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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】多段コンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   F04B 27/053 20060101AFI20230724BHJP
   F04B 27/04 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
F04B27/053
F04B27/04 E
F04B27/04 F
F04B27/04 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580130
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 DK2021050227
(87)【国際公開番号】W WO2022008018
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】PA202000817
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522498062
【氏名又は名称】インベニオ、ラボ、アンパルトゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】INVENIO LAB APS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ベント、シュルス、ハンスン
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA12
3H076BB21
3H076CC22
3H076CC28
3H076CC31
3H076CC46
(57)【要約】
2つ以上のシリンダを備える流体を圧縮するための多段コンプレッサであって、各シリンダは、圧縮チャンバとピストンとを備えることにより、前記圧縮チャンバの各々における流体が対応する前記ピストンにより圧縮可能であり、前記シリンダは直列に接続することにより、前記コンプレッサの入口に流入した流体が、第1シリンダの前記圧縮チャンバ内で第1圧力まで圧縮可能であるとともに、次いで第2シリンダの前記圧縮チャンバに流入可能であり、ここで圧縮された前記流体は、前記流体が前記コンプレッサの出口から流出する前に、より高い第2圧力まで圧縮され、各ピストンは、前記コンプレッサの同一のクランクピンにより駆動される、多段コンプレッサ。さらに、流体を圧縮するための方法、および多段段コンプレッサを備えるためのシステムが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮するための多段コンプレッサであって、
2つ以上のシリンダを備え、
各前記シリンダは、圧縮チャンバとピストンとを備えることにより、前記圧縮チャンバの各々における流体が対応する前記ピストンにより圧縮可能であり、
前記シリンダは直列に接続されることにより、前記コンプレッサの入口に流入した流体が、第1シリンダの前記圧縮チャンバ内で第1圧力まで圧縮可能であるとともに、次いで第2シリンダの前記圧縮チャンバに流入可能であり、ここで圧縮された前記流体は、前記流体が前記コンプレッサの出口から流出する前に、より高い第2圧力まで圧縮され、
各ピストンは、前記コンプレッサの同一のクランクピンにより駆動される、
多段コンプレッサ。
【請求項2】
大気圧を超える圧力の圧縮流体を前記第1シリンダの前記圧縮チャンバに供給するための少なくとも1つの供給コンプレッサをさらに備え、
前記供給コンプレッサおよび前記ピストンは、前記多段コンプレッサの前記ピストンと同一のクランクシャフトにより駆動される、
請求項1に記載の多段コンプレッサ。
【請求項3】
少なくとも1つの前記供給コンプレッサは、前記多段コンプレッサの前記ピストンと同一の前記クランクピンにより駆動される、
請求項2に記載の多段コンプレッサ。
【請求項4】
前記クランクピンに係合するための別個かつ個別の摺動シューが、各ピストンの底部に取り付けられる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項5】
各前記摺動シューは、対応する前記ピストンの前記底部に、回転可能に取り付けられる、
請求項4に記載の多段コンプレッサ。
【請求項6】
前記多段コンプレッサのハウジングが、少なくとも1つのガイド溝を備え、
少なくとも1つの前記ガイド溝は、ピストンに取り付けられた少なくとも1つのガイド要素の移動をガイドするように構成される、
請求項1~5のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項7】
前記多段コンプレッサは、前記多段コンプレッサの前記ピストンのうちの対応するピストンの移動をガイドするように構成された単数または複数のリニア軸受、および/または対応する前記ピストンに取り付けられた少なくとも1つのガイド要素を備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項8】
2つ以上の前記シリンダのうちの少なくとも第1シリンダの前記圧縮チャンバは、第2シリンダの前記圧縮チャンバに、前記第2シリンダの前記圧縮チャンバから前記第1シリンダの前記圧縮チャンバへ流体が流れることを防止するための少なくとも1つの逆止めバルブを介して接続する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項9】
少なくとも1つの前記逆止めバルブは、バルブパイプの内部において2つ以上の前記シリンダの外部に配置されることにより、少なくとも第1シリンダの前記圧縮チャンバから第2シリンダの前記圧縮チャンバに流れる流体が、前記バルブパイプおよび少なくとも1つの前記逆止めバルブを通過して流れる、
請求項8に記載の多段コンプレッサ。
【請求項10】
単数または複数の前記バルブパイプは、2つのシリンダ間に取り外し可能に取り付けられる、
請求項9に記載の多段コンプレッサ。
【請求項11】
少なくとも1つの圧縮チャンバは、バルブパイプの第1パイプ容積部を備える、
請求項9または10に記載の多段コンプレッサ。
【請求項12】
単数または複数の前記バルブパイプは、任意のシリンダと直後のシリンダとの間で延びる、
請求項9~11のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項13】
単数または複数の前記バルブパイプは、各圧縮チャンバと、直後のシリンダおよび/または直前のシリンダの前記圧縮チャンバとの間に設けられる、
請求項9~12のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項14】
単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、実質的にまっすぐである、
請求項9~13のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項15】
単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、前記コンプレッサ、および/または単数または複数のシリンダ、および/または単数または複数のシリンダハウジングの外側の周縁部の内部に配置される、
請求項9~14のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項16】
単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、単数または複数の前記シリンダおよび/または単数または複数のシリンダハウジングの最外部よりも、前記クランクピンのる中心および/または前記クランクピンの回転軸に近接して配置される、
請求項9~15のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項17】
バルブパイプのうちの単数または複数は、直後のシリンダおよび/または直前のシリンダおよび/または単数または複数のシリンダハウジングの外側壁の間で実質的にまっすぐに、および/またはまっすぐに延びる、
請求項9~16のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項18】
少なくとも1つのシリンダについて、任意の前記シリンダの対応する前記圧縮チャンバを備えるシリンダハウジングが、前記コンプレッサに対して着脱可能である、
請求項1~17のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項19】
各摺動シューは、前記クランクピンに、前記クランクピンの周囲を取り囲む対応する別個の環状の保持リングにより固定される、
請求項4~18のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項20】
単数または複数の前記保持リングは、前記クランクピンに装着された保持リング軸受の周囲を取り囲む、
請求項19に記載の多段コンプレッサ。
【請求項21】
前記保持リングは、前記保持リング軸受の前記周囲を把持する、
請求項19または20に記載の多段コンプレッサ。
【請求項22】
前記保持リングは、前記クランクピンに装着された2つの軸受の間において前記クランクピンに固定される、
請求項19~21のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項23】
単数または複数の前記摺動シューは、保持リングを受容するための凹部または開口を備える、
請求項4および請求項2または3または請求項5~22のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項24】
前記保持リングを受容するための前記凹部または開口は、前記クランクピンおよび/またはクランクピン軸受に係合するための単数または複数の前記摺動シューの摺動面内に配置される、および/または前記摺動面を通過して延びる、
請求項23に記載の多段コンプレッサ。
【請求項25】
前記コンプレッサは、動作時および/または停止時において、少なくとも1つのピストンまたは各ピストンが、対応する前記圧縮チャンバの内壁に実質的に接触しないように構成される、
請求項1~24のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項26】
前記コンプレッサは、動作時において、少なくとも1つのピストンまたは各ピストンが、前記コンプレッサの前記径方向だけに、または実質的に前記コンプレッサの前記径方向だけに移動するように構成される、
請求項1~25のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項27】
少なくとも1つの前記ガイド溝、および/またはピストンに取り付けられた少なくとも1つの前記ガイド要素は、動作時において、対応する前記ピストンが対応する前記圧縮チャンバの内壁に接触しないように、および/または、動作時において、前記ピストンが前記コンプレッサの前記径方向だけに、または実質的に前記コンプレッサの前記径方向だけに移動するように構成される、
請求項6および請求項7~26のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項28】
前記第1シリンダは、前記第1シリンダの対応するピストンに対するシールのための単数または複数の対応するロッドシールを備える、
請求項1~27のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項29】
前記第1シリンダのシリンダベースは、前記第1シリンダとその対応するピストンとの間をシールするための対応するロッドシールを備える、
請求項28に記載の多段コンプレッサ。
【請求項30】
前記ロッドシールは、前記コンプレッサの前記径方向において延びる高さを有し、
前記高さは、対応する前記ピストンのストローク長さの1/2以下である、
請求項28または29に記載の多段コンプレッサ。
【請求項31】
前記コンプレッサの停止時および/または動作時に、前記第1シリンダの対応する前記ピストンは、実質的に前記第1シリンダの対応する前記ロッドシールのみに接触する、
請求項28~30のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項32】
前記ピストンは、場合により前記ピストンに取り付けられるおよび/または装着される例えばピストンリングやピストンシール等のいかなるシールも備えない、
請求項1~31のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項33】
前記クランクピン、および/または前記クランクピンに設けられた単数または複数のクランクピン軸受は、前記ピストンの各々の最小ストローク長さおよび/または最大ストローク長さの少なくとも1.1倍の外径を有する、
請求項1~32のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項34】
前記クランクピンが回転する回転軸に作用するレバーアームの長さは、前記ピストンの各々の最小ストローク長さおよび/または最大ストローク長さの200%以下である、
請求項1~33のいずれか一項に記載の多段コンプレッサ。
【請求項35】
流体を多段コンプレッサにおいて圧縮するための方法であって、前記コンプレッサは、2つ以上のシリンダを備え、各前記シリンダは、圧縮チャンバとピストンとを備えることにより、前記圧縮チャンバの各々における流体が対応する前記ピストンにより圧縮され、
前記シリンダは直列に接続されることにより、前記コンプレッサの入口に流入した流体が、第1シリンダの前記圧縮チャンバ内で第1圧力まで圧縮されるとともに、次いで第2シリンダの前記圧縮チャンバに流入し、ここで圧縮された前記流体は、より高い第2圧力まで圧縮され、
各ピストンは、前記コンプレッサの同一のクランクピンにより駆動される、
方法。
【請求項36】
前記多段コンプレッサは、大気圧を超える圧力の圧縮流体を前記第1シリンダの前記圧縮チャンバに供給するための少なくとも1つの供給コンプレッサをさらに備え、
前記供給コンプレッサおよび前記ピストンは、前記多段コンプレッサの前記ピストンと同一のクランクシャフト、場合により同一の前記クランクピンにより駆動される、
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
流体を圧縮するためのシステムであって、
-請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサと、
-大気圧を超える流体を、前記多段コンプレッサの前記入口および/または前記第1シリンダの前記圧縮チャンバに提供するように構成された第2コンプレッサと、
を備えるシステム。
【請求項38】
前記第2コンプレッサは、定置型コンプレッサまたは固定型コンプレッサである、
請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記第2コンプレッサは、前記多段コンプレッサにより、および/またはその一部により構成される、
請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
気体フィルタ、および/または流体フィルタ、および/または冷却デバイス、および/または冷却流体タンク、および/または電源、および/または発電機、および/または前記多段コンプレッサを駆動するための駆動ユニット、および/または圧縮流体タンクのうちから選択される単数または複数の部品をさらに備え、
選択的に、前記多段コンプレッサは、圧縮流体を前記圧縮流体タンクに供給するための前記流体タンクに接続する、
請求項37~39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記第2コンプレッサは、請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサである、
請求項37または40に記載のシステム。
【請求項42】
前記第2コンプレッサは、大気圧を超える圧力の圧縮流体を前記第1シリンダの前記圧縮チャンバに供給するための供給コンプレッサであり、
前記供給コンプレッサおよび前記ピストンは、前記多段コンプレッサの前記ピストンと同一のクランクシャフト、場合により同一の前記クランクピンにより駆動される、
請求項37~40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記多段コンプレッサおよび前記第2コンプレッサは、同一の駆動ユニットにより電力を供給される、
請求項37~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
エネルギー貯蔵のための、請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサおよび/または請求項37~43のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項45】
前記エネルギー貯蔵は、圧縮流体エネルギーの貯蔵である、
請求項44に記載の使用。
【請求項46】
発電機を駆動するための圧縮流体を貯蔵するための、請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサおよび/または請求項37~43のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項47】
圧縮気体、場合により圧縮空気の貯蔵のための、請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサおよび/または請求項37~43のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項48】
流体の圧縮のための、請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサおよび/または請求項37~43のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項49】
請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサの使用において、
前記多段コンプレッサを第2コンプレッサに接続する使用。
【請求項50】
前記第2コンプレッサは、大気圧を超える圧力の流体を前記多段コンプレッサの前記入口に供給する、
請求項49に記載の使用。
【請求項51】
前記第2コンプレッサは、定置型コンプレッサ設備または固定型コンプレッサ設備である、
請求項49または50に記載の使用。
【請求項52】
前記定置型コンプレッサ設備または固定型コンプレッサ設備は、ガソリンスタンド、作業場、ガレージ、または建物に設置される、
請求項51に記載の使用。
【請求項53】
空気駆動の銃、ライフル、弓等をチャージするための、請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサおよび/または請求項37~43のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項54】
、油圧または空気圧ダンパ、バネ、サスペンションシステム等をチャージするための、請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサおよび/または請求項37~43のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項55】
流体タンクまたは空気タンク、タイヤ、気体注入品、気体注入品デバイスを充填するための、請求項1~34のいずれか一項に記載の多段コンプレッサおよび/または請求項37~43のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を圧縮するための多段コンプレッサに関し、
2つ以上のシリンダを備え、
各シリンダは、圧縮チャンバとピストンとを備えることにより、前記圧縮チャンバの各々における流体が対応する前記ピストンにより圧縮可能であり、
前記シリンダは直列に接続されることにより、前記コンプレッサの入口に流入した流体が、第1シリンダの前記圧縮チャンバ内で第1圧力まで圧縮可能であるとともに、次いで第2シリンダの前記圧縮チャンバに流入可能であり、ここで圧縮された前記流体は、前記流体が前記コンプレッサの出口から流出する前に、より高い第2圧力まで圧縮される、多段コンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
標準的なクランクシャフト軸により駆動される一列の複数のシリンダを有する多段コンプレッサが、例えばUS2151825から知られている。
【0003】
圧力を発生させるためのコンプレッサは、例えばWO07036972A1から知られている。WO07036972A1は、クランクシャフトに改良型の軸受を有する径方向シリンダを有する油圧機械、すなわち、有利には加圧された圧媒液用クランクケースに固定された径方向シリンダを有する機械を開示している。ここでは、それぞれの接続ロッドが、転がり摩擦による改良型の軸受を介してクランクシャフトに連結していることで、加工部品が少なく、加工および組立プロセスが単純化されるとともに、機械の機械性能が向上しその寿命が長い。
【0004】
本発明の第1態様は、導入部による多段コンプレッサであって、各ピストンがコンプレッサの同一のクランクピンにより駆動される多段コンプレッサに関する。
【0005】
このようにして、ピストンを同一のクランクピンで駆動するため、各ピストンに専用のクランクピンが必要ないので、多段コンプレッサをコンプレッサの軸方向において、すなわちクランクピンが延びる方向において、よりコンパクトにし得る。
【0006】
多段コンプレッサは、流体が第1シリンダの圧縮チャンバで第1圧力まで圧縮され、この圧縮された流体が、次いで第2シリンダの圧縮チャンバに少なくとも通され、ここで圧縮された流体がより高い第2圧力までさらに圧縮されるコンプレッサとして理解され得る。各シリンダの圧縮チャンバは、多段コンプレッサの圧縮段を規定し得る。多段コンプレッサは、圧縮チャンバを有する2つを超える段および/またはシリンダを備え得る。コンプレッサの入口に流入する流体は、予め圧縮され得る。つまり、入口に流入する流体は、既に圧縮されていてもよい。すなわち、コンプレッサの入口に流入する流体は、大気圧を超える圧力であってもよい。例えば、入口に流入する流体は、大気圧よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25バール以上高い圧力であり得る。これにより、コンプレッサによるさらに高い圧力に圧縮された流体の発生が促進され得る。
【0007】
流体は、任意の適切な流体、液体、および/または気体であり得る。流体は、圧縮可能な流体であり得る。
【0008】
クランクピンは、コンプレッサの軸方向および/または径方向に延び得る。クランクピンは、回転軸を中心として回転しピストンを駆動し得る。クランクピンは、回転軸に対して距離を置いて配置され得る。クランクピンは、径方向において回転軸に対して距離を置いて配置され得る。クランクピンの中心軸から回転軸までの距離が存在し得る。回転軸は、クランクピンの周縁部の外側に位置し得る。回転軸と軸方向とは、平行であり得る。クランクピンは、回転可能なクランクシャフトに取り付けられ得る。クランクシャフトは、コンプレッサハウジングの外部で延び得る。クランクシャフトは、コンプレッサの軸方向において延び得る。クランクシャフトは、コンプレッサのハウジングを超えて延び得る。コンプレッサのクランクシャフトは、別のコンプレッサの駆動ユニットおよび/またはクランクシャフトがこれに連結され得るように構成され得る。回転軸は、クランクシャフトと同心状であり得る。径方向は、回転軸から垂直に延び得る。クランクピンは、軸方向に延びる長さと軸方向に対して垂直に延びるクランクピン直径とを有する円筒状であり得る。クランクピンは、回転軸からクランクピンの中心軸および/または周縁部までの距離「D」で、クランクピン半径の0.1、0.25、0,5、1、2、3、4、5、またはそれ以上の距離「D」で配置され得る。回転軸に対して平行な方向で見た場合、クランクピンの周縁部は回転軸と重なり得る。クランクピンは、コンプレッサの少なくとも1つ、および/または2つ、および/または3つ、および/または4つ、および/または5つ、および/または6つ、またはそれ以上のピストンの最大外径以上の外径を有し得る。クランクピンは、コンプレッサのすべてのピストンの最大直径以上の外径を有し得る。クランクピンは、コンプレッサのピストンの最大外径の1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2倍以上の直径を有し得る。これによって、より短いピストンを使用することができる場合がある、および/または、クランクピンに、そして場合により回転軸および/またはクランクシャフトに作用するレバーアームを短くすることができる場合がある。レバーアームを短くすることにより、コンプレッサを駆動するために必要なトルクの量が低減するため、コンプレッサの電力消費量が低減し得るとともに効率が向上し得る。少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のピストンは、実質的に一定の外径および/または一定の外径を有し得る。実質的に一定の外径および/または一定の外径とは、ピストンの全長に沿って実質的に同一および/または同一である外径として理解され得る。
【0009】
少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のピストンは、異なるピストン長さ「L」を有し得る。摺動シューは、互いに実質的に同一または同一であり得る。保持リングは、互いに実質的に同一または同一であり得る。同一の摺動シューおよび/または同一の保持リングにより、特にピストンが同一のクランクピンおよび/またはクランクピン軸受により駆動されるため、ストローク長さが対応するピストンのピストン長さにより規定されやすくなり得る。ピストンの長さ「L」は、径方向に延びる長さであり得る。ピストンの長さは、ピストンの上端部の上面から下端部の下面まで延び得る。ピストンの直径は、その長さに対して直交して延び得る。ピストンの長さは、代替的にピストン長さとも表記され得る。ピストンのストローク長さは、コンプレッサの運転中に対応するシリンダおよび/または圧縮チャンバ内をピストンが移動する距離として規定され得る。追加的または代替的に、ストローク長さは、ピストンの上端部および/または下端部がストロークの最下点とストロークの最上点との間を移動する距離であり得る。追加的または代替的に、ストローク長さは、ピストンの上端部および/または下端部が下死点と上死点との間を移動する距離であり得る。
【0010】
「対応する」という用語は、リンクしている、または直接的に一体となって動作する、場合により接触しているものとして理解され得る。例えば、シリンダは、対応するピストンおよび対応する圧縮チャンバを有し得る。対応するピストンは、対応する圧縮チャンバ内で動作する。同様に、シリンダおよび/またはピストンは、前記ピストンと前記シリンダとの間をシールするためのロッドシール等の対応するシールを有し得る。
【0011】
シリンダは、回転軸を中心として配置され得る。シリンダは、回転軸から離れるように径方向において延び得る。圧縮チャンバは、対応するシリンダの内部に配置され得る。圧縮チャンバは、シリンダ内部の中空スペースであって、この中で流体が圧縮される中空スペースであり得る。中空スペースは、シリンダの全容積の数分の一を占め得る。中空スペースは、円筒状であり得る。コンプレッサは、少なくとも3つ、4、5つ、6つ、またはそれ以上のシリンダを備え得る。コンプレッサは、2つ、3つ、4、5つ、6つ、またはそれ以上のシリンダを備え得る。2つを超えるシリンダが存在する場合、流体はさらなるシリンダの圧縮チャンバに連続的に流入し、連続的に高い圧力に圧縮され得る。
【0012】
ピストンは、円筒状および/または円盤状であり得る。ピストンは、動作時において、上下に、および/または実質的にコンプレッサの径方向に、実質的にコンプレッサの径方向においてのみ或いはコンプレッサの径方向のみに、、および/または、燃焼チャンバおよび/またはシリンダにおける、それぞれのピストンに軸方向において、それぞれのピストンに軸方向においてのみ、実質的にそれぞれのピストンに軸方向において移動する。ピストンは、動作時において、燃焼チャンバおよび/またはシリンダ内で上下に振動し得る。ピストンは、対応する燃焼チャンバの直径または内径以下である直径または外径または最大外径「d」を有し得る。場合によりコンプレッサの動作時および/または停止時において、圧縮チャンバの内壁と対応するピストンの周縁部との間に間隙が存在し得る。場合によりコンプレッサの動作時および/または停止時において、ピストンは、間隙により、圧縮チャンバの内壁から距離を置き得る。間隙は、対応するピストンの周縁部全体を取り囲み得る。ピストンは、径方向において延び得る。ピストンは、固体材料から構成され得る、および/または固体材料からなり得る。ピストンは、中空材料から構成され得る、および/または中空材料からなり得る。中空材料は、固体材料よりも軽い場合があるため、ピストンの慣性が減少し得るとともに、流体を圧縮するために移動しなければならない質量が少なくなり得ることで、コンプレッサの効率が向上し得る。ピストンは、金属、真鍮、スチール、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属合金、青銅、および/またはこれらの組み合わせから製造され得る。ピストンは、アルミニウムのコアを有するスチールから製造され得る。
【0013】
コンプレッサの入口は、流体がコンプレッサに流入する入口ダクトとして理解され得る。入口は、コンプレッサの第1シリンダの圧縮チャンバに、すなわちコンプレッサの最初の段に入り得る。入口は、流体がコンプレッサに流入するポイントとして理解され得る。流体は、コンプレッサの第1シリンダの圧縮チャンバ、すなわち、コンプレッサの圧縮の最初の段に、入口を通過して流入し得る。入口は、流体が圧縮チャンバから入口を通過してチャンバの外部に流れることを防止するための、本明細書に記載のような逆止めバルブを備え得る。コンプレッサの入口および出口は、コンプレッサの同じ側に配置され得る。これにより、入口および出口へのアクセスが容易になり得る。
【0014】
コンプレッサの出口は、流体がコンプレッサから流出する出口ダクトとして理解され得る。出口は、コンプレッサの最終シリンダの圧縮チャンバ、すなわちコンプレッサの最終段から出ることができる。出口は、流体がコンプレッサから流出するポイントとして理解され得る。流体は、コンプレッサの最終シリンダの圧縮チャンバ、すなわち、コンプレッサの圧縮の最終段から、出口を通過して流出し得る。出口は、流体が圧縮チャンバの外部からチャンバ内に出口を通過して流れることを防止するための、本明細書に記載のような逆止めバルブを備え得る。
【0015】
クランクピンは、クランクシャフトに対して距離を置いて配置され得る。すなわち、クランクピンの周縁部とクランクシャフトの周縁部との間には距離がある。クランクピンは、クランクシャフトの回転軸から径方向に位置するポイントに配置され得る。クランクピンは、クランクシャフトに対して平行に延び得る。例えば転がり軸受および/または滑り軸受等の単数または複数の軸受が、クランクピンに取り付けられ得る、および/または装着され得る。2つの転がり軸受が、クランクピンに装着され得る。クランクピンは、クランクシャフトとは別の部品であり得る。クランクピンは、例えば金属、金属合金、またはポリマー、例えば真鍮、スチール、アルミニウムまたはアルミニウム合金、青銅、PTFE等の滑り軸受材料、および/またはこれらの組み合わせから構成され得る、これらからなり得る、および/またはこれらでコーティングされ得る。
【0016】
クランクピン、および/またはクランクピンに配置された単数または複数の軸受は、クランクシャフトの回転軸からクランクピンの中心軸および/または周縁部まで距離を置いて配置され得る。この距離は、場合により、クランクピンの半径の少なくとも0.1、0.25、0.5、1、2、3、4、5またはそれ以上である。クランクピン、および/またはクランクピンに配置された軸受の周縁部は、回転軸と重なり得る。これにより、クランクピンに作用するレバーアームおよび/またはクランクシャフトの回転軸の長さが短くなり得る。追加的または代替的に、クランクピンおよび/または軸受は、コンプレッサの少なくとも1つ、および/または2つ、および/または3つ、および/または4つ、および/または5つ、および/または6つ、またはそれ以上のピストンの最大外径以上の外径を有し得る。追加的または代替的に、クランクピンおよび/または軸受は、コンプレッサのすべてのピストンの最大直径以上の外径を有し得る。追加的または代替的に、クランクピンおよび/または軸受は、コンプレッサのピストンの最大外径の1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2倍以上の外径を有し得る。これによって、より短いピストンを使用することができる場合がある、および/またはクランクピン、および場合により回転軸および/またはクランクシャフトに作用するレバーアームの長さを短くすることができる場合がある。レバーアームの長さを短くすることにより、コンプレッサを駆動するために必要なトルクが低減され得る。これにより、コンプレッサの電力消費量が減少し得る、および/またはその効率が向上し得る。クランクピンに配置された単数または複数の軸受は、代替的にクランクピン軸受と表記され得る。クランクピン軸受は、コンプレッサのピストンを駆動し得る。クランクピン軸受は、軸方向-径方向転がり軸受等の軸方向-径方向軸受であり得る。
【0017】
レバーアームは、モーメントアームとも表記され得る。クランクピンおよび/または回転軸に作用するレバーアームの長さは、コンプレッサのピストンの最小ストローク長さおよび/または最大ストローク長さの200%、190%、180%、170%、160%、150%、140%、130%、120%、110%、100%、90%、80%、70%、65%。60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、または5%以下であり得る。追加的または代替的に、クランクピンおよび/または回転軸に作用するレバーアームの長さは、コンプレッサの最小ピストンおよび/または最大ピストンのピストン長さの90%、80%、70%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、または5%以下であり得る。クランクピンおよび/またはクランクピン軸受は、コンプレッサの各ピストンの最小ストローク長さおよび/または最大ストローク長さの1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5倍以上の外径を有し得る。クランクピンおよび/またはクランクピン軸受は、コンプレッサの最小ピストンおよび/または最大ピストンのピストン長さの0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2倍以上の外径を有し得る。本段落の技術的特徴により、上記のような利点を有するさらに短いレバーアームが提供され得る。
【0018】
クランクシャフトは、コンプレッサハウジングにおいて、本明細書に記載されるような滑り軸受および/または転がり軸受等の単数または複数のクランクシャフト軸受により支持され得る。クランクシャフトは、少なくとも2つの相互接続したシャフトを備え得る。各シャフトは、コンプレッサハウジングにおいて、本明細書に記載されるような滑り軸受および/または転がり軸受等の単数または複数のクランクシャフト軸受により支持され得る。少なくとも2つのシャフトは、互いに対しておよび/または回転軸に対して同心状であり得る。少なくとも2つのシャフトは、同一の長さおよび/または直径を有し得る。少なくとも2つのシャフトは、異なる長さを有し得る。少なくとも2つのシャフトのうちの少なくとも一方は、コンプレッサを駆動するための駆動ユニットに係合するように構成され得る。少なくとも2つのシャフトのうちの少なくとも一方は、コンプレッサを駆動するための駆動シャフトであり得る。クランクピンは、少なくとも2つのシャフトのうちの2つの間に配置され得る。クランクピンは、少なくとも2つのシャフトに偏心的に装着され得る。クランクピンは、少なくとも2つのシャフトのうちの2つを相互接続し得る。クランクピンは、少なくとも2つの相互接続したシャフトのうちの2つを、ボルトクランプ機構により2つのシャフトの各々がそれぞれの端部にクランプおよび固定されることにより相互接続させ得る。クランクピンは、2つのシャフトの各々のそれぞれの端部に、クランクピンのそれぞれの端部においてクランプおよび固定され得る。クランクピンと少なくとも2つのシャフトとは、一部品であり得る。クランクピンおよび少なくとも2つのシャフトは、一部品から機械加工されて連続したユニットを形成し得る。
【0019】
コンプレッサは、例えば、バッテリ、太陽、風、波、原子力、熱エネルギー源、好適には持続可能なエネルギー源等により電力を供給される電気駆動ユニットによって電気的に駆動され得る。追加的および/または代替的に、コンプレッサは、化石燃料を動力源とする駆動ユニットにより駆動され得る。
【0020】
ピストンは、その対応する圧縮チャンバおよび/またはシリンダを超えて回転軸に向かって延び得る。径方向におけるピストンの全長は、径方向において対応する圧縮チャンバの全長よりも長くてもよい。上死点(TDC)すなわちストロークの最上点にあるピストンは、その対応するシリンダを越えて回転軸に向かって延び得る。ピストンは、クランクピンに対面する方向において、その対応する圧縮チャンバおよび/またはシリンダから離れるようにこれを超えて延び得る。上死点にあるピストンは、クランクピンに対面する方向において、その対応する圧縮チャンバおよび/またはシリンダから離れるようにこれを超えて延び得る。各シリンダおよび/またはピストンは、対応するピストンとシリンダとの間をシールするためのピストンシールおよび/またはロッドシール等のリニアシールを備え得る。単数または複数のシリンダは、ピストンに対してシールするための単数または複数のロッドシールを備え得る。ピストンは、シリンダの対応するピストンであり得る。例えば、第1シリンダおよび/または第1シリンダのシリンダベースは、第1シリンダの対応するピストンに対してシールするための単数または複数のロッドシールを備え得て、および/または、第2シリンダおよび/または第2シリンダのシリンダベースは、第2シリンダの対応するピストンに対してシールするための単数または複数のロッドシールを備え得て、および/または、第3シリンダおよび/または第3シリンダのシリンダベースは、第3シリンダの対応するピストンに対してシールするための単数または複数のロッドシールを備え得て、および/または、第4シリンダおよび/または第4シリンダのシリンダベースは、第4シリンダの対応するピストンに対してシールするための単数または複数のロッドシールを備え得て、および/または、第5シリンダおよび/または第5シリンダのシリンダベースは、第5シリンダの対応するピストンに対してシールするための単数または複数のロッドシールを備え得て、および/または、第6シリンダおよび/または第6シリンダのシリンダベースは、第6シリンダの対応するピストンに対してシールするための単数または複数のロッドシールを備え得る、等々。ピストンは、ピストンリングおよび/またはシャフトシール等の単数または複数のリニアシールを備え得る。シールは、油圧シールおよび/または空気圧シールであり得る。シリンダおよび/またはピストンは、油圧シールおよび/または空気圧シールを組み合わせて備え得る。リニアシールは、シリンダ内またはピストン上に周方向に配置され得る。リニアシールは、シリンダおよび/または圧縮チャンバの周囲内に、および/またはピストンの周囲に配置され得る。リニアチャンバは、シリンダおよび/または圧縮チャンバにおいて、下死点にあるピストンの先端に隣接して配置され得る。下死点にあるピストンの先端は、シリンダおよび/または圧縮チャンバにおいて、シリンダベースおよび/または対応する圧縮チャンバの底部に対して距離を置いて配置され得る。リニアシールは、シリンダおよび/または圧縮チャンバ内に配置されたピストンの一部に、周方向において設置され得る。
【0021】
単数または複数のピストン、またはすべてのピストンは、場合により前記ピストンに取り付けられたおよび/または装着された例えばピストンリングやピストンシール等のいかなるシールも備えなくてもよい。一実施形態において、単数または複数のピストン、またはすべてのピストンに取り付けられる、または装着されるシールはない。このようなシールは、典型的には、ピストンの外径と対応する圧縮チャンバの内壁との間に配置されてそれらの間をシールするように作用する。動作時および/または停止中に、ピストンが対応する圧縮チャンバの内壁に接触しないように構成されたピストンの移動、およびシリンダハウジングにおいてピストンと対応する圧縮チャンバとをシールするように配置されたロッドシールおよび/またはシャフトシール等のシールを設けたことにより、ピストンが圧縮チャンバの内壁に接触する、および/またはこれを摩耗させる、および/またはこれにダメージを与えることが防止され得るとともに、特にクランクハウジングに対する圧縮チャンバの適切なシールが保証され得る。これにより、ピストンシールおよび/またはピストンリング等のピストンに対するシールが省略可能となる。追加的または代替的に、コンプレッサ、および/または単数または複数のピストン、および/または単数または複数のシリンダ、および/または単数または複数の圧縮チャンバ、および/または単数または複数の摺動シュー、および/またはクランクピン、および/またはクランクピンに配置された単数または複数の軸受、および/または単数または複数のガイド溝、および/または単数または複数のガイド要素、および/またはシリンダベースに含まれる単数または複数のロッドシールは、動作時および/または停止時において、少なくとも1つのピストンまたは各ピストンが、対応する圧縮チャンバの内壁に接触しない、または実質的に接触しない、接触しないように構成、または実質的に接触しないように構成され得る。追加的または代替的に、ココンプレッサ、および/または単数または複数のピストン、および/または単数または複数のシリンダ、および/または単数または複数の圧縮チャンバ、および/または単数または複数の摺動シュー、および/またはクランクピン、および/またはクランクピンに配置された単数または複数の軸受、および/または単数または複数のガイド溝、および/または単数または複数のガイド要素、および/またはシリンダベースに含まれる単数または複数のロッドシールは、動作時において、少なくとも1つのピストンまたは各ピストンが、コンプレッサの径方向だけに、または実質的にコンプレッサの径方向だけに移動するように構成され得る、またはコンプレッサの径方向だけに、または実質的にコンプレッサの径方向だけに移動するように構成される。これにより、圧縮チャンバ内を移動するピストンによる摩擦損失が低減および/または防止され得るとともに、コンプレッサの効率が向上し得る。また、圧縮チャンバの内壁および/またはピストンの周縁部、場合により周縁面の摩耗が低減することにより、コンプレッサのサービス間隔および/または寿命を延長することができる。
【0022】
「周縁部」とは、物体の外側限界および/または外縁部として理解され得る。同様に「周縁面」とは、物体の外側面および/最外面として理解され得る。物体の周縁部は、物体の直径、および/または外径、および/または最外径と実質的に一致し得る、または一致し得る。
【0023】
2つ以上のシリンダは、回転軸を中心として径方向に配置され得る。2つ以上のシリンダは、径方向シリンダであり得る。2つ以上のシリンダは、回転軸を中心として等距離に離間配置され得る。2つ以上のシリンダは、回転軸から径方向において等距離に離間配置され得る。
【0024】
コンプレッサは、シリンダおよび/または圧縮チャンバを冷却するための冷却チャネルを備え得る。各シリンダは、シリンダおよび/または圧縮チャンバを冷却するための単数または複数の冷却チャネルを備え得る。単数または複数の冷却チャネルは、シリンダ間で延びる単数または複数の冷却パイプを介して相互接続し得る。単数または複数の冷却パイプは、シリンダの外方に延び得る。単数または複数の冷却チャネルおよび単数または複数の冷却パイプは、シリンダを冷却するための冷却回路を形成し得る。各シリンダは、第1流れ方向を有する少なくとも1つの冷却チャネルと、第2流れ方向を有する少なくとも1つの冷却チャネルと、を備え得る。第2流れ方向は、第1流れ方向に対して反対であり得る。このようにして、冷却媒体の通流流れが提供され得る。各シリンダの2つの冷却チャネルは、先行するシリンダおよび/または後続のシリンダの2つの冷却チャネルにより相互接続し得る。各シリンダの各冷却チャネルは、直前のシリンダおよび/または直後のシリンダのそれぞれの冷却チャネルに、それぞれの冷却パイプを介して相互接続する。最初の圧縮段または最後の圧縮段を規定するシリンダにおいて、第1方向における流れを有する少なくとも1つの冷却チャネルと、第2方向における流れを有する少なくとも1つの冷却チャネルとが相互接続して、冷却媒体の流れがそれぞれのシリンダを通過して先行するシリンダに通流し得るようにループが形成され得る。
【0025】
実施形態において、多段コンプレッサは、大気圧を超える圧力の圧縮流体を第1シリンダの圧縮チャンバおよび/または多段コンプレッサの入口に供給するための少なくとも1つの供給コンプレッサをさらに備え、供給コンプレッサおよびピストンは、多段コンプレッサのピストンと同一のクランクシャフトにより駆動される。先行する実施形態の発展例において、少なくとも1つの供給コンプレッサは、多段コンプレッサのピストンと同一のクランクピンにより駆動される。
【0026】
供給コンプレッサは、往復コンプレッサ、および/または膜コンプレッサ、および/またはピストンコンプレッサであり得る。多段コンプレッサは、それぞれが大気圧を超える圧力の圧縮流体を第1シリンダの圧縮チャンバに供給する2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の供給コンプレッサを備え得る。供給コンプレッサのうちの単数または複数は、多段コンプレッサ上に、および/または多段コンプレッサに、および/または多段コンプレッサ内部に装着され得る、および/または設置され得る。単数または複数の供給コンプレッサは、コンプレッサハウジングの内部において、少なくとも部分的に配置され得る、および/または装着され得る、および/または設置され得る。単数または複数の供給コンプレッサは、並列に動作し得る。単数または複数の供給コンプレッサは、多段コンプレッサハウジングの外部に配置され得る。単数または複数の供給コンプレッサは、ピストンを駆動する同一のクランクシャフトの周囲に周方向において配置され得る。単数または複数の供給コンプレッサは、多段コンプレッサハウジングの外側において、同一のクランクシャフトの周囲に周方向において配置され得る。単数または複数の供給コンプレッサの各々は、同一の第2クランクピンにより駆動され得る。第2クランクピンは、多段コンプレッサハウジングの外部において、場合により各ピストンを駆動する同一のクランクシャフトに配置され得る。
【0027】
単数または複数の供給コンプレッサは、多段コンプレッサの外周縁部内に配置され得る。供給コンプレッサのうちの単数または複数は、部分的に多段コンプレッサハウジングの内部に、または多段コンプレッサハウジングの内部に配置され得る。供給コンプレッサのうちの単数または複数は、それぞれのバルブパイプおよび/または冷却パイプに取り付けられ得る。供給コンプレッサのうちの単数または複数は、多段コンプレッサの隣接するシリンダ間に、場合により隣接するシリンダ間のスペースに配置され得る。単数または複数の供給コンプレッサまたは各供給コンプレッサ、場合により供給コンプレッサの各々のそれぞれの出口は、第1シリンダの圧縮チャンバに、場合によりそれぞれの供給パイプを介して接続し得る。供給コンプレッサの各々は、第1シリンダの圧縮チャンバの入口に、場合により対応するそれぞれの供給パイプを介して接続し得る。供給パイプのうちの単数または複数は、第1シリンダの圧縮チャンバに入る前に、共通のパイプおよび/またはマニホルドに流れ込む。
【0028】
空気を圧縮するためのこのような供給コンプレッサを組み込むことにより、供給コンプレッサからの騒音や多段コンプレッサを駆動する駆動ユニットへの影響を最小としつつ、十分な量の圧縮空気が第1シリンダの圧縮チャンバに提供されることが試験により確認されている。他の気体ならびに流体についても、同様の結果が気体される。実施形態において、クランクピンに係合するための別個かつ個別の摺動シューが、各ピストンの下端部に取り付けられる。
【0029】
このようにして、接続ロッドが不要であるため、コンプレッサは迅速に組み立てられ得る。これにより、移動部品の慣性および/または移動部品間の摩擦を克服するために失われるエネルギーが少なくなり得るため、コンプレッサの効率が向上し得る。さらに、各ピストンの移動を独立したものに維持し得るため、コンプレッサの設計の選択肢および適応性が向上し得る。ピストンの下端部は、ピストンの上端部の反対側の端部であり得る。ピストンの上端部は、対応する圧縮チャンバ内に配置され得る。ピストンの上端部の上面は、対応する圧縮チャンバにおいて流体を圧縮させ得る。ピストンの下端部は、クランクピンおよび/または回転軸に最も近い、および/またはこれに対面するピストンの端部であり得る。各摺動シューは、対応するピストンの下端部上に装着され得る。各摺動シューは、対応するピストンの下端部に装着され得る。各摺動シューは、対応するピストンに、対応するピストンの下端部および対応する摺動シューの少なくとも一部を通過して延びる接続シャフトを介して取り付けられ得る。各摺動シューは、対応するピストンから取り外され得る。摺動シューは、別個の部品、すなわち互いに接続しない個別の部品であり得る。各摺動シューは、クランクピン、および/またはクランクピンに取り付けられたクランクピン軸受に係合し得る。クランクピンおよび/またはクランクピン軸受に係合する、または係合するための摺動シューおよび/または摺動シューの摺動面は、金属、金属合金、またはポリマー、例えば真鍮、スチール、アルミニウムまたはアルミニウム合金、青銅、PTFE等の滑り軸受材料、および/またはこれらの組み合わせから構成され得る、および/またはこれらでコーティングされ得る、および/またはこれらからなり得る。摺動面は、クランクピン、および/またはクランクピンに装着されたクランクピン軸受にぴったりフィットする形状とされ得る。摺動面は、円弧状および/または円の円周の一部の形状であり得る。摺動シューの摺動面は、摺動シューの下面および/または底面、および/または、クランクピンおよび/またはクランクピン軸受に面する面であり得る。摺動シューの摺動面は、クランクピンおよび/またはクランクピン軸受上を摺動するための摺動シューの面であり得る。単数または複数の摺動シュー、または各摺動シューは、クランクピン、および/またはクランクピンに取り付けられたクランクピン軸受に係合するための摺動面を備え得る。前記摺動シュー摺動面は、摺動シューのクランクピン、および/またはクランクピンに取り付けられたクランクピン軸受に係合するための部分であり得る。
【0030】
摺動シューに係合するための少なくとも1つのクランクピン軸受が、クランクピンに装着され得る。クランクピン軸受は、円形であり得る。クランクピン軸受は、クランクピンと摺動シューとの間に配置され得る。クランクピン軸受は、摺動軸受またはスライド軸受としても知られる滑り軸受、または他の適切な軸受であり得る。摺動シューは、クランクピン軸受の外面に係合し得る。転がり軸受は、内輪と外輪とを有し、内輪と外輪との間に転動要素を有する軸受として理解され得る。転がり軸受の場合、軸受の外面は、軸受の外輪の外面であり得る。転がり軸受の場合、軸受の内輪の面は、クランクピンに取り付けられ得る。1つの摺動シューが、1つのピストンに取り付けられ得るとともに対応付けられ得る。
【0031】
先行する実施形態の発展例において、各摺動シューは、対応するピストンの下端部に回転可能に取り付けられる。
【0032】
別個の回転摺動シューを有する各ピストンにより、クランクピンに対する各摺動シューの係合、ひいては各ピストンの移動を各ピストンについて調整できるため、高い設計の自由度が提供され得る。摺動シューは、対応するピストンの下端部に、滑り軸受、転がり軸受、または他の適切な軸受を介して回転可能に取り付けられ得る。摺動シューおよび/またはピストンは、接続シャフトを支持するとともに、対応する摺動シューとピストンとの相対回転運動を許容する少なくとも1つの軸受および/または軸受面を備え得る。軸受面は、滑り軸受面であり得る。軸受は、滑り軸受(摺動軸受としても知られる)、転がり軸受等であり得る。各ピストンは、対応する接続シャフトを支持するために、滑り軸受または転がり軸受をピストンの下端部に備え得る。各摺動シューは、少なくとも1つの滑り軸受および/または転がり軸受であって、対応する接続シャフトがこれを通過して延びる滑り軸受および/または転がり軸受を備え得る。対応する接続シャフトが通過して延びる摺動シューの少なくとも一部分は、金属、金属合金、またはポリマー、例えば真鍮、スチール、アルミニウムまたはアルミニウム合金、青銅、PTFE等の滑り軸受材料、および/またはこれらの組み合わせから構成され得る、および/またはこれらからなり得る、および/またはこれらでコーティングされ得る。これにより、摺動シューそれ自体が、対応する接続シャフトを支持するための滑り軸受を構成し得る。接続シャフトは、対応する摺動シューの2つのこのような部分を通過して延び得る。接続シャフトは、軸方向に延び得る。接続シャフトは、対応するピストンおよび摺動シューに、単数または複数のサークリップ、ピン、ボルト等を介して固定され得る。サークリップ、ピン、ボルト等は、軸方向において接続シャフトの対向する端部に配置され得る。
【0033】
実施形態において、多段コンプレッサのハウジングは、少なくとも1つのガイド溝を備え、少なくとも1つのガイド溝は、ピストンに取り付けられた少なくとも1つのガイド要素の移動をガイドするように構成される。
【0034】
これにより、圧縮チャンバの壁をピストンをガイドするように構成する必要がなくなるため、圧縮チャンバおよび対応するピストンの直径について設計の選択の自由が提供され得る。コンプレッサは、対応するピストンおよび/または摺動シューに取り付けられた少なくとも1つのガイド要素をガイドするために、ピストン毎に少なくとも1つのガイド溝を備え得る。ガイド溝は、軸方向においてピストンからオフセットし得る。少なくとも1つのガイド溝は、径方向において延び得る。少なくとも1つのガイド溝は、対応するピストンのストローク長さの長さと等しい長さで延び得る。少なくとも1つのガイド要素は、接続シャフトに取り付けられ得る。コンプレッサのハウジングは、ピストン毎に少なくとも2つのガイド溝を備え得る。少なくとも2つの溝は、軸方向においてピストンおよび/または摺動シューの両側でオフセットしている。各ピストンおよび/または摺動シューは、ガイド溝内でガイドされるための単数または複数のガイド要素を備え得る。各ガイド要素は、別個のガイド溝内でガイドされ得る。2つのガイド要素が、ピストンおよび/または摺動シューに取り付けられ得る。2つのガイド要素は、軸方向においてピストンおよび/または摺動シューの両側でオフセットしている。2つのガイド要素は、軸方向において接続シャフトの対向する端部に取り付けられ得る。これにより、各ピストンの移動がガイドされ得る。ガイド要素は、金属または本明細書に記載のような滑り軸受材料から構成され得る、および/またはこれからなり得る。ガイド要素は、接続シャフトに、サークリップ等のクリップを介して固定され得る。ピストンは、単数または複数のピストンが対応する圧縮チャンバの内壁に接触しないように、および/または、単数または複数のピストンが径方向だけに移動するように、ガイドされ得る。これにより、上述の利点が得られ得る。
【0035】
少なくとも1つのガイド溝および/またはピストンに取り付けられた少なくとも1つのガイド要素は、動作時において、対応するピストンが対応する圧縮チャンバの内壁に接触しないように、および/または、動作時において、ピストンがコンプレッサの実質的に径方向だけに移動するように、構成され得る。
【0036】
実施形態において、多段コンプレッサは、多段コンプレッサのピストンのうちの対応するピストン、および/または対応するピストンに取り付けられた少なくとも1つのガイド要素の移動をガイドするように構成された単数または複数のリニア軸受を備える。
【0037】
リニア軸受は、スライドブッシュ、滑り軸受、転がり軸受等であり得る。多段コンプレッサは、対応するピストンおよび/または対応するピストンに取り付けられた少なくとも1つのガイド要素の移動をガイドするように、ピストン毎に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のリニア軸受を備え得る。各リニア軸受は、対応するピストンに取り付けられた1つのガイド要素をガイドし得る。追加的または代替的に、対応するピストンに取り付けられたガイド要素は、単数または複数のリニア軸受を備え得る。各リニア軸受は、コンプレッサハウジング内にまたはこれに取り付けられたジャーナルおよび/またはシャフト上を摺動し得る。ジャーナルおよび/またはシャフトは、対応するピストンおよび/または対応するピストンの移動方向に対して平行に延び得る。少なくとも1つのガイド要素は、各々が多段コンプレッサハウジング内にまたはこれに取り付けられたジャーナルおよび/またはシャフト上を摺動する2つのリニア軸受を備え得る。
【0038】
追加的または代替的に、多段コンプレッサは、対応するピストンの移動をガイドするように構成された1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のブッシュガイドバーを、ピストン毎に備え得る。ブッシュガイドバーは、場合により圧縮チャンバの最内面を形成するようにコンプレッサハウジング、および/またはシリンダハウジング、および/または圧縮チャンバに配置され得る、および/または取り付けられ得る。圧縮チャンバの最内面は、対応するピストンに面し得るとともに、場合によりピストンが摺動する面を提供し得る。ブッシュガイドバーは、ブッシュ材料から製造され得る。ブッシュガイドバーは、対応するピストンおよび/または対応するピストンの移動方向に対して平行に延び得る。ブッシュガイドバーは、代替的にブッシュガイドロッドと表記され得る。ブッシュガイドバーは、対応するピストンの軸方向において延び得るとともに、対応するピストンの周囲を囲むように配置され得る。
【0039】
追加的または代替的に、多段コンプレッサは、対応するピストンの移動をガイドするように構成された1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のガイドローラを備え得る。ガイドローラは、多段コンプレッサハウジングおよび/またはシリンダハウジングに配置され得る、および/または取り付けられ得る、および/または設置され得る、および/または装着され得る。ガイドローラは、対応するピストンの移動を転動的にガイドし得る。ガイドローラは、対応するピストンの軸方向に沿って配置され得るとともに、対応するピストンの周囲を囲むように配置され得る。
【0040】
実施形態において、2つ以上のシリンダのうちの少なくとも第1シリンダの圧縮チャンバは、第2シリンダの圧縮チャンバに、第2シリンダの圧縮チャンバから第1シリンダの圧縮チャンバへ流体が流れることを防止するための少なくとも1つの逆止めバルブを介して接続する。
【0041】
このようにして、流体は、任意のシリンダの圧縮チャンバから直後のシリンダの圧縮チャンバに、すなわち、多段コンプレッサの最初の圧縮段から次の圧縮段に流れ得る。そして、任意の圧縮チャンバから先行する圧縮段のシリンダの圧縮チャンバへの流れは防止され得る。これにより、2つのシリンダの圧縮チャンバ間に逆止めバルブを有する単一の流れチャネルしか必要ないものとし得るため、コンプレッサの構造の複雑さが減少し得る。シリンダの圧縮チャンバは、直後のシリンダおよび/または直前のシリンダの圧縮チャンバに、少なくとも1つの逆止めバルブを介して接続し得る。シリンダの圧縮チャンバ同士は、任意のシリンダの圧縮チャンバから直前のシリンダの圧縮チャンバへ流体が流れることを防止する逆止めバルブにより接続し得る。少なくとも1つの逆止めバルブは、流体が任意のシリンダから直前のシリンダへ流れることを防止し得る。逆止めバルブは、各圧縮チャンバと、直後のシリンダおよび/または直前のシリンダの圧縮チャンバとの間に設けられ得る。少なくとも1つの逆止めバルブは、逆止バルブとも表記され得る。少なくとも1つの逆止めバルブは、バネ荷重式であってもよい。少なくとも1つの逆止めバルブは、ボール逆止バルブ、ダイヤフラム逆止バルブ、スイング逆止バルブ、または他の適切なバルブであり得る。最終シリンダの圧縮チャンバ、すなわち圧縮の最終段は、コンプレッサの出口に接続し得る。最終シリンダの圧縮チャンバは、コンプレッサの出口に、少なくとも1つの逆止バルブを介して接続し得る。コンプレッサの入口は、第1シリンダの圧縮チャンバ、すなわちコンプレッサの最初の圧縮段に、少なくとも1つの逆止バルブを介して接続し得る。このようにして、圧縮流体は、入口から、連続するシリンダの圧縮チャンバを連続して通過し、出口に至りこれから流出し得る。そして、流体が出口から先行するシリンダの先行する圧縮チャンバを通過して流れることは防止され得る。逆止めバルブは、2つ以上のシリンダの外部に配置され得る。逆止めバルブは、シリンダに対して脱着可能なバルブハウジング、および/またはシリンダハウジング、および/またはコンプレッサ、および/またはコンプレッサハウジングに配置され得る。
【0042】
実施形態において、少なくとも1つの逆止めバルブは、バルブパイプの内部において2つ以上のシリンダの外部に配置されることにより、少なくとも第1シリンダの圧縮チャンバから第2シリンダの圧縮チャンバに流れる流体が、バルブパイプおよび少なくとも1つの逆止めバルブを通過して流れる。
【0043】
「2つ以上のシリンダの外部に配置される」という用語は、本開示を通じて、2つ以上のシリンダのうちのあるシリンダおよび/またはシリンダハウジングに、またはその内部に配置されないものとして理解され得る。
【0044】
このようにして、圧縮チャンバ同士の接続部ならびに逆止めバルブがシリンダまたはそのハウジングとは別個に、および/またはその外部に設けられ得るため、コンプレッサ、特にシリンダおよびシリンダハウジングの設計の選択の自由度が高くなり得る。バルブパイプは、圧縮チャンバの一部を構成し得る。圧縮チャンバは、バルブパイプの少なくとも一部を備え得る。バルブパイプは、流体が逆止めバルブの両側を流れるためのパイプ容積部を備え得る。圧縮チャンバは、バルブパイプのパイプ容積部を備え得る。圧縮チャンバは、パイプ容積部に直接的に接続し得る。バルブパイプは、円筒状パイプであり得る。バルブパイプは、任意のシリンダと、直後のシリンダまたは先行するシリンダとの間で延び得る。バルブパイプは、各圧縮チャンバと、直後のシリンダおよび/または直前のシリンダの圧縮チャンバとの間に設けられ得る。単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、コンプレッサおよび/またはシリンダおよび/またはシリンダハウジングの外側周方向周縁部内に配置され得る。単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、シリンダおよび/またはシリンダハウジングの最外部よりも、コンプレッサの中心および/または回転軸に近接して配置され得る。シリンダおよび/またはシリンダハウジングの前記最外部は、場合により、シリンダおよび/またはシリンダハウジングの、コンプレッサの中心および/または回転軸から最も離れて位置する部分である。少なくとも1つの逆止めバルブは、バルブパイプの内側において、任意のシリンダと直後のシリンダとの間で延びるバルブパイプの長さに沿ってバルブパイプの中間に配置され得る。バルブパイプは、入口端部と出口端部とを備え得る。バルブパイプは、バルブパイプの入口端部とバルブパイプの出口端部との間で延びるバルブパイプ長さを有し得る。単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、実質的にまっすぐ、またはまっすぐであり得る。「まっすぐ」という用語は、実質的に一方向にのみ、または一方向にのみ延びるパイプとして理解され得る。単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、任意のシリンダおよび/またはシリンダハウジングの外側壁と、直後のシリンダまたは直前のシリンダおよび/またはシリンダハウジングの外側壁との間で実質的に延び得る、または延び得る。バルブパイプは、それぞれの前記外側壁の間で実質的にまっすぐに、および/またはまっすぐに延び得る。単数または複数のバルブパイプ、または各バルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、直後のシリンダおよび/または直前のシリンダおよび/またはシリンダハウジングの外側壁の間で実質的にまっすぐに、および/またはまっすぐに延び得る。少なくとも1つの逆止めバルブは、バルブパイプの出口端部から入口端部への方向における流体の流れを防止し得る。第1パイプ容積部は、バルブパイプの入口端部から逆止めバルブまで延びるパイプ容積部であり得る。第2パイプ容積部は、逆止めバルブからバルブパイプの出口端部まで延びるパイプ容積部であり得る。少なくとも1つの圧縮チャンバは、第1パイプ容積部を備え得る。逆止めバルブは、バルブパイプの出口端部よりも、バルブパイプの入口端部に近く配置され得る。逆止めバルブは、バルブパイプの入口端部からバルブパイプ長さの1/100、1/75、1/50、1/40、1/30、1/25、1/20、1/15、1/10、1/9、1/8、1/7、1/6、1/5、1/4、1/3未満に配置され得る。少なくとも1つの逆止めバルブは、バルブパイプの内部において、入口端部と出口端部とから等距離に配置され得る。バルブパイプは、シリンダのハウジングに対してシールするように、その入口端部および/または出口端部にシール要素を備え得る。バルブパイプの入口端部および/または出口端部は、丸みを帯び得る、および/または球状であり得る。シリンダハウジングは、バルブパイプの入口端部および/または出口端部の形状に一致する開口を備え、入口端部および/または出口端部を受容し得る。このようにして、バルブパイプは、コンプレッサのシリンダのハウジングに便利に取り付けられ得るとともにこれから取り外され得る。バルブパイプは、第1バルブパイプ部および第2バルブパイプ部を備え得る。第1バルブパイプ部および第2バルブパイプ部は、互いから分離可能であり得るため、バルブパイプは、第1バルブパイプ部と第2バルブパイプ部とが切り離された分解状態に分解され得る。第1バルブパイプ部および第2バルブパイプ部は、第1バルブパイプ部と第2バルブパイプ部とが接続した組立状態になるように互いに取り付けられ得る。第1バルブパイプ部と第2バルブパイプ部とは、ネジ部を介して互いに取り付けられ得る。第1バルブパイプ部と第2バルブパイプ部との組立および分解のために、第1バルブパイプ部は、第2バルブパイプ部のネジ部に合致するネジ部を備え得る。第1バルブパイプ部および第2バルブパイプ部は、バルブパイプの半分を各々構成し得る。組立状態において、シール要素が、第1バルブパイプ部と第2バルブパイプ部との間に配置され得る。バルブパイプは、冷却デバイスにより冷却され得る。バルブパイプを冷却するための冷却ジャケット等の冷却デバイスが、バルブパイプに取り付けられ得る。冷却デバイスは、バルブパイプの周囲に配置され得る。冷却ジャケットは、単数または複数の冷却パイプに接続し得る。冷却パイプは、単数または複数の冷却チャネルに接続し得る。冷却ジャケットは、単数または複数の冷却チャネルに接続し得る。このようにして、冷却ジャケットは、コンプレッサの冷却回路の一部であり得る。そして、2つ以上のシリンダおよびバルブパイプの両方が冷却され得る。冷却ジャケットおよび接続するバルブパイプおよび/または接続する冷却チャネルは、シリンダを冷却するための冷却回路とは別個の冷却回路を形成し得る。バルブパイプの分解状態において、少なくとも1つの逆止めバルブは露出し得る。少なくとも1つの逆止めバルブは、第1バルブパイプ部および/または第2バルブパイプ部に着座し得る。少なくとも1つの逆止めバルブは、第1バルブパイプ部および/または第2バルブパイプ部に取り外し可能に取り付けられ得る。少なくとも1つの逆止めバルブは、第1バルブパイプ部または第2バルブパイプ部にねじ込まれ得る。逆止めバルブは、バルブパイプの入口端部、およびバルブパイプの出口端部に配置され得る。入口端部における逆止めバルブとバルブパイプの出口端部との間の容積部が、パイプ容積部とみなされ得る。これにより、圧縮チャンバ間における圧縮流体用のバッファが提供され得る。
【0045】
単数または複数の冷却パイプは、シリンダ間においてバルブパイプに対して平行に延び得る。
【0046】
先行する実施形態の発展例において、バルブパイプは、2つのシリンダ間に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0047】
これにより、異なるバージョンについてバルブパイプが迅速かつ簡単に、例えばより高圧の用途用のより定格の高い逆止めバルブに交換され得るか取り換えられ得るため、メンテナンスが簡単で異なる使用例に適応するコンプレッサが提供され得る。
【0048】
バルブパイプは、圧入、クリップイン、スナップロック、および/またはねじ込みによりシリンダに取り外し可能に取り付けられ得る。バルブパイプは、バルブパイプが手で、すなわちツールを使用せずに取り外され得るように、取り外し可能に取り付けられ得る。バルブパイプの入口端部および/または出口端部は、シリンダ内に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0049】
実施形態において、少なくとも1つの圧縮チャンバは、バルブパイプの第1パイプ容積部を備える。
【0050】
実施形態において、バルブパイプは、任意のシリンダと直後のシリンダとの間で延びる。
【0051】
実施形態において、バルブパイプは、各圧縮チャンバと、直後のシリンダおよび/または直前のシリンダの圧縮チャンバとの間に設けられる。
【0052】
実施形態において、単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、実質的にまっすぐである。
【0053】
実施形態において、単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、コンプレッサ、および/またはシリンダ、および/またはシリンダハウジングの外側周方向周縁部の内部に配置される。
【0054】
実施形態において、単数または複数のバルブパイプ、場合によりすべてのバルブパイプは、シリンダおよび/またはシリンダハウジングの最外部よりも、クランクピンが回転する中心および/または回転軸に近接して配置される。
【0055】
実施形態において、バルブパイプのうちの単数または複数は、直後のシリンダおよび/または直前のシリンダおよび/またはシリンダハウジングの外側壁の間で実質的にまっすぐに、および/またはまっすぐに延びる。
【0056】
実施形態において、ピストンのうちの単数または複数は、異なる直径を有する。
【0057】
このようにして、コンプレッサに対してピストンおよび/またはシリンダ直径を任意の圧力入力から必要な圧力出力を得るように選択し得るため、コンプレッサは、特定の使用例に調節され得る。
【0058】
実施形態において、少なくとも1つのシリンダについて、任意のシリンダの対応する圧縮チャンバを備えるシリンダハウジングが、コンプレッサに対して着脱可能である。
【0059】
このようにして、コンプレッサが所望の圧力出力を提供するように、シリンダハウジングを迅速に、例えば異なる直径の圧縮チャンバを有する別のシリンダハウジングに取り換える、または交換することができるため、コンプレッサはメンテナンスが簡単であり得る、および/または特定の使用例に適応し得る。
【0060】
シリンダハウジングは、シリンダベースに対して脱着可能であり得る。シリンダベースは、対応するピストンとシリンダとの間をシールするためのピストンシールおよび/またはロッドシール等のリニアシールを含み得る。少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のシリンダベースは、対応するピストンとシリンダとの間をシールするためのピストンシールおよび/またはロッドシール等のリニアシールを含み得る。ロッドシールは、コンプレッサの径方向において対応するピストンのストローク長さの1/2、9/20、2/5、7/20、3/10、1/4、1/5、3/20、1/10、1/20以下で延びる高さを有し得る。ロッドシールの高さは、対応するピストンの長さに対して平行に延び得る。ロッドシールは、代替的にシャフトシールと表記され得る。単数または複数、場合によりすべてのシリンダベースは、コンプレッサハウジングに取り付けられ得る、場合により取り外し可能に取り付けられ得る。
【0061】
コンプレッサの停止時および/または動作時に、ピストンのうちの単数または複数は、実質的にロッドシール等の対応するリニアシールのみに、またはロッドシール等の対応するリニアシールのみに接触し得る。対応するリニアシールは、対応するシリンダベースに含まれ得る、および/または対応するシリンダにより構成され得る。コンプレッサの停止時および/または動作時に、ピストンのうちの2つ以上は、実質的にシリンダベースに含まれる、および/またはシリンダにより構成される対応するリニアシールのみに、またはシリンダベースに含まれる、および/またはシリンダにより構成される対応するリニアシールのみに接触し得る。コンプレッサの停止時および/または動作時に、すべてのピストンは、実質的にロッドシール等の対応するリニアシールのみに、またはロッドシール等の対応するリニアシールのみに接触し得る。前記対応するリニアシールは、場合により、シリンダベースに含まれる、および/またはシリンダにより構成される。
【0062】
実験により、シリンダハウジング内に配置されたロッドシールおよび/またはシャフトシールは、ピストンに配置されたシールよりも高圧で良好な性能を示すことが示されている。これは、ピストンに配置されたピストンリング等のシールに比較して、シリンダハウジングに配置されたロッドシーリングおよび/またはシャフトシーリングは、ピストンの径方向においても軸方向においても利用できる空間量が大きいためであろう。これにより、シールのサイズ、材料、および/または形状についてより多くの選択肢が提供され得る。これにより、コンプレッサの動作中、摩擦の低減および/またはシールの改善が促進され得る。
【0063】
実施形態において、シリンダのうちの単数または複数の圧力チャンバは、異なる直径を有する。
【0064】
このようにして、所定の圧力入力から所望の圧力出力が得られるように圧縮チャンバの直径がコンプレッサに対して選択され得るため、コンプレッサは、特定の使用例に調節され得る、および/または構成され得る。
【0065】
2つ以上のシリンダの各圧縮チャンバは、異なる直径を有し得る。ピストンは、それぞれの圧力チャンバの直径に一致した直径を有し得る。
【0066】
実施形態において、各摺動シューは、クランクピンに、クランクピンの周囲を取り囲む対応する別個の環状保持リングにより固定される。
【0067】
このようにして、摺動シューはクランクピンに保持され得るため、摺動シューとクランクピンとの係合が確保され得る。さらに、保持リングが個別に構成および設計され得るため、シリンダ、圧縮チャンバ、ピストン、摺動シュー等を含むコンプレッサの設計の選択の自由度が向上する。
【0068】
「別個」という用語は、他の部品の一部を形成していないこと、すなわち、それ自体で別の部品であることして理解され得る。
【0069】
追加的または代替的に、保持リングは、クランクピンに装着された保持リング軸受の周囲を取り囲み得る。保持リングは、クランクピンの周囲、および/またはクランクピンに装着された保持リング軸受の周囲を把持し得る。保持リングは、クランクピンの周囲に直接的に接触し得る。保持リングは、クランクピンに装着された保持リング軸受に配置され得る。保持リング軸受は、本明細書に記載されたような滑り軸受または転がり軸受であり得る。保持リングは、クランクピンに、クランクピンに装着された2つの軸受の間において固定され得る。各摺動シュー、または単数または複数の摺動シューは、保持リングを受容するための凹部または開口を備え得る。保持リングを受容するための凹部または開口は、摺動面内に配置され得る、および/またはこれを通過して延び得る。保持リングは、対応する摺動シューの開口に取り付けられ得る。保持リングは、対応する摺動シューの開口を通過して延び得る。保持リングは、対応する摺動シューから取り外し可能であり得る。保持リングは、対応する摺動シューに、単数または複数のボルト、ネジ、クリップ、ピン、および/または留め具を介して取り付けられ得る。保持リングは、摺動シューに堅固に取り付けられ得る。すなわち、対応する保持リングと摺動シューとの相対的な移動が防止される。保持リングは、クランクピンおよび/または摺動シューと同一の材料から構成され得る、これからなり得る、および/またはこれでコーテイングされ得る。各摺動シューは、対応する保持リングを摺動シューに固定するために、ボルトまたはネジを受容するためのネジ付き孔を備え得る。各保持リングは、ボルトまたはネジを受容するための貫通孔を備え得る。各保持リングは、ボルトまたはネジを受容するためのネジ付き貫通孔を備え得る。保持リングは、例えば金属、金属合金、またはポリマー、例えば真鍮、スチール、アルミニウムまたはアルミニウム合金、青銅、PTFE等の滑り軸受材料、および/またはこれらの組み合わせから構成され得る、これらからなり得る、および/またはこれらでコーティングされ得る。追加的または代替的に、保持リング軸受は、2つ以上の保持リング軸受であり得る。保持リング軸受は、単数または複数のクランクピン軸受とは別個であり得る。保持リング軸受は、クランクピンに装着された2つの軸受、すなわちクランクピン軸受の間に配置され得る。保持リング軸受は、単数または複数のクランクピン軸受よりも小さい外径を有し得る。保持リングは、互いに当接し得る。このようにして、コンプレッサをよりコンパクトにし得る。保持リングを軸受材料から製造することにより、それらの間の摩擦力が低減され得るため、コンプレッサの効率が向上し得る。さらに、互いに当接する保持リングにより、保持リングが保持リング軸受および/またはクランクピン上で軸方向に移動しないことが保証され得るため、ピストンの移動の安定性がさらに向上し得る。保持リングは、2つのクランクピン軸受の間に配置されて2つの軸受と当接し得る。換言すれば、保持リングは、2つのクランク軸受の間で挟持され得る。これは、保持リングがクランクピンおよび/または保持リング軸受上で軸方向に移動しないことをさらに確実にする助けとなり得るため、ピストンの移動の安定性がさらに向上し得る。クランクピン軸受として軸方向-径方向軸受を使用することにより、クランクピン軸受の間で挟持された保持リングの移動に対する摩擦が低減され得る。
【0070】
先行する実施形態の発展例において、保持リングは、クランクピンに装着された軸受に配置される。
【0071】
このようにして、軸受が保持リングとクランクピンとの間の摩擦を低減し得るため、移動部品間の摩擦によるエネルギー損失が低減され得る。
【0072】
実施形態において、保持リングは、クランクピンに装着された保持リング軸受の周囲を取り囲む。
【0073】
実施形態において、保持リングは、保持リング軸受の周囲を把持する。
【0074】
実施形態において、保持リングは、クランクピンに、クランクピンに装着された2つの軸受の間において固定される。
【0075】
実施形態において、摺動シューは、保持リングを受容するための凹部または開口を備える。
【0076】
先行する実施形態の発展例において、保持リングを受容するための凹部または開口は、クランクピンおよび/またはクランクピン軸受に係合するための単数または複数の摺動シューの摺動面内に配置される、および/またはこれを通過して延びる。
【0077】
実施形態において、コンプレッサは、動作時および/または停止時において、少なくとも1つのピストンまたは各ピストンが、対応する圧縮チャンバの内壁に実質的に接触しないように構成される。
【0078】
実施形態において、コンプレッサは、動作時において、少なくとも1つのピストンまたは各ピストンが、コンプレッサの径方向だけに、または実質的にコンプレッサの径方向だけに移動するように構成される。
【0079】
実施形態において、少なくとも1つのガイド溝および/またはピストンに取り付けられた少なくとも1つのガイド要素は、動作時において、対応するピストンが対応する圧縮チャンバの内壁に接触しないように、および/または、動作時において、ピストンがコンプレッサの径方向だけに、または実質的にコンプレッサの径方向だけに移動するように構成される。
【0080】
実施形態において、第1シリンダは、第1シリンダの対応するピストンに対してシールするための単数または複数の対応するロッドシールを備える。
【0081】
実施形態において、第1シリンダのシリンダベースは、第1シリンダとその対応するピストンとの間をシールするための対応するロッドシールを備える。
【0082】
実施形態において、ロッドシールは、コンプレッサの径方向において延びる高さを有し、前記高さは、対応するピストンのストローク長さの1/2以下である。
【0083】
実施形態において、コンプレッサの停止時および/または動作時に、第1シリンダの対応するピストンは、実質的に第1シリンダの対応するロッドシールのみに接触する。
【0084】
実施形態において、ピストンは、場合によりピストンに取り付けられたおよび/または装着された例えばピストンリングやピストンシール等のいかなるシールも備えない。
【0085】
実施形態において、クランクピン、および/またはクランクピンに設けられた単数または複数のクランクピン軸受は、ピストンの各々の最小ストローク長さおよび/または最大ストローク長さの少なくとも1.1倍の外径を有する。
【0086】
実施形態において、クランクピンが回転する回転軸に作用するレバーアームの長さは、ピストンの各々の最小ストローク長さおよび/または最大ストローク長さの200%以下である。
【0087】
実施形態において、コンプレッサは、クランクピンに対して平行に延びる少なくとも2つの相互接続した別個のシャフトを備える回転可能なクランクシャフトを備え、クランクピンは、少なくとも2つの相互接続したシャフトのうちの2つを、取り外し可能なクランプ機構により2つのシャフトの各々のそれぞれの端部にクランプされることにより相互接続する。
【0088】
このようにして、クランクピンおよびクランクシャフトが互いに対して分解され得るため、コンプレッサの分解は容易であり得る。これにより、保守性が向上し得る。さらにまた、部品を交換することにより、コンプレッサを異なる使用例に適応させ得る。
【0089】
追加的または代替的な実施形態において、少なくとも1つの摺動シューが、対応するピストンに、摺動シューおよび対応するピストンを通過して延びる接続シャフトを介して回転可能に取り付けられ、少なくとも1つのガイド溝内でガイドされるように構成された少なくとも1つのガイド要素が、接続シャフトに取り付けられる。
【0090】
このようにして、ピストンの駆動および移動は、少なくとも1つのガイド溝における少なくとも1つのガイド要素によりガイドされ得るとともに確実にされ得る。
【0091】
コンプレッサは、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1メートル以下の最大寸法を有し得る。最大寸法は、コンプレッサの径方向において、またはコンプレッサの軸方向において延びるコンプレッサの最大寸法であり得る。
【0092】
本発明の第2態様は、流体を多段コンプレッサにおいて圧縮するための方法に関し、前記コンプレッサは、2つ以上のシリンダを備え、各シリンダは、圧縮チャンバとピストンとを備えることにより、前記圧縮チャンバの各々における流体が対応する前記ピストンにより圧縮され、
前記シリンダは直列に接続することにより、前記コンプレッサの入口に流入した流体が、第1シリンダの前記圧縮チャンバ内で第1圧力まで圧縮されるとともに、次いで第2シリンダの前記圧縮チャンバに流入し、ここで圧縮された前記流体は、より高い第2圧力まで圧縮され、
各ピストンは、前記コンプレッサの同一のクランクピンにより駆動される。
【0093】
2つを超えるシリンダが存在する場合、流体は、流体がコンプレッサの出口から流出する前に、さらなるシリンダの圧縮チャンバに連続的に流入し、連続的に高い圧力に圧縮される。
【0094】
実施形態において、多段コンプレッサは、大気圧を超える圧力の圧縮流体を第1シリンダの圧縮チャンバに供給するための少なくとも1つの供給コンプレッサをさらに備え、供給コンプレッサおよびピストンは、多段コンプレッサのピストンと同一のクランクシャフト、場合により同一のクランクピンにより駆動される。
【0095】
第3態様において、本発明は、流体を圧縮するためのシステムに関し、システムは、
-本発明の第1態様による多段コンプレッサと、
-大気圧を超える流体を、多段コンプレッサの入口および/または第1シリンダの圧縮チャンバに提供するように構成された第2コンプレッサと、
を備える。
【0096】
実施形態において、第2コンプレッサは、定置型コンプレッサまたは固定型コンプレッサである。
【0097】
定置型コンプレッサまたは固定型コンプレッサは、ある場所に設置される、および/または装着される、および/または固定されるコンプレッサであって、場所から移動させるには設置解除する、および/または装着解除する必要のあるコンプレッサとして理解され得る。第2コンプレッサは、作業場、製造所、および/または工場で使用され得るような圧縮空気システム、および/または送気管、および/または空気配管システムに供給するコンプレッサであり得る。
【0098】
実施形態において、第2コンプレッサは、多段コンプレッサにより、および/またはその一部により構成される。
【0099】
実施形態において、システムは、気体フィルタ、および/または流体フィルタ、および/または冷却デバイス、および/または冷却流体タンク、および/または電源、および/または発電機、および/または多段コンプレッサを駆動するための駆動ユニット、および/または圧縮流体タンクのうちから選択される単数または複数の部品をさらに備え、任意の場合、多段コンプレッサは、圧縮流体を圧縮流体タンクに供給するための流体タンクに接続する。
【0100】
圧縮流体タンクは、圧縮液体タンクであっても、空気タンク等の圧縮気体タンクであってもよい。気体フィルタは、カーボン濾過デバイス(清浄空気)であってもよい。
【0101】
冷却デバイスは、冷凍クーラーとしても知られる冷凍冷却デバイスであり得る。発電機は、電力を、多段コンプレッサおよび/または他の外部適用物にを駆動するための駆動ユニット等の所定の適用物に供給するためのものであり得る。発電機は、太陽光、風力、水力、および/または余剰エネルギー等の持続可能なエネルギー源により駆動され得る。これにより、特に発電機が上述の供給源からのエネルギーにより駆動される場合、サステナビリティとともにCO2排出量の削減(CO2ニュートラル)に寄与し得る。システムは、選択的に、システムの部品のうちの単数または複数が配置される容器をさらに備え得る。実施形態において、発電機は、圧縮空気駆動発電機である。発電機は、多段コンプレッサにより供給された圧縮空気タンクからの、および/または多段コンプレッサから直接の圧縮空気により駆動され得る。
【0102】
実施形態において、多段コンプレッサは、可搬式コンプレッサである。実施形態において、第2コンプレッサは、本発明の第1態様による多段コンプレッサである。
【0103】
実施形態において、第2コンプレッサは、大気圧を超える圧力の圧縮流体を第1シリンダの圧縮チャンバに供給するための供給コンプレッサであり、供給コンプレッサおよびピストンは、多段コンプレッサのピストンと同一のクランクシャフト、場合により同一のクランクピンにより駆動される。
【0104】
実施形態において、多段コンプレッサおよび第2コンプレッサは、同一の駆動ユニットにより電力を供給される。
【0105】
多段コンプレッサのクランクシャフトおよび第2コンプレッサのクランクシャフトは、互いに連結されて、コンプレッサ間で駆動力が伝達され得る。2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のコンプレッサが、同一の駆動ユニットにより電力を供給され得る。2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のコンプレッサのクランクシャフトは、互いに連結され得る。追加的または代替的に、多段コンプレッサ、および第2、第3、第4、第5、またはそれ以上のコンプレッサは、共通のクランクシャフトを共有し得る。本発明による2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のコンプレッサは、直列または並列に接続し得る。さらなるコンプレッサ、場合により本発明の第1態様による多段コンプレッサは、並列に接続したコンプレッサの各々に、または直列に接続したコンプレッサのうちに最初のものに接続し得る。単一のさらなるコンプレッサは、大気圧を超える圧力の流体を対応するコンプレッサの入口に提供し得る。
【0106】
第4態様において、本発明は、本発明の第1態様による多段コンプレッサおよび/または本発明の第3態様によるシステムを、エネルギー貯蔵のために使用することに関する。
【0107】
実施形態において、エネルギー貯蔵は、圧縮流体エネルギーの貯蔵である。
【0108】
流体は、空気、水、化石燃料ガス等の化石燃料、および/または液体であり得る。コンプレッサは、圧縮空気タンクをタイヤに空気を入れるために使用される圧縮空気で充填するために、エアライフルに電力を供給するために、例えば酸素または他のガスタンク等のガスタンクを充填するために、電力製造のために発電機に電力を供給するように、機械に電力を供給するように、車両、作業場、製造所、工場等の適用場所において空気モータに電力を供給するように、使用され得る。追加的または代替的に、コンプレッサは、圧縮した液体で異なる材料を切断する等の用途のために圧縮した液体、例えば水を提供するために、電力製造のために発電機に電力を供給するように、機械に電力を供給するように、使用され得る。
【0109】
実施形態において、本発明は、本発明の第1態様による多段コンプレッサおよび/または本発明の第3態様によるシステムを、発電機を駆動するための圧縮流体を貯蔵するために使用することに関する。
【0110】
実施形態において、本発明は、本発明の第1態様による多段コンプレッサおよび/または本発明の第3態様によるシステムを、圧縮気体、場合により圧縮空気の貯蔵のために使用することに関する。
【0111】
実施形態において、本発明は、本発明の第1態様による多段コンプレッサおよび/または本発明の第3態様によるシステムを、流体の圧縮のために使用することに関する。
【0112】
実施形態において、本発明は、本発明の第1態様による多段コンプレッサの使用において、多段コンプレッサを第2コンプレッサに接続する使用に関する。
【0113】
実施形態において、第2コンプレッサは、大気圧を超える圧力の流体を多段コンプレッサの入口に提供する。
【0114】
実施形態において、第2コンプレッサは、定置型コンプレッサ設備または固定型コンプレッサ設備である。
【0115】
先行する実施形態の発展例において、定置型コンプレッサ設備または固定型コンプレッサ設備は、ガソリンスタンド、作業場、ガレージ、または建物に設置される。
【0116】
実施形態において、本発明は、本発明の第1態様による多段コンプレッサおよび/または本発明の第3態様によるシステムを、空気駆動の銃、ライフル、弓等をチャージするために使用することに関する。
【0117】
実施形態において、本発明は、本発明の第1態様による多段コンプレッサおよび/または本発明の第3態様によるシステムを、油圧または空気圧ダンパ、バネ、サスペンションシステム等をチャージするために使用することに関する。
【0118】
実施形態において、本発明は、本発明の第1態様による多段コンプレッサおよび/または本発明の第3態様によるシステムを、流体タンクまたは空気タンク、タイヤ、気体注入品、気体注入品デバイスを充填するために使用することに関する。
【0119】
当業者には、本開示の上記の態様およびその実施形態のうちの任意の単数または複数を、他の態様およびその実施形態のうちの任意の単数または複数と組み合わせることができることが理解されるであろう。
【0120】
以下に、非限定的な例示的な実施形態について図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1図1は、組み立てられた多段コンプレッサの正面側の斜視図を示す。
図2図2は、図1のコンプレッサの背面側の斜視図を示す。
図3図3は、図2のコンプレッサの側面図を示す。
図4図4は、図3のコンプレッサの線A-Aに沿った断面図を示す。
図5図5は、図1のコンプレッサの部分分解図を示す。
図6図6は、図5のコンプレッサのクランクピンとピストンと摺動シューとからなるアセンブリの拡大詳細図を示す。
図7図7は、図6に示すクランクピンとピストンとからなるアセンブリの分解図を示す。
図8図8は、冷却パイプおよび冷却ジャケットの代替的な実施形態を有する多段コンプレッサを示す。
図9図9は、供給コンプレッサを備える多段コンプレッサの実施形態を示す。
図10図10は、図4に示す断面図に対応する、図10の多段コンプレッサにおける断面図を示す。
図11図11は、図10の供給コンプレッサの断面のクローズアップを示す。
図12図12は、代替的なピストン移動ガイドを示す。
図13図13は、第2の代替的なピストン移動ガイドを示す。
図14図14は、第3の代替的なピストン移動ガイドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0122】
図1から開始すると、正面から見た本発明による多段コンプレッサが示されている。コンプレッサ1は、各々がシリンダハウジング22を有する3つのシリンダ2a、2b、2cを備えている。シリンダは、バルブパイプ7により相互接続している。本実施形態において、バルブパイプ7には、バルブパイプ7を有するための冷却ジャケット71が取り付けられている。シリンダ2a、2b、2cを冷却するための冷却パイプ26が、バルブパイプ7に対して平行に延びている。冷却パイプ26は、シリンダハウジング22内の冷却チャネル(図示せず)を接続して、シリンダ2a、2b、2cを冷却するための冷却媒体の流れがコンプレッサ1を通過して流れることを可能にしている。コンプレッサ1は、流体をコンプレッサ1の第1シリンダに流入させるための入口12と、コンプレッサ1の最終シリンダから流出させるための出口13と、をさらに備えている。コンプレッサ1の入口12に供給される流体は、加圧され得る、または予め圧縮され得る。これにより、第1シリンダ2a内で圧縮される流体は、シリンダ内で圧縮される前に、既に加圧されている。例えば、入口に供給される流体は、本例では8バールに加圧され得る。コンプレッサは、2つの相互接続した別個のシャフト61を備えるクランクシャフト6をさらに備えている。シャフト61のうちの一方は、コンプレッサ61を駆動する、すなわちクランクピン5を回転させるための駆動ユニットに接続するように構成されている。コンプレッサの背面側に存在する他方のシャフト61は、選択的に、第2コンプレッサに接続してこれを駆動するように構成されている。
【0123】
図2に移動すると、背面側から見たコンプレッサ1が示されている。ピストン3の移動をガイドするガイド要素33が、ガイド溝15内でガイドされていることが示されている。図1および図2に示すように、コンプレッサ1の部品の大部分、例えばコンプレッサハウジング11、シリンダハウジング22、入口12、出口13、およびシールドプレート17は、ボルト16を介して互いに接続している。これにより、組立/分解が簡単になるとともに、メンテナンスや異なる使用例に合わせて部品を交換することが簡単になる。図3では側方から見たコンプレッサ1が示され、クランクシャフト6の2つの相互接続したシャフト61が同心状であり、コンプレッサハウジング11から同一の長さで延びていることが分かる。
【0124】
図4に移動すると、摺動シューが取り外された状態の、図3の線A-Aに沿ったコンプレッサ1の断面図が示されている。ここでは、シリンダ2a、2b、2c内の圧縮チャンバ21、および対応する円筒状ピストン3が見える。シリンダ2a、2b、2cは、回転軸RAを中心として配置されるとともに、回転軸RAから離れるように径方向に延びている。シリンダ内部に配置された圧縮チャンバ21は異なる直径を有し、対応するピストン3は一致する直径dを有している。すなわち。ピストン3は、対応する圧縮チャンバ21の直径に一致する直径を有している。このようにして、コンプレッサ1は、図1の入口12に任意の入力圧力で流入する流体から、流体を所定の出力圧力で図1の出口13に送るように調整される。
【0125】
クランクシャフト6が駆動されて回転すると、クランクピン5は回転軸RAを中心として回転する。これにより、ピストン3は、対応する圧縮チャンバ21の内外に駆動されてその内部の流体が圧縮される。図6により明瞭に示すように、ピストン3の内外への駆動は、クランクピン5に装着されたクランクピン軸受51に係合する摺動シュー4、およびクランクピン5上の保持リング軸受44の周囲を取り囲む保持リング42により達成される。そして、クランクピン5が回転軸RAを中心として回転すると、ピストンに対するその相対位置に応じて、クランクピン5は、ピストン3を、クランクピン軸受51に係合する摺動シュー4であってピストン3に接続シャフト43を介して接続する摺動シュー4により、対応する圧縮チャンバ内に押し込む、または、ピストン3を、対応する摺動シュー4に取り付けられた保持リング42であって、クランクピン5の周囲およびクランクピン5に装着された保持リング軸受44を取り囲むことによりクランクピン5に固定された別個の保持リング42により、対応する圧縮チャンバ21から引き出す。また、シリンダ2a、2b、2cの圧縮チャンバ21が、どのように逆止めバルブ72を介して直後のシリンダの圧縮チャンバに接続しているかも見ることができる。それぞれのチャンバは、任意のシリンダ2a、2b、2cの圧縮チャンバ21からの流体の流出を防止するための1つの逆止めバルブ72を介して、直前のシリンダの圧縮チャンバに接続している。図示の実施形態において、逆止めバルブ72は、逆止めバルブ72の両側を流体が流れるためのパイプ容積部を備えた円筒状のバルブパイプ7に配置されている。これにより、図示の実施形態において、流体が第1シリンダ2aの圧縮チャンバ21に流入し得る。ここで流体は対応するピストン3により圧縮され、そして流れチャネル28およびバルブパイプ7内の逆止めバルブ72を通過して、第2シリンダ2bの圧縮チャンバ21に流入する。ここで、流体は対応するピストン3によりさらに圧縮されて、次の流れチャネル28およびバルブパイプ7内の逆止めバルブ72を通過して第3シリンダ2cの圧縮チャンバ21に流入する。ここで、流体は対応するピストン3によりさらにまた圧縮されて、コンプレッサ1の出口13を通って流れる。バルブパイプの球状の入口端部73および出口端部74は、各々シール要素を備え、シリンダ2a、2b、2cのシリンダハウジング22に圧入されている。
【0126】
コンプレッサおよびその部品は、動作時に、ピストン3が、実質的にコンプレッサ1の径方向だけに、および圧縮チャンバ21内のそれぞれのピストン3の軸方向だけに移動するように構成されている。
【0127】
図4において、別個の環状保持リング42が、クランクピン5に装着された保持リング軸受44の周囲を取り囲んでいることが分かる。保持リング42は、対応する摺動シュー4に、摺動シュー4(図7で最もよく図示)を通過して対応する保持リング42のボルト孔45内に延びるボルト16を介して取り付けられている。実物の説明を目的として、回転軸RAを図4および図6に示す。これにより、クランクピン5が、クランクピン5の周縁部から回転軸RAまで、クランクピン半径の0.3の距離を置いて配置されていることが分かる。さらに、シリンダ2a、2b、2cが、対応するピストンに対してシールするためのロッドシール24を備えていることが分かる。コンプレッサの停止時および動作時において、各シリンダ2a、2b、2cの対応するピストン3は、実質的に各シリンダの対応するロッドシール24のみに接触する。また、ピストン3は、ピストン3に取り付けられた、および/または装着されたピストンリングやピストンシール等のいかなるシールも備えない。
【0128】
コンプレッサ1の部分分解図を示す図5に移ると、コンプレッサ1がどのように組み立てられ分解され得るか、およびいかにして部品が交換または取り換えられるかが明らかになる。バルブパイプ7は、第1バルブパイプ部7aおよび第2バルブパイプ部7bを備え、これらは図示のように分解され得る。バルブパイプ部7a、7bは、ネジ部を介して互いに取り付けられる。ここで、逆止めバルブ72は、第1バルブパイプ部7aに着座してねじ込まれている。コンプレッサハウジング11においてクランクシャフト6を支持するためのクランクシャフト軸受62が、クランクシャフト6のシャフト61に配置されていることが分かる。図示のように、任意のシリンダ2a、2b、2cの対応する圧縮チャンバ21を備えるシリンダハウジング22は、コンプレッサ1に対して、より具体的にはシリンダベース27に対して着脱可能である。
【0129】
図6は、クランクピンとピストンと摺動シューとからなるアセンブリの拡大詳細図を示す。各摺動シュー4は、対応するピストン3に、対応するピストン3の下端部および対応する摺動シュー4の2つの部分を通過して延びる接続シャフト43を介して回転可能に取り付けられている。各ピストン3は、対応する接続シャフトを支持するためにピストン3の下端部に配置された滑り軸受46を備えている。各ピストン3は、ピストンの上端部の上面から下端部の下面まで径方向に延びる長さ「L」を有している。摺動シュー4は、青銅製であるため、摺動シュー4それ自体が対応する接続シャフト46を支持するための滑り軸受を構成し得る。接続シャフト43は、軸方向に延びるとともに、対応するピストン3および摺動シュー4に、接続シャフト43の軸方向において対向する端部に配置された2つのサークリップ45を介して固定されている。また、2つのガイド要素33が、接続シャフト43の軸方向において対向する端部に取り付けられるとともに、接続シャフトにサークリップ45により固定されている。クランクピン5の中心軸CA(図6)から回転軸RAまでの距離Dは、クランクピンの半径の約1つ分である。摺動シュー4に係合するための2つのクランクピン軸受51が、クランクピン5に装着されている。
【0130】
図7に最もよく示すように、摺動シュー4は、クランクピン軸受51に係合するように、クランクピン軸受51にぴったりフィットする形状を有する摺動面41を備えている。摺動面41は、保持リング42を受容するための開口47をさらに有している。保持リング42は、開口47に、対応する摺動シュー4を通過してボルト孔48内に延びるボルト16により固定されている。
【0131】
図8は、冷却パイプ26および冷却ジャケット71の代替的な実施形態を示す。本実施形態において、シリンダ2a、2b、2c内の冷却チャネル(図示せず)に接続した冷却パイプ26の一部は、冷却ジャケット71に接続して冷却ジャケット71内に入ることにより、バルブパイプ7およびその内部の流体が冷却され得る。このようにして、冷却ジャケット71は、シリンダ2a、2b、2c用の冷却回路の一部を形成することで、バルブパイプおよびシリンダ2a、2b、2cの両方が冷却され得る。
【0132】
図示の実施形態において、コンプレッサハウジング11、シリンダハウジング22、バルブパイプ7、冷却ジャケット71、冷却パイプ26、およびシールドプレート17はアルミニウム製である。シリンダベース27、接続シャフト43、クランクピン5、クランクシャフト6、およびクランプ機構63はスチール製である。ピストン3はスチール製で、アルミニウム製のコアを有している。摺動シュー4は青銅製である。保持リング42およびガイド要素45は、青銅とスチールを組み合わせて製造されている。
【0133】
次に図9および図10に移ると、大気圧を超える圧力の圧縮流体を第1シリンダ2aの圧縮チャンバ21に入口12を介して供給するための3つの供給コンプレッサ8をさらに備える多段コンプレッサ1の実施形態が示されている。同一または類似の部品には、図1図8と同じ参照符号が付されている。多段コンプレッサ1の外周縁部内に配置された供給コンプレッサ8およびピストン3は、同一のクランクシャフト6およびクランクピン5により駆動される。クランクピン5が回転すると、供給コンプレッサアーム81が作動する。次いで、供給コンプレッサアーム81は、供給コンプレッサ8の内部のバネ負荷ピストンアセンブリ82を作動させるため、流体が約8バールまで圧縮されて出口83から流出し、コンプレッサ1の入口に流入してそれぞれの供給パイプ(図示せず)を通過して第1シリンダ2aの圧縮チャンバ21に至る。そして、多段コンプレッサ1は、この流体を上述のように圧縮する。クランクシャフト6およびクランクピン5の周囲に周方向に配置されるとともに部分的に多段コンプレッサハウジング2の内部に配置された供給コンプレッサ8は、並列に動作する。追加的または代替的に、単数または複数の供給コンプレッサ8が、多段コンプレッサハウジング2の外部において、コンプレッサハウジング2から外方に延びる同一のクランクシャフト6、61の周囲に周方向に配置され得る。ここで、単数または複数の供給コンプレッサの各々は、場合により同一の第2クランクピンによって駆動され得る。供給コンプレッサ8を通る拡大断面図を図11に示す。
【0134】
図1図11に示す例において、ピストン3の移動は、動作時および停止時に、対応するピストン3が対応する圧縮チャンバ21の内壁に接触しないように、かつ、動作時に、ピストン3がコンプレッサ1の径方向だけに、または実質的にコンプレッサ1の径方向だけに移動するように構成されたガイド溝15およびピストン4に取り付けられたガイド要素3によりガイドされる。しかしながら、ピストン3の移動は、図12図14に示すような他の方法でガイドされてもよい。
【0135】
図12は、ピストン3およびガイド要素33を示し、ガイド要素33は、それぞれがシャフトの形態のジャーナル91に沿って摺動するスライドブッシュの形態にある2つのリニア軸受9を備えている。ジャーナル91は、多段コンプレッサハウジング2内に、またはこれに取り付けられ得る。
【0136】
追加的または代替的に、多段コンプレッサ1は、図13に示すように、ピストン3毎に、対応するピストン3の移動をガイドするように構成された複数のブッシュガイドバー92、本例において3つのガイドブッシュバー92を備え得る。ブッシュガイドバー92は、シリンダハウジング22および圧縮チャンバ21内に配置されるとともに取り付けられて、対応するピストン3に面する圧縮チャンバ21の最内面であって、場合によりピストン3が摺動する面を提供する最内面を形成し得る。ブッシュガイドバー92は、対応するピストン3およびピストン3の移動方向に対して平行に延びている。
【0137】
追加的または代替的に、図13に示すように、多段コンプレッサ1は、対応するピストン3の移動をガイドするように構成された複数のガイドローラ93、本例において6つのガイドローラ93を有し得る。ガイドローラ93は、対応するピストン3の移動を転動的にガイドできるように、多段コンプレッサハウジング2およびシリンダハウジング2内に配置されるともに取り付けられている。ガイドローラ93は、対応するピストン3の軸方向に沿って、対応するピストン3の周囲を取り囲むように配置される。
【0138】
多段コンプレッサは、気体フィルタ、流体フィルタ、冷凍クーラー等の冷却デバイス、冷却流体タンク、電源、発電機、多段コンプレッサを駆動するための駆動ユニット、圧縮流体タンクを備えるシステムの一部をさらに形成し得る。所定の例において、多段コンプレッサは、圧縮流体を圧縮流体タンクに提供するための圧縮流体タンクに接続する。発電機は、多段コンプレッサを駆動するための駆動ユニット等の所定の適用物、および他の外部適用物に電力を供給し得る。発電機は、太陽光、風力、水力、および/または余剰エネルギー等の持続可能なエネルギー源により駆動され得る。システムは、システムの単数または複数の部品が配置される容器をさらに備え得る。発電機は、例えば、多段コンプレッサにより供給される圧縮流体または空気タンクからの圧縮空気により駆動される圧縮空気駆動発電機であってよい、および/または、他の外部適用物の電力が必要な場合には、多段コンプレッサから直接的に駆動されてもよい。
【0139】
1 多段コンプレッサ
11 コンプレッサハウジング
12 入口
13 出口
14 冷却パイプ
15 ガイド溝
16 ボルト
17 シールドプレート
2a、2b、2c シリンダ
21 圧縮チャンバ
22 シリンダハウジング
24 ロッドシール
25 冷却チャネル
26 冷却パイプ
27 シリンダベース
28 流れチャネル
3 ピストン
31 ピストン上端部
32 ピストン下端部
33 ガイド要素
4 摺動シュー
41 摺動面
42 保持リング
43 接続シャフト
44 保持リング軸受
45 サークリップ
46 軸受
47 開口
48 ボルト孔
5 クランクピン
51 クランクピン軸受
6 クランクシャフト
61 別個のシャフト
62 クランクシャフト軸受
63 クランプ機構
7 バルブパイプ
7a 第1バルブパイプ部
7b 第2バルブパイプ部
71 冷却ジャケット
72 逆止めバルブ
73 バルブパイプ入口端部
74 バルブパイプ出口端部
8 供給コンプレッサ
81 供給コンプレッサの作動アーム
82 供給コンプレッサのピストンアセンブリ
83 供給コンプレッサの出口
9 リニア軸受
91 ジャーナル
92 ブッシュガイドバー
93 ガイドローラ
RA 回転軸
CA クランクピンの中心軸
D クランクピンから回転軸までの距離
d ピストン直径
L ピストン長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】