(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】真空ラインおよび真空ラインの制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230724BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230724BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44 E
F27D17/00 104G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501032
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2021067177
(87)【国際公開番号】W WO2022008249
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148259
【氏名又は名称】ファイファー バキユーム
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パスカル モワノ
(72)【発明者】
【氏名】ティエリ ニール
【テーマコード(参考)】
4K030
4K056
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA17
4K030EA12
4K030HA11
4K030HA12
4K030JA09
4K030KA39
4K030KA41
4K030KA43
4K056AA09
4K056CA18
4K056DB05
4K056DB07
5F045AC01
5F045AC09
5F045BB20
5F045EE14
5F045EG03
5F045EG07
(57)【要約】
【課題】可燃性および/または爆発性ガスを搬送する、ポンプ装置および真空ラインの安全性を高める。
【解決手段】ポンプ装置(5)とガス処理装置(6)と排気管(7)を備えた真空ライン(4)であって、真空ラインに接続された補助ポンプ装置(13)と希釈ガス注入装置(15)、及び制御ユニット(17)を有し、制御ユニットは、排気管(7)内の圧力が20,000Pa以下に維持される第1の動作モード、及び排気管(7)内の圧力が20,000Paより大きい第2の動作モードを有し、第2の動作モードにおいて、希釈ガス注入装置(15)による搬送されたガスの流れに対する希釈ガスの注入が、粗引き真空ポンプ装置(10)の吸入口の下流、例えば、排気管(7)および/または粗引き真空ポンプ装置(10)内および/または補助ポンプ装置(13)に対して行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ装置(5)とガス処理装置(6)とを備えた真空ライン(4)であって、前記ポンプ装置は、大気圧でポンプ搬送されたガスを排出できるように構成された少なくとも1つの粗引き真空ポンプ装置(10)を含み、前記ガス処理装置(6)は、大気圧で、前記粗引き真空ポンプ装置(10)によってポンプ搬送されたガスを処理するように構成されたガス処理室(26)と、前記粗引き真空ポンプ装置(10)の吐出口(8)を前記ガス処理室(26)の入口(9)に接続する排気管(7)を備えたものにおいて、
前記ガス処理装置(6)は、
前記排気管(7)内の圧力を下げるように構成された少なくとも1つの補助ポンプ装置(13)と、
前記排気管(7)および/または前記粗引き真空ポンプ装置(10)および/または前記補助ポンプ装置(13)等の、前記粗引き真空ポンプ装置の吸入口の下流で、希釈ガスを、前記ポンプ搬送されたガスの流れに注入するように構成された希釈ガス注入装置(15)とを備え、
前記真空ライン(4)はさらに、
前記排気管(7)内の圧力を測定するように構成された圧力センサ(16)と、
前記補助ポンプ装置(13)および前記希釈ガス注入装置(15)を制御するように構成された制御ユニット(17)とを備え、
前記制御ユニット(17)は、
前記排気管(7)内の圧力が20,000Pa(200mbar)以下に維持されている第1の動作モードと、前記排気管(7)内の圧力が20000Pa(200ミリバール)を超える第2の動作モードを有し、
前記制御ユニット(17)は、前記第2の動作モードにおいて、前記希釈ガス注入装置(15)による前記希釈ガスの注入を制御するように構成されていることを特徴とする真空ライン。
【請求項2】
請求項1に記載の真空ライン(4)において、
前記制御ユニット(17)は、前記第2の動作モードにおいて、前記粗引き真空ポンプ装置(10)の前記吸入口の下流で、前記排気管内(7)および/または前記粗引き真空ポンプ装置(10)内および/または前記補助ポンプ装置(13)内等への、前記ポンプ搬送されるガスの流れに導入される前記希釈ガスの流量が、前記圧力センサ(16)によって測定された圧力の関数として決定され、点火によって生成される前記排気管内の圧力が160,000Pa(1,600mbar)未満に維持されるように制御することを特徴とする真空ライン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の真空ライン(4)において、
前記希釈ガスが、燃料および/または中性ガスを含むことを特徴とする真空ライン。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
前記制御ユニット(17)は、測定された前記圧力が50,000Pa(500mbar)を超える場合は、前記排気管(7)および/または前記粗引き真空ポンプ装置(10)および/または前記補助ポンプ装置(13)等の、前記粗引き真空ポンプ装置の前記吸入口の下流で、前記ポンプ搬送されたガスの流れへの高流量の前記希釈ガスの注入を制御するように構成されていることを特徴とする真空ライン。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
前記希釈ガスの前記高流量の値は、可燃性ガス濃度が爆発下限の25%未満になるように事前に設定されていることを特徴とする真空ライン。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
前記制御ユニット(17)は、前記第1の動作モードにおいて前記粗引き真空ポンプ装置(10)へのパージガスの注入をオフにするように構成されていることを特徴とする真空ライン。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
前記補助ポンプ装置(13)は、ウォータージェットポンプおよび/またはベンチュリガスジェットポンプおよび/または液封ポンプおよび/またはドライ真空ポンプおよび/またはベーンポンプを含むことを特徴とする真空ライン。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
前記ガス処理室(26)は、バーナー(23)、および/または電気システム、および/またはプラズマ、および/または洗浄塔(24)、および/または化学吸着式および/または物理吸着式のカートリッジを含むことを特徴とする真空ライン。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
前記補助ポンプ装置(13)はベンチュリガスジェットポンプを含み、その駆動ガスは燃料および/または燃焼ガスおよび/または中性ガスを含むことを特徴とする真空ライン。
【請求項10】
請求項7または9に記載の真空ライン(4)において、
前記ベンチュリガスジェットポンプは、前記駆動ガスを加熱するように構成された加熱要素を含むことを特徴とする真空ライン。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
前記補助ポンプ装置(13)は、前記ガス処理室(26)の前記入口(9)から1メートル未満、例えば50cm未満等、に位置することを特徴とする真空ライン。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
前記補助ポンプ装置(13)は、ウォータージェットポンプと油圧ポンプ(19)とを含み、その入口は前記ガス処理装置(6)の洗浄塔(24)の洗浄槽(22)の液体と連通して配置され、その出口は、前記制御ユニット(17)によって制御され、前記ウォータージェットポンプに駆動液を供給するように構成されていることを特徴とする真空ライン。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の真空ライン(4)において、
過圧の場合に前記補助ポンプ装置(13)をバイパスするように構成されたバイパス管(14)を含むことを特徴とする真空ライン。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の前記真空ライン(4)を制御する方法であって、
前記補助ポンプ装置(13)および前記希釈ガス注入装置(15)は、前記排気管(7)内の圧力が20,000Pa(200ミリバール)以下に維持される、前記第1の動作モードにしたがって制御され、または、
前記排気管(7)内の圧力が20,000Paよりも高く、前記粗引き真空ポンプ装置の前記吸入口の下流で、前記ポンプ搬送されたガスの流れへの前記希釈ガスの注入が制御される前記第2の動作モードに従って制御され、
前記第2の動作モードでは、前記希釈ガス注入装置(15)を用いて、前記排気管(7)および/または前記粗引き真空ポンプ装置(10)および/または前記補助ポンプ装置(13)内へ前記希釈ガスが注入されることを特徴とする真空ラインを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ライン及び真空ラインの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、フラットパネルディスプレイ、および太陽電池の製造業界における製造方法では処理ガスを使用するが、この処理ガスは、通常、粗引き真空ポンプを通過した後、ガス処理装置によって処理される。
これらの製造方法の幾つかは、真空ラインで運ばれる処理ガスが可燃性および/または爆発性であるため、危険であると言われている。処理ガスの例として、水素、シラン、TEOSおよび水素化物を挙げることができる。
【0003】
これらの危険なガス種に加えて、真空ラインには、還元された固体種、つまり、シリコン粉塵やポリシランポリマー等の酸化されていない固体種の堆積物が存在する可能性もある。これらの堆積物は、時間の経過とともに蓄積し、さらなる危険な状態の出現を促進する可能性がある。一部の非酸化堆積物は、とても燃えやすい。それらは、特に、突然のポンプ搬送による強力なガス流により、または単にメンテナンス中のオペレータによる管または真空ポンプの通気により、発火する可能性がある。
一部の爆発は、非常に大量のエネルギーが放出されるため、特に破壊的なものになる可能性がある。これは特に、連鎖爆発の場合である。その最初の爆発は、まず可燃性ガスによって開始される。そして、この爆発は、管内に潜在的に存在する還元された固体種の堆積物を掻き回し、これらの可燃性の固体堆積物は、爆発による衝撃波によってかき混ぜられ、順番に「超爆発」で爆発する。
したがって、人身事故や製造装置の損傷のリスクが非常に高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題に関して現在使用されている対処方法は、ポンプ搬送されたガスを中性ガス、通常は窒素ガスで、継続的に希釈することである。中性ガスの流量は、最も好ましくないポンプ搬送状況にも対応できるように、安全マージンを加えて決定される。
【0005】
ただし、この解決策には多くの欠点がある。
第1に、真空ラインにおける大量の窒素ガスの供給には、このガス消費に伴う追加コストが発生し、そしてまた、大量の希釈ガスの流れを処理するために、真空ポンプ、加熱装置、およびガス処理装置のエネルギー消費が発生する。さらに、ガスの希釈によって引き起こされる真空ラインの冷却は、特に加熱要素のコストと故障のリスクという、他の欠点をもたらす。この大量の中性ガスの供給には、ガス処理装置と粗引き真空ポンプ装置の過剰評価も必要である。
希釈窒素はさらに、ガス処理装置内で、NO2等の、窒素酸化物または「NOx」の生成をもたらす。この窒素酸化物は毒性があり、処理が必要な大気汚染物質を構成する。
最後に、最近のいくつかの製造プロセスでは、真空ポンプの排気能力が不十分り、ガス処理装置の処理能力が不十分なため、希釈ガスの増加が不十分になりつつあるため、この解決策が限界に達していることが観察されている。これらの極端な動作条件では、真空ポンプまたはガス処理装置の信頼性に関する問題が発生する可能性がある。
【0006】
別の解決策は、特に前駆体の熱分解を防ぎ、化学反応を最小限に抑えるために、管と真空ポンプの温度を下げることである。ただし、結露による析出のリスクを防ぐために、高温を維持することも重要である。
【0007】
もう1つの問題は、一部の製造プロセス、特に半導体産業で、ますます不安定な前駆体を使用する傾向があることである。基板パターンはますます薄くなり、基板はますます厚くなる、すなわち、基板パターンは多くのプロセスステップで生成される多くの層を有している。基板のチップに損傷を与える危険性がある熱収支を下げるために、より低い温度で分解する新世代の分子が使用されている。その欠点は、それらが真空ラインに簡単に堆積することであり、これによりかなりの量の堆積物が生じる可能性がある。
【0008】
さらに、一部の使用済みの凝縮性ガス種は固化して固体の副生成物になり、特に層の形で、真空ポンプまたは管の可動部分または静的部分に堆積し、これが真空ラインの詰まりにつながる可能性がある。
【0009】
本発明の1つの目的は、可燃性ガスおよび/または爆発性ガスを搬送するポンプ装置および真空ラインの安全性を高めることである。
本発明の他の目的は、凝縮性種の堆積物の存在を減らすこと、または排気管やポンプ装置内において、低温で分解する前駆体の分解を遅らせる/最小限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明の真空ラインは、ポンプ装置とガス処理装置とを備えており、
前記ポンプ装置は、大気圧でポンプ搬送されたガスを排出できるように構成された、少なくとも1つの粗引き真空ポンプ装置を含み、
前記ガス処理装置は、
大気圧で、前記粗引き真空ポンプ装置によってポンプ搬送されたガスを処理するように構成されたガス処理室と、
前記粗引き真空ポンプ装置の吐出口を前記ガス処理室の入口に接続する排気管を備えており、
前記ガス処理装置は、
前記排気管内の圧力を下げるように構成された少なくとも1つの補助ポンプ装置と、
前記粗引き真空ポンプ装置の吸入口の下流で、前記排気管および/または前記粗引き真空ポンプ装置および/または前記補助ポンプ装置等に、ポンプ搬送されたガスの流れに希釈ガスを注入するように構成された、希釈ガス注入装置とを備え、
前記真空ラインはさらに、
前記排気管内の圧力を測定するように構成された圧力センサと、
前記補助ポンプ装置および前記希釈ガス注入装置を制御するように構成された制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
前記排気管内の圧力が20,000Pa(200mbar)以下に維持されている第1の動作モードと、前記排気管内の圧力が20000Pa(200ミリバール)を超える第2の動作モードを有し、
前記制御ユニットは、前記第2の動作モードにおいて、前記希釈ガス注入装置による前記希釈ガスの注入を制御するように構成されている。
【0011】
前記希釈ガス注入装置は、例えば、前記希釈ガスを、前記排気管および/または前記粗引き真空ポンプ装置および/または前記補助ポンプ装置に注入するように構成されている。
したがって、最適な動作モードである前記第1の動作モードでは、デフォルトでは、排気管の圧力は、前記排気管内を運ばれる可燃性ガスの着火条件未満に維持される。前記第2の動作モードでは、可燃性のリスクは希釈によって管理できる。したがって、前記排気管内の圧力を下げると、前記希釈ガスの注入を、最も危険な状況時のみに制限することが可能になる。したがって、安全な操作条件を保ちながら、希釈ガスの消費量を減らすことができる。また、第2の動作モードでは、使用される希釈ガスの量が、従来技術に基づいて注入される希釈ガスの量と比較して少ないことに留意しなければならない。
【0012】
本発明によれば、真空ラインを安全な状態に維持すると同時に、真空ラインの圧力を下げることで、排気管と粗引き真空ポンプ装置での凝縮性種の堆積を防ぐことができ、真空ラインの加熱要件を減らすことができる。真空ラインの加熱温度を下げると、熱分解を防ぐことができるため、粗引き真空ポンプ装置での前駆体の変換と化学活性の反応速度が低下し、望ましくない反応を減らすことができる。加熱温度を下げることで、潤滑剤の品質を維持し、粗引き真空ポンプ装置の機械部品、特にベアリングの信頼性を向上させることもできる。したがって、メンテナンス作業の間隔を延ばすことができる。
さらに、希釈ガスの消費量が制限され、これにより、粗引き真空ポンプ装置およびガス処理装置のエネルギー消費量を削減し、ガス処理装置内での窒素酸化物の形成を最小限に抑えるか、または排除することさえ可能になる。
真空ライン内の圧力を下げると、粗引き真空ポンプ装置内の圧力も下がり、これにより、粗引き真空ポンプ装置のサイズを縮小でき、強度が低くしたがって安価な材料を使用することが可能になる。
真空ラインは、さらに、以下に説明する特徴のうちの1つまたは複数を、単独でまたは組み合わせて備えることができる。
【0013】
前記制御ユニットは、前記第2の動作モードにおいて、前記粗引き真空ポンプ装置の前記吸入口の下流で、前記排気管内および/または前記粗引き真空ポンプ装置内および/または前記補助ポンプ装置内への、ポンプ搬送されるガスの流れに導入される希釈ガスの流量が、前記圧力センサによって測定された圧力の関数として決定され、かつ、点火によって生成される排気管内の圧力が、特に、化学量論的条件等、爆発が発生した場合の最も厳しい条件でも、160,000Pa(1,600mbar)未満に維持されるように、ポンプ搬送される前記可燃性ガスに関する情報の関数として決定される、ように構成されている。
前記希釈ガスには、燃料および/または中性ガスを含むことができる。
【0014】
前記制御ユニットは、前記ガス処理室に導入される前記可燃性ガスに関する情報の関数として、燃料および中性ガスの量および割合を決定するように構成することができる。
前記制御ユニットは、測定圧力が50,000Pa(500mbar)を超える場合は、前記排気管、および/または前記粗引き真空ポンプ装置、および/または補助ポンプ装置のような、前記粗引き真空ポンプ装置の前記吸入口の下流で、前記ポンプ搬送されたガスの流れの中への高流量の希釈ガスの注入を制御するように構成することができる。
高流の希釈ガスは、可燃性ガス濃度が爆発下限界(LEL)の25%未満になるように、予め決定することができる。したがって、最も不利なポンプ搬送状況でも安全になり、安全マージンが追加される。これは、極端な状況で時折使用される緊急動作モードであり、この緊急動作モードは、先行技術において恒久的に実施され、過度の窒素消費をもたらしているモードに相当する。本発明によれば、最大の希釈は時折行われるだけである。
前記制御ユニットは、前記第1の動作モードにおいて前記粗引き真空ポンプ装置へのパージガスの注入をオフにするように構成することができる。
【0015】
前記補助ポンプ装置は、ウォータージェットポンプおよび/またはベンチュリガスジェットポンプおよび/または液封ポンプおよび/またはドライ真空ポンプおよび/またはベーンポンプを含むことができる。
前記ガス処理室は、バーナー、および/または電気システム、および/またはプラズマ、および/または洗浄塔、および/または化学吸着式および/または物理吸着式のカートリッジを含むことができる。
前記補助ポンプ装置は、ベンチュリガスジェットポンプを含むことができ、その駆動ガスは、燃料および/または燃焼剤および/または中性ガスを含む。
前記補助ポンプ装置は、前記ガス処理室から来る情報の関数として、前記駆動ガスの燃料、燃焼ガスおよび中性ガスの量および割合を決定するように構成することができる。
前記ベンチュリガスジェットポンプは、前記駆動ガスを加熱するように構成された加熱要素を含むことができる。
【0016】
前記補助ポンプ装置は、前記ガス処理室の前記入口から1メートル未満、例えば50cm未満に配置することができる。
前記補助ポンプ装置は、ウォータージェットポンプおよび油圧ポンプを含むことができ、その吸入口は前記ガス処理装置の洗浄塔の洗浄槽の液体と連通して配置され、その出口は、前記ウォータージェットポンプに駆動液を供給するために、前記制御ユニットによって制御されるように構成されている。
前記真空ラインは、過圧の場合に前記補助ポンプ装置をバイパスするように構成されたバイパス管を含むことができる。
【0017】
本発明は、前記真空ラインを制御する方法にも関するものであり、前記補助ポンプ装置および前記希釈ガス注入装置は、第1の動作モードにおいて、前記排気管内の圧力が20,000Pa(200mbar)以下に維持されるように制御される。また、前記排気管内の圧力が20,000Paよりも高い第2の動作モードでは、前記粗引き真空ポンプ装置の前記吸入口の下流で、前記ポンプ搬送されたガスの流れの中への前記希釈ガスの注入が制御される。この第2の動作モードでは、前記希釈ガス注入装置を用いて、例えば、前記排気管および/または前記粗引き真空ポンプ装置および/または前記補助ポンプ装置内へ希釈ガスが注入される。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を理解するために必要な構成要素のみが示されている、生産設備の一例の概略図である。
【
図2A】本発明の真空ラインの1つの変形例の概略図である。
【
図2B】本発明の真空ラインの別の変形例の概略図である。
【
図2C】本発明の真空ラインの別の変形例の概略図である。
【
図2D】本発明の真空ラインの別の例の概略図である。
【
図3】水素の濃度Cの関数としての爆発圧力P(mbar単位)を示すグラフである。(記号は測定値を表し、実線は理論値を表している。)
【発明を実施するための形態】
【0019】
各図において、同一の要素には同一の参照番号が付されている。
以下の実施形態は例示である。以下の説明は1つまたは複数の実施形態に言及しているが、これは、各言及が同じ実施形態に関連すること、または特徴が単一の実施形態のみに適用されることを必ずしも意味しない。異なる実施形態の個々の特徴を組み合わせたり交換したりして、他の実施形態を提供することもできる。
粗引き真空ポンプとは、気体を吸入し、移送し、大気圧で排出するように構成された容積式真空ポンプを意味する。粗引き真空ポンプのロータには、ルーツ、クロー、スクリュー、ベーン、またはスクロールの各タイプがある。粗引き真空ポンプは、大気圧でも起動できるように構成されている。
【0020】
2つのルーツロータを使用して排気対象の気体を取り込み、移送し、排出するように構成された容積式真空ポンプは、ルーツまたはルーツブロワー真空ポンプとして定義される。ルーツ真空ポンプは、粗引き真空ポンプの上流に直列に取り付けられている。ロータは、ルーツ真空ポンプのモータによって回転する2つのシャフトに保持されている。
ルーツ真空ポンプは、主に、ポンプ搬送能力が高く、公差が大きいため、排気ステージの寸法が大きいという点、及び、ルーツ真空ポンプは大気圧では排出できないため、粗引き真空ポンプの上流に直列に取り付けて使用する必要があるという点で、粗引き真空ポンプとは異なる。
「上流」の構成要素は、ポンプ搬送されるガスの流れの方向に関して他の構成要素の前方に配置される構成要素であると見なされる。対照的に、「下流」の構成要素は、ポンプ搬送されるガスの流れの方向に関して後方に配置される構成要素であると考えられる。ポンプ搬送されるガスの流れは、真空ラインの管内のポンプ搬送操作によって運ばれるガスを表す。
【0021】
生産設備1は、1つまたは複数の真空ライン4に接続された、1つまたは複数のプロセスチャンバ3を備える半導体製造装置2を含んでいる。プロセスチャンバ3は、半導体ウェーハ、フラットパネルディスプレイ、または光起電力パネル等の1つまたは複数の基板を受け入れるのに適している。
1つの真空ライン4は、少なくとも1つのプロセスチャンバ3に接続された1つまたは複数のポンプ装置5と、1つまたは複数のガス処理装置6とを含んでおり、このガス処理装置6は、少なくとも1つの粗引き真空ポンプ装置10の吐出口8をガス処理装置6のガス処理室26の入口9に接続する1つまたは複数の排気管7を含んでいる。
図1の実施例では、1つの半導体製造装置2が示されており、そのプロセスチャンバ3は真空ライン4に接続されている。排気管7は、長さを変えることができる。粗引き真空ポンプ装置10の吐出口とガス処理室26の入口9との間で、排気管は1~4メートルの長さを有する。
【0022】
ポンプ装置5は、少なくとも1つの粗引き真空ポンプ装置10を含み、ポンプ搬送されたガスを、吐出口8において、大気圧で、または大気圧よりも高い圧力、特に最大1,200mbar(120,000Pa)で排出できるように構成されており、また、粗引き真空ポンプ装置10は、ポンプ搬送されたガスを大気圧よりも低い圧力で排出することもできる。
ポンプ装置5はまた、プロセスチャンバ3と粗引き真空ポンプ装置10との間に介在する、ポンプ搬送されたガスの流れの方向で粗引き真空ポンプ装置10の上流に直列に配置された、1つの高真空ポンプ装置を含むことができる。この高真空ポンプ装置には、ルーツ真空ポンプ11および/またはターボ分子真空ポンプ12が含まれる。
ガス処理室26は、大気圧で、粗引き真空ポンプ装置10によってポンプ搬送されたガスを処理するように構成されている。
【0023】
ガス処理室26は、それ自体既知の方法で、例えば、炭化水素の燃焼によって高温で熱反応を生成するように構成されたバーナー23、および/または、加熱抵抗器によって高温で熱反応を起こすように構成された電気システム、および/またはプラズマ、および/またはスクラバー、および/または化学吸着式および/または物理吸着式のカートリッジを含んでいる。
【0024】
図1に示す例示的な実施形態によれば、ガス処理室26は、バーナー23と、ガスの流れ方向でバーナー23の下流に直列に配置された洗浄塔24とを含んでいる。バーナー23は、燃焼バーナー、電気バーナーまたはプラズマバーナーである。酸素または空気等の反応性ガスがポンプ搬送されたガスに追加され、バーナー23によって、非常に高い温度に加熱され、新しい化学反応性の可溶性種の形成が活性化され、その後洗浄塔24によって捕捉される。
解離した高温ガスを互いに再結合させたり、逆平衡に向けて反応させたりするのではなく、ガスを急速に冷却して化学平衡を遮断するために、水噴射ノズル(一般にクエンチノズルとしても知られている)によってバーナー23内にミストを発生させることができる。
洗浄塔24は、例えば、ポンプ搬送されたガスが水流に対して向流で上昇する充填カラムを含んでいる。ガス処理装置6の出口31で、ガスを大気中または製造プラントの中央洗浄塔に排出することができる。
【0025】
ガス処理装置6は、さらに、少なくとも1つの排気管7内の圧力を下げるように構成された、少なくとも1つの補助ポンプ装置13を含んでいる。
この補助ポンプ装置13は、任意のタイプのものとすることができる。これには、例えば、
図1に示すようなウォータージェットポンプ(またはウォーターブラスト)のほかに、および/またはベンチュリガスジェットポンプ、および/または液封ポンプ、および/またはルーツ型、クロー型等のドライ真空ポンプ、および/またはスクリュー真空ポンプ、および/またはベーン型および/またはスクロール型および/またはメンブレン型またはダイアフラム型の各ポンプが含まれる。
補助ポンプ装置13がベンチュリガスジェットポンプを含む場合、圧力の低下を引き起こすために注入される駆動ガスには、窒素等の中性ガスを含めることができる。次いで、前記駆動ガスは、排気管7から来るポンプ搬送されたガスをさらに希釈することに寄与する。この駆動ガスには、メタン等の燃料および/または燃焼剤を含むことができる。駆動ガスはまた、ガス処理装置6のバーナー23の効率を低下させず、窒素酸化物を発生させることなく、排気管7から来るポンプ搬送されたガスをさらに希釈するのにも寄与する。
【0026】
ベンチュリガスジェットポンプは、駆動ガスを加熱するように構成された加熱要素を含むことができる。駆動ガスは、例えば500℃以上等の、50℃を超える温度まで加熱することができる。駆動ガスを加熱することにより、ガス処理装置6のバーナー23の効率を向上させ、ジェットポンプ出口での粉体の堆積を防止することができる。駆動ガスは、例えば、ガス処理室26またはポンプ装置5の高温部分と接触する熱交換器によって加熱することができ、これにより電力消費を低減することが可能になる。
ガスジェットポンプは電力を消費しないメリットがある。それはコンパクトで軽量であるため、ポンプ装置5またはガス処理装置6に容易に組み込むことができる(
図2A参照)。
【0027】
補助ポンプ装置13がドライ真空ポンプを含む場合、補助ポンプ装置13のドライ真空ポンプのパージガスは、窒素等の中性ガス、および/またはメタン等の燃料、および/または燃焼剤を含むことができる。パージガスは、例えば、ガス処理室26またはポンプ装置5の高温部分と接触する熱交換器によって、500℃を超える等、50℃を超える温度までさらに加熱することができる。
少なくとも1つの補助ポンプ装置13は、好ましくは、ガス処理室26の入口9の近傍に、すなわち、例えば、1メートル未満、例えば50cm未満の距離に位置する。これは、バーナー23の入口9が一般に地面から1.50m以上離れた位置にあるので、補助ポンプ装置13を持ち上げる必要があるためである。
【0028】
一般に、補助ポンプ装置13のポンプ能力は、粗引き真空ポンプ装置10のポンプ能力よりも小さいことが好ましく、例えば、5m
3/hより大きく、および/または100m
3/h未満である。これらの条件では、特にドライ真空ポンプまたは液封ポンプまたはベーンポンプを含む補助ポンプ装置13は、ガス処理室26の入口9のできるだけ近くに配置できる(
図2A参照)ように十分に軽量であり、例えばガス処理室26内に配置しても(
図2B参照)、何のリスクもなく、特別な取り扱い手段も必要としない。
ベンチュリガスジェットポンプタイプの補助ポンプ装置13は、例えば、ガス処理装置6のバーナー23のヘッドに取り付けられる(
図2B参照)。駆動ガスの燃焼剤である燃料は、バーナー23の火炎を供給するガスである。
【0029】
真空ライン4は、さらに、補助ポンプ装置13をバイパスするように構成されたバイパス管14を含むことができる(
図2C参)。
このバイパス管14は、補助ポンプ装置13を迂回する管と、この管内に配置され、逆止弁/弁の両側の圧力差に応じて開閉するように構成された制御可能な弁または逆止弁とを含んでいる。このバイパス管14は、特に強力なガス流のポンプ搬送の場合、または補助ポンプ装置の故障の場合に、補助ポンプ装置13が引き起こす可能性のあるポンプ搬送能力の制限を防止するために、補助ポンプ装置13をバイパスすることを可能にする。
【0030】
補助ポンプ装置13のドライ真空ポンプがベンチュリガスジェットポンプを含む場合、これはバイパス管14の逆止弁に組み込むことができる(
図2D参照)。この逆止弁の可動シャッターには、ベンチュリ貫通通路がある。この逆止弁は、駆動ガスがベンチュリ通路の入口に注入されたときに、逆閉鎖位置をとることができる。この状態で、逆止弁は、補助ポンプ装置13のジェットポンプを形成する。逆止弁はまた、この逆止弁のいずれかの側の圧力差が逆止弁の負荷閾値よりも大きい場合、ポンプ搬送されたガスがベンチュリ貫通通路を迂回する開位置をとることもできる。
【0031】
図1に戻って、真空ライン4は、さらに、希釈ガス注入装置15、排気管7内の圧力を測定するように構成された圧力センサ16、および圧力センサ16に接続された制御ユニット17を含んでいる。
希釈ガス注入装置15は、窒素および/または燃料等の中性ガス等の希釈ガスを、粗引き真空ポンプ装置10の吸入口の下流で、ポンプ搬送されたガスの流れに注入するように構成されている。より具体的には、希釈ガスを、高真空ポンプ装置11、12の下流、設置可能な場合は、排気管7および/または粗引き真空ポンプ装置10および/または補助ポンプ装置13等へ、ポンプ搬送されたガスの流れに注入するように構成されている。この釈ガスは、例えば、粗引き真空ポンプ装置10の吸入口および/または吐出口8で注入され、及び/又は、粗引き真空ポンプ装置10の多段粗引き真空ポンプの最後の2つのポンプ段に注入され、および/または、補助ポンプ装置13の上流、下流または内部へ注入される。
【0032】
圧力センサ16は、例えば、粗引き真空ポンプ装置10の吐出口8付近に配置される。
制御ユニット17は、コントローラ、マイクロコントローラ、メモリ、および真空ラインを制御する方法を実施することを可能にするコンピュータプログラムを含む。これは、たとえば、コンピュータまたはプログラマブルロジックコントローラである。
制御ユニット17は、圧力センサ16によって測定された圧力の関数として、第1の動作モードまたは第2の動作モードにしたがって、補助ポンプ装置13および希釈ガス注入装置15を制御するように構成されている。
第1の動作モードでは、排気管7内の圧力は、200mbar(20,000Pa)以下に維持される。
【0033】
排気管7内の圧力を下げることができる補助ポンプ装置13は、連続的または断続的にポンプ搬送するように制御することができる。
例えば、補助ポンプ装置13は、ベンチュリガスジェットポンプを含み、制御ユニット17は、排気管内の圧力を下げるためにジェットポンプの駆動ガスを制御するように構成されている。
【0034】
他の例によれば、補助ポンプ装置13はウォータージェットポンプを含み、制御ユニット17は、排気管内の圧力を下げることを可能にするウォータージェットポンプの駆動液を制御するように構成されている(
図1参照)。
この場合、一実施形態によれば、補助ポンプ装置13はさらに油圧ポンプ19を含み、この油圧ポンプの出口は、ウォータージェットポンプに駆動液を供給するために、制御ユニット17によって制御されるように構成されている。油圧ポンプ19の入口は、例えば、ガス処理装置6の洗浄塔24の洗浄槽22の液体と連通するようにして配置される。次に、ガス処理装置6は、補助ポンプ装置13のウォータージェットポンプとガス処理装置6のバーナー23の入口9との間に介在する、ガス/水分離器20を含むことができる。液体残留物は、プランジャーチューブ21を介して洗浄槽22に排出することができる。
【0035】
図3は、爆発前のさまざまな初期圧力値に対する水素の濃度C(空気中の分子分率)の関数として爆発圧力Pをmbar単位でグラフ化したものである。(記号は測定値を表し、実線は理論値を表している。)
白三角が100mbar(10,000Pa)、白四角が150mbar(15,000Pa)、白菱形が200mbar(20,000Pa)、黒丸形が300mbar(30,000Pa)、黒三角が500mbar(50,000Pa)、黒四角が750mbar(75,000Pa)、黒菱形が1,000mbar(100,000Pa)である。
最適な動作モードである第1の動作モードでは、デフォルトでは、排気管内の圧力は、排気管7内を搬送される殆どの可燃性ガスの発火条件よりも低く維持される。
これは、
図3の例を参照するとよりよく理解できる。
図3によれば、100mbar(10,000Pa)、150mbar(15,000Pa)、および200mbar(20,000Pa)の水素ガスの圧力に対して、化学量論的条件下での爆発圧力が、つまり、最も深刻な爆発につながる可能性がある場合の爆発圧力が、1,600mbar(160,000Pa)未満のままである。
このようにして、ガス爆発を防止することができる安全な条件のセットが、粗引き真空ポンプ装置10および排気管7内に確立される。排気管内が200mbar(20,000Pa)以下の圧力の場合、化学量論的条件下での点火によって発生する圧力(爆発圧力とも呼ばれる)は、容易に抑えることができる、すなわち、ポンプ装置5または配管に重大な機械的損傷を引き起こさない、と考えられている。
【0036】
図3は水素ガスに関する特定のケースに関するものであるが、同じ挙動がすべての可燃性ガスで観察される。すなわち、化学量論的条件下での爆発圧力、つまり、最も深刻な爆発につながる可能性のある爆発圧力が、1,600mbar(160,000Pa)未満に留まる。
【0037】
さらに、第1の動作モードでは、200mbar(20,000Pa)以下の圧力の真空レベルによって安全性が確保されるため、可燃性および/または爆発条件の範囲外になるように希釈ガスを注入する必要はない。したがって、制御ユニット17は、希釈ガスの注入の停止を制御することができる。
制御ユニット17が、第1の動作モードにおいて粗引き真空ポンプ装置10へのパージガスの注入をオフにするように装置を構成することもできる。これにより、排気管7内を低圧に維持するのがより容易になる。
【0038】
制御ユニット17は、排気管内の圧力を200mbar(20,000Pa)以下に下げることができない場合、第2の動作モードに切り替えるように構成されている。
この第2の動作モードでは、排気管7内の圧力は20,000Paより大きい。制御ユニット17はさらに、希釈ガス注入装置15による、排気管7および/または粗引き真空ポンプ装置10および/または補助ポンプ装置13への希釈ガスの注入を制御するように構成されている。この第2の動作モードは、「劣化した」動作モードと見なすことができ、可燃性のリスクは希釈によって制御できる。
制御ユニット17は、第2の動作モードにおいてポンプ搬送されるガスの流れに導入される希釈ガスの流量が、圧力センサ16によって測定された排気管内の圧力の関数として、および、ポンプ搬送される可燃性ガスに関する情報の関数として、点火(または爆発圧力)によって生成される圧力が特に化学量論的条件下、つまり、最も壊滅的な影響を引き起こす爆発的な状態に達する可燃性ガスの濃度条件下で、160,000Pa(1,600mbar)未満に留まるように、決定されるように構成することができる。
例えば、
図3を参照すると、圧力センサ16によって測定された爆発前の初期圧力が300mbar(30,000Pa)(黒丸形)であるとき、化学量論的条件下での32%の[H
2]濃度を、目標の[H
2]濃度まで下げる必要がある。つまり、排気管内の圧力が1,600mbar(160,000Pa)の爆発圧力を超えないようにするために、中性ガスで希釈して[H
2]濃度を15%まで下げる必要がある。
【0039】
図3の別の例によれば、圧力センサ16によって測定された排気管内の圧力が500mbar(50,000Pa)(黒三角形)であるとき、排気管内を爆発未満の1,600mbar(160,000Pa)の圧力に留めるために、化学量論的条件下での濃度を、希釈によって6~7%に低減されなければならない。
これらの例は、化学量論的条件での濃度の場合であるが、実際には、希釈前の可燃性ガス濃度は、プロセスチャンバ3内に導入される可燃性ガスの最大流量の値に基づいて、ユーザによって事前に決定される。
【0040】
可燃性ガスが複数存在する場合、中性ガスの希釈率は、プロセスチャンバ3に同時に注入される可燃性ガスの最大流量に基づいて決定される。
より具体的には、圧力センサ16によって測定された排気管内の圧力の関数として、
図3のグラフによって示されるように、各ガスに固有のデータテーブルを使用して、各可燃性ガスについて希釈率が最初に別々に決定される。
データテーブルは、制御ユニット17に格納することができる。
次に、プロセスチャンバ3に同時に導入されるすべての可燃性ガスについて、各ガスの(得られるべき)希釈された目標濃度が再計算される。同時に注入されたすべてのガスは、それぞれの濃度の低下に相互に寄与する。
【0041】
したがって、希釈率は可燃性/爆発性ガスの量(または流量、圧力)の関数として調整され、点火によって生成される排気管内の圧力(または爆発圧力)が、160,000Pa(1,600mbar)未満に維持される。
制御ユニット17はさらに、測定された圧力が50,000Pa(500mbar)を超えた場合、粗引き真空ポンプ装置10の吸入口の下流、例えば排気管7および/または粗引き真空ポンプ装置10の中へ、および/または補助ポンプ装置13の中への、ポンプ搬送されたガスの流れへの高流量の希釈ガスの注入を制御するように構成することができる。この高流量の希釈ガスは、粗引き真空ポンプ装置10に優先的に注入することができ、場合によっては同時に排気管7に注入することもできる。
【0042】
高流量の希釈ガスの値は、例えば、プロセスチャンバ3に注入できる可燃性ガスの最大流量の関数として予め決定されている。この情報は、プロセスチャンバに導入された可燃性ガスの最大流量の値に基づいて、ユーザによって事前に決定される。高流量の希釈ガスは、例えば、可燃性ガス濃度が爆発下限界(LEL)の25%未満になるように予め定められる。
したがって、例えばプロセスチャンバ3内で実施されるレシピの最悪の条件の関数に加えて、さらに、LELの25%によって提供される安全マージンにより、最も不利なポンプ搬送状況であっても安全が確保される。これは、極端な状況で時折使用される緊急動作モードである。先行技術では、この緊急動作モードに相当するものが恒久的に実施され、過度の窒素消費をもたらしている。したがって、本実施例における最大希釈は不定期に実施されるものであり、希釈ガスの消費量とエネルギー予算を節約できる。
【0043】
図3を参照すると、水素圧力が500mbar(50,000Pa)を超えた場合、水素 [H
2]の濃度は、排気管7内で1%未満の値、つまり、従来技術で推奨されている爆発限界(LEL)の25%未満の値まで減少する可能性がある。
したがって、制御ユニット17は、第1の動作モードでは、排気管7内の圧力を200mbar(20,000Pa)以下に維持する。
排気管7内で測定された圧力が200mbar(20,000Pa)以下のままである場合、制御ユニットは第1の動作モードのままである。
【0044】
補助ポンプ装置13で200mbar(20,000Pa)以下の圧力を維持することが不可能な場合、特に補助ポンプ装置13の容量が不十分なためにこの圧力を維持できない場合、制御ユニットは第2の動作モードに切り替わる。
第2の動作モードでは、制御ユニット17は、粗引き真空ポンプ装置10の吸入口の下流で、例えば、排気管7内へ、および/または粗引き真空ポンプ装置10内へ、および/または補助ポンプ装置13へ、ポンプ搬送されたガスの流れに対して、希釈ガスの注入の制御を行う。
圧力が200mbar(20,000Pa)と500mbar(50,000Pa)の間にある場合、圧力センサ16によって測定された排気管の圧力の関数として、およびプロセスチャンバ3に導入される可燃性ガスに関する情報の関数として、ポンプ搬送されたガスの流れに導入される希釈ガスの流量を決定できる。これにより、化学量論的条件等、爆発時の最も厳しい爆発条件下でも、爆発圧力が1,600mbar(160,000 Pa)未満に維持される。
【0045】
したがって、排気管7内の圧力は、最初に補助ポンプ装置13の容量によって管理され、次に、排気管7内で測定された圧力が200mbar(20,000Pa)より大きく500mbar(50,000Pa)未満である場合には、排気管7内で測定された圧力の関数として、および、プロセスチャンバ3に導入される可燃性ガスに関する情報によって管理される。
もし、第2の動作モードで、測定された排気管内の圧力が200mbar(20,000Pa)以下に戻ると、制御ユニットは第1の動作モードに戻る。
もし、排気管の圧力が500mbar(50,000Pa)を超える場合、最も不利なポンプ搬送状況でも安全なものにするために、安全マージンを加えた所定の高流量の値の希釈ガスを、たとえば粗引き真空ポンプ装置10に直接注入することができる。
【0046】
以上述べたことから、排気管7内の圧力を低下させることにより、希釈ガスの注入を、最も危険な状況にのみ制限することが可能になることが理解されるであろう。真空ライン4を安全なものにすると同時に、排気管の圧力を下げることにより、排気管7内の凝縮性種の堆積を防ぐことができ、その結果、真空ラインの加熱の要求を減らすことができる。さらに、真空ラインの加熱の要求を減らすことにより、熱分解を回避することも可能になり、したがって、粗引き真空ポンプ装置10内の熱に敏感な前駆体の変換を低減することが可能になる。
この低圧と低温の組み合わせにより、化学活性の動力学を低下させることも可能になり、それにより、真空ライン4の構成要素に対して腐食性であるか詰まらせる可能性があるかどうかにかかわらず、望ましくない化学反応を低下させることができる。加熱の要求を減らすことにより、潤滑剤の品質を維持し、粗引き真空ポンプ装置10の機械部品、特に軸受の信頼性を向上させることも可能になる。したがって、保守作業の間隔を大幅に延ばすことができ、これにより、真空ライン4の経済的収益性と生産設備の稼働時間が改善される。さらに、経済的な観点から、高価な貴金属の使用も減らすことができる。粗引き真空ポンプ装置10の構成要素は、設計および材料の両方に関して標準化することができ、それにより粗引き真空ポンプ装置の構成要素の提供が簡素化され、普遍的なものとなる。
【0047】
さらに、希釈ガスの消費量が制限され、これにより、粗引き真空ポンプ装置10のエネルギー消費量を削減することが可能になり、同時に、ガス処理装置6における窒素酸化物の形成を最小限に抑え、さらにはガス処理装置6内での窒素酸化物の形成を排除することさえ可能になる。
【0048】
図1に示される例示的な実施形態によれば、ガス処理装置6はまた、排気管7と補助ポンプ装置13との間に介在する少なくとも1つのバイパス装置25を含むことができる。
このバイパス装置25は、排気管7に接続された入口ポート25aと、補助ポンプ装置13に接続され、さらにガス処理室26に接続された第1の出口ポート25bと、ガス処理室26をバイパスするように構成された第2の出口ポート25cと、入口ポート25aを第1の出口ポート25bと連通させ、あるいは第2の出口ポート25cと連通させるように構成された制御ユニットとを備えている。バイパス装置25は、例えば、制御可能な三方弁である。
このバイパス装置25は、ポンプ搬送されたガスを処理する必要がない場合にのみ、第2の出口ポート25cを介して補助ポンプ装置13およびガス処理室26をバイパスすることを可能にする。したがって、ガスを製造プラントの中央の洗浄塔に向けることができる。
【0049】
制御ユニットは手動部材とすることができる。保守オペレータは、保守中に制御ユニットを操作して、例えばガス処理室26の保守作業中に、ガスをこのガス処理室から迂回させることができる。このように、例えばバーナー23の故障またはメンテナンスの場合、ポンプ搬送されたガスはバイパス装置25によってその方向を変えることができる。
【0050】
制御ユニットは、例えば、プロセスチャンバ3の状態(処理中、オフまたは待機中)、またはガスを処理する必要があるかどうかを示す情報項目等の、プロセスチャンバ3からの情報の項目に応じて、第1の出口ポート25bまたは第2の出口ポート25cを選択することができる。
したがって、例えば、オフまたは待機中のプロセスチャンバ3から来るガスは処理できず、バイパス装置25を介してバーナー23をバイパスすることができない。ドライ接点や空気圧制御などの情報により、制御ユニットの切り替えを直接制御できる。
例えば、プロセスチャンバ3ごとに1つのバイパス装置25があり、半導体製造装置2ごとに幾つかのプロセスチャンバ3がある。
幾つかのプロセスチャンバ3、したがって幾つかのバイパス装置25を、1つのガス処理室26に接続することができる。さらに、バイパス装置25の第2の出口ポート25cは、共通の管35に関連付けることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 生産設備
2 半導体製造装置
3 プロセスチャンバ
4 真空ライン
5 ポンプ装置
6 ガス処理装置
7 排気管
8 吐出口
9 入口
10 粗引き真空ポンプ装置
11 高真空ポンプ装置(ルーツ真空ポンプ)
12 高真空ポンプ装置(ターボ分子真空ポンプ)
13 補助ポンプ装置
14 バイパス管
15 希釈ガス注入装置
16 圧力センサ
17 制御ユニット
19 油圧ポンプ
20 ガス/水分離器
21 プランジャーチューブ
22 槽
23 バーナー
24 洗浄塔
25 バイパス装置
26 ガス処理室
31 出口
【国際調査報告】