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特表2023-532470通路状の開口を少なくとも部分的に閉じる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】通路状の開口を少なくとも部分的に閉じる方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20230721BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20230721BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20230721BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230721BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
H05K3/40 K
H05K1/11 N
B05D3/00 D
B05D3/00 B
B05D7/00 H
B05D7/00 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022580139
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2021068241
(87)【国際公開番号】W WO2022003127
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】20184034.5
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522498143
【氏名又は名称】ピーターズ リサーチ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Peters Research GmbH & Co. Kommanditgesellschaft
【住所又は居所原語表記】Hooghe Weg 13, 47906 Kempen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ シュヴァーツ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス テカト
【テーマコード(参考)】
4D075
5E317
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC84
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC94
4D075BB26Z
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB47Z
4D075CA22
4D075CA23
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA07
4D075DA31
4D075DC19
4D075DC21
4D075EA15
4D075EA19
4D075EA21
4D075EA33
4D075EA35
4D075EC51
4D075EC53
5E317AA21
5E317AA24
5E317CC18
5E317CC25
5E317GG16
(57)【要約】
本発明は、横断面および貫通長さを有する通路状の開口(1)、特にプリント回路基板(6)のスルーホールまたはスルーコンタクトを、液状の固化可能もしくは硬化可能な充填材により少なくとも部分的に閉じる方法に関する。通路状の開口(1)の部分的な閉鎖を簡単に可能にするためには、開口の閉鎖を、デジタル制御式の被着法により、対向して配置された2つの供給ヘッド(2,3)を用いて行うこと、好適にはインクジェット法により、対向して配置された、印刷ヘッドとして形成された2つの供給ヘッド(2,3)を用いて行うことが望ましく、開口(1)が両側から両端部を介して同時に充填材で充填され、充填材は2つの供給ヘッド(2,3)から、2つの供給ヘッド(2,3)の各出力データおよび2つの供給ヘッドから開口(1)までの各距離を考慮して供給され、これにより、供給された充填材の量が開口内でぶつかり合うように、2つの供給ヘッド(2,3)を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面と貫通長さと2つの対向する端部とを有する通路状の開口(1)、特にプリント回路基板(6)のスルーホールまたはスルーコンタクトを、液状の固化可能もしくは硬化可能な充填材により少なくとも部分的に閉じる方法において、
前記開口(1)の閉鎖を、デジタル制御式の被着法により、対向して配置された2つの供給ヘッド(2,3)を用いて行い、好適にはインクジェット法により、対向して配置された、印刷ヘッドとして形成された2つの供給ヘッド(2,3)を用いて行い、前記開口(1)が両側から両前記端部を介して同時に前記充填材で充填され、該充填材は2つの前記供給ヘッド(2,3)から、2つの前記供給ヘッド(2,3)の各出力データおよび2つの前記供給ヘッド(2,3)から前記開口(1)までの各距離を考慮して供給され、これにより、供給された前記充填材の量が前記開口(1)内でぶつかり合うように、2つの前記供給ヘッド(2,3)を制御することを特徴とする、方法。
【請求項2】
2つの前記供給ヘッド(2,3)を、前記充填材が2つの前記供給ヘッド(2,3)の各出力データおよび2つの前記供給ヘッド(2,3)から前記開口(1)までの各距離を考慮して2つの前記供給ヘッド(2,3)から供給され、これにより、供給された前記充填材の量が、前記開口(1)の前記貫通長さの少なくともほぼ中間領域においてぶつかり合うように制御する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
2つの前記供給ヘッド(2,3)を、前記充填材が2つの前記供給ヘッド(2,3)の前記各出力データおよび2つの前記供給ヘッド(2,3)から前記開口(1)までの前記各距離を考慮して2つの前記供給ヘッド(2,3)から供給され、これにより、供給された前記充填材の量が、前記開口(1)の前記横断面の少なくともほぼ中央領域においてぶつかり合うように制御する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
2つの前記供給ヘッド(2,3)を、前記充填材が2つの前記供給ヘッド(2,3)の前記各出力データおよび2つの前記供給ヘッド(2,3)から前記開口までの前記各距離を考慮して2つの前記供給ヘッド(2,3)から供給され、これにより、前記開口(1)の横断面が完全に閉じられるように制御する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
2つの前記供給ヘッド(2,3)を、前記充填材が2つの前記供給ヘッド(2,3)の前記各出力データおよび2つの前記供給ヘッド(2,3)から前記開口(1)までの前記各距離を考慮して2つの前記供給ヘッド(2,3)から供給され、これにより、前記開口(1)が完全に閉じられるように制御する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記充填材は、溶融接着剤である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記充填材は、UV硬化可能かつ/または電子線硬化可能かつ/または熱硬化可能なインクである、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記充填材は、溶剤を含んでいないか、または少なくとも1つの溶剤を含んでいる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記充填材は、粒子を含んでいないか、または粒子で満たされている、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
少なくともいくつかの前記粒子、好適には全ての前記粒子は、ナノスケールの大きさの範囲内に位置している、請求項9記載の方法。
【請求項11】
少なくともいくつかの前記粒子、好適には全ての前記粒子は、熱伝導性である、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
少なくともいくつかの前記粒子、好適には全ての前記粒子は、導電性または誘電性である、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
少なくともいくつかの前記粒子、好適には全ての前記粒子は、磁性である、請求項9から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
2つの前記供給ヘッド(2,3)を、該2つの供給ヘッド(2,3)から供給された前記充填材の飛行経路が、それぞれ鉛直方向に向けられているかまたは鉛直線から極僅かにのみ変向されているように方向付ける、もしくはそれぞれ水平方向に向けられているかまたは水平線から極僅かにのみ変向されているように方向付ける、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
2つの前記供給ヘッド(2,3)のうちの少なくとも1つを、コンティニュアス法および/またはドロップオンデマンド法で運転する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横断面および貫通長さを有する通路状の開口、特にプリント回路基板のスルーホールまたはスルーコンタクトを、液状の固化可能もしくは硬化可能な充填材により少なくとも部分的に閉じる方法に関する。
【0002】
通路状の開口を閉じるには、実地から様々な方法が周知である。しかしながら、多くの方法があらゆる技術分野では使用不可能である、または少なからぬ分野での使用が欠点と結び付いている。
【0003】
つまり例えば、プリント回路基板のスルーホールまたはスルーコンタクトの閉鎖は、特別な要求と結び付いている。それというのも、プリント回路基板の製造時に、導体パターン構造化用のエッチングレジスト、ソルダーレジスト、マークプリント、貫通路充填材および別の機能ラッカ層を含み得る、様々なラッカが使用されるからである。これらのラッカは、一般に選択的に、スクリーン印刷法により被着される。ソルダーレジストの場合には、フォトリソグラフィプロセスも利用される。それというのも、これにより比較的微細な構造が表現され得るからである。
【0004】
スクリーン印刷用には、印刷レイアウトに対応したスクリーンパターンを製造する必要があり、フォトリソグラフィにより構造化可能なラッカ用には、対応する露光フィルムが必要であるため、例えばレイアウト変更または少量生産等の差異に相応して時間がかかり、高価である。択一的に、露光はレーザ構造化手段を用いて直接に行われてもよい。露光後には次いで、露光されなかったラッカ範囲を、相応する現像液媒体により剥離させる現像プロセスが必要である。
【0005】
これに対して、デジタル制御式の被着プロセスを用いて所望のコーティングを直接選択的に被着することもでき、これにより、多数のプロセスステップひいては時間および材料をも節約することができる。したがってデジタル制御式の被着プロセスは、最大1ロットの少量生産や簡単なレイアウト変更に適している。
【0006】
実地では既に、いくつかの製造プロセスがデジタル制御式の被着プロセスで実施され、この場合はインクジェット印刷が、特に好適なコーティング法である。
【0007】
比較的複雑な構造を有するプリント回路基板の場合には、導体構造を備えた2つ以上の平面が設けられていることが多い。この場合、これらのいわゆる多層は、一般にスルーコンタクトにより実現される個々の平面の間の導電接続を必要とする。この場合は、プリント回路基板に形成されるスルーホールもしくは孔のことであり、導電性のコンタクトは、例えば穿孔壁のメタライジングにより形成される。
【0008】
ただし実地では、スルーホールを次いで再び閉じる必要性が生じることがある。これは例えば、いわゆるインサーキットテストに基づいている場合があり、インサーキットテストにおいてプリント回路基板は、その電気的な機能を検査され、このためには真空適合により所定の支持体に固定される必要がある。ただしこのことは、真空がプリント回路基板の全面に作用し得るということをスルーホールが妨げている場合には不可能である。
【0009】
さらに、プリント回路基板にその構成部材を実装してから、追加的な保護ラッカを設けることが必要な場合がある。ただしこれらの一般に薄い液状の保護ラッカは、スルーホールを通って反対側のプリント回路基板側へ流出することがあり、これにより一方ではコーティング側において不足することがあり、かつラッカコーティングされるべきでないかまたはそれどころかラッカコーティングされてはならない領域にも流入することがある。
【0010】
さらに、充填されていない、つまり(まだ)空いているスルーホール内に、銅表面の加工に使用される、湿式化学プロセスに基づく化学物質が堆積してそこに残留し、後にこの場所に腐食作用をもたらしひいては例えばスルーコンタクトを弱化させるかまたはそれどころか破壊する場合がある。
【0011】
さらに、スルーホールに、機能上、相応して形成された充填材を充填することが必要であるかまたは少なくとも有利な場合がある。これは、電気的および/または熱的に伝導性で磁化可能な誘電体材料または特に低膨張材料による完全な充填であってよい。
【0012】
本発明の課題は、前記欠点を回避し、かつ通路状の開口の部分的な閉鎖を簡単に可能にする、横断面および貫通長さを有する通路状の開口を少なくとも部分的に閉じる方法を提供することにある。
【0013】
この課題は、上位概念に記載の方法において、開口の閉鎖を、デジタル制御式の被着法により、対向して配置された2つの供給ヘッドを用いて行い、好適にはインクジェット法により、対向して配置された、印刷ヘッドとして形成された2つの供給ヘッドを用いて行い、開口が両側から両端部を介して同時に充填材で充填され、充填材は2つの供給ヘッドから、2つの供給ヘッドの各出力データおよび2つの供給ヘッドから開口までの各距離を考慮して供給され、これにより、供給された充填材の量が開口内でぶつかり合うように、2つの供給ヘッドを制御することにより、解決される。
【0014】
有利には、開口の横断面は、いずれの方向にも8mmを超える延在長さを有していてはならず、延在長さは、好適には3mm~5mmを超えてはならない。開口の横断面は円形であってよく、このことは例えば孔の場合に当てはまる。
【0015】
つまり、供給ヘッドから開口内へ噴射された充填材は、開口を突き抜けて飛び出すのではなく、他方の方向から到来する充填材にぶつかり、これにより充填材は側方に向かって飛散し、開口の壁に付着することになる。
【0016】
この場合、充填材は、5m/s~10m/sの速度で供給ヘッドから供給され得る。このことは、例えば断続的に行われてよく、これにより、液滴が供給される。液滴の体積は、例えば1pl(ピコリットル)~20pl、好適には3pl~10plであってよい。この場合、液滴供給の周波数は、5kHz~10kHzであってよい。充填材の断続的な供給では、充填材の供給が行われない時間帯に、固化も例えばやはり断続的に行われてよい。このような断続的な固化は、適当な充填材において例えばストロボスコープを用いて行われてよい。
【0017】
この場合、本発明により、両供給ヘッドは、充填材が両供給ヘッドの各出力データおよび両供給ヘッドから開口までの各距離を考慮して両供給ヘッドから供給され、これにより、供給された充填材の量が、開口の貫通長さの少なくともほぼ中間領域においてぶつかり合うように制御され得る。このことはとりわけ、完全な充填において有利である。それというのも、この場合はまず、開口の貫通長さの中間に配置された隔壁が形成され、次いでその結果生じた2つの止まり穴が、それぞれ対応して配置された供給ヘッドにより引き続き充填され得るからである。
【0018】
択一的に、供給ヘッドによる充填材の供給は、供給された充填材の量がほぼ、開口の一方の端部の領域内でぶつかり合うように行われてもよい。したがって、開口は片側を少なくともほぼ面一に閉じることができる一方で、他方の側からは開いたままであり、非充填状態のままであってよい。
【0019】
また、両供給ヘッドは、充填材が両供給ヘッドの各出力データおよび両供給ヘッドから開口までの各距離を考慮して両供給ヘッドから供給され、これにより、供給された充填材の量が、開口の横断面の少なくともほぼ中央領域においてぶつかり合うように制御され得、これにより、開口の横断面が適切に寸法設定されている場合には、供給された材料が開口の壁に均一に飛散することになる。
【0020】
択一的に、供給ヘッドによる充填材の供給は、供給された充填材の量がほぼ、開口の壁の領域内でぶつかり合うように行われてもよい。これにより、例えば横断面が、開口を1ステップで閉鎖可能な場合よりも過度に大きい場合に、壁領域を起点として、開口を少なくとも部分的に閉じることができる。
【0021】
好適には、両供給ヘッドは、充填材が両供給ヘッドの各出力データおよび両供給ヘッドから開口までの各距離を考慮して両供給ヘッドから供給され、これにより、開口の横断面が完全に閉じられるように制御され得る。この場合、これにより、開口の貫通路が封鎖された状態になる。
【0022】
本発明により、両供給ヘッドは、充填材が両供給ヘッドの各出力データおよび両供給ヘッドから開口までの各距離を考慮して両供給ヘッドから供給され、これにより、開口が完全に閉じられるように制御されてもよい。これにより、開口は両側をそれぞれ、少なくともほぼ面一に閉じられる。別の物質の残留物の望ましくない堆積物が形成され得るキャビティは一切残されない。
【0023】
有利には、充填材は、「ホットメルト」とも呼ばれる溶融接着剤であってよい。その結果、既に冷却するだけで硬化が生じ、このことはさらに、空気流等により意図的に加速させることもできる。
【0024】
充填材は、UV硬化可能かつ/または電子ビーム硬化可能かつ/または熱硬化可能なインクであってもよく、これにより、硬化過程を意図的に制御することができる。
【0025】
本発明により、充填材は溶剤を含んでいなくてよいか、または少なくとも1つの溶剤を含んでいてもよい。
【0026】
充填材は、粒子を含んでいなくてよいか、または粒子で満たされていてもよい。この場合、少なくともいくつかの粒子、好適には全ての粒子は、ナノスケールの大きさの範囲内に位置していてよい。少なくともいくつかの粒子、好適には全ての粒子は、熱伝導性であってもよい。
【0027】
さらに、少なくともいくつかの粒子、好適には全ての粒子は、導電性または誘電性であってよい。これにより、例えばプリント回路基板における開口の充填部は、スルーコンタクトとして働くことができる、またはプリント回路基板の平面同士の電気的な接続が、開口の充填部により回避され得る。
【0028】
少なくともいくつかの粒子、好適には全ての粒子は、磁性であってもよい。
【0029】
本発明により、両供給ヘッドは、両供給ヘッドから供給された充填材の飛行経路が、それぞれ鉛直方向に向けられているかまたは鉛直線から極僅かにのみ変向されているように方向付けられている、もしくはそれぞれ水平方向に向けられているかまたは水平線から極僅かにのみ変向されているように方向付けられていてよい。
【0030】
完全な充填のために、液滴は、理想的には開口の横断面の中央でぶつかり合い、次いで側方に飛散して、開口の壁を濡らしてよい。横断面が閉じられると、開口は引き続き、内側から充填される。
【0031】
水平な向きの場合、液滴は飛行終了時に降下し、開口の壁に落下する。この場合、横断面が閉じられるまでに、まず一種の「壁」が形成される。
【0032】
液滴が開口内に斜めに噴射された場合、液滴は開口の壁を塗らし、このようにして内側から開口を塞ぐ。
【0033】
択一的に、両供給ヘッドは、液滴が非理想的にオーバラップしてぶつかり合いひいては開口を2つの側から塞ぐように制御されかつ/または方向付けられていてよい。
【0034】
前記変化態様は、開口を完全には充填しない場合にも同様に適用され得る。
【0035】
本発明の1つの好適な実施例では、2つの供給ヘッドのうちの少なくとも1つは、コンティニュアス法および/またはドロップオンデマンド法で運転され得る。
【0036】
コンティニュアスインクジェット法では、充填材が持続的に再循環されて圧送され、充填材噴流が、供給ヘッド内で振動部材により個々の液滴に分割される。これにより、最大100000液滴/秒が形成され得る。これらの液滴が、極性化により対応する表面に向かって変向されることにより、形成された液滴のうち、最大30%が充填に使用され得る。その他の液滴は捕集され、循環させられてシステムに再供給される。
【0037】
この方法により、極めて迅速な被着が可能であり、4pl~2000plの液滴量が達成され得る。ただし、充填材が相応して極性化可能である、ということを前提とする。
【0038】
これに対してドロップオンデマンド法(DOD法)では、充填材は必要とされる時にのみ、放出される。
【0039】
この場合、被着ヘッドは、以下の技術、すなわち、バルブ技術、サーマルインクジェットおよびピエゾインクジェットにより異なる。
【0040】
サーモインクジェット技術(TIJ)では、ノズルにおいて小型の電気加熱部材が用いられ、この電気加熱部材により、被着ヘッド内の小通路内の充填材料を、気泡が発生するまで加熱する。これらの気泡が膨張することにより、充填材の液滴がノズルから放出される。この比較的低速な方法によっては、溶剤を含むまたは水性の充填材のみが処理され得る。
【0041】
これに対してピエゾインクジェットシステム(PIJ)では、ノズル内に、圧電セラミック材料から成る圧電素子が設けられており、この圧電素子に電圧が印加されることにより、液滴が形成される。これにより圧電素子が膨張して、液滴がノズルから押し出される。ピエゾインクジェット法では、最も幅広い使用可能な充填材が使用され得る。
【0042】
これに関連する被着ヘッドは、各500ノズルを備えた最大4つの列を有していてよい。この場合、これらのノズルの直径は、人毛の直径よりも小さくてよく、個々の各ノズルは、最大100000インク滴/秒を放出することができ、この場合、液滴は、最大10メートル/秒の速度で運動する。
【0043】
以下に、本発明の図示の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による第1の方法を示す図である。
図2】本発明による第2の方法を示す図である。
図3】本発明による第3の方法を示す図である。
【0045】
全ての図において、同一もしくは同様の構成部材には同じ符号が用いられる。
【0046】
各図には、プリント回路基板6の通路状の開口1を、液状の硬化可能な充填材で閉じる3つの異なる方法が示されている。
【0047】
この場合、開口1の閉鎖は、それぞれ対向して配置された2つの供給ヘッド2,3を用いたデジタル制御式の被着法により行われ、この場合、インクジェット法が適用され、供給ヘッドは、対向して配置された印刷ヘッドとして形成されている。
【0048】
この場合、供給ヘッド2,3は、開口1が両側からその両端を介して同時に充填材で充填されるように制御される。この場合、充填材は、両供給ヘッド2,3の各出力データおよび両供給ヘッド2,3から開口までの各距離を考慮して両供給ヘッド2,3から供給され、これにより、供給された充填材の量が開口内でぶつかり合う。
【0049】
よって、供給ヘッド2,3から開口内へ噴射された充填材は、開口1を突き抜けて飛び出すのではなく、それぞれ他方の方向から到来する充填材にぶつかり、これにより充填材は側方に向かって飛散し、開口の壁に付着することになる。
【0050】
図1に示す方法では、両供給ヘッド2,3は、充填材が両供給ヘッドの各出力データおよび両供給ヘッド2,3から開口1までの各距離を考慮して両供給ヘッド2,3から供給され、これにより、供給された充填材の量が、開口1の貫通長さの中間領域において開口1の壁4の近くでぶつかり合うように制御される。これは重力を考慮して、好適には-図示のように-開口1の下側の壁4であってよい。
【0051】
この場合、まず充填材の堆積物が形成され、この堆積物は、開口1の壁4の領域に接触してから、この領域において開口1が一種の隔壁5により閉鎖されるほどまでの高さを獲得する。このことはとりわけ、完全な充填において有利である。それというのも、この場合はまず、開口1の貫通長さの中間に配置された隔壁5が形成され、次いでその結果生じた2つの止まり穴が、それぞれ対応して配置された供給ヘッド2もしくは3により引き続き充填され得るからである。
【0052】
択一的に、図2に示すように複数のノズルを備えた供給ヘッド2,3により、前記のような隔壁5を、いわば1ステップで達成することもできる。この場合は当然、引き続く充填にもあまり時間がかからない。
【0053】
さらに、供給ヘッド2,3による充填材の供給は、図3に示すように行われてもよく、この場合、供給された充填材の量はほぼ、開口1の一方の端部の領域内でぶつかり合う。したがって、開口1は片側を面一に閉じることができる一方で、他方の側からは開いていて、非充填状態のままである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】