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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】圧縮タブを有する装具を備える収集装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20230724BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
A61B5/08
G01N1/02 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581406
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2021068105
(87)【国際公開番号】W WO2022003076
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2006978
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522276459
【氏名又は名称】アリバル
【氏名又は名称原語表記】ARYBALLE
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】デュブレイユ,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューイット,キース
(72)【発明者】
【氏名】サード,サリハ
(72)【発明者】
【氏名】ロラン,ギヨーム
【テーマコード(参考)】
2G052
4C038
【Fターム(参考)】
2G052AA34
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052GA11
2G052JA08
4C038SU17
4C038SX02
(57)【要約】
本発明は、分析装置(3)により特性評価されることが意図された対象化合物を含む呼気サンプルをユーザから収集する装置(2)に関し、当該装置(2)は、圧縮タブと称する第1タブ(15)を備える呼気サンプルを収集するための装具(10)と、分析装置(3)に接続されることを意図され、装具(10)の内管(13)を通過し、長手軸に沿って、圧縮タブ(15)から離間して反対側に延在するサンプリングチューブ(4)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置(3)により特性評価されることが意図された対象化合物を含む呼気サンプルをユーザから収集する装置(2)であって、
前記ユーザの口腔を閉鎖するように構成された、前記呼気サンプルを収集するための装具(10)であって、
・前記口腔の外側に配置されることが意図され、外孔(11)が開口する、外面と称する第1面(10a)と、
・内管(13)により前記外孔(11)に繋がれた内孔(12)が開口する、前記装具(10)の長手軸Aに沿って前記外面(10a)と反対に、前記口腔内に挿入されることが意図される内面と称する第2面(10b)と、
・前記内面(10b)と、前記口腔内で前記装具の保持を保証する際に、前記ユーザの歯に接触することが意図され、垂直と称する軸に沿って前記内孔(12)の両側に配置された上側および下側接触表面(14a、14b)とを備える位置決めベース(14)と、
を備える装具(10)を備え、
前記装具(10)は、圧縮タブと称する第1タブ(15)を備え、前記第1タブ(15)は、前記ユーザの舌に接触することが意図され、前記垂直軸に直交して配向され、第1所定の長さLlcにわたって前記長手軸Aに沿って、前記ベース(14)の前記内面(10b)および前記下側表面(14b)側から延在する薄板により形成され、
前記収集装置(2)は、取り外し可能なサンプリングチューブ(4)を備え、前記取り外し可能なサンプリングチューブ(4)は、前記分析装置(3)に接続されることを意図され、前記装具(10)から取り外しされ得、前記内管(13)を通過し、前記圧縮タブ(15)が前記舌の前記サンプリングチューブ(4)に対する一切の接触を防止するように、前記第1長さLlc以下の距離Dにわたって、前記長手軸Aに沿って、前記圧縮タブ(15)から離間して反対側に延在する、
ことを特徴とする、収集装置(2)。
【請求項2】
保護タブと称する第2タブ(18)を備え、前記保護タブ(18)は、前記垂直軸に直交して配向され、前記サンプリングチューブ(4)から離間して、前記距離D以上の第1所定の長さLlpにわたって、前記長手軸Aに沿って、前記ベース(14)の前記内面(10b)および前記上側表面(14a)側から延在する薄板により形成され、前記垂直軸に沿って前記圧縮タブ(15)と反対に配置される、請求項1に記載の収集装置(2)。
【請求項3】
前記圧縮タブ(14)と、前記保護タブ(18)とは、同一の形状を有し、前記長手軸Aの両側で対称的に延在する、請求項2に記載の収集装置(2)。
【請求項4】
前記位置決めベース(14)上に配置され、前記口腔の入口に接触して配置されることが意図された当接部(17)を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の収集装置(2)。
【請求項5】
前記当接部(17)は、前記位置決めベース(14)に面する、突出フランジにより形成される、請求項4に記載の収集装置(2)。
【請求項6】
前記長手軸Aに沿って前記位置決めベース(14)の延長線上で延在し、前記外面(10a)を備える、把持用付属物(16)を備える、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の収集装置(2)。
【請求項7】
前記位置決めベース(14)は円筒形を有し、前記長手軸Aに直交する軸に沿って互いに反対側に、湾曲した2つの接触表面を画定することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の収集装置(2)。
【請求項8】
前記長手軸Aに沿って前記位置決めベース(14)に面する突出チューブ状周縁(19)を備える、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の収集装置(2)。
【請求項9】
それぞれサンプリングチューブ(4)を収容する、複数の内管(13)を備える、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の収集装置(2)。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の収集装置(2)と、
前記サンプリングチューブ(4)に接続された分析装置(3)と、
を備える分析システム(1)。
【請求項11】
前記分析装置は、前記呼気サンプル内に含まれる前記対象化合物を受け入れることが意図された測定室を備え、前記測定室内に、前記対象化合物と相互干渉可能なレシーバをそれぞれ備える、複数の個別の感知部位が配置され、前記分析装置は、表面プラズモン共鳴イメージング検出器を備え、またはそれぞれ感知部位を形成する複数の個別の電気機械共振器を備える、請求項10に記載の分析システム(1)。
【請求項12】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の収集装置(2)による収集方法であって、前記装具(10)は呼気収集のために前記ユーザの前記口腔内に部分的に挿入され、前記圧縮タブ(4)は前記被験者の前記舌(5)に接して配置される、収集方法。
【請求項13】
前記呼気サンプル収集時に、前記ユーザは鼻呼吸する、請求項12に記載の収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に人間の被験者に対する、特性評価される分析物を含み得る呼気サンプルの収集の分野に関する。より具体的には、本発明の目的は、圧縮タブを有する装具を備える収集装置である。このタブは、ユーザの口腔に、その呼気のサンプルを収集するために挿入されることが意図される。特に、例えば表面プラズモン共鳴イメージング技術を使用する電子鼻による、収集された呼気サンプル内に存在する分析物の特性評価に適用される。
【背景技術】
【0002】
文献EP2906945に、被験者から呼気サンプルを収集し、この呼気サンプル内に存在する対象化合物(例えば、アンモニア)の存在について検出、特性評価を行うための装置が記載されている。このような呼気収集装置は、呼気サンプルの分析から導出された情報を提供可能とし、例えば、被験者の口内に存在する微生物の特定および定量化を可能とする。これら装置はさらに、被験者の呼気内の特定の物質の存在を検出、およびその制御可能とする。上述の文献は、装置がマスクまたはチューブから成り得る呼気収集インタフェースを備えることを示す。
【0003】
被験者の口内へと挿入される呼気収集マウスピース等、その他収集インタフェースが公知である。さらに、注射器により間接的収集も実行である。この注射器は、被験者の口内での吸引で起動され、その後、収集されたサンプルが、分析を実行する呼気収集装置に向かって注射器内で移動するものである。
【0004】
これら呼気収集マウスピースは、熟練の施術者のノウハウに依存した、厳格な実装を要することが一般的である。分析結果は、収集方法の実施が適切かに大いに依存する。したがって、ある者による収集が、別の者により再現しやすいとは言い難い。また、収集条件固有の障害に対して、特に、被験者の口腔に関する生理化学的条件に対しても脆弱であり得る。これは、収集、したがって対象化合物の特性評価の品質を損なう測定ノイズに帰結しかねない。
【0005】
麻酔下の患者が吸って吐く空気内の二酸化炭素レベル等の、気体測定値を取得可能とする口腔咽頭装具も存在する。このような装具は、測定時に患者が呼吸できるように、主開口を備える。具体的に、これらの装具は、文献WO2013/189763A1およびCN2728435に記載されている。しかし、これらは、主開口があることを主因として、患者からの呼気収集を行うように構成されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に解消することであり、より具体的には、口腔内に少なくとも部分的に挿入されることで、その内部の呼気サンプルを収集するように意図された装具を有する収集装置を提案することである。本発明に係る収集装置は、例えば、再現性、および/または測定ノイズについて、収集の特性を改善可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明の目的は、ユーザの口腔内に存在する、分析装置により特性評価されることが意図された対象化合物を含む呼気サンプルを収集する装置であって、
前記ユーザの口腔を閉鎖するように構成された、前記呼気サンプルを収集するための装具であって、
・前記口腔の外側に配置されることが意図され、外孔が開口する、外面と称する第1面と、
・内管により前記外孔に繋がれた内孔が開口する、前記装具の長手軸Aに沿って前記外面と反対に、前記口腔内に挿入されることが意図される内面と称する第2面と、
・前記内面と、前記口腔内で前記装具の保持を保証する際に、前記ユーザの歯に接触することが意図され、垂直と称する軸に沿って前記内孔の両側に配置された上側および下側接触表面とを備える位置決めベースと、
を備える装具を備える。
【0008】
本発明によると、前記装具は、圧縮タブと称する第1タブを備え、当該第1タブは、前記ユーザの舌に接触することが意図され、前記垂直軸に直交して配向され、第1所定の長さLlcにわたって長手軸Aに沿って、前記ベースの前記内面および前記下側表面側から延在する薄板により形成される。さらに、前記収集装置は、取り外し可能なサンプリングチューブを備え、当該取り外し可能なサンプリングチューブは、前記分析装置に接続されることを意図され、前記装具から取り外しされ得、前記内管を通過し、前記圧縮タブが前記舌の前記サンプリングチューブに対する一切の接触を防止するように、前記第1長さLlc以下の距離Dにわたって、前記長手軸Aに沿って、前記圧縮タブから離間して反対側に延在する。
【0009】
この収集装置の好適かつ非限定的な一部の態様は以下のとおりである。
【0010】
前記収集装置は、保護タブと称する第2タブを備え、当該保護タブは、前記垂直軸に直交して配向され、前記サンプリングチューブから離間して、前記距離D以上の第1所定の長さLlpにわたって、前記長手軸Aに沿って、前記ベースの前記内面および前記上側表面側から延在する薄板により形成され、前記垂直軸に沿って前記圧縮タブと反対に配置されてもよい。
【0011】
前記圧縮タブと、前記保護タブとは、同一の形状を有し、前記長手軸Aの両側で対称的に延在してもよい。
【0012】
前記収集装置は、前記位置決めベース上に配置され、前記口腔の入口に接触して配置されることが意図された当接部を備えてもよい。
【0013】
前記当接部は、前記位置決めベースに面する、突出フランジにより形成されてもよい。
【0014】
前記収集装置は、前記長手軸Aに沿って前記位置決めベースの延長線上で延在し、前記外面を備える、把持用付属物を備えてもよい。
【0015】
前記位置決めベースは円筒形を有し、前記長手軸Aに直交する軸に沿って互いに反対側に、湾曲した2つの接触表面を画定してもよい。
【0016】
前記収集装置は、前記長手軸Aに沿って前記位置決めベースに面する突出チューブ状周縁を備えてもよい。
【0017】
前記収集装置は、それぞれサンプリングチューブを収容する、複数の内管を備えてもよい。
【0018】
本発明はさらに、前記特徴のいずれ1つかによる収集装置と、前記サンプリングチューブに接続された分析装置と、を備える分析システムに関する。
【0019】
前記分析装置は、前記呼気サンプル内に含まれる前記対象化合物を受け入れることが意図された測定室を備え、当該測定室内に、前記対象化合物と相互干渉可能なレシーバをそれぞれ備える、複数の個別の感知部位が配置され、前記分析装置は、表面プラズモン共鳴イメージング検出器を備え、またはそれぞれ感知部位を形成する複数の個別の電気機械共振器を備えてもよい。
【0020】
本発明はさらに、前記特徴のいずれ1つかによる収集装置による収集方法に関し、前記装具は呼気収集のために前記ユーザの前記口腔内に部分的に挿入され、前記圧縮タブは前記被験者の前記舌に接して配置される。さらに、好ましくは、前記呼気サンプル収集時に、前記ユーザは鼻呼吸するか、または息を止める。
【0021】
本発明のその他の態様、目的、利点、および特徴が、次の添付図面を参照した、非限定的な例として示される好適な実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、一実施形態に係る分析装置および収集装置を備える分析システムの、部分概略側面図である。
図2図2は、図1に示す収集装具の、概略長手断面および斜視図である。
図3A図3Aは、図1に示す収集装具の概略斜視図である。
図3B図3Bは、図1に示す収集装具の別の概略斜視図である。
図3C図3Cは、図1に示す収集装具の概略正面図である。
図4図4は、ユーザの口腔内に挿入された、図1に示す収集装具の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面および以下の説明において、同一の参照符号は、同一または同様の要素を示す。さらに、図面の明確さを優先するため、各種要素は、実寸どおりに図示されていない。また、各種実施形態および変形例は、相容れないものではなく、互いに組み合わせられ得る。別途記載がない限り、「略」、「約」、「~ほど」という記載は、乖離が10%以内、好ましくは5%以内であることを意味する。さらに、別途記載がない限り、「~と~との間」という表現、およびその均等表現については、範囲が含まれることを意味する。
【0024】
本発明は、特性評価される対象化合物を含み得る呼気サンプルを収集するための装置に関する。この収集装置は、圧縮タブと、対象化合物を分析する装置に接続されることが意図される、取り外し可能なサンプリングチューブとを有する装具を備える。この装具は、ユーザの口腔を閉鎖するように構成される。
【0025】
概して、分析物は、呼気サンプル内に含まれ、分析装置により特性評価されることが意図された要素である。例示的に、細菌、ウイルス、タンパク質、脂質、揮発性有機分子、無機化合物等であり得る。また被験者(人間、動物等)の口腔内に存在する硫黄化合物にも関し得る。
【0026】
分析装置は「電子鼻」とも称され得る。表面プラズモン共鳴測定技術(SFR)を使用し得る。例えば、「気相揮発性有機化合物検知用の表面プラズモン共鳴イメージングに基づく高選択性光学電子鼻(Highly-Selective Optoelectronic Nose based on Surface Plasmon Resonance Imaging for Sensing Gas Phase Volatile Organic Compounds)」という名称で、ブレネトらにより、文献アナリティカルケミストリー、2018、90、16、9879-9887に記載されたものである。変形例として、MEMSまたはNEMS型(例えば、文献EP3184485に記載)の電磁共振器測定等の、その他測定技術が実施され得る。より広義には、測定装置は、抵抗、圧電、機械、音響、または光学式であり得る。
【0027】
より詳細に後述するように、収集装置の装具は、口腔内に部分的に挿入されることが意図され、ユーザの口腔を閉鎖するように構成される。この装具は、口腔、即ち口腔の内部を画定する表面に接触するまたは面することが意図された圧縮タブを備える。対向または面するとは、垂直軸に沿って垂直に、装具の長手軸Aに直交するように配置されること意味する。この軸は、歯の噛む方向の軸に関して垂直と称する。サンプリングチューブは、装具を通過すると、呼気サンプルを収集することが意図されたその自由端は、圧縮タブの反対に位置する。圧縮タブの長さは、サンプリングチューブが装具の内面に面しながら突出して延在する長さ以上である。したがって、圧縮タブは、口腔を画定する表面が、サンプリングチューブによる呼気サンプルの収集を邪魔するように移動可能となることを防止可能とする。ここでは、この表面は、特に被験者(人間または動物)の舌である。これが収集時に動くと、口腔内の局地的生理化学的条件が変更し得る(唾液滴が存在する、湿度が上がる、チューブとの機械的干渉等)。
【0028】
図1は、分析装置3に流体接続された、一実施形態に係る収集装置2を備える分析システム1の概略側面図である。図2、3A、3Bは、装具10を各種視点で示す。この例においては、収集は人間の口腔内で実施される。実際、これは呼気サンプルの収集に関する。この呼気サンプルは、口腔の入口から非ゼロ距離に存在する、特性評価される対象硫黄化合物を含む。
【0029】
収集装置2はさらに、口腔内に部分的に挿入されることが意図された収集装具10を備える。収集装具10は、圧縮タブと称する第1タブ15と、圧縮タブ15の反対に延在し、分析装置3に接続されることが意図された取り外し可能なサンプリングチューブ4とを備える。
【0030】
マウスピース10は、
・外孔と称する第1孔11が開口する、口腔の外側に配置されることが意図されるため外面と称する第1面10aと、
・内管13により外孔11に繋がれた内孔と称する第2孔12が開口する、装具10の長手軸Aに沿って外面10aと反対に、口腔内に配置されることが意図される内面と称する第2面10bと、
を有する構造を備える。
【0031】
外面10aと内面10bの2つはここでは互いに平行であるが、互いに傾斜してもよい。ここで、外面10aは、2つの外孔11を有し、内面10bは、2つの内孔12を有し、2つの内管13が、外孔11を内孔12に繋げている。変形例として、面10a、10bは、単一の外孔と、内孔を一つのみ有するか、複数の孔を有してもよい。内管13は、外孔11と、内孔12とを気密接続する。マウスピース10の構造は、好ましくは剛性の化学的に不活性な材料製である。
【0032】
マウスピース10は、ここでは当該マウスピースの構造の一部を形成する位置決めベース14を備える。ベース14は、内面10bを有し、口腔内に少なくとも部分的に挿入されることが意図される。この呼気収集の用途において、ベース14は、被験者の歯から垂直軸に沿って受ける噛む力で、口腔内に保持されることが意図される。より具体的には、ベース14は、ユーザの歯に接触することが意図された下側表面14aとおよび上側表面14bを有し、これにより口腔内でマウスピース10が保持されることを保証する。表面14aおよび14bは、垂直軸(ユーザの歯による噛む方向の軸)に沿って互いに反対側にあり、内孔12の両側に配置される。
【0033】
なお、マウスピース10は、必ずしも気密にふさぐわけではなくとも、口腔の入口をふさぐように構成されることにも留意されたい。このために、ベース14は、(軸Aに垂直な面において)最大で口腔の入口の寸法に等しい、横長の寸法を有する。フランジ17は、ベース14の外周全体から延在し、口腔の入口よりも大きな寸法を有する。したがって、測定時、呼気は口腔内に閉じ込められ、口腔内に流れ込む外気により希釈されないか、されたとしてもわずかである。
【0034】
マウスピース10は、好ましくは把持用付属物16を備える。これは、施術者または被験者自身が、マウスピース10を操作して、口腔内に部分的に挿入可能とするものである。付属物16は、外面10aを含み、口腔に挿入されることが意図されていない。
【0035】
この例では、付属物16と、ベース14とは、同じ構造の単一の装具から形成された2つの部位である。変形例として、互いに組み付けられるが、取り外し可能な2つの部位であってもよい。これらはそれぞれ、楕円または長円状の円筒形を有し、マウスピースの長手軸Aに沿って、互いの延長線上に配置される。例えば、円筒形のベースは、一例として矩形である、多角形等の別の形状を有してもよい。
【0036】
マウスピース10は、圧縮タブと称する第1タブ15を備える。圧縮タブ15は、好ましくは装具10の構造と同じ剛性材料製の薄板で、長手軸Aに沿った長さが厚さを上回る。圧縮タブ15は、垂直軸に対して略直交して配向され、したがって、垂直ではなく水平である。言い換えると、その幅が垂直軸に略直交する。
【0037】
マウスピースは、口腔を画定する表面に接触するまたは面することが意図された外表面と、外表面の反対に、サンプリングチューブ4に対向すること意図された内表面を有する。マウスピースは、内面10bの縁の少なくとも一部にわたって延在する。マウスピースは、内面10bから、長手軸Aに沿って所定の長さLlcにわたって延在する。この例では、マウスピースは、下側表面14a側の、内面10bの縁に配置される。圧縮タブ15は、口腔の表面、ここでは舌に接触し、舌がサンプリングチューブ4の自由端4aに接することを防ぐことが意図される。後述のように、その長さLlcは、内面10bからサンプリングチューブ4が長手軸Aに沿って延在する距離D以上である。これにより、サンプリングチューブ4およびその、特に舌である口腔の表面に面する自由端4aの保護が向上可能となる。したがって、収集の操作条件を乱すリスクが低減される。これにより、収集の再現性の向上、測定ノイズの制限が可能となる。
【0038】
収集装置2はさらに、分析装置3に接続されることが意図され、自由端4aと称するその一端が、口腔内に配置されることが意図された、取り外し可能なサンプリングチューブ4を備える。サンプリングチューブ4は、内管13によりマウスピース10を通過し、圧縮タブ15に対し離間し、対向しながら長手軸Aに沿って延在する。言い換えると、サンプリングチューブ4、より具体的には、その内孔11と反対の方向に内孔12から延在する内部部分4bと称する部分は、圧縮タブ15と略平行に延在し、長手軸Aに直交する横軸と称する軸に沿って、圧縮タブ15から離間する(接触しない)。サンプリングチューブ4の内部部分4bは、圧縮タブ15の長さLlc以下の距離Dにわたって、長手軸Aに沿って延在する。したがって、呼気サンプルが収集されるサンプリングチューブの自由端4aが、口腔を画定する表面に接触することが防止できる。この距離Dは、長さLlcのおおよそ半分または3/4であり得る。
【0039】
サンプリングチューブ4は、取り外し可能であり、したがって、内管13内に挿入され、そこから取り外しされ得る。サンプリングチューブ4は、その長さ全体にわたって、保護タブ18に面する等、圧縮タブ15に面しながらそれから離間して延在する。したがって、同じ患者またはユーザに対する一連の測定時に、同じマウスピース10を使用しながら、サンプリングチューブ4は複数使用可能となる。即ち、1つのチューブを1度の測定に使用すると、それを取り外し、別のチューブが挿入される。したがって、各測定間で装具10を洗浄する必要がなくなり、使用済みチューブの取り外しおよび新たなチューブの挿入により測定が簡略化される。
【0040】
さらに、サンプリングチューブ4が内管13内で取り外し可能であることにより、その端4aの口腔内の位置(即ち、挿入深さ)を、特性評価しようとする対象成分に応じて、正確に調整可能である。実際、口腔内の前後で、微生物種の濃度が異なることが知られている。
【0041】
図4は、口腔内に部分的に挿入された図1に示されたマウスピース10の概略部分側面図である。これは、長手断面で示され、舌5、歯6、および口蓋7が概略的に示される。
【0042】
ここで、被験者が自身の歯6でマウスピース10を保持可能とするため、ベース14は、垂直軸に面して互いに反対側に、内孔12の両側に配置される、2つの接触表面14a、14bを有する。これら接触表面14a、14bは、被験者の歯6を受け止めるように意図される。その後、被験者は噛む力を両側からかける。
【0043】
マウスピース10は有利に、ここではフランジの形状で、ベース14上で付属物16に隣接して配置された当接部17を備える。当接部17は、口腔の入口に面する、位置決め基準を構成し得る。ここでは、当接部17は、ベース14の周辺の少なくとも一部にわたって、長手軸Aを横切って延在する壁である。この例において、当接部17は、付属物16および当接部17が口腔外に留まるように、ベース14を噛む被験者の唇(不図示)に押し付けられるように意図される。これは、口腔の入口をふさぐことに寄与する。
【0044】
好ましくは、マウスピース10は、保護タブと称する第2タブ18を備える。ここでは、第2タブ18は、長手軸Aに面して圧縮タブ15と略対称である(したがって、垂直軸に沿ってタブ15に対向する)。第2タブ18は、好ましくは装具10の構造と同じ、剛性材料製の薄板であり、長手軸Aに沿った長さが厚さを上回る。第2タブ18は、口腔を画定する表面に接触するまたは面することが意図された外表面と、外表面の反対で、サンプリングチューブ4と、圧縮タブ15の内表面とに対向するように意図された内表面とを有する。第2タブ18は、垂直軸に直交するように配向されるため、水平ではない。
【0045】
第2タブ18は、上側表面14b側から、少なくとも内面10bの縁の別の一部にわたって延在する。さらに、内面10bから、長手軸Aに沿って、所定の長さLlpにわたって延在する。この例では、内面10bの縁にも配置されている。保護タブ18は、口腔の表面、ここでは口蓋に少なくとも面することが意図される。これにより、あらゆる液滴8が、サンプリングチューブ4の内部部分4bに落ちること、より具体的には、自由端4aに落ちることが防止される。したがって、保護タブ18はサンプリングチューブ4から離間するように延在する。このような液滴は、収集される呼気サンプルの水分含量を上げ得る。これは、対象化合物の特性評価時に、測定ノイズをもたらし得る。保護タブ18の長さLlpは、サンプリングチューブ4が内面10bから長手軸Aに沿って延在する距離D以上である。
【0046】
圧縮タブ15および保護タブ18は、互いに個別に設けられている。これらは、サンプリングチューブ4の内部部分4bが配置される内部空間を画定する。この内部空間は、長手軸Aに向かって配向され、したがって呼気サンプルが吸い込まれる後部開口20を有する。ここで、内部空間は、横軸において互いに反対側に、2つの横開口21を有する。変形例として、2つのタブが、横壁を介して、横方向に結合され、サンプリングチューブ4の内部部分4bの周りに連続して延在する同一の周壁を形成し得る。この場合、この周辺圧縮および保護壁は有利に、複数の貫通孔(溝状送り孔等)を有する。これらの穴は、水平軸と称する横軸に配置され、即ち、長手軸Aおよび垂直軸(舌5から口蓋7に配向)に直交する。
【0047】
上述のように、マウスピース10は、対応する外孔11および内孔12を有する、少なくとも1つの内管13を備える。これにより、サンプリングチューブ4の挿入、したがって呼気サンプルの収集が可能となる。本例では、マウスピース10は2本の内管13を備える。これにより、2本のチューブが挿入可能であり、そのため、呼気収集を同時に2回実行できる。変形例として、マウスピース10は、内管13を1本のみ備えるか、所望の同時収集回数と同数の内管13を備える。各種対象化合物または同一の対象化合物の濃度勾配を測定するため、チューブはそれぞれ異なる挿入深さを有し得る。内管13は、サンプリングチューブ4の寸法に対応した寸法を有する。これにより、外気と、口腔内に存在する呼気との間の流体交換を制限しながら、チューブを挿入、取り外し可能となる。
【0048】
ここで、マウスピースは、ベース14の円筒状外形を延長するチューブ状周縁19を備える。したがって、周縁は、長手軸Aに沿って、ベース14に面しながら突出延在する。内孔12は、このチューブ状周縁19によって画定された空間に開口する。
【0049】
マウスピース10は好ましくは、例えば、現行の滅菌法に対応した樹脂内射出形成による、単一部材から形成される。ベース14は中実である(サンプリングチューブ(複数可)を通過可能とする内管(複数可)以外に主要な開口はない)。互いに同一で、長手軸Aに沿って対称的に延在する圧縮タブ15と、保護タブ18とを備えたその構成は、これら2つの要素の1つを被験者の舌に置くという単一の工程にまで指示を減らすことで、使用を簡略化する。
【0050】
ここで、図1を参照して説明した収集装置により、被験者の呼気収集の範囲内で、収集方法の例を説明する。
【0051】
まず、マウスピース10を、例えばオートクレーブ装置内の蒸気のような、任意の公知の方法で消毒する。その後、マウスピース10を任意で洗浄する。これにより、呼気収集に干渉し得る滅菌製剤のあらゆる痕跡を消し去る。
【0052】
図1および4に示す、特に有利な実施形態によると、マウスピース10にはまず、取り外し可能な使い捨てサンプリングチューブ4が少なくとも1本取り付けられる。サンプリングチューブ4が内管13内に挿入され、それにより、一方が外孔11から、他方が内孔12から突出するように、ベース14と、付属物16とを通過する。内孔12からチューブ4は、長手軸Aに沿って、内面10bと、チューブ4の自由端4aとの間に定義された較正された距離Dだけ延在する。
【0053】
サンプリングチューブ4の反対の端は、吸引による収集、呼気サンプル内に存在する対象化合物の検出および特性評価を実行するように構成される分析装置3に接続される。
【0054】
サンプリングチューブ4が定位置に置かれると、把持用付属物16が被験者により把持され、マウスピース10が口内に挿入される。これにより、圧縮タブ15が被験者の舌5に接触し、続いて被験者は唇を当接部17に接触させて、歯6でベース14を噛む。これで口腔の入口がふさがれる。その後、分析装置3が起動され、吸引による呼気収集、続いて対象化合物の特性評価を実行する。
【0055】
呼気収集時に、呼気サンプルはサンプリングチューブ4の自由端4aにより、即ち、被験者の口内の較正長手距離Dだけ吸引される。この距離Dは、正確な所望の収集領域に応じて選択される。これには、例えば、比較的歯に近い、口腔の奥側等の、サンプリングが必要となり得る。特性評価される硫黄化合物の濃度が高くなりがちな口腔の奥側で収集が行われることが好ましい。なお、収集時、被験者は口で呼吸できないため、鼻で呼吸する。口腔の入口は装具10でふさがっており、内管13は、チューブ4と同様に、被験者の口呼吸、または呼気と外気との流体交換を可能とする寸法を有さない。したがって、呼気が肺の空気の流れで希釈されることが防止されるため、特性評価される対象化合物の濃度が下がらない。
【0056】
収集時、圧縮タブ15は被験者の舌5が、サンプリングチューブ4に接触することを防止し、したがって、例えば自由端4a近くで唾液が蒸発したことによる蒸気が、収集される呼気に導入されたことによる、被験者の唾液による呼気収集の妨害を防止する。同様に、保護タブ18は、例えば被験者の口蓋7から落下する唾液滴8が呼気収集を妨害しないように、サンプリングチューブ4およびその自由端4aを保護する。
【0057】
マウスピース10が、例えば2本のサンプリングチューブ4が設けられた2本の内管13を備える場合、内管13は、異なる断面を有し、したがって断面または直径が異なるサンプリングチューブ4を収容し得る。これらサンプリングチューブ4は、同じ分析装置に、またはそれぞれ収集したものに対して各自異なる分析を実行する2つの異なる分析装置に接続され得る。これらは挿入深さが異なり得る。
【0058】
サンプリングチューブ4それぞれの断面、およびそれぞれの較正距離Dで、2回の呼気収集が同時に実行され得る。異なる2つの較正距離Dに応じて配置されたサンプリングチューブ4による2回同時の収集により、口腔内の2つ異なる深さにおいて2回の収集を実行することが可能となる。
【0059】
本発明の範囲を逸脱することなく、マウスピース10の別の実施形態が実施され得る。
【0060】
したがって、ベース14は、軸Aに沿って内面10bに面し、内孔12に開口する、突出ダクトを備え得る。これは、サンプリングチューブ4の内部部分4bに対する追加的な機械的保持を保証する。
【0061】
さらに当接部17は、被験者の唇ではなく、直接歯に接触するように設けられ得る。その場合、当接部17は、ベース14内に形成された溝、または適宜の直径を有するフランジにより形成され得る。
【0062】
具体的実施形態を上述した。当業者には各種変形例および変更が明らかになろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】