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特表2023-532814分割システム内に含まれるノードの識別
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  • 特表-分割システム内に含まれるノードの識別 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】分割システム内に含まれるノードの識別
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0853 20220101AFI20230724BHJP
   H04L 41/40 20220101ALI20230724BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
H04L41/0853
H04L41/40
H04L12/28 207
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501314
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 IL2021050641
(87)【国際公開番号】W WO2022009192
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/049,651
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519425187
【氏名又は名称】ドライブネッツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】サンドラー,エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】ジルバーマン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シェクター,エラン イスラエル
(72)【発明者】
【氏名】マティチャフ,イダン
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA09
5K033BA05
5K033DA01
5K033DB20
5K033EC01
(57)【要約】
複数のホワイトボックスを含む通信ネットワークにおける使用の為の分割ルーティングシステムであって、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つの他の3つが実行するように構成された機能とは異なる機能を実行するように構成され、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、その機能に基づいて識別されることを特徴とする分割ルーティングシステム。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のホワイトボックスを含む通信ネットワークにおける使用の為の分割ルーティングシステムであって、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つの他の3つが実行するように構成された機能とは異なる機能を実行するように構成され、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、その機能に基づいて識別を提供されることを特徴とする分割ルーティングシステム。
【請求項2】
前記複数のホワイトボックスの少なくともいくつかはさらに、前記分割ルーティングシステム内の各々の位置に基づいて識別されることを特徴とする請求項1に記載の分割ルーティングシステム。
【請求項3】
前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれの機能は、データパス転送、ファブリックモジュール、要素の制御装置、及び管理スイッチから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の分割ルーティングシステム。
【請求項4】
複数のホワイトボックスを含む分割ルーティングシステムにおいて使用される方法であって、前記複数のホワイトボックスのそれぞれが実行するように構成された機能に基づいて前記複数のホワイトボックスのそれぞれを識別する為の方法において、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つの他の3つが実行するように構成された機能とは異なる機能を実行するように構成され、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、その機能に基づいて識別されることを特徴とする方法。
【請求項5】
要素の制御装置として機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップと、
管理スイッチとして機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップと、
ファブリックモジュールとして機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップと、
データパス転送要素として機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記識別ステップの1つ以上が、リンク層検出プロトコル(LLDP)を使用することにより取得した情報に基づいていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
要素の制御装置として機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップは、各々のホワイトボックスのシリアルナンバーによりネットワークオーケストレータにより実行されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
管理スイッチとして機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップは、管理スイッチとして機能する前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つが隣接する要素の制御装置と直接又は遠隔で接続されているかに関係なく、管理スイッチとして機能する前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つ及び要素の制御装置として機能する1以上の隣接するホワイトボックス間に存在する接続性により実行されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記識別は、隣接する要素の制御装置に記憶された接続性マトリックスによる少なくとも1つの接続ポートに基づいていることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ファブリックモジュールとして機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップは、前記管理スイッチとの内部管理接続によりファブリックモジュールのIDを生成することにより実行されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記識別は、前記管理スイッチに記憶された接続性マトリックスによる少なくとも1つの接続ポートに基づいていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
データパスフォーワーダとして機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップは、前記管理スイッチとの内部管理接続によりデータパスフォーワーダのIDを生成することにより実行されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、分散コンピューティングの分野に関する。より詳しくは、通信ネットワーク内の分割システム(disaggregated system)の動作に関する。
【0002】
BOM:部品表(Bill of Materials)
CSP:クラウドサービスプロバイダ(Cloud Service Provider)
DDOS:分散サービス妨害攻撃(Distributed Denial-of-Service)
EC:要素の制御装置(Elements’ Controller)
FM:ファブリックモジュール(Fabric Module)
MS:管理スイッチ(Management Switch)
DPF:データパスフォーワーダ(Data Path Forwarder)
LLDP:リンク層検出プロトコル(Link Layer Discovery Protocol)
NC:ネットワーククラウド(Network Cloud)
NCR:ネットワーククラウドルータ(Network Cloud Router)
NOS:ネットワークオペレーティングシステム(Network Operating System)
ODM:相手先ブランド名製造(Original Design Manufacturer)
ONIE:オープンネットワークインストール環境(Open Network Install Environment)
OS:オペレーティングシステム(Operating System)
QOS:サービスの品質(Quality of Service)
S/N:シリアルナンバー(Serial Number)
SDN:ソフトウェア確定ネットワーク(Software Defined Network)
VPN:仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network)
WB:ホワイトボックス(White-Box)
WB-UID:ホワイトボックス固有識別子(White-Box Unique Identifier)
ホワイトボックス:フォワーディングプレーン内のスイッチ及び/又はルータのためのオープン又は業界標準対応ハードウェアである商品。ホワイトボックスは、ユーザにネットワークの基礎的なハードウェア要素を提供する。
【背景技術】
【0003】
分割(分散)システムは、コンポーネントが異なるネットワークのコンピュータに配置されたシステムであり、互いにメッセージを送信することによりそれらの動作を通信して調整する。コンポーネントは、共通の目標を達成する為に、互いに相互作用する。分散システムの3つの重要な特徴は、コンポーネントの同時実行、グローバルクロックの欠如、及びコンポーネントの独立故障である。
【0004】
分散システム内で実行されるコンピュータプログラムは、分散プログラムと呼ばれる。pureHTTP、RPC状コネクタ及びメッセージキューを含むメッセージ受け渡しメカニズムの為の多くの異なる型の実装が存在する。
【0005】
コンピュータクラスタは、一緒に動作する緩く又は密接に接続された1組のコンピュータであるから、多くの面において、単一のエンティティとして見られる。グリッドコンピュータとは異なり、コンピュータクラスタはそれぞれ、ソフトウェアにより制御及びスケジュールされた同じタスクを実行するノードセットを有する。
【0006】
クラスタのコンポーネントは通常、高速ローカルエリアネットワークを通して互いに接続され、(例えば、コンピュータがサーバとして使用され、)各ノードが、オペレーティングシステムの独自のインスタンスを実行する。ほとんどの状況で、全てのノードは、同じハードウェア及び同じオペレーティングシステムを使用するが、(例えば、オープンソースクラスタアプリケーションリソース(Open Source Cluster Application Resources)(OSCAR)が実装されると、)いくつかのセットアップにおいて、各コンピュータに異なるオペレーティングシステムを使用してもよく、又は異なるハードウェアを使用してもよい。
【0007】
クラスタは通常、単一のコンピュータよりも性能及び可用性を改善する為に展開され、通常、同様の速度又は可用性の単一のコンピュータに比べてかなり費用効率が良い。
【0008】
ネットワーククラウド(NC)との用語は、ルーティング、スイッチング等のネットワーク機能を果たす為に使用されるクラウドを示している。即ち、上記用語は、ネットワークエンティティのハードウェア及びソフトウェアを分割する概念を示している。ネットワーククラウド内のネットワークエンティティの制御プランは、データパスと分離され、ローカルサーバ上又はクラウドネットワーク内にインストールされる。抽象化層は制御要素を分離し、データパス関連ハードウェアコンポーネントに依存しなくする。データパスは、サーバ、ネットワークインタフェース、及びホワイトボックス装置等の分散ハードウェア資源上で実行され、直接プログラミングされることができる。ネットワーククラウドコンセプトは、より効率的で集中管理されて容易にプログラミングできる方法でルーティング、スイッチング、VPN、QOS、DDOS緩和等のソフトウェア確定ネットワーク(SDN)の機能を果たす為にクラウド方法論を使用する。
【0009】
今日存在するネットワークフィールド内のハードウェア及びソフトウェア間の分離は、ネットワーククラウドの新たなモデルを結果としてもたらし、ハードウェア資源の最適利用は、分散ネットワークオペレーティングシステムの展開を可能にするために実装される。現在、ネットワークオペレータは、ネットワーク要素の価格が装置毎に比較的高価であり、その結果、「ポート毎」ベースでも高価であるが、加入者毎の収入はほぼ一定のままであり、いくつかの場合、減少しているという資金的な困難性に直面している。明らかに、上記の困難性はネットワーク所有者の収益性に影響を与え、ネットワーク所有者のネットワークにおいて費用削減アプローチを実装する方法を探すように促す。多くのネットワークオペレータ及びWebスケール所有者等の大規模ネットワーク所有者は、ホワイトボックスを実装するアプローチを採用し、ホワイトボックスは、相手先ブランド名製造でシリコンマーチャント(silicon merchant)(商品チップセット(commodity chipset))により製造されたハードウェア要素である。このアプローチは、ネットワークオペレータが異なる製造業者により製造されたホワイトボックスを同じ分散ネットワーククラウドクラスタ内で使用することを可能にし、それにより、部品表の費用に加えて合意済の利ざやのモデルにハードウェア価格を減少することができる。しかし、このアプローチは従来のアプローチとは異なり、ネットワーク要素は、ハードウェア及びソフトウェアが組み合わされたモノリシックな装置として購入される。上述のように、ハードウェア部分(即ち、ネットワーク要素のハードウェア部分)の問題は、ホワイトボックスアプローチを採用することにより解消される。しかしながら、このアプローチを採用することにより、ソリューションのソフトウェア部分に新たな課題が生成される。このアプローチは複数のソフトウェアモジュール及びコンテナを必要とするので、複数のハードウェアホワイトボックスを使用することによる分散ハードウェアノードのソリューションの使用は、複数のソフトウェアモジュール及びコンテナが同期して実行されることを必要とする。
【0010】
分割ホワイトボックスベースの仮想クラスタにおいて実行される展開及びプロビジョニングプロセスは、いくつかの動作上の課題をもたらす。そのような課題の1つは、いくつかのモジュール式ネットワーク要素(ノード)が単一の強力なネットワーク要素として機能する為にバンドルされていることに属する。ノードのそれぞれは、ルータ内の専門機能を担当するので、自動的に識別され、プロビジョニングされ、関連ソフトウェア(SW)コンポーネントに割当される必要がある。
【0011】
本開示により提供されるソリューションは、上述のようなネットワークの動作を改善する必要がある、動的な進化する環境下のノードを識別する装置及び方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示は、添付の特許請求の範囲を参照することによって要約することができる。
【0013】
本開示の目的は、単一のエンティティ(ルータ、スイッチ等)として効果的に動作する多数のホワイトボックスを含み、その単一のエンティティに関連する機能は複数の物理的ホワイトボックス上に分散されている、新規の分割システムを提供することである。
【0014】
本開示の目的は、新規の分割システム及びそのシステムに含まれる要素をその機能に基づいて識別する方法を提供することである。
【0015】
本開示の他の目的は、ネットワーククラウドの改善された制御及び動作を可能にする為に、分散クラスタ内のノードの識別の為の新規のアプローチを提供することである。
【0016】
本開示の他の目的は、以下の説明から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の実施形態によれば、複数のホワイトボックスを含む通信ネットワークにおける使用の為の分割ルーティングシステムであって、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つの他の3つが実行するように構成された機能とは異なる機能を実行するように構成され、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、その機能に基づいて識別に関連付けられる、分割ルーティングシステムが提供される。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する「クラスタ」という用語は、1以上の要素の制御装置、管理スイッチ、ファブリックモジュール、及びデータパスフォーワーダである複数のノードを含む仮想エンティティを示す為に使用される。これらのノードは、一緒に動作する緩く又は密接に接続された1組のコンピューティングエンティティとして動作し、それにより、多くの面において、クラスタは単一のシステムとして見られる。
【0019】
他の実施形態によると、前記複数のホワイトボックスの少なくともいくつかはさらに、前記分割ルーティングシステム内の各々の位置に基づいて識別される。
【0020】
他の実施形態によると、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれの機能は、データパス転送、ファブリックモジュール、要素の制御装置、及び管理スイッチから成る群から選択される。
【0021】
本開示の他の側面によると、複数のホワイトボックスを含む分割ルーティングシステムにおいて使用される方法であって、前記複数のホワイトボックスのそれぞれが前記分割ルーティングシステム内で実行するように構成された機能に基づいて前記複数のホワイトボックスのそれぞれを識別する為の方法において、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つの他の3つが実行するように構成された機能とは異なる機能を実行するように構成され、前記複数のホワイトボックスの少なくとも4つのそれぞれが、その機能に基づいて識別される、方法が提供される。
【0022】
他の実施形態によると、提供された前記方法は、
要素の制御装置として機能するように構成された前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップと、
管理スイッチとして機能するように構成された前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップと、
ファブリックモジュールとして機能するように構成された前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップと、
データパス転送要素として機能するように構成された前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップと、
を含む。
【0023】
さらに他の実施形態によると、前記識別ステップの1つ以上が、リンク層検出プロトコル(LLDP)を使用することにより取得した情報に基づいている。
【0024】
さらに他の実施形態によると、要素の制御装置として機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップは、各々のホワイトボックスのシリアルナンバーによりネットワークオーケストレータ(network orchestrator)により実行される。
【0025】
他の実施形態によると、管理スイッチとして機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップは、各々のホワイトボックスが隣接する要素の制御装置と直接又は遠隔で接続されているかに関係なく、各々のホワイトボックス及び要素の制御装置として機能する1以上の隣接するホワイトボックス間に存在する接続性により実行される。好ましくは、前記識別は、隣接する要素の制御装置に記憶された接続性マトリックスによる少なくとも1つの接続ポートに基づいている。
【0026】
さらに他の実施形態によると、ファブリックモジュールとして機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップは、前記管理スイッチとの内部管理接続によりファブリックモジュールのIDを生成することにより実行される。好ましくは、前記識別は、前記管理スイッチに記憶された接続性マトリックスによる少なくとも1つの接続ポートに基づいている。
【0027】
他の実施形態によると、データパスフォーワーダとして機能するように構成されたノードとして前記複数のホワイトボックスの少なくとも1つを識別するステップは、前記管理スイッチとの内部管理接続によりデータパスフォーワーダのIDを生成することにより実行される。
【0028】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの実施形態を示し、以下の説明と共に、本明細書に開示されるこれらの実施形態の原理を説明するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】様々な要素をその中に含むネットワーククラウド(NC)の例を示す図であり、クラスタ内の各ノードは他のノードとは分離して識別する必要がある。
図2】分割システム内に含まれる複数のホワイトボックスの識別プロセスを実行する為の本発明の実施形態による方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の詳細な説明における特定の詳細及び値の一部は、本開示の特定の例を示している。但し、この説明は、例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。特許請求される方法及び装置は、当該技術分野で公知の他の手法によって実現できることは、当業者にとって明らかである。更に、ここに記述した実施形態は、異なるステップを含むが、その全てが本発明の全ての実施形態において必要とされるわけではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することにより要約される。
【0031】
本発明は、多数のネットワーク要素を含む分割ルーティングシステム(例えば、分散クラスタ)に関し、これらのネットワーク要素のほとんど(又は全て)がホワイトボックスである。そのような構成を使用することにより、一方では、比較的低価格で非常に大規模なシステム(即ち、大容量を有するシステム)を実装することができ、他方では、新たなホワイトボックスをさらに追加することによりシステムを容易に拡張することができる。しかし、そのようなシステムを実装することの主な欠点の1つは、その複雑性である。ネットワーククラウドが適切に動作する為に、本開示は、好ましくはネットワーククラウド内のホワイトボックスの位置と共に、各ホワイトボックスの機能を識別することを提案している。
【0032】
本開示は、分割ルーティングシステム(例えば、分散クラスタ)内に含まれる複数のホワイトボックス(ノード)を識別する為の新規のアプローチを記載しており、前記複数のホワイトボックスのそれぞれは、強力なネットワーククラウドを動作及び維持する為の制御等の特定の機能を実行するように構成され、それらの機能を組み合わせることにより、ネットワーククラウド内のルーティング及びスイッチング等の様々なネットワーク機能を実行することができる。
【0033】
まずネットワーククラウド(NC)の一般的なアーキテクチャ及びその基本的な構成ブロックを記載することから始める。
【0034】
ネットワーククラウドは、極端な成長、迅速なサービス革新及び経済的な収益性の為に構築された比較的新しいネットワークアーキテクチャである。通常、3つのレベルの分割から成る。
1.ハードウェア及びソフトウェア:費用+モデルで製造業者によりクラウドサービスプロバイダ(CSP)に直接販売されたホワイトボックス上で実行されるソフトウェア。この新しい経済的モデルは、サービスの需要が増加するにつれてクラウドサービスプロバイダがその収益性を増加することを可能にする。
2.ルータアーキテクチャ:ネットワーククラウドアーキテクチャを実装することは、伝統的なモノリシックなルータを、ルーティングサービスを実行する標準的なサーバ及び複数のホワイトボックスから構築されたクラスタに分割することを意味する。このアーキテクチャは、同じハードウェアソリューションを使用したまま、小型のルータをエッジ、集合、及び大規模コアルータにスケールアップすることができる。このアプローチは、動作を簡略化し、その結果、運営費を減少する。
3.データプレーン及び制御プレーン:ネットワーククラウドのデータプレーンは、ホワイトボックス上で実行され、さらにホワイトボックスを単に追加することに比例してスケール変更するように設計されている。制御プレーンは、関連する異なるネットワーク機能(コア、エッジ、集合等)の為の異なるルーティングサービスを実行するコンテナ化されたマイクロサービスに通常基づいているべきであり、サービスチェイニングが、全てのルータサービスで同じインフラストラクチャを共有することを可能にする。
【0035】
ネットワーククラウドは、以下のソフトウェア構成ブロックを含む。
1)非動作(非活動)ボックスを動作中の(活動)ネットワーク要素に変換するオペレーティングシステム。単一のスタンドアロンホワイトボックスのサポートから数百のホワイトボックスのサポートにスケール変更可能であり、それにより、サービスプロバイダのネットワーク内に真のクラウド環境を生成する。
2)分割ネットワークの展開、統合、及び管理の固有の課題を解決する為に設計されたオーケストレータ。このブロックは、全てのネットワーククラウド要素の円滑な動作を一元的に自動化し、ライフサイクル管理を維持することができる。
【0036】
次に、以下の機能を有する様々なホワイトボックス(ハードウェア構成ブロック)を使用することにより、ネットワーククラウドルータ(NCR)が形成される。
・データパスフォーワーダ(DPF):データパス転送プロセスを担当し、アクセスリスト、QOS、BFD、及びNetflow等の全ての関連するデータパス特性を記憶する単一の高レート転送要素。
・ファブリックモジュール(FM):クラスタ内に含まれる複数のデータパスフォーワーダ間の非停止クラスタ内データパス接続性を担当する。
・要素の制御装置(EC):クラスタ内管理及びネットワーク要素の制御及び管理の為の外部制御装置。例えば、単一のx86サーバは併設された異なるネットワーククラウドルータを機能させる為に使用することができる。
・管理スイッチ(MS):クラスタ内管理及びデータパスフォーワーダ、ファブリックモジュール、及び要素の制御装置間の接続性の制御を担当する。全てのラックからの管理スイッチは、全てのラック要素から全ての管理トラフィック情報を収集する。その後、管理トラフィックは、x86サーバラックの管理スイッチにより集約される。
【0037】
このような構成を実装することの課題の1つは、クラスタを適切に動作させる為に、ハードウェア(HW)構成ブロックのそれぞれへのアクセスをどのように可能にするかであり、即ち、所望のネットワーク機能が達成されることを確保する為に、ハードウェア(HW)構成ブロックのそれぞれをどのように識別するかである。
【0038】
以下の例においては、クラスタ情報処理のフローが例示されており、ネットワーククラウドのハードウェア(HW)構成ブロックのそれぞれは、それらの相互依存度と共に識別される。例示されているフローは、以下の主ステップを含む。
・要素の制御装置のID割当、
・管理スイッチの名前割当、
・ファブリックモジュールのID割当、
・データパスフォーワーダのID割当。
【0039】
一般的な仮定として、図1に図示されているように、管理スイッチはノード要素(データパスフォーワーダ/ファブリックモジュール)に接続されなければならないと仮定されるが、要素の制御装置はプリプロビジョニング目的で管理スイッチに接続されることなく動作できる。
【0040】
図1には、本発明によるシステムの概略図が図示されており、管理スイッチ、要素の制御装置、データパスフォーワーダ、又はファブリックモジュールとして動作する異なる複数のホワイトボックスと、各ホワイトボックスと関連付けられたオペレーティングシステム(OS)と、これらのホワイトボックスによりこれらの機能に従って実行される各サービスと、が含まれている。
【0041】
図2には、分割システム内に含まれる複数のホワイトボックスの識別プロセスを実行する為の本発明の実施形態による方法が例示されている。
【0042】
まず、管理スイッチ、要素の制御装置、データパスフォーワーダ、又はファブリックモジュールとして動作する様々なホワイトボックスが、これらが接続された制御ポートで、リンク層検出プロトコル(LLDP)を継続的に動作させる(ステップ10)。
【0043】
次に、要素の制御装置(EC)の識別を開始し(ステップ20)、この例において、この識別は、ネットワークオーケストレータを介して、要素の制御装置として機能するように構成されたホワイトボックスのシリアルナンバーにより実行される。高可用性の目的で、分割システム内に含まれる2つのホワイトボックスが要素の制御装置として使用されることが決定されると仮定し、その後、ID0が好ましい要素の制御装置に(例えば、デフォルトで)割当され、ID1が他の要素の制御装置に割当される。好ましくは、IDは動作中に変更されるべきではないが、展開中にのみ変更でき、その後は固定されたままになる。
【0044】
次に、管理スイッチ(MS)を識別するステップ(ステップ30)について記載する。そのホスト/システム名は、その隣接する要素の制御装置との接続性により決定される。要素の制御装置は、関連するAPIの作成時に従うべき1組のルールであるREST-API、即ちRepresentational State Transfer(REST)、を介して、そのシェルプロンプトを通して管理スイッチを構成することができる。管理スイッチは、これらの隣接する要素の制御装置に直接又は遠隔で接続することができる。識別基準は、要素の制御装置により定義される接続性マトリックスによる少なくとも1つの接続ポートに基づいている。以下は、典型的なプロセスフローの例である。
・要素の制御装置は、管理スイッチのシリアルナンバー(S/N)及びこれらの割当されたIPアドレス(例えば、要素の制御装置のDHCPサーバは、管理スイッチのシリアルナンバーからIPアドレスを抽出する為に使用されることができる)に関する情報を提供される、
・割当されたDHCPのIPアドレスに繰り返し(例えば、2、3分毎に)クエリを送信し、管理スイッチのネイバに関する情報を要求する、
・一方、管理スイッチはリンク層検出プロトコルを実行し、管理スイッチのネイバに関する情報を取得する、
・管理スイッチは要素の制御装置のクエリに応答し、リンク層検出プロトコルの実行中に取得した要求された情報を提供する、
・要素の制御装置は、管理スイッチの応答から得られた情報をその接続性マトリックスと比較し、REST-APIを介して、応答した管理スイッチ(例えば、S/N ABCDEFGH)の名前、例えば、「MS-A0」を設定する、
・次に、要素の制御装置は、その管理スイッチに関する情報と共に、設定された名前をその動作データベース内に保存する。
【0045】
次に、分割システム(クラスタ)のファブリックモジュール(FM)を識別するステップ(ステップ40)が実行される。ファブリックモジュールのIDは、自動的に生成され、リンク層検出プロトコル等のプロトコルを使用して、管理スイッチとの内部管理接続によりファブリックモジュールに割当される。識別基準は、管理スイッチの接続性マトリックスによる少なくとも1つの接続ポートであることができる。この決定をする際に考慮される他の要因は、例えば、新たなIDが割当されていない(シリアルナンバー情報のみが利用可能な)開始モード及び動作モード間の差別化及び潜在的衝突である。
【0046】
以下の例は後者の実施形態を説明している。
・ファブリックモジュールは、リンク層検出プロトコルを使用して、ファブリックモジュールが「MS-XXX」にポートID「YY」を介して接続しているとの情報を提供する。
・要素の制御装置は、ファブリックモジュールにより提供された情報から以下のデータを取得する。
・ノードタイプ:ファブリックモジュール
・ファブリックモジュールのシリアルナンバー
・管理スイッチとの接続ポート:「MS-A0」にポートID「ZZ」
・その後、要素の制御装置は、取得したデータをその接続性マトリックスに記憶されたデータと比較し、そのファブリックモジュールノードにID「TT」を割当する。
【0047】
識別する必要がある最後のタイプのホワイトボックスは、データパスフォーワーダ(DPF)タイプのノードである(ステップ50)。データパスフォーワーダのIDは、管理スイッチとの内部管理接続により自動的に生成され、識別はリンク層検出プロトコルを使用して実行される。
【0048】
使用される識別基準は、管理スイッチの接続性マトリックスによる少なくとも1つの接続ポートの使用である。この決定をする際に考慮される他の要因は、例えば、新たなIDが割当されていない(シリアルナンバー情報のみが利用可能な)開始モード及び動作モード間の差別化及び潜在的衝突である。以下の例は後者の実施形態を説明している。
・ノードタイプ:データパスフォーワーダ
・データパスフォーワーダのシリアルナンバー
・接続ポート
【0049】
好ましくは考慮すべき他の重要なパラメータは、データパスフォーワーダを動作させる為に正しく接続するべきポートの数である。
【0050】
次に、要素の制御装置は、取得したデータを接続性マトリックスに記憶されたデータと比較し、事前に定義された閾値に基づいて接続ポートの数との互換性を求め、そのノードにデータパスフォーワーダのIDを割当する。
【0051】
本発明は、単なる例として提供され、本発明の範囲を限定することを意図していない実施形態の詳細な説明を使用して、説明されている。記載されている実施形態は異なる構成を含み、全ての構成が本発明の全ての実施形態において必要であるわけではない。本発明のいくつかの実施形態は、いくつかの構成のみ、又は構成の可能な組み合わせを使用するものである。記載されている本発明の実施形態の変形、及び記載の実施形態に示されている構成の異なる組み合わせを含む本発明の実施形態は、当業者には自明である。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
【国際調査報告】