(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】分離膜及びそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/457 20210101AFI20230721BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230721BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20230721BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20230721BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230721BHJP
【FI】
H01M50/457
H01M50/451
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/434
H01M50/426
H01M50/42
H01M50/429
H01M50/443 B
H01M50/443 E
H01M50/489
H01M50/46
H01M4/13
H01M50/414
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580496
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 KR2021014630
(87)【国際公開番号】W WO2022086142
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0135562
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ダ-キュン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】サン-ヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ヨン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ヒョク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-アン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソ-ミ・ジョン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H050
【Fターム(参考)】
5H021AA06
5H021CC04
5H021EE05
5H021EE06
5H021EE10
5H021EE11
5H021EE21
5H021HH01
5H021HH03
5H050AA02
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB12
5H050DA19
5H050EA10
5H050EA23
5H050EA24
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA19
(57)【要約】
本発明は、多孔性高分子基材と、前記多孔性高分子基材の少なくとも一表面に形成されており、複数の無機物粒子及び前記無機物粒子の表面の全部または一部に位置して前記無機物粒子を連結及び固定する第1バインダー高分子を含む多孔性コーティング層と、前記多孔性コーティング層の一表面に形成されており、単層炭素ナノチューブ(single-walled carbonnantube;SWCNT)及び第2バインダー高分子を含む伝導性コーティング層と、を備える分離膜に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性高分子基材と、
前記多孔性高分子基材の第1表面のみに形成されているか、または第1及び第2表面に共に形成されており、複数の無機物粒子及び前記無機物粒子の表面の全部または一部に位置し、前記無機物粒子を連結及び固定する第1バインダー高分子を含む多孔性コーティング層と、
前記多孔性コーティング層の第1表面に形成されており、伝導性材料及び第2バインダー高分子を含む伝導性コーティング層と、を含み、
前記伝導性コーティング層中の前記伝導性材料の含量が、0.01~0.5g/m
2であり、
前記伝導性材料は、伝導性材料100wt%に対して単層炭素ナノチューブの含量が90wt%以上であることを特徴とする、リチウム二次電池用の分離膜。
【請求項2】
前記伝導性材料は、伝導性材料100wt%に対して単層炭素ナノチューブの含量が99wt%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項3】
前記伝導性コーティング層が薄膜であり、前記伝導性コーティング層の厚さが2μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項4】
前記単層炭素ナノチューブの直径が、0.1nm~10nmであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項5】
前記第1または第2バインダー高分子が、各々独立的に、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルヘキシルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリアリレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン及びカルボキシルメチルセルロースからなる群より選択されたいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項6】
前記伝導性コーティング層は、粒子型バインダー高分子をさらに含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項7】
前記粒子型バインダー高分子は、ガラス転移温度が80℃以下であることを特徴とする、請求項6に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項8】
前記粒子型バインダー高分子は、平均直径D50が100nm~500nmであることを特徴とする、請求項6または7に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項9】
前記粒子型バインダー高分子は、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム、アクリル系共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、スチレン及びポリシアノアクリレートからなる群より選択されたいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物を含むことを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項10】
前記伝導性材料と第2バインダー高分子の重量比が、40:60~99:1であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項11】
前記多孔性コーティング層の厚さが、1~10μmであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用の分離膜。
【請求項12】
正極、負極及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を含み、
前記分離膜が請求項1から11のいずれか一項に記載の分離膜であり、
前記分離膜中の伝導性コーティング層が前記正極と対面していることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項13】
前記正極は、正極活物質のローディング量が5mAh/cm
2以上である高ローディング正極であることを特徴とする、請求項12に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜及びそれを含むリチウム二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2020年10月19日出願の韓国特許出願第10-2020-0135562号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気自動車市場の高成長によって高エネルギーセルを含むリチウム二次電池に対する要求が増大しつつある。これによって、高ローディング電極(5mAh/cm2以上、電極面積基準)を適用した電池開発が行われている。
【0004】
なお、リチウム二次電池は、正極と負極との物理的接触及び電気的短絡を防止するために、正極と負極の間に分離膜を介在する。このような分離膜は、ポリオレフィン系多孔性高分子基材を主に使用するが、多孔性高分子基材の熱収縮を防止して電極との接着力を高めるために、多孔性高分子基材の少なくとも一面上に無機物粒子及びバインダー高分子を含む多孔性コーティング層を備えた分離膜を主に使用する。
【0005】
しかし、現在使用中の分離膜を高ローディング電極電池に適用する場合、高率放電特性及び出力/寿命特性の確保に困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、伝導性の物質を多孔性コーティング層の表面にコーティングすることでリチウムイオン及び電子の伝達速度を向上させる。これによって、高率放電特性及び出力特性を改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一面は、下記の具現例によるリチウム二次電池用の分離膜を提供する。
【0008】
第1具現例によれば、リチウム二次電池用の分離膜に関し、前記分離膜は、
多孔性高分子基材と、
前記多孔性高分子基材の第1表面のみに形成されているか、または第1及び第2表面に共に形成されており、複数の無機物粒子及び前記無機物粒子の表面の全部または一部に位置し、前記無機物粒子を連結及び固定する第1バインダー高分子を含む多孔性コーティング層と、
前記多孔性コーティング層の第1表面に形成されており、伝導性材料及び第2バインダー高分子を含む伝導性コーティング層と、を含み、
前記伝導性コーティング層中の前記伝導性材料の含量が、0.01~0.5g/m2であり、
前記伝導性材料は、伝導性材料100wt%に対して単層炭素ナノチューブ(single-walled carbon nanotube;SWCNT)の含量が90wt%以上である。
【0009】
第2具現例によれば、第1具現例において、前記伝導性材料は、伝導性材料100wt%に対して単層炭素ナノチューブの含量が99wt%以上である。
【0010】
第3具現例によれば、第1または第2具現例において、
前記伝導性コーティング層が薄膜(thin film)であり、前記伝導性コーティング層の厚さが2μm以下であることを特徴とするリチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0011】
第4具現例によれば、第1具現例から第3具現例のいずれか一具現例において、
前記単層炭素ナノチューブの直径は0.1nm~10nmであることを特徴とするリチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0012】
第5具現例によれば、第1具現例から第3具現例のいずれか一具現例において、
前記第1または第2バインダー高分子が、各々独立的に、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチルヘキシルアクリレート(polyethylhexyl acrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)及びカルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)からなる群より選択されたいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物であることを特徴とするリチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0013】
第6具現例によれば、第1具現例から第5具現例のいずれか一具現例において、
前記伝導性コーティング層は、粒子型バインダー高分子をさらに含むことを特徴とするリチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0014】
第7具現例によれば、第6具現例において、
前記粒子型バインダー高分子は、ガラス転移温度が80℃以下であることを特徴とするリチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0015】
第8具現例によれば、第6具現例において、
前記粒子型バインダー高分子は、平均直径D50が100nm~500nmであることを特徴とするリチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0016】
第9具現例は、第6具現例において、
前記粒子型バインダー高分子は、スチレンブタジエンゴム(Styrene Butadiene Rubber;SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(acrylonitrile-butadiene rubber)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム(acrylonitrile-butadiene-styrene rubber)、アクリル系共重合体(acrylic copolymer)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルクロライド(polyvinylchloride)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)、スチレン(Styrene)及びポリシアノアクリレート(polycyanoacrylate)からなる群より選択されたいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物を含むことを特徴とする、リチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0017】
第10具現例によれば、第1具現例から第9具現例のいずれか一具現例において、
前記伝導性材料と第2バインダー高分子の重量比が40:60~99:1であることを特徴とするリチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0018】
第11具現例によれば、第1具現例から第10具現例のいずれか一具現例において、
前記多孔性コーティング層の厚さは1~10μmであることを特徴とするリチウム二次電池用の分離膜に関する。
【0019】
本発明の他面は、下記の具現例によるリチウム二次電池を提供する。
【0020】
第12具現例によれば、正極、負極及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を含み、前記分離膜は前述した具現例のいずれか一具現例による分離膜であり、
前記分離膜中の伝導性コーティング層が前記正極と対面していることを特徴とするリチウム二次電池に関する。
【0021】
第13具現例によれば、第12具現例において、
前記正極は、正極活物質のローディング量が5mAh/cm2以上である高ローディング正極であることを特徴とするリチウム二次電池に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施例によれば、伝導性コーティング層を備えることによって電子伝導度が向上し、分離膜のイオン伝導度を確保することができる。
【0023】
また、伝導性コーティング層中にバインダー高分子を含むことで、分離膜と電極の接着力を向上させることができる。
【0024】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。なお、本明細書に添付の図面における要素の形状、大きさ、縮尺または比率などは、より明確な説明を強調するために誇張され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例によって製造された単層炭素ナノチューブ伝導性コーティング層形成用スラリー分散液のSEM写真である。
【
図2】本発明の一比較例によって製造された多層炭素ナノチューブ伝導性コーティング層形成用スラリー分散液のSEM写真である。
【
図3】本発明の一実施例及び比較例による分離膜の炭素ナノチューブコーティング量による電子伝導度を示したグラフである。
【
図4】実施例6の伝導性コーティング層が形成された分離膜の表面のSEMイメージである。
【
図5】比較例6の伝導性コーティング層が形成された分離膜の表面のSEMイメージである。
【
図6】本発明の具体的な一実施態様による分離膜の断面構造を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0027】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0028】
本明細書の全体にかけて使われる用語、「約」、「実質的に」などは、言及された意味に、固有の製造及び物質許容誤差が提示されるとき、その数値またはその数値に近接した意味として使われ、本願の理解を助けるために正確または絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に用いることを防止するために使われる。
【0029】
本明細書の全体において、「A及び/またはB」の記載は、「AまたはB、もしくはこれら全部」を意味する。
【0030】
以下の詳細な説明において用いられた特定の用語は、便宜のためのものであって制限的なものではない。「右」、「左」、「上面」及び「下面」の単語は、参照される図面における方向を示す。「内側へ」及び「外側へ」の単語は各々、指定された装置、システム及びその部材の幾何学的中心に向けるか、それから離れる方向を示す。「前方」、「後方」、「上方」、「下方」及びその関連単語及び語句は、参照される図面における位置及び方位を示し、制限的なものではない。このような用語は、上記例示の単語、その派生語及び類似な意味の単語を含む。
【0031】
リチウム二次電池などの電気化学素子において、分離膜は、多孔性の高分子基材を通常的に使用するので、熱収縮挙動を示すという問題がある。そこで、分離膜の熱収縮率を低めるために多孔性コーティング層が導入された。
【0032】
しかし、現在使用中の分離膜を高ローディング電極電池に適用する場合、高率放電特性及び出力/寿命特性の確保に困難がある。
【0033】
本発明は、このような問題を解決するために、伝導性の物質を多孔性コーティング層の表面にコーティングしてリチウムイオン及び電子の伝達速度を向上させる。これによって、高率放電特性及び出力特性を改善することができる。
【0034】
本発明の一面によるリチウム二次電池用の分離膜は、
多孔性高分子基材と、
前記多孔性高分子基材の第1表面のみに形成されているか、または第1及び第2表面に共に形成されており、複数の無機物粒子及び前記無機物粒子の表面の全部または一部に位置し、前記無機物粒子を連結及び固定する第1バインダー高分子を含む多孔性コーティング層と、
前記多孔性コーティング層の第1表面に形成されており、伝導性材料及び第2バインダー高分子を含む伝導性コーティング層と、を含むことを特徴とする。
【0035】
なお、前記伝導性コーティング層中の前記伝導性材料の含量は、0.01~0.5g/m2であり、前記伝導性材料は、伝導性材料100wt%に対して単層炭素ナノチューブ(single-walled carbon nanotube;SWCNT)の含量が90wt%以上である。望ましくは、前記伝導性材料は、伝導性材料100wt%に対してSWCNTの含量が90wt%以上である。
【0036】
本発明の具体的な一実施態様において、前記分離膜は、多孔性高分子基材及び伝導性コーティング層を含み、前記伝導性コーティング層は、分離膜の二つの表面のうちいずれか一つの最外側の表面に配置され、前記伝導性コーティング層と高分子基材との間には多孔性コーティング層が配置されている。一方、さらに他の実施態様において、前記分離膜は、伝導性コーティング層が配置されていない多孔性高分子基材の表面に多孔性コーティング層が配置され得る。
図6は、本発明の一実施態様による分離膜の断面を例示的に図式化した図である。
図6によれば、多孔性基材10の第1表面10aの上に、第1多孔性コーティング層21及び伝導性コーティング層30が順次に配置されており、多孔性基材の第2表面10bの上に第2多孔性コーティング層22が配置されており、前記第2多孔性コーティング層の表面は、伝導性コーティング層が形成されていない。
【0037】
後述するように、本発明による分離膜が電池に適用される場合、前記伝導性コーティング層は正極と対面するように配置され得る。
【0038】
炭素ナノチューブ(carbon nano tube,CNT)は、炭素からなる管状の新素材であって、直径がナノメートル(nm)水準の大きさを有する微細な炭素化合物である。炭素ナノチューブの大きさによって導体または半導体になる物質である。
【0039】
このような炭素ナノチューブは単層構造または多層構造を有し、多層構造を有する多層炭素ナノチューブ(multi-walled CNT,MWCNT)は、複数の管(tube)が同心円をなす構造を有する炭素構造体として、いずれか一箇所の断面形態が単層である炭素ナノチューブとは異なり、複数個の炭素層が重なって形成された多層構造を有する。一方、単層炭素ナノチューブは、一つの管が同心円をなす構造を有する。
【0040】
本発明者は、このような炭素ナノチューブのうち単層炭素ナノチューブを多孔性コーティング層の表面にコーティングすることで前述した問題を解決しようとした。
【0041】
多層炭素ナノチューブは、
図2から分かるように、スラリーに製造する場合、多くの炭素ナノチューブが切断される問題がある。一方、
図1から分かるように、単層炭素ナノチューブは、炭素ナノチューブの切断なく長い繊維長を維持している。このように、単層炭素ナノチューブは、多孔性コーティング層に塗布及び乾燥する場合、繊維間の接続がよく維持され、セル性能が改善できる。
【0042】
一つの層からなる単層炭素ナノチューブが複数の層からなる多層炭素ナノチューブよりも長い繊維長を維持する理由は、単層の場合、柔軟性がより大きいためであると推測される。
【0043】
また、単層炭素ナノチューブは、直径が数ナノメートルであり非常に小さい直径を有するが、多層炭素ナノチューブに比べて高黒鉛化度を有し、構造的結合がなくてバンドルタイプ(bundle type)に成長して分散スラリーを作る場合、デバンドリング(debundling)が進む一方、繊維の切断は起こらず、長繊維の長さが維持可能であると推測される。
【0044】
本発明の具体的な一実施態様において、前記単層炭素ナノチューブの含量は0.01~0.5g/m
2であることが望ましい。前記単層炭素ナノチューブの含量は、前記伝導性コーティング層の面積(m
2)を基準にした。
図6のように伝導性コーティング層と分離膜の面積が同じ場合には、分離膜の単位面積に対する含量として示し得る。単層炭素ナノチューブの含量が大きくなるほど電子伝導度が高く示される。但し、単層炭素ナノチューブの含量が多すぎる場合、コーティング層の表面の気孔を塞いで通気度が数千秒/100cc以上に増加するようになり、イオン伝導性が低下する問題が発生し得るため、前述した範囲に制御することが望ましい。
【0045】
本発明の具体的な一実施態様において、前記単層炭素ナノチューブの直径は、0.1nm以上、0.2nm以上、または0.5nm以上であり、10nm以下、9nm以下、8nm以下、または7nm以下であり得る。
【0046】
前記伝導性コーティング層は、第2バインダー高分子を含む。
【0047】
前記第2バインダー高分子は当業界で多孔性コーティング層の形成に通常使用される高分子を使用し得る。特に、ガラス転移温度(glass transition temperature;Tg)が-200℃~200℃である高分子を使用可能であり、これは、最終的に形成される多孔性コーティング層の柔軟性及び弾性などのような機械的物性を向上させることができるためである。このようなバインダー高分子は、無機物粒子同士を連結及び安定的に固定するバインダーの役割を果たすことで、多孔性コーティング層が導入されたセパレーターの機械的物性の低下防止に寄与する。
【0048】
また、前記バインダー高分子は、イオン伝達能力を必ずしも有さなくてもよいが、イオン伝達能力を有する高分子を用いる場合、電気化学素子の性能をさらに向上させることができる。したがって、前記バインダー高分子は、可能な限り誘電率定数が高いものを用いることが望ましい。実際に、電解液における塩の解離度は、電解液溶媒の誘電率定数によるため、前記バインダー高分子の誘電率定数が高いほど電解質における塩の解離度を向上させることができる。このようなバインダー高分子の誘電率定数は1.0~100(測定周波数=1kHz)の範囲のものが使用可能であり、特に、10以上であり得る。
【0049】
前述した機能の外に、前記バインダー高分子は、液体電解液の含浸時、ゲル化することで高い電解液膨潤度(degree of swelling)を示すことができる特徴を有する。これによって、前記バインダー高分子の溶解度指数、即ち、ヒルデブランド溶解パラメーター(Hildebrand solubility parameter)は、15~45MPa1/2または15~25MPa1/2及び30~45MPa1/2の範囲である。したがって、ポリオレフィン類のような疎水性高分子よりは極性基を多く有する親水性高分子がより好ましく使用され得る。前記溶解度指数が15MPa1/2未満または45MPa1/2を超過する場合、通常の電池用液体電解液によって膨潤(swelling)しにくいことがあるためである。
【0050】
このようなバインダー高分子の非制限的な例には、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、ビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン共重合体(polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチルヘキシルアクリレート(polyethylhexyl acrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレン酢酸ビニル共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)及びカルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明の具体的な一実施態様において、水系溶媒を使用する場合には、第2バインダー高分子としてポリビニルピロリドンを使用して無機物粒子の分散性を高めることができる。
【0052】
本発明の具体的な一実施態様において、非水系溶媒を使用する場合には、第2バインダー高分子としてフッ素系バインダー高分子を使用して無機物粒子の分散性を高めることができる。
【0053】
この際、前記単層炭素ナノチューブと第2バインダー高分子の重量比は、例えば、40:60~99:1、詳しくは70:30~95:5である。単層炭素ナノチューブに対するバインダー高分子の含量比が前記範囲を満たす場合、バインダー高分子の含量が多くなり、形成される伝導性コーティング層の気孔サイズ及び気孔度が減少する問題を防止し、抵抗が増加する問題を防止することができる。また、バインダー高分子の含量が少ないことによって、形成される伝導性コーティング層の耐剥離性が弱くなる問題も解消し、単層炭素ナノチューブとの分散性が低下してコーティング性が劣る問題を減少させることができる。
【0054】
前記伝導性コーティング層は薄膜(thin film)であって、例えば、2μm以下、1μmであり得る。前記伝導性コーティング層が2μmを超過する場合、伝導性コーティング層形成用スラリーのローディング量が多くて抵抗が増加し得る。
【0055】
この際、前記伝導性コーティング層は、粒子型バインダー高分子をさらに含み得る。
【0056】
本発明の具体的な一実施態様において、前記粒子型バインダー高分子は、ガラス転移温度が80℃以下であり得る。
【0057】
本発明の具体的な一実施態様において、前記粒子型バインダー高分子は、平均直径D50が100nm~500nmであり得る。
【0058】
前記範囲内で伝導性コーティング層は、単層炭素ナノチューブの繊維の間における粒子型バインダー高分子の分散がより容易になる。これによって、電子伝導性が高くなる共に、電極との接着力がさらに改善されることが可能である。
【0059】
例えば、前記粒子型バインダー高分子は、スチレンブタジエンゴム(Styrene Butadiene Rubber,SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(acrylonitrile-butadiene rubber)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム(acrylonitrile-butadiene-styrene rubber)、アクリル系共重合体(acrylic copolymer)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルクロライド(polyvinylchloride)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)、スチレン(Styrene)及びポリシアノアクリレート(polycyanoacrylate)からなる群より選択されたいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物を含み得る。
【0060】
このように粒子型バインダー高分子をさらに含む場合、伝導性コーティング層は、単層炭素ナノチューブの繊維の間に粒子型バインダー高分子が分散した構造であり得る。これによって、電子伝導性が高くなると共に、電極との接着力がさらに改善される。
【0061】
本発明の一面による多孔性コーティング層は、無機物粒子及び第1バインダー高分子を含む。
【0062】
本発明において、前記無機物粒子は、電気化学的に安定さえすれば、特に制限されない。即ち、本発明で使用可能な無機物粒子は、適用される電気化学素子の作動電圧範囲(例えば、Li/Li+を基準にして0~5V)で酸化及び/または還元反応が起こらないものであれば、特に制限されない。特に、無機物粒子として誘電率の高い無機物粒子を使用する場合、液体電解質中の電解質塩、例えば、リチウム塩の解離度の増加に寄与して電解液のイオン伝導度を向上させることができる。
【0063】
前述した理由から、前記無機物粒子は、誘電率定数が5以上の無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子及びこれらの混合物であり得る。
【0064】
前記誘電率定数が5以上である無機物粒子は、Al2O3、SiO2、ZrO2、AlO(OH)、Al(OH)3、TiO2、BaTiO3、Pb(ZrxTi1-x)O3(PZT、ここで、0<x<1)、Pb1-xLaxZr1-yTiyO3(PLZT、ここで、0<x<1、0<y<1である。)、(1-x)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-xPbTiO3(PMN-PT、ここで、0<x<1)、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO及びSiCからなる群より選択された一種または二種以上の混合物であり得る。
【0065】
前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子は、リチウムホスフェート(Li3PO4)、リチウムチタンホスフェート(LixTiy(PO4)3、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LixAlyTiz(PO4)3,0<x<2、0<y<1、0<z<3)、(LiAlTiP)xOy系ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LixLayTiO3、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(LixGeyPzSw、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、リチウムナイトライド(LixNy、0<x<4、0<y<2)、SiS2系ガラス(LixSiySz、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、及びP2S5系ガラス(LixPySz、0<x<3、0<y<3、0<z<7)からなる群より選択された一種または二種以上の混合物であり得る。
【0066】
前記無機物粒子の平均粒径は特に制限されないが、均一な厚さの多孔性コーティングの形成及び適切な孔隙率のために、0.001~10μm範囲であることが望ましく、より望ましくは100nm~2μm、より望ましくは150nm~1μmであり得る。
【0067】
前記無機物粒子は、予め所定の直径を有するように破砕された状態で添加可能であり、または前記バインダー高分子溶液に前記無機物粒子を添加した後にボールミル法などを用いて所定の直径を有するように制御しながら破砕して分散させることも可能である。
【0068】
前記無機物粒子と第1バインダー高分子の重量比は、90:10~50:50であり得る。第1バインダー高分子の総含量に対する無機物粒子の重量比が前記範囲を満たす場合、第1バインダー高分子の含量が多くなり、形成される多孔性コーティング層の気孔サイズ及び気孔度が減少する問題が防止でき、バインダー高分子の含量が少ないことによって、形成されるコーティング層の耐剥離性が弱くなる問題も解消可能である。
【0069】
本発明の具体的な一実施態様において、前記第1バインダー高分子は、前記第2バインダー高分子についての内容を代わりにし得る。
【0070】
この際、前記第1バインダー高分子と前記第2バインダー高分子は、同一または相違し得る。
【0071】
本発明の具体的な一実施態様において、多孔性コーティング層の厚さは1~10μmであり得る。
【0072】
本発明において、前記多孔性高分子基材は、多孔性膜であって、負極及び正極を電気的に絶縁させて短絡を防止しながらも、リチウムイオンの移動経路を提供できるものであって、通常的に電気化学素子のセパレーターの素材に使用可能なものであれば、特に制限されない。
【0073】
前記多孔性高分子基材は、具体的に多孔性高分子フィルム基材または多孔性高分子不織布基材であり得る。
【0074】
前記多孔性高分子フィルム基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンからなる多孔性高分子フィルムを使用可能であり、このようなポリオレフィン多孔性高分子フィルム基材は、例えば、80~150℃の温度でシャットダウン機能を発現する。
【0075】
この際、ポリオレフィン多孔性高分子フィルムは、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子を各々単独でまたはこれらの二種以上を混合して形成し得る。
【0076】
また、前記多孔性高分子フィルム基材は、ポリオレフィンの外に、ポリエステルなどの多様な高分子を用いてフィルム状に成形して製造され得る。また、前記多孔性高分子フィルム基材は、二層以上のフィルム層が積層された構造に形成され得、各フィルム層は前述したポリオレフィン、ポリエステルなどの高分子を単独でまたはこれらの二種以上を混合して形成され得る。
【0077】
また、前記多孔性高分子フィルム基材及び多孔性不織布基材は、前記のようなポリオレフィン系の他に、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキシド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルファイド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalene)などを各々単独でまたはこれらを混合して形成され得る。
【0078】
前記多孔性高分子基材の厚さは特に制限されないが、詳しくは、1~100μm、より詳しくは5~50μmであり、最近の電池の高出力/高容量化につれ、多孔性高分子基材は薄膜を用いることが有利である。前記多孔性高分子基材に存在する気孔の直径は、10nm~100nm、または10nm~70nm、または10nm~50nm、または10nm~35nmであり、気孔度は5%~90%、望ましくは20%~80%に形成され得る。但し、本願発明において、このような数値範囲は具体的な実施形態または必要に応じて容易に変更可能である。
【0079】
前記多孔性高分子基材の気孔は、多様なタイプの気孔構造があり、ポロシメータ(porosimeter)を用いて測定された、またはFE-SEM像から観察された気孔の平均サイズのいずれか一つでも前記提示した条件を満たすと、本発明に含まれる。
【0080】
ここで、通常知られている一軸延伸乾式セパレーターの場合においては、FE-SEM像でMD方向の気孔サイズではなく、TD方向の気孔サイズで中央の気孔サイズを基準にし、その他に網構造を有する多孔性高分子基材(例えば、湿式PEセパレータ)は、ポロシメータで測定した気孔サイズを基準にし得る。
【0081】
本発明によるリチウム二次電池用の分離膜は、当該分野における通常の方法によって製造され得る。本発明の具体的な一実施態様において、前記分離膜は、第1バインダー高分子が溶媒に溶解された高分子溶液に無機物粒子を分散させた多孔性コーティング層形成用のスラリーを多孔性基材に乾燥及び塗布して多孔性コーティング層を形成し得る。前記多孔性コーティング層は、分離膜基材のいずれか片面のみに形成されるか、または両面に共に形成され得る。この際、使用される溶媒は、使用しようとする第1バインダー高分子と溶解度指数が類似しており、沸点が低いことが望ましい。これは、均一な混合と以後の溶媒除去を容易にするためである。使用可能な溶媒の非制限的な例には、水、アセトン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサンのうちで選択された一種の化合物または二種以上の混合物が挙げられる。
【0082】
無機物粒子を分散させる方法としては、当業界における通常の方法を用いることができる。例えば、超音波分散機、ボールミル(ball-mill)、ビードミル(bead-mill)、ディスパーサー(disperser)、ミキサー(mixer)などを用いることができ、特に、ボールミル法またはビードミル法が望ましい。この際、処理時間は容量に応じて変わるが、1~20時間が適切であり、破砕された無機物粒子の粒度は、ボールミルまたはビードミルに使用されたビードのサイズ及びボールミル(またはビードミル)時間によって制御し得る。
【0083】
前記多孔性コーティング層形成用組成物を前記多孔性高分子基材にコーティングする方法は特に限定されないが、スロットコーティングやディップコーティング方法を用いることが望ましい。スロットコーティングは、スロットダイによって供給された組成物が基材の全面に塗布される方式であって、定量ポンプから供給される流量によってコーティング層の厚さが調節可能である。また、ディップコーティングは、組成物が満たされているタンクに基材を浸漬してコーティングする方法であって、組成物の濃度及び組成物タンクから基材を取り出す速度によってコーティング層の厚さが調節可能であり、より正確なコーティング厚さの制御のために、浸漬した後にメイヤーバーなどによって計量し得る。
【0084】
このように多孔性コーティング層形成用の組成物がコーティングされた多孔性高分子基材をオーブンのような乾燥器を用いて乾燥することで多孔性高分子基材の少なくとも一面に形成された多孔性コーティング層を形成するようになる。
【0085】
前記乾燥は、乾燥チャンバ(drying chamber)で行われ得る。この際、非溶媒の塗布によって乾燥チャンバの条件は特に制限されない。
【0086】
前記乾燥段階は、相対湿度30%以上、35%以上、または40%以上であり、かつ80%以下、75%以下、または70%以下で行われ得る。例えば、40%~80%の範囲で行い得る。また、前記乾燥段階は、20℃~70℃の温度範囲で、0.1分~2分間行われ得る。
【0087】
前記多孔性コーティング層では、無機物粒子は充填されて互いに接触した状態で前記第1バインダー高分子によって互いに結着し、これによって無機物粒子同士の間にインタースティシャルボリューム(interstitial volume)が形成され、前記無機物粒子同士の間のインタースティシャルボリュームは空き空間になって気孔を形成し得る。
【0088】
即ち、第1バインダー高分子は、無機物粒子が互いに結着した状態を維持するようにこれらを互いに付着、例えば、第1バインダー高分子が無機物粒子同士を連結及び固定し得る。また、前記多孔性コーティング層の気孔は、無機物粒子同士の間のインタースティシャルボリュームが空き空間になって形成された気孔であり、これは無機物粒子による充填構造(closed packed or densely packed)で実質的に面接触する無機物粒子によって限定される空間であり得る。
【0089】
本発明の一面によるセパレーターは、多孔性コーティング層の成分として、前述した無機物粒子及び第1バインダー高分子の外にその他の添加剤をさらに含み得る。
【0090】
その後、前記多孔性コーティング層の表面に伝導性コーティング層を備え得る。前述したように前記伝導性コーティング層は、分離膜の両面のいずれか一面のみに形成される。即ち、分離膜基材の両面に多孔性コーティング層が共に形成された場合には、二つの多孔性コーティング層のうちいずれか一つの多孔性コーティング層の表面のみに伝導性コーティング層を形成する。一方、分離膜基材の両面のいずれか一面のみに多孔性コーティング層が形成された場合には、その表面に伝導性コーティング層を形成する。
【0091】
例えば、溶媒に伝導性物質である単層炭素ナノチューブと第2バインダー高分子を溶解または分散させた伝導性コーティング層形成用のスラリーを塗布及び乾燥して伝導性コーティング層を形成し得る。伝導性コーティング層を形成する方法は特に限定されず、一面のみに形成されるので、スロットダイコーティングが望ましい。
【0092】
本発明の一面によるリチウム二次電池は、正極、負極及び前記正極と負極との間に介在された分離膜を含み、前記分離膜が前述した本発明の一実施例による分離膜である。
【0093】
一方、前記分離膜の伝導性コーティング層は正極と対面するものであり得る。
【0094】
このような電気化学素子は、電気化学反応をする全ての素子を含み、具体的には、全種類の一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池またはスーパーキャパシター素子のようなキャパシタなどが挙げられる。特に、前記二次電池のうちリチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含むリチウム二次電池が望ましい。
【0095】
本発明の分離膜と共に適用される正極と負極の両電極としては特に制限されず、当業界に知られた通常の方法によって電極活物質を電極集電体に結着して製造することができる。前記電極活物質のうち正極活物質の非制限的な例には、従来の電気化学素子の正極に使用される通常の正極活物質が使用可能であり、特に、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウム鉄酸化物またはこれらを組み合わせたリチウム複合酸化物を用いることが望ましい。
【0096】
前記正極活物質は、具体的には、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiCoPO4、LiFePO4及びLiNi1-x-y-zCoxM1yM2zO2(M1及びM2は互いに独立的に、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群より選択されたいずれか一つであり、x、y及びzは、互いに独立的に酸化物組成元素の原子分率であって、0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、0<x+y+z≦1である。)からなる群より選択されたいずれか一つの活物質粒子またはこれらの二種以上の混合物を含み得る。本発明の一実施態様において、例えば、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物及び/またはリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物を含み得る。
【0097】
一方、本発明の具体的な一実施態様において、前記正極は、正極活物質のローディング量が5mAh/cm2以上であり得る。前記正極活物質の含量は、正極、より望ましくは、正極活物質層の面積(cm2)を基準にした。
【0098】
負極活物質の非制限的な例には、従来の電気化学素子の負極に使用される通常の負極活物質が使用可能であり、特に、リチウム金属またはリチウム合金、炭素、石油コーク(petroleum coke)、活性炭(activated carbon)、グラファイト(graphite)またはその他の炭素類などのようなリチウム吸着物質などが望ましい。正極集電体の非制限的な例には、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがあり、負極集電体の非制限的な例には、銅、金、ニッケルまたは銅合金またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどが挙げられる。
【0099】
本発明の電気化学素子において使用可能な電解液は、A+B-のような構造の塩であって、A+は、Li+、Na+、K+のようなアルカリ金属陽イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含み、B-は、PF6
-、BF4
-、Cl-、Br-、I-、ClO4
-、AsF6
-、CH3CO2
-、CF3SO3
-、N(CF3SO2)2
-、C(CF2SO2)3
-のような陰イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含む塩が、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ-ブチロラクトンまたはこれらの混合物からなる有機溶媒に溶解または解離したものが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0100】
前記電解液の注入は、最終製品の製造工程及び要求物性に応じて、電池の製造工程における適切な段階で行われ得る。即ち、電池の組立ての前、または電池の組立ての最終段階などに適用することができる。
【0101】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0102】
実験例1
比較例1
アセトン溶媒に第1バインダー高分子としてポリビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)を投入し、50℃で約4時間溶解して、バインダー高分子溶液を製造した。前記バインダー高分子溶液に無機物粒子として水酸化アルミニウム(Al(OH)3)(粒子サイズ:900nm)を投入した。その後、分散剤としてシアノレジン(重量平均分子量:40万)と、液体である脂肪酸(Fatty acid、BYK社、P104)を投入した。この際、無機物粒子:第1バインダー高分子:シアノレジン:脂肪酸の重量比は、73:25:1:1に制御して多孔性コーティング層形成用のスラリーを製造した。この際、固形分(スラリーから溶媒を除去)の含量は、スラリー100重量部を基準にして16重量部であった。
【0103】
前記多孔性コーティング層形成用のスラリーをディップコーティング方式で23℃、相対湿度45%の条件で、厚さ9μmのポリエチレン多孔性フィルム(気孔度:45%)の両面に塗布及び乾燥することで、各々の厚さが3μmである多孔性コーティング層が形成された分離膜を製造した。これについての結果を表1及び表2に示した。
【0104】
実施例1
前記比較例1で製造された分離膜の多孔性コーティング層の上に伝導性コーティング層を形成した。
【0105】
具体的には、伝導性コーティング層は、次のような方法で製造した。
【0106】
水溶媒に、単層炭素ナノチューブと、第2バインダー高分子としてポリビニルピロリドンと、分散剤としてタンニン酸(TA)とを、重量比45:45:10に制御して伝導性コーティング層形成用のスラリーを製造した。この際、固形分(スラリーから溶媒を除去)の含量は、スラリー100重量部を基準にして2重量部であった。
【0107】
前記伝導性コーティング層形成用のスラリーをスロットダイコーティング方式によって常温で形成された二つの多孔性コーティング層のうち一つの表面に塗布及び乾燥して伝導性コーティング層が形成された分離膜を製造した。この際、伝導性コーティング層中に実際にコーティングされた単層炭素ナノチューブのローディング量は0.22g/m
2であった。これについての結果を表1、表2及び
図3に示した。
【0108】
実施例2~4
伝導性コーティング層中に実際にコーティングされる単層炭素ナノチューブのローディング量を表1のように制御したことを除いては、実施例1と同様の方法で分離膜を製造した。これについての結果を表1及び
図3に示した。
【0109】
比較例2~5
伝導性コーティング層の製造時、単層炭素ナノチューブの代わりに、多層炭素ナノチューブ(multi-walled carbonnanotube;MWCNT)を使用し、固形分の含量を4重量%に制御し、多層炭素ナノチューブのローディング量を表1のように制御したことを除いては、実施例1と同様の方法で分離膜を製造した。この際、伝導性コーティング層形成用のスラリーの含量は、多層炭素ナノチューブ:第2バインダー高分子:分散剤の重量比が、80:10:10になるように制御した。これについての結果を表1及び
図3に示した。
【0110】
【0111】
電気伝導度の測定方法
分離膜の電気伝導度は、表面抵抗測定機(Auto 4-Point Probe System,モデル名:CMT-SR2000N,AiT社)を用いて測定した。具体的には、実施例1~4、比較例1~5による分離膜を5cm×5cmの大きさにサンプリングした後、分離膜の厚さを測定した。その後、前記サンプルを表面抵抗測定機に挿入した後、測定した厚さを装置に入力して測定した。この際、電気伝導度の測定単位はΩ×cmに設定し、測定値を逆数にして電気伝導度を算定した。
【0112】
セル抵抗増減率の算定方法
比較例1のセル抵抗を基準にし、下記の式1のように算定した。
【0113】
[式1]
(求めようとする分離膜の抵抗-比較例1の抵抗)/(比較例1の抵抗)×100
【0114】
表1において、セル抵抗増加率の値が(-)であることから、絶対値が大きいほど抵抗が小さいことを意味する。言い換えれば、抵抗減少の効果が大きいことを意味する。
【0115】
2C-レート(rate)放電容量増減率の算定方法
比較例1の放電容量を基準にし、下記の式2のように算定した。
【0116】
[式2]
(求めようとするセルの2C-rateにおける放電容量-比較例1のセルの2C-rateにおける放電容量)/(比較例1のセルの2C-rateにおける放電容量)×100
【0117】
表1において、放電容量増加率の値が(+)であることから、絶対値が大きいほど放電容量が増加する改善効果が大きいことを意味する。
【0118】
前記表から分かるように、伝導性コーティング層を備えた実施例1及び2の場合、セル抵抗増減率が、比較例1を基準にして各々-17.7%、-13.4%などであって、大幅に減少したことを確認することができる。また、2C-レート(rate)での放電容量増減率も、比較例1を基準にして各々31.7%、29.9%などであることから、大幅に増加したことを確認することができる。特に、実施例4と比較例5を比較すると、電子伝導度が各々0.01S/cmとして同一であるにも拘わらず、セル抵抗増加率と放電容量増減率は確実な差を示した。
【0119】
このことから、本発明の一面で使用した単層ナノチューブを使用した分離膜が、多層ナノチューブを使用した場合よりも、高率放電特性及び出力/寿命特性を確保したことを確認することができた。
【0120】
実験例2
実施例5
前記比較例1で製造された分離膜の上に伝導性コーティング層を形成した。
【0121】
具体的には、伝導性コーティング層は、以下のような方法で製造した。
【0122】
水溶媒に、単層炭素ナノチューブと、第2バインダー高分子としてポリビニルピロリドンと、分散剤としてタンニン酸(TA)と、粒子型バインダー高分子としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを、重量比10.8:10.7:2.5:76に制御して伝導性コーティング層形成用のスラリーを製造した。この際、固形分(スラリーから溶媒を除去)の含量は、スラリー100重量部を基準にして1.5重量部であった。
【0123】
前記伝導性コーティング層形成用のスラリーをスロットダイコーティング方式によって常温で二つの多孔性コーティング層のうち一つの表面に塗布及び乾燥して伝導性コーティング層が形成された分離膜を製造した。この際、伝導性コーティング層中に実際にコーティングされた単層炭素ナノチューブのローディング量は0.2g/m2であった。これについての結果を表2に示した。
【0124】
【0125】
前記表2の実施例1から分かるように、単層炭素ナノチューブを伝導性コーティング層として使用する場合、電子伝導度が高くなることを確認することができた。また、実施例5のように粒子型バインダー高分子をさらに含む場合、電子伝導度及び電極との接着力が全て改善されることを確認することができた。一方、比較例1のように、伝導性コーティング層そのものが存在しない場合には、電子伝導度そのものが測定不可であった。
【0126】
実験例3
実施例6
前記比較例1で製造された分離膜の上に伝導性コーティング層を形成した。
【0127】
具体的には、伝導性コーティング層は、下記のような方法によって製造した。
【0128】
水溶媒に、単層炭素ナノチューブと、第2バインダー高分子としてポリビニルピロリドンと、分散剤としてタンニン酸(TA)とを、重量比45:45:10に制御して伝導性コーティング層形成用のスラリーを製造した。この際、固形分(スラリーから溶媒を除去)の含量は、スラリー100重量部を基準にして2重量部であった。
【0129】
前記伝導性コーティング層形成用のスラリーをスロットダイコーティング方式によって常温でコーティングして二つの多孔性コーティング層のうち一つの表面に塗布及び乾燥して伝導性コーティング層が形成された分離膜を製造した。この際、伝導性コーティング層中に実際にコーティングされた単層炭素ナノチューブのローディング量は0.46g/m2であった。これについての結果を表3に示した。
【0130】
比較例6
前記比較例1で製造された分離膜の上に伝導性コーティング層を形成した。
【0131】
具体的には、伝導性コーティング層は、下記のような方法で製造した。
【0132】
水溶媒に、単層炭素ナノチューブと、第2バインダー高分子としてポリビニルピロリドンと、分散剤としてタンニン酸(TA)とを、重量比45:45:10に制御して伝導性コーティング層形成用のスラリーを製造した。この際、固形分(スラリーから溶媒を除去)の含量は、スラリー100重量部を基準にして2重量部であった。
【0133】
前記伝導性コーティング層形成用のスラリーをスロットダイコーティング方式によって常温でコーティングして二つの多孔性コーティング層のうち一つの表面に塗布及び乾燥して伝導性コーティング層が形成された分離膜を製造した。この際、伝導性コーティング層中に実際にコーティングされた単層炭素ナノチューブのローディング量は、0.55g/m2であった。これについての結果を表3に示した。
【0134】
【0135】
前記表3から分かるように、SWCNTのローディング量が0.5g/m
2以上である場合、通気時間が急増し、絶縁破壊電圧が低下することが確認された。一方、
図4は、実施例6の伝導性コーティング層が形成された分離膜の表面のSEMイメージであり、
図5は、比較例6の伝導性コーティング層が形成された分離膜の表面のSEMイメージである。これを参照すると、SWCNTのローディング量が高い比較例の場合、SWCNTが分離膜の表面の全面にコーティングされて気孔が塞がっていることを確認することができる。
【0136】
評価方法
1)厚さ測定方法
セパレーターの厚さは、厚さ測定器(Mitutoyo社,VL-50S-B)を用いて測定した。
【0137】
2)電極とセパレーターとの接着力(Lami Strength)の測定方法
電極とセパレーターとの接着力(Lami Strength)を測定するために、下記のように負極を準備した。
【0138】
先ず、負極は、人造黒鉛と、カーボンブラックと、カルボキシメチルセルロース(CMC;Carboxy Methyl Cellulose)と、スチレンブタジエンゴム(SBR;Styrene-Butadiene Rubber)とを、96:1:2:2の重量比で水と混合して負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを3.5mAh/cm2の容量で、銅ホイルの上にコーティングして薄い極板の形態になるように作成した後、135℃で3時間以上乾燥した後、圧延(pressing)して負極を製造した。
【0139】
製造された負極を、25mm×100mmサイズに裁断して準備した。実施例及び比較例で製造されたセパレーターを25mm×100mmサイズに裁断して準備した。準備したセパレーターと負極を互いに重ねた後、100μmのPETフィルムの間に挟んだ後、平板プレスを使用して貼り合わせた。この際、平板プレス機の条件は、60℃の6.5MPaの圧力で1秒間加熱及び加圧した。貼り合わせられたセパレーターと負極は両面テープを用いてスライドガラスに付着させた。セパレーターの接着面の末端部(接着面の端部から10mm以下)を剥がし、25mm×100mmのPETフィルムと単面接着テープを用いて長手方向へ連結されるように粘着した。その後、UTM装置(LLOYD Instrument LF Plus)の下部のホルダーにスライドガラスを取り付けた後、UTM装置の上部ホルダーには、セパレーターと付着されているPETフィルムを取り付け、測定速度300mm/分で180゜に力を加えて負極と負極に対向した多孔性コーティング層との剥離に必要な力を測定した。
【0140】
3)通気度
JIS P-8117によって、ガーリー(Gurley)式の空気透過度計を用いて測定した。この際、直径28.6mm、面積645mm2を、空気100ccが通過する時間を測定した。サンプルの左/中/右の各1箇所ずつ合計3箇所を測定して平均を記録した。
【0141】
4)絶縁破壊電圧
AC/CD/IR Hipot tester(Model 19052, Chroma)を用いて絶縁破壊電圧を測定した。アルミニウム素材の加圧ジグを使用しており、上部ジグは30mmR、下部ジグは55×105mm2であった。各ジグは、表面がテフロン(Teflon、登録商標)素材でコーティングされたものである。
【0142】
下部ジグに第1アルミニウム薄膜、分離膜、第2アルミニウム薄膜の順に積置して上部ジグを乗せて測定した。第1及び第2アルミニウム薄膜の厚さは、各々15μmであり、第1アルミニウム薄膜の大きさは65×115mm2、第2アルミニウム薄膜の大きさは40×40mm2にした。
【0143】
DC、0Vから100V/sの速度で昇圧し、電流0.5mA以上3秒間持続しながらフェイル(fail)を確認して、フェイル(fail)時の電圧数値を確認した。
【0144】
5)電池短絡発生確認
電池を製造した後、1C-レート(rate)で放電しながら電池が駆動されないか、または放電容量が理論容量に対して20%以上低下した電池を確認した(例えば、理論容量100mAh、発現容量70mAhの場合、電池短絡発生として看做する。)。
【国際調査報告】