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特表2023-532472タイム種を含む新規なエアロゾル発生基体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】タイム種を含む新規なエアロゾル発生基体
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/14 20060101AFI20230721BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20230721BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20230721BHJP
   A24B 3/14 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A24B15/14
A24B15/16
A24B15/30
A24B3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022580192
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2021067745
(87)【国際公開番号】W WO2022002879
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】20183135.1
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アルント ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カンパノーニ プリスカ
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー ジャン-ピエール
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA15
4B043BB11
4B043BB17
4B043BB18
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC02
4B043BC04
4B043BC12
4B043BC23
(57)【要約】
加熱式エアロゾル発生物品(1000)(4000a、4000b)(5000)は、エアロゾル発生基体(1020)を含み、エアロゾル発生基体は、タイム粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含む均質化したタイム材料から形成される。エアロゾル発生基体はさらに、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも400マイクログラムのウルソール酸を含み、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも150マイクログラムのチモールを含む。基体1グラム当たりのウルソール酸の量は、基体の1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2倍である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基体を備える加熱式エアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生基体が、均質化したタイム材料を含み、前記均質化したタイム材料が、タイム粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含み、前記エアロゾル発生基体が、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも400マイクログラムのウルソール酸と、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも150マイクログラムのチモールと、を含み、
前記基体1グラム当たりの前記ウルソール酸の量が、前記基体の1グラム当たりの前記チモールの量の少なくとも約2倍である、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記エアロゾル発生基体が、乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり1ミリグラム~20ミリグラムのニコチンをさらに含む、請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記均質化しタイム材料が、乾燥重量基準で、5重量パーセント~55重量パーセントのエアロゾル形成体と、1重量パーセント~10重量パーセントの結合剤と、を含む、請求項1または2に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記結合剤がグアーガムを含む、請求項1~3のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記結合剤がセルロースエーテルを含む、請求項1~3のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記エアロゾル発生基体が、前記タイム粒子に由来しない追加のセルロースをさらに含み、前記追加のセルロースが、セルロース粉末およびセルロース繊維のうちの少なくとも一つを含む、請求項5に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記均質化したタイム材料が、乾燥重量基準で、少なくとも2.5重量パーセントのタイム粒子を含む、請求項1~6のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記均質化したタイム材料が、たばこ粒子をさらに含み、前記タイム粒子と前記たばこ粒子の重量比が、1:3以下である、請求項1~7のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記エアロゾル発生基体中の前記均質化したタイム材料が、キャストリーフの形態である、請求項1~8のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記エアロゾル発生基体中の前記均質化したタイム材料が、タイム紙の形態である、請求項1~8のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項11】
試験方法Aによる前記エアロゾル発生基体の加熱に伴い、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムのウルソール酸と、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも5マイクログラムのチモールと、を含むエアロゾルが生成され、
前記基体1グラム当たりのエアロゾル中の前記ウルソール酸の量が、前記基体1グラム当たりのエアロゾル中の前記チモールの量と少なくとも同じである、請求項1~10のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項12】
試験方法Aによる前記エアロゾル発生基体の加熱に伴い、前記エアロゾル発生基体から発生する前記エアロゾルが、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.25マイクログラムの量のウルソール酸と、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.1マイクログラムの量のチモールと、を含み、
エアロゾルの吸煙が、喫煙機械によって生成されるときに55ミリリットルの容積を有し、エアロゾルの吸煙当たりの前記ウルソール酸の量が、エアロゾルの吸煙当たりの前記チモールの量と少なくとも同じである、請求項1~11のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項13】
タイム粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含む、均質化したタイム材料を含む、エアロゾル発生基体であって、前記エアロゾル発生基体が、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも400マイクログラムのウルソール酸と、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも150マイクログラムのチモールと、を含み、
前記基体1グラム当たりの前記ウルソール酸の量が、前記基体の1グラム当たりの前記チモールの量の少なくとも約2倍である、エアロゾル発生基体。
【請求項14】
エアロゾル発生システムであって、
発熱体を備えるエアロゾル発生装置と、
請求項1~12のいずれかに記載の加熱式エアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項15】
請求項13に記載のエアロゾル発生基体の加熱に伴い生成されるエアロゾルであって、前記エアロゾルが、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.25マイクログラムの量のウルソール酸と、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.1マイクログラムの量のチモールと、を含み、
エアロゾルの吸煙が、喫煙機械によって発生されるときに55ミリリットルの容積を有し、前記基体1グラム当たりのエアロゾル中の前記ウルソール酸の量が、前記基体1グラム当たりのエアロゾル中の前記チモールの量と少なくとも同じである、エアロゾル。
【請求項16】
エアロゾル発生基体を作製する方法であって、
タイム粒子、水、エアロゾル形成体、結合剤、および随意にたばこ粒子を含む、スラリーを形成する工程と、
前記スラリーをシートまたはストランドの形態でキャスティングまたは押出成形する工程と、
前記シートまたはストランドを摂氏80度~160度で乾燥させる工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイム粒子から形成された均質化した植物材料を含むエアロゾル発生基体、およびかかるエアロゾル発生基体を組み込んだエアロゾル発生物品に関する。本発明はさらに、タイム粒子を含むエアロゾル発生基体に由来するエアロゾルに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱される(加熱非燃焼式物品としても知られる)加熱式エアロゾル発生物品は、本技術分野で公知である。典型的に、こうした物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置していてもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によって基体から放出され、物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
一部のエアロゾル発生物品は、消費者に異なる感覚体験を提供するため、例えば、エアロゾルの風味を高めるために物品の使用中に消費者に送達される風味剤を備える。風味剤は、エアロゾルを吸入するユーザーに、味覚(味わい)、嗅覚(匂い)、または味覚および嗅覚の両方を送達するのに使用されうる。風味剤を含む加熱式エアロゾル発生物品を提供することは公知である。
【0004】
また、たばこロッドが燃焼するように、紙巻きたばこのマウスピースの反対端を点火して吸入可能な煙を発生させることによって喫煙される従来の可燃性紙巻たばこに、風味剤を提供することも公知である。たばこが燃焼されるにつれて主流煙に追加的な風味を提供するために、典型的には一つ以上の風味剤がたばこロッド内のたばこと混合される。こうした風味剤は、例えば、精油として提供されうる。
【0005】
口内に位置する受容体と相互作用する多数の成分を含む従来の紙巻たばこからのエアロゾルは、「こく」という感覚、すなわち比較的強い口あたりを提供する。「口あたり」とは、本明細書で使用される場合、食物、飲料、またはエアロゾルによって引き起こされる口内の物理的な感覚を指し、味わいとは異なる。口あたりは、味わいや匂いと共に、食品やエアロゾルの全体的な風味を決定する基本的な感覚属性である。
【0006】
従来の可燃性紙巻たばこによって提供される消費者体験を、エアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品によって再現することには困難さがある。これは、こうしたエアロゾル発生物品の加熱中に達する温度がより低温であり、それによって異なるプロファイルの揮発性化合物が放出されることに部分的に起因する。
【0007】
改善された風味およびこくを有するエアロゾルを提供する加熱式エアロゾル発生物品のための新規なエアロゾル発生基体を提供することが望ましい。こうしたエアロゾル発生基体は、従来の可燃性紙巻たばこによって提供されるものに匹敵する感覚体験を有するエアロゾルを提供することができる場合に特に望ましい。また、こうしたエアロゾル発生基体は、例えば、たばこのみを含有するものなど、既存のエアロゾル発生基体と比較して、望ましくないエアロゾル化合物のレベルが低下したエアロゾルを提供することができる場合に特に望ましい。
【0008】
エアロゾル発生物品に容易に組み込むことができ、かつ既存の高速な方法および装置を使用して製造することができる、こうしたエアロゾル発生基体を提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、エアロゾル発生基体を含む、エアロゾル発生物品に関し、エアロゾル発生基体は、本明細書では「均質化したタイム材料」と称される、タイム粒子を含む均質化した植物材料から形成される。均質化したタイム材料は、エアロゾル形成体をさらに含み得る。均質化したタイム材料は、結合剤をさらに含み得る。エアロゾル発生基体はさらに、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約400マイクログラムのウルソール酸を含み得る。エアロゾル発生基体はさらに、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約150マイクログラムのチモールを含み得る。基体1グラム当たりのウルソール酸の量は、基体の1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2倍であり得る。
【0010】
本発明によれば、エアロゾル発生基体を含み、エアロゾル発生基体がタイム粒子を含む均質化したタイム材料で形成されている、エアロゾル発生物品が提供されている。本発明によれば、均質化したタイム材料は、タイム粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含む。エアロゾル発生基体はさらに、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約400マイクログラムのウルソール酸を含み、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約150マイクログラムのチモールを含む。基体1グラム当たりのウルソール酸の量は、基体の1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2倍である。
【0011】
好ましくは、以下に記載する試験方法Aに従った、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体の加熱に伴い、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約10マイクログラムのウルソール酸と、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも5マイクログラムのチモールと、を含むエアロゾルが発生され、基体1グラム当たりのエアロゾル中のウルソール酸の量は、基体1グラム当たりのエアロゾル中のチモールの量と少なくとも同じである。
【0012】
好ましくは、試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.25マイクログラムの量のウルソール酸を含み得る。試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.1マイクログラムの量のチモールを含み得る。エアロゾルの吸煙当たりのウルソール酸の量は、好ましくは、エアロゾルの吸煙当たりのチモールの量と少なくとも同じである。エアロゾルの吸煙は、喫煙機械によって発生したときに55ミリリットルの容積を有する。
【0013】
本発明によれば、エアロゾル発生基体を含み、エアロゾル発生基体がタイム粒子を含む均質化したタイム材料で形成されている、エアロゾル発生物品が提供されている。エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約400マイクログラムのウルソール酸を含み、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約150マイクログラムのチモールを含む。基体1グラム当たりのウルソール酸の量は、基体の1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2倍である。
【0014】
本開示はまた、本明細書では「均質化したタイム材料」と称される、タイム粒子を含む均質化した植物材料で形成されるエアロゾル発生基体に関する。均質化したタイム材料は、エアロゾル形成体をさらに含み得る。均質化したタイム材料は、結合剤をさらに含み得る。エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約400マイクログラムのウルソール酸を含み得る。エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約150マイクログラムのチモールを含み得る。基体1グラム当たりのウルソール酸の量は、基体の1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2倍であり得る。
【0015】
本発明によれば、均質化したタイム材料で形成されたエアロゾル発生基体が提供され、均質化したタイム材料は、タイム粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含む。エアロゾル発生基体はさらに、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも400マイクログラムのウルソール酸を含み、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも150マイクログラムのチモールを含み、基体1グラム当たりのウルソール酸の量は、基体1グラム当たりのチモールの量の少なくとも2倍である。
【0016】
本開示は加えて、エアロゾル発生基体の加熱に伴い生成されるエアロゾルに関する。エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.25マイクログラムの量のウルソール酸を含み得る。エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.1マイクログラムの量のチモールを含み得る。基体1グラム当たりのエアロゾル中のウルソール酸の量は、基体1グラム当たりのエアロゾル中のチモールの量と少なくとも同じであり得る。エアロゾルの吸煙は、喫煙機械によって発生したときに55ミリリットルの容積を有する。
【0017】
本発明によれば、エアロゾル発生基体の加熱に伴い生成されるエアロゾルであって、エアロゾルが、エアロゾルの吸煙ごとに少なくとも約0.25マイクログラムの量のウルソール酸と、エアロゾルの吸煙ごとに少なくとも約0.1マイクログラムの量のチモールと、を含み、基体1グラム当たりのエアロゾル中のウルソール酸の量は、基体の1グラム当たりのエアロゾル中のチモールの量と少なくとも同じであり、エアロゾルの吸煙が、喫煙機械によって発生されるときに55ミリリットルの容積を有する、エアロゾルがさらに提供される。
【0018】
本発明は、タイム粒子、水、エアロゾル形成体、結合剤、および随意にたばこ粒子を含むスラリーを形成することと、スラリーをシートまたはストランドの形態でキャスティングまたは押出成形することと、シートまたはストランドを、好ましくは、摂氏80度~摂氏160度の温度で乾燥させることと、を含む、エアロゾル発生基体を作製する方法をさらに提供する。エアロゾル発生基体のシートが形成される場合、シートは、任意選択的にストランドに切断されてもよく、またはシートを集合してロッドを形成してもよい。シートは、任意選択的に、集合工程の前に捲縮されてもよい。
【0019】
本発明のエアロゾル発生基体およびエアロゾルに対する以下の言及は、別途記載のない限り、本発明のすべての態様に適用可能であると考えられる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを生成するための物品を指し、ここで物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、加熱または燃焼されることが適切であって意図されるエアロゾル発生基体を備える。従来の紙巻たばこは、ユーザーが紙巻たばこの一方の端に炎を当てて、もう一方の端を通して空気を引き出す時に点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素によって提供された局在化した熱は、紙巻たばこの端部を点火させて、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。対照的に、「加熱式エアロゾル発生物品」では、エアロゾル発生基体を燃焼することによってではなく、エアロゾル発生基体を加熱することによってエアロゾルが発生される。公知の加熱式エアロゾル発生物品としては例えば、電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体に伝達することによってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品とが挙げられる。
【0021】
また、エアロゾル発生物品にエアロゾル形成体を供給するエアロゾル発生システムで使用されるように適合されたエアロゾル発生物品も公知である。こうしたシステムでは、エアロゾル発生物品中のエアロゾル発生基体は、動作中にエアロゾルを形成するために使用される実質的にすべてのエアロゾル形成体を搬送および提供するエアロゾル発生基体に対して、実質的により少ないエアロゾル形成体を含む。
【0022】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に伴い生成する能力を有する基体を指す。エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、人の目で見えても見えなくてもよく、ベイパー(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の気体状の微粒子)、ならびに凝縮されたベイパーの気体および液滴を含んでもよい。
【0023】
本明細書で使用される「均質化した植物材料」という用語は、植物の粒子の凝集によって形成された任意の植物材料を包含する。例えば、本発明のエアロゾル発生基体のための均質化した植物材料のシートまたはウェブは、タイム植物材料および随意に、たばこ葉身またはたばこ葉茎などのたばこ材料をすり潰す、粉砕する、または細分することによって取得された植物材料の粒子を凝集することによって形成され得る。均質化した植物材料は、キャスティング、押出成形、製紙プロセス、または当技術分野で公知の他の任意の好適なプロセスによって生成されてもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「均質化したタイム材料」という用語は、随意にたばこ粒子と組み合わされたタイム粒子を含む均質化した植物材料を指す。「均質化したたばこ材料」という用語は、たばこ粒子を含むが、タイム粒子を含まない均質化した植物材料を指し、したがって、これは本発明に従っていない。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「タイム粒子」は、タイム植物(タチジャコウソウ)の葉および花に由来する粒子を包含する。タイムは、地中海地域で広く栽培されている、タイム種の常緑草本植物である。タイムの葉は、一般的に、食品の風味付けのための調理用ハーブとして使用される。対照的に、タイム油は、タイム植物から抽出された蒸留物であり、ウルソール酸およびチモールは、タイムに由来する化合物である。
【0026】
本発明は、本明細書で均質化したタイム材料と称される、タイム粒子を含む均質化した植物材料で形成されるエアロゾル発生基体を組み込むエアロゾル発生物品を提供する。本発明はまた、こうしたエアロゾル発生基体に由来するエアロゾルも提供する。本発明の発明者らは、タイム粒子をエアロゾル発生基体に組み込むことによって、有利なことに、新規な感覚体験を提供するエアロゾルを生成することが可能であることを見出した。こうしたエアロゾルは、独特の風味を提供し、増大したレベルのこく味を提供し得る。
【0027】
さらに、発明者らは、タイム油などのタイム添加剤の添加によって生成されるエアロゾルと比較して、有利なことに、改善されたタイムアロマおよび風味を有するエアロゾルを生成することが可能であることを見出した。タイム油(ケミカルアブストラクトサービス登録番号8007-46-3)は、タイム植物、主にその葉から蒸気蒸留によって得られる。それは、おそらくは特定の風味剤を選択的に除去または保持し得る蒸留プロセスに起因して、タイム粒子とは異なる風味剤の組成を有する。チモールはタイム油の主成分の一つである。タイム油は、非常に低いレベル、または実質的にゼロのウルソール酸を含有する。
【0028】
さらに、本明細書で提供される特定のエアロゾル発生基体では、タイム粒子は望ましいタイム風味を提供するのに十分なレベルで組み込まれ、一方で消費者に望ましいレベルのニコチンを提供するのに十分なたばこ材料を維持する。
【0029】
さらに、驚くべきことに、エアロゾル発生基体中にタイム粒子を含めることは、タイム粒子を伴わずに、100パーセントのたばこ粒子を含むエアロゾル発生基体から生成されたエアロゾルと比較して、特定の望ましくないエアロゾル化合物の有意な低減を提供することが見出された。特に、下記の通り、驚くべきことにエアロゾル発生基体中にタイム粒子を含めることは、タイム粒子を有さない、100パーセントのたばこ粒子を含むエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルと比較して、特定の多環式芳香族炭化水素(PAH)、およびフェノール化合物の有意な低減を提供することが見出された。さらに、この低減は、たばこ粒子の低減の結果として、比例的に予想されるものよりも大きいことが見出されている。
【0030】
均質化した植物材料(キャストリーフなど)中のタイムの存在は、DNAバーコーディングによって確実に識別されうる。核遺伝子ITS2、rbcLおよびmatK系統、ならびに色素体遺伝子間スペーサーtrnH-psbAに基づいてDNAバーコーディングを実施するための方法は、当該技術分野で公知であり、使用することができる(Chen S,Yao H,Han J,Liu C,Song J,et al.(2010)Validation of the ITS2 Region as a Novel DNA Barcode for Identifying Medicinal Plant Species.PLoSONE 5(1):e8613;Hollingsworth PM,Graham SW,Little DP(2011)Choosing and Using a Plant DNA Barcode.PLoS ONE 6(5):e19254)。
【0031】
発明者らは、タイム粒子およびタイム粒子とたばこ粒子の混合物を組み込んだ本発明のエアロゾル発生基体から発生されたエアロゾルの複雑な分析および特徴付け、およびこうしたエアロゾルと、タイム粒子を有さないたばこ材料から形成された既存のエアロゾル発生基体から発生されたエアロゾルとの比較を実行した。これに基づいて、発明者らは、エアロゾル中に存在し、タイム粒子に由来する化合物である「特徴的な化合物」の群を識別することができた。したがって、特定の範囲内の重量割合のエアロゾル内における特徴的な化合物の検出を使用して、タイム粒子を含むエアロゾル発生基体に由来するエアロゾルを識別することができる。これらの特徴的な化合物は特に、たばこ材料から発生されるエアロゾル中に存在しないか、またはごくわずかな量だけ存在する。さらに、エアロゾル内における特徴的な化合物の割合および特徴的な化合物の互いに対する比は、タイム油ではなく、タイム植物材料の使用を明確に示している。同様に、これらの特徴的な化合物が特定の割合でエアロゾル発生基体内に存在することは、基体内にタイム粒子が含まれていることを示している。
【0032】
特に、基体およびエアロゾル内の特徴的な化合物の定義されたレベルおよび比は、均質化したタイム材料内に存在するタイム粒子に固有である。特徴的な化合物それぞれのレベルは、均質化したタイム材料の製造中にタイム粒子が処理された方法に依存する。レベルはまた、均質化したタイム材料の組成にも依存し、特に、均質化したタイム材料内の他の成分のレベルによって影響を受ける場合がある。均質化したタイム材料内の特徴的な化合物のレベルは、出発タイム材料内の同じ化合物のレベルとは異なり得る。また、これは、タイム粒子を含有するが、本明細書に定義される本発明によらない材料内の特徴的な化合物のレベルとは異なり得る。
【0033】
エアロゾルの特徴付けを実行するために、発明者らは、飛行時間型質量分析計(GCxGC-TOFMS)に結合された二次元ガスクロマトグラフィーと並行して、高分解能精密質量分析計(LC-HRAM-MS)に結合された液体クロマトグラフィーを使用する相補的な非標的ディファレンシャルスクリーニング(NTDS)を使用した。
【0034】
非標的スクリーニング(NTS)は、未知の検出された化合物の特徴をスペクトルデータベースと一致させる(サスペクトスクリーニング[SSA])、または事前知識の一致がない場合に、例えば、化合物データベースからのインシリコの予測フラグメントに一致する一次フラグメンテーション(MS/MS)由来情報を使用して未知の構造を解明する(非標的分析[NTA])、のいずれかによって、複雑なマトリクスの化学組成を特徴付けるための重要な方法である。NTSは、公平なアプローチを使用して、サンプルから多数の小分子を半定量するための同時測定と能力を可能にする。
【0035】
上述の通り、サンプル間の化学組成の有意な差を管理されていない方法で評価するために二つ以上のエアロゾルサンプルの比較に焦点を当てる場合、または事前知識に関連する群がサンプル群間で入手可能な場合には、非標的ディファレンシャルスクリーニング(NTDS)が実施されうる。飛行時間型質量分析計(GCxGC-TOFMS)に結合された二次元ガスクロマトグラフィーと並行して、高分解能精密質量分析計(LC-HRAM-MS)に結合された液体クロマトグラフィーを使用する相補的なディファレンシャルスクリーニングは、粒子状植物材料としてタイムを100重量%含む物品に由来するエアロゾルと、粒子状植物材料としてたばこを100重量%含む物品に由来するエアロゾルの間のエアロゾル組成の最も関連性がある差を識別するための包括的な分析範囲を確実とするために適用される。
【0036】
エアロゾルを、以下に詳細に記載する装置および方法を使用して発生および収集した。
【0037】
フルスキャンモードとデータ依存型モードの両方で、Thermo QExactive(商標)高分解能質量分析計を使用してLC-HRAM-MS分析を実行した。よって、異なるイオン化特性および化合物クラスを有する広範囲の物質を網羅するために、三つの異なる方法を適用した。正のモードおよび負のモードの加熱式エレクトロスプレーイオン化(HESI)、および正のモードの大気圧化学イオン化(APCI)によるRPクロマトグラフィーを使用してサンプルを分析した。方法は:Arndt,D.et al,“In depth characterization of chemical differences between heat-not-burn tobacco products and cigarettes using LC-HRAM-MS-based non-targeted differential screening”(DOI:10.13140/RG.2.2.11752.16643)、Wachsmuth,C.et al,“Comprehensive chemical characterisation of complex matrices through integration of multiple analytical modes and databases for LC-HRAM-MS-based non-targeted screening”(DOI:10.13140/RG.2.2.12701.61927)、および“Buchholz,C.et al,“Increasing confidence for compound identification by fragmentation database and in silico fragmentation comparison with LC-HRAM-MS-based non-targeted screening of complex matrices”(DOI: 10.13140/RG.2.2.17944.49927)(全て、66th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,San Diego,USA(2018)より)に記載されている。方法は:Arndt,D.ら,“A complex matrix characterization approach,applied to cigarette smoke,that integrates multiple analytical methods and compound identification strategies for non-targeted liquid chromatography with high‐resolution mass spectrometry”(DOI:10.1002/rcm.8571)にさらに記載されている。
【0038】
GCxGC-TOFMS分析を、エアロゾル内の非極性化合物、極性化合物、または高揮発性化合物に対して三つの異なる方法で、オート液体インジェクター(モデル7683B)を備えたAgilent GC Model 6890Aまたは7890A測定器、およびLECO Pegasus 4D(商標)質量分析計に結合された熱変調器を使用して実行した。方法は:Almstetter et al,“Non-targeted screening using GC×GC-TOFMS for in-depth chemical characterization of aerosol from a heat-not-burn tobacco product”(DOI:10.13140/RG.2.2.36010.31688/1)、およびAlmstetter et al,“Non-targeted differential screening of complex matrices using GC×GC-TOFMS for comprehensive characterization of the chemical composition and determination of significant differences”(DOI: 10.13140/RG.2.2.32692.55680)(それぞれ、66th and 64th ASMS Conferences on Mass Spectrometry and Allied Topics,San Diego,USAより)に記載されている。
【0039】
分析方法からの結果は、こうした物品によって発生されるエアロゾルの差の原因である主要な化合物に関する情報を提供した。分析プラットフォームLC-HRAM-MSおよびGCxGC-TOFMSの両方を使用する非標的ディファレンシャルスクリーニングの焦点は、100パーセントのたばこ粒子を含むエアロゾル発生基体の比較サンプルに対して、100パーセントのタイム粒子を含む本発明によるエアロゾル発生基体のサンプルのエアロゾル中に、より多い量で存在した化合物に置かれた。NTDS方法は、上記に列挙した文献で説明されている。
【0040】
この情報に基づいて、発明者らは、基体中のタイム粒子に由来する「特徴的な化合物」と考えられ得るエアロゾル内の特定の化合物を識別することができた。タイムに由来する特徴的な化合物には、以下が含まれるが、これらに限定されない:ウルソール酸(3-ベータ-3-ヒドロキシ-urs-12-エン-28-オイック酸、化学式:C30483、ケミカルアブストラクトサービス登録番号77-52-1);チモール(5-メチル-2-(プロパン-2-イル)フェノール、化学式:C1014O、ケミカルアブストラクトサービス登録番号89-83-8);イソチモールまたはカルバクロール(5-イソプロピル-2-メチルフェノール、化学式:C1014O、ケミカルアブストラクトサービス登録番号499-75-2)、ベツリン酸((3β)-3-ヒドロキシ-lup-20(29)-エン-28-オイック酸、化学式:C30483、ケミカルアブストラクトサービス登録番号472-15-1)、およびチモビドロキノン(2-メチル-5-プロパン-2-イルベンゼン-1、4-ジオール、化学式:C10142、ケミカルアブストラクトサービス登録番号2217-60-9)。
【0041】
本発明の目的のために、標的スクリーニングを、エアロゾル発生基体のサンプルに実施して、基体中の特徴的な化合物のそれぞれの存在および量を識別しうる。こうした標的スクリーニング方法について以下に説明する。記載の通り、特徴的な化合物は、エアロゾル発生基体およびエアロゾル発生基体に由来するエアロゾルの両方において検出および測定されうる。
【0042】
上記で定義されるように、本発明のエアロゾル発生物品は、タイム粒子を含む均質化した植物材料から形成されたエアロゾル発生基体を含む。タイム粒子を含む結果として、エアロゾル発生基体は、上述の通り、特定の割合のタイムの「特徴的な化合物」を備える。特に、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも400マイクログラムのウルソール酸と、基体1グラム当たり少なくとも150マイクログラムのチモールと、を含むことが好ましい。
【0043】
望ましいレベルの特徴的な化合物に対してエアロゾル発生基体を定義することによって、原材料中の特徴的な化合物のレベルの潜在的な差にもかかわらず、製品間の一貫性を確実にすることが可能である。これにより、有利なことに、製品の品質をより効果的に制御することが可能になる。
【0044】
エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約1000マイクログラムのウルソール酸を含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約2000マイクログラムのウルソール酸を含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約7000マイクログラム以下のウルソール酸を含むことが好ましく、基体1グラム当たり約6000マイクログラム以下のウルソール酸を含むことがより好ましく、基体1グラム当たり約5000マイクログラム以下のウルソール酸を含むことがより好ましい。
【0045】
例えば、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約400マイクログラム~約7000マイクログラムのウルソール酸、または基体1グラム当たり約1000マイクログラム~約6000マイクログラムのウルソール酸、または基体1グラム当たり約2000マイクログラム~約5000マイクログラムのウルソール酸を含んでもよい。
【0046】
特定の好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体1グラム当たり約400マイクログラム~約3500マイクログラムのウルソール酸を含み得ることが好ましく、エアロゾル発生基体1グラム当たり約1000マイクログラム~約3000マイクログラムのウルソール酸を含み得ることがより好ましい。例えば、ウルソール酸のレベルは、以下に記載されるように、乾燥重量基準で、エアロゾル発生基体が2.5重量パーセント~25重量パーセントのタイム粒子を含む、本発明の第一の好ましい実施形態に対するこれらの範囲内であってもよい。
【0047】
エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約500マイクログラムのチモールを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約1000マイクログラムのチモールを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約3000マイクログラム以下のチモールを含むことが好ましく、基体1グラム当たり約2750マイクログラム以下のチモールを含むことがより好ましく、基体1グラム当たり約2500マイクログラム以下のチモールを含むことがより好ましい。
【0048】
例えば、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約150マイクログラム~約3000マイクログラムのチモール、または基体1グラム当たり約500マイクログラム~約2750マイクログラムのチモール、または基体1グラム当たり約1000マイクログラム~約2500マイクログラムのチモールを含んでもよい。
【0049】
特定の特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体1グラム当たり約150マイクログラム~約1500マイクログラムのチモールを含んでもよく、より好ましくは、エアロゾル発生基体1グラム当たり約500マイクログラム~約1300マイクログラムのチモールを含んでもよい。例えば、チモールのレベルは、以下に記載されるように、乾燥重量基準で、エアロゾル発生基体が2.5重量パーセント~25重量パーセントのタイム粒子を含む、本発明の第一の好ましい実施形態に対するこれらの範囲内であってもよい。
【0050】
上記で定義されるように、エアロゾル発生基体中の特徴的な化合物の比は、基体の1グラム当たりのウルソール酸の量が、基体の1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2倍、より好ましくは基体1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2.25倍、より好ましくは基体1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2.5倍である。したがって、エアロゾル発生基体中のウルソール酸とチモールとの比は、タイム油中のウルソール酸とチモールとの比よりも顕著に大きいが、これは、タイム油と比較して、タイム粒子中に存在するウルソール酸の比がはるかに高いためである。
【0051】
したがって、ウルソール酸のチモールに対する比は、エアロゾル発生基体にタイム粒子を包含させることの特徴である。
【0052】
好ましくは、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約1mg~約20mgのベツリン酸、または基体1グラム当たり約2mg~約18mgのベツリン酸、または基体1グラム当たり約5mg~約15mgのベツリン酸をさらに含み得る。
【0053】
好ましくは、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約50マイクログラム~約1000マイクログラムのイソチモール、または基体1グラム当たり約250マイクログラム~約1000マイクログラムのイソチモール、または基体1グラム当たり約1000マイクログラム~約2500マイクログラムのイソチモールをさらに含み得る。
【0054】
好ましくは、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約25マイクログラム~約400マイクログラムのチモビドロキノン、または基体1グラム当たり約50マイクログラム~約350マイクログラムのチモビドロキノン、または基体1グラム当たり約100マイクログラム~約250マイクログラムのチモビドロキノンをさらに含み得る。
【0055】
上記で定義されるように、本発明はまた、タイム粒子を含む均質化した植物材料で形成されたエアロゾル発生基体を備え、エアロゾル発生基体の加熱に伴い、タイムの「特徴的な化合物」を含むエアロゾルが発生する、エアロゾル発生物品を提供する。
【0056】
本発明の目的のために、エアロゾル発生基体は「試験方法A」に従って加熱される。試験方法Aにおいて、エアロゾル発生基体を組み込んだエアロゾル発生物品は、カナダ保健省の機械式喫煙レジメン下で、たばこ加熱システム2.2ホルダー(THS2.2ホルダー)で加熱される。試験方法Aを実施する目的で、エアロゾル発生基体は、THS2.2ホルダーと互換性のあるエアロゾル発生物品に提供される。
【0057】
たばこ加熱システム2.2ホルダー(THS2.2ホルダー)は、Smith et al.,2016,Regul.Toxicol.Pharmacol.81(S2)S82-S92に記載される市販のiQOS装置(Philip Morris Products SA、スイス)に対応する。IQOS装置と併用するためのエアロゾル発生物品がまた市販されている。
【0058】
カナダ保健省の喫煙レジメンは、カナダ保健省2000年たばこ製品情報規則SOR/2000-273、別表2(カナダ法務省発行)で明確に定義され、受け入れられている喫煙プロトコルである。試験方法はISO/TR 19478-1:2014に説明されている。カナダ保健省の喫煙試験では、換気が存在する場合には、全ての換気を遮断した状態で、55ミリメートルの吸煙容積、2秒の吸煙持続時間、および30秒の吸煙間隔による12回の吸煙にわたってサンプルのエアロゾル発生基体からエアロゾルが収集される。
【0059】
したがって、本発明の文脈において、「試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い」という表現は、カナダ保健省2000年たばこ製品情報規則SOR/2000-273、別表2(カナダ法務省発行)、カナダ保健省の機械式喫煙レジメン下で、THS2.2ホルダーでエアロゾル発生基体を加熱したときのことを意味し、この試験方法はISO/TR 19478-1:2014に説明されている。
【0060】
分析の目的のために、エアロゾル発生基体の加熱から発生されるエアロゾルを、使用される分析方法に応じて、適切な装置を使用して閉じ込める。LC-HRAM-MSによる分析のためにサンプルを発生させるための好適な方法では、粒子相は、調整された44mmのCambridgeガラス繊維フィルターパッド(ISO 3308に準拠)およびフィルターホルダー(ISO4387およびISO3308に準拠)を使用して閉じ込められる。残りの気相は、それぞれメタノール及び内部標準(ISTD)溶液(10mL)を含有する二つの連続したマイクロインピンジャー(20mL)を使用して、フィルターパッドから下流に収集され、ドライアイスとイソプロパノールの混合物を使用して摂氏-60度に維持した。次いで、閉じ込められた粒子相及び気相を再び組み合わせ、サンプルを振とうし、5分間攪拌して遠心分離(4500g、5分間、摂氏10度)することによって、メタノールを用いてマイクロインピンジャーから抽出する。結果として得られた抽出物をメタノールで希釈し、Eppendorf ThermoMixerで混合する(摂氏5度、2000 rpm)。抽出物からの試験サンプルを、特徴的な化合物を識別するために、フルスキャンモードおよびデータ依存型フラグメンテーションモードの組み合わせでLC-HRAM-MS によって分析する。本発明の目的のため、LC-HRAM-MS分析は、ウルソール酸、チモール、ならびにベツリン酸の識別および定量化に適している。
【0061】
GCxGC-TOFMSによる分析のためのサンプルは、同様の方法で発生されうるが、GCxGC-TOFMS分析については、異なる溶媒が、エアロゾル全体から分離された極性化合物、非極性化合物、および揮発性化合物の抽出および分析に適切である。
【0062】
非極性化合物および極性化合物については、エアロゾル全体は、調整された44mmのCambridgeガラス繊維フィルターパッド(ISO 3308に準拠)およびフィルターホルダー(ISO 4387およびISO 3308に準拠)を使用して収集され、続いて、二つのマイクロインピンジャーが直列に接続されて密封される。各マイクロインピンジャー(20mL)は、内部標準(ISTD)および保持指標マーカー(RIM)化合物を含む10mLのジクロロメタン/メタノール(80:20 v/v)を含有する。マイクロインピンジャーは、ドライアイスとイソプロパノールの混合物を使用して摂氏-80度に維持される。非極性化合物の分析のために、エアロゾル全体の粒子相を、マイクロインピンジャーの内容物を使用してガラス繊維フィルターパッドから抽出する。結果として得られる抽出物のアリコート(10mL)に水を添加し、上述のようにサンプルを振とうして遠心分離する。ジクロロメタン層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、フルスキャンモードでGCxGC-TOFMSにより分析する。極性化合物の分析については、上述の非極性サンプル調製からの残りの水層を使用する。ISTDおよびRIM化合物を水層に添加し、次いでこれをフルスキャンモードでGCxGC-TOFMSにより直接分析する。
【0063】
揮発性化合物については、エアロゾル全体は、それぞれISTDおよびRIM化合物を含む10mLのN,N-ジメチルホルムアミドで充填された、直列に接続および密封された二つのマイクロインピンジャー(20mL)を使用して収集される。マイクロインピンジャーは、ドライアイスとイソプロパノールの混合物を使用して、摂氏-50度~摂氏-60度に維持される。収集後、二つのマイクロインピンジャーの内容物を組み合わせ、フルスキャンモードでGCxGC-TOFMSによって分析する。
【0064】
本発明の目的のため、GCxGC-TOFMS分析は、チモール、イソチモールおよびチモビドロキノンの識別および定量に適している。
【0065】
試験方法Aによる、本発明のエアロゾル発生基体の加熱に伴い発生されるエアロゾルは、好ましくは、上記に定義したように、特徴的な化合物、ウルソール酸、およびチモールの量および比によって特徴付けられる。
【0066】
上に記載されるエアロゾル発生基体を備えるエアロゾル発生物品では、試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約10マイクログラムのウルソール酸と、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約5マイクログラムのチモールと、を含むエアロゾルが発生されることが好ましい。基体1グラム当たりのエアロゾル中のウルソール酸の量は、基体1グラム当たりのエアロゾル中のチモールの量と少なくとも同じであることが好ましい。言い換えれば、ウルソール酸の量は、基体1グラム当たりのエアロゾル中のチモールの量と等しいか、またはそれより大きい。
【0067】
範囲は、エアロゾル発生基体(本明細書では「基体」とも称される)1グラム当たりの発生されたエアロゾル中の特徴的な化合物のそれぞれの量を定義する。これは、試験方法A中に収集されたエアロゾルにおいて測定された特徴的な化合物の総量を、加熱前のエアロゾル発生基体の乾燥重量で割った量と等しい。
【0068】
試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約25マイクログラムのウルソール酸を含むエアロゾルが発生することが好ましい。本発明によるエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約50マイクログラムのウルソール酸を含むことがより好ましい。
【0069】
代替的にまたはさらに、エアロゾル発生基体から発生するエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大で約250マイクログラムのウルソール酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生基体から発生するエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大で約200マイクログラムのウルソール酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生基体から発生するエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大で約150マイクログラムのウルソール酸を含むことがさらにより好ましい。
【0070】
本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大150マイクログラムのウルソール酸、より好ましくは基体1グラム当たり最大100マイクログラムのウルソール酸を含んでもよい。例えば、ウルソール酸のレベルは、以下に記載されるように、乾燥重量基準で、エアロゾル発生基体が2.5重量パーセント~25重量パーセントのタイム粒子を含む、本発明の第一の好ましい実施形態に対するこれらの範囲内であってもよい。
【0071】
試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約20マイクログラムのチモールを含むエアロゾルが発生されることが好ましい。本発明によるエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約50マイクログラムのチモールを含むことがより好ましい。
【0072】
代替的に、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大で約150マイクログラムのチモールを含むことが好ましい。エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大で約125マイクログラムのチモールを含むことがより好ましい。エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大で約100マイクログラムのチモールを含むことがなおより好ましい。
【0073】
本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大100マイクログラムのチモール、より好ましくは基体1グラム当たり最大75マイクログラムのチモールを含んでもよい。例えば、チモールのレベルは、以下に記載されるように、乾燥重量基準で、エアロゾル発生基体が2.5重量パーセント~25重量パーセントのタイム粒子を含む、本発明の第一の好ましい実施形態に対するこれらの範囲内であってもよい。
【0074】
好ましくは、試験Aの間、本発明によるエアロゾル発生基体から生成されたエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約0.5マイクログラム~約15マイクログラムのイソチモール、より好ましくは、基体1グラム当たり約2マイクログラム~約12マイクログラムのイソチモール、さらに好ましくは、基体1グラム当たり約5マイクログラム~約10マイクログラムのイソチモールをさらに含む。
【0075】
好ましくは、試験Aの間、本発明によるエアロゾル発生基体から生成されたエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約40マイクログラム~約750マイクログラムのベツリン酸、より好ましくは、基体1グラム当たり約100マイクログラム~約600マイクログラムのベツリン酸、さらに好ましくは、基体1グラム当たり約250マイクログラム~約500マイクログラムのベツリン酸をさらに含む。
【0076】
好ましくは、試験Aの間、本発明によるエアロゾル発生基体から生成されたエアロゾルは、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約0.5マイクログラム~約15マイクログラムのチモビドロキノン、より好ましくは、基体1グラム当たり約2マイクログラム~約12マイクログラムのチモビドロキノン、さらに好ましくは、基体1グラム当たり約5マイクログラム~約10マイクログラムのチモビドロキノンをさらに含む。
【0077】
試験方法A中に本発明のエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、基体1グラム当たり少なくとも約0.1マイクログラムのニコチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約1マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約2マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約10マイクログラムのニコチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり最大で約7.5マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましく、基体1グラム当たり最大で約4マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、基体1グラム当たり約0.1マイクログラム~約10マイクログラムのニコチン、または基体1グラム当たり約1マイクログラム~約7.5マイクログラムのニコチン、または基体1グラム当たり約2マイクログラム~約4マイクログラムのニコチンを含みうる。本発明の一部の実施形態において、エアロゾルは、ゼロマイクログラムのニコチンを含んでもよい。
【0078】
当技術分野で公知の様々な方法を適用して、エアロゾル中のニコチンの量を測定することができる。
【0079】
代替的に、または追加的に、試験方法A中に本発明によるエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、随意に、基体1グラム当たり少なくとも約20ミリグラムのカンナビノイド化合物、より好ましくは基体1グラム当たり少なくとも約50ミリグラムのカンナビノイド化合物、より好ましくは基体1グラム当たり少なくとも約100ミリグラムのカンナビノイド化合物をさらに含みうる。エアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約250ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことが好ましく、基体1グラム当たり最大で約200ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことがより好ましく、基体1グラム当たり最大で約150ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、基体1グラム当たり約20ミリグラム~約250ミリグラムのカンナビノイド化合物、または基体1グラム当たり約50ミリグラム~約200ミリグラムのカンナビノイド化合物、または基体1グラム当たり約100ミリグラム~約150ミリグラムのカンナビノイド化合物を含みうる。本発明の一部の実施形態において、エアロゾルは、ゼロマイクログラムのカンナビノイド化合物を含んでもよい。
【0080】
カンナビノイド化合物は、CBDおよびTHCから選択されることが好ましい。カンナビノイド化合物はCBDであることがより好ましい。
【0081】
当技術分野で公知の様々な方法を適用して、エアロゾル中のカンナビノイド化合物の量を測定することができる。
【0082】
また、試験方法A中に本発明によるエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾル中に一酸化炭素が存在する場合があり、エアロゾルをさらに特徴付けるために測定および使用されうる。酸化窒素および二酸化窒素などの窒素の酸化物もエアロゾル中に存在する場合があり、エアロゾルをさらに特徴付けるために測定および使用されうる。
【0083】
本発明によると、試験方法Aの間にエアロゾル発生基体から発生するエアロゾルは、好ましくは基体1グラム当たりのチモールの量と少なくとも同じである、基体1グラム当たりのウルソール酸の量を有する。したがって、ウルソール酸とチモールの比は、少なくとも1:1である。より好ましくは、試験方法Aの間にエアロゾル発生基体から発生するエアロゾル中のウルソール酸の量は、基体1グラム当たりのチモールの量の少なくとも1.5倍であり、そのため、ウルソール酸とチモールの比は、少なくとも1.5:1である。
【0084】
ウルソール酸とチモールの定義された比は、タイム粒子に由来するエアロゾルを特徴付ける。対照的に、タイム油から生成されるエアロゾルでは、ウルソール酸とチモールの比は、ウルソール酸をほとんどまたは全く含有しないタイム油と比較して、タイム粒子中に存在するウルソール酸の比がはるかに高いため、大きく異なるであろう。
【0085】
試験方法A中に本発明のエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、エアロゾル発生基体1グラム当たり少なくとも約5ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり少なくとも約10ミリグラムのエアロゾル、または基体1グラム当たり少なくとも約15ミリグラムのエアロゾル形成体をさらに含み得る。代替的にまたは追加的に、エアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約30ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり最大で約25ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり最大で約20ミリグラムのエアロゾル形成体を含み得る。例えば、エアロゾルは、基体1グラム当たり約5ミリグラム~約30ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり約10ミリグラム~約25ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり約15ミリグラム~約20ミリグラムのエアロゾル形成体を含み得る。代替的な実施形態において、エアロゾルは、基体1グラム当たり5ミリグラム未満のエアロゾル形成体を含んでもよい。これは、例えば、エアロゾル形成体が別個にエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置内に提供される場合に適切であり得る。
【0086】
本発明で使用するための適切なエアロゾル形成体を、以下に記載する。
【0087】
当技術分野で公知の様々な方法を適用して、エアロゾル中のエアロゾル形成体の量を測定することができる。
【0088】
上述のように、エアロゾル中の特徴的な化合物の存在および定義された比は、エアロゾル発生基体を形成する均質化した植物材料におけるタイム粒子の包含を示している。
【0089】
好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、少なくとも約2.5重量パーセントのタイム粒子を含む均質化したタイム材料を含む。好ましくは、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、少なくとも約3重量パーセントのタイム粒子、より好ましくは少なくとも約4重量パーセントのタイム粒子、より好ましくは少なくとも約5重量パーセントのタイム粒子、より好ましくは少なくとも約6重量パーセントのタイム粒子、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントのタイム粒子、より好ましくは少なくとも約8重量パーセントのタイム粒子、より好ましくは少なくとも約9重量パーセントのタイム粒子、より好ましくは少なくとも約10重量パーセントのタイム粒子を含む。
【0090】
均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、最大で約100重量パーセントのタイム粒子を含み得る。均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、最大で約90重量パーセントのタイム粒子を含むことが好ましく、最大で約80重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましく、最大で約70重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましく、最大で約60重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましく、最大で約50重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましい。
【0091】
例えば、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約2.5重量パーセント~約100重量パーセントとのタイム粒子、または約5重量パーセント~約90重量パーセントのタイム粒子、または約10重量パーセント~約80重量パーセントのタイム粒子、または約15重量パーセント~約70重量パーセントのタイム粒子、または約20重量パーセント~約60重量パーセントのタイム粒子、または約30重量パーセント~約50重量パーセントのタイム粒子を含み得る。
【0092】
本発明の特定の特に好ましい実施形態では、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約15重量パーセント~約25重量パーセントのタイム粒子を含む。
【0093】
エアロゾル発生物品に使用可能な材料を提供する一方で、均質化したタイム材料中に組み込むことができるタイム粒子の重量は、均質化したタイム材料の組成にある程度依存し得る。例えば、均質化したタイム材料中に組み込むことができるタイム粒子の最大量は、以下に記載されるように、結合剤の性質に依存し得る。
【0094】
本発明の第一の好ましい実施形態によれば、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、最大で約25重量パーセントのタイム粒子を含み、最大で約24重量パーセントのタイム粒子を含むことが好ましく、最大で約23重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましく、最大で約22重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましく、最大で約21重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましく、最大で約20重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましい。例えば、本発明の第一の好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品の均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントとのタイム粒子、または約4重量パーセント~約24重量パーセントのタイム粒子、または約5重量パーセント~約23重量パーセントのタイム粒子、または約6重量パーセント~約22重量パーセントのタイム粒子、または約8重量パーセント~約21重量パーセントのタイム粒子、または約10重量パーセント~約20重量パーセントのタイム粒子を含む。
【0095】
本発明の第二の好ましい実施形態によれば、均質化したタイム材料は、最大で約65重量パーセントのタイム粒子を含み、最大で約60重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましく、最大で約55重量パーセントのタイム種粒子を含むことがより好ましく、最大で約50重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましく、最大で約45重量パーセントのタイム粒子を含むことがより好ましい。例えば、本発明の第一の好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品の均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約2.5重量パーセント~約65重量パーセントとのタイム粒子、または約10重量パーセント~約60重量パーセントのタイム粒子、または約15重量パーセント~約55重量パーセントのタイム粒子、または約20重量パーセント~約50重量パーセントのタイム粒子、または約30重量パーセント~約45重量パーセントのタイム粒子、または約35重量パーセント~約45重量パーセントのタイム粒子を含む。
【0096】
本発明の特定の実施形態において、均質化したタイム材料を形成する植物粒子は、植物粒子の乾燥重量に基づいて、少なくとも98重量パーセントのタイム粒子、または少なくとも95重量パーセントのタイム粒子、または少なくとも90重量パーセントのタイム粒子を含みうる。したがって、こうした実施形態において、エアロゾル発生基体はタイム粒子を含み、実質的に他の植物粒子は有さない。例えば、均質化したタイム材料を形成する植物粒子は、約100重量%のタイム粒子を含み得る。
【0097】
本発明の代替的な実施形態において、均質化したタイム材料は、以下に記述されるように、たばこ粒子またはカンナビス粒子のうちの少なくとも一つと組み合わせてタイム粒子を含み得る。
【0098】
本発明の以下の説明では、「粒子状植物材料」、および「植物粒子」という用語は、均質化した植物材料を形成するために使用される植物材料の粒子を集合的に指すために使用される。粒子状植物材料は、タイム粒子から実質的に成ってもよく、または、タイム粒子と、たばこ粒子、カンナビス粒子、もしくはたばこ粒子およびカンナビス粒子の両方との混合物であってもよい。
【0099】
上述のように、発明者らは、タイム植物の特徴であり、ひいては、エアロゾル発生基体内にタイム植物粒子が含まれていることを示す化合物である、多数の「特徴的な化合物」を識別した。
【0100】
純粋なタイム粒子中に存在する特徴的な化合物の量は、エアロゾル発生基体中に存在する量とは異なることが予想される。スラリーまたは懸濁液中の水和、および高温での乾燥を含む基体の作製プロセス、ならびに、エアロゾル形成体などの他の成分の存在は、特徴的な化合物の各々の量を差示的に修正する。製造中の温度および操作対象下にあるタイム粒子の完全性および化合物の安定性は、基体中に存在する化合物の最終的な量に影響を与え得る。したがって、タイム粒子が様々な物理的形態、例えば、シート、ストランド、および顆粒などの基体に組み込まれた後、特徴的な化合物の互いに対する比は異なることが意図される。
【0101】
エアロゾル発生基体内のタイムの存在およびエアロゾル発生基体内に提供されるタイムの割合は、基体内の特徴的な化合物の量を測定し、これを純粋なタイム材料中の特徴的な化合物の対応する量と比較することによって決定することができる。特徴的な化合物の存在および量は、当業者に公知であろう任意の好適な技術を使用して実施され得る。
【0102】
適切な技術では、250ミリグラムのエアロゾル発生基体のサンプルを5ミリリットルのメタノールと混合し、振とう、5分間の攪拌および遠心分離(4500g、5分間、摂氏10度)によって抽出する。抽出物のアリコート(300マイクロリットル)をシラン処理されたクロマトグラフィーバイアルに移し、メタノール(600マイクロリットル)および内部標準(ISTD)溶液(100マイクロリットル)で希釈する。バイアルを閉じ、Eppendorf ThermoMixerを使用して5分間混合する(摂氏5度、2000 rpm)。結果として得られる抽出物からのサンプルを、特徴的な化合物の識別のために、フルスキャンモードとデータ依存型フラグメンテーションモードの組み合わせでLC-HRAM-MSにより分析する。
【0103】
一部の実施形態では、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、最大で約75重量パーセントのたばこ粒子をさらに含む。
【0104】
例えば、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約10重量パーセント~約75重量パーセントのたばこ粒子を含むことが好ましく、約15重量パーセント~約70重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約20重量パーセント~約65重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約25重量パーセント~約60重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約30重量パーセント~約70重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましい。
【0105】
一部の好ましい実施形態では、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約5パーセント~約25重量パーセントのタイム粒子、および約50パーセント~約70重量パーセントのたばこ粒子を含む。
【0106】
本発明の第一の好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品では、上記で定義されるように、均質化したタイム材料は、好ましくは、乾燥重量基準で、約50重量パーセント~約75重量パーセントのたばこ粒子、より好ましくは約55重量パーセント~約70重量パーセントのたばこ粒子、より好ましくは約60重量パーセント~約65重量パーセントのたばこ粒子を含む。例えば、第一の実施形態による均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約25重量パーセントのタイム粒子、および約50重量パーセント~約70重量パーセントのたばこ粒子を含み得る。
【0107】
本発明の第二の好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品では、上記で定義されるように、均質化したタイム材料は、好ましくは、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約65重量パーセントのたばこ粒子、より好ましくは約10重量パーセント~約60重量パーセントのたばこ粒子、より好ましくは約20重量パーセント~約55重量パーセントのたばこ粒子を含む。例えば、第二の実施形態による均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約2.5重量パーセント~約65重量パーセントのタイム粒子、および約1重量パーセント~約65重量パーセントのたばこ粒子を含み得る。
【0108】
均質化したタイム材料を形成する粒子状植物材料中のタイム粒子およびたばこ粒子の重量比は、エアロゾルの望ましい風味特性および組成に応じて変化し得る。好ましくは、均質化したタイム材料は、約1:3以下のたばこ粒子に対するタイム粒子の重量比を含む。これは、タイム粒子が、粒子状植物材料全体の33.3%以下を占めることを意味する。より好ましくは、均質化されたタイム材料は、1:4以下、およびより好ましくは、1:5以下のたばこ粒子に対するタイム粒子の重量比を含む。
【0109】
例えば、第一の好ましい実施形態では、タイム粒子のたばこ粒子に対する重量比は、約1:2.33である。1:2.33の比率は、約30重量%のタイム粒子および約70重量%のたばこ粒子からなる粒子状植物材料に相当する。約75重量%の粒子状植物材料で形成された均質化したタイム材料については、これは、乾燥重量に基づいて、均質化したタイム材料中の約22.5重量%のタイム粒子、および約52.5重量%のたばこ粒子に対応する。
【0110】
別の実施形態において、均質化したタイム材料は、1:9のタイム粒子とたばこ粒子との重量比を含む。さらに別の実施形態において、均質化したタイム材料は、1:30のタイム粒子とたばこ粒子との重量比を含む。
【0111】
本発明に関して「たばこ粒子」という用語は、Nicotiana種の任意の植物部材の粒子を説明する。「たばこ粒子」という用語は、たばこの処理、取り扱い、および発送中に形成された粉砕または粉末たばこ葉ラミナ、粉砕または粉末たばこ葉茎、たばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物を包含する。好ましい実施形態では、たばこ粒子は実質的にすべてがたばこ葉ラミナに由来する。対照的に、分離されたニコチンおよびニコチン塩は、たばこに由来する化合物であるが、本発明の目的上、たばこ粒子とは見なされず、粒子状植物材料の割合には含まれない。
【0112】
たばこ粒子は、一つ以上のたばこ植物の品種から調製され得る。任意のタイプのたばこが、ブレンドに使用され得る。使用され得るタイプのたばこ材料の例には、日光乾燥たばこ、火力乾燥たばこ、バーレー種たばこ、メリーランド種たばこ、オリエント種たばこ、バージニア種たばこ、およびその他の特殊たばこが含まれるが、これに限定されない。
【0113】
火力乾燥は、バージニア種たばこで特に使用されるたばこの乾燥方法である。火力乾燥プロセス中、加熱された空気が密集したたばこを通して循環する。第一の段階中に、たばこ葉が黄色くなって枯れる。第二の段階中に、葉のラミナが完全に乾燥する。第三の段階中に、葉の茎が完全に乾燥する。
【0114】
バーレー種たばこは、多くのたばこブレンドにおいて重要な役割を果たしている。バーレー種たばこは独特の風味と芳香を有し、大量のケーシングを吸収する能力を有する。
【0115】
オリエント種は、小さな葉を有し、高い芳香品質を有するたばこの一種である。ただし、オリエント種たばこは、例えばバーレー種よりもマイルドな風味を有する。したがって、概して、オリエント種たばこは、たばこブレンドにおいて比較的少ない割合で使用される。
【0116】
カストリ(Kasturi)、マドゥラ(Madura)、ジャティム(Jatim)は、使用可能な日光乾燥たばこのサブタイプである。カストリたばこおよび火力乾燥たばこがブレンドに使用されてたばこ粒子を生成することが好ましい。したがって、粒子状植物材料中のたばこ粒子は、カストリたばこと火力乾燥たばこのブレンドを含み得る。
【0117】
たばこ粒子は、乾燥重量に基づいて少なくとも約2.5重量パーセントのニコチン含有量を有し得る。たばこ粒子は、乾燥重量に基づいて、少なくとも約3重量パーセントのニコチン含有量を有し得ることがより好ましく、少なくとも約3.2重量パーセントのニコチン含有量を有することがさらにより好ましく、少なくとも約3.5重量パーセントのニコチン含有量を有することがさらにより好ましく、少なくとも約4重量パーセントのニコチン含有量を有し得ることが最も好ましい。エアロゾル発生基体がたばこ粒子をタイム粒子と組み合わせて含む場合、より高いニコチン含有量を有するたばこは、タイム粒子を含まない典型的なエアロゾル発生基体に対して類似のレベルのニコチンを維持することが好ましいが、これは、そうでなければニコチンの総量がたばこ粒子をタイム粒子と置換することに起因して低減することになるためである。
【0118】
たばこ粒子を含める結果として、こうした実施形態のエアロゾル発生基体およびエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、たばこの特定の割合の「特徴的な化合物」を含む。たばこから発生される特徴的な化合物には、アナタビン、コチニン、およびダマセノンが含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
ニコチンは、随意にエアロゾル発生基体に組み込まれてもよいが、これは本発明の目的上、非たばこ材料とみなされる。ニコチンは、ニコチン乳酸塩、クエン酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、安息香酸ニコチン、ペクチン酸ニコチン、アルギン酸ニコチン、およびサリチル酸ニコチンから成るリストから選択された一つ以上のニコチン塩を含みうる。ニコチンは、低ニコチン含有量のたばこに加えて組み込まれてもよく、またはニコチンは、低減されたたばこ含有量またはゼロのたばこ含有量を有するエアロゾル発生基体に組み込まれてもよい。
【0120】
本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体に組み込まれたニコチン塩などのニコチンを有する、タイム粒子のみからなる粒子状植物材料から形成された均質化したタイム材料を含む。
【0121】
エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約0.1mgのニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約0.5mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり少なくとも約1mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり少なくとも約1.5mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり少なくとも約2mgのニコチン、より好ましくは、基体の1グラム当たり少なくとも約3mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり少なくとも約4mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり少なくとも約5mgのニコチンを含むことがより好ましい。
【0122】
エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大約50mgのニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大約45mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり最大約40mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり最大約35mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり最大約30mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり最大約25mgのニコチン、より好ましくは、基体1グラム当たり最大約20mgのニコチンを含むことがより好ましい。
【0123】
例えば、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約0.1mg~約50mgのニコチン、または基体1グラム当たり約0.5mg~約45mgのニコチン、または基体1グラム当たり約1mg~約40mgのニコチン、または基体1グラム当たり約2mg~約35mgのニコチン、または基体1グラム当たり約5mg~約30mgのニコチン、または基体1グラム当たり約10mg~約25mgのニコチン、または基体1グラム当たり約15mg~約20mgのニコチンを含み得る。本発明の特定の好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約1mg~約20mgのニコチンを含む。
【0124】
エアロゾル発生基体に対する定義された範囲のニコチン含有量は、たばこ材料中に本質的に存在するニコチン、ならびに随意に、例えば、ニコチン塩の形態で、エアロゾル発生基体に別々に添加されたニコチンを含む、エアロゾル発生基体中に存在し得る、すべての形態のニコチンを含む。
【0125】
本発明によるエアロゾル発生基体の均質化したタイム材料にたばこ粒子を含めることの代替として、または含めることに加えて、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、最大で75重量パーセントのカンナビス粒子を含み得る。「カンナビス粒子」という用語は、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)などのカンナビス植物の粒子を指す。
【0126】
例えば、粒子状植物材料は、乾燥重量基準で、約40重量パーセント~約75重量パーセントのカンナビス粒子、より好ましくは約45重量パーセント~約60重量パーセントのたばこ粒子、より好ましくは約50重量パーセント~約65重量パーセントのたばこ粒子を含み得る。
【0127】
一つ以上のカンナビノイド化合物は、任意選択的にエアロゾル発生基体に組み込まれてもよいが、これは本発明の目的上、非カンナビス材料とみなされる。本発明に関して本明細書で使用される場合、「カンナビノイド化合物」という用語は、カンナビス植物、すなわち、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)の一部に見られる天然の化合物の任意の一つの種類を説明する。カンナビノイド化合物は雌の頭状花で特に濃縮され、カンナビス油として一般に販売される。カンナビス植物における天然のカンナビノイド化合物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)を含む。本発明の文脈において、「カンナビノイド化合物」という用語は、天然由来のカンナビノイド化合物および合成的に製造されたカンナビノイド化合物の両方を説明するために使用される。
【0128】
例えば、エアロゾル発生基体は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビバリン(CBV)、カンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロル(CBL)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)、およびその組み合わせからなる群から選択されるカンナビノイド化合物を含み得る。
【0129】
均質化したタイム材料は、タイム粒子、またはタイム粒子とたばこ粒子およびカンナビス粒子のうちの少なくとも一つとの組み合わせ(「粒子状植物材料」)に加えて、ある割合のその他の植物風味粒子をさらに含み得る。
【0130】
本発明の目的のために、「その他の植物風味粒子」という用語は、加熱に伴い一つ以上の風味剤を発生する能力を有する非タイム、非たばこ、および非カンナビス植物材料の粒子を指す。この用語は、エアロゾル発生基体の感覚出力に寄与しない、セルロースなどの不活性植物材料の粒子を除外するものと考えられる。粒子は、その他の植物からの粉砕または粉末葉ラミナ、果実、葉柄、茎、根、種子、蕾または皮に由来し得る。本発明によるエアロゾル発生基体に含めるための好適な植物風味粒子は、当業者に公知であり、クローブ粒子および茶粒子を含むがこれに限定されない。
【0131】
均質化したタイム材料の組成物は、有利なことに、異なる植物粒子の望ましい量および種類をブレンドすることによって調整されうる。これは、エアロゾル発生基体は、例えば従来のカットフィラーの製造の場合のように、異なるブレンドの組み合わせまたは混合を必要とせずに、望ましい場合、単一の均質化したタイム材料から形成することを可能にする。したがって、エアロゾル発生基体の製造が潜在的に簡略化されうる。
【0132】
本発明のエアロゾル発生基体に使用される粒子状植物材料は、望ましい粒子サイズ分布を提供するように適合されうる。本明細書の粒子サイズ分布は、D値として述べられ、これによってD値は、所与のD値以下の直径を有する粒子の数の割合を指す。例えば、D95粒子サイズ分布では、粒子の95パーセントの数が所与のD95値以下の直径であり、粒子の5パーセントの数が所与のD95値よりも大きい直径である。同様に、D5粒子サイズ分布では、粒子の5パーセントの数がD5値以下の直径であり、粒子の95パーセントの数が所与のD5値よりも大きい直径である。したがって、組み合わせて、D5およびD95値は、粒子状植物材料の粒子サイズ分布の表示を提供する。
【0133】
粒子状植物材料は、50ミクロン以上のD95値~250ミクロン以下のD95値を有し得る。これは、粒子状植物材料が所与の範囲内の任意のD95値によって表される分布のものであり得ることを意味しており、すなわち、D95は、50ミクロン、またはD95は60ミクロン等であってもよく、D95は最大で250ミクロンまでであり得る。この範囲内のD95値を提供することによって、比較的大きな植物粒子を均質化したタイム材料内に包含することが回避される。このような大きな植物粒子からのエアロゾルの発生は比較的非効率である可能性が高いため、これは望ましい。さらに、均質化したタイム材料に大きな植物粒子を包含することは、材料の一貫性に悪影響を及ぼしうる。
【0134】
粒子状植物材料は、約50ミクロン以上のD95値~約250ミクロン以下のD95値、より好ましくは約75ミクロン以上のD95値~約200ミクロン以下のD95値を有し得ることが好ましい。粒子状タイム材料および粒子状たばこ材料の両方が、約50ミクロン以上のD95値~約250ミクロン以下のD95値、好ましくは約75ミクロン以上のD95値~約200ミクロン以下のD95値を有し得ることが好ましい。
【0135】
粒子状植物材料は、約1ミクロン以上のD5値~約8ミクロン以下のD5値を有し得ることが好ましく、約2ミクロン以上のD5値~約6ミクロン以下のD5値を有することがより好ましい。この範囲内でD5値を提供することによって、均質化したタイム材料に非常に小さなダスト粒子が含まれることが回避され、これは製造の観点から望ましい場合がある。
【0136】
一部の実施形態において、粒子状植物材料は、望ましい粒子サイズ分布を有する粒子を形成するために故意に粉砕されてもよい。故意に粉砕された植物材料の使用は有利なことに、粒子状植物材料の均質性および均質化したタイム材料の一貫性を改善する。
【0137】
粒子状植物材料の100パーセントの直径は、約400ミクロン以下、より好ましくは約300ミクロン以下であり得る。粒子状タイム材料の100パーセントおよび粒子状たばこ材料の100パーセントの直径は、約400ミクロン以下、より好ましくは、約300ミクロン以下であり得る。タイム粒子の粒子サイズ範囲は、タイム粒子を既存のキャストリーフプロセスにおいてたばこ粒子と組み合わせることを可能にする。
【0138】
均質化したタイム材料は、好ましくは、乾燥重量基準で、上述のようにタイム粒子を含む、少なくとも約55重量パーセントの粒子状植物材料、より好ましくは少なくとも約60重量パーセントの粒子状植物材料、より好ましくは少なくとも約65重量パーセントの粒子状植物材料を含む。均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約95重量パーセント以下の粒子状植物材料を含むことが好ましく、約90重量パーセント以下の粒子状植物材料を含むことがより好ましく、約85重量パーセント以下の粒子状植物材料を含むことがより好ましい。例えば、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約55重量パーセント~約95重量パーセントの粒子状植物材料、または約60重量パーセント~約90重量パーセントの粒子状植物材料、または約65重量パーセント~約85重量パーセントの粒子状植物材料を含みうる。一つの特に好ましい実施形態において、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で約75重量パーセントの粒子状植物材料を含む。
【0139】
好ましくは、第一の好ましい実施形態の均質化したタイム材料において、上述のように、粒子状植物材料の総重量は、乾燥重量基準で約75重量パーセント以下である。
【0140】
好ましくは、第二の好ましい実施形態の均質化したタイム材料において、上述のように、粒子状植物材料の総重量は、乾燥重量基準で約75重量パーセント以下、または乾燥重量基準で約65重量パーセント以下である。
【0141】
したがって、粒子状植物材料は、一つ以上の他の成分と組み合わされて、均質化したタイム材料を形成する。
【0142】
上記で定義されるように、均質化したタイム材料は、エアロゾル形成体をさらに含む。揮発に伴い、エアロゾル形成体は、エアロゾル中のニコチンおよび風味剤などの、加熱に伴いエアロゾル発生基体から放出される他の気化した化合物を搬送することができる。エアロゾル発生基体からの特定の化合物のエアロゾル化は、その沸点によってのみ決定されるものではない。エアロゾル化される化合物の量は、基体の物理的形態によって、ならびに基体中にも存在する他の成分によって影響を受け得る。エアロゾル化の温度および時間枠下の化合物の安定性はまた、エアロゾル中に存在する化合物の量にも影響を与える。
【0143】
均質化したタイム材料に含めるのに好適なエアロゾル形成体は当技術分野で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセロールなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテート)、およびモノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸およびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。均質化したタイム材料は、単一のエアロゾル形成体、または二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含み得る。
【0144】
基体が発熱体を有する電気的に作動するエアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生物品での使用が意図されている場合、エアロゾル形成体はグリセロールであることが好ましい。
【0145】
エアロゾル形成体の量は、植物粒子からの所望のレベルの風味化合物を有するエアロゾルを達成するために、植物粒子のタイプまたは量などの均質化したタイム材料の組成物に応じて適合され得る。エアロゾル形成体の量はまた、使用中にエアロゾル発生基体を加熱するための意図される方法、特に、関連するエアロゾル発生装置におけるエアロゾル発生物品の加熱中にエアロゾル発生基体が加熱される温度に応じて、適合され得る。
【0146】
均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約10重量パーセント~約45重量パーセント、または乾燥重量基準で、約15重量パーセント~約40重量パーセントなど、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約55重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。
【0147】
エアロゾル形成体含有量は、乾燥重量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセントであってもよい。例えば、本発明の第一の好ましい実施形態による均質化したタイム材料では、上記で定義されるように、エアロゾル形成体含有量は、好ましくは、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約30重量パーセント、より好ましくは約10重量パーセント~約25重量パーセント、より好ましくは約15重量パーセント~約20重量である。
【0148】
あるいは、エアロゾル形成体含有量は、乾燥重量基準で約15重量パーセント~約55重量パーセントであってもよい。例えば、本発明の第二の好ましい実施形態による均質化したタイム材料では、上記で定義されるように、エアロゾル形成体含有量は、好ましくは、乾燥重量基準で、約15重量パーセント~約55重量パーセント、より好ましくは約25重量パーセント~約50重量パーセント、より好ましくは約35重量パーセント~約45重量である。
【0149】
他の実施形態では、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で約1重量パーセント~約5重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。例えば、基体が、エアロゾル形成体が基体から分離された貯蔵部内に保持されるエアロゾル発生物品での使用を意図される場合、基体は、1パーセントよりも大きく、約5パーセントよりも小さいエアロゾル形成体含有量を有してもよい。こうした実施形態において、エアロゾル形成体は加熱に伴い揮発し、エアロゾル形成体の流れは、エアロゾル中のエアロゾル発生基体からの風味を混入するようにエアロゾル発生基体と接触する。
【0150】
エアロゾル形成体は、エアロゾル発生基体において湿潤剤として作用しうる。
【0151】
上記で定義したように、均質化したタイム材料は、粒子状植物材料の機械的特性を変化させるための結合剤をさらに含み、ここで、結合剤は、本明細書に記載のように、製造中に均質化したタイム材料に含まれる。好適な外来性結合剤は当業者に周知であり、例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアガムおよびローカストビーンガムなどのガム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロースエーテルなどの、セルロース系結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。結合剤はグアーガムを含むことが好ましい。
【0152】
好ましくは、結合剤は、乾燥重量基準で、約1重量パーセント~約10重量パーセント、好ましくは約2重量パーセント~約9重量パーセント、より好ましくは約3重量パーセント~約8重量パーセントの量で存在する。
【0153】
特定の実施形態では、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約1重量パーセント~約10重量パーセントの結合剤を含み、結合剤は最も好ましくは、グアーガムである。例えば、本発明の第一の好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品では、上で定義されるように、均質化したタイム材料は、好ましくは、乾燥重量基準で、約1重量パーセント~約10重量パーセントの結合剤を含み、結合剤は最も好ましくは、グアーガムである。例えば、第一の好ましい実施形態の均質化したタイム材料は、約2.5重量パーセント~約25重量パーセントのタイム粒子、約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体、および約1重量パーセント~約10重量パーセントの結合剤を含んでもよい。
【0154】
特定の実施形態では、均質化したタイム材料は、好ましくは、乾燥重量基準で、約2重量パーセント~約10重量パーセントの結合剤を含み、結合剤は最も好ましくは、セルロースエーテルである。例えば、第二の好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品では、上記で定義されるように、均質化したタイム材料は、好ましくは、乾燥重量基準で、約2重量パーセント~約10重量パーセントの結合剤を含み、結合剤はセルロースエーテルであることが好ましい。特に好ましくは、結合剤はカルボキシメチルセルロース(CMC)である。例えば、第二の好ましい実施形態の均質化したタイム材料は、約2.5重量パーセント~約65重量パーセントのタイム粒子、約15重量パーセント~約55重量パーセントのエアロゾル形成体、および約2重量パーセント~約10重量パーセントのセルロースエーテルを含んでもよい。
【0155】
さらに、任意の実施形態の均質化したタイム材料は、任意選択的に、追加のセルロースをさらに含んでもよい。例えば、均質化したタイム材料は、約5重量パーセント~約50重量パーセントの追加のセルロースを含み得る。
【0156】
本明細書で使用される場合、「追加のセルロース」という用語は、均質化したタイム材料に組み込まれた任意のセルロース系材料を包含し、これは、均質化したタイム材料に提供されたタイム粒子またはたばこ粒子に由来しない。したがって、追加のセルロースは、タイム植物材料またはたばこ材料に加えて、タイム粒子またはたばこ粒子内に本質的に提供される任意のセルロースに対する個々の、かつ別個のセルロース源として、均質化したタイム材料に組み込まれる。追加のセルロースは、典型的には、タイム粒子またはたばこ粒子とは異なる植物に由来する。好ましくは、追加のセルロースは、不活性なセルロース材料の形態であり、これは、感覚的に不活性であり、したがって、エアロゾル発生基体から発生したエアロゾルの官能特性に実質的に影響を与えない。例えば、追加のセルロースは、好ましくは、無味かつ無臭の材料である。
【0157】
追加のセルロースは、一つのタイプのセルロース材料から成ってもよく、または、以下により詳細に記載するように、異なる特性を提供する異なるタイプのセルロース材料の組み合わせであってもよい。
【0158】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体を形成する均質化したタイム材料に組み込まれた追加のセルロースは、均質化した材料内で植物粒子およびエアロゾル形成体を結合および支持するための追加の構造および補強を提供すると考えられる。
【0159】
追加のセルロースの組み込みは、上述のように、結合剤がセルロースエーテルを含む均質化したタイム材料において、特に有益であることが見出されている。特定の定義されたレベルでの、かつ定義された比内での、セルロースエーテルと追加のセルロース系材料との組み合せは、有利なことに、改善された引張強さおよび均質性を有する均質化したタイム材料を提供することが見出された。
【0160】
特定のタイプの結合剤材料を使用して、許容可能な引張強さを有する均質化したタイム材料を生成することは、タイム粒子の割合が特定のレベルを超えるときは技術的に困難であり得る。一部の結合剤材料を用いた場合、タイム粒子の閾値レベルを上回ると、均質化したタイム材料は、低い引張強さを有し、不均質なテクスチャを有することが分かっている。均質化したタイム材料の引張強さが低すぎる場合、脆弱であり、特に工業的規模で、エアロゾル発生基体を形成するために効果的に処理することができない。
【0161】
本出願の発明者らは、上記で定義されるように、均質化したタイム材料においてセルロースエーテルと追加のセルロースとの特定の組み合わせを使用することにより、タイム粒子のより効果的な結合効果を達成することができ、結果として生じる均質化したタイム材料が、有意に高い引張強さを有することを発見した。したがって、結果として生じる均質化したタイム材料は、既存の高速装置および技術を使用して、エアロゾル発生基体を形成するために容易に処理することができる。
【0162】
好ましくは、均質化したタイム材料における追加のセルロース系材料のセルロースエーテルに対する比は、少なくとも2である。
【0163】
好ましくは、追加のセルロースは、セルロース粉末を含む。「セルロース粉末」という用語は、本明細書では、セルロース繊維に由来した粉末形態の精製されたセルロース系材料を指すために使用される。セルロース粉末は、100ミクロン未満の平均粒子サイズの粒子で形成されることが好ましい。セルロース粉末は、微結晶セルロースの形態であり得る。本発明で使用する適切なセルロース粉末は、Gumix International,Inc.(ニュージャージー州)製の微結晶セルロースタイプSK-105またはSK-101、またはセルロース粉末タイプM-60として入手可能である。
【0164】
セルロース粉末の量は、乾燥重量基準で、少なくとも約5重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することが好ましく、少なくとも約6重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましく、少なくとも約7重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましく、少なくとも約8重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましい。
【0165】
セルロース粉末の量は、均質化したタイム材料内の他の構成成分の重量に応じて、特に、植物粒子の重量に応じて、この最小レベルを上回るように適合されてもよい。特定の実施形態では、セルロース粉末は、発生されるエアロゾルの特性に著しい影響を与えることなく、均質化したタイム材料内の植物粒子の割合と置き換えることができる。
【0166】
セルロース粉末の量は、乾燥重量基準で、約45重量パーセント以下の均質化したタイム材料に対応することが好ましく、約40重量パーセント以下の均質化したタイム材料に対応することがより好ましい。
【0167】
特定の実施形態、例えば、均質化したタイム材料中に比較的高いレベルの粒子状植物材料を有する実施形態において、セルロース粉末の量は比較的低い場合がある。こうした実施形態では、セルロース粉末の量は、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約15重量パーセントの均質化したタイム材料、または約6重量パーセント~約12重量パーセントの均質化したタイム材料、または約7重量パーセント~約11重量パーセントの均質化したタイム材料、または約8重量パーセント~約10重量パーセントの均質化したタイム材料であってもよい。
【0168】
他の実施形態、例えば、均質化したタイム材料中に比較的低いレベルの粒子状植物材料を有する実施形態において、セルロース粉末の量は比較的高い場合がある。こうした実施形態では、セルロース粉末の量は、乾燥重量基準で、約15重量パーセント~約45重量パーセントの均質化したタイム材料、または約20重量パーセント~約40重量パーセントの均質化したタイム材料、または約25重量パーセント~約35重量パーセントの均質化したタイム材料であってもよい。
【0169】
好ましくは、均質化したタイム材料がセルロースエーテルとセルロース粉末とを含む場合、均質化した植物材料中のセルロース粉末のセルロースエーテルに対する重量比は、少なくとも約1.5である、すなわち、セルロース粉末の量は、セルロースエーテルの量の少なくとも1.5倍である。均質化したタイム材料中のセルロース粉末とセルロースエーテルの重量比は、少なくとも約1.6であることがより好ましく、少なくとも約1.8であることがより好ましい。
【0170】
セルロース粉末の代わりに、またはこれに加えて、追加のセルロースは、セルロース繊維を含んでもよい。「セルロース繊維」という用語は、本明細書では、植物由来材料から直接得られた繊維を指し、各繊維は、その幅よりも有意に長い長さを有する。セルロース繊維は、少なくとも400ミクロンの繊維長さを有することが好ましい。本発明で使用するための適切なセルロース繊維としては、例えば、木材パルプ繊維が挙げられる。本発明で使用するためのセルロース繊維の適切な供給源は、Storaenso(スウェーデン)製のECF漂白広葉樹クラフトパルプとして入手可能である。
【0171】
セルロース繊維は、有利なことに、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体を形成する均質化したタイム材料において機械的補強として作用し得る。セルロース繊維は、均質化したタイム材料における植物粒子の結合を改善し、特にセルロースエーテル結合剤と組み合わされた場合、引張強さの改善を提供し得る。
【0172】
セルロース補強繊維の量は、乾燥重量基準で、少なくとも約3重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することが好ましく、少なくとも約4重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましく、少なくとも約5重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましく、少なくとも約6重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましい。
【0173】
セルロース補強繊維の量は、乾燥重量基準で、約12重量パーセント以下の均質化したタイム材料に対応することが好ましく、少なくとも約11重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましく、少なくとも約10重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましく、少なくとも約8重量パーセントの均質化したタイム材料に対応することがより好ましい。
【0174】
例えば、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約3重量パーセント~約12重量パーセントのセルロース繊維、または約4重量パーセント~約11重量パーセントのセルロース繊維、または約5重量パーセント~約10重量パーセントのセルロース繊維、または約6重量パーセント~約8重量パーセントのセルロース繊維を含んでもよい。
【0175】
好ましくは、均質化したタイム材料がセルロースエーテルとセルロース繊維とを含む場合、均質化したタイム材料中のセルロース繊維のセルロースエーテルに対する重量比は、少なくとも約0.5である、すなわち、セルロース粉末の量は、セルロースエーテルの量の少なくとも半分である。均質化したタイム材料中のセルロース繊維のセルロースエーテルに対する重量比は、少なくとも約0.75であることがより好ましく、少なくとも約1であることがより好ましい。
【0176】
好ましい実施形態では、追加のセルロースは、セルロース粉末およびセルロース繊維を含む。こうした実施形態では、セルロース粉末のセルロース繊維に対する重量比は、少なくとも約1.5であることが好ましく、少なくとも約1.75であることがより好ましく、少なくとも約2であることがより好ましい。
【0177】
均質化したタイム材料中に提供される追加のセルロースの量は、追加のセルロースと植物粒子の総量が、均質化したタイム材料の75重量パーセント以下に対応することが好ましい。したがって、均質化したタイム材料の少なくとも約25重量パーセントは、セルロースエーテルおよびエアロゾル形成体を含む他の構成要素によって提供されることが好ましい。
【0178】
本発明の第二の好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品では、均質化したタイム材料は、好ましくは、乾燥重量基準で、約2重量パーセント~約10重量パーセントのセルロースエーテルと、約5重量パーセント~約50重量パーセントの追加のセルロースとを含む。好ましくは、追加のセルロースのセルロースエーテルに対する比は、少なくとも2である。
【0179】
例えば、本発明の第二の好ましい実施形態による均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、2.5重量パーセント~75重量パーセントのタイム粒子、乾燥重量基準で、15重量パーセント~55重量パーセントのエアロゾル形成体、乾燥重量基準で、2重量パーセント~10重量パーセントのセルロースエーテル、および乾燥重量基準で、3重量パーセント~50重量パーセントの追加のセルロースを含み得る。このような均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、少なくとも約1重量パーセントのたばこ粒子をさらに含むことが好ましい。
【0180】
上述の構成成分に加えて、均質化したタイム材料は随意に、揮発性構成成分(例えば、エアロゾル形成体およびニコチン)の拡散率を促進するための一つ以上の脂質をさらに含んでもよく、脂質は、本明細書に記載する製造中に均質化した植物材料に含まれる。均質化したタイム材料に含めるための好適な脂質には、以下に限定されないが、中鎖トリグリセリド、ココアバター、パーム油、パーム核油、マンゴー油、シアバター、大豆油、綿実油、ココナッツ油、水素化されたココナッツ油、カンデリラワックス、カルナウバワックス、シェラック、ヒマワリワックス、ヒマワリ油、ライスブラン、およびRevel A、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0181】
別の方法として、または追加的に、均質化したタイム材料は、pH調製剤をさらに含んでもよい。
【0182】
別の方法として、または追加的に、均質化したタイム材料は、均質化したタイム材料の機械的特性を変化させるために繊維をさらに含んでもよく、ここで、繊維は、本明細書に記載する製造中に均質化したタイム材料に含まれる。均質化したタイム材料中に含めるための好適な外来性繊維は当業界で公知であり、セルロース繊維、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、非たばこ材料および非タイム材料から形成された繊維を含む。たばこおよび/またはタイムに由来する外来性繊維を添加することもできる。均質化したタイム材料に添加される任意の繊維は、上記に定義された「粒子状植物材料」の一部を形成するとはみなされない。均質化したタイム材料に含める前に、繊維は当技術分野で公知の好適なプロセスによって処理されてもよく、これには機械式パルプ化、精製、化学的パルプ化、漂白化、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。典型的には、繊維は、その幅よりも大きな長さを有する。
【0183】
好適な繊維は、典型的には、400マイクロメートルよりも大きく、4mm以下の長さ、好ましくは0.7mm~4mmの範囲内の長さを有する。繊維は、基体の乾燥重量で、少なくとも約2重量パーセントの量で存在することが好ましい。均質化したタイム材料中の繊維の量は、材料のタイプ、特に、均質化したタイム材料を生成するために使用される方法に依存し得る。一部の実施形態では、繊維は、基体の乾燥重量で、約2重量パーセント~約15重量パーセントの量、最も好ましくは、約4重量パーセントの量で存在し得る。例えば、このレベルの繊維は、均質化した植物材料がキャストリーフの形態であるところに存在し得る。他の実施形態では、繊維は、少なくとも約30重量パーセント、または少なくとも約40重量パーセントの量で存在し得る。例えば、このより高いレベルの繊維は、均質化したタイム材料が製紙プロセスにおいて形成されるタイム紙である場合に提供される可能性が高い。
【0184】
本発明の好ましい実施形態では、均質化したタイム材料は、タイム粒子、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体、および約1重量パーセント~約10重量パーセントの結合剤を含む。こうした実施形態では、均質化したタイム材料は、好ましくは、約2重量パーセント~約15重量パーセントの繊維をさらに含む。特に好ましくは、結合剤は、グアーガムである。
【0185】
本発明によるエアロゾル発生基体の均質化した植物材料は、単一のタイプの均質化した植物材料、または相互に異なる組成または形態を有する二つ以上の種類の均質化した植物材料を含み得る。例えば、一実施形態において、エアロゾル発生基体は、同一の均質化した植物材料のシート内に含まれるタイム粒子およびたばこ粒子またはカンナビス粒子を含む。しかしながら、他の実施形態において、エアロゾル発生基体は、相互に異なるシート内に、たばこ粒子またはカンナビス粒子、およびタイム粒子を含んでもよい。
【0186】
均質化したタイム材料は、固体またはゲルの形態であることが好ましい。しかしながら、一部の実施形態において、均質化した材料は、ゲルではない固体の形態であってもよい。均質化した材料は、膜の形態ではないことが好ましい。
【0187】
均質化したタイム材料は、任意の好適な形態で提供され得る。例えば、均質化したタイム材料は、一つ以上のシートの形態であり得る。本発明に関して本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さよりも実質的に大きい幅および長さを有する薄層状の要素を説明する。
【0188】
別の方法として、または追加的に、均質化したタイム材料は、複数のペレットまたは顆粒の形態であってもよい。
【0189】
別の方法として、または追加的に、均質化したタイム材料は、カートリッジまたはシーシャ消耗品を充填することができる、またはシーシャ装置で使用されうる形態であってもよい。本発明は、均質化したタイム材料を含むカートリッジまたはシーシャ装置を含む。
【0190】
別の方法として、または追加的に、均質化したタイム材料は、複数のストランド、細片、または断片の形態であってもよい。本明細書で使用される「ストランド」という用語は、その幅および厚さより実質的に大きい長さを有する材料の細長い要素を説明する。「ストランド」という用語は、細片、断片、および類似の形態を有する任意のその他の均質化したタイム材料を包含するものと見なされる。均質化したタイム材料のストランドは、例えば、切断もしくは細断によって、または他の方法、例えば、押出成形方法によって、均質化したタイム材料のシートから形成されてもよい。
【0191】
一部の実施形態では、ストランドは、エアロゾル発生基体の形成中の均質化したタイム材料のシートの分割またはひびの結果として、例えば、捲縮の結果として、エアロゾル発生基体内でin situで形成され得る。エアロゾル発生基体内の均質化したタイム材料のストランドは、相互に分離されてもよい。別の方法として、エアロゾル発生基体内の均質化したタイム材料のストランドそれぞれは、ストランドの長さに沿った隣接したストランドに少なくとも部分的に接続されてもよい。例えば、隣接したストランドは、一つ以上の繊維によって接続されてもよい。これは、例えば、上述したエアロゾル発生基体の製造中の均質化したタイム材料のシートの分割に起因してストランドが形成される場合に生じ得る。
【0192】
エアロゾル発生基体は、均質化したタイム材料の一つ以上のシートの形態であることが好ましい。本発明の様々な実施形態では、均質化したタイム材料の一つ以上のシートは、キャスティングプロセスによって生成されてもよい。本発明の様々な実施形態では、均質化したタイム材料の一つ以上のシートは、製紙プロセスによって生成されてもよい。本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、100マイクロメートル~600マイクロメートル、好ましくは150マイクロメートル~300マイクロメートル、最も好ましくは200マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを有し得る。個々の厚さは個々のシートの厚さを指し、組み合わされた厚さはエアロゾル発生基体を構成するすべてのシートの合計厚さを指す。例えば、エアロゾル発生基体が二つの個々のシートから形成される場合、組み合わされた厚さは、二つの個々のシートの厚さ、または二つのシートの測定された厚さの合計であり、二つのシートはエアロゾル発生基体内に積み重ねられる。
【0193】
本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、約100g/m2~約300g/m2、または約100g/m2~約200g/m2の坪量を有し得る。
【0194】
本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、約0.3g/cm3~約1.3g/cm3の密度を有してもよく、約0.7g/cm3~約1.0g/cm3の密度を有することが好ましい。
【0195】
「引張強さ」という用語は、本明細書を通して、均質化したタイム材料のシートを破壊するまで引き伸ばすために必要な力の測定値を示すために使用される。より具体的には、引張強さはシート材料が破壊する前に耐えることになる単位幅当たりの最高引張り力であり、シート材料の機械方向または交差方向で測定される。これはニュートン/材料のメートル(N/m)の単位で表現される。シート材料の引張強さ測定のための試験は周知である。好適な試験は、下記の表題で2014年版国際標準ISO 1924-2に説明されている。「紙および板紙-引張特性試験方法-第2部:定速伸長法」。
【0196】
ISO1924-2に従って試験を実施するために必要な材料および設備は、汎用引張/圧縮試験機(Instron 5566、または同等品)と、100ニュートンの引張ロードセル(インストロン、または同等品)と、二つの空圧作動式のグリップと、180±0.25ミリメートルの長さの鋼ゲージブロック(幅:約10ミリメートル、厚さ:約3ミリメートル)と、ダブルブレードストリップカッター(サイズ15±0.05x約250ミリメートル、Adamel Lhomargy、または同等品)と、外科用メスと、コンピュータ作動取得ソフトウェア(マーリン、または同等品)と、圧縮空気とである。
【0197】
サンプルを、まず、試験の前に、均質化したタイム材料のシートを摂氏22±2度、相対湿度60±5%で少なくとも24時間調整することによって調製する。次いで、ダブルブレードストリップカッターで、機械方向または横断方向にサンプルを約250×15±0.1ミリメートルに切断する。試験片の端は、三つを越える試験用標本を同時に切断しないように、きちんと切断しなければならない。
【0198】
引張/圧縮試験装置は、100ニュートンの引張ロードセルを設置し、汎用引張/圧縮試験機とコンピュータの電源を入れ、ソフトウェアで事前定義された測定方法を選択し、試験速度を8ミリメートル/分に設定することでセットアップされる。次いで、引張ロードセルを較正し、空気圧作用グリップを取り付ける。空圧作動式のグリップ間の試験距離を鋼ゲージブロックによって180±0.5ミリメートルに調節し、距離および力をゼロに設定する。
【0199】
次いで、試験用標本をグリップ間にまっすぐにかつ中央に置き、試験対象の領域に指が触れることを回避する。上側グリップを閉じ、紙細片を開かれた下側グリップ内につるす。力をゼロに設定する。紙細片を軽く引き下げてから、下側グリップを閉じるが、開始時の力は0.05~0.20ニュートンでなければならない。上側グリップが上方向に移動する間、試験用標本が破断するまで徐々に増大する力がかけられる。残りの試験用標本で同じ手順を繰り返す。結果は、試験用標本が、グリップが10ミリメートルを越える距離で離れるよう移動する時に破断した時に有効である。そうでない場合、その結果を不合格にして、追加的な測定を実施する。
【0200】
利用可能な均質化したタイム材料の試験用標本が、上述のように、ISO1924-2に従う試験において記述されたサンプルよりも小さい場合、試験用標本の利用可能なサイズを収容するために、試験を容易にスケールダウンすることができる。
【0201】
本明細書に記載する均質化したタイム材料の一つ以上のシートは、各々個別に、公差方向のピークにおいて、50N/m~400N/m、または好ましくは150N/m~350N/mの引張強さを有しうる。シート厚さが引張強さに影響を与えること、およびシートのバッチが厚さの変動を示す場合を考慮すると、値を特定のシート厚さに正規化することが望ましい場合がある。
【0202】
本明細書に記載する一つ以上のシートは、各々個別に、機械方向のピークにおいて100N/m~800N/m、または好ましくは280N/m~620N/mの引張強さを有して、215μmのシート厚さに正規化され得る。機械方向とは、シート材料がボビン上に巻かれる、またはボビンから巻き出されて機械に供給される方向を指し、公差方向とは、機械方向に直角を成す。引張強さのこうした値は、本明細書に記載のシートおよび方法を、機械的応力を伴う後続動作に対して特に好適にする。
【0203】
上記に定義するレベルの厚さ、坪量、および引張強さを有するシートの提供は、有利なことに、エアロゾル発生基体を形成するためのシートの機械加工性を最適化し、シートの引き裂きなどの損傷がシートの高速処理中に回避されることを確実にする。
【0204】
エアロゾル発生基体が均質化したタイム材料の一つ以上のシートを含む本発明の実施形態では、シートは、一つ以上のシートの集合体の形態であることが好ましい。本明細書で使用される「集合」という用語は、均質化したタイム材料のシートが、プラグまたはロッドの円筒軸に対して実質的に横断方向に渦巻き状にされる、折り畳まれる、または別の方法で圧縮または収縮されていることを意味する。シートを「集合する」工程は、シートの必要な横断方向の圧縮を提供する任意の適切な手段によって実行され得る。
【0205】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。使用中、空気は長軸方向でエアロゾル発生物品を通して引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。本明細書で使用される「長さ」という用語は、長軸方向における構成要素の寸法を指し、また「幅」という用語は、横断方向における構成要素の寸法を指す。例えば、円形断面を有するプラグまたはロッドの場合、最大幅は円の直径に対応する。
【0206】
本明細書で使用される「プラグ」という用語は、実質的に多角形、円形、長円形、または楕円形の断面を有する概して円筒状の要素を意味する。本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に多角形の断面、および好ましくは円形状、長円形状または楕円形状の断面の、概して円筒状の要素を指す。ロッドは、プラグの長さ以上の長さを有してもよい。典型的には、ロッドは、プラグの長さよりも大きい長さを有する。ロッドは、長軸方向に整列していることが好ましい、一つ以上のプラグを含んでもよい。
【0207】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に対する、エアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。気流経路の下流端は、エアロゾルが物品のユーザーに送達される端である。
【0208】
均質化したタイム材料の一つ以上のシートは、その長手方向軸に対して横断方向に集合され、ラッパーで取り囲まれて連続ロッドまたはプラグを形成し得る。連続的なロッドは、複数の個別のロッドまたはプラグに切り離されてもよい。ラッパーは、以下でより詳細に記載するように、紙ラッパーまたは非紙ラッパーとし得る。タイム
【0209】
別の方法として、均質化したタイム材料の一つ以上のシートは、上記で言及されるように、ストランドに切断されてもよい。こうした実施形態では、エアロゾル発生基体は、均質化したタイム材料の複数のストランドを含む。ストランドは、プラグを形成するために使用されうる。典型的には、こうしたストランドの幅は、少なくとも約0.2mm、または少なくとも約0.5mmである。典型的には、こうしたストランドの幅は、約5mm、または約4mm、または約3mm、または約1.5mm以下であることが好ましい。例えば、ストランドの幅は、約0.25mm~約5mm、または約0.25mm~約3mm、または約0.5mm~約1.5mmであり得る。
【0210】
ストランドの長さは、約5mmよりも大きく、例えば、約5mm~約20mm、または約8mm~約15mm、または約12mmであることが好ましい。ストランドは、実質的に相互に同じ長さを有することが好ましい。ストランドの長さは、それによってロッドがより短いプラグに切断される製造プロセスによって決定されてもよく、ストランドの長さはプラグの長さに対応する。ストランドは壊れやすく、特に移行中に破損する可能性がある。こうした場合、ストランドの一部の長さは、プラグの長さよりも短くなり得る。
【0211】
複数のストランドは、長手方向軸と整列して、実質的に長手方向にエアロゾル発生基体の長さに沿って延在することが好ましい。したがって、複数のストランドは、相互に実質的に平行に整列していることが好ましい。
【0212】
均質化したタイム材料のストランドは、好ましくは、各々、平方ミリメートル当たり少なくとも約0.02ミリグラム、より好ましくは、平方ミリメートル当たり少なくとも約0.05ミリグラムの質量対表面積比を有する。均質化したタイム材料のストランドは、各々、平方ミリメートル当たり約0.2ミリグラム以下、より好ましくは、平方ミリメートル当たり約0.15ミリグラム以下の質量対表面積比を有することが好ましい。質量対表面積比は、均質化したタイム材料のストランドの質量をミリグラムで、均質化したタイム材料のストランドの幾何学的表面積を平方ミリメートルで割ることによって計算される。
【0213】
均質化したタイム材料の一つ以上のシートは、捲縮、エンボス加工、または穿孔によってテクスチャ加工されてもよい。一つ以上のシートは、集合される前に、またはストランドに切断される前に、テクスチャ加工されてもよい。均質化したタイム材料の一つ以上のシートは、均質化したタイム材料が捲縮したシートの形態、より好ましくは捲縮したシートの集合体の形態となりうるように、集合の前に捲縮されることが好ましい。本明細書で使用される場合、「捲縮したシート」という用語は、通常物品の長軸方向に整列されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。
【0214】
一実施形態において、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の単一のプラグの形態であってもよい。エアロゾル発生基体のプラグは、均質化したタイム材料の複数のストランドを含みうることが好ましい。エアロゾル発生基体のプラグは、均質化したタイム材料の一つ以上のシートを含みうることが最も好ましい。均質化したタイム材料の一つ以上のシートは、実質的にプラグの円筒軸に平行な複数の隆起または波形を有するように捲縮されうることが好ましい。この処理は、有利なことに、均質化したタイム材料の捲縮したシートを集合してプラグを形成することを容易にする。均質化したタイム材料の一つ以上のシートが集合され得ることが好ましい。当然のことながら、均質化したタイム材料の捲縮したシートは、別の方法としてまたは追加的に、プラグの円筒軸に対して鋭角または鈍角を成す複数の実質的に平行な隆起または波形を有し得る。シートは、シートの完全性が複数の平行な隆起部または波形において中断され、材料の分離を引き起こし、均質化したタイム材料の断片、ストランドまたは細片の形成をもたらす程度に捲縮され得る。
【0215】
エアロゾル発生基体の別の実施形態では、均質化した植物材料は、第一の均質化した植物材料を含む第一のプラグと、第二の均質化した植物材料を含む第二のプラグと、を含み、ここで、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料は、異なるレベルのタイム粒子およびたばこ粒子を含む。例えば、第一の均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、約50重量パーセント~約75重量パーセントのタイム粒子を含んでもよく、第二の均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、約50重量パーセント~約75重量パーセントのたばこ粒子を含む。全体として、本発明によれば、エアロゾル発生基体内の均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、少なくとも2.5重量パーセントのタイム粒子、および最大で70重量パーセントのたばこ粒子を含むことが好ましい。
【0216】
かかる配置では、第一の均質化した植物材料は、好ましくは、第二の均質化した植物材料よりも高い割合のタイム粒子を有する第一の粒子状植物材料を含む。第二の均質化した植物材料は、実質的にはタイム粒子のない均質化したたばこ材料であってもよい。
【0217】
好ましくは、第一の均質化した植物材料は、一つ以上のシートの形態であってもよく、第二の均質化した植物材料は、一つ以上のシートの形態であってもよい。
【0218】
任意選択的に、エアロゾル発生基体は、一つ以上のプラグを含んでもよい。基体は、第一のプラグおよび第二のプラグを含んでもよく、第一の均質化した植物材料は第一のプラグ内に位置し、第二の均質化した植物材料は第二のプラグ内に位置し得ることが好ましい。
【0219】
二つ以上のプラグは、端と端をつないで当接関係で組み合わせられてロッドを形成するように延在してもよい。二つのプラグは、それらの間に隙間を有して長軸方向に定置され、それによってロッド内に空洞を作り出してもよい。プラグは、ロッド内の任意の適切な配設にあってもよい。
【0220】
例えば、好ましい配設では、主な割合のタイム粒子を含む下流プラグが、主な割合のたばこ粒子を含む上流プラグに当接してロッドを形成してもよい。また、それぞれのプラグの上流および下流位置が互いに対して変更される代替な構成も想定される。第三の均質化した植物材料が異なる割合のタイム粒子およびたばこ粒子を含有し、第三のプラグを形成する、代替的な構成もまた想定される。二つ以上のプラグが提供される場合、均質化した植物材料は、各プラグにおいて同じ形態で、または各プラグにおいて異なる形態で、すなわち、集合されて、または細断されて提供され得る。一つ以上のプラグは、任意選択的に、以下に記載されるように、熱伝導性シート材料に個別にまたは一緒に包装されてもよい。
【0221】
第一のプラグは、第一の均質化した植物材料の一つ以上のシートを含んでもよく、第二のプラグは、第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートを含んでもよい。プラグの長さの合計は、約10mm~約40mm、好ましくは約10~約15mm、より好ましくは約12mmであってもよい。第一のプラグおよび第二のプラグは、同じ長さであってもよく、または異なる長さを有してもよい。第一のプラグおよび第二のプラグが同じ長さを有する場合、各プラグの長さは、好ましくは約6mm~約20mmであり得る。第二のプラグは、基体におけるたばこ粒子とタイム粒子の望ましい比を提供するために、第一のプラグよりも長くてもよいことが好ましい。概して、好ましくは、基体は、乾燥重量基準で、0~75重量パーセントのたばこ粒子および2.5~75重量パーセントのタイム粒子を含んでもよい。第二のプラグは、第一のプラグよりも少なくとも40パーセント~50パーセント長いことが好ましい。
【0222】
第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が一つ以上のシートの形態である場合、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートは、シートの集合体であり得ることが好ましい。第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートは、捲縮したシートであり得ることが好ましい。当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関して説明される他のすべての物理的特性は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。さらに、当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関する添加剤(例えば、結合剤、脂質、繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびそれらの組み合わせ)の説明は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。
【0223】
エアロゾル発生基体のさらなる別の実施形態において、第一の均質化した植物材料は第一のシートの形態であり、第二の均質化した植物材料は第二のシートの形態であり、第二のシートは少なくとも部分的に第一のシートの上にある。
【0224】
第一のシートがテクスチャ加工されたシートであって、第二のシートがテクスチャ加工されていないシートであってもよい。
【0225】
第一および第二のシートの両方は、テクスチャ加工されたシートであってもよい。
【0226】
第一のシートは、第二のシートとは異なる方法でテクスチャ加工されたテクスチャ加工されたシートであってもよい。例えば、第一のシートが捲縮されて、第二のシートが穿孔されてもよい。代替的に、第一のシートが穿孔されて、第二のシートが捲縮されてもよい。
【0227】
第一および第二のシートの両方は、互いに形態的に異なる捲縮したシートであってもよい。例えば、第二のシートは、第一のシートと比較して、1シート単位幅当たり異なる数の捲縮を有して捲縮されてもよい。
【0228】
シートを集合してプラグを形成してもよい。集合してプラグを形成するシートは、異なる物理的寸法を有してもよい。シートの幅および厚さは変化してもよい。
【0229】
それぞれが異なる厚さを有する、またはそれぞれが異なる幅を有する二つのシートを集合することが望ましい場合がある。これにより、プラグの物理的特性が変化し得る。これは、異なる化学組成のシートからの、エアロゾル発生基体のブレンドされたプラグの形成を容易にし得る。
【0230】
第一のシートは第一の厚さを有してもよく、第二のシートは第一の厚さの倍数である第二の厚さを有してもよく、例えば、第二のシートは、第一の厚さの二倍または三倍の厚さを有してもよい。
【0231】
第一のシートが第一の幅を有してもよく、第二のシートが第一の幅とは異なる第二の幅を有してもよい。
【0232】
第一のシートおよび第二のシートは、一緒に集合される前、または一緒に集合される時点で、重なり合う関係で配設され得る。シートは、同じ幅および厚さを有してもよい。シートは異なる厚さを有してもよい。シートは異なる幅を有してもよい。シートは、異なるようにテクスチャ加工されてもよい。
【0233】
第一のシートおよび第二のシートの両方がテクスチャ加工されることが望ましい場合、シートは、集合される前に同時にテクスチャ加工されてもよい。例えば、シートは、重なり合う関係にされて一対の捲縮ローラーなどのテクスチャ加工手段を通過してもよい。同時捲縮のための適切な装置およびプロセスは、WO-A-2013/178766の図2を参照して説明される。好ましい実施形態において、第二の均質化した植物材料の第二のシートは、第一の均質化した植物材料の第一のシートの上にあり、組み合わされたシートは、集合してエアロゾル発生基体のプラグを形成する。任意選択的に、シートは、集合の前に一緒に捲縮されて集合を容易にしてもよい。
【0234】
代替的に、各シートは別個にテクスチャ加工された後、一緒にプラグへと集合されてもよい。例えば、二つのシートが異なる厚さを有する場合、第一のシートを第二のシートに対して異なるように捲縮することが望ましい場合がある。
【0235】
当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関して説明される他のすべての物理的特性は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。さらに、当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関する添加剤(例えば、結合剤、脂質、繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびそれらの組み合わせ)の説明は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。
【0236】
本発明によるエアロゾル発生基体で使用される均質化した植物材料は、製紙、キャスティング、軟塊再構成、押出成形または任意のその他の適切なプロセスを含む様々な方法によって生成されうる。
【0237】
均質化したタイム材料は、「キャストリーフ」の形態であることが好ましい。「キャストリーフ」という用語は、植物粒子(例えば、タイム粒子、またはたばこ粒子とタイム粒子との混合物で)および結合剤(例えば、グアーガムなど)を含むスラリーを支持表面(ベルトコンベアなど)の上へとキャスティングすること、スラリーを乾燥させること、および乾燥したシートを支持表面から取り外すことに基づくキャスティングプロセスによって作製されたシート製品を指す。キャスティングまたはキャストリーフプロセスの例は、例えば、キャストリーフたばこを作製するためのUS-A-5,724,998号に記載されている。キャストリーフプロセスでは、粒子状植物材料を液体成分、典型的には水と混合してスラリーを形成する。スラリー中のその他の添加される構成成分には、繊維、結合剤、およびエアロゾル形成体が含まれ得る。粒子状植物材料は、結合剤の存在下で凝集されうる。スラリーを支持表面の上へとキャストし、乾燥させて均質化したタイム材料のシートを形成する。
【0238】
ある特定の好ましい実施形態において、本発明による物品で使用される均質化したタイム材料は、キャスティングによって作製される。キャスティングプロセスによって作製される均質化したタイム材料は、典型的には、凝集した粒子状植物材料を含む。
【0239】
キャストリーフプロセスでは、実質的にすべての可溶性分画が植物材料内に保持されるため、ほとんどの風味が有利なことに保たれる。また、エネルギー集約的な製紙工程も回避される。
【0240】
本発明の一つの好ましい実施形態において、均質化したタイム材料を形成するために、粒子状植物材料、水、結合剤、およびエアロゾル形成体を含む混合物が形成される。混合物からシートを形成し、次いで、シートを乾燥させる。混合物は水性混合物であることが好ましい。本明細書で使用される場合、「乾燥重量」とは、割合で表される、混合物における全ての水以外の成分の重量の合計に対する粒子状の水以外の成分の重量を指す。水性混合物の組成物は、「乾燥重量パーセント」によって言及されうる。これは、割合として表される、水性混合物全体の重量に対する水以外の成分の重量を指す。
【0241】
混合物はスラリーであってもよい。本明細書で使用される場合、「スラリー」とは、比較的低い乾燥重量を有する均質化した水性混合物である。本明細書の方法で使用されるスラリーは、5パーセント~60パーセントの乾燥重量を有しうることが好ましい。
【0242】
別の方法として、混合物は軟塊であってもよい。本明細書で使用される場合、「軟塊」とは、比較的高い乾燥重量を有する水性混合物である。本明細書の方法で使用される軟塊は、少なくとも60パーセント、より好ましくは少なくとも70パーセントの乾燥重量を有しうることが好ましい。
【0243】
30パーセントを超える乾燥重量および軟塊を含むスラリーが、本発明の方法の特定の実施形態において好ましい。
【0244】
粒子状植物材料、水、およびその他の任意選択の成分を混合する工程は、任意の適切な手段によって実行され得る。低粘度の混合物、すなわち一部のスラリーについて、混合は、高エネルギーミキサーまたは高剪断ミキサーを用いて実施されることが好ましい。こうした混合は、混合物の様々な相を壊して均一に分布させる。高粘度の混合物、すなわち一部の軟塊について、混練プロセスは、混合物の様々な相を均一に分布させるのに使用されうる。
【0245】
本発明による方法は、混合物を振動させて様々な成分を分布させる工程をさらに含みうる。混合物を振動させること、すなわち、例えば、均質化した混合物が存在するタンクまたはサイロを振動させることは、特に混合物が低粘度の混合物、すなわち、一部のスラリーである場合に混合物の均質化に役立ちうる。混合と共に振動も実施される場合、キャスティングするために最適な標的値まで混合物を均質化するために必要とされる混合時間がより短くなる場合がある。
【0246】
混合物がスラリーである場合、均質化したタイム材料のウェブは、ベルトコンベアなどの支持表面上にスラリーをキャスティングすることを含むキャスティングプロセスによって形成されることが好ましい。均質化したタイム材料の製造方法は、該キャストウェブを乾燥させてシートを形成する工程を含む。キャストウェブは、室温で、または少なくとも約摂氏60度、より好ましくは、少なくとも約摂氏80度の周囲温度で、好適な長さの時間乾燥させてもよい。キャストウェブは、摂氏200度を超えない、より好ましくは、摂氏約160度を超えない周囲温度で乾燥されることが好ましい。例えば、キャストウェブは、摂氏約60度~摂氏約200度、または摂氏約80度~摂氏約160度の温度で乾燥させてもよい。乾燥後のシートの含水量は、シートの総重量に基づいて約5パーセント~約15パーセントであることが好ましい。次いで、シートは、乾燥後に支持表面から取り外されてもよい。キャストシートは、機械的に操作され、破損または変形することなくボビンに巻く、またはボビンから巻き出されうるように、引張強さを有する。
【0247】
混合物が軟塊である場合、押出成形された混合物を乾燥する工程の前に、軟塊をシート、ストランド、または細片の形態で押出成形してもよい。軟塊は、シートの形態で押出成形されうることが好ましい。押出成形された混合物は、室温で、または少なくとも約摂氏60度、より好ましくは、少なくとも約摂氏80度の温度で、好適な長さの時間乾燥させてもよい。押出成形された混合物は、摂氏200度を超えない、より好ましくは、摂氏約160度を超えない周囲温度で乾燥されることが好ましい。例えば、押出成形された混合物は、摂氏約60度~摂氏約200度、または摂氏約80度~摂氏約160度の温度で乾燥させてもよい。乾燥後の押出成形された混合物の含水量は、シートの総重量に基づいて約5パーセント~約15パーセントであることが好ましい。スラリーから形成されたウェブに対して有意に低い含水量の結果として、軟塊から形成されたシートは、より少ない乾燥時間および/またはより低い乾燥温度を必要とする。
【0248】
シートを乾燥させた後、本方法は、WO-A-2015/082652の開示に記載されるように、好ましくはエアロゾル形成体と共に、ニコチン塩をシート上に被覆する工程を随意に含んでもよい。
【0249】
シートを乾燥させた後、本発明による方法は、随意に、上述のエアロゾル発生基体の形成のためにシートをストランド、断片または細片に切断する工程を含んでもよい。ストランド、断片または細片は、適切な手段を使用して一緒にされて、エアロゾル発生基体のロッドを形成してもよい。エアロゾル発生基体の形成されたロッドでは、ストランド、断片または細片は、例えば、ロッドの長軸方向に実質的に整列されてもよい。代替的に、ストランド、断片または細片は、ロッド内でランダムに配向されてもよい。
【0250】
本発明による方法は、任意選択的に、乾燥工程の後に、シートをボビン上に巻く工程をさらに含んでもよい。本発明はさらに、植物「紙」の形態の均質化した植物材料のシートを生成するための代替的な製紙方法を提供する。植物紙とは、可溶性植物化合物の抽出物および繊維状植物材料の不溶性残滓を生成するために、植物原料を溶媒で抽出し、抽出物を不溶性残滓と再結合するプロセスによって形成される再構成された植物シートを指す。抽出物は、不溶性残渣と再結合される前に、任意選択的に濃縮されてもよく、またはさらに処理されてもよい。不溶性残渣は、抽出物と再結合される前に、任意選択的に精製され、追加の植物繊維と組み合わされてもよい。本発明による方法において、植物原料は、随意にたばこの粒子と組み合わせた、タイムの粒子を含む。
【0251】
より詳細には、植物紙を生成する方法は、植物材料と水とを混合して希釈懸濁液を形成する第一の工程を含む。希釈懸濁液は、主に別個のセルロース繊維を含む。懸濁液は、キャスティングプロセスで製造されるスラリーよりも粘度が低く、含水量が高い。この第一の工程は、任意選択で水酸化ナトリウムなどのアルカリの存在下で浸漬すること、および任意選択で熱を印加することを伴い得る。
【0252】
方法は、懸濁液を、繊維状植物材料の不溶性残渣を含む不溶性部分と、可溶性植物化合物を含む液体または水性部分とに分離する第二の工程をさらに含む。繊維状植物材料の不溶性残渣中に残っている水は、ランダムに織り込まれた繊維のウェブを下に置くことができるように、シーブとして作用するスクリーンを通して排出され得る。場合によっては吸引または真空による支援を受けてローラーで押し付けることにより、水はこのウェブからさらに除去され得る。
【0253】
水性部分および水を除去した後、不溶性残渣をシートへと形成する。概して平坦で均一な植物繊維のシートが形成されることが好ましい。
【0254】
方法は、シートから除去された可溶性植物化合物の抽出物を濃縮し、濃縮された抽出物を繊維状植物材料の不溶性残滓のシートに添加して、均質化した植物材料のシートを形成する工程をさらに含むことが好ましい。代替的にまたは追加的に、別のプロセスからの可溶性植物物質または濃縮植物物質をシートに添加してもよい。抽出物または濃縮された抽出物は、同じ種の植物の別の品種から、または別の種の植物からであってもよい。
【0255】
このプロセスは、US-A-3,860,012号に記載されるとおり、たばこ紙としても公知の再構成たばこ製品を作製するためにたばこで使用されてきた。同じプロセスを一つ以上の植物で使用して、タイム紙のシートなどの紙様シート材料を生成しうる。
【0256】
ある特定の好ましい実施形態において、本発明による物品で使用される均質化した植物材料は、上記に定義される紙製プロセスによって生成される。こうした実施形態では、均質化したタイム材料は、タイム紙の形態である。
【0257】
均質化したたばこ材料またはこうしたプロセスによって生成される均質化したタイム材料は、たばこ紙またはタイム紙と呼ばれる。製紙プロセスによって作製された均質化した植物材料は、特に紙が水によって湿らされている場合、目で、または光学顕微鏡下で見える材料全体にわたる複数の繊維の存在によって区別可能である。対照的に、キャスティングプロセスによって作製された均質化した植物材料は、紙よりも少ない繊維を含み、湿らされるとスラリーに分離する傾向がある。混合されたたばこタイム紙は、たばこ材料とタイム材料の混合物を使用したこうしたプロセスによって生成される均質化した植物材料を指す。
【0258】
エアロゾル発生基体がタイム粒子およびたばこ粒子の組み合わせを含む実施形態において、エアロゾル発生基体は、タイム紙の一つ以上のシートおよびたばこ紙の一つ以上のシートを含みうる。タイム紙およびたばこ紙のシートは、集合してロッドを形成する前に、相互に交互に配置される、または重ねられてもよい。任意選択的に、シートを捲縮してもよい。別の方法として、タイム紙およびたばこ紙のシートを、ストランド、細片、または断片に切断した後、組み合わせてロッドを形成してもよい。エアロゾル発生基体中のたばこおよびタイムの相対量は、たばこおよびタイムシートのそれぞれの数、またはロッド内のタイムおよびたばこストランド、細片または断片のそれぞれの量を変更することによって調整することができる。
【0259】
例えば、たばこおよびタイムシートまたはストランドの数または量は、約1:4、または約1:9、または約1:30のタイムとたばこの比率を提供するように調整されてもよい。
【0260】
均質化した植物材料の製造に適用されうるその他の公知のプロセスは、例えば、US-A-3,894,544号に記載されるタイプの軟塊再構成プロセス、ならびに例えばGB-A-983,928号に記載されるタイプの押出成形プロセスである。一般に、押出成形プロセスおよび軟塊再構成プロセスにより生成された均質化した植物材料の密度は、キャスティングプロセスにより生成された均質化した植物材料の密度よりも大きい。
【0261】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体は、少なくとも約200mgの均質化した植物材料、より好ましくは少なくとも約220mgの均質化した植物材料、より好ましくは少なくとも約250mgの均質化した植物材料を含むことが好ましい。
【0262】
本発明によるエアロゾル発生物品は、一つ以上のプラグにエアロゾル発生基体を含むロッドを含む。エアロゾル発生基体のロッドは、約5mm~約120mmの長さを有してもよい。例えば、ロッドは、好ましくは、約10~約45mm、より好ましくは、約10mm~15mm、最も好ましくは、約12mmの長さを有してもよい。代替的な実施形態では、ロッドは、約30mm~約45mm、または約33mm~約41mmの長さを有することが好ましい。ロッドがエアロゾル発生基体の単一のプラグから形成される場合、プラグは、ロッドと同じ長さを有する。
【0263】
エアロゾル発生基体のロッドは、それらの意図される用途に応じて約5mm~約10mmの外径を有し得る。例えば、一部の実施形態では、ロッドは、約5.5mm~約8mm、または約6.5mm~約8mmの外径を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドの「外径は、任意のラッパーを含むロッドの直径に対応する。
【0264】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体のロッドは、その長さの少なくとも一部に沿って一つ以上のラッパーによって囲まれていることが好ましい。一つ以上のラッパーは、紙ラッパーもしくは非紙ラッパー、またはその両方を含み得る。本発明の特定の実施形態で使用するための適切な紙ラッパーは当業界で公知であり、紙巻たばこペーパーおよびフィルタープラグラップを含むが、これに限定されない。本発明の特定の実施形態で使用するための好適な紙以外のラッパーは当技術分野で公知であり、均質化しタバコ材料のシートを含むがこれに限定されない。均質化したたばこラッパーは、エアロゾル発生基体が粒子状植物材料から形成された均質化したタイム材料の一つ以上のシートを備える実施形態での使用に特に好適であり、粒子状植物材料は、乾燥重量に基づいて、20重量パーセント~0重量パーセントのたばこ粒子などの低い重量パーセントのたばこ粒子と組み合わせてタイム粒子を含有する。
【0265】
本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生基体は、例えば、アルミ箔または金属化紙などの金属箔などの熱伝導性シート材料によって、その長さの少なくとも一部に沿って囲まれる。金属箔または金属化紙は、エアロゾル発生基体全体にわたって熱を急速に伝導させる目的を果たす。さらに、金属箔または金属化紙は、消費者がそれを点火しようと試みる場合に、エアロゾル発生基体の発火を防止する役割を果たし得る。さらに、使用中に、金属箔または金属化紙は、外側ラッパーの加熱に伴い生成される臭気が、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルに入るのを防止し得る。例えば、これは、エアロゾルを発生するために使用中に外部から加熱されるエアロゾル発生基体を有するエアロゾル発生物品にとって問題であり得る。別の方法として、または追加的に、金属化ラッパーは、使用中にエアロゾル発生装置に挿入される時に、エアロゾル発生物品の検出または認識を促進するために使用され得る。金属箔または金属化紙は、鉄粒子などの金属粒子を含んでもよい。
【0266】
エアロゾル発生基体を囲む一つ以上のラッパーは、好ましくは、約0.1mm~約0.9mmの全体厚さを有する。
【0267】
エアロゾル発生基体のロッドの内径は、好ましくは、約3mm~約9.5mm、より好ましくは、約4mm~約7.5mm、より好ましくは、約5mm~約7.5mmである。「内径」は、ラッパーの厚さを含まないが、依然として定位置にあってもラッパーで測定される、エアロゾル発生基体のロッドの直径に対応する。
【0268】
本発明によるエアロゾル発生物品はまた、カートリッジまたはシーシャ消耗品を含むが、これらに限定されない。
【0269】
本発明によるエアロゾル発生物品は随意に、エアロゾル発生基体のすぐ下流に少なくとも一つの中空管を備え得る。管の一つの機能は、エアロゾル発生基体を、発熱体と接触できるように、エアロゾル発生物品の遠位端に向けて位置付けることである。管は、発熱体がエアロゾル発生基体の中に挿入された時に、エアロゾル発生基体が他の下流要素に向かってエアロゾル発生物品に沿って強制されるのを防止するように作用する。また、管は、下流要素をエアロゾル発生基体から分離するためのスペーサー要素として作用する。管は、セルロースアセテート、ポリマー、厚紙、または紙などの任意の材料で作製されうる。
【0270】
本発明によるエアロゾル発生物品は、随意に、エアロゾル発生基体の下流かつ中空管のすぐ下流に、一つ以上のスペーサーまたはエアロゾル冷却要素を備える。使用時に、エアロゾル発生基体から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、ユーザーによって吸入される前にエアロゾル冷却要素を通り過ぎ、かつエアロゾル冷却要素によって冷却される。低温は、ベイパーがエアロゾルに凝縮されることを可能にする。スペーサーまたはエアロゾル冷却要素は、エアロゾル発生基体のすぐ下流にあるものと類似しうる、中空のセルロースアセテートチューブまたはボール紙管などの中空管であってもよい。スペーサーは、中空のセルロースアセテートチューブと等しい外径であるが、これよりも小さい、または大きい内径の中空管でありうる。一実施形態において、紙で巻かれたエアロゾル冷却要素は、金属ホイル、ホイルでラミネートされた紙、好ましくは合成ポリマーで作製された高分子シート、および実質的に非多孔質の紙または厚紙などの、任意の適切な材料で作製された一つ以上の長手方向チャネルを含む。一部の実施形態において、紙で巻かれたエアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、セルロースアセテート(CA)、ポリマーシートで積層された紙、およびアルミホイルからなる群から選択される材料で作製された一つ以上のシートを含み得る。代替的に、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、およびセルロースアセテート(CA)からなる群から選択される材料の織られた繊維、または不織フィラメントで作製されてもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素は、フィルター紙内に巻かれた捲縮して集合したポリ乳酸シートである。別の好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素は、長軸方向チャネルを含み、紙で巻かれたポリ乳酸フィラメントなどの合成ポリマーの織られたフィラメントで作製される。
【0271】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体および中空のアセテートチューブ、スペーサーまたはエアロゾル冷却要素の下流にフィルターまたはマウスピースをさらに備えてもよい。フィルターは、粒子状成分、ガス状成分、またはそれらの組み合わせを除去するための一つ以上の濾過材料を含みうる。好適な濾過材料が当業界で公知であり、例えば、セルロースアセテートトウおよび紙などの繊維質の濾過材料、例えば、活性化アルミナ、ゼオライト、分子ふるい、およびシリカゲルなどの吸着剤、例えば、ポリ乳酸(PLA)、マタビー(登録商標)、疎水性ビスコース繊維、およびバイオプラスチックを含む生分解性高分子、ならびにこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。フィルターはエアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルターは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルターは約7mmの長さであるが、約5mm~約10mmの長さを有してもよい。
【0272】
本発明によるエアロゾル発生物品は、物品の下流端にある口端空洞をさらに含み得る。口側端空洞は、フィルターまたはマウスピースから下流に延びている一つ以上のラッパーによって画定され得る。別の方法として、口側端空洞は、エアロゾル発生物品の下流端に提供される別個の管状要素によって画定されてもよい。
【0273】
本発明によるエアロゾル発生物品は、好ましくは、エアロゾル発生物品に沿った場所に提供される通気ゾーンをさらに含む。例えば、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体の下流に提供される中空管に沿った場所に提供されてもよい。
【0274】
本発明の好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体、エアロゾル発生基体の下流の少なくとも一つの中空管、および少なくとも一つの中空管の下流のフィルターを含む。随意に、エアロゾル発生物品は、フィルターの下流端に口側端空洞をさらに含む。通気ゾーンは、少なくとも一つの中空管に沿った場所に提供されるのが好ましい。
【0275】
この配置を有する一つの特に好ましい実施例では、エアロゾル発生基体は、約33mmの長さおよび約5.5mm~6.7mmの外径を有し、エアロゾル発生基体は、複数のストランドの形態で約340mgの均質化したタイム材料を含み、均質化したタイム材料は、乾燥重量基準で、約14重量パーセントのグリセロールを含む。この実施形態では、エアロゾル発生物品は、約74mmの全体長さを有し、約10mmの長さを有する酢酸セルローストウフィルター、ならびに約6~7mmの長さを有する中空管によって画定される口側端空洞を含む。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体の下流の中空管を含み、中空管は、約25mmの長さを有し、通気ゾーンが提供されている。
【0276】
本発明によるエアロゾル発生物品は、少なくとも約30mm、または少なくとも約40mmの全体長さを有してもよい。エアロゾル発生物品の全体長さは、90mm未満、または約80mm未満であってもよい。
【0277】
一つの実施形態において、エアロゾル発生物品の全体長さは、約40mm~約50mm、好ましくは、約45mmである。別の実施形態では、エアロゾル発生物品は、約70mm~約90mm、好ましくは約80mm~約85mmの全体長さを有する。別の実施形態では、エアロゾル発生物品は、約72mm~約76mm、好ましくは約74mmの全体長さを有する。
【0278】
エアロゾル発生物品は、約5mm~約8mm、好ましくは、約6mm~約8mmの外径を有し得る。一つの実施形態において、エアロゾル発生物品は、約7.3mmの外径を有する。
【0279】
本発明によるエアロゾル発生物品は、一つ以上のエアロゾル修飾要素をさらに備えてもよい。エアロゾル修飾要素は、エアロゾル修飾剤を提供しうる。本明細書で使用される場合、エアロゾル修飾剤という用語は、使用時に、フィルターを通過するエアロゾルの一つ以上の特徴または特性を修正する任意の物質を説明するために使用される。適切なエアロゾル修飾剤には、使用中に、フィルターを通過するエアロゾルに味わいまたは芳香を付与する薬剤、または、使用中に、フィルターを通過するエアロゾルから香味を除去する薬剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0280】
エアロゾル修飾剤は、水分または液体風味剤のうちの一つ以上であってもよい。水または水分は、例えば、発生されたエアロゾルを湿らせることによって、ユーザーの感覚的体験を修正してもよく、これはエアロゾルに冷却効果をもたらし、ユーザーによって経験されるえぐみの知覚を低減しうる。エアロゾル修飾要素は、一つ以上の液体風味剤を送達するための風味送達要素の形態であってもよい。別の方法として、液体風味剤を、均質化した植物材料に直接的に、例えば、均質化した植物材料の製造中にスラリーもしくは原料に風味を加えることによって、または均質化した植物材料の表面上に液体風味剤を噴霧することによって、添加することができる。
【0281】
一つ以上の液体風味剤は、エアロゾル発生物品の使用中に生成されるエアロゾルの味わいを高めるために、風味送達要素内に液体の形態で放出可能なように配置するのに適した任意の風味化合物または植物抽出物を含み得る。液体または固体の風味剤はまた、セルロースアセテートトウなどのフィルターを形成する材料に直接配置されうる。適切な風味または風味剤としては、メントール、ミント(ハッカおよびオランダハッカなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果物風味、γオクタラクトン、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、オイゲノール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、カンナビス油、およびたばこ風味などが挙げられるが、これらに限定されない。その他の適切な風味としては、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせ、またはこれらのブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が挙げられうる。
【0282】
エアロゾル修飾剤は、フィルターを通過するエアロゾルの特定の成分を除去し、それによって、エアロゾルの風味および芳香を変化させる、活性炭素などの吸着剤材料であってもよい。
【0283】
一つ以上のエアロゾル修飾要素は、エアロゾル発生基体の下流、またはエアロゾル発生基体内に位置しうる。エアロゾル発生基体は均質化したタイム材料およびエアロゾル修飾要素を含みうる。様々な実施形態において、エアロゾル修飾要素は、均質化したタイム材料に隣接して配置されてもよく、または均質化したタイム材料に埋め込まれてもよい。典型的には、エアロゾル修飾要素は、エアロゾル発生基体の下流、最も典型的には、エアロゾル冷却要素内、エアロゾル発生物品のフィルター内、例えば、フィルタープラグ内、またはフィルタープラグ間のくぼみ内に位置しうる。一つ以上のエアロゾル修飾要素は、スレッド、カプセル、マイクロカプセル、ビーズまたは高分子マトリクス材料、またはそれらの組み合わせのうちの一つ以上の形態であってもよい。
【0284】
エアロゾル修飾要素がスレッドの形態である場合、WO-A-2011/060961に記載されるように、スレッドは、フィルタープラグラップなどの紙から形成されてもよく、スレッドは、少なくとも一つのエアロゾル修飾剤を装填され、フィルターの本体内に位置してもよい。スレッドを形成するために使用できるその他の材料には、セルロースアセテートおよび綿が含まれる。
【0285】
エアロゾル修飾要素がカプセルの形態である場合、WO-A-2007/010407、WO-A-2013/068100およびWO-A-2014/154887に記載されるように、カプセルは、フィルター内に位置した壊れやすいカプセルであってもよく、カプセルの内部コアは、フィルターが外力に供されたときにカプセルの外部シェルの破損に伴い放出されうるエアロゾル修飾剤を含有する。カプセルは、フィルタープラグ内、またはフィルタープラグ間のくぼみ内に位置しうる。
【0286】
エアロゾル修飾要素が高分子マトリクス材料の形態である場合、高分子マトリクス材料は、WO-A-2013/034488に記載されるように、高分子マトリクスが高分子マトリクス材料の融点を超えて加熱されるときなど、エアロゾル発生物品が加熱されると、風味剤を放出する。典型的には、こうした高分子マトリクス材料は、エアロゾル発生基体内のビーズ内に位置しうる。別の方法として、または追加的に、風味剤は、高分子マトリクス材料のドメイン内に閉じ込められ、高分子マトリクス材料の圧縮に伴い高分子マトリクス材料から放出可能であってもよい。風味剤は、約15ニュートンの力で高分子マトリクス材料の圧縮時に放出されることが好ましい。こうした風味修飾要素は、WO2013/068304に記載されるように、5N~20Nなど、少なくとも5ニュートンの範囲の力にわたって、液体風味剤の持続的な放出を提供しうる。典型的には、こうした高分子マトリクス材料は、フィルター内のビーズ内に位置しうる。
【0287】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体とを備えてもよく、エアロゾル発生基体は、本発明の第一の態様に関して上述した通りである。
【0288】
例えば、本明細書に記載の基体は、WO-A-2009/022232号で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用されうるが、これは可燃性炭素系熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体と、可燃性炭素系熱源の後方部分およびエアロゾル発生基体の隣接した前方部分の周りにありそれらと接触した熱伝導性要素とを備える。ただし、当然のことながら、本明細書に記載の基体はまた、その他の構造を有する可燃性熱源を備えた加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0289】
本発明は、発熱体を含むエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムを提供し、エアロゾル発生物品は、上述するエアロゾル発生基体を含む。
【0290】
好ましい実施形態において、本明細書に記載のエアロゾル発生基体は、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体が電気的な熱源により加熱される電気的に作動するエアロゾル発生システムで使用するための加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0291】
例えば、本明細書に記載のエアロゾル発生基体は、EP-A-0 822 760で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0292】
こうしたエアロゾル発生装置の発熱体は、熱を伝導する任意の適切な形態であってもよい。エアロゾル発生基体の加熱は、内部から、外部から、または両方から達成されうる。発熱体は、基体が内部から加熱されるように、基体に挿入されるように適合されたヒーターブレードまたはピンでありうることが好ましい。別の方法として、発熱体は、基体を部分的または完全に取り囲み、基体を外部から円周方向に加熱してもよい。
【0293】
エアロゾル発生システムは、誘導加熱装置を備えた電気的に作動するエアロゾル発生システムであってもよい。誘導加熱装置は、典型的には、サセプタに結合されるように構成された誘導源を含み、これは、エアロゾル発生基体の外部へ、またはエアロゾル発生基体の内部へ提供されてもよい。誘導源により交流電磁場が発生し、これがサセプタ内に磁化または渦電流を誘起する。サセプタは、ヒステリシス損失または誘起された渦電流の結果として加熱されてもよく、これはオーム加熱または抵抗加熱を通してサセプタを加熱する。
【0294】
誘導加熱装置を備える電気的に作動するエアロゾル発生システムはまた、エアロゾル発生基体およびエアロゾル発生基体と熱的に近接したサセプタを有するエアロゾル発生物品も備える。典型的には、サセプタはエアロゾル発生基体と直接接触し、熱はサセプタから主に伝導によってエアロゾル発生基体に伝達される。誘導加熱装置およびサセプタを有するエアロゾル発生物品を有する電気的に動作するエアロゾル発生システムの例は、WO-A1-95/27411およびWO-A1-2015/177255に記述されている。
【0295】
サセプタは、エアロゾル発生基体上に堆積される、またはエアロゾル発生基体内に埋め込まれうる複数のサセプタ粒子であってもよい。エアロゾル発生基体が一つ以上のシートの形態である場合、複数のサセプタ粒子は、一つ以上のシート上に堆積されるか、またはその中に埋め込まれてもよい。サセプタ粒子は、例えば、シート形態で基体によって固定され、初期位置にとどまる。サセプタ粒子は、エアロゾル発生基体の均質化したタイム材料中に均一に分布しうることが好ましい。サセプタの粒子状の性質に起因して、熱は基体の均質化したタイム材料シート内の粒子の分布に従い生成される。別の方法として、一つ以上のシート、細片、断片、またはロッドの形態のサセプタはまた、均質化したタイム材料の隣に定置されてもよく、または均質化したタイム材料に埋め込まれるものとして使用されてもよい。一実施形態において、エアロゾル形成基体は、一つ以上のサセプタ細片を含む。別の実施形態において、サセプタは、エアロゾル発生装置内に存在する。
【0296】
サセプタは、0.05ジュール/キログラムよりも大きい、好ましくは0.1ジュール/キログラムよりも大きい熱損失を有しうる。熱損失は熱を周囲の材料に移動させるサセプタの容量である。サセプタ粒子はエアロゾル発生基体内に均一に分布することが好ましいため、サセプタ粒子からの均一な熱損失が達成され、したがって、エアロゾル発生基体内に均一な熱分布が発生し、エアロゾル発生物品内に均一な温度分布がもたらされうる。サセプタ粒子中の0.05ジュール/キログラムの特定の最小熱損失は、エアロゾル発生基体を実質的に均一な温度に加熱することを可能にして、エアロゾル発生を提供することが見出された。こうした実施形態において、エアロゾル発生基体内で達する平均温度は、摂氏約200度~摂氏約240度であることが好ましい。
【0297】
エアロゾル発生基体の過熱のリスクの低減は、キュリー温度を有するサセプタ材料の使用によって支持される場合があり、これはヒステリシス損失に起因する加熱プロセスが、ある特定の最高温度までにしか達しないことを可能にする。サセプタは、摂氏約200度~摂氏約450度、好ましくは摂氏約240度~摂氏約400度、例えば摂氏約280度のキュリー温度を有しうる。サセプタ材料がそのキュリー温度に達した時、磁性が変化する。サセプタ材料はキュリー温度で、強磁性の相から常磁性の相に変化する。この時点で、強磁性領域の向きに起因するエネルギー損失に基づく加熱は停止する。その後、さらなる加熱は、サセプタ材料のキュリー温度に達すると加熱プロセスが自動的に低減されるように、主に渦電流の形成に基づく。サセプタ材料およびそのキュリー温度は、最適なエアロゾル発生のためにエアロゾル発生基体内での最適な温度および温度分布を達成するために、エアロゾル発生基体の組成に適合されることが好ましい。
【0298】
本発明によるエアロゾル発生物品の一部の好ましい実施形態において、サセプタはフェライトで作製される。フェライトは高い透磁率を有する強磁性体であり、またサセプタ材料として特に適切である。フェライトの主な成分は鉄である。その他の金属成分(例えば、亜鉛、ニッケル、マンガン)または非金属成分(例えば、ケイ素)は様々な量で存在してもよい。フェライトは比較的安価な市販の材料である。フェライトは、本発明による均質化した植物材料を形成する粒子状植物材料で使用される粒子のサイズ範囲内の粒子形態で入手可能である。粒子は、例えば、PPT(米国インディアナ州)によるFP160、FP215、FP350などの完全焼結フェライト粉末であることが好ましい。
【0299】
本発明の特定の実施形態において、エアロゾル発生システムは、上記に定義するエアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品、エアロゾル形成体の供与源、およびエアロゾル形成体を気化させるための手段、好ましくは上述の発熱体を備える。エアロゾル形成体の供与源は、エアロゾル発生装置上に存在する、再充填可能または交換可能な貯蔵部でありうる。貯蔵部は、エアロゾル発生物品から物理的に分離しており、発生したベイパーは、エアロゾル発生物品を通して方向付けられる。ベイパーは、粒子状植物材料中のニコチンおよび風味剤などの揮発性化合物を放出してエアロゾルを形成するエアロゾル発生基体と接触する。随意に、エアロゾル発生基体内の化合物の揮発を支援するために、エアロゾル発生システムは、好ましくはエアロゾル形成体と調整された、エアロゾル発生基体を加熱するための発熱体さらに備えてもよい。しかしながら、特定の実施形態において、エアロゾル発生物品を加熱するために使用される発熱体は、エアロゾル形成体を加熱するヒーターから分離されている。
【0300】
上記に定義したように、本発明は、エアロゾル発生基体の加熱に伴い生成されるエアロゾルをさらに提供し、エアロゾルは、上記に定義するタイム粒子に由来する特徴的な化合物の特定の量および比を含む。
【0301】
本発明によれば、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.25マイクログラムの量のウルソール酸と、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.1マイクログラムの量のチモールと、を含み、エアロゾルの吸煙は、喫煙機械によって発生したときに55ミリリットルの容積を有する。本発明の目的のために、「吸煙」は、加熱に伴いエアロゾル発生基体から放出され、分析のために収集されるエアロゾルの容積として定義され、エアロゾルの吸煙は、喫煙機械によって発生される55ミリリットルの吸煙容積を有する。したがって、エアロゾルの「吸煙」に対する本明細書の任意の言及は、別途記載されない限り、55ミリリットルの吸煙を指すものと理解される。
【0302】
示した範囲は、エアロゾルの55ミリリットルの吸煙で測定された各成分の総量を定義する。エアロゾルは、任意の適切な手段を使用してエアロゾル発生基体から発生されてもよく、エアロゾル内の特徴的な化合物を識別し、その量を測定するために、上述のように閉じ込められて分析され得る。例えば、「吸煙」は、本明細書に記載のカナダ保健省の試験方法で用いられるものなどの喫煙機械で測定される55ミリリットルの吸煙に対応し得る。
【0303】
好ましくは、本発明によるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.5マイクログラムのウルソール酸、より好ましくはエアロゾルの吸煙当たり少なくとも約1マイクログラムのウルソール酸を含む。代替的に、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生するエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で約5マイクログラムのウルソール酸、好ましくはエアロゾルの吸煙当たり最大で約4.5マイクログラムのウルソール酸、より好ましくはエアロゾルの吸煙当たり最大で約4マイクログラムのウルソール酸を含む。例えば、エアロゾル発生基体から発生するエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.25マイクログラム~約5マイクログラムのウルソール酸、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.5マイクログラムのウルソール酸~エアロゾルの吸煙当たり約4.5マイクログラムのウルソール酸、またはエアロゾルの吸煙当たり約1マイクログラム~約4マイクログラムのウルソール酸を含み得る。
【0304】
本発明によるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.5マイクログラムのチモールを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約1マイクログラムのチモールを含むことがより好ましい。代替的に、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、好ましくはエアロゾルの吸煙ごとに最大で約3マイクログラムのチモール、より好ましくはエアロゾルの吸煙ごとに最大で約2.5マイクログラムのチモール、さらにより好ましくはエアロゾルの吸煙ごとに最大で約2マイクログラムのチモールを含む。例えば、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.1マイクログラム~約3マイクログラムのチモール、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.5マイクログラム~約2.5マイクログラムのチモール、またはエアロゾルの吸煙当たり約1マイクログラム~約2マイクログラムのチモールを含み得る。
【0305】
本発明によれば、エアロゾル組成物は、エアロゾルの吸煙当たりのウルソール酸の量が、好ましくはエアロゾルの吸煙当たりのチモールの量と少なくとも同じであるようなものである。したがって、エアロゾル中のウルソール酸とチモールとの比は、好ましくは少なくとも約1:1である。エアロゾル組成物は、エアロゾルの吸煙ごとのウルソール酸の量が、エアロゾルの吸煙当たりのチモールの量の少なくとも約1.5倍であることが好ましい。
【0306】
ウルソール酸とチモールの定義された比は、タイム粒子に由来するエアロゾルを特徴付ける。対照的に、タイム精油から生成されるエアロゾルでは、ウルソール酸とチモールとの比は、大きく異なることになる。
【0307】
好ましくは、本発明によるエアロゾルはさらに、エアロゾルの吸煙当たり約0.02マイクログラム~約0.25マイクログラムのイソチモール、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.05マイクログラム~約0.2マイクログラムのイソチモール、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.1マイクログラム~約0.15マイクログラムのイソチモールを含む。
【0308】
本発明によるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.1ミリグラムのエアロゾル形成体をさらに含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.2ミリグラムのエアロゾルをさらに含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.3ミリグラムのエアロゾル形成体をさらに含むことがより好ましい。エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で0.6ミリグラムのエアロゾル形成体を含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で0.5ミリグラムのエアロゾル形成体を含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で0.4ミリグラムのエアロゾル形成体を含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.1ミリグラム~約0.6ミリグラムのエアロゾル形成体、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.2ミリグラム~約0.5ミリグラムのエアロゾル形成体、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.3ミリグラム~約0.4ミリグラムのエアロゾル形成体を含み得る。これらの値は、上記で定義するとおり、55ミリリットルの吸煙容積に基づく。
【0309】
本発明で使用するための適切なエアロゾル形成体は、上記で説明される。
【0310】
本発明によるエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約2マイクログラムのニコチンをさらに含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約20マイクログラムのニコチンをさらに含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約40マイクログラムのニコチンをさらに含むことがより好ましい。エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で約200マイクログラムのニコチンを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約150マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約75マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約2マイクログラム~約200マイクログラムのニコチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約20マイクログラム~約150マイクログラムのニコチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約40マイクログラム~約75マイクログラムのニコチンを含んでもよい。これらの値は、上記で定義するとおり、55ミリリットルの吸煙容積に基づく。本発明の一部の実施形態において、エアロゾルは、ゼロマイクログラムのニコチンを含んでもよい。
【0311】
代替的にまたは追加的に、本発明によるエアロゾルは、任意選択的に、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.5ミリグラムのカンナビノイド化合物をさらに含んでもよく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約1ミリグラムのカンナビノイド化合物をさらに含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約2ミリグラムのカンナビノイド化合物をさらに含むことがより好ましい。エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で約5ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約4ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約3ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.5ミリグラム~約5ミリグラムのカンナビノイド化合物、またはエアロゾルの吸煙当たり約1ミリグラム~約4ミリグラムのカンナビノイド化合物、またはエアロゾルの吸煙当たり約2ミリグラム~約3ミリグラムのカンナビノイド化合物を含み得る。本発明の一部の実施形態において、エアロゾルは、ゼロマイクログラムのカンナビノイド化合物を含んでもよい。これらの値は、上記で定義するとおり、55ミリリットルの吸煙容積に基づく。
【0312】
カンナビノイド化合物は、CBDおよびTHCから選択されることが好ましい。カンナビノイド化合物はCBDであることがより好ましい。
【0313】
また、一酸化炭素が本発明によるエアロゾル中に存在してもよく、エアロゾルをさらに特徴付けるために測定および使用されてもよい。酸化窒素および二酸化窒素などの窒素の酸化物もエアロゾル中に存在する場合があり、エアロゾルをさらに特徴付けるために測定および使用されうる。
【0314】
タイム粒子からの特徴的な化合物を含む本発明によるエアロゾルは、約0.01~200ミクロン、または約1~100ミクロンの範囲の空気動力学的中央粒子径(MMAD)を有する粒子から形成されうる。エアロゾルが上述のニコチンを含む場合、エアロゾルは、エアロゾルからのニコチンの送達を最適化するために、約0.1~約3ミクロンの範囲のMMADを有する粒子を含むことが好ましい。
【0315】
エアロゾルの空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、エアロゾルの粒子状質量の半分が、MMADよりも大きな空気力学的直径を有する粒子によって占められ、半分が、MMADよりも小さな空気力学的直径を有する粒子によって占められる、粒子力学的直径を指す。空気力学的直径は、特徴付けられる粒子と同じ沈降速度を有する1g/cm3の密度を有する球状粒子の直径として定義される。
【0316】
本発明によるエアロゾルの空気動力学的中央粒子径は、Schallerら,“Evaluation of the Tobacco Heating System 2.2.の第2.8節 第2部:Chemical composition,genotoxicity,cytotoxicity and physical properties of the aerosol,”Regul.Toxicol.and Pharmacol.,81(2016)S27-S47に従って決定され得る。
【0317】
上記で定義されるように、本発明は、エアロゾル発生基体を備えるエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生基体が、均質化した植物材料を含み、試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルが、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.25マイクログラムの量のウルソール酸、およびエアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.1マイクログラムの量のチモールを含み、エアロゾルの吸煙当たりのウルソール酸の量は、エアロゾルの吸煙当たりのチモールの量と少なくとも同じであり、エアロゾルの吸煙が、喫煙機械によって発生されるときに55ミリリットルの容積を有する、エアロゾル発生物品をさらに提供する。
【0318】
本発明の目的のために、「吸煙」は、加熱に伴いエアロゾル発生基体から放出され、分析のために収集されるエアロゾルの容積として定義され、エアロゾルの吸煙は、喫煙機械によって発生される55ミリリットルの吸煙容積を有する。したがって、エアロゾルの「吸煙」に対する本明細書の任意の言及は、別途記載されない限り、55ミリリットルの吸煙を指すものと理解される。示した範囲は、エアロゾルの55ミリリットルの吸煙で測定された各成分の総量を定義する。エアロゾルは、任意の適切な手段を使用してエアロゾル発生基体から発生されてもよく、エアロゾル内の特徴的な化合物を識別し、その量を測定するために、上述のように閉じ込められて分析され得る。例えば、「吸煙」は、本明細書に記載のカナダ保健省の試験方法で用いられるものなどの喫煙機械で測定される55ミリリットルの吸煙に対応し得る。
【0319】
上記に定義される通り、本発明はまた、タイム粒子、エアロゾル形成体および結合剤を含む均質化した植物材料から形成されるエアロゾル発生基体も提供し、エアロゾル発生基体が、乾燥重量基準で基体1グラム当たり少なくとも400マイクログラムのウルソール酸、および乾燥重量基準で基体1グラム当たり少なくとも150マイクログラムのチモールを含み、基体1グラム当たりのウルソール酸の量は、基体1グラム当たりのチモールの量の少なくとも約2倍である。
【0320】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0321】
実施例1
エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生基体が、均質化したディルシード材料を含み、均質化したディルシード材料が、ディルシード粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含み、エアロゾル発生基体が、
乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも100マイクログラムのカルボンと、
乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも2マイクログラムのリモネンと、を含む、エアロゾル発生物品。
実施例2
基体1グラム当たりのカルボンの量が、基体1グラム当たりのリモネンの量の50倍以下である、実施例1に記載のエアロゾル発生物品。
実施例3
エアロゾル発生基体が、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり100マイクログラム~4500マイクログラムのカルボンを含む、実施例1または実施例2に記載のエアロゾル発生物品。
実施例4
エアロゾル発生基体が、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり2マイクログラム~200マイクログラムのリモネンを含む、実施例1~実施例3のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例5
試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、
乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも20マイクログラムのカルボンと、
乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも2マイクログラムのリモネンと、を含むエアロゾルが発生され、
基体1グラム当たりのエアロゾル中のカルボンの量が、基体1グラム当たりのエアロゾル中のリモネンの量の10倍以下である、実施例1~4のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例6
試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大で1500マイクログラムのカルボンを含むエアロゾルが発生される、実施例5に記載のエアロゾル発生物品。
実施例7
試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり最大で300マイクログラムのリモネンを含むエアロゾルが発生される、実施例5または実施例6に記載のエアロゾル発生物品。
実施例8
試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、基体1グラム当たり0マイクログラムのニコチンを含むエアロゾルが発生する、実施例5~実施例7のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例9
カナダ保健省の機械式喫煙レジメン下で、THS2.2ホルダーでのエアロゾル発生基体の加熱に伴い、
乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも20マイクログラムのカルボンと、
乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも2マイクログラムのリモネンと、を含むエアロゾルが発生され、
基体1グラム当たりのエアロゾル中のカルボンの量が、基体1グラム当たりのエアロゾル中のリモネンの量の10倍以下である、実施例1~4のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例10
均質化したディルシード材料が、乾燥重量基準で、少なくとも2.5重量パーセントのディルシード粒子を含む、実施例1~実施例9のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例11
均質化したディルシード材料が、乾燥重量基準で、最大25重量パーセントのディルシード粒子を含む、実施例1~実施例10のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例12
均質化したディルシード材料が、乾燥重量基準で、最大65重量パーセントのディルシード粒子を含む、実施例1~実施例11のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例13
均質化したディルシード材料が、乾燥重量基準で、最大で約75重量パーセントのたばこ粒子をさらに含む、実施例1~実施例12のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例14
均質化したディルシード材料が、たばこ粒子をさらに含み、ディルシード粒子のたばこ粒子に対する重量比が、1:4以下である、実施例1~実施例13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例15
均質化したディルシード材料が、乾燥重量基準で、5重量パーセント~20重量パーセントのディルシード粒子と、55重量パーセント~70重量パーセントのたばこ粒子と、を含む、実施例13または実施例14に記載のエアロゾル発生物品。
実施例16
均質化したディルシード材料が、実質的にゼロのニコチンを含む、実施例1~実施例15のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例17
エアロゾル発生基体が、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも0.1ミリグラムのニコチンをさらに含む、実施例1~実施例15に記載のエアロゾル発生物品。
実施例18
エアロゾル発生基体が、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり1ミリグラム~20ミリグラムのニコチンを含む、実施例17に記載のエアロゾル発生物品。
実施例19
ディルシード粒子が、約200ミクロン以上のD95値~約900ミクロン以下のD95値を有する、実施例1~実施例18のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例20
ディルシード粒子が、約10ミクロン以上のD5値~約50ミクロン以下のD5値を有する、実施例1~実施例19のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例21
ディルシード粒子が意図的に粉砕されている、実施例1~実施例20のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例22
100パーセントのディルシード粒子の直径が、300ミクロン以下である、実施例1~実施例21のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例23
均質化したディルシード材料が、最大で75重量パーセントの粒子状植物材料を含み、粒子状植物材料がディルシード粒子を含む、実施例1~実施例22のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例24
均質化したディルシード材料が、乾燥重量基準で、5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する、実施例1~実施例23のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例25
結合剤が、例えば、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガムおよびローカストビーンガムなどのガム、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース系結合剤、例えば、デンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウムなどの有機酸の共役塩基塩、寒天、ペクチンなどの多糖類、ならびにこれらの組み合わせから選択される、実施例1~実施例24のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例26
均質化したディルシード材料が、乾燥重量基準で、1重量パーセント~10重量パーセントの結合剤を含む、実施例1~実施例25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例27
結合剤がグアーガムを含む、実施例1~実施例26のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例28
結合剤が、セルロースエーテルを含み、均質化したディルシード材料が、約2重量パーセント~約10重量パーセントのセルロースエーテルを含む、実施例1~実施例26のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例29
均質化したディル材料が、ディルシード粒子に由来しない追加のセルロースをさらに含み、追加のセルロースが、セルロース粉末およびセルロース繊維のうちの少なくとも一つを含む、実施例EX28に記載のエアロゾル発生物品。
実施例30
均質化したディルシード材料における追加のセルロース材料のセルロースエーテルに対する比が、少なくとも2である、実施例29に記載のエアロゾル発生物品。
実施例31
均質化したディル材料が、乾燥重量基準で、2.5重量パーセント~75重量パーセントのディルシード粒子、乾燥重量基準で、15重量パーセント~55重量パーセントのエアロゾル形成体、乾燥重量基準で、2重量パーセント~10重量パーセントのセルロースエーテル、および乾燥重量基準で、3重量パーセント~50重量パーセントの追加のセルロースを含む、実施例29または実施例30に記載のエアロゾル発生物品。
実施例32
均質化したディルシード材料が、繊維をさらに含む、実施例1~実施例31のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例33
繊維が400マイクロメートル超の長さを有する、実施例32に記載のエアロゾル発生物品。
実施例34
繊維が、エアロゾル発生基体の乾燥重量に基づいて、約2重量パーセント~約15重量パーセントの量で存在する、実施例32または実施例33に記載のエアロゾル発生物品。
実施例35
繊維が、エアロゾル発生基体の乾燥重量に基づいて、少なくとも30重量パーセントの量で存在する、実施例32または実施例33に記載のエアロゾル発生物品。
実施例36
均質化したディルシード材料が、ディルシード粒子と、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体と、約1重量パーセント~約10重量パーセントの結合剤と、を含む、実施例1~実施例35のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例37
均質化したディルシード材料が、約2重量パーセント~約15重量パーセントの繊維をさらに含む、実施例36に記載のエアロゾル発生物品。
実施例38
結合剤がグアーガムである、実施例36または実施例37に記載のエアロゾル発生物品。
実施例39
均質化したディルシード材料が、一つ以上のシートの形態である、実施例1~実施例38のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例40
一枚以上のシートのそれぞれが、100マイクロメートル~600マイクロメートルの厚さを有する、実施例39に記載のエアロゾル発生物品。
実施例41
一枚以上のシートのそれぞれが、100g/m2~300g/m2のグラム数を有する、実施例39に記載のエアロゾル発生物品。
実施例42
一つ以上のシートのそれぞれが、0.3 g/cm3 ~1.3 g/cm3の密度を有する、実施例39~実施例41に記載のエアロゾル発生物品。
実施例43
一枚以上のシートのそれぞれが、50N/m~400N/mの横方向のピーク時の引張強さを有する、実施例39~実施例42のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例44
一枚以上のシートのそれぞれが、100N/m~800N/mの機械方向のピーク時の引張強度を有する、実施例39~実施例43のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例45
一枚以上のシートが、一つ以上のシート集合体の形態である、実施例39~実施例44のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例46
均質化したディルシード材料が、複数のストランドの形態である、実施例1~実施例38のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例47
ストランドの幅が少なくとも0.2mmである、実施例46に記載のエアロゾル発生物品。
実施例48
複数のストランドが、長手方向軸と整列して、実質的に長手方向にエアロゾル発生基体の長さに沿って延在する、実施例46または実施例47に記載のエアロゾル発生物品。
実施例49
複数のストランドがそれぞれ、平方ミリメートル当たり少なくとも0.02ミリグラムの質量対表面積比を有する、実施例46、実施例47または実施例48に記載のエアロゾル発生物品。
実施例50
エアロゾル発生基体中の均質化したディルシード材料が、キャストリーフの形態である、実施例1~実施例49のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例51
エアロゾル発生基体中の均質化したディルシード材料が、ディルシード紙の形態である、実施例1~実施例49のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例52
試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、エアロゾル発生基体から発生するエアロゾルが、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.5マイクログラムの量のカルボンと、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.05マイクログラムの量のリモネンと、を含み、
エアロゾルの吸煙が、喫煙機械によって発生されるときに55ミリリットルの容積を有し、エアロゾルの吸煙当たりのカルボンの量が、エアロゾルの吸煙当たりのリモネンの量の10倍以下である、実施例1~実施例51のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例53
エアロゾル発生基体を備えるエアロゾル発生物品であって、均質化したディルシード材料を含むエアロゾル発生基体が、ディルシード粒子と、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体と、約1重量パーセント~約10重量パーセントの結合剤と、を含む、エアロゾル発生物品。
実施例54
均質化したディルシード材料が、精油、好ましくはディルシード精油をさらに含む、実施例53に記載のエアロゾル発生物品。
実施例55
均質化したディルシード材料が、たばこ粒子をさらに含む、実施例53または実施例54に記載のエアロゾル発生物品。
実施例56
均質化したディルシード材料が、乾燥重量基準で、少なくとも2.5重量パーセントのディルシード粒子を含む、実施例53~実施例55のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例57
ディルシード粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含む、均質化したディルシード材料を含む、エアロゾル発生基体であって、エアロゾル発生基体が、
乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも100マイクログラムのカルボンと、
乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも2マイクログラムのリモネンと、を含み、基体1グラム当たりのカルボンの量が、基体1グラム当たりのリモネンの量の50倍以下である、エアロゾル発生基体。
実施例58
エアロゾル発生システムであって、
発熱体を備えるエアロゾル発生装置と、
実施例1~56のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
実施例59
発熱体が、エアロゾル発生基体の中に挿入されるように適合されたヒーターブレードである、実施例58に記載のエアロゾル発生システム。
実施例60
エアロゾルが、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.5マイクログラムの量のカルボンと、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.05マイクログラムの量のリモネンと、を含み、
エアロゾルの吸煙が、喫煙機械によって発生されるときに55ミリリットルの容積を有し、基体の1グラム当たりのカルボンの量が、基体の1グラム当たりのカルボンの量の10倍以下である、実施例57に記載のエアロゾル発生基体の加熱に伴って生成されるエアロゾル。
実施例61
エアロゾル発生基体を作製する方法であって、
ディルシード粒子、水、エアロゾル形成体、結合剤、および随意にたばこ粒子を含む、スラリーを形成する工程と、
スラリーをシートまたはストランドの形態でキャスティングまたは押出成形する工程と、
シートまたはストランドを摂氏80度~160度で乾燥させる工程と、を含む、方法。
実施例62
スラリーを支持面上にキャストし、乾燥させて、キャストリーフのシートを形成する、実施例60に記載の方法。
実施例63
エアロゾル発生基体を作製する方法であって、
ディルシード粒子、水、および随意にたばこ粒子を含む希釈懸濁液を形成する工程と、
懸濁液を不溶性部分および液体抽出物に分離する工程と、
不溶性部分をシートに形成する工程と、
液体抽出物を濃縮し、濃縮液体抽出物をシートに加えて、ディルシード紙を形成する工程と、を含む、方法。
【0322】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0323】
図1図1は、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第一の実施形態を図示する。
図2図2は、エアロゾル発生物品および電気発熱体を含むエアロゾル発生装置を備えたエアロゾル発生システムを図示する。
図3図3は、エアロゾル発生物品および可燃性発熱体を含むエアロゾル発生装置を備えたエアロゾル発生システムを図示する。
図4図4aおよび4bは、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第二の実施形態を図示する。
図5図5は、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第三の実施形態を図示する。
図6図6a、6bおよび6cはそれぞれ、エアロゾル修飾要素をさらに含むフィルター1050の断面図である。図6aは、フィルタープラグ内の球状のカプセルまたはビーズの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。図6bは、フィルタープラグ内のスレッドの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。図6cは、フィルター内の空洞内の球状のカプセルの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。
図7図7は、細長いサセプタ要素をさらに含むエアロゾル発生基体1020のプラグの断面図である。
図8図8は、特徴的な化合物を測定するために分析されるエアロゾルサンプルを収集するための実験セットアップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0324】
図1は、本明細書に記載の基体を含む加熱式エアロゾル発生物品1000を図示する。物品1000は、エアロゾル発生基体1020と、中空のセルロースアセテートチューブ1030と、スペーサー要素1040と、マウスピースフィルター1050という四つの要素を備える。これら四つの要素は順に同軸の配置で並べられ、紙巻たばこ用紙1060によって組み立てられ、エアロゾル発生物品1000を形成する。物品1000は口側の端1012を有し、ユーザーは使用中にその端を口の中に挿入し、遠位端1013は口側の端1012に対して物品の反対側の端に位置する。図1に図示したエアロゾル発生物品の実施形態は、エアロゾル発生基体を加熱するためのヒーターを備えた電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するのに特に適切である。
【0325】
組み立てられた時、物品1000は長さ約45ミリメートルであり、約7.2ミリメートルの外径と約6.9ミリメートルの内径を持つ。
【0326】
エアロゾル発生基体1020は、タイム粒子を含む均質化したタイム材料のシートから形成されるプラグを、単独でまたはたばこ粒子と組み合わせて含む。
【0327】
エアロゾル発生基体1020を形成するための好適な均質化したタイム材料のいくつかの例が、以下の表1に示されている(サンプルA~Dを参照)。シートを集合、捲縮して、フィルターペーパー(図示せず)で巻いてプラグを形成する。シートは、エアロゾル形成体としてのグリセリンを含む添加物を含む。
【0328】
図1に図示したエアロゾル発生物品1000は、消費されるためにエアロゾル発生装置と係合するように設計されている。こうしたエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生基体1020を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成する手段を含む。一般に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生基体1020に隣接したエアロゾル発生物品1000を囲む発熱体、またはエアロゾル発生基体1020に挿入される発熱体を備えうる。
【0329】
エアロゾル発生装置と係合されると、ユーザーは喫煙物品1000の口側の端1012を吸い、エアロゾル発生基体1020が摂氏約375度の温度に加熱される。この温度にて、揮発性化合物がエアロゾル発生基体1020から放出される。これらの化合物は凝縮されてエアロゾルを形成する。エアロゾルはフィルター1050を通して引き出され、ユーザーの口に入る。
【0330】
図2は、エアロゾル発生物品1000のエアロゾル発生基体1020を加熱するための加熱用ブレード2100を利用した電気的に作動するエアロゾル発生システム2000の一部を図示する。加熱用ブレードは、電気的に動作するエアロゾル発生装置2010のエアロゾル物品受入れチャンバー内に取り付けられる。エアロゾル発生装置は、空気がエアロゾル発生物品1000に流れるようにするための複数の空気穴2050を画定する。空気の流れは、図2の矢印で示されている。エアロゾル発生装置は電源および電子部品を含むが、図2では図示されていない。図2のエアロゾル発生物品1000は、図1に関して説明した通りである。
【0331】
図3に示される代替的な構成では、エアロゾル発生システムは、可燃性発熱体と共に示されている。図1の物品1000はエアロゾル発生装置と併せて消費されることが意図されるが、図3の物品1001は、点火して熱をエアロゾル発生基体1020に伝達させて吸入可能なエアロゾルを形成しうる可燃性熱源1080を含む。可燃性熱源80は、ロッド11の遠位端13でエアロゾル発生基体に近接して組み立てられる木炭要素としうる。図1の各要素と本質的に同じ要素には同じ番号が付けられている。
【0332】
図4aおよび4bは、加熱式エアロゾル発生物品4000a、4000bの第二の実施形態を図示する。エアロゾル発生基体4020a、4020bは、タイム粒子を含む粒子状植物材料から形成された第一の下流プラグ4021と、主にたばこ粒子を含む粒子状植物材料から形成された第二の上流プラグ4022とを備える。第一の下流プラグで使用するための好適な均質化したタイム材料を以下の表1にサンプルA~Dのうちの一つとして示す。第二の上流プラグで使用するための好適な均質化したたばこ材料を以下の表1にサンプルEとして示す。サンプルEは、たばこ粒子のみを含み、比較のみを目的として含まれている。
【0333】
各プラグにおいて、均質化した植物材料は、シートの形態であり、シートは、捲縮されて、フィルターペーパー(図示せず)に巻かれる。シートは両方とも、エアロゾル形成体としてのグリセロールを含む添加剤を含む。図4aに示す実施形態において、プラグは、端と端をつないで当接する関係で組み合わされてロッドを形成しており、それぞれ約6mmの長さである。より好ましい実施形態(図示せず)において、第二のプラグは、第一のプラグよりも長いことが好ましく、例えば、2mm長いことが好ましく、3mm長いことがより好ましく、その結果、第二のプラグは、7または7.5mmの長さであり、第一のプラグは5または4.5mmの長さであって、基体中のたばこ粒子とタイム粒子の望ましい比を提供する。図4bでは、セルロースアセテートチューブ支持要素1030は省略されている。
【0334】
図1の物品1000と類似の物品4000a、4000bは、図2に示すヒーターを備える電気的に作動するエアロゾル発生システム2000での使用に特に好適である。図1の各要素と本質的に同じ要素には、同じ番号が付けられている。可燃性熱源(図示せず)が、図3の物品1001の可燃性熱源1080を含む構成に類似した構成において、電気発熱体の代わりに、第二の実施形態で代替的に使用されうることは、当業者に想定されうる。
【0335】
図5は、加熱式エアロゾル発生物品5000の第三の実施形態を図示する。エアロゾル発生基体5020は、ある割合のタイム粒子を含む粒子状植物材料で形成された均質化したタイム材料の第一のシート、および主にキャストリーフたばこを含む均質化したたばこ材料の第二のシートから形成されている、ロッドを備える。
【0336】
第一のシートとして使用するための好適な均質化したタイム材料を以下の表1にサンプルA~Dのうちの一つとして示す。第二のシートとして使用するための適切な均質化したたばこ材料を以下の表1にサンプルEとして示す。サンプルEは、たばこ粒子のみを含み、比較のみを目的として含まれている。
【0337】
第二のシートは第一のシートの上にあり、組み合わされたシートは、捲縮、集合され、少なくとも部分的にフィルターペーパー(図示せず)で巻かれてロッドの一部であるプラグを形成する。両方のシートは、エアロゾル形成体としてのグリセロールを含む添加剤を含む。図1の物品1000と類似の物品5000は、図2に示すヒーターを備える電気的に作動するエアロゾル発生システム2000での使用に特に好適である。図1の各要素と本質的に同じ要素には、同じ番号が付けられている。可燃性熱源(図示せず)が、図3の物品1001の可燃性熱源1080を含む構成に類似した構成において、電気発熱体の代わりに、第三の実施形態で代替的に使用され得ることは、当業者に想定され得る。
【0338】
図6a、6bおよび6cは、エアロゾル修飾要素をさらに含むフィルター1050の断面図である。図6aにおいて、フィルター1050は、球状カプセルまたはビーズ605の形態のエアロゾル修飾要素をさらに備える。
【0339】
図6aの実施形態において、カプセルまたはビーズ605はフィルターセグメント601内に埋め込まれ、フィルター材料603によってすべての側が囲まれている。この実施形態で、カプセルは外部シェルおよび内部コアを備え、その内部コアは液体風味剤を含む。液体風味剤は、フィルターを提供されたエアロゾル発生物品の使用中にエアロゾルを風味付けるためのものである。カプセル605は、例えば消費者による圧迫によってフィルターが外力に供された時に、液体風味剤の少なくとも一部を放出する。図示した実施形態において、カプセルは概して球状であり、液体風味剤を含む実質的に連続した外側シェルを有する。
【0340】
図6bの実施形態において、フィルターセグメント601は、フィルター材料603のプラグと、フィルター1050の長軸方向軸に平行にフィルター材料603のプラグを通して軸方向に延在する中央風味支持スレッド607とを備える。中央風味支持スレッド607は、中央風味支持スレッド607の端部がフィルターセグメント601の端部において見えるように、フィルター材料603のプラグと実質的に同じ長さである。図6bにおいて、フィルター材料603は、セルロースアセテートトウである。中央風味支持スレッド607は、ねじれたフィルタープラグラップから形成され、エアロゾル修飾剤が装填されている。
【0341】
図6cの実施形態において、フィルターセグメント601は、二つ以上のフィルター材料のプラグ603、603’を備える。フィルター材料603、603’のプラグは、エアロゾル発生物品によって提供されるエアロゾルを濾過することができるように、セルロースアセテートから形成される。ラッパー609が周りに巻かれ、フィルタープラグ603、603’を接続する。空洞611の内部には、外部シェルおよび内部コアを含むカプセル605があり、内部コアは液体風味剤を含む。あるいは、カプセルは図6aの実施形態と類似している。
【0342】
図7は、細長いサセプタの細片705をさらに含むエアロゾル発生基体1020の断面図である。エアロゾル発生基体1020は、たばこ粒子およびタイム粒子を含む均質化したタイム材料のシートから形成されるプラグ703を備える。細長いサセプタの細片705は、プラグ703内に埋め込まれており、プラグ703の上流端と下流端との間で長軸方向に延びる。使用中、細長いサセプタ細片705は、上述のように、誘導加熱によって均質化したタイム材料を加熱する。
【実施例
【0343】
図を参照して上述したように、本発明によるエアロゾル発生基体で使用するための均質化した植物材料の異なるサンプルは、表1に示す組成物を有する水性スラリーから調製され得る。サンプルAは、本発明により、タイム粒子のみを含み、たばこ粒子は含まない。サンプルB~Dは、本発明によるタイム粒子およびたばこ粒子を含む。サンプルEは、たばこ粒子のみを含み、比較の目的のためにのみ含まれる。
【0344】
サンプルAは、本発明の第二の好ましい実施形態に従って、セルロース繊維と組み合わせたCMC結合剤で形成される。サンプルAは、100kgのスラリー当たり72.97kgの水を含有する水性スラリーから調製され、残りは表1に示される相対量で成分によって説明される。
【0345】
サンプルB~Dは、本発明の第一の好ましい実施形態に従って、25重量パーセント以下のタイム粒子の量、およびグアーガム結合剤で形成される。サンプルB~Dは、100kgのスラリー当たり78~79kgの水を含有する水性スラリーから調製される。
【0346】
以下の表において、%DWBは、「乾燥重量基準」を指し、この場合、均質化した植物材料の乾燥重量に対して計算された重量パーセントである。タイム粉末は、乾燥タイムから形成されてもよく、これは三重衝撃粉砕によって最終D95=77.3ミクロンに粉砕されてもよい。
【0347】
スラリーを、キャスティングバー(0.6mm)を使用してガラス板上にキャストし、オーブンで7分間摂氏140度にて乾燥させ、次いで第二のオーブンで30秒間摂氏120度にて乾燥させてもよい。
【表1】

【0348】
均質化した植物材料のサンプルA~Eの各々について、均質化した植物材料の単一の連続的なシートからプラグを生成することができ、シートは各々、100mm~130mmの幅を有する。個々のシートは、好ましくは、約220ミクロンの厚さ、および約189g/m2の坪量を有する。各シートのカット幅は約120mmである。シートを165ミクロン~170ミクロンの高さに捲縮し、約12mmの長さおよび約7mmの直径を有するプラグへと丸め、紙ラッパーで囲むことができる。 各プラグにおける均質化した植物材料の重量は約272mgであり、各プラグの総重量は約281mgである。
【0349】
プラグの各々について、約45mmの全長を有するエアロゾル発生物品が、図3に示すような構造を有し、下流端から、口側端セルロースアセテートフィルター(約7mmの長さ)と、ポリ乳酸ポリマーの捲縮したシートを備えるエアロゾルスペーサー(約18mmの長さ)と、中空のアセテートチューブ(約8mmの長さ)と、エアロゾル発生基体のプラグと、を備えて、形成され得る。
【0350】
タイム粒子が粒子状植物材料の100パーセントを占める均質化した植物材料のサンプルAについて、特徴的な化合物を、上記に詳述したメタノールを使用して均質化した植物材料のプラグから抽出した。抽出物を上記のように分析し、特徴的な化合物の存在を確認して、特徴的な化合物の量を測定した。この分析の結果を以下の表2に示すが、ここで示される量は、エアロゾル発生物品あたりの量に対応し、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体は、272mgの均質化した植物材料のサンプルAを含む。
【0351】
比較の目的で、サンプルEを形成するために使用される粒子状植物材料(タイム粒子)中に存在する特徴的な化合物の量も示す。粒子状材料については、示される量は、272mgのサンプルAを含有するエアロゾル発生物品中の粒子状植物材料の総重量に対応する重量を有する粒子状植物材料のサンプル中の特徴的な化合物の量に対応する。
【表2】
【0352】
ある割合のタイム粒子を含む他のサンプルのそれぞれについて、特徴的な化合物の量は、その量がタイム粒子の重量に比例して存在すると仮定することによって、表2の値に基づいて推定することができる。
【0353】
均質化した植物材料のサンプルA~Eから形成されたエアロゾル発生基体を組み込んだエアロゾル発生物品の主流エアロゾルを、上記に定義されるように、試験方法Aに従って発生させることができる。各サンプルについて、生成されたエアロゾルを閉じ込めて分析することができる。
【0354】
上記で詳述するように、試験方法Aに従い、エアロゾル発生物品を、市販されているPhilip Morris Products SAのIQOS(登録商標)加熱非燃焼式装置たばこ加熱システム2.2ホルダー(THS2.2ホルダー)を使用して試験することができる。エアロゾル発生物品を、カナダ保健省の機械式喫煙レジメン下で、吸煙容積55ml、吸煙持続時間2秒、および吸煙間隔30秒による30回の吸煙にわたって加熱する(ISO/TR19478-1:2014に記載するとおり)。
【0355】
喫煙試験中に発生したエアロゾルを、Cambridgeフィルターパッドに収集して液体溶媒で抽出する。図10は、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生および収集するための適切な装置を示している。
【0356】
図10に示すエアロゾル発生装置111は、市販のタバコ加熱装置(IQOS)である。上記に詳述するカナダ保健省の喫煙試験中に発生された主流エアロゾルの内容物は、エアロゾル収集ライン120上のエアロゾル収集チャンバー113に収集される。ガラス繊維フィルターパッド140は、ISO4387およびISO3308に準拠した44mmのCambridgeガラス繊維フィルターパッド(CFP)である。
【0357】
LC-HRAM-MS分析の場合
この場合メタノールおよび内部標準(ISTD)溶液である抽出溶媒170、170aは、各マイクロインピンジャー160、160a中に10mLの容積で存在する。冷浴161、161aはそれぞれ、マイクロインピンジャー160、160aをそれぞれ約-60°Cに維持するためのドライアイス-イソプロピルエーテルを含む。気体‐蒸気相は、マイクロインピンジャー160、160aを通してエアロゾルが泡立つのに伴い抽出溶媒170、170a内に閉じ込められる。二つのマイクロインピンジャーからの組み合わせられた溶液は、工程181において、インピンジャーに閉じ込められた気体-蒸気相溶液180として分離される。
【0358】
CFPおよびインピンジャーに閉じ込められた気体‐蒸気相溶液180は、工程190で清浄なPyrex(登録商標)管に組み合わされる。工程200において、全ての粒子状物質は、十分に振とう(CFPを分解)して5分間攪拌し、最後に遠心分離(4500g、5分、10℃)することによって、インピンジャーに閉じ込められ気体‐蒸気相溶液180(溶媒としてメタノールを含む)を使用して、CFPから抽出される。全ての再構成エアロゾル抽出物220のアリコート(300μL)をシラン処理されたクロマトグラフィーバイアルに移し、メタノール(700μL)で希釈したが、これは抽出溶媒170、170aが既に内部標準(ISTD)溶液を含むためである。バイアルを閉じ、Eppendorf ThermoMixer(5℃、2000rpm)を使用して5分間混合した。
【0359】
化合物識別のために、希釈した抽出物のアリコート(1.5 μL)を注入し、フルスキャンモードおよびデータ依存型フラグメンテーションモードの両方でLC-HRAM-MSにより分析した。
【0360】
GCxGC-TOFMS 分析について:
上述のように、GCxGC-TOFMS実験のためのサンプルを調製する場合、全エアロゾルから分離された極性化合物、非極性化合物、および揮発性化合物の抽出および分析には、異なる溶媒が適切である。実験のセットアップは、以下に示した例外を除き、LC-HRAM-MSのサンプル収集に関して説明したものと同一である。
【0361】
非極性および極性
抽出溶媒171、171aは、10mLの容量で存在し、80:20v/vのジクロルメタンおよびメタノールの混合物であり、同じく保持指標マーカー(RIM)化合物および安定同位体標識内部標準(ISTD)を含む。冷浴162、162aはそれぞれ、マイクロインピンジャー160、160aをそれぞれ約-78°Cに維持するためのドライアイス-イソプロパノール混合物を含む。気体‐蒸気相は、マイクロインピンジャー160、160aを通してエアロゾルが泡立つのに伴い抽出溶媒171、171a内に閉じ込められる。二つのマイクロインピンジャーからの組み合わせられた溶液は、工程182において、インピンジャーに閉じ込められた気体-蒸気相溶液210として分離される。
【0362】
非極性
CFPおよびインピンジャーに閉じ込められた気体‐蒸気相溶液210は、工程190で清浄なPyrex(登録商標)管に組み合わされる。工程200において、全ての粒子状物質は、十分に振とう(CFPを分解)して5分間攪拌し、最後に遠心分離(4500g、5分、10℃)して、エアロゾル抽出物230全体の極性成分および非極性成分を分離することによって、インピンジャーに閉じ込められ気体‐蒸気相溶液210(溶媒としてジクロロメタンおよびメタノールを含む)を使用して、CFPから抽出される。
【0363】
工程250において、エアロゾル抽出物230全体の10mLのアリコート240を取り出した。工程260において、10mLの水のアリコートを添加し、サンプル全体を振とうし、遠心分離する。非極性分画270を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フルスキャンモードでGCxGC-TOFMSにより分析した。
【0364】
極性
ISTDおよび RIM化合物を極性分画280に添加し、これをフルスキャンモードで GCxGC-TOFMS によって直接分析した。
【0365】
各喫煙複製(n=3)は、各サンプルについて、閉じ込められた再構成非極性分画の270および非極性分画280の蓄積を含む。
【0366】
揮発性成分
エアロゾル全体を、二つのマイクロインピンジャー160、160aを直列に使用して閉じ込めた。この場合はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)保持指標マーカー(RIM)化合物および安定同位体標識内部標準(ISTD)である抽出溶媒172、172aは、各マイクロインピンジャー160、160a中に10 mLの容積で存在する。冷浴161、161aはそれぞれ、マイクロインピンジャー160、160aをそれぞれ約-60°Cに維持するためのドライアイス-イソプロパノールエーテルを含む。気体‐蒸気相は、マイクロインピンジャー160、160aを通してエアロゾルが泡立つのに伴い抽出溶媒170、170a内に閉じ込められる。二つのマイクロインピンジャーからの組み合わせられた溶液は、工程183において揮発性含有相211として分離される。揮発性含有相211は、他の相とは別個に分析され、さらなる調製を行うことなく、クールオンカラムを用いてGCxGC-TOFMSに直接注入される。
【0367】
以下の表3は、75重量パーセントのタイム粒子を含む、均質化した植物材料のサンプルAを組み込んだエアロゾル発生物品から発生されるエアロゾル中の、タイム粒子からの特徴的な化合物のレベルを示す。比較の目的で、表3はまた、たばこ粒子のみを含む(したがって本発明によらない)均質化した植物材料のサンプルEを組み込んだエアロゾル発生物品から発生されるエアロゾル中の特徴的な化合物のレベルを示す。
【表3】

【0368】
サンプルAから発生されたエアロゾルでは、比較的高いレベルの特徴的な化合物が測定された。ウルソール酸とチモールとの比は1.5超であった。したがって、特徴的な化合物のレベルは、サンプル中のタイム粒子の存在を示した。対照的に、タイム粒子を実質的に含まないたばこのみのサンプルEについては、特徴的な化合物のレベルがゼロであるか、またはほぼゼロであることが見出された。
【0369】
ある割合のタイム粒子を含むサンプルB~Dの各々について、エアロゾル中の特徴的な化合物の量は、その量が、それからエアロゾルが発生されたエアロゾル発生基体におけるタイム粒子の重量に比例して存在すると仮定することによって、表3の値に基づいて推定することができる。
【0370】
以下の表4は、サンプルB(30:70のタイム対たばこの比率)を組み込むエアロゾル発生物品から発生されるエアロゾル中の特定のエアロゾル成分のレベルを、たばこのみのサンプルEから発生されるエアロゾルと比較する。示される減少は、サンプルEの均質化した材料中のたばこ粒子の30パーセントをタイム粒子で置き換えることによってもたらされる減少パーセントである。
【表4】

【0371】
表4に示すように、粒子状植物材料の乾燥重量基準で30重量パーセントのタイム粒子を含有するサンプルBから生成されたエアロゾルは、サンプルEから生成されたエアロゾルと比較した場合に、いくつかの望ましくないエアロゾル化合物のレベルが低減する結果となった。例えば、ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アントラセンおよびジベンズ[a,h]アントラセンピレンを含む、いくつかの多環式芳香族炭化水素(PAH)のレベルにおいて顕著な低下が見られた。フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、およびm_p-クレゾール、ならびにイソプレンおよび1,3ブタジエンを含むいくつかのフェノール化合物のレベルのいても顕著な低下が見られた。
【0372】
ほとんどの場合、これらの望ましくないエアロゾル化合物のレベルの減少は、たばこ粒子の30パーセントをタイム粒子に置き換えた結果として予想される割合の減少よりも著しく大きい。したがって、タイム粒子とたばこ粒子の組み合わせは、これらの化合物のレベルにおける予想外に高い減少をもたらす。したがって、タイム粒子の含有は、エアロゾル中の特定の望ましくない化合物のレベルを低減する一方、感覚的特性が改善されたエアロゾルを提供することができる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8
【国際調査報告】