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特表2023-532676拡散照射及び構造化光用プロジェクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】拡散照射及び構造化光用プロジェクタ
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20210101AFI20230724BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230724BHJP
   H01S 5/42 20060101ALI20230724BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230724BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230724BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230724BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230724BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230724BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230724BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20230724BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20230724BHJP
【FI】
G03B15/05
G01B11/00 A
H01S5/42
H01L33/00 L
G09F9/30 397
G09F9/30 349Z
G09F9/33
G09F9/00 313
G03B30/00
G03B15/00 T
G03B15/00 V
G03B15/00 S
G03B15/02 G
G03B15/02 S
G03B15/03 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580187
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021066981
(87)【国際公開番号】W WO2021259923
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】20181658.4
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ハミド ムハンメド,ハメド
(72)【発明者】
【氏名】ライト,フィリップ ニルス
(72)【発明者】
【氏名】ライン,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】シック,フリードリヒ
【テーマコード(参考)】
2F065
2H053
5C094
5F142
5F173
5G435
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065CC11
2F065FF04
2F065FF09
2F065FF31
2F065FF48
2F065GG04
2F065GG07
2F065GG18
2F065GG21
2F065HH02
2F065HH04
2F065HH07
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL04
2F065NN01
2F065QQ24
2F065QQ31
2H053CA06
2H053CA12
2H053CA15
5C094BA23
5C094CA21
5C094ED01
5F142DB32
5F142EA31
5F142GA01
5F173MA10
5F173MD65
5F173ME44
5F173MF03
5F173MF18
5F173MF39
5F173MF40
5G435BB04
5G435BB17
5G435DD04
5G435DD09
5G435GG02
(57)【要約】
シーン照射及びパターン投影のために構成されたプロジェクタ及び照射モジュール(110)が提案される。プロジェクタ及び照射モジュール(110)は、複数の個別のエミッタ(117)の少なくとも1つのアレイ(116)と、少なくとも1つの光学システム(114)とを備える。個別のエミッタ(117)の各々は、少なくとも1つの照射光ビームを生成するように構成される。光学システム(114)は、複数の転送装置(118)の少なくとも1つのアレイを備える。転送装置(118)のアレイは、個別のエミッタ(117)の各々に対して少なくとも1つの転送装置(118)を備える。転送装置(118)のアレイは、転送装置(118)の少なくとも2つのグループを含む。2つのグループの転送装置(118)は、少なくとも1つの特性で異なる。グループのうちの1つの転送装置(118)は、前記転送装置(118)に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成するように構成されている。他のグループの転送装置(118)は、前記転送装置(118)に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーン照射及びパターン投影のために構成されたプロジェクタ及び照射モジュール(110)であって、前記プロジェクタ及び照射モジュール(110)は、複数の個別のエミッタ(117)の少なくとも1つのアレイ(116)と、少なくとも1つの光学システム(114)とを備え、前記個別のエミッタ(117)の各々は、少なくとも1つの照射光ビームを生成するように構成され、前記光学システム(114)は、複数の転送装置(118)の少なくとも1つのアレイを備え、前記転送装置(118)のアレイは、前記個別のエミッタ(117)の各々に対して少なくとも1つの転送装置(118)を備え、前記転送装置(118)のアレイは、転送装置(118)の少なくとも2つのグループを備え、前記2つのグループの転送装置(118)は、少なくとも1つの特性で異なり、前記グループのうちの1つの転送装置(118)は、前記転送装置(118)に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成するように構成され、他のグループの前記転送装置(118)は、前記転送装置(118)に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成するように構成されている、プロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項2】
前記個別のエミッタ(117)のそれぞれは、少なくとも垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又は少なくとも1つのマイクロ発光ダイオード(LED)を含む、請求項1に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項3】
前記個別のエミッタ(117)は、800~1000nmの波長範囲、好ましくは940nmで光ビームを放出するように構成されている、請求項1又は2に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項4】
前記個別のエミッタ(117)の発光波長は、同一又は異なっている、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項5】
転送装置(118)の同じグループに関連する個別のエミッタ(117)は、同じ特定の発光波長を有する、請求項4に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項6】
前記発散光ビーム及び前記照射パターンの明るさは、個別に制御可能であって、同じグループの転送装置(118)に関連する前記個別のエミッタ(117)の放射出力は、個別に制御可能及び調整可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項7】
前記アレイ(116)の個別のエミッタ(117)の放射出力は、個別のエミッタ(117)ごとに制御可能及び調整可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項8】
前記転送装置(118)のグループは、少なくとも1つのパターンで配置され、前記パターンは、ラインパターン又はチェッカーボードパターンである、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項9】
前記転送装置(118)の各々は、少なくとも1つの多焦点マイクロレンズ、又は少なくとも1つの個別指定又はマトリックス指定される調整可能又は制御可能な多焦点マイクロレンズアレイのような少なくとも1つのマイクロレンズと;少なくとも1つの透過窓と;少なくとも1つのディフューザーと;少なくとも1つの回折光学要素とからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項10】
前記転送装置(118)の2つのグループは、それらの屈折力、それぞれの前記エミッタに対するそれらの相対位置、前記エミッタ(117)までのそれらの距離、前記エミッタ(117)の光軸に対するそれらの対称性又はそれらの対称軸の傾きのうちの1つ以上において異なっている、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)。
【請求項11】
- 先行する請求項のいずれか一項に記載の少なくとも1つのプロジェクタ及び照射モジュール(110)と;
- 少なくとも1つの画像センサ(138)と、少なくとも1つの読み出し及び画像処理装置(140)とを備える少なくとも1つのカメラモジュール(136)と、
を備える、検出器(134)。
【請求項12】
前記カメラモジュール(136)は、発散光ビームによって照射された少なくとも1つの物体の少なくとも1つの2D画像を画像化するように構成される、請求項11に記載の検出器(134)。
【請求項13】
前記検出器(134)は、構造化光、三角測量、飛行時間(ToF)、投影照射パターンを使用したビームプロファイル解析のうちの1つ以上によって、深さ情報を決定するように構成される、請求項11又は12に記載の検出器(134)。
【請求項14】
プロジェクタ及び照射モジュールを参照する請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのプロジェクタ及び照射モジュール(110)を用いて少なくとも1つの物体を照射する方法であって、前記プロジェクタ及び照射モジュール(110)は、複数の個別のエミッタ(117)の少なくとも1つのアレイ(116)と、少なくとも1つの光学システム(114)とを備え、前記個別のエミッタ(117)の各々は、少なくとも1つの照射光ビームを生成し、前記光学システム(114)は、複数の転送装置(118)の少なくとも1つのアレイを備え、前記転送装置(118)のアレイは、前記個別のエミッタ(117)の各々に対して少なくとも1つの転送装置(118)を備え、前記転送装置(118)のアレイは、転送装置(118)の少なくとも2つのグループを備え、前記2つのグループの転送装置(118)は、少なくとも1つの特性において異なり、前記グループのうちの1つの前記転送装置(118)は、前記転送装置(118)に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成し、他のグループの前記転送装置(118)は、前記転送装置(118)に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成する、方法。
【請求項15】
プロジェクタ及び照射モジュールを参照する請求項1~14のいずれか一項に記載のプロジェクタ及び照射モジュール(110)の使用であって、使用目的が、マシンビジョン;コンピュータビジョン;ナビゲーション;携帯電話;デジタルカメラ;マシンビジョン装置;タブレット;スマートカメラ;ナビゲーション用カメラ;車両カメラ;通行カメラ又は写真撮影のような交通制御;サービスロボット、ドローン及び車両用のヘッドライト;深さ測定;のためのフラッシュ、測定装置、3D測定装置、マシンビジョン装置、検査ツール、組立ツール、ロボット、スマートカメラ、スマートフォン又はタブレット、測定中のガイダンス、品質検査、組立又は実装、対話型ゲームの1つ以上のためのマーカー投影、からなる群から選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ及び照射モジュール、検出器、少なくとも1つの物体を照射するための方法、及びいくつかの使用に関する。本発明による装置、方法及び使用は、具体的には、例えば、日常生活、ゲーム、交通技術、生産技術、セキュリティ技術、芸術のためのデジタル写真又はビデオ写真などの写真、文書化又は技術目的、医療技術、ホームケア、スマートリビング又は科学の様々な分野で採用され得る。さらに、本発明は、具体的には、例えば、建築、計測、考古学、芸術、医学、工学、又は製造の分野において物体又はシーンの深さプロファイルを生成するためなど、1つ以上の物体をスキャンするため、及び/又はシーンをスキャンするために使用されることができる。しかし、他の用途も可能である。
【背景技術】
【0002】
多くの3Dセンシングシステム及び方法が従来から知られている。3Dセンシングシステムは、3Dセンシング(FaceUnlockとしても知られている)による画像処理と不正検出によるユーザ認証による携帯電話、タブレット又はスマート装置のロック解除、又は例えばゲーム、拡張現実又は仮想現実のためのモバイル3Dセンシング、又はスマートカメラ、スマートセンサ、スマートウォッチ又はタブレットによる3Dセンシングなどのいくつかの用途に使用されている。通常、3Dセンシングシステムは、3つのコンポーネント、すなわち、画像の適切な明るさを確保する照射モジュールと、例えば構造化光、飛行時間、ビームプロファイル解析などのいくつかの技術のいずれかによって3D情報を取得するために使用され得る光スポットのグリッド又はパターンの投影のために構成されたプロジェクタモジュールと、カメラモジュール(画像センサモジュールなど)とを含む。
【0003】
例えば、プロジェクタモジュールは、US8,908,277B2に記載されているような、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイと、マイクロレンズアレイ及び追加レンズを含むなどのコリメーション光学システムを備えることができ、又はUS8,749,796B2に記載されているように、エッジ発光ダイオードレーザなどのレーザ源、コリメーション光学システム及びDOE(回折光学要素)で構成されてよい。明るい光源を必要としないアプリケーションでは、個別指定可能なマイクロLEDアレイ又はマトリックス指定可能なマイクロLEDアレイが、VCSELアレイの代わりに使用され得る。照射モジュールは、US8,743,923B2に記載されているように、例えばLED(発光ダイオード)に基づく、又はVCSELアレイに基づくフラッシュ光源であってよい。ここでも、個別指定可能なマイクロLEDアレイ又はマトリックス指定可能なマイクロLEDアレイが、VCSELアレイの代わりに使用され得る。カメラモジュールは、レンズと読み出しを有する画像センサと、画像処理電子機器を備えることができる。
【0004】
さらに、アップル社(登録商標)のVCSELアレイのように、行(rows)で制御可能なVCSELアレイが知られている。例えば、Trumpf(登録商標)から、レーザに(レーザ上に)一体化されたマイクロレンズアレイが知られている。さらに、ウルム大学の医学及び計測学のレーザ技術研究所によって行われているような、フリーフォーマットの光学アレイの製造が可能であることが知られている。
【0005】
特にモバイル装置による3Dセンシングのためには、、一般的に、モジュールの小型化、低材料費、高信頼性の3つが、重要な要求となっている。性能を向上させながら、コンパクト化又は小型化の増進と、多機能性の増加と、3Dセンシングシステムで使用されるモジュールの消費電力の最小化とに対する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US8,908,277B2
【特許文献2】US8,749,796B2
【特許文献3】US8,743,923B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、既知の装置及び方法の上述の技術的な課題に対する装置及び方法を提供することである。具体的には、本発明の目的は、その性能を向上させながら、向上されたコンパクト化及び/又は小型化と、向上された多機能性と、3Dセンシングシステムに使用される装置の消費電力の最小化を実現できる装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現することができる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0009】
本発明の第1の態様では、プロジェクタ及び照射モジュールが開示される。
【0010】
本明細書で使用される場合、「モジュール」という用語は、独立に作成、修正、取り替え、異なるシステム間で交換することができるユニット又はコンポーネントを指し得る。本明細書で使用される場合、「プロジェクタ及び照射モジュール」という用語は、少なくとも1つの物体を照射するための少なくとも1つの照射パターン及び/又は拡散照射を提供するように構成された光学装置を指し得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、「物体」という用語は、任意の物体、特に物体に入射する少なくとも1つの光ビームを少なくとも部分的に反射するように構成された表面又は領域を指し得る。光ビームは、プロジェクタ及び物体を照射する照射モジュールから発生することができ、光ビームは、物体によって反射又は散乱される。
【0012】
プロジェクタ及び照射モジュールは、シーン照射及びパターン投影のために構成される。本明細書で使用される場合、「パターン」という用語は、シンボルなどの複数の任意の形状特徴を含む任意の既知の又は事前に決定された配置を指し得る。パターンは、複数の特徴を含み得る。パターンは、周期的又は非周期的な特徴の配置を含み得る。パターンの特徴は、互いに異なってよく、重複する領域が可能である。本明細書で使用される場合、「シーン照射」という用語は、領域又はエリアの拡散照射及び/又は均一照射を指し得る。プロジェクタ及び照射モジュールは、光軸を有していてよい。本明細書で使用される場合、「光軸」という用語は、一般に、プロジェクタ及び照射モジュールのミラー対称性又は回転対称性の軸を指す。光軸は、プロジェクタ及び照射モジュールの、特に光学システムの光学構成の対称線であってよい。光学システムは、一例として、少なくとも1つのビーム経路を含んでいてよく、ビーム経路内の光学システムの要素は、光軸に関して回転対称に配置されてよい。さらに、ビーム経路内に配置された1つ以上の光学要素は、光軸に関して中心ズレされているか、又は傾斜していてもよい。しかし、この場合、光軸は、ビーム経路内の光学要素の中心を相互接続することによって、例えば、レンズの中心を相互接続することなどによって、順次定義されてよい。光軸は、一般に、ビーム経路を示し得る。
【0013】
プロジェクタ及び照射モジュールは、座標系を構成してよく、そこでは、縦方向座標lが光軸に沿った座標であり、dが光軸からの空間的オフセットである。座標系は、光軸がz軸を形成し、z軸からの距離及び極角が追加の座標として使用され得る極座標系であり得る。z軸に平行又は逆平行な方向は、縦方向とみなすことができ、z軸に沿った座標は縦方向座標とみなすことができる。z軸に垂直な任意な方向は、横方向とみなすことができ、極座標及び/又は極角度は横方向座標とみなすことができる。
【0014】
プロジェクタ及び照射モジュールは、複数の個別のエミッタの少なくとも1つのアレイと、少なくとも1つの光学システムを備える。個別のエミッタの各々は、少なくとも1つの照射光ビームを生成するように構成される。光学システムは、複数の転送装置の少なくとも1つのアレイを備える。転送装置のアレイは、個別のエミッタの各々について少なくとも1つの転送装置を備える。転送装置のアレイは、転送装置の少なくとも2つのグループを含む。2つのグループの転送装置は、少なくとも1つの特性において、異なる。グループのうちの1つの転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成するように構成されている。他のグループの転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成するように構成されている。
【0015】
本明細書で使用される場合、「エミッタ」という用語は、少なくとも1つの光ビームを生成するように構成された少なくとも1つの光源を指し得る。本明細書で使用される場合、「光線」という用語は、一般に、エネルギーの流れの方向を指す光の波面に垂直な線を指す。本明細書で使用される場合、「ビーム」という用語は、一般に、光線の集まりを指す。以下では、「光線」及び「ビーム」という用語を同義語として使用される。本明細書でさらに使用される場合、「光ビーム」という用語は、一般に光の量を指し、具体的には、本質的に同じ方向に進む光の量であって、光ビームが拡張角又は広がり角を有する可能性を含む。本明細書で使用される場合、「個別の」エミッタという用語は、エミッタが互いに独立して光ビームを生成するように構成されるという事実を指し得る。
【0016】
個別のエミッタの各々は、少なくとも垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又は少なくとも1つのマイクロ発光ダイオード(LED)を含むことができる。本明細書で使用される場合、「垂直共振器面発光レーザ」という用語は、上面に関して垂直なレーザビーム放出のために構成された半導体レーザダイオードを指し得る。VCSELの例は、例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Vertical-cavity_surface-emitting_laserに見出すことができる。VCSELは、WO2017/222618Aからなど、当業者に一般的に知られている。本明細書で使用される場合、「マイクロ発光ダイオード(micro-light emitting diode)」という用語は、顕微鏡的に小さい半導体発光ダイオードを指し得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「複数の個別のエミッタのアレイ」という用語は、個別のエミッタの二次元又は一次元のアレイを指し得る。アレイは、マトリックス状に配置された複数の個別のエミッタを含むことができる。本明細書でさらに使用される場合、「マトリックス」という用語は、一般に、複数要素の所定の幾何学的順序での配置を指す。マトリックスは、具体的には、1つ以上の行(rows)及び1つ以上の列(columns)を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行と列は、具体的には長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることは説明しておく。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、エミッタの単一の行であってよい。他の配置も可能である。
【0018】
VCSELは、共通の基板上又は異なる基板上に配置されてよい。アレイは、2500個までのVCSELを含むことができる。例えばアレイは、3.5Wを有する高出力アレイなど、38×25個のVCSELを含むことができる。例えばアレイは、2.5Wを有する10×27個のVCSELを含むことができる。例えばアレイは、0.9Wを有する96個のVCSELを含むことができる。例えば2500要素のアレイのサイズは、最大2mm×2mmであり得る。
【0019】
個別のエミッタは、800~1000nm、好ましくは940nmの波長範囲で光ビームを放出するように構成され得る。例えば、VCSELは、800~1000nmの波長範囲の光ビームを放出するように構成されることができる。例えば、VCSELは、808nm、850nm、940nm、又は980nmで光ビームを放出するように構成されてよい。VCSELは、例えばCIE 085-1989「太陽スペクトル放射照度」に記載されているように、地上の太陽放射がこの波長で放射照度の局所的最小値を有しているため、940nmで光を放出するのが好ましい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「光学システム」という用語は、一般に、少なくとも2つの構成要素を含む少なくとも1つの光学装置を指す。光学システムは、転送装置の少なくとも1つのアレイを含むことができる。転送装置のアレイは、マトリックス状に配置された複数の転送装置を含むことができる。転送装置のマトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行及び列は、具体的には、長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることは説明しておく。一例として、円形配置も可能であり、そこでは、転送装置は、中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、転送装置の単一の行であってよい。他の配置も可能である。
【0021】
「転送システム」とも呼ばれる「転送装置」という用語は、一般に、光ビームのビームパラメータ、光ビームの幅、又は光ビームの方向のうちの1つ以上を変更することによってなど、光ビームを変更するように構成された1つ以上の光学要素を指し得る。転送装置の各々は、少なくとも1つの多焦点マイクロレンズ又は少なくとも1つの個別指定された又はマトリックス指定された調整可能又は制御可能な多焦点マイクロレンズアレイなどの少なくとも1つのマイクロレンズ;少なくとも1つの透過窓;少なくとも1つのディフューザー;少なくとも1つの回折光学要素からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含んでいてよい。実装では、ビームを複製し、その数を増加させるために、マイクロレンズに加えて、又はマイクロレンズに代えて、回折光学要素を使用することもできる。構造化光パターンの投影のために通常のマイクロレンズアレイの代わりに多焦点マイクロレンズを使用することは、深さ情報の推定精度を高めることができ、検出及び推定され得る深さ範囲を拡大及び拡張することもできる。Algorri,J.F等による、2017年「Tunable liquid crystal multifocal micro-lens array」,Scientific Reports,7(1),17318頁に記載されているように、個別指定された又はマトリックス指定された調整可能又は制御可能な多焦点マイクロレンズアレイを使用することも可能である。
【0022】
転送装置のアレイは、個別のエミッタの各々に対して少なくとも1つの転送装置を備えている。具体的には、アレイの転送装置の各々は、個別のエミッタによって生成された光ビームが、前記個別のエミッタから関連する転送装置に伝播し、そして関連する転送装置に入射するように配置されている。
【0023】
転送装置のアレイは、転送装置の少なくとも2つのグループを含み、そこでは、2つのグループの転送装置は、少なくとも1つの特性において、異なる。転送装置の2つのグループは、それらの屈折力、それぞれのエミッタに対するそれらの相対位置、エミッタまでのそれらの距離、エミッタの光軸に関するそれらの対称性又はそれらの対称軸の傾きのうちの1つ以上において異なっていてよい。転送装置のグループは、少なくとも1つのパターンで配置され、パターンは、ラインパターン又はチェッカーボードパターンである。転送装置の第1グループに関連する個別のエミッタは、第1グループのエミッタと示され得、転送装置の第2グループに関連する個別のエミッタは、第2グループのエミッタと示され得る。転送装置のアレイは、転送装置の2つ以上のグループ、特に3、4、5、6又はそれ以上のグループなどの複数の転送装置のグループを含むことができる。
【0024】
第1グループとも示されるグループの1つの転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成するように構成される。第1グループの個別のエミッタによって生成された光は、次のようにして光学システムによって収集され得る。個別のエミッタのそれぞれから放出され得る光は、エミッタごとにそれぞれ1つのビームに投射されてよい。各ビームは、両横方向軸に対して平行化、収束、又は発散されてよい。第1グループの個別のエミッタの光が第1グループの転送装置に当たると、前記転送装置の各々は、例えばスポット、ライン、ストライプ又は曲線を含む照射パターンを形成することができる。投影された照射パターンは、物体の3D情報を取得するために使用されることができる。本明細書で使用される場合、「照射パターン」という用語は、物体を照射するためのパターンを指す。特に、照射パターンは、個別のエミッタの1つによって生成された単一のビーム及びそのパターンを指し、一方、個別のエミッタのアレイによって生成される全ての照射パターンの集合又は全体は、集合照射パターンと表され得る。照射パターンは、以下:少なくとも1つの点パターン、特に擬似ランダム点パターン;ランダム点パターン又は準ランダムパターン;少なくとも1つのソボル(Sobol)パターン;少なくとも1つの準周期的パターン;少なくとも1つの既知の特徴を含む少なくとも1つのパターン;少なくとも1つの規則的なパターン;少なくとも1つの三角形パターン;少なくとも1つの六角形パターン;少なくとも1つの長方形パターン;凸状の均一なタイル状体(tiling)を含む少なくとも1つのパターン;少なくとも1つの線を含む少なくとも1つの線パターン;平行線又は交差線などの少なくとも2つの線を含む少なくとも1つの線パターン、からなる群から選択される少なくとも1つのパターンを含むことができる。例えば、プロジェクタ及び照射モジュールは、点群又は非点状特徴を生成及び/又は投影するように構成され得る。例えば、プロジェクタ及び照射モジュールは、照射パターンが複数の点特徴又は非点状特徴を含み得るように、点群又は非点状特徴を生成するように構成され得る。照射パターンは、三角形パターン、長方形パターン、六角形パターン、又は凸状タイル状体をさらに含むパターンなどの、規則的及び/又は一定の及び/又は周期的なパターンを含むことができる。照射パターンは、六角形パターンが好ましいように、面積当たり可能な限り多くの特徴を含むことができる。それぞれの照射パターンの2つの特徴間の距離、及び/又は少なくとも1つの照射特徴の面積は、少なくとも1つの検出器によって決定される画像の錯乱円に依存し得る。
【0025】
第2グループと示される他のグループの転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成するように構成される。第2グループの個別のエミッタの光は、第1グループと比較して、異なる方法で光学システムによって収集され得る。光学システムは、エミッタごとに1つの、著しく発散する1つの、個別のビームを発生及び/又は生成することができる。本明細書で使用される場合、「発散する光ビーム」という用語は、光ビームのビーム直径又は半径が転送装置からの距離とともに増加するという事実を指し得る。特に、複数の発散光ビームを発生(generating)及び/又は生成(producing)することによって、拡散照射が発生及び/又は生成される。光学システムは、これらのビームを照射源の光として伝播させ、物体空間内で重複させるように構成され得る。このように、シーン照射とパターン投影の両方が、1つのVCSEL又はマイクロLEDアレイを有する単一モジュールと、上述した又は以下でより詳細に説明するように、少なくとも2つの異なる特性を有する転送装置のアレイを有する光学システムとによって実現され得る。このようにして、所定の物体距離に対して、例えば、エミッタの1つのグループについて集束照射状又は拡散照射状の品質と、エミッタの別のグループについてシャープな又は集束した構造光パターンを実現することが可能である。
【0026】
光学システムは、焦点距離fOpticsを有する少なくとも1つの共通光学系(common optics)を備え得る。本明細書で使用される場合、「共通光学系」という用語は、転送装置のアレイを通過した光ビームに影響を与えるように構成された少なくとも1つの光学系を指し得る。本明細書で使用される場合、「焦点距離」という用語は、光学系に入射し得る入射コリメート光線が「フォーカルポイント(focal point)」とも呼ばれる「焦点(focus)」に集束される距離を指す。したがって、焦点距離は、入射光ビームを収束させる光学系の能力の指標を構成する。したがって、共通光学系は、収束レンズの効果を有することができる1つ以上のイメージ要素を含むことができる。具体的には、共通光学システムは、1つ以上のレンズを有してよい。共通光学系は、所望のビーム直径を有する光ビームを生成するように構成されることができる。
【0027】
例えば、第1グループと第2グループの転送装置は、異なる焦点距離が割り当てられるように、それらの屈折力が異なってよい。グループの1つの転送装置は第1焦点距離fML_G1を有し、他方のグループの転送装置は焦点距離fML_G2を有する。グループの1つの転送装置は、共通光学系との組み合わせで、第1の屈折力1/feff_G1=1/fML_G1+1/fOpticsを有し、他方のグループの転送装置は、共通光学系との組み合わせで、第2の屈折力1/feff_G2=1/fML_G2+1/fOpticsを有する。2つのグループの有効焦点距離であるfeff_G1、feff_G2をそれぞれ調整することにより、コリメート特性、収束特性又は発散特性のうちの1つ以上を制御することができる。
【0028】
個別のエミッタの発光波長は、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、転送装置の同じグループに関連する個別のエミッタは、同じ特定の発光波長を有することができる。異なる波長を使用する場合、波長は異なるアプリケーションに使用されてよい。例えば、第1波長は距離の決定に使用され、第2波長は照射された物体の少なくとも1つの材料特性を決定するために使用されてよい。発散光ビームと照射パターンの明るさは、個別に制御可能であってよい。具体的には、転送装置の同じグループに関連する個別のエミッタの放射出力は、個別に制御可能及び調整可能であり得る。第1グループと第2グループの個別のエミッタの電流をトグル式に切り替えるにより、均一な照射と構造化光パターン投影の間をトグル式に切り替えることが可能であり得る。例えば、アレイの個別のエミッタの放射出力は、個別のエミッタごとに制御可能及び調整可能である。これにより、目などの物体の感光領域内のシャープな構造化光パターンを低減又はスイッチオフすることが可能である。さらに、均一な照射又は構造化光パターンに、QRコード、警告テキストメッセージ又はあらゆる種類のラベルなどの、任意のパターン又は画像を重ねることが可能にすることができる。例えば、放射出力は、電流を個別に設定及び調整することによって、又は各個別のエミッタとその転送装置の間に液晶素子を利用することによって、制御可能であり得る。
【0029】
個別のエミッタの個別の放射出力は、明るいスポットと暗いスポットが物体に投影されるように、制御可能及び調整可能であり得る。例えば、静的マイクロレンズアレイと各マイクロエミッタの発光強度(emission intensity)を制御及び調整するための静的チューニングマップの静的な組み合わせが使用されることができる。静的マイクロレンズアレイは、ランダムに、疑似ランダムに、又は系統的に(例えば繰り返し系統的に)変化するサイズ及び形状を有するマイクロレンズの組み合わせを含むことができる。静的チューニングマップは、個別のエミッタの放射出力をランダムな、擬似ランダムな、又は系統的な方式で制御及び調整することができる。
【0030】
本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、既知のプロジェクタ及び照射装置を考慮すると、複数の利点を有する。モジュールの数を減らすことができる。シーン照射とパターン投影のために1つのモジュールだけを使用することが可能である。組み合わされた適応型及び/又はスマート照射及び投影機能を提供することができる。本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、必要な均一な照射及び構造化光を提供するために1つの小型モジュールのみを使用することを可能にし、以下により詳細に示すように、均一な照射を使用する場合には2D画像を取得するために、構造化光を使用する場合には3D情報を取得するために、1つの画像センサモジュールのみを使用することを可能にする。このように、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、製品の複雑さの削減、必要なフォームファクタの削減、材料費の削減、組立コストの削減、製造及び運用における故障率の削減を可能にすることができる。スマート及び/又は適応機能を利用することに加えて、より優れた性能を達成し、エラー及び誤較正の原因を排除するために、高い信頼性が、含まれるモジュール及びコンポーネントの設計を最適化することによって達成されることができる。
【0031】
本発明のさらなる態様では、検出器が開示される。検出器は、上記で開示された実施形態の1つ以上によるような、又は以下にさらに詳細に開示される実施形態の1つ以上によるように、本発明による少なくとも1つのプロジェクタ及び照射モジュールを備える。検出器は、少なくとも1つの画像センサと少なくとも1つの読み出しを有する少なくとも1つのカメラモジュールと、画像処理装置とをさらに備える。
【0032】
本明細書で使用される場合、「カメラモジュール」という用語は、少なくとも1つの画像を記録するように構成された少なくとも1つの光学要素を指し得る。カメラモジュールは、個別のエミッタの発光波長範囲に適合された透過波長範囲を有する少なくとも1つのバンドパスフィルタを備えることができる。カメラモジュールは、ベースラインによって個別のエミッタのアレイから分離されてよい。カメラモジュール、特に画像センサは、発散光ビームによって照射された少なくとも1つの物体の少なくとも1つの2D画像を画像化するように構成されることができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「画像センサ」という用語は、一般に、少なくとも1つの光ビームによって生成された照射及び/又は光スポットを検出するためなどの、光ビームを検出するための感光装置を指す。画像センサは、感光エリアを有することができる。本明細書でさらに使用される場合、「感光エリア」は、一般的に、少なくとも1つの光ビームによって外部から照射され、該照射に応答して少なくとも1つのセンサ信号を生成する、画像センサのエリアを指す。感光エリアは、具体的には、それぞれの画像センサの表面に位置することができる。しかしながら、他の実施形態も可能である。
【0034】
画像センサは、少なくとも1つのセンサ要素を備えることができる。本明細書で使用される場合、「センサ要素」という用語は、一般に、少なくとも1つのパラメータを感知するように構成された装置又は複数の装置の組み合わせを指す。この場合、パラメータは、具体的には光パラメータであってよく、センサ要素は、具体的には光センサ要素であってよい。センサ要素は、一体の単一装置として、又はいくつかの装置の組み合わせとして形成され得る。センサ要素は、光センサの少なくとも1つのマトリックスを含むことができる。本明細書でさらに使用される場合、「マトリックス」という用語は、一般に、所定の幾何学的順序の複数要素の配置を指す。マトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行と列は、具体的には長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることを説明しておく。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、ピクセルの単一の行であってよい。他の配置も可能である。マトリックスの光センサは、具体的には、サイズ、感度、及び他の光学的、電気的、機械的特性のうちの1つ以上で等しくてよい。マトリックスの全ての光センサの感光エリアは、具体的には、共通の平面内に配置されてよく、該共通平面は、好ましくは、物体から検出器に伝播する光ビームが該共通平面上に光スポットを生成するように、物体に面してよい。
【0035】
マトリックスは、m行及びn列を有することができ、ここで、m、nは独立して正の整数である。好ましくは、複数の列及び複数の行が与えられ、すなわち、n>1、m>1である。したがって、一例として、nは2~16以上であり得、mは2~16以上であり得る。好ましくは、行数と列数の比は1に近い。一例として、n及びmは、m/n=1:1、4:3、16:9又は類似のものを選択することなどにより、0.3≦m/n≦3となるように選択され得る。一例として、マトリックスは、m=2、n=2又はm=3、n=3などを選択することなどにより、等しい数の行及び列を有する正方形アレイであってよい。
【0036】
マトリックスは、具体的には、少なくとも1行、好ましくは複数行及び複数列を有する長方形のマトリックスであってよい。一例として、行及び列は、実質的に垂直な方向に方向付けられてよく、「実質的に垂直」という用語に関しては、上記の定義を参照することができる。したがって、一例として、20°より小さい、具体的には10°より小さい、又は5°より小さい許容誤差さえ許容され得る。広い視野を提供するために、マトリックスは、具体的には、少なくとも10行、好ましくは少なくとも50行、より好ましくは少なくとも100行を有することができる。同様に、マトリックスは、少なくとも10列、好ましくは少なくとも50列、より好ましくは少なくとも100列を有することができる。マトリックスは、少なくとも50個の光センサ、好ましくは少なくとも100個の光センサ、より好ましくは少なくとも500個の光センサを含むことができる。マトリックスは、数メガピクセルの範囲の数のピクセルを含むことができる。しかしながら、他の実施形態も可能である。したがって、軸回転対称性が期待される構成では、ピクセルとも呼ばれ得るマトリックスの光センサの円形配置又は同心配置が好ましいことがある。
【0037】
光センサは、具体的には、光検出器、好ましくは無機光検出器、より好ましくは無機半導体光検出器、最も好ましくはシリコン光検出器であってもよいし、又はそれらを含んでいてもよい。具体的には、光センサは、赤外スペクトル範囲において感度を有してよい。マトリックスの光センサの全て、又はマトリックスの光センサの少なくとも一群は、具体的には同一であってよい。マトリックスの同一の光センサの群は、具体的には、異なるスペクトル範囲について提供されてもよく、又は全ての光センサは、スペクトル感度に関して同一であってよい。さらに、光センサは、サイズ及び/又はそれらの電子的又は光電子的特性に関して同一であってよい。
【0038】
具体的には、光センサは、赤外スペクトル範囲、好ましくは780nmから3.0マイクロメートルの範囲に感度を有する無機フォトダイオードであってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。具体的には、光センサは、シリコンフォトダイオードが適用可能な特に700nm~1000nmの範囲の近赤外領域の部分で感度を有してよい。光センサに使用され得る赤外光センサは、例えば、ドイツ,D-67056 Ludwigshafen am RheinのtrinamiX GmbHのHertzstueck(登録商標)というブランド名で市販されている赤外光センサなど、市販の赤外光センサであってよい。したがって、一例として、光センサは、固有の光起電型の少なくとも1つの光センサ、より好ましくは、Geフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、拡張InGaAsフォトダイオード、InAsフォトダイオード、InSbフォトダイオード、HgCdTeフォトダイオード、からなる群から選択される少なくとも1つの半導体フォトダイオードを含み得る。追加的又は代替的に、光センサは、外因性光起電型の少なくとも1つの光センサ、より好ましくはGe:Auフォトダイオード、Ge:Hgフォトダイオード、Ge:Cuフォトダイオード、Ge:Znフォトダイオード、Si:Gaフォトダイオード、Si:Asフォトダイオードからなる群から選択される少なくとも1つの半導体フォトダイオードを含み得る。追加的又は代替的に、光センサは、少なくとも1つのボロメータ、好ましくはVOボロメータ及びアモルファスSiボロメータからなる群から選択されるボロメータを含み得る。
【0039】
マトリックスは、独立した光センサで構成されてよい。したがって、マトリックスは、無機フォトダイオードから構成されていてよい。しかしながら、代替的に、市販のマトリックス、例えば、CCD検出器チップなどの1つ以上のCCD検出器、及び/又はCMOS検出器チップなどのCMOS検出器が使用されてもよい。
【0040】
好ましくは、センサ要素は、検出器の光軸に対して実質的に垂直に方向付けされ得る。ここでも、「実質的に垂直」という用語に関して、上述の定義及びの許容誤差を参照することができる。光軸は、直線の光軸であってもよいし、又は、1つ以上の偏向要素を使用することによって、及び/又は1つ以上のビームスプリッタを使用することによってなど、屈折又は分割さえされてよく、後者の場合、実質的に垂直な方向付けは、光学構成のそれぞれの分岐又はビーム経路の局所的な光軸を指し得る。
【0041】
検出器は、構造化光、三角測量、飛行時間(ToF)、投影照射パターンを使用したビームプロファイル解析のうちの1つ以上によって、深さ情報、特に物体の深さ情報を決定するように構成されることができる。ビームプロファイル解析に関しては、WO2018/091649A1、WO2018/091638A1及びWO2018/091640A1が参照され、その内容は参照によって含まれる。
【0042】
例えば、ビームプロファイル解析を使用するために、プロジェクタは、物体を照射するための少なくとも2つのパターンを生成するように構成され得る。本明細書で使用される場合、「ビームプロファイル」という用語は、特に光ビームの伝播に垂直な少なくとも1つの平面における、光ビームの強度の空間分布に関する。ビームプロファイルは、光ビームの横方向の強度プロファイルであってよい。ビームプロファイルは、光ビームの断面であってよい。ビームプロファイルは、台形ビームプロファイル;三角形ビームプロファイル;円錐形ビームプロファイル及びガウスビームプロファイルの線形結合からなる群から選択されてよい。しかしながら、他の実施形態も可能である。
【0043】
検出器は、少なくとも1つの評価装置を備えてよい。本明細書でさらに使用される場合、「評価装置」という用語は、一般に、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置を使用することにより、より好ましくは、少なくとも1つのプロセッサ及び/又は少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することにより、ビームプロファイル解析を決定するように構成された任意の装置を指す。したがって、一例として、少なくとも1つの評価装置は、多数のコンピュータコマンドを含むそこに保存されたソフトウェアコードを有する少なくとも1つのデータ処理装置を含むことができる。評価装置は、指定された操作の1つ以上を実行するための1つ以上のハードウェア要素を提供してよいし、及び/又は、指定された操作の1つ以上を実行するための、そこで実行されるソフトウェアを有する1つ以上のプロセッサを提供してよい。物体の深さ情報、特に物体の少なくとも1つの縦方向座標を決定することを含むビームプロファイル解析は、少なくとも1つの評価装置によって実行される。したがって、一例として、結合信号と縦方向座標との間の関係の1つ以上は、1つ以上のルックアップテーブルを実装することなどにより、ソフトウェア及び/又はハードウェアに実装されてよい。したがって、一例として、評価装置は、物体の少なくとも1つの縦方向座標を決定するために、上述の評価を実行するように構成された1つ以上のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上のプログラム可能な装置を備えることができる。しかしながら追加的に又は代替的に、評価装置はまた、完全に又は部分的にハードウェアによって具体化されてよい。
【0044】
評価装置は、2D画像の少なくとも1つの特徴を選択するように構成され得る。評価装置は、距離に応じて、ビームプロファイルを評価するために最適な特徴を選択するように構成され得る。評価装置は、ビームプロファイルを評価するために最適なスポットサイズを有する特徴を選択するように構成されてよい。評価装置は、近距離に対して1つの特徴又はスポットの群を使用し、遠距離には他の特徴又は別の群を使用するように構成されてよい。このようにして、適用可能な距離範囲を拡張することができ、距離測定の精度を向上させることができる。同時に、周囲光に対するロバスト性も向上される。
【0045】
評価装置は、いわゆる光子比からの深さ技術を使用することによって、2D画像の選択された特徴の少なくとも1つの縦方向座標zを決定するように構成されてよい。評価装置は、カメラモジュールのセンサ信号からの結合信号Qを評価することによって、選択された特徴の少なくとも1つの縦方向座標zを決定するように構成されてよい。本明細書で使用される場合「結合信号Q」という用語は、センサ信号を結合することによって、特に、センサ信号を除算すること、センサ信号の倍数を除算すること、又はセンサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって、生成される信号を指す。評価装置は、センサ信号を除算すること、センサ信号の倍数を除算すること、センサ信号の線形結合を除算することのうちの1つ以上によって、結合信号Qを導出するように構成されてよい。評価装置は、縦方向座標を決定するために、結合信号Qと縦方向座標zとの間の少なくとも1つの所定の関係を使用するように構成されてよい。例えば、評価装置は、次のように結合信号Qを導出するように構成され、
【数1】
式中、x及びyは横方向座標、A1及びA2はカメラモジュールの位置における反射光ビームの少なくとも1つのビームプロファイルの異なるエリア、E(x、y、z)は物体距離zで与えられるビームプロファイルを表す。エリアA1とエリアA2は異なっていてよい。特に、A1とA2は合同ではない。したがって、A1及びA2は、形状又は内容のうちの1つ以上で異なっていてよい。一般に、ビームプロファイルは、輝度L(z)及びビーム形状S(x,y;z)に依存し、E(x,y;zo)=L・Sである。このように、結合信号を導出することで、輝度から独立して縦方向座標を決定することができる。さらに、結合信号を使用することにより、物体の大きさとは無関係に距離zを決定することができる。このように、結合信号は、物体の材料特性及び/又は反射特性及び/又は散乱特性とは無関係に、及び、例えば製造精度、熱、水分、汚れ、レンズの損傷などによる光源の変化とは無関係に、距離zを決定することを可能にする。
【0046】
センサ信号のそれぞれは、光ビームのビームプロファイルの少なくとも1つのエリアの少なくとも1つの情報を含むことができる。本明細書で使用される場合、「ビームプロファイルのエリア」という用語は、一般に、結合信号Qを決定するために使用されるセンサ位置におけるビームプロファイルの任意の領域を指す。感光エリアは、第1センサ信号がビームプロファイルの第1エリアの情報を含み、及び第2センサ信号がビームプロファイルの第2エリアの情報を含むように配置されてよい。ビームプロファイルの第1エリア及びビームプロファイルの第2エリアは、隣接又は重複する領域の一方又は両方であってよい。ビームプロファイルの第1エリアとビームプロファイルの第2エリアは、エリアにおいて正確に合致しない場合がある。
【0047】
評価装置は、ビームプロファイルの第1エリア及びビームプロファイルの第2エリアを決定及び/又は選択するように構成されてよい。ビームプロファイルの第1エリアは、ビームプロファイルの実質的にエッジ情報を含んでよく、ビームプロファイルの第2エリアは、ビームプロファイルの実質的に中心情報を含んでよい。ビームプロファイルは、中心、すなわちビームプロファイルの最大値及び/又はビームプロファイルのプラトーの中心点及び/又は光スポットの幾何学的中心と、中心から延びる立下りエッジとを有してよい。第2領域は、断面の内側領域を含んでよく、第1領域は、断面の外側領域を含んでよい。本明細書で使用される場合、「実質的に中心情報」という用語は、一般に、中心情報の割合、すなわち中心に対応する強度分布の割合と比較して、エッジ情報の割合が低いこと、すなわちエッジに対応する強度分布の割合が低いことを指す。好ましくは、中心情報は、10%未満、より好ましくは5%未満のエッジ情報の割合を有し、最も好ましくは、中心情報はエッジ内容を含まない。本明細書で使用される場合、「実質的にエッジ情報」という用語は、一般に、エッジ情報の割合と比較して、中心情報の割合が低いことを指す。エッジ情報は、ビームプロファイル全体の情報、特に中心領域及びエッジ領域からの情報を含み得る。エッジ情報は、10%未満、好ましくは5%未満の中心情報の割合を有し、より好ましくは、エッジ情報は中心情報を含まない。ビームプロファイルが中心に近いか又はその周囲にあり、実質的に中心情報を含む場合は、ビームプロファイルの少なくとも1つのエリアは、ビームプロファイルの第2エリアとして決定及び/又は選択されてよい。ビームプロファイルが断面の立下りエッジの少なくとも部分を含む場合は、ビームプロファイルの少なくとも1つのエリアは、ビームプロファイルの第1エリアとして決定及び/又は選択されてよい。例えば、断面の全エリアが第1領域として決定されてよい。ビームプロファイルの第1エリアをエリアA2、ビームプロファイルの第2エリアをエリアA1としてよい。
【0048】
第1エリアA1及び第2エリアA2の他の選択も可能であり得る。例えば、第1エリアは、ビームプロファイルの実質的に外側領域を含み、第2エリアは、ビームプロファイルの実質的に内側領域を含み得る。例えば、二次元ビームプロファイルの場合、ビームプロファイルは左側部分と右側部分に分割されることができ、そこでは、第1エリアはビームプロファイルの左側部分のエリアを実質的に含み、第2エリアはビームプロファイルの右側部分のエリアを実質的に含んでよい。
【0049】
エッジ情報は、ビームプロファイルの第1エリアにおける光子数に関する情報を含み、中心情報は、ビームプロファイルの第2エリアにおける光子数に関する情報を含み得る。評価装置は、ビームプロファイルの面積分を決定するように構成されてよい。評価装置は、第1エリアの積分及び/又は加算によってエッジ情報を決定するように構成されてよい。評価装置は、第2エリアの積分及び/又は加算によって中心情報を決定するように構成されてよい。例えば、ビームプロファイルは台形ビームプロファイルであってよく、評価装置は台形の積分を決定するように構成されてよい。さらに、台形ビームプロファイルが仮定される場合、エッジ信号及び中心信号の決定は、例えばエッジの傾斜及び位置の決定、及び中心プラトーの高さの決定、ならびに幾何学的考察によるエッジ信号及び中心信号の導出など、台形ビームプロファイルの特性を利用した同等評価で置き換えられてよい。
【0050】
追加的又は代替的に、評価装置は、光スポットの少なくとも1つのスライス又はカットから中心情報又はエッジ情報の一方又は両方を決定するように構成されてよい。これは、例えば、結合信号Qの面積分をスライス又はカットに沿った線積分に置き換えることによって実現できる。精度を向上させるために、光スポットを通る複数のスライス又はカットを使用して平均化してもよい。楕円スポットプロファイルの場合には、複数のスライス又はカットにわたって平均化することにより、改善された距離情報が得られる場合がある。
【0051】
評価装置は、エッジ情報と中心情報の除算、エッジ情報と中心情報の倍数の除算、エッジ情報と中心情報の線形結合の除算、のうち1つ以上によって結合信号Qを導出するように構成されてよい。このように、実質的には、光子比が本方法の物理的基礎として使用されることができる。
【0052】
本明細書でさらに使用される場合、「読み出し及び画像処理装置」という用語は、一般に、画像センサによって生成されたセンサ信号を読み出しと、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置を使用することにより、より好ましくは、少なくとも1つのプロセッサ及び/又は少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することにより、画像処理をするように構成された任意の装置を指す。したがって、一例として、少なくとも1つの読み出し及び画像処理装置は、多数のコンピュータコマンドを含み、その上に保存されたソフトウェアコードを有する少なくとも1つのデータ処理装置を備えることができる。読み出し及び画像処理装置は、指定された操作の1つ以上を実行するための1つ以上のハードウェア要素を提供することができ、及び/又は、指定された操作の1つ以上を実行するためのその上で実行されるソフトウェアを有する1つ以上のプロセッサを提供することができる。読み出し及び画像処理装置は、物体の深さ情報を決定するためなど、上述の読み出し及び処理を実行するように構成された1つ以上のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上のプログラム可能な装置を備えることができる。しかしながら、追加的又は代替的に、読み出し及び画像処理装置は、完全に又は部分的にハードウェアによって具現化されてもよい。
【0053】
詳細、選択肢、及び定義については、上述したプロジェクタ及び照射モジュールを参照することができる。したがって、具体的には、上記で説明されたように、検出器は、上記で与えられ又は以下でさらに詳細に与えられる1つ以上の実施形態によるなどの、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールの使用を含むことができる。
【0054】
さらなる態様において、本発明は、プロジェクタを参照する1つ以上の実施形態によるなどの、本発明による少なくとも1つのプロジェクタ及び照射モジュールと、上記に開示され、又は以下にさらに詳細に開示されるようなプロジェクタとを用いることによって、少なくとも1つの物体照射する方法を開示している。それでも、他のタイプの少なくとも1つのプロジェクタ及び照射モジュールを使用することができる。本方法は、以下の方法ステップを含み、ここで、方法ステップは、所定の順序で実行されてもよいし、異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つ以上の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、方法ステップの1つ、1つより多く、又は、全てさえも、繰り返し実行されてよい。
【0055】
プロジェクタ及び照射モジュールは、複数の個別のエミッタの少なくとも1つのアレイと、少なくとも1つの光学システムとを備える。個別のエミッタの各々は、少なくとも1つの照射光ビームを生成する。光学システムは、複数の転送装置の少なくとも1つのアレイを備える。転送装置のアレイは、個別のエミッタの各々に対して少なくとも1つの転送装置を備える。転送装置のアレイは、転送装置の少なくとも2つのグループからなる。2つのグループの転送装置は、少なくとも1つの特性において異なる。グループのうちの1つの転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成する。他のグループの転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成する。
【0056】
本方法は、少なくとも1つの画像化ステップを含むことができ、そこでは、物体は、少なくとも1つの画像センサと、少なくとも1つの読み出し及び画像処理装置とを含む少なくとも1つのカメラモジュールによって画像化される。画像化は、発散光ビームによって照射された少なくとも1つの物体の少なくとも1つの2D画像を画像化することを含むことができる。
【0057】
本方法は、構造化光、三角測量、飛行時間(ToF)、投影照射パターンを使用したビームプロファイル解析のうちの1つ以上によって、深さ情報を決定することをさらに含むことができる。
【0058】
詳細、選択肢、及び定義については、上述したプロジェクタ及び照射モジュール、並びに検出器を参照することができる。したがって、具体的には、上記で説明されたように、本方法は、上記で与えられ又は以下でさらに詳細に与えられる1つ以上の実施形態によるなどの、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールを使用することを含む。
【0059】
本発明の検出器及び装置のさらなる使用に関しては、WO2018/091649A1、WO2018/091638A1及びWO2018/091640A1が参照され、その内容は参照によって含まれる。
【0060】
本発明のさらなる態様では、上記で与えられ又は以下でさらに詳細に与えられる1つ以上の実施形態によるなどの、本発明によるプロジェクタと照射モジュールの使用であって、以下の:マシンビジョン;コンピュータビジョン;ナビゲーション;携帯電話;デジタルカメラ;マシンビジョン装置;タブレット;スマートカメラ;ナビゲーション用カメラ;車両カメラ;通行カメラ又は写真撮影などの交通制御;サービスロボット、ドローン及び車両用のヘッドライト;深さ測定のためのフラッシュ、測定装置、3D測定装置、マシンビジョン装置、検査ツール、組立ツール、ロボット、スマートカメラ、スマートフォン又はタブレット、測定中のガイダンス、品質検査、組立又は実装、対話型ゲームの1つ以上のためのマーカー投影、の群から選択される使用目的のための使用が提案される。
【0061】
本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、空間的及び/又は時間的に制御された照射源が有益であるいくつかの用途に使用されることができる。具体的には、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、マシンビジョン、サービスロボット、コンピュータビジョン、ナビゲーションセンサ、輸送及び交通制御カメラ、通行カメラ又は写真撮影のためのフラッシュに使用されることが可能である。
【0062】
例えば、マシンビジョン、コンピュータビジョン、ナビゲーション、携帯電話、車両カメラ、交通制御もしくは通行カメラ、又は携帯電話などのアプリケーション装置を使用した写真撮影、デジタルカメラ、マシンビジョン装置、タブレット、スマートカメラ、ナビゲーション、車両もしくは交通制御用カメラ又はその他のカメラ装置などのフラッシュの適用分野では、以下の問題:誰かが目を眩むのを回避すること;写真撮影で赤目現象を回避することが、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールによって対処されることができる。赤目現象は、フラッシュを低い周囲光で使用したときに、人物又は一部の動物の瞳孔が画像内で赤く表示される、写真撮影における一般的な現象である。さらに、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールによって、以下の問題:明るすぎる照射、又は光沢あるいは反射性の物体表面からの反射によって引き起こされる露出過多の画像部分を回避すること;フラッシュ装置は高い消費電力を有し、高い充電容量を有する適切な電池は高価であるため、フラッシュ装置の電力消費を削減すること;他の装置との干渉を回避すること;他のカメラ、LiDAR(光検出と測距)センサ又は他の感光装置がフラッシュ光によって目を眩んだり干渉されたりすることを回避すること;感光材料が強い光に照らされることを回避すること;個人のプライバシーを尊重し、機密又は秘密を見るための法律及び義務を適用すること;制御されていない又は望ましくない照射による画像処理及びコンピュータビジョンアルゴリズムの妨害又は干渉を回避すること、が対処され得る。
【0063】
例えば、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、以下のように使用されることができる。低強度の照射を使用して第1画像を取得し、アルゴリズム(例えば、特徴検出又は畳み込みニューラルネットワークに基づくアルゴリズム)により、人の目又は露出過多の領域を検出すること。検出された目又は露出過多の画像領域を含む画像部分に対応するそれらの角度におけるフラッシュ照射を減少させること。画像部分が、動いている人が目を眩らないことも確かにしつつ、より大きく選択されることができる。次に、調整された所望のフラッシュ照射で第2画像を取得すること。
【0064】
例えば、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、以下のように使用されることができる:第1画像及び/又は深度画像を記録すること。どの関心領域が少しでも照射されるべきか、又はどのレベルの強度で照射されるべきかを分析すること。関心領域が既に分かっている場合、第1画像の取得を省略することができる。特別な照射のためのあり得る関心領域は:空を照射しない、又はより空を低い光強度で照射しない;深さ画像で識別された遠距離の物体を照射しない、又はそれらを低い光強度で照射しない;所定の閾値レベルを超える画像/ピクセルを有する画像領域を照射しない、又はそれらを低い光強度で照射しない;関心のある物体又は人物だけを照射する、又はシーンの他の部分と比較してより高い又は低い強度でそれらを照射する;カメラ、センサ、感光装置、材料を照射しない、又はシーンの他の部分と比較してより低い強度でそれらを照射する;ナンバープレートを照射するが、ドライバー、通路又は交通参加者を照射しない、又はシーンの他の部分と比較してより低い強度でそれらをそれぞれ照射する;プライバシー又は秘密が懸念される人、物又は領域を照射しない、のうちの1つ以上であり得る。異なる画像領域に対する所望のフラッシュ強度レベルを計算すること。該所望のフラッシュ照射により第2画像を取得すること。フラッシュ光のみが照射目的のために適用されることができ、構造化光パターンは投影されない。個別のエミッタは、光学画像化の法に従うことにより、特定の画像領域に対応することができる。エミッタの放射出力の削減は:これらのエミッタのための電流を削減すること;マイクロレンズアレイの前又は後に液晶素子アレイ、直線光学偏光子箔又はコーティングを配置すること、のうちの1つ以上によって行われることができる。このようにして、選択されたエミッタの放射出力を削減又は減衰させることができる。光学系を設計及び最適化することにより、これら個別のエミッタは異なる立体角を照射し、したがって特定の画像領域の明るさを制御することができる。周囲光又は望ましくない照射は、バンドパスフィルタをカメラに搭載することによって抑えられることができ、該バンドパスフィルタの波長は、VCSEL又はマイクロLEDエミッタ波長に適合される。VCSEL又はマイクロLEDアレイから放出される光は白色ではなく、単色である。マシンラーニング/ビジョン、ナビゲーション、コンピュータビジョンなど、多くのアプリケーションでは、白色フラッシュは必要ではない。近赤外線、赤色光又は緑色光などの単色フラッシュがここではうまく作用する。例えば、携帯電話のロック解除のためのユーザ識別としての携帯電話アプリケーションの場合、カラー画像は必要ない。白色フラッシュは、光変換ユニット、例えばレーザ活性化リモート蛍光体(LARP)システムを使用することによって生成されることができる。このような変換ユニットは、例えば、レーザベースの自動車用ヘッドライトに使用されてように、青色レーザ光を白色光に変換する。
【0065】
次の利点を実現できる:フラッシュによって人が目を眩んだり、又は取り乱されたりしない。人が、フラッシュ光の結果として、画像取得時に目をつぶらない。暗い画像エリアに対する照射を局所的に増やすことができる。明るすぎる照射、又は光沢性又は反射性の物体表面からの反射によって引き起こされる露出過多の画像部分は、これらの領域内で局所的に照射を減らすことによって回避されることができる。望ましくない照射による画像処理でのアーティファクト又は問題が回避される。フラッシュ装置の出力消費を削減することができる。装置の干渉を回避することができる。感光材料が照射され過ぎない。プライバシー又は法的要件が考慮される。
【0066】
本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、車両、サービスロボット又はドローン用のヘッドライトに使用されることができる。この適用分野では、交通参加者がヘッドライトによって目が眩むこと、又は障害物もしくは道路の遠方部分の照射がしばしば十分でないことを回避する必要性などの問題が発生し得る。例えば、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、以下のように使用されることができる:特定の関心領域、例えばカメラベースの高度運転支援システム又はカメラベースの自律運転システムによって交通参加者が検出される場所に対応する立体角で放出される照射を減少させること。任意に、特定の関心領域、例えば交通標識、障害物及び/又は道路の遠方部分に対応する立体角で放出される照射を増加させること。カメラベースの運転支援システム又は自律走行システムによって、あるいは車車間通信又は車インフラストラクチャ通信(C2I-,car-to-X通信)によって、これらの領域を選択すること。サービスロボットへの適用では、シーン内の目及び明るい物体に対応する立体角で放出される照射を減らし、放射された光に感度のある肌部分でない髪又は暗い物体に対して照射を増やすこと。ドローン及び同様の無人遠隔操作車両又は自律走行車両の場合は、様々な波長範囲の光源が使用され得る。照射出力の増加又は減少を必要とするシーンの関心領域は、対象アプリケーションに依存する。本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、車両用の白色ヘッドライトを生成するために、変換ユニット(例えばレーザ活性化遠隔蛍光体(LARP)システム)と組み合わせて使用されることができる。前方監視カメラは、関心領域に対応する放射の立体角を決定するために、高度運転支援システム又は自律走行システムに使用されることができる。サービスロボットへの適用では、単色の近赤外光で十分であり、ユーザの邪魔にならずにより快適に使用され得る。現在、ディップヘッドライトは、交通参加者がヘッドライトによって目が眩むのを避けるために使用されている。本発明は、適応型及び/又はスマート照射を提供することを提案する。照射は、特に、より遠い距離に対して、又は選択された関心領域に対して、より優れている。
【0067】
本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、拡散からの深さ、飛行時間、構造化光ベース及び三角測量ベースの深さ又は距離測定を用いるなどの深さ測定に使用されることができる。距離測定の分野では、異なるタイプの深さ又は距離測定技術が知られており、これらは、ほぼ等しいサイズの光スポットのパターン(これらは等しいビーム発散に対応する)を使用するが、しばしば、以下の制限又は問題のうちの1つ又はいくつかに悩まされる:具体的には、いわゆる対応問題:例えば画像化されたスポットのそれぞれの三角法シフトに起因する、スポットパターンの画像中の個々のスポットを識別する問題。具体的には、高強度の周囲光下での限定された距離範囲での存在:周囲光に対して投影されたスポット光強度が、距離とともに低下する。この影響は、投影ビームの発散を増加させると強く増加する。そのため、高強度の周囲光下では、より遠方のスポットを確実に検出することができなくなる。一方、収束ビーム、コリメートビーム又は発散ビームは、より遠距離にあるターゲットの画像では非常に小さく表れる。このため、それらの検出が困難となる。さらに、画像化されたスポットが小さすぎると、それらを解析することが困難になる。この場合、拡散による深さなどの距離計測技術では、大きな計測誤差が発生する。さらに、画像化されたシーンが複雑で、反射率の高い物体及び半透明又は透明な物体を含む場合、いくつかの検出されたスポットは、他のものが薄すぎるのに、明るすぎることがある。例えば、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、以下のように使用されることができる:プロジェクタ及び照射モジュールを使用して、様々なサイズのスポットを含むレーザスポットパターンを生成投影すること。様々な焦点距離のマイクロレンズの混合を含むマイクロレンズアレイがその目的を達成するために使用されることができる。個別指定された又はマトリックス指定された調整可能又は制御可能な多焦点マイクロレンズアレイを使用して、様々なスポットサイズの混合を有するそのようなスポットパターンを作成することも可能である。スポットサイズに加えて、様々な形状、楕円率及び/又は楕円形の角度配向、又は対称軸を有するスポットを有することも可能である。高強度で照射された物体上では小さなスポットの方が検出しやすく、一方、より遠方距離の推定には大きなスポットの方が適している。さらに、明るいスポットと暗いスポットを処理し、同時に検出できるようにするために、各スポットの光放射強度を個別に制御及び調整することによって、距離測定システムのダイナミックレンジを向上させることが可能である。静的マイクロレンズアレイと、各マイクロエミッタの発光強度を制御及び調整するための静的チューニングマップの静的な組み合わせも使用されることができる。静的マイクロレンズアレイは、ランダムに、疑似ランダムに、又は系統的に(例えば繰り返し系統的に)変化するサイズ及び形状を有するマイクロレンズの混合を含むことができる。静的チューニングマップは、マイクロエミッタの放射出力をランダムな、擬似ランダムな又は系統的な方式で制御及び調整することができる。本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールを使用することは、以下の利点を有することができる:スポットグループのスポットサイズは、異なる距離に対して最適になるように適合されることができる:例えば、近距離に対してはスポットの1つのグループを使用し、遠い距離に対しては他の又は別のグループを使用する。このようにして、適用可能な距離範囲が拡大され、距離測定の精度が改善される。同時に、周囲光に対するロバスト性も改善される。異なる/様々なスポットサイズ、形状、スポット楕円率又はスポット楕円率軸を用いることで、対応問題をより容易に解決することができる。これにより、スポットパターンの密度を高め、横方向の解像度を向上させることができる。より近い距離に向けて距離範囲を広げることができる。
【0068】
本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、測定装置、3D測定装置、マシンビジョン装置、検査ツール、組立ツール、ロボット、スマートカメラ、スマートフォン又はタブレット、測定中のガイダンス、品質検査、組立又は実装、対話型ゲーム、の1以上のためのマーカー投影に使用されることが可能できる。これらの適用では、ポイント(例えばレーザポインターのようなポイント)を示すために、又は関心領域を示すために、装置の視野/測定範囲を示すために、物体上の関連位置を指す/マークすることによって測定される点、距離、寸法を示すため又は測定結果を表示するために、認識した物体の周りにボックス又は長方形を投影することによって認識した物体を示すために、増大された照度によって物体をハイライトして物体を示すため又は矢印によって物体をマークするために、選択する物体又はその順序又は認識すべき物体を示すために、どこに又はどのように又はどの順序で物体を配置又は位置させるかを示すラベル物体又は関心点、及び物体の組み立て、設置、取り付け又は固定時又は穴あけに役立つ位置合わせ用の線又はその他のガイダンスを示すために、部品の品質検査結果を示すために、ポイント、サイン、矢印、線、マーカー、ボックス、タグ、テキスト、数字、QRコード又はシンボルなどのマーカー及び/又はパターンを、物体又はその周辺領域に投影することは、有用であることが多い。仕様外の構造を、OKでないと示す。傷又は変形を示す、ロボット、車両もしくは機械又はその部品が移動すべき方向、方法もしくは目標を示す、あるいは警告、警告サイン、テキスト、タグもしくはQRコードを物体の上又は横に投影する。例えば、本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールは、以下のように使用されることができる:異なるグループのエミッタを複数のグループに使用することができる。エミッタの第1グループの投影光は、スポット、ライン又はストライプからなるパターンを物体上に形成することができる。このパターンは、物体又はシーンの3D情報を取得するために使用され得る。エミッタの第2グループの光は、物体又はシーンを照射するために使用され得る。照射は、均一であっても不均一であってもよい。不均一な照射を実現されることができ、及び、例えば増加した又は選択的な照射によって、物体又は関心領域を示す及び/又は強調するために使用されることができる。個別のエミッタの追加グループの光は、マーカー又は構造、すなわち、ポイント、記号、矢印、ライン、マーカー、ボックス、タグ、テキスト、数字、QRコード又はシンボルを投影するために使用されることができる。エミッタの異なるグループの光は、トグル式に切り替え又は重ねることができる。完全にオフにすることもできる。従来の最新のソリューションでは、前述の投影構造のいくつかを提供するために、外部プロジェクタを使用している。本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールを使用することは、以下の利点を有し得る:3D測定座標が投影されたグリッド又は光スポットのパターンから取得される場合、原点は、3D測定座標及び投影座標の両方の原点と同じである。これにより、計算の複雑さ、計算時間、電力消費が削減される。外部プロジェクタがないため、3Dセンサ及びカメラユニットに対するプロジェクタ配置のキャリブレーションを行う必要がない。これにより、製造時間及び/又はコストを削減することができる。さらに、プロジェクタのキャリブレーションの時間との乖離のリスクが回避され、投影の精度を向上させることができる。モジュールの数が削減される:外部マーカー投影モジュールと外部照射モジュールは必要ない。さらに、製品の複雑さの削減、必要なフォームファクタの削減、部品表の削減、組立コストの削減、及び、製造と運用における故障率の削減を可能にすることができる。
【0069】
本発明は、アレイの各レーザを個別の制御を可能にする。さらに、レンズを使用した非常に複雑なマイクロアレイを生成することも可能である。
【0070】
本明細書で使用される場合「有する」、「備える」、又は「含む」という用語、又はそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された特徴の他に、この文脈で説明されている実体にさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」という表現は、B以外にAに他の要素が存在しない状況(つまり、Aは専らかつ排他的にBから構成される状況)と、Bに加えて、1つ以上の要素、例えば要素C、要素CとD、又はさらに要素などが実体Aに存在する状況の双方を指し得る。
【0071】
さらに、「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語、又は、特徴もしくは要素が1回以上存在し得ることを示す同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴又は要素を導入するときに1回だけ使用されることに留意されたい。ここで、ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素を参照するときに、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という表現は、それらの特徴又は要素が1回以上存在する可能性があるという事実にもかかわらず、繰り返されない。
【0072】
さらに、以下で使用される場合、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」という用語、又は、同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴に関連して使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、いかなる意味でも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替的な特徴を用いることによって実施されることができる。同様に、「本発明の一実施形態では」又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、及び、そのような方法で導入される特徴を本発明の他の任意の又は非任意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、任意の特徴であることが意図されている。
【0073】
全体として、本発明の文脈では、以下の実施形態が好ましいと考えられる:
実施形態1:シーン照射及びパターン投影のために構成されたプロジェクタ及び照射モジュールであって、前記プロジェクタ及び照射モジュールは、複数の個別のエミッタの少なくとも1つのアレイと、少なくとも1つの光学システムとを備え、前記個別のエミッタの各々は、少なくとも1つの照射光ビームを生成するように構成され、前記光学システムは、複数の転送装置の少なくとも1つのアレイを備え、前記転送装置のアレイは、前記個別のエミッタの各々に対して少なくとも1つの転送装置を備え、前記転送装置のアレイは、転送装置の少なくとも2つのグループを備え、前記2つのグループの転送装置は、少なくとも1つの特性で異なり、前記グループのうちの1つの転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成するように構成され、他のグループの前記転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成するように構成されている、プロジェクタ及び照射モジュール。
【0074】
実施形態2:前記個別のエミッタのそれぞれは、少なくとも垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又は少なくとも1つのマイクロ発光ダイオード(LED)を含む、先行する実施形態によるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0075】
実施形態3:前記個別のエミッタは、800~1000nmの波長範囲、好ましくは940nmで光ビームを放出するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0076】
実施形態4:前記個別のエミッタの発光波長は、同一又は異なっている、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0077】
実施形態5:転送装置の同じグループに関連する個別のエミッタは、同じ特定の発光波長を有する、先行する実施形態によるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0078】
実施形態6:前記発散光ビーム及び前記照射パターンの明るさは、個別に制御可能であって、同じグループの転送装置に関連する前記個別のエミッタの放射出力は、個別に制御可能及び調整可能である、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0079】
実施形態7:前記アレイの個別のエミッタの放射出力は、個別のエミッタごとに制御可能及び調整可能である、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0080】
実施形態8:前記転送装置のグループは、少なくとも1つのパターンで配置され、前記パターンは、ラインパターン又はチェッカーボードパターンである、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0081】
実施形態9:前記転送装置の各々は、少なくとも1つの多焦点マイクロレンズ、又は少なくとも1つの個別指定又はマトリックス指定される調整可能又は制御可能な多焦点マイクロレンズアレイのような少なくとも1つのマイクロレンズと;少なくとも1つの透過窓と;少なくとも1つのディフューザーと;少なくとも1つの回折光学要素とからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0082】
実施形態10:前記転送装置の2つのグループは、それらの屈折力、それぞれの前記エミッタに対するそれらの相対位置、前記エミッタまでのそれらの距離、前記エミッタの光軸に対するそれらの対称性又はそれらの対称軸の傾きのうちの1つ以上において異なっている、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0083】
実施形態11:前記光学システムは、焦点距離fOpticsを有する少なくとも1つの共通光学系(common optics)を備え、前記共通光学系は、1つ以上のレンズを有し、前記共通光学系は、所望のビーム直径を有する光ビームを生成するように構成される、先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0084】
実施形態12:前記グループの1つの転送装置は、第1の焦点距離fML_G1を有し、前記他のグループの転送装置は焦点距離fML_G2を有し、前記グループの1つの転送装置は、前記共通光学系との組み合わせで、第1の屈折力1/feff_G1=1/fML_G1+1/fOpticsを有し、他のグループの前記転送装置は、前記共通光学系との組み合わせで、第2の屈折力1/feff_G2=1/fML_G2+1/fOpticsを有し、コリメート特性、収束特性又は発散特性のうちの1つ以上は、前記2つのグループについてそれぞれ有効焦点距離feff_G1とfeff_G2を調整することによって、制御可能である、先行する実施形態によるプロジェクタ及び照射モジュール。
【0085】
実施形態13:
- 先行する実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つのプロジェクタ及び照射モジュールと;
- 少なくとも1つの画像センサと、少なくとも1つの読み出し及び画像処理装置とを備える少なくとも1つのカメラモジュールと、
を備える、検出器。
【0086】
実施形態14:前記カメラモジュールは、発散光ビームによって照射された少なくとも1つの物体の少なくとも1つの2D画像を画像化するように構成される、先行する実施形態による検出器。
【0087】
実施形態15:前記検出器は、構造化光、三角測量、飛行時間(ToF)、投影照射パターンを使用したビームプロファイル解析のうちの1つ以上によって、深さ情報を決定するように構成される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0088】
実施形態16:前記カメラモジュールは、個別のエミッタの発光波長範囲に適合された透過波長範囲を有する少なくとも1つのバンドパスフィルタを備える、検出器を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0089】
実施形態17:前記カメラモジュールは、ベースラインによって前記個別のエミッタのアレイから分離されている、検出器を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0090】
実施形態18:プロジェクタ及び照射モジュールを参照する先行する実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つのプロジェクタ及び照射モジュールを用いて少なくとも1つの物体を照射する方法であって、前記プロジェクタ及び照射モジュールは、複数の個別のエミッタの少なくとも1つのアレイと、少なくとも1つの光学システムとを備え、前記個別のエミッタの各々は、少なくとも1つの照射光ビームを生成し、前記光学システムは、複数の転送装置の少なくとも1つのアレイを備え、前記転送装置のアレイは、前記個別のエミッタの各々に対して少なくとも1つの転送装置を備え、前記転送装置のアレイは、転送装置の少なくとも2つのグループを備え、前記2つのグループの転送装置は、少なくとも1つの特性において異なり、前記グループのうちの1つの前記転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成し、他のグループの前記転送装置は、前記転送装置に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成する、方法。
【0091】
実施形態19:前記方法は、少なくとも1つの画像化ステップを含み、前記物体は、少なくとも1つの画像センサと少なくとも1つの読み出し及び画像処理装置とを含む少なくとも1つのカメラモジュールによって画像化され、前記画像化は、発散光ビームによって照射された少なくとも1つの物体の少なくとも1つの2D画像を画像化することを含む、先行する実施形態による方法。
【0092】
実施形態20:前記方法は、構造化光、三角測量、飛行時間(ToF)、投影照射パターンを使用したビームプロファイル解析のうちの1つ以上によって、深さ情報を決定することをさらに含む、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる方法。
【0093】
実施形態21:プロジェクタ及び照射モジュールを参照する先行する実施形態のいずれか1つによるプロジェクタ及び照射モジュールの使用であって、使用目的が、マシンビジョン;コンピュータビジョン;ナビゲーション;携帯電話;デジタルカメラ;マシンビジョン装置;タブレット;スマートカメラ;ナビゲーション用カメラ;車両カメラ;通行カメラ又は写真撮影のような交通制御;サービスロボット、ドローン及び車両用のヘッドライト;深さ測定;のためのフラッシュ、測定装置、3D測定装置、マシンビジョン装置、検査ツール、組立ツール、ロボット、スマートカメラ、スマートフォン又はタブレット、測定中のガイダンス、品質検査、組立又は実装、対話型ゲームの1つ以上のためのマーカー投影、からなる群から選択される、使用。
【図面の簡単な説明】
【0094】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈では、特定の特徴は、個別に実施されても、又は他の特徴と組み合わせて実施されてもよい。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に模式的に示されている。個々の図における同一の符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、又はその機能に関して互いに対応する要素を指している。
【0095】
具体的には、以下の図の中で:
図1】本発明によるプロジェクタ及び照射モジュールの実施形態を示す図である。
図2】本発明による検出器の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
実施形態の詳細な説明:
図1は、シーン照射及びパターン投影のために構成されたプロジェクタ及び照射モジュール110の本発明の第1実施形態を、高度に概略的に示している。プロジェクタ及び照射モジュール110は、少なくとも1つの物体を照射するために少なくとも1つの照射パターン及び/又は拡散照射を提供するように構成され得る。プロジェクタ及び照射モジュール110は、シーン照射及びパターン投影のために構成される。照射パターンは、シンボルなどの複数の任意の形状特徴を含み得る。照射パターンは、複数の特徴を含み得る。照射パターンは、周期的又は非周期的な特徴の配置を含み得る。パターンの特徴は、互いに異なってよく、重複する領域が可能である。シーン照射は、領域又はエリアの拡散照射及び/又は均一照射であり得る。
【0097】
プロジェクタ及び照射モジュール110は、光軸112を有していてよい。光軸112は、プロジェクタ及び照射モジュール110のミラー対称性又は回転対称性の軸であってよい。光軸112は、プロジェクタ及び照射モジュール112の、特に光学システム114の光学セットアップの対称線であってよい。
【0098】
プロジェクタ及び照射モジュール110は、座標系を構成してよく、そこでは、縦方向座標lが光軸112に沿った座標であり、dが光軸からの空間的オフセットである。座標系は、光軸がz軸を形成し、z軸からの距離及び極角が追加の座標として使用され得る極座標系であり得る。z軸に平行又は逆平行な方向は、縦方向とみなすことができ、z軸に沿った座標は縦方向座標zとみなすことができる。z軸に垂直な任意な方向は、横方向とみなすことができ、極座標及び/又は極角度は横方向座標とみなすことができる。
【0099】
プロジェクタ及び照射モジュール110は、複数の個別のエミッタ117の少なくとも1つのアレイ116を備える。個別のエミッタの各々は、少なくとも1つの照射光ビームを生成するように構成される。個別のエミッタ117は、互いに独立して光ビームを生成するように構成される。個別のエミッタ117の各々は、少なくとも垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又は少なくとも1つのマイクロ発光ダイオード(LED)を含むことができる。
【0100】
複数の個別のエミッタ116のアレイは、個別のエミッタ117の二次元又は一次元のアレイを含み得る。アレイ116は、マトリックス状に配置された複数の個別のエミッタ117を含むことができる。マトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行と列は、具体的には長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることは説明しておく。一例として、円形の配置も可能であり、そこでは要素は中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、エミッタ117の単一の行であってよい。他の配置も可能である。
【0101】
VCSELは、共通の基板上又は異なる基板上に配置されてよい。アレイ116は、2500個までのVCSELを含むことができる。例えばアレイ116は、3.5Wを有する高出力アレイなど、38×25個のVCSELを含むことができる。例えばアレイ116は、2.5Wを有する10×27個のVCSELを含むことができる。例えばアレイは、0.9Wを有する96個のVCSELを含むことができる。例えば2500要素のアレイ116のサイズは、最大2mm×2mmであり得る。
【0102】
個別のエミッタ117は、800~1000nmの波長範囲、好ましくは940nmの波長で光ビームを放出するように構成され得る。例えば、VCSELは、800~1000nmの波長範囲で光ビームを放出するように構成されることができる。例えば、VCSELは、808nm、850nm、940nm、又は980nmで光ビームを放出するように構成されてよい。VCSELは、例えばCIE 085-1989「太陽スペクトル放射照度」に記載されているように、地上の太陽放射がこの波長で放射照度の局所的最小値を有しているため、940nmで光を放出するのが好ましい。
【0103】
プロジェクタ及び照射モジュール110は、少なくとも1つの光学システム114を備える。光学システム114は、複数の転送装置118の少なくとも1つのアレイを備える。転送装置118のアレイは、個別のエミッタ117の各々について少なくとも1つの転送装置118を備える。転送装置118のアレイは、転送装置118の少なくとも2つのグループを含む。2つのグループの転送装置は、少なくとも1つの特性において、異なる。グループのうちの1つの転送装置118は、前記転送装置118に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成するように構成されている。他のグループの転送装置118は、前記転送装置118に入射する照射光ビームに応答して発散光ビームを生成するように構成されている。
【0104】
転送装置118のアレイは、マトリックス状に配置された複数の転送装置118を含むことができる。転送装置118のマトリックスは、具体的には、1つ以上の行及び1つ以上の列を有する長方形のマトリックスであってもよく、又はそれを含んでいてもよい。行及び列は、具体的には、長方形方式に配置されてよい。しかしながら、非長方形の配置など、他の配置も可能であることは説明しておく。一例として、円形配置も可能であり、そこでは、転送装置118は、中心点のまわりに同心円又は楕円に配置される。例えば、マトリックスは、転送装置118の単一の行であってよい。他の配置も可能である。
【0105】
転送装置118は、光ビームのビームパラメータ、光ビームの幅、又は光ビームの方向のうちの1つ以上を変更することによってなど、光ビームを変更するように構成され得る。転送装置118の各々は、少なくとも1つの多焦点マイクロレンズ又は少なくとも1つの個別指定又はマトリックス指定された調整可能又は制御可能な多焦点マイクロレンズアレイなどの少なくとも1つのマイクロレンズ;少なくとも1つの透過窓;少なくとも1つのディフューザー;少なくとも1つの回折光学要素からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含んでいてよい。実装では、ビームを複製し、その数を増加させるために、マイクロレンズに加えて、又はマイクロレンズに代えて、回折光学要素を使用することもできる。構造化光パターンの投影のために通常のマイクロレンズアレイの代わりに多焦点マイクロレンズを使用することは、深さ情報の推定精度を向上させることを可能にし、検出及び推定され得る深さ範囲を拡大及び拡張することもできる。Algorri,J.F等による、2017年「Tunable liquid crystal multifocal micro-lens array」,Scientific Reports,7(1),17318頁に記載されているように、個別指定又はマトリックス指定された調整可能又は制御可能な多焦点マイクロレンズアレイを使用することも可能である。
【0106】
転送装置118のアレイは、個別のエミッタの各々に対して少なくとも1つの転送装置118を備えている。具体的には、アレイの転送装置118の各々は、個別のエミッタ117によって生成された光ビームが、前記個別のエミッタ117から関連する転送装置118に伝播し、そして関連する転送装置118に入射するように配置されている。
【0107】
転送装置118のアレイは、転送装置118の少なくとも2つのグループを含み、そこでは、2つのグループの転送装置は、少なくとも1つの特性において、異なる。転送装置118の2つのグループは、それらの屈折力、それぞれのエミッタに関するそれらの相対位置、エミッタまでのそれらの距離、エミッタの光軸に関するそれらの対称性又はそれらの対称軸の傾きのうちの1つ以上において異なっていてよい。転送装置118のグループは、少なくとも1つのパターンで配置され、パターンは、ラインパターン又はチェッカーボードパターンである。転送装置118の第1グループ120に関連する個別のエミッタ117は、第1グループのエミッタ122と示され得、転送装置118の第2グループに関連する個別のエミッタ117は、第2グループのエミッタ126と示され得る。転送装置118のアレイは、転送装置118の2つ以上のグループ、特に3、4、5、6又はそれ以上のグループなどの複数の転送装置118のグループを含むことができる。図1では、第1グループ120と第2グループ124の転送装置118は、異なる特性を有するマイクロレンズとして設計されている。
【0108】
第1グループ120の転送装置118は、前記転送装置118に入射する照射光ビームに応答して少なくとも1つの照射パターンを生成するように構成される。第1グループ122の個別のエミッタ117によって生成された光は、次のようにして光学システム114によって収集され得る。個別のエミッタのそれぞれから放出され得る光は、エミッタ117ごとにそれぞれ1つのビームに投影されてよい。各ビームは、両横方向軸に対して平行化、収束、又は発散されてよい。第1グループ122の個別のエミッタ117の光が第1グループ120の転送装置118に当たると、前記転送装置118の各々は、例えばスポット、ライン、ストライプ又は曲線を含む照射パターンを形成することができる。投影された照射パターンは、物体の3D情報を取得するために使用されることができる。図1では、第1グループ120の転送装置118を通過した光ビームは、平行化された又はゆっくり発散するビーム128として示されている。
【0109】
特に、照射パターンは、個別のエミッタ117の1つによって生成された単一のビーム及びそのパターンであり得、一方、個別のエミッタ117のアレイによって生成される全ての照射パターンの集合又は全体は、集合照射パターンと表され得る。照射パターンは:少なくとも1つの点パターン、特に擬似ランダム点パターン;ランダム点パターン又は準ランダムパターン;少なくとも1つのソボル(Sobol)パターン;少なくとも1つの準周期的パターン;少なくとも1つの既知の特徴を含む少なくとも1つのパターン;少なくとも1つの規則的なパターン;少なくとも1つの三角形パターン;少なくとも1つの六角形パターン;少なくとも1つの長方形パターン;凸状の均一なタイル状体(tiling)を含む少なくとも1つのパターン;少なくとも1つの線を含む少なくとも1つの線パターン;平行線又は交差線などの少なくとも2つの線を含む少なくとも1つの線パターン、からなる群から選択される少なくとも1つのパターンを含むことができる。例えば、プロジェクタ及び照射モジュール110は、点群又は非点状特徴を生成及び/又は投影するように構成され得る。例えば、プロジェクタ及び照射モジュール110は、照射パターンが複数の点特徴又は非点状特徴を含み得るように、点群又は非点状特徴を生成するように構成され得る。照射パターンは、三角形パターン、長方形パターン、六角形パターン、又はさらなる凸状タイル状体を含むパターンなどの、規則的な及び/又は一定の及び/又は周期的なパターンを含むことができる。照射パターンは、六角形パターンが好ましいように、面積当たり可能な限り多くの特徴を含むことができる。それぞれの照射パターンの2つの特徴間の距離、及び/又は少なくとも1つの照射特徴の面積は、少なくとも1つの検出器によって決定される画像の錯乱円に依存し得る。
【0110】
第2グループ124の転送装置118は、前記転送装置118に入射する照射光ビームに応答して発散光ビーム130を生成するように構成される。第2グループ124の個別のエミッタ117の光は、第1グループ120と比較して、異なる方法で光学システム114によって収集され得る。光学システム114は、エミッタごとに1つの、著しく発散する1つの、個別のビーム130を発生及び/又は生成することができる。特に、複数の発散光ビームを発生(generating)及び/又は生成(producing)することによって、拡散照射が発生及び/又は生成される。光学システム114は、これらのビーム130を照射源の光として伝播させ、物体空間内で重複させるように構成され得る。このように、シーン照射とパターン投影の両方が、1つのVCSEL又はマイクロLEDアレイを有する単一のモジュールと、上述した又は以下でより詳細に説明するように、少なくとも2つの異なる特性を有する転送装置のアレイを有する光学システムとによって実現され得る。このようにして、所定の物体距離に対して、例えば、エミッタの1つのグループについて集束照射状又は拡散照射状の品質と、エミッタの別のグループについてシャープな又は集束した構造光パターンを実現することが可能である。
【0111】
光学システム114は、焦点距離fOpticsを有する少なくとも1つの共通光学系132を備え得る。具体的には、共通光学システム132は、1つ以上のレンズを有することができる。共通光学系132は、所望のビーム直径を有する光ビームを生成するように構成されることができる。
【0112】
例えば、第1グループ120と第2グループ124の転送装置118は、異なる焦点距離が割り当てられ得るように、それらの屈折力において異なっていてよい。グループの1つの転送装置118は第1焦点距離fML_G1を有し、他方のグループの転送装置118は焦点距離fML_G2を有する。グループの1つの転送装置118は、共通光学系132との組み合わせで、第1の屈折力1/feff_G1=1/fML_G1+1/fOpticsを有し、他方のグループの転送装置は、共通光学系との組み合わせで、第2の屈折力1/feff_G2=1/fML_G2+1/fOpticsを有する。2つのグループの有効焦点距離feff_G1、feff_G2をそれぞれ調整することにより、コリメート特性、収束特性又は発散特性のうちの1つ以上を制御することができる。
【0113】
個別のエミッタ117の発光波長は、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、転送装置118の同じグループに関連する個別のエミッタ117は、同じ特定の発光波長を有することができる。発散光ビーム及び照射パターンの明るさは、個別に制御可能であってよい。具体的には、転送装置118の同じグループに関連する個別のエミッタ117の放射出力は、個別に制御可能及び調整可能であり得る。第1グループと第2グループの個別のエミッタ117の電流をトグル式に切り替えるにより、均一な照射と構造化光パターン投影の間をトグル式に切り替えることが可能であり得る。例えば、アレイ116の個別のエミッタ144の放射出力は、個別のエミッタ117ごとに制御可能及び調整可能である。これにより、目などの物体の感光領域内のシャープな構造化光パターンを低減又はスイッチオフすることが可能である。さらに、均一な照射又は構造化光パターンに、QRコード、警告テキストメッセージ又はあらゆる種類のラベルなどの、任意のパターン又は画像を重ねることを可能にすることができる。例えば、放射出力は、電流を個別に設定及び調整することによって、又は各個別のエミッタ117とその転送装置118の間の液晶素子を利用することによって、制御可能であり得る。
【0114】
個別のエミッタ117の個別の放射出力は、明るいスポットと暗いスポットが物体に投影されるように、制御可能及び調整可能であり得る。例えば、静的マイクロレンズアレイと、各マイクロエミッタの発光強度を制御及び調整するための静的チューニングマップの静的な組み合わせが使用されることができる。静的マイクロレンズアレイは、ランダムに、疑似ランダムに、又は系統的に(例えば繰り返し系統的に)変化するサイズ及び形状を有するマイクロレンズの組み合わせを含むことができる。静的チューニングマップは、個別のエミッタの放射出力を、ランダムな、擬似ランダムな、又は系統的な方式で制御及び調整することができる。
【0115】
図2は、本発明による検出器134の一実施形態を示す。検出器134は、本発明による少なくとも1つのプロジェクタ及び照射モジュール110を備える。図2の実施形態では、第1グループ120の転送装置118はマイクロレンズとして設計され、第2グループ124の転送装置118は透明窓136であってよい。プロジェクタ及び照射モジュール110のさらなる構成要素に関しては、図1が参照される。
【0116】
検出器134は、少なくとも1つの画像センサ138と少なくとも1つの読み出しを有する少なくとも1つのカメラモジュール136と、画像処理装置140とをさらに備える。カメラモジュール136は、少なくとも1つの画像を記録するように構成され得る。カメラモジュール136は、個別のエミッタ117の発光波長範囲に適合された透過波長範囲を有する少なくとも1つのバンドパスフィルタを備えることができる。カメラモジュール136は、ベースラインによって個別のエミッタ117のアレイ116から分離されてよい。カメラモジュール136、特に画像センサ138は、発散光ビームによって照射された少なくとも1つの物体の少なくとも1つの2D画像を画像化するように構成されることができる。
【0117】
画像センサ138は、少なくとも1つの光ビームによって生成された照射及び/又は光スポットを検出するためなどの、光ビームを検出するための感光装置であってよく、又はそれを含んでいてよい。画像センサ138は、感光エリアを有することができる。画像センサ138は、少なくとも1つのセンサ要素を有してよい。画像センサ138は、CCD検出器チップなどの少なくとも1つのCCD検出器、及び/又は、CMOS検出器チップなどの少なくとも1つのCMOS検出器を備えることができる。
【0118】
検出器124は、構造化光、三角測量、飛行時間(ToF)、投影照射パターンを使用したビームプロファイル解析のうちの1つ以上によって、深さ情報、特に物体の深さ情報を決定するように構成されることができる。ビームプロファイル解析に関しては、WO2018/091649A1、WO2018/091638A1及びWO2018/091640A1が参照され、その内容は参照によって含まれる。
【0119】
読み出し及び画像処理装置140は、画像センサによって生成されたセンサ信号の読み出しと、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置を使用することにより、より好ましくは、少なくとも1つのプロセッサ及び/又は少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することにより、画像処理とを行うように構成され得る。したがって、一例として、少なくとも1つの読み出し及び画像処理装置140は、多数のコンピュータコマンドを含み、その上に保存されたソフトウェアコードを有する少なくとも1つのデータ処理装置を備えることができる。読み出し及び画像処理装置140は、指定された操作の1つ以上を実行するための1つ以上のハードウェア要素を提供することができ、及び/又は、指定された操作の1つ以上を実行するためのその上で実行されるソフトウェアを有する1つ以上のプロセッサを提供することができる。読み出し及び画像処理装置140は、物体の深さ情報を決定するためなど、上述の読み出し及び処理を実行するように構成された1つ以上のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上のプログラム可能な装置を備えることができる。しかしながら、追加的又は代替的に、読み出し及び画像処理装置140は、完全に又は部分的にハードウェアによって具現化されてもよい。
【0120】
引用文献
US8,908,277B2
US8,749,796B2
US8,743,923B2
https://en.wikipedia.org/wiki/Vertical-cavity_surface-emitting_laser
WO2017/222618A
CIE 085-1989「太陽スペクトル放射照度」
Algorri,J.F等による、2017年「Tunable liquid crystal multifocal micro-lens array」,Scientific Reports,7(1),17318頁
WO2018/091649A1
WO2018/091638A1
WO2018/091640A1
【符号の説明】
【0121】
110 プロジェクタ及び照射モジュール
112 光軸
114 光学システム
116 アレイ
117 個別のエミッタ
118 転送装置
120 転送装置の第1グループ
122 エミッタの第1グループ
124 転送装置の第2グループ
126 エミッタの第2グループ
128 コリメートビーム
130 発散光ビーム
132 共通光学系
134 検出器
136 カメラモジュール
138 画像センサ
140 読み出し及び画像処理装置
図1
図2
【国際調査報告】