(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】圧電複合フィルム及びこれを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/00 20060101AFI20230721BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20230721BHJP
H10N 30/857 20230101ALI20230721BHJP
H10N 30/076 20230101ALI20230721BHJP
H10N 30/06 20230101ALI20230721BHJP
H10N 30/082 20230101ALI20230721BHJP
H10N 30/092 20230101ALI20230721BHJP
【FI】
C08J9/00 Z CEW
H10N30/853
H10N30/857
H10N30/076
H10N30/06
H10N30/082
H10N30/092
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580833
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 CA2021050892
(87)【国際公開番号】W WO2022000083
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520160484
【氏名又は名称】シムコ・ノース・アメリカ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バン、ダイアン
(72)【発明者】
【氏名】カン、アシフ・アブドゥラ
(72)【発明者】
【氏名】ラナ、ムハンマド・マスド
(72)【発明者】
【氏名】フアン、グワングワン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ヨンフイ
(72)【発明者】
【氏名】イスラム、シャリフル
(72)【発明者】
【氏名】ボス、ピーター・マイケル
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA38
4F074AC16
4F074AC21
4F074AC23
4F074AD13
4F074AD18
4F074AE01
4F074AE06
4F074CB47
4F074CC28Y
4F074CC29Y
4F074DA03
4F074DA13
4F074DA14
4F074DA20
4F074DA47
(57)【要約】
本発明は、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能な複合フィルムに関する。フィルムは、複数の細孔を形成するように構成された、基材及び圧電ナノ粒子を含む。本発明のフィルムは柔軟性があり、高度に多孔質であり、高い誘電率及び有益な多孔媒介性機械的特性をもたらす。圧電ナノ発電機(PNG)で使用した場合、フィルムは塊状フィルムひずみの増大及びフィルムインピーダンスの減少をもたらし、公知のPNGと比較してより高い出力電圧及び電流を有する高い効率のPNGをもたらす。フィルムを合成する方法もまた記載される。提供される方法は簡単であり、対費用効果が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペロブスカイト及びポリマーを含むフィルムであって、前記ペロブスカイト及び前記ポリマーが複数の細長い細孔を形成するように構成されている、フィルム。
【請求項2】
前記フィルムが、前記細孔により相互接続された2つの互いに反対側の主表面を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記細孔が、前記フィルムの前記2つの互いに反対側の主表面に少なくとも部分的に垂直に整列している、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記フィルムの主表面に力がかけられた場合、前記細孔が変形する、請求項1~3の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記細孔が長さ約20μm~25μmである、請求項1~4の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記細孔が直径約3μm~約5μmである、請求項1~5の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ペロブスカイトがナノ粒子を含む、請求項1~6の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記ペロブスカイトが前記ポリマーに埋め込まれている、請求項1~7の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項9】
前記フィルムが前記ペロブスカイトを結晶形態で含む、請求項1~8の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項10】
前記ペロブスカイト結晶が非中心対称の構造を含む、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
前記ペロブスカイトがハイブリッドハロゲン化物ペロブスカイトを含む、請求項1~10の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項12】
前記ペロブスカイトが(HHP)-臭化ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbBr
2I)を含む、請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
前記フィルムが前記ポリマーを結晶性β相で含む、請求項1~12の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項14】
前記ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン(PVDF-TrFE)、及びポリアクリル酸エチル(PEA)からなる群から選択される、請求項1~13の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項15】
前記ポリマーがポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む、請求項1~14の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項16】
前記フィルムが、前記ペロブスカイトを約10重量%~約30重量%の質量比で含む、請求項1~16の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項17】
前記フィルムが、前記ペロブスカイトを約20重量%の質量比で含む、請求項16に記載のフィルム。
【請求項18】
前記フィルムが、前記ポリマーを約10重量%~約15重量%の質量比で含む、請求項1~17の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項19】
前記フィルムが、前記ポリマーを約10重量%の質量比で含む、請求項18に記載のフィルム。
【請求項20】
前記フィルムが複数の双極子を含み、前記双極子が実質的に整列している、請求項1~19の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項21】
前記フィルムが約20μm~約50μmの厚さを有する、請求項1~20の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項22】
前記フィルムが約30μmの厚さを有する、請求項21に記載のフィルム。
【請求項23】
前記フィルムが2工程結晶化方法で形成される、請求項1~22の何れか1項に記載のフィルム。
【請求項24】
a.請求項1~20の何れか1項に記載のフィルム、
b.第1の電極、及び
c.第2の電極
を含む圧電ナノ発電機であって、前記フィルムが前記第1の電極及び前記第2の電極と電気的に接触している、圧電ナノ発電機。
【請求項25】
前記第1の電極が金属又はポリマーを含む、請求項24に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項26】
前記第1の電極が、銅、金、及びアルミニウムからなる群から選択される金属を含む、請求項25に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項27】
前記第1の電極がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含む、請求項25に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項28】
前記第2の電極が金属又はポリマーを含む、請求項25~27の何れか1項に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項29】
前記第2の電極が、銅、金、及びアルミニウムからなる群から選択される金属を含む、請求項28に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項30】
前記第2の電極が、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含む、請求項28に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項31】
前記ナノ発電機が基材によって封入されている、請求項24~30の何れか1項に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項32】
前記基材がポリエステルを含む、請求項31に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項33】
前記ナノ発電機が熱ラミネート法を使用して封入されている、請求項31又は32に記載の圧電ナノ発電機。
【請求項34】
請求項24~33の何れか1項に記載の圧電ナノ発電機を組み込んだ航空機構造ヘルスモニタリングシステム。
【請求項35】
請求項24~33の何れか1項に記載の圧電ナノ発電機を組み込んだ自己電力供給式デバイス。
【請求項36】
前記デバイスが着用式電子デバイス、医学診断用デバイス、又は埋め込み型デバイスである、請求項35に記載の自己電力供給式デバイス。
【請求項37】
フィルムを製造するための方法であって、
a.ポリマーを第1の溶媒に添加することにより第1の溶液を調製する工程;
b.ペロブスカイトを第2の溶媒に添加することにより第2の溶液を調製する工程;
c.前記第1の溶液を前記第2の溶液と均質に混合して、混合物を作り出す工程;及び
d.前記混合物を実質的に定温で維持して、前記ポリマー及び前記ペロブスカイトを結晶化させる工程
を含む、方法。
【請求項38】
次いで、前記混合物が、キャスティングされ、アニーリングされて、フィルムを形成する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
次いで、前記フィルムが、高電圧の電気分極処理を使用して分極処理される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ポリマーが前記ペロブスカイトよりも前に結晶化する、請求項37~39の何れか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の溶液が、前記ポリマーを約10重量%~約15重量%の質量比で含む、請求項37~40の何れか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の溶液が前記ポリマーを約10重量%の質量比で含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の溶液が前記ペロブスカイトを約10重量%~約30重量%の質量比で含む、請求項37~42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の溶液が前記ペロブスカイトを約20重量%の質量比で含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドである、請求項37~44の何れか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドである、請求項37~45の何れか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記混合物が約60℃の温度で維持される、請求項35~46の何れか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン(PVDF-TrFE)、及びポリアクリル酸エチル(PEA)からなる群から選択される、請求項35~47の何れか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリマーがPVDFを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ペロブスカイトがハイブリッドハロゲン化物ペロブスカイトを含む、請求項35~49の何れか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記ペロブスカイトがFAPbBr
2Iを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項35~51の何れか1項に記載の方法により製造されるフィルム。
【請求項53】
請求項35~51の何れか1項に記載の方法により製造されたフィルムを含む、圧電ナノ発電機。
【請求項54】
基材及び複数の圧電ナノ粒子を含む複合フィルムであって、前記基材及びナノ粒子が複数の細孔を形成するように構成され、複合体が前記細孔により相互接続された2つの互いに反対側の主表面を含む、複合フィルム。
【請求項55】
前記基材がポリマーである、請求項54に記載の複合フィルム。
【請求項56】
前記ポリマーが結晶性β相である、請求項55に記載の複合フィルム。
【請求項57】
前記ポリマーがPVDFである、請求項56に記載の複合フィルム。
【請求項58】
前記圧電ナノ粒子がペロブスカイトを含む、請求項54~58の何れか1項に記載の複合フィルム。
【請求項59】
前記ペロブスカイトがハイブリッドハロゲン化物ペロブスカイトを含む、請求項58に記載の複合フィルム。
【請求項60】
前記ペロブスカイトが(HHP)-臭化ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbBr
2I)を含む、請求項59に記載の複合フィルム。
【請求項61】
前記細孔が細長い、請求項54~60の何れか1項に記載の複合フィルム。
【請求項62】
前記細孔が前記複合フィルムの2つの互いに反対側の主表面に少なくとも部分的に垂直に整列している、請求項54~61の何れか1項に記載の複合フィルム。
【請求項63】
前記圧電ナノ粒子が酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を含む、請求項54~57の何れか1項に記載の複合フィルム。
【請求項64】
前記ZnOナノ粒子が前記複合フィルム全体にわたりランダムに分散されている、請求項63に記載の複合フィルム。
【請求項65】
前記複合フィルムが前記ZnOナノ粒子を約10重量%~約50重量%の質量比で含む、請求項63又は64に記載の複合フィルム。
【請求項66】
前記複合フィルムが前記ZnOナノ粒子を約50重量%の質量比で含む、請求項65に記載の複合フィルム。
【請求項67】
前記ZnOナノ粒子が直径約25nm~約55nmである、請求項63~66の何れか1項に記載の複合フィルム。
【請求項68】
前記ZnOナノ粒子が直径約35nm~約45nmである、請求項67に記載の複合フィルム。
【請求項69】
前記ZnOナノ粒子が超音波処理により前記複合フィルム全体にわたり分散される、請求項63~68の何れか1項に記載の複合フィルム。
【請求項70】
前記圧電ナノ粒子が前記複合フィルムから除去される、請求項63~69の何れか1項に記載の複合フィルム。
【請求項71】
a.請求項54~70の何れか1項に記載の複合フィルム;
b.第1の電極、及び
c.第2の電極、
を含む圧電ナノ発電機であって、前記フィルムが前記第1の電極及び前記第2の電極と電気的に接触している、圧電ナノ発電機。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で、2020年6月30日に出願した仮特許出願S.N.63/102,752の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明の側面の1つにおいて、本発明は、複合フィルム、より具体的には複数の細孔を含むように構成された圧電複合フィルムに関する。デバイスは、例えば、パーソナルエレクトロニクス並びに振動及び生体力学的動作からのエネルギー収集のためのワイヤレスデータ通信用の電源として使用してもよい。デバイスは、航空機、宇宙ビークル、埋め込み型生物医学用デバイスなどにおける構造ヘルスモニタリングに用途を有し得る。
【従来技術の説明】
【0003】
[0003]ますます小型の構造体及び高性能である地球に優しい電源を開発することは、自己電力供給式エレクトロニクスの配備を援助するための重要な研究領域となっている。柔軟性のある、小型の構造体を含む圧電ナノ発電機(PNG)は、この目的のために有力な候補として出現した1。例えば、PNGの使用は、自己電力供給式ナノエレクトロメカニカルシステム(NEMS)、電子的/ピエゾトロニクスデバイス、埋込み型医療デバイス、及びリモートセンシングにおいて報告されている2~8。
【0004】
[0004]航空宇宙システム作動中の状態をモニターするための自己電力供給式構造ヘルスモニタリング(SHM)の使用が報告された9。このようなSHMシステムは、従来の時間不足による、ハイコストのスケジュールされたメインテナンスの不具合モードを克服することが報告され、よって航空機構造体の安全性、整合性、及び効率を強化し得る10。
【0005】
[0005]ワイヤードセンサーネットワークは現在、航空機SHMに対する業界標準である11~12。それにもかかわらず、ワイヤードネットワークの導入は、有意なマンパワー及びコストを必要とするエラーを起こしやすい方法であり得る。代わりに、ワイヤレスセンサーネットワークシステムは配線問題を効果的に排除することができる13。このようなワイヤレスシステムに対して、信頼でき、持続性のある電源が多くの場合重要な意味を持つ。このようなワイヤレスシステムに電力を供給するための1つの最先端技術が圧電エネルギー収集デバイスであり、このデバイスは、周囲環境からエネルギーを収集することができる7、14。
【0006】
[0006]エネルギー収集技術、例えば、電磁18~22及び静電23~25方法に基づく摩擦電気15及び圧電16~17ナノ発電機、及びデバイスが、周辺エネルギー、例えば、振動、風、雨滴、及び海洋波からのエネルギーを収集するこれらの能力について調査されてきた。摩擦電気ナノ発電機(TENG)は高エネルギー変換効率、高い出力電圧、及び柔軟性のある材料の選択を有すること、並びに軽量で、低コストであることが報告されている26~38;しかし、TENGは、耐久性及びコンパクト性の欠如に問題があり得、これによってこれらのSHM用途、特に航空機の用途が限定され得る。他方では、圧電ナノ発電機(PNG)は、機械的堅牢性、環境適合性、及び感受性を示すことが報告されており、これはSHM用途に対する可能性を示唆している39~42。
【0007】
[0007]PNGの製作において多くの材料、例えば、無機チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、Na/KNbO3、及びZnSnO3ナノ粒子が報告されており、これらは大きな圧電係数及び高エネルギー変換効率を有すると報告されている39~43、106~108。有機圧電ポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びコポリマーヘキサフルオロプロピレン[P(VDF-HFP)]トリフルオロエチレン(P(VDF-TrFE))、及びポリ(酢酸ビニル)(PVAc)もまた、これらの高い柔軟性、生体適合性、単純な材料合成方法、及びエネルギー効率の高いβ相の存在が報告されたことにより、より多くの注目を集めている109~113。しかし、内因性PVDFベースのPNGは、これらの無機の同等物と比較して生成する電気エネルギー出力が低い114~122。
【0008】
[0008]ひずみ依存性圧電分極を強化するための圧電フィルムのミクロ構造の改変がエネルギー源利用メカニズムとして報告された。戦略、例えば、ナノワイヤの導入43~46、アスペクト比の調整、多段階エッチング法を介したフィルム多孔性モジュレーション25、47~52、カスケード式複数デバイス53~56、及び電荷遮蔽効果の減少57~61は、圧電気の限界を広げることが報告された構造駆動型技術である。例えば、Suらの報告によると、酸化亜鉛(ZnO)ナノワイヤに細孔を作り出すことによって、多孔性パーセンテージの5.4%の上昇と共に、PNGの出力電流は約23倍率押し上げられた(27.7nA)47。ランダムで、極めて多孔質な(50%)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)構造体(エッチング法による)の使用により、それぞれ11.1V及び9.7μAの出力電圧及び電流を有するPNGがMaoらにより報告され、これはリソグラフィーを利用した多孔質PVDFナノワイヤアレイに対して報告された出力電圧及び電流より高い48、53。Yuanらによりカスケードタイプの6層ラグビーボール形状のPNG構造体が報告され、これは出力性能を88.62VPP及び353μAに増加させた55。
【0009】
[0009]圧電気は、これらの戦略により強化されることが報告されているにもかかわらず、単一の圧電フィルムにおいて適当な機械的及び電気的特性を最適に一体化することは難題となり得る。例えば、圧電材料の中でも、単結晶、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、(1-x)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-xPbTiO3(PMN-PT)62は、高い圧電係数(d33)を保有する;しかし、これらの材料は高温材料合成を必要とし、壊れやすい可能性がある。鉛を含まない圧電材料はより環境に優しくなり得るが、このような材料の出力性能は中程度のままであると報告されている63。
【0010】
[0010]高い圧電ナノ粒子(NP)を柔軟性のあるポリマーに分散させて、フィルムを形成することにより、製作拡張性、デバイスの柔軟性、機械的強度、及び電気出力が改善されることが報告されている64~68。しかし、このような報告では、ポリマー骨格中のNPの均質な分散液を改善するためにNP分散プロモーターを利用する必要があり、これはデバイス性能に不利な影響を与える可能性がある69~74。他の研究者らは、ポリマーを混合する前に圧電NPの表面を官能化することにより75、又はNPを有機-無機金属ハロゲン化物ペロブスカイト(OMHP)、例えば、PVDF又はポリジメチルシロキサン(PDMS)マトリックス中に均一に分散したヨウ化メチルアンモニウム鉛(MAPbI3)又はハロゲン化ホルムアミジニウム鉛(FAPbBr3)に置きかえることにより、この問題に対処したことが報告された;しかし、これらのフィルムは、脆性及び拡張性の問題をさらに有し得る40、41、76、77。
【0011】
[0011]圧電フィルムの開発における今日までの進歩にもかかわらず、上述された問題及び従来の技術の弱点に対処するための改善の余地が依然として残されている。
【発明の概要】
【0012】
[0012]従来の技術の上述された欠点の少なくとも1つを取り除く又は軽減することが本発明の目的である。
【0013】
[0013]圧電電位を有する新規のフィルム複合体を提供することが本発明の別の目的である。
【0014】
[0014]したがって、本発明の側面の1つにおいて、本発明は、ペロブスカイト及びポリマーを含むフィルムであって、ペロブスカイト及びポリマーが複数の細長い細孔を形成するように構成されている、フィルムを提供する。
【0015】
[0015]本発明の側面の別の側面において、本発明は、フィルムを製造するための方法であって、(a)ポリマーを第1の溶媒に添加することにより第1の溶液を調製する工程;(b)ペロブスカイトを第2の溶媒に添加することにより第2の溶液を調製する工程;(c)第1の溶液を第2の溶液と均質に混合して、混合物を作り出す工程;及び(d)混合物を実質的に定温で維持して、ポリマー及びペロブスカイトを結晶化させる工程を含む方法を提供する。
【0016】
[0016]本発明の側面の別の側面において、本発明は、基材及び複数の圧電ナノ粒子を含む複合フィルムであって、基材及びナノ粒子が複数の細孔を形成するように構成され、複合体が、細孔により相互接続された2つの互いに反対側の主表面を含む、フィルムを提供する。
【0017】
[0017]よって、本発明の発明者らは、複数の細孔を形成するように構成された基材及び圧電ナノ粒子を含む複合圧電フィルムを開発した。このフィルムは柔軟性があり、高度に多孔質であり、高い誘電率及び多孔媒介性機械的特性を提供する。PNG用途に使用された場合、フィルムは、バルクフィルムひずみの増大及びフィルムインピーダンスの減少をもたらし、他の報告されたPNGと比較して、より高い出力電圧及び電流を有する高い効率のPNGが結果として生じる。強化された出力性能及び大きな領域拡張性を有する本発明のフィルムは、一連の環境振動から機械的エネルギーを収集するための、自己電力供給式ミクロ/ナノワイヤレスデバイスにおける小型の、柔軟性のある電源としての用途を有すると考えられている。本発明の発明者らはまた、フィルムを調製するための簡単な、コストの低い方法を開発した。
【0018】
[0018]発明者らが知る限りでは、このような特徴の組合せを有するフィルムはこれまで知られていない。
【0019】
[0019]本発明の他の利点は、本発明の明細書を精査することにより当業者に明らかとなる。
【0020】
[0020]本発明の態様は、添付の図を参照して記載されており、例えば、参照番号は、例えば一部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、純粋なPVDFフィルムの特性評価を示している。(a)純粋なPVDFの上面(75℃でアニーリング);(b)純粋なPVDFフィルムの断面の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像;(c)PVDFフィルムのFTIRスペクトル(波数510cm
-1、及び841cm
-1における対応する吸収)。
【
図2】
図2は、フィルムがZnO-PVDFを含む、本発明のフィルムの一態様の特性評価を示している。(a)直径35~45nmのZnOナノ粒子(NP)を載せたPVDFの上面SEM画像;(b)ZnO NPを載せたPVDFの断面SEM画像である。SEM画像は、ナノ粒子が均一に分散されておらず、むしろPVDFフィルムの異なる位置に蓄積していることを示す。これによって、エッチング工程の後、異なるサイズの細孔が作り出される;(c)37重量%塩酸(HCl)によるZnO NPのエッチング後に得られた多孔質PVDFフィルムの上面SEM画像;(d)多孔質PVDF表面の原子間力顕微鏡法(AFM)画像;(e)測定された多孔質PVDFの表面粗さ(100nm)。
【
図3】
図3は、フィルムがペロブスカイトポリマーを含む、本発明のフィルムの別の態様を示している。示されたペロブスカイトポリマーフィルムはFAPbBr
2I-PVDFを含み、圧電ナノ発電機(PNG)に組み込まれる。(a)PNGの製作方法;(b)20重量%FAPbBr
2I@PVDFである本発明のペロブスカイトポリマーフィルムのXRDパターン;(c)多孔質PVDFフィルム及び25重量%FAPbBr
2I@PVDFである本発明のペロブスカイトポリマーフィルムのFTIRの結果;(d)大きな領域のフィルム(およそ15cm×15cm)及び製作されたPNGのデジタル写真。
【
図4】
図4は、(a)
図3のペロブスカイトポリマーフィルム(20重量%PVDF@FAPbBr
2I)の断面SEM画像(挿入図は細孔の拡大画像を示す);(b)PVDF中フッ素及び(c)ペロブスカイトポリマーフィルム中鉛の対応する元素マッピング;計算した(d)応力及び(e)
図1の純粋なPVDFフィルム、
図2の20%多孔質PVDFフィルム、及び
図3の60%多孔性を有するペロブスカイトポリマーフィルム(20重量%のFAPbBr
2Iにより誘発された多孔性)の類似の領域に対するピエゾ電位分布を示している。
【
図5】
図5は、
図3のペロブスカイトポリマーフィルムの細孔構造体の形態を示している。(a)長さ20~25μmの細孔が規則的に分散されていることを示すペロブスカイトポリマーフィルムの断面SEM画像;(b)細孔の直径がおよそ3~5μmであることを示す、AFM画像からのFAPbBr2I@PVDFフィルムの表面トポグラフィー。
【
図6】
図6は、
図3のペロブスカイトポリマーフィルムのPVDF及びFAPbBr
2Iナノ粒子の結晶化方法の略図を示している。y軸は、溶液中のPVDF及びFAPbBr
2Iの総濃度を表す;(b)FA
+カチオンと-CF
2-基との間の相互作用を示す図式による証明。FTIRスペクトルから、1350~1100cm
-1の波数範囲におけるC-F結合の赤外線吸収ピークの青色シフトによりこの相互作用が確認される。
【
図7】
図7は、10重量%PVDF前駆体溶液中のFAPbBr
2I前駆体溶液の異なる質量比(重量%)を有する、
図3のペロブスカイトポリマーフィルムの原子間力顕微鏡法(AFM)画像を示している。(a)5重量%;(b)10重量%;(c)15重量%;(d)20重量%;(e)25重量%;(f)30重量%;(g)FaPbBr
2I NPの結晶粒界トポロジー(100nm)。
【
図8】
図8は、800kpaの圧縮圧力下での
図1の純粋なPVDFフィルム、
図2の多孔質PVDF、及び
図3のペロブスカイトポリマーフィルムの有限要素法シミュレーションを示している。(a)800kpaの圧縮圧力下での、純粋なフィルム、多孔質PVDFフィルム、及びペロブスカイトポリマーフィルムの有限要素法シミュレーション。機械的応力を(b)水平軸(A~F)に沿って、(c)垂直軸に沿って計算している。
【
図9】
図9は、単一構造及び細孔(8細孔)配列構造の存在の下での、
図3のペロブスカイトポリマーフィルム(20重量%FAPbBr
2I@PVDF)に対するピエゾ電位分布の、図式による特性評価を示している。細孔の形状はフィルムの断面SEM画像の観察から最適化されている。(a)細孔配列構造を有するフィルム(左)及び細孔単一構造を有するフィルム(右)の機械的応力分布。矢印は各細孔の側壁上への増幅した応力を示している。(b)ピエゾ電位分布は多くの細孔構造の存在を有するフィルムにおいてより高い(左)。
【
図10】
図10は、エネルギーハーベスターの特性評価システムを示している。コントローラーユニットはワークステーションインターフェイスにより作動する(振動の
図9)。コントローラーユニット(VR9500)は異なるコントロール信号を生成し、この信号は電力増幅器(Lab Works Inc.’s pa138)により増幅されて、動電型シェーカー(ET-126-1)に供給され、その動作を制御する。加速度計(3055D3)は、シェーカーからコントローラーユニットへのフィードバック信号を提供し、任意の障害があれば、措置を講じることができる。シェーカーは、エネルギー収集デバイスを特性評価するように、金属ハンマーと機械的にカップリングされている。デバイスからの出力を測定し、オシロスコープで観察する。
【
図11】
図11は、
図3のペロブスカイトポリマーPNGの最大出力性能を示している。138グラム(g)の負荷がかけられたときのペロブスカイトポリマーPNGの30Hz及び2G加速での(a)出力電圧及び(b)電流。
【
図12】
図12は、応力分布プロファイルに基づく
図3のペロブスカイトポリマーPNGのエネルギー生成メカニズムの概略図を示している。
【
図13】
図13は、異なるFAPbBr
2I質量比(0重量%、10重量%、20重量%、30重量%)を有する、
図3のペロブスカイトポリマーPNGの(a)出力電圧及び(b)出力電流の変動を示している。
【
図14】
図14は、PNGの出力性能を示している。
図1の純粋なPVDF、
図2の多孔質PVDFフィルム、及び
図3のペロブスカイトポリマーフィルムから作製されたPNGの(a)V
oc及び(b)I
scである。多孔質PVDFフィルム及びペロブスカイトポリマーフィルムを含むPGNに対して、最終フィルムの内側の粒子の元の質量比は20重量%であった。(c)スイッチング試験によるペロブスカイトポリマーPNGの極性形成の検証;(d)PVDF PNG及びペロブスカイトポリマーPNGの比誘電率;(e)多孔質ZnO-PVDFフィルム及び(f)ペロブスカイトポリマーフィルムのKPFM画像。
【
図15】
図15は、入力励起10~50Hz及び2G加速での、
図3のペロブスカイトポリマーPNGの周波数依存性出力性能を示している。30Hz周波数における最大出力電圧及び出力電流はそれぞれ85V及び30μAであった。より高い周波数(>30Hz)での出力のゆっくりとした低減は、138グラム(g)試験質量によるPNGに対する影響の減少に対応する。
【
図16】
図16は、周期的曲げ力が動電型シェーカーからかけられた場合の、10Hz及び2G加速での
図3のペロブスカイトポリマーPNGの柔軟性試験を示している。生成された(a)出力電圧(b)出力電流、それぞれ14V及び0.3mAは、曲げ状態の間のペロブスカイトポリマーPNGの性能を表している。
【
図17】
図17は、
図3のペロブスカイトポリマーPNGを電源及びセンサーとして同時に使用することによる、自己電力供給統合ワイヤレスエレクトロニクスノード(SIWEN)の枠組みを示している。
【
図18】
図18は、自己電力供給統合ワイヤレスエレクトロニクスノード(SIWEN)の内部構造を示している。(a)SIWENの機能ブロック図、(b)LTC3588-1モジュールの内部回路図、(c)RSL-10システムオンチップ(SoC)の構造。
【
図19】
図19は、IoT用の
図3のペロブスカイトポリマーPNGの用途を示している。(a)加速2G(30Hz)を適用した、ペロブスカイトポリマーPNGの出力パワーの測定値。使用された負荷は金属ブロック138gであった;(b)SIWENの入力(1μF)及び出力コンデンサー(220μF)の充電の特徴;(c)デジタル写真は携帯電話により受け取ったセンサー信号を示している;(d)パーキング状態での自動車エンジン状態の検出に使用されているSIWEN(挿入図は高速フーリエ変換を介した対応する周波数ドメイン分布を示している);(e)自動車エンジンで励起させながら、単一ペロブスカイトポリマーPNGによる市販のコンデンサー(1μF)の充電;(f)エンジン振動検出の対応するデジタル写真。
【
図20】
図20は、フィルムが多孔質PVDFを含む、本発明のフィルムの別の態様の構造設計を示している。示されたフィルムは多孔質PVDFを含み、PNG及び機能的ワイヤレスセンシング回路に組み込まれている。(a)多孔質PVDF PNGの機能要素の略図であり、これは主にPNGユニット及び集積回路ユニットで構成される;(b)元の回路の拡大図;(c)製作された通りのPNGデバイス;(d)ブロック図によるセンシングシステム全体の例示。
【
図21】
図21は、(a)
図20の多孔質PVDFフィルムの製作された通りの大規模態様(およそ15cm×15cm);(b)純粋なPVDFフィルム表面の断面走査型電子顕微鏡法(SEM)画像、65℃でアニーリング;(c)多孔質PVDFフィルム中に分散されたZnO-NPの断面SEM画像を示している。
【
図22】
図22は、
図20に示された多孔質PVDF PNGの材料特性評価を示している。(a)純粋なPVDFフィルム;(b)多孔質PVDFフィルムのPVDFマトリックスへのZnO NPの分布分析(挿入図はエッチング前のフィルム);(c)ZnO NPのエッチング後の多孔質ZnO-PVDFフィルムの平面
図SEM(挿入図はエッチング後の本当のフィルム);の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像、(d)AFMによる表面形態;(e)β相形成を確定するためのフーリエ変換赤外線の分光法(FTIR)スペクトルによるPNGの結晶性の特性評価。
【
図23】
図23は、
図20の多孔質PVDFフィルムの表面の原子間力顕微鏡法(AFM)画像;(b)多孔質PVDFフィルムの測定された表面粗さを示している。
【
図24】
図24は、
図20の多孔質PVDF PNGからのエネルギー生成メカニズムの概略的表示を示している。
【
図25】
図25は、
図20の多孔質PVDF PNGの測定された実験による及びシミュレートした電気出力性能を示している。(a)30Hz周波数及び2G加速におけるピークツーピーク出力電圧であり、多孔質PVDF PNG上面は、標準的質量138グラムで加重されている;(b)30Hz周波数及び2G加速におけるピークツーピーク出力電流であり、PNG上面は138グラムで加重されている;(c)50重量%多孔質PVDFフィルムに対する応力分布;(d)分布50重量%PVDF多孔質フィルムに対する電位であり、ピーク出力電圧は39.8ボルトである;(e)圧電気を確定するための、短絡回路電流の極性スイッチ試験;(f)36000サイクルに対する多孔質PVDF PNGの安定性試験(30Hzで20分間)。
【
図26】
図26は、(a)ZnO質量比0~60重量%(0及び50重量%はここでは示されていない)を有するZnO-PVDFの溶液の調製;(b)ほとんど同一の厚さを有するZnO-PVDFの調製溶液を含む、ZnO質量分率が0%(純粋なPVDF)から60%へと増加した場合の、30Hz周波数でのフィルムの測定された開回路電圧を示している。
【
図27】
図27は、(a)純粋なPVDFフィルムに対する応力分布及び(b)ピーク出力電圧は10.9ボルトである、純粋なPVDFフィルムに対する電位分布、を示している。
【
図28】
図28は、(a)周波数範囲10Hz~50Hzでの、
図20(50重量%)の多孔質PVDF PNGの出力短絡回路電流及び(b)圧電出力信号の信頼性を確認した、逆転した極性形成を有する同一振幅が開回路電圧によって明らかとなったことを示している。
【
図29】
図29は、50重量%の多孔質PVDFフィルムを含む、
図20の多孔質PVDF PNGデバイスの高い出力能力の証明及び予想される用途を示している。(a)広範囲な10Hz~50Hzの異なる周波数での、多孔質PVDFフィルムの出力電圧の比較;(b)30Hzで励起された多孔質PVDF PNGで充電した、様々な市販のコンデンサー値1μF、2.2μF、4.7μF、10μF、47μF及び100μFの全域で測定された出力電圧;(c)周波数30Hzでの多孔質PVDF PNGの負荷状態で測定された出力ピークパワー及びピーク電力密度;(d)多孔質PVDF PNGが30Hzで振盪するリニアモーターにより励起した場合の、EMMの入力及び出力コンデンサーの全域で測定された出力電圧;(e)リニアシェーカーの実用的な構成であり、ここではデバイスがシェーカーの上に固定され、多孔質PVDF PNGの上に138グラム質量が加わる;(f)Bluetooth(登録商標)デバイスを介した信号伝送。
【好ましい態様の詳細な説明】
【0022】
[0021]本発明はまた、ペロブスカイト及びポリマーを含むフィルムであって、ペロブスカイト及びポリマーが複数の細長い細孔を形成するように構成されている、フィルムに関する。
【0023】
[0022]このフィルムの好ましい態様は、以下の特徴のうちのいずれかのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組合せを含んでもよい:
・フィルムは、細孔により相互接続された2つの互いに反対側の主表面を含む;
・細孔は、フィルムの2つの互いに反対側の主表面に少なくとも部分的に垂直に整列している;
・フィルムの主表面に力がかけられた場合、細孔は変形する;
・細孔は長さ約20μm~25μmである;
・細孔は直径約3μm~約5μmである;
・ペロブスカイトはナノ粒子を含む;
・ペロブスカイトはポリマーに埋め込まれている;
・フィルムはペロブスカイトを結晶形態で含む;
・ペロブスカイト結晶は非中心対称の構造を含む;
・ペロブスカイトはハイブリッドハロゲン化物ペロブスカイトを含む;
・ペロブスカイトは(HHP)-臭化ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbBr2I)を含む;
・フィルムはポリマーを結晶性β相で含む;
・ポリマーはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン(PVDF-TrFE)、及びポリアクリル酸エチル(PEA)からなる群から選択される;
・ポリマーはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む;
・フィルムは、ペロブスカイトを約10重量%~約30重量%の質量比で含む;
・フィルムは、ペロブスカイトを約20重量%の質量比で含む;
・フィルムは、ポリマーを約10重量%~約15重量%の質量比で含む;
・フィルムは、ポリマーを約10重量%の質量比で含む;
・フィルムは、複数の双極子を含み、前記双極子は実質的に整列している;
・フィルムは、約20μm~約50μmの厚さを有する;
・フィルムは約30μmの厚さを有する;
・フィルムは2工程結晶化方法で形成される;
・特許請求したフィルム、第1の電極、及び第2の電極を含む圧電ナノ発電機であって、フィルムが第1の電極及び第2の電極と電気的に接触している、圧電ナノ発電機;
・第1の電極が金属又はポリマーを含む、特許請求した圧電ナノ発電機;
・第1の電極が銅、金、及びアルミニウムからなる群から選択される金属を含む、特許請求した圧電ナノ発電機;
・第1の電極がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含む、特許請求した圧電ナノ発電機;
・第2の電極が金属又はポリマーを含む、特許請求した圧電ナノ発電機;
・第2の電極が銅、金、及びアルミニウムからなる群から選択される金属を含む、特許請求した圧電ナノ発電機;
・第2の電極がポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含む、特許請求した圧電ナノ発電機;
・ナノ発電機が基材によって封入されている、特許請求した圧電ナノ発電機;
・基材がポリエステルを含む、特許請求した圧電ナノ発電機;
・ナノ発電機が熱ラミネート法を使用して封入されている、特許請求した圧電ナノ発電機;
・特許請求した圧電ナノ発電機を組み込んだ航空機構造ヘルスモニタリングシステム;
・特許請求した圧電ナノ発電機を組み込んだ自己電力供給式デバイス;並びに
・デバイスが着用式電子デバイス、医学診断用デバイス、又は埋め込み型デバイスである、特許請求した自己電力供給式デバイス。
【0024】
[0023]本発明はまた、フィルムを製造するための方法であって、(a)ポリマーを第1の溶媒に添加することにより第1の溶液を調製する工程;(b)ペロブスカイトを第2の溶媒に添加することにより第2の溶液を調製する工程;(c)第1の溶液を第2の溶液と均質に混合して、混合物を作り出す工程;及び(d)混合物を実質的に定温で維持して、ポリマー及びペロブスカイトを結晶化させる工程を含む方法に関する。
【0025】
[0024]本方法の好ましい態様は、以下の特徴のうちのいずれかのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組合せを含んでもよい:
・次いで、混合物は、キャスティングされ、アニーリングされて、フィルムを形成する;
・次いで、フィルムは、高電圧の電気分極処理を使用して分極処理される;
・ポリマーはペロブスカイトよりも前に結晶化する;
・第1の溶液は、ポリマーを約10重量%~約15重量%の質量比で含む;
・第1の溶液は、ポリマーを約10重量%の質量比で含む;
・第2の溶液は、ペロブスカイトを約10重量%~約30重量%の質量比で含む;
・第2の溶液は、ペロブスカイトを約20重量%の質量比で含む;
・第1の溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである;
・第2の溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである;
・混合物は約60℃の温度で維持される;
・ポリマーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン(PVDF-TrFE)、及びポリアクリル酸エチル(PEA)からなる群から選択される;
・ポリマーはPVDFを含む;
・ペロブスカイトはハイブリッドハロゲン化物ペロブスカイトを含む;
・ペロブスカイトはFAPbBr2Iを含む;
・特許請求した方法により製造されるフィルム;並びに
・特許請求した方法により製造されたフィルムを含む圧電ナノ発電機。
【0026】
[0025]本発明はまた、基材及び複数の圧電ナノ粒子を含む複合フィルムであって、基材及びナノ粒子が複数の細孔を形成するように構成され、複合体が、細孔により相互接続された2つの互いに反対側の主表面を含む、複合フィルムに関する。
【0027】
[0026]本複合フィルムの好ましい態様は、以下の特徴のうちのいずれかのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組合せを含んでもよい:
・基材はポリマーである;
・ポリマーは結晶性β相である;
・ポリマーはPVDFである;
・圧電ナノ粒子はペロブスカイトを含む;
・ペロブスカイトはハイブリッドハロゲン化物ペロブスカイトを含む;
・ペロブスカイトは(HHP)-臭化ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbBr2I)を含む;
・細孔は細長い;
・細孔は、複合フィルムの2つの互いに反対側の主表面に少なくとも部分的に垂直に整列している;
・圧電ナノ粒子は酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を含む;
・ZnOナノ粒子は複合フィルム全体にわたりランダムに分散されている;
・複合フィルムはZnOナノ粒子を約10重量%~約50重量%の質量比で含む
・複合フィルムはZnOナノ粒子を約50重量%の質量比で含む
・ZnOナノ粒子は直径約25nm~約55nmである;
・ZnOナノ粒子は直径約35nm~約45nmである;
・ZnOナノ粒子は超音波処理により複合フィルム全体にわたり分散される;
・圧電ナノ粒子は複合フィルムから除去される;並びに
・特許請求した複合フィルム、第1の電極、及び第2の電極を含む圧電ナノ発電機であって、フィルムが第1の電極及び第2の電極と電気的に接触している、圧電ナノ発電機。
【0028】
[0027]本発明の好ましい態様は、以下の例示的な情報を参照して記載され、この情報は本発明を限定する又は解釈するために使用されるべきではない。
A.ペロブスカイトポリマー複合フィルム
1.実験法
1.1 フィルムの合成
a.純粋なPVDFフィルム
[0028]純粋又は「固体」のPDVFフィルムを調製した。PVDF溶液を調製するため、PVDFを粉末形態で購入し(Sigma Aldrich)、40℃で12時間撹拌することによって、N,N-ジメチルホルムアミド溶媒(N,N-DMF;≧99%、Sigma Aldrich)(10重量%)に溶解した。温度を40℃で維持し、これを使用して、凝集を阻止し、より良い溶解を達成した。PVDFフィルムを調製するため、平坦なホットプレート上に配置された標準的なガラスウエハー上に溶液をドロップキャスティングした。ガラス基材の側面をポリアミドテープで覆い、溶液が外向きに流れるのを阻止した。最初のアニーリング工程の前に、脱気のため、溶液を周囲条件で30分間保持した。PVDF中に自然発生の電気活性β相を形成するため、硬化温度を調節し、80℃で1時間維持し、次いで薄膜(約40~50μm)をガラス基材から剥離した。PVDF中のβ相の形成をFTIRスペクトル分析(
図1c)で確認し、走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用して表面形態を調査した(
図1a~b)。最後に、高電圧の電気的分極処理(50~120V/μm)を2~4時間実施して、電気双極子を整列させた。高電圧分極処理のため、2つの金コーティングした銅電極を、電気めっき法を介して調製した。周辺水分及びダスト粒子による負の影響を最小化するため、電気的分極処理を真空ボックス内で実施した。PNGを生成するため、フィルムを2つの銅テープの間に配置し、2つのポリエステル基材の間に熱ラミネートした。
b.多孔質PVDFフィルム
[0029]多孔質PVDFフィルムを調製した。溶液を40℃で12時間撹拌することによって、PVDF粉末をN,N-DMFに溶解した。異なる多孔を作り出すため、ZnOナノ粒子(NP)(35~45nm、US Research Nanomaterials、Inc.)をPVDF溶液に分散させ、40℃で24時間撹拌した。PVDFとZnO NP(20重量%)との間の質量比を調節して、PVDFの内側に異なる細孔を作り出した。均一に混合したZnO-PVDF複合体溶液を達成するため、溶液を超音波浴内で1時間さらに処理した。均一な溶液をガラス基材上にドロップキャスティングし、30分間脱気した。溶液を真空オーブン内で、75℃で30分間硬化した。後に、ZnO-PVDFフィルムをガラス基材から剥離した(表面及び断面の形態については
図2a~bを参照されたい)。PVDFの内側に多孔性を得るため、ZnO-PVDFフィルムを37重量%HCl溶液中に4時間浸漬させて、ZnO NPの1工程エッチングを超音波浴内で実施した。次いでフィルムをDI水で洗浄し、窒素充填したオーブン内で、60℃で3時間乾燥させた(表面形態については
図2c~eを参照されたい)。最後に、高電圧の電気的分極処理(50~120V/μm)を2~4時間実施して、双極子を整列させた。PNGを生成するため、フィルムを2つの銅テープの間に配置し2つのポリエステル基材の間に、熱ラミネートした。
c.ペロブスカイトポリマーフィルム
[0030]
図3は、フィルムがペロブスカイトナノ粒子及びポリマー基材を含む、本発明の複合フィルムの態様を示している。ペロブスカイトは、非中心対称の構造を有する結晶を含み、好ましくは(HHP)-臭化ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbBr
2I)を含む任意のペロブスカイトを含むことができる。基材は電気絶縁性であり、柔軟性のあるポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン(PVDF-TrFE)、又はポリアクリル酸エチル(PEA)を含むことができ、好ましくはPVDFを含む。
【0029】
[0031]前駆体溶液に対して使用される溶媒は、ペロブスカイト及びポリマーを溶解することが可能でなければならない。各溶媒がペロブスカイトとポリマーの両方を溶解することができる限り、ペロブスカイト前駆体溶液及びポリマー前駆体溶液に対して異なる溶媒を使用することができる。例えば、溶媒はN,N-DMF、ジメチルスルホキシド(DMSO)、又はテトラヒドロフラン(THF)であってもよく、好ましくはペロブスカイト前駆体とポリマー前駆体溶液の両方に対してN,N-DMFである。
【0030】
[0032]ペロブスカイトポリマーフィルムを調製するため、ヨウ化ホルムアミジニウム(FAI;≧99%、Sigma-Aldrich)及び臭化鉛(II)(PbBr2;≧98%;Sigma-Aldrich)を、N,N-DMF(≧99%;Sigma-Aldrich)中に等しいモル比(0.5:0.5)で溶解し、これに続いて60℃で12時間撹拌することにより、ペロブスカイト前駆体溶液を調製した。50℃で24時間絶え間なく撹拌しながら、PVDFをN,N-DMFに溶解することによって、ポリマー前駆体溶液を調製した。FAPbBr2I及びPVDFのN,N-DMF中の最終濃度はそれぞれ20重量%及び10重量%であった。
【0031】
[0033]次に、ペロブスカイト前駆体溶液(20重量%FAPbBr2I)をポリマー前駆体溶液(10重量%PVDF)と均質に混合することによって、ペロブスカイトポリマー複合体溶液を調製した。濃度を最適化するために、10重量%、20重量%、及び30重量%の複合体溶液を合成した。混合溶液をガラス基材上にドロップキャスティングし、脱気工程のためおよそ1時間貯蔵した。これに続いて直ちに120℃でアニーリングし、2~3時間後に結晶性フィルムを得た。ペロブスカイトポリマーフィルム内に双極子を整列させるため、2~3時間、50~120V/μmの電場をかけて、高電圧の電気的分極処理を完了した。高電圧の分極処理目的のため、電気めっき法を介して、2つの金コーティングした銅電極を調製した。周辺水分及びダスト粒子による負の影響を最小化するため、電気的分極処理を真空ボックス内で実施した。
1.2 ペロブスカイトポリマーフィルム圧電ナノ発電機(P-PNG)の製作
[0034]ペロブスカイトポリマーフィルムPNGを調製するため、ペロブスカイトポリマーフィルムを2つの電極間に挟んだ。電極は良好な導電率及び最適作業機能を有する任意の適切な金属又はポリマーであることができ、好ましくは銅、金、アルミニウム、又はポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含む。本発明のペロブスカイトポリマーPNGでは、銅電極を使用した。
【0032】
[0035]100μmの絶縁された銅導電体により上側及び下側の電極からワイヤ接続を取り出した。次いで、ペロブスカイトポリマーフィルム及び電極を、熱ラミネートを介して圧縮して、空隙を排除し、銅電極とペロブスカイトポリマーフィルムとの間に均一な接着を得た。生成した構造体はポリエステル/銅/FAPbBr
2I-PVDF/銅/ポリエステルPNGであった(
図3aを参照されたい)。
1.3特性評価及び測定
[0036]ハイブリッドハロゲン化物の強誘性PVDF骨格への結晶化度を調べるため、エックス線回折(XRD)分析を実施した。Cu KR照射源(λ=1.54Å)を有するBruker D8 DISCOVERを使用して、0~70度の角度範囲で最適化された薄膜試料(25重量%FAPbBr
2I-PVDF)をスキャンした。
【0033】
[0037]フーリエ変換赤外線分光法(Nicolet iS50)を利用して、400~1000cm-1の波数範囲において特徴的吸収度ピークを測定することによって、多孔質PVDFフィルム及びペロブスカイトポリマーフィルム内側の強誘性β相形成を確認した。
【0034】
[0038]Keithley-4200半導体パラメーター分析器を使用して、試料(C-V特徴)の誘電特性を測定した。JSM-7200Fフィールド-発光走査型電子顕微鏡法(JSM-7200F)ツールを使用して表面形態を得て、クリーンルーム環境(クラス-100)内でエネルギー分散型X線を分析することにより、PVDF内側のナノ粒子分布をマッピングした。間欠接触モード(スキャン速度0.3Hz)で構成されるJPK Nanowizard IIを使用することにより、すべての原子間力顕微鏡法(AFM)及びケルビンプローブフォース顕微鏡法(KPFM)画像を記録した。KPFMに対して、白金コーティングした先端(半径<20nm)を有するイメージングカンチレバー(ばね定数42N/m)を使用して、粉砕した試料上を精査した。位相同期ループで絶え間ない先端-試料相互作用を維持し、ロックインアンプの内部基準は、試料表面に印加されたAC電圧(3kHz)であった。
【0035】
[0039]ペロブスカイトポリマーPNGの電気出力性能を測定するため、動電型シェーカー(Lab works Inc.)を利用し、これで電力増幅器及びコントローラーを制御した。デジタルオシロスコープ(Tektronix 2004C)及びローノイズ電流前置増幅器(Model-SR 570、Stanford Research System Inc.)を使用して、PNGからの電気信号出力を測定した。
2.結果及び考察
2.1 P-PNGのデバイス構造及び作動メカニズム
[0040]
図3aは本発明のペロブスカイトポリマーフィルムのある態様の概略図を示しており、ここではペロブスカイトポリマーフィルムを使用してPNGが製作されている。示されているように、最終デバイス製作工程において、ペロブスカイトポリマーフィルムは2つの銅電極の間に挟まれ、熱ラミネート法を介してポリエステル基材の間に封入される。
【0036】
[0041]PVDF内側のペロブスカイト結晶形成を明らかにするため、幅広い範囲にわたりXRDスキャン(10~50度の範囲の回折角度2θ)を行った。
図3bに、主要な回折ピークが14.64、29.43、33、42.12及び44.39の回折角度(2θ)において示されており、これらは、立方体ペロブスカイト構造の(100)、(220)、(222)、(224)、及び(300)結晶平面にそれぞれ割り当てることができる。
【0037】
[0042]半結晶性PVDFポリマーは4つの異なる相(α,β、γ及びδ)を有し、β相は最も高い自然発生の極性形成を保有する唯一の相であり、β相の存在はフーリエ変換赤外線(FTIR)スペクトルで確認することができる。
図3cに示されたFTIRスペクトルは、多孔質PVDFフィルムと比較して
78~79、本発明のペロブスカイトポリマーフィルムが波数約475cm
-1においてより高い強度、及び840cm
-1において類似の強度を有することを実証している。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、この結果は、FAPbBr
2IのFA
+カチオンと、PVDFのアニオン性フッ素(-CF
2-)基との間の双極子相互作用の存在により改善されたPVDFのβ相結晶化に起因し得る
80~81。
【0038】
[0043]本発明のフィルムの圧電係数(D
3)は、以下の通り表すことができる:
D
3=α
1L
Eφd
1+α
2(1-φ)d
2(1)
(式中、α
1及びα
2は分極処理速度であり、d
1及びd
2はそれぞれフィルム中の異なる材料の圧電係数であり、L
Eはローカルフィールド係数であり、φは質量分率である)。有機及び無機の相が完全に分極処理されると仮定すると、すなわち、α
1=α
2=1、及びφ=0.2とすると、圧電係数D
3を予測することができる。ローカル電場(L
E=3ε/(2ε+ε
c))は、FAPbBr
2Iナノ粒子(ε
c)並びにフィルム(ε)の比誘電率に関係する。ε
cは1000に到達することができると報告されており、これはεよりもずっと大きい。したがって、L
Eはおよそ0.1~0.3であると予測される
82。PVDF及びFAPbBr
2I相の圧電係数は反対であると特定された。d
1約25pm/V及びd
2約-29pm/Vとすると、計算した近似D
3は-23pm/Vである
41。さらに、他の要因、例えば、ナノ粒子分布及びフィルム形状もまた、本発明のフィルムの圧電気に影響を与える可能性がある。本発明のペロブスカイトポリマーフィルム(およそ15cm×15cm)及び製作された柔軟性のあるペロブスカイトポリマーPNGデバイスの拡張性が
図3dに示されている。ヒトの手の接触によりPNGに加えられた小さな力が、LEDを駆動するのに十分なエネルギーを生成することが可能であることが判明した(データは示されていない)。
【0039】
[0044]
図4aの走査型電子顕微鏡法(SEM)画像において示されているように、本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの断面から、一連のほとんど周期的な垂直の細孔が観察された。固体PVDFフィルム及び多孔質PVDFフィルム(
図1及び2)とは対照的に、自己集合し、高度に多孔質な構造がペロブスカイトポリマーフィルムに見出された。
【0040】
[0045]細孔は任意の長さであってよく、好ましくは約15μm~約35μm、より好ましくは約20μm~約25μmの長さである。細孔の直径は任意のサイズであることができ、好ましくは約2μm~約8μm、より好ましくは約3μm~約5μmである。
【0041】
[0046]
図5に示されているように、本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの細孔は約20~25μmの長さ(
図5aのSEM画像に示されている通り)及び約3~5μmの直径(
図5bの原子間力顕微鏡法(AFM)画像に示されている通り)であった。
【0042】
[0047]結晶化工程の間、相分離は、本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの多孔質構造の形成にある役割を果たす。その結果、結晶化工程は、以下の2つの段階に分割することができる
83。第1段階の間(
図6aの略図)(i)ペロブスカイトポリマー複合体溶液を60℃に加熱する間、N,N-DMF溶媒は蒸発を開始し、PVDFはその比較的に低い溶解度により結晶化する。次いでこれは無色のフィルムに変換し、中間体状態のままでとどまる。(ii)次いで、ペロブスカイトポリマー複合体溶液のFAPbBr
2I前駆体溶液の部分はその過飽和濃度(C
0)へと接近し始め、ナノ粒子を形成し、これは無色から赤色への変色により示される。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、FAPbBr
2Iナノ粒子が本発明のペロブスカイトポリマーフィルムのPVDF骨格に埋め込まれる自己組織化工程の主要成分はPVDF及びFAPbBr
2Iの2つの異なる結晶化工程であってよい。
【0043】
[0048]第2段階の間、ペロブスカイトナノ粒子はPVDF骨格に固着する傾向にある。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、これは、FAPbBr
2Iのホルムアミジニウム(FA)カチオンのNH
3
+と、PVDFの-CF
2-基との間の強い相互作用に起因し得る。このような相互作用は、式(ν=1304√(k/u)(cm
-1)(式中、νは周波数であり、kは力定数(N/m)であり、uは有効質量である)に従い、力定数の低減による波数範囲1350~1100cm
-1(
図6bに示されたFTIRスペクトル)におけるC-F結合の赤外線吸収ピークの青色シフトによって反映される。この相互作用はまた、フッ素(F)原子及び鉛(Pb)原子のマッピングから観察することができ、このマッピングはPVDFポリマー鎖(
図4b)及びFAPbBr
2I結晶(
図4c)に対応する。
図4cに見られるように、ペロブスカイトクラスターはPVDFポリマーに付加する。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、これはN,N-DMF溶媒中のこれらの共通の溶解性(2種の材料は1工程で増大できる)及びFAのNH
3
+(ペロブスカイト)とPVDFの-CF
2-基との間の双極子相互作用が原因であり得る。
【0044】
[0049]本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの細孔の多孔性及びサイズは、ペロブスカイトのポリマーとの質量比(重量%)の調整を介して制御することができる。AFM画像(
図7)で明らかにされた対応する表面形態は、細孔直径が、30重量%のFAPbBr
2Iにおいておよそ約7μmまで徐々に増加することを示している。結晶化工程の間、質量比の増加はFAPbBr
2I NPの凝集をもたらすはずである。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、これは、FA
+カチオンとPVDFのアニオン性フッ素(-CF
2-)基との間の上述の強い双極子相互作用に起因し得る。
【0045】
[0050]シミュレートしたペロブスカイトポリマーPNGモデルを構築して、出力ピエゾ電位に対する、本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの自己集合した高度に多孔質の特徴の作用を実証した。これは、COMSOL Multiphysics5.3を使用してシミュレートした。シミュレーション結果を、純粋な(細孔なしの固体)PVDFフィルムと、20%円形多孔質PVDFフィルム(円形状はZnO NPから採用した)とで比較した。
図4dは、一軸性圧縮応力800kPaの下で、3種の異なるPNGモデル(フィルム厚は30μmで同じ)の誘発された変位が異なることを示している。
図4dに示されているように、純粋なPVDFフィルムは変形が最小であったのに対して、ペロブスカイトポリマーフィルムは最も変形している。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、細孔位置及びサイズは機械的な応力分布に影響を及ぼし、これはペロブスカイトポリマーフィルム内側の平均応力分布プロファイルの増加に寄与し得る。
【0046】
[0051]有限要素計算法(
図8b~cの切り取り線に沿って)から、純粋なPVDFフィルム内側の応力は一軸性垂直応力の下ではかなり均一のように見える。対照的に、円形多孔質PVDF構造体では、応力分布は非対称の性質である。純粋なPVDFと比較して、円形多孔質PVDFモデルにおける応力分布は細孔の存在により破砕される。このような円形多孔質構造(
図4dの中央モデル)では、応力は主に各細孔の周辺に限定され、加えられた力の方向に沿って、すなわち、細孔の上側及び底側においてより高い。各細孔の局所的圧縮のひずみは主に垂直方向に塊状フィルムひずみ(x方向ひずみS
1約0%、y方向ひずみS
2約3.4%)を結果として生じ、内部のカップリングを改変する。本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの高度に秩序化した多孔質構造(
図4dの1番右のモデル)は垂直方向に沿って変形するばかりではなく(S
2約17%)、水平方向に沿っても有意に伸長される(S
1約57%)。上側の応力集中スポットは、ペロブスカイトポリマーフィルムの細孔上に押す力を働かせ、2つの側面上へのひずみの緩和を誘発する。
図8b(1番右のモデル)はこのより大きな細孔の、構造体側壁への直線的応力を促進する特徴を示している。この現象はフレックステンショナルメカニズムと類似しており
84~85、これは、かけられた垂直応力を水平方向にさらに増幅させることができる機構体の構造的改変を強調するものである。
【0047】
[0052]ひずみ誘発性ピエゾ電位は、細孔のそれぞれの周辺のひずみからの集合的結果であるため、多孔質PVDF構造体の圧電電位は、したがって非多孔質PVDF圧電フィルムよりも高い(
図4e)。振動誘発性電気変位D
3(単位面積当たりの電荷)は以下のように計算される:
D
3=e
333S
33+|e
331|S
31
[0053](式中、e
331及びe
333は圧電定数であり
86、S
31及びS
33は水平及び垂直方向に沿ってそれぞれ誘発されたひずみである)。ペロブスカイトポリマーフィルムのD
3は双方向性の(水平及び垂直の)ひずみS
1(約57%)及びS
2(約17%)により相乗的に影響される。したがって、ペロブスカイトポリマーフィルム構造はひずみ誘発性ピエゾ電位又は電圧出力(並行プレートコンデンサーモデルに従い、V=Q/C(式中、Qは全誘発電荷であり、Cはデバイスキャパシタンスである)を大きく増加させる。これは
図4eの有限要素法シミュレーションにより確認された。
図4eの有限要素法シミュレーションは最大圧電電位が、ペロブスカイトポリマーフィルムは約40Vであるのに対して、純粋及び20%多孔質PVDFフィルムはそれぞれ約11V及び約15V(同じ応力800kPaがかけられた)であることを示している。
【0048】
[0054]示されているようなこのような高度に秩序化した細孔の配列を有するペロブスカイトポリマーPNGは、単一の細孔を有する構造体(
図9bの1番右のモデル)よりさらに高い電位を恐らく生成することに注目すべきである。細孔の配列において、内側の細孔構造体の壁は双方向性の応力(
図9aにおいて矢印で示されている)により高度に圧縮される。細孔間の距離の間で、押し上げられた応力はペロブスカイトポリマーフィルムの圧電電位をさらに改善する。Yuanらは、フレックステンショナルひずみ作用を利用するためにラグビーボール形状のPNG構造体を作製することによって、6層PVDF-TrFE(トリフルオロエチレン)ベースのPNGのピエゾ電位を2.2倍増強させたことが報告された
53。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの改善された圧電気出力は、この増幅した機械的ひずみに少なくとも部分的に起因し得る。
2.2 P-PNGのエネルギー収集性能
[0055]本発明のペロブスカイトポリマーフィルムは、拡張可能なPNGを開発するためのプラットフォームを提供し、この拡張可能なPNGはいずれかの側に2つの薄い金属電極のみを必要とする。FAPbBr
2Iナノ結晶の形成と共にペロブスカイトポリマーフィルムのミクロ構造特徴を利用しながら、PNG性能に対する作用を調査した。製作したデバイスを動電型シェーカーのハンマー上に配置し、上側の138g金属ブロック(ステンレススチール)で挟んだ(
図10に示された試験セットアップの概略図)。様々な周波数(10~50Hz)及び加速(1~2.5G)において、動電型シェーカーにより生成される周期的、機械的な振動から生成される出力電圧及び電流を測定した。出力電圧約85V(ピークツーピーク)及び短絡回路電流約30μA(ピークツーピーク)を、30Hz及び2Gにおいて活性デバイス領域3.8cm×3.8cmから記録した(結果は
図11に示されている)。
【0049】
[0056]如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、
図12は本発明のペロブスカイトポリマーフィルムを含むPNGの作動メカニズムを示しており、図の中では、有限要素法シミュレーション(COMSOL Multiphysics5.3)を利用することにより、PNGの電気生成メカニズムが応力マッピングから概略的に示されている。電場が加えられないと、フィルム内側の正味双極子モーメントはほとんどゼロである(
図12a)。高い電場(50~120V/μm)を2~3時間加えることによって、双極子は電場の方向に整列する(
図12b)。次いで圧縮力をデバイスに加えると、フレックステンショナルひずみにより、正味の極性形成はフィルムにおいて変化し、よって圧電電位を生成する(
図12c)。フレックステンショナルメカニズムによる正味双極子モーメントの急速な変化により、分極処理されたPNGにおける極性形成の変化はさらにより高い電位を生成することができると予想してよい
87~88。2つの電極が互いに連結されると、このピエゾ電位を平衡化するために電流が流れる。力を放出しながら、フィルムひずみが減弱したためにピエゾ電位はゼロに戻り、次いで蓄積された電子が流れて戻る(
図12d)。より大きな多孔質構造の形成により、ペロブスカイトポリマーフィルムには追加の減衰サイクルが適用されることとなり、これによって第2の出力電流パルスを観察することができる(
図12e)。
【0050】
[0057]本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの細孔サイズ(よって多孔性)はFAPbBr
2I前駆体の濃度と共に増加し、これがPNG性能における主要な役割を果たし得る。出力電圧及び電流はFAPbBr
2Iの組成(20重量%において、約85V及び約30μAまで)と共に増加し、その後低減することが判明した(
図13)。20重量%のFAPbBr
2Iを有するPNGは、最も高い出力性能を実証し、ある特定の閾値マージン後、PNG性能はFAPbBr
2I NPのさらなる添加と共に低下し始めた。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、これは、以下の要因のうちの1つの又は組合せに起因し得る:(i)非常に高い多孔性により単位体積当たりのPVDFが大きく減少する;(ii)FAPbBr
2Iのより高い質量比(>20重量%)によりフィルムインピーダンスが減少し、その結果、電気的分極処理により最大極性形成電荷値が達成される前に、早期の誘電破壊を引き起こす、及び(iii)FAPbBr
2I NPの凝集により生成される欠陥。
【0051】
[0058]20重量%FAPbBr
2Iを有するPNGの、測定された最も高い出力電圧及び電流を、純粋及び20重量%多孔質PVDFベースのPNGデバイスと比較した(
図13)。20重量%ペロブスカイトポリマーPNGの出力電圧及び電流は、純粋なPVDFベースのPNGモデルのものと比較してそれぞれ約5倍及び約15倍増加した(約17V、及び約2μA)。20重量%ペロブスカイトポリマーPNGの出力電圧及び電流はまた20%多孔質PVDF PNGのものより実質的に高かった(約40V、約6μA)。特有の圧電分極由来のペロブスカイトポリマーPNGの発電を
89~95、予想される出力の逆転を示す出力極性スイッチング(
図14c)から検証した。
【0052】
[0059]本発明のペロブスカイトポリマーフィルムの内部材料特性もまた調査した。多孔質PVDFフィルム及びペロブスカイトポリマーフィルム(20重量%FAPbBr
2I@PVDF)の比誘電率を1kHz~1MHzの周波数範囲で測定した(
図14d)。両方のフィルムに対して、より低い周波数体制では、恐らくナノ粒子とポリマーインターフェイスとの間の界面の極性形成作用により、開始時誘電率は高かった
96。この極性形成作用はポリマー材料中の自由キャリアから生じるものである。しかし、加わる電場周波数が増加するにつれて、界面の極性形成は周波数変化に対処することができず、誘電率の低減をもたらした。比誘電率の増加パターンは、測定中の高周波数の浮遊容量の上昇と相関することが判明した。ペロブスカイトポリマーフィルムのより高い誘電率(1kHzにおいて約12)は、これが圧電係数(D
3)を増加させるため、圧電気性能を増強させた
97~99。加えて、FAPbBr
2Iペロブスカイトの増強された誘電率は、フィルムの内部インピーダンス(Z)を減少させることにより出力電流を生じさせた:
【0053】
【0054】
(式中、Rはフィルムの抵抗であり、dは厚さであり、Aは面積であり、ε0は真空誘電率であり、εrは比誘電率である)。
【0055】
[0060]内部極性形成により、電荷はFAPbBr2Iの比誘電率によっても影響を受けた。ケルビンプローブフォース顕微鏡法(KPFM)を利用することにより、ペロブスカイトポリマーフィルムの表面電位を測定した。誘電率と極性形成との間の関係は100と表現することができる:
【0056】
【0057】
(式中、
【0058】
【0059】
は材料内の電気極性形成であり,ε0は遊離空間の誘電率(8.854×10-12Fm-1)であり、εrは比誘電率であり、
【0060】
【0061】
は電場である)。
【0062】
[0061]方程式(4)から、ペロブスカイトの存在によりペロブスカイトポリマーフィルムのより高い誘電率はフィルム内側のひずみ誘発性電場を恐らく変化させ、その結果、表面電位の規模は異なることになる。一般的に、ペロブスカイトポリマーPNGに対して、表面電位は、境界面におけるバンド曲がり及びキャリア輸送に影響を与えるため、特に興味深い
101~105。間欠接触モードで白金(Pt)KPFM先端(>20nm半径)を使用して接触電位差を測定することによって、ペロブスカイトポリマーフィルムの平均表面電位は1.1Vであることが判明し、これは多孔質PVDFフィルムの2倍超であった(
図14e~f)。ペロブスカイトポリマーフィルムの平均表面電位において観察された変動は極小であった(<100mV)。よって、残留物前駆体-ヨウ化ホルムアミジン(FAI)、又は臭化鉛(PbBr
2)による表面汚染の可能性は排除される。
【0063】
[0062]ペロブスカイトポリマーPNGの周辺の振動依存性出力電圧及び電流(
図15)もまた測定した。力を一定に保つことによって、動電型シェーカーの周波数をコントローラーユニット(Vibration Research製VR 9500 回転)により10~50Hzに変化させた。電気機械カップリングが最大である共鳴しやすい状態に対応する30Hzにおいて最大出力を得た。ペロブスカイトポリマーPNGの柔軟性を評価するため、周期的曲げ力を一定の歪み速度(15.5cm/秒)で加え、出力電圧及び電流を測定した。ピークツーピーク出力電圧は14Vであり、電流は0.3μAであった(
図16)。曲げ半径を増加させることでこれをさらに増強することができた
74。
3. IoTにおける地球に優しい電源としてのPNGの用途
[0063]本発明のペロブスカイトポリマーフィルムを含むP-PNGを電源として利用して、IoTの分散型ネットワークに対する自己電力供給統合ワイヤレスエレクトロニクスノード(SIWEN)を実行した。このSIWENは、1つ以上の分散型センサーからのデータを転送するために、Bluetooth(登録商標)対応パーソナルエレクトロニクスとリモート通信するように構成された。
【0064】
[0064]SIWENの機能ブロック図が
図17に示されている。SIWENは、センサー信号を条件付けし、これをリモートエンドレシーバーに伝送するための整流ユニット、2段階エネルギー転送システム、調整されたスイッチ、及びローパワーシステムオンチップ(SoC)を組み込んだ(
図18)。ペロブスカイトポリマーPNGをSIWENに統合する前に、実用的な負荷駆動能力を確認した。負荷に送達される最大瞬時電力を、広範囲な外部負荷抵抗(100KΩ~80MΩ)を用いて、出力電流から測定し、ピーク出力電力約105μWを負荷抵抗7MΩで得た。
【0065】
[0065]ペロブスカイトポリマーPNGは、動電型シェーカー(30Hzで作動)の極めて小さな振動から機械的エネルギーを捕捉し、エネルギーを蓄積し、SIWENの電源を入れて、データ転送を開始した。2段階エネルギー転送システムの測定された荷電の特徴(2つのコンデンサー(Cp)により可能となった)は
図19bに示されている。入力コンデンサー(1μF)の電圧が約5Vに到達すると、Zenerダイオードにより調整され、バックコンバータモジュールを介して出力コンデンサー(220μF)へとエネルギーを放出した。バックコンバータモジュールは、2つの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)スイッチからなった。1μF入力コンデンサーの出力電圧が、調整電圧約2~3Vに降下した後、220μF出力コンデンサーをMOSFETスイッチでそれから接続を切り、入力コンデンサーは放電を停止し、充電を開始した。このように、出力コンデンサーは、高エネルギー転送効率で約3.1Vまで充電され、ユニバーサルエレクトロニクスノードに電力を与えることができた。220μF出力コンデンサーに蓄積された電気エネルギーを使用して、Bluetooth(登録商標)対応システムオンチップ(SoC)を駆動した。別のペロブスカイトポリマーPNGはセンシングユニットとしてシステムに組み込まれた。このセンシングユニットはインピーダンスマッチングブリッジを介してSoCのアナログデジタルコンバーター(ADC)に接続された。220μFコンデンサーの出力電圧が3.1Vに到達した直後、トリガー信号がスイッチを入れるために送られ、これを介して出力コンデンサーはエネルギーを放出して、SoCに電力供給し、デジタルデータをリモートレシーバーに伝送した。エネルギー収集、エネルギー蓄積、データ収集、及びワイヤレス伝送の全作業は実証され、記録された。
図19cに示されている通り、2台のスマートフォンが、伝送されたデータをSIWENから受信し、模倣センサー(別のペロブスカイトポリマーPNG)信号をデコーディングした。
【0066】
[0066]ペロブスカイトポリマーPNGはまた、自動車車両からの振動を利用することにも使用された。
図19dは、自動車に搭載した場合(エンジン作動中)のペロブスカイトポリマーPNGから測定された出力電圧を示しており、ここではデバイス出力はエンジンの加速及び回転速度依存性振動パターンを反映した。エンジンを入れた後、毎分回転数(rpm)は、各rpm体制の間で一定の加速を維持しながら、毎分1~1.5、1.5~2、2~2.5キロ回転(krev/min)の範囲で変化した。最初に、ピークツーピーク電圧約13Vを測定し、これは開始時の急激なエンジン振動に恐らく起因するものであった。その後、より高いrpm体制における振動規模のゆっくりとした低減により、ペロブスカイトポリマーPNG出力は降下した。高速フーリエ変換を実施し、およそ40Hzの振動成分から生成されるデバイス出力の主要な寄与率を明らかにし、これはペロブスカイトポリマーPNGの共鳴周波数に近かった。このようなわずかなエンジン振動からのエネルギーを利用することによって、1μFの市販のコンデンサーは約1分間に4Vまで充電された。
図19に示されているように、自動車rpmを1~1.4krev/分(赤の曲線)、1~2krev/分(青の曲線)、及び0.75~2krev/分(黒の曲線)であちこちスイッチングすることによりコンデンサーを連続的に充電した。1~1.4krev/分での最高の充電性能は最も速い加速及びコンデンサーへのより頻繁な励起(より低いrpmスイッチング時間により)に恐らく起因するものである。他の2つのより幅広いrpm体制に対しては、加速はより低く、より長いrpmスイッチング時間が、コンデンサーのさらなるそのエネルギーの放出を可能にした。
B.多孔質PVDFフィルム
4.実験方法
4.1 多孔質PVDFフィルムの製作
[0067]
図20は、本発明の複合フィルムの別の態様を示しており、基材はポリマーを含み、圧電ナノ粒子はZnOを含む。次いで、この多孔質PVDFフィルムを示されたPNGに組み込む。多孔質PVDFフィルムを調製するため、PVDF粉末(Sigma Aldrich)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒(10重量%)に70℃で24時間溶解し、次いで、ZnO NP(35~45nm、US Research Nanomaterials、Inc.)をPVDFマトリックス溶液中で混合し、ZnO NPとPVDFとの間で質量比を調節して、異なる多孔性を作り出した。溶液をホットプレート上で、温度45℃でもう4時間撹拌し、これに続いて30分間延長して超音波処理を施し、PVDFポリマーマトリックス内のZnO-NPの均一な分布を最大にした。次いで懸濁液を円形状Siウエハー上へドロップキャストし、真空オーブン内で、N
2供給しながら脱気を65℃で実施して、ドロップキャストの間30分間、気泡の形成を減らした。次に、同じ真空オーブン内で、わずかに温度を上げて(75℃)もう45分間アニーリングを行った。次いでフィルムを基材から剥離し、37重量%HCl溶液に4時間浸して、PVDFマトリックスからZnO NPを除去した。HClエッチング後、フィルムを脱イオン化(DI)水で洗浄し、N
2空気で乾燥させ、より良く乾燥させるため、60℃の真空オーブン内に終夜入れておいた。
4.2 多孔質PVDFフィルムPNGの製作
[0068]本発明の多孔質PVDFフィルムの高電圧の電気的分極処理を、DC電圧0~6kVを用いて、電場70~120Vμm
-1で5~6時間実施した。試料は分極処理工程全体にわたり安定していた。短絡回路又は顕著な電圧変動は最大電圧6kVまで検出されなかった。次いで分極処理した多孔質PVDFフィルムを2つの銅電極の間に挿入した。特性評価目的のため、非常に薄い及び柔軟性のある銅導電体により上側と下側の両方の電極から電気的接続を行った。最後に、ポリエステル/銅/多孔質PVDFフィルム/銅/ポリエステルの層状構造を挿入し、市販の熱ラミネーターに通して、任意の空隙を排除した。
4.3 特性評価及び測定
[0069]JSM-7200Fフィールド発光走査型電子顕微鏡法ツールを使用して、本発明の多孔質PVDFフィルムの形態及び構造特性を特徴付けた。フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)を、Nicolet iS50で実施して、400~1000cm
-1の波数範囲での特徴的吸収度ピークを測定することによって、多孔質PVDFフィルム内側の圧電気β相の形成を確認した。間欠接触モード(スキャン速度0.3Hz)で構成されるJPK Nanowizard IIを使用することにより原子間力顕微鏡法(AFM)画像を記録した。多孔質PVDF PNGの電気出力性能を調べるために、動電型シェーカー(Lab works Inc.)を使用した。この動電型シェーカーは、電力増幅器及びコントローラーユニットにより制御された。PNGからの電気出力を記録するため、デジタルオシロスコープ(Tektronix 2004C)及びローノイズ電流前置増幅器(Model-SR570、Stanford Research System Inc.)を使用した。
5.結果及び考察
[0070]自己電力供給式ワイヤレス構造ヘルスモニタリングシステムは、エネルギー生成部分、エネルギー管理回路、及びデータ伝送ユニット(RFモジュール)の組合せであることができる。
図20(a)に示されたシステムでは、PNGは2つの金属シートの間に配置され、機械的接合部の内側で作動するPNGのシナリオを反映した。デバイスは本発明の多孔質PVDFフィルム(約50μm)で構成され、これが2つの銅電極の間に挟まれ、ポリエステル基材に封入されていた。配線目的のため、非常に薄い及び柔軟性のある銅ワイヤ(約100μm)を電極の上側と下側の両方から使用した。最後に、ポリエステル/銅/多孔質PVDFフィルム/銅/ポリエステルの層状構造体を市販の熱ラミネーターで圧縮して、各層間の均一な接着を確認することにより任意の空隙を排除した。
図20(b)に示されているように、特注のワイヤレス回路を金属シートの溝の内側に配置し(
図20(a)に示されている通り)、これがひいてはエネルギー管理、蓄積、信号条件付け、及びデータ伝送を可能にした。測定目的に対して適正なパッケージング及び電極接続を有する、製作された多孔質PVDF PNGデバイスが
図20(c)に示されている。
図20(d)では、特注設計ワイヤレスセンシングノードの作動が記載されている。ここで、多孔質PVDF PNGからの電気出力がセンシング及びデータ伝送ユニットをパワーアップするために使用された。多孔質PVDF PNGから収集した交流の電気出力は最初にブリッジ整流装置ユニットにより整流され、エネルギー管理モジュール(EMM)に供給されて、収集されたエネルギーは入力コンデンサー(1μF)(一時的蓄積)内で制御され、蓄積される。入力コンデンサーが完全に充電され、約5Vに到達したら、Zenerダイオードにより調整され、バックコンバータモジュールを介して出力コンデンサー(220μF)へエネルギーを放出し、調整電圧約2~3Vまで落ちた。次いで、出力コンデンサー(220μF)がバックコンバータのMOSFETスイッチにより接続が切られると、入力コンデンサーは制御レベル約5Vまで再度充電を開始し、充電-放電サイクルを継続した。入力コンデンサーの充電及び放電サイクルは、出力コンデンサーが約3.1Vまで充電されるまで継続し、この時点までには、これはデータ伝送システム全体に電力供給していた。
【0067】
[0071]センシング目的のため、PNGからの交流出力は、インピーダンスマッチングネットワーク(IMU)を介してRFモジュールに供給され、このIMUは、
図20(d)に示されている通りダイオード及びオペアンプ(Op-Amp)を含有した。RFモジュールのRSL-10システムオンチップ(SoC)をプログラミングして、予めセットした約1秒/データ伝送サイクルに対して作動させ、この間、PNGからの測定されたセンサー信号をデジタル化し、ワイヤレスでリモートレシーバー(携帯電話)に伝送した。遅延回路に基づく出力コンデンサーの放電レベルコントローラーを導入して、データ伝送周波数を制御した。整流装置、EMM、RFモジュール、及びインピーダンスマッチングユニットを含む全体のシステムを
図20(b)に示されている通り直径3cmの円形プリント基板(PCB)上に統合した。エネルギー収集、エネルギー保存、データ収集、及びワイヤレス伝送の完全作動を系統的に実証し、記録した。システムを試験し、その作動をリニア動電型シェーカーの異なる振動条件下で検証した。
【0068】
[0072]集団スケールで高品質多孔質圧電ポリマーフィルムを製作する能力を示すため、上に記載されている方法を使用して、大きな面積の多孔質PVDFフィルム(およそ15cm×15cm)を製作した(
図21(a))。
【0069】
[0073]
図22(a)は純粋なPVDFフィルムの上面走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を示しており、表面トポグラフィー及び試料の組成を示し、画像はしわ、穀粒、空隙、割れ、又は変形がなく均質であった。その一方で
図22(b)は本発明の多孔質PVDFフィルムマトリックスの均一分散型ZnO-NPの上面SEM画像を示している(挿入図は完全なPVDF/ZnO NPベースのPNGフィルムである)。ZnO-NPをPVDFマトリックスに導入する目的は、その機械的特性を促進するため、並びにZn
2+カチオンとPVDFのCF2
-基との間の双極子相互作用による圧電気β相の発生を増強させるため、PVDFフィルムに多孔性(HClエッチングにより)を作り出すことである。さらに、ZnOは、無機(例えば、SiO
2)又は有機(例えば、ポリスチレン)NPと比較して、多孔質ナノ構造の製作に対するいくつかの独特な利点を有し、この利点には、高い対費用効果、無毒性、良好な拡張性、及び酸性溶液による容易な除去が含まれる。
図22(b)から、ZnO NPがランダムに分散され、PVDFフィルムの内側に蓄積された、例えば、クラスターであることが見てとれ、これは恐らくこれらの分子量によるものであった(ZnO NPはPVDF分子より重い)。
図21(b~c)は純粋なPVDF及びPVDFマトリックス内に分散されたZnO-NPの断面SEM画像をそれぞれ示している。
【0070】
[0074]エッチング工程後、PVDFの表面はかなり粗くなった(
図23(a~b))。
図22(c)に示されている走査型電子顕微鏡法(SEM)画像は、ZnO-NPを除去し、これに続いてHClエッチングした後の本発明の多孔質PVDFフィルムの上面を示し、挿入図はHClエッチング後の多孔質PVDFフィルムを示している。エッチング工程の間、塩酸(HCl)は最初に無機ZnOナノ粒子と表面で反応し、次いでPVDFフィルムの中に徐々に入った。ZnO NPがフィルム全体にわたりランダムに分散されるにつれて、細孔が表面上だけでなく、フィルム全体にわたり形成され、細孔のサイズは実際のナノ粒子サイズより大きくなった。
図22(d)の原子間力顕微鏡法(AFM)画像は多孔質PVDFフィルムの3次元表面トポロジー画像である。
図22(d)に見られるように、多孔質PVDFフィルムの表面粗さは約100nmである(
図23a~b)。
【0071】
[0075]多孔性に加えて、PVDFのβ相結晶性を達成することが望ましい。β相はPVDFの他の多形相(α、γ、δ)よりも、最も高い自然発生の極性形成を保有することが報告されているからである。存在する多孔質PVDFフィルムのβ相形成を確認するため、波数範囲400~1000cm
-1でのフーリエ変換赤外線(FTIR)スペクトル分析を実施した。431及び840cm
-1におけるβ相の特徴的ピークは、
図22(e)のFTIRスペクトルに観察することができる。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、PVDFマトリックスのβ相の形成は、PVDFとZnO-NP上の表面電荷の双極子の間の相互作用に少なくとも部分的に起因し得る。正荷電Znカチオン(0001表面)及びO末端アニオン(0001
-表面)が負及び正電荷密度をそれぞれ有するPVDF CF
2
-又はCH
2
+基と相互作用し、結果としてβ相核形成を生じる。高電界ポーリングを加えると、PVDFの双極子は電界の方向に整列する。
【0072】
[0076]SHMシステムでは、揺れ及び動電型シェーカーからの機械的振動は表面全域に輸送され、したがってシェーカーハンマーとステンレススチールのブロックとの間に位置する多孔質PVDF PNGを圧縮し、これにより圧電気出力を生成した。PNG計量システムは減衰を有する自由振動システムと類似のバネ質量システムとして実証され得る。
【0073】
[0077]如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、
図24は分極処理された多孔質PVDF PNGからの電気生成メカニズムの概略的表示を示している。最初は、外部から加えられる力が存在しない中、多孔質PVDFフィルム内側の正味双極子モーメントはゼロである。垂直の圧縮力がデバイスに加わると、PNG内の正味の極性形成は変化し、よって圧電電位をもたらす。これは自由電子を一方の電極から他方へ移動させる。力を放出後、圧電電位は減弱し、電子は移動して戻る。
【0074】
[0078]
図25(a~b)に示されている通り、50重量%ZnO@PVDFデバイスに対して、活性デバイス面積11.3cm
2から30Hz周波数で測定されたピークツーピーク出力開回路電圧(Voc)及び短絡回路電流(Isc)はそれぞれ約84.5V及び22μAであった。この多孔質PVDF PNGは、純粋なPVDFと比較して、出力電流及び電圧性能における約11倍(約22μAp-p)、及び約8倍(約84.5Vp-p)の増加をそれぞれ示した。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、PVDF内側の細孔は、フィルム内側の応力分布に影響を与え、ひずみ誘発性ピエゾ電位を押し上げ得る。
【0075】
[0079]多孔性は機械的エネルギー収集能力を制御する重要な要因であるため、実用的なPNGデバイス性能に対するこの作用もまた試験した。異なる多孔性のPVDF薄膜を異なる質量比(重量%)のZnO NPの混合物から調製した(
図26a)。ZnO質量分率が0重量%(純粋なPVDF)から50重量%に増加すると、多孔性パーセンテージの増強は、周波数30Hzで測定した場合、PNG出力電圧を18V(p-p)から84.5V(p-p)へとさらに押し上げた。しかし、ZnO質量比(60重量%)におけるさらなる増加は出力電圧を60V(p-p)に低減させた(
図26(b))。50重量%のZnOの混合物から作製したPNGフィルムが最も高い出力性能を示した。
【0076】
[0080]実験結果を検証するため、有限要素法シミュレーションに基づくPNGモデルを開発した(COMSOL Multiphysics 5.3)。次いで、モデルを純粋なPVDFフィルム及び50重量%の多孔質PVDFフィルムと比較した。
図25(c~d)は一軸性圧縮応力800kPaの下での多孔質PVDFフィルムの応力分布及び出力電圧を示すのに対して、
図27は純粋なPVDFフィルムに対する結果を示す。同じフィルム厚さを有する2つのPNGモデルの誘発された変位及び出力は異なり、多孔質PVDFフィルムが純粋なPVDFより大きな変形を生じ、したがってより大きな出力電圧を生じた。如何なる特定の理論又は作用機序に拘束されることを望むことなく、この現象は、細孔の位置及びサイズがPVDFフィルムの応力分布に影響を与えることに少なくとも部分的に起因し得る。
【0077】
[0081]多孔質PVDF PNGから生じる特有の圧電気を確認する一般的な検証として、極性-スイッチング試験を行った。接続が逆転すると、開回路電圧(
図28a)及び短絡回路電流(
図25e)における逆転は、逆転した極性形成を有する同一の振幅を示し、これによって圧電気出力信号の信頼性が確認された。36000サイクルの間(30Hzで20分間)、出力信号における顕著な低下なしに一定の振動下でPNGの出力を持続した(
図25(f))。
【0078】
[0082]多孔質PVDF PNGベースのSHMシステムの適性を検証するため、多孔質PVDF PNGの開回路電圧(
図29a)及び短絡回路電流のブロードバンドエネルギー収集能力(
図28b)を10Hz~50Hzの周波数範囲(Vibration Research製VR9500コントローラーユニットにより動電型シェーカーの周波数を変化させた)で測定した。圧電気出力は30Hzまで増加し、最大VOCをこの時点で記録し、これはシステムの共鳴しやすい条件に対応し、オシレーターの必要な入力電力増加によるものであった。利用したエネルギーは、全波ブリッジ回路を介して異なる値の市販のコンデンサーに蓄積した。
図29(b)は、1.0μF、2.2μF、4.7μF、10μF、47μF及び100μFの3Vまでのコンデンサーの充電特徴を示しており、100μFコンデンサーに対して140秒かかった。2段階充電システムの入力コンデンサー内のより高い/より速いエネルギー蓄積が出力コンデンサーへのエネルギー転送効率を増強し、並びにその充電時間を減少させることが報告されている
46。続いて、広範囲な外部負荷抵抗から測定された出力整流した電流に基づき、負荷に送達される最大瞬時電力を調査した。
図29(c)に提示されているように、ピーク出力電力(P=I
2R)78μW及び対応するピーク電力密度12μW/cm
2を、負荷抵抗7MΩで達成し(その一方で負荷なしのピーク電力及びピーク電力密度はそれぞれ0.46mW及び41.02μW/cm
2であった)、これはワイヤレスSHMシステムを推進するのに十分であった。
図29(d)に示されている通り、多孔質PVDF PNGは、30Hzで作動する動電型シェーカーの振動から電気エネルギーを生成し、入力コンデンサーを整流した出力で充電した(1μF)。入力コンデンサーの充電電圧が約5Vに到達すると、Zenerダイオードにより調整され、バックコンバータモジュールを介して出力蓄積コンデンサー(220μF)にエネルギーを放出した。バックコンバータモジュールは2つのMOSFETスイッチにより使用可能にされた。1μFコンデンサーの出力電圧が調整電圧約2~3Vまで降下した後、220μFコンデンサーはMOSスイッチにより接続が切られ、入力コンデンサーは再度充電を開始した。このように、出力コンデンサーは高エネルギー転送効率で約3.1Vまで充電し、ユニバーサルエレクトロニクスノードに電力供給できた。この特定の例の電圧はBluetooth(登録商標)対応システムオンチップ(SoC)を駆動した。センシングユニットとして、別の多孔質PVDF PNGデバイスが組み込まれ、これは、インピーダンスマッチングブリッジを介してSoCのアナログデジタルコンバーター(ADC)に接続された。220μFコンデンサーの出力電圧が3.1Vに到達した直後、デジタル信号はスイッチを入れることを可能にし、これを介して出力コンデンサーはエネルギーを放出して、SoCをトリガーし、センサーのADCサンプリングしたデータ点をリモートレシーバーに伝送した。
図29(e)は構成を示している。この中でデバイスはリニア機械式シェーカーの上に固定し、標準的質量130グラムで加重した。
図29(f)は、スマートフォンのBluetooth(登録商標)レシーバーが模倣センサー信号の受信とデコーディングを同時に行っているのを示している。
【0079】
[0083]本発明は例示的態様及び実施例を参照して記載されており、明細書は意味を限定すると解釈されることを意図しない。よって、例示的態様の様々な改変、並びに本発明の他の態様は本明細書を参照して当業者に明らかとなる。したがって、添付の特許請求の範囲は任意のこのような改変又は態様を網羅することが想定されている。
【0080】
[0084]ここで参照されたすべての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、又は特許出願がその全体が参照により組み込まれていると具体的及び個々に示されている場合と同じ程度に、これらの全体が参照により組み込まれている。
【0081】
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【国際調査報告】