(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】膨張可能な安全装置
(51)【国際特許分類】
C09J 183/04 20060101AFI20230724BHJP
B60R 21/235 20060101ALI20230724BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20230724BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20230724BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20230724BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230724BHJP
C09J 183/05 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C09J183/04
B60R21/235
C08L83/07
C08L83/05
C08L83/06
C09J11/06
C09J183/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577740
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 US2021038648
(87)【国際公開番号】W WO2021262828
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サントス、エリザベス エム.
【テーマコード(参考)】
3D054
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
3D054CC26
3D054CC30
3D054CC33
3D054CC42
4J002CP031
4J002CP041
4J002CP042
4J002CP052
4J002CP141
4J002DA018
4J002DA028
4J002DA068
4J002DE078
4J002DE148
4J002DJ018
4J002DJ048
4J002DJ058
4J002DK008
4J002EK016
4J002EK026
4J002EK036
4J002EK066
4J002EX007
4J040EK042
4J040EK081
4J040HB41
4J040HD30
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA42
4J040LA01
4J040MA10
4J040MB02
4J040NA15
(57)【要約】
本開示は、車両の乗客保護システムのための膨張可能な安全装置用のエアバッグなどの膨張可能な物品、当該膨張可能な物品を製造するためのプロセス、ヒドロシリル化硬化性シリコーンエラストマー組成物、及び当該膨張可能な安全装置を組み立てる際のそれらの使用を説明する。使用される組成物は、1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含むオルガノポリシロキサン系添加剤を含んでいた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能な物品であって、
第1の布シート及びその上に重ね合わされた第2の布シートと、
硬化シリコーン接着剤であって、バッグ様構造が作成されるように、前記第1の布シートと前記第2の布シートとの間に非縫合シーム結合を形成し、前記結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、硬化シリコーン接着剤と、を備え、前記硬化シリコーン接着剤が、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、硬化性シリコーンエラストマー組成物のエラストマー製品であることを特徴とする、膨張可能な物品。
【請求項2】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分(D)が、以下の式の1つ以上のオルガノポリシロキサンを含み、
D(Z)
d-(O)
e-[Y]-(SiR
3
2-Z)
dD
式中、各D基が、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基が、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xが、無水物又はエポキシド官能性を含有する基であり、ここで、mが、少なくとも1の整数であり、aが、少なくとも1の整数であり、
[Y]が、構造[SiPhR]
3O]
n、(SiR
3
2O)
n、又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phが、フェニル基であり、Zが、2~10個、あるいは2~6個の炭素を有するアルキレン基であり、nが、2~20の整数であり、d=e=0又は1であり、
d+e=1であり、d=1の場合、[Y]が、(SiR
3
2O)
nである、請求項1に記載の膨張可能な物品。
【請求項3】
成分Dが、以下:
[Y]がポリジメチルシロキサン鎖であり、dが1であり、eがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能基を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xが無水物官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが1であり、aが2であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
のうちの1つ以上から選択される化合物であるか、又はそれを含む、請求項2に記載の膨張可能な物品。
【請求項4】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物が、ジルコネート及び/又はチタネートを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の膨張可能な物品。
【請求項5】
前記物品が、エアバッグである、請求項1~4のいずれか一項に記載の膨張可能な物品。
【請求項6】
前記エアバッグが、コーティングされていないエアバッグである、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
膨張可能な物品を作製するためのプロセスであって、
第1の布シートの周縁部の周囲に、硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを適用することであって、前記硬化性シリコーンエラストマー組成物が、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、適用することと、
(ii)前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の前記第1のビーズを第2の布シートの表面と接触させることと、
(iii)前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の硬化シリコーンエラストマー製品を含む非縫合シームを形成し、それによって、前記第1の布シートを非縫合シームを通して前記布シートに接着させることと、を含み、得られた非縫合シーム結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、プロセス。
【請求項8】
膨張可能な物品を作製するためのプロセスであって、
第1の布シートの周縁部の周囲に、硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを適用することであって、前記硬化性シリコーンエラストマー組成物が、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、適用することと、
(ii)第2の布シートの周縁部の周囲に、前述のように、硬化性シリコーンエラストマー組成物の第2のビーズを適用することと、
(iii)前記第1のビーズの第1の露出表面と前記第2のビーズの第2の露出表面とを接触させて、1つのビーズを形成することと、
(iv)前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の硬化シリコーンエラストマー製品を含む非縫合シームを形成し、それによって、前記第1の布シートを非縫合シームを通して前記第2の布シートに接着させることと、を含み、得られた非縫合シーム結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、プロセス。
【請求項9】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分(D)が、以下の構造を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンを含み、
D(Z)
d-(O)
e-[Y]-(SiR
3
2-Z)
d D
式中、各D基が、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基が、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xが、無水物又はエポキシド官能性を含有する基であり、ここで、mが、少なくとも1の整数であり、aが、少なくとも1の整数であり、
[Y]が、構造[SiPhR]
3O]
n、(SiR
3
2O)
n、又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phが、フェニル基であり、Zが、2~10個、あるいは2~6個の炭素を有するアルキレン基であり、nが、2~20の整数であり、d=e=0又は1であり、
d+e=1であり、d=1の場合、[Y]が、(SiR
3
2O)
nである、請求項7又は8に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項10】
成分(D)が、以下:
[Y]がポリジメチルシロキサン鎖であり、dが1であり、eがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能基を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xが無水物官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが1であり、aが2であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
のうちの1つ以上から選択される化合物であるか、又はそれを含む、請求項9に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項11】
前記組成物が、ジルコネート及び/又はチタネートを更に含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項12】
前記膨張可能な物品が、エアバッグである、請求項7~11のいずれか一項に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項13】
前記布シートが、プラズマ、コロナ、及び/又はUV-Cによって前記組成物を適用する前に活性化される、請求項7~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
膨張可能な物品のシームシーラントとしての、硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用であって、前記硬化性シリコーンエラストマー組成物が、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、使用。
【請求項15】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分(D)が、以下の構造を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンを含み、
D(Z)
d-(O)
e-[Y]-(SiR
3
2-Z)
dD
式中、各D基が、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基が、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xが、無水物又はエポキシド官能性を含有する基であり、ここで、mが、少なくとも1の整数であり、aが、少なくとも1の整数であり、
[Y]が、構造[SiPhR]
3O]
n、(SiR
3
2O)
n、又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phが、フェニル基であり、Zが、2~10個、あるいは2~6個の炭素を有するアルキレン基であり、nが、2~20の整数であり、d=e=0又は1であり、
d+e=1であり、d=1の場合、[Y]が、(SiR
3
2O)
nである、請求項14に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用。
【請求項16】
成分(D)が、以下:
[Y]がポリジメチルシロキサン鎖であり、dが1であり、eがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能基を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xが無水物官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが1であり、aが2であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
のうちの1つ以上から選択される化合物であるか、又はそれを含む、請求項14又は15に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用。
【請求項17】
前記組成物が、ジルコネート及び/又はチタネートを更に含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の乗客保護システム内の膨張可能な安全装置用のエアバッグなどの膨張可能な物品、当該膨張可能な物品を製造するためのプロセス、ヒドロシリル化硬化性シリコーンエラストマー組成物、及び当該膨張可能な安全装置を組み立てる際のそれらの使用を説明する。
【背景技術】
【0002】
膨張可能な安全装置システムは、事故の場合には、損傷を低減することによって車両の乗員を保護するために自動車産業によって使用される。そのような膨張可能な安全装置システムは、典型的には、センサ、インフレータ、及び膨張可能な物品、例えば、衝突事象中に柔らかい緩衝及び拘束を車両の乗員に提供するエアバッグを備える。事故の場合には、乗員と車両内の潜在的に有害な表面との間に緩衝物を配置するために、センサを設定し、それによってインフレータを作動させて、エアバッグをガスで充填する。
【0003】
これらの動作は全て、乗員を効果的に保護するために、事故後ミリ秒以内に生じる必要がある。エアバッグは、車両の乗員とステアリングホイール、器具パネル、本体ピラー、ヘッドライナ、及びフロントガラスとの間にエネルギー吸収表面を提供する。現代の車両は、ドライバ、乗客、サイドカーテン、シート装着、ドア装着、B及びCピラー装着された側面衝撃、膝ボースター、インフレータブルシートベルト、並びに歩行者エアバッグモジュールを含む、様々な構成で最大10個のエアバッグモジュールを含有し得る。
【0004】
エアバッグなどのいくつかの膨張可能な物品の用途では、加圧ガスは、比較的長期間、布エンベロープ内に保持される必要がある。この要件は、例えば、自動車産業用のサイドカーテンエアバッグに関して存在する。これらのサイドカーテンエアバッグは、従来のエアバッグと同様に、衝撃時に膨張することが意図されている。サイドカーテンを広げて、乗客と車体の一部の側面との間にクッション付きカーテン、例えば窓を形成する。この意図は、従来のドライバ及び乗客用エアバッグの場合のように、ブローオン衝撃自体を緩衝するだけでなく、乗客を保護するために、例えば、車両が圧延するときに、サイドカーテンエアバッグは、そのようなローリングプロセス中に十分に加圧されることが重要である。従来のドライバ及び乗客エアバッグは、ほんの一瞬だけ圧力を保持する必要があるのみであるが、サイドカーテンエアバッグは、数秒間の好適な圧力を維持し、そのため、後者は、通常、エアバッグの収縮を低減又は防止するエラストマーコーティングでのコーティングによって処理されることが望ましい。加圧布構造が、比較的長期間、例えば、エアロゾル用の緊急シュート、又は膨張可能なラフトにおいて特定のガス圧力を維持するために所望される場合、同様の用途が存在する。
【0005】
他の膨張可能な物品用途は、必ずしもそのようなコーティングを必要とせず、例えば、衝撃時にほんの一瞬だけ圧力を保持するように単に設計されている場合、これらは、未処理の膨張可能な物品と称され得る。
【0006】
歴史的に、エアバッグは、気密ステッチを使用してそれらの周縁で互いに接続されるが、増加する数の代替物もまた使用される2つの主布シートから作製されることが多い。布シートは、多くの場合、合成繊維、例えば、ナイロン6,6又はポリエステルなどのポリアミドから作製された織布又はニット生地から形成され、意図される用途に応じて、例えば、エラストマーコーティングでコーティングされて、エアバッグにされ得る。エアバッグが膨張すると、主要な布シートのうちの1つが、保護される乗客のうちの1人以上の方に向けられる。他のシートは、例えば、1つ以上の横方向窓及び/又は横方向車両構造上に、エアバッグ装置の膨張状態でそれ自体を支持する。典型的なエアバッグの布シートは、例えば、第1のパネル及び第2のパネルを、パネルの周縁部に適用されたシリコーン接着剤と一緒に接合し、その後、縫製糸又はヤーンの1つ以上のシームと一緒にパネルを縫合することによって、十分な機械的強度を提供するために一緒に縫合される。シームは、シリコーン接着剤を通して縫合されて、エアバッグが展開されたときに十分なガス不透過性及び/又は圧力保持を提供する。これらの特性により、エアバッグを組み立てるための比較的時間のかかり、高価なプロセスがもたらされ、シームをシールして縫合するために複数のステップが必要である。
【0007】
しかしながら、シームの構造的完全性を提供するために縫合ステッチを使用して構成されたエアバッグでは、縫合ステッチが、縫合針からエアバッグクッションの布パネルに穴又は空隙を作り、シームに対する局所的なエアバッグパネルの強度を低下させる。ステッチングが、糸又はヤーンの各通過のためのエアバッグパネルに穴又は空隙を作るため、ステッチングが適用されるとき、パネル強度の劣化は、シームに対して局所的に生じる。したがって、導入された各針穴は、エアバッグ生地に脆弱性を生じさせ、これは、エアバッグの衝撃及び保管からの解放時に引き起こされる高温及び高応力下で、引き裂かれ、その結果、意図した乗員の緩衝に失敗する場合がある。これは、エアバッグがプレコーティングされ、長期間膨張することを意図した懸念事項である。
【発明の概要】
【0008】
本明細書では、膨張可能な物品であって、
第1の布シート及びその上に重ね合わされた第2の布シートと、
硬化シリコーン接着剤であって、バッグ様構造が作成されるように、第1の布シートと第2の布シートとの間に非縫合シーム結合を形成し、非縫合シーム結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、硬化シリコーン接着剤と、を備え、硬化シリコーン接着剤は、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を各々が含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、硬化性シリコーンエラストマー組成物のエラストマー製品である、膨張可能な物品が提供される。
【0009】
また、膨張可能な物品を作製するためのプロセスであって、
(i)第1の布シートの周縁部の周囲に、本明細書に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを適用することと、
(ii)硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを、第2の布シートの表面と接触させることと、
(iii)硬化性シリコーンエラストマー組成物の硬化シリコーンエラストマー製品を含む非縫合シームを形成し、それによって、第1の布シートを非縫合シームを通して布シートに接着させることと、を含み、得られた非縫合シーム結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、プロセスも提供される。
【0010】
また、膨張可能な物品を作製するためのプロセスであって、
(i)第1の布シートの周縁部の周囲に、本明細書に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを適用することと、
(ii)第2の布シートの周縁部の周囲に、前述のように、硬化性シリコーンエラストマー組成物の第2のビーズを適用することと、
(iii)第1のビーズの第1の露出表面と第2のビーズの第2の露出表面とを接触させて、1つのビーズを形成することと、
(iv)硬化性シリコーンエラストマー組成物の硬化シリコーンエラストマー製品を含む非縫合シームを形成し、それによって、第1の布シートを非縫合シームを通して第2の布シートに接着させることと、を含み、得られた非縫合シーム結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、プロセスも提供される。
【0011】
また、膨張可能な物品のシームシーラントとしての、上述した硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用も提供される。
【0012】
誤解を避けるために、本明細書に記載のピーク荷重/幅値は、本明細書の実施例に記載の方法の使用によって決定される。
【0013】
各布シートは、好ましくは織布、特に平織り布であるが、例えば、ニット又は不織布であり得る。布は、合成繊維又は天然繊維と合成繊維とのブレンド、例えば、ナイロン-6,6などのポリアミド繊維、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル綿、又はガラス繊維から作製され得る。膨張可能な物品として使用するために、例えば、エアバッグ生地は、比較的小さな容積に折り畳むことができるが、また例えば爆薬装填の影響下で、高速での展開に耐えるのに十分に強い。以下で考察されるように、布は、膨張が長期間必要とされる場合、膨張後の収縮を防止若しくは低減するためにエラストマーコーティングで処理されてもよく、又は膨張可能な物品が、例えば、1秒未満の衝撃時に膨張するように設計されている「衝撃」用途では、未処理であってもよい。
【0014】
本明細書では、シリコーン接着剤組成物を詳細に説明する。
【0015】
1つ以上のオルガノポリシロキサン(A)の各々は、少なくとも2つのアルケニル基及び/又はアルキニル基、典型的には1分子当たりのケイ素原子に結合したアルケニル基を含有し、スピンドル(LV-4)を使用し、ポリマー粘度に従って速度(剪断速度)を適合させるBrookfield(登録商標)回転粘度計して、25℃で1000mPa・s~500,000mPa・s、あるいは25℃で1000mPa・s~200,000mPa・s、あるいは25℃で1000mPa・s~150,000mPa・s、あるいは25℃で1000mPa・s~75,000mPa・sの粘度を有する。特に明記しない限り、全ての粘度測定は、25℃で測定した。
【0016】
アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、シクロヘキセニル基、及びヘキセニル基が挙げられる。それらの基は、ペンダント部分若しくは末端部分であってもよく、又はそれらの両方の部分であってもよく、すなわち、かかる基は、オルガノポリシロキサン(A)のシロキシ単位のいずれに存在していてもよい。成分(A)は、式(1)の単位を複数含む直鎖及び/又は分枝状オルガノポリシロキサンを含む。
R’aSiO4-a/2 (1)
式中、各R’は、同じでも異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を有する炭化水素基、1~18個の炭素原子を有する置換炭化水素基、又は最大18個の炭素原子を有する炭化水素オキシ基を示し、平均して1~3、好ましくは1.8~2.2のa値を有する。
【0017】
本出願の目的で、「置換」とは炭化水素基中の1個以上の水素原子が別の置換基で置換されていることを意味する。このような置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素などのハロゲン原子;クロロメチル基、ペルフルオロブチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、及びノナフルオロヘキシル基などのハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリル基及びカルボキシル基などの酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基などの窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基などの硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
シロキシ単位は、特に明記しない限り、Rが通常アルキル基、例えば、メチル基であるとき、短縮形(略記)、すなわち、「M」、「D」、「T」、及び「Q」で記述されてよい(シリコーン命名法についての更なる教示は、Walter Noll,Chemistry and Technology of Silicones,dated 1962,Chapter I,pages 1-9に見ることができる)。M単位は、式中、a=3であるシロキシ単位、すなわち、R3SiO1/2に相当し、D単位は、式中、a=2であるシロキシ単位、すなわち、R2SiO2/2に相当し、T単位は、式中、a=1であるシロキシ単位、すなわち、R1SiO3/2に相当し、Q単位は、式中、a=0であるシロキシ単位、すなわち、SiO4/2に相当する。
【0019】
原料(A)の例は、2つの末端にアルケニル基又はアルキニル基を含有するが、典型的にはアルケニル基を含有するポリジオルガノシロキサンであり、一般式(I)で表すことができる:
R’R’’R’’’SiO-(R’’R’’’SiO)m-SiOR’’’R’’R’ (I)
【0020】
式(I)において、各R’は、アルケニル基又はアルキニル基であるが、典型的にはビニル、アリル、及び5-ヘキセニルなどの2~10個の炭素原子を含有するアルケニル基である。
【0021】
R’’は、エチレン性不飽和を含有しない。各R’’は、同じでも異なっていてもよく、一般的に1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素基及び一般的に6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から個別に選択される。R’’は、非置換でもよく、又は、本発明の組成物の硬化を妨げることのない1つ以上の基(ハロゲン原子など)によって置換されていてもよい。R’’’は、R’又はR’であり、mは、原料(A)に好適な重合度を表し、以下に論じられる範囲内の粘度を有する。
【0022】
典型的に、式(I)に従った化合物に含有される全てのR’’及びR’’’基はメチル基である。あるいは、式(I)に従った化合物の少なくとも1つのR’’及び/又はR’’’基がメチル基であり、その他は、フェニル基又は3,3,3-トリフルオロプロピル基である。この優先性は、ポリジオルガノシロキサン(原料(A))を調製するために典型的に使用される反応物の入手可能性、及びそのようなポリジオルガノシロキサンを含む組成物から調製される硬化エラストマーの望ましい特性に基づく。
【0023】
基R’の特に好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、塩素又はフッ素で置換されたプロピル基、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、β-(ペルフルオロブチル)エチル基若しくはクロロシクロヘキシル基が挙げられる。好ましくは、基R’’のうちの少なくともいくつか、より好ましくは実質的に全てが、メチルである。いくつかのR’基は、フェニル基又はフルオロ基であり得る。1つの代替例では、ポリジオルガノシロキサンは、主として、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリジアルキルシロキサン及び/又はポリジアルキルアルキルフェニルシロキサンである。更なる代替例では、ポリジオルガノシロキサンは、主として、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリジメチルシロキサンである。それらは、好ましくは、式R’’3SiO1/2のシロキサン基で末端封鎖された実質的に直鎖状の材料である。
【0024】
式中、各R’’は、同じであるか、又は異なる。硬化性組成物の硬化速度及び物理的特性は、成分(A)の機能性の構造及び程度によって影響を受けることが理解される。例えば、いくつかの実施形態において、成分(A)の一部又は全てとしてペンダントアルケニル基又はアルキニル基を有する分岐、樹脂状、又は環状含有オルガノポリシロキサンを利用することが有利であり得る。
【0025】
25℃でのオルガノポリシロキサン(A)の粘度は、典型的にはスピンドル(LV-4)を使用し、ポリマー粘度に従って速度(剪断速度)を適合させるBrookfield(登録商標)を使用し、全ての粘度測定値を特に明記しない限り、25℃で取得した。
【0026】
使用され得るオルガノポリシロキサン(A)の例としては、ビニルジメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン-ビニルメチルシロキサンコポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端封鎖ポリジメチルシロキサン、ビニルメチルヒドロキシシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン-ビニルメチルシロキサンコポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
オルガノポリシロキサン(A)は、単一のポリマー、又は2つ以上の異なるポリマーの組み合わせ、のいずれであってもよい。
【0028】
オルガノポリシロキサン(A)は、組成物の総重量に基づいて10~85%、あるいは組成物の総重量に基づいて20~80重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて20~75重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて30~65重量%の濃度で組成物中に存在する。
【0029】
B)硬化剤
本明細書に記載の組成物は、有機過酸化物ラジカル開始剤(B)(i)又は異なる種類の過酸化物触媒の混合物で硬化され得る。
【0030】
過酸化物ラジカル開始剤(B)(i)は、シリコーン及び/又はフルオロシリコーンエラストマー組成物を硬化させるために使用される周知の任意の市販の過酸化物であってもよい。使用される有機過酸化物の量は、硬化プロセスの性質、使用される有機過酸化物、及び使用される組成物によって決定される。典型的には、本明細書に記載の組成物中で利用される過酸化物ラジカル開始剤(B)(i)の量は、いずれの場合も組成物の重量に基づいて0.2~3重量%、あるいは0.2~2重量%である。
【0031】
好適な有機過酸化物は、置換又は非置換のジアルキル-、アルキルアロイル-、ジアロイル-ペルオキシドであり、例えば、ベンゾイルペルオキシド及び2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジターシャリーブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、シクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン、2,4-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルペルオキシド、及び2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンである。
【0032】
あるいは、組成物は、
(B)(ii)(a)1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
(B)(ii)(b)ヒドロシリル化触媒、の形態のヒドロシリル化触媒パッケージ(B)(ii)を使用して硬化され得る。
【0033】
成分(B)(ii)(a)は、1分子当たり少なくとも2つ又は3つのケイ素結合水素原子を含有する有機ケイ素化合物の形態の架橋剤である。通常、成分(B)(ii)(a)は、3つ以上のケイ素結合水素原子を含有し、それにより、その水素原子がポリマー(A)中の不飽和のアルケニル基又はアルキニル基と反応して、それらとネットワーク構造を形成することにより組成物を硬化させることができる。あるいは、ポリマー(A)が1分子当たり2つ超(>)のアルケニル基又はアルキニル基を有する場合、成分(B)(ii)(a)のいくつか又は全てが1分子当たり2つのケイ素結合水素原子を有していてもよい。
【0034】
有機ケイ素化合物の構造は、直鎖、分枝鎖、環状、又は樹脂性とすることができる。シクロシラン及びシクロシロキサンは、3~12個のケイ素原子、あるいは3~10個のケイ素原子、あるいは3~4個のケイ素原子を有し得る。非環状ポリシラン及びポリシロキサンでは、ケイ素結合水素原子は、末端、ペンダント、又は末端及びペンダントの両方の位置に位置され得る。
【0035】
好適なオルガノシランの例としては、ジフェニルシラン、2-クロロエチルシラン、ビス[(p-ジメチルシリル)フェニル]エーテル、1,4-ジメチルジシリルエタン、1,3,5-トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリシラン、ポリ(メチルシリレン)フェニレン、及びポリ(メチルシリレン)メチレンを挙げることができる。いくつかの例では、有機ハイドロジェンシランは、式HR1
2Si-R2-SiR1
2Hを有することができ、式中、R1は、C1~C10ヒドロカルビル又はC1~C10ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、どちらも脂肪族不飽和を含まず、R2は、1,4-若しくは1,3-二置換フェニル、4,4’-若しくは3,3’-二置換-1,1’-ビフェニル、又はパラ若しくはメタ二置換Ph(CgH2g)Phから選択される式を有する、脂肪族不飽和を含まないヒドロカルビレン基である。
【0036】
1分子当たり少なくとも2つ又は3つのケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン(B)(ii)(a)の分子構成は、特に制限されず、直鎖であり、一部の分岐を有する直鎖、環状又はシリコーン樹脂系であり得る。この成分の分子量は特には制限されないが、粘度は典型的には、ポリマー(A)との良好な混和性を得るために、ASTM D1084 Method Bのカップ/スピンドル法で、粘度範囲に最も適切なBrookfield(登録商標)RV又はLVの範囲のスピンドルを使用して、25℃で0.001~50Pa・sである。
【0037】
成分(B)(ii)(a)で使用されるケイ素結合有機基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブテニル、ペンテニル、ヘキシルなどのアルキル基;フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基;3-クロロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基によって例示され得、好ましくはメチル基及びフェニル基である。
【0038】
1分子当たり少なくとも2つ又は3つのケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン(B)(ii)(a)は、典型的には、成分(B)(ii)(a)中のケイ素結合水素原子の総数の、ポリマー(A)中のアルケニル/アルキニル基の総数に対するモル比が0.5:1~20:1になる量で添加される。この比が0.5:1未満である場合、十分に硬化した組成物が得られない。この比が20:1を超える場合、加熱されたときに、硬化した組成物の硬度が増加する傾向がある。
【0039】
1分子当たり少なくとも2つ又は3つのケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン(B)(ii)(a)の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(a’)トリメチルシロキシ末端メチルハイドロジェンポリシロキサン、
(b’)トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン、
(c’)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンのコポリマー、
(d’)ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンの環状コポリマー、
(e’)(CH3)2HSiO1/2単位、(CH3)3SiO1/2単位、及びSiO4/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、
(f’)(CH3)2HSiO1/2単位及びSiO4/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、
(g’)(CH3)2HSiO1/2単位、SiO4/2単位及び(C6H5)3SiO1/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、並びにメチルがフェニル基又は他のアルキル基によって置換されたその代替物。
【0040】
あるいは、成分(B)(ii)(a)の架橋剤は、上記の1つで処理されたシリカなどの充填剤であってもよい。
【0041】
成分(B)(ii)(a)は、以下の化合物で例示することができる:分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンポリシロキサン;分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖ジメチルシロキサン;分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマー;分子鎖両末端がジメチルフェニルシロキシ基で封鎖されたメチルハイドロジェンシロキサンとメチルフェニルシロキサンとのコポリマー;環式メチルハイドロジェンポリシロキサン;(CH3)2HSiO1/2シロキサン単位とSiO4/2単位とからなるコポリマー;(CH3)2HSiO1/2シロキサン単位、(CH3)3SiO1/2シロキサン単位、及びSiO4/2単位からなるコポリマー、上記オルガノポリシロキサンの一部又は全てのメチル基が、エチル、プロピルなどのアルキル基で置換されたもの;フェニル、トリルなどのアリール基で置換されたもの;3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基で置換されたもの;又は上記オルガノポリシロキサンのうちの2つ以上の混合物。
【0042】
オルガノポリシロキサン架橋剤(B)(ii)(a)は、概ね、成分(B)(ii)(a)のケイ素結合水素原子のモル数の、成分(A)のアルケニル基のモル数に対する比が(0.7:1.0)~(5.0:1.0)、好ましくは(0.9:1.0)~(2.5:1.0)、最も好ましくは(0.9:1.0)~(2.0:1.0)の範囲となる量で硬化性シリコーンエラストマー組成物中に存在する。
【0043】
成分(B)(ii)(a)のケイ素結合水素(Si-H)の含有量は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して決定される。本発明において、ケイ素結合水素のアルケニル(ビニル)及び/又はアルキニルに対する比は、ヒドロシリル化硬化プロセスに依存する場合に重要である。概ね、これは、組成物中のアルケニル基の総重量%、例えば、ビニル[V]と、組成物中のケイ素結合水素[H]の総重量%とを計算することによって決定され、ここで、水素の分子量を1、ビニルの分子量を27として、ビニルに対するケイ素結合水素のモル比は27[H]/[V]である。
【0044】
典型的には、成分(A)中の不飽和基の数及び成分(B)(ii)(a)中のSi-H基の数に応じて、成分(B)(ii)(a)は、全組成物の0.1~40重量%、あるいは全組成物の0.5~20重量%、あるいは全組成物の0.5~10重量%、更に別の方法としては組成物全体の1重量%~5重量%の量で存在することとなる。
【0045】
成分(B)(ii)(b)は、少なくとも1つのヒドロシリル化(添加)反応触媒である。これらは、通常、白金金属群(白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、及びパラジウム)のうちの1つ、又は1つ以上のそのような金属の触媒から選択される。白金及びロジウムが、ヒドロシリル化反応におけるこれらの触媒の活性レベルの高さから、好ましい。成分(B)(ii)(b)は、成分(A)のアルケニル基(例えば、ビニル基)と、成分(B)(ii)(a)のSi-H基との間の反応を触媒し、硬化性シリコーンエラストマー組成物がエラストマーへと硬化したときに架橋ネットワークをもたらす。
【0046】
触媒(B)(ii)(b)は、白金族金属、活性炭などの担体上に堆積された白金族金属、酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素などの金属酸化物、シリカゲル若しくは粉末炭、又は白金族金属の化合物若しくは錯体であり得る。
【0047】
好ましいヒドロシリル化触媒(B)(ii)(b)の例としては、白金系触媒、例えば、白金黒、様々な固体担体上の白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、並びにオレフィンなどのエチレン性不飽和化合物及びケイ素に結合したエチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの塩化白金酸の錯体が挙げられるが、これらに限定されない。使用できる可溶性白金化合物としては、例えば、式(PtCl2・(オレフィン)2及びH(PtCl3・オレフィン))の白金-オレフィン錯体が挙げられ、この文脈において、エチレン、プロピレン、ブテン及びオクテンの異性体などの2~8個の炭素原子を有するアルケン、又はシクロペンテン、シクロヘキセン、及びシクロヘプテンなどの5~7個の炭素原子を有するシクロアルカンの使用が好ましい。他の可溶性白金触媒は、例として、式(PtCl2C3H6)2の白金-シクロプロパン錯体、ヘキサクロロ白金酸とアルコール、エーテル、及びアルデヒド若しくはそれらの混合物との反応生成物、又はエタノール溶液中の重炭酸ナトリウムの存在下のヘキサクロロ白金酸とメチルビニルシクロテトラシロキサンとの反応生成物である。リン、硫黄、及びアミン配位子を有する白金触媒も、例えば、(Ph)3P)2PtCl2並びにsym-ジビニルテトラメチルジシロキサンなどのビニルシロキサンとの白金の錯体として使用することができる。
【0048】
したがって、好適な白金系触媒の具体例としては、
(i)米国特許第3,419,593号に記載されている、塩化白金酸のエチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの錯体;
(ii)六水和物形態又は無水形態のいずれかの塩化白金酸;
(iii)塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と反応させることを含む、方法によって得られる白金含有触媒;
(iv)(COD)Pt(SiMeCl2)2(式中、「COD」は1,5-シクロオクタジエンである)などの米国特許第6,605,734号に記載されているアルケン-白金-シリル錯体;及び/又は
(v)典型的には溶媒中に、例えばトルエンを使用してもよい、約1重量%の白金を含有する白金とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体であるKarstedt触媒が挙げられる。これらは、US3,715,334及びUS3,814,730に記載されている。
【0049】
使用されるヒドロシリル化硬化性シリコーンエラストマー組成物のヒドロシリル化触媒(B)(ii)(b)は、全組成物中に、触媒量、すなわち、付加/ヒドロシリル化反応を触媒し、所望の条件下で組成物をエラストマー材料に硬化させるために十分な量又は分量で存在する。様々なレベルのヒドロシリル化触媒(B)(ii)(b)を使用して、反応速度及び硬化反応速度を調整することができる。ヒドロシリル化触媒(B)(ii)(b)の触媒量は、概ね、組成物のポリマー(A)と充填剤(C)との合わせた重量に基づいた百万部当たりの白金属金属の重量部(ppm)で、0.01ppm~10,000ppm、あるいは0.01~5000ppm、あるいは0.01~3,000ppm、あるいは0.01~1,000ppmである。特定の実施形態において、触媒の触媒量は、組成物の重量に基づいて、0.01~1,000ppm、あるいは0.01~750ppm、あるいは0.01~500ppm、あるいは0.01~100ppmの範囲の金属であってもよい。範囲は、指定されたように、触媒内の金属含有量のみ、又は触媒全体(その配位子を含む)に関連し得るが、典型的には、これらの範囲は、触媒内の金属含有量のみに関連する。触媒は、単一種として、又は2種以上の異なる種の混合物として添加してよい。典型的には、触媒パッケージが提供される形態/濃度に依存して、存在する触媒の量は組成物の0.001~3.0重量%の範囲である。
【0050】
成分(C)は、任意選択で1つ以上の補強充填剤及び/又は非補強充填剤と組み合わせた1つ以上の微粉化された補強充填剤である。
【0051】
成分(C)の補強充填剤は、微粉化されたヒュームドシリカ、及び/又は微粉化された沈殿シリカ、コロイダルシリカ、及び/又は好適なシリコーン樹脂によって例示され得る。
【0052】
沈降性シリカヒュームドシリカ及び/又はコロイダルシリカが、一般的に少なくとも50m2/g(ISO9277:2010に従ったBET法)というそれらの比較的高い表面積から特に好ましい。一般的には、50~450m2/g(ISO9277:2010に従ったBET法)、あるいは50~300m2/g(ISO9277:2010に従ったBET法)の表面積を有する充填剤を使用する。これらの種類のシリカは全て市販されている。
【0053】
補強充填剤(C)が元々親水性である場合(例えば、未処理のシリカ充填剤)、典型的にはそれを処理剤で処理してそれを疎水性にする。これらの表面改質された補強充填剤(C)は凝集せず、表面処理により充填剤がポリジオルガノシロキサンポリマー(A)によって容易に湿潤することから、以下に記載のポリジオルガノシロキサンポリマー(A)に均質に組み込むことができる。
【0054】
典型的には、補強充填剤(C)は、加工中のオルガノシロキサン組成物のクレーピングを防止するために適用可能な当技術分野で開示されている任意の低分子量有機ケイ素化合物で表面処理され得る。例えば、充填剤を疎水性にして、ひいては取り扱いをより容易にし、他の原料との均質な混合物を得るようにするオルガノシラン、ポリジオルガノシロキサン、又はオルガノシラザン、例えば、ヘキサアルキルジシラザン、短鎖シロキサンジオールである。具体的な例としては、シラノール末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン、シラノール末端ビニルメチル(ViMe)シロキサン、シラノール末端MePhシロキサン、各分子中にジオルガノシロキサンの2~20個の繰り返し単位を含有する液状ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン、ヒドロキシルジメチル末端フェニルメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサンなどのヘキサオルガノジシロキサン;ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、ジビニルテトラメチルジシラザン、及びテトラメチルジ(トリフルオロプロピル)ジシラザンなどのヘキサオルガノジシラザン、ヒドロキシルジメチル末端ポリジメチルメチルビニルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及びメチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシランを含むが、これらに限定されないシランが挙げられるが、これらに限定されない。少量の水を、加工助剤としてシリカ処理剤と一緒に添加することができる。
【0055】
表面処理は、組成物中に導入する前に、又はin situで(すなわち、本明細書の組成物の他の原料の少なくとも一部の存在下で充填剤が完全に処理されるまで、これらの成分を一緒に室温で混合することによって)行うことができる。典型的には、未処理の補強充填剤(C)を、ポリジオルガノシロキサンポリマー(A)の存在下、in situで、処理剤で処理し、それにより、後で他の原料と混合することができるシリコーンエラストマーのベース材料を調製する。
【0056】
補強充填剤(C)は、組成物の固形分含有量の5.0~40重量%、あるいは、組成物の固形分含有量の7.5~35重量%、あるいは、組成物の固形分含有量の重量%に基づいて10.0~35重量%で存在する。このことから、補強充填剤(C)、例えば微粉化シリカ及び/又はシリコーン樹脂の量は、したがって、例えば、全組成物の2.0~20重量%あるいは、2.5~15重量%の量であってもよい。場合によっては、補強充填剤の量は、全組成物の重量に基づいて5.0~15重量%であってもよい。
【0057】
非補強充填剤は、任意選択で、本明細書の成分(C)に含まれ得る。これらには、例として、破砕された水晶、炭酸カルシウム、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、珪灰石、ばんど石、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、粘土例えばカオリン、アルミニウムトリハイドロオキシド、水酸化マグネシウム、すなわち、水滑石、グラファイト、炭酸銅すなわちマラカイト、炭酸ニッケル、すなわち、ザラカイト、炭酸バリウム、すなわちウイザライト及び/又は炭酸ストロンチウム、すなわちストロンチアナイトを含むこともある。
【0058】
その他の非補強充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族;ざくろ石族;アルミノシリケート;環状シリケート;鎖状シリケート;及び層状シリケートからなる群からのシリケートが含まれ得る。かんらん石族は、ケイ酸塩鉱物、例えばフォルステライト及びMg2SiO4を含むが、これらに限定されない。ざくろ石族は、赤色ざくろ石;Mg3Al2Si3O12;緑ざくろ石;及びCa2Al2Si3O12などの粉砕ケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩は、ケイ線石;Al2SiO5;ムライト;3Al2O3.2SiO2;カイヤナイト;及びAl2SiO5などの粉砕ケイ酸塩鉱物を含むが、これらに限定されない。環状ケイ酸塩は、非補強充填剤として利用されてもよく、これは、コージェライト及びAl3(Mg,Fe)2[Si4AlO18]などのケイ酸塩鉱物を含むがこれらに限定されない。鎖状ケイ酸塩族は、粉砕ケイ酸塩鉱物、例えば、珪灰石及びCa[SiO3]を含むが、これらに限定されない。層状ケイ酸塩は、代替的に又は追加的に、非補強充填剤として使用されてもよく、適切な群は、ケイ酸塩鉱物、例えば、雲母、K2AI14[Si6Al2O20](OH)4;葉蝋石;Al4[Si8O20](OH)4;タルク、Mg6[Si8O20](OH)4;蛇絞石、例えばアスベスト;カオリナイト;Al4[Si4O10](OH)8;及びバーミキュライトなどのケイ酸塩鉱物が挙げられるが、これらに限定されない。1つの代替例では、充填剤は、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、炭酸カルシウム、タルク、雲母、石英、及び酸化アルミニウムのうちの1つ以上から選択される。
【0059】
以前に示されたように、上記の成分(D)は、それぞれが、1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、及び1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される、1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む。
【0060】
例えば、その又は各オルガノポリシロキサン系添加剤は、1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される、1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含むフェニルメチルポリシロキサン系添加剤であってもよく、又は1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される、1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含むポリジメチルシロキサン系添加剤であってもよい。
【0061】
一実施形態において、その又は各オルガノポリシロキサン系添加剤(D)は、以下の式のものであり得、
D(Z)d-(O)e-[Y]-(SiR3
2-Z)d D
式中、各D基は、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R3)(OSiR3H)m(OSiR3X)a]
式中、各R3基は、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xは、無水物又はエポキシド官能価を含有する基であり、ここで、mは、少なくとも1、あるいは1~20、あるいは1~10、あるいは1~6の整数であり、aは、少なくとも1、あるいは1~20、あるいは1~10、あるいは1~6の整数であり、好ましくは、m+aは、2~20、あるいは2~10、あるいは2~6であり、
[Y]は、構造[SiPhR]3O]n、(SiR3
2O)n、又は[SiPh2O]nの直鎖状シロキサン基であり、あるいは、構造[SiPhR3O]n又は(SiR3
2O)nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phは、フェニル基であり、Zは、2~10個、あるいは2~6個の炭素を有するアルキレン基であり、nは、2~20の整数であり、d=e=0又は1であり、
d+e=1であり、d=1の場合、[Y]は、(SiR3
2O)nである。
【0062】
後者では、環状シロキサンD中の[(O-Si(-)R3)基のSiは、酸素を介して直鎖状シロキサン基に結合している。各R3基は、同じでも異なっていてもよく、1~6個の炭素を含有するアルキル基又は置換アルキル基、あるいは各R3基は、同じでも異なっていてもよく、メチル、エチル、プロピル基、トリフルオロプロピル又はノナフルオロヘキシル、あるいはメチル又はエチル基から選択されるアルキル基又は置換アルキル基であり得る。環内のSi-H基をSi-X基で置き換えることによって、各X基を環状シロキサンDの環に追加する。各環状シロキサンDは、環内に同じ又は異なる数の員、例えば、環内の6~20個の員、あるいは環内の6~16個の員、あるいは環内の6~14個の員、あるいは環内の8~12個の員を有し得、例えば、以下であり、
【0063】
【化1】
式中、上記の式[2]又は[3]のいずれかにおける各pは、独立して1、2、又は3以上であってもよく、実際、成分(D)は、1分子当たりの各pが1、2、又は3以上である上記の1つ及び/又は他の混合物を含んでもよい。混合物が存在する場合、最も多くの分子が好ましくは、pが1であることが好ましい。成分/添加剤(D)が混合物である場合、混合物は、例として、上記と類似の構造を更に含み得るが、環状シロキサンDは、例えばpが2である10員環、又はpが3である12員環などである。一実施形態において、混合物は、pが1である分子の約50~80%、pが2である分子の20~49%を含み得、残り(存在する場合)は、pが3以上、あるいはpが3である分子である。
【0064】
一例として、[Y]がフェニルメチルポリシロキサンであり、Xがエーテル基を介して環状シロキサンの(OSiR3X)単位のケイ素に結合しているエポキシド官能基である場合、これは、アリルグリシジルエーテルなどのアルケニルグリシジルエーテルを、上記の環状シロキサンの中間体であるSi-H基と反応させることによって達成することができる。したがって、例として、m=2及びa=1である場合、添加剤(D)は、以下の構造を有し得、環状シロキサンDは、例えば、pが1である8員環であるが、X基は、各環状シロキサンDの環上のSi-H基のいずれかを置き換えてもよく、したがって必ずしも図示の位置にあるとは限らないことを理解されたい:
【0065】
【化2】
成分/添加剤(D)が上記を含む混合物である場合、混合物は、例として、環状シロキサンDが、pが2(式[2]中)である10員環及び/又はpが3(式[2]中)である12員環などであるような上記と類似の構造を更に含んでもよい。
【0066】
同様に、m=1及びa=2である場合、添加剤(D)は、以下の構造を有し得るが、X基は、各環状シロキサンDの環上のSi-H基のいずれかを置き換えてもよく、したがって、必ずしも図示の位置にあるとは限らないことを理解されたい。
【0067】
【化3】
同様に、この形態の成分/添加剤(D)が上記を含む混合物である場合、混合物は、例として、環状シロキサンDが、pが2(式[3]中)である10員環及び/又はpが3(式[3]中)である12員環などであるような上記と類似の構造を更に含んでもよい。
【0068】
一例として、[Y]がフェニルメチルポリシロキサンであり、Xがエーテル基を介して環状シロキサンの(OSiR3X)単位のケイ素に結合している無水物官能基である場合、これは、アリルコハク酸無水物などのアルケニルコハク酸無水物を、上記の環状シロキサンの中間体であるSi-H基と反応させることによって達成することができる。したがって、例として、m=2及びa=1である場合、添加剤(D)は、以下の構造を有し得、環状シロキサンDは、例えば、pが1である8員環であるが、X基は、各環状シロキサンの環上のSi-H基のいずれかを置き換えてもよく、したがって必ずしも図示の位置にあるとは限らないことを理解されたい:
【0069】
【化4】
同様に、この形態の成分/添加剤(D)が上記を含む混合物である場合、混合物は、例として、環状シロキサンDが、10員環及び/又はpが3である12員環などであるような上記と類似の構造を更に含んでもよい。
【0070】
各Xが無水物又はエポキシド官能基を含有する基である上記のフェニルメチルポリシロキサン系添加剤(D)は、本出願者名で国際出願第US19/064350号に記載されているプロセスに従って調製され得る。
【0071】
あるいは、オルガノポリシロキサン系添加剤(D)が、ポリジメチルシロキサン系基[Y]を有する場合、Xは、環状シロキサン中の(OSiR3X)単位のケイ素に結合したエポキシド官能基である。したがって、例として、m=2及びa=1である場合、添加剤(D)は、以下の構造を有し得、環状シロキサンDは、例えば、pが1である8員環であるが、X基は、各環状シロキサンの環上のSi-H基のいずれかを置き換えてもよく、したがって必ずしも図示の位置にあるとは限らないことを理解されたい:
それは、以下の構造を有し得る
【0072】
【化5】
しかし、同様に、この形態の成分/添加剤(D)が上記を含む混合物である場合、混合物は、例として、環状シロキサンDが、例えば、pが2である10員環及び/又はpが3である12員環などであるような上記と類似の構造を更に含んでもよい。
【0073】
本明細書の組成物中に存在する成分(D)の量は、典型的には、組成物の総重量に基づいて0.01~25重量パーセント、又は組成物の総重量に基づいて0.05~5重量パーセント、最も典型的には0.25~4重量パーセントである。成分(D)が1分子当たり2つ超のSi-H基を担持する場合、成分(D)はまた、成分(B)のSi-H成分の部分的な役割を果たすのに役立ち得る。そのような場合、当業者は、成分(D)のより大きなパーセンテージが利用され得ることを理解するであろう。
【0074】
硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用目的に応じて、任意による添加剤が組成物中に存在してもよい。例としては、1つ以上の硬化抑制剤、ビニル化シリコーンガム、25℃で10~750mPa・sの粘度を有するジメチルビニルポリジオルガノシロキサン、離型剤、接着触媒、及び/又は顔料が挙げられる。他の添加剤としては、導電性充填剤、熱伝導性充填剤、ポットライフ延長剤、難燃剤、潤滑剤、接着促進剤、離型剤、希釈剤、溶剤、UV光安定剤、殺菌剤、湿潤剤、熱安定剤、鎖延長剤、圧縮永久歪み添加剤、及び可塑剤などが挙げられる場合がある。
【0075】
硬化阻害剤は、必要に応じて、特に保管中に付加反応硬化プロセスを防止又は遅延するために使用される。白金系触媒の任意選択の付加反応阻害剤は、当技術分野において周知であり、ヒドラジン、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、有機窒素化合物、アセチレンアルコール、シリル化アセチレンアルコール、マレエート、フマレート、エチレン性又は芳香族不飽和アミド、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン性シロキサン、不飽和炭化水素モノエステル及びジエステル、共役エン-イン、ヒドロパーオキシド、ニトリル、並びにジアジリジンが挙げられる。米国特許第3989667号に記載されているようなアルケニル置換シロキサンを使用してもよく、その環状メチルビニルシロキサンが好ましい。
【0076】
公知のヒドロシリル化反応抑制剤の一分類としては、US3445420に開示されているアセチレン化合物が挙げられる。2-メチル-3-ブチン-2-オールなどのアセチレンアルコールは、25℃で白金含有触媒の活性を抑制する好ましい分類の抑制剤である。典型的には、これらの抑制剤を含有する組成物は、実用的な速度で硬化させるために、70℃以上の温度に加熱する必要がある。
【0077】
アセチレンアルコール及びその誘導体の例としては、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(ETCH)、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、1-フェニル-2-プロピン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びこれらの混合物が挙げられる。アセチレンアルコールの誘導体としては、少なくとも1個のケイ素原子を有するこれらの化合物を挙げてもよい。
【0078】
場合によっては、存在するとき、触媒の金属1モル当たり抑制剤1モル程度の低い抑制剤濃度は、満足な保管安定性及び硬化速度を付与するであろう。他の場合では、触媒の金属1モル当たり最大500モルの抑制剤という抑制剤濃度が必要である。所与の組成物における、所与の抑制剤に対する最適な濃度は、通常の実験で容易に決定される。選択された抑制剤が商業的に提供/市販されている濃度及び形態に応じて、組成物中に存在する場合、抑制剤は、一般的には、組成物の0.0125~10重量%の量で存在する。
【0079】
必要とみなされる場合、組成物は、ビニル化シリコーンガムを更に含有し得る。そのようなガムは、典型的には、成分Aと類似の構造を有し、ジメチルビニル末端基はポリジメチルシロキサンポリマー鎖であるが、ポリマー鎖の長さに沿っていくらかのビニルメチル基の組み合わせが存在し得る可能性がある。これらのポリマーの場合、主な違いは、成分(A)とは対照的に、鎖の長さ及びその結果としての粘度であり、典型的には、この種類のガムは、25℃で少なくとも1,000,000mPa・sの粘度を有し、多くの場合、有意に多くなる。しかし、これらの値を超える粘度を測定するのは困難であるので、ガムは、粘度ではなく、ASTM D-926-08に従ったウィリアムス可塑度値で記述される傾向がある。本明細書に記載の種類のガムは、典型的には、ASTM D-926-08に従って、30mm/100、あるいは少なくとも50mm/100、あるいは少なくとも100mm/100、あるいは100mm/100~350mm/100の範囲のウィリアムス可塑度を有する。
【0080】
ジメチルビニルポリジオルガノシロキサンは、25℃で10~750mPa・sの粘度を有する。そのようなジメチルビニルポリジオルガノシロキサンは、典型的には、成分(A)と類似の構造を有し、ジメチルビニル末端基はポリジメチルシロキサンポリマー鎖であるが、ポリマー鎖の長さに沿っていくらかのビニルメチル基の組み合わせが存在し得る可能性がある。これらのポリマーの場合、主な違いは、この種類の成分(A)ポリマーとは対照的に、鎖の長さ及び結果としての粘度が、25℃で10~750mPa・sのゼロ剪断粘度を有する。ゼロ剪断粘度は、粘度-剪断速度曲線が速度非依存性である低剪断速度で取得された値をゼロに外挿することによって得られ、これは、試験方法の独立値である。25℃での物質のゼロ剪断粘度は、典型的には、レオメーター又はスピンドル(LV-4)を使用して、ポリマー粘度に従って速度を適合させるBrookfield(登録商標)回転粘度計などの粘度計を使用して得られる。
【0081】
導電性充填剤の例としては、金属粒子、金属酸化物粒子、金属コーティング金属粒子(銀メッキニッケルなど)、金属コーティング非金属コア粒子(銀コーティングタルク、又はマイカ、又は石英など)及びこれらの組み合わせが挙げられる。金属粒子は、粉末、フレーク又はフィラメントの形態であってもよく、それらの混合物又は誘導体であってよい。
【0082】
熱伝導性充填剤の例としては、窒化ホウ素、アルミナ、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及び酸化アルミニウムなど)、黒鉛、ダイヤモンド、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0083】
鎖延長剤の例としては、末端位にケイ素結合水素基を2つ含有する直鎖オルガノポリシロキサンが挙げられる。そのような鎖延長剤は、1分子当たり少なくとも2つ又は3つのケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンの形態の成分(B)(ii)(a)架橋剤とは異なる。鎖延長剤の例としては、限定はされないが、末端位置にケイ素に結合した水素原子2つを含有するジシロキサン又は低分子量ポリオルガノシロキサンが挙げられる。鎖延長剤は通常、ポリマー(A)のアルケニルラジカルと反応し、それによりポリマー(A)の2つ以上の分子を一緒に結合させ、その有効分子量と潜在的な架橋部位間の距離を増加させる。
【0084】
ジシロキサンは、典型的には、一般式(HRa
2Si)2Oで表される。鎖延長剤がポリオルガノシロキサンである場合、それは、一般式HRa
2SiO1/2の末端単位及び式Rb
2SiOの非末端単位を有する。これらの式において、Ra及びRbは独立して、エチレン性不飽和及びフッ素の含有量を有さない非置換又は置換の一価の炭化水素基を表し、限定はされないが、1~10個の炭素原子を含有するアルキル基、クロロメチルなどの1~10個の炭素原子を含有する置換アルキル基、3~10個の炭素原子を含有するシクロアルキル基、6~10個の炭素原子を含有するアリール、トリル及びキシリルなどの7~10個の炭素原子を含有するアルカリール基、及びベンジル基などの7~10個の炭素原子を含有するアラルキル基が含まれる。
【0085】
鎖延長剤の更なる例としては、テトラメチルジハイドロジェンジシロキサン又はジメチルハイドロジェン末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0086】
鎖延長剤は、ポリマー(A)の重量に基づいて1~10重量部、典型的には、ポリマー(A)の組み合わせ100部当たり1~10部の量で添加され得る。
【0087】
任意選択で、接着促進剤が組成物中に存在し得る。任意の好適な接着促進剤が利用され得る。これらは、メタクリル基又はアクリル基を含有する1つ以上のアルコキシシラン、及び/又はエポキシ基を含有する1つ以上のアルコキシシラン、及び任意選択で、存在する場合、接着促進剤の反応を活性化及び/又は加速するために使用される1つ以上の縮合触媒を含むか、又はそれらからなり得る。
【0088】
メタクリルオキシメチル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-ジメチルメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-メチルジエトキシシラン、3-メタクリルオキシイソブチル-トリメトキシシラン、又は類似のメタクリルオキシ置換アルコキシシラン;3-アクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-ジメチル-メトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、又は類似のアクリルオキシ置換アルキル含有アルコキシシランなどの、メタクリル基又はアクリル基を含有するアルコキシシランの例。
【0089】
接着促進剤として使用され得るエポキシ含有アルコキシシランの例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランを挙げることができる。
【0090】
接着触媒、すなわち、上記の接着促進剤の反応を活性化及び/又は加速するために使用される縮合触媒も利用され得る。そのような縮合触媒は、チタネート、例えばテトラプロポキシチタネート;ジルコネート、有機アルミニウムキレート、チタンキレート、及び/又はジルコニウムキレートを含む有機金属触媒から選択され得る。
【0091】
例えば、チタネート系触媒及び/又はジルコネート系触媒は、一般式Ti[OR5]4又はZr[OR5]4(式中、各R5は同じでも異なっていてもよく、1~20個の炭素原子、あるいは1~10個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐状であってもよい一価の、第一級、第二級、又は第三級脂肪族炭化水素基を表す)による化合物を含んでもよい。任意選択で、チタネート又はジルコネートは、部分不飽和基を含有してもよい。R5の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第三級ブチル基及び分岐状第二級アルキル基、例えば2,4-ジメチル-3-ペンチル基が挙げられるが、これらに限定されない。各R5が同じである場合、好ましくは、R5は、イソプロピル基、分岐状第二級アルキル基又は第三級アルキル基、特に第三級ブチル基である。具体的な例としては、ジルコニウムテトラプロピレート並びにジルコニウムテトラブチレート、テトラ-イソプロピルジルコネート、ジルコニウム(IV)テトラアセチルアセトネート(ジルコニウムAcAcと呼ばれることもある)、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)トリフルオロアセチルアセトネート、テトラキス(エチルトリフルオロアセチルアセトネート)ジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)ジブトキシビス(エチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシビス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、又は配位子として使用されるβ-ジケトン(それらのアルキル置換及びフッ素置換された形態を含む)を有する類似のジルコニウム錯体が挙げられるが、これらに限定されない。上記のジルコネートのチタネート当量も含まれる。
【0092】
好適なアルミニウム系縮合触媒としては、Al(OC3H7)3、Al(OC3H7)2(CH3COCH2COC12H25)、Al(OC3H7)2(OCOCH3)、及びAl(OC3H7)2(OCOC12H25)のうちの1つ以上が挙げられ得る。
【0093】
必要及び/又は有益とみなされる場合、接着促進剤はまた、他のシランカップリング剤などの他の原料、2つ以上のアクリレート基及び/又は反応性シロキサンを含有する有機化合物を含み得る。
【0094】
接着促進剤の例としては、シランカップリング剤、例えばメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、及び1,6-ビス(トリメチルシリル)ヘキサン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はグリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0095】
2つ以上のアクリレート基を含有する有機化合物の例としては、例えば、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘプタンジオールジアクリレート、オクタンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、及び若しくはウンデカンジオールなどのC4-20アルカンジオールジアクリレートなどのジアクリレート、並びに/又はペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。
【0096】
反応性シロキサンの例としては、ヒドロキシ末端ジメチル-メチルビニルシロキサントリメチルシロキシ末端メチルジメチルシロキサンなどのシロキサンなどのシロキサンが挙げられ、いずれの場合も、任意選択で、トリフルオロプロピル又はペルフルオロブチルエチル側鎖などの1つ以上のペルフルオロアルキル鎖を含有する。典型的には、そのようなシロキサンは、25℃で0.001~0.1Pa・sの粘度、あるいは、25℃で0.001~0.05Pa・sの粘度を有する。
【0097】
存在する場合、接着促進剤は、典型的には、組成物の約0.1~6重量%の量、あるいは、組成物の0.1~4重量%の量で組成物中に存在する。
【0098】
難燃剤の例としては、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、塩素化パラフィン、塩素化パラフィン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(臭素化トリス)、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0099】
顔料の例としては、酸化鉄、カーボンブラック、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0100】
潤滑剤の例としては、テトラフルオロエチレン、樹脂粉末、黒鉛、フッ素化黒鉛、タルク、窒化ホウ素、フッ素オイル、シリコーンオイル、二硫化モリブデン、及びこれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0101】
更なる添加剤としては、トリメチルシリル又はOH末端シロキサンなどのシリコーン流体が挙げられる。そのようなトリメチルシロキシ又はOH末端ポリジメチルシロキサンは、典型的には25℃で150mPa・s未満(<)の粘度を有する。かかるシリコーン流体は、存在する場合、硬化性シリコーンエラストマー組成物中に、組成物の総重量に基づいて0.1~5重量%の範囲の量で存在し得る。
【0102】
硬化性シリコーンエラストマー組成物は、
熱可塑性基材上、有機樹脂基材上、又は熱可塑性樹脂及び有機樹脂基材の表面上に有意な接着性を達成できる硬化性シリコーンエラストマー組成物を含み得、これは以下を含む:
【0103】
成分A
組成物の総重量に基づいて10~85重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて20~80重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて20~75重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて30~65重量%。
【0104】
成分(B)が(B)(i)である場合、有機過酸化物は、いずれの場合も組成物の重量に基づいて0.2~3重量%、あるいは0.2~2重量%の量で存在し得る。
【0105】
あるいは、成分(B)が(B)(ii)である場合、成分(B)(ii)(a)、1分子当たり少なくとも2つ又は3つのケイ素結合水素原子を含有し、全組成物の0.1~40重量%、あるいは全組成物の0.5~20重量%、あるいは全組成物の0.5~10重量%、あるいは更に全組成物の1重量%~5重量%の量のオルガノポリシロキサン、
成分(B)(ii)(b)、全組成物の0.01~10重量%、あるいは全組成物の0.01重量%~5重量%、あるいは更に全組成物の0.05重量%~2重量%の量の少なくとも1つのヒドロシリル化触媒、
成分(C)、組成物の総重量に基づいて1~80重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて1~50重量%、あるいは組成物の総重量に基づいて5~50重量%、あるいは更に組成物の総重量に基づいて8~30重量%の量の少なくとも1つの強化充填剤及び任意選択の1つ以上の非補強充填剤、
本開示は、成分(A)~(C)の総組成%を提供する上記の組み合わせのいずれかを含むことが意図され、任意の任意添加剤は、組成物の100重量%を構成する。成分(D)を除く上記の組成物は、100重量%である。成分(D)は、組成物の残りを100%として計算される量で添加される。
【0106】
ヒドロシリル化によって硬化される場合、触媒(B)(ii)(b)は、保管中の早期硬化を防止するために、架橋剤(B)(ii)(a)とは別に保管されることが重要である。典型的には、触媒(B)(ii)(b)は、パートA組成物及び架橋剤(B)(ii)(a)に含まれ、任意選択の阻害剤は、パートB組成物中に保管される。同様に、所与の成分(D)は、ヒドロシリル化硬化性成分Dが触媒(B)(ii)(b)とは別に保管されるべきである場合、複数のSi-H基を含有する。したがって、ヒドロシリル化硬化性組成物の場合、典型的には、架橋剤(B)(ii)(a)、成分D、及び使用される任意の阻害剤は全て、パートB組成物に含まれる。
【0107】
任意選択の添加剤(阻害剤を除く)は、パート(A)若しくはパート(B)又は両方のパートのいずれかにあり得る。それらはまた、パート(A)又はパート(B)が組み合わされた後に最終混合物に添加され得る。
【0108】
本硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分の均質な混合は、ニーダーミキサー、Z-ブレードミキサー、2本ロールミル(オープンミル)、3本ロールミル、Haake(登録商標)Rheomix OS Labミキサー、スクリュー押出機又は二軸押出機などの好適な混合手段を用いて行うことができる。例えば、Hauschildで販売されているような速度ミキサー、及びDC150.1FV、DAC400FVZ、又はDAC600FVZが、代替的に使用され得る。
【0109】
使用中、組成物は、任意の好適な温度、例えば、80℃~250℃、あるいは120℃~200℃の温度で硬化され得る。少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を得るためには、典型的にシーラント配合物を少なくとも0.9mmの厚さで適用しなければならないことも決定された。本明細書における組成物の硬化時間は、好ましくは、良好な接着を確実にするために、少なくとも3分の持続時間、あるいは少なくとも4分の持続時間であることが見出された。
【0110】
前述のように、一実施形態において、
(i)第1の布シートの周縁部の周囲に、本明細書に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを適用することと、
(ii)硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを、第2の布シートの表面と接触させることと、
(iii)硬化性シリコーンエラストマー組成物の硬化シリコーンエラストマー製品を含む非縫合シームを形成し、それによって、第1の布シートを非縫合シームを通して布地シートに接着させることと、を含む、膨張可能な物品を作製するためのプロセスも提供され、得られた非縫合シーム結合は、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する。
【0111】
前述のように、一実施形態において、
(i)第1の布シートの周縁部の周囲に、本明細書に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを適用することと、
(ii)第2の布シートの周縁部の周囲に、前述のように、硬化性シリコーンエラストマー組成物の第2のビーズを適用することと、
(iii)第1のビーズの第1の露出表面と第2のビーズの第2の露出表面とを接触させて、1つのビーズを形成することと、
(iv)硬化性シリコーンエラストマー組成物の硬化シリコーンエラストマー製品を含む非縫合シームを形成し、それによって、第1の布シートを非縫合シームを通して第2の布シートに接着させることと、を含む、膨張可能な物品を作製するためのプロセスも提供され、得られた非縫合シーム結合は、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する。
【0112】
本明細書に記載のピーク荷重/幅値は、本明細書の実施例に記載の方法の使用によって決定される。
【0113】
上記のシリコーン組成物のビーズは、空気圧ガンによってエアバッグ表面に適用され得、次いで、2層エアバッグは、例として、プラテンプレス下などの好適な手段を使用して加熱され、エアバッグの2つの布層上に配置されたシリコーンコーティングとシリコーン接着剤を絡み合わせる急速硬化プロセスを実行する。
【0114】
いずれかのプロセスにおいて、いずれか又は両方の布シートの表面は、例えば、プラズマ、コロナ、及び/又はUV-Cによって上述したように組成物を適用する前に前処理されていてもよい。
【0115】
「プラズマ」という用語には、密度及び温度が桁違いに変動する多くのシステムが含まれる。一部のプラズマは熱く、それらの全ての微視的種(イオン、電子等)はほぼ熱平衡状態にあり、そのシステムへのエネルギー入力は原子/電子レベルの衝突によって広範に分配される。しかしながら、他のプラズマは、特に衝突が比較的頻繁である低圧(例えば、100Pa程度)でのものであり、広く異なる温度でそれらの構成種を有し、「非熱平衡」プラズマと呼ばれる。これらの非熱平衡プラズマでは、自由電子は、数千ケルビンの温度を有する一方、中性種及びイオン種は、低温のままである。自由電子の質量はごくわずかであるので、システムの合計熱含量は低く、プラズマはほぼ室温で動作し、そのため、例えばプラスチック又はポリマーのような温度に敏感な材料を、それらを損なう熱負荷をその基材にかけることなく処理することが可能である。しかし、熱い電子は高エネルギー衝突によって、非常に高い化学反応性及び物理的反応性をもたらすことができる高い化学ポテンシャルエネルギーを有するラジカル及び励起種の豊かな源を作り出す。それは、非熱プラズマを表面処理のための有用なツールにする低温動作と高い反応性とのこの組み合わせである。
【0116】
本場合において、基材は、表面を外部から適用されるエネルギーの形態によって活性化されたガス状状態に曝露することによって「プラズマ処理」され得、プラズマジェット、誘電バリア放電、低圧グロー放電、大気グロー放電処理、及び液体前駆体プラズマが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
「コロナ処理」は、表面を局所的に強い電界に曝露すること、すなわち、点、エッジ、及び/又はワイヤ源を使用して生成された不均一な電場を、コロナ放電システムとして従来記載することを意味する。コロナ放電システムは、典型的には周囲空気で動作し、酸化的堆積環境をもたらす。コロナ放電システムの設計は、局所的に強い放電を生成するようなものであり、これはプロセスチャンバ全体のエネルギー密度の変動をもたらす。
【0118】
本明細書の膨張可能な物品は、本明細書の組成物を使用して一緒に接着される前に布シートを前処理しないように主に設計されているが、布シートは、エラストマーコーティングを適用することによってガス漏れに対して不透過性にし得るため、前述の組成物を使用した2つのシートのコーティングとそれらの間の接着剤との組み合わせは、インフレータからのガスが層間から漏出しないように、一緒にシールとして機能することができるように、布シートをガス漏れに対して不透過性にすることができる。シートは、種々のエラストマーコーティング、例えば、シリコーン組成物、アクリル、ポリウレタン、又は他の好適な材料でコーティングされ得る。コーティングは、布シートの織糸(又は繊維)間に形成された開口部(又は空隙)を充填して、エアバッグの展開中に、高圧膨張ガスが織布パネルの孔を通って逃げることを防止又は実質的に低減することができる。適用される場合、コーティングは、エアバッグパネルの両側に適用され得るか、又は片側のみに選択的に適用され得る。好ましくは、存在する場合、コーティングは、その高い耐熱性、低ガス透過性、及び高不燃性のために、好適な液体シリコーンゴムの形態である。コーティングされたエアバッグは一般に、気密性が改善されている。
【0119】
適用される場合、コーティングは、任意の所望のプロセス、例えば噴霧、グラビアコーティング、バーコーティング、ナイフオーバーローラによるコーティング、ナイフオーバーエア、パディング、浸漬、及びスクリーン印刷によって適用され得る。そのようなコーティングは、概ね、少なくとも10g/m2、好ましくは少なくとも15g/m2のコート重量で適用され、最大100又は150g/m2で適用され得る。
【0120】
布は、好ましくは織布、特に平織り布であるが、例えば、ニット又は不織布であり得る。布は、合成繊維又は天然繊維と合成繊維とのブレンド、例えば、ナイロン-6,6などのポリアミド繊維、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル綿、又はガラス繊維から作製され得る。エアバッグ生地として使用するために、生地は、比較的小さな容積に折り畳むことができるが、また例えば爆薬装填の影響下で、高速での展開に耐えるのに十分に強い。
【実施例】
【0121】
以下の実施例では、全ての粘度は、スピンドル(LV-4)を使用し、ポリマー粘度に従って速度を適合させるBrookfield(登録商標)回転粘度計を使用して測定した。特に明記しない限り、全ての粘度測定値は、25℃で取得した。
【0122】
【0123】
マスターバッチ1は、68.7%のポリマー1及び31.3%の処理シリカを含む。
【0124】
【0125】
上記の表1bに示された添加剤1は、米国特許第7429636号に記載されたプロセスに従って調製された成分(D)構造の混合物であり、[Y]がポリジメチルシロキサン鎖である構造を有する分子の大部分(例えば、約57.5~62%)を含み、dは1であり、eは0であり、mは2であり、aは1であり、直鎖中のシリコンの数(以下の構造ではn+2)は平均約7であり、各環状シロキサンは8員環であり、X基が、各環状シロキサンの環に元々位置付けられたSi-H基のいずれかを置き換えることができるため、混合物の主原料は、以下の構造であってもよいが、必ずしもそうであるとは限らない:-。
【0126】
【化6】
残りは、構造中の環状シロキサンDが10員環(約35~40%)であり、残り(約>0~5%)が構造中の環状シロキサンDが12員環であった類似分子の混合物である。添加する総量は、最大100%である
【0127】
硬化したスラブの物理的特性
接着剤組成物セクションで指定された配合物を使用して、物理的特性を測定するためのスラブを調製した。上記の表1に示す組成物のそれぞれのパートA及びパートBをスピードミキサーを使用して1:1の重量比で混合し、各試料のスラブを調製し、次いで150℃で5分間硬化させた。次いで、以下の表2に示されるように、物理的特性を決定した。伸び及び弾性率の結果は、DIN S2ダイを使用して試験片(ASTM D412-98A)を硬化させ、ショアA硬度は、(ASTM D2240-97)に従って決定した。引裂強度は、ASTM D264に従って測定した。
【0128】
【0129】
積層体を180度で剥離することによる引き裂きを伴うピーク接着強度を評価する目的で、上述の添加剤を含む本明細書で前述の組成物を使用して、布シートの積層体を調製した。ピーク接着強度と同様に、試験の完了時に新たに露出した表面を検査し、凝集破壊パーセントを推定することによって決定された凝集破壊パーセントの推定を報告する。使用した方法論は、ASTM D 413-98に基づいており、機械速度、試料幅、及び試料厚さが以下のように異なった。
【0130】
布を横糸方向(約12インチ)に沿って、次いで縦方向(約16インチ)に切断して、基材シート(寸法12インチ(30.48cm)×16インチ(40.64cm))を得た。使用した全ての基材をオーブンで1分間、150℃で予備乾燥させた。次いで、布を取り出し、ワークベンチ上に置いた。チェイスモールドは、横糸方向の布を横切って真っ直ぐに位置付けられるように整列させた(この研究で使用されたチェイスは、1.16mmの深さ[厚さ約1mmの接着剤ラインにつながる、及び更に深さ0.65mm[約0.5mm厚の接着剤ラインにつながる]、及び1.68mmの深さ[約1.5mm厚の接着剤ラインにつながる]を有し、全ての内部寸法は、10mmx10インチである)。パートA及びパートB組成物を、スピードミキサーで1:1の重量比で混合した。
【0131】
プラスチックスパチュラを使用して、チェイスを接着剤で充填した。チェイスを取り外し、それぞれの基材の第2の片を試料ビーズの上に置いた。次いで、スチロフォームローラを使用してビーズを穏やかに湿潤させた。次いで、試料を150℃のオーブンで5分間硬化させた。
【0132】
下で見られるように、いくつかの基材試料を、使用前にプラズマ処理した。基材シートがオーブン処理された後に、プラズマ処理を行った。プラズマ処理された試料の場合、プラズマ処理ラインの中心で布にマークを作成し、ただし、接着剤が適用されることになる場所にはマークを作製しなかった。速度を125mm/秒に設定したPlasmatreat製のFG3001プラズマ発生器を使用して、布の底部片をプラズマ処理した。ロボット座標は、x=82.24mm、y=13.76mm、z=117mmで設定し、これらの座標は、プラズマ処理ヘッドから布への7mmのギャップをもたらす)。処理後、上記のプロセスに従って試料を適用した。第2の基材シートをプラズマ処理し、プラズマ処理された表面をシーラントビーズに向けて適用した。次いで、試料を上記のように硬化させた。
【0133】
分析が実行されるまで、試料を室温で約20時間静置した。4つの試料を各試験片から切断し、これは10インチのシームからなった。試験片の外側1インチ(2.54cm)を廃棄し、4つの2インチ(5.08cm)の試料を切断した。次いで、布の長さを各試料で約6インチ(15.24cm)に切断した。各試料の厚さを測定した。これは、試料構造全体の幅から2つの布片の幅を差し引くことによって行った。
【0134】
ピーク接着強度と同様に積層体を180度で剥離することによる引き裂きを伴うピーク接着強度、試験の完了時に新たに露出した表面を検査し、凝集破壊パーセントを推定することによって決定された、凝集破壊パーセントの推定値を報告する。これらは、上述のように硬化直後に着手した。
【0135】
ピーク荷重/幅試料の場合、MTS Alliance RF/100引張試験機を使用して試験した。接着試験片を試料ホルダに入れ、クロスヘッド速度を8インチ/分(200mm/分)に設定し、ピーク荷重/幅を決定した。以下の表に提供された結果は、4つのデータポイントの平均であった。
【0136】
凝集破壊測定の場合、これは、凝集破壊パーセントについて試料を引っ張ったピーク荷重/幅を分析することによって達成された。2×10グリッド(4mm×4mm四角)を含有するテンプレートを、引っ張られたシームの中心に配置し、シームの各側面で約5mmを無視し、上部及び底部で2mmを無視した。各正方形は、5%の面積を表す。各試料について凝集破壊パーセントを決定し、次いで、4つの複製の各々で平均を取得した。デジタルキャリパを使用して、シームの厚さを決定した。最初に、シームの厚さ全体を測定した。布基材の厚さをシームの厚さ全体から差し引いて、その値が以下の表で示す接着層の厚さを得た。
【0137】
ポリエステルの結果。470 DTEX基材を表3aに示す。
【0138】
【0139】
添加剤又はジルコネートが存在しない対照試験は、接着を達成しなかったが、表3の他の例は、接着を達成し、本明細書の開示によるピーク荷重/幅は、少なくとも0.9mmのシームの厚さを有する組成物について得られたことが理解されよう。また、少なくとも0.9mmのシームの厚さを有する結果では、凝集破壊%の結果が改善されたことも留意されたい。
【0140】
【0141】
室温で硬化する場合、接着は達成されなかったことが見出された。0.5mmのシームの厚さは、許容可能なピーク荷重/幅につながるが、凝集破壊よりも接着破壊が多い。後者は、150℃の温度で硬化したときに1mmのシームの厚さを有することによって改善された。また、少なくとも3分間硬化させることは、典型的には5分で良好な結果をもたらすことも見出された。試料を150℃又は180℃で5分間硬化させる場合、プラズマ処理された布で接着が得られる。
【0142】
ポリエステル基材上の表3aで得られたように、以下の表4aに見られるように、ナイロン66基材上で同様の結果が達成された。
【0143】
【0144】
以前に示したように、いかなる添加剤(D)も含有しない対照試料は、接着しない。例えば、プラズマ活性化によって、使用前に基材を活性化することが好ましい。少なくとも0.9mmのシームシールで、特に120℃を超える温度で硬化した場合、特に約150℃の添加剤で少なくとも3分、好ましくは5分以上硬化した場合に、はるかに良好な凝集破壊が生じることが見出された。上記の場合のように、表3bに示される試験を、表1bに実施例5として示される配合物を使用してナイロン基材に対して繰り返した。結果を以下の表4bに示す。
【0145】
【0146】
室温で硬化する場合、接着は達成されなかった。0.5mmのシームの厚さでは十分な結果が提供されることはめったになく、少なくとも0.9mmの厚さのシールでは、一般に凝集破壊よりも接着破壊が多く、ピーク荷重/幅の結果が優れていることが分かった。同様に、3分未満の短い硬化時間は一般に、良好な十分なピーク荷重/幅の結果を与えないことが見出された。例えば、試料を150℃~190℃の温度で5分硬化させたときに、プラズマ処理された布上での接着について良好な結果が達成された。
【0147】
ピーク荷重/幅(kN/m)及び凝集破壊についての上記の試験を、実施例5の配合を使用して繰り返したが、添加剤1を、国際出願第US19/064350号に記載されたプロセスに従い調製された成分(D)構造の混合物である無水物添加剤(添加剤2)に置き換え、[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が6~7であり、各Xが無水物含有基であり、各環状シロキサンDが8員環である構造を有する大部分の分子(例えば、約51~55%)を含み、X基が、各環状シロキサンの環に元々位置付けられたSi-H基のいずれかを置き換えることができるため、混合物の主原料は、以下の構造であってもよいが、必ずしもそうであるとは限らない。
【0148】
【0149】
残りは、構造中の環状シロキサンが10員環(約40~45%)であり、残り(約>0~5%)が12員環を有する環状シロキサンであった類似分子の混合物である。最大100%を添加する総量
組成物を150℃で5分間硬化させ、シームの厚さは、1mmであった。結果を以下の表5a(ポリエステル)及び5d(ナイロン66)に提示する。
【0150】
【0151】
プラズマ処理なしで、Xの無水物バージョンで接着が達成されたことが分かる。
【0152】
添加剤2及び添加剤3及び4を使用して同じ試験も行い、これは、エポキシ基を含む2つの更なる化合物であった。-
国際出願第US19/064350号に記載のプロセスに従って調製された成分(D)構造の混合物であった添加剤3では、[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が6~7であり、各環状シロキサンDが8員環であり、各Xがエポキシ含有基である構造を有する大部分の分子(例えば、約51~55%)を含み、X基が、各環状シロキサンの環に元々位置付けられたSi-H基のいずれかを置き換えることができるため、混合物の主原料は、以下の構造であってもよいが、必ずしもそうであるとは限らない
【0153】
【0154】
残りは、構造中の環状シロキサンが10員環(約40~45%)であり、残り(約>0~5%)が12員環であった類似分子の混合物である。添加する総量は、最大100%である。
【0155】
添加剤4も、国際出願第US19/064350号に記載のプロセスに従って調製された成分(D)構造の混合物であり、添加剤3と同等の構造の分子の大部分(約51~55%)を含み、1つの違いは、mが1であり、aが2であり、添加剤3の2とは対照的に4つのエポキシ基を含有していたので、混合物の主原料は、以下の構造かであってもよいが、必ずしもそうであるとは限らない。
【0156】
【0157】
添加剤4の残りは、構造中の環状シロキサンDが10員環(約40~45%)及び残り(約>0~5%)であった類似分子の混合物である。最大100%を添加する総量。
【0158】
実施例5のパートB組成物中の添加剤2~4を使用した結果は、以下の結果を与えた。
【0159】
【0160】
基材上のプラズマ処理の有無にかかわらず、無水物で接着が達成されたことが分かる。両方のエポキシドを使用して、ナイロンで同様の結果を得た。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能な物品であって、
第1の布シート及びその上に重ね合わされた第2の布シートと、
硬化シリコーン接着剤であって、バッグ様構造が作成されるように、前記第1の布シートと前記第2の布シートとの間に非縫合シーム結合を形成し、前記結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、硬化シリコーン接着剤と、を備え、前記硬化シリコーン接着剤が、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、硬化性シリコーンエラストマー組成物のエラストマー製品であることを特徴とする、膨張可能な物品。
【請求項2】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分(D)が、以下の式の1つ以上のオルガノポリシロキサンを含み、
D(Z)
d-(O)
e-[Y]-(SiR
3
2-Z)
d D
式中、各D基が、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基が、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xが、無水物又はエポキシド官能性を含有する基であり、ここで、mが、少なくとも1の整数であり、aが、少なくとも1の整数であり、
[Y]が、構造[SiPhR
3O]
n、(SiR
3
2O)
n、又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phが、フェニル基であり、Zが、2~10個、あるいは2~6個の炭素を有するアルキレン基であり、nが、2~20の整数であり、d=e=0又は1であり、
d+e=1であり、d=1の場合、[Y]が、(SiR
3
2O)
nである、請求項1に記載の膨張可能な物品。
【請求項3】
成分Dが、以下:
[Y]がポリジメチルシロキサン鎖であり、dが1であり、eがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能基を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xが無水物官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが1であり、aが2であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
のうちの1つ以上から選択される化合物であるか、又はそれを含む、請求項2に記載の膨張可能な物品。
【請求項4】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物が、ジルコネート及び/又はチタネートを更に含む、請求項1、2、又は3に記載の膨張可能な物品。
【請求項5】
前記物品が、エアバッグである、請求項1に記載の膨張可能な物品。
【請求項6】
前記エアバッグが、コーティングされていないエアバッグである、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
膨張可能な物品を作製するためのプロセスであって、
第1の布シートの周縁部の周囲に、硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを適用することであって、前記硬化性シリコーンエラストマー組成物が、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、適用することと、
(ii)前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の前記第1のビーズを第2の布シートの表面と接触させることと、
(iii)前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の硬化シリコーンエラストマー製品を含む非縫合シームを形成し、それによって、前記第1の布シートを非縫合シームを通して前記布シートに接着させることと、を含み、得られた非縫合シーム結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、プロセス。
【請求項8】
膨張可能な物品を作製するためのプロセスであって、
第1の布シートの周縁部の周囲に、硬化性シリコーンエラストマー組成物の第1のビーズを適用することであって、前記硬化性シリコーンエラストマー組成物が、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、適用することと、
(ii)第2の布シートの周縁部の周囲に、前述のように、硬化性シリコーンエラストマー組成物の第2のビーズを適用することと、
(iii)前記第1のビーズの第1の露出表面と前記第2のビーズの第2の露出表面とを接触させて、1つのビーズを形成することと、
(iv)前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の硬化シリコーンエラストマー製品を含む非縫合シームを形成し、それによって、前記第1の布シートを非縫合シームを通して前記第2の布シートに接着させることと、を含み、得られた非縫合シーム結合が、少なくとも3.5kN/mのピーク荷重/幅を有する、プロセス。
【請求項9】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分(D)が、以下の構造を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンを含み、
D(Z)
d-(O)
e-[Y]-(SiR
3
2-Z)
d D
式中、各D基が、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基が、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xが、無水物又はエポキシド官能性を含有する基であり、ここで、mが、少なくとも1の整数であり、aが、少なくとも1の整数であり、
[Y]が、構造[SiPhR
3O]
n、(SiR
3
2O)
n、又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phが、フェニル基であり、Zが、2~10個、あるいは2~6個の炭素を有するアルキレン基であり、nが、2~20の整数であり、d=e=0又は1であり、
d+e=1であり、d=1の場合、[Y]が、(SiR
3
2O)
nである、請求項7に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項10】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分(D)が、以下の構造を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンを含み、
D(Z)
d-(O)
e-[Y]-(SiR
3
2-Z)
d D
式中、各D基が、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基が、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xが、無水物又はエポキシド官能性を含有する基であり、ここで、mが、少なくとも1の整数であり、aが、少なくとも1の整数であり、
[Y]が、構造[SiPhR
3O]
n、(SiR
3
2O)
n、又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phが、フェニル基であり、Zが、2~10個、あるいは2~6個の炭素を有するアルキレン基であり、nが、2~20の整数であり、d=e=0又は1であり、
d+e=1であり、d=1の場合、[Y]が、(SiR
3
2O)
nである、請求項8に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項11】
成分(D)が、以下:
[Y]がポリジメチルシロキサン鎖であり、dが1であり、eがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能基を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xが無水物官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが1であり、aが2であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
のうちの1つ以上から選択される化合物であるか、又はそれを含む、請求項9又は10に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項12】
前記組成物が、ジルコネート及び/又はチタネートを更に含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項13】
前記膨張可能な物品が、エアバッグである、請求項7~10のいずれか一項に記載の膨張可能な物品を作製するためのプロセス。
【請求項14】
前記布シートが、プラズマ、コロナ、及び/又はUV-Cによって前記組成物を適用する前に活性化される、請求項7~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
膨張可能な物品のシームシーラントとしての、硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用であって、前記硬化性シリコーンエラストマー組成物が、
(A)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有し、かつ25℃で1000mPa・s~500,000mPa・sの範囲の粘度を有する、1つ以上のオルガノポリシロキサンと、
(B)硬化剤であって、
(B)(i)有機過酸化物ラジカル開始剤、又は
(B)(ii)ヒドロシリル化硬化触媒パッケージであって、
a.1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのSi-H基を有する有機ケイ素化合物、及び
b.ヒドロシリル化触媒を含む、ヒドロシリル化硬化触媒パッケージを含む、硬化剤と、
(C)少なくとも1つの補強充填剤及び任意選択で1つ以上の非補強充填剤と、
(D)1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つのSi-H基、並びに無水物基及びエポキシ基から選択される1分子当たり少なくとも1つ、あるいは少なくとも2つの官能基を含む、1つ以上のオルガノポリシロキサン系添加剤と、を含む、硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用。
【請求項16】
前記硬化性シリコーンエラストマー組成物の成分(D)が、以下の構造を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンを含み、
D(Z)
d-(O)
e-[Y]-(SiR
3
2-Z)
d D
式中、各D基が、以下の構造の環状シロキサンであり、
[(O-Si(-)R
3)(OSiR
3H)
m(OSiR
3X)
a]
式中、各R
3基が、1~6個の炭素を含有するアルキル基であり、各Xが、無水物又はエポキシド官能性を含有する基であり、ここで、mが、少なくとも1の整数であり、aが、少なくとも1の整数であり、
[Y]が、構造[SiPhR
3O]
n、(SiR
3
2O)
n、又は[SiPh
2O]
nの直鎖状シロキサン基であり、
式中、Phが、フェニル基であり、Zが、2~10個、あるいは2~6個の炭素を有するアルキレン基であり、nが、2~20の整数であり、d=e=0又は1であり、
d+e=1であり、d=1の場合、[Y]が、(SiR
3
2O)
nである、請求項15に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用。
【請求項17】
成分(D)が、以下:
[Y]がポリジメチルシロキサン鎖であり、dが1であり、eがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能基を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xが無水物官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが2であり、aが1であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
[Y]がポリメチルフェニルシロキサン鎖であり、eが1であり、dがゼロであり、mが1であり、aが2であり、nの値が平均で4~10であり、Xがエポキシ官能性を含む、化合物、
のうちの1つ以上から選択される化合物であるか、又はそれを含む、請求項15又は16に記載の硬化性シリコーンエラストマー組成物の使用。
【国際調査報告】