(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ヒト血漿由来免疫グロブリンMを含む組成物を得るための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230721BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230721BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230721BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230721BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230721BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230721BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230721BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230721BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20230721BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61K39/395 X
A61P31/04
A61P37/06
A61P29/00
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/10
C07K16/00
C07K1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580198
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2021069000
(87)【国際公開番号】W WO2022008658
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515116009
【氏名又は名称】グリフォルス・ワールドワイド・オペレーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRIFOLS WORLDWIDE OPERATIONS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Grange Castle Business Park,Grange Castle,Clondalkin,Dublin 22,IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイルズ・リンジィ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ピー・ジマーマン
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ウォズニチャク
(72)【発明者】
【氏名】ディーパ・シン
(72)【発明者】
【氏名】エリン・ロメス
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア・オルロヴァ
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・シルバースタイン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC32
4C076DD51
4C076EE23F
4C076FF70
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB37
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA24
4H045GA26
(57)【要約】
(a)IgMのPEG沈殿の工程と、(b)沈殿したIgMの再懸濁の工程と、(c)吸着クロマトグラフィーを行う工程と、(d)同種凝集素A/Bを除去する工程と、(e)ナノろ過の工程と、(f)限外ろ過/ダイアフィルトレーションの工程とを含む、ヒト血漿由来免疫グロブリンM(IgM)の組成物を調製するための方法。本組成物を調製するための方法において、沈殿工程a)は、好ましくは、4.5から6.5の間のpHで行われ、PEGは、好ましくは、5(w/v)から11%(w/v)の間の濃度である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト血漿由来免疫グロブリンM(IgM)の組成物を調製するための方法であって、
a)前記IgMのPEG沈殿の工程と、
b)前記沈殿したIgMの再懸濁の工程と、
c)吸着クロマトグラフィーを行う工程と、
d)同種凝集素A/Bを除去する工程と、
e)ナノろ過の工程と、
f)限外ろ過/ダイアフィルトレーションの工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記沈殿工程a)が、4.5から6.5の間のpHで行われる、請求項1に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項3】
前記PEGが、5(w/v)から11%(w/v)の間の濃度である、請求項1又は2に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項4】
前記吸着クロマトグラフィーが、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィーである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項5】
前記セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィーの添加液が、0.5から2.0MのNaClを含む、請求項4に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項6】
前記セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィーの洗浄液が、尿素を1Mから4Mの間の濃度で含む、請求項4又は5に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項7】
同種凝集素A/Bを除去する前記工程d)が、リガンドとしてA/Bオリゴ糖を使用したアフィニティークロマトグラフィーによって行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項8】
同種凝集素A/Bを除去する前記工程d)が、リガンドとしてオリゴ糖Aを含む少なくとも1つ、及びリガンドとしてオリゴ糖Bを含む少なくとも1つの、少なくとも2つのアフィニティカラムを連続して使用して行われるか、又は工程d)は、リガンドとしてオリゴ糖A及びオリゴ糖Bを含む混合物を含む少なくとも1つのアフィニティカラムを使用して行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項9】
前記ナノろ過工程e)が、35nm以上の平均孔サイズのフィルターを通して行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項10】
前記ナノろ過工程e)が、6.0から9.0の間のpHの少なくとも0.5MのアルギニンHClを含むバッファーを使用して行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項11】
前記最初の限外ろ過濃縮工程が、4.5から5.0の間のpHで、ポリソルベート80の存在下において行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項12】
前記ダイアフィルトレーション工程が、約3.8から約4.8のpHのコハク酸バッファー又はアミノ酸を含むコハク酸バッファーを用いて行われる、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項13】
前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、プロリン、バリン、若しくはヒドロキシプロリン、又はそれらの混合物である、請求項12に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項14】
保存安定な液体組成物であって、
i)前記組成物の総タンパク質含有量の少なくとも90質量%である、約1.5%から約5%w/vのポリクローナルIgMと、
ii)グリシン、アラニン、プロリン、バリン、又はヒドロキシプロリン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約0.15Mから約0.45Mの濃度のアミノ酸と、
iii)約3.8から約4.8のpHと、
iv)ポリソルベート80(PS80)及びポリソルベート20(PS20)から選択される界面活性剤と
を含み、
実質的に同種凝集素A及び同種凝集素Bが欠乏しており、前記組成物中で≧1200kDaの分子量を有するIgM凝集体の含有量が、高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって決定された場合に、前記総タンパク質(免疫グロブリン)含有量の10質量%以下のままであるように2から5℃で保存されたとき、液体形態で少なくとも24か月間安定である、組成物。
【請求項15】
前記IgMが、約2%から約3%w/vである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
IgGを約0.1%w/v未満の濃度で更に含む、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項17】
IgGを更に含み、前記IgGが、前記総タンパク質濃度の1質量%未満である、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
IgAを約0.15%w/v未満の濃度で更に含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
IgAを更に含み、前記IgAが、前記総タンパク質濃度の3質量%未満である、請求項14から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記アミノ酸が、グリシンである、請求項14から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記グリシンの濃度が、約0.2Mから約0.3Mである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも24か月間安定である、請求項14から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリクローナルIgMが、ヒト血漿由来IgMである、請求項14から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記pHは、4.0から4.4である、請求項14から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記IgM凝集体は、前記組成物の前記総タンパク質含有量の10質量%以下のままである、請求項14から24のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬品の分野に関する。本明細書中の特定の実施形態は、多くの治療適応症に使用することが可能な免疫グロブリンM(IgM)を含む組成物を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のヒト血漿は、相当な量のIgMを含むため、治療用調製物の生成によりこれらのIgMの治療的可能性を利用することが実用的で、経済的に実行可能であり得る。実際に、総免疫グロブリン含有量のうちの12%がIgMであると報告されているIgMが豊富な免疫グロブリン調製物であるPentaglobinは、患者の敗血症と関連する感染症、及び移植拒絶反応を処置するため、並びに実験モデルにおける特定の炎症状態に首尾よく使用されてきた。そのような調製物はまた、自己免疫疾患の患者で生じる感染症と闘うために恩恵をもたらす場合もある。
【0003】
ヒトへの投与に適した血漿由来ポリクローナルIgM医薬組成物は、他の適応症も考えられ得るが、未だに対処されていない臨床的に必要な領域である全身的な抗生剤耐性菌感染症(菌血症)を処置するために使用することができる。IgMは、主にジスルフィド結合によって結合した5つの同一のIgMモノマーサブユニットから構成されるペンタマーの形態で血漿中を循環する。
【0004】
IgM医薬組成物が普及していないのは、治療的使用に適した濃度の純粋なIgM溶液を生成することに関連する困難さのためである可能性が最も高い。更に、タンパク質のサイズ(IgGの分子量の>6倍)及び自己会合して、不活性であるか、又は場合によって患者に免疫原性若しくは他のリスクを与える可能性のある更に高分子量の種になる傾向によって精製は複雑である。これらの医薬組成物のポリクローナルの性質は、異なるレベルの溶解度が、異なるIgM集団と関連する場合もある、抗体の均一性の欠如のため更に大きな難題をもたらす。更に、IgMは血液型不適合による凝集/溶血と最も関連する抗体であるため、赤血球(RBC)の表面にある血液型A及びB抗原と結合するIgMのレベルが低減されなければならない。
【0005】
IgM医薬組成物に求められる特徴としては、高純度(IgM含有量>97%)、臨床的に関連する細菌抗原に対する特異的結合親和性及び補体を活性化する能力の両方によって測定される高い活性、低い同種凝集素価(isoagglutinin titer)、非特異的に補体を活性化する最小限の能力、並びにこの文脈ではペンタマーよりも大きなサイズの可逆的及び不可逆的な種の両方を含むと定義される、<10%の凝集した種が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑み、上記の欠点を克服するヒト血漿由来IgMを得るためのプロセスを提供する必要性が依然としてある。本発明者らは、このタンパク質と一般に関連する課題を克服するIgM医薬組成物を得るためのプロセスを開発した。プロセス全体をとおして、IgM凝集体のレベルを最小限にするための工程を採用する。これは、多くが精製の過程で遭遇する、IgMが自己会合しやすい条件を理解することによって行われる。これらの条件としては、高いIgM濃度、等電点に近いpH(ポリクローナルヒトIgMに関する範囲は5.5~7.4)への曝露、高い/低いイオン強度及び中性/酸性のpHの特定の組み合わせ並びに機械的応力が挙げられる。更に、IgM自己会合を阻害するため、及び可逆的に自己会合した凝集体を解離させるために、安定剤であるアルギニンがプロセスの特定の工程に加えられる。同種凝集素価に対処するために、この製品はまた、A/B RBC表面抗原と結合するIgMに特異的なアフィニティークロマトグラフィーも取り入れて、安全性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
最終的に、本プロセスは、安全で、高純度、高濃度のポリクローナルIgM製品を可能にする。比較のために、豊富なIgM治療法であることを主張する現在商業的に入手可能な唯一の製品であるPentaglobinは、わずか12%のIgMから構成され、残りの88%は、IgG及びIgAである。この製品の報告されるIgM濃度はおよそ6g/Lである。本発明によって得られる組成物は、免疫比濁法(immunonephelometry)によって評価される場合に少なくとも97%がIgMとなり、<10%の凝集体含有量、及び≧15g/LのIgM濃度を有し、50g/L以上の製品が本記載のプロセスによって実現可能である。
【0009】
本発明のプロセスは、ヒト血漿由来のポリクローナルIgMを精製し、濃縮する工程を含む。単位操作の論理的フローを確保して、工程間の手動介入(pH調節、濃度/希釈、イオン強度調節等)は最低限しか必要としないようにするために努力した。バッファー交換、不純物低減、同種凝集素低減、病原体除去能力及び製剤化専用の単位操作を開発し、実装した。これらの操作は、IgM凝集体の形成を最小限にするよう設計された。本プロセスはまた、存在するそうした凝集体を除去するか、変換してモノペンタマー(mono-pentamer)に戻す工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】PEG沈殿(PEG懸濁)前(ANXストリップ)及び後のSEC-HPLCプロフィールの比較を示すグラフである。高分子量IgM種の減少に注目する。IgG及びIgAの存在量のいくらかの減少も確認されている。分子量のMALS分析評価によってクロマトグラムの領域が特定された。ペンタマーは約930kDaであるが、ジペンタマー(di-pentamer)は約1.8MDaである。更に高分子量凝集体の領域は、比較的多分散であり、ジペンタマーよりも大きな分子量を有する。
【
図2】ダイアフィルトレーション前のIgMの濃縮に対するpHの影響を示すグラフである。a)は濃縮前のSEC-HPLCプロフィール(2mg/mL)を示し、b)は、濃縮後のSEC-HPLCプロフィール(20mg/mL)を示す。
【
図3】25mg/mLに製剤化されたIgMの製剤後のIgMペンタマー含有量に対するUF/DF充填pHの影響を示す図である。
【
図4】精製IgM組成物の還元SDS-PAGEを示す図である。最終製品(製剤化原薬)と比較した出発材料(ANXストリップ)。バンド特定が図に示される。
【
図5】プールされたヒト血漿からIgMを精製するプロセスに関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の態様において、本発明は、ヒト血漿由来免疫グロブリンM(IgM)の組成物を調製するための方法であって、
a)ポリエチレングリコール(PEG)を使用した前記IgMの沈殿の工程と、
b)沈殿したIgMの再懸濁の工程と、
c)吸着クロマトグラフィーの工程と、
d)同種凝集素A/Bを除去する工程と、
e)ナノろ過の工程と、
f)限外ろ過/ダイアフィルトレーションの工程と
を含む方法を示す。
【0012】
一実施形態において、前記沈殿工程a)は、4.5から6.5の間のpHで行われる。
【0013】
一実施形態において、前記PEGは、5%(w/v)から11%(w/v)の間の濃度である。好ましくは、前記PEGは、PEG-3350である。
【0014】
一実施形態において、前記吸着クロマトグラフィーは、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィーである。
【0015】
一実施形態において、セラミックハイドロキシアパタイトCHTの添加液は、NaClを、好ましくは、0.5Mから2.0Mの間の濃度で含む。
【0016】
一実施形態において、セラミックハイドロキシアパタイトCHTの洗浄液は、尿素を、好ましくは、1Mから4Mの間の濃度で含む。
【0017】
一実施形態において、同種凝集素A/Bを除去する前記工程d)は、リガンドとしてA/Bオリゴ糖を使用したアフィニティークロマトグラフィーによって行われる。
【0018】
一実施形態において、同種凝集素A/Bを除去する前記工程d)は、リガンドとしてオリゴ糖Aを含む少なくとも1つ、及びリガンドとしてオリゴ糖Bを含む少なくとも1つの、少なくとも2つのアフィニティカラムを連続して使用して行われるか、又は工程d)は、リガンドとしてオリゴ糖A及びオリゴ糖Bを含む混合物を含む少なくとも1つのアフィニティカラムを使用して行われる。
【0019】
一実施形態において、前記ナノろ過工程e)は、35nm以上の平均孔サイズのフィルターを通して行われる。
【0020】
一実施形態において、前記ナノろ過工程e)は、6.0から9.0の間のpHの少なくとも0.5MのアルギニンHClを含むバッファーを使用して行われる。好ましくは、前記ナノろ過工程e)は、7.0から8.0の間のpHの少なくとも0.5MのアルギニンHClを含むバッファーを使用して行われる。
【0021】
一実施形態において、前記最初の限外ろ過濃縮工程は、4.5から5.0の間のpHで、界面活性剤の存在下において行われる。一実施形態において、前記界面活性剤は、ポリソルベート80(PS80)又はポリソルベート20(PS20)である。
【0022】
一実施形態において、前記ダイアフィルトレーション工程e)は、3.8から4.8の間のpHのコハク酸バッファー又はアミノ酸を含むコハク酸バッファーを用いて行われる。
【0023】
一実施形態において、前記アミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、バリン、若しくはヒドロキシプロリン又はそれらの混合物である。
【0024】
別の態様において、本発明は、保存安定な液体組成物であって、
i)組成物の総タンパク質含有量の少なくとも90質量%である、約1.5%から約5%w/vのポリクローナルIgMと、
ii)グリシン、アラニン、プロリン、バリン、又はヒドロキシプロリン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約0.15Mから約0.45Mの濃度のアミノ酸と、
iii)約3.8から約4.8のpHと、
iv)ポリソルベート80(PS80)及びポリソルベート20(PS20)から選択される界面活性剤と
を含み、
実質的に同種凝集素A及び同種凝集素Bが欠乏しており、組成物中で≧1200kDaの分子量を有するIgM凝集体の含有量が、高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって決定された場合に、総タンパク質(免疫グロブリン)含有量の10質量%以下のままであるように2から5℃で保存されたとき、液体形態で少なくとも24か月間安定である、組成物を開示する。
【0025】
一実施形態において、前記界面活性剤の濃度は、20ppm超である。
【0026】
一実施形態において、前記IgMの濃度は、約2.0%から約3.0%w/vである。
【0027】
一実施形態において、前記組成物は、IgGを約0.1%w/v未満の濃度で更に含む。
【0028】
一実施形態において、前記組成物は、IgGを更に含み、IgGは、総タンパク質濃度の1質量%未満である。
【0029】
一実施形態において、前記組成物は、IgAを約0.15%w/v未満の濃度で更に含む。
【0030】
一実施形態において、前記組成物は、IgAを更に含み、IgAは、総タンパク質濃度の3質量%未満である。
【0031】
一実施形態において、前記アミノ酸は、グリシンである。
【0032】
一実施形態において、グリシンの濃度は、約0.2Mから約0.3Mである。
【0033】
一実施形態において、前記組成物は、少なくとも24か月間安定である。
【0034】
一実施形態において、ポリクローナルIgMは、ヒト血漿由来IgMである。
【0035】
一実施形態において、pHは、4.0から4.4である。
【0036】
一実施形態において、IgM凝集体は、組成物の総タンパク質含有量の10質量%以下のままである。
【0037】
本発明のプロセスにおいて、使用される出発材料は、異なるソース由来であってもよい。例えば、本記載のIgMプロセスのための原材料は、連続して操作される2つのGamunexプロセス(米国特許第6,307,028号に記載されているとおり)アニオン交換クロマトグラフィーカラム(Qセファロース又はANXセファロース)のいずれかからのカラムストリップであってもよい。このプロセスにおいて、IgGは、言及された特許に記載されているとおり、Grifols社血漿分画プロセスにならって生成された画分II+IIIペーストから精製される。簡単に言えば、アニオン交換カラム素通り画分中のIgGを回収後、ほぼ排他的に免疫グロブリン(IgM、IgG及びIgA)である結合したタンパク質は、pH5.2の0.5Mの酢酸ナトリウムを含むバッファーを適用することによって溶出される。カラムは、別々に取り除かれ、いずれか又は両方の画分がIgMを精製するために更に処理されてもよい。3つの免疫グロブリンのそれぞれの存在比は、2つのカラムストリップ間で著しく異なる。
【0038】
Gamunexカラムアニオン交換ストリップが回収されるバッファー環境(高酢酸塩)のため、バッファー交換は、次のセラミックハイドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィーの前が望ましい。CHTカラムは、時間とともに樹脂の性能を劣化させることが知られている高濃度の酢酸塩とは適合しない。更に、アニオン交換カラムはIgM精製に最適化されていないため、カラムストリップ中のIgMが中程度に自己会合する傾向があり、>10%の高分子量IgM種を含むことが多い。迅速で効率的なバッファー交換を実現するため及びIgMペンタマー組成物を改善するために、IgMは、7.0%から11%(目標10%)(w/w)のポリエチレングリコール(PEG)-3350への添加によってやや酸性のpH(5~6)で沈殿させる。IgMは、1時間未満で完全に沈殿する。沈殿したIgMは、0.5%のろ過助剤の存在下における深層ろ過又は遠心分離によって回収される。収集された沈殿物は、回収され、凍結保存されるか、又はすぐに処理されてもよい。一般に、深層ろ過によって回収されたIgMは、その後、CHTカラム操作及び最大のIgM溶解度と適合したバッファー溶液を、デプスフィルターに通して≦30分再循環させることによって急速に再可溶化される。使用されるバッファーの体積(一般に出発材料の体積の半分)は、CHTカラム充填の体積を最小限にすると同時にIgMの過剰濃縮にならないよう選択される。このバッファーは、5mMのリン酸ナトリウム、20mMのトリス、1MのNaCl、pH8.0を含む。より一般的なUF/DFの代わりにバッファー交換にPEG沈殿を使用することにより、ポンピング及び混合が最低限にされるため、タンパク質の穏やかな処置、並びにIgM凝集が最も顕著なpH環境(ポリクローナルIgMのpI範囲:pH5.5~7.4)を通る急速な移行が可能になる。生じたIgMは、ほぼ排他的にモノペンタマーの形態であり、それより大きなIgM種は検出されない(Table 1(表1)を参照)。主に、これらの沈殿条件下では部分的に可溶性のままであるIgGの減少によって、いくらか限定されたIgMの精製もこの工程により生じる。このPEG沈殿/可溶化方法による凝集した免疫グロブリン種の除去は、大まかな調査によれば文献で報告されていなかった。
【0039】
Table 1(表1)は、PEGによる沈殿及び再可溶化の前及び後の両方のIgMプロフィールを示す。括弧内の値は、全IgM含有量と比較した異なるIgM種の算出パーセンテージであり、IgMペンタマー未満の分子量を有する種、主にIgG及びIgAは含まない。データは、4つの臨床スケールプロセスのランの平均を表す。MALS分析によって凝集体であるジペンタマー及びペンタマーが特定されている。
【0040】
【0041】
不純物からのIgMの分離に影響を及ぼす第一の工程は、セラミックハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーである。ポリクローナル血漿由来IgMがこの樹脂に対して高い親和性を有することがわかり、存在するすべてのアイソフォームがCa2+メカニズムにより結合すると考えられた。最大の結合能力及びIgM溶解度を可能にするため、並びに操作を単純にするために、IgMは、高塩環境(1MのNaCl)に入れられる。ハイドロキシアパタイトとの相互作用の性質がイオン性のようであるため、この溶液中のIgGはほとんど樹脂と結合しない。IgAも、この条件下ではほとんど結合するようである。IgM及びIgAは、類似のリン酸濃度で樹脂から溶出するため、リン酸バッファーグラジエント又はイソクラティック溶出を使用してこの2つのタンパク質を分離することは実現不可能であった。IgA及び残存IgGを取り去るために、カラムをpH8.0の5mMのリン酸ナトリウム、1MのNaCl、2Mの尿素を含む溶液で洗浄する。この精製が影響されるメカニズムはわかっていないが、尿素による部分的な変性又はIgM及びIgAの非共有結合複合体の解離によるIgAのCa2+結合部分の摂動の結果であると考えられる。しかしながら、IgMは、これらの条件下では樹脂に完全に結合したままであるため、尿素による溶出に抵抗性があるようである。更に高い濃度の尿素(最大4M)を試験したが、IgMは、依然として樹脂とかなりの結合を維持していた。しかしながら、ほんの軽微な精製の改善しか達成されないため、>2Mの尿素濃度における更なるIgM収率低下により、その使用を正当化するには不十分だと考えられた。洗浄されたら、カラムは、次に0.25Mのリン酸ナトリウム、pH8.0を用いてイソクラティックに溶出される。>5g/Lへの大幅な濃縮にもかかわらず、IgMは、Table 5(表5)に示されるとおり凝集体を本質的に含まないままである。
【0042】
IgMは、血液型不適合による赤血球(RBC)溶血に最も関与する抗体である。血漿プールはドナーの血液型によって区別されていないため、血液型A/B抗原と結合するIgM抗体の存在量を低減する必要がある。本発明のIgM組成物における同種凝集素価は、A/Bオリゴ糖が表面に固定された樹脂に生成物を適用することによって低減される。本発明の方法は既にIgG製品に首尾よく適用されているが、ポリクローナル血漿由来IgMに対しては報告されていない。抗A又はB樹脂のいずれかが充填されたカラムは、連続してランされ、この場合、プロセスの流れが、第1のカラムに適用され、第1のカラムからの素通り画分が直接第2に適用される。カラムは、確実にIgMの凝集体(この場合、結合部位が遮蔽され得るであろう)が最小限にされることを含む、同種凝集素結合が最適な条件下でランされる。これらの条件は、低濃度(<10mg/mL)で、約2~25℃の間の、やや塩基性のpH(8~9)のサンプルを適用することを含む。例として、フローサイトメトリーによって測定される抗A力価は、この方法により4~6分の1に低減される(Table 2(表2))。なお、これら2つの樹脂は混合され、単一のカラムに充填されてもよく、同様の結果が得られる。
【0043】
Table 2(表2)は、4ランの同種凝集素アフィニティカラムによる同種凝集素A力価の低下を示す。力価は、IgM特異的フローサイトメトリーによって測定される。
【0044】
【0045】
サイズが大きいため、IgMは、ナノろ過するのが難しいことが証明された。1つのIgMペンタマーは多くのウイルスよりも大きく、小さな孔のナノフィルターによるろ過には適さない。IgMのマルチマーは、弱く結合し、可逆的であっても、急速にフィルターを塞ぎ、流れを動かなくするため、より大きな孔のデバイス(35nm以上)も問題があることが証明された。これは、処理の間に一般に遭遇するIgM濃度(>0.5mg/mL)でナノろ過を妨げる。この問題に対処するために、ナノフィルター充填のバッファー環境を変える必要がある。大きな分子のナノろ過を助けるために、タンパク質相互作用を妨げる薬剤が使用されてもよく、それは、IgMに関して成功することが証明された。高濃度(≧1M)で中性に近いpH(7~8)のアルギニンHClが、Asahi Kasei社Planova 35Nナノフィルターの能力をナノフィルター面積1m2当たり>400gのIgMに高めるのに有効であり、最大2g/LのIgM濃度における流量を著しく改善した。それより低いアルギニン濃度(<0.5M)又は低いpH(4.4)では、ろ過特性の同じ改善は観察されなかった。
【0046】
アルギニンの添加の更なる利点は、IgMの高分子量形態の含有量に対するプロセスの強さにさらなる確実性をもたらすことである。pH6~9の1Mのアルギニンは、通常の処理の間に生成される大半の可逆的なIgM凝集体を解離させるのに十分であり、それにより、安定化させ、最終製剤用の組成物を調製する。
【0047】
IgMは、安定させるのが困難な分子であり、とりわけ、高濃度で精製された場合又は機械的応力にさらされた場合に、自己会合する傾向が知られている。これらのすべての条件が、最後のUF/DF及び製剤化の間に広く行われており、精製産物は勢いのあるポンプサイクリング/混合に数時間さらされ、その製剤の目標(≧20mg/mL)に濃縮される。凝集したIgM種のない製品を得るために、製剤に対する4つの工程が開発された。目標の製剤がpH3.8~4.8のアミノ酸(グリシン/アラニン)を含むコハク酸バッファー中に≧20mg/mLのIgMを含む場合、タンパク質環境は、ナノろ過液のpH7~8及び高いリン酸/アルギニン/クロリドバッファーから大幅に変化する。更に、IgM濃度は、15から40倍のいずれかで増加する。
【0048】
所望のIgM製剤を得るために、凝集体形成が最も顕著な、タンパク質の等電点(ポリクローナル血漿由来IgMは5.5~7.4)を通る組成物pHの調節が必要である。pH調節のアプローチの1つは、低いpHの製剤バッファーに対するダイアフィルトレーションの間に材料のpHを徐々に移行させることである。このアプローチは、比較的広いIgMのpI範囲においてタンパク質の溶解性を大幅に低下させ、結果として生成物のシステム上での沈殿及び続いて限外ろ過膜の付着物を生じると言う点でIgMに関して問題があることが証明された。この段階的なpHの移行が生じるにつれ、同時に起こるバッファー交換のため、もはやIgM自己会合の阻害に有効なアルギニンの濃度ではなくなる。1Mのアルギニンの存在下における酸の添加(1NのHCl、1Mの酢酸又は0.5Mのコハク酸)による生成物のpHのpI(<5.0)を通る急速な調節が沈殿を完全に予防することがわかった。
【0049】
IgM製剤の第2の工程は、ダイアフィルトレーションの間のバッファー使用を最適化するためにタンパク質を20mg/mLよりも濃く濃縮すること(UF1)である。これは、凝集が特に問題となり、急速になる濃度をIgMが経験する初めてのときであるという点で困難な工程である。大きなサイズ、その結果として生じる遅い拡散速度のため、TFF膜の表面上のIgMの局所濃度が更に高くなることが予想される。したがって、IgMがペンタマーの安定性に適した環境にあることが重要である。3.8~4.8の最終製剤の目標pH及びこのpH範囲ではIgMが自己会合する傾向がより低いという観察結果にもかかわらず、驚くべきことに、濃縮に最適なpHは、それより高く、4.5~5.0の範囲であることがわかった。pH4.5と比較してpH4.0で濃縮された場合の高分子量IgM含有量の劇的な差が
図2に示される。この観察結果の理由ははっきりとしないが、IgMの自己相互作用を阻害するアルギニンの有効性がpH4.4未満で著しく減少する可能性が高いように思われる。この仮説は、IgMに対する低pH製剤賦形剤としてのアルギニンの不成功、並びに1Mのアルギニンが低いpHではナノろ過性を向上させることができないことによって裏付けられる。pH4.4未満、好ましくは、4.2未満で濃縮された場合、ジペンタマーから大きな凝集体に及ぶ自己会合したIgM種が形成され、その大半がダイアフィルトレーション後でも最終製剤化製品中に残ったままである。
【0050】
pH≧4.5における濃縮後、溶液は、バッファー交換されなければならない。これを達成するために、pH4.5~5.0の濃縮IgM溶液を、コハク酸バッファー(≧5mM)に対してダイアフィルトレーションを行い、リン酸及びアルギニンは除去され、pHは同時に最終製剤の目標(3.8~4.8)に移行する。このダイアフィルトレーションバッファーは、アミノ酸(グリシン/アラニン/プロリン/バリン/ヒドロキシルプロリン)も、最終IgM製剤の一部も含んでもよい。重要なことに、ダイアフィルトレーションは、低pH(<4.4)濃縮によって形成された最も高度に凝集した種でも限定された解離をもたらすようである。ただし、軽度から中程度の37℃における加熱時(可逆的に自己会合したIgM種を解離させることがわかった、データは示されていない)、希釈、又はアルギニンの添加によって、IgMモノペンタマーの完全な回収は達成できないため、少なくとも一部のIgM凝集体は可逆的ではなさそうである。結果として、最初の濃縮工程は、pH>4.4で行われなければならないが、最も好ましくは、≧4.5である。
【0051】
コハク酸バッファーに交換したら、IgMは、製剤の目標に更に濃縮されてもよい。25mg/mLの製剤に関して、例えば、最終濃度は、回収を向上させるためにシステム洗浄液が生成物に添加されて戻されるのを可能にするよう、30~35mg/mLの範囲であってもよい。更に高い濃度の製品、例えば、50mg/mLのIgMに関しては、大量の凝集したIgMを生成することなく最大80g/Lまで濃縮することが可能であることが示された。こうした高濃度はまた、賦形剤の添加を可能にさせる。4.0から5.0の範囲のUF/DF充填pHで生成された最終製剤化25mg/mL IgM製品中のIgM凝集のレベルを
図3に示す。
【0052】
低pH環境における濃縮の結果として生じるIgM凝集体に加えて、IgMは、ポンピング/混合及び空気/液体界面への曝露を含む特定のタイプの物理的応力の結果として更に大きな凝集体を生じることが示された。これは、高濃度で特に顕著である。こうした大きな凝集体の形成を予防するために、UF/DFに先立ってIgM溶液に界面活性剤、すなわち、ポリソルベート20又は80が添加されてもよい。ポリソルベートの添加は、工程収率を劇的に向上させる。この向上のメカニズムは、今回完全にはわかっていないが、プロセス表面へのIgMの吸着の低減の結果、又はその後、フィルター表面に蓄積するであろう空気/液体界面における大きな凝集体の形成を防ぐことによるものである可能性がある。界面活性剤の添加はまた、製剤化原薬の見た目及びろ過性も向上させる。
【0053】
この全プロセスの最終的な効果は、Table 3(表3)に示されるとおりの>98%のペンタマー含有量及び高い視覚的透明度を有する、極めて純粋で(総免疫グロブリンに対して>97%)、高濃度のIgM液体製品の生成である。
【0054】
Table 3(表3)は、IgM最終製品の特徴を示す。結果は、25mg/mLの4つの製剤及び50mg/mLの1つの製剤のものである。
【0055】
【0056】
更に、このプロセスにより精製したIgMは、複数の関連細菌抗原に対する結合親和性並びにTable 4(表4)に示される本発明者らの効力アッセイにより測定される特異的な補体活性化を誘導する能力を確固として維持する。
【0057】
IgMプロセスからの出発材料(ANXストリップ)及び製剤化原薬の活性及び結合の特徴。値は、4ランの平均を表し、括弧内は標準偏差である。IgM含有量に正規化される1mL当たりの値は、比濁法によって測定される(mg/mL)。
【0058】
【0059】
IgM凝集体を除去し、その形成を防ぐ本記載のプロセスの有効性をTable 5(表5)に示す。PEG沈殿及び再懸濁後、IgM凝集体のレベルは、>20g/Lに濃縮された場合でも、プロセス全体をとおして最小限のままである。
【0060】
IgM精製のIgMプロセスの画分のSEC-HPLC分析を行った。値は、4ランの平均を表し、括弧内に標準偏差を示す。CHT溶離液の上流のサンプルに関するMW<ペンタマー%は、高いIgG/IgA含有量のため含まれなかった。
【0061】
【0062】
製剤化原薬は、滅菌ろ過され、無菌的にガラスバイアルに充填され、液体として保存された。Table 6(表6)に示されるとおり、本組成物は、組成物中で≧1200kDaの分子量を有するIgM凝集体の含有量が、高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって決定された場合に、組成物の総タンパク質(免疫グロブリン)含有量の10質量%以下のままであるように2から5℃で保存されたとき、液体形態で少なくとも24か月間安定である。
【0063】
【0064】
本発明のIgMを調製するために使用されるプロセスは、エンベロープウイルスを除く/不活化する能力を有する2工程及び非エンベロープウイルスを除くための1工程を含む。カプリラート(19~25mM)による沈殿に続く低温(0~5℃)及びpH(3.8~4.4)における深層ろ過は、非エンベロープウイルスを除く著しい能力が実証された。それより高い温度(24~27℃)及びpH(5.0~5.2)における18~26mMのカプリラートへの曝露は、エンベロープウイルスを不活化するのに十分であることが実証された。これらの条件下では、IgM活性は、損なわれないようである。IgMプロセスに存在する35Nナノフィルターによる付加的なエンベロープウイルス除去が実証された。
【0065】
定義
本出願における単数の使用は、別に具体的に明記されない限り、複数を含む。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」、「含むこと(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含む(including)」の使用は、限定することを意図しない。
【0066】
本明細書及び請求項において使用される場合、単数形「ある、1つの(a、an)」及び「その、前記(the)」は、内容が明らかに別のことを指示しない限り、複数の言及を含む。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「約」は、参照数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、大きさ、サイズ、量、質量又は長さに対して20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%ほど変動する数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、大きさ、サイズ、量、質量又は長さを意味する。
【0068】
本開示は特定の実施形態及び例と関連しているが、当業者は、本開示が具体的に開示された実施形態を超えて、その他の代替実施形態並びに/又は実施形態及びその明らかな改変物及び等価物の使用に拡大することを理解するであろう。更に、実施形態のいくつかの変形物が示され詳細に記載されてきたが、当業者には、本開示に基づいて本開示の範囲内にあるその他の改変物が容易に明らかであろう。
【0069】
実施形態の特定の特徴及び態様のさまざまな組み合わせ又は下位の組み合せがなされてもよく、依然として本開示の範囲内にあることも意図される。本開示のさまざまな形態又は実施形態を形成するために、本開示の実施形態のさまざまな特徴及び態様が互いに組み合わされても、又は置き換えられてもよいことが理解されるべきである。したがって、本明細書中で開示されている本開示の範囲は、上記の開示された特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0070】
ただし、本開示の趣旨及び範囲内のさまざまな変更物及び改変物が当業者には明らかになるであろうため、本開示の好適な実施形態を示すこの詳細な説明は、説明のためだけに示されていることが理解されるべきである。
【0071】
ここで提示される明細書に使用された術語は、限定的又は制限的様式で解釈されることを意図しない。むしろ、この術語は、単にシステム、方法及び関連構成要素の実施形態の詳細な説明とともに利用される。更に、実施形態は、いくつかの新規の特徴を含んでもよく、そのどれも望ましい特質に単独で関与するか、又は本明細書中に記載の実施形態の実施に必須であると考えられる。
【国際調査報告】