(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】2リードQT間隔予測
(51)【国際特許分類】
A61B 5/36 20210101AFI20230721BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20230721BHJP
A61B 5/282 20210101ALI20230721BHJP
A61B 5/327 20210101ALI20230721BHJP
【FI】
A61B5/36
A61B5/332
A61B5/282
A61B5/327
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580467
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 US2021039118
(87)【国際公開番号】W WO2021263120
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512318556
【氏名又は名称】アライヴコア・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・シュラム
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127GG01
4C127GG05
4C127GG16
4C127LL08
(57)【要約】
本開示の実施形態は、電極を備える電極アセンブリを備えるモバイル心電図(ECG)センサを提供し、電極アセンブリは、ユーザの体に接触しているときに心臓関連信号を感知し、感知された心臓関連信号を表す電気信号を生成する。ECGセンサは、電極アセンブリに動作可能に結合された処理デバイスをさらに備え、処理デバイスは、12個未満のリードを備えるモバイルECGセンサからの12リードQT間隔(QTc)値を予測するようにトレーニングされた機械学習モジュールに感知された心臓関連信号を提供する。ECGセンサは、電極アセンブリと処理デバイスとを含むハウジングも備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル心電図(ECG)センサであって、
電極を備える電極アセンブリであって、ユーザの体に接触しているときに心臓関連信号を感知し、前記感知された心臓関連信号を表す電気信号を生成する、電極アセンブリと、
前記電極アセンブリに動作可能に結合された処理デバイスであって、12個未満のリードを備える前記モバイルECGセンサからの12リードQT間隔(QTc)値を予測するようにトレーニングされた機械学習モジュールに前記感知された心臓関連信号を提供する、処理デバイスと、
前記電極アセンブリと前記処理デバイスとを含むハウジングと
を備える、モバイル心電図(ECG)センサ。
【請求項2】
前記機械学習モジュールが、単一のユーザに関する前記12リードQTc値を予測するために、複数のユーザからの12リードQTc間隔データにおいてトレーニングされる、請求項1に記載のモバイルECGセンサ。
【請求項3】
前記機械学習モジュールが、単一のユーザに関する前記12リードQTc値を予測するために、前記単一のユーザからの12リードQTc間隔データにおいてトレーニングされる、請求項1に記載のモバイルECGセンサ。
【請求項4】
前記機械学習モジュールが、深層ニューラルネットワーク機械学習モジュールである、請求項1に記載のモバイルECGセンサ。
【請求項5】
前記感知された心臓関連信号が、リードI信号とリードII信号とを含む、請求項1に記載のモバイルECGセンサ。
【請求項6】
前記処理デバイスが、さらに、健康異常が存在するかどうかを決定するために前記予測されたQTc値を分析するものである、請求項1に記載のモバイルECGセンサ。
【請求項7】
QTc延長が検出されたときに、前記健康異常が存在すると決定される、請求項6に記載のモバイルECGセンサ。
【請求項8】
前記処理デバイスが、さらに、前記健康異常が存在していることに応答して、クライアントデバイスに通知を送信するものである、請求項6に記載のモバイルECGセンサ。
【請求項9】
モバイル心電図(ECG)システムであって、
電極を備える電極アセンブリであって、ユーザの体に接触しているときに心臓関連信号を感知し、前記感知された心臓関連信号を表す電気信号を生成する、電極アセンブリと、
前記電極アセンブリに動作可能に結合された処理デバイスであって、12個未満のリードを備える前記モバイルECGシステムからの12リードQT間隔(QTc)値を予測するようにトレーニングされた機械学習モジュールに前記感知された心臓関連信号を提供する、処理デバイスと、
前記処理デバイスに動作可能に接続されたディスプレイと、
前記処理デバイスに、前記感知された心臓関連信号を処理させ、前記心臓関連信号を前記ディスプレイ上に表示させる命令を含むメモリと
を備える、モバイル心電図(ECG)システム。
【請求項10】
前記機械学習モジュールが、単一のユーザに関する前記12リードQTc値を予測するために、複数のユーザからの12リードQTc間隔データにおいてトレーニングされる、請求項9に記載のモバイルECGシステム。
【請求項11】
前記機械学習モジュールが、単一のユーザに関する前記12リードQTc値を予測するために、前記単一のユーザからの12リードQTc間隔データにおいてトレーニングされる、請求項9に記載のモバイルECGシステム。
【請求項12】
前記機械学習モジュールが、深層ニューラルネットワーク機械学習モジュールである、請求項9に記載のモバイルECGシステム。
【請求項13】
前記感知された心臓関連信号が、リードI信号とリードII信号とを含む、請求項9に記載のモバイルECGシステム。
【請求項14】
前記処理デバイスが、さらに、健康異常が存在するかどうかを決定するために前記予測されたQTc値を分析するものである、請求項9に記載のモバイルECGシステム。
【請求項15】
QTc延長が検出されたときに、前記健康異常が存在すると決定される、請求項14に記載のモバイルECGシステム。
【請求項16】
前記処理デバイスが、さらに、前記健康異常が存在していることに応答して、クライアントデバイスに通知を送信するものである、請求項14に記載のモバイルECGシステム。
【請求項17】
電極を備える電極アセンブリから、ユーザの体から前記電極アセンブリによって感知された心臓関連信号を受信するステップと、
前記感知された心臓関連信号を表す電気信号を生成するステップと、
処理デバイスによって、12個未満のリードを備えるモバイル心電図(ECG)センサからの12リードQT間隔(QTc)値を予測するようにトレーニングされた機械学習モジュールに前記心臓関連信号を提供するステップと、
前記処理デバイスによって、健康異常が存在するかどうかを決定するために前記予測されたQTc値を分析するステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記機械学習モジュールが、単一のユーザに関する前記12リードQTc値を予測するために、複数のユーザからの12リードQTc間隔データにおいてトレーニングされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
QTc延長が検出されたときに、前記健康異常が存在すると決定するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記健康異常が存在していることに応答して、クライアントデバイスに通知を送信するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
QTc延長が、しきい値量を超え、かつしきい値時間以内のQTcの増加に対応する、請求項7に記載のモバイルECGセンサ。
【請求項22】
QTc延長が、しきい値量を超え、かつしきい値時間以内のQTcの増加に対応する、請求項15に記載のモバイルECGシステム。
【請求項23】
QTc延長が、しきい値量を超え、かつしきい値時間以内のQTcの増加に対応する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、2020年6月26日に出願した、TWO-LEAD QT INTERVAL PREDICTIONと題する米国仮出願第63/044,882号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
2030年までに、毎年2300万人を超える人が心血管疾患で死亡すると推定されている。心血管疾患は、第三世界の国々だけでなく第一世界の人口全体において、また社会経済学的地位に関係なく流行している。心血管機能のモニタリングは、心血管疾患の治療および予防に役立つことができる。例えば、A-fib(または他のタイプの不整脈)の患者は、ホルターモニターまたは他の携帯型心電図検査デバイスを使用して、疾患を管理するために長期間監視され得る。そのようなデバイスは、例えば、少なくとも24時間の間、心血管系の電気的活動を継続的に監視することができる。そのようなモニタリングは、中でも急性冠症候群(ACS)などの状態を検出するのに重要であり得る。
【0003】
哺乳類の心臓は、心臓の協調的収縮を知らせ、開始する電流を生成し、伝導する。人間では、電気信号は、SAノードとして知られる心臓の部分によって生成される。SAノードによって生成された後、電流は、健康な心臓において予測可能な方法で心筋全体に伝わる。
【0004】
一般に、心電図(ECG)は、体の表面上に投影された、時間の経過に伴う心臓の電気伝導のグラフ表現である。ECGは、典型的には、x軸およびy軸を有するグラフ上に表示される。典型的には、ECGのx軸は、時間を表示し、ECGのY軸は、正常な心機能中に心臓を通って伝導する電流の電位(ミリボルト単位)を表示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において具体的に記載されている。本発明の特徴および利点のよりよい理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明と、添付図面とを参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、従来技術の12リード心電図を取得するために患者の体に配置された10個の電極を有する従来技術の心電計の画像表現である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、従来技術の12リード心電図を取得するための胸部上の電極配置の例を示す胸部の画像表現である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、12リード心電計によって生成されたPQRST波を示すように注釈が付けられた例示的なリードIを示す図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、従来のフォーマットにおける例示的な12リード心電図を示す図である。
【
図5A】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なECG感知デバイスを示す図である。
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態による、
図5AのECG感知デバイスのハードウェアブロック図である。
【
図5C】本開示のいくつかの実施形態による、ユーザの四肢リードを測定するための
図5AのECG感知デバイスの使用を示す図である。
【
図5D】本開示のいくつかの実施形態による、ユーザの前胸部リードを測定するための
図5AのECG感知デバイスの使用を示す図である。
【
図5E】本開示のいくつかの実施形態による、ユーザの前胸部リードを測定するための
図5AのECG感知デバイスの使用を示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、QT間隔を予測するための方法のフロー図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、本明細書で説明する動作のうちの1つまたは複数を実行し得る例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、その適用において、以下の説明に記載の構造、実験、例示的なデータ、および/または構成要素の配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本開示の実施形態は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法において実施もしくは実行することが可能である。また、本明細書で用いられる用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものとみなされるべきではないことが理解されるべきである。
【0008】
心電図(ECG)は、人の心臓の電気的活動を表すいくつかのECG波形を提供する。ECGモニタリングデバイスは、患者の心臓のこれらのECG波形を記録する(本明細書では「ECGを取得する」とも呼ばれる)ための電極のセットを備え得る。電極のセットは、患者の皮膚上の複数の場所において配置され得、電極のセット内の各電極対間で記録された電気信号(ECG波形)は、リードと呼ばれる場合がある。ECGを取得するために様々な数のリードが使用され得、様々なリードを形成するために異なる数の電極および電極の組合せが使用され得る。ECGを取得するために使用される電極の例示的な数は、3、5、および12リードである。
【0009】
図1は、標準的な12リードECGを取得するために患者上に配置されている従来のECG感知デバイスの10個の電極の画像表現である。右腕上に配置された電極は、一般にRAと呼ばれる。左腕上に配置された電極は、LAと呼ばれる。RA電極およびLA電極は、左腕および右腕上の同じ場所において配置され、好ましくは、必ずしもそうではないが、手首の近くに配置される。脚電極は、右脚についてはRL、左脚についてはLLと呼ばれる場合がある。RL電極およびLL電極は、左脚および右脚について同じ位置に配置され、好ましくは、必ずしもそうではないが、足首の近くに配置される。
【0010】
図2は、胸部上の6個の電極の配置を示し、6個の電極は、それぞれV
1、V
2、V
3、V
4、V
5、およびV
6とラベル付けされている。V
1は、例えば、肋骨4と肋骨5との間の第4肋間において、胸骨のすぐ右に配置される。V
2は、例えば、肋骨4と肋骨5との間の第4肋間において、胸骨のすぐ左に配置される。V
3は、電極V
2とV
4との間の中間の第5肋間において配置される。V
4は、左鎖骨中央線上に肋骨5と6との間の第5肋間において配置される。V
5は、左前腋窩線上にV
4と同様に水平に配置される。V
6は、左中腋窩線上にV
4およびV
5と同様に水平に配置される。
【0011】
次いで、心電計は、3つの四肢リード波形を計算し、出力する。四肢リードI、II、およびIIIは、1個の正極と1個の負極とを有する双極リードである。リードIは、左腕(LA)と右腕(RA)との間の電圧であり、例えば、I=LA-RAである。リードIIは、左脚(LL)と右腕(RA)との間の電圧であり、例えば、II=LL-RAである。リードIIIは、左脚(LL)と左腕(LA)との間の電圧であり、例えば、III=LL-LAである。リードI、II、およびIIIは、一般に「四肢リード」と呼ばれる。
【0012】
単極ポールも2個の極を有するが、負極は、複数の他の電極からの信号で構成された複合極である。12リードECGを取得するための従来の心電計において、四肢リードを除くすべてのリードは、単極(aVR、aVL、aVF、V1、V2、V3、V4、V5、およびV6)である。増強四肢リード(aVR、aVL、およびaVF)は、異なる角度(またはベクトル)から心臓を見ており、RA、LA、およびLLのうちの1つと、RA、LA、およびLLのうちの2つからなる複合体との間の電位差から決定される。したがって、RA、LA、およびLLにおいて配置された3個の電極は、上記の関係に基づいて、aVR、aVL、およびaVFを同時に感知する。つまり、リードI、II、およびIIIは、各々、2個の電極のみからの入力を必要とし、aVR、aVL、およびaVFは、RA、LA、およびLLにおいて配置された3個の電極からの入力を必要とする場合がある。
【0013】
例えば、増強ベクトル右(aVR)は、正電極を右腕上に配置し、負電極は、右腕上の正電極の信号強度を「増強」する左腕電極および左脚電極の組合せである。したがって、増強ベクトル右(aVR)は、RA-(LA+LL)/2または-(I+II)/2に等しい。増強ベクトル左(aVL)は、LA-(RA+LL)/2または(I-II)/2に等しい。増強ベクトル足(aVF)は、LL-(RA+LA)/2または(II-I)/2に等しい。
【0014】
一実施形態において、患者の胸部上の6個の電極は、心臓に十分に近いので、増強を必要としない。ウィルソンの中央端子(しばしばCTW、VW、またはWCTと記号化される)と呼ばれる複合極が負端子として使用される。ウィルソンの中央端子は、無限距離における電位(すなわち、ゼロ)を近似する体全体の平均電位を与えるために、単純な抵抗ネットワークを介して電極RA、LA、およびLLを一緒に接続することによって生成される。ウィルソンの中央端子WCTは、(RA+LA+LL)/3として計算される。
【0015】
ECGモニタリングデバイスによって記録されたECG波形(各々1つがECGのリードに対応する)は、人の心臓の電気的活動に対応するデータを含み得る。典型的な心拍は、当該技術分野において知られているように、中でもP波、QRS複合、T波、およびU波を含む波および複合に分類され得る電位のいくつかの変動を含み得る。別の言い方をすれば、各ECG波形は、当該技術分野において知られているように、中でもP波、QRS複合、T波、およびU波を含み得る。これらの波の形状および持続時間は、人の心房のサイズなどの人の心臓の様々な特性に関する(例えば、心房拡大を示す)場合があり、人に特有の心拍特性の最初のソースとなり得る。複数の波形の各波または複合(すなわち、QRS複合)は、心臓の脱分極および再分極の異なる位相に関連付けられる。ECG波形は、不整脈の検出および特徴付けなどの、心臓のイベントまたは状態を検出するのに有用な様々な指標について(典型的には、信号の標準的なフィルタリングおよび「クリーニング」後に)分析され得る。そのような指標は、例えば、ECG波形の振幅および形態(例えば、QRS複合の振幅および形態)、R波-STセグメントおよびT波の振幅分析、ならびに心拍変動(HRV)を含み得る。
【0016】
図3は、12リード心電計によって生成されたP波、QRS波、およびT波/複合を示すように注釈が付けられた例示的なリードIを示す。典型的には、正常に鼓動している心臓のECGは、12個のECGリードの各々において予測可能な波形を有する。2つの波の間のECG部分は、セグメントと呼ばれ、3つ以上の波の間のECG部分は、間隔と呼ばれる。例えば、S波の終わり(QRS複合の一部)とT波の始まりとの間のECG部分は、STセグメントと呼ばれ、Q波の始まり(QRS複合の一部)とT波の終わりとの間のECGの部分は、QT間隔と呼ばれる。
【0017】
図4は、従来のフォーマットにおける例示的な12リード心電図を示す。
図4に示すように、標準的なECG波形トレースのために、12個のECGリードがX軸およびY軸において個別に表示され、Y軸は、時間を表し、X軸は、電圧を表す。これらのトレースにおいて、12個すべてのECG波形は、それらのX軸に対して整列される。すなわち、すべてのリードのP波形、QRS波形、およびT波形はすべて、それぞれのトレースの各々のX軸に沿って同時に発生する。例えば、従来のECG波形トレースにおいて、QRS複合がリードI波形トレースにおいてX軸上の1秒において発生する場合、QRS複合は、他の11個のECG波形(すなわち、リードII、III、aVR、aVL、aVF、V1、V2、V3、V4、V5、およびV6)の各々において1秒において発生する。
【0018】
標準的な時間整列されたフォーマットは、医療提供者が12個の感知されたECG波形から情報をより容易に取得することを可能にする。従来のECGトレースにおいて、ECGが感知される個人の皮膚上にすべて同時に配置される従来のECGの10個の電極によって波形が同時に感知されることによって、時間整列が促進される。すなわち、従来のECGの12個のECGリードすべてが同時に感知されるので、単純に波形のすべてを同一の軸上に一緒に表示することによって、時間整列が達成される。
【0019】
3つ以上のリードのセットは、完全な12リードECGを生成するための情報を導出するために分析され得ることが留意されるべきである。そのような変換は、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク、深層学習技法など)を使用して実行され得る。機械学習モデルは、個人の集団に対応する12リードECGデータを使用してトレーニングされ得る。データは、機械学習モデルに入力される前に、アプリケーションに適した方法においてデータをフィルタリングするために前処理され得る。例えば、データは、結果として生じる1つまたはモデルが特定のタイプの個人に微調整されるように、1つまたは複数の機械学習モデルをトレーニングするために使用される前に、身長、性別、体重、国籍などに従って分類され得る。さらなる実施形態において、機械学習モデルは、任意の残留合成エラーをさらに減少させるためにモデルを微調整およびパーソナライズするために、ユーザ自身のECGデータに基づいてさらにトレーニングされ得る。
【0020】
従来の12リード心電図は、個人の心臓の健康および状態に関する非常に有用な情報を提供するが、従来の心電計機器は、高価であり、手順は、病院および診察室以外のエリアにおいて通常利用できない。したがって、モニタリングは、第一世界の国々においても頻繁には行われず、世界のより貧しい地域では、心電計が利用可能でない場合さえある。
【0021】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による、電極のセット502(電極アセンブリとも呼ばれる)を備える例示的なECG感知デバイス500の上面図および下面図を示す。いくつかの実施形態において、例えば、容量性電極がユーザの体の上に着用された衣服を通して電位を感知するように、1つまたは複数の容量性電極がECG感知デバイス500において使用される。同様に、典型的な電極がユーザの体の上に着用された衣服を通して電位を感知するように、導電性スプレーまたはゲルがユーザの体の上に配置され得る。
【0022】
一実施形態において、ECG感知デバイス500は、全体または一部において、ステンレス鋼またはなにか他の適切な材料から構築される。一実施形態において、ECGデバイス500は、窒化チタンまたは他の適切なコーティングなどの外部コーティングを含む。有利には、そのような材料は、生体適合性を高め、電極特性を最適化し得る。
【0023】
一実施形態において、デバイス500は、本明細書ではモバイルコンピューティングデバイスと呼ばれ、ECG信号および分析を感知、記録、および表示するために必要なすべての構成要素を含む。別の実施形態において、デバイス500は、ワイヤを介して、またはワイヤレスで別個のモバイルコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス550)に接続する。そのような場合、デバイス500は、ECG信号を感知し、さらなる分析および/または表示のために、未修正のまたは修正された信号をモバイルコンピューティングデバイスに送信し得る。さらに別の実施形態において、上記で挙げた2つの例の任意の組合せが可能である。例えば、ECG感知デバイス500は、本明細書で説明されるすべての動作を実行することができる自己完結型モバイルコンピューティングデバイスと考えられ得るが、ECG感知デバイス500は、依然として任意の適切な目的(処理/分析、表示などをオフロードする)のために第2のモバイルコンピューティングデバイスに接続し、これと対話し得る。
【0024】
ECG感知デバイス500は、1つまたは複数の制御装置および/またはインジケータを含み得る。例えば、デバイス500は、機能(例えば、ECG読み取りをオン/オフする、ECG情報を送信することを開始するなど)を選択するためのボタン、ダイヤルなどを含み得る。ECG感知デバイス500は、記録されたECGを表示するディスプレイをさらに含み得る。
【0025】
図5Aに示すように、ECG感知デバイス500は、ハウジング520を含み得、2つの電極502Aおよび502Bが、ハウジング520の上面において配置され、第3の電極502Cが、ハウジング520の底面において配置される。電極502は、別個の信号を感知し、記録することができるように、絶縁体504または他の適切な材料を介して互いに絶縁され得る。いくつかの実施形態において、電極502は、銀-塩化銀(またはなにか他の適切な材料の)電極から構成され得る。いくつかの実施形態において、ECG感知デバイス500は、1つまたは複数のECG電極が、接着剤を用いて、または接着剤なし(例えば、導電性ゲルおよび電極502)で皮膚上で使用されるようにECG感知デバイス500に接続されることを可能にする、例えば、一端または側面上の雌ソケットなどの電極コネクタ(図示せず)を含み得る。
【0026】
図5Bは、処理デバイス505(例えば、プロセッサ、中央処理装置(CPU))、メモリ510(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、記憶デバイス(例えば、ハードディスクドライブ(HDD))、ソリッドステートドライブ(SSD)など)、および他のハードウェアデバイス(例えば、アナログデジタルコンバータ(ADC)など)などのハードウェアを含み得るECG感知デバイス500のハードウェアブロック図を示す。記憶デバイスは、データを記憶することができる永続的ストレージを備え得る。永続的ストレージは、ローカル記憶ユニットまたはリモート記憶ユニットであり得る。永続的ストレージは、磁気記憶ユニット、光学記憶ユニット、ソリッドステート記憶ユニット、電子記憶ユニット(メインメモリ)、または同様の記憶ユニットであり得る。永続的ストレージは、モノリシック/単一のデバイス、または分散型のデバイスのセットでもあり得る。いくつかの実施形態において、処理デバイス505は、ビルトインリードオフ検出を提供する専用のECG波形処理および分析チップを備え得る。ECG感知デバイス500は、電極のセット502によって測定されたECG波形を、処理デバイス505によって処理するためにデジタル信号に正確に変換するために十分高いサンプリング周波数を有するADC(図示せず)(例えば、500Hz以上で動作する24ビットADC)を含み得る。
【0027】
メモリ510は、リード合成ソフトウェアモジュール510A(以下、モジュール510Aと呼ぶ)と、QT予測ソフトウェアモジュール510B(以下、モジュール510Bと呼ぶ)とを含み得る。処理デバイス205は、本明細書でさらに詳細に論じるように、ECG感知デバイス500の電極によって測定されなかったリードに対応するECG波形を合成するためにモジュール207Aを実行し得る。処理デバイス505は、本明細書でさらに詳細に論じるように、ユーザのQT間隔を正確に予測するためにモジュール510Bを実行し得る。
【0028】
ECG感知デバイス500は、ECGデータを1つまたは複数のローカルおよび/またはリモートコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス550)にワイヤレスで送信するための任意の適切なプロトコルを実装し得るトランシーバ508をさらに備え得る。例えば、トランシーバ508は、Bluetooth(登録商標)を介してECGデータをローカルコンピューティングデバイス(例えば、ユーザのラップトップまたはスマートフォン)に送信するためのBluetoothチップを備え得る。他の実施形態において、トランシーバ508は、ECGデータをリモートコンピューティングデバイス(例えば、内科医または医療提供者のコンピューティングデバイス)および/またはローカルコンピューティングデバイスに送信するために、(例えば、GSM、GSM plus EDGE、CDMA、クワッドバンド、または他のセルラープロトコルを使用する)セルラーデータネットワークまたはWiFi(例えば、802.11プロトコル)ネットワークを用いて通信するように構成されたネットワークインターフェースデバイスを含み得る(またはそれに結合され得る)。
【0029】
本明細書でさらに詳細に論じるように、コンピューティングデバイス550は、ECG感知デバイス500を動作させるための命令を提供するために使用され得、または、例えば、ECG感知デバイス500によって測定されたECGデータが送信されるべき医療提供者システムに対応し得る。
【0030】
図5Cに示すように、1つの実際的な例において、ユーザは、左脚が電極502Cに接触している間、各手がECG感知デバイス500上の電極502Aおよび502Bに接触するように、片手または両手でデバイスを保持する。次いで、ECG感知デバイス500(オプションで、別個のモバイルコンピューティングデバイスを有する)は、リードIと、リードIIと、リードIIIとを記録するために使用され得、本明細書でさらに詳細に説明するように、(例えば、モジュール510Aを実行することによって)これらのリードから少なくとも3つの追加のリードが決定され得る。具体的には、リードI、II、およびIIIを使用して、増強リードaVR、aVL、およびaVFが決定され得る。ユーザは、座っている、立っている、または快適な任意の位置にいる場合がある。
【0031】
図5Dおよび
図5Eは、本明細書で説明するように、ユーザがECG感知デバイス500を使用して前胸部リードV1、V2、V3、V4、V5、およびV6も記録し得る実施形態を示す。ユーザは、第3の電極(例えば、502C)が「CP1」、「CP2」、「CP3」、「CP4」、「CP5」、および「CP6」として表される6つの前胸部位置のうちの1つに接触するように胸部に対して保持されている間、ユーザの各手が電極502Aおよび502Bに接触するように、ECG感知デバイス500を保持し得る。例えば、ユーザは、電極502CがCP1に接触しているように配置されたECG感知デバイス500で開始し得、ここから、ユーザは、リードV2、V3、V4、V5、およびV6に対応する6つの電極位置の各々と順次接触するようにECG感知デバイス500を移動させ得る。いくつかの実施形態において、ユーザがECG感知デバイス500の電極502Aおよび502Bに自分の右手および左手の各々を接触させ、同時にデバイス500の第3の電極(例えば、502C)をV1、V2、V3、V4、V5、およびV6に対応するユーザの胸部上の位置に対して保持している間、V1、V2、V3、V4、V5、およびV6に対応する胸部位置において感知される電位の各々は、LAおよびRAにおいて感知される電位と同時に感知される。リードIは、LAとRAとの間の電位差と等価である。したがって、いくつかの実施形態において、V1、V2、V3、V4、V5、およびV6のいずれかに対応する胸部上の位置における電位を、LAおよびRA位置における電位とともに測定することは、胸部位置およびリードIにおける電位の差と等価である。すなわち、例えば、説明したようにデバイス500の3つの電極すべてを使用すると、V1(V1胸部位置における電位)=(「CP1」)-WCT(WCT=(RA+LA+LL)/3または(リードI+リードII)/3)である。
【0032】
6つの前胸部位置は、(「CP1」、「CP2」、「CP3」、「CP4」、「CP5」、および「CP6」)およびウィルソンの中央端子(「WCT」)として知られる合成値として表され得る。「CP(x)」は、解剖学的前胸部リード位置において感知された6つの電位のいずれかに対応する(ここで、「x」は、位置番号1~6である)。例えば、CP1は、V1を測定するために電極が配置される場所において感知されたECG測定値であり、その位置は、ほぼ、胸骨のすぐ右の第2肋間にある。したがって、リードV1=CP1-WCTである。
【0033】
WCTは、右上肢、左上肢、左下肢において感知された電位の合計の3分の1、すなわち1/3(RA+LA+LL)に等しい。同時に配置された10個の電極を使用する標準的なECGにおいて、WCTを決定するRA、LA、LLがCP1、CP2、CP3、CP4、CP5、およびCP6と同時に感知されるので、WCT値は、前胸部リードが感知されると同時に生成される。
【0034】
これらの実施形態において、電極502は、ユーザが第1の電極502Aを右上肢に接触させ、第2の電極502Bを左上肢に接触させ、第3の電極502Cを左下肢に接触させると、6つの四肢リード、リードI、II、III、aVR、aVL、およびaVFを同時に感知/計算するように位置決めされ、構成される。
【0035】
また本明細書で説明するように、ECG感知デバイス500は、ユーザが、例えば、第1の電極502Aを右上肢に接触させ、第2の電極502Bを左上肢に接触させ、第3の電極502Cを前胸部リード位置に対応するユーザの胸部の領域に接触させると、6つのリードV1、V2、V3、V4、V5、およびV6を順次感知するように構成される。
【0036】
ECG感知デバイス500が本明細書で説明するように3つの電極を備えるいくつかの実施形態において、WCTを決定するRA、LA、LLは、1つまたは複数の前胸部リードと同時に感知されない。すなわち、ECG感知デバイス500の3個の電極のうちの1つがユーザの胸壁に対して保持されている場合、2つの電極のみが自由なままであり、従来のWCTを同時に決定することはできない。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、RAは、0に設定される。RA=0の場合、さらにWCT=(リードI+リードII)/3として表すことができるWCT=(0+LA+LL)/3または((LA-0)+(LL-0))/3を提供する。
【0037】
同様に、RAが0に設定されるこれらの実施形態において、平均WCT=(平均リードI+平均リードII)/3である。いくつかの実施形態における平均WCTは、例えば、本明細書で説明するECG感知デバイスによって感知されたリードI波形およびリードII波形に対してアンサンブル平均方法を使用して生成された平均リードIおよび平均リードIIを使用して生成される。平均WCTを生成することは、例えば、信号フィルタリングに有益であり、減算の目的のための値の整列も単純化する。すなわち、いくつかの実施形態において、CP1、CP2、CP3、CP4、CP5、およびCP6は、各々平均化され、V1、V2、V3、V4、V5、およびV6を生成するために、その各々から平均WCTが各々減算される。
【0038】
ECG感知デバイス500によって測定されたリードのセットから完全な12個のリードセットを合成するために、いくつかの機械学習(ML)方法も使用され得る。MLは、モデルをトレーニングするために使用されるトレーニング例と比較して、規模にかかわらず、入力データにおける異常または傾向を識別するための、1つまたは複数の基準の継続的な監視によく適している。本明細書で説明するMLモデルは、ユーザの集団からのユーザデータにおいてトレーニングされ得、および/またはモデルに関する設計ニーズに適合するように他のトレーニング例においてトレーニングされ得る。本明細書で説明する実施形態で使用され得るMLモデルは、限定ではなく例として、ベイズ、マルコフ、ガウス過程、クラスタリングアルゴリズム、生成モデル、カーネル、およびニューラルネットワークアルゴリズムを含む。いくつかの実施形態は、トレーニングされたニューラルネットワーク(例えば、トレーニングされたリカレントニューラルネットワーク(RNN)またはトレーニングされた畳み込みニューラルネットワーク(CNN))に基づく機械学習モデルを利用する。
【0039】
例えば、MLモデルは、教師付き分類のために人工ニューラルネットワーク(ANN)を利用し得、モデルの結果は、入力サンプルがデータの特定のクラスにある確率を表すか、またはいくつかの特有の特性を示す。別の例において、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に基づくデータ駆動型手法が使用される。畳み込み演算を使用することによって、MLモデルは、単一の出力データポイントを推論するために、時間的に閉じた入力サンプル間の相関関係を考慮し得る。より具体的には、一般的な時間tにおける単一の出力サンプル(各前胸部リード)は、t-τからt+τまでのすべての入力サンプル(すべての四肢リード)によって影響を受ける。ネットワークの受容野を表すτの値は、モデルアーキテクチャに大きく依存し、典型的には、その深さ、すなわち、連続する層の数とともに増加する。未知のデータを汎化し、オーバーフィッティングの問題を回避する能力は、すべてのデータ駆動型手法にとって最も重要である。複雑なモデルは、小さいデータセットとともに、トレーニングセットにおける優れた性能につながり得るが、未知のデータにおいて性能が低下し得る。モデルを最適化するために、レイヤ間およびレイヤ内の正規化(例えば、バッチ正規化およびレイヤ正規化)およびデータ拡張技法などの任意の適切な正規化方法が使用され得る。最後に、モデルの有効性および効率を改善するために、残差接続、すなわち、勾配ベースの最適化アルゴリズムの逆伝播中に勾配がレイヤを通過することを可能にするアイデンティティマッピングの使用が利用され得る。
【0040】
マルチリードECG感知デバイスでのAI/深層学習の使用は、患者自身が通院またはかさばるハードウェアを必要とすることなく(病院内または自宅で)自分の心臓の電気的活動を監視することを可能にし得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、ECG感知デバイス500または他のモバイルコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス550)のメモリ510は、ECGを実行するためにECG感知デバイス500をどのように位置決めするか(例えば、標準的な前胸部リード胸部位置の上)、ならびにユーザがECGを実行するために位置すべき位置に関してユーザに指示する個人に指示を表示または他の方法で伝達する指示ソフトウェアモジュール(図示せず)を含み得る。例えば、ディスプレイは、ユーザが電極1および2をそれぞれユーザの左手および右手で保持しながら第3の電極を保持するように指示されるユーザの胸部上の場所の画像を示し得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、ECG感知デバイス500またはコンピューティングデバイス550上のソフトウェアは、第1の電極が右手によって接触され、第2の電極が左手によって接触されているかどうかに対する、第1の電極が左手によって接触され、第2の電極が右手によって接触されているかどうかを認識するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、ユーザが、ユーザの左脚に第3の電極を接触させた後に、ユーザの胸部上の前胸部リード位置に第3の電極を接触させるために手の位置を交換する必要がある可能性が高くなるように、第3の電極は、ECG感知デバイス500の、第1および第2の電極とは異なる表面上に配置される。いくつかの実施形態において、ECG感知デバイス500または他のモバイルコンピューティングデバイス上のソフトウェアは、ECG感知デバイス500に結合または統合されたセンサから情報を受信し、センサは、空間におけるデバイスの位置に関する情報を提供する。そのような情報を感知するセンサのクラスの例は、限定はしないが、加速度計、傾斜計、およびジャイロメータを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、ECG感知デバイス500は、電極502のうちの1つまたは複数がユーザによって係合されていないときにECGを感知するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、ECG感知デバイス500は、3個の電極を備え、ECG感知デバイス500は、3個の電極すべてがユーザによって係合されたとき、または3個の電極のうちの任意の2個がユーザによって係合されたときにECGを感知するように構成される。すなわち、この実施形態において、例えば、ユーザが第1の電極をユーザの右上肢上の皮膚表面に接触させ、第2の電極をユーザの左上肢の皮膚表面に接触させるが、第3の電極を接触させない場合、ECG感知デバイスは、ECGを感知する。この例において、3個の電極のうちの2個が、それぞれ右上肢および左上肢によって接触される場合、リードIが感知される。同様に、3個の電極のうちの2個が、それぞれ右上肢および左下肢によって接触される場合、リードIIが感知される。同様に、3個の電極のうちの2個が、それぞれ左上肢および左下肢によって接触される場合、リードIIIが感知される。この実施形態において、ECG感知デバイス500は、例えば、接触されている2つ以上の電極からの電極電位を感知するが、ユーザによって接触されていない電極からの電極電位を感知しないことによって、2つ以上の電極がユーザによって接触されている一方で、電極のうちの1つまたは複数がユーザによって接触されていないことを認識する。
【0044】
例示的な実施形態が
図5A~
図5Eにおいて示されている本明細書で説明するECG感知デバイスのいくつかの実施形態において、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス550)は、本明細書で説明するソフトウェアアプリケーションを実行するように構成される。さらなる実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、デバイスの機能を実行する1つまたは複数のハードウェア中央処理装置(CPU)または汎用グラフィックス処理装置(GPGPU)を含む。依然としてさらなる実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、実行可能命令を実行するように構成されたオペレーティングシステムをさらに備える。いくつかの実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、コンピュータネットワークにオプションで接続される。さらなる実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、ワールドワイドウェブにアクセスするようにインターネットにオプションで接続される。依然としてさらなる実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、クラウドコンピューティングインフラストラクチャにオプションで接続される。他の実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、インターネットにオプションで接続される。他の実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、データ記憶デバイスにオプションで接続される。
【0045】
本明細書における説明によれば、適切なモバイルコンピューティングデバイスは、非限定的な例として、サーバコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、サブノートブックコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ネットパッドコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチ、デジタルウェアラブルデバイス、およびタブレットコンピュータを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、実行可能命令を実行するように構成されたオペレーティングシステムを含む。オペレーティングシステムは、例えば、デバイスのハードウェアを管理し、アプリケーションの実行のためのサービスを提供する、プログラムとデータとを含むソフトウェアである。適切なオペレーティングシステムの非限定的な例は、FreeBSD、OpenBSD、NetBSD(登録商標)、Linux(登録商標)、Apple(登録商標) Mac OS X Server(登録商標)、Oracle(登録商標) Solaris(登録商標)、Windows Server(登録商標)、およびNovell(登録商標) NetWare(登録商標)を含む。当業者は、適切なパーソナルコンピュータのオペレーティングシステムが、非限定的な例として、Microsoft(登録商標) Windows(登録商標)、Apple(登録商標) Mac OS X(登録商標)、UNIX(登録商標)、およびGNU/Linux(登録商標)などのUNIX系オペレーティングシステムを含むことを認識するであろう。いくつかの実施形態において、オペレーティングシステムは、クラウドコンピューティングによって提供される。
【0047】
いくつかの実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、ストレージおよび/またはメモリデバイスを含む。ストレージおよび/またはメモリデバイスは、データまたはプログラムを一時的または永続的に記憶するために使用される1つまたは複数の物理的装置である。いくつかの実施形態において、デバイスは、揮発性メモリであり、記憶された情報を維持するために電力を必要とする。いくつかの実施形態において、デバイスは、不揮発性メモリであり、モバイルコンピューティングデバイスに電力が供給されていないとき、記憶された情報を保持する。さらなる実施形態において、不揮発性メモリは、フラッシュメモリを備える。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を備える。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM(登録商標))を備える。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)を備える。他の実施形態において、デバイスは、非限定的な例として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクドライブ、磁気テープ、光ディスクドライブ、およびクラウドコンピューティングベースのストレージを含む記憶デバイスである。さらなる実施形態において、ストレージおよび/またはメモリデバイスは、本明細書で開示されているようなデバイスの組合せである。
【0048】
いくつかの実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、視覚情報をユーザに送るためのディスプレイを含む。いくつかの実施形態において、モバイルコンピューティングデバイスは、ユーザから情報を受け取るための入力デバイスを含む。いくつかの実施形態において、入力デバイスは、キーボードである。いくつかの実施形態において、入力デバイスは、非限定的な例として、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、ゲームコントローラ、またはスタイラスを含むポインティングデバイスである。いくつかの実施形態において、入力デバイスは、タッチスクリーンまたはマルチタッチスクリーンである。他の実施形態において、入力デバイスは、音声または他の音入力を取り込むためのマイクロフォンである。他の実施形態において、入力デバイスは、動きまたは視覚的入力を取り込むためのビデオカメラまたは他のセンサである。依然としてさらなる実施形態において、入力デバイスは、本明細書で開示されているようなデバイスの組合せである。
【0049】
様々な実施形態において、本明細書で説明するプラットフォーム、システム、媒体、および方法は、クラウドコンピューティング環境を含む。いくつかの実施形態において、クラウドコンピューティング環境は、複数のコンピューティングプロセッサを備える。
【0050】
図5A~
図5Eは、本明細書で説明するユーザ事項の例示的な実施形態を示すが、一般に、個人が快適かつ自然に電極に接触するように、本明細書で説明するデバイスにおいて多数の電極位置、形状、およびサイズが使用され得ることが理解されるべきである。例えば、3個の電極すべては、コンピューティングデバイスまたはデバイスカバーの側面に完全に配置され得る。
【0051】
図5A~
図5Eに示す実施形態のいずれかにおいて、1つまたは複数の電極は、ECG感知デバイス500から取り外し可能に構成され得る。これらの実施形態において、ECG感知デバイスは、例えば、取り外し可能な電極上の対応する雄または雌コネクタにスナップフィット結合するように構成された雄または雌コネクタのいずれかを有する。
【0052】
図5A~
図5Eの実施形態は、3個の電極を備えるECG感知デバイスを示すが、本明細書で説明するECG感知デバイスに他の数のECG電極が組み込まれ得ることが理解されるべきである。
【0053】
一般に、上記で説明した技法、構成要素、および/またはサブシステムのいずれかは、他の例のいずれかで使用されるか、またはそれらと組み合わされ得る。例えば、本明細書で説明するECGデバイスのいずれかは、上述した特徴のいずれかを含み得る。
【0054】
QTc延長は、遺伝的および/または後天的な危険因子に続発するものかどうかにかかわらず、SCDの独立した危険因子と、様々な臨床現場における総死亡率と心血管死亡率の両方の予測因子とを表す。重要なことに、入院患者または外来患者で12リードECGを受けているすべての個人の約1%がQTc≧500ミリ秒を有することを研究が論証している。このしきい値は、満たすか超えると、死亡リスクを約2倍から4倍に増加させ、少なくとも短期間(例えば、30日)において、従来の併存疾患指数よりも優れた総死亡率の強力な予測因子として機能することが留意されるべきである。本明細書では500ミリ秒のしきい値に関して論じるが、心疾患関連の死亡率の上昇したリスクを表すQTc延長を示すために、任意の適切なしきい値(例えば、450ミリ秒、475ミリ秒)が使用され得る。それに加えて、特定の期間にわたる特定の量のQTcの増加は、心疾患関連の死亡率の上昇したリスクを表すQTc延長も示し得る。例えば、ユーザのQTが400ミリ秒において測定され、その後(しきい値期間内)450ミリ秒において測定された場合、これは、450が個々の測定に関するQTcしきい値(例えば、500ミリ秒)未満であっても、QTc延長を示し得る。
【0055】
さらに、多くの状況において、QTc≧500ミリ秒の発生は、少なくとも部分的に、潜在的に致死的であるが、高度に治療可能な遺伝的状態(すなわち、先天性LQTS)、および/または修正可能な危険因子(例えば、電解質異常、1つ以上のQTc延長薬の使用、または潜在的なQT興奮疾患)の存在によって引き起こされる。したがって、多くの状況において、実質的なQTc延長の識別は、i)脆弱でリスクのあるホストを識別し、ii)TdPおよびSCDのリスクを軽減するために必要な潜在的な救命処置の変更(すなわち、β遮断薬の開始、QTc延長薬の中止、または低カリウム血症および低マグネシウム血症の補正)を行う重要な機会を提供する。
【0056】
しかしながら、かさばる12リードECGシステムとトレーニングされたECG技術者とに依存しているため、QTcが監視され得る臨床現場は、病院および外来診療所における「スナップショット」評価にほぼ制限される。
【0057】
したがって、いくつかの実施形態において、ECG感知デバイス500は、ユーザのQT間隔を予測するために使用され得る。本明細書で論じるように、機械学習(ML)は、モデルをトレーニングするために使用されるトレーニング例と比較して、規模にかかわらず、入力データにおける異常または傾向を識別するための、1つまたは複数の基準の継続的なモニタリングによく適している。本明細書で説明する実施形態で使用され得るMLモデルは、限定ではなく例として、ベイズ、マルコフ、ガウス過程、クラスタリングアルゴリズム、生成モデル、カーネル、およびニューラルネットワークアルゴリズムを含む。いくつかの実施形態は、トレーニングされたニューラルネットワーク(例えば、トレーニングされたリカレントニューラルネットワーク(RNN)またはトレーニングされた畳み込みニューラルネットワーク(CNN))に基づく機械学習モデルを利用する。
【0058】
ECG感知デバイス500は、本明細書で論じるように、QT間隔を予測するためにモジュール510Bを実行し得る。本明細書で説明するように、モジュール510Bは、QT間隔を予測するための深層ニューラルネットワーク(DNN)を備え得るが、任意の適切なMLモデルが使用され得る。ユーザは、本明細書で説明する任意の適切な方法において(例えば、本明細書でさらに詳細に論じるように命令の受信に応答して)ECG感知デバイス500を配置し、ECG感知デバイス500を使用してECGを実行し得る。処理デバイス505は、平均拍動アルゴリズムを用いて、記録されたECG信号を処理し得、DNNへの入力は、ミリボルトにおける2×450長信号の形態における平均拍動であり得る。平均拍動信号は、まず、3つの個別のパススルー段階(2つの個別の2D畳み込み、漏れ整流線形ユニット、最大プーリングなど)によって処理される前に、初期畳み込み層(例えば、2D畳み込み、漏れ整流線形ユニット、最大プーリング)を通過する前に、双曲線正接関数を介してクランプされ得、(トレーニング可能なパラメータを介して)パススルー入力が追加され、ダウンサンプリング、プーリング、および畳み込みの前にドロップアウトが適用される。最後のパススルーの後、信号は、所与のQT値の出力クラスに関する確率ベクトルを出力する2つの別個のフィードフォワードネットワーク層に送信され、その確率ベクトルの期待値は、予測QT間隔とみなされる。トレーニングするための損失関数は、確率ベクトルおよび目標QT間隔のクロスエントロピー項と、二乗平均平方根誤差QT間隔平均との和である。MLモデルは、任意の適切な数のリードまたはリードの組合せを利用し得る(およびそれらにおいてトレーニングされ得る)ことが留意されるべきである。いくつかの実施形態において、MLモデルは、リードI、II、またはIIIと任意の適切なvリードとの組合せに基づいてQT間隔を予測するようにトレーニングされ得る。例えば、MLモデルは、リードIおよびv5、リードIIおよびv5、またはリードIIIおよびv5(または任意の他の適切なvリード)に基づいてトレーニングされ得る。
【0059】
DNNは、ECGが得られたときにユーザがいたのと同じ位置において得られた様々な患者の注釈付き標準12リードECGデータを使用してトレーニングされ得る。いくつかの実施形態において、ECG信号は、トレーニングの前に前処理され得る。例えば、ECG感知デバイス500の移動性(ambulatory)帯域幅(0.1~40Hz)をシミュレートするために、バンドパスフィルタが適用され得、リードIおよびIIに関する平均拍動アルゴリズムを用いて結果の12リードECGを処理する前に、任意の適切なフィルタリングアルゴリズム(例えば、Alivecor(登録商標)のFDA認可の拡張フィルタリングアルゴリズム)が適用され得る。トレーニングデータを含むソースECGは、QT間隔に基づいてバケット化され得、ランダムに選択されたバケット内でECGをランダムに選択する。ユーザから受信されたECG信号は、例えば、(例えば、モジュール510Aを介して)別個のリード変換MLアルゴリズムを使用して生成されたリードを含み得るので、いくつかの実施形態において、DNNは、合成されたリードを含む追加のトレーニングデータを使用してさらに適合され得る。
【0060】
本明細書で説明するデバイスのすべては、1つまたは複数のサーバ、1つまたは複数のセンサ、電子データ通信ネットワーク、ならびに他のECG感知デバイスを含み得る様々なシステムにおける使用に適している。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する複数のECG感知デバイスが、電子データ通信ネットワークを介して1つまたは複数のリモートサーバにECGデータを送信する。いくつかの実施形態において、ECGデータは、1つまたは複数のリモートサーバを使用して分析される。いくつかの実施形態において、受信したECGデータを分析するリモートサーバを使用して、不整脈検出が実行される。
【0061】
本明細書で説明するデバイスおよびシステムのすべては、1つまたは複数のソフトウェアモジュールも含み得る。いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、またはタブレットコンピュータなどのモバイルコンピューティングデバイス上で動作するように構成されたアプリケーションを含む。ソフトウェアは、ECG感知デバイスから受信したECGデータを受信して処理する。ソフトウェアは、例えば、ECGデータがどの電極から発信されたかに基づいて、送信されたデータ内の別個のリードを識別する。例えば、ソフトウェアは、右上肢と左上肢との間の電位差を測定する2つの電極から生じる信号に基づいて、リードIを識別することができ得る。ECGが識別されると、ソフトウェアは、モバイルコンピューティングデバイスのディスプレイ画面上にシングルリードまたはマルチリードECGを表示するようにさらに構成され得る。ソフトウェアは、ディスプレイ画面上に6つのリードI、II、III、aVR、aVL、およびaVFを同時に表示するように構成され得る。ソフトウェアは、ディスプレイ画面上に6つのリードI、II、III、aVR、aVL、およびaVFのうちの1つまたは複数を一度に表示するように構成され得、ユーザは、異なる切り替えられた画面上の異なるリードを見るために、画面を手動で切り替えることができる。
【0062】
本明細書で説明するソフトウェアモジュールは、コンピュータ可読かつ実行可能なコードを含む。様々な実施形態において、ソフトウェアモジュールは、ファイル、コードのセクション、プログラミングオブジェクト、プログラミング構造、またはそれらの組合せを含む。さらなる様々な実施形態において、ソフトウェアモジュールは、複数のファイル、コードの複数のセクション、複数のプログラミングオブジェクト、複数のプログラミング構造、またはそれらの組合せを含む。様々な実施形態において、1つまたは複数のソフトウェアモジュールは、非限定的な例として、ウェブアプリケーション、モバイルアプリケーション、およびスタンドアロンアプリケーションを含む。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1つのコンピュータプログラムまたはアプリケーション内にある。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは、2つ以上のコンピュータプログラムまたはアプリケーション内にある。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1台のマシン上でホストされる。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは、2台以上のマシン上でホストされる。さらなる実施形態において、ソフトウェアモジュールは、クラウドコンピューティングプラットフォーム上でホストされる。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1つの場所にある1台または複数のマシン上でホストされる。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは、2つ以上の場所にある1台または複数のマシン上でホストされる。
【0063】
いくつかの実施形態において、同時に感知されない2つ以上の感知されたリードは、従来の標準的な12リードECGトレーシングにおけるような時間整列フォーマットにおいて2つ以上のリードを表示する時間整列ECGトレーシングを生成するために時間整列される。本明細書で説明するECG感知デバイスのいくつかの実施形態において、ECGが感知される個人の皮膚上に1個または複数のECG感知電極が同時に配置されない(すなわち、いくつかのリードが順次感知され得る)。例えば、四肢リード(I、II、III、aVR、aVL、およびaVF)は、同時に感知されるが、前胸部リードのうちの1つまたは複数は、四肢リードとは別々に感知される。そのため、これらの実施形態において、6つの四肢リードは、個別にかつ別々に感知された前胸部リードと自動的に時間整列されず、四肢リードのうちの1つまたは複数を前胸部リードのうちの1つまたは複数に時間整列させるために、ソフトウェアアプリケーションによってさらなる処理が実行される。いくつかの実施形態において、個別に感知された前胸部リードがソフトウェアアプリケーションによって6つの四肢リードならびに他の前胸部リードと時間整列されるように、6つの前胸部リードのうちの1つまたは複数が個別に感知される。いくつかの実施形態において、6つのリードの2つのセット(すなわち、6つの時間整列された前胸部リードおよび6つの別々に時間整列された四肢リード)がそれぞれ時間整列されるように、本明細書で説明するソフトウェアアプリケーションが、2つ以上の感知された前胸部リードを互いに整列させ、6つの感知された四肢リードを別々に時間整列させる。いくつかの実施形態において、本明細書で説明するソフトウェアは、12個の感知されたリードのすべてが時間整列されるように、2つ以上の感知された前胸部リードを、互いにならびに感知された四肢リードに整列させる。
【0064】
いくつかの実施形態において、異なる心拍に対応する波形が時間整列されるように、第1および第2のリードについて1つまたは複数の平均または中央値波形が生成される。すなわち、1つまたは複数のリードが同時に感知されないいくつかの実施形態において、これらのリードのうちの1つまたは複数について平均または中央値波形が生成され、P、QRS、およびT波形/複合がX軸に沿って垂直に整列されるように、平均または中央値波形が時間整列される。
【0065】
メモリ510は、感知されたECGリードが、従来のECGトレーシングにおける波形のように表示されるときに整列されるように、ECG感知デバイス500によって感知された各リードのP、QRS、およびT波形/複合の時間整列を実行することができる時間整列ソフトウェアモジュール(図示せず)を含み得る。ECG感知デバイスのいくつかの実施形態において、ECG感知デバイスは、2つ以上の感知されたECGリードを時間整列するように構成されたソフトウェアアプリケーションを備える。ECG感知デバイスのいくつかの実施形態において、2つ以上の感知されたECGリードを時間整列するように構成されたソフトウェアアプリケーションは、ECG感知デバイスからデータを受信するシステムの構成要素である。
【0066】
本明細書で説明するECG感知デバイスの第1および第2の電極が、デバイスの第3の電極が6つの前胸部リード位置のいずれか1つに接触すると同時に、ユーザの右上肢および左上肢によって接触されると、感知された前胸部リードとともに同時にリードIが感知される。すなわち、リードIは、左上肢において感知された電圧から右上肢において感知された電圧を減じたものに等しいので、左上肢、右上肢、および胸部がすべて、本明細書で説明するECG感知デバイスの電極によってそれぞれ接触されると、前胸部リードに加えてリードIが感知される。したがって、6つの前胸部リードのすべてが順次感知されると、6つのそれぞれ対応する「前胸部リードI記録」、すなわち、V1-リードI、V2-リードI、V3-リードI、V4-リードI、V5-リードI、およびV6-リードIも生成される。これらの6つの前胸部リードI記録の各々は、前胸部リードの各々を四肢リードに時間整列するために使用され、したがって、前胸部リードを時間整列させる。
【0067】
いくつかの実施形態において、時間整列ソフトウェアモジュールは、V1、V2、V3、V4、V5、およびV6の波形の各々と同時に感知された前胸部リードI記録が存在することを利用することによって、前胸部リードV1、V2、V3、V4、V5、およびV6を整列させる。すなわち、前胸部リードI記録V1-リードI、V2-リードI、V3-リードI、V4-リードI、V5-リードI、およびV6-リードIは、それぞれ、それらと同時に感知された前胸部リード記録と時間整列される。前胸部リードI記録の各々は、例えば、前胸部リードI記録をY軸に沿って特定の距離移動させることによって、四肢リードとともに感知されたリードIに時間整列され、前胸部リードI記録の各々は、前胸部リードに時間整列されているので、それぞれの前胸部リードV1、V2、V3、V4、V5、およびV6の各々は、同時に感知された前胸部リードI記録と同じ距離だけY軸に沿って移動すると、時間整列される。例えば、「V1-リードI」は、V1に時間整列されたリードI記録である。「V1-リードI」は、本明細書で説明するECG感知デバイスを使用して他の5つの四肢リードと同時に感知された記録されたリードIである「リードI」と同じではない。これらの2つの異なるリードI記録は、典型的には本明細書で説明するECG感知デバイスを使用して同時に感知されないので、「V1-リードI」はまた、「リードI」と必ずしも時間整列されない。しかしながら、「V1-リードI」および「リードI」は、両方ともリードI記録であるので、それらは両方とも、平均化されると、波形間の形態およびタイミングが(同一ではないにしても)非常に類似していると予想されるので、それらは、かなり単純な方法で時間整列され得る。例えば、平均化された「リードI」のR波のピークが1秒において発生し、平均化された「V1-リードI」のR波のピークが1.5秒において発生した場合、平均化された「V1-リードI」は、そのR波のピークが平均化された「リードI」におけるように1秒で発生するように、Y軸に沿って0.5秒再配置またはシフトされる。V1は、V1-リードIに時間整列されるので、平均化された「リードI」に時間整列させるために、V1もY軸に沿って0.5秒シフトされなければならない。V1が「リードI」に時間整列されると、V1は、「リードI」にすでに時間整列された他の5つの四肢リードとも時間整列される。同様の整列は、V2-リードI、V3-リードI、V4-リードI、V5-リードI、およびV6-リードIをそれぞれ「リードI」に整列させることによって、V2、V3、V4、V5、およびV6についてもそれぞれ生じる。
【0068】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、QT間隔を予測する方法600のフロー図である。方法600は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、プロセッサ、処理デバイス、中央処理装置(CPU)、システムオンチップ(SoC)など)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で動作/実行される命令)、ファームウェア(例えば、マイクロコード)、またはそれらの組合せを備え得る処理ロジックによって実行され得る。いくつかの実施形態において、方法600は、
図5Aに示すように(処理デバイス505を介して)ECG感知デバイス500によって実行され得る。
【0069】
ブロック605において、ECG感知デバイス500は、ユーザの体が位置すべき位置に関する命令(いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス550がこれらの命令を提供し得る)と、ECGを記録するようにECG感知デバイス500をユーザの体に対して位置決めするための命令とをユーザに提供し得る。ブロック610において、処理デバイス505は、ECGを実行し、ユーザのECG信号を取得し得る。ブロック615において、処理デバイス505は、記録されたECG信号を、平均拍動アルゴリズムを用いて処理し得、ブロック620において、処理デバイス505は、ユーザのQT間隔を予測するために、モジュール510Bを実行し得る。本明細書で説明するように、モジュール510Bは、QT間隔を予測するための深層ニューラルネットワーク(DNN)を備え得るが、任意の適切なMLモデルが使用され得る。DNNへの入力は、例えば、ミリボルトにおける2×450長信号の形態における平均拍動であり得る。平均拍動信号は、平均拍動信号は、まず、3つの個別のパススルー段階(2つの個別の2D畳み込み、漏れ整流線形ユニット、最大プーリングなど)によって処理される前に、初期畳み込み層(例えば、2D畳み込み、漏れ整流線形ユニット、最大プーリング)を通過する前に、双曲線正接関数を介してクランプされ得、(トレーニング可能なパラメータを介して)パススルー入力が追加され、ダウンサンプリング、プーリング、および畳み込みの前にドロップアウトが適用される。最後のパススルーの後、信号は、所与のQT値の出力クラスに関する確率ベクトルを出力する2つの別個のフィードフォワードネットワーク層に送信され得、その確率ベクトルの期待値は、予測QT間隔とみなされる。トレーニングするための損失関数は、確率ベクトルおよび目標QT間隔のクロスエントロピー項と、二乗平均平方根誤差QT間隔平均との和である。
【0070】
いくつかの実施形態において、1個または複数の電極が、モバイルコンピューティングデバイスの外部にあり得る。そのような実施形態において、1個または複数の外部電極は、モバイルコンピューティングデバイスにワイヤレスでまたは配線で結合される。ワイヤレス接続の非限定的な例は、例えば、1個または複数の外部電極とデバイスとの間のWiFi接続、1個または複数の外部電極とデバイスとの間のBluetooth(登録商標)接続、1個または複数の外部電極とデバイスとの間の低電力Bluetooth接続、1個または複数の外部電極とデバイスとの間のNFC(近距離無線通信)接続、または1個または複数の外部電極とデバイスとの間の近距離超音波通信接続を含み得る。デバイスとワイヤレスで通信する他の手段が、本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法での使用に適することは、当業者によって理解されるべきである。
【0071】
それに加えて、本明細書で説明するシステム、デバイス、方法のいずれかと合体されたソフトウェアは、ECG感知デバイスから受信したECGデータを分析するように構成され得る。分析は、本明細書で説明するように、6つのリードI、II、III、aVR、aVL、およびaVFを使用してQRS軸およびT軸値を生成することを含み得る。それに加えて、本明細書で説明するシステム、デバイス、方法のいずれかと合体されたソフトウェアは、本明細書で説明するようにQRS軸とT軸との間の差を計算することによってQRST角度を決定し得る。分析は、心拍変動、QT間隔、または補正されたQT間隔を決定することを含み得るリズム分析をさらに含み得る。
【0072】
それに加えて、本明細書で説明するシステム、デバイス、方法のいずれかと合体されたソフトウェアは、ECGに関連する診断または異常を決定するために使用され得る。例えば、説明したように、軸偏位は、右心室肥大または左心室肥大の異常に関連する場合がある。例えば、心拍変動は、心房細動の診断に関連する場合がある。例えば、QT間隔の変化は、特定の不整脈を示す場合がある。
【0073】
本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法のいずれかはまた、生理学的パラメータを測定するセンサと組み合わされ得る。例えば、本明細書で説明するシステム、デバイス、または方法のおよびは、血圧センサと合体され得る。例えば、本明細書で説明するシステム、デバイス、または方法のいずれかは、フォトプレチスモグラム(PPG)センサと合体され得る。例えば、本明細書で説明するシステム、デバイス、または方法のいずれかは、温度センサと合体され得る。例えば、本明細書で説明するシステム、デバイス、または方法のいずれかは、パルスオキシメトリセンサと合体され得る。例えば、本明細書で説明するシステム、デバイス、または方法のいずれかは、加速度計と合体され得る。当業者は、生理学的パラメータを監視または検出する他のセンサが、本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法での使用に適していることを理解するであろう。
【0074】
いくつかの実施形態において、感知された生理学的データは、本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法のいずれかにおいてプロセッサに送信される。本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法のいずれかと組み合わされるソフトウェアは、分析を実行するために、感知されたECGと組み合わせて感知された前記生理学的データを使用し得る。例えば、直ちに生命を危うくする状態である心室頻拍の存在を決定する分析を提供するために、血圧データが前記ソフトウェアによってECGデータと組み合わされ得る。
【0075】
本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法は、ワイヤレス信号を送信および受信するための送信機と受信機のいずれかまたは両方を含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明するソフトウェアはまた、異常な分析結果が決定されたときにサーバへの信号の送信を引き起こす。例えば、異常な分析結果は、異常なECGを含む。例えば、異常な分析結果は、異常なQRS軸を含む。例えば、異常な分析結果は、異常なQRST角度を含む。いくつかの実施形態において、異常な分析結果は、異常なECGを含む。例えば、異常な分析結果は、異常な心拍変動値を含む。例えば、異常な分析結果は、異常な生理学的パラメータ値を含む。送信される信号は、救急医療提供者への信号を含み得る。例えば、VTなどの直ちに生命を危うくする状態が決定された場合、本明細書で説明するソフトウェアは、救急オペレータ、救急医療提供者(例えば、救急隊員)、または他の第三者のモニターに救急信号を送信し得る。
【0077】
前記ディスプレイ画面上に6リードECGが表示され得、前記6リードECGは、前記リードI、前記リードII、前記リードIII、前記リードaVR、前記リードaVL、および前記リードaVFを含む。
【0078】
本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法の好ましい実施形態が本明細書で示され、説明されているが、そのような実施形態が単なる例として提供されることは、当業者には明らかであろう。今や、本明細書で説明するユーザ事項から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換が当業者に生じるであろう。本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法の実施形態に対する様々な代替案が、本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法を実施する際に用いられ得ることが理解されるべきである。以下の請求項が本発明の範囲を規定し、これらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物がそれによってカバーされることが意図される。
【0079】
一実施形態において、本明細書で説明する方法およびシステムは、患者に対する電極の配置を誘導および/または修正するための方法およびシステムと組み合わされ得る。これらの方法は、ECG測定用の電極の配置を誘導するのに特に有用であり得る。一般に、本明細書で企図されるシステム、デバイス、および方法は、患者上の電極位置を出力するために、患者の写真を処理する。典型的には、これは、実際の患者の写真に対する電極のための場所を示す患者の画像(例えば、患者の写真の修正バージョン)を提示することを含み得る。
【0080】
例えば、本明細書で説明する電極配置を誘導するためのシステムまたはデバイスは、患者の写真を受信するため、電極の正しい配置を決定するために患者を分析するため、および正しい所定の電極位置がマークされた患者の画像を出力するために、プロセッサ(例えば、ハンドヘルドコンピューティングデバイスなどのコンピューティングデバイスのマイクロプロセッサ)を制御するための制御ロジックを含み得る。一般に、制御ロジックは、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアとして構成され得、写真を受け入れ、または取得し、患者の画像を出力するために、汎用コンピューティングデバイス(例えば、コンピュータ、タブレットなど)またはモバイル通信デバイス(iphone(登録商標)、android(登録商標)などのスマートフォン)を制御し得る。処理ステップは、リモートまたはローカルで実行され得る。一般に、処理ステップは、患者の写真を、様々な体型および各体型に関連する電極の対応する所定の、従来の、または標準的な位置のデータベース(例えば、電極配置データベース)と比較することを含み得る。患者の写真はまた、データベースとの直接比較を可能にするために、写真のサイズ、および/または、場合によっては、アスペクト比、明るさ、コントラスト、もしくは他の画像特徴を調整することによって、写真を患者データベースと比較する前に正規化され得る。正規化は、写真の一部として含まれるマーカを使用して実行され得る。例えば、患者の写真は、患者上に既知のまたは知ることのできるサイズのマーカを付けて撮影され得、マーカは、データベースとの比較の前に写真を正規化するための正規化マーカとして使用され得る。正規化は、写真の明るさ、コントラスト、シャープネス、または他の画像品質を均一にするためにも実行され得る。マーカは、例えば、接着剤などによって、患者(例えば、患者の胴体)に直接配置または適用され得る。
【0081】
また、企図され、説明されるのは、患者への電極配置を誘導する方法などの、電極配置を誘導するためのデバイスおよびシステムによって実行される方法である。
【0082】
例えば、本明細書で企図されるのは、患者に対する電極の位置決めを決定するために、患者の写真を電極配置データベースと比較するステップであって、電極配置データベースが、複数の体型の表現と、各体型に対応する所定の電極配置位置とを含む、ステップと、患者の画像上の電極の位置を示す患者の画像を提示するステップとを含む、患者への電極の適切な配置を誘導するための方法である。
【0083】
これらの方法は、患者における標準的または従来の構成において患者へのECG電極の配置を誘導するために特に適合され得る。したがって、データベースは、データベース内の各体型について対応する従来の/標準的な電極配置位置を有する複数の体型を含むように構成され得る。
【0084】
いくつかの変形例において、すべての電極について電極位置(例えば、標準的な12電極リードに使用される10の電極位置のすべて)が決定され、示され得る。しかしながら、いくつかの変形例において、電極位置のサブセットが決定および/または表示され得る。例えば、標準的な/従来の12リード電極配置の位置決めを誘導する方法は、患者の胸部上の6つの電極位置のみを決定し、示し得る。1つまたは複数の重要な電極位置に対して他の電極位置が決定され得るいくつかの変形例において、重要な電極の位置のみが示され得る。
【0085】
一般に、対象の任意の適切な写真が使用され得る。いくつかの変形例において、システム、デバイス、または方法は、写真を撮影または取得することを含み得る。いくつかの変形例において、写真は、方法を実行するシステムまたはデバイス(例えば、スマートフォンまたは他のハンドヘルドコンピュータデバイス)によって撮影され得る。本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法は、患者を位置決めすること(前を向く、立つ、座る、横たわるなど)、写真を撮影するために患者からおよそどれくらい離れるか、患者上または患者の近くに正規化マーカを配置するなどを含む、患者の写真をどのように撮影するかをユーザに指示し得る。写真は、デジタル画像として受信され得る。写真は、患者の画像、特に、電極が適用されるべき患者の体の領域の画像を含み得る。例えば、ECG電極を適用する場合、写真は、患者の胴体または胸部を含み得る。患者の頭部、脚部など、患者の体の追加の領域が含まれ得る。患者は、立っている、座っている、または横たわっている場合がある。電極が適用される患者の領域は、典型的には裸である(例えば、皮膚が視覚化され得るように、上半身裸、または少なくとも部分的に上半身裸であり得る)。前述のように、いくつかの変形例において、正規化マーカが写真の一部として含まれ得る。例えば、基準マーカが患者上に配置され得、参照/正規化マーカは、典型的には、コイン(例えば、米国の25セント貨、ペニー貨など)などの既知のまたは標準的なサイズを有する。いくつかの変形例において、基準マーカが設けられ、明確な形状または色であり得る。いくつかの変形例において、マーカは、装置によって自動的に認識される。例えば、マーカは、読み取り可能なコード(例えば、バーコード、英数字コード、QRコード(登録商標)など)を含み得、代替的には、装置は、色、形状などによってマーカを識別し得る。
【0086】
方法、システム、またはデバイスが写真を撮影または取得することを通じてユーザを誘導する変形例において、写真は、システムまたはデバイスによって認定され得る。写真を認定することは、写真が適切であり、データベースに対して分析(例えば、比較)され得ることを確認するために、写真をチェックすることを含み得る。
【0087】
本明細書で使用される「ユーザ」および「患者」という語句は、方法、デバイス、およびシステムが電極をそれ上に位置決めするのを助けるために使用され得る任意の対象を含むように広く意図される。患者は、動物(そのタイプの動物で使用するために特別に構成されたシステムおよびデバイスにおける)または人間を含み得、健常者または非健常者を含み得る。本明細書で使用される「ユーザ」は、本明細書で説明するシステム、方法、およびデバイスを使用する人であり得る。いくつかの変形例において、本明細書で説明するシステム、デバイス、および方法は、患者自体への電極の配置を誘導するために患者によって使用され得るので、ユーザは、患者と同じである。
【0088】
いくつかの変形例において、写真を電極配置データベースと比較することは、患者への12リードECG用の電極の標準的な配置を決定することを含み得る。
【0089】
一般に、患者の写真を電極配置データベースと比較することは、写真と患者データベース内の1つまたは複数の典型的な体型との間の一致(例えば、最も近い一致)を決定することを含み得る。1つまたは複数の密接に一致する典型的な体型が識別されると、その一致の典型的な体型に対応する電極配置は、患者の写真にマッピングされ得る。2つ以上の一致が識別された場合、電極配置は、重み付け、平均化、または最も近い一致の中から合意基準を見つけ、この標準的な電極配置を患者の写真にマッピングするための他の適切な統計的方法によって、複数の典型的な体の一致に対応する標準的な電極配置から決定され得る。
【0090】
以下により詳細に説明するように、電極配置データベースは、典型的には、異なる体に対する標準的な/従来の電極配置の複数(例えば、>10、>100、>1,000、>10,000など)の表現を含む。体型の表現は、体の画像(例えば、写真、写真の一部など)、またはその体に固有の電極配置を含む体の画像から抽出された情報を含み得、電極配置は、標準的な/従来の境界内にあると確認または検証されている。様々な体型は、異なる形状およびサイズ(身長、体重、形態)の体型、性別(男性/女性)、年齢(幼児、子供、成人、高齢者)、身体形態(肩幅、胸のサイズ、ウエストのサイズなど)などを含み得る。各体型表現は、独自であり得るが、同様の体型が含まれる場合があり、より一般的な体型のまわりに体型のクラスタを形成する。データベース内のすべての体型は、異なる表現間の比較を可能にするために、事前に正規化され得る。複数の異なる電極配置データベースが使用され得る。例えば、異なる患者体位(横たわっている、座っている、立っているなど)に対して、または異なる患者の性別、年齢などに対して、別々のデータベースが使用され得る。さらに、異なる標準的な/従来の電極配置に対して、異なる電極配置データベースが使用され得る。
【0091】
したがって、電極配置データベースと比較する前に写真を正規化することに加えて、写真は、データベースとの比較のために準備するために処理され得る。写真から特徴を抽出し、これらの抽出された特徴をデータベース内の体型の表現と比較することによって比較が行われる変形例において、特徴の抽出は、比較の前に(または比較の一部として)写真に対して実行され得る。例えば、患者の写真を電極配置データベースと比較することが、写真から解剖学的ランドマークを決定することと、解剖学的ランドマークを電極配置データベースと比較することとを含む場合、解剖学的ランドマークが最初に写真から抽出され得る。写真はまた、患者のプライバシーを保護するために関連し得る患者を特定する特徴(例えば、患者の顔の全部または一部など)を除去するために処理され得る。
【0092】
上述したように、写真とデータベースとの比較は、写真に最も近い一致と、患者データベース内の2つ以上の典型的な体型との間の補間を含み得る。
【0093】
いくつかの変形例において、患者の写真をデータベースと比較することは、写真とデータベース内の典型的な体型との間の最も近い一致を決定するためにパターン認識を使用することを含む。いくつかの変形例において、患者の写真を電極配置データベースと比較することは、患者の正規化された写真を電極配置データベースと比較することを含む。
【0094】
本明細書で企図される方法、デバイス、およびシステムは、患者の画像上の電極の位置を示す患者の画像を提示することも含み得る。データベースとの比較によって決定された電極の位置を示す患者の写真の修正されたバージョンを含む患者の任意の適切な画像が提示され得る。いくつかの変形例において、患者の画像は、(例えば、ハンドヘルドコンピューティングデバイス上に)デジタル表示される。また、ユーザが電極を配置する場所を見ることができるように、拡大(ズームイン/ズームアウト)または操作され得る。いくつかの変形例において、画像は、解剖学的ランドマークなどの患者のランドマークを含む患者に関する、および/または他の電極に関する測定値(定規、インチにおける距離、mmなど)を含む追加のガイドラインを含み得る。
【0095】
電極の従来の/標準的な位置を示す患者の画像の提示は、すべての電極、または電極のうちのいくつかを示し得る。いくつかの変形例において、画像の提示は、ユーザが電極を適用または再配置するプロセスを進めることをよりよく可能にするために、異なる電極位置が示されている患者を別々に示す一連の画像を含み得る。一般に、患者の画像の提示は、視覚的(画像を示す)であり得、電極を適用するためのテキスト(書面/口頭)の指示も含み得る。例えば、スマートフォンなどのハンドヘルドコンピュータデバイスでの使用を意図した本明細書で説明するシステムおよび方法の変形例において、デバイスは、患者の写真を撮影することと、スマートフォンの画面を見ることによって電極を位置決め(または再位置決め)することの両方をユーザに進ませるように制御され得る。
【0096】
いくつかの変形例において、本明細書で説明する方法、デバイス、およびシステムは、患者上にすでに存在する電極の位置を修正および/または検証するために使用され得る。例えば、ユーザは、すでに胸部上にECG電極を有する患者の写真を撮影または受け取り得る。患者の写真を電極配置データベースと比較することはまた、すでにある患者上の電極の位置と、決定された標準的な/従来の位置とを比較し得る。したがって、患者の写真を電極配置データベースと比較することは、患者の胸部上にすでに配置された1つまたは複数の電極を有する患者の写真を電極配置データベースと比較することを含み得る。次いで、患者の胸部上にすでに配置された1つまたは複数の電極の位置は、自動的に(1つまたは複数が発生したときに示す)、または提示される画像を形成するために患者の写真に(なにか特定の方法で、例えば、色によって示される)正しい位置を重ねることによって受動的に検証され得る。いくつかの変形例において、提示される画像は、患者の画像上の電極の正しい位置決めを示す患者の画像を含む。
【0097】
また、本明細書で企図されるのは、患者の胸部を含む患者の写真を受信するステップと、患者への電極の位置決めを決定するために、患者の写真を電極配置データベースと比較するステップであって、電極配置データベースが、複数の体型の表現と、各体型に対応する所定の従来のECG電極配置位置とを含む、ステップと、患者の画像上に従来のECG電極位置に関する位置を示す患者の画像を提示するステップとを含む、ECG電極の配置を誘導するための方法である。患者の写真を電極配置データベースと比較することが、写真と、電極配置データベース内の典型的な体型との間の最も近い一致を決定することを含む、請求項17の方法。
【0098】
上述したように、患者の写真を電極配置データベースと比較することは、写真から解剖学的ランドマークを決定することと、解剖学的ランドマークを電極配置データベースと比較することとを含む。いくつかの変形例において、患者の写真をデータベースと比較することは、写真と電極配置データベース内の典型的な体型との間の最も近い一致を決定するためにパターン認識を使用することを含む。
【0099】
本明細書で説明する変形例のいずれかにおいて、患者の写真を電極配置データベースと比較することは、他のステップから離れて実行され得る。例えば、患者の写真を取得し、電極の従来の位置を示す患者の画像を提示するために、(例えば、スマートフォンにダウンロードされたアプリケーションを使用して)スマートフォンが使用され得、写真とデータベースとの比較は、リモートサーバを使用してリモートで実行され得る。したがって、データベースは、スマートフォン(または他のデバイス)上のアプリケーションとは別々に維持され得る。これは、データベース、および/または患者の写真をデータベースと比較するためのメカニズムを修正、更新、または他の方法で変更することを可能にし得る。次いで、生成された画像は、ハンドヘルドコンピュータデバイスがリモートデータベースから情報(または生成された画像)を受信した後、ハンドヘルドコンピュータデバイス上で提示され得る。代替的には、いくつかの変形例において、すべてのステップは、(例えば、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのハンドヘルドコンピューティングデバイスを使用して)ローカルレベルで実行される。
【0100】
上述したように、患者の写真は、正規化マーカを含み得る。したがって、患者の写真を受信するステップは、正規化マーカを含む患者の写真を受信することを含み得る。いくつかの変形例において、受信された患者の写真は、患者の胸部上の電極を含み得、方法、デバイス、またはシステムは、すでに胸部上にある電極の配置を、従来のECG電極配置位置に対して検証し得る。
【0101】
また、本明細書で説明されるのは、正規化マーカを含む患者を示す写真を受信するステップと、正規化マーカを使用して写真を正規化するステップと、患者に対する電極の位置決めを決定するために、正規化された写真を、複数の体型の表現と、各体型に対する所定のECG電極配置位置とを含む電極配置データベースと比較するステップと、患者の画像上のECG電極の位置を示す患者の画像を提示するステップとを含む、ECG電極の配置を決定するための方法である。
【0102】
システムまたはデバイスは、電極が適用されるべき患者の領域を含む患者の写真を受信し、写真を分析し、所定の従来のおよび/または標準的な電極位置に基づいて患者上の1つまたは複数の電極の場所を示す患者の画像(または任意の他の患者特有のマップ)を提供するための上記で説明したステップのいずれかまたはすべてを実行するように構成され得る。
【0103】
本明細書で説明する例の多くは、標準的なまたは従来の12リードECG電極配置に従って(例えば、デバイス500の)ECG電極を配置するシステム、デバイス、および方法に特有のものであるが、これらのシステム、デバイス、および方法は、脳波図(EEG)、筋電図(EMG)、ガルバニック皮膚反射(GSR)、眼電図(EOG)、生体インピーダンス(BI)など用の電極を含む、任意の所定の従来のおよび/または標準的な電極位置決めシステムで使用(または使用のために適合)され得る。例えば、電極配置データベースは、様々な体型と、EEG、EMG、GSR、EOG、BIなどのための体型の各々に対する対応する所定の従来のおよび/または標準的な電極位置とを含み得る。いくつかの変形例において、異なる電極配置方式(異なる従来のおよび/または標準的な電極配置)は、データベース内で各体型にリンクされ得、ユーザは、どの配置方式を表示するかを選択し得る。他の変形例において、同じ患者について、2つ以上の配置方式が連続してまたは同時に示され得る。例えば、ECG電極配置について、電極配置は、3リードECG、5リードECG、および12リードECGに対応することができる。
【0104】
電極配置を誘導するためのシステムは、一般に、患者の写真を受信し、電極配置データベースを使用してその患者のための従来のおよび/または標準的な電極配置を決定し、患者上のどこに電極が配置されるべきかを示す患者のマップまたは画像を出力するソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェア(またはそれらの組合せ)として実行され得る制御ロジックを含み得る。システムは、患者の写真を撮影するおよび/または患者に対して電極を位置決めするプロセスを通じてユーザを誘導または案内するようにも構成され得る。いくつかの変形例において、システムは、可聴指示、書面指示、および/または視覚的指示によってユーザを誘導するように構成される。システムは、患者の写真を受信し(場合によっては撮影し)、決定された電極位置がマークされた患者の画像を出力するために、スマートフォン(例えば、iPHONE、ANDROIDなど)を含むハンドヘルドコンピューティングデバイスから動作する(例えば、制御する)ように構成され得る。例えば、システムは、スマートフォンにダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションとして構成され得る。
【0105】
本明細書で説明するシステムのいずれかは、患者の写真を受信し、電極配置位置を示す患者の画像を出力するように事前に構成された専用システムであり得、別個のデバイスへのアプリケーション(例えば、ソフトウェア)のダウンロードを必要としない。例えば、システムは、患者の写真を撮影するためのカメラと、画像を受信し、電極配置データベースを使用して電極配置を決定するために写真の分析を制御し、従来のおよび/または標準的な電極位置決め方式に従って1つまたは複数の電極の場所を示す患者のマップまたは画像を出力するための制御ロジックとを含み得る。システムは、電極配置データベースのすべてもしくは一部を含み得、またはシステムは、リモート電極配置データベースと通信し得る。さらに、システムは、患者とデータベース内の体型との間の1つまたは複数の密接な一致を見つけるために、患者の写真を電極配置データベース内の体型と比較するための比較ロジックを含み得る比較ユニットを含み得、そこから所定の従来のおよび/または標準的な電極位置が患者の写真に外挿され得る。
【0106】
システムは、患者の写真内に含まれる正規化マーカを使用するようにも構成され得る(システムの一部として含み得る)。正規化マーカは、典型的には、本明細書で説明するシステム/デバイスが写真内で識別し得、写真内の参照のためのスケールおよび/または向きを提供するために使用され得る明確なマーカである。例えば、正規化マーカは、患者の皮膚に貼り付けられ得るステッカーであり得、ステッカーは、明るく着色され得、既知のサイズを有し得る(例えば、直径1インチのオレンジ色の円)。したがって、システム/デバイスは、写真内のこのサイジングマーカを識別することができ、正規化マーカを使用して写真を正規化することができる。いくつかの変形例において、正規化マーカは、システムが電極の配置に関する指示を提供する際に使用し得る基準位置も提供し得る。いくつかの変形例において、2個以上のサイジングマーカが使用され得る。正規化マーカは、コインなどの既知の寸法の一般的な物体であり得る。ユーザは、システム/デバイスにおいて(例えば、可能な正規化マーカのメニューから)どんな正規化マーカかを示し得る。
【0107】
上述したように、電極の位置決めを示す患者の画像は、ハンドヘルドコンピュータデバイス上でユーザに提示され得る。例えば、ハンドヘルドコンピュータデバイスは、ネットワーク接続性を有する携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、またはカメラであり得る。
【0108】
図7は、いくつかの実施形態による、本明細書で説明する動作のうちの1つまたは複数を実行し得る例示的なコンピューティングデバイス700のブロック図である。いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス700は、ECGデバイス500の内部ハードウェアを表し得る。コンピューティングデバイス700は、LAN、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネット内の他のコンピューティングデバイスに接続され得る。コンピューティングデバイスは、クライアント-サーバネットワーク環境内のサーバマシンの能力において、またはピアツーピアネットワーク環境内のクライアントの能力において動作し得る。コンピューティングデバイスは、パーソナルコンピュータ(PC)、セットトップボックス(STB)、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはマシンによってとられるべきアクションを指定する命令のセット(順次またはその他)を実行することができる任意のマシンによって提供され得る。さらに、単一のコンピューティングデバイスのみが示されているが、「コンピューティングデバイス」という用語はまた、本明細書で論じる方法を実行するために命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行するコンピューティングデバイスの任意の集合を含むものと解釈されるものとする。
【0109】
例示的なコンピューティングデバイス700は、処理デバイス(例えば、汎用プロセッサ、PLDなど)702、メインメモリ704(例えば、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、読み取り専用メモリ(ROM))、スタティックメモリ706(例えば、フラッシュメモリおよびデータ記憶デバイス718)を含み得、これらは、バス730を介して互いに通信し得る。
【0110】
処理デバイス702は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つまたは複数の汎用処理デバイスによって提供され得る。例示的な例において、処理デバイス702は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサもしくは命令セットの組合せを実装するプロセッサを備え得る。処理デバイス702は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の専用処理デバイスも備え得る。処理デバイス702は、本明細書で論じる動作およびステップを実行するために、本開示の1つまたは複数の態様に従って、本明細書で論じる動作を実行するように構成され得る。
【0111】
コンピューティングデバイス700は、ネットワーク720と通信し得るネットワークインターフェースデバイス708をさらに含み得る。コンピューティングデバイス700はまた、ビデオディスプレイユニット710(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT))と、英数字入力デバイス712(例えば、キーボード)と、カーソル制御デバイス714(例えば、マウス)と、音響信号生成デバイス716(例えば、スピーカ)とを含み得る。一実施形態において、ビデオディスプレイユニット710、英数字入力デバイス712、およびカーソル制御デバイス714は、単一の構成要素またはデバイス(例えば、LCDタッチスクリーン)に組み合わされ得る。
【0112】
データ記憶デバイス718は、ECG命令726、例えば、本開示の1つまたは複数の態様による本明細書で説明する動作を実行するための命令の1つまたは複数のセットが記憶され得るコンピュータ可読記憶媒体728を含み得る。ECG命令726はまた、コンピューティングデバイス700によるその実行中にメインメモリ704内および/または処理デバイス702内に完全にまたは少なくとも部分的に存在し得、メインメモリ704および処理デバイス702は、コンピュータ可読媒体も構成する。命令726は、ネットワークインターフェースデバイス708を介してネットワーク720上でさらに送信または受信され得る。
【0113】
コンピュータ可読記憶媒体728は、例示的な例において単一の媒体であるように示されているが、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型のデータベースならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むものと解釈されるべきである。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語はまた、マシンによる実行のための命令のセットを記憶、符号化、または搬送することができ、本明細書で説明する方法をマシンに実行させる任意の媒体を含むものと解釈されるものとする。したがって、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、限定はしないが、固体メモリ、光学媒体、および磁気媒体を含むものと解釈されるものとする。
【0114】
本明細書で説明する方法および例示的な例は、任意の特定のコンピュータまたは他の装置に本質的に関連しない。本明細書で説明する教示に従って、様々な汎用システムが使用され得、または必要な方法ステップを実行するためのより専門的な装置を構築することが便利であることが判明する場合もある。これらの様々なシステムに必要な構造は、上記の説明において説明したようになる。
【0115】
上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではないことを意図している。本開示について、特定の例示的な例を参照して説明してきたが、本開示は、説明した例に限定されないことが認識されるであろう。本開示の範囲は、特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、以下の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0116】
本明細書で使用する単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、同様に複数形も含むことを意図している。「備える」、「備えている」、「含む」、および/または「含んでいる」という用語は、本明細書で使用するとき、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。したがって、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定であることを意図していない。
【0117】
また、いくつかの代替実装形態において、示した機能/動作が図中に示す順序から外れて発生し得ることも留意されるべきである。例えば、連続して示す2つの図は、関与する機能/動作に応じて、実際には実質的に連続して実行され得、またはときには逆の順序で実行され得る。
【0118】
方法の動作について特定の順序で説明したが、説明した動作の間に他の動作が実行され得、説明した動作が、わずかに異なる時間において発生するように調整され得、または説明した動作が、処理に関連する様々な間隔における処理動作の発生を可能にするシステムにおいて分散され得ることが理解されるべきである。
【0119】
様々なユニット、回路、または他の構成要素について、タスクを実行するように「構成された」または「構成可能である」と説明または特許請求される場合がある。そのような文脈において、「構成された」または「構成可能である」という語句は、ユニット/回路/構成要素が動作中にタスクを実行する構造(例えば、回路)を含むことを示すことによって、構造を意味するために使用される。そのため、ユニット/回路/構成要素は、指定されたユニット/回路/構成要素が現在動作していない(例えば、オンになっていない)場合であっても、タスクを実行するように構成されている、またはタスクを実行するように構成可能であると言われる場合がある。「構成された」または「構成可能である」という文言とともに使用されるユニット/回路/構成要素は、ハードウェア、例えば、回路、動作を実施するために実行可能なプログラム命令を記憶するメモリなどを含む。ユニット/回路/構成要素が1つもしくは複数のタスクを実行するように「構成されている」または1つもしくは複数のタスクを実行するように「構成可能である」と言及することは、そのユニット/回路/構成要素について35U.S.C.112第6段落を援用しないことを明示的に意図している。それに加えて、「構成された」または「構成可能である」は、問題のタスクを実行することができる方法において動作するために、ソフトウェアおよび/またはファームウェア(例えば、ソフトウェアを実行するFPGAまたは汎用プロセッサ)によって操作される汎用的な構造(例えば、汎用的な回路)を含むことができる。「構成された」は、1つまたは複数のタスクを実装または実行するように適合されたデバイス(例えば、集積回路)を製造するために、製造プロセス(例えば、半導体製造設備)を適合させることも含み得る。「構成された」は、開示する機能を実行するように構成されるようにする能力をプログラムされていないデバイスに付与するプログラムされた媒体が付属しない限り、ブランクメディア、プログラムされていないプロセッサもしくはプログラムされていない汎用コンピュータ、もしくはプログラムされていないプログラマブル論理デバイス、プログラマブルゲートアレイ、または他のプログラムされていないデバイスに適用しないことを明示的に意図している。
【0120】
前述の説明は、説明の目的のため、特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、上記の例示的な議論は、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図していない。上記の教示に照らして、多くの修正および変形が可能である。実施形態は、実施形態の原理およびその実際の応用を最もよく説明し、それによって当業者が企図される特定の用途に適し得るように実施形態および様々な修正を最もよく利用することを可能にするために選択され、説明された。したがって、本実施形態は、限定的ではなく例示的であるとみなされるべきであり、本発明は、本明細書で与えた詳細に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲および均等物の範囲内で修正され得る。
【符号の説明】
【0121】
207A モジュール
500 ECG感知デバイス、デバイス
502 電極のセット、電極
502A 電極
502B 電極
502C 電極
504 絶縁体
505 処理デバイス
508 トランシーバ
510 メモリ
510A リード合成ソフトウェアモジュール、モジュール
510B QT予測ソフトウェアモジュール、モジュール
520 ハウジング
550 コンピューティングデバイス
700 コンピューティングデバイス
702 処理デバイス
704 メインメモリ
706 スタティックメモリ
708 ネットワークインターフェースデバイス
710 ビデオディスプレイユニット
712 英数字入力デバイス
714 カーソル制御デバイス
716 音響信号生成デバイス
718 データ記憶デバイス
720 ネットワーク
726 ECG命令、命令
728 コンピュータ可読記憶媒体
730 バス
【国際調査報告】