(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】メカニカルジョイント用保護ベローズ
(51)【国際特許分類】
F16J 15/00 20060101AFI20230724BHJP
F16J 15/52 20060101ALI20230724BHJP
F16J 3/04 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
F16J15/00 E
F16J15/52 Z
F16J3/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579897
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021066884
(87)【国際公開番号】W WO2021259879
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】フェンドラー マヌエル
【テーマコード(参考)】
3J043
3J045
【Fターム(参考)】
3J043AA03
3J043DA08
3J043FB10
3J045AA13
3J045CB03
3J045EA03
(57)【要約】
メカニカルジョイント用保護ベローズに関する発明である。メカニカルジョイント(A)を覆うためのベローズ(1)であって、長手方向軸(Z)の周りに延びる円筒形かつ波型である側壁を含み、側壁は以下を含む:- 波型(2
n)を形成し、交互に並ぶ複数の山型(4
n)と複数の谷型(3
n);- 側面(5
n、1、5
n、2)、山型と谷型の間に延びる側面(5
n、1、5
n、2)、各波型は、1つの同じ谷型(3
n)によって分離して対向する第1の側面(5
n、1)と第2の側面(5
n、2)とを備え; 1つの波型(2
n)に対応付けられる少なくとも1つの基本電気回路(8
n)、1つの波型に対応付けられる前記基本電気回路を含むことを特徴とするベローズ:-前記第1の側面(5
n、1)及び前記第2の側面(5
n、2)の少なくとも一方に沿って延びる第1の導電素子(6
n、1)と第2の導電素子(6
n、2)であって、前記第1の導電素子は、前記第2の導電素子から分離されている;-それぞれ前記第1の導電素子(6
n、1)及び前記第2の導電素子(6
n、2)に接続されている第1の導電性トラック(7
n、1)及び第2の導電性トラック(7
n、2); 基本電気回路はそれぞれ以下のようになる:- 前記第1の導電性トラックと、前記第2の導電性トラックとは、前記基本電気回路の閉鎖の検出器(9
n、9)に接続される、又は接続されるように構成されている。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカニカルジョイント(A)を覆うためのベローズ(1)であって、
長手方向軸(Z)の周りに延びる円筒形かつ波型である側壁(2)を含み、
前記側壁は以下を含む:
-複数の波型(2
n)を形成し、交互に並ぶ複数の山型(4
n)と複数の谷型(3
n)とを備え、各波型は1つの同じ谷型の両側に延びる2つの山型によって形成され、前記山型は前記谷型よりも前記長手方向軸に近い;
-前記山型と前記谷型の間に延びる側面(5
n、1、5
n、2)とを備え、各波型は、1つの同じ谷型(3
n)によって分離し、対向する第1の側面(5
n、1)と、第2の側面(5
n、2)とを備え;
2つの隣接した山型(4
n、4
n+1)、及び2つの隣接した谷型(3
n、3
n+1)の少なくとも1つが、前記長手方向軸に平行な方向において、互いに接近し、又は離隔して移動できるように、前記側壁(2)が柔軟であり、
前記ベローズは、1つの波型(2
n)に対応付けられる1つの基本電気回路(8
n)、又は、それぞれ異なる波型に対応付けられる複数の基本電気回路を含み、前記基本電気回路はそれぞれ以下を含むことを特徴とするベローズ:
-第1の導電素子(6
n、1)と第2の導電素子(6
n、2)とは、前記側壁の内面(2
i)に沿って前記波型の前記第1の側面(5
n、1)及び前記第2の側面(5
n、2)の少なくとも一方に沿って延びて、前記第1の導電素子は、前記第2の導電素子から分離されている;
-第1の導電性トラック(7
n、1)及び第2の導電性トラック(7
n、2)はそれぞれ前記第1の導電素子(6
n、1)及び前記第2の導電素子(6
n、2)に接続され;
前記基本電気回路はそれぞれ以下のようになる:
-前記第1の導電性トラックと、前記第2の導電性トラックとは、前記基本電気回路の閉鎖の検出器(9
n、9)に接続される、又は接続されるように構成されており、これによって、導電性液体(W)が第1の導電素子(6
n、1)から第2の導電素子(6
n、2)に広がった場合、前記基本電気回路の閉鎖が検出される、
ベローズ。
【請求項2】
1つの波型(2
n)に対応付けられる少なくとも1つの基本電気回路(8
n)は以下のようになる:
-前記第1の導電素子(6
n、1)は、前記波型の前記第1の側面(5
n、1)に沿って延び;
-前記第2の導電素子(6
n、2)は、前記第1の側面(5
n、1)の反対側にある前記波型の前記第2の側面(5
n、2)に沿って延び;
前記第2の導電素子、及び前記第1の導電素子は、前記波型の谷型(3
n)から0以外の距離(d
1、d
2)延びる、
請求項1に記載のベローズ。
【請求項3】
波型(2
n)に対応付けられる少なくとも1つの基本電気回路(8
n)において、前記第1の導電素子(6
n、1)、及び前記第2の導電素子(6
n、2)が、前記波型の同じ側面(5
n、1、5
n、2)に沿って延びる、
請求項1に記載のベローズ。
【請求項4】
各基本電気回路に接続された閉鎖検出器(9、9
n)は、以下を含む:
電流を前記基本電気回路に流し、前記基本電気回路の前記第1及び第2の導電性トラック(7
n、1、7
n、2)間の電位差を測定する;
又は、前記基本電気回路の前記第1及び第2の導電性トラック間の電位差を送信し、前記基本電気回路に流れる電流の強度を測定する;
先行する請求項のいずれか1項に記載のベローズ。
【請求項5】
複数の基本電気回路(8
n)を含み、2つの隣接する波型(2
n、2
n+1)の間に位置する少なくとも1つの山型(4
n)において、導電素子が前記山型の両側に延び、前記導電素子が以下を形成する:
-前記山型に隣接する波型(2
n+1)の第1の導電素子(6
1、n+1);
-前記山型に隣接する別の波型(2
n)の第2の導電素子(6
2、n);
先行する請求項のいずれか1項に記載のベローズ。
【請求項6】
前記基本電気回路(8
n)のそれぞれにおいて、
前記第1及び第2の導電性トラック(7
n、1、7
n、2)は前記側壁(2)の外面(2
e)から延び、
前記第1及び第2の導電性トラックと前記第1及び第2の導電素子との間の電気的な接続は、前記側壁(2)を通過して行われる、
先行する請求項のいずれか1項に記載のベローズ。
【請求項7】
前記電気的な接続は、容量結合によって前記側壁(2)を通過して行われる、
請求項6に記載のベローズ。
【請求項8】
少なくとも1つの基本電気回路(8
n)の前記第1及び第2の導電性トラック(7
n、1、7
n、2)は、少なくとも部分的に前記長手方向軸(Z)に沿って、側壁(2)によって区切れられた内部空間において、前記基本電気回路の閉鎖の検出器(9、9
n)まで延び、
前記基本電気回路の閉鎖の検出器が前記内部空間、又は前記内部空間の外部に位置している、
請求項1~5のいずれか1項に記載のベローズ。
【請求項9】
少なくとも1つの基本電気回路(8
n)の前記第1及び第2の導電性トラック(7
n、1、7
n、2)が、少なくとも部分的に側壁(2)によって区切れられた内部空間の外部から、前記基本電気回路の閉鎖の検出器(9、9
n)まで延び、後者が前記内部空間の外部に位置している、
請求項1~7のいずれか1項に記載のベローズ。
【請求項10】
側壁(2)が前記長手方向軸(Z)に沿って、2つの端の間に延び、
開口部(2
O)が前記長手方向軸(Z)の周りに各端部に形成されることにより、
コンポーネント(C
1、C
2)を前記ベローズ内に挿入させる、
先行する請求項のいずれか1項に記載のベローズ。
【請求項11】
先行する請求項のいずれか1項に記載のベローズ(1)の使用であって、
前記ベローズに少なくとも部分的に挿入され、かつ、互いに移動可能な2つのコンポーネント(C
1、C
2)の間における、ジョイント(A)を保護するためのベローズ(1)の使用。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載のベローズ(1)内の導電性液体の存在を検出する方法であって、以下のステップを含む方法:
-前記基本電気回路(8
n)の閉鎖の検出器(9、9
n)への前記第1及び第2の導電性トラック(7
n、1、7
n、2)の接続;
-前記基本電気回路(8
n)の閉鎖の検出器(9、9
n)が閉鎖を示す信号を生成した場合、アラート信号の生成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、特に車両などのメカニカルジョイントの保護装置として使用されることを目的とした保護ベローズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械装置では、保護ベローズの使用が標準となっており、保護ベローズは、例えば2つの可動部分の間のジョイントなど、傷付き易い感度が高いと考えられる機械的な部材の周囲に配置されることを意図している。ベローズの機能は、外部環境から機械的に隔離することによって、この部材の動作の信頼性(integrity)を保つことである。
【0003】
図1は、例えば、車両Cのステアリングメンバーを模式的に示す。これはステアリングコラムCDとリンクすることを意図しており、後者は、図示しないステアリングホイールによって回転作動することができる。ステアリングコラムCDはピニオンを備え、後者はラックCRと連係される。ラックとピニオンとの連係により、ステアリングコラムCDの回転運動を並進運動に変換することが可能である。各端で、ラックCRは、連結ジョイントによってタイロッドBに連結されている。各連結ジョイントは、ベローズ1
AAによって保護されている。後者は円筒状ベローズであり、ラックCRと各タイロッドBのそれぞれの端を覆っている。
【0004】
他の種類のジョイントは、例えばエンジンシャフトのジョイントのように、ベローズによって保護されることが可能であり、後者は車輪に牽引力を伝達することを目的としている。
【0005】
一般的に、2つの可動部分の間のジョイントを保護するためにベローズが使用され、ほこりやその他の異物がジョイントに接触することを回避する。ジョイントは、回転ジョイント、又は並進ジョイントであってもよい。一般に、ベローズは、例えば、長方形や正方形等、多角形、又は円形の断面を有する、柔軟な筒状部である。また、それは、シリコーンや折り畳んだ布地などであってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用中に保護ベローズが劣化し、穴が開いたり多孔質になったりすることがある。このため、水の存在を容易に検出できない状態で、水がベローズ内部に浸入して溜まることがある。このような水の溜まりは、特にベローズで保護された部材が電気機器の近くにある場合や、その部材が腐食に敏感な場合には望ましくない。本発明の目的は、保護ベローズ内における水、又は別の導電性液体の存在を簡便に検出できるようにすることによって、この問題に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の主題は、メカニカルジョイントを覆うためのベローズであって、長手方向軸の周りに延びる円筒形かつ波型である側壁を含み、前記側壁は以下を含む:
-複数の波型(corrugations)を形成し、交互に並ぶ複数の山型(crests)と複数の谷型(troughs)とを備え;
-各波型は1つの同じ谷型の両側に延びる2つの山型によって形成され、前記山型は前記谷型よりも前記長手方向軸に近い;
-前記山型と前記谷型の間に延びる側面(flank)とを備え、各波型は、1つの同じ谷型によって分離し、対向する第1の側面と、第2の側面とを備え;
2つの隣接した山型、及び2つの隣接した谷型の少なくとも1つが、前記長手方向軸に平行な方向において、互いに接近し、又は離隔して移動できるように、前記側壁が柔軟であり、
前記ベローズは、1つの波型に対応付けられる1つの基本電気回路、それぞれ異なる波型に対応付けられる複数の基本電気回路を含み、前記基本電気回路はそれぞれ以下を含むことを特徴とするベローズ:
-前記側壁の内面に沿って前記波型の前記第1の側面及び前記第2の側面の少なくとも一方に沿って延びる第1の導電素子と第2の導電素子であって、前記第1の導電素子は、前記第2の導電素子から分離されている;
-第1の導電素子および第2の導電素子にそれぞれ接続された第1の導電性トラックおよび第2の導電性トラック;
それぞれ前記第1の導電素子及び前記第2の導電素子に接続された第1の導電性トラック及び第2の導電性トラック;
前記基本電気回路はそれぞれ以下のようになる:
前記第1の導電性トラックと、前記第2の導電性トラックとは、前記基本電気回路の閉鎖の検出器に接続される、又は接続されるように構成されており、これによって、導電性液体が第1の導電素子から第2の導電素子に広がった場合、前記基本電気回路の閉鎖が検出される。
【0008】
実施形態の1つによれば、1つの波型に対応付けられる少なくとも1つの基本電気回路は以下のようになる:
-前記第1の導電素子は、前記波型の前記第1の側面に沿って延び;
-前記第2の導電素子は、前記第1の側面の反対側にある前記波型の前記第2の側面に沿って延び;
前記第2の導電素子、及び前記第1の導電素子は、前記波型の谷型から0以外の距離延びる。
【0009】
実施の形態の1つによれば、波型に対応付けられる少なくとも1つの基本電気回路において、前記第1の導電素子、及び前記第2の導電素子が、前記波型の同じ側面に沿って延びる。
【0010】
基本電気回路に接続された閉鎖検出器は、以下を含んでもよい:
-電流を前記基本電気回路に流し、前記第1及び第2の基本電気回路の前記導電性トラック間の電位差を測定する;
又は、前記基本電気回路の前記第1及び第2の導電性トラック間の電位差を送信し、前記基本電気回路に流れる電流の強度を測定する。
【0011】
実施の形態の1つによれば、ベローズは、複数の基本電気回路を含み、
2つの隣接する波型の間に位置する少なくとも1つの山型において、導電素子が前記山型の両側に延び、前記導電素子が以下を形成する:
-前記山型に隣接する波型の第1の導電素子;
-前記山型に隣接する別の波型の第2の導電素子。
【0012】
実施の形態の1つによれば、
前記基本電気回路のそれぞれにおいて、
前記第1及び第2の導電性トラックは前記側壁の外面から延び、
前記第1及び第2の導電性トラックと前記第1及び第2の導電素子との間の電気的な接続は、前記側壁を通過して行われる。
前記電気的な接続は、容量結合によって前記側壁を通過して行われてもよい。
【0013】
実施の形態の1つによれば、少なくとも1つの基本電気回路の前記第1及び第2の導電性トラックは、少なくとも部分的に前記長手方向軸に沿って、側壁によって区切れられた内部空間において、前記基本電気回路の閉鎖の検出器まで延び、
前記基本電気回路の閉鎖の検出器が前記内部空間、又は前記内部空間の外部に位置している。
【0014】
実施の形態の1つによれば、少なくとも1つの基本電気回路の前記第1及び第2の導電性トラックが、少なくとも部分的に側壁によって区切れられた内部空間の外部から、前記基本電気回路の閉鎖の検出器まで延び、後者が前記内部空間の外部に位置している。
【0015】
実施の形態の1つによれば、側壁が前記長手方向軸に沿って、2つの端の間に延び、開口部が前記長手方向軸の周りに各端部に形成されることにより、コンポーネントを前記ベローズ内に挿入させる。
【0016】
本発明の第2の主題は、本発明の第1の主題に係るベローズの使用であって、前記ベローズに少なくとも部分的に挿入され、かつ、互いに移動可能な2つのコンポーネントの間における、ジョイントを保護するためのベローズの使用である。
【0017】
本発明の第3の主題は、本発明の第1の主題に係るベローズ内の導電性液体の存在を検出する方法であって、以下のステップを含む方法:
-前記基本電気回路の閉鎖の検出器への前記第1及び第2の導電性トラックの接続;
-前記基本電気回路の閉鎖の検出器が閉鎖を示す信号を生成した場合、アラート信号の生成。
【0018】
本発明は、以下に示す図と併せて、以下の説明に示されている例示的な実施形態の説明を読むことによって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【
図4A】
図4Aは、導電性トラックがベローズ内において、異なる基本電気回路に共通の電気回路の閉鎖の検出器まで延びた実施形態を示す。
【0023】
【
図4B】
図4Bは、導電性トラックがベローズ内において、異なる基本回路に共通の基本電気回路の閉鎖の検出器まで延び、ベローズの外側に配置されているという実施形態を示す。
【0024】
【
図4C】
図4Cは、導電性トラックがベローズの外側に延びる実施形態を示す。
【0025】
【
図5】
図5A及び
図5Bは、
図4Cに示されている実施形態の2つの変形を示しており、ベローズの壁を通して電気信号を伝送することを可能にしている。
【0026】
【
図6】
図6は、ベローズの垂直方向に適した実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2A及び2Bは、本発明による保護ベローズ1の一例の図である。保護ベローズ1は、長手方向軸Zの周りに延びる円筒形の側壁2を備える。側壁2は外面2
eと内面2
iとを備える。この例では、長手方向軸Zに対して垂直な側壁2の断面は、回転円筒形である。側壁2は、長手方向軸Zに沿って、開口部2
Oを形成する2つの端の間に延びている。開口部2
Oは、ジョイントAの周りで互いに移動可能な2つのコンポーネントC
1、C
2のそれぞれの通過を可能にすることを意図されている。開口部2
Oの直径は、保護ベローズ1に挿入されることを意図されたコンポーネントC
1、C
2の直径と一致する。コンポーネントC
1及びC
2は、
図2Cの点線で表される。
【0028】
図2Bは保護ベローズ1の断面図である。環状壁2は波型である。これは、交互に並んだ山型4
nと、谷型3
nとを備える。インデックスnは、各山型または各谷型のランクを指定する自然整数であり、1≦n≦N、Nは、環状壁2の波型を形成する山型または谷型の総数を指定する。
図2B及び2Cに見られるように、各山型4
nは、隣接する2つの谷型3
n-1、3
nよりも長手方向軸Zに近い。保護ベローズ1は柔軟であるため、2つの隣接する谷型3
n-1、3
nおよび2つの隣接する山型4
n-1、4
nの少なくとも1つは、保護ベローズ1の使用中に、長手方向軸Zに平行に、互いに近づいたり離れたりすることができる。側壁2は、例えば、背景技術で引用された材料の1つである誘電材料によって形成されることが望ましい。
【0029】
側壁2の長さlは、長手方向軸Zに沿って、一般に10cmから30cmまたは40cmの間にあり、さらに大きい。側壁2の直径Dは、上記山型と上記谷型とによって形成される波型のために変化する。直径Dは、例えば、2cmから20cmの間にある。直径Dは、開口部2Oを通過して、ベローズ1に挿入されたコンポーネントC1及びC2の寸法に依拠する。側壁2の厚みは小さく、大きさのオーダーは1ミリメートルまたは数ミリメートルである。
【0030】
図2Cは、
図2Bに示す保護ベローズ1の一部の断面図を表している。
図2Cでは、ジョイントAの両側で互いに移動可能な第1のコンポーネントC
1と第2のコンポーネントC
2が表されている。この例では、ジョイントAは、長手方向軸Zを中心として、第1のコンポーネントC
1、及び第2のコンポーネントC
2を互いに回転させることができる。
【0031】
側壁2は一連の波型2nで構成され、各波型2nは2つの連続する山型4n、4n-1の間に延びている。連続する谷型3nと山型4nは側面(flank)によって連結されており、後者は谷型3nと山型4nを連結する側壁2の一部に対応している。波型2nは、第1の側面5n,1と、第2の側面5n,2とを備え、第1の側面5n,1と、第2の側面5n,2とは、対向側面と呼ばれ、同じ谷型3nの両側に延びる。各側面は、長手方向軸Zに横断する面に沿って延びている。示された例では、各側面の表面は、長手方向軸Zを中心としたテーパー面である、又は当該テーパー面に近似している。
【0032】
側壁2の内面2iは、保護ベローズ1内の水または他の導電性液体Wの存在を検出できるように実装されている。水が保護ベローズ1内に存在すると、特に長手方向軸Zが水平である場合、水が谷型において蓄積されることになる。
【0033】
図2Cに示されている例では、各波型2
nにおいて、側壁2の内面2
iは、第1の導電素子6
n,1と、第1の導電素子6
n,1から分離された第2の導電素子6
n,2とを備える。第1の導電素子6
n,1は、第1の導電性トラック7
n,1に接続されている。第2の導電素子6
n,2は、第2の導電性トラック7
n,2に接続されている。第1および第2の導電素子6
n,1、6
n,2と第1および第2の導電性トラック7
n,1、7
n,2によって形成されるセットは、基本電気回路8
nを形成する。基本電気回路8
nは、基本電気回路8
nの閉鎖を検出するように構成された検出器9
nの各端子に接続されている。
図2Dは
図2Cの詳細であり、波型2
nに関連する基本回路8
nを示す。
【0034】
検出器9nは、例えば、オーム計である。一般に、検出器9nは、基本電気回路8nに電流を流し、第1の導電性トラック7n,1と、第2の導電性トラック7n,2との間の電位差を測定するように構成されてもよい。あるいは、検出器9nは、第1および第2の導電性トラック7n,1、7n,2に電位差を与え、この2つの導電性トラックの1つで強度を測定するように構成される。水または別の導電性液体Wが谷型3nに蓄積され、第1の導電素子6n,1から第2の導電素子6n,2まで広がると、基本電気回路8nは閉じられ、導電性トラック内の強度の測定または第1および第2の導電性トラック7n,1、7n,2間の電位差の欠如によって検出器9nによって検出することができる。検出器9nは制御ユニット11に接続されており、基本電気回路8nの閉じられたことが検出されたときにアラート信号を生成することができる。
【0035】
したがって、本発明の動作原理は、前に説明したように、基本電気回路を備える波型中の導電性液体の検出である。導電性液体が第1の導電素子6n,1と第2の導電素子6n,2の間の隙間を埋めると、基本電気回路8nが閉じられたことによって導電性液体の存在が検出される。
【0036】
図2C及び2Dに示されている例では、各波型2
nは基本電気回路8
nに対応付けられている。このような構成により、各波型2
nの谷型3
n内の水の存在を検出することができる。これは、長手方向軸を10°、又は20°以内に水平に保つことを目的としたベローズ1に特に適している。ベローズをより大きく傾けることを意図した場合、ベローズに存在し得る水は、最も低い開口部2
Oに向かって流れる傾向がある。このような特定のケースでは、前に説明したように、ベローズに水が存在することを検出できるように、最も低い開口部2
Oに最も近い1つ又は複数の波型2
nを計測してもよい。
【0037】
図2C及び2Dにおいて説明されている例では、各基本回路8
nは次のような構成を備える:
-第1の導電素子6
n,1は、波型2
nの第1の側面5
n,1に沿って、波型2
nの谷型3
nから距離を置いて延びている;
-第2の導電素子6
n,2は、波型2
nの第2の側面5
n,2に沿って、波型2
nの谷型3
nから距離をおいて延びている。
【0038】
この例では、第1の導電素子6n,1と第2の導電素子6n,2は、谷型3nから同じ距離dに配置されている。距離dは、波型2nにおいて検出できる水の最小量を定義する。距離dが大きいほど、検出できる水の最小量が大きくなる。このような構成では、各導電素子と谷型3nの間の距離が短過ぎると、第1の側面5n,1が第2の側面5n,2に近づいたときに、第1および第2の導電素子6n,1、6n,2がベローズの変形の影響を受けて接触することがある。その結果生じる短絡は、水の存在の誤検出、または偽陽性を誘発する。
【0039】
図2Eでは、
図2C及び2Dに示されている例に従って、基本導電素子が示されている。基本導電素子は、内壁2
iの形状に従い、山型4
nの両側で円錐台形をとる。基本導電素子は、波型2
nの第2の導電素子6
n,2と、波型2
n+1の第1の導電素子6
n,+1を形成する。
【0040】
図3A~3Dは、同じ基本回路8
nの第1の導電素子6
n,1と第2の導電素子6
n,2のさまざまな可能な配置を示す。
図3Aでは、第1および第2の導電素子6
n,1、6
n,2がそれぞれ第1および第2の側面5
n,、5
n,2に沿って延びている。第2の導電素子6
n,2と谷型3
nとの間の距離d
2は、第1の導電素子6
n,1と谷型3
nとの間の距離d
1よりも長い。この実施形態によれば、第1の導電素子6
n,1は谷型3
nまで延ばすことができ、この場合、d
1=0である。
【0041】
図2C及び3Aに記載された実施形態では、第1および第2の導電素子6
n,1、6
n,2は、波型2
nを区切る山型4
n、4
n-1までそれぞれ延びる。山型4
n-1の下の第1の導電素子6
n,1の延長は、波型2
n-1に対応付けられる基本電気回路8
n-1の第2の導電素子6
n-1,2を形成することを可能にする。山型4
nを超える第2の導電素子6
n,2の延長は、波型2
n+1に対応付けられる基本電気回路8
n+1の第1の導電素子6
n+1,1を形成することを可能にする。このように、同じ山型4
nの両側に導電性材料の層を堆積させることにより、波型2
nに対応付けられる基本回路の第2の導電素子6
n,2と、次の波型2
n+1に対応付けられる基本回路の第1の導電素子6
n+1,1を同時に形成することが可能になる。さらに、このような配置によれば、波型2
nおよび波型2
n+1にそれぞれ対応付けられた2つの異なる基本電気回路8
n、基本電気回路8
n+1で1つの同じ導電性トラックを使用することができる。これにより、隣接する2つの波型が計測された場合、導電性トラックの数を最適化することが可能になる。
【0042】
図3Bに示されている実施形態では、第1および第2の導電素子6
n,1、6
n,2は、谷型3
nと波型2
nを区切る山型4
n、4
n-1との間に延び、後者には到達しない。第1および第2の導電素子6
n,1、6
n,2の位置は、波型2
nで検出できる導電性液体の最小量を決定する。
【0043】
図3Cに示されている実施形態では、第1および第2の導電素子6
n,1、6
n,2は、同じ側面、例えば第2の側面5
n,2に沿って延びている。前の実施形態と同様に、第1および第2の導電素子は互いに分離されている。
図3Cと併せて示された実施形態は、2つの側面が過度に接近した影響下で、2つの対向する側面に沿ってそれぞれ延びる同じ基本回路の2つの導電素子が接触したときに現れ得る短絡の形成を回避することを可能にする。検出できる最小量は、2つの導電素子間の離間した位置に依拠する。
図3Dで示される1つの可能性によると、第1の導電素子6
n,1は、谷型3
n内の単一の接触点によって形成される。
【0044】
前述したように、各基本電気回路8
nは、回路閉鎖の検出器9
nに接続されている。いくつかの基本電気回路に共通の基本の閉鎖の検出器9を使用すると有利な場合がある。
図4Aはそのような選択肢を示している。各基本回路8
nの導電性トラック7
n,1、7
n,2は、共通の回路の閉鎖の検出器9につながる。後者は、側壁2の内側に配置することができる。
図4Bに示されている選択肢によると、閉鎖の検出器9は、保護ベローズ1から離れていても、側壁2の外側に配置することができる。このような構成によると、各基本回路8
nの導電性トラック7
n,1、7
n,2は、導電素子と保護ベローズ1の外側の間、例えば外側に出現する湾曲した管10を通って延びている。導電性トラック7
n,1、7
n,2は、共通の回路の閉鎖の検出器9に接続されるように構成することができる。後者は、保護ベローズ1から離れた電子機器用ラックに配置することができる。
【0045】
いくつかの基本電気回路8nと、共通の、回路の閉鎖の検出器9とを使用することは、後者がスキャンによって動作し、各基本電気回路8nがスキャン周波数に従って特定されることを前提としている。スキャン周波数は、例えば、数Hzまたは数百Hzでもよい。
【0046】
前述の例では、各基本回路8
nの導電性トラック7
n,1、7
n,2は、少なくとも部分的に、側壁2で区切られた内部空間に延びている。
図4Cは、導電性トラック7
n,1、7
n,2が側壁2の外側に延びる実施形態を模式的に示す。これにより、側壁2の内側に延びる第1及び第2のコンポーネントC
1、C
2の、導電性トラック7
n,1、7
n,2による障害のリスクが低減される。このような構成は、外面2
eにおいて、側壁2の外側で、導電素子に流れる電流を伝送するための接触の再開を想定している。
図5A及び5Bは、このような接触の再開を得る2つの方法を表している。
【0047】
図5Aでは、導電性トラック7
nが示され、側壁2の外面2
eに連結され、スルーリンク6‘
nによって、内面2
iに沿って延びる導電素子6
nに接続されている。参照符号7
nは、第1の導電性トラックと第2の導電性トラックとを示す。参照符号6
nについても同様であり、第1または第2の導電素子を示す。スルーリンク6‘
n、またはビアは、側壁2に導電性材料を配置することによって得られる。スルーリンク6‘
nと導電素子6
nは単一のコンポーネントを形成することができる。この構成により、導電性トラック7
nは導電素子6
nに直接接続される。
【0048】
図5Bにおいて示された導電性トラック7
nは、容量結合によって、側壁2の外面2
eに結合される。容量結合とは、導電性トラック7
nと導電素子6
nとの間で、側壁2を通過して、容量効果によって電荷が移動することを意味すると理解されており、後者は誘電材料で構成されている。
【0049】
図6は、横軸が垂直方向に向いている場合の保護ベローズ1の使用を模式的に示す。保護ベローズ1の内部に含まれている可能性のある水は、重力によって最も低い開口部2
Oに向かって蓄積される。このような構成では、単一の波型を計測することができ、それは側壁2の底部を形成する開口部2
Oに隣接する波型2
1とすることができる。開口部2
Oは、第1の波型2
1の第1の側面を形成する縁5
1,1によって区切られる。第1の波型2
1は、縁5
1,1と、第1の谷型3
1に対して縁5
1,1の反対側にある第2の側面5
1,2とを含む。
【0050】
どのような実施形態であっても、各導電素子は、例えば金属のような導電性材料を側壁2の内面2iに局所的に堆積させることによって形成することができる。導電素子の形成は、局所的に濡れ性を増加させるように、内面2iの一部、山型の近くに延びる部分、または各山型の官能基化(機能化)を含むことができる。官能基化は、官能基化された部分のシラン化(すなわち、シランの層の堆積)の結果として発生してもよい。たとえば、スプレーによって堆積されたヘキサメチルジシラザン(HMDS)の層であってもよい。官能基化に続いて、局所的に濡れ性を高める目的で、内面2iを金属イオン、たとえばCuSO4を含む溶液に浸してもよい。溶液から内面2iを除去すると、溶液は主に各官能基化部分に堆積し、結果として銅が堆積する。または、各導電素子は、内面2iへの導電性接着剤の塗布、または導電性材料の局所コーティングまたは含浸の別の手段によって生じさせてもよい。
【0051】
前述した保護ベローズ1は、側壁2によって区切られた内部空間に、相互に連結(jointed)された2つのコンポーネントを挿入するときに使用することを意図する。閉鎖の検出器9nに基本電気回路8nを接続した後、後者は基本電気回路8nの閉鎖を定期的にチェックする。閉鎖が検出されると、閉鎖の検出器9nは閉鎖を表す信号を制御ユニット11に送り、後者はアラート信号を生成し、保護ベローズ1内に導電性液体が存在する可能性をユーザーに知らせることを意図する。
【0052】
本発明は、2つの連結されたコンポーネント間のジョイントを保護しなければならない異なる産業用車両または装置において使用することができる。前に説明したように、それらは、車両の牽引若しくはステアリングメンバー、トラクター若しくは作業現場用車両の動力取出装置、又は、据え付けの産業機器であるとよい。
【国際調査報告】