(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 19/06 20060101AFI20230721BHJP
B65D 8/04 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B65D19/06
B65D8/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581323
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 CN2021103371
(87)【国際公開番号】W WO2022002101
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】202010624947.5
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516190770
【氏名又は名称】上海箱箱智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HOREN CORTP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】28th Floor, Building A, NO.1520 Gumei Road, Caohejing High-Tech Park, Xuhui District, Shanghai, 200233, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲簡▼ ▲園▼力
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ ▲竜▼
【テーマコード(参考)】
3E061
3E063
【Fターム(参考)】
3E061AA01
3E061CA01
3E061CA22
3E063AA06
3E063CB01
3E063CC03
3E063CC04
3E063CC06
3E063CD01
3E063CD11
3E063EE03
3E063FF20
(57)【要約】
ベース(10)と側板(20、30)とを備える箱体と、蓋(40)とを含む容器(100)であって、蓋(40)に第1の掛け止め構造(70)が設けられ、側板(20、30)に第1の掛け止め構造と嵌合する第2の掛け止め構造が設けられ、第1の掛け止め構造及び第2の掛け止め構造は、蓋の掛け止め及び取り外しを実現するように、離合することができ、蓋は、第1の掛け止め構造と第2の掛け止め構造とを互いに接近又は離間させるように箱体の上方をスライドすることができ、第1の掛け止め構造は、蓋の重心位置が第1の掛け止め構造に対して変化するように蓋に沿って所定の距離だけスライドすることができる容器である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと側板とを備える箱体と、蓋とを含む容器であって、
前記蓋に第1の掛け止め構造が設けられ、前記側板に前記第1の掛け止め構造と嵌合する第2の掛け止め構造が設けられ、前記第1の掛け止め構造及び前記第2の掛け止め構造は、蓋の掛け止め及び取り外しを実現するように、離合することができ、前記蓋は、前記第1の掛け止め構造と前記第2の掛け止め構造とを互いに接近又は離間させるように箱体の上方をスライドすることができ、前記第1の掛け止め構造は、前記蓋の重心が前記第1の掛け止め構造の位置に対して変化するように前記蓋に沿って所定の距離だけスライドすることができることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記第1の掛け止め構造はフックを備え、前記第2の掛け止め構造は前記側板に設けられた掛け溝を備え、或いは前記第1の掛け止め構造は掛け溝を備え、前記第2の掛け止め構造は前記側板に設けられたフックを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1の掛け止め構造が前記蓋の下面に可動的に設置され、前記蓋は、蓋本体と、前記蓋本体を囲む2つの対向する第1のエッジと2つの対向する第2のエッジとを備え、前記2つの対向する第1のエッジの内側に前記第1の掛け止め構造がそれぞれ1つずつ配置されることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記蓋の下面に取付溝が設けられ、前記取付溝は、前記第1のエッジに沿って延びる長さを有し、前記第1の掛け止め構造は、前記取付溝内に設置されて、前記取付溝の長さ方向に沿って所定の距離だけ移動でき、前記第1の掛け止め構造が前記取付溝内において前記第1のエッジの両端に向かって移動して前記第1のエッジの中点を跨ぐことができるように、前記取付溝は、前記2つの対向する第1のエッジの内側の中間部に設置されて前記第1のエッジの中点を跨ぐことを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記取付溝は、前記蓋本体の下面から内側に向かって凹んで形成され、且つ前記取付溝の本体部分の幅が開口部分の幅よりも大きく、開口部分に中心に向かって突出するフランジが形成されることを特徴とする請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記第1の掛け止め構造は、前記取付溝内に可動的に取り付けられる装着部と、前記蓋を前記側板に吊るように前記側板における第2の掛け止め構造と嵌合する吊り部とを含むことを特徴とする請求項4に記載の容器。
【請求項7】
取付部は、断面「T」字状の「T」字状本体を含み、前記「T」字状本体の底部に弾性バックルが設けられ、前記第1の掛け止め構造が前記取付溝内に取り付けられたときに前記弾性バックルは前記取付溝の開口部分のフランジに当接し、前記「T」字状本体は前記取付溝の開口内に位置して前記取付溝のフランジの側壁に当接することを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記吊り部は、本体部分とフックとを備え、前記本体部分の一端は前記取付部に連結されて一体に形成され、前記本体部分の他端は両側に延びて前記本体部分の両側に一つのフックがそれぞれ形成され、各フックは一方の側板における掛け溝にそれぞれ嵌合することによって前記蓋を前記側板に掛け止めることを特徴とする請求項7に記載の容器。
【請求項9】
前記第2の掛け止め構造は、前記側板に設けられた掛け溝であり、前記掛け溝の底部に掛け台が形成され、前記掛け台の外側には止め筋が設けられ、前記止め筋には通溝が設けられ、前記通溝は前記本体部分の中間部に嵌合し、前記止め筋の内側面は前記フックに嵌合することを特徴とする請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記止め筋の内側面が傾斜面を形成するか、又は、前記止め筋の内側面に第1の段差及び第2の段差が設けられ、前記蓋を前記側板に完全に吊った場合、前記蓋における前記第2のエッジが前記側板の外側壁に当接するように前記第1の段差及び第2の段差の高さ及び位置を設定することを特徴とする請求項9に記載の容器。
【請求項11】
前記箱体は、一対の対向する第1の側板と、一対の対向する第2の側板とを備え、前記第2の掛け止め構造は、前記第1の側板と前記第2の側板との接合部に設けられた掛け溝であり、前記第1の側板の頂部の両端にそれぞれ1つの第1の凹溝が設けられ、前記第2の側板の頂部の両端にそれぞれ1つの第2の凹溝が設けられ、前記第1の側板と前記第2の側板とを互いに結合すると、前記第1の凹溝が隣接する前記第2の凹溝とそれぞれ結合して前記掛け溝を形成することを特徴とする請求項9に記載の容器。
【請求項12】
前記第1の凹溝の底部は、掛け台の第1の部分を形成し、前記第1の凹溝の外側は、止め筋の第1の部分を形成し、前記第2の凹溝の底部は、掛け台の第2の部分を形成し、前記第2の凹溝の外側は、止め筋の第2の部分を形成し、前記第1の側板と第2の側板とが互いに結合すると、前記掛け台の第1の部分と前記掛け台の第2の部分とが結合されて完全な掛け台が形成され、前記止め筋の第1の部分と前記止め筋の第2の部分とが結合されて完全な止め筋が形成され、前記止め筋の第1の部分と止め筋の第2の部分との間に通溝が形成され、好ましくは、前記通溝が前記第2の側板に形成されることを特徴とする請求項11に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流輸送の分野に関し、具体的には容器に関する。
【背景技術】
【0002】
新しいターンアラウンド大型容器は、容積が一般的に250リットルを超え、主に貨物の輸送および一時保管に使用されるものである。ますます厳しくなる貨物輸送の包装の要求と、操作過程の中の人間化の要求とを満たして、およびコストを管理するために、このような大型容器は一般的にすべて1つのベースと4つの側壁を有し、回収コストを下げるために、容器の周りの側壁はベースに対して折りたたむことができ、貨物輸送中の安全をより良く保証するために、このような容器には一般的に一つの蓋が付く。蓋の周りには、容器の4つの側板の外側に近接するエッジがあり、容器内部の荷物が側板に大きな力を与えたときに、蓋のエッジが側板をある程度保護することができる。また、容器内の液体やばら荷が上方に変動した場合に、それらを収容するライナーバッグの起伏を蓋が良好に規制することによって、ライナーバッグの破損も防止する。しかし、容器を操作して作業を行うたびに、蓋を移動して外したり、容器の頂部に取り付けたりする必要があり、容器自体の縦横寸法が大きくなって、ほとんど1メートル以上であるので、蓋の体積も大きいし、且つ重量もよく5キロ以上に設計されているため、蓋を開けたり取り外したりするのは大変で、人間的ではない。
【0003】
使用者の操作性を向上させ、作業効率を向上させるために、弊社では押し引いて掛け止めることが可能な蓋構造を提案している。その掛け止め構造は、掛け止め品と掛け溝とを備え、蓋の掛け止め及び取外しを可能にするように掛け止め品と掛け溝が離合することができ、且つ掛け止め品と掛け溝との一方が蓋及び側板の一方に位置し、掛け止め品及び掛け溝の他方が蓋及び側板の他方に位置する。該発明の蓋掛け止め構造は、必要に応じて蓋を箱体から容易に取り外すことができ、すなわち、非掛け止め時及び非使用時に直接取り外すことができ、掛け止め時に簡単な動作だけで蓋を取り外すことができる。これにより、労力を軽減することができ、しかも構造が簡単で低コストである。しかし、その構造の特性により、容器の片側でしか蓋を開くと共に押し引いて掛け止めることができず、操作方向が固定されるため、使用者の作業効率を低下させ、十分な利便性を提供することができない可能性がある。
【0004】
そのため、構造が簡単で操作しやすく、しかも使いやすい蓋掛け止め構造が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来技術に存在する問題点を解決するための容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するために、本発明の一態様によれば、ベースと側板とを備える箱体と、蓋とを含む容器であって、前記蓋に第1の掛け止め構造が設けられ、前記側板に前記第1の掛け止め構造と嵌合する第2の掛け止め構造が設けられ、前記第1の掛け止め構造及び前記第2の掛け止め構造は、蓋の掛け止め及び取り外しを実現するように、離合することができ、前記蓋は、前記第1の掛け止め構造と前記第2の掛け止め構造とを互いに接近又は離間させるように箱体の上方をスライドすることができ、前記第1の掛け止め構造は、前記蓋の重心が前記第1の掛け止め構造の位置に対して変化するように前記蓋に沿って所定の距離だけスライドすることができる容器を提供した。
【0007】
一実施例では、前記第1の掛け止め構造はフックを備え、前記第2の掛け止め構造は前記側板に設けられた掛け溝を備え、或いは前記第1の掛け止め構造は掛け溝を備え、前記第2の掛け止め構造は前記側板に設けられたフックを備える。
【0008】
一実施例では、前記第1の掛け止め構造が前記蓋の下面に可動的に設置され、前記蓋は、蓋本体と、前記蓋本体を囲む2つの対向する第1のエッジと2つの対向する第2のエッジとを備え、前記2つの対向する第1のエッジの内側に前記第1の掛け止め構造がそれぞれ1つずつ配置される。
【0009】
一実施例では、前記蓋の下面に取付溝が設けられ、前記取付溝は、前記第1のエッジに沿って延びる長さを有し、前記第1の掛け止め構造は、前記取付溝内に設置されて、前記取付溝の長さ方向に沿って所定の距離だけ移動でき、前記第1の掛け止め構造が前記取付溝内において前記第1のエッジの両端に向かって移動して前記第1のエッジの中点を跨ぐことができるように、前記取付溝は、前記2つの対向する第1のエッジの内側の中間部に設置されて前記第1のエッジの中点を跨ぐ。
【0010】
一実施例では、前記取付溝は、前記蓋本体の下面から内側に向かって凹んで形成され、且つ前記取付溝の本体部分の幅が開口部分の幅よりも大きく、開口部分に中心に向かって突出するフランジが形成される。
【0011】
一実施例では、前記第1の掛け止め構造は、前記取付溝内に可動的に取り付けられる装着部と、前記蓋を前記側板に吊るように前記側板における第2の掛け止め構造と嵌合する吊り部とを含む。
【0012】
一実施例では、取付部は、断面「T」字状の「T」字状本体を含み、前記「T」字状本体の底部に弾性バックルが設けられ、前記第1の掛け止め構造が前記取付溝内に取り付けられたときに前記弾性バックルは前記取付溝の開口部分のフランジに当接し、前記「T」字状本体は前記取付溝の開口内に位置して前記取付溝のフランジの側壁に当接する。
【0013】
一実施例では、前記吊り部は、本体部分とフックとを備え、前記本体部分の一端は前記取付部に連結されて一体に形成され、前記本体部分の他端は両側に延びて前記本体部分の両側に一つのフックがそれぞれ形成され、各フックは一方の側板における掛け溝にそれぞれ嵌合することによって前記蓋を前記側板に掛け止める。
【0014】
一実施例では、前記第2の掛け止め構造は、前記側板に設けられた掛け溝であり、前記掛け溝の底部に掛け台が形成され、前記掛け台の外側には止め筋が設けられ、前記止め筋には通溝が設けられ、前記通溝は前記本体部分の中間部に嵌合し、前記止め筋の内側面は前記フックに嵌合する。
【0015】
一実施例では、前記止め筋の内側面が傾斜面を形成するか、又は、前記止め筋の内側面に第1の段差及び第2の段差が設けられ、前記蓋を前記側板に完全に吊った場合、前記蓋における前記第2のエッジが前記側板の外側壁に当接するように前記第1の段差及び第2の段差の高さ及び位置を設定する。
【0016】
一実施例では、前記箱体は、一対の対向する第1の側板と、一対の対向する第2の側板とを備え、前記第2の掛け止め構造は、前記第1の側板と前記第2の側板との接合部に設けられた掛け溝であり、前記第1の側板の頂部の両端にそれぞれ1つの第1の凹溝が設けられ、前記第2の側板の頂部の両端にそれぞれ1つの第2の凹溝が設けられ、前記第1の側板と前記第2の側板とを互いに結合すると、前記第1の凹溝が隣接する前記第2の凹溝とそれぞれ結合して前記掛け溝を形成する。
【0017】
一実施例では、前記第1の凹溝の底部が掛け台の第1の部分を形成し、前記第1の凹溝の外側が止め筋の第1の部分を形成し、前記第2の凹溝の底部が掛け台の第2の部分を形成し、前記第2の凹溝の外側が止め筋の第2の部分を形成し、前記第1の側板と第2の側板とが互いに結合すると、前記掛け台の第1の部分と前記掛け台の第2の部分とが結合されて完全な掛け台が形成され、前記止め筋の第1の部分と前記止め筋の第2の部分とが結合されて完全な止め筋が形成され、前記止め筋の第1の部分と止め筋の第2の部分との間に通溝が形成され、好ましくは、前記通溝が前記第2の側板に形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、蓋における第1の掛け止め構造が蓋とスライド可能に連結されるので、第1の掛け止め構造に対する蓋の重心の相対位置は、蓋の押し引きによって変化することができ、これにより、蓋と容器との多方向吊り機能を実現することができ、その構造は新規性と信頼性とを有し、操作が簡単で便利であり、堅固で耐久性がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明の一実施例に係る容器の斜視図であり、ここで、蓋が閉じられた状態にある。
【
図5A】
図5Aは第1の掛け止め構造が取り付けられた蓋の斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の一実施例に係る容器の断面図であり、蓋が閉じられた状態にある。
【
図7A】
図7Aは本発明の一実施例に係る容器の断面図であり、蓋が半開状態であり、且つ第1の掛け止め構造が掛け溝に接触していない。
【
図8A】
図8Aは本発明の一実施例に係る容器の断面図であり、蓋が半開状態であり、且つ第1の掛け止め構造が掛け溝に接触し始める。
【
図9】
図9は本発明の一実施例に係る容器の断面図であり、蓋が半開状態であり、且つ第1の掛け止め構造が掛け溝内に嵌め込まれる。
【
図10A】
図10Aは本発明の一実施例に係る容器の断面図であり、蓋が開いた状態であり側板に掛け止める。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の目的、特徴および利点をよりよく理解するために、図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。図面に示される実施例は、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではなく、単に本発明の技術方案の本質的な精神を説明することを理解するべきである。
【0021】
以下の説明では、開示されたさ各実施例を説明する目的から、開示された各実施例を完全に理解するために、何らかの具体的な詳細を記載する。但し、当業者は実施例がこれらの具体的な詳細のうちの1つまたは複数なしに実施されてもよいことを認識するべきである。他の場合では、実施例の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、本出願に関連する周知のデバイス、構造、および技術は詳細に示されないか、または記載されない可能性がある。
【0022】
明細書全体にわたる「一つの実施例」または「一実施例」への言及は、実施例に説明される特定の特点、構造、または特徴が少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。そのため、明細書全体の各箇所での「一つの実施例では」または「一実施例では」の表現は、必ずしもすべてが同じ実施例を指しているわけではない。また、特定の特点、構造、または特徴が1つまたは複数の実施例で任意の方法で組み合わせることができる。
【0023】
以下の記載では、本発明の構成及び動作形態を明確に示すために、多くの方向性の語を用いて説明するが、「前」、「後」、「左」、「右」、「外」、「内」、「外を向く」、「内を向く」、「上」、「下」などの語は、限定的な語ではなく、便宜上の語として理解されるべきである。
【0024】
本発明は、概して大型容器に関するものであり、その容積は一般的に250リットルを超え、主に貨物の輸送や一時保管に使われており、この大型容器は容器を操作する過程で蓋のエッジと容器の側板とが形成したガイドの作用を巧みに利用して、蓋における第1の掛け止め構造と側板における第2の掛け止め構造とが相互に嵌合して、蓋と容器の側板との吊り機能を実現し、特に、蓋における第1の掛け止め構造は、蓋とスライド可能に連結されるので、第1の掛け止め構造に対する蓋の重心の相対位置は、蓋の押し引きによって変化することができ、すなわち、第1の掛け止め構造が蓋上においてスライドすることに伴い、蓋の重心を第1の掛け止め構造の一方側に位置することから第1の掛け止め構造の他方側に位置することへ転換することができ、さらに蓋と容器の多方向の吊り機能を実現し、その構造は新規性と信頼性とを有し、操作が簡単で便利であり、堅固で耐久性がある。以下、本発明の実施例のうちの1つについて、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施例に係る容器100の斜視図であり、ここで、蓋が閉じられた状態にあり、
図2Aは
図1の容器100の別の斜視図であり、ここで、蓋が取り外された。
図1-
図2Aに示すように、容器100は、全体的には、ベース10と、対向配置された一対の第1の側板20及び対向配置された一対の第2の側板30と、蓋40とを備え、代替的に、いずれかの側板に小扉50を設けてもよい。説明しやすいように、本文では、蓋が開いたときのスライド方向を第1の方向と定義し、前記第1の方向に垂直な方向を第2の方向と定義し、第1の方向に配置された側板を第1の側板20と呼び、第2の方向に配置された側板を第2の側板30と呼び、操作者が蓋を開けたときに立つ、一方の第2の側板30の一側を前側または前端と呼び、当該第2の側板30と対向する他方の第2の側板30が位置する側を後側または後端と呼ぶ。蓋40を開ける必要がある場合、作業者は、容器100の対向する2枚の第2の側板30のいずれかの側に立ち、蓋40の前端を持ち上げて後端に向かってスライドさせる。
【0026】
図2Bは、
図2Aの容器100のA部分の拡大図である。
図2A-
図2Bに示すように、第1側板20の頂端の両端には一つの第1の凹溝21がそれぞれ設けられ、第2の側板30の頂部の両端には一つの第2の凹溝31がそれぞれ設けられ、第1側板20と第2の側板30とが互いに結合すると、第1の凹溝21は対応する第2の凹溝31とそれぞれ結合されて掛け溝60が形成される。掛け溝60の底部に掛け台61が形成され、掛け台61の外側には止め筋62が設けられ、止め筋62の略中間位置には通溝63が設けられる。特に、
図2Bに示すように、止め筋62の内側面には、第1の段差64と第2の段差65とが設けられ、第1の段差64と第2の段差65の高さと位置は厳密に計算され、これにより、蓋40が第2の側板30に完全に吊られると、蓋40における第2のエッジ42Bが第2の側板30の外側壁に当接する際に、蓋40が傾斜した状態となり、第1の掛け止め構造70におけるフック721が止め筋62における第1の段差64及び第2の段差65に当接し、受力面積が増加し、使用寿命が向上し、蓋を吊る安定性が向上する。
【0027】
図2Bを引き続き参照すると、本実施例では、第1の凹溝21の底部は、掛け台の第1の部分を形成し、第1の凹溝21の外側は、止め筋の第1の部分を形成し、第2の凹溝31の底部は、掛け台の第2の部分を形成し、第2の凹溝31の外側は、止め筋の第2の部分を形成し、第1の側板20と第2の側板30とが互いに結合すると、第2の側板の頂部の両端に位置する第2の凹溝31は、対応する第1の側板20における第1の凹溝21にそれぞれ結合されて掛け溝60を形成し、掛け台の第1の部分と掛け台の第2の部分とが結合されて完全な掛け台61が形成され、止め筋の第1の部分と止め筋の第2の部分とが結合されて完全な止め筋62が形成され、止め筋の第1の部分と止め筋の第2の部分との間に通溝63が形成され、具体的には通溝63が第2の側板30に形成される。なお、本実施例では、一つの掛け溝60は、第1の側板20に設けられた第1の凹溝21と、第2の側板30に設けられた第2の凹溝31とを結合して構成され、すなわち、1つの掛け溝60は二つの側板に同時に配置されるが、1つの掛け溝60は第1の側板20のみに設けられてもよく、特に容器の側板がベースに対して折りたたむことができない場合には、このことがより好ましいことを当業者は理解する必要がある。
【0028】
図3Aは蓋40の斜視図であり、
図3Bは
図3AのB部分の拡大断面図である。蓋40は、
図3A-
図3Bに示すように、蓋本体41と、蓋本体41の周囲を取り囲んで設けられるエッジ42とを備える。具体的には、説明の便宜上、エッジ42における一対の対向する第1の側板20に対応する部分を第1のエッジ42Aと定義し、エッジ42における一対の対向する第2の側板30に対応する部分を第2のエッジ42Bと定義し、一対の第2のエッジ42Bが位置する方向を前後方向と定義し、一対の第1のエッジ42Aが位置する方向を左右方向と定義する。
図3A及び
図1に併せて明らかなように、容器100の蓋40を閉じたときに、一対の第1のエッジ42Aが一対の第1の側板20の外側に位置して第1の側板20を取り囲み、一対の第2のエッジ42Bが一対の第2の側板30の外側に位置して一対の第2の側板30を取り囲むことによって、容器100の蓋40が全体として4枚の側板を取り囲む。
【0029】
図3Aを参照すると、蓋本体41の下面(すなわち、容器内部に向ける側面)には、2つの掛け止め構造取付部43が設けられる。本実施例では、この2つの掛け止め構造取付部43は取付溝であり、この2つの取付溝43は、左右方向に一対の対向する第1のエッジ42Aの内側にそれぞれ配置され、前後方向に延びており、すなわち、第1のエッジ42Aが延びる方向に延伸しており、且つ、前後方向に蓋本体41の中間部には、2つの取付溝43が設けられ、つまり、2つの取付溝43が、蓋本体41の一対の対向する第2のエッジ42B間の中間位置に設けられ、蓋本体41の前後方向の中間線、即ち一対の対向する第2のエッジ42B間の中間線を跨いで延びることによって、第1の掛け止め構造が掛け止め構造取付部43に可動的に取り付けられたとき、第1の掛け止め構造は、取付溝43内を往復移動して、蓋本体41の前後方向に沿う中間線を跨ぐことができ、これにより、蓋40をいずれかの第2の側板30が位置する側から開けて、他方の第2の側板30に吊ることができる。
【0030】
図3Bを参照すると、取付溝43は、蓋本体41の下面から内側に向かって凹んで形成され、第1のエッジ42Aに沿って延びる長さと第2のエッジ42Bに沿って延びる幅とを有し、この取付溝43の本体部分の幅W1が開口部分の幅W2よりも大きくなっており、即ち開口部分には中心に向かって突出するフランジ431が形成されており、これにより取付溝43の断面が「T」字状の溝を形成する。第1の掛け止め構造70は、取付溝43内に取り付けられた後、第1の掛け止め構造70が移動中に取付溝43内から脱出することがないように、取付溝43の長さ方向にスライドして、フランジ431によって位置規制されることができる。第1の掛け止め構造70の具体的な構造についても、以下に詳細に説明する。
【0031】
図4Aは第1の掛け止め構造70の斜視図であり、
図4Bは第1の掛け止め構造70の正面図であり、
図5Aは第1の掛け止め構造70が取り付けられた蓋40の斜視図であり、
図5Bは
図5AのC部分の拡大断面図である。
図4A-5Bに示すように、第1の掛け止め構造70は、全体として、取付部71と、吊り部72とを備え、取付部71は、蓋40の取付溝43内に移動可能に取り付けられ、吊り部72は、側板における掛け溝60に嵌合することによって、蓋40を側板に吊ることができる目的を実現し、そして、取付部71は取付溝43内をスライドできるため、これにより、蓋40が一方の側から持ち上げられ、重力によって蓋40が下方にスライドする過程で、吊り部72が掛け溝60の掛け台61に当接すると、蓋40の重心が第1の掛け止め構造70に対して蓋の持ち上げていない側に位置するように、第1の掛け止め構造70が蓋40の先に持ち上げた側にスライドすることによって、側板に穏やかに掛けることができる。また、蓋の他方の側から蓋40を持ち上げる過程においても、その原理は同様であるので、これ以上説明することはない。これにより、本発明によれば、対向する第2の側板30のいずれの側からも蓋40を開くことを実現できる。
【0032】
図4A-
図4Bを引き続き参照すると、本実施例では、第1の掛け止め構造70の取付部71は、断面「T」字状の本体712を含み、「T」字状の本体712の底部には、断面「U」字状の弾性バックル711が設けられ、このような設計のメリットは、
図5Bを参照して、第1の掛け止め構造70を蓋40における取付溝43内に嵌合させると、第1の掛け止め構造70における弾性バックル711が取付溝43の上縁のフランジ431に当接することによって、第1の掛け止め構造70の取付が完了するとともに、第1の掛け止め構造70の「T」字状体712が適当に蓋40の取付溝43の開口内に位置して取付溝43のフランジ431の側壁に当接し、スライドの途中で第1の掛け止め構造70が斜めに揺動するのを防止することである。吊り部72は、取付部71の本体712と一体的に形成され、全体として断面「T」字型の構造を形成し、具体的には、吊り部72は、本体部分722およびフック721を含み、本体部分722の一端は、取付部71の本体部分711に接続されて一体に形成されており、本体部分722の他端は、両側に延伸し、本体部分721の両側にそれぞれ1つのフック721が形成され、各フック721は、同じ側の一方の第2の側板30の掛け溝にそれぞれ嵌合して、蓋40を当該第2の側板30に掛けて止め、なお、本発明の容器の蓋は両方向に開くことができるので、容器100の異なる側部から蓋40を開ける際には、それぞれ、その一方のフックが反対側の側板における掛け溝と嵌合して吊ることを実現することであることを理解すべきである。
【0033】
図6-
図10Cは、蓋40が閉じられてから開いて、最後に側板に掛けられるまでの過程を示しており、
図6は、蓋が閉じられた状態の容器100の断面図であり、
図7Aは、蓋が半開状態となり、第1の掛け止め構造が掛け溝に接触していない容器100の断面図であり、
図7Bは
図7Aの容器100の斜視図であり、
図8Aは、蓋が半開状態となり、第1の掛け止め構造が掛け溝に接触し始める容器100の断面図であり、
図8B図8Aの斜視図であり、
図9は、蓋が半開状態となり、且つ第1の掛け止め構造が掛け溝に嵌め込まれる容器100の断面図であり、
図10Aは、蓋が開いた状態で側板に掛け止められる容器100の断面図であり、
図10Bは、
図10Aの容器のD部の拡大図であり、
図10Cは、
図10Aの斜視図である。次に、
図6-
図10を参照して、本実施例の容器100の開蓋過程について説明する。
【0034】
図6に示すように、蓋40が閉じた状態となる場合、第1の掛け止め構造70が、蓋40の取付溝43内に取り付けられ、一対の第2の側板30の間の中心平面(
図6における一点鎖線で示す平面)に位置し、
図6から明らかなように、第1の掛け止め構造70の長さは、取付溝43の長さよりも短く、
図6に示すように、第1の掛け止め構造70は、左側にスライドして中心平面を越えたり、右側にスライドして中心平面を越えたりすることができる。
図7A-
図7Bに示すように、作業者は、一方の第2の側板30の一方側(例えば、
図7Bに示す前側)に立って、蓋40の吊り操作を行う必要がある場合には、作業者は蓋40の前端を持ち上げて後端へスライドさせるだけであり、蓋40の後端へのスライド中に、蓋40の対向する2本の第2のエッジ42Bは常に容器の2枚の第1の側板20に接触してガイドレールのように機能する。最終的には、蓋40における第1の掛け止め構造70が側板における掛け溝60内にスライドし、蓋40の掛け操作が完了することが保証される。
【0035】
図8A-8Bに示すように、蓋を開けて吊る過程に、蓋40における第1の掛け止め構造70が側板における掛け溝60と接触し始めると、第1の掛け止め構造70は、取付溝43内を所定の距離だけスライドできるため、蓋40は慣性作用により前方にスライドし続け、スライドの限界に達したら、
図9に示すように、第1の掛け止め構造70は、取付溝43の一端にスライドし、このとき、蓋40の重心は第1の掛け止め構造70の他方側に移動し、重力の作用により、蓋40は第1の掛け止め構造70と吊台61との接触点を中心として回転し、
図10A、
図10B及び
図10Cに示すように、蓋40の第2のエッジ42Bが容器の第2の側板30に接触するまで回転すると、蓋40は回転を停止して静止したまま、蓋の吊下げ操作が完了する。このとき、蓋40は、第2の側板30に完全に吊り、蓋40における第2のエッジ42Bは、第2の側板30の外側壁に当接しており、このとき、蓋40が傾斜した状態となり、第1の掛け止め構造70におけるフック721が第2の側板30における止め筋62における第1の段差64及び第2の段差65に当接し、受力面積が増加し、使用寿命が向上し、蓋を吊る安定性が向上し、容器の垂直振動や移動中に蓋が容易に脱落することが防止される。
【0036】
なお、別の実施例では、止め筋62の内側面に第1の段差64及び第2の段差65を設けるのではなく、止め筋62の内側面を傾斜面とし、この傾斜面は、底部が側板の外側面から近く、頂部が側板から遠くなり、すなわち、止め筋62は上部が厚くなって、下部が薄い構造となってもよい。この傾斜面の角度は、蓋を掛け止めた後に蓋の上面と平行になるように設置されることが好ましい。
【0037】
説明する必要があるのは、以上の実施例では、蓋本体の周囲にエッジが設けられ、蓋を開いてスライドさせる過程に、エッジがスライドレールとして機能するが、当業者であれば、蓋にエッジを設けるのではなく、蓋をスライドさせることを実現するように、蓋の底部や側部にガイドレールと側板との嵌合を形成してもよいことを理解する必要がある。
【0038】
また、本発明の容器は、ベースに対して側板を折り畳むことができる折り畳み式容器であってもよく、この場合、側板に設けられた第2の掛け止め構造は、隣接する2枚の側板に同時に設けられることが好ましい。しかしながら、本発明の容器は、折り畳むことができない容器であってもよく、その場合、側板における第2の掛け止め構造は、一方の側板だけに設けられてもよい。
【0039】
以上から、本発明は、蓋における第1の掛け構造が蓋とスライド可能に連結されるので、蓋の押し引きによって第1の掛け止め構造に対する蓋の重心の相対位置を変化させることができ、これにより、蓋と容器との多方向吊り機能を実現することができ、その構造は新規性と信頼性とを有し、操作が簡単で便利であり、堅固で耐久性がある。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の上述の内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができることが理解されるべきである。これらの等価な形態は、本出願に添付された特許請求の範囲によって定義される範囲にも属する。
【国際調査報告】