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特表2023-532480ココアを含む凍結乾燥された可溶性三次元形状物
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  • 特表-ココアを含む凍結乾燥された可溶性三次元形状物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】ココアを含む凍結乾燥された可溶性三次元形状物
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/56 20060101AFI20230721BHJP
   A23L 2/39 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
A23G1/56
A23L2/00 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580336
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2021068664
(87)【国際公開番号】W WO2022008512
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20184142.6
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】コタール, オーレリアン
(72)【発明者】
【氏名】マゲル, リリアン, ケー.
(72)【発明者】
【氏名】グレロン, マリー-アメリ
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム, アブドゥルアズィーズ, ハッサン
【テーマコード(参考)】
4B014
4B117
【Fターム(参考)】
4B014GB05
4B014GE05
4B014GG01
4B014GG06
4B014GG07
4B014GG11
4B014GL10
4B014GP04
4B014GP23
4B014GP27
4B117LC13
4B117LE01
4B117LG13
4B117LG17
4B117LK12
4B117LK18
4B117LP03
4B117LP20
(57)【要約】
本発明は、広義には、例えばミルク又は水で再構成した後にココアベース飲料をもたらすココアベース組成物の分野に関する。例えば、本発明は、予め調製されたココアベースの組成物に関する。本発明の一実施形態は、ココア、糖、及び粉乳を含む凍結乾燥した食品用三次元形状物に関する。三次元形状物は、エアレーションされていてもよく、液体、例えばミルク又は水に可溶性である。1つの三次元形状物は、ココアベースの組成物の1つの部分を表し得る。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココアと、糖と、粉乳と、を含む、凍結乾燥した食品用三次元形状物。
【請求項2】
前記三次元形状物がエアレーションされている、請求項1に記載の三次元形状物。
【請求項3】
ココアと、糖と、粉乳と、を湿潤状態で混合することによって得られる、請求項1に記載の三次元形状物。
【請求項4】
60~70重量%の糖と、20~30重量%のココアと、5~15重量%の粉乳と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【請求項5】
前記三次元形状物が、例えば、オート麦シロップ、オオムギモルトエキス、可溶性繊維、トウモロコシ粉、オート麦粉、加水分解米、加水分解オート麦、小麦、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、約5~55重量%、5~40重量%の穀物原料を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【請求項6】
30~40重量%の糖と、15~25重量%のココアと、3~12重量%の脱脂粉乳と、35~45重量%の穀物原料と、を含む、請求項4に記載の三次元形状物。
【請求項7】
一サービング当たり1.0~2.0μgのビタミンD、2.1~4.2mgの鉄、9~18mgのビタミンC、2.25~4.5mgの亜鉛、45~90mgのマグネシウム、0.21~0.42mgのビタミンB1、及び任意選択で120~240μgのビタミンAを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【請求項8】
前記三次元形状物が、5~25gの範囲のサービングサイズを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【請求項9】
前記エアレーションが、少なくとも10体積%、15体積%、又は少なくとも20体積%である、請求項2~8のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【請求項10】
ミルク又は水に溶解した後にココアベースの飲料をもたらす、請求項1~9のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【請求項11】
100mL~300mLの水又はミルク中に溶解される、請求項1~10のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【請求項12】
朝食中に消費される、請求項1~11のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の三次元形状物であって、
原料を混合するステップ、
パスチャライズし、任意選択でエアレーションするステップ、
型内で凍結させるステップ、及び
凍結乾燥するステップ、を含む方法によって製造される、三次元形状物。
【請求項14】
前記三次元形状物が、ミルクの栄養分を補完するのに使用するためのものである、請求項1~13のいずれか一項に記載の三次元形状物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、例えばミルク又は水で再構成することでココアベース飲料をもたらすことができるココアベース組成物の分野に関する。例えば、本発明は、予め調製されたココアベースの組成物に関する。本発明の一実施形態は、ココア、糖、及び粉乳を含む、凍結乾燥した食品用三次元形状物に関する。三次元形状物は、エアレーションされていてもよく、液体、例えばミルク又は水に可溶性である。1つの三次元形状物は、ココアベースの組成物の1つの部分を表し得る。
【0002】
ココアベースの飲料は非常に人気がある。かかる飲料は、ホット又はアイスの状態で、子供にも大人にも好まれる。ココアベースの飲料は、典型的には、レディ・トゥ・ドリンクの形式で、又はミルク若しくは水で再構成される粉末状若しくは顆粒状の飲料粉末の形態で入手可能である。
【0003】
かかる飲料粉末は、そのままのミルクを楽しまない個人におけるミルク消費量を増加させるために、ミルクベースの飲料に風味をつけるために良好に使用することができる。しかしながら、過剰量の調製(overdosing)を回避することが重要である。
【0004】
例えば、このニーズに対処するために、ココアベースの飲料粉末は、個包装された単一の「ポーション」としても今日市販されている。しかしながら、個包装は、飲料粉末のポーション当たりに必要とされる包装材料の量を増加させる。
【0005】
包装に関連する主な問題の1つは、一般に、包装廃棄物の発生である。ユーロスタット(Eurostat)によれば、2017年度にはEUの住民1人当たり172.6kgの包装廃棄物が発生した。
【0006】
産業界は、循環型経済を持ち込むことによってこの問題に対処している。これに則り、欧州委員会は最近、新しい循環型経済行動計画を配信している(COMMUNICATION FROM THE COMMISSION TO THE EUROPEAN PARLIAMENT, THE COUNCIL, THE EUROPEAN ECONOMIC AND SOCIAL COMMITTEE AND THE COMMITTEE OF THE REGIONSA new Circular Economy Action Plan For a cleaner and more competitive Europe, Brussels, 11.3.2020)。したがって、EUは、地球を消耗させるのではなく、地球に与え戻す、再生型成長モデルへの移行を加速させること、資源の消費を地球の惑星域内に留める方向に進むこと、ひいては、天然資源の消費量を低減し、かつ今後十年間で循環型材料の使用率を2倍にするよう努めること、を必要としている。
【0007】
これらの目的を達成するための1つのステップは、ココアベースの飲料粉末の個々のポーションのラッピングを省くことである。
【0008】
しかしながら、ラッピングを省くことは難しい。飲料粉末及び飲料顆粒は、通常、迅速な溶解を確保するために十分に高い表面/体積比を有する。しかしながら、飲料粉末を単一ポーションサイズの錠剤に単純に圧縮することは、ミルク又は水中での飲料粉末錠剤の溶解を非常に遅くし、その結果、ココアベースの飲料を調製するためのかかる錠剤の使用が消費者に受け入れられない可能性が高くなる。
【0009】
したがって、個包装を必要とせず、かつ消費者にとって好ましい体験となるのに十分に速くミルク又は水中で溶解する、ココアベースの飲料粉末の単一ポーションが利用可能になることは望ましい。
【0010】
本明細書における先行技術文献のいかなる参照も、かかる先行技術が周知であること、又は当分野で共通の全般的な認識の一部を形成していることを認めるものとみなされるべきではない。
【0011】
本発明の課題は、現在の技術水準を強化及び/若しくは改善することであり、具体的には、個包装を必要とせず、液体に十分速く溶解し、使用された場合に消費者に楽しい及び/若しくは刺激的な体験を提供する、個別の飲料粉末ポーションを提供すること、又は少なくとも当該技術分野における既存の解決策に対する有用な代替案を提供することである。
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の目的が独立請求項の主題によって達成され得ることを見出した。従属請求項は、本発明の着想を更に展開させるものである。
【0013】
したがって、本発明は、ココアと、糖と、粉乳と、を含む、食品用の凍結乾燥した三次元形状物を提供する。三次元形状物は、食品用の液体、例えばミルク又は水に可溶性である。
【0014】
本発明は更に、子供の発育及び発達の障害の治療若しくは予防、並びに/又は子供の健康な発育及び発達の支援に使用するための、ココアと、糖と、脱脂粉乳と、を含む三次元形状物を提供する。本発明はまた、子供の発育及び発達の障害を治療若しくは予防するための組成物の調製のための、並びに/又は子供の健康な発育及び発達を支援するための、ココアと、糖と、脱脂粉乳と、を含む三次元形状物の使用を提供する。
【0015】
更に、本発明は、ミルクの栄養分(goodness)を補完するのに使用するための、ココアと、糖と、脱脂粉乳と、を含む三次元形状物を提供する。このために、ココアと、糖と、脱脂乳と、を含む三次元形状物は、ビタミン及びミネラル、例えば、ビタミンD、鉄、ビタミンC、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB1、ビタミンA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン及びミネラルを更に含んでもよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「含む/備える(comprises)」、「含んでいる/備えている(comprising)」という単語、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは「含むが、これらに限定されない」ことを意味することを意図している。
【0017】
本発明者らは、驚くべきことに、ココアと、糖と、脱脂粉乳と、を含む凍結乾燥した食品用三次元形状物が、本発明の課題を解決することを示すことができた。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、現在、本発明の課題を解決する、かつ特に、個包装されていない場合にも実質的な摩耗を回避するのに十分に安定であり、例えば水又はミルクなどの冷たい液体中であっても十分に速く溶解する、ココアと、糖と、粉乳と、を含む三次元形状物を、任意選択的にエアレーションと組み合わせた凍結乾燥により製造することが可能になると考える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】凍結乾燥器から取り出したときの形状を示す。
図2】三次形状物が全脂乳に溶解されるときの形状を示す。
図3】本発明の楽しくて遊び心に富む形状の例を3つ示す。
【0019】
すなわち、本発明は、一部には、ココアと、糖と、粉乳と、を含む凍結乾燥した食品用三次元形状物に関する。
【0020】
本発明による三次元形状物は、エアレーションされ得る。
【0021】
本発明の目的のために、食品用という用語は、その材料が人間による消費に安全なものであることを意味するものとする。
【0022】
国際食品規格によると、「食品」という用語は、加工、半加工、又は未加工に関わらず、人間による消費を意図した飲料及びチューインガムを含む全ての物質、並びに「食品」の製造、調製、又は処理に使用されている全ての物質を意味するが、化粧品又はタバコ又は薬剤としてのみ使用される物質を含まない。
【0023】
凍結乾燥は、当該技術分野で周知の技術である。凍結乾燥は、例えば食品粉末の製造に使用することができる。ここで、凍結乾燥は、食品の品質を維持するための非常に良好な乾燥プロセスとして認識されている。植物ベースの食品の凍結乾燥は、例えば、Foods 2020,9(1),87に概説されている。
【0024】
組成物は、ある量の気体を含む場合に、エアレーションされていると見なされる。例えば、組成物は、少なくとも5体積%の気体を含有する場合、エアレーションされているとみなされ得る。気体は、例えば、CO又はNであってもよく、又は空気であってもよい。エアレーションされた食品の作製及び特性評価は、例えば、Trends in Food Science & Technology 10 (1999) 283-296に概説されている。
【0025】
形状物は、3つの次元すべてに延びている場合、三次元形状である。本発明の目的のために、最短寸法が最長寸法の長さの少なくとも1/100、例えば最長寸法の長さの少なくとも1/50、又は例えば最長寸法の長さの少なくとも1/10を有する場合、形状物は三次元であるとみなされ得る。更に、例えば形状物は、より短い寸法の長さが約2~4cmの範囲であり、より長い寸法の長さが約4~6cmの範囲であり、かつ厚さが約3~7mmの範囲であってもよい。任意の形状を用いることができる。例えば、本発明の三次元形状物をより遊び心に満ちたものにするために、例えば人間又は動物を模した形状にしてもよい。形状物は、例えば、漫画のキャラクター、ブランド名又はアイコン、文字又は単語にちなんだ形状としてもよい。更に、形状物は、例えば玩具、楽器、スポーツ用具、又は車両などのアイテムにちなんだ形状としてもよい。形状物はまた、例えば、立方体、直方体、角錐、又は角柱などの幾何学形状を有してもよい。このような規則的な幾何学形状は、緊密な包装を可能にし、したがって包装材料の節約に寄与するという利点を有する。
【0026】
糖としては、任意の糖を用いることができる。例えば、ショ糖を使用することができる。
【0027】
粉乳としては、任意の粉乳を用いることができる。例えば、全脂肪粉乳又は脱脂粉乳を使用することができる。ミルクを避けたい消費者のために、乳代替物の粉末を使用してもよい。乳代替物の粉末は、豆乳粉末、アーモンドミルク粉末、ココナッツミルク粉末、ライスミルク粉末、カシューミルク粉末、ピーナッツミルク粉末、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0028】
本発明の三次元形状物は、食品用の液体に可溶性であるという利点を有する。例えば、本発明の三次元形状物は、ミルク又は水に可溶性である。任意のミルクを使用してよい。例えば、全脂肪乳、又は脂肪含量が低減された脱脂粉乳などのミルクを使用することができる。本発明の三次元形状物は、豆乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルク、カシューミルク、ピーナッツミルク、又はそれらの組み合わせなどの乳代替物にも可溶性である。
【0029】
したがって、本発明による三次元形状物は、ミルク、乳代替物及び/又は水に可溶性であり得る。
【0030】
本発明の目的のために、「可溶性」という用語は、ココアが部分的には水に不溶性であったとしても、撹拌後に三次元形状物が液体中に実質的に均一に分散していることを意味するものとする。例えば、三次元形状物が、室温で15秒間の撹拌後に液体中に実質的に均一に分散している場合、三次元形状物は可溶性であるとみなされ得る。好ましい実施形態では、三次元形状物が、室温で10秒間の撹拌後に液体中に実質的に均一に分散している場合、三次元形状物は可溶性であるとみなされ得る。更により好ましい実施形態では、三次元形状物が、室温で5秒間の撹拌後に液体中に実質的に均一に分散している場合、三次元形状物は可溶性であるとみなされ得る。
【0031】
本発明による三次元形状物は、ココア、糖及び粉乳を湿潤状態で混合することと、混合物をエアレーションし、エアレーションした混合物を三次元形状に凍結することと、かかる混合物を凍結乾燥することと、によって得ることができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、三次元形状物は、約60~70重量%の糖、約20~30重量%のココア、及び約5~15重量%の粉乳を含み得る。本発明者らは、約64重量%の糖、約26重量%のココア、及び約10重量%の脱脂粉乳、を含む三次元形状物で特に良好な結果を達成した。
【0033】
糖は、食物繊維によって少なくとも部分的に置き換えられてもよい。この置き換えは、糖の消費を減らすことを望む消費者にとって有益であり得る。
【0034】
本発明の三次元形状物は、約5~55重量%の穀物原料を更に含み得る。穀物原料は、例えば、オート麦シロップ、protomalt(登録商標)又はオオムギモルトエキス、トウモロコシ粉、オート麦粉、加水分解米、加水分解オート麦、コムギ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。穀物原料を添加することは、得られる飲料が栄養面でより満足のいくものになるという有益な効果を有する。穀物原料の添加は、最終製品の味に対して更に非常に興味深い効果を発揮し得、本発明者らは、この効果が一部の消費者に好まれることを見出している。
【0035】
好ましい実施形態では、穀物原料は穀物エキスであり、より好ましくは、穀物エキスはオオムギモルトエキスであり、更により好ましくは、オオムギモルトエキスは30~40重量%の量で存在する。更に好ましい実施形態では、穀物原料はオオムギモルトエキスからなる。
【0036】
本発明の別の好ましい実施形態では、穀物原料は、可溶性トウモロコシ繊維を、特に30~40重量%の量で含む。
【0037】
有利には、穀物原料は、オオムギモルトエキスと可溶性トウモロコシ繊維との組み合わせを含む。
【0038】
本文脈において、protomalt(登録商標)とは、オオムギモルトエキスである。本発明の特に好ましい実施形態では、穀物原料はモルトオオムギエキスを含む。
【0039】
オオムギモルトエキスを含む本発明の製品の、低温での溶解時間は、他の穀物原料を含む製品と比較して短いことが見出されている。
【0040】
したがって、本発明による三次元形状物は、約30~40重量%の糖、約15~25重量%のココア、約3~12重量%の脱脂粉乳、及び約35~45重量%の穀物原料を含み得る。
【0041】
本発明者らは、約34重量%の糖、約20重量%のココア、約6重量%の脱脂粉乳、及び約40重量%のprotomalt(登録商標)又はオオムギモルトエキス、を含む三次元形状物で特に良好な結果を達成した。
【0042】
本発明者らはまた、約34重量%の糖、約20重量%のココア、約6重量%の脱脂粉乳、及び約40重量%のオート麦シロップ、を含む三次元形状物で特に良好な結果を達成した。
【0043】
子供は、成長するにつれて、新しいエキサイティングな能力がいくつも発達して世界を更に探索することができるようになり、社会における活発なメンバーになる。成長に伴って子供の身体には劇的な変化が生じ、適切な栄養、活動的な生活様式、及びそれをケアする社会環境によって支援される必要がある。子供の適切な発育及び発達は、親の重要な関心事である。ミルクは、子供の良好な発育を支援するための優れた栄養源である。本発明の一実施形態では、本発明の三次元形状物は、ミルクの栄養分を補完し、子供が発育及び発達するのに必要なものを子供に提供することを可能にする、特定の組成でのビタミン及びミネラルを提供する。
【0044】
したがって、本発明による三次元形状物は、ビタミン及びミネラルを含み得、例えば、ビタミンD、鉄、ビタミンC、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB1、ビタミンA、又はそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミン及びミネラルを含み得る。例えば、本発明による三次元形状物は、1サービング当たり、1.0~2.0μgのビタミンD、2.1~4.2mgの鉄、9~18mgのビタミンC、2.25~4.5mgの亜鉛、45~90mgのマグネシウム、0.21~0.42mgのビタミンB1、及び任意選択で120~240μgのビタミンAを含み得る。
【0045】
発育は、体組織の質量及び身長の増加に関連する現象である。小児期及び青年期は、発育、特に骨成長及びピークボーンマス(最大骨量)の達成にとって重要な期間であり、その後の人生における骨粗鬆症の危険性を減少させる重要な機会を提供する。適切な栄養及び定期的な身体活動は、正常な発育を確保するための重要な因子である。骨の内側(有機マトリックス)での骨形成細胞の活性を支援し、外側(無機マトリックス)でのより強い骨形成を促進するためには、いくつかの微量栄養素が必要である。カルシウム及びビタミンDは、これらの微量栄養素の中で最も研究されている。ビタミンDは、体内のカルシウム及びリン酸のバランスを維持することによって骨代謝において重要な役割を果たす。ビタミンDは、カルシウムの腸内吸収及び腎臓における再吸収の両方を増加させ、したがって、骨に対するカルシウムのアベイラビリティを増加させる(Weaver (2007)J. Bone & Mineral Res.22 (2): 45-49)。ビタミンCは、正常なコラーゲン形成及び正常な骨の機能に寄与する。マグネシウムは、正常な骨の維持に寄与する。
【0046】
したがって、本発明の三次元形状物は、例えば、必要なカルシウムを提供する、ミルクの理想的な補完物であり得る。
【0047】
発達とは、器官特異的機能の段階的な獲得を示す生理学的概念である。脳は、妊娠の最初の数日以内に発達し始め、小児期を通して及び小児期以降も発育及び発達し続ける。小児期は、特に急速な脳成長の期間であり、その結果として、記憶、集中及び言語などの複数の異なる認知機能が現れる。栄養は、認知機能、学習及び行動において重要な役割を果たすが、急速な脳成長の期間中には特に重要である。栄養不足は、神経の発達、認知及び行動に影響を及ぼすことが判明している。様々な研究によって、異なる組み合わせでのビタミン及びミネラル補給が認知に示す効果が検討されている。補給のタイプ、期間及び用量、並びに用いられる方法論における差異については、観察された効果及び作用のあった認知機能のタイプにおいて一致した知見が未だ得られていないが、特に栄養不足の場合には、鉄及び亜鉛が、認知機能に正の影響を及ぼすという証拠が存在する。鉄は、ミエリンの産生、並びに注意及び実行機能などの認知機能にとって重要であるドーパミンなどの神経伝達物質の合成及び分解を含む、脳内の様々なプロセスにおいて重要な役割を果たす。亜鉛は、記憶機能に関連する神経伝達に関与する中枢神経系の発達のために重要な栄養素である。マグネシウム、チアミン(ビタミンB1)及びビタミンCは、神経系の正常な働きを支援する。
【0048】
本発明の一実施形態では、本発明の1つの三次元形状物は、1回のサービングを表し得る。あるいは、本発明の2つ、3つ、又は4つの三次元形状物が、1回のサービングを表してもよい。例えば、本発明の三次元形状物は、約2~5g、例えば約3~4gの範囲の重量を有し得る。
【0049】
サービングは、例えば、5~20gの重量を表し得る。したがって、三次元形状物は、5~20g、例えば7~14gの範囲のサービングサイズを有し得る。更に、例えば、1つの三次元形状物は、約5~20g、例えば約7~14gの範囲の重量を有し得る。
【0050】
本発明者らは、特に湿潤混合物の全固形分(TS)が42~35重量%である場合に、エアレーションが本発明の三次元形状物の溶解速度を補助することを見出した。本発明者らは、本発明の三次元形状物のエアレーションが、少なくとも約10体積%、少なくとも約15体積%、又は少なくとも約20体積%である場合に特に良好な結果を達成した。本発明者らは更に、湿潤混合物のTSが35~25重量%である場合には、エアレーションが必要でないことを見出した。35超~45%のTS(全固形分)を有する好ましい実施形態では、エアレーションは20~35体積%である。
【0051】
本発明の三次元形状物は、ミルク又は水に溶解した後にココアベースの飲料をもたらすことができる。
【0052】
本発明による三次元形状物は、対象群の消費者によって1回の消費で都合よく消費され得る量の液体に溶解され得る。当業者であれば、凡その液体の適切な量を決定することができるであろう。例えば、三次元形状物は、約100mL~300mLの液体、例えば、水、牛乳代替物、又はミルクに溶解され得る。更に、例えば、三次元形状物は、約150mL~250mLの液体、例えば、水、乳代替物又はミルクに溶解され得る。
【0053】
本発明の三次元形状物は、過剰量の調製又は過少量の調製が回避されるという利点を有する。更に、三次元形状物は、飲料粉末又は顆粒を床又はテーブル上にこぼす危険がなく、粉末又は顆粒よりも使用が容易である。このことは、子供や、手で安定して保持するのに問題のある人にとって特に重要である。したがって、本発明による三次元形状物は、子供に与えることができる。
【0054】
一般に、本発明による三次元形状物は、一日のうちの任意の時間に、任意の消費機会に、ココアベース飲料を調製するために使用することができる。例えば、本発明の三次元形状物は、例えば、朝食中、午前中、スナックとして、夕方、又はスポーツの後に、消費され得る。ほとんどのココアベースの飲料が朝食中に消費されることから、本発明の三次元形状物は、朝食中に消費され得る。
【0055】
本発明による三次元形状物は、
原料を混合するステップ、
パスチャライズするステップ、
任意選択でエアレーションするステップ、
型内で凍結させるステップ、
凍結乾燥するステップ、を含む方法によって製造することができる。
【0056】
型内での凍結は、-35℃未満の温度、好ましくは-35℃~-80℃の温度で行われることが好ましい。
【0057】
本発明者らは、
原料を混合するステップ、
約80~100℃で約2~5分間、あるいは約73~100℃で15秒~5分間又は2~5分間パスチャライズするステップ、
0~50体積%、例えば15~40体積%の範囲のオーバーランを達成するために任意選択でエアレーションするステップ、
約-20℃~-80℃の範囲、あるいは約-20℃~-70℃の範囲の温度、好ましくは-35℃未満、より好ましくは-35℃~-80℃の温度で型内で凍結させるステップ、
15時間~1週間、好ましくは15時間~48時間の範囲の時間で凍結乾燥させるステップ、を含む方法で、特に良好な結果を得た。
【0058】
本発明による三次元形状物は、特に(但し、限定するものではないが)、三次元形状物にビタミン及び/又はミネラルが添加される場合には、子供の発育若しくは発達の障害を治療若しくは予防するのに、並びに/又は子供の健康な発育及び発達を支援するのに使用するためのものであり得る。
【0059】
本発明の主題はまた、子供の発育及び発達の障害を治療若しくは予防するための、並びに/又は子供の健康な発育及び発達を支援する組成物を調製するための、本発明による三次元形状物の使用にも関する。
【0060】
最後に、本発明による三次元形状物は、ミルクの栄養分を補完するのに使用するためのものであってもよい。
【0061】
当業者は、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を自由に組み合わせることができることを理解するであろう。特に、本発明の製品のために記載された特徴を本発明の使用と組み合わせてよく、逆もまた同様である。更に、本発明の異なる実施形態について記載された特徴を組み合わせてもよい。
【0062】
本発明を実施例によって説明してきたが、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び改変を加えることができることが理解されるべきである。
【0063】
更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。本発明の更なる利点及び特徴は、図及び非限定的な実施例から明らかである。
【0064】
[実施例]
実施例1
レシピ:
以下の3つの処方を調製した:
【0065】
【表1】
【0066】
方法:
【表2】
【0067】
別の凍結乾燥パラメータ:
【表3】
【0068】
実施例2
実施例2は、本発明の複数の処方物の、コールドミルク及びホットミルク中での溶解時間の比較を示す。オオムギモルトエキスを含む本発明の製品は、低温の水分(cold water)中での溶解時間が短いことが示されている。
【0069】
【表4】
図1
図2
図3
【国際調査報告】