(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】ハウジング部材、特に電子ハウジング用のハウジング部材、好ましくは電動コンプレッサ端子
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
F04B39/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500288
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2021068201
(87)【国際公開番号】W WO2022008344
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ハートル
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AB01
3H003AC01
3H003AD01
3H003BC00
3H003CE02
3H003CF02
3H003CF03
(57)【要約】
ハウジング、好ましくは電動コンプレッサに取り付けるためのハウジング部材(1)、好ましくは電動コンプレッサ端子、特にプレート状の要素であって、少なくとも1つの導体(3.1,3.2,3.3)用の少なくとも1つの開口(4.1,4.2,4.3)を備え、少なくとも1つの導体(3.1,3.2,3.3)は、ガラス金属シール(GTMS)を提供する各々の開口のそれぞれに供給されたガラス材料またはガラスセラミック材料(6.1,6.2,6.3)に埋め込まれ、前記ハウジング部材(1)は、ハウジング部材(1)をハウジングの構造内でセンタリングしかつ/または曲げに対する弾性を高めるための凸状領域(110)および/または凹状領域(115)を備え、少なくとも1つの開口(4.1,4.2,4.3)は、凸状領域(110)および/または凹状領域(115)に設けられており、凸状領域および/または凹状領域は、ガラス融着領域平面に位置しており、ハウジング部材は、少なくとも2つの孔(11.1,11.2)を備え、ガラス融着領域平面とは異なるベース平面に位置している、ハウジング部材(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、好ましくは電動コンプレッサに取り付けるためのハウジング部材(1)、好ましくは電動コンプレッサ端子、特にプレート状の要素であって、
少なくとも1つの導体(3.1,3.2,3.3)用の少なくとも1つの開口(4.1,4.2,4.3)を備え、前記少なくとも1つの導体(3.1,3.2,3.3)は、ガラス金属シール(GTMS)を提供する各々の前記開口のそれぞれに供給されたガラス材料またはガラスセラミック材料(6.1,6.2,6.3)に埋め込まれ、
前記ハウジング部材(1)は、前記ハウジング部材(1)を前記ハウジングの構造内でセンタリングしかつ/または曲げに対する弾性を高めるための凸状領域(110)および/または凹状領域(115)を備え、
前記少なくとも1つの開口(4.1,4.2,4.3)は、前記凸状領域(110)および/または凹状領域(115)に設けられており、
前記凸状領域および/または凹状領域は、ガラス融着領域平面に位置しており、前記ハウジング部材は、平面(1010)、特にガラス融着領域平面(1000)とは異なるベース平面に位置する少なくとも2つの孔(11.1,11.2)を備える、
ハウジング部材(1)。
【請求項2】
前記ハウジング部材は、引上げ縁部(100)を備える、請求項1記載のハウジング部材。
【請求項3】
前記ハウジング部材は、複数の開口(4.1,4.2,4.3)を備え、かつ/または前記ハウジング部材(1)は、細長い構造を形成している、請求項1または2記載のハウジング部材(1)。
【請求項4】
前記ハウジング部材は、材料として、鋼、特にステンレス鋼、最も好ましくは構造用鋼、好ましくは非調質鋼、最も好ましくは非調質鋼の形態の構造用鋼を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項5】
前記凸状領域(110)および/または前記凹状領域(115)および/または前記引上げ縁部(100)は、スタンプ加工プロセスまたは再形成プロセスを使用して形成されており、前記凸状領域(110)および/または前記凹状領域(115)および/または前記引上げ縁部と、前記ハウジング部材(1)とは、一体部材である、請求項1から4までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項6】
前記凸状領域(110)は、前記ハウジング部材(1)の前記ベースの前記平面から隆起した平面を表す一方、前記凸状領域(110)は、前記ハウジング部材(1)の前記ベースから延在する側壁を有し、前記ハウジング部材(1)の側壁の前記ベースの移行部が、好ましくは半径Rの丸みを帯びており、最も好ましくは、Rは、0.01mm~0.8mmである、請求項1から5までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項7】
前記引上げ縁部(100)は、別個の部分であり、融着によって前記ハウジング部材に接合されている、請求項2から6までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項8】
前記引上げ縁部(100)を提供するために、前記ハウジング部材は再成形されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項9】
前記凸状領域(110)および/または前記凹状領域(115)は、少なくとも前記ハウジングに接続される側に、少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.07、最も好ましくは0.01~0.07のISO 1101による平坦度を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項10】
前記少なくとも1つの導体(3.1,3.2,3.3)と前記ガラス材料またはガラスセラミック材料(6.1,6.2,6.3)とは、圧縮シールを形成している、請求項1から9までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項11】
前記ハウジング部材は、好ましくは前記ハウジング部材を位置決めするかつ/または取り付けるための少なくとも1つの取付け孔(11.1,11.2)を備える、請求項1から10までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項12】
少なくとも前記凸状領域(110)の前記隆起平面の領域は、構造、好ましくはスタンプ加工された構造および/または再形成された構造を有し、最も好ましくは、前記構造は、アンダカットを有する、請求項1から11までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項13】
前記ハウジング部材は、流延材料および/または接着剤のための粗さを備えた領域(50)および/または前記ハウジング部材と前記ハウジングとの間のシールを提供する領域(180)を備える、請求項1から12までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項14】
前記ハウジング部材は、プラスチック材料および/またはゴム材料を材料、特に前記ハウジング部材の金属に接続するための、バーおよび/またはピン(1010.1,1010.2)および/またはきのこ形の頭部分(1000)および/または環状エンボス加工部および/または環状の溝を備える、請求項1から13までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項15】
平坦領域(120.1,120.2)が、孔(111.1,111.2)、特に前記孔を通して供給されるねじのねじ頭のための孔を取り囲んでいる、請求項1から14までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項16】
前記ハウジング部材は、少なくとも溝、特にアンダカットを備えた溝(2021)を備える、請求項1から15までのいずれか1項記載のハウジング部材。
【請求項17】
前記溝(2021)は、ガラス材料またはガラスセラミック材料に埋め込まれた前記導体を備えた少なくとも1つの前記開口の周りに位置している、請求項16記載のハウジング部材。
【請求項18】
前記溝(2021)は、プラスチック材料またはゴム材料または弾性材料で充填されている、請求項16または17記載のハウジング部材。
【請求項19】
ハウジング部材、特に請求項1から18までのいずれか1項記載の電動コンプレッサ端子を備える電動コンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電子式のコンプレッサを収容するハウジングに取り付けられるハウジング部材、特にハウジング構成要素に関する。したがって、ハウジング部材は、電動コンプレッサ端子として表すことができる。ハウジング部材は、貫通接続アセンブリとして特徴付けることができる。さらに、本発明は、本発明による電動コンプレッサ端子としてハウジング部材またはハウジング構成要素を備える電動コンプレッサにも関する。電動コンプレッサ端子であるハウジング部材は、ハウジング部材の少なくとも1つの孔を通して供給されるねじなどの固定装置によって、本発明による電動コンプレッサのハウジングに取り付けられる。
【0002】
電子部品用のハウジングは、ワイヤを外部からハウジングの内部に案内するために複数の貫通接続部を含むことが好ましく、ハウジングは、例えばハウジング内の電子式のコンプレッサの部材を収容する。開口を通してハウジング内に供給される少なくとも1つの導体を備えるハウジング部材は、低い曲げ剛性に直面する。さらに、従来技術によるハウジング部材の耐圧性は低かった。ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子の位置決めが困難であった。また、従来技術の均一性および封止性に欠陥があり、従来技術の均一性および封止性の長期的な信頼性は改善する価値がある。
【0003】
国際公開第2012/041472号から、少なくとも1つの開口を備えたハウジングに取り付けるためのハウジング部材を備えたコンプレッサが公知である。少なくとも1つの導体がガラス材料またはガラスセラミック材料に埋め込まれ、各々の開口のそれぞれに供給されてガラス金属シールを提供する。国際公開第2012/041472号から公知のハウジング部材は、ハウジング部材をコンプレッサに固定するための少なくとも2つの孔を備えている。国際公開第2012/041472号は、ハウジング部材の曲げに対する弾性を強化することができる方法について言及していない。
【0004】
欧州特許出願公開第2218915号明細書は、一対のねじロータを備えたハウジングのためのロータケーシングを備えた封止型ねじコンプレッサを開示している。しかし、欧州特許出願公開第2218915号明細書は、曲げの問題について論じていない。
【0005】
近縁の従来技術は、ハウジングを通してガラス金属シールに供給される3つの導体を備えたコンプレッサのハウジング部材を示している韓国公開特許第2019-0094611号公報である。韓国公開特許第2019-0094611号公報から、封止されたハウジング内の電気モータに外部から電流を供給するためのモータ駆動コンプレッサの封止された貫通接続が公知である。内燃機関で使用される空調システムとは対照的に、電気自動車の空調システムは、空調システムの効率に応じてバッテリに大きな影響を与え、最終的には車の航続距離の主要な要素となる。内燃機関の空調システムは、エンジンの廃熱を使用してコンプレッサを作動させる。電気自動車には内燃機関が存在しないため、モータを使用してコンプレッサを別個に作動させる必要がある。電気自動車の空調システムで最も重要な構成要素は、電動式の電動コンプレッサであり、コンプレッサの効率を維持しながら環境に配慮した新しい冷媒を使用することができるシステムである。
【0006】
コンプレッサの重要な構成要素の1つは、コンプレッサのハウジングへの封止された貫通接続である。コンプレッサは、高温条件下での気密性を確保し、電力と信号とを接続するために配置される。電気自動車用のコンプレッサは、燃焼機関用の既存のコンプレッサよりも小型で、内圧に応じて高い気密性を保つ気密型となっている。電動コンプレッサの内部と外部部材との間の唯一の接続部は、貫通接続部である。コンプレッサ内部にモータ駆動の電動端子を設置することができる。コンプレッサの外部からコンプレッサの内部への貫通接続部は、電動コンプレッサの最も脆弱な部分である。
【0007】
韓国公開特許第2019-0094611号公報による電動コンプレッサの場合、電気エネルギーは、インバータから冷媒循環システム内に位置する電動モータに案内される必要があり、貫通接続部は、モータコンプレッサのハウジング内に振動、耐圧、および電気的に安定して設置する必要がある。
【0008】
韓国公開特許第2019-0094611号公報では、封止された貫通接続部を備えたプレートをハウジング、特にコンプレッサのハウジングに緊密に取り付ける方法については説明されていない。韓国公開特許第2019-0094611号公報の更なる欠点は、封止された貫通接続部を備えたプレートの曲げにより、ガラス材料またはガラスセラミック材料が破損するか、またはガラス材料またはガラスセラミック材料に亀裂が生じる可能性があることである。ガラス材料のこれらの破損から、電動コンプレッサの漏れが生じる。
【0009】
従来技術、特に韓国公開特許第2019-0094611号公報によるハウジング内に開口を通して供給される少なくとも1つの導体を備えるハウジング部材は、低い曲げ剛性に直面する。さらに、従来技術によるハウジング部材の耐圧性は低かった。ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子の位置決めが困難であった。また、従来技術の均一性および封止性に欠陥があり、従来技術の均一性および封止性の長期的な信頼性は改善する価値がある。特に、電動コンプレッサを収容するハウジングに、ハウジング構成要素またはいわゆるGTMS(ガラス金属シール(glass-to-metal-seal))プレートのセンタリングにスピゴットを使用し、かつスピゴットがGTMSプレートまたはハウジング部材の中央に位置していた場合に、均等性の欠陥が発生する。さらに、韓国公開特許第2019-0094611号公報の問題は、ガラス融着部(glassing)が形成される平面が、ハウジング部材または端子プレートがコンプレッサのハウジングに取り付けられる平面でもあることであった。したがって、取付けによるあらゆる曲げは、貫通接続部のガラス破損につながる。
【0010】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することである。
【0011】
特に、高い剛性と高い耐圧性とを有することを特徴とするハウジング部材を特定することが求められている。さらに、ハウジング部材、特に高い平坦度を有するハウジングへの貫通接続部を備えるガラス金属プレートの改良されたセンタリングが可能となることが求められている。本発明のさらに別の目的では、プラスチック材料またはゴム材料と金属とのより良好な接続が提供されることが求められている。貫通接続部のガラス材料のあらゆる破損が回避されることが求められている。
【0012】
本発明によるハウジング部材は、少なくとも1つの導体用の少なくとも1つの開口を備え、少なくとも1つの導体は、ガラス金属シール(GTMS)を提供する各々の開口のそれぞれに供給されたガラス材料またはガラスセラミック材料に埋め込まれる。GTMSという用語は、ガラスセラミック材料なども含む。周知のように、これらは、ハウジング部材から導体を電気的に絶縁し、かつ開口を封止することができる無機材料の群を表す。
【0013】
特にハウジング、好ましくは電動コンプレッサのハウジング用のハウジング部材またはハウジング構成要素は、ハウジング部材が取り付けられるハウジングの構造にハウジング部材をセンタリングするための構造を備えることができる。センタリングのためのそのような構造は、第1の代替案として、凸状領域および/または凹状領域によって表すことができる。第2の代替案では、これは突出部であってもよい。本発明によれば、ハウジング部材は、少なくとも2つの孔、例えばGTMSプレートまたはハウジング部材または電動コンプレッサ端子の、縁部にあるねじ孔内のねじによって構造に取り付けられる。本発明によるハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子は、曲げに対するハウジング部材の弾性を強化するための構造をさらに備えており、言い換えると、ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子の剛性を強化する。曲げに対するハウジング部材の弾性を高めるためのこの構造または複数の構造は、少なくとも1つの引上げ縁部によって表すことができる。さらに、凸状領域および/または凹状領域では、ハウジング部材の剛性および封止能力、特に耐圧性および/または長期的な封止信頼性を大幅に改善することができる。さらに有利な実施形態では、引上げ縁部は、ハウジング部材の縁部全体、例えばGTMSプレートを取り囲むことができるか、または縁部の一部のみ、例えば中央部分を取り囲むことができる。
【0014】
ハウジング部材内に導体が通って供給されるガラス材料またはガラスセラミック材料へのより高い圧縮につながる剛性の向上、特に曲げ剛性の向上は、
- 凸状領域および/または凹状領域を備えたハウジング部材を提供することと、
- 引上げ縁部を備えたハウジング部材を提供することと、
- ハウジング部材が、コンプレッサのハウジングに、例えば孔を通して供給されるねじによって取り付けられる平面とは異なる平面に、ガラス融着部を備えた凸状領域および/または凹状領域を提供することと、
- 構造用鋼、特に非調質鋼の形態の構造用鋼からハウジング部材を提供することと
によって、実現することができる。
【0015】
ハウジング材料のより高い圧縮によって、特に貫通接続用の開口の領域において、緊密な封止を提供することができる。開口に、より高い剛性を提供するために、凸状領域および/または凹状領域に少なくとも1つの開口が設けられる。好ましくは、ハウジング部材のすべての開口は、凸状領域および/または凹状領域に位置する。また、コンプレッサに取り付けるプレートの平面とは異なるガラス融着平面を提供することにより、ガラス材料の曲げによる破損を回避することができる。ねじが送り孔に通され、電動コンプレッサ端子を電動コンプレッサのハウジングに取り付けるためにねじ込みおよび/または緊密にねじ込まれる場合など、曲げをより適切に回避するために、例えば孔の周囲などにエンボス加工による平坦領域を設けることができる。
【0016】
韓国公開特許第2019-0094611号公報は、より良好な曲げ剛性およびガラス材料へのハウジング材料のより高い圧縮を提供し、開口を通して供給される導体を提供する領域内の開口を示していない。さらに韓国公開特許第2019-0094611号公報では、2つの平面が異なる本発明とは対照的に、ハウジング部材の開口のガラス融着平面は、ハウジング部材がコンプレッサのハウジングに取り付けられる平面に等しい。この出願の緊密な封止は、1barの圧力差に対して、ヘリウム漏れ速度が10-7mbar・l/sec未満、好ましくは10-8mbar・l/sec未満であることを意味する。最も好ましく使用される構造用鋼は、合金成分としてNi、Nb、Ti、Al、Vを含む。このような材料をハウジング部材に使用する場合、剛性が10~30%向上する。構造用鋼は通常、炭素鋼である。上記の構成の1つ以上によって剛性を高めることができる場合、例えば、非調質鋼の形態の構造用鋼を使用すること、かつ/または凹部を提供する場合、ハウジング部材の厚さを、例えば貫通接続部のガラス材料への圧縮を行わずに低減することができる。非調質鋼を材料として使用することには、いくつかの利点がある。高い剛性に加えて、非調質鋼の本体は通常の構造用鋼とは対照的に軽量であるという更なる利点がある。これは、非調質鋼の高い剛性と高い降伏強さとにより、本体の肉厚を薄くできるためである。通常の鋼の降伏強さ、したがって剛性は、例えば、このプロセスの高温により導体がガラス材料またはガラスセラミック材料に取り込まれるか、ガラス融着されると減少する。非調質鋼の降伏強さは、高温によってそれほど顕著には低下しない。したがって、非調質鋼の降伏強さおよび剛性は、通常の鋼の降伏強さおよび剛性と比較して、温度ガラス融着プロセス後に大幅に高くなる。より高い降伏強さ、ひいてはより高い剛性は、ガラス材料またはガラスセラミック材料への金属の圧縮をより高くすることができる。さらに、より高い降伏強さ、ひいてはより高い剛性は、ハウジング部材が取り付けられるハウジングの内側からの圧力負荷によりよく耐えることができるため、ハウジング部材にとって有利である。ハウジング部材とハウジングとの間の漏れは、より剛性の高いハウジング部材によって防止される。
【0017】
本開示の意味における構造という用語は、本発明の対象であるハウジング部材に取り付けられるすべての手段、および/または形成されるすべての手段、特にすべての幾何学的手段を包含する。
【0018】
上述の利点は、ハウジング部材が細長い構造を表す、ハウジング部材の好ましい実施形態にとって特に有益である。これは、ハウジング部材が幅よりも長く、有利には幅よりも数倍長いことを意味する。これは、複数の開口を備える実施形態の場合に特に当てはまり、複数の開口は、2つ以上の開口を意味する。このような細長い構造は、特に曲げの問題を起こしやすい。
【0019】
好ましい実施形態では、凸状領域および/または凹状領域は、スタンプ加工プロセスおよび/または再形成プロセスを使用して形成することができる。これにより、ハウジング部材、具体的にはハウジング部材のベース、ならびに凸状領域および/または凹状領域は一体部材である。換言すれば、凸状領域および/または凹状領域は、ハウジング部材のベースから形成され、ベースの平面の上または下に隆起している。これは、コンプレッサのハウジングに取り付けられたベースの平面とは異なる平面、またはプレートの平面とは異なる平面に凸状領域および/または凹状領域があることを意味する。
【0020】
このような製作プロセスは安価であり、特にプレート状のハウジング部材の場合に容易に実行することができる。再成形および/またはスタンプ加工は、完成したハウジング部材の長期的な安定性に影響を与える可能性のある、ハウジング部材のベース領域と凹状領域との間に結合線が存在しないという更なる利点を有する。特に電動コンプレッサ用途では、ハウジング部材が広い温度範囲にわたる温度変化、温度衝撃、および/または振動にさらされることを考慮に入れる必要がある。別個の部材同士の間、この場合、ベース領域またはコンプレッサのハウジングに固定された領域と凹状領域との間の既存の機械的接続は、機械的応力を誘発する可能性があり、ひいては通常はハウジング部材が取り付けられているハウジングを封止する機能を有する凹状領域への変形も引き起こす可能性がある。いかなる変形も封止機能の損失につながる可能性があり、ひいてはハウジングと取り付けられたハウジング部材との相互接続部の長期的な信頼性が低下する可能性がある。これもまた、貫通接続部を封止するガラス材料の破損によるものである。
【0021】
凸状領域は、ハウジング部材のベースの平面から隆起した平面を表す。それにより、凸状領域は、ハウジング部材のベースから延在する側壁を有する。韓国公開特許第2019-0094611号公報によれば、ガラス融着部がベースプレートの平面にある一方、凸状領域および/または凹状領域を備えた本発明の概念では、ガラス融着平面はベースプレートの平面とは異なる。これは、ベースプレートの曲げによるガラスの亀裂を回避することができるという利点を有する。特に好ましい実施形態では、ハウジング部材のベースと側壁との移行部は、好ましくは半径Rで丸みを帯びている。これは、ハウジング部材の長期的な機械安定性を高めるのに役立つ。なぜなら、ハウジング部材が通常、金属製であり、特に一体設計と共に丸みを帯びた移行部により、金属構造の初期亀裂の形成のリスクが軽減されるからである。もちろん、Rの値は、ハウジング部材の全体寸法に依存する可能性がある。電動コンプレッサの一般的な用途では、Rは有利には0.01mm~0.8mmである。
【0022】
側壁は、ハウジング部材が取り付けられているハウジングの構造に、圧入されるか、またはよりよく中心に配置されるようにするために、ハウジング部材のベースの平面に対して垂直であってもよいが、別の角度または傾斜していてもよいことが本発明によって予見され、取り扱われる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、引上げ縁部は別個の部分であり、融着によってハウジング部材のプレート状の要素に接合することができる。引上げ部分を別個の部分にする利点は、両方の部材(プレート状の要素および引上げ部分)の生産を別々に編成することができることである。引上げ縁部はハウジングのベース部材に取り付けられ、ひいては封止領域から離れているため、引上げ縁部とハウジング部材のベースとの間の線は、上記のように凹状領域の長期的な封止機能を妨げないと想定される。
【0024】
しかしながら、代替的な実施形態では、引上げ縁部を提供するために、ハウジング部材が再成形される。このような再成形プロセスは、例えば、凹部を提供するためにプレート状の要素をスタンプ加工することであってもよい。この再形成および/または再成形は、上述のように、機械的な線が存在しないことによってもたらされるすべての利点を備えた一体部材に再びつながる。
【0025】
最も好ましい実施形態では、凹状領域は、少なくともハウジングに接続される側で、特に電動コンプレッサに接続される側で、少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.07、最も好ましくは0.01~0.07のDIN ISO 1101による平坦度を有する。前述のように、凸状領域および/または凹状領域は、環境からハウジングを封止するのに役立つ。したがって、前述の構造、すなわち一体部材を表す凸状領域および/または凹状領域、および/または引上げ縁部によって、良好な平坦性を実現することができる。これらの前述の平坦性は、動作中および長期間にわたって実現される。したがって、凸状領域および/または凹状領域と、引上げ縁部とが協働して、これらの有益な挙動を達成することができる。これにより、ハウジング部材の厚さを低減することも可能になり、ひいては必要な材料の量を低減することができる。これは、全体の重量を低減するのに役立ち、ひいては、例えば、本発明のハウジングを備えた電動コンプレッサを備える車両の効率を高めるのに役立つ。
【0026】
ガラス金属シールの気密封止を提供するために、少なくとも1つの導体とガラス材料またはガラスセラミック材料とが圧縮シールを形成すると有利である。圧縮シールにより、気密封止を提供することができる。具体的には、1barの圧力差に対して1・10-7mbar・l/s、特に1・10-8mbar・l/sよりも良好なヘリウム漏れ率を圧縮シールによって実現することができる。圧縮シールという用語は周知である。一般的に、ガラス材料またはガラスセラミック材料の熱膨張が周囲の材料の熱膨張よりも小さいことを意味しており、その結果、ガラス材料またはガラスセラミック材料が開口で溶融して固化すると、周囲の材料がガラス材料またはガラスセラミック材料にいわば「収縮」し、ひいてはガラス材料またはガラスセラミック材料に恒久的な圧縮応力がかかり、これは耐機械圧力を改善する。
【0027】
最も好ましい実施形態では、ハウジング部材は、材料として鋼、特にステンレス鋼、最も好ましくは構造用鋼、好ましくは非調質鋼、最も好ましくは非調質鋼の形態の構造用鋼を含む。非調質鋼は、ニオブ、バナジウム、チタン、モリブデン、ジルコニウム、ホウ素、希土類金属などの少量の合金元素(0.05~0.15%)を含む合金鋼の一種である。それらは、粒子の微細構造を改善するか、または析出硬化を促進するために使用される。非調質鋼の降伏強さは、熱処理なしで275~750MPaである。溶接性は良好であり、強度を維持しながら炭素含有量を低減することで改善することもできる。疲労寿命と耐摩耗性とは、同様の熱処理鋼よりも優れている。冷間加工された非調質鋼は、それ以上の冷間加工を必要とせずに、他の炭素鋼と同じ強度を実現する。これはまた、より大きな延性につながる。材料に非調質鋼を使用することで、高い曲げ剛性と高い強度とを実現することができる。通常の鋼または構造用鋼の代わりに非調質鋼を使用する利点は、本出願で前述したとおりである。
【0028】
代替的な実施形態では、例えば電動コンプレッサに使用される場合、ハウジング部材をハウジングに位置決めおよび/または取り付けるために、ハウジング部材は少なくとも突出部を備えることができる。ハウジング部材をハウジングに取り付けるために、ハウジング部材は、ねじ孔などの少なくとも1つの取付け孔を備える。好ましい実施形態では、GTMSプレートは、GTMSプレートの縁部またはハウジング部材の縁部に2つの取付け孔および/またはねじ孔を備える。このような孔は、従来技術、例えば韓国公開特許第2019-0094611号公報には示されていない。
【0029】
好ましい実施形態では、ハウジング部材は、隆起平面の領域および/または凹状領域の領域に、表面積を有利に増大させる構造を有する。この構造は、好ましくは、スタンプ加工された構造および/または再形成された構造である。最も好ましくは、構造はアンダカットを有する。これは、スタンプ加工とその後の再形成によって実現することができる。
【0030】
好ましい実施形態では、ハウジング部材は、開口の領域にプラスチック材料および/またはゴム材料を含む。プラスチック材料および/またはゴム材料は、開口に固定される導体の、または開口を通して供給される導体の更なる電気絶縁体として機能する。このプラスチックおよび/またはゴムはまた、特に水層および/または汚れの層などがガラス材料またはガラスセラミック材料の表面に堆積する可能性がある濡れた環境または湿気の多い環境の場合に、短絡のリスクを軽減するのに貢献する。このような短絡は、例えば水などの導電性材料の膜が、ハウジングの金属材料および/または導体を濡らした場合に発生する可能性がある。金属材料と導体とを濡らすこのような水膜は、電動コンプレッサ端子を備えた電動コンプレッサで極めて容易に発生する可能性がある。これは、電動コンプレッサの温度が極めて低く、例えば5℃未満、または負の温度でさえあるのに対し、夏季などの周囲温度は20℃より高くなる可能性があるためである。この場合、結露により水膜ができる。電動コンプレッサのハウジングの金属材料、特に電動コンプレッサ端子の形態のカバーの金属材料から導体を付加的に絶縁することによって、導電膜によるそのような短絡を防止することができる。
【0031】
プラスチック材料またはゴム材料または弾性材料を鉄などの金属材料に設ける場合、プラスチック材料またはゴム材料または弾性材料の膨張係数が高いため、プラスチック材料またはゴム材料または弾性材料が金属材料から脱落してしまうという課題がある。その結果、金属材料とプラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料との間に隙間が生じ、拡散が発生する可能性がある。これを防止するために、金属材料は、金属材料が溝を備えるように環状にエンボス加工することができる。プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料は、それらの溝に入り込むことができる。溝は、プラスチック材料および/またはゴム材料が入り込むことができるアンダカットの形状を有している。これにより、金属材料からのプラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料の剥離および脱落が防止され、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料と金属材料との間に隙間が生じなくなる。環状の溝2030,2031は、射出成形装置と金属材料との緊密な接続を提供する。溝2030,2031によって、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料を射出する射出成形装置を封止することができる。
【0032】
最も好ましくは、凹状領域の隆起平面の構造の少なくとも一部は、例えば、金属を接着剤に接続する流延材料のスタンプ加工プロセスまたはエンボス加工プロセスによって提供される粗さを有する。粗さはまた、圧延テクスチャシート材料によって、または工具によるスタンプ加工ステップを伴う圧延テクスチャによって提供することができる。良好な接着により、金属材料とプラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料との間の接続が節約される。プラスチック材料および/またはゴム材料と金属材料との接続を改善するために、バー(tenon)および/またはピンおよび/またはスピゴットを設けることができる。さらに、環状エンボス加工部および/または環状の溝を形成して、プラスチック材料および/またはゴム材料と金属材料との接着を改善することができる。このようなバーは、最終的にはきのこ形の頭部分の形状で、シートから形成することができる。前述のように、ガラス材料の周りに環状にエンボス加工し、金属材料を通して導体を供給することが可能である。いずれにせよ、金属材料の構造によって、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料と電動コンプレッサのハウジングの金属との接続を改善することができる。
【0033】
ハウジングは、ハウジング部材、特にGTMSプレートをセンタリングするための開口またはねじ孔の反対側に、例えば溶接またはろう付けによってハウジングまたはハウジング部材に取り付けられたブッシュを備えることができる。
【0034】
凹状領域および/またはねじ孔および/または突出部を備えた本発明のハウジング部材またはGTMSプレートは、電動コンプレッサ端子に使用することができる。電動コンプレッサ端子は、電動コンプレッサに使用される。電動式のコンプレッサまたは電動コンプレッサは、環境に配慮した車両で空調システムの動作を支援するために広く使用されている。電気自動車およびハイブリッド車には、バッテリ駆動の電動コンプレッサが装備されている。電動コンプレッサは気密封止され、内部の独自のモータで機能する必要がある。電動コンプレッサ端子または貫通接続部は、電動コンプレッサの重要な構成要素であり、最適なパフォーマンスを得るためには慎重に設計および製作する必要がある。電動コンプレッサ端子は、バッテリから空調用コンプレッサに大量のエネルギーを伝達することができるようにすると同時に、冷媒のあらゆる漏れを防止するために確実に気密性を維持する必要がある。電動コンプレッサは、極めて高い性能と高い耐久性とを有している一方で過酷な環境条件にさらされる。これらは、高圧、高湿、振動を含む。コンプレッサ端子または貫通接続部は、このような悪条件に問題なく耐えることができる必要がある。長期的に信頼することができる気密性を提供するためには、高度に制御された精密なプロセスが必要である。さらに、コンプレッサ端子は、将来の急速充電技術の開発を支援するために、極めて高い絶縁抵抗と高電圧機能を提供する必要がある。今後の48V電気システムを有効にするには、高電流能力もまた必須である。これは、電動コンプレッサで電動コンプレッサ端子として使用される場合、本発明のハウジング部材で実現することができる。
【0035】
本発明の上記および他の特徴および利点、ならびにそれらを実現する方法は、添付の図面と併せて本発明の実施形態の以下の説明を参照することによって、より明らかになり、本発明はよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】3つの導体と、2つの孔、ハウジングにハウジング部材を取り付けるためのいわゆるねじ孔とを備えた、本発明による電動コンプレッサ端子の形態のハウジング部材の断面図である。
【
図2】ハウジング部材をセンタリングし、ねじでハウジングに取り付けるための、
図1によるハウジング部材のより詳細な図である。
【
図3】2つの孔、いわゆるねじ孔と、2つの突出部とを備えた、
図1による電動コンプレッサ端子の上面図である。
【
図4】ハウジング部材と、ハウジング部材をハウジングに対してセンタリングするための2つの突出部との代替的な実施形態の断面図であり、ハウジング部材は引上げ縁部を備える。
【
図5】2つの孔と、2つの突出部とを備えた、
図4による電動コンプレッサ端子の上面図である。
【
図6a】本発明による電動コンプレッサ端子の形態のハウジング部材の断面図であり、スタンプ加工プロセスを使用することによって凹状領域と凸状領域とが形成されており、ハウジング部材は引上げ縁部を備える。凹状領域および/または凸状領域は、導体が通って供給される3つの開口すべてを備える。
【
図6a.1】きのこ形の頭部分を備えた
図6aによる断面図である。
【
図6b】本発明による電動コンプレッサ端子の形態のハウジング部材の断面図であり、
図6aとは対照的に、凹状領域および凸状領域が開口のそれぞれに形成されている。
【
図6b.1a】
図6bによるハウジング部材の側面図である。
【
図6b.1b】
図6bによるハウジング部材の上面図である。
【
図7.1】プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料とハウジング部材の材料とのより良好な接続のために側壁にバーを備えた、
図6aのハウジング部材の側断面図である。
【
図8】
図6aのハウジング部材を下から見た図である。
【
図11】開口を通して供給される導体と、環状エンボス加工部および/または環状の溝とを有するハウジング部材の側面図である。
【0037】
本発明のハウジング部材は、好ましくは電動コンプレッサ端子である。電動コンプレッサ端子は、電動コンプレッサの重要な構成要素であり、バッテリから空調用コンプレッサに大量のエネルギーを伝達することができるように設計および製作されると同時に、特に冷媒のあらゆる漏れを防止するために確実に気密性を維持する必要がある。さらに、電動コンプレッサは、高圧、高湿および振動の影響を受ける。
【0038】
コンプレッサ端子は、このような悪条件に耐えることができる必要がある。さらに、コンプレッサ端子は、極めて高い絶縁抵抗と、例えば48V電気システム用の高電圧能力とを有する必要がある。
【0039】
図1は、3つの開口4.1,4.2,4.3を通して供給される3つの導体3.1,3.2,3.3を備えた電動コンプレッサ端子として使用することができる、特にプレート状の形状のハウジング部材1の断面図である。3つの導体3.1,3.2,3.3はすべて、ガラス材料またはガラスセラミック材料6.1,6.2,6.3の開口4.1,4.2,4.3を通して供給されて、ガラス金属シール(GTMS)を提供する。ガラス材料またはガラスセラミック材料6.1,6.2,6.3は、例えば、ソーダバリウムガラスを含む。
【0040】
導体3.1,3.2,3.3の材料は、例えば、Cu、有芯Fe-Cr、銅、またはFe-Crであってもよい。ハウジング部材の材料またはハウジング構成要素の材料は、好ましくは鋼、特に構造用鋼またはステンレス鋼、最も好ましくは非調質鋼である。材料としての非調質鋼を使用することは、いくつかの利点を有している。利点の1つは、剛性が高く、降伏強さが高いことである。さらに、非調質鋼の本体は、肉厚が薄いため、通常の鋼よりも軽量である。また、例えばガラス融着プロセスなどの温度下では、非調質鋼の降伏強さ、ひいては剛性は、構造用鋼の場合のように著しく低下することがない。
【0041】
図1に示す本発明のハウジング部材1は、2つの孔、特にねじ孔11.1,11.2をさらに備えており、ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子を、電動コンプレッサのハウジングに対して取付けおよび/または位置決めするために使用されるねじ17を備えている。これは、韓国公開特許第2019-0094611号公報に開示された、そのような孔を示していない電動コンプレッサのハウジングのハウジング部材とは対照的である。電動コンプレッサのハウジングに対するハウジング部材のセンタリング、特に電動コンプレッサ端子のセンタリングは、コンプレッサのハウジングの一部である2つの突出部9によって提供される。ハウジングは、ハウジング部材と同様に2つの孔も備えている。
【0042】
ハウジング部材に取り付けられているのは、ねじ17がねじ込まれるねじ山を備えた2つのブッシュ12.1,12.2である。この構成により、ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子を、ねじなどでハウジング、特にコンプレッサのハウジングに取り付けることができる。
【0043】
ブッシュ12.1,12.2は、電動コンプレッサのハウジングに気密に溶接される。
【0044】
図2は、GTMS(ガラス金属シール)プレート1の各側に、孔を通してねじ17がブッシュ12.2に供給される、2つの孔のうちの1つ、特にねじ孔11.1を備えた電動コンプレッサ端子の形態のハウジングとハウジング部材1とを詳細に示している。ブッシュ12.2は、電動コンプレッサのハウジングに気密に溶接される。ねじ10.2は、ハウジング部材1のねじ孔11.1のそれぞれを通して供給され、ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子1がハウジング、特にコンプレッサを含むコンプレッサのハウジング15に緊密に固定されるように、前記ブッシュに締結される。
図1に示されるように、ハウジング15は、ハウジングの突出部9によってハウジング部材に対して中心合わせされる。ハウジング部材は、孔11.1内でねじ17によってハウジングに締結される。
【0045】
図3は、電動コンプレッサ端子のハウジング部材の上面図を示す。コンプレッサ端子の導体3.1,3.2,3.3が通って供給される3つの開口4.1,4.2,4.3と、ねじ孔10.1,10.2とをはっきりと見ることができる。ねじ孔を通して、ねじは例えばブッシュおよび電動コンプレッサのハウジング部材に供給され、電動コンプレッサ端子はハウジング、特に電動コンプレッサのハウジングにしっかりと固定される。
【0046】
さらに
図3に示すのは、接着剤または流延材料が、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料を電動コンプレッサ端子の金属に接着するための粗さを有する表面を備えた領域50である。粗さは、スタンプ加工プロセスまたはエンボス加工プロセスによって提供することができる。領域50は、導体3.1,3.2,3.3を備えた3つの開口4.1,4.2,4.3に隣り合い、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料と、電動コンプレッサ端子とのより良い接続を提供し、電動コンプレッサ端子の金属は、通常は鋼、ステンレス鋼、好ましくは構造鋼、特に好ましくは非調質鋼の形態の金属を含む。プラスチック材料および/またはゴム材料を電動コンプレッサの金属にさらに良好に接続するために、端子バーを設けるか、またはきのこ形の頭部分を使用することができる。
【0047】
図4は、例えば電動コンプレッサのハウジングの2つの孔に嵌合する2つの孔と2つの突出部202.1,202.2とを備えた本発明の第2の実施形態におけるハウジング部材の断面図である。突出部は、ハウジング構成要素を電動コンプレッサにセンタリングするためだけに役立つが、ハウジング構成要素を例えばねじによってハウジングに取り付けることはしない。
図5に示すように、ねじ孔はセンタリング孔とは別になっている。
【0048】
図5では、ねじ孔は参照番号210.1および210.2で示されており、突出部は211.1および211.2で示されている。
図1~
図3の実施形態のように、ハウジング部材は、ハウジング部材200の3つの開口204.1,204.2,204.3を通して供給される3つの導体203.1,203.2,203.3を備える。
図1のように、ハウジング部材はプレート状の形状であるが、引き上げられた形態の縁部、いわゆる引上げ縁部201を備える。引上げ縁部201によって、ハウジング部材はより高い剛性とより高い耐圧性とを提供する。
図4および
図5の実施形態の引上げ縁部201は、導体203.1,203.2,203.3が通って供給される開口204.1,204.2,204.3を備えたプレート状の要素全体、特に電動コンプレッサ端子全体を取り囲む。
図4および
図5から分かるように、ハウジング部材のプレート状の部分、特に電動コンプレッサ端子と、ハウジング部材の引上げ縁部201とは、一体部材要素である。これは、引上げ縁部が、例えばプレート状の要素からスタンプ加工プロセスまたは形成加工プロセスによって形成される場合に可能である。
【0049】
スタンプ加工または形成加工は、引上げ縁部201を形成するための極めて安価なプロセスである。引上げ縁部201の高さHは、好ましくは4mm~8mmであり、最も好ましくは6mmである。プレート状の要素の厚さDは、1mm~3mm、好ましくは1.5mm~2.5mm、最も好ましくは2.5mmである。導体203.1,203.2,203.3のそれぞれは、ガラス材料206.1,206.2,206.3で溶融した開口のそれぞれを通して供給され、これにより気密封止、いわゆる圧力封止が提供される。
【0050】
図6a、
図6a1および
図6bは、本発明の異なる実施形態を断面図でも示している。
図6a、
図6a1および
図6bに示される電動コンプレッサ端子またはハウジング部材は、引上げ縁部100と、凸状領域110または
図6bにおける、例えばスタンプ加工プロセスによってプレート状の要素120に形成されている凹状領域115,115.1,115.2,115.3だけでなく3つの凸状領域とを有する。スタンプ加工プロセスは、凸状領域と凹状領域との両方を提供する。スタンプ加工によって、凸状領域と凹状領域とが提供されるが、凸状領域と凹状領域とは、必ずしも相補的な幾何学形状を有するとは限らない。特に、凹状領域の側壁の形状および/または凸状領域の側壁の形状は異なっていてもよい。さらに各構成により、凹状領域および凸状領域は、ハウジング部材のより高い剛性およびより高い耐圧性を提供する。すべての
図6a、
図6a1および
図6bには、異なる平面、ガラス融着平面1000と、例えばねじによって電動コンプレッサのハウジングに取り付けられる平面1010とが示されている。
図6a、
図6a1および
図6bから明らかなように、ガラス融着平面またはガラス融着領域平面1000は、電動コンプレッサのハウジングに取り付けられる平面1010、いわゆるベース平面とは異なる。この構成により、曲げによるガラス材料の破損を回避することができる。特に、ガラス材料またはガラスセラミック材料の導体を備える貫通接続部が設けられる凹状領域における機械的応力と変形とを回避することができる。したがって、電動コンプレッサ端子の封止能力の損失および長期的な安定性の低下を回避することができる。
【0051】
さらに、
図6bに示すように、ハウジング部材の各貫通接続部には、凸状領域および/または凹状領域を設けることができる。強化された剛性および/または耐圧性とは別に、ガラス材料の張力を低減することができる。ガラス材料の張力を低減することにより、絶縁性の問題のリスクを低減することができる。これらの絶縁性の問題は、ガラス材料の張力により、ガラス材料のガラス亀裂がより顕著になったときに発生する。このような場合にガラスに亀裂が入ると、絶縁性が低下する。
図4および
図5の実施形態とは対照的に、引上げ縁部は、
図10a、
図10bおよび
図10cに示されるように、
図6aおよび
図6bのプレート状の要素の中央部分のみにある。
【0052】
図6aおよび
図6a.1に見られるように、この実施形態はまた、導体が通って供給される3つの開口104.1,104.2,104.3を備える。さらに、
図1のように、プレート状の要素は、ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子をハウジング、特に電動コンプレッサのハウジングに位置決めして固定するためにねじを通すことができる2つの孔111.1,111.2を備える。ねじは、
図6aおよび
図6bには示されていない。
図6aおよび
図6bの実施形態のねじ孔は、ハウジング部材をハウジングに、例えばコンプレッサのハウジングにセンタリングするために必要ではない。この実施形態では、センタリングは、ハウジング部材またはGTMSプレートの凸状領域または台地領域によって行われる。ねじは、ハウジング部材を電動コンプレッサのハウジングに固定するために必要である。開口104.1,104.2,103.3を通して供給される導体は、
図6aおよび
図6a.1には示されていない。
図6aおよび
図6a.1に示されていない導体はすべて、各開口のガラス材料またはガラスセラミック材料に埋め込まれている。導体とガラス材料またはガラスセラミック材料とは、
図6bにのみ示されている。
図6bでは、導体は参照番号203.1,203.2,203.3で示されており、ガラス材料またはガラスセラミック材料は206.1,206.2,206.3で示されている。ガラス材料またはガラスセラミック材料はまた
図1に示されており、参照番号6.1,6.2および6.3で示されている。材料の膨張係数、特に開口を取り囲む金属、および導体を取り囲む開口のガラス材料またはガラスセラミック材料の膨張係数に応じて、導体の貫通接続部は整合封止または圧縮シールであってもよい。特に圧縮シールは気密封止であり、これは、1barの圧力差に対して、ヘリウムの漏れ率が1・10
-7mbar・l/s未満、特に1・10
-8mbar・l/s未満であることを意味する。開口104.1,104.2,104.3を備えたハウジングの材料、および導体が埋め込まれるガラス材料またはガラスセラミック材料は周知である。
【0053】
プレート状の要素をスタンプ加工する方向は113で示されている。プレート状の要素をスタンプ加工することにより、凸状領域および台地領域110を容易に形成することができる。凸状領域110は、ハウジング部材のセンタリング、特に、電動コンプレッサのハウジングに関連するプレート状の要素または電動コンプレッサ端子のセンタリングのために使用される。
【0054】
引上げ縁部と凸状領域とによって、プレート状の要素の剛性を高めることができる。プレート状の要素またはハウジング部材の別の断面を示す
図7から分かるように、完全なハウジング部材は、とりわけ、凸状領域のスタンプ加工と、引上げ縁部100の形成加工とを含む形成加工プロセスによって形成することができる。
【0055】
前に説明した凸状領域と引上げ縁部とにより、特に電動コンプレッサのハウジング部材は、より高い剛性とより高い耐圧性を提供することができる。
【0056】
図6aに示す実施形態では、凸状領域110の反対側に凹状領域115が設けられている。凸状領域110と凹状領域115とは、より高い剛性およびより高い耐圧性を提供する。各構成により、凸状領域または凹状領域は、剛性または耐圧性の向上に関与している。
【0057】
図6aによる実施形態では、凹状領域と凸状領域とは、3つの開口104.1,104.2,104.3すべてを備えており、凹状領域と凸状領域とは、3つの開口すべてに沿って分離することなく延在する。
【0058】
ゴム材料および/またはプラスチック材料を、
図6a.1の電動コンプレッサ端子の金属材料またはハウジング部材の金属材料により良く接続するために、きのこ形の頭部分1500が提供される。
図7.1に示すように、また、ゴム材料および/またはプラスチック材料および/または弾性材料の金属材料への接続を改善するために、引上げ縁部100の側部領域にバーおよび/またはピンおよび/またはスピゴット1510.1,1510.2を設けることができる。
【0059】
高度な実施形態では、開口104.1,104.2および104.3のそれぞれが、開口104.1,104.2および104.3自体の凸状領域および/または凹状領域を有することができる。そのような実施形態は、
図6b、
図6b.1aおよび
図6b.1bに示されている。
図6bは断面図であり、
図6b.1bは上面図である。
図6b.1aとして示される側面図は、凹状領域115.1,115.2,115がガラス材料またはガラスセラミック材料206.1,206.2,206.3を有する各開口に関連付けられる、本発明の第2の実施形態の引上げ縁部201を示す。各開口に関連付けられた凹状領域と凸状領域とを備えたこのような実施形態の利点は、ガラス材料がガラス材料に顕著な亀裂を示さず、ひいては、
図6aおよび
図6a1の実施形態よりも絶縁性が改善されることである。断面図(
図6b)ならびに上面図および側面図(
図6b.1)において、同一の構成要素は同一の参照番号で示される。
【0060】
図7では、
図6aと同一の要素に対して同一の番号が使用されている。
図7は、引上げ縁部100と、導体が通って供給される1つの開口104.2とを示している。ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子の材料として、鋼が使用されている。ハウジング部材の材料として非調質鋼が使用されている場合、一般的なシステムよりも約15~30%以上高い剛性が得られる。非調質鋼の代わりに、通常の鋼またはステンレス鋼もまた使用することができる。
図7.1は、ゴム材料および/またはプラスチック材料と金属との接続を改善するために、バーおよび/またはピンおよびまたはスピゴット1510.1,1510.2を備えた引上げ縁部100を示す。
【0061】
図8は、
図6aおよび
図7のハウジング部材の、特に電動コンプレッサ端子の下面図である。
図6aおよび
図7と同等の要素は、同一の参照番号で示される。
図8には、3つの開口104.1,104.2,104.3と、孔111.1,111.2とが明確に示されており、これらの孔を通してハウジング部材をハウジングに、例えば電動コンプレッサに取り付けるためのねじが示されている。
図8では、3つの開口104.1,104.2,104.3が封止領域180によって囲まれている。封止領域180では、ハウジング部材、特に電動コンプレッサ端子と、ハウジング、特に電動コンプレッサのハウジングとの間の表面封止が提供される。封止領域の封止によって、電動コンプレッサ端子またはハウジング部材は、電動コンプレッサのハウジングに緊密に接続することができる。
【0062】
図9は、ハウジング部材が取り付けられている
図6aによる電動コンプレッサのハウジング部材の上面図である。導体用の3つの開口104.1,104.2,104.3をすべて見ることができる。開口104.1,104.2,104.3に加えて、ねじ用の2つの孔111.1,111.2が、ハウジング部材、特に、好ましくはプレート状の形状である電動コンプレッサ端子を、電動コンプレッサのハウジングに取り付けるためのものである。孔は参照番号111.1,111.2で示されている。各孔は、孔111.1,111.2を取り囲む領域120.1,120.2を備える。これらの領域は、孔に供給されるねじのねじ頭の平坦領域である。平坦領域は、電動コンプレッサまたは端子を電動コンプレッサのハウジングに取り付けるためにねじを締めるおよび/またはきつく締めるときに、プレート状の形状の電動コンプレッサ端子が曲がらないようにする。平坦領域は、エンボス加工プロセス、特に付加的なエンボス加工プロセスを主に受ける平坦な表面である。
【0063】
平坦領域120.1および120.2は、封止領域180に対して平行であることが有利である。平行度の値は0.1mm未満であり、スタンプ加工プロセスによって実現することができる。
【0064】
ねじによって、導体が通って供給される開口を備えるプレート状の形状のハウジング部材が、電動コンプレッサのハウジングに取り付けられる。
【0065】
図10aは、
図6aによる電動コンプレッサ端子の3D画像を示す。極めて明確に見られるのは、引上げ縁部であり、これは要素により高い剛性を提供する。さらに、
図10aから明らかなように、
図6a~
図10aの実施形態の引上げ縁部100は、
図4および
図5のようにプレート状の要素全体を取り囲んでいないが、中央部分のみを取り囲んでいる。
図6a~
図10dの実施形態のように、引上げ縁部が中央部分に集中していても、プレート状の要素の剛性を十分に高めることができる。
図10aの電動コンプレッサ端子は、電動コンプレッサのハウジングに緊密に接続することができる。さらに
図6aによれば、凹状領域115と凸状領域110とは、すべての開口104.1,104.2,104.3にわたって延在する。
【0066】
図10bおよび
図10cは、
図6b、
図6b.1a、
図6b.1bによる電動コンプレッサ端子の3D写真である。
図10aに示される実施形態とは対照的に、凹状領域115.1,115.2,115.3と、凸状領域110.1,110.2,110.3とが、開口104.1,104.2,104.3のそれぞれに関連付けられる。この構成により、剛性が大幅に向上し、さらにガラス材料に亀裂が発生しない。
図10bには、開口104.1,104.2および104.3を通してガラス材料またはガラスセラミック材料117.1,117.2および117.3にそれぞれ供給される導体116.1,116.2および116.3が示されている。以前と同一の構成要素には同一の番号が付けられている。
図10bおよび
図10cでは、より高い剛性を提供する凹状領域115.1,115.2,115.3が各開口に関連付けられていることが明確に分かる。
【0067】
開口内の導体のガラス融着平面またはガラス融着領域は、
図6bに1000で示されている。このガラス融着平面は、平面、特に、電動コンプレッサ端子が電動コンプレッサのハウジングに、例えば電動コンプレッサ端子プレートの孔を通して導かれるねじによって取り付けられるベース平面1010とは明らかに異なる。
【0068】
図11は、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料2050を導体の金属および/またはハウジング2100の金属に接続するために、金属材料2025に環状エンボス加工部2020、および/または金属材料2025に環状の溝2030を備えた、前述のような例えば電動コンプレッサ端子の開口2010内の導体2000を示した図である。開口2010を通して供給される導体2000が通るガラス材料は、2060によって示される。プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料2050は、ガラス材料が絶縁体であるが、導体2000と金属材料2025との間の短絡を防止するために必要である。このような短絡は、例えば、水などの導電性材料の膜がハウジングの金属材料2025および/または導体を濡らした場合に発生する可能性がある。金属材料と導体とを濡らすこのような水膜は、電動コンプレッサ端子を備えた電動コンプレッサで極めて容易に発生する可能性がある。これは、電動コンプレッサの温度が極めて低く、例えば5℃未満、または負の温度でさえあるのに対し、例えば夏季での周囲温度は20℃より高くなる可能性があるためである。この場合、結露により水膜ができる。電動コンプレッサのハウジングの金属材料2025、特に電動コンプレッサ端子の形態のカバーの金属材料2025から導体2000を付加的に絶縁することによって、導電膜によるそのような短絡を防止することができる。
【0069】
プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料を鉄などの金属材料に設ける場合、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料の膨張係数が高いため、材料が金属材料から剥離したり、脱落したりするという課題がある。その結果、金属材料とプラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料との間に隙間が生じ、拡散が発生する可能性がある。これを防止するために、金属材料は、金属材料にアンダカットを有する少なくとも1つの溝2021を備えることができる。次いで、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料は、溝2021のアンダカットに入り込むことができる。これにより、金属材料からのプラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料の剥離が防止され得、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料と金属材料との間に隙間が生じなくなる。
【0070】
前述のように、溝2021のアンダカットにより、プラスチック材料が溝に入り込むことができ、ひいてはプラスチック材料が導体に対して平行な方向に引き抜かれることを防止する機械的手段が提供される。さらに、プラスチック材料は金属上で収縮し、溝またはアンダカットとプラスチック材料自体との間の緊密な接続を提供する。
【0071】
任意選択的な溝2030,2031は、射出成形装置と金属材料との緊密な接続を提供する。射出成形装置は、プラスチック材料および/またはゴム材料および/または弾性材料を射出する。
【0072】
本発明のハウジング部材は、改善された剛性および耐圧性、ならびに例えばハウジング部材が取り付けられるべきハウジングに対して容易にセンタリングすることができるハウジング部材を提供する。さらに、本発明は、高い平坦性により、ハウジング部材と、ハウジング部材が取り付けられるハウジングとの間に、緊密な封止を提供する。さらに、ガラス材料またはガラスセラミック材料内の導体の緊密な貫通接続が提供される。さらに、ハウジング部材は高い降伏強さを有する。カバーの形態のハウジング部材の耐圧性は極めて高く、ひいてはハウジング部材は電動コンプレッサのハウジングに緊密に接続されている。導体を囲むガラス材料の更なる亀裂を回避することができる。
【0073】
本発明は、本明細書の一部である以下のセンテンスに開示される態様を含むが、審判部のJ15/88による請求項ではない。
【0074】
センテンス
1.ハウジングに取り付けるためのハウジング部材(1)、特にプレート状の要素、好ましくは電動コンプレッサ端子であって、
少なくとも1つの導体(3.1,3.2,3.3)用の少なくとも1つの開口(4.1,4.2,4.3)を備え、少なくとも1つの導体(3.1,3.2,3.3)は、ガラス金属シール(GTMS)を提供する各々の開口のそれぞれに供給されたガラス材料またはガラスセラミック材料(6.1,6.2,6.3)に埋め込まれ、
前記ハウジング部材(1)は、曲げに対する弾性を高めるためのハウジング手段の構造内でハウジング部材(1)をセンタリングするための手段を備え、ハウジング部材(1)をセンタリングするための手段は、凹状領域(110)および/または少なくとも2つの孔(11.1,11.2)によって表されている、
ハウジング部材。
【0075】
2.ハウジング部材は、特に引上げ縁部(100)を備える、センテンス1記載のハウジング部材。
【0076】
3.複数の開口(4.1,4.2,4.3)を備え、ハウジング部材(1)は、細長い構造を形成している、センテンス1記載のハウジング部材(1)。
【0077】
4.ハウジング部材は、材料として、鋼、特にステンレス鋼、最も好ましくは構造用鋼、好ましくは非調質鋼、最も好ましくは非調質鋼の形態の構造用鋼を含む、センテンス1から3までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0078】
5.前記凹状領域(110)および/または引上げ縁部(100)は、スタンプ加工プロセスまたは再形成プロセスを使用して形成されており、凹状領域(110)および/または引上げ縁部と、ハウジング部材(1)とは、一体部材である、センテンス2から4までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0079】
6.凹状領域(110)は、ハウジング部材(1)のベースの平面から隆起した平面を表す一方、凹状領域(110)は、ハウジング部材(1)のベースから延在する側壁を有し、ハウジング部材(1)の側壁のベースの移行部が、好ましくは半径Rの丸みを帯びており、最も好ましくは、Rは、0.01mm~0.8mmである、センテンス1から5までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0080】
7.引上げ縁部(100)は、別個の部分であり、融着によってハウジング部材に接合されている、センテンス2から6までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0081】
8.引上げ縁部(100)を提供するために、ハウジング部材は再成形されている、センテンス1から6までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0082】
9.凹状領域(110)は、少なくともハウジングに接続される側に、少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.07、最も好ましくは0.01~0.07のISO 1101による平坦度を有する、センテンス1から8までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0083】
10.少なくとも1つの導体(3.1,3.2,3.3)とガラス材料またはガラスセラミック材料(6.1,6.2,6.3)とは、圧縮シールを形成している、センテンス1から9までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0084】
11.ハウジング部材は、好ましくはハウジング部材を位置決めするかつ/または取り付けるための少なくとも1つの取付け孔(11.1,11.2)を備える、センテンス1から11までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0085】
12.少なくとも凹状領域(110)の隆起平面の領域は、構造、好ましくはスタンプ加工された構造および/または再形成された構造を有し、最も好ましくは、構造は、アンダカットを有する、センテンス1から11までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0086】
13.開口の領域(120.1,120.2)は、プラスチック材料を含み、好ましくは、プラスチック材料は、凹状領域(110)の隆起平面の構造の少なくとも一部を覆っており、最も好ましくは、プラスチック材料は、アンダカット内に延在している、センテンス1から12までのいずれか1つ記載のハウジング部材。
【0087】
14.センテンス1から13までのいずれか1つ記載の電動コンプレッサ端子を備える電動コンプレッサ。
【国際調査報告】