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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】核酸の標的化組み込み
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20230724BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230724BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12P21/08
C12N15/09 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580050
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 US2021038599
(87)【国際公開番号】W WO2021262798
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/043,409
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シェン, エイミー
(72)【発明者】
【氏名】ミサギ, シャーラム
(72)【発明者】
【氏名】ラム, シンシア ヤング
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
(57)【要約】
本開示の主題は、組み換えタンパク質の発現に適した標的化組み込み(TI)宿主細胞であって、それらのゲノムへの外因性核酸コードのランダム組み込み(RI)をもたらすスーパートランスフェクションに供されたTI宿主細胞と、前記スーパートランスフェクトされたTI宿主細胞を生成する方法及び使用する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的のポリペプチドを発現することのできる宿主細胞であって、
a)2つの組み換え認識配列(RRS)に隣接する第1の目的のポリペプチド及び第1の選択マーカーをコードする標的化組み込み外因性核酸の目的配列(SOI)であって、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座内に組み込まれている標的化組み込み外因性核酸のSOIと、
b)第2の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードするランダム組み込み外因性核酸のSOIであって、宿主細胞のゲノムに少なくとも1回組み込まれている外因性核酸のSOIと
を含み、
c)標的化組み込み外因性核酸のSOIが、構成的に又は誘導的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIが、構成的に又は誘導的に発現される、
宿主細胞。
【請求項2】
第1の目的のポリペプチドと第2の目的のポリペプチドとが同一である、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項3】
第1の選択マーカーと第2の選択マーカーとが同一である、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項4】
1~10個のランダム組み込み外因性核酸のSOIを含む、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項5】
標的化遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と、少なくとも約90%相同である、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項6】
宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座内に組み込まれた第2の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードする第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIをさらに含み、第1の標的化組み込み外因性核酸のSOI及び第1の選択マーカーが第1のRRS及び第3のRRSに隣接し、第2の標的化外因性SOI及び第2の選択マーカーが第2のRRS及び第3のRRSに隣接している、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項7】
目的のポリペプチドが、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)、及びFc融合タンパク質からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項8】
宿主細胞が哺乳動物宿主細胞である、請求項1~5のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項9】
宿主細胞が、ハムスター宿主細胞、ヒト宿主細胞、ラット宿主細胞、又はマウス宿主細胞である、請求項8に記載の宿主細胞。
【請求項10】
宿主細胞が、CHO宿主細胞、CHO K1宿主細胞、CHO K1SV宿主細胞、DG44宿主細胞、DUKXB-11宿主細胞、CHOK1S宿主細胞、又はCHO K1M宿主細胞である、請求項9に記載の宿主細胞。
【請求項11】
SOI及び選択マーカーの標的化組み込みが、外因性ヌクレアーゼによって促進される、請求項1~7のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項12】
外因性ヌクレアーゼが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ZFN二量体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALエフェクタードメイン融合タンパク質、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ、操作されたメガヌクレアーゼ、及びクラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)に関連する(Cas)エンドヌクレアーゼからなる群から選択される、11に記載の宿主細胞。
【請求項13】
標的化組み込み外因性核酸のSOIが構成的に発現される、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項14】
標的化組み込み外因性核酸のSOIが誘導的に発現される、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項15】
ランダム組み込み外因性核酸のSOIが構成的に発現される、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項16】
ランダム組み込み外因性核酸のSOIが誘導的に発現される、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項17】
標的化組み込み外因性核酸のSOIが誘導的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIが構成的に発現される、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項18】
標的化組み込み外因性核酸のSOIが誘導的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIが誘導的に発現される、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項19】
標的化組み込み外因性核酸のSOIが構成的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIが構成的に発現される、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項20】
標的化組み込み外因性核酸のSOIが構成的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIが誘導的に発現される、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項21】
目的のポリペプチドを発現させる方法であって、
a)宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、宿主細胞を提供すること、
b)(a)で供給された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の2つのRRSと一致し、第1の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードする第1の外因性SOIに隣接する2つのRRSを含む核酸を導入すること、
c)RRSを認識するリコンビナーゼ又は同リコンビナーゼをコードする核酸を導入すること、
d)第2の選択マーカーを発現する細胞を選択すること、
e)ランダム組み込みを介して、第2の目的のポリペプチド及び第3の選択マーカーをコードする第2の外因性SOIを、宿主細胞のゲノム中に導入すること、
f)宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に又は誘導的に発現され、第2の外因性SOIが構成的に又は誘導的に発現されること、
g)第3の選択マーカーを発現する細胞を選択すること、並びに
h)第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するために十分な条件下で宿主細胞を培養すること
を含む方法。
【請求項22】
宿主細胞培養物から、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを回収することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第1の目的のポリペプチドと第2の目的のポリペプチドとが同一である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
標的化遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と、少なくとも約90%相同である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドが、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)、及びFc融合タンパク質からなる群から選択される、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
宿主細胞が哺乳動物宿主細胞である、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
宿主細胞が、ハムスター宿主細胞、ヒト宿主細胞、ラット宿主細胞、又はマウス宿主細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
宿主細胞が、CHO宿主細胞、CHO K1宿主細胞、CHO K1SV宿主細胞、DG44宿主細胞、DUKXB-11宿主細胞、CHOK1S宿主細胞、又はCHO K1M宿主細胞である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
SOIのいずれかの標的化組み込みが外因性ヌクレアーゼによって促進される、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
外因性ヌクレアーゼが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ZFN二量体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALエフェクタードメイン融合タンパク質、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ、操作されたメガヌクレアーゼ、及びクラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)に関連する(Cas)エンドヌクレアーゼからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
SOIの発現が、調節可能なプロモーターによって制御される、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
調節可能なプロモーターが、SV40及びCMVプロモーターからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に発現される、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が誘導的に発現される、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
第2の外因性SOIが構成的に発現される、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
第2の外因性SOIが誘導的に発現される、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が誘導的に発現され、第2の外因性SOIが構成的に発現される、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が誘導的に発現され、第2の外因性SOIが誘導的に発現される、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に発現され、第2の外因性SOIが構成的に発現される、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に発現され、第2の外因性SOIが誘導的に発現される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/043,409号に対する優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
配列表
本明細書は、配列表(2021年6月23日に「00B206_1099SL」という名称の.txtファイルとして電子的に提出)を参照する。00B206_1099SLファイルは2021年6月15日に作成されたものであり、サイズは1,251,200バイトである。配列表の全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
本開示の主題は、組み換えタンパク質の発現に適した標的化組み込み(TI)宿主細胞であって、それらのゲノムへの外因性核酸コードのランダム組み込み(RI)をもたらすスーパートランスフェクションに供されたTI宿主細胞と、前記スーパートランスフェクトされたTI宿主細胞を生成する方法及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
細胞生物学及び免疫学の急速な進歩により、がん、心血管疾患及び代謝疾患を含む様々な疾患のための新規治療用組み換えタンパク質を開発する需要が高まっている。これらバイオ医薬品候補は、一般に、目的のタンパク質を発現することができる市販の細胞株によって製造される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、モノクローナル抗体を生成するように広く適合されている。
【0005】
市販の細胞株を開発するための従来の戦略は、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のランダム組み込みと、続いて目的のポリペプチドを生成する細胞株の選択及び単離とを含む。しかしながら、この手法にはいくつかの不都合な点がある。第1に、そのような組み込みはまれな事象であるだけでなく、ヌクレオチド配列がどこに組み込まれるかに関するランダム性を考慮すると、これらまれな事象は様々な遺伝子発現及び細胞増殖表現型をもたらしうる。「位置効果の多様化」として知られるそのような多様性は、少なくとも部分的に、真核細胞ゲノムに存在する複雑な遺伝子調節ネットワーク、並びに組み込み及び遺伝子発現のための特定のゲノム遺伝子座の利用可能性に起因する。第2に、ランダム組み込み戦略は一般に、宿主細胞のゲノムに組み込まれる遺伝子コピーの数を制御することはできない。実際に、遺伝子増幅法は、高生産細胞を実現するために使用されることが多い。しかしながら、そのような遺伝子増幅は、不安定な細胞増殖及び/又は生成物発現などの望ましくない細胞表現型をもたらしうる。第3に、ランダム組み込みプロセスに固有の組み込み遺伝子座の不均一性のために、目的のポリペプチドの望ましいレベルの発現を示す細胞株を単離するためにトランスフェクション後に数千のクローンをスクリーニングすることは、長時間を要するとともに労力を要する。そのような細胞株を単離した後でさえ、目的のポリペプチドの安定発現は保証されず、安定した市販の細胞株を得るためにはさらなるスクリーニングが必要な場合がある。最後に、ランダム組み込み細胞株から生成されたポリペプチドは、高度な配列多様性を示し、これは、部分的には、目的のポリペプチドの高レベルの発現を選択するために使用される選択剤の変異原性に起因しうる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の主題は、一部は、組み換えタンパク質の発現に適した標的化組み込み(TI)宿主細胞であって、それらのゲノムへの外因性核酸コードのゲノムへのランダム組み込み(RI)をもたらすスーパートランスフェクションに供されるTI細胞と、前記スーパートランスフェクトされたTI宿主細胞を生成する方法及び使用する方法に関する。本開示の主題は、高い生産性を有する宿主細胞TI部位を提供するだけでなく、リコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)によって宿主細胞の単一のTI遺伝子座に目的の複数の配列を導入する新規方法も提供し、本明細書に概説されるように、細胞を、外因性核酸コードのTI宿主細胞のゲノムへのランダム組み込み(RI)をもたらすスーパートランスフェクションに供することにより、目的の配列の発現の増加を達成する。
【0007】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現することができる宿主細胞であって、a)2つの組み換え認識配列(RRS)に隣接する第1の目的のポリペプチド及び第1の選択マーカーをコードする、標的化組み込み外因性核酸目的配列(SOI)であって、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座内に組み込まれている、標的化組み込み外因性核酸のSOI;及びb)第2の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードするランダム組み込み外因性核酸のSOIであって、宿主細胞のゲノムに少なくとも1回組み込まれたランダム組み込みSOIを含み、標的化組み込み外因性核酸のSOIが構成的に又は誘導的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIが構成的に又は誘導的に発現される、宿主細胞を提供する。特定の実施形態では、第1の目的のポリペプチドと第2の目的のポリペプチドとは同一でありうる。特定の実施形態では、第1の選択マーカーと第2の選択マーカーとは同一でありうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、ランダムに組み込まれた1個から10個の外因性核酸のSOIを含みうる。特定の実施形態では、標的化遺伝子座は、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同でありうる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座内に組み込まれた第2の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードする第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIをさらに含み、第1の標的化組み込み外因性核酸のSOI及び第1の選択マーカーが第1のRRS及び第3のRRSに隣接し、第2の標的化組み込外因性SOI及び第2の選択マーカーが第2のRRS及び第3のRRSに隣接しうる。特定の実施形態では、目的のポリペプチドは、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)及びFc融合タンパク質からなる群から選択することができる。特定の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物宿主細胞でありうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、ハムスター宿主細胞、ヒト宿主細胞、ラット宿主細胞、又はマウス宿主細胞でありうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、CHO宿主細胞、CHO K1宿主細胞、CHO K1SV宿主細胞、DG44宿主細胞、DUKXB-11宿主細胞、CHOK1S宿主細胞、又はCHO K1M宿主細胞でありうる。特定の実施形態では、SOI及び選択マーカーの標的化組み込みは、外因性ヌクレアーゼによって促進されうる。特定の実施形態では、外因性ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ZFN二量体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALエフェクタードメイン融合タンパク質、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ、操作されたメガヌクレアーゼ、及びクラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)に関連する(Cas)エンドヌクレアーゼからなる群から選択することができる。特定の実施形態では、標的化組み込み外因性核酸のSOIは、構成的に発現される。特定の実施形態では、標的化組み込み外因性核酸のSOIは、誘導的に発現される。特定の実施形態では、ランダム組み込み外因性核酸のSOIは、構成的に又は誘導的に発現される。
【0008】
本開示の主題はまた、目的のポリペプチドを発現させる方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現させる方法であって、a)宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、宿主細胞を提供すること;b)(a)で供給された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の2つのRRSと一致し、第1の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードする第1の外因性SOIに隣接する2つのRRSを含む核酸を導入すること;c)RRSを認識するリコンビナーゼ又は同リコンビナーゼをコードする核酸を導入すること;d)第2の選択マーカーを発現する細胞を選択すること;e)ランダム組込みを介して、第2の目的のポリペプチド及び第3の選択マーカーをコードする第2の外因性SOIを、宿主細胞のゲノム中に導入すること;f)宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に又は誘導的に発現され、第2の外因性SOIが構成的に又は誘導的に発現されること;g)第3の選択マーカーを発現する細胞を選択すること;並びにh)第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するために十分な条件下で宿主細胞を培養することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、このような方法は、宿主細胞培養物から、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを回収することをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、第1の目的のポリペプチドと第2の目的のポリペプチドとは同一でありうる。特定の実施形態では、標的化遺伝子座は、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同でありうる。特定の実施形態では、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドは、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)及びFc融合タンパク質からなる群から選択することができる。特定の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物宿主細胞でありうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、ハムスター宿主細胞、ヒト宿主細胞、ラット宿主細胞、又はマウス宿主細胞でありうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、CHO宿主細胞、CHO K1宿主細胞、CHO K1SV宿主細胞、DG44宿主細胞、DUKXB-11宿主細胞、CHOK1S宿主細胞、又はCHO K1M宿主細胞でありうる。特定の実施形態では、任意のSOIの標的化組込みは、外因性ヌクレアーゼによって促進することができる。特定の実施形態では、外因性ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ZFN二量体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALエフェクタードメイン融合タンパク質、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ、操作されたメガヌクレアーゼ、及びクラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)に関連する(Cas)エンドヌクレアーゼからなる群から選択することができる。特定の実施形態では、SOIの発現は、調節可能なプロモーターによって制御することができる。特定の実施形態では、調節可能なプロモーターは、SV40及びCMVプロモーターからなる群から選択することができる。特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に発現される。特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が誘導的に発現される。特定の実施形態では、第2の外因性SOIが構成的に発現される。特定の実施形態では、第2の外因性SOIが誘導的に発現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】A及びBは、スーパートランスフェクション発現コンストラクトの概要、及び3つの異なるスーパートランスフェクション手法を示している。
図2】A~Cは、構成的→構成的スーパートランスフェクションプロセスの概要、及び組み合わされたスーパートランスフェクト構成的→構成的ミニプールのプール力価生産性を示している。
図3】A~Fは、高い力価のスーパートランスフェクトクローンを得るための構成的→構成的プールプロセスの単一細胞クローニング、力価、比生産性(Qp)、増殖、重鎖及び軽鎖DNAコピー数及びmRNAレベルの結果を示している。
図4】A及びBは、スーパートランスフェクトされた誘導的→構成的プールに関する誘導的→構成的スーパートランスフェクションプロセスの概要、及びプール力価を、スーパートランスフェクトされていない親宿主との比較で示している。
図5】A~Fは、誘導的→構成的スーパートランスフェクトプールのスクリーニングプロセスの単一細胞クローニング、力価、比生産性(Qp)、増殖、及び重鎖及び軽鎖DNAコピー数の結果を示している。
図6】A~Fは、上位の構成的→誘導的ミニプールを同定するためのスーパートランスフェクションスクリーニング工程、力価、比生産性(Qp)、増殖、及び重鎖及び軽鎖mRNAレベルの結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される宿主細胞、遺伝子コンストラクト(例えば、ベクター)、組成物及び方法は、標的化組み込み(TI)宿主細胞の開発及び/又は使用において利用することができる。特定の実施形態では、そのようなTI宿主細胞は、宿主細胞のゲノムの特定の遺伝子又は特定の遺伝子座内に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0011】
開示を明確にする目的で、且つ限定を目的とせずに、詳細な説明を以下のサブセクションに分ける。
1.定義
2.組み込み部位
3.外因性ヌクレオチド配列
4.宿主細胞
5.標的化組み込み
6.TI宿主細胞の調製及び使用
7.生成物
8.例示的な非限定的実施形態
【0012】
1.定義
別途指定のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。矛盾する場合は、定義を含めて本出願が優先される。好ましい方法及び材料は以下に記載されているが、本明細書に記載されているものと類似又は同等の方法及び材料は、現在開示されている主題の実施又は試験に使用することができる。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が援用される。本明細書に開示される材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定することを意図していない。
【0013】
本明細書で使用される、「含む(comprise)」「含む(include)」、「有する(having)」「有する(has)」、「しうる/することができる(can)」、「含有する/含む(contain)」、及びこれらの変形は、さらなる作用又は構造物の可能性を排除しない、オープンエンドの移行句、用語、又は単語であることが意図される。単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態又は要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0014】
本明細書において数値範囲を列挙する場合、間に介在する各数字が同じ程度の精度で明示的に企図される。例えば、6~9の範囲では、6及び9に加えて数字7及び8が企図され、6.0~7.0の範囲では、数字6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0が明示的に企図される。
【0015】
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容されうる誤差範囲内を意味し、これは、その値がどのように測定又は決定されるか、即ち、測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当技術分野での1回の実施当たり3以上の標準偏差以内を意味しうる。代替的に、「約」は、所与の値の、最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、さらにより好ましくは最大1%の範囲を意味することができる。代替的に、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味しうる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「選択マーカー」という用語は、対応する選択剤の存在下で、ある遺伝子を保持する細胞が特異的に選択されるか、又は特異的に排除されることを可能にする遺伝子でありうる。例えば、限定しないが、選択マーカーは、選択マーカー遺伝子で形質転換された宿主細胞が、その遺伝子の存在下で積極的に選択されることを可能にすることができ、形質転換されていない宿主細胞は、選択的条件下で増殖又は生存することができない。選択マーカーは、ポジティブ、ネガティブ、又は二機能性でありうる。ポジティブ選択マーカーは、マーカーを保持する細胞の選択を可能にすることができるのに対し、ネガティブ選択マーカーは、マーカーを保持する細胞を選択的に排除することを可能にしうる。選択マーカーは、宿主細胞において薬物に対する耐性を付与することができるか、又は代謝若しくは異化の欠陥を補うことができる。原核細胞においては、とりわけ、アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、又はクロラムフェニコールに対する耐性を付与する遺伝子を使用することができる。真核細胞において選択マーカーとして有用な耐性遺伝子には、限定されないが、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)(例えば、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HYG)、ネオマイシン、及びG418 APH)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ(TK)、グルタミン合成酵素(GS)、アスパラギン合成酵素、トリプトファン合成酵素(インドール)、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(ヒスチジノールD))の遺伝子、並びにピューロマイシン、ブラスチシジン、ブレオマイシン、フレオマイシン、クロラムフェニコール、ゼオシン、及びミコフェノール酸に対する耐性をコードする遺伝子が含まれる。さらなるマーカー遺伝子は、国際公開第92/08796号及び国際公開第94/28143号に記載されている。
【0017】
選択マーカーは、対応する選択剤の存在下での選択を容易にするだけでなく、通常は細胞中に存在しない分子、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、強化型GFP(eGFP)、合成GFP、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化型YFP(eYFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J-red、DsRed-モノマー、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、CyPet、mCFPm、Cerulean、及びT-Sapphireをコードする遺伝子を代替的に提供しうる。そのような遺伝子を保有する細胞は、例えば、コードされたポリペプチドによって放射される蛍光の検出によって、この遺伝子を保有しない細胞と区別されうる。
【0018】
本明細書において使用される用語「動作可能に連結された」は、目的の様式でそれらが機能することを可能にする関係にある、2つ以上の成分の並置を指す。例えば、プロモーター及び/又はエンハンサーがコード配列の転写を調節する役割を果たす場合、そのプロモーター及び/又はエンハンサーはコード配列に動作可能に連結されている。特定の実施形態では、「動作可能に連結されて」いるDNA配列は、単一の染色体上で近接し、隣り合っている。特定の実施形態では、例えば、1つの分泌リーダーと1つのポリペプチドといった2つのタンパク質のコード領域を結合する必要があるとき、これら配列は近接し、隣り合い、且つ同じリーディングフレームに存在する。特定の実施形態では、動作可能に連結されたプロモーターは、コード配列の上流に位置しており、且つコード配列に隣接しうる。特定の実施形態では、例えば、コード配列の発現を調節するエンハンサー配列に関して、2つの成分は、隣り合ってはいないが、動作可能に連結されうる。エンハンサーは、それがコード配列の転写を増大させる場合、コード配列に動作可能に連結されている。動作可能に連結されたエンハンサーは、コード配列の上流、配列内、又は下流に位置することができ、コード配列のプロモーターから相当な距離を置いて位置することができる。動作可能な連結は、当技術分野で既知の組み換え法によって、例えば、PCR方法を用いて、及び/又は好都合な制限部位でのライゲーションによって、達成することができる。好都合な制限部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーを従来の手順に従って使用することができる。内部リボソーム侵入部位(IRES)は、それが5’末端に非依存的な方法により内部位置でORFの翻訳を開始できる場合、オープンリーディングフレーム(ORF)に動作可能に連結されている。
【0019】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、転写及び/又は翻訳を指す。特定の実施形態では、所望の生成物の転写レベルは、存在している対応するmRNAの量に基づいて決定することができる。例えば、目的の配列から転写されたmRNAは、PCRによって又はノーザンハイブリダイゼーションによって定量することができる。特定の実施形態では、目的の配列によってコードされるタンパク質は、様々な方法によって、例えば、ELISAによって、タンパク質の生物活性についてアッセイすることによって、又はそのような活性に依存しないアッセイ、例えば、タンパク質を認識してそれに結合する抗体を使用するウェスタンブロッティング若しくはラジオイムノアッセイを用いることによって、定量することができる。
【0020】
本明細書で「抗体」という用語は、最も広義に使用され、抗体が所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、半抗体、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない様々な抗体構造を包含する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「抗体断片」という用語は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。特定の抗体断片の総説としては、Holliger and Hudson,Nature Biotechnology 23:1126-1136(2005)を参照されたい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体と抗原との結合に関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然の抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれV及びV)は、概して、類似の構造を有しており、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と、3つの超可変領域(HVR)とを含む。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology,6th ed.,W.H. Freeman and Co.,91頁(2007)を参照のこと。)単一のV又はVドメインは、抗原結合特異性を付与するために十分でありうる。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、それぞれ相補的V又はVドメインのライブラリーをスクリーニングするために、抗原に結合する抗体のV又はVドメインを使用して単離されうる。例えば、Portolano et al.,J. Immunol. 150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照のこと。
【0023】
本明細書で使用される場合、「重鎖」という用語は、免疫グロブリン重鎖を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「軽鎖」という用語は、免疫グロブリン軽鎖を指す。
【0025】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。抗体には、次の5種類の主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指し、即ち、その集団を含む個々の抗体は、同一である、及び/又は同じエピトープに結合するが、例えば、天然に存在する突然変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の生成中に生じる、起こりうるバリアント抗体は例外であり、そのようなバリアントは通常少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して向けられる異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、いずれか特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈すべきではない。例えば、本発明によるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができ、そのような方法及び本明細書に記載される他の例示的な方法は、モノクローナル抗体を作製するためのものである。
【0027】
「多重特異性抗体」は、少なくとも2つの異なる部位、即ち、異なる抗原上の異なるエピトープ又は同じ抗原上の異なるエピトープに対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の態様では、多重特異性抗体は3つ以上の結合特異性を有する。多重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
【0028】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すために交換可能に使用される。
【0029】
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv及びscFab);単一ドメイン抗体(dAb);並びに、抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。特定の抗体断片の総説としては、Holliger and Hudson,Nature Biotechnology 23:1126-1136(2005)を参照されたい。
【0030】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の供給源又は種に由来し、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分が異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。
【0031】
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞により生成された抗体のアミノ酸配列、又はヒト抗体レパートリ若しくは他のヒト抗体をコードする配列を利用する非ヒト源由来の抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
【0032】
「ヒト化」抗体は、非ヒトCDR由来のアミノ酸残基、及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのすべてを実質的に含み、そのドメイン中ではCDRのすべて又は実質的にすべてが非ヒト抗体のCDRに対応し、FRのすべて又は実質的にすべてがヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、場合によっては、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでいてもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指し、即ち、その集団を含む個々の抗体は、同一である、及び/又は同じエピトープに結合するが、例えば、天然に存在する突然変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の生成中に生じる、起こりうるバリアント抗体は例外であり、そのようなバリアントは通常少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して向けられる異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、いずれか特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈すべきではない。
【0033】
「治療用抗体」という用語は、疾患の治療に使用される抗体を指す。治療用抗体は、様々な作用機序を有しうる。治療用抗体は、抗原に関連する標的に結合し、その正常な機能を中和しうる。例えば、がん細胞の生存に必要なタンパク質の活性をブロックするモノクローナル抗体は、細胞死を引き起こす。別の治療用モノクローナル抗体は、抗原に関連する標的に結合し、その正常な機能を活性化しうる。例えば、モノクローナル抗体は、細胞上のタンパク質に結合し、アポトーシスシグナルをトリガーすることができる。また別のモノクローナル抗体は、疾患組織上にのみ発現される標的抗原に結合することができ、化学療法剤又は放射性薬剤といった毒性ペイロード(有効な薬剤)の、モノクローナル抗体へのコンジュゲーションは、毒性ペイロードを患部組織に特異的に送達するための薬剤をつくることができ、健康な組織への害を減少させる。治療用抗体の「生物学的に機能的な断片」は、インタクトな抗体に起因する生物学的機能の一部又は全部ではないにしても少なくとも1つを呈し、その機能は標的抗原への少なくとも特異的な結合を含む。
【0034】
「診断用抗体」という用語は、疾患の診断試薬として使用される抗体を指す。診断用抗体は、特定の疾患に特異的に関連するか、又は特定の疾患において発現の増加を示す標的抗原に結合しうる。診断用抗体は、例えば、患者由来の生体試料中の標的を検出するために、又は患者における腫瘍などの疾患部位の画像診断において、使用されうる。診断用抗体の「生物学的に機能的な断片」は、インタクトな抗体に起因する生物学的機能の一部又は全部ではないにしても少なくとも1つを呈し、その機能は標的抗原への少なくとも特異的な結合を含む。
【0035】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、互換可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、それには、そのような細胞の子孫も含まれる。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらは、継代数によらず、一次形質転換細胞及びそれに由来する子孫を含む。子孫は、核酸含有量が親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含有していてもよい。元の形質転換された細胞についてスクリーニングされるか又は選択されるのと同じ機能又は生物活性を有する変異体の子孫は、本明細書に含まれる。
【0036】
「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/又は物質を含む。各ヌクレオチドは、塩基で構成され、具体的には、プリン塩基又はピリミジン塩基(即ち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)又はウラシル(U))、糖(即ち、デオキシリボース又はリボース)、及びリン酸基で構成される。多くの場合、核酸分子は塩基配列によって記載され、それにより、前記塩基は、核酸分子の一次構造(線状構造)を表す。塩基の配列は、典型的には、5’~3’へと表される。本明細書において、核酸分子という用語は、例えば、相補性DNA(cDNA)及びゲノムDNA、リボ核酸(RNA)、特に、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNA又はRNAの合成形態、及びこれら分子の2つ以上を含む混合ポリマーを含む、デオキシリボ核酸(DNA)を包含する。核酸分子は、線状又は環状でありうる。加えて、核酸分子という用語は、センス鎖及びアンチセンス鎖、並びに単鎖形態及び二本鎖形態の両方を含む。さらに、本明細書で記載される核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド又は天然に存在しないヌクレオチドを含みうる。天然に存在しないヌクレオチドの例には、誘導体化された糖若しくはリン酸骨格結合を有する修飾ヌクレオチド塩基又は化学的に修飾された残基が含まれる。核酸分子は、例えば、宿主又は患者において、in vitro及び/又はin vivoで本発明の抗体の直接的な発現のためのベクターとして適したDNA分子及びRNA分子も包含する。そのようなDNA(例えば、cDNA)又はRNA(例えば、mRNA)ベクターは、修飾されていなくてもよく、又は修飾されていてもよい。例えば、mRNAは、in vivoで抗体を生成するために対象にmRNAを注入することができるように、RNAベクターの安定性及び/又はコードされた分子の発現を高めるように化学修飾することができる(例えば、Stadler et al,Nature Medicine 2017,published online 12 June 2017,doi:10.1038/nm.4356又はEP 2 101 823B1を参照されたい)。
【0037】
「単離された」核酸は、自然環境の構成要素から切り離された核酸分子を指す。単離された核酸には、通常核酸分子を含む細胞内に含まれる核酸分子が含まれるが、核酸分子は、染色体外又は天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、核酸分子に連結されている別の核酸を増殖することのできる核酸分子を指す。この用語には、自己複製する核酸構造としてのベクターだけでなく、ベクターが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターも含まれる。特定の実施形態では、ベクターは、それらが動作可能に連結する核酸の発現を誘導する。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「相同な配列」という用語は、配列のアラインメントによって決定したとき、有意な配列類似性を共有する配列を指す。例えば、2つの配列は、約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は99.9%相同でありうる。アラインメントは、配列を比較し、配列長、配列同一性及び類似性、並びに配列のミスマッチ及びギャップの存在及び長さといった因子に基づいて、一致の統計的有意性を算出する、BLAST、FASTA、及びHMMEを含むがこれらに限定されないアルゴリズム及びコンピュータプログラムによって実行される。相同配列は、DNA配列及びタンパク質配列の両方に言及することができる。
【0040】
本明細書において使用される場合、用語「隣接する」は、第1のヌクレオチド配列が第2のヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端、又は両末端に位置していることを指す。隣接ヌクレオチド配列は、第2のヌクレオチド配列の隣に存在するか、又はそれから所定の距離にあってよい。隣接ヌクレオチド配列の長さには特に制限はない。例えば、隣接配列は、数塩基対又は数千塩基対であってよい。特定の実施形態では、隣接するヌクレオチド配列の長さは、約少なくとも15塩基対、少なくとも20塩基対、少なくとも30塩基対、少なくとも40塩基対、少なくとも50塩基対、少なくとも75塩基対、少なくとも100塩基対、少なくとも150塩基対、少なくとも200塩基対、少なくとも300塩基対、少なくとも400塩基対、少なくとも500塩基対、少なくとも1,000塩基対、少なくとも1,500塩基対、少なくとも2,000塩基対、少なくとも3,000塩基対、少なくとも4,000塩基対、少なくとも5,000塩基対、少なくとも6,000塩基対、少なくとも7,000塩基対、少なくとも8,000塩基対、少なくとも9,000塩基対、少なくとも10,000塩基対でありうる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、ヌクレオチド配列が、宿主細胞に由来せず、従来のDNA送達方法、例えば、トランスフェクション法、エレクトロポレーション法、又は形質転換法によって宿主細胞に導入されることを示す。「内因性」という用語は、ヌクレオチド配列が宿主細胞に由来することを指す。「外因性」ヌクレオチド配列は、塩基組成が同一である「内因性」対応物を有しうるが、「外因性」配列は、例えば、組み換えDNA技術によって宿主細胞中に導入される。
【0042】
2.組み込み部位
本開示の主題は、外因性ヌクレオチド配列の標的化組み込みに適した宿主細胞を提供する。特定の実施形態では、宿主細胞は、宿主細胞、即ち、TI宿主細胞のゲノム上の組み込み部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0043】
「組み込み部位」は、外因性ヌクレオチド配列が挿入される、宿主細胞のゲノム内の核酸配列を含む。特定の実施形態では、組み込み部位は、宿主細胞のゲノム上の2つの隣り合うヌクレオチド間に存在する。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列をいずれの間にも挿入することのできる一続きのヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、組み込み部位は、TI宿主細胞のゲノムの特定の遺伝子座内に位置する。特定の実施形態では、組み込み部位は、TI宿主細胞の内因性遺伝子内に存在する。
【0044】
特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、TI宿主細胞のゲノムの特定の遺伝子座内の部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列が組み込まれる遺伝子座は、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。
【0045】
特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、TI宿主細胞のゲノムの特定の遺伝子座内の部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列が組み込まれる遺伝子座は、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1から選択される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。
【0046】
特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号1の番号1~1,000bp、1,000~2,000bp、2,000~3,000bp、3,000~4,000bp、及び4,000~4,301bpが付されたヌクレオチドから選択される位置内に位置する組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号2の番号1~100,000bp、100,000~200,000bp、200,000~300,000bp、300,000~400,000bp、400,000~500,000bp、500,000~600,000bp、600,000~700,000bp、及び700,000~728785bpが付されたヌクレオチドから選択される位置内に位置する組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号3の番号1~100,000bp、100,000~200,000bp、200,000~300,000bp、300,000~400,000bp、及び400,000~413,983が付されたヌクレオチドから選択される位置内に位置する組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号4の番号1~10,000bp、10,000~20,000bp、20,000~30,000bp、及び30,000~30,757bpが付されたヌクレオチドから選択される位置内に位置する組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号5の番号1~10,000bp、10,000~20,000bp、20,000~30,000bp、30,000~40,000bp、40,000~50,000bp、50,000~60,000bp、及び60,000~68,962bpが付されたヌクレオチドから選択される位置内に位置する組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号6の番号1~10,000bp、10,000~20,000bp、20,000~30,000bp、30,000~40,000bp、40,000~50,000bp、及び50,000~51,326bpが付されたヌクレオチドから選択される位置内に位置する組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号7の番号1~10,000bp、10,000~20,000bp、及び20,000~22,904bpが付されたヌクレオチドから選択される位置内に位置する組み込み部位に組み込まれる。
【0047】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性配列のすぐ5’側のヌクレオチド配列は、NW_006874047.1のヌクレオチド41190-45269、NW_006884592.1のヌクレオチド63590-207911、NW_006881296.1のヌクレオチド253831-491909、NW_003616412.1のヌクレオチド69303-79768、NW_003615063.1のヌクレオチド293481-315265、NW_006882936.1のヌクレオチド2650443-2662054、又はNW_003615411.1のヌクレオチド82214-97705、及びそれと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択される。特定の実施形態では、組み込まれた外因性配列のすぐ5’側のヌクレオチド配列は、NW_006874047.1のヌクレオチド41190-45269、NW_006884592.1のヌクレオチド63590-207911、NW_006881296.1のヌクレオチド253831-491909、NW_003616412.1のヌクレオチド69303-79768、NW_003615063.1のヌクレオチド293481-315265、NW_006882936.1のヌクレオチド2650443-2662054、又はNW_003615411.1のヌクレオチド82214-97705と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。
【0048】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性配列のすぐ3’側のヌクレオチド配列は、NW_006874047.1のヌクレオチド45270-45490、NW_006884592.1のヌクレオチド207912-792374、NW_006881296.1のヌクレオチド491910-667813、NW_003616412.1のヌクレオチド79769-100059、NW_003615063.1のヌクレオチド315266-362442、NW_006882936.1のヌクレオチド2662055-2701768、又はNW_003615411.1のヌクレオチド97706-105117、及びそれと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択される。特定の実施形態では、組み込まれた外因性配列のすぐ3’側のヌクレオチド配列は、NW_006874047.1のヌクレオチド45270-45490、NW_006884592.1のヌクレオチド207912-792374、NW_006881296.1のヌクレオチド491910-667813、NW_003616412.1のヌクレオチド79769-100059、NW_003615063.1のヌクレオチド315266-362442、NW_006882936.1のヌクレオチド2662055-2701768、又はNW_003615411.1のヌクレオチド97706-105117と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。
【0049】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、配列番号1~7及びそれと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列に動作可能に連結される。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列に動作可能に連結されたヌクレオチド配列は、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つのSOIを含む。特定の実施形態では、動作可能に連結されたヌクレオチド配列は、ランダムに組み込まれたSOIと比較して、SOIの発現レベルを増加させる。特定の実施形態では、組み込まれた外因性SOIは、ランダムに組み込まれたSOIよりも約20%、30%、40%、50%、100%、2倍、3倍、5倍、又は10倍高く発現される。
【0050】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性配列は、NW_006874047.1のヌクレオチド41190-45269、NW_006884592.1のヌクレオチド63590-207911、NW_006881296.1のヌクレオチド253831-491909、NW_003616412.1のヌクレオチド69303-79768、NW_003615063.1のヌクレオチド293481-315265、NW_006882936.1のヌクレオチド2650443-2662054、及びNW_003615411.1のヌクレオチド82214-97705並びにそれらと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の5’側に隣接し、NW_006874047.1のヌクレオチド45270-45490、NW_006884592.1のヌクレオチド207912-792374、NW_006881296.1のヌクレオチド491910-667813、NW_003616412.1のヌクレオチド79769-100059、NW_003615063.1のヌクレオチド315266-362442、NW_006882936.1のヌクレオチド2662055-2701768、及びNW_003615411.1のヌクレオチド97706-105117並びにそれらと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の3’側に隣接する。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の5’側に隣接するヌクレオチド配列は、NW_006874047.1のヌクレオチド41190-45269、NW_006884592.1のヌクレオチド63590-207911、NW_006881296.1のヌクレオチド253831-491909、NW_003616412.1のヌクレオチド69303-79768、NW_003615063.1のヌクレオチド293481-315265、NW_006882936.1のヌクレオチド2650443-2662054、及びNW_003615411.1のヌクレオチド82214-97705と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同であり、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の3’側に隣接するヌクレオチド配列は、配列番号NW_006874047.1のヌクレオチド45270-45490、NW_006884592.1のヌクレオチド207912-792374、NW_006881296.1のヌクレオチド491910-667813、NW_003616412.1のヌクレオチド79769-100059、NW_003615063.1のヌクレオチド315266-362442、NW_006882936.1のヌクレオチド2662055-2701768、及びNW_003615411.1のヌクレオチド97706-105117と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。
【0051】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチドは、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される配列の全部又は一部とすぐ隣り合う遺伝子座に組み込まれる。
【0052】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、配列番号1~7及びそれと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の隣りに位置する。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、配列番号1~7及びそれと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択される配列から約100bp、約200bp、約500bp、約1kb以内の距離にある。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列と隣り合うヌクレオチド配列は、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。
【0053】
特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号1の番号1~1,000bp、1,000~2,000bp、2,000~3,000bp、3,000~4,000bp、及び4,000~4,301bpが付与されたヌクレオチドから選択される位置と隣り合う組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号2の番号1~100,000bp、100,000~200,000bp、200,000~300,000bp、300,000~400,000bp、400,000~500,000bp、500,000~600,000bp、600,000~700,000bp、及び700,000~728785bpが付与されたヌクレオチドから選択される位置と隣り合う組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号3の番号1~100,000bp、100,000~200,000bp、200,000~300,000bp、300,000~400,000bp、及び400,000~413,983が付与されたヌクレオチドから選択される位置と隣り合う組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号4の番号1~10,000bp、10,000~20,000bp、20,000~30,000bp、及び30,000~30,757bpが付与されたヌクレオチドから選択される位置と隣り合う組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号5の番号1~10,000bp、10,000~20,000bp、20,000~30,000bp、30,000~40,000bp、40,000~50,000bp、50,000~60,000bp、及び60,000~68,962bpが付与されたヌクレオチドから選択される位置と隣り合う組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号6の番号1~10,000bp、10,000~20,000bp、20,000~30,000bp、30,000~40,000bp、40,000~50,000bp、及び50,000~51,326bpが付与されたヌクレオチドから選択される位置と隣り合う組み込み部位に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、配列番号7の番号1~10,000bp、10,000~20,000bp、及び20,000~22,904bpが付与されたヌクレオチドから選択される位置と隣り合う組み込み部位に組み込まれる。
【0054】
特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列の組み込み部位を含む遺伝子座は、オープンリーディングフレーム(ORF)をコードしない。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列の組み込み部位を含む遺伝子座は、シス作用性エレメント、例えば、プロモーター及びエンハンサーを含む。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列の組み込み部位を含む遺伝子座は、遺伝子発現を増強する任意のシス作用性エレメント、例えばプロモーター及びエンハンサーを含まない。
【0055】
特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される内因性遺伝子内の組み込み部位に組み込まれる。内因性LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2及びXP_003512331.2遺伝子には、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2及びXP_003512331.2遺伝子の野生型及びすべての相同配列が含まれる。特定の実施形態では、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2遺伝子の相同配列は、野生型LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2遺伝子と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同でありうる。特定の実施形態では、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2遺伝子は、野生型哺乳動物LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2遺伝子である。特定の実施形態では、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2遺伝子は、野生型ヒトLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2遺伝子である。特定の実施形態では、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2遺伝子は、野生型ハムスターLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2遺伝子である。
【0056】
特定の実施形態では、組み込み部位は、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらの少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される内因性遺伝子に動作可能に連結される。特定の実施形態では、組み込み部位は、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらの少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される内因性遺伝子に隣接する。
【0057】
表1は、例示的なTI宿主細胞組み込み部位を提供する。
【0058】
特定の実施形態では、組み込み部位及び/又は組み込み部位に隣接するヌクレオチド配列は、実験的に同定することができる。特定の実施形態では、組み込み部位及び/又は組み込み部位に隣接するヌクレオチド配列は、1つ以上の外因性ヌクレオチド配列に組み込まれた1つ以上のSOIによってコードされる目的のポリペプチドを望ましいレベルで発現する宿主細胞を単離するためのゲノムワイドスクリーニング手法によって同定することができ、外因性配列はそれ自体、宿主細胞のゲノム内の1つ以上の遺伝子座に組み込まれる。特定の実施形態では、組み込み部位及び/又は組み込み部位に隣接するヌクレオチド配列は、トランスポザーゼに基づくカセット組み込み事象後のゲノムワイドスクリーニング手法によって同定することができる。特定の実施形態では、組み込み部位及び/又は組み込み部位に隣接するヌクレオチド配列は、ブルートフォースランダム組み込みスクリーニングによって同定することができる。特定の実施形態では、組み込み部位及び/又は組み込み部位に隣接するヌクレオチド配列は、標的化遺伝子座増幅(TLA)、それに続く次世代シーケンシング(NGS)及び全ゲノムNGSなどの従来の配列決定手法によって決定することができる。特定の実施形態では、染色体上の組み込み部位の位置は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)分析などの従来の細胞生物学的手法によって決定することができる。
【0059】
特定の実施形態では、TI宿主細胞は、TI宿主細胞のゲノム内の特定の第1の遺伝子座内の第1組み込み部位に組み込まれた第1の外因性ヌクレオチド配列と、ゲノム内の特定の第2の遺伝子座内の第2の組み込み部位に組み込まれた第2の外因性ヌクレオチド配列とを含む。特定の実施形態では、TI宿主細胞は、TI宿主細胞のゲノム内の複数の組み込み部位で組み込まれた複数の外因性ヌクレオチド配列を含む。
【0060】
特定の実施形態では、本開示のTI宿主細胞は、少なくとも2つの異なる外因性ヌクレオチド配列、例えば、少なくとも1つのRRSを含む外因性ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、2つ以上の外因性ヌクレオチド配列は、1つ以上のSOIの導入の標的とすることができる。特定の実施形態では、SOIは同一である。特定の実施形態では、SOIは異なる。特定の実施形態では、第1の外因性ヌクレオチド配列を含む親TI宿主細胞は、第1の外因性ヌクレオチド配列の組み込み部位とは異なる組み込み部位に第2の外因性ヌクレオチド配列を含むことができる。
【0061】
特定の実施形態では、組み込み部位は、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%又は少なくとも約99.9%相同である。特定の実施形態では、組み込み部位は、同じ染色体上に存在しうる。特定の実施形態では、組み込み部位は、同じ染色体中で互いに1~1,000ヌクレオチド、1,000~100,000ヌクレオチド、100,000~1,000,000ヌクレオチド又はそれを超える範囲内に位置する。特定の実施形態では、組み込み部位は異なる染色体上に存在する。特定の実施形態では、1つの組み込み部位に外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞は、同じ又は異なる組み込み部位に少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又はそれよりも多い外因性ヌクレオチド配列を挿入するために使用することができる。
【0062】
特定の実施形態では、少なくとも2つの組み込み部位のリコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)の実現可能性は、各部位について個別に評価することができる。特定の実施形態では、少なくとも2つの組み込み部位のRMCEの実現可能性は、同時に評価することができる。複数の部位でのRMCEの実現可能性は、当技術分野で既知の方法により、例えば、ポリペプチド力価又はポリペプチド特異的生産を測定することによって評価することができる。特定の実施形態では、評価は、当技術分野で既知の方法によって、例えば、1つ又は複数のSOIを発現するTI宿主細胞の培養物の力価及び/又は比生産性を評価することによって実施することができる。例示的な培養戦略には、限定されないが、流加振盪フラスコ培養及びバイオリアクター流加培養が含まれる。目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞の力価及び比生産性は、当技術分野で既知の方法によって、例えば、限定されないが、ELISA、FACS、蛍光マイクロボリュームアッセイ技術(FMAT)、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、ウエスタンブロット分析によって評価することができる。
【0063】
3.外因性ヌクレオチド配列
外因性ヌクレオチド配列は、宿主細胞に由来しないが、例えば、トランスフェクション法、エレクトロポレーション法、又は形質転換法などの従来のDNA送達方法によって、宿主細胞に導入することのできるヌクレオチド配列である。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、目的配列(SOI)、例えば目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列である。しかしながら、特定の実施形態では、本開示との関連で用いられる外因性ヌクレオチド配列は、さらなる核酸配列、例えばSOIの導入を促進する要素、例えば1つ以上の組み換え認識配列(RRS)及び1つ以上の選択マーカーを含む。特定の実施形態では、追加の核酸配列の導入を促進する外因性ヌクレオチド配列は、本明細書では「ランディングパッド」と呼ばれる。したがって、特定の実施形態では、TI宿主細胞は:(1)1つ以上のSOI、例えば、外因性部位特異的ヌクレアーゼ媒介性(例えば、CRISPR/Cas9媒介性)標的化組み込みを介して宿主細胞のゲノム中の特定の遺伝子座に組み込まれたSOIを含む外因性ヌクレオチド配列;(2)1つ以上のランディングパッドを含む外因性ヌクレオチド配列;又は(3)1つ以上のSOIが組み込まれた1つ以上のランディングパッドを含む外因性ヌクレオチド配列を含みうる。
【0064】
特定の実施形態では、TI宿主細胞は、TI宿主細胞のゲノム中の1つ以上の組み込み部位に組み込まれた少なくとも1つの外因性ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、外因性ヌクレオチド配列は、TI宿主細胞のゲノムの特定の遺伝子座内の1つ以上の組み込み部位に組み込まれる。例えば、限定しないが、少なくとも1つの外因性核酸配列は、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同な1つ以上の遺伝子座に組み込むことができる。
【0065】
3.1 ランディングパッド
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、1つ以上の組み換え認識配列(RRS)を含み、RRSはリコンビナーゼによって認識されうる。特定の実施態様では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも2つのRRSを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は2つのRRSを含み、2つのRRSは同一である。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は2つのRRSを含み、2つのRRSは異種特異的である、即ち、同じリコンビナーゼによって認識されない。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は3つのRRSを含み、第3のRRSは、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置している。特定の実施態様では、第1のRRSと第2のRRSとは同一であり、第3のRRSは、第1のRRS又は第2のRRSとは異なっている。特定の実施形態では、3つのRRSはすべて異種特異的である。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つのRRSを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、複数のRRSを含む。特定の実施形態では、複数の2つ以上のRRSは同一である。特定の実施形態では、2つ以上のRRSは異種特異性である。特定の実施形態では、各RRSは、異なるリコンビナーゼによって認識されうる。特定の実施形態では、RRSの総数のサブセットは、同種特異性であり、即ち、同じリコンビナーゼによって認識され、RRSの総数のあるサブセットは、異種特異性であり、即ち、同じリコンビナーゼによって認識されない。特定の実施形態では、RRS又は複数のRRSは、LoxP配列、LoxP L3配列、LoxP 2L配列、LoxFas配列、Lox511配列、Lox2272配列、Lox2372配列、Lox5171配列、Loxm2配列、Lox71配列、Lox66配列、FRT配列、Bxb1 attP配列、Bxb1 attB配列、φC31 attP配列、及びφC31 attB配列からなる群から選択されうる。
【0066】
特定の実施態様では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つの選択マーカーを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、1つのRRS及び少なくとも1つの選択マーカーを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、第1のRRS及び第2のRRS、並びに少なくとも1つの選択マーカーを含む。特定の実施形態では、選択マーカーは、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置している。特定の実施形態では、2つのRRSは、少なくとも1つの選択マーカーに隣接し、即ち、第1のRRSが選択マーカーの上流の5’側に位置し、第2のRRSが下流の3’側に位置している。特定の実施態様では、第1のRRSは、選択マーカーの5’末端に隣接し、第2のRRSは、選択マーカーの3’末端の隣りに位置する。
【0067】
特定の実施形態では、選択マーカーは、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置し、2つの隣接するRRSは同一である。特定の実施形態では、選択マーカーに隣接する2つのRRSは、いずれもLoxP配列である。特定の実施形態では、選択マーカーに隣接する2つのRRSは、いずれもFRT配列である。特定の実施形態では、選択マーカーは、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置し、2つの隣接するRRSは異種特異的である。特定の実施形態では、第1の隣接するRRSは、LoxP L3配列であり、第2の隣接するRRSは、LoxP 2L配列である。特定の実施形態では、LoxP L3配列(sequenced)は、選択マーカーの5’側に位置しており、LoxP 2L配列は、選択マーカーの3’側に位置している。特定の実施形態では、第1の隣接するRRSは、野生型FRT配列であり、第2の隣接するRRSは、変異体FRT配列である。特定の実施態様では、第1の隣接するRRSは、Bxb1 attP配列であり、第2の隣接するRRSは、Bxb1 attB配列である。特定の実施態様では、第1の隣接するRRSは、φC31 attP配列であり、第2の隣接するRRSは、φC31 attB配列である。特定の実施形態では、2つのRRSは、同じ向きに位置決めされている。特定の実施形態では、2つのRRSは、両方が順方向又は逆方向に向いている。特定の実施形態では、2つのRRSは、反対の向きに位置決めされている。
【0068】
特定の実施形態では、選択マーカーは、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)(例えば、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HYG)、ネオマイシン及びG418 APH)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ(TK)、グルタミン合成酵素(GS)、アスパラギン合成酵素、トリプトファン合成酵素(インドール)、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(ヒスチジノールD)、並びにピューロマイシン、ブラストサイジン、ブレオマイシン、フレオマイシン、クロラムフェニコール、ゼオシン、又はマイコフェノール酸に対する耐性をコードする遺伝子でありうる。特定の実施形態では、選択マーカーは、GFP、eGFP、合成GFP、YFP、eYFP、CFP、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J-red、DsRed-モノマー、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、CyPet、mCFPm、Cerulean、又はT-Sapphireマーカーでありうる。特定の実施形態では、選択マーカーは、少なくとも2つの選択マーカーを含む融合コンストラクトでありうる。特定の実施形態では、選択マーカー又は選択マーカーの断片をコードする遺伝子は、異なる選択マーカー又はその断片をコードする遺伝子に融合されうる。
【0069】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、2つのRRSに隣接する2つの選択マーカーを含み、第1の選択マーカーは、第2の選択マーカーとは異なる。特定の実施形態では、2つの選択マーカーは両方とも、グルタミン合成酵素選択マーカー、チミジンキナーゼ選択マーカー、HYG選択マーカー、及びピューロマイシン耐性選択マーカーからなる群から選択される。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、チミジンキナーゼ選択マーカー及びHYG選択マーカーを含む。特定の実施形態では、第1の選択マーカーは、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)(例えば、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HYG)、ネオマイシン及びG418 APH)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ(TK)、グルタミン合成酵素(GS)、アスパラギン合成酵素、トリプトファン合成酵素(インドール)、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(ヒスチジノールD)、並びにピューロマイシン、ブラストサイジン、ブレオマイシン、フレオマイシン、クロラムフェニコール、ゼオシン、及びマイコフェノール酸に対する耐性をコードする遺伝子からなる群から選択され、第2の選択マーカーは、GFP、eGFP、合成GFP、YFP、eYFP、CFP、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J-red、DsRed-モノマー、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、CyPet、mCFPm、Cerulean、及びT-Sapphireからなる群から選択される。特定の実施形態では、第1の選択マーカーは、グルタミン合成酵素選択マーカーであり、第2の選択マーカーは、GFPマーカーである。特定の実施形態では、両方の選択マーカーに隣接する2つのRRSは同一である。特定の実施形態では、両方の選択マーカーに隣接する2つのRRSは異なっている。
特定の実施形態では、選択マーカーは、プロモーター配列に動作可能に連結されている。特定の実施形態では、選択マーカーは、SV40プロモーターに動作可能に連結されている。特定の実施形態では、選択マーカーは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターに動作可能に連結されている。
【0070】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つの選択マーカー及びIRESを含み、IRESは選択マーカーに動作可能に連結されている。特定の実施形態では、IRESに動作可能に連結された選択マーカーは、GFP、eGFP、合成GFP、YFP、eYFP、CFP、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J-red、DsRed-モノマー、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、CyPet、mCFPm、Cerulean、及びT-Sapphireマーカーからなる群から選択される。特定の実施形態では、IRESに動作可能に連結される選択マーカーは、GFPマーカーである。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、2つのRRSに隣接する2つの選択マーカー及びIRESを含み、IRESは第2の選択マーカーに動作可能に連結されている。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、2つのRRSに隣接する3つの選択マーカー及びIRESを含み、IRESは第3の選択マーカーに動作可能に連結されている。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、2つのRRSに隣接する3つの選択マーカー及びIRESを含み、IRESは第3の選択マーカーに動作可能に連結されている。特定の実施形態では、第3の選択マーカーは、第1又は第2の選択マーカーとは異なる。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、プロモーターに動作可能に連結された第1の選択マーカー及びIRESに動作可能に連結された第2の選択マーカーを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、SV40プロモーターに動作可能に連結されたグルタミン合成酵素選択マーカー及びIRESに動作可能に連結されたGFP選択マーカーを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、CMVプロモーターに動作可能に連結されたチミジンキナーゼ選択マーカー及びHYG選択マーカー並びにIRESに動作可能に連結されたGFP選択マーカーを含む。
【0071】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、3つのRRSを含む。特定の実施形態では、第3のRRSは、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置している。特定の実施形態では、3つのRRSはすべて同一である。特定の実施態様では、第1のRRSと第2のRRSとは同一であり、第3のRRSは、第1のRRS又は第2のRRSとは異なる。特定の実施形態では、3つのRRSはすべて異種特異的である。
【0072】
3.2 目的の配列(SOI)
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つの外因性SOIを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つの選択マーカー、少なくとも1つの外因性SOI、及び少なくとも1つのRRSを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ又はそれを超えるSOIを含む。特定の実施形態では、SOIは同一である。特定の実施形態では、SOIは異なっている。
【0073】
特定の実施形態では、SOIは、単鎖抗体又はその断片をコードする。特定の実施形態では、SOIは、抗体重鎖配列又はその断片をコードする。特定の実施形態では、SOIは、抗体軽鎖配列又はその断片をコードする。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、抗体重鎖配列又はその断片をコードするSOI、及び抗体軽鎖配列又はその断片をコードするSOIを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、第1の抗体重鎖配列又はその断片をコードするSOI、第2の抗体重鎖配列又はその断片をコードするSOI、及び抗体軽鎖配列又はその断片をコードするSOIを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、第1の抗体重鎖配列又はその断片をコードするSOI、第2の抗体重鎖配列又はその断片をコードするSOI、第1の抗体軽鎖配列又はその断片をコードするSOI、及び抗体軽鎖配列又はその断片をコードする第2のSOIを含む。特定の実施形態では、重鎖及び軽鎖配列をコードするSOIの数は、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの所望の発現レベルを達成するように、例えば所望の量の二重特異性抗体生産を達成するように選択することができる。特定の実施形態では、重鎖及び軽鎖配列をコードする個々のSOIは、例えば、単一の組み込み部位に存在する単一の外因性核酸配列に、単一の組み込み部位に存在する複数の外因性核酸配列に、又はTI宿主細胞内の異なる組み込み部位に組み込まれた複数の外因性核酸配列に、組み込むことができる。
【0074】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つの選択マーカー、少なくとも1つの外因性SOI及び1つのRRSを含む。特定の実施形態では、RRSは、少なくとも1つの選択マーカー又は少なくとも1つの外因性SOIの隣りに位置する。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、少なくとも1つの選択マーカー、少なくとも1つの外因性SOI、及び2つのRRSを含む。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの選択マーカーを含む。特定の実施形態では、選択マーカー及び外因性SOIに隣接する2つのRRSは同一である。特定の実施形態では、選択マーカー及び外因性SOIに隣接する2つのRRSは異なっている。特定の実施形態では、第1の隣接するRRSは、LoxP L3配列であり、第2の隣接するRRSは、LoxP 2L配列である。特定の実施形態では、LoxP L3配列は、選択マーカーの5’に位置し、LoxP 2L配列は、選択マーカー及び外因性SOIの3’に位置する。
【0075】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、3つのRRS及び2つの外因性SOIを含み、第3のRRSは、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施形態では、第1のSOIは、第1のRRSと第3のRRSのRRSとの間に位置し、第2のSOIは、第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施形態では、第1のSOIと第2のSOIとは異なっている。特定の実施態様では、第1のRRSと第2のRRSとは同一であり、第3のRRSは、第1のRRS又は第2のRRSとは異なっている。特定の実施形態では、3つのRRSはすべて異種特異的である。特定の実施形態では、第1のRRSはLoxP L3部位であり、第2のRRSはLoxP 2L部位であり、第3のRRSはLoxFas部位である。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、3つのRRS、1つの外因性SOI、及び1つの選択マーカーを含む。特定の実施形態では、SOIは、第1のRRSと第3との間に位置し、選択マーカーは、第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、3つのRRS、2つの外因性SOI、及び1つの選択マーカーを含む。特定の実施形態では、第1のSOI及び選択マーカーは、第1のRRSと第3のRRSのRRSとの間に位置し、第2のSOIは、第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。
【0076】
特定の実施形態では、外因性SOIは、目的のポリペプチドをコードする。そのような目的のポリペプチドは、抗体、酵素、サイトカイン、成長因子、ホルモン、ウイルスタンパク質、細菌タンパク質、ワクチンタンパク質、又は治療機能を有するタンパク質を含む群から選択することができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、外因性SOIは、抗体又はその抗原結合断片をコードする。特定の実施形態では、外因性SOIは、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)又はFc融合タンパク質をコードする。特定の実施形態では、外因性SOI(又は複数のSOI)は、標準抗体をコードする。特定の実施形態では、外因性SOI(又は複数のSOI)は、半抗体、例えば、限定されないが、本開示の抗体B、Q、T及びmAbIをコードする。特定の実施形態では、外因性SOI(又は複数のSOI)は、複合抗体をコードする。特定の実施形態では、複合抗体は、二重特異性抗体、例えば、本開示の二重特異性分子A、二重特異性分子B、二重特異性分子C、又は二重特異性分子Dでありうるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、外因性SOIは、少なくとも1つのシス作用性エレメント、例えば、プロモーター又はエンハンサーに動作可能に連結される。特定の実施形態では、外因性SOIは、CMVプロモーターに動作可能に連結される。
【0077】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、2つのRRSと、2つのRRSの間に位置する少なくとも2つの外因性SOIとを含む。特定の実施形態では、抗体の1本の重鎖及び1本の軽鎖をコードするSOIは、2つのRRSの間に位置する。特定の実施形態では、抗体の1本の重鎖及び2本の軽鎖をコードするSOIは、2つのRRSの間に位置する。特定の実施形態では、抗体の重鎖及び軽鎖のコピーの異なる組み合わせをコードするSOIは、2つのRRSの間に位置する。
【0078】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、3つのRRS及び少なくとも2つの外因性SOIを含み、第3のRRSは、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施形態では、少なくとも1つのSOIは、第1のRRSと第3のRRSのRRSとの間に位置し、少なくとも1つのSOIは、第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施態様では、第1のRRSと第2のRRSとは同一であり、第3のRRSは、第1のRRS又は第2のRRSとは異なっている。特定の実施形態では、3つのRRSはすべて異種特異的である。特定の実施形態では、第1の抗体の1本の重鎖及び1本の軽鎖をコードするSOIは、第1のRRSと第3のRRSのRRSとの間に位置し、第2の抗体の1本の重鎖及び1本の軽鎖をコードするSOIは、第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施形態では、第1の抗体の1本の重鎖及び2本の軽鎖をコードするSOIは、第1のRRSと第3のRRSのRRSとの間に位置し、第2の抗体の1本の重鎖及び1本の軽鎖をコードするSOIは、第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施形態では、第1の抗体の1本の重鎖及び3本の軽鎖をコードするSOIは、第1のRRSと第3のRRSのRRSとの間に位置し、第1の抗体の1本の軽鎖、並びに第2の抗体の1本の重鎖及び1本の軽鎖をコードするSOIは、第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施形態では、第1の抗体の1本の重鎖及び3本の軽鎖をコードするSOIは、第1のRRSと第3のRRSのRRSとの間に位置し、第1の抗体の2本の軽鎖、並びに第2の抗体の1本の重鎖及び1本の軽鎖をコードするSOIは、第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。特定の実施形態では、複数の抗体の重鎖及び軽鎖のコピーの異なる組み合わせをコードするSOIは、第1のRRSと第3のRRSのRRSとの間、並びに第3のRRSと第2のRRSとの間に位置する。
【0079】
特定の実施形態では、SOIの数は、SOIを発現する宿主細胞の力価及び/又は比生産性を増加させるように選択される。例えば、限定しないが、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれを超えるSOIの組み込みは、力価及び/又は比生産性の増加をもたらすことができる。
【0080】
抗体発現に関連して、SOIをコードするさらなる重鎖又は軽鎖を含めると、力価及び/又は比生産性を増加させることができる。例えば、限定しないが、コピー数を1本の重鎖及び1本の軽鎖をコードする配列(HL)から1本の重鎖及び2本の軽鎖をコードする配列(HLL)に増加させると、力価及び/又は比生産性の増加を達成することができる。同様に、以下の実施例で概説するように、HLL(3つのSOI)からHLL-HL(5つのSOI)又はHLL-HLL(6つのSOI)に増加させると、力価及び/又は比生産性の増加を提供することができる。加えて、コピー数をHLL-HL(5つのSOI)又はHLL-HLHL(7つのSOI)に増加させることにより、力価及び/又は比生産性の増加を提供することができ。重鎖及び軽鎖のSOIコピー数のさらなる選択肢には、限定されないが、HHL;HHL-H;HLL-H;HHL-HH;HHL-HL;HHL-LL;HLL-HH;HLL-HL;HLL-LL;HHL-HHL;HHL-HHH;HHL-HLL;HHK-LLL;HLL-HHL;HLL-HHH;HLL-LLL;HHL-HHHL;HHL-HHHH;HHL-HHLL;HHL-HLLL;HHL-LLLL;HLL-HHHL;HLL-HHHH;HLL-HLLL;及びHLL-LLLLが含まれる。特定の実施形態では、追加のコピーの包含は単一のゲノム遺伝子座で起こるが、特定の実施形態では、SOIコピーは2つ以上の遺伝子座に組み込むことができ、例えば、複数のコピーを単一の遺伝子座に組み込むことができ、1つ以上のコピーを1つ以上の追加の遺伝子座に組み込むことができる。
【0081】
特定の実施形態では、SOIの位置、例えば、1つのSOIが別のSOIに対して3’又は5’に位置するかどうかは、SOIを発現する宿主細胞の力価及び/又は比生産性を高めるように選択される。例えば、限定しないが、抗体生成に関連して、重鎖及び軽鎖SOIの組み込み位置は、力価及び/又は比生産性の増加をもたらすことができる。特定の実施形態では、重鎖と軽鎖のSOIの相対的な位置は、SOIのコピー数に変化がなくとも、力価及び比生産性に影響を与えることができる。
【0082】
4.宿主細胞
本開示の主題は、ヌクレオチド配列の標的化組み込み及び目的のポリペプチドの発現に適した宿主細胞を提供する。特定の実施形態では、宿主細胞は、LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2及びそれらと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択される内因性の遺伝子、又は宿主細胞のゲノムの遺伝子座を含み、遺伝子座は、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分、並びに配列番号1~7及びそれと少なくとも50%相同な配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0083】
特定の実施形態では、宿主細胞は、真核生物宿主細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、ハムスター宿主細胞、ヒト宿主細胞、ラット宿主細胞、又はマウス宿主細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞、CHO K1宿主細胞、CHO K1SV宿主細胞、DG44宿主細胞、DUKXB-11宿主細胞、CHOK1S宿主細胞、又はCHO K1M宿主細胞である。
【0084】
特定の実施形態では、宿主細胞は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されるような293又は293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるようなTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌腫細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍(MMT060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるような、TRI細胞、MRC5細胞、FS4細胞、Y0細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、及びPER.C6(登録商標)細胞からなる群から選択される。
【0085】
特定の実施形態では、宿主細胞は、細胞株である。特定の実施形態では、宿主細胞は、一定数の世代にわたって培養された細胞株である。特定の実施形態では、宿主細胞は、初代細胞である。
【0086】
特定の実施形態では、目的のポリペプチドの発現は、発現レベルが特定のレベルに維持され、10、20、30、50、100、200又は300世代にわたって20%未満で増加又は減少する場合、安定である。特定の実施形態では、いかなる選択もせずに培養物を維持することができる場合、目的のポリペプチドの発現は安定である。特定の実施形態では、目的の遺伝子のポリペプチド生成物が約1g/L、約2g/L、約3g/L、約4g/L、約5g/L、約10g/L、約12g/L、約14g/L、又は約16g/Lに達する場合、目的のポリペプチドの発現は高い。
【0087】
本開示の主題はまた、目的のポリペプチドを生成するための方法に関する。特定の実施形態では、このような方法は:a)宿主細胞のゲノムの遺伝子座内に組み込まれた2つのRRSに隣接する少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの選択マーカーを含む宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分、並びに配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、宿主細胞を提供することと;b)a)の細胞を、SOIを発現させるために適した条件下で培養し、そこから目的のポリペプチドを回収することとを含む。特定の実施形態では、このような方法は:a)宿主細胞のゲノムの遺伝子座内に組み込まれた少なくとも2つの外因性SOI及び少なくとも1つの選択マーカーを含む宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分、並びに配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同であり、少なくとも1つの外因性SOI及び1つの選択マーカーが、第1及び第3のRRSと隣接しており、少なくとも1つの外因性SOIが、第2及び第3のRRSと隣接している、宿主細胞を提供することと;b)a)の細胞を、SOIを発現させるために適した条件下で培養し、そこから目的のポリペプチドを回収することとを含む。特定の実施形態では、そのような方法は、a)LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらの少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される内因性遺伝子内に組み込まれた2つのRRSに隣接する少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの選択マーカーを含む宿主細胞を提供することと;b)a)の細胞を、SOIを発現させるために適した条件下で培養し、そこから目的のポリペプチドを回収することとを含む。特定の実施形態では、そのような方法は、a)LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される内因性遺伝子内に組み込まれた少なくとも2つの外因性SOI及び少なくとも1つの選択マーカーを含む宿主細胞を提供することであって、少なくとも1つの外因性SOI及び1つの選択マーカーが、第1及び第3のRRSに隣接し、少なくとも1つの外因性SOIが、第2及び第3のRRSに隣接する、宿主細胞を提供することと;b)a)の細胞を、SOIを発現させるために適した条件下で培養し、そこから目的のポリペプチドを回収することとを含む。
【0088】
特定の実施形態では、目的のポリペプチドが生成されて細胞培養培地中に分泌される。特定の実施形態では、目的のポリペプチドは、宿主細胞内で発現及び保持される。特定の実施形態では、目的のポリペプチドは、宿主細胞膜で発現、挿入、及び保持される。
【0089】
目的の外因性ヌクレオチド又はベクターは、トランスフェクション、形質導入、エレクトロポレーション又は注入を含むがこれらに限定されない従来の細胞生物学的方法によって宿主細胞に導入することができる。特定の実施形態では、目的の外因性ヌクレオチド又はベクターは、脂質ベースのトランスフェクション法、リン酸カルシウムベースのトランスフェクション法、カチオン性ポリマーベースのトランスフェクション法、又はナノ粒子ベースのトランスフェクションを含む化学ベースのトランスフェクション法によって、宿主細胞に導入される。特定の実施形態では、目的の外因性ヌクレオチドは、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、又はアデノ随伴ウイルス媒介形質導入を含むがこれらに限定されないウイルス媒介形質導入によって、宿主細胞に導入される。特定の実施形態では、目的の外因性ヌクレオチド又はベクターは、遺伝子銃媒介注入によって宿主細胞に導入される。特定の実施形態では、DNA分子及びRNA分子の両方は、本明細書中に記載される方法を使用して宿主細胞に導入される。
【0090】
5.標的化組み込み
標的化組み込みは、外因性ヌクレオチド配列が宿主細胞のゲノムの1つ以上の所定の部位に組み込まれることを可能にする。特定の実施形態では、標的化組み込みは、1つ以上のRRSを認識するリコンビナーゼによって媒介される。特定の実施形態では、標的化組み込みは、相同組み換えによって媒介される。特定の実施形態では、標的化組み込みは、外因性部位特異的ヌクレアーゼ、続いてHDR及び/又はNHEJによって媒介される。
【0091】
特定の実施形態では、標的化組み込みは、ランダム組み込みと組み合わせることができる。特定の実施形態では、標的化組み込みに続いてランダム組み込みを行うことができる。特定の実施形態では、ランダム組み込みは、当技術分野において既知の任意の方法又はシステムにより媒介されうる。特定の実施形態では、ランダム組み込みは、MaxCyte STX(登録商標)エレクトロポレーションシステムにより媒介される。
【0092】
5.1.リコンビナーゼ媒介組み換えを介した標的化組み込み
「組み換え認識配列」(RRS)は、リコンビナーゼによって認識され、リコンビナーゼに媒介された組み換え事象のために必要且つ十分である、ヌクレオチド配列である。RRSは、組み換え事象が起こると考えられるヌクレオチド配列中の位置を定めるために使用することができる。
【0093】
特定の実施形態では、RRSは、LoxP配列、LoxP L3配列、LoxP 2L配列、LoxFas配列、Lox511配列、Lox2272配列、Lox2372配列、Lox5171配列、Loxm2配列、Lox71配列、Lox66配列、FRT配列、Bxb1 attP配列、Bxb1 attB配列、φC31 attP配列、及びφC31 attB配列からなる群から選択される。
【0094】
特定の実施形態では、RRSは、Creリコンビナーゼによって認識されうる。特定の実施形態では、RRSは、FLPリコンビナーゼによって認識されうる。特定の実施形態では、RRSは、Bxb1インテグラーゼによって認識されうる。特定の実施形態では、RRSは、φC31インテグラーゼによって認識されうる。
【0095】
RRSがLoxP部位である場合の特定の実施形態では、宿主細胞は、組み換えを実施するためにCreリコンビナーゼを必要とする。RRSがFRT部位である場合の特定の実施形態では、宿主細胞は、組み換えを実施するためにFLPリコンビナーゼを必要とする。RRSがBxb1 attP又はBxb1 attB部位である場合の特定の実施形態では、宿主細胞は、組み換えを実施するためにBxb1インテグラーゼを必要とする。RRSがφC31 attP又はφC31 attB部位である場合の特定の実施形態では、宿主細胞は、組み換えを実施するためにφC31インテグラーゼを必要とする。リコンビナーゼは、酵素のコード配列を含む発現ベクターを使用して、宿主細胞に導入することができる。
【0096】
Cre-LoxP部位特異的組み換え系は、多くの生物学的実験系において広く使用されている。Creは、34bpのLoxP配列を認識する、38kDaの部位特異的DNAリコンビナーゼである。Creは、バクテリオファージP1に由来し、チロシンファミリーの部位特異的リコンビナーゼに属する。Creリコンビナーゼは、LoxP配列間の分子内組み換え及び分子間組み換えの両方を媒介することができる。LoxP配列は、2つの13bpの逆方向反復に隣接する8bpの非パリンドロームコア領域で構成されている。Creリコンビナーゼは、13bpの反復に結合し、それによって8bpのコア領域内での組み換えを媒介する。Cre-LoxP媒介組み換えは、高い効率で起こり、他のいかなる宿主因子も必要としない。2つのLoxP配列が同じヌクレオチド配列上に同じ向きで配置されている場合、Cre媒介組み換えは、それら2つのLoxP配列の間に位置するDNA配列を、共有結合的に閉じた環として切除する。2つのLoxP配列が同じヌクレオチド配列上に逆向きの位置で配置されている場合、Cre媒介組み換えは、それら2つの配列の間に位置するDNA配列の向きを逆にする。LoxP配列は、異なる染色体上に配置されて、異なる染色体間の組み換えを促進することもできる。2つのLoxP配列が2つの異なるDNA分子上に存在する場合、且つ一方のDNA分子が環状である場合、Cre媒介組み換えの結果、環状DNA配列の組み込えが生じる。
【0097】
特定の実施形態では、LoxP配列は、野生型LoxP配列である。特定の実施形態では、LoxP配列は、変異体LoxP配列である。変異体LoxP配列は、Cre媒介組み込み又は置換の効率を高めるために開発された。特定の実施形態では、変異体LoxP配列は、LoxP L3配列、LoxP 2L配列、LoxFas配列、Lox511配列、Lox2272配列、Lox2372配列、Lox5171配列、Loxm2配列、Lox71配列、及びLox66配列からなる群から選択される。例えば、Lox71配列では、左側の13bpの反復で5bpが変異している。Lox66配列は、右の13bp反復中で5bpが変異している。野生型LoxP配列及び変異体LoxP配列の両方は、Cre依存性組み換えを媒介することができる。
【0098】
FLP-FRT部位特異的組み換え系は、Cre-Loxシステムに類似している。それは、酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の2μmプラスミドに由来するフリッパーゼ(FLP)リコンビナーゼを含む。FLPはまた、チロシンファミリー部位特異的リコンビナーゼに属する。FRT配列は、各々が8bpのスペーサーに隣接する13bpの2つの回文配列からなる34bpの配列である。FLPは、13bpの回文配列に結合し、8bpスペーサー内のDNA破壊、交換及びライゲーションを媒介する。Creリコンビナーゼと同様に、2つのFRT配列の位置及び配向によって、FLP媒介組み換えの結果が決定される。特定の実施形態では、FRT配列は、野生型FRT配列である。特定の実施形態では、FRT配列は、変異体FRT配列である。野生型及び変異体のFRT配列の両方は、FLP依存性組み換えを媒介することができる。特定の実施形態では、FRT配列は、限定されないが、タモキシフェン応答性受容体ドメイン配列などの応答性受容体ドメイン配列に融合される。
【0099】
Bxb1及びφC31はセリンリコンビナーゼファミリーに属する。それらはいずれもバクテリオファージに由来し、溶原性を確立して細菌ゲノムへのファージゲノムの部位特異的組み込みを促進するために、これらバクテリオファージによって使用される。これらのインテグラーゼは、attP及びattB配列と呼ばれる短い(40~60bp)DNA基質間の部位特異的組み換え事象を触媒し、その配列は、それぞれファージDNA及び細菌DNA上に位置する元々の付着部位である。組み換え後、2つの新しい配列が形成され、これらはattL配列及びattR配列と呼ばれ、各々がattP及びattBに由来する半分の配列を含む。組み換えはまた、attL配列とattR配列との間で起こり、組み込まれたファージを細菌DNAから切り出すことができる。両方のインテグラーゼは、さらなる宿主因子の助けを借りずに組み換えを触媒しうる。補助因子がまったく存在しない場合、これらインテグラーゼは、attPとattBとの間の一方向性の組み換えを、80%を上回る効率で媒介する。これらのインテグラーゼによって認識されうる短いDNA配列及び一方向性組み換えのために、これら組み換え系は、遺伝子工学の目的のために広く使用されているCre-LoxP系及びFRT-FLP系の補完物として開発された。
【0100】
「一致RRS」及び「同種特異性RRS」という用語は、2つのRRS間で組み換えが起こることを示す。特定の実施形態では、2つの一致RRSは同じである。特定の実施形態では、どちらのRRSも、野生型LoxP配列である。特定の実施形態では、どちらのRRSも、変異体LoxP配列である。特定の実施形態では、どちらのRRSも、野生型FRT配列である。特定の実施形態では、どちらのRRSも、変異体FRT配列である。特定の実施形態では、2つの一致RRSは、異なる配列であるが、同じリコンビナーゼによって認識されうる。特定の実施形態では、第1の一致RRSはBxb1 attP配列であり、第2の一致RRSはBxb1 attB配列である。特定の実施形態では、第1の一致RRSはφC31 attP配列であり、第2の一致RRSはφC31 attB配列である。
【0101】
特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は2つのRRSを含み、ベクターは、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の2つのRRSと一致する2つのRRSを含む、即ち、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRSがベクター上の第1のRRSと一致し、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRSがベクター上の第2のRRSと一致する。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRS及びベクター上の第1のRRSは、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRS及びベクター上の第2のRRSと同一である。そのような「単一ベクターRMCE」戦略の非限定的な例を図2Aに示す。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRS及びベクター上の第1のRRSは、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRS及びベクター上の第2のRRSとは異なる。特定の実施形態では、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRS及びベクター上の第1のRRSは、いずれもLoxP L3配列であり、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRS及びベクター上の第2のRRSは、いずれもLoxP 2L配列である。
【0102】
特定の実施形態では、「2ベクターRMCE」戦略が用いられる。例えば、限定されないが、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は、3つのRRS、例えば、第3のRRS(「RRS3」)が第1のRRS(「RRS1」)と第2のRRS(「RRS2」)との間に存在する構成を含むことができ、第1のベクターは、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1及び第3のRRSと一致する2つのRRSを含み、第2のベクターは、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第3及び第2のRRSと一致する2つのRRSを含む。2ベクターRMCE戦略の例を図4に示す。そのような例において、RRS1、RRS2及びRRS3は、異種特異的であり、例えば、それらは互いに交差反応しない。いくつかの実施形態では、1つのベクター(前方)は、RRS1、第1のSOI及びプロモーターに続いて、開始コドン及びRRS3を(この順序で)含む。他方のベクター(後方)は、開始コドン(ATG)を含まないマーカーのコード配列に融合したRRS3、SOI2及びRRS2を(この順で)含む。融合タンパク質のインフレーム翻訳を確実にするために、RRS3部位と選択マーカー配列との間に追加のヌクレオチドが挿入されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のSOIは抗体をコードする。いくつかの実施形態では、抗体は、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)、又はFc融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、第2のSOIは抗体をコードする。いくつかの実施形態では、抗体は、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)、又はFc融合タンパク質である。特定の実施形態では、第1のSOI及び第2のSOIによってコードされる抗体が対合して、多重特異性、例えば二重特異性抗体を形成する。
【0103】
このような2ベクターRMCE戦略では、RRSの各対間に適切な数のSOIを組み込むことにより、8つ以上のSOIの導入が可能になる。
【0104】
単一ベクター及び2ベクターRMCEはいずれも、1つ以上のドナーDNA分子を宿主細胞のゲノムの所定の部位における一方向組み込み、及びドナーDNA上に存在するDNAカセットと、組み込み部位が残存する宿主ゲノム上のDNAカセットとの正確な交換を可能にする。DNAカセットは、少なくとも1つの選択マーカー(但し、特定の2ベクターRMCEの例では、本明細書で概説するように「分割選択マーカー」を使用できる)、及び/又は少なくとも1つの外因性SOIに隣接する2つの異種特異的RRSを特徴とする。RMCEは、二重組み換えクロスオーバー事象を伴い、この事象は、標的ゲノム遺伝子座内の2つの異種特異的RRSとドナーDNA分子の間で、リコンビナーゼによって触媒される。RMCEは、SOI又は選択マーカーのコピーを宿主細胞のゲノムの所定の遺伝子座に導入するように設計されている。1回のみのクロスオーバー事象を伴う組み換えとは異なり、RMCEは、原核生物のベクター配列が宿主細胞のゲノムに導入されないように実行することができるので、宿主の免疫又は防御機制の望ましくないトリガーを低減及び/又は防止する。RMCEの手順を、複数のDNAカセットに繰り返すことができる。
【0105】
特定の実施形態では、標的化組み込みは、少なくとも1つの外因性SOI又は少なくとも1つの選択マーカーと隣り合う1つのRRSを含む1つの外因性ヌクレオチド配列が宿主細胞のゲノムの所定の部位に組み込まれる1つのクロスオーバー組み換え事象によって達成される。特定の実施形態では、標的化組み込みは、1回のRMCEによって達成され、2つの異種特異的RRSに隣接する少なくとも1つの外因性SOI又は少なくとも1つの選択マーカーを含むDNAカセットが、宿主細胞のゲノムの所定の部位に組み込まれる。特定の実施形態では、標的化組み込みは、2回のRMCEによって達成され、2つの異種特異的RRSに隣接する少なくとも1つの外因性SOI又は少なくとも1つの選択マーカーを各々が含む2つの異なるDNAカセットが、いずれも宿主細胞のゲノムの所定の部位に組み込まれる。特定の実施形態では、標的化組み込みは、複数回のRMCEによって達成され、2つの異種特異的RRSに隣接する少なくとも1つの外因性SOI又は少なくとも1つの選択マーカーを各々が含む複数のベクター由来のDNAカセットが、宿主細胞のゲノムの所定の部位に組み込まれる。特定の実施形態では、選択マーカーは、両方のRMCEの組み込みが選択マーカーの発現を可能にするように、一部が第1のベクター上でコードされ、一部が第2のベクター上でコードされうる。このような系の例を図4に示している。
【0106】
特定の実施形態では、リコンビナーゼ媒介組み換えを介した標的化組み込みは、原核生物ベクターに由来する配列に沿って宿主細胞のゲノムの1つ以上の所定の組み込み部位に組み込まれた選択マーカー又は1つ以上の外因性SOIをもたらす。特定の実施形態では、リコンビナーゼ媒介組み換えを介した標的化組み込みは、原核生物ベクター由来の配列を含まない宿主細胞のゲノムの1つ以上の所定の組み込み部位に組み込まれた選択マーカー又は1つ以上の外因性SOIをもたらす。
【0107】
5.2 相同組み換え、HDR、又はNHEJを介した標的化組み込み
本開示の主題はまた、相同組み換えによって、又は外因性部位特異的ヌクレアーゼとそれに続くHDR若しくはNHEJによって媒介される標的化組み込みに関する。
【0108】
相同組み換えは、広範な配列相同性を共有するDNA分子間の組み換えである。それは、二本鎖DNA破壊のエラーのない修復を誘導するために使用することができ、減数分裂中に配偶子の配列多様性を生成する。相同組み換えは、2つの相同DNA分子間の遺伝情報の交換を伴うので、染色体上の遺伝子の全体的な配置を変化させない。相同組み換えの間、ニック又は破壊が二本鎖DNA(dsDNA)に形成され、続いて単鎖DNA末端による相同dsDNA分子の侵入、相同配列の対形成、ホリディジャンクションを形成するための分岐移動、及び最終的なホリディジャンクションの分離が起こる。
【0109】
二本鎖破壊(DSB)は、DNA損傷の最も深刻な形態であり、そのようなDNA損傷の修復は、すべての生物体におけるゲノム完全性の維持に不可欠である。DSBを修復するためには2つの主な修復経路がある。第1の修復経路は相同指向性修復(HDR)経路であり、相同組み換えはHDRの最も一般的な形態である。HDRは細胞内に存在する相同DNAの存在を必要とするので、この修復経路は通常、細胞周期のS期及びG2期において活性であり、新しく複製された姉妹染色分体が相同鋳型として利用可能である。HDRはまた、DNA複製中に崩壊した複製フォークを修復するための主要な修復経路である。HDRは、比較的エラーのない修復経路と考えられている。DSBの第2の修復経路は、非相同末端結合(NHEJ)である。NHEJは、相同DNA鋳型を必要とせずに、破壊されたDNAの末端が一緒に連結される修復経路である。
【0110】
標的化組み込みは、外因性部位特異的ヌクレアーゼに続いてHDRによって促進されうる。これは、特定の標的ゲノム部位にDSBを導入することにより、相同組み換えの頻度を高めることができるためである。特定の実施形態では、外因性ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ZFN二量体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALエフェクタードメイン融合タンパク質、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ、操作されたメガヌクレアーゼ、及びクラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)に関連する(Cas)エンドヌクレアーゼからなる群から選択することができる。
【0111】
CRISPR/Cas及びTALENシステムは、最も容易な構築及び高い効率を提供する2つのゲノム編集ツールである。CRISPR/Casは、侵入バクテリオファージに対する細菌の免疫防御機制として同定された。Casは、合成ガイドRNA(gRNA)によって誘導されると、細胞内の特定のヌクレオチド配列と会合し、例えば単鎖破壊、DSB、及び/又は点突然変異の1つ又は複数を行なうことによって、そのヌクレオチド配列内又はその周囲のDNAを編集することのできるヌクレアーゼである。TALENは、操作された部位特異的ヌクレアーゼであり、TALE(転写活性化因子様エフェクター)のDNA結合ドメイン及び制限エンドヌクレアーゼFokIの触媒ドメインから構成される。DNA結合ドメインのモノマーの高度可変残基領域に存在するアミノ酸を変化させることによって、様々なヌクレオチド配列を標的とする異なる人工TALENを作製することができる。DNA結合ドメインはその後、ヌクレアーゼを標的配列に向け、DSBを作成する。
【0112】
相同組み換え又はHDRによる標的化組み込みは、組み込み部位に対する相同配列の存在を含む。特定の実施形態では、相同配列は、ベクター上に存在する。特定の実施形態では、相同配列は、ポリヌクレオチド上に存在する。
【0113】
特定の実施形態では、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組込みのためのベクターは、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つコンティグ配列の一部分を含む内因性配列、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される遺伝子、又は少なくとも1つの選択マーカーに隣接する配列番号1~7から選択される配列と相同なヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組込みのためのベクターは、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分を含む内因性配列、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される遺伝子、又は少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIに隣接する配列番号1~7から選択される配列と相同なヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組み込みのためのベクターは、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分、並びにDNAカセットに隣接する配列番号1~7から選択される配列と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットは、2つのRRSに隣接する少なくとも1つの選択マーカー及少なくとも1つの外因性SOIを含む。特定の実施形態では、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組み込みのためのベクターは、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列、又はDNAカセットに隣接するLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される遺伝子と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットは、2つのRRSに隣接する少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIを含む。特定の実施形態では、ベクターヌクレオチド配列は、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される遺伝子、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。特定の実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、組み込みファージベクター、非ウイルスベクター、トランスポゾン及び/又はトランスポザーゼベクター、インテグラーゼ基質、及びプラスミドからなる群から選択される。
【0114】
特定の実施形態では、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組込みのためのポリヌクレオチドは、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つコンティグ配列の一部分の内因性配列、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される遺伝子、又は少なくとも1つの選択マーカーに隣接する配列番号1~7から選択される配列と相同なヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組込みのためのポリヌクレオチドは、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される遺伝子、又は少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIに隣接する配列番号1~7から選択される配列と相同なヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組み込みのためのポリヌクレオチドは、DNAカセットに隣接する配列番号1~7から選択される配列と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットは、2つのRRSに隣接する少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIを含む。特定の実施形態では、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組込みのためのポリヌクレオチドは、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つコンティグ配列の一部分の内因性配列、又はDNAカセットに隣接するLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される遺伝子と相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットは、2つのRRSに隣接する少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIを含む。特定の実施形態では、隣接するヌクレオチド配列は、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びXP_003512331.2からなる群から選択される遺伝子、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%相同である。
【0115】
特定の実施形態では、相同組み換えは、補助因子を何ら用いることとなく実行される。特定の実施形態では、相同組み換えは、組み込み可能なベクターの存在によって促進される。特定の実施形態では、組み込みベクターは、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター及び組み込みファージベクターからなる群から選択される。
【0116】
5.3 調節された標的化組み込み
主にコードされるタンパク質が発現困難であるために、タンパク質発現レベルが最適ではない場合が多い。発現困難なタンパク質の低い発現レベルは、原因を特定するのが困難な種々の原因を有しうる。1つの可能性は、宿主細胞中で発現するタンパク質の毒性である。そのような場合、調節された発現系を使用して、タンパク質をコードする目的の配列が誘導性プロモーターの制御下にある場合、毒性タンパク質を発現させることができる。これらの系では、発現困難なタンパク質の発現は、制御因子、例えば、限定されないが、テトラサイクリン又はそのアナログ、ドキシサイクリン(DOX)などの小分子が培養物に付加された場合にのみ促進される。毒性タンパク質の発現を調節することにより、毒性作用を緩和することができ、培養物が生成前に所望の細胞増殖を達成することを可能にする。特定の実施形態では、調節された標的化組み込み(RTI)系は、特定の遺伝子座、例えば1つ以上のRRSを含む外因性核酸配列に組み込まれ、それに動作可能に連結された調節プロモーター下で転写されるSOIを含む。特定の実施形態では、RTI系を使用して、発現困難な分子、例えば、限定されないが、抗体の低いタンパク質発現の根本原因を決定することができる。特定の実施形態では、RTI系におけるSOIの発現を選択的に停止する能力を使用して、SOIの発現を観察された有害作用に結び付けることができる。
【0117】
特定の実施形態では、発現困難な分子の根本原因の分析中に転写及び細胞株多様性の影響を最小限に抑えるために、調節された標的化組み込み(RTI)系を使用することができる。例えば、限定しないが、TI宿主におけるSOIの発現は、調節因子、例えばドキシサイクリンの培養物への付加によってトリガーすることができる。特定の実施形態では、RTIベクターは、テトラサイクリン調節プロモーターを利用してSOIを発現し、これは、例えば、RRSを含む外因性核酸配列中に組み込むことができ、RRS自体は宿主細胞のゲノム内の組み込み部位に組み込まれ、SOIの調節された発現を可能にする。
特定の実施形態では、コントロール細胞株と比較して、SOI、例えば治療用抗体のタンパク質発現が低いことの1つ又は複数の根本原因をうまく決定するために、本開示に記載されるRTI系を使用することができる。特定の実施形態では、RTI細胞株におけるSOI、例えば治療用抗体の発現が相対的に低いことが確認されたら、タンパク質翻訳阻害剤処理、例えば、Dox及びシクロヘキシミドを活用することによって、SOIの細胞内蓄積及び分泌レベルを評価することができる。
【0118】
5.4 調節された系
本開示の主題はまた、TIで使用するための調節された系に関する。例えば、限定しないが、そのような調節は、転写抑制因子又は活性化因子と構成的プロモーター又は最小プロモーターとの調節されたカップリングによってmRNA合成をブロック又は活性化するための遺伝子スイッチに基づきうる。特定の非限定的な実施形態では、抑制は、例えば、転写開始を立体的にブロックするリプレッサータンパク質に結合することによって、又は転写サイレンサーを介して転写を能動的に抑制することによって、達成されうる。特定の非限定的な実施形態では、哺乳動物又はウイルスのエンハンサーレス最小プロモーターの活性化は、活性化ドメインへの調節されたカップリングによって達成されうる。
【0119】
特定の実施形態では、転写抑制因子又は転写活性化因子の条件付きカップリングは、外部刺激に応答してプロモーターに結合するアロステリックタンパク質を使用することによって達成されうる。特定の実施形態では、転写抑制因子又は転写活性化因子の条件付きカップリングは、隔離タンパク質から放出され、したがって標的プロモーターに結合することのできる細胞内受容体を使用することによって達成されうる。特定の実施形態では、転写抑制因子又は転写活性化因子の条件付きカップリングは、化学的に誘導された二量化剤を使用することによって達成されうる。
【0120】
特定の実施形態では、本開示のTI系で使用されるアロステリックタンパク質は、抗生物質、細菌クオラムセンシングメッセンジャー、異化産物、又は例えば低温若しくは熱といった温度などの培養パラメーターに応答して転写活性を調節するタンパク質でありうる。特定の実施形態では、そのようなRTI系は、例えば、代替炭素源の異化遺伝子を制御する細菌抑制因子が哺乳動物細胞に移入されている異化産物に基づくものでありうる。特定の実施形態では、標的プロモーターの抑制は、リプレッサーCymRのクマート(cumate)応答性結合によって達成されうる。特定の実施形態では、異化産物に基づく系は、単純ヘルペスVP16転写活性化ドメインに融合した、原核生物リプレッサーHdnoRの6-ヒドロキシニコチン応答性結合によるキメラプロモーターの活性化に依存しうる。
【0121】
特定の実施形態では、TI系は、クオラムセンシング分子による集団内及び集団間のコミュニケーションを管理する原核生物に由来するクオラムセンシングベースの発現系でありうる。これらクオラムセンシング分子は、標的細胞中の受容体に結合し、同族プロモーターに対する受容体の親和性を調節し、特異的レギュロンスイッチの開始をもたらす。特定の実施形態では、クオラムセンシング分子は、N-(3-オキソ-オクタノイル)-ホモセリンラクトンとすることができ、その存在下で、TraR-p65融合タンパク質が、TraR特異的オペレーター配列に融合した最小プロモーターからの発現を活性化する。特定の実施形態では、クオラムセンシング分子は、SCB1の非存在下でその同族オペレーターOScbRに結合するストレプトマイセス・セリカラーA3(2)ScbR抑制因子に基づく系におけるブチロラクトンSCB1(ラセミ2-(1’-ヒドロキシ-6-メチルヘプチル)-3-(ヒドロキシメチル)ブタノリド)とすることができる。特定の実施形態では、クオラムセンシング分子は、RTI系で使用されるホモセリン由来誘導因子とすることができ、緑膿菌クオラムセンシング抑制因子RhlR及びLasRがSV40T抗原核局在化配列及び単純ヘルペスVP16ドメインに融合され、特定のオペレーター配列(lasボックス)を含むプロモーターを活性化しうる。
【0122】
特定の実施形態では、本開示のRTI系で使用されるアロステリックタンパク質を調節する誘導分子は、クマート、イソプロピル-β-D-ガラクトピラノシド(IPTG)、マクロライド、6-ヒドロキシニコチン、ドキシサイクリン、ストレプトグラミン、NADH、テトラサイクリンとすることができるが、これらに限定されない。
【0123】
特定の実施形態では、本開示のRTI系で使用される細胞内受容体は、細胞質又は核受容体とすることができる。特定の実施形態では、本開示のRTI系は、小分子を使用することによるタンパク質の隔離及び阻害からの転写因子の放出を利用することができる。特定の実施形態では、本開示のRTI系は、ステロイド調節に依存することができ、ホルモン受容体は、サイトゾルにおいてHSP90から放出されうる天然又は人工の転写因子に融合され、核内に移動し、選択されたプロモーターを活性化する。特定の実施形態では、内因性ステロイドホルモンによるクロストークを回避するために、合成ステロイドアナログによって調節される変異体受容体を使用することができる。特定の実施形態では、受容体は、4-ヒドロキシタモキシフェンに応答性のエストロゲン受容体バリアント又はRU486によって誘導可能なプロゲステロン受容体変異体とすることができる。特定の実施形態では、ヒト核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)に基づく核受容体由来ロシグリタゾン応答性転写スイッチを、本開示のRTI系に使用することができる。特定の実施形態では、ステロイド応答性受容体のバリアントは、RheoSwitchとすることができ、これは、修飾されたトウヒノシントメハマキ(Choristoneura fumiferana)エクジソン受容体及びGal4 DNA結合ドメイン及びVP16トランス活性化因子に融合されたマウスレチノイドX受容体(RXR)に基づく。合成エクジソンの存在下において、RheoSwitchバリアントは、Gal4応答エレメントのいくつかの反復配列に融合した最小プロモーターに結合し、これを活性化することができる。
【0124】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるRTI系は、同族オペレーターと融合した最小コアプロモータの活性化のために、DNA結合タンパク質の化学的に誘導された二量化及び転写活性化因子を利用することができる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるRTI系は、FRBとFKBPのラパマイシン調節二量化を利用することができる。この系では、FRBはp65トランス活性化因子に融合され、FKBPは、操作された最小インターロイキン-12プロモーターの上流に配置される同族オペレーター部位に特異的なジンクフィンガードメインに融合される。特定の実施形態では、FKBPは変異しうる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるRTI系は、細菌ジャイレースBサブユニット(GyrB)を利用することができ、GyrBは、抗生物質クーママイシンの存在下で二量化し、ノボビオシンで解離する。
【0125】
特定の実施形態では、本開示のRTI系は、調節されたsiRNA発現のために使用されうる。特定の実施形態では、調節されたsiRNA発現系は、テトラサイクリン、マクロライド、又はOFF型及びON型QuoRex系とすることができる。特定の実施形態では、RTI系は、5’非翻訳領域にヘアピン構造を形成することによって翻訳開始をブロックするツメガエル末端オリゴピリミジン要素(TOP)を利用することができる。
【0126】
特定の実施形態では、本開示に記載されるRTI系は、気相制御発現、例えばアセトアルデヒド誘導調節(AIR)システムを利用することができる。AIRシステムは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)のAlcR転写因子を使用することができ、これは、非毒性濃度の気体又は液体のアセトアルデヒドの存在下で、最小ヒトサイトメガロウイルスのプロモーターに融合したAlcRに特異的なオペレーターから組み立てられたPAIRプロモーターを特異的に活性化する。
【0127】
特定の実施形態では、本開示のRTI系は、Tetオン又はTetオフシステムを利用することができる。そのようなシステムでは、1つ以上のSOIの発現は、テトラサイクリン又はそのアナログであるドキシサイクリンによって調節することができる。
【0128】
特定の実施形態では、本開示のRTI系は、PIPオン又はPIPオフシステムを利用することができる。そのようなシステムでは、SOIの発現は、例えば、プリスチナマイシン、テトラサイクリン及び/又はエリスロマイシンによって調節することができる。
【0129】
6.TI宿主細胞の調製及び使用
本開示の主題は、宿主細胞への外因性ヌクレオチド配列の標的化組み込みのための方法に関する。特定の実施形態では、本方法は、その後のSOIの標的化組み込みに適した宿主細胞を生成するための、外因性ヌクレオチド配列の宿主細胞への組み込みに関する。特定の実施形態では、前記方法は、リコンビナーゼ媒介組み換えを含む。特定の実施形態では、前記方法は、相同組み換え、HDR及び/又はNHEJを含む。
【0130】
特定の実施形態では、本開示の主題は、外因性ヌクレオチド配列の同じ宿主細胞へのランダム組み込みと組み合わせた、外因性ヌクレオチド配列の宿主細胞への標的化組み込みのための方法に関する。特定の実施形態では、方法は、同じ又は異なるSOIのランダム組み込みと組み合わせた、その後のSOIの標的化組み込みに適した宿主細胞を生成するための、外因性ヌクレオチド配列の宿主細胞への組み込みに関する。特定の実施形態では、前記方法は、リコンビナーゼ媒介組み換えを含む。特定の実施形態では、前記方法は、相同組み換え、HDR及び/又はNHEJを含む。
【0131】
6.1 リコンビナーゼ媒介組み換えを使用したTI宿主細胞の調製
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、配列番号1~7と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること;b)a)で供給された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の2つのRRSと一致し、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含むベクターを導入すること;c)RRSを認識するリコンビナーゼを導入すること;並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。
【0132】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらの少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される内因性遺伝子内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で供給された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の2つのRRSと一致し、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含むベクターを導入すること、c)RRSを認識するリコンビナーゼを導入すること、並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。
【0133】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、配列番号1~7と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する2つの異種特異的RRSを含む第1のDNAカセットを含む、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の2つのRRSと一致し、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つの異種特異的RRSを含む第2のDNAカセットを含むベクターを導入すること、c)RRSを認識してRMCEを1回実施するリコンビナーゼを導入することで、並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。
【0134】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は:a)コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列内の部位、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらの少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される遺伝子に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する2つの異種特異的RRSを含む第1のDNAカセットを含む、TI宿主細胞を提供すること;b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の2つのRRSと一致し、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つの異種特異的RRSを含む第2のDNAカセットを含むベクターを導入すること;c)RRSを認識し、RMCEを1回実施するリコンビナーゼを導入すること;並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。
【0135】
特定の実施形態では、本開示は、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチド(第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとは同一でも異なっていてもよい)を発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞ゲノムの遺伝子座内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する第1のRRS及び第2のRRSと、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する第3のRRSとを含み、すべてのRRSが異種特異的である、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第1外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む第1のベクターを導入すること、c)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第2外因性SOIに隣接する2つのRRSを含む第2のベクターを導入すること、d)RRSを認識する1つ以上のリコンビナーゼを導入すること、並びにe)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。特定の実施形態では、第1のベクター上に選択マーカー全体を有するのではなく、第1のベクターは、上流で第1のSOIに隣接し、下流でRRSに隣接するように位置決めされたコドンATGに動作可能に連結されたプロモーター配列を含み、第2のベクターは、上流でRRSに隣接し、下流で第2のSOIに隣接するATG転写開始コドンを欠く選択マーカーを含む。
【0136】
特定の実施形態では、本開示は、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチド(第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとは同一でも異なっていてもよい)を発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列内の部位、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2及びそれらと少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される遺伝子に組み込まれた外因性配列ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する第1のRRS及び第2のRRSと、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する第3のRRSとを含み、すべてのRRSが異種特異的である、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第1の外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む第1のベクターを導入すること、c)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第2の外因性SOIに隣接する2つのRRSを含む第2ベクターを導入すること、d)RRSを認識する1つ以上のリコンビナーゼを導入すること、並びにe)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。特定の実施形態では、第1のベクター上に選択マーカー全体を有するのではなく、第1のベクターは、上流で第1のSOIに隣接し、下流でRRSに隣接するように位置決めされたコドンATGに動作可能に連結されたプロモーター配列を含み、第2のベクターは、上流でRRSに隣接し、下流で第2のSOIに隣接するATG転写開始コドンを欠く選択マーカーを含む。
【0137】
特定の実施形態では、本開示は、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチド(第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとは同一でも異なっていてもよい)を発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列と、又は配列番号1~7と、少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する第1のRRS及び第2のRRSと、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する第3のRRSとを含む第1のDNAカセットを含み、3つすべてのRRSが異種特異的である、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、第2のDNAカセットを含む第1のベクターを導入することであって、第2のDNAカセットが、第1のDNAカセットの第1のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第1の外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つの異種特異的RRSを含む、第1のベクターを導入すること、c)a)で提供された細胞中に、第3のDNAカセットを含む第2のベクターを導入することであって、第3のDNAカセットが、第1のDNAカセットの第2のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第2の外因性SOIに隣接する2つの異種特異的RRSを含む、第2のベクターを導入すること、d)RRSを認識してRMCEを2回実施する1つ以上のリコンビナーゼを導入すること、並びにe)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。特定の実施形態では、第1のベクター上に選択マーカー全体を有するのではなく、第1のベクターは、上流で第1のSOIに隣接し、下流でRRSに隣接するように位置決めされたコドンATGに動作可能に連結されたプロモーター配列を含み、第2のベクターは、上流でRRSに隣接し、下流で第2のSOIに隣接するATG転写開始コドンを欠く選択マーカーを含む。
【0138】
特定の実施形態では、本開示は、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的ポリペプチド(第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとは同一でも異なっていてもよい)を発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列内の部位、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される遺伝子に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する第1のRRS及び第2のRRSと、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する第3のRRSとを含む第1のDNAカセットを含み、3つすべてのRRSが異種特異的である、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、第2のDNAカセットを含む第1のベクターを導入することであって、第2のDNAカセットが、第1のDNAカセットの第1のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第1の外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つの異種特異的RRSを含む、第1のベクターを導入すること、c)a)で提供された細胞中に、第3のDNAカセットを含む第2のベクターを導入することであって、第3のDNAカセットが、第1のDNAカセットの第2のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第2の外因性SOIに隣接する2つの異種特異的RRSを含む、第2のベクターを導入すること、d)RRSを認識してRMCEを2回実施する1つ以上のリコンビナーゼを導入すること、並びにe)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。特定の実施形態では、第1のベクター上に選択マーカー全体を有するのではなく、第1のベクターは、上流で第1のSOIに隣接し、下流でRRSに隣接するように位置決めされたコドンATGに動作可能に連結されたプロモーター配列を含み、第2のベクターは、上流でRRSに隣接し、下流で第2のSOIに隣接するATG転写開始コドンを欠く選択マーカーを含む。
【0139】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞ゲノムの遺伝子座内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列から選択された配列、又は配列番号1~7の配列と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーと隣り合う1つのRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上のRRSと一致し、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する1つのRRSを含むベクターを導入すること、c)RRSを認識するリコンビナーゼを導入すること、並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。
【0140】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は:a)コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列内の部位、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される遺伝子に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーと隣り合う1つのRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること;b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上のRRSと一致し、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーと隣り合う1つのRRSを含む第2のRRSカセットを含むベクターを導入すること;c)RRSを認識するリコンビナーゼを導入すること;並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。
【0141】
本開示の主題はまた、目的のポリペプチドを生成する方法に関し、方法は、a)本明細書に記載されるTI宿主細胞を提供すること、b)SOIを発現し、そこから目的のポリペプチドを回収するために適した条件下でa)のTI宿主細胞を培養することを含む。
【0142】
特定の実施形態では、本開示は、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞ゲノムの遺伝子座内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の2つのRRSと一致し、少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含むベクターを導入すること、c)RRSを認識するリコンビナーゼを導入すること、並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を単離することを含む。
【0143】
特定の実施形態では、本開示は、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列内の部位、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれと少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される遺伝子に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること;b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の2つのRRSと一致し、少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含むベクターを導入すること;c)RRSを認識するリコンビナーゼを導入すること、並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を単離することを含む。
【0144】
特定の実施形態では、本開示は、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する第1のRRS及び第2のRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、3つのRRSを含むベクターを導入することであって、ベクターの第1のRRSが、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRSと一致し、ベクターの第2のRRSが、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRSと一致し、少なくとも1つの第2の選択マーカーが、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置している、ベクターを導入すること、c)ベクター及び組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の両方において第1のRRS及び第2のRRSを認識するリコンビナーゼを導入すること、並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI宿主細胞を選択し、それにより、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を単離することを含む。
【0145】
特定の実施形態では、本開示は、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の内因性配列内の部位、又はLOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列からなる群から選択される遺伝子に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する第1のRRS及び第2のRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、3つのRRSを含むベクターを導入することであって、ベクターの第1のRRSが、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRSと一致し、ベクターの第2のRRSが、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRSと一致し、少なくとも1つの第2の選択マーカーが、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する、ベクターを導入すること、c)ベクター及び組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の両方で第1のRRS及び第2のRRSを認識するリコンビナーゼを導入すること、並びにd)第2の選択マーカーを発現するTI宿主細胞を選択し、それにより、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を単離することを含む。
【0146】
6.2 相同組み換え、HDR又はNHEJを使用した宿主細胞の標的化修飾のための方法
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、配列番号1~7と少なくとも約90%相同である、TI宿主細胞を提供すること、b)TI宿主細胞中にベクターを導入することであって、ベクターが、DNAカセットに隣接する配列番号1~7から選択される配列と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットが、少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIを含む、ベクターを導入すること、c)ゲノム遺伝子座に組み込まれたSOIを有するTI宿主細胞を単離するために選択マーカーを選択し、目的のポリペプチドを発現させることを含む。特定の実施形態では、ベクターのDNAカセットは、2つのRRSに隣接する少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIをさらに含む。
【0147】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、TI宿主細胞を提供すること、b)宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入することであって、ポリヌクレオチドが、DNAカセットに隣接する配列番号1~7から選択される配列と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットが、少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIを含む、ポリヌクレオチドを導入すること、c)ゲノムの遺伝子座に組み込まれたSOIを有するTI宿主細胞を単離するために選択マーカーを選択し、目的のポリペプチドを発現させることを含む。特定の実施形態では、ベクターのDNAカセットは、2つのRRSに隣接する少なくとも1つの選択マーカー及び少なくとも1つの外因性SOIをさらに含む。
【0148】
特定の実施形態では、相同組み換えは、組み込みベクターによって促進される。特定の実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、組み込みファージベクター、非ウイルスベクター、トランスポゾン及び/又はトランスポザーゼベクター、インテグラーゼ基質、及びプラスミドからなる群から選択される。特定の実施形態では、トランスポゾンは、PiggyBac(PB)トランスポゾン系でありうる。
【0149】
特定の実施形態では、組み込みは、外因性ヌクレアーゼによって促進される。特定の実施形態では、外因性ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ZFN二量体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALエフェクタードメイン融合タンパク質、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ、操作されたメガヌクレアーゼ、及びクラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)に関連する(Cas)エンドヌクレアーゼからなる群から選択される。
【0150】
特定の実施形態では、本開示は、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、TI宿主細胞を提供すること、b)TI宿主細胞中にベクターを導入することであって、ベクターが、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又はDNAカセットに隣接する配列番号1~7から選択される配列と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットが、2つのRRSに隣接する少なくとも1つの選択マーカーを含む、ベクターを導入すること、c)選択マーカーを選択し、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を単離することを含む。
【0151】
特定の実施形態では、本開示は、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、TI宿主細胞を提供すること、b)TI宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入することであって、ポリヌクレオチドが、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又はDNAカセットに隣接する配列番号1~7から選択される配列と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットが、2つのRRSに隣接する少なくとも1つの選択マーカーを含む、ポリヌクレオチドを導入すること、c)選択マーカーを選択し、その後の標的化組み込みに適切なTI宿主細胞を単離することを含む。
【0152】
特定の実施形態では、本開示は、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、TI宿主細胞を提供すること、b)宿主細胞中にベクターを導入することであって、ベクターが、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又はDNAカセットに隣接する配列番号1~7から選択される配列と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットが3つのRRSを含み、第3のRRS及び少なくとも1つの選択マーカーが、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する、ベクターを導入すること、並びにc)選択マーカーを選択し、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を単離することを含む。
【0153】
特定の実施形態では、本開示は、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの遺伝子座を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、TI宿主細胞を提供すること、b)宿主細胞中にポリペプチドを導入することであって、ポリペプチドが、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又はDNAカセットに隣接する配列番号1~7から選択される配列と少なくとも50%相同なヌクレオチド配列を含み、DNAカセットが3つのRRSを含み、第3のRRS及び少なくとも1つの選択マーカーが、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する、ポリペプチドを導入すること、並びにc)選択マーカーを選択し、その後の標的化組み込みに適したTI宿主細胞を単離することを含む。
【0154】
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞ゲノムの1つ以上の遺伝子座内の部位に組み込まれた少なくとも1つの外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、1つ以上の遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同であり、少なくとも1つの外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供される細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の2つのRRSと一致し、少なくとも1つの外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含むベクターを導入すること、c)RRSを認識するリコンビナーゼ、又は同リコンビナーゼをコードする核酸を導入すること、並びに第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、少なくとも1つの目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。
【0155】
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチド(第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとは同一でも異なっていてもよい)を発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞ゲノムの1つ以上の遺伝子座内の部位に組み込まれた少なくとも1つの外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、1つ以上の遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの第1の選択マーカーに隣接する第1のRRS及び第2のRRSと、第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する第3のRRSとを含み、すべてのRRSが異種特異的である、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、少なくとも1つの組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第1の外因性SOI及び少なくとも1つの第2の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む第1のベクターを導入すること、c)a)で提供された細胞中に、少なくとも1つの組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRS及び第3のRRSと一致し、少なくとも1つの第2の外因性SOIに隣接する2つのRRSを含む第2のベクターを導入すること、d)RRSを認識する1つ以上のリコンビナーゼ、又は同リコンビナーゼをコードする1つ以上の核酸を導入すること、並びにe)第2の選択マーカーを発現するTI細胞を選択し、それにより、少なくとも1つの第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。特定の実施形態では、第1のベクター上に選択マーカー全体を有するのではなく、第1のベクターは、上流で第1のSOIに隣接し、下流でRRSに隣接するように位置決めされたコドンATGに動作可能に連結されたプロモーター配列を含み、第2のベクターは、上流でRRSに隣接し、下流で第2のSOIに隣接するATG転写開始コドンを欠く選択マーカーを含む。
【0156】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞のゲノムの1つ以上の遺伝子座内の部位に組み込まれた少なくとも1つの外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、1つ以上の遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が1つ以上のRRSを含む、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の1つ以上のRRSと一致し、調節可能なプロモーターに動作可能に連結された少なくとも1つの外因性SOIに隣接する1つ以上のRRSを含むベクターを導入すること、c)RRSを認識するリコンビナーゼ又は同リコンビナーゼをコードする核酸を導入すること、並びにd)誘導物質の存在下で外因性SOIを発現するTI細胞を選択し、それにより、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。
【0157】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現させるための方法を提供し、この方法は、a)2つのRRSに隣接する少なくとも1つの外因性SOIと、宿主細胞のゲノムの遺伝子座内に組み込まれた調節可能なプロモーターとを含む宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、宿主細胞を提供すること;並びにb)SOIを発現させるために適した条件下で細胞を培養し、そこから目的のポリペプチドを回収することを含む。
【0158】
特定の実施形態では、本開示は、第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチド(第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとは同一でも異なっていてもよい)を発現するTI宿主細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、a)TI宿主細胞ゲノムの遺伝子座内の部位に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含むTI宿主細胞を提供することであって、遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同であり、外因性ヌクレオチド配列が、第1のRRS、第2のRRS、及び第1のRRSと第2のRRSとの間に位置する第3のRRSを含み、すべてのRRSが異種特異的である、TI宿主細胞を提供すること、b)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第1のRRS及び第3のRRSと一致し、調節可能なプロモーターに動作可能に連結された少なくとも1つの第1の外因性SOIに隣接する2つのRRSを含む第1のベクターを導入すること、c)a)で提供された細胞中に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列上の第2のRRS及び第3のRRSと一致し、調節可能なプロモーターに動作可能に連結された少なくとも1つの第2のSOIに隣接する2つのRRSを含む第2ベクターを導入すること、d)RRSを認識する1つ以上のリコンビナーゼ、又は同リコンビナーゼをコードする1つ以上の核酸を導入すること、並びにe)誘導物質の存在下で少なくとも第1の外因性SOI及び第2の外因性SOIを発現するTI細胞を選択し、それにより、目的のポリペプチドを発現するTI宿主細胞を単離することを含む。特定の実施形態では、第1のベクター上に選択マーカー全体を有するのではなく、第1のベクターは、上流で第1のSOIに隣接し、下流でRRSに隣接するように位置決めされたコドンATGに動作可能に連結されたプロモーター配列を含み、第2のベクターは、上流でRRSに隣接し、下流で第2のSOIに隣接するATG転写開始コドンを欠く選択マーカーを含む。
【0159】
7.生成物
本開示の宿主細胞は、任意の目的の分子、例えば目的のポリペプチドの発現のために使用することができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、ポリペプチド、例えば哺乳動物のポリペプチドの発現のために使用することができる。このようなポリペプチドの非限定的な例には、ホルモン、受容体、融合タンパク質、調節因子、成長因子、補体系因子、酵素、凝固因子、抗凝固因子、キナーゼ、サイトカイン、CDタンパク質、インターロイキン、治療用タンパク質、診断用タンパク質、及び抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。特定の実施形態では、抗体は、治療用抗体である。特定の実施形態では、抗体は、診断用抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。
【0160】
特定の実施形態では、本明細書における定義に包含されるポリペプチドの例には、例えば、レニンなどの哺乳動物ポリペプチド;ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;アルファ-1-抗トリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体化ホルモン;グルカゴン;レプチン;凝固因子、例えば、第VIIIC因子、第IX因子、組織因子、及びフォン・ヴィレブランド因子;抗凝固因子、例えば、プロテインC;心房性ナトリウム利尿因子;肺界面活性剤;プラスミノーゲン活性化因子、例えば、ウロキナーゼ又はヒト尿若しくは組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子-アルファ及び-ベータ;腫瘍壊死因子受容体、例えば、デスレセプター5及びCD120;TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL);B細胞成熟抗原(BCMA);B-リンパ球刺激因子(BLyS);増殖誘導リガンド(APRIL);エンケファリナーゼ;RANTES(活性化時に調節され、T細胞が正常に発現及び分泌している);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-アルファ);血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;微生物タンパク質、例えば、ベータ-ラクタマーゼ;DNase;IgE;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)、例えば、CTLA-4;インヒビン;アクチビン;血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF);血管内皮成長因子ファミリータンパク質(例えば、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、及びP1GF);血小板由来成長因子(PDGF)ファミリータンパク質(例えば、PDGF-A、PDGF-B、PDGF-C、PDGF-D、及びそれらの二量体);線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリー、例えば、aFGF、bFGF、FGF4、及びFGF9;上皮成長因子(EGF);ホルモン又は成長因子の受容体、例えば、1つ又は複数のVEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、及びVEGFR3)、1つ又は複数の上皮成長因子(EGF)受容体(例えば、ErbB1、ErbB2、ErbB3、及びErbB4 受容体)、1つ又は複数の血小板由来成長因子(PDGF)受容体(例えば、PDGFR-α及びPDGFR-β)、並びに1つ又は複数の線維芽細胞増殖因子受容体;TIEリガンド(アンジオポイエチン、ANGPT1、ANGPT2)、アンジオポイエチン受容体、例えば、TIE1及びTIE2;プロテインA又はD;リウマチ因子;神経栄養因子、例えば、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、ニューロトロフィン-5、若しくはニューロトロフィン-6(NT-3、NT-4、NT-5、若しくはNT-6)、又は神経成長因子、例えば、NGF-b;トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えば、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、又はTGF-β5を含むTGF-アルファ及びTGF-ベータ;インスリン様成長因子I及びII(IGF-I及びIGF-II);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP);CDタンパク質、例えば、CD3、CD4、CD8、CD19、及びCD20;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);ケモカイン、例えば、CXCL12及びCXCR4;インターフェロン、例えば、インターフェロン-アルファ、インターフェロン-ベータ、及びインターフェロン-ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF;サイトカイン、例えば、インターロイキン(IL)、例えば、IL-1~IL-10;ミッドカイン;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;ウイルス抗原、例えば、AIDSエンベロープの一部分;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;インテグリン、例えば、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4、及びVCAM;エフリン;Bv8;デルタ様リガンド4(DLL4);Del-1;BMP9;BMP10;ホリスタチン;肝細胞成長因子(HGF)/散乱因子(SF);Alk1;Robo4;ESM1;パールカン;EGF様ドメインマルチプル7(EGFL7);CTGF及びそのファミリーのメンバー;トロンボスポンジン、例えば、トロンボスポンジン1及びトロンボスポンジン2;コラーゲン、例えば、コラーゲンIV及びコラーゲンXVIII;ニューロピリン、例えば、NRP1及びNRP2;プレイオトロフィン(PTN);プログラニュリン;プロリフェリン;Notchタンパク質、例えば、Notch1及びNotch4;セマフォリン、例えば、Sema3A、Sema3C、及びSema3F;腫瘍関連抗原、例えば、CA125(卵巣がん抗原);イムノアドヘシン;並びに上述のポリペプチドのいずれかの断片及び/又はバリアント、並びに、例えば、上述のタンパク質のいずれかを含む1つ以上のタンパク質に結合する抗体断片を含む、抗体が含まれる。
【0161】
特定の実施形態では、目的のポリペプチドは、二重特異性、三重特異性又は多重特異性のポリペプチド、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体の様々な分子形式が当技術分野で既知であり、本明細書に含まれる(例えば、Spiess et al.,Mol Immunol 67(2015)95-106を参照のこと)。本明細書にさらに含まれる特定の種類の多重特異性抗体は、標的細胞、例えば腫瘍細胞上の表面抗原と、T細胞受容体(TCR)複合体の活性型不変成分、例えば、T細胞を再標的化して標的細胞を死滅させるためのCD3とに同時に結合するように設計された二重特異性抗体である。二重特異性抗体形式のさらなる例には、2つのscFv分子が柔軟なリンカーにより融合された、いわゆる「BiTE」(二重特異性T細胞エンゲージャー)(例えば、国際公開第2004/106381号、国際公開第2005/061547号、国際公開第2007/042261号及び国際公開第2008/119567号、NNagorsen and Bauerle,Exp Cell Res 317,1255-1260(2011)を参照のこと);ダイアボディ(Holliger et al.,Prot Eng 9、299-305(1996))及びその誘導体、例えばタンデムダイアボディ(“TandAb”;Kipriyanov et al.,J Mol Biol 293,41-56(1999));ダイアボディフォーマットに基づくが、さらなる安定化のためのC末端ジスルフィド架橋を特徴とする「DART」(二重親和性再標的化)分子(Johnson et al.,J Mol Biol 399,436-449(2010))、及び全ハイブリッドマウス/ラットIgG分子である、いわゆるトリオマブ(Seimetz et al.,Cancer Treat Rev 36,458-467(2010)に概説)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に含まれる、特定のT細胞二重特異性抗体形式は、国際公開第2013/026833号、国際公開第2013/026839号、国際公開第2016/020309号;Bacac et al.,Oncoimmunology 5(8)(2016)e1203498に記載されている。
【0162】
特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、構成的に又は調節して、目的の治療用タンパク質又は分子を発現させながら、シャペロン、タンパク質修飾酵素、shRNA、gRNA又は他のタンパク質若しくはペプチドの発現のために使用することができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、本開示の宿主細胞によって発現されるポリペプチドは、例えば、8MPI、8MP2、8MP38(GDFIO)、8MP4、8MP6、8MP8、CSFI(M-CSF)、CSF2(GM-CSF)、CSF3(G-CSF)、EPO、FGF1(αFGF)、FGF2(βFGF)、FGF3(int-2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST-2)、FGF7(KGF)、FGF9、FGF1 0、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF14、FGF16、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF23、IGF1、IGF2、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFN81、IFNG、IFNWI、FEL1、FEL1(EPSELON)、FEL1(ZETA)、IL 1A、IL 1B、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL1 0、IL 11、IL 12A、IL 12B、IL 13、IL 14、IL 15、IL 16、IL 17、IL 17B、IL 18、IL 19、IL20、IL22、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL30、PDGFA、PDGFB、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFBb3、LTA(TNF-β)、LTB、TNF(TNF-α)、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4-1BBリガンド)、TNFSF10(TRAIL)、TNFSF11(TRANCE)、TNFSF12(APO3L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM-L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、HGF(VEGFD)、VEGF、VEGFB、VEGFC、IL1R1、IL1R2、IL1RL1、IL1RL2、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3RA、IL4R、IL5RA、IL6R、IL7R、IL8RA、IL8RB、IL9R、IL10RA、IL10RB、IL 11RA、IL12RB1、IL12RB2、IL13RA1、IL13RA2、IL15RA、IL17R、IL18R1、IL20RA、IL21R、IL22R、IL1HY1、IL1RAP、IL1RAPL1、IL1RAPL2、IL1RN、IL6ST、IL18BP、IL18RAP、IL22RA2、AIF1、HGF、LEP(レプチン)、PTN、及びTHPO.kからなる群から選択されるサイトカイン、サイトカイン関連タンパク質、及びサイトカイン受容体を含むが、これらに限定されないいずれかのタンパク質に結合しうるか、又はそれと相互作用しうる。
【0164】
いくつかの実施形態では、本開示の宿主細胞によって発現されるポリペプチドは、CCLI(1-309)、CCL2(MCP-1/MCAF)、CCL3(MIP-Iα)、CCL4(MIP-Iβ)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(mcp-2)、CCL11(エオタキシン)、CCL 13(MCP-4)、CCL 15(MIP-Iδ)、CCL 16(HCC-4)、CCL 17(TARC)、CCL 18(PARC)、CCL 19(MDP-3b)、CCL20(MIP-3α)、CCL21(SLC/エクソダス-2)、CCL22(MDC/STC-1)、CCL23(MPIF-1)、CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン-3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CXCLI(GROI)、CXCL2(GR02)、CXCL3(GR03)、CXCL5(ENA-78)、CXCL6(GCP-2)、CXCL9(MIG)、CXCL 10(IP 10)、CXCL 11(1-TAC)、CXCL 12(SDFI)、CXCL 13、CXCL 14、CXCL 16、PF4(CXCL4)、PPBP(CXCL7)、CX3CL 1(SCYDI)、SCYEI、XCLI(リンホタクチン)、XCL2(SCM-Iβ)、BLRI(MDR15)、CCBP2(D6/JAB61)、CCRI(CKRI/HM145)、CCR2(mcp-IRB IRA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBII)、CCR8(CMKBR8/TER1/CKR-L1)、CCR9(GPR-9-6)、CCRL1(VSHK1)、CCRL2(L-CCR)、XCR1(GPR5/CCXCR1)、CMKLR1、CMKOR1(RDC1)、CX3CR1(V28)、CXCR4、GPR2(CCR10)、GPR31、GPR81(FKSG80)、CXCR3(GPR9/CKR-L2)、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、HM74、IL8RA(IL8Rα)、IL8RB(IL8Rβ)、LTB4R(GPR16)、TCP10、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、BDNF、C5、C5R1、CSF3、GRCC10(C10)、EPO、FY(DARC)、GDF5、HDF1、HDF1α、DL8、PRL、RGS3、RGS13、SDF2、SLIT2、TLR2、TLR4、TREM1、TREM2、及びVHLからなる群から選択されるケモカイン、ケモカイン受容体、又はケモカイン関連タンパク質に結合しうるか、又はそれと相互作用しうる。いくつかの実施形態では、本開示の宿主細胞によって発現されるポリペプチドは、0772P(CA125、MUC16)(即ち、卵巣がん抗原)、ABCF1;ACVR1;ACVR1B;ACVR2;ACVR2B;ACVRL1;ADORA2A;アグリカン;AGR2;AICDA;AIF1;AIG1;AKAP1;AKAP2;AMH;AMHR2;アミロイドベータ;ANGPTL;ANGPT2;ANGPTL3;ANGPTL4;ANPEP;APC;APOC1;AR;ASLG659;ASPHD1(1を含有するアスパラギン酸ベータ-ヒドロキシラーゼドメイン;LOC253982);AZGP1(亜鉛-a-糖タンパク質);B7.1;B7.2;BAD;BAFF-R(B細胞-活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3;BAG1;BAI1;BCL2;BCL6;BDNF;BLNK;BLRI(MDR15);BMP1;BMP2;BMP3B(GDF10);BMP4;BMP6;BMP8;BMPR1A;BMPR1B(骨形態形成蛋白質受容体-IB型);BMPR2;BPAG1(プレクチン);BRCA1;ブレビカン;C19orf10(IL27w);C3;C4A;C5;C5R1;CANT1;CASP1;CASP4;CAV1;CCBP2(D6/JAB61);CCL1(1-309);CCL11(エオタキシン);CCL13(MCP-4);CCL15(MIP1δ);CCL16(HCC-4);CCL17(TARC);CCL18(PARC);CCL19(MIP-3β);CCL2(MCP-1);MCAF;CCL20(MIP-3α);CCL21(MTP-2);SLC;エクソダス-2;CCL22(MDC/STC-1);CCL23(MPIF-1);CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2);CCL25(TECK);CCL26(エオタキシン-3);CCL27(CTACK/ILC);CCL28;CCL3(MTP-Iα);CCL4(MDP-Iβ);CCL5(RANTES);CCL7(MCP-3);CCL8(mcp-2);CCNA1;CCNA2;CCND1;CCNE1;CCNE2;CCR1(CKRI/HM145);CCR2(mcp-IRβ/RA);CCR3(CKR/CMKBR3);CCR4;CCR5(CMKBR5/ChemR13);CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6);CCR7(CKBR7/EBI1);CCR8(CMKBR8/TER1/CKR-L1);CCR9(GPR-9-6);CCRL1(VSHK1);CCRL2(L-CCR);CD164;CD19;CD1C;CD20;CD200;CD22(B細胞受容体CD22-Bアイソフォーム);CD24;CD28;CD3;CD37;CD38;CD3E;CD3G;CD3Z;CD4;CD40;CD40L;CD44;CD45RB;CD52;CD69;CD72;CD74;CD79A(CD79α、免疫グロブリン関連アルファ、B細胞特異的タンパク質);CD79B;CDS;CD80;CD81;CD83;CD86;CDH1(E-カドヘリン);CDH10;CDH12;CDH13;CDH18;CDH19;CDH20;CDH5;CDH7;CDH8;CDH9;CDK2;CDK3;CDK4;CDK5;CDK6;CDK7;CDK9;CDKN1A(p21/WAF1/Cip1);CDKN1B(p27/Kip1);CDKN1C;CDKN2A(P16INK4a);CDKN2B;CDKN2C;CDKN3;CEBPB;CER1;CHGA;CHGB;キチナーゼ;CHST10;CKLFSF2;CKLFSF3;CKLFSF4;CKLFSF5;CKLFSF6;CKLFSF7;CKLFSF8;CLDN3;CLDN7(クローディン-7);CLL-1(CLEC12A、MICL、及びDCAL2);CLN3;CLU(クラステリン);CMKLR1;CMKOR1(RDC1);CNR1;COL 18A1;COL1A1;COL4A3;COL6A1;補体因子D;CR2;CRP;CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌種由来増殖因子);CSFI(M-CSF);CSF2(GM-CSF);CSF3(GCSF);CTLA4;CTNNB1(b-カテニン);CTSB(カテプシン B);CX3CL1(SCYDI);CX3CR1(V28);CXCL1(GRO1);CXCL10(IP-10);CXCL11(I-TAC/IP-9);CXCL12(SDF1);CXCL13;CXCL14;CXCL16;CXCL2(GRO2);CXCL3(GRO3);CXCL5(ENA-78/LIX);CXCL6(GCP-2);CXCL9(MIG);CXCR3(GPR9/CKR-L2);CXCR4;CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、Gタンパク質共役受容体);CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo);CYB5;CYC1;CYSLTR1;DAB2IP;DES;DKFZp451J0118;DNCLI;DPP4;E16(LAT1、SLC7A5);E2F1;ECGF1;EDG1;EFNA1;EFNA3;EFNB2;EGF;EGFR;ELAC2;ENG;ENO1;ENO2;ENO3;EPHB4;EphB2R;EPO;ERBB2(Her-2);EREG;ERK8;ESR1;ESR2;ETBR(エンドセリンB型受容体);F3(TF);FADD;FasL;FASN;FCER1A;FCER2;FCGR3A;FcRH1(Fc受容体様タンパク質1);FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(ホスファターゼアンカータンパク質1aを含有するSH2ドメイン)、SPAP1B、SPAP1C);FGF;FGF1(αFGF);FGF10;FGF11;FGF12;FGF12B;FGF13;FGF14;FGF16;FGF17;FGF18;FGF19;FGF2(bFGF);FGF20;FGF21;FGF22;FGF23;FGF3(int-2);FGF4(HST);FGF5;FGF6(HST-2);FGF7(KGF);FGF8;FGF9;FGFR;FGFR3;FIGF(VEGFD);FELl(イプシロン);FILl(ZETA);FLJ12584;FLJ25530;FLRTI(フィブロネクチン);FLT1;FOS;FOSL1(FRA-1);FY(DARC);GABRP(GABAa);GAGEB1;GAGEC1;GALNAC4S-6ST;GATA3;GDF5;GDNF-Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1;GFRA1;GDNFR;GDNFRA;RETL1;TRNR1;RET1L;GDNFR-alpha1;GFR-ALPHA-1);GEDA;GFI1;GGT1;GM-CSF;GNASI;GNRHI;GPR2(CCR10);GPR19(Gタンパク質共役受容体19;Mm.4787);GPR31;GPR44;GPR54(KISS1受容体;KISS1R;GPR54;HOT7T175;AXOR12);GPR81(FKSG80);GPR172A(Gタンパク質共役受容体172A;GPCR41;FLJ11856;D15Ertd747e);GRCCIO(C10);GRP;GSN(Gelsolin);GSTP1;HAVCR2;HDAC4;HDAC5;HDAC7A;HDAC9;HGF;HIF1A;HOP1;ヒスタミン及びヒスタミン受容体;HLA-A;HLA-DOB(MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原);HLA-DRA;HM74;HMOXI ;HUMCYT2A;ICEBERG;ICOSL;1D2;IFN-a;IFNA1;IFNA2;IFNA4;IFNA5;IFNA6;IFNA7;IFNB1;IFNガンマ;DFNW1;IGBP1;IGF1;IGF1R;IGF2;IGFBP2;IGFBP3;IGFBP6;IL-l;IL10;IL10RA;IL10RB;IL11;IL11RA;IL-12;IL12A;IL12B;IL12RB1;IL12RB2;IL13;IL13RA1;IL13RA2;IL14;IL15;IL15RA;IL16;IL17;IL17B;IL17C;IL17R;IL18;IL18BP;IL18R1;IL18RAP;IL19;IL1A;IL1B;ILIF10;IL1F5;IL1F6;IL1F7;IL1F8;IL1F9;IL1HY1;IL1R1;IL1R2;IL1RAP;IL1RAPL1;IL1RAPL2;IL1RL1;IL1RL2、ILIRN;IL2;IL20;IL20Rα;IL21R;IL22;IL-22c;IL22R;IL22RA2;IL23;IL24;IL25;IL26;IL27;IL28A;IL28B;IL29;IL2RA;IL2RB;IL2RG;IL3;IL30;IL3RA;IL4;IL4R;IL5;IL5RA;IL6;IL6R;IL6ST(糖タンパク質130);インフルエンザA;インフルエンザB;EL7;EL7R;EL8;IL8RA;DL8RB;IL8RB;DL9;DL9R;DLK;INHA;
INHBA;INSL3;INSL4;IRAK1;IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2);ERAK2;ITGA1;ITGA2;ITGA3;ITGA6(a6インテグリン);ITGAV;ITGB3;ITGB4(b4インテグリン);α4β7及びαEβ7インテグリンヘテロ二量体;JAG1;JAK1;JAK3;JUN;K6HF;KAI1;KDR;KITLG;KLF5(GC Box BP);KLF6;KLKIO;KLK12;KLK13;KLK14;KLK15;KLK3;KLK4;KLK5;KLK6;KLK9;KRT1;KRT19(ケラチン19);KRT2A;KHTHB6(毛髪特異的H型ケラチン);ラマ;LEP(レプチン);LGR5(ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体5;GPR49、GPR67);Lingo-p75;Lingo-Troy;LPS;LTA(TNF-b);LTB;LTB4R(GPR16);LTB4R2;LTBR;LY64(リンパ球抗原64(RP105),ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質);Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E;Ly67,RIG-E,SCA-2,TSA-1);Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D;Ly6-D、MEGT1);LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K;LY6K;HSJ001348;FLJ35226);MACMARCKS;MAG又はOMgp;MAP2K7(c-Jun);MDK;MDP;MIB1;ミッドカイン;MEF;MIP-2;MKI67;(Ki-67);MMP2;MMP9;MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソセリン);MS4A1;MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315);MSMB;MT3(メタロチオネクチン-111);MTSS1;MUC1(ムチン);MYC;MY088;Napi3b(NaPi2bとしても知られる)(NAPI-3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質担体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性ホスフェートトランスポーター3b);NCA;NCK2;ニューロカン;NFKB1;NFKB2;NGFB(NGF);NGFR;NgR-Lingo;NgR-Nogo66(Nogo);NgR-p75;NgR-Troy;NME1(NM23A);NOX5;NPPB;NR0B1;NR0B2;NR1D1;NR1D2;NR1H2;NR1H3;NR1H4;NR112;NR113;NR2C1;NR2C2;NR2E1;NR2E3;NR2F1;NR2F2;NR2F6;NR3C1;NR3C2;NR4A1;NR4A2;NR4A3;NR5A1;NR5A2;NR6A1;NRP1;NRP2;NT5E;NTN4;ODZI;OPRD1;OX40;P2RX7;P2X5(プリン作動性受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5);PAP;PART1;PATE;PAWR;PCA3;PCNA;PD-L1;PD-L2;PD-1;POGFA;POGFB;PECAM1;PF4(CXCL4);PGF;PGR;ホスファカン;PIAS2;PIK3CG;PLAU(uPA);PLG;PLXDC1;PMEL17(銀ホモログ;SILV;D12S53E;PMEL17;SI;SIL);PPBP(CXCL7);PPID;PRI;PRKCQ;PRKDI;PRL;PROC;PROK2;PSAP;PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子);PTAFR;PTEN;PTGS2(COX-2);PTN;RAC2(p21 Rac2);RARB;RET(retがん原遺伝子;MEN2A;HSCR1;MEN2B;MTC1;PTC;CDHF12;Hs.168114;RET51;RET-ELE1);RGSI;RGS13;RGS3;RNF110(ZNF144);ROBO2;S100A2;SCGB1D2(リポフィリンB);SCGB2A1(マンマグロビン2);SCGB2A2(マンマグロビン1);SCYEI(内皮単球活性化サイトカイン);SDF2;Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、semaドメイン、7つのトロンボスポンジンリピート(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)及び短細胞質ドメイン,(セマフォリン)5B);SERPINA1;SERPINA3;SERP1NB5(マスピン);SERPINE1(PAI-1);SERPDMF1;SHBG;SLA2;SLC2A2;SLC33A1;SLC43A1;SLIT2;SPPI;SPRR1B(Sprl);ST6GAL1;STABI;STAT6;STEAP(前立腺の6つの膜貫通上皮抗原);STEAP2(HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺がん関連遺伝子1、前立腺がん関連タンパク質1、前立腺2の6つの膜貫通上皮抗原、6つの膜貫通前立腺タンパク質);TB4R2;TBX21;TCPIO;TOGFI;TEK;TENB2(推定上の膜貫通プロテオグリカン);TGFA;TGFBI;TGFB1II;TGFB2;TGFB3;TGFBI;TGFBRI;TGFBR2;TGFBR3;THIL;THBSI(トロンボスポンジン-1);THBS2;THBS4;THPO;TIE(Tie-1);TMP3;組織因子;TLR1;TLR2;TLR3;TLR4;TLR5;TLR6;TLR7;TLR8;TLR9;TLR10;TMEFF1(EGF様及び2つのホリスタチン様ドメイン1を有する膜貫通タンパク質;トモレグリン-1);TMEM46(shisaホモログ2);TNF;TNF-a;TNFAEP2(B94);TNFAIP3;TNFRSFIIA;TNFRSF1A;TNFRSF1B;TNFRSF21;TNFRSF5;TNFRSF6(Fas);TNFRSF7;TNFRSF8;TNFRSF9;TNFSF10(TRAIL);TNFSF11(TRANCE);TNFSF12(AP03L);TNFSF13(April);TNFSF13B;TNFSF14(HVEM-L);TNFSF15(VEGI);TNFSF18;TNFSF4(OX40リガンド);TNFSF5(CD40リガンド);TNFSF6(FasL);TNFSF7(CD27リガンド);TNFSFS(CD30リガンド);TNFSF9(4-1 BBリガンド);TOLLIP;Toll様受容体;TOP2A(トポイソメラーゼEa);TP53;TPM1;TPM2;TRADD;TMEM118(薬指タンパク質、膜貫通2;RNFT2;FLJ14627);TRAF1;TRAF2;TRAF3;TRAF4;TRAF5;TRAF6;TREM1;TREM2;TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体潜在的カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4);TRPC6;TSLP;TWEAK;チロシナーゼ(TYR;OCAIA;OCA1A;チロシナーゼ;SHEP3);VEGF;VEGFB;VEGFC;バーシカン;VHL C5;VLA-4;XCL1(リンホタクチン);XCL2(SCM-1b);XCRI(GPR5/CCXCRI);YY1;及び/又はZFPM2に結合するか、又はそれと相互作用しうる。
【0165】
特定の実施形態では、本明細書に開示される細胞及び方法により生成される抗体(又は二重特異性抗体)の標的分子には、CDタンパク質、例えば、CD3、CD4、CD5、CD16、CD19、CD20、CD21(CR2(補体受容体2)又はC3DR(C3d/エプスタインバーウイルス受容体)、又はHs.73792);CD33;CD34;CD64;CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb-2);CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29);ErbB受容体ファミリーのCD200メンバー、例えば、EGF受容体、HER2、HER3、又はHER4受容体;細胞接着分子、例えば、LFA-1、Mac1、p150.95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、アルファ4/ベータ7インテグリン、及びアルファv/ベータ3インテグリンであって、そのアルファ又はベータサブユニットを含むもの(例えば、抗CD11a、抗CD18、又は抗CD11b抗体);成長因子、例えば、VEGF-A、VEGF-C;組織因子(TF);アルファインターフェロン(アルファIFN);TNFアルファ、インターロイキン、例えば、IL-1ベータ、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-13、IL17AF、IL-1S、IL-13Rアルファ1、IL13Rアルファ2、IL-4R、IL-5R、IL-9R、IgE;血液型抗原、flk2/flt3受容体、肥満(OB)受容体、mpl受容体、CTLA-4、RANKL、RANK、RSV Fタンパク質、プロテインCなどが含まれる。特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、補体タンパク質C5(例えば、ヒトに特異的に結合する抗C5アゴニスト抗体)に特異的に結合する抗体(又は二重特異性抗体などの多重特異性抗体)を生成するために使用することができる。
【0166】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、インフルエンザウイルスB血液凝集素、即ち、「fluB」に特異的に結合する抗体(又は二重特異性抗体などの多重特異性抗体)(例えば、インフルエンザBウイルスのYamagata系統に由来する血液凝集素に結合する抗体、インフルエンザBウイルスのビクトリア系統に由来する血液凝集素に結合する抗体、インフルエンザBウイルスの祖先系統に由来する血液凝集素に結合する抗体、又はインフルエンザBウイルスのYamagata系統、ビクトリア系統、及び祖先系統に由来する血液凝集素とin vitro及び/又はin vivoで結合する抗体)を生成するために使用することができる。抗FluB抗体に関するさらなる詳細は、国際公開第2015/148806号に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0167】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により生成される抗体(又は二重特異性抗体)は、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)-1又はLRP-8又はトランスフェリン受容体と、ベータ-セクレターゼ(BACE1又はBACE2)、アルファ-セクレターゼ、ガンマ-セクレターゼ、タウ-セクレターゼ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、デスレセプター6(DR6)、アミロイドベータペプチド、アルファ-シヌクレイン、パーキン、ハンチンチン、p75 NTR、CD40、及びカスパーゼ-6からなる群から選択される少なくとも1つの標的とに結合する。
【0168】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により生成される抗体は、CD40に対するヒトIgG2抗体である。特定の実施形態では、抗CD40抗体はRG7876である。
【0169】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により生成されるポリペプチドは、標的化免疫サイトカインである。特定の実施形態では、標的化免疫サイトカインは、CEA-IL2v免疫サイトカインである。特定の実施形態では、CEA-IL2v免疫サイトカインは、RG7813である。特定の実施形態では、標的化免疫サイトカインは、FAP-IL2v免疫サイトカインである。特定の実施形態では、FAP-IL2v免疫サイトカインは、RG7461である。
【0170】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により生成される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、CEA、及び少なくとも1つの追加の標的分子に結合する。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により生成される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、腫瘍標的化サイトカイン及び少なくとも1つの追加の標的分子に結合する。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により生成される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、IL2v(即ち、インターロイキン2バリアント)に融合され、IL1系免疫サイトカイン、及び少なくとも1つの追加の標的分子に結合する。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により生成される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、T細胞二重特異性抗体(即ち、二重特異性T細胞エンゲージャー又はBiTE)である。
【0171】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により生成される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、IL-1アルファ及びIL-1ベータ、IL-12及びIL-1S;IL-13及びIL-9;IL-13及びIL-4;IL-13及びIL-5;IL-5及びIL-4;IL-13及びIL-1ベータ;IL-13及びIL-25;IL-13及びTARC;IL-13及びMDC;IL-13及びMEF;IL-13及びTGF-~;IL-13及びLHRアゴニスト;IL-12及びTWEAK;IL-13及びCL25;IL-13及びSPRR2a;IL-13及びSPRR2b;IL-13及びADAMS;IL-13及びPED2;IL17A及びIL17F;CEA及びCD3;CD3及びCD19;CD138及びCD20;CD138及びCD40;CD19及びCD20;CD20及びCD3;CD3S及びCD13S;CD3S及びCD20;CD3S及びCD40;CD40及びCD20;CD-S及びIL-6;CD20及びBR3;TNFアルファ及びTGF-ベータ、TNFアルファ及びIL-1ベータ;TNFアルファ及びIL-2、TNFアルファ及びIL-3、TNFアルファ及びIL-4、TNFアルファ及びIL-5、TNFアルファ及びIL6、TNFアルファ及びIL8、TNFアルファ及びIL-9、TNFアルファ及びIL-10、TNFアルファ及びIL-11、TNFアルファ及びIL-12、TNFアルファ及びIL-13、TNFアルファ及びIL-14、TNFアルファ及びIL-15、TNFアルファ及びIL-16、TNFアルファ及びIL-17、TNFアルファ及びIL-18、TNFアルファ及びIL-19、TNFアルファ及びIL-20、TNFアルファ及びIL-23、TNFアルファ及びIFNアルファ、TNFアルファ及びCD4、TNFアルファ及びVEGF、TNFアルファ及びMIF、TNFアルファ及びICAM-1、TNFアルファ及びPGE4、TNFアルファ及びPEG2、TNFアルファ及びRANKリガンド、TNFアルファ及びTe38、TNFアルファ及びBAFF、TNFアルファ及びCD22、TNFアルファ及びCTLA-4、TNFアルファ及びGP130、TNFa及びIL-12p40、VEGF及びアンジオポエチン、VEGF及びHER2、VEGF-A及びHER2、VEGF-A及びPDGF、HER1及びHER2、VEGFA及びANG2、VEGF-A及びVEGF-C、VEGF-C及びVEGF-D、HER2及びDR5、VEGF及びIL-8、VEGF及びMET、VEGFR及びMET受容体、EGFR及びMET、VEGFR及びEGFR、HER2及びCD64、HER2及びCD3、HER2及びCD16、HER2及びHER3、EGFR(HER1)及びHER2、EGFR及びHER3、EGFR及びHER4、IL-14及びIL-13、IL-13及びCD40L、IL4及びCD40L、TNFR1及びIL-1R、TNFR1及びIL-6R並びにTNFR1及びIL-18R、EpCAM及びCD3、MAPG及びCD28、EGFR及びCD64、CSPGs及びRGM A;CTLA-4及びBTN02;IGF1及びIGF2;IGF1/2及びErb2B;MAG及びRGM A;NgR及びRGM A;NogoA及びRGM A;OMGp及びRGM A;POL-l及びCTLA-4;並びにRGM A及びRGM Bから選択される少なくとも2つの標的分子に結合する。
【0172】
特定の実施形態では、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体である。特定の実施形態では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、RG7802である。抗CEA/抗CD3二重特異性抗体に関するさらなる詳細は、国際公開第2014/121712号に提供されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0173】
特定の実施形態では、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体である。特定の実施形態では、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体二重特異性抗体は、Crossmabである。特定の実施形態では、抗VEGF/抗アンジオポエチン二重特異性抗体は、RG7716である。
【0174】
特定の実施形態では、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体である。特定の実施形態では、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、RG7221である。特定の実施形態では、抗Ang2/抗VEGF二重特異性抗体は、CAS番号1448221-05-3である。
【0175】
他の多くの抗体及び/又は他のタンパク質が、本開示においては宿主細胞によって発現されてよく、上記の一覧は限定的であることを意味しない。
【0176】
本開示の宿主細胞は、製造規模での目的の分子の生成に用いることができる。治療用タンパク質又は他のタンパク質の「製造規模」での生成は、生成されるタンパク質及び必要性に応じて、約400L~約80,000Lの範囲の細胞培養物を利用する。典型的には、そのような製造規模での生成は、約400Lから約25,000Lの細胞培養物サイズを利用する。この範囲内において、4,000L、約6,000L、約8,000、約10,000、約12,000L、約14,000L、又は約16,000Lといった特定の細胞培養物サイズが利用されうる。
【0177】
特定の実施形態では、目的のポリペプチドは、二重特異性、三重特異性又は多重特異性のポリペプチド、例えば二重特異性抗体である。
【0178】
本開示の宿主細胞は、現行の細胞培養法で使用されている非TI細胞と比較して、より短い時間枠で大量の目的の分子の生成に用いることができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、現行の細胞培養法で使用される非TI細胞と比較して、目的の分子の品質を改善するために用いることができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、細胞ストレス及びクローン不安定性を経時的に引き起こしうる生成物によって引き起こされうる慢性毒性を防止することによって、シードトレイン安定性を高めるために使用することができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、急性毒性生成物の最適な発現のために使用することができる。
【0179】
特定の実施形態では、本開示の宿主細胞、TI系は、細胞培養プロセスの最適化及び/又はプロセス開発に使用することができる。
【0180】
特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、従来の細胞培養方法で使用される非TI細胞と比較して、目的の分子の生成を約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、又は約10週間早めるために使用することができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、従来の細胞培養方法で使用される非TI細胞と比較して、目的の分子の採取を約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、又は約10週間早めるために使用することができる。
【0181】
特定の実施形態では、本実施形態の宿主細胞は、従来の細胞培養方法に使用される非TI細胞と比較して、目的分子の凝集レベルを減少させるために用いることができる。
【0182】
特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、ランダム組み込み宿主細胞に対して、目的の1つ又は複数のポリペプチドの発現の増加を達成するために使用することができる。例えば、限定しないが、本開示の宿主細胞は、少なくとも3g/L、3.5g/L、4g/L、4.5g/L、5g/L、5.5g/L、6g/L、6.5g/L、7g/L、7.5g/L、8g/L、8.5g/L、9g/L、9.5g/L、10g/L、10.5g/L、11g/Lの又はそれを超える力価での標準抗体及び半抗体の発現、並びに少なくとも1.5g/L、2g/L、2.5g/L、3g/L、3.5g/L、4g/L、4.5g/L、5g/L、5.5g/L、6g/Lの又はそれよりも大きい多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体の発現を達成するために使用することができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、ランダム組み込み宿主細胞に対して、二重特異性含有量の増加を達成することができる。例えば、限定しないが、本開示の宿主細胞は、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、98%、99%又はそれを超える二重特異性含有量を達成することができる。
【0183】
特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、治療分子の選択されたサブユニットの構成的発現及び同じ治療分子の他の異なるサブユニットの調節された発現のために使用することができる。特定の実施形態では、治療分子は、融合タンパク質でありうる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、完全に組み立てられた抗体分子の発現及び分泌における各抗体サブユニットの役割及び効果を理解するために使用することができる。
【0184】
特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、調査ツールとして使用することができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、様々な細胞における問題のある分子の低タンパク質発現の根本原因を突き止めるための診断ツールとして使用することができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、観察された現象又は細胞挙動を細胞における導入遺伝子発現に直接結び付けるために使用することができる。本開示の宿主細胞はまた、観察された挙動が細胞において可逆的であるか否かを実証するために使用することができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞を利用して、細胞における1つ又は複数の導入遺伝子の転写及び発現に関する問題を同定し、軽減することができる。
【0185】
特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、発現困難な分子の導入遺伝子サブユニット、例えば、限定されないが、抗体のHC及びLCサブユニットを、TI系の平均分子のものと交換して、問題となる1つ又は複数のサブユニットを同定するために使用することができる。特定の実施形態では、次いでアミノ酸配列解析を使用して、低タンパク質発現の原因でありうるアミノ酸残基又は領域を突き止めてこれに焦点を当てることができる。特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、a)2つの組み換え認識配列(RRS)に隣接する第1の目的のポリペプチド及び第1の選択マーカーをコードする、標的化組み込み外因性核酸の目的配列(SOI)であって、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座内に組み込まれている、標的化組み込み外因性核酸のSOIと、b)第2の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードするランダム組み込み外因性核酸のSOIであって、宿主細胞のゲノムに少なくとも1回組み込まれている、外因性核酸のSOIとを含む目的のポリペプチドを発現させるために使用することができ、c)標的化組み込み外因性核酸のSOIが、構成的に発現されるか又は誘導発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIが、構成的に発現されるか又は誘導発現される。特定の実施形態では、標的化組み込み外因性核酸のSOIは、構成的に発現される。特定の実施形態では、標的化組み込み外因性核酸のSOIは、誘導的に発現される。特定の実施形態では、ランダム組み込み外因性核酸のSOIは、構成的に発現される。特定の実施形態では、標的化組み込み外因性核酸のSOIは誘導的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIは構成的に発現される。特定の実施形態では、標的化組み込み外因性核酸のSOIは構成的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIは構成的に発現される。特定の実施形態では、標的化組み込み外因性核酸のSOIは構成的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIは誘導的に発現される。
【0186】
特定の実施形態では、本開示は、目的のポリペプチドを発現させる方法であって、a)宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、宿主細胞を提供すること;b)(a)で供給された細胞に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の2つのRRSと一致し、第1の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードする第1の外因性SOIに隣接する2つのRRSを含む核酸を導入すること;c)RRSを認識するリコンビナーゼ又は同リコンビナーゼをコードする核酸を導入すること;d)第2の選択マーカーを発現する細胞を選択すること;e)ランダム組込みを介して、第2の目的のポリペプチド及び第3の選択マーカーをコードする第2の外因性SOIを、宿主細胞のゲノムに導入すること;f)宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に又は誘導的に発現され、第2の外因性SOIが構成的に又は誘導的に発現されること;g)第3の選択マーカーを発現する細胞を選択すること;並びにh)第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するために十分な条件下で宿主細胞を培養することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に発現される。特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が誘導的に発現される。特定の実施形態では、第2の外因性SOIが構成的に発現される。特定の実施形態では、第2の外因性SOIが誘導的に発現される。特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は誘導的に発現され、第2の外因性SOIは構成的に発現される。特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は構成的に発現され、第2の外因性SOIは構成的に発現される。特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列は構成的に発現され、第2の外因性SOIは誘導的に発現される。
【0187】
8.例示的な非限定的実施形態
A.目的のポリペプチドを発現することのできる宿主細胞であって:a)2つの組み換え認識配列(RRS)に隣接する目的の第1のポリペプチド及び第1の選択マーカーをコードする、標的化組み込み外因性核酸の目的の配列(SOI)であって 宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座内に組み込まれている標的化組み込み外因性核酸のSOI;b)第2の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードする、ランダム組み込み外因性核酸のSOIであって、少なくとも1回宿主細胞のゲノムに組み込まれているランダム組み込みSOIを含み、c)標的化組み込み外因性核酸のSOIが、構成的に又は誘導的に発現され、ランダム組み込み外因性核酸のSOIが、構成的に又は誘導的に発現される、宿主細胞。
【0188】
A1.第1の目的のポリペプチドと第2の目的のポリペプチドとが同一である、Aに記載の宿主細胞。
【0189】
A2.第1の選択マーカーと第2の選択マーカーとが同一である、Aの宿主細胞。
【0190】
A3.ランダム組み込み外因性核酸のSOIを1から10個含む、Aに記載の宿主細胞。
【0191】
A4.標的化遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、Aに記載の宿主細胞。
【0192】
A4.1.標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、A4に記載の宿主細胞。
【0193】
A4.2.標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、A4に記載の宿主細胞。
【0194】
A4.3.標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、A4に記載の宿主細胞。
【0195】
A4.4.標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、A4に記載の宿主細胞。
【0196】
A4.5.標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、A4に記載の宿主細胞。
【0197】
A4.6.標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、A4に記載の宿主細胞。
【0198】
A4.7.標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、A4に記載の宿主細胞。
A5.宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座内に組み込まれた少なくとも1つの第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIと、宿主細胞のゲノムの1つ以上の第二の遺伝子座内に組み込まれた第2の目的のポリペプチドのSOIをコードする少なくとも1つの第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIとを含む、A~A4のいずれかに記載の宿主細胞。
【0199】
A6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0200】
A6.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0201】
A6.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第3の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0202】
A6.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第4の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0203】
A6.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第5の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0204】
A6.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第6の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0205】
A6.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第7の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0206】
A7.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0207】
A7.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0208】
A7.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0209】
A7.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0210】
A7.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0211】
A7.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0212】
A7.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0213】
A8.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0214】
A8.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0215】
A8.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0216】
A8.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0217】
A8.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0218】
A8.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0219】
A8.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0220】
A9.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0221】
A9.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0222】
A9.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0223】
A9.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0224】
A9.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0225】
A9.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0226】
A9.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0227】
A10.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0228】
A10.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0229】
A10.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0230】
A10.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0231】
A10.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0232】
A10.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0233】
A10.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0234】
A11.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0235】
A11.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0236】
A11.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0237】
A11.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0238】
A11.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0239】
A11.5. 第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0240】
A11.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0241】
A12.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0242】
A12.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0243】
A12.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0244】
A12.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0245】
A12.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0246】
A12.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0247】
A12.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、A5に記載の宿主細胞。
【0248】
A13.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、LOC107977062遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、A5に記載の宿主細胞。
【0249】
A14.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、LOC100768845遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、A5に記載の宿主細胞。
【0250】
A15.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、ITPR2遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、A5に記載の宿主細胞。
【0251】
A16.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、ERE67000.1遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、A5に記載の宿主細胞。
【0252】
A17.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、UBAP2遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、A5に記載の宿主細胞。
【0253】
A18.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、MTMR2遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、A5に記載の宿主細胞。
【0254】
A19.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、XP_003512331.2遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、A5に記載の宿主細胞。
【0255】
A20.目的のポリペプチドが、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)及びFc融合タンパク質からなる群から選択される、A~A19のいずれかに記載の宿主細胞。
【0256】
A21.宿主細胞が哺乳動物宿主細胞である、A~A19のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0257】
A22.宿主細胞が、ハムスター宿主細胞、ヒト宿主細胞、ラット宿主細胞、又はマウス宿主細胞である、A21に記載の宿主細胞。
【0258】
A23.宿主細胞が、CHO宿主細胞、CHO K1宿主細胞、CHO K1SV宿主細胞、DG44宿主細胞、DUKXB-11宿主細胞、CHOK1S宿主細胞、又はCHO K1M宿主細胞である、A22に記載の宿主細胞。
【0259】
A24.SOI及び選択マーカーの標的化組み込みが、外因性ヌクレアーゼによって促進される、A~A20のいずれか1つに記載の宿主細胞。
【0260】
A25.外因性ヌクレアーゼが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ZFN二量体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALエフェクタードメイン融合タンパク質、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ、操作されたメガヌクレアーゼ、及びクラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)に関連する(Cas)エンドヌクレアーゼからなる群から選択される、A24に記載の宿主細胞。
【0261】
B.目的のポリペプチドを発現させる方法であって、a)宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を提供することであって、外因性ヌクレオチド配列が第1の選択マーカーに隣接する2つのRRSを含む、宿主細胞を提供すること;b)(a)で提供された細胞に、組み込まれた外因性ヌクレオチド配列の2つのRRSと一致し、第1の目的のポリペプチド及び第2の選択マーカーをコードする第1の外因性SOIに隣接する2つのRRSを含む核酸を導入すること;c)RRSを認識するリコンビナーゼ又は同リコンビナーゼをコードする核酸を導入すること;d)第2の選択マーカーを発現する細胞を選択すること;e)ランダム組込みを介して、第2の目的のポリペプチド及び第3の選択マーカーをコードする第2の外因性SOIを、宿主細胞のゲノムに導入すること;f)宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列が構成的に又は誘導的に発現され、第2の外因性SOIが構成的に又は誘導的に発現されること;g)第3の選択マーカーを発現する細胞を選択すること;並びにh)第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを発現するために十分な条件下で宿主細胞を培養することを含む方法。
【0262】
B1.第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドを宿主細胞培養物から回収することをさらに含む、Bに記載の方法。
【0263】
B2.第1の目的のポリペプチドと第2の目的のポリペプチドとが同一である、Bに記載の方法。
【0264】
B3.標的化遺伝子座が、コンティグNW_006874047.1、NW_006884592.1、NW_006881296.1、NW_003616412.1、NW_003615063.1、NW_006882936.1、及びNW_003615411.1のうちの1つのコンティグ配列の一部分の配列、又は配列番号1~7から選択される配列と少なくとも約90%相同である、Bに記載の方法。
【0265】
B3.1.標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、B3に記載の方法。
【0266】
B3.2.標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、B3に記載の方法。
【0267】
B3.3.標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、B3に記載の方法。
【0268】
B3.4.標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、B3に記載の方法。
【0269】
B3.5.標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、B3に記載の方法。
【0270】
B3.6.標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、B3に記載の方法。
【0271】
B3.7.標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含む、B3に記載の方法。
【0272】
B4.宿主細胞が、宿主細胞のゲノムの標的化遺伝子座内に組み込まれた少なくとも1つの第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIと、宿主細胞のゲノムの1つ以上の第2の遺伝子座内に組み込まれた第2の目的のポリペプチドのSOIをコードする少なくとも1つの第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIとを含む、B~B3のいずれかに記載の方法。
【0273】
B5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0274】
B5.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0275】
B5.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0276】
B5.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0277】
B5.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0278】
B5.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0279】
B5.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0280】
B6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0281】
B6.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0282】
B6.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0283】
B6.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。K7.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0284】
B6.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0285】
B6.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0286】
B7.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0287】
B7.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0288】
B7.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0289】
B7.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0290】
B7.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0291】
B7.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
B7.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0292】
B8.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0293】
B8.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0294】
B8.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0295】
B8.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0296】
B8.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0297】
B8.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0298】
B8.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0299】
B9.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0300】
B9.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0301】
B9.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0302】
B9.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0303】
B9.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0304】
B9.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0305】
B9.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0306】
B10.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0307】
B10.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0308】
B10.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0309】
B10.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0310】
B10.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0311】
B10.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0312】
B10.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0313】
B11.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0314】
B11.1.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号1のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0315】
B11.2.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号2のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0316】
B11.3.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号3のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0317】
B11.4.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号4のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0318】
B11.5.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号5のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0319】
B11.6.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号7のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な配列を含み、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、配列番号6のすべて又は一部分と少なくとも90%相同な少なくとも1つの配列を含む、B4に記載の方法。
【0320】
B12.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、LOC107977062遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、B4に記載の方法。
【0321】
B13.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、LOC100768845遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、B4に記載の方法。
【0322】
B14.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、ITPR2遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、B4に記載の方法。
【0323】
B15.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、ERE67000.1遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、UBAP2、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、B4に記載の方法。
【0324】
B16.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、UBAP2遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、MTMR2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、B4に記載の方法。
【0325】
B17.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、MTMR2遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、XP_003512331.2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、B4に記載の方法。
【0326】
B18.第1の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、XP_003512331.2遺伝子内の組み込み部位であり、第2の標的化組み込み外因性核酸のSOIの標的化遺伝子座が、以下の群:LOC107977062、LOC100768845、ITPR2、ERE67000.1、UBAP2、MTMR2、及びそれらと少なくとも約90%相同な配列から選択される遺伝子内の組み込み部位である、B4に記載の方法。
【0327】
B19.第1の目的のポリペプチド及び第2の目的のポリペプチドが、単鎖抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖、単鎖Fv断片(scFv)及びFc融合タンパク質からなる群から選択される、請求項B~B18のいずれかに記載の方法。
【0328】
B20.宿主細胞が、哺乳動物宿主細胞である、B~B19のいずれか1つに記載の方法。
【0329】
B21.宿主細胞が、ハムスター宿主細胞、ヒト宿主細胞、ラット宿主細胞、又はマウス宿主細胞である、L20に記載の方法。
【0330】
B22.宿主細胞が、CHO宿主細胞、CHO K1宿主細胞、CHO K1SV宿主細胞、DG44宿主細胞、DUKXB-11宿主細胞、CHOK1S宿主細胞、又はCHO K1M宿主細胞である、L21に記載の方法。
【0331】
B23.SOIのいずれかの標的化組み込みが、外因性ヌクレアーゼによって促進される、B~B22のいずれかに記載の方法。
【0332】
B24.外因性ヌクレアーゼが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ZFN二量体、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、TALエフェクタードメイン融合タンパク質、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ、操作されたメガヌクレアーゼ、及びクラスター化されて規則的に間隔があいた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)に関連する(Cas)エンドヌクレアーゼからなる群から選択される、B23に記載の方法。
【0333】
B25.SOIの発現が、調節可能なプロモーターによって制御される、B~B24のいずれかに記載の方法。
【0334】
B26.調節可能なプロモーターが、SV40及びCMVプロモーターからなる群から選択される、B25に記載の方法。
【実施例
【0335】
以下の実施例は、本明細書で開示される主題の例示にすぎず、いかなる意味でも制限とみなすべきではない。
【0336】
材料及び方法
mAb Xスーパートランスフェクションベクターの構築:選択のためのGSの発現を指示するGenentech社独自の抗体発現ベクター中のサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御下において、mAb Xの重鎖及び軽鎖遺伝子をクローニングすることにより、構成的抗体の発現コンストラクトを生成した。上記コンストラクトを変更し、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターをCMVテトラサイクリン-オペレーター(CMV‐TO)プロモーターで置き換えることにより、ベクターコンストラクトを生成した。加えて、ベクターコンストラクトを生成するために、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター下のTetRコンストラクトもベクターバックボーン中にクローニングした。次いで、mAb Xの重鎖及び軽鎖遺伝子をその後CMV‐TOプロモーターの3’にクローニングし、誘導可能な抗体発現ベクターを生成した(図1A)。
【0337】
細胞培養:組み込みモノクローナル抗体mAb-Xを分泌する細胞株を、ピューロマイシン選択マーカーを利用するTI CHO-K1宿主から得た。安定した構成的mAb-X TI細胞株及び安定した誘導可能なmAb-X TI細胞株の両方を、選択薬剤としてピューロマイシン(Puro)を含む独自のDMEM/F12ベースの無血清培地中で培養した。すべての培養物は、37℃において5% COで150rpmで振盪しながらインキュベートした。細胞を、2~4日毎に4×10細胞/mLの播種密度で継代した。mAb-Xのこれら安定した構成的細胞株及び安定した誘導的細胞株を、以降親細胞株と呼ぶ。
【0338】
安定したプール及びミニプールスーパートランスフェクションの生成:MaxCyte STXトランスフェクションシステムが、トランスフェクションプロセスのために使用された。安定したスーパートランスフェクトプールの生成のために、親宿主をMaxcyteによりトランスフェクトし、細胞を、2つのフラスコに分け、メチオニンスルホキシミン(MSX)選択培地を含む懸濁培養物中で2~3週間にわたり選択した。安定したスーパートランスフェクトミニプールの生成のために、親宿主をトランスフェクトし、細胞を、384ウェルプレートに1ウェル当たり1250細胞で播種し、MSX選択培地中で2~3週間にわたり選択した25%を上回る培養密度のミニプールを採取し、96ウェルプレートに広げた。
【0339】
プール及びミニプールのスクリーニング
回収したプールを、流加培養生成アッセイを実施することによりスクリーニングし、単一細胞クローニング(SCC)を実施するための最良のプールを選択した。ミニプールは、ミニプールの上清を収集することで力価を評価することによりスクリーニングし、HTRF(ホモジニアス時間分解蛍光)アッセイのために提出した。ミニプールは、力価により順位付けし、上位のミニプールを選択した。以下に記載されるのは、3つのスーパートランスフェクション手法のための各ミニプールスクリーニングプロセスである:
【0340】
構成的→構成的
1056個のミニプールを、HTRFによってスクリーニングし、上位48個のミニプールに絞り込んだ。ミニプール#1~24を組み合わせてプール1を生成し、ミニプール#25~48を組み合わせてプール2を生成した。次いでプール1及びプール2を、流加培養生成アッセイにおいてさらに評価した。
【0341】
誘導的→構成的
ミニプールは生成せず、スーパートランスフェクション及びMSXでの選択後にプールを2つのみ生成した。回収したプールを、流加培養生成アッセイのためにさらに培養した。
【0342】
構成的→誘導的
176個のミニプールを、HTRFによってスクリーニングし、上位4個のミニプールに絞り込んだ。4つすべてのミニプールを、流加培養生成アッセイにおいて評価した。
【0343】
単一細胞のクローニング
プールは、1細胞/ウェルを、独自の社内サプリメントを含むDMEM/F12ベースの選択培地を充填した384ウェルプレートに播種することによりクローニングされた単一細胞(SCC)であった。3週間後、クローン回収率について各条件を分析した。25%を上回る培養密度のクローンが、回収クローンとして特徴づけられた。クローンを、96ウェルプレート中に採り、力価に基づいて、複数回のクローンスクリーニングによりスクリーニングして、最終的に上位8個の単一細胞クローンに絞り込んだ。構成的→構成的及び誘導的→構成的両方のスーパートランスフェクション手法により352個の単一細胞クローンをスクリーニングし、上位8個のクローンに絞り込んだ。構成的→誘導的スーパートランスフェクション手法では、SCCは実施されなかった。
【0344】
流加生成アッセイ:
14日間の生成アッセイの間に、増殖、生存率、生存能力、及び力価などのパラメーターを評価した。細胞を、独自の無血清生成培地における生成の0日目に3x10細胞/mLで播種し、続いて3日目に35℃に温度シフトした。3、7、及び10日目に、培養物に対し、ドキシサイクリンを含む又は含まない独自の供給物を加えた。収集細胞培養液(HCCF)を収集し、分析した。UV検出を伴うプロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用して、14日目の力価を決定した。生存率パーセント及び生細胞数を、Vi-CELL XR生死細胞オートアナライザー(Beckman Coulter)を使用してモニタリングした。
【0345】
デジタルドロップレットPCRによる遺伝子コピー数
デジタルドロップレットPCRアッセイを、プローブ(dUTPなし)キット(Bio‐Rad)用のddPCRTM Supermixを使用して実施した。ddPCR Master Mix、900nMフォワードプライマー、900nMリバースプライマー、250μMプローブ、3単位のHaeIII制限酵素及び試料DNAを含む各ddPCR反応。室温で10分間インキュベートした後、Automatic Droplet Generator(Bio-Rad)を用いて液滴を生成した。PCR熱サイクル条件は、95℃で10分間、続いて94℃で30秒間及び60℃で1分間の40サイクル、次いで98℃で10分間で酵素を失活させた。PCR反応後、液滴をQX200(商標)Droplet Reader(Bio-Rad)で読み取った。データを収集し、Quantasoftソフトウェアを使用して分析した。HC及びLC遺伝子コピー数を、参照遺伝子であるBax及びアルブミンの規定コピー数に基づいて正規化した。この試験で使用したプライマーは、Primer Expressソフトウェアv3.0(Life Technologies)を使用して設計した。プライマーの配列を以下に列挙する:
【0346】
この試験で使用したプライマーは、Primer Expressソフトウェアv3.0(Life Technologies)を使用して設計した。プライマーの配列を以下に列挙する。
【0347】
定量的リアルタイムPCR:
細胞から抽出された全RNAを、製造者のプロトコールに従ってRNeasy Mini Kit(Cat# 74104、Qiagen、USA)を使用して単離し、DNase(Cat#79254、RNaseフリーDNaseキット、Qiagen、USA)で処理して、残留DNAがあればすべて除去した。qRT-PCRを、製造者の説明書に従ってユニバーサルqRT-PCRマスターミックス(Cat#4392938、Thermo Fisher Scientific,Vilnius,Lithuania)を使用して実施し、抗体重鎖及び軽鎖のmRNAレベルを、ハウスキーピング遺伝子であるアルブミンのmRNAレベルに正規化した。
【0348】
RT-PCRに使用されたプライマー及びプローブ配列は以下の通りである。
HC‐2フォワードプライマー:TCAAGGACTACTTCCCCGAACC
HC‐2リバースプライマー:TAGAGTCCTGAGGACTGTAGGACAGC
HCプローブ:FAM‐ACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGC‐TAMRA.
LC‐2フォワードプライマー:TGACGCTGAGCAAAGCAGAC
LC‐2リバースプライマー:CAGGCCCTGATGGGTGAC.
LCプローブ:FAM‐ACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGA‐TAMRA
アルブミンフォワードプライマー:TTC GTG ACA GCT ATG GTG AAC TG
アルブミンリバースプライマー:GGT CAT CCT TGT GTT TCA GGA AA
アルブミンプローブFAM-CTG TGC AAA ACA AGA ACC CGA AAG AAA CC-TAMRA
【0349】
実施例1:スーパートランスフェクション発現コンストラクトの概要
2つの発現コンストラクトを、mAb Xのスーパートランスフェクションのために使用した。構成ベクターが、mAbXの安定した構成的ランダム組み込み細胞株を生成するために使用され、誘導ベクターが、mAbXの安定した誘導的ランダム組み込み細胞株を生成するために使用された(図1A)。スーパートランスフェクション法の3つの異なるバージョンを使用した。バージョン1(構成的→構成的)は、構成的mAb Xベクターを使用してmAb Xを構成的に発現する宿主をスーパートランスフェクトする。バージョン2(誘導的→構成的)は、誘導mAbX ベクターを使用してmAb Xを構成的に発現する宿主をスーパートランスフェクトする。バージョン3(構成的→誘導的)は、構成mAb Xベクターを使用してmAb Xを誘導的に発現する宿主をスーパートランスフェクトする(図1B)。
【0350】
実施例2:構成的→構成的スーパートランスフェクション
材料及び方法のセクションに記載した、トランスフェクションから安定したプール生成までのスクリーニング工程を、構成的→構成的スーパートランスフェクション手法の間に実施して、上位のミニプールを同定した(図2A)。HTRF力価スクリーニングから同定された上位48個の構成的→構成的ミニプールのミニプールの生産性を評価した。次いでミニプールを2つのプールに組み合わせ、生成アッセイにおいて評価した。ミニプール1~24を組み合わせてプール1を作製し、ミニプール25~48を組み合わせてプール2を作製した(図2B)。スーパートランスフェクトされた構成的→構成的ミニプール(プール1及びプール2)の組み合わせのプール力価の生産性を、スーパートランスフェクトされていない親宿主と比較した(図2C)。
【0351】
材料及び方法のセクションに記載の単一細胞クローニング及びスクリーニング工程を、mAb Xの安定した構成的→構成的単一細胞クローンを同定するために使用した(図3A)。上位8個の構成的→構成的スーパートランスフェクトmAb Xクローンとスーパートランスフェクトされていない親宿主とについて、14日目の力価(図3B)、14日目の比生産性(Qp)(図3C)、及び14日目の増殖(生細胞濃度の積分(IVCC)により表される)(図3D)を評価した。上位8個の構成的→構成的スーパートランスフェクトクローンと親宿主とに由来する重鎖及び軽鎖のDNAコピー数(図3E)、及び上位8個の構成的→構成的スーパートランスフェクトクローンと親宿主との重鎖及び軽鎖のmRNAレベル(図3F)を評価した。
【0352】
実施例3:誘導的→構成的スーパートランスフェクション
2つの誘導的→構成的安定プールを、スーパートランスフェクション及びMSXでの選択により、材料及び方法のセクションに記載のようにして生成した(図4A)。スーパートランスフェクトされた誘導的→構成的プールのプール力価を、スーパートランスフェクトされていない親宿主との比較で評価した。非誘導(Doxなし)及び誘導(Doxあり)両方の生成力価を、スーパートランスフェクトされた2つのプールについて評価した(図4B)。これらプールを、その後単一細胞のクローニングのために使用した。
【0353】
mAb Xの上位8個の安定した誘導的→構成的単一細胞クローンを、材料及び方法のセクションに記載のようにして同定した(図5A)。誘導(Doxあり)及び非誘導(Doxなし)条件下での上位8個のクローンのスクリーニング力価(HTRFによる)を評価した(図5A)。誘導条件下において、クローンは、非誘導条件と比較してより高い力価を有する。誘導(Doxあり)及び非誘導(Doxなし)条件下における上位8個の誘導的→構成的スーパートランスフェクトmAb Xクローン、及びスーパートランスフェクトされていない親宿主の、14日目の力価(図5C)、14日目のQp(図5D)、及び14日目のIVCC(図5E)を評価した。上位8個の誘導的→構成的スーパートランスフェクトクローン及び親宿主由来の重鎖及び軽鎖DNAコピー数を評価した(図5F)。いくつかのクローンでは、転写抑制因子の発現が徐々に減少することにより、誘導時に力価がわずかに上昇しただけのように思われた。しかしながら、これら細胞株は、スーパートランスフェクション後にトリガーされたより高い発現要求に徐々に適応することができたため、転写抑制因子発現のこのような漸減により、親細胞株と比較して有意により高い構成力価を有するスーパートランスフェクト細胞株の単離が可能となったと考えられる。
【0354】
実施例4:構成的→誘導的スーパートランスフェクション
材料及び方法のセクションに記載のスクリーニング工程を、上位構成的→誘導的ミニプールを同定するために実施した(図6A)。誘導(Doxあり)及び非誘導(Doxなし)条件下での上位4個のミニプールのスクリーニング力価(HTRFによる)を評価した(図6B)。力価は、非誘導条件と比較して、誘導条件下で有意により高い。誘導(Doxあり)及び非誘導(Doxなし)条件下における上位4個の構成的→誘導的スーパートランスフェクトmAb Xミニプール、及びスーパートランスフェクトされていない親宿主の、14日目の力価(図6C)、14日目のQp(図6D)、及び14日目のIVCC(図6E)を評価した。上位4個の構成的→誘導的スーパートランスフェクトミニプール(誘導)及び親宿主の重鎖及び軽鎖mRNAレベルを評価した(図6F)。
【0355】
図示及び特許請求される様々な実施形態に加えて、本開示の主題は、ここに開示及び特許請求された特徴の他の組み合わせを有する他の実施形態も対象とする。したがって、本明細書に提示される特定の特徴は、本開示の主題が本明細書に開示される特徴の任意の適切な組み合わせを含むように、本開示の主題の範囲内において他の様式で互いに組み合わせることができる。本開示の主題の特定の実施形態の前述の説明は、例証及び説明を目的として提示されている。網羅的であること、又は本開示の主題を開示されたそれらの実施形態に限定することは、意図されていない。
【0356】
本開示の主題の趣旨又は範囲を逸脱することなく、本開示の主題の組成物及び方法に様々な修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかである。したがって、本開示の主題が特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内の修正及び変形を含むことが意図されている。
様々な刊行物、特許、及び特許出願が本明細書に引用されており、それらの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2023532665000001.app
【国際調査報告】