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  • 特表-鉱物原料の熱処理のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】鉱物原料の熱処理のための方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 2/10 20060101AFI20230724BHJP
   F27B 1/09 20060101ALI20230724BHJP
   F27D 11/06 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C04B2/10
F27B1/09
F27D11/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581415
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2021068280
(87)【国際公開番号】W WO2022003143
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102020117478.0
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518234243
【氏名又は名称】ロイスト ルシェルシュ エ デヴロップマン エス.ア.
【氏名又は名称原語表記】Lhoist Recherche et Developpement S.A.
【住所又は居所原語表記】Rue Charles Dubois 28,1342 Ottignies-Louvain-la-Neuve,Royaume de Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ペルテラー
【テーマコード(参考)】
4K045
4K063
【Fターム(参考)】
4K045AA01
4K045BA06
4K045GB05
4K045GC01
4K045GD11
4K063AA06
4K063AA12
4K063BA07
4K063CA06
4K063FA36
(57)【要約】
少なくとも
a.鉱物バルク材料および伝導材料を提供するステップと、
b.鉱物バルク材料および伝導材料をキルンに入れるステップと、
c.キルン内に電磁場を発生させるステップと、
d.電磁場での伝導材料の電磁励起によってキルン内の鉱物バルク材料を熱処理するステップと、
e.熱処理された鉱物バルク材料および伝導材料をキルンから除去するステップと
を含む、石灰石またはドロマイト等の鉱物原料の熱処理のための方法が図示および記載される。記載された方法を使用すれば、大量の鉱物バルク材料であっても効率的に変換されうる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物原料の熱処理のための方法であって、少なくとも
a.鉱物バルク材料(2)および伝導材料(1)を提供するステップと、
b.前記鉱物バルク材料(2)および前記伝導材料(1)をキルン(3)に入れるステップと、
c.前記キルン(3)内に電磁場を発生させるステップと、
d.前記電磁場での前記伝導材料(1)の電磁励起によって前記キルン(3)内の前記鉱物バルク材料(2)を熱処理するステップと、
e.前記熱処理された鉱物バルク材料および前記伝導材料(1)を前記キルン(3)から除去するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記鉱物バルク材料(2)と前記伝導材料(1)とは、前記キルン(3)に入れられる前に混合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鉱物バルク材料(2)は、水酸化物および/または炭酸塩を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記鉱物バルク材料(2)は、石灰石、ドロマイト、マグネサイト、消石灰、炭酸塩鉱石およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記鉱物バルク材料(2)は、かさ密度が1.0~3.0t/mであり、特に1.1~2.6t/mであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記伝導材料(1)は、融点が少なくとも500℃であり、特に少なくとも900℃または少なくとも1000℃または少なくとも1100℃または少なくとも1200℃または少なくとも1300℃であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記伝導材料(1)は、鉄、銅、タングステン、ニッケルおよびコバルトからなる群からの少なくとも1つの金属、特に鉄を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記伝導材料(1)は、実質的に球状であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記伝導材料(1)は、平均粒径(d50)が1.0~70.0mm、特に2.0~50.0mmであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
方法ステップa.における鉱物バルク材料(2)の量は、鉱物バルク材料(2)および伝導材料(1)の合計量に基づいて少なくとも10重量%であり、特に少なくとも20重量%もしくは少なくとも30重量%もしくは少なくとも40重量%であり、ならびに/または方法ステップa.における鉱物バルク材料(2)の量は、鉱物バルク材料(2)および伝導材料(1)の合計量に基づいて最大90重量%であり、特に最大80重量%もしくは最大70重量%もしくは最大60重量%であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
方法ステップd.における前記鉱物バルク材料(2)は、800~1500℃、特に850~1450℃または900~1250℃の温度にさらされることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記伝導材料(1)は、融点が方法ステップd.で前記鉱物バルク材料(2)がさらされる温度を上回り、特に融点が前記鉱物バルク材料(2)がさらされる温度を少なくとも50℃、特に少なくとも100℃または少なくとも200℃または少なくとも300℃上回ることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
方法ステップc.における前記電磁場は、周波数が50Hz~30MHz、特に0.1MHz~2MHzであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
熱処理中に形成されるガスは、前記キルン(3)から抽出され、特にファン(14)により前記キルン(3)から抽出されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ガスは二酸化炭素を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記キルン(3)から抽出された前記二酸化炭素の少なくとも一部は、さらなる使用および/または貯蔵のために取り除かれることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、少なくとも
f.前記除去された鉱物バルク材料および前記伝導材料(1)を冷却するステップと、
g.前記伝導材料(1)を前記熱処理された鉱物バルク材料から分離するステップと
を含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
方法ステップg.の後、前記分離された伝導材料(1)は前記キルン(3)に再び入れられることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
キルン内部と、キルン壁と、電磁場発生デバイス(4)とを備えるキルン(3)であって、前記電磁場発生デバイス(4)は前記キルン内部の外側に取り付けられ、前記キルン(3)は壁厚が最大50cmである、キルン(3)。
【請求項20】
前記キルン(3)はガスを抽出するためのファン(14)を備えることを特徴とする、請求項19に記載のキルン(3)。
【請求項21】
前記キルン(3)は、平均内径が0.1~5m、特に0.2~2m、または0.3~1.5mであることを特徴とする、請求項19または20に記載のキルン(3)。
【請求項22】
鉱物原料の熱処理のための電磁励起伝導材料の使用。
【請求項23】
前記鉱物原料は請求項3~5のいずれか一項に記載の鉱物バルク材料(2)であることおよび/または前記電磁励起伝導材料は請求項6~9のいずれか一項に定義されるものであることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記電磁励起伝導材料は、石灰石および/またはドロマイトをか焼するために使用されることを特徴とする、請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法から得られる焼成石灰および/または焼成ドロマイトであって、前記鉱物バルク材料(2)は、石灰石および/またはドロマイトより選択される、焼成石灰および/または焼成ドロマイト。
【請求項26】
- 鉱物バルク材料(2)を含む第1計量設備(12)と、
- 伝導材料(1)を含む第2計量設備(11)と、
- 前記鉱物バルク材料(2)および前記伝導材料(1)の輸送のための供給システム(13)と、
- 請求項20に記載のキルン(3)と、
- 抽出されたガスが取り除かれることができる前記キルン(3)とファン(14)とに接続された少なくとも1つの排気管と、
- 前記供給システム(13)によって前記鉱物バルク材料(2)および前記伝導材料(1)が前記キルン(3)に搬入されうる前記キルン(3)の少なくとも1つの入口(5)と、
- 前記熱処理された鉱物バルク材料および前記伝導材料(1)を除去するための前記キルン(3)の少なくとも1つの気密出口(6)と、
- 前記熱処理された鉱物バルク材料および前記伝導材料(1)を取り除くための排出システム(7)と、
- 前記熱処理された鉱物バルク材料を前記伝導材料(1)から分離するための分離システム(8)と、
- 前記分離された伝導材料(1)の前記第2計量設備(11)への輸送のためのさらなるコンベアシステムと
を備える、鉱物原料の熱処理のための装置。
【請求項27】
前記入口(5)は実質的に気密な入口であることを特徴とする、請求項26に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物原料の熱処理のための方法、キルン、鉱物原料の熱処理のための電磁励起伝導材料の使用、焼成石灰および/または焼成ドロマイト、ならびに鉱物原料の熱処理のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸塩含有鉱物原料のか焼(英:calcination)は通常、直火シャフトキルンまたはロータリーキルンにおいて行われる。直火の場合には、1つ以上の燃料が燃焼ユニットに計り入れられ、酸素が供給されてそこで燃焼させられる。800℃を超える温度で、炭酸塩含有鉱物原料からの二酸化炭素に加えて、酸化窒素(NO)、酸化硫黄(SO)、ジオキサンまたはフラン等のガス状酸化生成物が燃料から形成される。その結果、か焼中に生成される二酸化炭素が、化石、生物起源またはいわゆる二次燃料の燃焼によって生成される排気ガスと混合する。
【0003】
したがって結果として生じる排気ガスストリームは、二酸化炭素に加えて、高価な排気ガス処理システムによって苦労して分離されなければならない他の排気ガスを含む。排気ガス流の複雑な浄化にもかかわらず、環境に有害な微量の酸化窒素または酸化硫黄が環境に入りうる。
【0004】
そのため、酸化窒素または酸化硫黄等のガス状酸化生成物の形成がより少量である、炭酸塩含有鉱物原料をか焼するための方法が必要である。二酸化炭素以外のガス状生成物が形成されない方法が開発されることができれば特に有利であろう。
【0005】
しかし、炭酸塩含有鉱物原料をか焼するための方法は、スループットおよびエネルギー効率の点での高い要件も同時に満たさなければならない。か焼された炭酸塩含有鉱物原料の経済的調製のためには、材料が迅速、効率的かつ完全にか焼されなければならない。費用を低く保ち、方法を可能な限りエコロジカルなものにするためには、可能な限り低いエネルギー消費も重要である。
【0006】
特許文献1は、電気的に加熱された予め真空にしたキルンに炭酸カルシウムが細いストリームとして通過させられる、炭酸カルシウムをか焼するための方法を記載する。電気加熱は、排気ガスストリーム中に二酸化炭素のみを保つ。しかし、特許文献1に記載される方法は、大量の炭酸カルシウムを短時間で効果的にか焼するには適さない。この方法は、炭酸塩含有鉱物原料をか焼するための大規模のアプローチにはむしろ不適当である。
【0007】
特許文献2は、外部に取り付けられたコイルによりキルンの内部が電磁的に温められ、キルン内に位置する石灰石が加熱される、石灰石をか焼するための方法を記載する。この方法を使用して、廃ガスストリームとして純粋な二酸化炭素が得られるが、この方法は非常にエネルギー集約的であり、規模拡大が困難である。特許文献2に記載される方法は、大量の産業的な量の石灰石を効果的にか焼できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2 015 642号
【特許文献2】特開2013/180940(A)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、排気ガス生成物が二酸化炭素だけであり、同時に高効率かつ低エネルギー消費である、石灰石等の炭酸塩含有鉱物原料をか焼するための方法がなお必要である。
【0010】
したがって本発明の目的は、二酸化炭素が形成される唯一の排気ガス生成物である、炭酸塩含有鉱物原料をか焼するための方法を提供することである。この方法は、産業的な量の原料がか焼されるのに適し、材料の高スループットを可能にしなければならない。
【0011】
加えて、本発明の目的は、放出された二酸化炭素が、貯蔵できるかまたは他の用途に使用できるように本方法から直接純粋な形で回収されうる方法を提供することである。
【0012】
さらに、本発明は、鉱物原料が効率的な様式で完全に変換され、材料の過燃焼または燃焼不良が全くまたは可能な限り起こらない方法を提供することを意図する。本発明の目的は、特にクリーンな変換材料が得られる方法を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、大量の鉱物原料、特に炭酸塩含有鉱物原料が短時間で変換されうる方法を提供することである。特に、この方法は産業用途に適さなければならない。
【0014】
本発明の別の目的は、省資源かつエネルギー効率の良い方法を提供することである。加えて、この方法は可能な限り費用効果が高くなければならない。
【0015】
本発明は、鉱物原料の熱処理のためのこのような改良された方法に適した装置を提供することをさらに目的とする。特に、本発明の目的は、か焼プロセスから直接純粋な二酸化炭素が得られる装置を提供することである。
【0016】
これらの目的の全部または一部は、本発明による請求項1に記載の方法、請求項19に記載のキルン、請求項22に記載の使用、請求項25に記載の生成物および請求項26に記載の装置によって達成される。
【0017】
本発明の有利な実施形態が従属請求項に明記され、以下で詳細に説明される。
【0018】
鉱物原料の熱処理のための本発明による方法は、少なくとも
a.鉱物バルク材料および伝導材料を提供するステップと、
b.鉱物バルク材料および伝導材料をキルンに入れるステップと、
c.キルン内に電磁場を発生させるステップと、
d.電磁場での伝導材料の電磁励起によってキルン内の鉱物バルク材料を熱処理するステップと、
e.熱処理された鉱物バルク材料および伝導材料をキルンから除去するステップと
を含む。
【0019】
驚くべきことに、大量の鉱物バルク材料であっても、本発明による方法を用いて効率的に変換されうることが示されている。本発明による方法を用いて、方法の過程で生じる副生成物または破壊的不純物が特に少ない特にクリーンな様式で鉱物バルク材料が熱処理されうる。熱処理の条件は、鉱物原料の完全な変換と効率的手順との間の最適なバランスが見出されうるように、本発明による方法を用いて正確に制御および調整されうる。さらに、本発明による方法は、容易に拡張可能であり、産業的規模に抜群に適する。
【0020】
加えて、本発明による方法は、高いエネルギー効率を特徴とする。本発明による方法を用いて、酸化窒素および/または酸化硫黄等の環境および/または健康に有害な排気ガスによって汚染されていない純粋な排気ガスが得られる。
【0021】
特定の科学理論に拘束されることを望むものではないが、本発明による方法の特定の利点は、電磁場によって励起される伝導材料と鉱物バルク材料との相互作用に起因すると思われる。伝導材料は、鉱物バルク材料と直接接触し、電磁場によって加熱される。このようにして、鉱物バルク材料は直接迅速に加熱される。電磁的に誘導される熱によってキルン全体が加熱されなければならない方法よりもこの手順のほうが熱伝達が効率的である。加えて、このような理由で、本発明による方法は産業的規模にも適する。さらに、直接熱伝達は、鉱物バルク材料を加熱するために必要なエネルギーがより少ないことを意味する。
【0022】
方法ステップの順序は、対象に応じて変動しうる。本発明による方法は、与えられた順番で実施されるのが好ましい。本発明のさらなる実施形態によれば、鉱物バルク材料および伝導材料をキルンに入れる前にキルンの内部に電磁場が発生させられる。
【0023】
本発明による方法の方法ステップb.では、鉱物バルク材料および伝導材料は、それぞれ個別にキルンに入れられるか、または予め合わされてから一緒にキルンに入れられうる。鉱物バルク材料と伝導材料とは、キルンに入れられる前に混合されうるのが好ましい。鉱物バルク材料と伝導材料との均一な混合に起因して、これにより伝導材料から鉱物バルク材料への特に良好な熱伝達がもたらされる。あるいは、鉱物バルク材料と伝導材料とはキルン内で混合されることもできる。このようにして、本方法は特に単純で費用効果が高くなるように設計される。キルン内での鉱物バルク材料と伝導材料との混合も、この場合に鉱物原料の熱処理のために十分であることが分かっている。
【0024】
本発明による方法は、非常に様々な鉱物原料の熱処理に基本的に適することが示されている。
【0025】
「鉱物原料」または「鉱物バルク材料」という用語は、この場合および他所において、全てのタイプの鉱物物質および/または物質の混合物を指す。「鉱物原料」および「鉱物バルク材料」という用語は、純粋な物質および混合物の両方を含む。例えば、「鉱物バルク材料」という用語は、純粋な炭酸カルシウムで作られたバルク材料、および炭酸カルシウムと他の物質との混合物で作られたバルク材料の両方を包含する。「鉱物バルク材料」は、「鉱物原料」から作られたバルク材料である。
【0026】
本発明による方法において、鉱物バルク材料は、水酸化物および/または炭酸塩を含むのが好ましい。これらの鉱物バルク材料は、本発明による方法に特に適する。
【0027】
鉱物バルク材料は、炭酸塩を含むのが特に好ましい。鉱物バルク材料が炭酸塩を含む場合には、本発明による方法を用いて他の排気ガスからの不純物を含まない純粋な二酸化炭素がバルク材料から除去されうる。加えて、少なくとも1つの炭酸塩を含む鉱物バルク材料は、伝導材料を用いて特に効率的に加熱されうる。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、鉱物バルク材料は、石灰石、ドロマイト、マグネサイト、消石灰、炭酸塩鉱石およびそれらの混合物からなる群より選択される。これらのバルク材料は、本発明による方法を用いて優れた様式で熱処理されうる。この場合、本発明による方法は、言及されたバルク材料の各々のために正確に設定されうる。
【0029】
鉱物バルク材料は、石灰石、ドロマイト、およびそれらの混合物より選択されるのが特に好ましい。鉱物バルク材料は、石灰石であるのが最も好ましい。本発明による方法は、石灰石および/またはドロマイトをか焼するのに特に適する。本発明による方法を用いて、不純物を実質的に含まない純粋な二酸化炭素が石灰石および/またはドロマイトから除去される。本発明による方法を用いて、か焼が特にクリーンに進行し、か焼条件は可変に設定されうる。
【0030】
本発明による方法で使用される鉱物バルク材料は、かさ密度が1.0~3.0t/mであるのが好ましく、1.1~2.6t/mであるのが特に好ましい。このかさ密度の鉱物バルク材料は、キルンを通して容易に導かれ、伝導材料と均等に混合されうる。
【0031】
本発明による方法のさらに好ましい実施形態によれば、伝導材料は、かさ密度が3.0~7.0t/mであり、3.5~6.5t/mであるのが好ましい。伝導材料がこのようなかさ密度である場合には、輸送および鉱物バルク材料との混合が特に容易である。
【0032】
本発明による方法の特に好ましい実施形態によれば、鉱物バルク材料は、かさ密度が1.0~3.0t/mであり、1.1~2.6t/mであるのが好ましく、同時に伝導材料は、かさ密度が3.0~7.0t/mであり、3.5~6.5t/mであるのが好ましい。鉱物バルク材料および伝導材料がこのように類似のかさ密度である場合には、鉱物バルク材料と伝導材料との混合が特に良好である。その結果、伝導材料から鉱物バルク材料への熱伝達が特に効率的である。
【0033】
かさ密度を測定するための方法は、当業者に知られている。本発明による方法で使用される鉱物バルク材料および/または伝導材料のかさ密度は、規格DIN EN 1097-3および/または規格DIN EN ISO 60にしたがって測定されるのが好ましい。
【0034】
本発明による方法で使用される鉱物バルク材料の平均粒径(d50)は、広い範囲内で変動しうる。鉱物バルク材料の平均粒径(d50)が0.5~50mm、好ましくは1.0~30mmである場合に、伝導材料から鉱物バルク材料への特に効率的な熱伝達が達成される。鉱物バルク材料の平均粒径がより大きい場合には、鉱物バルク材料の完全な熱処理は、高温および/またはより長い処理時間を要しうる。他方で、鉱物バルク材料が好ましい平均粒径にしたがうよりも小さい場合には、粉塵が形成されうる。
【0035】
本発明による方法で使用される伝導材料の平均粒径(d50)も広い範囲内で変動しうる。伝導材料は、平均粒径(d50)が1.0~70.0mm、より好ましくは2.0~50.0mmである場合に特に有利であることが分かっている。伝導材料がこのような平均粒径である場合には、伝導材料は鉱物バルク材料と特に均等に混合する。加えて、好ましい平均粒径の伝導材料の場合の熱損失は特に低い。
【0036】
鉱物バルク材料および伝導材料の両方が好ましい平均粒径(d50)であれば、特に有利である。この場合には、伝導材料の鉱物バルク材料への混合および熱伝達は特に有利である。
【0037】
材料の粒子の平均粒径の値、特にd50値は、例えば、材料の粒径分布によって測定されうる。d50値は通常、材料の50重量%が理論上のふるいのあるサイズの開口部を通過するであろう値として理解される。
【0038】
粒径分布を測定するために、様々な方法が当業者に知られている。例えば、粒径分布は、ふるい分け実験またはふるい分析によって測定されうる。あるいは、レーザ回折法を用いて粒径分布が行われうる。粒径分布は、ふるい実験により測定されるのが好ましい。
【0039】
ふるい分析による粒径分布の測定は、特にDIN66165-1およびDIN66165-2によって行われうる。DIN66165-1はふるい分析の基本を定義し、DIN66165-2はふるい分析の特定の実施態様を説明する。ふるい分析は、好ましくはDIN66165-2に記載されるようなふるい分け機に取り付けられたふるいタワーによる乾式ふるい分けにより行われうるのが好ましい。ふるいタワーによるふるい分析では、複数の試験ふるいまたは分析ふるいが重なり合って設けられ、ふるい機にクランプされる。これらの試験ふるいまたは分析ふるいはそれぞれ、ふるい底部およびふるいフレームからなる。個々の試験ふるいまたは分析ふるいのメッシュサイズは、上から下に降順である。ふるい分析を行うときには、分析されるサンプルが最も粗い試験または分析ふるい上に置かれ、指定の時間にわたり規定の動きにさらされる。それから、個々の試験ふるい上の残留物を秤量することによって粒径分布が測定される。
【0040】
粒径分布は、特にISO13320:2009にしたがって、レーザ回折法によっても測定されうる。レーザ回折法によって材料の粒径分布を測定する際には、試験される材料が、液体媒体中、例えばエタノール中に懸濁されることができ、懸濁物が、例えば120秒間の超音波処理に続いて例えば120秒間の休止にさらされうる。懸濁物はまた、例えば70rpmで撹拌されうる。それから、測定結果、特に測定された粒径の質量百分率の累積和を測定された粒径に対してプロットすることによって粒径分布が測定されうる。それから、粒径分布に基づいてd50値が測定されうる。レーザ回折法による材料の粒径分布および/またはd50値の測定のために、例えばSympatec社から入手可能な粒径分析装置Helosが追加のSucell分散器とともに使用されうる。
【0041】
原理上、伝導材料には多様な材料が使用されうる。しかし、伝導材料は、本発明による方法において伝導材料が完全に固体状態に留まるだけ十分に融点が高ければ有利であることが分かっている。そのため、伝導材料は、融点が本発明による方法において伝導材料がさらされる温度を上回らなければならない。本発明による方法の好ましい実施形態によれば、伝導体は、融点が少なくとも500℃であり、少なくとも900℃であるのが好ましく、少なくとも1000℃であるのが好ましく、少なくとも1100℃であるのがより好ましく、少なくとも1200℃であるのがなお好ましく、または少なくとも1300℃であるのが最も好ましい。このような融点により、伝導材料が本方法の過程で完全に固体状態に留まり、伝導材料が融解しないことが保証される。
【0042】
本発明による方法では、伝導材料が電磁場によって励起され、その結果、伝導材料が熱くなり、熱処理される鉱物バルク材料に熱を発する。伝導材料の電気伝導率が25℃の温度で少なくとも1.0・10S/m、特に少なくとも1.0・10S/mであれば、この目的に特に適する。伝導材料がそのような電気伝導率であれば、熱伝達が特に費用効果が高く、エネルギー効率が良く、材料効率が良いことが分かっている。この場合には、電磁場から熱処理される鉱物バルク材料へのエネルギー伝達が特に良好である。
【0043】
加えてまたはそれとは独立して、伝導材料は、比熱容量が0.2~0.8kJ/(kg・K)であるのが好ましく、0.3~0.7kJ/(kg・K)であるのが好ましく、または0.4~0.6kJ/(kg・K)であるのが特に好ましい。伝導材料がこのような比熱容量である場合には、鉱物バルク材料の熱処理のための本発明による方法におけるエネルギー伝達が特に効率的である。
【0044】
原理上、本発明による方法で使用される伝導材料は、任意のタイプの伝導材料を含みうる。しかし、鉄、銅、タングステン、ニッケルおよびコバルトからなる群からの少なくとも1つの金属を含む伝導材料が特に適する。伝導材料は、言及された金属のうちの複数を、例えば合金の形または純物質の混合物の形で含みうるのが好ましい。あるいは、材料は、言及された金属のうちの1つのみを含むこともできる。さらなる実施形態によれば、伝導材料は、鉄、銅、タングステン、ニッケルおよびコバルトからなる群からの金属からなりうる。言及されたタイプの金属は、電磁場による励起に理想的に適し、熱伝達に良く適する。加えて、言及されたタイプの金属は、良好な耐熱衝撃性および熱安定性を特徴とする。
【0045】
電磁場による伝導材料の励起は、伝導材料が強磁性特性の鋳鉄、鋼および/または他の合金もしくは複合材料等、強磁性特性をもつときに特に良好である。鉄を含有するかまたは鉄で作られた伝導材料は、融点が高く、高度なロバスト性をもつ。再使用および浄化も容易であり、繰り返し使用後であっても保管寿命が長い。当業者に知られる全ての一般の鋳鉄および鋼種、ならびに強磁性合金および複合材料は、磁気特性をもつ限り、本発明による方法のための伝導材料としてまたは伝導材料の構成成分として適する。
【0046】
原理上、本発明による方法で使用される伝導材料は、非常に様々な形をとることができる。しかし、伝導材料が実質的に球状であれば、輸送および鉱物バルク材料との混合に有利であることが分かっている。この場合、「実質的に球状」とは、伝導材料が、いくらかの凹凸は有しうるものの球状の基本構造であることを意味する。
【0047】
伝導材料に対する鉱物バルク材料の比率は、広範囲にわたって変動しうる。方法ステップa.における鉱物バルク材料の量は、鉱物バルク材料および伝導材料の合計量に基づいて少なくとも10重量%であるのが有利であり、少なくとも20重量%であるのが好ましく、少なくとも30重量%であるのがより好ましく、または少なくとも40重量%であるのがなお好ましい。本発明による方法のさらに好ましい実施形態によれば、方法ステップa.における鉱物バルク材料の量は、鉱物バルク材料および伝導材料の合計量に基づいて少なくとも50重量%であり、少なくとも60重量%であるのがより好ましく、少なくとも70重量%であるのがなお好ましく、少なくとも80重量%であるのがより好ましく、または少なくとも90重量%であるのが最も好ましい。鉱物バルク材料および伝導材料の合計量に基づいてこのような量の鉱物バルク材料が本発明による方法で使用されれば、鉱物バルク材料の特に大きな材料変換も達成されうる特に費用効果の高い方法実施態様が達成されうる。
【0048】
鉱物バルク材料の最少量にかかわらず、鉱物バルク材料および伝導材料の合計量に基づいて、方法ステップa.における鉱物バルク材料の量は、本発明による方法の好ましい実施形態によれば、鉱物バルク材料および伝導材料の合計量に基づいて最大90重量%であり、最大80重量%であるのが好ましく、最大70重量%であるのが好ましく、最大60重量%であるのが特に好ましい。言及された鉱物バルク材料の最大量の場合には、伝導材料から鉱物バルク材料への熱伝達が特に良く成功し、鉱物バルク材料が短時間で均一に熱処理される。
【0049】
本発明による方法の特に好ましい実施形態によれば、方法ステップa.における鉱物バルク材料の量は、いずれの場合も鉱物バルク材料および伝導材料の合計量に基づいて10~99重量%であり、20~97重量%であるのが好ましく、30~95重量%であるのが好ましく、40~93重量%であるのがより好ましく、50~92重量%であるのがより好ましく、60~90重量%であるのが特に好ましく、または70~85重量%であるのが特に好ましい。このような鉱物バルク材料と伝導材料との比率を用いれば、良好な熱伝達による高い材料変換が可能である。
【0050】
原理上、非常に様々なタイプのキルンが本発明による方法に適する。しかし、キルン内に電磁場を発生させうることが必要である。鉱物原料の産業的熱処理のためには、キルンがシャフトキルン、るつぼキルン、ロータリーキルンおよび流動層キルンからなる群より選択されれば特に有利であることが分かっている。本発明による方法におけるキルンは、シャフトキルンであるのが特に有利である。
【0051】
キルンは、壁厚がキルンの外側に取り付けられたデバイスからの十分な電磁放射線がキルン内に透過できるものであれば有利である。この目的のために、キルンは、壁厚が最大50cm、好ましくは最大40cmであれば有利である。
【0052】
キルンは、平均内径が0.1~5m、好ましくは0.2~2m、より好ましくは0.3~1.5mである場合に、本発明による方法を用いて特に高い材料スループットが同時に効率的な熱伝達により達成されうる。この平均内径のキルンの場合には、キルン全体に特に均一な電磁場が発生させられることもできる。
【0053】
この場合、平均内径は、キルンの加熱ゾーンに沿った内径の平均値を意味する。例えば、キルンの直径がキルンの加熱ゾーンの全長または全高にわたって均一でない場合には、キルンの加熱ゾーンの長さまたは高さに沿った異なる直径の平均値を測定することによって平均内径が測定される。キルンの加熱ゾーンは、電磁場を通過する伝導材料が励起および加熱されうるキルンのエリアである。例えば、キルンの内径が、キルンの加熱ゾーンの25%の長さにわたって1mであり、キルンの加熱ゾーンの50%の長さにわたって1.5mであり、キルンの加熱ゾーンの25%の長さにわたって2mである場合には、本発明の意味の中での平均内径は、(1m・0.25)+(1.5m・0.5)+(2m・0.25)=1.5mである。
【0054】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、キルンの中の電磁場は、キルン内部の外側に位置する電磁場発生デバイスによって発生させられる。このようにして、伝導材料と電磁場発生デバイスとの間に潜在的に破壊的な相互作用はない。加えて、この場合、電磁場発生デバイスは、既存のキルンシステムと容易に組み合わせられうる。
【0055】
この場合、電磁場発生デバイスは、コイルであるのが好ましい。コイルは、電磁場の発生に特に良く適する。加えて、コイルは取り付けが容易であり、柔軟に調整されうる。
【0056】
電磁場を発生させるために取り付けられたコイルが方法ステップc.で冷却されれば、特に効率的な熱伝達が達成される。このようにして、発生させられる電磁場は特に安定を保つ。この場合、コイルは水および/または空気で冷却されるのが好ましい。
【0057】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、コイルは巻数が少なくとも10であり、少なくとも30であるのが好ましく、または少なくとも50であるのが特に好ましい。本発明による方法で使用されるコイルが少なくともそのような巻数であれば、本発明による方法においてキルン内の伝導材料の励起に特に適した磁場が誘導されうる。
【0058】
電磁場によって励起された伝導材料は、それ自体およびその周辺環境を熱し、特にその結果、伝導材料の直接の周辺環境における鉱物バルク材料の加熱をもたらす。鉱物バルク材料の熱処理のためには、方法ステップd.における鉱物バルク材料が800~1500℃、好ましくは850~1450℃または特に好ましくは900~1250℃の温度にさらされることが特に有利であることが分かっている。この温度での熱処理は特に効率的である。例えば、炭酸カルシウムを含有する鉱物バルク材料が本発明による方法において使用される場合に、好ましい温度範囲において二酸化炭素の排出が特に効率的である。加えて、好ましい温度範囲内では、鉱物バルク材料の焼結が最小限であり、伝導材料が融解しないことが保証される。
【0059】
方法ステップd.で鉱物バルク材料が800~1500℃、好ましくは850~1450℃または特に好ましくは900~1250℃の温度にさらされる場合には、伝導材料は、融点が鉱物バルク材料がさらされる温度を上回れば、特に融点が鉱物バルク材料がさらされる温度を少なくとも50℃、好ましくは少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも200℃、または特に好ましくは少なくとも300℃上回れば特に有利である。
【0060】
本発明による方法における伝導材料の励起のために、方法ステップc.における電磁場は、周波数が50Hz~30MHz、好ましくは0.1MHz~2MHzである場合に特に有利であることが分かっている。
【0061】
キルン内の鉱物バルク材料の熱処理中にガスが生じる場合には、熱処理中に生じるガスがキルンから抽出されるのが有利であることが分かっている。熱処理中に生成されるガスは、ファンによりキルンから抽出されるのが好ましい。このようにして、反応平衡のシフトにより熱処理が加速され、変換が増加させられうる。
【0062】
この場合、熱処理中に生成されるガスのキルンからの抽出は、ガスが二酸化炭素を含む場合に特に有利である。このようにして、熱処理が加速されうる。例えば、炭酸カルシウムを含有する鉱物原料が本発明による方法を用いてか焼される場合には、放出された二酸化炭素を抽出することによってか焼が著しく加速されうる。加えて、このようにして必要な方法温度が下げられ、それによってエネルギーが節約されうる。
【0063】
熱処理中に二酸化炭素を含むガスが抽出される場合には、本発明による方法の好ましい実施形態によれば、キルンから抽出された二酸化炭素の少なくとも一部は、さらなる使用および/または貯蔵のために取り除かれる。本発明による方法の過程で生成される二酸化炭素は特に純粋であり、さらなる処理または精製なしでさらなる使用および/または貯蔵のために直接使用されうる。このようにして、二酸化炭素の排出量が減少した特にエコロジカルな手順が達成される。キルンから抽出された二酸化炭素は、例えば冷却または加熱ガスとして使用されうる。
【0064】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、この方法は、少なくとも
f.除去された鉱物バルク材料および伝導材料を冷却するステップと、
g.伝導材料を熱処理された鉱物バルク材料から分離するステップと
をさらに含む。鉱物バルク材料および伝導材料が冷えた後に、伝導材料が熱処理された鉱物バルク材料から分離されるのが好ましい。あるいは、鉱物バルク材料および伝導材料が完全に冷える前に伝導材料が熱処理された鉱物バルク材料から分離されることも可能である。鉱物バルク材料と伝導材料とが互いに分離され、冷却されれば、その順序に関わらず、本発明による方法の結果様々な用途に使用されうる伝導材料がもたらされる。
【0065】
本発明による方法の特に好ましい実施形態によれば、方法ステップg.の後、分離された伝導材料はキルンに再び入れられる。本発明による方法では、分離された伝導材料は多数のサイクルにわたっても再使用に抜群に適することが分かっている。このようにして、この方法は、材料に優しい、特にエコロジカルな経済的な様式で行われる。
【0066】
伝導材料の熱処理された鉱物バルク材料からの分離は、非常に様々なやり方で実施されうる。伝導材料が磁気分離器、重量選別および/または光学選別によって鉱物バルク材料から分離されれば特に有利であることが分かっている。この分離方法を使用すれば、鉱物バルク材料と伝導材料との最適な分離が保証される。伝導材料は磁気分離器に付着するのに対し鉱物バルク材料は磁気分離器と相互作用しないことから、磁気分離器の使用は伝導材料を鉱物バルク材料から分離するのに特に適する。
【0067】
本発明の好ましい実施形態によれば、伝導材料に付着した鉱物バルク材料が機械的に分離される。これは、先の磁気分離器、重量選別および/または光学選別による伝導材料の鉱物バルク材料からの分離の前または後、特に後に行われうる。伝導材料に付着した鉱物バルク材料の分離は、さらなる分離ステップとは完全に独立して行われることもできる。機械的分離により、微量の鉱物バルク材料がそれ以上伝導材料に付着しなくなり、そのため伝導材料が汚染されずに再使用されうることが保証される。
【0068】
この目的のために、様々な機械的分離方法が使用されうる。特に好ましい実施形態によれば、伝導材料に付着した鉱物バルク材料は、ボールミルまたはチューブミルによって分離除去される。これらの分離プロセスは、伝導材料から鉱物バルク材料を完全になくすために特に有利であることが分かっている。
【0069】
方法ステップf.による鉱物バルク材料および伝導材料の冷却は、非常に様々なやり方で設計されうる。除去された鉱物バルク材料および伝導材料は、固定または移動火格子上で冷却されるのが好ましい。このようにして、効率的な手順が実施されうる。この場合、鉱物バルク材料および伝導材料の冷却は、周囲空気を通して行われうる。あるいは、圧縮空気で冷却されることもできる。
【0070】
本発明は、キルン内部と、キルン壁と、電磁場発生デバイスとを備えるキルンにさらに関し、電磁場発生デバイスはキルン内部の外側に取り付けられ、キルンの壁厚は最大50cmである。これらの特徴をもつキルンが、本発明による方法に極めて適する。
【0071】
本発明による方法に関連してキルンについて述べたことは、本発明によるキルンに等しく当てはまる。
【0072】
本発明による方法に関連してキルン壁について述べたことは、本発明によるキルンのキルン壁にも等しく当てはまる。
【0073】
本発明による方法に関連して電磁場発生デバイスについて述べたことは、本発明によるキルンの電磁場発生デバイスにも等しく当てはまる。
【0074】
本発明によるキルンの好ましい実施形態によれば、キルンはガスを抽出するためのファンを備える。熱処理が加速されるように、ファンを使用して、本発明による方法の過程で熱処理中に生じうるガスがキルン内部から抽出されうる。
【0075】
本発明は、鉱物原料の熱処理のための電磁励起伝導材料の使用にも関する。驚くべきことに、鉱物原料が電磁励起伝導材料により効率的な様式で熱処理されうることが分かっている。特に、電磁励起伝導材料によって、例えば石灰石を完全にか焼するために鉱物原料を熱処理するのに十分な熱が発生することは驚くべきことであった。
【0076】
本発明による方法に関連して鉱物原料および鉱物バルク材料について述べたことは、本発明による使用のための鉱物原料および鉱物バルク材料にも等しく当てはまる。
【0077】
本発明による方法に関連して伝導材料について述べたことは、本発明による使用のための伝導材料に等しく当てはまる。
【0078】
本発明による使用の好ましい実施形態によれば、石灰石および/またはドロマイトをか焼するために電磁励起伝導材料が使用される。電磁励起伝導材料は、石灰石および/またはドロマイトをか焼するために特に適する。電磁励起伝導材料から石灰石および/またはドロマイトに基づく鉱物バルク材料への熱の伝達は特に効率的である。
【0079】
本発明は、本発明による方法から得られる焼成石灰および/または焼成ドロマイトにさらに関し、本発明による方法における鉱物バルク材料は、石灰石および/またはドロマイトより選択される。本発明による方法から得られる焼成石灰および/または焼成ドロマイトは、高純度および均一なテクスチャを特徴とする。加えて、本発明による方法から得られる焼成石灰および/または焼成ドロマイトは焼結されない。
【0080】
本発明は、
- 鉱物バルク材料を含む第1計量設備と、
- 伝導材料を含む第2計量設備と、
- 鉱物バルク材料および伝導材料の輸送のための供給システムと、
- ガスを抽出するためのファンを備えた本発明によるキルンと、
- 抽出されたガスが取り除かれることができるキルンとファンとに接続された少なくとも1つの排気管と、
- 供給システムによって鉱物バルク材料および伝導材料がキルンに搬入されうるキルンの少なくとも1つの入口と、
- 熱処理された鉱物バルク材料および伝導材料を除去するためのキルンの少なくとも1つの気密出口と、
- 熱処理された鉱物バルク材料および伝導材料を取り除くための排出システムと、
- 熱処理された鉱物バルク材料を伝導材料から分離するための分離システムと、
- 分離された伝導材料の第2計量設備への輸送のためのさらなるコンベアシステムと
を備える、鉱物原料の熱処理のための装置にも関する。本発明による装置を使用して、鉱物原料の熱処理が、特に省エネルギーおよび省材料の様式で実施されうる。分離システムおよびさらなるコンベアシステムを通じて、浄化された伝導材料が再使用されうる。ファンおよび排気管により、本方法において生成されるガスが効果的に除去されることができ、その結果、本方法の効率が向上する。
【0081】
本発明による装置の好ましい実施形態によれば、入口は実質的に気密な入口である。このようにして、熱処理中に生成されるガスの抽出が可能な限り最善のやり方で達成される。この場合に「実質的に気密な入口」に言及するときには、少量のガスしか出入りできない入口を意味する。「実質的に気密な入口」は、閉鎖状態でのみ気密であるが、開放状態で空気またはガス流の自由な移動を可能にする閉鎖可能な入口とすることもできる。このような閉鎖可能な入口は、例えば、鉱物バルク材料および伝導材料を置くために柔軟に開放され、それから鉱物バルク材料の熱処理の期間にわたり閉鎖されることができる。
【0082】
本発明による装置の有利な実施形態によれば、供給システムおよび/または排出システムおよび/またはさらなるコンベアシステムは、バルク材料に適した輸送システムを備える。
【0083】
分離システムは、磁気分離器および/または重量選別システムおよび/または光学選別システムを備えるのが好ましい。本装置は、伝導材料に付着した鉱物バルク材料を機械的に分離できる機械ユニットを備えるのが有利である。機械ユニットは、ボールミルまたはチューブミルを備えるのが特に好ましい。
【0084】
本発明による方法に関連してキルンについて述べたことおよび本発明によるキルンに関連して述べたことは、本発明による装置のキルンに等しく当てはまる。
【0085】
本発明による方法に関連して電磁場発生デバイスについて述べたことは、本発明による装置の電磁場発生デバイスにも等しく当てはまる。
【0086】
本発明による方法に関連して伝導材料について述べたことは、本発明による装置に関する伝導材料に等しく当てはまる。
【0087】
本発明による方法に関連して鉱物バルク材料について述べたことは、本発明による装置に関する鉱物バルク材料に等しく当てはまる。
【0088】
本発明による方法に関連して磁気分離器、重量選別システム、光学選別システム、および機械ユニットについて述べたことは、本発明による装置の磁気分離器、重量選別システム、光学選別システム、および機械ユニットに等しく当てはまる。
【0089】
単一の好ましい実施形態を描いた図面を参照して、本発明を以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】本発明による考えられる装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
図1は、本発明による方法においても使用されうる、本発明による考えられる装置の概略図を示す。伝導材料1および鉱物バルク材料2が、キルン3の内部に入れられる。キルン3は、例えばシャフトキルン、るつぼキルン、ロータリーキルンまたは流動層キルンでありうる。シャフトキルンであるのが好ましい。電磁場発生デバイス4が、キルン内部の外側に位置し、電磁場を発生させる。電磁場発生デバイス4は、例えばコイルでありうる。伝導材料1および鉱物バルク材料2は、キルン3の入口5を通してキルン3の内部に搬入される。本方法の生成物としての熱処理された鉱物バルク材料および伝導材料1は、キルン3の出口6を通してキルン3から除去される。排出システム7が、熱処理された鉱物バルク材料および伝導材料1を取り除くように働く。排出システム7は、例えばバルク材料に適した輸送システムでありうる。熱処理された鉱物バルク材料と伝導材料とは、分離システム8を介して分離される。分離システム8は、例えば磁気分離器および/または重量選別システムおよび/または光学選別システムとして設計されうる。磁気分離器であるのが好ましい。任意に提供される冷却器9が、得られた熱処理された鉱物バルク材料を冷却するように働く。機械ユニット10が、分離された伝導材料1に付着した鉱物バルク材料を機械的に分離しうる。機械ユニット10は、例えばボールミルまたはチューブミルとして設計されうる。それから、分離された伝導材料1は、第2計量設備11に搬送される。このように、浄化された伝導材料1が再使用されうる。第1計量設備12から新たな鉱物バルク材料2が加えられ、供給システム13を介してキルン3に搬入される。熱処理が加速されるように、ファン14を使用して、本発明による方法の過程で熱処理中に生じうるガスがキルン内部から抽出されうる。
【符号の説明】
【0092】
1 伝導材料
2 鉱物バルク材料
3 キルン
4 電磁場発生デバイス
5 入口
6 出口
7 排出システム
8 分離システム
9 冷却器
10 機械ユニット
11 第2計量設備
12 第1計量設備
13 供給システム
14 ファン
図1
【国際調査報告】