(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】半自動的に制御可能な注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20230724BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
A61M5/315 502
A61M5/31 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580740
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 IN2021050644
(87)【国際公開番号】W WO2022003728
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】202041028073
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521167936
【氏名又は名称】パイェリ、 スラヴァン クマール
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パイェリ,スラヴァン クマール
(72)【発明者】
【氏名】モカルラ,パヴァーニ スリーヴィッディヤ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066EE14
4C066FF05
4C066GG03
4C066HH02
4C066HH12
4C066HH17
(57)【要約】
本発明の主題は、バレル(102A、102B、202、302、402)と、プランジャ(104、204、304、404、508、606)と、作動部材(116、124、206、306、406、510、608)と、付勢部材(110、210、310、410、506)と、移動制御機構(118、120、218、314、418、516、618)とを含む半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)に関する。作動部材(116、206、306、406、510、608)はプランジャ(104、204、304、404、508、606)を移動させるためのものである。付勢部材(110、210、310、410、506)は、第1方向におけるプランジャ移動時に付勢するとともに、プランジャ(104、204、304、404、508、606)に第2方向に向かって復元力をかける。移動制御機構(118、120、218、314、418、516、618)は、プランジャ移動のための可動限界を提供するためにピン受け部材(118B、120B、218B、314B、418B、516B、618B)とピン(118A、120A、218A、314A、418A、516A、618A)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)であって、
オリフィスと内部空洞とを含むバレル(102A、102B、202、302、402)と、
作動端と動作端とを含むプランジャ(104、204、304、404、508、606)であって、前記プランジャ(104、204、304、404、508、606)が、前記バレル(102A、102B、202、302、402、504)の前記内部空洞に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記内部空洞において第1方向及び前記第1方向の反対の第2方向に摺動可能であり、前記プランジャ(104、204、304、404、508、606)の前記動作端及び前記バレル(102A、102B、202、302、402、504)の前記オリフィスがチャンバ(112、212、312、412、514)を画定するプランジャ(104、204、304、404、508、606)と、
前記プランジャ(104、204、304、404、508、608)と結合された作動部材(116、124、206、306、406、510、608)であって、前記作動部材(116、206、306、406、510、608)が、それに作動力がかけられたときに、前記第1方向における前記プランジャ(104、204、304、404、508、606)の移動を引き起こすためのものである、作動部材(116、124、206、306、406、510、608)と、
前記プランジャ(104、204、304、404、508、606)と結合された付勢部材(110、210、310、410、506)であって、前記付勢部材(110、210、310、410、506)が、前記第1方向における前記プランジャ(104、204、304、404、508、606)の移動時に付勢するためのものであるとともに、前記プランジャ(104、204、304、404、508、606)に復元力を前記第2方向に向かってかけるためのものである、付勢部材(110、210、310、410、506)と、
ピン(118A、120A、218A、314A、418A、516A、618A)とピン受け部材(118B、120B、218B、314B、418B、516B、618B)のセットとを含む移動制御機構(118、120、218、314、418、516、618)であって、前記ピン(118A、120A、218A、314A、418A、516A、618A)が、前記第1方向において、前記バレル(102A、102B、202、302、402、504)内での前記プランジャ(104、204、304、404、508、606)の前記移動のための可動限界を提供するために、ピン受け部材(118B、120B、218B、314B、418B、516B、618B)の前記セットから、前記ピン受け部材(118B、120B、218B、314B、418B、516B、618B)のいずれかに挿入可能である、移動制御機構(118、120、218、314、418、516、618)と
を含む、半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項2】
ピン受け部材(118B、218B、314B、418B、516B、618B)の前記セットが前記バレル(102A、202、302、402、504)の外面にある、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100A、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項3】
前記移動制御機構(120)が、前記バレル(102B)に取り付け可能なスリーブ(122)を含み、ピン受け部材(120B)の前記セットが前記スリーブ(122)上にある、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100B~100E)。
【請求項4】
ピン受け部材(118B、120B、218B、314B、418B、516B、618B)の前記セットが、前記半自動的に制御可能な注射器(100A~100C、200、300、400、500、600、710、800A)の長手方向軸に対して傾斜した直線に沿って整列する、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100A~100C、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項5】
ピン受け部材(120B)の前記セットがジグザグラインで整列する、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100D及び100E)。
【請求項6】
ピン受け部材(118B、120B、218B、314B、418B、516B、618B)の前記セットが穴のセットである、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項7】
ピン受け部材(118B、120B、218B、314B、418B、516B、618B)の前記セットが空洞のセットである、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項8】
前記付勢部材(110、210、310、410)がばねである、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項9】
前記付勢部材(506)が空気圧によって制御される駆動ユニットである、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項10】
前記作動部材(116、124、206、306、406、510、608)が、線形作動部材(116、124、206、306、406、510、608)及び回転式作動部材のうちの一方である、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項11】
前記作動部材(116、124、206、306、406、510、608)が、油圧式作動部材、空気圧式作動部材、機械的作動部材、及び電気的作動部材のうちの1つである、請求項1に記載の半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)。
【請求項12】
注射器組立体(700、800B)であって、
請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)と、
バレル(722)と、作動部材(724)と、ピストン(728)と、オリフィスとを含む手動で制御可能な注射器(720)と、
前記少なくとも1つの半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、800A)のオリフィスと前記手動で制御可能な注射器(720)の前記オリフィスとに接続された結合器(702)と、
前記結合器(702)に結合された第1端とニードル(706)に結合された第2端とを有するチューブ(704)と、
前記結合器(702)と結合された圧力センサ(708)であって、前記圧力センサ(708)が、前記少なくとも1つの半自動的に制御可能な注射器(100A~100E、200、300、400、500、600、710、720、800A)及び前記手動で制御可能な注射器(720)の少なくとも一方からかけられている圧力の値を測定するためのものである、圧力センサ(708)と、
を含む注射器組立体(700、800B)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明の主題は、概して、流体を標的の体内に注入するための、陽圧を生じさせ、標的の体からサンプルを抽出又は取集するための、又は吸引圧を生じさせるための注射器に、特に、前記目的のための半自動的に制御可能な注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
様々な用途、例えば医療用途、実験用途、及び一般的なワークショップ用途では注射器を、異なる処置、例えば薬物など流体の容量の標的の体内への注入、サンプル及び体液、例えば血液の抽出、化学物質の計測及び移動、並びに物質、例えば糊及び潤滑油の作業面への注入を行うために用いる。注射器の作業には、それぞれ必要とされる陽圧及び負圧を生じさせる注入及び抽出を含む操作を行うために力をかける必要があり、この力は、生物学的用途においては、例えば、必要とされる処置を実施するために生体膜若しくは生体を適所に保持するため、又は生体膜若しくは本体を穿刺するためにより一層かけられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
図面の簡単な説明
主題の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付の図に関連してより良好に理解される。異なる図における同じ参照番号の使用は同様又は同一の特徴及び構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図1B】本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図1C】本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図1D】本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図1E】本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図2】本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図3】本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図4】本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図5A-5B】本発明の主題の実装形態による空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器500を示す。
【
図6】本発明の主題の実装形態による空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図7】本発明の主題の実装形態による注射器組立体を示す。
【
図8A】本発明の主題の実装形態による縦型の半自動的に制御可能な注射器を示す。
【
図8B】本発明の主題の実装形態による注入組立体を示す。
【
図9】卵細胞質内精子注入プロセスのための注入ニードル側で測定された圧力値を表すデータポイントに関する、従来の注射器と例示的な半自動的に制御可能な注射器との間の性能比較のグラフ表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
従来の注射器はバレルと、プランジャと、アダプタと、ニードルとを含む。ニードルは、アダプタを介して第1バレル端に取り付けられ、プランジャは第2バレル端からバレル内部に部分的に配置される。円筒形バレルチャンバは、第1バレル端と、バレル内部に配置された第1プランジャ端により囲まれる。バレルチャンバは流体を含むためのものである。プランジャは、第1プランジャ端の軸方向に反対側にある第2プランジャ端に配置されたプランジャフランジを含む。プランジャフランジはバレルの外部に位置付けられる。バレルフランジは、アダプタの先端側に位置する第2バレル端に配置される。プランジャフランジ及びバレルフランジは、少なくとも1本の指を各々プランジャフランジ及びバレルフランジのそれぞれの内側に位置付けることにより引く力又は押す力をかけることを可能にするためであり、プランジャフランジの内側はバレルフランジの内側の方を向く。引く力をかけることにより、第1プランジャ端が円筒形チャンバの軸に沿ってニードルから離れるように移動することが可能になり、これにより、バレルチャンバ内部の圧力を低下させる。バレルチャンバ内部の圧力の低下は、バレルチャンバに向かっての内向きの力をかける。ニードルの開放端が流体と接触させられる場合、バレルチャンバとのニードルの結合の効果で、流体はニードルを介してバレルチャンバ内に吸い込まれる。バレルチャンバ内部の流体の吸引は、流体源からの流体の抽出をもたらす。
【0006】
代替的に、注射器での注入動作を実施するために、少なくとも1本の指が各々、プランジャフランジ及びバレルフランジのそれぞれの外側に置かれる。プランジャフランジの外側及びバレルフランジの外側は、互いに反対側の方向に向いている。押す力がプランジャフランジにかけられ、これはニードルに向かってのプランジャの移動をもたらす。ニードルに向かってのプランジャの移動は、バレルチャンバ内部の圧力を増加させ、ひいては、バレルチャンバ内部に存在する流体をニードルの開口を介してバレルチャンバの外に強制的に出す。流体を標的の体内に注入するために、ニードルは標的の体の外面の内部で穿刺される。
【0007】
しかしながら、従来の注射器において、注射器で抽出及び注入動作を行うために、ユーザは、引く力及び押す力をかけるために少なくとも2本の指を使用することが求められ、残りの指は注射器を適所に保持するために使用される。これは、動作中の注射器の不安定な位置付けをもたらし得るとともに、ひいては不安定な注射器動作をもたらす。さらに、圧力をかけるためにプランジャフランジ及びバレルフランジに2本の指を配置することが求められるため、ユーザは注射器を動作させる際に不便を感じ得る。
【0008】
さらに、注射器の動作中に特定の標的圧力値を必要とする用途において、従来の注射器の使用は、同じユーザにより異なる場合においてかけられる圧力は標的圧力値と厳密に合致し得ないため、課題をもたらし得る。同様に、2人の異なるユーザによりかけられる圧力の値に不一致が生じ得る。厳密な量の流体の抽出及び注入を必要とする用途において、2つの異なる圧力値におけるこの不一致は抽出及び注入プロセスに関して望ましくない結果をもたらし得る。さらに、標的圧力値を達成するために、ユーザは注射器動作を行うためにより長い時間を要し得る。したがって、異なるユーザにわたって標的圧力値に対してかけられた圧力の値の不一致を回避するために、かけられた圧力への制御を提供し得る注射器が必要である。さらに、注射器動作を行うために保持し圧力をかける際のユーザの利便性を向上させ得る注射器が求められている。
【0009】
別の従来の注射器、例えば、回転式注射器が例えば医療用途において異なる処置を行うために使用されてもよい。例えば、回転式注射器は体外受精の用途において、例えば卵細胞質内精子注入において使用される。卵細胞質内精子注入を行うために、回転式注射器は、精子を取集する、卵母細胞の層(卵細胞膜)を穿刺する、及び取集された精子を卵母細胞に注入するために用いられる。さらに、同様の回転式注射器は、精子注入を行うために卵母細胞を適所に保持するために使用され得る。この用途には必要とされる動作を効率的に行うために高度の精度が求められる。概して、従来の回転式注射器は、ベースに配置された回転可能な円筒形アクチュエータを含む。アクチュエータは、ねじ切りされた内面を備えた本体と、本体のねじ山と補完的なねじ山を有するピストンとを含む。ピストンのねじ山は本体のねじ山と係合し得る。さらに、本体はニードルユニットに接続された細いチューブと接続され得る。注射器を作動させるために、アクチュエータは、注射器において負圧を生じさせるために時計回りに回転させられ得る。負圧は、1つ又は複数の精子を注射器内に取集するために生じさせられ得る。さらに、突然の吸引又は負圧がまた、卵細胞膜を穿刺するために生じさせられ得る。
【0010】
代替的に、取集された精子の卵母細胞への注入のために、アクチュエータは反時計回りに回転させられてもよく、これにより注射器に陽圧が生じる。陽圧はニードルの開口に向かっての精子の放出をもたらし得る。ニードルは卵母細胞の標的領域と接触した状態で配置されてもよく、精子を卵母細胞に注入するためにさらなる陽圧がかけられ得る。しかしながら、望ましくない量の負圧をかけることは、卵細胞膜の穿刺時の精子を含む流体の望ましくない取集又は卵母細胞の細胞質からの流体の望ましくない取集など望ましくない結果をもたらし得る。望ましくない陽圧はまた精子注入のプロセス中に卵母細胞に損害を与えることをもたらし得る。
【0011】
同様に、別個の従来の回転式注射器のニードルが標的卵母細胞の近くに配置されてもよく、精子注入を行うために卵母細胞を望ましい位置に保持するために負圧が別個の回転式注射器において生じさせられ得る。しかしながら、卵母細胞を保持するためにかけられる保持のための負圧は、精子注入プロセス中に卵母細胞に損害を与えるのを防ぐために正確にかけられ得るとともに制御され得る。
【0012】
異なる場合において異なるユーザにより又は同じユーザによりかけられる負圧及び陽圧の量は高度に変化し得、このことは、精子の取集及び注入中に、卵母細胞の保持及び卵細胞膜の穿刺のプロセスに望ましくない主観性を導入し得ることに留意され得る。さらに、主観性の度合いを減じるために、ユーザには、注射器の動作中に特定の、厳密な圧力をアクチュエータにかけることが求められ得る。これは、動作を行うために必要な時間が全体として延びることをもたらし得る。
【0013】
したがって、より高い精度及び制御を必要とする医療的処置を行うために注射器の操作に係る主観性を無くすことができ、必要とされるプロセスを行うのに必要とされる時間がより短い注射器が必要である。
【0014】
本発明の主題は、動作中の制御の度合いが向上し、使用の利便性がより高く、動作のために必要とされる時間がより短い半自動的に制御可能な注射器を説明する。
【0015】
本発明の主題の例によると、半自動的に制御可能な注射器は、バレルと、プランジャと、アダプタと、ニードルと、付勢部材と、作動部材と、移動制御機構とを含む。プランジャは、作動部材に押す力をかけることによりニードルに向かう方向に移動させられ、バレル内部に陽圧を形成する。付勢部材はプランジャと結合され、ニードルに向かう方向にプランジャが移動すると、付勢部材は付勢された状態に到達する。押圧力の解除時、付勢部材は、プランジャにニードルから離れるよう復元力をかけるとともに、元の位置へ戻る。プランジャもまた、付勢要素の移動とあわせて元の位置へ戻る。
【0016】
代替的に、プランジャは、作動部材に引く力をかけることによりニードルから離れる方向に移動させられ、バレル内部に負圧を形成する。プランジャがニードルから離れる方向に移動すると、付勢部材は付勢された状態に到達する。引く圧力の解除時、付勢部材はプランジャにニードルに向かって復元力をかけるとともに元の位置へ戻る。プランジャは付勢要素の移動とあわせて元の位置に戻る。
【0017】
プランジャは付勢部材の復元力によりその元の位置へ戻されるため、それに外部の力は求められない。さらに、ユーザは、プランジャをその元の位置へ戻すために注射器の把持を変えることを求められず、このことは注射器の動作中に注射器を安定的な位置に維持するのを容易にする。さらに、ユーザは、快適で便利な方法で注射器動作を行うことができる。
【0018】
さらに、注射器の移動制御機構はピンとピン受け部材のセットとを含む。ピンは、ピン受け部材のセットから、ピン受け部材のいずれかに挿入可能である。ピンは、ピン受け部材のいずれかへの挿入時に、バレル内でのプランジャの移動のための可動限界を提供する。例えば、移動制御機構は、プランジャがユーザにより駆動される方向においてプランジャの移動を制限し得る。プランジャの移動のそのような可変限界は、注射器の動作のためにユーザによりかけられることになる圧力の範囲を画定及び制限する。注射器の移動制御機構は、プランジャの押す又は引く動作中に厳密な力をかける及び維持するためのユーザの努力を実質的に減らすことを容易にし、それによりユーザが注射器動作を行うのに要する時間を全体として短くする。移動制御機構はまた、プランジャの押す又は引く動作中に実質的に均一な力をかける及び維持するのに役立ち、このことは、異なる場合での異なるユーザ又は使用を原因とする注射器動作における主観性を取り除くとともに、注射器により行われるプロセスに関する望ましくない結果を避ける。
【0019】
相応して、本発明の主題のアプローチは、注射器動作の安定性を向上させると同時に注射器の便利で効率的な制御を確実にする半自動的に制御可能な注射器を提供する。さらに、本発明の主題により実装されたとおり、プランジャの移動を制御することにより、注射器動作に主観性が入ることを無くすことができるとともに、注射器動作に必要とされる時間を全体として短くすることができる。
【0020】
本発明の主題のこれらの及び他の利点は、以下の説明において
図1~9とあわせてより詳細に説明される。本発明の主題のデバイスが実装されるやり方は、
図1~9に関して詳細に説明される。説明は、本発明の主題の原理を示すだけであることに留意されたい。したがって、当業者は、本明細書において明確には説明されていないが、本発明の主題の原理を実現するとともにその範囲に含まれる様々な配置構成を考案することができることが認められる。さらに、本明細書において挙げられた全ての例は、読者が本発明の主題の原理を理解することを支援することのみを意図されている。さらに、本発明の主題の原理、態様及び実装形態、並びにその特定の例を挙げている本明細書における全ての記述は、その均等物を包含することを意図される。
【0021】
図1A~1Eは、本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器100A~100Eを示す。半自動的に制御可能な注射器100A~100Eはまた、以降で簡潔さのために注射器100A~100Eと呼ばれる。半自動的に制御可能な注射器100Aは、バレル102Aと、プランジャ104と、アダプタ106と、ニードル108と、付勢部材110と、チャンバ112と、キャップ114と、作動部材116と、移動制御機構118とを含む。バレル102Aはオリフィスと内部空洞とを含み得る。プランジャ104は部分的にバレル102A内部に配置され得る。プランジャ104は付勢部材110と結合され得る。プランジャ104はバレル102A内部に摺動可能なやり方で移動可能に配置され得る。アダプタ106はバレル102Aの第1端で一体化される。バレル102Aは、第1端の反対側に位置する第2端に開口を含む。プランジャ104は第2端の開口からバレル102Aに挿入される。例において、プランジャ104は、少なくとも部分的にバレル102Aの内部空洞に配置されるとともに、内部空洞において第1方向及び第1方向の反対の第2方向に摺動可能である。
【0022】
プランジャ104は作動端と動作端とを含む。部分的に配置された状態において、プランジャ104の動作端はバレル102A内部に配置され、力を受ける又はプランジャ104を作動させるプランジャ104の作動端は動作端から離れている。
【0023】
例において、プランジャ104の動作端は、バレル102Aの内面の周りに気密シールを作り出すためのシーリング要素(
図1Aに示されず)を含む。シーリング要素はゴムガスケットを含む。キャップ114は、作動端にフランジタイプ構造を作り出すためにプランジャ104の作動端に取り付けられる。例において、キャップ114は作動端へねじ接続部を通じて取り付けられる。別の例において、キャップ114は作動端にスナップ篏めされる。バレルの第2端はフランジが配設される。付勢部材110は、プランジャ104に配置されたフランジタイプ構造とバレル102Aのフランジとの間に配置される。付勢部材110の端はキャップ114に篏合され、キャップ114は、プランジャ104に配置されたフランジタイプ構造とバレル102Aのフランジとの間で付勢部材110に係止される。例において、付勢部材110は、プランジャの移動時に第1方向に付勢するためのものであるとともに、プランジャ104に第2方向に向かって復元力をかけるためのものである。例において、付勢部材は機械ばね又はワイヤばねである。
【0024】
ニードル108はアダプタ106に取り付けられる。バレル102Aの第1端及びプランジャ104の動作端はチャンバ112を画定する。
【0025】
注射器100Aにおいてサンプルの取集など動作を行うために、例えば、プランジャ104は、プランジャ104の作動端にニードル108に向かって押す力をかけることにより方向Aに移動させられる。同時に、方向Aにおけるプランジャ104の移動は、付勢部材110の付勢をもたらす。さらに、ニードル108の開口端が標的流体に接触した状態で位置付けられる。付勢部材110は、かけられた押す力の効果で、付勢された状態のままとなる。
【0026】
試料取集を開始するために、押す力がプランジャ104から除去され、付勢部材110の、付勢されていない状態へ戻る移動がもたらされる。プランジャ104との付勢部材110の結合の結果として、プランジャ104は、付勢部材110の消勢と共に、ニードル108から離れるように移動させられる。プランジャ104の、ニードル108から離れる移動は、チャンバ112内部に負圧を生じさせることをもたらす。この負圧は、ニードル108を介したチャンバ付勢112に向かっての方向Bにおける開口端と接触している流体の移動を引き起こす。サンプルの取集は、付勢部材110及びプランジャ104が、付勢部材110の移動と共に、付勢部材110の付勢されていない状態である元の位置に到達したときに完了する。
【0027】
図1Aに示されるとおり、作動部材116はプランジャ104と結合される。例えば、プランジャ104の作動端は作動部材116に取り付けられる。ユーザは、彼の指で注射器100Aを把持し得るとともに、彼の親指を作動部材116に置いて作動部材116を方向Aにおいて摺動させる。作動部材116は、ユーザにより外力をかけられると、方向Aにおけるプランジャ104の作動を引き起こす。作動部材116はボタン116Aと接続部116Bとを含む。ボタン116Aは、接続部116Bを介してプランジャ104の作動端に結合される。付勢部材110はバレル102Aの第2端と接続部116Bのセクションとの間に配置される。作動部材116は、それに作動力がかけられたときに、第1方向におけるプランジャ104の移動を引き起こすためのものである。例において、作動部材116は線形作動部材である。
【0028】
図1Aに示される作動部材116は機械的作動部材である。しかしながら、別の例において、作動部材は油圧式作動部材、空気圧式作動部材、及び電気的作動部材のうちの1つであってもよい。
【0029】
注射器100Aの移動制御機構118はピン118Aとピン受け部材118Bのセットとを含む。ピン118Aは、第1方向におけるバレル102A内でのプランジャ104の移動のための可動限界を提供するために、ピン受け部材118Bのセットからピン受け部材118Bのうちのいずれかに挿入可能である。半自動的に制御可能な注射器100Aにおいて、ピン受け部材118Bのセットはバレル102Aの外面にある。ピン受け部材118Bの各々の整列は、ピン受け部材118Bの各々の整列の各々におけるピン118Aの挿入がプランジャ104の移動の異なる制限を可能にするようなものである。プランジャ104は、ピン118Aが挿入されているピン受け部材までのみ移動するように制限されている。
【0030】
注射器100Aにおけるピン受け部材118Bのセットは、バレル102Aに形成された穴のセットである。ピン118Aはピン受け部材118Bのうちの1つに挿入される。ピン118Aはバレル102Aの内部空洞において突出する。さらに、外力をかけたときのニードル108に向かってのプランジャ104の移動は、プランジャ104のシャフトを、内部空洞においてピン118Aに当接させる。例において、シャフトは、ピン118Aと当接して方向Aにおけるプランジャ104の移動を制限するフランジ(
図1Aに示さず)を含み得る。
【0031】
別の例において、ピン118Aは、ピン受け部材118Bのうちの1つに挿入されると、バレル102Aから突出し、作動部材116がピン118Aに当接して、作動部材116、したがってプランジャ104の移動を方向Aにおいて制限する。例において、作動部材116のボタン116Aはピン118Aに当接する。
【0032】
移動制御機構118により提供されたバレル102におけるプランジャ104の移動の制限は、プランジャ104の移動の実質的に均一な制御、異なるユーザにより又は異なる場合にプランジャ104にかけられる作動力の不均一を無くすことを可能にする。
【0033】
図1Bは、半自動的に制御可能な注射器100Aと同様に、プランジャ104と、アダプタ106と、ニードル108と、付勢部材110と、チャンバ112と、キャップ114と、作動部材116とを含む例示的な半自動的に制御可能な注射器100Bを示す。さらに、半自動的に制御可能な注射器100Bは、バレル102B及び、ピン120Aとピン受け部材120Bのセットとを含む移動制御機構120を含む。付勢部材110は、プランジャ104に配置されたフランジタイプ構造とバレル102Bのフランジとの間に配置される。移動制御機構120は、バレル102Bに取り付け可能なスリーブ122を含む。ピン受け部材120Bのセットはスリーブ122上にある。例において、スリーブ122はバレル102Bに取り付けられる。例において、ピン受け部材120Bのセットは、半自動的に制御可能な注射器100Bの長手方向軸に対して傾斜した直線に沿って整列する。例において、ピン受け部材120Bのセットは、ピン120Aを受けるための穴のセットである。別の例において、ピン受け部材120Bのセットは、ピン120Aを受けるための空洞のセットである。
【0034】
ピン120Aはピン受け部材120Bのうちの1つに挿入される。ピン120Aはバレル102Bから突出するとともに、方向Aにおけるプランジャ104の移動時にボタン116Aと当接する。そのような当接は、方向Aにおける作動部材116のさらなる移動を制限する。さらに、プランジャ104との作動部材116の結合を原因として、プランジャ104の移動は同様に方向Aにおいて制限される。
【0035】
図1Cは、半自動的に制御可能な注射器100Bと同様に、バレル102Bと、プランジャ104と、アダプタ106と、ニードル108と、付勢部材110と、チャンバ112と、キャップ114と、作動部材116と、移動制御機構120と、スリーブ122とを含む例示的な半自動的に制御可能な注射器100Cを示す。付勢部材110は、アダプタ106の基端側にあるバレル102Bの第1端とプランジャ104の作動端との間に配置される。
【0036】
図1A~1Cに示された実装形態において、方向Aにおけるプランジャ104の移動と共に、付勢部材110は、付勢されていない状態から圧縮され付勢された状態に到達する。さらに、方向Bにおけるプランジャ104の移動と共に、付勢部材110は圧縮され付勢された状態から付勢されていない状態に戻る。
【0037】
付勢部材110は、プランジャ104の、その元の位置へ戻る移動を自動化することを可能にする。プランジャ104を手動で引き戻すことが不要であることから、ユーザは、バレル102Bを把持することにより注射器100A~100Cを快適に保持し得るとともに、必要とされる注射器動作を便利に行うことができる。これは、動作中の注射器の安定性を全体として向上させる。さらに、負圧を生じさせることを含む、取集プロセスの後半部分が自動化されるため、取集プロセスを行うのに必要とされる時間が短縮される。
【0038】
図1Dは例示的な半自動的に制御可能な注射器100Dを示す。半自動的に制御可能な注射器100Dの機能は半自動的に制御可能な注射器100Bの機能と同様である。ピン受け部材120Bのセットはジグザグラインで整列する。
【0039】
図1Eは、半自動的に制御可能な注射器100Bと同様に、バレル102Bと、プランジャ104と、アダプタ106と、ニードル108と、付勢部材110と、チャンバ112と、キャップ114とを含む例示的な半自動的に制御可能な注射器100Eを示す。半自動的に制御可能な注射器100Eは、
図1Dの移動制御機構120及びスリーブ122と構造において同様の移動制御機構120とスリーブ122とを含む。半自動的に制御可能な注射器100Eはまた、ボタン124Aを含む作動部材124を含む。作動部材124はプランジャ104と結合される。例えば、作動部材124のボタン124Aは、バレル102Bに形成されたスロットを通じてプランジャ104に結合される。半自動的に制御可能な注射器100Eのスリーブ122は、図示のとおり、バレル102Bに、ボタン124Aと、アダプタ106が一体化される端とは反対側のバレル102Bの端との間の位置に取り付けられる。
【0040】
ピン120Aは、ピン受け部材120Bのうちの1つに挿入される。ピン118Aは、バレル102Bから突出するとともに、方向Bにおけるプランジャ104の移動時にボタン116Aと当接する。そのような当接は、方向Bにおける作動部材116のさらなる移動を制限する。さらに、プランジャ104との作動部材116の結合を原因として、プランジャ104の移動はまた、方向Bにおいて制限される。
【0041】
図2は、本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器200を示す。半自動的に制御可能な注射器200は、体外受精プロセス、例えば卵細胞質内精子注入において使用される。以降では簡潔さのために注射器200とも呼ばれる半自動的に制御可能な注射器200は、負圧をかけることにより卵母細胞を適所に保持するために使用されてもよい。注射器200は、バレル202と、プランジャ204と、作動部材206と、ニードル208と、付勢部材210と、チャンバ212と、チューブ214と、持針器216と、移動制御機構218とを含む。付勢部材210及び移動制御機構218は、それぞれ付勢部材110及び移動制御機構120と同様である。バレル202は第1セクション202Aと第2セクション202Bとを含む。第1セクション202Aの直径は第2セクション202Bの直径より大きい。プランジャ204はバレル202内部に配置される。例において、プランジャ204はバレル202内部に部分的に配置される。別の例において、プランジャ204はバレル202内部に完全に配置される。バレル202はスロット220を含む。作動部材206はバレル202に配置されるとともにスロット220を介してプランジャ204と結合される。
図2において、円で囲まれた領域250は、スロット220を介したプランジャ204との作動部材206の結合の側部断面図を示す。スロット220は、作動部材206及びプランジャ204が何の妨げも無しに方向A及びBに摺動し得るのに十分長い。付勢部材210はプランジャ204とバレル202との間に配置される。プランジャ204の動作端及びアダプタの基端側にあるバレル202の第1端はチャンバ212を画定する。
【0042】
バレル202はチューブ214を介してニードル208と接続される。チューブ214の長さは70~200cmの範囲にあり得る。チューブ214の内径は1mmであり得る。ニードル208は、ニードル208を安定的に保持するための持針器216に取り付けられる。ニードル208は先端208Bを備えた中空シャフト208Aを含む。先端208Bの内径は20~50ミクロンの範囲にあり得る。例において、ニードル208は使い捨てのニードルである。持針器216は、ニードル208の位置付けを正確に制御するために、マニピュレータコントローラ(図示せず)に取り付けられてもよい。
【0043】
プランジャ204は、チャンバ212内部に陽圧を生じさせるために、プランジャ204の動作端の反対側に位置するプランジャ204の作動端へ押す力をかけると、チューブ214に向かって移動させられる。この移動の結果として、付勢部材210は付勢された状態に到達する。例において、プランジャ204の変位は1~5cmの範囲であり得る。先端208Bは、精子が注入されることになる卵母細胞の近くに位置付けられる。先端208Bを卵母細胞の近くに位置付けると、押圧力は解除される。押圧力の解除時、付勢部材210は付勢されていない状態に戻る。付勢部材210の、付勢されていない状態への移動の効果で、プランジャ204は、チャンバ212内部に負圧を生じさせる元の位置に向かって自動的に移動させられる。結果として、卵母細胞は先端208Bに向かって吸引される。先端208Bと比較して卵母細胞のサイズが大きいことを原因として、卵母細胞は先端208Bで保持され、ニードル208内部に完全に吸引されてしまうことは防がれる。プランジャ204の変位は、1~3キロパスカル(kPa)の範囲の負圧をかける。
【0044】
さらに、プランジャ204及び付勢部材210の変位の範囲は、プランジャ204の移動を必要とされる度合いに制限するバレル202に配置された移動制御機構218で制御される。移動制御機構218はピン218Aとピン受け部材218Bのセットとを含む。ピン218Aは、ピン受け部材218Bのうちの1つに挿入される。ピン218Aは、バレル202から突出するとともに、方向Aにおける作動部材206の移動時に作動部材206と当接する。そのような当接は、方向Aにおける作動部材206のさらなる移動を制限する。さらに、プランジャ204との作動部材206の結合を原因として、プランジャ204の移動は同様に方向Aにおいて制限される。同様に、ピン218Aを異なるピン受け部材218Bに挿入することにより、ユーザは必要とされる動作に従って範囲を増大又は減少させ得る。範囲の制御は、ユーザが卵母細胞を先端208Bで保持するためにかけられる負圧の量を正確に制御することを可能にする。
【0045】
図3は本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器300を示す。簡潔さのために以降では注射器300とも呼ばれる半自動的に制御可能な注射器300は、体外受精プロセス、例えば卵細胞質内精子注入において使用されてもよい。注射器300は、バレル302と、プランジャ304と、作動部材306と、ニードル308と、付勢部材310と、チャンバ312と、移動制御機構314とを含む。プランジャ304、作動部材306、ニードル308、及び移動制御機構314はそれぞれプランジャ204、作動部材206、ニードル208、及び移動制御機構218と同様である。バレル302は、ニードル308と接続されたバレル302の先端側にある端から閉鎖される。注射器300の付勢部材310は、
図1のチャンバ212と同様にチャンバ312を画定するニードル308の近くに位置するバレル302の第1端とプランジャ304の動作端との間で接続される。
【0046】
移動制御機構314は、プランジャ304の移動を必要とされる度合いに制限することによりプランジャ304及び付勢部材310の変位の範囲を制御する。移動制御機構314は、ピン314Aとピン受け部材314Bのセットとを含む。ピン314Aは、ピン受け部材314Bのうちの1つに挿入される。ピン314Aは、バレル302から突出するとともに方向Aにおける作動部材306の移動時に作動部材306と当接する。そのような当接は、方向Aにおける作動部材306のさらなる移動を制限する。さらに、プランジャ304との作動部材306の結合を原因として、プランジャ304の移動は同様に方向Aにおいて制限される。同様に、ピン314Aを異なるピン受け部材314Bに挿入することにより、ユーザが必要とされる動作に従って範囲を増大又は減少させ得る。範囲の制御はユーザがニードル308の先端308Aで卵母細胞を保持するためにかけられる負圧の量を正確に制御することを可能にする。
【0047】
図4は、本発明の主題の実装形態による半自動的に制御可能な注射器400を示す。以降では簡潔さのために注射器400とも呼ばれる半自動的に制御可能な注射器400は、精子を取集するために、及び体外受精プロセス、例えば卵細胞質内精子注入において取集された精子を標的卵母細胞に注入するために使用され得る。注射器400は、バレル402と、プランジャ404と、作動部材406と、ニードル408と、付勢部材410と、チャンバ412と、チューブ414と、持針器416と、移動制御機構418とを含む。注射器400の特徴の構造上の配置構成は、
図2の注射器200の特徴の構造上の配置構成と同様であってもよい。しかしながら、注射器400の特徴の構造上の寸法は注射器200及び半自動的に制御可能な注射器100Eの特徴とは異なり得る。付勢部材410から離れて位置付けられたプランジャ404の動作端、及び付勢部材410から離れて位置するバレル402の第1端がチャンバ412を画定する。バレル402はチューブ414を介してニードル408と接続される。チューブ414の長さは70~200cmの範囲であり得る。チューブ414の内径は1mmであり得る。
【0048】
ニードル408はニードル408を安定的に保持するための持針器416に取り付けられる。ニードル408は先端408Bを備えた中空シャフト408Aを含む。先端408Bの内径は3~10ミクロンの範囲にあり得る。例において、ニードル408は使い捨てのニードルである。持針器416は、ニードル408の位置付けを正確に制御するためにマニピュレータコントローラ(図示せず)に取り付けられる。プランジャ404は、チャンバ412内部に陽圧を作り出すためにプランジャ404に押す力をかけることによりチューブ414に向かって移動させられる。そのような移動の結果として、付勢部材410は付勢された状態に到達する。
【0049】
例において、プランジャ404の動作端は、バレル402の内面の周りに気密シールを作り出すためのシーリング要素404Aを含む。プランジャ404は、動作端の反対側に位置する作動端を含む。シーリング要素404Aはゴムガスケットを含む。キャップ420はバレル402の第2端に取り付けられ、第2端はバレル402の第1端の反対側に位置する。キャップ418はバレル402の第2端にフランジタイプ構造を作り出す。例において、キャップ420はねじ接続部を通じてバレル402の第2端に取り付けられる。別の例において、キャップ420はバレル402の第2端にスナップ篏めされる。プランジャ404の作動端にはフランジが配設される。付勢部材410は、バレル402の第2端に配置されたフランジタイプ構造とプランジャ404の作動端のフランジとの間に配置される。付勢部材410の端はキャップ420に篏合され、キャップ420は付勢部材410をバレル402の第2端に配置されたフランジタイプ構造とプランジャ404の作動端のフランジとの間に係止する。
【0050】
作動部材406は、プランジャ404の移動を引き起こすためにユーザにより使用される。例において、プランジャ404の移動は1~5cmの範囲であり得る。キャップ420に向かってのプランジャ404の移動は10~20kPaの範囲の負圧をかける。
【0051】
移動制御機構418は、作動部材406の移動を必要とされる度合いに制限することにより作動部材406の変位の範囲を制御する。そのような制御はまた、プランジャ404との作動部材の406の結合を原因としてプランジャ404の変位の範囲を制限する。移動制御機構418はピン418Aとピン受け部材418Bのセットとを含む。ピン418Aは、ピン受け部材418Bのうちの1つに挿入される。ピン418Aは、バレル402から突出するとともに方向Bにおける作動部材406の移動時に作動部材406と当接する。そのような当接は方向Bにおける作動部材406のさらなる移動を制限する。さらに、プランジャ404との作動部材406の結合を原因として、プランジャ404の移動はまた方向Bにおいて制限される。同様に、ピン418Aを異なるピン受け部材418Bに挿入することにより、ユーザが必要とされる動作に従って範囲を増大又は減少させ得る。範囲の制御は、ユーザが、精子を収集するために及び体外受精プロセスにおいて取集された精子を標的卵母細胞に注入するために必要とされる圧力の量を正確に制御することを可能にする。
【0052】
先端408Bが卵母細胞の外部層(透明帯)を貫通するために、機械的圧力がニードル408により、チューブ414内部に取集された精子(図示せず)を入れる卵母細胞(図示せず)にかけられる。外部層を穿刺した後、ニードル408は、卵母細胞に向かって、卵母細胞直径の30%~70%中へさらに押される。さらに、プランジャ404は、負圧又は吸引圧を生じさせるために制御可能なやり方でキャップ420に向かって作動部材406に引く力がかけられ、これは今度は、付勢部材410を伸張するやり方で付勢された状態を達成するように作動させる。負圧は、卵母細胞(卵細胞膜)の内部層を穿刺するために用いられる。内部層を成功裏に穿刺した後で、引く力は解除される。押す力の解除は、付勢部材410が付勢された状態から付勢されていない状態を自動的に達成することを可能にする。付勢部材410が付勢されていない状態へ変わることは、かけられた負圧を無効にするためにプランジャ404の移動を可能にする。その後、付勢部材410は付勢されていない状態に戻され、さらに、精子を卵母細胞内に入れるために陽圧がかけられる。例において、陽圧は1~2kPaの範囲にあり得る。これにより、卵母細胞の細胞質内へ精子を入れることが成功する。
【0053】
図5A及び5Bは、本発明の主題の実装形態による、空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器500を示す。空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器500はまた、以降で簡潔さのために空気圧式注射器500と呼ばれる。
図5Aは外側ケーシング502を備えた空気圧式注射器500の断面図を示す。
図5Bは外側ケーシング502の無い空気圧式注射器500を示す。空気圧式注射器500は、動作バレル504と、作動バレル506と、プランジャ508と、作動部材510と、シーリングキャップ512と、チャンバ514と、移動制御機構516とを含む。移動制御機構516は
図2の移動制御機構218と同様であってもよい。動作バレル504及び作動バレル506は結合されて共通の閉鎖システムを画定する。共通の閉鎖システムはチャンバ514を画定する。プランジャ508は、動作バレル504及び作動バレル506により画定された閉鎖システムの内部に配置される。作動バレル506は付勢部材を形成し得る。例において、空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器500は空気圧によって制御される駆動ユニットを含む。空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器500の付勢部材は空気圧によって制御される駆動ユニットであってもよい。
【0054】
スロットが動作バレル504及び作動バレル506の一方の外面に配置される。作動部材510は、動作バレル504及び作動バレル506の一方の外面に配置されるとともに、スロットを介してプランジャ508と結合される。作動部材510へ摺動力をかけたときの方向Aにおけるプランジャ508の移動は、作動バレル506内部に空気圧を作り出す。摺動力の除去時、方向Bに向かっての元の位置へのプランジャ508の移動は、作動バレル506内部で生じさせられた空気圧の効果により作動させれる。
【0055】
移動制御機構516はピン516Aとピン受け部材516Bのセットとを含む。ピン受け部材516Bのセットはプランジャ508の変位の範囲を制御するために動作バレル504の外面に配置される。
【0056】
移動制御機構516は、作動部材510の移動を必要とされる度合いに制限することにより作動部材510の変位の範囲を制御する。そのような制御はまた、プランジャ508との作動部材510の結合を原因としてプランジャ508の変位の範囲を制限する。ピン516Aは、ピン受け部材516Bのうちの1つに挿入される。ピン516Aは、バレル504から突出するとともに方向Aにおける作動部材510の移動時に作動部材510と当接する。そのような当接は方向Aにおける作動部材510のさらなる移動を制限する。さらに、プランジャ508との作動部材510の結合を原因として、プランジャ508の移動はまた方向Aにおいて制限される。同様に、ピン516Aを異なるピン受け部材516Bに挿入することにより、ユーザが必要とされる動作に従って範囲を増大又は減少させ得る。
【0057】
図6は、本発明の主題の実装形態による空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器600を示す。空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器600は以降、簡潔さのために空気圧式注射器600と呼ばれ得る。空気圧式注射器600は第1チューブ602と、第2チューブ604と、プランジャ606と、作動部材608と、移動制御機構618とを含む。組み立てられた状態において、第1チューブ602及び第2チューブ604はバレルを形成し得る。プランジャ606は2つの円筒形セクション610、612を含む。第1セクション610は5~15mmの範囲の内径を有し得る。第1セクション610の外縁にはシーリング要素610Aが設けられる。第2セクション612は3~7mmの範囲の直径を有し得る。第1セクション610と同様に、第2セクション612の外縁にはシーリング要素612Aが設けられる。例において、プランジャ606の両セクション610、612のシーリング要素610A、612Aはゴムバウチャー又はガスケットでできていてもよい。第2チューブ604はスロット620を含む。作動部材608は第1チューブ602に配置されるとともに、スロット620を介してプランジャ606と結合される。
【0058】
プランジャ606は、第1チューブ602の第1端から第1チューブ602内部に挿入される。第1チューブ602の内径未満の外径を有する第2チューブ604は、第1チューブ602の第2端から第1チューブ602に取り付けられる。第2チューブ604は小さい開口を有する突出部614を含む。突出部614は、第2チューブ604の残りの部分の内径未満の内径を有し得る。突出部614の外径は0.5~1.5mmの範囲にあり得る。第2チューブ604は、チャンバを作り出すようなやり方で第1チューブ602の第2端に取り付けられる。例において、第1チューブ602はねじ接続部を通じて第2チューブ604と取り付けられる。別の例において、第1チューブ602は、スナップ篏め接続部で気密なやり方で第2チューブ604と取り付けられる。
【0059】
配置された状態において、シーリング要素612Aを含むプランジャ606の動作端は第2チューブ604内部に配置され、プランジャ606の作動端は第1チューブ602内部に配置される。キャップ616は、第2チューブ604から離れたところに位置する第1チューブ602の一端に取り付けられ、キャップ616は、第1チューブ602内部に、プランジャ606の作動端と第1チューブ602の、キャップ616が接続された端との間に、気密の筐体を作り出す。例において、キャップ114は、ねじ接続部を通じて第1チューブ602に取り付けられる。別の例において、キャップ114は第1チューブ602の端にスナップ篏めされる。
【0060】
移動制御機構618は、作動部材608の移動を必要とされる度合いに制限することにより作動部材608の変位の範囲を制御する。そのような制御はまた、プランジャ606との作動部材608の結合を原因としてプランジャ606の変位の範囲を制限する。移動制御機構618はピン618Aとピン受け部材618Bのセットとを含む。ピン618Aはピン受け部材618Bのうちの1つに挿入される。ピン618Aは、第2チューブ604から突出するとともに方向Aにおける作動部材608の移動時に作動部材608と当接する。そのような当接は方向Aにおける作動部材608のさらなる移動を制限する。さらに、プランジャ606との作動部材608の結合を原因として、プランジャ606の移動は同様に方向Aにおいて制限されている。同様に、ピン618Aを異なるピン受け部材618Bに挿入することにより、ユーザが必要とされる動作に従って範囲を増大又は減少させ得る。
【0061】
第1チューブ602内部に配置されたプランジャ606は、チャンバに沿って第2チューブ604に向かって部分的に摺動可能である。作動部材608に加えて第1チューブ602、第2チューブ604、及びプランジャ606を組み立てた後で、キャップ616が第1チューブ602をプランジャ606が第1チューブ602に挿入される端から閉鎖するために使用される。キャップ616は第1チューブ602内部に気密閉鎖システムを作り出す。摺動力をかけることによる作動部材608の作動は、プランジャ606を1つの方向に移動させる一方で移動の方向に反対側の領域において負圧を生じさせる。これは、作動部材608にかけられた力が解除された時のプランジャ606の摺動により戻る移動をもたらす。
【0062】
図7は本発明の主題の実装形態による注射器組立体700を示す。注射器組立体700は結合器702と、チューブ704と、ニードル706と、圧力センサ708と、少なくとも1つの半自動的に制御可能な注射器710と、手動で制御可能な注射器720とを含む。手動で制御可能な注射器720は手動で制御可能な回転式注射器720である。手動で制御可能な回転式注射器720は
図7に示されているが、手動で制御可能な縦型注射器が注射器組立体700において使用されてもよい。少なくとも1つの半自動的に制御可能な注射器710は縦型の半自動的に制御可能な注射器710である。縦型の半自動的に制御可能な注射器710が
図7に示されているが、回転式の半自動的に制御可能な注射器が注射器組立体700において使用されてもよい。
【0063】
例において、縦型の半自動的に制御可能な注射器710は卵細胞膜穿刺のために必要とされる吸引圧を生じさせるためのものであり、手動で制御可能な回転式注射器720は、卵細胞膜の穿刺の成功時に精子を取集する及び精子を入れるためのものである。
図7の縦型の半自動的に制御可能な注射器710は
図4の半自動的に制御可能な注射器400と同様であってもよい。縦型の半自動的に制御可能な注射器710は前円筒形部分710Aと後円筒形部分710Bとを含む。後円筒形部分710Bは、付勢部材の移動を制限するために付勢部材712とキャップ714とを収容する。付勢部材712及びキャップ714は
図4の付勢部材410及びキャップ420と同様であってもよい。前円筒形部分710Aは、5~20mmの直径を有し得る。前円筒形部分710Aはアダプタ716を介して結合器702に結合される。結合器702は、今度はチューブ704を介してニードル706に結合される。例において、ニードル706は、ニードル706を安定的に保持するための持針器718に取り付けられる。持針器718は、ニードル706の位置付けを正確に制御するためにマニピュレータコントローラ(図示せず)に取り付けられる。ニードル706は先端706Bを備えた中空シャフト706Aを含む。先端706Bの内径は20~50ミクロンの範囲にあり得る。例において、ニードル706は使い捨てのニードルである。
【0064】
手動で制御可能な回転式注射器720はまた、以降では簡潔さのために回転式注射器720と呼ばれる。回転式注射器720は、バレル722と、作動部材724と、ねじ切りされた部材726と、ねじ切りされた部材726に結合されたピストン728とを含む。例において、作動部材724は回転式作動部材である。作動部材724は形状が円筒形である。バレル722は貫通開口(図示せず)を備えて形成された突出部730を含む。貫通開口は、チューブ704を介してニードル706と結合するために結合器702と結合され、ピストン728の反対側に位置付けられた端に位置付けられる。バレル722内部でのピストン728の移動は1~3cmの範囲にあり得る。バレル722の内径は20~40mmの範囲にあり得る。作動部材724はねじ切りされた内面を備えた本体を含み、ねじ切りされた部材726は本体のねじ山で補完するねじ山を有する。ねじ切りされた部材726のねじ山は本体のねじ山と係合する。さらに、本体は結合器702を介して縦型の半自動的に制御可能な注射器710と結合される。
【0065】
結合器702は、圧力センサ708及びニードル706に接続されたチューブ704に接続される。チューブの長さ704は70~200cmの範囲にあり得る。圧力センサ708は、縦型の半自動的に制御可能な注射器710及び回転式注射器720からかけられている圧力の値を測定するために用いられる。結合器702は、縦型の半自動的に制御可能な注射器710、回転式注射器720、圧力センサ708、及びニードル706の間に接合部を提供する。チューブ704の内径は1mmであってもよい。作動部材724の時計回りの移動は、ねじ切りされた部材726のねじ山及び本体のねじ山の係合を原因として、方向Aにおけるピストン728の移動をもたらす。方向Aにおけるピストン728の移動はバレル722内部に負圧を生じさせ得る。代替的に、反時計回りの方向における作動部材724の移動は、ねじ切りされた部材726のねじ山及び本体のねじ山の係合を原因として、方向Bにおけるピストン728の移動を引き起こす。方向Bにおけるピストン728の移動はバレル722内部に陽圧を生じさせる。
【0066】
回転式注射器720において負圧を生じさせることは、ニードル706を注入されることになる精子の近くに置いた後で行われ、このことは、回転式注射器720に接続されたチューブ704内への精子の取集を可能にする。先端706Bは、標的卵母細胞(図示せず)に接触した状態で置かれる。卵母細胞の外部層(図示せず)は、ニードル706を通じて外部層にかけられた機械力で穿刺される。外部層の穿刺の後で、先端706Bを卵母細胞の直径の30%~70%の範囲内へ移動させるためにさらなる機械力がかけられる。縦型の半自動的に制御可能な注射器710は、
図4において詳細に説明されたとおりニードル706を通じて卵母細胞の内部層(卵細胞膜)を穿刺するために使用される。卵細胞膜の穿刺の成功時、卵母細胞において取集された精子を入れるため、回転式注射器720の作動部材724は反時計回りに方向に回転させられ、これは回転式注射器720において陽圧を生じさせる。陽圧は、ニードル706の開口に向かっての精子の放出をもたらす。ニードル706は卵母細胞の標的領域に接触した状態で置かれ、卵母細胞内に精子を入れるためにさらなる陽圧が回転式注射器720によりかけられる。
【0067】
本発明の主題の実装形態において挙げられているとおり注射器組立体700を動作させることは、卵細胞膜穿刺プロセスに伴う主観性の効果を除去することにより厳密なやり方で卵母細胞に損害を与えること無しに精子注入プロセスを行うことを可能にする。さらに、及び卵細胞膜穿刺プロセスの半自動化は、必要とされる圧力が卵母細胞にかけられた状態で卵細胞質内精子注入(ICSI)プロセスを行うために必要とされる時間を全体として短縮することを可能にし、卵母細胞操作に必要とされる時間を短縮し、また、ICSI処置の実施についてのユーザの主観性を最小化する。
【0068】
図8Aは、本発明の主題の実装形態による縦型の半自動的に制御可能な注射器800Aを示す。縦型の半自動的に制御可能な注射器800Aは空気圧によって作動させられる。縦型の半自動的に制御可能な注射器800Aは、
図5Aの空気圧によって作動する半自動的に制御可能な注射器500と同様であってもよく、精子注入を行うために卵母細胞を保持するために使用されてもよい。縦型の半自動的に制御可能な注射器800Aは、
図2&3において詳細に説明されたとおり卵母細胞保持のプロセスを行うためにチューブ802及びニードル804に接続される。チューブの長さは100~150cmの範囲にある。ニードル804の先端の外径は60~100マイクロメートルの範囲にあってもよく、チューブ802の内径は10~30ミクロンの範囲にある。
【0069】
図8Bは本発明の主題の実装形態による注入組立体800Bを示す。注入組立体800Bは縦型の半自動的に制御可能な注射器806を含み、手動で制御可能な回転式注射器808は
図7の縦型の半自動的に制御可能な注射器710及び回転式注射器720と同様である。注入組立体は、精子注入のプロセスを行うために注入側チューブ(図示せず)及び注入側ニードル(図示せず)に接続される。注入側ニードルは5~10マイクロメートルの範囲の内径を有する。注入側チューブは100~200cmの範囲の長さを有する。
【0070】
図9は、卵細胞質内精子注入プロセスのための注入ニードル側で測定された圧力値を表すデータポイントに関する従来の注射器と例示的な半自動的に制御可能な注射器との間の性能比較のグラフ表示900を示す。
図9のグラフは、破棄された卵母細胞での従来の卵細胞質内精子注入(ICSI)技術及び本発明の主題の例示的な技術に関する、x軸時間で時間(単位:秒)及びy軸で圧力の尺度(単位:キロパスカル)を表すデータの比較を表す。
図9を参照すると、902A及び902Bは、例示的な半自動的に制御可能な注射器に関する測定値のデータポイントを表し、904A及び904Bは従来の注射器に関する測定値のデータポイントを表す。グラフ表示900は、従来の注射器及び例示的な半自動的に制御可能な注射器に関して卵細胞質内精子注入プロセスを行うのに要する時間の極端な差を示す。
【国際調査報告】