(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】真空遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
H01H33/662 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577342
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2021066010
(87)【国際公開番号】W WO2022008175
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】102020117769.0
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヘプフル・クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴレーデ・ジルケ
(72)【発明者】
【氏名】ツィントル・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】パラニ・アニヤパン
【テーマコード(参考)】
5G026
【Fターム(参考)】
5G026HA01
5G026HB01
(57)【要約】
【課題】真空遮断器が周囲の外部磁場の阻害的な影響から遮蔽され、タップ切換器の安全(確実)な動作を保証する真空遮断器のための改善されたコンセプトを提供する。
【解決手段】タップ切換器用の真空遮断器1であって、該真空遮断器1が、中空円筒状に形成されているとともに少なくとも真空遮断器1の円筒状のジャケット面の一部の周囲に配置された、金属製の、外部の磁場からの遮蔽部2と、該金属製の遮蔽部2及び真空遮断器1の外部に配置されているとともにこれらを少なくとも部分的に同軸に包囲するブラケット4とを含んでおり、該ブラケット4が、金属製の遮蔽部2を真空遮断器1に依存して所定の位置に保持する複数の保持要素5を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ切換器用の真空遮断器(1)であって、該真空遮断器(1)が、中空円筒状に形成されているとともに少なくとも真空遮断器(1)の円筒状のジャケット面の一部の周囲に配置された、金属製の、外部の磁場からの遮蔽部(2)と、該金属製の遮蔽部(2)及び真空遮断器(1)の外部に配置されているとともにこれらを少なくとも部分的に同軸に包囲するブラケット(4)とを含んでおり、該ブラケット(4)が、金属製の遮蔽部(2)を真空遮断器(1)に依存して所定の位置に保持する複数の保持要素(5,6)を備えていることを特徴とする真空遮断器。
【請求項2】
保持要素が、径方向内方へ突出する少なくとも2つの突出部(5)を含んでおり、該突出部が、金属製の遮蔽部(2)の第1の端部(21)及び第2の端部(22)のためのストッパを形成していることを特徴とする請求項1に記載の真空遮断器。
【請求項3】
突出部(5)のうち少なくとも1つが、金属製の遮蔽部(2)と真空遮断器(1)の間に配置されたスペーサ(16)を備えていることを特徴とする請求項2に記載の真空遮断器。
【請求項4】
保持要素が、径方向内方へ突出した少なくとも1つのスタッド(6)を含んでおり、該スタッドが、金属製の遮蔽部(2)における開口部(23)へ係合式に突出していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の真空遮断器。
【請求項5】
ブラケット(4)が、第1の端部(41)及び第2の端部(42)において、それぞれ径方向に周設され、及び/又は径方向にセグメント化され、径方向内方へ向いた少なくとも1つの段部(7)を含んでおり、該段部が、真空遮断器に係合式に接触していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の真空遮断器。
【請求項6】
ブラケット(4)が、第1の端部(41)及び第2の端部(42)において、それぞれ径方向内方へ延びる複数の補強部(44)を含んでおり、該補強部が、真空遮断器に係合式に接触していることを特徴とする請求項5に記載の真空遮断器。
【請求項7】
ブラケット(4)が、複数の横方向補強部(13)及び長手方向補強部(14)を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の真空遮断器。
【請求項8】
真空遮断器(1)が更に固定リング(3)を備えており、該固定リングは、該固定リング(3)がブラケット(4)へはめ込み可能であるとともに該ブラケットにおいてねじることで捕捉可能であるように、ブラケット(4)と着脱可能に機械的に結合されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の真空遮断器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の真空遮断器を含むタップ切換器。
【請求項10】
タップ切換器が、真空遮断器(1)を含む切換開閉器又は負荷選択器を備えていることを特徴とする請求項9に記載のタップ切換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器の異なるタップ間での切換のためのタップ切換器用の真空遮断器と、このような真空遮断器を有するタップ切換器とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タップ付き変圧器の巻線タップ間において負荷下で途切れることなく切り換えるための、タップ切換器、特に負荷時タップ切換器における切換要素としての真空遮断器の使用は、何十年も前から従来技術、例えば特許文献1から知られている。
【0003】
基本的には、真空遮断器は、高電圧技術の分野では多様な構造形態及び用途分野、例えば回路遮断器において存在している。
【0004】
回路遮断器から、電流の大きさに依存して、磁場による真空遮断器の外部影響が生じ得ることが知られている。特許文献2には、外部の磁場による当該作用から真空遮断器を保護する遮蔽部が提案されている。
【0005】
このような磁場は、変圧器の構成及びデザイン並びにタップ切換器の真空遮断器への影響に依存して変圧器によって生じ得る。当該外部影響は、接点の非対称の焼け及び真空遮断器における絶縁区間の非対称の気化に至ることがあるため、真空遮断器の寿命にネガティブに影響し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第96/30922号
【特許文献2】独国特許出願公開第19518533号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、真空遮断器が周囲の外部磁場の阻害的な影響から遮蔽され、タップ切換器の安全(確実)な動作を保証する真空遮断器のための改善されたコンセプトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該課題は、独立請求項の各対象によって解決される。別の実施形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
改善されたコンセプトは、外部の磁場に対する金属製の遮蔽部を真空遮断器に設置するという着想に基づくものである。
【0010】
改善されたコンセプトによれば、外部の磁場に対する金属製の遮蔽部及びブラケットを含むタップ切換器用の真空遮断器が提供される。
【0011】
金属製の遮蔽部は、中空円筒状に形成されているとともに、少なくとも真空遮断器の円筒状のジャケット面の一部の周囲に配置されている。好ましくは、中空円筒状の遮蔽部は、真空遮断器の円筒状のジャケット面の少なくとも半分の高さにおいて、真空遮断器の軸方向における中央で当該真空遮断器に配置されている。遮蔽部は、一部材又は多部材で形成されることができるとともに、例えば軟鉄から成っている。
【0012】
ブラケットは、金属製の遮蔽部及び真空遮断器の外部に配置されているとともに、金属製の遮蔽部及び真空遮断器を少なくとも部分的に同軸に包囲している。好ましくは、真空遮断器は、同軸に少なくとも240°だけブラケットによって包囲される。
【0013】
さらに、ブラケットは複数の保持要素を備えており、当該保持要素は、真空遮断器に依存して金属製の遮蔽部を所定の位置に保持する。
【0014】
少なくとも1つの実施形態によれば、保持要素は、径方向内方へ突出する少なくとも2つの突出部を含んでおり、当該突出部は、金属製の遮蔽部の第1の端部及び第2の端部のためのストッパを形成している。
【0015】
これにより、金属製の遮蔽部は、真空遮断器の軸方向において好ましくは中央で当該真空遮断器に配置される。
【0016】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、突出部のうち少なくとも1つが、金属製の遮蔽部と真空遮断器の間に配置されたスペーサを含んでいる。
【0017】
スペーサはくさび状の突起部として形成されており、当該突起部は、径方向において内側に位置して少なくとも1つの突出部に配置されているとともに、真空遮断器の軸方向に延在している。ブラケットが取り付けられた状態では、スペーサは、遮蔽部と真空遮断器の間に配置されているとともに、真空遮断器の円筒状のジャケット面における遮蔽部の直接的な載置を防止する。
【0018】
少なくとも1つの実施形態によれば、保持要素は、径方向内方へ突出する少なくとも1つの突出部を更に含んでおり、当該突出部は、金属製の遮蔽部の開口部へ係合式に、すなわちぴったりとはまって突出している。
【0019】
これにより、遮蔽部は所定の位置に保持され、真空遮断器に対する遮蔽部のねじれが阻害される。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、ブラケットは、第1の端部及び第2の端部においてそれぞれ内方へ向いた少なくとも1つの段部を含んでおり、当該段部は、真空遮断器に係合式に接触する。
【0021】
段部は、径方向に周設されてブラケットの端部に形成されることができ、及び/又は径方向にセグメント化されて、すなわち互いに離間し径方向にブラケットの端部において配置された個々の段部で構成されて形成されることが可能である。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、ブラケットは、第1の端部及び第2の端部においてそれぞれ内方へ延びる複数の補強部を含んでおり、当該補強部は、真空遮断器に係合式に接触する。ブラケットは、補強部を用いて、真空遮断器の軸方向において固定される。
【0023】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ブラケットは少なくとも2つのセグメントで構成され、当該セグメントは、互いに同一に形成されているとともに、それぞれ複数の横方向補強部及び長手方向補強部を備えている。当該セグメントは、好ましくは互いに水平方向及び垂直方向に180°ねじられて配置されている。
【0024】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、真空遮断器が固定リングを備えており、当該固定リングは、当該固定リングがブラケットへはめ込み可能であるとともに該ブラケットにおいてねじることで捕捉可能であるように、ブラケットと着脱可能に機械的に結合されている。
【0025】
固定リングは、端面側において真空遮断器において支持されているとともに、捕捉機構によってブラケットを真空遮断器の軸方向において固定する。
【0026】
改善されたコンセプトによれば、そのほか、改善されたコンセプトによる少なくとも1つの真空遮断器を含むタップ切換器、特に負荷時タップ切換器が提供される。
【0027】
タップ切換器の少なくとも1つの実施形態によれば、タップ切換器は、真空遮断器を含む切換開閉器又は真空遮断器を含む負荷選択器を含んでいる。
【0028】
以下では、図面を参照しつつ例示的な実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。同一若しくは機能上同一であるか、又は同一の効果を有する構成要素には同一の符号が付されていることがある。同一の構成要素又は同一の機能を有する構成要素は、事情によっては、これらが表される図面に関してのみ説明されている。説明は、以下の図において必ずしも繰り返されない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】改良されたコンセプトによる真空遮断器の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1に基づく真空遮断器の長手断面図である。
【
図3】改良されたコンセプトによる真空遮断器用のブラケットのセグメントの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図4】改良されたコンセプトによる真空遮断器の別の例示的な実施形態の詳細な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1及び
図2には、改善されたコンセプトによる真空遮断器の例示的な一実施形態の斜視図及び縦断面図が示されている。
【0031】
真空遮断器1は、例えばセラミックから成るアークチャンバ(切換チャンバ)8を有するハウジングと、例えば金属から成りそれぞれ端面側に配置された2つの壁部9とを備えている。 アークチャンバ8は、中空円筒状に形成されているとともに、円筒状のジャケット面を有している。壁部9は、端面側においてアークチャンバ8に隣接しているとともに、当該アークチャンバを気密に密閉する。
【0032】
真空遮断器1は、固定された接点11と、真空遮断器に対して軸方向に可動な接点12とを備えている。接点11,12は、アークチャンバ8に配置されている。可動の接点12を操作することで、真空遮断器1を開閉することが可能である。
【0033】
中空円筒状で金属製の遮蔽部2が、真空遮断器1の一部の周囲に、より正確にはアークチャンバ8の円筒状のジャケット面の一部の周囲で軸線Aに沿ってアークチャンバ8の高さに関して中央に配置されている。
【0034】
ブラケット4は、約240°だけ同軸に外部から真空遮断器1及び遮蔽部2を包囲している。真空遮断器1及び遮蔽部2の残りの部分は、ブラケット4によって接触されない。
【0035】
ブラケット4の第1の端部41及び第2の端部42には、それぞれ径方向内方へ延びる複数の補強部44が配置されており、当該補強部は、ブラケット4の取り付けられた状態において真空遮断器1あるいは端面側の壁部9に係合式に接触し、これによりブラケット4を軸線Aに関して固定する。
【0036】
ブラケット4は2つのセグメントで構成されており、当該セグメントは、互いに同一に形成されているとともに、複数の横方向補強部13及び長手方向補強部14を備えている。両セグメントは、互いに水平方向及び垂直方向に180°ねじられて配置されている。
【0037】
図3には、ブラケット4のこのようなセグメントが詳細に斜視図で示されている。
【0038】
ブラケット4あるいはセグメントは、保持要素を備えており、当該保持要素によって、真空遮断器1あるいはアークチャンバ8及び壁部9並びに遮蔽部2に接触する。
【0039】
径方向に配置された長手方向補強部14には、径方向内方へ突出する複数の突出部5が遮蔽部2の第1の端部21及び第2の端部22の高さに配置されている。当該突出部は、遮蔽部2のための上側及び下側のストッパを形成するとともに、遮蔽部を軸線Aに関して固定する。
【0040】
遮蔽部2の第2の端部22の高さで長手方向補強部14に配置された隣り合う突出部5は、追加的な部分補強部15が形成されるように部分的に互いに結合されている。部分補強部15を介して互いに結合された突出部5にはスペーサ16が設けられている。当該スペーサはくさび状の突起部として形成されており、当該突起部は、真空遮断器1の軸方向に延び、ブラケット4の第1の端部41の方向へテーパ付けされており、径方向において、内部に位置するように突出部5の部分補強部15に配置されている。ブラケット4が取り付けられた状態では、くさび状の突起部は、遮蔽部2が遮蔽部2の円筒状のジャケット面に直接載置されないように、遮蔽部2と、真空遮断器1、より正確にはアークチャンバ8との間に配置されている。
【0041】
別の保持要素は径方向内方へ突出したスタッド6であり、当該スタッドは、ブラケット4の長手方向補強部14のうち1つにおいて中央に配置されている。当該スタッド6は、遮蔽部2における開口部23と係合式に協働する。これにより、真空遮断器1に依存して遮蔽部2のねじれが防止される。
【0042】
ブラケット4のセグメントは、それぞれ第1の端部41及び第2の端部42において、径方向内方へ向けて配置された段部7を有する、内側に位置したカラー部43を備えている。段部7には、真空遮断器1あるいは真空遮断器1の端面側の壁部9が接触する。
【0043】
さらに、真空遮断器1においてブラケット4を安定化させるために、第1の端部41及び第2の端部42には、カラー部43の高さにおいてそれぞれ結束バンド17が配置されている(
図1参照)。
【0044】
図4には、改善されたコンセプトによる真空遮断器の例示的な一実施形態の詳細な斜視図が示されている。
【0045】
ブラケット4の第1の端部41には固定リング3が配置されており、当該固定リングは、第1の端部41における端面側の壁部9において支持されている。固定リング3は、当該固定リング3がブラケット4の第1の端部41におけるカラー部43へはめ込み可能であるとともに当該カラー部においてねじることで捕捉可能であるように、バヨネット結合の原理に従い、ブラケット4と着脱可能に機械的に結合されている。このようにして、ブラケット4は軸線Aに関して固定される。
【0046】
本開示及びその多くの付随する利点は上述の説明により理解されると考えられる。また、開示された主題から逸脱せず、又は全ての実質的な利点を犠牲にすることなく、構成要素の形状、構造及び配置についての様々な変更を行うことができることは明らかである。上述の実施形態は単に説明のためのものであり、そのような変更は、特許請求の範囲に包含される。さらに、本発明は、特許請求の範囲によって規定されていることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 真空遮断器
2 遮蔽部
3 固定リング
4 ブラケット
5 突出部
6 スタッド
7 段部
8 アークチャンバ
9 端面側の壁部
11 固定接点
12 可動接点
13 横方向補強部
14 長手方向補強部
15 部分補強部
16 スペーサ
17 結束バンド
21,22 遮蔽部の第1の端部及び第2の端部
23 遮蔽部の開口部
41,42 ブラケットの第1の端部及び第2の端部
43 ブラケットのカラー部
44 ブラケットの補強部
【国際調査報告】