(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】平坦な製品を加熱するための横磁束誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/44 20060101AFI20230721BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20230721BHJP
C21D 9/60 20060101ALI20230721BHJP
C21D 1/42 20060101ALI20230721BHJP
H05B 6/40 20060101ALI20230721BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H05B6/44
H05B6/10 381
C21D9/60 101
C21D1/42 K
H05B6/40
H05B6/36 D
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022580321
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021039095
(87)【国際公開番号】W WO2021263107
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510098157
【氏名又は名称】エイジャックス トッコ マグネサーミック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ラソール デイビッド
【テーマコード(参考)】
3K059
4K043
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AB19
3K059AB26
3K059AD13
3K059CD53
3K059CD75
4K043AA01
4K043CA04
4K043EA04
4K043FA03
4K043FA12
(57)【要約】
誘導加熱装置及びその使用方法であって、装置は2つの極を含み、各極は間隔を空けて配置された一対のコイルを含み、極間の間隔及び極ピッチの少なくとも1つは、ワークピースの幅方向に伝達される電力密度を制御するように調整可能である。いくつかの実施形態では、移動可能な磁束シールドも、ワークピースのエッジ部に沿って伝達される電力密度を制御するように調整される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する関連する平坦なワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するための横磁束誘導コイルアセンブリであって、
関連するワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、
前記誘導加熱装置は、
前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備え、
前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルは、同一の平面上に間隔をあけて配置され、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、前記共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変更することができる、
横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項2】
前記第1平面コイルと第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である、
請求項1に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項3】
前記第1平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第1外向き脚と第1戻り脚とから形成され、前記第1外向き脚と前記第1戻り脚は第1エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第1外向き脚と第1戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第1平面コイルのコイルピッチを変更するように、第1外向き脚と第1戻り脚の少なくとも1つは第1エンドレールに移動可能に取り付けられており、
前記第2平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第2外向き脚と第2戻り脚とから形成され、前記第2外向き脚と前記第2戻り脚は第2エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第2外向き脚と第2戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第2平面コイルのコイルピッチを変更するように、第2外向き脚と第2戻り脚の少なくとも1つは第2エンドレールに移動可能に取り付けられている、
請求項2に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項4】
前記第1平面コイルと前記第2平面コイルは、それぞれ第1共通レールに結合され、前記第1コイル又は前記第2コイルの少なくとも1つは、前記第1共通レール上で、第1又は第2コイルの他方に向かって又は離れるように移動可能に支持されている、
請求項3に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項5】
前記第1コイルの第1戻り脚と前記第2コイルの第2外向き脚は、前記第1共通レールに結合され、前記第1戻り脚と前記第2外向き脚の少なくとも1つは、前記共通レールに対して移動可能であり、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルの間の距離を変化させる、
請求項4に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項6】
前記第2ワークピース面から間隔を置いて対向する第2共通平面に配置され、前記第1及び前記第2ワークピースエッジの間に延び、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルと電気的に直列に結合された第3平面コイル及び第4平面コイルをさらに含む、
請求項5に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項7】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルは、前記第2共通平面内で同一平面上に離れており、前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、前記第2共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変化させる、
請求項6に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項8】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である、
請求項7に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項9】
前記第3平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第3外向き脚と第3戻り脚とから形成され、前記第3外向き脚と前記第3戻り脚は第3エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第3外向き脚と第3戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第3平面コイルのコイルピッチを変更するように、第3外向き脚と第3戻り脚の少なくとも1つは第3エンドレールに移動可能に取り付けられており、
前記第4平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第4外向き脚と第4戻り脚とから形成され、前記第4外向き脚と前記第4戻り脚は第4エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第4外向き脚と第4戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第4平面コイルのコイルピッチを変更するように、第4外向き脚と第4戻り脚の少なくとも1つは第4エンドレールに移動可能に取り付けられている、
請求項8に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項10】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルはそれぞれ第2共通レールに結合され、前記第3平面コイル又は前記第4平面コイルの少なくとも1つは、前記第3又は第4平面コイルの他方に向かって又は離れるように前記第2共通レール上で移動可能に支持されている、
請求項9に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項11】
前記第3コイルの第3戻り脚と前記第4コイルの第4外向き脚は、前記第2共通レールに結合され、前記第3戻り脚と前記第4外向き脚の少なくとも1つは、前記第2共通レールに対して移動可能であり、前記第3平面コイルと前記第4平面コイルとの間の距離を変化させる、
請求項10に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項12】
前記第2平面コイルの戻り脚と第3平面コイルの外向き脚は剛に結合されている、
請求項11に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項13】
前記第1共通平面と、前記第1及び第2ワークピースエッジの少なくとも1つに面する前記第1ワークピース面との間に間隔を置いて配置された、少なくとも1つの磁束シールドをさらに備え、
少なくとも1つの前記磁束シールドは、関連する前記ワークピースの横方向に移動可能である、
請求項1に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項14】
横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する関連する平坦なワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するための横磁束誘導コイルアセンブリであって、
関連するワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、
前記誘導加熱装置は、
前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備え、
前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変えるように調整可能である、
横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項15】
前記第1平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第1外向き脚と第1戻り脚とから形成され、前記第1外向き脚と前記第1戻り脚は第1エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第1外向き脚と第1戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第1平面コイルのコイルピッチを変更するように、第1外向き脚と第1戻り脚の少なくとも1つは第1エンドレールに移動可能に取り付けられており、
前記第2平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第2外向き脚と第2戻り脚とから形成され、前記第2外向き脚と前記第2戻り脚は第2エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第2外向き脚と第2戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第2平面コイルのコイルピッチを変更するように、第2外向き脚と第2戻り脚の少なくとも1つは第2エンドレールに移動可能に取り付けられている
請求項14に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項16】
前記第2ワークピース面から間隔を置いて対向する第2共通平面に配置され、前記第1及び前記第2ワークピースエッジの間に延び、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルと電気的に直列に結合された第3平面コイル及び第4平面コイルをさらに含む、
請求項15に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項17】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である、
請求項16に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項18】
前記第3平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第3外向き脚と第3戻り脚とから形成され、前記第3外向き脚と前記第3戻り脚は第3エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第3外向き脚と第3戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第3平面コイルのコイルピッチを変更するように、第3外向き脚と第3戻り脚の少なくとも1つは第3エンドレールに移動可能に取り付けられており、
前記第4平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第4外向き脚と第4戻り脚とから形成され、前記第4外向き脚と前記第4戻り脚は第4エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第4外向き脚と第4戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第4平面コイルのコイルピッチを変更するように、第4外向き脚と第4戻り脚の少なくとも1つは第4エンドレールに移動可能に取り付けられている、
請求項17に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項19】
関連するストリップワークピースを誘導加熱する方法であって、
横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する前記関連するストリップワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するために横磁束電気誘導コイルアセンブリに電流を供給し、前記関連するストリップワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、
前記誘導加熱装置は、
前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備え、
前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルは、同一の平面上に間隔をあけて配置され、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、前記共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変更し、
前記第1コイルと前記第2コイルの間の間隔を調整する、
方法。
【請求項20】
前記第1平面コイルと前記第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変えるように調整可能であり、少なくとも1つのコイルのピッチを調整することをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
誘導加熱器は、
図1に示すような導電性の連続した平坦なストリップ/プレート製品の様々な厚みや幅を加熱するのに適している。従来の誘導加熱は、
図2に示すように、ソレノイド型のコイルをストリップ又はプレートに巻いて使用していた。
図1は、プレート上の帯幅の加熱を示している。
図2は従来のソレノイドコイルをプレートに巻いた状態を示している。交流電流がコイルに印加されると電磁場が発生し、コイル内の電流を反映してプレート表面の周りに渦電流が誘導され、プレートのジュール加熱が引き起こされる。ソレノイドコイル加熱システムにはいくつかの欠点があり、この特定の用途には望ましくない選択となっている。第1の問題は、プレートが薄いほど、効率的に誘導結合するために必要な誘導周波数が高くなることである。同時に、プレートの端がオーバーヒートしたり、プレートのコアが温度上昇する前に表面がオーバーヒートしたりするほど高くない周波数を選択する必要がある。このため、薄いプレートを加熱するには非常に高い周波数が必要であり、厚いプレートを加熱するには低い周波数が必要である。単一の電源から広い周波数範囲が必要な場合もあれば、加熱するプレート厚ごとに異なる周波数を有する複数の電源が必要な場合もある。このような状況では、誘導加熱に費用対効果がない場合がある。さらに、非常に薄いプレートの場合、従来のソレノイドコイル誘導技術によるストリップを効率的に加熱するために必要な周波数が合理的に利用可能な周波数よりも高くなり、誘導加熱が選択肢とならない場合がある。
【0002】
横磁束誘導加熱が知られている。例えば、参照によりその全体がここに組み込まれている米国特許第9462641号は、シート材料のストリップを加熱するために使用できる横方向誘導加熱装置を開示している。現在の横方向誘導加熱装置は、シートの長さ方向に伝達される電力密度を正確かつ精密に制御する能力に欠けており、多くの場合、ストリップのエッジ部分がオーバーヒートするか、又はストリップの中心部分がアンダーヒートするかのいずれかである。さらに、現在の横方向誘導加熱装置は、一般的にストリップ材料の狭い範囲の寸法しか受け入れることができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、誘導加熱装置及び使用方法を提供し、この装置は、2つの極(Pole)を含み、各極は、極間の間隔と、極ピッチの少なくとも1つが、ワークピースの幅方向に伝達される電力密度を制御するように調整可能な、間隔をあけた一対の離れたコイルを含む。いくつかの実施形態では、移動可能な磁束シールドも、ワークピースのエッジ部分に沿って伝達される電力密度を制御するように調整される。
【0004】
本開示の一態様によれば、横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する関連する平坦なワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するための横磁束誘導コイルアセンブリであって、関連するワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、前記誘導加熱装置は、前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備える。前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルは、同一の平面上に間隔をあけて配置され、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、前記共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変更することができる。
【0005】
前記第1平面コイルと第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である。前記第1平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第1外向き脚と第1戻り脚とから形成され得る。前記第1外向き脚と前記第1戻り脚は第1エンドレールに物理的かつ電気的に結合され得、第1外向き脚と第1戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第1平面コイルのコイルピッチを変更するように、第1外向き脚と第1戻り脚の少なくとも1つは第1エンドレールに移動可能に取り付けられ得る。前記第2平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第2外向き脚と第2戻り脚とから形成され得る。前記第2外向き脚と前記第2戻り脚は第2エンドレールに物理的かつ電気的に結合され得、第2外向き脚と第2戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第2平面コイルのコイルピッチを変更するように、第2外向き脚と第2戻り脚の少なくとも1つは第2エンドレールに移動可能に取り付けられ得る。
【0006】
前記第1平面コイルと前記第2平面コイルは、それぞれ第1共通レールに結合され得、前記第1コイル又は前記第2コイルの少なくとも1つは、前記第1共通レール上で、第1又は第2コイルの他方に向かって又は離れるように移動可能に支持される。前記第1コイルの第1戻り脚と前記第2コイルの第2外向き脚は、前記第1共通レールに結合され得、前記第1戻り脚と前記第2外向き脚の少なくとも1つは、前記共通レールに対して移動可能であり、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルの間の距離を変化させる。
【0007】
アセンブリは、前記第2ワークピース面から間隔を置いて対向する第2共通平面に配置され、前記第1及び前記第2ワークピースエッジの間に延び、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルと電気的に直列に結合された第3平面コイル及び第4平面コイルをさらに含むことができる。前記第3平面コイルと前記第4平面コイルは、前記第2共通平面内で同一平面上に離れており、前記第2共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変化させる。前記第3平面コイルと前記第4平面コイルは、前記第2共通平面内で同一平面上に間隔を空けて配置され、前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、前記第2共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変化させることができる。前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である。
【0008】
前記第3平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第3外向き脚と第3戻り脚とから形成され、前記第3外向き脚と前記第3戻り脚は第3エンドレールに物理的かつ電気的に結合される。第3外向き脚と第3戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第3平面コイルのコイルピッチを変更するように、第3外向き脚と第3戻り脚の少なくとも1つは第3エンドレールに移動可能に取り付けられ得る。前記第4平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第4外向き脚と第4戻り脚とから形成され、前記第4外向き脚と前記第4戻り脚は第4エンドレールに物理的かつ電気的に結合される。第4外向き脚と第4戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第4平面コイルのコイルピッチを変更するように、第4外向き脚と第4戻り脚の少なくとも1つは第4エンドレールに移動可能に取り付けられ得る。
【0009】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルはそれぞれ第2共通レールに結合され得、前記第3平面コイル又は前記第4平面コイルの少なくとも1つは、前記第3又は第4平面コイルの他方に向かって又は離れるように前記第2共通レール上で移動可能に支持される。前記第3コイルの第3戻り脚と前記第4コイルの第4外向き脚は、前記第2共通レールに結合され得、前記第3戻り脚と前記第4外向き脚の少なくとも1つは、前記第2共通レールに対して移動可能であり、前記第3平面コイルと前記第4平面コイルとの間の距離を変化させる。前記第2平面コイルの戻り脚と第3平面コイルの外向き脚は剛に結合され得る。
【0010】
アセンブリは、第1共通平面と、前記第1及び第2ワークピースエッジの少なくとも1つに面する前記第1ワークピース面との間に間隔を置いて配置された、少なくとも1つの磁束シールドをさらに備えることができる。少なくとも1つの前記磁束シールドは、関連する前記ワークピースの横方向に移動可能である。
【0011】
他の態様によれば、横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する関連する平坦なワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するための横磁束誘導コイルアセンブリであって、関連するワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備え、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変えるように調整可能である。
【0012】
前記第1平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第1外向き脚と第1戻り脚とから形成され、前記第1外向き脚と前記第1戻り脚は第1エンドレールに物理的かつ電気的に結合される。第1外向き脚と第1戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第1平面コイルのコイルピッチを変更するように、第1外向き脚と第1戻り脚の少なくとも1つは第1エンドレールに移動可能に取り付けられ得る。前記第2平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第2外向き脚と第2戻り脚とから形成され、前記第2外向き脚と前記第2戻り脚は第2エンドレールに物理的かつ電気的に結合される。第2外向き脚と第2戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第2平面コイルのコイルピッチを変更するように、第2外向き脚と第2戻り脚の少なくとも1つは第2エンドレールに移動可能に取り付けられ得る。
【0013】
アセンブリは、前記記第2ワークピース面から間隔を置いて対向する第2共通平面に配置され、前記第1及び前記第2ワークピースエッジの間に延び、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルと電気的に直列に結合された第3平面コイル及び第4平面コイルをさらに含むことができる。前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である。前記第3平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第3外向き脚と第3戻り脚とから形成され、前記第3外向き脚と前記第3戻り脚は第3エンドレールに物理的かつ電気的に結合される。第3外向き脚と第3戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第3平面コイルのコイルピッチを変更するように、第3外向き脚と第3戻り脚の少なくとも1つは第3エンドレールに移動可能に取り付けられ得る。前記第4平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第4外向き脚と第4戻り脚とから形成され、前記第4外向き脚と前記第4戻り脚は第4エンドレールに物理的かつ電気的に結合される。第4外向き脚と第4戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第4平面コイルのコイルピッチを変更するように、第4外向き脚と第4戻り脚の少なくとも1つは第4エンドレールに移動可能に取り付けられ得る。
【0014】
他の態様によれば、関連するストリップワークピースを誘導加熱する方法は、横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する前記関連するストリップワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するために横磁束電気誘導コイルアセンブリに電流を供給することを含み、前記関連するストリップワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、
前記誘導加熱装置は、前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備え、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルは、同一の平面上に間隔をあけて配置され、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、前記共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変更し、前記第1コイルと前記第2コイルの間の間隔を調整する。前記第1平面コイルと前記第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変えるように調整可能であり、少なくとも1つのコイルのピッチを調整することをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の態様に係る、加熱されるシート材料の斜視図である。
【0016】
【
図2】加熱されるシート材料に巻き付けられた従来のソレノイドコイルの斜視図である。
【0017】
【
図3】ストリップ材料を加熱するための横磁束ワイドオーバル型コイルの斜視図である。
【0018】
【
図4】
図3のコイルに流れる交流電流を示す斜視図である。
【0019】
【
図5】
図3のコイルによってストリップ材料に発生する電流の斜視図である。
【0020】
【
図6】ストリップ材の各面にある一対のワイドオーバル型コイルの斜視図である。
【0021】
【
図7a】
図6のコイルに流れる交流電流を示す平面図である。
【0022】
【
図7b】スプリットリターンインダクタのコイルに流れる交流電流を示す平面図である。
【0023】
【
図8a】
図7bのスプリットリターン横磁束インダクタを用いてストリップに発生する電流を示す平面図である。
【0024】
【
図8b】スプリットリターン横磁束インダクタによってストリップに発生する電力密度を示す平面図である。
【0025】
【
図9a】ストリップ材料の各面にある一対のワイドオーバル型コイルの第1構成を示す斜視図である。
【0026】
【
図9b】ストリップ材料の各面にある一対のワイドオーバル型コイルの第2構成を示す斜視図である。
【0027】
【
図10a】ストリップ材料の各面にある一対のワイドオーバル型コイルと磁束シールドの第1構成を示す斜視図である。
【0028】
【
図10b】ストリップ材料の各面にある一対のワイドオーバル型コイルと磁束シールドの第2構成を示す斜視図である。
【0029】
【
図11a】幅の狭いストリップ材料の各面にある一対のワイドオーバル型コイルと磁束シールドの第1構成を示す斜視図である。
【0030】
【
図11b】幅の狭いストリップ材料の各面にある一対のワイドオーバル型コイルと磁束シールドの第2構成を示す斜視図である。
【0031】
【
図12】コイルアセンブリの外側に配置された磁気ラミネーションのスタックを有するインダクタアセンブリの斜視図である。
【0032】
【
図13】本開示に係る例示的な誘導加熱アセンブリの斜視図である。
【0033】
【
図14】本開示に係る例示的な誘導加熱アセンブリの別の斜視図である。
【0034】
【
図15】
図13及び
図14の例示的な誘導加熱アセンブリ及びシート材料のストリップの斜視図である。
【0035】
【
図16】第1構成における
図15の例示的な誘導加熱アセンブリの斜視図である。
【0036】
【
図17】第2構成における
図15の例示的な誘導加熱アセンブリの斜視図である。
【0037】
【
図18】第1構成の移動可能な磁束シールドを備えた
図15の例示的な誘導加熱アセンブリの斜視図である。
【0038】
【
図19】第2構成の移動可能な磁束シールドを備えた
図18の例示的な誘導加熱アセンブリの斜視図である。
【0039】
【
図20】シート材料の細長いストリップに関する第3構成の移動可能な磁束シールドを備えた
図18の例示的な誘導加熱アセンブリの斜視図である。
【0040】
【
図21】極ピッチ幅調整の効果を示すグラフである。
【0041】
【
図22】スプリットリターンギャップ調整の効果を示すグラフである。
【0042】
【
図23】磁束シールドオーバーラップ調整の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面では、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指し、さまざまな特徴は必ずしもスケールに合わせて描画されるとは限らない。また、「couple」又は「couples」(結合する)という用語には、間接的又は直接的な、電気的又は機械的接続又はそれらの組み合わせが含まれる。例えば、第1デバイスが第2デバイスに結合されている(couples to)場合、又は第2デバイスに結合されている(coupled with)場合、その接続は直接的な電気接続を介して行われることもあれば、1つ以上の介在するデバイス及び接続を介した間接的な電気接続を介して行われることもある。以下、様々な回路、システム及び/又はコンポーネントの1つ以上の動作特性について、機能に関連して説明するが、これは回路に電力が供給され動作しているときに、場合によっては様々な構造の構成及び/又は相互接続の結果である。
【0044】
上記のようなソレノイド誘導加熱の問題により、特に非常に薄いストリップやプレートに対しては、従来のソレノイド加熱技術の代わりに横磁束技術が用いられてきた。多くの異なる横磁束設計が開発されている。これらの設計の多くは非常に煩雑で高いメンテナンスアイテムとなる、多くの可動部品を必要とする。一例では、単一の周波数又は周波数の小さな変動のいずれかを選択して、単一の電源から利用可能な周波数範囲を利用し、すべてのプレート/ストリップサイズを効率的に加熱することができる横磁束設計を用いて、平坦なストリップ/プレートが加熱される。可能な限り低い周波数で、プレートのどの部分もオーバーヒートせずに加熱できることが望ましい。ソレノイド式コイルを利用する第2の欠点は、コイルがプレートに巻きつくため、加熱から曲げ工程までのプレートの取り扱いが難しくなることである。ストリップの場合、連続ストリップを内側に入れたままで、コイルを取り外すことはできない。ワークピースが非常に幅広い場合、一般的なインラインシームアニールコイルは、幅全体を均一に加熱するように設計することはできない。従って、加熱するプレート/ストリップを囲まない誘導加熱コイル構成を使用することが有益であろう。
【0045】
図3-5も参照すると、本開示の一態様は、
図3に示すように、ストリップSが、極Pと総称される一対のワイドオーバル型コイルCの間を通過するように設計された横磁束コイルを提供する。
図3は、ストリップとの関係を有する極Pの構成を示す単純な横磁束誘導加熱コイルのセットアップを示している。
図4にワイドオーバルコイルCの印加電流を示す。
図5は、ストリップ表面(典型的なそれぞれの面)で発生する電流の流れを示している。一般に、すべての可能な実装の厳密な要件ではないが、コイルCは、ストリップの両側で互いに直接並んでいるか、又は互いの鏡像になるように配置される。コイルCは、
図4に示すように、ストリップの両側のコイルCの電流が互いに電気的に同相になるように、互いに電気的に直列に接続されている。これにより、
図5に示すようにストリップに誘導電流が流れる。
【0046】
図6、
図7a及び
図7bも参照すると、一例では、ストリップの各面に、少なくとも2つの極P1及びP2を形成する、一対のワイドオーバル横磁束コイルCが設けられている。各コイルCは、
図7aに示すように、各表面に対して直列かつ同相に電気的に接続され、スプリットリターンインダクタのように動作する。
図7bは典型的なスプリットリターンインダクタの構成と電流の流れを示している。
図7a及び7bはそれぞれ、本開示のコイル構成(
図7a)が従来のスプリットリターンインダクタ(
図7b)のように誘導的に動作するように設計されていることを示している。
【0047】
図8a、
図8bはそれぞれ、スプリットリターン横磁束インダクタを使用してストリップに発生する電流(
図8a)と、スプリットリターン横磁束インダクタによってストリップに発生する電力密度(
図8b)を示している。スプリットリターンインダクタでは、通常、ストリップの主な加熱はインダクタアセンブリの中間部に沿って発生し、電流はインダクタの外側の脚の2倍/実質2倍になる。電力は電流の2乗×抵抗に比例するため(P=I
2・R)、極ペアの中間導体に沿って電流密度が2倍になれば、ストリップで発生する電力は4倍になる。典型的なスプリットリターン設計横磁束インダクタでは、誘導電流は
図8aに示すものと同様であり、その結果、
図8bに示すようなストリップ内の相対的な電力密度分布が得られる。
【0048】
図9aと
図9bは、
図7aに示すように、横方向インダクタの極P1とP2の間の空間を調整して、ストリップの幅方向に加熱パターンを変更できることを示している。この例では、
図9a及び9bに示すように、ワイドオーバルコイルCのそれぞれの中心脚間の間隔SPを調整する機能が提供されている。この機能により、ストリップ全体の電力密度を調整することができ、その結果、ストリップ全体の熱プロファイルを調整することができる。
【0049】
図10a、
図10b、
図11a、及び
図11bにさらに示すように、さらなる態様は、高導電性材料から作られた一つ以上の磁束シールドSHを提供する。
図10(a)及び
図10(b)に示すように、シールドSHは加熱するストリップとコイルCとの間に配置される。シールドSHは(例えば、
図1に示すプレート長さ方向に沿って)移動可能であり、ストリップのエッジのオーバーヒートを最小限に抑えるために、電磁界からストリップのエッジをシールドするために使用される。シールドSHは、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、より狭いストリップに対して同じ機能を提供するように調整可能である。
図10a及び10bは、ストリップエッジ温度を制御するために設けられた調整可能な磁束シールドSHを示している。
図11a及び
図11bは、磁束シールドSHがより狭いストリップで同じ機能を実行できるように調整可能であることを示している。
【0050】
また、
図12を参照すると、特定の例における開示された概念は、
図12に示すように、ストリップから離れてコイルの外側に配置されたスタックされた磁気ラミネーションシートLSを含むこともできる。このラミネーションは、インダクタの効率を向上させるとともに、インダクタの外側にある他の導電性の物体に熱を誘導する可能性のあるコイルCの外部の浮遊場を最小限に抑えるのに役立つ。
図12は、コイルアセンブリの外側に配置された磁気ラミネーションLSのスタックで示されるインダクタアセンブリを示す。
【0051】
図13から
図20は、一般に参照符号50で識別され、二つの極52A及び52Bを有し、スプリットリターンギャップの調整、一方又は両方の極の極ピッチの調整、及び/又は一つ又は複数の磁束シールド位置の調整を含む上記のすべての調整が可能であり、それにより単一の誘導加熱アセンブリ内の広範囲のストリップ幅のより均一な加熱に対応する、本開示の誘導加熱アセンブリの例示的な実施形態の様々な態様を示している。
【0052】
誘導加熱アセンブリ50の一般的な構成要素を、アセンブリを通る電流の流れの順に紹介した後、誘導加熱アセンブリ50の機能について説明する。アセンブリを通る電流の流れは、
図13の矢印Aで示されている。極52Aは、適切な電源(図には示されていない)から電流を受ける第1(近位)端56を有する外向き脚54を有する第1コイルC1を含む。ここで使用されているように、コイルの脚に関して、近位端と遠位端という用語は、電流を受ける脚の端を指す近位端と、電流が脚から出る脚の端を指す遠位端と共に、電流の流れの方向に取られる。このように、脚54は、エンドレール又はガイド部材60によって第2(遠位)端58で移動可能に支持され、電気的に結合されている。レール60は導電性であるか、又は、脚54と戻り脚62を電気的に結合する導電構造を含んでいる。戻り脚62の遠位端は、共通レール又はガイド部材64によって移動可能に支持され、電気的に結合されている。共通レール64は、導電性であるか、又は、コイルC1の脚62とコイルC2の外向き脚66を電気的に結合する導電構造を含んでいる。外向き脚66は、エンドレール又はガイド68に電気的に結合されている。レール68は導電性であるか、又は、コイルC2の戻り脚70と脚66を電気的に結合する導電構造を含んでいる。コイルC2はコネクタ74を介して極52BのコイルC3に電気的に結合される。コイルC3の外向き脚76は、エンドレール78に電気的に結合されている。レール78は、導電性であるか、又は、外向き脚76と戻り脚80を電気的に結合する導電構造を含んでいる。戻り脚80は、コイルC3をコイルC4の外向き脚84と電気的に結合する共通レール又はガイド部材82に電気的に結合される。外向き脚84は、導電性であるか、又は、コイルC4の戻り脚88と脚84を電気的に結合する導電構造を含むエンドレール86に電気的に結合される。この説明では、共通レールという用語は、隣接する極のコイルを結合するレール又はガイド部材に対して使用され、エンドレールという用語は、特定のコイルの外向き脚と戻り脚を結合するレール又はガイド部材に対して使用される。
【0053】
ここで理解されるように、コイルC1、C2、C3、C4は直列に接続されており、各コイル対(C1/C4、C2/C3)の外向き脚と戻り脚の配置は、加熱されるシートのそれぞれの面で、各コイル対の外向き脚を共通の方向に電流が流れ、各コイル対の戻り脚を共通の方向に電流が流れるようになっている。
【0054】
外向き脚54、66、76、及び84のそれぞれは、その遠位端がそれぞれのエンドレールに、それに対してスライド移動可能に結合されており、一方、戻り脚62、70、80及び88のそれぞれは、その近位端がそれぞれのエンドレールに固定的に結合されている。一方、外向き脚66及び84は、その近位端がそれぞれの共通レールにスライド可能に結合されている。このように、エンドレールのスライド接続は、コイルのピッチを調整するために、コイルのそれぞれの外向き脚と戻り脚を互いに近づけたり、遠ざけたりすることを容易にし、共通レールのスライド接続は、スプリットリターンギャップを調整するために、極を互いに近づけたり、遠ざけたりすることを容易にする。
【0055】
図14を参照すると、外向き脚54、66、76、84の戻り脚62、70、80、88に対する相対的な動きは、スプリットリターンギャップ(例えば、極52Aと52Bの間隔)と極ピッチ(例えば、極の外向き脚と戻り脚の間隔)の少なくとも1つを変更することを容易にすることが理解される。エンドレール上の外向き脚のスライドは主に極ピッチの変化に影響し、それぞれの共通レール上の戻り脚62と外向き脚84のスライドは主にスプリットリターンギャップの変化に影響する。
【0056】
図15-17は、極ピッチ及び/又はスプリットリターンギャップの可能な調整の例を示している。
図15では、極52Aと52Bは第1極ピッチを持ち、第1スプリットリターンギャップで間隔を空けている。
図16では、極52Aと52Bの極ピッチは
図15と同じであるが、極52Aと52Bを近づけることでスプリットリターンギャップが小さくなっている。
図17では、極52A、52B間のスプリットリターンギャップは
図16と同じであるが、外向き脚66、84を共通レール上でスライドさせることにより、各極52A、52Bの極ピッチを小さくしている。極ピッチ及び/又はスプリットリターンギャップの調整により、コイルによって発生する磁束を集中又は分散させることによって、アセンブリはより広い範囲のストリップ材料の幅及び厚さをより正確に加熱し、及び/又は与えられたストリップをより均一に加熱することができることが理解される。
【0057】
図18-20を参照すると、コイルC1-C4とシート材料SMの間に設置された磁束シールドSHを有する例示的なアセンブリ50が示されている。磁束シールドSHは、一般的にエンドレールと共通レールに沿って整列されており、そのようなエッジのオーバーヒートを防ぐために、一般的にシート材料の縦方向のエッジ部分に予想されるサイズと形状をしている。
図18及び
図19では、比較的幅の広いシート材料SMのストリップが示されており、
図18よりも
図19の方が、磁束シールドSHがシート材料SMに多く重なっている。
図20には、シート材料SMの比較的幅の狭いストリップが示されており、磁束シールドSHは、シート材料SMの縦方向エッジの少なくとも一部をカバーするように内側に移動されている。
【0058】
リニアアクチュエータ、サーボなど、前の段落で説明した調整を行うために、広範囲のアクチュエータを使用できることを認識すべきである。いくつかの実施形態では、調整の一部又は全部を手動で行うことができる。他の実施例では、様々なセンサーを使用してシート材料の状態を感知し、感知されたデータに応じて、アセンブリ50の一つ以上のパラメータをリアルタイムで調整することができる。例えば、さまざまな熱センサーを使用することで、ストリップの温度を監視して、高温又は低温の領域を特定し、アセンブリ50を調整してそのような領域を排除又は削減することができる。エッジトラッキングセンサーを使用することで、シート材料のエッジを特定し、磁束シールドをより正確に配置することができる。
【0059】
図21-23を参照すると、上記の調整の効果、極ピッチ、スプリットリターンギャップ、及びシールド位置が、所定の幅のシート材料のストリップに対してグラフ形式で示されている。各グラフでは、X軸にストリップ幅方向の位置、Y軸にストリップに伝達された時間平均相対電力密度がプロットされている。
図21では、広い極ピッチ(点線)、中央の極ピッチ(破線)、狭い極ピッチ(実線)を含む様々な極ピッチがグラフ化されている。見てわかるように、それぞれの線はストリップの中心線で一致し、ストリップの端に向かって分岐し、広い極ピッチはエッジへの電力密度の伝送が最も大きくなり、狭い極ピッチはエッジへの電力密度の伝送が最も小さくなる。
図22では、大きいスプリットリターンギャップ(点線)と小さいスプリットリターンギャップ(実線)を含む様々なスプリットリターンギャップがグラフ化されている。見てわかるように、それぞれの線はストリップの中心線で一致し、ストリップの端に向かって分岐し、大きなスプリットリターンギャップによってエッジ部分への電力密度の伝送が最も大きくなり、小さなスプリットリターンギャップによってエッジ部分への電力密度の伝送が最も小さくなる。一般に、極ピッチの変化は、スプリットリターンギャップの変化と比較して、電力密度の伝達の全体的な変化が大きくなることを認識すべきである。
【0060】
従って、極ピッチ幅の調整は粗調整、スプリットリターンギャップの調整は微調整と考えることができる。従って、実際には、まず極ピッチをベースラインの電力密度伝送を達成するための幅に設定し、そしてスプリットリターンギャップを使用して電力密度伝送を微調整することができる。
【0061】
図23は、2つの異なる磁束シールドのオーバーラップ、減少したオーバーラップ(破線)と増加したギャップ(実線)を示している。オーバーラップが減少すると、ストリップのエッジでの電力密度の伝送が大きくなる。磁束シールドのオーバーラップは、極ピッチとスプリットリターンギャップの調整に関連して使用し、与えられたストリップサイズの電力密度伝送を微調整することができる。
【0062】
記載された例は修正が可能であり、特許請求の範囲の範囲内で、他の実施態様も可能である。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する関連する平坦なワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するための横磁束誘導コイルアセンブリであって、
関連するワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、
誘導加熱
のための横磁束誘導コイルアセンブリは、
前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備え、
前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルは、同一の平面上に間隔をあけて配置され、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、前記
第1共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変更することができる、
横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項2】
前記第1平面コイルと第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である、
請求項1に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項3】
前記第1平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第1外向き脚と第1戻り脚とから形成され、前記第1外向き脚と前記第1戻り脚は第1エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第1外向き脚と第1戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第1平面コイルのコイルピッチを変更するように、第1外向き脚と第1戻り脚の少なくとも1つは第1エンドレールに移動可能に取り付けられており、
前記第2平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第2外向き脚と第2戻り脚とから形成され、前記第2外向き脚と前記第2戻り脚は第2エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第2外向き脚と第2戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第2平面コイルのコイルピッチを変更するように、第2外向き脚と第2戻り脚の少なくとも1つは第2エンドレールに移動可能に取り付けられている、
請求項2に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項4】
前記第1平面コイルと前記第2平面コイルは、それぞれ第1共通レールに結合され、前記第1コイル又は前記第2コイルの少なくとも1つは、前記第1共通レール上で、第1又は第2コイルの他方に向かって又は離れるように移動可能に支持されている、
請求項3に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項5】
前記第1コイルの第1戻り脚と前記第2コイルの第2外向き脚は、前記第1共通レールに結合され、前記第1戻り脚と前記第2外向き脚の少なくとも1つは、前記共通レールに対して移動可能であり、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルの間の距離を変化させる、
請求項4に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項6】
前記第2ワークピース面から間隔を置いて対向する第2共通平面に配置され、前記第1及び前記第2ワークピースエッジの間に延び、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルと電気的に直列に結合された第3平面コイル及び第4平面コイルをさらに含む、
請求項5に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項7】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルは、前記第2共通平面内で同一平面上に離れており、前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、前記第2共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変化させる、
請求項6に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項8】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である、
請求項7に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項9】
前記第3平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第3外向き脚と第3戻り脚とから形成され、前記第3外向き脚と前記第3戻り脚は第3エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第3外向き脚と第3戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第3平面コイルのコイルピッチを変更するように、第3外向き脚と第3戻り脚の少なくとも1つは第3エンドレールに移動可能に取り付けられており、
前記第4平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第4外向き脚と第4戻り脚とから形成され、前記第4外向き脚と前記第4戻り脚は第4エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第4外向き脚と第4戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第4平面コイルのコイルピッチを変更するように、第4外向き脚と第4戻り脚の少なくとも1つは第4エンドレールに移動可能に取り付けられている、
請求項8に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項10】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルはそれぞれ第2共通レールに結合され、前記第3平面コイル又は前記第4平面コイルの少なくとも1つは、前記第3又は第4平面コイルの他方に向かって又は離れるように前記第2共通レール上で移動可能に支持されている、
請求項9に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項11】
前記第3コイルの第3戻り脚と前記第4コイルの第4外向き脚は、前記第2共通レールに結合され、前記第3戻り脚と前記第4外向き脚の少なくとも1つは、前記第2共通レールに対して移動可能であり、前記第3平面コイルと前記第4平面コイルとの間の距離を変化させる、
請求項10に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項12】
前記第2平面コイルの
第2戻り脚と第3平面コイルの
第3外向き脚は剛に結合されている、
請求項11に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項13】
前記第1共通平面と、前記第1及び第2ワークピースエッジの少なくとも1つに面する前記第1ワークピース面との間に間隔を置いて配置された、少なくとも1つの磁束シールドをさらに備え、
少なくとも1つの前記磁束シールドは、関連する前記ワークピースの横方向に移動可能である、
請求項1に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項14】
横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する関連する平坦なワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するための横磁束誘導コイルアセンブリであって、
関連するワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、
誘導加熱
のための横磁束誘導コイルアセンブリは、
前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備え、
前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変えるように調整可能である、
横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項15】
前記第1平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第1外向き脚と第1戻り脚とから形成され、前記第1外向き脚と前記第1戻り脚は第1エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第1外向き脚と第1戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第1平面コイルのコイルピッチを変更するように、第1外向き脚と第1戻り脚の少なくとも1つは第1エンドレールに移動可能に取り付けられており、
前記第2平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第2外向き脚と第2戻り脚とから形成され、前記第2外向き脚と前記第2戻り脚は第2エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第2外向き脚と第2戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第2平面コイルのコイルピッチを変更するように、第2外向き脚と第2戻り脚の少なくとも1つは第2エンドレールに移動可能に取り付けられている
請求項14に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項16】
前記第2ワークピース面から間隔を置いて対向する第2共通平面に配置され、前記第1及び前記第2ワークピースエッジの間に延び、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルと電気的に直列に結合された第3平面コイル及び第4平面コイルをさらに含む、
請求項15に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項17】
前記第3平面コイルと前記第4平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変更するように調整可能である、
請求項16に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項18】
前記第3平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第3外向き脚と第3戻り脚とから形成され、前記第3外向き脚と前記第3戻り脚は第3エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第3外向き脚と第3戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第3平面コイルのコイルピッチを変更するように、第3外向き脚と第3戻り脚の少なくとも1つは第3エンドレールに移動可能に取り付けられており、
前記第4平面コイルは、共通方向に延び、間隔をあけた関係にある第4外向き脚と第4戻り脚とから形成され、前記第4外向き脚と前記第4戻り脚は第4エンドレールに物理的かつ電気的に結合され、第4外向き脚と第4戻り脚が互いに向かって及び離れるように移動して、前記第4平面コイルのコイルピッチを変更するように、第4外向き脚と第4戻り脚の少なくとも1つは第4エンドレールに移動可能に取り付けられている、
請求項17に記載の横磁束誘導コイルアセンブリ。
【請求項19】
関連するストリップワークピースを誘導加熱する方法であって、
横磁束電気誘導コイルアセンブリに対してプロセス方向に沿って移動する前記関連するストリップワークピースの少なくとも一部を誘導加熱するために横磁束電気誘導コイルアセンブリに電流を供給し、前記関連するストリップワークピースは、対向する第1及び第2ワークピース面と第1及び第2ワークピースエッジとを有し、
誘導加熱
のための横磁束誘導コイルアセンブリは、
前記第1ワークピース面から間隔をあけて対向する第1共通平面に配置され、第1及び第2ワークピースエッジの間に延び、電気的に直列に結合される、第1平面コイル及び第2平面コイルを備え、
前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルは、同一の平面上に間隔をあけて配置され、前記第1平面コイル及び前記第2平面コイルの少なくとも1つは、前記
第1共通平面内で移動可能であり、その間の間隔を変更、
前記第1コイルと前記第2コイルの間の間隔を調整する、
方法。
【請求項20】
前記第1平面コイルと前記第2平面コイルの少なくとも1つは、コイルのピッチを変えるように調整可能であり、少なくとも1つのコイルのピッチを調整することをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】