(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】摩耗が低減されたガスインジェクタ
(51)【国際特許分類】
F02M 21/02 20060101AFI20230724BHJP
F02M 51/00 20060101ALI20230724BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
F02M21/02 301R
F02M51/00 F
F16K31/06 385A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581438
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2021059438
(87)【国際公開番号】W WO2022002454
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102020208273.1
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,マルティン
【テーマコード(参考)】
3G066
3H106
【Fターム(参考)】
3G066AB05
3G066BA49
3G066CE22
3H106DA07
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB32
3H106DC02
3H106DD02
3H106EE30
3H106KK18
(57)【要約】
本発明は、気体燃料を吹き込むためのガスインジェクタであって、電機子(20)、内側磁極(21)、およびコイル(22)をもつ磁気アクチュエータ(2)と、弁座(90)においてガス経路(14)を解放および閉止する閉鎖要素(3)であり、電機子(20)が閉鎖要素(3)と接続されている、閉鎖要素(3)と、潤滑剤を充填され、電機子(20)が内部に配置されている密閉された潤滑剤チャンバ(4)であり、潤滑剤が電機子(20)の潤滑を保証する、潤滑剤チャンバ(4)と、潤滑剤チャンバ(4)をガス経路(14)から封止する可撓性封止要素(5)と、を含み、潤滑剤チャンバ(4)内に制動機器が配置されている、ガスインジェクタに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体燃料を吹き込むためのガスインジェクタであって、
電機子(20)、内側磁極(21)、およびコイル(22)をもつ磁気アクチュエータ(2)と、
弁座(90)においてガス経路(14)を解放および閉止する閉鎖要素(3)であり、前記電機子(20)が前記閉鎖要素(3)と接続されている、閉鎖要素(3)と、
潤滑剤を充填され、前記電機子(20)が内部に配置されている密閉された潤滑剤チャンバ(4)であり、前記潤滑剤が前記電機子(20)の潤滑を保証する、潤滑剤チャンバ(4)と、
前記潤滑剤チャンバ(4)を前記ガス経路(14)から封止する可撓性封止要素(5)と、
を含むガスインジェクタ。
【請求項2】
前記潤滑剤チャンバ(4)内に制動機構(6)が配置されており、前記制動機構(6)が、開状態から閉状態への前記ガスインジェクタの復元プロセス時に前記閉鎖要素(3)を減速するように構成されている請求項1に記載のガスインジェクタ。
【請求項3】
前記制動機構(6)が、制動ボルト(60)および弾性制動要素(61)を有し、前記制動ボルト(60)および前記弾性制動要素(61)が、復元プロセス時に、前記閉鎖要素(3)および/または前記電機子(20)と動作接続することができる、請求項2に記載のガスインジェクタ。
【請求項4】
前記制動ボルト(60)が、前記潤滑剤チャンバ(4)内の制動案内要素(62)内に案内される、請求項3に記載のガスインジェクタ。
【請求項5】
前記インジェクタの前記閉状態において、前記制動案内要素(62)と前記制動ボルト(60)との間の第1の軸方向ギャップ(B)が、前記電機子(20)と前記内側磁極(21)との間の第2の軸方向ギャップ(C)よりも小さい、請求項4に記載のガスインジェクタ。
【請求項6】
前記密閉された潤滑剤チャンバ(4)が、潤滑剤、特にオイル、ガソリン、ディーゼル燃料、またはグリースで完全にまたは部分的に充填されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のガスインジェクタ。
【請求項7】
前記可撓性封止要素(5)が、ベローズ、特に金属ベローズ、または膜である、請求項1から6のいずれか一項に記載のガスインジェクタ。
【請求項8】
前記気体燃料のためのガス経路(14)が、弁ハウジング(8)と前記磁気アクチュエータ(2)の磁気ハウジング(23)との間の領域内に延びる、または
前記気体燃料の前記ガス経路(14)が、特に前記コイル(22)が配置されている前記磁気アクチュエータ(2)の領域を通って延びる、
請求項1から7のいずれか一項に記載のガスインジェクタ。
【請求項9】
外向きに開くインジェクタである、請求項1から8のいずれか一項に記載のガスインジェクタ。
【請求項10】
前記可撓性封止要素(5)の平均直径D1が、弁体(9)の前記弁座(90)の直径D2と等しく、前記弁座(90)で、前記閉鎖要素(3)が前記ガス経路を解放および閉止する、請求項1から9のいずれか一項に記載のガスインジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩耗が低減された、気体燃料、特に水素または天然ガスなどを吹き込むための特に内燃機関用のガスインジェクタに関する。本ガスインジェクタは、特に、内燃機関の燃焼室に直接吹き込むために設計されている。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、ガスインジェクタは様々な構成で知られている。ガスインジェクタにおける問題は、原理的に、吹き込むべき媒体が気体であるので、例えばガソリンまたはディーゼル燃料を噴射する燃料インジェクタでは可能な、媒体による潤滑が不可能なことである。これにより、液体燃料用の燃料インジェクタに比べて、動作中に過度の摩耗が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
摩耗挙動が改良されたガスインジェクタを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
それに対し、本発明による、請求項1の特徴をもつ気体燃料を吹き込むためのガスインジェクタは、ガスインジェクタの摩耗が大幅に低減され得るという利点を有する。これにより、ガスインジェクタの寿命が延ばされ、液体燃料用の燃料インジェクタの寿命と実質的に同等になる。本発明によれば、これは、ガスインジェクタが、密閉された潤滑剤チャンバ内にある潤滑剤を有し、潤滑剤チャンバ内にガスインジェクタの可動部品が配置されていることによって達成される。ガスインジェクタは、電機子、内側磁極、およびコイルを備えた磁気アクチュエータを含む。
【0005】
ここでは、電機子が、弁座のガス経路を解放および閉止する閉鎖要素と機械的に接続されており、インジェクタの開放および/または閉鎖のための動きを可能にする。したがって、コイルの通電時に電磁力により磁気アクチュエータの内側磁極に対して引っ張られる、潤滑剤チャンバ内にある電機子は、潤滑剤チャンバの内部にあり、常に潤滑剤を供給されて潤滑される。それにより、電機子の摩耗は、先行技術から従来知られているガスインジェクタに比べて大幅に低減されている。潤滑剤チャンバの封止性を保証するために、閉鎖要素に対して部分領域で潤滑剤チャンバを封止する可撓性封止要素が設けられている。したがって、密閉され、潤滑剤で充填された潤滑剤チャンバを使用することによって、ガスインジェクタの寿命が大幅に延ばされ得る。ここで、好ましくは、潤滑剤チャンバは、潤滑剤で完全に充填されている。
【0006】
従属請求項は、本発明の好ましい発展形態を示す。
さらに好ましくは、潤滑剤チャンバ内に制動機構が配置されており、この制動機構が、閉鎖要素の復元プロセス時に閉鎖要素を減速するように構成されている。これにより、復元プロセス時の閉鎖要素の減速によって、弁体座への閉鎖要素の激突が軽減され得るので、弁座の摩耗が低減し得る。特に弁座は通常非常に乾燥しており、高温の燃焼室雰囲気内に位置するので、制動機構は、弁体に対する閉鎖要素の衝突時の衝撃を軽減することができる。
【0007】
制動機構は、好ましくは、制動ボルト、および弾性制動要素、例えばばねまたは弾性構成要素を含む。復元プロセス時、制動ボルトは、電機子および/または閉鎖要素と動作接続することができ、したがって、電機子は、実際にストッパに衝突する前に制動ボルトに当たり、弾性要素の力に反して制動ボルトを動かし、それにより、復元プロセス時の電機子の減衰が可能になる。特に電機子の復元速度が低下される。これは、制動機構によって提供される、追加の質量の加速によってさらにサポートされる。さらに、電機子と制動ボルトとの間での潤滑剤の変位により、さらなる減速が実現される。閉鎖要素の復元速度は、案内要素などと制動ボルトとの摩擦によってさらに低下され得る。これらすべてが、ストッパへの電機子の衝突力を低減し、電機子の寿命がさらに延ばされ得る。
【0008】
特に好ましくは、案内ボルトの安定した動きを保証する制動案内要素が制動ボルトに配置されている。さらに、制動案内要素によって、閉鎖要素の復元プロセス時に摩擦をさらに発生させることもでき、これは減衰機能をさらに提供する。
【0009】
好ましくは、インジェクタの閉状態において、制動案内要素と制動ボルトとの間の軸方向ギャップBは、電機子と内側磁極との間の軸方向ギャップCよりも小さい。ここで、制動案内要素と制動ボルトとの間の軸方向ギャップBは、電機子と内側磁極との間の軸方向ギャップCの1%~90%の範囲内にある。特に好ましくは、制動案内要素と制動ボルトとの間の軸方向ギャップBは、軸方向ギャップCの25%よりも小さく、さらに好ましくは軸方向ギャップCの3%~10%の範囲内にある。軸方向ギャップCは、好ましくは、0.05mm~3mm、特に0.3mmのサイズを有する。
【0010】
好ましくは、潤滑剤として、油、特に鉱物油が使用される。代替として、液体燃料、特にディーゼル燃料またはガソリンが使用される。さらなる代替として、潤滑剤としてグリースが使用される。
【0011】
さらに好ましくは、可撓性封止要素は、単層または多層ベローズである。ベローズは、好ましくは金属製であり、または代替としてプラスチック製である。ベローズは、好ましくは、第1の端部で閉鎖要素に直接固定されており、別の端部でガスインジェクタのハウジング構成要素に固定されている。固定は、例えば金属ベローズでは溶接シームによって行うことができる。
【0012】
代替として、可撓性封止要素は膜である。膜は単層または多層でよく、例えば、潤滑剤チャンバを封止するためにレーザ溶接によってそれぞれの構成要素に固定されていてもよい。
【0013】
好ましくは、気体燃料のガス経路は、ガスインジェクタの弁ハウジングとガスインジェクタのアクチュエータハウジングとの間の領域に設けられている。それにより、アクチュエータをハウジング内に配置し、少なくとも部分的にアセンブリとして事前に組み立てることができる。それにより、比較的簡単に、潤滑剤チャンバはアクチュエータハウジングの内部に配置され得る。
【0014】
代替として、気体燃料のガス経路は、磁気アクチュエータの領域、特に磁気アクチュエータのコイルが配置されているコイルチャンバを通して形成されている。それにより、磁気アクチュエータ用の別個のアクチュエータハウジングを省くことができる。特に好ましくは、ここで、電気接触部が、気体燃料のガス経路を通して延ばされる。それにより、特に、ガスインジェクタの構造の複雑さが低減され得る。ガス空間を通って延びる電気接触部は、当然、外から封止されなければならないことに留意されたい。
【0015】
さらに好ましくは、気体燃料中に存在することがある固体粒子を濾過する、または製造に起因するもしくは組立てに起因する固体粒子を濾過するために、気体燃料用のガス経路にフィルタが配置されている。さらに好ましくは、特に閉鎖要素が長い弁ニードルである場合には、さらに案内構成要素が閉鎖要素に設けられている。
【0016】
好ましくは、ガスインジェクタは、外向きに開くインジェクタである。さらに好ましくは、ガスインジェクタは、圧力平衡型である。それにより、磁気アクチュエータによってガスインジェクタを開くために必要な力は、ガス圧に依存しない。したがって、それぞれ電流印加開始および電流印加終了後にインジェクタを開放および閉止するための時間も、ガス圧に依存しない。これはまた、様々なガス圧での動作を可能にする。吹込み量を小さくすることが望まれる場合にはガス圧が低減され得、吹込み量を大きくすることが望まれる場合にはガス圧は上昇され得る。インジェクタは、ベローズの平均直径が閉鎖要素と弁体との間の弁座接触ラインの直径に等しい場合に圧力平衡される。しかし、ベローズ平均直径は、弁座直径よりも小さく形成することも、大きく形成することもできる。ベローズ平均直径が弁座直径よりも小さい場合、ガス圧が上昇すると、弁ニードルにかかる全閉鎖力が減少し、インジェクタは、通電時により速く開き、通電後によりゆっくりと閉じる。これにより、ガス吹込み量が増加する。ベローズ平均直径が弁座直径よりも大きい場合、ガス圧が上昇すると、弁ニードルにかかる閉鎖力が高まる。これもまた、ガス圧の上昇による弁座漏れ量の増加を補償することができる。
【0017】
復元は、好ましくは、戻しばねによって行われる。圧力平衡型のインジェクタの場合、特に、ガスインジェクタの閉状態では、気体燃料によって弁ニードルに加えられる圧力はなく、したがって閉鎖要素の負荷を大幅に低減することができる。
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の例示的実施形態を詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の例示的実施形態によるガスインジェクタの概略断面図である。
【
図2】
図1のガスインジェクタの概略的な拡大部分断面図である。
【
図3】
図1のガスインジェクタのさらなる概略的な拡大部分断面図である。
【
図4】本発明の第2の例示的実施形態によるガスインジェクタの概略的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1~3を参照して、本発明の第1の好ましい例示的実施形態によるガスインジェクタ1を詳細に述べる。
図1から分かるように、気体燃料を導入するためのガスインジェクタ1は、この例示的実施形態では外側に開く弁ニードルである閉鎖要素3を閉状態から開状態に移動させる磁気アクチュエータ2を含む。ここで、
図1~3は、ガスインジェクタの閉状態を示す。
【0021】
磁気アクチュエータ2は、電機子ボルト24によって閉鎖要素3に当接する電機子20を含む。さらに、磁気アクチュエータ2は、内側磁極21と、コイル22と、磁気アクチュエータの磁気的ヨークを保護する磁気ハウジング23とを含む。
【0022】
さらに、ガスインジェクタ1は、接続管70をもつ本体7を含み、接続管70を通して気体燃料が供給される。ここで、本体7には弁ハウジング8が固定され、弁ハウジング8内に磁気アクチュエータ2が配置される。弁ハウジング8に弁体9がつながり、弁体9の自由端には弁座90が設けられており、弁座90において、閉鎖要素3が、気体燃料のための通路を解放および閉止する。
【0023】
図1~3には、本体7を通って磁気アクチュエータ2まで案内されている電気接続部13が概略的に示されている。
内側磁極21を弁体9に固定するために、保持体12が設けられている。
【0024】
参照番号10は、開放プロセス後に閉鎖要素3を
図1に示される閉状態に戻すための復元要素を示す。
図1に、ガスインジェクタ1を通るガス経路14としてガス流がさらに示されている。ここで、ガス流は、接続管で始まり、次いで90°偏向され、弁ハウジング8と本体7との間の環状空間80に入る。ここで、ガス流14は、磁気アクチュエータ2の外側領域を通り過ぎ、閉鎖要素3の領域内にあるフィルタ11を通って、弁座90の手前までさらに進む。ここで、対応する開口がそれぞれの構成要素に設けられているが、それらは図示されていない。
【0025】
ガスインジェクタ1の開放時、気体燃料は、
図1に矢印Aによって示されているように、磁気アクチュエータ2の外周および開いた封止座部90を通過して、内燃機関の燃焼室に流入する。
【0026】
したがって、閉鎖要素3は、弁座90のガス経路を解放し、これを閉止する。
図2から詳細に分かるように、案内のために、閉鎖要素3と弁体9との間に第1の案内領域31および第2の案内領域32がある。
【0027】
さらに、ガスインジェクタ1は、密閉された潤滑剤チャンバ4を含む。潤滑剤チャンバ4は、
図2および3から詳細に分かる。密閉された潤滑剤チャンバ4は、潤滑剤で完全にまたは部分的に充填されている。
【0028】
図2から分かるように、潤滑剤チャンバ4は、本体7、磁気ハウジング23、内側磁極21、およびベローズの形態での可撓性封止要素5によって密閉される。ここで、可撓性封止要素5は、閉鎖要素3を封止する。したがって、可撓性封止要素5は、第1の端部で、閉鎖要素3のための復元要素10を支持するばね受け16に固定され、第2の端部でスリーブ形状のリング15に固定されている。ここで、可撓性封止要素5は、インジェクタの軸方向X-Xで生じる閉鎖要素3の動きを補償する。
【0029】
図2および3から詳細に分かるように、密閉された潤滑剤チャンバ4内に、電機子20が固定された電機子ボルト24が配置されている。潤滑剤チャンバ4には、潤滑剤、例えばガソリンやディーゼル燃料などの液体燃料、またはグリースが充填されているので、電機子20が継続的に潤滑されている。これにより、気体燃料において先行技術で生じる問題、すなわち可動部品が潤滑されないという問題が補償され得る。
【0030】
図2から分かるように、密閉された潤滑剤チャンバ4を充填するために、本体7に充填チャネル63が形成されている。充填チャネル63は、閉止ボール64によって液密に閉止されている。
【0031】
密閉された潤滑剤チャンバ4には、さらに制動機構6が配置されている。制動機構6は、制動ボルト60、制動ばね61、および制動案内要素62を含む。制動案内要素62は、制動ボルト60を案内する働きをし、磁気ハウジング23の内周に配置されている(
図2および3を参照)。
【0032】
ここで、制動ボルト60は、電機子ボルト24を介して電機子に動作接続される。
ここで、制動機構6は、ガスインジェクタ1の閉鎖プロセス時に、電機子20と共に閉鎖要素3を減速する役割を有する。ここで、一方では制動ボルト60での制動ばね61による制動ばね力によって、さらにまた、軸方向当接面65から制動ボルト60を離す際の、制動ボルト60と静止制動案内要素62(
図3を参照)との間の軸方向当接面65での液圧接着によって、減速が行われる。
【0033】
さらに、閉鎖要素3の復元時に、電機子ボルト24も部分的に突出している制動案内要素62内での摩擦によって閉鎖要素3が減速される。さらに、加速し得る質量、および密閉された潤滑剤チャンバ4内の潤滑剤の変位が、閉鎖プロセス時にさらなる減速をもたらす。
【0034】
図2から分かるように、閉状態では、電機子20と内側磁極21との間に軸方向ギャップCが設けられている。制動ボルト60と制動案内要素62との間には軸方向ギャップBが設けられている。電機子20と内側磁極21との間の軸方向ギャップCは、好ましくは、0.05~3mmの範囲内であり、特に好ましくは0.2mm~0.5mmである。コイル22の通電時、電機子20が内側電極21に反して引かれ、それにより、閉鎖要素3が電機子ボルト24を通して開状態にされ、気体燃料が燃焼室に流出できるようになる。漂遊磁束を低減するために、特に電機子ボルト24および/またはスリーブ形状のリング15は、非磁性材料から形成されていることに留意されたい。
【0035】
ここで、制動ボルト60と制動案内要素62との間の軸方向ギャップBは、電機子20と内側磁極21との間のギャップCよりも小さく、開放プロセス時に制動ばね61のばね力によって同様に閉じられている。好ましくは、ギャップBは、ギャップCの1%~90%である。それにより、復元プロセス時に、制動案内要素62への制動ボルト60の液圧接着が実現される。
【0036】
ここで、
図1~3に示されるガスインジェクタ1は、圧力平衡されている。すなわち、閉鎖要素3がばね受け16を介して可撓性封止要素5と接続されており、金属ベローズとして形成された可撓性封止要素5が、弁座90での直径D2に等しい平均直径D1を有し、弁座90で、閉鎖要素3が弁体9を封止する。それにより、閉鎖要素3に対する圧縮力が生じず、したがって閉鎖要素3を開くのに必要な磁力を非常に小さく保つことができ、特に気体燃料の圧力に依存しない。
【0037】
可撓性封止要素5としては、ベローズの代わりに、例えば膜やチューブなどでもよいことに留意されたい。
したがって、ガスインジェクタ1は、可動部品、特に弁座90、電機子20、および電機子ボルト24の摩耗の低減を提供することができる。さらに、液体潤滑剤を含む密閉された潤滑剤チャンバ4によって、磁気アクチュエータ2からの放熱が大幅に改良され得る。
【0038】
図4は、本発明の第2の例示的実施形態によるガスインジェクタ1を示す。同一または機能的に同一の部品は、第1の例示的実施形態と同様に符号を付されている。
図4から分かるように、ガスインジェクタ1の構造は、基本的に第1の例示的実施形態と同様である。しかし、第1の例示的実施形態とは異なり、ガス経路14は、磁気アクチュエータ2の領域において異なる形で案内されている。ここで、第2の例示的実施形態では、ガス経路14は、コイル22が配置されている磁気アクチュエータ2でのコイルチャンバを通って延びる。ここで、ガス経路14は、磁気ポット25の開口部を通って延びる。それにより、弁ハウジングが省かれ得る。ここで、コンタクトピンの形態での電気接続部13は、本体7から絶縁されている。さらに、閉鎖要素3の第1の案内領域31が、ばね受け16の外周に設けられている。ここで、それに対応して、ばね受け16は、ガス経路14のための通過開口部を有する。潤滑剤チャンバ4は、第1の例示的実施形態と同様に密封されており、ガスインジェクタ1の開閉プロセス時に電機子20の潤滑を提供する。
【0039】
その他の点では、この例示的実施形態は第1の例示的実施形態に対応し、したがって第1の例示的実施形態での記載を参照することができる。
【国際調査報告】