(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】液体分離キット
(51)【国際特許分類】
A61M 1/02 20060101AFI20230721BHJP
B03B 5/62 20060101ALI20230721BHJP
B03B 13/00 20060101ALI20230721BHJP
B03B 11/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A61M1/02 120
B03B5/62
B03B13/00
B03B11/00
A61M1/02 160
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581681
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2020130737
(87)【国際公開番号】W WO2022068023
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202011050719.8
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508040603
【氏名又は名称】輔仁大學學校財團法人輔仁大學
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】呉宜娜
【テーマコード(参考)】
4C077
4D071
【Fターム(参考)】
4C077AA12
4C077BB04
4C077CC03
4C077CC04
4C077EE01
4C077JJ03
4C077NN02
4C077NN03
4D071AA90
4D071BB03
4D071CA03
4D071DA20
(57)【要約】
【課題】液体分離キットを提供する。
【解決手段】液体分離キットは、筒体上の導通制御部品によって、使用者が選択的に制御することで、第一収容室と筒体外部を隔離あるいは連通し、及び第一収容室と第二収容室を連通し、分離過程を通じて例えば高濃度の第一成分を容易に取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離された液体の第一成分および第二成分を同時に収容するための液体分離キットであって、前記液体分離キットは、筒体と、接続部品と、制御モジュールと、ピストンと、を含み、
前記筒体は、それぞれ自由端と接続端を有する第一収容室と第二収容室を形成し、そのうち、前記第一収容室は前記液体あるいは前記第一成分を収容することに用いられ、前記第二収容室は前記第二成分を収容することに用いられることと、
前記接続部品は、第一端と第二端を有し、前記第一端は前記第一収容室の接続端に接続され、そのうち、前記接続部品の一部分が前記第一収容室と前記第二収容室との間に露出し、あるいはそのうち、前記接続部品の一部が前記第二収容室の外部に設置され且つ前記第二端を前記第二収容室の自由端方向へ延伸させ、あるいはそのうち、前記接続部品が前記第二収容室に設置され且つ前記第二端を前記第二収容室の自由端方向へ延伸させ、それにより前記第二端が前記第二収容室に収容されることと、
前記制御モジュールは、複数の管路及び導通制御部品を有し、前記導通制御部品は前記等管路に接続され、前記導通制御部品を操作することによって前記等管路の間の導通及び遮断を決定し、前記等管路はそれぞれ前記第二端と前記第二収容室および前記第二収容室の自由端に接続されることと、および、
前記ピストンは、前記第一収容室に設置され、前記ピストンを前記第一収容室の位置に移動させることによって前記第一収容室の前記接続端に吸引力又は推力を発生させることを決定することと、を特徴とする液体分離キット。
【請求項2】
前記液体分離キットであって、さらに、上蓋を含み、前記上蓋は、前記第一収容室の自由端に設置され、それにより、前記ピストンを前記第一収容室に位置限定させること、を特徴とする請求項1に記載の液体分離キット。
【請求項3】
前記液体分離キットであって、そのうち、前記導通制御部品を操作することによって前記第二端と前記第二収納室の自由端を導通し、前記ピストンが前記第一収容室の接続端から前記第一収容室の自由端の方向へ移動する時に、前記第二収容室の自由端から前記液体を前記第一収納室に吸入することに用いられること、を特徴とする請求項1に記載の液体分離キット。
【請求項4】
前記液体分離キットであって、そのうち、前記導通制御部品を操作することによって前記第二端と前記第二収容室を導通し、前記ピストンが前記第一収容室の自由端から前記第一収容室の接続端の方向へ移動する時に、前記第一収容室から前記第二成分を前記第二収容室に押し出すことに用いられること、を特徴とする請求項1に記載の液体分離キット。
【請求項5】
前記液体分離キットであって、そのうち、前記導通制御部品を操作することによって前記第二端と前記第二収容室の自由端を導通し、前記ピストンが前記第一収容室の自由端から前記第一収容室の接続端の方向へ移動する時に、前記第一収容室から前記第一成分を前記第二収容室の自由端に押し出すことに用いられること、を特徴とする請求項1に記載の液体分離キット。
【請求項6】
前記液体分離キットであって、そのうち、前記ピストンは牽引機構が生成する外力を受けて作動し、それにより前記ピストンが前記第一収容室に位置する位置を変更すること、を特徴とする請求項3または4または5に記載の液体分離キット。
【請求項7】
前記液体分離キットであって、さらに、前記ピストンに接続されるスクリューを含み、前記スクリューは、外力によって駆動され、前記ピストンが前記第一収容室に設置される位置を変更すること、を特徴とする請求項3または4または5に記載の液体分離キット。
【請求項8】
前記液体分離キットであって、さらに、前記第二収容室の自由端に結合される底蓋を含み、それにより前記第二収容室の自由端が前記筒体の外部に連通することを阻止すること、を特徴とする請求項1に記載の液体分離キット。
【請求項9】
前記液体分離キットであって、そのうち、前記第二収容室はさらに観察区域を形成し、前記接続部品を露出させることで前記接続部品における前記液体、前記第一成分及び前記第二成分のうち少なくとも一つを観察することに用いられること、を特徴とする請求項1に記載の液体分離キット。
【請求項10】
前記液体分離キットであって、そのうち、前記観察区域は、ストッパ、バッフル及びバンプのうちの少なくとも一つから構成されること、を特徴とする請求項9に記載の液体分離キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収集分離の技術分野に関し、特に抽出と複数回の液体分離を組み合わせた液体分離キットである。
【背景技術】
【0002】
ある特定の研究、実験、臨床試験などの応用において、液体のある特定の成分及びその濃度を取得する必要がある。従来の方法では、異なる工程で異なるデバイスを利用して吸引、分離、排出、貯蔵などの作業を実行し、実行過程で、液体が異なる器具間の作業に関わるため、液体が汚染される可能性があり、さらに例えば純度または濃度に影響し、さらには最終的な効果に影響する。
【0003】
例えば、高濃度の多血小板血漿(Platelet-rich plasma, PRP)を得るためには、血液中の各構成成分の沈降係数の違いに基づいて、分離容器及び定回転数遠心法によりPRPを全血から分離した血小板濃縮物を得る。高濃度血小板血漿は患者自身から由来するため、治療過程は非常に安全であり、しかも自身の血漿は取得しやすく、アレルギーあるいは拒絶反応の現象が起きず、そのためすでに関節炎、肩/腰/膝/足首等の関節痛、筋挫傷、腱靭帯損傷、軟骨損傷、骨折後の癒合不良等の病症の治療に広く使用されている。
【0004】
現在医療関係者が使用する分離器は、通常、採集部品と分離部品の少なくとも2つの器具を含み、すなわち注射筒(すなわち前記の採集部品)で患者自身から採血し、分離試験管(すなわち前記の分離部材)内に注入し、分離機(又は遠心分離機)によって遠心分離した後、高濃度の血小板血漿を得る。遠心分離過程は非常に煩雑であるために、PRPの濃縮倍率が異なり、結果として、臨床応用上の困難さを増加させ、且つ過程において多種の器具を必要とし、血液が汚染される機会を増加させる。
【0005】
中国特許出願番号CN201680036560.Xは多重構造の親子注射筒を開示し、それは蓋を開けない状態で、直接高濃度の血漿を注射筒の中に収集することができる。しかし、親子注射筒は蓋を開けない状態で収集することができるが、実際には、親子注射筒は依然として2つの分離する器具に属し、異なるステップで異なる第一注射器と第二注射器を加え、それは従来の方式と同様、分離過程において、異なる器具を使用して伝送し分離する必要がある。しかし、親子注射筒は人為的なミスや外部からの汚染などのリスクを低下させることができる可能性がある。しかし、血液供給源の数が多い場合、操作者は複数回の挿抜、分離等の工程において、いずれも同一の血液供給源からのものであることを保証できず、器具を頻繁に交換する必要があるため、誤配置のリスクをもたらす可能性があり、軽症者は用量が少ないため副作用が少ない可能性があり、重症者は適合性が低いため拒絶を引き起こして生命を脅かす可能性がある。
【0006】
これに鑑み、本発明は、液体分離キットを提供することで、従来技術の欠陥を解決する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第一目的は、液体分離キットを提供することであり、同一の筒体において全血を抽出して血液の各成分を分離することを実現し、それにより血液が汚染されないという目的に達する。
【0008】
本発明の第二目的は、上記の液体分離キットに基づき、少なくとも2回の分離方式により、高濃度の血液成分、例えば、血小板、血漿、赤血球等の成分を得ることである。
【0009】
本発明の第三目的は、上記の液体分離キットに基づき、ある高濃度成分を調製するという目的を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的又は他の目的を達成するために、本発明の液体分離キットは、分離された液体の第一成分および第二成分を同時に収容することができる。液体分離キットは、筒体と、接続部品と、制御モジュールと、ピストンと、を含む。筒体は、それぞれ自由端と接続端を有する第一収容室と第二収容室を形成する。そのうち、第一収容室は液体あるいは第一成分を収容でき、第二収容室は第二成分を収容できる。接続部品は、第一端と第二端を有する。前記第一端は前記第一収容室の接続端に接続される。そのうち、接続部品の一部分が第一収容室と第二収容室との間に露出し、あるいはそのうち、接続部品の一部が第二収容室の外部に設置され且つ第二端を第二収容室の自由端方向へ延伸させ、あるいはそのうち、接続部品が第二収容室に設置され且つ第二端を第二収容室の自由端方向へ延伸させ、それにより第二端が第二収容室に収容される。制御モジュールは、複数の管路及び導通制御部品を有する。導通制御部品は前記等管路に接続される。導通制御部品を操作することによって前記等管路の間の導通及び遮断を決定する。前記等管路はそれぞれ第二端と第二収容室および第二収容室の自由端に接続される。ピストンは、第一収容室に設置され、ピストンを前記第一収容室の位置に移動させることによって第一収容室の接続端に吸引力又は推力を発生させることを決定する。
【0011】
一実施例において、液体分離キットは、さらに、上蓋を含み、前記上蓋は、前記第一収容室の自由端に設置され、それにより、前記ピストンを前記第一収容室に位置限定させる。
【0012】
一実施例において、前記導通制御部品を操作することによって第二端と第二収納室の自由端を導通し、ピストンが第一収容室の接続端から第一収容室の自由端の方向へ移動する時に、第二収容室の自由端から液体を第一収納室に吸入することに用いられる。
【0013】
一実施例において、導通制御部品を操作することによって第二端と第二収容室を導通し、ピストンが第一収容室の自由端から第一収容室の接続端の方向へ移動する時に、第一収容室から第二成分を第二収容室に押し出すことに用いられる。
【0014】
一実施例において、導通制御部品を操作することによって第二端と第二収容室の自由端を導通し、ピストンが第一収容室の自由端から第一収容室の接続端の方向へ移動する時に、第一収容室から第一成分を第二収容室の自由端に押し出すことに用いられる。
【0015】
一実施例において、ピストンは牽引機構が生成する外力を受けて作動し、それによりピストンが第一収容室に位置する位置を変更する。
【0016】
一実施例において、液体分離キットは、さらに、ピストンに接続されるスクリューを含み、スクリューは、外力によって駆動され、ピストンが第一収容室に設置される位置を変更する。
【0017】
一実施例において、液体分離キットは、さらに、第二収容室の接続端に結合される底蓋を含み、それにより第二収容室の接続端が筒体の外部に連通することを阻止する。
【0018】
一実施例において、第二収容室はさらに観察区域を形成し、第二端を露出させることで第二端における液体、第一成分及び第二成分のうち少なくとも一つを観察することに用いられる。
【0019】
一実施例において、観察区域は、ストッパ、バッフルのうちの少なくとも一つから構成される。
【発明の効果】
【0020】
従来技術に比べて、本発明は液体分離キットを提供し、複数回(例えば2回)の遠心分離、振動、揺動、撹乱、揺動、堆積等の作用で、液体から分離して第一成分、第二成分等を取得することができ、且つ本発明は採血、分離、保存等の一体式筒体を提供し、液体が異なる筒体で交換及び伝送されることによる汚染の恐れを回避することができる。
【0021】
一実施例において、液体が血液を例とする場合、液体分離キットは被験者、血液バッグ、採血器(例えば他の針)等から全血の血液を取得することができ、一回目の遠心分離を行う時、血液から赤血球、血小板及び残りの成分を分離することができ、次に血小板及び残りの成分に対して二回目の遠心分離を行い、高濃度の血小板を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例1における液体分離キットの断面図である。
【
図2】本発明の実施例2における液体分離キットの断面図である。
【
図3】本発明の実施例3における液体分離キットの断面図である。
【
図4】本発明の実施例4における液体分離キットの断面図である。
【
図5】本発明の実施例5における液体分離キットの断面図である。
【
図6】本発明の実施例6における液体分離キットの断面図である。
【
図7A】本発明の実施例における液体分離キットで血液を採取する概略図である。
【
図7B】本発明の実施例における液体分離キットが血液を運送し分離を提供する概略図である。
【
図8】本発明の実施例における液体分離キットの遠心分離後の状態を示す概略図である。
【
図9A】本発明の実施例における液体分離キットが一回目の分離を行う状態の概略図である。
【
図9B】本発明の実施例における液体分離キットが血液を運送し再度分離を提供する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、特徴、効果を十分に理解するために、図面とともに、以下の具体的な実施例により、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明において、「一つ」または「一個」という用語は、本文に記載された部品、ユニットおよびアセンブリを説明するために使用される。これは説明の便宜上のためであり、本発明の範囲に一般的な意味を持たせているに過ぎない。したがって、別の意味が意図されていることが明らかでない限り、このような記述は、一つ、少なくとも一つ、を含むと理解されるべきであり、単数形は同時に複数形も含む。
【0025】
本文において、「含む」、「包括する」、「有する」、「含有する」といった用語、あるいは他の任意の類似の用語は、非排他的な包含を含むことが意図される。例えば、複数の要素を含むユニット、構造、製品あるいは装置は、本文に列挙するこのような要素に限定されないものであり、明確には列挙されていないが前記ユニット、構造、製品あるいは装置に通常固有である他の要素を含むことが可能である。この他、明示的な別段の説明がない限り、「あるいは」はという用語は、包括的な「あるいは」を意味し、排他的な「あるいは」を意味するものではない。
【0026】
図1を参考にされたい。本発明の実施例1における液体分離キットの断面図である。
図1において、液体分離キット10は、分離された液体2(
図7Aと
図7B参照)の第一成分4(
図8、
図9Aと
図9B参照)および第二成分6(
図8、
図9Aと
図9B参照)を同時に収容することができる。ここでは、説明の便宜上、全血を分離して高濃度血小板血漿(PRP)を得る場合を例に挙げて説明するが、他の実施例では、成分分離が必要な液状の溶液であれば適用可能である。ここで、全血とは人体血液を指し、人体から直接採血してもよいし、例えば、血液バッグや試験管等を介して間接的に採血してもよい。人間の血液は、血漿と血球とに分けられる。このうち、血漿は全血液量の約55%を占め、血球は約45%を占める。血漿はやや淡黄色を呈し、そのうち成分の約90%は水、7~8%は血漿タンパク質であり、残りは養分、廃棄物あるいは気体等である。血漿の蛋白質の種類は非常に多く、例えば抗体、ホルモン、酵素など、様々な重要な機能を有する。血球は、赤血球、白血球及び血小板等に分類され、それぞれ気体輸送、疾病防御および血液凝固等の機能を分担している。
【0027】
また、医療関係者(使用者とも称される)は本実施例における液体分離キットを応用する時、従来の遠心分離機又は他の方式による遠心、揺動等の外力を適用し、全血の分離操作を実行することができる。
【0028】
液体分離キット10は、筒体12と、接続部品14と、制御モジュール16と、ピストン18と、を含む。
【0029】
筒体12は、それぞれ第一収容室122および第二収容室124を有するように形成される。ここで、筒体12の外観形状は円柱体であってもよく、従来の実験室でよく見られる一般的な管形状に類似しているが、本発明は具体的な外観形状を限定せず、当業者は当知で実際の応用に応じて適切な外観形状を製造することができる。
【0030】
第一収納室122は、自由端1222と接続端1224を形成する。そのうち、第一収容室122は、液体2あるいは第一成分4を収容でき、本実施例において、第一成分4の主成分は血小板、血漿等である。
【0031】
第二収納室124は、自由端1242と接続端1244を形成する。そのうち、第二収容室124は、第二成分6を収容でき、本実施例において、第二成分6の主成分は赤血球である。
【0032】
接続部品14は、第一端142と第二端144を形成する。接続部品14の第一端142は、第一収容室122の接続端1224に接続される。接続部品14、第一収容室122と第二収容室124の接続形態は、複数種に大別される。ここで、以下に例を挙げる。
【実施例1】
【0033】
【0034】
形態1において、液体分離キット10の接続部品14の一部は、第一収容室122と第二収容室124との間に露出し、その接続部品14の残りの部分は、第二収容室124の内部あるいは外部に設置することができる。ここでは、接続部品14の残りの部分は、第二収容室124の内部に設置されることを例として説明する。
【実施例2】
【0035】
形態2、
図2を参考にされたい。本発明の実施例2における液体分離キットの断面図である。
【0036】
形態2において、液体分離キット10'の接続部品14は、第二収容室124内に設置され、且つ第二端144を第二収容室124の自由端1242の方向へ延伸させ、第二端144を第二収容室124に収容させる。
【実施例3】
【0037】
形態3、
図3を参考にされたい。本発明の実施例3における液体分離キットの断面図である。
【0038】
形態3において、液体分離キット10"の接続部品14の一部分は、第二収容室124の外部に設置され、第二端144は、第二収容室124の自由端1242に向かって延伸する。
【0039】
図1に戻る。制御モジュール16は、3つの管路162,164,166と導通制御部品168を含む。他の実施例において、管路の数は3つに限定されず、3つより少なくてもよく、あるいは、3つより多くてもよい。導通制御部品168は、管路162,164,166に接続される。導通制御部材168は、例えば弁体であってもよく、管路162,164,166の間の流体経路の調節を行うのに用いられ、導通制御部品168を操作することによって、管路162,164,166間の導通と遮断を決定できる。前記導通制御部品168を操作する方式は、ノブ、ボタン、プッシュロッド等の方式によって流体経路の調節を行うことができる。さらに、管路162,164,166の材質はプラスチック、シリコン等であってもよく、且つ管路162,164,166の硬さは自由に選択でき、ここでは限定しない。本実施例において、管路162は第二端144に接続され、管路164は第二収容室124に接続され、管路166は第二収容室124の自由端に接続される。
【0040】
ピストン18は、第一収容室122に設置され、ピストン18の第一収容室122での位置を移動することによって、第一収容室122の接続端1224に吸引力あるいは推力を生成することを決定することができ、例えばピストン18が+Y方向へ移動する時、ピストン18は第一収容室122の接続端1224に作用して吸引力を生成する。逆に、ピストン18が-Y方向へ移動する時、ピストン18は第一収容室122の接続端1224に作用して推力を生成する。前記ピストン18の移動方式は、例えば牽引機構によって生成された外力によって作動することができ、その牽引機構は、例えば、真空、磁力、張力、推力、トルク等であり、ピストン18の第一収容室122での位置を変更することに用いることができ、後にそのうちの一つの実施方式を例示する説明を提供し、本発明はどの特定の方式を使用することに限定されず、ピストン18に作用させて、ピストン18の移動を引き起こすことが出来れば、すなわち本発明の範囲に属する。
【0041】
接続端1224は、接続部品14の第一端142と接続するため、第一収容室122の接続端1224が生成する吸引力あるいは推力も、接続部品14の第二端144に作用し、さらに、管路162に作用し、かつ導通制御部品168の調節によって、管路164あるいは管路166にも同時に吸引力あるいは推力を発生させる。言い換えれば、前記の吸引力あるいは推力は、導通制御部品168を操作することにより、第一収容室122、接続部品14、第一収容室124等における血液、血漿及び血球の移動を決定することができる。
【実施例4】
【0042】
図4を参考にされたい。本発明の実施例4における液体分離キットの断面図である。
図4において、液体分離キット10は実施例1の筒体12、接続部品14、制御モジュール16及びピストン18を含む以外に、さらに上蓋20及び底蓋22を含む。本実施例において、液体分離キット10は、液体2の第一成分4と第二成分6を保持可能であり、バックエンドの分離処理と輸送等に用いられる。
【0043】
筒体12、接続部品14、制御モジュール16とピストン18の説明は前述したとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0044】
上蓋20は、第一収容室122の自由端1222に設置され、それにより、ピストン18を第一収容室122に位置限定し、あるいは、第一収容室122を密封する。
【0045】
底蓋22は、第二収容室124の自由端1242に結合され、それにより、第二収容室124の自由端1242が筒体12の外部に連通することを阻止する。
【実施例5】
【0046】
図5を参考にされたい。本発明の実施例5における液体分離キットの断面図である。
図5において、液体分離キット10は実施例1の筒体12、接続部品14、制御モジュール16及びピストン18を含む以外に、さらにスクリュー24を含む。
【0047】
筒体12、接続部品14、制御モジュール16とピストン18の説明は前述したとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0048】
スクリュー24はピストン18に接続され、外力Fを受けて駆動され、ピストン18が第一収容室122に設置される位置を変更する。そのうち、スクリュー24がピストン18に接続される方式は、例えばピストン18の内部の一部に対応する雌ねじを形成してスクリュー24の末端の雄ねじに結合したりすることができ、雄ねじを雌ねじにねじ込むことにより、スクリュー24とピストン18を強固に接続し、外力Fがスクリュー24を+Y又は-Y方向に移動させることにより、ピストン18が前記第一収容室122に位置する位置を変更することができる。前記実施例において、雌ねじはスクリュー24の末端にスリーブ(図示せず)の形態で形成されてもよく、雄ねじはピストン18にバンプ(図示せず)の形態で形成されてもよい。
【0049】
なお、注意すべきことは、スクリュー24はそのうちの一つの実施例のみに用いられ、ピストン18の第一収容室122での位置を変更することに用いられ、他の実施例において、他の牽引機構を変更して外力Fを生成することもできる。
【実施例6】
【0050】
図6を参考にされたい。本発明の実施例6における液体分離キットの断面図である。
図6において、液体分離キット10は、実施例1の筒体12、接続部品14、制御モジュール16、およびピストン18を含む以外に、さらに、第二収容室124内に形成された観察区域26を含む。
【0051】
筒体12、接続部品14、制御モジュール16とピストン18の説明は前述したとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0052】
観察区域26は、主に接続部品14を露出するのに用い、接続部品14中の液体2、第一成分4、第二成分6を観察できる。本実施例において、接続部品14は、第二収容室124(
図1参照)に設置されるため、第二成分6が赤血球である場合、それは接続部品14を遮蔽して観察あるいは操作に影響を与える可能性があるため、観察区域26は、例えば、ストッパ、バッフル、バンプ(図示せず)等によって、接続部品14と第二収容室124の内縁側壁を接続することができ、赤血球を隔離することにより、透明バンプが第二収容室124に隣接する筒体12に観察区域26を形成する。
【0053】
なお、注意すべきことは、観察区域26の区域は、他の方式または物件によって形成されてもよく、ここでは限定しない。また、例えば実施例3であれば、接続部品14が第二収容室124の外部に露出しているので、第二成分6の干渉によって遮蔽されることがなく、観察区域26を形成する必要がない。
【0054】
【0055】
図7Aにおいて、液体分離キット10で血液を採取することを開示する概略図を示す。
図7Aにおいて、液体分離キット10の制御モジュール16は操作されて管路162と管路166を導通させ、またスクリュー24はピストン18と結合し、且つ外力Fによって+Y方向へ移動し、第二収容室124の自由端1242に吸引力を発生させ、人体から液体2を取得しあるいは液体2を貯蔵する容器(図示せず)から液体2を取得する。容器は、例えば、血液バッグ、試験管等であってもよい。液体2は、第一収容室122に貯蔵される。
【0056】
図7Bにおいて、液体分離キット10が血液を運送し分離を提供することを開示する模式図を示す。
図7Bにおいて、液体分離キット10の制御モジュール16は、管路162と残りの管路との導通を遮断するように操作され、また液体分離キット10はスクリュー24を取り外し、且つ第一収容室122(
図7A参照)の自由端1222(
図1参照)に上蓋20を設置し、及び、第二収容室124(
図7A参照)の自由端1242(
図7A参照)に底蓋22を設置し、それにより液体2を第一収容室122に貯蔵する。
【0057】
図8において、液体分離キット10の遠心分離後の状態を示す概略図を示す。
図8において、液体分離キット10が例えば遠心分離機(図示せず)によって1回目の遠心分離を行った後、液体2は第一収容室室122(
図1参照)に第一成分4と第二成分6を形成し、例えば、第一成分4は、血小板と他の成分などであってもよく、および、第二成分6は赤血球であってもよい。
【0058】
図9Aにおいて、液体分離キット10が、1回目の分離を行う状態を示す模式図を示す。
図9Aでは、液体分離キット10の制御モジュール16は、管路162が管路164と連通し、スクリュー24がピストン18と係合し、外力Fによって-Y方向に移動し、第一成分4および第二成分6を第一収容室122の接続端1224から接続部品14に押し込み、第二成分6が先に接続部品14に入り、次いで管路164を通って第二収容室124に入るように動作する(
図1参照)。本実施例において、第二成分6がほぼ或いは完全に第二収容室124に進入することを観察した後に、外力Fを加えることを停止する。言い換えれば、第二成分6は主に第二収容室124に貯蔵され、接続部品14と第一収容室122には、第二成分6が極めて少ない或いは存在しない。
【0059】
図9Bにおいて、液体分離キット10が血液を運送し再度分離を提供することを開示する模式図を示す。
図9Bにおいて、液体分離キット10の制御モジュール16は再度操作されて管路162(
図9A参照)と他の管路との導通を遮断し、また、液体分離キット10はスクリュー24を取り外し、且つ第一収容室122(
図1参照)の自由端1222(
図1参照)に上蓋20を設置し、及び、第二収容室124(
図1参照)の自由端1242(
図1参照)に底蓋22を設置する。また、液体分離キット10は、例えば、遠心分離機(図示せず)によって、二回目の遠心分離を行った後、第一成分4は第一収容室122に高濃度の第一成分4'及び他の成分を形成する。他の実施例において、液体分離キット10の制御モジュール16は、管路162を管路166に導通するように操作させることができ、それによって、高濃度の第一成分4'を筒体12の外部に出力することができる。
【0060】
以上、本発明を好ましい実施例によって開示したが、属する領域の通常の知識を有する者であれば、前記の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものとして解してはならないことは、理解されるはずである。特に注意すべきは、前記に挙げた実施例と同等のすべての変形および置換は、いずれも本発明の範囲内に含まれるべきである。したがって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に定義されるものを基準とする。
【符号の説明】
【0061】
2 液体
4 第一成分
6 第二成分
10, 10', 10" 液体分離キット
12 筒体
122 第一収容室
1222 自由端
1224 接続端
124 第二収容室
1242 自由端
1244 接続端
14 接続部品
142 第一端
144 第二端
16 制御モジュール
162, 164, 166 管路
168 導通制御部品
18 ピストン
20 上蓋
22 底蓋
24 スクリュー
26 観察区域
F 外力
【国際調査報告】