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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】セル引出タブ、電池及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20230724BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20230724BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230724BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20230724BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALN20230724BHJP
   H01M 10/653 20140101ALN20230724BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/536
H01M10/613
H01M10/6553
H01M10/6554
H01M10/653
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581394
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 CN2021100333
(87)【国際公開番号】W WO2022001660
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】202021216701.6
(32)【優先日】2020-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】柯文瑜
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲煥▼
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼士安
(72)【発明者】
【氏名】周▲貴▼▲樹▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲際▼超
【テーマコード(参考)】
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5H031KK01
5H043AA04
5H043AA13
5H043HA11E
5H043LA21E
5H043LA22E
(57)【要約】
セル引出タブ(10)、電池及び電気自動車であり、該セル引出タブ(10)は、熱伝導部材(13)と、電池の正負極極柱(40)に電気的に接続された本体部(11)と、本体部(11)の一端から折り曲げられて延在し、それぞれ電池における電極体(20)のタブ(21)に電気的に接続された2つの延在ブランチ(12)とを含み、2つの延在ブランチ(12)は、間隔を置いて設置されて取付隙間(14)を形成し、熱伝導部材(13)は、2つの延在ブランチ(12)の電極体(20)から離れた側に設置され、取付隙間(14)を少なくとも部分的に被覆する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導部材と、電池の正負極極柱に電気的に接続された本体部と、前記本体部の一端から折り曲げられて延在する2つの延在ブランチとを含むセル引出タブであって、2つの前記延在ブランチは、それぞれ前記電池における電極体のタブに電気的に接続され、2つの前記延在ブランチは、間隔を置いて設置されて取付隙間を形成し、前記熱伝導部材は、2つの前記延在ブランチの前記電極体から離れた側に設置され、前記取付隙間を少なくとも部分的に被覆する、ことを特徴とするセル引出タブ。
【請求項2】
前記熱伝導部材は、前記取付隙間を完全に被覆する、ことを特徴とする請求項1に記載のセル引出タブ。
【請求項3】
前記熱伝導部材の両端は、それぞれ2つの前記延在ブランチに接続される、ことを特徴とする請求項2に記載のセル引出タブ。
【請求項4】
前記熱伝導部材の一端は、前記タブの一方の側面に接続され、前記熱伝導部材の他端は、折り曲げられて前記取付隙間を被覆する、ことを特徴とする請求項2に記載のセル引出タブ。
【請求項5】
前記本体部の延在方向は、第1の方向であり、2つの前記延在ブランチの延在方向は、第2の方向であり、第3の方向において、前記2つの延在ブランチは、対向して間隔を置いて設置され、前記第1の方向、前記第2の方向及び前記第3の方向は、互いに垂直である、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のセル引出タブ。
【請求項6】
一方の前記延在ブランチの表面は、前記タブの一方の側面に貼り合わせされ、他方の前記延在ブランチの表面は、前記タブの他方の側面に貼り合わせされる、ことを特徴とする請求項5に記載のセル引出タブ。
【請求項7】
前記延在ブランチの前記本体部から離れた端部に位置し、2つの前記延在ブランチを接続する接続部をさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載のセル引出タブ。
【請求項8】
前記延在ブランチは、溶接の方式で前記タブに接続される、ことを特徴とする請求項6又は7に記載のセル引出タブ。
【請求項9】
前記延在ブランチは、超音波溶接又はレーザ溶接により前記タブに接続される、ことを特徴とする請求項8に記載のセル引出タブ。
【請求項10】
前記熱伝導部材は、金属材質からなるものである、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のセル引出タブ。
【請求項11】
前記タブに、前記熱伝導部材と電池のハウジングを隔てるための絶縁材質の側部スペーサが設置される、ことを特徴とする請求項10に記載のセル引出タブ。
【請求項12】
前記熱伝導部材は、熱伝導シリコーン材質からなるものである、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のセル引出タブ。
【請求項13】
前記熱伝導部材は、複合セラミック材質からなるものである、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のセル引出タブ。
【請求項14】
前記複合セラミック材質は、プラスチック及び高熱伝導性材料の混合物を含む、ことを特徴とする請求項13に記載のセル引出タブ。
【請求項15】
前記熱伝導部材は、炭素系材料からなるものである、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のセル引出タブ。
【請求項16】
前記炭素系材料は、放熱層及び熱伝導絶縁層を含む、ことを特徴とする請求項15に記載のセル引出タブ。
【請求項17】
ハウジングと、電極体と、請求項1~16のいずれか一項に記載のセル引出タブとを含み、前記電極体及び前記セル引出タブは、前記ハウジング内に収容される、ことを特徴とする電池。
【請求項18】
前記ハウジングは、収容空間を有する下部ハウジングと、カバープレートとを含み、前記セル引出タブは、前記収容空間内に配置される、ことを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記カバープレートに前記正負極極柱が設置され、前記タブは、前記セル引出タブにより前記正負極極柱に接続される、ことを特徴とする請求項18に記載の電池。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか一項に記載の電池を含む、ことを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願日が2020年6月28日、出願番号が202021216701.6、名称が「セル引出タブ、電池及び電気自動車」である特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電気自動車の分野に関し、特にセル引出タブ、電池及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、HEV(Hybrid Electric Vehicleハイブリッド)又はmHEV(Mild Hybrid Electric Vehicleマイルドハイブリッド)などの高電力電池は、フルタブの設計を用いる。HEV/mHEV電池は、電力性能に対する要求が高く、常に大倍率で充放電を行うことを満たす必要があるため、電池の発熱量が大きくなり、それに伴って以下のいくつかの問題を引き起こす可能性がある。(1)発熱量が大きいため電池の劣化が加速し、サイクル/貯蔵寿命が短くなり、(2)熱が蓄積し、放熱しにくく、安全上のリスクを引き起こし、(3)電池自体の熱伝導性能が低く、外部液冷を必要とし、エネルギー消費が大きく、炭素排出量が高いという問題を引き起こす。どのようにして電池の放熱性能を向上させるかは、現段階の電池設計の主な方向となっている。
【発明の概要】
【0004】
本願は、優れた放熱性能を有するセル引出タブを提供し、セル引出タブの2つの延在ブランチの間の取付隙間に熱伝導部材を設置することにより、その放熱性能を向上させる。
【0005】
本願の1態様に係るセル引出タブは、熱伝導部材と、電池の正負極極柱に電気的に接続された本体部と、前記本体部の一端から折り曲げられて延在し、それぞれ前記電池の電極体のタブに電気的に接続された2つの延在ブランチとを含み、2つの前記延在ブランチは、間隔を置いて設置されて取付隙間を形成し、前記熱伝導部材は、2つの前記延在ブランチの前記電極体から離れた側に設置され、前記取付隙間を少なくとも部分的に被覆する。電極体は、正極シート、セパレータ及び負極シートが巻回されて形成され、巻回された電極体の両側には、正負極シートから引き出された導流のためのタブがあり、電極体の出力電力を向上させ、内部抵抗を低減するために、一般的には複数のタブを一体に圧着することでフルタブの設計となり、セル引出タブは、該圧着されたタブをハウジング外部の正負極極柱に電気的に接続する。セル引出タブとタブとの電気的な接続方式は、2つの延在ブランチによりタブの両側に溶接されることであり、電池の組立の需要のため、2つの延在ブランチの間に間隔を置いて設置することで、取付隙間を形成する必要があり、該取付隙間は、電池の組立に用いられる。本願では、取付隙間の電極体から離れた側に熱伝導部材が設置され、熱伝導部材により実質的にはセル引出タブの放熱面積を増加させ、セル引出タブの放熱効果を向上させ、具体的には、該熱伝導部材は、1枚の放熱シートであってもよく、1枚の放熱網であってもよく、他の放熱可能な構造であってもよく、ここで具体的に限定しない。該熱伝導部材を取付隙間に設置することは、該空間構造に対する合理的な利用であり、電極体の動作に影響を与えることなくセル引出タブの放熱面積を増加させ、放熱効果を向上させる。
【0006】
一実施例において、前記熱伝導部材は、前記取付隙間を完全に被覆する。実施例において、熱伝導部材は、取付隙間を完全に被覆することにより放熱面積を最大に増加させ、放熱効果が最大限向上する。
【0007】
一実施例において、前記熱伝導部材の両端は、それぞれ2つの前記延在ブランチに接続される。熱伝導部材の両端は、それぞれ2つの延在ブランチに接着され、具体的な接着方式は、様々であり、熱伝導部材の両端に接着剤を塗布し、次に両端を延在ブランチに接着してもよく、熱伝導部材の両端をそれぞれ延在ブランチに掛けて、次にテープを巻き付けて熱伝導部材を取付隙間に固定してもよい。
【0008】
一実施例において、前記熱伝導部材の一端は、前記タブの一方の側面に接続される。実施例において、熱伝導部材をより堅固に取り付けるために、本実施例では、溶接の方式で熱伝導部材の一端をタブの一方の側面に接続することができ、前記熱伝導部材の他端は、折り曲げられて前記取付隙間を被覆する。
【0009】
一実施例において、前記本体部の延在方向は、第1の方向であり、2つの前記延在ブランチの延在方向は、第2の方向であり、第3の方向において、前記2つの延在ブランチは、対向して間隔を置いて設置され、前記第1の方向、前記第2の方向及び前記第3の方向は、互いに垂直である。第3の方向に間隔を置いて設置された2つの延在ブランチにより、取付隙間が形成され、セル引出タブは、電極体の構造設計により適合することができる。
【0010】
一実施例において、一方の前記延在ブランチの表面は、前記タブの一方の側面に貼り合わせされ、他方の前記延在ブランチの表面は、前記タブの他方の側面に貼り合わせされる。2つの延在ブランチの表面は、それぞれタブの両側面に貼り合わせされる。このような板面貼り合わせ設計は、電流伝送の電力を増加させ、一方、延在ブランチの放熱能力をも増加させる。
【0011】
一実施例において、前記セル引出タブは、前記延在ブランチの前記本体部から離れた端部に位置し、2つの前記延在ブランチを接続する接続部をさらに含む。接続部の設計により2つの延在ブランチが接続され、その安定性が確保される。
【0012】
一実施例において、前記板面は、溶接の方式で前記タブに接続される。ここでの溶接方式は、超音波溶接又はレーザ溶接であってもよく、それにより構造の平坦度及び安定性を確保する。
【0013】
一実施例において、前記延在ブランチは、超音波溶接又はレーザ溶接により前記タブに接続される。
【0014】
一実施例において、前記熱伝導部材は、金属材質からなるものである。
【0015】
一実施例において、前記タブに、前記熱伝導部材と電池のハウジングを隔てるための絶縁材質の側部スペーサが設置される。
【0016】
一実施例において、前記熱伝導部材は、熱伝導シリコーン材質からなるものである。
【0017】
一実施例において、前記熱伝導部材は、複合セラミック材質からなるものである。
【0018】
一実施例において、前記複合セラミック材質は、プラスチック及び高熱伝導性材料の混合物を含む。
【0019】
一実施例において、前記熱伝導部材は、炭素系材料からなるものである。
【0020】
一実施例において、前記炭素系材料は、放熱層及び熱伝導絶縁層を含む。
【0021】
本願の第2の態様に係る電池は、ハウジングと、電極体と、上記セル引出タブとを含み、セル引出タブと電極体は、電気的に接続されて電極体アセンブリを形成し、前記電極体アセンブリは、ハウジング内に収容される。実施例において、セル引出タブは、電極体のタブに電気的に接続され、両者は、共にハウジングの内部に収容され、具体的には、ハウジングは、収容空間を有する下部ハウジングと、カバープレートとを含み、セル引出タブは、収容空間内に配置され、カバープレートに正極極柱及び負極極柱が設置され、タブは、セル引出タブを介して正負極極柱に接続される。
【0022】
本願の第3の態様に係る電気自動車は、上記電池を含み、上記実施例に係る電池のセル引出タブは、優れた放熱効果を有し、電極体が動作する時の放熱問題を効果的に解決することができ、電池内の電極体の過熱による電気自動車の使用異常を回避することができる。
【0023】
本願の実施例に係るセル引出タブは、その2つの延在ブランチの間の取付隙間に熱伝導部材を設置することにより、セル引出タブの動作に影響を与えることなく、セル引出タブの放熱面積を増加させ、その放熱性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本願の一実施例に係る熱伝導部材を隠したセル引出タブと電極体の取付を示す概略構成図である。
図2】本願の一実施例に係るセル引出タブと電極体の取付を示す概略構成図である。
図3】本願の一実施例に係る熱伝導部材を隠したセル引出タブの概略構成図である。
図4】本願の一実施例に係るセル引出タブの概略構成図である。
図5】本願の別の実施例に係るセル引出タブと電極体の取付を示す概略構成図である。
図6】本願の一実施例に係るセル引出タブと電極体の取付を示す左側面図である。
図7】本願の一実施例に係る電池のブロック図である。
図8】本願の一実施例に係る電気自動車のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本願の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0026】
本願は、セル引出タブ10を提供し、該セル引出タブ10は、電池の組立に広く応用することができる。解決手段におけるセル引出タブ10の特徴をより詳細に説明するために、図1図5を併せて参照する。
【0027】
図1及び図2に示すように、セル引出タブ10及び電極体20の取付を示す概略構成図であり、図1は、セル引出タブ10が熱伝導部材13を隠す場合の概略構成図である。セル引出タブ10は、正負極極柱40と外接される本体部11と、本体部11から引き出された2つの延在ブランチ12とを含み、2つの延在ブランチ12は、それぞれ電極体20に電気的に接続され、図3に示すように、2つの延在ブランチ12は、間隔を置いて設置されて取付隙間14を形成し、ここでの取付隙間14は、その後にセル引出タブ10とタブ21を溶接するために予め設定された空間であり、溶接器具の配置を容易にする。取付隙間14の電極体20から離れた側に熱伝導部材13が設置される。実施例における電極体20は、一般的には正極シート、セパレータ及び負極シートが巻回されて形成され、巻回された電極体20の両側には、正負極シートから引き出された導流のためのタブ21があり、電極体20の出力電力を向上させ、内部抵抗を低減するために、一般的には複数のタブ21を一体に圧着することでフルタブの設計となり、セル引出タブ10は、該圧着されたタブ21を外部の正負極極柱40に電気的に接続する。セル引出タブ10とタブ21との電気的な接続方式は、2つの延在ブランチ12によりタブ21の両側に溶接されることである。図3に示すように、電池の設置の需要のため、2つの延在ブランチ12の間に間隔を置いて設置して、取付隙間14を形成する必要がある。図2に示すように、本実施例の設計では、取付隙間14の電極体21から離れた側に熱伝導部材13が設置され、熱伝導部材13は、取付隙間14を少なくとも部分的に被覆し、熱伝導部材13により実質的にはセル引出タブ10の放熱面積を増加させ、セル引出タブ10の放熱効果を向上させる。なお、該熱伝導部材13は、1枚の放熱シートであってもよく、1枚の放熱網であってもよく、他の放熱可能な構造であってもよく、ここで具体的に限定しない。該放熱シート13を取付隙間に設置することは、該空間構造に対する合理的な利用であり、電極体20の動作に影響を与えることなくセル引出タブ10の放熱面積を増加させ、放熱効果を向上させる。
【0028】
具体的には、図1及び図3に示すように、本体部11の延在方向は、第1の方向Xであり、2つの延在ブランチ12の延在方向は、第2の方向Yであり、第3の方向Zに、2つの延在ブランチ12は、対向して間隔を置いて設置され、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zは、互いに垂直である。
【0029】
1つの具体的な実施例において、図2図3及び図4に示すように、熱伝導部材13は、取付隙間14を完全に被覆する。実施例において、熱伝導部材13は、延在ブランチ12の間の取付隙間14を完全に被覆し、それによりセル引出タブ10全体の放熱面積を増加させ、放熱効果を最大限向上させる。本願の技術的解決手段では、2つの延在ブランチ12の間の取付隙間14を合理的に利用してセル引出タブ10の放熱面積を増加させることができるため、本実施例において、熱伝導部材13は、取付隙間14を完全に被覆することにより、放熱効果をできるだけ向上させる。
【0030】
1つの具体的な実施例において、図2図3及び図4に示すように、2つの延在ブランチ12が対向する方向は、第3の方向Zであり、熱伝導部材13の第3の方向Zでの両端は、それぞれ2つの延在ブランチ12に接続される。具体的には、熱伝導部材13の第3の方向Zでの両端は、それぞれ2つの延在ブランチ12に接着され、ここでの接着方式は、様々であり、熱伝導部材13の両端に接着剤を塗布し、次に両端を延在ブランチ12に接着して、取付隙間14を完全に被覆してもよく、熱伝導部材13の両端をそれぞれ延在ブランチ12に掛けて、次にテープを巻き付けて熱伝導部材13を延在ブランチ12に固定し、取付隙間14を完全に被覆してもよい。
【0031】
1つの具体的な実施例において、図3図4及び図5に示すように、2つの延在ブランチ12が対向する方向は、第3の方向Zであり、熱伝導部材13の第3の方向Zでの一端は、タブ21の一側に接続される。具体的には、熱伝導部材13をより堅固に取り付けるために、本実施例では、溶接の方式で熱伝導部材13の一端をタブ21の一方の側面に接続することができ、熱伝導部材13の他端は、折り曲げられて取付隙間14を被覆すればよい。別の具体的な実施例において、テープにより熱伝導部材13の両端をタブ21の両端に固定接続することができる。なお、熱伝導部材13とタブ21がどのような方式で接続されても、熱伝導部材13が取付隙間14を完全に被覆する必要がある。
【0032】
1つの具体的な実施例において、図6に示すように、一方の延在ブランチ12の表面は、タブ21の一方の側面に貼り合わせされ、他方の延在ブランチ12の表面は、タブ21の他方の側面に貼り合わせされる。このような貼り合わせ設計は、電流伝送の電力を増加させ、一方、延在ブランチ12の放熱能力をも増加させる。
【0033】
1つの具体的な実施例において、図3及び図6に示すように、延在ブランチ12の本体部11から離れた端部に、2つの延在ブランチ12を接続する接続部16が設置される。接続部16の設計により2つの延在ブランチ12が接続され、その構造の安定性が確保される。
【0034】
1つの具体的な実施例において、図6に示すように、延在ブランチ12の板面は、溶接の方式でタブ21に接続される。ここでの溶接方式は、超音波溶接又はレーザ溶接であってもよく、それにより構造の平坦度及び安定性を確保する。
【0035】
なお、本願において熱伝導部材は、優れた熱伝導性能を有する材質からなるものである。
【0036】
具体的には、熱伝導部材は、金属材質からなるものであり、ここでの金属材質は、例えばアルミニウム、黄銅、タフピッチ銅、鋼、鉄のうちの1種又は複数であってもよい。なお、金属材質の熱伝導部材を選択した後、タブに側部スペーサを追加することができ、一般的には側面タブ端部に側部スペーサを嵌着し、該側部スペーサは、例えばPP又はPEなどのプラスチックの絶縁材質からなるものであるため、金属材質の熱伝導部材が電池のハウジングと接触することを防止し、漏電及び短絡などの問題の発生を回避する。
【0037】
具体的には、熱伝導部材は、熱伝導シリコーン材質からなるものである。熱伝導シリコーン材質は、絶縁の熱伝導材料であり、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、炭化ケイ素などのうちの1種又は複数種である。熱伝導シリコーン材質を用いた熱伝導部材は、優れた絶縁性能を有するため、熱伝導部材の設置による短絡又は漏電などの事故の発生を回避する。
【0038】
具体的には、熱伝導部材は、複合セラミック材質からなるものである。ここでの複合セラミックは、主にプラスチック及び高熱伝導性材料の混合物であり、プラスチックは、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)のうちの1種又は複数であってもよく、高熱伝導性材料酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、炭化ケイ素などのうちの1種又は複数種であってもよい。複合セラミック材質を用いた熱伝導部材は、放熱の需要を満たすだけでなく、短絡漏電のリスクがない。
【0039】
1つの具体的な実施例において、熱伝導部材は、炭素系材料からなるものである。ここでの炭素系材料は、放熱層及び熱伝導絶縁層を含む。放熱層は、グラフェン、カーボンブラック、カーボンチューブ、グラファイトなどの炭素系材料のうちの1種又は複数種であってもよく、熱伝導絶縁層は、熱伝導シリコーン又は複合セラミックのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0040】
図7に示すように、本願の第2の態様に係る電池100は、ハウジング30、電極体20及びセル引出タブ10を含み、セル引出タブ10と電極体20は、電気的に接続され、ハウジング30内に収容される。実施例において、セル引出タブは、電極体のタブに電気的に接続され、両者は、共にハウジングの内部に収容され、具体的には、ハウジングは、収容空間を有する下部ハウジングと、カバープレートとを含み、セル引出タブは、収容空間内に配置され、カバープレートに正負極極柱が設置され、タブは、セル引出タブを介して正負極極柱に接続され、実施例に係る電池は、セル引出タブでの熱伝導部材の設計により、優れた放熱効果を有し、動作中に電極体の温度が高すぎることによる危険を回避する。
【0041】
本実施例に係る電池は、熱伝導部材を含むセル引出タブを用いた後、その電極体側面の接触熱抵抗を大幅に低減することができ、ここで1組の実際の測定データにより比較して説明する。
【0042】
実験ステップは、(1)熱伝導部材付きのセル引出タブを選択して電池を組み立てるステップと、(2)ハウジングの外表面の各面に少なくとも3つの熱電対を追加して温度採集の精度を保証し、25℃、50%SOC電池、6C/10Sで連続的に充放電するという試験条件で、実験データを取得し、各熱電対の温度がいずれも平衡(平衡条件は、温度変化が0.5℃/10minになることである)に達すると、停止するステップと、(3)初期のセルから熱伝導部材を除去し、上記方法に従って試験し、実験データを再取得するステップと、(4)実測して得られたデータに基づいてシミュレーションによりセルの各方向の接触熱抵抗を算出するステップと、を含む。
【0043】
以下の表1のデータを得る。
【表1】
【0044】
表1から分かるように、熱伝導部材を追加した後、電極体の側面の接触熱抵抗データが低下し、0.002915K*m/Wから0.0015K*m/Wに低下し、これにより本願に係る熱伝導部材付きのセル引出タブが電極体に対して優れた放熱効果を有することが分かる。
【0045】
図8に示すように、本願の第3の態様に係る電気自動車1000は、上記電池100を含み、上記実施例に係る電池のセル引出タブは、優れた放熱効果を有し、電極体の放熱性能を向上させ、電極体の温度が高すぎることによる安全上のリスクを回避し、また、電極体自体の放熱性能が低いと、外部装置により液冷降温を行う必要があり、実質的には電気自動車のエネルギー消費を増加させ、炭素排出量が高いという問題を引き起こすため、本願は、全体の熱抵抗を低減し、車両全体のエネルギー消費を低減することができる。
【0046】
以上の内容は、本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者であれば、本願に開示された技術的範囲内に容易に想到し得る変化又は置換は、いずれも本願の保護範囲に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を基準とすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導部材と、電池の正負極極柱に電気的に接続された本体部と、前記本体部の一端から折り曲げられて延在する2つの延在ブランチとを含むセル引出タブであって、2つの前記延在ブランチは、それぞれ前記電池における電極体のタブに電気的に接続され、2つの前記延在ブランチは、間隔を置いて設置されて取付隙間を形成し、前記熱伝導部材は、2つの前記延在ブランチの前記電極体から離れた側に設置され、前記取付隙間を少なくとも部分的に被覆する、ことを特徴とするセル引出タブ。
【請求項2】
前記熱伝導部材は、前記取付隙間を完全に被覆する、ことを特徴とする請求項1に記載のセル引出タブ。
【請求項3】
前記熱伝導部材の両端は、それぞれ2つの前記延在ブランチに接続される、ことを特徴とする請求項2に記載のセル引出タブ。
【請求項4】
前記熱伝導部材の一端は、前記タブの一方の側面に接続され、前記熱伝導部材の他端は、折り曲げられて前記取付隙間を被覆する、ことを特徴とする請求項2に記載のセル引出タブ。
【請求項5】
前記本体部の延在方向は、第1の方向であり、2つの前記延在ブランチの延在方向は、第2の方向であり、第3の方向において、前記2つの延在ブランチは、対向して間隔を置いて設置され、前記第1の方向、前記第2の方向及び前記第3の方向は、互いに垂直である、ことを特徴とする請求項に記載のセル引出タブ。
【請求項6】
一方の前記延在ブランチの表面は、前記タブの一方の側面に貼り合わせされ、他方の前記延在ブランチの表面は、前記タブの他方の側面に貼り合わせされる、ことを特徴とする請求項5に記載のセル引出タブ。
【請求項7】
前記延在ブランチの前記本体部から離れた端部に位置し、2つの前記延在ブランチを接続する接続部をさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載のセル引出タブ。
【請求項8】
前記延在ブランチは、溶接の方式で前記タブに接続される、ことを特徴とする請求項に記載のセル引出タブ。
【請求項9】
ハウジングと、電極体と、請求項1~のいずれか一項に記載のセル引出タブとを含み、前記電極体及び前記セル引出タブは、前記ハウジング内に収容される、ことを特徴とする電池。
【請求項10】
請求項9に記載の電池を含む、ことを特徴とする電気自動車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
図1及び図2に示すように、セル引出タブ10及び電極体20の取付を示す概略構成図であり、図1は、セル引出タブ10が熱伝導部材13を隠す場合の概略構成図である。セル引出タブ10は、正負極極柱40と外接される本体部11と、本体部11から引き出された2つの延在ブランチ12とを含み、2つの延在ブランチ12は、それぞれ電極体20に電気的に接続され、図3に示すように、2つの延在ブランチ12は、間隔を置いて設置されて取付隙間14を形成し、ここでの取付隙間14は、その後にセル引出タブ10とタブ21を溶接するために予め設定された空間であり、溶接器具の配置を容易にする。取付隙間14の電極体20から離れた側に熱伝導部材13が設置される。実施例における電極体20は、一般的には正極シート、セパレータ及び負極シートが巻回されて形成され、巻回された電極体20の両側には、正負極シートから引き出された導流のためのタブ21があり、電極体20の出力電力を向上させ、内部抵抗を低減するために、一般的には複数のタブ21を一体に圧着することでフルタブの設計となり、セル引出タブ10は、該圧着されたタブ21を外部の正負極極柱40に電気的に接続する。セル引出タブ10とタブ21との電気的な接続方式は、2つの延在ブランチ12によりタブ21の両側に溶接されることである。図3に示すように、電池の設置の需要のため、2つの延在ブランチ12の間に間隔を置いて設置して、取付隙間14を形成する必要がある。図2に示すように、本実施例の設計では、取付隙間14の電極体20から離れた側に熱伝導部材13が設置され、熱伝導部材13は、取付隙間14を少なくとも部分的に被覆し、熱伝導部材13により実質的にはセル引出タブ10の放熱面積を増加させ、セル引出タブ10の放熱効果を向上させる。なお、該熱伝導部材13は、1枚の放熱シートであってもよく、1枚の放熱網であってもよく、他の放熱可能な構造であってもよく、ここで具体的に限定しない。該熱伝導部材13を取付隙間に設置することは、該空間構造に対する合理的な利用であり、電極体20の動作に影響を与えることなくセル引出タブ10の放熱面積を増加させ、放熱効果を向上させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
具体的には、熱伝導部材は、熱伝導シリコーン材質からなるものである。熱伝導シリコーン材質は、絶縁の熱伝導材料であり、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素などのうちの1種又は複数種である。熱伝導シリコーン材質を用いた熱伝導部材は、優れた絶縁性能を有するため、熱伝導部材の設置による短絡又は漏電などの事故の発生を回避する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
具体的には、熱伝導部材は、複合セラミック材質からなるものである。ここでの複合セラミックは、主にプラスチック及び高熱伝導性材料の混合物であり、プラスチックは、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)のうちの1種又は複数であってもよく、高熱伝導性材料酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素などのうちの1種又は複数種であってもよい。複合セラミック材質を用いた熱伝導部材は、放熱の需要を満たすだけでなく、短絡漏電のリスクがない。
【国際調査報告】