置決めされ得、次いで、この一部分の中で拡張され得る。次いで、送達シャフト33が患者の身体から引っ込められ得る。他の送達方法も所望される場合に利用され得る。
【0027】
図2が、本明細書の実施形態に従って利用され得る弁フレーム34の実施形態の断面図を示す。弁フレーム34が、人工弁システムを備えることができるシステムの一部分として利用され得る。弁フレーム34が、患者の身体の一部分の中で弁フレーム34を支持するための結合フレーム10に結合されるように構成され得る。
【0028】
弁フレーム34が、近位端36、遠位端38、およびそれらの間にある長さ40を有することができる。弁フレーム34が外側表面42および内側表面44を有することができる。外側表面42が、患者の身体の移植部位の表面の方に、外側に向くように構成され得、実施形態で、結合フレーム10の内側表面20の方を向くことができる。内側表面44が、弁フレーム34内の流れチャンネル46の方を向くことができる。実施形態で、弁フレーム34が、結合フレーム10がその中に位置決めされ得る開口部35を有することができる。開口部35が弁フレーム34のボディ50の中に位置決めされ得、弁フレーム34の外側表面42内に切欠部を備えることができる。
【0029】
複数のリーフレット48が弁フレーム34に連結され得、流れチャンネル46の中に位置決めされ得る。2つのリーフレット48が
図2に示されるが、実施形態では、3つのリーフレットまたはより多くのリーフレットが所望される場合に利用されてもよい。リーフレット48が弁フレーム34の内側表面44から径方向内側に延在することができる。リーフレット48が、弁フレーム34を通る流れを閉じるために互いの方に移動するように構成され得、弁フレーム34を通る流れを開けるために互いから離れる径方向に移動するように構成され得る。弁フレーム34の近位端36が流出端部を備えることができ、弁フレーム34の遠位端38が流入端部を備えることができる。リーフレット48が、患者の人体内の生来の小葉が実施することができる手法と同様の手法で開状態と閉状態との間を移動することができる。リーフレット48が流れチャンネル46内の流れを制御することができる。
【0030】
結合フレーム10と同様に、弁フレーム34が径方向に拡張可能となるように構成され得る。弁フレーム34が、開口部54の形態の空間によって分離される複数のストラット52によって形成され得るフレームボディ50を有することができる。ストラット52が、弁フレーム34によって囲まれる軸を中心として円周方向に延在する繰り返しのパターンのセルを形成するために、接合箇所のところで一体に接合され得る。
【0031】
弁フレーム34が、圧縮状態(あるいは、非拡張状態または非配備状態)から拡張状態(または、配備状態)まで移動するように構成され得る。弁フレーム34が、フレームボディ50によって囲まれる軸から径方向外側に拡張するように構成され得る。実施形態では、フレームボディ50が径方向に拡張することにより、長さ40を縮小させることができ、ここでは、弁フレーム34の幅または直径60が増大する。このようなオペレーションが多様な手法で行われ得る。
【0032】
ストラット52の接合箇所が可撓性であってよいか、または、
図1に関連して開示したように、ヒンジを備えることができる。各接合箇所が接合箇所を中心としてストラット52を枢動させるのを可能にすることができ、その結果、開口部の長さが縮小するにつれて、ストラット52の間の各々の開口部54の幅が増大する。このように長さが縮小して幅が増大することにより、弁フレーム34全体の長さ40が縮小し、幅または直径60が増大する。弁フレーム34がさらに、開口部54の幅を縮小させて開口部54の長さを増大させる逆のオペレーションにより、弁フレーム34を収縮させて、非配備状態または非拡張状態にするのを可能にするように、構成され得る。
【0033】
弁フレーム34が、
図1に示される結合フレーム10と同様の円筒形状(その半分が
図2に示される)を有することができるか、または所望される場合に多様な他の形状を有することができる。例えば、弁フレーム34が、実施形態で所望される場合、「V」形または電球形状を有することもできる。
【0034】
弁フレーム34が有効径範囲を有することができる。この範囲が、弁フレーム34の最も大きい有効径と弁フレームの最も小さい有効径との間に及んでよい。実施形態で、結合フレーム10の有効径範囲が、弁フレーム34の有効径範囲よりも大きくてよい。弁フレーム34の有効径範囲は結合フレーム10の範囲よりも小さくてよい。その理由は、リーフレット48が、人工弁のオペレーション中に適切に接合されるのに必要である可能性のある弁フレーム34に連結され、したがって、弁フレーム34が所定の範囲内のみで働くことができ、この所定の範囲が結合フレーム10の動作範囲よりも小さくてよい、からである。さらに、弁フレーム34が結合フレーム10より低い堅牢性を有することができ、それにより、弁フレーム34を拡張させることが可能となる量を低減することができ、さらには、結合フレーム10の有効径範囲に対して弁フレーム34の有効径範囲を縮小させることができる。例えば、弁フレーム34が、実施形態で、3ミリメートルの有効径範囲を有することができる(例えば、26ミリメートルから29ミリメートルの間)。実施形態で、有効径範囲が3ミリメートルよりも小さくてよいか(例えば、2ミリメートル、1ミリメートル、またはそれよりも小さい)あるいはそれよりも大きくてもよい。さらに、結合フレーム10が動作可能により大きい直径まで拡張する能力を有することができることから、結合フレーム10の最も大きい有効径が弁フレーム34の最も大きい有効径よりも大きくてよい。弁フレーム34の最も大きい有効径が、例えば、29ミリメートルであってよく、結合フレーム10の最も大きい有効径が、例えば、32ミリメートルであってよい。実施形態では所望される場合に他の値も利用され得る。
【0035】
弁フレーム34が、患者の身体内でシステム内で結合フレーム10と共に利用されるように構成され得る。結合フレーム10が、弁フレーム34より高い剛性および堅牢性を有するように、ならびに、システムに適用される圧縮力により良好に耐えることが可能となるように、構成され得、これが、結合フレーム10により患者の身体に適用される径方向の拡張力の結果であってよい。弁フレーム34が結合フレーム10に結合されるように、および、患者の身体の一部分の中でリーフレット48を支持するように、構成され得る。
【0036】
弁フレーム34が患者の身体の中の結合フレーム10に結合されるように構成され得るか、または、実施形態では、結合フレーム10を患者の身体の中に挿入する前に患者の身体の外側で結合フレーム10に結合されるように構成され得る。
【0037】
図3~5が、本明細書で開示されるシステムを利用する方法の特徴を示す。本システムが、患者の動脈または他の静脈部(venous body)を含んでよい、患者の脈管構造を含む患者の身体の一部分に配備され得る。本システムが、患者の身体の生来の心臓弁の働きに取って代わるかまたはその働きを増強するのに利用され得る人工弁システムとして利用され得る。したがって、患者の身体の一部分が生来の大動脈弁を含むことができるか、あるいは、実施形態で、僧帽弁、三尖弁、または肺動脈弁などの、別の弁を含むことができる。本システムは、所望される場合に生来の弁の弁輪(annulus)に配備され得るか、または別のロケーションに配備され得る。
【0038】
図3が生来の大動脈弁に配備されるシステムを示しているが、分かり易いように、生来の大動脈弁の構造は示されない。システムを配備するところである、大動脈59の表面61または心臓弁の弁輪の表面を含めた、大動脈59の壁が
図3に示される。
【0039】
本システムが一連のステップで配備され得、ここでは、結合フレーム10が最初に患者の身体の一部分の中に配備され得、続いて弁フレーム34が配備される。本明細書の他の実施形態では、結合フレーム10が弁フレーム34と共に配備され得る。
【0040】
実施形態で、システムが、患者の事前視覚化(pre-visualization)または事前コンピュータ断層撮影(pre-computed tomography)(CT)を実施することなく、移植手技において配備される。特定の手技では、事前CTが、患者の脈管構造の中に移植されることになるインプラントのサイズを決定することを目的として、患者の脈管構造のサイズを決定するために、実施される。このような視覚化は一般に使用される。その理由は、使用者(例えば、外科医などの臨床医(medical clinician))が患者の身体の中に配備すべきインプラントのサイズを選択しなければならず、したがって、移植手技の前に、患者の脈管構造のサイズを知っていなければならない、からである。しかし本明細書の実施形態では、システムが、患者の脈管構造のサイズのこのような事前視覚化を行うことなく、配備され得る。このような特徴は、臨床医(撮像技師(medical imaging clinician))のところに患者が訪れなければならない回数を低減することができ、移植プロセスを単純化することができる。このような特徴は、結合フレーム10が多様な有効径まで拡張するように構成され得ることで、可能となり得る。
【0041】
したがって、
図3を参照すると、結合フレーム10が、送達装置に設置された(
図1に示される送達装置の送達シャフト33を用いて)状態で患者の身体の中へ通過させられ得る。次いで、結合フレーム10が患者の脈管構造に配備され得、
図3に示されるように直径56まで径方向外側に拡張することができる。結合フレーム10の外側表面18が、患者の脈管構造の内側表面61に対して外側に径方向に押圧され得る。
【0042】
結合フレーム10が多様な有効径まで拡張するように構成され得、患者の脈管構造の表面により結合フレーム10が妨害されない場合により大きい直径まで拡張することが可能となり得る。
図3に示される直径58が、例えば、結合フレーム10が動作可能に拡張することが可能である結合フレーム10の最も大きい有効径を示す。しかし、結合フレーム10は、
図3に示されるように、有効径56までしか拡張せず、したがってこのような直径が患者の脈管構造の直径に適合する。考察したように、結合フレーム10はさらに、直径56よりも小さい有効径を有することができる。結合フレーム10が径方向に拡張するとき、臨床医が、患者の身体の所望の位置に結合フレーム10が配備されているかを決定するために撮像デバイス(例えば、蛍光透視法、心エコー検査法、またはこれらの組み合わせ)を介して結合フレーム10の配備を視覚化することができる。
【0043】
結合フレーム10がさらに、結合フレーム10の拡張の直径56を決定するための移植手技中に視覚化され得る。この直径は撮像デバイスを通して測定され得、その結果、臨床医が結合フレーム10の直径56を認識することができる。実施形態で、送達装置によって利用される力測定器、または、結合フレーム10により脈管構造に適用される力を決定する他の方法を含めた、直径56を決定するための他の方法が単独でまたは組み合わせで利用されてもよい。結合フレーム10が機械的に配備される実施形態では、多数回の折り返しの駆動棒32が測定され得、結合フレーム10の拡張量および移植部位の直径56を決定するのに利用され得る。
【0044】
実施形態で、ロック機構が、米国特許第9,913,716号で開示されているような、結合フレーム10の径方向の拡張を維持するのに利用され得る。実施形態では、結合フレーム10を送達した送達装置が、弁フレーム34が結合フレーム10に送達される間において、結合フレーム10を定置で保持することができる。実施形態では、結合フレーム10が拡張可能であるかまたは自己拡張可能であるバルーンであってよく、したがって、弁フレーム34を送達するときに患者の脈管構造の中での定位置を維持することができる。
【0045】
臨床医が結合フレーム10の拡張した直径56を決定することができ、したがって、直径56に基づいて、結合フレーム10に配備されるべき弁フレーム34を選択することができる。弁フレーム34が、結合フレーム10の拡張した決定された直径56(移植部位の直径であってよい)に適合する有効径を有するように選択され得る。したがって、弁フレーム34の選択した有効径が、結合フレーム10が外側に拡張することが可能である最も大きい有効径58よりも小さくてよい。その理由は、直径56がこの直径58よりも小さいからである。
【0046】
選択された弁フレーム34が、選択した直径56で機能するように調整され得る。したがって、弁フレーム34のリーフレット48が、リーフレット48の間の接合を効果的なものとしながら、選択した直径56で機能するように構成され得る。弁フレーム34の有効径が直径56に適合することができる。したがって、弁フレーム34が過度にまたは過少に拡張する可能性が低減される。弁フレーム34は、弁フレーム34を配備することになる患者の身体の一部分の直径の測定(例えば、撮像デバイスを介する)に基づいて、選択され得る。弁フレーム34はさらに、とりわけ、力測定器を介して、または、拡張径を決定する他の機械的手段を介して、既知となり得る患者の身体の一部分の中での結合フレーム10の拡張径に基づいて、選択され得る。
【0047】
弁フレーム34が1組の複数の弁フレームから選択され得、複数の弁フレームの各々が、互いに異なる最も大きい有効径を有するように構成され得る。例えば、この1組の中の第1の弁フレームが26ミリメートルの最も大きい有効径を有することができ、この1組の中の第2の弁フレームが29ミリメートルの最も大きい有効径を有することができ、この1組の中の第3の弁フレームが32ミリメートルの最も大きい有効径を有することができる。この1組の中の各弁フレームが、例えば3ミリメートルの有効径範囲を有することができ(例えば、第1の弁フレームの場合、23ミリメートルから26ミリメートル、第2の弁フレームの場合、26ミリメートルから29ミリメートル、および、第3の弁フレームの場合、29ミリメートルから32ミリメートル)。直径56が28ミリメートルである場合、それに従って、この1組の中の第2の弁フレームが選択され得る。最も大きい有効径および有効径範囲は本明細書の実施形態に従って変化し得(例えば、所望される場合により大きくてもよいかまたはより小さくてもよい)、有効径範囲が実施形態で所望される場合は重複してよい。
【0048】
したがって、使用者が、特定の大きさ(例えば、3ミリメートル)より小さい有効径範囲を有することができかつ特定の有効径となるように精密に調整される有効径範囲を有することができる1組の複数の弁フレームを有することができる。次いで、使用者(例えば、臨床医)が、直径56に適合しかつ直径56で働くように最適化され得る有効径を有する弁フレームを選択することが可能となり得る。特定の実施形態で、使用者が、直径56に正確に適合することができかつ直径56のために最適化され得る狭い有効径範囲(例えば、1ミリメートル以下)を有する弁フレームを選択することができる。多数の異なる弁フレームがこの1組の弁フレームに含まれ得るが、各弁フレームの費用を完全な人工弁の費用より低くすることが可能であり、それにより、多数の完全な人工弁を保管するコストに対して、多数の異なる弁フレームを保管することに付随するコストを低減することができる。したがって、所望の弁フレームを選択することにより、直径56に合わせることができる。
【0049】
さらに、この1組の中の弁フレームが結合フレーム10より低い剛性および堅牢性を有することができ、したがって、多数の保管用の多様なサイズの弁フレームを維持するための経費を低減することができる。したがって、臨床医が、配備するための多種多様な異なるサイズの完全な人工弁を維持するより潜在的に低い経費で多種多様な異なるサイズの弁フレームを維持することができる。
【0050】
この1組の中の弁フレームが、各々、患者の身体の一部分の中で個別の弁フレームを支持するための結合フレーム10に結合されるように構成され得る。各弁フレームが、個別の弁フレームの有効径範囲で働くように構成され、個別の弁フレームの内側表面から径方向内側に延在することができる、リーフレットをさらに有することができる。したがって、結合フレーム10は、複数の異なるサイズの弁フレームに結合されるように構成され得る。比較的大きい有効径範囲の結合フレーム10は、結合フレーム10を患者の身体の中で広範囲の直径に配備するのを可能にすることができ、ここでは、弁フレームが、患者の身体の中の特定の直径に合うようにより厳密に調整される。
【0051】
図4を参照すると、選択された弁フレーム34が、圧縮構成または非配備構成で、患者の脈管構造の中に挿入され得る。弁フレーム34が、結合フレーム10に結合されるために結合フレーム10に位置合わせされ得る。例えば弁フレーム34の開口部35が結合フレーム10に位置合わせされ得、弁フレーム34を結合フレーム10に連結することができる。結合フレーム10が、配備状態または拡張状態において、弁フレーム34の長さよりも小さく、開口部35に収まるようにサイズ決定され得る、長さを有することができる。したがって、弁フレーム34が、径方向に拡張するとき、結合フレーム10の上側縁部63および下側縁部65に接触することができ、それにより、軸方向において結合フレーム10に当接されて結合フレーム10に結合される。弁フレーム34のこの長さが、結合フレーム10の縁部63、65に対しての接触を低減することができる。
【0052】
このような結合が例えば
図5に示される。このような結合は弁フレーム34を定位置で維持することができ、弁フレーム34に適用される流体流れの軸方向の力に抵抗するように構成され得る。他の実施形態では、結合フレーム10と弁フレーム34との間に係合されるピンまたは他の形態のコネクタなどの、他の結合方法が利用されてもよい。
【0053】
図5が、径方向に拡張して配備されて、結合フレーム10に結合されて、患者の脈管構造の中に移植された、弁フレーム34を示す。結合フレーム10が患者の身体の一部分の中で弁フレームを支持し、弁フレーム34が患者の身体の中でリーフレット48を支持する。弁フレーム34の長さが弁フレーム34の軸に沿って縮小されており、弁フレーム34の直径が有効径56まで拡張している。弁リーフレット48が患者の脈管構造内で働くことができ、所望される場合に生来の小葉または他のリーフレットの代わりに利用され得る。
【0054】
結合フレーム10および弁フレーム34を配備するのに利用される送達装置が患者の身体から取り出され得、人工弁システムが定位置に移植された状態を維持する。
【0055】
本明細書で開示されるシステムの変更が実施され得る。
【0056】
図6が、例えば、複数のリーフレット68(3つの弁リーフレット68が
図6に示される)に連結され得る複数の軸方向に延在する支持アーム64を有する弁フレーム62の実施形態を示す。各支持アーム64が弁リーフレット68の継目のところでまたは所望される場合に別のロケーションで弁リーフレット68に連結され得る。各支持アーム64が弁フレーム62の近位端から弁フレーム62の遠位端まで延在することができる。3つの支持アーム64が、互いから円周方向において離間されて継目のところに設けられ得る。支持アーム64が円周方向において互いから均等に離間され得る。
【0057】
弁フレーム62が、軸方向に延在する支持アーム64を互いに連結することができる1つまたは複数の円周方向に延在する支持アーム66を有することができる。円周方向に延在する支持アーム66が、弁リーフレット68の基部または遠位側部分において弁リーフレット68の周りを延在することができ、弁フレーム62の流れチャンネルの周りを延在することができる。円周方向に延在する支持アーム66が、弁フレーム62の外周面を形成することができる。他に、軸方向に延在する支持アーム64の間に、例えば支持アーム64の近位端の間に、開口部が位置決めされてよい。
【0058】
弁フレーム62が外側表面および内側表面を有することができ、患者の身体の一部分の中で弁フレームを支持するための結合フレーム10に結合されるように構成され得る。3つのリーフレット68が弁フレーム62に連結され得、示されるように、支持アーム64の内側表面から径方向内側に延在することができるか、あるいは、より多くのまたはより少ないリーフレット68が所望される場合に利用されてもよい。
【0059】
弁フレーム62が、レーザー切断され得るか、3D印刷され得るか、または別の手法で形成され得る、ワイヤフォームとして構成され得る。したがって、弁フレーム62が
図2に示される円筒形の弁フレームより低い剛性を有する構造であってよい。その理由は、材料が、軸方向に延在する支持アーム64の中央部分と近位側部分との間を延在しない可能性があるからである。
【0060】
弁フレーム62が、径方向に折り畳まれるようにおよび径方向に拡張されるように構成され得、弁フレーム62によって囲まれた軸から径方向外側に拡張され得る。弁フレーム62が、本明細書で開示されるように、弁フレーム62の幅または直径を増大させるときに弁フレーム62の長さを縮小させるように、構成され得る。
【0061】
弁フレーム62が、軸方向に延在する支持アーム64の上に、または、円周方向に延在する支持アーム66などの、弁フレーム62の別の部分の上に、位置決めされ得る1つまたは複数のコネクタ70を有することができる。コネクタ70が
図6に示される開口部を備えることができるか、または、別の実施形態では、ピン、ラッチ、または所望される場合の他のコネクタなどの、別の構成を有することができる。コネクタ70が、
図1に示される結合フレームなどの結合フレーム10に弁フレーム62を結合するのに利用され得る。結合フレーム10が、コネクタ72などを有するように構成され得る。
【0062】
図7が、例えば、弁フレーム62のコネクタ70を通って延在してコネクタ70に係合されるピンの形態であるコネクタ72を用いて、弁フレーム62に連結された結合フレーム10を示す。結合フレーム10および弁フレーム62が、
図7では、部分断面図で示される。分かり易いように、リーフレット68および第3の支持アーム66が示されない。コネクタ72、70が近位側コネクタおよび遠位側コネクタを有することができ、コネクタ72、70の係合が各々の支持アーム64のところで実現され得る。
【0063】
弁フレーム62のコネクタ72を通すように結合フレーム10のコネクタ70を通過させることにより、弁フレーム62および結合フレーム10が一体に結合され得る。この結合は、弁フレーム62および結合フレーム10を患者の身体の中に挿入する前に患者の身体の外側で行われ得る。
【0064】
このような実施形態では、事前CTまたは移植部位の他の形態の視覚化が行われ得る。したがって、臨床医などの使用者が、システムを配備することになる患者の身体の一部分の直径を決定することができる。次いで、使用者が、本明細書で開示される手法で、弁フレームの可能であるサイズの選択肢から、所望のサイズの弁フレーム62を選択することができる。例えば、選択される弁フレーム62が、システムを配備することになる患者の身体の一部分の直径に適合する有効径を有することができ、本明細書で開示されるように、他の有効径を有する1組の他の弁フレームから選択され得る。次いで、使用者が、コネクタ72、70を介して、選択した弁フレーム62を結合フレーム10に結合することができる。次いで、結合された弁フレーム62および結合フレーム10が患者の身体の中に挿入され得る。弁フレーム62が配備され得、弁フレーム62と結合フレーム10との間に連結により、結合フレーム10と共に径方向に拡張され得る。
【0065】
実施形態では、弁フレームが、システムが移植されるところの患者の身体の一部分によりフレームに適用され得る弁フレームおよび結合フレームの径方向の圧縮に抵抗するのに利用され得る。この径方向の圧縮は、フレームの径方向の拡張と、患者の身体によりこの拡張に適用される抵抗力とにより、起こり得る。実施形態では、弁フレームが、このような構造部を提供するために、結合フレームの軸方向の拡張に抵抗するように構成され得る。
図8が、例えば、自己拡張弁フレームとなるように構成された、および、径方向外側に拡張するように構成された、弁フレーム74の実施形態を示す。弁フレーム74が、弁フレームを付勢することにより径方向の力を外向きに適用するように構成され得る。弁フレーム74は、特に明記しない限り、
図6に示される弁フレーム62と同様に構成され得る。
【0066】
軸方向に延在する支持アーム76が、例えば、圧縮構成または非配備構成において長さ方向に拡張されるように、ならびに、配備構成において、長さを縮小されて幅を拡張されるように付勢されるように、構成された成形ボディ78を形成することができる。成形ボディ78が、例えば、支持アーム76内の開口部80を囲むことができる。成形ボディ78が、円周方向に延在する翼形状の部分79を有することができる。軸方向に延在する支持アーム76が、例えば、
図6に示されるように、1つまたは複数の円周方向に延在する支持アームを用いて、互いに連結され得る。弁フレーム74が、弁フレーム74および結合フレーム10の上にあるコネクタ70、72をそれぞれ介して、結合フレーム10に連結され得る。
【0067】
フレームが圧縮状態になるとき、フレームが軸方向に拡張され得、径方向に圧縮され得る。
図9が、例えば、圧縮構成にある弁フレーム74および結合フレーム10を示しており、長さが
図8に示される長さから増大している。開口部80のサイズが軸方向に拡張している。フレームが配備されると、結合フレーム10および弁フレーム74が
図8に示される拡張構成まで移動することができる。弁フレーム74が、結合フレーム10に結合されるときに、弁フレーム74および結合フレーム10の軸方向の拡張に抵抗することができる。成形ボディ78が、例えば、弁フレーム74および結合フレーム10の軸方向の拡張に抵抗する軸方向の力を提供することができる。これらのフレームは成形ボディ78により軸方向に拡張するのに抵抗することができ、したがって、径方向に圧縮されるのに抵抗することができる(径方向に圧縮するには軸方向に拡張することが必要である可能性があるため)。したがって、弁フレーム74がフレームの径方向の圧縮に抵抗するように、および、患者の身体内でフレームを固定するように、機能することができる。
【0068】
弁フレーム74は本明細書で開示される手法と同様に手法で選択され得る。例えば、臨床医などの使用者が、本明細書で開示される手法で、弁フレームの可能であるサイズの選択肢から、所望のサイズの弁フレーム74を選択することができる。例えば、選択される弁フレーム74が、システムを配備することになる患者の身体の一部分の直径に適合する有効径を有することができ、本明細書で開示されるように、他の有効径を有する1組の他の弁フレームから選択され得る。
【0069】
図7~
図9の実施形態では、弁フレーム62、74が、患者の身体の中に挿入される前に結合フレーム10に結合され得る。コネクタ70、72が、例えば、患者の身体の外側で、結合フレーム10と選択した弁フレームとの間に係合され得る。
【0070】
図10に示されるような実施形態では、弁フレーム74が、コネクタ86、88を部分的にのみ接続することにより、患者の身体の中に挿入される前に結合フレーム10に連結され得る。
【0071】
図10は、支持アーム76を備える
図8および
図9に示される弁フレームの一部分と、
図8および
図9に示される結合フレーム10との側断面図を示す。このような構成では、近位側コネクタ82、84が、弁フレームの近位端のところで互いに連結され得る。このような近位側コネクタ82、84は、患者の身体の中に挿入される前に、患者の身体の外側で、係合され得る。しかし、遠位側コネクタ86、88は挿入前は係合解除されていてよい。結合フレーム10が拡張すると、弁フレームが拡張することができ、それにより、コネクタ88をコネクタ86の方に軸方向に相対的に移動させることができ、それによりコネクタ86を係合させることができる。コネクタ88、86が係合されることにより、結合フレーム10および弁フレームを互いに連結することができる。この係合はさらに、結合フレーム10および弁フレームの軸方向の拡張に抵抗するロック機構として機能することができる。したがって、このように軸方向の拡張に抵抗することにより、本明細書で開示されるように、結合フレーム10および弁フレームの径方向の圧縮に抵抗することになる(径方向に圧縮するには軸方向に拡張することが必要である可能性があるため)。
【0072】
他の実施形態が、結合フレームを弁フレームに連結するのに、互いに対して軸方向に移動するコネクタを利用することができる。このようなコネクタは、弁フレームおよび結合フレームの軸方向の拡張に抵抗することができしたがってそれにより弁フレームおよび結合フレームの径方向の圧縮に抵抗するロック機構内で利用され得る。
図11が例えば、弁フレームの軸方向支持アーム96の近位側部分のところに開口部の形態のコネクタ94を有する弁フレーム92の実施形態を示す。弁フレームの軸方向支持アーム96の遠位側部分が、患者の身体の中に挿入される前に患者の身体の外側で一体に係合される遠位側コネクタ98、100を有することができる。弁フレーム92は、特に明記しない限り、
図6に示される弁フレーム62と同様に構成され得る。
【0073】
開口部の形態の近位側コネクタ94が、軸方向の遠位方向において開口部に入るようにおよび軸方向の近位方向において開口部から外に出るのを妨害されるように成形されたピンの形態の近位側コネクタ102を受けるように構成され得る。コネクタ94が弁フレーム92上にある第1のコネクタと称され得、コネクタ102が結合フレーム10上にある第2のコネクタと称され得る。第1のコネクタ94が、第2のコネクタ102に係合されるために第2のコネクタ102の方に軸方向に相対的に移動するように構成され得る(および、第2のコネクタ102が、第1のコネクタ94に係合されるために第1のコネクタ94の方に軸方向に相対的に移動するように構成され得る)。
【0074】
図12が、例えば、係合前のコネクタ94、102の軸方向位置を示す。結合フレーム10および弁フレーム92の両方が、
図12では、径方向に拡張する前の、圧縮状態にあってよい。弁フレーム92が径方向に拡張することにより、コネクタ94がコネクタ102の方に軸方向に移動することができ、その結果、コネクタ102がコネクタ94に入ってコネクタ94によって保持される。
【0075】
留意すべきこととして、コネクタ102、94の間の軸方向距離104またはコネクタ94に対してコネクタ102の移動する軸方向距離の長さが、圧縮中に結合フレーム10および弁フレーム92を短縮することが可能となる量を画定することができ、ひいては、弁フレーム92および結合フレーム10の径方向外向きの拡張の対応する直径を画定することができる(径方向に拡張するには軸方向に短縮させることが必要である可能性があるため)。コネクタ102、94が係合されることにより、この直径を超えての弁フレーム92および結合フレーム10のさらなる径方向の拡張に抵抗することができる。
【0076】
さらに、コネクタ102が摺動してコネクタ94から外れることができないことを理由として、コネクタ102とコネクタ94との間の軸方向距離104が、この係合により弁フレーム92および結合フレーム10の径方向の圧縮に抵抗することになる直径を画定する。コネクタ102、94の係合が、弁フレームおよび結合フレームの軸方向の拡張およびひいては径方向の圧縮に抵抗する(径方向に圧縮するには軸方向に拡張することが必要である可能性があるため)。
図11に示されるフレーム92、10に適用される径方向内向きの力がフレーム92、10を軸方向に拡張しない。その理由は、コネクタ102が軸方向においてコネクタ94から離れることが防止されるからである。
【0077】
実施形態では、コネクタ94が、送達装置のテザー(tether)などを用いてコネクタ102に係合されるために軸方向の近位側に移動させられ得る。テザーが、結合フレーム10および弁フレーム92を所望の移植部位に送達するのに利用される送達装置の一部分を含むことができる。テザーが弁フレーム92に連結され得る。テザーが、患者の身体の中でコネクタ94、102を係合させるためにコネクタ102の方に軸方向にコネクタ94を相対的に移動させることができる。
【0078】
このオペレーション中、コネクタ98、100が、コネクタ94、102の互いに対しての軸方向の移動時に、互いに係合された状態を維持することができる。
【0079】
実施形態では、コネクタ102、94の間の軸方向距離104が、弁フレーム92の径方向の拡張の所望の量に基づいて、選択され得る。より大きい拡張量が所望される可能性がある場合、コネクタ94が弁フレーム92上でさらに遠位側に位置決めされ得、より小さい拡張量が所望される場合、コネクタ94が弁フレーム92上でさらに近位側に位置決めされ得る。弁フレーム92が1組の弁フレームから選択され得、各々の弁フレームが、弁フレーム92の所望の有効径に対応することができるコネクタ94の多様な軸方向位置を有する。弁フレームの選択は、本明細書で開示される方法に従って、1組の弁フレームにより行われ得る。
【0080】
図13が、例えば、コネクタ108の長さ112に基づいてコネクタ108、110の軸方向の移動の軸方向距離106または長さが設置され得る実施形態を示す。弁フレーム114が、
図13では、結合フレーム116の上に位置決めされて示される。複数のリーフレット118が弁フレーム114に連結され得る(
図13では1つのリーフレット118が示される)。弁フレーム114が、軸方向の遠位側に延在するラッチをその端部のところに有するアームの形態であるコネクタ108を有することができる。アームが、結合フレーム116のスリーブ120の形態のカバーの中で軸方向に延在することができる。結合フレーム116および弁フレーム114が径方向に拡張する(および、軸方向に短縮される)とき、コネクタ108が、コネクタ110に係合されるために、結合フレーム116上でコネクタ110の方に軸方向に相対的に移動させられ得る。
【0081】
図14が、例えば、径方向に拡張した状態である結合フレーム116および弁フレーム114を示しており、ここでは、コネクタ108、110が軸方向において互いの方に移動させられて互いに係合されている。この係合が弁フレーム114および結合フレーム116が互いから離れる方に軸方向に移動するのを防止することができ、それにより、弁フレーム114および結合フレーム116の長さを増大させるのを防止する。したがって、弁フレーム114および結合フレーム116の直径が縮小することに抵抗し、それにより、弁フレーム114および結合フレーム116を所望の有効径でロックする。したがって、コネクタ108、110が、フレーム116、114の軸方向の拡張に抵抗する、および、フレーム116、114の径方向の圧縮に抵抗する、ロック機構を備える。
【0082】
実施形態で、コネクタ108の長さ112が、弁フレーム114のための選択される拡張径に従って設定され得る。したがって、コネクタ108のアームの長さ112が、弁フレームおよび結合フレームの径方向の圧縮に対してロック機構によって抵抗することが可能となる直径を画定することができ、弁フレーム114の拡張の所望の有効径に基づいて調整され得る。したがって、多様な直径を有する多様な弁フレームが同じ結合フレーム116と共に利用され得、ここでは、径方向の圧縮に対する抵抗が、コネクタ108の長さ112によって設定される直径で画定される。
【0083】
弁フレーム114が、本明細書で開示される手法と同様の手法で選択され得る。例えば、使用者(例えば、臨床医)が、本明細書に開示されるように、弁フレームの可能であるサイズの選択肢から、所望のサイズの弁フレーム114を選択することができる。例えば、選択される弁フレーム114が、システムを配備することになる患者の身体の一部分の直径に適合する有効径を有することができ、本明細書で開示されるように、他の有効径を有する1組の他の弁フレームから選択され得る。コネクタ108の長さが、弁フレーム114のための所望の有効径に対応するように構成され得る。例えば、複数の弁フレーム114が、各々、個別の弁フレームおよび結合フレーム116の径方向の圧縮に抵抗することになる直径を画定する、互いから異なる長さを有するコネクタ108(アームなど)を有することができる。
【0084】
図15が、弁フレームおよび結合フレームのそれぞれの上にあるコネクタ122、124の両方が弁フレーム128のカバー126(スリーブなど)の中に位置決めされ得る代替的実施形態を示す。カバー126が、コネクタ122、124が絡まったりまたは引っ掛かったりするかあるいは患者の身体の一部分または弁システムに望まれずに接触する能力を妨害することができる。コネクタ122の長さ130が、本明細書で考察されるように、コネクタ122、124の軸方向の移動の所望の長さ132に対応するように設定され得る。
【0085】
図16が、ピンの形態である結合フレーム136上にあるコネクタ140を受ける開口部の形態である弁フレーム134上にあるコネクタ138を介して、弁フレーム134の近位側部分が結合フレーム136の近位側部分に係合される、実施形態を示す。この接続の係合が、移植前に、患者の身体の外側で実施され得る。コネクタ142、146の係合が、本明細書で開示されるように、フレームの拡張時に患者の身体の中で行われ得る。弁フレーム134のコネクタ142の長さが、本明細書で考察されるように、所望の軸方向距離144またはコネクタ142、146の軸方向移動の長さを提供するように設定され得る。
【0086】
図17が弁フレーム150の実施形態を示しており、ここでは、支持アーム152の各々が、結合フレーム158から延在するピンの形態であるコネクタ156の上で軸方向に摺動するように構成されたコネクタ154を有する。コネクタ154が、ピンを受けるように構成された、軸方向に延在する開口部を備えることができる。ピンの上で摺動するとき、ピンの形態であるコネクタ160が、結合フレーム158内にある開口部の形態であるコネクタ162に係合され得る。弁フレーム150が、コネクタ154、156、160、162の接続により、結合フレーム158に結合され得、次いで、リーフレット164が配備時に働くことができる。この結合が、所望される場合に、移植の前に、患者の身体の外側で、行われ得る。実施形態では、この結合が患者の身体の中で行われ得る。
【0087】
結合フレームおよび弁フレームの特徴が、複数の実施形態に跨って、組み合わされ得、置換され得、修正され得る。
【0088】
図18が、本明細書の実施形態に従って利用され得る送達装置166の実施形態を示す。利用される送達装置が、他の実施形態で、変更され得る。送達装置166が送達シャフト33を有することができ、送達シャフト33が、弁フレームおよび結合フレームのうちの1つまたは複数を保持することができるインプラント保持エリア170を有することができる。送達シャフト33のシースが、インプラント保持エリア170内で結合フレームまたは弁フレームを覆うことができる。インプラント保持エリア170が、送達シャフト33の遠位端172のところに位置決めされ得る。さらに、ノーズコーン174(
図1に示されるような)が送達シャフト33の遠位端172のところに位置決めされ得る。送達シャフト33が、送達装置166を握持するのに利用されるハンドル178に連結され得るかまたは別の形態のハウジングに連結され得る近位端176を有することができる。
【0089】
本明細書で開示される実施形態は人工弁に関連して考察され得るが、本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法は、人工弁のみに限定されない。他の形態のインプラントおよび人工のインプラントが、ステント、および他の形態の医用インプラントを含めて、本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法を利用することができる。
【0090】
本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法は、大動脈弁の治療のみに限定されず、僧帽弁、肺動脈弁、および三尖弁、さらには、患者の身体の他の部分の治療にまでその範囲が及ぶことができる。他の使用も実現され得る。
【0091】
インプラントが円筒形インプラントであってよいか、または、他の実施形態において、「V形」インプラントまたは所望される場合の他の形状などの、他の形状を有することもできる。インプラントが、インプラントによって囲まれる、例えばインプラントの長手方向軸である、軸から径方向外側に拡張するように構成され得る。インプラントは、特に明記しない限り、拡張可能であるバルーンであってよいか、機械的に拡張可能であってよいか、または、実施形態では自己拡張可能であってよい。利用される送達装置が、例えば、所望の形態の拡張を引き起こすように構成され得る。例えば、拡張可能であるバルーンである弁の場合、送達装置が拡張バルーンを有することができ、さらに、弁の内部に位置決めされたバルーンを膨張および拡張させるためのルーメンを有することができる。機械的に拡張可能である弁の場合、送達装置が、弁を拡張するための機械式の配備機構を有することができる。自己拡張弁の場合、送達装置が、弁を露出するためのおよび弁を拡張させるのを可能にするための、後退可能シースなどを有することができる。他の形態の配備・送達装置も所望される場合に利用される。
【0092】
本明細書で開示されるコネクタが、コネクタの複数の形態の中でもとりわけ、ピン、ラッチ、または開口部のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0093】
本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法は多様な手技で使用され得、これには、経カテーテル大動脈弁移植術(TAVI:transcatheter aortic valve implantation)が含まれてよい。本明細書で開示される送達装置およびシステムが、患者の心臓までの、経大腿動脈的アクセスを含めた、経動脈的アクセスのために利用され得る。送達部位へのアプローチは多様な手法であってよい。例えば、生来の大動脈弁へのアプローチが、大動脈弓を通るものであってよい。実施形態では、生来の大動脈弁の流入側から生来の大動脈弁にアプローチする心室アプローチが利用され得る。
【0094】
さらに、実施形態で、本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法が、僧帽弁、三尖弁、および肺動脈弁の置換・修復のために利用され得る。送達システムが、経大腿動脈または経頸静脈であってよい、経動脈的手技を含めた、経カテーテル経皮的手技(transcatheter percutaneous procedure)で利用され得る。さらには、とりわけ、経心尖的手技も利用され得る。
【0095】
実施形態の特徴が、所望される場合に、修正され得るか、置換され得るか、排除され得るか、または、複数の実施形態に跨って組み合され得る。
【0096】
加えて、本明細書の方法は具体的に説明される方法のみに限定されず、本明細書で開示されるシステムおよびデバイスを利用する方法を含むことができる。方法のステップは、修正され得るか、排除され得るか、または、本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法に追加され得る。
【0097】
本明細書で開示される実施形態の特徴は、本明細書で開示される他の構成要素から独立して実装され得る。システムの多様な装置が独立して実装され得る。
【0098】
最後に、特定の実施形態を参照することにより本明細書の態様が強調されるが、開示されるこれらの実施形態が本明細書で開示される主題の原理を単に例示するものであることを当業者であれば容易に認識するであろうことを理解されたい。したがって、開示される主題が、本明細書で説明される特定の方法論、手順、および/または試薬(reagent)など、のみに限定されないことを理解すべきである。したがって、開示される主題に対しての種々の修正形態または変更形態あるいは代替の構成が、本明細書の精神から逸脱することなく、本明細書の教示に従って作られ得る。最後に、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本明細書で開示されるシステム、装置、および方法の範囲を限定することを意図されず、本明細書で開示されるシステム、装置、および方法の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義される。したがって、システム、装置、および方法は、正確に示されて説明されるもののみに限定されない。
【0099】
本明細書では、本発明者らに知られている実行するのに最良の形態を含めて、システム、装置、および方法の特定の実施形態が説明される。もちろん、上記の説明を読むことにより、説明されるこれらの実施形態での変形形態が当業者には明らかとなる。本発明者は、適宜、熟練の当業者がこのような変形形態を採用することを予期しており、また本発明者らは、本明細書で具体的に説明されるものとは異なる手法で、システム、装置、および方法が実施されることも考えている。したがって、システム、装置、および方法は、適用される法律で認められているように、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載される本主題のあらゆる修正形態および均等物を含む。本明細書で特に明記しない限りまたは文脈により明確に矛盾しない限り、上述の実施形態の、そのあらゆる考えられ得る変形形態での、任意の組み合わせが、これらのシステム、装置、および方法に包含される。
【0100】
システム、装置、および方法の、代替の実施形態、要素、またはステップのグループ化は、限定として解釈されない。各グループメンバーは、個別に、または、本明細書で開示される他のグループメンバーとの任意の組み合わせで、参照され得、特許請求され得る。便宜性および/または特許性を理由として、グループの1つまたは複数のメンバーが1つのグループに含まれたりまたは1つのグループから排除されたりすることが見込まれる。任意のこのような包含または排除が行われる場合、本明細書は、修正したものとして、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループの記述を満たすものとして、このグループを含むとみなされる。
【0101】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される、性質、項目、量、パラメータ、特性、および用語などを表現するすべての数は、すべての場合において、「約」という用語で修飾されるものとして理解される。本明細書で使用される場合の「約」という用語は、このようにして修飾された、性質、項目、量、パラメータ、特性、または用語が、変化する可能性があるがそれでも本明細書で考察される所望のオペレーションまたはプロセスを実施することができる近似値を包含する、ということを意味する。
【0102】
本明細書で使用される「a」、「an」、「the」、ならびに、システム、装置、および方法を説明する文脈(特には、以下の特許請求の範囲の文脈)で使用される同様の指示物は、本明細書で特に明記しない限りまたは文脈により明確に矛盾しない限り、単数および複数の両方をカバーするものとして解釈される。本明細書で説明されるすべての方法は、本明細書で特に明記しない限りまたは文脈により明確に矛盾しない限り、任意適切な順序で実施され得る。本明細書で行われる、任意のすべての例または例示表現(例えば、「など」)の使用は、単に、システム、装置、および方法をより良好に説明することを意図され、別途特許請求されるシステム、装置、および方法の範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる表現も、システム、装置、および方法の実施に不可欠である任意の特許請求されない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0103】
本明細書で参照されて特定されるすべての特許、特許公報、および他の公表文献は、例えば、本システム、本装置、および、本方法と共に使用され得る、このような公表文献で説明される構成および方法論を説明および開示することを目的として、参照によりその全体が個別に明確に本明細書に組み込まれる。これらの公表文献は、単に、本出願の出願日の以前のそれらの開示のために、提示されるものである。この点に関して、先行発明によりまたは任意の他の理由により本発明者らがそのような開示よりも先であるという権利を与えられることを認めるものと解釈してはならない。日付に関するあらゆる言及またはこれらの文献の内容に関する表現は本出願人に入手可能である情報に基づいており、これらの文献の日付または内容の正確性に関しての承認を定めるものでは一切ない。
【符号の説明】
【0104】
10 結合フレーム
12 近位端
14 遠位端
16 長さ
18 外側表面
20 内側表面
22 フレームボディ
24 ストラット
26 開口部
28 直径
30 ヒンジ
32 駆動棒
33 送達シャフト
34 弁フレーム
35 開口部
36 近位端
38 遠位端
40 長さ
42 外側表面
44 内側表面
46 内部流れチャンネル
48 弁リーフレット
50 フレームボディ
52 ストラット
54 開口部
56 直径、有効径
58 直径、有効径
59 大動脈
60 直径
61 表面
62 弁フレーム
63 上側縁部
64 支持アーム
65 下側縁部
66 支持アーム
68 弁リーフレット
70 コネクタ
72 コネクタ
74 弁フレーム
76 支持アーム
78 成形ボディ
79 翼形状の部分
80 開口部
82 近位側コネクタ
84 近位側コネクタ
86 遠位側コネクタ
88 遠位側コネクタ
92 弁フレーム
94 第1のコネクタ
96 軸方向支持アーム
98 遠位側コネクタ
100 遠位側コネクタ
102 近位側コネクタ、第2のコネクタ
104 軸方向距離
106 軸方向距離
108 コネクタ
110 コネクタ
112 長さ
114 弁フレーム
116 結合フレーム
118 リーフレット
120 スリーブ
122 コネクタ
124 コネクタ
126 カバー
128 弁フレーム
130 長さ
132 長さ
134 弁フレーム
136 結合フレーム
138 コネクタ
140 コネクタ
142 コネクタ
144 軸方向距離
146 コネクタ
150 弁フレーム
152 支持アーム
154 コネクタ
156 コネクタ
158 結合フレーム
160 コネクタ
162 コネクタ
164 リーフレット
166 送達装置
170 インプラント保持エリア
172 遠位端
174 ノーズコーン
176 近位端
178 ハンドル
【国際調査報告】