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  • 特表-常磁性シェルと磁石を備えた機械 図1
  • 特表-常磁性シェルと磁石を備えた機械 図2A
  • 特表-常磁性シェルと磁石を備えた機械 図2B
  • 特表-常磁性シェルと磁石を備えた機械 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】常磁性シェルと磁石を備えた機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2706 20220101AFI20230724BHJP
【FI】
H02K1/2706
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578813
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 US2020041378
(87)【国際公開番号】W WO2022010482
(87)【国際公開日】2022-01-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】チルコート,サデューズ
(72)【発明者】
【氏名】グロタ,スティーブン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】テリアー,ジェームズ
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA06
5H622CA01
5H622CA05
5H622DD02
5H622PP01
5H622PP05
5H622PP18
(57)【要約】
機械が、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を含む。ロータは、常磁性シェルを備えたシャフトを含む。シェルは内部に空洞を画定し、その空洞内に配置された磁石がある。磁石は、空洞に対して相補的な形状をしており、それにより磁石と常磁性シェルとが回転的に連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに対して回転可能なロータと、
を備え、
前記ロータが、
内部に空洞を画定する常磁性シェルと、
前記空洞内に少なくとも部分的に配置された磁石であって、前記磁石と前記常磁性シェルとが回転的に連結されるように、前記空洞に対して相補的な形状である、磁石と、
を有するシャフトを備えた、機械。
【請求項2】
前記常磁性シェルが、チタン基合金またはアルミニウム基合金から選択されることを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記シャフトが、前記常磁性シェルから延在する細長いステム部を含み、前記常磁性シェルは、第1の外径を画定し、前記細長いステム部は、前記第1の外径より小さい第2の外径を画定することを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項4】
前記細長いステム部と前記常磁性シェルとが一体構造であることを特徴とする請求項3に記載の機械。
【請求項5】
前記シャフトが、前記磁石を前記空洞内に封入するキャップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項6】
前記磁石が、少なくとも1つの平らな側面を含むことを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項7】
前記磁石が、第1および第2の平行で平らな側面を含むことを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項8】
前記磁石および前記空洞は、一致する断面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項9】
前記磁石および前記空洞は、一致する競技場形の断面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項10】
前記磁石が中心ボアを含むことを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項11】
前記ロータが配置されるハウジングと、前記シャフトに連結されるインペラとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の機械。
【請求項12】
機械のロータであって、
内部に空洞を画定する常磁性シェルと、前記空洞内に配置された磁石と、を有するシャフト備え、前記磁石と前記常磁性シェルとが回転的に連結されるように、前記磁石が前記空洞と相補的な形状を有する、ロータ。
【請求項13】
前記常磁性シェルが、チタン基合金またはアルミニウム基合金から選択されることを特徴とする請求項12に記載のロータ。
【請求項14】
前記シャフトが、前記常磁性シェルから延在する細長いステム部を含み、前記常磁性シェルは第1の外径を画定し、前記細長いステム部は、前記第1の外径より小さい第2の外径を画定することを特徴とする請求項13に記載のロータ。
【請求項15】
前記磁石および前記空洞は、一致する断面形状を有することを特徴とする請求項14に記載のロータ。
【請求項16】
前記細長いステム部と前記常磁性シェルとが一体構造であることを特徴とする請求項15に記載のロータ。
【請求項17】
前記磁石を前記空洞内に封入するキャップをさらに備えることを特徴とする請求項16に記載のロータ。
【請求項18】
前記磁石が、第1および第2の平行で平らな側面を含むことを特徴とする請求項17に記載のロータ。
【請求項19】
ステータと、
シャフトを含んだロータであって、
内部に空洞を画定する常磁性金属合金シェルと、
前記空洞内に配置された磁石であって、前記ステータが前記磁石を励磁すると、前記磁石の回転エネルギーが前記常磁性金属合金シェルに伝達されて前記ロータを回転させるように、前記常磁性金属合金シェルと回転的に連結される、磁石と、
を有するシャフトを含んだ、ロータと、
を備えた、機械。
【請求項20】
前記磁石と前記空洞とが一致する断面形状を有し、前記常磁性金属合金シェルが、チタン基合金またはアルミニウム基合金から選択されることを特徴とする請求項19に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ターボ機械はよく知られており、ポンプなどのさまざまな用途で使用されている。ターボ機械の一つの種類は、ロータを回転駆動するために電気的に励磁することが可能なステータを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示の例示的な態様による機械は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を含む。ロータは、内部に空洞を画定する常磁性シェルと、少なくとも部分的に空洞内に配置された磁石と、を有するシャフトを含む。磁石は、その磁石と常磁性シェルとが回転的に連結されるように、空洞に対して相補的な形状を有する。
【0003】
前述の機械のさらなる実施形態では、常磁性シェルは、チタン基合金またはアルミニウム基合金から選択される。
【0004】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、シャフトは、常磁性シェルから延在する細長いステム部を含む。常磁性シェルは第1の外径を画定し、細長いステム部は第1の外径より小さい第2の外径を画定する。
【0005】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、細長いステム部および常磁性シェルは一体構造である。
【0006】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、シャフトは、磁石を空洞内に封入するキャップをさらに含む。
【0007】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、磁石は、少なくとも1つの平らな側面(flat side)を含む。
【0008】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、磁石は、第1および第2の平行で平らな側面を含む。
【0009】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、磁石および空洞は、一致する断面形状を有する。
【0010】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、磁石および空洞は、一致する競技場(stadium)形の断面形状を有する。
【0011】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、磁石は中心ボアを含む。
【0012】
前述の機械のいずれかのさらなる実施形態では、機械は、ロータが配置されるハウジングと、シャフトに連結されるインペラと、を含む。
【0013】
本開示の別の例示的な態様による機械のロータが、内部に空洞を画定する常磁性シェルと、空洞内に配置された磁石と、を有するシャフトを含む。磁石は、その磁石と常磁性シェルとが回転的に連結されるように、空洞に対して相補的な形状を有する。
【0014】
前述のロータのさらなる実施形態では、常磁性シェルは、チタン基合金またはアルミニウム基合金から選択される。
【0015】
前述のロータのいずれかのさらなる実施形態では、シャフトは、常磁性シェルから延在する細長いステム部を含む。常磁性シェルは、第1の外径を画定し、細長いステム部は、第1の外径より小さい第2の外径を画定する。
【0016】
前述のロータのいずれかのさらなる実施形態では、磁石および空洞は、一致する断面形状を有する。
【0017】
前述のロータのいずれかのさらなる実施形態では、細長いステム部および常磁性シェルは、一体構造である。
【0018】
前述のロータのいずれかのさらなる実施形態では、ロータは、磁石を空洞内に封入するキャップを含む。
【0019】
前述のロータのいずれかのさらなる実施形態では、磁石は、第1および第2の平行で平らな側面を含む。
【0020】
本開示の別の例示的な態様による機械は、ステータと、内部に空洞を画定する常磁性金属合金シェルおよびその空洞内に配置された磁石を有するシャフトを含んだ、ロータと、を含む。磁石は、常磁性金属合金シェルと回転的に連結され、それにより、ステータがその磁石を励磁すると、磁石の回転エネルギーが常磁性金属合金シェルに伝達されて、ロータを回転させる。
【0021】
前述の機械のさらなる実施形態では、磁石と空洞とが一致する断面形状を有し、常磁性金属合金シェルは、チタン基合金またはアルミニウム基合金から選択される。
【0022】
本開示の様々な特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。詳細な説明に付随する図面は、次のように簡単に説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ターボ機械を示す図である。
図2A】ターボ機械のシャフトの断面図である。
図2B】シャフトの拡大図である。
図3】シャフトの空洞への軸方向の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、例示的な機械20を概略的に示す。この例では、機械20はポンプであるが、ポンプに加えて、本明細書の例はその他の種類の機械にも適用できることを理解されたい。
【0025】
一般に、機械20は、ステータ24およびロータ26が取り付けられた外側ハウジング22を含む。ステータ24は、ロータ26の回転軸である軸Aの周りに固定される。ロータ26は、シャフト28および磁石30から構成される。シャフトは、ベアリング(図示せず)上に支持され得る。磁石30は、希土類磁石などの永久磁石である。インペラ32が、シャフト30と一緒に回転するようにシャフト30に連結されている。ステータ24は、磁石30を回転的に励磁(energize)し、それによりシャフト28およびインペラ32を回転させるように電流によって励磁されるコイルを含む。システムは、電流を生成するために、インペラがタービンによって置き換えられ、磁石が、ステータ内のコイルを励磁するように逆にされてもよい。
【0026】
図2Aは、ロータ26の一例の断面図を示し、図2Bは、ロータ26の拡大図を示す。ロータ26のシャフト28は、細長いステム部34と、常磁性シェル36と、キャップ38と、を含む。図示のように、シャフト28は、冷却剤を搬送するために使用できる中心ボアを含むが、中実設計およびドローボルト(draw bolt)設計も考えられる。ステム部34は、常磁性シェル36と比較して直径が比較的小さい。常磁性シェル36は、第1の外径D1を画定し、細長いステム部34は、第1の外径D1より小さい第2の外径D2を画定する。
【0027】
この例では、常磁性シェル36およびステム部34は単一部品構成であり、これは、複数部品構成と比較して、強度の向上および性能変動の低減を容易にすることができる。例えば、常磁性シェル36およびステム部34はモノリシック体である。モノリシック体は、ジョイントで結合、固定、または融合された機能部品の集まりとは対照的に、単一の連続した部品である。例えば、モノリシック体は、鋳造、付加製造、および/または機械加工によって形成することができる。常磁性シェル36およびステム部34は、チタン基合金またはアルミニウム基合金などの常磁性合金で形成されるが、これらに限定されない。
【0028】
常磁性シェル36は、その中に空洞40を画定する。空洞40は、軸方向壁40aおよび半径方向壁40bによって境界付けられる。反対側の軸方向側は、キャップ38によって境界付けられる。軸方向壁40a、半径方向壁40b、およびキャップ38は共に、空洞40の形状を画定する。任意選択的に、空洞40内への作動流体の浸透が望ましくない場合は、空洞40を気密封止するために、キャップ38の周囲にシールを設けてもよい。
【0029】
空洞40内の軸方向図を示す図3も参照する。磁石30が空洞40内に配置される。磁石30は、磁石30および常磁性シェル36が回転的に連結(rotationally interlocked)されるように空洞40に対して相補的な形状である。「相補的」という用語は、磁石30が制限された自由運動で空洞40にぴったりと適合するような形状であることを意味する。例えば、磁石30の形状は、磁石30の外面の実質的にすべてが壁40a/40bおよびキャップ38に当接するように、空洞40の形状と一致し得る。公差および嵌合のための比較的小さな隙間が設けられてもよい。図示の例では、磁石30は空洞40内で「自由に浮遊」しており、壁40a/40bおよびキャップ38によって提供される境界によってのみ適所に固定されている。この点に関し、キャップ38は、磁石が空洞40内に取り付けられた後、磁石30を捕捉するための軸方向の保持に役立つ。さらなる例では、磁石30を空洞40内に保持するのを容易にするために、1つまたは複数の固定機構が使用される。例えば、別のタイボルトを使用して磁石30を固定してもよく、かつ/または、常磁性シェル40が、ねじ山などのこれに限定されない固定特徴部を有してもよい。
【0030】
図示のように、空洞40および磁石30は、それぞれ44aおよび44bで表される一致する競技場(stadium)形の断面形状を有する。競技場形の断面形状は、半円などの湾曲した端部で結合された2つの平らな、平行な、または実質的に平行な側面を有する。別の例では、磁石30は少なくとも1つの平らな側面(flat side)を有する。空洞40および磁石30の形状は、それらが相補的な形状であり、回転的に連結される限り、変更されてもよい。その他の形状の例として、卵形および長方形が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
機械20の作動中、ステータ24は、磁石30を励磁するために励磁される。これに応じて、磁石30は、軸Aを中心に回転する。磁石30と常磁性シェル36との回転的な連結(rotational interlocking)により、磁石30の回転エネルギーは、常磁性シェル36にトルクを与え、それによりロータ26(およびインペラ32)の回転を引き起こす。例えば、常磁性シェル36は、シャフト28の曲げ荷重に反応し、ステータ24の電場相互作用により磁石30のトルクを伝達し、回転アセンブリの曲げ荷重に反応するので、磁石30は、常磁性シェル36に伝達されるトルク接触荷重のみを主に見る。
【0032】
常磁性シェル36は、ステータ24と磁石30との間に配置され、したがって、ステータ24によって生成される磁場内にある。しかしながら、シェル36の常磁性特性は、磁気干渉および渦電流による損失を制限することを容易にする。さらに、常磁性シェル36は、干渉をさらに低減するために比較的薄くすることができる。一例として、常磁性シェル36は、その最も薄いところで、約0.5ミリメートル未満から約7ミリメートルまでの壁厚を有する。実際に選択される厚さは、材料、用途の要件、速度とサイズに起因する応力、および電界強度を考慮に入れうる。さらに、Ti-6Al-4Vなどのこれに限定されないチタンベースの合金も、幅広い動作温度にわたる良好な強度、水素脆化に対する耐性、および液体水素または液体酸素に曝される極低温での良好な性能を提供することができる。
【0033】
図示の例には特徴の組み合わせが示されているが、本開示の様々な実施形態の利点を実現するためにそれらの全てを組み合わせる必要はない。言い換えれば、本開示の一実施形態に従って設計されたシステムは、必ずしも、図面のいずれか1つに示される特徴の全て、または図面に概略的に示される部分の全てを含むとは限らない。さらに、1つの例示的な実施形態の選択された特徴は、他の例示的な実施形態の選択された特徴と組み合わせることができる。
【0034】
前述の説明は、本質的に限定ではなく例示的なものである。開示された例に対する変形および修正が、必ずしも本開示から逸脱するものではないことが当業者に明らかとなるであろう。本開示に与えられる法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定することができる。
図1
図2A
図2B
図3
【国際調査報告】